(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】多重波面の流動を検知するデバイス及び関連方法
(51)【国際特許分類】
G01H 3/12 20060101AFI20220204BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20220204BHJP
【FI】
G01H3/12
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531554
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(85)【翻訳文提出日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 US2019064312
(87)【国際公開番号】W WO2020117858
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521238292
【氏名又は名称】ソネライト インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブレンナー ポール グレイム
(72)【発明者】
【氏名】トッドテール クリストファー
【テーマコード(参考)】
2G024
2G064
【Fターム(参考)】
2G024CA13
2G024FA04
2G024FA06
2G024FA11
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB16
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC02
2G064CC41
2G064CC42
2G064CC43
2G064DD02
(57)【要約】
異なる流動の成分を測定するためのセンサデバイス、システム、及び方法が提供される。検知配列は、基材と、基材上にある第1及び第2のセンサアレイと、を含む。第1のセンサアレイの検知要素は、流体流動の乱流成分など、動作環境の第1の性質を示す測定データを得るように分布している。第2のセンサアレイの検知要素は、第1のセンサアレイの間に組み入れられ、流体流動の音響成分など、動作環境の第2の性質を示す測定データを得るように分布している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知配列であって、
基材と、
前記基材上の第1のセンサアレイであって、前記第1のセンサアレイが、第1の複数の検知要素を含み、前記基材上の前記第1の複数の検知要素の第1の分布が、動作環境の第1の性質を示す測定データの第1のセットを得るように構成されている、第1のセンサアレイと、
前記基材上の第2のセンサアレイであって、前記第2のセンサアレイが、前記第1のセンサアレイの間に組み入れられた第2の複数の検知要素を含み、前記基材上の前記第2の複数の検知要素の第2の分布が、前記動作環境の第2の性質を示す測定データの第2のセットを得るように構成されている、第2のセンサアレイと、を備える、検知配列。
【請求項2】
前記第2のセンサアレイが、複数のサブアレイを含み、前記複数の各サブアレイが、前記第2の複数の検知要素のそれぞれのサブセットを含む、請求項1に記載の検知配列。
【請求項3】
それぞれのサブアレイの前記第2の複数の検知要素の前記それぞれのサブセットの検知要素間の間隔が、前記複数のサブアレイの前記それぞれのサブアレイと別のサブアレイとの間の第2の間隔よりも小さい、請求項2に記載の検知配列。
【請求項4】
前記第1の性質が、流体流動のより低い波数成分に対する第1の応答を含み、前記第2の性質が、前記流体流動のより高い波数成分に対する第2の応答を含む、請求項1に記載の検知配列。
【請求項5】
前記第1の分布が、前記より低い波数成分の波数分解能を達成するための最小センサ間隔、及び前記より低い波数成分に対する前記第1の応答の前記波数分解能を達成するための検知要素の数のうちの少なくとも一方を含む、請求項4に記載の検知配列。
【請求項6】
前記第2の分布が、第2の最小センサ間隔を有するサブアレイの数と、前記より高い波数成分に対する前記第2の応答の第2の波数分解能を達成するための、サブアレイ当たりの検知要素の第2の数と、を含む、請求項5に記載の検知配列。
【請求項7】
前記第1のセンサアレイの前記第1の複数の検知要素を覆う減弱層を更に備える、請求項4に記載の検知配列。
【請求項8】
前記減弱層が、前記より高い波数成分を減弱させるアンチエイリアシングフィルタを提供するように構成されたウィンドスクリーンを含む、請求項7に記載の検知配列。
【請求項9】
前記より高い波数成分のモデル化されたデータを前記測定データの第1のセットから減算して、前記より高い波数成分を除去し、前記モデル化されたデータが、離散フーリエ変換エイリアシング又は折返し誤差のうちの少なくとも一方の推定値を含む、請求項4に記載の検知配列。
【請求項10】
前記基材、前記第1のセンサアレイ、及び前記第2のセンサアレイを覆う、適合性のある封止層を更に備える、請求項1に記載の検知配列。
【請求項11】
前記適合性のある封止層が、除去可能な接着剤材料を含む、請求項10に記載の検知配列。
【請求項12】
前記第1のセンサアレイが、流動誘起圧力場のより高い波速及びより低い波数流動成分を示す、前記測定データの第1のセットを得るように最適化され、
前記第2センサアレイが、前記流動誘起圧力場のより低い波速及びより高い波数流動成分を示す、前記測定データの第2のセットを得るように最適化された複数のサブアレイを含む、請求項1に記載の検知配列。
【請求項13】
前記基材が、フレキシブルプリント回路基板を含む、請求項1に記載の検知配列。
【請求項14】
前記フレキシブルプリント回路基板が、適合性のために切断又はパターン化されている、請求項13に記載の検知配列。
【請求項15】
前記フレキシブルプリント回路基板が、マルチフィンガー構造又は渦巻き状にパターン化されている、請求項14に記載の検知配列。
【請求項16】
前記第1及び第2の複数の検知要素に結合されたランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)アーキテクチャと、
前記RAMアーキテクチャの読み取り及び書き込み動作を制御するように前記RAMアーキテクチャに動作可能に結合されたコントローラであって、データ記録動作中に、前記第1及び第2の複数の検知要素の各検知要素が前記RAMアーキテクチャに電気的及び物理的に直接接続されて、前記測定データの第1及び第2のセットを含むデジタルセンサ出力データの同期書き込みを容易にする、コントローラと、を更に備える、請求項1に記載の検知配列。
【請求項17】
ユーザから必要なデータ取得時間、並びにセンサのオーバーレンジレベル及びアンダーレンジレベルを得ることと、
アレイ機器RAMコントローラとの論理接続を確立することと、
前記アレイ機器及びサブアレイ構成要素への前記論理接続のグラフィカル表示を前記ユーザに提供することと、
前記ユーザが結果データのファイル名、並びにフォルダ及び/又はパスを指定するためのグラフィカル手段を提供することと、
前記ユーザがデータ取得を開始及び停止するためのグラフィカル手段を提供することと、
前記ユーザが、前記データ取得期間中に各サブアレイにおいて、オーバーレンジ信号を測定したセンサの数及びアンダーレンジ信号を測定したセンサの数をレビューするための手段を提供することと、
前記ユーザが、前記オーバーレンジインスタンス及びアンダーレンジインスタンスの数をレビューした後に、前記結果データを定義されたファイル名に保存するための手段を提供することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記ユーザが、各サブアレイ内のどのセンサ位置がオーバーレンジの対象であったかを見るためのグラフィカル手段を提供することと、
前記ユーザが、各サブアレイ内のどのセンサ位置がアンダーレンジの対象であったかを見るためのグラフィカル手段を提供することと、
前記ユーザが、前記オーバーレンジインスタンス及びアンダーレンジインスタンスのアレイ内の数及び位置をレビューした後に、前記結果データを定義されたファイル名に保存するための手段を提供することと、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
センサシステムであって、
曲面に適合して装着されるように構成されたフレキシブル支持基材と、
前記フレキシブル支持基材によって担持されるデジタルセンサデバイスのアレイであって、前記デジタルセンサデバイスの各々が、未加工のデジタルセンサ出力データを伝えるそれぞれのデジタル出力信号を生成するように構成されており、
前記デジタルセンサデバイスのアレイが、前記デジタルセンサデバイスの第1のセットを含むより低い波数のアレイ、及び前記デジタルセンサデバイスの第2のセットを含むより高い波数のアレイを含み、
前記より高い波数のアレイが、前記デジタルセンサデバイスの前記第2のセットのそれぞれのサブセットを含む複数のサブアレイを含み、
前記より低い波数のアレイの前記デジタルセンサデバイスの前記第1のセットが、前記フレキシブル支持基材にわたって均一に分布しており、
前記複数のサブアレイのうちのサブアレイが、前記より低い波数のアレイの前記デジタルセンサデバイスの前記第1のセットの間に不均一に組み込まれる、デジタルセンサデバイスのアレイと、
前記フレキシブル支持基材によって担持されるランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスのアレイであって、前記RAMデバイスが、前記センサシステムのデータ記録動作中に前記デジタルセンサデバイスに直接接続され、それにより、前記RAMデバイスが、前記デジタル出力信号を直接受信する、ランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスのアレイと、
前記データ記録動作中に前記RAMデバイスのアレイを同期的にクロックするように、前記RAMデバイスのアレイに動作可能に結合され、それにより、前記未加工のデジタルセンサ出力データが、前記RAMデバイスのアレイに同期的に書き込まれる、コントローラと、を備える、センサシステム。
【請求項20】
前記デジタルセンサデバイスのアレイ内の各デジタルセンサデバイスが、微小電気機械マイクロフォンデバイスを含む、請求項19に記載のセンサシステム。
【請求項21】
システムであって、
ユーザから必要なデータ取得時間、並びにセンサのオーバーレンジレベル及びアンダーレンジレベルを得るための手段と、
アレイ機器RAMコントローラとの論理接続を確立するための手段と、
前記アレイ機器及びサブアレイ構成要素への前記論理接続のグラフィカル表示を前記ユーザに提供するための手段と、
前記ユーザが結果データのファイル名、並びにフォルダ及び/又はパスを指定するためのグラフィカル手段と、
前記ユーザがデータ取得を開始及び停止するためのグラフィカル手段と、
前記ユーザが、前記データ取得期間中に各サブアレイにおいてオーバーレンジ信号を測定したセンサの数及びアンダーレンジ信号を測定したセンサの数をレビューするための手段と、
前記ユーザが、前記オーバーレンジインスタンス及びアンダーレンジインスタンスの数をレビューした後に、前記結果データを定義されたファイル名に保存するための手段と、を含む、システム。
【請求項22】
前記ユーザが、各サブアレイ内のどのセンサ位置がオーバーレンジの対象であったかを見るためのグラフィカル手段と、
前記ユーザが、各サブアレイ内のどのセンサ位置がアンダーレンジの対象であったかを見るためのグラフィカル手段と、
前記ユーザが、前記オーバーレンジインスタンス及びアンダーレンジインスタンスの数及び位置をレビューした後に、前記結果データを定義されたファイル名に保存するための手段と、を更に含む、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本PCT出願は、2018年12月3日に出願された米国特許仮出願第62/774,756号の利益を主張し、優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に記載される主題の実施形態は、概して、電子試験システムに関する。より具体的には、主題の実施形態は、動作環境の複数の性質を同時に測定するための複数のセンサアレイを含む検知配列からデータを収集するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
先行技術は、センサデータを生成、収集、及び処理する様々な電子システムを豊富に有する。この文脈において、特定のクラスのセンサデバイスは、測定可能な量、要素、又は現象を表すデジタル出力情報を提供し得る。例えば、かかるセンサは、事象計数センサなどの本来的にデジタルであるデータを出力し得るか、又は最新の微小電気機械システム(micro electromechanical system、MEMS)マイクロフォンなどの、センサパッケージに統合されたアナログ-デジタルエレクトロニクスを有し得る。デジタルセンサデバイスは、以下のいずれかを測定するように構成され得るが、これらに限定されない。電磁エネルギー、流体流量、音、無線周波数干渉、空気圧、温度、対気速度など。最新のデジタルセンサの小さい寸法は、多くの近接して離間配置されたセンサのアレイを使用して、サンプル点の測定だけでなく、測定された量の時空間画像又はマッピングを生成する、初めての高空間分解能測定も可能にした。
【0004】
センサアレイを使用して測定するための1つの用途は、例えば、自動車内の風切り音など、空気力学的又は流体力学的環境で構造を通したノイズ透過を測定するための空力振動音響の分野である。自動車内の風に誘起される内部ノイズを制御するための設計は、多くの場合、空気力学的形状に対する外部の流動を分析することを伴う。しかしながら、外部の流動を分析するための風洞試験は高価である場合があり、ひいては、測定値を得る際に発生する時間又はコストの量を最小化することが望ましい。したがって、効率的な方法で、流動負荷の複数の異なる特性の成分を測定するか、又は別様に定量化することができる、センサアレイを提供することが望ましい。更に、添付の図面、並びに前述の技術分野及び背景技術と併せて行われる、後続の詳細な説明及び付帯の特許請求の範囲から、他の望ましい特徴及び特性が明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0005】
