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特表2022-514574pMHC占有率のストレプトアビジン-オリゴコンジュゲート組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】pMHC占有率のストレプトアビジン-オリゴコンジュゲート組成物
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/74 20060101AFI20220204BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20220204BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20220204BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20220204BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20220204BHJP
【FI】
C07K14/74 ZNA
C12Q1/6869 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/04
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535105
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 US2019067211
(87)【国際公開番号】W WO2020132087
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/781,377
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518399586
【氏名又は名称】エムビーエル インターナショナル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クレイマン, イーデン
【テーマコード(参考)】
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ79
4B063QR32
4B063QR48
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX01
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA54
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA50
4H045FA51
(57)【要約】
本開示は、異なる核酸分子でバーコード化されたpMHC多量体種、および生体試料中の抗原応答性およびTCR結合力の両方を決定し、かつ対応するT細胞トランスクリプトーム、T細胞プロテオーム、T細胞エピゲノム、またはTCR遺伝子座を配列決定するためのその使用について記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチド-主要組織適合性複合体(pMHC)バーコード化多量体であって、
少なくとも1つの調節可能なpMHC実体を含み、前記pMHC実体が、
骨格分子によって連結された少なくとも1つのpMHC分子と、
1骨格分子あたり少なくとも1つの核酸分子と、を含み、
前記核酸分子が共有結合的または非共有結合的に連結されたコンジュゲートを含む、ペプチド-主要組織適合性複合体(pMHC)バーコード化多量体。
【請求項2】
前記核酸分子が、
pMHCバーコード化ヌクレオチドの中央ストレッチと、
標的オリゴに対する相補性を有するヌクレオチドの第2のストレッチと、を含む、請求項1に記載のpMHC多量体。
【請求項3】
NGSに使用するための、請求項2に記載のpMHC多量体。
【請求項4】
前記骨格分子がストレプトアビジンである、請求項1~3のいずれか1項に記載のpMHC多量体。
【請求項5】
前記多量体が、1骨格分子あたり少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのpMHC実体を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のpMHC多量体。
【請求項6】
T細胞受容体(TCR)-pMHC結合力の監視に使用するための、請求項1~5のいずれか1項に記載のpMHC多量体。
【請求項7】
前記ストレプトアビジンが前記少なくとも1つの核酸分子に共有結合的にコンジュゲートされ、それにより、1ストレプトアビジンあたり少なくとも4つのMHC単量体を提供する、請求項1~6のいずれか1項に記載のpMHC多量体。
【請求項8】
前記ストレプトアビジンが前記少なくとも1つの核酸分子に非共有結合的にコンジュゲートされており、前記核酸分子がビオチン化されており、前記少なくとも1つのビオチン化核酸分子と前記ストレプトアビジンがある比率で複合体形成されており、前記比率が、
1ストレプトアビジン:1オリゴ、
1ストレプトアビジン:2オリゴ、および
1ストレプトアビジン:3オリゴからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載のpMHC多量体。
【請求項9】
HPLC精製プロセスによって産生される、請求項1に記載のpMHC多量体。
【請求項10】
前記ストレプトアビジンが前記少なくとも1つの核酸分子に共有結合的にコンジュゲートされており、前記核酸分子がバーコードおよび少なくとも1つのビオチン結合部位を含み、前記結合部位が、
ビオチン化ペプチド、ビオチン化タンパク質、ビオチン化ポリマー、ビオチン化フルオロフォア、切断可能なビオチン化オリゴ、またはビオチン化薬剤を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のpMHC多量体。
【請求項11】
前記少なくとも1つの核酸分子が、5’PCRハンドル領域、中央バーコード領域、任意にUMI、または任意に少なくとも10個の連続したアデニンの3’ポリ-Aテール領域を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のpMHC多量体。
【請求項12】
前記核酸の3’末端テールのうちの前記少なくとも1つが標的オリゴ配列に対して相補的な任意の配列で構成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載のpMHC多量体。
【請求項13】
前記少なくとも1つの核酸分子が、約10~200ヌクレオチド長、またはそれ以上である、請求項1~12のいずれか1項に記載のpMHC多量体。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のpMHC多量体の複数のサブセットを含む組成物であって、pMHC多量体の各サブセットが異なるペプチドに結合し、対応するバーコード領域配列を有する、組成物。
【請求項15】
特異的MHC分子を対応するT細胞トランスクリプトームに連結する方法であって、
a)請求項1~13のいずれか1項に記載の複数のpMHC多量体分子と、T細胞と、5’PCRハンドル、中央細胞バーコード、UMI、およびベイト配列を含む結合標的オリゴに連結された粒子とを含む試験試料を形成することと、
b)各液滴が1つより多くの粒子を含まず、かつ1つ以上のpMHC多量体分子に結合した1つのT細胞を含むように、液滴を前記試験試料から形成することと、
c)各液滴中にT細胞cDNAライブラリおよびpMHCバーコードライブラリを生成することと、
d)前記T細胞mRNAライブラリおよび前記MCHバーコードライブラリの両方を配列決定し、それにより、特異的MHC分子を前記対応するT細胞トランスクリプトームに連結することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記ベイト配列が3’ポリ-(dT)である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
多量体pMHCであって、
骨格分子によって連結された1つ以上のpMHC分子と、
前記骨格に連結された少なくとも1つの核酸分子と、を含み、前記核酸分子が、増幅されるように設計された核酸の中央ストレッチ(バーコード領域)と、TCR定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列と、を含む、多量体pMHC。
【請求項18】
前記骨格に連結された第1のタイプの核酸分子を含み、前記第1のタイプの核酸分子が、中央バーコード領域と、TCRαまたはTCRβ定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列と、を含む、請求項17に記載の多量体pMHC。
【請求項19】
前記骨格に連結された第1および第2のタイプの核酸分子を含み、
前記第1のタイプの核酸分子が、中央バーコード領域と、TCRα定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列と、を含み、
前記第2のタイプの核酸分子が、中央バーコード領域と、TCRβ定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列と、を含み、
前記2つのタイプの前記核酸分子の前記バーコード領域が同じ配列を有し、
任意に、前記2つのタイプの前記核酸分子の各々のUMI配列がランダムであり、それ故に、互いに異なる可能性があるが、それらがそれぞれの核酸の同じ領域に位置する可能性がある、請求項17に記載の多量体pMHC。
【請求項20】
前記核酸分子が、5’PCRハンドル、中央バーコード領域、UMI、およびTCR定常遺伝子に対して相補的な3’ヌクレオチド配列を含む、請求項17~19のいずれか1項に記載の多量体pMHC。
【請求項21】
前記核酸分子が、前記TCR定常遺伝子の5’末端に対して相補的なヌクレオチド配列を含む、請求項17~20のいずれか1項に記載の多量体pMHC。
【請求項22】
前記TCR定常遺伝子が、TCRα定常遺伝子、TCRβ定常1遺伝子、またはTCRβ定常2遺伝子である、請求項17~21のいずれか1項に記載の多量体MHC。
【請求項23】
前記核酸分子の5’末端および/または3’末端が前記骨格分子に連結されている、請求項17~22のいずれか1項に記載の多量体MHC。
【請求項24】
前記核酸分子が、前記バーコード領域に隣接した一意の分子識別子(UMI)をさらに含む、請求項17~23のいずれか1項に記載の多量体MHC。
【請求項25】
少なくとも1つの核酸分子が、約10~200ヌクレオチド長、またはそれ以上である、請求項17~24のいずれか1項に記載の多量体MHC。
【請求項26】
請求項17~25のいずれか1項に記載の多量体pMHCの複数のサブセットを含む組成物であって、多量体MHCの各サブセットが異なるペプチドに結合し、対応するバーコード領域配列を有する、組成物。
【請求項27】
特異的MHC分子を対応するTCRαおよび/またはTCRβ配列に連結する方法であって、
a)請求項17~25のいずれか1項に記載の1つ以上の多量体pMHCを提供することと、
b)前記多量体pMHC分子をT細胞と接触させることと、
c)前記多量体MHC分子に結合したT細胞を前記多量体MHC分子に結合していないT細胞から分離することと、
d)前記分離されたT細胞を溶解することと、
e)DNAライブラリを生成することであって、各DNA分子が、TCRαおよび/またはTCRβ遺伝子配列、ならびに前記pMHCバーコードを含む、生成することと、
f)前記DNAライブラリを配列決定し、それにより、前記特異的pMHC分子を前記対応するTCRαおよび/またはTCRβ配列に連結することと、を含む、方法。
【請求項28】
前記ステップc)がFACS選別または磁気ビーズベースの分離によって達成される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記多量体pMHC分子が直接または間接的に蛍光標識される、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
バーコード化pMHC分子に結合した前記T細胞が単一の収集管内でバルク選別される、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
バーコード化pMHC分子に結合した同族T細胞が単一細胞として個々のプレートウェルに選別される、請求項27~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
多量体pMHCであって、
骨格分子によって連結された1つ以上のpMHC分子と、
前記骨格に連結された少なくとも1つの核酸分子と、を含み、前記核酸分子が、増幅されるように設計された核酸の中央ストレッチ(バーコード領域)と、鋳型スイッチオリゴ配列と、を含む、多量体pMHC。
【請求項33】
前記核酸分子が、5’PCRハンドル、中央バーコード領域、UMI、および3’鋳型スイッチオリゴ配列を含む、請求項32に記載の多量体pMHC。
【請求項34】
前記鋳型スイッチオリゴ配列が3つのリボグアノシンの3’ストレッチを含む、請求項32または33に記載の多量体pMHC。
【請求項35】
前記少なくとも1つの核酸分子が、約10~200ヌクレオチド長、またはそれ以上である、請求項32~34のいずれか1項に記載の多量体pMHC。
【請求項36】
請求項32~35のいずれか1項に記載の多量体pMHCの複数のサブセットを含む組成物であって、多量体pMHCの各サブセットが異なるペプチドに結合し、対応するバーコード領域配列を有する、組成物。
【請求項37】
特異的pMHC分子を対応するTCRαおよび/またはTCRβ相補的配列に連結する方法であって、
a)請求項32~35のいずれか1項に記載の複数の多量体pMHC分子と、T細胞と、5’PCRハンドル、中央細胞バーコード、UMI、およびTCR定常遺伝子に対して相補的な3’ヌクレオチド配列を含むオリゴにコンジュゲートされたビーズとを含む試験試料を形成することと、
b)各液滴が1つより多くのビーズを含まず、かつ1つ以上の多量体MHC分子に結合した1つのT細胞を含むように、液滴を前記試験試料から形成することと、
c)DNAライブラリを生成することであって、各DNA分子が、TCRαおよび/またはTCRβ遺伝子配列、ならびに前記pMHCバーコードを含む、生成することと、
d)前記DNAライブラリを配列決定し、それにより、特異的pMHC分子を対応するTCRαおよび/またはTCRβ配列に連結することと、を含む、方法。
【請求項38】
前記ビーズが、ヒドロゲルビーズ、硬質ビーズ、および溶解性ビーズから選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ビーズが2つのオリゴにコンジュゲートされており、第1のオリゴが、5’PCRハンドル、中央細胞バーコード、UMI、およびTCRα定常遺伝子に対して相補的な3’ヌクレオチド配列を含み、第2のオリゴが、5’PCRハンドル、中央細胞バーコード、UMI、およびTCRβ定常遺伝子に対して相補的な3’ヌクレオチド配列を含み、前記2つのオリゴの前記中央細胞バーコードが同じ配列を有する、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記DNAライブラリ生成ステップc)が、MMLV逆転写酵素を使用したTCR mRNAの逆転写を含む、請求項37~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記PCRハンドルが前記バーコード配列のライブラリ調製を可能にする、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項42】
前記PCRハンドルがi7アダプター配列を有し得る、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項43】
前記バーコード領域が少なくとも4つのヌクレオチドを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項44】
前記pMHC分子が、ストレプトアビジン-ビオチン結合を介して、MHC重鎖を介して、またはMHC軽鎖(β2M)を介して前記骨格に連結されている、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項45】
前記MHC分子がストレプトアビジン-ビオチン結合を介して前記骨格に連結されている、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項46】
前記多量体pMHCが少なくとも1つのMHC分子を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの核酸分子が化学修飾をさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項48】
前記少なくとも1つの核酸分子の5’末端または3’末端がスペーサーを介してアミノ基に結合している、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項49】
前記スペーサーが6炭素スペーサーまたは12炭素スペーサーであり得る、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの核酸分子が5’末端および/または3’末端にホスホロチオエート化ヌクレオチドを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項51】
前記少なくとも1つの核酸分子と前記骨格分子との間の連結が前記核酸分子の誘導性解離を可能にする、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つの核酸分子が共有結合または非共有結合を介して前記骨格分子に連結されている、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項53】
前記共有結合がチオエーテルである、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項54】
前記少なくとも1つの核酸分子が誘導的に切断可能な結合を介して前記骨格分子に連結されている、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項55】
前記誘導的に切断可能な結合が光切断可能であるか、またはジスルフィド結合を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項56】
前記MHC分子がMHCクラスIおよび/またはMHCクラスII単量体である、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項57】
前記MHC分子がペプチドと複合体形成されている、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項58】
前記MHC分子がビオチン化されている、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項59】
前記骨格が、蛍光標識、Hisタグ、および金属イオンタグからなる群から選択される1つ以上の標識をさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項60】
前記骨格が前記蛍光標識に直接コンジュゲートされている、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項61】
前記蛍光標識がフルオロフォアタグ付けオリゴである、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項62】
前記フルオロフォアタグ付けオリゴが前記骨格に連結された前記核酸分子に対して相補的である、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項63】
前記骨格がフルオロフォア標識抗ストレプトアビジン抗体で標識される、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項64】
前記フルオロフォアが、蛍光タンパク質、蛍光色素、または量子ドットである、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つの核酸分子が、DNA、RNA、人工ヌクレオチド、PNA、およびLNAからなる群から選択される核酸分子を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項66】
前記多量体pMHCが同族T細胞に結合する、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項67】
前記多量体pMHCがフローサイトメトリー用途と適合性がある、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項68】
前記フローサイトメトリー用途が単一細胞またはバルク細胞蛍光活性化細胞選別(FACS)である、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項69】
前記多量体pMHCがNGSベースの用途と適合性がある、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項70】
前記NGSベースの用途が液滴ベースの単一細胞配列決定である、先行請求項のいずれか1項に記載の多量体pMHCまたは方法。
【請求項71】
試料中の抗原応答性細胞を検出するための方法であって、
a)請求項1~13、17~25、32~35、および41~70のいずれか1項に記載の1つ以上の多量体pMHCを提供することと、
b)前記多量体pMHC分子を前記試料と接触させることと、
c)前記多量体pMHC分子の前記抗原応答性細胞への結合を検出し、それにより、前記MHC分子中に存在する抗原に応答して細胞を検出することと、を含み、前記結合が、前記骨格分子を介して前記1つ以上のMHC分子に連結された前記核酸分子の前記バーコード領域を増幅することによって検出される、方法。
【請求項72】
前記試料が、血液試料、末梢血試料、血液由来試料、組織試料、体液、髄液、および唾液からなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記試料が哺乳動物から得られる、請求項71または72に記載の方法。
【請求項74】
前記方法が、フローサイトメトリー、FACS、磁気ビーズベースの選択、サイズ排除、勾配遠心分離、カラム付着、およびゲル濾過からなる群から選択される方法による細胞選択をさらに含む、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記増幅がPCRである、請求項1~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記核酸分子のバーコード領域の検出が、前記バーコード領域の配列決定またはqPCRによる前記バーコード領域の検出を含む、請求項1~75のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月18日に出願された米国仮特許出願第62/781,377号の利益およびそれに対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
同族細胞および結合タンパク質/ペプチドのハイスループット配列決定を可能にするバーコード化抗体およびバーコード化pMHC多量体が最近開発されている1~4。バーコード化MHC多量体は、TCR-pMHC結合事象のハイスループット多重化NGSベースのスクリーニングを可能にし、この情報をトランスクリプトームデータ、プロテオームデータ、およびTCR配列データと潜在的に単一細胞レベルで組み合わせる能力を有する。最近の実例は、バーコード化pMHC多量体の実現可能性および有用性を実証している1、4、5。しかしながら、1つの制限は、現在の技術が、1ストレプトアビジンあたりのpMHC単量体負荷を微調整してTCR-pMHC活性を測定することができないことである。TCR-pMHC活性を評価することができるバーコード化pMHC多量体が必要性とされている。化学的コンジュゲーションを回避し、かつMHC単量体試薬を節約するバーコード化pMHC多量体を産生するための費用効率の高い方法も必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Bentzen,A.K.,et al.,Large-scale detection of antigen-specific T cells using peptide-MHC-I multimers labeled with DNA barcodes.Nat Biotechnol,2016.34(10):p.1037-1045.
