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特表2022-514496ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート及びコポリエステル組成物ならびにこれらの組成物を使用して製造される物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート及びコポリエステル組成物ならびにこれらの組成物を使用して製造される物品
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20220204BHJP
   C08L 69/00 20060101ALI20220204BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20220204BHJP
   C08G 63/183 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
C08L27/06
C08L69/00
C08L67/00
C08G63/183
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533514
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(85)【翻訳文提出日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 US2019065932
(87)【国際公開番号】W WO2020142176
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】16/220,013
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エリック ヤング
(72)【発明者】
【氏名】マーク アラン トリース
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ユージーン ドネルソン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4J002BD04W
4J002BD05W
4J002BD08W
4J002BD09W
4J002BD10W
4J002CF05Y
4J002CG00X
4J002GL00
4J029AA03
4J029AB01
4J029AD01
4J029AD07
4J029AE01
4J029BA02
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
4J029BA07
4J029BA10
4J029BB13A
4J029BB13B
4J029BB13C
4J029BD02
4J029BD07A
4J029BD10
4J029BF03
4J029BF09
4J029BF18
4J029BF30
4J029CA02
4J029CA04
4J029CA05
4J029CA06
4J029CB04A
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029CB10A
4J029CC05A
4J029CD03
4J029FC05
4J029FC35
4J029FC36
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE05
4J029KE12
(57)【要約】
本開示は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びコポリエステル樹脂を含む新規なポリ塩化ビニル組成物に関する。より具体的には、本開示は、ポリ塩化ビニル組成物のTg及び荷重下熱変形温度(HDTUL)を増加させるための、ポリカーボネート及び高ガラス転移温度(Tg)コポリエステルの混合物を含むポリ塩化ビニル組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステル樹脂を含むポリ塩化ビニル組成物であって、該コポリエステル樹脂は、
(a)(i)90~100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)0~10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)20~60モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)40~80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、ここで、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である、又は
(a)(i)50~100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)0~50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)60~100モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)0~40モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、ここで、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である、組成物。
【請求項2】
前記コポリエステルの固有粘度は、60/40(wt/wt)のフェノール/テトラクロロエタン中で0.25g/50mlの濃度で25℃で決定して、0.50~0.80dL/gである、請求項1記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項3】
前記コポリエステルのTgは、少なくとも90℃以上又は少なくとも100℃以上である、請求項1記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項4】
前記コポリエステルは、前記組成物中のポリ塩化ビニル樹脂の含有量に基づいて、100部の樹脂あたり1~100部(phr)であり、又は、前記コポリエステルは、前記組成物中のポリ塩化ビニル樹脂の含有量に基づいて、100部の樹脂あたり1~50部(phr)であり、又は、前記ポリカーボネートは、前記組成物中のポリ塩化ビニル樹脂の含有量に基づいて、100部の樹脂あたり1~50部(phr)であり、かつ、前記コポリエステルは、100部の樹脂あたり1~100部(phr)である、請求項1記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項5】
前記コポリエステルは非晶性であり、又は、5分以上の半結晶化時間を有する、請求項1記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項6】
前記ポリ塩化ビニル樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂又はそれらのアロイである、請求項1記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項7】
前記ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂又はビスフェノールA系ポリカーボネート樹脂である、請求項1記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項8】
前記コポリエステルは、170~230℃及び10 1/秒の剪断速度で測定して、1,000~1,000,000ポアズの粘度範囲を有する、請求項1記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項9】
質量分率基準でのポリ塩化ビニル樹脂:コポリエステルの比は1より大きく、又は、質量分率基準でのポリ塩化ビニル樹脂:コポリエステル及びポリカーボネートの比は1より大きい、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステル樹脂の混和性混合物を配合して、粘性熱可塑性材料を製造すること、ここで、該コポリエステル樹脂は、
(a)(i)90~100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)0~10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)20~60モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)40~80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である、
該配合物を少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂組成物とブレンドすること、及び
該ブレンドをカレンダ加工、押出成形又は射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を製造すること、
を含む、ポリ塩化ビニル組成物の製造方法。
【請求項11】
少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステル樹脂を配合して、粘性熱可塑性材料を製造すること、ここで、該コポリエステル樹脂は、
(a)(i)50~100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)0~50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)60~100モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)0~40モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である、
該配合物を少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂組成物にブレンドすること、及び
該ブレンドをカレンダ加工、押出成形又は射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を製造すること、
を含む、ポリ塩化ビニル組成物の製造方法。
【請求項12】
最大で110℃のTg又は最大で130℃のHDTULを有する、請求項10又は11記載の方法を使用して製造されるポリ塩化ビニル物品。
【請求項13】
前記物品は次の用途:建築及び建設、コーナープロファイル、デッキング、フェンシング、レーリング、軒裏、ビニルサイディング、クラッディング、窓プロファイル、ドアフレーム、サイディング、フェンス、ガター、パイプ、配管器具、電気及び電子エンクロージャ、電気ジャンクションボックス、自動車の内外装、電化製品、事務機器又はメディカルデバイス、サインエンクロージャ、自動車の内外装、事務機器、メディカルデバイス、航空機の内装及びその他の高温用途で使用される、請求項10又は11記載のポリ塩化ビニル物品。
