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特表2022-514692抗酸菌症治療のためのBDオキシダーゼ阻害剤の発見
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】抗酸菌症治療のためのBDオキシダーゼ阻害剤の発見
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/94 20060101AFI20220204BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 239/88 20060101ALI20220204BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20220204BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20220204BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 217/22 20060101ALI20220204BHJP
   A61K 31/472 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20220204BHJP
   C07D 471/10 20060101ALI20220204BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220204BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220204BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
C07D239/94
A61K31/517
C07D401/12
C07D239/88
A61K31/5377
C07D471/04 108A
A61K31/506
C07D403/12
C07D417/12
C07D413/12
A61K31/551
C07D405/12
C07D217/22
A61K31/472
C07D495/04 105A
C07D471/10 101
A61P43/00 111
A61P31/04
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536070
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 IB2019061142
(87)【国際公開番号】W WO2020128981
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/783,984
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518161352
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・ノートル・ダム・デュ・ラック
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF NOTRE DAME DU LAC
(71)【出願人】
【識別番号】518041995
【氏名又は名称】モンタナ・ステイト・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】MONTANA STATE UNIVERSITY
(71)【出願人】
【識別番号】504161939
【氏名又は名称】ナンヤン・テクノロジカル・ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,マービン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】モラスキ,ギャレット シー
(72)【発明者】
【氏名】ペテ,ケビン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C065
4C071
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB07
4C063BB09
4C063CC31
4C063CC34
4C063CC36
4C063CC52
4C063CC62
4C063CC76
4C063DD02
4C063DD10
4C063DD12
4C063DD26
4C063DD31
4C063EE01
4C065AA03
4C065AA16
4C065BB06
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH02
4C065HH09
4C065JJ01
4C065KK02
4C065KK08
4C065KK09
4C065LL01
4C065PP03
4C065PP18
4C065QQ05
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC01
4C071CC21
4C071DD14
4C071EE13
4C071FF06
4C071GG03
4C071JJ01
4C071JJ05
4C071KK14
4C071LL01
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC202
4C084ZC411
4C084ZC412
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC30
4C086BC46
4C086BC54
4C086BC70
4C086BC73
4C086BC84
4C086CB05
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB35
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
