(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】トリフルオロヨードメタンを生成するための触媒及び統合プロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 17/361 20060101AFI20220204BHJP
C07C 19/08 20060101ALI20220204BHJP
B01J 27/224 20060101ALI20220204BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220204BHJP
【FI】
C07C17/361
C07C19/08
B01J27/224 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535959
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 US2019067998
(87)【国際公開番号】W WO2020132534
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、テリス
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ハイユウ
(72)【発明者】
【氏名】チウ、ユオン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】チュンゴン、クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169BB01A
4G169BB01B
4G169BB08A
4G169BB08B
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4G169BD04A
4G169BD04B
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4G169BD14A
4G169BD14B
4G169CB25
4G169CB68
4G169DA05
4G169EC02Y
4G169FC08
4H006AA02
4H006AC30
4H006BA53
4H006BC10
4H006BD33
4H006BE53
4H006EA02
4H039CA54
4H039CL25
(57)【要約】
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF
3I)を生成するためのプロセスを提供する。プロセスは、トリフルオロ酢酸及びヨウ素を含む気相反応物流を提供することと、反応物流を触媒の存在下で反応させて、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成することとを含み得る。触媒は、炭化ケイ素を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリフルオロヨードメタン(CF
3I)を生成するためのプロセスであって、
トリフルオロ酢酸及びヨウ素を含む気相反応物流を提供することと、
前記反応物流を触媒の存在下で反応させて、前記トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成することであって、前記触媒が炭化ケイ素を含む、ことと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記触媒が金属炭化物を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記金属炭化物が炭化チタンである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記触媒が、前記触媒の表面上に付着された金属及び金属塩の群から選択される少なくとも1種を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記金属又は金属塩が、前記触媒の総重量の約0.1重量%~約25重量%である、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記金属塩が、ヨウ化カリウム、ヨウ化銅、及びヨウ化ルビジウムの群から選択される少なくとも1種を含む、請求項4又は5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記反応工程の前に、前記触媒を約200℃~約600℃の温度に加熱することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記生成物流が未反応ヨウ素を更に含み、前記プロセスが、追加の、
前記生成物流から前記未反応ヨウ素を固体ヨウ素として分離する工程と、
前記固体ヨウ素を加熱して液体ヨウ素を生成する工程と、
前記液体ヨウ素を前記反応物流に戻す工程と、を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記生成物流が未反応トリフルオロ酢酸を更に含み、前記プロセスが、追加の、
前記生成物流から前記トリフルオロ酢酸を分離する工程と、
前記分離したトリフルオロ酢酸を前記反応物流に戻す工程と、を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記プロセスが連続プロセスである、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスに関する。具体的には、本開示は、トリフルオロヨードメタンを生成するための触媒及び統合プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
トリフルオロヨードメタン(CF3I)は、例えば、冷媒又は火災抑制剤として商業用途において有用な化合物である。トリフルオロヨードメタンは、地球温暖化係数が低く、オゾン破壊係数が低い、環境的に許容可能な化合物である。トリフルオロヨードメタンは、より環境的に害のある材料を置き換えることができる。
【0003】
トリフルオロ酢酸及びヨウ素元素からトリフルオロヨードメタンを調製する方法が知られている。例えば、Kyong-Hwan Leeらの「Synthesis of CF3I by Direct Iodination of CF3COOH on Solid Catalyst」は、CF3Iを生成するためのTFAとI2との気相反応を開示している。TFA液体は、ヨウ素を含有する三つ口フラスコに計量され、ヨウ素を蒸発させるように加熱される。共に、TFA及びヨウ素蒸気は、固体触媒を投入した反応器へ流れる。反応器の生産物は、加熱された捕集器に流入し、次いで加熱されたラインを通って第2の捕集器へ流れる。CF3Iを含む蒸気流は、塩基性溶液を通って流れ、酸を中和する。このように、Leeは、一定量のI2を一定量のTFAと共に蒸発させるバッチプロセスを開示している。Leeは、活性炭を用いる触媒がアルミナよりも良好であることを開示している。
【0004】
Yangらの米国特許第8,722,945号は、CF3Iなどのフルオロヨードアルカンを生成するために、TFAなどの前駆体とI2などのヨウ素源との気相反応を開示している。プロセスは、バッチプロセス又は連続プロセスであってもよい。この特許は、固体触媒を前処理して、固体触媒を再生する方法を開示している。固体触媒としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド、又は希土類金属が挙げられ、様々な金属塩を含み得る。固体触媒は、活性炭基質に担持されてもよい。
【0005】
Yangらの米国特許第8,8871,986号は、CF3Iを生成するために、TFAなどの前駆体とI2などのヨウ素源との気相反応を開示している。プロセスは、バッチプロセス又は連続プロセスであってもよい。この特許は、触媒活性及び安定性を促進させるために、様々な触媒促進剤を開示している。触媒としては、炭素質担体によって担持されたアルカリ金属、アルカリ土類金属、及びこれらの塩が挙げられる。非炭素質担体も使用され得る。
【0006】
