IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上海導向医療系統有限公司の特許一覧

特表2022-514544耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置
<>
  • 特表-耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置 図1
  • 特表-耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置 図2
  • 特表-耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置 図3
  • 特表-耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置 図4
  • 特表-耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/02 20060101AFI20220204BHJP
【FI】
A61B18/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534350
(86)(22)【出願日】2019-03-07
(85)【翻訳文提出日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 CN2019077262
(87)【国際公開番号】W WO2020155301
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】201910077358.7
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520393521
【氏名又は名称】上海導向医療系統有限公司
【氏名又は名称原語表記】ACCU TARGET MEDIPHARMA (SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 2001, Building 2, 501 Newton Road, China (Shanghai) Pilot Free Trade Zone Shanghai 200000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】楊遅
(72)【発明者】
【氏名】徐彬凱
(72)【発明者】
【氏名】呉銀龍
(72)【発明者】
【氏名】張瑞
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ01
(57)【要約】
【課題】本発明は、刀部内の圧力が高過ぎるとカテーテルが破裂する問題を解決し、カテーテルと刀部の接続強度及び気密性を高めるのに有効な、耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置を提供する。
【解決手段】本発明の装置は、ライナー管の外壁にねじ部を設けることでライナー管と可撓管構造の間の接続強度を高め、ライナー管の外壁に環状凸部を設けることで圧力逃がし時に排出されたガスがさらに外側に漏れないようにし、かつ接続強度を高める。本発明はさらに押圧管の径方向への押圧により気密性と接続強度を確保する。また、本発明は刀部通気孔、圧力逃がし中間腔部、ライナー通気孔、可撓管通気孔及び圧力逃がし間隙を利用し、直接刀部内の内腔部の圧力逃がしを行い、内腔部の圧力が圧力閾値より高い又は圧力閾値と等しいとき、圧力逃がしを自動的に制御でき、刀部内の圧力が高くなり過ぎる事態を回避し、さらにはカテーテルの破裂を防ぐことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刀部構造及び前記刀部構造の後端に接続する可撓管構造を含み、前記刀部構造中には内腔部が設けられ、前記刀部構造は刀部前段及び刀部後段を含み、前記刀部後段の前端は前記刀部前段の後端に接続し、前記刀部後段の外径は前記刀部前段の外径より小さい耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置であって、前記可撓性冷凍アブレーションニードル装置はライナー管、圧力逃がしアセンブリー、圧力逃がし中間腔部及び第1押圧管を含み、前記可撓管構造中には圧力逃がし間隙及び可撓管通気孔が設けられ、前記刀部前段の後端面には刀部通気孔が設けられ、前記ライナー管にはライナー通気孔が設けられ、
前記ライナー管の前端は前記刀部前段の後端面に接続し、前記圧力逃がし中間腔部は前記刀部構造の径方向に沿って前記ライナー管の内側と前記刀部後段の外側の間に形成され、前記圧力逃がし中間腔部は前記刀部構造の軸方向に沿って前記刀部前段の後端面と固定部の間に形成され、前記固定部は前記刀部後段の外側と前記ライナー管の内側の間に接続され、前記可撓管構造は前記刀部構造の径方向に沿って前記ライナー管の外側に設けられ、前記圧力逃がし中間腔部は前記ライナー通気孔及び前記可撓管通気孔を経て前記圧力逃がし間隙まで連通し、前記内腔部は前記刀部通気孔の一側に接続し、前記圧力逃がし中間腔部は前記刀部通気孔の別の一側に接続し、
前記ライナー管の少なくとも一部の外壁と前記可撓管構造の内壁は接合し、前記ライナー管の前記可撓管構造と接合する外壁には凹凸構造が設けられ、前記第1押圧管は前記可撓管構造の外側に被装され、かつ前記凹凸構造の一部の外側に位置し、前記凹凸構造はねじ部及び環状凸部を含み、
前記圧力逃がしアセンブリーは前記圧力逃がし中間腔部に設けられ、前記内腔部で用いられる圧力が圧力閾値より低いとき、前記刀部通気孔が密閉され、かつ前記内腔部の圧力が圧力閾値より高い又は圧力閾値と等しいとき、前記刀部通気孔と前記可撓管通気孔と前記ライナー通気孔を制御して全て連通させることにより、前記刀部構造中のガスが前記刀部通気孔、前記圧力逃がし中間腔部、前記ライナー通気孔、前記可撓管通気孔及び前記圧力逃がし間隙を順に通過して排出され圧力が逃される、
ことを特徴とする耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置。
【請求項2】
前記圧力逃がしアセンブリーは前記圧力逃がし中間腔部内に位置するスライダー及びスプリングを含み、前記スプリングは前記刀部構造の軸方向に沿って前記スライダー及び前記固定部に接続され、前記刀部前段の後端面の一側には第1密閉部材が設けられ、