【非特許文献2】Stoeckius,M.,et al.,Simultaneous epitope and transcriptome measurement in single cells.Nat Methods,2017.14(9):p.865-868.
【非特許文献3】Peterson,V.M.,et al.,Multiplexed quantification of proteins and transcripts in single cells.Nat Biotechnol,2017.35(10):p.936-939.
【非特許文献4】Zhang,S.Q.,et al.,High-throughput determination of the antigen specificities of T cell receptors in single cells.Nat Biotechnol,2018.
【非特許文献5】Dahotre,S.N.,et al.,DNA-Barcoded pMHC Tetramers for Detection of Single Antigen-Specific T Cells by Digital PCR.Anal Chem,2019.91(4):p.2695-2700.
【発明の概要】
【0004】
TCR-pMHC結合力評価と並行してT細胞オミクス分析を組み合わせるためのプラットフォームとして使用され得る共有結合的にコンジュゲートされたバーコード化ストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートおよび非共有結合的にコンジュゲートされたバーコード化ストレプトアビジン-オリゴコンジュゲート(図1)の両方を産生する組成物および方法が本明細書に提供される。
一態様では、本開示は、ストレプトアビジン分子に非共有結合した少なくとも1つのビオチン化pMHC分子と、同じ骨格分子に共有結合または非共有結合した少なくとも1つの核酸分子であって、核酸が中央バーコード領域を有し得る、少なくとも1つの核酸分子とからなる、骨格(例えば、ストレプトアビジン)占有率の異なるバーコード化pMHC多量体種を提供する。
【0005】
別の態様では、本開示は、所望のストレプトアビジン占有率を得るためにHPLC精製を使用してストレプトアビジンをビオチン化オリゴでバーコード化することを提供する。
【0006】
別の態様では、本開示は、共有結合的連結(例えば、チオエーテル結合またはビス-アリールヒドラゾンコンジュゲート結合)を使用してストレプトアビジンを1ストレプトアビジンあたり少なくとも1つのオリゴでバーコード化することを提供する。
【0007】
一態様では、本開示は、中央バーコード領域およびポリ-Aテールを含む少なくとも1つの核酸分子でバーコード化されたpMHC多量体を提供する。
【0008】
別の態様では、本開示は、中央バーコード領域およびTCR定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの核酸分子でバーコード化されたpMHC多量体を提供する。
【0009】
別の態様では、本開示は、中央バーコード領域および鋳型スイッチオリゴ配列を含む少なくとも1つの核酸分子でバーコード化されたpMHC多量体を提供する。
【0010】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるバーコード化pMHC多量体を作製または使用するための方法を提供する。
【0011】
一態様では、本開示は、ペプチド-主要組織適合性複合体(pMHC)バーコード化多量体であって、
少なくとも1つの調節可能なpMHC実体を含み、前述のpMHC実体が、
骨格分子によって連結された少なくとも1つのpMHC分子と、
1骨格分子あたり少なくとも1つの核酸分子と、を含み、
前述の核酸分子が共有結合的または非共有結合的に連結されたコンジュゲートを含む、ペプチド-主要組織適合性複合体(pMHC)バーコード化多量体を提供する。
【0012】
本pMHC多量体のいくつかの実施形態では、核酸分子は、
pMHCバーコード化ヌクレオチドの中央ストレッチと、
標的オリゴに対する相補性を有するヌクレオチドの第2のストレッチと、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、pMHC多量体は、NGSに使用される。
【0014】
本pMHC多量体のいくつかの実施形態では、骨格分子は、ストレプトアビジンである。
【0015】
本pMHC多量体のいくつかの実施形態では、多量体は、1骨格分子あたり少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのpMHC実体を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、pMHC多量体は、T細胞受容体(TCR)-pMHC結合力を監視するために使用される。
【0017】
本pMHC多量体のいくつかの実施形態では、ストレプトアビジンは、少なくとも1つの核酸分子に共有結合的にコンジュゲートされ、それにより、1ストレプトアビジンあたり少なくとも4つのMHC単量体を提供する。
【0018】
本pMHC多量体のいくつかの実施形態では、ストレプトアビジンは、少なくとも1つの核酸分子に非共有結合的にコンジュゲートされており、この核酸分子はビオチン化されており、少なくとも1つのビオチン化核酸分子とストレプトアビジンはある比率で複合体形成されており、この比率は、1ストレプトアビジン:1オリゴ、1ストレプトアビジン:2オリゴ、および1ストレプトアビジン:3オリゴからなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、pMHC多量体は、HPLC精製プロセスによって産生される。
【0020】
本pMHC多量体のいくつかの実施形態では、ストレプトアビジンは、少なくとも1つの核酸分子に共有結合的にコンジュゲートされており、この核酸分子はバーコードおよび少なくとも1つのビオチン結合部位を含み、この結合部位は、
ビオチン化ペプチド、ビオチン化タンパク質、ビオチン化ポリマー、ビオチン化フルオロフォア、切断可能なビオチン化オリゴ、またはビオチン化薬剤を含む。
【0021】
本pMHC多量体のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、5’PCRハンドル領域、中央バーコード領域、任意にUMI、または任意に少なくとも10個の連続したアデニンの3’ポリ-Aテール領域を含む。
【0022】
本pMHC多量体のいくつかの実施形態では、核酸の3’末端テールのうちの少なくとも1つは、標的オリゴ配列に対して相補的な任意の配列で構成されている。
【0023】
本pMHC多量体のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、約10~200ヌクレオチド長、またはそれ以上である。
【0024】
別の態様では、本開示は、前述のpMHC多量体のうちのいずれかの複数のサブセットを含む組成物であって、pMHC多量体の各サブセットが異なるペプチドに結合し、対応するバーコード領域配列を有する、組成物を提供する。
【0025】
別の態様では、本開示は、特異的MHC分子を対応するT細胞トランスクリプトームに連結する方法であって、
a)複数の前述のpMHC多量体分子のうちのいずれかと、T細胞と、5’PCRハンドル、中央細胞バーコード、UMI、およびベイト配列を含む結合標的オリゴに連結された粒子とを含む試験試料を形成することと、
b)各液滴が1つより多くの粒子を含まず、かつ1つ以上のpMHC多量体分子に結合した1つのT細胞を含むように、液滴を試験試料から形成することと、
c)各液滴中にT細胞cDNAライブラリおよびpMHCバーコードライブラリを生成することと、
d)T細胞mRNAライブラリおよびMCHバーコードライブラリの両方を配列決定し、それにより、特異的MHC分子を対応するT細胞トランスクリプトームに連結することと、を含む、方法を提供する。
【0026】
本方法のいくつかの実施形態では、ベイト配列は、3’ポリ-(dT)である。
【0027】
別の態様では、本開示は、多量体pMHCであって、
骨格分子によって連結された1つ以上のpMHC分子と、
骨格に連結された少なくとも1つの核酸分子と、を含み、核酸分子が、増幅されるように設計された核酸の中央ストレッチ(バーコード領域)と、TCR定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列と、を含む、多量体pMHCを提供する。
【0028】
いくつかの実施形態では、多量体pMHCは、骨格に連結された第1のタイプの核酸分子を含み、第1のタイプの核酸分子が、中央バーコード領域と、TCRαまたはTCRβ定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列と、を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、多量体pMHCは、骨格に連結された第1および第2のタイプの核酸分子を含み、
第1のタイプの核酸分子が、中央バーコード領域と、TCRα定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列と、を含み、
第2のタイプの核酸分子が、中央バーコード領域と、TCRβ定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列と、を含み、
2つのタイプの核酸分子のバーコード領域が同じ配列を有し、
任意に、2つのタイプの核酸分子の各々のUMI配列がランダムであり、それ故に、互いに異なる可能性があるが、それらがそれぞれの核酸の同じ領域に位置する可能性がある。
【0030】
本多量体pMHCのいくつかの実施形態では、核酸分子は、5’PCRハンドル、中央バーコード領域、UMI、およびTCR定常遺伝子に対して相補的な3’ヌクレオチド配列を含む。
【0031】
本多量体pMHCのいくつかの実施形態では、核酸分子は、TCR定常遺伝子の5’末端に対して相補的なヌクレオチド配列を含む。
【0032】
本多量体pMHCのいくつかの実施形態では、TCR定常遺伝子は、TCRα定常遺伝子、TCRβ定常1遺伝子、またはTCRβ定常2遺伝子である。
【0033】
本多量体pMHCのいくつかの実施形態では、核酸分子の5’末端および/または3’末端は、骨格分子に連結されている。
【0034】
本多量体pMHCのいくつかの実施形態では、核酸分子は、バーコード領域に隣接した一意の分子識別子(UMI)をさらに含む。
【0035】
本多量体pMHCのいくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、約10~200ヌクレオチド長、またはそれ以上である。
【0036】
別の態様では、本開示は、前述のpMHC多量体のうちのいずれかの複数のサブセットを含む組成物であって、多量体MHCの各サブセットが異なるペプチドに結合し、対応するバーコード領域配列を有する、組成物を提供する。
【0037】
別の態様では、本開示は、特異的MHC分子を対応するTCRαおよび/またはTCRβ配列に連結する方法であって、
a)前述の多量体pMHCのうちのいずれかのうちの1つ以上を提供することと、
b)前述の多量体pMHC分子をT細胞と接触させることと、
c)多量体MHC分子に結合したT細胞を多量体MHC分子に結合していないT細胞から分離することと、
d)分離されたT細胞を溶解することと、
e)DNAライブラリを生成することであって、各DNA分子が、TCRαおよび/またはTCRβ遺伝子配列、ならびにpMHCバーコードを含む、生成することと、
f)DNAライブラリを配列決定し、それにより、特異的pMHC分子を対応するTCRαおよび/またはTCRβ配列に連結することと、を含む、方法を提供する。
【0038】
前述の方法のいくつかの実施形態では、ステップc)は、FACS選別または磁気ビーズベースの分離によって達成される。
【0039】
前述の方法のいくつかの実施形態では、多量体pMHC分子は、直接または間接的に蛍光標識される。
【0040】
前述の方法のいくつかの実施形態では、バーコード化pMHC分子に結合したT細胞は、単一の収集管内でバルク選別される。
【0041】
前述の方法のいくつかの実施形態では、バーコード化pMHC分子に結合した同族T細胞は、単一細胞として個々のプレートウェルに選別される。
【0042】
別の態様では、本開示は、多量体pMHCであって、
骨格分子によって連結された1つ以上のpMHC分子と、
前述の骨格に連結された少なくとも1つの核酸分子と、を含み、前述の核酸分子が、増幅されるように設計された核酸の中央ストレッチ(バーコード領域)と、鋳型スイッチオリゴ配列と、を含む、多量体pMHCを提供する。
【0043】
本多量体pMHCのいくつかの実施形態では、核酸分子は、5’PCRハンドル、中央バーコード領域、UMI、および3’鋳型スイッチオリゴ配列を含む。
【0044】
本多量体pMHCのいくつかの実施形態では、鋳型スイッチオリゴ配列は、3つのリボグアノシンの3’ストレッチを含む。
【0045】
本多量体pMHCのいくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、約10~200ヌクレオチド長、またはそれ以上である。
【0046】
別の態様では、本開示は、前述の多量体pMHCのうちのいずれかの複数のサブセットを含む組成物であって、多量体pMHCの各サブセットが異なるペプチドに結合し、対応するバーコード領域配列を有する、組成物を提供する。
【0047】
別の態様では、本開示は、特異的pMHC分子を対応するTCRαおよび/またはTCRβ相補的配列に連結する方法であって、
a)複数の前述の多量体pMHC分子のうちのいずれかと、T細胞と、5’PCRハンドル、中央細胞バーコード、UMI、およびTCR定常遺伝子に対して相補的な3’ヌクレオチド配列を含むオリゴにコンジュゲートされたビーズとを含む試験試料を形成することと、
b)各液滴が1つより多くのビーズを含まず、かつ1つ以上の多量体MHC分子に結合した1つのT細胞を含むように、液滴を試験試料から形成することと、
c)DNAライブラリを生成することであって、各DNA分子が、TCRαおよび/またはTCRβ遺伝子配列、ならびにpMHCバーコードを含む、生成することと、
d)DNAライブラリを配列決定し、それにより、特異的pMHC分子を対応するTCRαおよび/またはTCRβ配列に連結することと、を含む、方法を提供する。
【0048】
本方法のいくつかの実施形態では、ビーズは、ヒドロゲルビーズ、硬質ビーズ、および溶解性ビーズから選択される。
【0049】
本方法のいくつかの実施形態では、ビーズは、2つのオリゴにコンジュゲートされており、第1のオリゴが、5’PCRハンドル、中央細胞バーコード、UMI、およびTCRα定常遺伝子に対して相補的な3’ヌクレオチド配列を含み、第2のオリゴが、5’PCRハンドル、中央細胞バーコード、UMI、およびTCRβ定常遺伝子に対して相補的な3’ヌクレオチド配列を含み、2つのオリゴの中央細胞バーコードが同じ配列を有する。
【0050】
本方法のいくつかの実施形態では、DNAライブラリ生成ステップc)は、MMLV逆転写酵素を使用したTCR mRNAの逆転写を含む。
【0051】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、PCRハンドルは、バーコード配列のライブラリ調製を可能にする。
【0052】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、PCRハンドルは、i7アダプター配列を有し得る。
【0053】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、バーコード領域は、少なくとも4つのヌクレオチドを含む。
【0054】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、pMHC分子は、ストレプトアビジン-ビオチン結合を介して、MHC重鎖を介して、またはMHC軽鎖(β2M)を介して骨格に連結されている。
【0055】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、MHC分子は、ストレプトアビジン-ビオチン結合を介して骨格に連結されている。
【0056】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、多量体pMHCは、少なくとも1つのMHC分子を含む。
【0057】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、化学修飾をさらに含む。
【0058】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子の5’末端または3’末端は、スペーサーを介してアミノ基に結合している。
【0059】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、スペーサーは、6炭素スペーサーまたは12炭素スペーサーであり得る。
【0060】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、5’末端および/または3’末端にホスホロチオエート化ヌクレオチドを含む。
