(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】EBC層及びCMC層を保護するためのコーティング並びにその溶射コーティング方法
(51)【国際特許分類】
C04B 41/87 20060101AFI20220204BHJP
B32B 18/00 20060101ALI20220204BHJP
C23C 4/134 20160101ALI20220204BHJP
【FI】
C04B41/87 J
B32B18/00 A
C23C4/134
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532931
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 US2019066943
(87)【国際公開番号】W WO2020131929
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515195347
【氏名又は名称】エリコン メテコ(ユーエス)インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ディアンイン
(72)【発明者】
【氏名】ダンブラ、クリス
【テーマコード(参考)】
4F100
4K031
【Fターム(参考)】
4F100AA19C
4F100AA20B
4F100AA20C
4F100AA27C
4F100AA33B
4F100AA33C
4F100AB11A
4F100AD00A
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100BA03
4F100BA07
4F100EH56
4K031AA02
4K031CB42
4K031DA04
(57)【要約】
多層コーティング構成は、基材上の耐環境性コーティング(EBC)、及び該EBC上の少なくとも1つの高密度垂直亀裂(DVC)コーティング層であって、侵食、水蒸気腐食及びカルシウム-マグネシウム-アルミニウム-シリカート(CMAS)に耐性である、少なくとも1つのDVC層を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層コーティング構成であって、
基材上の耐環境性コーティング(EBC)と、
前記EBC上の少なくとも1つの高密度垂直亀裂(DVC)コーティング層であって、侵食、水蒸気腐食及びカルシウム-マグネシウム-アルミニウム-シリカート(CMAS)の少なくとも1つに耐性である、少なくとも1つのDVCコーティング層と、
を備える、多層コーティング構成。
【請求項2】
前記少なくとも1つのDVC層がトップ層である、請求項1に記載のコーティング。
【請求項3】
前記EBCと前記基材との間に少なくとも1つのボンドコーティング層をさらに備える、請求項1に記載のコーティング。
【請求項4】
前記基材がセラミックマトリックス複合材(CMC)を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項5】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、RE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項6】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、希土類酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項7】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、希土類シリカートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項8】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、希土類アルミナートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項9】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、希土類アルミナート又はシリカートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項10】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、アルカリ酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項11】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、ガドリウムジルコナートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項12】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、希土類シリカートを含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項13】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、
RE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
希土類酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
希土類シリカートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
希土類アルミナートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
希土類アルミナート又はシリカートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
アルカリ酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
ガドリウムジルコナートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、並びに
希土類シリカート
のうち2つ以上の混合物を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項14】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、全厚の垂直亀裂を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項15】
EBCコート基材上に配置された侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティングであって、
前記EBCコート基材上に堆積されたDVC侵食耐性及びCMAS耐性コーティング材料のトップ層を備える、コーティング。
【請求項16】
前記EBCと前記基材との間に少なくとも1つのボンドコーティング層をさらに備える、請求項15に記載のコーティング。
【請求項17】
前記基材がCMCを含む、請求項15に記載のコーティング。
【請求項18】
前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層が、希土類酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項15に記載のコーティング。
【請求項19】
前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層が、希土類シリカートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項15に記載のコーティング。
【請求項20】
前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層が、希土類アルミナートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項15に記載のコーティング。
【請求項21】
前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層が、希土類アルミナート又はシリカートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項15に記載のコーティング。
【請求項22】
前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層が、アルカリ酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項15に記載のコーティング。
【請求項23】
