IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エムアッシュエム・ミクロテクニク・ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテの特許一覧

特表2022-514481インピーダンスの変更による無線周波数信号の変調
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】インピーダンスの変更による無線周波数信号の変調
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/067 20060101AFI20220204BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20220204BHJP
   H01Q 9/04 20060101ALI20220204BHJP
   H01Q 21/08 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
G06K19/067 020
G06K7/08 060
H01Q9/04
H01Q21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532915
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 IB2019059792
(87)【国際公開番号】W WO2020121085
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】18211751.5
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521249645
【氏名又は名称】エムアッシュエム・ミクロテクニク・ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】オルチェフスキー・イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー・シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ブーバ・マチュー
(72)【発明者】
【氏名】サンド・ジャン-ポール
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA03
5J021AA07
5J021AB03
(57)【要約】
【課題】RFIDによるメッセージの伝送を改良する。
【解決手段】本発明は、衝突しているRF信号(41)に応答して所定のコード(3)をRF後方散乱放射(2)として送信するように構成されたRFIDタグ(1)に関する。RFIDタグ(1)は、所定の基準周波数(23)での衝突信号に基準後方散乱信号(2)で反応するように構成されている。RFIDタグ(1)はまた、その振幅(20、20)が基準後方散乱信号の振幅(20)がコード(3)を定義する符号化後方散乱信号(2F-G)を持つ伝送周波数(21、22)のグループの任意の伝送周波数にて衝突信号(41)に反応するように構成されている。本発明はさらに、RFID読み取り装置(4)と、キット(5)と、衝突RF信号(41)に応答してRF後方散乱放射(2)として装置(1)から読み取り装置(4)にメッセージを伝送する方法とに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝突RF信号(41)に応答してRF後方散乱放射(2)として所定のコード(3A-K)を伝送するように構成されているRFIDタグ(1)において、
RFIDタグ(1)は、後方散乱信号(2)を持つ所定の基準周波数(23)での衝突信号に応答するように構成されていて、
RFIDタグ(1)は符号化後方散乱信号(2A-G)の振幅(20、20、20)がコード(3A-K)を定義する符号化後方散乱信号(2A-G)を持つ伝送周波数(21、22)のグループの任意の伝送周波数における衝突信号(41)に反応するようにさらに構成されていて、
伝送周波数のグループが少なくとも1つの伝送周波数(21、22)を備え、好ましくは伝送周波数のグループが複数の伝送周波数(21、22)を備え、さらに好ましくは伝送周波数の数は2の累乗である、
RFIDタグ(1)。
【請求項2】
基準後方散乱信号(20)の振幅(20)は、
符号化後方散乱信号の振幅より小さいか、又は大きいことと
