(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】ロックナット
(51)【国際特許分類】
F16B 39/12 20060101AFI20220204BHJP
B60B 35/14 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
F16B39/12 Z
B60B35/14 V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535528
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 US2019068024
(87)【国際公開番号】W WO2020132550
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508137752
【氏名又は名称】コンソリデイテッド・メトコ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コイン,ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】ハウウェル,ローガン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ショー,ジョセフ エム.
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル,メアリー ケー.
(72)【発明者】
【氏名】バーデン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リャオ,ジョナサン
(57)【要約】
【課題】 例えば簡易な構成のロックナットを提供することである。
【解決手段】 一態様では、互いに別個である、ワッシャ、ねじ体、及びアクチュエータを含む、ロックナットが提供される。ワッシャは、車両のスピンドルとの非回転自在な接続部を形成するように構成されている。ねじ体は、車両のスピンドルのねじ山に係合するためのねじ山を有する。アクチュエータは、回転駆動構造を有し、且つ締め付け方向に回されて、ねじ体をワッシャに対して締め付け方向に回すように構成されている。ロックナットは、アクチュエータに動作可能に結合され且つねじ体がワッシャに対して緩み方向に回るのを阻止するように構成されたロックを含む。アクチュエータは、ねじ体に対し緩み方向に回されてロックを係合解除し、且つねじ体をワッシャに対して緩み方向に回すことが可能なように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のスピンドル用のロックナットであって、
互いに別個である、ワッシャ、ねじ体、及びアクチュエータを含み、
前記ワッシャは、前記車両のスピンドルを受け入れるサイズの開口部を有し、且つ、前記車両のスピンドルとの非回転自在な接続部を形成するように構成されており、
前記ねじ体は、前記車両のスピンドルのねじ山に係合するためのねじ山を有し、
前記アクチュエータは、回転駆動構造を有し、且つ、締め付け方向に回されて前記ねじ体を前記ワッシャに対して前記締め付け方向に回すように構成されており、
前記ロックナットは、前記アクチュエータに動作可能に結合され且つ前記ねじ体が前記ワッシャに対して緩み方向に回るのを阻止するように構成されたロックを含み、
前記アクチュエータは、前記ねじ体に対して前記緩み方向に回されて前記ロックを係合解除し、且つ、前記ねじ体が前記ワッシャに対して前記緩み方向に回ることが可能なように構成されている、ロックナット。
【請求項2】
前記ロックは少なくとも1つのロック部材を含み、この少なくとも1つのロック部材は、前記ねじ体が前記ワッシャに対して前記緩み方向に回ることを前記少なくとも1つのロック部材が阻止するロック位置と、前記ねじ体が前記緩み方向に回ることを前記少なくとも1つのロック部材が可能にするロック解除位置とを有し、
前記アクチュエータは、前記アクチュエータを前記ねじ体に対して前記緩み方向に回すことによって、前記少なくとも1つのロック部材を前記ロック位置から前記ロック解除位置へシフトさせるように構成されている、請求項1に記載のロックナット。
【請求項3】
前記ロックは、複数のローラと、前記ねじ体及び前記ワッシャの各表面とを含み、前記ローラは、前記表面の間に押し込まれて、前記ねじ体が前記ワッシャに対して前記緩み方向に回るのを阻止する、請求項1に記載のロックナット。
【請求項4】
前記ロックは、前記ねじ体及び前記ワッシャのうちの一方の少なくとも1つのバネ爪を含み、これは、前記ねじ体及び前記ワッシャのうちの他方の少なくとも1つの歯に係合して、前記ねじ体が前記ワッシャに対して前記緩み方向に回るのを阻止する、請求項1に記載のロックナット。
【請求項5】
前記アクチュエータを前記ねじ体に対して前記緩み方向に回すのに応答して、前記ロックを再係合するために前記アクチュエータに付勢力を加えるように構成された少なくとも1つのバネをさらに含む、請求項1に記載のロックナット。
【請求項6】
前記ロックは、前記ねじ体が前記ワッシャに対して前記緩み方向に回るのを阻止するために、前記ワッシャ及び前記ねじ体のうちの一方に係合するように構成された少なくとも1つのロック部材、及び
前記ねじ体及び前記ワッシャの他方に固定されたバネリングであって、前記少なくとも1つのロック部材を前記ワッシャ及び前記ねじ体のうちの一方と強力に係合させる少なくとも1つの弾性部材を有する、バネリング
を含む、請求項1に記載のロックナット。
【請求項7】
前記ロックナット及び前記ねじ体は、前記アクチュエータを前記締め付け方向に回すことによって、前記ワッシャに対して前記ねじ体を協働して回すようにする第1の対の駆動面、及び前記アクチュエータを前記緩み方向に回すことによって、前記ワッシャに対して前記ねじ体を協働して回すようにする第2の対の駆動面を有する、請求項1に記載のロックナット。
【請求項8】
前記第1及び第2の対の駆動面は、前記アクチュエータを予め決められた回転運動範囲で前記ねじ体に対して回すことが可能なように配置されている、請求項7に記載のロックナット。
【請求項9】
さらに、前記ねじ体及びアクチュエータを前記ワッシャと組み立てられた状態に保つ、前記ワッシャに接続された弾性保持器を含む、請求項1に記載のロックナット。
【請求項10】
ホイールハブと、
前記ホイールハブに装着され、且つ車両のスピンドルを受け入れるように構成された軸受と、
ナットアセンブリと
を含む、ホイールハブアセンブリであって、
ナットアセンブリは、
ねじ体と、
回転駆動構造を有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを回すことによって、前記ねじ体を協働して回すようにする、前記アクチュエータ及びねじ体の駆動部分であって、前記アクチュエータと前記ねじ体の相対的な回転運動を可能にする、前記アクチュエータ及びねじ体の駆動部分と、
前記アクチュエータ及び前記ねじ体の少なくとも一方に結合されたホイールエンド装置であって、前記アクチュエータと前記ねじ体の前記相対的な回転運動に応答して、動作するように構成されたホイールエンド装置と
を含む、ホイールハブアセンブリ。
【請求項11】
前記ナットアセンブリは環状ベースを含み、
前記ホイールエンド装置は、前記アクチュエータを前記ねじ体に対して回すのに応答して、係合解除されるフリーホイールクラッチを含む、請求項10に記載のホイールハブアセンブリ。
【請求項12】
前記ねじ体は、前記車両のスピンドルのねじ山に係合するように構成され、
環状ベースは、前記スピンドルを受け入れる貫通開口部があり、前記環状ベースは、前記車両のスピンドルとの非回転自在な接続部を形成するように構成されており、
前記ホイールエンド装置は、前記アクチュエータに動作可能に結合されたロックを含み、前記ロックは、前記アクチュエータと前記ねじ体の相対的な回転運動に応答して、前記ねじ体が前記環状ベースに対して第1の方向に回るのを阻止するロック形態から、前記ねじ体が前記環状ベースに対して前記第1の方向に回ることができるようにするロック解除形態へシフトさせるように構成されている、請求項10に記載のホイールハブアセンブリ。
【請求項13】
前記アクチュエータが前記ねじ体に対して第1の方向に回されていることに応答して、前記アクチュエータに付勢力を加えるように構成された少なくとも1つのバネをさらに含む、請求項10に記載のホイールハブアセンブリ。
【請求項14】
前記アクチュエータが前記ねじ体に対して第2の方向に回されていることに応答して、前記少なくとも1つのバネは前記アクチュエータに付勢力を加えるように構成されている、請求項13に記載のホイールハブアセンブリ。
【請求項15】
前記ホイールエンド装置は、前記アクチュエータと前記ねじ体の前記相対的な回転運動を検出するように構成された少なくとも1つのセンサーを含む、請求項10に記載のホイールハブアセンブリ。
【請求項16】
前記ホイールエンド装置は、前記少なくとも1つのセンサーに動作可能に結合されたプロセッサー及び通信回路を含み、前記プロセッサーは、前記センサーが前記アクチュエータと前記ねじ体の前記相対的な回転運動を検出すると、前記通信回路に遠隔装置へ信号を送信させるように構成されている、請求項15に記載のホイールハブアセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1つのセンサーは、前記アクチュエータと前記ねじ体の第1の方向及び前記第1の方向とは反対の第2の方向における相対的な回転運動を検出するように構成されており、
プロセッサーは、前記少なくとも1つのセンサーに動作可能に結合され、且つ前記アクチュエータとねじ体の前記相対運動が前記第1の方向であるか又は前記第2の方向であるかを決定するように構成されている、請求項15に記載のホイールハブアセンブリ。
【請求項18】
ロックナットの動作方法であって、このロックナットは、車両のスピンドルに非回転自在に接続されたワッシャと、スピンドルのねじ山に係合されるねじ山を有するねじ体と、前記ねじ体に対して緩み方向に回されて、前記ねじ体が前記ワッシャに対して前記緩み方向に回るのを阻止する前記ロックナットのロックを係合解除するように構成されたアクチュエータとを含み、
前記アクチュエータの回転駆動構造にツールを接続すること、及び
前記アクチュエータを締め付け方向に回して、前記ねじ体を前記ワッシャに対して前記締め付け方向に回すこと
を含む、方法。
【請求項19】