検知配列の例示的な実施形態は、基材と、基材上の第1のセンサアレイと、基材上の第2のセンサアレイと、を含む。第1のセンサアレイは、第1の複数の検知要素を含み、基材上の第1の複数の検知要素の第1の分布は、動作環境の第1の性質を示す測定データの第1のセットを得るように構成されている。第2のセンサアレイは、第1のセンサアレイの間に組み入れられる第2の複数の検知要素を含み、基材上の第2の複数の検知要素の第2の分布は、動作環境の第2の性質を示す測定データの第2のセットを得るように構成されている。
【0006】
別の実施形態では、方法が提供される。本方法は、ユーザから必要なデータ取得時間、並びにセンサのオーバーレンジレベル及びアンダーレンジレベルを得ることと、アレイ機器RAMコントローラとの論理接続を確立することと、アレイ機器及びサブアレイ構成要素への論理接続のグラフィカル表示をユーザに提供することと、ユーザが結果データのファイル名、並びにフォルダ及び/又はパスを指定するためのグラフィカル手段を提供することと、ユーザがデータ取得を開始及び停止するためのグラフィカル手段を提供することと、ユーザが、データ取得期間中に各サブアレイにおいて、オーバーレンジ信号を測定したセンサの数及びアンダーレンジ信号を測定したセンサの数をレビューするための手段を提供することと、ユーザが、オーバーレンジインスタンス及びアンダーレンジインスタンスの数をレビューした後に、結果データを定義されたファイル名に保存するための手段を提供することと、を伴う。
【0007】
別の実施形態では、センサシステムが提供される。センサシステムは、曲面に適合して装着されるように構成されたフレキシブル支持基材と、フレキシブル支持基材によって担持されるデジタルセンサデバイスのアレイと、を含み、デジタルセンサデバイスの各々は、未加工のデジタルセンサ出力データを伝えるそれぞれのデジタル出力信号を生成するように構成されている。デジタルセンサデバイスのアレイは、デジタルセンサデバイスの第1のセットを含むより低い波数のアレイ、及びデジタルセンサデバイスの第2のセットを含むより高い波数のアレイを含み、より高い波数のアレイは、デジタルセンサデバイスの第2のセットのそれぞれのサブセットを含む複数のサブアレイを含み、より低い波数のアレイのデジタルセンサデバイスの第1のセットは、フレキシブル支持基材にわたって均一に分布しており、複数のサブアレイのうちのサブアレイは、より低い波数のアレイのデジタルセンサデバイスの第1のセットの間に不均一に組み入れられる。センサシステムはまた、フレキシブル支持基材によって担持されるランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)デバイスのアレイであって、RAMデバイスが、センサシステムのデータ記録動作中にデジタルセンサデバイスに直接接続され、それにより、RAMデバイスが、デジタル出力信号を直接受信する、ランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスのアレイと、データ記録動作中にRAMデバイスのアレイを同期的にクロックするように、RAMデバイスのアレイに動作可能に結合され、それにより、未加工のデジタルセンサ出力データが、RAMデバイスのアレイに同期的に書き込まれる、コントローラと、を含む。
【0008】
別の実施形態では、システムであって、ユーザから必要なデータ取得時間、並びにセンサのオーバーレンジレベル及びアンダーレンジレベルを得るための手段と、アレイ機器RAMコントローラとの論理接続を確立するための手段と、アレイ機器及びサブアレイ構成要素への論理接続のグラフィカル表示をユーザに提供するための手段と、ユーザが結果データのファイル名、並びにフォルダ及び/又はパスを指定するためのグラフィカル手段と、ユーザがデータ取得を開始及び停止するためのグラフィカル手段と、ユーザが、データ取得期間中に各サブアレイにおいて、オーバーレンジ信号を測定したセンサの数及びアンダーレンジ信号を測定したセンサの数をレビューするための手段と、ユーザが、オーバーレンジインスタンス及びアンダーレンジインスタンスの数をレビューした後に、結果データを定義されたファイル名に保存するための手段と、を含む、システムが提供される。
【0009】
この概要は、詳細な説明において以下で更に説明される簡略化された形態で概念の選択を紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることを意図するものでもない。
【0010】
主題のより完全な理解は、以下の図面と併せて考慮したときに、詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって、導き出すことができ、同様の参照番号は、図面全体を通して同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】センサシステムの一実施形態の簡略化されたブロック図の表現である。
【
図2】例示的な実施形態における、構造を覆う適合性のある検知配列の斜視図を描いている。
【
図3】例示的な実施形態における、適合性のある検知配列の上面平面図である。
【
図4】1つ以上の例示的な実施形態における、適合性のある検知配列での使用に好適な検知要素の例示的な実施形態の分解斜視図である。
【
図5】1つ以上の例示的な実施形態における、適合性のある検知配列での使用に好適なサブアレイの詳細な上面平面図である。
【
図6】例示的な実施形態における、適合性のある検知配列の分解斜視図である。
【
図7】1つ以上の例示的な実施形態における、適合性のある検知配列と共に使用するのに好適な例示的な多重波面検知プロセスのフロー図である。
【
図8】1つ以上の実施形態における、
図7の多重波面検知プロセスに関連して提示するのに好適なグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)ディスプレイの例示的なシーケンスを描いている。
【
図9】1つ以上の実施形態における、
図7の多重波面検知プロセスに関連して提示するのに好適なグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)ディスプレイの例示的なシーケンスを描いている。
【
図10】1つ以上の実施形態における、
図7の多重波面検知プロセスに関連して提示するのに好適なグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)ディスプレイの例示的なシーケンスを描いている。
【
図11】1つ以上の実施形態における、
図7の多重波面検知プロセスに関連して提示するのに好適なグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)ディスプレイの例示的なシーケンスを描いている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明は、実際は単なる例示であり、主題の実施形態又はかかる実施形態の適用及び使用を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、「例示的な」という言葉は、「例、事例、又は例示として機能する」ことを意味する。例示的なものとして本明細書に記載される任意の実装例は、必ずしも他の実装例よりも好ましい又は有利であるものとして解釈されるべきではない。更に、前述の技術分野、背景技術、発明の概要、又は以下の詳細な説明において提示される、任意の明示又は暗示された理論によって拘束される意図はない。
【0013】
技法及び技術は、機能及び/又は論理ブロック構成要素の観点から、並びに様々なコンピューティング構成要素又はデバイスによって実施され得る動作、処理タスク、及び機能の象徴的な表現を参照して、本明細書に記載され得る。図に示される様々なブロック構成要素は、指定された機能を実施するように構成された任意の数のハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェア構成要素によって実現され得ることを理解されたい。例えば、システム又は構成要素の一実施形態は、1つ以上のマイクロプロセッサ又は他の制御デバイスの制御下で様々な機能を行うことができる様々な集積回路構成要素、例えば、メモリ要素、デジタル信号処理要素、論理要素、ルックアップテーブルなどを用いることができる。
【0014】
簡潔にするために、センサデバイス、センサ設計、データ伝送、データ記憶、並びにシステムの他の機能的態様(及びシステムの個々の動作構成要素)に関する従来の技術は、本明細書で詳細に説明されない場合がある。更に、本明細書に含まれる様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係及び/又は物理的結合を表すことを意図する。多くの代替的な若しくは追加の機能的関係又は物理的接続が主題の一実施形態に存在し得ることに留意されたい。
【0015】
本明細書に記載される主題の実施形態は、概して、構造に対する流動誘起負荷を測定するための検知配列に関連する。例示的な実施形態では、検知配列は、2つ以上の論理的に別個のセンサアレイを含み、異なるセンサアレイは、流体流動と構造との間の相互作用から生じる周囲環境の異なる顕著な性質又は特性を測定するように配列又は構成されている。この点に関して、それぞれのセンサアレイに関連付けられた個々の検知要素の数、及びそれぞれのセンサアレイ内のこれらの検知要素の分布又は位置決めは、周囲の流体流動の特定の性質又は特性を最適化するように選択され得る。例えば、センサアレイは、それ自体が検知要素のいくつかの異なるサブグループ又はサブアレイで構成されている場合があり、これらのグループは、動作環境の特定の流動成分の性質若しくは特性を取り込むか、測定するか、又は別様に定量化するためのセンサアレイの能力を最適化するために、互いに対して分布しているか、向き付けられているか、又は別様に配列されている。更に、異なるセンサアレイは、異なるセンサアレイの検知要素が互いに組み入れられ得るように、共通の基材上に提供され得る。
【0016】
例示的な実施形態では、センサアレイは、流動の乱れを最小化する空気力学的に滑らかな測定表面を確保するように、流動誘起負荷が測定される構造の表面に適合し得るフレキシブル基材上に提供される。1つの実施形態では、圧力センサアレイが、センサアレイを流動測定が行われる曲面の形状に適合させることができるフレキシブルフィンガーの櫛状又は渦巻き状の構成が可能なフレキシブルプリント回路基板又はフレキシブルポリマープリント回路上にインストールされる。フレキシブル基材は、周囲の動作環境における流体流動を測定するための空気力学的にコンフォーマルな表面を容易にするために、均一な厚さを有し得る。
【0017】
例えば、2つ以上の圧力センサアレイを単一の測定機器に統合して、異なる特性の圧力スペクトル及び/又は異なる特性の空間相関を有し、波数-周波数スペクトル分析によって分離され得る、流動誘起圧力場の2つ以上の成分を測定することができる。この点に関して、一方の圧力センサアレイは、構成する検知要素間の間隔、並びに波数-周波数スペクトルにおけるより高い波速さ及びより低い波数の流動成分を分解するように設計された寸法、サイズ、又は他の物理的配列を有し得る一方、もう一方の圧力センサアレイは、構成する検知要素間で異なる間隔を有し、波数-周波数スペクトルにおける1つ以上の追加のより低い波速さ及びより高い波数成分を分解するように設計された異なる寸法、サイズ、又は他の物理的配列を有していた。
【0018】
いくつかの実施形態では、検知要素の分布、間隔、及び/又は物理的配列により、それぞれのセンサアレイは、測定された波面の空間相関をコンピュータ処理するために必要とされる圧力クロススペクトルのみを測定するために、最小数の検知要素を使用することができる。例えば、圧力波数周波数圧力スペクトル(pressure wavenumber frequency pressure spectrum)をコンピュータ処理するための検知要素の一次元の線のアレイは完全に埋めることができないが、波数-周波数の後処理及び疎なアレイの信号処理技術を利用して、波数周波数圧力スペクトルを推定することができる。同様に、検知要素の二次元の矩形のアレイは完全に埋めることができないが、波数-周波数に依存して、後処理及び疎なアレイの信号処理技術を利用して、波数周波数圧力スペクトルを推定することができる。更に、1つの流動成分の振幅圧力スペクトルが他の全ての流動成分よりも有意に高い場合、センサ配列を、向き付けられたセンサの単純なペアに更に減少させて、一次元又は二次元の波数-周波数スペクトル分析に頼ることなく、測定されたクロススペクトルから直接、圧力スペクトル及び空間相関を定量化することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、ウィンドスクリーンなどの物理的構造を、検知要素の露出した表面の上に提供するか、又は露出した表面を覆って、不必要な高い波数の信号を減弱させるアンチエイリアシングフィルタを効果的に提供することができる。他の実施形態では、低い波速さの流動成分の不必要な高い波数の内容は、離散フーリエ変換エイリアシング又は折返し誤差の推定値を含む高い波数の内容の曲線あてはめの経験的モデルを減算することによって、高い波速さで低い波数のセンサアレイの測定データから除去される。
【0020】