【請求項14】
前記ポリ塩化ビニル樹脂組成物は、加工助剤、可塑剤、安定剤、耐衝撃性改良剤、殺生物剤、難燃剤、起泡剤、発泡剤、熱安定剤、UV安定剤、UV吸収剤、鉱物、顔料、染料、着色剤、充填剤、繊維、ワックス、融着促進剤、酸化防止剤、帯電防止剤、離型剤、潤滑剤、追加の樹脂及び熱変形温度調整剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項10又は11記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項15】
前記ポリ塩化ビニル樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂又はそれらのアロイである、請求項10又は11記載のポリ塩化ビニル組成物。
【請求項16】
前記ポリ塩化ビニル樹脂組成物は剛性である、請求項10又は11記載の方法。
【請求項17】
前記ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂又はビスフェノールA系ポリカーボネート樹脂である、請求項10又は11記載の方法。
【請求項18】
前記コポリエステルのTgは少なくとも90℃以上であるか、又は、前記コポリエステルのTgは少なくとも100℃以上である、請求項10又は11記載の方法。
【請求項19】
前記組成物中のポリ塩化ビニル樹脂の含有量に基づいて、前記ポリカーボネートは100部の樹脂あたり1~50部(phr)であり、前記コポリエステルは100部の樹脂あたり1~100部(phr)である、請求項10又は11記載の方法。
【請求項20】
前記コポリエステルは非晶性であるか、又は、前記コポリエステルは5分以上の半結晶化時間を有する、請求項10又は11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、新規なポリ塩化ビニル組成物に関する。より具体的には、本開示は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びコポリエステル樹脂を含む新規な組成物に関する。より具体的には、本開示は、ポリ塩化ビニル組成物のTg及び荷重下熱変形温度(HDTUL)を増加させるための、ポリカーボネート樹脂及び高ガラス転移温度(Tg)コポリエステル樹脂の混合物を含む、ポリ塩化ビニル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
剛性ポリ塩化ビニル(PVC)配合物は、ビニールサイディング、窓プロファイル、デッキングプロファイル、フェンス及びレーリングなどの物品を製造するために長年使用されてきた。これらの製品は、典型的に、白、オフホワイト、ベージュ又は明るいパステルグリーン、ブルー、イエローなどの明るい色に限定されているが、暗くて濃い色は、典型的に提供されていない。明るい色に限定される理由は、これらの配合物は、高温及び太陽スペクトルの赤外線部分の吸収により、剛性PVC配合物のガラス転移温度(Tg)及び荷重下熱変形温度(HDTUL)を超える可能性があるからである。
【0003】
これらの製品の製造業者は、これらの製品の歪みを減らすために、設計及び色の提供を制限しなければならなかった。又は、α-メチルスチレンアクリロニトリルコポリマー(AMSAN)などの材料を使用して、PVC配合物のTg及びHDTULを増加させようと試みた。これらの選択肢には欠点があり、しばしば、これらの製品を使用できる地理的領域を制限し、又は、対処しなければならない処理及び製品欠陥を生じさせる。例えば、AMSANは、熱安定性を低下させ、黄変を増加させ、衝撃特性を失わせる。本開示において、驚くべきことに、特定のポリカーボネート樹脂及び高Tgコポリエステル組成物は、加工特性に悪影響を与えることなく、典型的な剛性PVC加工温度で溶融加工可能であり、衝撃特性を失うことなくTg及びHDTULを増加させることが発見された。
【発明の概要】
【0004】
本開示のポリ塩化ビニル組成物は、少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステル樹脂を含む。
【0005】
本開示の1つの実施形態は、少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステル樹脂を含むポリ塩化ビニル組成物であって、該コポリエステル樹脂は、
(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、ここで、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である、組成物である。
【0006】
本開示の1つの実施形態は、少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステル樹脂を含むポリ塩化ビニル組成物であって、該コポリエステル樹脂は、
(a)(i)約50~約100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)約0~約50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)約60~約100モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)約0~約40モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、ここで、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である、組成物である。
【0007】
1つの実施形態において、コポリエステルのTgは少なくとも約90℃以上である。
【0008】
1つの実施形態において、コポリエステルのTgは、少なくとも約100℃以上である。
【0009】
1つの実施形態において、コポリエステルは非晶性である。
【0010】
1つの実施形態において、コポリエステルは約5分以上の半結晶化時間を有する。
【0011】
1つの実施形態において、PVC組成物中のコポリエステル樹脂含有量は、組成物中のPVC樹脂含有量に基づいて、約1~約100部/100部樹脂(phr)である。
【0012】
1つの実施形態において、PVC組成物中のポリカーボネート樹脂含有量は、組成物中のPVC樹脂含有量に基づいて、約1~約50部/100部樹脂(phr)である。
【0013】
1つの実施形態において、PVC組成物中のポリカーボネート樹脂含有量は、組成物中のPVC樹脂含有量に基づいて、約1~約50部/100部樹脂(phr)であり、コポリエステル樹脂含有量は、約1~約100部/100部樹脂(phr)である。
【0014】
1つの実施形態において、ポリ塩化ビニル組成物は剛性である。
【0015】
1つの実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂又はそれらのアロイである。
【0016】
1つの実施形態において、ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂である。
【0017】
質量分率基準でのポリ塩化ビニル樹脂:コポリエステルの比は約1より大きい、請求項1又は2記載の組成物。
【0018】
質量分率基準でのポリ塩化ビニル樹脂:コポリエステル及びポリカーボネートの比は約1より大きい、請求項1又は2記載の組成物。
【0019】
本開示の1つの実施形態は、少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂組成物、少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステルを押出して、熱可塑性材料の粘性ブレンドを生成すること、ここで、該コポリエステルは、
(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である、
前記熱可塑性材料の前記ブレンドを、カレンダ加工、押出成形又は射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を製造すること、
を含む、ポリ塩化ビニル組成物を製造する方法である。
【0020】
本開示の1つの実施形態は、少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂組成物、少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステルを押出して、熱可塑性材料の粘性ブレンドを生成すること、ここで、該コポリエステルは、
(a)(i)約50~約100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)約0~約50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)約60~約100モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)約0~約40モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である、
前記熱可塑性材料の前記ブレンドを、カレンダ加工、押出成形又は射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を製造すること、
を含む、ポリ塩化ビニル組成物を製造する方法である。
【0021】
本開示の1つの実施形態は、少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステル樹脂の混和性混合物を配合して、粘性熱可塑性材料を製造すること、ここで、該コポリエステル樹脂は、
(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である、
該配合物を少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂組成物とブレンドすること、及び
該ブレンドをカレンダ加工、押出成形又は射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を製造すること、
を含む、ポリ塩化ビニル組成物を製造する方法である。
【0022】
本開示の1つの実施形態は、少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステル樹脂を配合して、粘性熱可塑性材料を製造すること、ここで、該コポリエステル樹脂は、
