(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】抗IL12/IL23抗体でループスを治療する安全かつ有効な方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220204BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220204BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220204BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20220204BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20220204BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20220204BHJP
A61K 31/52 20060101ALI20220204BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20220204BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220204BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220204BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220204BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20220204BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220204BHJP
C07K 16/24 20060101ALN20220204BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P37/06
A61K45/00
A61K31/519
A61K31/5377
A61K31/343
A61K31/52
A61K31/573
A61K39/395 D
A61K9/08
A61K47/22
A61K47/26
A61K47/20
A61K47/18
C07K16/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534621
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 IB2019060963
(87)【国際公開番号】W WO2020128864
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【氏名又は名称】星川 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,シャウン
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,キャリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC07
4C076DD49
4C076DD55
4C076DD60
4C076DD67
4C076EE23
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB082
4C084ZB112
4C084ZB382
4C084ZC202
4C084ZC422
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4C086AA01
4C086BA05
4C086BC73
4C086CB07
4C086CB09
4C086DA10
4C086GA02
4C086GA12
4C086NA05
4C086ZB21
4C086ZC41
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量の抗IL-12/IL-23p40抗体又は抗IL-23抗体、例えば抗IL-12/IL-23p40抗体のウステキヌマブを投与することによる、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法であって、患者が、疾患活動性の有意な改善を達成する、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、前記患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法であって、前記抗体が、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域と、を含み、前記重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列と、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列と、配列番号3のCDRH3アミノ酸配列と、を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列と、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列と、配列番号6のCDRL3アミノ酸配列と、を含み、前記患者が、前記抗体による前記治療に対する応答者であり、前記抗体による治療の24週目までに、プラセボで治療した患者と比較して、疾患活動性における統計的に有意な改善を有するものとして特定され、疾患活動性が、全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000応答者指標-50(S2K RI-50)により決定される、方法。
【請求項2】
前記抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、前記抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初回IV用量が、6.0mg/kg±1.5mg/kgであり、前記SC用量が、90mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記初回IV用量が、体重が≧35kg~≦55kgまでの患者に対しては260mgであり、体重が>55kg~≦85kgまでの患者に対しては390mgであり、体重が>85kgの患者に対しては520mgである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
疾患活動性が、ベースラインからの≧2点減少、ベースラインからの≧3点減少、ベースラインからの≧4点減少、ベースラインからの≧5点減少、及びベースラインからの≧6点減少からなる群から選択される応答のカットオフを用いた前記S2K RI-50により決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
疾患活動性が、ベースラインからの≧2点減少の応答のカットオフを用いた前記S2K RI-50により決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
疾患活動性における前記統計的に有意な改善が、1年の治療を通じて持続される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
IV投与で使用するための前記抗体が、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、0.4mg/mLのLメチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、脱水和物を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
SC投与で使用するための前記抗体が、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)のスクロース、0.004%(w/v)のポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ループスを治療するために使用される1つ以上の追加の薬剤を前記患者に投与することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記追加の薬剤が、免疫抑制剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メトトレキサート(MTX)、抗B細胞表面マーカー抗体、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、抗マラリア薬、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、ベリムマブ、抗CD20抗体、リツキシマブ、コルチコステロイド、及び共刺激性調整剤からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、前記患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法であって、前記抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域と、を含み、前記患者が、前記抗体による前記治療に対する応答者であり、前記抗体による治療の24週目までに、プラセボで治療した患者と比較して、疾患活動性における統計的に有意な改善を有するものとして特定され、疾患活動性が、全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000応答者指標-50(S2K RI-50)により決定される、方法。
【請求項13】
前記抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、前記抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記初回IV用量が、6.0mg/kg±1.5mg/kgであり、前記SC用量が、90mgである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記初回IV用量が、体重が≧35kg~≦55kgまでの患者に対しては260mgであり、体重が>55kg~≦85kgまでの患者に対しては390mgであり、体重が>85kgの患者に対しては520mgである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
疾患活動性が、ベースラインからの≧2点減少、ベースラインからの≧3点減少、ベースラインからの≧4点減少、ベースラインからの≧5点減少、及びベースラインからの≧6点減少からなる群から選択される応答のカットオフを用いた前記S2K RI-50により決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
疾患活動性が、ベースラインからの≧2点減少の応答のカットオフを用いた前記S2K RI-50により決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
疾患活動性における前記統計的に有意な改善が、1年の治療を通じて持続される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
IV投与で使用するための前記抗体が、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、0.4mg/mLのLメチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、脱水和物を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
SC投与で使用するための前記抗体が、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)のスクロース、0.004%(w/v)のポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
ループスを治療するために使用される1つ以上の追加の薬剤を前記患者に投与することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記追加の薬剤が、免疫抑制剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メトトレキサート(MTX)、抗B細胞表面マーカー抗体、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、抗マラリア薬、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、ベリムマブ、抗CD20抗体、リツキシマブ、コルチコステロイド、及び共刺激性調整剤からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体が、配列番号10のアミノ酸配列の重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列の軽鎖と、を含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、2019年12月12日付で作成された、JBI6030WOPCT1Seqlist.txtというファイル名のASCII形式の配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出された、13.2Kbのサイズを有する配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ヒトIL-12及び/又はヒトIL-23タンパク質に結合する抗体でループスを治療するための方法に関する。具体的には、本発明は、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量の抗IL-12/IL-23p40抗体又は抗IL-23抗体、例えば抗IL-12/IL-23p40抗体のウステキヌマブ(ustekinumab)、及び抗体の特定の医薬組成物を投与することにより、患者の活動性全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus、SLE)を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン(Interleukin、IL)-12は、2つのジスルフィド結合グリコシル化タンパク質サブユニット(それらのおおよその分子量のためにp35及びp40と表記される)から構成される、分泌されるヘテロ二量体サイトカインである。IL-12は主に抗原提示細胞によって産生され、T細胞又はナチュラルキラー(natural killer、NK)細胞の表面上に発現される2鎖受容体複合体に結合することによって細胞性免疫を促進する。IL-12受容体β-1(IL-12Rβ1)鎖は、IL-12のp40サブユニットに結合し、IL-12とその受容体との間の一次相互作用をもたらす。しかしながら、細胞内シグナル伝達(例えば、STAT4リン酸化)及び受容体保有細胞の活性化を付与するのは、第2のレセプター鎖IL-12Rβ2のIL-12p35ライゲーションである(Presky et al,1996)。抗原提示と並行するIL-12シグナル伝達は、インターフェロンγ(IFNγ)産生を特徴とするTヘルパー1(Th1)表現型に向けてT細胞分化を引き起こすと考えられる(Trinchieri,2003)。Th1細胞は、いくつかの細胞内病原体に対する免疫を促進し、補結抗体アイソタイプを生成し、腫瘍免疫監視に寄与すると考えられる。これにより、IL-12は、宿主防御免疫機構にとって重要な構成要素であると考えられる。
【0004】
IL-12のp40タンパク質サブユニットはまた、p19と表記される別個のタンパク質サブユニットと会合して、新たなサイトカインIL-23を形成し得ることが発見された(Oppman,et al2000)。IL-23も2鎖受容体複合体を通してシグナル伝達する。p40サブユニットは、IL-12とIL-23との間で共有されるため、IL-12Rβ1鎖はIL-12とIL-23との間でも共有されることになる。しかしながら、IL-23特異的細胞内シグナル伝達(例えば、STAT3リン酸化)及びその後のT細胞によるIL-17産生を付与するのは、IL-23受容体複合体IL-23Rの第2の構成要素のIL-23p19ライゲーショである(Parham et al (2002)、Aggarwa let al,2003)。最近の研究は、IL-23の生物学的機能とIL-12の生物学的機能は、これら2つのサイトカイン間の構造的類似性にもかかわらず、異なることを示した(Langrish et al,2005)。
【0005】
抗体によるIL-12の中和が、乾癬、多発性硬化症(multiple sclerosis、MS)、関節リウマチ、炎症性腸疾患、インスリン依存性(1型)真性糖尿病、及びブドウ膜炎の動物モデルの治療において有効であるため、IL-12及びTh1細胞集団の異常な制御は、多くの免疫媒介性疾患に関連付けられている(Leonard et al,1995、Hong et al,1999、Malfait et al,1998年、Davidson et al,1998年)。IL-12はまた、全身性エリテマトーデスの2つの独立したマウスモデルにおいてSLEの病因において重要な役割を果たすことも示されている(Kikawada et al.2003、Dai et al.2007)。
【0006】
全身性エリテマトーデス(SLE)は、ほとんど全ての器官系に影響を及ぼし得る未知の病因の複雑で慢性の不均質な自己免疫疾患であり、漸増及び漸減疾患過程に従う。全身性エリテマトーデスは、男性よりも女性ではるかに頻繁に発症し、いくつかの研究では最大で9倍より頻繁に発症し、15歳~45歳の妊娠可能年齢で現れることが多い。この疾患は、アフリカ系カリブ人、アジア系、及びヒスパニック系集団においてより多く見られる。SLEでは、免疫系は、身体の細胞及び組織を攻撃し、結果として、心臓、関節、皮膚、肺、血管、肝臓、腎臓、及び神経系を害し得る炎症並びに組織損傷をもたらす。対象の約半分は、器官を脅かす疾患を示すSLEと診断されるが、器官関与を示さない対象を診断するのに数年を要する場合がある。新たに診断されたループス患者の主な症状のいくつかは、不整脈(62%)及び皮膚症状(新たな光過敏症;20%)、その後に続く持続性発熱及び倦怠感である。推定されるループスの年間の発生率は、100,000人当たり1.8~7.6症例まで様々であり、世界中の有病率は、100,000人当たり14~172症例の範囲である。軽度の疾患を有する患者は、主に皮膚発疹及び関節痛を有し、非積極的療法を必要とする。レジメンとしては、非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs、NSAID)、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、若しくはキナクリン)、及び/又は低用量コルチコステロイドが挙げられる。より重度の疾患患者は、潜在的な腎不全、心内膜炎又は心筋炎、肺炎、妊娠合併症、脳卒中、神経学的合併症、血管炎、及び出血又は感染症の関連するリスクを伴う血球減少症を含む、関与する器官系に応じて、様々な重篤な状態を経験し得る。より重篤な疾患に対する一般的な治療としては、メトトレキサート(methotrexate、MTX)、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、高用量コルチコステロイド、生物学的B細胞細胞傷害剤又はB細胞調節因子、及び他の免疫調節剤などの、免疫調節剤が挙げられる。深刻なSLEを有する患者は、10~30年の寿命の短縮を有し、主に、疾患の、標準的な治療療法の、及び/又は加速性アテローム性動脈硬化症の合併症に起因する。加えて、SLEは、生活の質、仕事の生産性、及び医療費に実質的な影響を及ぼす。SLEの既存の療法は、一般に、細胞傷害剤又は免疫調節剤のいずれかであり、顕著な安全性リスクを有し得る。SLEのためのより新しい治療は、標準的な治療療法をわずかに超える利益しか提供していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、高い安全性リスクを負うことなく、この疾患において有意な利益を提供することができる新たな代替的な治療に対する、大きな未解決の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡単にするために、本明細書に添付の独立及び従属請求項によって、一般的かつ好ましい実施形態がそれぞれ定義され、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の他の好ましい実施形態、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。
【0009】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む、患者におけるループスを治療する臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法を提供する。
【0010】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む、患者におけるループスを治療する臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法を提供し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体が、抗IL-12/23p40抗体である。
【0011】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む、患者におけるループスを治療する臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法を提供し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体が、抗IL-12/23p40である。
【0012】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む、患者におけるループスを治療する臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法を提供し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体が、(i)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列と、(ii)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列とを含む抗IL-12/23p40抗体(ウステキヌマブ(Janssen Biotech,Inc.のSTELARA(登録商標))に相当する)である。
【0013】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む、患者におけるループスを治療する臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法を提供し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体が、(i)配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と、(ii)配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列とを含む抗IL-12/23p40抗体(ウステキヌマブ(Janssen Biotech,Inc.のSTELARA(登録商標))に相当する)である。
【0014】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む、患者におけるループスを治療する臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法を提供し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む抗IL-12/23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))(ウステキヌマブ(Janssen Biotech,Inc.のSTELARA(登録商標))に相当する)である。
【0015】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む医薬組成物を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む、患者におけるループスを治療する臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法で使用するための、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む組成物を提供する。
【0016】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む医薬組成物を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む、患者におけるループスを治療する臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法で使用するための、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む組成物を提供し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体が、抗IL-12/23p40抗体である。
【0017】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む医薬組成物を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む、患者におけるループスを治療する臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法で使用するための、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む組成物を提供し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体が、抗IL-12/23p40抗体である。
【0018】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む医薬組成物を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む、患者におけるループスを治療する臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法で使用するための、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む組成物を提供し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体が、(i)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列と、(ii)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列とを含む抗IL-12/23p40抗体である。
【0019】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む医薬組成物を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む、患者におけるループスを治療する臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法で使用するための、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む組成物を提供し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体が、(i)配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と、(ii)配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列とを含む抗IL-12/23p40抗体である。
【0020】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者に、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む医薬組成物を静脈内(IV)及び/又は皮下(SC)投与することを含む、患者におけるループスを治療する臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な方法で使用するための、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体を含む組成物を提供し、抗IL-12及び/又は抗IL-23抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む抗IL-12/23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))である。
【0021】
ある特定の実施形態では、本発明は、(i)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列と、(ii)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列とを含む抗IL-12/23p40抗体を、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、0.04%(w/v)ポリソルベート80、0.4mg/mLのLメチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、脱水和物を、pH6.0で含む溶液中に含む、静脈内(IV)投与のための医薬組成物を提供する。
【0022】
ある特定の実施形態では、本発明は、(i)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列と、(ii)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列とを含む抗IL-12/23p40抗体を、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)スクロース、0.004%(w/v)ポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液中に含む、皮下(SC)投与のための医薬組成物を提供する。
【0023】
ある特定の実施形態では、本発明は、(i)配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と、(ii)配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列とを含む抗IL-12/23p40抗体を、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、0.04%(w/v)ポリソルベート80、0.4mg/mLのLメチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、脱水和物を、pH6.0で含む溶液中に含む、静脈内(IV)投与のための医薬組成物を提供する。
【0024】
ある特定の実施形態では、本発明は、(i)配列番号7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と、(ii)配列番号8の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列とを含む抗IL-12/23p40抗体を、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)スクロース、0.004%(w/v)ポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液中に含む、皮下(SC)投与のための医薬組成物を提供する。
【0025】
ある特定の実施形態では、本発明は、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む抗IL-12/23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、0.04%(w/v)ポリソルベート80、0.4mg/mLのLメチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、脱水和物を、pH6.0で含む溶液中に含む、静脈内(IV)投与のための医薬組成物を提供する。
【0026】
ある特定の実施形態では、本発明は、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む抗IL-12/23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)スクロース、0.004%(w/v)ポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液中に含む、皮下(SC)投与のための医薬組成物を提供する。
【0027】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-23特異性抗体(IL-23p19抗体とも称される)、例えば、グセルクマブ(guselkumab)及びリサンキズマブ(risankizumab)(BI-655066)、チルドラキズマブ(tildrakizumab)(MK-322)を皮下投与することを含む、患者におけるループスの治療方法を提供する。
【0028】
ある特定の実施形態では、本発明の方法で使用される組成物は、抗IL-23特異的抗体を、約1.0μg/mL~約1000mg/mLの量で、具体的には50mg又は100mgの量で含む医薬組成物を含む。好ましい実施形態では、抗IL-23特異的抗体が、医薬組成物の100mg/mLのグセルクマブ、7.9%(w/v)のスクロース、4.0mMのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、0.053%(w/v)のポリソルベート80であり、希釈剤は標準状態の水である。
【0029】
ある特定の実施形態では、本発明の方法で使用される組成物は、単離された、医薬組成物の、100mg/mLの抗IL23特異的抗体、例えば、グセルクマブ、7.9%(w/v)のスクロース、4.0mMのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、0.053%(w/v)のポリソルベート80、を含み、希釈剤は標準状態の水である。
【0030】
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、単離された、医薬組成物の、100mg/mLの抗IL-23特異的抗体、例えば、グセルクマブ、7.9%(w/v)のスクロース、4.0mMのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、0.053%(w/v)のポリソルベート80、を含む、医薬組成物投与することを含み、希釈剤は標準状態の水である。
【0031】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0032】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与される。
【0033】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与され、初回IV用量が、6.0mg/kg±1.5mg/kgである。
【0034】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与され、初回IV用量が、体重が≧35kg~≦55kgまでの患者に対しては260mgであり、体重が>55kg~≦85kgまでの患者に対しては390mgであり、体重が>85kgの患者に対しては520mgである。
【0035】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列とを含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与され、SC用量が、90mgである。
【0036】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、患者が、抗体による治療に対する応答者であり、治療の12週目で開始する改善、及び抗体による治療の24週目までに、全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000応答者指標-50(S2K RI-50)の改善によって決定される、疾患活動性における統計的に有意な改善を有するものとして特定される。
【0037】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、患者が、抗体による治療に対する応答者であり、治療の12週目で開始する改善、及び抗体による治療の24週目までに、ベースラインからの≧2点減少、ベースラインからの≧3点減少、ベースラインからの≧4点減少、ベースラインからの≧5点減少、及びベースラインからの≧6点減少からなる群から選択される応答のカットオフを用いたS2K RI-50の改善によって決定される、疾患活動性における統計的に有意な改善を有するものとして特定される。
【0038】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、患者が、抗体による治療に対する応答者であり、治療開始後12週目で開始する改善を有するものとして特定され、抗体による治療の24週目までに、ベースラインからの≧2点減少の応答のカットオフを用いたS2K RI-50の改善によって決定される、疾患活動性における統計的に有意な改善が存在する。
【0039】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、患者が、抗体による治療に対する応答者であり、治療の24週目までに、プラセボで治療した患者と比較して、抗体による1年の治療を通じて持続される疾患活動性における統計的に有意な改善を有するものとして特定され、疾患活動性が、S2K RI-50の改善によって決定される。
【0040】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、IV投与で使用するための抗体が、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、0.4mg/mLのLメチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、脱水物を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある。
【0041】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、SC投与で使用するための抗体が、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)のスクロース、0.004%(w/v)のポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある。
【0042】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、本方法が、ループスを治療するために使用される1つ以上の追加の薬剤を患者に投与することを更に含む。
【0043】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域が、配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、当該軽鎖可変領域が、配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、本方法が、ループスを治療するために使用される1つ以上の追加の薬剤を患者に投与することを更に含み、追加の薬剤が、免疫抑制剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メトトレキサート(MTX)、抗B細胞表面マーカー抗体、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、抗マラリア薬、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、ベリムマブ、抗CD20抗体、リツキシマブ、コルチコステロイド、及び共刺激性調整剤からなる群から選択される。
【0044】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含む。
【0045】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与される。
【0046】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、初回IV用量が、6.0mg/kg±1.5mg/kgである。
【0047】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、初回IV用量が、体重が≧35kg~≦55kgまでの患者に対しては260mgであり、体重が>55kg~≦85kgまでの患者に対しては390mgであり、体重が>85kgの患者に対しては520mgである。
【0048】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、SC用量が、90mgである。
【0049】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、患者が、抗体による治療に対する応答者であり、治療の12週目で開始する改善、及び抗体による治療の24週目までに、プラセボで治療した患者と比較して、全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000応答者指標-50(S2K RI-50)の改善によって決定される、疾患活動性における統計的に有意な改善を有するものとして特定される。
【0050】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、患者が、抗体による治療に対する応答者であり、治療の12週目で開始する改善、及び抗体による治療の24週目までに、プラセボで治療した患者と比較して、ベースラインからの≧2点減少、ベースラインからの≧3点減少、ベースラインからの≧4点減少、ベースラインからの≧5点減少、及びベースラインからの≧6点減少からなる群から選択される応答のカットオフを用いたS2K RI-50の改善によって決定される、疾患活動性における統計的に有意な改善を有するものとして特定される。
【0051】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、患者が、抗体による治療に対する応答者であり、治療の12週目で開始する改善を有するものとして特定され、抗体による治療の24週目までに、プラセボで治療した患者と比較して、ベースラインからの≧2点減少の応答のカットオフを用いたS2K RI-50の改善によって決定される、疾患活動性における統計的に有意な改善が存在する。
【0052】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、患者が、抗体による治療に対する応答者であり、治療の24週目までに、プラセボで治療した患者と比較して、抗体による1年の治療を通じて持続される、全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000応答者指標-50(S2K RI-50)の改善によって決定される、疾患活動性における統計的に有意な改善を有するものとして特定される。
【0053】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、IV投与で使用するための抗体が、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、0.4mg/mLのLメチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、脱水物を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある。
【0054】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、SC投与で使用するための抗体が、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)のスクロース、0.004%(w/v)のポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある。
【0055】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域とを含み、本方法が、ループスを治療するために使用される1つ以上の追加の薬剤を患者に投与することを更に含む。
【0056】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、配列番号7のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域と、を含み、本方法が、ループスを治療するために使用される1つ以上の追加の薬剤を患者に投与することを更に含み、追加の薬剤が、免疫抑制剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メトトレキサート(MTX)、抗B細胞表面マーカー抗体、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、抗マラリア薬、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、ベリムマブ、抗CD20抗体、リツキシマブ、コルチコステロイド、及び共刺激性調整剤からなる群から選択される。
【0057】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含む。
【0058】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与される。
【0059】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、初回IV用量が、6.0mg/kg±1.5mg/kgである。
【0060】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、初回IV用量が、体重が≧35kg~≦55kgまでの患者に対しては260mgであり、体重が>55kg~≦85kgまでの患者に対しては390mgであり、体重が>85kgの患者に対しては520mgである。
【0061】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、SC用量が、90mgである。
【0062】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、患者が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに、プラセボで治療した患者と比較して、全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000応答者指標-50(S2K RI-50)の改善によって決定される、疾患活動性における統計的に有意な改善を有するものとして特定される。
【0063】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、患者が、抗体による治療に対する応答者であり、抗体による治療の24週目までに、プラセボで治療した患者と比較して、ベースラインからの≧2点減少、ベースラインからの≧3点減少、ベースラインからの≧4点減少、ベースラインからの≧5点減少、及びベースラインからの≧6点減少からなる群から選択される応答のカットオフを用いたS2K RI-50の改善によって決定される、疾患活動性における統計的に有意な改善を有するものとして特定される。
【0064】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、抗体による治療の24週目までに、プラセボで治療した患者と比較して、ベースラインからの≧2点減少の応答のカットオフを用いたS2K RI-50の改善によって決定される、疾患活動性における統計的に有意な改善が存在する。
【0065】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、患者が、抗体による治療に対する応答者であり、治療の24週目までに、プラセボで治療した患者と比較して、抗体による1年の治療を通じて持続される、全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000応答者指標-50(S2K RI-50)の改善によって決定される、疾患活動性における統計的に有意な改善を有するものとして特定される。
【0066】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、IV投与で使用するための抗体が、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)のスクロース、0.04%(w/v)のポリソルベート80、0.4mg/mLのLメチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、脱水物を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある。
【0067】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含み、抗体が、0週目に初回静脈内(IV)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)皮下(SC)用量で投与されるか、あるいは、抗体が、初回皮下(SC)用量で投与され、続いて8週毎に(q8w)SC用量で投与され、SC投与で使用するための抗体が、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)のスクロース、0.004%(w/v)のポリソルベート80を、pH6.0で含む溶液を含む医薬組成物中にある。
【0068】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全かつ臨床的に証明された有効な量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含み、本方法が、ループスを治療するために使用される1つ以上の追加の薬剤を患者に投与することを更に含む。
【0069】
ある特定の実施形態では、本発明は、抗IL-12/IL-23p40抗体を、臨床的に証明された安全性かつ臨床的に証明された有効量で患者に投与することを含む、患者の活動性全身性エリテマトーデス(SLE)を治療する方法を提供し、抗体が、(i)配列番号10の重鎖アミノ酸配列と、(ii)配列番号11の軽鎖アミノ酸配列とを含む、抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))を含み、本方法が、ループスを治療するために使用される1つ以上の追加の薬剤を患者に投与することを更に含み、追加の薬剤が、免疫抑制剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メトトレキサート(MTX)、抗B細胞表面マーカー抗体、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、抗マラリア薬、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、ベリムマブ、抗CD20抗体、リツキシマブ、コルチコステロイド、及び共刺激性調整剤からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】主要試験の概略的概要(スクリーニングから16週間の安全性経過観察)を示す。略語:DBL=データベースロック;FU=経過観察;IV=静脈内;PE=主要エンドポイント;PL=プラセボq8w=8週間毎;SC=皮下;SLE=全身性エリテマトーデス;SRI=SLEDAI-2K応答者指標;Wk=週。