Cyt-bdを阻害または標的化する化合物および組成物、ならびに、それらを調製、使用、およびアッセイする方法を記載する。また、Cyt-bdを阻害または標的化する化合物および組成物、ならびに、1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤、F-ATP合成阻害剤、NADH脱水素酵素(NDH-2)阻害剤、NADH脱水素酵素(NDH-2)活性剤もしくは抗菌剤を含む組成物、方法及びキットを開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cyt-bdを阻害または標的とする、本明細書に記載の化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項3】
本明細書に記載の式(A)-(E)、(A’)、(A’’)、および(B’)のいずれか1つを有する化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項5】
以下を含むキット:
請求項1から4のいずれかに記載の化合物または組成物;
および、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤もしくはF-ATP合成阻害剤、または、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤もしくはF-ATP合成阻害剤および薬学的に許容される担体を含む1つ以上の医薬組成物。
【請求項6】
マイコバクテリアの疾患または感染症に罹患している対象に、請求項1から5のいずれかに記載の化合物、組成物またはキットを投与することを含む方法。
【請求項7】
マイコバクテリアの疾患または感染症に罹患している対象に、以下を同時に投与することを含む方法:
請求項1から4のいずれかに記載の化合物または組成物;
および、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤もしくはF-ATP合成阻害剤、または、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤もしくはF-ATP合成阻害剤および薬学的に許容される担体を含む1つ以上の医薬組成物。
【請求項8】
マイコバクテリアの疾患または感染症に罹患している対象へ以下を同時に投与することを含む方法:
請求項1から4のいずれかに記載の化合物または組成物;
および、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤、F-ATP合成阻害剤、NADH脱水素酵素(NDH-2)阻害剤、NADH脱水素酵素(NDH-2)活性化剤もしくは抗菌剤、または、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤、F-ATP合成阻害剤、NADH脱水素酵素(NDH-2)阻害剤、NADH脱水素酵素(NDH-2)活性化剤もしくは抗菌剤、および薬学的に許容される担体を含む1つ以上の医薬組成物。
【請求項9】
以下を含むキット:
請求項1から4のいずれかに記載の化合物または組成物;
および、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤、F-ATP合成阻害剤、NADH脱水素酵素(NDH-2)阻害剤、NADH脱水素酵素(NDH-2)活性化剤もしくは抗菌剤、または、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤、F-ATP合成阻害剤、NADH脱水素酵素(NDH-2)阻害剤、NADH脱水素酵素(NDH-2)活性化剤もしくは抗菌剤、および薬学的に許容される担体を含む1つ以上の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、国立衛生研究所によって授与された助成金番号R37 AI054193の下で政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
本願は、2018年12月21日に出願された米国出願第62/783,984号の利益を享受し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
2015年、結核菌(Mycobacterium Tuberculosis(Mtb))が原因である死者の数は180万人、新規感染者数は1040万人を記録した。歴史上、結核は十億人以上の人々の命を奪い、現在も、世界の人口の3分の1が結核に感染している。結核/HIV二重感染症例の増加や、多剤耐性結核(MDR-TB:第一選択薬であるイソニアジドおよびリファンピシンに耐性を有する菌株)および超多剤耐性結核(XDR-TB:イソニアジドおよびリファンピシン耐性に加え、フルオロキノロン耐性、および注射可能な第二選択薬であるアミカシン、カナマイシンおよびカプレオマイシンのうち、少なくとも一種の耐性を有する菌株)の拡散により、問題はさらに悪化している。新たに診断された症例のうち、多剤耐性結核(MDR-TB)の割合は驚異の5.6%であり、その大半は、標準治療である6か月のレジメンに従わなかったことが原因である。そのため、治療期間を短縮する新薬に対し、切迫した医療ニーズが存在している。協力作用を示す薬剤の合理的な組み合わせが、MDRおよびXDRの発生を阻止すると考えられる。近年のベダキリン(BDQ;サチュロ(登録商標))およびデラマニド(デルティバ(登録商標))の認可は、抗結核薬の創製において重要なマイルストーンを示した。残念ながら、BDQが臨床診療に導入されてから3年未満で耐性が生じたため、BDQによる最初の利益は、急速に霞んでしまった。このことは、おそらく、有効なコンパニオン診断薬が存在しないことに関連している。実際に、現在BDQは、より弱い、第二・第三選択薬と組み合わせた、BDQ耐性のために強固に選択されたレジメンで投与されている。協力作用を示す薬の組み合わせを、治療期間を短くして用いることは、耐性の発生率を低下させるために必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