(a)(i)約50~約100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)約0~約50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)約60~約100モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)約0~約40モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である、
該配合物を少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂組成物にブレンドすること、及び
該ブレンドをカレンダ加工、押出成形又は射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を製造すること、
を含む、ポリ塩化ビニル組成物を製造する方法である。
【0023】
本開示の1つの実施形態は、Tg及びHDTUL(荷重下熱変形温度)が少なくとも3℃上昇したポリ塩化ビニル物品である。
【0024】
本開示の1つの実施形態は、最大110℃のTg又は最大130℃のHDTULを有するポリ塩化ビニル物品である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、ポリカーボネート/コポリエステル混合物をPVC組成物とブレンドすると、測定されるすべてのせん断速度で、PVC対照物と比較して、複素粘度(mPa)が低下する傾向があることを示す。
【0026】
図2図2は、高いガラス転移温度のコポリエステル/ポリカーボネート混合物をPVC組成物とブレンドすると、測定されるすべてのせん断速度で、PVC対照物と比較して、複素粘度(mPa)が増加する傾向があることを示す。
【0027】
図3図3は、50%コポリエステルと50%ポリカーボネートの混合物を、PVC組成物とブレンドすると、PVC対照物と比較して、温度に対して貯蔵弾性率(mPa)が増加することを示し、これは、混合物の量が増加するほど、ガラス転移温度が上昇することを示している。
【0028】
図4図4は、50%コポリエステルと50%ポリカーボネートの混合物をPVC組成物とブレンドすると、より高い装填レベルで増加する単一tanδピークが生じることを示し、単一のガラス転移温度が存在し、混合物がPVCと混和性であることを示す。
【0029】
図5図5は、25%コポリエステルと75%ポリカーボネートの混合物を、PVC組成物とブレンドすると、PVC対照物と比較して、温度に対して貯蔵弾性率(mPa)が増加することを示し、これは、混合物の量が増加するほど、ガラス転移温度が上昇することを示している。
【0030】
図6図6は、25%コポリエステルと75%ポリカーボネートの混合物を、PVC組成物とブレンドすると、より高い装填レベルで増加する単一のtanδピークが生じることを示し、単一のガラス転移温度が存在し、混合物がPVCと混和性であることを示す。
【0031】
図7図7は、PVCとポリカーボネートとが非混和性であり、単一のガラス転移温度を形成しないことを示しており、ポリカーボネートの量が増えると、tanδの読み値で示されるように、2つの明確なガラス転移温度が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示のポリビニルアルコール組成物は、少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステルを含む。
【0033】
本開示の1つの実施形態は、少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステルを含むポリ塩化ビニル組成物であって、該コポリエステルは、
(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、ここで、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である、組成物である。
【0034】
本開示の1つの実施形態は、少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂、少なくとも1つのポリカーボネート樹脂及び少なくとも1つのコポリエステルを含むポリ塩化ビニル組成物であって、該コポリエステルは、
(a)(i)約50~約100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)約0~約50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)約60~約100モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)約0~約40モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、ここで、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である、組成物である。
【0035】
コポリエステル
任意の非晶性又は本質的に非晶性であるコポリエステルは本開示での使用に適している。例えば、1つの実施形態において、任意のコポリエステルは、それらが本質的に非晶性であり、少なくとも約5分又は少なくとも約7分の最小半結晶化時間を有する限り、本開示において使用することができる。別の実施形態において、その最小半結晶化時間が少なくとも約8分である限り、任意のコポリエステルを使用することができる。別の実施形態において、その半結晶化時間が少なくとも約10分である限り、任意のコポリエステルを使用することができる。本開示における非晶性コポリエステルは、幾つかの実施形態において、無限大までの半結晶化時間を有することができる。本開示の1つの態様において、非晶性コポリエステルの他のポリマー(他のポリエステル及びコポリエステルを含む)とのブレンドは、ブレンドが少なくとも約5分の最小半結晶化時間を有する限り、使用に適している。
【0036】
半結晶化時間は、次の手順に従って示差走査熱量計を使用して測定できる。約10.0mgのコポリエステルのサンプルをアルミニウムパン内に密封し、ヘリウム雰囲気中で約20℃/分の速度で約290℃に加熱し、約2分間保持する。次に、サンプルを、約20℃/分の速度で、約10℃の間隔で約140℃~約200℃の範囲の等温結晶化温度に直ちに冷却する。次に、各温度での半結晶化時間は、発熱曲線のピークに到達するのに必要な時間として決定される。最小半結晶化時間は結晶化速度が最も速い温度である。
【0037】
本開示の1つの実施形態において、コポリエステルは、
(a)(i)約50~約100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)約0~約50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、ここで、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である。
【0038】
本開示の1つの実施形態において、コポリエステル樹脂は、
(a)(i)約50~約100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)約0~約50モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)約60~約100モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び
(ii)約0~約40モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコール、
を含むグリコール成分、
を含み、ここで、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である。
【0039】
文脈が明らかに他のことを示唆しない限り、「ポリエステル」及び「コポリエステル」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。「ポリエステル」という用語は、「コポリエステル」を含むことが意図され、1つ以上の二官能性カルボン酸(又は二酸)と1つ以上の二官能性ヒドロキシル化合物(又はジオール)との重縮合によって調製される合成ポリマーを意味すると理解される。1つの実施形態において、二官能性カルボン酸はジカルボン酸であり、二官能性ヒドロキシル化合物は、例えば、グリコール及びジオールなどの二価アルコールである。
【0040】
「残基」という用語は、対応するモノマーが関与する重縮合反応を介してポリマーに組み込まれる任意の有機構造を意味する。「繰り返し単位」という用語は、カルボニルオキシ基を介して結合したジカルボン酸残基(又は二酸成分)及びジオール残基(又はジオール成分)を有する有機構造を意味する。したがって、ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマー又はそれに関連する酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物又はそれらの混合物に由来しうる。
【0041】
1つの実施形態において、本開示のコポリエステルは非晶性である。1つの実施形態において、本開示のコポリエステルは本質的に非晶性である。
【0042】
1つの実施形態において、コポリエステルは、それぞれ100モル%のジカルボン酸残基及び100モル%のジオール残基に基づく、ジカルボン酸及びジオールからの繰り返し単位を含む。
【0043】
1つの実施形態において、二酸成分は、少なくとも約50モル%の、約8~約14個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸の残基を含む。コポリエステルは、場合により、100モル%のジカルボン酸残基に基づいて、最大で約50モル%の、芳香族ジカルボン酸以外の1つ以上の異なるジカルボン酸、例えば、4~12個の炭素原子を有する飽和脂肪族ジカルボン酸及び8~12個の炭素原子を有する脂環式ジカルボン酸の残基で改質されうる。ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル-4,4'-ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。ポリエステルは、上記の1つ以上のジカルボン酸から調製することができる。
【0044】
これらの酸の対応する酸無水物、エステル及び酸塩化物の使用は、「ジカルボン酸」という用語に含まれることを理解されたい。
【0045】