1つ以上の例示的な実施形態では、センサアレイは、微小電気機械システム(MEMS)検知要素、例えば、デジタルMEMSマイクロフォンを利用する。いくつかの実施形態では、センサアレイからのデジタル測定データの全てが、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)基材上の導電トレースを使用して、センサアレイ測定機器のフレキシブルプリント回路基板(PCB)基材上に物理的にインストールされたランダムアクセスメモリ(RAM)に記憶又はバッファリングされて、検知要素の出力端子とRAM構成要素との間の電気的接続を確立する。単一のデータ取得期間から記録されたデジタルデータレコードは、測定機器の基材上にインストールされたRAMに記憶され、続いて高速データリンクを使用してダウンロードされ得る。測定データ取得は、リモートコンピュータ上で実行されているソフトウェアアプリケーションによってデジタル制御されてもよく、ソフトウェアアプリケーションは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)ディスプレイを生成するか、又は別様に提供することができ、このディスプレイにより、ユーザは、データ取得期間内で測定範囲を上回った又は下回った検知要素及びそれらの数を見ることができる。
【0021】
図2~
図11の文脈において以下でより詳細に説明されるように、本明細書に記載の例示的な実施形態は、数学的モデルの入力空力音響又は水力音響の負荷状態を完全に定義して、測定された流動の乱れの負荷にさらされた任意の複雑な構造の振動及び歪み応答、並びに音の透過を予測するように構成された論理的に別個のグループ又はサブアレイで構成されている、流動雑音表面圧力センサアレイを提供する。候補の用途の例としては、自動車の風切り音、航空機又は宇宙機の境界層乱流の負荷、高速列車の風切り音、ソナーシステムの水中流動ノイズ、配管システムの流動ノイズなどが挙げられる。例示的な実施形態では、2つ以上の別個のセンサアレイを、低い波数の流動負荷のための完全なブランケットサイズのアレイに加え、高い波数の局所流動負荷のための1つ以上のより小さなアレイを含む、単一の薄い「貼着/剥離」適合性のある表面ブランケットに統合する検知配列が提供される。検知配列はまた、音響アレイセンサの不必要な乱流ノイズを減弱させるために、穿孔されたスクリーン及び多孔質材料を含み得る。
【0022】
検知配列はまた、フェアリング層内の圧力測定ポートとMEMSセンサ内の検知ポートとの間のマイクロポートを有する薄い空気力学的なフェアリング層を利用し得る。例えば、好適なマイクロポートを有するデジタル印刷されたフェアリング層は、MEMSセンサパッケージの最も小さな物理的寸法に基づく間隔によって許容され得るよりも近接して離間配置された圧力検知ポートでの測定を可能にする。音響及び空気力学的な較正手順を実施して、ゲインを調節し、かかるウィンドスクリーン及びマイクロポートの影響に対する位相補正を行うことができる。
【0023】
例示的な実施形態では、適合性のあるセンサブランケットは、低い音速以下の流動速度の場合は音響であり、より高い超音速及び極超音速の流動速度の場合は対流乱流である、低い波数の空力音響負荷のための大域的な二次元センサアレイを組み込む。適合性のあるセンサブランケットはまた、低い音速以下の流動速度の場合は対流乱流であり、より高い超音速及び極超音速の流動速度の場合は音響である、高い波数の負荷における局所的な変動のための複数のより小さいセンサアレイを組み込む。局所的な高い波数の圧力センサアレイは、局所的な二次元(2-dimensional、2D)表面圧力周波数-波数スペクトルを直接測定するための二次元(2D)アレイ、又は好適に向き付けられた一次元の線のアレイ、若しくは局所指向性クロススペクトルの性質を定義するより単純な同心円状のアレイのいずれかであってもよい。2Dアレイは、完全に埋められる必要はなく、疎なアレイの信号処理方法を使用して、必要な周波数-波数スペクトルを推定することができる。完全な「貼着/剥離」適合性センサアレイはまた、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,921,748号に記載されている、直接的データ-メモリデータ間取得(direct data to memory data acquisition)を活用して、記録測定データにおける電気ノイズ及び待ち時間を排除し、外部データ取得システムへの多数の配線接続を回避することができる。高速データ取得及びデータダウンロードは、ネットワーク若しくはデータバスアーキテクチャ、高速データインターフェース、及び/又は高速通信プロトコルによって容易にすることができる。
【0024】
センサシステムの概要
【0025】
図1は、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,921,748号により詳細に記載される、デジタルセンサのアレイに関するデジタルメモリへのデータの直接記憶を支持するセンサシステム100の一実施形態の簡略化されたブロック図である。センサシステム100は、概して、フレキシブル支持基材102と、デジタルセンサデバイスのアレイ(本明細書ではセンサアレイ104とも称される)と、物理的に別個のRAMデバイスのアレイ(本明細書ではRAMアレイ106とも称される)として実現され得るランダムアクセスメモリ(RAM)アーキテクチャと、コントローラ108と、を含むが、これらに限定されない。センサアレイ104は、センサアレイ104からRAMアレイ106内のRAMデバイスへのデジタルセンサ出力データの直接書き込みを容易にするように、RAMアレイ106に結合されている。RAMアレイ106は、コントローラ108が必要に応じてRAMアレイ106のデータ書き込み動作及び読み出し動作を制御することができるように、コントローラ108に動作可能に結合されている。この特定の実施形態の場合、センサアレイ104、RAMアレイ106、及びコントローラ108は全て、フレキシブル支持基材102によって担持される。
【0026】
センサシステム100の例示される実施形態はまた、データインターフェース(例えば、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus、USB)インターフェース110、無線データ通信インターフェースなど)を含むか、又はそれと協働する。USBインターフェース110は、少なくともコントローラ108に結合され、好適には、RAMアレイ106からホストコンピューティングデバイス112への記憶されているデジタルセンサ出力データの転送に適応するように構成されている。最新のコンピュータ技術に精通している人にはよく理解されるように、USBインターフェース110はまた、センサシステム100の構成要素、例えば、センサアレイ104のセンサデバイス、RAMアレイ106のRAMデバイス、及びコントローラ108のうちの少なくともいくつかに動作電圧及び電力を提供するように構成されている。
【0027】
フレキシブル支持基材102により、センサアレイ104、RAMアレイ106、及びコントローラ108を、車両の窓、車両の本体構造、航空機の外板、又は試験中の他の輪郭のある表面などの曲面に適合して装着又は固着することができる。したがって、実際には、直接データ-メモリアレイ(direct data-to-memory array)を、フレキシブルプリント回路基板(PCB)又は類似の電気基材上に実装して、試験対象の形状及び曲率に追従し得るコンフォーマルアレイを形成することができる。フレキシブルPCB上のセンサ及びRAMチップの薄型アセンブリを、均一な厚さの薄いポリマーシートに成形して、下にある曲面に完全に適合する、便利な「貼着」及び「剥離」計装マット又はブランケットを提供することができる。システム100が、より多くのセンサを支持するためにより多くのRAMデバイスを単に追加することによって大きさの変更が可能であるが、依然として、ホストへの単一の配線インターフェースを維持するという事実は、システム100を、非常に薄型のフレキシブルなコンフォーマル回路基板上に製造し、追加の機械加工、又はインターフェース配線若しくは回路を必要とせずに、表面上に直接、試験的なインストールを行うことができる場合があることを意味する。
【0028】
センサアレイ104は、複数の検知要素を含む。センサアレイ104は、好ましくは、同じタイプのデジタルセンサデバイス(例えば、マイクロフォンデバイス、温度センサ、空気圧力センサ、光センサなど)を含むが、特定の実施形態は、複数の異なるセンサタイプを有するセンサアレイ104を支持し得る。任意の好適なタイプのセンサ、トランスデューサ、又は測定デバイスをセンサアレイ104において使用することができるが、本明細書に記載の例示的な実施形態は、マイクロフォンデバイスを利用する。以下でより詳細に記載されるように、例示的な実施形態では、センサアレイ104は、それ自体が検知要素の複数の論理的に別個の又は異なるグループ又はサブアレイで構成されており、異なるセンサアレイのグループは、流体流動から生じる異なる顕著な流動の性質又は特性を測定するように物理的に配列されるか、分布しているか、又は構成されている。センサアレイグループの数、寸法、及び他の物理的特性は、特定の用途、試験対象、試験要件などの必要性に応じて変化し得る。
【0029】
センサアレイ104内の各センサデバイスは、その特定のセンサデバイスのための未加工のデジタルセンサ出力データを伝えるそれぞれのデジタル出力信号を生成する。実際には、センサアレイ104内の各センサデバイスは、高電圧レベル及び低電圧レベルの形態でデジタル情報を伝えるために使用されるデータ出力端子又はピンを含み得る。次に、各データ出力端子又はピンは、RAMアレイ106内のRAMデバイスに接続される。RAMデバイスは、任意の便利な方法でセンサデバイスに割り当てることができる。換言すれば、RAMデバイスの各々は、センサアレイ104内のデジタルセンサデバイスのうちの少なくとも1つに動作可能に関連付けられる。特定の実装例によれば、RAMアレイ106の各物理的に別個のRAMデバイスは、16個の入力を含み、したがって、各RAMデバイスは、最大16個の異なるセンサデバイスのために、センサ出力データを受信し、書き込むことができる。この16:1の配列は、好適な構成の単なる一例であり、必要に応じて、16個超又は16個未満のデータ入力を有するRAMデバイスを利用することができることを理解されたい。
【0030】
コントローラ108は、RAMアレイ106を伴うデータの読み取り及び書き込み動作を起動、制御、及び規制し、かつ必要に応じて、RAMアレイ106からコンピューティングデバイス112への未加工のデジタルセンサ出力データの転送(ダウンロード)を起動、制御、及び規制するように、RAMアレイ106、センサアレイ104、及びUSBインターフェース110に動作可能に結合されている。データ記録動作中、コントローラは、RAMアレイ106内のRAMデバイスの各々に共通クロック信号を提供する。この共通クロック信号を、センサアレイ104内の個々のセンサデバイスに提供することもできる。この点に関して、データ記憶の開始、停止、クロック、及びアドレス指定は、コントローラ108によって扱われる。システム100を試験データ取得システムとして使用するために、コンピューティングデバイス112は、システム100をリセットする、データ収集を開始する、データ収集を停止する、及び収集後処理のためにデータをホストにアップロードするための1つ以上のユーザインターフェース、ソフトウェアアプリケーションなどを提供し得る。加えて、センサアレイ104からRAMアレイ106への未加工のセンサデータのクロックは、制御アドレス生成及びクロックパルスに依存する。これらのタスクは、協働して、本明細書に記載の様々な機能及びプロセスを実施する、マイクロコントローラ、アドレス指定回路、マルチプレクサ回路などを含み得る、コントローラ108によって実施される。
【0031】
USBインターフェース110は、RAMアレイ106からのマルチチャネルアレイデータの検索を可能にする。RAMアレイ106からコンピューティングデバイス112へのデータのダウンロードは、コントローラ108によって扱われる。適切なユーザ入力コマンドに応答して、コントローラ108は、USBインターフェース110を介して、ホストコンピューティングデバイス112へのデータ転送を始める。代替的に、センサシステムは、PCI、PCI Express、SATA、RS232、RS485、及びCANを含むが、これらに限定されない、多くの可能な高速インターフェースのうちの1つを利用することができる。
【0032】
センサアレイ104からのデジタルデータは、何らかの未加工のアナログ形式から純粋なデジタル形式に変換された測定可能な量又は現象のデジタル表現である。デジタルセンサデータは、センサアレイ104内の個々のセンサデバイスによって生成され、高速シリアル形式で利用可能にされる。センサアレイ104からの未加工の元のデジタル出力信号は、いかなる介在するデータ処理、フィルタリング、データ調整、又は変更も伴わずに、RAMアレイ106に直接提供される。更に、RAMデバイスは、長い導電体パスを回避し、待ち時間を減少させるように、センサデバイスに非常に近接して位置する。したがって、シリアルデータストリームは、RAMアレイ106の高速RAMデバイスに直接クロックされる。換言すれば、センサシステム100には、センサ変換又は処理はない。未加工のセンサデータはデジタル形式であり、システム100は、データ記録動作中に高速データストリームをリアルタイムでメモリに直接取り込む。
【0033】
正確なセンサアレイの場合、直接データ-メモリ配列(direct data to memory arrangement)は、データ取得ノイズ及び位相誤差の導入を最小化する。このシステム100は、直接センサ-RAM記憶システム(direct sensor to RAM storage system)を使用するので、センサデータは、可能な、すなわち、センサデバイス自体によって達成される最も高い信号対ノイズ(signal-to-noise、S/N)レベルを維持する。位相遅延、ジッタ、又はノイズの導入を含まない、(電源ノイズ、アナログ-デジタル変換器ノイズなどからの)センサ出力信号の汚染の可能性は存在しない。これは、正確なセンサアレイ測定のために重要である。
【0034】