【0061】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子と骨格分子との間の連結は、核酸分子の誘導性解離を可能にする。
【0062】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、共有結合または非共有結合を介して骨格分子に連結されている。
【0063】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、共有結合は、チオエーテルである。
【0064】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、
少なくとも1つの核酸分子は、誘導的に切断可能な結合を介して骨格分子に連結されている。
【0065】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、誘導的に切断可能な結合は、光切断可能であるか、またはジスルフィド結合を含む。
【0066】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、MHC分子は、MHCクラスIおよび/またはMHCクラスII単量体である。
【0067】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、MHC分子は、ペプチドと複合体形成されている。
【0068】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、MHC分子は、ビオチン化されている。
【0069】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、骨格は、蛍光標識、Hisタグ、および金属イオンタグからなる群から選択される1つ以上の標識をさらに含む。
【0070】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、骨格は、蛍光標識に直接コンジュゲートされている。
【0071】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、蛍光標識は、フルオロフォアタグ付けオリゴである。
【0072】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、フルオロフォアタグ付けオリゴは、骨格に連結された核酸分子に対して相補的である。
【0073】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、骨格は、フルオロフォア標識抗ストレプトアビジン抗体で標識される。
【0074】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、フルオロフォアは、蛍光タンパク質、蛍光色素、または量子ドットである。
【0075】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、DNA、RNA、人工ヌクレオチド、PNA、およびLNAからなる群から選択される核酸分子を含む。
【0076】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、多量体pMHCは、同族T細胞に結合する。
【0077】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、多量体pMHCは、フローサイトメトリー用途と適合性がある。
【0078】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、フローサイトメトリー用途は、単一細胞またはバルク細胞蛍光活性化細胞選別(FACS)である。
【0079】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、多量体pMHCは、NGSベースの用途と適合性がある。
【0080】
前述の多量体pMHCおよび方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、NGSベースの用途は、液滴ベースの単一細胞配列決定である。
【0081】
別の態様では、本開示は、試料中の抗原応答性細胞を検出するための方法であって、
a)前述の多量体pMHCのうちのいずれかのうちの1つ以上を提供することと、
b)前述の多量体pMHC分子を前述の試料と接触させることと、
c)多量体pMHC分子の前述の抗原応答性細胞への結合を検出し、それにより、MHC分子中に存在する抗原に応答して細胞を検出することと、を含み、前述の結合が、骨格分子を介して1つ以上のMHC分子に連結された前記核酸分子のバーコード領域を増幅することによって検出される、方法を提供する。
【0082】
本方法のいくつかの実施形態では、試料は、血液試料、末梢血試料、血液由来試料、組織試料、体液、髄液、および唾液からなる群から選択される。
【0083】
本方法のいくつかの実施形態では、試料は、哺乳動物から得られる。
【0084】
本方法のいくつかの実施形態では、本方法は、フローサイトメトリー、FACS、磁気ビーズベースの選択、サイズ排除、勾配遠心分離、カラム付着、およびゲル濾過からなる群から選択される方法による細胞選択をさらに含む。
【0085】
本方法のいくつかの実施形態では、増幅は、PCRである。
本方法のいくつかの実施形態では、核酸分子のバーコード領域の検出は、バーコード領域の配列決定またはqPCRによるバーコード領域の検出を含む。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1】バーコード化pMHC多量体を作製するためのストレプトアビジンへのコンジュゲーションのための修飾オリゴの一般構造を描写する。紫色の棒はオリゴを表し、緑色の星は5’修飾を表す。以下は、共有結合的コンジュゲーションに使用されるオリゴの配列である。オリゴの5’末端は、12炭素スペーサーを有するアミノ基である。6炭素スペーサーを使用することもできる。チオール基またはビオチン基を含むが、これらに限定されない、アミノ基の代わりに、代替のオリゴ修飾を使用することができる。5’ビオチン基をストレプトアビジンへの非共有結合的連結に使用することができる。これらのオリゴ修飾をオリゴの3’末端に組み込むこともできる。PCRハンドルは、バーコード配列のライブラリ調製を可能にする。この具体的な事例では、PCRハンドルは、i7アダプター配列である。四量体バーコード配列はPCRハンドルの後に続き、所与のpMHC複合体に対応する配列である。この配列では、pMHCバーコードは、最大4096個の四量体バーコード可能性を可能にする6つのヌクレオチドで作製されている。より長いpMHCバーコード配列を使用して、スループットを増加させることができる。オリゴの3’末端には、標的配列、この場合では、ポリ(dT)VNに結合することができるポリ-Aテールがある。このオリゴの場合、25個のアデニンが使用されるが、より長いアデニンストレッチを使用することができる。ポリ-Aテールの5’末端にあるBヌクレオチド(G、C、またはT)は、ポリ(dT)VN配列の2番目から最後の3’ヌクレオチドにあるV(G、C、またはA)ヌクレオチドへの結合を可能にする。ベイト配列のNヌクレオチド(任意の塩基)がCである場合、それは描写したオリゴ配列に相補的に結合する。オリゴの3’末端にある任意のホスホロチオエート化DNA塩基は、エキソヌクレアーゼ活性からの保護を提供する。修飾塩基を任意の位置に配置することができる。
図2】バーコード化オリゴとストレプトアビジンとの間のジスルフィド架橋でのそれらのコンジュゲーションを示す。示される実施例では、コンジュゲーションを、Solulinkタンパク質-オリゴヌクレオチドコンジュゲーションキット(TriLink Biotech)を使用して行うことができる。ストレプトアビジン(この場合、プロザイム製)をスクシンイミジル-6-ヒドラジノ-ニコチンアミド(S-HyNic)で修飾する。5’-アミノ修飾オリゴをスクシンイミジル-4-ホルミルベンズアミド類似体(S-SS-4FB)で修飾する。修飾ストレプトアビジンおよび修飾オリゴを組み合わせて、バーコード化ストレプトアビジンを産生する。代替の方法論には、介在する光切断可能なリンカー(描写せず)を用いてオリゴをストレプトアビジンにコンジュゲートすることが含まれる。
図3】DNAバーコード化オリゴが変性条件下でストレプトアビジンから解離することを示す。介在するジスルフィド架橋でストレプトアビジンにコンジュゲートされた66merのオリゴを、SYBR安全アガロースゲル(レーン1a)上で泳動させる。過剰なオリゴを100bp未満のラダーバンドで示している。レーン2aでは、レーン1aと同じ量のバーコード化ストレプトアビジンをベータ-メルカプトエタノールと20分間インキュベートした後に、ゲル上に装填する。バーコード化ストレプトアビジンを表すバンドが著しく減弱している。同じゲルをクマシーブルーで染色して、タンパク質を可視化した。レーン1bでは、バーコード化ストレプトアビジンが明らかである一方で、レーン2bにおけるタンパク質の大半はゲルの上部にシフトされている。オリゴの負電荷なしで、裸の(bare)ストレプトアビジンははるかにより遅く移動する。
図4】バーコード化ストレプトアビジンがビオチンに結合する能力を保持することを示す。等量のバーコード化ストレプトアビジンを、ビオチン磁気ビーズ(レーン1a)またはストレプトアビジン磁気ビーズ(レーン2a)のいずれかとインキュベートした。同等量のビオチン磁気ビーズまたはストレプトアビジン磁気ビーズをこの実験に使用した。試料を磁気分離機に供して、結合したバーコード化ストレプトアビジンと結合していないバーコード化ストレプトアビジンを分離した。いずれかの反応由来の全ての結合していない画分を回収し、SYBR安全アガロースゲル上で泳動させた。同じゲルをクマシーブルーで染色して、タンパク質を可視化した(レーン1bおよび2b)。バーコード化ストレプトアビジンの枯渇(レーン1aおよび1b)は、ビオチン結合を示す。ビオチンおよびストレプトアビジン磁性ビーズの両方をRayBiotech Inc.から購入した。
図5】バーコード化pMHC多量体バリアントを示す。一番左のバーコード化pMHC多量体は、共有結合的コンジュゲーションに由来するストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートで構成されており、その後、ビオチン化pMHC単量体を使用して、確立された技術に従って四量体化する。この共有結合的コンジュゲーションは、チオエーテル結合形成を含むが、これに限定されない、多くのコンジュゲーション化学に由来し得る。 全ての他のコンジュゲートは、ビオチン化オリゴとストレプトアビジンとの間の非共有結合的連結を利用する。左から2番目のバーコード化pMHC多量体は、1:1の比率で精製されたストレプトアビジン-オリゴコンジュゲート(1b)で構成されており、その後、これをpMHC三量体化する。左から3番目のバーコード化pMHC多量体は、1:2の比率で精製されたストレプトアビジン-オリゴコンジュゲート(2b)で構成されており、その後、これをpMHC二量体化する。一番右のバーコード化pMHC多量体は、1:3の比率で精製されたストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートで構成されており、その後、これをpMHC単量体と組み合わせて、1:1のストレプトアビジン:単量体モル比を得る。異なる色で色付けしたオリゴは、各多量体種の異なるバーコード配列を表す。下部の三角形は、各多量体化コンジュゲートの予測TCR-pMHC結合力を描写し、ここで、4つの単量体>3つの単量体>2つの単量体>1つの単量体である。
図6A-C】図6は、バーコード化pMHC多量体検出の方法論を描写する4つのパネル(図6A図6D)を含む。図6Aでは、フルオロフォア含有ストレプトアビジン(例えば、PE-ストレプトアビジン)を、オリゴへのさらなるコンジュゲーションの開始点として使用する。図6Bでは、コンジュゲートされたオリゴに対して相補的なフルオロフォアタグ付けオリゴを、pMHCバーコード化オリゴにアニーリングする。このアニーリングオリゴの長さは変化し得る。図6Cでは、フルオロフォア標識抗ストレプトアビジン抗体を使用して、バーコード化pMHC多量体を検出する。使用するフルオロフォアの化学種には、蛍光色素および量子ドットが含まれ得るが、これらに限定されない。オリゴが非共有結合的に連結されたバーコード化pMHC多量体種もこれらの方法を使用して検出することができる。図6Dは、異なるpMHC多量体種(同じペプチドを含む)を、抗ストレプトアビジン抗体を含む異なる蛍光色素で別個に標識する可能性を図解する。図6A図6C中の3つの蛍光標識技法のうちのいずれも適用することができる。このようにして、異なるTCRを、フローサイトメトリーを使用して、この特定のpMHCタンパク質複合体に対するそれらの結合力についてスクリーニングすることができる。この特定の状況では、4単量体pMHC多量体(四量体)は、共有結合的にコンジュゲートされたオリゴを必要とせず、非共有結合しているオリゴを利用するpMHC多量体種は、必要とされるものが全て、オリゴがビオチン結合部位(複数可)をブロックするためのものである場合、異なるオリゴバーコード配列を必要としない。図14に概説されるように、他のビオチン化分子を理論的に使用して、ビオチン結合部位をブロックすることができる。
図6D図6は、バーコード化pMHC多量体検出の方法論を描写する4つのパネル(図6A図6D)を含む。図6Aでは、フルオロフォア含有ストレプトアビジン(例えば、PE-ストレプトアビジン)を、オリゴへのさらなるコンジュゲーションの開始点として使用する。図6Bでは、コンジュゲートされたオリゴに対して相補的なフルオロフォアタグ付けオリゴを、pMHCバーコード化オリゴにアニーリングする。このアニーリングオリゴの長さは変化し得る。図6Cでは、フルオロフォア標識抗ストレプトアビジン抗体を使用して、バーコード化pMHC多量体を検出する。使用するフルオロフォアの化学種には、蛍光色素および量子ドットが含まれ得るが、これらに限定されない。オリゴが非共有結合的に連結されたバーコード化pMHC多量体種もこれらの方法を使用して検出することができる。図6Dは、異なるpMHC多量体種(同じペプチドを含む)を、抗ストレプトアビジン抗体を含む異なる蛍光色素で別個に標識する可能性を図解する。図6A図6C中の3つの蛍光標識技法のうちのいずれも適用することができる。このようにして、異なるTCRを、フローサイトメトリーを使用して、この特定のpMHCタンパク質複合体に対するそれらの結合力についてスクリーニングすることができる。この特定の状況では、4単量体pMHC多量体(四量体)は、共有結合的にコンジュゲートされたオリゴを必要とせず、非共有結合しているオリゴを利用するpMHC多量体種は、必要とされるものが全て、オリゴがビオチン結合部位(複数可)をブロックするためのものである場合、異なるオリゴバーコード配列を必要としない。図14に概説されるように、他のビオチン化分子を理論的に使用して、ビオチン結合部位をブロックすることができる。
図7】免疫エピトープ結合力監視のためのバーコード化pMHC多量体を使用した応用例を図解する。腫瘍由来変異遺伝子コードタンパク質は、TCR配列決定研究のためにペプチドタイリングされる。この描写では、その同じ変異タンパク質由来の2つの重複するペプチドアミノ酸配列(数字で描写している)は、示されるように、ビオチン化MHC(同じMHC対立遺伝子)と個別に複合体形成され、その後、バーコード化ストレプトアビジンコンジュゲートと複合体形成される。pMHCにかかわらず、全てのコンジュゲートタイプのオリゴ配列は、それらを区別する一意のバーコード配列を含むであろう(ストレプトアビジンに結合した色付けした線で表している)。バーコード化pMHC多量体を試料と一緒に混合する。TCRアルファおよびベータ配列を単一細胞RNA配列決定により得て、同族pMHC多量体型と対にする。一例として、これらのコンジュゲートを使用した1つの研究は、緑色ペプチド-MHC複合体または赤色ペプチド-MHC複合体が相互に結合したTCR配列に対してより高い結合力を有するかを決定することができる。
図8】バーコード化pMHC多量体免疫エピトープ結合力監視の別の応用例を図解する。この仮説上の実施例では、バイアルは、1:1、1:2、または1:3のストレプトアビジン:オリゴ比で構成されたバーコード化pMHC多量体種の定義された混合物を含み、これは、それぞれ、1:3、1:2、および1:1のストレプトアビジン:pMHC単量体モル比として定義することもできる。コンジュゲート種のオリゴは、それらを区別する一意のバーコード配列を含む(異なる色で色づけした配列)。TCR-pMHC結合力が腫瘍微小環境内で減弱するといわれているため、これらのバーコード化pMHC多量体コンジュゲート種が、治療の過程、例えば、免疫チェックポイント遮断(ICB)療法中にTCR結合力の増加または減少を実証することができるであろうと予測される。提供される実施例では、1つおよび2つのpMHC単量体を含む多量体のより高いリードカウントによって証明されるように、同族pMHC複合体でのICB処理後のT細胞の結合力は増加する。