1つの実施形態において、ジオール成分は、少なくとも約60モル%の、2~20個の炭素原子を含むジオールの残基を含む。さらに、ジオール成分は、場合により、100モル%のジオール残基に基づいて、最大で約40モル%の、1つ以上の他のジオールの残基で改質されうる。ジオールの具体的な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソソルビド、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、ペンタン-1,5―ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-ペンタンジオール-(2,4)、2-メチルペンタンジオール-(1,4)、2,2,4-トリ-メチルペンタン-ジオール-(1,3)、2-エチルヘキサンジオール-(1,3)、2,2-ジエチルプロパン-ジオール-(1,3)、ヘキサンジオール-(1,3)、1,4-ジ-(ヒドロキシエトキシ)-ベンゼン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、2,4-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、2,2-ビス-(3-ヒドロキシエトキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシプロポキシフェニル)-プロパンなどが挙げられる。ポリエステルは、上記の1つ以上のジオールから調製することができる。
【0046】
1つの実施形態において、二酸成分は、少なくとも約90モル%の、約20個までの炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸の残基を含む。コポリエステルは、場合により、100モル%のジカルボン酸残基に基づいて、最大で約10モル%の、芳香族ジカルボン酸以外の1つ以上の異なるジカルボン酸、例えば、4~12個の炭素原子を有する飽和脂肪族ジカルボン酸及び8~12個の炭素原子を有する脂環式ジカルボン酸の残基で改質されうる。ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル-4,4'-ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。ポリエステルは、上記の1つ以上のジカルボン酸から調製することができる。
【0047】
これらの酸の対応する酸無水物、エステル及び酸塩化物の使用は、「ジカルボン酸」という用語に含まれることを理解されたい。
【0048】
1つの実施形態において、ジオール成分は、少なくとも約20モル%の、2~20個の炭素原子を含むジオールの残基を含む。さらに、ジオール成分は、場合により、100モル%のジオール残基に基づいて、最大で約80モル%の、1つ以上の他のジオールの残基で改質されうる。ジオールの具体的な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソソルビド、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-ペンタンジオール-(2,4)、2-メチルペンタンジオール-(1,4)、2,2,4-トリ-メチルペンタン-ジオール-(1,3)、2-エチルヘキサンジオール-(1,3)、2,2-ジエチルプロパン-ジオール-(1,3)、ヘキサンジオール-(1,3)、1,4-ジ-(ヒドロキシエトキシ)-ベンゼン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン、2,4-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン、2,2-ビス-(3-ヒドロキシエトキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシプロポキシフェニル)-プロパンなどが挙げられる。ポリエステルは、上記の1つ以上のジオールから調製することができる。
【0049】
ポリエステルはまた、トリメリット酸無水物、トリメチロールプロパン、ピロメリット酸二無水物、ペンタエリスリトール及び当該技術分野で一般に知られている他のポリエステル形成性ポリ酸又はポリオールなどの少量の三官能性又は四官能性コモノマーを含むことができる。
【0050】
1つの実施形態において、コポリエステルは、(i)少なくとも約50モル%の、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸又はそれらの混合物の残基を含む二酸成分、及び、(ii)少なくとも約80モル%の、2~10個の炭素原子を含むジオールの残基を含むジオール成分、を含む。1つの実施形態において、コポリエステルの二酸成分は、少なくとも約80モル%の、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸又はそれらの混合物の残基を含む。そして1つの実施形態において、コポリエステルのジオール成分は、エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール又はそれらの混合物の残基を含む。
【0051】
別の実施形態において、コポリエステルは、(i)少なくとも約80モル%のテレフタル酸残基を含む二酸成分、及び(ii)少なくとも約80モル%の、エチレングリコール及び1,4-シクロヘキサンジメタノールの残基を含むジオール成分を含む。さらに別の実施形態において、コポリエステルは、(i)少なくとも約80モル%のテレフタル酸残基を含む二酸成分、及び(ii)少なくとも約80モル%の、エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコールの残基を含むジオール成分を含む。さらに別の実施形態において、コポリエステルは、(i)少なくとも約80モル%のテレフタル酸残基を含む二酸成分、及び(ii)少なくとも約80モル%の、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールの残基を含むジオール成分を含む。さらに別の実施形態において、コポリエステルは、(i)少なくとも約80モル%のテレフタル酸残基を含む二酸成分、及び(ii)少なくとも約80モル%の、1,4-シクロヘキサンジメタノール及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの残基を含むジオール成分を含む。
【0052】
1つの実施形態において、コポリエステル組成物は、少なくとも1つのポリエステルを含み、該ポリエステルは、
(a)(i)70~100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)0~30モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)0~40モル%の2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール(ネオペンチルグリコール又はNPG)残基、
(ii)0~100モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)残基、
(iii)0~70モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、
(iv)その場で形成されたかどうかにかかわらず、0~40モル%のジエチレングリコール(DEG)残基、
を含むグリコール成分、
を含み、ここで、前記グリコール成分の残りは、
(v)エチレングリコールの残基、及び
(vi)場合により、0~10モル%の少なくとも1つの他の改質性グリコールの残基、
を含み、ここで、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である。
【0053】
1つの実施形態において、コポリエステル組成物は少なくとも1つのポリエステルを含み、該ポリエステルは、
(a)(i)70~100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)0~30モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)10~70モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、
(ii)0~40モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)残基、
(iii)その場で形成されたかどうかにかかわらず、0~10モル%のジエチレングリコール(DEG)残基、
を含むグリコール成分、
を含み、ここで、前記グリコール成分の残りは、
(iv)エチレングリコールの残基、及び
(v)場合により、0~10モル%の少なくとも1つの他の改質性グリコールの残基、
を含み、ここで、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である。
【0054】
1つの実施形態において、コポリエステル組成物は少なくとも1つのポリエステルを含み、該ポリエステルは、
(a)(i)70~100モル%のテレフタル酸残基、及び
(ii)0~30モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基、
を含むジカルボン酸成分、並びに
(b)(i)10~70モル%の2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)残基、
(ii)60~80モル%の1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)残基、
(iii)その場で形成されたかどうかにかかわらず、0~10モル%のジエチレングリコール(DEG)残基、
を含むグリコール成分を含み、ここで、前記グリコール成分の残りは、
(iv)エチレングリコールの残基、及び
(v)場合により、0~10モル%の少なくとも1つの他の改質性グリコールの残基、
を含み、ここで、前記ジカルボン酸成分の総モル%は100モル%であり、前記グリコール成分の総モル%は100モル%である。
【0055】
本開示において有用なコポリエステルは、約0.4~約1.2dL/gの固有粘度を有することができる。使用されるときに、本明細書の固有粘度(又はIhV)は、ポリマーの希薄溶液の粘度であり、具体的には、IhVは、ASTM4603で測定して、約25℃又は約30℃での50ml溶液あたり約0.25gのポリエステル濃度での60/40(wt%/wt%)フェノール/テトラクロロエタンの粘度である。この粘度測定値は、ポリマーの分子量を表す。
【0056】
例えば、1つの実施形態において、コポリエステルは、60wt%のフェノールと40wt%のテトラクロロエタンからなる100mLの溶媒あたり0.50グラムのポリマーを使用して約25℃で測定して、約0.45~約0.9dL/g又は約0.60~約0.90の固有粘度を有する。
【0057】
1つの実施形態において、本開示で有用なコポリエステルは約30℃~約155℃のガラス転移温度を有する。例えば、1つの実施形態において、コポリエステルのガラス転移温度は、約90℃~約120℃である。1つの実施形態において、コポリエステルのガラス転移温度は、約95℃~約140℃である。別の実施形態では、コポリエステルのガラス転移温度は、約100℃~約150℃である。1つの実施形態において、本開示で有用なコポリエステルは、少なくとも約90℃のガラス転移温度を有する。1つの実施形態において、コポリエステルは少なくとも約100℃又は少なくとも約110℃又は少なくとも約120℃のガラス転移温度を有する。
