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特表2022-514630基板同士を接合するための誘導に基づくシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】基板同士を接合するための誘導に基づくシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 7/08 20060101AFI20220204BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20220204BHJP
   B22F 3/14 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
B22F7/08 C
B22F1/00 W
B22F3/14 101Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535795
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 IB2019061135
(87)【国際公開番号】W WO2020128976
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/781,920
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521096142
【氏名又は名称】オーカブ ディートリック インダクション インク.
【氏名又は名称原語表記】Oqab Dietrich Induction Inc.
【住所又は居所原語表記】141 Duke St. E., Kitchener, ON N2H 1A6, Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハルーン ビー. オーカブ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ビー. ディートリック
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA03
4K018AA13
4K018AA14
4K018AA24
4K018BA01
4K018BA02
4K018BA13
4K018DA26
4K018JA36
(57)【要約】
第1の基板を第2の基板に接合する例示的な方法は、第1の基板および第2の基板の各々の部分の間に充填材料を適用することであって、充填材料が導電性材料および/または磁性材料を含み、充填材料および各々の部分が接合部を画定する、適用することと、接合部に交番磁界を印加して、導電性材料を反応温度に加熱することと、導電性材料を反応温度に加熱することに応じて、導電性材料から放出されたエネルギーを使用して接合部にエネルギーを付与することと、接合部を冷却して、第1の基板を第2の基板に接合することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板を第2の基板に接合する方法であって、
前記第1の基板および前記第2の基板の各々の部分の間に充填材料を適用することであって、前記充填材料が導電性材料および/または磁性材料を含み、前記充填材料および前記各々の部分が接合部を画定する、適用することと、
前記接合部に交番磁界を印加して、前記導電性材料を反応温度に加熱することと、
前記導電性材料を前記反応温度に加熱することに応じて、前記導電性材料から放出されたエネルギーを使用して前記接合部にエネルギーを付与することと、
前記接合部を冷却して、前記第1の基板を前記第2の基板に接合することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記接合部にエネルギーを付与することは、液化することなく前記第1の基板および前記第2の基板の前記各々の部分の各々の表面にエネルギーを付与して、前記第1の基板を前記第2の基板に焼結することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の基板を前記第2の基板に焼結することを支持するために、前記接合部に圧力を加えることをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記接合部にエネルギーを付与することは、前記第1の基板および前記第2の基板の前記各々の部分の各々の表面を溶融して、前記第1の基板を前記第2の基板に溶接することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記接合部にエネルギーを付与することは、前記充填材料のはんだ付け部分にエネルギーを付与して、前記第1の基板を前記第2の基板にはんだ付けすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記導電性材料が、液体状態の反応性金属化合物と、気体状態の反応性金属化合物と、ポリマーと、熱可塑性プラスチックと、メタマテリアルを有するマルチコーティングされた金属とのうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記充填材料が、液体状態の反応性金属化合物と、気体状態の反応性金属化合物と、ポリマーと、熱可塑性プラスチックと、メタマテリアルを有するマルチコーティングされた金属とのうちの1つ以上を含む更なる導電性材料および/または磁性材料をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記接合部にエネルギーを付与することが、
前記更なる導電性材料および/または磁性材料を第2の反応温度に加熱することと、
前記更なる導電性材料および/または磁性材料を前記第2の反応温度に加熱することに応じて、前記接合部にさらにエネルギーを付与することと
を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記接合部にさらにエネルギーを付与することが、
液化することなく前記第1の基板および前記第2の基板の前記各々の部分の各々の表面にエネルギーを付与して、前記第1の基板を前記第2の基板に焼結することと、
前記第1の基板および前記第2の基板の前記各々の部分の各々の表面を溶融して、前記第1の基板を前記第2の基板に溶接することと、
前記充填材料のはんだ付け部分にエネルギーを付与して、前記第1の基板を前記第2の基板にはんだ付けすることと
のうちの1つを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記導電性材料および/または磁性材料を反応温度に加熱することが、
前記導電性材料および/または磁性材料に渦電流を誘導することと、
前記導電性材料および/または磁性材料に磁気ヒステリシスを誘導することと
のうちの1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記接合部に磁性絶縁体を適用して、前記充填材料によって接合される領域を制限することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
副次的な技術を使用して、前記第1の基板を前記第2の基板にさらに接合することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記交番磁界を印加することと同時に前記接合部に圧力を加えることをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記接合部が実質的に平面である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記第1の基板および前記第2の基板が互いに異種の材料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
基板同士を接合するための誘導に基づく装置であって、
ハウジングと、
導電性材料を含む充填材料を受け入れるための入口と、
前記ハウジングに収容された誘導加熱アセンブリであって、
前記入口から前記充填材料を受け入れ、
交番磁界を印加して、前記充填材料の前記導電性材料に誘導的にエネルギーを付与する
ように構成された誘導加熱アセンブリと、
前記基板同士を接合するためのエネルギーが付与された前記充填材料を排出するためのノズルと
を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、2つの基板を共に接合するためのシステム、より詳細には、基板同士を共に接合するための誘導に基づくシステムおよび方法に関する。
【0002】
背景
溶接は、金属、プラスチックおよびその他の材料を含む材料同士を共に接合する製造プロセスである。溶接では、熱もしくは圧力またはその両方を使用して材料の一部を溶融し、溶融された部分同士を冷却時に融合することができる。溶接プロセスで使用される熱は、ガス炎、電気アーク、レーザ、電子ビームまたは超音波などの熱源によって発生させることができる。溶接は、母材を溶融するために高い温度を必要とすることが多く、したがって、加熱する方法が非効率的である可能性がある。
【0003】
概要