前記スプリングは、前記内腔部の圧力が前記圧力閾値より低いときには弾性力により前記第1密閉部材を動かして前記スライダーと前記刀部前段の後端面に挟持されるように配置され、これにより前記刀部通気孔は密閉され、前記内腔部の圧力が前記圧力閾値より高い又は前記圧力閾値と等しいときには前記内腔部の圧力に動かされて圧縮され、これにより前記刀部通気孔が再度密閉されないようにすることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1密閉部材は前記スライダーの前端に接続され、前記第1密閉部材が前記スライダーと前記刀部前段の後端面に挟持されたとき、前記第1密閉部材は前記刀部通気孔を密閉でき、
前記スプリングが前記内腔部の圧力に動かされて圧縮されたとき、前記第1密閉部材と前記刀部通気孔は分離し、これにより前記刀部通気孔が再度
密閉されないようにすることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1密閉部材は前記刀部前段の後端面に接続され、前記スライダーの前記刀部構造の径方向に沿った第1側部には中間間隙が設けられ、前記圧力逃がし中間腔部は前記スライダー前端の一側に位置する第1圧力逃がし分割腔部及び前記スライダー後端の一側に位置する第2圧力逃がし分割腔部を含み、
前記第1密閉いう部材が前記スライダーと前記刀部前段の後端面に挟持されたとき、前記第1密閉部材が前記中間間隙の前端を密閉することにより、前記第1圧力逃がし分割腔部と前記第2圧力逃がし分割腔部が仕切られ、
前記スプリングが前記内腔部の圧力に押されて圧縮されたとき、前記刀部通気孔、前記第1圧力逃がし分割腔部、前記中間間隙、前記第2圧力逃がし分割腔部、前記可撓管通気孔及び前記圧力逃がし間隙が順に連通することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記スライダーの前記刀部構造の径方向に沿った第2側部には第2密閉部材が設けられ、前記第2密閉部材は前記スライダーの第2側部で前記第1圧力逃がし分割腔部と前記第2圧力逃がし分割腔部を仕切るのに用いられることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記スライダーの第2側部には凹溝が設けられ、前記第2密閉部材は前記凹溝に取り付けられることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記可撓管構造は前記内側カテーテル及び前記内側カテーテルの外側に設けられる外側カテーテルを含み、前記外側カテーテルは前記刀部構造の第1外管部及び前記第1外管部後端と接続する第2外管部を含み、前記第1外管部の内壁と前記内側カテーテルの外壁は接合し、前記第2外管部と前記内側カテーテルの間には前記圧力逃がし間隙が形成され、前記内側カテーテルには前記可撓管通気孔が設けられ、前記圧力逃がし間隙はガス抜きアセンブリーに連通することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記内側カテーテル及び前記外側カテーテルの材料はポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
第2押圧管を含み、前記第2押圧管は前記内側カテーテルの外側に被装され、かつ前記凹凸構造の一部の外側に位置することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
管路構造を含み、前記管路構造は前記刀部構造の軸方向に沿って前記刀部後段に貫設され、前記管路構造内にはガスを前記内腔部に取り込む取込通路が設けられ、前記刀部後段の内側と前記取込通路の外側の間には前記内腔部のガスを前記刀部後段後端の一側に排出するガス戻し通路が形成されることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療分野に関し、特に、耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性冷凍メスは、人体の自然な空洞(例えば気管支)中の生検、異物除去、凍結切除、アブレーションによる不活化に用いられ、一般的には刀部、カテーテル、ハンドル、延長管及びクイックコネクターの5大部材が含まれる。
【0003】
通常の可撓性冷凍メスは生検、異物除去、凍結切除に用いられ、二酸化炭素又は亜鉛化窒素がガスとして用いられ、ガス流入動作圧力は最高で900psiになり、刀部温度は-40℃から-80℃であり、正常な動作条件の下では、刀部内の背圧は100psiより低い。カテーテルは単層のチューブであり、温度が低くないので、断熱処理を施す必要がない。
【0004】
腫瘍アブレーションに用いられる可撓性冷凍メスを例に挙げると、これは高圧低温の治療機器であり、ガス流入動作圧力は1500psi前後であり、刀部温度は-140℃から-170℃に達し、正常な動作条件の下では、刀部内の背圧は300psiから500psiであり、このような低温高圧の環境は金属刀部及び樹脂製カテーテルの間の接続強度と密閉性に対する要求が極めて高い。刀部とカテーテルの間の接続が外れた場合、刀部が飛び出し、人体組織を突き刺したり、ガス漏れを招いたり、余計な凍傷やガス塞栓症を引き起こしたりすることがある。刀部とカテーテルの間の接続の気密性が不十分な場合、同じくガス漏れにより余計な凍傷やガス塞栓症を引き起こすことがある。また、腫瘍アブレーションに用いられる冷凍メスの温度が低過ぎると、人体の正常な管腔の壁に凍傷を引き起こす可能性がある。
【0005】
同様に腫瘍アブレーションに用いられる可撓性冷凍メスを例に挙げると、そのガス戻し管路が詰まり(氷詰まり)、刀部内の背圧が最高で1500psiにまで達することがあり、このような高圧に樹脂製カテーテル自体が耐えられず、カテーテルの破裂を招くことがあり、もし手術中にカテーテルの破裂が発生した場合、大量のガスが自然管腔に漏れ、患者の命を危険にさらす可能性がある。
【0006】