図9】NGSによる検出のための非共有結合バーコード化pMHC多量体の生成を描写する。ビオチン化オリゴ(pMHC多量体特異的バーコードを含む)をストレプトアビジン(またはストレプトアビジン-フルオロフォアコンジュゲート)と0.5~1.0:1のオリゴ:ストレプトアビジン比で混合する。1:1のストレプトアビジン:オリゴコンジュゲートをHPLCにより精製し、これにより、未反応ストレプトアビジン、未反応ビオチン化オリゴ、および異なるストレプトアビジン:オリゴ比のコンジュゲートを除去する。その後、コンジュゲートをビオチン化pMHC単量体で多量体化する。最終生成物は、各ストレプトアビジンが1つのオリゴおよび3つのpMHC単量体を有するバーコード化pMHC三量体である。1:2および1:3のストレプトアビジン:オリゴ比からなるコンジュゲートを作製する際にも同じ概念を使用する。
図10】異なる単量体比のバーコード化pMHC多量体が、十分高い濃度で使用した場合、かつ中程度の結合力のTCRを検出した場合、T細胞を同様に検出することができることを示す。ストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートを、ビオチン化オリゴをストレプトアビジンに1:1または1:2のストレプトアビジン:オリゴ比で連結することによって製造した。ストレプトアビジンのみを対照として使用し、これは、図の下部の説明文に描写したように、1ストレプトアビジン(四量体)あたり4つのpMHC単量体を有した。1:1のストレプトアビジン:オリゴコンジュゲートが3つの単量体を含んだ一方で、1:2のストレプトアビジン:オリゴコンジュゲートは2つの単量体を含んだ。この実験のために、全てのバーコード化コンジュゲートのオリゴを同じ69merのヌクレオチド配列で構成した。左の3つの列は、CMV pp65ペプチドと複合体形成し、その後、1つのオリゴを有するストレプトアビジンまたは2つのオリゴを有するストレプトアビジンのいずれかのストレプトアビジンで多量体化したHLA-A*11:01 MHC Iを使用した多量体染色を描写する。中央の3つの列は、EBV 399-408ペプチドと複合体形成したHLA-A*11:01 MHC Iを使用した多量体染色を描写する。右の3つの列は、EBV 416-424ペプチドと複合体形成したHLA-A*11:01 MHC Iを使用した多量体染色を描写する。各染色に使用したストレプトアビジンの量を行の一番左側に示している。多量体陽性染色パーセントを各ボックス内に示している。事前にペプチドで増殖させた細胞を、抗CD3、抗CD8、生/死色素、ならびに非フルオロフォアバーコード化pMHC多量体(または四量体)での染色のために利用した。二次染色を、pMHC多量体を検出することができるように、抗ストレプトアビジン-PEで構成した。フローサイトメトリゲート説明文を図の上部に示す。
図11】異なるオリゴおよび単量体比率のバーコード化pMHC多量体がpMHC-TCR結合力を区別することができることを図解する。ストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートを、共有結合(チオエーテル結合)を介してオリゴをストレプトアビジンに共有結合的に連結するか、または様々なストレプトアビジン:オリゴ比でビオチン化オリゴをストレプトアビジンに連結するかのいずれかによって製造した。この実験のために、全てのコンジュゲートのオリゴを同じ46merのヌクレオチド配列で構成した。共有結合コンジュゲートは、4つ全てのビオチン結合部位が利用可能な1つのオリゴにコンジュゲートされた1つのストレプトアビジン分子を示す。1bコンジュゲートは、3つのビオチン結合部位が残っている1つのビオチン化オリゴに連結された1つのストレプトアビジンを示す。2bコンジュゲートは、2つのビオチン結合部位が残っている2つのビオチン化オリゴに連結された1つのストレプトアビジンを示す。3bコンジュゲートは、1つのビオチン結合部位が残っている3つのビオチン化オリゴに連結された1つのストレプトアビジンを示す。H-2Kbビオチン化単量体(MBLI)を、高親和性SIINFEKLペプチドまたは低親和性SIIVFEKLペプチドのいずれかと複合体形成した。この場合の親和性は、MHCとのペプチド相互作用ではなく、pMHC複合体とトランスジェニックOT-I TCRとの間の相互作用強度を指す。この場合の結合力は、複数のpMHCがTCR結合評価に関与する場合の組み合わせた親和性を指す。 pMHC分子をストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートと複合体形成して、バーコード化pMHC多量体を生成した。OT-I脾細胞を、様々なストレプトアビジン量(1番目の行0.25ug、2番目の行0.1ug、3番目の行0.025ug)の様々なバーコード化H-2Kbバーコード化pMHC多量体種で染色した。共有結合コンジュゲートを、1つのストレプトアビジンに対して4つの単量体のモル比を使用してpMHC四量体化した。1bコンジュゲートを、1つのストレプトアビジンに対して3つの単量体のモル比を使用してpMHC三量体化した。2bコンジュゲートを、1つのストレプトアビジンに対して2つの単量体のモル比を使用してpMHC二量体化した。3bコンジュゲートを、1つのストレプトアビジンに対して1つの単量体のモル比を使用してpMHCコンジュゲートした。細胞を、抗CD3、抗CD8、生/死色素、およびそれぞれの非フルオロフォアバーコード化pMHC多量体種で同時に染色した。二次染色を、pMHC多量体を検出するために、抗ストレプトアビジン-PEで構成した。フローサイトメトリゲート説明文を図の上部に示す。pMHC多量体陽性染色パーセントを、低強度、中程度の強度、または高強度のいずれかで各ボックス内に示している。
図12】pMHC対TCR結合力を区別するためにpMHC占有率の異なるバーコード化pMHC多量体を使用した仮説上の実験結果を図解する。仮説上の実験環境下でOT-I脾細胞(左側)と混合したSIINFEKLおよびSIIVFEKLペプチド由来バーコード化pMHC多量体を描写している。各多量体種の比率を実験目標に基づいて調整することができる。あるいは、細胞のアリコートを、SIINFEKLまたはSIIVFEKLバーコード化pMHC多量体のいずれかと別個にインキュベートすることができる。各多量体種は、それ自体を他の多量体種と区別するために一意のバーコード配列を有するであろう。FACS選別を、液滴ベースの単一細胞配列決定または他の単一細胞配列決定プラットフォーム(中央)の前に使用することができる。予測バーコードリード頻度を右側に示している。この場合、高親和性/結合力SIINFEKLベースのpMHCバーコードリードが全ての単量体種で優位になる一方で、低親和性/結合力SIIVFEKLベースのpMHCバーコードリードは、4つの単量体種でのみ現れる可能性が高い。この特定の状況では、ペプチド毎に4つの単量体ベースのpMHC多量体種のみの使用(SIINFEKL対SIIVFEKL)が、どのpMHC複合体がこの特定のTCRに対してより高い結合力を有するものであるかを決定するのに十分であろう。しかしながら、結合力分散がよりわずかであり、かつ異なるTCRが関与する場合、pMHCバーコード化種の使用により結合力の違いが明らかになる可能性がある。
図13】バーコード化pMHC多量体を直接コンジュゲートされたフルオロフォアを用いて生成することができることを示す。ストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートを、チオエーテル結合を介してオリゴストレプトアビジンを共有結合的に連結する(Cov)か、またはビオチン化オリゴをストレプトアビジンに1:1のストレプトアビジン:オリゴ比で連結する(1b)かのいずれかによって製造した。加えて、ストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートを含むフルオロフォア(Alexa Fluor 647)を製造した。この場合、AF647を最初にストレプトアビジンに直接コンジュゲートし、その後、オリゴをストレプトアビジンに直接コンジュゲートした。この実験のために、コンジュゲートを同じ69merのヌクレオチド配列で構成した。共有結合コンジュゲートは、4つ全てのビオチン結合部位が利用可能な1つのオリゴにコンジュゲートされた1つのストレプトアビジン分子を示す。1bコンジュゲートは、3つのビオチン結合部位が残っている1つのビオチン化オリゴにコンジュゲートされた1つのストレプトアビジンを示す。コンジュゲートを、指示した比率で、HLA-A*02:01単量体を含むビオチン化CMV pp65 NLVPMVATVペプチドまたは陰性対照HLA-A*02:01単量体(MBLI)のいずれかで多量体化した。CMV pp65ペプチド(NLVPMVATV)で事前に増殖させたヒトHLA-A*02:01 PBMCをコンジュゲートでの染色に使用した。細胞を、抗CD3、抗CD8、生/死色素、およびバーコード化pMHC多量体で染色した。中央列の試料を、対照としてMBLIから市販されているCMV pp65 HLA-A*02:01 PE四量体で染色した。フルオロフォアを欠くコンジュゲートを含む試料を、抗SA-PEで二次的に染色した。フローサイトメトリゲート説明文を図の上部に示す。pMHC多量体陽性染色パーセントを各ボックス内に示している。
図14】バーコード化pMHC多量体種を作製するための代替方法を示す。描写した全てのコンジュゲート種は、共有結合的連結(例えば、チオエーテル結合)を介して1ストレプトアビジンあたり1つのオリゴを有する。実際の実験環境下では、各コンジュゲート種(4、3、2、または1つの単量体(複数可))は、異なる色で描写した一意のバーコード配列を有するであろう。ビオチン化ペプチド、ビオチン化タンパク質、ビオチン化脂質、ビオチン化フルオロフォア、ビオチン化ポリマー、または切断可能なビオチン化オリゴ(全ての可能性を紫色で包括的に描写している)を、ストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートと最適化比率でインキュベートし、HPLC精製して、所望のビオチン結合占有率にする。その後、これらの精製したコンジュゲートをビオチン化pMHC単量体で多量体化し、これにより、1ストレプトアビジンあたり完全なビオチン結合部位占有率がもたらされる。下部の三角形は、各多量体化コンジュゲートの予測TCR-pMHC結合力を描写し、ここで、4つの単量体>3つの単量体>2つの単量体>1つの単量体である。
図15】免疫エピトープ優性分析のためのバルクpMHC多量体バーコード配列決定を描写する。この実施形態では、バーコード化pMHC多量体(異なる色で色付けした線を有する星)を、磁気ビーズ分離またはFACSなどの濃縮を使用してまたは使用せずに、細胞から定量する。示される実施例では、5つの異なるgp100ペプチドが別個のバーコード化pMHC多量体に作製されており、ここで、各gp100ペプチド/MHC複合体が一意の多量体バーコード(異なる色で表している)と会合している。バーコード化pMHC多量体は、共有結合的に連結されたオリゴまたは非共有結合的に連結されたオリゴのいずれかを利用することができる。オリゴはライブラリ調製および配列決定のために処理されるであろう。小さいバーコード化オリゴライブラリ(例えば、8以下)を必要とする用途の場合、配列決定を使用することなく、pMHC多量体バーコード定量を確認することができる。pMHC多量体の領域に対して相補的な蛍光標識オリゴを事前にアニーリングした後に、細胞とインキュベートすることができる。各バーコード化pMHC多量体タイプを別個のフルオロフォア含有オリゴにアニーリングした後に、細胞とインキュベートし、その後、フローサイトメトリーを行う。例えば、gp100#1ペプチドおよび関連オリゴ配列を含むpMHC多量体を相補的AlexaFluor488-オリゴに事前にアニーリングし、gp100#2ペプチドおよび関連オリゴ配列を含むpMHC多量体を相補的AlexaFluor532-オリゴに事前にアニールするといった具合である。
図16】NGSベースの単一細胞配列決定プラットフォームを有するバーコード化pMHC多量体の使用を図解する。標的細胞に結合したバーコード化pMHC多量体(この実施例では共有結合オリゴ)を単一液滴中に捕捉する。大半の個々の液滴が、標的オリゴを含有する粒子に加えて、1つのT細胞/バーコード化pMHC複合体を含む。この実施例では、バーコード化オリゴはポリ-Aを含有する。オリゴおよびT細胞mRNAの両方をさらなるライブラリ調製のために逆転写する。任意に、オリゴとストレプトアビジンとの間の切断可能な結合(UVまたはジスルフィド)を、オリゴのストレプトアビジンへのコンジュゲーション中に導入することができる。具体的には、ジスルフィド結合は、溶解緩衝液の還元環境のため、液滴中で解離する。
図17A-B】図17は、TCRおよびpMHC複合体リードを特異的に配列決定するためのTCR遺伝子座を標的とするバーコード化pMHC多量体を示す8つのパネル(図17A図17H)を含む。バルク配列決定および液滴ベースのNGSプラットフォームにおけるオリゴ設計の代替案は、pMHC複合体の同一性も維持しながら所望の内因性mRNA転写物を標的とするオリゴを有することである。対応するpMHC同一性に加えて、TCRクローン性または単一細胞TCRレパートリーを特異的に調べるためのバーコード化pMHC多量体の様々な設計を描写している。これらの設計は、pMHCバーコードに加えてTCR転写物を1リードで配列決定することを可能にする。PCRハンドルは、PCRプライマーが増幅のために結合する領域を伴う。バーコード(BC)は、pMHC複合体を特定するヌクレオチド配列を表す。TCR相補的配列(TCR相補的)は、TCR定常遺伝子に対して相補的である。TCR相補的配列は、逆転写中のプライマーとしての役割を果たす。 図17Aでは、バーコード化オリゴがストレプトアビジンに共有結合的に連結されて、バーコード化四量体を作製している。このバーコード化四量体は、TCRβ定常領域遺伝子に対して相補的な3’配列を含む。TCRβ定常遺伝子オリゴ配列は、5’末端(それぞれのJ遺伝子に最も近い)にある2つの定常遺伝子間に有意な配列類似性があるため、TCRβ定常1遺伝子およびTCRβ定常2遺伝子の両方に対して相補的である。その後、精製したバーコード化ストレプトアビジンコンジュゲートをpMHCで四量体化する。一意の分子識別子(UMI)も下流PCR重複除去のために四量体バーコードに隣接して配置することができ、それ故に、より正確なpMHC結合定量を行うことができる。TCRβを標的とするオリゴのみを使用して、TCRクローン性を研究することができる。あるいは、TCRα定常遺伝子を標的とするオリゴを単独で使用することができる(描写せず)。 図17Bでは、A由来の精製ストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートを、TCRα定常遺伝子を標的とする共有結合オリゴを含むようにさらに修飾する。この構築物は、完全なTCRα/β配列を得るための単一細胞配列決定プラットフォームに好適であろう(図17D~Hについても同じ)。その後、この二重オリゴストレプトアビジンコンジュゲートを四量体化する。 図17Cでは、TCRβを標的とするビオチン化オリゴをストレプトアビジンに非共有結合し、精製し、その後、ビオチン化pMHC単量体で三量体化する。 図17Dでは、C由来の精製TCRβコンジュゲートを、TCRαを標的とするビオチン化オリゴを非共有結合することによってさらに修飾し、精製し、その後、ビオチン化pMHC単量体で二量体化する。 図17Eでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含み、かつ両末端をビオチン化した単一のオリゴを使用する。所望のコンジュゲートを精製し、ビオチン化pMHC単量体で二量体化する。この代替オリゴ設計は、二分間に切断可能な(UVまたはジスルフィド)結合を含むであろう。 図17Fでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含む両末端をビオチン化した単一のオリゴを使用する。正しいサイズのストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートを精製し、ビオチン化pMHC単量体で2回三量体化し、それにより、1オリゴあたり合計6つのpMHC単量体を得た。図17Eと同様に、この設計を、二分間に切断可能な(UVまたはジスルフィド)結合を含むようにさらに増強することができる。 図17Gでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含む単一のオリゴをストレプトアビジンに共有結合する。精製したコンジュゲートをビオチン化pMHC単量体で四量体化する。図17Eおよび図17Fと同様に、このコンジュゲートは切断可能な結合を含み得る。 図17Hでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含む単一のビオチン化オリゴをストレプトアビジンに非共有結合する。精製したコンジュゲートをビオチン化pMHC単量体で三量体化する。図17E~Gと同様に、このコンジュゲートは切断可能な結合を含み得る。