前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層が、ガドリウムジルコナートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項15に記載のコーティング。
【請求項24】
前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層が、
RE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
希土類酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
希土類シリカートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
希土類アルミナートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
希土類アルミナート又はシリカートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
アルカリ酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
ガドリウムジルコナートと混合されたRE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、並びに
希土類シリカート
のうち2つ以上の混合物を含む、請求項15に記載のコーティング。
【請求項25】
前記DVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層のトップ層が、全厚の垂直亀裂を含む、請求項15に記載のコーティング。
【請求項26】
CMC基材上に配置された侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性セラミックコーティングであって、
前記基材に結合されたEBCコーティング層と、
前記EBCコーティング層上に直接堆積されたDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層と、
を備える、セラミックコーティング。
【請求項27】
少なくとも1つのEBCコーティング層でコーティングされた基材上に、侵食、水蒸気腐食及びCMASに耐性であるコーティングを形成する方法であって、
前記少なくとも1つのEBCコーティング層上にDVCコーティング材料をプラズマ溶射するステップを含む、方法。
【請求項28】
前記コーティングが、前記少なくとも1つのEBCコーティング層と前記基材との間に少なくとも1つのボンドコーティング層をさらに備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記プラズマ溶射が、
大気圧プラズマ溶射(APS)、
物理蒸着(PS-PVD)、及び
懸濁プラズマ溶射(SPS)
のうちの1つを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記DVC層と前記EBCとの間にCTE緩和層が存在しない、請求項1に記載のコーティング。
【請求項31】
前記DVC層と前記EBCとの間に多孔質垂直亀裂(PVC)中間層が存在しない、請求項1に記載のコーティング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する優先権
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組入れられる、2018年12月18日に出願された米国仮出願第62/781,324号の優先権を請求する。
【0002】
例示的な実施形態は、セラミックマトリックス複合材(CMC)基材を被覆し得る耐環境性コーティング(EBC)を保護する、侵食、水蒸気腐食に、及びカルシウム-マグネシウム-アルミニウム-シリカート(CMAS)に耐性である、多層セラミックコーティングに関する。CMAS耐性多層セラミックのコーティング方法も開示される。
【背景技術】
【0003】
EBCは、酸化及び他の水蒸気攻撃からCMCを保護するのに有利である。高温ガスタービンエンジン環境(例えば最高1600℃)において、EBCは、侵食、異物損傷、水蒸気腐食及びCMAS攻撃を受けるおそれがある。希土類シリカート(RE2SiO5又はRE2Si2O7)は、EBC材料候補の例である。しかし、希土類シリカートは、高温高圧蒸気環境下で、水蒸気との反応のために凹みを受ける恐れがある。さらに、希土類シリカート系は、EBCをCMAS攻撃から保護することができない。CMASによる粉塵侵入及びCMASとEBCとの間の化学反応は、EBCを破砕、即ち小剥片に分解させる可能性があり、その結果、下にあるCMC層又は基材の保護が失われるおそれがある。
【0004】
イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)遮熱コーティングは、ガスタービンエンジンに使用されていて、燃焼環境において良好な水蒸気腐食耐性を示している。しかし、YSZコーティング及び層は一般に、例えば約10×10-6/℃の範囲内の熱膨張係数(CTE)を有するが、これは、通例約4×10-6/℃のCTEを有する低CTE CMC層よりも大きい。したがって、耐ひずみ性コーティング微細構造は、EBC/CMC上にYSZ系コーティングを適用するのに有利である。
【発明の概要】
【0005】
上記の問題及び欠点を考慮して、EBC/CMCコーティング系の侵食、水蒸気腐食及びCMAS耐性を改善する必要がある。例示的な実施形態は、EBC/CMCコーティング系を保護するための、侵食、水蒸気腐食及びCMASに耐性であるセラミックトップコートを含む。コーティング方法も開示される。
【0006】
例示的な実施形態は、基材上のEBC、及びEBC上の少なくとも1つの高密度垂直亀裂(DVC)コーティング層であって、侵食、水蒸気腐食及びCMASに耐性である、少なくとも1つのDVCコーティング層を含む、多層コーティング構成を含む。
【0007】
本開示は、その様々な態様、実施形態及び/又は特定の特徴若しくは下位構成要素のうちの1つ以上を通じて、とりわけ、侵食、水蒸気腐食に及びCMASに耐性であるDVCトップコートを含む多層コーティングであって、EBC上にコーティングされる多層コーティングを提供する。例示的な実施形態において、多層コーティングは、DVCトップコートとEBCとの間のCTE差を緩和するために、例えばDVCトップコートとEBCとの間に1つ以上の多孔質垂直亀裂(PVC)中間コーティングなどの中間層を必要としない。他の例示的な実施形態において、少なくとも一部は高耐ひずみ性のDVC層が存在することに起因して、DVCトップコートとEBCとの間のCTE差を緩和するための中間PVCコーティングは不要である。
【0008】
例示的な実施形態は、1つ以上のEBC層がCMC基材上に最初に適用されるコーティング系を含む。続いて、侵食、水蒸気腐食及びCMASに耐性である1つ以上の高密度垂直亀裂(DVC)コーティング層が、1つ以上のEBC層上のトップ層として適用又は堆積される。
【0009】
例示的な実施形態において、DVC層の多孔率は5%未満であってもよく、DVC層内の亀裂は、DVC層の厚さを通じて部分的に、即ち厚さの50%未満を通じて、又はDVC層の厚さの約50%を通じて延びてもよく、DVC層の厚さ全体さえを通じて延びてもよい。実施形態において、亀裂は、実質的に垂直な亀裂であってもよく、インチ当たり20~200個の亀裂の密度の範囲であってもよい。
【0010】
例示的な実施形態により、EBC/CMC構成要素の耐用年数は、DVCトップ層が存在することによって延長され得て、DVCトップ層は、EBC/CMC構成要素を含む機械又はエンジンの動作寿命を延長及び改善する。
【0011】
例示的な実施形態において、耐ひずみ性DVCコーティングトップ層は、その下のEBC/CMCの組み合わせを保護する。DVC層は、ZrO2若しくはHfO2から構成され得て又はこれらを含み得て、このどちらも希土類酸化物(RE2O3)によって安定化され、CMAS耐性化学組成物と混合され得る。本明細書で使用する場合、CMAS耐性組成物は、CMASダストと反応し、下にあるコーティングへのCMASのさらなる浸透を防止する、即ちDVCコーティング層へのCMASの浸透を防止する結晶相を形成することができる、化学組成物を含む。CMAS耐性組成物は、CMASと反応した後にCMAS融解温度を上昇させることができる化学組成物も含む。
【0012】
例示的な実施形態の利点は、EBC/CMC系の侵食耐性及びCMAS耐性を改善するためにCMAS耐性組成物と混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2を含む。
【0013】
侵食、水蒸気腐食及びCMASに耐性であるDVCを有するDVCトップ層の例示的な実施形態としては、(酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム、酸化スカンジウム、酸化ツリウムを含む例示的な希土類酸化物と共に)以下が挙げられる。
