(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】ニッケル・マトリックスにおける微細粒状タングステンカーバイドから形成された外科用物品
(51)【国際特許分類】
A61L 31/02 20060101AFI20220204BHJP
A61B 17/16 20060101ALI20220204BHJP
A61B 17/14 20060101ALI20220204BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
A61L31/02
A61B17/16
A61B17/14
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531252
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 US2019065578
(87)【国際公開番号】W WO2020123572
(87)【国際公開日】2020-06-18
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520104329
【氏名又は名称】シンク サージカル,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】パック,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ズハース,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】フォースタイン,ミカ
【テーマコード(参考)】
4C081
4C160
【Fターム(参考)】
4C081AA05
4C081AB03
4C081CF21
4C081CG08
4C081DB06
4C081DC13
4C160FF45
4C160LL01
4C160LL07
(57)【要約】
生物学的適合性の外科用物品は生物学的組織を切除するか、あるいは接触して移植するために提供される。外科用物品はタングステンカーバイド-ニッケルと一定の比率で存在する追加の金属カーバイドの組成を有する。典型的な組成は、全重量%の85重量%乃至95重量%タングステン(WC)存在し、各々単独又は組み合わせて0重量%乃至2重量%Cr
3C
2、MO
2C、VCが存在し、残りをNiが構成する。組成は0~0.6の間、いくつかの実施形態において0.02と0.2の間の(標準偏差の二乗)/(中間の粒径)に対応する粒子分散指数(Pdl)で200~800nmの中間の粒径を持つように形成される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用物品であって、
所望の形状および中間の粒径を有する組成であって、前記組成は、本質的に全重量%の85乃至95重量%存在するタングステンと、単独又は組合せて存在する0重量%乃至2重量%のCr
3C
2、MO
2C、VC、残りを構成しているニッケルと、を含み、
平均粒径が、0~0.6の粒子分散指数で200~800nmである、外科用物品。
【請求項2】
前記粒子分散指数は0.02と0.2の間にある請求項1に記載の外科用物品。
【請求項3】
Cr
3C
2、MO
2C、VCが、すべて存在し、全重量%の0重量%を超え1重量%未満を構成する請求項1に記載の外科用物品。
【請求項4】
所望の形状が外科用ドリルである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の外科用物品
【請求項5】
所望の形状が、滑らかなトロカール、ネジが刻設されたトロカール、キルシュナーピン、歯科用ドリルビット、骨鉗子あるいは外科用鋸刃である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の外科用物品。
【請求項6】
所望の形状は、カッター・スリーブ、骨クランプ、股関節のインプラント、膝のインプラント、肩のインプラント、くるぶしのインプラント、肘のインプラント、背骨のインプラント、骨ネジ、骨ピンあるいは外傷プレートである請求項1に記載の外科用物品。
【請求項7】
さらに表面被覆を含み、所望の形状は、外科用ドリル用ビット、整形外科のインプラント、歯科用ドリルビット、ドリルガイド、鋸のガイド、ネジ、又はピンである請求項6に記載の外科用物品。
【請求項8】
所望の形状は、膝のインプラント、股関節のインプラント、外傷プレート、ペディクルスクリューあるいは髄内釘である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の外科用物品。
【請求項9】
外科的処置の間に被験者の組織を切断する方法であって、該方法は、
組織接触部を有する請求項1による外科用物品を形成する工程、