【0058】
コポリエステルは、当該技術分野で周知の従来の重縮合手順によって調製することができる。このようなプロセスとしては、ジカルボン酸とジオールとの直接縮合、又は、ジアルキルジカルボキシレートを使用したエステル交換によるものが挙げられる。例えば、テレフタル酸ジメチルなどのテレフタル酸ジアルキルは、触媒の存在下に高温でジオールとエステル交換される。ポリエステルはまた、固相重合法に供されることができる。適切な方法は、ポリエステルを形成するのに十分な時間、約100℃~約315℃の温度で、約0.1~約760mmHgの圧力で、1つ以上のジカルボン酸を1つ以上のグリコールと反応させる工程を含む。ポリエステルを製造する方法については、米国特許第3,772,405号明細書を参照されたく、そのような方法の開示を参照により本明細書に取り込む。
【0059】
本開示での使用に適したコポリエステルは、イーストマンケミカル社から市販されている。
【0060】
ポリカーボネート
任意のポリカーボネート(「PC」)ポリマー樹脂は本開示での使用に適している。例えば、1つの実施形態において、本開示で有用なポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネートが挙げられる。本開示の組成物に適した芳香族ポリカーボネートとしては、例えば、ビスフェノールA、1,1(4ヒドロキシフェノール)ケトン、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス-(ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールフタレイン、及び1,1ビス(ヒドロキシフェノール)スルホンなどのジフェノールから誘導されたポリマー、及び、フェニル環にアルキル又はハロゲン置換基を有する芳香族ポリカーボネートが挙げられる。別の実施形態において、本開示の組成物に適した芳香族ポリカーボネートとしては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニル-エタン(ビスフェノールAP)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、ビス-(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン(ビスフェノールBP)、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジクロロエチレン(ビスフェノールC2)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピル-フェニル)プロパン(ビスフェノールG)、1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン(ビスフェノールM)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、1,4-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン(ビスフェノールP)、5,5'-(1-メチルエチリデン)-ビス[1,1'-(ビスフェニル)-2-オール]プロパン(ビスフェノールPH)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ニトロフェニル)プロパン(ジニトロビスフェノールA)及び2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン(テトラブロモビスフェノールA)などのジフェノールから誘導されたポリマーが挙げられる。
【0061】
1つの実施形態において、ポリカーボネートは高分子量の熱可塑性芳香族ポリカーボネートであり、ホモポリカーボネート及びコポリカーボネートならびにそれらの混合物が挙げられ、これらは、数平均分子量が約8,000~200,000を超える、又は、約10,000~80,000であり、固有粘度が、25℃で塩化メチレン溶液中で測定して、0.30~1.0デシリットル/グラム(dl/g)である。ポリカーボネートは、例えば、二価フェノール、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-(3,5,3’5-テトラクロロ-4,4'-ジヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-(3,5,3’5-テトラブロモ-4,4'-ジヒドロキシジフェニル)プロパン、及び(3,3'-ジクロロ-4,4'-ジヒドロキシジフェニル)プロパン、及び(3,3'-ジクロロ-4,4'-ジヒドロキシジフェニル)メタンから誘導される。上記のポリカーボネートの調製に使用するための他の二価フェノールは、米国特許第2,999,835号明細書、同第3,028,365号明細書、同第3,334,154号明細書及び同第4,134,575号明細書に開示されており、それらを参照により本明細書に取り込む。
【0062】
1つの実施形態において、本開示におけるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール系ポリカーボネートである。1つの実施形態において、本開示におけるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールA系ポリカーボネートである。1つの実施形態において、本開示におけるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールS系ポリカーボネートである。1つの実施形態において、本開示におけるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールC系ポリカーボネートである。1つの実施形態において、ポリカーボネート樹脂は、300℃及び3.8kgwt(ASTM)で約3~約80g/10分のメルトフローを有するビスフェノールA系ポリカーボネートである。
【0063】
ポリカーボネートは、既知の方法で製造することができる。例えば、1つの実施形態において、ポリカーボネートは、上記の文献及び米国特許第3,989,672号、同第4,018,750号及び同第4,123,436号明細書に開示されている方法に従って、二価フェノールをホスゲンなどのカーボネート前駆体と反応させること、又は、米国特許第3,153,008号明細書に開示されているようなエステル交換プロセス、ならびに当業者に知られている他の方法によって製造することができ、これらをすべて、参照により本明細書に取り込む。
【0064】
1つの実施形態において、ポリカーボネートは芳香族ポリカーボネートであり、米国特許第3,169,121号明細書に開示されているような、二価フェノール、ジカルボン酸及び炭酸のポリマー誘導体を含む。
【0065】
1つの実施形態において、2つ以上の異なる二価フェノール又は二価フェノールとグリコール又は酸末端ポリエステル又は二塩基酸とのコポリマー、この態様では、カーボネートコポリマー又はインターポリマーは、芳香族ポリカーボネートの調製において、ホモポリマーではなく、使用される。上記の材料のいずれかのブレンドも使用可能である。
【0066】
1つの実施形態において、米国特許第4,001,184号明細書に記載されているような枝分かれポリカーボネートは利用され、線状ポリカーボネートと枝分かれポリカーボネートのブレンドも同様に利用されうる。
【0067】
1つの実施形態において、ポリマーは、酸結合剤の存在下で、二価フェノール、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンを、カーボネート前駆体、例えば、ホスゲンと反応させることによって生成される。1つの実施形態において、ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAとホスゲンとの反応により誘導される。1つの実施形態において、これらのポリカーボネートは、塩化メチレン又は同様の溶媒中で25℃で測定して、0.3~1.0dl/g又は0.40~0.65dl/gの固有粘度を有する。
【0068】
ポリ塩化ビニル
任意のポリ塩化ビニル(「PVC」)ポリマー樹脂は本開示での使用に適している。例えば、1つの実施形態において、本開示で有用なポリ塩化ビニルポリマーとしては、カーク・オスマー化学技術百科事典、Vol.24、第4版、(1997)pp.1017~1053の「塩化ビニルポリマー」入門に記載されているものが挙げられ、これを参照により本明細書に取り込む。
【0069】
幾つかの実施形態において、本開示において、適切なPVCポリマーとしては、ポリ塩化ビニル樹脂のホモポリマー、ポリ塩化ビニル樹脂のコポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。
【0070】
幾つかの実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂又はそれらのアロイである。
【0071】
幾つかの実施形態において、塩化ビニルのコポリマーは、塩化ビニルと他のモノマー又はモノマーブレンドとの共重合によって形成される。幾つかの実施形態において、適切なモノマーとしては、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、マレエート、メタクリレート、アクリレート、高アルコールビニルエステル、ウレタン、塩素化ウレタン、メチルメタクリレート及びそれらの混合物が挙げられる。幾つかの実施形態において、モノマーブレンドの例としては、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー、アクリロニトリル-ブタジエンコポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。
【0072】
例えば、幾つかの実施形態において、本開示により有用なPVCポリマーとしては、塩化ビニルのホモポリマー、及び、塩化ビニルモノマーから重合された少なくとも約70wt%の繰り返し単位を有する塩化ビニルポリマー樹脂、又は、塩化ビニルモノマーから重合された少なくとも約80wt%又は少なくとも約90wt%又はさらには約95wt%以上の繰り返し単位を有する塩化ビニルポリマー樹脂が挙げられる。
【0073】
