IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオジェン アイデック ヘモフィリア インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-514465第IX因子を発現するレンチウイルスベクターの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】第IX因子を発現するレンチウイルスベクターの使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20220204BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 15/90 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 15/16 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 15/14 20060101ALI20220204BHJP
   A61K 38/48 20060101ALI20220204BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220204BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20220204BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220204BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/11 Z
C12N15/85 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N7/01
C12N15/90 Z
C12N15/867 Z
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/16
C12N15/14
A61K38/48 100
A61K48/00
A61P7/04
A61K35/76
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531954
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 US2019064711
(87)【国際公開番号】W WO2020118069
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/776,393
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512147244
【氏名又は名称】バイオベラティブ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トンヤオ・リウ
(72)【発明者】
【氏名】スザンナ・パタロヨ-ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ドレイガー
(72)【発明者】
【氏名】アレッシオ・カントーレ
(72)【発明者】
【氏名】ルイージ・ナルディーニ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AA94Y
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA13
4C084BA44
4C084DC10
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA531
4C084ZA532
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA53
(57)【要約】
本開示は、第IX因子(FIX)活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むレンチウイルスベクター、およびこのようなレンチウイルスベクターを使用する方法を提供する。本明細書に開示される肝臓標的化レンチウイルスベクターは、遺伝子療法のために使用することができ、ここで、レンチウイルス遺伝子送達は、小児(例えば、新生児)または成人対象の標的化細胞(例えば、肝細胞)のゲノムの中への、導入遺伝子発現カセットの安定した組入れを可能にし、低いレンチウイルスベクター用量でのFIX発現の向上を達成する。本開示は、血友病(例えば、血友病B)などの出血障害を処置する方法であって、FIX活性配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む肝臓標的化レンチウイルスベクターを低い投薬量でそれを必要とする対象に投与することを含む、方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象において血友病を予防または処置する方法であって、第IX因子(FIX)活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターの有効用量を該対象に投与することを含み、該レンチウイルスベクターを、未改変のHEK293T細胞(ATCC(登録商標)CRL-11268(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターよりも高レベルの表面CD47タンパク質発現を含むCD47を過剰発現するHEK293T細胞にパッケージし、該有効用量は、該レンチウイルスベクターと同じFIX活性を誘導するのに必要な該対照レンチウイルスベクターの対照用量と比較して低下する、前記方法。
【請求項2】
対照レンチウイルスベクターは、該対照レンチウイルスベクターの表面に1μm当たり19個の分子のCD47を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レンチウイルスベクターは、該レンチウイルスベクターの表面に、HEK293T細胞(ATCC(登録商標)CRL-11268(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターよりも、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍多いCD47タンパク質を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
有効用量は、約5×1010形質導入単位/kg(TU/kg)未満、4×1010TU/kg未満、3×1010TU/kg未満、2×1010TU/kg未満、1×1010TU/kg未満、9×10TU/kg未満、8×10TU/kg未満、7×10TU/kg未満、6×10TU/kg未満、5×10TU/kg未満、4×10TU/kg未満、3×10TU/kg未満、2×10TU/kg未満、1×10TU/kg未満、約9×10TU/kg未満、または約8×10TU/kg未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
対象は、投与後の以下の特性:
(a)対照レンチウイルスベクターと比較して、レンチウイルスベクターのマクロファージへの形質導入の低下;
(b)対照レンチウイルスベクターと比較して、レンチウイルスベクターへのアロ特異的免疫応答の低下;
(c)投与の少なくとも3週間後における正常なFIX活性と比較して、少なくとも30%のFIX活性;
(d)肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方におけるレンチウイルスベクターの組織特異的発現;および
(e)(a)~(d)のいずれかの組合せ
のうちの1つまたはそれ以上を示す、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
アロ特異的免疫応答は、レンチウイルスベクターに応答したサイトカインの放出を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
サイトカインは、MIP-1a、MIP-1b、MCP-1、およびその任意の組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
対象は、対照レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1aの発現と比較して、レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1aの発現レベルの低下を示す、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
対象は、対照レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1bの発現と比較して、レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1bの発現レベルの低下を示す、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
対象は、対照レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1の発現と比較して、レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1の発現レベルの低下を示す、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
対象は、レンチウイルスベクターの投与の少なくとも3週間後に、正常なFIX活性と比較して、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%のFIX活性を示す、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
対象は、レンチウイルスベクターの投与の少なくとも3週間後に、正常なFIX活性と比較して、少なくとも約150%のFIX活性を示す、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
レンチウイルスベクターの投与の24時間後~48時間後における血漿FIX活性は、対照レンチウイルスベクターの対照用量を投与した対象と比較して増加する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
血漿FIX活性は、投与後に、対照レンチウイルスベクターの対照用量を投与された対象と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、少なくとも約180倍、少なくとも約190倍、または少なくとも約200倍に増加する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
対象は、レンチウイルスベクターの投与後に、該対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、該肝臓、脾臓、または該肝臓と該脾臓の両方への該レンチウイルスベクターの局在化の増加を示す、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
局在化の増加は、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、レンチウイルスベクターの投与後の該肝臓、脾臓、または該肝臓と該脾臓の両方において、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、少なくとも約180倍、少なくとも約190倍、または少なくとも約200倍多い該レンチウイルスベクターのベクターコピー数(VCN)によって特徴付けられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
局在化の増加は、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、レンチウイルスベクターの投与後の該肝臓、脾臓、または該肝臓と該脾臓の両方において、少なくとも10倍多い該レンチウイルスベクターのVCNによって特徴付けられる、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
局在化の増加は、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、レンチウイルスベクターの投与後の該肝臓、脾臓、または該肝臓と該脾臓の両方において、少なくとも50倍多い該レンチウイルスベクターのVCNによって特徴付けられる、請求項15または16に記載の方法。
【請求項19】
局在化の増加は、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、レンチウイルスベクターの投与後の該肝臓、脾臓、または該肝臓と該脾臓の両方において、少なくとも100倍多い該レンチウイルスベクターのVCNによって特徴付けられる、請求項15~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
CD47はヒトCD47である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ヒトCD47は、配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、少なくとも約70%、少なくとも70%、少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも約90%、少なくとも95%、少なくとも約96%、少なくとも97%、少なくとも約98%、少なくとも99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
レンチウイルスベクターは、MHC-Iポリペプチドを含まない、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
レンチウイルスベクターは、HEK293T細胞(ATCC(登録商標)CRL-11268(商標))と比較して高濃度のCD47を発現する宿主細胞において生成される、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
それを必要とする対象において血友病を予防または処置する方法であって、5×1010形質導入単位/kg(TU/kg)未満の、第IX因子(FIX)活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターを、該対象に投与することを含み、該レンチウイルスベクターは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、前記方法。
【請求項26】
ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
用量は、約5×1010TU/kg、約4.5×1010TU/kg、約4×1010TU/kg、約3.5×1010TU/kg、約3×1010TU/kg、約2.5×1010TU/kg、約2×1010TU/kg、約1.5×1010TU/kg、約1×1010TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2×10TU/kg、約1.5×10TU/kg、約1×10TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2×10TU/kg、約1.5×10TU/kgまたは約1×10TU/kgである、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
用量は、5×1010TU/kg未満、4.5×1010TU/kg未満、4×1010TU/kg未満、3.5×1010TU/kg未満、3×1010TU/kg未満、2.5×1010TU/kg未満、2×1010TU/kg未満、1.5×1010TU/kg未満、1×1010TU/kg未満、9.5×10TU/kg未満、9×10TU/kg未満、8.5×10TU/kg未満、8×10TU/kg未満、7.5×10TU/kg未満、7×10TU/kg未満、6.5×10TU/kg未満、6×10TU/kg未満、5.5×10TU/kg未満、5×10TU/kg未満、4.5×10TU/kg未満、4×10TU/kg未満、3.5×10TU/kg未満、3×10TU/kg未満、2.5×10TU/kg未満、2×10TU/kg未満、1.5×10TU/kg未満、1×10TU/kg未満、約9.5×10TU/kg未満、約9×10TU/kg未満、約8.5×10TU/kg未満、約8×10TU/kg未満、約7.5×10TU/kg未満、約7×10TU/kg未満、約6.5×10TU/kg未満、約6×10TU/kg未満、約5.5×10TU/kg未満、約5×10TU/kg未満、約4.5×10TU/kg未満、約4×10TU/kg未満、約3.5×10TU/kg未満、約3×10TU/kg未満、約2.5×10TU/kg未満、約2×10TU/kg未満、約1.5×10TU/kg未満、または約1×10TU/kg未満である、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
用量は、1×10~5×1010TU/kg、1×10~5×10TU/kg、1×10~1×10TU/kg、1×10~1×1010TU/kg、1×10~5×1010TU/kg、2×10~5×1010TU/kg、3×10~5×1010TU/kg、4×10~5×1010TU/kg、5×10~5×1010TU/kg、1×10~6×10TU/kg、2×10~6×10TU/kg、3×10~6×10TU/kg、4×10~6×10TU/kg、5×10~6×10TU/kg、6×10~5×1010TU/kg、7×10~5×1010TU/kg、8×10~5×1010TU/kg、9×10~5×1010TU/kg、1010~5×1010TU/kg、1.5×1010~5×1010TU/kg、2×1010~5×1010TU/kg、2.5×1010~5×1010TU/kg、3×1010~5×1010TU/kg、3.5×1010~5×1010TU/kg、4×1010~5×1010TU/kg、または4.5×1010~5×1010TU/kgである、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
用量は、1×10~5×1010TU/kg、1×10~4.5×1010TU/kg、1×10~4×1010TU/kg、1×10~3.5×1010TU/kg、1×10~3×1010TU/kg、1×10~2.5×1010TU/kg、1×10~2×1010TU/kg、1×10~1.5×1010TU/kg、1×10~1×1010TU/kg、1×10~9×10TU/kg、1×10~8×10TU/kg、1×10~7×10TU/kg、1×10~6×10TU/kg、1×10~5×10TU/kg、1×10~4×10TU/kg、1×10~3×10TU/kg、および1×10~2×10TU/kgである、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
用量は、1×1010~2×1010TU/kg、1.1×1010~1.9×1010TU/kg、1.2×1010~1.8×1010TU/kg、1.3×1010~1.7×1010TU/kg、または1.4×1010~1.6×1010TU/kgである、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
用量は、約4×10TU/kg~約6×10TU/kgである、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
レンチウイルスベクターは、単一用量または複数用量で投与される、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
レンチウイルスベクターは静脈内注射を通して投与される、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
対象は小児対象である、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
対象は成人対象である、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
対象は青年対象である、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
FIX活性を有するポリペプチドは、配列番号12に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
FIX活性を有するポリペプチドは、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
レンチウイルスベクターは、組織特異的プロモーターを含む、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
組織特異的プロモーターは、標的肝臓細胞においてFIX活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
標的肝臓細胞においてFIX活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する組織特異的プロモーターは、APOA2プロモーター、SERPINA1(hAAT)プロモーター、mTTRプロモーター、MIR122プロモーター、またはその任意の組合せを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
標的肝臓細胞は肝細胞である、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
単離された核酸分子は肝細胞のゲノムに安定して組み入れられる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
レンチウイルスベクターは、スプライスドナー部位を含む、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
レンチウイルスベクターは、スプライスアクセプター部位を含む、請求項1~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
レンチウイルスベクターは、gag配列、pol配列、rev配列、rev応答エレメント(RRE)、またはその任意の組合せを含む、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
gag配列は、全長またはトランケーションされたgag配列である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
レンチウイルスベクターは、エンハンサー、マイクロRNAに対する標的配列、転写後調節エレメント、パッケージングシグナル、ポリA配列、イントロン配列、またはその任意の組合せを含む、請求項1~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
レンチウイルスベクターの用量は、一度に投与されるかまたは少なくとも2つの部分用量に分割される、請求項1~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
レンチウイルスベクターの用量は、少なくとも2回反復される、請求項1~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードする核酸配列をさらに含む、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
シグナルペプチドをコードする核酸配列は、
(i)配列番号2のヌクレオチド1~84;
(ii)配列番号3のヌクレオチド1~84;
(iii)配列番号4のヌクレオチド1~84;
(iv)配列番号5のヌクレオチド1~84;
(v)配列番号6のヌクレオチド1~84;または
(vi)配列番号7のヌクレオチド1~84
に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、プロペプチドをコードする核酸配列をさらに含む、請求項1~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
プロペプチドをコードする核酸配列は、
(i)配列番号2のヌクレオチド85~138;
(ii)配列番号3のヌクレオチド85~138;
(iii)配列番号4のヌクレオチド85~138;
(iv)配列番号5のヌクレオチド85~138;
(v)配列番号6のヌクレオチド85~138;または
(vi)配列番号7のヌクレオチド85~138
に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、異種アミノ酸配列をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
異種アミノ酸配列は、アルブミン、免疫グロブリンFc領域、XTEN配列、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、PAS配列、HAP配列、CTPペプチド配列、トランスフェリン、アルブミン結合部分、またはこれらのポリペプチドの任意の断片、誘導体、バリアント、または組合せである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
異種アミノ酸配列は、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列のN末端またはC末端に連結されるか、または該アミノ酸配列の2つのアミノ酸の間に挿入される、請求項62または63に記載の方法。
【請求項65】
異種部分は、配列番号2のアミノ酸103、配列番号2のアミノ酸105、配列番号2のアミノ酸142、配列番号2のアミノ酸149、配列番号2のアミノ酸162、配列番号2のアミノ酸166、配列番号2のアミノ酸174、配列番号2のアミノ酸224、配列番号2のアミノ酸226、配列番号2のアミノ酸228、配列番号2のアミノ酸413、またはその任意の組合せに対応するアミノ酸のすぐ下流で、FIX活性を有するポリペプチドの中に挿入される、請求項62~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
FIXポリペプチドは、R338LバリアントFIXポリペプチドである、請求項1~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
レンチウイルスベクターは、宿主細胞中で生成される、請求項1~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
宿主細胞はCD47を発現する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
宿主細胞は、CD47を過剰発現するように改変される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
宿主細胞は、MHC-Iを発現しない、請求項67~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
宿主細胞は、CD47high/MHC-Iである、請求項67~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
宿主細胞は、CD47high/MHC-I HEK293T細胞である、請求項69~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
(i)組織特異的プロモーターを含むヌクレオチド配列、および(ii)配列番号1に示されるような核酸配列を含むレンチウイルスベクターであって、該組織特異的プロモーターが、肝臓細胞の核酸配列の発現を駆動する、前記レンチウイルスベクター。
【請求項74】
(i)スプライスドナー部位;
(ii)スプライスアクセプター部位;
(iii)gag配列;
(iv)Rev応答エレメント;
(v)エンハンサー;
(vi)転写後調節エレメントを含むヌクレオチド配列、
(vii)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるヌクレオチド配列に対する配列同一性に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する核酸配列;および
(viii)マイクロRNAに対する標的配列を含むレンチウイルスベクター。
【請求項75】
核酸配列は、配列番号12に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、FIX活性を有するポリペプチドをコードする、請求項73または74に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項76】
FIX活性を有するポリペプチドは、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む、請求項75に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項77】
レンチウイルスベクターの表面は、HEK293T細胞(ATCC(登録商標)CRL-11268(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターよりも高レベルのCD47タンパク質を含む、請求項74~76のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項78】
レンチウイルスベクターの表面は、MHC-Iを含まない、請求項77に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項79】
それを必要とする対象において血友病を処置する方法であって、請求項73~78のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクターの有効用量を該対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項80】
有効用量は、約5×1010形質導入単位/kg(TU/kg)未満、4×1010TU/kg未満、3×1010TU/kg未満、2×1010TU/kg未満、1×1010TU/kg未満、9×10TU/kg未満、8×10TU/kg未満、7×10TU/kg未満、6×10TU/kg未満、5×10TU/kg未満、4×10未満TU/kg、3×10TU/kg未満、2×10TU/kg未満、1×10TU/kg未満、約9×10TU/kg未満、または約8×10TU/kg未満である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
有効用量は、約5×1010TU/kg、約4.5×1010TU/kg、約4×1010TU/kg、約3.5×1010TU/kg、約3×1010TU/kg、約2.5×1010TU/kg、約2×1010TU/kg、約1.5×1010TU/kg、約1×1010TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2×10TU/kg、約1.5×10TU/kg、約1×10TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2×10TU/kg、約1.5×10TU/kg、または約1×10TU/kgである、請求項79または80に記載の方法。
【請求項82】
有効用量は、5×1010TU/kg未満、4.5×1010TU/kg未満、4×1010TU/kg未満、3.5×1010TU/kg未満、3×1010TU/kg未満、2.5×1010TU/kg未満、2×1010TU/kg未満、1.5×1010TU/kg未満、1×1010TU/kg未満、9.5×10TU/kg未満、9×10TU/kg未満、8.5×10TU/kg未満、8×10TU/kg未満、7.5×10TU/kg未満、7×10TU/kg未満、6.5×10TU/kg未満、6×10TU/kg未満、5.5×10TU/kg未満、5×10TU/kg未満、4.5×10TU/kg未満、4×10TU/kg未満、3.5×10TU/kg未満、3×10TU/kg未満、2.5×10TU/kg未満、2×10TU/kg未満、1.5×10TU/kg未満、1×10TU/kg未満、約9.5×10TU/kg未満、約9×10TU/kg未満、約8.5×10TU/kg未満、約8×10TU/kg未満、約7.5×10TU/kg未満、約7×10TU/kg未満、約6.5×10TU/kg未満、約6×10TU/kg未満、約5.5×10TU/kg未満、約5×10TU/kg未満、約4.5×10TU/kg未満、約4×10TU/kg未満、約3.5×10TU/kg未満、約3×10TU/kg未満、約2.5×10TU/kg未満、約2×10TU/kg未満、約1.5×10TU/kg未満、または約1×10TU/kg未満である、請求項79または80に記載の方法。
【請求項83】
有効用量は、1×10~5×1010TU/kg、1×10~5×10TU/kg、1×10~1×10TU/kg、1×10~1×1010TU/kg、1×10~5×1010TU/kg、2×10~5×1010TU/kg、3×10~5×1010TU/kg、4×10~5×1010TU/kg、5×10~5×1010TU/kg、1×10~6×10TU/kg、2×10~6×10TU/kg、3×10~6×10TU/kg、4×10~6×10TU/kg、5×10~6×10TU/kg、6×10~5×1010TU/kg、7×10~5×1010TU/kg、8×10~5×1010TU/kg、9×10~5×1010TU/kg、1010~5×1010TU/kg、1.5×1010~5×1010TU/kg、2×1010~5×1010TU/kg、2.5×1010~5×1010TU/kg、3×1010~5×1010TU/kg、3.5×1010~5×1010TU/kg、4×1010~5×1010TU/kg、または4.5×1010~5×1010TU/kgである、請求項79または80に記載の方法。
【請求項84】
有効用量は、1×10~5×1010TU/kg、1×10~4.5×1010TU/kg、1×10~4×1010TU/kg、1×10~3.5×1010TU/kg、1×10~3×1010TU/kg、1×10~2.5×1010TU/kg、1×10~2×1010TU/kg、1×10~1.5×1010TU/kg、1×10~1010TU/kg、1×10~9×10TU/kg、1×10~8×10TU/kg、1×10~7×10TU/kg、1×10~6×10TU/kg、1×10~5×10TU/kg、1×10~4×10TU/kg、1×10~3×10TU/kg、および1×10~2×10TU/kgである、請求項79または80に記載の方法。
【請求項85】
有効用量は、1×1010~2×1010TU/kg、1.1×1010~1.9×1010TU/kg、1.2×1010~1.8×1010TU/kg、1.3×1010~1.7×1010TU/kg、または1.4×1010~1.6×1010TU/kgである、請求項79または80に記載の方法。
【請求項86】
有効用量は、約4×10TU/kg~約6×10TU/kgである、請求項79~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
レンチウイルスベクターは、単一用量または複数用量で投与される、請求項79~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
レンチウイルスベクターは、静脈内注射を通して投与される、請求項79~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
対象は小児対象である、請求項79~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
対象は成人対象である、請求項79~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
配列番号1に示されるようなヌクレオチド配列を含む核酸配列。
【請求項92】
請求項91に記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項93】
組織特異的プロモーターを含む、請求項92に記載のベクター。
【請求項94】
組織特異的プロモーターは、標的肝臓細胞においてFIX活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する、請求項93に記載のベクター。
【請求項95】
標的肝臓細胞においてFIX活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する組織特異的プロモーターは、APOA2プロモーター、SERPINA1(hAAT)プロモーター、mTTRプロモーター、MIR122プロモーター、またはその任意の組合せを含む、請求項94に記載のベクター。
【請求項96】
標的肝臓細胞は肝細胞である、請求項94または95に記載のベクター。
【請求項97】
スプライスドナー部位を含む、請求項94~96のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項98】
スプライスアクセプター部位を含む、請求項94~97のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項99】
gag配列、pol配列、rev配列、rev応答エレメント(RRE)、またはその任意の組合せを含む、請求項94~98のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項100】
gag配列は、全長またはトランケーションされたgag配列である、請求項99に記載のベクター。
【請求項101】
エンハンサー、マイクロRNAに対する標的配列、転写後調節エレメント、パッケージングシグナル、ポリA配列、イントロン配列、またはその任意の組合せを含む、請求項92~100のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項102】
請求項91に記載の核酸配列または請求項92~101のいずれか1項に記載のベクターを含む細胞。
【請求項103】
哺乳動物細胞である、請求項102に記載の細胞。
【請求項104】
CHO細胞、HEK293細胞、BHK21細胞、PER.C6(登録商標)細胞、NS0細胞、およびCAP細胞である、請求項102に記載の細胞。
【請求項105】
ヒト細胞である、請求項102または103に記載の細胞。
【請求項106】
CD47タンパク質を発現する、請求項102~105のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項107】
CD47を過剰発現するように改変される、請求項106に記載の細胞。
【請求項108】
細胞の表面に、CD47を過剰発現するように改変されていない対照細胞と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍多いCD47タンパク質を含む、請求項107に記載の細胞。
【請求項109】
CD47は、ヒトCD47である、請求項106~108のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項110】
MHC-Iを発現しない、請求項102~109のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項111】
好適な条件下で、請求項102~110のいずれか1項に記載の細胞を培養することを含む、レンチウイルスベクターを生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年12月6日に出願された米国仮特許出願第62/776,393号に対する優先権の利益を主張し、その内容全体は参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
電子的に提出された配列表への参照
電子的に提出されたASCIIテキストファイル(名称:SA9-468TW_SequenceListing_ST25;サイズ:28,470バイト;作成日:2019年12月2日)の配列表の内容は、参照によってその全体として本明細書に組み入れる。
【背景技術】
【0003】
血液凝固経路は、血小板の表面の第VIIIa因子(FVIIIa)および第IXa因子(FIXa)の酵素複合体(Xase複合体)の形成を一部含む。FIXaは、その補因子FVIIIa無しで比較的弱い触媒活性を有するセリンプロテアーゼである。Xase複合体は第X因子(FX)を第Xa因子(FXa)に切断し、それは次に第Va因子(FVa)と相互作用してプロトロンビンを切断してトロンビンを生成する。血友病Bは、FIX活性の欠損をもたらすFIX遺伝子における突然変異および/または欠失によって引き起こされる出血障害である。