【
図2】後続試験を含む試験の概略的概要を示す。略語:DBL=データベースロック;FU=経過観察;IV=静脈内;PE=主要エンドポイント;PL=プラセボq8w=8週間毎;SC=皮下;SLE=全身性エリテマトーデス;SRI=SLEDAI-2K応答者指標;Wk=週。
【
図3】0週目から24週目までの、BILAGフレアがない時間のカプラン・マイヤープロットを示す。全分析セット。BILAGフレアは、少なくとも1の新しいBILAG A又は2の新しいBILAG Bスコア(スコア<Bから)として定義される。カウントには、所定の来院で分析するために有効な対象を含む。治療不成功基準を満たす対象についての値は、治療不成功の時点より後、欠測と設定される。
*ログランク検定を使用して実施されたプラセボを超えるウステキヌマブにおけるより大きな治療効果についての試験。
【
図4】ウステキヌマブ(UST)で治療した患者、及びプラセボで治療して24週目でウステキヌマブにクロスオーバーさせた患者(PBO→UST)における、0週目から48週目までの、BILAGフレアがない時間のカプラン・マイヤープロットを示す。BILAGフレアは、少なくとも1の新しいBILAG A又は少なくとも2の新しいBILAG Bスコアとして定義される。本試験で観察された全てのBLIAGフレアは、重度(BILAG A)であった。カウントには、所定の来院で分析するために有効な対象を含む。治療不成功基準を満たす対象についての値は、治療不成功の時点より後、欠測と設定される。
*BILAGフレア率は、延べ入院患者日数(patient days)10,000日当たりの、重度のBILAGフレアを経験している患者の割合に基づく。
【
図5】ウステキヌマブ(UST)で治療した患者の、24週目及び48週目におけるSLEDAI-2K応答者指標(SRI)値の棒グラフを示す。SRI-4応答は、総SLEDAI-2Kスコアの≧4点減少、新たなBILAG Aドメインスコアなし、1以下の新たなBILIAG Bドメインスコア、及び疾患活動性スコアのPGAにおけるベースラインからの悪化なし(<10%の増加)として定義された。SRI-5及びSRI-6応答はSRI-4応答と同様に定義されたが、それぞれ総SLEDAI-2Kスコアの≧5点及び≧6点減少を必要とする。注記:治療不成功者、脱落者、及びデータ欠測者は、非応答者であると見なされた。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本明細書で使用するとき、ループスの治療方法は、単離された、組換え及び/又は合成抗IL-12、IL-23、及びIL12/23p40ヒト抗体、並びに診断及び治療組成物の投与、方法、並びにデバイスを含む。
【0072】
本明細書で使用するとき、「抗IL-12抗体」、「抗IL-23抗体」、「抗IL-12/23p40抗体」、「IL-12/23p40抗体」、「抗体部分」、若しくは「抗体フラグメント」、及び/又は「抗体変異体」などは、本発明の抗体の中に組み込むことができる、重鎖若しくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)若しくはそのリガンド結合部分、重鎖若しくは軽鎖可変領域、重鎖若しくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域、又はこれらの任意の部分、あるいはIL-12及び/若しくはIL-23受容体又は結合タンパク質の少なくとも一部分などであるがこれらに限定されない、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含む分子を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。かかる抗体は、任意選択的に、特定のリガンドに更に影響を及ぼし、限定されないが、かかる抗体は、インビトロで、その場で、かつ/又はインビボで、少なくとも1つのIL-12/23活性若しくは結合、又はIL-12/23受容体活性若しくは結合を、調節、減少、増加、拮抗、作動、軽減、緩和、遮断、阻害、抑止、及び/又はそれに干渉する。非限定的な例として、本発明の好適な抗IL-12/23p40抗体、特定された部分、又は変異体は、少なくとも1つのIL-12/23分子、又はその特定された部分、変異体若しくはドメインに結合することができる。好適な抗IL-12/23p40抗体、特定された部分、又は変異体はまた、任意選択的に、RNA、DNA、若しくはタンパク質合成、IL-12/23放出、IL-12/23受容体シグナル伝達、膜IL-12/23切断、IL-12/23活性、IL-12/23産生、及び/又は合成などであるが、これらに限定されない、IL-12/23活性又は機能のうちの少なくとも1つに影響を及ぼすこともできる。
【0073】
用語「抗体」は、抗体模倣薬を含む、あるいは単鎖抗体及びそのフラグメントなどといった抗体の構造及び/若しくは機能を模倣する抗体の部分又はその特定フラグメント若しくは一部分を含む、抗体、その消化フラグメント、特定された部分、及び変異体を包含することを更に意図する。機能フラグメントとしては、哺乳類のIL-12/23に結合する抗原結合フラグメントが挙げられる。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化及び部分的還元による)及びF(ab’)2(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン又はプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元及び再集合による)、Fv又はscFv(例えば、分子生物学的技術による)フラグメントが挙げられるがこれらに限定されない、IL-12/23又はその部分に結合することができる抗体フラグメントが、本発明に包含される(例えば、上記のColligan,Immunologyを参照のこと)。
【0074】
かかるフラグメントは、当該技術分野において既知であるような、及び/又は本明細書に記載のような、酵素による切断、合成又は組換え技術により生成することができる。抗体はまた、1つ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、様々な切断型で生成することができる。例えば、F(ab’)2重鎖部分をコード化する遺伝子の組み合わせは、重鎖のCH1ドメイン及び/又はヒンジ領域をコード化するDNA配列を含むよう設計することができる。抗体の様々な部分を従来技術により化学的に結合することができ、又は遺伝子工学技術を使用して切れ目なく連続するタンパク質として調製することができる。
【0075】
本明細書で使用するとき、用語「ヒト抗体」は、実質的にタンパク質の全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3)、ヒンジ(VL、VH))が軽微な配列の変化又は変異だけでヒトにおいて実質的に非免疫原性である抗体を指す。「ヒト抗体」はまた、ヒト生殖細胞系列型免疫グロブリン配列に由来する抗体でも、又はそれに厳密に一致する抗体であってもよい。ヒト抗体は、生殖細胞系列型免疫グロブリン配列にコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロにおけるランダムな若しくは部位特異的な変異の導入により、又はインビボにおける体細胞突然変異により導入された変異)を含んでもよい。多くの場合、これは、ヒト抗体がヒトにおいて実質的に非免疫原性であることを意味する。ヒト抗体は、それらのアミノ酸配列の類似性に基づいたグループに分類されている。したがって、配列類似性検索を使用して、類似の直鎖配列を有する抗体を、ヒト抗体を作り出すためのテンプレートとして選択することができる。同様に、名称に霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジー等)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター等)及び他の哺乳類を含む抗体は、かかる種、亜属、属、亜科、及び科の特異的抗体を指定する。更に、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含み得る。かかる変化又は変異は、任意選択的にかつ好ましくは、改変していない抗体に比べて、ヒト又は他の種における免疫原性を保持するか又は低減させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは異なる。
【0076】
ヒト抗体は、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる、ヒト以外の動物、又は原核若しくは真核細胞により生成され得ることが指摘される。その上、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然のヒト抗体では見られないリンカーペプチドを含み得る。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを接続する2~約8個のグリシン又は他のアミノ酸残基などのリンカーペプチドを含み得る。かかるリンカーペプチドはヒト由来のものと見なされる。
【0077】
本発明の方法及び組成物において有用である抗IL-12/23p40抗体(IL-12/23p40抗体とも称される)(又はIL-23に対する抗体)は、任意選択的に、IL-12/23p40(又はIL-23)への高親和性結合、及び任意選択的にかつ好ましくは低毒性を有することを特徴とし得る。具体的には、可変領域、定常領域、及びフレームワークなどの個々の構成要素が、個々に及び/又は集合的に、任意選択的にかつ好ましくは、低い免疫原性を有する、本発明の抗体、その特定されたフラグメント、又は変異体が本発明において有用である。本発明で使用することができる抗体は、任意選択的に、症状の測定可能な緩和並びに低い及び/又は許容できる毒性で長期間患者を治療する能力を特徴とする。低い若しくは許容できる免疫原性、及び/又は高い親和性、並びに他の好適な特性が、得られる治療結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、本明細書では、治療される患者の約75%未満、若しくは好ましくは約50%未満で有意にHAHA、HACA若しくはHAMA応答が増加する、及び/又は治療される患者において低い力価(二重抗原酵素イムノアッセイで測定したとき約300未満、好ましくは約100未満)が増加することとして定義される(Elliott et al.,Lancet 344:1125-1127(1994)、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。また、「低い免疫原性」は、治療期間中の推奨療法経過の間、推奨用量で治療される患者の25%未満、好ましくは治療される患者の10%未満で発生するとき、抗IL-12抗体で治療される患者における抗IL-12抗体に対する滴定レベルの抗体の発生率としても定義することができる。
【0078】
「臨床的に証明された有効性」及び「臨床的に証明された有効な」という用語は、用量、投与レジメン、治療又は方法の文脈において本明細書で使用するとき、特定の用量、投与、治療レジメンの有効性を指す。有効性は、本発明の薬剤に応答した、疾患の経過中の変化に基づいて測定され得る。例えば、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体(例えば、抗IL12/23p40抗体ウステキヌマブ)は、治療される障害の重篤度を反映する少なくとも1つの指標において改善、好ましくは持続的な改善を引き起こすのに十分な量及び時間で、患者に対して投与される。その治療の量及び時間が十分であるかどうかを決定するために、対象の病気、疾患又は病状の程度を反映する様々な指標が評価され得る。かかる指標には例えば、疾患重篤度、症状、又は対象となっている障害の発現についての、臨床的に認識されている指標が含まれる。改善度は全体的に医師により決定され、医師はこの決定を、徴候、症状、生検、又は他の検査結果に基づいて行うことができ、また対象に対して行うアンケート、例えば所与の疾患に関して開発された生活の質に関するアンケートなどを採用することもできる。例えば、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体は、全身性エリテマトーデス(SLE)に関連する患者の状態の改善を達成するために投与され得る。この改善は、疾患活動性指標の改善、臨床症状の寛解、又は疾患活動性の任意の他の測定値によって示すことができる。かかる疾患指標の1つは、全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000(SLEDAI-2K)スコアである。SLEDAI-2Kは、9個の器官系における24個の特徴の存在に基づく、全身性エリテマトーデス(SLE)に対する確立された有効性のある疾患活動性指標であり、過去30日間のSLE患者における疾患活動性を測定する。特徴は、過去30日以内により高いスコアを有するより重度の特徴が存在する場合にスコアリングされ、このスコアを付加して、0~105の範囲の合計SLEDAI-2Kスコアを決定する。全身性エリテマトーデス(SLE)疾患活動性評価のための他の疾病活動性指標としては、例えば、皮膚エリテマトーデス疾患エリア及び重症度指標(CLASI)、及びブリティッシュ島ループス評価グループ(BILAG)指標が挙げられる。CLASI指標は、2つのスコアからなり、第1のスコアは、疾患の活動性を要約し、第2のスコアは、疾患によって行われる損傷の尺度である。スコアは、症状の程度に基づいて単純な付加によって計算される。より高い活動性及び損傷スコアは、悪化した疾患活動性を示す。BILAG指標は、9個の器官系における97個の質問からなる疾患活動性の尺度であり、各々は、項目の存在に応じて5つのカテゴリ(A、B、C、D、E)のうちの1つに入れられる。より高いスコアは、より多くの疾患の関与を示す。
【0079】
「臨床的に証明された安全性」という用語は、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体(例えば、抗IL12/23p40抗体ウステキヌマブ)による用量、投与レジメン、治療又は方法に関する場合、標準治療又は別の比較薬と比べて、治療下で発現した有害事象(adverse event、AE又はtreatment-emergent adverse event、TEAEと称される)の許容可能な頻度及び/又は許容可能な重症度を伴う、良好なリスク:利益比を指す。有害事象とは、医薬品を投与された患者における好ましくない医療上の出来事である。特に、本発明の抗IL12/23p40又は抗IL23抗体による用量、投与レジメン又は治療に関連する安全性は、有害事象が抗IL12/23p40又は抗IL23抗体の使用による可能性がある、可能性が高い、又は非常に高いと考えられる場合、抗体の投与に関連する有害事象の許容される頻度及び/又は許容される重症度を指す。
【0080】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、「臨床的に証明された」という用語(独立して、又は用語「安全(性)」及び/又は「有効(性)」を修飾するために使用される)は、米国食品医薬品局、EMEA、又は対応する国家規制機関の承認基準を満たしている臨床試験によって証明されていることを意味するものとする。例えば、臨床試験は、薬剤の効果を臨床的に証明するために使用される、適切なサイズのランダム化二重盲検試験であってもよい。
【0081】
有用性
本発明の単離された核酸は、細胞、組織、器官、又は動物(哺乳動物及びヒトを含む)において測定し、又は作用して、免疫障害若しくは疾患、心血管障害若しくは疾患、感染性、悪性及び/若しくは神経性障害又は疾患、あるいは他の既知の若しくは特定のIL-12/23関連状態のうちの少なくとも1つから選択されるがこれらに限定されない、少なくとも1つのIL-12/23状態の診断、監視、調節、治療、緩和、発生を予防するのを助ける、又はその症状を低減するために使用され得る、少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体又はその特定された変異体を産生するために使用され得る。
【0082】
かかる方法は、症状、作用、又は機序のかかる調節、処置、緩和、予防、若しくは低減を必要としている細胞、組織、器官、動物、又は患者に、少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を含む有効な量の組成物又は医薬組成物を投与することを含み得る。有効な量は、本明細書に記載のように、又は関連分野で既知のように、既知の方法を使用して行い決定するとき、単回(例えば、ボーラス)、複数回、若しくは持続投与当たり約0.001~500mg/kgの量、又は単回、複数回、若しくは持続投与当たり0.01~5000μg/mLの血清中濃度を達成する量、又はこの中の任意の有効範囲若しくは値を含んでもよい。
【0083】
引用文献
本明細書で引用する全ての刊行物又は特許は、具体的な指定の有無にかかわらず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本発明の時点での先行技術を示し、かつ/又は本発明の説明及び実施可能性を提供する。刊行物とは、電子形式若しくは印刷形式で記録されたものを全て含む任意のメディア形式で利用可能な、任意の科学刊行物若しくは特許公報又は任意の他の情報を指す。以下の文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる:Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,Inc.,NY(1994-2001)、Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley&Sons,NY,NY,(1997-2001)。
【0084】
本発明の抗体-産生及び生成
本発明の方法において使用される少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)は、任意選択的に、当該技術分野において周知の細胞株、混合細胞株、不死化細胞、又は不死化細胞のクローン集団によって産生することができる。例えば、Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons,Inc.,NY(1994-2001)、Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley&Sons,NY,NY,(1997-2001)を参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0085】
好ましい抗IL-12/23p40抗体は、配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列と、配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列とを有し、かつ配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列とを有するウステキヌマブ(STELARA(登録商標))である。好ましい抗IL-23抗体は、グセルクマブ(CNTO1959とも称される)である。他の抗IL-23抗体は本明細書に列挙される配列を有し、全容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,935,344号に記載されている。
【0086】
ヒトIL-12/23p40若しくはIL-23タンパク質又はそのフラグメントに特異的なヒト抗体は、単離されたIL-12/23p40タンパク質、IL-23タンパク質、及び/又はそれらの一部分(合成ペプチドなどの合成分子を含む)などの適切な免疫原性抗原に対して生じ得る。他の特異的な又は一般的な哺乳動物の抗体も同様に生じ得る。免疫原性抗原の調製及びモノクローナル抗体の産生は、任意の好適な技術を使用して実施することができる。
【0087】
1つのアプローチでは、好適な不死細胞株(例えば、限定されないが、Sp2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、L243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 SA5、U937、MLA144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL-60、MLA144、NAMALWA、NEURO 2Aなどの骨髄腫細胞株、又はヘテロミローマス、その融合産物、又はそれに由来する任意の細胞若しくは融合細胞、又は当該技術分野において既知の任意の他の好適な細胞株)(例えば、www.atcc.org、www.lifetech.comなどを参照されたい)を、限定されないが、単離された又はクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺、又は他の免疫若しくはB細胞含有細胞などの抗体産生細胞、あるいは内因性又は異種核酸として、組換え若しくは内因性、ウイルス、細菌、藻、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚、哺乳類、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA、葉緑体DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、単一、二重若しくは三重鎖、ハイブリダイズなど、又はそれらの任意の組み合わせとしてのいずれかで、重鎖又は軽鎖の定常若しくは可変、又はフレームワーク若しくはCDR配列を発現する任意の他の細胞と融合することによりハイブリドーマを産生する。例えば、上記のAusubel、及び上記のColligan,Immunologyの第2章を参照されたい。なお両文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0088】
抗体産生細胞はまた、目的の抗原で免疫化されたヒト又は他の好適な動物の末梢血、又は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から得ることもできる。任意の他の好適な宿主細胞を使用して、本発明の抗体、特定されたフラグメント又はその又は変異体をコード化する異種核酸若しくは内在核酸を発現させることもできる。融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞は、選択的培養条件又は他の好適な既知の方法を使用して単離し、限界希釈若しくは細胞選別又は他の既知の方法によってクローニングすることができる。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞は、好適なアッセイ(例えばELISA)によって選択することができる。
【0089】
ペプチド又はタンパク質ライブラリから組換え抗体を選択する(例えば、非限定的に、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレイライブラリ、例えば、Cambridge antibody Technologies,Cambridgeshire,UK、MorphoSys,Martinsreid/Planegg,DE、Biovation,Aberdeen,Scotland,UK、BioInvent,Lund,Sweden、Dyax Corp.,Enzon,Affymax/Biosite、Xoma,Berkeley,CA、Ixsysから入手可能なもの、例えば、欧州特許第368,684号、国際出願PCT/GB91/01134号、国際出願PCT/GB92/01755号、国際出願PCT/GB92/002240号、国際出願PCT/GB92/00883号、国際出願PCT/GB93/00605号、米国特許出願第08/350260号(5/12/94)、国際出願PCT/GB94/01422号、国際出願PCT/GB94/02662号、国際出願PCT/GB97/01835号、(CAT/MRC)、国際公開第90/14443号、国際公開第90/14424号、国際公開第90/14430号、国際出願PCT/US94/1234号、国際公開第92/18619号、国際公開第96/07754号、(Scripps)、国際公開第96/13583号、国際公開第97/08320号(MorphoSys)、国際公開第95/16027号(BioInvent)、国際公開第88/06630号、国際公開第90/3809号(Dyax)、米国特許第4,704,692号(Enzon)、国際出願PCT/US91/02989号(Affymax)、国際公開第89/06283号、欧州特許第371998号、欧州特許第550400号、(Xoma)、欧州特許第229046号、国際出願PCT/US91/07149号(Ixsys)、又は確率論的に生成されるペプチド若しくはタンパク質-米国特許第5723323号、同第5763192号、同第5814476号、同第5817483号、同第5824514号、同第5976862号、国際公開第86/05803号、欧州特許第590 689号(Ixsys、適用された分子進化(Applied Molecular Evolution)(AME)前身、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)か、又は当該技術分野において既知であり、かつ/又は本明細書に記載される、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物の免疫化に依存する(例えば、SCIDマウス、Nguyen et al.,Microbiol.Immunol.41:901-907(1997);Sandhu et al.,Crit.Rev.Biotechnol.16:95-118(1996)、Eren et al.,Immunol.93:154-161(1998)(各々は、参照により全体が組み込まれる)、並びに関連する特許及び出願)方法を含むがこれらに限定されない、必要な特異性の抗体を産生又は単離する他の好適な方法を使用することができる。かかる技術には、リボソームディスプレイ(Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:4937-4942(May 1997)、Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:14130-14135(Nov.1998))、単一細胞抗体生成技術(例えば、選択リンパ球抗体方法(「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wen et al.,J.Immunol.17:887-892(1987)、Babcook et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7843-7848(1996))、ゲルマイクロドロップレット及びフローサイトメトリー(Powell et al.,Biotechnol.8:333-337(1990)、One Cell Systems,Cambridge,MA、Gray et al.,J.Imm.Meth.182:155-163(1995)、Kenny et al.,Bio/Technol.13:787-790(1995)、B細胞選択物(Steenbakkers et al.,Molec.Biol.Reports 19:125-134(1994)、Jonak et al.,Progress Biotech,Vol.5,In Vitro Immunization in Hybridoma Technology,Borrebaeck,ed.,Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam,Netherlands(1988))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
ヒト以外の抗体又はヒト抗体を改変又はヒト化する方法も同様に使用することができ、当該技術分野において周知である。一般に、ヒト化抗体又は改変抗体は、ヒト以外、例えば、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、ヒト以外の霊長類、又は他の哺乳動物の供給源からの1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらのヒト以外のアミノ酸残基は、しばしば「インポート」残基と呼ばれる残基により置き換えられる。かかる「インポート」残基は、典型的には既知のヒト配列の「インポート」可変ドメイン、定常ドメイン、又は他のドメインから得られる。
【0091】
既知のヒトIg配列が開示されており、例えば、
www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi;
www.ncbi.nih.gov/igblast;
www.atcc.org/phage/hdb.html;
www.mrc-cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php;
www.kabatdatabase.com/top.html;ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat、
www.sciquest.com;
www.abcam.com;
www.antibodyresource.com/onlinecomp.html;
www.public.iastate.edu/~pedro/research_tools.html;
www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.html;
www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab;
www.path.cam.ac.uk/~mrc7/mikeimages.html;
mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html;
www.immunologylink.com;pathbox.wustl.edu/~hcenter/index.html、
www.appliedbiosystems.com;
www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody;
www.m.ehime-u.ac.jp/~yasuhito/Elisa.html;
www.biodesign.com;
www.cancerresearchuk.org;
www.biotech.ufl.edu;
www.isac-net.org;baserv.uci.kun.nl/~jraats/links1.html、
www.recab.uni-hd.de/immuno.bme.nwu.edu;
www.mrc-cpe.cam.ac.uk;
www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html;
www.bioinf.org.uk/abs;antibody.bath.ac.uk、
www.unizh.ch;
www.cryst.bbk.ac.uk/~ubcg07s;
www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html;
www.path.cam.ac.uk/~mrc7/humanisation/TAHHP.html;
www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html;
www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html;
www.jerini.de;
Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)であり、
上記の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0092】
かかるインポートされた配列は、免疫原性を低減させるため、あるいは、当該技術分野において既知のように、結合、親和性、結合速度定数、解離速度定数、結合活性、特異性、半減期、又は任意の他の好適な特性を低減、増強又は改変するために使用することができる。一般的に、CDR残基は、抗原結合に直接的にかつほとんど実質的に影響する。したがって、ヒト以外のCDR配列又はヒトCDR配列の一部又は全てを維持しつつ、可変領域及び定常領域のヒト以外の配列を、ヒトのアミノ酸又は他のアミノ酸に置き換えることもできる。
【0093】
抗体は、任意選択的に、ヒト化されてもよく、又はヒト抗体は、抗原に対する高い親和性及び他の有利な生物学的特性を保持させたまま改変され得る。この目的を達成するためには、任意選択的に、親配列及びヒト化配列の3次元モデルを使用して親配列及び様々な理論上のヒト化産物を解析するプロセスによって、ヒト化(又はヒト)抗体を調製することができる。3次元の免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された免疫グロブリン配列候補について可能性の高い3次元立体構造を図示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示を調べることにより、免疫グロブリン配列候補の機能において残基が示す可能性の高い働きの解析、すなわち免疫グロブリン候補のその抗原に結合する能力に影響する残基の解析が可能となる。このようにして、標的抗原(複数可)に対する親和性の増強などといった望ましい抗体特性が達成されるように、コンセンサス配列及びインポート配列からフレームワーク(FR)残基を選択し組み合わせることができる。
【0094】
加えて、本発明の方法において使用されるヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、ヒト生殖系列軽鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、軽鎖生殖系列配列は、A1、A10、A11、A14、A17、A18、A19、A2、A20、A23、A26、A27、A3、A30、A5、A7、B2、B3、L1、L10、L11、L12、L14、L15、L16、L18、L19、L2、L20、L22、L23、L24、L25、L4/18a、L5、L6、L8、L9、O1、O11、O12、O14、O18、O2、O4、及びO8を含むが、これらに限定されない、ヒトVK配列から選択される。ある特定の実施形態では、軽鎖ヒト生殖系列フレームワークは、V1-11、V1-13、V1-16、V1-17、V1-18、V1-19、V1-2、V1-20、V1-22、V1-3、V1-4、V1-5、V1-7、V1-9、V2-1、V2-11、V2-13、V2-14、V2-15、V2-17、V2-19、V2-6、V2-7、V2-8、V3-2、V3-3、V3-4、V4-1、V4-2、V4-3、V4-4、V4-6、V5-1、V5-2、V5-4、及びV5-6から選択される。
【0095】
他の実施形態では、本発明の方法において使用されるヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、ヒト生殖系列重鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、この重鎖ヒト生殖系列フレームワークは、VH1-18、VH1-2、VH1-24、VH1-3、VH1-45、VH1-46、VH1-58、VH1-69、VH1-8、VH2-26、VH2-5、VH2-70、VH3-11、VH3-13、VH3-15、VH3-16、VH3-20、VH3-21、VH3-23、VH3-30、VH3-33、VH3-35、VH3-38、VH3-43、VH3-48、VH3-49、VH3-53、VH3-64、VH3-66、VH3-7、VH3-72、VH3-73、VH3-74、VH3-9、VH4-28、VH4-31、VH4-34、VH4-39、VH4-4、VH4-59、VH4-61、VH5-51、VH6-1、及びVH7-81から選択される。
【0096】
特定の実施形態では、軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域は、フレームワーク領域、又はフレームワーク領域の少なくとも一部分(例えば、FR2及びFR3などの2又は3つの小領域を含む)を含む。ある特定の実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、完全ヒトである。他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、完全ヒトである。いくつかの実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列(上述の既知のヒトIg配列の供給源で容易に入手可能である)を含む。他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列を含む。好ましい実施形態では、フレームワーク領域は、完全なヒトフレームワーク領域である。
【0097】
本発明の抗体のヒト化又は工学的処理は、Winter(Jones et al.,Nature 321:522(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988))、Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993)、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987)、Carter et al.,Proc.Natl.Acad.SCi.U.S.A.89:4285(1992)、Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993)、米国特許第5723323号、同第5976862号、同第5824514号、同第5817483号、同第5814476号、同第5763192号、同第5723323号、同第5,766886号、同第5714352号、同第6204023号、同第6180370号、同第5693762号、同第5530101号、同第5585089号、同第5225539号、同第4816567号、国際出願PCT/:US98/16280号、US96/18978号、US91/09630号、US91/05939号、US94/01234号、GB89/01334号、GB91/01134号、GB92/01755号、国際公開第90/14443号、同第90/14424号、同第90/14430号、欧州特許第229246号(各々、参照により全体が明細書に組み込まれ、その中に引用される文献を含む)に記載されるものなどであるがこれらに限定されない、任意の既知の方法を使用して行うことができる。
【0098】
所定の実施形態において、抗体は、変更された(例えば、変異を導入された)Fc領域を含む。例えば、いくつかの実施形態において、Fc領域は、抗体のエフェクター機能を低減又は増強するために変更されている。いくつかの実施形態において、Fc領域は、IgM、IgA、IgG、IgE、又は他のアイソタイプから選択されるアイソタイプである。あるいは、又は加えて、アミノ酸修飾と、IL-23結合分子のFc領域のC1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害性機能を変更する1つ以上の更なるアミノ酸修飾とを組み合わせることが有用であり得る。特に注目の出発ポリペプチドは、C1qに結合するものであってもよく、補体依存性細胞毒性(CDC)を示すものである。既存のC1q結合活性を有し、任意選択的に、CDCを介在する能力を更に有するポリペプチドは、これらの活性のうちの1つ又は両方が増進するように、修飾されてもよい。C1qを変更する、かつ/又はその補体依存性細胞傷害機能を修飾するアミノ酸修飾は、例えば、国際公開第0042072号に記載され、参照により本明細書に組み入れる。
【0099】
上記に開示されるように、例えば、C1q結合及び/又はFcγR結合を修飾し、それにより、補体依存性細胞毒性(CDC)活性及び/又は抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)活性を変化させることによって、変更されたエフェクター機能を有する本発明のヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体のFc領域を設計することができる。「エフェクター機能」は、(例えば、対象における)生物活性を活性化又は低減させる役割を果たす。エフェクター機能の例として、これらに限定されるものではないが、C1q結合、CDC、Fc受容体結合、ADCC、貪食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げられる。かかるエフェクター機能は、Fc領域が、結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合することを必要とする場合があり、多種多用なアッセイ(例えば、Fc結合アッセイ、ADCCアッセイ、CDCアッセイなど)を使用して評価することができる。
【0100】
例えば、改善されたC1q結合及び改善されたFcγRIII結合を有する(例えば、改善されたADCC活性及び改善されたCDC活性の両方を有する)ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体の変異体Fc領域を生成することができる。あるいは、エフェクター機能を低減又は除去することが所望される場合、変異体Fc領域は、CDC活性を低減させるよう及び/又はADCC活性を低減させるよう改変することができる。他の実施形態において、これらの活性の1つだけが増強されてもよく、任意選択的に、同時に他の活性が低減されてもよい(例えば、改善されたADCC活性と低減されたCDC活性を有するFc領域変異体、及びこの逆のFc領域変異体を生成するため)。
【0101】
Fc変異は、胎児性Fc受容体(FcRn)との相互作用を変更し、それらの薬物動態特性を改善するように遺伝子を操作して、導入することもできる。FcRnへの結合を改善したヒトFc変異体の収集は、説明されている(Shields et al.,(2001).High resolution mapping of the binding site on human IgG1 for FcγRI,FcγRII、FcγRIII,and FcRn and design of IgG1 variants with improved binding to the FCγR、J.Biol.Chem.276:6591-6604)。
【0102】
別の種類のアミノ酸置換は、ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体のFc領域のグリコシル化パターンを変更するのに役立つ。Fc領域のグリコシル化は、典型的に、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合型とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付加を指す。O結合型グリコシル化は、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用される可能性があるが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンへの糖類、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つの付着を指す。アスパラギン側鎖ペプチド配列への炭水化物部分の酵素的付加のための認識配列は、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンであり、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である。このため、ポリペプチド中にこれらのいずれかのペプチド配列が存在すると、潜在的なグリコシル化部位がもたらされる。
【0103】
グリコシル化パターンは、例えば、ポリペプチドに見出される1つ以上のグリコシル化部位(複数可)を欠失させること、及び/又はポリペプチド中に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することによって変更され得る。ヒトIL-23特異的抗体のFc領域へのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列の1つ以上を含むようにアミノ酸配列を変更することによって首尾よく達成される(N結合型グリコシル化部位の場合)。例示的なグリコシル化変異体は、重鎖の残基Asn297のアミノ酸置換を有する。この変更は、元のポリペプチド配列への1つ以上のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれらによる置換によって行われてもよい(O結合型グリコシル化部位の場合)。加えて、Asn 297をAlaに変更すると、グリコシル化部位の1つを除去することができる。
【0104】
ある特定の実施形態では、本発明のヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)特異的抗体は、GnT IIIがGlcNAcをヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体に付加するように、ベータ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnT III)を発現する細胞において発現される。かかる様式で抗体を産生するための方法は、国際公開第9954342号、同第03011878号、特許公開第20030003097(A1)号、及びUmana et al.,Nature Biotechnology,17:176-180,Feb.1999に提供されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる。
【0105】
ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体はまた、任意選択的に、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知であるように、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類など)の免疫化により生成することもできる。ヒト抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を産生する細胞を、かかる動物から単離し、本明細書に記載される方法などの好適な方法を使用して不死化してもよい。
【0106】
ヒト抗原に結合するヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニックマウスは、既知の方法によって産生することができる(例えば、これらに限定されないが、Lonbergらに発行された米国特許第5,770,428号、同第5,569,825号、同第5,545,806号、同第5,625,126号、同第5,625,825号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、及び同第5,789,650号、Jakobovitsらの国際公開第98/50433号、Jakobovitsらの国際公開第98/24893号、Lonbergらの国際公開第98/24884号、Lonbergらの国際公開第97/13852号、Lonbergらの国際公開第94/25585号、Kucherlapateらの国際公開第96/34096号、Kucherlapateらの欧州特許第0463151(B1)号、Kucherlapateらの欧州特許第0710719(A1)号、Suraniらの米国特許第5,545,807号、Bruggemannらの国際公開第90/04036号、Bruggemannらの欧州特許第0438474(B1)号、Lonbergらの欧州特許第0814259(A2)号、Lonbergらの英国特許第2272440(A)号、Lonberg et al.Nature 368:856-859(1994)、Taylor et al.,Int.Immunol.6(4)579-591(1994),Green et al,Nature Genetics 7:13-21(1994)、Mendez et al.,Nature Genetics 15:146-156(1997)、Taylor et al.,Nucleic Acids Research 20(23):6287-6295(1992)、Tuaillon et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90(8)3720-3724(1993)、Lonberg et al.,Int Rev Immunol 13(1):65-93(1995)、及びFishwald et al.,Nat Biotechnol 14(7):845-851(1996)、これらは、参照により各全体が本明細書に組み込まれる)。一般に、これらのマウスは、機能的に再構成された、又は機能的な再構成を受けることができる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するDNAを含む、少なくとも1つの導入遺伝子を含む。かかるマウスの内因性免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させて、当該マウスの、内因性遺伝子によりコードされている抗体の産生能を除去することができる。
【0107】
類似のタンパク質又はフラグメントへの特異的結合についての抗体のスクリーニングは、ペプチドディスプレイライブラリを使用して首尾よく達成することができる。この方法は、望ましい機能又は構造をもつ個々のメンバーについてペプチドの大規模コレクションをスクリーニングすることを含む。ペプチドディスプレイライブラリの抗体スクリーニングは当該技術分野において周知である。ディスプレイされたペプチド配列の長さは、3~5000個以上のアミノ酸であり、頻繁には5~100個のアミノ酸長、多くは約8~25個のアミノ酸長であり得る。ペプチドライブラリを作製する直接化学合成法に加えて、いくつかの組換えDNA方法も記述されている。1つのタイプには、バクテリオファージ又は細胞の表面上でのペプチド配列のディスプレイを含む。各バクテリオファージ又は細胞は、特定のディスプレイされたペプチド配列をコード化するヌクレオチド配列を含有する。かかる方法は、国際公開第91/17271号、同第91/18980号、同第91/19818号、及び同第93/08278号に記載されている。
【0108】
ペプチドライブラリを作製するための他のシステムは、生体外での化学合成法及び組換え法の両方の態様を有する。国際公開第92/05258号、同第92/14843号、及び同第96/19256号を参照されたい。また、米国特許第5,658,754号及び同第5,643,768号も参照されたい。ペプチドディスプレイライブラリ、ベクター、及びスクリーニングキットは、Invitrogen(Carlsbad,CA)及びCambridge antibody Technologies(Cambridgeshire,UK)のような供給元から市販されている。例えば、Enzonに譲渡された米国特許第4704692号、同第4939666号、同第4946778号、同第5260203号、同第5455030号、同第5518889号、同第5534621号、同第5656730号、同第5763733号、同第5767260号、同第5856456号、Dyaxに譲渡された同第5223409号、同第5403484号、同第5571698号、同第5837500号、Affymaxに譲渡された同第5427908号、同第5580717号、Cambridge antibody Technologiesに譲渡された同第5885793号、Genentechに譲渡された同第5750373号、Xomaに譲渡された同第5618920号、同第5595898号、同第5576195号、同第5698435号、同第5693493号、同第5698417号、上記のColligan、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。なお、上記特許及び刊行物の各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0109】
本発明の方法に使用される抗体はまた、かかる抗体を乳中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギなどのトランスジェニック動物又は哺乳動物を提供するために、核酸をコード化する少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を使用して調製することもできる。かかる動物は、既知の方法を使用して準備することができる。例えば、これらに限定されないが、米国特許第5,827,690号、同第5,849,992号、同第4,873,316号、同第5,849,992号、同第5,994,616号、同第5,565,362号、同第5,304,489号などを参照されたい(これらの各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0110】