Yangらの米国特許第8,034,985号は、CF3Iなどのフルオロヨードアルカンを生成するために、TFAなどの前駆体とI2などのヨウ素源との気相反応を開示している。この特許は、d1s1及び/又はランタニド元素を含む様々な触媒を開示している。触媒は、バルクで使用されてもよく、又は活性炭によって担持されてもよい。非炭素質担体も使用され得る。
【0007】
上記の参考文献は、一般に、触媒担体として活性炭を使用することを説明している。活性炭触媒は、CF3Iを生成するために優れた選択性をもたらし得るが、コークス付着物が触媒表面上に蓄積して触媒の有効表面積を減少させるため、急速な失活を起こしやすい。場合によっては、反応物と共に酸素ガスを共送して、酸化によって付着物を同時に除去する。しかしながら、酸素ガスはまた、触媒中の炭素が反応中に燃焼するにつれて、触媒中の炭素量の漸減をもたらし得る。炭素の減量は、触媒の活性に悪影響を及ぼすことがある。
【0008】
したがって、商業的な量のトリフルオロヨードメタンを生成するためにスケール変更され得る効率的なプロセスと共に、より耐久性のある触媒を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、トリフルオロヨードメタンを生成するための統合プロセスと、トリフルオロヨードメタンを生成するための炭化ケイ素触媒とを提供する。
【0010】
一実施形態では、本発明は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスを提供する。プロセスは、トリフルオロ酢酸及びヨウ素を含む気相反応物流を提供することと、反応物流を触媒の存在下で反応させて、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成することとを含む。触媒は、炭化ケイ素を含む。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスを提供する。プロセスは、トリフルオロ酢酸とヨウ素とを触媒の存在下で気相中で反応させて、トリフルオロヨードメタン及び未反応ヨウ素を含む生成物流を生成する工程と、生成物流を冷却して固体ヨウ素を形成することによって、生成物流から未反応ヨウ素の少なくとも一部を除去する工程と、固体ヨウ素から液体ヨウ素を生成する工程と、液化ヨウ素を反応工程にリサイクルする工程とを含む。固体ヨウ素は、第1のヨウ素除去槽又は第2のヨウ素除去槽のうちの一方で形成され得る。液体ヨウ素は、生成物流を第2のヨウ素除去槽に通して冷却するときに、第1のヨウ素除去槽を加熱して固体ヨウ素を液化することによって、又は生成物流を第1のヨウ素除去槽に通して冷却するときに、第2のヨウ素除去槽を加熱して固体ヨウ素を液化することによって生成されてもよい。触媒は、炭化ケイ素を含む。
【0012】
添付の図面を考慮して、実施形態についての以下の記載を参照することによって、本開示の上述及び他の特性、並びにそれらを達成する様式がより明らかになり、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】トリフルオロヨードメタンを製造するための統合プロセスを示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、炭化ケイ素系触媒の使用を含む、トリフルオロ酢酸(TFA)及びヨウ素(I2)からトリフルオロヨードメタン(CF3I)を製造するための統合プロセスを提供する。炭化ケイ素系触媒の使用は、商業規模でのトリフルオロヨードメタンの効率的な製造を提供し得ることが見出されている。トリフルオロヨードメタンの製造効率は、反応物をリサイクルすることによって更に向上する。しかしながら、ヨウ素のリサイクルは、ヨウ素が113.7℃未満で固体であるため、課題を示す。本開示はまた、ヨウ素の効率的かつ連続的なリサイクルを含む、トリフルオロヨードメタンを製造するための統合プロセスを提供する。
【0015】
炭化ケイ素を含む触媒は、活性炭を含む触媒の有用な代替物を提供することが見出されている。活性炭触媒と比較して、炭化ケイ素触媒は、より酸化に耐性があり、より熱的に安定であり、より化学的に不活性であり、より失活を起こしにくい。炭化ケイ素触媒は、例えば、ビーズ、ペレット、押出物、粉末、球体、又はメッシュの形態であってもよい。炭化ケイ素は、α炭化ケイ素及びβ炭化ケイ素の2つの主要な形態で存在する。いずれの形態も使用され得るが、β炭化ケイ素は、単位重量当たりの表面積がより大きいため、好ましい。
【0016】
本明細書に開示するように、トリフルオロヨードメタンは、トリフルオロ酢酸(TFA)及びヨウ素(I2)を含む反応物流から生成される。TFA及びヨウ素は、無水である。反応物流中の任意の水が、トリフルオロメタン(CF3H)などの望ましくない副生成物の形成をもたらす2次反応経路に有利に働くことがあるため、可能な限り反応物流中に水がほとんど存在しないことが好ましい。
【0017】
TFAは、実質的に水を含まず、重量で約1,000百万分率(ppm)未満、約500ppm未満、約300ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満、若しくは約10ppm未満、又は前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の値未満の量で水を含む。好ましくは、TFAは、重量で約100ppm未満の量で水を含む。より好ましくは、TFAは、重量で約30ppm未満の量で水を含む。最も好ましくは、TFAは、重量で約10ppm未満の量で水を含む。
【0018】
ヨウ素は、実質的に水を含まず、重量で約500ppm未満、約300ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満、若しくは約10ppm未満、又は前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の値未満の量で水を含む。好ましくは、ヨウ素は、重量で約100ppm未満の量で水を含む。より好ましくは、ヨウ素は、重量で約30ppm未満の量で水を含む。最も好ましくは、ヨウ素は、重量で約10ppm未満の量で水を含む。
【0019】
TFAは、例えば、Halocarbon Products Corporation,Peachtree Corners,Georgia、又はSolvay S.A.,Brussels,Belgiumから商業的な量で容易に入手可能である。固体ヨウ素は、SQM,Santiago,Chile、又はKanto Natural Gas Development Co.,Ltd,Chiba,Japanから市販されている。
【0020】
反応物流において、ヨウ素とTFAとのモル比は、例えば、約0.1:1、約0.2:1、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.9:1、若しくは約1:1と低くても、又は約1.1:1、約1.2:1、約1.3:1、約1.4:1、約1.5:1、約1.6:1、約1.8:1、約2.0:1、約2.5:1、約3.0:1、約3.5:1、約4.0:1、約4.5:1、若しくは約5.0:1と高くても、又は約0.1:1~約5.0:1、約0.5:1~約4.5:1、約1:1~約4.0:1、約1.5:1~約3.5:1、約2.0:1~約3.0:1、約0.9:1~約1.1:1、約0.8:1~約1.2:1、約0.5:1~約1.5:1、約1:1~約2:1、約0.8:1~約1.5:1、若しくは約0.9:1~約1.2:1など、前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内であってもよい。好ましくは、TFAとヨウ素とのモル比は、約0.8:1~約1.5:1である。より好ましくは、TFAとヨウ素とのモル比は、約1:1~約1.2:1である。最も好ましくは、TFAとヨウ素とのモル比は、約1:1~約1.1:1である。
【0021】
反応物流は、反応器内に含まれる触媒の存在下で反応して、以下の式1に従って、トリフルオロヨードメタン並びに反応副生成物である二酸化炭素(CO2)及びヨウ化水素酸(HI)を含む生成物流を生成することができる。
等式1: CF3COOH+I2→CF3I+CO2+HI.