本明細書の態様によれば、第1の基板を第2の基板に接合する方法が提供される。この方法は、第1の基板および第2の基板の各々の部分の間に充填材料を適用することであって、充填材料が、導電性材料および/または磁性材料を含み、充填材料および各々の部分が接合部を画定する、適用することと、接合部に交番磁界を印加して、導電性材料を反応温度に加熱することと、導電性材料を反応温度に加熱することに応じて、導電性材料から放出されたエネルギーを使用して接合部にエネルギーを付与することと、接合部を冷却して、第1の基板を第2の基板に接合することとを含む。
【0004】
本明細書の他の態様によれば、基板同士を接合するための誘導に基づく装置が提供される。この装置は、ハウジングと、導電性材料を含む充填材料を受け入れるための入口と、ハウジングに収容された誘導加熱アセンブリであって、入口から充填材料を受け入れ、交番磁界を印加して、充填材料の導電性材料に誘導的にエネルギーを付与するように構成された誘導加熱アセンブリと、2つの基板を接合するためのエネルギーが付与された充填材料を排出するためのノズルとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下の図面を参照しながら実現形態を説明する。
図1】2つの基板を接合するための誘導に基づくシステムを示す図である。
図2図1のシステムにおいて2つの基板を接合する方法を示す図である。
図3A図1のシステムで使用するための例示的な充填材料を示す図である。
図3B図1のシステムで使用するための例示的な充填材料を示す図である。
図3C図1のシステムで使用するための例示的な充填材料を示す図である。
図3D図1のシステムで使用するための例示的な充填材料を示す図である。
図4】磁性絶縁体を備えた2つの基板を示す図である。
図5図1のシステムにおける例示的な焼結作業を示す図である。
図6図1のシステムにおける例示的な溶接作業を示す図である。
図7図1のシステムにおけるはんだ付け作業の例を示す図である。
図8】誘導に基づく接合のための例示的な装置を示す図である。
【0006】
詳細な説明
本開示は、2つの基板を共に接合するための誘導に基づくシステムおよび方法を説明する。充填材料は、導電性材料および/または磁性材料を含み、第1の基板および第2の基板の各々の部分の間に適用される。各々の部分および充填材料は、共に、2つの基板の接合部を画定する。導電性材料および/または磁性材料は、誘導を介して反応温度に加熱される。導電性材料および/または磁性材料を反応温度に加熱することに応じて、接合部は、導電性材料および/または磁性材料から放出されるエネルギーを使用してエネルギーが付与される。冷却すると、2つの基板が共に接合される。充填材料、特に導電性材料および/または磁性材料は、接合作業の熱制御を可能にするために、充填材料、特に導電性材料および/または磁性材料の加熱特性(例えば、反応温度、エネルギー放出プロファイルなど)に基づいて具体的に選択することができる。
【0007】
図1は、本開示による2つの基板を接合するための例示的なシステム100を示す。システム100は、第1の基板108-1を第2の基板108-2(集合的に基板108と呼ばれ、一般に基板108と呼ばれる-この命名法は、本明細書の他の場所で使用することができる)に接合するための誘導に基づく装置104(単に装置104とも呼ばれる)を含む。基板108は、プラスチック、金属、合金、熱可塑性プラスチック、複合材料、および上記の組み合わせなどを含むことができる。幾つかの実施例では、基板108は、異種の材料とすることができる。例えば、第1の基板108-1は、金属材料を含むことができ、一方、第2の基板108-2は、プラスチック材料を含むことができる。
【0008】
基板108は、各々の部分110-1および110-2によって画定される接合部120で共に接合される。部分110は、角隅接合部を形成するためなどの端部部分であってよく、または部分110は、基板108の各々の表面に重なる部分であってよい。例えば、本実施例では、部分110は実質的に平面である。他の実施例では、部分110は、湾曲しているか、そうでなければ非平面であってよく、部分110は、互いに適合して、接合部120を形成することができる。
【0009】
基板108は、充填材料112を使用して共に接合される。充填材料112は、導電性材料および/または磁性材料を含む。特に、充填材料112は、基板108の各々の部分110の間に適用される。部分110および充填材料112は、共に、接合部120を画定する。接合部120は、本実施例のように実質的に平面とすることができるか、または接合部120は、部分110および部分110の配置に基づいて他の方法で成形することができる。
【0010】
