(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】液体化学滅菌システムのための生物学的インジケータ
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20220204BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
A61J1/05 315Z
A61B1/12 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535926
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 IB2019061194
(87)【国際公開番号】W WO2020129005
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520395938
【氏名又は名称】エイエスピー・グローバル・マニュファクチャリング・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】フライヤー・ベンジャミン・エム
(72)【発明者】
【氏名】シッディーキー・マスード・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】オミドバフシュ・ナビド
(72)【発明者】
【氏名】ローズ・サミュエル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マクニール・コール・ジー
【テーマコード(参考)】
4C047
4C161
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047CC30
4C047DD10
4C047GG11
4C161GG08
4C161GG09
(57)【要約】
自動内視鏡再処理装置によって実施することができる液体化学滅菌プロセスでの使用に適した生物学的インジケータを本明細書に開示する。生物学的インジケータは、1つ以上のポートを含み、そこから液体化学滅菌剤を導入および除去することができる。生物学的インジケータは、液体化学滅菌剤の移送を補助し得る、ポート開口部に通じる下向き傾斜またはピペットなどの特徴を含み得る。システムは、システムおよび生物学的インジケータの使用を容易にする特徴を有するホルダをさらに含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的インジケータであって、
バイアルであって、前記バイアルの基部を貫通して配置された第1のポートを含む、バイアルと、
前記バイアルの上に配置されたキャップであって、前記キャップは第2のポートを含む、キャップと、
前記第1のポートに配置された第1の弁と、
前記第2のポートに配置された第2の弁と、
前記バイアル内に配置された、微生物を含浸させたキャリアと、
を含む、生物学的インジケータ。
【請求項2】
前記キャップを貫通して配置された排気ポートをさらに含む、請求項1に記載の生物学的インジケータ。
【請求項3】
前記第1のポートは、前記バイアルの内側に配置された開口部を含み、前記バイアルは、前記開口部の方に向けられた下向き傾斜を有する底部を含む、請求項2に記載の生物学的インジケータ。
【請求項4】
前記キャリアは、前記開口部の上方に配置され、前記下向き傾斜と接触している、請求項3に記載の生物学的インジケータ。
【請求項5】
前記キャリアは、前記キャリアを貫通して配置された空隙を含む、請求項4に記載の生物学的インジケータ。
【請求項6】
前記バイアル内に少なくとも部分的に配置された増殖培地を収容するアンプルをさらに含む、請求項3に記載の生物学的インジケータ。
【請求項7】
生物学的インジケータであって、
基部を有するバイアルと、
前記バイアルの上に配置されたキャップであって、前記キャップはポートを含む、キャップと、
前記ポートに接続された第1の端部および前記バイアルの前記基部に近接して配置された第2の端部を有する、ピペットと、
前記バイアル内に配置された、微生物を含浸させたキャリアと、
を含む、生物学的インジケータ。
【請求項8】
前記キャップから延びるウィングをさらに含む、請求項7に記載の生物学的インジケータ。
【請求項9】
前記バイアル内に少なくとも部分的に配置されたアンプルをさらに含む、請求項7に記載の生物学的インジケータ。
【請求項10】
前記アンプルに接触するインサートをさらに含む、請求項9に記載の生物学的インジケータ。
【請求項11】
前記アンプルは、不規則な断面形状を含む、請求項10に記載の生物学的インジケータ。
【請求項12】
前記ピペットは、前記不規則な断面形状によって画定されるくぼみに配置されている、請求項11に記載の生物学的インジケータ。
【請求項13】
液体化学滅菌システムであって、
生物学的インジケータであって、
内部を画定し、第1の弁を有する第1のポートおよび第2の弁を有する第2のポートを含む、ハウジングと、
前記内部内で、前記第1のポートと前記第2のポートとの間に配置され、2つのチャンバを画定する、ディバイダと、
前記2つのチャンバのうちの1つに配置された、微生物を含浸させたキャリアと、
を含む、生物学的インジケータと、
液体化学滅菌剤の供給源と、
前記液体化学滅菌剤の前記供給源に接続された第1の流体送達構成要素と、
ホルダであって、
前記生物学的インジケータを収容するように構成された少なくとも1つのスロットと、
前記第1の流体送達構成要素に接続され、前記第1のポートと嵌合するように前記スロットの基部に位置付けられた少なくとも第3のポートと、
を含む、ホルダと、
を含む、液体化学滅菌システム。
【請求項14】
前記ホルダは、前記第2のポートと嵌合するように位置付けられた、前記スロットの前記基部に配置された第4のポートを含む、請求項13に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項15】
前記ホルダは、窓を含む、請求項13に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項16】
前記ホルダは、前記滅菌チャンバの内側に配置された滅菌トレイに接続されている、請求項15に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項17】
マニホールドが前記滅菌トレイに接続され、前記ホルダは、前記マニホールドに接続されている、請求項16に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項18】