さらに、前記アクチュエータの前記回転駆動構造に接続された前記ツールを使用して、前記アクチュエータを前記ねじ体に対して前記緩み方向に回して、前記ロックを係合解除することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、前記アクチュエータを緩み方向に回して、前記アクチュエータ及び前記ねじを前記ワッシャに対して前記緩み方向に回すことを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記アクチュエータを前記緩み方向に回すことは、前記ロックの少なくとも1つのロッキング部材を、前記ねじ体が前記ワッシャに対して前記緩み方向に回るのを前記少なくとも1つのロッキング部材が阻止するロック位置から、前記ねじ体が前記ワッシャに対して前記緩み方向に回ることを前記少なくとも1つのロッキング部材が可能にするロック解除位置へシフトさせることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記アクチュエータを前記締め付け方向に回して前記ねじ体を回すことは、前記アクチュエータを前記ねじ体に対して前記締め付け方向に回すこと、及び
前記ねじ体に対する前記アクチュエータの前記締め付け方向の前記回転を前記ロックナットのセンサーによって検出すること
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
シャフトを受け入れるための中心貫通開口部のある回転係合部材と、
前記回転係合部材に接続され且つ回転駆動構造を有するアクチュエータと、
前記アクチュエータを回すことによって、前記回転係合部材を協働して回す、前記アクチュエータ及び回転係合部材の駆動部分であって、前記アクチュエータと前記回転係合部材の相対的な回転運動を可能にする、アクチュエータ及び回転係合部材の駆動部分と、
前記アクチュエータ及び前記回転係合部材の少なくとも一方に結合された締結機器であって、前記アクチュエータ及び前記回転係合部材の前記相対的な回転運動に応答して、動作するように構成された締結機器と
を含む、締結アセンブリ。
【請求項24】
前記シャフトを受け入れるための中心開口部のある環状ベースであって、前記シャフトとの非回転自在な接続部を形成するように構成された環状ベースをさらに含み、
前記締結機器は、前記アクチュエータに動作可能に結合されたロックを含み、前記ロックは、アクチュエータを前記回転係合部材に対して回すことに応答して、前記回転係合部材が前記環状ベースに対して第1の方向に回るのを阻止するロック形態から、前記回転係合部材が前記環状ベースに対して前記第1の方向に回ることが可能なロック解除形態へシフトするように構成されている、請求項23に記載の締結アセンブリ。
【請求項25】
前記締結機器は、前記アクチュエータと前記回転係合部材の相対運動を検出するように構成された少なくとも1つのセンサーを含む、請求項23に記載の締結アセンブリ。
【請求項26】
前記締結機器は、前記少なくとも1つのセンサーに動作可能に結合されたプロセッサー及び通信回路を含み、前記プロセッサーは、前記センサーが前記回転係合部材に対する前記アクチュエータの相対的な回転運動を検出すると、前記通信回路に遠隔装置へ信号を送信させるように構成されている、請求項26に記載の締結アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2018年12月21日出願の米国仮特許出願第62/783,476号、及び2019年9月11日出願の米国仮特許出願第62/898,661号の利益を主張し、これらの全体を参照することにより本書に援用する。
【0002】
分野
[0002] 本出願は、ロックナットに関し、より具体的には、ホイールスピンドル用のロックナットに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] ホイールを装着するための回転自在な装着面を提供するために、車両の車軸のスピンドルにホイールハブアセンブリが装着される。ホイールハブアセンブリは、ハブアセンブリに意図する特定応用に応じて、多くの異なる設計で提供される。ハブアセンブリの設計に関わらず、ハブアセンブリは、一般的に、以下の構成要素を有する:ホイールスタッド、従動車軸スタッド、シール、円すいころ軸受などの駆動側及び反駆動側軸受(inboard and outboard bearing)、並びにこれらの構成要素を収納するためのホイールハブ。設計の仕様に依存して、ホイールハブアセンブリはまた、アンチロックブレーキリング、及び駆動側の円すいころ軸受と反駆動側の円すいころ軸受との間に配置されるスペーサを含み得る。スピンドルナットがスピンドルに螺合されて、ハブアセンブリをスピンドルに取り付ける。スピンドルナットは、スピンドル上でハブアセンブリを軸方向に保持する機能を果たすが、依然としてハブの回転を可能にする。
【0004】
[0004] 既存のスピンドルナット形態は、例えば、米国特許第8,292,393号に示されている。‘393号特許に開示されているスピンドルナットの一実施形態は、ロックリングと、ロックリング上のタブに対応する孔のあるワッシャとを含む。この形態は、ホイールエンドの適切な位置にスピンドルナットをしっかりと固定するのに役立つ。しかしながら、スピンドルナットの構成要素は、いくつかのステップでスピンドルに備え付けられており、これは、スピンドルナットの備え付けを複雑にするかもしれない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
[0005] 本開示の一態様では、車両のスピンドル用のロックナットが提供される。ロックナットは、ワッシャ、ねじ体、及びアクチュエータを含み、これらは互いに別個である。ワッシャは、車両のスピンドルを受け入れるサイズの開口部を有し、且つ車両のスピンドルとの非回転自在な接続部を形成するように構成されている。ねじ体は、車両のスピンドルのねじ山に係合するためのねじ山を有する。アクチュエータは、回転駆動構造を有し、且つ締め付け方向に回されて、ねじ体をワッシャに対して締め付け方向に回すように構成されている。ロックナットは、さらに、アクチュエータに動作可能に結合され且つねじ体がワッシャに対して弛み方向に回るのを阻止するように構成されたロックを含む。アクチュエータは、ロックを係合解除するためにねじ体に対して緩み方向に回されて、ねじ体がワッシャに対して緩み方向に回ることが可能なように構成されている。一実施形態では、ロックナットは、車両のスピンドルに簡単に螺合されて規定のトルクまで締め付けられ得る、ワッシャ、ねじ体、及びアクチュエータの一体型アセンブリを提供する。さらに、ロックナットのロックは、ユーザがアクチュエータを回してロックを解放するまで、ねじ体が緩むのを阻止する。
【0006】
[0006] 本開示の別の態様では、ホイールハブと、車両のスピンドルを受け入れるように構成された、ホイールハブに装着された軸受とを含む、ホイールハブアセンブリが提供される。ホイールハブアセンブリは、ねじ体と、回転駆動構造を有するアクチュエータとを含む、ナットアセンブリを含む。アクチュエータ及びねじ体は駆動部分を有し、これら駆動部分は協働して、アクチュエータを回すことによってねじ体を回す。アクチュエータ及びねじ体の駆動部分は、アクチュエータとねじ体の相対的な回転運動を可能にする。ホイールハブアセンブリは、さらに、アクチュエータ及びねじ体の少なくとも一方に結合されたホイールエンド装置を含む。ホイールエンド装置は、アクチュエータとねじ体の相対的な回転運動に応答して、動作するように構成されている。一実施形態では、ナットアセンブリは、アクチュエータをねじ体に対して回すことによって、ホイールエンド装置を動作させる。ホイールエンド装置は、アクチュエータ及びねじ体が回転運動するとすぐに動作しても、又はねじ体に対するアクチュエータの予め決められた角回転などの遅延後に動作してもよい。遅延は、例えば、約1~約90度、例えば約1~約20度、例えば約1~約10度、例えば約2~約8度の範囲の、アクチュエータとねじ体の相対的な角変位とし得る。
【0007】
[0007] ある実施形態では、ホイールエンド装置は、アクチュエータとねじ体の相対的な回転運動によって、ロック形態とロック解除形態との間で再構成されるロックを含む。ロックは、例えば、フリーホイールクラッチとし得る。その代わりに又はそれに加えて、ホイールエンド装置は、アクチュエータとねじ体の相対的な回転運動を検出するように構成された少なくとも1つのセンサーを含み得る。ホイールエンド装置はプロセッサーを含み得、このプロセッサーは、少なくとも1つのセンサーに結合され、且つ少なくとも1つのセンサーがアクチュエータとねじ体の相対的な回転運動を検出することに応答して、信号を生成するように構成されている。プロセッサーは、ホイールエンド装置の通信回路に遠隔装置へ信号を無線通信させ得る。信号は、例えば、ホイールハブアセンブリが使い始めることができるようにされたか及び/又は技術者によって使い始められたかを決定するために、遠隔装置によって使用され得る。
【0008】
[0008] 本開示はまた、ロックナットの動作方法を提供する。ロックナットは、車両のスピンドルに非回転自在に接続されたワッシャと、スピンドルのねじ山に係合したねじ山を有するねじ体と、ねじ体がワッシャに対して緩み方向に回るのを阻止するロックナットのロックを係合解除するために、ねじ体に対して緩み方向に回されるように構成されたアクチュエータとを含む。方法は、アクチュエータの回転駆動構造にツールを接続すること、及びアクチュエータを締め付け方向に回して、ねじ体をワッシャに対して締め付け方向に回すことを含む。一実施形態では、方法は、ロックナットをスピンドルに装着して、そこにホイールハブを固定できるようにすることを含み、ロックナットは、ユーザが望む場合には、ロックナットを解放するために緩み方向に回され且つスピンドルからロックナットを取り外すためにねじ体が緩み方向に回ることができるようにし得るアクチュエータを有する。
【0009】
[0009] 別の態様では、本開示は、シャフトを受け入れるための中心貫通開口部のある回転係合部材と、回転係合部材に接続され且つ回転駆動構造を有するアクチュエータとを含む、締結アセンブリを提供する。アクチュエータ及び回転係合部材は駆動部分を含み、これら駆動部分は協働して、アクチュエータを回すことによって回転係合部材を回す。アクチュエータ及び回転係合部材の駆動部分は、アクチュエータと回転係合部材の相対的な回転運動を可能にする。締結アセンブリは、さらに、アクチュエータ及び回転係合部材のうちの少なくとも一方に結合された締結機器を含み、締結機器は、アクチュエータと回転係合部材の相対的な回転運動に応答して、動作するように構成されている。一実施形態では、締結機器は、アクチュエータが回転係合部材に対して回ると、動作を行う。締結機器は、相対的な回転運動が行われるとすぐに動作しても、又はアクチュエータ及び回転係合部材が互いに対して予め決められた回転運動範囲で回るなどの遅延後に動作してもよい。
【0010】
[0010] 締結機器は、例えば、アクチュエータと回転係合部材の相対的な回転運動によって、ロック形態とロック解除形態との間でシフトするロックを含み得る。別の例として、締結機器は、アクチュエータと回転係合部材の相対的な回転運動を検出するように構成されたセンサーを含む。締結機器は、さらに、センサーに結合され且つ回転運動を示す信号を生成するように構成されたプロセッサーを含む。締結機器はまた、ユーザ装置又は車両装置などの遠隔装置へ信号を無線通信する通信回路を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