図17C-D】図17は、TCRおよびpMHC複合体リードを特異的に配列決定するためのTCR遺伝子座を標的とするバーコード化pMHC多量体を示す8つのパネル(図17A図17H)を含む。バルク配列決定および液滴ベースのNGSプラットフォームにおけるオリゴ設計の代替案は、pMHC複合体の同一性も維持しながら所望の内因性mRNA転写物を標的とするオリゴを有することである。対応するpMHC同一性に加えて、TCRクローン性または単一細胞TCRレパートリーを特異的に調べるためのバーコード化pMHC多量体の様々な設計を描写している。これらの設計は、pMHCバーコードに加えてTCR転写物を1リードで配列決定することを可能にする。PCRハンドルは、PCRプライマーが増幅のために結合する領域を伴う。バーコード(BC)は、pMHC複合体を特定するヌクレオチド配列を表す。TCR相補的配列(TCR相補的)は、TCR定常遺伝子に対して相補的である。TCR相補的配列は、逆転写中のプライマーとしての役割を果たす。 図17Aでは、バーコード化オリゴがストレプトアビジンに共有結合的に連結されて、バーコード化四量体を作製している。このバーコード化四量体は、TCRβ定常領域遺伝子に対して相補的な3’配列を含む。TCRβ定常遺伝子オリゴ配列は、5’末端(それぞれのJ遺伝子に最も近い)にある2つの定常遺伝子間に有意な配列類似性があるため、TCRβ定常1遺伝子およびTCRβ定常2遺伝子の両方に対して相補的である。その後、精製したバーコード化ストレプトアビジンコンジュゲートをpMHCで四量体化する。一意の分子識別子(UMI)も下流PCR重複除去のために四量体バーコードに隣接して配置することができ、それ故に、より正確なpMHC結合定量を行うことができる。TCRβを標的とするオリゴのみを使用して、TCRクローン性を研究することができる。あるいは、TCRα定常遺伝子を標的とするオリゴを単独で使用することができる(描写せず)。 図17Bでは、A由来の精製ストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートを、TCRα定常遺伝子を標的とする共有結合オリゴを含むようにさらに修飾する。この構築物は、完全なTCRα/β配列を得るための単一細胞配列決定プラットフォームに好適であろう(図17D~Hについても同じ)。その後、この二重オリゴストレプトアビジンコンジュゲートを四量体化する。 図17Cでは、TCRβを標的とするビオチン化オリゴをストレプトアビジンに非共有結合し、精製し、その後、ビオチン化pMHC単量体で三量体化する。 図17Dでは、C由来の精製TCRβコンジュゲートを、TCRαを標的とするビオチン化オリゴを非共有結合することによってさらに修飾し、精製し、その後、ビオチン化pMHC単量体で二量体化する。 図17Eでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含み、かつ両末端をビオチン化した単一のオリゴを使用する。所望のコンジュゲートを精製し、ビオチン化pMHC単量体で二量体化する。この代替オリゴ設計は、二分間に切断可能な(UVまたはジスルフィド)結合を含むであろう。 図17Fでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含む両末端をビオチン化した単一のオリゴを使用する。正しいサイズのストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートを精製し、ビオチン化pMHC単量体で2回三量体化し、それにより、1オリゴあたり合計6つのpMHC単量体を得た。図17Eと同様に、この設計を、二分間に切断可能な(UVまたはジスルフィド)結合を含むようにさらに増強することができる。 図17Gでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含む単一のオリゴをストレプトアビジンに共有結合する。精製したコンジュゲートをビオチン化pMHC単量体で四量体化する。図17Eおよび図17Fと同様に、このコンジュゲートは切断可能な結合を含み得る。 図17Hでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含む単一のビオチン化オリゴをストレプトアビジンに非共有結合する。精製したコンジュゲートをビオチン化pMHC単量体で三量体化する。図17E~Gと同様に、このコンジュゲートは切断可能な結合を含み得る。
図17E-F】図17は、TCRおよびpMHC複合体リードを特異的に配列決定するためのTCR遺伝子座を標的とするバーコード化pMHC多量体を示す8つのパネル(図17A図17H)を含む。バルク配列決定および液滴ベースのNGSプラットフォームにおけるオリゴ設計の代替案は、pMHC複合体の同一性も維持しながら所望の内因性mRNA転写物を標的とするオリゴを有することである。対応するpMHC同一性に加えて、TCRクローン性または単一細胞TCRレパートリーを特異的に調べるためのバーコード化pMHC多量体の様々な設計を描写している。これらの設計は、pMHCバーコードに加えてTCR転写物を1リードで配列決定することを可能にする。PCRハンドルは、PCRプライマーが増幅のために結合する領域を伴う。バーコード(BC)は、pMHC複合体を特定するヌクレオチド配列を表す。TCR相補的配列(TCR相補的)は、TCR定常遺伝子に対して相補的である。TCR相補的配列は、逆転写中のプライマーとしての役割を果たす。 図17Aでは、バーコード化オリゴがストレプトアビジンに共有結合的に連結されて、バーコード化四量体を作製している。このバーコード化四量体は、TCRβ定常領域遺伝子に対して相補的な3’配列を含む。TCRβ定常遺伝子オリゴ配列は、5’末端(それぞれのJ遺伝子に最も近い)にある2つの定常遺伝子間に有意な配列類似性があるため、TCRβ定常1遺伝子およびTCRβ定常2遺伝子の両方に対して相補的である。その後、精製したバーコード化ストレプトアビジンコンジュゲートをpMHCで四量体化する。一意の分子識別子(UMI)も下流PCR重複除去のために四量体バーコードに隣接して配置することができ、それ故に、より正確なpMHC結合定量を行うことができる。TCRβを標的とするオリゴのみを使用して、TCRクローン性を研究することができる。あるいは、TCRα定常遺伝子を標的とするオリゴを単独で使用することができる(描写せず)。 図17Bでは、A由来の精製ストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートを、TCRα定常遺伝子を標的とする共有結合オリゴを含むようにさらに修飾する。この構築物は、完全なTCRα/β配列を得るための単一細胞配列決定プラットフォームに好適であろう(図17D~Hについても同じ)。その後、この二重オリゴストレプトアビジンコンジュゲートを四量体化する。 図17Cでは、TCRβを標的とするビオチン化オリゴをストレプトアビジンに非共有結合し、精製し、その後、ビオチン化pMHC単量体で三量体化する。 図17Dでは、C由来の精製TCRβコンジュゲートを、TCRαを標的とするビオチン化オリゴを非共有結合することによってさらに修飾し、精製し、その後、ビオチン化pMHC単量体で二量体化する。 図17Eでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含み、かつ両末端をビオチン化した単一のオリゴを使用する。所望のコンジュゲートを精製し、ビオチン化pMHC単量体で二量体化する。この代替オリゴ設計は、二分間に切断可能な(UVまたはジスルフィド)結合を含むであろう。 図17Fでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含む両末端をビオチン化した単一のオリゴを使用する。正しいサイズのストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートを精製し、ビオチン化pMHC単量体で2回三量体化し、それにより、1オリゴあたり合計6つのpMHC単量体を得た。図17Eと同様に、この設計を、二分間に切断可能な(UVまたはジスルフィド)結合を含むようにさらに増強することができる。 図17Gでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含む単一のオリゴをストレプトアビジンに共有結合する。精製したコンジュゲートをビオチン化pMHC単量体で四量体化する。図17Eおよび図17Fと同様に、このコンジュゲートは切断可能な結合を含み得る。 図17Hでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含む単一のビオチン化オリゴをストレプトアビジンに非共有結合する。精製したコンジュゲートをビオチン化pMHC単量体で三量体化する。図17E~Gと同様に、このコンジュゲートは切断可能な結合を含み得る。
図17G-H】図17は、TCRおよびpMHC複合体リードを特異的に配列決定するためのTCR遺伝子座を標的とするバーコード化pMHC多量体を示す8つのパネル(図17A図17H)を含む。バルク配列決定および液滴ベースのNGSプラットフォームにおけるオリゴ設計の代替案は、pMHC複合体の同一性も維持しながら所望の内因性mRNA転写物を標的とするオリゴを有することである。対応するpMHC同一性に加えて、TCRクローン性または単一細胞TCRレパートリーを特異的に調べるためのバーコード化pMHC多量体の様々な設計を描写している。これらの設計は、pMHCバーコードに加えてTCR転写物を1リードで配列決定することを可能にする。PCRハンドルは、PCRプライマーが増幅のために結合する領域を伴う。バーコード(BC)は、pMHC複合体を特定するヌクレオチド配列を表す。TCR相補的配列(TCR相補的)は、TCR定常遺伝子に対して相補的である。TCR相補的配列は、逆転写中のプライマーとしての役割を果たす。 図17Aでは、バーコード化オリゴがストレプトアビジンに共有結合的に連結されて、バーコード化四量体を作製している。このバーコード化四量体は、TCRβ定常領域遺伝子に対して相補的な3’配列を含む。TCRβ定常遺伝子オリゴ配列は、5’末端(それぞれのJ遺伝子に最も近い)にある2つの定常遺伝子間に有意な配列類似性があるため、TCRβ定常1遺伝子およびTCRβ定常2遺伝子の両方に対して相補的である。その後、精製したバーコード化ストレプトアビジンコンジュゲートをpMHCで四量体化する。一意の分子識別子(UMI)も下流PCR重複除去のために四量体バーコードに隣接して配置することができ、それ故に、より正確なpMHC結合定量を行うことができる。TCRβを標的とするオリゴのみを使用して、TCRクローン性を研究することができる。あるいは、TCRα定常遺伝子を標的とするオリゴを単独で使用することができる(描写せず)。 図17Bでは、A由来の精製ストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートを、TCRα定常遺伝子を標的とする共有結合オリゴを含むようにさらに修飾する。この構築物は、完全なTCRα/β配列を得るための単一細胞配列決定プラットフォームに好適であろう(図17D~Hについても同じ)。その後、この二重オリゴストレプトアビジンコンジュゲートを四量体化する。 図17Cでは、TCRβを標的とするビオチン化オリゴをストレプトアビジンに非共有結合し、精製し、その後、ビオチン化pMHC単量体で三量体化する。 図17Dでは、C由来の精製TCRβコンジュゲートを、TCRαを標的とするビオチン化オリゴを非共有結合することによってさらに修飾し、精製し、その後、ビオチン化pMHC単量体で二量体化する。 図17Eでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含み、かつ両末端をビオチン化した単一のオリゴを使用する。所望のコンジュゲートを精製し、ビオチン化pMHC単量体で二量体化する。この代替オリゴ設計は、二分間に切断可能な(UVまたはジスルフィド)結合を含むであろう。 図17Fでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含む両末端をビオチン化した単一のオリゴを使用する。正しいサイズのストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートを精製し、ビオチン化pMHC単量体で2回三量体化し、それにより、1オリゴあたり合計6つのpMHC単量体を得た。図17Eと同様に、この設計を、二分間に切断可能な(UVまたはジスルフィド)結合を含むようにさらに増強することができる。 図17Gでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含む単一のオリゴをストレプトアビジンに共有結合する。精製したコンジュゲートをビオチン化pMHC単量体で四量体化する。図17Eおよび図17Fと同様に、このコンジュゲートは切断可能な結合を含み得る。 図17Hでは、TCRβ標的配列およびTCRα標的配列の両方を含む単一のビオチン化オリゴをストレプトアビジンに非共有結合する。精製したコンジュゲートをビオチン化pMHC単量体で三量体化する。図17E~Gと同様に、このコンジュゲートは切断可能な結合を含み得る。
図18A図18は、FACS選別単一細胞TCRクローン性または対形成TCRα/β配列決定で使用したTCR遺伝子座を標的とするバーコード化pMHC多量体を示す。図解のために、いくつかの設計のみを示しているが、前の図からのいずれのバーコード化pMHC多量体設計も潜在的に使用することができる。 TCRβ定常遺伝子を標的とするオリゴを含むバーコード化四量体を左側に描写している。あるいは、TCRα定常遺伝子を標的とするオリゴを使用することができるか、またはそれらの両方を前述の図に記載の設計と一緒に使用することができる。これらの相補的TCRα/βオリゴ配列は、内因性TCRα/β mRNA転写物の逆転写プライマーとしての役割を果たす。細胞選別用途においてTCRを標的とするバーコード化pMHC多量体を用いるために、蛍光を図6に記載されるように組み込むことができる。T細胞を最初に単一細胞選別し、ウェル内で逆転写した後、クローン性試験のために単一管内でバルク処理する。T細胞番号1は、バーコード配列番号1を含むバーコード化pMHC多量体によって結合されており、T細胞番号2は、バーコード配列番号2を含むバーコード化pMHC多量体によって結合されている。右側に、バーコード化pMHC多量体は、前述の図に記載されるように、TCRα標的配列およびβ標的配列の両方を有する。T細胞を単一細胞選別し、個々のプレートウェル、この場合、96ウェルプレート内で処理する。クローン性研究により、研究者が所与のpMHC複合体のTCR使用の幅を理解することが可能になる。TCRαバーコード化オリゴおよびTCRβバーコード化オリゴの両方を使用する場合のバルク配列決定の欠点は、TCRα配列とTCRβ配列を対にすることができないことである。この難題を克服するために、T細胞を右側に示すように処理することができ、これにより、TCRα配列とTCRβ配列の対形成が可能になる。 ライブラリ調製戦略を以下に記載し、前述の図から発展させる: i)単一選別T細胞を逆転写し、その後、バルク処理する。RNase処理後に、架橋アダプターをライゲートする。架橋アダプターは、全ての逆転写遺伝子に共通である。その後のPCR増幅により、最終的なライブラリ調製がもたらされる。 ii)単一選別細胞をSMARTScribe RT(Clontech)によって逆転写する。SMARTer第1鎖合成およびRT鋳型スイッチにより、5’-RACE Ready cDNAが得られる。バルクにおけるその後のPCR増幅により、最終的なライブラリ調製がもたらされる。 iii)単一細胞選別T細胞を溶解し、ウェル内RT、ウェル内RNase処理、その後、ウェル内架橋アダプターライゲーションに供する。架橋アダプター上流配列は全てのウェルに共通であるが、全てのウェルはTCR配列に最も近い部位で一意の細胞バーコードを有する架橋アダプターを受け取る。この方法論の主な利点は、同じ細胞由来のTCRα配列とTCRβ配列を対にすることができ、これにより、個々のT細胞の完全なTCR配列を確認することができるようになることである。ライゲートした転写物を、共通プライマーを使用してその後のPCR増幅のためにプールして、最終的なライブラリ調製がもたらされる。 iv)単一選別T細胞を溶解し、ウェル内SMARTScribe RT(Clontech)に供する。SMARTer第1鎖合成およびRT鋳型スイッチにより、5’-RACE Ready cDNAが得られる。各ウェルを個別にバーコード化するために、ウェル内PCR増幅を、SMARTerIIA結合配列の上流に一意の細胞バーコード配列を有するSMARTerIIAオリゴに対して相補的なフォワードプライマーを使用して実行する。これにより、転写物を個々のウェルから区別する。フォワードプライマーの5’末端で、共通のプライミング部位(すなわちi5配列)が試料プールを可能にする。共通のプライマーを使用してプールしたPCR増幅により、最終的なライブラリ調製がもたらされる。iiiと同様に、この方法論の主な利点は、同じ細胞由来のTCRα配列とTCRβ配列を対にすることができることである。