前記第1の流体送達構成要素は、前記マニホールドに接続され、前記マニホールドは、前記第3のポートに接続されている、請求項17に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項19】
前記マニホールドに接続され、前記滅菌トレイ内に少なくとも部分的に配置された第2の流体送達構成要素をさらに含む、請求項18に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項20】
前記第2の流体送達構成要素は、前記滅菌トレイ内に配置された器具の内腔に接続されている、請求項19に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項21】
前記器具は、内視鏡を含む、請求項20に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項22】
前記生物学的インジケータの前記内部は、以前に前記内視鏡を通して流された液体化学滅菌剤を収容する、請求項21に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項23】
以前に前記内視鏡を通して流された、ある量の液体化学滅菌剤は、前記生物学的インジケータの前記内部に配置される、請求項22に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項24】
前記ホルダは、前記滅菌システムの外面上に配置されている、請求項14に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項25】
前記ホルダは、スクリーンを含む、請求項24に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項26】
前記ホルダは、4つのスロットを含む、請求項25に記載の液体化学滅菌システム。
【請求項27】
各スロットは、異なる生物学的インジケータを収容する、請求項26に記載の液体化学滅菌システム。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔分野〕
本明細書に開示される主題は、特に内視鏡滅菌に適用されるような、液体化学滅菌ルーチンの妥当性を評価するための器械および技術に関する。
【0002】
〔背景〕
医療装置は、典型的には使用前に滅菌されて、対象に感染症を引き起こし得る、汚染された装置が対象に使用され得る可能性を最小にする。ガスプラズマおよびエチレンオキシド(EtO)を伴うかまたは伴わない、蒸気、過酸化水素、および気相滅菌などの様々な滅菌技術を使用することができる。
【0003】
特定の滅菌技術は、周囲圧力または大気圧以外の圧力で実施される。例えば、Johnson & Johnson companyのEthicon US, LLCの1部門である、Advanced Sterilization Productsの、STERRAD(登録商標)System、STERRAD(登録商標)NX SystemまたはSTERRAD(登録商標)100NX Systemは、過酸化水素を気化し、例えば26.66Pa(200ミリトル)未満の低圧で動作する、滅菌システムまたは滅菌器の例である。
【0004】
内腔を有する様々な細長い医療装置、例えば内視鏡は、様々な理由で、蒸気滅菌剤、例えば気化した過酸化水素により滅菌することが難しい。例えば、内腔内の圧力は内腔の入口から長さおよび直径の関数として減少するので、滅菌剤が内腔全体を通過し、内腔のすべての表面に到達することを確実にするために、圧力低下を克服しなければならない。さらに、内腔は破片を集めるか、またはリンス水のような流体によってブロックされ得る。
【0005】
しばしば、蒸気ベースの滅菌ルーチンは、生物学的インジケータまたは化学的インジケータのような滅菌インジケータを組み込み、これは滅菌サイクルの有効性の指標を提供し得る。このようなインジケータは、滅菌チャンバ内で内視鏡の近くに位置付けられ得るが、滅菌するのが最も困難な内視鏡の部分が典型的には内視鏡の内腔の奥深くにあるため、内視鏡の無菌性を評価するには信頼できない場合がある。
【0006】
〔開示の概要〕
本明細書には、液体化学滅菌プロセスでの使用に適した生物学的インジケータを開示する。生物学的インジケータは、バイアル、およびバイアルの上に配置されたキャップを含むことができる。第1のポート(またはバイアルポート)が、バイアルの基部を貫通して配置され得、第2のポート(またはキャップポート)が、キャップを貫通して配置され得る。排気ポートも、キャップを貫通して配置され得る。キャップは、そこから延びるウィングをさらに含むことができる。
【0007】
第1のポートに第1の弁を配置することができ、第2のポートに第2の弁を配置することができる。さらに、微生物を含浸させたキャリアをバイアル内に配置することができる。
【0008】
第1のポートは、バイアルの内側に配置された開口部を含むことができ、バイアルの底部は、開口部の方に向けられた下向き傾斜を含むことができる。そのような実施形態では、キャリアは、開口部の上方に配置され、下向き傾斜と接触し得る。さらに、キャリアは、キャリアを貫通して配置された空隙を含むことができる。
【0009】
ピペットをキャップのポートに接続することができる。ピペットが含まれる場合、バイアルは、オプションとしてバイアルポートを含まなくてもよい。したがって、ピペットは、キャップポートに接続された第1の端部と、バイアルの基部に近接して配置された第2の端部と、を含むことができる。
【0010】
生物学的インジケータは、バイアル内に少なくとも部分的に配置された増殖培地を収容するアンプルを含むこともできる。インサートが、アンプルに接触するかまたはアンプルを支持するためにバイアル内に配置され得る。アンプルは、不規則な断面形状を含み得、ピペットは、その不規則な断面形状によって画定されるくぼみに配置され得る。
【0011】