【0004】
血友病では、ある特定の血漿血液凝固因子の欠如によって、血液凝固が妨害される。血友病B(クリスマス病としても知られる)は、世界中で最も一般的な遺伝性出血障害のうちの1つである。血友病Bは、第IX因子タンパク質の合成低下または活性が低下した不完全分子のうちのいずれかに起因する第IX因子の欠損によって引き起こされる。血友病Bは、in vivoおよびin vitroで血液凝固活性の低下を生じ、罹患した個体の一生を通じて広範な医療監視を必要とする。有効な予防法もなく、再発性関節血症によって、進行性の障害をもたらす関節症の発症および生活の質の低下がもたらされる(非特許文献1)。
【0005】
血友病Bの治療は、不足している凝固因子を、第IX因子が高濃度で濃縮された外的因子濃縮物で置き換えることによって行われる。しかしながら、血液からこのような濃縮物を生成することには、技術的困難が伴う。したがって、現在の置き換え療法の困難さおよび制限を克服するFIX療法に対する当技術分野における需要が存在する。遺伝子療法は、有効なアプローチとして、標的化細胞のゲノムの中へのFIX活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む導入遺伝子発現カセットの安定した組入れによって、血友病Bの持続的処置を表す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Giangrande P.、E×pert Opin Pharmacother.2005年;6:1517~24頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、それを必要とする対象において血友病を予防または処置する方法であって、第IX因子(FIX)活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターの有効用量を対象に投与することを含み、レンチウイルスベクターを、未改変のHEK293T細胞(ATCC(登録商標)CRL-11268(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターよりも高レベルの表面CD47タンパク質発現を含むCD47を過剰発現するHEK293T細胞にパッケージし、有効用量は、レンチウイルスベクターと同じFIX活性を誘導するのに必要な対照レンチウイルスベクターの対照用量と比較して低下する、方法を提供する。
【0008】
一部の実施形態では、対照レンチウイルスベクターは、対照レンチウイルスベクターの表面に1μm当たり19個の分子のCD47を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に、HEK293T細胞(ATCC(登録商標)CRL-11268(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターよりも、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍多いCD47タンパク質を含む。
【0009】
一部の実施形態では、有効用量は、約5×1010形質導入単位/kg(TU/kg)未満、4×1010TU/kg未満、3×1010TU/kg未満、2×1010TU/kg未満、1×1010TU/kg未満、9×10TU/kg未満、8×10TU/kg未満、7×10TU/kg未満、6×10TU/kg未満、5×10TU/kg未満、4×10TU/kg未満、3×10TU/kg未満、2×10TU/kg未満、1×10TU/kg未満、約9×10TU/kg未満、または約8×10TU/kg未満である。
【0010】
一部の実施形態では、対象は、投与後の以下の特性:(a)対照レンチウイルスベクターと比較して、レンチウイルスベクターのマクロファージへの形質導入の低下;(b)対照レンチウイルスベクターと比較して、レンチウイルスベクターへのアロ特異的免疫応答の低下;(c)投与の少なくとも3週間後における正常なFIX活性と比較して、少なくとも30%のFIX活性;(d)肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方におけるレンチウイルスベクターの組織特異的発現;および(e)(a)~(d)のいずれかの組合せのうちの1つまたはそれ以上を示す。
【0011】
一部の実施形態では、アロ特異的免疫応答は、レンチウイルスベクターに応答したサイトカインの放出を含む。一部の実施形態では、サイトカインは、MIP-1a、MIP-1b、MCP-1、およびその任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、対象は、対照レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1aの発現と比較して、レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1aの発現レベルの低下を示す。一部の実施形態では、対象は、対照レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1bの発現と比較して、レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1bの発現レベルの低下を示す。一部の実施形態では、対象は、対照レンチウイルスベクターの投与後のMCP-1の発現と比較して、レンチウイルスベクターの投与後のMCP-1の発現レベルの低下を示す。
【0012】
一部の実施形態では、対象は、レンチウイルスベクターの投与の少なくとも3週間後に、正常なFIX活性と比較して、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%のFIX活性を示す。一部の実施形態では、対象は、レンチウイルスベクターの投与の少なくとも3週間後に、正常なFIX活性と比較して、少なくとも約150%のFIX活性を示す。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの投与の24時間後~48時間後における血漿FIX活性は、対照レンチウイルスベクターの対照用量を投与した対象と比較して増加する。一部の実施形態では、血漿FIX活性は、投与後に、対照レンチウイルスベクターの対照用量を投与された対象と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、少なくとも約180倍、少なくとも約190倍、または少なくとも約200倍に増加する。
【0013】
一部の実施形態では、対象は、レンチウイルスベクターの投与後に、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方へのレンチウイルスベクターの局在化の増加を示す。一部の実施形態では、局在化の増加は、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、レンチウイルスベクターの投与後の肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方において、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、少なくとも約180倍、少なくとも約190倍、または少なくとも約200倍多いレンチウイルスベクターのベクターコピー数(VCN)によって特徴付けられる。一部の実施形態では、局在化の増加は、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、レンチウイルスベクターの投与後の肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方において、少なくとも10倍多いレンチウイルスベクターのVCNによって特徴付けられる。一部の実施形態では、局在化の増加は、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、レンチウイルスベクターの投与後の肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方において、少なくとも50倍多いレンチウイルスベクターのVCNによって特徴付けられる。一部の実施形態では、局在化の増加は、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、レンチウイルスベクターの投与後の肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方において、少なくとも100倍多いレンチウイルスベクターのVCNによって特徴付けられる。
【0014】
一部の実施形態では、CD47は、ヒトCD47である。一部の実施形態では、ヒトCD47は、配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、少なくとも約70%、少なくとも70%、少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも約90%、少なくとも95%、少なくとも約96%、少なくとも97%、少なくとも約98%、少なくとも99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、MHC-Iポリペプチドを含まない。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、HEK293T細胞(ATCC(登録商標)CRL-11268(商標))と比較して高濃度のCD47を発現する宿主細胞において生成される。
【0015】
一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。
【0016】
本開示は、それを必要とする対象において血友病を予防または処置する方法であって、5×1010形質導入単位/kg(TU/kg)未満の、第IX因子(FIX)活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターを、対象に投与することを含み、レンチウイルスベクターは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、方法も提供する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する。
【0017】
一部の実施形態では、用量は、約5×1010TU/kg、約4.5×1010TU/kg、約4×1010TU/kg、約3.5×1010TU/kg、約3×1010TU/kg、約2.5×1010TU/kg、約2×1010TU/kg、約1.5×1010TU/kg、約1×1010TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2×10TU/kg、約1.5×10TU/kg、約1×10TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2×10TU/kg、約1.5×10TU/kg、または約1×10TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、5×1010TU/kg未満、4.5×1010TU/kg未満、4×1010TU/kg未満、3.5×1010TU/kg未満、3×1010TU/kg未満、2.5×1010TU/kg未満、2×1010TU/kg未満、1.5×1010TU/kg未満、1×1010TU/kg未満、9.5×10TU/kg未満、9×10TU/kg未満、8.5×10TU/kg未満、8×10TU/kg未満、7.5×10TU/kg未満、7×10TU/kg未満、6.5×10TU/kg未満、6×10TU/kg未満、5.5×10TU/kg未満、5×10TU/kg未満、4.5×10TU/kg未満、4×10TU/kg未満、3.5×10TU/kg未満、3×10TU/kg未満、2.5×10TU/kg未満、2×10TU/kg未満、1.5×10TU/kg未満、1×10TU/kg未満、約9.5×10TU/kg未満、約9×10TU/kg未満、約8.5×10TU/kg未満、約8×10TU/kg未満、約7.5×10TU/kg未満、約7×10TU/kg未満、約6.5×10TU/kg未満、約6×10TU/kg未満、約5.5×10TU/kg未満、約5×10TU/kg未満、約4.5×10TU/kg未満、約4×10TU/kg未満、約3.5×10TU/kg未満、約3×10TU/kg未満、約2.5×10TU/kg未満、約2×10TU/kg未満、約1.5×10TU/kg未満、または約1×10TU/kg未満である。一部の実施形態では、用量は、1×10~5×1010TU/kg、1×10~5×10TU/kg、1×10~1×10TU/kg、1×10~1×1010TU/kg、1×10~5×1010TU/kg、2×10~5×1010TU/kg、3×10~5×1010TU/kg、4×10~5×1010TU/kg、5×10~5×1010TU/kg、1×10~6×10TU/kg、2×10~6×10TU/kg、3×10~6×10TU/kg、4×10~6×10TU/kg、5×10~6×10TU/kg、6×10~5×1010TU/kg、7×10~5×1010TU/kg、8×10~5×1010TU/kg、9×10~5×1010TU/kg、1010~5×1010TU/kg、1.5×1010~5×1010TU/kg、2×1010~5×1010TU/kg、2.5×1010~5×1010TU/kg、3×1010~5×1010TU/kg、3.5×1010~5×1010TU/kg、4×1010~5×1010TU/kg、または4.5×1010~5×1010TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、1×10~5×1010TU/kg、1×10~4.5×1010TU/kg、1×10~4×1010TU/kg、1×10~3.5×1010TU/kg、1×10~3×1010TU/kg、1×10~2.5×1010TU/kg、1×10~2×1010TU/kg、1×10~1.5×1010TU/kg、1×10~1010TU/kg、1×10~9×10TU/kg、1×10~8×10TU/kg、1×10~7×10TU/kg、1×10~6×10TU/kg、1×10~5×10TU/kg、1×10~4×10TU/kg、1×10~3×10TU/kg、および1×10~2×10TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、1×1010~2×1010TU/kg、1.1×1010~1.9×1010TU/kg、1.2×1010~1.8×1010TU/kg、1.3×1010~1.7×1010TU/kg、または1.4×1010~1.6×1010TU/kgである。一部の実施形態では、用量は、約4×10TU/kg~約6×10TU/kgである。
【0018】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、単一用量または複数用量で投与される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、静脈内注射を通して投与される。一部の実施形態では、対象は、小児対象である。一部の実施形態では、対象は、成人対象である。
【0019】
一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドは、配列番号12に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドは、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、組織特異的プロモーターを含む。一部の実施形態では、組織特異的プロモーターは、標的肝臓細胞においてFIX活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する。一部の実施形態では、標的肝臓細胞においてFIX活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する組織特異的プロモーターは、APOA2プロモーター、SERPINA1(hAAT)プロモーター、mTTRプロモーター、MIR122プロモーター、またはその任意の組合せを含む。一部の実施形態では、標的肝臓細胞は、肝細胞である。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、肝細胞のゲノムに安定して組み入れられる。
【0021】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、スプライスドナー部位を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、スプライスアクセプター部位を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、gag配列、pol配列、rev配列、rev応答エレメント(RRE)、またはその任意の組合せを含む。一部の実施形態では、gag配列は、全長またはトランケーションされたgag配列である。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、エンハンサー、マイクロRNAに対する標的配列、転写後調節エレメント、パッケージングシグナル、ポリA配列、イントロン配列、またはその任意の組合せを含む。
【0022】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、一度に投与されるか、または少なくとも2つの部分用量に分割される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、少なくとも2回繰り返される。
【0023】
一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードする核酸配列をさらに含む。一部の実施形態では、シグナルペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号2のヌクレオチド1~84;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~84;(iii)配列番号4のヌクレオチド1~84;(iv)配列番号5のヌクレオチド1~84;(v)配列番号6のヌクレオチド1~84;またh(vi)配列番号7のヌクレオチド1~84に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、プロペプチドをコードする核酸配列をさらに含む。一部の実施形態では、プロペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号2のヌクレオチド85~138;(ii)配列番号3のヌクレオチド85~138;(iii)配列番号4のヌクレオチド85~138;(iv)配列番号5のヌクレオチド85~138;(v)配列番号6のヌクレオチド85~138;または(vi)配列番号7のヌクレオチド85~138に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。
【0024】
一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、異種アミノ酸配列をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。一部の実施形態では、異種アミノ酸配列は、アルブミン、免疫グロブリンFc領域、XTEN配列、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、PAS配列、HAP配列、CTPペプチド配列、トランスフェリン、アルブミン結合部分、またはこれらのポリペプチドの任意の断片、誘導体、バリアント、または組合せである。一部の実施形態では、異種アミノ酸配列は、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列のN末端またはC末端に連結されるか、またはアミノ酸配列の2つのアミノ酸の間に挿入される。一部の実施形態では、異種部分は、配列番号2のアミノ酸103、配列番号2のアミノ酸105、配列番号2のアミノ酸142、配列番号2のアミノ酸149、配列番号2のアミノ酸162、配列番号2のアミノ酸166、配列番号2のアミノ酸174、配列番号2のアミノ酸224、配列番号2のアミノ酸226、配列番号2のアミノ酸228、配列番号2のアミノ酸413、またはその任意の組合せに対応するアミノ酸のすぐ下流のFIX活性を有するポリペプチドの中に挿入される。一部の実施形態では、FIXポリペプチドは、R338LバリアントFIXポリペプチドである。
【0025】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、宿主細胞内で生成される。一部の実施形態では、宿主細胞は、CD47を発現する。一部の実施形態では、宿主細胞は、CD47を過剰発現するように改変される。一部の実施形態では、宿主細胞は、MHC-1を発現しない。一部の実施形態では、宿主細胞は、CD47high/MHC-Iである。一部の実施形態では、宿主細胞は、CD47high/MHC-I HEK293T細胞である。
【0026】
本開示は、(i)組織特異的プロモーターを含むヌクレオチド配列、および(ii)配列番号1に示されるような核酸配列を含むレンチウイルスベクターであって、組織特異的プロモーターが、肝臓細胞の核酸配列の発現を駆動する、レンチウイルスベクターも提供する。
【0027】
本開示は、(i)スプライスドナー部位;(ii)スプライスアクセプター部位;(iii)gag配列;(iv)Rev応答エレメント;(v)エンハンサー;(vi)転写後調節エレメントを含むヌクレオチド配列、(vii)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるヌクレオチド配列に対する配列同一性に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する核酸配列、および(viii)マイクロRNAに対する標的配列を含むレンチウイルスベクターも提供する。
【0028】
一部の実施形態では、核酸配列は、配列番号12に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、FIX活性を有するポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドは、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む。
【0029】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの表面は、HEK293T細胞(ATCC(登録商標)CRL-11268(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターよりも高レベルのCD47タンパク質を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの表面は、MHC-Iを含まない。
【0030】
本開示は、それを必要とする対象において血友病を処置する方法であって、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターの有効用量を対象に投与することを含む、方法にも関する。一部の実施形態では、有効用量は、約5×1010形質導入単位/kg(TU/kg)未満、4×1010TU/kg未満、3×1010TU/kg未満、2×1010TU/kg未満、1×1010TU/kg未満、9×10TU/kg未満、8×10TU/kg未満、7×10TU/kg未満、6×10TU/kg未満、5×10TU/kg未満、4×10TU/kg未満、3×10TU/kg未満、2×10TU/kg未満、1×10TU/kg未満、約9×10TU/kg未満、または約8×10TU/kg未満である。一部の実施形態では、有効用量は、約5×1010TU/kg、約4.5×1010TU/kg、約4×1010TU/kg、約3.5×1010TU/kg、約3×1010TU/kg、約2.5×1010TU/kg、約2×1010TU/kg、約1.5×1010TU/kg、約1×1010TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2×10TU/kg、約1.5×10TU/kg、約1×10TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2×10TU/kg、約1.5×10TU/kg、または約1×10TU/kgである。一部の実施形態では、有効用量は、5×1010TU/kg未満、4.5×1010TU/kg未満、4×1010TU/kg未満、3.5×1010TU/kg未満、3×1010TU/kg未満、2.5×1010TU/kg未満、2×1010TU/kg未満、1.5×1010TU/kg未満、1×1010TU/kg未満、9.5×10TU/kg未満、9×10TU/kg未満、8.5×10TU/kg未満、8×10TU/kg未満、7.5×10TU/kg未満、7×10TU/kg未満、6.5×10TU/kg未満、6×10TU/kg未満、5.5×10TU/kg未満、5×10TU/kg未満、4.5×10TU/kg未満、4×10TU/kg未満、3.5×10TU/kg未満、3×10TU/kg未満、2.5×10TU/kg未満、2×10TU/kg未満、1.5×10TU/kg未満、1×10TU/kg未満、約9.5×10TU/kg未満、約9×10TU/kg未満、約8.5×10TU/kg未満、約8×10TU/kg未満、約7.5×10TU/kg未満、約7×10TU/kg未満、約6.5×10TU/kg未満、約6×10TU/kg未満、約5.5×10TU/kg未満、約5×10TU/kg未満、約4.5×10TU/kg未満、約4×10TU/kg未満、約3.5×10TU/kg未満、約3×10TU/kg未満、約2.5×10TU/kg未満、約2×10TU/kg未満、約1.5×10TU/kg未満、または約1×10TU/kg未満である。一部の実施形態では、有効用量は、1×10~5×1010TU/kg、1×10~5×10TU/kg、1×10~1×10TU/kg、1×10~1×1010TU/kg、1×10~5×1010TU/kg、2×10~5×1010TU/kg、3×10~5×1010TU/kg、4×10~5×1010TU/kg、5×10~5×1010TU/kg、1×10~6×10TU/kg、2×10~6×10TU/kg、3×10~6×10TU/kg、4×10~6×10TU/kg、5×10~6×10TU/kg、6×10~5×1010TU/kg、7×10~5×1010TU/kg、8×10~5×1010TU/kg、9×10~5×1010TU/kg、1010~5×1010TU/kg、1.5×1010~5×1010TU/kg、2×1010~5×1010TU/kg、2.5×1010~5×1010TU/kg、3×1010~5×1010TU/kg、3.5×1010~5×1010TU/kg、4×1010~5×1010TU/kg、または4.5×1010~5×1010TU/kgである。一部の実施形態では、有効用量は、1×10~5×1010TU/kg、1×10~4.5×1010TU/kg、1×10~4×1010TU/kg、1×10~3.5×1010TU/kg、1×10~3×1010TU/kg、1×10~2.5×1010TU/kg、1×10~2×1010TU/kg、1×10~1.5×1010TU/kg、1×10~1010TU/kg、1×10~9×10TU/kg、1×10~8×10TU/kg、1×10~7×10TU/kg、1×10~6×10TU/kg、1×10~5×10TU/kg、1×10~4×10TU/kg、1×10~3×10TU/kg、および1×10~2×10TU/kgである。一部の実施形態では、有効用量は、1×1010~2×1010TU/kg、1.1×1010~1.9×1010TU/kg、1.2×1010~1.8×1010TU/kg、1.3×1010~1.7×1010TU/kg、または1.4×1010~1.6×1010TU/kgである。一部の実施形態では、有効用量は、約4×10TU/kg~約6×10TU/kgである。
【0031】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、単一用量または複数用量で投与される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、静脈内注射を通して投与される。一部の実施形態では、対象は、小児対象である。一部の実施形態では、対象は、成人対象である。
【0032】
一部の実施形態では、配列番号1に示されるようなヌクレオチド配列。本開示は、本明細書に開示される核酸配列を含むベクターにも関する。一部の実施形態では、ベクターは、組織特異的プロモーターを含む。一部の実施形態では、組織特異的プロモーターは、標的肝臓細胞においてFIX活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する。一部の実施形態では、標的肝臓細胞においてFIX活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する組織特異的プロモーターは、APOA2プロモーター、SERPINA1(hAAT)プロモーター、mTTRプロモーター、MIR122プロモーター、またはその任意の組合せを含む。一部の実施形態では、標的肝臓細胞は、肝細胞である。
【0033】
一部の実施形態では、ベクターは、スプライスドナー部位を含む。一部の実施形態では、ベクターは、スプライスアクセプター部位を含む。一部の実施形態では、ベクターは、gag配列、pol配列、rev配列、rev応答エレメント(RRE)、またはその任意の組合せを含む。一部の実施形態では、gag配列は、全長またはトランケーションされたgag配列である。一部の実施形態では、ベクターは、エンハンサー、マイクロRNAに対する標的配列、転写後調節エレメント、パッケージングシグナル、ポリA配列、イントロン配列、またはその任意の組合せを含む。
【0034】
本開示は、本明細書に開示される核酸配列またはベクターを含む細胞にも関する。一部の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、細胞は、CHO細胞、HEK293細胞、BHK21細胞、PER.C6(登録商標)細胞、NS0細胞、およびCAP細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、CD47タンパク質を発現する。一部の実施形態では、細胞は、CD47を過剰発現するように改変される。一部の実施形態では、細胞は、細胞の表面に、CD47を過剰発現するように改変されていない対照細胞と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍多いCD47タンパク質を含む。一部の実施形態では、CD47は、ヒトCD47である。一部の実施形態では、細胞は、MHC-Iを発現しない。
【0035】
本開示は、好適な条件下で本明細書に開示される細胞を培養することを含む、レンチウイルスベクターを生成する方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】FIX活性を有するポリペプチドをコードする核酸を含むレンチウイルスベクター(「LV-coFIX-1-R338L」)のベクターマップを示す図である。
図2図2A~2Bは、FIX活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むレンチウイルスベクターを8週齢で投与した後のHemBマウスに関する血漿FIX活性のグラフ図を示す図である。図2Aは、3E9、7.5E9、2E10、または6E10TU/kgの用量で尾静脈注射を通してLV-coFIX-1-R338Lを投与した血漿FIX活性を示し、図2Bは、対応する用量応答曲線を示す。エラーバーは、標準偏差を表す(図2B)。
図3図3A~3Bは、7.5E9(丸)、2E10(四角)、または6E10(三角)TU/kgの用量で尾静脈注射を通してLV-coFIX-1-R338Lを投与した8週齢のHemBマウスに関する6カ月までの様々な時点における血漿FIX活性(図3A)および血漿FIX抗原(図3B)のグラフ図を示す図である。エラーバーは、標準偏差を表す(図3A~3B)。
図4A】新生期、青年期、または成体期において、6カ月までの様々な時点での持続性FIX発現(図4A)および同様の用量でのLV-FIX用量応答(図4B)のグラフ図を示す図である。HemBマウスに、7.5E9、2E10、もしくは6E10TU/kgの用量のLV-coFIX-1-R338Lを静脈内注射により8週齢(四角)もしくは2日齢(丸)で投与するか;または示すように、HemBマウスに、3E9、7.5E9、もしくは2E10TU/kgの用量のLV-coFIX-1-R338Lを静脈内注射により2週齢(三角)で投与した(図4A)。8週齢(四角)、2週齢(三角)、および2日齢(丸)のHemBマウスにおいて、図4Aで試験した様々な用量でのFIX活性によって用量応答を測定した。エラーバーは、標準偏差を表す(図4A~4B)。
図4B】新生期、青年期、または成体期において、6カ月までの様々な時点での持続性FIX発現(図4A)および同様の用量でのLV-FIX用量応答(図4B)のグラフ図を示す図である。HemBマウスに、7.5E9、2E10、もしくは6E10TU/kgの用量のLV-coFIX-1-R338Lを静脈内注射により8週齢(四角)もしくは2日齢(丸)で投与するか;または示すように、HemBマウスに、3E9、7.5E9、もしくは2E10TU/kgの用量のLV-coFIX-1-R338Lを静脈内注射により2週齢(三角)で投与した(図4A)。8週齢(四角)、2週齢(三角)、および2日齢(丸)のHemBマウスにおいて、図4Aで試験した様々な用量でのFIX活性によって用量応答を測定した。エラーバーは、標準偏差を表す(図4A~4B)。
図5】対照レンチウイルスベクター(LV;黒い丸)または高表面レベルのCD47を有するレンチウイルスベクター(CD47hi LV;灰色の丸)の投与後のNODマウスのマクロファージにおけるレンチウイルスベクターのベクターコピー数(VCN)を示すプロットを示す図であり、マクロファージ中に存在するレンチウイルスベクター分子の数を決定した。HEK293T細胞のVCNデータを対照として示す。エラーバーは、標準偏差を表す。
図6-1】図6A~6Cは、対照レンチウイルスベクター(LV-FIX;#1、#2、および#3)、高表面レベルのCD47を有するレンチウイルスベクター(CD47hi LV-FIX;#4、#5、および#6)中にパッケージングされたFIX活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むレンチウイルスベクター、またはビヒクル対照(#7)の投与後のブタオザルにおける血漿FIX活性(図6A)、血漿FIX抗原(図6B)、およびFIX機能(APTT時間で表す;図6C)のグラフ図を示す図である。
図6-2】図6-1の続き。
図7図7A~7Bは、血漿FIX活性(図7A)および血漿FIX抗原(FIG.7B)によって表すように、E9TU/kgの用量で投与した、FIX活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むレンチウイルスベクターを含むCD47highレンチウイルスベクターの投与後のブタオザルにおける定常状態のレンチウイルスベクターに媒介されるFIX発現のグラフ図を示す図である。エラーバーは、標準偏差を表す(図7A~7B)。
図8-1】図8A~8Dは、ビヒクル(白い丸)、対照レンチウイルスベクター(LV;黒い丸)または高表面レベルのCD47を有するレンチウイルスベクター(CD47hi LV;灰色の丸)(このレンチウイルスベクターは、FIX活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むレンチウイルスベクターを含む)の投与後のブタオザルにおけるALTレベル(図8A)、ASTレベル(図8B)、リンパレベル(図8C)、および体温(図8D)のグラフ図を示す図である。
図8-2】図8-1の続き。
図9-1】図9A~9Cは、ビヒクル(黒い丸)、対照レンチウイルスベクター(LV;黒い四角)または高表面レベルのCD47を有するレンチウイルスベクター(CD47hi LV;塗りつぶしなしの四角)(このレンチウイルスベクターは、FIX活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むレンチウイルスベクターを含む)の投与後のブタオザルにおけるMIP-1a(9A)、MIP-1b(9B)、およびMCP-1(9C)の発現レベルのグラフ図を示す図である。
図9-2】図9-1の続き。
図10】ビヒクル(三角)、対照レンチウイルスベクター(逆三角)またはCD47hi(LV;丸)のブタオザルへの投与後の、FIX活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むレンチウイルスベクターの組織特異的分布(VCNによって表す)を示す散布図を示す図である。各データセットは、個々のブタオザルを表す。
図11図11Aおよび11Bは、血漿FIX活性(図11A)および血漿FIX抗原(図11B)によって表すように、2.5 E9TU/kgの用量で投与した、FIX活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含むレンチウイルスベクターを含むCD47highレンチウイルスベクターの投与後のブタオザルにおける定常状態のレンチウイルスベクターに媒介されるFIX発現のグラフ図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、FIX活性を有するポリペプチドをコードする核酸を含むレンチウイルスベクター、およびこれを使用する方法について記載する。したがって、一部の態様では、本開示は、FIX活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子を含むレンチウイルスベクターの投与を含む遺伝子療法に関する。特定の態様では、本開示は、血友病(例えば、血友病B)などの出血障害を処置する方法であって、肝臓(例えば、肝細胞)を標的にしたコドン最適化FIX核酸配列を含むレンチウイルスベクターを対象に投与することを含む方法に関する。本開示は、標的化細胞のゲノムの中へのFIX活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む導入遺伝子発現カセットの安定した組入れをもたらす遺伝子療法アプローチを通して、当技術分野の重要な必要性を満たす。
【0038】
このシステムは、レンチウイルスベクターを5×1010形質導入単位/kg(TU/kg)以下、例えば、約1.5×1010TU/kg以下、または約1.5×10TU/kg以下、または約1×10TU/kg以下の少なくとも1用量で対象に投与した場合、標的化細胞(例えば、肝細胞)におけるFIX活性を有するポリペプチドの増加した長期発現を実証する。
【0039】
本開示の例示的な構築物は、付随する図面および配列表に例示される。
【0040】
明細書および請求項の明確な理解を提供するために、以下の定義を下に提供する。
【0041】
I.定義
用語「1つ(a)」または「1つ(an)」の実体とは、その実体の1つまたはそれ以上を指す点に留意する:例えば、「ヌクレオチド配列」は、1つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を表すと理解される。このように、用語「a」(または、「an」)、「1つまたはそれ以上」および「少なくとも1つ」は、本明細書で互換的に使用することができる。
【0042】
本明細書で、用語「約」は、概ね、だいたい、前後またはほぼを意味するものとして使用される。用語「約」が数値範囲と一緒に使用されるとき、それは、示される数値の上下の境界を拡張することによってその範囲を変更する。一般に、用語「約」は、明記される値の上下の数値を上下(高低)10%の分散によって変更するために、本明細書で使用される。
【0043】
本開示のための用語「単離された」は、その元の環境(それが天然に存在する環境)から取り出された生体物質(細胞、ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはその断片、変異体もしくは誘導体)を指す。例えば、植物または動物に天然の状態で存在するポリヌクレオチドは単離されていないが、それが天然に存在する隣接核酸から分離される同じポリヌクレオチドは「単離された」と考えられる。精製の特定のレベルは要求されていない。宿主細胞において発現される組換えで生成されたポリペプチドおよびタンパク質は、任意の好適な技術によって分離されたか、分画されたか、または部分的もしくは実質的に精製された天然または組換えのポリペプチドと同様に、本開示において単離されたと考えられる。