図18B図18は、FACS選別単一細胞TCRクローン性または対形成TCRα/β配列決定で使用したTCR遺伝子座を標的とするバーコード化pMHC多量体を示す。図解のために、いくつかの設計のみを示しているが、前の図からのいずれのバーコード化pMHC多量体設計も潜在的に使用することができる。 TCRβ定常遺伝子を標的とするオリゴを含むバーコード化四量体を左側に描写している。あるいは、TCRα定常遺伝子を標的とするオリゴを使用することができるか、またはそれらの両方を前述の図に記載の設計と一緒に使用することができる。これらの相補的TCRα/βオリゴ配列は、内因性TCRα/β mRNA転写物の逆転写プライマーとしての役割を果たす。細胞選別用途においてTCRを標的とするバーコード化pMHC多量体を用いるために、蛍光を図6に記載されるように組み込むことができる。T細胞を最初に単一細胞選別し、ウェル内で逆転写した後、クローン性試験のために単一管内でバルク処理する。T細胞番号1は、バーコード配列番号1を含むバーコード化pMHC多量体によって結合されており、T細胞番号2は、バーコード配列番号2を含むバーコード化pMHC多量体によって結合されている。右側に、バーコード化pMHC多量体は、前述の図に記載されるように、TCRα標的配列およびβ標的配列の両方を有する。T細胞を単一細胞選別し、個々のプレートウェル、この場合、96ウェルプレート内で処理する。クローン性研究により、研究者が所与のpMHC複合体のTCR使用の幅を理解することが可能になる。TCRαバーコード化オリゴおよびTCRβバーコード化オリゴの両方を使用する場合のバルク配列決定の欠点は、TCRα配列とTCRβ配列を対にすることができないことである。この難題を克服するために、T細胞を右側に示すように処理することができ、これにより、TCRα配列とTCRβ配列の対形成が可能になる。 ライブラリ調製戦略を以下に記載し、前述の図から発展させる: i)単一選別T細胞を逆転写し、その後、バルク処理する。RNase処理後に、架橋アダプターをライゲートする。架橋アダプターは、全ての逆転写遺伝子に共通である。その後のPCR増幅により、最終的なライブラリ調製がもたらされる。 ii)単一選別細胞をSMARTScribe RT(Clontech)によって逆転写する。SMARTer第1鎖合成およびRT鋳型スイッチにより、5’-RACE Ready cDNAが得られる。バルクにおけるその後のPCR増幅により、最終的なライブラリ調製がもたらされる。 iii)単一細胞選別T細胞を溶解し、ウェル内RT、ウェル内RNase処理、その後、ウェル内架橋アダプターライゲーションに供する。架橋アダプター上流配列は全てのウェルに共通であるが、全てのウェルはTCR配列に最も近い部位で一意の細胞バーコードを有する架橋アダプターを受け取る。この方法論の主な利点は、同じ細胞由来のTCRα配列とTCRβ配列を対にすることができ、これにより、個々のT細胞の完全なTCR配列を確認することができるようになることである。ライゲートした転写物を、共通プライマーを使用してその後のPCR増幅のためにプールして、最終的なライブラリ調製がもたらされる。 iv)単一選別T細胞を溶解し、ウェル内SMARTScribe RT(Clontech)に供する。SMARTer第1鎖合成およびRT鋳型スイッチにより、5’-RACE Ready cDNAが得られる。各ウェルを個別にバーコード化するために、ウェル内PCR増幅を、SMARTerIIA結合配列の上流に一意の細胞バーコード配列を有するSMARTerIIAオリゴに対して相補的なフォワードプライマーを使用して実行する。これにより、転写物を個々のウェルから区別する。フォワードプライマーの5’末端で、共通のプライミング部位(すなわちi5配列)が試料プールを可能にする。共通のプライマーを使用してプールしたPCR増幅により、最終的なライブラリ調製がもたらされる。iiiと同様に、この方法論の主な利点は、同じ細胞由来のTCRα配列とTCRβ配列を対にすることができることである。
図19】架橋アダプターを使用したクローン性研究のためのTCRを標的とするバーコード化pMHC多量体ライブラリ調製を図解する。図18(i)に記載されるように、同族T細胞によって結合されたバーコード化pMHC多量体を最初に単一細胞選別し、逆転写し、その後、バルク処理する。ディスプレイのために、TCRβ由来の転写物およびTCRα由来の転写物の両方を示しているが、クローン性研究に使用する必要があるのは1つのみである。図6に記載のフルオロフォア追跡戦略の使用がFACS選別に必要である。ウェル内RT後に、RNase処理、その後、架橋アダプターのライゲーションが続く。バルク配列決定のための架橋アダプター(i5配列)は全ての細胞において同一であり、新たに逆転写されたTCR転写物の3’末端へのライゲーションに必要な5’ホスフェートを架橋アダプターの下部オリゴ上に含む。架橋アダプターは、非ライゲーション鎖の3’末端に6つのランダムヌクレオチドも含み、アダプター結合の安定性を増強する。ライゲーション後、共通のプライマーを用いたPCR増幅により、最終的なライブラリ調製がもたらされる。
図20】SMARTScribe酵素(Clontech)を使用したバルク配列決定のためのTCRを標的とするバーコード化pMHC多量体ライブラリ調製を図解する。図18(ii)に記載されるように、同族T細胞によって結合されたバーコード化pMHC多量体を最初に単一細胞選別し、逆転写し、その後、バルク処理する。ディスプレイのために、TCRβ由来の転写物およびTCRα由来の転写物の両方を示しているが、クローン性研究に使用する必要があるのは1つのみである。図6に記載のフルオロフォア追跡戦略の使用がFACS選別に必要である。SMARTScribe酵素でのウェル内RTは、鋳型スイッチによりSMARTerIIAオリゴ配列を新たに逆転写された転写物の3’末端に付加する。鋳型スイッチ後、共通のプライマーを用いたPCR増幅により、最終的なライブラリ調製がもたらされる。
図21】架橋アダプターを使用した単一細胞対形成TCRα/β配列決定のためのTCRを標的とするバーコード化pMHC多量体ライブラリ調製を図解する。図18(iii)に記載されるように、同族T細胞によって結合されたバーコード化pMHC多量体を個々のウェルに単一細胞選別する。図6に記載のフルオロフォア追跡戦略の使用がFACSに必要である。選別した細胞を溶解し、ウェル内RT、ウェル内RNase処理、その後、ウェル内架橋アダプターライゲーションに供する(単純化のために、ライゲーションステップでは単一のTCR転写物のみを示している)。各ウェルの架橋アダプター(例えば、i5配列)は、TCRα配列/β配列の対形成を可能にする一意の細胞バーコードを含む。この図解では、00001は、この特定のウェルの細胞バーコードを表す。架橋アダプターのライゲーション鎖上の5’ホスフェートは、新たに逆転写されたTCR転写物の3’末端へのライゲーションを可能にする。架橋アダプターは、非ライゲーション鎖の3’末端に6つのランダムヌクレオチドも含み、アダプター結合の安定性を増強する。ライゲーション後、試料を、共通のプライマーを用いたPCR増幅のためにプールして、最終的なライブラリ調製がもたらされる。
図22】SMARTScribe酵素を使用した単一細胞配列決定のためのTCRを標的とするバーコード化pMHC多量体ライブラリ調製を図解する。図18(iv)に記載されるように、同族T細胞によって結合されたバーコード化pMHC多量体を個々のウェルに単一細胞選別する。図6に記載のフルオロフォア追跡戦略の使用がFACSに必要である。選別した単一細胞を溶解し、鋳型スイッチによりSMARTerIIAオリゴ配列を新たに逆転写された転写物の3’末端に付加するSMARTScribe酵素(Clontech)でのウェル内RTに供する。その後、ウェル内PCR増幅(単純化のために、単一のTCR転写物のみを示している)を、SMARTerIIA結合配列、ならびに(全てのウェルに一意の)細胞バーコード配列および5’末端に共通のi5配列の両方を含むフォワードプライマーを使用して行う。この図解では、細胞バーコードを00001で表す。全てのウェルに一意の細胞バーコードを含むフォワードプライマーの使用により、TCRα配列/β配列の対形成が可能になる。試料をさらなるPCR増幅のためにプールして、最終的なライブラリ調製がもたらされる。
図23】液滴ベースの単一細胞TCRα/β単一細胞配列決定のためのスイッチオリゴを含むバーコード化pMHC多量体を図解する2つのパネル(図23A図23B)を含む。図23Aは、スイッチ配列を含む共有結合的に連結されたオリゴを有するpMHC多量体である。図23Bは、スイッチ配列を含む非共有結合的に連結されたオリゴを有するpMHC多量体である。このタイプのpMHC多量体の追加の設計には、図5および図10に記載のものが含まれるが、これらに限定されない。
図24】PCRハンドル、細胞バーコード(BC)、およびTCR定常遺伝子相補的配列で構成されたオリゴにコンジュゲートした液滴ベースの配列決定ビーズ(ヒドロゲルビーズ、硬質ビーズ、または溶解性ビーズを含むが、これらに限定されない)の使用を描写する。単純化のために、1つの液滴のみを図解する。各ビーズは、TCRαおよび/またはTCRβを標的とするリゴ配列を含むことができる。TCRαタイプのオリゴおよびTCRβタイプのオリゴの両方を使用する場合、これらはいずれも所与のビーズについて同じ細胞バーコードを含む。TCRαオリゴおよび/またはTCRβオリゴは、光切断可能な結合またはジスルフィド結合を含むが、これらに限定されない、いくつかの手段のうちの1つによって解離可能であり得る。加えて、各オリゴは、PCR重複除去のためにUMIを含むことができる。
【0087】
単一ビーズおよび単一細胞を有する単一液滴(この場合、バーコード化四量体陽性T細胞を表示する)は、ゲルビーズオリゴ、T細胞mRNA、ならびに四量体陽性T細胞結合バーコード化オリゴの両方を放出する溶解試薬を含有する。pMHC四量体結合オリゴを切断可能な結合によって解離するように作製することもできる。逆転写により、ビーズオリゴの3’末端に三重デオキシシチジンストレッチとともにTCR mRNA転写物由来のTCR V(D)J配列が付加される(単純化のために、単一の逆転写遺伝子のみを液滴の下に描写している)。このデオキシシチジンストレッチは、鋳型スイッチのためにスイッチオリゴに結合する。その後の第2鎖合成およびPCR増幅により、ライブラリ調製が完了する。
【発明を実施するための形態】
【0088】
本開示は、単一細胞またはバルク細胞蛍光活性化細胞選別(FACS)を含むが、これに限定されない、フローサイトメトリー用途、およびNGSベースの用途、ならびに多重分析物分析および単一細胞分析を含む他のプラットフォームと適合性のあるバーコード化pMHC多量体の生成について記載する。本開示は、共有結合的オリゴ結合および非共有結合的オリゴ結合の両方によるバーコード化pMHC多量体の生成、ならびにpMHC-TCR結合力評価におけるこれらの多量体の組み合わせについても記載する。本開示は、TCR配列およびpMHC多量体バーコードの同時処理による配列決定ライブラリ調製を単純化するTCRα/β定常遺伝子を標的とする新たなpMHC多量体バーコード化アプローチについても記載する。様々な塩基修飾の使用を含むバーコード化オリゴ長および/または配列は不変ではなく、変化し得る。
【0089】
本開示は、pMHC多量体、いくつかの実施形態では、pMHC四量体のための少なくとも2つのオリゴバーコード化戦略について記載する。第1は、特異的pMHCを、TCR配列を含む対応するT細胞トランスクリプトームに連結するバーコード化ポリ-Aテールオリゴを使用する。第2のバーコード化アプローチは、TCRαおよび/またはTCRβ遺伝子座を標的とするストレプトアビジンにコンジュゲートされたオリゴを使用し、それにより、両方のオリゴが四量体バーコードを有する。重要なことに、TCRαオリゴおよびTCRβオリゴの両方が同時に使用される場合、それらは所与の四量体について同じ四量体バーコード化情報を含むであろう。このアプローチにより、全ての逆転写TCR配列が四量体バーコード配列を含むようになり、別個のライブラリ調製の必要性を打ち消す。
【0090】
MHCタンパク質
本開示の組成物および方法で提供され、かつ使用されるMHCタンパク質は、MHCタンパク質が元来含んでいるペプチドを別のペプチドと交換することが望ましい、当該技術分野で既知の任意の好適なMHC分子であり得る。一般に、それらは、(α-β-P)を有し、式中、nは、少なくとも2、例えば、2~10、例えば、4である。αは、クラスIまたはクラスII MHCタンパク質のα鎖である。βは、クラスII MHCタンパク質のβ鎖としてまたはMHCクラスIタンパク質のβマイクログロブリンとして本明細書で定義されるβ鎖である。Pは、ペプチド抗原である。
【0091】
MHCタンパク質は、任意の哺乳動物または鳥類種、例えば、霊長類種、特に、ヒト、げっ歯類(マウス、ラット、およびハムスターを含む)、ウサギ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに由来し得る。例えば、MHCタンパク質は、ヒトHLAタンパク質またはマウスH-2タンパク質に由来し得る。HLAタンパク質には、クラスIIサブユニットHLA-DPα、HLA-DPβ、HLA-DQα、HLA-DQβ、HLA-DRα、およびHLA-DRβ、ならびにクラスIタンパク質HLA-A、HLA-B、HLA-C、およびβ2-マイクログロブリンが含まれる。H-2タンパク質には、クラスIサブユニットH-2K、H-2D、H-2L、ならびにクラスIIサブユニットI-Aα、I-Aβ、I-Eα、およびI-Eβ、ならびにβ2-マイクログロブリンが含まれる。いくつかの代表的なMHCタンパク質の配列は、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,NIH Publication No.91-3242,pp724-815で見つけることができる。本発明での使用に好適なMHCタンパク質サブユニットは、例えば、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインの欠失によって当該技術分野で知られているように調製される、通常は膜結合型のタンパク質の可溶性形態である。
【0092】
クラスIタンパク質の場合、可溶性形態には、α1ドメイン、α2ドメイン、およびα3ドメインが含まれる。可溶性クラスIIサブユニットには、αサブユニットの場合にα1ドメインおよびα2ドメイン、ならびにβサブユニットの場合にβ1ドメインおよびβ2ドメインが含まれる。
【0093】
αサブユニットとβサブユニットが別個に産生され、インビトロで会合させて、安定したヘテロ二本鎖複合体を形成することができ、またはこれらの両方のサブユニットを単一細胞で発現させてもよい。MHCサブユニットを産生するための方法は、当該技術分野で既知である。
【0094】
MHC-ペプチド複合体を調製するために、サブユニットを抗原ペプチドと組み合わせ、インビトロで折り畳んで、鎖内ジスルフィド結合ドメインを有する安定したヘテロ二量体複合体を形成することができる。ペプチドは、最初の折り畳み反応に含まれてもよく、または後のステップで空のヘテロ二量体に添加されてもよい。本発明の方法では、これは、退出ペプチドとなる。サブユニットとペプチドとの折り畳みおよび会合を可能にする条件は、当該技術分野で既知である。一例として、ほぼ等モル量の可溶性化αサブユニットとβサブユニットが尿素溶液中で混合され得る。再折り畳みが、尿素を含まない緩衝溶液中に希釈または透析することによって開始される。ペプチドが約pH5~5.5で約1~3日間にわたって空のクラスIIヘテロ二量体に装填され、その後、中和、濃縮、および緩衝液交換が行われ得る。しかしながら、特定の折り畳み条件は、本発明の実施に重要ではない。
【0095】
単量体複合体(α-β-P)(本明細書では単量体)は、多量体化され得る。結果として生じる多量体は、長期間にわたって安定しているであろう。好ましくは、多量体は、当該技術分野で知られているように(例えば、米国特許第5,635,363号に記載されているように)、αまたはβサブユニット上の特定の結合部位を介して単量体を多価実体に結合することによって形成され得る。MHCタンパク質は、それらの単量体形態または多量体形態のいずれかで、ビーズまたは任意の他の支持体にコンジュゲートされる場合もある。
【0096】
多くの場合、多量体複合体は、免疫染色または当該技術分野で既知の他の方法で使用される場合、直接検出可能になるように標識されるか、または当該技術分野で既知であり、かつ本明細書に記載されるように、複合体に特異的に結合する二次標識免疫薬剤と併用される。例えば、標識は、フルオロフォア、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、Texas Red、フィコエリトリン(PE)、アロフィコシアニン(APC)、Brilliant Violet(商標)421、Brilliant UV(商標)395、Brilliant Violet(商標)480、Brilliant Violet(商標)421(BV421)、Brilliant Blue(商標)515、APC-R700、またはAPC-Fire750であり得る。いくつかの実施形態では、多量体複合体は、別の部分に特異的に結合することができる部分によって標識される。例えば、標識は、ビオチン、ストレプトアビジン、オリゴヌクレオチド、またはリガンドであり得る。目的とする他の標識には、染料、酵素、化学発光剤、粒子、放射性同位体、または他の直接もしくは間接的に検出可能な薬剤が含まれ得る。
【0097】