【0014】
RE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2
【0015】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類酸化物との混合物、又は
【0016】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類シリカートとの混合物、又は
【0017】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類アルミナートとの混合物、又は
【0018】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類アルミナートシリカートとの混合物、又は
【0019】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、アルカリ酸化物との混合物、又は
【0020】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、ガドリウムジルコナートとの混合物、又は
【0021】
希土類シリカート又は
【0022】
上記の任意の組み合わせ。
【0023】
例示的な実施形態において、本明細書ではDVCトップ層が記載されているが、トップ層は複数のDVC層を含んでもよい。
【0024】
例示的な実施形態において、DVCトップ層は、約10×10-6/℃のCTE並びに2ミル(0.002インチ)~40ミル(0.040インチ)の厚さを有し得る。本明細書で使用する場合、ミルは0.001インチに等しい。DVCトップ層は、例えば大気圧プラズマ溶射(APS)、プラズマ溶射物理蒸着(PS-PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)などのいくつかの方法によって適用され得る。
【0025】
例示的な実施形態において、EBC層は、3.5×10-6~7×10-6/℃のCTE並びに1ミル~40ミルの厚さを有し得る。この層又はコーティングは、例えば大気圧プラズマ溶射(APS)、プラズマ溶射物理蒸着(PS-PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)などのいくつかの方法によって適用され得る。
【0026】
例示的な実施形態において、EBC層とその下のCMCとの間に1つ以上のボンドコーティング層を設けてよく、ボンドコーティング層は、EBC層とCMCとの間の結合を改善するように構成されている。例示的な実施形態において、ボンドコーティング層は、Si、Si-HfO2、シリサイド及び/又はSi-REであってもよく、3.5×10-6~6×10-6/℃のCTE並びに0ミル~10ミルの厚さを有し得る。この層又はコーティングは、例えば大気圧プラズマ溶射(APS)、プラズマ溶射物理蒸着(PS-PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)などのいくつかの方法によって適用され得る。
【0027】
例示的な実施形態において、CMC基材は、約4.5×10-6~5.5×10-6/℃のCTE並びに40ミルを超え約100ミルまでの厚さを有し得る。基材は、SiC又はSi3N4材料であってもよい。
【0028】
例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2、又は1つ以上の希土類酸化物と混合されたRE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2を含み得る。他の例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、希土類シリカートと混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2を含み得る。さらなる例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、希土類アルミナートと混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2を含み得る。なお別の例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、希土類アルミナート又はシリカートと混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2を含み得る。他の例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、アルカリ酸化物と混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2を含み得る。さらなる例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、ガドリウムジルコナートと混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2を含み得る。さらなる例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、希土類シリカートを含み得る。さらに別の例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、上記の1つ以上の組成物の混合物を含み得る。
【0029】
例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、全厚の垂直亀裂を含み得る。
【0030】
本発明の例示的な実施形態は、EBC層に直接結合されたDVCコーティングを含み、EBC層はCMC基材に直接結合されている。
【0031】
本発明の例示的な実施形態は、EBCコート基材上に侵食耐性、水蒸気腐食耐性、及びCMAS耐性コーティングをプラズマ溶射する方法であって、DVCコーティング材料をEBC/CMC上に堆積させることを含む、方法を含む。
【0032】
例示的な実施形態において、EBCコート基材は、EBC層と基材との間に配置された少なくとも1つのボンドコーティング層を含み得る。プラズマ溶射は、大気圧プラズマ溶射(APS)、物理蒸着(PS-PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)のうちの1つを含み得る。
【0033】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】例示的な実施形態による多層コーティングを概略的に示す。
【0035】
【
図2】例示的な実施形態による、適用された多層コーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)断面図を示す。
【0036】
【
図3】例示的な実施形態による、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した、試験に供した適用された多層コーティングの断面図である。
【0037】
【
図4】
図3のコーティング層に使用したコーティング系を示す。
【0038】
【
図5】
図4のコーティング系を溶射するために使用したパラメータを示す図である。
【0039】
【
図6】例示的な実施形態による、900プラスサイクル試験の適用後の、
図3に示す適用した多層コーティングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示の様々な態様、実施形態及び/又は特定の特徴又は下位構成要素のうちの1つ以上を通じて、具体的な上記及び下記の利点のうちの1つ以上を明らかにすることが意図されている。
【0041】
図1は、例示的な実施形態による多層コーティングを概略的に示す。
図1は、例えばCMC基材104などの基材104上に配置された多層コーティング構成101/102を概略的に示す。
図1に示すように、多層コーティング構成101/102は、1つ以上の耐ひずみ性DVCコーティングであるか、又はそれを含む、1つ以上のトップコーティング層101を含む。例示的な実施形態において、1つ以上のトップコーティング層101は、下にある、EBC層102とCMC基材104との組み合わせの上に設けられる。1つ以上のトップコーティング層101は、1つ以上のDVC層101を含んでもよく、CMAS耐性化学組成物と混合された希土類酸化物(RE
2O
3)によって安定化されたZrO
2又はHfO
2から構成されてもよい。例示的な実施形態において、1つ以上のトップコーティング層101は、侵食耐性及び水蒸気腐食耐性を提供し得る。さらなる例示的な実施形態において、1つ以上のトップコーティング層101のうちの1つは、EBC層102上に直接堆積される。他の例示的な実施形態において、1つ以上のDVC層101は、熱サイクル中に大量の膨張及び/又は収縮に耐えることができる十分な耐ひずみ性微細構造を有する。
【0042】