【0022】
反応器は、加熱管反応器であってもよく、このような固定床管型反応器は、触媒を含有する管を含む。管は、ステンレス鋼、ニッケル、及び/又はニッケル合金、例えば、ニッケル-モリブデン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、若しくはニッケル-銅合金などの金属製であってもよい。管反応器を加熱することにより、触媒も加熱される。あるいは、反応器は、任意のタイプの充填反応器であってもよい。
【0023】
上記のように、触媒は炭化ケイ素を含む。触媒は、本質的に純粋な炭化ケイ素(SiC)を含んでもよい。触媒は、炭化ケイ素と、1種以上の金属炭化物、例えば、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、及び/又は炭化クロム(Cr3C2)などとの混合物を含んでもよい。炭化ケイ素と1種以上の金属炭化物との混合物は、金属炭化ケイ素と呼ばれる。金属炭化ケイ素中の炭化ケイ素の量は、触媒中の全炭化ケイ素及び金属炭化物の重量百分率として、例えば、約50重量パーセント(重量%)、約60重量%、約70重量%、約80重量%、若しくは約85重量%と少なくても、又は約90重量%、約95重量%、約97重量%、約99重量%、若しくは約99.9重量%と多くても、又は約50重量%~約99.9重量%、約60重量%~約99重量%、約70重量%~約97重量%、約80重量%~約95重量%、約85重量%~約90重量%、約70重量%~約99.9重量%、若しくは約85重量%~約99.9重量%など、前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内であってもよい。好ましくは、金属炭化ケイ素中の炭化ケイ素の量は、約50重量%~約99.9重量%である。より好ましくは、金属炭化ケイ素中の炭化ケイ素の量は、約70重量%~約99.9重量%である。最も好ましくは、金属炭化ケイ素中の炭化ケイ素の量は、約85重量%~約99.9重量%である。
【0024】
触媒は、例えば、約10グラム毎平方メートル(m2/g)、約15m2/g、約25m2/g、約40m2/g、約60m2/g、若しくは約80m2/gの小さい表面積、又は約100m2/g、約120m2/g、約150m2/g、約200m2/g、約250m2/g、若しくは約300m2/gの大きい表面積、又は約10m2/g~約300m2/g、約15m2/g~約250m2/g、約25m2/g~約200m2/g、約40m2/g~約150m2/g、約60m2/g~約120m2/g、若しくは約80m2/g~約120m2/gなど、前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内の表面積を有してもよい。触媒の表面積は、ISO 9277:2010によるBET法によって決定される。
【0025】
炭化ケイ素又は金属炭化ケイ素触媒は、単独で使用されてもよく、又は触媒活性及び安定性を促進させるために触媒の表面上に追加の金属又は金属塩を含んでもよい。金属としては、パラジウム、白金、鉄、及びニッケルなどの遷移金属が挙げられ得る。金属塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、及びこれらの組み合わせの任意の塩が挙げられ得る。金属及び金属塩の例としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)ルビジウム、ヨウ化ナトリウム、フッ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、白金、及びパラジウムが挙げられ得る。金属塩が金属よりも好ましい。好ましい金属塩としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化銅(I)、及びヨウ化ルビジウムが挙げられる。
【0026】
金属塩触媒は、炭化ケイ素又は金属炭化ケイ素に所望の金属塩の水溶液を含浸させ、次いで乾燥させることによって調製することができる。その後、金属塩触媒は、反応物と接触させる前に、その場で高温窒素で処理してもよい。
【0027】
触媒の表面上の追加の金属又は金属塩の量は、炭化ケイ素又は金属炭化ケイ素及び金属又は金属塩の合計総重量の百分率として、例えば、約0.1重量パーセント(重量%)、約0.3重量%、約0.5重量%、約0.7重量%、約1重量%、約2重量%、若しくは約4重量%と少なくても、又は約6重量%、約8重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、若しくは約25重量%と多くても、又は約0.1重量%~約25重量%、約3重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約7重量%~約10重量%、約1重量%~約8重量%、約2重量%~約6重量%、若しくは約1重量%~約4重量%など、前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内であってもよい。好ましくは、触媒の表面上の金属塩の量は、約1重量%~約20重量%である。より好ましくは、触媒の表面上の金属塩の量は、約3重量%~約15重量%である。最も好ましくは、触媒の表面上の金属塩の量は、約5重量%~約10重量%である。
【0028】
反応物流は、例えば、約1秒、約2秒、約4秒、約6秒、約8秒、約10秒、約15秒、約20秒、約25秒、若しくは約30秒の短い接触時間の間、又は約40秒、約50秒、約60秒、約70秒、約80秒、約100秒、若しくは約120秒の長い接触時間の間、又は約2秒~約120秒、約4秒~約100秒、約6秒~約80秒、約8秒~約70秒、約10秒~約60秒、約15秒~約50秒、約20秒~約40秒、約20秒~約30秒、約10秒~約20秒、若しくは約100秒~約120秒など、前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内の接触時間の間、触媒と接触してもよい。好ましくは、反応物流は、約1秒~約100秒の接触時間の間、触媒と接触する。より好ましくは、反応物流は、約2秒~約50秒の接触時間の間、触媒と接触する。最も好ましくは、反応物流は、約3秒~約30秒の接触時間の間、触媒と接触する。
【0029】