充填材料112は、導電性材料および/または磁性材料を含む。例えば、充填材料112は、ナノテルミットまたはマイクロテルミットなどの反応性金属化合物とすることができる。特に、ナノテルミットまたはマイクロテルミットは、酸化剤および還元剤(例えば、金属および金属酸化物)を含む。ナノテルミットまたはマイクロテルミットは、誘導によって加熱またはエネルギーを付与することができる。具体的には、交番磁界の印加は、ナノテルミットまたはマイクロテルミットに渦電流および/またはヒステリシス(以下でさらに詳細に説明する)を誘導し、それが次にコア成分との反応を誘導し、それによってエネルギーを放出する。より一般的には、導電性材料は、導電性粒子または成分を含有する様々なタイプの流体(液体、気体、および組み合わせなどを含む)を含むことができる。導電性粒子または成分は、渦電流および/またはヒステリシスが導電性材料に導入されて、導電性材料にエネルギーを付与することを可能にする。例えば、導電性材料は、反応性金属化合物、気体状態・液体状態および固体状態の化合物、複数の相および状態を含む材料のスラリー、合成ポリマーおよび非合成ポリマーなどを含むことができる。導電性材料は、材料の層の混合物、メタマテリアルを有するマルチコーティングされた金属、液状および不活性状態の反応性金属化合物のハイブリッド混合物、または材料の他の適切な組み合わせをさらに含むことができる。幾つかの実施例では、導電性材料は、以下でさらに説明するように、焼結作業のための金属粉末または他の適切な粉末であってよい。
【0011】
装置104は、一般に、基板108を共に接合するための誘導に基づく技術を使用するように構成されている。ひいては、装置104は、誘導加熱アセンブリ130を含む。誘導加熱アセンブリ130は、一般に、誘導を介して接合部120を加熱するように構成されている。具体的には、アセンブリ130は、電力供給回路134に連結されたコイル132を含む。回路134は、磁界を発生させるためにコイル132に電流を流すように構成されている。回路134は、コイル132に高周波交流を流すための電子発振器または他の適切な回路とすることができる。したがって、交番磁界がコイル132に誘導される。幾つかの例では、コイル132は、例えば、大きい基板108を共に接合することを可能にするために、接合領域に隣接して配向することができる。他の実施例では、コイル132は、接合領域を包み込むように構成することができ、それにより、接合領域がコイルの中心に位置し、接合領域により強い磁界を誘導する。そのような実施例では、基板108のサイズは、コイル132のサイズに基づいて制限される可能性がある。
【0012】
動作中、電力供給回路134は、図1に矢印で示されているように、コイル132に電流を流すように構成されている。アンペールの法則に従って、コイル132を通って流れる電流は、コイル132の周りに磁界136を誘導する。幾つかの実現形態では、電力供給回路134は、さらに、コイル132を流れる電流を変化させ、それによって磁界136を変化させるように構成されている。他の実現形態では、コイル132は、磁界136を変化させるために、接合領域118に対して移動するように構成することができる。例えば、コイル132は、静止している接合領域118の長さ方向に沿って移動するように位置決め機構に連結することができる。
【0013】
次に、システム100の動作を図2と併せて説明する。図2は、2つの基板を接合する方法200のフローチャートを示している。方法200は、システム100における方法の性能と併せて説明される。他の実施例では、方法200は、他の適切なシステムによって実行することができる。
【0014】
ブロック205において、充填材料は、第1の基板108-1の各々の部分110と第2の基板108-2との間に適用される。充填材料は、反応性金属化合物(例えば、液体状態または気体状態)、ポリマー、熱可塑性プラスチック、メタマテリアルを有するマルチコーティングされた金属などの導電性材料を含む。幾つかの例では、充填材料は、(例えば、液体状態または気体状態の)反応性金属化合物、ポリマー、熱可塑性プラスチック、およびメタマテリアルを有するマルチコーティングされた金属などの1つ以上の更なる導電性材料を含むことができる。導電性材料は、ナノテルミット、メタマテリアル、および天然もしくは合成の、ポリマーおよび熱可塑性プラスチックに加えて、(例えば、金、銀、銅などで構成されている)ナノロッドもしくはナノワイヤ、グラフェン、または他の適切な複合材料を含むことができる。
【0015】
より一般的には、充填材料112は、異なる構成(例えば、粒子径、単純立方体充填、面心立方体充填、および六方晶充填などの充填構造)、異なる構造(例えば、ナノワイヤもしくはナノロッド、他の粒子状物質、または液体など)、異なる反応温度、異なる接着特性(例えば、異なる材料へのより良い接着)、またはそうでなければ異なるエネルギー放出プロファイルを有する複数の導電性材料および/または磁性材料を含むことができる。
