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特表2022-514586シートプランニング幾何学データを準備するための方法、工作物を切り抜くための方法およびレーザ平床式機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】シートプランニング幾何学データを準備するための方法、工作物を切り抜くための方法およびレーザ平床式機械
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/38 20140101AFI20220204BHJP
   B23K 26/03 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/03
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535253
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019086404
(87)【国際公開番号】W WO2020127797
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】102018133524.5
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Werkzeugmaschinen GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Strasse 2,D-71254 Ditzingen,Germany
(71)【出願人】
【識別番号】594102418
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer-Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
【住所又は居所原語表記】Hansastrasse 27c, D-80686 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル キーファー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィリ ペーニッツ
(72)【発明者】
【氏名】マーク テシュナー
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168CA06
4E168CB22
4E168CB23
4E168HA06
4E168JA01
(57)【要約】
レーザ平床式機械(1)によって実施すべきレーザ切断工程をプランニングするためのシートプランニング幾何学データ(31)を準備するための方法(54)は、カメラ(9)によって残材シート(23)の画像記録(21)を作成するステップ(ステップ55)であって、残材シート(23)は、レーザ平床式機械(1)によって加工されていて、切断物が除去された内側切抜き領域(25)を有する、作成するステップ(ステップ55)と、残材シート(23)の残材シート外側輪郭(23A)を特定するために画像記録(21)を評価するステップ(ステップ57A)と、残材シート(23)の、残材シート外側輪郭(23A)よりも内側に位置している内側切抜き領域を特定するために画像記録(21)を評価するステップ(ステップ57B)であって、内側切抜き領域を、画像記録において識別された内側切抜き輪郭(23B)によってかつ/または画像記録の閾値解析によって特定する、評価するステップ(ステップ57B)と、残材シート外側輪郭(23A)および内側切抜き領域を使用して残材シート(23)の残材面(24)を導き出すステップ(ステップ59)であって、残材面(24)は、レーザ切断工程の基礎を成すことができる、導き出すステップ(ステップ59)と、残材面(24)の幾何学形状を規定するシートプランニング幾何学データ(31)を出力するステップ(ステップ61)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ平床式機械(1)によって実施すべきレーザ切断工程をプランニングするためのシートプランニング幾何学データ(31)を準備するための方法(54)であって、
カメラ(9)によって残材シート(23)の画像記録(21)を作成するステップ(ステップ55)であって、前記残材シート(23)は、前記レーザ平床式機械(1)によって加工されていて、切断物が除去された内側切抜き領域(25)を有する、作成するステップ(ステップ55)と、
前記残材シート(23)の残材シート外側輪郭(23A)を特定するために前記画像記録(21)を評価するステップ(ステップ57A)と、
前記残材シート(23)の、前記残材シート外側輪郭(23A)よりも内側に位置している内側切抜き領域を特定するために前記画像記録(21)を評価するステップ(ステップ57B)であって、前記内側切抜き領域を、前記画像記録において識別された内側切抜き輪郭(23B)によってかつ/または前記画像記録の閾値解析によって特定する、評価するステップ(ステップ57B)と、
前記残材シート外側輪郭(23A)および前記内側切抜き領域を使用して前記残材シート(23)の残材面(24)を導き出すステップ(ステップ59)であって、前記残材面(24)は、レーザ切断工程の基礎を成すことができる、導き出すステップ(ステップ59)と、
前記残材面(24)の幾何学形状を規定するシートプランニング幾何学データ(31)を出力するステップ(ステップ61)と、
を含む、方法(54)。
【請求項2】