【0044】
「核酸」、「核酸分子」、「オリゴヌクレオチド」、および「ポリヌクレオチド」は互換的に使用され、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン;「RNA分子」)もしくはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンまたはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステルポリマー形、または、一本鎖形もしくは二本鎖ヘリックスの形の任意のそのリン酸エステル類似体、例えばホスホロチオエートおよびチオエステルを指す。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNAおよびRNA-RNAヘリックスが可能である。用語核酸分子、特にDNAまたはRNA分子は、分子の一次および二次構造だけを指し、それをいかなる特定の三次形態にも限定しない。したがって、この用語は、とりわけ線状または環状DNA分子(例えば、制限断片)、プラスミド、スーパーコイルDNAおよび染色体に見出される、二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造の議論では、本明細書で、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAに相同性の配列を有する鎖)に沿って5’から3’の方向の配列だけを与える通常の慣例によって配列を記載することができる。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。DNAには、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNAおよび半合成DNAが限定されずに含まれる。本開示の「核酸組成物」は、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の核酸を含む。
【0045】
本明細書で使用されるように、「コード領域」または「コード配列」は、アミノ酸に翻訳可能なコドンからなるポリヌクレオチドの部分である。「終止コドン」(TAG、TGAまたはTAA)はアミノ酸に一般的に翻訳されないが、それはコード領域の一部であると考えることができるが、いずれの隣接配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなども、コード領域の一部でない。コード領域の境界は、生じるポリペプチドのアミノ末端をコードする5’末端の開始コドン、および生じるポリペプチドのカルボキシル末端をコードする3’末端の翻訳終止コドンによって一般的に決定される。2つ以上のコード領域が、例えば単一のベクターの上の単一のポリヌクレオチド構築物に、または例えば別個の(異なる)ベクターの上の別個のポリヌクレオチド構築物に存在することができる。その結果、次に、単一のベクターは単一のコード領域だけを含有することができるか、2つ以上のコード領域を含むことができる。
【0046】
哺乳動物細胞によって分泌されるある特定のタンパク質は、粗い小胞体を越えた成長しているタンパク質鎖の移行が開始されると成熟したタンパク質から切断される、分泌シグナルペプチドに関連している。当業者は、シグナルペプチドがポリペプチドのN末端に一般的に融合していること、および、完全なまたは「完全長の」ポリペプチドから切断されてポリペプチドの分泌された、または「成熟した」形態を生成することを知っている。ある特定の実施形態では、天然のシグナルペプチド、またはそれと作動可能に関連するポリペプチドの分泌を方向付ける能力を保持するその配列の機能的誘導体。あるいは、異種哺乳動物のシグナルペプチド、例えば、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)またはマウスβ-グルクロニダーゼシグナルペプチド、またはその機能的誘導体を使用することができる。
【0047】
用語「FIX活性を有するポリペプチド」は、本明細書で使用されるように、凝固因子IXに関連する1つまたはそれ以上の活性を有するポリペプチドを指す。FIXを含む凝固系の機能を調査するために、いくつかの試験が利用可能である:活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)試験、発色アッセイ、ROTEM(登録商標)アッセイ、プロトロンビン時間(PT)試験(INRを判定するためにも使用される)、フィブリノーゲン試験(しばしばクラウス方法による)、血小板数、血小板機能試験(しばしばPFA-100による)、TCT、出血時間、混合試験(患者の血漿を正常な血漿と混合した場合に異常が修正されるかどうか)、凝固因子アッセイ、抗リン脂質抗体、D-二量体、遺伝子検査(例えば、V因子ライデン、プロトロンビン突然変異G20210A)、希釈ラッセルクサリヘビ蛇毒時間(dRVVT)、その他の血小板機能試験、トロンボエラストグラフィ(TEGまたはSonoclot)、トロンボエラストメトリー(TEM(登録商標)、例えば、ROTEM(登録商標))、またはオイグロブリン溶解時間(ELT)。
【0048】
aPTT試験は、「内因性」(接触活性化経路とも呼ばれる)および一般的な凝固経路の効能を測定する性能指示器である。この試験は、市販されている組換え凝固因子、例えば、FIXの凝固活性を測定するために一般的に使用される。それは、外因性の経路を測定するプロトロンビン時間(PT)と一緒に使用される。
【0049】
ROTEM(登録商標)分析は、止血の完全なカイネティクス:凝固時間、クロット形成、クロットの安定性および溶解に関する情報を提供する。トロンボエラストメトリーにおける異なるパラメータは、血漿凝固系の活性、血小板機能、線溶またはこれらの相互作用に影響する多くの因子に依存する。このアッセイは、二次性の止血の完全な像を提供することができる。
【0050】
用語「下流」は、参照ヌクレオチド配列の3’側に位置するヌクレオチド配列を指す。ある特定の実施形態では、下流のヌクレオチド配列は、転写の開始点に続く配列に関する。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写の開始部位の下流に位置する。
【0051】
用語「上流」は、参照ヌクレオチド配列の5’側に位置するヌクレオチド配列を指す。ある特定の実施形態では、上流のヌクレオチド配列は、コード領域または転写の開始点の5’側に位置する配列に関する。例えば、ほとんどのプロモーターは、転写の開始部位の上流に位置する。
【0052】
本明細書で使用されるように、用語「遺伝子調節領域」または「調節領域」は、コード領域の上流(5’非コード配列)、その中、または下流(3’非コード配列)に位置し、関連するコード領域の転写、RNAプロセシング、安定性または翻訳に影響するヌクレオチド配列を指す。調節領域は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位およびステムループ構造を含むことができる。コード領域が真核細胞における発現を意図している場合、ポリアデニル化シグナルおよび転写終止配列はコード配列の3’側に通常位置する。
【0053】
遺伝子産物、例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、1つまたはそれ以上のコード領域と作動可能に関連するプロモーターおよび/または他の発現(例えば、転写または翻訳)制御エレメントを含むことができる。作動可能な関連では、遺伝子産物、例えばポリペプチドのためのコード領域は、遺伝子産物の発現を調節領域(複数可)の影響下または制御下に置くような方法で1つまたはそれ以上の調節領域と関連する。例えば、コード領域およびプロモーターは、プロモーター機能の誘導がコード領域によってコードされる遺伝子産物をコードするmRNAの転写をもたらす場合、およびプロモーターとコード領域の間の連結の性質が遺伝子産物の発現を方向付けるプロモーターの能力に干渉しないか、またはDNA鋳型の転写される能力に干渉しない場合、「作動可能に関連する」。プロモーター以外の他の発現制御エレメント、例えばエンハンサー、オペレーター、リプレッサーおよび転写終止シグナルも、遺伝子産物発現を方向付けるためにコード領域に作動可能に関連することができる。
【0054】
「転写制御配列」は、宿主細胞におけるコード配列の発現を可能にするDNA調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどを指す。様々な転写制御領域が、当業者に公知である。これらには、限定されないが、脊椎動物細胞において機能する転写制御領域、例えば、これらに限定されないが、サイトメガロウイルス(イントロン-Aと一緒の前初期プロモーター)、シミアンウイルス40(初期プロモーター)およびレトロウイルス(ラウス肉腫ウイルスなど)からのプロモーターおよびエンハンサーセグメントが含まれる。他の転写制御領域には、脊椎動物の遺伝子から誘導されるもの、例えばアクチン、熱ショックタンパク質、ウシ成長ホルモンおよびウサギβ-グロビン、ならびに真核生物細胞における遺伝子発現を制御することが可能な他の配列が含まれる。さらなる適する転写制御領域には、組織特異的プロモーターおよびエンハンサー、ならびにリンホカイン誘導可能プロモーター(例えば、インターフェロンまたはインターロイキンによって誘導可能なプロモーター)が含まれる。
【0055】
同様に、様々な翻訳制御エレメントが当業者に公知である。これらには、限定されないが、リボソーム結合部位、翻訳開始および終止コドン、ならびにピコルナウイルスから誘導されるエレメント(特に、リボソーム内部進入部位またはIRES、CITE配列とも呼ばれる)が含まれる。
【0056】
本明細書で使用される用語「発現」は、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えば、RNAまたはポリペプチドを生成する過程を指す。それは、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、小さいヘアピンRNA(shRNA)、小さい干渉RNA(siRNA)または他の任意のRNA生成物へのポリヌクレオチドの転写、およびポリペプチドへのmRNAの翻訳を限定されずに含む。発現は、「遺伝子産物」を生成する。本明細書で使用されるように、遺伝子産物は、核酸、例えば遺伝子の転写によって生成されるメッセンジャーRNAであっても、または転写物から翻訳されるポリペプチドであってもよい。本明細書に記載される遺伝子産物には、転写後修飾、例えばポリアデニル化もしくはスプライシングを有する核酸、または翻訳後修飾、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質付加、他のタンパク質サブユニットとの結合、またはタンパク分解性切断を有するポリペプチドがさらに含まれる。本明細書で使用される用語「収量」は、遺伝子の発現によって生成されるポリペプチドの量を指す。
【0057】
「ベクター」は、宿主細胞への核酸のクローニングおよび/または移入のための任意のビヒクルを指す。ベクターは、付着しているセグメントの複製をもたらすように別の核酸セグメントを付着させることができるレプリコンであってよい。「レプリコン」は、in vivoでの複製の自律的な単位として機能する、すなわちそれ自身の制御下での複製が可能である、任意の遺伝子エレメント(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)を指す。用語「ベクター」は、in vitro、ex vivoまたはin vivoで核酸を細胞に導入するためのウイルス性のビヒクルと非ウイルス性のビヒクルの両方を含む。例えばプラスミド、改変された真核生物ウイルスまたは改変された細菌ウイルスを含めて、当技術分野で多数のベクターが公知であり、使用される。適するベクターへのポリヌクレオチドの挿入は、相補的な粘着末端を有する選択されたベクターに適当なポリヌクレオチド断片をライゲーションすることによって達成することができる。
【0058】
ベクターを組み込んだ細胞の選択または同定を可能にする選択可能なマーカーまたはレポーターをコードするように、ベクターを工学的に操作することができる。選択可能なマーカーまたはレポーターの発現は、ベクター上に含有される他のコード領域を組み込み、発現する宿主細胞の同定および/または選択を可能にする。当技術分野で公知であり、使用される選択可能なマーカー遺伝子の例には、以下のものが含まれる:アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ビアラホス除草剤、スルホンアミドなどへの耐性を提供する遺伝子;および、表現型マーカーとして使用される遺伝子、すなわち、アントシアニン調節遺伝子、イソペンタニルトランスフェラーゼ遺伝子など。当技術分野で公知であり、使用されるレポーターの例には、以下のものが含まれる:ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光性タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、β-グルクロニダーゼ(Gus)など。選択可能なマーカーは、レポーターであると考えることもできる。
【0059】
用語「選択可能なマーカー」は、マーカー遺伝子の作用、すなわち、抗生物質耐性、除草剤耐性、比色マーカー、酵素、蛍光性マーカーなどに基づいて選択することができる、同定用因子、通常、抗生物質または化学物質耐性遺伝子を指し、ここで、この作用は、目的の核酸の継承を追跡するために、および/または目的の核酸を継承した細胞もしくは生物体を同定するために使用される。当技術分野で公知であり、使用される選択可能なマーカー遺伝子の例には、以下のものが含まれる:アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ビアラホス除草剤、スルホンアミドなどへの耐性を提供する遺伝子;および、表現型マーカーとして使用される遺伝子、すなわち、アントシアニン調節遺伝子、イソペンタニルトランスフェラーゼ遺伝子など。
【0060】
用語「レポーター遺伝子」は、レポーター遺伝子の作用に基づいて同定することができる、同定用因子をコードする核酸を指し、ここで、この作用は、目的の核酸の継承を追跡するために、目的の核酸を継承した細胞もしくは生物体を同定するために、および/または遺伝子発現の誘導もしくは転写を測定するために使用される。当技術分野で公知であり、使用されるレポーター遺伝子の例には、以下のものが含まれる:ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光性タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、β-グルクロニダーゼ(Gus)など。選択可能なマーカー遺伝子は、レポーター遺伝子と考えることもできる。
【0061】
「プロモーター」および「プロモーター配列」は互換的に使用され、コード配列または機能的RNAの発現を制御することが可能なDNA配列を指す。一般に、コード配列はプロモーター配列の3’側に位置する。プロモーターは天然の遺伝子から完全に誘導することができるか、天然に見出される異なるプロモーターから誘導される異なるエレメントで構成されるか、合成DNAセグメントを含むこともできる。当業者は、異なるプロモーターが異なる組織もしくは細胞型において、または発達の異なる段階で、または異なる環境もしくは生理的条件に応答して遺伝子の発現を方向付けることができることを理解する。ほとんどの細胞型においてほとんどのときに遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に「構成プロモーター」と呼ばれる。特異的細胞型において遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に「細胞特異的プロモーター」または「組織特異的プロモーター」と呼ばれる。発達または細胞分化の特異的段階で遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に「発達特異的プロモーター」または「細胞分化特異的プロモーター」と呼ばれる。プロモーターを誘導する薬剤、生体分子、化学物質、リガンド、光などによる細胞の曝露または処理の後に誘導されて、遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に「誘導可能なプロモーター」または「調節可能なプロモーター」と呼ばれる。ほとんどの場合、調節配列の正確な境界が完全に規定されているとは限らないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有することができることがさらに認識される。
【0062】
プロモーター配列は転写開始部位がその3’末端に一般的に結合し、上流(5’方向)に伸長してバックグラウンドより高い検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小限の数の塩基またはエレメントを含む。プロモーター配列の中には、転写開始部位(例えばヌクレアーゼS1によるマッピングによって都合良く規定される)、ならびにRNAポリメラーゼの結合の役割を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見出される。
【0063】
用語「プラスミド」は、細胞の中心的代謝の一部でなく、通常、環状二本鎖DNA分子の形である遺伝子をしばしば有する染色体外エレメントを指す。そのようなエレメントは、任意の供給源から誘導される一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAの、線状、環状またはスーパーコイル状の、自己複製配列、ゲノム組入れ配列、ファージまたはヌクレオチド配列であってよく、そこでは、適当な3’非翻訳配列とともに選択される遺伝子産物のためのプロモーター断片およびDNA配列を細胞に導入することが可能である特異な構築物に、いくつかのヌクレオチド配列が連結されているか組み換えられている。
【0064】
「クローニングベクター」は、プラスミド、ファージまたはコスミドなどの、逐次的に複製し、複製開始点を含む単位長の核酸である「レプリコン」を指し、付着しているセグメントの複製をもたらすように別の核酸セグメントをそれに対して付着させることができる。ある特定のクローニングベクターは、1つの細胞型、例えば細菌における複製、および別の細胞型、例えば真核細胞における発現が可能である。クローニングベクターは、ベクターを含む細胞の選択のために使用することができる1つまたはそれ以上の配列、および/または目的の核酸配列の挿入のための1つまたはそれ以上の多重クローニング部位を一般的に含む。
【0065】
用語「発現ベクター」は、宿主細胞への挿入の後に、挿入された核酸配列の発現を可能にするように設計されたビヒクルを指す。挿入された核酸配列は、上記の調節領域との作動可能な関係に置かれる。
【0066】
ベクターは、当技術分野で周知である方法、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、遺伝子銃の使用、またはDNAベクター輸送体によって宿主細胞に導入される。「レンチウイルスベクター」は、本明細書で使用されるように、複製欠陥ハイブリッドウイルス粒子を指す。一部の文脈では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクター粒子および封入されたレンチウイルスゲノムを指す。一部の文脈では、レンチウイルスベクターは、その任意の改変を含むレンチウイルスゲノムを指す。
【0067】
本明細書で使用されるように、「培養」、「培養すること」および「培養すること」は、細胞の増殖もしくは分裂を可能にするin vitro条件の下で細胞をインキュベートすること、または細胞を生存状態に維持することを意味する。本明細書で使用されるように、「培養された細胞」は、in vitroで増殖した細胞を意味する。
【0068】
本明細書で使用されるように、用語「ポリペプチド」は、単数の「ポリペプチド」ならびに複数の「ポリペプチド」を包含するものであり、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)によって線状に連結される単量体(アミノ酸)で構成される分子を指す。用語「ポリペプチド」は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖または複数の鎖を指し、具体的長さの生成物を指さない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」または2つ以上のアミノ酸の鎖または複数の鎖を指すために使用される他の任意の用語が「ポリペプチド」の定義の中に含まれ、用語「ポリペプチド」は、これらの用語のいずれかの代わりにまたは互換的に使用することができる。用語「ポリペプチド」は、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク分解性切断または天然に存在しないアミノ酸による改変を限定されずに含む、ポリペプチドの発現後の改変の生成物も指すものである。ポリペプチドは天然の生物供給源から誘導することができるか、または組換え技術で生成することができるが、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されるとは限らない。それは、化学的合成を含む任意の方法で生成することができる。
【0069】
用語「アミノ酸」には、アラニン(AlaまたはA);アルギニン(ArgまたはR);アスパラギン(AsnまたはN);アスパラギン酸(AspまたはD);システイン(CysまたはC);グルタミン(GlnまたはQ);グルタミン酸(GluまたはE);グリシン(GlyまたはG);ヒスチジン(HisまたはH);イソロイシン(IleまたはI):ロイシン(LeuまたはL);リシン(LysまたはK);メチオニン(MetまたはM);フェニルアラニン(PheまたはF);プロリン(ProまたはP);セリン(SerまたはS);トレオニン(ThrまたはT);トリプトファン(TrpまたはW);チロシン(TyrまたはY);およびバリン(ValまたはV)が含まれる。非伝統的なアミノ酸も本開示の範囲内であり、ノルロイシン、オルニチン、ノルバリン、ホモセリン、およびEllmanら、Meth.Enzym.202:301~336頁(1991)に記載されるものなどの他のアミノ酸残基類似体が含まれる。そのような天然に存在しないアミノ酸残基を生成するために、Norenら、Science 244:182頁(1989)および上記のEllmanらの手法を使用することができる。簡潔には、これらの手法は、天然に存在しないアミノ酸残基でサプレッサーtRNAを化学的に活性化することと、続くRNAのin vitro転写および翻訳を含む。非伝統的アミノ酸の導入は、当技術分野で公知のペプチド化学を使用して達成することもできる。本明細書で使用されるように、用語「極性アミノ酸」は、ゼロ総電荷を有するが、それらの側鎖の異なる部分にノンゼロ部分電荷を有するアミノ酸を含む(例えば、M、F、W、S、Y、N、Q、C)。これらのアミノ酸は、疎水性相互作用および静電的相互作用に関与することができる。本明細書で使用されるように、用語「荷電アミノ酸」は、それらの側鎖にノンゼロ総電荷を有することができるアミノ酸を含む(例えば、R、K、H、E、D)。これらのアミノ酸は、疎水性相互作用および静電的相互作用に関与することができる。
【0070】
ポリペプチドの断片またはバリアントおよび任意のその組合せも本開示に含まれる。本開示のポリペプチド結合ドメインまたは結合分子を指す場合の用語「断片」または「バリアント」は、参照ポリペプチドの特性(例えば、FcRn結合ドメインまたはFcバリアントへのFcRn結合親和性、FIX活性を有するポリペプチドの凝固活性)の少なくとも一部を保持する任意のポリペプチドを含む。ポリペプチドの断片には、本明細書の他の場所で議論される特異的抗体断片に加えてタンパク分解性断片ならびに欠失断片が含まれるが、天然に存在する完全長ポリペプチド(または、成熟したポリペプチド)は含まれない。本開示のポリペプチド結合ドメインまたは結合分子のバリアントには、上記の断片、およびアミノ酸の置換、欠失または挿入のために変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドも含まれる。バリアントは、天然に存在するもの、または天然に存在しないものであってもよい。天然に存在しないバリアントは、当技術分野で公知の突然変異誘発技術を使用して生成することができる。バリアントポリペプチドは、保存的または非保存的なアミノ酸置換、欠失または付加を含むことができる。
【0071】
「保存的なアミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝状側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが当技術分野で規定されている。したがって、ポリペプチドの中のアミノ酸が同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸で置き換えられる場合、その置換は保存的であると考えられる。別の実施形態では、アミノ酸のひもは、側鎖ファミリーメンバーの順序および/または組成が異なる構造的に類似しているひもで保存的に置き換えることができる。
【0072】
当技術分野で公知であるように、用語「同一性パーセント」は、配列の比較で判定される、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。当技術分野で、「同一性」は、そのような配列のひもの間の一致によって判定される、場合によってポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」は、以下に記載されるものを非限定的に含む、公知の方法によって容易に計算することができる:Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.編)Oxford University Press、New York(1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.編)Academic Press、New York(1993);Computer Analysis of Sequence Data、パートI(Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編)Humana Press、New Jersey(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje,G.編)Academic Press(1987);およびSequence Analysis Primer(Gribskov,M.およびDevereux,J.編)Stockton Press、New York(1991)。同一性を判定する好ましい方法は、試験する配列の間で最高の一致を与えるように設計される。同一性を判定する方法は、公に入手できるコンピュータープログラムに体系化されている。配列アラインメントおよび同一性パーセントの計算は、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイートのMegalignプログラム(DNASTAR Inc.、Madison、WI)、GCGプログラムスイート(Wisconsin Packageバージョン9.0、Genetics Computer Group(GCG)、Madison、WI)、BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403頁(1990))およびDNASTAR(DNASTAR,Inc.1228 S.Park St.Madison、WI53715 USA)などの、配列分析ソフトウェアを使用して実行することができる。
【0073】
本出願の文脈の範囲内で、配列分析ソフトウェアが分析のために使用される場合、特に明記しない限り、分析の結果は参照したプログラムの「デフォルト値」に基づくことが理解される。本明細書で使用されるように、「デフォルト値」は、最初に初期化されるときにソフトウェアと一緒に当初ロードする任意のセットの値またはパラメータを意味する。
【0074】
「融合」または「キメラ」タンパク質は、それが本来は天然に連結していない第2のアミノ酸配列に連結している第1のアミノ酸配列を含む。別個のタンパク質に通常は存在するアミノ酸配列を融合ポリペプチドの中に一緒に持ってくることができるか、または、同じタンパク質に通常は存在するアミノ酸配列を、融合ポリペプチド、例えば、本開示のFIXドメインのIg Fcドメインとの融合における新しい配置に置くことができる。融合タンパク質は、例えば、化学合成によって、またはペプチド領域が所望の関係でコードされるポリヌクレオチドを作製し、翻訳することによって作製される。キメラタンパク質は、共有結合、非ペプチド結合または非共有結合によって第1のアミノ酸配列に関連付けられた第2のアミノ酸配列をさらに含むことができる。
【0075】
本明細書で使用されるように、用語「挿入部位」は、異種部分を挿入することができる位置のすぐ上流にある、FIX活性を有するポリペプチドまたはその断片、バリアントもしくは誘導体の中の位置を指す。「挿入部位」は番号で規定され、この番号は、特に指定しない限り、挿入位置のすぐN末端側にある、挿入部位が対応するヒトFIX R338Lバリアント(配列番号11~12)の中のアミノ酸の番号である。
【0076】
本明細書で使用される「アミノ酸のすぐ下流」というフレーズは、アミノ酸の末端カルボキシル基のすぐ隣の位置を指す。同様に、「アミノ酸のすぐ上流」というフレーズは、アミノ酸の末端アミン基のすぐ隣の位置を指す。
【0077】
本明細書で使用されるように、用語「挿入された」、「挿入される」、「に挿入される」または文法的に関連した用語は、天然の成熟したヒトFIXの類似した位置に対する、組換えFIXポリペプチドの中の異種部分の位置を指す。本明細書で使用されるように、これらの用語は、天然の成熟ヒトFIXに対する組換えFIXポリペプチドの特徴を指し、組換えFIXポリペプチドが作製されたいかなる方法またはプロセスを示しも、暗示も、意味もしない。
【0078】
本明細書で使用されるように、用語「半減期」は、in vivoにおける特定のポリペプチドの生物学的半減期を指す。半減期は、対象に投与された量の半分が動物の循環および/または他の組織から消去されるのに必要とされる時間で表すことができる。所与のポリペプチドの消去曲線が時間の関数として構築される場合、曲線は、通常迅速なα相およびより長いβ相による二相性である。α相は、一般的に脈管内と脈管外の空間の間の投与されたFcポリペプチドの平衡化を表し、一部、ポリペプチドのサイズによって判定される。β相は、脈管内空間におけるポリペプチドの異化作用を一般的に表す。一部の実施形態では、FIXおよびFIXを含むキメラタンパク質は一相性であり、したがってアルファ相を有さず、単一のベータ相だけである。したがって、ある特定の実施形態では、本明細書で使用される用語半減期は、β相におけるポリペプチドの半減期を指す。
【0079】
本明細書で使用される用語「連結される」は、共有結合または非共有結合で第2のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列にそれぞれ連結される第1のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を指す。第1のアミノ酸またはヌクレオチド配列は第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列に直接的に連結または並置させることができるか、あるいは、介在配列で第1の配列を第2の配列に共有結合させることができる。用語「連結される」は、C末端またはN末端での第1のアミノ酸配列の第2のアミノ酸配列への融合を意味するだけでなく、第1のアミノ酸配列(または、第2のアミノ酸配列)全体の第2のアミノ酸配列の(または、第1のアミノ酸配列それぞれの)任意の2つのアミノ酸の中への挿入も含む。一実施形態では、第1のアミノ酸配列は、ペプチド結合またはリンカーによって第2のアミノ酸配列に連結することができる。第1のヌクレオチド配列は、ホスホジエステル結合またはリンカーによって第2のヌクレオチド配列に連結することができる。リンカーは、ペプチドもしくはポリペプチド(ポリペプチド鎖の場合)またはヌクレオチドもしくはヌクレオチド鎖(ヌクレオチド鎖の場合)または任意の化学部分(ポリペプチドおよびポリヌクレオチド鎖の場合)であってよい。用語「連結される」は、ハイフン(-)によっても示される。
【0080】
本明細書で使用されるように、用語「と会合した」は、第1のアミノ酸鎖と第2のアミノ酸鎖の間で形成される共有結合または非共有結合を指す。一実施形態では、用語「と会合した」は、共有結合、非ペプチド結合または非共有結合を意味する。この会合は、コロン、すなわち(:)によって示すことができる。別の実施形態では、それは、ペプチド結合以外の共有結合を意味する。例えば、アミノ酸システインは、第2のシステイン残基の上のチオール基とジスルフィド結合または架橋を形成することができるチオール基を含む。ほとんどの天然に存在するIgG分子では、CH1およびCL領域はジスルフィド結合によって会合し、2つの重鎖は、Kabatナンバリングシステムを使用した239および242に対応する位置(226または229位、EUナンバリングシステム)で2つのジスルフィド結合によって会合している。共有結合の例には、限定されずに、ペプチド結合、ジスルフィド結合、シグマ結合、パイ結合、デルタ結合、グリコシド結合、不可知な結合、ベント結合、双極子結合、パイバックボンド、二重結合、三重結合、四重結合、5重結合、6重結合、コンジュゲーション、超共役、芳香族性、多座性または反結合が含まれる。非共有結合の非限定的な例には、イオン結合(例えば、カチオン-パイ結合または塩結合)、金属結合、水素結合(例えば、二水素結合、二水素複合体、低障壁水素結合または対称性の水素結合)、ファンデルワールス力、ロンドン分散力、機械的結合、ハロゲン結合、金親和性、インターカレーション、スタッキング、エントロピー力または化学的極性が含まれる。
【0081】
本明細書で使用される用語「単量体-二量体ハイブリッド」は、ジスルフィド結合によって互いと会合する第1のポリペプチド鎖および第2のポリペプチド鎖を含むキメラタンパク質を指し、ここで、第1の鎖は凝固因子、例えばFIX、および第1のFc領域を含み、第2の鎖は、凝固因子無しの第2のFc領域を含むか、それから本質的になるか、それからなる。したがって、単量体-二量体ハイブリッド構築物は、1つの凝固因子だけを有する単量体態様および2つのFc領域を有する二量体態様を含むハイブリッドである。
【0082】
本明細書で使用されるように、止血は、出血もしくは大出血の停止もしくは鈍化;または、血管もしくは身体部分を通しての血流の停止もしくは鈍化を意味する。
【0083】
止血障害は、本明細書で使用されるように、フィブリン凝塊を形成する能力の障害または欠損による、自然発生的なまたは外傷の結果としての出血傾向によって特徴付けられる、遺伝的に継承したかまたは後天性の状態を意味する。そのような障害の例には、血友病が含まれる。3つの主な形態は、血友病A(第VIII因子欠損)、血友病B(第IX因子欠損または「クリスマス病」)および血友病C(第XI因子欠損、軽度の出血傾向)である。他の止血障害には、例えば、フォン・ウィルブラント病、第XI因子欠損(PTA欠乏症)、第XII因子欠損、フィブリノーゲン、プロトロンビン、第V因子、第VII因子、第X因子または第XIII因子の欠損または構造異常、GPIbの欠陥または欠損であるベルナール-スリエ症候群が含まれる。vWFの受容体GPIbが欠損し、一次凝塊形成(一次止血)の喪失および出血傾向の増加、ならびにGlanzmanおよびNaegeliの血小板無力症(Glanzmann血小板無力症)につながることがある。肝不全(急性および慢性の形態)では、肝臓による凝固因子の生成が不十分であり、これは、出血リスクを増加させることがある。
【0084】
本開示の単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターは、予防的に使用することができる。本明細書で使用されるように、用語「予防的治療」は、出血エピソードの前の分子の投与を指す。一実施形態では、全身止血剤を必要とする対象は、手術を受けているか、受けようとしている。例えば、本開示のレンチウイルスベクターは、予防薬として手術の前後に投与することができる。本開示のレンチウイルスベクターは、急性出血エピソードを制御するために、手術中に、または後に投与することができる。手術には、これらに限定されないが、肝移植、肝臓切除、歯科処置または幹細胞移植が含まれ得る。
【0085】
本開示のレンチウイルスベクターは、要求に応じた治療のためにも使用される。用語「要求に応じた治療」は、出血エピソードの症状に応答した、または出血を引き起こす可能性のある活動の前の、本明細書で開示されたレンチウイルスベクターの投与を指す。一態様では、要求に応じた治療は、損傷の後など出血が開始するとき、または手術の前など出血が予想されるときに対象に与えることができる。別の態様では、要求に応じた治療は、接触競技などの出血のリスクを増加させる活動の前に与えることができる。
【0086】
本明細書で使用されるように、用語「急性出血」は、根底にある原因に関係なしに出血エピソードを指す。例えば、対象は、外傷、尿毒症、遺伝性出血障害(例えば、FIX欠損)、血小板障害または凝固因子に対する抗体の発達による耐性を有してもよい。
【0087】
本明細書で使用されるように、治療する、治療、治療することは、例えば疾患または状態の重症度の低減;疾患経過期間の低減;疾患または状態に関連した1つまたはそれ以上の症状の改善;疾患または状態を必ずしも治癒せず、疾患または状態に関連した1つまたはそれ以上の症状の予防もなしに、疾患または状態を有する対象に有益な作用を提供することを指す。一実施形態では、用語「治療すること」または「治療」は、本開示のレンチウイルスベクターを投与することによって、対象において、少なくとも約1IU/dL、2IU/dL、3IU/dL、4IU/dL、5IU/dL、6IU/dL、7IU/dL、8IU/dL、9IU/dL、10IU/dL、11IU/dL、12IU/dL、13IU/dL、14IU/dL、15IU/dL、16IU/dL、17IU/dL、18IU/dL、19IU/dL、または20IU/dLのFIXトラフレベルを維持することを意味する。別の実施形態では、治療することまたは治療は、FIXトラフレベルを約1から約20IU/dL、約2から約20IU/dL、約3から約20IU/dL、約4から約20IU/dL、約5から約20IU/dL、約6から約20IU/dL、約7から約20IU/dL、約8から約20IU/dL、約9から約20IU/dL、または約10から約20IU/dLの間で維持することを意味する。疾患または状態の処置または処置することは、対象におけるFIX活性を、非血友病対象におけるFIX活性の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%または20%と同等のレベルに維持することを含むこともできる。一実施形態では、用語「処置すること」または「処置」は、本開示のレンチウイルスベクターを投与することによって、対象において少なくとも約30IU/dL、40IU/dL、50IU/dL、60IU/dL、70IU/dL、80IU/dL、90IU/dL、100IU/dL、110IU/dL、120IU/dL、130IU/dL、140IU/dLまたは150IU/dLのFIXトラフレベルを維持することを意味する。別の実施形態では、処置することまたは処置は、約10~約20IU/dL、約20~約23IU/dL、約30~約40IU/dL、約40~約50IU/dL、約50~約60IU/dL、約60~約70IU/dL、約70~約80IU/dL、約80~約90IU/dL、約90~約100IU/dL、約110~約120IU/dL、約120~約130IU/dL、約130~約140IU/dLまたは約140~約150IU/dLのFIXトラフレベルを維持することを意味する。疾患または状態の処置または処置することは、対象におけるFIX活性を、非血友病対象におけるFIX活性の少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%または150%と同等のレベルに維持することを含むこともできる。処置のために必要とされる最小限のトラフレベルは、1つまたはそれ以上の公知の方法によって測定することができ、各個人のために調整する(増加または低下させる)ことができる。
【0088】