幾つかの実施形態において、本開示のポリ塩化ビニルポリマー組成物は、塩化ビニルモノマーから重合された繰り返し単位を含むことができ、そしてまた、コポリマーの約30wt%までのコモノマーを含むことができ、該コモノマーとしては、限定するわけではないが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シアノエチルなどのアクリル酸のエステル、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸のエステル、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルなどのニトリル、メチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメタクリルアミドなどのアクリルアミド、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン含有ビニルモノマー、エチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなどのビニルエーテル、ビニルケトン、α-メチルスチレンを含むスチレン誘導体、ビニルトルエン、クロロスチレン、ビニルナフタレン、エチレン、ブテン、イソブチレン、プロピレン及びヘキセンなどのオレフィン、当業者に知られているような、塩化ビニルとの適切な反応性比を有する他の共重合可能なモノマー又はモノマーの混合物のうちの1つ以上が挙げられる。
【0074】
1つの実施形態において、コポリマーとしては、限定するわけではないが、塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル-塩化ビニリデンコポリマー、マレイン酸ビニル及びフマル酸ビニルクロリドコポリマー、塩化ビニル-オレフィンコポリマー、塩化ビニル-アクリロニトリルコポリマーなど及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0075】
本開示の幾つかの実施形態は、架橋PVCとのPVCブレンド又は架橋PVCのみを使用することができる。架橋PVCポリマーは、米国特許第4,755,699号及び同第5,248,546号明細書(これらの関連部分を参照により本明細書に取り込む)に教示されているように、前述のフタル酸ジアリル、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリル酸アリルなどの架橋性モノマーの存在下で塩化ビニルを重合することによって製造することができる。
【0076】
記載されたホモポリマー及びコポリマーは市販されており、懸濁、分散又は混合を含む任意の適切な重合方法によって製造することができる。例えば、1つの実施形態において、懸濁プロセスを使用して調製されたポリ塩化ビニルポリマーは、本開示での使用に適している。
【0077】
幾つかの実施形態において、PVC組成物は剛性である。任意の剛性PVC組成物は本開示での使用に適している。例えば、幾つかの実施形態において、剛性組成物は、改質されていないか、又は、可塑化されていないか、又はPVCが可塑剤を少量で含むか又は含まない。幾つかの実施形態において、剛性組成物は、約12pr以下の可塑剤又は可塑化添加剤を含む。一方、柔軟又は可塑化PVCは、典型的に、約12phrを超えるレベルの可塑剤が含まれることがある。したがって、本開示による剛性PVCは、可撓性として分類される改質PVC組成物よりも高いレベルの引張強度を有することを特徴とする。本明細書で使用されるときに、「樹脂100部あたりの部」は、樹脂の質量に基づいて成分の量を規定し、「phr」と略される。
【0078】
また、本開示によれば、剛性PVCは、特定の引張弾性率を超える所与の化合物の特性を指す。例えば、PVCは、引張弾性率が約105psi(又は約689MPa)を超えるときに剛性、引張弾性率が約105psi~約3000psi(約20.7MPa)のときに半剛性、引張弾性率が約3000psi(又は約20.7MPa)未満であるときに可撓性と特性化される(引張弾性率の値は、23℃及び50%の相対湿度の標準ASTM条件に基づいている)。したがって、本開示による剛性PVCは、広範囲にわたって変化する引張弾性率値を有することができ、例えば、引張弾性率値は、約800MPa~約1000MPa又は約1000MPa~約2000MPa又はさらには3000MPa以上であることができる。
【0079】
幾つかの実施形態において、本開示のPVC組成物は、例えば、建築物及び建造物、コーナープロファイル、デッキング、フェンシング、レーリング、軒裏、ビニールサイディング、クラッディング、窓プロファイル、ドアフレーム、羽目板、フェンス、ガター、パイプ、配管、電化製品、電気及び電子エンクロージャ、電気ジャンクションボックス、自動車の内外装、アプライアンス、事務機器、サインエンクロージャ、メディカルデバイス、航空機の内装及びその他の高温用途を含む様々な用途での使用に適している。
【0080】
幾つかの実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂組成物は、加工助剤、可塑剤、安定剤、耐衝撃性改良剤、殺生物剤、難燃剤、起泡剤、発泡剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、鉱物、顔料、染料、着色剤、充填剤、繊維、ワックス、融合促進剤、酸化防止剤、帯電防止剤、離型剤、潤滑剤、追加の樹脂、熱変形温度調整剤及び場合によっては他の添加剤などの添加剤を含む。幾つかの実施形態において、使用される市販の剛性ポリ塩化ビニル樹脂組成物中のポリ塩化ビニルの量は、典型的には約100%未満である。
【0081】
当該技術分野で知られている任意のタイプのPVC樹脂は、本開示の組成物の成分として有用であることができる。幾つかの実施形態において、PVC樹脂は、プラスチゾル又はドライブレンドの形態であることができる。さらに、幾つかの実施形態において、本開示の組成物は、バージンPVC、様々な屋根製品からリサイクルされたPVCなどのリサイクルPVC、及び、バージンとリサイクルPVCの組み合わせを含むことができる。
【0082】
1つの実施形態において、本開示のPVC樹脂は、ASTMD1243によって決定して、約0.50~約1.60dl/g又はそれ以上、例えば、約0.65~約1.40dl/g、例えば、約0.83~約1.00dl/gの範囲の固有粘度を有する。
【0083】
1つの実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂は、約75℃~約80℃のTgを有する。1つの実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂は、約60℃~約75℃の熱変形温度(HDT)を有する。
【0084】
本開示の1つの態様において、コポリエステルのTgが約90℃を超えると、PVC樹脂組成物のTgが増加し、組成物のHDTが改善する。
【0085】
例えば、幾つかの実施形態において、本開示の組成物を使用して製造されたポリ塩化ビニル物品は、衝撃強度を維持しながら、最大で110℃のTg又は最大で130℃のHDTを有する。幾つかの実施形態において、物品は、衝撃強度を維持しながら、Tg及びHDTが少なくとも3℃増加している。
【0086】
幾つかの実施形態において、質量分率基準でのPVC樹脂:コポリエステルの比は、約1より大きい。
【0087】
幾つかの実施形態において、質量分率基準でのPVC樹脂:コポリエステル及びポリカーボネートの比は、約1より大きい。
【0088】
幾つかの実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂及びコポリエステルを適切な濃度で添加してPVC組成物を生成するときに、得られた組成物は、ASTM D638によって決定して、引張強度及び弾性率が増加し、ASTM D790によって決定して、曲げ強度及び弾性率が増加する。
【0089】
本開示におけるコポリエステルはPVCと混和性である。「混和性」という用語は、分子レベルで均質であり、単相混合物として挙動し、1つのガラス転移温度(Tg)のみを示す2つ以上のポリマーのブレンド又は混合物を指す。
【0090】
本明細書に開示される得られたPVC組成物は、任意の標準PVC処理装置で、任意の標準PVC処理温度(約170℃~約230℃)で、押出成形、射出成形、プロファイル押出及びシート押出などの任意の標準PVC処理方法を用いて加工されうる。
【0091】
幾つかの実施形態では、本開示のコポリエステルは、約75℃~約120℃のTgを有する。幾つかの実施形態において、本開示のコポリエステルは、少なくとも約90℃以上のTgを有する。幾つかの実施形態において、本開示のコポリエステルは、少なくとも約100℃以上のTgを有する。幾つかの実施形態では、本開示のコポリエステルは、少なくとも約110℃以上のTgを有する。
【0092】
本開示の特定の実施形態で使用されるコポリエステルは、明確な融点を有せず、代わりに、処理温度がそのガラス転移温度を超えて上昇するにつれて粘度が低下する。より低い分子量のコポリエステルを使用することにより、より低い粘度のコポリエステルを得ることができる。
【0093】
本開示の1つの実施形態において、コポリエステルは、約170℃~約200℃及び10 1/秒の剪断速度で測定して、約1,000~約1,000,000ポアズ、又は、約10,000~約500,000ポアズ、又は、約20,000~約300,000ポアズの粘度範囲を有する。本開示のこの態様における粘度測定は、レオメトリックスRDA IIレオメータを使用して小振幅振動剪断(SAOS)実験を実行し、ASTMD4440により決定して、Tgを超える複数の温度で1~400s-1の範囲にわたって周波数掃引を実行することによって行われる。幾つかの実施形態において、粘度は、約170℃~約230℃のPVC処理温度で測定される。
【0094】
本開示の1つの実施形態において、コポリエステルは、約5分を超える半結晶化時間、少なくとも約90℃以上のガラス転移温度、約170~約230℃及び10 1/秒のせん断速度で測定して、約1,000~約1,000,000ポアズの粘度範囲を有する。
【0095】
本開示の別の実施形態において、コポリエステル組成物は、約5分を超える半結晶化時間、少なくとも100℃以上のガラス転移温度、約170℃~約230℃及び10 1/秒のせん断速度で測定して、約1,000~約1,000,000ポアズの粘度範囲を有する。
【0096】
幾つかの実施形態において、PVC樹脂は、他の添加剤、例えば、加工助剤、可塑剤、安定剤、耐衝撃性改良剤、殺生物剤、難燃剤、起泡剤、発泡剤、熱安定剤、UV安定剤、UV吸収剤、鉱物、顔料、染料、着色剤、充填剤、繊維、ワックス、溶融促進剤、酸化防止剤、帯電防止剤、離型剤、潤滑剤、追加の樹脂、熱変形温度調整剤及び場合によっては他の添加剤などと組み合わされる。
【0097】
本開示の1つの実施形態は、少なくとも1つのポリカーボネート樹脂と、少なくとも1つのコポリエステルとの混和性混合物を配合して、粘性の熱可塑性材料を製造すること、ここで、該コポリエステルは、(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基を含むジカルボン酸成分、(b)(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコールを含むグリコール成分を含む、該配合物を少なくとも1つの塩化ポリビニル樹脂組成物とブレンドすること、及び、該ブレンドをカレンダ加工、押出成形又は射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を製造することを含む、ポリ塩化ビニル組成物を製造する方法である。