【0016】
例えば、異なる層において、所望のエネルギー放出プロファイルに従って、導電性材料を組み合わせて、均質もしくは不均質な混合物などとして充填材料を形成することができる。特に、エネルギー放出プロファイルの変化により、装置104は、いずれの材料が加熱されるか、およびそれらがいつ加熱されるかを制御することによって、溶接作業を正確に制御することができる。
【0017】
例えば、図3A-3Dを参照すると、例示的な充填材料300、310、320、および330が示されている。
【0018】
図3Aに示される充填材料300は、媒体302および媒体302全体に分散されたナノテルミット304(すなわち、導電性材料)を含む。媒体302は、例えば、ナノテルミット304を含有するための、金属、合金、ポリマー、材料の組み合わせ、または他の適切な材料とすることができる。幾つかの実施例では、媒体302は、ナノテルミット304が媒体302全体に自由に分散されることを可能にするために実質的に流体とすることができる。他の実施例では、媒体302は、媒体302内のナノテルミット304の位置を固定するためのゲルまたは固体とすることができる。
【0019】
図3Bに示される充填材料310は、媒体312と、第1のナノテルミット314と、第2のナノテルミット316とを含む。充填材料300と同様に、第1のナノテルミット314および第2のナノテルミット316は、媒体312全体に分散している。媒体312は、ナノテルミット314およびナノテルミット316を含有するための、金属、ポリマー、材料の組み合わせ、または他の適切な材料とすることができる。幾つかの実施例では、媒体312は、ナノテルミット314および316が媒体312全体に自由に分散することを可能にするために流体とすることができる。他の実施例では、媒体312は、媒体312内のナノテルミット314および316の位置を固定するためのゲルまたは固体とすることができる。この実施例では、ナノテルミット314および316は、媒体312全体に均一に分布している。
【0020】
図3Cに示されるような充填材料320の他の実施例では、第1のナノテルミット324および第2のナノテルミット326を分離することができる。具体的には、媒体322は、第1のナノテルミット324を充填材料320の第1の表面に固定し、第2のナノテルミット326を充填材料320の第2の表面に固定することができる。そのような実施例では、媒体322は、ナノテルミット324およびナノテルミット326の分離を可能にするために、ゲルまたは固体とすることができる。
【0021】
さらに他の実施例では、充填材料は、導電性材料が全体に分散される媒体を含まなくともよい。例えば、図3Dに示される充填材料330は、互いに混合されているが、媒体には含有されていない第1のナノテルミット334および第2のナノテルミット336を含む。例えば、ナノテルミット334およびナノテルミット336は、焼結作業のための粉末を形成することができる。他の実施例では、充填材料330は、単一のタイプのナノテルミット(例えば、第1のナノテルミット334のみ、または第2のナノテルミット336のみ)を含有することができる。第1のナノテルミットおよび第2のナノテルミットを加熱して合金を形成することができる。
【0022】
図2に戻ると、ブロック205において、充填材料は、接合作業のタイプに従って選択することができる。例えば、焼結作業の場合、充填材料330を利用することができ、一方、はんだ付け作業の場合、充填材料300を利用することができる。2つの異種の材料を共に溶接するために、充填材料320を利用することができる。充填材料は、充填材料の中に含有される1つ以上の導電性材料のエネルギー放出プロファイルに従ってさらに選択することができる。例えば、2つの基板を接合するために比較的高い温度を利用して接合するためには、充填材料310を利用して、より低い投入エネルギーで第1のナノテルミット314を加熱することを可能にし、連鎖反応を生じさせて第2のナノテルミット316にエネルギーを付与し、2つの基板を接合するための温度を達成することができる。
【0023】
幾つかの実施例では、ブロック205において、磁性絶縁体を接合部に適用して、充填材料112の適用を特定の領域に制限することができる。例えば、図4を参照すると、充填材料412が2つの基板408-1と408-2の間に適用され、磁性絶縁体420によって制限されている。
【0024】
図2に戻ると、ブロック210において、交番磁界136が接合部120に印加され、導電性材料および/または磁性材料を反応温度に加熱する。特に、交番磁界136を印加することは、磁界を誘導するために、電力供給回路134によってコイル132に交流電流を印加して、磁界を誘導することを含むことができる。