BDQは、マイコバクテリアのF-ATP合成酵素の、強力な阻害剤である。BDQの発見と臨床開発により、結核菌の電子伝達系が、実現可能な創薬標的であることが立証された。結核菌のシトクロムbc1:aa3複合体を阻害する、いくつかの新薬候補(例えば、Q203)が、パイプラインにある。しかしながら、bc1阻害剤の全てが、結核菌に対して静菌性である。この薬物群に殺菌活性がないのは、結核菌には代わりの末端酸化酵素、いわゆるシトクロムbdオキシダーゼ(Cyt-bd)が存在するためであり、本発明の科学的根拠はこの点にある。Cyt-bdは、末端酸化酵素としての役割に加え、酸化還元ストレッサー(例えば、酸化ストレス、ニトロソ化ストレス、抗菌薬)に応じて起こる細胞内酸化還元の緩衝剤としても必要である。
【0004】
併用療法は今や、全ての結核治療レジメンにおいて標準である。現在のところ、これらのレジメンは単剤療法の混合物であり、単剤療法を組み合わせた際の効果は、臨床試験ステージのみで検証されている。新薬創製の早期段階で合成致死性をスクリーニングすることにより、より効果的に協力作用する薬のカクテルを発見するチャンスは劇的に増加するだろう。効果的な併用療法を開発することにより、有害な副作用と、結核菌における抗菌薬耐性の発生との双方を減少させることができる可能性がある。これまでに、本発明者らおよび他のグループにより、酸化的リン酸化の複数の段階に干渉することが、有望な抗結核戦略であることが示唆されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様として、本明細書中に述べられる、Cyt-bdを阻害または標的とする化合物が挙げられる。
別の態様として、上記化合物および製薬上許容される担体を含む医薬組成物が挙げられる。
別の態様として、本明細書中に述べられる式(A)-(E)、(A’)、(A’’)および(B’)の、いずれか一つを有する化合物、またはその製薬上許容される塩が挙げられる。
別の態様として、上記化合物および製薬上許容される担体を含む医薬組成物が挙げられる。
別の態様として、以下を含むキットが挙げられる:
上記化合物または組成物;ならびに、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤もしくはF-ATP合成酵素阻害剤、または、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤もしくはF-ATP合成酵素阻害剤、および製薬上許容される担体を含む、1つ以上の医薬組成物。
別の態様として、上記化合物もしくは組成物またはキットを、マイコバクテリアの疾患または感染症に罹患している対象に投与することを含む、方法が挙げられる。
別の態様として、マイコバクテリアの疾患または感染症に罹患している対象に、以下を同時投与することを含む、方法が挙げられる:
上記化合物または組成物;ならびに、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤もしくはF-ATP合成酵素阻害剤、または、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤もしくはF-ATP合成酵素阻害剤、および製薬上許容される担体を含む、1つ以上の医薬組成物。
別の態様として、マイコバクテリアの疾患または感染症に罹患している対象に、以下を同時投与することを含む、方法が挙げられる:
上記化合物または組成物;ならびに、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤、F-ATP合成酵素阻害剤、NADHデヒドロゲナーゼ(NDH-2)阻害剤、NADHデヒドロゲナーゼ(NDH-2)活性化剤もしくは抗菌薬、または、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤、F-ATP合成酵素阻害剤、NADHデヒドロゲナーゼ(NDH-2)阻害剤、NADHデヒドロゲナーゼ(NDH-2)活性化剤もしくは抗菌薬、および製薬上許容される担体を含む、1つ以上の医薬組成物。
別の態様として、以下を含む、キットが挙げられる:
上記化合物または組成物;ならびに、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤、F-ATP合成酵素阻害剤、NADHデヒドロゲナーゼ(NDH-2)阻害剤、NADHデヒドロゲナーゼ(NDH-2)活性化剤もしくは抗菌薬、または、
1つ以上のCyt-bc1:aa3阻害剤、F-ATP合成酵素阻害剤、NADHデヒドロゲナーゼ(NDH-2)阻害剤、NADHデヒドロゲナーゼ(NDH-2)活性化剤もしくは抗菌薬、および製薬上許容される担体を含む、1つ以上の医薬組成物。
【0006】
本発明者らは、Cyt-bdを阻害する化合物が、酸化的リン酸化の支流Cyt-bc1:aa3を阻害する薬剤(本明細書中では一部Cyt-bc1:aa3阻害剤と呼称される)および/またはマイコバクテリアのF-ATP合成酵素を阻害する薬剤(本明細書中では一部F-ATP合成酵素阻害剤と呼称される)のポテンシャルを最大限開放するのに特に有用であることを見出した。本発明者らは、Cyt-bdを阻害する化合物群を開発し、Cyt-bc1:aa3阻害剤および/またはF-ATP合成酵素阻害剤が共同で投与されると、MDR-TBおよびXDR-TBの治療効果が得られることを見出した。本発明者らは、Cyt-bdを阻害する化合物を決定するアッセイ/スクリーニングプロトコールを開発した。本発明者らは、Cyt-bc1:aa3、Cyt-bd、および/またはF-ATP合成酵素を同時に標的とする、合理的に設計された複合剤が、MDR-およびXDR-TBの治療における複合殺菌薬の礎となる可能性があることを見出した。
【0007】