本明細書で使用されるように、「投与すること」は、薬学的に許容されるFIXをコードする核酸分子、FIXポリペプチド、または本開示のFIXをコードする核酸分子を含むベクターを、薬学的に許容される経路を通して対象に与えることを意味する。投与経路は静脈内、例えば、静脈内注射および静脈内注入であってよい。さらなる投与経路には、例えば、皮下、筋肉内、経口、経鼻および肺投与が含まれる。核酸分子、ポリペプチドおよびベクターは、少なくとも1つの賦形剤を含む医薬組成物の一環として投与することができる。
【0089】
本明細書で使用されるように、「それを必要とする対象」というフレーズは、例えば止血を向上させるために、本開示の核酸分子、ポリペプチドまたはベクターの投与から利益を受けるであろう哺乳動物対象などの対象を含む。一実施形態では、対象には、これらに限定されないが、血友病の個体が含まれる。別の実施形態では、対象には、これらに限定されないが、FIX阻害物質を発生させ、したがってバイパス療法を必要とする個体が含まれる。対象は、成人または未成年(例えば、12歳未満)である。一部の実施形態では、対象は、女性である。他の実施形態では、対象は、男性である。
【0090】
本明細書で使用されるように、用語「凝固因子」は、対象において出血エピソードを予防するかその期間を短くする、天然に存在するかまたは組換えで生成される分子またはその類似体を指す。言い換えると、それは、凝固促進活性を有する、すなわち、血液の凝集または凝固を引き起こす不溶性フィブリンのメッシュへのフィブリノーゲンの変換の役割を担う分子を意味する。「活性化可能な凝固因子」は、活性型に変換することが可能である不活性型(例えば、その酵素前駆体の形態)にある凝固因子である。
【0091】
本明細書で使用されるように、凝固活性は、フィブリン凝塊の形成を完了させる、および/または大出血もしくは出血エピソードの重症度、期間もしくは頻度を低減する生化学反応のカスケードに参加する能力を意味する。
【0092】
本明細書で使用されるように、用語「異種」または「外因性」は、所与の場面、例えば細胞またはポリペプチドにおいて通常は見出されない分子を指す。外因性または異種分子を細胞に導入することができ、例えばトランスフェクションまたは遺伝子操作の他の形態による細胞の操作の後にだけ存在するか、または異種アミノ酸配列が、それが天然に見出されないタンパク質に存在することができる。
【0093】
本明細書で使用されるように、用語「異種ヌクレオチド配列」は、所与のポリヌクレオチド配列と一緒に天然に存在しないヌクレオチド配列を指す。一実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、FIXの半減期を延長することが可能なポリペプチドをコードする。別の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、FIXの流体力学半径を増加させるポリペプチドをコードする。他の実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、その生物活性にも機能(例えば、その凝血促進活性)にも有意に影響を与えることなく、FIXの1つまたはそれ以上の薬物動態学的特性を向上させるポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、FIXは、異種ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドにリンカーによって連結または接続される。異種ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド部分の非限定的な例には、免疫グロブリン定常領域またはその一部、アルブミンまたはその断片、アルブミン結合部分、トランスフェリン、米国特許出願第20100292130号のPASポリペプチド、HAP配列、トランスフェリンまたはその断片、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、アルブミン結合小分子、XTEN配列、FcRn結合部分(例えば、FcRnに結合する完全Fc領域またはその部分)、単鎖Fc領域(ScFc領域、例えば、US2008/0260738、WO2008/012543またはWO2008/1439545に記載のもの)、ポリグリシンリンカー、ポリセリンリンカー、ペプチドおよびとりわけ50%未満から50%超の様々な程度の二次構造を有する、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)およびプロリン(P)から選択される2つのタイプのアミノ酸の6~40アミノ酸の短いポリペプチド、またはその2つ以上の組合せが含まれる。一部の実施形態では、異種ヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドは、非ポリペプチド部分に連結される。非ポリペプチド部分の非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、アルブミン結合小分子、ポリシアル酸(PAS)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、その誘導体または任意のその組合せが含まれる。
【0094】
本明細書で使用されるように、用語「Fc領域」は、天然のIgのFc領域に対応するポリペプチドの部分、すなわち、その2つの重鎖のそれぞれのFcドメインの二量体結合によって形成されるものと規定される。天然のFc領域は、別のFc領域とホモダイマーを形成する。対照的に、本明細書で使用されるように、用語「遺伝子融合Fc領域」または「単鎖Fc領域」(scFc領域)は、単一のポリペプチド鎖の中で遺伝子的に連結される(すなわち、単一の連続した遺伝子配列にコードされる)Fcドメインで構成される合成二量体Fc領域を指す。
【0095】
一実施形態では、「Fc領域」は、パパイン切断部位(すなわち、重鎖定常領域の最初の残基を114としたときの、IgGの残基216)のすぐ上流のヒンジ領域から始まり抗体のC末端で終わる、単一のIg重鎖の部分を指す。したがって、完全なFcドメインは、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインを少なくとも含む。
【0096】
Ig定常領域のFc領域は、Igアイソタイプにより、CH2、CH3およびCH4ドメイン、ならびにヒンジ領域を含むことができる。IgのFc領域を含むキメラタンパク質は、安定性の増加、血清中半減期の増加(Caponら、1989年、Nature 337:525頁を参照のこと)、ならびに新生児Fc受容体(FcRn)などのFc受容体への結合性を含むいくつかの望ましい特性をキメラタンパク質に与える(米国特許第6,086,875号、第6,485,726号、第6,030,613号;WO03/077834;US2003-0235536A1)、これらは参照により本明細書に完全に組み入れる。
【0097】
本明細書で使用されるように、ヌクレオチド配列に関する用語「最適化される」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を指し、ここで、ポリヌクレオチド配列は、そのポリヌクレオチド配列の特性を強化するように突然変異している。一部の実施形態では、最適化は、転写レベルを増加させるために、翻訳レベルを増加させるために、定常状態のmRNAレベルを増加させるために、基本転写因子などの調節タンパク質の結合性を増減するために、スプライシングを増減するために、または、ポリヌクレオチド配列によって生成されるポリペプチドの収量を増加させるために実行される。それを最適化するためにポリヌクレオチド配列に加えることができる変更の例には、コドン最適化、G/C含有量最適化、反復配列の除去、冨ATエレメントの除去、潜在性スプライス部位の除去、転写または翻訳を抑圧するシス作用性エレメントの除去、ポリTまたはポリA配列を加えるか除去すること、転写開始部位の周囲にコザックコンセンサス配列などの転写を強化する配列を加えること、ステムループ構造を形成するかもしれない配列の除去、不安定化配列の除去、および2つ以上のその組合せが含まれる。
【0098】
II.FIXレンチウイルス遺伝子療法
出血障害、特に血友病のための可能な処置として、体細胞遺伝子療法が探求された。遺伝子療法は、FIXをコードするベクターの単回投与の後のFIXの連続的内因性生成を通して血友病を治療するその能力のために、血友病のための特に魅力的な治療法である。血友病Bは、その臨床症状が機能的FIXの発現低下に起因しているため、遺伝子置き換えアプローチに非常に適している。
【0099】
レンチウイルスベクターは、組入れを通して導入遺伝子発現を持続するそれらの大きな包容力および能力のために、遺伝子送達ビヒクルとして注目を集めている。レンチウイルスベクターは多数のex-vivo細胞療法臨床プログラムで評価され、有望な効能および安全性プロファイルをもたらしている。
【0100】
本開示は、それを必要とする対象において血友病を予防または処置する方法であって、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターの有効用量を対象に投与することを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、対照レンチウイルスベクター、例えば、高レベルの表面CD47タンパク質発現を有さない、すなわち、表面CD47タンパク質発現が正常(天然に存在する)レベルであるHEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターよりも高レベルの表面CD47タンパク質発現を含むレンチウイルス粒子の中にパッケージされる。一部の実施形態では、有効用量は、レンチウイルスベクターと同じFIX活性を誘導するのに必要な対照レンチウイルスベクターの対照用量と比較して低減される。
【0101】
本開示の他の態様は、それを必要とする対象において血友病を予防または処置する方法であって、5×1010形質導入単位/kg(TU/kg)未満の、第IX因子(FIX)活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターを、対象に投与することを含み、レンチウイルスベクターは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、方法を提供する。
【0102】
一部の実施形態では、対象は、対照レンチウイルスベクターと比較して、投与後のレンチウイルスベクターのマクロファージ形質導入の低下を示す。一部の実施形態では、対象は、対照レンチウイルスベクターと比較して、投与後のレンチウイルスベクターへのアロ特異的免疫応答の低下を示す。一部の実施形態では、対象は、投与の少なくとも3週間後に、正常なFIX活性と比較して、少なくとも30%のFIX活性を示す。一部の実施形態では、対象は、投与後の肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方におけるレンチウイルスベクターの組織特異的発現を示す。
【0103】
一部の実施形態では、アロ特異的応答は、投与されたレンチウイルスベクターに応答したサイトカインの放出を含む。一部の実施形態では、対象は、対照レンチウイルスベクターの投与後のサイトカインの発現と比較して、レンチウイルスベクターの投与後のアロ特異的応答に関連するサイトカインの発現の低下を示す。一部の実施形態では、サイトカインは、炎症性サイトカインである。ある特定の実施形態では、サイトカインは、MIP-1a、MIP-1b、MCP-1、インターロイキン-2(IL-2)、インターフェロンガンマ、およびその任意の組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、対象は、対照レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1aの発現と比較して、レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1aの発現レベルの低下を示す。ある特定の実施形態では、対象は、対照レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1bの発現と比較して、レンチウイルスベクターの投与後のMIP-1bの発現レベルの低下を示す。ある特定の実施形態では、対象は、対照レンチウイルスベクターの投与後のMCP-1の発現と比較して、レンチウイルスベクターの投与後のMCP-1の発現レベルの低下を示す。ある特定の実施形態では、対象は、対照レンチウイルスベクターの投与後のIL-2の発現と比較して、レンチウイルスベクターの投与後のIL-2の発現レベルの低下を示す。ある特定の実施形態では、対象は、対照レンチウイルスベクターの投与後のインターフェロンガンマの発現と比較して、レンチウイルスベクターの投与後のインターフェロンガンマの発現レベルの低下を示す。
【0104】
一部の実施形態では、サイトカインの発現は、対照レンチウイルスベクターの投与後のサイトカインの発現と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%低下する。ある特定の実施形態では、サイトカインの発現は、レンチウイルスベクターの投与後に検出不能である。ある特定の実施形態では、対象は、レンチウイルスベクターの投与後に、MIP-1a、MIP-1b、MCP-1、インターロイキン-2(IL-2)、インターフェロンガンマ、およびその任意の組合せからなる群から選択されるサイトカインの検出不能な発現しか有さない。
【0105】
一部の実施形態では、対象は、投与前の血漿FIX活性と比較して、レンチウイルスベクターの投与後の血漿FIX活性の増加を示す。一部の実施形態では、増加は、投与の少なくとも1日後、少なくとも約2日後、少なくとも約3日後、少なくとも約4日後、少なくとも約5日後、少なくとも約6日後、少なくとも約7日後、少なくとも約8日後、少なくとも約9日後、少なくとも約10日後、少なくとも約11日後、少なくとも約12日後、少なくとも約13日後、少なくとも約14日後、少なくとも約3週間後、少なくとも約4週間後、少なくとも約5週間後、少なくとも約6週間後、少なくとも約7週間後、または少なくとも約8週間後に観察される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの投与の約12時間後~約60時間後、約12時間後~約48時間後、約12時間後~約36時間後、約12時間後~約24時間後、約24時間後~約60時間後、約24時間後~約48時間後、約24時間後~約36時間後、約36時間後~約60時間後、約36時間後~約48時間後、または約48時間後~約60時間後の血漿FIX活性は、対照レンチウイルスベクターの対照用量を投与された対象と比較して増加する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの投与後のFIX活性は、レンチウイルスベクターの投与の少なくとも1週間後、2週間後、または3週間後に、正常なFIX活性と比較して、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%である。ある特定の実施形態では、対象は、レンチウイルスベクターの投与の少なくとも3週間後に、正常なFIX活性と比較して、少なくとも約150%のFIX活性を示す。ある特定の実施形態では、対象は、レンチウイルスベクターの投与の少なくとも3週間後に、正常なFIX活性と比較して、少なくとも約200%のFIX活性を示す。ある特定の実施形態では、対象は、レンチウイルスベクターの投与の少なくとも3週間後に、正常なFIX活性と比較して、少なくとも約225%のFIX活性を示す。
【0106】
一部の実施形態では、血漿FIX活性は、投与後に、対照レンチウイルスベクターの対照用量を投与された対象と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、少なくとも約180倍、少なくとも約190倍、または少なくとも約200倍に増加する。
【0107】
一部の実施形態では、投与後に、レンチウイルスベクターは、対象の肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方に特異的に局在化し、ここで、肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方において、対象の身体の別の器官よりも高濃度のレンチウイルスベクターが見られる。一部の実施形態では、対象の身体の他の器官は、精巣、リンパ節、筋肉、胸腺、腎臓、肺、心臓、前頭皮質、視床、尾状核、丘、小脳、末梢血単核球(PBMC)、およびその任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、対象は、レンチウイルスベクターの投与後に、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方へのレンチウイルスベクターの局在化の増加を示す。レンチウイルスベクターの局在化は、当技術分野で公知の任意の方法および/またはユニットを使用して、測定するおよび/または発現させることができる。一部の実施形態では、局在化の増加は、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、レンチウイルスベクターの投与後の肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方において、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、少なくとも約180倍、少なくとも約190倍、少なくとも約200倍、少なくとも約250倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、または少なくとも約500倍多いレンチウイルスベクターのベクターコピー数(VCN)によって特徴付けられる。
【0108】
ある特定の実施形態では、対象は、肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方へのレンチウイルスベクターの局在化の増加を示し、局在化の増加は、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して、レンチウイルスベクターの投与後の肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方において、少なくとも10倍多いレンチウイルスベクターのVCNによって特徴付けられる。ある特定の実施形態では、対象は、肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方へのレンチウイルスベクターの局在化の増加を示し、増加した局在化は、レンチウイルスベクターの投与後の肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方において、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して少なくとも50倍多いレンチウイルスベクターのVCNによって特徴付けられる。ある特定の実施形態では、対象は、肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方へのレンチウイルスベクターの局在化の増加を示し、ここで、増加した局在化は、レンチウイルスベクターの投与後の肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方において、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して少なくとも100倍多いレンチウイルスベクターのVCNによって特徴付けられる。ある特定の実施形態では、対象は、肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方へのレンチウイルスベクターの局在化の増加を示し、増加した局在化は、レンチウイルスベクターの投与後の肝臓、脾臓、または肝臓と脾臓の両方において、対象の肝臓および脾臓以外の器官と比較して少なくとも150倍多いレンチウイルスベクターのVCNによって特徴付けられる。
【0109】
A.免疫応答阻害
一部の実施形態では、レンチウイルスベクター、例えばレンチウイルス粒子は、ヒト対象への投与の後にレンチウイルスベクターへの免疫応答を抑制する1つまたはそれ以上のポリペプチドをその表面に含有する。本開示のある特定の態様は、レンチウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターを対象に投与する方法に関し、ここで、レンチウイルスベクターは、CD47をその表面に含有する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの表面は、1つまたはそれ以上のCD47分子を含む。CD47は「自己のマーカー」タンパク質であり、それはヒト細胞の上で遍在的に発現される。CD47の表面発現は、CD47およびマクロファージによって発現されるSIRPαの相互作用を通して、内在性細胞のマクロファージ誘導食作用を抑制する。高レベルのCD47を発現する細胞は、in vivoでヒトマクロファージによって標的にされ、破壊される可能性は低い。
【0110】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、その表面に高濃度のCD47ポリペプチド分子を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含み、ここで、CD47をコードする異種ポリヌクレオチドが発現される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドをさらに含み、ここで、CD47をコードする異種ポリヌクレオチドが発現される。
【0111】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、それが、CD47の高い発現レベルを有する細胞系において生成されるため、高レベルのCD47タンパク質を有する。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47high細胞で生成され、ここで、細胞は、細胞膜の上にCD47の高い発現を有する。特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47high HEK293T細胞で生成され、ここで、HEK293Tは、未改変のHEK293T細胞におけるCD47の発現に対して増加したCD47の発現を有するように改変される。一部の実施形態では、HEK293T細胞は、未改変のHEK293T細胞と比較して、内因性CD47を過剰発現するように改変される。一部の実施形態では、HEK293T細胞は、異種CD47発現ベクターによりHEK293T細胞に形質導入することによって改変される。一部の実施形態では、異種CD47発現ベクターは、レトロウイルスベクターを含む。ある特定の実施形態では、レトロウイルスベクターは、γーレトロウイルスベクターである。一部の実施形態では、異種CD47発現ベクターは、レンチウイルスベクターによって交差パッケージされることが不可能である。
【0112】
ある特定の態様では、本開示は、それを必要とする対象において血友病を予防または処置する方法であって、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターの有効用量を対象に投与することを含み、レンチウイルスベクターは、HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターよりも高レベルの表面CD47タンパク質発現を含み、有効用量は、レンチウイルスベクターと同じFIX活性を誘導するのに必要な対照レンチウイルスベクターの対照用量と比較して低下する、方法に関する。いかなる機序にも拘束される訳ではないが、レンチウイルスベクターの表面でのCD47発現は、対象の免疫系による分解および/もしくは除去からレンチウイルスベクターを保護するならびにレンチウイルスベクターに対する免疫応答を阻止するおよび/もしくは低下させると考えられる。
【0113】
一部の実施形態では、CD47は、ヒトCD47(NCBI受託番号NP_001768.1)である。ある特定の実施形態では、CD47は、配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、少なくとも約70%、少なくとも70%、少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも約90%、少なくとも95%、少なくとも約96%、少なくとも97%、少なくとも約98%、少なくとも99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、ヒトCD47は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0114】
一部の実施形態では、CD47は、レンチウイルスベクターによって発現される。他の実施形態では、CD47は、レンチウイルスベクターによって発現されない。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、宿主細胞において発現され、ここで、宿主細胞は、CD47を発現するように改変される。一部の実施形態では、宿主細胞は、CD47を過剰発現するように改変される。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))と比較して高濃度のCD47を発現する宿主細胞において生成される。特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、未改変HEK293T細胞と比較して、CD47を過剰発現するよう改変されたHEK293T細胞において生成される。
【0115】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、対照レンチウイルスベクターよりも高レベルの表面CD47タンパク質発現を含む。ある特定の実施形態では、対照レンチウイルスベクターは、1μm当たり19個の分子を生成することが知られている(例えば、Sosaleら、Methods & Clinical Development 3:16080頁(2016)の図S1(d)を参照のこと)HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))において生成される。一部の実施形態では、対照レンチウイルスベクターは、対照レンチウイルスベクターの表面に1μm当たり20個未満の分子のCD47を含む。
【0116】
ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に、HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターの表面におけるよりも、少なくとも約2倍~少なくとも約100倍、少なくとも約2倍~少なくとも約75倍、少なくとも約2倍~少なくとも約50倍、少なくとも約2倍~少なくとも約40倍、少なくとも約2倍~少なくとも約30倍、少なくとも約2倍~少なくとも約20倍、少なくとも約2倍~少なくとも約10倍、少なくとも約10倍~少なくとも約100倍、少なくとも約10倍~少なくとも約75倍、少なくとも約10倍~少なくとも約50倍、少なくとも約10倍~少なくとも約40倍、少なくとも約10倍~少なくとも約30倍、少なくとも約10倍~少なくとも約20倍、少なくとも約20倍~少なくとも約100倍、少なくとも約20倍~少なくとも約75倍、少なくとも約20倍~少なくとも約50倍、少なくとも約20倍~少なくとも約40倍、または少なくとも約20倍~少なくとも約30倍多いCD47タンパク質を含む。特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に、HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターの表面におけるよりも、少なくとも約10倍~少なくとも約30倍多いCD47タンパク質を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に、HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターの表面におけるよりも、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍多い、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、または少なくとも約100倍多いCD47タンパク質を含む。
【0117】
ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に、HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターの表面におけるよりも、少なくとも約10倍多いCD47タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に、HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターの表面におけるよりも、少なくとも約15倍多いCD47タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に、HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターの表面におけるよりも、少なくとも約20倍多いCD47タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に、HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターの表面におけるよりも、少なくとも約25倍多いCD47タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に、HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターの表面におけるよりも、少なくとも約30倍多いCD47タンパク質を含む。
【0118】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に、1μm当たり少なくとも20個の分子、1μm当たり少なくとも約25個の分子、1μm当たり少なくとも約30個の分子、1μm当たり少なくとも約35個の分子、1μm当たり少なくとも約40個の分子、1μm当たり少なくとも約45個の分子、1μm当たり少なくとも約50個の分子、1μm当たり少なくとも約55個の分子、1μm当たり少なくとも約60個の分子、1μm当たり少なくとも約65個の分子、1μm当たり少なくとも約70個の分子、1μm当たり少なくとも約75個の分子、1μm当たり少なくとも約80個の分子、1μm当たり少なくとも約85個の分子、1μm当たり少なくとも約90個の分子、1μm当たり少なくとも約95個の分子、1μm当たり少なくとも約100個の分子、1μm当たり少なくとも約125個の分子、1μm当たり少なくとも約150個の分子、1μm当たり少なくとも約175個の分子、1μm当たり少なくとも約200個の分子のCD47タンパク質を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に、1μm当たり少なくとも約225個の分子、1μm当たり少なくとも約250個の分子、1μm当たり少なくとも約275個の分子、1μm当たり少なくとも約300個の分子、1μm当たり少なくとも約325個の分子、1μm当たり少なくとも約350個の分子、1μm当たり少なくとも約375個の分子、1μm当たり少なくとも約400個の分子、1μm当たり少なくとも約425個の分子、1μm当たり少なくとも約450個の分子、1μm当たり少なくとも約475個の分子、1μm当たり少なくとも約500個の分子、1μm当たり少なくとも約525個の分子、1μm当たり少なくとも約550個の分子、1μm当たり少なくとも約575個の分子、1μm当たり少なくとも約600個の分子、1μm当たり少なくとも約625個の分子、1μm当たり少なくとも約650個の分子、1μm当たり少なくとも約675個の分子、1μm当たり少なくとも約700個の分子、1μm当たり少なくとも約725個の分子、1μm当たり少なくとも約750個の分子、1μm当たり少なくとも約800個の分子、1μm当たり少なくとも約850個の分子、1μm当たり少なくとも約900個の分子、1μm当たり少なくとも約950個の分子、または1μm当たり少なくとも約1000個の分子のCD47タンパク質を含む。
【0119】
ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に、1μm当たり少なくとも約400個の分子のCD47タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に1μm当たり少なくとも約450個の分子のCD47タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に1μm当たり少なくとも約500個の分子のCD47タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に1μm当たり少なくとも約600個の分子のCD47タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に1μm当たり少なくとも約700個の分子のCD47タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に1μm当たり少なくとも約800個の分子のCD47タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に1μm当たり少なくとも約900個の分子のCD47タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターの表面に1μm当たり少なくとも約1000個の分子のCD47タンパク質を含む。
【0120】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、得られるレンチウイルスベクターの免疫原性を低減するようにさらに改変された宿主細胞において発現される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、表面に曝露された主要組織適合性複合体クラスI(MHC-I)をほとんど有しないか有しない。表面に曝露されたMHC-Iは、感染を示すタンパク質断片などの、細胞内からの「非自己」タンパク質のペプチド断片を提示し、細胞に対する免疫応答を促進する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、MHC-Ilow細胞で生成され、ここで、細胞は、細胞膜上に低減された表面に曝露されたMHC-Iを有する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、MHC-I(または、「MHC-Ifree」、「MHC-1neg」または「MHC陰性」)細胞において生成され、ここで、細胞は表面に曝露されたMHC-Iを有さない。
【0121】
MHC-IまたはMHC-Ilow細胞は、当技術分野で公知の任意の手段を使用して生成することができる。一部の実施形態では、MHC-IまたはMHC-Ilow細胞は、MHCにおいて1つまたはそれ以上のタンパク質をコードする1つまたはそれ以上の遺伝子の発現を中断させることによって生成される。一部の実施形態では、MHC-IまたはMHC-Ilow細胞は、ベータ-2-マイクログロブリン(B2M;Ensembl ENSG00000166710;NCBIタンパク質受託番号第ABB01003号)をコードする遺伝子の発現を中断させることによって生成される。一部の実施形態では、MHC-IまたはMHC-Ilow細胞は、ベータ-2-マイクログロブリン(B2M)をコードする遺伝子の発現を持続的に中断させることによって生成される。一部の実施形態では、MHC-IまたはMHC-Ilow細胞は、ベータ-2-マイクログロブリン(B2M)をコードする遺伝子の発現を遮断することによって生成される。一部の実施形態では、MHC-IまたはMHC-Ilow細胞は、ベータ-2-マイクログロブリン(B2M)をコードする遺伝子に突然変異を導入することによって生成され、ここで、突然変異はB2Mをコードする遺伝子の発現の損失をもたらす。一部の実施形態では、MHC-IまたはMHC-Ilow細胞は、ベータ-2-マイクログロブリン(B2M)をコードする遺伝子をノックアウトすることによって生成される。ある特定の実施形態では、MHC-IまたはMHC-Ilow細胞は、表面に曝露されたMHC-Iを遮断または低減するためにHECK 293T細胞を改変することによって生成される。未改変HEK293T細胞は、表面に曝露されたMHC-Iを有する。例えば、Dellgrenら、PLoS One 10(8):e0135385(2015)を参照のこと。
【0122】
一部の実施形態では、細胞は、MHC-I HEK293T細胞であり、ここで、細胞は、表面に曝露されたMHC-Iを有さない。ある特定の実施形態では、MHC-I細胞は、未改変HEK293T細胞と比較して、1%未満の表面に曝露されたMHC-1しか有さない。一部の実施形態では、細胞は、MHC-Ilow HEK293T細胞であり、HEK293T細胞は、未改変HEK293T細胞と比較して、約90%未満、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満の表面に曝露されたMHC-Iを有するよう改変される。ある特定の実施形態では、MHC-Ilow細胞は、未改変HEK293T細胞と比較して、5%未満の表面に曝露されたMHC-1しか有さない。ある特定の実施形態では、MHC-Ilow細胞は、未改変HEK293T細胞と比較して、4%未満の表面に曝露されたMHC-1しか有さない。ある特定の実施形態では、MHC-Ilow細胞は、未改変HEK293T細胞と比較して、3%未満の表面に曝露されたMHC-1しか有さない。ある特定の実施形態では、MHC-Ilow細胞は、未改変HEK293T細胞と比較して、2%未満の表面に曝露されたMHC-1しか有さない。
【0123】
特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、高濃度のCD47ポリペプチドを含み、表面に曝露されたMHC-Iを欠いている脂質コートを含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47high/MHC-Ilow細胞系、例えば、CD47high/MHC-Ilow HEK293T細胞系において生成される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47high/MHC-I細胞系、例えば、CD47high/MHC-I HEK293T細胞系において生成される。
【0124】
別の実施形態では、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターの投与および/またはFIXタンパク質導入遺伝子の以降の発現は、対象において免疫応答を誘導しない。一部の実施形態では、免疫応答は、FIXに対する抗体の発達を含む。一部の実施形態では、免疫応答は、サイトカイン分泌を含む。一部の実施形態では、免疫応答は、B細胞、T細胞、またはB細胞とT細胞の両方の活性化を含む。一部の実施形態では、免疫応答は阻害性免疫応答であり、ここで、対象における免疫応答は、免疫応答を起こさなかった対象におけるFIXの活性と比較して、FIXタンパク質の活性を低減する。ある特定の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの投与によるFIXタンパク質の発現は、FIXタンパク質または単離された核酸分子もしくはレンチウイルスベクターから発現されるFIXタンパク質に対する阻害性免疫応答を阻止する。
【0125】
B.投与