【0025】
ファラデーの誘導の法則に従って、変化する磁界136は、近くの導体、特に、充填材料の導電性材料に渦電流を誘導する。導電性材料に渦電流が誘導されると、導電性材料にエネルギーが付与され、導電性材料は、導電性材料の反応温度に加熱される。幾つかの実施例では、導電性材料には、磁気ヒステリシスを介してエネルギーを付与することができる。特に、磁石の分子の内部摩擦に対する磁化力は、熱エネルギーを発生させる。熱によって失われるエネルギーはヒステリシス損失である。磁力が印加されると、充填材料112の磁性材料の分子が第1の方向に整列する。磁力が逆転すると、磁性材料の分子の内部摩擦が磁性の逆転に対抗し、磁気ヒステリシスをもたらし、したがって磁性材料を加熱する。幾つかの実施例では、ブロック210において、方法200は、磁気ヒステリシス加熱および渦電流を介した誘導加熱の両方を使用して、接合作業のために導電性材料および/または磁性材料にエネルギーを付与することができる。
【0026】
磁性絶縁体が適用される実施例では、絶縁体によって阻害されていない充填材料の領域に、加熱を制限することができる。したがって、磁性絶縁体を適用することで、接合作業および共に接合される領域にわたって、より大きな制御を提供することができる。
【0027】
ブロック215で、導電性材料の反応温度に達すると、導電性材料は、導電性材料のエネルギー放出プロファイルに従ってエネルギーを放出し、接合部にエネルギーを付与する。すなわち、導電性材料を反応温度に加熱することに応じて、導電性材料から放出されたエネルギーを使用して、接合部にエネルギーを付与することができる。特に、導電性材料の反応温度に達すると、導電性材料は、発熱反応を受け、エネルギーを放出して、1つ以上の充填材料および部分110にエネルギーを付与することができる。
【0028】
例えば、図5を参照すると、焼結作業500が示されている。特に、接合部にエネルギーを付与することは、液化せずに第1の基板および第2の基板の各々の部分にエネルギーを付与して、第1の基板を第2の基板に焼結することを含むことができる。焼結作業500において、導電性材料を含む充填材料512が、第1の基板508-1と第2の基板508-2との間に適用される。具体的には、充填材料512は、第1の基板508-1の第1の表面510-1および第2の基板508-2の第2の表面510-2に接触する。導電性材料が、導電性材料の反応温度に加熱されると、充填材料512、第1の表面510-1、および第2の表面510-2は、液化点まで溶融することなく加熱される。充填材料512は、第1の表面510-1および第2の表面510-2と融合し、したがって、第1の基板508-1を第2の基板508-2に焼結する。例えば、充填材料512は、緻密な焼結作業500を可能にするために、充填材料330などの金属粉末を含むことができる。幾つかの実施例では、焼結作業500は、例えば、図5の矢印Pによって示されるように、接合部に圧力を加えて、第1の基板508-1と第2の基板508-2との焼結を支持および支援することをさらに含むことができる。
【0029】
幾つかの実現形態では、充填材料には、加熱、および/または無圧力技術もしくは事前支援技術によって、焼結プロセスのためにエネルギーを付与することができ、緻密化制御および/または結晶粒成長の制御を通じて、基板は、融合し、溶接部および/または鋳物を形成して異なる形状を作製し、強度、導電率、熱伝導率および透過性のような材料特性を向上させることができる。
【0030】
ここで図6を参照するに溶接作業600が示されている。特に、接合部にエネルギーを付与することは、第1の基板および第2の基板の各々の部分の各々の表面を溶融して、第1の基板を第2の基板に溶接することを含むことができる。溶接作業600において、導電性材料を含む充填材料612が、第1の基板608-1と第2の基板608-2との間に適用される。具体的には、充填材料612は、第1の基板608-1の第1の表面610-1および第2の基板608-2の第2の表面610-2に接触する。導電性材料が、導電性材料の反応温度に加熱されると、第1の表面610-1および第2の表面610-2が溶融し、冷却時に共に溶接することができる。例えば、溶接作業600は、充填材料300を利用することができる。
【0031】