反応前に、触媒は、例えば、約200℃、約250℃、約300℃、約325℃、約330℃、約340℃、約350℃、若しくは約360℃の低い温度、又は約370℃、約380℃、約390℃、約400℃、約450℃、約475℃、約500℃、約525℃、約550℃、約575℃、若しくは約600℃の高い温度、又は約200℃~約600℃、約325℃~約400℃、約330℃~約390℃、約340℃~約380℃、約350℃~約370℃、若しくは約340℃~約360℃など、前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内の温度に加熱されてもよい。好ましくは、触媒は、約300℃~約500℃の温度に加熱される。より好ましくは、触媒は、約350℃~約450℃の温度に加熱される。最も好ましくは、触媒は、約375℃~約420℃の温度に加熱される。
【0030】
圧力は重要ではない。好都合な動作圧力は、約10kPa~約4,000kPa、好ましくは約100kPa~約250kPaの範囲である。
【0031】
上記のように、活性炭触媒と比較して、炭化ケイ素触媒は失活を起こしにくい。しかしながら、最終的には炭素付着物が触媒表面に蓄積し、触媒活性を低下させることがある。炭化ケイ素触媒は、約300℃~約600℃の温度範囲で酸素ガス又は空気を反応器に通過させて炭素付着物を除去することによって、再生することができる。再生は、反応が停止して反応物が反応器を通過しないときに行われる。
【0032】
反応器から出る生成物流中の有機化合物の組成は、ガスクロマトグラフィー(GC)及びガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)法によって測定することができる。有機化合物の各々に対する全有機化合物のGC面積百分率(GC面積%)を生成物流中の有機化合物の相対濃度の測定値として提供するために、有機化合物の各々に対してGC分析によって提供されるグラフ面積を組み合わせてもよい。
【0033】
反応器から出る生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、全有機化合物のGC面積%において、例えば、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、若しくは約60%と低くてもよく、又は約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約99%と高くてもよく、又は約10%~約99%、約20%~約95%、約30%~約90%、約40%~約85%、約45%~約80%、約50%~約75%、約55%~約70%、約60%~約65%、約90%~約99%、若しくは約95%~約99%など、前述の値のうちの任意の2つの間で定義される任意の範囲内であってもよい。好ましくは、生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約30%~約99%である。より好ましくは、生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約40%~約99%である。最も好ましくは、生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約50%~約99%である。
【0034】
生成物流は、反応器からヨウ素除去槽へ導かれてもよく、ここで、生成物流は冷却され、未反応ヨウ素が凝縮されて、生成物流からヨウ素の少なくとも一部が除去され、反応物としてリサイクルされる。生成物流は、ヨウ素を液体形態で回収するために、ヨウ素の融点を超えるがヨウ素の沸点よりも低い温度に冷却され得る。あるいは、又はそれに加えて、反応器から出る生成物流は、ヨウ素を固体形態で回収するために、ヨウ素の融点よりも低い温度に冷却され得る。生成物流は、ヨウ素除去槽から1つ以上の更なるヨウ素除去槽へと進み、リサイクルのために更なる未反応ヨウ素を除去してもよい。
【0035】
次いで、生成物流は、1つ以上のヨウ素除去槽から重質蒸留塔へ導かれて、高沸点化合物、例えば、未反応TFA、並びに副生成物のペンタフルオロヨードエタン(C2F5I)及びフッ化水素(HF)などを、低沸点化合物であるCF3I、並びに副生成物のトリフルオロメタン(CF3H)、ヨウ化水素(HI)、及び二酸化炭素(CO2)などから分離してもよい。高沸点化合物は、重質蒸留塔の底流からTFAリサイクル蒸留塔へ導かれて、より高沸点のTFAを、より低沸点である副生成物のC2F5I及びHFから分離してもよい。TFAリサイクル蒸留塔の底流から得られたTFAは、反応器に戻してリサイクルされ得る。C2F5I及びHFを含むTFAリサイクル蒸留塔の塔頂流は、塩基性溶液を含むスクラバを通過してHFを除去してもよく、C2F5Iは、副生成物として回収されるか、又は熱酸化装置で燃焼されてもよい。
【0036】
CF3I、CF3H、HI、及びCO2を含む重質蒸留塔から得られた塔頂流は、CF3H/CO2除去蒸留塔へ導かれて、より高沸点の化合物であるCF3I及びHIを、より低沸点の化合物であるCF3H及びCO2から分離してもよい。CF3H/CO2除去蒸留塔の塔頂流は、CF3H蒸留塔へ導かれて、CF3HをCO2から分離してもよい。CF3H及び/又はCO2は、副生成物として捕集されてもよい。あるいは、CF3H/CO2除去蒸留塔から得られた塔頂流は、熱酸化装置によって燃焼されてもよい。
【0037】
CF3I及びHIを含むCF3H/CO2除去蒸留塔の底流は、生成物蒸留塔へ導かれて、CF3I生成物をHIから分離してもよい。生成物蒸留塔の塔頂流中のHIは、水スクラバを通過してHI水溶液を生成することによって、又はそれを圧縮して無水HI液体を生成することによって、副生成物として捕集されてもよい。CF3Iは、生成物蒸留塔の底流から捕集され得る。ヨウ素及びTFAのリサイクルにより、CF3Iを生成するための効率的なプロセスが得られる。
【0038】
図は、トリフルオロヨードメタンを製造するための統合プロセス10を示すプロセスフロー図である。図に示すように、プロセス10は、固体ヨウ素12及び液体TFA14の原料フローを含む。固体ヨウ素12は、固体貯蔵タンク16に連続的又は断続的に添加され得る。固体ヨウ素18の一定フローは、固体搬送システム(図示せず)によって固体貯蔵タンク16からヨウ素液化装置20へ移送され、ここで、固体ヨウ素は、その融点を超えるがその沸点未満に加熱され、ヨウ素液化装置20内の液体ヨウ素のレベルを維持する。液体ヨウ素22は、ヨウ素液化装置20からヨウ素気化装置24へ流れる。ヨウ素液化装置20は、液体ヨウ素22のフローを動かすために不活性ガスによって加圧されてもよい。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、若しくはヘリウム、又はこれらの混合物が挙げられ得る。液体ヨウ素22の流量は、液体流量制御装置26によって制御されてもよい。ヨウ素気化装置24では、ヨウ素がその沸点を超えて加熱され、ヨウ素蒸気28のフローを形成する。