【
図1】[0011]車両のスピンドルにホイールハブを保持するロックナットの断面図である。
【
図2】[0012]スピンドルを受け入れるロックナットのねじ体の中心開口部を示す、
図1のロックナットの斜視図である。
【
図3】[0013]駆動ツールを受け入れる上部ナット頭部、及びスピンドルに非回転自在に接続する下部ワッシャを示す、
図2のロックナット側面図である。
【
図4】[0014]保持リング、ナット頭部、ねじ体、ローラ、バネリング、及びワッシャを示す、
図2のロックナットの分解図である。
【
図5】[0015]ナット頭部の周りで円周方向に離間された駆動タブ及び作動タブを示す、
図4のナット頭部の底面図である。
【
図6】[0016]ナット頭部のフランジ部分から垂れ下がる駆動タブ及び作動タブを示す、
図5のナット頭部の側面図である。
【
図7】[0017]
図5のナット頭部の駆動タブ及び作動タブを受け入れる、ねじ体の円周方向に離間した開口部を示す、
図4のねじ体の上面図である。
【
図8】[0018]ねじ体のフランジから直立する、ねじ体の立ち上がり部を示す、
図7のねじ体の側面図である。
【
図9】[0019]バネリングの周りで円周方向に離間されたバネタブを示す、
図4のバネリングの上面図である。
【
図10】[0020]ローラの平らな上面及び湾曲した側面を示す、
図4のローラのうちの1つの斜視図である。
【
図11】[0021]ワッシャがスピンドルに対して回るのを阻止するようにスピンドルのキー溝に係合する、半径方向内側に延在するタング(tang)を示す、
図4のワッシャの上面図である。
【
図12】[0022]ナット頭部フランジ、ねじ体フランジ、及びバネリングをワッシャの区画内に捕らえる保持リングを示す、
図2の線12-12に沿って取った断面図である。
【
図13】[0023]ねじ体がワッシャに対して反時計回りの緩み方向に回るのを阻止するロック形態にあるロックナットのローラロックを示す、
図3の線13-13に沿って取った断面図である。
【
図14】[0024]ナット頭部が反時計回りの緩み方向に回されて、その作動タブが、ローラロックを、ロック形態から、ワッシャに対して反時計回りの緩み方向にねじ体が回ることができるようにするロック解除形態へシフトさせるようにすることを示す、
図13と同様の断面図である。
【
図16】[0026]ナット頭部を時計回りの締め付け方向に回して、ナット頭部の作動タブとローラのうちの1つとをねじ体のポケット内でワッシャの環状壁に沿って移動させることを示す、
図15と同様の図である。
【
図17】[0027]ローラがワッシャの環状壁とねじ体のランプ面との間に押し込まれて、ねじ体が反時計回りの緩み方向に回るのを阻止することを示す、
図15と同様の図である。
【
図18】[0028]ナット頭部作動タブがねじ体に対して反時計回りの緩み方向に回り、且つローラをロック解除位置へシフトさせ、そこでは、ナット頭部を反時計回りの緩み方向に回すことによって、ローラが、ねじ体を反時計回りの緩み方向に回すことができるようにすることを示す、
図15と同様の図である。
【
図19】[0028]ナット頭部作動タブがねじ体に対して反時計回りの緩み方向に回り、且つローラをロック解除位置へシフトさせ、そこでは、ナット頭部を反時計回りの緩み方向に回すことによって、ローラが、ねじ体を反時計回りの緩み方向に回すことができるようにすることを示す、
図15と同様の図である。
【
図20】[0029]スピンドルのねじ山と係合された別のロックナットの斜視図である。
【
図21】[0030]ロックナットのねじ体の中心開口部を示す、
図20のロックナットの斜視図である。
【
図22】[0031]ロックナットの保持リング、ナット頭部、ねじ体、ローラ、バネリング、及びワッシャを示す、
図21のロックナットの分解図である。
【
図23】[0032]ナット頭部フランジ、ねじ体フランジ、及びバネリングをワッシャの区画内に捕らえる保持リングを示す、
図21のロックナットの一部分の断面図である。
【
図24】[0033]ロックナットのねじ体の意図的でない緩みを阻止するバネロックを有するロックナットの斜視図である。
【
図25】[0034]ロックナットの上部ナット頭部及び下部ワッシャを示す、
図24のロックナットの側面図である。
【
図26】[0035]保持リング、ナット頭部、ねじ体、バネリング、及びワッシャを示す、
図24のロックナット分解図である。
【
図27】[0036]ナット頭部の周りで円周方向に離間された駆動タブ及び作動タブを示す、
図26のナット頭部の底面図である。
【
図28】[0037]ナット頭部のフランジから垂れ下がる駆動タブ及び作動タブを示す、
図27のナット頭部の側面図である。
【
図29】[0038]ナット頭部の駆動タブ及び作動タブを受け入れる、ねじ体のフランジの円周方向に離間した開口部を示す、
図26のねじ体の上面図である。
【
図30】[0039]ねじ体のフランジから直立する立ち上がり部を示す、
図29のねじ体の側面図である。
【
図31】[0040]バネリングの周りで円周方向に離間されたバネ爪であって、ワッシャの開口部に収まって、バネリング及びそれに接続されたねじ体が回るのを阻止する爪部分を有するバネ爪を示す、
図26のバネリングの上面図である。
【
図32】[0041]ワッシャのカラー、カラーから半径方向内側に延在するタング、及び環状壁を示す、
図26のワッシャの上面図である。
【
図33】[0042]ナット頭部フランジ、ねじ体フランジ、及びバネリングをワッシャの区画内に捕らえる保持リングを示す、
図24の線33-33に沿って取った断面図である。
【
図34】[0043]ねじ体が反時計回りの緩み方向に回るのを阻止するロック形態にあるロックナットのバネロックを示す、
図25の線34-34に沿って取った断面図である。
【
図35】[0044]反時計回りの緩み方向に回されたナット頭部と、バネ爪を、半径方向内側に、カム動作(camming)により、ナット頭部がねじ体を反時計回りの緩み方向に回すことができるようにするロック解除位置までもたらしているナット頭部作動タブとを示す、
図34と同様の図である。
【
図37】[0046]ナット頭部がねじ体及びバネ爪をワッシャに対して時計回りの締め付け方向に回し、且つバネ爪の爪部分をワッシャの歯の上側にわたってラチェット移動(ratchet)ことを示す、
図36と同様の図である。
【
図38】[0047]ワッシャの歯のうちの1つと係合し、且つバネリング及びそれに接続されたねじ体が反時計回りの緩み方向に回るのを阻止するバネ爪の爪部分を示す、
図36と同様の図である。
【
図39】[0048]反時計回りの緩み方向に回り、且つバネ爪を、半径方向内側に、カム動作により、ナット頭部、バネリング、及びねじ体が一緒にワッシャに対して反時計回りの緩み方向に回ることができるようにするロック解除位置までもたらすナット頭部作動タブを示す、
図36と同様の図である。
【
図40】[0048]反時計回りの緩み方向に回り、且つバネ爪を、半径方向内側に、カム動作により、ナット頭部、バネリング、及びねじ体が一緒にワッシャに対して反時計回りの緩み方向に回ることができるようにするロック解除位置までもたらすナット頭部作動タブを示す、
図36と同様の図である。
【
図41】[0049]ロックナットのねじ体がロックナットのワッシャに対して反時計回りの緩み方向に意図的でなく回るのを阻止する、バネロックを有するロックナットの斜視図である。
【
図42】[0050]ロックナットのナット頭部、ねじ体、バネ爪、及びワッシャを示す、
図41のロックナットの分解図である。
【
図43】[0051]ねじ体が反時計回りの緩み方向に回るのを阻止するロック形態にあるバネロックを示す、
図41の線43-43に沿って取った断面図である。
【
図44】[0052]ナット頭部の作動タブが、バネ爪を、半径方向内側に、カム動作により、ナット頭部、ねじ体、及びバネ爪が一緒にワッシャに対して反時計回りの緩み方向に回ることができるようにするロック解除位置へもたらすように、ナット頭部がねじ体に対して反時計回りの緩み方向に回されていることを示す、
図43と同様の図である。
【
図45】[0053]ロック形態にあるバネ爪を示す、
図43の破線領域の図である。
【
図46】[0054]時計回りの締め付け方向に回っているねじ体、及びワッシャの歯の上側にわたってラチェット移動するバネ爪の爪部分を示す、
図45と同様の図である。
【
図47】[0055]ねじ体がワッシャに対して反時計回りの緩み方向に回るのを阻止するようにワッシャの歯に係合する、バネ爪の爪部分を示す、
図45と同様の図である。
【
図48】[0056]ナット頭部作動タブがねじ体に対して反時計回りの緩み方向に回り、且つバネ爪を、ワッシャの歯に対してゆとりを持つように、半径方向内側に、カム動作によりもたらして、それにより、ナット頭部、ねじ体、及びバネ爪が一緒にワッシャに対して反時計回りの緩み方向に回ることができるようにすることを示す、
図45と同様の図である。
【
図49】[0056]ナット頭部作動タブがねじ体に対して反時計回りの緩み方向に回り、且つバネ爪を、ワッシャの歯に対してゆとりを持つように、半径方向内側に、カム動作によりもたらして、それにより、ナット頭部、ねじ体、及びバネ爪が一緒にワッシャに対して反時計回りの緩み方向に回ることができるようにすることを示す、
図45と同様の図である。
【
図50】[0057]ねじ体及びナット頭部を有するナットの斜視図であり、ナット頭部は、ねじ体との回転接続部を有し、これにより、ナット頭部が予め決められた運動範囲にわたってねじ体に対して回ることができるようにする。
【
図51】[0058]ナット頭部をねじ体に対して第1の方向に回すことに応答して閉鎖される第1のスイッチと、ナット頭部をねじ体に対して第2の反対方向に回すことに応答して閉鎖される第2のスイッチとを示す、
図50の線51-51に沿って取った断面図である。
【
図52】[0059]ねじ体、ナット頭部、及びワッシャを有する、ロックナットの斜視図である。
【
図53】[0060]ねじ体の凹部に受け入れられる爪及びバネを示す、
図52のロックナットの分解図である。
【
図54】[0061]ワッシャの歯に係合して、ねじ体をワッシャに対して緩み方向に意図せず回すのを阻止する歯を示す、爪のうちの1つの裏面の斜視図である。
【
図55】[0062]ねじ体の凹部のうちの1つに受け入れられたナット頭部の作動タブと、1つの凹部内でロック位置にある関連する爪との斜視図である。
【
図56】[0063]反時計回りの緩み方向に回され、且つ爪を、半径方向外側に、その歯がワッシャの歯から係合解除されるロック解除位置へシフトさせた、ナット頭部作動タブを示す、
図55と同様の図である。
【
図57】[0064]ねじ体、ナット頭部、及びワッシャを有する、ロックナットの斜視図である。
【
図58】[0065]ねじ体内に摺動可能に装着され且つワッシャの歯と係合された爪を示す、
図57の線58-58に沿って取った断面図である。