ここで図7を参照すると、はんだ付け作業700が示されている。特に、接合部にエネルギーを付与することは、充填材料のはんだ付け部分にエネルギーを付与して、第1の基板を第2の基板にはんだ付けすることを含むことができる。はんだ付け作業700において、導電性材料を含む充填材料712が、第1の基板708-1と第2の基板708-2との間に適用される。具体的には、充填材料712は、第1の基板708-1の第1の表面710-1および第2の基板708-2の第2の表面710-2に接触する。導電性材料が、導電性材料の反応温度に加熱されると、充填材料712と、特に導電性材料が分散された分散媒体とが溶融し、第1の基板708-1と第2の基板708-2とを共にはんだ付けすることができる。すなわち、充填材料と、特に分散媒体とは、第1の基板および第2の基板708を接合するように作用することができる。
【0032】
さらに他の実施例では、接合部にエネルギーを付与することは、更なる導電性材料を更なる反応温度に加熱することを含むことができる。すなわち、第1の導電性材料に放出されたエネルギーは、連鎖反応を開始して、追加の導電性材料をそれらの各々の反応温度に加熱することができる。例えば、第1の導電性材料は、反応温度が比較的低く、一方、第2の導電性材料は、反応温度が比較的高くてもよい。導電性材料は、第1の導電性材料の反応温度に加熱することができ、発熱反応を受けて、ひいてはエネルギーを放出することができる。放出されたエネルギーは、第2の導電性材料にさらにエネルギーを付与し、第2の導電性材料がその比較的高い反応温度に達することを可能にすることができる。第2の導電性材料は、追加のエネルギーを放出することができる。追加のエネルギーは、導電性材料の連鎖反応を継続するために使用することができるか、または追加のエネルギーは、接合部の他の成分にエネルギーを付与することができる。すなわち、第2の導電性材料から放出される追加のエネルギーは、第1の導電性材料から放出されるエネルギーに加えて、またはその代わりに、焼結作業500、溶接作業600、またははんだ付け作業700で利用することができる。そのような連鎖反応は、例えば、より低い投入要求量で比較的高温で接合される材料を含む基板を接合するために利用することができる。
【0033】
他の実施例では、2つの異なる導電性材料を使用して、2つの異種の基板を接合することができる。例えば、第1の導電性材料の第1の反応温度に達すると、第1の基板を充填材料に結合することができ、第2の導電性材料の第2の反応温度に達すると、第2の基板を充填材料に結合することができる。すなわち、第1の基板と第2の基板との接合は、基板の1つが中間的に充填材料に結合される2段階プロセスとすることができる。
【0034】
さらに他の実施例では、第1の導電性材料からのエネルギーを使用して第2の導電性材料を加熱するのではなく、ブロック210およびブロック215を繰り返して、第2の導電性材料を、第2の導電性材料の反応温度に加熱することができる。具体的には、磁界136の強度を制御して(例えば、回路134によってコイル132に供給される電流を制御することによって)、第1の導電性材料を第1の反応温度に特異的に加熱し、次に磁界136を変化させて第2の導電性材料を第2の反応温度に加熱することができる。
【0035】
幾つかの実施例では、ブロック210およびブロック215で、副次的な技術を使用して、第1の基板を第2の基板と、さらに接合することができる。副次的な技術は、ブロック210およびブロック215と同時にまたは連続して実施することができる。副次的な技術の例は、これらに限定されないが、ソリッドステート結合(例えば、陽極/ウェーハ接合、拡散接合、超音波ワイヤボンディング、冷間結合、爆着、摩擦攪拌結合、摩擦溶接など)、はんだ付け/ろう付け(例えば、溶鉱炉、レーザリフロー、抵抗、ディップ、ウェーブ、活性ろう付け、フリップチップボンディングなど)、融接(例えば、レーザビーム、電子ビーム、パーカッシブ、プラズマ、ガスタングステン、抵抗、ガラスシーリングなど)、接着結合(例えば、ダイアタッチメント、フリップチップボンディング、シーリングなど)、および上記の組み合わせを含む。さらに、方法200は、ブロック210で接合部に交番磁界を印加すると同時にまたは連続して接合部に圧力を加えることをさらに含むことができる。
【0036】
ブロック220で、接合部が冷却されて、第1の基板108-1を第2の基板108-2に接合する。具体的には、接合部が冷却されると、第1の基板および第2の基板108は、単一の最終製品に接合または結合することができる。
【0037】
したがって、方法200は、2つの基板を接合するための誘導に基づく技術を提供する。誘導に基づく技術は、他の溶接および/または結合技術と組み合わせて、ハイブリッドシステムを形成することができる。誘導に基づく技術は、地球(例えば、陸、空、または水中での用途)、宇宙(例えば、天体、月、火星、他の惑星、衛星、小惑星、微惑星、および他の天体など)で使用することができる。幾つかの実施例では、誘導に基づく技術は、月および火星のレゴリス、他の惑星、衛星、小惑星、微惑星、および他の天体の物質などの現場の宇宙資源を使用して、充填材料を補うことができる。さらに、誘導溶接技術は、マイクロ接合アプリケーションのスペースが限られた状況でエネルギー発生および溶融材料をローカライズする。