液体化学滅菌システムも本明細書に記載される。このシステムは、内部を画定し、第1の弁を有する第1のポートと第2の弁を有する第2のポートとを含むハウジングを有する生物学的インジケータを含むことができる。ディバイダが、内部内で、第1のポートと第2のポートとの間に配置されて、2つのチャンバを画定することができる。微生物を含浸させたキャリアを、2つのチャンバのうちの1つに配置し得る。システムはまた、液体化学滅菌剤の供給源と、液体化学滅菌剤の供給源に接続された第1の流体送達構成要素と、を含むことができる。システムはまた、生物学的インジケータを収容するように構成された少なくとも1つのスロットと、第1の流体送達構成要素に接続された少なくとも第3のポートと、を有するホルダを含むことができる。第3のポートは、第1のポートと嵌合するようにスロットの基部に位置付けられ得る。ホルダはまた、スロットの基部に配置された第4のポートを含むことができる。第4のポートは、第2のポートと嵌合するように位置付けられ得る。ホルダは窓も含み得、生物学的インジケータは、スロット内に配置されたときに窓を通して見ることができる。ホルダは、さらに、滅菌チャンバの内側に配置された滅菌トレイに接続されてもよい。マニホールドを滅菌トレイに接続することができ、ホルダをマニホールドに接続し得る。さらに、第1の流体送達構成要素はマニホールドに接続され得、マニホールドは第3のポートに接続され得る。システムはまた、マニホールドに接続され、滅菌トレイ内に少なくとも部分的に配置された、第2の流体送達構成要素を含み得る。したがって、第2の流体送達構成要素は、滅菌トレイ内に配置された器具、例えば内視鏡の内腔に接続され得る。このように構成されると、滅菌サイクルの間、生物学的インジケータの内部は、以前に内視鏡を通して流された液体化学滅菌剤を収容することができる。
【0012】
さらなる実施形態において、ホルダは、滅菌システムの外面上に配置されてもよい。このようなホルダは、ディスプレイスクリーンをさらに含むことができる。これは、生物学的インジケータを保持するための4つ以上のスロットも含み得る。
【0013】
本明細書は、本明細書に記載された主題を特に指摘して明確に主張する特許請求の範囲で締めくくられるが、その主題は、特定の実施例の以下の説明を、添付図面と併せ読むことによって、よりよく理解されると考えられ、添付図面では、同様の参照符号は同じ要素を特定している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】液体化学滅菌プロセスでの使用に適した第1の生物学的インジケータの側面断面図を描く。
【
図2】液体化学滅菌プロセスでの使用に適した第2の生物学的インジケータの側面断面図を描く。
【
図3】
図2の生物学的インジケータの上面断面図を描く。
【
図4】液体化学滅菌プロセスでの使用に適した第3の生物学的インジケータの側面断面図を描く。
【
図5】
図4の生物学的インジケータを評価するための特徴を含む、開放構成における液体化学滅菌システムの概略図を描く。
【
図6】生物学的インジケータを受容するためのホルダ内のスロットと整列した
図4の生物学的インジケータを示す
図5の一部の拡大図である。
【
図7】閉鎖構成における
図5の液体化学滅菌システムの概略図である。
【
図8】読み取り装置を含む別の液体化学滅菌システムの概略図である。
【
図10A】充填前の充填機構に隣接する第4の生物学的インジケータの概略図である。
【
図10B】充填中の充填機構に隣接する第4の生物学的インジケータの概略図である。
【
図11】液体化学滅菌プロセスでの使用に適した第4の生物学的インジケータの側面断面図を描く。
【0015】
〔発明を実施するための形態〕
以下の詳細な説明は、異なる図面における同様の要素に同一の番号が付されている図面を参照して読むべきである。必ずしも縮尺どおりではない図面は、選択された実施形態を描いており、本発明の範囲を限定することを意図しない。詳細な説明は、限定としてではなく、例として、本発明の原理を示している。この説明は、当業者が本発明を製造および使用することを明らかに可能にし、本発明を実施するための最良の形態であると現在考えられているものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適応形、変形例、代替物および使用を説明する。
【0016】
本明細書で使用される場合、任意の数値または範囲に対する「約」または「およそ」という用語は、部品または構成要素の集合が、本明細書に記載されるような、その意図された目的のために機能することを可能にする、適切な寸法公差を示す。より具体的には、「約」または「およそ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指すことができ、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指すことができる。さらに、本明細書で使用される場合、用語「患者」、「ホスト」、「ユーザー」、および「対象」は、任意のヒトまたは動物の対象を指し、システムまたは方法をヒト使用に限定することを意図していないが、ヒト患者における本発明の使用が、好ましい実施形態に相当する。
【0017】
液体化学滅菌剤、例えば過酸化水素または過酢酸を使用する、内視鏡のための自動滅菌設備およびルーチンが、蒸気化学滅菌剤を使用する内視鏡の滅菌に関連する特定の欠点を克服するために開発されている。しかしながら、蒸気ベースのプロセスと同様に、内視鏡が滅菌されたかどうかを評価するための信頼性の高い技術の開発は、依然として課題である。さらに、蒸気ベースのプロセスで使用される生物学的インジケータは、液体ベースのプロセスでの使用には適していない。というのは、このようなインジケータは、ガス状滅菌剤を除去するように設計されているが、液体滅菌剤は除去しないからである。したがって、液体を容易に除去することができ、液体を容易に導入することができるインジケータを提供することが有利である。さらに、蒸気ベースのプロセスのためのインジケータは、典型的には、ユーザーが、増殖培地を収容するアンプルを破壊し、インジケータをインキュベートし、インジケータ中の増殖培地の色または蛍光の変化などの変化を検出することができる器械にインジケータを移動させることを必要とする。液体化学滅菌剤を使用する場合、インジケータ上に残留する残りの液体滅菌剤によって起こり得るユーザーへの火傷を避けるために予防措置が取られるべきである。したがって、ユーザーの介入を必要としない液体化学滅菌剤と共に使用するための生物学的インジケータを操作することができるシステムを提供することが有利であろう。本明細書で提案されるのは、これらの設計入力にさらに取り組む、液体化学滅菌剤を使用する滅菌ルーチンによって内視鏡が滅菌されたかどうかを決定するために使用され得る、装置および方法である。
【0018】