以上のことからわかるように、既存の関連技術を用いた冷凍メスには、刀部とカテーテルの接続強度及び気密性が優れず、刀部内の圧力が高過ぎるとカテーテルの破裂を引き起こしやすいという欠陥がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、自動的に圧力逃がしをすることにより、刀部内の圧力が高くなり過ぎてカテーテルが破裂しやすくなる問題を解決し、ねじ部、環状凸部及び第1押圧管によりカテーテルと刀部の接続強度及び気密性を効果的に高める、耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つ目の態様に基づき提供する耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置は、刀部構造及び前記刀部構造の後端に接続する可撓管構造を含み、前記刀部構造中には内腔部が設けられ、前記刀部構造は刀部前段及び刀部後段を含み、前記刀部後段の前端は前記刀部前段の後端に接続し、前記刀部後段の外径は前記刀部前段の外径より小さい、耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置である。前記可撓性冷凍アブレーションニードル装置はライナー管、可撓管構造、圧力逃がしアセンブリー、圧力逃がし中間腔部及び第1押圧管を含み、前記可撓管構造中には圧力逃がし間隙及び可撓管通気孔が設けられ、前記刀部前段の後端面には刀部通気孔が設けられ、前記ライナー管にはライナー通気孔が設けられる。前記ライナー管の前端は前記刀部前段の後端面に接続し、前記圧力逃がし中間腔部は前記刀部構造の径方向に沿って前記ライナー管の内側と前記刀部後段の外側の間に形成され、前記圧力逃がし中間腔部は前記刀部構造の軸方向に沿って前記刀部前段の後端面と固定部の間に形成され、前記固定部は前記刀部後段の外側と前記ライナー管の内側の間に接続され、前記可撓管構造は前記刀部構造の径方向に沿って前記ライナー管の外側に設けられ、前記圧力逃がし中間腔部は前記ライナー通気孔及び前記可撓管通気孔を経て前記圧力逃がし間隙まで連通し、前記内腔部は前記刀部通気孔の一側に接続し、前記圧力逃がし中間腔部は前記刀部通気孔の別の一側に接続する。前記ライナー管の少なくとも一部の外壁と前記可撓管構造の内壁は接合し、前記ライナー管の前記可撓管構造と接合する外壁には凹凸構造が設けられ、前記第1押圧管は前記可撓管構造の外側に被装され、かつ前記凹凸構造の一部の外側に位置し、前記凹凸構造はねじ部及び/又は環状凸部を含む。前記圧力逃がしアセンブリーは前記圧力逃がし中間腔部に設けられ、前記内腔部で用いられる圧力が圧力閾値より低いとき、前記刀部通気孔が密閉され、かつ前記内腔部の圧力が圧力閾値より高い又は圧力閾値と等しいとき、前記刀部通気孔と前記可撓管通気孔と前記ライナー通気孔を制御して全て連通させることにより、前記刀部構造中のガスが前記刀部通気孔、前記圧力逃がし中間腔部、前記ライナー通気孔、前記可撓管通気孔及び前記圧力逃がし間隙を順に通過して排出され圧力が逃される。
【0009】
任意選択として、前記圧力逃がしアセンブリーは前記圧力逃がし中間腔部内に位置するスライダー及びスプリングを含み、前記スプリングは前記刀部構造の軸方向に沿って前記スライダー及び前記固定部に接続され、前記刀部前段の後端面の一側には第1密閉部材が設けられる。前記スプリングは、前記内腔部の圧力が前記圧力閾値より低いときには弾性力により前記第1密閉部材を動かして前記スライダーと前記刀部前段の後端面に挟持されるように配置され、これにより前記刀部通気孔は密閉され、前記内腔部の圧力が前記圧力閾値より高い又は前記圧力閾値と等しいときには前記内腔部の圧力に動かされて圧縮され、これにより前記刀部通気孔が再度密閉されないようにする。上述の密閉は、直接的密閉及び間接的密閉の状況を含み、この間接的密閉はガスが通らないようにすることと解釈されるが、直接接触する状況ではない。
【0010】
任意選択として、前記第1密閉部材は前記スライダーの前端に接続され、前記第1密閉部材が前記スライダーと前記刀部前段の後端面に挟持されたとき、前記第1密閉部材は前記刀部通気孔を直接密閉できる。前記スプリングが前記内腔部の圧力に動かされて圧縮されたとき、前記第1密閉部材と前記刀部通気孔は分離し、これにより前記刀部通気孔が再度密閉されないようにする。
【0011】
任意選択として、前記第1密閉部材は前記刀部前段の後端面に接続され、前記スライダーの前記刀部構造の径方向に沿った第1側部には中間間隙が設けられ、前記圧力逃がし中間腔部は前記スライダー前端の一側に位置する第1圧力逃がし分割腔部及び前記スライダー後端の一側に位置する第2圧力逃がし分割腔部を含む。前記第1密閉部材が前記スライダーと前記刀部前段の後端面に挟持されたとき、前記第1密閉部材が前記中間間隙の前端を密閉することにより、前記第1圧力逃がし分割腔部と前記第2圧力逃がし分割腔部が仕切られる。前記スプリングが前記内腔部の圧力に押されて圧縮されたとき、前記刀部通気孔、前記第1圧力逃がし分割腔部、前記中間間隙、前記第2圧力逃がし分割腔部、前記可撓管通気孔及び前記圧力逃がし間隙が順に連通する。
【0012】
任意選択として、前記スライダーの前記刀部構造の径方向に沿った第2側部には第2密閉部材が設けられ、前記第2密閉部材は前記スライダーの第2側部で前記第1圧力逃がし分割腔部と前記第2圧力逃がし分割腔部を仕切るのに用いられる。
【0013】
任意選択として、前記スライダーの第2側部には凹溝が設けられ、前記第2密閉部材は前記凹溝に取り付けられる。
【0014】
任意選択として、前記第1密閉部材及び前記第2密閉部材は密閉リングである。
【0015】
任意選択として、前記可撓管構造は前記内側カテーテル及び前記内側カテーテルの外側に設けられる外側カテーテルを含み、前記外側カテーテルは前記刀部構造の第1外管部及び前記第1外管部後端と接続する第2外管部を含み、前記第1外管部の内壁と前記内側カテーテルの外壁は接合し、前記第2外管部と前記内側カテーテルの間には前記圧力逃がし間隙が形成され、前記内側カテーテルには前記可撓管通気孔が設けられ、前記圧力逃がし間隙はガス抜きアセンブリーに連通する。
【0016】
任意選択として、前記内側カテーテル及び前記外側カテーテルの材料はポリテトラフルオロエチレンである。
【0017】
任意選択として、前記可撓性冷凍アブレーションニードル装置は前記第2押圧管を含み、前記第2押圧管は前記内側カテーテルの外側に被装され、かつ前記凹凸構造の一部の外側に位置する。
【0018】
任意選択として、前記装置は管路構造を含み、前記管路構造は前記刀部構造の軸方向に沿って前記刀部後段に貫設され、前記管路構造内にはガスを前記内腔部に取り込む取込通路が設けられ、前記刀部後段の内側と前記取込通路の外側の間には前記内腔部のガスを前記刀部後段後端の一側に排出するガス戻し通路が形成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明が提供する耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置は、前記ライナー管の外壁にねじ部が設けられているのでライナー管と可撓管構造の間の接続強度を高められ、前記ライナー管の外壁には環状凸部が設けられているので、圧力逃がし時に入ってくるガスが外部に漏れないことを保証でき、同時に接続強度を高めることもできる。本発明は押圧管の径方向の押圧により、気密性及び接続強度をさらに確実にできる。