大きなチャネルカウントセンサアレイの場合、直接データ-メモリ設計(direct data to memory design)により、多層回路基板内に完全に含まれ得る最もコンパクトな配線が可能である。この設計は、簡単に大きさの変更が可能であり、多数のデータ変換器、又はホストへの配線によるペナルティは必要ない。加えて、センサ要素の数に関わらず、フレキシブル支持基材102は、その薄型でコンフォーマルなフットプリント、及びホストへの単一配線インターフェースを維持する。
【0035】
センサアレイ処理のほぼリアルタイムの処理のために、直接データ-メモリ設計(direct data to memory design)は、待ち時間を最小化する。上述のように、メモリへの直接記憶とは、全てのデータチャネル(センサアレイ104がどのくらい大きいかに関わらず)が、数ナノ秒のクロック及びストレージジッタ窓内に同時に記憶され、それにより、センサアレイの位相の完全性が完全に維持されることを意味する。
【0036】
更に、外部デジタル信号処理ユニットへの多数の配線接続が回避される。実際に、センサシステム100は、データ取得位相時に外部デバイスに対して、最小限の配線接続で、又は配線接続なし(無線)で展開され得る。データ転送については、非常に多くのチャネル数のアレイのデータセットでさえ、データのダウンロード及び後処理には、単一のデジタルデータポート(例えば、USBインターフェース110)接続のみが必要である。
【0037】
多重波面の流動誘起ノイズ及び振動
【0038】
空力振動音響の分野における主な焦点は、外部供給源が空気力学的又は流体力学的環境であるときに、構造を通したノイズの透過である。本明細書に記載される主題は、物理学に基づくシミュレーション方法を容易にし、これは次に、内部ノイズの制御のための工学設計を容易にする。設計の問題は、2つの部分を有する。第1の部分は、空気力学的形状及び流動制御などの設計パラメータによって影響を受けたときの、外部の流動のシミュレーションである。第2の部分は、介在する構造の形状及び物理的性質によって影響を受けたときの、内部音場への外部表面圧力の透過のシミュレーションである。第2の部分の音透過物理学を使用して、問題の第1の部分に現在使用されている、風洞試験及びコンピュータ処理による空力音響の要件をより良好に定義することができる。
【0039】
空気力学的及び流体力学的ノイズ透過は、外部供給源が拡散音響場であると想定される音の透過損失の室内音響問題と共通の要素を有する。音響励起に対する構造の振動応答は、その共振モードによって支配され得、内部への低周波数の音の透過は、非共振モードの音響的に強制的な応答によって制御される。
【0040】
航空機の内部ノイズ透過は、高速境界層ノイズ励起について予測され得る。境界層表面圧力クロススペクトルの経験的モデルは、共振振動応答を推定するために各構造モードで畳み込まれる。巡航状態(例えば、マッハ0.8)では、対流波数での高いレベルの空気力学的励起は、構造の共振モードとよく結合し、その結果、非共振透過を無視することができる。共振応答も非共振応答も内部音響とよく結合しない。特に、不規則な形状の本体上に分離された流動がある場合、低速の流動に関連付けられた問題はより困難である。典型的には、自動車及び水没車両の流動のマッハ数は、それぞれ0.1及び0.01である。境界層の対流乱流波数kc=ω/Uc(式中、ωは、ラジアン周波数であり、Ucは、変動する圧力対流の速さである)は、対応する音響波数及び構造波数よりも最大2桁大きくなる。これらの状態下では、モード形状Ψr(x)(式中、xは、表面座標ベクトルx,yである)を有する構造共振は、構造の振動応答を予測するために、圧力波数-周波数スペクトルΦp(k,ω)(式中、kは、波数ベクトル(kx,ky)である)の非常に小さな振幅の低い波数成分のみを使用する必要がある、励起に対するかかる強力な空間フィルタを提示する。表面圧力クロススペクトルGpp(x,x’,jω)と構造共振モードΨr(x)との間の空間フィルタ又は結合特性は、モードのジョイントアクセプタンス(modal joint acceptance)と呼ばれる場合がある。主な問題は、振幅が支配的な流体力学的乱流対流波数の乱れと比較して小さくなり得るため、流動励起の低い波数のクロススペクトル成分を推定することである。
【0041】
境界層圧力スペクトルの音響場成分は、各々の瞬間的かつ局所的な渦から離れた(局所的な渦から十分な距離にある)圧力の乱れの自然な伝播を表し、ここで、圧力は、小さな振幅音響範囲まで減衰している。この音響成分は、対流乱流渦によって作り出された圧力と比較して振幅が小さいが、音の透過特性又は空力振動音響の問題にとって極めて重要な場合がある。低速境界層の流動のクロススペクトルモデルは、2つの無相関の供給源成分の合計によってモデル化され得る。2つの成分は、対流乱流供給源Φ
c(k,ω)及び音響供給源Φ
0(k,ω)の供給源であり、方程式Φ
p(k,ω)=Φ
c(k,ω)+Φ
0(k,ω)が得られ、式中、kは波数(rad/m)であり、ωは周波数(rad/sec)である。各供給源成分は、表面圧力クロススペクトルによって説明することができる。便宜上、クロススペクトルの形態は、概して、周波数及び空間ドメインにおいて分離可能であると想定される。均質な供給源の場合、周波数内容は、空間平均化された自動スペクトル
【数1】
によって説明される。任意の2つの点における圧力負荷間の位相相関(及び相関する部分の位相(見かけの波数)関係)の程度は、典型的には、周波数ドメインに変換された空間相関関数γ
p(x,x’,jω)によって説明される。
【0042】
対流乱流の圧力クロススペクトルモデルは、典型的には、方程式
【数2】
によって表される形態をとり、式中、k
c=ω/U
cは、対流波数であり、c
x及びc
yは、x及びy方向の空間コヒーレンス減弱係数であり、Δx=(x-x’)であり、Δy=(y-y’)である。低いマッハ数の流動の境界層乱流によって誘起される音響圧力クロススペクトルの空間相関は、乱流渦が事実上、空間及び時間のランダムな音響供給源であること、並びに音響圧力に対する任意の対流効果が無視できることに基づいて、拡散場として近似され得る。したがって、音響圧力クロススペクトルは、方程式
【数3】
によって表される形態をとることができ、式中、
【数4】
は、空間平均化された音響圧力の自動スペクトルである。
【0043】
圧力場と、応答する構造のモード形状との間の結合は、方程式
【数5】
を使用して表すことができ、モード形状関数は、
【数6】
と定義され、Φ
p(k,ω)は、励起場の波数-周波数圧力スペクトルであり、Aは、構造の流動負荷表面積である。
【0044】
パネルのモードの典型的な波数スペクトル(単純に支持又は挟まれた境界の状態)と、所与の周波数での乱流境界層励起との積は、主なモードのピーク及び乱流境界層ピークに対応する2つの主なピークを有するスペクトルをもたらし得る。空気力学的一致では、2つのピークが重なり合うことになり、結合は全体で最大となる。
【数7】
は、方程式
【数8】
によって支配される関係により、周波数分析におけるジョイントアクセプタンス関数に関連し得、式中、
【数9】
は、励起圧力スペクトル密度であり、U
cは、圧力場の対流速度である。境界層の圧力場は、時間的に静止しており、空間的に均質であると仮定することができる。次いで、圧力場は、空間的及び時間的分離によって減衰し、流動と対流する、クロス相関関数として表すことができる。次いで、構造の速度スペクトル密度は、方程式
【数10】
によって表され、式中、
【数11】
は、構造のモードのインピーダンスであり、
【数12】
は、そのモードの質量であり、
【数13】
は、モードのアドミタンスである。波数の観点からの音響放射効率は、方程式
【数14】
によって求めることができ、式中、
【数15】
である。
【0045】
巡航中の航空機に典型的な構造及び境界層のパラメータについては、乱流境界層励起に対する矩形プレートの応答は、共振する音響的に非効率的なプレートモードで発生し、これらのプレートモードの寄与は、それらが境界層によって強く駆動されているかどうかに関わらず、音響放射を支配する。モードが境界層によって強く駆動されている場合、励起レベルは、波数-周波数スペクトルの対流ピークによって決定され、これは、変動するエネルギーのほとんどが存在する場所であり、放射された音は、ピークの形状及び位置の詳細に敏感である。モードが境界層によって弱く駆動されている場合、波数-周波数スペクトルのサブ対流領域は重要であり、低い波数におけるモデル間の差異は、放射された音の予測における対応する不一致につながる。
【0046】
自動車の風切り音の用途では、流動速度は、航空機の境界層のケースよりもかなり遅く、より分離される。内部音響空間に透過される音のパワーは、方程式
【数16】
を使用して推定することができ、式中、
【数17】
は、分析周波数バンドで共振するモードにわたって平均化されたモードの放射効率である。これは事実上、音のパワーの全てが構造内に共振振動モードによって放射されると想定される。しかしながら、非共振(質量制御型)モードは、典型的には低周波数で、追加の音のパワー透過パスを提供することができ、これらのモードの質量制御型インピーダンスは非常に低い。
【0047】
前述のモードの形態を拡張して、透過した音への共振及び非共振の寄与を明示的に含めることができる。内部に放射される音の総パワーは、方程式
【数18】
で表すことができる。共振対非共振の寄与は、モードの和で分離され得る。剛性制御型モードを無視し、周波数依存性の表記を下げることで、総パワーを、方程式
【数19】
によって分割し、表すことができ、式中、積項
【数20】
は、励起が拡散音響場である場合、ジョイントアクセプタンスは放射効率に比例するため、
【数21】
に置き換えられる。左側の項は、共振モード(ωmn∈Δω)によって放射されるパワーを表し、右側の項は、質量制御型モード(ωmn<Δω)によって透過されるパワーを表す。自動車用ガラスパネル及び拡散音響励起場の場合、非共振モードは、2,000Hzを下回る支配的な透過パスを提供し、共振モードは、2,000Hzを上回る支配的なパスを提供する。
【0048】
低い速さの高度に分離された流動(風切り音など)の場合、外部圧力スペクトルは、高エネルギー乱流スペクトルФ
c(k
c,ω)と低いレベルの無相関の拡散音響スペクトルФ
0(k
0,ω)の和である。したがって、自動車の内部に放射される音の総パワーは、次の4つの項に拡張され得る。
【数22】
最初の2つの項は、音響、Ф
0、及び乱流、Ф
c、スペクトル成分によってそれぞれ駆動される共振モードによって放射されるパワーである。各パワー成分は、2つのモードの結合項の積であり、かかる各項は、波数空間における積である。高エネルギー乱流励起は、パネル共振を弱く駆動するだけであり、その結果、非常に低いレベルの音響励起は、類似の量の音のパワーを透過することができる(特に、音響的に「速い」モード(k
mn≦k
0)の場合)。最後の2つの項は、音響Ф
0及び乱流Ф
cスペクトル成分によってそれぞれ駆動される非共振モードによって放射されるパワーである。左項は、かなりの量の音響パワーФ
0を透過する音響質量則である。これは、いくつかの非共振モードが常に音響的に「速い」(k
mn≦k
0)ためである。しかしながら、高エネルギー乱流励起は、パワーの寄与を通常、無視することができる、非共振モードに弱く結合される。
【0049】
上記の自動車の風切り音の用途について示されるように、任意の近接する流動場によって負荷される、構造の振動、動的歪み、及び音響放射応答は、表面圧力スペクトル及びその空間相関の両方に依存する。空間相関は、
【数23】
で示される位相速さ及び周波数依存性波数、並びに
【数24】
と同様の形態をとる空間相関減衰関数によって定義される。マッハ数が1より有意に小さいか、又は1より有意に大きい任意の流動場の場合、流動負荷は、定義によって、有意に異なる空間相関を有する2つ以上の成分を含む。低マッハの流動
【数25】
は、低い波速さで高い波数の「流体力学的」負荷成分、及びより高い速さで低い波数の音響成分の両方を有する。極超音速航空機の飛行又は高温超音速ジェットなどの高マッハの流動の場合、
【数26】
は、高い波速さで低い波数の「流体力学的」負荷成分、及びより低い速さで高い波数の音響成分の両方を有する。「遅い」(高い波数)負荷の圧力スペクトル及び空間相関と、「速い」(低い波数)負荷の圧力スペクトル及び空間相関と、を別々に定義するために、波数フィルタリングが必要である。
【0050】
以下により詳細に記載されるように、本明細書における主題は、「遅い」(高い波数)負荷の圧力スペクトル及び空間相関と、「速い」(低い波数)負荷の圧力スペクトル及び空間相関とにそれぞれ対応する測定データの異なるセットを得るための、検知要素の複数の異なる論理グループ又はアレイから構成されている、圧力検知配列を提供する。
【0051】
多重波面の流動検知配列の概要
【0052】
流動下の圧力変動の波数-周波数スペクトルを測定することができる場合、構造内の流動誘起音及び振動を予測することができる。流動は、(非圧縮性)乱流圧力変動及び(圧縮性)音響圧力変動の両方を、著しく異なる特性の波数で含み得る。これらの2つの異なる供給源成分に対する構造の音及び振動応答は、流体負荷と振動音響共振応答との間の空間結合又はジョイントアクセプタンスに依存する。2つの流動圧力変動(対流乱流、音響)のうちの小さい方は、非常に多くの場合、構造内の最大の、流動誘起音又は振動をもたらす。これは、多くの場合、信号対ノイズ測定の問題につながり、流動圧力変動のうちの一方の成分を、もう一方の成分におけるはるかに大きな圧力変動の存在下で、低いレベルで測定する必要がある。
【0053】