【0098】
本開示の別の実施形態は、少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂を、少なくとも1つのコポリエステルと配合して、粘性の熱可塑性材料を製造すること、ここで、該コポリエステルは(a)(i)約90~約100モル%のテレフタル酸残基、(ii)約0~約10モル%の、最大で20個の炭素原子を有する芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸残基を含む、ジカルボン酸成分、及び、(b)(i)約20~約60モル%の、2~20個の炭素原子からなる改質性グリコール、及び(ii)約40~約80モル%の、2~20個の炭素原子からなる第二の改質性グリコールを含む、グリコール成分を含む、配合された組成物をポリ塩化ビニル樹脂と混合してポリ塩化ビニル組成物を製造すること、該ポリ塩化ビニル組成物をダイを通して押出してペレットを製造すること、及び、該ペレットをカレンダ加工、押出成形又は射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を製造することを含む、ポリ塩化ビニル組成物を製造する方法である。
【0099】
幾つかの実施形態において、本開示のPVC組成物は、フィルム、シート、プロファイル又は射出成形された物品及び部品などの物品を製造するために使用される。
【0100】
本開示の組成物は、成形プラスチック部品又は固体プラスチック物体として有用である。幾つかの実施形態において、フィルム、シート、プロファイル及び射出成形品及び部品は、ペレットが一緒にブレンドされ(濃縮された成分を使用する場合)、又は押出機に直接添加される(完全に配合された組成物を使用する場合)押出成形プロセスを含む任意の押出プロセスを使用して製造することができる。幾つかの実施形態において、フィルム、プロファイル及びシートは、任意のカレンダ加工プロセスを使用して製造することができる。
【0101】
幾つかの実施形態において、本開示の組成物の溶融加工は、限定するわけではないが、二軸スクリュー押出機、一軸スクリュー押出機、高強度バッチミキサー、バンバリミキサー、ブラベンダミキサー、ロールミル、コ-ニーダ又は遊星歯車押出機を含む、当該技術分野で知られている任意の装置を使用する押出を含む。混合中のせん断エネルギーは、機器の組み合わせ、ブレードの設計、回転速度(rpm)及び混合時間に依存する。剪断エネルギーは、ポリ塩化ビニル樹脂全体にコポリエステルを分散させるのに十分であるべきである。
【0102】
幾つかの実施形態において、コポリエステル、ポリ塩化ビニル樹脂及び添加剤は、プロセス中に任意の順序で組み合わせることができる。1つの実施形態において、コポリエステルは、ポリ塩化ビニル樹脂と予混合される。別の実施形態において、ポリ塩化ビニル樹脂は、添加剤と予混合され、次いで、コポリエステルと混合される。
【0103】
本開示はさらに、本明細書に記載のポリ塩化ビニル組成物を含むフィルム及び/又はシートを含む製品に関する。実施形態において、本開示のフィルム及び/又はシートは、当業者に明らかである任意の厚さであることができる。
【0104】
本開示はさらに、本明細書に記載の成形品に関する。ポリ塩化ビニル組成物を成形品に成形する方法は、当該技術分野で知られている任意の方法を含むことができる。本開示の成形品の例としては、限定するわけではないが、射出成形品及び押出成形品が挙げられる。成形品の製造方法としては、限定するわけではないが、射出成形及び押出成形が挙げられる。
【0105】
本開示のポリカーボネート、コポリエステル及びポリ塩化ビニル樹脂の組成物は、任意の標準的な手順を使用してペレットにすることができる。
【0106】
例えば、本開示のペレットは、以下の方法で製造することができる。1つの実施形態において、ポリカーボネート/コポリエステル混合物及びポリ塩化ビニル樹脂は、二軸配合ラインを使用して取り込むことができる。ポリカーボネート、コポリエステル及びポリ塩化ビニル樹脂は、押出機のスロートに別々に供給され、溶融して、粘性の熱可塑性材料を製造する。
【0107】
1つの実施形態において、ポリカーボネート/コポリエステル混合物及びポリ塩化ビニル樹脂は、減量フィーダーを使用して添加することができる。2本のネジを回転させると、ポリカーボネート/コポリエステル混合物とPVCが一緒に溶融する。次に、混合物をダイを通して押出して、複数のストランドを生成する。ストランドは、ペレットを冷却するために水槽を通して供給されうる。水槽を出ると、ストランドは乾燥され、ダイサーに供給されて、ストランドをペレットに切断する。あるいは、混合物を、水中への複数の開口部を備えた円形の平板ダイを通して押出すことができる。平板ダイは回転カッターを有し、該カッターはストランドがダイから押出されたときにストランドをスライスしてペレットを生成する。水の連続流はペレットを冷却し、それらを乾燥セクションに輸送し、次いで、典型的に、遠心分離機を使用してペレットを水から分離する。
【0108】
1つの実施形態において、ポリカーボネート/コポリエステル混合物及びPVCは、2ロータ連続配合ミキサー(ファレル連続ミキサーなど)を使用して取り込むことができる。ポリカーボネート/コポリエステル混合物を、PVCと一緒にミキサーのスロートに供給し、溶融して、粘性の熱可塑性材料を生成することができる。コポリエステルをポリカーボネートと事前にブレンドして、次いで、PVCに添加することができ、この混合物を、減量フィーダーを使用して押出機に添加する。ミキサーの出力速度は、排出オリフィスの面積を変えることによって制御される。溶融物を「ローフ」にスライスし、2ロールミル又は一軸スクリュー押出機のスロートに供給する。溶融物が2ロールミルに供給される場合において、溶融物はロールの1つを覆い、ストリップを一軸スクリュー押出機のスロートに供給することができる。次に、混合物をダイを通して押出して、複数のストランドを生成する。ストランドを水槽を通して供給して、ペレットを冷却することができる。水槽を出ると、ストランドは乾燥され、ダイサーに供給されて、ストランドをペレットに切断する。あるいは、混合物を、水中への複数の開口部を備えた円形の平板ダイを通して押出すことができる。平板ダイは回転カッターを有し、該カッターは、ストランドがダイから押出されたときにストランドをスライスしてペレットを生成する。水の連続流はペレットを冷却し、乾燥セクションに輸送し、典型的には、ペレットを水から分離する遠心分離機に輸送する。「ローフ」が一軸スクリュー押出機に供給される場合において、混合物をダイを通して押出し、複数のストランドを生成する。ストランドを、ペレットを冷却するために水槽を通して供給することができる。水槽を出ると、ストランドは乾燥され、ダイサーに供給されて、ストランドをペレットに切断する。あるいは、混合物を、水中への複数の開口部を備えた円形平板ダイを通して押出すことができる。平板ダイには回転カッターがあり、該回転カッターは、ストランドがダイから押出されたときにストランドをスライスしてペレットを生成する。水の連続流はペレットを冷却し、乾燥セクションに輸送し、典型的には、ペレットを水から分離する遠心分離機に輸送する。
【0109】
幾つかの実施形態において、ポリカーボネート/コポリエステル混合物及びPVC樹脂を、バンバリーバッチタイプミキサーなどのプラスチック配合ラインに取り込むことができる。これらの実施形態において、ポリカーボネート/コポリエステル混合物は事前に混合され、この混合物はPVCと混合され、次にバンバリータイプの高強度ミキサーに供給され、ラムを下げて混合物を混合チャンバ中に圧縮する。2つの回転ミキサーブレードはペレットを溶融させ、コポリエステルとポリカーボネートとの混合物をPVCとともに溶融させる。希望の温度に達すると、ミキサーの底にあるドアが開かれ、混合物は2ロールミルに落下される。次に、2ロールミルからのリボンを一軸スクリュー押出機に供給することができる。次に、混合物をダイを通して押出して、複数のストランドを生成する。ストランドは、ストランドを冷却するために水槽を通して供給されうる。水槽を出ると、ストランドは乾燥され、ダイサーに供給されて、ストランドをペレットに切断する。あるいは、混合物を、水中への複数の開口部を備えた円形の平板ダイを通して押出すことができる。平板ダイは回転カッターを有し、該カッターは、ストランドがダイから押出されたときにストランドをスライスしてペレットを生成する。水の連続流はペレットを冷却し、乾燥セクションに輸送し、典型的には、ペレットを水から分離するために遠心分離機に輸送する。
【0110】
本開示は、プラスチック物品を製造するための幾つかの異なる方法を想定している:連続した平らなシート又はプロファイルを製造するための押出成形、個別の物品を製造するための射出成形、又は、連続フィルム又はシートを製造するための押出成形。
【0111】
本開示の別の実施形態は、コポリエステル/ポリカーボネート混合物をPVC樹脂組成物と組み合わせて、押出プロセスを使用して平坦なシート又はプロファイルを製造することからなる。幾つかの実施形態において、これは幾つかの方法で達成することができ、例えば、コポリエステル/ポリカーボネート混合物及びPVC樹脂組成物を、一軸又は二軸スクリュー押出機のスロートに別々に加える。別の実施形態において、コポリエステル及びポリカーボネートの混合物をPVC樹脂組成物と配合し、次いで、一軸又は二軸スクリュー押出機のスロートに添加する。幾つかの実施形態における配合された混合物は、スクリューによって押出機バレルに運ばれ、圧縮されて、混合物を溶融し、溶融物を押出機の端部から排出する。次に、溶融物をダイに供給して連続平らなシートを作成するか、又は、プロファイルダイに供給して連続形状を作成することができる。平らなシートダイを使用する実施形態において、溶融物を一連の金属ロール(典型的に3つ)に押出して、溶融物を冷却し、シートに仕上げを与える。次に、平らなシートを連続シートで運び、シートを冷却する。次に、所望の幅にトリミングしてから、ロールに丸めるか、せん断するか、又はシート状に切断することができる。平らなシートはまた、機械的手段によってある形状に加工されて所望の形状を形成し、次に水を噴霧することによって、水槽を通して、又はプロファイルに空気を吹き付けることによって冷却することができる。次に、所望の長さに切断又は剪断することができる。
【0112】
プロファイルダイを使用する実施形態において、ダイは、所望の形状の物品を生成するように設計されている。ダイを出た後に、水を噴霧することによって、水槽を通して、又はプロファイルに空気を吹き付けることによって、冷却することができる。次に、所望の長さに切断又は剪断することができる。
【0113】