前記画像記録(21)をエッジ経過に関して評価し、前記残材シート外側輪郭(23A)を特定する外周エッジと、前記内側切抜き輪郭(23B)を画定する内周エッジまたは内周エッジ区分とを前記画像記録(21)において識別して、前記シートプランニング幾何学データ(31)に外周エッジライン(33A)および内周エッジライン(33B)として格納し、前記内周エッジライン(33B)は、前記残材シート(23)の内側切抜き領域(35)を画定する、請求項1に記載の方法(54)。
【請求項3】
前記閾値解析は、前記残材シート外側輪郭(23A)の内側における開口(23C)に関する前記画像記録(21)のピクセル値を解析し、任意選択的にブロブ解析を含み、該ブロブ解析は、少なくとも1つの関連したピクセル領域を出力し、該ピクセル領域の、前記シートプランニング幾何学データ(31)におけるグレー値分布を、前記残材シート(23)の、プランニングすべき切断プロセスから除外する内側切抜き領域(35)に割り当てる、請求項1または2に記載の方法(54)。
【請求項4】
機械ゼロポイントへの前記残材シート外側輪郭(23A)の並進変換および/または回転変換(25)を計算するステップと、
前記並進変換および回転変換(25)を前記シートプランニング幾何学データ(31)の一部として出力するステップと、
をさらに含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法(54)。
【請求項5】
前記画像記録(21)は、複数の残材シート(23)を含み、該複数の残材シート(23)に対して、それぞれ1つの残材面(24)を導き出して、シートプランニング幾何学データ(31)として出力する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法(54)。
【請求項6】
残材シート(23)に切断工程のための切断プラン(63A)を作成するための方法であって、
請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法(54)に従ってシートプランニング幾何学データ(31)を準備するステップと、
前記シートプランニング幾何学データ(31)によって特定された残材面(34)に切断輪郭(39)を配置するステップ(ステップ63)と、
前記切断輪郭(39)の位置データと、任意選択的に前記シートプランニング幾何学データならびに/もしくは並進変換および/または回転変換(25)のデータとによって前記切断プラン(63A)を作成するステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記切断輪郭(39)を、前記シートプランニング幾何学データ(31)によって特定された前記残材面(34)に、
- オペレータによって手動にて画像ベースで、または
- 切断すべき工作物幾何学形状に割り当てられた二次元空間を配置するためのネスティング法を用いて、
配置する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
切断工程の枠内でレーザビームによってシート状の材料から工作物を切り抜くための方法であって、
レーザ平床式機械(1)のシート切断ユニット(3)からパレット(7)を送出するステップ(ステップ51A)であって、前記パレット(7)に、切断物と、該切断物を取り囲む残材シート(23)とを含む加工されたシートが位置している、送出するステップ(ステップ51A)と、
前記切断物を仕分けするステップ(ステップ51B)であって、これによって、前記残材シート(23)を残し、該残材シート(23)は、画像記録(21)を作成するために、前記パレット(7)に配置されており、前記残材シート(23)を、特にカメラ(9)の撮影領域内に準備する、仕分けするステップ(ステップ51B)と、
請求項6または7に記載の、切断プラン(63A)を作成するための方法を実施するステップと、
前記レーザ平床式機械(1)の制御ユニット(11)内に前記切断プラン(63A)を読み込むステップ(ステップ65)と、
前記レーザ平床式機械(1)の前記シート切断ユニット(3)内に、前記残材シート(23)を備える前記パレット(7)を走入させるステップ(ステップ67)と、
読み込まれた前記切断プラン(63A)に相応して前記残材シート(23)に切断工程を実施するステップ(ステップ69)と、
を含む、方法。
【請求項9】
切断工程の枠内でレーザ平床式機械(1)のレーザビームによってシート状の材料から工作物を切り抜くための方法であって、
前記レーザ平床式機械(1)のシート切断ユニット(3)に割り当てられたパレット(7)上で前記レーザ平床式機械(1)のカメラ(9)の撮影領域に残材シート(23)を準備するステップ(ステップ53)と、
請求項6または7に記載の、切断プラン(63A)を作成するための方法を実施するステップと、
前記レーザ平床式機械(1)の制御ユニット(11)内に前記切断プラン(63A)を読み込むステップ(ステップ65)と、
前記レーザ平床式機械(1)の前記シート切断ユニット(3)内に、前記残材シート(23)を備える前記パレットを走入させるステップ(ステップ67)と、
読み込まれた前記切断プラン(63A)に相応して前記残材シート(23)に切断工程を実施するステップ(ステップ69)と、
を含む、方法。
【請求項10】
前記切断物を仕分けするステップ、切断プラン(63A)を作成するための前記方法を実施するステップおよび前記切断プラン(63A)を読み込むステップのうちの少なくとも1つのステップ中に、更なるシートを前記レーザ平床式機械(1)の前記シート切断ユニット(3)内に走入させて、切断工程で工作物に切断する、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
レーザビームによってシート状の材料から工作物を切り抜くためのレーザ平床式機械(1)であって、
前記シート状の材料を支持するためのパレット(7)の提供領域を準備するための少なくとも1つのパレット交換器(5A,5B)と、