例示的な実施形態において、1つ以上のトップコーティング層101は、EBC/CMC102/104の組み合わせの侵食耐性及びCMAS耐性を改善するために、CMAS耐性化学物質と混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2から構成されてもよい。
【0043】
DVCが侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性である、1つ以上のトップコーティング層101の例示的な実施形態は、(酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム、酸化スカンジウム、酸化ツリウムを含む例示的な希土類酸化物と共に)以下を含む:
【0044】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2、又は
【0045】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類酸化物との混合物、又は
【0046】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類シリカートとの混合物、又は
【0047】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類アルミナートとの混合物、又は
【0048】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類アルミナートシリカートとの混合物、又は
【0049】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、アルカリ酸化物との混合物、又は
【0050】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、ガドリウムジルコナートとの混合物、又は
【0051】
希土類シリカート、又は
【0052】
上記の任意の組み合わせ。
【0053】
例示的な実施形態において、1つ以上のRE安定化は、約10×10-6/℃のCTE並びに2ミル~40ミルの厚さを有し得る。1つ以上のRE安定化は、大気圧プラズマ溶射(APS)、プラズマ溶射物理蒸着(PS-PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)によって適用され得る。
【0054】
例示的な実施形態において、EBC層102は、1つ以上のEBC層又はコーティング102を含み得て、3.5~7×10-6/℃のCTE並びに1ミル~40ミルの厚さを有し得る。このEBC層102は、例えば大気圧プラズマ溶射(APS)、プラズマ溶射物理蒸着(PS-PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)などの複数の方法によって適用され得る。
【0055】
例示的な実施形態において、EBC層102とCMC基材104との間に1つ以上のボンドコーティング層103を設けてもよい。他の例示的な実施形態において、1つ以上のボンドコーティング層103は、Si、シリサイド、Si-HfO2及び/若しくはSi-REであるか、又はそれらを含んでもよく、3.5~6×10-6/℃のCTE並びに0ミル(ボンドコーティング層なし)~10ミルの厚さを有してもよい。1つ以上のボンドコーティング層103は、例えば、大気圧プラズマ溶射(APS)、プラズマ溶射物理蒸着(PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)などの複数の方法によって適用され得る。
【0056】
例示的な実施形態において、CMC基材104は、約4.5~5.5×10-6/℃のCTE並びに40ミルを超える厚さを有し得る。CMC基材は、SiC又はSi3N4であり得るか、又はそれらを含み得る。
【0057】
例示的な実施形態において、1つ以上のトップコーティング層101の多孔率は、5%未満であってもよく、亀裂は、トップコーティング層101の厚さを通じて部分的に、即ちトップコーティング層101の厚さの50%未満、又は厚さの約50%を通じて延びてもよく、トップコーティング層101の厚さ全体を通じて延びてもよい。他の例示的な実施形態において、亀裂は、実質的に垂直な亀裂であってもよく、インチ当たり20~200個の亀裂の密度の範囲であってもよい。
【0058】
例
【0059】
図2は、例示的な実施形態による、適用された多層コーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)断面図を示す。
図2において、トップコートDVC層は、遮熱コーティング(TBC)も含み、高密度EBC上に直接堆積される。
図2は、DVCの外側表面から内側に垂直に延びる亀裂を示す。
【0060】
図3は、例示的な実施形態による、試験に供した適用された多層コーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)断面図である。
図3において、トップDVC層301は、垂直に配向された亀裂302を含み、EBC303上にコーティングされている。例示的な実施形態において、EBC303は、例えばCMCなどの基材304上にコーティングされる。
【0061】
図4は、
図3のコーティング層に使用したコーティング系を示す。
図4において、基材はSiCであり、約2mmの厚さを有し、ボンドコートが存在し、約200μmの厚さを有するSi層であり、EBC層はYb
2Si
2O
7であり、約160μmの厚さを有し、DVCはGd
2Zr
2O
7であり、約200μmの厚さを有する。例示的な実施形態において、上記コーティングを形成するために使用されるプロセスは、Ar/H
2プラズマガスである。
【0062】
図5は、
図4のコーティング系を溶射するために使用される大気圧プラズマ溶射(APS)パラメータを示す。例示的な実施形態において、ボンドコート層のAPSパラメータは、銃電流450アンペア、電圧90ボルト、銃電力44kW、アルゴン流75nlpm(標準リットル毎分)、水素流5nlpm及び粉末供給速度20g/分を含む。例示的な実施形態において、EBC層のAPSパラメータは、銃電流500アンペア、電圧91ボルト、銃電力46kW、アルゴン流70nlpm、水素流5nlpm及び粉末供給速度20g/分を含む。例示的な実施形態において、DVC層の堆積のAPSパラメータは、銃電流500アンペア、電圧91ボルト、銃電力46kW、アルゴン流70nlpm、水素流5nlpm及び粉末供給速度30g/分を含む。
【0063】
図6は、900プラスサイクル試験に供した後の
図3のコーティングを示し、1316℃の温度での900サイクル後に界面603においてDVCトップ層601とEBC 602との間に分離を有するコーティング微細構造を示す。使用した炉サイクル試験(FCT)プロトコルは以下の通りである:試料を室温から1316℃まで10分加熱し、この1316℃の温度で40分間維持し、次いで10分で室温まで冷却する。900サイクル後、コーティングは破砕を示さなかった。しかし、
図6に示す断面は、トップコート(DVC)が剥離し始めたが、破砕しなかったことを示す。このように、試料は破砕を示すことなく900サイクル以上行われた。
【0064】
以下の特許及び刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる参考文献を含む:米国特許第8,197,950号;米国特許第5,073,433号;米国特許出願公開第2014/0178632号;米国特許第5,830,586号;米国特許第6,703,137号;米国特許第6,177,200号;米国特許第7,875,370号;米国特許出願公開第2012/0034491号;米国特許第9,023,486号;米国特許出願公開第2016/0348226号;米国特許第6,296,941号;米国特許第6,284,325号;米国特許第6,387,456号;米国特許第6,733,908号;米国特許第7,740,960号;米国特許出願公開第2010/0158680号;米国特許第7,910,172号;米国特許出願公開第2016/0215631号;米国特許出願公開第2016/0017749号明細書;米国特許出願公開第2014/0272197号;米国特許出願公開第2014/0065438号;米国特許出願公開第2014/0272197号;及び米国特許出願公開第2013/0344319号。
【0065】
さらに、少なくとも本発明は、特定の例示的な実施形態の開示により、例えば、単純化又は効率化などのために、本発明を作製及び使用することを可能にするように本明細書で開示されるため、本発明は、本明細書に具体的に開示されていない追加の要素又は追加の構造がなくても実施することができる。
【0066】