【0020】
また、本発明は刀部通気孔、圧力逃がし中間腔部、ライナー通気孔、可撓管通気孔及び圧力逃がし間隙を利用し、刀部中の内腔部に対して直接圧力逃しを行い、内腔部の圧力が圧力閾値より高い又は圧力閾値に等しいとき、圧力逃がしの自動制御を実施することで、刀部内の圧力が高くなり過ぎる状況の発生が回避でき、さらにカテーテルの破裂を回避できる。
【0021】
本発明はガス戻し通路中に圧力逃がしに関係する部材を直接設置する態様とも異なり、ガス戻し通路中に直接設置した場合はガス戻し通路が詰まったときだけ自動的に圧力逃がしを実施できるが、可撓性冷凍メスのガス戻し通路内に詰まりが発生すると、能動的に圧力逃がしの役割を果たすことができない。しかし、実際の実験及び使用過程における詰まり現象の研究によると、本発明は、実際の状況において、可撓性冷凍メスのカテーテル、延長管部分等のようなその他いかなる位置においても詰まりが発生する可能性はある。したがって、本発明は直接刀部に対して圧力逃がしを行い、様々な詰まり状況に効果的に対応することにより、様々な原因により起こる刀部内の圧力が上がり過ぎる事態にも対応できる。
【0022】
既存の関連技術において、自動的な圧力逃がしは、圧力センサーと電磁弁を組み合わせることにより実施するのが通常の考え方であるが、本発明の任意選択の態様においては、空間を制限された特定の状況に対し、スライダー、密閉部材、スプリングを動かす方式を冷凍メスに創造的に取り入れることにより、構図がよりシンプルで、コストがより低く、より小さい空間で使用される自動的圧力逃がしを実現できる。
【0023】
本発明の任意選択の態様では、内側カテーテルと外側カテーテルの二層管構造を用いており、これは断熱の実現に有利であり、冷凍メスが低すぎる温度により人体の損傷を招く事態を回避できる。また、圧力逃がし間隙の形成及び/又は圧力間隙の真空化により、圧力逃がしと同時に、断熱効果をさらに高めることもできる。
【0024】
また、既存の関連技術においてゴム製又は樹脂製の材料は低温下だと脆化が起こる可能性がある点に対し、本発明の任意選択の態様では、テトラフルオロエチレンを材料に採用し、テトラフルオロエチレンは優れた機械的靭性を有するため、温度が-196℃まで低下しても、5%の伸張率を保つことができ、ポリテトラフルオロエチレンを内側カテーテル及び外側カテーテルの材料に用いることにより、低温下での安全密閉が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施形態又は既存技術における技術案をより明確に説明するために、以下に実施形態又は既存技術の説明に必要な添付図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明の添付図面は、本発明のいくつかの実施形態を示しているに過ぎず、当業者であれば、創造的労力を費やすことなく、これらの添付図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【0026】
図1】本発明の実施形態における耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置の構造を示す図である。
図2】本発明のもう1つの実施形態における耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置の構造を示す図である。
図3】本発明のもう1つの実施形態における耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置の部分的構造を示す1つ目の図である。
図4】本発明のもう1つの実施形態におけるA-A断面の構造を示す図である。
図5】本発明のもう1つの実施形態における耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置の部分的構造を示す2つ目の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施形態と添付の図を組み合わせて、本発明の実施形態における技術案をより明確かつ完全に説明する。説明する実施形態は、本発明の実施形態の一部に過ぎず、本発明の実施形態の全てではない。本発明の実施形態に基づいて、当業者が創造的努力なしに得られる他の全ての実施形態は、本発明の保護範囲に属する。
【0028】
本発明の明細書、請求項及び添付図面において「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語(がある場合)は類似の物を区別するのに用いられるが、必ずしも特定の順序又は前後のつながりを説明するのに用いられるものではない。このように使用されている用語は、適切な状況下で置き換え可能であり、ここに説明される本発明の実施形態は、これらの図や説明にある以外の順序で実施することも可能であることは理解されるであろう。また、「含む」や「備える」及びこれらの変化形の用語は、非排他的な包含を対象とすることを意味し、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品若しくは設備は、必ずしも明確に列挙されたそれらのステップ又はユニットに限定されず、明確に列挙されていない、又はこれらのプロセス、方法、製品若しくは設備に関して固有のその他のステップ若しくはユニットを含み得る。
【0029】
以下に、本発明の技術案について具体的な実施形態を用いて詳細な説明を行う。以下のいくつかの具体的実施形態は組み合わせることができ、同じ又は類似する概念又は過程については、繰り返し説明しない実施形態もある。
【0030】
図1は本発明の実施形態における耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置の構造を示す図である。
【0031】
図1を参照されたい。耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置は刀部構造1及び前記刀部構造1の後端に接続する可撓管構造2を含み、前記刀部構造1中には内腔部14が設けられ、前記刀部構造1は刀部前段11及び刀部後段12を含み、前記刀部後段12の前端は前記刀部前段11の後端に接続し、前記刀部後段12の外径は前記刀部前段11の外径より小さく、前記可撓性冷凍アブレーションニードル装置はライナー管5、圧力逃がしアセンブリー4、圧力逃がし中間腔部3及び第1押圧管6を含む。
【0032】