本明細書に記載の例示的な実施形態は、前述の数学的モデルの入力空力音響又は水力音響の負荷状態を完全に定義して、流動の乱れの負荷にさらされた任意の複雑な構造の振動応答及び音の透過を予測する測定データのセット、つまり、「遅い」(高い波数)負荷の圧力スペクトル及び空間相関を特徴付ける測定データのセットと、「速い」(低い波数)負荷の圧力スペクトル及び空間相関を特徴付ける測定データの別のセットと、を得るように構成された流動ノイズ表面圧力検知配列を提供する。主題は、周囲環境の性質若しくは特性の任意の数又は組み合わせを測定することの文脈において用いられ得るが、説明を目的として、主題は、主に、例えば、自動車、航空機、宇宙機、又は他の車両に対する風などの、構造と相互作用する流体流動を測定することの文脈において本明細書に記載される。この点に関して、圧力検知配列は、検知要素の第1の論理グループ又はアレイを含み、検知要素は、流体流動の高い波数の流体力学的負荷の圧力スペクトルを特徴付ける、測定された波数-周波数スペクトルのスペクトル分解能及び信号対ノイズ比(signal to noise ratio、SNR)を最適化するように構成された方法で、基材にわたって互いに対して物理的に配列されているか、又は別様に分布している。検知要素の第2の論理グループ又はアレイであって、検知要素が、流体流動の低い波数の音響負荷の圧力スペクトルを特徴付ける、測定された波数-周波数スペクトルのスペクトル分解能及び信号対ノイズ比(SNR)に対して構成される方法で、基材にわたって互いに対して物理的に配列されているか、又は別様に分布している、検知要素の第2の論理グループ又はアレイ。検知要素の異なるグループが、フレキシブルであり、測定される構造に適合することができる共通の基材にわたって互いの間に組み入れられていてもよい。
【0054】
1つ以上の例示的な実施形態では、検知要素の低い波数の圧力測定アレイは、「大域的な」圧力測定データを得るように、均一な様式で基材にわたって分布しているが、検知要素の高い波数の圧力測定アレイは、それ自体が、構造上の流動の異なる位置又は領域において「局所的な」圧力測定データを得るために、集中した検知要素のより小さいサブアレイ又はサブグループから構成されている。例示的な実施形態では、低い波数及び高い波数のセンサアレイの各々は、典型的には、8~128個の個々の検知要素を含み、2つのアレイは、流動場を大幅に変更することなく、任意の流動に衝突する構造表面に「貼着/剥離」方式で適用され得る、薄い適合性のある基材又は「ブランケット」上に統合されている。適合性のあるブランケットは、1つ以上のセンサアレイの封止又は装着、必要とされる支持エレクトロニクスの一部又は全て、及び
図1の文脈において上述したような相互接続を可能にするように製造されている。この点に関して、基材は、複数の曲率のコンプライアンスを可能にするためにフレキシブルであり、一方でまた、上に提供された様々な構成要素を支持することができる場合があり、過酷な産業環境又は試験環境での信頼性の高い使用及び再利用を可能にする強度又は耐久性を提供する。センサブランケットのエッジは、モデリングクレイ又は同等の充填材料を用いて、構造の残りの部分に、空気力学的及び/又は水力学的にフェアリングすることができる。主題は、圧力検知要素(マイクロフォン)の文脈において本明細書に記載されているが、更に又は代替的に、アレイは、温度センサ又は加速度センサなどの他のセンサのタイプを組み込むことができる。
【0055】
1つ以上の実施形態では、低い波数のセンサアレイは、低い流動速度(音速以下)の場合は音響であり、より高い流動速度(超音速及び極超音速)の場合は対流乱流である、低い波数の空力音響又は水力音響の負荷を測定するために基材にまたがる検知要素の2Dアレイとして実現される。例えば、低い波数のセンサアレイは、基材の全長及び幅にまたがる矩形の2Dアレイであってもよく、検知要素間の間隔は、低い波数の圧力変動の必要とされるナイキスト空間サンプリング周波数によって決定される。次いで、アレイの波数分解能は、アレイの長さLx及び幅Lyによって決定される。例えば、周波数範囲8000Hz及び対流速度27m/sの場合、分解される最大波数は1,860rad/mであり、ナイキスト空間サンプリング基準から、センサ間隔dkは1.7mmであると決定される。64個のセンサの一次元アレイの場合、アレイの長さは109mmであり、これは、50rad/mの波数スペクトル分解能dkをもたらす。この点に関して、低い波数のセンサアレイの検知要素で基材の寸法を完全に埋めることは、アレイの波数分解能を最大化し、全測定表面にわたる合計の空間平均化された圧力周波数スペクトルの直接推定を容易にすることに留意されたい。したがって、2Dアレイは、完全に埋められる必要はなく、疎なアレイの信号処理方法を代替的に使用して、必要な周波数-波数スペクトルを推定することができる。
【0056】
高い波数の圧力変動によるマスキングの存在下で、低い波数の圧力変動を測定する場合、穿孔されたスクリーン及び/又は多孔質材料を検知要素の各々に適用して、センサ上の不必要な高い波数の「ノイズ」を物理的に減弱させる。これは事実上、波数ドメイン内の空間アンチエイリアシングフィルタを提供する。これは、センサに適用されると、高い波数の圧力変動を減弱させ、所望の低い波数の圧力スペクトルでのアンチエイリアシング誤差を減少させる。中程度のレベルの高い波数のマスキング及びより高い周波数では、ウィンドスクリーンは、直接、低い波数の表面圧力変動を直接測定するのに十分であり得る。高い波数のマスキングが、ウィンドスクリーンでの圧力センサに対して十分である用途では、マイクロフォンの1D又は2Dアレイを使用して、波数フィルタリングを支持することができる。
【0057】
例示的な実施形態では、適合性のある検知配列はまた、低い流動速度(音速以下)の場合は対流乱流であり、より高い流動速度(超音速及び極超音速)の場合は音響である、高い波数の空力音響又は水力音響の負荷における局所的な変動を測定するための複数のより小さいセンササブアレイ又はサブグループから構成される高い波数のセンサアレイを組み込む。例示的な実施形態では、高い波数のセンササブアレイは、検知配列の寸法よりも小さく、必要とされる高い波数のスペクトル分解能を提供するようにサイズ決めされている。これにより、複数のより小さな高い波数のサブアレイを、コンフォーマルセンサブランケット上の異なる位置に統合して、局所的な流動の周波数-波数の圧力スペクトルの変動を測定することができる。この点に関して、高い波数のセンサアレイ(及び構成する検知要素のサブアレイ又はサブグループ)は、全測定表面にわたる測定値を得るように広がるか、網羅するか、又は別様に試みるのではなく、表面上の選択された少数の位置又は別個の領域に測定値を集中させてもよい。
【0058】
高い波数の圧力変動を測定するために、コンフォーマル検知配列は、マイクロポートを含む薄い空気力学的フェアリングを利用して、MEMSセンサパッケージの密なパッキングに基づいて、可能になり得るよりも小さい間隔で圧力検知ポートを収容することができる。マイクロポートは、コンフォーマルセンサブランケットに成形された空気力学的にフェアリングされたプラスチックマニホールドのデジタル印刷を使用して、0.1mmの直径までの非常に小さい直径のポートに対する厳格な寸法公差に製造され得る。
【0059】
上述したように、米国特許第9,921,748号に記載されている、直接データ-メモリデータ取得(direct data to memory data acquisition)を用いて、記録データにおける電気ノイズ及び待ち時間を排除し、外部データ取得システムへの多数の配線接続を回避することができる。高いバンド幅の取得を確保するためにアレイ要素によって用いられる高い周波数のサンプリング、及び多数の検知要素により、かかるデータ取得方法は、全てのセンササンプルの同時性を確保するため、並びにセンサデータを他の外部の測定データと同期させることができるように待ち時間を最小化するために用いられる。加えて、試験ごとに収集される大量のデータが、最小時間遅延で分析するために利用可能な場合がある。かかるデータ取得の技法には、以下のうちの1つ以上が含まれ得る。マイクロコンピュータのクロック及びアドレス制御下での、センサから単一のユニファイドメモリブロックへの直接並列記憶。高速インターリーブ又は多重化されたセンサからメモリへの記憶(ただし、センサのグループからの複数のデータストリームを利用して、メモリブロックを分離する)。各々がセンサのグループ及びメモリ記憶ブロック上で動作する、複数のマイクロコンピュータの使用。試験からセンサデータを取り込むのに十分なサイズの集積メモリを有するマイクロコンピュータの使用(例えば、高速データ通信バス又はプロトコルを介した分析のために、より大きいコンピュータへの伝送前の、直接並列手段又は高速インターリーブシリアルデータストリームによる)。各々がセンサのグループと相互作用し、シリアル通信バス又は媒体を介して、フラッシュメモリ、ユニバーサルシリアルバス(USB)ストレージ、ソリッドステートハードドライブなどのストレージ媒体に直接、又はコンピュータに直接、高速データパスを提供する、複数のマイクロコンピュータの使用。複数のデータストリームは、同期化された並列形式でセンサデータセット全体を提供するために、分析プロセスにおいて再構成され得る。それぞれのセンサアレイを介して得られた測定データのセットは、最終的に、試験後の処理及び分析のためにサーバ、ラップトップ、又は他のコンピュータに伝送され得る。
【0060】
多重波面アレイの設計プロセス
【0061】
例示的な実施形態では、適合性のある検知配列の検知要素のアレイは、方程式
【数27】
によって表される、複数の空間平均化された均質な表面圧力クロススペクトルの合計として、又は方程式
【数28】
によって表される、対応する表面圧力の波数-周波数スペクトルの合計として、構造に対する流動場の空力音響又は水力音響の負荷を完全に説明するために必要な異なる波面成分の数に基づいて設計されている。次いで、各流体力学的成分に関する特徴的な対流の速さU
i及び方向、並びに使用される流動場の空力音響負荷モデルの各音響成分に関する伝播速さc
0及び方向(又はトレース速度U
t,x,U
t,y)が推定される。打ち上げ構造と相互作用するロケットプルームなどの複雑な空力音響供給源の場合、統計的に独立した供給源を識別してランク付けするために、最初に圧力測定のスクリーニングを実施する必要がある場合がある。これは、本明細書に記載される主題に密接に関係しない、主要な成分分析、適切な直交分解、Karhunen-Loeve変換、又は関連する信号処理方法を使用して行うことができる。説明の目的のために、設計プロセスは、マッハが1より有意に小さいか、又は1より有意に大きい、音響成分及び流体力学的流動成分の2つの成分のみを仮定する文脈において本明細書に説明され得る。2つの成分は、それらの相対的な波速さU
F,U
Sに対応して、「速い」及び「遅い」と称される。当業者であれば、本明細書に記載される主題は、追加の流動成分に拡張され得ることを理解されたい。
【0062】
最適なセンサアレイは、複数の時空間流動成分の波数-周波数スペクトルを定量化するために必要とされるスペクトル分解能及び信号対ノイズ比(SNR)を提供する。圧力波数-周波数スペクトル
【数29】
において速い成分及び遅い成分を確実に分離する最適なセンサアレイを設計するためには、以下のアレイ測定パラメータを定義する必要がある。アレイ測定が行われる表面の形状及び近似矩形寸法(L
x,L
y)、所望の最大周波数及び最小周波数
【数30】
並びに速い成分及び遅い成分に対する所望の波数スペクトル分解能
【数31】
次いで、2つの波面成分に対するナイキストサンプリング制約を満足させるための最小アレイセンサ間隔drは、方程式
【数32】
を使用してコンピュータ処理され得る。分離方程式
【数33】
を利用して、全表面積にわたる単一のセンサアレイ、つまり、低い波数のセンサアレイに対する検知要素の数を決定することができる。矩形の二次元アレイでは、センサの数は、
【数34】
によって定義される。
【0063】
離散フーリエ変換(discrete Fourier transform、DFT)法を使用して、このアレイから
【数35】
を計算する場合、波数分解能
【数36】
は、アレイの寸法L
x,L
yによって定義される。対応する分解能が所望の分解能
【数37】
を達成しない場合、より大きなアレイ寸法を増加させることができ、かつ/又は所望の波数分解能を減少させることができる。このセンサアレイは、速い流動の波数-周波数スペクトル
【数38】
を測定するように最適化されているが、測定データは、遅い成分のより高い波数スペクトル内容からのDFTエイリアシング又は折返し誤差の対象である。DFTエイリアシング又は折返し誤差は、例えば、各速いアレイの圧力センサの前に置かれた音響発泡体又は同等の多孔質媒体で、高い波数の内容を物理的にフィルタリングすることによって、及び/又は波数スペクトル後処理ステップでエイリアシング誤差を除去するために後処理を実施することによって、除去され得る。例えば、速い波数スペクトル
【数39】
は、エイリアシングの経験的モデル
【数40】
を含む、経験的モデルを測定された
【数41】
の合計に曲線あてはめすること、及び波数空間で単純な減算
【数42】
を実施することによって、定量化され得る。
【0064】
高い波数のセンサアレイ及びそのサブアレイは、流動場の空力音響又は水力音響の負荷の遅い成分を正確に測定するように設計されている。定義による遅い波速さの成分は、速い波面よりも高い波数及びより短い特性相関長を有する。したがって、より小さいセンサ間隔
【数43】
を有するより小さいアレイは、遅い波速さの流動成分の最大波数を分解するために利用される。高い波数のサブアレイの寸法は、DFT波数分解能要件
【数44】
によって、又は代替的に、方程式
【数45】
によって支配される検知配列基材の寸法によって規定されるセンサの数
【数46】
に対する実用上の制限によって決定され得る。低い波面は短い相関長を有するため、空力音響の場の遅い成分は、基材の面積全体にわたって均質である可能性が低く、ひいては、複数のより小さな高い波数を測定するサブアレイは、低い波数のセンサアレイの間に組み入れられているか、又は別様に分布流動している。
【0065】
各高い波数を測定するセンササブアレイは、結果として得られる波数-周波数スペクトルが速い(低い波数)及び遅いスペクトルのエネルギーの両方を含む、十分に高い波数を測定することができる。速い(低い波数)内容は、波数フィルタリングによって、又は速いエネルギーの経験的モデルを曲線あてはめし、それを、方程式
【数47】