前記シート状の材料を備える、前記提供領域に位置決めされた前記パレット(7)の画像記録(21)を作成するためのカメラ(9)と、
シート切断ユニット(3)と、
請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法を実施するための制御ユニット(11)と、
を備える、レーザ平床式機械(1)。
【請求項12】
前記カメラ(9)は、前記シート切断ユニット(3)に取り付けられており、前記カメラ(9)の画像記録(21)は、前記シート切断ユニット(3)の機械座標系に関して空間的に校正されている、請求項11に記載のレーザ平床式機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートプランニング幾何学データを準備するための、特にレーザ切断工程をプランニングしかつ実施するための方法に関する。さらに、本発明は、レーザビームによってシート状の材料から工作物を切り抜くためのレーザ平床式機械に関する。
【0002】
レーザ平床式機械(レーザ切断機とも呼ぶ)によって、例えば1つのブランク金属薄板から複数の工作物を1回のレーザ切断工程で切り抜くことができる。このとき、レーザ切断ビームが、切断プランに従ってブランク金属薄板にわたって案内される。切断プランは、特にブランク金属薄板にわたるレーザ切断ビームの経路を含んでいる。この経路は、プランニング段階で確定され、ブランク金属薄板から切り出したい工作物の、予めプランニングされた配置を特定している。
【0003】
切断工程の開始前、切断すべきブランクシートの例としてのブランク金属薄板の位置が切断プランと照合される。機械座標系に関するブランク金属薄板の位置特定は、機械加工時間に、例えば金属薄板シートの載置後であって切断工程の直前に実施することができる。位置特定は、切断すべきブランク金属薄板の位置が不動のストッパ位置によって確定される場合には省略されてもよい。
【0004】
特開2013-039591号公報には、基準点を用いて切断範囲における切断すべき材料を認識するためのカメラの使用が開示されており、基準点は、切断範囲に設けられていて、カメラの撮影された画像で認識することができる。
【0005】
独国特許出願公開第102016117681号明細書には、特にパレット交換器が開示されており、このパレット交換器は、基本フレームによって収容された2つのパレットを交互に加工装置内に導入することを可能にするので、それぞれのパレットに載置されているプレート状の材料を加工することができる。
【0006】
本開示の1つの態様の根底にある課題は、残材シート、特に残材ブランク金属薄板を、レーザ切断機による切断工程のために使用可能にすることである。特に、例えば小さなロットの大きさの追加工をレーザ切断機の運転に組み込むために、時間的に効率の良いマルチシート配列の実現が可能となることが望ましい。
【0007】
これらの課題のうちの少なくとも1つの課題は、請求項1記載の、シートプランニング幾何学データを準備するための方法、請求項6記載の、切断プランを作成するための方法、請求項8または請求項9記載の、工作物を切り抜くための方法および請求項11記載のレーザ平床式機械によって解決される。発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
1つの態様では、レーザ平床式機械によって実施すべきレーザ切断工程をプランニングするためのシートプランニング幾何学データを準備するための方法は、
カメラによって残材シートの画像記録を作成するステップであって、残材シートは、レーザ平床式機械によって加工されていて、切断物が除去された内側切抜き領域を有する、作成するステップと、
残材シートの残材シート外側輪郭を特定するために画像記録を評価するステップと、
残材シートの、残材シート外側輪郭よりも内側に位置している内側切抜き領域を特定するために画像記録を評価するステップであって、内側切抜き領域を、画像記録において識別された内側切抜き輪郭によってかつ/または画像記録の閾値解析によって特定する、評価するステップと、
残材シート外側輪郭および内側切抜き領域を使用して残材シートの残材面を導き出すステップであって、残材面は、レーザ切断工程の基礎を成すことができる、導き出すステップと、
残材面の幾何学形状を規定するシートプランニング幾何学データを出力するステップと
を含む。
【0009】
シートプランニング幾何学データを準備するための方法の幾つかの発展形態では、画像記録をエッジ経過に関して評価し、残材シート外側輪郭を特定する外周エッジと、内側切抜き輪郭を画定する内周エッジまたは内周エッジ区分とを画像記録において識別し、シートプランニング幾何学データに外周エッジラインおよび内周エッジラインとして格納する。内周エッジラインは、残材シートの内側切抜き領域を画定する。
【0010】
シートプランニング幾何学データを準備するための方法の幾つかの発展形態では、閾値解析は、残材シート外側輪郭の内側における開口に関する画像記録のピクセル値を解析する。閾値解析は、任意選択的にブロブ解析を含み、このブロブ解析は、少なくとも1つの関連したピクセル領域を出力し、このピクセル領域の、シートプランニング幾何学データにおけるグレー値分布を、残材シートの、プランニングすべき切断プロセスから除外する内側切抜き領域に割り当てる。
【0011】
シートプランニング幾何学データを準備するための方法の幾つかの発展形態では、機械ゼロポイントへの残材シート外側輪郭の並進変換および/または回転変換を計算するステップと、並進変換および回転変換をシートプランニング幾何学データの一部として出力するステップとをさらに含む。
【0012】
シートプランニング幾何学データを準備するための方法の幾つかの発展形態では、画像記録は、複数の残材シートを含み、これら複数の残材シートに対して、それぞれ1つの残材面を導き出して、シートプランニング幾何学データとして出力する。