符号化後方散乱信号の最小振幅又は最大振幅と同一であることと
のどちらかである、請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
ダイポールアンテナのグループを備え、
ダイポールアンテナのグループが、1つ又はそれより多い符号化ダイポールアンテナ(24A-K)を備え、各符号化ダイポールアンテナ(24A-K)が、伝送周波数(22、23)のグループの1つの伝送周波数において符号化後方散乱信号を提供する、
請求項1又は2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
共振ユニットのグループを備え、
共振ユニットのグループが、1つ又はそれより多い共振ユニット(25A-D)を備え、各共振ユニット(25A-D)が、好ましくはモノポールアンテナである2つのアンテナ(253、253)間、に電気的に接続されている共振伝送線(251、251)を備え、
各符号化共振ユニット(25A-D)が伝送周波数(22、23)のグループの1つの伝送周波数にて符号化後方散乱信号を提供する、請求項1から3のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
曲折線搭載アンテナのグループを備え、
曲折線搭載アンテナのグループは1つ又はそれより多い曲折線搭載アンテナ(26A-B)を備え、各符号化曲折線搭載アンテナは伝送周波数(22、23)の1つの伝送周波数にて符号化後方散乱信号を提供する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項6】
ダイポールアンテナのグループが、基準後方散乱信号(2)を提供する基準ダイポールアンテナ(24)をさらに備えることと、
共振ユニットのグループが、基準後方散乱信号(2)を提供する基準共振ユニット(25)をさらに備えることと、
曲折線搭載アンテナのグループが、基準後方散乱信号(2)を提供する基準曲折線搭載アンテナ(26)をさらに備えることと
のいずれかである、請求項3から5のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記ダイポールアンテナのグループの少なくとも1つのダイポールアンテナと、前記共振ユニットの少なくとも1つの共振伝送線と、前記曲折線搭載アンテナのグループの少なくとも1つの曲折線搭載アンテナとの少なくともいずれか1つが支持体(10)に印刷されていて、
好ましくは、前記ダイポールアンテナのグループの複数のダイポールアンテナと、前記共振ユニットの複数の共振伝送線と、前記曲折線搭載アンテナのグループの複数の曲折線搭載アンテナとが支持体(10)に、好ましくは同じ支持体(10)に印刷されている、請求項3から6のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項8】
各ダイポールアンテナと、各共振伝送線と、各曲折線搭載アンテナとの少なくともいずれか1つは、符号化部分を備え、
基準電気的インピーダンスに関する前記符号化部分の電気的誘導性がコード(3A-H)を定義し、
好ましくは、前記符号化部分の形状と、寸法と、材料との少なくともいずれか1つがコード(3A-H)を定義し、
好ましくは、前記基準電気的インピーダンスは、基準ダイポールアンテナ(24)と、基準共振ユニットと、基準曲折線搭載アンテナ(26)との少なくともいずれか1つの電気的インピーダンスに関連している、
請求項7に記載のRFIDタグ。
【請求項9】
符号化部分の材料が導電性印刷材料のセットの中から選択されていて、導電性印刷材料のセットは好ましくは導電性金属と、導電性セラミックと、導電性ポリマーとの少なくとも一種を備えている、請求項8に記載のRFIDタグ。
【請求項10】
質問RF信号(41)を発し、RFIDタグ(1)からの後方散乱信号(2)を受信し、前記後方散乱信号内に符号化されているコード(3A-K)を再構成するように構成されている、RFID読み取り装置(4)であって、
RFID読み取り装置(4)が
所定の基準周波数(23)における後方分散信号(2)の基準振幅(20)を計測し、そして
伝送周波数のグループ(21、22)の任意のグループにおける後方散乱信号(2A-E)の符号化振幅(20A-B)を計測し、そして
基準振幅(20R)に対する符号化振幅(20A-B)に基づいてRFIDタグ(1)のコード(3A-K)を決定するように、さらに構成されているRFID読み取り装置(4)。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載のRFIDタグ(1)と、請求項10に記載のRFID読み取り装置(4)とを備えるキット(5)。