によって表される、アレイによって測定された全波数スペクトルから減算することによって除去され得る。物理的にアンチエイリアシングのウィンドスクリーンが速いアレイの圧力センサ上で必要とされない場合、センサカウントを最小化するために、より小さな遅い成分のサブアレイセンサを、可能な限り多くの速いアレイセンサの二重使用のために位置付けることができる。つまり、検知要素は同時に、低い波数のセンサアレイ及び高い波数のセンサアレイの一部であってもよい。
【0066】
特定のセンサアレイ構成は、速い及び遅いセンサアレイ(又はサブアレイ)ごとに独立して行うことができる。検知要素のアレイは、波数分解能と、センサの数及び/又は測定に関連するコスト若しくはその複雑さとの間の最良の特定用途向けの妥協案として選択され得る。例えば、低い波数のセンサアレイ及び/又は高い波数のセンササブアレイは、二次元(two-dimensional、2D)センサアレイ、向き付けられた一次元(one-dimensional、1D)センサアレイ、同心円状のアレイ、又は検知要素構成の任意の他の組み合わせ若しくはトポロジーとして実現され得る。
【0067】
自動車用途例
【0068】
図2は、自動車の窓などの、車両202の外装表面上に提供された適合性のある検知配列200の例示的な実施形態を描いている。上述したように、検知機構200は、例えば、検知配列200の基材210の裏側に提供された接着剤を使用することによって、貼着/剥離方法で窓の外装表面上に、及びそれに接触して、固設され得るか、又は別様に提供され得る。例示の実施形態では、検知配列200は、2Dの低い波数のセンサアレイ220を提供するように基材210の長さ及び幅にわたって均一に分布している検知要素222のアレイ220を含む。検知配列200は、高い波数の流体場の波数-周波数スペクトルを定量化するために必要とされるスペクトル分解能及び信号対ノイズ比(SNR)を提供するように構成された方法で、低い波数のセンサアレイ220の間に組み入れられ、基材210にわたって分布流動している論理サブグループ又はサブアレイ234内に配列された検知要素232の別のアレイ230を含む。この点に関して、より高い波数の測定のために利用される検知要素232は、別様により低い波数のアレイの最小間隔に従って互いに隣り合って又は隣接していたであろう、より低い波数の測定に利用される均一に離間配置された検知要素222の間に存在し得る。かかる状況では、より高い波数の検知要素232とより低い波数の検知要素222との間の間隔又は分離距離は、以下でより詳細に説明されるように、より低い波数のアレイについて決定された最小間隔よりも小さい場合がある。例示的な実施形態では、検知要素222、232の各々は、変動する表面圧力(fluctuating surface pressure、FSP)負荷の検知要素として作用するMEMSマイクロフォンとして実現されるが、他の実施形態では、検知要素222、232は、異なるタイプのものであってもよく、本明細書に記載される主題は、検知要素222、232の任意の特定のタイプ又は組み合わせに限定されないことに留意されたい。したがって、説明の目的のために、主題は、MEMSマイクロフォンの文脈において本明細書に記載され得る。
【0069】
適合性のある検知配列200は、内部の風切り音の供給源を定量化するために、ガラス窓表面(又は代替的に、自動車本体)に対する変動する圧力負荷を測定するために利用され得る。従来のマッハ<0.1のロードスピードでは、乱流負荷の流動方向の対流速度は、音響伝播波数よりも少なくとも1桁大きい対流波数kc(rad/m)によって空間的に特徴付けられる。変動する表面圧力(FSP)の音響成分の振幅は、典型的には、対流乱流FSPの振幅よりも20~40デシベル(decibel、dB)低い。したがって、波数フィルタリングを使用して、音響及び対流乱流の流動の負荷成分を分離するために、アレイ表面マイクロフォン及び波数分析を使用することが望ましい。
【0070】
適合性のある検知配列200は事実上、費用効果の高い方法で、必要な風切り音の負荷データの全てを取得することができる、単一のFSPアレイを提供する。この点に関して、風洞測定時間はコストがかかり、自動車製造業者がMEMS FSPアレイセンサを周囲に移動させる費用効果はない。
図2の実施形態では、低い波数の音響からの風の負荷は、均一に分布し、より広い間隔のMEMSマイクロフォン222のより大きいアレイ220を用いて測定され、より局所的な乱流の風の負荷は、別個の又は局所的な領域若しくは位置に提供されている、クラスタ化又は集結したMEMSマイクロフォン232のより小さいセンササブアレイ234を使用して測定される。
【0071】
いくつかの実施形態では、低い波速で高い波数のFSPが低い波数の音響よりも高い振幅である場合、アレイは、少数の向き付けられたセンサペア間の圧力クロススペクトルのみを測定し、流動誘起圧力場の空間相関をコンピュータ処理するために必要とされる最小数の検知要素まで減少させることができる。他の実施形態では、高い波数の局所的な乱流のアレイは、センサの一次元の線のアレイ、又はセンサの二次元の矩形のアレイとして実現され得る。かかる実施形態では、アレイは完全に埋めることができないが、波数-周波数の後処理は、疎らに埋められたアレイから得られた測定データに対して疎なアレイの信号処理技法を利用して、圧力の波数-周波数スペクトルを推定することができる。
【0072】
図3~
図6は、
図2の検知配列200として使用するのに好適な適合性のある検知配列300の例示的な実施形態を描いている。検知配列300は、基材310上の別個の位置において、低い波数の検知要素302の間に組み入れられる高い波数のサブアレイ304(例えば、サブアレイ234)と共に、フレキシブルエレクトロニクス基材310にわたって分布している検知要素302(例えば、検知要素222)の低い波数のアレイを含む。例示的な実施形態では、エレクトロニクス基材310は、エレクトロニクス基材310を包囲する適合性のある封止構造320に成形されるか、又は別様にそれと物理的に統合され、これは次に、車両202の表面など、流体流動が測定される表面の上に固設され得るか、接着され得るか、又は別様に装着され得る。
【0073】
例示的な実施形態では、適合性のある封止構造320は、シリコンゴムなどのフレキシブル材料のシート、ブランケット、又は同様の実質的に平坦な層として実現される。封止層は、電気的に絶縁し、アレイを二重に湾曲した構造表面に緊密に適合させるのに十分にフレキシブルであり、アレイの期待される寿命にわたって数百回のインストール及びインストール解除を可能にするように十分に耐久性があるように選択される。例示的な実施形態では、適合性のある封止構造320は、空気力学的に滑らかな表面を提示するために、実質的に均一な厚さを有する。上述のように、例示的な実施形態では、封止層606を、望ましくは、均一な厚さで、典型的には2~5mmの範囲で実行可能な限り薄くして、適合性のある検知配列の空気力学的特性を改善し、適合性のある検知配列の幾何学的形状に起因する流体流動の摂動を制限するか、又は別様に最小化することができる。
【0074】
例示的な実施形態では、エレクトロニクス基材310は、薄いプリント回路基板として実現されるが、他の実施形態では、基材310は、フレキシブルポリマー回路として、又はフレキシブルポリマー回路若しくは配線ストリップによって接続されたより小さいプリント回路基板のネットワークとして実現され得る。
図3の例示の実施形態では、エレクトロニクス基材310は、湾曲構造に対する適合性を改善するために、マルチフィンガー構成に切断されている。
【0075】
米国特許第9,921,748号に記載されている、デジタルメモリへのデータの直接記憶の技法に関連して利用される場合、エレクトロニクス基材310はまた、1つ以上のコントローラ、上に装着されているか、又は別様に提供されているメモリ要素(例えば、RAMアレイ)、並びに検知要素と本明細書に記載のメモリ要素との間の導電性トレースを含み得るか、又は別様に支持し得る。電子コントローラ及びRAMアレイは、各物理的測定サブアレイに対して別々に専用であってもよく、又は単一のコントローラ及びRAMアレイに統合されて、連続的に符号化される方法で全てのサブアレイからのデジタル出力を記憶することができる。コントローラ及びRAMアレイは、PCB上及び封止用コンフォーマル層内でアレイ機器上に直接統合され得るか、又はフレキシブルポリマー回路要素若しくはリボンケーブルを介した電気的接続を用いて、アレイ測定機器から離れた別のPCB上に実装され得る。
【0076】
例示的な実施形態では、低い波数のアレイ検知要素302は、MEMSマイクロフォン又は変動する表面圧力(FSP)負荷の検知デバイスとして実現される。例示的な実施形態では、MEMSマイクロフォン検知要素302は、乱流を減弱させるように構成された方法でエレクトロニクス基材310に装着されているか、又は別様に固設されている。この点に関して、
図4は、MEMSマイクロフォン402の乱流への露出を減少させるように構成された方法でエレクトロニクス基材404(例えば、基材310)の領域に装着されたMEMSマイクロフォン402(例えば、検知要素302)の例示的な実施形態の分解図を描いている。例示の実施形態では、MEMSマイクロフォン402は、エレクトロニクス基材404の裏面に装着されており、MEMSマイクロフォン402を、MEMSマイクロフォン402の反対側の基材404の露出した表面上の流体流動に露出させるために、穴、ボア、又は同様の切り欠き領域405が基材404内に提供されている。音響発泡体又は同様の多孔質材料406が、基材404の露出した表面に固設されているか、又は別様に装着されており、支配的な低い波速さの乱流負荷からMEMSマイクロフォン420における高い波数の圧力変動を減弱させるように、圧力検知穴405と整列しているか、又は別様にそれを覆っている。マイクロ穿孔ステンレス鋼ウィンドスクリーン又は同様の材料408が、音響発泡体406の露出した表面上に提供されており、マイクロフォン検知ポート及び/又は音響発泡体層の空気力学的に粗い表面からの自己ノイズを最小化するように、同様に圧力検知穴405に対して整列している。
【0077】
図5の参照と共に
図3を参照すると、例示的な実施形態では、高い波数のサブアレイ304は、検知配列300の別個の異なる位置に提供されている複数の集結した検知要素(例えば、検知要素232)を含む。より低い波数のアレイ302と同様に、より高い波数のサブアレイ304の検知要素は、MEMSマイクロフォン又は変動する表面圧力(FSP)負荷の検知デバイスとして実現され得る。例えば、
図5は、
図3の実施形態におけるサブアレイ304としての使用に好適な高い波数のサブアレイ500の例示的な実施形態を描いている。各高い波数のサブアレイ304、500は、エレクトロニクス基材504(例えば、基材310)上に装着されているか、又は別様に提供されている場合、低い波数のアレイ検知要素302に対して互いに対してより高密度に位置する複数のMEMSマイクロフォン502(例えば、検知要素232)を含み得る。例示の実施形態では、MEMSマイクロフォン502は、中央のMEMSマイクロフォン502の周りの弧状に配列されている。低い波数のアレイのMEMSマイクロフォン402と同様に、高い波数のMEMSマイクロフォン502は、基材504の裏側の表面上に装着され得るか、固設され得るか、又は別様に提供され得、基材504内の対応する整列した穴、ボア、又は切り欠きを介して流体流動に露出され得る。例示的な実施形態では、高い波数のサブアレイ304のMEMSマイクロフォン502は、乱流を減弱させ得る介在する要素を伴わずに、つまり、音響発泡体406及びウィンドスクリーン層408がMEMSマイクロフォン502と重なり合わないか、又は別様にそれと整列していない状態で、流体流動に露出される。
【0078】
図6は、
図3の検知配列300として使用するのに好適な適合性のある検知配列の分解図を描いている。検知配列は、フレキシブルエレクトロニクス基材層602を含み、乱流減弱層604(例えば、音響発泡体406及び上にあるウィンドスクリーン408)が、フレキシブルエレクトロニクス基材層602の露出した表面上に装着されているか、固設されているか、又は別様に提供されている。乱流減弱層604は、高い波数のサブアレイ検知要素(例えば、検知要素232)を、低い波数の検知要素222が露出される流体流動から乱流部分を減弱させながら、乱流流体流動に露出させるために、フレキシブルエレクトロニクス基材層602の高い波数のサブアレイ領域603と整列した空隙又は切り欠き領域を含む。フレキシブルエレクトロニクス基材層602及び乱流減弱層604を包み込むか、又は別様に封止するために、適合性のある封止層606が、乱流減弱層604の露出した表面上に装着されているか、固設されているか、又は別様に提供されている。上述のように、例示的な実施形態では、封止層606を、望ましくは、均一な厚さで実行可能な限り薄くして、適合性のある検知配列の空気力学的特性を改善し、適合性のある検知配列の幾何学的形状に起因する流体流動の摂動を制限するか、又は別様に最小化することができる。
【0079】
図7は、
図1のセンサシステム100に関連して、実装に好適な多重波面検知プロセス700の一実施形態を例示するフロー図である。多重波面検知プロセス700に関連して実施される様々なタスクは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせによって実施され得る。例示の目的のために、多重波面検知プロセス700の以下の説明は、
図1~
図6に関連して上述した要素を参照し得る。例示的な実施形態では、多重波面検知プロセス700の1つ以上の態様は、コンピューティングデバイス112において、又はそれによって(例えば、コンピューティングデバイス112において実行されるソフトウェアアプリケーションによって)実装される。多重波面検知プロセス700は、任意の数の追加の又は代替的なタスクを含むことができ、
図7に示されるタスクは、例示の順序で実施される必要はなく、多重波面検知プロセス700は、本明細書で詳細に説明されない更なる機能を有する、より包括的な手順又はプロセスに組み込むことができることを理解されたい。更に、
図7に示されるタスクのうちの1つ以上は、意図される全体的な機能が無傷のままである限り、多重波面検知プロセス700の一実施形態から省略され得る。