及び
前記組織接触部が被験者の組織と噛み合わせている間に、前記外科用物品を回転させるか振動させる工程、を含む方法。
【請求項10】
前記外科用物品は回転する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記外科用物品を回転させるか、或いは振動させる工程に先立って前記外科用物品をロボットアームにさらに選択的にかみ合わせる工程を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項12】
外科的処置の間に被験者の組織を修正する方法であって、
請求項1による外科用物品を形成する工程、
被験者の組織に接して前記外科用物品を置く工程、
及び
インビボで被験者の組織と接触して前記外科用物品を保持する工程、を含む方法。
【請求項13】
被験者の組織を露出させるために、組織の一部を除去して、前記外科用物品が組織表面に対して相補的である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記除去する工程がロボットで実行される請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年12月13日に出願された米国仮出願第62/779,186号の優先権の利益を請求し、その内容は、参照によって本明細書によって組込まれる。
【0002】
この発明は、一般に体組織を切断するか、或は体組織へ移植するために操作し得る外科用物品に関し、とくにニッケル・マトリックスの微細粒状タングステンカーバイドに基づいた外科用物品に関する。
【背景技術】
【0003】
エンドエフェクタはロボットの外科手術システムの本質的な遠位部分であり、共通の特徴を備えたマニュアル外科器具は切断回転ツール或いは側方運動を引き起こすための駆動ユニットである。組織を除去するために、エンドエフェクタを始動し、除去される組織と接触する。エンドエフェクタが骨と接触している場合、始動したエンドエフェクタは保持された組織を破損し得る摩擦発熱を引き起こし得、同時に切断されている組織の厚さの差が、エンドエフェクタが優先的に所望のカット経路から外れるようにしている。
【0004】
鋼が一般に経済的で、際立った切断表面を定義するために形成することができる一方で、物理的な劣化のない条件および滅菌を許容しているので、従来のエンドエフェクタはステンレス鋼から製造される。残念なことに、ステンレス鋼エンドエフェクタは処置の間に鈍くなる影響を受け、前述の問題を悪化させる。従来の考えは、ステンレス鋼の相対的な剛性が機械加工中にツール軸芯からの偏差を回避することが重要であるということである。
【0005】
同様に、インプラント形成は金属構造を形成するためにステンレス鋼またはチタンに伝統的に依存しており、当該金属構造の両方は限定を有している。身体内の腐食が感染にしばしば結びつくので、型式316Lのステンレス鋼は、体液との直接的な接触中にあるとき、その耐食性のために慣例的に使用される。寒冷動作条件および介在物の欠如にある場合、この型式のステンレス鋼は外科用インプラントとして特に有効である。
【0006】
外科用インプラントの目的で選択された型式316Lのステンレス鋼は、約17~19%のクロムと、14%のニッケルを含んでいる。外科用インプラントで、酸性の体液環境への露出から金属を保護する保護膜を形成するために、モリブデンがステンレス鋼合金に加えられる。
耐食性も炭素元素で達成することができるが、炭素が固溶体状態である場合に限る。
【0007】
1900年代の初め以来ずっと医療行為に使われてきたステンレス鋼合金と比較して、チタンは、生物学的組織の置換のための医療用インプラントとしてその応用において比較的新しい。あいにく、もし水素、窒素あるいは酸素にさらされれば、チタンは容易に汚染される。それは、この金属において腐食プロセスに影響を及ぼす場合があり、特定の医療処置でのチタン使用を危険にさらし得る。1960年代に経験されたチタンによる外科用インプラント用最適材料へのシフトは、ポピュラーな選択である。しかし、そのようなインプラントの耐久性は、再度の処置が必要とされる前のインプラントの耐用年数の要因である。
【0008】
超硬合金材の使用は代替案と考えられたが、それらを生物学的に適合するために、米国特許出願公開第2007/0082229号に詳述されるように、そのような材料はコバルトとニッケルの両方で尽くされている。さらに別の場合では、ニッケル・マトリックスにおいてタングステンカーバイドから形成された外科用器具は、米国特許出願公開第2006/0155314号に詳述されるように、微生物そこに滞留するのを防ぐために空隙率が限定されているという条件をもつことが意図されている。外科用物品に対するこれらの特性の臨界性が、当該分野で議論されてきた。
【0009】