【請求項12】
装置(1)から読み取り装置(4)に、読み取り装置(4)によって生成される衝突RF信号(41)に応答しRF後方散乱放射(2)としてコードを伝送する方法であって、
所定の基準周波数(23)における衝突信号に反応して基準後方散乱信号(2)を提供することと、
第1伝送周波数における衝突信号に反応して符号化後方散乱信号(2A-G)を提供することと
を備える前記方法において、
基準後方散乱信号の振幅(20)に対する符号化後方散乱信号(2A-E)の振幅(20、20、20)がコード(3A-H)を定義する、
前記方法。
【請求項13】
伝送周波数のグループの1つでの任意の衝突信号に反応して、1つの符号化後方散乱信号(2A-E)を提供することをさらに備え、
基準後方散乱信号の振幅(20)に対する符号化後方散乱信号(2A-E)の振幅(20、20、20)の複数がコード(3A-H)を定義する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
基準後方散乱信号の振幅(20)に対する各符号化後方散乱信号(2A-E)の振幅(20、20、20)の変更を、装置(1)の電気的伝導性部分(29A-Q)の電気的インピーダンスの変更によって得られ、
電気的伝導性部分(29A-Q)は、アンテナの一部、あるいは1つ又はそれより多いアンテナに電気的に接続されている電気的伝導性部分である、
請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
電気的伝導性部分(29A-Q)は、ダイポールアンテナと、2つのアンテナ間に電気的に接続されている共振伝送線(28)と、曲折線搭載アンテナ(26、26、26)との少なくとも1つの一部分である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
電気的導体部分(29A-Q)が支持体(10)に印刷される、請求項14又は15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグ、特にチップレスRFIDタグ、及びRFID読み取り装置に関する。
【0002】
本発明はまた、読み取り装置の衝突RF信号に応答して、RF後方散乱放射として装置から読み取り装置にメッセージを伝送する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
製品の追跡を提供する装置、特に栄養、航空、医療分野などの重要な分野への関心が高まっている。
【0004】
無線識別(RFID)タグは、対象の追跡を効率的に提供する。特に、質問に人間の操作者が必要なバーコードとは異なり、RFIDタグの識別は電磁場(特にRadio Frequency-RF)に依拠し、タグが取り付けられている対象の追跡の自動化を提供する。
【0005】
それらの採用に対する主な課題は、RFIDの費用である。主な費用は、集積回路の設計と製造、特に、識別を符号化する電磁場を提供する特定用途向け集積回路(ASIC)に関連している。今日では、そのように、単一の製造費用を削減するために、集積回路を持たないRFIDタグ(チップレスRFIDタグともいう)を提供することに関心が高まっている。
【0006】
チップレスRFIDの設計における主な課題(つまり、トランスポンダーにマイクロチップを必要としないRFIDタグ)は、データを効率的に符号化して伝送する方法である。
【0007】
時間領域反射率測定法に依拠するチップレスRFIDタグは既知である。特に質問パルスの形で、RF信号の衝突に応答して、これらのチップレスRFIDタグはエコーを生成するもので、ここではパルス生成(すなわち到着)のタイミングがデータを符号化する。
【0008】
周波数署名技術に依拠するチップレスRFIDタグは既知のである。これらのRFIDタグは、減衰して質問パルスの選択された周波数成分を吸収するように構成されていて、特定の周波数成分の有無によってデータが符号化される。特定の周波数の放射を減衰又は吸収するために、化学薬品、磁性材料、又は共振回路を使用する場合がある。
【0009】