本発明の方法に使用される抗体は、植物部分又はそれから培養された細胞において、かかる抗体、特定された部分、又は変異体を産生するトランスジェニック植物及び培養された植物細胞(例えば、タバコ及びトウモロコシであるが、これらに限定されない)を提供するために、核酸をコード化する少なくとも1つの抗IL-12/23p40(又は抗IL-23)抗体を使用して更に調製することができる。非限定的な例として、例えば、誘導プロモーターを用い、組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉をうまく使用して大量の組換えタンパク質が提供されてきた。例えば、Cramer et al.,Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95-118(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において産生されるタンパク質又は天然資源から精製されるタンパク質に等しい生物学的活性を有する哺乳動物タンパク質を、商業生成レベルで発現するために使用されてきた。例えば、Hood et al.,Adv.Exp.Med.Biol.464:127-147(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。抗体はまた、単鎖抗体(scFv)などの抗体フラグメントを含む、タバコ種子及びポテト塊茎などといったトランスジェニック植物の種子からも大量に産生されてきた。例えば、Conrad et al.,Plant Mol.Biol.38:101-109(1998)及びその中で引用される文献を参照されたい。したがって、本発明の抗体はまた、既知の方法に従って、トランスジェニック植物を使用して産生することもできる。例えば、Fischer et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.30:99-108(Oct.,1999),Ma et al.,Trends Biotechnol.13:522-7(1995)、Ma et al.,Plant Physiol.109:341-6(1995)、Whitelam et al.,Biochem.Soc.Trans.22:940-944(1994)、及びその中で引用される文献も参照されたい。上記文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0111】
本発明の方法において使用される抗体は、広範囲にわたる親和性(KD)でヒトIL-12/23p40又はIL-23に結合することができる。好ましい実施形態では、ヒトmAbは、任意選択的に、高い親和性でヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。例えば、ヒトmAbは、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23を約10-7M以下、例えば、限定されないが、0.1~9.9(又はその中の任意の範囲若しくは値)X10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、又はその中の任意の範囲若しくは値などのKDで結合することができる。
【0112】
抗原に対する抗体の親和性又は結合活性は、任意の好適な方法を用いて実験により求めることができる。(例えば、Berzofsky,et al.,「Antibody-Antigen Interactions,」In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,NY(1984)、Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,NY(1992)、及び本明細書に記載される方法を参照されたい。)特定の抗体抗原相互作用について測定される親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定された場合に異なり得る。したがって、親和性及び他の抗原結合パラメータ(例えば、KD、Ka、Kd)の測定は、好ましくは、抗体及び抗原の標準溶液、並びに本明細書に記載される緩衝剤などの標準緩衝剤を用いて行われる。
【0113】
核酸分子
本明細書に開示される他の配列の中でも、例えば、本明細書に記載される軽鎖若しくは重鎖可変又はCDR領域のうちの少なくとも1つの隣接アミノ酸の少なくとも70~100%をコード化するヌクレオチド配列、特定されたフラグメント、変異体若しくはそれらのコンセンサス配列、又はこれらの配列のうちの少なくとも1つを含む寄託ベクターなどの本明細書に提供される情報を使用して、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23抗体をコード化する本発明の核酸分子を、本明細書に記載されるか、又は当該技術において既知の方法を使用して得ることができる。
【0114】
本発明の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNA若しくは任意の他の形態のようなRNAの形態、又はクローニングにより得られる若しくは合成的に生成されるcDNA及びゲノムDNAが挙げられるがこれらに限定されないDNAの形態、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。DNAは、3本鎖、2本鎖若しくは1本鎖、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。DNA又はRNAの少なくとも1本の鎖の任意の部分は、センス鎖としても知られるコード鎖であってもよいし、又はアンチセンス鎖とも称される、非コード鎖であってもよい。
【0115】
本発明の方法に使用される単離された核酸分子は、任意選択的に1つ以上のイントロンを有するオープンリーディングフレーム(open reading frame、ORF)、例えば、限定されないが、少なくとも1つの重鎖若しくは軽鎖のCDR1、CDR2、及び/又はCDR3などの、少なくとも1つのCDRの少なくとも1つの特定された部分を含む核酸分子、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体又は可変領域のコード配列を含む核酸分子、並びに上述の核酸分子とは実質的に異なるが、遺伝子コードの縮重により、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知である少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体をなおコード化するヌクレオチド配列を含む核酸分子を含み得る。当然のことながら、遺伝子コードは、当該技術分野において周知である。したがって、当業者には、本発明の方法に使用される特異的な抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体をコード化する、かかる変性核酸変異体を生成することは、日常的であるだろう。例えば、上記のAusubelらを参照されたく、かかる核酸変異体は、本発明に含まれる。単離された核酸分子の非限定的な例としては、それぞれ、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、及びLC CDR3をコード化する核酸が挙げられる。
【0116】
本明細書に記載されるように、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体をコード化する核酸を含む核酸分子としては、それ自体で抗体フラグメントのアミノ酸配列をコード化するもの、抗体の全長若しくは抗体の一部分のコード配列、抗体、フラグメント若しくは部分のコード配列、並びに追加の配列、例えば、少なくとも1つのイントロンなど、前述の追加のコード配列を伴って、又は伴わずに、非コード5’及び3’配列、例えば、スプライシング及びポリアデニル化シグナル(例えば、mRNAのリボソーム結合及び安定性)を含む、転写、mRNAプロセシングにおいて役割を果たす転写された非翻訳配列を含むがこれに限定されない、追加の非コード配列と共に、少なくとも1つのシグナルリーダー若しくは融合ペプチドのコード配列、追加のアミノ酸、例えば、追加の機能を提供するアミノ酸をコードする追加のコード配列を挙げることができるが、これらに限定されない。したがって、抗体をコード化する配列はマーカー配列に融合させることができ、例えば、当該マーカー配列は、融合させた、抗体フラグメント又は部分を含む抗体の精製を促進するペプチドをコード化する配列である。
【0117】
本明細書に記載のポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド
本発明の方法は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドに対して、選択的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする単離された核酸を使用する。したがって、本実施形態のポリヌクレオチドは、かかるポリヌクレオチドを含む核酸を単離、検出、及び/又は定量するために使用することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドを使用して、寄託されたライブラリにおける部分長又は完全長クローンを同定、単離、又は増幅することができる。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、単離された、又はそうでなければヒト若しくは哺乳動物の核酸ライブラリからのcDNAに相補的な、ゲノム配列又はcDNA配列である。
【0118】
好ましくは、cDNAライブラリは完全長配列の少なくとも80%、好ましくは完全長配列の少なくとも85%又は90%、より好ましくは完全長配列の少なくとも95%を含む。このcDNAライブラリは、稀な配列の発現量を増大させるよう正規化することができる。相補配列に対する配列同一性が低い配列を使用する、低又は中ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件が典型的なものであるが、これに限定されない。同一性がより高い配列には、任意選択的に、中及び高ストリンジェンシーの条件を使用することができる。低ストリンジェンシー条件は、約70%の配列同一性をもつ配列の選択的ハイブリダイゼーションを可能にし、オーソロガス又はパラロガス配列を同定するために利用することができる。
【0119】
任意選択的に、ポリヌクレオチドは、抗体の少なくとも一部分をコード化する。ポリヌクレオチドは、本発明の抗体をコード化するポリヌクレオチドに対する選択的ハイブリダイゼーションに利用することができる核酸配列を包含する。例えば、上記のAusubel、上記のColliganを参照されたい。各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0120】
核酸の構築
単離された核酸は、当該技術分野において周知のように、(a)組換え方法、(b)合成技術、(c)精製技術、及び/又は(d)これらの組み合わせを使用して作製することができる。
【0121】
核酸には、本発明のポリヌクレオチドに加えて、都合よく配列を含ませることができる。例えば、1つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含むマルチクローニングサイトを核酸に挿入して、ポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。また、翻訳可能な配列を挿入して、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。例えば、ヘキサヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を精製するのに便利な手段を提供する。本発明の核酸(コード配列を除く)は、任意選択的に、本発明のポリヌクレオチドのクローニング及び/又は発現のためのベクター、アダプター、又はリンカーである。
【0122】
かかるクローニング配列及び/又は発現配列に追加の配列を付加して、クローニング及び/又は発現におけるそれらの機能を最適化すること、ポリヌクレオチドの単離に役立てること、又は細胞へのポリヌクレオチドの導入を改善することができる。クローン化ベクター、発現ベクター、アダプター、及びリンカーの使用は、当該技術分野において周知である。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。)
【0123】
核酸を構築するための組換え方法
RNA、cDNA、ゲノムDNA、又はこれらの任意の組み合わせなどの単離された核酸組成物は、当業者に既知の任意の数のクローニング方法を用いて生物源から得ることができる。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが、cDNA又はゲノムDNAライブラリ内の望ましい配列の同定に使用される。RNAの単離、並びにcDNA及びゲノムライブラリの構築は、当業者には周知である。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。)
【0124】
核酸のスクリーニング及び単離方法
本明細書に開示されているものなど、本発明の方法に使用されるポリヌクレオチドの配列に基づいたプローブを使用して、cDNA又はゲノムライブラリをスクリーニングすることができる。プローブを使用して、ゲノムDNA又はcDNA配列にハイブリダイズさせて、同じ又は異なる生体の相同遺伝子を単離することができる。当業者であれば、様々な度合のハイブリダイゼーションストリンジェンシーをアッセイに用いることができ、ハイブリダイゼーション又は洗浄媒質のいずれかをストリンジェントなものにできることが理解されよう。ハイブリダイゼーション条件がストリンジェントになるほど、二重鎖の形成が生じる際のプローブと標的との間の相補性の度合が大きくなるはずである。ストリンジェンシーの程度は、温度、イオン強度、pH、及びホルムアミドのような部分的に変性する溶媒の存在のうちの1つ以上によって制御され得る。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば、0%~50%の範囲内でのホルムアミド濃度の操作により、反応溶液の極性を変えることにより首尾よく変更される。検出可能な結合に必要とされる相補性(配列同一性)の程度は、ハイブリダイゼーション媒質及び/又は洗浄媒質のストリンジェンシーによって異なる。相補性の程度は、最適には100%、又は70~100%、又はその中の任意の範囲若しくは値である。しかしながら、プローブ及びプライマー中の配列のわずかな違いは、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄媒質のストリンジェンシーを低減させることで埋め合わせることができることを理解すべきである。
【0125】
RNA又はDNAの増幅方法は当該技術分野において周知であり、本明細書で紹介する教示及び指針に基づいて、過度の実験なしに、本発明に従って使用可能である。
【0126】
DNA又はRNA増幅の既知の方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)及び関連する増幅プロセス(例えば、Mullisらの米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、同第4,965,188号、Taborらの同第4,795,699号及び同第4,921,794号、Innisの同第5,142,033号、Wilsonらの同第5,122,464号、Innisの同第5,091,310号、Gyllenstenらの同第5,066,584号、Gelfandらの同第4,889,818号、Silverらの同第4,994,370号、Biswasの同第4,766,067号、Ringoldの同第4,656,134号を参照されたい)、及び二本鎖DNA合成のためのテンプレートとして標的配列に対してアンチセンスRNAを使用するRNA媒介増幅(Malekらの米国特許第5,130,238号、商標名NASBA)が挙げられるが、これらに限定されない(これらの文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。)
【0127】
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して、ゲノムDNA又はcDNAライブラリから直接、本発明の方法に使用されるポリヌクレオチド及び関連する遺伝子の配列を増幅することができる。PCR及び他のインビトロ増幅方法はまた、例えば、発現すべきタンパク質をコードする核酸配列をクローニングすること、サンプル中の所望のmRNAの存在を検出するため、核酸の配列決定のため、又は他の目的のためのプローブとして用いる核酸を作製することに関し有用であり得る。生体外での増幅方法によって当業者を導くのに十分な技術の例は、上記のBerger、上記のSambrook及び上記のAusubel並びにMullisらの米国特許第4,683,202号(1987)、及びInnis,et al.,PCR Protocols A Guide to Methods and Applications,Eds.,Academic Press Inc,San Diego,CA(1990)に見出される。ゲノムPCR増幅用の市販キットは当該技術分野において既知である。例えば、Advantage-GC Genomic PCR Kit(Clontech)を参照されたい。加えて、例えば、T4遺伝子32タンパク質(Boehringer Mannheim)を用いて、長いPCR産物の収率を改善することができる。
【0128】
核酸を構築するための合成方法
本発明の方法に使用される単離された核酸はまた、既知の方法による直接化学合成によっても調製可能である(例えば、上記のAusubelらを参照されたい)。化学合成は、一般に、相補的配列とのハイブリダイゼーションによって、又は1本鎖をテンプレートとして使用するDNAポリメラーゼとの重合によって、2本鎖DNAに変換可能な1本鎖オリゴヌクレオチドを生成する。当業者であれば、DNAの化学合成は約100以上の塩基の配列に限定され得るものの、より長い配列は、より短い配列の連結反応によって得ることができることを認識するであろう。
【0129】
組換え発現カセット
本発明は核酸を含む組換え発現カセットを使用する。核酸配列、例えば本発明の方法に使用される抗体をコード化するcDNA又はゲノム配列を使用して、少なくとも1つの所望の宿主細胞に導入することができる組換え発現カセットを構築することができる。組換え発現カセットは、典型的には、意図される宿主細胞においてポリヌクレオチドの転写を導く、転写開始調節配列に操作可能に連結される、ポリヌクレオチドを含む。異種及び非異種(すなわち、内因性)プロモーターの両方を利用して、核酸の発現を導くことができる。
【0130】
いくつかの実施形態では、プロモーター、エンハンサー、又は他の要素として機能する単離された核酸を、ポリヌクレオチドの発現を上方又は下方調節するために、本発明のポリヌクレオチドの非異種形の適切な位置(上流、下流、又はイントロン内)に導入することができる。例えば、生体内又は生体外で、突然変異、欠失及び/又は置換により、内因性プロモーターを変えることができる。
【0131】
ベクター及び宿主細胞
本発明は、単離された核酸分子を含むベクター、組換えベクターで遺伝子工学処理される宿主細胞、及び当該技術分野において周知である組換え技術による少なくとも1つの抗IL-23抗体の産生にも関する。例えば、上記のSambrookら、上記のAusubelらを参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0132】
ポリヌクレオチドは、任意選択的に、宿主の増殖についての選択マーカーを含有するベクターに結合することができる。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物のような沈殿物内、又は荷電脂質との複合体内に導入される。ベクターがウイルスである場合は、適切な包装細胞株を用いて生体外でこれを包装し、その後、宿主細胞内に形質導入することができる。
【0133】
DNA挿入物は、適切なプロモーターに機能的に連結されるべきである。発現コンストラクトは、転写開始部位、転写終結部位、及び転写された領域内では翻訳のためのリボソーム結合部位を更に含む。構築により発現する成熟した転写産物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるべきmRNAの最後に適切に位置する開始及び終止コドン(例えば、UAA、UGA、又はUAG)で始まる翻訳を含み、哺乳類又は真核生物細胞の発現ではUAA及びUAGが好ましい。
【0134】
発現ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカーを含むが、これは任意選択的である。かかるマーカーは、例えば、真核細胞培養のためのメトトレキサート(MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、同第4,656,134号、同第4,956,288号、同第5,149,636号、同第5,179,017号、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、マイコフェノール酸、又はグルタミンシンセターゼ(GS、米国特許第5,122,464号、同第5,770,359号、同第5,827,739号)抵抗性遺伝子、並びに大腸菌及び他の細菌又は原核生物における培養のためのテトラサイクリン又はアンピシリン抵抗性遺伝子を含むが、これらに限定されない(上記特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。上記の宿主細胞に対して適切な培養培地及び条件は、当該技術分野において既知である。好適なベクターは、当事者にとって容易に明白となるであろう。宿主細胞へのベクターコンストラクトの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストランを介在させたトランスフェクション、カチオン性脂質を介在させたトランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染又は他の既知の方法により達成され得る。かかる方法については、上記のSambrook、第1~4章及び第16~18章、上記のAusubel、第1、9、13、15、16章など、当該技術分野において記載されている。
【0135】
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗体は、融合タンパク質などの修飾された形態で発現され得、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能領域も含み得る。例えば、追加アミノ酸の領域、特に荷電アミノ酸を抗体のN末端に追加して、精製中又は後続の処理及び保存中に、宿主細胞における安定性及び持続性を改善することができる。また、ペプチド部分を本発明の抗体に追加して、精製を促進することもできる。抗体又は少なくとも1つのそのフラグメントの最終調製前に、かかる領域を除去することができる。かかる方法は、上記のSambrook、第17.29~17.42章及び第18.1~18.74章、上記のAusubel、第16、17及び18章など、多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0136】
当業者であれば、本発明の方法に使用されるタンパク質をコード化する核酸の発現に利用可能な多数の発現系について精通している。あるいは、核酸は、抗体をコード化する内因性DNAを含有する宿主細胞内で、(操作により)オン切換えすることにより、宿主細胞中で発現させることができる。かかる方法は、米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733,746号、及び同第5,733,761号に記載されているように、当該技術分野において周知であり、これらは参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0137】
抗体、その特定された部分又は変異体の産生に有用な細胞培養物の実例は哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系は、しばしば細胞からなる単層形態を取るが、哺乳動物細胞の懸濁液又はバイオリアクターも使用可能である。無傷なグリコシル化タンパク質を発現可能な多くの好適な宿主細胞株が当該技術分野において開発されており、これにはCOS-1(例えばATCC CRL 1650)、COS-7(例えばATCC CRL-1651)、HEK293、BHK21(例えばATCC CRL-10)、CHO(例えばATCC CRL1610)、及びBSC-1(例えばATCC CRL-26)細胞株、Cos-7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0-Ag14、293細胞、HeLa細胞などが挙げられ、これらは例えば、American Type Culture Collection,Manassas,Va(www.atcc.org)から容易に入手可能である。好ましい宿主細胞としては、骨髄腫及びリンパ腫細胞などのリンパ系に由来する細胞が挙げられる。特に好ましい宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCC登録番号CRL-1580)及びSP2/0-Ag14細胞(ATCC登録番号CRL-1851)である。特に好ましい実施形態では、組換え細胞は、P3X63Ab8.653又はSP2/0-Ag14細胞である。
【0138】
これらの細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモーター(例えば、後期又は初期SV40プロモーター、CMVプロモーター(米国特許第5,168,062号、同第5,385,839号)、HSV tkプロモーター、pgk(ホスホグリセレートキナーゼ)プロモーター、EF-1αプロモーター(米国特許第5,266,491号)、少なくとも1つのヒト免疫グロブリンプロモーター、エンハンサー、及び/又はリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT Agポリ付加部位)、並びに転写終結配列などのプロセシング情報部位などであるがこれらに限定されない、発現制御配列のうちの1つ以上を含み得る。例えば、上記のAusubelら、上記のSambrookらを参照されたい。本発明の核酸又はタンパク質の生成に有用な他の細胞は既知であり、並びに/あるいは例えば、American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomas(www.atcc.org)又は他の既知の若しくは商業的供給源から入手可能である。
【0139】
真核宿主細胞が利用されるとき、典型的には、ベクター内にポリアデニル化配列又は転写終結配列が組み込まれる。終結配列の一例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。転写の正確なスプライシングのための配列も、同様に含むことができる。スプライシング配列の一例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague,et al.,J.Virol.45:773-781(1983))。加えて、当該技術分野において既知であるように、宿主細胞内の複製を制御するための遺伝子配列をベクター内に組み込むことができる。
【0140】
抗体の精製
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ及びレクチンクロマトグラフィが挙げられるがこれらに限定されない、周知の方法により、組換え細胞培養物から回収し、精製することができる。高速液体クロマトグラフィ(「high performance liquid chromatography、HPLC」)を精製に利用することもできる。例えば、Colligan、Current Protocols in Immunology又はCurrent Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY(1997-2001)の、例えば、第1、4、6、8、9、10章を参照されたく、各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0141】
本発明の方法に使用される抗体には、天然に精製された産物、化学合成による手法の産物、並びに例えば、酵母、高等植物、昆虫、及び哺乳動物細胞を含む、真核宿主から組換え法により産生された産物が含まれる。組換え産物の手順に利用される宿主に応じて、抗体は、グリコシル化されてもグリコシル化されなくてもよいが、グリコシル化されるのが好ましい。かかる方法は、上記のSambrook、セクション17.37-17.42、上記のAusubel、第10、12、13、16、18、及び20章、上記のColligan,Protein Science、第12~14章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されており、全てが参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0142】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体
本発明による抗IL-12/23p40又はIL-23抗体は、抗体に組み込むことができる、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分、例えば、限定されないが、少なくとも1つのリガンド結合部分(ligand binding portion、LBP)、例えば、限定されないが、重鎖若しくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)又はそのリガンド結合部分、重鎖又は軽鎖可変領域、フレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、FR4、又はそれらのフラグメント、更に場合により、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、重鎖又は軽鎖定常領域(例えば、少なくとも1のCH1、ヒンジ1、ヒンジ2、ヒンジ3、ヒンジ4、CH2、若しくはCH3、又はそれらのフラグメント、更に場合により、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、又はそれらの任意の部分を含む任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。抗体は、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類、又はこれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限定されない、任意の哺乳動物を含むか、又はそれに由来し得る。
【0143】
本発明の方法に使用される単離された抗体は、任意の好適なポリヌクレオチドによってコード化された、本明細書に開示される抗体のアミノ酸配列、又は任意の単離又は調製された抗体を含む。好ましくは、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントは、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合し、それにより、タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を部分的又は実質的に中和する。少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質又はフラグメントの少なくとも1つの生物学的活性を部分的に又は好ましくは実質的に中和する抗体又はその特定された部分若しくは変異体は、タンパク質又はフラグメントに結合し、それによりIL-12/IL-23p40又はIL-23の、IL-12及び/若しくはIL-23受容体への結合を通して、又は他のIL-12/IL-23p40若しくはIL-23依存性若しくは媒介型機序を通して媒介される活性を阻害することができる。本明細書で使用するとき、「中和抗体」という用語は、アッセイに応じて約20~120%、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%以上、IL-12/IL-23p40又はIL-23依存活性を阻害することができる抗体を指す。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体がIL-12/IL-23p40又はIL-23依存活性を阻害する能力は、好ましくは、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つの好適なIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質又は受容体アッセイによって評価される。ヒト抗体は、任意のクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgD等)又はアイソタイプのものであってもよく、カッパ又はラムダ軽鎖を含み得る。一実施形態では、ヒト抗体は、IgG重鎖又は規定されたフラグメント、例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4(例えば、γ1、γ2、γ3、γ4)のうちの少なくとも1つのアイソタイプを含む。このタイプの抗体は、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つのヒト軽鎖(例えば、IgG、IgA、及びIgM)導入遺伝子を含む、トランスジェニックマウス又は他のヒト以外のトランスジェニック哺乳動物を利用することによって調製することができる。別の実施形態において、抗IL-23ヒト抗体は、IgG1重鎖と、IgG1軽鎖とを含む。
【0144】
抗体は、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23タンパク質、サブユニット、フラグメント、部分、又はこれらの任意の組み合わせに特異的な少なくとも1つの特定されたエピトープに結合する。この少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含むことが可能であり、このエピトープは好ましくは、タンパク質の少なくとも1つの細胞外部分、可溶性部分、親水性部分、外側部分、又は細胞質部分から構成されている。
【0145】
一般に、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントは、少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの重鎖可変領域の変異体、及び少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの軽鎖可変領域の変異体を含む抗原結合領域を含む。CDR配列は、ヒト生殖細胞系列型配列に由来するものでも、生殖細胞系列型配列に厳密に一致するものでもよい。例えば、元のヒト以外のCDRに由来する合成ライブラリからのCDRを使用することができる。これらのCDRは、元のヒト以外の配列に由来する保存的置換の組込みによって形成され得る。別の特定の実施形態では、抗体又は抗原結合部分又は変異体は、対応するCDR1、2及び/又は3のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖CDR(すなわち、CDR1、CDR2、及び/又はCDR3)の少なくとも一部分を含む抗原結合領域を有することができる。
【0146】
かかる抗体は、組換えDNA技術に関する従来技術を使用して抗体をコード化する(すなわち、1つ以上の)核酸分子を調製して発現させることによって、又は任意の他の好適な方法を使用することによって、従来技術を使用して抗体の様々な部分(例えば、CDR、フレームワーク)を一緒に化学的に結合させることにより調製することができる。
【0147】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体は、規定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖可変領域のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、好ましい実施形態では、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する抗IL-12/IL-23p40抗体を含む。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体はまた、規定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖のうちの少なくとも1つを含むことができる。別の好ましい実施形態では、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖とを有する抗IL-12/IL-23p40抗体を含む。ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合し、規定された重鎖又は軽鎖可変領域を含む抗体は、当該技術分野で既知及び/又は本明細書に記載の、ファージディスプレイ(Katsube,Y.,et al.,Int J Mol.Med,1(5):863-868(1998))又はトランスジェニック動物を利用する方法など、好適な方法を使用して調製することができる。例えば、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン重鎖導入遺伝子と、機能的な再構成を受けることが可能なヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子座からのDNAを含む導入遺伝子とを含むトランスジェニックマウスを、ヒトIL-12/IL-23p40若しくはIL-23又はそのフラグメントで免疫化して抗体の産生を誘発することができる。所望する場合、抗体産生細胞を単離することができ、本明細書に記載されるように、かつ/又は当該技術分野において既知であるように、ハイブリドーマ又は他の不死化させた抗体産生細胞を調製することができる。あるいは、抗体、特定された部分又は変異体は、好適な宿主細胞内で、コード化核酸又はその一部分を使用して発現させることができる。
【0148】
本発明はまた、本明細書に記載されるアミノ酸配列と実質的に同じである配列中のアミノ酸を含む抗体、抗原結合フラグメント、免疫グロブリン鎖及びCDRにも関する。好ましくは、かかる抗体又は抗原結合フラグメント及びかかる鎖若しくはCDRを含む抗体は、高い親和性(例えば、KDが約10-9M以下)で、ヒトIL-12/IL-23p40又はIL-23に結合することができる。本明細書に記載されている配列と実質的に同じであるアミノ酸配列としては、保存的アミノ酸置換並びにアミノ酸欠失及び/又は挿入を含む配列が挙げられる。保存的アミノ酸置換は、第1のアミノ酸のものに類似する化学的及び/又は物理的特性(例えば、電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第2のアミノ酸で、第1のアミノ酸を置換することを指す。保存的置換は、限定されないが、1個のアミノ酸を、以下の群内の別のアミノ酸で置き換えることを含む:リジン(K)、アルギニン(R)、及びヒスチジン(H);アスパラギン酸塩(D)及びグルタミン酸塩(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、D、及びE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)、及びグリシン(G);F、W、及びY;C、S、及びT。
【0149】
アミノ酸コード
本発明の抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を構成するアミノ酸は、略されることが多い。アミノ酸表記は、当該技術分野においてよく理解されているように、その1文字コード、その3文字コード、名称、又は3つのヌクレオチドのコドン(複数可)によりアミノ酸を表記することにより示すことができる(Alberts,B.,et al.,Molecular Biology of The Cell,Third Ed.,Garland Publishing,Inc.,New York,1994を参照されたい)。
【0150】
【0151】
配列
例示的な抗IL-12/IL-23p40抗体配列-STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域重鎖1(CDRH1)のアミノ酸配列:(配列番号1)
TYWLG
【0152】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域重鎖2(CDRH2)のアミノ酸配列:(配列番号2)
IMSPVDSDIRYSPSFQG
【0153】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域重鎖3(CDRH3)のアミノ酸配列:(配列番号3)
RRPGQGYFDF
【0154】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)のアミノ酸配列:(配列番号4)
RASQGISSWLA
【0155】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域軽鎖2(CDRL2)のアミノ酸配列:(配列番号5)
AASSLQS
【0156】
抗IL-12/IL-23p40抗体相補性決定領域軽鎖3(CDRL3)のアミノ酸配列:(配列番号6)
QQYNIYPYT
【0157】
抗IL-12/IL-23p40抗体可変重鎖領域のアミノ酸配列(CDRの下線部):(配列番号7)
【0158】
【0159】
抗IL-12/IL-23p40抗体可変軽鎖領域のアミノ酸配列(CDRの下線部):(配列番号8)
【0160】
【0161】
抗IL-12/IL-23p40抗体重鎖のアミノ酸配列(CDRの下線部):(配列番号10)
【0162】
【0163】
抗IL-12/IL-23p40抗体軽鎖のアミノ酸配列(CDRの下線部):(配列番号11)
【0164】
【0165】
アミノ酸配列IL-12
α及びβサブユニットを有するヒトインターロイキン(IL)-12のアミノ酸配列:(配列番号9)
【0166】
【0167】
本発明の方法に使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、本明細書で特定されるように、自然突然変異又はヒトによる操作のいずれかによる、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を含み得る。
【0168】
当業者が行い得るアミノ酸置換の数は、上記のものを含む多くの要因に依存する。一般的に言えば、所与の抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体、フラグメント又は変異体のアミノ酸置換、挿入又は欠失の数は、本明細書で特定されるように、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、例えば、1~30又はこの中の任意の範囲若しくは値を超えない。
【0169】
機能上不可欠である抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体内のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャニング突然変異誘発などの、当該技術分野において既知の方法により特定することができる(例えば、上記のAusubel、第8、15章;Cunningham and Wells,Science 244:1081-1085(1989))。後者の手順では、分子内の各残基毎に単個のアラニンによる変異を導入する。得られた突然変異分子は、次いで、例えば、限定されないが、少なくとも1つのIL-12/IL-23p40又はIL-23中和活性などの生物活性について試験される。抗体結合にとって極めて重要である部位もまた、結晶化、核磁気共鳴又は光親和性標識などの構造解析によって同定することができる(Smith,et al.,J.Mol.Biol.224:899-904(1992)及びde Vos,et al.,Science 255:306-312(1992))。
【0170】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、10、又は11のうちの少なくとも1つの隣接アミノ酸のうちの5個~全てから選択される、少なくとも1つの部分、配列、又は組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0171】
IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体又は特定された部分若しくは変異体としては、上記配列番号の少なくとも3~5個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~17個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~10個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~11個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~7個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~9個の隣接アミノ酸から選択される少なくとも1つの部分、配列、又は組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0172】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、更に任意選択的に、上記配列番号5、17、10、11、7、9、119、108、449、又は214個の隣接アミノ酸の70~100%の少なくとも1つのポリペプチドを含むことができる。一実施形態では、免疫グロブリン鎖、又はその一部分(例えば、可変領域、CDR)のアミノ酸配列は、上記配列番号のうちの少なくとも1つの対応する鎖のアミノ酸配列と、約70~100%の同一性(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)を有する。例えば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、上記配列番号と比較することができ、又は重鎖CDR3のアミノ酸配列を、上記配列番号と比較することができる。好ましくは、70~100%のアミノ酸同一性(すなわち、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)は、当該技術分野において既知であるように、好適なコンピュータアルゴリズムを使用して決定される。
【0173】
当該技術分野において既知のように、「同一性」は、配列を比較することにより決定される、2つ以上のポリペプチド配列間又は2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該技術分野において、「同一性」はまた、かかる線状の配列間の一致によって決定されるような、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」及び「類似性」は、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988、Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994、Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987、及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991、並びにCarillo,H.,and Lipman,D.,Siam J.Applied Math.,48:1073(1988)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない、既知の方法によって容易に算出することができる。加えて、同一性の割合に関する値は、Vector NTI Suite 8.0(Informax,Frederick,MD)の構成要素であるAlignXのデフォルト設定を用いて作成される、アミノ酸及びヌクレオチド配列アラインメントから得ることができる。
【0174】
同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致度が得られるように設計される。同一性及び類似性を決定する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムにおいて成文化(codified)されている。2つの配列間の同一性及び類似性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.,et al.,Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Atschul,S.F.et al.,J.Molec.Biol.215:403-410(1990))を含むが、これらに限定されない。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他のソース(BLAST Manual,Altschul,S.,et al.,NCBINLM NIH Bethesda,Md.20894:Altschul,S.,et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)から公的に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために使用され得る。
【0175】
ポリペプチド配列の比較に好ましいパラメータとしては、以下が挙げられる:
(1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch,J.Mol Biol.48:443-453(1970)比較マトリックス:BLOSSUM62 from Hentikoff and Hentikoff,Proc.Natl.Acad.Sci,USA.89:10915-10919(1992)
ギャップペナルティ:12
ギャップ長ペナルティ:4
これらのパラメータで有用なプログラムは、Genetics Computer Group,Madison Wisからの「ギャップ」プログラムとして公的に入手可能である。前述のパラメータは、ペプチド配列比較のためのデフォルトパラメータ(末端ギャップに関してペナルティなしと共に)である。
【0176】
ポリヌクレオチド比較のための好ましいパラメータとしては、以下が挙げられる:
(1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch,J.Mol Biol.48:443-453(1970)
比較行列:一致=+10、不一致=0
ギャップペナルティ:50
ギャップ長ペナルティ:3
Genetics Computer Group,Madison Wisから「ギャップ」プログラムとして入手可能。これらは、核酸配列比較のためのデフォルトパラメータである。
【0177】
例として、ポリヌクレオチド配列は、別の配列と同一であり得る、つまり、100%同一であるか、又は参照配列と比較してある特定の整数までのヌクレオチド変更を含み得る。かかる変更は、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、置換(転移及び転換を含む)、又は挿入からなる群から選択され、変更は、参照ヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端位置で、又はこれらの末端位置の間のどこで生じてもよく、参照配列のヌクレオチド間に個々に、又は参照配列内の1つ以上の隣接基のいずれかにおいて点在してもよい。ヌクレオチドの変更数は、配列中の総ヌクレオチド数にそれぞれのパーセント同一性の数値パーセント(100で除す)を乗じ、その積を配列中の総ヌクレオチド数から減算することによって、又は
n.sub.n.ltorsim.x.sub.n-(x.sub.n.y)
(式中、n.sub.nは、ヌクレオチドの変更数であり、x.sub.nは、配列中の総ヌクレオチド数であり、yは、例えば、70%は0.70、80%は0.80、85%は0.85、90%は0.90、95%は0.95等であり、x.sub.n及びyの任意の非整数積は、x.sub.nから減算する前に整数単位に四捨五入される)によって決定される。
【0178】