【0013】
1つの別の態様では、残材シートに切断工程のための切断プランを作成するための方法が開示される。この方法では、本明細書に記載された方法に従ってシートプランニング幾何学データを準備し、シートプランニング幾何学データによって特定された残材面に切断輪郭を配置し、切断輪郭の位置データと、任意選択的にシートプランニング幾何学データならびに/もしくは並進変換および/または回転変換のデータとによって切断プランを作成する。
【0014】
切断プランを作成するための方法の幾つかの発展形態では、切断輪郭を、シートプランニング幾何学データによって特定された残材面に、
- オペレータによって手動にて画像ベースで、または
- 切断すべき工作物幾何学形状に割り当てられた二次元空間を配置するためのネスティング法を用いて、
配置する。
【0015】
1つの別の態様では、切断工程の枠内でレーザビームによってシート状の材料から工作物を切り抜くための方法が開示される。この方法は、
レーザ平床式機械のシート切断ユニットからパレットを送出するステップであって、パレットに、切断物と、この切断物を取り囲む残材シートとを含む加工されたシートが位置している、送出するステップと、
切断物を仕分けするステップであって、これによって、残材シートを残し、この残材シートは、画像記録を作成するために、パレットに配置されており、残材シートを、特にカメラの撮影領域内に準備する、仕分けするステップと、
本明細書に記載された、切断プランを作成するための方法を実施するステップと、
レーザ平床式機械の制御ユニット内に切断プランを読み込むステップと、
レーザ平床式機械のシート切断ユニット内に、残材シートを備えるパレットを走入させるステップと、
読み込まれた切断プランに相応して残材シートに切断工程を実施するステップと
を含む。
【0016】
1つの別の態様では、切断工程の枠内でレーザ平床式機械のレーザビームによってシート状の材料から工作物を切り抜くための方法が開示される。この方法は、
レーザ平床式機械のシート切断ユニットに割り当てられたパレット上でレーザ平床式機械のカメラの撮影領域に残材シートを準備するステップと、
本明細書に記載された、切断プランを作成するための方法を実施するステップと、
レーザ平床式機械の制御ユニット内に切断プランを読み込むステップと、
レーザ平床式機械のシート切断ユニット内に、残材シートを備えるパレットを走入させるステップと、
読み込まれた切断プランに相応して残材シートに切断工程を実施するステップと
を含む。
【0017】
上述した工作物を切り抜くための方法の幾つかの発展形態では、切断物を仕分けするステップ、切断プランを作成するための方法を実施するステップおよび切断プランを読み込むステップのうちの少なくとも1つのステップ中に、更なるシートをレーザ平床式機械のシート切断ユニット内に走入させて、切断工程で工作物に切断する。
【0018】
1つの別の態様では、レーザビームによってシート状の材料から工作物を切り抜くためのレーザ平床式機械が開示される。このレーザ平床式機械は、シート状の材料を支持するためのパレットの提供領域を準備するための少なくとも1つのパレット交換器と、シート状の材料を備える、提供領域に位置決めされたパレットの画像記録を作成するためのカメラと、シート切断ユニットと、本明細書に開示された方法のうちの1つの方法を実施するための制御ユニットとを備える。
【0019】
レーザ平床式機械の幾つかの発展形態では、カメラは、シート切断ユニットに取り付けられており、カメラの画像記録は、シート切断ユニットの機械座標系に関して空間的に校正されている。
【0020】
本明細書に記載されたコンセプトは、特に金属、例えば鋼、アルミニウムもしくは銅、または金属合金から成るブランク材料シートから工作物を切り抜くことに関する。また、ガラス、機能性セラミックス、プラスチック、有機材料または別種の材料もレーザ切断工程のためのブランク材料として用いることができる。
【0021】
本明細書に記載されたコンセプトの利点は、金属薄板位置検出のための従来の測定方法と異なり、こういったコンセプトを金属薄板位置の検出およびアライメントに対する特殊な前提条件なしで済ますことができるということにある。特に金属薄板載置に際して、全く制限が与えられていないかまたは強制的な制限は与えられていない。こうして、ストッパを使用するための直角の外側縁部または予め規定された領域(いわゆる、パレットのローディングコーナ)に金属薄板を配置する必要性を省略することができる。
【0022】
さらに、公知のレーザ切断機では、金属薄板寸法が、特にパレットの領域における切断ゾーンの外側で検出されないので、残材面を直角の金属薄板に対しても求めることができない。このような公知のレーザ切断機と異なり、本明細書に記載されたコンセプトは、レーザ切断機のシート提供領域における残材面、特に残材ブランク金属薄板面の検出を可能にする。しかも、このような検出は、シート幾何学形状および位置/場所に左右されずに、マーカなしに行うことができる。
【0023】
さらに、切断工程のグローバルなネスティング寸法(ネスティングプランの目標面)が、求められた残材面(使用できる実際面)に対して合っているか否かを検査することが可能になる。目標面と実際面との可能な照合は、切断工程の実施時における確実性および快適性を提供する。このようにして、幾何学形状の誤評価に基づいてまたは手動での測定の省略によって生じることがあるプロセス障害、例えば、レーザヘッドと、切り抜かれた部分との衝突に対するリスクを回避することができる。
【0024】
さらに、切断輪郭の配置のプランニング時における材料予備を小さくするか、それどころか、完全に省くことが可能となる。それというのも、オペレータによるリスク低減をもはや行う必要がないからである。相応にブランク材料をより良好に使用することができ、材料効率を高めることができ、プロセス障害を低減させることができる。