【
図59】[0066]ナット頭部を回すことによって、カム動作により、ナット頭部の角度付きスロット内に乗せられて動くピンを半径方向外側へともたらして、ワッシャから爪を係合解除するようにそのピンに接続された爪のうちの1つを示す、
図57の線59-59に沿って取った断面図である。
【
図60】[0067]ロック位置にあり且つワッシャの歯と係合された爪のうちの1つの断面図である。
【
図61】[0068]ワッシャの歯に対してゆとりのある、半径方向外側のロック解除位置へシフトさせた爪を示す、
図60と同様の図である。
【
図62】[0069]ナット頭部と、スピンドル又は他のシャフトを受け入れる中心開口部のあるねじ体とを有する、ロックナット斜視図である。
【
図63】[0070]ねじ体の貫通孔に受け入れられるプランジャー部分を有するロックナットのピンを示す、
図62のロックナット分解図である。
【
図64】[0071]ナット頭部を回してピンを上方にシフトさせてワッシャの開口部からそのプランジャー部分を係合解除するように、ピンのうちの1つの頭部に接触するナット頭部のランプ面を示す、
図62の線64-64に沿って取った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
[0072]
図1に関して、車両のスピンドル12に装着されたホイールハブアセンブリ10が示されている。ホイールハブアセンブリ10は、スピンドル12を受け入れる1つ以上の軸受アセンブリ16、18を有するホイールハブ14と、軸受アセンブリ16と18との間の軸方向分離を維持するスペーサ20と、ハブ本体21とを含む。ホイールハブアセンブリ10は、さらに、スピンドル12の遠位端部分28のねじ山23に係合するロックナット22などの締結装置を含んで、スピンドル12上にホイールハブ14を保持する。
【0013】
[0073]
図1及び
図2に関して、ロックナット22は、ロックナット22をスピンドル12に容易に螺合させるようにする別個の複数の構成要素の一体型アセンブリを含み、且つスピンドル12の振動に起因してロックナット22が意図せずに緩むのを阻止する。ロックナット22は、緩む部分の全くない、単一のアセンブリとしてもよい。それにより、ロックナット22は、スピンドル12上へのワンステップアセンブリを有し得る;具体的には、ユーザは、ロックナット22をスピンドル12上へ螺合させ、且つロックナット22を規定のトルクまで締め付ける。ワンステップアセンブリは、ロックナット22を、ユーザにとってより直感的なものにする。なぜなら、ユーザの観点からは、ロックナット22を、従来のナットと同様の方法で、スピンドル上へ螺合させるためである。
【0014】
[0074]
図2に関して、一実施形態では、ロックナット22は、スピンドル12を受け入れる貫通開口部26が設けられたねじ体24などの回転係合部材と、ナット頭部30などのアクチュエータと、ワッシャ32などのナット基部とを含む。ワッシャ32は、スピンドル12の遠位端部分28のキー溝36に受け入れられるタング(tang)34などのキーを含み、スピンドル12に対してワッシャ32が回るのを阻止する。他のキー形態を用いて、スピンドル12に対してワッシャ32が回るのを阻止してもよい。
【0015】
[0075] ワッシャ32は、ねじ体24に回転自在に結合され、且つタング34がキー溝36と位置合わせされた状態で、スピンドル12上に位置決めされ得る。ユーザは、駆動ツールをナット頭部30に接続して、ナット頭部30を時計回りの締め付け方向202(
図13参照)に回し、それにより、ナット頭部30を締め付け方向202に回し、且つナット頭部30、ねじ体24、及びワッシャ32を一緒に、内側方向(inboard direction)に前進させる。締め付け方向202に回るねじ体24は、タング34とキー溝36との間の係合に起因して、回転することなく、スピンドル12に沿ってワッシャ32を軸方向内側へシフトさせる。ユーザは、特定のトルクに達するまで、ナット頭部30にトルクを加える。
【0016】
[0076] ロックナット22は、一方向ロックなどのロック37を有し、これは、スピンドル12上でのねじ体24の締め付けを可能にする一方で、スピンドル12上でのねじ体24の緩みを阻止する。一実施形態では、ロック37はローラクラッチ39を含み、このローラクラッチは、ローラクラッチ39のローラロック40がワッシャ32に対してねじ体24を締め付け方向202に回すことができるようにし且つねじ体24がワッシャ32に対して反時計回りの緩み方向180に回るのを阻止する(
図13参照)ロック形態を有する。ひとたびユーザが駆動ツールを使用してナット頭部30に締め付け方向202にトルクを加えるのをやめたら、ローラクラッチ39は、ワッシャ32に対してねじ体24を自動的にロックして、ねじ体24の緩みを阻止する。
【0017】
[0077] スピンドル12からロックナット22を取り外すためには、ユーザは駆動ツールをナット頭部30に接続して、ナット頭部30を緩み方向180に回し、これにより、
図13と
図14を比較することによって示すように、ナット頭部30をねじ体24に対して緩み方向180に予め決められた角距離回すか又は回転させる。ねじ体24に対してナット頭部30を緩み方向180に回すことにより、第1に、ローラロック40をロック解除形態までシフトさせ、それによりねじ体24を緩ませ、及び第2に、ナット頭部30がねじ体24を緩み方向180に回すようにする。このようにして、ローラクラッチ39は、ナット頭部30がねじ体24を緩み方向24に回す前に、ローラロック40のロック解除を引き起こす。
【0018】
[0078] ロックナット22に対する振動又は衝撃では、ローラロック40をロック形態からロック解除形態へ再構成するには、不十分である。むしろ、ローラロック40をロック形態からロック解除形態へ再構成するためには、ナット頭部30を回す。このようにして、ロックナット22は、スピンドル12からのロックナット22の意図的でない緩みを阻止し、それにより、スピンドル12上にホイールハブ14を保持する。
【0019】
[0079] ロックナット22のロック37は様々な形状を取り得る。例えば、ロック37は、フリーホイールクラッチなどのクラッチを含み得る。ロック37は、
図34及び
図35に示すラチェットクラッチのようなラチェットクラッチを含み得る。別の例として、ナット22のロック37は、スプラグクラッチを含み得る。
【0020】
[0080]
図1に関して、ハブ本体21は、スピンドル12上で軸50の周りで回転自在であり、且つホイールを装着するためのスタッド54を備えるフランジ52を含む。ハブ本体21は、さらに、ホイールハブ14の開口部58を閉鎖するためのハブキャップを受け入れるスタッド56を含む。別の実施形態では、駆動軸の駆動フランジがスタッド56に固定されている状態で、駆動軸が、スピンドル12の内部58を通って延在し得る。それにより、駆動軸は、ホイールハブ14を回し、且つ関連するホイールを回転させ得る。軸受アセンブリ16は、コーン62などの軸受リングを含み、これは、スピンドルねじ山23にロックナット22を締め付けた状態で、スピンドル12の肩部64に押し付けられる。スペーサ20は、軸受アセンブリ16のコーン62と軸受アセンブリ18のコーン66との間の軸方向分離を維持する。軸受アセンブリ18は、ころ軸受68などの複数の軸受、及びカップ70などの軸受リングを含む。軸受16、18は、互いに鏡像とし得る。ワッシャ32は内側面(inboard surface)74を有し、この内側面は、スピンドルねじ山23にロックナット22を締め付けた状態で、コーン66の外側面(outboard surface)76を押す。このようにして、スピンドル12にロックナット22を内側方向73に締め付けることによって、コーン66、スペーサ20、及びコーン62をワッシャ32と肩部64との間でクランプする。
【0021】
[0081]
図3及び
図4に関して、ロックナット22は、保持リング80などの保持器を含み、これは、ナット頭部30と、ねじ体24と、ローラ82のようなクランプ要素などの1つ以上ロッキング部材と、ワッシャ32と組み立てられたバネリング84などのバネ支持体とを維持する。バネリング84は、ひとたびユーザがドライバーツールによってナット頭部30にトルクを加えるのをやめたら、ローラロック40をロック形態に戻すことを含め、ロックナット22に種々の操作性を提供する。保持リング80は、保持リング80をワッシャ32の溝86(
図12参照)内に位置決めできるように、半径方向内側に圧縮され得る弾性の割りリングとし得、且つナット頭部30、ねじ体24、ローラ82、及びバネリング84のそれぞれの部分を少なくとも部分的にワッシャ32の区画88内に捕捉する。
【0022】
[0082]
図4及び
図5に関して、ナット頭部30は、1つ以上の壁92を有する回転駆動構造90などのツール受け入れ部分を含む。回転駆動構造90は、トルクレンチなどの駆動ツールを受け入れるように構成されている。一実施形態では、回転駆動部分90は六角ナット形態を有する。ナット頭部30は、さらに、上面96及び下面98のあるフランジ94を含む。ナット頭部30は、ねじ体24の駆動開口部102(
図4参照)内へと延在する駆動タブ100などの1つ以上の駆動部分を有し、及びねじ体24は、各駆動タブ100に隣接するフランジ部分104、106などの駆動部分を有する。駆動タブ100は、ナット頭部30を締め付け方向202に回すことによってフランジ部分104に接触し、且つねじ体24を締め付け方向202に押し進めるように構成されている。同様に、駆動タブ100は、ナット頭部30を緩み方向180に回すことによってフランジ部分106に接触し、且つねじ体24を緩み方向180に押し進めるように構成されている。
【0023】
[0083]
図4及び
図5に関して、ナット頭部30は、さらに、ナット頭部30を緩み方向180に回すことによってローラ82に接触し且つローラ82をロック位置からロック解除位置へシフトさせるように構成された、作動タブ110などの1つ以上の作動部分を含む。ローラ82がそのロック解除位置にある状態で、ローラ82はワッシャ32から係合解除され、及びナット頭部30の駆動タブ100は、ナット頭部30によってねじ体24を緩み方向180に回し得る。
【0024】
[0084]
図5及び
図7に関して、ナット頭部30の作動タブ110は、ねじ体24のフランジ部分106とフランジ部分114との間にあるねじ体24のランプ付き開口部112内へ延在する。各駆動タブ110は、すぐ近くの作動タブ110から円周方向間隙116、118だけ分離されている。ナット頭部30は、ねじ体24の立ち上がり部分119A(
図8参照)を受け入れるサイズの中心開口部117を含む。
【0025】
[0085]
図4及び
図7に関して、ねじ体24の各ランプ付き開口部112はランプ面130を含み、及びバネリング84は、関連する付勢部材を含み、この付勢部材は、ランプ付き開口部112内にあるローラ82をランプ面130に接して押し進める。一実施形態では、付勢部材は、バネタブ132などのバネを含む。