上記配列番号をコード化するポリヌクレオチド配列の変更は、このコード配列中にナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異を作り出し、それにより、かかる変更後にポリヌクレオチドによってコード化されるポリペプチドを変更することができる。同様に、ポリペプチド配列は、上記配列番号の参照配列と同一であり得る、つまり、100%同一であるか、又は同一率が100%未満であるように、参照配列と比較してある特定の整数までのアミノ酸変更を含み得る。かかる変更は、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換(保存的及び非保存的置換を含む)、又は挿入からなる群から選択され、変更は、参照ポリペプチド配列のアミノ若しくはカルボキシ末端位置で、又はこれらの末端位置の間のどこで生じてもよく、参照配列のアミノ酸間に個々に、又は参照配列内の1つ以上の隣接基のいずれかにおいて点在してもよい。所与の同一性%のアミノ酸の変更数は、上記配列番号総アミノ酸数にそれぞれの同一性パーセントの数値パーセント(100で除す)を乗じ、その後、その積を上記配列番号の総アミノ酸数から減算することによって、又は
n.sub.a.ltorsim.x.sub.a -(x.sub.a.y)
(式中、n.sub.aは、アミノ酸の変更数であり、x.sub.aは、上記配列番号の総アミノ酸数であり、yは、例えば、70%は0.70、80%は0.80、85%は0.85等であり、x.sub.a及びyの任意の非整数積は、x.sub.aからそれを減算する前に整数単位に四捨五入される)によって決定される。
【0179】
例示的な重鎖及び軽鎖可変領域の配列、並びにそれらの部分は、上記配列番号に示される。本発明の抗体、又はその特定された変異体は、本発明の抗体から任意の数の隣接アミノ酸残基を含むことができ、その数は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体における隣接残基数の10~100%からなる整数の群から選択される。任意選択的に、隣接アミノ酸のこの部分列は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、又はそれ以上のアミノ酸長、又はその中の任意の範囲若しくは値である。更に、かかる部分列の数は、少なくとも2、3、4、又は5などの、1~20からなる群から選択される任意の整数であり得る。
【0180】
当業者には明らかとなるように、本発明には、本発明の少なくとも1つの生物活性のある抗体が含まれている。生物活性抗体は、天然(非合成)、内因性、又は関連する、及び既知の抗体のものの、少なくとも20%、30%、又は40%、好ましくは少なくとも50%、60%、又は70%、最も好ましくは少なくとも80%、90%、又は95%~100%以上(限定されないが、比活性の最大10倍を含む)の比活性を有する。酵素活性及び基質特異性のアッセイ及び定量測定の方法は、当業者にとって周知である。
【0181】
別の態様では、本発明は、有機部分の共有結合により修飾される、本明細書に記載されるヒト抗体及び抗原結合フラグメントに関する。かかる修飾は、改善された薬物動態特性(例えば、インビボでの血清半減期の増大)を有する抗体又は抗原結合フラグメントを産生することができる。有機部分は、直鎖又は分枝鎖親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であることができる。特定の実施形態では、親水性ポリマー基は、約800~約120,000ダルトンの分子量を有し得、ポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマー又はポリビニルピロリドンであり得、また、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基は、約8~約40の炭素原子を含み得る。
【0182】
修飾された抗体及び抗原結合フラグメントは、抗体に直接的又は間接的に共有結合される、1つ以上の有機部分を含み得る。本発明の抗体又は抗原結合フラグメントに結合される各有機部分は、独立して、親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であり得る。本明細書で使用するとき、「脂肪酸」という用語は、モノカルボン酸及びジカルボン酸を含む。本明細書で使用するとき、「親水性ポリマー基」という用語は、オクタンよりも水に対する溶解度が高い有機ポリマーを指す。例えば、ポリリシンは、オクタンよりも水に対する溶解度が高い。よって、ポリリシンの共有結合により修飾された抗体は、本発明に包含される。本発明の抗体を修飾する好適な親水性ポリマーは、直線状又は分枝状であり得、例えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ-ポリエチレングリコール(monomethoxy-polyethylene glycol、mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリアスパラギン酸など)、ポリアルカンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、及びポリビニルピロリドンを含む。好ましくは、本発明の抗体を修飾する親水性ポリマーは、個別の分子体として、約800~約150,000ダルトンの分子量を有する。例えば、PEG5000及びPEG20,000を使用することができ、下付き文字は、ポリマーの平均分子量(ダルトン)である。親水性ポリマー基は、1~約6個のアルキル基、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマーは、好適な方法を利用することによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーを、脂肪酸又は脂肪酸エステルのカルボン酸塩に連結させることができ、脂肪酸又は脂肪酸エステル上の活性化カルボン酸塩(例えば、N,N-カルボニルジイミダゾールで活性化されている)をポリマー上のヒドロキシル基に連結させることができる。
【0183】
本発明の抗体を修飾するために好適な脂肪酸及び脂肪酸エステルは、飽和されてもよいし、又は1つ以上の不飽和単位を含有してもよい。本発明の抗体を修飾するのに好適な脂肪酸としては、例えば、n-ドデカン酸塩(C12、ラウリン酸塩)、n-テトラデカン酸塩(C14、ミリスチン酸塩)、n-オクタデカン酸塩(C18、ステアリン酸塩)、n-エイコサン酸塩(C20、アラキジン酸塩)、n-ドコサン酸塩(C22、ベヘン酸)、n-トリアコンタン酸塩(C30)、n-テトラコンタン酸塩(C40)、シス-Δ9-オクタデカン酸塩(C18、オレイン酸塩)、全てのシス-Δ5,8,11,14-エイコサテトラエン酸塩(C20、アラキドン酸塩)、オクタンジオン酸、テトラデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、ドコサンジオン酸などが挙げられる。好適な脂肪酸エステルは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキル基を含む、ジカルボン酸のモノエステルを含む。低級アルキル基は、1~約12個、好ましくは1~約6個の炭素原子を含んでもよい。
【0184】
修飾ヒト抗体及び抗原結合フラグメントは、1つ以上の修飾剤と反応させるなど、好適な方法を使用して調製することができる。本明細書で使用するとき、「修飾剤」という用語は、活性化基を含む好適な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を指す。「活性化基」とは、適切な条件下で第2の化学基と反応し、これにより修飾剤と第2の化学基との間に共有結合を形成することのできる、化学部分又は官能基である。例えば、アミン反応性活性化基としては、トシル酸、メシル酸、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)などの求電子基、N-ヒドロキシスクシニミジルエステル(N-hydroxysuccinimidyl esters、NHS)などが挙げられる。チオールと反応可能な活性化基としては、例えば、マレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5-チオール-2-ニトロ安息香酸チオール(TNB-チオール)などが挙げられる。アルデヒド官能基は、アミン-又はヒドラジド-含有分子と連結することができ、アジド基は、三価リン基と反応してホスホルアミデート又はホスホルイミド結合を形成することができる。分子中に活性化基を導入するための好適な方法が、当該技術分野において既知である(例えば、Hermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)を参照されたい)。活性化基は、有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接的に、又はリンカー部分、例えば、二価のC1-C12基(ここで、1つ以上の炭素原子は酸素、窒素、又は硫黄などのヘテロ原子で置換され得る)を介して、結合することができる。好適なリンカー部分は、例えば、テトラエチレングリコール、-(CH2)3-、-NH-(CH2)6-NH-、-(CH2)2-NH-及び-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH-NH-を含む。リンカー部分を含む修飾剤は、例えば1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl) carbodiimide、EDC)の存在下で、モノ-Boc-アルキルジアミン(例えば、モノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノへキサン)を脂肪酸と反応させることにより、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間のアミド結合を形成することによって生成可能である。Boc保護基を、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、TFA)処理により生成物から除去し、記載されているように別のカルボン酸塩に連結し得る一級アミンを露出させることができ、又はこれを無水マレイン酸と反応させ、得られた生成物を環化させて脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成することができる。(例えば、Thompsonらの国際公開第92/16221号を参照されたく、参照により教示の全体が本明細書に組み込まれる)。
【0185】
修飾された抗体は、ヒト抗体又は抗原結合フラグメントを修飾剤と反応させることによって産生することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性修飾剤、例えば、PEGのNHSエステルを利用することによって、部位特異的なものではない方法で抗体に結合させることができる。抗体又は抗原結合フラグメントのジスルフィド結合(例えば鎖内ジスルフィド結合)を還元することによって、修飾されたヒト抗体又は抗原結合フラグメントを調製することもできる。次いで、還元された抗体又は抗原結合フラグメントをチオール反応性修飾剤と反応させて、本発明の修飾された抗体を産生することが可能である。本発明の抗体の特定の部位に結合される有機部分を含む修飾されたヒト抗体及び抗原結合フラグメントは、逆タンパク質分解(Fisch et al.,Bioconjugate Chem.,3:147-153(1992)、Werlen et al.,Bioconjugate Chem.,5:411-417(1994)、Kumaran et al.,Protein Sci.6(10):2233-2241(1997)、Itoh et al.,Bioorg.Chem.,24(1):59-68(1996)、Capellas et al.,Biotechnol.Bioeng.,56(4):456-463(1997))及びHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)に記載される方法などの好適な方法を使用して調製することができる。
【0186】
本発明の方法はまた、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知であるように、非自然発生組成物、混合物、又は形態で提供される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ以上の抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物も使用する。かかる組成物は、上記配列の隣接アミノ酸の70~100%、又はその特定されるフラグメント、ドメイン、若しくは変異体からなる群から選択される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体のアミノ酸配列の、少なくとも1つ又は2つの完全長、C及び/若しくはN末端欠失変異体、ドメイン、フラグメント、又は特定された変異体を含む非自然発生組成物を含む。好ましい抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、例えば、上記配列番号の70~100%の、本明細書に記載される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体配列、又はその特定されたフラグメント、ドメイン、若しくは変異体の、少なくとも1つのCDR又はLBP含有部分として、少なくとも1つ又は2つの完全長、フラグメント、ドメイン、又は変異体を含む。更に好ましい組成物は、例えば、上記配列番号などの70~100%、又はその特定されたフラグメント、ドメイン、若しくは変異体のうちの少なくとも1つを40~99%含む。かかる組成物の百分率は、当該技術分野において既知であるように、又は本明細書に記載されるように、重量、容量、濃度、モル濃度、あるいは液体若しくは無水溶液(dry solution)、混合物、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、又はコロイドとしてのモル濃度によるものである。
【0187】
更なる治療活性成分を含む抗体組成物
本発明の方法に使用される抗体組成物は、任意選択的に更に、抗感染症薬、心血管(cardiovascular、CV)系作用薬、中枢神経系(central nervous system、CNS)薬、自律神経系(autonomic nervous system、ANS)薬、気道薬、消化(gastrointestinal、GI)管作用薬、ホルモン薬、体液又は電解質平衡薬、血液作用薬、抗腫瘍薬、免疫調節薬、眼、耳又は鼻用薬、局所作用薬、栄養薬などのうち、少なくとも1つから選択される、有効な量の少なくとも1つの化合物又はタンパク質を含むことができる。かかる薬剤は、本明細書に示されるそれぞれの製剤、適応症、用量、及び投与を含めて、当該技術分野では周知である(例えば、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ、Pharmcotherapy Handbook,Wells et al.,Appleton&Lange,Stamford,CTを参照されたく、各々は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0188】
本発明の方法の抗体と組み合わせることができる薬剤の例として、抗感染薬は、殺アメーバ薬又は少なくとも1種の抗原虫薬、駆虫薬、抗真菌薬、抗マラリア薬、抗結核薬又は少なくとも1種の抗らい菌薬、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、抗ウイルス薬、マクロライド抗感染薬、及び種々の抗感染薬から選択される少なくとも1種であり得る。ホルモン薬は、コルチコステロイド、アンドロゲン、又は少なくとも1種のアナボリックステロイド、エストロゲン、又は少なくとも1種のプロゲスチン、ゴナドトロピン、抗糖尿病薬、又は少なくとも1種のグルカゴン、甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン拮抗薬、下垂体ホルモン、及び副甲状腺様薬から選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のセファロスポリンは、セファクロル、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフジニル、塩酸セフェピム、セフィキシム、セフメタゾールナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシムアキセチル、セフロキシムナトリウム、塩酸セファレキシン、セファレキシン一水和物、セフラジン、及びロラカルベフから選択される少なくとも1種であり得る。
【0189】
少なくとも1種のコルチコステロイド(coricosteroid)は、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン又はリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメサゾン、酢酸デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、及び二酢酸トリアムシノロンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のアンドロゲン又はタンパク質同化ステロイドは、ダナゾール、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、テストステロン、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、及びテストステロン経皮系から選択される少なくとも1種であり得る。
【0190】
少なくとも1種の免疫抑制剤は、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ、リンパ球免疫グロブリン、ムロモナブ-CD3、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸ミコフェノール酸モフェチル、シロリムス、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミゾリビン、及びタクロリムスから選択される少なくとも1種であり得る。
【0191】
少なくとも1種の局所抗感染薬は、アシクロビル、アンホテリシンB、アゼライン酸クリーム、バシトラシン、硝酸ブトコナゾール、リン酸クリンダマイシン、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ケトコナゾール、酢酸マフェニド、メトロニダゾール(局所)、硝酸ミコナゾール、ムピロシン、塩酸ナフチフィン、硫酸ネオマイシン、ニトロフラゾン、ナイスタチン、スルファジアジン銀、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、塩酸テトラサイクリン、チオコナゾール、及びトルナフテートから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の疥癬殺虫剤若しくは殺シラミ薬は、クロタミトン、リンデン、ペルメトリン、及びピレトリンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の局所コルチコステロイドは、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド(halcionide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、及びトリアムシノロンアセトニドから選択される少なくとも1種であり得る。(例えば、Nursing 2001 Drug Handbookの1098~1136頁を参照されたい。)
【0192】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、かかる調節、処置、又は治療を必要とする細胞、組織、器官、動物、又は患者に接触されるか又は投与される少なくとも1つの抗IL-12/23p40又はIL-23抗体を含み、任意選択的に、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、TNF化学若しくはタンパク質拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体又はフラグメント、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)又はフラグメント、その融合ポリペプチド、又は小分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I若しくはII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ(nerelimonmab)、インフリキシマブ、エタナセプト(eternacept)、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒドロキシクロロキン硫酸塩、レフルノミド、スルファサラジン)、免疫化、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、サイトカイン又はサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1種を更に含む、任意の好適かつ有効な量の組成物又は医薬組成物のうちの少なくとも1つを更に含むことができる。かかるサイトカインの非制限的な例としては、IL-1~IL-23など(例えば、IL-1、IL-2等)のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。好適な投与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)を参照されたく、これらの各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0193】
本発明の方法に使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体化合物、組成物、又は混合物は、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどであるがこれらに限定されない、任意の好適な助剤のうちの少なくとも1つを更に含み得る。薬学的に許容できる助剤が好ましい。かかる滅菌溶液を調製する非限定的な例及びその方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(Easton,PA),1990などであるが、これに限定されない。当該技術分野において周知である、又は本明細書に記載されるように、抗IL-23抗体、フラグメント、又は変異体組成物の投与方式、溶解度、及び/又は安定性に好適な薬学的に許容できる担体は、日常的に選択することができる。
【0194】
本組成物において有用な薬学的賦形剤及び添加剤は、これらに限定されないが、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば、単糖類、二糖、三糖、四糖、及びオリゴ糖を含む糖類、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化糖、並びに多糖類又は糖ポリマー)を含み、これらは、単独で又は組み合わせて存在してもよく、単独で又は組み合わせて1~99.99重量%又は容量%含まれる。例示的なタンパク質賦形剤には、ヒト血清アルブミン(human serum albumin、HSA)などの血清アルブミン、組換えヒトアルブミン(recombinant human albumin、rHA)、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。緩衝能においても機能し得る代表的なアミノ酸/抗体構成要素としては、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが挙げられる。好ましいアミノ酸の1つはグリシンである。
【0195】
本発明で使用するのに好適な炭水化物賦形剤としては、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン類などの多糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのアルジトールが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロース、及びラフィノースである。
【0196】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、緩衝剤又はpH調整剤も含み得、典型的には、緩衝剤は、有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤としては、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の塩などの有機酸塩、トリス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝剤が挙げられる。本組成物で使用するのに好ましい緩衝剤は、クエン酸などの有機酸塩である。
【0197】
更に、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、着香剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN 20」及び「TWEEN 80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、並びにキレート剤(例えば、EDTA)などのポリマー賦形剤/添加剤を含み得る。
【0198】
本発明による抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体、部分又は変異体組成物における使用に好適なこれら及び追加の既知の薬学的賦形剤及び/又は添加剤は、当該技術分野において既知であり、例えば、「Remington:The Science&Practice of Pharmacy」、19th ed.,Williams&Williams,(1995)、及び「Physician’s Desk Reference」、52nd ed,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)に列挙されており、これらの開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。好ましい担体又は賦形剤材料は、炭水化物(例えば単糖類及びアルジトール)及び緩衝剤(例えばクエン酸)又はポリマー剤である。例示的な担体分子はムコ多糖、ヒアルロン酸であり、これらは関節内送達に有用であり得る。
【0199】
製剤
上述の通り、本発明は、好ましくは、生理食塩水又は選択された塩を含むリン酸緩衝剤を含む安定した製剤、並びに保存剤を含有する保存溶液及び製剤、並びに薬学的に許容できる製剤中に少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む薬学的又は獣医学的用途に好適な多用途保存製剤を提供する。保存製剤は、水性希釈剤中に、少なくとも1つの既知の、すなわち少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はこれらの混合物からなる群から任意選択的に選択される保存剤を含有する。当該技術分野において既知であるように、0.001~5%、又は0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又はその中の任意の範囲若しくは値などであるがこれらに限定されない、その中の任意の範囲若しくは値の、任意の好適な濃度又は混合物が使用され得る。非限定的な例としては、保存剤無添加、0.1~2%m-クレゾール(例えば、0.2、0.3.0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1~3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001~0.5%のチメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001~2.0%のフェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005~1.0%のアルキルパラベン(複数可)(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)などが挙げられる。
【0200】
上述の通り、本発明の方法は、包装材と、任意選択的に水性希釈剤中に処方された緩衝剤及び/又は保存剤を有する少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の溶液を含む少なくとも1つのバイアルと、を含む製品を使用し、当該包装材は、かかる溶液を1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間以上の期間にわたり保持することができることを記すラベルを含む。本発明は、包装材と、凍結乾燥された抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を含む第1のバイアルと、処方された緩衝剤又は保存剤の水性希釈剤を含む第2のバイアルと、を含む製品を更に使用し、当該包装材は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を水性希釈剤で再構成して、24時間以上の期間にわたって保持することができる溶液を形成するように患者に指示するラベルを含む。
【0201】
本発明に従って使用される抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において既知のように、哺乳類細胞又はトランスジェニック製剤からといった組換え手段により産生され得るか、又は他の生物源から精製され得る。
【0202】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の範囲は、湿式/乾式系の場合、再構成するときに約1.0μg/mL~約1000mg/mLの濃度が得られる量で含まれるが、より低い濃度及び高い濃度でも作業可能であり、意図される送達ビヒクルに依存し、例えば溶液製剤では、経皮パッチ、肺、経粘膜、又は浸透圧性若しくはマイクロポンプ方法とは異なる。
【0203】
好ましくは、水性希釈剤は、任意選択的に、薬学的に許容できる保存剤を更に含む。好ましい保存剤には、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール又はこれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。製剤中で使用される保存剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに十分な濃度である。かかる濃度は、選択された保存剤に依存し、当業者により容易に決定される。
【0204】
他の賦形剤、例えば、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び保存剤エンハンサーは、任意選択的にかつ好ましくは希釈剤に添加することができる。グリセリンなどの等張剤が、既知の濃度で一般に使用される。好ましくは、生理学的に耐性の緩衝剤を添加して、改善されたpH制御を提供する。製剤は、約pH4~約pH10、好ましくは約pH5~約pH9の範囲、最も好ましくは約6.0~約8.0の範囲などの、広範囲のpH範囲を対象にすることができる。好ましくは、本発明の製剤は、約6.8~約7.8のpHを有する。好適な緩衝剤には、リン酸緩衝剤、最も好ましくは、リン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline、PBS)が含まれる。
【0205】
他の添加剤、例えばTween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Pluronic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、及びPEG(ポリエチレングリコール)などの、製薬学的に許容できる可溶化剤、又はポリソルベート20若しくは80又はポロキサマー184若しくは188、Pluronic(登録商標)ポリオール(polyls)などの非イオン性界面活性剤、その他のブロックコポリマー、並びにEDTA及びEGTAなどのキレート剤を、任意選択的に、製剤又は組成物に添加して、凝集を低減させることができる。これらの添加物は、製剤を投与するためにポンプ又はプラスチック容器が使用される場合に特に有用である。薬学的に許容できる界面活性剤の存在により、タンパク質が凝集する傾向が軽減される。
【0206】
製剤は、少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体と、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール又はこれらの混合物からなる群から選択される保存剤と、を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体と保存剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、緩衝溶液中の一定量の少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を、所望の濃度のタンパク質及び保存剤を提供するのに十分な量の緩衝溶液中で所望の保存剤と組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0207】
製剤は、透明な溶液として、又は水、保存剤及び/若しくは賦形剤、好ましくはリン酸塩緩衝剤及び/若しくは生理食塩水、並びに選択された塩を水性希釈剤中に含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアル(dual vial)として患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とする併用バイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供することができる。
【0208】
本製品は、即時から24時間以上の範囲の期間にわたる投与に有用である。したがって、本発明により特許請求される製品は、患者に大きな利益を提供する。本発明の製剤は、任意選択的に、約2℃~約40℃の温度で安全に保管し、長期間タンパク質の生物学的活性を保持することができ、したがってパッケージラベルには、溶液が6、12、18、24、36、48、72、又は96時間以上の期間にわたって保存及び/又は使用できることを示すことができる。保存されている希釈剤を使用する場合には、かかるラベルに最高1~12ヶ月、半年、1年半及び/又は2年までの使用を含むことができる。
【0209】
抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体の溶液は、少なくとも1つの抗体を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な希釈剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質、及び任意選択的に保存剤又は緩衝剤を提供するのに十分な量で組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0210】
特許請求される製品は、透明な溶液として、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とする併用バイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0211】
特許請求される製品は、透明な溶液、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアルを、薬局、診療所、又は他のかかる機関及び施設に提供することによって、患者に対し間接的に提供することができる。この場合の透明溶液は最高1リットル又は更にはそれ以上の容量であってもよく、この大きな容器からより少量の少なくとも1つの抗体溶液を1回又は複数回取り出してより小さなバイアルに移し、かつ薬局又は診療所により顧客及び/又は患者に提供できる。
【0212】
これらの単一バイアル系を含む承認済みデバイスとしては、B-D(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、NOvoPen(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、AutoPen(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、OptiPen(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、Genotropin Pen(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、HUMATROPEN(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、BIojector(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)、Reco-Pen、Humaject、J-tip Needle-Free Injector、Intraject、Medi-Jectなどの、溶液送達用のペン型インジェクタデバイスが挙げられ、例えば、以下により製造又は開発されているようなものである:
Becton Dickensen (Franklin Lakes,NJ,www.bectondickenson.com)、
Disetronic (Burgdorf,Switzerland,www.disetronic.com;
Bioject,Portland,Oregon(www.bioject.com);
Weston Medical (Peterborough,UK,www.weston-medical.com)、
Medi-Ject Corp (Minneapolis,MN,www.mediject.com)。
【0213】
併用バイアル系を含む承認済みデバイスとしては、HUMATROPEN(登録商標)(ペン型インジェクタデバイス)などの、再構成した溶液を送達するためのカートリッジ内で凍結乾燥された薬剤を再構成するためのペン型インジェクタシステムが挙げられる。好適な他のデバイスの例としては、予め充填された注射器、自動注射器、針なし注射器、及び針なしIV注入セットが挙げられる。
【0214】
製品は、包装材を含み得る。包装材は、規制当局によって必要とされる情報に加えて、製品を使用することができる条件を提供する。本発明の包装材は、該当する場合、少なくとも1つの抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体を水性希釈剤で再構成して溶液を形成し、2~24時間以上の期間にわたって、この溶液を湿式/乾式の2つのバイアル製品に使用する、という指示を患者に提供する。単一バイアルの溶液製品、予め充填された注射器、又は自動注射器の場合、ラベルは、かかる溶液が2~24時間以上の期間にわたって使用することができることを示す。製品は、ヒト用医薬製品用途に有用である。
【0215】
本発明の方法に使用される製剤は、抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体と、選択された緩衝剤、好ましくは生理食塩水又は選択された塩を含有するリン酸塩緩衝剤とを混合することを含むプロセスにより調製することができる。抗23抗体と緩衝剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質及び緩衝剤を提供するのに十分な量の水中で所望の緩衝剤と組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0216】
本発明の方法は、ヒト又は動物患者に投与するのに有用かつ許容できる様々な製剤を含む医薬組成物を提供する。かかる医薬組成物は、希釈剤として「標準状態」の水、及び当業者に周知の日常的な方法を使用して調製される。例えば、ヒスチジン及びヒスチジン一塩酸塩水和物などの緩衝構成要素が最初に提供され、続いて適切な非最終容量の「標準状態」の水希釈剤、スクロース、及びポリソルベート80が添加され得る。次いで、単離された抗体を添加することができる。最後に、水を希釈剤として使用する「標準状態」条件の下で、医薬組成物の容量を所望の最終容量に調整する。当業者は、医薬組成物の調製に好適ないくつかの他の方法を認識する。
【0217】
医薬組成物は、水の容量単位当たりの示される質量の各構成成分を含むか、又は「標準状態」の示されるpHを有する水溶液又は懸濁液であってもよい。本明細書で使用するとき、「標準状態」という用語は、25℃±2℃の温度及び1気圧の圧力を意味する。「標準状態」という用語は、当該技術分野では、当該技術分野が認識する、単一の温度又は圧力のセットを指すように使用されないが、代わりに参照「標準状態」条件下の特定の組成を含む溶液又は懸濁液を説明するために使用される温度及び圧力を特定する参照状態である。これは、溶液の容量が一部温度及び圧力の関数であるためである。当業者は、本明細書に開示されるものと同等の医薬組成物が他の温度及び圧力で製造され得ることを認識するであろう。かかる医薬組成物が本明細書に開示されるものと同等であるかは、上記に定義された「標準状態」条件下(例えば、25℃±2℃及び1気圧の圧力)で決定されるべきである。
【0218】
重要なことに、かかる医薬組成物は、医薬組成物の単位容積当たり「およそ(約)」ある特定の値(例えば、「約0.53mgのL-ヒスチジン」)の構成要素質量を含有するか、又は約特定値のpH値を有し得る。医薬組成物中に存在する構成要素質量又はpH値は、単離された抗体が医薬組成物に存在するか、又は単離された抗体が医薬組成物から除去された後(例えば、希釈により)に、医薬組成物中に存在する単離された抗体がペプチド鎖に結合することができる場合の、「約」所与の数値である。つまり、構成要素の質量値又はpH値などの値は、単離された抗体を医薬組成物中に入れた後に単離された抗体の結合活性が維持され、検出可能であるときの、「約」所与の数値である。
【0219】
競合結合解析を行って、IL-12/IL-23p40又はIL-23特異的mAbが類似の若しくは異なるエピトープに結合し、かつ/又は互いに競合するかを決定する。ELISAプレート上にAbを個々にコーティングする。競合するmAbを添加し、続いてビオチン化hrIL-12又はIL-23を添加する。陽性対照には、コーティングに同じmAbを競合mAb(「自己競合」)として使用してもよい。IL-12/IL-23p40又はIL-23結合は、ストレプトアビジンを使用して検出される。これらの結果は、mAbがIL-12/IL-23p40又はIL-23上の類似の又は部分的に重複するエピトープを認識するかどうかを示す。
【0220】
本発明の方法の一態様は、医薬組成物を患者に投与する。
【0221】
医薬組成物の一実施形態では、単離された抗体濃度は、1mLの医薬組成物当たり約77~約104mgである。医薬組成物の別の実施形態では、pHは約5.5~約6.5である。
【0222】
安定又は保存製剤は、透明な溶液として、又は水性希釈剤中に保存剤若しくは緩衝剤及び賦形剤を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-23抗体のバイアルを含む併用バイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とする併用バイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0223】
抗IL-23抗体を安定化する他の製剤又は方法は、抗体を含む凍結乾燥粉末の透明溶液以外のものであってもよい。非透明溶液としては微粒子懸濁液を含む製剤があり、当該微粒子は、ミクロスフェア、微小粒子、ナノ粒子、ナノスフェア、又はリポソームとして様々に知られる様々な大きさの構造内に、抗IL-23抗体を含有する組成物である。活性薬剤を含有するかかる比較的均質な本質的に球状の微粒子製剤は、米国特許第4,589,330号に教示される通り、活性薬剤及びポリマーを含有する水相と非水相とを接触させ、次いで非水相を蒸発させて水相からの粒子の合体を引き起こすことにより形成することができる。多孔性微小粒子は、米国特許第4,818,542号に教示される通り、連続溶媒中に分散された活性薬剤とポリマーとを含有する第1相を使用し、凍結乾燥又は希釈-抽出-沈殿により懸濁液からこの溶媒を除去することで調製することができる。こうした調製に好ましいポリマーは、ゼラチン寒天、デンプン、アラビノガラクタン、アルブミン、コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酪酸)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリ(アルキル-2-シアノアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルDL-アスパルトアミド)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(L-フェニルアラニン/エチレングリコール/1,6-ジイソシアナトヘキサン)及びポリ(メチルメタクリレート)からなる群から選択される、天然又は合成のコポリマー又はポリマーである。特に好ましいポリマーは、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン)、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、及びポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)などのポリエステルである。ポリマー及び/又は活性物質を溶解させるのに有用な溶媒としては、水、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、又はヘキサフルオロアセトンセスキ水和物が挙げられる。活性物質含有相を第2相に分散させるプロセスは、ノズル内のオリフィスに当該第1相を圧力で強制的に通して液滴形成に作用させることを含むことができる。
【0224】
乾燥粉末製剤は、例えば、噴霧乾燥法、又は蒸発による溶媒抽出法、若しくは水性若しくは非水性溶媒を除去するための1つ以上の工程が後続する結晶性組成物の沈殿による溶媒抽出法などの、凍結乾燥以外のプロセスの結果として得てもよい。噴霧乾燥抗体製剤の調製は、米国特許第6,019,968号に教示されている。抗体ベースの乾燥粉末組成物は、抗体の溶液又はスラリーを、及び任意選択的に、呼吸用乾燥粉末を提供するための条件下で溶媒中の、賦形剤を、噴霧乾燥させることによって生産できる。溶媒としては、容易に乾燥可能な、例えば水及びエタノールなどの極性化合物が挙げられる。抗体の安定性は、酸素不在下、例えば窒素ブランケット下において噴霧乾燥手順を実施すること、又は乾燥用気体として窒素を使用することにより増強させることができる。別の比較的乾燥した製剤は、国際公開第9916419号に教示されているような、典型的にヒドロフルオロアルカン噴射剤を含む懸濁培地中に分散した、複数の有孔微細構造の分散物である。安定化された分散物は、定量吸入器を用いて患者の肺に投与できる。噴霧乾燥された薬剤の商業的製造において有用な機器は、Buchi Ltd.又はNiro Corp.により製造されている。
【0225】
本明細書に記載される安定又は保存製剤又は溶液のいずれかの抗IL-23抗体は、当該技術分野において周知のように、SC若しくはIM注射、経皮、経肺、経粘膜、埋め込み、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ又は当業者により理解される他の手段などの様々な送達方法を介して、本発明に従って対象に投与することができる。
【0226】
治療適用
本発明はまた、当該技術分野において既知又は本明細書に記載のように、少なくとも1つの本発明のIL-23抗体を用いて、例えば、細胞、組織、器官、動物、又は患者に、治療上有効な量のIL-12/IL-23p40又はIL-23特異的抗体を投与又は接触させて、細胞、組織、器官、動物、又は患者におけるループスを調節又は治療するための方法をも提供する。
【0227】
本発明のいずれの方法も、かかる調節、処置、又は治療を必要としている細胞、組織、器官、動物、又は患者に、抗IL-23抗体を含む有効な量の組成物又は医薬組成物を投与することを含み得る。かかる方法は、任意選択的に、かかる疾患又は障害の治療のための同時投与又は併用療法を更に含むことができ、ここで、当該少なくとも1つの抗IL-23抗体、その特定された部分、又は変異体を投与することは、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、化学物質性若しくはタンパク質性TNF拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体若しくはフラグメント、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)若しくはフラグメント、その融合ポリペプチド、又は低分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I又はII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ、インフリキシマブ、エタネルセピト(eternacept)(Enbrel(商標))、アダリムマブ(Humira(商標))、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセピトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋弛緩薬、麻薬、非ステロイド性抗炎症薬(non-steroid anti-inflammatory drug、NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペナム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、別の抗菌薬)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養薬、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐剤、抗腫瘍薬、緩下剤、抗凝固薬、エリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G-CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM-CSF、Leukine)、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節薬、散瞳剤、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、刺激薬、ドネペジル、タクリン、ぜんそく治療薬、ベータ作用薬、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン若しくは類似体、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカイン若しくはサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1つを、前に、同時に、及び/又は後に投与することを更に含む。好適な投与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ,を参照されたく、これらの参考文献の各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0228】
治療処置
典型的には、ループスの処置は、組成物中に含有される活性薬剤の比活性に応じ、平均して、合計、1回の投与当たり患者の体重1kg当たり少なくとも約0.01~500ミリグラムの範囲の抗IL-12/23p40又は抗IL-23抗体、及び好ましくは、単回又は複数回投与当たり患者の体重1kg当たり少なくとも約0.1~100ミリグラムの範囲の抗体の抗IL-12/23p40又は抗IL-23抗体組成物の有効な量又は投与量を投与することにより影響を受ける。あるいは、有効な血清濃度は、単回又は複数回投与当たり、0.1~5000μg/mLの血清濃度を含み得る。好適な投与量は、医療実践者には既知であり、当然のことながら、特定の疾患状態、投与される組成物の比活性、及び処置を受けている特定の患者に依存する。場合によっては、望ましい治療量を得るために、反復投与、すなわち、特定の監視された量又は定量の反復個別投与を提供することが必要となる場合があり、この場合、個別投与は、望ましい日用量又は作用が得られるまで繰り返される。
【0229】