【0038】
例えば、チタン粉末(Ti)をホウ素(B)または炭素(C)と混合して充填材料を形成し、モリブデン(Mo)表面間でプレスし、点火してMo-TiB2-MoまたはMo-TiC-Mo溶接部を形成する。他の実施例では、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)の混合物もまた、充填材料として使用することができる。さらに、金属と金属酸化物の組み合わせを、基板を接合するための充填材料として使用することができ、充填材料は、粉末状、層状、積層状、およびコアシェル状の複合材料から構成することができる。
【0039】
ここで図8を参照すると、基板を接合するための例示的な誘導に基づく装置800が示されている。装置800は、誘導加熱アセンブリ830を収容するためのハウジング804と、ノズル820と、入口822とを含む。他の実現形態では、誘導加熱アセンブリ830内のコイルもノズル820の周りに構成することができる。
【0040】
誘導加熱アセンブリ830は、ハウジング804に収容され、電力供給回路834に連結されたコイル832を含む。回路は、磁界を発生させるためにコイル832に電流を流すように構成されている。回路834は、コイル832に高周波交流を流すための電子発振器または他の適切な回路とすることができる。したがって、交番磁界がコイル832に誘導される。コイル832は、加熱領域818がコイル832の中心にあり、加熱領域818により強い磁界を誘導するように、加熱領域818を包み込むように構成されている。誘導加熱アセンブリ830は、誘導加熱アセンブリ830の作動を制御するためにトリガー840に連結することができる。動作中、電力供給回路834は、矢印で示されるように、コイル832に電流を流すように構成されている。アンペールの法則に従って、コイル832を流れる電流は、コイル832の周りに磁界136を誘導する。幾つかの実現形態では、電力供給回路834は、コイル832を通過する電流を変化させ、それによって磁界836を変化させるようにさらに構成されている。他の実現形態では、コイル832は、磁界836を変化させるために、加熱領域818に対して移動するように構成することができる。例えば、コイル832は、静止している加熱領域818の長さ方向に沿って移動するように位置決め機構に連結することができる。具体的には、交番磁界の印加は、ナノテルミットまたはマイクロテルミットに渦電流および/またはヒステリシス(以下でさらに詳細に説明する)を誘導し、それが次にコア成分との反応を誘導し、それによってエネルギーを放出する。
【0041】
加熱領域818は、入口822に連結されて入口から材料を受け入れ、ノズル820に連結されて、加熱された材料を装置800から排出する。具体的には、充填材料は、入口822を通して供給され、加熱領域818で誘導加熱アセンブリ830によって加熱される。充填材料は、分散媒体と、分散媒体全体に分散された導電性材料とを含むことができる。導電性材料は、ナノテルミットまたはマイクロテルミットなどの反応性金属化合物とすることができ、分散媒体は、充填材料を共に保持して装置800に供給できるようにするためのゲルまたは固体とすることができる。したがって、誘導加熱アセンブリ830は、充填材料を、固体状態またはゲル状態から、エネルギーが付与された流体状態またはプラズマ状態へとエネルギーを付与し、ノズル820から排出する。エネルギーが付与された流体またはプラズマは、2つの基板の間に適用されて、2つの基板を共に接合することができる。
【0042】
本開示は、誘導に基づく技術を使用して2つの基板を接合するためのシステムおよび方法を提供し、それにより、導電性材料を含む充填材料は、誘導加熱によってエネルギーが付与される。2つの基板は、互いに異種の材料とすることができる。誘導溶接技術では、ナノエネルギー複合材料のスラリー、メタマテリアルのスラリー、ポリマーのスラリー、または反応性金属化合物のスラリーを充填材料として使用することができる。充填材料の特性は、エネルギー放出プロファイルを制御するために選択することができる。さらに、誘導点火および/または誘導加熱の使用は、接合部にわたる一貫した加熱を可能にする。したがって、接合部は、線形の溶接部もしくは接合部に限定されず、実質的に平面の構成とすることができる。
【0043】
特許請求の範囲は、上記の実施例に記載された実施形態によって限定されるべきではなく、全体としての説明と一致する最も広い解釈を付与されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】