ただし、時間領域又は周波数署名技術に依拠するチップレスRFIDタグは、各データのビットの符号化が専用のエコー又は周波数を要するので、固有に小さなデータ量の提供に適している。さらに、エコーと署名の周波数が乗算されると、タグの寸法が増加するだけでなく、エコー内又は周波数内の干渉によってデータ識別が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、既知の伝送に関して、読み取り装置の衝突RF信号に応答して、RF後方散乱放射としての(チップレス)装置から読み取り装置へのメッセージのより効率的な伝送を提供することである。
【0011】
本発明の課題は、既知のRFIDタグの欠点をなくす、又は少なくとも軽減するRFIDタグ、特にパッシブ又はチップレスRFIDタグを提供することである。従属クレームは、本発明の特に有利な実施形態に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、これらの課題は、請求項1のRFIDタグ、請求項10のRFID読み取り装置、請求項11のキット、及び請求項12の方法によって達成される。
【0013】
提案された解決手段は、(チップレス)装置から読み取り装置へのメッセージのより効率的な伝送を、読み取り装置の衝突RF信号に応答してRF後方散乱放射として提供する。各後方散乱信号は、単一のデジタルビットより多くデジタルで表される記号を提供するのに適しているからである。伝送されるデータのデジタルビット数に関して、そのようにして、必要な符号化周波数の数を減らせる。さらに、符号化周波数の数を減らすことは、RFIDタグの寸法の縮小につながる。
【0014】
一実施形態では、複数のアンテナに、あるいは1つ又はそれより多いアンテナに電気的に接続されている部分の電気的インピーダンスによって、コードが定義されている。特に、これらの(電気的接続)部分は、ダイポールアンテナ及び/又は共振器伝送線及び/又は曲折線負荷アンテナ及び/又はRFIDタグの他の形状のアンテナの一部である。この実施形態は、データの効率的な符号化及び伝送を提供する。
【0015】
一実施形態において、これらの部分は、RFIDタグの支持体上に印刷されている。特定の実施形態では、コードは、これらの印刷部分の形状、寸法、及び/又は材料を変更することによって定義される。
【0016】
一実施形態では、基準後方散乱信号の振幅に対する符号化後方散乱信号の各振幅は、コードの記号を定義する。
【0017】
一実施形態において、コードと(コードに)対応する記号との少なくとも一方は、1つ又はそれより多いアルファベット記号と、1つ又はそれより多い英数字記号と、1つ又はそれより多い数字記号と、1つ又はそれより多い2進数と、1つ又はそれより多い活字記号と、1つ又はそれより多いグラフィック記号との少なくともいずれか一種によって表されている。
【0018】
一実施形態では、RFIDタグはパッシブRFIDタグであり、好ましくは、RFIDタグはチップレスRFIDタグである。
【0019】
一実施形態では、コードは固有の識別子であり、好ましくはRFIDタグに割り当てられる。
【0020】
本発明はさらに、読み取り装置によって生成された衝突RF信号に応答して、RF後方散乱放射としてコードを装置から読み取り装置に伝送する方法に関する。
【0021】
この方法の特定の実施形態では、コードは、装置によって収集される固有の識別子又はデジタルメッセージである。
【0022】
方法の一実施形態では、装置は、RFIDタグ、好ましくはパッシブRFIDタグ又はチップレスRFIDタグである。
【0023】
これらの特定の実施形態は、さらに、データの効率的な符号化及び伝送を提供するだけでなく、RFIDタグの費用効果の高い製造も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明による、RFIDタグ及びRFID読み取り装置を備える通信システムの例示的な図を示す。
図2a図2aは、本発明による、ダイポールアンテナに依拠するRFIDタグの実施形態の図を示す。
図2b図2bは、本発明による、ダイポールアンテナに依拠するRFIDタグの実施形態の図を示す。
図2c図2cは、本発明による、ダイポールアンテナに依拠するRFIDタグの実施形態の図を示す。
図3図3は、図1aから図1cのRFIDタグによって生成される後方散乱信号の例示的な図である。
図4a図4aは、本発明による、ダイポールアンテナに依拠するRFIDタグの他の実施形態の図を示す。
図4b図4bは、本発明による、ダイポールアンテナに依拠するRFIDタグの他の実施形態の図を示す。
図4c図4cは、本発明による、ダイポールアンテナに依拠するRFIDタグの他の実施形態の図を示す。
図5a図5aは、本発明による、共振ユニットに依拠するRFIDタグの実施形態の図を示す。