好ましい用量は、任意選択的に、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99及び/若しくは100~500mg/kg/投与、又はその任意の範囲、値若しくは分画を含むか、あるいは単回若しくは複数回投与当たり0.1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、2.9、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、20、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、4.9、5.0、5.5.、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、12、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14、14.5、15、15.5、15.9、16、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、18.5、18.9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、96、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、及び/若しくは5000μg/mLの血清濃度、又はその任意の範囲、値若しくは分画を得るように含み得る。
【0230】
あるいは、投与される用量は、特定の薬剤の薬力学的特徴並びにその投与方式及び経路、レシピエントの年齢、健康及び体重、症状の性質及び程度、同時処置の種類、処置頻度、並びに所望の作用などの既知の因子により異なり得る。活性成分の投与量は、通常、体重1キログラム当たり約0.1~100ミリグラムであり得る。通常、0.1~50、好ましくは0.1~10ミリグラム/キログラム/投与、又は徐放性形態が、望ましい結果を得るために有効である。
【0231】
非限定的な例として、ヒト又は動物の処置は、単回投与、静注投与、又は反復投与を使用して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39若しくは40日目のうちの少なくとも1日に、あるいは又は追加的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51若しくは52週目のうちの少なくとも1週に、あるいは又は追加的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20年目のうちの少なくとも1年に、又はこれらの任意の組み合わせで、1日当たり0.1~100mg/kg、例えば、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、又は100mg/kgの、本発明の少なくとも1つの抗体の1回又は周期的な投与量として提供され得る。
【0232】
体内投与に好適な剤形(組成物)は、一般に、1単位又は容器当たり約0.001ミリグラム~約500ミリグラムの活性成分を含む。これらの医薬組成物において、活性成分は、通常、組成物の総重量に基づいて約0.5~99.999重量%の量で存在する。
【0233】
非経口投与には、抗体は、薬学的に許容できる非経口ビヒクルと合わせて、又は別個に提供される、溶液、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、若しくは凍結乾燥粉末として、製剤化され得る。かかるビヒクルの例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液及び1~10%ヒト血清アルブミンである。リポソーム及び不揮発性油などの非水性ビヒクルを使用することもできる。ビヒクル又は凍結乾燥粉末は、等張性及び化学安定性を維持する添加剤(例えば、等張性に関しては塩化ナトリウム、マンニトール;化学安定性に関しては緩衝剤及び保存剤)を含有することができる。製剤は、既知の又は好適な技術によって滅菌される。
【0234】
好適な薬学的担体は、この分野での標準的参考テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版の中で記載されている。
【0235】
代替的投与
抗IL-23抗体の薬学的に有効な量を投与するために、本発明に従って、多くの既知の及び開発された方式を使用することができる。以下の記述では経肺投与が使用されているが、本発明に従って他の投与方式を使用して、好適な結果を得てもよい。本発明のIL-12/IL-23p40又はIL-23抗体は、担体中で、溶液、エマルション、コロイド若しくは懸濁液として、又は乾燥粉末として、吸入によるか、又は本明細書に記載される若しくは当該技術分野において既知である他の方式による投与に好適な様々なデバイス及び方法のいずれかを使用して、送達することができる。
【0236】
非経口製剤及び投与
非経口投与用製剤は、一般的な賦形剤として滅菌水又は生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物性油、水素化ナフタレンなどを含有してもよい。注射用の水性又は油性懸濁液は、既知の方法に従って、適切な乳化剤又は加湿剤及び懸濁剤を使用することによって調製可能である。注射剤は、例えば水溶液、無菌注射液又は溶媒中懸濁液などの非毒性の非経口投与可能な希釈剤であってもよい。使用可能なビヒクル又は溶媒としては、水、リンゲル液、等張生理食塩水などが可能であり、通常の溶媒又は懸濁溶媒としては、無菌の不揮発性油を使用することができる。これらの目的では、天然又は合成若しくは半合成の、脂肪油又は脂肪酸、天然又は合成若しくは半合成の、モノグリセリド又はジグリセリド又はトリグリセリドを含む、あらゆる種類の不揮発性油及び脂肪酸を使用することができる。非経口投与は当該技術分野において既知であり、従来の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載されているようなガス加圧式無針注射デバイス、及び米国特許第5,839,446号に記載されているようなレーザー穿孔機デバイスが挙げられるが、これらに限定されず、これらは参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0237】
代替的送達
本発明は更に、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮手段による抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体の投与に関する。抗IL-12/IL-23p40又はIL-23抗体組成物は、非経口(皮下、筋肉内、又は静脈内)又は任意の他の投与、特に、液体溶液若しくは懸濁液の形態で使用するために、特に、クリーム及び座薬などであるがこれらに限定されない半固体形態で、膣若しくは直腸の投与における使用のために、錠剤若しくはカプセルなどであるがこれらに限定されない形態で、口腔若しくは舌下投与用に、あるいは粉末、点鼻薬若しくはエアロゾル、又はある特定の薬剤などであるがこれらに限定されない形態で、鼻腔内に、あるいは皮膚構造を改変するか、又は経皮パッチ中の薬剤濃度を増加させるかのいずれかのために、ジメチルスルホキシドなどの化学的促進剤を用いて(Junginger、et al.In 「Drug Permeation Enhancement」;Hsieh,D.S.,Eds.,pp.59-90(Marcel Dekker,Inc.New York 1994、参照により全体が本明細書に組み込まれる)、又はタンパク質及びペプチドを含有する製剤の皮膚への適用(国際公開第98/53847号)、又はエレクトロポレーションなどの一過性の輸送経路を作り出すための、若しくはイオントフォレシスなどの皮膚を通して荷電薬剤の移動度を増加させるための電界の適用、又は超音波導入などの超音波の適用(米国特許第4,309,989号及び同第4,767,402号)を可能にする酸化剤を用いて、ゲル、軟膏、ローション、懸濁液若しくはパッチ送達系などであるが、これらに限定されない形態で、経皮的に、調製することができる(上記の刊行物及び特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0238】
本発明を一般的に記述してきたが、上記と同様のことは、実例として提供されるが制限することを意図していない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。更に、本発明の詳細は、以下の非限定的実施例によって例示される。本明細書の全ての引用の開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例】
【0239】
活動性全身性エリテマトーデスを有する対象におけるウステキヌマブの、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の概念実証試験
概要
STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)は、ヒトインターロイキン(IL)-12及びIL-23サイトカインの共有p40サブユニットに対して高親和性及び特異性で結合する完全ヒトG1κモノクローナル抗体である。IL-12/IL-23p40サブユニットへのウステキヌマブの結合は、天然キラー及びCD4+T細胞の表面におけるIL-12又はIL-23のIL-12Rβ1受容体への結合をブロックし、IL-12及びIL-23特異的細胞内シグナル伝達並びにその後の活性化及びサイトカイン産生を阻害する。IL-12及びIL-23の異常な調節は、全身性エリテマトーデス(SLE)を含む複数の免疫介在性疾患に関連している。したがって、IL-12及びIL-23の阻害は、SLEの治療に有効である可能性を有する。
【0240】
目的及び仮説
主目的
主目的は、活動性SLEを有する対象の疾患活動性の低下によって測定される、ウステキヌマブの有効性を評価することである。
【0241】
副次的目的
副次的目的は、以下を評価することである。
・ SLEを有する対象におけるウステキヌマブの安全性及び耐性。
・ SLEを有する対象における健康に関連する生活の質に対するウステキヌマブ投与の効果。
・ SLEの皮膚症状に対するウステキヌマブの効果。
・ SLEを有する対象におけるウステキヌマブの薬物動態及び免疫原性。
【0242】
探索的目的
探索的目的は、以下を評価することである。
・ ウステキヌマブの長期投与中の安全性及び有効性。
・ ウステキヌマブの長期投与中のコルチコステリドの低減。
・ SLEの改善及び/又は悪化に対する感度を高める可能性がある臨床応答の更なる複合臨床エンドポイント又は臨床的応答の計算方法。
・ ループス疾患に関連するバイオマーカー(遺伝的、全身性、及び皮膚関連)。
【0243】
仮説
仮説は、ウステキヌマブを用いた投与が、第24週目の全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000(SLEDAI-2K)応答者指標(SRI-4)総合的活動性指標(composite measure)によって測定されるプラセボよりも有意に優れていることである。
【0244】
試験設計の概要
CNTO1275SLE2001は、活動性SLEを有する対象における標準的治療背景に付加されたウステキヌマブの有効性及び安全性の第2a相、概念実証、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験である。登録すべき対象は、従来の治療(例えば、免疫調節薬、抗マラリア薬、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、抗高血圧薬、及び/又は外用薬)にもかかわらず、全身性エリテマトーデス国際協力クリニック(Systemic Lupus International Collaborating Clinics(SLICC))基準及び全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000(SLEDAI-2K)スコア≧6に従ってSLEを有する必要がある。加えて、対象は、スクリーニング中に観察された少なくとも1つの陽性の自己抗体試験(抗核抗体[antinuclear antibody、ANA]、抗二重鎖デオキシリボ核酸(抗dsDNA)抗体、及び/又は抗スミス抗体)、並びに医療歴において十分に実証された陽性の自己抗体試験を有する必要がある。対象はまた、スクリーニング中に観察された少なくとも1つのブリティッシュ島ループス評価グループ(BILAG) A及び/又は2つのBILAG Bドメインスコアを実証する必要がある。加えて、対象は、無作為化の前に、0週目に臨床的SLEDAI-2Kスコア≧4(検査結果を除く)を有する必要がある。
【0245】
およそ100人の対象を、24週間ウステキヌマブ又はプラセボのいずれかを受容するように、3:2の比で無作為に割り当て。0週目の無作為化後、対象は、6mg/kgのウステキヌマブに近似する初期体重範囲ベースのIV用量(ウステキヌマブ260mg[体重≧35kg~≦55kg];ウステキヌマブ390mg(体重>55kgかつ≦85kg);ウステキヌマブ520mg[体重>85kg])の後、8週毎に(q8w)90mgをSC投与される。
【0246】
24週目に、プラセボを受容した対象はクロスオーバーし、全ての対象は、24、32、及び40週目に、ウステキヌマブ90mgのSCを受容し、続いて、最後の試験薬のSC投与後に、盲検様式で16週間(すなわち、およそ5半減期)、安全性経過観察を56週目まで受ける。
【0247】
プラセボ比較物(標準的治療背景療法に付加された)は、SLEを有する対象におけるウステキヌマブの有効性及び安全性の評価のために、24週目まで使用される。24週目から40週目まで、プラセボ群はクロスオーバーして、ウステキヌマブ90mgのSCを受容する(q8w)。このクロスオーバー設計により、プラセボ対象は、試験薬を受容し、SLEを有する対象におけるIV負荷用量を伴わずにウステキヌマブ90mgのSCを使用した経験を提供することを可能にする。40週間投与期間は、SLE集団におけるウステキヌマブの潜在的臨床応答の長期的な安全性及び経時変化を理解するのに有用である。
【0248】
全ての妥当な努力は、プロトコルに定義されるように、併用薬を安定した状態に保つために行われるべきである。全ての併用療法は、スクリーニングへの登録から開始した試験全体を通して記録されなければならず、いかなる変化も試験全体を通して記録されなければならない。
【0249】
皮膚疾患を有する全ての対象は、皮膚エリテマトーデス疾患エリア及び重症度指標(CLASI)スコアリングを使用して評価される。更に、皮膚ループスサブ試験に参加することを同意した皮膚疾患を有する対象は、活動性疾患の皮膚生検の採取(任意の同意)及び/又は活動性疾患の皮膚病変若しくは領域の写真の収集(任意の同意)を含む他の評価を有する。主要試験又は皮膚ループスサブ試験のいずれかに登録することができる、皮膚疾患を有する対象の数に対するいかなる制限も存在しない。
【0250】
中間解析(IA)は、対象のおよそ1/3及び2/3が24週に達したときに行われる。第1のIAでは、顕著な有効性の評価のみが行われる。第2のIAでは、顕著な有効性の証拠並びに処置無効が分析される。データベースロック(database lock、DBL)は、24週目及び最後の対象の第56週目の来院後、又は主要試験からの最終の対象の16週目の安全性経過観察のための来院で行われる。加えて、独立したデータモニタリングリング委員会(DMC)は、対象のおよそ1/3及び2/3が24週目に達した時点で、並びに24週目のDBL時に、公式審査を含む中間安全性データを定期的に審査する。DMCは、その試験が、無効又は安全性の懸念のために中止されるべきか、又はデータが顕著な有効性を実証する予め定められた基準を満たしているかどうかを、治験依頼者委員会に勧告する。概要の内容、DMCの役割及び責任、並びに一般的な手順(コミュニケーションを含む)は、DMC許可書(DMC charter)に定義される。
【0251】
補正された試験設計は、104週までのウステキヌマブ90mg、q8w SC投与を非盲検で提供し続ける。対象が、下記を含む試験組み入れ基準(セクション4.1.3):
・ 40週目の来院時若しくはその前に、永続的に中断された試験処置を有してはならないこと、及び
・ 40週目の来院後、およそ8週間(±2週間)でq8週の試験処置を継続することができること、
又は
・ 40週目の来院後、16週間(±2週間)以下の試験処置を再開することができること、を満たす場合、対象は、104週目まで試験処置を継続することが適格である。
【0252】
最終的な対象の56週目の来院後、又は主要試験からの最終の対象の16週目の安全性経過観察のための来院後の計画されたDBLに加えて、後続試験の終了時に(後続試験の16週目の安全性経過観察後に)追加的なDBLが存在する。
【0253】
対象集団
適格な対象のスクリーニングは、無作為化のための来院(0週目)の前6週間以内に実施しなければならない。標的試験集団は、従来の治療(例えば、免疫調節剤、抗マラリア薬、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、抗高血圧薬、及び/又は外用薬)にかかわらず、SLICC基準及びSLEDAI-2Kスコア≧6に従ったSLEを有する対象である。加えて、対象は、スクリーニング中に観察された少なくとも1つの陽性の自己抗体試験(ANA、抗dsDNA抗体、及び/又は抗スミス抗体)、並びに医療歴において十分に実証された陽性の自己抗体試験を有する必要がある。対象はまた、試験薬剤の初回投与の前にスクリーニング中に観察された少なくとも1つのBILAG A及び/又は2つのBILAG Bドメインスコアを有しなければならない。
【0254】
加えて、試験参加について適格であるために、対象は、0週目(無作為化前)の臨床的特徴について臨床的SLEDAI-2Kスコア≧4を有し(検査結果は除外)、治験依頼者及び/又は治験依頼者が選択した独立した審査官(複数可)によるスクリーニングループス評価の審査及び確認後の試験無作為化の承認を受けなければならない。
【0255】
活動性皮膚ループスを有する主要試験に登録しているSLE対象(円板状エリテマトーデス、亜急性皮膚エリテマトーデス、脱毛症、又はSLE頬部発疹、又は紅斑及び/若しくは鱗屑によって特徴付けられる他のSLE皮膚病変を有する対象を含む)は、CLASIスコアリングを使用して評価される。加えて、同意を提供する対象は、皮膚生検及び/又は皮膚写真の組織学を評価する皮膚ループスサブ試験に登録される。皮膚ループスサブ試験に参加している対象は、生検を受ける必要がなく、活動性疾患の特定された病変又は領域における変化を実証するために写真のみを許可してもよい。
【0256】
投与量及び投与
全ての対象は、0週目に試験薬剤(プラセボ又はウステキヌマブ)の体重範囲に基づくIV投与を受容し、続いて、8週目及び16週目におけるプラセボ又はウステキヌマブのSC投与、続いて、全ての対象が、24、32、及び40週目におけるウステキヌマブ投与を受けている。全ての妥当な努力は、併用薬を少なくとも28週目まで安定した状態に保つために、プロトコルに定義されるように、8週目の安全性経過観察又は後続試験まである程度の調節を28週目以降も可能にすることを伴って、行うべきである。併用薬は低減されてもよく、又は異常な検査値、副作用、併発症、又は外科手術の性能のために薬剤が一時的に中断され得るが、変化及び薬剤変更の理由は、対象の医療記録において明確に文書化されているべきである。併用薬が、プロトコル毎に許容された無作為化後に調節された場合、第12週目の来院までに、対象をベースライン(0週目)の投与量レベルに戻すためにあらゆる努力がなされるべきであるか、又は薬剤の使用の増加は、対象を治療不成功と見なす場合がある。
【0257】
後続試験中に登録された対象は、ウステキヌマブ90mgのSC投与を、8週間毎に104週まで受け続ける。コルチコステロイドを除いて、併用薬は、後続試験を通して安定した用量で維持されるべきである。
【0258】
0週目から最長24週目(盲検試験薬投与期)
群1:対象は、0週目に約6mg/kgのウステキヌマブの体重範囲ベースのIV投与を受け、続いて、8週目及び16週目にウステキヌマブ90mgのSC投与を受ける。
【0259】
群2:対象は、0週目にプラセボの体重範囲ベースのIV投与を受け、続いて、8週目及び16週目にプラセボのSC投与を受ける。
【0260】
24週目~40週目(クロスオーバー投与期)
群1:対象は、ウステキヌマブ90mgのSC投与を24週目に受け、続いて40週までq8w投与を受ける。
【0261】
群2:プラセボ投与群における対象は、ウステキヌマブ90mgのSC投与を24週目にクロスオーバーし、続いて40週までq8w投与を受ける。
【0262】
40週後から16週の経過観察(安全性経過観察期)
群1及び2:後続試験に参加しない対象は、44週目での安全性経過観察のための来院並びに8週及び16週の安全性経過観察に戻ると予測される。
【0263】
後続試験(48週目/56週目~120週目)
後続試験組み込み基準(セクション4.1.3)を満たす対象は、安全性の経験を広げ、ウステキヌマブ90mgにq8wで曝露されたループス患者における有効性を維持する目的で、更なる1年の非盲検のウステキヌマブ投与を受ける。48週目又は56週目から開始した後続試験における投与を継続した対象は、104週まで非盲検のウステキヌマブSC投与を受ける。SLEにおけるウステキヌマブの開発が終了した場合、後続試験も中断される。
【0264】
有効性の評価
本試験の一次有効性エンドポイントは、プラセボ治療と比較して、ウステキヌマブを受けた対象に対する、24週目における複合SRI-4応答を有する対象の割合と比較することである。
【0265】
有効性評価及び患者報告生活の質尺度としては、下記が含まれる。
・ SLEDAI-2K
・ S2K RI-50
・ BILAG
・ CLASI
・ 医師の疾患活動性の全般的評価
・ 患者の疾患活動性の全般的評価
・ ショートフォーム36質問票
・ 疲労重症度スケール
・ 患者の疼痛評価
【0266】
薬物動態及び免疫原性評価
血清サンプルを使用して、ウステキヌマブの薬物動態、並びにウステキヌマブ(ウステキヌマブに対する抗体)の免疫原性を評価する。
【0267】
バイオマーカー評価及び血清学的マーカー
皮膚生検、血液、血清、及び尿の採取、調製、保管、及び輸送は、検査室マニュアルに詳述されている。バイオマーカーとしては、炎症マーカー、リボ核酸(ribonucleic acid、RNA)、細胞表面マーカー、自己抗体、T細胞並びにB細胞レパートリー、標的特異マーカー、並びにループスの発症及び進行に関与する可能性があるバイオマーカーの他のカテゴリーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0268】
血清分析
血清は、可溶性CD40リガンド(sCD154)、インターロイキン(IL)-6、IL-12p40、IL-17、IL-21、IL-22、IL-23p19、C-X-Cモチーフケモカイン10(CXCL10)、B細胞活性化因子(B cell activating factor、BAFF)、インターフェロン、自己抗体、及び他の炎症関連分子が挙げられるが、これらに限定されない、特定のタンパク質のレベルについて分析される。
【0269】
皮膚生検分析
皮膚生検は、細胞、分子、及び遺伝子発現分析に利用される。
【0270】
全血遺伝子発現分析
全血は、RNA、フローサイトメトリー、T細胞及びB細胞レパートリー、並びにエピジェネティクス分析(例えば、デオキシリボ核酸[deoxyribonucleic acid、DNA]メチル化)のために、全対象から採取される。
【0271】
血清学的マーカー
自己抗体(例えば、ANA、抗dsDNAなど)、補体C3及びC4は、事象の表(表1)に記載されるように採取される。
【0272】
薬理遺伝学的(DNA)評価
DNAサンプルは、本試験(CNTO1275SLE2001)に関連する研究に使用される。特定のゲノム検査は、対象の同意を得るために行われる(この試験の一部に参加している対象は、別個インフォームドコンセントフォームに署名しなければならない。この手順は、ループスで役割を果たし得る特定の標的遺伝子について分析され得る血液サンプルを採取することを伴うで。いかなるゲノム評価も、遺伝子検査に関する現行の対象の機密保持規定を厳守して実行される。ゲノム検査の参加を拒むことは、臨床試験の残りに参加することを不適格にするものではない。
【0273】
皮膚ループスサブ試験
皮膚疾患を有する全ての対象は、CLASIスコアリングを使用して評価される。更に、皮膚ループスサブ試験に参加することを同意した皮膚疾患を有する対象は、活動性疾患の皮膚生検の採取(任意の同意)及び/又は活動性疾患の特定された皮膚病変若しくは領域の写真の収集(任意の同意)を含む他の評価を有する。主要試験又は皮膚ループスサブ試験のいずれかに登録することができる、皮膚疾患を有する対象の数に対するいかなる制限も存在しない。
【0274】
同意を提供する対象は、皮膚生検及び/又は皮膚写真の組織学を評価する皮膚ループスサブ試験に登録される。同意する対象からの生検サンプル(2つのサンプル、4mmのサイズ)は、活動性皮膚疾患の1つの病変又は領域から、0週目及び24週目における投与の前に、採取される。写真及び皮膚生検は、活動性疾患の異なる領域を標的とすることができるが、経過観察写真又は生検は、最初に0週目に評価された活動性疾患の同じ領域を再評価するべきである。皮膚ループスサブ試験に参加している対象は、生検を受ける必要がなく、活動性疾患の特定された病変又は領域における変化を実証するために写真のみを許可してもよい。生検に不適切と思われる皮膚ループスを有する対象(例えば、頬部発疹又は脱毛症)もまた、サブ試験に登録することができ、写真撮影によって評価することができる。
【0275】
皮膚生検採取とは無関係に、皮膚ループスサブ試験に参加する対象は、活動性疾患の特定された病変又は領域から写真が収集されることに対する同意を求められる。写真は、探索目的のためだけのものである。写真は、臨床応答の定性的評価を支援するために使用される。本試験に関与する対象の機密保護が維持され、具体的には、本試験における対象の写真は、個人を特定することができないように、対象の顔又は身体の適切な部分を遮断することなく公開されることはないか、ないしは別の方法で公表されることはない。
【0276】
安全性の評価
安全性の評価には、バイタルサイン、全身の身体検査及び皮膚評価、有害事象(adverse event、AE)、重篤なAE、併用薬調査、妊娠検査、急性輸液反応、化学検査及び血液検査、並びにウステキヌマブに対する抗体が挙げられる。胸部X線及び結核、ヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎、及びC型肝炎検査は、スクリーニング時に必要とされる。試験の最後に持続しているあらゆる臨床上の有意な異常は、解決まで又は臨床上安定したエンドポイントに達するまで、治験責任医師によって追跡される。対象の日誌カードは、本試験の主要部分中の試験来院時の間で生じる薬剤変更を捕らえるために使用される。試験薬剤の最終投与の最長16週間後に採取された安全性データを評価する。
【0277】
統計的方法
サンプルサイズの決定
およそ100人の対象を、24週間ウステキヌマブ又はプラセボのいずれかを受容するように、3:2の比で無作為に割り当てる。ウステキヌマブで治療されたおよそ60人の対象及びプラセボで治療されたおよそ40人の対象を、0.1のアルファ水準で、プラセボと比較して奏効率の有意差を検出するためにおよそ80%の検定力を与えるように見積もられる(プラセボ及びウステキヌマブにおけるそれぞれ35%及び60%奏効率を仮定し、これは、プラセボに対する25%の絶対的増加又は2.79のオッズ比と解釈される)。
【0278】
有効性分析
本試験の主要エンドポイントは、24週目におけるSLE疾患活動性の複合尺度(SLE応答者指標[SLE Responder Index、SRI]-4応答)を有する対象の割合である。一次分析は主要エンドポイントに基づくものであり、修正した治療意図の原理による(modified intent-to-treat、mITT)集団に対して行われ、これには、投与前に少なくとも1回の測定を有し、かつベースライン後に少なくとも1つのSRI-4測定値を有する、少なくとも1用量の試験薬剤を受ける全ての無作為化された対象が含まれる。
【0279】
対象が24週目に少なくとも1つのSRI-4構成要素についてのデータを有する場合は、最終観測代入(last observation carried forward、LOCF)手順を使用して、欠落しているSRI-4構成要素を帰属させる。対象が24週目に任意のSRI構成要素についてのデータを有しない場合、対象はSRI-4応答を達成しなかったと見なされる。
【0280】
加えて、ベースライン時よりも24週目により高い免疫調節剤の用量を受けるか、又はコルチコステロイドによる禁止された処置(用量又はタイミング)を開始したか、又は有効性の欠如のために試験薬剤を中断したなどの、様々な治療不成功基準のいずれかを満たす対象は、24週目に、主要エンドポイント、SRI-4応答を達成しなかったと見なされる。
【0281】
ベースライン階層化及びベースラインSLEDAIを調整するロジスティック回帰が、主要エンドポイントを分析するために使用される。ベースラインSLEDAI値は、0週目の注入前に採取された最も近い非欠損測定値として定義される。有意な非正規性が観察される場合、適切なノンパラメトリック試験を使用して、治療間の差異を評価する。
【0282】
一次分析が0.1(両側)の有意水準で統計的有意性を達成し、かつウステキヌマブがプラセボ治療に対して良好な治療効果を示す場合には、試験はポジティブと見なされる。
【0283】
安全性分析
安全性は、AE、SAE、合理的に関連するAE、感染、及び急性輸液反応の発生率及び種類の分析によって評価される。安全性評価はまた、検査室パラメータの分析、及び検査室パラメータ(血液学及び化学)におけるベースラインからの変化、並びに異常な検査室パラメータ(血液学及び化学)の発生率も含む。
【0284】
【0285】
【0286】
【0287】
【0288】
【0289】
【0290】
略語:
ACE アンジオテンシン変換酵素
AE 有害事象
ANA 抗核抗体
ANCOVA 共分散分析
anti-dsDNA 抗二本鎖デオキシリボ核酸
anti-HBc total 総HBVコア抗体
antiHBs HBV表面抗体
ARB アンジオテンシンII受容体遮断薬
AZA/6MP アザチオプリン/6メルカプトプリン
BAFF Bリンパ球刺激因子(BLyS)としても知られるB細胞活性化因子
BCG バシルカルメットゲラン(Bacille Calmette-Guerin)
β-hCG βヒト線毛性性腺刺激ホルモン
BICLA BILAGベースの複合ループス評価
BILAG ブリティッシュ島ループス評価グループ
BLys B細胞活性化因子(BAFF)としても知られるBリンパ球刺激因子
CLASI 皮膚エリテマトーデス疾患エリア及び重症度指標
CLE 皮膚エリテマトーデス
CNS 中枢神経系
COX-2 シクロオキシゲナーゼ-2
CD クローン病
CTCAE 有害事象共通用語基準
CXCL10 C-X-Cモチーフケモカイン10
DMC データモニタリング委員会
DNA デオキシリボ核酸
eDC 電子データ収集
EDTA エチレンジアミン四酢酸
ELISA 酵素結合免疫吸着アッセイ
FSS 疲労重症度スケール
FVP 最終バイアル入り製品
GCP 医薬品臨床試験の実施基準
HBsAg HBV表面抗原
HBV B型肝炎ウイルス
HCV C型肝炎ウイルス
HIV ヒト免疫不全ウイルス
IA 中間解析
ICF インフォームドコンセントフォーム
ICH 医薬品規制調和国際会議
IEC 独立倫理委員会
Ig 免疫グロブリン
IL インターロイキン
IM 筋肉内
IP 治験用医薬品
IRB 施設内審査委員会
IV 静脈内
IWRS 自動ウェブ応答システム
JAK ヤヌスキナーゼ
mITT 修正された治療意図
MMF ミコフェノール酸モフェチル
MPA ミコフェノール酸
MTX メトトレキサート
NAbs 中和抗体
NSAID 非ステロイド性抗炎症薬
PFS プレフィルドシリンジ
PGA 医師の疾患活動性の全般的評価
PK 薬剤動態
PQC 製品品質の苦情
PRO 患者報告転帰
PsA 乾癬性関節炎
PtGA 患者の疾患活動性の全般的評価
q8w 8週間毎
RA 関節リウマチ
RNA リボ核酸
RNP リボ核タンパク質
S2K RI-50 SLEDAI-2K応答者指標
SAE 重篤なAE
SAP 統計的分析計画
SC 皮下
SF ショートフォーム
SLE 全身性エリテマトーデス
SLEDAI 全身性エリテマトーデス疾患活動性指標
SLEDAI-2K 全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000
SLICC 全身性エリテマトーデス国際協力クリニック
SRI-4 SLE応答者指標
SSA 抗シェーグレン症候群関連抗原A
SSB 抗シェーグレン症候群関連抗原B
TB 結核
Th Tヘルパー
TNFα 腫瘍壊死因子アルファ
ULN 正常値上限
VAS 視覚的アナログスケール
WBC 白血球
【0291】
1.導入
STELARA(登録商標)(ウステキヌマブ)は、ヒトインターロイキン(IL)-12及びIL-23サイトカインの共有p40サブユニットに対して高親和性及び特異性で結合する完全ヒトG1κモノクローナル抗体である。IL-12/IL-23p40サブユニットへのウステキヌマブの結合は、天然キラー及びCD4+T細胞の表面におけるIL-12又はIL-23のIL-12Rβ1受容体への結合をブロックし、IL-12及びIL-23特異的細胞内シグナル伝達及びその後の活性化及びサイトカイン産生を阻害する。IL-12及びIL-23の異常な調節は、全身性エリテマトーデス(SLE)を含む複数の免疫介在性疾患に関連している。したがって、IL-12及びIL-23の阻害は、SLEの治療に有効である可能性を有する。
【0292】
全身性エリテマトーデスは、ほとんど全ての器官系に影響を及ぼし得る未知の病因の複雑で慢性の不均質な自己免疫疾患であり、漸増及び漸減疾患過程に従う。全身性エリテマトーデスは、男性よりも女性ではるかに頻繁に発症し、いくつかの研究では最大で9倍より頻繁に発症し、15歳~45歳の妊娠可能年齢で現れることが多い。この疾患は、アフリカ系カリブ人、アジア系、及びヒスパニック系集団においてより多く見られる。SLEでは、免疫系は、身体の細胞及び組織を攻撃し、結果として、心臓、関節、皮膚、肺、血管、肝臓、腎臓、及び神経系を害し得る炎症並びに組織損傷をもたらす。対象の約半分は、器官を脅かす疾患を示すSLEと診断されるが、器官関与を示さない対象を診断するのに数年を要する場合がある。新たに診断されたループス患者の主な症状のいくつかは、不整脈(62%)及び皮膚症状(新たな光過敏症;20%)、その後に続く持続性発熱及び倦怠感である。推定されるループスの年間の発生率は、100,000人当たり1.8~7.6症例まで様々であり、世界中の有病率は、100,000人当たり14~172症例の範囲である。軽度の疾患を有する患者は、主に皮膚発疹及び関節痛を有し、非積極的療法を必要とする。レジメンとしては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、抗マラリア薬(例えば、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、又はキナクリン)、及び/又は低用量コルチコステロイドが挙げられる。より重度の疾患患者は、潜在的な腎不全、心内膜炎若しくは心筋炎、肺炎、妊娠合併症、脳卒中、神経学的合併症、血管炎、及び出血又は感染症の関連するリスクを伴う血球減少症を含む、関与する器官系に応じて、様々な重篤な状態を経験し得る。より重篤な疾患に対する一般的な治療としては、メトトレキサート(MTX)、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、高用量コルチコステロイド、生物学的B細胞細胞傷害剤、又はB細胞調節因子、及び他の免疫調節剤が挙げられる。深刻なSLEを有する患者は、10~30年の寿命の短縮を有し、主に、疾患の、標準的な治療療法の、及び/又は加速性アテローム性動脈硬化症の合併症に起因する。加えて、SLEは、生活の質、仕事の生産性、及び医療費に実質的な影響を及ぼす。SLEの既存の療法は、一般に、細胞毒性又は免疫調節性のいずれかであり、顕著な安全性リスクを有し得る。SLEのためのより新しい治療は、標準的な治療療法をわずかに超える利益しか提供していない。したがって、高い安全性リスクを負うことなく、この疾患において有意な利益を提供することができる新たな代替的な治療に対する、大きな未解決の必要性が存在する。
【0293】
ループスを有する患者の長期転帰は、器官病変を有するかどうか、特定の検査室尺度の存在(抗リン脂質抗体など)、人種、性別、同意の年齢、保険医療へのアクセス、治療の遵守、教育、及び他の併存症の存在を含む、様々な要因に依存する。SLEと診断された患者の約5%のみが、治療なしの自然寛解を示す。様々な新たな治療薬は、難治性ループスを有する対象の治療について評価されているが、今日までに、この疾患を有する患者のための標準的な治療の現在考慮されているこれらの薬剤を超える顕著な臨床的有効性をほとんど実証していない。
【0294】
本試験では、標的集団は、従来の治療(例えば、免疫調節剤、抗マラリア薬、コルチコステロイド、NSAID、抗高血圧薬、及び/又は外用薬)にかかわらず、全身性エリテマトーデス国際協力クリニック(SLICC)基準及び全身性エリテマトーデス疾患活動性指標(SLEDAI)(Gladman et al.J Rheumatol.2002;29(2):288-291.)スコア≧6に従ったSLEを有する対象である。加えて、対象は、スクリーニング中に観察された少なくとも1つの陽性の自己抗体試験(抗核抗体[ANA]、抗二重鎖デオキシリボ核酸[抗dsDNA]抗体、及び/又は抗スミス抗体)、並びに医療歴において十分に実証された陽性の自己抗体試験を有する必要がある。対象はまた、スクリーニング中に、少なくとも1つのブリティッシュ島ループス評価グループ(BILAG)(Wallace et al.Arthritis Rheum.2011;63 (S10):S885.) A及び/又は2つのBILAG Bドメインスコアを実証する必要がある。加えて、対象は、臨床的特徴(検査結果を除く)について、0週目で≧4のSLEDAIスコアを有さねばならない。この疾患活動性レベルは、全身性ループスについての実験療法を調査した従来の試験と一致する。(Van Vollenhoven et al.Ann Rheum Dis.2012;71(8):1343-1349。)
【0295】
1.1.背景
今日までに、ウステキヌマブは、慢性中程度から重度のプラーク乾癬及び/又は活動性乾癬性関節炎を含む成人患者の治療のために、北米、ヨーロッパ、南米、及びアジア太平洋地域の国々を含む世界中で販売承認を受けている。ウステキヌマブはまた、クローン病(Crohn's disease、CD)についての第3相試験においても評価されている。
【0296】
1.2.研究の全体的な根拠
1.2.1.全身性エリテマトーデスにおける抗IL-12/23p40療法の使用に関する科学的根拠
全身性エリテマトーデスは、破壊的自己抗体を産生する、調節不全Bリンパ球を示す、複合免疫媒介性炎症性障害である。しかしながら、SLEのためのB細胞標的化療法(例えば、ベリムマブ)は、限定された標準的な治療制御を超える、わずかな臨床結果しか示しておらず(Navarra et al.Lancet.2011;377:721-731)、これは、更なる免疫経路がSLEの病因において重要な役割を果たすことを示唆している。SLEにおける慢性免疫活性化は、局所炎症に積極的に寄与する炎症性サイトカインの産生の増加、及び組織損傷を媒介するプロセスにつながる。多くのSLE患者は、例えば、血液細胞において観察される特徴的なI型インターフェロンシグネチャを有する。(Bennett et al.J Exp Med.2003;197:711-723)インターフェロンシグネチャはまた、ループスファミリーにおいてより頻繁に発生することが観察されており、SLE発症のリスク因子であり得る。(Niewold et al.Genes Immuno.2007,8(6):492-502)いくつかの研究はまた、患者の血清及び組織の両方におけるIL-12、IL-6、及びIL-23の上昇も報告しており(Crispin et al.J Immunol.2008;181:8761-8766;Linker-Israeli et al.J Immunol.1991;147:117-123;Oh et al.Clin Exp Dermatol.2011;36:512-520;Qiu et al.Lupus.2013;22(10):1011-1016;Shah et al.Arthritis Res Ther.2010;12:R53;Wong et al.Clin Immunol.2008;127:385-393)、SLEにおける炎症環境がTヘルパー(Th)1及びTh17細胞を誘導しやすいことを示唆している。血清中のIL-17レベルの増加が、SLE患者において観察されている(Chen et al.J Clin Immunol.2010;30:221-225;Tanasescu et al.Eur J Intern Med.2010;21:202-207;Van Vollenhoven et al.Ann Rheum Dis.2012;71(8):1343-1349;Wong et al.Clin Immunol.2008;127:385-393;Yang et al.J Clin Immunol.2013;33:767-774;Zhao et al.Mol Biol Rep.2010;37:81-85)が、IL-17レベルと疾患活動性との相関は強くはない。(Vincent et al.Arthritis Res Ther.2013;15:R97;Zhao et al.Mol Biol Rep.2010;37:81-85)SLEにおいて、IL-12/IL-23/Th17経路との直接的な遺伝的関連性は確立されていない(Kim et al.Rheumatol Int.2009;30:33-38;Sanchez et al.Tissue Antigens.2007;70:233-237;Sestak et al.Ann Rheum Dis.2011;70(S1):i37-i43)が、SLEにおけるゲノムワイドの関連研究では、白人及びアジア系集団の両方における感受性遺伝子として、IL-12シグナル伝達を媒介するSTAT4が同定されている(Han et al.Nat Genet.2009;41:1234e7;Harley et al.Nat Genet.2008;40(2):204-210。活動性SLEを有する患者において、p19、p40、及びp35のメッセンジャーRNAレベルは、非活動性SLE患者におけるレベルと比較して有意に高かった。(Huang et al.Mod Rheumatol.2007;17(3):220-223)ウステキヌマブを用いたIL-12/23p40の標的化は皮膚ループスの顕著な改善に関連することが、3つの別々の症例報告で示されている。(Dahl et al.Acta Derm Venereol.2013;93:368-369;De Souza et al.Arch Dermatol.2011;147:896-898;Winchester et al.Lupus.2012;21:1007-1010)まとめると、SLE病因におけるIL-12及びIL-23サイトカイン経路の重要性を実証し、この疾患における介入療法としてのウステキヌマブの更なる臨床調査を正当化する、蓄積された証拠が存在する。
【0297】
加えて、2つの疾患関連グループ、Alliance for Lupus Research及びLupus Research Instituteは、独立して、市販されているループス薬候補の大規模なセットの科学的審査を委託され、ループス薬候補の中から、ウステキヌマブが推奨され、その分子機構に基づいて評価されており、これは、活動性SLEを有する対象におけるウステキヌマブの有効性及び安全性を評価するために、プラセボ制御臨床試験の科学的根拠を更に支持している。
【0298】
1.1.2.1.全身性エリテマトーデスの活動性皮膚症状を有する対象のサブグループ
ウステキヌマブ処置に応答する難治性皮膚ループスを有する患者の上述した症例報告は、皮膚病変に対するウステキヌマブの効果の評価を促す。SLEにおける皮膚症状の比較的一般的な発生、活動性疾患の特定された病変又は領域の繰り返しパンチ生検及び/又は写真の実現可能性、並びに皮膚エリテマトーデス(cutaneous lupus erythematosus、CLE)特異的疾患評価ツールの利用可能性を考えると、この患者集団は、SLE及び皮膚疾患の症状に対するウステキヌマブの効果に関する有用なデータを提供し得る。皮膚疾患を有する全ての対象は、CLASIスコアリングを使用して評価される。更に、皮膚ループスサブ試験に参加することを同意した、皮膚疾患を有する対象は、活動性疾患の皮膚生検の可能な採取(任意の同意)及び/又は活動性疾患の特定された病変若しくは領域の写真(任意の同意)の可能な収集を求められる。主要試験又は皮膚ループスサブ試験のいずれかについて、皮膚疾患を有する、登録されるべき予め指定された数の対象は存在しない。
【0299】
1.3.投与レジメンの正当化
本試験についての投与レジメンは、中等度から重度に活動性のCD(C0743T26、CNTO1275CRD3001、及びCNTO1275CRD3002)の治療におけるウステキヌマブの使用による経験に基づいて選択された。CD及びSLEは両方とも免疫介在性炎症性疾患であり、これらは一般に、メトトレキサート(MTX)、アザチオプリン、及びコルチコステロイドなどの免疫調節剤で一般に治療され、したがってこの指標は、ループスにおけるウステキヌマブのリスク評価の有用なモデルとして機能する。投与量の理論的根拠は変更されていないが、追加の安全性及び有効性情報は、ウステキヌマブ第3相CD(UNITI)試験から入手可能となっており、これは、更に1年間、ウステキヌマブ90mgのSCのq8wで更に延長して治療を行うためのプロトコルの修正を支援する。UNITI CD試験からのこれらの結果は、このセクションで後にまとめられる。
【0300】
投与量の理論的根拠は変更されていないが、いくつかの追加の安全性及び有効性情報は、ウステキヌマブ第3相CD(UNITI)試験から入手可能となっており、これは、本試験で計画された治療延長を支援する。UNITI CD試験からのこれらの結果は、このセクションで後にまとめられる(セクション1.3)。
【0301】
第2b相用量範囲の試験C0743T26では、6mg/kgの単回IVウステキヌマブの用量は、CDを有する対象で試験した最大負荷用量であった。本試験では、6mg/kgのIV用量が、8週目までの臨床応答を誘導するのに有効であることが示され、他の治療群と概ね同等の安全性プロファイルで十分に忍容された。また、ウステキヌマブCD試験からの結果はまた、IV負荷用量が、IL-12及びIL-23阻害後の臨床応答の迅速な開始をもたらし得ることも示唆している。第3相試験CNTO1275CRD3001及びCNTO1275CRD3002では、体重範囲投与量アプローチ(ウステキヌマブ260mg[体重≦55kg];ウステキヌマブ390mg[体重>55kgかつ≦85kg];ウステキヌマブ520mg[体重>85kg])を使用して、6mg/kgのIV負荷用量を概算した。体重範囲に基づく投与量は、用量計算を単純化し、投与中の誤差の可能性を低減するために、患者への完全なバイアルの投与を可能にする。この体重範囲投与量は、6mg/kgの体重調整された投与量で観察されたものと同様の薬剤曝露を達成することが意図される。したがって、本試験では、0週目における体重範囲に基づくIV負荷用量の戦略を評価して、以前の試験から得られたデータに基づいて安全性リスクの増加に関する重大な懸念を引き起こすことなく、薬剤の、SLEの疾患活性を迅速に低減する能力を評価することができる。
【0302】
8週間毎に(q8w)90mgのSCのウステキヌマブ維持投与レジメンを、CDを有する対象において試験した(C0743T26)。C0743T26試験の結果は、ウステキヌマブ90mgのSC q8wが、対象を臨床寛解で維持するのに安全かつ有効であったことを示唆している。q8w投与頻度は、十分なウステキヌマブ曝露を維持して、ウステキヌマブによる治療が持続的な臨床応答を提供できるかどうかを判定するように選択される。加えて、SC投与は、IV投与と比較してより便利であると考えられる。最後のウステキヌマブ試験用量後の16週間の経過観察期間を選択して、薬剤除去及び適切な安全性経過観察のために5を超える半減期を可能にした。
【0303】
加えて、2011年に開始されたCDを有する対象における3つの第3相試験も、更なる安全性及び有効性データを最近提供した;UNITI-1、UNITI 2、及びIM-UNITI。UNITI-1及びUNITI-2は、8週間の誘導試験であり、設計において同一であるが、別個の患者集団を試験した。UNITI-1は、抗TNF薬に失敗であったか、又は不耐性であった対象を試験し、一方で、UNITI-2は、TNFアンタゴニストに失敗しなかったが、従来の免疫調節剤又はステロイド療法に失敗した対象を試験した。IM-UNITI試験は、UNITI-1及びUNITI-2試験の両方から登録された患者の維持治療を評価した。UNITI試験は、プラセボ、130mgのIV、又は約6mg/kgのIVのいずれかに無作為化した1,367人の対象を試験した。治療の8週後、UNITI-1及びUNITI-2試験の両方の対象は、誘導応答者におけるプラセボと比較して、8週又は12週毎に90mgの2つの維持レジメンを主に評価したIM-UNITIに参加することができた。IM-UNITI試験は依然として長期継続投与期で進行中であるが、3試験全ての主要な結果は公開されており(Feagan et al.N Engl J Med.2016;375(20):1946-1960)、その結果は、活動性である中程度から重度のCD患者におけるウステキヌマブの承認を支持するものであった。誘導において承認された用量は、6mg/kgに近似する単回IV体重ベース用量であり、承認された維持用量は、承認領域に応じて8週毎又は12週毎に90mgである。これらの試験の結果は、類似の用量が評価されている点で、CNTO1275SLE2001 SLE試験に特に関連している。加えて、SLE集団と同様に、UNITI試験に登録されたCD患者の約1/3は、併用する免疫調節剤(例えば、MTX、AZA、6-MP)を使用し、約46%はグルココルチコイドを併用していた。これらの試験の結果は、主要文献(Feagan et al.N Engl J Med.2016;375(20):1946-1960)において詳細に審査され、最重要点が以下に提示される:
・ 2つのUNITI誘導試験では、主要エンドポイント及び全ての主要な副次エンドポイントは、6mg/kg用量を含む試験された両方の用量について満たされた。
・ IM-UNITI維持試験では、8週毎に90mgのレジメン又は12週毎に90mgのレジメンの両方は、44週目のプラセボと比較して、応答の維持又は寛解の達成においてプラセボよりも優れていた。
・ 重要なことに、両方の維持用量の安全性プロフィールは、44週間にわたってプラセボに匹敵し、新たな安全性シグナルは特定されなかった。安全性プロフィールは、乾癬の指標で見られるものと類似していた。
【0304】
要約すると、これらのCD試験は、IL-12/23の作用を阻害するためのウステキヌマブの高レベルの全身曝露を確実にするにするために、6mg/kgに近似する体重範囲ベースのIV負荷用量、続いて90mgのSC q8wを含むこの概念実証SLE試験の計画された投与レジメンを支持している。
【0305】
非盲検、90mgのSC q8wのウステキヌマブ投与量は、24週目から開始して40週目まで、患者に提供される。補正された試験設計によって、40週目の来院後に、およそ8週目(±2週間)にq8w試験処置を継続することができるか、又は対象の40週目の来院が、90mgのSC q8wのウステキヌマブ処置を104週目まで継続することが適格であるために、16週間以下(±2週間)で試験処置を再開することができる対象は、更なる16週の安全性経過観察に続く。
【0306】
2.目的及び仮説
2.1.目的
主目的
主目的は、活動性SLEを有する対象の疾患活動性の低下によって測定される、ウステキヌマブの有効性を評価することである。
【0307】
副次的目的
副次的目的は、以下を評価することである。
・ SLEを有する対象におけるウステキヌマブの安全性及び耐性。
・ SLEを有する対象における健康に関連する生活の質に対するウステキヌマブ投与の効果。
・ SLEの皮膚症状に対するウステキヌマブの効果。
・ SLEを有する対象におけるウステキヌマブの薬物動態及び免疫原性。
【0308】
試験的目的
探索的目的は、以下を評価することである。
・ ウステキヌマブの長期投与中の安全性及び有効性。
・ ウステキヌマブの長期投与中のコルチコステロイド投与量の低減。
・ SLEの改善及び/又は悪化に対する感度を高める可能性を有する応答を計算するための追加の複合臨床エンドポイント又は方法。
・ ループス疾患に関連するバイオマーカー(遺伝的、全身性、及び皮膚関連)。
【0309】
2.2.仮説
仮説は、ウステキヌマブが、24週目の全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000(SLEDAI-2K)応答者指標(SRI-4)総合的活動性指標(composite measure)によって測定されるプラセボよりも有意に優れていることである。