本明細書に開示される組成物は、任意の好適なMHCタンパク質を含み得る。例示的なMHCタンパク質および本明細書に開示されるペプチドには、H-2 Kb単量体、HLA-A*02:01単量体、HLA-A*24:02単量体、HLA-A*02:01四量体、HLA-A*24:02四量体、およびH-2 Kb四量体が含まれる。しかしながら、例えば、MHC対立遺伝子に対するペプチドの親和性を予測するための既知の技法に従って適切な退出ペプチドを選択する際に、任意のMHC対立遺伝子が本明細書の組成物および方法に使用され得る。
【0098】
定義:
冠詞「a」および「an」は、1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)の冠詞の文法上の目的語を指すために本明細書で使用される。一例として、「要素(an element)」は、1つの要素または1つより多くの要素を意味する。
【0099】
「アミノ酸」という用語は、天然であるか合成であるかにかかわらず、アミノ官能基および酸官能基の両方を含み、かつ天然に存在するアミノ酸のポリマーに含まれることができる全ての分子を包含するよう意図されている。例示的なアミノ酸には、天然に存在するアミノ酸、その類似体、誘導体、および同族体、バリアント側鎖を有するアミノ酸類似体、ならびに前述のうちのいずれかのうちのいずれかの全ての立体異性体が含まれる。
【0100】
「に由来する」という語句は、非再配置可変領域および/または非再配列可変領域遺伝子セグメント「に由来する」再配置可変領域遺伝子に関して使用される場合、再配置可変領域遺伝子の配列を、可変ドメインを発現する遺伝子を形成するように再配置された一組の非再配置可変領域遺伝子セグメントまで遡る能力を指す(該当する場合、スプライスの相違および体細胞変異を説明する)。例えば、体細胞変異を受けた再配置可変領域遺伝子は、依然として非再配置可変領域遺伝子セグメントに由来する。いくつかの実施形態では、内因性遺伝子座が普遍的軽鎖または重鎖遺伝子座で置き換えられる場合、「に由来する」という用語は、配列が体細胞変異を受けた可能性があるにもかかわらず、配列の起源を前述の再配置遺伝子座まで遡る能力を示す。
【0101】
「PCRハンドル」とは、本明細書に記載のバーコード領域のPCR増幅を可能にする、全てのプライマーと同一の定常配列を指す。
【0102】
「バーコード化領域」という用語は、一意のヌクレオチド配列を含む領域を指す。このヌクレオチド配列の最小長は、一意に標識されなければならない総MHC多量体総数に依存する。例えば、4ヌクレオチド長のヌクレオチド配列は、最大256個のMHC多量体を一意に標識することができる256個の異なる配列を有し得る。6ヌクレオチド長のヌクレオチド配列は、最大4096個のMHC多量体を一意に標識することができる4096個の異なる配列を有し得る。より長い四量体配列を使用して、スループットを増加させることができる。
【0103】
「相補的」という用語は、2つの核酸鎖の領域間または同じ核酸鎖の2つの領域間の配列相補性の広範な概念を指す。第1の核酸領域のアデニン残基が、第1の領域に対して逆平行の第2の核酸領域の残基(残基がチミンまたはウラシルである場合)と特異的水素結合(「塩基対合」)を形成することができることが知られている。同様に、第1の核酸鎖のシトシン残基が、第1の鎖に対して逆平行の第2の核酸鎖の残基(残基がグアニンである場合)と塩基対合することができることが知られている。2つの領域が逆平行様式で配置されたときに、第1の領域の少なくとも1つのヌクレオチド残基が第2の領域の残基と塩基対合することができる場合、核酸の第1の領域は、同じまたは異なる核酸の第2の領域に対して相補的である。好ましくは、第1の領域は第1の部分を含み、第2の領域は第2の部分を含み、それにより、第1の部分と第2の部分が逆平行様式で配置されたときに、第1の部分のヌクレオチド残基の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%が、第2の部分のヌクレオチド残基と塩基対合することができる。より好ましくは、第1の部分の全てのヌクレオチド残基が、第2の部分のヌクレオチド残基と塩基対合することができる。
【0104】
実施形態1.多量体主要組織適合性複合体(MHC)であって、
骨格分子によって連結された1つ以上のMHC分子と、
前記骨格分子に連結された少なくとも1つの核酸分子と、を含み、前記核酸分子が、核酸の中央ストレッチ(バーコード領域)と、標的オリゴに対する相補性を示す配列を有する核酸の第2のストレッチと、を含む、多量体主要組織適合性複合体(MHC)。
【0105】
実施形態2.前記少なくとも1つの核酸分子が、5’PCRハンドル領域、中央バーコード領域、および3’ポリ-Aテール領域を含み、任意に、前記少なくとも1つの核酸分子が、5’PCRハンドル領域、中央バーコード領域、一意の分子識別子(UMI)、および3’ポリ-Aテール領域を含む、実施形態1に記載の多量体MHC。
【0106】
実施形態3.前記ポリ-Aテールが少なくとも10個の連続するアデニンを含む、実施形態1または2に記載の多量体MHC。
【0107】
実施形態4.前記標的オリゴの一致ヌクレオチドがC、G、またはAである場合、前記ポリ-Aテールの5’末端の前記ヌクレオチドが、G、C、またはTである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の多量体MHC。
【0108】
実施形態5.前記少なくとも1つの核酸分子が少なくとも10ヌクレオチド長であり、任意に、前記少なくとも1つの核酸分子が10~200ヌクレオチド長である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の多量体MHC。
【0109】
実施形態6.実施形態1~5のいずれか1つに記載の多量体MHCの複数のサブセットを含む組成物であって、多量体MHCの各サブセットが異なるペプチドに結合し、対応するバーコード領域配列を有する、組成物。
【0110】
実施形態7.特異的MHC分子を対応するT細胞トランスクリプトームに連結する方法であって、
a)実施形態1~5のいずれか1つに記載の複数のMHC多量体分子と、T細胞と、5’PCRハンドル、中央細胞バーコード、UMI、および3’ポリ-(dT)を含む相補的標的オリゴに連結された粒子とを含む試験試料を形成することと、
b)各液滴が1つより多くの粒子を含まず、かつ1つ以上の多量体MHC分子に結合した1つのT細胞を含むように、液滴を前記試験試料から形成することと、
c)各液滴中にT細胞cDNAライブラリおよびMHCバーコードライブラリを生成することと、
d)前記T細胞mRNAライブラリおよび前記MCHバーコードライブラリの両方を配列決定し、それにより、特異的MHC分子を前記対応するT細胞トランスクリプトームに連結することと、を含む、方法。
【0111】
実施形態8.多量体MHCであって、
骨格分子によって連結された1つ以上のMHC分子と、
前記骨格に連結された少なくとも1つの核酸分子と、を含み、前記核酸分子が、核酸の中央ストレッチ(バーコード領域)と、TCR定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列と、を含む、多量体MHC。
【0112】
実施形態9.前記骨格に連結された第1のタイプの核酸分子を含み、前記第1のタイプの核酸分子が、中央バーコード領域と、TCRαまたはTCRβ定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列と、を含む、実施形態8に記載の多量体MHC。
【0113】
実施形態10.前記骨格に連結された第1および第2のタイプの核酸分子を含み、
前記第1のタイプの核酸分子が、中央バーコード領域と、TCRα定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列と、を含み、
前記第2のタイプの核酸分子が、中央バーコード領域と、TCRβ定常遺伝子に対して相補的なヌクレオチド配列と、を含み、
前記2つのタイプの前記核酸分子の前記バーコード領域が同じ配列を有し、
任意に、各タイプの前記核酸分子がUMIをさらに含み、前記第1のタイプの核酸分子のUMI配列が前記第2のタイプの核酸分子のUMI配列とは異なる、実施形態8に記載の多量体MHC。
【0114】
実施形態11.前記核酸分子が、5’PCRハンドル、中央バーコード領域、およびTCR定常遺伝子に対して相補的な3’ヌクレオチド配列を含む、実施形態8~10のいずれか1つに記載の多量体MHC。
【0115】
実施形態12.前記核酸分子が、前記TCR定常遺伝子の5’末端に対して相補的なヌクレオチド配列を含む、実施形態8~11のいずれか1つに記載の多量体MHC。
【0116】
実施形態13.前記TCR定常遺伝子が、TCRα定常遺伝子、TCRβ定常1遺伝子、またはTCRβ定常2遺伝子である、実施形態8~12のいずれか1つに記載の多量体MHC。
【0117】
実施形態14.前記核酸分子の5’末端および/または3’末端が前記骨格分子に連結されている、実施形態8~13のいずれか1つに記載の多量体MHC。
【0118】
実施形態15.前記核酸分子が、前記バーコード領域に隣接した一意の分子識別子(UMI)をさらに含む、実施形態8~14のいずれか1つに記載の多量体MHC。
【0119】
実施形態16.前記少なくとも1つの核酸分子が少なくとも10ヌクレオチド長であり、任意に、前記少なくとも1つの核酸分子が10~200ヌクレオチド長である、実施形態8~15のいずれか1つに記載の多量体MHC。
【0120】
実施形態17.実施形態8~16のいずれか1つに記載の多量体MHCの複数のサブセットを含む組成物であって、多量体MHCの各サブセットが異なるペプチドに結合し、対応するバーコード領域配列を有する、組成物。
【0121】
実施形態18.特異的MHC分子を対応するTCRαおよび/またはTCRβ配列に連結する方法であって、
a)実施形態8~16のいずれか1つに記載の1つ以上の多量体主要組織適合性複合体を提供することと、
b)前記多量体MHC分子をT細胞と接触させることと、
c)前記多量体MHC分子に結合したT細胞を前記多量体MHC分子に結合しないT細胞から分離することと、
d)前記分離されたT細胞を溶解することと、
e)DNAライブラリを生成することであって、各DNA分子が、TCRαおよび/またはTCRβ遺伝子配列、ならびに前記MHCバーコードを含む、生成することと、
f)前記DNAライブラリを配列決定し、それにより、前記特異的MHC分子を前記対応するTCRαおよび/またはTCRβ配列に連結することと、を含む、方法。
【0122】
実施形態19.前記ステップc)がFACS選別または磁気ビーズベースの分離によって達成される、実施形態18に記載の方法。
【0123】
実施形態20.前記多量体MHC分子が直接または間接的に蛍光標識される、実施形態18または19に記載の方法。
【0124】
実施形態21.バーコード化MHC分子に結合した前記T細胞が単一の収集管内でバルク選別される、実施形態18~20のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
実施形態22.バーコード化MHC分子に結合した同族T細胞が単一細胞として個々のプレートウェルに選別される、実施形態18~21のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
実施形態23.多量体MHCであって、
骨格分子によって連結された2つ以上のMHC分子と、
前記骨格に連結された少なくとも1つの核酸分子と、を含み、前記核酸分子が、核酸の中央ストレッチ(バーコード領域)と、鋳型スイッチオリゴ配列と、を含む、多量体MHC。
【0127】
実施形態24.前記核酸分子が、5’PCRハンドル、中央バーコード領域、UMI、および3’鋳型スイッチオリゴ配列を含む、実施形態23に記載の多量体MHC。
【0128】
実施形態25.前記鋳型スイッチオリゴ配列が3つのリボグアノシンの3’ストレッチを含む、実施形態23または24に記載の多量体MHC。
【0129】
実施形態26.前記少なくとも1つの核酸分子が少なくとも10ヌクレオチド長であり、任意に、前記少なくとも1つの核酸分子が10~200ヌクレオチド長である、実施形態23~25のいずれか1つに記載の多量体MHC。
【0130】
実施形態27.実施形態23~26のいずれか1つに記載の多量体MHCの複数のサブセットを含む組成物であって、多量体MHCの各サブセットが異なるペプチドに結合し、対応するバーコード領域配列を有する、組成物。
【0131】
実施形態28.特異的MHC分子を対応するTCRαおよび/またはTCRβ配列に連結する方法であって、
a)実施形態23~26のいずれか1つに記載の複数の多量体MHC分子と、T細胞と、5’PCRハンドル、中央細胞バーコード、UMI、およびTCR定常遺伝子に対して相補的な3’ヌクレオチド配列を含むオリゴにコンジュゲートされたビーズとを含む試験試料を形成することと、
b)各液滴が1つより多くのビーズを含まず、かつ1つ以上の多量体MHC分子に結合した1つのT細胞を含むように、液滴を前記試験試料から形成することと、
c)DNAライブラリを生成することであって、各DNA分子が、TCRαおよび/またはTCRβ遺伝子配列、ならびに前記MHCバーコードを含む、生成することと、
d)前記DNAライブラリを配列決定し、それにより、特異的MHC分子を対応するTCRαおよび/またはTCRβ配列に連結することと、を含む、方法。
【0132】
実施形態29.前記ビーズが、ヒドロゲルビーズ、硬質ビーズ、および溶解性ビーズから選択される、実施形態28に記載の方法。
【0133】
実施形態30.前記ビーズが2つのオリゴにコンジュゲートされており、第1のオリゴが、5’PCRハンドル、中央細胞バーコード、UMI、およびTCRα定常遺伝子に対して相補的な3’ヌクレオチド配列を含み、第2のオリゴが、5’PCRハンドル、中央細胞バーコード、UMI、およびTCRβ定常遺伝子に対して相補的な3’ヌクレオチド配列を含み、前記2つのオリゴの前記中央細胞バーコードが同じ配列を有する、実施形態28または29に記載の方法。
【0134】
実施形態31.前記DNAライブラリ生成ステップc)が、MMLV逆転写酵素を使用したTCR mRNAの逆転写を含む、実施形態28~30のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施形態32.前記PCRハンドルが前記バーコード配列のライブラリ調製を可能にする、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0136】
実施形態33.前記PCRハンドルがi7アダプター配列を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0137】
実施形態34.前記バーコード領域が少なくとも4つのヌクレオチドを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0138】
実施形態35.前記バーコード領域が6つのヌクレオチドを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0139】
実施形態36.前記骨格分子が、多糖、グルカン、デキストラン、ストレプトアビジン、およびストレプトマー多量体からなる群から選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0140】
実施形態37.前記MHC分子が、ストレプトアビジン-ビオチン結合を介して、MHC重鎖を介して、またはMHC軽鎖(β2M)を介して前記骨格に連結されている、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0141】
実施形態38.前記MHC分子がストレプトアビジン-ビオチン結合を介して前記骨格に連結されている、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0142】
実施形態39.前記多量体MHCが少なくとも4つのMHC分子を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0143】
実施形態40.前記少なくとも1つの核酸分子が化学修飾をさらに含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0144】
実施形態41.前記少なくとも1つの核酸分子の5’末端または3’末端がスペーサーを介してアミノ基に結合している、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0145】
実施形態42.前記スペーサーが6炭素スペーサーまたは12炭素スペーサーである、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0146】
実施形態43.前記少なくとも1つの核酸分子が5’末端および/または3’末端にホスホロチオエート化ヌクレオチドを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0147】
実施形態44.前記少なくとも1つの核酸分子と前記骨格分子との間の連結が前記核酸分子の誘導性解離を可能にする、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0148】