【0039】
液体TFA14は、TFA気化装置30に供給されてもよく、ここで、TFAは、その沸点を超えて加熱され、TFA蒸気32のフローを提供する。TFA蒸気32の流量は、ガス流量制御装置34によって制御されてもよい。ヨウ素蒸気28のフロー及びTFA蒸気32のフローは、混合弁36で結合されて、反応物流38を形成し得る。反応物流38は、反応器40に供給され得る。
【0040】
反応物流38は、反応器40内に含まれる触媒42の存在下で反応して、生成物流44を生成することができる。触媒42は、本明細書に記載の触媒のいずれかであってもよい。生成物流44は、トリフルオロヨードメタン、未反応ヨウ素、未反応TFA、並びに反応副生成物、例えば、HI、CO2、CF3H、HF、及びC2F5Iなどを含んでもよい。
【0041】
生成物流44は、上流弁46に供給され得る。上流弁46は、生成物流44をヨウ素除去工程に導くことができる。この工程では、第1のヨウ素除去トレーン48aは、第1のヨウ素除去槽50a及び第2のヨウ素除去槽50bを含んでもよい。生成物流44は、第1のヨウ素除去槽50aにおいてヨウ素の沸点未満の温度に冷却され、ヨウ素の少なくとも一部を凝縮させて、生成物流44から分離してもよい。生成物流44は、更に第1のヨウ素除去槽50aにおいてヨウ素の融点未満の温度に冷却され、生成物流44から更に多くのヨウ素を分離し、第1のヨウ素除去槽50a内でヨウ素の少なくとも一部を固体として堆積させ、減ヨウ素生成物流52を生成してもよい。減ヨウ素生成物流52は、第2のヨウ素除去槽50bに供給されて冷却され、減ヨウ素生成物流52から更なるヨウ素の少なくとも一部を分離して、無ヨウ素生成物流54を生成してもよい。無ヨウ素生成物流54は、重質蒸留塔60に供給され得る。
【0042】
第1のヨウ素除去トレーン48aは、直列配置で動作する2つのヨウ素除去槽からなるが、第1のヨウ素除去トレーン48aは、並列配置で動作する2つ以上のヨウ素除去槽、直列配置で動作する2つを超えるヨウ素除去槽、及びこれらの任意の組み合わせを含み得ることを理解されたい。第1のヨウ素除去トレーン48aは、単一のヨウ素除去槽からなり得ることも理解されたい。
【0043】
第1のヨウ素除去槽50aで捕集されたヨウ素は、第1のヨウ素リサイクル流56aを形成し得る。同様に、第2のヨウ素除去槽50bで捕集されたヨウ素は、第2のヨウ素リサイクル流56bを形成し得る。第1のヨウ素リサイクル流56a及び第2のヨウ素リサイクル流56bの各々は、ヨウ素液化装置20に供給されてもよい。ヨウ素が液体形態で捕集される場合、液体ヨウ素をヨウ素液化装置20に連続的に供給してもよい。しかしながら、より温度が低いほうが、生成物流44及び減ヨウ素生成物流52からヨウ素をより効果的に除去することになるため、固体形態でヨウ素を捕集することが好ましい場合がある。
【0044】
固体形態でヨウ素を捕集する一方で連続動作を提供するために、上流弁46は、生成物流44を第2のヨウ素除去トレーン48bへ選択的に導くように構成され得る。第2のヨウ素除去トレーン48bは、実質的に第1のヨウ素除去トレーン48aに関して上述したとおりであってもよい。第1のヨウ素除去トレーン48aの第1のヨウ素除去槽50a又は第2のヨウ素除去槽50bのいずれかが、ヨウ素の除去に都合の良い十分な固体ヨウ素を蓄積したら、上流弁46を選択して、生成物流44を第1のヨウ素除去トレーン48aから第2のヨウ素除去トレーン48bへ導いてもよい。ほぼ同時に、無ヨウ素生成物流54を第1のヨウ素除去トレーン48a又は第2のヨウ素除去トレーン48bのいずれかから重質蒸留塔60へ選択的に導くように構成された下流弁58を選択して、無ヨウ素生成物流54を第2のヨウ素除去トレーン48bから重質蒸留塔60へ導いてもよく、それによって、生成物流44からヨウ素を除去して無ヨウ素生成物流54を生成するプロセスが、中断されずに継続することができる。生成物流44がもはや第1のヨウ素除去トレーン48aに導かれなくなると、第1のヨウ素除去トレーン48aの第1のヨウ素除去槽50a及び第2のヨウ素除去槽50bは、ヨウ素の融点を超えて加熱されて、固体ヨウ素を液化してもよく、それによって、液化ヨウ素が、第1のヨウ素除去トレーン48aの第1のヨウ素リサイクル流56a及び第2のヨウ素リサイクル流56bを通ってヨウ素液化装置20へ流れることができる。
【0045】
プロセスが継続するにつれて、第2のヨウ素除去トレーン48bの第1のヨウ素除去槽50a又は第2のヨウ素除去槽50bのいずれかが、ヨウ素の除去に都合の良い十分な固体ヨウ素を蓄積したら、上流弁46を選択して、生成物流44を第2のヨウ素除去トレーン48bから第1のヨウ素除去トレーン48aへ戻して導いてもよく、また下流弁58を選択して、ヨウ素生成物流54を第1のヨウ素除去トレーン48aから重質蒸留塔60へ導いてもよく、それによって、生成物流44からヨウ素を除去して無ヨウ素生成物流54を生成するプロセスが、中断されずに継続することができる。生成物流44がもはや第2のヨウ素除去トレーン48bに導かれなくなると、第2のヨウ素除去トレーン48bの第1のヨウ素除去槽50a及び第2のヨウ素除去槽50bは、ヨウ素の融点を超えて加熱されて、固体ヨウ素を液化してもよく、それによって、液化ヨウ素が、第2のヨウ素除去トレーン48bの第1のヨウ素リサイクル流56a及び第2のヨウ素リサイクル流56bを通ってヨウ素液化装置20へ流れることができる。第1のヨウ素除去トレーン48aと第2のヨウ素除去トレーン48bとの間で継続して切り替えることにより、生成物流44中の未反応ヨウ素を効率的かつ連続的に除去及びリサイクルすることができる。
【0046】
上記のように、液体ヨウ素は、第1のヨウ素除去トレーン48a及び第2のヨウ素除去トレーン48bの第1のヨウ素リサイクル流56a及び第2のヨウ素リサイクル流56bを通ってヨウ素液化装置20へ流れることができる。あるいは、液体ヨウ素は、第1のヨウ素除去トレーン48a及び第2のヨウ素除去トレーン48bの第1のヨウ素リサイクル流56a及び第2のヨウ素リサイクル流56bを通ってヨウ素気化装置24へ流れ、ヨウ素液化装置20及び液体流量制御装置26を迂回してもよい。
【0047】