【0310】
3.試験設計及び理論的根拠
全ての有効性評価及びエンドポイントを記述する完全なリスト、及びどの評価が複合エンドポイントに含まれるかが、付録1に提供される。主要試験は、主要試験の8週目及び16週目の安全性経過観察のための来院によるスクリーニングとして、元のプロトコルから定義される。主要試験の8週目及び16週目の安全性経過観察のための来院が、元のプロトコルにおいて、48週目及び56週目の来院として以前に記載されたものであることに留意されたい。しかしながら、この補正により、48週目及び56週目の来院は、後続試験に参加している対象に対する処置のための来院を説明するためにのみ使用されるであろう。後続試験(組み入れ基準を満たす対象に適用可能)は、48週目又は56週目の来院から後続試験の16週目の安全性経過観察のための来院までと定義される。
【0311】
3.1.試験設計の概要
CNTO1275SLE2001は、活動性SLEを有する対象における標準的治療背景療法に付加されたウステキヌマブの有効性及び安全性の第2a相、概念実証、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験である。18~75歳の対象は、従来の治療(例えば、免疫調節剤、抗マラリア薬、コルチコステロイド、NSAID、抗高血圧薬、及び/又は外用薬)にかかわらず、SLICC基準及びSLEDAI-2Kスコア≧6に従ったSLEを有する必要がある。加えて、対象は、スクリーニング中に観察された少なくとも1つの陽性の自己抗体試験(ANA、抗dsDNA抗体、及び/又は抗スミス抗体)、並びに彼らの医療歴において十分に実証された陽性の自己抗体試験を有する必要がある。対象はまた、スクリーニング中に観察された少なくとも1つのBILAG A及び/又は2つのBILAG Bドメインスコアを実証する必要がある。加えて、対象は、無作為化の前に、0週目に臨床的SLEDAI-2Kスコア≧4(検査結果を除く)を有する必要がある。
【0312】
対象の無作為化は、セクション8に記載されるように、皮膚生検採取の同意(y/n)、及び他の特徴(例えば、ループス腎炎[y/n]の存在、ベースラインSLE薬剤及びSLEDAIスコア)、部位/領域、及び人種、又は併用薬に従って階層化される。
【0313】
約100人の対象を、24週間ウステキヌマブ又はプラセボのいずれかを受容するように、3:2の比により無作為に割り当てる。0週目の無作為化後、対象は、6mg/kgのウステキヌマブに近似する初期体重範囲ベースのIV用量(ウステキヌマブ260mg[体重≧35kg~≦55kg];ウステキヌマブ390mg[体重>55kgかつ≦85kg];ウステキヌマブ520mg[体重>85kg])を受け、続いて90mgのSCがq8wで投与される(セクション6)。24週目に、プラセボを受容した対象はクロスオーバーし、全ての対象は、24、32、及び40週目に、ウステキヌマブ90mgのSCを受容し、続いて、最後の試験薬のSC投与後に、盲検様式で16週間(およそ5半減期)、安全性経過観察を56週目まで受ける。
【0314】
プラセボ比較物(標準的治療背景療法に付加された)は、SLEを有する対象におけるウステキヌマブの有効性及び安全性の評価のために、24週目まで使用される。24週目から40週目まで、プラセボ群は、ウステキヌマブ90mgのSC q8wにクロスオーバーする。このクロスオーバー設計により、プラセボ対象は、試験薬を受容し、SLEを有する対象におけるIV負荷用量を伴わずにウステキヌマブ90mgのSCを使用した経験を提供することを可能にする。40週間投与期間は、SLE集団におけるウステキヌマブの潜在的臨床応答の長期的な安全性及び経時変化を理解するのに有用である。
【0315】
全ての妥当な努力は、プロトコルに定義されるように、併用薬を安定した状態に保つために行われるべきである。全ての併用療法は、スクリーニングへの登録から開始した試験全体を通して記録されなければならず、いかなる変化も試験全体を通して記録されなければならない。
【0316】
皮膚疾患を有する全ての対象は、CLASIスコアリングを使用して評価される。更に、皮膚ループスサブ試験に参加することを同意した皮膚疾患を有する対象は、活動性疾患の皮膚生検の採取(任意の同意)及び/又は活動性疾患の特定された皮膚病変若しくは領域の写真の収集(任意の同意)を含む他の評価を有する。主要試験又は皮膚ループスサブ試験のいずれかに登録することができる、皮膚疾患を有する対象の数に対するいかなる制限も存在しない。
【0317】
中間解析(IA)は、対象のおよそ1/3及び2/3が24週に達したときに行われる。第1のIAでは、顕著な有効性の証拠のみが評価される。第2のIAでは、顕著な有効性の証拠並びに処置無効が分析される。領域にわたるプラセボ効果の変動は、中間解析に組み込まれる。データベースロック(DBL)は、24週目及び最後の対象の第56週目の来院後又は主要試験からの最終の対象の16週目の安全性経過観察のための来院後に行われる。加えて、独立したデータモニタリングリング委員会(DMC)は、被検者のおよそ1/3及び2/3が24週目に達した時点で、並びに24週目のDBL時に、公式審査を含む中間安全性データを定期的に審査する。DMCは、その試験が、無効又は安全性の懸念のために中止されるべきか、又はデータが顕著な有効性を実証する予め定められた基準を満たしているかどうかを、治験依頼者委員会に勧告する。概要の内容、DMCの役割及び責任、並びに一般的な手順(コミュニケーションを含む)は、DMC許可書に定義される。
【0318】
補正された試験設計は、104週目までのウステキヌマブ90mg、q8w SC投与を非盲検で提供し続ける(後続試験)。対象が、下記の試験組み入れ基準(セクション4.13):
・ 40週目の来院時又はその前に、永続的に中断された試験処置を有してはならないこと、及び
・ 40週目の来院後、約8週間(±2週間)でq8週の試験処置を継続することができること、
若しくは
・ 40週目の来院後、16週間(±2週間)以下の試験処置を再開することができること、を満たす場合、対象は、104週目まで試験処置を継続することが適格である。
【0319】
最後の対象の56週目の来院後又は主要試験からの最終の16週目の安全性経過観察のための来院後の計画されたDBLに加えて、後続試験の16週目の安全性経過観察後に、追加的なDBLが存在する。
【0320】
主要な試験設計の図が
図1に提供され、後続試験の図が
図2に提供されている。
【0321】
3.2.試験設計の理論的根拠
盲検、対照、試験期/期間、治療群
積極的治療がないときに起こり得る臨床的エンドポイントにおける変化の頻度及び大きさを確立するために、プラセボ対照が使用される。無作為化は、治療群に対する対象の評価における偏りを最小限に抑え、既知及び未知の対象属性(例えば人口統計学的及びベースライン特性)が治療群全体に均等にバランスがとれるようにする可能性を高め、治療群にわたる統計的比較の妥当性を高めるために、使用される。盲検処置は、データ収集中及び臨床的エンドポイントの評価中の潜在的な偏りを低減するために使用される。
【0322】
DNA及びバイオマーカーの採取
遺伝的変異は、薬物分布及び応答における個人差に対する有力因子であり得、疾患感受性及び予後のためのマーカーとして機能し得ることが認識されている。薬理遺伝学的研究は、臨床的結果における個体間変動を説明するのに役立つ可能性があり、また、薬物に対する応答が異なる母集団サブ群を特定するのに役立つ可能性がある。薬理遺伝学的構成要素の目標は、デオキシリボ核酸(DNA)を採取して、ウステキヌマブの薬物動態、薬力学、有効性、安全性、又は耐性に影響を与え得る遺伝因子の特定を可能にし、また、SLEに関係する遺伝因子を特定することである。
【0323】
バイオマーカーサンプルは、ウステキヌマブの作用機序を評価するか、又は臨床転帰における個体間変動を説明するために採取され、これは、薬物に対する応答が異なる集団サブグループを特定するのに役立ち得る。バイオマーカー分析の目的は、ウステキヌマブの薬力学を評価し、かつ薬物臨床応答関係の評価を助けることである。
【0324】
DNA及びバイオマーカーサンプルは、新たな問題に対処するのに役立て、安全で、より効果的で、かつ最終的に個別化された療法の開発を可能にするために使用されてもよい。
【0325】
4.対象集団
標的試験集団は、従来の治療(例えば、免疫調節剤、抗マラリア薬、コルチコステロイド、NSAID、抗高血圧薬、及び/又は外用薬)にかかわらず、SLICC基準及びSLEDAI-2Kスコア≧6に従ったSLEを有する対象である。対象は、スクリーニング中に観察された少なくとも1つのBILAG A及び/又は2つのBILAG Bドメインスコアを有する必要がある。加えて、対象は、スクリーニング中に観察された少なくとも1つの陽性の自己抗体試験(ANA、抗dsDNA抗体、及び/又は抗スミス抗体)、並びに彼らの医療歴において十分に実証された陽性の自己抗体試験を有する必要があり、また、0週目の無作為化の前に、臨床的SLEDAI-2Kスコア≧4(検査結果を除外する)も有する必要がある。
【0326】
本試験に対象を登録するための組み入れ基準及び除外基準は、以下の2つのサブセクションに記述される。組み入れ又は除外基準について疑問がある場合、治験責任医師は、この試験に対象を登録する前に適切な治験依頼者担当者に相談しなければならない。
【0327】
活動性皮膚ループスを有する、主要試験に登録しているSLEの対象(円板状エリテマトーデス、亜急性皮膚エリテマトーデス、又はSLE頬部発疹、又はは紅斑及び/若しくは鱗屑によって特徴付けられる他のSLE皮膚病変を有する対象を含む)は、CLASIスコアリングを使用して評価される。加えて、同意を提供する対象は、皮膚生検及び/又は皮膚写真の組織学を評価する皮膚ループスサブ試験に登録されることになる。同意する対象からの生検サンプル(2つのサンプル、4mmのサイズ)は、活動性皮膚疾患を実証する病変から、0週目及び24週目における投与の前に、採取される。皮膚ループスサブ試験に参加している対象は、生検を受ける必要がなく、活動性疾患の特定された皮膚病変又は領域における変化を実証するために写真のみを許可してもよい。生検に不適切と思われる皮膚ループスを有する対象(例えば、頬部発疹又は脱毛症)もまた、サブ試験に登録することができ、写真撮影によって評価することができる。
【0328】
対象がスクリーニングに失敗し、治験責任医師が対象を再スクリーニングすることを望む場合、これは、治験依頼者及び/又はその指定者と共に考察されるべきである。1つの再スクリーニングのみが対象毎に許容される(セクション9.1.2も参照)。
【0329】
後続試験集団は、40週目の投与前又はその時点で、永続的に試験処置を中断していない対象、及び治験責任医師が、継続したウステキヌマブ処置に対する潜在的リスクを上回る潜在的な利益が存在すると判断した対象から構成される。
【0330】
対象選択の統計的考慮事項の考察については、セクション11.2のサンプルサイズ決定を参照する。
【0331】
4.1.組み入れ基準
4.1.1.全ての対象に適用可能な組み入れ基準
各可能性のある対象は、この試験に登録されるために、下記の基準全てを満たす必要がある。
1. 対象は、18歳(又は現地の要件に従って18歳超)~75歳(境界値を含む)、及び少なくとも35kgの体重でなければならない。
2. 対象は、SLEについてのSLICC分類基準を第1の用量前に最低でも3ヶ月間満たすために、文書化された医療履歴を有する必要がある(表3)。
本試験に登録するために適格な対象は、以下のうちの1つ又は両方に基づいて、SLE25についてのSLICC分類基準を満たすことによってSLEを有すると見なされる必要がある。
・ 少なくとも1つの臨床基準及び少なくとも1つの免疫学的基準を有する4つの基準を満たすこと、又は
・ 免疫学的変数の少なくとも1つの存在下でのループス腎炎の診断があることである。
【0332】
【0333】
【表8-2】
3. 試験登録について適格であるために、対象は以下を有する必要がある:
・ 以下:ANA、及び/又は抗dsDNA抗体、及び/又は抗スミス抗体のいずれかを含む、医療履歴における自己抗体についての、少なくとも1つの十分に文書化された(対象のファイル、委託医師紹介状、又は検査結果)、明確に陽性の確認された試験(セクション9.1.2)。
・ スクリーニング中に検出された、ANA及び/又は抗dsDNA抗体及び/又は抗スミス抗体を含む、少なくとも1つの明確に陽性の自己抗体試験(セクション9.1.2)。
・ 試験薬剤の初回投与の前のスクリーニング中に観察された少なくとも1つのBILAG A及び/又は2つのBILAG Bドメインスコア。
4. スクリーニング中に観察されたSLEDAI-2Kスコア≧6に基づく活動性疾患を実証し、無作為化の前に約2~6週間評価した。臨床的特徴についてのSLEDAI-2K≧4(すなわち、検査結果を除くSLEDAI)もまた、試験薬剤の初回投与の前に0週目に有さなければならない。
5. SLICC、SLEDAI、及びBILAG評価からのデータは、治験依頼者及び/又は治験依頼者が選択した独立した審査官(複数可)によって審査及び判断される。試験薬剤の初回投与を受ける対象については、承認は治験依頼者及び/又は治験依頼者が選択した独立した審査官によって受領されなければならない。
6. 経口コルチコステロイドを使用する場合、対象は、試験薬剤の初回投与前に、この薬剤を少なくとも6週間受け、かつ少なくとも4週間にわたって、平均用量の≦20mg/日のプレドニゾンに相当する安定な用量で受けていなければならない。現在コルチコステロイドを使用していない場合、試験薬剤の初回投与前の少なくとも6週間にわたって、経口コルチコステロイドを受けていてはならない。
7. 抗マラリア薬(例えば、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、又はキナクリドン)を使用する場合、対象は、試験薬剤の初回の投与前の≧8週間この薬剤を使用し、かつ少なくとも6週間にわたって安定用量を受けていなければならない。
8. 免疫調節剤(ミコフェノール酸モフェチル[MMF]/ミコフェノール酸[MPA]≦2g/日、アザチオプリン/6メルカプトプリン(AZA/6MP)≦2mg/kg/日、及び/又は葉酸を併用する[推奨≧5mg/週]MTX ≦25mg/週)を使用する場合、対象は、試験薬剤の初回投与前の少なくとも6週間にわたって安定投与量を受けなければならない。
9. NSAID又は他の鎮痛剤による定期的な治療を受けている場合、対象は、試験薬剤の初回投与前の少なくとも2週間にわたって安定投与量を受けていなければならない。
10. 無作為化の前に、女性は以下のいずれかでなければならない:
妊娠する可能性がない場合:月経前、閉経後(少なくとも12ヶ月間無月経の>45歳)、永久不妊(例えば、卵管閉塞、子宮摘出術、両側卵管摘出術)、又はそうでなければ妊娠不能ではないこと。
妊娠の可能性があり、臨床試験に参加している対象に対する避妊法の使用に関する現地の規制に一致する、非常に効果的な避妊方法を実践している場合:例えば、確立された経口使用、排卵の抑制に関連する注射又は埋め込みホルモン法による避妊、子宮内デバイス又は子宮内システムの配置、男性パートナーの断種(精管切除したパートナーは、その対象の唯一のパートナーであるべきである);真の禁欲(これが対象の好みの通常の生活様式と一致している場合)。
注記:試験開始後に妊娠の可能性が変更する場合(例えば、異性と性的関係を持たない女性が性的に活動的になり、初経前の女性が初経を経験する)、上述のように、女性は非常に効果的な避妊方法を開始しなければならない。
11. 妊娠の可能性がある女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査β-ヒト線毛性性腺刺激ホルモン[β-hCG]に陰性、及び試験薬剤の初回投与前0週目に尿妊娠検査に陰性でなければならない。
12. 妊娠の可能性がある女性は、試験中及び最後の試験薬剤を受けてから4ヶ月間は、非常に効果的な避妊方法を継続する意思がなければならない。また、妊娠の可能性がある女性は、試験期間中及び試験薬剤の最後の投与を受けてから4ヶ月間は、生殖補助医療の目的で卵(卵子、卵母細胞)を提供しないことに同意しなければならない。
13. 妊娠の可能性がある女性と性的に活動的であり、精管切除を受けていない男性は、試験中及び試験薬剤の最後の投与を受けてから4ヶ月間は、例えば、殺精子剤フォーム/ジェル/フィルム/クリーム/座薬付きのコンドーム又はパートナーによる殺精子剤フォーム/ジェル/フィルム/クリーム/座薬付きの閉塞キャップ(隔壁又は頚管/ボールトキャップ)の使用といった、受胎調節の障壁法を使用することに同意する必要があり、また全ての男性は、精子の提供をしてはならない。
14. 以下の結核(tuberculosis、TB)スクリーニング基準に従って資格を有すると考えられること:
a. スクリーニング前に、潜在性又は活動性TBの病歴がないこと。潜在性TBの病歴を有し、潜在性TBの治療を現在受けている対象については例外が認められ、試験薬剤の初回投与の前に潜在性TBに対する治療を開始するか、又は試験薬剤の初回投与前の3年以内に潜在性TBに対する適切な治療を完了したことを実証する。過去の抗結核治療の妥当性を検証し、適切な文書を提供することは、治験担当者の責任である。
b. 医療履歴及び/又は身体検査の際に活動性TBを示唆する徴候又は症状を有しないこと。
c. 活動性TBを有する人と最近密接な接触がなかったこと、又はかかる接触があった場合は、TB専門医師に紹介して追加評価を受け、保証された場合は、試験薬剤の初回投与前に、潜在性TBに対する適切な治療を受けること。
d. 試験薬剤の初回投与前6週間以内に、QuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)の陰性結果を有するか、又は活動性TBが除外され、潜在性TBに対する適切な治療が試験薬剤の初回投与前に開始されている、新たに同定されたQuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)の陽性結果を有する。QuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)がその国で承認/登録されていないか、又はツベルクリン皮膚検査が現地の健康機関によって義務付けられている場合には、試験薬剤の初回投与前6週間以内に、ツベルクリン皮膚検査陰性、又は活動性TBが除外され、潜在性TBに対する適切な治療が試験薬剤の初回投与の前に開始されている、新たに同定されたツベルクリン皮膚検査陽性が更に必要とされる。
i. 活動性TBが除外され、その胸部X線写真がTB(活動性又は古い、非活動性TB)を示唆する異常を示しておらず、研究者によって決定されるように対象がTBについての更なる危険因子を有しない場合、継続的に不確定なQuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)結果を有する対象は、潜在性TBに対する治療を受けずに登録することができる。この判定は、治験依頼者のメディカルモニターに速やかに報告され、対象のソースドキュメントに記録され、治験責任医師によって頭文字で略式署名されなければならない。
ii. QuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)及びツベルクリン皮膚検査は、潜在性TBの履歴及び潜在性TBのための進行中の治療、又は上記のように十分な治療を完了したという文書を有する対象に対しては、スクリーニング時に必要とされない。潜在性TBのための更なる治療を開始するために、上記のように十分な治療を完了したことを実証した対象は必須ではない。
e. QuantiFERON(登録商標)-TB Gold及びTB皮膚検査以外のTB試験によってTBに対して陽性であり、かつ胸部X線写真上にTBの証拠を有さない対象は、このプロトコルに照らして潜在的なTB陽性と見なされ、TB専門家による評価を受け、TBに対する治療を受ける必要があり、本試験について適格になるようにTBについての治療を受ける必要がある。
f. 試験薬剤の初回投与の前3ヶ月以内に行った胸部X線写真(前後方向の像及び側面像の両方)があり、適格な放射線医又は呼吸器科医の読み取りを受け、現在活動性のTB又は古い非活動性TBの証拠がないこと。
15. スクリーニングにおいて、以下のパラメータ内の検査結果を有すること:
ヘモグロビン ≧8.5g/dL (SI:≧85g/L)
リンパ球 ≧0.5×103/μL (SI:≧0.5GI/L)
好中球 ≧1.0×103/μL (SI:≧1.0GI/L)
血小板 ≧75×103/μL (SI:≧75GI/L)
血清クレアチニン ≦1.8mg/dL (SI:≦159μmol/L)
白血球 ≧2.0×103/μL (SI:≧2.0GI/L)
【0334】
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、及びアルカリホスファターゼのレベルは、試験を実施する検査室については、正常値上限(upper limit of normal、ULN)範囲の2倍以内でなければならない。トランスアミナーゼについて1.5~2×ULNの範囲内の対象については、対象は、治験責任医師が異常若しくは正常からの逸脱を臨床的に有意でないか、又は試験下の集団に適切かつ妥当であると判断した場合にのみ含まれてもよい。この判定は、治験依頼者のメディカルモニターに速やかに報告され、対象のソースドキュメントに記録され、治験責任医師によって頭文字で略式署名されなければならない。
【0335】
他のマークされた疾患関連検査室異常を有する対象は、治験責任医師が、異常若しくは正常からの逸脱を臨床的に有意でないか、又は試験下の集団に適切かつ妥当であると判断した場合にのみ含まれてもよい。この判定は、治験依頼者のメディカルモニターに速やかに報告され、対象のソースドキュメントに記録され、治験責任医師によって頭文字で略式署名されなければならない。
16. 対象は、このプロトコルに指定された禁止事項及び制限事項を守る意思があり、それが可能でなければならない。
17. 各対象は、各自が研究の目的とそれに必要な手順を理解し、研究に参加する意思があることを示す、インフォームドコンセントフォーム(informed consent form、ICF)に署名する必要がある。
18. 各対象は、各自が研究のために任意選択のDNAサンプルを提供することに同意する場合、別々のインフォームドコンセントフォームに署名しなければならない(現地の規制が許す場合)。任意選択のDNA研究サンプルに対して許諾を拒否しても、この試験への参加から対象を除外することはない。
【0336】
4.1.2.皮膚ループスサブ試験のための追加の組み入れ基準
皮膚ループスサブ試験に登録するために、SLE対象は、以下に列挙される基準に加えて、以前に列挙された全ての組み入れ基準(セクション4.1.1)を満たさなければならない。
1. スクリーニング時の活動性CLE、並びに試験登録前に実証された皮膚疾患の診断を有し、これには、円板状エリテマトーデス、亜急性皮膚エリテマトーデス、又はSLE頬部発疹、又は紅斑及び/若しくは鱗屑によって特徴付けられるものを含む他のSLE皮膚病変を有する対象が含まれる。
2. CLEのための全身性、局所的、又は病変内の薬剤を服用する対象は、初回の試験薬剤投与前の4週間にわたって、安定した用量又は治療レジメンでなければならない。
3. 皮膚ループスサブ試験に参加することに同意した対象は、0週目及び24週目における投与前に、活動性CLE標的病変の生検を提供するように求められる。活動性CLE病変は、以前に瘢痕化された組織を除いて、鱗屑及び/又は紅斑によって特徴付けられる。加えて、表1に定義されたスケジュールに従って、活動性疾患の皮膚病変又は領域の写真を収集するために、別個の同意が得られる。
4. 生検に不適切と思われる皮膚ループスを有する対象(例えば、頬部発疹又は脱毛症)もまた、サブ試験に登録することができ、写真撮影によって評価することができる。
【0337】
4.1.3.後続試験(48週目又は56週目の来院)に入る全ての対象に適用可能な組み入れ基準
後続試験のための組み入れ基準を満たさないいかなる対象も、主要試験設計(表1)についての時間及び事象のスケジュールに従う必要があり、また、それらの40週目又は最終試験投与後の8週目及び16週目に行われる安全性経過観察の来院を受けねばならない。
1. 対象は、40週目の来院時又はその前に、試験処置が永続的に中断されていなければならず、40週目の来院後に約8週間(±2週間)でq8w SC投与を継続することができるか、あるいは40週目の来院から16週間(±2週間)以下で56週目に投与を再開することができるかのいずれかである。
2. 治験責任医師の判断において、ウステキヌマブ長期治療を継続する潜在的な利益が、対象に対する潜在的リスクを上回る。
3. 各対象は、後続試験に参加する合意を示す、改訂されたインフォームドコンセントに署名しなければならない。
【0338】
4.2.除外基準
以下の基準のうちのいずれかを満たす任意の潜在的な対象は、この試験の参加から除外される。
1. 関節リウマチ(rheumatoid arthritis、RA)、乾癬性関節炎(psoriatic arthritis、PsA)、RA/ループスの重なり、乾癬、又は活動性ライム病が挙げられるが、これらに限定されない、有効性の評価を混乱させ得る他の炎症性疾患を有すること。
2. 試験中に登録されている間、又は試験薬剤の最後の投与を受けてから4ヶ月以内に、妊娠している、授乳している、又は妊娠を計画している、又は子供をもうけていること。
3. 試験薬剤の初回投与の前の過去3ヶ月以内に、シクロスポリンA、又は組み入れ基準に記載されているもの以外の他の全身性免疫調節剤の全身性又は局所用クリーム/軟膏製剤を受けていること(セクション4.1)。コルチコステロイドはこの基準には含まれない。コルチコステロイドに関するセクション4.3及び8.3を参照されたい。
4. 試験薬剤の初回投与前の3ヶ月以内に、単一のB細胞標的化剤を受けているか、あるいは試験薬剤の初回投与前の6ヶ月以内に、ベリムマブ又はエプラツズマブを含む2つ以上の以前のB細胞標的化療法を受けているか、あるいは試験薬剤の初回投与前の12ヶ月以内にB細胞枯渇療法(例えば、リツキシマブ)を受けているか、又はかかる治療後に継続したB細胞枯渇の証拠を有すること。
5. ウステキヌマブをこれまでに受けていること。
6. 試験薬剤の初回投与前にトシリズマブ、アレファセプト、エファリズマブ、ナタリズマブ、アバタセプト、アナキンラ、ブロダルマブ、セクキヌマブ、イキセキズマブ、又はTNF、IL-1、IL-6、IL-17、若しくはインターフェロン経路の阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない、除外基準#4には記載されていないループスのための先行する免疫調節生物学的療法を、5半減期未満又は3ヶ月未満のいずれか長い方の期間受けていること。
7. ヒト免疫グロブリン(Ig)タンパク質(例えば、静脈内Ig)に対する既知の過敏症を有すること。
8. スクリーニングの開始から90日以内に経口シクロホスファミド、又は180日以内にIVシクロホスファミドを使用した場合。
9. スクリーニングの前に、ヒストプラスマ症又はコクシジオイデス症を含む活発な肉芽腫性感染症の病歴があること。潜在的TBの病歴の適格性に関する情報は、組み入れ基準を参照されたい。
10. スクリーニングの12ヶ月間以内にカルメット・ゲラン桿菌(Bacille Calmette Guerin、BCG)ワクチン接種を受けていること。
11. TBを含む悪性疾患又は現在の活動性感染症の異常な示唆を示す、試験薬剤の初回投与前の3ヶ月以内の胸部X線写真を有すること。
12. スクリーニング前の6ヶ月以内に非結核性のマイコバクテリア感染症又は日和見感染症(例えば、サイトメガロウイルス、肺気胞症、アスペルギロシス症)を有していたこと。
13. 試験薬剤の初回投与前の3ヶ月以内、試験中、又は試験薬剤の最後の投与後の3ヶ月以内に、任意のライブウイルス又は細菌ワクチン接種を受けたか、又は受けることが見込まれていること。BCGワクチン接種基準については、除外基準10及び禁止/制限基準8を参照されたい。
14. 深刻な感染症を有する(限定するものではないが、肝炎、肺炎、敗血症、若しくは腎盂腎炎を含むが、これらに限定されない)か、又は感染症のために入院されているか、又は試験薬剤の初回投与前の2ヶ月以内に感染用の静脈内抗生物質で処置されていること。それほど重篤でない感染症(例えば、急性上気道感染症、単純尿路感染症)の場合は、治験責任医師の裁量により、必ずしも除外とは見なされない。
15. 慢性腎臓感染症、慢性胸部感染症(例えば、気管支拡張症)、副鼻腔炎、再発性尿路感染症(例えば、再発性腎盂腎炎)、開放性、排出性、又は感染性の皮膚創傷、又は潰瘍を含むがこれらに限定されない、慢性又は再発性の感染症の病歴がある、又は継続していること。
16. 対象が、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)抗体陽性であるか、又はスクリーニング時にHIV検査結果が陽性であること。
17. B型肝炎感染を有すること。対象は、B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus、HBV)のスクリーニングを受けなければならない。最低でも、これには、HBsAg(HBV surface antigen、HBV表面抗原)、抗HBs(HBV表面抗体)、及び総抗HBc(総HBVコア抗体)を試験することを含む。
18. C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus、HCV)に対する抗体に対して血清陽性である対象。但しスクリーニング前に6ヶ月間離れた2つのHCV RNA試験の陰性結果を有しスクリーニング時に第3のHCV RNA試験の陰性結果を有する場合は除く。
19. 過去4ヶ月以内に最近の単皮膚分節性帯状疱疹の発疹を経験した対象は除外される。過去5年以内に、多皮膚分節性帯状疱疹又は中枢神経系(CNS)帯状疱疹を有するものは除外される。
20. 薬剤誘発性ループスの発生の履歴又は疑いがある対象。
21. 尿タンパク質>4g/日又はタンパク質/クレアチニン比>4を有すること。
22. 先天性補体欠乏症又は複合分類不能型免疫不全を有すること。
23. 最近の生検及び/又は活動性尿沈渣などの他の評価において報告されている重度の活動性ループス腎炎、急速に増加するクレアチニン、又は重度の若しくは急速に進行する腎炎を示唆する他の因子を含む、末期の腎疾患、又は重度な若しくは急速な進行性の糸球体腎炎を有すること(組み入れ基準#15における血清クレアチニンの制限もまた参照されたい)。
24. 発作、精神病、横断性脊髄炎、CNS血管炎、及び視神経炎が挙げられるが、これらに限定されない、重度のCNSループスを有すること。
25. 重篤、進行性、又は制御されていない、肝臓、血液学的、胃腸、内分泌、肺、心臓、神経系/脳、又は精神疾患、又はその現在の徴候と症状を有すること。
26. リンパ腫、又は異常な大きさ若しくは位置のリンパ性増殖性疾患、臨床的に有意な巨脾症、又は意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症の病歴などの、リンパ増殖性疾患の可能性のある徴候と症状を含む、リンパ増殖性疾患の既知の病歴を有すること。
27. 対象が、スクリーニング前の5年以内に悪性疾患の病歴を有すること(例外は、試験薬剤の初回投与前の少なくとも3ヶ月にわたって再発の証拠なしで治療された皮膚の扁平上皮癌及び基底細胞癌及び外科的に硬化された子宮頸部の上皮内癌である)。
28. ウステキヌマブ、その賦形剤若しくはラテックスに対する既知のアレルギー、過敏症、又は不耐性を有すること(注射器針カバーに含まれる、セクション14.1を参照のこと)。
29. 現在、ハチ毒免疫療法(ミツバチ、アシナガバチ、ススメバチホーネット、又はアカヒアリ)を受けていること。
30. 5半減期又は3ヶ月以内のいずれか長い方の期間に、他の除外基準で以前に定義されていない治験薬(セクション4.3、禁止/制限No.3に指定された治験ワクチン又は他の薬剤を含む)を受けていたか、又は計画された第1の用量の試験薬の前3ヶ月以内に侵襲性治験医療デバイスを使用しているか、又は介入試験で現在登録されていること。
31. 治験責任医師及び/又は治験依頼者の意見において、参加が対象の最善の利益にならない(例えば、健康を損なう)か、又は医療的経過観察に対する非遵守の以前のパターン若しくは試験来院スケジュールを遵守する可能性が低いことを含む、プロトコル指定された評価を妨げ、制限し、又は混乱させ得る、任意の条件を有すること。
32. スクリーニング前1ヶ月以内に大手術(例えば、全身麻酔を必要とする)を受けたか、又は手術から完全に回復していないか、又は対象が試験に参加する予定の期間若しくは最後の容量の試験薬投与後1ヶ月以内に大手術(例えば、全身麻酔を必要とする)を計画していること。
注:局所麻酔下で施行される小手術が計画されている対象は、参加可能である。
33. 移植器官を有すること(試験薬剤の初回投与前3ヶ月を超えた角膜移植を除く)。
34. 過去3年以内に薬物乱用(薬物又はアルコール)問題を抱えているか又は抱えていたこと。
35. 不良な耐性、又は静脈へのアクセスが困難であるために、複数の静脈穿刺を受ける意思がない、又は受けることができないこと。
36. 対象が、治験責任医師又は試験実施施設の被雇用者(すなわち、治験責任医師が試験を実施するために役割又は責任を委託した職員)であり、治験責任者又は試験実施機関の指示に基づいて、提案された試験若しくは他の試験に直接的に関与している者、並びにかかる被雇用者又は治験責任者の家族であること。
37. 自治体の規制によって許可されていない限り、裁判所又は当局の命令で施設の住人であること。
注記:治験責任医師は、全ての試験登録基準がスクリーニング時に満たされていることを確実にするべきである。スクリーニング後であるが、第1の用量の試験薬が投与される前に、対象の状態が変化(検査結果又は追加の医療記録の受領を含む)して、その結果、対象が全ての適格性基準を満たすことができなくなった場合、対象は、研究への参加から除外されるべきである。治験依頼者は、いかなる操作上又は安全性上の理由に対しても、対象を中断させる権利を留保する。
【0339】
4.3.禁止及び制限
潜在的な対象は、試験における継続投与について適格であるために、試験(後続試験を含む)の過程中に以下の禁止及び制限を守る意思があり、それが可能でなければならない。
1. 女性が妊娠の可能性がある場合は、試験中及び最後の試験薬剤を受けてから4ヶ月間は、非常に効果的な避妊方法を継続しなければならない。この制限に対する例外は、対象又は男性パートナーが生殖不能である場合であり、この状況は、避妊を必要としない。女性は、試験中、及び試験薬剤の最後の投与を受けてから4ヶ月間、生殖補助の目的で卵(卵子、卵母細胞)を提供してはならない。
2. 男性の場合には、試験中及び試験薬剤の最後の投与を受けてから4ヶ月間は、効果的な避妊方法を使用するべきであり、精子を提供してはならない。この制限に対する例外は、対象又は女性パートナーが生殖不能である場合であり、この状況は、避妊を必要としない。
3. 組み入れ/排除基準において明示的に許容されるもの以外の追加の免疫抑制剤又は免疫調節剤の使用は禁止され、これらには、限定されないが、以下が含まれる:
・ TNFαの低減を標的とした生物学的薬剤(インフリキシマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブぺゴオール、エタネルセプト、yisaipu、CT-P13[REMSIMA(登録商標)(インフリキシマブ)]及びアダリムマブが挙げられるが、これらに限定されない)
・ B細胞枯渇剤(抗CD20[例えば、リツキシマブ]、抗B細胞活性化因子[BAFF]、Bリンパ球刺激剤[BLyS]、[例えば、ベリムマブ]、又は抗CD22[例えば、エプラツズマブ]としても知られる)
・ インターロイキン-1阻害剤(例えば、カナキヌマブ)
・ インターフェロン阻害剤
・ IL-1ra(例えば、アナキンラ)
・ トシリズマブ、又はIL-6若しくはIL-6受容体を標的とする任意の他の生物製剤
・ トファシチニブ又は任意の他のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤
・ アバタセプト
・ 抗IL-17剤(例えば、ブロダルマブ、セクキヌマブ、及びイキセキズマブ)
・ レフルノミド
・ シクロスポリンA(経口又は局所軟膏/クリーム製剤)
・ タクロリムス又はピクロリムス、経口又は局所製剤
・ Toll様受容体阻害剤
・ サリドマイド又はレナリドミド
・ ダプソン
・ 注射による副腎皮質刺激ホルモン(Adrenocorticotropic hormone、ACTH)
4. シクロホスファミド、クロラムブシル、ナイトロジェンマスタード、又は他のアルキル化剤が挙げられるが、これらに限定されない、細胞傷害性薬剤の使用は、禁止される。
5. 高用量のコルチコステロイドの複数回の投与、及び中効力又は高効力の局所コルチコステロイドの開始は、第8.3節に定義されるように、試験中に禁止される。
6. 進行中の免疫調節療法に加えて、新しい許可された免疫調節剤(MTX、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、ミコフェノール酸モフェチル/ミコフェノール酸)の開始が禁止される。
7. 第1の用量の試験薬剤後の新しいアンジオテンシンII受容体遮断薬(angiotensin II receptor blocker、ARB)又はアンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting enzyme、ACE)阻害剤療法の開始は、28週目までループス関連疾患の治療のために許可されない。
8. 試験中に生ウイルス又は生細菌ワクチン接種を受けないことに同意しなければならない。対象はまた、試験薬剤の最後の投与を受けてから12ヶ月間のBCGワクチン接種、又は試験薬剤の最後の投与を受けてから3ヶ月間にわたって任意の他の生ワクチンを受容しないことにも同意しなければならない。
9. 試験薬剤以外の治験医療デバイス又は治験薬を、試験期間にわたって受けないことに同意しなければならない。
10. 伝統的な薬剤(例えば、ハーブ/代替製剤[例えば、エキナシア(Echinacea)]、漢方薬、鍼、アーユルベーダ(ayurvedic))が挙げられるがこれに限定されない、ループスの活動化を誘発するか、又はSLEの症状を緩和することができる補完療法の使用は、40週目まで禁止される。
11. 試験対象は、過剰な日光曝露を回避するべきであり、試験中に商業的な紫外線日焼け療法又は紫外線光線療法に関わり得ない。
12. 皮膚コンシーラー又は局所用日焼け製剤は、皮膚疾患の活動性を不明瞭にする可能性のために回避されるべきである。
13. サルファベース抗生物質は、妥当な場合であっても、一般的には回避されるべきである。
【0340】
5.処置割り付け及び盲検化
5.1.無作為化の手順
本試験を行う上で、動的中央無作為化が実施される。対象は、試験前に、自動ウェブ応答システム(interactive web response system、IWRS)で実施された最小化無作為化アルゴリズムに基づいて、2つの治療群のうちの1つに割り当てられる。動的中央無作為化は、対象の分布を標的としてバランスを取り、試験レベルにおいて、かつ各個々の層別因子:皮膚生検(y/n、yについてn<16のとき)、ループス腎炎の存在(y/n)、ベースラインSLE薬剤及びSLEDAI-2Kスコア(組み合せ因子)*、部位、領域(およそ4つのカテゴリ)、及び人種(3つのカテゴリー)のレベル内で無作為化比率(3:2)を得る。アルゴリズムに基づいて、各対象は、高確率で最小の総不均衡スコアを生成する治療群に割り当てられ、ここで、総不均衡スコアは、各層別因子及び全試験についての不均衡スコアの加重平均である。IWRSは、対象に対する処置割り当てを決定する固有の処置コードを割り当てる。
*ベースラインSLE薬剤及びSLEDAI-2Kスコアは、以下を含む、組み合わせ因子として計算される。
・ SLEDAI-2Kスコア(<10又は≧10)が、
・ ベースラインの薬剤と組み合わされる。
- 高投薬は、≧15mg/週のMTX、又は≧1.5mg/kg/日のAZA/6-MP、又は≧1.5g/日のMMF/MPA、及び/又は≧15mg/日プレドニゾンとして定義される。
- 低投薬は、<15mg/週のMTX、又は<1.5mg/kg/日のAZA/6-MP、又は<1.5g/日のMMF/MPA、及び/又は<15mg/日プレドニゾンとして定義される。
【0341】
5.2.盲検
治験責任医師には無作為化コードは提供されない。このコードは、IWRS内に維持される。このコードは、治験責任医師が個々の対象に対する盲検を破ることを可能にする機能を有する。
【0342】
通常の状況下では、盲検は、全ての対象が、56週目で試験を完了するまで、又は試験参加が終了し、データベースが確定されるまで解除されるべきではない。そうでない場合には、対象の治療ステータスを知ることによって特定の緊急治療/一連の対処が示され得る場合に限り、盲検は解除されるべきである。かかる場合、治験責任医師は緊急時にIWRSに連絡することにより治療の内容を判断することができる。治験責任医師は、盲検を解除する前に、可能であれば治験依頼者又は被指名人に連絡して、具体的な状況について検討することが推奨される。治験依頼者又はその被指名人との電話連絡は、毎日24時間、週7日間可能である。盲検が解除された場合、治験依頼者には可及的速やかに通知しなければならない。非盲検の日付及び理由は、IWRSによって文書化されなければならない。IWRSから受け取ったコードブレークを示す文書は、対象の情報源文書と共に、セキュリティが確実な方法で保管しなければならない。
【0343】
処置割り当てが非盲検であった対象は、試験薬剤の更なる投与から中断されてもよく、安全性経過観察に戻るべきである。
【0344】
一般に、無作為化コードは、試験が完了し、臨床データベースが閉じられている場合にのみ、完全に開示される。治験依頼者は、24週の評価まで、及び計画された分析のためにデータベースがクリーニングされて確定するまで、盲検化される。臨床現場、対象、治験責任医師、及び施設担当者は、56週目のデータが確定されるまで、試験の終了まで盲検化される。処置割り当てを潜在的に非盲検とすることができるデータは、特別な注意を払って取り扱う。
【0345】
6.投与量及び投与
6.1.IV投与
IV投与の場合、試験薬剤は、1時間以上の期間にわたって各対象に投与される。
【0346】
ウステキヌマブ5mg/mL最終バイアル入り製品(Final Vialed Product、FVP)(IV)は、30mLバイアルに、1用量強度単回使用の滅菌溶液として供給される(すなわち、公称容量26mL中に130mg)。ウステキヌマブに加えて、この溶液は、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、0.04%(w/v)ポリソルベート80、0.4mg/mLのL-メチオニン、及び20μg/mLのエチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid、EDTA)二ナトリウム塩、二水和物を、pH6.0で含有する。防腐剤は存在しない。
【0347】
FVP(IV)のプラセボは、26mLの公称容量を有する30mLバイアルに、単回仕様の滅菌溶液として供給される。プラセボの組成は、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、0.04%(w/v)ポリソルベート80、0.4mg/mLのL-メチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩二水和物、pH6.0である。防腐剤は存在しない。
【0348】
体重範囲に基づく投与量は、用量計算を単純化し、投与中の誤差の可能性を低減するために、患者への完全なバイアルの投与を可能にする。この体重範囲に基づくIV投与量は、6mg/kgの体重調整された投与量で観察されたものと同様の薬剤曝露を達成することが意図される。同等の数のバイアルは、その体重範囲に基づいてプラセボを受ける対象に投与される。体重範囲用量は、以下に基づく。
・ 体重≧35kg~≦55kg:260mgのウステキヌマブ(2バイアル)
・ 体重>55kg~≦85kg:390mgのウステキヌマブ(3バイアル)
・ 体重>85kg:520mgのウステキヌマブ(4バイアル)
【0349】
6.2.SC投与
ウステキヌマブはまた、SC投与のための1mLの公称容量中で、90mgの強度で、単回使用のラテックスを含まないプレフィルドシリンジ(prefilled syringe、PFS)として供給される。PFS中の各1mLのウステキヌマブ溶液は、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)スクロース、0.004%(w/v)ポリソルベート80の公称賦形剤濃度をpH6.0で有する90mgのウステキヌマブを含有する。防腐剤は存在しない。PFSの針カバーは乾燥天然ゴム(ラテックスの誘導体)を含み、これはラテックス感受性の個人にアレルギー反応を引き起こす可能性がある。
【0350】
プラセボ投与は、ウステキヌマブ投与のそれぞれと同様の外観を有する。液体プラセボはまた、1mLのPFS中に供給され、pH 6.0で10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、0.004%(w/v)ポリソルベート80を有する。防腐剤は存在しない。PFSの針カバーは乾燥天然ゴム(ラテックスの誘導体)を含み、これはラテックス感受性の個人にアレルギー反応を引き起こす可能性がある。
【0351】
0週目から最長24週目(盲検試験薬投与期)
群1:対象は、0週目に約6mg/kgのウステキヌマブの体重範囲ベースのIV投与を受け、続いて、8週目及び16週目にウステキヌマブ90mgのSC投与を受ける。
【0352】
群2:対象は、0週目にプラセボの体重範囲ベースのIV投与を受け、続いて、8週目及び16週目にプラセボのSC投与を受ける。
【0353】
24週目~40週目(クロスオーバー投与期)
群1:対象は、24週目にウステキヌマブ90mgのSC投与を受け、続いて40週目までq8w投与を受ける。
【0354】
群2:対象は、24週目にウステキヌマブ90mgのSC投与をクロスオーバーし、続いて40週目までq8w投与を受ける。
【0355】
40週後から16週の経過観察(安全性経過観察期)
群1及び2:後続試験に参加しない対象は、44週目での安全性経過観察のための来院並びに8週及び16週の安全性経過観察に戻ると予測される。
【0356】
後続試験(48週目/56週目~120週目)
後続試験組込み基準を満たす対象は、安全性の経験を広げ、ウステキヌマブ90mgにq8wで連続して曝露されたループス患者における有効性を維持する目的で、非盲検のウステキヌマブ投与を受ける。48週目又は56週目から開始した後続試験における投与を継続した対象は、104週目まで非盲検のウステキヌマブSC投与を受ける。SLEにおけるウステキヌマブの開発が終了した場合、後続試験も中断される。
【0357】
7.治療コンプライアンス
試験担当者は、全ての試験薬剤投与のログを維持する。各対象への試験薬剤供給は、目録に記入し、報告する。スクリーニング時に施される全ての進行中の療法を記録しなければならない。
【0358】
治療スケジュールの遵守は、強く促される。治療は、健康関連又は安全性上の理由のために中断され得ることが理解される。0、24、及び48週目の来院は、活動性SLEに対する治療としてのウステキヌマブの有効性及び安全性を評価するために必須である。
【0359】
したがって、いずれかの理由で、予定された来院において、対象がある用量の試験薬剤を受け取ることができない場合、対象は、予定された評価のために全ての努力を行なわなければならない。32週目の来院まで、来院及び試験薬剤の投与は、予定された来院日の±7日以内に(0週に対して)行われるべきである。32週目の来院後には、試験薬剤の投与は、予定された来院日の±2数週間以内に(0週に対して)行われるべきである。試験薬剤投与は、約8週間離して行われるように予定され、<14日間離して行うことはできない。治療に遅延がある場合、対象は、ベースライン来院(0週目)に対して通常の試験スケジュールを再開しなければならない。
【0360】
全ての対象は、治験依頼者によって指名された監視担当者によってモニターされる。これらのモニタリング来院の間、全ての手順は、プロトコルを遵守するために評価される。対象のチャートを審査し、正確性を確保するために、以前のデータ入力と比較する。治験依頼者は、上記の時間枠に対するいかなる逸脱に関しても連絡しなければならない。
【0361】
8.併用療法
スクリーニングに入る前に最大90日間投与された全ての試験前療法は、スクリーニング時に記録されなければならない。有効な既存療法の修正は、対象が試験に入る明示的な目的のために行われるべきではない。全ての併用療法は、スクリーニングへの登録から開始した試験全体を通して記録されなければならず、いかなる変化も試験全体を通して記録されなければならない。
【0362】
全ての妥当な努力は、少なくとも28週目まで併用薬を安定した状態に保つために、また可能な場合には、主要試験の8週目の安全性経過観察、又は後続試験まで(適用可能であれば)、同時に併用薬を安定した状態に保つために行われるべきである。コルチコステロイドを除いて(コルチコステロイドの漸減に関しては、セクション8.3を参照されたい)、全ての他の併用薬は、試験全体を通して安定した用量で維持されるべきである。併用薬は低減されてもよく、又は異常な検査値、副作用、併発症、又は外科手術の性能のために薬剤が一時的に中断され得るが、変化及び薬剤変更の理由は、対象の医療記録において明確に文書化されているべきである。併用薬が、プロトコル毎に許容された無作為化後に調節された場合、第12週目の来院までに、対象をベースライン(0週目)の投与量レベルに戻すためにあらゆる努力がなされるべきであるか、又は薬剤の使用の増加(ベースラインに対する)は、対象を治療不成功と見なす場合がある。セクション8.3定義されるように、正当な理由によるコルチコステロイド調節は許可される。
【0363】
禁止療法が施されるいかなる事例も、治験依頼者に事前に(又はその後できるだけ早く)通知しなければならない。
【0364】
試験薬剤とは異なる全ての薬理学的療法(ワクチン、ビタミン、ハーブ栄養補助薬を含む全ての処方薬又は一般用医薬品)を記録しなければならない。対象の日誌カードは、本試験の主要部分中の試験来院時の間に生じる対象に投与される薬剤変更を捕らえるために使用され、これらの変更も記録されねばならない。
【0365】
8.1.免疫調節剤
免疫調節剤を受容する場合、対象は、スクリーニングから28週目まで安定した投与を受けるべきである。対象は、スクリーニングから28週目までの間、MMF/MPA(≦2g/日)、アザチオプリン/6-メルカプトプリン(≦2mg/kg/日)及び/又は葉酸(推奨≧5mg/週)MTX(≦25mg/週)を受容することができる。12週目~28週目までの免疫調節剤の低減は、対象が容認できない副作用を生じた場合にのみ許容され、このことは、対象の臨床データの解釈に影響を及ぼす可能性があることを意味する。(ベースライン用量に対して)より高い用量の免疫調節剤又は新たな免疫調節剤を、12週目の来院と24週目の来院との間の既存の治療レジメンに付加することにより、対象は、主要エンドポイント分析の目的のために治療不成功と見なされる。試験処置の永続的中断は、(ベースラインに対して)増加した免疫調節剤用量を受けた対象について考慮されなければならない。28週目以降には、免疫調節剤は、8週目の安全性経過観察又は後続試験(該当する場合)まで可能な限り安定したままであるべきである。しかしながら、用量調整は、許容できない副作用に対して可能である。
【0366】
8.2.抗マラリア薬
ヒドロキシクロロキン、クロロキン、又はキナクリンによる安定な処置は、8週目の安全性経過観察まで許容される。28週目以降には、抗マラリア薬の導入又は投与量を調節することが可能である。国の管理の下で医薬品グレードの成分を使用して認可を受けた調剤薬局によって製造された抗マラリア薬(例えば、キナクリン)が許容される。
【0367】
8.3.コルチコステロイド療法
不必要な用量変化が抑制され、任意の用量調整が増分で行われるべきである。8週目の安全性経過観察まで又は後続試験(該当する場合)までのコルチコステロイドの変更は、医療の必要性のために許容されるが、調節の程度及びタイミングは、特に12週目~28週目の期間の間、試験結果に影響を及ぼし得るため、慎重に考慮すべきである。
【0368】
経口コルチコステロイド*
経口コルチコステロイドを使用する場合、試験薬剤の初回投与前に、この薬剤を少なくとも6週間受け、かつ少なくとも4週間にわたって、平均用量≦20mgのプレドニゾン/日に相当する安定な用量で受けていなければならない。5mg以下のプレドニゾン(等量/日)から25mg/日の最大容量までのコルチコステロイド用量調節(増加又は減少)は、6週目まで許容される。6週目から12週目まで、コルチコステロイド用量の増加は認められず、この期間内では、ベースライン用量にに対して最大5.0mgのプレドニゾン(等量/日)調節の漸減のみが、12週目の来院まで許容される。SLE疾患の治療のためのコルチコステロイドの用量の更なる調節は、12週目~28週目では許容されない。28週目以降、8週目の安全性経過観察までのコルチコステロイド投与量の変更は、医療の必要性のために許容されるが、調節の程度及びタイミングは、これが試験に影響を及ぼし得るために注意深く考慮されるべきである。40mg/日以上の経口コルチコステロイドの用量増加は、医療用モニターで考察されるべきであり、試験薬剤投与の中断をもたらし得る。