図1は、液体化学滅菌処置、特に、器具、例えば内視鏡などの医療装置が入れられ得るチャンバを有する液体化学滅菌器械によって行われる自動液体化学滅菌処置において使用するための生物学的インジケータ(「BI」)100を表す。BI100は、キャップ102、バイアル104、およびキャリア106を含む。キャリア106は、バイアル104内に、典型的にはバイアル104の底部上にまたは底部に近接して配置される。キャップ102は、バイアル104の上に、好ましくは、摩擦嵌めまたは圧入のような、ぴったりと嵌合する関係で配置される。例えば、キャップ102は、バイアル104の外側の幅または直径と等しいかまたはそれよりわずかに小さい内側の幅または直径を有することができる。BI100は、少なくとも1つのポート、例えばルアーポート108および110をさらに含む。図示のように、ルアーポート108は、キャップ102に一体化され得るが、ルアーポート110は、バイアル104の基部を貫通して一体化され得る。弁、例えば弁112および弁114は、ルアーポート108および110に組み込まれて、BIを通り、典型的にはポート108を通って入りポート110を通って出る液体の流れを調整し、そこから液体が偶発的に除去されるのを防止するのを助けることができる。これらの弁は、BI100が滅菌サイクルに供された後に汚染物質がBI100に入るのを防止するのをさらに補助することができる。弁112および114は、一方向弁であっても二方向弁であってもよい。例えば、弁112は、ダックビル弁のような一方向弁とすることができるが、弁114は、BIの外側から挿入された物体によって加えられた力にさらされたときにのみ開く、二方向ノーマルクローズ逆止弁であってもよい。例えば、ポート112および弁114は、メス型ルアーポートを含み、かつオス型ルアーフィットに接続されると開くことができる、B. Braunの部品番号415062などの、ノーマルクローズ逆止弁として設けられ得る。ポート108および110は、さらにバイアル104内に延びることができる。例えば、ポート108は、バイアル104の奥深くまで延びる注ぎ口または延長部116を含み、それを通して導入された流体は、キャリアを浸漬しながらキャリア106上を流れる。BI100は、キャップ102を通るポート122のような排気ポートをさらに含んでもよく、これは、液体が導入されるにつれてBIから空気を逃がす。
図1は、開放構成または非圧縮構成のBI100を示している。キャップ102をバイアル104に対して押し下げて、BI100を圧縮構成にすることができ、排気ポートは、バイアル104の外壁によってブロックされるか、または密封され得る。
【0019】
バイアル104内に延びるポート110の部分は、開口部118を含む。理想的には、バイアル100は、開口部118のレベルの下にいかなる空の空間または空隙も含まず、BI100の長手方向軸が重力方向に整列し、弁114が開いているときには、バイアル104内のすべての液体が、バイアル内にとらえられることなく、ポート110を通って容易に流れることができる。したがって、バイアル内に延びるポート110の部分に近接したバイアル104の底部120は、開口部118の方に向けられた傾斜面または下向き傾斜121を有するものとして設けられ得、弁114が開いている間に下向き傾斜上に配置された任意の液体が、開口部118およびポート104を通ってバイアル104から流れ出る。下向き傾斜121を含む実施形態では、キャリア106は、開口部118をブロックすることを防ぐために、開口部118の幾分上に配置されてもよい。さらに、キャリア106は、液体が内部を通って開口部118に向かって流れるのを補助するために、キャリアを通る1つ以上の空隙または穿孔107を含むことができ、弁114が開いているときに、液体はBI100から流れ出ることができる。
【0020】
キャリア106は、ディスクの形態を有し、微生物、例えば、胞子または活性酵素の供給源を含有するか、またはそれらを含浸させることができる。キャリア106は、バイアル104内に配置することができる。バチルス、ゲオバチルス、およびクロストリジウム種由来の胞子が、化学滅菌剤を用いた滅菌プロセスをモニターするためにしばしば使用される。したがって、キャリア106は、バチルス、ゲオバチルスおよび/またはクロストリジウム種由来の胞子を含浸させることができる。例えば、滅菌プロセス抵抗性胞子は、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス胞子、バチルス・ズブチリス胞子、バチルス・アトロフェウス(Bacillus atrophaeus)胞子、バチルス・メガテリウム胞子、バチルス・コアグランス胞子、クロストリジウム・スポロゲネス胞子、バチルス・プミルス胞子、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含み得るが、これらに限定されない。
【0021】
キャリア106は吸水性であってよく、濾紙から形成され得る。布、不織ポリプロピレン、レーヨンまたはナイロンのようなシート状材料、および微孔性ポリマー材料も使用することができる。金属(例えば、アルミニウムもしくはステンレス鋼)、ガラス(例えば、ガラスビーズもしくはガラス繊維)、磁器、またはプラスチックなどの非吸水性材料も使用に適している。さらに、キャリア110は、上述の材料の組み合わせで構成することができる。いくつかの実施形態では、キャリア110は、約0.1~0.5mmの厚さを有することができる。
【0022】
使用中、キャリア106は、増殖培地に浸される。増殖培地は、ポート108を介してBIに導入または流入され得る。あるいは、
図2~
図3に表すように、増殖培地は、壊れやすいアンプル224に収容され得、ユーザーはアンプルを破壊することができ、それによって増殖培地がキャリア106を浸漬する。増殖培地は、キャリア106上に配置された任意の生存能力のある微生物または他の生物学的活性源の増殖を促進することができなければならない。好ましくは、微生物は、増殖培地の酵素基質と相互作用して、例えば増殖培地に色変化または蛍光強度変化を引き起こすことによって、増殖培地の視覚的特徴の変化を作り出す、酵素を生成するように選択される。増殖培地中で微生物が増殖を続けると、増殖培地中の検出可能な生成物の濃度が増加する。特定の実施形態では、検出可能な生成物は、フルオロフォアである。したがって、検出可能な生成物の濃度の増加は、蛍光の増加を引き起こす。すなわち、検出可能な生成物は、蛍光強度の変化を介して検出可能である。
【0023】