本開示のレンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子、およびその使用方法は、HEK293細胞(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))において生成される対照レンチウイルスベクターよりもレンチウイルスベクターの少ない用量を使用する血友病の予防および/または処置を可能にする。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターと同じFIX活性を誘導するのに必要な対照レンチウイルスベクターの対照用量と比較して低減される用量で有効である。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、対照レンチウイルスベクターの対照用量の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、または少なくとも約25%である。一部の実施形態では、用量は、対照レンチウイルスベクターの対照用量の少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、または少なくとも約50%である。一部の実施形態では、用量は、対照レンチウイルスベクターの対照用量の少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、または少なくとも約75%である。一部の実施形態では、用量は、対照レンチウイルスベクターの対照用量の少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%である。
【0126】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約5.0×1010TU/kg、約4.9×1010TU/kg、約4.8×1010TU/kg、約4.7×1010TU/kg、約4.6×1010TU/kg、約4.5×1010TU/kg、約4.4×1010TU/kg、約4.3×1010TU/kg、約4.2×1010TU/kg、約4.1×1010TU/kg、約4.0×1010TU/kg、約3.9×1010TU/kg、約3.8×1010TU/kg、約3.7×1010TU/kg、約3.6×1010TU/kg、約3.5×1010TU/kg、約3.4×1010TU/kg、約3.3×1010TU/kg、約3.2×1010TU/kg、約3.1×1010TU/kg、約3.0×1010TU/kg、約2.9×1010TU/kg、約2.8×1010TU/kg、約2.7×1010TU/kg、約2.6×1010TU/kg、約2.5×1010TU/kg、約2.4×1010TU/kg、約2.3×1010TU/kg、約2.2×1010TU/kg、約2.1×1010TU/kg、約2.0×1010TU/kg、約1.9×1010TU/kg、約1.8×1010TU/kg、約1.7×1010TU/kg、約1.6×1010TU/kg、約1.5×1010TU/kg、約1.4×1010TU/kg、約1.3×1010TU/kg、約1.2×1010TU/kg、約1.1×1010TU/kg、または約1.0×1010TU/kgである。
【0127】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約9.9×10TU/kg、約9.8×10TU/kg、約9.7×10TU/kg、約9.6×10TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9.4×10TU/kg、約9.3×10TU/kg、約9.2×10TU/kg、約9.1×10TU/kg、約9.0×10TU/kg、約8.9×10TU/kg、約8.8×10TU/kg、約8.7×10TU/kg、約8.6×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8.4×10TU/kg、約8.3×10TU/kg、約8.2×10TU/kg、約8.1×10TU/kg、約8.0×10TU/kg、約7.9×10TU/kg、約7.8×10TU/kg、約7.7×10TU/kg、約7.6×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7.4×10TU/kg、約7.3×10TU/kg、約7.2×10TU/kg、約7.1×10TU/kg、約7.0×10TU/kg、約6.9×10TU/kg、約6.8×10TU/kg、約6.7×10TU/kg、約6.6×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6.4×10TU/kg、約6.3×10TU/kg、約6.2×10TU/kg、約6.1×10TU/kg、約6.0×10TU/kg、約5.9×10TU/kg、約5.8×10TU/kg、約5.7×10TU/kg、約5.6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5.4×10TU/kg、約5.3×10TU/kg、約5.2×10TU/kg、約5.1×10TU/kg、約5.0×10TU/kg、約4.9×10TU/kg、約4.8×10TU/kg、約4.7×10TU/kg、約4.6×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4.4×10TU/kg、約4.3×10TU/kg、約4.2×10TU/kg、約4.1×10TU/kg、約4.0×10TU/kg、約3.9×10TU/kg、約3.8×10TU/kg、約3.7×10TU/kg、約3.6×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3.4×10TU/kg、約3.3×10TU/kg、約3.2×10TU/kg、約3.1×10TU/kg、約3.0×10TU/kg、約2.9×10TU/kg、約2.8×10TU/kg、約2.7×10TU/kg、約2.6×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2.4×10TU/kg、約2.3×10TU/kg、約2.2×10TU/kg、約2.1×10TU/kg、約2.0×10TU/kg、約1.9×10TU/kg、約1.8×10TU/kg、約1.7×10TU/kg、約1.6×10TU/kg、約1.5×10TU/kg、約1.4×10TU/kg、約1.3×10TU/kg、約1.2×10TU/kg、約1.1×10TU/kgまたは約1.0×10TU/kgである。
【0128】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約9.9×10TU/kg、約9.8×10TU/kg、約9.7×10TU/kg、約9.6×10TU/kg、約9.5×10TU/kg、約9.4×10TU/kg、約9.3×10TU/kg、約9.2×10TU/kg、約9.1×10TU/kg、約9.0×10TU/kg、約8.9×10TU/kg、約8.8×10TU/kg、約8.7×10TU/kg、約8.6×10TU/kg、約8.5×10TU/kg、約8.4×10TU/kg、約8.3×10TU/kg、約8.2×10TU/kg、約8.1×10TU/kg、約8.0×10TU/kg、約7.9×10TU/kg、約7.8×10TU/kg、約7.7×10TU/kg、約7.6×10TU/kg、約7.5×10TU/kg、約7.4×10TU/kg、約7.3×10TU/kg、約7.2×10TU/kg、約7.1×10TU/kg、約7.0×10TU/kg、約6.9×10TU/kg、約6.8×10TU/kg、約6.7×10TU/kg、約6.6×10TU/kg、約6.5×10TU/kg、約6.4×10TU/kg、約6.3×10TU/kg、約6.2×10TU/kg、約6.1×10TU/kg、約6.0×10TU/kg、約5.9×10TU/kg、約5.8×10TU/kg、約5.7×10TU/kg、約5.6×10TU/kg、約5.5×10TU/kg、約5.4×10TU/kg、約5.3×10TU/kg、約5.2×10TU/kg、約5.1×10TU/kg、約5.0×10TU/kg、約4.9×10TU/kg、約4.8×10TU/kg、約4.7×10TU/kg、約4.6×10TU/kg、約4.5×10TU/kg、約4.4×10TU/kg、約4.3×10TU/kg、約4.2×10TU/kg、約4.1×10TU/kg、約4.0×10TU/kg、約3.9×10TU/kg、約3.8×10TU/kg、約3.7×10TU/kg、約3.6×10TU/kg、約3.5×10TU/kg、約3.4×10TU/kg、約3.3×10TU/kg、約3.2×10TU/kg、約3.1×10TU/kg、約3.0×10TU/kg、約2.9×10TU/kg、約2.8×10TU/kg、約2.7×10TU/kg、約2.6×10TU/kg、約2.5×10TU/kg、約2.4×10TU/kg、約2.3×10TU/kg、約2.2×10TU/kg、約2.1×10TU/kg、約2.0×10TU/kg、約1.9×10TU/kg、約1.8×10TU/kg、約1.7×10TU/kg、約1.6×10TU/kg、約1.5×10TU/kg、約1.4×10TU/kg、約1.3×10TU/kg、約1.2×10TU/kg、約1.1×10TU/kgまたは約1.0×10TU/kgである。
【0129】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約5.0×1010TU/kg未満、約4.9×1010TU/kg未満、約4.8×1010TU/kg未満、約4.7×1010TU/kg未満、約4.6×1010TU/kg未満、約4.5×1010TU/kg未満、約4.4×1010TU/kg未満、約4.3×1010TU/kg未満、約4.2×1010TU/kg未満、約4.1×1010TU/kg未満、約4.0×1010TU/kg未満、約3.9×1010TU/kg未満、約3.8×1010TU/kg未満、約3.7×1010TU/kg未満、約3.6×1010TU/kg未満、約3.5×1010TU/kg未満、約3.4×1010TU/kg未満、約3.3×1010TU/kg未満、約3.2×1010TU/kg未満、約3.1×1010TU/kg未満、約3.0×1010TU/kg未満、約2.9×1010TU/kg未満、約2.8×1010TU/kg未満、約2.7×1010TU/kg未満、約2.6×1010TU/kg未満、約2.5×1010TU/kg未満、約2.4×1010TU/kg未満、約2.3×1010TU/kg未満、約2.2×1010TU/kg未満、約2.1×1010TU/kg未満、約2.0×1010TU/kg未満、約1.9×1010TU/kg未満、約1.8×1010TU/kg未満、約1.7×1010TU/kg未満、約1.6×1010TU/kg未満、約1.5×1010TU/kg未満、約1.4×1010TU/kg未満、約1.3×1010TU/kg未満、約1.2×1010TU/kg未満、約1.1×1010TU/kg未満、または約1.0×1010TU/kg未満である。
【0130】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約9.9×10TU/kg未満、約9.8×10TU/kg未満、約9.7×10TU/kg未満、約9.6×10TU/kg未満、約9.5×10TU/kg未満、約9.4×10TU/kg未満、約9.3×10TU/kg未満、約9.2×10TU/kg未満、約9.1×10TU/kg未満、約9.0×10TU/kg未満、約8.9×10TU/kg未満、約8.8×10TU/kg未満、約8.7×10TU/kg未満、約8.6×10TU/kg未満、約8.5×10TU/kg未満、約8.4×10TU/kg未満、約8.3×10TU/kg未満、約8.2×10TU/kg未満、約8.1×10TU/kg未満、約8.0×10TU/kg未満、約7.9×10TU/kg未満、約7.8×10TU/kg未満、約7.7×10TU/kg未満、約7.6×10TU/kg未満、約7.5×10TU/kg未満、約7.4×10TU/kg未満、約7.3×10TU/kg未満、約7.2×10TU/kg未満、約7.1×10TU/kg未満、約7.0×10TU/kg未満、約6.9×10TU/kg未満、約6.8×10TU/kg未満、約6.7×10TU/kg未満、約6.6×10TU/kg未満、約6.5×10TU/kg未満、約6.4×10TU/kg未満、約6.3×10TU/kg未満、約6.2×10TU/kg未満、約6.1×10TU/kg未満、約6.0×10TU/kg未満、約5.9×10TU/kg未満、約5.8×10TU/kg未満、約5.7×10TU/kg未満、約5.6×10TU/kg未満、約5.5×10TU/kg未満、約5.4×10TU/kg未満、約5.3×10TU/kg未満、約5.2×10TU/kg未満、約5.1×10TU/kg未満、約5.0×10TU/kg未満、約4.9×10TU/kg未満、約4.8×10TU/kg未満、約4.7×10TU/kg未満、約4.6×10TU/kg未満、約4.5×10TU/kg未満、約4.4×10TU/kg未満、約4.3×10TU/kg未満、約4.2×10TU/kg未満、約4.1×10TU/kg未満、約4.0×10TU/kg未満、約3.9×10TU/kg未満、約3.8×10TU/kg未満、約3.7×10TU/kg未満、約3.6×10TU/kg未満、約3.5×10TU/kg未満、約3.4×10TU/kg未満、約3.3×10TU/kg未満、約3.2×10TU/kg未満、約3.1×10TU/kg未満、約3.0×10TU/kg未満、約2.9×10TU/kg未満、約2.8×10TU/kg未満、約2.7×10TU/kg未満、約2.6×10TU/kg未満、約2.5×10TU/kg未満、約2.4×10TU/kg未満、約2.3×10TU/kg未満、約2.2×10TU/kg未満、約2.1×10TU/kg未満、約2.0×10TU/kg未満、約1.9×10TU/kg未満、約1.8×10TU/kg未満、約1.7×10TU/kg未満、約1.6×10TU/kg未満、約1.5×10TU/kg未満、約1.4×10TU/kg未満、約1.3×10TU/kg未満、約1.2×10TU/kg未満、約1.1×10TU/kg未満または約1.0×10TU/kg未満である。
【0131】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約9.9×10TU/kg未満、約9.8×10TU/kg未満、約9.7×10TU/kg未満、約9.6×10TU/kg未満、約9.5×10TU/kg未満、約9.4×10TU/kg未満、約9.3×10TU/kg未満、約9.2×10TU/kg未満、約9.1×10TU/kg未満、約9.0×10TU/kg未満、約8.9×10TU/kg未満、約8.8×10TU/kg未満、約8.7×10TU/kg未満、約8.6×10TU/kg未満、約8.5×10TU/kg未満、約8.4×10TU/kg未満、約8.3×10TU/kg未満、約8.2×10TU/kg未満、約8.1×10TU/kg未満、約8.0×10TU/kg未満、約7.9×10TU/kg未満、約7.8×10TU/kg未満、約7.7×10TU/kg未満、約7.6×10TU/kg未満、約7.5×10TU/kg未満、約7.4×10TU/kg未満、約7.3×10TU/kg未満、約7.2×10TU/kg未満、約7.1×10TU/kg未満、約7.0×10TU/kg未満、約6.9×10TU/kg未満、約6.8×10TU/kg未満、約6.7×10TU/kg未満、約6.6×10TU/kg未満、約6.5×10TU/kg未満、約6.4×10TU/kg未満、約6.3×10TU/kg未満、約6.2×10TU/kg未満、約6.1×10TU/kg未満、約6.0×10TU/kg未満、約5.9×10TU/kg未満、約5.8×10TU/kg未満、約5.7×10TU/kg未満、約5.6×10TU/kg未満、約5.5×10TU/kg未満、約5.4×10TU/kg未満、約5.3×10TU/kg未満、約5.2×10TU/kg未満、約5.1×10TU/kg未満、約5.0×10TU/kg未満、約4.9×10TU/kg未満、約4.8×10TU/kg未満、約4.7×10TU/kg未満、約4.6×10TU/kg未満、約4.5×10TU/kg未満、約4.4×10TU/kg未満、約4.3×10TU/kg未満、約4.2×10TU/kg未満、約4.1×10TU/kg未満、約4.0×10TU/kg未満、約3.9×10TU/kg未満、約3.8×10TU/kg未満、約3.7×10TU/kg未満、約3.6×10TU/kg未満、約3.5×10TU/kg未満、約3.4×10TU/kg未満、約3.3×10TU/kg未満、約3.2×10TU/kg未満、約3.1×10TU/kg未満、約3.0×10TU/kg未満、約2.9×10TU/kg未満、約2.8×10TU/kg未満、約2.7×10TU/kg未満、約2.6×10TU/kg未満、約2.5×10TU/kg未満、約2.4×10TU/kg未満、約2.3×10TU/kg未満、約2.2×10TU/kg未満、約2.1×10TU/kg未満、約2.0×10TU/kg未満、約1.9×10TU/kg未満、約1.8×10TU/kg未満、約1.7×10TU/kg未満、約1.6×10TU/kg未満、約1.5×10TU/kg未満、約1.4×10TU/kg未満、約1.3×10TU/kg未満、約1.2×10TU/kg未満、約1.1×10TU/kg未満または約1.0×10TU/kg未満である。
【0132】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約1×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約1.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約2×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約2.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約3×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約3.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約4×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約4.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約5.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約6×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約6.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約7×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約7.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約8×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約8.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約9×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約9.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約1×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約1.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約2×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約2.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約3×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約3.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約4×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約4.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約5.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約6×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約6.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約7×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約7.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約8×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約8.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約9×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約9.5×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約1×10~約6×10TU/kg、約2×10~約6×10TU/kg、約3×10~約6×10TU/kg、約4×10~約6×10TU/kg、約5×10~約6×10TU/kg、約1010TU/kg~約5×1010TU/kg、約1.5×1010TU/kg~約5×1010TU/kg、約2×1010TU/kg~約5×1010TU/kg、約2.5×1010TU/kg~約5×1010TU/kg、約3×1010TU/kg~約5×1010TU/kg、約3.5×1010TU/kg~約5×1010TU/kg、約4×1010TU/kg~約5×1010TU/kg、または約4.5×1010TU/kg~約5×1010TU/kgである。
【0133】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約1×10TU/kg~約5×1010TU/kg、約1×10TU/kg~約4.5×1010TU/kg、約1×10TU/kg~約4×1010TU/kg、約1×10TU/kg~約3.5×1010TU/kg、約1×10TU/kg~約3×1010TU/kg、約1×10TU/kg~約2.5×1010TU/kg、約1×10TU/kg~約2×1010TU/kg、約1×10TU/kg~約1.5×1010TU/kg、約1×10TU/kg~約1010TU/kg、約1×10TU/kg~約9×10TU/kg、約1×10TU/kg~約8.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約8×10TU/kg、約1×10TU/kg~約7.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約7×10TU/kg、約1×10TU/kg~約6.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約6×10TU/kg、約1×10TU/kg~約5.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約4.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約4×10TU/kg、約1×10TU/kg~約3.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約3×10TU/kg、約1×10TU/kg~約2.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約2×10、約1×10TU/kg~約1.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約1×10TU/kg、約1×10TU/kg~約9.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約9×10TU/kg、約1×10TU/kg~約8.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約8×10TU/kg、約1×10TU/kg~約7.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約7×10TU/kg、約1×10TU/kg~約6.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約6×10TU/kg、約1×10TU/kg~約5.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約4.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約4×10TU/kg、約1×10TU/kg~約3.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約3×10TU/kg、約1×10TU/kg~約2.5×10TU/kg、約1×10TU/kg~約2×10、または約1×10TU/kg~約1.5×10TU/kgである。
【0134】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約1×1010TU/kg~約2×1010TU/kg、約1.1×1010TU/kg~約1.9×1010TU/kg、約1.2×1010TU/kg~約1.8×1010TU/kg、約1.3×1010TU/kg~約1.7×1010TU/kg、または約1.4×1010TU/kg~約1.6×1010TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、1.5×1010TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約2×1010TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、2×1010TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約6×1010TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、6×1010TU/kgである。
【0135】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約1×10TU/kg~約2×10TU/kg、約1.1×10TU/kg~約1.9×10TU/kg、約1.2×10TU/kg~約1.8×10TU/kg、約1.3×10TU/kg~約1.7×10TU/kg、または約1.4×10TU/kg~約1.6×10TU/kgである。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約4×10TU/kg~約6×10TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、1.5×10TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、4×10TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、4.5×10TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、5×10TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、5.5×10TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約6×10TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、6×10TU/kgである。
【0136】
ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約2.5×10TU/kgである。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、2.5×10TU/kgである。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約3.0×10TU/kgである。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、3.0×10TU/kgである。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約7.5×10TU/kgである。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、7.5×10TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約2×1010TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、2×1010TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約6×1010TU/kgである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、6×1010TU/kgである。
【0137】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、単一用量または複数用量で投与される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、一度に投与されるか、または複数の部分用量、例えば、2つの部分用量、3つの部分用量、4つの部分用量、5つの部分用量、6つの部分用量もしくは6を超える部分用量に分割される。一部の実施形態では、1を超えるレンチウイルスベクターが投与される。
【0138】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回または少なくとも10回投与される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの用量は、約10日に1回、約14日に1回、約2週間に1回、約15日に1回、約3週間に1回、約20日に1回、約4週間に1回、約1カ月に1回、約1カ月に2回、約5週間に1回、約6週間に1回、約7週間に1回、約8週間に1回、約2カ月に1回、約9週間に1回、約10週間に1回、約11週間に1回、約12週間に1回、約3カ月に1回、約13週間に1回、約14週間に1回、約15週間に1回、約16週間に1回、約4カ月に1回、約17週間に1回、約18週間に1回、約19週間に1回、約20週間に1回、約5カ月に1回、約21週間に1回、約22週間に1回、約23週間に1回、約24週間に1回、約25週間に1回、約26週間に1回、約6カ月に1回投与される。
【0139】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの第1の用量が投与され、導入遺伝子の発現について対象がモニターされ、第2に用量は、対象が所定の閾値未満である導入遺伝子の発現を有する場合に、対象に投与される。ある特定の実施形態では、約100%未満、約95%未満、約90%未満、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約3%未満、または約1%未満の標的細胞が導入遺伝子を発現する場合に、レンチウイルスベクターの第2(第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10)の用量が対象に投与される。一部の実施形態では、約50%未満の標的細胞が導入遺伝子を発現する場合に、レンチウイルスベクターの第2(第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10)の用量が対象に投与される。一部の実施形態では、約25%未満の標的細胞が導入遺伝子を発現する場合に、レンチウイルスベクターの第2(第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10)の用量が対象に投与される。一部の実施形態では、約10%未満の標的細胞が導入遺伝子を発現する場合に、レンチウイルスベクターの第2(第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10)の用量が対象に投与される。一部の実施形態では、約5%未満の標的細胞が導入遺伝子を発現する場合に、レンチウイルスベクターの第2(第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10)の用量が対象に投与される。一部の実施形態では、約4%未満の標的細胞が導入遺伝子を発現する場合に、レンチウイルスベクターの第2(第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10)の用量が対象に投与される。一部の実施形態では、約3%未満の標的細胞が導入遺伝子を発現する場合に、レンチウイルスベクターの第2(第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10)の用量が対象に投与される。一部の実施形態では、約2%未満の標的細胞が導入遺伝子を発現する場合に、レンチウイルスベクターの第2(第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10)の用量が対象に投与される。一部の実施形態では、約1%未満の標的細胞が導入遺伝子を発現する場合に、レンチウイルスベクターの第2(第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、または第10)の用量が対象に投与される。
【0140】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、静脈内注射を通して投与される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、非静脈内注射を通して(例えば、皮下または皮内に)投与される。
【0141】
一部の実施形態では、対象は小児対象であるが、他の態様では、対象は成人対象である。一部の実施形態では、対象は、男性である。他の実施形態では、対象は、女性である。
【0142】
本明細書に開示されるレンチウイルスベクターは、出血凝固障害、出血性関節症、筋肉ブリード、口ブリード、出血、筋肉への出血、口出血、外傷、頭部外傷、消化管出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、胸腔内出血、骨折、中枢神経系の出血、咽頭後隙における出血、腹膜後隙における出血、および腸腰筋鞘における出血からなる群から選択される出血性疾患または障害の処置への治療的に有益だろう遺伝子療法アプローチを使用して、哺乳動物、例えばヒト患者において、in vivoで低いまたは低減した投薬量(例えば、1010TU/kg以下、10TU/kg以下、または10TU/kg以下)で使用することができる。一実施形態では、出血性の疾患または障害は、血友病である。別の実施形態では、出血性の疾患または障害は、血友病Aである。
【0143】
一部の実施形態では、標的細胞(例えば、肝細胞)は、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターの低い用量(例えば、1010TU/kg以下、10TU/kg以下、または10TU/kg以下)により、患者に投与される前にin vitroで処理される。ある特定の実施形態では、標的細胞(例えば、肝細胞)は、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターの約3.0×10TU/kgにより、患者に投与される前にin vitroで処理される。さらに別の実施形態では、患者からの細胞(例えば、肝細胞)は、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターの低い用量(例えば、1010TU/kg以下、10TU/kg以下、または10TU/kg以下)により、患者に投与される前にex vivoで処理される。
【0144】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターの投与(例えば、1010TU/kg以下、10TU/kg以下、または10TU/kg以下で投与される)後の血漿FIX活性は、生理的に正常な循環FIXレベルと比較して少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約210%、少なくとも約220%、少なくとも約230%、少なくとも約240%、少なくとも約250%、少なくとも約260%、少なくとも約270%、少なくとも約280%、少なくとも約290%、または少なくとも約300%増加する。
【0145】
一実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの投与後の血漿FIX活性は、生理的に正常な循環FIXレベルと比較して少なくとも約3,000%~約5,000%増加する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるFIX活性を有するポリペプチドをコードするコドン最適化遺伝子を含むレンチウイルスベクターの投与の21日後、血漿FIX活性は、配列番号8または配列番号9を含む参照核酸分子を含む対応するレンチウイルスベクターを投与した対象と比較して、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、少なくとも約180倍、少なくとも約190倍、または少なくとも約200倍増加する。
【0146】
本開示は、それを必要とする対象において止血障害(例えば、血友病Aなどの出血障害)を処置、予防または改善する方法であって、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を含むレンチウイルスベクターの治療的有効量を対象に投与することを含み、ここで、レンチウイルスベクターは、5×1010以下のTU/kg、10以下のTU/kg、または10以下のTU/kgの少なくとも1用量で投与される、方法も提供する。
【0147】
本開示のレンチウイルスベクターによる処置、改善および予防は、バイパス療法であってよい。バイパス療法を受ける対象は、凝固因子、例えばFIXへの阻害物質が既に生じているか、または凝固因子阻害物質を生じやすくてもよい。
【0148】
本開示のレンチウイルスベクターは、フィブリンクロットの形成を促進することによって、止血障害を処置または予防する。本開示の核酸分子によってコードされるFIX活性を有するポリペプチドは、凝固カスケードのメンバーを活性化することができる。凝固因子は、外因性の経路、内因性の経路または両方における参加者であってよい。
【0149】
本開示のレンチウイルスベクターは、FIXで治療できることが知られている止血障害を処置するために使用することができる。本開示の方法を使用して処置できる止血障害には、限定されずに、血友病A、血友病B、フォンウィルブラント病、第XI因子欠乏症(PTA欠乏症)、第XII因子欠乏症、ならびにフィブリノーゲン、プロトロンビン、第V因子、第VII因子、第X因子または第XIII因子の欠乏症または構造的な異常、出血性関節症、筋肉ブリード、口ブリード、出血、筋肉への出血、口出血、外傷、頭部外傷、消化管出血、頭蓋内出血、腹腔内出血、胸腔内出血、骨折、中枢神経系の出血、咽頭後隙における出血、腹膜後隙における出血および腸腰筋鞘における出血が含まれる。
【0150】
一部の実施形態では、止血障害は、遺伝性の障害である。一実施形態では、対象は、血友病Aを有する。他の実施形態では、止血障害は、FIXの欠乏症の結果である。他の実施形態では、止血障害は、欠陥のあるFIX凝固因子の結果であってよい。
【0151】
別の実施形態では、止血障害は、後天性の障害であってよい。後天性の障害は、根底にある二次性の疾患または状態から生じることができる。無関係な状態は、一例として、しかし限定されずに、がん、自己免疫性疾患または妊娠であってよい。後天性の障害は、高齢から、または根底にある二次性の障害を処置するための医薬品(例えば、がん化学療法)から生じることができる。
【0152】
本開示は、止血障害または止血障害の獲得をもたらす二次性の疾患もしくは状態を有しない対象を処置する方法にも関する。したがって、本開示は、全身止血剤を必要とする対象を処置する方法であって、本開示のレンチウイルスベクターの治療的有効量を投与することを含む方法に関する。例えば、一実施形態では、全身止血剤を必要とする対象は、手術を受けているか、または受けようとしている。本開示のレンチウイルスベクターは、予防薬として手術の前後に投与することができる。
【0153】
本開示のレンチウイルスベクターは、急性出血症状を制御するために、手術中に、または術後に投与することができる。手術には、肝移植、肝臓切除または幹細胞移植を限定されずに含めることができる。
【0154】