図13に関して、バネタブ132は、ローラ82をランプ面130に沿って締め付け方向202に押し進めて、下記でより詳細に説明するように、ねじ体24のランプ面130とワッシャ32の環状壁134との間にローラ82を押し込む。ローラ82は、硬質材料、例えば鋼などの金属材料で作製され、且つ振動などに起因してねじ体24が緩み方向180に押し進められるときに生じる、ねじ体24及びワッシャ32からの圧縮荷重に抵抗する。
【0026】
[0086]
図7に関して、ランプ面130の角度は、ランプ付き開口部112の1つの円周方向端部に、半径方向に短い面136、及びランプ付き開口部112の対向する円周方向端部に、長い面138を形成する。さらに、フランジ部分104、106は、関連する駆動タブ100が接触する停止面140、142を有して、ナット頭部30を回すことによってねじ体24を回す。
【0027】
[0087]
図9に関して、バネリング84は、中心開口部152の周りに延在する本体部分150を有する。バネタブ132は、それぞれ、本体部分150から直立するベース部分154、及び旋回自在な弾性アーム部分156を含む。バネタブ132は、本体部分150にJ字形状の切り込みを形成し且つバネリング84の材料の一部分を本体部分150の面外へ曲げてベース部分154を形成することによって、形成され得る。ロックナット22が組み立てられるとき、ベース部分154は、フランジ部分114の下側からねじ体24のランプ付き開口部112内へと上方へ延在する一方で、ナット頭部30の作動タブ110は、フランジ部分114の上側からランプ付き開口部112内へと下方へ延在する。
【0028】
[0088] 一実施形態では、バネタブ132は、バネリング84の残りの部分とのユニタリーのワンピース構造を有する。ねじ体24、ナット頭部30、及びワッシャ72は、それぞれ、ユニタリーのワンピース構造を有してもよい。他の実施形態では、ねじ体24、ナット頭部30、ワッシャ32、及び/又はバネリング84は、それぞれ、溶接などによって接合された複数の部品のアセンブリとし得る。
【0029】
[0089]
図10に関して、ローラ82は、平らな上面160、平らな下面162、及びそれらの間に延在する側壁164を有する。側壁164は、ワッシャ52の環状壁134に沿って転がる又は摺動するように構成されている曲面166を有する。別の実施形態では、ローラ82は、ボールローラを含んでもよい。
【0030】
[0090]
図11に関して、ワッシャ32は、中心開口部172の周りに延在するカラー部分170を含み、及び環状壁134は、カラー部分170から直立する。タング34は、カラー部分170から半径方向内側に延在して、スピンドル12のキー溝36内へと延在する。タング34の横方向側面がキー溝36の横方向壁に接触して、ワッシャ32がスピンドル12の周りで回らないようにする。ワッシャ32のカラー部分170は、
図12に示すように、バネリング84及びねじ体24を支持するための上面176を有する。
【0031】
[0091]
図13に関して、ローラロック40はロック形態にあるとして示されており、それにより、ローラ82は、ねじ体が反時計回りの緩み方向180に回るのをしっかりと阻止する。ローラロック40はフリーホイールローラクラッチ182を形成し、これは、外輪としてワッシャ32、内輪としてねじ体24、及びクランプ要素としてローラ82を含む。ナット頭部30の駆動タブ100とフランジ部分104は協働して、ねじ体24が締め付け方向202に回ることができるようにし、これに対応して、ねじ体24の締め付け方向202における惰性での動き又は回転を生じさせる。
【0032】
[0092]
図15に関して、ローラ82、作動タブ110、及びバネタブ132は、ねじ体24のランプ付き開口部112に収容されている。ローラ82の表面166は、ワッシャ32の環状壁134の半径方向内側面200と接触するように位置決めされている。ナット頭部30が締め付け方向202に回されると、ナット頭部30の駆動タブ100は、ねじ体24のフランジ部分104の表面140と接触する表面204(
図13参照)を有しているため、ねじ体24を方向202に押し進める。バネタブ132は、ローラ82を環状壁134と接触した状態に又はそのすぐ隣に保って、
図16に示すように、ローラ82の表面166が環状壁134の半径方向内側面200に沿って方向206に摺動するか又は転がるようにする。ねじ体が締め付け方向202に惰性で動くとき、ローラ82は、ランプ付き開口部112内で、フランジ94とカラー部分88との間で垂直方向に、及びねじ体24と環状壁134との間で水平方向に、浮いている。
【0033】
[0093]
図17に関して、ローラ82は、ユーザがナット頭部30からレンチを外した後などの、ロック位置において示されている。振動などに起因してねじ体24を緩み方向180に押し進めることによって、ローラ82をワッシャ32の環状壁134の半径方向内側面200とねじ体24のランプ面130との間に無理に押し進める(forces)又は押し込む。それにより、ねじ体24及びワッシャ32は、ローラ82の側面部分を方向210、212においてクランプする。ローラ82は、クランプ力に抵抗する硬質材料で作製されており、ローラ82が、ねじ体24が緩み方向180に回るのを阻止するようにする。
【0034】
[0094] ナット頭部30間の回転自在な接続は、ナット頭部30が緩み方向180に回されるときに、ナット頭部30とねじ体24との間の予め決められた範囲の、例えば1~8度、例えば2~5度の回転運動を可能にする。例えば、バネリング84は、ナット頭部30にツールによってトルクが加えられた後、ナット頭部30及びねじ体24を初期形態に戻し得る。その後、ツールが締め付け方向202に回されると、ナット頭部32は、駆動フランジ100がフランジ部分104に当接してねじ体24を回し始める前に、ねじ体24に対して予め決められた量、例えば1度、回り得る。
【0035】
[0095] ナット頭部30を緩み方向180に回すことによって、ねじ体24に対してナット頭部30を回し、且つ作動タブ110をローラ82と接触させて、ローラ82をロック解除位置までシフトさせる。ローラ82のシフトは、ナット頭部30がねじ体24に対して緩み方向180に回るとすぐに開始しても、又は作動タブ110がロック解除位置へのローラ82のシフトを開始する前に、角度遅延があってもよい。
【0036】
[0096] より具体的には、
図13及び
図14を参照して説明すると、ナット頭部30が緩み方向180に回されると、
図14に示すように、駆動タブ100の表面184は、ねじ体24のフランジ部分106の表面186と当接するようにシフトする。それゆえ、表面184と186との間のテークアップ(take-up)距離188は、ねじ体24に対する緩み方向180におけるナット頭部30の予め決められた範囲の角回転を可能にする。表面184、186が当接する前に、作動タブ110はローラ82に接触し、且つローラ82をロック解除位置へとシフトさせ、それにより、フリーホイールローラクラッチ182をロック解除する。それゆえ、表面184、186が当接してナット頭部30の緩み方向180における回転をねじ体24の緩み方向180における回転に変える前に、ローラ82は、そのロック解除位置の方へ向かってシフトするか又はロック解除位置にある。
【0037】
[0097]
図18及び
図19に関して、ナット頭部30が緩み方向180に回されると、ナット頭部30の各作動タブ110は、方向180にシフトし、且つ作動タブ110とローラ82との間の、距離216を有する間隙214を縮める。ナット頭部30を緩み方向180に継続的に回すことによって、作動タブ110の表面218をローラ82の表面166と接触させる。作動タブ110は、ローラ82を方向180に押し進め、且つバネタブ132のアーム部分156を撓ませ、それにより、ローラ82を、ランプ付き開口部112の半径方向に狭い中間部分220(
図18参照)からランプ付き開口部112の半径方向に広い端部部分222(
図19参照)までシフトできるようにする。端部部分222は、より広い半径方向幅を有するため、ローラ82は、もはや、ランプ面130とワッシャ32の環状壁134との間に押し込まれていない。ランプ付き開口部112の端部部分222にあるローラ82は、ワッシャ32の環状壁134の表面200に沿って転がり得る又は摺動し得る。作動タブ110の表面218は、ローラ表面166に接触してローラ82が回転できるようにする、曲面、平面、又は他の方法で形成された面を有し得る。作動タブ110がバネタブ132の付勢に打ち勝ち且つローラ82をそのロック解除位置に保っている状態で、ローラ82がワッシャ環状壁134に沿って転がっている又は摺動している間、駆動タブ100は、ねじ体24を緩み方向180に回し得る。
【0038】
[0098] 一実施形態では、ねじ体24、ワッシャ32、ナット頭部30、バネリング84、及びローラ82のうちの1つ以上が、金属、プラスチック、及び/又はゴムなどのエラストマーで作製される。一例として、ねじ体24、ワッシャ32、ナット頭部30、バネリング84、及びローラ82は全て、鋼で作製される。
【0039】
[0099]
図20及び
図21に関して、多くの点で上述のロックナット22と同様であるロックナット250が提供されるため、違いのみを明らかにする。ロックナット250は、タング254がスピンドル252のキー溝256に受け入れられた状態で、スピンドル252に装着されて示されている。ロックナット22のように、ロックナット250は、航空宇宙応用のナットなど、様々な応用において使用され得、及びロックナット22、250の構成要素は、車両の変速装置などの様々な環境において実装され得る。他の応用は、土工及び発電機械などの重工業を含み得る。
図20の実施形態では、スピンドル252は、チューブ状側壁258、貫通開口部260、及びねじ部分262を有する。
図21に関して、ロックナット250は、スピンドル252のねじ部分262に係合するように構成されたねじ山266を有するねじ体264を含む。ロックナット250は、ナット頭部268、ワッシャ270、及び保持リング272を含む。
【0040】
[00100]
図21及び
図22に関して、ロックナット250は、ローラ276と、バネリング278のバネタブ277とを含む1つ以上のローラロック274を有する。ねじ体264は、ローラ276及びバネタブ277並びにナット頭部268の作動タブ282を受け入れるランプ付き開口部280を含む。ねじ体264は、さらに、ナット頭部268の駆動タブ286を受け入れる駆動開口部284を含む。各駆動開口部284はまた、ねじ体264のフランジ部分296の表面294に当接するバネリング278の一対のストップタブ290、292を受け入れる。駆動タブ286と、ストップタブ290、292と、フランジ部分296の表面294との間の接触によって、ねじ体264の回転をバネリング278の回転に変えることができる。
【0041】
[00101]
図22及び