図5b図5bは、本発明による、共振ユニットに依拠するRFIDタグの実施形態の図を示す。
図6図6は、本発明による、曲折線搭載アンテナに依拠するRFIDタグの実施形態の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、読み取り装置によって生成されて衝突してきている信号に応答して、メッセージを装置から読み取り装置に後方散乱放射として伝送する、費用効果の高いシステム及び効率的な方法に関する。
【0026】
特に、本発明は、無線周波数(RF)衝突信号に応答してRF後方散乱放射としてRFID読み取り装置にメッセージを伝送可能である無線周波数識別(RFID)タグ、特にパッシブ又はチップレスRFIDタグに関する。特に、本発明はチップレスRFIDタグに関する。
【0027】
RFIDタグは、対象物に取り付け可能であり、質問電波に応答して無線周波数の電磁場を使用して、コード、好ましくは装置に割り当てられているか、又は装置に収集されるコードを提供するように構成された任意の装置である。コードは、好ましくは、識別及び追跡目的の固有識別子である。
【0028】
パッシブRFIDタグは、質問電波(によって提供されるエネルギー)から後方散乱放射線を固有に生成するように構成されている、すなわち所与のコードを格納及び/又は伝送する動力源を持たない、RFIDタグを指す。
【0029】
チップレスRFIDタグは、集積回路のない、例えば、所与のコードを格納及び/又は伝送するトランジスタを持たない、RFIDタグを指す。
【0030】
無線周波数とは、20kHzから300GHzの周波数範囲における電磁界の振動数(周波数)を指す。
【0031】
図1は、装置1から読み取り装置4(リーダ4)にコード3を伝送する方法及びシステムの例示的な図を示す。特に、装置1は、読み取り装置4によって生成された、衝突するRF信号41(すなわち、無線周波数の範囲内の周波数を有する質問信号)に応答して、無線周波数(RF)後方散乱放射線2(すなわち、無線周波数の範囲内の周波数を有する後方散乱放射線)を提供するように構成されている。
【0032】
図1に示すように、装置1は
所定の基準周波数23での衝突信号に反応して(基準)後方散乱信号2を提供し、
少なくとも伝送周波数21、22の衝突信号に応答して、少なくとも、(符号化)後方散乱信号2、2を提供するように構成されていて、
コード3は、各符号化後方散乱信号2の振幅20、20を基準後方散乱信号(すなわち、所定の基準周波数23における後方散乱信号)の振幅20と比較することによって定義されている。
【0033】
図1に示すように、装置1は、所定の個別の(すなわち、異なる)伝送周波数21、22のグループのいずれかの伝送周波数における衝突信号に反応して、質問信号に異なる後方散乱信号2、2を提供するように構成可能である。よって、コード3は、基準後方散乱信号の振幅に対する符号化後方散乱信号のそれぞれの相対振幅によって定義可能である。
【0034】
コードは、一連の並置された記号31、32を備え得るものであり、好ましくは、事前定義された記号のリスト内で選択された記号31、32である。このリストは、特には、アルファベット記号、英数字記号、数字記号、2進数、活字記号、及び/又は図形的記号を備える。
【0035】
よって、各符号化後方散乱信号の相対振幅は、(基準後方散乱信号の振幅20に対して)コード3の記号31、32(例えば、記号のグループまでの単一の記号)を定義可能である。提供される記号は、1つ又はそれより多いアルファベット記号、1つ又はそれより多い英数字記号、1つ又はそれより多い数字記号、1つ又はそれより多い2進数、1つ又はそれより多い活字記号、及び/又は1つ又はそれより多い図形的記号である。
【0036】
コード内の提供された記号の位置(記号の並置)は、それらの伝送周波数(例えば、低い周波数から最高周波数へ)との関係(例えば、その関数)で定義できる。この関係は、後方散乱信号の振幅の尺度を提供する所与の(振幅)単位に従うことと、電磁波の2つの振幅間の比を提供する所与の(比の)単位(例えば、dB)に関することとの少なくとも一方で決定可能である。
【0037】
コード3とその記号との少なくとも一方は、振幅が基準後方散乱信号の振幅よりも大きい、(実質的に)等しい、又は小さい符号化後方散乱信号を(所与の符号化周波数で)提供することによって定義できる。ここで、(より大きい、等しい、又はより小さいという)関係は、コード3と記号との少なくとも一方を定義する。
【0038】