したがって、そのような外科用物品が形成される新素材のニーズが存在する。生体適合性を与えるニッケル・マトリックスにきめの細かいタングステンカーバイドから形成されたそのような物品のニーズがさらに存在する。続いて連結される異種の材料から形成されたことに対立するものとして単一体の物品として形成されるような物品のニーズがさらに存在する。
【発明の概要】
【0010】
外科用物品は所望の形状および中間の粒径をもつ組成を有している。該組成は、重量によって、85乃至95全重量%存在するタングステンカーバイド(WC)、Cr3C2、MO2C、VC、各々単独あるいは組合せであって、2全重量%まで存在するCr3C2、MO2C、VC、および残りを構成するニッケル、0~0.6の粒子分散指数で平均粒径が200~800nmである。
【0011】
方法は、外科的処置の間に被験者の組織を切断するために提供される。当該外科的処置は、組織と接触する部分を持っている以下に介される外科用物品として形成すること、及び組織と接触する部分が被験者の組織と噛み合う間に前記外科用物品を回転させるか、振動させることを含んでいる。
【0012】
方法は、外科的処置の間に被験者の組織を修正するために提供される。外科的処置は、以下に開示されるように、被外科用物品を形成すること、当該外科用物品を被験者の組織と接するように置くこと、被外科用物品をインビボかつ被験者の組織と接触して保持すること、を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
この特許出願は、カラーで実行された少なくとも1つの図面/写真を含んでいる。カラー図面/写真を備えたこの特許出願のコピーは、必要な手数料の請求および支払いで、特許庁によって提供されるだろう。
【0014】
実施形態の例証となる例は本明細書に添付された図を参照して以下に記載される。図では、1つを超える図に現われる、同一の構造、構成要素あるいは部分は、それらが現われるすべての図において同じ数字で一般に、標識付けされる。図で示される成分および特徴の寸法は、説明の便宜および明瞭さのために一般に選ばれ、必ずしもスケールに導かれない。図は以下にリストされる。
【
図1A】
図1Aは本発明の外科用物品の走査型電子顕微鏡写真(SEM)であり、スケールバーは7ミクロン表わしている。
【
図1B】
図1Bは、様々なピーク・エネルギーが対応する要素で標識付けされた縁によってそこに定義された
図1Aの領域のエネルギー分散分光法強度プロットである。
【
図1C】
図1Cは、タングステン、ニッケル、クロムおよびモリブデンのための
図1Aの画像への
図1Bの偽色のオーバーレイである。
【
図2A】
図2Aは、拡大用の部位を制限する円を備えた本発明のエンドエフェクタの斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、骨クランプの形態の本発明の外科用物品の斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、股関節部のインプラントの形態の本発明の外科用物品の斜視図である。
【
図3C】
図3Cは、膝のインプラントの形態の本発明の外科用物品の斜視図である。
【
図3D】
図3Dは、肩のインプラントの形態の本発明の外科用物品の斜視図である。
【
図3E】
図3Eは、くるぶしのインプラントの形態の本発明の外科用物品の斜視図である。
【
図3F】
図3Fは、肘のインプラントの形態の本発明の外科用物品の斜視図である。
【
図3G】
図3Gは、背骨のインプラントの形態の本発明の外科用物品の斜視図である。
【
図3H】
図3Hは、骨ねじの形態の本発明の外科用物品の斜視図である。
【
図3I】
図31は、骨ピンの形態の本発明の外科用物品の斜視図である。
【
図3J】
図3Jは、外傷破損プレートの形態の本発明の外科用物品の斜視図である。
【
図3K】
図3Kは、歯科用ドリルビットの形態の本発明の外科用物品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0034]
本発明は生物学的な組織を切断するか、あるいは当該組織と接触して移植するための生物学的適合性のある外科用物品として有用性を持っている。多孔性と高いニッケル含有率に関係なく、ニッケル・マトリックスの微細な粒状の大多数のタングステンカーバイドが、驚くべきことに生体適合性と魅力的な切断特性のバランスを与えることが分かった。生じる外科用物品は単一ピースの材料から容易に形成され、それによって、過度の機械加工および結合関連付けられる弱点を回避する。
【0016】
[0035]