実施形態45.前記少なくとも1つの核酸分子がジスルフィド架橋を介して前記骨格分子に連結されている、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0149】
実施形態46.前記ジスルフィド架橋が、スクシンイミジル-6-ヒドラジノ-ニコチンアミド(S-HyNic)修飾骨格分子を、5’-アミノ修飾されたスクシンイミジル-4-ホルミルベンズアミド類似体(S-SS-4FB)修飾核酸分子と組み合わせることによって形成される、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0150】
実施形態47.前記少なくとも1つの核酸分子が光切断可能な連結を介して前記骨格分子に連結されている、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0151】
実施形態48.前記MHC分子がMHCクラスIおよび/またはMHCクラスII単量体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0152】
実施形態49.前記MHC分子がペプチドと複合体形成されている、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0153】
実施形態50.前記MHC分子がビオチン化されている、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0154】
実施形態51.前記骨格が、蛍光標識、Hisタグ、および金属イオンタグからなる群から選択される1つ以上の標識をさらに含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0155】
実施形態52.前記骨格が前記蛍光標識に直接コンジュゲートされている、先行実施形態のうちのいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0156】
実施形態53.前記蛍光標識が4FBで修飾され、S-HyNic修飾骨格にコンジュゲートされている、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0157】
実施形態54.前記蛍光標識がフルオロフォアタグ付けオリゴである、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0158】
実施形態55.前記フルオロフォア標識オリゴが5’アミノ修飾または3’アミノ修飾を有し、4FBでさらに修飾され、S-HyNic修飾骨格にコンジュゲートされている、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0159】
実施形態56.前記フルオロフォアタグ付けオリゴが前記骨格に連結された前記核酸分子に対して相補的である、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0160】
実施形態57.前記フルオロフォアタグ付けオリゴが10ヌクレオチド長である、先行実施形態のうちのいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0161】
実施形態58.前記骨格がフルオロフォア標識抗ストレプトアビジン抗体で標識される、先行実施形態のうちのいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0162】
実施形態59.前記フルオロフォアが、蛍光色素または量子ドットである、先行実施形態のうちのいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0163】
実施形態60.前記少なくとも1つの核酸分子が、DNA、RNA、人工ヌクレオチド、PNA、およびLNAからなる群から選択される核酸分子を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0164】
実施形態61.前記多量体MHCが同族T細胞に結合する、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0165】
実施形態62.前記多量体MHCがフローサイトメトリー用途と適合性がある、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0166】
実施形態63.前記フローサイトメトリー用途が単一細胞またはバルク細胞蛍光活性化細胞選別(FACS)である、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0167】
実施形態64.多量体MHCがNGSベースの用途と適合性がある、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0168】
実施形態65.前記NGSベースの用途が液滴ベースの単一細胞配列決定である、先行実施形態のいずれか1つに記載の多量体MHCまたは方法。
【0169】
実施形態66.試料中の抗原応答性細胞を検出するための方法であって、
a)実施形態1~5、8~16、23~26、および32~65のいずれか1つに記載の1つ以上の多量体主要組織適合性複合体を提供することと、
b)前記多量体MHC分子を前記試料と接触させることと、
c)前記多量体MHC分子の前記抗原応答性細胞への結合を検出し、それにより、前記MHC分子中に存在する抗原に応答して細胞を検出することと、を含み、前記結合が、前記骨格分子を介して前記1つ以上のMHC分子に連結された前記核酸分子の前記バーコード領域を増幅することによって検出される、方法。
【0170】
実施形態67.前記試料が、血液試料、末梢血試料、血液由来試料、組織試料、体液、髄液、および唾液からなる群から選択される、実施形態66に記載の方法。
【0171】
実施形態68.前記試料が哺乳動物から得られる、実施形態66または67に記載の方法。
【0172】
実施形態69.前記方法が、フローサイトメトリー、FACS、磁気ビーズベースの選択、サイズ排除、勾配遠心分離、カラム付着、およびゲル濾過からなる群から選択される方法による細胞選択をさらに含む、実施形態66~68のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
実施形態70.前記増幅がPCRである、実施形態66~69のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
実施形態71.前記核酸分子のバーコード領域の検出が、前記バーコード領域の配列決定またはqPCRによる前記バーコード領域の検出を含む、実施形態66~70のいずれか1つに記載の方法。
【実施例
【0175】
本発明がここで一般的に記載されているが、本発明のある特定の態様および実施形態を例証するためのみに含まれており、本発明を限定するようには意図されていない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。
【0176】
実施例1:バーコード化pMHCの構築および実験的検証
多量体種
以下は、任意の配列からなるオリゴの共有結合的コンジュゲーションおよび非共有結合的コンジュゲーションの両方を説明する。共有結合的コンジュゲーションの場合、オリゴ(例えば、図1中)をチオエーテル結合の形成によりストレプトアビジンにコンジュゲートするが、他の化学反応および結合形成を用いることができる。この特定の事例では、共有結合的連結により、オリゴおよびストレプトアビジンの両方が共通のヘテロ二官能性リンカーに架橋されて、ストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートがもたらされる(図5)。ストレプトアビジンに非共有結合的にコンジュゲートされたオリゴを、ビオチン化オリゴをストレプトアビジンと最適比率で混合し、所望のストレプトアビジン-オリゴコンジュゲート種のHPLC精製によって得ることができる(図5および図9)。その後、共有結合および非共有結合由来のストレプトアビジン-オリゴコンジュゲート種をpMHC多量体化に供することができる(図5)。これらのpMHC多量体種を、(図11に記載されるように)pMHC-TCR結合力研究のために異なる組み合わせで使用することができる。加えて、1ストレプトアビジンあたり3単量体と4単量体との間の差異がTCR検出に影響を及ぼさないように標的pMHC-TCR結合力が十分に高いことが知られている場合、単一サブタイプのpMHC多量体(例えば、pMHC三量体のみ)をバルクまたは単一細胞配列決定プラットフォームで単独で使用することができる。非共有結合由来のストレプトアビジン-オリゴコンジュゲートのみを使用する利点は、化学的コンジュゲーションなしで済ませ、かつ1ストレプトアビジンあたりより少ない単量体の使用によるコスト削減である。
【0177】
別の例として、補足的S-SS-4FBを補足したSolulinkタンパク質-オリゴヌクレオチドコンジュゲーションキットを使用することができる。ストレプトアビジンを最初にS-HyNicで修飾した。5’アミノ修飾オリゴをS-SS-4FBで修飾した。その後、修飾オリゴと修飾ストレプトアビジンを組み合わせて、直接バーコード化ストレプトアビジンを生成した(図2)。バーコード化オリゴをタンパク質にコンジュゲートし、かつ光切断可能な連結を含むが、これに限定されない誘導性バーコード化オリゴ解離を可能にする代替のコンジュゲーション化学アプローチおよび材料供給業者を使用することができる。オリゴをストレプトアビジンから、この場合は還元条件下で、一時的に解離する能力(図3)、ならびにビオチンに結合するバーコード化ストレプトアビジンの能力(図4)を実験で検証した。
【0178】
実施例2:バーコード化四量体のフルオロフォアベースの追跡
単一細胞およびバルク細胞選別用途で使用するために、バーコード化四量体を様々なフルオロフォアタグ付け戦略(図図6A~図図6C)と組み合わせることができる。
【0179】
実施例3:TCR標的バーコード化四量体
記載のコンジュゲーション化学と同じコンジュゲーション化学を使用して、TCRαおよび/またはTCRβ定常遺伝子を標的とするバーコード化pMHC多量体を作製することができる(図17)。本開示は、TCR配列を取得し、かつpMHC情報を一致させることのみに関心を示す科学者の利益になる。この方法の主な利点は、逆転写TCRαおよび/またはTCRβ配列の両方がpMHC多量体バーコードを含むため、1回のライブラリ調製しか必要とされないことである。したがって、単数の配列決定リードは、TCR配列およびpMHC同一性情報の両方を含む。これは、ポリ-Aテールまたは他の捕捉配列ベースのライブラリ調製法と対照的であり、それにより、より小さいpMHCバーコード/抗体バーコードライブラリが別個に処理され、後に配列決定の時点でmRNA由来のライブラリと組み合わせられる1~4。単一またはバルク細胞選別で使用するために、本開示に記載のTCR標的四量体をフルオロフォア検出と組み合わせることができる(図6A図6C)。単一細胞選別により、TCRクローン性研究(図18図20)、ならびにTCRαおよびTCRβ対形成配列の選別した起始細胞への潜在的な連結(図18図21図22)が可能になる。
【0180】
実施例4:カスタムTCR液滴ベースの配列決定
別の実施形態では、pMHC多量体コンジュゲートオリゴが、pMHC多量体バーコード配列およびPCRハンドル配列に加えて、鋳型スイッチオリゴ配列を含むように、バーコード化pMHC多量体を作製することができる(図23)。これを行うための鍵は、スイッチオリゴ配列がMMLV逆転写酵素によって付加されたデオキシシチジンに結合するために3つのリボグアノシンの3’ストレッチを含むことである。このシナリオでは、液滴ベースのビーズ(ヒドロゲルビーズ、硬質ビーズ、または溶解性ビーズを含むが、これらに限定されない)を、典型的な細胞バーコードおよびPCRハンドル配列を有するTCRαおよび/またはTCRβ定常遺伝子相補性オリゴにカスタムコンジュゲートするであろう。PCR重複除去のためにUMIをオリゴ配列のうちのいずれかに含めることができる。TCRαおよびTCRβの両方を標的とするオリゴを有するビーズは、所与のビーズについて同じバーコードを含むであろう。ビーズおよびpMHC多量体陽性T細胞の両方を含む単一の液滴内で、MMLV逆転写酵素による逆転写は、TCR mRNA由来のV(D)J配列を有するビーズベースのオリゴを伸長し、pMHC多量体バーコードおよびPCRハンドルを有する鋳型スイッチオリゴ配列も含むであろう。その後の第2鎖合成およびPCR増幅により、配列決定のためのライブラリ調製が完了するであろう。ビーズオリゴおよびpMHCマリンターバーコード化/鋳型スイッチオリゴの両方のオリゴ配列、長さ、および修飾(ロック核酸塩基の使用を含むが、これに限定されない)を変化させることができる。この実施形態は、他の逆転写酵素誘導体と適合性があり得る。
【0181】
このシステムは、いくつかの主要な利点を有する。1つは、TCR配列およびpMHCバーコード配列のみを取得し、全トランスクリプトームの配列決定の必要性を打ち消すことである。別の利点は、四量体バーコード配列およびTCR配列の両方が同じ転写物上にあるため、1回のライブラリ調製しか必要とされないことである。別の利点は、TCRαビーズオリゴおよびTCRβビーズオリゴの両方を使用する場合、これらの両方が各液滴内の一意の細胞バーコード配列により自動的に対形成されることである。最後に、pMHC多量体陽性T細胞のみが、2つのPCRハンドルのうちの1つを含む鋳型スイッチ/pMHC多量体バーコード化オリゴを有するため、pMHC多量体陽性T細胞のみが配列決定ライブラリに寄与する。
【0182】
参照による組み込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が各々参照により組み込まれるよう具体的かつ個別に示されるかのように、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、本明細書におけるいずれの定義も含む本出願が優先される。
【0183】
1.Bentzen,A.K.,et al.,Large-scale detection of antigen-specific T cells using peptide-MHC-I multimers labeled with DNA barcodes.Nat Biotechnol,2016.34(10):p.1037-1045.
2.Stoeckius,M.,et al.,Simultaneous epitope and transcriptome measurement in single cells.Nat Methods,2017.14(9):p.865-868.
3.Peterson,V.M.,et al.,Multiplexed quantification of proteins and transcripts in single cells.Nat Biotechnol,2017.35(10):p.936-939.
4.Zhang,S.Q.,et al.,High-throughput determination of the antigen specificities of T cell receptors in single cells.Nat Biotechnol,2018.
5.Dahotre,S.N.,et al.,DNA-Barcoded pMHC Tetramers for Detection of Single Antigen-Specific T Cells by Digital PCR.Anal Chem,2019.91(4):p.2695-2700.
6.Altman,J.D.and M.M.Davis,MHC-Peptide Tetramers to Visualize Antigen-Specific T Cells.Curr Protoc Immunol,2016.115:p.17 3 1-17 3 44.
7.Krogsgaard,M.AAI 2019,Abstract 194.58.
8.Krummey,S.M.,et al.,Low-Affinity Memory CD8+ T Cells Mediate Robust Heterologous Immunity.J Immunol,2016.196(6):p.2838-46.
9.Zhou,Z.X.,et al.,Mapping genomic hotspots of DNA damage by a single-strand-DNA-compatible and strand-specific ChIP-seq method.Genome Res,2013.23(4):p.705-15.
【0184】
等価物
当業者であれば、本明細書に記載の本発明に包含される特定の実施形態の多くの等価物を認識するか、または通例の実験のみを使用して確認することができるであろう。かかる等価物は、以下の特許請求の範囲に包含されるよう意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A-C】
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A-B】
図17C-D】
図17E-F】
図17G-H】
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【国際調査報告】