前記可撓管構造2中には圧力逃がし間隙22及び可撓管通気孔21が設けられ、前記刀部前段11の後端面には刀部通気孔13が設けられ、前記ライナー管5にはライナー通気孔51が設けられる。
【0033】
前記ライナー管5の前端は前記刀部前段11の後端面に接続し、前記圧力逃がし中間腔部3は前記刀部構造1の径方向に沿って前記ライナー管5の内側と前記刀部後段12の外側の間に形成され、前記圧力逃がし中間腔部3は前記刀部構造1の軸方向に沿って前記刀部前段11の後端面と固定部9の間に形成され、前記固定部9は前記刀部後段12の外側と前記ライナー管5の内側の間に接続され、前記可撓管構造2は前記刀部構造1の径方向に沿って前記ライナー管5の外側に設けられ、前記圧力逃がし中間腔部3は前記ライナー通気孔51及び前記可撓管通気孔21を経て前記圧力逃がし間隙22まで連通し、前記内腔部14は前記刀部通気孔13の一側に接続し、これは図1に示す刀部通気孔13の左側であると解釈でき、前記圧力逃がし中間腔部3は前記刀部通気孔13の別の一側に接続し、これは図1に示す刀部通気孔13の右側であると解釈でき、また、前記圧力逃がし中間腔部3はライナー通気孔51を経て前記可撓管通気孔21の一側に接続し、これは図1に示す可撓管通気孔21の下側であり、前記圧力逃がし間隙22は前記可撓管通気孔21の別の一側に接続し、これは図1に示す可撓管通気孔21の上側であると解釈できると同時に、この可撓管通気孔21は頭部構造1の径方向に沿って設置されると解釈できる。
【0034】
刀部通気孔13と可撓管通気孔21の両側は、図1に示す径方向と軸方向に限定されなくてもよく、例えば、刀部通気孔13は軸方向に沿っている以外に、径方向に沿っていてもよい。可撓管通気孔21及びライナー通気孔51は径方向に沿っている以外に、軸方向に沿っていてもよい。また、刀部通気孔13、可撓管通気孔21及びライナー通気孔51の数量は1つでも複数でもよく、複数の場合、この複数の刀部通気孔13は刀部構造1の軸方向を取り囲むように分布してよく、この複数の可撓管通気孔21及びライナー通気孔51は刀部構造1の軸方向を取り囲むように分布してよい。
【0035】
ここで圧力逃がし間隙22は環状の間隙であってよく、複数の間隙部を含むものでもよく、この間隙部は刀部構造1の軸方向を取り囲むように分布してよい。
【0036】
圧力逃がし間隙22が複数の間隙を含み、かつ可撓管通気孔21及びライナー通気孔51の数量がいずれも複数の場合、各間隙部は少なくとも1つの可撓管通気孔21に接続する。
【0037】
また、上述の通気孔の形状は多様であってよく、円柱状の孔構造に限定されない。例えば、孔構造は一端が大きく別の一端が小さい形状でもよい。さらに例えば、孔構造の断面は円形以外に、多辺形でもよい。
【0038】
前記圧力逃がしアセンブリー4は前記圧力逃がし中間腔部3に設けられ、前記内腔部14で用いられる圧力が圧力閾値より低いとき、前記刀部通気孔13が密閉され、かつ前記内腔部14の圧力が圧力閾値より高い又は圧力閾値と等しいとき、前記刀部通気孔13と前記可撓管通気孔21と前記ライナー通気孔51を制御して全て連通させることにより、前記刀部構造1中のガスが前記刀部通気孔13、前記圧力逃がし中間腔部3、前記ライナー通気孔51、前記可撓管通気孔21及び前記圧力逃がし間隙22を順に通過して排出され圧力が逃される。
【0039】
上述の密閉は、通気孔両側をガスが通らないようにする任意手段であると解釈できる。
【0040】
上述の前記刀部通気孔13と前記可撓管通気孔21と前記ライナー通気孔51がいずれも連通するように制御するということは、制御の結果前記刀部通気孔13と前記ライナー通気孔51と前記可撓管通気孔21がいずれも連通すると解釈でき、具体的には、密閉された通気孔の違いに基づき、実施される自動制御の過程も適宜変化する。例えば、密閉時に刀部通気孔13のみが密閉されており、可撓管通気孔21及びライナー通気孔51が密閉されていない場合、実施される自動制御は刀部通気孔13が再び密閉されないように制御することであり得る。次に例えば、密閉時に可撓管通気孔21及びライナー通気孔51のみが密閉されており、刀部通気孔13が密閉されていない場合、実施される自動制御は可撓管通気孔21及びライナー通気孔51が再び密閉されないように制御することであり得る。さらに例えば、密閉時に刀部通気孔13及び可撓管通気孔21が同時に密閉されている場合、実施される自動制御は刀部通気孔13及び可撓管通気孔21が再び密閉されないように制御することであり得る。また、上述の密閉は、直接的密閉及び間接的密閉の状況を含み、この間接的密閉はガスが通らないようにすることであって、直接接触する状況ではないと解釈できる。
【0041】
本実施形態において提供される耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置は、刀部通気孔、圧力逃がし中間腔部、可撓管通気孔及び圧力逃がし間隙を利用し、刀部中の内腔部に対して直接圧力逃がしを行い、ここでは、内腔部の圧力が圧力閾値より高い又は圧力閾値に等しいとき、圧力逃がしの自動制御を実施することにより、刀部内の圧力が高過ぎる状況の発生を回避でき、さらにカテーテルの破裂も回避できる。
【0042】
また、本実施形態もガス戻し通路中に圧力逃がしに関係する部材を直接設置する態様とは異なり、ガス戻し通路中に直接設置した場合はガス戻し通路が詰まったときだけ自動的に圧力逃がしを実施できるが、可撓性冷凍メスのガス戻し通路内に詰まりが発生すると、能動的に圧力逃がしの役割を果たすことができない。しかし、実際の実験及び使用過程における詰まり現象の研究によると、本実施形態は、実際の状況において、可撓性冷凍メスのカテーテル、延長管部分等のようなその他いかなる位置においても詰まりが発生する可能性はある。したがって、本実施形態は直接刀部に対して圧力逃がしを行い、様々な詰まり状況に効果的に対応でき、様々な原因により起こる刀部内の圧力が高過ぎる状況にも対応できる。
【0043】
図2は本発明のもう1つの実施形態における耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置の構造を示す図である。図3は本発明のもう1つの実施形態における耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置の部分的構造を示す1つ目の図である。図4図3中のA-A断面の構造を示す図である。図5は本発明のもう1つの実施形態における耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置の部分的構造を示す2つ目の図である。