図23に関して、ワッシャ270は、保持リング272を受け入れる保持溝302を有する環状壁300を有する。環状壁300及びカラー部分304は、ワッシャ270の区画306を画成し、この区画は、バネリング278、ねじ体264、及びナット頭部268の少なくとも一部分を受け入れる。保持リング272は、弾性的に圧縮されて溝302に挿入され、その後解放されて、ナット頭部268、ねじ体264、及びバネリング270をワッシャ区画306内に捕らえ得る。
【0042】
[00102]
図24に関して、多くの点でロックナット22と同様であるロックナット350が提供されるため、違いのみを明らかにする。1つのそのような違いは、ロックナット350が、ロックナット350のねじ体354がロックナット350のワッシャ356に対して回るのを選択的に制限する1つ以上のバネロック352(
図34参照)を有するラチェットフリーホイールクラッチ351を含むロックを含むことである。ロックナット350はまた、六角ナット形態などの回転駆動構造360を有するナット頭部358を含む。ねじ体354は、スピンドルを受け入れるための貫通開口部362、スピンドルのキー溝に係合するためのタング364、及びスピンドルのねじ山に係合するためのねじ山366を含む。ワッシャ356は、ワッシャ356の環状壁374に形成された、1つ以上の開口部370及びそれらの間の歯372を含む。
【0043】
[00103]
図26に関して、ロックナット350は、ワッシャ356の溝382にはまり込み且つロックナット350の種々の構成要素をワッシャ356の区画384に保持する弾性の保持リング380を含む。ナット頭部358はフランジ390を含み、フランジは、それから垂れ下がる1つ以上の駆動タブ392及び1つ以上の作動タブ394を有する。ねじ体354は、フランジ部分396と、駆動タブ392を受け入れる1つ以上の駆動開口部398と、バネリング404のバネ爪402及び作動タブ394を受け入れる1つ以上のバネ開口部400とを含む。駆動開口部398はまた、バネリング404のストップタブ405、406を受け入れる。ストップタブ405、406とねじ体354のフランジ部分396の表面418、420との間の接触は、ねじ体354の回転をワッシャ356内でのバネリング404の回転に変える。
【0044】
[00104]
図27及び
図28に関して、ナット頭部358の駆動タブ392は、作動タブ394とは異なる形状を有し得る。各駆動タブ392は、ねじ体354の表面418、420(
図29参照)に接触し且つナット頭部358を回すことによってねじ体354を回すようにするための、表面414、416を含む。
図27に関して、ナット頭部358の作動タブ394は、それぞれ、下記でより詳細に説明するように、ねじ体354に対してナット頭部358を緩み方向に回すことによって、関連するバネ爪402をロック形態からロック解除形態へシフトさせるように構成されているカム部分、例えばランプ面422を含む。
【0045】
[00105]
図29及び
図30に関して、ねじ体354は、駆動開口部398とバネ開口部400とを分離するフランジ部分396を含む。ねじ体358は、さらに、フランジ部分396から直立し且つ関連するスピンドルのねじ山に係合するためのねじ山366を含む立ち上がり部432を含む。
【0046】
[00106]
図31に関して、バネリング404は、中心開口部444を有し、且つ接続部分442によって接続されるフランジ部分440を含む。ストップタブ405、406は、凹部446によって分離され、且つそれぞれ、関連するフランジ部分440のうちの1つから面外に曲げられることによって形成され得る。バネ爪402は、それぞれ、爪部分450と、爪部分450を歯372と係合するように付勢する、アーム部分452及びベース部分454などのバネとを含み得る。
【0047】
[00107] 一実施形態では、ストップタブ405、406及びバネ爪402を含むバネリング404は、ユニタリーのワンピース構造を有する。バネ爪402を形成するために、ベース部分454は、関連する接続部分442から面外に曲げられ得る。アーム部分452及び/又はベース部分454は弾性変形して、爪部分450を、半径方向外側方向460及び半径方向内側方向462に、行ったり来たりラチェット移動させる(ratchet)ことができるようにする。爪部分450は、開口部370のうちの1つに収まるための角部464と、1つの開口部370に隣接する歯372のうちの1つの停止面に接触するためのキャッチ(catch)部分466とを含む全体的にL字形状を有し得る。キャッチ部分466と歯372との間の接触によって、下記でより詳細に説明するように、ナット頭部358が緩み方向に回されて関連する作動タブ394が爪部分450を半径方向内側のロック解除位置へシフトさせるまで、バネリング404、及びそれに接続されたねじ体354が反時計回りの緩み方向470に回るのを阻止する。いくつかの実施形態では、バネリング404は、複数の構成要素のアセンブリとしてもよい。
【0048】
[00108]
図32に関して、ワッシャ356は、中心開口部474の周りに延在するカラー472と、環状壁476とを含む。ねじ体354が回ることによってバネリング404が区画384内で回るため、バネリング404は、カラー472に沿って回転式に摺動する。
【0049】
[00109]
図33に関して、保持リング380は、チャンネル382内に受け入れられ、且つナット頭部358のフランジ部分390、ねじ体354のフランジ部分396、及びバネリング404を、保持リング380とワッシャ356のカラー472との間に捕らえて、示されている。保持リング380は、ワッシャ356に対するナット頭部358、ねじ体354、及びバネリング404の回転運動を制限する。
【0050】
[00110]
図34に関して、バネロック352は、バネロック352のうちの1つがロック形態にあって、ワッシャ356に対するねじ体354のいずれの回転位置においても、反時計回りの緩み方向470に回るのを阻止するように構成されている。開口部370、歯372、及びバネ爪402は、第1のバネ爪402が歯372によってロックされて、第2及び第3のバネ爪402がロック解除されている間、ねじ体354が緩み方向470に回るのを阻止するように、構成されている。ユーザがナット頭部358を締め付け方向492に約2.4度回すと、
図34の破線の四角内に示されている第1のバネ爪402はロック解除し、第2のバネ爪402はロックし、及び第3のバネ爪402はロック解除されたままとなる。ユーザがナット頭部358をさらに約2.4度締め付け方向492に回し続けると、第1のバネ爪402はロック解除されたままとなり、第2のバネ爪402はロック解除し、及び第3のバネ爪402はロックする。ロック解除されるバネ爪402は、歯372によって内側に押され、且つバネ爪402の爪部分450が開口部370のうちの1つと半径方向に位置合わせされ且つ半径方向外側へと完全に開口部370にはまり込み得るまで、事実上待機する。このようにして、ワッシャ356に対するねじ体354の2.4度の回転増分毎に、ロック形態にあるバネロック352が1つある。
【0051】
[00111]
図34に関して、ロックナット350は、破線の四角内のバネロック352がロック形態にある一方で、他の2つのバネロック352がロック解除された状態が、示されている。ナット頭部358の駆動タブ392及びストップタブ405、406は、ねじ体354の駆動開口部398に受け入れられる。各駆動タブ392は、ストップタブ406の表面490に接触する表面414を有する。それにより、ストップタブ406は、駆動タブ392の表面414とねじ体354のフランジ部分396の表面418との間に挟まれる。この形態では、ナット頭部358は時計回りのロック方向492に回され得るため、ナット頭部358の駆動タブ392は、バネリング404のストップタブ405及びねじ体354のフランジ部分396を締め付け方向492に押し進める。下記でより詳細に説明するように、バネ爪402はラチェット移動して、ねじ体354を締め付け方向492に回すことができるようにし得る。バネ爪402はラチェット移動するが、常に1つのバネロック352がロック形態にあって、ねじ体354が緩み方向470に回るのを阻止してもよい。ラチェット移動することによって、ねじ体354が締め付け方向492に回るときに、バネ爪402の爪部分450を、1つの開口部370から半径方向内側に、隣接する歯372の上側を越えて、次の開口部370内へとシフトできるようにする。反対に、バネ爪402は、連続的に、それぞれ、ねじ体354が反時計回りの緩み方向470に回るのを阻止する。
【0052】
[00112]
図36及び
図37に関して、バネ爪402のうちの1つが、ねじ体354がナット頭部358の駆動タブ392によって締め付け方向492に回されるときに、歯472Aの上側を越えてラチェット移動している状態が、示されている。より具体的には、駆動タブ392が締め付け方向492に回ることによって、ねじ体354及びバネリング404の双方を方向492に回す。バネリング404のベース部分454は締め付け方向492に回されるため、爪部分450は、歯472Aの角部510に接触する。ベース部分454を締め付け方向492に継続的に回すことによって、アーム部分452及び/又はベース部分454を撓ませ、且つ
図37に示すように、爪部分450が方向462に半径方向内側にシフトして、歯472Aの上側を越えてラチェット移動できるようにする。ひとたび爪部分450が歯472Aを通過したら、弾性アーム部分452及び/又はベース部分454は、爪450を、方向460に半径方向外側へ戻すように、次の開口部470Bへと押し進める。
【0053】
[00113]
図38に関して、バネ爪402は、ユーザがナット頭部358にトルクを加えるのをやめた後などの、爪450のキャッチ部分466が歯472Cの角部514と接触しているロック位置にある状態で、示されている。ねじ体354を緩み方向470に押し進めることによって、弾性アーム部分452及びベース部分454をねじ体354とワッシャ356との間にクランプする。アーム部分452及びベース部分454は、緩み方向470に回るのに抵抗するように構成されている。
【0054】
[00114]
図35、
図39、及び
図40に関して、ユーザがロックナット350を緩めたいとき、ひとたびロックナット350がスピンドルに固定されたら、ユーザはナット頭部358を緩み方向470に回し、それにより、バネ爪402に対して作動タブ394を円周方向にシフトさせる。各作動タブ394のランプ面422は、関連するバネ爪402の弾性アーム部分452を半径方向内側に押し進めて、歯372から爪部分450を係合解除する。これにより、バネ爪402が、ナット頭部358の駆動タブ392によってねじ体354を緩み方向470に回すことができるように、歯372に対してゆとりをもたせて爪450を位置決めする。より具体的には、ねじ体354に対してナット頭部358を緩み方向470に回すことによって、各駆動タブ392の表面416を、関連するストップタブ405の表面500と接触させる。ナット頭部358を緩み方向470に継続的に回すことによって、駆動タブ392が、バネリング404のストップタブ405及びねじ体354のフランジ部分396を緩み方向470に進ませるようにする。