本発明は本明細書では、次の実施形態に関して記述されるだろう。これらの記載によって明白であるように、本発明は様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきでない。もっと正確に言えば、この開示が充分になり完結し、かつ、当業者に本発明の技術的範囲を充分に示唆するように、これらの実施形態が提供される。例えば、1つの実施形態に関して例証された特徴は、他の実施形態に組み入れることができる。また、特定の実施形態に関して例証された特徴は、その実施形態から削除され得る。その上、本明細書に示唆された実施形態に対する、本発明から逸脱しない多数の変形物及び追加は本開示に照らして当業者に明白になるであろう。従って、次の明細書は、本発明のいくつかの特定の実施形態を例証し、かつ順列、組み合わせおよびそれらの変形物を完全に明示しないように意図される。
【0017】
[0036]
数値の範囲が与えられている場合において、当該範囲の終点を包含するだけでなく、当該範囲内に明示的に含まれており、当該範囲の最後の有効数字だけ変化するような範囲の中間値をも包含することが意図されてと理解されるべきである。例として、1から4までの詳述された範囲は、1-2、1-3、2-4、3-4および1-4を含むように意図される。
【0018】
[0037]
もし他の方法で定義されなかったならば、本明細書において使用される技術的および科学的用語はすべて本発明が属する当業者に一般に理解されるのと同じ意義を持っている。本発明の説明の中で本明細書に使用される用語は、特定の実施形態だけを記載する目的のためにあり、本発明を限定するようには意図されていない。
【0019】
[0038]
本明細書に言及されたすべての刊行物、特許出願、特許および他の引例は、参照によりそれらの全体に組み入れられる。
【0020】
[0039]
他の方法で、明示的にあるいは文脈によって示されなかったならば、以下に述べられるように、次の用語は本明細書に使用される。
【0021】
[0040]
発明の説明および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数の形態「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に示さない限り、複数形をも含むように意図される。
【0022】
[0041]
本明細書に使用されるように、「及び/又は」は、関連づけられたリストされたアイテムの1つ以上の全ての可能な組み合わせに言及し、かつ包含し、代替の「又は」で解釈される時、組合せがないものにも言及する。
【0023】
[0042]
本明細書に使用されるように、「外科用物品」は、骨を含む生物学的組織を切断することを意図されたツール、或いは生きている哺乳類の被験体内に移植されるツールとして定義される。
【0024】
[0043]
本発明の外科用物品は、追加の金属カーバイドの%を備えたタングステンカーバイドニッケルの組成である。本発明の典型的な組成は全重量%のうち、タングステン(WC)85~95%、Cr3C2、MO2C、VC、各々単独或は組み合わせて0から2%まで存在し、および残りをニッケルが構成する。粒子分散指数(Pdl)は200~800nmの中間の粒径を持ち、0~0.6の間の(標準偏差の2乗/(中間の粒径)、および0.02~0.2の間のいくつかの本発明の実施形態である)対応する。
【0025】
[0044]
本発明の物品の典型的な組成は
図1AのSEMの中で示されるような粒構造を有し、スケールバーが5000Xの倍率で7ミクロンおよび15kVの放射電圧、ならびに8.2mmの作動距離(WD)を表示する。エネルギー分散方式分光法プロットは
図1Bで示され、組成の重い原子(非炭素)含有量を提供する。
図1D-1Gは、
図1BについてKeVの中のK-レベルおよびL-レベル輝線に基づいて
図1Aの画像にタングステン(
図1D)、ニッケル(
図1D)、クロム(
図1D)およびモリブデン(
図1D)の元素の濃度をもった単一の偽色オーバーレイである。均質性をもった微粒子の大きさは、Pdlおよび金属の均質性、本発明の物品を特徴づける相対存在量の大きな差があるにもかかわらず、
図1D-1Gで注記される。
【0026】
[0045]
本発明の外科用物品を形成するために、タングステンカーバイド、ニッケルおよび他の金属カーバイドは、元素の炭素と結合し、ミルにかけられ、組み合わされる。その後、結果として生じる混合物は形成され、700°Cと1100°Cの間の温度で脱バインダされ、ついで10-200分の保持時間で1200°C乃至摂1700°Cの混合物の焼結温度にさらされる。いくつかの実施形態では、焼結は13.3-26.0Paの条件下の真空焼結である。結果として生じる部分は真っすぐになり、本発明の外科用物品を形成する従来の仕上げ処置に晒される。
【0027】
[0046]