【0044】
図2から図5を参照されたい。前記刀部構造1は刀部前段11及び刀部後段12を含み、前記刀部後段12の前端は前記刀部前段11の後端に接続し、前記刀部後段12の外径は前記刀部前段11の外径より小さく、前記刀部通気孔13は前記刀部前段11の後端面に設けられ、かつ前記刀部後段12の外側に位置し、前記圧力逃がし中間腔部3は前記刀部前段11の後端の一側に位置する。
【0045】
刀部構造1中の寸法を変えることにより、可撓管構造2との接続を実施するのに適したものになり、確実に全体の寸法が均一に合致することになる。
【0046】
図2及び図3を参照されたい。前記圧力逃がしアセンブリー4は前記圧力逃がし中間腔部内3に位置するスライダー41及びスプリング42を含み、固定部9はライナー管5の一部であってよく、或いは固定部9とライナー管5は一体であるとも解釈でき、前記スプリング42は前記刀部構造1の軸方向に沿って前記スライダー41及び前記固定部9に接続され、前記刀部前段11の後端面の一側には第1密閉部材43が設けられる。1つの例として、このスプリング42は刀部後段12外側を取り囲むように成形されたものでよく、かつ固定部9はスライダー41と接続される。
【0047】
前記スプリング42は、前記内腔部14の圧力が前記圧力閾値より低いときには弾性力により前記第1密閉部材43を動かして前記スライダー41と前記刀部前段11の後端面に挟持されるように配置され、これにより前記刀部通気孔13は密閉される。具体的には、圧力が圧力閾値より低いとき、スプリング42は圧縮され、さら上述の弾性力を発生させると解釈できる。
【0048】
前記スプリング42は、前記内腔部14の圧力が前記圧力閾値より高い又は前記圧力閾値に等しいとき前記内腔部14の圧力に動かされて圧縮されるように配置され、これにより前記刀部通気孔13が再度密閉されないようになる。具体的には、圧力が圧力閾値より低いとき、スプリング42は一定の程度に圧縮され、圧力が圧力閾値より高い又は圧力閾値に等しいとき、スプリング42はさらに圧縮される。
【0049】
見てわかるように、上述の配置は、スプリング42の変形能力、長さ及び圧力逃がし中間腔部3の適合に対し、以上の機能を実施するのに十分なものであると解釈できる。また、ここでの圧力閾値は具体的な状況に基づいて調整できる任意の数値であり、この数値はスプリング42の形状の選択及び製作、成形、取り付けの技術等により調整確定される。
【0050】
具体的な一実施過程において、前記第1密閉部材43は前記スライダー41の前端に接続される。前記第1密閉部材43が前記スライダー41と前記刀部前段11の後端面に挟持されたとき、前記第1密閉部材43は前記刀部通気孔13を密閉することができ、即ち第1密閉部材43は刀部通気孔13の直接的密閉を実現できる。前記スプリング42が前記内腔部14の圧力に動かされて圧縮されたとき、前記第1密閉部材43と前記刀部通気孔13は分離し、これにより前記刀部通気孔13が再び密閉されないようになる。
【0051】
もう1つの具体的な実施過程において、前記第1密閉部材43は前記刀部前段11の後端面に接続され、前記スライダー41の前記刀部構造1の径方向に沿った第1側部には中間間隙が設けられ、これは図2及び図3に示す軸芯に近い一側に中間間隙が設けられると解釈できる。前記圧力逃がし中間腔部3は前記スライダー41前端の一側に位置する第1圧力逃がし分割腔部及び前記スライダー41後端の一側に位置する第2圧力逃がし分割腔部を含む。これはスライダー41が軸方向に沿って圧力逃がし中間腔部3を両端側の分割腔部に分けると解釈できる。
【0052】
前記第1密閉部材43が前記スライダー41と前記刀部前段11の後端面に挟持されたとき、前記第1密閉部材43が前記中間間隙の前端を密閉することにより、前記第1圧力逃がし分割腔部と前記第2圧力逃がし分割腔部が仕切られる。この時、第1圧力逃がし分割腔部は、刀部通気孔13とスライダー41前端の間の空間であり、これにより刀部通気孔13と連通して第2圧力逃がし分割腔部と分け隔てられた一まとまりの空間を形成し得ると解釈できる。
【0053】
前記スプリング42が前記内腔部14の圧力に押されて圧縮されたとき、前記刀部通気孔13、前記第1圧力逃がし分割腔部、前記中間間隙、前記第2圧力逃がし分割腔部、前記ライナー通気孔51、前記可撓管通気孔21及び前記圧力逃がし間隙22が順に連通する。
【0054】
ここでの一実施方式において、前記スライダー41の前記刀部構造1の径方向に沿った第2側部には第2密閉部材44が設けられ、前記第2密閉部材44は前記スライダー41の第2側部で前記第1圧力逃がし分割腔部と前記第2圧力逃がし分割腔部を仕切るのに用いられる。この第2側部は径方向に沿った第2側部を指す。
【0055】
さらに例を挙げると、このスライダー41の第2側部には凹溝が設けられ、第2密閉部材44は前記凹溝に取り付けられる。
【0056】
具体的な実施過程において、第1密閉部材43及び第2密閉部材44は密閉リングであってよい。
【0057】
さらに例を挙げると、スプリング42の推力によりスライダー41が前に押し動かされ、2つの密閉リングにより密閉されるので、刀部前段11中のガスが圧力逃がし間隙22内に入るのを防止できる。ガスが戻る際に詰まりが発生した場合、刀部構造1内部の圧力が高まり、ガスの圧力がスプリング42の提供する推力を上回ると、スライダー41が後ろにずれて、ガスは刀部通気孔13、圧力逃がし中間腔部3を経て圧力逃がし間隙22内に入ってしまう。多過ぎるガスは例えば圧力逃がしアセンブリーにより発生する真空吸引作用により迅速に排出され、これにより圧力逃がしの目的が達成される。
【0058】
具体的な使用過程において、刀部後段12上には例えば密閉リングのような第1密閉部材43、密閉リングを備えるスライダー41、スプリング42を順に被せて、刀部前段の間の仕切り、即ち刀部前段11の後端面上で軸方向に沿って開けられた4つの刀部通気孔13は、圧力逃がし時の通気に用いられ、例えば密閉リングのような第1密閉部材43は刀部後段12とスライダー41の間の軸方向の密閉に用いられ、例えば密閉リングのような第2密閉部材44はライナー管5とスライダー41の間の径方向のピストンの密閉に用いられ、スライダー41の内側と刀部後段12外側の間には一定の間隙が存在し、前述の中間間隙は圧力逃がし時の通気に用いられ、スプリング42の形状の選択は、圧力逃がしの圧力P、可撓管構造2内即ちその中の内側カテーテル23の最高受圧P、刀部構造1内の最高正常背圧P、及び圧力逃がし間隙内の最小真空圧力Pを同時に考慮、予想する必要があり、参考公式はP>P>P>Pとなる。
【0059】