本開示の別の実施形態は、コポリエステル/ポリカーボネート混合物をPVC樹脂組成物と組み合わせて、射出成形品を製造することからなる。これは、上記のようにコポリエステル/ポリカーボネートブレンドとPVC樹脂を一軸又は二軸スクリュー押出機のスロートに別々に添加することによって幾つかの方法で達成できる。別の実施形態において、コポリエステル及びポリカーボネートの混合物をPVC組成物と混合し、次いで、一軸又は二軸スクリュー押出機のスロートに添加する。ブレンドされた混合物は、幾つかの実施形態において、スクリューによって押出機バレルに運ばれ、圧縮されて、混合物を溶融し、溶融物を押出機の端部から排出する。ペレットが所望の温度に達すると、押出機の端部でゲートが開かれ、溶融したプラスチックがスクリューによって加熱されたモールドにポンプで送られ、所望の形状の物品を形成する。モールドが充填された後に、冷却剤がモールドを通してポンプで送られ、モールド及び溶融プラスチックを冷却する。プラスチックが固化した後に、モールドを開き、モールドから物品を取り出す。
【0114】
例えば、本開示の1つの実施形態は、上記のように、少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂組成物及び少なくとも1つのコポリエステル/ポリカーボネート混合物を押出して、熱可塑性材料の粘性ブレンドを製造すること、熱可塑性材料のブレンドをカレンダ加工、押出成形又は射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を製造することを含む、ポリ塩化ビニル組成物を製造する方法である。
【0115】
本開示の別の実施形態は、上記のように、少なくとも1つのポリ塩化ビニル樹脂組成物及び少なくとも1つのコポリエステル/ポリカーボネート混合物との混和性のブレンドされた混合物を配合して、粘性の熱可塑性材料を製造すること、該コンパウンドをダイを通して押出してペレットを製造すること、該ペレットをカレンダ加工、押出成形又は射出成形プロセスに導入して、ポリ塩化ビニル物品を製造することを含む、ポリ塩化ビニル組成物を製造する方法である。幾つかの実施形態において、ポリ塩化ビニル組成物は剛性である。
【0116】
これらのPVC組成物の有用な用途は、コーナープロファイル、デッキング、フェンシング、レーリング、窓プロファイル、及びその他の内外装用途などの多くの建築及び建設用途が挙げられる。
【0117】
これらのPVC組成物の他の用途は、電化製品、電気及び電子エンクロージャ、サインエンクロージャ、自動車用途、航空機内装、及び、引張強度及び弾性率ならびに曲げ強度及び弾性率が低いために剛性PVC配合物が制限されているその他の用途での使用が挙げられる。
【0118】
例えば、幾つかの実施形態において、本開示のPVC物品は以下の用途:建築及び建設、コーナープロファイル、デッキング、フェンシング、レーリング、軒裏、ビニールサイディング、クラッディング、窓プロファイル、ドアフレーム、サイディング、フェンス、ガター、パイプ、配管、電気及び電子エンクロージャ、電気ジャンクションボックス、自動車の内外装、電化製品、事務機器、サインエンクロージャ、メディカルデバイス、航空機の内装、及びその他の用途で使用される。幾つかの実施形態において、ポリ塩化ビニル物品は剛性である。
【0119】
この開示は、以下の例によってさらに例示することができるが、これらの例は、単に例示の目的で含まれており、特に明記しない限り、開示の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。
【実施例
【0120】
以下の表及び図は、開示の実験結果及び比較例を要約したものである。
【表1】
【0121】
表1は、すべての例で使用されている対照配合物である。生成されたすべてのデータは、対照配合物を使用し、添加剤は、100部のPVC樹脂に基づいた、100部の樹脂量あたりの様々な部で含まれた。すべてのサンプルを溶融し、190℃、30rpmのブレード速度に設定されたBrabender Intelli-Torqueミキサーで280グラムのコンパウンドを混合することにより調製した。サンプルを190℃でブラベンダから取り出し、Dr. Collin Two Roll Millに移した。フロントロール温度を180℃に設定し、バックロール温度を175℃に設定した。溶融した材料をミルに置き、ロール速度を20rpmに設定した。材料の温度は175℃に達し、次いで、ミルから取り出した。フィルムを0.010インチ(250ミクロン)でミルから取り出し、放冷した。
【表2】
【0122】
表2は、サンプル組成物を要約している。サンプル組成物は、表1の対照配合物を、記載されているような様々な量のHDT1、HDT2及びHDT3とブレンドして、0質量%~約31質量%までの様々な量のポリカーボネートを含む混合物を作成することによって製造した。
【0123】
非晶性コポリエステルはイーストマンケミカル社から市販されており、ガラス転移温度は約116℃である。ポリカーボネートのMakrolon 2608は、Covestro製の中粘度の非晶性ビスフェノールAポリカーボネート樹脂で、ガラス転移温度は約148℃である。
【0124】
Covestro製の中粘度の非晶性ビスフェノールAポリカーボネート樹脂であり、ガラス転移温度が約148℃であるポリカーボネートのMakrolon 2658樹脂も、幾つかの例で使用された。
【0125】
例1:DSC及びHDT
サンプルは、HDT1、HDT2及びHDT3を30、40、50、60及び80phrで添加して調製した。追加のサンプルは、HDT2とHDT3の混合物を50/10、30/30、10/50の比率(合計60phr)で添加し、HDT2とHDT3の混合物を65/15、40/40及び15/65(合計80phr)で添加することによって調製した。表3は、示差走査熱量測定(DSC)(ASTM D3418)、及び、1%及び2%のひずみでの荷重下熱変形温度(HDTUL)(ASTM D1637)の結果を含む。データは、HDT1、HDT2、HDT3及びHDT2とHDT3との混合物を含むすべての組成物のDSCによって決定されたTgが対照サンプルよりも高かったことを示している。DSCによって決定されたTg値は、ガラス転移領域の中間点で取得した。データはまた、1%及び2%ひずみでの引張DMAによって決定されたHDTULが対照配合物よりも高かったことを示している。
【表3】
【0126】
例2:衝撃特性

サンプルは、HDT1、HDT2及びHDT3を30、40、50、60及び80phrで添加して調製した。追加のサンプルは、HDT2とHDT3との混合物を50/10、30/30、10/50の比率(合計60phr)で添加し、HDT2とHDT3との混合物を65/15、40/40及び15/65(合計80phr)を添加することによって調製した。表4は、計装衝撃(ASTM D3763)の結果の要約である。データは、影響を受けたサンプルの視覚検査によって決定して、HDT1のみを含むすべての組成物は延性であることを示している。データは、ポリカーボネートであるMakrolon 2608を含む組成物が、衝撃を受けたサンプルの視覚検査によって決定して、約15質量%の装填量まででほとんど延性のある衝撃特性を提示することを示す。データはまた、脆いものの、ポリカーボネートであるMakrolon2608の含有量が約25%となるまで、平均最大荷重(kN)、最大荷重時の平均エネルギー(J)、平均穿刺エネルギー(J)及び平均総エネルギー(J)により測定して、衝撃強度の有意な低下が見られなかったことを示している。
【表4】
【0127】
例3:引張特性
サンプルは、HDT1、HDT2及びHDT3を30、40、50、60及び80phrで添加して調製した。追加のサンプルは、HDT2とHDT3との混合物を50/10、30/30、10/50の比率(合計60phr)で添加して、HDT2とHDT3との混合物を65/15、40/40及び15/65(合計80 phr)で添加することによって調製した。表5は、引張特性データ(ASTM D-638)を要約している。測定はフィルムが2ロールミルから引き抜かれる方向(機械方向)及びフィルムがミルから引き抜かれる方向に垂直(横断方向)に行った。衝撃強度の代用として%破断ひずみを使用すると、機械方向及び横断方向のデータは、一般に、計装衝撃データを反映し、ポリカーボネートMakrolon 2608の含有量が約25%になるまで完全な脆化は見られなかった。
【表5】
【0128】
例4:処理特性
サンプルは、HDT1、HDT2及びHDT3を80phrで添加して調製した。追加のサンプルは、HDT2とHDT3との混合物を65/15、40/40及び15/65(合計80phr)で添加して調製した。20、40、60、80及び100phrで非晶性コポリエステルを添加して追加のサンプルを調製した。図1及び2は、平行平板レオメトリーによって決定した、190℃での粘度データvsせん断速度の関係を含む。データは、ポリカーボネートを含む配合物は、PVC及び非晶性コポリエステルを含む配合物よりも溶融粘度が低い傾向があることを示している。
【0129】
例5.ガラス転移温度及び混和性
サンプルは、HDT2及びHDT3を30、40、50phrで対照配合物に添加することによって調製した。図3及び4は、30、40及び50phrで添加したHDT2の貯蔵弾性率及びtanδチャートを示している。図5及び6は、30、40及び50phrで添加したHDT3の貯蔵弾性率及びtanδチャートを示している。すべてのチャートは、すべての混合物の単一の統合したガラス転移温度を示している。貯蔵弾性率チャートは、約90~95℃で始まり、約100℃で終わる単一の急激な下降勾配を示している。tanδチャートは、約95~100℃の範囲の単一のピークを示している。これらのデータは、非混和性ポリマー混合物が2つ以上の明確なガラス転移温度を有すると予想されるので、ポリマーの単一の混和性混合物であることを示す。
【0130】
比較例1:20、40及び60phrでのポリカーボネートの引張特性、衝撃特性及び相溶性
サンプルは、ポリカーボネートであるMakrolon 2658を20、40及び60phrでPVC対照配合物に添加して調製した。表6は、引張特性データ及び計装衝撃データを要約している。図7は、動的機械分析(DMA)データを含む。ポリカーボネートであるMakrolon2658はTgが約145℃であり、ポリカーボネートは一般に強靭なポリマーとして知られている。表6のデータは、試験されたすべてのレベルのポリカーボネートのMakrolon 2658が、破断点ひずみ%が低く、脆い計装衝撃特性ために、衝撃特性が低いことを示している。図7は、tan δピークによって決定して、2つの明確なガラス転移温度(Tg)によって示されるように、ポリカーボネートのMakrolon 2658とPVC対照配合物のブレンドが非混和性であることを示している。このデータは、高Tgの熱可塑性材料を剛性PVCに取り込むだけでは、Tg及びHDTULを増加させ、ブレンドの衝撃特性を維持するのに十分ではないことを示している。高Tg熱可塑性材料はまた、混和性で相溶性がなければならない。
【表6】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】