本発明の外科用物品には高硬度、項耐衝撃性、耐摩耗性および想定外の高い移植可能な生体適合性の属性がある。この組成によって外科用物品に与えられた特性は次のとおりである。即ち、密度>14g/cm3と、ISO3878によって測定される硬さ≧1400HV30である。
【0028】
[0047]
本明細書において動作し得る本発明の外科用物品は、動力器具あるいはロボット駆動に結合されるのに適したエンドエフェクタ、カッター・スリーブ、骨クランプ、股関節部のインプラント(股関節部全体および再浮上するインプラント)、膝のインプラント(膝全体およびユニコンパートのインプラント)、肩のインプラント、くるぶしのインプラント、肘のインプラント、脊骨のインプラント、骨ネジ、骨ピン、外傷プレート、および歯科用ドリルビットを例証的に含む形状を呈する。非整形外科のインプラント、心臓インプラント(例えばペースメーカー)用の構成部分など他のインプラントも意図される。いくつかの本発明の実施形態は、外科用物品が組成の単一ピースから形成され、それによって結合を排除している一方で、他の本発明の実施形態において、外科用物品は前記組成から形成される組織接触する部分を有しており、外科用物品の他の部分は他の材料から形成される。この後者の実施形態の例で、切刃は前記組成から形成され、前記切刃或いは頭部は、ステンレス鋼またはチタンなどの従来材から形成されたシャンクに結合され。
【0029】
[0048]
図2A-2Dは、参照符号10で全体的に示された外科用物品のエンドエフェクタとして本発明の外科用物品を例証する。特にこの物品は、軟繊維に囲まれる骨をミルにかけるためにしばしば使用される骨ドリル組立体である。本発明のエンドエフェクタが、非内視鏡の開腹処置並びにマニュアル処置或はロボット制御化でなされるかどうかに関わらず内視鏡処置を含む種々のタイプの外科的処置を行なうように設計されていることは理解されるべきである。
【0030】
[0049]
表されたエンドエフェクタ10にはスリーブ12を有している。スリーブ12の近位端14、即ち遠位端の反対側の端部は、ハブ16に結合される。ハブ16は、エンドエフェクタ14を、モーター、整形外科用ドリル、及び/またはロボットアームなどの動力回転装置(図示せず)と解放可能に結合するのに適している。組織接触構造20とで終端するシャフト19を有する外科用カッター18は、前記組成から作られる。外科用カッター18のシャフト19は内側に収容され、スリーブ12によって支持され。かつ外科用カッター18を回転させる動力起回転装置と結合している。表されるような組織接触構造20は、隣接した溝24および側面26を備えたカッティングエッジ22を有する。
図2Aで示される組織接触構造20は、それぞれ
図2B、2Cおよび2Dで示される拡大側面図、横断面図、及び正面図である。従来の組織接触構造を備えた他の外科用物品も、本発明のニッケルベースの組成におけるタングステンカーバイドの特性からの利益を得ることが認識される。これらは滑らかなトロカール、ネジが切られたトロカール、キルシュナーピンを例証的に含んでいる。そのような外科用物品は、一方向回転及び両方向回転、揺動運動パターンで操作され、所望の外科的処置を行ない、すべて組織の摩擦発熱を生成するので、本発明にしたがって形成された外科用物品の使用から利益を得る。
【0031】
[0050]
本発明の外科用物品は、インプラントに形成されるのに適した組成にする生体適合性のレベルを持つと分かった。しかし、このニッケルは、従来、移植組織物質として好ましくない重金属と考えられていた。さらに、外科用物品の硬度および耐摩耗性は、ステンレス鋼またはチタン合金などの従来材から形成された、同一の形作られたインプラントに対して操作寿命が延びた魅力的なインプラントをもたらす。
図3A-3Kで例証的に示されるツール及びインプラントとして操作可能な外科用物品は、骨クランプ、股関節のインプラント(股関節部および再浮上するインプラントの合計)、膝のインプラント(膝全体およびユニコンパートメントのインプラント)、肩のインプラント、くるぶしのインプラント、肘のインプラント、背骨のインプラント、骨ネジ、骨ピン、外傷プレート、およびそれぞれ歯科用ドリルビットを例証的に含む。
【0032】
[0051]
インプラントを形成するために形付けられた本発明の外科用物品は、いくつかの本発明の実施形態の表面被覆でコーティングされる。本明細書中の実行される表面被覆は、抗菌剤、細胞の定着剤、骨細胞刺激プロモーター、血管の成長因子、生物活性の成長因子、あるいはその組み合わせを含む。
【0033】
[0052]