【0025】
ここで、従来技術に基づく態様を少なくとも部分的に改善することができるコンセプトを開示する。特に更なる特徴と、これらの特徴の合目的性とは、図面に示された実施形態の下記の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】レーザ平床式機械内への走入のために準備されていて残材シートが装備されている、パレットを概略的に示す斜視図である。
図2】レーザ平床式機械に取り付けられたカメラによるパレットの画像記録に対する、幾何学的なパラメータを明確に示すための概略的な断面図である。
図3図1に示した残材シートを備えたパレットを上から見て概略的に示す図である。
図4図3に示した残材シートの幾何学形状に割り当てられたシートプランニング幾何学データを概略的に示す図である。
図5A】内側切抜き領域を特定するための概略的な図である。
図5B】内側切抜き領域を特定するための概略的な図である。
図5C】内側切抜き領域を特定するための概略的な図である。
図6】シート状の材料から工作物を切り抜くための方法を明確に示すためのフローチャートである。
【0027】
本明細書に記載された態様は、一部、例えば光学式の補助システムによる工作物の仕分け時に使用されるような切断物の画像検出システムを切断プロセスのプランニングにも使用することができるという知見に基づいている。切断物の仕分けをサポートするために、パレットが、レーザ切断機の加工ゾーンの外側の1つまたは複数のカメラによって監視される。本明細書では、残材シートの幾何学形状を特定するための画像記録を使用することが提案される。さらに、次に加工ゾーンに導入すべき残材シートのために、存在している内側切抜き部を、撮影された画像によって自動的に検出することが提案される。
【0028】
本発明によれば、既に加工されたブランク金属薄板の画像が(残材シートのための例として)撮影され、このとき、ブランク金属薄板は、レーザ切断機の加工ゾーンの外側におけるパレットに、更なる切断工程のプランニングのために準備されている。既に加工されたブランク金属薄板からは、既に1つまたは複数の切り抜かれた工作物が仕分けされているので、ブランク金属薄板は、相応の切抜き部/孔および任意の外側輪郭経過を備えた残材グリッドの形態で存在している。撮影された画像は、残材グリッド上での切断工程のプランニングを機械加工時間に並行して、つまり、例えばレーザ切断機で同時に実行される切断工程中に行うために使用することができる。
【0029】
そのために、残材グリッドのなお使用することができる残材面が、撮影された画像を使って導き出される。導き出された残材面は、二次元のプランニング空間である。切断プランのプランニング時に、更なる切断工程のために使用することができる残材面に、残材シートから切り抜きたい工作物の二次元の幾何学形状を被せる。そのためには、作業員が、入力インタフェースを介して残材面に工作物幾何学形状を配置することができる。代替的にまたは補足的に、プランニング空間内で、残材面に工作物を自動化して配置することができる。ネスティングの自動化のための一例であるネスティングアルゴリズムは、2018年10月19日が出願日である本出願人の独国特許出願第102018126077.6号に開示されている。
【0030】
外側輪郭と内側輪郭とを検出することによって、追加工時に、工作物幾何学形状の位置決めを、加工されていない金属薄板表面に制限することができる。このようにして、工作物が既に切断された輪郭を越えてネスティングされないことを保証することができる。
【0031】
本明細書に記載されたコンセプトのためには、例えばカメラシステムによる画像検出を使用することができ、このカメラシステムは、工作物の仕分け時におけるサポートのための独国特許出願公開第102016120131号明細書に記載されている。
【0032】
画像処理アルゴリズムによって、残材シートを備えたパレットの画像記録から、パレット上の残材シートの現在の位置およびレーザ切断機の基準系のゼロポイントに関する位置を特定することができる。これによって、パレット/基準系に割り当てられたゼロポイントに関する残材シートの回転または残材シートの並進が特定される。
【0033】
特に本明細書では、画像処理アルゴリズムによって、位置に加えて、残材シート内に切り込まれた内側切抜き部またはブロブ領域を検出することが提案される。内側切抜き部は、実質的に、更なるレーザ切断工程のために使用することができる残材面を特定する。これらの内側切抜き領域を認識することによって、残材シート上でさらに切断することができる工作物を、工作物と内側切抜き領域とのオーバラップが回避されるように配置することができる。このようにして、小さな残材面をも、例えば小さなロットの大きさ(少ない個数)の追加工のために使用することができる。
【0034】
図1には、切断工程が実施される機械領域を示す、シート切断ユニット3を備えたレーザ平床式機械1が示してある。
【0035】
さらに、認識される提案されたパレット交換器は、複数のパレットを備えたレーザ平床式機械1の運転を実施することができる。例えばパレット交換器は、互いに上下に位置している2つのパレット位置5A,5Bを提供する。図1では、パレット7が上側のパレット位置5Aにあり、このパレット7によって残材シート23が更なる切断工程のためにシート切断ユニット3内に走入させられるようになっている。
【0036】
パレット交換器に関して中央でシート切断ユニット3にカメラ9が取り付けられている。このカメラ9は、上側のパレット位置5Aにあるパレット7の上面の撮像検出を可能にし、このようにして、残材シート23の画像を撮影することができる。一般的に複数のカメラを使用することができる。例えば第2のカメラ9’が、図1に破線によりシート切断ユニット3の上側側方に示してある。カメラ9,9’は、画像データをレーザ平床式機械1の制御ユニット11に送信する。