滅菌サイクルの効力を検出するために使用され得る酵素および酵素基質は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、1991年12月17日に発行された「Rapid Method for Determining Efficacy of a Sterilization Cycle and Rapid Read-Out Biological Indicator」と題された米国特許第5,073,488号;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、1995年5月23日に発行された「Rapid Read-Out Biological Indicator」と題された米国特許第5,418,167号;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、1993年6月29日に発行された「Rapid Read-Out Sterility Indicator」と題された米国特許第5,223,401号;開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年4月26日に発行された「Biological Sterilization Indicator」と題された米国特許第9,322,046号において特定されている。
【0024】
適切な酵素には、加水分解酵素および/またはバチルス・ズブチリスなどの胞子形成微生物に由来する酵素が含まれ得る。例示的な生物学的インジケータにおいて有用であり得る胞子形成微生物由来の酵素は、β-D-グルコシダーゼ、α-D-グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、ブチレートエステラーゼ、カプリレートエステラーゼリパーゼ、ミリステートリパーゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ、バリンアミノペプチダーゼ、キモトリプシン、ホスホヒドロラーゼ、α-D-ガラクトシダーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、チロシンアミノペプチダーゼ、フェニルアラニンアミノペプチダーゼ、β-D-グルクロニダーゼ、α-L-アラビノフラノシダーゼ、N-アセチル-β-グルコサミノダーゼ、β-D-セロビオシダーゼ、アラニンアミノペプチダーゼ、プロリンアミノペプチダーゼ、脂肪酸エステラーゼ、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0025】
本明細書に開示されるような滅菌サイクルの効力を決定するためのいくつかの例示的な方法において、酵素基質は、検出可能な生成物に変換される。例えば、酵素基質は、第1の発光スペクトル(例えば、第1の蛍光発光スペクトル)によって特徴付けられ得、検出可能な生成物は、第2の発光スペクトル(例えば、第2の蛍光発光スペクトル)によって特徴付けられ得る。
【0026】
本明細書に開示されるような滅菌サイクルの効力を決定するためのいくつかの例示的な方法において、使用の適切な酵素基質は、蛍光発生酵素基質を含み得る。有用な蛍光発生酵素基質は、蛍光発生4-メチルウンベリフェリル誘導体(4-メチルウンベリフェロン(「4-Mu」)に加水分解可能)、7-アミド-4-メチル-クマリンの誘導体、ジアセチルフルオレセイン誘導体、フルオレスカミンおよびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0027】
例示的な4-メチルウンベリフェリル誘導体は、4-メチルウンベリフェリル-2-アセトアミド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシド、4-メチルウンベリフェリルアセタート、4-メチルウンベリフェリル-N-アセチル-β-D-ガラクトサミニド、4-メチルウンベリフェリル-N-アセチル-α-D-グルコサミニド、4-メチルウンベリフェリル-N-アセチル-β-D-グルコサミニド、2’-(4-メチルウンベリフェリル)-α-D-N-アセチルノイラミン酸、4-メチルウンベリフェリルα-L-アラビノフラノシド、4-メチルウンベリフェリルα-L-アラビノシド、4-メチルウンベリフェリルブチレート、4-メチルウンベリフェリル13-D-セロビオシド、メチルウンベリフェリルβ-D-N、N’ジアセチルキトビオシド、4-メチルウンベリフェリルエライデート、4-メチルウンベリフェリルβ-D-フコシド、4-メチルウンベリフェリルα-L-フコシド、4-メチルウンベリフェリルβ-L-フコシド、4-メチルウンベリフェリルα-D-ガラクトシド、4-メチルウンベリフェリルβ-D-ガラクトシド、4-メチルウンベリフェリルα-D-グルコシド、4-メチルウンベリフェリルβ-D-グルコシド、4-メチルウンベリフェリル(3-D-グルクロニド、4-メチルウンベリフェリルp-グアニジノベンゾアート、4-メチルウンベリフェリルヘプタノアート、4-メチルウンベリフェリルα-D-マンノピラノシド、4-メチルウンベリフェリルβ-D-マンノピラノシド、4-メチルウンベリフェリルオレアート、4-メチルウンベリフェリルパルミテート、4-メチルウンベリフェリルホスフェート、4-メチルウンベリフェリルプロピオネート、4-メチルウンベリフェリルステアレート、4-メチルウンベリフェリルサルフェート、4-メチルウンベリフェリルβ-D-N,N’、N’’-トリアセチルキトトリオース、4-メチルウンベリフェリル2,3,5-トリ-o-ベンゾイル-α-L-アラビノフラノシド、4-メチルウンベリフェリル-p-トリメチルアンモニウムシンナメートクロリド、4-メチルウンベリフェリルβ-D-キシロシドおよびそれらの組み合わせから選択することができる。
【0028】
特定の実施形態では、蛍光応答は、酵素を含み、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスの発芽において重要であると考えられる、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス胞子殻に見出される、天然に存在するα-グルコシダーゼ酵素に基づくことができる。α-グルコシダーゼを用いて、4-メチルウンベリフェリルα-D-グルコピラノシド(α-MUG)の4-メチルウンベリフェリル部分とグルコースとの間の結合を加水分解することができる。α-MUGは蛍光性ではない。しかしながら、部分の加水分解および分離の後、4-メチルウンベリフェロン(4-MU)生成物は蛍光性である。4-MUは、約360nm~370nmの波長を有する光を放出する光源などの外部エネルギー源によって励起されると蛍光を発する。このように励起された4-MUは、約440nm~460nmの波長を有する光を放出する。特定の実施形態では、光源は、約365nmの波長を有する光を放出し、4-MUは、450nmの波長を有する光を放出する。4-MUの蛍光はpH依存性である。例えば、365nmの波長の光により励起した場合、放出された光の強度はpH10.3で最も高くなる。この強度は、およそpH7までpHと共に減少する。このpHを下回ると、強度は無視できる程度になる。