重質蒸留塔60は、有機重質物、例えば、未反応TFA、並びに副生成物のC2F5I及びHFを、有機軽質物、例えば、CF3I、並びに副生成物のCF3H、HI、及びCO2から分離するように構成され得る。重質蒸留塔60から得られた有機重質物を含む底流62は、TFAリサイクル塔64に供給されてもよい。TFAリサイクル塔64は、未反応TFAを副生成物のC2F5I及びHFから分離するように構成され得る。未反応TFAを含むTFAリサイクル塔64の底流66は、反応器40に戻してリサイクルされてもよい。あるいは、未反応TFAを含むTFAリサイクル塔64の底流66は、TFA気化装置30へ戻してリサイクルされてもよい。副生成物のC2F5I及びHFを含むTFAリサイクル塔64の塔頂流68は、苛性溶液(図示せず)によって処理されてHFを除去してもよく、C2F5Iは、熱酸化装置(図示せず)で燃焼されてもよい。
【0048】
重質蒸留塔60から得られた有機軽質物を含む塔頂流70は、CF3H/CO2除去塔72に供給されてもよい。CF3H/CO2除去塔72は、副生成物のCF3H及びCO2を、CF3I及び副生成物のHIから分離するように構成され得る。副生成物のCF3H及びCO2を含むCF3H/CO2除去塔72の塔頂流74は、CF3H塔76に供給されてもよい。CF3H塔76は、CF3HをCO2から分離するように構成され得る。CO2を含むCF3H塔76の底流78は、副生成物として回収されてもよい。CF3Hを含むCF3H塔の塔頂流80は、副生成物として回収されてもよい。あるいは、副生成物のCF3H及びCO2を含むCF3H/CO2除去塔72の塔頂流74は、CF3H塔76を迂回して、熱酸化装置(図示せず)で燃焼されてもよい。
【0049】
CF3H/CO2除去塔72から得られたCF3I及び副生成物のHIを含む底流82は、生成物塔84に供給されてもよい。生成物塔84は、CF3IをHIから分離するように構成され得る。HIを含む生成物塔84の塔頂流86は、液体HIに圧縮されてもよく、又は水スクラバ(図示せず)によって処理されてHI溶液を生成してもよい。液体HI又はHI溶液は、市販の任意の手段によって変換してヨウ素に戻し、リサイクルされてもよい。得られた生成物のCF3Iは、生成物塔84の底流88から捕集され得る。
【0050】
本発明は、例示的な設計に対するものとして説明したが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正することができる。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野における既知の又は慣習的な実践に属する本開示からのそのような逸脱を包含することが意図されている。
【0051】
本明細書で使用するとき、「前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内」という句は、それらの値が列挙のより低い部分にあるか又は列挙のより高い部分にあるかにかかわらず、任意の範囲がそのような句の前に列挙された値のうちのいずれかの2つから選択され得ることを意味する。例えば、1対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値及びより高い値から選択されてもよい。
【実施例】
【0052】
CF3Iの製造におけるSiC系触媒の評価
【0053】
以下の実施例において、上記の式1によるTFA及びヨウ素からのトリフルオロヨードメタンの製造を、様々なSiC系触媒について実証した。TFA気化装置から得られた気化TFAを、測定した供給量でヨウ素気化装置に供給した。ヨウ素気化装置に1,000gの固体ヨウ素を初期投入した。ヨウ素気化装置の温度を150℃~165℃に維持し、TFA蒸気と混合されたヨウ素蒸気を生成した。ヨウ素蒸気とTFA蒸気との混合物を、所定の反応温度に予熱した特定のSiC系触媒を充填した固定床管型反応器に供給した。反応は大気圧で実施した。反応器流出物を、2つの直列のヨウ素除去槽に通過させて、未反応ヨウ素を固体形態で捕集し、次いで脱イオン水スクラバに供給して、未反応TFAを捕捉した。
【0054】
定期的に、試料を脱イオン水スクラバの溶出液から採取し、試料中の有機化合物の組成をガスクロマトグラフィー(GC)によって測定した。有機化合物の各々に対してGC分析によって提供されたグラフ面積を組み合わせて、有機化合物の各々に対する全有機化合物のGC面積百分率(GC面積%)を試料中の有機化合物の相対濃度の測定値として提供し、CF3Iの生成における選択性(モル%)を決定した。反応の実行時間の終了時に、システムを遮断し、ヨウ素気化装置の重量減少及びヨウ素除去槽の重量増加を測定して、ヨウ素のモルとTFAのモルとの供給比を決定した。ヨウ素及びTFAの組み合わせ供給量に基づいて、反応器内での滞留時間を計算した。
【0055】
各実施例の結果を表1に示す。各実施例について、表1は、使用した触媒、BET表面積、触媒予熱温度、TFAの供給量、反応実行時間、I
2とTFAとのモル供給比、滞留時間、及び実行終了時のCF
3Iの生成における選択性(モル%)を示す。
【表1】
態様
【0056】
態様1は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスである。プロセスは、トリフルオロ酢酸及びヨウ素を含む気相反応物流を提供する工程と、反応物流を触媒の存在下で反応させて、トリフルオロヨードメタンを含む生成物流を生成する工程とを含む。触媒は、炭化ケイ素を含む。
【0057】
態様2は、提供する工程において、トリフルオロ酢酸が約1,000体積ppm未満の水を含む、態様1に記載のプロセスである。
【0058】
態様3は、提供する工程において、トリフルオロ酢酸が約100体積ppm未満の水を含む、態様1に記載のプロセスである。
【0059】
態様4は、提供する工程において、トリフルオロ酢酸が約30体積ppm未満の水を含む、態様1に記載のプロセスである。
【0060】
態様5は、提供する工程において、トリフルオロ酢酸が約10体積ppm未満の水を含む、態様1に記載のプロセスである。
【0061】
態様6は、提供する工程において、ヨウ素が約500体積ppm未満の水を含む、態様1~5のいずれかに記載のプロセスである。
【0062】
態様7は、提供する工程において、ヨウ素が約100体積ppm未満の水を含む、態様1~5のいずれかに記載のプロセスである。
【0063】
態様8は、提供する工程において、ヨウ素が約30体積ppm未満の水を含む、態様1~5のいずれかに記載のプロセスである。
【0064】
態様9は、提供する工程において、ヨウ素が約10体積ppm未満の水を含む、態様1~5のいずれかに記載のプロセスである。
【0065】
態様10は、提供する工程において、トリフルオロ酢酸とヨウ素とのモル比が約0.1:1~約5:1である、態様1~9のいずれかに記載のプロセスである。