【0080】
多重波面検知プロセス700の例示の実施形態は、ユーザから満足される所望の測定要件を受信すること、得ること、又は別様に識別することによって始まる(タスク702)。例えば、ユーザは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)ディスプレイ上の(例えば、コンピューティングデバイス112に提示される)GUI要素を操作して、例えば、測定ドメインのサイズ及び形状、測定される周波数の範囲を定義する最小及び最大周波数、低い波数の流動成分に所望される波数分解能、高い波数の流動成分に所望される波数分解能、流動の波数-周波数スペクトルにおける成分の数、流動の波数-周波数スペクトルにおけるそれぞれの成分についての推定されるオートスペクトルレベル及び空間相関、並びに/又は低い及び高い波数の流体流動成分を特徴付ける他のパラメータなど、流体流動の測定値が得られる動作環境の性質、特性、属性、又は他のパラメータについての値を選択、入力、又は別様に提供してもよい。
【0081】
多重波面検知プロセス700は、所望の測定要件に基づいて、低い波数のアレイの検知要素に対する制約を計算するか、又は別様に決定することによって継続する(タスク704)。この点に関して、多重波面検知プロセス700は、上述したように、低い波数の流動成分に対する所望の波数分解能を達成するために、検知要素間の最小間隔、及び低い波数のアレイに対する検知要素の最小数を決定する。例えば、空間及び時間の両方において統計的にランダムである分布したFSP負荷の空間フーリエ分析のために、センサの空間アレイが必要とされる。センサデータの空間フーリエ分析は、全FSP負荷スペクトルにおける音響負荷スペクトル成分の後続の波数フィルタリングのために必要とされる。
【0082】
上述のように、1つの実施形態では、多重波面検知プロセス700は、測定される流動の波数-周波数スペクトルにおける成分の数を定義し、流動の波数-周波数スペクトルにおける成分の各々のオートスペクトルレベル及び空間相関を推定して、遅い(高い波数)成分から速い(低い波数)成分を説明する特性を定義する。多重波面検知プロセス700は、例えば、流動測定ドメインのサイズ及び形状、それぞれの成分の最小及び最大周波数、それぞれの成分に対する所望の波数分解能などの、速い及び遅い成分の圧力波数-周波数スペクトル測定のパラメータを定義する。それに基づいて、多重波面検知プロセス700は、上述のように、速い成分の測定アレイに対する最小センサ間隔及びセンサ数をコンピュータ処理し、アレイ長さを調節して、波数分解能要件に応じる。例示的な実施形態では、多重波面検知プロセス700は、遅い成分から高い波数のエイリアシングを推定し、例えば、センサ上の物理的フィルタ、波数ドメインでの後処理などのエイリアシング誤差を最小化するための1つ以上の手段を識別するか、又は別様に決定する。その後、次元性又は他の制約(例えば、センサの完全若しくは疎な配置、一次元若しくは二次元のDFT波数分析成分など)と共に、速い成分の測定アレイに対するアレイ構成(又は形状)(例えば、線、クロス、円、又は他のクロススペクトル曲線あてはめアレイ)が選択されるか、又は別様に識別される。
【0083】
例示の多重波面検知プロセス700は、低い波数のセンサアレイに対する所望の形状又は物理的構成を識別するか、又は別様に決定することによって継続する(タスク706)。1つの実施形態では、多重波面検知プロセス700は、選択可能なアレイ構成のリストであって、その中からユーザが、分析される特定のアプリケーション又は構造に対する所望のアレイ構成を選択するか、又は別様に識別することができる、リストを含むGUIディスプレイを生成するか、又は別様に提供する。例えば、低い波数の流体流動成分に対する所望の波数分解能を達成するために必要な検知要素の最小間隔及び数に基づいて、GUIディスプレイは、ユーザがポテンシャルアレイ構成をプレビューすることを可能にするために、検知要素の最小間隔及び決定された数を有する異なるポテンシャルアレイ構成のグラフィカル表現を含み得る。1つの実施形態では、ユーザは、任意の数の異なる一次元アレイ構成、二次元アレイ構成、湾曲した又は弓状のアレイ構成、マルチフィンガーアレイ構成などの中から選択することができる。ユーザはまた、低い波数のセンサアレイが完全に(例えば、形状の面積にわたって均一に決定された検知要素間の最小間隔で)埋められるか、又は疎らに(例えば、最小間隔よりも大きい検知要素間の間隔で)埋められるかどうかを選択することができるか、又は別様に選ぶことができる。
【0084】
所望の低い波数のアレイ構成を識別した後、多重波面検知プロセス700は、高い波数の流体流動成分に対する所望の測定要件に基づいて、高い波数のアレイの検知要素に対する制約を計算するか、又は別様に決定することによって継続する(タスク708)。この点に関して、多重波面検知プロセス700は、上述したように、高い波数の流動成分に対する所望の波数分解能を達成するために、検知要素間の最小間隔、及び高い波数のアレイに対する検知要素の最小数を決定する。例えば、1つの実施形態では、多重波面検知プロセス700は、遅いアレイに対する最小センサ間隔及びセンサ数を計算するか、又は別様に決定し、次いで、波数分解能要件、最小センサ間隔、及び最小センサ数に基づいて、遅い成分の測定アレイの寸法を計算するか、又は別様に決定する。その後、多重波面検知プロセス700は、期待される流動場をレビューして、より大きな速い成分の測定アレイに組み込まれる複数のより小さな遅い成分の測定サブアレイの数及び対応する位置を決めることができる。この点に関して、速い成分の測定アレイセンサが、アンチエイリアシングのウィンドスクリーンを必要としない場合、多重波面検知プロセス700は、低い及び速い成分の測定アレイの両方における個々のセンサの再使用(又は二重使用)を最大化する、低い成分の測定サブアレイの位置を決定することができる。
【0085】
高い波数のアレイに対するセンサ制約を決定した後、多重波面検知プロセス700は、流体流動場の期待される高い波数成分に基づいて、高い波数のアレイを構成するサブアレイに対する制約を計算するか、又は別様に決定することによって継続する(タスク710)。この点に関して、多重波面検知プロセス700は、所望の高い波数分解能を達成するために必要とされる、グループごとの検知要素の数に基づいて、分割する必要がある、検知要素の最小数を決定する異なるサブアレイの数を計算するか、又は別様に決定する。利用されるサブアレイグループの数を決定した後、多重波面検知プロセス700はまた、これらのサブアレイ(及び構成する検知要素)を、低い波数のアレイの間に分布させ組み入れるべき、対応する位置を決定する。例示的な実施形態では、多重波面検知プロセス700は、低い波数の流体流動成分と、高い波数の流体流動成分との間のエイリアシングの量を推定し、ウィンドスクリーン又は他の減弱機構が利用されるか否かを推定する。減弱要素(例えば、減弱層604)が存在しない場合、多重波面検知プロセス700は、例えば、既に置かれている低い波数の検知要素と別様に並置され得る、高い波数の検知要素の数を最大化することによって、低い波数のアレイ及び高い波数のアレイの両方に使用することができる検知要素の数を最大化する、高い波数のサブアレイの位置を識別する(例えば、タスク706)。
【0086】
多重波面検知プロセス700が、低い波数のアレイに対する最小センサ数及び最小センサ間隔、低い波数のアレイの形状又は構成、高い波数のアレイに対する最小センサ数及び最小センサ間隔、高い波数のサブアレイごとのセンサの数、並びに高い波数のサブアレイの空間的分布を識別又は別様に定義した後、上述のように、対応する検知配列を構築することができる。例えば、フレキシブルPCBを、低い波数のアレイに対する所望の形状を達成するように切断するか、又は別様にパターン化することができ、検知要素を、決定された位置において、かつ/又は決定されたセンサ分布及び互いに対する空間的配置を用いて、フレキシブルPCB上に提供することができる。
図6の文脈において上述したように、高い波数のサブアレイに対応する切り欠き領域を有する任意選択の乱流減弱層を、フレキシブルPCB上に提供し、適合性のある封止層を使用して、PCBで封止することができる。
【0087】
更に
図7を参照すると、多重波面検知プロセス700の例示の実施形態は、試験パラメータを受信するか、又は別様に得ること、及び試験パラメータに従って検知システムをプログラミングするか、又は別様に構成することによって継続する(タスク712、714)。この点に関して、ユーザは、GUIディスプレイ上のGUI要素を操作するか、又は別様にそれらと相互作用して、例えば、試験の継続時間、所望のサンプリング周波数などといった、実施される試験手順を定義するパラメータの値を入力するか、又は別様に提供することができる。入力された試験パラメータに基づいて、多重波面検知プロセス700は、例えば、デジタルデータブロックサイズ、デジタルデータブロックダウンロード時間、データブロックダウンロードレートなどといった、コントローラ108、RAMアレイ106などのための対応する設定を計算するか、又は別様に決定することができる。その後、試験手順の開始時に、コントローラ108は、入力された試験パラメータに従って、センサアレイ104からの測定データの取り込みを起動するようにコマンド送信され得るか、合図され得るか、又は別様に命令され得る。1つの実施形態では、多重波面検知プロセス700は、必要とされる測定時間の記録を識別するか、又は別様に決定し、必要とされる測定時間に基づいて、デジタルデータブロックサイズを計算する。次いで、多重波面検知プロセス700は、必要なデータブロックダウンロード時間及び必要なデータダウンロードレートを計算するか、又は別様に決定し、例示的な実施形態では、必要なデータダウンロードレートで高速データリンクを選択するか、又は別様に利用する。いくつかの実施形態では、多重波面検知プロセス700は、試験パラメータに従って、ダウンロードされたコントローラアプリケーションをプログラムすることができる。
【0088】
米国特許第9,921,748号に記載されるように、RAMアレイ106は、新しいデータを記録する準備ができていること、及びデータ記録動作が開始されることを確実にするように、コントローラ108によって、例えば、コントローラ108にコマンドを発行するため又は別様にコントローラ108でのデータ記録動作の開始をスケジュールするために利用され得る、取り付けられたコンピューティングデバイス112によって、初期化又はフォーマット化され得る。データ記録動作中、デジタルセンサデバイス(例えば、検知要素222及び232)は、それぞれの発信元センサデバイスに割り当てられたRAMデバイスに対象となる未加工のデジタルセンサ出力データを伝える、それぞれのデジタル出力信号を生成し、デジタル出力信号は、RAMデバイスへの入力として機能する。デジタル出力信号を同期的にサンプリングするために、必要に応じて、共通のクロック信号をRAMデバイス及び/又はデジタルセンサデバイスに提供し、それによって、未加工のセンサ出力データをRAMデバイスに同期的に書き込むことができる。未加工のデジタルセンサデータは、センサデータを読み取るか、又はダウンロードする時間になるまで、RAMアレイ106内に維持され得る。特定の実施形態では、データ記録動作は、RAMアレイがそのデータ容量に到達したときに終了する。他の実施形態では、データ記録動作は、所定の時間の後に終了する。更に他の実施形態では、データ記録動作は、ユーザコマンド又は命令に応答して終了する。その後、未加工のデジタルセンサ出力データは、コントローラ108を介して、RAMアレイ106からコンピューティングデバイス112に転送され得る。上述のように、USBインターフェース110を利用して、未加工のセンサデータを、所望どおりに処理、分析、フィルタリング、又は別様に操作することができるホストコンピューティングデバイス122に転送することができる。このようにして記録後の処理を遅延させることにより、RAMデバイスは、リアルタイムに最小限の待ち時間で、多数のセンサデバイスから未加工のセンサデータを効率的かつ効果的に取り込むことが可能になる。
【0089】
図8~
図11は、多重波面検知プロセス700及び上記の関連する主題に関連して、コンピューティングデバイス112などのコンピューティングデバイスによって、又はその上に提示され得る、例示的なGUIディスプレイを描いている。
図8は、ユーザが、試験に関する他の閾値又はパラメータと共に、試験継続時間(若しくはデータ取得時間)などの試験パラメータを入力する(例えば、タスク712)ことを可能にするGUI要素802を含む、コンピューティングデバイス112上に提示され得るセットアップGUIディスプレイ800を描いている。例示のセットアップGUIディスプレイ800はまた、検知配列の異なるアレイの接続ステータスのグラフィカル表現806と共に、検知配列のグラフィカル表現804を含む。セットアップGUIディスプレイ800はまた、ユーザが、RAMアレイ106からコンピューティングデバイス112に転送された後に、コンピューティングデバイス112上での又はコンピューティングデバイス112における測定データの記憶を管理することを可能にする、GUI要素808も含む。
【0090】
図9は、データ取得の間又はその後に提示され得る、測定レビューGUIディスプレイ900を描いている。測定レビューGUIディスプレイ900は、例えば、上限閾値の値を上回るか、下限閾値の値を下回るか、又は上限及び下限の閾値の値によって定義される範囲内の、試験期間中の低い波数の測定アレイ220(若しくは検知要素222)からの低い波数の流体流動成分の測定値の数値又は比例分布などの、低い波数(音響)の測定データを描く、棒グラフ又は類似のGUIディスプレイ902を含む。同様に、測定レビューGUIディスプレイ900は、例えば、上限閾値の値を上回るか、下限閾値の値を下回るか、又は上限及び下限の閾値の値によって定義される範囲内の、試験期間中の低い波数の測定アレイ230(若しくは検知要素232)からの高い波数の流体流動成分の測定値の数値又は比例分布などの、高い波数(乱流)の測定データを描く、第2の棒グラフ又は類似のGUIディスプレイ904を含む。