無傷の骨と接触するインプラントあるいは骨組織表面を露出する切除された骨組織への補足性を形成するために形成された本発明の外科用物品に関して、いくつかの実施形態においてインプラントは伝達を促進するために修正される。骨伝導、インプラント表面(同義的に文献の中で骨伝達と言及された)上の骨のグロースは、差別化された骨細胞の動作に依存する。これらの細胞は、外科的の外傷によって活発化される予め存在する前骨芽細胞/骨芽細胞、あるいは骨誘導によって初期の間充織細胞から補充された細胞のいずれかで生じうる。様々なタイプの骨成長要因は骨形成に必要である。更に、骨伝導を含む骨成長は、適切な血液供給および従って発育因子なしには生じない。成長因子は、血管原性及び細胞分裂促進性の両方であり、インプラント体インタフェースでインプラントまたは刺激に加えることができ、本発明において骨統合を促進することが考えられる。骨組織を調整する成長因子はインシュリン様増殖因子(IGF、I、II)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、TGF-b血小板由来増殖因子(PDGF)およびその組み合わせを含んでおり、発育因子の例証となり、発育因子は物理的にコーティングするか、あるいは共有結合で骨統合が望まれるインプラントの表面へ接合される。緩慢な放出マトリックスが発育因子を含み、本明細書において操作されることは認識される。そのようなマトリックスはChoukrounの自家多血小板フィブリン(PRF)を含んでいる。
【0034】
[0053]
本発明のインプラントは前述のいずれかによりインプラントの部分をコーティングすることにより安定させることができる。骨統合が如何なる程度でも生じない場合でさえ、インプラント表面との界面で新しい層骨を形成することによる骨伝導は、本発明によって所望のインプラントに安定を与える。本発明に従って骨統合の骨インプラント界面は、典型的には20から500nmまでの厚さの非晶質の層を有する。コラーゲンと石灰化組織は、この界面で典型的に見つけられる。
【実施例】
【0035】
[0054]
本発明は、次の非限定的な実施例に関してさらに詳述され、当該実施例は、関連する本発明の物品および特定の特質の調製を例証するために提供される。
例-生体適合性の評価
【0036】
[0055]
アルビノ・モルモットは、皮膚感作性試験で歴史上使用されており、ヒトのアレルギー性接触皮膚炎用の最も適切な動物モデルとして一般に認められる。11の試験のオスのモルモット(モルモット)、共通のハートレー種(特定病原体未感染)の体重および年齢(1抽出当たり)は、被験物質及びフロイント完全アジュバント(FCA)が注入され、6匹のモルモット(1抽出当たり)が対応する対照ブランクおよびFCAを導入される。動物は従来の被験動物条件の下で養われる。6日目に、背側の部位が再度削られ、鉱油中にラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が適用される。SLS適用の後日、局所的に適切な被験抽出で試験動物にパッチを適用して、対応する対照ブランクで対照動物にパッチを適用する。パッチは48±2時間の暴露後に除去される。約2週間の休眠期に続いて、局所的に適切な被験抽出および対応する対照・ブランクで動物にパッチを適用する。パッチは24±2時間の暴露後に除去される。皮膚パッチ部位はパッチ除去の24±2時間から48±2数時間後に紅斑および浮腫が観察される。動物はそれぞれ皮膚のスコアに基づいた感作応答のために評価される。試験結果は感作応答を示す動物のパーセンテージに基づく。
【0037】
[0056]
図2A-2Dについて被験物質は他のカーバイドの90.5重量%のタングステン(WC)、8.5重量%のニッケル(Ni)、および他のカーバイド1%(合計)の本発明の組成を有する。被験物質は完全なままで、抽出容器に入れられ、抽出賦形剤の3cm
2/1mLの比率で準備をした。
【0038】
[0057]
抽出混合物および対応する対照ブランクは、50±2°Cで72±2時間培養される。抽出の最初では、溶液は、明らかに、微粒子がないように見えた。抽出物は抽出期間の間攪拌した。抽出期間の終わりに、容器をよく振蕩し、また液体を滅菌した容器に傾瀉した。
抽出物観察については、表2を参照されたい。微粒子は、投与に先立って沈降することを可能にされる。傾瀉後は、抽出物は使用前にろ過されない。抽出物は室で保存される。
【0039】
[0058]
第2の誘導/局所適用:6日目に、注射部位が、フランクがなく切取られ、固体のSLSを鉱油と混合することにより調製された10%(w/w)のSLSの0.5mLで処理された。その日、SLS処理に続いて、存続するSLS残留物は、ガーゼでその領域から優しく拭かれた。
【0040】
[0059]
7日目、被験物質の抽出物(0.3mL)が、2cmx4cm片の濾紙に適用され飽和し、SLS除去後に適用される。パッチは試験動物の当該部位に非透過性のテープで固定され、躯幹は弾力性の包帯および低アレルギー性のテープで包まれる。対照動物は、対照ビヒクルで同様のパッチを受け取った。新たに準備した抽出物は、この投与に使用され、この調製は適用の48±2時間後に除去される。
【0041】
[0060]