【0055】
[00115]
図39及び
図40に関して、ナット頭部358は緩み方向470に回されており、それにより、作動タブ394を方向470にシフトさせている。作動タブ394はそのカム面422をアーム部分452の外面519と係合させ、且つアーム部分452及びそれに接続している爪部分450を半径方向内側に方向462にカム動作させる(cams)。
図39及び
図40に示すように、ユーザがナット頭部358を緩み方向470に回すことによって、作動タブ394及びねじ体フランジ部分396の表面522、524を距離526から距離528まで分離し、それにより、それらの間の間隙530を拡大する。ユーザは、ナット頭部358を緩み方向470に回し続けて、バネ爪402の付勢力に打ち勝ち、且つ爪450を、歯472に係合することなく爪450が方向470に回ることができるようにする半径方向内側のゆとりのあるすなわちロック解除位置に、保つようにする。爪450が歯472に対してゆとりのある状態にして、ナット頭部358、ねじ体354、及びバネリング404は全て一緒に、ユーザがナット頭部358を方向470に回すのに応答して、ワッシャ356に対して方向470に回し得る。ねじ体354を緩み方向470に回すことによって、ねじ体354をスピンドルに沿って外側(outboard)方向に前進させて、ロックナット350をスピンドルから取り外す。
【0056】
[00116]
図41及び
図42に関して、多くの点で上述のロックナット350と同様であるロックナット550が提供されるため、違いのみを明らかにする。ロックナット550は、ねじ体552、ナット頭部554、及びワッシャ556を含む。ロックナット550は、1つ以上のバネ爪560とワッシャ556の内歯車(toothed gear)562とを含む1つ以上のバネロック558を有するラチェットクラッチ557を含む。ねじ体552は、バネ爪560のうちの1つの、エルボ570、572などの端部部分をそれぞれ受け入れるポケット566、568を有するバネ開口部564を含む。バネ爪560は、それぞれ、内歯車562の歯576に係合する爪部分574と、爪部分574を歯576と係合するように付勢する弾性アーム部分594A及び/又はエルボ570などのバネとを含む。ワッシャ556は、ねじ体552のフランジ部分580、バネ開口部564に受け入れられるバネ爪560、及びナット頭部554のフランジ582を受け入れる区画578を含む。ワッシャ556はリップ584を含み、このリップは、変形される、例えばナット頭部554のフランジ582上へと金づちで打たれて、ナット頭部554及びねじ体552をワッシャ556に回転自在に接続するようにし得る。ねじ体552はまた、ナット頭部554の駆動タブ588を受け入れる駆動開口部586を含む。
【0057】
[00117]
図43に関して、バネロック558は、
図34に関して上述したバネロック352と同様の方法でワッシャ556に対してねじ体552を回すことによって、連続的に作動される。より具体的には、
図43の破線の四角内の第1のバネ爪560Aはロック位置にあるが、第2及び第3のバネ爪560B、560Cはロック解除されている。ねじ体552を、
図43に示す位置から締め付け方向590に回すことによって、バネ爪560Aをロック解除位置へシフトさせ、バネ爪560Bをロック位置へシフトさせ、及びバネ爪560Cをロック解除位置に残す。ねじ体552を方向590にさらに回すことによって、バネ爪560Aをロック解除位置に残し、バネ爪560Bをロック解除位置へシフトさせ、及びバネ爪560Cをロック位置へシフトさせる。このようにして、ねじ体552が緩み方向626に回るのを阻止するために、ワッシャ556に対するねじ体552の回転位置毎に、ロック位置にあるバネ爪560が1つある。一実施形態では、バネ爪560のうちの1つがワッシャ556の歯576をロックしてねじ体552がさらに回るのを阻止する前に、ねじ体552が緩み方向626に回り得るのは、最大約2.4度とし得る。
【0058】
[00118]
図43に関して、ねじ体352のバネ開口部564は、バネ爪560の弾性アーム部分594に隣接して作動タブ592を受け入れる。ナット頭部554を締め付け方向590に回すことによって、ナット頭部554の駆動タブ588を方向590に押し進め、且つ駆動タブ588及びねじ体フランジ部分580の表面600、602を当接させて、ナット頭部554の回転をワッシャ556に対するねじ体552の回転に変える。
図45及び
図46に関して、ねじ体552及びそれに支えられるバネ爪560を回すことによって、各爪574を歯576Aのランプ面610に沿って移動させ、且つ半径方向内側の方向612にシフトさせる。ねじ体352及びバネ爪560を締め付け方向590に継続的に回すことによって、爪574を、歯576Aの山614を越えて、歯576Aと、隣接する歯576Bとの間の凹部616内へと移動させる。
【0059】
[00119]
図43及び
図47に関して、バネ爪560はロックされて、及び爪574は歯576Cの停止面620に当接していて、バネ爪560の弾性アーム594が、歯576Cの停止面620と、すぐ近くの歯576Dのランプ面610と、ねじ体352のポケット568との間に押し込まれていることが示されている。それにより、弾性アーム594は、ワッシャ556に対してねじ体352が緩み方向626に回るのに抵抗する。
【0060】
[00120]
図44、
図48、
図49に関して、ユーザは、スピンドルからロックナット550を取り外すために、ナット頭部554を緩み方向626に回した。ナット頭部554を方向626に回すことによって、ナット頭部作動タブ592をバネ爪560のアーム部分594の外面630にカム係合(cammingly engage)する。作動タブ592は、アーム部分594及びそこに支持される爪574を半径方向内側の方向612にシフトさせるため、爪574は、半径方向内側に、且つワッシャ556の歯576に対してゆとりをもたせた状態になる。爪574を歯576から半径方向内側にシフトさせることによって、バネ爪560は、もはや、ねじ体352がワッシャ556に対して方向626に回るのを阻止しない。そのため、ユーザは、ナット頭部554を緩み方向626に回し続けて、ナット頭部554がねじ体552を回すようにし、且つロックナット550をスピンドルから離れるように外側方向に前進させ得る。
【0061】
[00121]
図50及び
図51に関して、上述したロックナットと多くの点で同様であるナット650などの締結装置が提供されるため、違いのみを明らかにする。ナット650は、ねじ体652などの回転係合部材、及びナット頭部654などの、回転駆動構造を有するアクチュエータを含む。別の実施形態では、回転係合部材は、バイオネット接続の一部分、1つ以上の戻り止め、及び/又は1つ以上の凹部を含むなど、非ねじ形態を有し得る。ねじ体652は、スピンドル又は他のシャフト及びねじ山658を受け入れてねじ山をそこに係合する開口部656を有する。ねじ体652とナット頭部654は回転自在に結合されて、ナット頭部654とねじ体652との間に、限られた量の回転運動又は遊びがあるようにする。ナット650は、締結機器を動作させる、例えばナット頭部654の回転を示す信号を発生させるために、この相対的な回転運動を用いる。
【0062】
[00122] より具体的には、ナット650は、ねじ体652によって支持され且つスイッチ662、664などの少なくとも1つのセンサーを含む回路660を含む。ねじ体652は、ナット頭部654の駆動タブ670、672を受け入れる第1の開口部666及び第2の開口部668を含む。それゆえ、ナット頭部654を締め付け方向674に回すことによって、駆動タブ672の表面676をねじ体652の表面678と接触させ、且つ駆動タブ672がねじ体652を方向674に回すことができるようにする。反対に、ナット頭部654を緩み方向680に回すことによって、駆動タブ672の表面682をねじ体652の表面684に当接させる。これにより、ねじ体652を緩み方向680に回す。ナット650は、バネ685などの1つ以上の付勢部材を含み、これらの付勢部材は、ひとたび回転力がナット頭部654から解放されると、ナット頭部654を初期位置へ戻すような付勢力を、ナット頭部654の一部分687に加える。
【0063】
[00123]
図51に関して、駆動タブ670は、ナット頭部654を緩み方向680に回すことによって、スイッチ664に接触してそのスイッチを入れる表面682Aを有する。反対に、ナット頭部654が締め付け方向674に回されると、作動タブ670は、スイッチ662に接触してそのスイッチを入れる表面676Aを含む。回路660は、プロセッサー690、電源692、及び通信回路694を含み得る。プロセッサー690は、例えば、RAM又はROMなどの非一時的メモリに記憶された命令を用いるマイクロプロセッサーを含み得る。プロセッサー690の例は、ASICを含む。電源692は、いくつかの例として、バッテリー及び/又は誘導発電機を含み得る。通信回路694は、スイッチ662、664が入れられることに基づいて、ねじ体652に対してナット頭部654が回っていることを示す信号を通信するように構成されている。信号は、Bluetoothプロトコル及びセルラープロトコルなどの有線又は無線方式によって通信され得る。信号は、一例として、ナット650がねじシャフト上で締められて使い始められるようにしたことを検出するために、遠隔装置、例えばユーザ装置、エンドヴィークル装置(end vehicle device)、及び/又はサーバコンピュータによって受信され得る。
【0064】
[00124] さらに、プロセッサー690は、通信回路694に、ねじ体652に対するナット頭部654の回転方向を示す信号を通信させるように構成され得る。例えば、ナット頭部654が締め付け方向674に回される場合、作動タブ670はスイッチ662を入れ、このことがプロセッサー690によって検出される。そのため、プロセッサー690は、通信回路694に、ナット頭部654が締め付け方向674に回されていることを示す信号を通信させ得る。別の例として、プロセッサー690は、スイッチ664が作動タブ670によって入れられる場合、通信回路694に、ナット頭部654が緩み方向680に回されていることを示す信号を通信させ得る。いくつかの例として、ナット頭部654が緩み方向680に回されていることに関する情報は、運転手及び/又は車両運行管理者(fleet manager)がナット650の点検の予定を組み込めるように、又は保守システムが自動的にナット650の点検の予定を組み込めるように、ナット650がシャフトから取り外されたか又は緩んでいるという、運転手及び/又は車両運行管理者への通知を作成するために使用され得る。
【0065】