【0066】
態様11は、提供する工程において、トリフルオロ酢酸とヨウ素とのモル比が約0.8:1~約1.5:1である、態様1~9のいずれかに記載のプロセスである。
【0067】
態様12は、提供する工程において、トリフルオロ酢酸とヨウ素とのモル比が約1:1~約1.2:1である、態様1~9のいずれかに記載のプロセスである。
【0068】
態様13は、提供する工程において、トリフルオロ酢酸とヨウ素とのモル比が約1:1~約1.1:1である、態様1~9のいずれかに記載のプロセスである。
【0069】
態様14は、触媒が金属炭化物を更に含む、態様1~13のいずれかに記載のプロセスである。
【0070】
態様15は、金属炭化物が、炭化チタン、炭化ジルコニウム、及び炭化クロムの群から選択される少なくとも1種を含む、態様14に記載のプロセスである。
【0071】
態様16は、金属炭化物が炭化チタンを含む、態様15に記載のプロセスである。
【0072】
態様17は、金属炭化物が炭化チタンから本質的になる、態様15に記載のプロセスである。
【0073】
態様18は、金属炭化物が炭化チタンからなる、態様15に記載のプロセスである。
【0074】
態様19は、金属炭化物が炭化ジルコニウムを含む、態様15に記載のプロセスである。
【0075】
態様20は、金属炭化物が炭化ジルコニウムから本質的になる、態様15に記載のプロセスである。
【0076】
態様21は、金属炭化物が炭化ジルコニウムからなる、態様15に記載のプロセスである。
【0077】
態様22は、金属炭化物が炭化クロムを含む、態様15に記載のプロセスである。
【0078】
態様23は、金属炭化物が炭化クロムから本質的になる、態様15に記載のプロセスである。
【0079】
態様24は、金属炭化物が炭化クロムからなる、態様15に記載のプロセスである。
【0080】
態様25は、触媒中の炭化ケイ素の量が、触媒中の全炭化ケイ素及び金属炭化物の重量百分率として、約50重量%~約99.9重量%である、態様14~24のいずれかに記載のプロセスである。
【0081】
態様26は、触媒中の炭化ケイ素の量が、触媒中の全炭化ケイ素及び金属炭化物の重量百分率として、約70重量%~約99.9重量%である、態様14~24のいずれかに記載のプロセスである。
【0082】
態様27は、触媒中の炭化ケイ素の量が、触媒中の全炭化ケイ素及び金属炭化物の重量百分率として、約85重量%~約99.9重量%である、態様14~24のいずれかに記載のプロセスである。
【0083】
態様28は、触媒が、触媒の表面上に付着された金属及び金属塩の群から選択される少なくとも1種を更に含む、態様1~27のいずれかに記載のプロセスである。
【0084】
態様29は、触媒が金属塩を含み、金属塩が、ヨウ化カリウム、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)ルビジウム、ヨウ化ナトリウム、フッ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、白金、及びパラジウムの群から選択される少なくとも1種を含む、態様28に記載のプロセスである。
【0085】
態様30は、金属塩がヨウ化カリウムを含む、態様29に記載のプロセスである。
【0086】
態様31は、金属塩がヨウ化カリウムから本質的になる、態様29に記載のプロセスである。
【0087】
態様32は、金属塩がヨウ化カリウムからなる、態様29に記載のプロセスである。
【0088】
態様33は、金属塩がヨウ化銅(I)を含む、態様29に記載のプロセスである。
【0089】
態様34は、金属塩がヨウ化銅(I)から本質的になる、態様29に記載のプロセスである。
【0090】
態様35は、金属塩がヨウ化銅(I)からなる、態様29に記載のプロセスである。
【0091】
態様36は、金属塩がヨウ化ルビジウムを含む、態様29に記載のプロセスである。
【0092】
態様37は、金属塩がヨウ化ルビジウムから本質的になる、態様29に記載のプロセスである。
【0093】
態様38は、金属塩がヨウ化ルビジウムからなる、態様29に記載のプロセスである。
【0094】
態様39は、触媒の表面上の金属又は金属塩が、炭化ケイ素又は金属炭化ケイ素及び金属又は金属塩の合計総重量の百分率として、0.1重量%~約25重量%である、態様28~38のいずれかに記載のプロセスである。
【0095】
態様40は、触媒の表面上の金属又は金属塩が、炭化ケイ素又は金属炭化ケイ素及び金属又は金属塩の合計総重量の百分率として、約1重量%~約20重量%である、態様28~38のいずれかに記載のプロセスである。
【0096】
態様41は、触媒の表面上の金属又は金属塩が、炭化ケイ素又は金属炭化ケイ素及び金属又は金属塩の合計総重量の百分率として、約3重量%~約15重量%である、態様28~38のいずれかに記載のプロセスである。
【0097】
態様42は、触媒の表面上の金属又は金属塩が、炭化ケイ素又は金属炭化ケイ素及び金属又は金属塩の合計総重量の百分率として、約5重量%~約10重量%である、態様28~38のいずれかに記載のプロセスである。
【0098】
態様43は、反応物流と触媒との接触時間が約1秒~約120秒である、態様1~42のいずれかに記載のプロセスである。
【0099】
態様44は、反応物流と触媒との接触時間が約1秒~約100秒である、態様1~42のいずれかに記載のプロセスである。
【0100】
態様45は、反応物流と触媒との接触時間が約2秒~約50秒である、態様1~42のいずれかに記載のプロセスである。
【0101】
態様46は、反応物流と触媒との接触時間が約3秒~約30秒である、態様1~42のいずれかに記載のプロセスである。
【0102】
態様47は、反応工程の前に、触媒を約200℃~約600℃の温度に加熱することを更に含む、態様1~46のいずれかに記載のプロセスである。
【0103】
態様48は、反応工程の前に、触媒を約300℃~約500℃の温度に加熱することを更に含む、態様1~46のいずれかに記載のプロセスである。
【0104】
態様49は、反応工程の前に、触媒を約350℃~約450℃の温度に加熱することを更に含む、態様1~46のいずれかに記載のプロセスである。
【0105】
態様50は、反応工程の前に、触媒を約375℃~約425℃の温度に加熱することを更に含む、態様1~46のいずれかに記載のプロセスである。
【0106】
態様51は、生成物流が未反応ヨウ素を更に含み、プロセスが、生成物流から未反応ヨウ素を固体ヨウ素として分離することと、固体ヨウ素を加熱して液体ヨウ素を生成することと、液体ヨウ素を反応物流に戻すこととの追加の工程を更に含む、態様1~50のいずれかに記載のプロセスである。