【0037】
パレット7は、例えば、短辺区分と長辺区分とを備えた方形のパレットフレームを含んでいる。パレット7は、さらに、載置ウェブ13のアセンブリを含んでいる。載置ウェブ13は、パレットフレームの長辺区分に固定されていて、相応に短辺区分に対して平行に延びている。載置ウェブ13には、切断すべき材料を置くことができる。
【0038】
レーザ切断工程のためにパレットは、パレット導入方向17に沿ってシート切断ユニット3内に走入することができる。パレット位置5A,5Bは、パレット交換方向15に沿って移動することができ、これによって、シート切断ユニット3に関してその都度必要なパレット位置を位置決めすることができる。レーザ平床式機械1の効果的な運転のために、シート切断ユニット3内におけるパレットと、シート切断ユニット3の前におけるパレットとを位置決めすることができる。図示のパレット交換器は、一方の側に2つのパレットを備えたレーザ平床式機械1の運転を可能にする。代替的に、シート切断ユニット3の互いに反対の側に、それぞれ1つのパレット交換器を設けることも可能である。これによって、レーザ平床式機械1を2つの側から運転することができる。パレット交換器の例示的な構成のためには、例えば独国特許出願公開第10206117681号明細書が参照される。
【0039】
カメラ9は、本明細書に開示されたコンセプトによれば、シートプランニング幾何学データ(図4参照)を獲得するために使用される。そのために、残材シート23の画像記録21(図3参照)が評価される。画像記録21は、残材シート23がパレット7に、後続の切断工程のために準備されている場合に検出される。
【0040】
図2には、画像記録21の基礎を成す種々様々な幾何学的なパラメータが明確に示してある。図2によれば、カメラ9は、Z方向で載置ウェブ13のアセンブリの上方で高さhに位置している。さらに、パレット7の長さlが示してある。パレット7の一端は、X方向でカメラ9の前に間隔dを置いて位置している。パレット7には鉛直方向Nが割り当てられており、載置ウェブ13の載置面は、X-Y平面(例えばZ=0)に延在している平面Eを形成している。
【0041】
完全なパレット7を検出するために、カメラ9は開口角σを必要とする。撮影方向19は、開口角σの中心で規定されている。撮影方向19は、鉛直方向Nに対して角度φを成して延びている。(撮影方向19に対して平行に測定された)最大のパレット間隔g(l)および残材シート23の最も近い端部の間隔g(x)も示してある。
【0042】
これらの幾何学的な条件に基づいて、画像記録21の幾何学形状が図3におけるように平準化される。このようにして、残材シート23の位置および向きを、カメラシステムを介して検出することができる。カメラ9が、さらに、シート切断ユニット3の機械座標系で校正されている(すなわち、機械座標への画像座標の変換が行われている)と、撮影された画像および特に検出された残材シート23を機械基準系に関して設定することができる。
【0043】
複数のカメラを使用する場合には、複数の画像を1つの関連した画像にまとめることができる。
【0044】
図3に示したパレット7の概略的な画像記録21で、パレット7を画定する方形のフレーム7Aと、このフレーム7A内に均等に配置された、載置ウェブ13の載置領域13’とが認識される。
【0045】
画像記録21は、さらに、残材シート23の表面24を示す。残材シート23は、L字形の残材シート外側輪郭23Aを有している。残材シート23は、大きな内側切抜きのための例として3つの開口を有しており、これらの開口の内側切抜き輪郭23Bは、切り抜かれた工作物の形状に相当している。工作物は、既に残材シート23から取り除かれている。さらに、それぞれ4つの小さな孔23Cの列が、小さな内側切抜きのための例として認識される。
【0046】
万全を期すために、パレット座標系のゼロポイント0が画像記録21に示してある。このゼロポイント0は、機械座標系に対するパレットの基準を成している。切断工程のための残材シート23の位置に関して考慮されねばならない、並進変換および/または回転変換のための例として、矢印25が、ゼロポイント0から残材シート23の最も近い角隅への移動ベクトルを明確に示している。
【0047】
図4には、シートプランニング幾何学データ31の内容が明確に示してある。このシートプランニング幾何学データ31は、残材シート23の外周エッジライン33Aと、大きな内側切抜き(内側切抜き領域35)に属している複数の内周エッジライン33Bとを含んでいる。エッジラインは、例えばエッジ検出の画像処理アルゴリズムによって検出されている。
【0048】
さらに、シートプランニング幾何学データ31は、3つの小さな切抜き領域37を含んでおり、これらの小さな切抜き領域37は、例えばそれぞれ4つのブロブが大まかにまとめられていることによって、孔23Cの領域において規定されている。
【0049】
残材シート23の残材面は、外周エッジライン33Aの内側で、内周エッジライン33Bの外側で、小さな切抜き領域37の領域内にない領域によって形成される。残材面は、なお、更なる切り抜くべき工作物のために使用することができる。
【0050】
例えば上述したネスティングアルゴリズムによって作成することができる切断プランを明確に示すために、図4には、種々様々に成形された工作物のための切断輪郭39が破線で示してある。これらの切断輪郭39は、外周エッジライン33A、内周エッジライン33Bおよび小さな切抜き領域37とのオーバラップが存在しないように、残材面に分配されている。相応に、必要な工作物を残材シート23から完全に切り抜くことができる。
【0051】
図5A図5Cには、カメラ9の画像記録の評価方法が明確に示してある。図5Aは、相応に成形されて既に取り出された工作物の切抜きによって発生している4つの開口43を備えた残材シート23’の画像記録41を示す。