ライナー管5は刀部後段12上に被せられ、ライナー管5の両端と刀部後段12の接触部分には2つの溶接部54を有し、前端の溶接部54は刀部構造1内のガスが刀部構造1以外に漏れることを確実に防止し、後端の溶接部54は内側カテーテル23内のガスが圧力逃がし間隙22に入ることを確実に防止する。
【0060】
既存の関連技術において、自動的な圧力逃がしは、圧力センサーと電磁弁を組み合わせることにより実施するのが通常の考え方であるが、本発明はこの実施方式の応用を完全に排除したものではなく、また、空間を制限された特定の状況に対し、以上の実施方式はスライダー、密閉部材、スプリングを動かす方式を冷凍メスに創造的に取り入れることにより、構造がよりシンプルで、コストがより低く、より小さい空間で使用される自動的圧力逃がしを実現できる。
【0061】
見てわかるように、スプリング42、密閉リング及び圧力逃がし間隙22による吸引排気は、スプリング42の圧縮力及び密閉リングにより正常な動作状態における気密性を確保できるものであり、圧力が高過ぎるとき、スプリングの圧縮により排気を開始し、圧力逃がし間隙22の吸引により製品内部からガスを迅速に排出できる。
【0062】
本発明に係る可撓性冷凍アブレーションニードル装置はライナー管5を含み、前記ライナー管5の前端は前記刀部前段11の後端面に接続し、前記圧力逃がし中間腔部3は前記刀部構造1の径方向に沿って前記ライナー管5と前記刀部後段12の間に形成され、前記ライナー管5にはライナー通気孔51が設けられ、前記圧力逃がし中間腔部3は前記ライナー通気孔51及び前記可撓管通気孔21を経て前記圧力逃がし間隙22まで連通し、前記可撓管構造2は前記刀部構造1の径方向に沿って前記ライナー管5の外側に設けられ、かつ前記ライナー管5の少なくとも一部の外壁と前記可撓管構造2の内壁は接合する。ライナー管5により圧力逃がし中間腔部3を有利に形成することができる。
【0063】
ここで、前記ライナー管5の前記可撓管構造2と接合する外壁には凹凸構造が設けられ、前記凹凸構造はねじ部52を含む。ねじ部52により、前記ライナー管5と可撓管構造2の間の連結強度を高められる。凹凸構造は環状凸部53をさらに含み、即ち前記ライナー管5の前記可撓管構造2と接合する外壁には環状凸部53がさらに設けられ、環状凸部53により、圧力逃がし時に入ってくるガスが外部に漏れるのを確実に防止できると同時に、接続強度を高めることもできる。具体的には、この環状凸部53の数量は2組であってよく、刀部構造1の軸方向に沿ってそれぞれがライナー通気孔51の両側に位置する。
【0064】
本実施形態に係る可撓性冷凍アブレーションニードル装置は第1押圧管6を含み、前記第1押圧管6は前記可撓管構造2の外部に被装され、かつ前記凹凸構造の一部の外側に位置する。具体的には、その凹凸構造は例えば環状凸部53及びねじ部52を含むことができる。
【0065】
ここでの一実施方式においては、第2押圧管8がさらに含まれ、前記第2押圧管は前記圧力逃がし間隙22の内壁に被装され、即ち前記可撓管構造2中の内側カテーテル23の外側に被装され、かつ前記凹凸構造の一部の外側に位置する。具体的には、その凹凸構造は例えば環状凸部53を含むことができる。
【0066】
見てわかるように、押圧管の径方向の押圧により、気密性及び接続強度がさらに確実なものになる。図に示すように、可撓管構造2外側の押圧管は第1押圧管6であると解釈でき、圧力逃がし間隙22の内壁の押圧管は第2押圧管8であると解釈できる。第1押圧管6及び第2押圧管8は刀部構造1の軸方向に沿ってそれぞれライナー通気孔51及び可撓管通気孔21の両側に位置する。
【0067】
見てわかるように、以上の実施方式は樹脂製材料の可撓管構造2と金属の刀部構造1の間の接続方式に対するものであり、同時に耐高圧低温のニーズを満たすことができる。
【0068】
一実施方式において、前記可撓管構造2は前記内側カテーテル23及び前記内側カテーテル23の外側に設けられる外側カテーテル24を含み、前記外側カテーテル24は前記刀部構造1の第1外管部241及び前記第1外管部241後端と接続する第2外管部242を含み、前記第1外管部241の内壁と前記内側カテーテル23の外壁は接合し、前記第2外管部242と前記内側カテーテル23の間には前記圧力逃がし間隙22が形成され、前記内側カテーテル23には前記可撓管通気孔21が設けられ、前記圧力逃がし間隙22はガス抜きアセンブリーに連通する。
【0069】
ここで、前記内側カテーテル23及び前記外側カテーテル24の材料はポリテトラフルオロエチレンである。ポリテトラフルオロエチレンのカテーテルは、低温下で優れた靭性を有する。
【0070】
以上の実施方式は、ねじ部、環状凸部及び金属の刀部構造並びにポリテトラフルオロエチレンのカテーテルの押圧により、ねじ部が接続強度を提供し、環状凸部が気密性を確実にし、金属の刀部構造はポリテトラフルオロエチレンのカテーテルの押圧により接続強度及び気密性が強化されると同時に、優れた靭性がより高められる。
【0071】
具体的に例を挙げると、可撓管構造2はねじ部52に螺合し、径方向に沿ったねじ部52のねじ山が可撓管構造2の壁内に嵌入する。ここで、可撓管構造2の中の内側カテーテル23の壁の厚さは少なくとも山高の2倍以上あり、軸方向の圧力により刀部構造1と可撓管構造2が分離するのを防止することに用いられ、また複数周巻いているねじ山の嵌入は軸方向の圧力をねじ山の各周上に均一に分散させるが、ねじ山の嵌入だけに頼るのでは不十分である。これは、可撓管構造2は径方向が外向きに拡張する傾向にあり、その外側で押圧管の押圧をさらに強めることにより、中の内側カテーテル23が外向きに拡張するのを防止でき、ねじ山と可撓管構造2は充分に嵌合及び接触するようになるためである。このように、ねじ部と押圧管を組み合わせる態様によりさらに刀部構造1の耐圧強度が保証される。
【0072】
環状凸部53は押圧管の押圧を加えることにより、圧力逃がし時に入ってくるガスが刀部構造1の外部に漏れることを確実に防止すると同時に、一定の軸方向の接続強度を提供する。環状凸部53は押圧管の押圧に加え、内側カテーテル23内のガスが圧力逃がし間隙22に入ることを確実に防止する。
【0073】
2組の環状凸部の共通作用によっても、内側カテーテル23内のガスが刀部構造1の外部に漏れることを確実に防止できる。
【0074】