【0091】
図10は、データ取得の間又はその後に提示され得る、測定レビューGUIディスプレイ1000の別の例を描いている。測定レビューGUIディスプレイ1000は、それぞれの位置に描かれた個々の検知要素を含む検知配列のグラフィカル表現1002を含む。この点に関して、いくつかの実施形態では、検知要素は、それぞれの検知要素に関連付けられた異なる属性又はステータスを示すために、異なる視覚的に区別可能な特性を使用してレンダリングされ得る。例えば、検知要素を、それぞれの検知要素によって測定されたそれぞれの波数の流体流動成分が、上限測定閾値を上回るかどうか、下限測定閾値を下回るかどうか、上限測定閾値と下限測定閾値との間にあるかどうかなどを示すように色分けし、それによって、流体流動の影響が位置によってどのように変化するかを示すグラフを提供することができる。同様に、検知要素を、異なる色又は視覚的に区別可能な特性を使用して色分けするか、又は別様にレンダリングして、接続状態若しくは動作ステータス、それぞれの検知要素が属する論理グループ若しくはサブアレイなどを示すことができる。
【0092】
図11は、異なるセンサアレイから得られた測定データの分析に基づいて、コンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス112)で生成され得るか、又は別様に提示され得る、測定レビューGUIディスプレイ1100の別の例を描いている。例えば、コンピューティングデバイス112におけるソフトウェアアプリケーションは、リストボックス、ドロップダウンメニューなどといった、GUI要素1101、1103を提供することができ、これにより、ユーザは、ユーザが分析したいアレイ220、230、及び対応する波数の流体流動成分を選択するか、又は別様に識別することができ、同様に、ユーザは、ユーザが分析したい測定データの表現のタイプを選択するか、又は別様に示すことができる。例えば、高い波数のアレイ230によって取り込まれた、測定された応答のオートスペクトル提示を選択することに応答して、コンピューティングデバイス112(又はその上で実行中のソフトウェアアプリケーション)は、高い波数のアレイ230の検知要素232によって取り込まれた測定データを分析して、周波数に関する流体流動の高い波数成分に対する測定された応答のオートスペクトル、パワースペクトル密度、若しくは同様の表現を計算するか、又は別様に計算し、GUIディスプレイ1100上に、周波数に関する流体流動の高い波数成分に対する測定された応答の対応するグラフィカル表現1102を提供することができる。例示の実施形態では、GUIディスプレイ1100はまた、時間に関する流体流動の高い波数成分に対する測定された応答のグラフィカル表現1104を含む。
図11は、本明細書に記載される検知配列を使用して取り込まれた、測定された応答のいくつかの例示的な表現を単に描いており、主題は、任意の特定のGUIディスプレイ又はその上に提供されるグラフィカル表現(複数可)に限定されることを意図するものではないことに留意されたい。
【0093】
本明細書に記載される主題により、道路又は空力音響の風洞のいずれかについて、自動車本体に対して単一の試験で必要なデータの全てを簡便に取得することができることが理解されよう。異なるセンサアレイの測定データを後処理して、車両の振動音響(vibro-acoustic、VA)モデルに対する外部風切り音供給源の負荷を定義することができ、次に当該モデルを利用して、内部風切り音の音圧レベル(sound pressure level、SPL)を予測することができる。この点に関して、新しい車両開発プログラムの初期において内部風切り音を評価するために、本明細書に記載される検知構成を、車両の空気力学的スタイリングの縮小スケールのクレイモデル又は類似のモデル上で利用して、製造及び組み立て前に、所望の音響性能を達成する方法で車両の設計を容易にすることができる。予測される構造の振動又は内部SPLレベルが設計目標を上回る場合、記載されるプロセスにより、空力音響エンジニアは、モデリングクレイ又は同等の材料を用いて空気力学的設計の変更を適用して、風の音響負荷及び/又は風の流体力学的乱流負荷のより低い測定レベル、ひいては、より低い、構造の振動及び/又は内部ノイズのレベルを有する空気力学的設計を見つけることができる。
【0094】
更に、より容易な参照のために番号付けされた以下の例示的な実施形態も提供される。
【0095】
実施例1:検知配列であって、基材と、基材上の第1のセンサアレイであって、第1のセンサアレイが、第1の複数の検知要素を含み、基材上の第1の複数の検知要素の第1の分布が、動作環境の第1の性質を示す測定データの第1のセットを得るように構成されている、第1のセンサアレイと、基材上の第2のセンサアレイであって、第2のセンサアレイが、第1のセンサアレイの間に組み入れられる第2の複数の検知要素を含み、基材上の第2の複数の検知要素の第2の分布が、動作環境の第2の性質を示す測定データの第2のセットを得るように構成されている、第2のセンサアレイと、を備える、検知配列。
【0096】
実施例2:第2のセンサアレイが、複数のサブアレイを含み、複数の各サブアレイが、第2の複数の検知要素のそれぞれのサブセットを含む、実施例1に記載の検知配列。
【0097】
実施例3:それぞれのサブアレイの第2の複数の検知要素のそれぞれのサブセットの検知要素間の間隔が、複数のサブアレイのそれぞれのサブアレイと別のサブアレイとの間の第2の間隔よりも小さい、実施例2に記載の検知配列。
【0098】
実施例4:第1の性質が、流体流動のより低い波数成分に対する第1の応答を含み、第2の性質が、流体流動のより高い波数成分に対する第2の応答を含む、実施例1に記載の検知配列。
【0099】
実施例5:第1の分布が、より低い波数成分の波数分解能を達成するための最小センサ間隔、及びより低い波数成分に対する第1の応答の波数分解能を達成するための検知要素の数のうちの少なくとも一方を含む、実施例4に記載の検知配列。
【0100】
実施例6:第2の分布が、第2の最小センサ間隔を有するサブアレイの数と、より高い波数成分に対する第2の応答の第2の波数分解能を達成するための、サブアレイ当たりの検知要素の数と、を含む、実施例5に記載の検知配列。
【0101】
実施例7:第1のセンサアレイの第1の複数の検知要素を覆う減弱層を更に備える、実施例4に記載の検知配列。
【0102】
実施例8:減弱層が、より高い波数成分を減弱させるアンチエイリアシングフィルタを提供するように構成されたウィンドスクリーンを含む、実施例7に記載の検知配列。
【0103】
実施例9:より高い波数成分のモデル化されたデータを測定データの第1のセットから減算して、より高い波数成分を除去し、モデル化されたデータが、離散フーリエ変換エイリアシング又は折返し誤差のうちの少なくとも一方の推定値を含む、実施例4に記載の検知配列。
【0104】
実施例10:基材、第1のセンサアレイ、及び第2のセンサアレイを覆う、適合性のある封止層を更に備える、実施例1に記載の検知配列。
【0105】
実施例11:適合性のある封止層が、除去可能な接着剤材料を含む、実施例10に記載の検知配列。
【0106】
実施例12:第1のセンサアレイが、流動誘起圧力場のより高い波速及びより低い波数の流動成分を示す、測定データの第1のセットを得るように最適化され、第2センサアレイが、流動誘起圧力場のより低い波速及びより高い波数の流動成分を示す、測定データの第2のセットを得るように最適化された複数のサブアレイを含む、実施例1に記載の検知配列。
【0107】
実施例13:基材が、フレキシブルプリント回路基板を含む、実施例1に記載の検知配列。
【0108】
実施例14:フレキシブルプリント回路基板が、適合性のために切断又はパターン化されている、実施例13に記載の検知配列。
【0109】
実施例15:フレキシブルプリント回路基板が、マルチフィンガー構造又は渦巻き状にパターン化されている、実施例14に記載の検知配列。
【0110】
実施例16:第1及び第2の複数の検知要素に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)アーキテクチャと、RAMアーキテクチャの読み取り及び書き込み動作を制御するようにRAMアーキテクチャに動作可能に結合されたコントローラであって、データ記録動作中に、第1及び第2の複数の検知要素の各検知要素がRAMアーキテクチャに電気的及び物理的に直接接続されて、測定データの第1及び第2のセットを含むデジタルセンサ出力データの同期書き込みを容易にする、コントローラと、を更に備える、実施例1に記載の検知配列。
【0111】
実施例17:ユーザから必要なデータ取得時間、並びにセンサのオーバーレンジレベル及びアンダーレンジレベルを得ることと、アレイ機器RAMコントローラとの論理接続を確立することと、アレイ機器及びサブアレイ構成要素への論理接続のグラフィカル表示をユーザに提供することと、ユーザが結果データのファイル名、並びにフォルダ及び/又はパスを指定するためのグラフィカル手段を提供することと、ユーザがデータ取得を開始及び停止するためのグラフィカル手段を提供することと、ユーザが、データ取得期間中に各サブアレイにおいて、オーバーレンジ信号を測定したセンサの数及びアンダーレンジ信号を測定したセンサの数をレビューするための手段を提供することと、ユーザが、オーバーレンジインスタンス及びアンダーレンジインスタンスの数をレビューした後に、結果データを定義されたファイル名に保存するための手段を提供することと、を含む、方法。
【0112】
実施例18:ユーザが、各サブアレイ内のどのセンサ位置がオーバーレンジの対象であったかを見るためのグラフィカル手段を提供することと、ユーザが、各サブアレイ内のどのセンサ位置がアンダーレンジの対象であったかを見るためのグラフィカル手段を提供することと、ユーザが、オーバーレンジインスタンス及びアンダーレンジインスタンスのアレイ内の数及び位置をレビューした後に、結果データを定義されたファイル名に保存するための手段を提供することと、を更に含む、実施例17に記載の方法。
【0113】
実施例19:曲面に適合して装着されるように構成されたフレキシブル支持基材と、フレキシブル支持基材によって担持されるデジタルセンサデバイスのアレイであって、デジタルセンサデバイスの各々が、未加工のデジタルセンサ出力データを伝えるそれぞれのデジタル出力信号を生成するように構成されており、デジタルセンサデバイスのアレイが、デジタルセンサデバイスの第1のセットを含むより低い波数のアレイ、及びデジタルセンサデバイスの第2のセットを含むより高い波数のアレイを含み、より高い波数のアレイが、デジタルセンサデバイスの第2のセットのそれぞれのサブセットを含む複数のサブアレイを含み、より低い波数のアレイのデジタルセンサデバイスの第1のセットが、フレキシブル支持基材にわたって均一に分布しており、複数のサブアレイのうちのサブアレイが、より低い波数のアレイのデジタルセンサデバイスの第1のセットの間に不均一に組み入れられる、デジタルセンサデバイスのアレイと、フレキシブル支持基材によって担持されるランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスのアレイであって、RAMデバイスが、センサシステムのデータ記録動作中にデジタルセンサデバイスに直接接続され、それにより、RAMデバイスが、デジタル出力信号を直接受信する、ランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスのアレイと、データ記録動作中にRAMデバイスのアレイを同期的にクロックするように、RAMデバイスのアレイに動作可能に結合され、それにより、未加工のデジタルセンサ出力データが、RAMデバイスのアレイに同期的に書き込まれる、コントローラと、を備える、センサシステム。
【0114】
実施例20:デジタルセンサデバイスのアレイ内の各デジタルセンサデバイスが、微小電気機械マイクロフォンデバイスを含む、実施例19に記載のセンサシステム。
【0115】
実施例21:ユーザから必要なデータ取得時間、並びにセンサのオーバーレンジレベル及びアンダーレンジレベルを得るための手段と、アレイ機器RAMコントローラとの論理接続を確立するための手段と、アレイ機器及びサブアレイ構成要素への論理接続のグラフィカル表示をユーザに提供するための手段と、ユーザが結果データのファイル名、並びにフォルダ及び/又はパスを指定するためのグラフィカル手段と、ユーザがデータ取得を開始及び停止するためのグラフィカル手段と、ユーザが、データ取得期間中に各サブアレイにおいて、オーバーレンジ信号を測定したセンサの数及びアンダーレンジ信号を測定したセンサの数をレビューするための手段と、ユーザが、オーバーレンジインスタンス及びアンダーレンジインスタンスの数をレビューした後に、結果データを定義されたファイル名に保存するための手段と、を備える、システム。
【0116】
実施例22:ユーザが、各サブアレイ内のどのセンサ位置がオーバーレンジの対象であったかを見るためのグラフィカル手段と、ユーザが、各サブアレイ内のどのセンサ位置がアンダーレンジの対象であったかを見るためのグラフィカル手段と、ユーザが、オーバーレンジインスタンス及びアンダーレンジインスタンスのアレイ内の数及び位置をレビューした後に、結果データを定義されたファイル名に保存するための手段と、を更に備える、実施例21に記載のシステム。
【0117】
少なくとも1つの例示的な実施形態を前述の詳細な説明において提示したが、莫大な数の変形例が存在することを理解されたい。本明細書に記載の例示的な実施形態(複数可)は、特許請求される主題の範囲、適用性、又は構成をいかなる方法でも制限することを意図するものではないことも理解されたい。どちらかと言えば、前述の詳細な説明は、当業者に、記載の実施形態(複数可)を実装するための便利なロードマップを提供するであろう。様々な変更を、特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、本特許出願の出願時に既知の等価物及び予見可能な等価物を含む、要素の機能及び配列において行うことができることを理解されたい。
【国際調査報告】