【0052】
図5Bには、1つの外周エッジライン45Aと4つの内周エッジライン45Bとが示してある。これらの内周エッジライン45Bは、画像記録の画像データを介して実行されるエッジアルゴリズムによって得られている。このことは、画像記録41における開口43の相応にハイコントラストな画像を前提とする。大きな内側切抜きのエッジを検出するために、種々様々なアルゴリズムが、例えばいわゆる「キャニーエッジ検出器」が使用可能である。しかしながら、エッジアルゴリズムは、金属薄板の反射性の表面では常にロバストであるわけではない。残材シート形状に鑑みると、外周エッジラインは方形形状とは異なっていてよい。それというのも、画像処理アルゴリズムが、方形と異なるシートアルゴリズムをも検出することができるからである。
【0053】
ハイコントラストとまではいかない撮影の場合または小さな開口(内側切抜き)しか識別することができない場合には、画像記録の閾値解析、特にブロブアルゴリズムを画像に適用することができる。ブロブとは、本明細書では、画像における、周囲から明瞭に区切られない領域であって、エッジアルゴリズムが全くエッジラインを生じさせないかまたは明瞭なエッジラインを生じさせない領域であると理解される。ブロブアルゴリズムは、2進のピクセル値を備えた画像で使用することができる。2進の画像は、例えば閾値形成によって本来画像のピクセルのグレースケール値から自動的に生じさせることができる。ブロブ領域は、そこで既にレーザ加工が行われたという高められた蓋然性を有する領域である。言い換えると、閾値の帯域の上、下または中にあるグレー値を有しているピクセルは、閾値形成を用いて2進法で「1」によって評価することができ、これに対して、他の全てのピクセルは「0」に設定される。例えば関連するピクセルの数、ブロブの最小面積サイズおよび最大面積サイズならびに可能な形状のようなその他のパラメータを介して、値「1」に関係するピクセルがブロブにまとめられる。
【0054】
ブロブアルゴリズムを用いて、金属薄板における切抜きの面または金属薄板表面をグレー値差によってピクセルで大まかに検出することができる。しかしながら、エッジは、ノイズおよび閾値によって必ずしもシャープに示されない。それでも残材面を大まかに検出することができるので、例えば金属薄板における孔のような干渉領域を認識することができ、後続の加工のために、残材シートにおいて切断すべき工作物の位置付け時に排除することができる。
【0055】
図5Cには、開口43のための画像記録41の閾値解析によって生じさせることができるブロブ構造47が概略的に示してある。一般的にブロブ解析によって、確かに輪郭形状に関する正確な判断を得ることはできない。しかしながら、開口の寸法を見積もることができ、追加工時での、小さな寸法の内側切抜きにわたる部材の位置決めを阻止することができる。
【0056】
図6には、フローチャートで種々様々な態様が明確に示してある。これらの態様は、個々にまたはグループで、シート状の材料から工作物を切り抜くための方法に取り入れることができる。このとき、シート状の材料は、前もって実施された切断プロセスの、いわゆる残材シートであり、連続した面を形成しているのではなく、1つまたは複数の内側切抜き領域を有している。残材シートの外側輪郭は、必ずしも必要ではないが、規則的な、例えば方形の形状を有していてよい。前もって実施された切断プロセスの枠内で、本来方形のシートが、任意に成形された残材シートに分割されていてよく、これらの残材シートのうちの1つまたは複数の残材シートが、後続の切断工程における残材シートとして更なる工作物のために使用されるようになっている。
【0057】
図6には、シートプランニング幾何学データ31’を準備するための方法54の複数の方法ステップがまとめてある。シートプランニング幾何学データ31’は、レーザ平床式機械によって実施すべきレーザ切断工程のプランニングのために設けられている。方法54によれば、ステップ55でカメラによる残材シートの画像記録が形成される。残材シートは、好ましくは、仕分けすべき更なる工作物を有しておらず、すなわち、先行する切断工程の切断物は取り除かれている(仕分けされている)。ステップ57Aで、残材シートの外寸を特定するために画像記録が評価される。そのために、残材シートの残材シート外側輪郭が、例えば図4Bに関連して述べたように特定される。
【0058】
さらに、画像記録は、残材シート外側輪郭よりも内側に位置している少なくとも1つの内側切抜き領域を特定するために評価される(ステップ57B)。
【0059】
大きな内側切抜き領域を、極めて正確に画像記録で認識することができる。このことは、例えば、エッジ検出アルゴリズムによる閉じられた内側切抜き輪郭の識別によって行うことができ、エッジ検出アルゴリズムは、例えば既に残材シート外側輪郭の検出のために画像記録に用いられていて、図4Bに関連して述べてある。
【0060】
さらに、画像記録における内側切抜き領域は、場合によっては、ある程度の不鮮明さをもってしか認識することができない。このようなことは、その(小さな)サイズまたは形状に基づいてエッジ検出にアクセスできない内側切抜き領域の場合に生じ得る。例えば内側切抜き領域は、図4Cに関連して述べた画像記録の閾値解析によって特定することができる。
【0061】
特定された残材シート輪郭および特定された内側切抜き領域を使用して、ステップ59で残材シートの残材面が特定される。残材面は、レーザ切断工程の基礎を成すことができる残材シートの面であり、この残材シートの面から更なる工作物を切断することができる。
【0062】
どの工作物をどのような配置で残材シートから切断すべきであるかのプランニングのために、ステップ61で、残材面の幾何学形状を規定するシートプランニング幾何学データ31’が出力される。さらに、シートプランニング幾何学データ31’は、残材シート外側輪郭の位置を機械座標系において規定する並進変換および/または回転変換を含んでいてよい。