前述の例は、単に説明の目的で提供されたものであり、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。本発明を例示的な実施形態を参照して説明してきたが、本明細書で使用された文言は、限定の文言ではなく、説明及び例示の文言であることが理解される。添付の特許請求の範囲内で、現在記載され、補正されているように、その態様における本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、変更を加えることができる。本発明を、特定の手段、材料及び実施形態を参照して本明細書で説明してきたが、本発明は、本明細書に開示されている記載の詳細に限定されることを意図しておらず、むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲内にあるような、機能的に同等なすべての構造、方法及び使用に及ぶ。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層コーティング構成であって、
基材上の耐環境性コーティング(EBC)と、
前記EBC上の少なくとも1つの高密度垂直亀裂(DVC)コーティング層であって、侵食、水蒸気腐食及びカルシウム-マグネシウム-アルミニウム-シリカート(CMAS)の少なくとも1つに耐性である、少なくとも1つのDVCコーティング層と、
を備える、多層コーティング構成。
【請求項2】
前記少なくとも1つのDVC層がトップ層である、請求項1に記載のコーティング。
【請求項3】
前記EBCと前記基材との間に少なくとも1つのボンドコーティング層をさらに備える、請求項1に記載のコーティング。
【請求項4】
前記基材がセラミックマトリックス複合材(CMC)を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項5】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、RE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項6】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、希土類酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2
を含み、又は
希土類酸化物と混合されたRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項7】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、希土類シリカートと混合されたRE安定化ZrO
2
を含み、又は
希土類シリカートと混合されたRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項8】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、希土類アルミナートと混合されたRE安定化ZrO
2
を含み、又は
希土類アルミナートと混合されたRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項9】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、希土類アルミナート
若しくはシリカートと混合されたRE安定化ZrO
2
を含み、又は
希土類アルミナート若しくはシリカートと混合されたRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項10】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、アルカリ酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2
を含み、又は
アルカリ酸化物と混合されたRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項11】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、ガドリウムジルコナートと混合されたRE安定化ZrO
2
を含み、又は
ガドリウムジルコナートと混合されたRE安定化HfO
2を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項12】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、希土類シリカートを含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項13】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、
RE安定化ZrO
2又はRE安定化HfO
2、
希土類酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2又は
希土類酸化物と混合されたRE安定化HfO
2、
希土類シリカートと混合されたRE安定化ZrO
2又は
希土類シリカートと混合されたRE安定化HfO
2、
希土類アルミナートと混合されたRE安定化ZrO
2又は
希土類アルミナートと混合されたRE安定化HfO
2、
希土類アルミナート
若しくはシリカートと混合されたRE安定化ZrO
2又は
希土類アルミナート若しくはシリカートと混合されたRE安定化HfO
2、
アルカリ酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2又は
アルカリ酸化物と混合されたRE安定化HfO
2、
ガドリウムジルコナートと混合されたRE安定化ZrO
2又は
ガドリウムジルコナートと混合されたRE安定化HfO
2、並びに
希土類シリカート
のうち2つ以上の混合物を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項14】
前記少なくとも1つのDVCコーティング層が、全厚の垂直亀裂を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項15】
前記DVC層と前記EBCとの間にCTE緩和層が存在しない、請求項1に記載のコーティング。
【請求項16】
前記DVC層と前記EBCとの間に多孔質垂直亀裂(PVC)中間層が存在しない、請求項1に記載のコーティング。
【請求項17】
少なくとも1つのEBCコーティング層でコーティングされた基材上に、侵食、水蒸気腐食及びCMASに耐性であるコーティングを形成する方法であって、
前記少なくとも1つのEBCコーティング層上にDVCコーティング材料をプラズマ溶射するステップを含む、方法。
【請求項18】
前記コーティングが、前記少なくとも1つのEBCコーティング層と前記基材との間に少なくとも1つのボンドコーティング層をさらに備える、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記プラズマ溶射が、
大気圧プラズマ溶射(APS)、
物理蒸着(PS-PVD)、及び
懸濁プラズマ溶射(SPS)
のうちの1つを含む、請求項
17に記載の方法
。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する優先権
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組入れられる、2018年12月18日に出願された米国仮出願第62/781,324号の優先権を請求する。
【0002】
例示的な実施形態は、セラミックマトリックス複合材(CMC)基材を被覆し得る耐環境性コーティング(EBC)を保護する、侵食、水蒸気腐食に、及びカルシウム-マグネシウム-アルミニウム-シリカート(CMAS)に耐性である、多層セラミックコーティングに関する。CMAS耐性多層セラミックのコーティング方法も開示される。
【背景技術】
【0003】
EBCは、酸化及び他の水蒸気攻撃からCMCを保護するのに有利である。高温ガスタービンエンジン環境(例えば最高1600℃)において、EBCは、侵食、異物損傷、水蒸気腐食及びCMAS攻撃を受けるおそれがある。希土類シリカート(RE2SiO5又はRE2Si2O7)は、EBC材料候補の例である。しかし、希土類シリカートは、高温高圧蒸気環境下で、水蒸気との反応のために凹みを受ける恐れがある。さらに、希土類シリカート系は、EBCをCMAS攻撃から保護することができない。CMASによる粉塵侵入及びCMASとEBCとの間の化学反応は、EBCを破砕、即ち小剥片に分解させる可能性があり、その結果、下にあるCMC層又は基材の保護が失われるおそれがある。
【0004】
イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)遮熱コーティングは、ガスタービンエンジンに使用されていて、燃焼環境において良好な水蒸気腐食耐性を示している。しかし、YSZコーティング及び層は一般に、例えば約10×10-6/℃の範囲内の熱膨張係数(CTE)を有するが、これは、通例約4×10-6/℃のCTEを有する低CTE CMC層よりも大きい。したがって、耐ひずみ性コーティング微細構造は、EBC/CMC上にYSZ系コーティングを適用するのに有利である。