別の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、止血障害を有していない急性出血症状を有する対象を処置するために使用することができる。急性出血症状は、重度の外傷、例えば、手術、自動車事故、創傷、裂傷銃撃または無制御の出血をもたらす任意の他の外傷事象から生じることができる。
【0155】
レンチウイルスベクターは、止血障害を有する対象を予防的に処置するために使用することができる。レンチウイルスベクターは、止血障害を有する対象で急性出血症状を処置するために使用することもできる。
【0156】
一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、止血を促進する少なくとも1つの他の薬剤と組み合わせて投与される。止血を促進する前記他の薬剤は、実証された凝固活性を有する治療薬である。一例として、しかし限定されずに、止血剤は、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子、プロトロンビンまたはフィブリノーゲン、または前のいずれかの活性型を含むことができる。凝固因子または止血剤は、抗線維素溶解薬、例えば、イプシロン-アミノカプロン酸、トラネキサム酸を含むこともできる。
【0157】
本開示の一実施形態では、組成物(例えば、レンチウイルスベクター)は、対象に投与されたときにFIXが活性化可能な形態で存在するものである。そのような活性化可能な分子は、対象への投与の後に凝固部位においてin vivoで活性化させることができる。
【0158】
本開示のレンチウイルスベクターは、静脈内、皮下、筋肉内に、または任意の粘膜表面を通して、例えば、経口、舌下、口腔内、舌下、経鼻、直腸、経膣により、または肺経路を通して投与することができる。レンチウイルスベクターは、所望の部位へのベクターの徐放を可能にするバイオポリマー固体支持体の中に植え込むか、またはそれに連結させることができる。
【0159】
一実施形態では、レンチウイルスベクターの投与経路は、非経口である。用語非経口は、本明細書で使用されるように、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸または膣投与を含む。非経口投与の静脈内形態が好ましい。投与のすべてのこれらの形態は本開示の範囲内にあると明らかに予想されるが、特に静脈内または動脈内の注射または点滴のためには、投与のための形態は注射用溶液になるだろう。通常、注射のための好適な医薬組成物は、緩衝液(例えば、酢酸、リン酸またはクエン酸緩衝液)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、場合により安定剤(例えば、ヒトアルブミン)などを含むことができる。しかし、本明細書の教示に適合する他の方法では、レンチウイルスベクターは、有害な細胞集団の部位に直接的に送達され、それによって、治療剤への患部組織の曝露を増加させることができる。
【0160】
C.レンチウイルスベクター
本開示のある特定の態様は、レンチウイルスベクターが第IX因子(FIX)活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子、および/またはその使用方法に関する。一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドは、配列番号12に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドは、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドは、ヒトのFIXである。一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドは、ヒトのFIXのバリアントである。ある特定の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドは、ヒトのFIXのR338Lバリアントである。ある特定の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドは、Paduaバリアントである。
【0161】
一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドは、FIXを含む単量体-二量体ハイブリッド分子である。本明細書で使用される用語「単量体-二量体ハイブリッド」は、ジスルフィド結合によって互いに会合する第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖を含むキメラタンパク質を指し、ここで、第1の鎖は、FIXおよび第1のFc領域を含み、第2の鎖は、FIXを含まない第2のFc領域を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。よって、単量体-二量体ハイブリッド構築物は、1つの凝固因子のみを有する単量体の態様、および2つのFc領域を有する二量体の態様を含むハイブリッドである。
【0162】
C.1.FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化される。ある特定の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0163】
一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約90%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約91%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約92%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約93%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約94%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約95%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約96%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約97%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約98%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して同一である。
【0164】
一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約90%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約91%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約92%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約93%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約94%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約95%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約96%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約97%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約98%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して同一である。
【0165】
一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約90%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約91%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約92%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約93%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約94%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約95%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約96%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約97%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約98%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して同一である。
【0166】
一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約90%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約91%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約92%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約93%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約94%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約95%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約96%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約97%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約98%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して同一である。
【0167】
一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約90%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約91%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約92%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約93%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約94%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約95%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約96%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約97%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約98%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して同一である。
【0168】
一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約90%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約91%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約92%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約93%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約94%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約95%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約96%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約97%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約98%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して同一である。
【0169】
一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約85%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約90%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約91%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約92%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約93%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約94%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約95%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約96%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約97%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約98%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して、少なくとも約99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド139~1386に対して同一である。
【0170】
ある特定の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードする核酸配列をさらに含む。一部の実施形態では、シグナルペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号2のヌクレオチド1~84;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~84;(iii)配列番号4のヌクレオチド1~84;(iv)配列番号5のヌクレオチド1~84;(v)配列番号6のヌクレオチド1~84;または(vi)配列番号7のヌクレオチド1~84に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、シグナルペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号2のヌクレオチド1~84;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~84;(iii)配列番号4のヌクレオチド1~84;(iv)配列番号5のヌクレオチド1~84;(v)配列番号6のヌクレオチド1~84;または(vi)配列番号7のヌクレオチド1~84に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0171】
ある特定の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、プロペプチドをコードする核酸配列をさらに含む。一部の実施形態では、プロペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号2のヌクレオチド85~138;(ii)配列番号3のヌクレオチド85~138;(iii)配列番号4のヌクレオチド85~138;(iv)配列番号5のヌクレオチド85~138;(v)配列番号6のヌクレオチド85~138;または(vi)配列番号7のヌクレオチド85~138に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、プロペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号2のヌクレオチド85~138;(ii)配列番号3のヌクレオチド85~138;(iii)配列番号4のヌクレオチド85~138;(iv)配列番号5のヌクレオチド85~138;(v)配列番号6のヌクレオチド85~138;または(vi)配列番号7のヌクレオチド85~138に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0172】
C.1.a.異種部分
一部の実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド分子は、少なくとも1つの異種部分をコードする核酸配列をさらに含む。一部の実施形態では、異種部分は、FIX活性を有するポリペプチドのC末端またはN末端に融合され、ここで、ポリペプチドは、凝固促進活性を有する。一部の実施形態では、異種部分は、FIX活性を有するポリペプチド内の1つまたはそれ以上の部位に挿入され、ここで、ポリペプチドは、凝固促進活性を有する。一部の実施形態では、異種部分は、異種ポリペプチドである。ある特定の態様では、異種部分は、XTENである。一部の態様では、異種部分は、FIX活性を有するポリペプチドの中の1つまたはそれ以上の部位に挿入された少なくとも1つのXTENを含む。他の態様では、異種部分は、FIX活性を有するポリペプチドの中に挿入された、半減期延長部分(例えば、in vivo半減期延長部分)である。一部の実施形態では、異種部分は、国際出願公開第WO2017/024060号(参照によってその全体として本明細書に組み入れる)に開示された挿入部位で、FIX活性を有するポリペプチドの中に挿入される。ある特定の実施形態では、異種部分は、配列番号2のアミノ酸103、配列番号2のアミノ酸105、配列番号2のアミノ酸142、配列番号2のアミノ酸149、配列番号2のアミノ酸162、配列番号2のアミノ酸166、配列番号2のアミノ酸174、配列番号2のアミノ酸224、配列番号2のアミノ酸226、配列番号2のアミノ酸228、配列番号2のアミノ酸413、またはその任意の組合せに対応するアミノ酸のすぐ下流で、FIX活性を有するポリペプチドの中に挿入される。
【0173】
一部の実施形態では、異種部分は、FcRn結合パートナー(例えば、Fc、およびアルブミン、またはその断片)である。一部の実施形態では、異種部分は、FIX活性を有するポリペプチドのC末端またはN末端に融合した、FcRn結合パートナーである。
【0174】
異種部分(例えば、半減期延長部分)の非限定例には、アルブミン、アルブミン断片、免疫グロブリンのFc断片、FcRn結合パートナー、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、HAP配列、トランスフェリン、米国特許出願第20100292130号のPASポリペプチド、ポリグリシンリンカー、ポリセリンリンカー、ペプチドおよびとりわけ50%未満から50%超の様々な程度の二次構造を有する、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)およびプロリン(P)から選択される2つのタイプのアミノ酸の6~40アミノ酸の短いポリペプチドが含まれる。
【0175】
ある特定の態様では、異種部分は、本開示のレンチウイルスベクターから産生されるFIX活性を有するポリペプチドのin vivoまたはin vitro半減期を増加させる。他の態様では、異種部分は、本開示のレンチウイルスベクターから産生されるFIX活性を有するポリペプチドの可視化または局在化を促進する。FIX活性を有するポリペプチドの可視化および/または局在化は、in vivo、in vitro、ex vivo、またはその組合せである。他の態様では、異種部分は、本開示のレンチウイルスベクターから産生されるFIX活性を有するポリペプチドの安定性を増加させる。本明細書で使用されるように、用語「安定性」は、環境条件(例えば、温度上昇または低下)に応じて、FIX活性を有するポリペプチドの1つまたはそれ以上の物理特性の維持についての当技術分野で認識される尺度を指す。ある特定の態様では、物理特性は、FIX活性を有するポリペプチドの共有結合による構造の維持(例えば、タンパク質分解、望ましくない酸化または脱アミド化のないこと)である。他の態様では、物理特性は、正確にフォールディングされた状態のFIX活性を有するポリペプチドの存在(例えば、可溶性または不溶性の凝集または沈殿のないこと)でもある。
【0176】
ある特定の態様では、本開示のFIX融合タンパク質の半減期を増加させる異種部分は、アルブミン、免疫グロブリンFc領域、XTEN配列、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、PAS配列、HAP配列、CTPペプチド配列、トランスフェリン、アルブミン結合部分、またはこれらのポリペプチドの任意の断片、誘導体、バリアント、または組合せのような異種ポリペプチドを限定されずに含む。他の関連する態様では、異種部分は、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリシアル酸、またはこれらの部分の任意の誘導体、バリアント、もしくは組合せのような非ポリペプチド部分に対する結合部位を含む。
【0177】
ある特定の態様では、本開示のFIX活性を有するポリペプチドは、それぞれ同じかまたは異なる分子である、1、2、3またはそれより多い異種部分を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、XTENをコードする1つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を含む。他の実施形態では、レンチウイルスベクターは、XTENをコードする1つまたはそれ以上のヌクレオチド配列および1つまたはそれ以上のFcドメインを含む。特定の一実施形態では、レンチウイルスベクターは、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の中に挿入されたXTENをコードするヌクレオチド配列およびFIX活性を有するポリペプチドのC末端をコードするヌクレオチド配列の部分に融合したFcをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0178】
C.1.a.i.XTEN
一部の実施形態では、少なくとも1つの異種部分は、XTENである。本明細書で使用されるように、「XTEN配列」は、低分子親水性アミノ酸で主に構成され、生理的条件下では二次構造または三次構造をとる程度が低いかまたはそれをとらない、天然に存在しない、実質的に非反復の配列を有する伸長したポリペプチドを指す。融合タンパク質パートナーとして、XTENは、融合タンパク質を作成するために、本開示のFIX配列に連結される場合、ある特定の所望の薬物動態特性、物理化学特性および薬剤学的特性を付与する担体として作用する。このような所望の特性には、これらに限定されないが、薬物動態パラメータおよび溶解特性の強化が含まれる。本明細書で使用されるように、「XTEN」は、軽鎖または重鎖の単鎖抗体またはFc断片のような抗体または抗体断片を特異的に除外する。
【0179】
ある特定の態様では、本開示のレンチウイルスベクターは、XTENまたはその断片、バリアント、もしくは誘導体をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含み、ここで、XTENをコードするヌクレオチド配列は、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の中に挿入され、得られる融合ポリペプチドは、凝固促進活性を有する。ある特定の態様では、異種部分のうちの2つは、XTEN配列である。一部の態様では、異種部分のうちの3つは、XTEN配列である。一部の態様では、異種部分のうちの4つは、XTEN配列である。一部の態様では、異種部分のうちの5つは、XTEN配列である。一部の態様では、異種部分のうちの6つまたはそれ以上は、XTEN配列である。
【0180】
一部の実施形態では、XTEN配列は、約20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1200、1400、1600、1800、または2000個を超えるアミノ酸残基を有するペプチドまたはポリペプチドである。ある特定の実施形態では、XTENは、約20超から約3000個のアミノ酸残基、30超から約2500個の残基、40超から約2000個の残基、50超から約1500個の残基、60超から約1000個の残基、70超から約900個の残基、80超から約800個の残基、90超から約700個の残基、100超から約600個の残基、110超から約500個の残基、または120超から約400個の残基を有するペプチドまたはポリペプチドである。特定の一実施形態では、XTENは、長さが、42個のアミノ酸より長く、144個のアミノ酸より短い、アミノ酸配列を含む。
【0181】
XTEN配列は、5から14個(例えば、9から14個)のアミノ酸残基のうちの1つもしくはそれ以上の配列モチーフ、または配列モチーフと少なくとも80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含むことができ、そのモチーフは、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)およびプロリン(P)からなる群から選択される4から6種のアミノ酸(例えば、5種類のアミノ酸)を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。US2010-0239554A1を参照のこと。
【0182】
本開示に従って使用することができるXTEN配列の例は、そのそれぞれを参照によってその全体として本明細書に組み入れる、米国特許出願公開第2010/0239554A1号、同第2010/0323956A1号、同第2011/0046060A1号、同第2011/0046061A1号、同第2011/0077199A1号、もしくは同第2011/0172146A1号、または国際特許出願公開第WO2010091122A1号、同第WO2010144502A2号、同第WO2010144508A1号、同第WO2011028228A1号、同第WO2011028229A1号、同第WO2011028344A2号、同第WO2014/011819A2号、同第WO2015/023891号、または同第WO2017/024060号に開示されている。
【0183】
C.1.a.ii.Fc領域またはFcRn結合パートナー
一部の実施形態では、少なくとも1つの異種部分は、Fc領域(例えば、FcRn結合パートナー)またはその断片である。ある特定の態様では、本開示のレンチウイルスベクターは、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の中に挿入されるか、FIX活性を有するポリペプチドのC末端をコードするヌクレオチド配列の部分に融合するか、またはその両方である、Fc領域(例えば、FcRn結合パートナー)をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含み、ここで、得られる融合ポリペプチドは、凝固促進活性を有する。「Fc」または「Fc領域」は、本明細書で使用されるように、特に明記しない限り、Fcドメイン、そのバリアント、または断片を含む機能的な新生児Fcレセプター(FcRn)結合パートナーである。FcRn結合パートナーは、FcRnレセプターが特異的に結合し、その結果、これらに限定されないが、アルブミンを含むFcRn結合パートナーをFcRnレセプターによって能動輸送できる任意の分子である。よって、用語Fcは、機能的であるIgG Fcの任意のバリアントを含む。FcRnレセプターに結合するIgGのFc部分の領域は、X線結晶学に基づいて記載されている(参照によってその全体として本明細書に組み入れるBurmeisterら、Nature 372:379頁(1994))。FcのFcRnとの主な接触領域は、CH2およびCH3ドメインの接合部に近い。Fc-FcRn接触はすべて、単一のIg重鎖内である。FcRn結合パートナーとして、これらに限定されないが、IgG全体、IgGのFc断片、およびFcRnの完全結合領域を含むIgGの他の断片が挙げられる。Fcは、免疫グロブリンのヒンジ領域を含むかまたは含まない免疫グロブリンのCH2およびCH3ドメインを含む。融合タンパク質においてFc領域の所望の特性、例えば、半減期、例えばin vivo半減期の増加を維持する、Fc断片、バリアント、または誘導体も含まれる。無数の突然変異体、断片、バリアント、および誘導体が、例えば、そのすべてを参照によってその全体として本明細書に組み入れる、PCT出願公開第WO2011/069164A2号、同第WO2012/006623A2号、同第WO2012/006635A2号、または同第WO2012/006633A2号に記載されている。
【0184】
1つまたはそれ以上のFcドメインをコードするヌクレオチド配列は、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の中に挿入されるか、FIX活性を有するポリペプチドのC末端をコードするヌクレオチド配列の部分に融合されるか、またはその両方である。一部の実施形態では、Fcドメインをコードするヌクレオチド配列は、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の5’末端に融合している。一部の実施形態では、Fcドメインをコードするヌクレオチド配列は、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の3’末端に融合している。一部の実施形態では、Fcドメインをコードするヌクレオチド配列は、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の中に挿入されるかまたはXTENをコードするヌクレオチド配列のC末端をコードするヌクレオチド配列の部分に融合している、XTENのような別の異種部分をコードするヌクレオチド配列に融合している。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、第2のFcドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。発現した第2のFcドメインは、例えば、1つまたはそれ以上の共有結合を介して、第1のFcドメインと会合することができる。
【0185】
C.1.a.iii.アルブミン
一部の実施形態では、少なくとも1つの異種部分は、アルブミン、アルブミン結合ドメイン、またはアルブミン結合小分子、またはそのバリアント、誘導体、もしくは断片である。ある特定の態様では、本開示のレンチウイルスベクターは、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の中に挿入されるか、FIX活性を有するポリペプチドのC末端をコードするヌクレオチド配列の部分に融合するか、またはその両方である、アルブミンポリペプチドまたはその断片、バリアント、もしくは誘導体をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含み、ここで、得られる融合ポリペプチドは、凝固促進活性を有する。完全長形態では609個のアミノ酸のタンパク質であるヒト血清アルブミン(HSA、またはHA)は、血清の浸透圧のかなりの部分を担っており、内因性および外因性リガンドの担体としても機能する。本明細書で使用されるように、用語「アルブミン」は、完全長アルブミンまたはその機能性断片、バリアント、誘導体、もしくはアナログを含む。アルブミンまたはその断片もしくはバリアントの例は、参照によってその全体として本明細書に組み入れる、米国特許出願公開第2008/0194481 A1号、同第2008/0004206 A1号、同第2008/0161243 A1号、同第2008/0261877 A1号、もしくは同第2008/0153751 A1号、またはPCT特許出願公開第2008/033413 A2号、同第2009/058322 A1号、もしくは同第2007/021494 A2号に開示されている。
【0186】
アルブミン結合ポリペプチド(ABP)は、細菌のアルブミン結合ドメイン、アルブミン結合ペプチド、またはアルブミンに結合することができるアルブミン結合抗体断片を限定することなく損なう可能性がある。Kraulisら、FEBS Lett. 378:190~194頁(1996)およびLinhultら、Protein Sci. 11:206~213頁(2002)に開示されているように、連鎖球菌タンパク質Gからのドメイン3は、細菌アルブミン結合ドメインの一例である。アルブミン結合ペプチドの例として、コア配列DICLPRWGCLW(配列番号15)を有する一連のペプチドが挙げられる。例えば、Dennisら、J. Biol. Chem. 2002年、277:35035~35043頁(2002)を参照のこと。アルブミン結合抗体断片の例は、参照によってその全体として本明細書に組み入れる、MullerおよびKontermann、Curr. Opin. Mol. Ther. 9:319~326頁(2007);Rooversら、Cancer Immunol. Immunother. 56:303~317頁(2007)、およびHoltら、Prot. Eng. Design Sci.、21:283~288頁(2008)に開示されている。
【0187】
ある特定の態様では、本開示のレンチウイルスベクターは、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の中に挿入されるか、FIX活性を有するポリペプチドのC末端をコードするヌクレオチド配列の部分に融合するか、またはその両方である、アルブミンに結合することができる非ポリペプチド小分子、そのバリアント、または誘導体(例えば、アルブミン結合小分子)に対する結合部位をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含み、ここで、得られる融合ポリペプチドは、凝固促進活性を有する。このようなアルブミン結合部分の例は、Trusselら、Bioconjugate Chem.20:2286~2292頁(2009)に開示されている2-(3-マレイミドプロパンアミド)-6-(4-(4-ヨードフェニル)ブタンアミド)ヘキサノエート(「Albu」タグ)である。
【0188】
一部の実施形態では、発現したポリペプチドにおけるアルブミン結合ポリペプチド配列は、Gly-Serペプチドリンカー配列によって、C末端、N末端、または両方の末端に隣接している。一部の実施形態では、Gly-Serペプチドリンカーは、GlySer(配列番号16)である。他の実施形態では、Gly-Serペプチドリンカーは、(GlySer)(配列番号17)である。
【0189】
C.1.a.iv.CTP
一部の実施形態では、少なくとも1つの異種部分は、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、またはその断片、バリアント、もしくは誘導体である。ある特定の態様では、本開示のレンチウイルスベクターは、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の中に挿入されるか、FIX活性を有するポリペプチドのC末端をコードするヌクレオチド配列の部分に融合するか、またはその両方である、CTPまたはその断片、バリアント、もしくは誘導体をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含み、ここで、得られる融合ポリペプチドは、凝固促進活性を有する。1つまたはそれ以上のCTPペプチドの組換えタンパク質への挿入は、そのタンパク質の半減期を増加させることが知られている。例えば、参照によってその全体として本明細書に組み入れる、米国特許第5,712,122号を参照のこと。例示的なCTPペプチドとして、DPRFQDSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPIL(配列番号18)またはSSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号19)が挙げられる。例えば、参照によって組み入れる、米国特許出願公開第2009/0087411A1号を参照のこと。一部の実施形態では、発現したポリペプチドにおけるCTP配列は、Gly-Serペプチドリンカー配列によって、C末端、N末端、または両方の末端に隣接している。一部の実施形態では、Gly-Serペプチドリンカーは、GlySer(配列番号16)である。他の実施形態では、Gly-Serペプチドリンカーは、(GlySer)(配列番号17)である。
【0190】
C.1.a.v.PAS
一部の実施形態では、少なくとも1つの異種部分は、PASペプチドである。ある特定の態様では、本開示のレンチウイルスベクターは、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の中に挿入されるか、FIX活性を有するポリペプチドのC末端をコードするヌクレオチド配列の部分に融合するか、またはその両方である、PASペプチドまたはその断片、バリアント、もしくは誘導体をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含み、ここで、得られる融合ポリペプチドは、凝固促進活性を有する。「PASペプチド」または「PAS配列」は、本明細書で使用されるように、アラニン残基およびセリン残基を主に含むかまたはアラニン残基、セリン残基、およびプロリン残基を主に含むアミノ酸配列であって、生理的条件下でランダムコイル立体配座を形成するアミノ酸配列を意味する。したがって、PAS配列は、融合タンパク質において異種部分の一部として使用することができるアラニン、セリン、およびプロリンを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなるビルディングブロック、アミノ酸ポリマー、または配列カセットである。ただし、PAS配列における微量成分として、アラニン、セリン、およびプロリン以外の残基が付加される場合、アミノ酸ポリマーがランダムコイル立体配座を形成できる。「微量成分」は、アラニン、セリン、およびプロリン以外のアミノ酸を、PAS配列に、ある特定の程度まで、例えば、アミノ酸のうちの最大約12%、すなわち、PAS配列の100個のアミノ酸のうちの約12個、最大約10%、最大約9%、最大約8%、約6%、約5%、約4%、約3%、すなわち、約2%、または約1%を付加できることを意味する。アラニン、セリン、およびプロリンと異なるアミノ酸は、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Thr、Trp、Tyr、およびValからなる群から選択することができる。生理的条件下では、PASペプチドは、ランダムコイル立体配座を形成し、それによって、in vivoおよび/またはin vitro安定性の増加を媒介することができる。
【0191】
PASペプチドの非限定例は、ASPAAPAPASPAAPAPSAPA(配列番号20)、AAPASPAPAAPSAPAPAAPS(配列番号21)、APSSPSPSAPSSPSPASPSS(配列番号22)、APSSPSPSAPSSPSPASPS(配列番号23)、SSPSAPSPSSPASPSPSSPA(配列番号24)、AASPAAPSAPPAAASPAAPSAPPA(配列番号25)、ASAAAPAAASAAASAPSAAA(配列番号26)またはその任意のバリアント、誘導体、断片、もしくは組合せを含む。PAS配列のさらなる例は、例えば、米国特許出願公開第2010/0292130A1号およびPCT特許出願公開第WO2008/155134A1号から公知である。欧州で発効された特許EP2173890。
【0192】