大多数の常温密閉の場面では、一定の弾性を有するゴム材料が採用され、硬質の密閉溝中で変形したり押圧されたりして密閉が完成し、冷凍メスの刀部構造1は常に低温の動作環境にあるため、最低温度は-170℃まで達する。大多数のゴム製又は樹脂製の材料はこのような低温下だと脆化が起こることがあり、密閉がうまくいかない。本実施方式において、テトラフルオロエチレンは優れた機械的靭性を有し、温度が-196℃まで低下しても、5%の伸張率を保つことができる。したがって、ポリテトラフルオロエチレンを内側カテーテル23及び外側カテーテル24の材料に用い、さらに2組の環状凸部及び押圧管の押圧により、低温下での安全密閉が可能になる。
【0075】
内側カテーテル23及び外側カテーテル24は押圧管の押圧により、刀部構造1外部のガスが圧力逃がし間隙22内に吸引されるのを確実に防止する。内側カテーテル23は径方向に沿って内側カテーテル通気孔部を有し、外側カテーテル24は径方向に沿って外側カテーテル通気孔部を有する。この内側カテーテル通気孔部と外側カテーテル通気孔部は中心を同じくして位置を揃えて組み合わせることにより、上述の可撓管通気孔を形成する。
【0076】
比較すると、ねじ接続による密閉のみを採用する方法、或いはねじ接続及び接着剤接続による密閉等の手段を採用する方法ではいずれも耐低温と耐高圧の要求に同時に応じることはできない。これはねじ部(特に管用ねじ部)の密閉の気密性は高くなく、雌ねじと雌ねじが螺合する部分の間隙中から少量のガスが漏れることがあるからである。この間隙中にねじ用接着剤を充填した場合も、常温又は適当な低温下でのみ気密性が確保できるが、大多数の接着剤は-140℃から-170℃の低温下では脆性破壊を起こすことがあり、気密性を保つことができない。
【0077】
ここでの一実施方式において、前記可撓性冷凍アブレーションニードル装置は管路構造7をさらに含み、前記管路構造7は前記刀部構造1の軸方向に沿って前記刀部後段12に貫設され、前記管路構造7内にはガスを前記内腔部に取り込む取込通路が設けられ、その管路構造7は例えばジュール・トムソン(Joule-Thomson)効果を利用した管であってよい。前記刀部後段12の内側と前記管路構造7の外側の間には前記内腔部のガスを前記ライナー管5後段後端の一側に排出するガス戻し通路が形成される。
【0078】
見てわかるのは、ガスは、例えばジュール・トムソン効果を利用した管である管路構造7の内側から刀部前段11の内腔部14に入った後、刀部後段12と例えばジュール・トムソン効果を利用した管である管路構造7の外側との間の間隙、即ち前述のガス戻し通路を経て戻り、その後内側カテーテル23の内側を経て戻る。
【0079】
以上をまとめると、本発明が提供する耐低温高圧の可撓性冷凍アブレーションニードル装置は、ライナー管の外壁にねじ部が設けられているのでライナー管と可撓管構造の間の連結強度を高められ、ライナー管の外壁には環状凸部が設けられているので、圧力逃がし時に入ってくるガスが外部に漏れることを確実に防止でき、同時に接続強度を高めることもできる。また、本発明は押圧管が径方向を押圧することにより、気密性及び接続強度をさらに確実にできる。
【0080】
さらに、本発明は刀部通気孔、圧力逃がし中間腔部、ライナー通気孔、可撓管通気孔及び圧力逃がし間隙を利用し、刀部中の内腔部に対して直接圧力逃しを行い、内腔部の圧力が圧力閾値より高い又は圧力閾値に等しいとき、圧力逃がしの自動制御を実施することで、刀部内の圧力が高過ぎる状況の発生が回避でき、さらにカテーテルの破裂を回避できる。
【0081】
本発明はガス戻し通路中に圧力逃がしに関係する部材を直接設置する方式と異なり、ガス戻し通路中に直接設置した場合はガス戻し通路が詰まったときだけ自動的に圧力逃がしを実施できるが、可撓性冷凍メスのガス戻し通路内に詰まりが発生すると、能動的に圧力逃がしの役割を果たすことができない。しかし、実際の実験及び使用過程における詰まり現象の研究によると、実際の状況において、可撓性冷凍メスのカテーテル、延長管部分等のようなその他いかなる位置においても詰まりが発生する可能性はある。したがって、本発明は直接刀部に対して圧力逃がしを行い、様々な詰まり状況に効果的に対応でき、様々な原因により起こる刀部内の圧力が高過ぎる状況にも対応できる。
【0082】
既存の関連技術において、自動的な圧力逃がしは、圧力センサーと電磁弁を組み合わせることにより実施するのが通常の考え方であるが、本発明の任意選択の態様においては、空間を制限された特定の状況に対し、スライダー、密閉部材、スプリングを動かす方式を冷凍メスに創造的に取り入れることにより、構造がよりシンプルで、コストがより低く、より小さい空間で使用される自動的圧力逃がしを実現できる。
【0083】
本発明の任意選択の態様では、内側カテーテルと外側カテーテルの二層管構造を用いており、これは断熱の実現に有利であり、冷凍メスが低すぎる温度により人体の損傷を招く事態を回避できる。また、圧力逃がし間隙の形成及び/又は圧力間隙の真空化により、圧力逃がしと同時に、断熱効果をさらに高めることもできる。
【0084】
他にも、既存の関連技術においてゴム製又は樹脂製の材料は低温下だと脆化が起こる可能性がある点に対して、本発明の任意選択の態様では、テトラフルオロエチレンを材料に採用し、テトラフルオロエチレンは優れた機械的靭性を有するため、温度が-196℃まで低下しても、5%の伸張率を保つことができ、ポリテトラフルオロエチレンを内側カテーテル及び外側カテーテルの材料に用いることにより、低温下での安全密閉が可能になる。
【0085】
最後に、以上の各実施形態は本発明の技術を説明するために用いられたに過ぎず、本発明を限定するものではないことを明言する。前述の各実施形態を用いた本発明の詳細説明を参照し、本分野の当業者は、前述の実施形態について記載された技術を基にして修正を行うこと、又はその技術案の一部又は全ての技術的特徴と同等になるような置き換えを行うことは依然として可能であり、これらの修正若しくは置き換えは、対応する技術案の本質を本発明の各実施形態における技術の範囲から逸脱させるものではないことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0086】
1 刀部構造
11 刀部前段
12 刀部後段
13 刀部通気孔
14 内腔部
2 可撓管構造
21 可撓管通気孔
22 圧力逃がし間隙
23 内側カテーテル
24 外側カテーテル
241 第1外管部
242 第2外管部
3 圧力逃がし中間腔部
4 圧力逃がしアセンブリー
41 スライダー
42 スプリング
43 第1密閉部材
44 第2密閉部材
5 ライナー管
51 ライナー通気孔
52 ねじ部
53 環状凸部
54 溶接部
6 第1押圧管
7 管路構造
8 第2押圧管
9 固定部

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】