【0063】
出力されたシートプランニング幾何学データ31’は、後続の切断工程のための切断プラン63Aを作成するための方法において使用することができる。ステップ63で、部材の切断輪郭が、シートプランニング幾何学データ31’によって特定された残材面に配置される。このことは、オペレータによって手動にて画像ベースで(例えばドロップ&カットルーティンによって)、校正されたカメラライブ画像を用いて、または切断すべき工作物幾何学形状に割り当てられた二次元空間を配置するためのネスティング法によって行うことができる。
【0064】
次いで、切断プラン63Aが、切断輪郭の位置データと、任意選択的にシートプランニング幾何学データならびに/もしくは並進変換および/または回転変換のデータとによって、1つのフォーマットで作成され、このフォーマットは、レーザ切断機の制御装置によって読み込まれ、残材シートにわたるレーザビームの相応の移動のために使用することができる。
【0065】
補足的に、包括的な製造経過のために述べると、後続切断工程の枠内でレーザビームによってシート状の材料から工作物を切り抜くための方法は、さらに、方法54を組み込む下記のステップを有することができる。
【0066】
例えばステップ51Aにおいて、加工されたシートが位置するパレットをレーザ平床式機械のシート切断ユニットから送出することができる。加工されたシートは、切断物と、切断物を取り囲む残材シートとを含んでいる。仕分けステップ51Bで切断物が仕分けされ、これによって、残材シートが残される。残材シートは、いまや単独で(または他の複数の残材シートと共に)パレットに位置していて、画像記録を作成するために相応に位置決めすることができる。例えば残材シートは、特にパレットの操作によって、レーザ平床式機械のカメラの撮影領域にもたらすことができる。複数の残材シートが載置されている場合(マルチシート加工)には、全ての残材シート面の検出と、切り抜くべき工作物による残材シート面の占有状態の検出とを一緒に行うことができる。
【0067】
いまや、既に概説した、切断プラン63Aを作成するための方法が行われる。切断プラン63Aは、ステップ65でレーザ平床式機械の制御ユニット内に読み込まれ、パレットは残材シートと共にステップ67でレーザ平床式機械のシート切断ユニット内に走入させられる。いまや、ステップ69において、読み込まれた切断プラン63Aに相応して残材シートに切断工程を実施することができる。
【0068】
幾つかの実施形態では、ステップ51Aおよびステップ51Bを1つのステップ53によって代替することができ、このステップ53で、パレット上の残材シートが、レーザ平床式機械のカメラの撮影領域に準備される。例えば、複数の残材グリッドの提供領域から、次の切断工程のための1つの残材グリッドを選択することができる。
【0069】
さらに付言すると、切断物を仕分けし、切断プランを作成するための上記方法を実施し、作成された切断プランを読み込むなどの作業を行っている間に、更なるシート(新規シートまたは残材シート)をレーザ平床式機械のシート切断ユニット内に走入して加工することができる。
【0070】
総括すると、切断すべき部材の手動による配置または最近の自動化された配置によって、小さなロットの大きさの追加工が簡単になる。そのためには、校正されたカメラが必要とされ、このようなカメラによって、レーザ切断機の機械加工時間に、準備されたブランクシート/残材シートをベースにした切断プログラムを手動にてまたは(部分的に)自動化して作成することができる。そのために、仕分け時に使用された校正されたカメラライブ画像を使用することができる。好ましくは、ブランクシート/残材シートは、パレット上で機械の近傍に準備されている。例えば仕分けの直後に残材金属薄板がまだ存在している場合、またはブランクシート/残材グリッドの載置によって、機械加工時間に並行して、切断プログラムをシート位置およびシート面の測定に基づいて行うことができる。これによって、シートごとに数秒の時間を節約することができる。時間の節約は、後切断可能な部材の数と共に向上する。
【0071】
校正されたカメラ撮影によって、パレット上での、しかしながら、カメラの視野領域内側での残材シートの移動時に、検出されたエッジを追跡することができる。1つまたは複数のカメラの校正に基づいて、さらに、機械ゼロポイントへの残材シートの並進および回転を計算することができる。
【0072】
幾つかの実施形態では、次に切断すべきシートの、画像が重ねられた図が、ブランクシートをベースにしてパレットに表示される。このようにしてオペレータは、切断プログラムとネスティングとの寸法の視覚的な比較をシート上で行うことができる。次の切断プログラムへのプレビューに対する可能性が存在している場合には、オペレータはエラー回避のために介入し、切断プランを適合させることができる。本明細書に開示されたコンセプトは、さらに、計画された切断プログラムを使用可能なブランクシート面に位置決めすることができるか否かのサイズ検査をも可能にする。
【0073】
明確に強調しておくと、明細書の記載および/または請求項に開示された全ての特徴は、本来の開示の目的のためにも、請求された発明の減縮の目的のためにも、実施形態および/または請求項における特徴の組合せとは無関係に、個別にかつ互いに無関係であると見なされるべきである。さらに明確に記載しておくと、単位グループの全ての範囲記載または記載は、本来の開示の目的のためにも、請求された発明の減縮の目的のためにも、単位のそれぞれの可能な中間値またはサブグループをも開示しており、特に範囲記載の限界としても開示している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
【国際調査報告】