[00125] ナット650は、異なる応用のために修正され得る。例えば、ナット頭部654とねじ体652との間の相対運動は、例えば、ねじ体652は静止したままであり、及びナット頭部654はねじ体652に対して回っている;ねじ体652は回っており、及びナット頭部654は静止したままである;及びねじ体652及びナット頭部654の双方とも回っているのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0066】
[00126]
図52及び
図53に関して、上述のロックナットと多くの点で同様であるロックナット700が提供されるため、違いのみを明らかにする。ロックナット700は、ねじ体702、ナット頭部704、ワッシャ706、及び1つ以上のバネロック708を含む。ワッシャ706は、スピンドルのキー溝に係合してスピンドルの周りでのワッシャ706の回転を阻止するキーを有する。
【0067】
[00127]
図53に関して、1つ以上のバネロック708は、爪710などのロッキング部材、板バネ712などの付勢部材、及びワッシャ706の外歯車(gear wheel)部分714を含む。各爪710は、ねじ体702の凹部716に受け入れられ、及び板バネ712は、ねじ体702のチャンネル718に受け入れられる複数の端部を有する。ナット頭部704は、駆動タブ720及び作動タブ722を含む。
図54及び
図55に関して、各作動タブ722は、ランプ面724などのカム部分を含み、これは、関連する爪710の傾斜面726に係合して、爪710を半径方向外側にシフトさせる。ナット頭部704の駆動タブ720は、ねじ体702の凹部730に受け入れられる。各駆動タブ720は、関連する凹部730の壁734、736に接触する側面732を有して、ナット頭部704の回転をねじ体702の回転に変える。
【0068】
[00128]
図53及び
図54に関して、爪710は、半径方向に延在して凹部716内のガイドスロット742に受け入れられるスライドレール740などの1つ以上のアライメント部材を有する。スライドレール740とガイドスロット742との間の滑り係合によって、ナット頭部704が緩み方向752に回されるときに、爪710を半径方向外側方向750に案内し、且つナット頭部704が解放されるときに、爪710を半径方向内側方向754に案内する。さらに、ナット頭部704がユーザによって解放されるときに、板バネ712が、爪710を、ねじ体702の環状壁756から離れるように押し進めて、爪710、ナット頭部704の作動タブ722、及びナット頭部704自体を、バネロック708のロッキングに関連する初期位置へ戻す。これにより、ひとたびユーザがツールを用いてナット頭部704にトルクを加えるのをやめたら、バネロック708が自動的に確実にロックするようにする。
【0069】
[00129] ナット頭部704の初期位置では、爪710は、ワッシャ706の外歯車部分714の歯762(
図53参照)と互いにかみ合う歯760(
図54参照)を有する。ナット頭部704が締め付け方向766に回されると、ナット頭部704の駆動タブ720は、ねじ体702並びにそこに支えられている爪710及び板バネ712を、爪710の歯760をワッシャ706の歯762の上側にわたってラチェット移動させながら、締め付け方向766に回す。反対に、ナット頭部704が緩み方向752に回されると、作動タブ722と爪710との間のカム作用は、歯760が半径方向外側に動いて歯762に対してゆとりのある状態になるように、ワッシャ706の歯762から爪710の歯760を係合解除する。
図56に示すように爪710が外歯車部分714から係合解除された状態で、ユーザがナット頭部704を緩み方向752に回すことによって、ナット頭部704の駆動タブ720がねじ体702並びにその内部にある爪710及び板バネ712を緩み方向752に回す。
【0070】
[00130]
図57に関して、上述のロックナットと多くの点で同様であるロックナット800が提供されるため、違いのみを明らかにする。ロックナットは、ねじ体802、ナット頭部804、1つ以上のバネロック806、及びワッシャ808を含む。ワッシャ808に対してねじ体802を回すことによって、バネロック806は連続的にロック及びロック解除して、1つのバネロック806が、常に、ねじ体802の緩みを阻止するようにロックされ得る。ワッシャ808は、スピンドルの平坦部に係合する平坦部809を含むキーを有して、ワッシャ808がスピンドルの周りで回るのを阻止する。
【0071】
[00131] 1つ以上のバネロック806は、板バネ812などの付勢部材に接続された爪810を含み、この板バネは、その対向する端部においてマウント814によってねじ体802の環状壁816に固定されている。爪810は、コッタピン822などの接続部材によってピン820に接続されている。爪810は、ねじ体802のレール824に乗り、及び各ピン820は、ナット頭部804の角度付きのスロット部分828を含む、スロット827内に乗る頭部826(
図59参照)を有する。
【0072】
[00132]
図58に関して、ワッシャ808は、歯832及び凹部834のある外歯車830を有する。爪810は、凹部834のうちの1つに受け入れられ且つ歯832に係合する先端部836を含む。
図57及び
図58に関して、ナット頭部804を締め付け方向851に回すことによって、スロット827の端部857をピン820の頭部826に接触させ、及びピン820がねじ体802をワッシャ808に対して締め付け方向851に回すようにする。ねじ体802がワッシャ808に対して締め付け方向851に回るとき、関連するピン820を、爪810が歯832のランプ面によって外側へとカム動作されるときに、スロット827の半径方向スロット部分859内へと半径方向外側にシフトさせ、且つひとたび爪810が歯832の山を越えて前進したら半径方向スロット部分859から半径方向内側にシフトさせながら、各爪810は、歯832の上側にわたってラチェット移動する。
【0073】
[00133]
図57、
図60及び
図61に関して、ナット頭部804の角度付きスロット828は、ピン820の頭部826に接触するためにランプ壁840、842を含む。ナット頭部804が緩み方向850に回ると、ランプ壁840、842は協働して、ピン820を半径方向外側にカム動作し、且つ関連する爪810を半径方向外側の係合位置(
図60参照)から係合解除位置(
図61参照)へとシフトさせる。爪810がワッシャ808から係合解除された状態で、ナット頭部804を緩み方向850に回すことによって、スロット828の端部856をピン820に接触させ、且つピン820にねじ体802を回させる。
【0074】
[00134]
図59に関して、ピン820は、ピン820が角度付きスロット828によって半径方向外側にカム動作されるためのクリアランスを提供するように半径方向に細長い、ねじ体802にある開口部860を通って延在する。ロックナット800は、さらに、ねじ体802の裏面を覆うためにワッシャ862を含み得る。一実施形態では、ピン820は、ピン820の胴部868にある開口部864を通って延在するコッタピン822によって爪810に接続される。
【0075】
[00135]
図62~64に関して、多くの点で上述のロックナットと同様であるロックナット900が示されているため、違いのみを明らかにする。ロックナット900は、ナット頭部902、本体904、及びワッシャ905を含む。本体904は、シャフトのねじ山と係合するように構成されたねじ山904Aを有し得る。一例として、ワッシャ905は、シャフトのキー溝と係合するキーを有し得る。別の実施形態では、ワッシャ905は省略されてもよく、及びロックナット900のピン910は、本体904を回転に対して固定するように、ハウジングの凹部などの別の構成要素に係合する。
【0076】
[00136] ロックナット900は、ナット頭部902のポケット908、ピン910などのロック部材、本体904の貫通孔912、プレート914などのバネシート、及びバネ916をそれぞれ含む1つ以上のロック906を含む。
図64に関して、各ポケット908は、ピン910の頭部924の下面922に係合するように構成されたランプ面920などのカム部分を含む。バネ916は、ピン910を方向930に付勢するため、ピン910のロック部分、例えばプランジャー932が、ワッシャ905の開口部934内へと延在する。ねじ体904がワッシャ905に対して回ることができるようにするために、ナット頭部902は緩み方向940(
図62参照)に回され、それにより、ランプ面920をピン頭部924にカム式に係合させ、且つピン960を方向942に上方にシフトさせ、それにより、ワッシャ905の開口部934からプランジャー932を引き出す。ピン910がワッシャ開口部934から引き出された状態で、ナット頭部902は、ピン910のネック946に接触するように構成されたポケット表面944を有する。表面944とネック946との間の接触によって、ピン910が本体904を緩み方向940に進ませるようにし、且つねじ体904を長尺状のねじシャフトに沿って外側方向に前進させることができるようにする。反対に、ナット頭部902を締め付け方向950に回すことによって、頭部924を上方にカムさせ、且つ表面954をピンネック946と接触させて、ピン910が対応してねじ体904を締め付け方向950に回すようにする。このようにして、ナット頭部902を方向940又は950に回すことは、双方とも、ピン910をロック解除位置へシフトさせ、且つ対応してねじ体904を回して、ロックナット900をねじシャフトに沿って前進させる又は引き出す。
【0077】
[00137] ロックナット900のピン910は、ねじ体904をワッシャ905に対して緩み方向及び締め付け方向の双方にロックする。ナット頭部902は、ねじ体904がワッシャ905に対して回る前に、ピン910をロック解除するように回される。
【0078】
[00138] 単数形の用語「a」、「an」の使用は、本明細書で別段の指示がない限り又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の双方を網羅するものである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含む(containing)」は、制約のない用語であるとみなされる。本明細書で使用される語句「少なくとも1つ」は、離接的な感覚で解釈されるものとする。例えば、語句「A及びBのうちの少なくとも一方」は、Aのみ、Bのみ、又はA及びBの双方を含むものとする。
【0079】
[00139] 本発明の特定の実施形態を図示し且つ説明してきたが、当業者には多数の変更及び修正が思いつき、且つ本発明は、添付の特許請求の範囲に入るそれらの変更及び修正を全て網羅するものとすることを認識されたい。例えば、ナット頭部がロック機構を係合解除するように動作されるまで、ロック機構が、ねじ体の緩みに抵抗するのではなく、それぞれのねじ体の締め付けに抵抗するように、ロックナット22、350は再構成されてもよい。
【国際調査報告】