【0107】
態様52は、プロセスが連続プロセスである、態様1~51のいずれかに記載のプロセスである。
【0108】
態様53は、プロセスがバッチプロセスである、態様1~51のいずれかに記載のプロセスである。
【0109】
態様54は、生成物流が未反応トリフルオロ酢酸を更に含み、プロセスが、生成物流からトリフルオロ酢酸を分離することと、分離したトリフルオロ酢酸を反応物流に戻すこととの追加の工程を更に含む、態様1~53のいずれかに記載のプロセスである。
【0110】
態様55は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスであって、プロセスは、トリフルオロ酢酸とヨウ素とを触媒の存在下で気相中で反応させて、トリフルオロヨードメタン及び未反応ヨウ素を含む生成物流を生成する工程であって、触媒が炭化ケイ素を含む、工程と、生成物流を冷却して固体ヨウ素を形成することによって、生成物流から未反応ヨウ素の少なくとも一部を除去する工程であって、固体ヨウ素が第1のヨウ素除去槽及び/又は第2のヨウ素除去槽内で形成される、工程と、生成物流を第2のヨウ素除去槽に通して冷却するときに、第1のヨウ素除去槽を加熱して固体ヨウ素を液化するか、又は生成物流を第1のヨウ素除去槽に通して冷却するときに、第2のヨウ素除去槽を加熱して固体ヨウ素を液化することによって、固体ヨウ素から液体ヨウ素を生成する工程と、液化ヨウ素を反応工程にリサイクルする工程と、を含む、プロセスである。
【0111】
態様56は、生成物流が未反応トリフルオロ酢酸を更に含み、プロセスが、生成物流からトリフルオロ酢酸を分離することと、分離したトリフルオロ酢酸を反応工程にリサイクルすることとの追加の工程を更に含む、態様55に記載のプロセスである。
【0112】
態様57は、プロセスが連続プロセスである、態様55又は56のいずれかに記載のプロセスである。
【0113】
態様58は、触媒が金属炭化物を更に含む、態様55又は56のいずれかに記載のプロセスである。
【0114】
態様59は、金属炭化物が、炭化チタン、炭化ジルコニウム、及び炭化クロムの群から選択される少なくとも1種を含む、態様58に記載のプロセスである。
【0115】
態様60は、金属炭化物が炭化チタンを含む、態様59に記載のプロセスである。
【0116】
態様61は、金属炭化物が炭化チタンから本質的になる、態様59に記載のプロセスである。
【0117】
態様62は、金属炭化物が炭化チタンからなる、態様59に記載のプロセスである。
【0118】
態様63は、金属炭化物が炭化ジルコニウムを含む、態様59に記載のプロセスである。
【0119】
態様64は、金属炭化物が炭化ジルコニウムから本質的になる、態様59に記載のプロセスである。
【0120】
態様65は、金属炭化物が炭化ジルコニウムからなる、態様59に記載のプロセスである。
【0121】
態様66は、金属炭化物が炭化クロムを含む、態様59に記載のプロセスである。
【0122】
態様67は、金属炭化物が炭化クロムから本質的になる、態様59に記載のプロセスである。
【0123】
態様68は、金属炭化物が炭化クロムからなる、態様59に記載のプロセスである。
【0124】
態様69は、触媒中の炭化ケイ素の量が、触媒中の全炭化ケイ素及び金属炭化物の重量百分率として、約50重量%~約99.9重量%である、態様58~68のいずれかに記載のプロセスである。
【0125】
態様70は、触媒中の炭化ケイ素の量が、触媒中の全炭化ケイ素及び金属炭化物の重量百分率として、約70重量%~約99.9重量%である、態様58~68のいずれかに記載のプロセスである。
【0126】
態様71は、触媒中の炭化ケイ素の量が、触媒中の全炭化ケイ素及び金属炭化物の重量百分率として、約85重量%~約99.9重量%である、態様58~68のいずれかに記載のプロセスである。
【0127】
態様72は、触媒が、触媒の表面上に付着された金属及び金属塩の群から選択される少なくとも1種を更に含む、態様55~71のいずれかに記載のプロセスである。
【0128】
態様73は、触媒が金属塩を含み、金属塩が、ヨウ化カリウム、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)ルビジウム、ヨウ化ナトリウム、フッ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、白金、及びパラジウムの群から選択される少なくとも1種を含む、態様72に記載のプロセスである。
【0129】
態様74は、金属塩がヨウ化カリウムを含む、態様73に記載のプロセスである。
【0130】
態様75は、金属塩がヨウ化カリウムから本質的になる、態様73に記載のプロセスである。
【0131】
態様76は、金属塩がヨウ化カリウムからなる、態様73に記載のプロセスである。
【0132】
態様77は、金属塩がヨウ化銅(I)を含む、態様73に記載のプロセスである。
【0133】
態様78は、金属塩がヨウ化銅(I)から本質的になる、態様73に記載のプロセスである。
【0134】
態様79は、金属塩がヨウ化銅(I)からなる、態様73に記載のプロセスである。
【0135】
態様80は、金属塩がヨウ化ルビジウムを含む、態様73に記載のプロセスである。
【0136】
態様81は、金属塩がヨウ化ルビジウムから本質的になる、態様73に記載のプロセスである。
【0137】
態様82は、金属塩がヨウ化ルビジウムからなる、態様73に記載のプロセスである。
【0138】
態様83は、触媒の表面上の金属又は金属塩が、炭化ケイ素又は金属炭化ケイ素及び金属又は金属塩の合計総重量の百分率として、0.1重量%~約25重量%である、態様72~82のいずれかに記載のプロセスである。
【0139】
態様84は、触媒の表面上の金属又は金属塩が、炭化ケイ素又は金属炭化ケイ素及び金属又は金属塩の合計総重量の百分率として、約1重量%~約20重量%である、態様72~82のいずれかに記載のプロセスである。
【0140】
態様85は、触媒の表面上の金属又は金属塩が、炭化ケイ素又は金属炭化ケイ素及び金属又は金属塩の合計総重量の百分率として、約3重量%~約15重量%である、態様72~82のいずれかに記載のプロセスである。
【0141】
態様86は、触媒の表面上の金属又は金属塩が、炭化ケイ素又は金属炭化ケイ素及び金属又は金属塩の合計総重量の百分率として、約5重量%~約10重量%である、態様72~82のいずれかに記載のプロセスである。
【国際調査報告】