【0369】
対象は、手術前の予防療法(ストレス用量のコルチコステロイド)又は限定された感染症、喘息の憎悪、又は慢性閉塞性肺疾患の治療などの理由から、経口コルチコステロイドの短いコース(2週間以下)を受容し得る。
【0370】
SLE以外の理由でステロイドの複数のコースを必要とする可能性がある対象は、試験参加から除外されるべきである。
【0371】
後続試験における経口コルチコステロイド投与量の漸進的減少(週1回の当初用量の10~20%以下の推奨される減少)は、治験責任医師の裁量で48週目後に開始するよう促される。可能な場合、コルチコステロイドの完全な離脱を含む、コルチコステロイドの可能な限り低い維持投与量への漸減が推奨される。ステロイドの漸減の期間中に、必要に応じて、ステロイド欠乏症の症状(例えば、アジソン病症状)について、試験スタッフが対象を教育及び監視すべきであることが推奨される。
【0372】
コルチコステロイドを漸減している間に、対象がそれらの疾患活動性の悪化を経験する場合、治験責任医師によって必要と見なされるならば、更なる用量減少を一時停止させることができ、及び/又はその経口コルチコステロイド用量を一時的に増加させることができる。コルチコステロイドの漸減が中断されている対象については、治験責任医師により、4週間以内に漸減を再開するよう促される。
【0373】
コルチコステロイド投与量の増加の場合には、平均用量は、医療的に必要でない限り、ベースライン用量を上回って増加されるべきではないことが推奨される。いかなるコルチコステロイドの増加も、対象を治療失敗又はステロイド漸減失敗と見なし得る裁量が使用されるべきである。40mg/日以上の持続的な経口コルチコステロイド用量は、試験薬剤の中断をもたらし得る。
【0374】
*必要に応じて、コルチコステロイドの直腸投与は、短期間であり、局所製剤を使用しなければならない。
【0375】
硬膜外、静脈内、筋肉内、関節内、及び病巣内コルチコステロイド
コルチコステロイドの硬膜外、IV、IM、IA、又は病巣内投与は、試験薬剤の初回投与前の4週間以内には極力避け、28週目までSLEの治療には許可されていない。注射によって投与されるACTHなどの内因性ステロイドの放出を誘発する薬物は、試験薬剤の初回投与前の3ヶ月以内かつ試験全体にわたって許容されない。SLE以外の指標の治療に使用される短期(≦2週間)硬膜外、IV、IM、IA又は病巣内コルチコステロイドは、治療医師の意見において、適切な代替物が存在しない状況に限定されるべきである。臨床的に必要であれば、合計1回又は2回のIA注入が、最長16週目の投与まで許容され得るが、これは、後続の評価のためにそれらの関節を評価不能にする。SLE以外の状態では、コルチコステロイド療法は、治療医師の意見において、適切な代替物が存在しない状況に限定されるべきである。24週の期間中の>625mgのプレドニゾン等量/日の合計で2日以上の静脈内コルチコステロイドは、統計分析計画(statistical analysis plan、SAP)に従って治療不成功について評価される。
【0376】
吸入コルチコステロイド
SLE以外の状態の治療のために気管支又は鼻吸入によって投与されるコルチコステロイドは、必要に応じて与えられてもよい。
【0377】
皮膚ループスサブ試験でのコルチコステロイドの使用
皮膚ループスサブ試験の対象について、強力な局所コルチコステロイドの使用、又は病巣内コルチコステロイド注射の使用の開始、又はそのベースラインからの増加は、許容されず、8週目の安全性経過観察又は後続試験において回避されるべきである。
【0378】
8.4.非ステロイド性抗炎症薬
アスピリン及び選択的シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤を含むNSAIDで治療された対象、及び他の鎮痛剤は、試験が行われている国で承認された通常の市販用量を受けるべきである。NSAID及び他の定期的に投与される鎮痛剤の処方は、試験薬の初回投与前の少なくとも2週間及び28週目まで調節されるべきではなく、対象が容認できない副作用を生じた場合にのみ変更されてもよい。16週目~28週目後に、新しいNSAIDを治療レジメンに付加することは許可されていない。NSAID療法における微量調節は、28週目後に許容されるが、任意のNSAIDSの使用が可能な限り安定したままであることが推奨され、いかなる顕著な変更も記録するべきである。
【0379】
8.5.抗高血圧性薬
対象は、高血圧及びループスの治療のために、ARB又はACE阻害剤の安定した用量を受けることが許容される。第1の用量の試験薬剤後に、新しいARB又はACE阻害剤治療が、28週目までループス関連疾患の治療のために開始されることは許可されない。対象は、無作為化と28週目との間にいかなる新たなARB又はACE阻害剤治療も開始するべきではない。新しい又は調節されたARB又はACE阻害剤療法は、28週目以降も許容される。
【0380】
8.6.外用薬
外用薬が許可されるが、局所化合物は、禁止された薬物治療を含むことができない。シクロスポリンAの局所軟膏又はクリームは、28週目まで禁止されている。しかしながら、眼用使用は許容される。試験の来院の日を除いて、低効力の局所ステロイドが許容される。8週目の安全性経過観察をまで全ての対象に対して、中等度から高い効力の局所コルチコステロイドは禁止され、高効力の局所コルチコステロイドは、後続試験中に許容されない。皮膚ループスサブ試験の対象については、標的病変の局所処置は、皮膚ループスサブ試験期間中に安定したままであるべきである。試験来院前の72時間は、評価下の病変に外用薬は適用されるべきではない。
【0381】
9.研究評価
9.1.研究手順
9.1.1.概論
時間及び事象スケジュールは、有効性、薬物動態、ウステキヌマブに対する抗体、薬力学、薬理遺伝学、健康関連生活の質、安全性、及び本試験に適用可能な他の測定値の頻度及びタイミングをまとめる。
【0382】
治験責任医師によって必要と判断されるか、又は地方規制によって必要とされる場合、追加の血清又は尿妊娠検査が実施されて、対象の試験への参加中の任意の時点で妊娠がないことを確証することができる。
【0383】
試験の主要部分の過程で各対象から採取される全血量は、約640mLである。48週目~120週目の後続試験において採取される全血量は、約250mLである。
【0384】
反復又は予定されていないサンプルは、安全性上の理由で、又は特定のサンプルの採取又は分析に関する技術的問題のために採取され得る。
【0385】
全血サンプルは、試験の薬理遺伝学的要素に参加することに同意した対象から採取される。DNA抽出に失敗した場合、対象からの代替の薬理遺伝学的血液サンプルが要求され得る。別個のインフォームドコンセントは、代替サンプルを得るために必要とされない。
【0386】
皮膚ループスサブ試験に参加することに同意した対象は、0週目及び24週目に皮膚生検サンプルの採取を可能にするように要求される。更に、時間及び事象スケジュール(表1)に記載されているように、活動性疾患の標的の皮膚病変又は領域の写真が撮影される。皮膚ループスサブ試験に関する更なる詳細については、セクション9.7を参照されたい。
【0387】
9.1.2.スクリーニング期間
9.1.2.1.スクリーニング手順
書面によるインフォームドコンセントは、任意のスクリーニングデータが収集される前に、治験責任医師によって取得及び審査されなければならない。
【0388】
スクリーニング手順は、時間及び事象スケジュール(表1)に示されるように実行される。スクリーニングのための来院は、無作為化のための来院(0週目)の前6週間以内に実施しなければならない。加えて、試験参加について適格であるために、対象は、0週目の臨床的特徴についてSLEDAIスコア≧4を有し、治験依頼者及び/又は治験依頼者が選択した独立した審査官によるスクリーニングループス評価の審査及び確認後の試験無作為化の承認を受けなければならない。
【0389】
対象は、どのように日誌カードを完成させるかについて訓練を受ける。日誌カードは、スクリーニング期間中に完成させように対象に配布される。
【0390】
妊娠の可能性がある女性は、スクリーニング時に血清β-hCG妊娠検査に陰性、及び無作為化前に尿β-hCG妊娠検査に陰性でなければならない。妊娠の可能性がある女性及び男性は、非常に有効な避妊方法を使用することに同意しなければならず(組み入れ基準、セクション4.1を参照されたい)、試験期間中及び最後の試験薬剤投与後から4ヶ月間は、避妊方法の使用を継続しなければならない。各対象によって使用される避妊法(複数可)は、文書化されなければならない。
【0391】
対象の適格性を確立する全てのスクリーニング評価は、対象が無作為化され得る前に、治験責任医師によって実施及び審査される。SLICC基準は正式に評価されていない場合があるが、登録に適格であるためには、対象は試験薬剤の第1の用量前に最低でも3ヶ月間、SLICC基準を満たすのに十分なSLEの症状(対象ファイルで文書化されている)を実証しなければならない。本試験に登録するために適格な対象は、(組み入れ基準#2に記載されるように)以下のうちの1つ又は両方に基づいて、SLEについてのSLICC分類基準を満たすことによってSLEを有すると見なされる必要がある。
・ 少なくとも1つの臨床基準及び少なくとも1つの免疫学的基準を有する4つの基準を満たすこと、又は
・ 免疫学的変数の少なくとも1つの存在下でのループス腎炎の診断があることである。
【0392】
対象はまた、ANA、抗dsDNA抗体、及び/又は抗スミス抗体が明確に陽性であることに関して、1つの十分に文書化された(対象のファイル、医師の紹介状、又は検査結果)医療履歴値を有しなければならない。ANAの陽性試験(例えば、HEp-2力価によるANA、酵素結合免疫吸着アッセイによるANA)又は抗dsDNA(例えば、Farrアッセイ又はELISAによる抗dsDNA)の医療履歴文書は、試験の日付及び種類、試験検査室名、数値基準範囲、及び提供された値が陰性/境界域又は境界線に対して陽性であることを説明する手がかりを含む必要がある。検査室の基準範囲内に定義されるような、明らかに陽性の値のみが許容可能であり、境界値は許容されない。
【0393】
加えて、SLE疾患活動性の安定性を評価するために、対象は、従来の治療(例えば、免疫調節薬、抗マラリア薬、コルチコステロイド、NSAID、抗高血圧薬、及び/又は外用薬)にもかかわらず、SLEDAI-2Kスコア≧6を実証しなければならない。加えて、対象は、スクリーニング中に観察された少なくとも1つの陽性の自己抗体試験(ANA、抗dsDNA抗体、及び/又は抗スミス抗体)を有する必要がある。対象はまた、試験薬剤の初回投与の前に観察された、少なくとも1つのBILAG A及び/又は2つのBILAG Bドメインスコアを実証しなければならない。
【0394】
9.1.2.2.再試験
対象がICFに署名し、少なくとも1つのエントリ要件を満たすことができなかった場合、サンプル採取又は分析性能において疑われる誤差がある場合に、スクリーニング検査室試験(複数可)の1回の再試験が許容されるか、又は必要に応じてスクリーニング期間中に試験エントリ手順を1回繰り返してもよい。中央検査室試験に代えてローカル試験を使用する要求は、再試験の前に医療用モニターと共に考察されるべきである。これは、追加の検査値が範囲外であることが見出されるかどうかにかかわらず、再試験のために1回のみの追加の採血を完了することを含む。再試験手順の目標は、対象がスクリーニング期間内の無作為化のために適格であるか、又はスクリーニングが失敗したかどうかを評価することである。再試験後にエントリ基準を満たさないか、又は繰り返し手順後の疾患活動性基準を満たさない検査値を有する対象は、スクリーニング失敗と見なされるべきである。これに対する例外は、陽性QuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)、C型若しくはB型肝炎、又はHIV試験であり、サンプル採取又は分析性能において疑われる誤差がない限り、これらの試験は、適格基準を満たすために繰り返されなくともよい。
【0395】
9.1.2.3.再スクリーニング
対象がスクリーニングに失敗し、治験責任医師が対象を再スクリーニングすることを望む場合、これは、治験依頼者及び/又はその指定者と共に考察されるべきである。対象毎に、1回の再スクリーニングが可能である。再スクリーニングされる対象には、新しい対象番号が割り当てられ、インフォームドコンセントプロセスを受け、次いで新しいスクリーニング段階を再開する。
【0396】
9.1.3.二重盲検処置期間
9.1.3.1.0週目/無作為化の日
0週目に、適格な対象を、ウステキヌマブ又はプラセボのいずれかを盲検様式で受容するように、IWRSによって3:2の比で無作為に割り当てる。評価は、時間及び事象スケジュール(表1)に示されるように実行される。皮膚ループスサブ試験に参加している対象は、ベースラインの、処置前の写真及び/又は採取された皮膚生検を有する。スクリーニング中に配布された対象の日誌カードは、0週目に審査され、新しいカードは、試験の主要部分までの後続する4週間中に薬剤変更を記録するために、各試験の来院時に提供される。
【0397】
9.1.3.2.プラセボ対照処置期間(24週目まで)
無作為化及びIV注入による試験薬剤の初回投与の後、対象は、24週目の来院まで盲検の試験薬剤投与SC q8wを有する。評価は、時間及び事象スケジュール(表1)に示されるように実行される。
【0398】
9.1.4.クロスオーバー処置(40週目まで)
24週目に、プラセボ群における対象は、ウステキヌマブ投与を受けるためにクロスオーバーし、全ての対象は、40週目までSC投与q8wを受け続ける。全ての対象は、セクション9.1.3.2に記載されているように、プラセボ対照処置期間中に受けた試験処置に盲検化され続ける。
【0399】
9.1.5.後続試験(48週目/56週目~104週目)
104週目までの後続試験に参加する資格を有する対象は、対象の40週目の来院後およそ8週間(±2週間)でウステキヌマブ90mg、q8wのSC投与を継続するか、あるいは対象の40週目の来院から16週間(±2週間)以下で56週目にウステキヌマブの投与を再開する。
【0400】
9.1.6.試験参加から離脱した対象
試験参加から離脱した対象は、いかなる経過観察評価に対しても戻るように要求されない。
【0401】
9.1.7.処置後の安全性経過観察
40週目に又は40週目前に試験薬剤を永続的に中断するか、若しくは対象が後続試験に参加しているが、試験参加から離脱していない場合には、104週目に又は104週目前に永続的に中断する対象は、適切な時間及び事象スケジュール(表1及び表2)に示される来院スケジュール及び評価に従って、最後の試験薬剤投与後に、約16週間(5半減期)追跡されるべきである。経過観察のための来院は、最後の試験薬剤投与後の約8週間及び16週間行われるべきである。40週目前又は40週目の時点で試験薬剤を永続的に中断する対象は、後続試験に参加することが適格ではない。
【0402】
電話による連絡は、対象が経過観察を受けないでいるか、又は同意を取り下げない限り、試験薬の最後の投与後、最長16週間、試験中断の理由を決定するために行われる。中断の理由の情報が電話での連絡により得られる場合、ソースドキュメントでの審査を行うために通話内容を書き取った記録がなければならない。対象が死亡した場合、死亡の日付及び原因が収集され、文書化される。
【0403】
9.2.有効性
全ての有効性評価は、治験責任医師又は副治験責任医師によって一貫して実施されて、経時的な同等の尺度を達成するべきである。治験依頼者又は治験依頼者によって指名された独立した審査官(複数可)による独立した判定は、重要なループス評価(例えば、SLEDAI、BILAG、及びCLASI)のために実行される。これらのデータは、これらのデータが収集され、評価全体にわたる不一致の調整を必要とし得る全ての来院において審査される。
【0404】
9.2.1.評価
全ての有効性評価及びエンドポイントを記述する完全なリスト、及びどの評価が複合エンドポイントに含まれるかが、付録1に提供される。
【0405】
9.2.1.1.SLEDAI-2K及びS2K RI-50
SLE疾患活動性指標2000(SLEDAI-2K/S2K RI-50[ベースライン])は、確立された有効性のあるたSLE活動性指標である。これは、9つの器官系における24の特徴の存在に基づくものであり、SLE患者の過去30日間の疾患活動性を測定する。これは、特徴に従って重み付けされる。スクリーニングにおいて、特徴は、過去30日以内により高いスコアを有するより重度の特徴が存在する場合に、評価医師によってスコアリングされ、次いで単純に付加されて、0~105の範囲の総SLEDAI-2Kスコアを決定する。(Touma et al.Lupus.2010a:19(1):49-51)。ベースラインにおいて、SLEDAI-2Kで評価された特徴は、以下に記載されるS2K RI-50指標と比較するために使用される。
【0406】
SLEDAI-2Kは、SLEDAI-2K評価間の24疾患特徴の部分的改善を文書化できる尺度である、SLEDAI-2K応答者指標(S2K RI-50[経過観察)に適合及び発展している。50%改善の閾値は、臨床的に有意な改善を反映すると判断され、特徴の半分の重さとしてスコアリングされる。「初回来院時に記述子が存在するものとして記録される場合、3つの状況のうちの1つは、次のとおりであり得る:(1)記述子が、経過観察において完全寛解を達成する場合、スコアは「0」であり、(2) 記述子が、経過観察において最低50%の改善を達成しない場合、スコアは、その対応するSLEDAI-2K値と同一であり、あるいは(3)記述子が、≧50%まで改善する(S2K RI-50の定義に従って)が、完全寛解を達成していない場合、スコアは、SLEDAI-2Kに割り当てられるスコアの半分として評価される。」(Touma et al.J Rheumatol.2011;38:2;doi:10.3899/jrheum.100724)S2K RI-50スコアは、0~105の範囲である24スコア項目の合計である。
【0407】
9.2.1.2.BILAG
BILAG(Hay et al.Quart J Medicine.1993;86:447-458;Isenberg et al.Rheumatology.2005;44:902-906)指標は、治療の変更又は強化の必要性に基づいて、対象をスコアリングする。評価医師は、以下の9つの器官/システムドメインに分割された97の項目を評価する。
・ 体質性
・ 皮膚粘膜
・ 神経精神
・ 筋骨格
・ 心呼吸器
・ 胃腸
・ 眼
・ 腎
・ 血液学
【0408】
評価医師は、各項目を過去4週間のその存在と見なすべきであり、答えは、0=存在せず、1=改善中、2=同じ、3=悪化、又は4=指定された参考のための来院と比べて新しいと見なすべきである。各器官/システムドメインは、器官/システム固有の項目及びドメインに固有の基準に基づいて、BILAG A、B、C、D、又はEとして分類される。
【0409】
9.2.1.3.CLASI
皮膚エリテマトーデス疾患の活動性は、CLASIによって測定されるで。CLASIは、評価する医師が、全身性関与を伴うか又は伴わないCLE患者の皮膚に引き起こされる疾患活動性及び損傷を評価するために使用する方法である。CLASIは2つのスコアからなり、第1のスコアは、疾患の活動性を要約し、第2のスコアは、疾患によって行われる損傷の尺度である。活動性は、紅斑、鱗屑/過角化症、粘膜の関与、急性脱毛、及び非瘢痕性脱毛症に基づいてスコアリングされる。損傷は、色素沈着症及び瘢痕性脱毛症を含む瘢痕化に関してスコアリングされる。スコアは、症状の程度に基づいて単純な付加によって計算される。(Albrecht et al.J Invest Dermatol.2005;125(5):889-894)より高い活動性及び損傷スコアは、疾患活動性の悪化を示す。
【0410】
9.2.1.4.医師の疾患活動性の全般的評価
医師は、対象の評価とは無関係に、医師の疾患活動性の全般的評価(Felson et al.Arthritis Rheum.1995;38(6):727-735)を完了しなければならない。評価は、視覚的アナログスケール(VAS;0~10cm)で記録される。評価のスケールは、「ループス活動性がない」(0)から「非常に活動性のループス」(10)までの範囲である。
【0411】
医師評価者は、好ましくは、所与の対象についての全ての試験来院において同じ人物であるべきである。
【0412】
9.2.1.5.患者の全般的評価
対象は、患者の疾病活動性の全般的評価、及び患者の疼痛評価を、医師の疾患活動性の全般的評価とは無関係に完了しなければならない。
【0413】
9.2.1.5.1 患者の疾患活動性の全般的評価
疾患活動性の全般的評価は、視覚的アナログスケール(VAS;0~10cm)で記録される。評価のスケールは、「非常に良い」(0)から「非常に悪い」(10)までの範囲である。
【0414】
9.2.1.5.2.患者の疼痛評価
患者の疼痛評価は、患者が報告した疼痛強度を評価するために使用される。患者は、過去1週間の彼らの平均的な疼痛を視覚的アナログスケールで評価するように求められる (VAS;0~10cm)。方法のアンカーは、「疼痛なし」を表す0から「最悪の可能な疼痛」を表す10を含む。
【0415】
9.2.1.6.ショートフォーム-36
RANDショートフォーム(SF)-36質問票は、36項目を有する自己管理マルチドメインスケールである。8つの健康ドメインは、機能する範囲を網羅する:
・ 身体機能の制限
・ 通常の役割活動の制限
・ 身体の痛み
・ 全般的な精神的健康状態(心理的窮迫及び健康な状態)
・ 活力(エネルギー及び疲労)
・ 身体的又は精神的健康問題による社会的機能の制限
・ 個人的又は感情的な問題による日常的役割の活動の制限
・ 全般的な健康状態の認識
【0416】
サブスケールは、0~100でスコアリングされる。スコアリングは、身体的側面のサマリースコア並びに精神的側面のサマリースコア、合計スコア、及びサブスケールスコアをもたらす。より高いスコアは、より良好な転帰を表す。14歳を超える人が適切であり、5~10分で完了することができる。翻訳は、ほとんどの言語で利用可能であり、方法は、広範な言語及び文化的な検証を受けている。バージョン2アキュートは、本試験で使用される。
【0417】
SF-36によって測定される概念は、年齢、疾患又は治療群に対して特異的ではなく、様々な疾患の相対的な負荷、及び様々な治療の利益を比較することを可能とする。(Ware et al.Med Care.1992;30(6):473-483)成分スコアのサブスケール又は5点のいずれかにおける3点の変化は、臨床的に有意な変化に関連する。(Samsa et al.Pharmacoeconomics.1999;15(2):141-155;Ware.Spine.2000;25(24):3130-3139)SF-36は、精神測定特性の証拠を提供する臨床試験において広く使用されている。身体的及び精神的側面のサマリースコアの信頼性推定値は、初期の試験(McHorney et al.Med Care.1994;32(1):40-66)において0.90を超えており、後の試験で更に確認されている。いくつかの他の全身性健康調査との比較を通して構築物の検証を確立した。
【0418】
9.2.1.7.疲労重症度スケール
疲労重症度スケール(Fatigue Severity Scale、FSS)は、7回の応答選択肢(1=全く同意しない、7=完全に同意)を使用して、過去1週間の想起期間中の疲労の重症度及び日常生活へのその影響を評価するように設計された9項目の質問票である。これは、対象によって5分以内に完了することができる。63の合計可能スコアの36を超えるスコアは、疲労の重症度を増加させることを反映している。このスケールは、SLEで使用するために開発された。(Krupp et al.Arch Neurol.1989;46(10);1121-1123)このスケールのスコアは、患者が報告した疼痛、睡眠、うつ病、及びSF-36の各サブスケールと相関する。FSSは高い内部整合性を示し、SLE対象の試験において対照から患者を差異化させる。方法は元の英語版から翻訳され、いくつかの言語で利用可能である。
【0419】
9.2.2.定義
全ての有効性評価及びエンドポイントを記述する完全なリスト、及びどの評価が複合エンドポイントに含まれるかが、付録1に提供される。
【0420】
9.2.2.1.SRI-4
全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000 SRI-4応答は、SLEDAI 2Kスコアにおける少なくとも4点の減少(セクション9.2.1.1)、医師の疾患活動性スコアの全般的評価(PGA)のベースラインからの悪化なし(<10mmの増加)(セクション9.2.1.4)、及び新しいBILAGドメインAスコアなしで、かつ1以下の新しいBILAGドメインBスコア(セクション9.2.1.2)を必要とする複合エンドポイントとして定義される。(Fine et al.Kidney Int.2009;76(12):1284-1288)SRI-5及びSRI-6は、同様に、それぞれSLEDAI 2Kにおける≧5点減少又は≧6点減少を必要とする応答で定義される。SRI-5及びSRI-6は、同様に、それぞれSLEDAI-2Kにおける≧5点減少又は≧6点減少を必要とする応答で定義される。
【0421】
9.2.2.2.BILAGベースの複合ループス評価
BILAGベースの複合ループス評価(BILAG-based Combined Lupus Assessment、BICLA)は、3つの評価ツール:(1)BILAG-2004指標、(2)SLEDAI指標、及び(3)PGAにわたって応答基準を満たすための患者を必要とする。患者は、以下の要件に基づいて応答者又は非応答者として識別される:
【0422】
【0423】
9.2.2.3.フレア
本試験についてのフレアは、以下のように定義される。
・ SLEDAI フレア:SLEDAI-2Kスコアにおける少なくとも4+点の増加(重度のフレアを含む)
・ 重度SLEDAI フレア:SLEDAI-2Kスコアにおける少なくとも7+点の増加
・ BILAGフレア:少なくとも1つの新しいBILAG A又は2つの新しいBILAG Bスコア(スコア<Bから)
【0424】
9.2.2.4.S2K RI-50応答
S2K RI-50応答は、SLEDAI-2Kスコアにおけるベースラインからの少なくとも6点の減少として定義される。
【0425】
9.2.2.5.PGA中の悪化なし
PGAにおける悪化は、100mmのVASで10mm未満の増加として定義される。
【0426】
9.2.3.エンドポイント
主要エンドポイント
本試験の主要エンドポイントは、24週目に複合SRI-4応答を有する対象の割合である。
【0427】
主要な副次エンドポイント
主要な副次エンドポイントは、以下に指定されるように重要な順序で列挙される。
1. 24週目でのSLEDAI-2Kにおけるベースラインからの変化。
2. 24週目でのPGAにおけるベースラインからの変化。
3. 24週目におけるBICLA応答を有する対象の割合。
【0428】
他のエンドポイント
フレア:
4. 12週目~24週目及び24週目~主要試験の8週目の安全性経過観察の来院/48週目並びに48週目~104週目までの第1のフレア(SLEDAIフレア、重度SLEDAI フレア、BILAG フレア)への時間。
5. 12週目~24週目の自由来院及び24週目~主要試験の8週目の安全性経過観察の来院/48週目並びに48週目~104週目までのフレア(SLEDAIフレア、重度SLEDAI フレア、BILAG フレア)の数。
SLE疾患活動性:
6. SRI-4、SRI-5、SRI-6における応答、S2K RI-50応答及びBICLAを有する対象の経時的な割合。
7. SLEDAI、BILAG、PGA、及び患者の疾患活動性の全般的な評価(PtGA)における経時的な悪化がない対象の割合。
8. SLEDAI(4、5、及び6点)、BILAG、及びPGAにおける経時的な改善を有する対象の割合。
9. SLEDAI-2K、S2K RI-50、PGAにおける経時的なベースラインからの絶対変化。
10. 血清学的活動性(例えば、ANA、抗dsDNA,他の自己抗体、C3、C4)又はSLEDAI機能測定値の経時的な変化率。
11. 器官領域による経時的なBILAGのシフトテーブル。
12. 皮膚疾患を有する対象におけるCLASIスコア(活動性及び損傷)の経時的な変化率。
PROの転帰:
13. 患者報告転帰(patient reported outcom、PRO)(疼痛VASスケール、FSS、SF-36身体的並びに精神的側面のサマリースコア及び個々のドメイン)における経時的な変化。
14. PRO(すなわち、FSS、SF-36における改善)における臨床的に(最小限の臨床的に重要な差)を経時的に有する対象の割合。
15. 24週目のPtGAにおけるベースラインからの変化。
投薬:
16. 12週目から主要試験の8週目の安全性経過観察の来院/48週目までの選択されたSLE薬剤における意味のある変化を有する対象の割合。
17. 後続試験に参加する対象に対する、48週目から104週目までのコルチコステロイド用量における変化。
新しいエンドポイント(複数可)の展開及び分析は、別個の技術レポートに含まれる。
【0429】
9.3.薬剤動態及び免疫原性
血清サンプルを使用して、ウステキヌマブの薬物動態(PK)、並びにウステキヌマブ(ウステキヌマブに対する抗体)の免疫原性を評価する。PK及び免疫原性分析のために採取された血清は、試験期間中又は試験期間後に生じる懸念に対処する安全性又は有効性の態様を評価するために、更に使用されてもよい。これらの血清サンプルについては遺伝子解析は行われない。対象の秘密が保持される。
【0430】
9.3.1.血清採取及び取り扱い
血清ウステキヌマブ濃度及びウステキヌマブに対する抗体を決定するために、時間及び事象スケジュールに示される時点で静脈血サンプルを採取する。また、血清サンプルは、試験の参加を早期に中止した対象の最終来院時にも採取される。PK及び免疫原性が評価される来院において、十分な体積の1回の採血を使用することができる。各サンプルは、3つのアリコート(血清ウステキヌマブ濃度用の1つのアリコート、ウステキヌマブに対する抗体用の1つのアリコート、及びバックアップとして1つのアリコート)に分割する。試験薬投与が予定されたときに、来院時の試験薬投与前にサンプルを採取しなければならない。血液サンプル採取の正確な日付及び時間は、検査室の要請文書で記録されなければならない。
【0431】
9.3.2.分析手順
血清サンプルを分析して、治験依頼者の生物分析施設によるか、又は治験依頼者の監視下で、検証され、特異的、かつ高感度のイムノアッセイ法を使用して、ウステキヌマブ濃度を決定する。対象のアイデンティティが隠されたままの状態で、治験依頼者又はその被指名人は、これらのサンプルをアッセイする。
【0432】
9.3.3.免疫原性評価
ウステキヌマブに対する抗体は、全ての対象から採取された血清サンプルにおいて有効なイムノアッセイ法を使用して検出される。ウステキヌマブに対する抗体の検査で陽性と出る血清サンプルは、ウステキヌマブに対する抗体が、インビトロでのウステキヌマブの生物学的効果を無効にすることができるかどうか(すなわち、ウステキヌマブに対する中和抗体[neutralizing antibody、NAbs])を決定するために更に特性化される。これらのサンプルは、治験依頼者又は治験依頼者の被指名人により試験される。
【0433】
9.4.バイオマーカー
皮膚生検、血液、血清、及び尿の採取、調製、保管、及び輸送は、時間及び事象スケジュール(表1)並びに検査室マニュアルに詳述されている。バイオマーカーとしては、炎症性マーカー、RNA、細胞表面マーカー、自己抗体、T細胞及びB細胞レパートリー、標的特異マーカー、並びにループスの発症及び進行に関与する可能性があるバイオマーカーの他のカテゴリーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0434】
血清分析
血清は、可溶性CD40リガンド(sCD154)、インターロイキン(IL)-6、IL-12p40、IL-17、IL-21、IL-22、IL-23p19、C-X-Cモチーフケモカイン10(CXCL10)、BAFF、インターフェロン、自己抗体、及び他の炎症関連分子が挙げられるが、これらに限定されない、特定のタンパク質のレベルについて分析される。
【0435】
尿サンプル
尿サンプルは、SLEに関連性を有すると考えられる排泄物タンパク質又は他のマーカーについて評価される。
【0436】
皮膚生検分析
皮膚生検は、細胞、分子、及び遺伝子発現分析に利用される。
【0437】
全血遺伝子発現分析
全血は、RNA、フローサイトメトリー(選択された部位からのサンプルを中央検査室又は他の分析検査室で分析する)、T細胞及びB細胞レパートリー(特定のT細胞及びB細胞受容体のみの核酸分析[RNA及びDNA])及びエピジェネティクス分析(例えば、DNAメチル化)について分析される。
【0438】
9.5.薬理学的評価
DNAサンプルは、本試験(CNTO1275SLE2001)に関連する研究に使用される。特定のゲノム検査は、対象の同意を得るために行われるであろう(この試験の一部に参加している対象は、別個ICFに署名しなければならない。この手順は、ループスで役割を果たし得る特定の標的遺伝子について分析され得る血液サンプルを採取することを伴う。いかなるゲノム評価も、遺伝子検査に関する現行の対象の機密保持規定を厳守して実行される。ゲノム検査の参加を拒むことは、臨床試験の残りに参加することを不適格にするものではない。
【0439】
9.6.血清学的マーカー
自己抗体のサンプル(ANA、抗dsDNA、抗スミスを含む)、補体C3、C4、及び他の検体のサンプルは、事象の表(表1)及びセクション9.8の安全性評価(臨床検査室試験)に記載されるように採取される。
【0440】
9.7.皮膚ループスサブ試験
皮膚疾患を有する対象は、CLASIスコアリングを使用して評価される。更に、皮膚ループスサブ試験に参加することを同意した皮膚疾患を有する対象は、事象の表(表1)に示したように実施される、0週目及び24週目での試験薬剤投与前の皮膚生検の採取(任意の同意)及び/又は活動性疾患の皮膚病変若しくは領域の写真の採取(任意の同意)を含む追加の評価を有する。主要試験又は皮膚ループスサブ試験のいずれかに登録することができる、皮膚疾患を有する対象の数に対するいかなる制限も存在しない。
【0441】
任意の生検採取に同意した対象は、0週目の活動性標的病変から切除された2つの皮膚生検(4mm)、続いて24週目における同じ病変の2つの追加的な生検(皮膚疾患の活動性に無関係)を有する(皮膚ループスサブ試験マニュアル)。皮膚生検は、細胞、分子、及び遺伝子発現分析に利用される。
【0442】
皮膚生検採取とは無関係に、皮膚ループスサブ試験に参加する対象は、活動性疾患の特定された皮膚病変又は領域から写真が収集されることに対する同意するよう求められる。生検に適していない皮膚ループス(例えば、頬部発疹又は脱毛症)を有する同意対象は、写真撮影によって評価されてもよい。写真は、探索目的のためだけのものである。写真は、臨床応答の定性的評価を支援するために使用される。写真及び皮膚生検は、活動性疾患の異なる領域を標的とすることができるが、経過観察写真又は生検は、最初に0週目に評価された活動性疾患の同じ領域を再評価するべきである。本試験に関与する対象の機密保護が維持され、具体的には、本試験における対象の写真は、個人を特定することができないように、対象の顔又は身体の適切な部分を遮断することなく公開されることはないか、ないしは別の方法で公表されることはない。
【0443】
9.8.安全性の評価
安全性の評価には、バイタルサイン、全身の身体検査及び皮膚評価(S2K RI-50及びCLASI評価中に判断された)、有害事象、併用薬調査、妊娠検査(セクション12.3.3を参照)、投与反応、化学検査及び血液検査、並びにウステキヌマブに対する抗体が挙げられる。胸部X線及びTB、HIV、B型肝炎、及びC型肝炎検査は、スクリーニング時に必要とされる(表1)。結核スクリーニング基準のセクション4.1を参照されたい。対象の日誌カードは、本試験の主要部分中の試験来院時の間で生じる薬剤変更を捕らえるために使用される。
【0444】
試験の最後に持続しているあらゆる臨床上の有意な異常は、解決まで又は臨床上安定したエンドポイントに達するまで、治験責任医師によって追跡される。
【0445】
本試験は、後続試験について表1及び表2に提供される時点による安全性及び耐性の以下の評価を含む。
【0446】
有害事象
有害事象(AE)は、試験期間にわたって対象によって(又は適切な場合、介護者によって)報告され、治験責任医師によって追跡される。
【0447】
感染症
対象には、感染の徴候及び症状の警告カードが提供され、予定された来院の間にいかなる徴候及び症状が発生した場合は試験施設に連絡するように指示される。各施設の訪問において、治験責任医師又は他の施設担当者は、感染のいずれかの徴候又は症状について対象を評価し、施設訪問の間で発生し得る感染症又は他のAEの症状について尋ねる必要がある。
【0448】
試験薬剤は、臨床的に重要な活動性感染を有する対象に投与されるべきではない。重篤な及び/又は重度の感染が完全に解決されるまで、試験薬剤による治療を中止するべきである。対象が、敗血症又は肺炎が挙げられるがこれらに限定されない重篤な又は重度の感染を発症する場合、試験処置の中止を考慮しなければならない。処置は、日和見的感染を発症する対象に対して、永続的に中断されなければならない。活動性の水痘帯状疱疹感染、又は水痘の病歴を有さない対象における水痘帯状疱疹感染については、対象は、感染の症状について評価されるべきであり、対象が適切な治療を受けたか、及び/又は回復したか、又は感染症状がない場合には、治験依頼者との話し合い後に試験投与を継続してもよい。
【0449】
臨床検査室試験
血清化学及び血液学の血液サンプルは、時間及び事象スケジュールに従って採取される(表1及び後続試験については表2)。治験責任医師は、検査レポートを入手次第直ちに審査しなければならず、この審査を文書化し、試験中に生じるいかなる臨床的に関連する変化も記録しなければならない。クームスの直接試験、尿試験紙法、尿沈降顕微鏡検査、及び尿妊娠検査は、現場スタッフ又は治験を実施する(local)検査室によって行われる。治験依頼者の承認により、治験を実施する検査室の使用もまた、処置又は安全性経過観察の開始が時間的に重要であり、中央検査機関(central laboratory)の結果が、試験薬剤処置を提供することが必要である前に利用可能であると予想されない場合、又は安全性上の理由のために措置を講じる必要がある場合には、許容され得る。
【0450】
中央検査機関によって分析されたスクリーニング検査室試験の1回の再試験は、サンプル採取又は分析性能における誤差が疑われる場合に許容される。
・ 血液学パネル
- ヘモグロビン
- ヘマトクリット値
- 白血球(white blood cell、WBC)百分率数(好塩基球、好酸球、リンパ球、単球、好中球)
- 血小板数
- 必要に応じてB細胞枯渇療法に以前に曝露された対象に対してのみ、スクリーニング中のCD19 B細胞分析(セクション4.1.3)
- クームスの直接試験(利用可能な場合、治験を実施する(local)検査室)
・ 血清検査室
- Igアイソタイププロファイル(IgG、IgM、IgAレベル)
- C3及びC4補体
- ANA
- 抗dsDNA
- ループス抗凝固因子、抗カルジオリピン、及び抗β2-糖タンパク質-I抗体を含む抗リン脂質抗体
- 抗スミス、抗シェーグレン症候群関連抗原A(SSA[抗Ro]及びB(SSB[抗La])、抗リボ核タンパク質(抗RNP)を含む他の自己抗体
・ 凝固検査室
- プロトロンビン時間
- 部分トロンボプラスチン時間
- 国際正規化比
・ 血清化学的パネル
【0451】
【表10】
・ 尿分析-フレッシュスポット尿
・ 尿試験紙法を使用した検尿。尿サンプルは、中央検査室で更に分析される。
・ 尿タンパク質/クレアチニン比(Fine et al.Kidney Int.2009;76(12):1284-1288)は、対象から採取されたスポット尿のアリコートを使用して、中央検査室で分析される。
・ 尿スコア顕微鏡法(スポット尿サンプルを使用する治験を実施する(local)検査室評価)
- 赤血球
- WBC、尿路感染が存在する/不在である場合に留意して
- 上皮細胞
- 結晶
- 赤血球、WBC、又はヘム顆粒円柱
- 細菌
・ 妊娠の可能性がある女性のみに対する血清及び尿妊娠検査
・ ウイルス血清学(HIV抗体、HBsAg、抗HBs、総抗HBc、及びC型肝炎ウイルス抗体)
【0452】
バイタルサイン
体重及び体温を評価する。血圧及び心拍数測定を評価する。
【0453】
身体検査
全身の身体検査は、処置前及び試験中に、表1に示されるように、後続試験については、表2に示されるように実施される。
【0454】
9.9.サンプルの採取及び取り扱い
サンプル採取の正確な日付及び時間は、検査室の要請文書で記録されなければならない。
【0455】
全てのサンプル採取のタイミング及び頻度についての時間及び事象スケジュール(表1及び後続試験については表2)を参照されたい。
【0456】
サンプルの採取、取り扱い、及び輸送のための指示は、サンプル採取及び取り扱いのために提供される検査室マニュアルに見られる。
【0457】
10.対象の完了/離脱
10.1.完了
後続試験に入らない対象は、主要試験の16週間の安全性経過観察までに評価を完了した場合、主要試験を完了したと見なされる。後続試験に登録した対象は、主要試験の8週間の安全性経過観察のための来院までに評価を完了した場合、本試験の主要部分を完了したと見なされる。8週目又は16週目(主要試験から)の安全性経過観察のための来院前に何らかの理由で試験処置を永続的に中断する対象は、試験の主要部分を完了しているとは見なされない。後続試験に登録した対象は、120週目までに評価を完了した場合には、後続試験を完了したと見なされる。
【0458】
試験処置の中断
対象の試験処置が、40週目前に、又は40週目で中断しなければならない場合(後続試験に参加していない対象について)若しくは104週目より前に中断しなければならない場合(後続試験に参加している対象について)、これは、対象の試験からの自動的な離脱の結果にはならず、経過観察評価は、試験薬剤の最後の投与後約8週間及び16週間取得されるべきである。
【0459】
以下のいずれかが生じる場合、対象の試験処置は、永続的に中止されなければならない。
1. 喘鳴を伴う気管支痙攣及び/若しくは補助換気を必要とする呼吸困難、又は収縮期血圧における40mmHg超の減少を伴う症候性低血圧をもたらす、試験薬剤注入又は注射に一次的に関連するAE。
2. 対象が、試験薬剤の投与の離脱に同意した場合。
3. 試験期間内、又は最後の試験薬剤注射後16週間以内の妊娠及び妊娠する計画がある場合。
4. 禁止された薬剤又は処置(セクション4.3に従って)を開始した場合。
5. 再発性又は残存病変の証拠なしで治療される、2つ以下の局所的な基底細胞皮膚癌を除く、悪性疾患。
6. 日和見感染症。
7. 治験責任医師又は治験依頼者の医療用モニターが、それが対象の最善の利益であると見なされる場合。
8. 対象が、以下のTB基準に従って不適格であると見なされる場合。
・ 活動性TBの診断がなされること。
・ 対象が、経過観察評価質問及び/若しくは身体検査に基づき活動性TBを示唆する症状を有するか、又は活動性TBを有する人と最近密接に接触していて、追加の評価を受け続けることができないか、若しくは続けないこと。
・ 継続スクリーニングを受ける対象は、活動性TBが除外され得、潜在性TBのための適切な治療が、試験薬剤の次の投与前に又はそれと同時にかのいずれかで開始され、完了まで継続され得ない限り、現在の活動性TBの兆候を有する胸部X線写真、及び/又は陽性のQuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)、及び/又はQuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)が承認/登録されていない結果である国における陽性のツベルクリン皮膚検査結果、及び/又は繰り返し検査時に未定のQuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)結果を有すること。
・ 潜在性TBのための治療を受けている対象は、この治療を早期に中断するか、又は治療に不適合であること。
9. 全体的な臨床評価に基づいて、ベースラインからのSLE疾患活性の有意な悪化、又は、16週目から開始した2回以上の連続する来院に対して高い疾患活動性を有するか、あるいは対象が、16週目以降に既存の治療レジメンに新しい免疫調節剤を付加する必要がある場合。
【0460】
加えて、試験薬剤処置の永続的中断は、下記の対象について考慮されなければならない。
・ 免疫調節剤用量の増加を(ベースラインに対して)受けた対象。
・ 重篤又は重度として報告される以下の有害事象のいずれかを発症する対象:試験薬剤急性輸液反応、注射部位反応、又は感染症。
【0461】
10.3.試験からの離脱
以下の理由のいずれかの場合、対象は試験から離脱させられる。
・ 追跡不能
・ 同意の撤回
・ 死亡
【0462】
対象が追跡不能であった場合、対象に連絡し、中断/離脱の理由を決定するために、試験実施施設の担当者によってあらゆる合理的な努力が行われなければならない。追跡のために取られた措置は文書化されなければならない。
【0463】
対象が試験を完了する前に離脱する場合、離脱の理由は、文書化されるべきである。離脱した対象に割り当てられた試験薬は、別の対象に割り当てられなくてもよい。本試験から離脱する対象は交代されない。
【0464】
試験から離脱する対象者は、任意選択の研究サンプルに関する以下の選択肢を有する。
・ 採取されたサンプルは、任意選択の研究サンプルに対して、対象の元のインフォームドコンセントに従って保持され、使用される。
・ 対象は、任意選択の研究サンプルについて同意を撤回してもよく、その場合、サンプルは破棄され、更なる試験は行わない。サンプル破棄プロセスを開始するために、治験責任医師は、任意選択の研究サンプルの同意の撤回を治験依頼者試験施設担当者(又は適切な被指名人)に通知し、サンプル破棄を要求しなければならない。治験依頼者試験施設担当者は、次に、サンプル破棄を実行するためにバイオマーカー担当者に連絡する。要請があれば、治験責任医師は、サンプルが破棄されたことの確認書を治験依頼者から受領する。
【0465】
主要試験に残ったまま任意選択の研究サンプルからの撤回
対象は、試験に残ったまま、任意選択の研究サンプルについての同意を撤回することができる。かかる場合、任意選択の研究サンプルが破棄される。サンプル破壊プロセスは、上記のように進む。
【0466】
将来の研究におけるサンプルの使用からの撤回
対象は、研究のためにサンプルを使用するための同意を撤回することができる(セクション16.2.5、追加的な将来の研究のためのサンプルの長期保持を参照)。かかる場合、サンプルは、臨床試験に必要とされなくなった後に破棄される。研究のためのサンプル保持の詳細は、任意選択の研究サンプルについて、主ICF及び別個のICFに提示される。
【0467】
11.統計的方法
統計解析は、治験依頼者によって、又は治験依頼者の権限のもとで行われる。有効性及び安全性データを分析するために使用される統計的方法の一般的な記述が、下記に示される。統計解析計画には、具体的な詳細が提供される。
【0468】
11.1.対象情報
少なくとも1用量の試験薬を受ける全ての対象について、記述統計が、以前のSLE療法及び基礎両方を含む、人工統計データ及びベースライン特性のために提供される。無作為化され、少なくとも1用量の試験薬剤を受ける全ての対象は、その割り当てられた治療群に従って、有効性分析に含まれる。安全性分析集団は、少なくとも1用量の試験薬剤を受けた対象を含み、受けた実際の試験薬剤に従って分析される。
【0469】
11.2.サンプルサイズの決定
サンプルサイズの計算は、主要エンドポイントの、24週目におけるSRI-4応答者の比率に基づく。ウステキヌマブで治療された約60人の対象及びプラセボで治療された約40人の対象を、0.1のアルファ水準で、プラセボと比較して奏効率の有意差を検出するために約80%の検定力を与えるように見積もられる(プラセボ及びウステキヌマブにおけるそれぞれ35%及び60%奏効率を仮定し、これは、プラセボに対する25%の絶対的増加又は2.79のオッズ比と解釈される)。プラセボに対する35%応答者率の仮定は、同様のSLE集団が治療された以前の試験に基づいている。(Van Vollenhoven et al.Ann Rheum Dis.2012;71(8):1343-1349)最近の試験は、ある特定の領域において非常に高いプラセボ率を示し、したがって、試験のための仕事量を低減することができた。(Huang et al.Mod Rheumatol.2007;17(3):220-223)
【0470】
α=0.1(両側)における有意な治療差を検出するための検定力は、様々な仮定下で計算される(表4を参照されたい)。
【0471】
【0472】
11.3.有効性分析
全ての有効性分析は、修正した治療意図の原理による(mITT)解析セットで実施される。mITT解析セットは、無作為化され、少なくとも1用量の試験薬剤を受けた全ての対象を含む。有効性分析は、割り当てられた治療群に従って計算される。
【0473】
11.3.1.主要エンドポイント分析
本試験の主要エンドポイントは、24週目のSLE疾患活動性の複合尺度(SRI-4応答)を有する対象の割合である(セクション9.2.2.1.)。一次分析は、主要エンドポイントに基づくものであり、mITT集団に対して行われ、これは、少なくとも1用量の試験薬剤を受ける全ての無作為化された対象が、投与前に少なくとも1回の測定を有し、かつ少なくとも1つのベースライン後のSRI-4測定値を有することを含む。
【0474】
対象が24週目に少なくとも1つのSRI-4構成要素についてのデータを有する場合は、最終観測代入手順を使用して、欠落しているSRI-4構成要素を帰属させる。対象が24週目に任意のSRI構成要素についてのデータを有しない場合、対象はSRI-4応答を達成しなかったと見なされる。加えて、以下の基準のうちのいずれか1つを満たす対象は、主要エンドポイント、24週目におけるSRI-4応答を達成しないと見なされる(完全な詳細は、SAPに提供される):
・ 12週目の来院と24週目の来院との間に、免疫調節剤の用量がベースラインよりも高いか、又は新たな免疫調節剤が既存の治療レジメンに付加されていること。
・ 12週目以前の既存の治療レジメンへの新たな免疫調節剤の付加、及び対象が、12週目以降に免疫調節剤をなお受けていること。
・ 経口、IV若しくはIM、又はSLEに対する他の種類のコルチコステロイド投与の禁止された用量又は禁止された使用で治療を開始するか、あるいは、12週目の来院と24週目の来院との間にベースラインを超えるSLEに対する経口コルチコステロイドの用量を増加させること。
・ ARB又はACE阻害剤療法を受けていなかった対象で、その後、12週目と24週目との間に新たなARB又はACE阻害剤療法を開始した対象。同等の薬剤に対するARB又はACE阻害剤を代用する対象は、治療不成功とは見なされない。
・ SLE悪化というAEに対する有効性の欠如により、24週目以前に試験薬剤を中断すること。
【0475】
別の適応症のために全身性コルチコステロイドを使用する対象については、有効性測定は、処置の開始前の最後の観察から、処置の開始後2週間の期間にわたって繰り越される。2週間の期間後、対象の計算値が測定される。
【0476】
他の状況は、16週目以降にNSAIDを開始する対象、又は、硬膜外、IV、IM、IA、若しくは病巣内、吸入コルチコステロイド、及び外用薬を使用する対象などの、主要エンドポイントを混乱させる場合がある。データ取扱規則は、統計的分析プランにおいて指定される。
【0477】
ベースライン階層化及びベースラインSLEDAIを調整するロジスティック回帰が、主要エンドポイントを分析するために使用される。ベースラインSLEDAI値は、0週目の注入前に取られた最も近い非欠損測定値として定義される。有意な非正規性が観察される場合、適切なノンパラメトリック試験を使用して、治療間の差異を評価する。
【0478】
一次分析が0.1(両側)の有意水準で統計的有意性を達成し、かつウステキヌマブがプラセボ治療に対して良好な治療効果を示す場合には、試験はポジティブと見なされる。
【0479】
一次分析に加えて、感度分析を実行して、異なるデータ取扱規則による効果を探索する。必要と見なされれば、主要エンドポイントは、プロトコル集団毎に分析される。プロトコル集団毎の組み入れ/除外規則の詳細は、SAPに提供される。
【0480】
領域に基づくサブグループ分析が実行される。これは、有効性を評価する際の潜在的な地域差、及び特定の領域における高いプラセボ奏効率に起因する。他の選択されたベースライン特性による主要エンドポイントのサブグループ分析が提示される。詳細は、SAPに概説される。
【0481】
11.3.2.主要な二次分析
・ 24週目でのSLEDAI-2Kにおけるベースラインからの変化。
・ 24週目でのPGAにおけるベースラインからの変化。
・ 24週目におけるBICLA応答を有する対象の割合。
【0482】
連続応答は、固定因子としての治療群及び共変数としてのベースライン層別化(例えば、領域)を有する共分散モデルの分析を使用して分析される。正規化仮定が違反している場合、ノンパラメトリック方法が採用される。
【0483】
11.3.3.他の計画された有効性分析
セクション9.2.3に列挙される他の有効性エンドポイントについて、以下の統計的方法を適用する。
【0484】