【発明の概要】
【0005】
上記の問題及び欠点を考慮して、EBC/CMCコーティング系の侵食、水蒸気腐食及びCMAS耐性を改善する必要がある。例示的な実施形態は、EBC/CMCコーティング系を保護するための、侵食、水蒸気腐食及びCMASに耐性であるセラミックトップコートを含む。コーティング方法も開示される。
【0006】
例示的な実施形態は、基材上のEBC、及びEBC上の少なくとも1つの高密度垂直亀裂(DVC)コーティング層であって、侵食、水蒸気腐食及びCMASに耐性である、少なくとも1つのDVCコーティング層を含む、多層コーティング構成を含む。
【0007】
本開示は、その様々な態様、実施形態及び/又は特定の特徴若しくは下位構成要素のうちの1つ以上を通じて、とりわけ、侵食、水蒸気腐食に及びCMASに耐性であるDVCトップコートを含む多層コーティングであって、EBC上にコーティングされる多層コーティングを提供する。例示的な実施形態において、多層コーティングは、DVCトップコートとEBCとの間のCTE差を緩和するために、例えばDVCトップコートとEBCとの間に1つ以上の多孔質垂直亀裂(PVC)中間コーティングなどの中間層を必要としない。他の例示的な実施形態において、少なくとも一部は高耐ひずみ性のDVC層が存在することに起因して、DVCトップコートとEBCとの間のCTE差を緩和するための中間PVCコーティングは不要である。
【0008】
例示的な実施形態は、1つ以上のEBC層がCMC基材上に最初に適用されるコーティング系を含む。続いて、侵食、水蒸気腐食及びCMASに耐性である1つ以上の高密度垂直亀裂(DVC)コーティング層が、1つ以上のEBC層上のトップ層として適用又は堆積される。
【0009】
例示的な実施形態において、DVC層の多孔率は5%未満であってもよく、DVC層内の亀裂は、DVC層の厚さを通じて部分的に、即ち厚さの50%未満を通じて、又はDVC層の厚さの約50%を通じて延びてもよく、DVC層の厚さ全体さえを通じて延びてもよい。実施形態において、亀裂は、実質的に垂直な亀裂であってもよく、インチ当たり20~200個の亀裂の密度の範囲であってもよい。
【0010】
例示的な実施形態により、EBC/CMC構成要素の耐用年数は、DVCトップ層が存在することによって延長され得て、DVCトップ層は、EBC/CMC構成要素を含む機械又はエンジンの動作寿命を延長及び改善する。
【0011】
例示的な実施形態において、耐ひずみ性DVCコーティングトップ層は、その下のEBC/CMCの組み合わせを保護する。DVC層は、ZrO2若しくはHfO2から構成され得て又はこれらを含み得て、このどちらも希土類酸化物(RE2O3)によって安定化され、CMAS耐性化学組成物と混合され得る。本明細書で使用する場合、CMAS耐性組成物は、CMASダストと反応し、下にあるコーティングへのCMASのさらなる浸透を防止する、即ちDVCコーティング層へのCMASの浸透を防止する結晶相を形成することができる、化学組成物を含む。CMAS耐性組成物は、CMASと反応した後にCMAS融解温度を上昇させることができる化学組成物も含む。
【0012】
例示的な実施形態の利点は、EBC/CMC系の侵食耐性及びCMAS耐性を改善するためにCMAS耐性組成物と混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2を含む。
【0013】
侵食、水蒸気腐食及びCMASに耐性であるDVCを有するDVCトップ層の例示的な実施形態としては、(酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム、酸化スカンジウム、酸化ツリウムを含む例示的な希土類酸化物と共に)以下が挙げられる。
【0014】
RE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2
【0015】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類酸化物との混合物、又は
【0016】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類シリカートとの混合物、又は
【0017】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類アルミナートとの混合物、又は
【0018】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類アルミナートシリカートとの混合物、又は
【0019】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、アルカリ酸化物との混合物、又は
【0020】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、ガドリウムジルコナートとの混合物、又は
【0021】
希土類シリカート又は
【0022】
上記の任意の組み合わせ。
【0023】
例示的な実施形態において、本明細書ではDVCトップ層が記載されているが、トップ層は複数のDVC層を含んでもよい。
【0024】
例示的な実施形態において、DVCトップ層は、約10×10-6/℃のCTE並びに2ミル(0.002インチ)~40ミル(0.040インチ)の厚さを有し得る。本明細書で使用する場合、ミルは0.001インチに等しい。DVCトップ層は、例えば大気圧プラズマ溶射(APS)、プラズマ溶射物理蒸着(PS-PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)などのいくつかの方法によって適用され得る。
【0025】
例示的な実施形態において、EBC層は、3.5×10-6~7×10-6/℃のCTE並びに1ミル~40ミルの厚さを有し得る。この層又はコーティングは、例えば大気圧プラズマ溶射(APS)、プラズマ溶射物理蒸着(PS-PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)などのいくつかの方法によって適用され得る。
【0026】
例示的な実施形態において、EBC層とその下のCMCとの間に1つ以上のボンドコーティング層を設けてよく、ボンドコーティング層は、EBC層とCMCとの間の結合を改善するように構成されている。例示的な実施形態において、ボンドコーティング層は、Si、Si-HfO2、シリサイド及び/又はSi-REであってもよく、3.5×10-6~6×10-6/℃のCTE並びに0ミル~10ミルの厚さを有し得る。この層又はコーティングは、例えば大気圧プラズマ溶射(APS)、プラズマ溶射物理蒸着(PS-PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)などのいくつかの方法によって適用され得る。
【0027】
例示的な実施形態において、CMC基材は、約4.5×10-6~5.5×10-6/℃のCTE並びに40ミルを超え約100ミルまでの厚さを有し得る。基材は、SiC又はSi3N4材料であってもよい。
【0028】
例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2、又は1つ以上の希土類酸化物と混合されたRE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2を含み得る。他の例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、希土類シリカートと混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2を含み得る。さらなる例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、希土類アルミナートと混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2を含み得る。なお別の例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、希土類アルミナート又はシリカートと混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2を含み得る。他の例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、アルカリ酸化物と混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2を含み得る。さらなる例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、ガドリウムジルコナートと混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2を含み得る。さらなる例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、希土類シリカートを含み得る。さらに別の例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、上記の1つ以上の組成物の混合物を含み得る。