【0029】
キャップ102およびバイアル104は、任意の適切な材料、好ましくはポリカーボネートのような硬質で不活性なプラスチックから製造することができる。理想的には、少なくともバイアル104は透明であり、色または蛍光に対する検出可能な変化についての増殖培地のモニタリングを容易にする。
【0030】
図2は、BI200を表し、これは、キャップ202、バイアル204、およびバイアル204内に、好ましくはバイアル104の基部にまたはこれに近接して配置された、キャリア206を含む。BI200は、バイアル104内に少なくとも部分的に配置され、インサート226と接触するアンプル224をさらに含む。アンプル224は、上述したような増殖培地、例えばα-MUGを収容することができる。インサート226およびキャップ202は、例えば、開示内容が参照により全体として本明細書に組み込まれる、同時係属中の米国特許出願第15/057,768号および同第15/397,018号に説明されているように、例えばキャップ202がバイアル204に沿って下方に押し下げられた際に、アンプル224を破壊するのを助けることができる応力集中部分のような特徴をさらに含み得る。さらに、キャップ202は、そこから延びる1つ以上のウィング228を含むことができ、これは、ユーザーがキャップ202とバイアル204との間に圧縮力を与えるのを助けることができる。BI200の断面上面図である
図3に見られるように、アンプル224は、くぼみを画定する凹んだ円形のような不規則な形状を有して設けられ、ピペット216を配置するための空間を提供することができる。
【0031】
ポート208は、キャップ202に一体化され、キャップ202を貫通し得る。ポート208は、ピペット216のような延長部をさらに含み得、これは、ポート208に接続された(例えば、接着された)第1の端部を含み得、その結果、ポート208を通して導入された任意の液体は、キャップ202からいくらか除去されて、バイアル204の内側のピペット216から出る。示されるように、ピペット216は、バイアル204の基部に近接して配置された第2の端部を含む。したがって、液体は、単一のポートを介してBI200から導入および回収することができる。好ましくは、バイアル204の基部とピペット216の第2の端部との間の十分な空間は、キャップ202を押し下げたときに、ピペット216の第2の端部がキャリア206に接触するか、またはほぼ接触するように、十分であるべきである。さらに、ピペット216を含めることにより、アンプル224をBI200に含めることはオプションとなる。すなわち、アンプル224をBI200から除外して、ポート208およびピペット216を介してBIに増殖培地を導入することができる。図示されていない、さらなる実施形態では、チューブが、バイアル204の側壁に一体化され得、キャップ202とキャリア206との間の場所からキャリア206に近接する場所まで延びる。ピペット216の第2の端部はチューブ内に配置され得、バイアル204に対してキャップ202を押し下げると、ピペット216の第2の端部は、チューブ内でキャリア206に向かって移動し得る。よって、ピペット216とチューブとが入れ子の関係を有するものとして設けられる。ピペット216とチューブとの間の嵌合が流体密封されていることを確実にするために、両者の間にシール、例えばガスケットを設けてもよい。したがって、流体は、ピペット216およびバイアル204の壁に一体化されたチューブによって画定された通路によりバイアル204内に送達され、バイアル204から除去され得る。
【0032】
蒸気ベースの滅菌プロセスで使用される生物学的インジケータは、上述のポート、ピペット、および弁のような流体管理に関する特徴を必要としないが、これは、生物学的インジケータおよび器具がプロセス中に配置される真空チャンバを加圧および減圧することによって、蒸気を容易に導入し生物学的インジケータの内側から除去できるためである。このような特徴は、少なくとも、滅菌剤、例えば過酢酸または過酸化水素が導入され、そこから除去されなければならないので、液体ベースの化学滅菌処置で使用される生物学的インジケータに必要である。さらに、中和剤、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムまたは重亜硫酸ナトリウムを用いて生物学的インジケータに残留する任意の滅菌剤を中和する場合には、中和剤を導入し、かつそこから除去しなければならない。さらに、生物学的インジケータが増殖培地を収容するアンプルを含まない実施形態では、増殖培地も生物学的インジケータに導入されなければならない。そのような流体管理ステップは、出願人によって製造された市販のSTERRAD VELOCITY(商標)システムのリーダー(ASP部品番号43220)に類似した一体型インキュベーターおよびリーダーをさらに含み得る、液体化学滅菌システムによって設置される(plumbed)ように設計された生物学的インジケータによって促進され得る。
【0033】
そのような例示的な生物学的インジケータの1つであるBI300を
図4に示す。BI300は、内部337を画定するハウジング304と、弁312を含む第1のポート308と、弁314を含む第2のポート310と、キャリア306を収容するキャリアホルダ330と、を含む。ディバイダ332が、ポート308および310間に配置され、内部337内に延在して、2つのチャンバ、すなわちチャンバ338とチャンバ340とを画定することができる。図示のように、キャリア306は、チャンバ340内に配置される。ポート308および310は、入口ポートおよび出口ポートのいずれか、またはその両方として使用することができる。例えば、滅菌剤は、チャンバ338に導入され、次いで、チャンバ340に導入されてから、ポート310を通して引き出され得る。しかしながら、導入される増殖培地の量を最小にするために、ポート310を介してチャンバ340に増殖培地を導入し、チャンバ340のみを充填し、チャンバ340から引き出すことができ、ポート308は、増殖培地を流すためには使用されない。BI300は、ハンドル334をさらに含むことができ、ハンドルは、ユーザーがBI300を把持するのを補助するために、凹んだ部分336をさらに含むことができる。