コード3とその記号との少なくとも一方は、振幅が基準後方散乱信号の振幅の倍数である、(所与の符号化周波数における)符号化後方散乱信号を提供することによって定義できる。その倍数は、コード3と記号との少なくとも一方を定義する。
【0039】
それゆえ、コード3に依存して、基準後方散乱信号20の振幅20は、最小振幅であるか、又はそれより多い符号化後方散乱信号の最小振幅と同一である。
【0040】
コード3とその記号との少なくとも一方は、その振幅が基準後方散乱信号の振幅の除数である、(所与の符号化周波数における)符号化後方散乱信号を提供することによって定義できる。除数は、コード3と記号との少なくとも一方を定義する。コード3に依存して、基準後方散乱信号20の振幅20は、最大振幅又は複数の符号化後方散乱信号の最大振幅と同一である。
【0041】
コード3とその記号との少なくとも一方は、その振幅が基準後方散乱信号の振幅の比率である(所与の符号化周波数における)符号化後方散乱信号を提供することによって定義できる。この比率は、コード3と記号との少なくとも一方を定義する。基準後方散乱信号20の振幅20は、装置1が提供可能であるよりも小さい又はより大きい振幅のいずれかであると有利に定義可能である。
【0042】
有利なことに、出願人は、基準後方散乱信号の振幅20に対する上記符号化後方散乱信号(2A-E)のそれぞれの振幅20、20、20の変更は、装置1の電気的伝導部分の電気的インピーダンスを変更することによって追跡(取得)できることを見出した。装置1の電気的伝導部分は、符号化後方散乱信号の生成に関与する。特に、電気的伝導部分はアンテナの一部であるか、又は1つ又はそれより多いアンテナに電気的に接続されている部分であり得る。
【0043】
さらに、出願人は、印刷プロセスによるこれらの導電性部分の製造が、費用効率の高い装置を提供できることを見出した。実際、これらの導電性部分を印刷して、特にこれらの部分の寸法を決めることと、適切な(導電性)印刷物を選択したりすることとの少なくとも一方によって、コード(例えば、固有識別子)を装置に割り当てられる。
【0044】
これらの部分は、特にセリグラフィ、半導体リソグラフィ、導電性(インクの)インクジェット印刷、導電性材料の3D印刷、又はそれらの組み合わせによって(共通)支持体に印刷可能である。
【0045】
支持体は、プリント回路基板、又はPET(ポリエチレン テレフタレート)、PS(ポリスチレン)、PC(ポリカーボネート)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PLA(ポリ乳酸)、紙、段ボール、その他多数の他の非導電性材料に可能である。支持体は、対象物の既存のパッケージの一部又は対象物自体の一部に可能である。
【0046】
読み取り装置4は、それゆえ、質問RF信号41を発し、装置1から後方散乱信号2を受信し、後方散乱信号に符号化されたコード3Kを再構成するように構成されている。特に、読み取り装置4はさらに、
基準周波数23で基準後方散乱信号2の基準振幅20を測定し、
伝送周波数グループ21、22の各伝送周波数において、符号化後方散乱信号2F-Gの符号化振幅20A-Bを測定し、
基準振幅20に対する符号化振幅20A-Bに基づいて、装置1のコード3Kを決定するように構成されている。
【0047】
衝突信号(質問RF信号)41は、伝送周波数のグループの全ての伝送周波数に(同時に)質問する広帯域衝突信号であり得る。
【0048】
有利には、装置1は、RFIDタグ1、特にパッシブRFID、特にチップレスRFIDタグであり得る。コードは、有利には、識別及び/又は追跡の目的で、特にRFIDタグが取り付けられる対象物のRFIDタグに割り当てられた固有識別子であり得る。読み取り装置は、そのようにして、RFID読み取り装置4であり得る。
【0049】
図1に示すように、RFIDタグ1は、そのようにして、衝突するRF信号41に応答してRF後方散乱放射線2としてコード3Kを伝送するように構成されている。特に、RFIDタグ1は、
(所定の)基準周波数23における衝突信号に基準後方散乱信号2で反応し、
伝送周波数21、22のグループのいずれかの伝送周波数の衝突信号41に、後方散乱信号2、2を符号化して反応するように構成されていて、
後方散乱信号2、2の振幅20、20は、基準後方散乱信号の振幅20に対して符号3を定義している。
【0050】
基準周波数23及びグループの伝送周波数は、無線周波数(RF)範囲内である。
【0051】
伝送周波数のグループは、少なくとも伝送周波数、好ましくは複数の伝送周波数21、22を含み、特に伝送周波数の数は2の累乗である。