【0029】
例示的な実施形態において、少なくとも1つのDVCコーティング層は、全厚の垂直亀裂を含み得る。
【0030】
本発明の例示的な実施形態は、EBC層に直接結合されたDVCコーティングを含み、EBC層はCMC基材に直接結合されている。
【0031】
本発明の例示的な実施形態は、EBCコート基材上に侵食耐性、水蒸気腐食耐性、及びCMAS耐性コーティングをプラズマ溶射する方法であって、DVCコーティング材料をEBC/CMC上に堆積させることを含む、方法を含む。
【0032】
例示的な実施形態において、EBCコート基材は、EBC層と基材との間に配置された少なくとも1つのボンドコーティング層を含み得る。プラズマ溶射は、大気圧プラズマ溶射(APS)、物理蒸着(PS-PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)のうちの1つを含み得る。
【0033】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】例示的な実施形態による多層コーティングを概略的に示す。
【0035】
【
図2】例示的な実施形態による、適用された多層コーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)断面図を示す。
【0036】
【
図3】例示的な実施形態による、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した、試験に供した適用された多層コーティングの断面図である。
【0037】
【
図4】
図3のコーティング層に使用したコーティング系を示す。
【0038】
【
図5】
図4のコーティング系を溶射するために使用したパラメータを示す図である。
【0039】
【
図6】例示的な実施形態による、900プラスサイクル試験の適用後の、
図3に示す適用した多層コーティングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示の様々な態様、実施形態及び/又は特定の特徴又は下位構成要素のうちの1つ以上を通じて、具体的な上記及び下記の利点のうちの1つ以上を明らかにすることが意図されている。
【0041】
図1は、例示的な実施形態による多層コーティングを概略的に示す。
図1は、例えばCMC基材104などの基材104上に配置された多層コーティング構成101/102を概略的に示す。
図1に示すように、多層コーティング構成101/102は、1つ以上の耐ひずみ性DVCコーティングであるか、又はそれを含む、1つ以上のトップコーティング層101を含む。例示的な実施形態において、1つ以上のトップコーティング層101は、下にある、EBC層102とCMC基材104との組み合わせの上に設けられる。1つ以上のトップコーティング層101は、1つ以上のDVC層101を含んでもよく、CMAS耐性化学組成物と混合された希土類酸化物(RE
2O
3)によって安定化されたZrO
2又はHfO
2から構成されてもよい。例示的な実施形態において、1つ以上のトップコーティング層101は、侵食耐性及び水蒸気腐食耐性を提供し得る。さらなる例示的な実施形態において、1つ以上のトップコーティング層101のうちの1つは、EBC層102上に直接堆積される。他の例示的な実施形態において、1つ以上のDVC層101は、熱サイクル中に大量の膨張及び/又は収縮に耐えることができる十分な耐ひずみ性微細構造を有する。
【0042】
例示的な実施形態において、1つ以上のトップコーティング層101は、EBC/CMC102/104の組み合わせの侵食耐性及びCMAS耐性を改善するために、CMAS耐性化学物質と混合されたRE安定化ZrO2又はRE安定化HfO2から構成されてもよい。
【0043】
DVCが侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性である、1つ以上のトップコーティング層101の例示的な実施形態は、(酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム、酸化スカンジウム、酸化ツリウムを含む例示的な希土類酸化物と共に)以下を含む:
【0044】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2、又は
【0045】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類酸化物との混合物、又は
【0046】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類シリカートとの混合物、又は
【0047】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類アルミナートとの混合物、又は
【0048】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、希土類アルミナートシリカートとの混合物、又は
【0049】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、アルカリ酸化物との混合物、又は
【0050】
RE安定化ZrO2若しくはRE安定化HfO2の、ガドリウムジルコナートとの混合物、又は
【0051】
希土類シリカート、又は
【0052】
上記の任意の組み合わせ。
【0053】
例示的な実施形態において、1つ以上のRE安定化は、約10×10-6/℃のCTE並びに2ミル~40ミルの厚さを有し得る。1つ以上のRE安定化は、大気圧プラズマ溶射(APS)、プラズマ溶射物理蒸着(PS-PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)によって適用され得る。
【0054】
例示的な実施形態において、EBC層102は、1つ以上のEBC層又はコーティング102を含み得て、3.5~7×10-6/℃のCTE並びに1ミル~40ミルの厚さを有し得る。このEBC層102は、例えば大気圧プラズマ溶射(APS)、プラズマ溶射物理蒸着(PS-PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)などの複数の方法によって適用され得る。
【0055】
例示的な実施形態において、EBC層102とCMC基材104との間に1つ以上のボンドコーティング層103を設けてもよい。他の例示的な実施形態において、1つ以上のボンドコーティング層103は、Si、シリサイド、Si-HfO2及び/若しくはSi-REであるか、又はそれらを含んでもよく、3.5~6×10-6/℃のCTE並びに0ミル(ボンドコーティング層なし)~10ミルの厚さを有してもよい。1つ以上のボンドコーティング層103は、例えば、大気圧プラズマ溶射(APS)、プラズマ溶射物理蒸着(PVD)又は懸濁プラズマ溶射(SPS)などの複数の方法によって適用され得る。
【0056】
例示的な実施形態において、CMC基材104は、約4.5~5.5×10-6/℃のCTE並びに40ミルを超える厚さを有し得る。CMC基材は、SiC又はSi3N4であり得るか、又はそれらを含み得る。
【0057】
例示的な実施形態において、1つ以上のトップコーティング層101の多孔率は、5%未満であってもよく、亀裂は、トップコーティング層101の厚さを通じて部分的に、即ちトップコーティング層101の厚さの50%未満、又は厚さの約50%を通じて延びてもよく、トップコーティング層101の厚さ全体を通じて延びてもよい。他の例示的な実施形態において、亀裂は、実質的に垂直な亀裂であってもよく、インチ当たり20~200個の亀裂の密度の範囲であってもよい。
【0058】
例
【0059】
図2は、例示的な実施形態による、適用された多層コーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)断面図を示す。
図2において、トップコートDVC層は、遮熱コーティング(TBC)も含み、高密度EBC上に直接堆積される。
図2は、DVCの外側表面から内側に垂直に延びる亀裂を示す。
【0060】
図3は、例示的な実施形態による、試験に供した適用された多層コーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)断面図である。
図3において、トップDVC層301は、垂直に配向された亀裂302を含み、EBC303上にコーティングされている。例示的な実施形態において、EBC303は、例えばCMCなどの基材304上にコーティングされる。
【0061】
図4は、
図3のコーティング層に使用したコーティング系を示す。
図4において、基材はSiCであり、約2mmの厚さを有し、ボンドコートが存在し、約200μmの厚さを有するSi層であり、EBC層はYb
2Si
2O
7であり、約160μmの厚さを有し、DVCはGd