一部の実施形態では、発現したポリペプチドにおけるPAS配列は、Gly-Serペプチドリンカー配列によって、C末端、N末端、または両方の末端に隣接している。一部の実施形態では、Gly-Serペプチドリンカーは、GlySer(配列番号16)である。他の実施形態では、Gly/Serペプチドリンカーは、(GlySer)(配列番号17)である。
【0193】
C.1.a.vi.HAP
一部の実施形態では、少なくとも1つの異種部分は、ホモアミノ酸ポリマー(HAP)ペプチドまたはその断片、バリアント、もしくは誘導体である。ある特定の態様では、本開示のレンチウイルスベクターは、FIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の中に挿入されるか、FIX活性を有するポリペプチドのC末端をコードするヌクレオチド配列の部分に融合するか、またはその両方である、ホモアミノ酸ポリマー(HAP)ペプチドまたはその断片、バリアント、もしくは誘導体をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含み、ここで、得られる融合ポリペプチドは、凝固促進活性を有する。HAPペプチドは、少なくとも50個のアミノ酸、少なくとも100個のアミノ酸、120個のアミノ酸、140個のアミノ酸、160個のアミノ酸、180個のアミノ酸、200個のアミノ酸、250個のアミノ酸、300個のアミノ酸、350個のアミノ酸、400個のアミノ酸、450個のアミノ酸、または500個のアミノ酸長を有するグリシン反復配列を含む。HAP配列は、HAP配列に融合または連結された部分の半減期を延長することが可能である。HAP配列の非限定例として、これらに限定されないが、(Gly)、(GlySer)またはS(GlySer)(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20である)が挙げられる。一実施形態では、nは、20、21、22、23、24、25、26、26、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40である。別の実施形態では、nは、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200である。例えば、Schlapschy Mら、Protein Eng. Design Selection、20:273~284頁(2007)を参照のこと。
【0194】
C.2.調節エレメント
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、遺伝子発現制御エレメントを含む。遺伝子発現制御配列は、例えば、哺乳動物またはウイルスのプロモーター、例えば構成的または誘導可能なプロモーターであってよい。哺乳動物の構成的プロモーターとして、これらに限定されないが、以下の遺伝子に関するプロモーター:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルベートキナーゼ、ベータアクチンプロモーター、および他の構成的プロモーターが挙げられる。真核細胞において構成的に機能する例示的なウイルスプロモーターとして、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス(例えば、SV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルスの長鎖末端反復配列(LTR)、および他のレトロウイルスからのプロモーター、ならびに単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーターが挙げられる。
【0195】
他の構成的プロモーターも使用され得る。本開示の遺伝子発現配列として有用なプロモーターとして、誘導性プロモーターも挙げられる。誘導性プロモーターは、誘導剤の存在下で発現する。例えば、メタロチオネインプロモーターは、ある特定の金属イオンの存在下で誘導されて、転写および翻訳を促進する。他の誘導性が使用され得る。
【0196】
一実施形態では、本開示は、組織特異的プロモーターおよび/またはエンハンサーの制御下で、導入遺伝子を発現させることを含む。別の実施形態では、プロモーターまたは他の発現制御配列は、肝細胞における導入遺伝子の発現を選択的に増強する。肝特異的プロモーターの例として、これらに限定されないが、マウスチレチンプロモーター(mTTR)、内因性ヒト第VIII因子プロモーター(F8)、ヒトアルファ1-アンチトリプシンプロモーター(hAAT)、ヒトアルブミン最小プロモーター、およびマウスアルブミンプロモーターが挙げられる。特定の実施形態では、プロモーターは、mTTRプロモーターを含む。mTTRプロモーターは、R.H.Costaら、1986年、Mol. Cell. Biol. 6:4697頁に記載される。F8プロモーターは、FigueiredoおよびBrownlee、1995年、J. Biol. Chem. 270:11828~11838に記載される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、少なくとも1つの組織特異的プロモーター、すなわち、特定の組織または細胞型におけるFIX活性を有するポリペプチドの発現を調節するだろうプロモーターを含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの中の組織特異的プロモーターは、標的肝臓細胞においてFIX活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する。一部の実施形態では、標的肝臓細胞においてFIX活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する組織特異的プロモーターは、APOA2プロモーター、SERPINA1(hAAT)プロモーター、mTTRプロモーター、MIR122プロモーター、ETプロモーター(GenBank第AY661265号;Vignaら、Molecular Therapy 11(5):763頁(2005)も参照のこと)、またはその任意の組合せを含む。一部の実施形態では、標的肝臓細胞は、肝細胞である。
【0197】
1つまたはそれ以上のエンハンサーを使用して、発現レベルをさらに高めて、治療効能を達成することができる。1つまたはそれ以上のエンハンサーは、単独でまたは1つまたはそれ以上のプロモーターエレメントと一緒に提供することができる。典型的には、発現制御配列は、複数のエンハンサーエレメントおよび組織特異的プロモーターを含む。一実施形態では、エンハンサーは、α1-ミクログロブリン/ビクニンエンハンサーの1つまたはそれ以上の複製を含む(Rouetら、1992年、J. Biol. Chem. 267:20765~20773頁;Rouetら、1995年、Nucleic Acids Res. 23:395~404頁;Rouetら、1998年、Biochem. J. 334:577~584頁;Illら、1997年、Blood Coagulation Fibrinolysis 8:S23~S30頁)。別の実施形態では、エンハンサーは、EBP、DBP、HNF1、HNF3、HNF4、HNF6のような肝特異的転写因子結合部位に由来し、Enh1は、HNF1、(センス)-HNF3、(センス)-HNF4、(アンチセンス)-HNF1、(アンチセンス)-HNF6、(センス)-EBP、(アンチセンス)-HNF4(アンチセンス)を含む。
【0198】
他の好適なベクターおよび遺伝子調節エレメントの例は、参照によってその全体として本明細書に組み入れるWO02/092134、EP1395293、または米国特許第6,808,905号、同第7,745,179号、もしくは同第7,179,903号に記載される。
【0199】
一般に、発現制御配列は、必要に応じて、それぞれ転写および翻訳の開始に関与する5’非転写および5’非翻訳配列、例えば、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列などを含むものとする。特に、そのような5’非転写配列は、作動可能に連結されたコード核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含む。遺伝子発現配列は、所望によりエンハンサー配列または上流の活性化因子配列を場合により含む。
【0200】
レンチウイルスベクターはすべての肝臓細胞型を形質導入させることができるので、異なる細胞型における導入遺伝子(例えば、FIX)の発現は、レンチウイルスベクターの中の異なるプロモーターを使用して制御することができる。したがって、レンチウイルスベクターは、異なる組織または細胞型、例えば、異なる肝組織または細胞型におけるFIX導入遺伝子の発現を制御するだろう特異的プロモーターを含むことができる。したがって、一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、肝臓内皮組織におけるFIX導入遺伝子の発現を制御するだろう内皮特異的プロモーター、または、肝細胞におけるFIX導入遺伝子の発現を制御する肝細胞特異的プロモーター、または両方を含むことができる。
【0201】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、肝臓以外の組織におけるFIX導入遺伝子の発現を制御する1つの組織特異的プロモーターまたは複数の組織特異的プロモーターを含む。一部の実施形態では、単離された核酸分子は、標的細胞または標的組織のゲノム、例えば、肝細胞のゲノムまたは肝臓の内皮細胞のゲノムに安定して組み入れられる。
【0202】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、少なくとも1つのスプライスドナー部位を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、少なくとも1つのスプライスアクセプター部位を含む。
【0203】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、gag配列、pol配列、rev配列、rev応答エレメント(RRE)、またはその任意の組合せを含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、全長gag配列を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、トランケーションされたgag配列を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、全長pol配列を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、トランケーションされたpol配列を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、全長rev配列を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、トランケーションされたrev配列を含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、全長RRE配列を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、トランケーションされたRRE配列を含む。
【0204】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、エンハンサー、プロモーター、マイクロRNA(miRNA)に対する標的配列、転写後調節エレメント、パッケージングシグナル、ポリA配列、イントロン配列、またはその任意の組合せを含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、肝臓細胞においてヌクレオチド配列の発現を促進するエンハンサーを含む。
【0205】
ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターの中に、例えばFIX導入遺伝子に作動可能に連結される、1つまたはそれ以上のmiRNA標的配列を含ませることが有益である。したがって、本開示は、FIXヌクレオチド配列に作動可能に連結されるか、さもなければレンチウイルスベクターの中に挿入される、少なくとも1つのmiRNA配列標的も提供する。レンチウイルスベクターに含まれるmiRNA標的配列の1つより多いコピーは、システムの効果を増加させることができる。
【0206】
異なるmiRNA標的配列も含まれる。例えば、1つより多い導入遺伝子を発現するレンチウイルスベクターは、同じであっても異なってもよい、1つより多いmiRNA標的配列の制御下の導入遺伝子を有することができる。miRNA標的配列は縦に並ぶことができるが、他の配置も含まれる。miRNA標的配列を含有する導入遺伝子発現カセットは、アンチセンス配向でレンチウイルスベクターの中に挿入することもできる。アンチセンス配向は、さもなければ生成細胞に毒性である可能性のある遺伝子生成物の発現を回避するための、ウイルス粒子の生成において役立つことができる。
【0207】
他の実施形態では、レンチウイルスベクターは、同じかまたは異なるmiRNA標的配列の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つのコピーを含む。しかし、ある特定の他の実施形態では、レンチウイルスベクターは、いかなるmiRNA標的配列も含まない。miRNA標的配列を含ませるかどうか(および、その数)の選択は、意図される組織標的、要求される発現レベルなどのようなパラメータによって導かれる。
【0208】
一実施形態では、標的配列は、骨髄関連の前駆体において最も効果的に、およびより初期のHSPCにおいて少なくとも部分的に発現をブロックすることが報告されている、miR-223標的である。miR-223標的は、顆粒球、単球、マクロファージ、骨髄樹状細胞を含む分化した骨髄細胞における発現をブロックすることができる。miR-223標的は、リンパまたは赤血球系統における頑強な導入遺伝子発現に依存する遺伝子療法適用にも好適である可能性がある。miR-223標的は、ヒトHSCにおいて非常に効果的に発現をブロックすることもできる。
【0209】
別の実施形態では、標的配列は、miR142標的(tccataaagt aggaaacact aca(配列番号27))である。一実施形態では、レンチウイルスベクターは、少なくとも1コピー、少なくとも2コピー、少なくとも3コピー、少なくとも4コピー、少なくとも5コピー、または少なくとも6コピーのmiR-142標的配列を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、4コピーのmiR-142標的配列を含む。ある特定の実施形態では、造血特異的マイクロRNAの相補配列、例えばmiR-142(142T)または「142-3pT」は、レンチウイルスベクターの3’非翻訳領域に組み入れられ、導入遺伝子コード転写物をmiRNA媒介下方制御に対して感受性にする。この方法により、造血系統抗原提示細胞(APC)において導入遺伝子発現を阻止することができ、一方、非造血細胞では維持される(Brownら、Nat Med 2006年)。この戦略は、ストリンジェントな転写後調節を導入遺伝子発現に課すことができ、したがって、導入遺伝子の安定した送達および長期発現を可能にする。一部の実施形態では、miR-142調節は、形質導入された細胞の免疫介在性の除去を阻止し、および/または抗原特異的調節T細胞(Tregs)を誘導し、および導入遺伝子によってコードされる抗原への頑強な免疫寛容を媒介する。
【0210】
一部の実施形態では、標的配列は、miR181標的である。Chen C-ZおよびLodish H、Seminars in Immunology(2005)17(2):155~165頁は、miR-181、すなわち、マウス骨髄の中のB細胞において特異的に発現されるmiRNAを開示する(ChenおよびLodish、2005年)。それは、一部のヒトmiRNAが白血病に関連付けられていることも開示する。
【0211】
標的配列は、miRNAに完全または部分的に相補的である。用語「完全に相補的」は、標的配列が、それを認識するmiRNAの配列に対して100%相補的である核酸配列を有することを意味する。用語「部分的に相補的」は、標的配列が、それを認識するmiRNAの配列に対して一部だけ相補的であり、それによって、部分的に相補的な配列はmiRNAによってなお認識されることを意味する。言い換えると、本開示との関連で、部分的に相補的な標的配列は、対応するmiRNAを認識すること、およびそのmiRNAを発現する細胞における導入遺伝子発現の阻止または低減を達成することにおいて有効である。miRNA標的配列の例は、WO2007/000668、WO2004/094642、WO2010/055413、またはWO2010/125471に記載され、これらは参照により完全に本明細書に組み入れる。
【0212】
他の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの中のFIX活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、coFIX-1-R338L(配列番号1)を含むレンチウイルスベクターを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。
【0213】
C.3.レンチウイルスベクター
レンチウイルスには、ウシレンチウイルス群、ウマレンチウイルス群、ネコレンチウイルス群、ヒツジヤギレンチウイルス群、および霊長類レンチウイルス群のメンバーが含まれる。遺伝子療法のためのレンチウイルスベクターの開発は、Klimatchevaら(1999)Frontiers in Bioscience 4:481~496頁にレビューされている。遺伝子療法のために好適なレンチウイルスベクターの設計および使用は、例えば、米国特許第6,207,455号および同第6,615,782号に記載されている。レンチウイルスの例には、限定されずに、HIV-1、HIV-2、HIV-1/HIV-2偽型、HIV-1/SIV、FIV、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス、およびウシ免疫不全ウイルスが含まれる。
【0214】
本開示のレンチウイルスベクターの概略図は、図1に提示される。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、「第三世代」レンチウイルスベクターである。本明細書で使用されるように、用語「第三世代」レンチウイルスベクターは、第二世代ベクターシステムの特徴を有し、機能的tat遺伝子をさらに欠いているレンチウイルスパッケージングシステム、例えばtat遺伝子が欠失しているかまたは不活性化されているものを指す。一般的に、revをコードする遺伝子は、別個の発現構築物の上で提供される。例えば、Dullら(1998)J.Virol.72:8463~8471頁を参照のこと。本明細書で使用されるように、「第二世代」レンチウイルスベクターシステムは、機能的アクセサリー遺伝子を欠いているレンチウイルスパッケージングシステム、例えば、アクセサリー遺伝子vif、vpr、vpu、およびnefが欠失しているかまたは不活性化されているものを指す。例えば、Zuffereyら(1997)Nat.Biotechnol.15:871~875頁を参照のこと。本明細書で使用されるように、「パッケージングシステム」は、組換えウイルスのパッケージングに関与するウイルスタンパク質をコードする遺伝子を含むウイルス構築物のセットを指す。一般的に、パッケージングシステムの構築物は、パッケージング細胞に最終的に組み込まれる。
【0215】
一部の実施形態では、本開示の第三世代レンチウイルスベクターは、自己不活性化レンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、VSV.G偽型レンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、導入遺伝子発現のための哺乳動物特異的プロモーターを含む。一部の実施形態では、哺乳動物特異的プロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、導入遺伝子発現のための肝細胞特異的プロモーターを含む。一部の実施形態では、肝細胞特異的プロモーターは、強化されたトランスチレチンプロモーターである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、導入遺伝子生成物への免疫応答を低減するために、miR-142のための1つまたはそれ以上の標的配列を含む。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターの中へmiR-142のための1つまたはそれ以上の標的配列を組み込むことは、所望の導入遺伝子発現プロファイルを可能にする。例えば、miR-142のための1つまたはそれ以上の標的配列を組み込むことは、血管内および血管外の造血系における導入遺伝子発現を抑制することができるが、導入遺伝子発現は非造血細胞において維持される。本開示のレンチウイルスベクターシステムで処置した腫瘍傾向のあるマウスでは、いかなる発がんも検出されていない。Brownら(2007)Blood 110:4144~52頁、Brownら(2006)Nat.Ned.12:585~91頁、およびCantoreら(2015)Sci.Transl.Med.7(277):277ra28を参照のこと。
【0216】
本開示のレンチウイルスベクターは、本明細書に記載されるFIX活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、FIX活性を有するポリペプチドは、発現制御配列に作動可能に連結される。本明細書で使用されるように、2つの核酸配列は、それらが、各構成成分核酸配列がその機能を保持することを可能にするような方法で共有結合するとき、作動可能に連結される。コード配列および遺伝子発現制御配列は、それらが、コード配列の発現もしくは転写および/または翻訳を遺伝子発現制御配列の影響下または制御下に置くような方法で共有結合するとき、作動可能に連結すると言われる。2つのDNA配列は、5’遺伝子発現配列におけるプロモーターの誘導がコード配列の転写をもたらす場合、および2つのDNA配列間の連結の性質が、(1)フレームシフト突然変異の導入をもたらさないか、(2)コード配列の転写を誘導するプロモーター領域の能力に干渉しないか、または(3)対応するRNA転写物をタンパク質に翻訳する能力に干渉しない場合、作動可能に連結すると言われる。したがって、遺伝子発現配列は、結果として生じる転写物が所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳されるように、遺伝子発現配列がそのコード核酸配列の転写を実行することが可能ならば、コード核酸配列に作動可能に連結されているだろう。
【0217】
ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、非分裂細胞に形質導入することが可能な組換えレンチウイルスのベクターである。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、肝臓細胞(例えば、肝細胞)に形質導入することが可能な組換えレンチウイルスのベクターである。レンチウイルスゲノムおよびプロウイルスDNAは、レトロウイルスで見出される3つの遺伝子:gag、polおよびenvを一般的に有し、これらには2つの長い末端反復(LTR)配列が隣接する。gag遺伝子は、内部構造的な(マトリックス、カプシドおよびヌクレオカプシド)タンパク質をコードし;pol遺伝子は、RNA誘導DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)、プロテアーゼおよびインテグラーゼをコードし;env遺伝子は、ウイルスのエンベロープ糖タンパク質をコードする。5’および3’LTRは、ビリオンRNAの転写およびポリアデニル化を促進する役目をする。LTRは、ウイルス複製のために必要なすべての他のシス作用性配列を含有する。レンチウイルスは、vif、vpr、tat、rev、vpu、nefおよびvpx(HIV-1、HIV-2および/またはSIVにおける)を含む追加の遺伝子を有する。
【0218】
ゲノムの逆転写(tRNAプライマー結合性部位)および粒子へのウイルスRNAの効率的なキャプシド形成(Psi部位)のために必要な配列は、5’LTRに隣接している。キャプシド形成(または、感染性ビリオンへのレトロウイルスRNAのパッケージング)のために必要な配列がウイルスゲノムから欠落している場合、シス欠陥はゲノムRNAのキャプシド形成を阻止する。
【0219】
しかし、結果として生じる突然変異体は、すべてのビリオンタンパク質の合成を誘導することが可能なままである。本開示は、非分裂細胞に形質導入することが可能な組換えレンチウイルスベクターを生成する方法であって、パッケージング機能、すなわち、gag、polおよびenv、ならびにrevおよびtatを有する2つまたはそれ以上のベクターを好適な宿主細胞にトランスフェクトすることを含む、方法を提供する。本明細書で下に開示されるように、ある特定の適用のために機能的tat遺伝子を欠くベクターが望ましい。したがって、例えば、第1のベクターは、ウイルスのgagおよびウイルスのpolをコードする核酸を提供することができ、別のベクターは、ウイルスのenvをコードする核酸を提供してパッケージング細胞を生成することができる。本明細書でトランスファーベクターと特定される異種遺伝子をそのパッケージング細胞に提供するベクターを導入することは、目的の外来遺伝子を有する感染性ウイルス粒子を放出する生成細胞を与える。
【0220】
ベクターおよび外来遺伝子の上記の構成により、第2のベクターは、ウイルスエンベロープ(env)遺伝子をコードする核酸を提供することができる。env遺伝子は、レトロウイルスを含むほとんどすべての好適なウイルスから導くことができる。一部の実施形態では、envタンパク質は、ヒトおよび他の種の細胞の形質導入を可能にする広宿主性エンベロープタンパク質である。
【0221】
レトロウイルス由来のenv遺伝子の例には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる:モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLVまたはMMLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSVまたはHSV)、マウス乳がんウイルス(MuMTVまたはMMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLVまたはGALV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)。他のenv遺伝子、例えば、水疱性口内炎ウイルス(VSV)プロテインG(VSV G)、肝炎ウイルスおよびインフルエンザのそれも使用することができる。一部の実施形態では、ウイルスのenv核酸配列は、本明細書の他の場所に記載される調節配列と作動可能に会合する。
【0222】
ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、非分裂細胞に形質導入するベクターの能力を損なうことなしに、HIV病原性遺伝子env、vif、vpr、vpuおよびnefが欠失している。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、3’LTRのU3領域の欠失を含む。U3領域の欠失は、完全な欠失または部分的欠失であってもよい。
【0223】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるFIX活性ヌクレオチド配列を有するポリペプチドを含む本開示のレンチウイルスベクターは、細胞の中で、(a)gag、pol、またはgagおよびpol遺伝子を含む第1のヌクレオチド配列、ならびに(b)異種env遺伝子を含む第2のヌクレオチド配列にトランスフェクトすることができ;ここで、レンチウイルスベクターは、機能的tat遺伝子を欠いている。他の実施形態では、細胞は、rev遺伝子を含む第4のヌクレオチド配列でさらにトランスフェクトされる。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、vif、vpr、vpu、vpxおよびnef、またはその組合せから選択される機能的遺伝子を欠いている。
【0224】
ある特定の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、gagタンパク質、Rev応答エレメント、中心ポリプリントラクト(cPPT)、またはその任意の組合せをコードする1つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を含む。
【0225】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、レンチウイルスベクターまたはコードされるFIX活性を有するポリペプチドの標的化および/または活性を向上させる1つまたはそれ以上のポリペプチドをその表面に含有する。1つまたはそれ以上のポリペプチドは、宿主細胞からのレンチウイルスベクターの出芽の間に組み入れることができる。レンチウイルスの生成の間、ウイルス粒子は生成宿主細胞から出芽する。出芽の過程で、ウイルス粒子は脂質コートを身につけ、それは宿主細胞の脂質膜に由来する。その結果、ウイルス粒子の脂質コートは、宿主細胞の表面に前から存在していた膜結合ポリペプチドを含むことができる。
【0226】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、ヒト対象への投与の後にレンチウイルスベクターへの免疫応答を抑制する1つまたはそれ以上のポリペプチドをその表面に発現する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターの表面は、1つまたはそれ以上のCD47分子を含む。CD47は「自己のマーカー」タンパク質であり、それはヒト細胞の上で遍在的に発現される。CD47の表面発現は、CD47およびマクロファージによって発現されるSIRPαの相互作用を通して、内在性細胞のマクロファージ誘導食作用を抑制する。高レベルのCD47を発現する細胞は、in vivoでヒトマクロファージの標的にされ、破壊される可能性は低い。
【0227】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、その表面に高濃度のCD47ポリペプチド分子を含む。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47の高い発現レベルを有する細胞系において生成される。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47high細胞で生成され、ここで、細胞は、細胞膜の上にCD47の高い発現を有する。特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47high HEK293T細胞で生成され、ここで、HEK293Tは、細胞膜の上にCD47の高い発現を有する。一部の実施形態では、HEK293T細胞は、未改変のHEK293T細胞と比較してCD47の増加した発現を有するように改変される。ある特定の実施形態では、CD47は、ヒトCD47である。
【0228】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一なアミノ酸配列を含むヒトCD47を含む。
【0229】
一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、主要組織適合性複合体クラスI(MHC-I)の表面発現をほとんど有しないか有しない。表面に発現されるMHC-Iは、感染を示すタンパク質断片などの、細胞内からの「非自己」タンパク質のペプチド断片を提示し、細胞に対する免疫応答を促進する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、MHC-Ilow細胞で生成され、ここで、細胞は、細胞膜の上にMHC-Iの低減された発現を有する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、MHC-I-(または、「MHC-Ifree」、「MHC-1neg」または「MHC陰性」)細胞において生成され、ここで、細胞は、MHC-Iの発現を欠いている。
【0230】
特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、高濃度のCD47ポリペプチドを含み、MHC-Iポリペプチドを欠いている脂質コートを含む。ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47high/MHC-Ilow細胞系、例えば、CD47high/MHC-Ilow HEK293T細胞系において生成される。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、CD47high/MHC-Ifree細胞系、例えば、CD47high/MHC-Ifree HEK293T細胞系において生成される。レンチウイルスベクターの例は、米国特許第9,050,269号ならびに国際公開第WO9931251号、同第9712622号、同第9817815号、同第9817816号、および同第9818934号に開示され、それらは参照によってその全体として本明細書に組み入れる。
【0231】
III.医薬組成物
本開示のレンチウイルスベクター、核酸分子、核酸分子によってコードされるポリペプチド、または宿主細胞を含有する組成物は、好適な薬学的に許容される担体を含有することができる。例えば、それらは、作用部位への送達のために設計された調製物への活性化合物のプロセシングを促進する、賦形剤および/または補助剤を含有することができる。
【0232】
一実施形態では、本開示は、(a)本明細書に開示される核酸分子、レンチウイルスベクター、ポリペプチド、または宿主細胞;および(b)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0233】
医薬組成物は、ボーラス注射による非経口投与(すなわち、静脈内、皮下、または筋肉内投与)用に製剤化することができる。注射用製剤は、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数回用量容器内に保存剤を加えた状態で供給することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、または乳剤のような形態をとり、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤のような製剤化剤を含有する場合がある。あるいは、活性成分は、好適なビヒクル、例えば、パイロジェンフリー水で構成される粉末形態である場合がある。
【0234】
一実施形態では、レンチウイルスベクターの投与経路は、非経口である。用語非経口は、本明細書で使用されるように、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸または膣投与を含む。非経口投与の静脈内形態が好ましい。投与のすべてのこれらの形態は本開示の範囲内にあると明らかに予想されるが、特に静脈内または動脈内の注射または点滴のためには、投与のための形態は注射用溶液になるだろう。通常、注射のための好適な医薬組成物は、緩衝液(例えば、酢酸、リン酸またはクエン酸緩衝液)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、場合により安定剤(例えば、ヒトアルブミン)などを含むことができる。しかし、本明細書の教示に適合する他の方法では、レンチウイルスベクターは、有害な細胞集団の部位に直接的に送達され、それによって、治療剤への患部組織の曝露を増加させることができる。
【0235】
非経口投与のための調製物には、無菌の水性または非水性の溶液、懸濁液、および乳剤が含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体には、食塩水および緩衝媒体を含む、水、アルコール/水性の溶液、乳濁液または懸濁液が含まれる。本開示では、薬学的に許容される担体には、これらに限定されないが、0.01~0.1M、好ましくは0.05Mのリン酸緩衝液または0.8%食塩水が含まれる。他の一般的非経口ビヒクルには、リン酸ナトリウム溶液、リンガーブドウ糖、ブドウ糖および塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液、または不揮発性油が含まれる。静脈内ビヒクルには、補液および栄養素補液、電解質補液、例えば、リンガーブドウ糖をベースにするものなどが含まれる。保存剤および他の添加物、例えば抗微生物剤、抗酸化剤、キレート化剤、および不活性ガスなどが存在してもよい。
【0236】
より詳細には、注射用に適する医薬組成物には、無菌の水性溶液(水溶性)または分散液、および無菌の注射用溶液または分散液の即時使用調製物のための無菌の粉末が含まれる。このような場合、組成物は無菌でなければならず、容易な注射針通過が存続する程度まで流動性であるべきである。それは、製造および保存条件下で安定であるべきであり、好ましくは細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存される。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびその好適な混合物を含有する、溶媒または分散媒体であってもよい。例えばレシチンなどのコーティング材の使用によって、分散液の場合は要求される粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。
【0237】
微生物活動の防止は、様々な抗細菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合には、等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物中に含ませることが好ましい。吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含ませることによって、注射用組成物の長期吸収をもたらすことができる。
【0238】
いずれの場合にも、無菌の注射溶液は、必要に応じて本明細書に列挙された成分の1つまたはその組合せと一緒に、適当な溶媒に必要な量で活性化合物(例えば、ポリペプチド自体または他の活性剤との組合せ)を組み込み、続いて濾過滅菌を行うことによって調製することができる。一般に、分散液は、塩基性分散媒体および上に列挙されるものからの必要とされる他の成分を含有する無菌のビヒクルの中に活性化合物を組み込むことによって調製される。無菌の注射可能な溶液の調製のための無菌粉末の場合は、好ましい調製方法は、有効成分と前もって濾過滅菌したその溶液からの任意の追加の所望の成分の粉末を与える、真空乾燥およびフリーズドライである。注射のための調製物は、加工されて、アンプル、バッグ、ボトル、シリンジまたはバイアルなどの容器に充てんされ、当技術分野で公知の方法により、無菌条件下で密封される。さらに、調製物は、キットの形でパッケージして、販売することができる。このような製造品は、関連する組成物が、凝固障害を患っているか、またはその素因を有する対象を処置するために有益であることを示すラベルまたは添付文書を好ましくは有する。
【0239】
注射用デポー製剤は、ポリラクチド-ポリグリコリドのような生分解性ポリマー内の薬物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって作製することができる。薬物とポリマーとの比率、および用いられるポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の例示的な生分解性ポリマーは、ポリオルトエステルおよびポリアンハイドライドである。注射用デポー製剤は、薬物をリポソームまたはマイクロエマルジョン中に捕捉することによっても調製することができる。
【0240】
医薬組成物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する、坐薬または停留浣腸として直腸投与のために製剤化することもできる。
【0241】
補足的な活性化合物を組成物中に組み込むことができる。一実施形態では、本開示の核酸分子は、凝固因子、またはそのバリアント、断片、アナログもしくは誘導体とともに製剤化される。例えば、凝固因子として、これらに限定されないが、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子、プロトロンビン、フィブリノーゲン、フォンビルブランド因子またはこれらのいずれかの組換え可溶性組織因子(rsTF)もしくは活性化形態が挙げられる。止血剤の凝固因子として、抗線溶薬、例えば、イプシロン-アミノカプロン酸、トラネキサム酸も挙げることができる。