【0034】
図5~
図7は、BI300を液体化学滅菌システム10と共に使用し得る方法を示す。システム10は、垂直位置(
図7)では滅菌チャンバ14の内側に、または水平位置(
図5)では滅菌チャンバ10の外側に配置されるように構成された滅菌トレイまたはバスケット12を含む。トレイ12は、関節アーム16を介して内部垂直位置と外部水平位置との間で操作され得る。関節アームは中空であってよく、滅菌剤、中和剤、または増殖培地などの液体を、流体送達構成要素、例えば、共通のチューブまたは複数のチューブによって、アームを通して導くことができ、各チューブは液体のうちの1つに指定される。関節アームは、バスケット12に、またマニホールド13にも嵌合する。追加の流体送達構成要素、例えばチューブ24が、マニホールド13からバスケット12内に延び、その結果、チューブ24のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つのチューブ24の少なくとも一部が、バスケット12内に配置される。接続アダプタ15が、マニホールド13をバスケット12に固定するのを助け、チューブ24を介して内視鏡に滅菌剤のみを供給することができる。チューブ24は、バスケット12内およびチャンバ14の内側に配置されている間に滅菌される器具の内腔に接続され得る。例えば、チューブ24は、滅菌処置中に滅菌剤が内視鏡の内腔を通って流れることができるように、内視鏡(
図7)の様々なポート、チューブ、または他の構成要素に接続され得る。したがって、内視鏡を通って流れる、ある量の滅菌剤をBI300に導入することができる。
【0035】
BI300が配置され得るスロット20を含むホルダ18が、トレイマニホールド13に取り付けられる。すなわち、スロット20は、生物学的インジケータを収容するように構成される。ホルダ18はまた、窓22を含み、BI300の中の増殖培地の色または蛍光の検出可能な変化を評価するために、窓22を通してBI300が読み取り装置26(
図7)によって調べられ得る。読み取り装置は、少なくとも部分的にチャンバ14内に、またはチャンバ14の外側でこれに隣接して、配置され得るが、依然として滅菌システム内にある。少なくとも1つのポート、例えば、2つのポート、すなわちポート30および32、が、スロット20の基部に配置されてよく、BI300のポート308および310とそれぞれ嵌合し得る。したがって、液体は、システム10内の液体の供給源(例えば、液体化学滅菌剤の供給源または中和剤の供給源)から、例えばポンプによって生成された圧力下で、関節アーム16、マニホールド13、ホルダ18を通って、ポート308または310を介して、BI300に送達され得る。液体はBI300から逆方向に除去することもできる。さらなる実施形態では、ホルダ18は、例えば、増殖培地がBI300のチャンバ340内に収容されている間に、BI300を約50℃~約60℃、例えば約57℃の温度でインキュベートするために使用され得る、加熱要素も含む。
【0036】
図7に見られるように、トレイ12がチャンバ14の内側で垂直位置に配置されると、ホルダ18上の窓22は、液体化学滅菌システム10の読み取り装置26と整列し、BI300は、サイクル中に調べられて、BI300およびチャンバ14の内側の任意の他の装置の無菌性を評価し、例えば、滅菌サイクルを終了してもよいかどうかを判定することができる。
【0037】
図8は、少なくとも1つのBI400、例えば4つのBI400を収容するように構成された外部ホルダ52を組み込んだトップローディング液体化学滅菌システム50を示す。ホルダ52は、BI400をインキュベートするための加熱要素と、滅菌剤、中和剤、および増殖培地などの液体をBI400に導入および除去するための流体接続部と、色または蛍光強度の変化についてBI400を調べることができる発光体および検出器と、を含むことができる。ホルダ52は、ユーザーからの入力を受け取ることができるタッチスクリーンとすることができる、スクリーン54などの、ユーザーインターフェースをさらに含み得る。
図9に示すように、BI400を挿入し、ホルダ52から取り外すことができる。BI400は、スロット56内に嵌合するグリップ434を含むことができ、その結果、グリップ434とホルダ52との間に小さな空間58が残され、これは、ホルダからのBI400の取り外しを容易にすることができる。複数のBI400をホルダ52内に配置することができるので、これらの複数のBIのそれぞれを調べて、単一の滅菌サイクルに対する無菌性の指標を提供することができる。したがって、BIは、これらが同様の結果を提供することを確認するために、対照として互いに比較されてもよい。したがって、1つ以上のBIがその他のBIのうちの1つ以上とは異なる無菌性の指標を提供する場合、システムは、さらなる分析を実行するため、または器具を別の滅菌サイクルに供するために、スクリーン54を介してユーザーに警告することができる。
【0038】
BI500に液体を送達するための技術が、
図10Aおよび
図10Bに表される。BI500は、ポート508および基部505を含む。充填機構60が、液体のリザーバ62と、開口部64と、アーム66と、を含む。BI500を下方に移動させることができ、基部505がアーム66に接触し、充填機構60を回転させる。BI500がさらに下方に移動されると、アーム66が回転して基部505と接触しなくなるにつれて、開口部64がポート508上に回転する。BI500がさらに下方に移動すると、ポート508によって加えられた力を受けて機構500の回転が継続する。ポート508がリザーバ62の一部より下方に下降すると、液体は開口部64から流れ出て、ポート508を通ってBI500に入ることができる。
【0039】
図11は、キャップ602、バイアル604、キャリア606、およびインサート626を含む、BI600を表す。キャップ602は、バイアル604の深部まで延びる注ぎ口または延長部616を含み、それを通して導入された流体は、キャリアを浸漬しながらキャリア606上を流れる。延長部は、インサート626を通って延びることができ、この実施形態では、特に輸送中に、バイアル604の基部におけるキャリア606の位置を維持するのを助けることができる。示されるように、BI600はアンプル中に提供される増殖培地を含まない。さらに、BI600は、単一のポート608を含み、これは、キャップ602に一体化される。したがって、ポート608は、液体を導入し、バイアル604から引き出すために使用され得る。BI600は、