2Zr
2O
7であり、約200μmの厚さを有する。例示的な実施形態において、上記コーティングを形成するために使用されるプロセスは、Ar/H
2プラズマガスである。
【0062】
図5は、
図4のコーティング系を溶射するために使用される大気圧プラズマ溶射(APS)パラメータを示す。例示的な実施形態において、ボンドコート層のAPSパラメータは、銃電流450アンペア、電圧90ボルト、銃電力44kW、アルゴン流75nlpm(標準リットル毎分)、水素流5nlpm及び粉末供給速度20g/分を含む。例示的な実施形態において、EBC層のAPSパラメータは、銃電流500アンペア、電圧91ボルト、銃電力46kW、アルゴン流70nlpm、水素流5nlpm及び粉末供給速度20g/分を含む。例示的な実施形態において、DVC層の堆積のAPSパラメータは、銃電流500アンペア、電圧91ボルト、銃電力46kW、アルゴン流70nlpm、水素流5nlpm及び粉末供給速度30g/分を含む。
【0063】
図6は、900プラスサイクル試験に供した後の
図3のコーティングを示し、1316℃の温度での900サイクル後に界面603においてDVCトップ層601とEBC 602との間に分離を有するコーティング微細構造を示す。使用した炉サイクル試験(FCT)プロトコルは以下の通りである:試料を室温から1316℃まで10分加熱し、この1316℃の温度で40分間維持し、次いで10分で室温まで冷却する。900サイクル後、コーティングは破砕を示さなかった。しかし、
図6に示す断面は、トップコート(DVC)が剥離し始めたが、破砕しなかったことを示す。このように、試料は破砕を示すことなく900サイクル以上行われた。
【0064】
以下の特許及び刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる参考文献を含む:米国特許第8,197,950号;米国特許第5,073,433号;米国特許出願公開第2014/0178632号;米国特許第5,830,586号;米国特許第6,703,137号;米国特許第6,177,200号;米国特許第7,875,370号;米国特許出願公開第2012/0034491号;米国特許第9,023,486号;米国特許出願公開第2016/0348226号;米国特許第6,296,941号;米国特許第6,284,325号;米国特許第6,387,456号;米国特許第6,733,908号;米国特許第7,740,960号;米国特許出願公開第2010/0158680号;米国特許第7,910,172号;米国特許出願公開第2016/0215631号;米国特許出願公開第2016/0017749号明細書;米国特許出願公開第2014/0272197号;米国特許出願公開第2014/0065438号;米国特許出願公開第2014/0272197号;及び米国特許出願公開第2013/0344319号。
【0065】
さらに、少なくとも本発明は、特定の例示的な実施形態の開示により、例えば、単純化又は効率化などのために、本発明を作製及び使用することを可能にするように本明細書で開示されるため、本発明は、本明細書に具体的に開示されていない追加の要素又は追加の構造がなくても実施することができる。
【0066】
前述の例は、単に説明の目的で提供されたものであり、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。本発明を例示的な実施形態を参照して説明してきたが、本明細書で使用された文言は、限定の文言ではなく、説明及び例示の文言であることが理解される。添付の特許請求の範囲内で、現在記載され、補正されているように、その態様における本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、変更を加えることができる。本発明を、特定の手段、材料及び実施形態を参照して本明細書で説明してきたが、本発明は、本明細書に開示されている記載の詳細に限定されることを意図しておらず、むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲内にあるような、機能的に同等なすべての構造、方法及び使用に及ぶ。
【0067】
他の一の態様によれば、本発明は、EBCコート基材上に配置された侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティングであって、
前記EBCコート基材上に堆積されたDVC侵食耐性及びCMAS耐性コーティング材料のトップ層を備える、コーティング、に関する。
【0068】
該コーティングの一の実施形態において、該コーティングは、前記EBCと前記基材との間に少なくとも1つのボンドコーティング層をさらに備える。
【0069】
該コーティングの一の実施形態において、前記基材はCMCを含む。
【0070】
該コーティングの一の実施形態において、前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層は、希土類酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
を含む。
【0071】
該コーティングの一の実施形態において、前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層は、希土類シリカートと混合されたRE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
を含む。
【0072】
該コーティングの一の実施形態において、前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層は、希土類アルミナートと混合されたRE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
を含む。
【0073】
該コーティングの一の実施形態において、前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層は、希土類アルミナート又はシリカートと混合されたRE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
を含む。
【0074】
該コーティングの一の実施形態において、前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層は、アルカリ酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
を含む。
【0075】
該コーティングの一の実施形態において、前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層は、ガドリウムジルコナートと混合されたRE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
を含む。
【0076】
該コーティングの一の実施形態において、前記少なくとも1つのDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層は、
(i)RE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
、
(ii)希土類酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
、
(iii)希土類シリカートと混合されたRE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
、
(iv)希土類アルミナートと混合されたRE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
、
(v)希土類アルミナート又はシリカートと混合されたRE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
、
(vi)アルカリ酸化物と混合されたRE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
、
(vii)ガドリウムジルコナートと混合されたRE安定化ZrO
2
又はRE安定化HfO
2
、並びに
(viii)希土類シリカート
のうち2つ以上の混合物を含む。
【0077】
該コーティングの一の実施形態において、前記DVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層のトップ層は、全厚の垂直亀裂を含む、
【0078】
他の一の態様によれば、本発明は、CMC基材上に配置された侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性セラミックコーティングであって、
(i)前記基材に結合されたEBCコーティング層と、
(ii)前記EBCコーティング層上に直接堆積されたDVC侵食耐性、水蒸気腐食耐性及びCMAS耐性コーティング層と、
を備える、セラミックコーティング、に関する。
【国際調査報告】