バイナリデータは、一次有効性分析と同じ統計的方法を使用して分析される。連続応答は、固定因子としての治療群及び共変数としてのベースライン層別化(例えば、領域)を有する共分散モデルの分析を使用して分析される。正規化仮定が違反している場合、ノンパラメトリック方法が採用される。ログランク検定は、終点に至るまでの期間(time to an event)によって定義されたエンドポイントを比較するために使用される。
【0485】
11.3.4.後続試験における有効性分析
SRI-4、SLEDAI-2K、PGA、コルチコステロイド投与量の低減、及び経時的なフレアの評価を含む有効性の長期評価もまた、後続試験に参加する対象に対して行われる。
【0486】
11.4.中間解析
中間解析(IA)は、対象のおよそ1/3及び2/3が24週に達したときに行われる。第1のIAでは、顕著な有効性の証拠のみが評価される。第2のIAでは、顕著な有効性の証拠並びに処置無効が分析される。領域にわたるプラセボ効果の変動は、中間解析に組み込まれる。IAに関する詳細は、IA統計分析プランに記載されている。
【0487】
11.5.薬物動態分析
血清ウステキヌマブ濃度を、各治療群について経時的にまとめる。相加平均、標準偏差、中央値、四分位範囲、最小値、及び最大値を含む記述統計は、各サンプリング時点で計算される。
【0488】
可能であれば、非線形混合効果モデリングを用いた母集団PK解析を使用して、現在の試験におけるウステキヌマブの動態(disposition)特性を特徴付けることができる。体重及びウステキヌマブに対する抗体、状態などの重要な変数の母集団PKパラメータ推定に及ぼす影響を評価することができる。詳細は、母集団PK解析計画に提供され、母集団PK解析の結果は別の技術報告に提示される。
【0489】
11.6.免疫原性分析
ウステキヌマブに対する抗体の発生率及び力価は、ウステキヌマブの少なくとも1回の投与を受け、かつウステキヌマブに対する抗体の検出に適切なサンプルを有する対象(すなわち、ウステキヌマブの第1の用量後に取得された少なくとも1つのサンプルがある対象)についてまとめられる。
【0490】
ウステキヌマブに対するNAbの発生率は、ウステキヌマブに対する抗体に対して陽性であり、NAbについて評価可能なサンプルを有する対象についてまとめられる。
【0491】
11.7.バイオマーカー分析
治療された、及び未治療のSLE対象からの以下の結果をまとめる:
・ 個々の血清及び尿マーカーの濃度。
・ RNAシークエンシング及び免疫組織化学法により、皮膚生検組織内の選択されたバイオマーカーの結果。
・ 全血遺伝子発現プロファイリング、フローサイトメトリー、T細胞及びB細胞レパートリー、並びにエピジェネティクスによる結果。
・ データの評価に続いて、追加的な探索的分析を実行することができる。
【0492】
他の進行中の臨床試験から収集されたサンプルもまた、バイオマーカーデータ分析に含まれてもよい。バイオマーカー分析の結果は、別個の報告で提示され得る。
【0493】
11.8.薬理遺伝学的分析
DNA研究は、本試験に関する、1つ以上の候補遺伝子の解析、又は(必要に応じて)ゲノム全体にわたる遺伝子マーカーの解析からなってもよい。
【0494】
ゲノム解析の結果は、他の供給源から採取されたものを含むサンプルの総数が適切であると、別個の報告で提示される。
【0495】
11.9.薬物動態及び薬力学分析
データが許可される場合、血清ウステキヌマブ濃度と有効性又は薬力学的尺度との間の関係をグラフで分析することができる。
【0496】
11.10.安全性分析
安全性分析は、いずれかの試験薬剤のうちの少なくとも1用量を受けた対象の集団に基づくものである。対象は、実際に受けた処置によってまとめられる。
【0497】
有害事象(AE)
AEを特定するために使用される報告者が使用した用語(verbatim terms)は、医薬品規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)を使用してコード化される。処置期間中の発症を伴う全ての報告されたAE(すなわち、処置期間中に発生したAE、及びベースラインから悪化したAE)は、分析に含まれる。各AEについて、所与の事象の少なくとも1つの発生を経験する対象の割合は、治療群によってまとめられる。日常的な安全性評価が行われる。有害事象、重篤なAE(SAE)、合理的に関連するAE、及び重症度によるAEは、治療群によってまとめられる。
【0498】
感染、急性輸液反応、及び注射部位反応の発生及び種類を、本試験について分析する。急性輸液反応は、検査室の異常を除いて、試験薬剤の注入中又は注入後1時間以内に起こるAEとして定義される。
【0499】
これらの死亡した対象、又は有害事象により治療を中断した対象、又は重度若しくは重篤な有害事象を経験した対象に対して特別な注意が払われる(例えば、必要に応じて、要約書、リスト表、及び説明書作成が提供され得る)。
【0500】
臨床検査室試験
検査室試験の種類によって、検査室データをまとめる。参照範囲及び有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events、CTCAE)は、検査室データの概要に使用される。記述統計は、ベースライン及び各予定した時間点における各検査室の検体について計算される。ベースライン結果からの変化は、治療前対治療後のクロス集計で提示される(検査室基準範囲に基づいて、正常範囲より下、正常範囲内、及び正常範囲を超えるクラスを有する)。ベースラインは、無作為化処置の第1の用量の前の最後の測定値として定義される。最大CTCAEグレードによる対象の数及び割合は、各検査室検体の各治療群についてまとめられる。検査室パラメータ及び選択された検査室パラメータ(血液学及び化学)におけるベースラインからの変化、並びにCTCAE毒性等級付けに基づく異常な検査室パラメータ(血液学及び化学)を有する対象の数は、まとめられた治療群である。SAEのリストも提供される。全ての安全性分析は、いずれかの試験薬剤のうちの少なくとも1用量を受けた対象の集団に基づくものである。対象は、実際に受けた処置によってまとめられる。
【0501】
尿タンパク質及びクレアチニン測定を使用して、尿タンパク質対クレアチニン比を計算する。記述統計は、ベースライン及び各予定した時間点におけるこれらの比について計算される。
【0502】
バイタルサイン
各予定した時間点におけるバイタルサイン測定値及びベースラインからのそれらの変化は、記述統計を使用してまとめられる。ベースラインは、無作為化処置の第1の用量の前の最後の測定値として定義される。
【0503】
11.11.データ監視委員会
独立したDMCを設立して、継続してデータを監視し、本試験に登録した対象の継続した安全性を確実にし、中間有効性解析を実行する。この委員会は、対象の1/3及び2/3が24週目に達したときを含む、中間データを審査するために、少なくとも2回開かれる。各審査後に、DMCは、安全性に関する懸念のために試験を中止すべきかどうかを、治験依頼者委員会に勧告する。第1回目のIAでは、治験依頼者には、次の試験に進むために顕著な有効性も通知される。第2回目のIAでは、治験依頼者には、顕著な有効性並びに無用性について通知される。詳細は、別個のDMC許可証及びIA統計計画書に提供される。
【0504】
DMCは、治験依頼者とは独立した3~6人の構成員を有する。DMCは、少なくとも1人の該当する治療分野の医療専門家と、少なくとも1人の統計学者とからなる。DMCの責任、権限、及び手順は、その許可証に文書化される。
【0505】
DMCは、本試験における主要エンドポイントの評価後に、もはや活動しない。
【0506】
12.有害事象の報告
臨床試験からの安全性情報の適時の、正確な、かつ完全な報告及び分析は、対象、治験責任医師、及び治験依頼者の保護にとって重要であり、世界中の規制機関によって命じられている。治験依頼者は、安全性情報の適切な報告を確実にするために世界的な規制要件に準拠して標準業務手順書を確立し、治験依頼者又はその関連会社によって行われる全ての臨床試験は、これらの手順書に従って行われる。
【0507】
12.1.定義
12.1.1.有害事象の定義及び分類
有害事象
有害事象とは、医薬品(治験用又は非治験用医薬品)を投与された臨床試験対象における任意の好ましくない医療上の出来事である。有害事象は、必ずしも治療と因果関係を有するわけではない。したがって、有害事象とは、医薬品(治験用又は非治験用医薬品)の使用と時間的に関連のある、あらゆる好ましくない、意図しない徴候(例えば、臨床検査値の異常)、症状又は疾患のことであり得、医薬品(治験用又は非治験用医薬品)との因果関係の有無は問わない。(医薬品規制調和国際会議([International Conference on Harmonisation、ICH]による定義)
【0508】
これには、新たな発症又はベースライン状態からの重症度若しくは頻度における悪化である任意の発症、あるいは検査室試験の異常を含む診断手順の異常な結果が含まれる。
【0509】
注記:治験依頼者は、ICFの署名から開始して、有害事象を収集する(最後の有害事象記録の時間については、セクション12.3.1の全ての有害事象を参照)。
【0510】
重篤な有害事象
ヒト使用のための医薬品の安全性情報監視のICH及びEUガイドライン(ICH and EU Guidelines on Pharmacovigilance for Medicinal Products for Human Use)に基づく重篤な有害事象は、下記の用量に関係なく、好ましくないあらゆる医療上の出来事である:
・ 死に至るもの
・ 生命を脅かすもの(対象は、その事象の時点で死亡のリスクがあった。仮にもっと重度であれば死を招いたかもしれないという意味ではない。)
・ 入院又は現行の入院期間の延長が必要となるもの
・ 永続的又は重大な障害/機能不全に至るもの
・ 先天異常/先天性欠損を来すもの
・ 医薬品を介した任意の感染因子の疑いのある伝播を来すもの
・ 医学的に重要な状態を来すもの*
【0511】
*医学的及び科学的判断は、直ちに生命を脅かしたり、又は死若しくは入院に至らなくとも、対照を危険にさらす恐れがあったり、又は上記の定義に挙げられている他の結果の1を防止するための介入が必要となったりし得る重要な医学的事象などの他の状況においても緊急報告が適切であるかどうかを決定する際に実行するべきである。これらは通常、重篤であると見なされるべきである。
【0512】
試験薬と事象(例えば、アナフィラキシーからの死)との間の因果関係を示唆する証拠が存在する予期せぬ有害事象が発生した場合、事象は重篤かつ予期せぬ疑われる有害反応として報告されなければならない。
【0513】
未記載の(予期せぬ)有害事象/安全性に関する参考情報
性質又は重症度が適用可能な製品参照安全性情報と一致しない場合、有害事象は、列挙されていないと考えられる。
【0514】
薬剤の使用に関連する有害事象
因果関係が考えられ、確率が高いか、又は定義によって非常に高い場合、有害事象が薬剤の使用に関連していると考えられる。
【0515】
12.1.2.因果関係定義
関連なし
薬剤の使用に関連しない有害事象。
【0516】
ほぼ関連なし
代替的な説明がよりふさわさしい有害事象、例えば、併用薬(複数可)、併発症(複数可)、又は時間の関係は、因果関係がおそらくないことを示唆する。
【0517】
可能性あり
薬剤の使用に起因し得る有害事象。代替的な説明、例えば、併用薬(複数可)、併発症(複数可)は決定的ではない。時間の関係は合理的であり、したがって、因果関係を除外することができない。
【0518】
多分関連あり
薬剤の使用に起因し得る有害事象。時間の関係は、暗示的である(例えば、薬剤の投与中断によって確認される)。代替的な説明、例えば、併用薬(複数可)、併発症(複数可)は可能性が低い。
【0519】
非常に可能性が高い
有害事象は、可能な有害反応として列挙され、代替的な説明、例えば、併用薬(複数可)、併発症(複数可)によって合理的に説明することができない。時間の関係は、非常に暗示的である(例えば、薬剤の投与中断及び再開によって確認される)。
【0520】
12.1.3.重症度基準
重症度グレードの評価は、以下の一般的なカテゴリー記述子を使用して行われる:
【0521】
軽度:
容易に許容され、最小限の不快感を引き起こし、日常活動を妨害しない症状の認識。
【0522】
中等度:
通常の活動の妨害を引き起こすような十分な不快感が存在する。
【0523】
重度:
機能の重大な障害又は機能不全を引き起こす、極度な苦痛。正常な日常活動が妨害される。
【0524】
治験責任医師は、対象が直接経験していない事象の重症度(例えば、検査室の異常)を評価する際に臨床的判断を使用するべきである。
【0525】
12.2.特別な報告状況
緊急報告及び/又は安全性評価を必要とし得る治験依頼者試験薬に対する関心の安全性事象としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
・ 治験依頼者試験薬の過剰投与
・ 治験依頼者試験薬の乱用/誤用の疑い
・ 治験依頼者試験薬への不注意又は偶発的曝露
・ 治験依頼者製剤に関与する投薬エラー(治験依頼者試験薬への対象/患者の曝露を伴うか又は伴わない、例えば、名前の混乱)
・ 特別な関心の有害事象:任意の新たに特定された悪性疾患、日和見感染症(すなわち、通常は病原性でないか、又は免疫適格宿主において侵襲性感染を引き起こさない生物による感染)、又はこの臨床試験に参加している対象における試験薬剤の初回投与後に起こる活動性TBの症例は、処置後に治験責任医師によって報告されなければならない。治験責任医師はまた、ほとんどの国では、活動性TBが報告可能な疾患と見なされることも助言されている。これらの事象は、SAEの定義を満たす場合にのみ重篤であると見なされるべきである。
【0526】
特別な報告状況も記録されるべきである。重篤な有害事象の基準を満たす任意の特別な報告状況を記録する必要がある。
【0527】
12.3.手順
12.3.1.全ての有害事象
重篤であるか非重篤であるかにかかわらず、全ての有害事象及び特別な報告状況は、署名され、かつ日付を記入したICFが取得された時間から、対象の最後の試験関連処置の完了まで(安全性の経過観察のための連絡を含み得る)報告される。試験薬の最後の投与後16週間以内に、治験責任医師に自発的に報告されたものを含む重篤な有害事象は、重篤な有害事象フォームを使用して報告されなければならない。治験依頼者は、プロトコルに指定された時間枠を超えて、治験責任医師によって自発的に報告される任意の安全性情報を評価する。
【0528】
重篤な有害事象の定義を満たす全ての事象は、それらがプロトコル特異的評価であるかどうかにかかわらず、重篤な有害事象として報告される。
【0529】
全ての有害事象は、試験薬に対する重篤性、重症度、又は推定される関係にかかわらず、ソース文書内の医療専門用語を使用して記録されなければならない。可能な場合はいつでも、徴候及び症状が、一般的な病因によるものである場合には診断を行うべきである(例えば、咳、鼻音、くしゃみ、咽頭炎、及び鼻詰まりは「上気道感染」として報告されるべきである)。治験責任医師は、試験療法に対する有害事象の関係に関する意見を記録しなければならない。有害事象管理に必要な全ての測定は、ソース文書に記録され、治験依頼者命令に従って報告されなければならない。
【0530】
治験依頼者は、規制当局への有害事象の適切な報告の責任を負う。治験依頼者はまた、治験責任医師(及び必要な場合、治験施設の所長)に、列挙されておらず(予想されず)かつ試験薬の使用に関連する全ての重篤な有害事象を報告する。治験責任医師(又は必要な場合、治験依頼者)は、別途必要とされ、独立倫理委員会/施設内審査委員会(Independent Ethics Committee/Institutional Review Board)(IEC/IRB)によって文書化されない限り、プロトコルを承認した適切なIEC/IRBに報告しなければならない。
【0531】
対象には、「ウォレット(試験)カード」を提供しなければならず、このカードを、以下を示す試験期間にわたって携帯するよう指示されなければならない。
・ 試験番号
・ 現地の言語(複数可)において、対象が臨床試験に参加していることの記述
・ 治験責任医師の名前及び24時間の連絡先電話番号
・ 地元治験依頼者の名前及び24時間の連絡先電話番号(医療スタッフのみ)
・ 施設番号
・ 対象番号
・ 盲検の緊急解除を行うために必要な任意の他の情報
【0532】
12.3.2.重大な有害事象
試験中に生じる全ての重篤な有害事象は、その事象の認識から24時間以内に、試験施設担当者によって適切な治験依頼者連絡担当者に報告されなければならない。
【0533】
重篤な有害事象に関する情報は、重篤有害事象フォームを使用して治験依頼者に送信され、これは、試験施設から医師によって記入及び署名され、24時間以内に治験依頼者に送信されなければならない。重篤な有害事象の初期及び経過観察報告は、ファクシミリ(ファックス)によって行われるべきである。
【0534】
試験の終了までに解明されていないか、又は試験における対象の参加の中断時に解明されていない全ての重篤な有害事象は、以下のいずれかが生じるまで追跡されなければならない。
・ 事象が解消すること
・ 事象が安定化すること
・ ベースライン値/状態が利用可能である場合、事象はベースラインに戻ること
・ 事象が、試験薬以外の薬剤、又は試験行為に無関係な因子に起因し得ること。
・ いかなる追加情報も得られる可能性が低くなること(対象又は医療従事者が、追加情報を提供することを断り、経過観察の取り組みによる適切な注意の表明後に追跡不能となった場合)。
【0535】
医薬品による感染因子の疑わしい伝播は、重篤な有害事象として報告される。試験における対象の参加の過程で生じる入院(又は入院の延長)を必要とするいずれの事象も、以下の入院を除いて重篤な有害事象として報告されなければならない:
・ 急性疾患又は有害事象の治療を行うことを意図しない入院(例えば、長期療養施設における配置待機などの社会的理由)
・ 試験への参入前に計画された手術又は処置(文書化されなければならない)。
【0536】
試験薬の最後の投与から16週間以内の試験における対象の死亡の原因は、事象が予測されるか、又は試験薬に関連しているかどうかにかかわらず、重篤な有害事象であると見なされる。
【0537】
12.3.3.妊娠
全ての妊娠の最初の報告は、適切な妊娠通知フォームを使用して、その事象の認識から24時間以内に、研究施設担当者によって治験依頼者に報告されなければならない。これは、陽性の自宅での店頭販売の妊娠検査の対象報告を含む。異常な妊娠結果(例えば、自然流産、死産、及び先天異常)は、重篤な有害事象と見なされ、重篤有害事象フォームを使用して報告されなければならない。試験中に妊娠するいかなる対象も、更なる試験処置を中断しなければならず、最後の試験投与後4ヶ月間続けなければならない。
【0538】
精子に対する試験薬の影響は不明であるため、試験に含まれる男性対象のパートナーにおける妊婦は、適切な妊娠通知フォームを使用して、その事象の認識から24時間以内に、試験施設担当者によって報告される。
【0539】
妊娠の結果及び乳児のあらゆる出生後遺症の結果に関する経過観察情報が必要とされる。
【0540】
13.製品品質の苦情処理
製品品質の苦情(product quality complaint、PQC)は、製造、ラベル付け、又は包装に関連する製品欠陥のあらゆる疑い、すなわち、製品のラベル付け又は包装の整合性を含む、製品の同一性、品質、耐久性、又は信頼性に対するあらゆる不満として定義される。PQCは、製品の安全性及び有効性に影響を及ぼし得る。試験からのPQC性情報の適時の、正確、かつ完全な報告及び分析は、対象、治験責任医師、及び治験依頼者の保護にとって重要であり、世界中の規制機関によって命じられている。治験依頼者は、PQC情報の適切な報告を確実にするために世界的な規制要件に準拠して手順書を確立し、治験依頼者又はその関連会社によって行われる全ての試験は、これらの手順書に従って行われる。
【0541】
13.1.手順
全ての初期PQCは、事象を認識した後24時間以内に、研究施設担当者によって治験依頼者に報告されなければならない。
【0542】
欠陥が重篤な有害事象と組み合わされる場合、試験施設担当者は、重篤な有害事象報告タイムラインに従ってPQCを治験依頼者に報告しなければならない(セクション12.3.2.の重篤な有害事象を参照されたい)。疑わしい製品のサンプルは、治験依頼者によって要求される場合、更なる調査のために保持されるべきである。
【0543】
14.試験薬物情報
14.1.試験薬の物理的記述
14.1.1.IV投与
ウステキヌマブ5mg/mL(FVP)(IV)は、30mLバイアルに、1用量強度単回使用の滅菌溶液として供給される(すなわち、公称容量26mL中に130mg)。ウステキヌマブに加えて、この溶液は、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、0.04%(w/v)ポリソルベート80、0.4mg/mLのL-メチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩、二水和物を、pH6.0で含有する。防腐剤は存在しない。
【0544】
FVP(IV)のプラセボは、26mLの公称容量を有する30mLバイアルに、単回仕様の滅菌溶液として供給される。プラセボの組成は、10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、0.04%(w/v)ポリソルベート80、0.4mg/mLのL-メチオニン、及び20μg/mLのEDTA二ナトリウム塩二水和物、pH6.0である。防腐剤は存在しない。
【0545】
14.1.2.SC投与
ウステキヌマブはまた、SC投与のための1mLの公称容量中で、90mgの強度で、単回使用のラテックスを含まないPFSとして供給される。PFS中の各1mLのウステキヌマブ溶液は、6.7mMのL-ヒスチジン、7.6%(w/v)スクロース、0.004%(w/v)ポリソルベート80の公称賦形剤濃度をpH6.0で有する90mgのウステキヌマブを含有する。防腐剤は存在しない。PFSの針カバーは乾燥天然ゴム(ラテックスの誘導体)を含み、これはラテックス感受性の個人にアレルギー反応を引き起こす可能性がある。
【0546】
プラセボ投与は、ウステキヌマブ投与のそれぞれと同様の外観を有する。液体プラセボはまた、1mLのPFS中に供給され、pH 6.0で10mMのL-ヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、0.004%(w/v)ポリソルベート80を有する。防腐剤は存在しない。PFSの針カバーは乾燥天然ゴム(ラテックスの誘導体)を含み、これはラテックス感受性の個人にアレルギー反応を引き起こす可能性がある。
【0547】
結論
全身性エリテマトーデスを有する患者におけるウステキヌマブの安全性及び有効性:第2相、無作為化、プラセボ対照試験の結果
背景/目的:
IL-12/23経路は、全身性エリテマトーデス(SLE)の病因に関与している。抗IL-12/IL-23p40抗体ウステキヌマブは、乾癬、乾癬性関節炎、及びクローン病の治療に使用される。ここでは、ウステキヌマブの安全性及び有効性を、活動性SLEを有する患者において評価した。
【0548】
方法:
第2相、プラセボ対照試験は、従来の療法にもかかわらず、SLICC基準及び活動性疾患(SLEDAI-2K≧6及び≧1のBILAG A及び/又は≧2のBILAG Bスコア)によって、血清陽性(ANA、抗dsDNA、及び/又は抗スミス抗体)SLEを有する成人102人で実施した。患者(n=102)を無作為化(3:2)して、0週目に約6 mg/kgのウステキヌマブ静脈内(IV)又はプラセボを受容し、次いで、ウステキヌマブ90mg、q8w又はプラセボの皮下(SC)注射を、標準治療に加えた。層別因子は、皮膚生検(はい/いいえ)、疾患特徴、(例えば、LN、ベースライン併用SLE薬、SLEDAIスコアの存在)、施設/領域、及び人種に対する同意であった。24週目に、プラセボ患者を、ウステキヌマブ(90mg、SC、q8w)にクロスオーバーさせた。主要エンドポイントは、24週目におけるSLE応答指標(SRI-4)応答であった。24週目における主要な副次エンドポイントには、SLEDAI-2Kにおけるベースラインからの変化、医師の全般的評価(PGA)におけるベースラインからの変化、及びBICLA応答を有する患者の割合が含まれた。エンドポイント分析には、≧1用量の試験薬剤を受け、投与前に≧1回の測定を有し、かつ≧1回のベースライン後測定を有した全ての患者が含まれた。SLE疾患活性度尺度に対する修正した治療意図の原理による(mITT)解析を実施して、24週目と48.週目との間のウステキヌマブによる応答の維持を評価した。プラセボからSCウステキヌマブへとクロスオーバーさせた対象もまた、疾患活動性の尺度に対するデノボ臨床応答について評価した。安全性は56週目まで評価した。欠測データ及び治療不成功を有する患者は、非応答者として解釈された。
【0549】
結果:
患者の人口統計及び疾患特性は、治療群間でバランスがとれていた(女性=91%、平均年齢=41(18~66)歳、平均SLEDAI-2K=10.9)。24週目において、ウステキヌマブ群の患者の61.7%は、12週目に開始するウステキヌマブの好ましい治療効果を伴い、プラセボ群における33.3%に対比してSRI-4応答を有した(p=0.0057)。ウステキヌマブ群の患者は、プラセボに対比して、SLEDAI-2K及びPGAにおける0週目から24週目までのより大きな中央値改善を有した(表5)。更に、SLEDAI-2K(24週目での65%対1年目での66.7%)、PGA(24週目での67.9%対1年目での75%)、及び活動性関節(24週目での86.5%対1年目での86.5%)応答の比率もまた、ウステキヌマブ群において24週目から1年目まで持続した(表6)。CLASI奏効率(24週目での53.1%対28週目での67.7%)は28週目までに頭打ちになり、ウステキヌマブ群(68.6%)において1年にわたって維持した(表6)。BICLA非応答者間でBILAGが悪化しない患者の割合に顕著な差が観察されたが、24週目にBICLA複合応答を達成した患者の割合に差は観察されなかった。新しいBILAGフレアのリスク(≧1の新しいBILAG A又は≧2の新しいBILAG B)は、プラセボに対比してウステキヌマブ群では有意に低かった(HR 0.12[95% CI 0.01-0.94];p=0.0119)。また、ウステキヌマブは、プラセボに対比して筋骨格及び粘膜皮膚疾患の特徴における改善も実証した。抗dsDNA及びC3レベルにおける改善もまた、ウステキヌマブを用いて、24週目に認められた。24週目までに、ウステキヌマブ患者の78%及びプラセボ患者の67%は、≧1の有害事象を有した(表5)。24週目でSCウステキヌマブにクロスオーバーさせたプラセボ患者(n=33)の中で、54.5%は1年目にSRI-4応答を達成した。24週目でSCウステキヌマブにクロスオーバーさせたプラセボ患者はまた、ベースラインSLEDAI-2Kからの≧4点の改善を有する患者の割合(24週目での46%対1年目での55%)、ベースラインPGAからの≧30%の改善を有する患者の割合(24週目での56%対1年目での77%)、ベースラインにおける活動性関節の数において≧50%の改善を有する患者の割合(24週目での61%対1年目での82%)、及びベースラインCLASI活動性スコアから≧50%の改善を有する患者の割合(24週目での35%対1年目での47%)を含む多数の有効性尺度に対するより大きな奏効率を実証した。ウステキヌマブ曝露患者のうちの、81.7%は≧1のTEAEを有し、15.1%は≧1のSAEを有し、7.5%は1年目までに≧1の重篤な感染を有した(表7)。試験において観察された死亡、悪性腫瘍、日和見感染、又は結核症例は存在しなかった。ウステキヌマブ安全性プロフィールは、他の疾患における以前の試験と一致した。
【0550】
結論
ウステキヌマブは、プラセボと比較して、活動性SLEにおける多くの臨床及び検査室パラメータにおいて有意に良好な有効性、及び24週目での同等の安全性を示した。ウステキヌマブはまた、1年目まで、全体で持続された臨床利益及び器官特異的SLE活動性尺度を提供した。疾患活動性尺度に対する奏効率におけるデノボ増加が、24週目にプラセボからSCウステキヌマブにクロスオーバーさせた患者において観察された。ウステキヌマブの安全性プロファイルもまた、他の適用症と一致した。したがって、ウステキヌマブは、SLEの治療のための新規な作用機序を有する臨床的に証明された安全なかつ臨床的に証明された有効な療法である。
【0551】
【0552】
【0553】
【0554】
【0555】
全身性エリテマトーデスのウステキヌマブを用いた無作為化プラセボ対照試験における、全身性エリテマトーデス疾患活動性指標-2K応答者指標-50の性能
背景:
従来の全身性エリテマトーデス(SLE)疾患活動性指標2000(SLEDAI-2K)スコアリングは、個々の疾患症状に対するSLEの完全な応答を評価しているが、SLEDAI-2K応答者指標-50(S2K RI-50)は、SLEDAI-2Kの各ドメインにおける部分的な改善(≧50%)を使用して応答を評価し、総スコアを生成する。Toronto Lupus Cohortによる以前の結果では、S2K RI-50の臨床的に意義のある最小変化量(minimal clinically important difference、MCID)は1に近いことが判明している(Touma Z,Gladman DD,Beaton D,Su J,Urowitz M.Determining the Minimal Clinically Important Difference for Improvement for Systemic Lupus Erythematosus Disease Activity Index-2000 Responder Index-50 (S2K RI-50) [abstract].Arthritis Rheumatol.2016;68(suppl 10))。ここで、S2K RI-50応答を、中程度から重度のSLE疾患活動性を有する患者におけるウステキヌマブの無作為化、プラセボ対照試験において、異なるカットオフを使用して24週にわたり評価した。事後分析では、S2K RI-50のベースラインからの1、2、3、4、5、又は6点減少を使用して、24週にわたりS2K RI-50応答を計算した。部分的な改善を反映する治療効果を識別する最小のカットオフを決定するため、この事後分析に関する公称p値が報告される。ロジスティック回帰モデルを更に使用して12週目又は16週目のS2K RI-50の減少と24週目のSRI-4応答との間の関係を評価し、その後、2方法間のバイナリ応答データの相関を評価した。
【0556】
結果:
ベースラインでの患者の人口統計、疾患特性、及び併用薬の使用は、治療群間で同様であった(表9)。様々な応答のカットオフを用いた、ウステキヌマブ(UST)とプラセボ(PBO)との間の治療差の検出におけるS2K RI-50の性能に関する結果を表10に示す。カットオフ1を使用した場合、S2K RI-50応答はUSTとPBOとの間で6.7%異なった(95.3%対88.6%、p=0.13)。カットオフ2を使用した場合、治療差は大きくなり、その差は有意であった(14.2%、p=0.03)。一例として、これは、以下:腎臓の、関節炎、若しくは筋炎のうちの1つの部分的な改善、又は以下の疾患発現:発疹、脱毛症、粘膜潰瘍、胸膜炎、心膜炎、低補体、若しくは抗dsDNA増大のうちの2つの部分的な改善を反映している可能性がある。表10に示されるように、一般に、カットオフが高くなるほど治療差は増大した。
【0557】
12週目又は16週目でのS2K RI-50の2点改善と24週目でのSRI-4応答との間の関係を、全試験集団において、及び治療群毎に提示する(表11及び表12)。24週目のSRI-4応答とS2K RI-50の≧2点改善との間の相関に関するオッズ比を、表12に提示する。治療群毎に実施した同様の分析では、これらの関係がUST群とPBO群において一致したことが実証された(表12)。
【0558】
結論:
S2K RI-50は、SLE疾患活動性における、≧50%の部分的で臨床的に有意な改善をとらえる。驚くべきことに、これらの結果は、S2K RI-50のベースラインからのわずか2点減少の応答に関するカットオフで開始した、UST対PBOにおける有意な治療差の増加傾向を示している。したがって、S2K RI-50におけるベースラインからの≧2点減少は、中程度から重度のSLE疾患活動性を有する患者の試験に含めることができる、臨床的に有意な応答を表し得る。
【0559】
【0560】
【0561】
【0562】
【0563】
皮膚エリマトーデス疾患エリア及び重症度指標(CLASI)は、SLEにおけるウステキヌマブの第2相、プラセボ対照試験において治療応答を検出するための閾値を実証する
背景/目的:
抗IL-12/23p40モノクローナル抗体であるウステキヌマブは、第2相試験における全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000(SLEDAI-2K)応答(ベースラインからの≧4点改善)において、プラセボと比較して24週目に有意に大きな改善を示した(Van Vollenhoven Lancet.2018;392:1330)。事後分析では、プラセボ患者よりも多くのウステキヌマブ患者において、皮膚エリテマトーデス疾患エリア及び重症度指標(CLASI)活動性スコア合計の≧50%改善が実現したことが明らかとなった。SLE試験では、同じ臨床症状が様々な評価指標間で異なって定義されているため、疾患活動性と改善の尺度を統一化することが重要である。ここで、本発明者らは、CLASI活動性応答とSLEDAI-2K(S2K)粘膜皮膚疾患応答との関係を調査した。
【0564】
方法:
この第2相試験では、標準的な治療療法にも関わらず、活動性SLE(S2K≧6、≧1のBILAG A及び/又は≧2のBILAG Bスコア)を有する成人を登録した。0週目に患者(n=102)をウステキヌマブIV約6mg/kg又はプラセボに無作為化(3:2)し、その後、8週目に開始して8週毎にウステキヌマブ90mg又はプラセボのSC注射を行った。この両方を標準的な治療に加えた。この分析で使用したS2K指標は、ベースラインからの完全な改善を測定するものである。S2K応答者指標-50(S2K RI-50)は部分的な改善を評価するものであり、S2K発疹の部分的な(≧50%)改善を評価するために使用した。CLASI発疹は、紅斑及び鱗屑/肥大スコアの合計として定義した。SLE疾患活動性スコアの医学的妥当性と一貫性を、全ての関連する患者データと併せて保証するため、SLE評価の独立した判定を実施した。事後分析では、治療応答を定義するため、ベースライン疾患活動性の閾値を増加させ、改善の様々なカットポイントを使用して、24週目における総CLASI活動性スコアの改善を計算した。
【0565】
結果:
発疹のベースラインからの完全な改善は、CLASIとS2Kとの間で合致していた(相関係数≧0.997、表13)。発疹の部分的な改善を評価する場合、CLASIとS2K RI-50との間の一致は少なかった。発疹の部分的な改善を達成した患者の割合における治療差(ウステキヌマブ対プラセボ)は、CLASI(60%ウステキヌマブ対プラセボ38.5%)では観察されたが、S2K RI-50(51.1%ウステキヌマブ対50%プラセボ)では観察されなかった(表13)。粘膜潰瘍のベースラインからの完全な改善は、CLASIとS2Kとの間で一致していた(相関係数=1)。どちらの方法でも、ウステキヌマブはプラセボと比較して応答者の割合が多いことが実証された(表13)。総CLASI活動性スコアのベースラインからの≧20%、≧35%、及び≧50%の改善達成におけるウステキヌマブとプラセボとの間の治療差は、ベースライン疾患活動性の様々な閾値において注目すべきものであった(表14)。
【0566】
結論:
CLASIは、S2K RI-50ではとらえられなかった活動性粘膜皮膚疾患における部分的な改善を実証することができた。ウステキヌマブ対プラセボに有利な治療効果は、改善を定義するために使用した、ベースラインCLASI活動性の閾値及び様々なカットポイントの範囲にわたり観察された。これは、臨床的に意味があることが過去に示されている(Chakka S.J Invest Dermatol 139:S101 (abstract #587),2019)。これらの所見は、限定されたサンプルサイズ及び治療の持続期間に基づくものであるが、結果は、現在進行中の、SLEにおけるウステキヌマブの第3相臨床試験(NCT03517722)において確認される。
【0567】
【0568】
【0569】
【0570】
付録2:QuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)
QuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)は、TBスクリーニングのためのインターフェロン-γ(IFN-γ)系血液アッセイのうちの1つである(Cellestis,2009)。これは、標準フォーマットで最近同定された結核菌(M.tuberculosis)特異抗原ESAT-6及びCFP-10、並びにインチューブ形式のTB7.7(p4)を利用して、感染した個体におけるインビトロでの細胞媒介性免疫応答を検出する。QuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)は、合成M.tuberculosis特異抗原で刺激したときに、増感T細胞によって産生されるIFN-γの量を測定する。M.tuberculosis感染者では、増感Tリンパ球は、M.tuberculosis特異抗原による刺激に応答してIFN-γを分泌し、したがって、QuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)は陽性であるべきである。試験に使用される抗原は、BCGにおいては見られないM.tuberculosisに特異的であるため、試験は、ツベルクリン皮膚検査とは異なりBCGワクチン接種によって混乱されない。しかしながら、3種のマイコバクテリウム(Mycobacterium)種、マイコバクテリウム・カンサシ(M.kansasii)、マイコバクテリウム・マリヌム(M.marinum)、及びマイコバクテリウム・ツルガイ(M.szulgai)といくつかの交差反応性がある。したがって、陽性試験は、M.tuberculosis感染がない状態で、これら3種のマイコバクテリウムのうちの1種を感染させた結果であり得る。
【0571】
活動性TBを有する対象におけるQuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)(標準フォーマット)の試験では、感度はおよそ89%であることが示されている(Mori et al,2004)。健康なBCG-ワクチン接種個人における試験の特異性は、98%超であることが実証されている。対照的に、ツベルクリン皮膚検査の感度及び特異性は、活動性TB及び健康なBCG-ワクチン接種若年成人を有する日本の患者の研究において、それぞれ約66%及び35%のみであることが認められた。しかしながら、ツベルクリン皮膚検査の感度及び特異性は、研究されている集団に依存し、ツベルクリン皮膚検査は、BCG-ワクチン接種されていない健常な若年成人において最良に機能する。
【0572】
免疫抑制集団におけるQuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)の性能を調査する限られた数の公表された研究からのデータは、QuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)の感度が、免疫抑制患者においてもツベルクリン皮膚検査より良好であることを示唆している(Ferrara et al,2005;Kobashi et al,2007;Matulis et al,2008)。潜在感染を検出するためのIFN-γベースの試験の能力は、ゴールドスタンダード診断試験の欠如により、試験が困難であった。しかしながら、いくつかのTBアウトブレイク試験は、試験が、接触がTB初発症例(index TB case)に達した曝露の程度と、ツベルクリン皮膚検査よりも良好に相関したことを実証した(Brock et al,2004;Ewer et al,2003)。加えて、TB接触トレーシング試験は、陽性のQuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)結果を有し、潜在性TB感染のために治療されなかった患者が、陽性のツベルクリン皮膚検査及び陰性のQuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)結果を有する患者よりも、長期経過観察中に活動性TBを発症する可能性がはるかに高かったことを示している(Higuchi et al,2007;Diel et al,2008)。
【0573】
活動性又は潜在性M.tuberculosis 感染に対する新たなIFNγベースの血液検査の性能は、免疫抑制集団において十分に検証されていないが、これらの新たな試験は、ツベルクリン皮膚検査よりも、少なくとも、同じくらい、感受性、及び明確に具体的ではない場合には、これらの新たな試験は、少なくとも、それ以上、感受性、及び明確により特異的であると専門家は考えている(Barnes,2004;personal communication,April,2008 TB Advisory Board)。
【0574】
QuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)のインチューブ試験の実施
本試験のために、QuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)インチューブ形式が提供される。インチューブ形式は、試験の特異性を増加させると考えられる、1つの追加のM.tuberculosis特異的抗原、TB7.7(p4)を含有する。
【0575】
インチューブ形式を使用して試験を実施するために、標準的な静脈穿刺を通して、M.tuberculosis特異抗原を既に含有する供給管に血液を引き込む。対象毎におよそ3つのチューブが必要であり、それぞれ1mLの血液を必要とする。1つのチューブは、M.tuberculosis特異的抗原を含有し、残りのチューブは陽性対照試薬及び陰性対照試薬を含有する。血液を抗原と完全に混合することが、インキュベーション前に必要である。次いで、血液を37℃で16~24時間インキュベートし、その後、管を2000~3000gでおよそ15分間遠心分離する。遠心分離後、血漿を各チューブから採取し、凍結し、ドライアイス上で中央検査室に搬送する。中央検査室は、分光光度法及びコンピュータソフトウェア分析を使用して、血漿中に存在するIFN-γの量を定量化する。
【0576】
中央検査室は、各対象について結果を分析及び報告し、施設は結果の通知を受ける。不確定な結果を有する対象には、試験を繰り返すべきである。
【0577】
ローカルガイドラインの順守
免疫不全患者に対する現地の国ガイドラインは、潜在性TBの容認可能な抗結核治療レジメンに関して相談する必要がある。免疫不全患者に対する現地の国ガイドラインが存在しない場合、米国ガイドラインを遵守しなければならない。
【0578】
QuantiFERON(登録商標)(TB Gold試験)が承認/登録されていない国では、ツベルクリン皮膚検査が更に必要とされる。
【0579】
例えば、
Barnes PF.Diagnosing latent tuberculosis infection:Turning glitter to gold [editorial].Amer J Respir Crit Care Med.2004;170:5-6.
Brock I,Weldingh K,Lillebaek T,et al.Comparison of tuberculin skin test and new specific blood test in tuberculosis contacts.Am J Respir Crit Care Med.2004;170:65-69.
Cellestis.QuantiFERON-TB Gold clinicians guide and QuantiFERON-TB Gold In-Tube Method package insert.Downloaded from www.cellestis.com,February 2009.
Diel R,Loddenkemper R,Meywald-Walter K,Niemann S,Nienhaus A.Predictive value of a whole blood IFN-λ assay for the development of active tuberculosis disease after recent infection with mycobacterium tuberculosis.Am J Respir Crit Care Med.2008;177:1164-1170.
Ewer K,Deeks J,Alvarez L,et al.Comparison of T-cell-based assay with tuberculin skin test for diagnosis of Mycobacterium tuberculosis infection in a school tuberculosis outbreak.Lancet.2003;361:1168-73.
Ferrara G,Losi M,Meacci M,et al.Routine hospital use of a new commercial whole blood interferon-γ assay for the diagnosis of tuberculosis infection.Am J Respir Crit Care Med.2005;172:631-635.
Higuchi K,Nobuyuki H,Mori T,Sekiya Y.Use of QuantiFERON-TB Gold to investigate tuberculosis contacts in a high school.Respirology.2007;12:88-92.
Kobashi Y,Mouri K,Obase Y,et al.Clinical evaluation of QuantiFERON-TB-2G test for immunocompromised patients.Eur Respir J.2007;30:945-950.
Matulis G,Juni P,Villiger PM,Gadola SD.Detection of latent tuberculosis in immunosuppressed patients with autoimmune diseases:performance of a Mycobacterium tuberculosis antigen-specific interferon λ assay.Ann Rheum Dis.2008;67:84-90
Mori T,Sakatani M,Yamagishi F,et al.Specific detection of tuberculosis infection:An interferon-γ-based assay using new antigens.Am J Respir Crit Care Med.2004;170:59-64.を参照のこと。
【0580】
付録3:ツベルクリン皮膚検査
マントーツベルクリン皮膚検査の施行
マントーツベルクリン皮膚検査(CDC、2000)は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に感染した人を特定する標準的な方法である。複数の穿刺試験(Tine及びHeaf)は、皮内注射されたツベルクリンの量を正確に制御することができないため、ヒトが感染しているかどうかを判定するために使用されるべきではない。ツベルクリン皮膚検査は、妊娠過程全体にわたって安全かつ信頼性が高い。0.1mLのツベルクリンの皮内注射を前腕の内側表面に配置することによって、マントーツベルクリン皮膚検査を実施する。この検査は、世界保健機関によって推奨されるように、標準的な精製タンパク質誘導体(PPD)Sの5ツベルクリン単位(TU)、又はPPD RT23、Statens Seruminstitutの2TUのいずれかと少なくとも同じ強度を有するツベルクリンを用いて実施しなければならない。1 TU又は250 TUのPPD強度は許容できない(Menzies,2000)。注射は、針ベベルを上向きにした使い捨てのツベルクリン注射器を使用して、皮膚の表面の真下で行われるべきである。これは、直径6mm~10mmの皮膚(皮内丘疹)のはっきりと区別される青白い隆起部を作り出すはずである。針刺し創を防止するために、針は、使い捨て注射器から再キャップされ、意図的に屈曲若しくは破壊されるか、又は取り外されるべきではなく、ないしは別の方法で手で操作されるべきではない。それらが使用された後、使い捨て針及び注射器は、廃棄のために耐穿刺性容器内に配置されるべきである。感染制御(例えば、手袋の使用)のための普遍的予防策に関する施設ガイドラインに従うべきである。訓練された医療従事者、好ましくは治験責任医師は、注射の48~72時間後に、マントー試験対する反応を読み取るべきである。対象自身でツベルクリン検査結果を読み取ることを、決して許可するべきではない。対象が計画された読み取りのために来院しなかった場合、陽性反応は、それでも、試験後に最長1週間まで測定可能であり得る。しかしながら、72時間以内に戻ることができない対象の試験結果が陰性である場合、ツベルクリン検査を繰り返すべきである。注射部位の周囲の硬結(触診可能な隆起した硬化領域)の面積は、ツベルクリンへの反応部である。標準化のために、硬結の直径は、前腕の長軸に対して横断方向(垂直)に測定されるべきである。紅斑(発赤)は測定されるべきではない。全ての反応は、陰性として分類されたものであっても、ミリメートル単位で記録されるべきである。
【0581】
ツベルクリン皮膚検査結果の解釈
米国及び多くの他の国では、ツベルクリン皮膚検査に対する陽性の最も保守的な定義は、免疫不全患者のために確保されており、この定義は、対象がベースラインにおいて免疫不全でない場合であっても、潜在性TBを検出する可能性を最大化するために、本試験において適用されるべきである。
【0582】
米国及びカナダでは、皮内ツベルクリン皮膚検査に反応して5mm以上の硬結は、潜在性又は活動性TBのいずれかの陽性結果及び証拠であると見なされる。
【0583】
米国及びカナダ以外の国では、ツベルクリン皮膚検査結果の解釈について免疫不全患者に対する各国毎のガイドラインが利用されるべきである。免疫不全患者に対する現地の国ガイドラインが存在しない場合、米国ガイドラインを遵守しなければならない。
【0584】
潜在性結核の治療
潜在性TBの容認可能な抗結核治療レジメンに関して免疫不全患者に対する現地の国ガイドラインが利用されるべきである。免疫不全患者に対する現地の国ガイドラインが存在しない場合、米国ガイドラインを遵守しなければならない。
【0585】
例えば、
Centers for Disease Control and Prevention.Core curriculum on tuberculosis:What the clinician should know (Fourth Edition)。Atlanta,GA:Department of Health and Human Services;Centers for Disease Control and Prevention;National Center for HIV,STD,and TB Prevention;Division of Tuberculosis Elimination;2000:25-86.
Menzies RI.Tuberculin skin testing.Reichman LB,Hershfield ES (eds).Tuberculosis,a comprehensive international approach.2nd ed.New York,NY:Marcel Dekker,Inc;2000:279-322.を参照のこと。
【0586】
付録4:HBVスクリーニング及びモニタリング
対象は、B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus、HBV)のスクリーニングを受けなければならない。最低でも、これには、HBsAg(HBV表面抗原)、抗HBs(HBV表面抗体)、及び総抗HBc(HBVコア抗体の合計)を試験することを含む。
1) 全てのHBVスクリーニング検査(すなわち、HBsAg-、抗HBc-、及び抗HBs-)に関して陰性である対象が、本試験に適格である。
2) 表面抗原検査が陰性(HBsAg-)で、かつコア抗体検査が陽性(抗HBc+)で、表面抗体検査が陽性(抗HBs+)である対象が、本試験に適格である。
3) 表面抗体検査のみが陽性(抗HBs+)である対象が、本試験に適格である。
4) 表面抗原検査が陽性(HBsAg+)である対象は、他のB型肝炎検査の結果にかかわらず、本試験には不適格である。
5) コア抗体検査のみが陽性(抗HBc+)である対象は、B型肝炎ウイルスデオキシリボ核酸の存在について更なる検査(HBV DNA試験)を受けなければならない。HBV DNAの検査が陽性である場合、その対象は本試験に適格ではない。HBV DNAの検査が陰性である場合、その対象は本試験に適格である。HBV DNAの検査ができない場合には、その対象は本本試験に適格ではない。
【0587】
HBVの検査結果により本試験に不適格となった対象については、B型肝炎ウイルス感染の治療に関する専門家と医師と相談することが推奨される。
【配列表】
【国際調査報告】