抗原投与パッチ/局所適用:局所的誘導期の修了の14日後に、障害処置が始められる。2cmx2cmの濾紙パッチに新たに準備した被験物質抽出物0.3mLが染み込み、各試験動物の体毛を除去した右歯面に適用される。2cmx2cmの濾紙パッチに新たに調製した対照ビヒクル0.3mLが染み込み、各試験動物の体毛を除去した左歯面に適用される。
【0042】
[0061]
負の対照動物は同様に準備したパッチで同一の方法で抗体投与される。ビヒクル0.3mLが染み込んだ濾紙パッチで各動物の左側にパッチを当てる。体毛が切り取られた側腹部に適用された、調整した被験物質抽出物0.3mLが染み込んだ濾紙パッチで右側にパッチを当てる。各動物の躯幹は、24乃至2時間、弾力包帯および低アレルギー性のテープで包まれる。
【0043】
[0062]
翌日(24±2時間)抗原投与照射の後、パッチが除去される。また、当該部位は各スコア期間に先立って70%のイソプロピルアルコールを浸み込ませたガーゼ・スポンジで優しく拭かれる。紅斑および浮腫によって示されるように、抗原投与部位は刺激および感作反応のために観察される。毎日の抗原投与観察スコアは、表5における皮膚反応用の分類系に従ってパッチ除去の24±2時間および48±2時間後に記録された。毎日の動物健康観察は研究時間のすべてに渡って記録される。
【0044】
[0063]
紅斑か浮腫(マグナスンおよびKligmanスケールの「0」)は、紅斑が赤色として定義され、浮腫が抗原投与部位で膨張作用として定義される場合に、照射の任意の形態で被験物質に露出された任意の動物の中で観察されない。皮膚の部位での他の逆転も記録され報告される。対照ビヒクルで抗体投与された負の対照動物のどれも、0より大きな感作応答で観察されない。
例-材料および切断特性の評価
【0045】
[0064]
本明細書に記述された組成で作られていた、ステンレス鋼カッターおよびタングステン(WC)カッターの間の切削性能が研究された。タングステン(WC)カッターおよびステンレス鋼カッターは、軸体、およびバリ頭(組織接触構造)がある
図2Aの中で示されるのと同じ設計であった。1つの実験では、容積測定の除去速度が検査された。切削性能は、切除率の効率が特徴になりえる。両方のカッターは同じ動作条件(主軸速度および送り速度)の下の様々な密度の発泡ブロックを切断するようにした。様々な発泡ブロックは、1立方フィート(pci)当たり15ポンドの密度、30pcf、50pcfおよび70pcfを持っていた。タングステン(WC)カッターの5ミリメートル(mm)のバリ頭のための性能は、ステンレス鋼カッターの性能と一致した。ある場合には、取り下ろし率がWCカッターには3%から5%大きかった。カッターヘッドへの損傷は視覚化されなかった。
【0046】
[0065]
ステンレス鋼カッターおよびタングステン(WC)カッターの静止試験も比較された。たわみ(mm)、捩り強度(N/m)、引張強度(N)、検査された。たわみについては、カッターはそれぞれ207.4Nの負荷にさらされた。タングステン(WC)カッターは、およそ(~)0.6mmの3点の屈曲たわみを持っていた。その一方でステンレス鋼カッターには~2.75mmのたわみがあった。捩り強度については、タングステン(WC)カッターは、~5.2N/mの強度を示した。その一方でステンレス鋼カッターは、~2.7N/mの強度を示した。引張強度について、タングステン(WC)カッターは、~5600Nの強度を示した。その一方でステンレス鋼カッターは、~2400Nの強度を示した。
【0047】
[0066]
全体として、実行された試験では、WCカッターはカッターの組成によりより永続性のために示した。発泡ブロックを切断する時、タングステン(WC)カッターは改善された靭性を示し、破壊試験の間にステンレス鋼カッターより少ない損傷を示した。さらに、タングステン(WC)カッターの優れた特性により、スリーブがカッターを保持し支持するニーズはもはや必要ではないかもしれない。
【0048】
他の実施形態
[0067]
少なくとも1つの典型的な本発明の実施形態は上述の詳細な説明で示されたが、多数の変形例が存在することは認識されるべきである。典型的な本発明の実施形態あるいは典型的な本発明の実施形態のいくつかは、あくまでも一例に過ぎず、如何なる方法において記載された本発明の実施形態の範囲、適用可能性あるいは構成を限定するようには意図されないことはさらに認識されるべきである。もっと正確に言えば、前述の詳細な記載は、典型的な本発明の実施形態あるいは典型的な本発明の実施形態のいくつかの実行のために当業者に便利なロードマップを提供するだろう。様々な変更が、添付の特許請求の範囲およびその法的な均等物で述べられるような範囲から逸脱せずに、構成要素の機能および配列の中で行なわれるかもしれないことが理解されるに違いない。
【国際調査報告】