【0052】
図2aから図2c及び図4aから図4cは、ダイポールアンテナに依拠するRFIDタグの実施形態の図を示す一方、図3は、関連する後方散乱信号を示す。特に、これらの実施形態は、RFID1の(共通の)支持体10上に印刷されたダイポールアンテナに依拠する。
【0053】
これらの実施形態では、基準周波数23における基準後方散乱信号2図3参照)は、基準ダイポールアンテナ24によって提供される。
【0054】
各ダイポールアンテナ24Aから24E、24の寸法(特に、伝導性片29から29の長さ290)及び(伝導性片29から29の)電気的インピーダンスは、ダイポールアンテナが反応する周波数(すなわち、基準周波数)及び強度(すなわち、振幅減衰)を決定する。
【0055】
図2aに示すように、基準ダイポールアンテナ24、特にその伝導性片29の長さは、(所定の)基準周波数に反応するように寸法を設定可能であり、一方、その導電率は所定の基準振幅減衰を提供するように選択可能である。伝導性片29の幅及び導電率は、基準ダイポールアンテナ24の導電率を決定する。
【0056】
図2aのRFIDは、所与の(伝送)周波数22、23(図3参照)で複数の後方散乱信号2、2を提供するように構成され、各後方散乱信号は、所与のコード3Aを定義するように(符号化)ダイポールアンテナ24、24によって生成される。
【0057】
この例示的な実施形態では、コード3は、(同じ)記号Sの並置によって表され、記号Sは、(この例では)基準後方散乱信号2の振幅と(実質的に)同じ振幅を有する後方散乱信号によって定義される。実質的に同じ振幅という用語は、同じ振幅又は類似(例えば、部品製造エラー、特にアンテナ製造エラー、熱エラー、読み取り装置の不確実性又は周囲ノイズによる変動を下回る差)の振幅を意味する。
【0058】
図2aのRFIDタグは、そのようにして、第1及び第2後方散乱信号2、2が、基準ダイポールアンテナ24によって提供される基準後方散乱信号2の基準振幅20と(実質的に)同じ振幅を有する(図3参照)。
【0059】
図2b及び図3bの例示的な実施形態では、RFIDタグ1に割り当てられたコード3、3は、基準振幅20とは異なる(すなわち、より大きい又はより小さい)振幅20、20によって定義される少なくとも記号S、S、Sを含む(図3参照)。
【0060】
後方散乱信号の振幅の変更は、関連する符号化ダイポールアンテナ24の電気的インピーダンスを変更することによって、特に、(関連する)ダイポールアンテナの伝導性片29、29、29の寸法を変更することによって提供できる。
【0061】
特に、図2b及び図2cに示すように、ダイポールアンテナの電気的インピーダンスの減少につながる、ダイポールアンテナの伝導性片29、29の幅293、294を拡大することにより、振幅の増加を得られる。
【0062】
同様に、図2cに示すように、特に、ダイポールアンテナの電気的インピーダンスの増加につながる、ダイポールアンテナの伝導性片29の幅を短くすることによって(片を完全になくすことによっても)振幅の減少を得られる。
【0063】
代替的又は補足的に、図4aから図4cの例示的な実施形態に表されているように、振幅の増加又は減少は、ダイポールアンテナを製造する別の材料(例えば、伝導性片29から29の印刷)を使用して得られる。別の材料は、別の電気抵抗率(比電気抵抗ともいう)を持つものである。
【0064】
印刷可能な材料は、伝導性金属、伝導性セラミック、及び/又は液体状態に加熱された金属(例えば、銅又はアルミニウム)、金属又は炭素ドープインク(例えば、銀及び塩化銀インク又はエポキシ)、又は溶融ポリマー(例えば、炭素ドープポリ乳酸-PLA)である。
【0065】
これらの特定の実施形態は、さらに、効率的な、データの符号化及び伝送を提供するだけでなく、特定の形状及び/又は寸法のダイポールアンテナを、異なる電気抵抗を持つ印刷可能材料の1つ又は複数で印刷することにより、RFIDに特定のコードを割り当てられるため、RFIDタグの費用効果の高い製造も提供する。
【0066】
代替的に又は補完的に、後方散乱信号は、図5a及び5bに表されているように、共振ユニット25から25及び25のグループによって提供され得る。
【0067】
RFIDタグ1は、そのようにして、
2つのアンテナ間に電気的に接続された共振器伝送線29を有する基準共振ユニット25であって、基準後方散乱信号2を提供する、基準共振ユニット25と、