図1の構成と同様に、開放または非圧縮構成で提供することができ、キャップ602は、バイアル604に嵌合され、ガス、例えば、空気または滅菌剤が、通気口622を通してバイアル604に流入するかまたはバイアル604から流出することができる。例えば、注ぎ口616を介してバイアル604内に液体化学滅菌剤を導入する場合、バイアル604内の空気は、通気口622を通してBI600から追い出され得る。さらに、開放または非圧縮構成では、注ぎ口616の底面がキャリア606から幾分転置し、流体が注ぎ口616を通してバイアル604内に容易に導入され得るようにする。
図11は、通気ポート622がバイアル604の一部によってブロックされ、注ぎ口616の底面がキャリア606に近接または接触して配置された、圧縮構成にあるBI600を表している。通気口622がブロックされるので、通気口を通るガスの流れが制限され、これにより滅菌後にバイアル604に汚染物質が入る可能性が最小限に抑えられる。典型的には、BI600は、開放または非圧縮構成で滅菌される。滅菌後、キャップ602をバイアル604に対して押し下げて、BI600をさらなる分析のために圧縮構成にすることができる。
【0040】
〔実施の態様〕
(1) 生物学的インジケータであって、
バイアルであって、前記バイアルの基部を貫通して配置された第1のポートを含む、バイアルと、
前記バイアルの上に配置されたキャップであって、前記キャップは第2のポートを含む、キャップと、
前記第1のポートに配置された第1の弁と、
前記第2のポートに配置された第2の弁と、
前記バイアル内に配置された、微生物を含浸させたキャリアと、
を含む、生物学的インジケータ。
(2) 前記キャップを貫通して配置された排気ポートをさらに含む、実施態様1に記載の生物学的インジケータ。
(3) 前記第1のポートは、前記バイアルの内側に配置された開口部を含み、前記バイアルは、前記開口部の方に向けられた下向き傾斜を有する底部を含む、実施態様2に記載の生物学的インジケータ。
(4) 前記キャリアは、前記開口部の上方に配置され、前記下向き傾斜と接触している、実施態様3に記載の生物学的インジケータ。
(5) 前記キャリアは、前記キャリアを貫通して配置された空隙を含む、実施態様4に記載の生物学的インジケータ。
【0041】
(6) 前記バイアル内に少なくとも部分的に配置された増殖培地を収容するアンプルをさらに含む、実施態様3に記載の生物学的インジケータ。
(7) 生物学的インジケータであって、
基部を有するバイアルと、
前記バイアルの上に配置されたキャップであって、前記キャップはポートを含む、キャップと、
前記ポートに接続された第1の端部および前記バイアルの前記基部に近接して配置された第2の端部を有する、ピペットと、
前記バイアル内に配置された、微生物を含浸させたキャリアと、
を含む、生物学的インジケータ。
(8) 前記キャップから延びるウィングをさらに含む、実施態様7に記載の生物学的インジケータ。
(9) 前記バイアル内に少なくとも部分的に配置されたアンプルをさらに含む、実施態様7に記載の生物学的インジケータ。
(10) 前記アンプルに接触するインサートをさらに含む、実施態様9に記載の生物学的インジケータ。
【0042】
(11) 前記アンプルは、不規則な断面形状を含む、実施態様10に記載の生物学的インジケータ。
(12) 前記ピペットは、前記不規則な断面形状によって画定されるくぼみに配置されている、実施態様11に記載の生物学的インジケータ。
(13) 液体化学滅菌システムであって、
生物学的インジケータであって、
内部を画定し、第1の弁を有する第1のポートおよび第2の弁を有する第2のポートを含む、ハウジングと、
前記内部内で、前記第1のポートと前記第2のポートとの間に配置され、2つのチャンバを画定する、ディバイダと、
前記2つのチャンバのうちの1つに配置された、微生物を含浸させたキャリアと、
を含む、生物学的インジケータと、
液体化学滅菌剤の供給源と、
前記液体化学滅菌剤の前記供給源に接続された第1の流体送達構成要素と、
ホルダであって、
前記生物学的インジケータを収容するように構成された少なくとも1つのスロットと、
前記第1の流体送達構成要素に接続され、前記第1のポートと嵌合するように前記スロットの基部に位置付けられた少なくとも第3のポートと、
を含む、ホルダと、
を含む、液体化学滅菌システム。
(14) 前記ホルダは、前記第2のポートと嵌合するように位置付けられた、前記スロットの前記基部に配置された第4のポートを含む、実施態様13に記載の液体化学滅菌システム。
(15) 前記ホルダは、窓を含む、実施態様13に記載の液体化学滅菌システム。
【0043】
(16) 前記ホルダは、前記滅菌チャンバの内側に配置された滅菌トレイに接続されている、実施態様15に記載の液体化学滅菌システム。
(17) マニホールドが前記滅菌トレイに接続され、前記ホルダは、前記マニホールドに接続されている、実施態様16に記載の液体化学滅菌システム。
(18) 前記第1の流体送達構成要素は、前記マニホールドに接続され、前記マニホールドは、前記第3のポートに接続されている、実施態様17に記載の液体化学滅菌システム。
(19) 前記マニホールドに接続され、前記滅菌トレイ内に少なくとも部分的に配置された第2の流体送達構成要素をさらに含む、実施態様18に記載の液体化学滅菌システム。
(20) 前記第2の流体送達構成要素は、前記滅菌トレイ内に配置された器具の内腔に接続されている、実施態様19に記載の液体化学滅菌システム。
【0044】
(21) 前記器具は、内視鏡を含む、実施態様20に記載の液体化学滅菌システム。
(22) 前記生物学的インジケータの前記内部は、以前に前記内視鏡を通して流された液体化学滅菌剤を収容する、実施態様21に記載の液体化学滅菌システム。
(23) 以前に前記内視鏡を通して流された、ある量の液体化学滅菌剤は、前記生物学的インジケータの前記内部に配置される、実施態様22に記載の液体化学滅菌システム。
(24) 前記ホルダは、前記滅菌システムの外面上に配置されている、実施態様14に記載の液体化学滅菌システム。
(25) 前記ホルダは、スクリーンを含む、実施態様24に記載の液体化学滅菌システム。
【0045】
(26) 前記ホルダは、4つのスロットを含む、実施態様25に記載の液体化学滅菌システム。
(27) 各スロットは、異なる生物学的インジケータを収容する、実施態様26に記載の液体化学滅菌システム。
【国際調査報告】