【0242】
投与レジメンを調整して、最適な所望の応答をもたらすことができる。例えば、単回ボーラス投与を行うことも、経時的に、数回の分割投与を行うことも、または治療状況の緊急性によって示されるのに応じて、用量を比例的に減少または増加させることもできる。投与のし易さおよび投薬量の均一化のために、非経口組成物を投薬量単位形態で製剤化するのが有益である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub. Co.、Easton、Pa. 1980年)を参照のこと。
【0243】
上記の範囲内の中間の用量も、本開示の範囲内にあるものである。このような用量を毎日、隔日、毎週または実験的分析によって判定される任意の他のスケジュールに従って、対象に投与することができる。例示的な処置は、長期、例えば、少なくとも6カ月にわたる複数の投薬による投与を必要とする。
【0244】
本開示のレンチウイルスベクターは、異なる発達段階で対象に投与される。例えば、ヒトでは、異なる発達段階は、新生児(例えば、1カ月齢未満)、乳児(1カ月齢~2歳)、小児(2歳~12歳)、青年(12歳~16歳)、または成人(16歳より高い年齢)に分類される。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、ヒトの新生児に投与される。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、約1カ月齢未満のヒト対象に投与される。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、ヒトの乳児に投与される。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、約1カ月齢~約2歳のヒト対象に投与される。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、ヒトの小児に投与される。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、約2歳~約12歳のヒト対象に投与される。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、ヒトの青年に投与される。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、約12歳~約16歳のヒト対象に投与される。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、ヒトの成人に投与される。一部の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、約16歳より高い年齢のヒト対象に投与される。当業者は、他の生物の発達段階を決定することができる。例えば、当業者は、2週齢のマウスが青年期であることを理解する。
【0245】
本開示のレンチウイルスベクターの投薬量および頻度は、当業者に公知の様々な要因に応じて変わる。
【0246】
本開示のレンチウイルスベクターは、場合により、処置(例えば、予防的または治療的)を必要とする障害または状態の処置で有効である他の薬剤と組み合わせて投与することができる。
【0247】
本明細書で使用されるように、補助療法と一緒のまたは組み合わせた本開示のレンチウイルスベクターの投与は、療法および開示されるポリペプチドの逐次的、同時、共存する、並行した、併存するまたは同時発生的投与または適用を意味する。当業者は、組み合わせた治療レジメンの様々な構成成分の投与または適用の時間は、処置の全体的効果を強化するために調整することができることを理解するであろう。当業者(例えば、医師)は、選択される補助療法および本明細書の教示に基づいて、不相応な実験なしで有効な併用療法レジメンを見極めることが容易にできるだろう。
【0248】
本開示のレンチウイルスベクターは、薬剤または複数の薬剤と(例えば、併用療法レジメンを提供するために)一緒にまたは組み合わせて使用することができることがさらに理解される。本開示のレンチウイルスベクターと組み合わせることができる例示的な薬剤には、処置する特定の障害のための現在の医療標準に相当する薬剤が含まれる。このような薬剤は、性質が化学的または生物学的であってよい。用語「生物学的」または「生物学的薬剤」は、生体および/またはそれらの生成物から作製される、治療薬としての使用を目的にした任意の薬学的に活性な薬剤を指す。
【0249】
本開示のレンチウイルスベクターと組み合わせて使用される薬剤の量は、対象によって異なることができるか、または当技術分野で公知であるものによって投与することができる。例えば、GOODMAN & GILMAN’S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS 1233~1287頁の、Bruce A Chabnerら、Antineoplastic Agents(Joel G.Hardmanら編、第9版1996年)を参照のこと。別の実施形態では、医療標準と一致したこのような薬剤の量が、投与される。
【0250】
ある特定の実施形態では、本開示のレンチウイルスベクターは、免疫抑制剤、抗アレルギー剤、または抗炎症剤と一緒に投与される。これらの薬剤は、本明細書において処置される対象の免疫系を抑制するかまたは覆い隠す作用をする物質を一般に指す。これらの薬剤には、サイトカイン生成を抑制するか、自己抗原発現を下方制御もしくは抑制するか、またはMHC抗原を覆い隠す物質が含まれる。このような薬剤の例には、2-アミノ-6-アリール-5置換ピリミジン;アザチオプリン;シクロホスファミド;ブロモクリプチン;ダナゾール;ダプソン;グルタルアルデヒド;MHC抗原およびMHC断片のための抗イディオタイプ抗体;シクロスポリンA;糖質副腎皮質ステロイドなどのステロイド、例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロンおよびデキサメタゾン;抗インターフェロン-γ、-βまたは-α抗体、抗腫瘍壊死因子-α抗体、抗腫瘍壊死因子-β抗体、抗インターロイキン-2抗体および抗IL-2レセプター抗体を含むサイトカインまたはサイトカインレセプターアンタゴニスト;抗CD11aおよび抗CD18抗体を含む抗LFA-1抗体;抗L3T4抗体;異種の抗リンパ球グロブリン;pan-T抗体;LFA-3結合性ドメインを含有する可溶性ペプチド;ストレプトキナーゼ;TGF-β;ストレプトドルナーゼ;FK506;RS-61443;デオキシスペルグアリン;およびラパマイシンが含まれる。ある特定の実施形態では、薬剤は、抗ヒスタミン剤である。本明細書で使用される「抗ヒスタミン剤」は、ヒスタミンの生理作用と拮抗する薬剤である。抗ヒスタミン剤の例は、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、クロモリンナトリウム、アステミゾール、マレイン酸アザタジン、マレイン酸ブロフェニラミン、マレイン酸カルビノキサミン、塩酸セチリジン、フマル酸クレマスチン、塩酸シプロヘプタジン、d-マレイン酸ブロムフェニラミン、d-マレイン酸クロルフェニラミン、ジメンヒドリネート、塩酸ジフェンヒドラミン、コハク酸ドキシラミン、塩酸フェキソフェンダジン、塩酸テルフェナジン、塩酸ヒドロキシジン、ロラチジン、塩酸メクリジン、クエン酸トリペラナミン、塩酸トリペレナミンおよび塩酸トリプロリジンである。
【0251】
免疫抑制剤、抗アレルギー剤、または抗炎症剤を、レンチウイルスベクター投与レジメンに組み込むことができる。例えば、免疫抑制剤または抗炎症剤の投与は、開示されるレンチウイルスベクターの投与の前に開始することができ、その後単回またはそれ以上の回数の投与を続けることができる。ある特定の実施形態では、免疫抑制または抗炎症性の薬剤は、レンチウイルスベクターの前投薬として投与される。
【0252】
以前に議論したように、本開示のレンチウイルスベクターは、凝固障害のin vivo処置のための薬学的に有効な量で投与することができる。この点に関しては、本開示のレンチウイルスベクターは、投与を促進し、活性剤の安定性を促進するために製剤化することができることが理解される。好ましくは、本開示による医薬組成物は、生理的食塩水、無毒の緩衝液、保存剤などの薬学的に許容される、無毒の無菌の担体を含む。当然ながら、本開示の医薬組成物は、ポリペプチドの薬学的に有効な量を提供するために、単一のまたは複数の用量で投与することができる。
【0253】
活性化合物に加えて、液体剤形は、水、エチルアルコール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、グリセリン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステルのような不活性成分を含有することができる。
【0254】
好適な医薬担体の非限定例は、E.W.MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciencesにも記載されている。賦形剤のいくつかの例として、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ナトリウムステアレート、グリセリンモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物は、pH緩衝試薬、および湿潤剤または乳化剤も含有することができる。
【0255】
一部の実施形態では、組成物は、局所投与、眼内投与、髄腔内投与、および硬膜下投与からなる群から選択される経路で投与される。非経口投与は、静脈内投与または皮下投与である場合がある。
【0256】
一部の実施形態では、組成物を使用して、それを必要とする対象における出血性疾患または状態を処置する。出血性疾患または状態は、出血性血液凝固障害、関節血症、筋肉出血、口腔出血、大出血、筋肉内への大出血、口腔大出血、外傷、頭部外傷、消化器系出血、頭蓋内大出血、腹腔内大出血、胸腔内大出血、骨折、中枢神経系出血、咽頭後隙内出血、腹膜後隙内出血、腸腰筋外筒内出血およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。さらに他の実施形態では、対象は、手術を受けることが予定されている。また他の実施形態では、処置は、予防的であるかまたは要求に応じるものである。
【0257】
凝固系の機能を調査するために、いくつかの試験が利用可能である:活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)試験、発色アッセイ、ROTEM(登録商標)アッセイ、プロトロンビン時間(PT)試験(INRを判定するためにも使用される)、フィブリノーゲン試験(しばしばクラウス方法による)、血小板数、血小板機能試験(しばしばPFA-100による)、TCT、出血時間、混合試験(患者の血漿を正常な血漿と混合した場合に異常が修正されるかどうか)、凝固因子アッセイ、抗リン脂質抗体、D-二量体、遺伝子検査(例えば、V因子ライデン、プロトロンビン突然変異G20210A)、希釈ラッセルクサリヘビ蛇毒時間(dRVVT)、その他の血小板機能試験、トロンボエラストグラフィ(TEGまたはSonoclot)、トロンボエラストメトリー(TEM(登録商標)、例えば、ROTEM(登録商標))、またはオイグロブリン溶解時間(ELT)。
【0258】
aPTT試験は、「内因性」(接触活性化経路とも呼ばれる)および一般的な凝固経路の効能を測定する性能指示器である。この試験は、市販されている組換え凝固因子、例えば、FVIIIまたはFIXの凝固活性を測定するために一般的に使用される。それは、外因性の経路を測定するプロトロンビン時間(PT)と一緒に使用される。
【0259】
ROTEM(登録商標)分析は、止血の完全なカイネティクス:凝固時間、クロット形成、クロットの安定性および溶解に関する情報を提供する。トロンボエラストメトリーにおける異なるパラメータは、血漿凝固系の活性、血小板機能、線溶またはこれらの相互作用に影響する多くの因子に依存する。このアッセイは、二次性の止血の完全な像を提供することができる。
【0260】
IV.核酸分子
本開示は、FIX活性を有するポリペプチドをコードする単離された核酸分子列も提供する。ある特定の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0261】
一部の実施形態では、単離された核酸分子は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約85%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約90%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約91%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約92%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約93%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約94%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約95%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約96%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約97%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約98%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して同一である。
【0262】
ある特定の実施形態では、単離された核酸分子は、シグナルペプチドをコードする核酸配列をさらに含む。一部の実施形態では、シグナルペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号2のヌクレオチド1~84;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~84;(iii)配列番号4のヌクレオチド1~84;(iv)配列番号5のヌクレオチド1~84;(v)配列番号6のヌクレオチド1~84;または(vi)配列番号7のヌクレオチド1~84に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、シグナルペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号2のヌクレオチド1~84;(ii)配列番号3のヌクレオチド1~84;(iii)配列番号4のヌクレオチド1~84;(iv)配列番号5のヌクレオチド1~84;(v)配列番号6のヌクレオチド1~84;または(vi)配列番号7のヌクレオチド1~84に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0263】
ある特定の実施形態では、単離された核酸分子は、プロペプチドをコードする核酸配列をさらに含む。一部の実施形態では、プロペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号2のヌクレオチド85~138;(ii)配列番号3のヌクレオチド85~138;(iii)配列番号4のヌクレオチド85~138;(iv)配列番号5のヌクレオチド85~138;(v)配列番号6のヌクレオチド85~138;または(vi)配列番号7のヌクレオチド85~138に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、プロペプチドをコードする核酸配列は、(i)配列番号2のヌクレオチド85~138;(ii)配列番号3のヌクレオチド85~138;(iii)配列番号4のヌクレオチド85~138;(iv)配列番号5のヌクレオチド85~138;(v)配列番号6のヌクレオチド85~138;または(vi)配列番号7のヌクレオチド85~138に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0264】
本開示は、本明細書に記載される核酸分子を含むベクターも提供する。一部の実施形態では、ベクターは、レンチウイルスベクター、例えば、本明細書に開示される任意のレンチウイルスベクターである。ある特定の実施形態では、ベクターは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0265】
一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約85%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約91%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約92%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約93%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約94%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約96%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約97%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約98%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0266】
一部の実施形態では、ベクターは、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の調節エレメントをさらに含む。ある特定の実施形態では、ベクターは、組織特異的プロモーターを含む。ある特定の実施形態では、組織特異的プロモーターは、標的肝臓細胞においてFIX活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する。ある特定の実施形態では、標的肝臓細胞においてFIX活性を有するポリペプチドの発現を選択的に強化する組織特異的プロモーターは、APOA2プロモーター、SERPINA1(hAAT)プロモーター、mTTRプロモーター、MIR122プロモーター、またはその任意の組合せを含む。一部の実施形態では、標的肝臓細胞は、肝細胞である。
【0267】
V.組織特異的発現
ある特定の実施形態では、レンチウイルスベクターの中に、例えば最適化FIX導入遺伝子に作動可能に連結される、1つまたはそれ以上のmiRNA標的配列を含ませることが有益である。したがって、本開示は、最適化FIXヌクレオチド配列に作動可能に連結されるか、さもなければレンチウイルスベクターの中に挿入される、少なくとも1つのmiRNA配列標的も提供する。レンチウイルスベクターに含まれるmiRNA標的配列の1つより多いコピーは、システムの効果を増加させることができる。
【0268】
異なるmiRNA標的配列も含まれる。例えば、1つより多い導入遺伝子を発現するレンチウイルスベクターは、同じであっても異なってもよい、1つより多いmiRNA標的配列の制御下の導入遺伝子を有することができる。miRNA標的配列は縦に並ぶことができるが、他の配置も含まれる。miRNA標的配列を含有する導入遺伝子発現カセットは、アンチセンス配向でレンチウイルスベクターの中に挿入することもできる。アンチセンス配向は、さもなければ生成細胞に毒性であるかもしれない遺伝子生成物の発現を回避するための、ウイルス粒子の生成において役立つことができる。
【0269】
他の実施形態では、レンチウイルスベクターは、同じかまたは異なるmiRNA標的配列の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つのコピーを含む。しかし、ある特定の他の実施形態では、レンチウイルスベクターは、いかなるmiRNA標的配列も含まない。miRNA標的配列を含ませるかどうか(および、その数)の選択は、意図される組織標的、要求される発現レベルなどの公知のパラメータによって導かれる。
【0270】
一実施形態では、標的配列は、骨髄関連の前駆体において最も効果的に、およびより初期のHSPCにおいて少なくとも部分的に発現をブロックすることが報告されている、miR-223標的である。miR-223標的は、顆粒球、単球、マクロファージ、骨髄樹状細胞を含む分化した骨髄細胞における発現をブロックすることができる。miR-223標的は、リンパまたは赤血球系統における頑強な導入遺伝子発現に依存する遺伝子療法適用に好適である可能性もある。miR-223標的は、ヒトHSCにおいて非常に効果的に発現をブロックすることもできる。
【0271】
別の実施形態では、標的配列は、miR142標的(tccataaagt aggaaacact aca(配列番号27))である。一実施形態では、レンチウイルスベクターは、4コピーのmiR-142標的配列を含む。ある特定の実施形態では、造血特異的マイクロRNAの相補配列、例えばmiR-142(142T)は、レンチウイルスベクターの3’非翻訳領域に組み入れられ、導入遺伝子コード転写物をmiRNA媒介下方制御に対して感受性にする。この方法により、造血系統抗原提示細胞(APC)において導入遺伝子発現を阻止することができ、一方、非造血細胞では維持される(Brownら、Nat Med 2006年)。この戦略は、ストリンジェントな転写後調節を導入遺伝子発現に課すことができ、したがって、導入遺伝子の安定した送達および長期発現を可能にする。一部の実施形態では、miR-142調節は、形質導入された細胞の免疫介在性の除去を阻止し、および/または抗原特異的調節T細胞(Tregs)を誘導し、および導入遺伝子によってコードされる抗原への頑強な免疫寛容を媒介する。
【0272】
一部の実施形態では、標的配列は、miR181標的である。Chen C-ZおよびLodish H、Seminars in Immunology(2005)17(2):155~165頁は、miR-181、すなわち、マウス骨髄の中のB細胞において特異的に発現されるmiRNAを開示する(ChenおよびLodish、2005年)。それは、一部のヒトmiRNAが白血病に関連付けられていることも開示する。
【0273】
標的配列は、miRNAに完全または部分的に相補的である。用語「完全に相補的」は、標的配列が、それを認識するmiRNAの配列に対して100%相補的である核酸配列を有することを意味する。用語「部分的に相補的」は、標的配列が、それを認識するmiRNAの配列に対して一部だけ相補的であり、それによって、部分的に相補的な配列はmiRNAによってなお認識されることを意味する。言い換えると、本開示との関連で、部分的に相補的な標的配列は、対応するmiRNAを認識すること、およびそのmiRNAを発現する細胞における導入遺伝子発現の阻止または低減を達成することにおいて有効である。miRNA標的配列の例は、WO2007/000668、WO2004/094642、WO2010/055413、またはWO2010/125471に記載され、これらは参照により完全に本明細書に組み入れる。
【0274】
VI.宿主細胞および作製する方法
本開示は、本開示の核酸分子またはレンチウイルスベクターを含む宿主細胞も提供する。本開示のある特定の態様は、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターで宿主細胞をトランスフェクトおよび/または形質転換することを含む、レンチウイルスベクターを作製または生成することに関する。本明細書で使用されるように、用語「形質転換」は、遺伝子型を変化させ、結果としてレシピエント細胞に変化をもたらすDNAのレシピエント宿主細胞への導入を指すために、広い意味で使用される。
【0275】
「宿主細胞」は、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターで形質転換された細胞を指す。本開示の宿主細胞は、好ましくは哺乳動物起源;最も好ましくはヒトまたはマウス起源である。当業者は、それらの目的に最も適する特定の宿主細胞系を優先的に決定する能力を有すると考えられる。例示的な宿主細胞系として、これらに限定されないが、CHO、DG44およびDUXB11(チャイニーズハムスター卵巣系、DHFRマイナス)、HELA(ヒト子宮頸癌)、CVI(サル腎臓系)、COS(SV40 T抗原を有するCVIの誘導体)、R1610(チャイニーズハムスター線維芽細胞)BALBC/3T3(マウス線維芽細胞)、HAK(ハムスター腎臓系)、SP2/O(マウス骨髄腫)、P3.times.63-Ag3.653(マウス骨髄腫)、BFA-1c1BPT(ウシ内皮細胞)、RAJI(ヒトリンパ球)、PER.C6(登録商標)、NS0、CAP、BHK21、およびHEK293(ヒト腎臓)が挙げられる。特定の一実施形態では、宿主細胞は:CHO細胞、HEK293細胞(例えば、HEK293T細胞)、BHK21細胞、PER.C6(登録商標)細胞、NS0細胞、CAP細胞およびその任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、本開示の宿主細胞は、昆虫起源のものである。特定の一実施形態では、宿主細胞は、SF9細胞である。宿主細胞系は、一般的には、商用サービスAmerican Tissue Culture Collectionから、または公開された文献から利用可能である。
【0276】
本開示の核酸分子またはベクターの宿主細胞への導入は、当業者に周知の様々な技術によって達成することができる。これらには、これらに限定されないが、トランスフェクション(電気泳動およびエレクトロポレーションを含む)、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈降、エンベロープDNAとの細胞融合、マイクロインジェクション、およびインタクトウイルスによる感染が含まれる。Ridgway, A. A. G. 「Mammalian E×pression Vectors」 第24.2章、470~472頁 Vectors、RodriguezおよびDenhardt編(Butterworths、Boston、Mass. 1988年)を参照のこと。最も好ましくは、宿主へのプラスミドの導入は、エレクトロポレーションによる。形質転換された細胞は、軽鎖および重鎖を生成するのに適切な条件下で増殖し、重鎖および/または軽鎖タンパク質合成に関してアッセイされる。例示的なアッセイ技術として、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または蛍光活性化細胞選別分析(FACS)、免疫組織化学などが挙げられる。
【0277】
本開示の単離された核酸分子またはレンチウイルスベクターを含む宿主細胞は、適切な増殖培地中で増殖する。本明細書で使用されるように、用語「適切な成長培地」は、細胞の増殖に必要とされる栄養素を含有する培地を意味する。細胞増殖に必要とされる栄養素は、炭素供給源、窒素供給源、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、および増殖因子を含む。場合により、培地は、1つまたはそれ以上の選択因子を含有することができる。場合により、培地は、仔ウシ血清またはウシ胎仔血清(FCS)を含有することができる。一実施形態では、培地は、実質的にIgGを含有しない。増殖培地は、一般に、DNA構築物を含有する細胞のために、例えば、薬物選択またはDNA構築物上で選択可能マーカーによって補足されるもしくはDNA構築物でコトランスフェクトされる必須栄養素の欠乏によって選択する。培養された哺乳動物細胞は、一般に、市販の血清含有培地または無血清培地(例えば、MEM、DMEM、DMEM/F12)内で増殖させる。一実施形態では、培地は、CDoptiCHO(Invitrogen、Carlsbad、CA.)である。別の実施形態では、培地は、CD17(Invitrogen、Carlsbad、CA.)である。使用される特定の細胞系に適切な培地の選択は、当業者のレベルの範囲内である。
【0278】
一部の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載されるようにさらに改変される。例えば、宿主細胞は、本明細書に記載されるように、CD47を過剰発現するように改変することができる。一部の実施形態では、宿主細胞は、表面に曝露されたMHC-Iを欠くように改変される。一部の実施形態では、宿主細胞は、未改変宿主細胞と比較して、表面に曝露されたMHC-Iが減少するように改変される。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、CD47high/MHC-Ilow HEK293T細胞である。
【0279】
本開示のある特定の態様は、好適な条件下で本明細書に記載される宿主細胞を培養し、レンチウイルスベクターを単離することを含むレンチウイルスベクターを生成する方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、好適な条件下で本明細書に記載される宿主細胞を培養し、レンチウイルスベクターを単離することを含む、本明細書に開示されるレンチウイルスベクターを生成する方法に関する。
【0280】
本明細書に記載の様々な態様、実施形態、および選択肢はすべて、いずれかおよびすべての変形形態で組み合わせることができる。
【0281】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願を、個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照によって組み入れられることが具体的かつ個々に示されている場合と同程度に、参照によって本明細書に組み入れる。
【0282】
本開示について概ね説明してきたが、本明細書において提供される実施例を参照することによって、さらに深い理解を得ることができる。これらの実施例は、例示を目的とするに過ぎず、限定を意図するものではない。
【実施例1】
【0283】
成体HemBマウスにおけるLV-coFIX-1-R338Lに媒介される長期FIX発現および用量応答
R338L(「Padua」)置換を有するヒトFIXバリアントをコードするコドン最適化ヌクレオチド配列(coFIX-1-R338L;配列番号1)をレンチウイルスベクターの中にクローニングし、LV-coFIX-1-R338Lを作成した(図1)。動物モデルにおけるLV-FIXの用量応答プロファイルを決定するために、293T細胞において生成したLV-coFIX-1-R338Lを成体HemBマウスにおいて評価した。8週齢のHemBマウスを3E9、7.5E9、2E10、または6E10TU/kgの用量で(n=2~10匹の動物/用量レベル)尾静脈注射を通して、LV-coFIX-1-R338Lで処置した。LV-FIXに媒介される血漿FIX活性および抗原レベルをFIX色素源およびELISAアッセイによってモニターした。各動物の定常状態のFIX血漿レベルを図2Aに示し、LV-coFIX-1-R338L用量応答曲線を図2Bに示す。HemBマウスモデルでは、LV-coFIX-1-R338Lは、Log-Log用量応答プロファイルを実証し、10~200%の正常な循環FIX活性を達成するために必要とされるLV-coFIX-1-R338L用量レベルがHemBマウスにおいて5E9~2E10TU/kgの範囲であることが決定された。
【0284】
3つのより高い用量レベル群のLV-coFIX-1-R338Lで処置した動物の長期FIX発現プロファイルをLV処置の後6カ月間モニターした。循環FIX活性(図3A)および抗原(図3B)のレベルをプロットした。すべての実験動物において、一致したレベルのLVに媒介されるFIX発現が観察され、研究期間内にFIX発現の損失は検出されず、このことにより、組み入れ遺伝子療法処置の長期安定性が実証された。さらに、FIX活性のもの(図3B)と比較して、より低いパーセンテージの正常なFIX抗原レベルが観察され(図3A)、このことは、FIX導入遺伝子における機能的R338L突然変異の獲得の使用を反映する。
【実施例2】
【0285】
LV-coFIX-1-R338Lは、成体および新生期の動物において同様の形質導入効率を有する。
レンチウイルスベクターは、長期にわたる導入遺伝子の発現を媒介するために宿主ゲノムの中に組み入れることができ、新生期の処置後のAAVに媒介される導入遺伝子の発現が急速に失われるのとは異なり、レンチウイルスに媒介される導入遺伝子の発現は、LV-FIXで処置した成体動物においてだけでなく新生期の動物においても、持続的な導入遺伝子の発現プロファイルを維持することが期待される。新生期の処置後のレンチウイルスFIXの形質導入効率および導入遺伝子の発現プロファイルを調査するために、2日齢のHemBの仔を7.5E9、2E10および6E10TU/kgの側頭静脈注射を通して、LV-coFIX-1-R338Lで処置した。成体段階での処置(8週で投与した)と比較して、全身投与したLV-coFIX-1-R338Lは、各用量レベルでの6カ月の研究期間にわたり、持続的な同様レベルのFIX発現を媒介し、このことは、レンチウイルスFIXの投与によって、成人患者と小児患者の両方を効率的に処置できることを示唆した。3E9、7.5E9、または2E10TU/kg用量の側頭静脈注射を通したLV-coFIX-1-R338Lによる青年期のマウスの処置(2週で投与した)についても調査した。各用量レベルでのFIX発現のレベルは、8週または2日で処置を投与したマウスにおける相当する用量よりも高かった(n=6匹の動物/用量レベル/日(週)齢;図4A)。
7.5E9、2E10、および6E10TU/kg用量で側頭静脈注射を通して8週および2日で、ならびに3E9、7.5E9、または2E10TU/kg用量で2週で投与したHemBマウスにおいて、FIX活性を測定し、LV-coFIX-1-R338Lの用量応答を決定した。図4Aの長期データと一致して、2週で処置を投与したマウス(青年期のマウス)は、2日または8週で処置を投与したマウスと比較して、より高いFIX活性を示した(図4B)。
【実施例3】
【0286】
非ヒト霊長類におけるCD47high LV-coFIX-1-R338Lの評価
レンチウイルスベクターの免疫特性をモジュレートするために、ヒトのCD47を過剰発現するHEK293T細胞系を作成した。高表面レベルのヒトCD47を有するレンチウイルスベクター粒子は、NODマウス(NODマウスはヒトCD47を認識することができる)において、より少ないクッパ-細胞の取り込みとより多い肝細胞への形質導入を示した。加えて、CD47を過剰発現しない対照レンチウイルスベクターと比較して、より少ない高表面ヒトCD47発現を有するレンチウイルスベクター粒子しかマクロファージによって取り込まれなかった(図5)。
【0287】
in vivoでの肝臓への形質導入に関する高表面レベルのヒトCD47の効果をさらに評価するために、7.5E9TU/kg用量、n=3/処置群での静脈内投与後の非ヒト霊長類(NHP)において、CD47high LV-coFIX-1-R338LをLV-coFIX-1-R338Lと比較した。ブタオザルを使用して、処置後のNHPにおけるレンチウイルスベクターの制約を回避した。
【0288】
レンチウイルスベクターによる処置後の循環ヒトFIXレベルは、ヒトFIX特異的活性(図6A)および抗原アッセイ(図6B)によって測定した。CD47high LV-coFIX-1-R338は、LV-coFIX-1-R338Lと比較して、レンチウイルスベクターによる処置後に3倍高いヒトFIX発現を付与し、それぞれ、正常なFIX活性レベルの200~300%および50~150%である(図6A)。CD47high LV-coFIX-1-R338Lの使用は、LV-FIXを低下させ、レンチウイルスベクター処置に関連する急性毒性を低下させる可能性があるだろう。
【0289】
ヒトFIX発現レベルに加えて、処置した動物の恒常性もAPTTアッセイによってモニターした(図6C)。ビヒクル処置した動物のAPTT時間は同じ範囲内のままであったが、LV-FIX処置したすべての動物では有意に短いAPTT時間が観察され(図6C)、このことは、レンチウイルスベクター処置によって得られたヒトFIXタンパク質が機能的に活性であることを示す。
【実施例4】
【0290】
非ヒト霊長類におけるCD47high LV-coFIX-1-R338Lの用量応答
NHPにおけるCD47high LV-coFIX-1-R338Lの用量応答プロファイルを決定するために、1.5E9および3E9TU/kg(n=3/用量レベル)の2つの低用量のCD47high LV-coFIX-1-R338Lを試験した。レンチウイルスベクターに媒介されるヒトFIX発現を、定常状態で循環したヒトのFIX特異的活性(図7A)と抗原レベル(図7B)を分析することによってモニターした。
【0291】
HemBマウスにおいて観察された結果と一致して、NHPのLV-coFIX-1-R338Lでも、log/log用量応答曲線を観察した。正常な循環FIXレベルの10~100%を達成するために必要とされるCD47high LV-coFIX-1-R338Lの用量範囲は、HemBマウスにおけるものよりも低い3.5~6E9TU/kgである。治療用量範囲のシフトは、同じ用量レベルのHemBマウスと比較して、NHPでは5~10倍高いヒトFIX発現レベルによるものであり、これは、動物種の変化とヒトCD47の認識(ヒトCD47はHemBマウスにおいて認識されない)を原因とするものだろう。
【0292】
LV-coFIX-1-R338Lを投与した動物は、投与後のALTレベル(図8A)、ASTレベル(図8B)、リンパレベル(図8C)および体温(図8D)によって示されるように、非常に穏やかな急性免疫応答を示した。CD47high LV-coFIX-1-R338Lの投与後に、LV対照ベクターと比較して、サイトカイン応答の低下が観察された(図9A~9C)。対照LV、MIP-1a、MIP-1b、およびMCP-1の投与後に、MIP-1a、MIP-1b、およびMCP-1の穏やかな増加が観察されたのに対し、CD47high LV-coFIX-1-R338Lの投与後に、発現は低下し、一部の場合には検出不能であった。期待されたように、LV-coFIX-1-R338Lは主として肝臓および脾臓に局在化し、肝臓と脾臓において、他の器官より100倍を超えて多いベクターコピー数(VCN)を有した(図10)。これらのデータは、CD47high LV-coFIX-1-R338Lが、アロ特異的免疫応答の低下を誘導し、それと共に食作用への耐性を増加させ、肝細胞への遺伝子移入を改善することを示唆する。
【実施例5】
【0293】
非ヒト霊長類におけるCD47high LV-coFIX-1-R338Lの用量応答についての追加試験
2.5E9TU/kgの用量のCD47high LV-coFIX-1-R338Lで、静脈内投与によって、さらなるブタオザルを処置した。定常状態で循環したヒトFIX特異的活性(図11A)および抗原レベル(図11B)を分析することによって、レンチウイルスベクターに媒介されるヒトFIX発現をモニターした。LV処置後に、定常状態の循環ヒトFIX活性は、正常の約33%であり、循環ヒトFIX抗原量は700ng/mLであり、正常なFIX抗原レベルの14%に相関した。
【0294】
特定の実施形態についての前記記載は、本開示の一般的性質を十分に明らかにしているため、他者が、過度な実験をすることなく、本開示の一般的概念から逸脱することなく、当技術分野の知識を適用することによって、このような特定の実施形態を容易に修正するおよび/またはそれに種々の応用を適用することができる。したがって、このような適応および修正は、本明細書に提示される教示およびガイダンスに基づき、本開示の実施形態の意味および均等物の範囲内にあることが意図される。本明細書の表現法または用語法は説明を目的とするものであって限定を目的とするものではなく、その結果、本明細書の用語法または表現法は教示とガイダンスを考慮して当業者に解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【0295】
本開示の他の実施形態は、本明細書および本明細書に開示された本開示の実施を考慮して当業者に明らかである。本明細書および実施例は例示として考慮されるに過ぎず、本開示の真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【0296】
本明細書で引用したすべての特許および刊行物は、参照によってその全体として本明細書に組み入れる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図10
図11
【配列表】
2022514465000001.app
【国際調査報告】