1つ又はそれより多い符号化共振ユニット25A-Dのそれぞれが、2つのアンテナ253、253間に電気的に接続された共振器伝送線251、251を備え、各符号化共振ユニットは、伝送周波数グループ22、23の1つの伝送周波数にて1つの符号化後方散乱信号を提供する、1つ又はそれより多い符号化共振ユニット25A-Dと、
を備える共振ユニットのグループを備えてよい。
【0068】
特に、各共振ユニットの少なくとも一部(好ましくは全体)の共振器伝送線は、有利には、RFIDタグの(同じ)支持体10上に印刷される。
【0069】
各共振ユニットの各アンテナは、有利にはモノポールアンテナである。
【0070】
衝突信号に応答して、共振器伝送線の電気的誘導性が(基準後方散乱信号の)基準振幅に対して所定の振幅を持つ符号化後方信号を提供する1つ又はそれより多い共振器伝送線によって、コード3G-HがRFIDタグ1に割り当てられる。前述のように、各共振器伝送線(例えば、線29及び線29)、特にその長さと幅との少なくとも一つの寸法を決定することと、特定の電気抵抗性(例えば、線29及び線29)を持つ適切な材料を選択することとの少なくとも一方によって、(特に印刷プロセス中に)望ましい電気誘導性を得られる。
【0071】
代替的又は補足的に、後方散乱信号は、図6に表されているように、曲折線搭載アンテナ26A-B、26のグループによって提供可能である。
【0072】
RFIDタグ1は、そのようにして
基準後方散乱信号2を提供する基準曲折線負荷アンテナ26と、
1つ又はそれより多い符号化曲折線搭載アンテナ26A-Bであって、各符号化曲折線搭載アンテナは、伝送周波数グループ22、23の1つの伝送周波数で1つの符号化後方散乱信号を提供する、1つ又はそれより多い符号化曲折線搭載アンテナ26A-Bと、
を備える曲折線搭載アンテナ26A-B、26のグループを備えてよい。
【0073】
特に、アンテナ間に位置する曲折線搭載アンテナの少なくとも一部分29、29、29は、有利には、RFIDタグの(同じ)支持体10上に印刷される。好ましくは、曲折線搭載アンテナ全体が支持体上に印刷される。
【0074】
1つ又はそれより多い曲折線搭載アンテナの電気的誘導性が、衝突信号に応答して符号化後方散乱信号を提供する、1つ又はそれ以上の曲折線搭載アンテナによって、コード3G-Hは、そのようにしてRFIDタグ1に割り当て可能である。
【0075】
必要な電気誘導性は、
- 曲折線搭載アンテナの形状、特に曲折の数を選択することと、
- (選択された)形状、特に曲折(例えば、曲折線29)の長さと幅との少なくとも一方を決めることと
- 特定の電気抵抗率を持つ材料(例えば、曲折線29)を使用することと
の少なくともいずれか一つによって(特に印刷プロセス中に)得られる。
【0076】
代替的又は補足的に、後方散乱信号は、特に支持体上に完全に又は少なくとも部分的に印刷可能な幾何学的形状を有するらせん形状アンテナなどの他の幾何学的形状を有する他のアンテナによって提供可能である。
【0077】
そのようにして、1つ又はそれより多いそのようなアンテナの電気誘導性が、衝突信号に応答して、(基準後方散乱信号の)基準振幅に対して所定の振幅を持つ符号化後方散乱信号を提供する、1つ又はそれより多いアンテナによって、コード3はRFIDタグに割り当て可能である。
【0078】
所望の電気誘導性は、そのようにして
- アンテナの特定の形状を、特にさまざまな形状のカタログから選択することと、
- (選択された)形状、特にアンテナの印刷可能部分の長さと幅との少なくとも一つとを決めることと、
- 特に、印刷可能な材料のカタログ内で選択された、特定の電気抵抗率を持つ材料を使用することと
の少なくともいずれか1つによって(特に印刷プロセス中に)得られる。
【符号の説明】
【0079】
A-I RFIDタグ
10 支持体
2 RF後方散乱放射
A-G 後方散乱信号
基準後方散乱信号
20A-B 振幅
20 基準振幅
21 第1無線周波数
22 第2無線周波数
23 基準無線周波数
24A-K ダイポールアンテナ
24 基準ダイポールアンテナ
25A-D 共振ユニット
251、251 共振器伝送線
252、252 アンテナ
253、253 アンテナ
25 基準共振ユニット
26A-B 曲折線搭載アンテナ
26 基準曲折線搭載アンテナ
29A-Q 印刷された電気的伝導性部分
290 長さ
291から294 幅
A-K コード
31、32 記号
4 RFID読み取り装置
41 RF信号
5 キット
1-11 記号
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6
【国際調査報告】