Cyt-bdを標的とする薬を特定することの難しさは、標的の非必須性にある。実際、Cyt-bdをコードする遺伝子は、増殖、ATP恒常性、または呼吸に関する明らかな表現型変化なしに削除可能である。しかしながら、Cyt-bc1:aa3支流の化学的阻害下では、Cyt-bd支流を介した呼吸が必須となる。本発明者らは初めて、(Q203のような)既知のCyt-bc1:aa3阻害剤と相乗作用するCyt-bd阻害剤を特定するための、細胞を用いた薬剤スクリーニングを発見した。本明細書中に述べられるこのスクリーニングプロトコールにより、Cyt-bdを標的とし阻害する、多様な化合物種の阻害剤が得られた。
【0008】
多くのCyt-bc1:aa3阻害剤が知られている。例えば、Abrahams, K.A. et al. Identification of novel imidazo[1,2-a]pyridine inhibitors targeting M. tuberculosis QcrB. PLoS One 7, e52951 (2012); Kang, S. et al. Lead optimization of a novel series of imidazo[1,2-a]pyridine amides leading to a clinical candidate (Q203) as a multi- and extensively-drug-resistant anti-tuberculosis agent. J Med Chem 57, 5293-305 (2014); Moraski, G.C. et al. Advent of Imidazo[1,2-a]pyridine-3-carboxamides with Potent Multi- and Extended Drug Resistant Antituberculosis Activity. ACS Med Chem Lett 2, 466-470 (2011); and Pethe, K. et al. Discovery of Q203, a potent clinical candidate for the treatment of tuberculosis. Nat Med 19, 1157-60 (2013)参照。また、米国特許第9309238号(2016年4月12日発行)、米国公開第2018/0265506号(2018年9月20日発行)、米国特許第9605002号(2017年3月28日発行)、および米国出願第62/641668号「Deuterated Imidazopyridines」(2018年3月12日出願)参照。
多くのF-ATP合成酵素阻害剤が知られている。例えば、本明細書中の文献2およびRiccardi, N. et. al. Bedaquiline: A New Hope for Shorter and Better Anti-Tuberculosis Regimens. Recent Pat Antiinfect Drug Discov. 13(1), 3-11 (2018)参照。
マイコバクテリアのエネルギー論、例えば、ATP合成酵素、Cyt-bc1:aa3およびCyt-bd酸化酵素は、本明細書中の文献10およびKumar, A. et. al. Bioenergetics of Mycobacterium: An Emerging Landscape for Drug Discovery. Pathogens 7(1), 24 (2018); doi:10.3390/pathogens7010024で議論されている。
【0009】
本明細書中で、本発明者らは、(1)Cyt-bdおよびCyt-bc1:aa3の組み合わせを阻害することにより、低酸素条件下であっても結核菌の末端酸化が抑制されること、および(2)Cyt-bdの阻害は、感染根絶のための他の抗結核薬の効果を増強することを示す。本明細書中に提示されるデータは、Cyt-bdが、Cyt-bc1:aa3非存在下における呼吸の維持を可能とする一方で、両方の酸化酵素を同時に阻害することが、マウス肺における急性感染の間の結核菌の迅速な殺菌および除去をもたらすことを示す。現在、低酸素および抗菌薬負荷下における酸化還元ストレスを克服するために、結核菌によりCyt-bdが使用され、それによって、宿主における長期残存性および薬剤耐性に対するその並外れた能力に貢献していることが見出されている。
本出願には図面が添付されており、当該図面は本明細書の一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1a】マイコバクテリアにおける代表的なCyt-bd阻害剤のスクリーニングアッセイのデータ。
図1b】マイコバクテリアにおける代表的なCyt-bd阻害剤のスクリーニングアッセイのデータ。
図2a】マイコバクテリアにおける代表的なCyt-bd阻害剤のスクリーニングアッセイのデータ。
図2b】マイコバクテリアにおける代表的なCyt-bd阻害剤のスクリーニングアッセイのデータ。
図3a】マイコバクテリアにおける代表的なCyt-bd阻害剤のスクリーニングアッセイのデータ。
図3b】マイコバクテリアにおける代表的なCyt-bd阻害剤のスクリーニングアッセイのデータ。
図4】マイコバクテリアにおける代表的なCyt-bd阻害剤のスクリーニングアッセイのデータ。
図5】代表的な6,6-化合物および2つの比較例化合物(ND-011987とND-012030が比較例である)。
図6】代表的な6,6-化合物および比較例化合物の最小発育阻止濃度(MIC)。
図7】代表的な5,6-化合物および1つの比較例化合物(ND-011986が比較例である)。
図8】代表的な5,6-化合物および比較例化合物の最小発育阻止濃度(MIC)。
【0011】
図面中に提示されているすべての化合物はそれぞれ、明細書の記載の一部を構成しており、詳述されているのと同様である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、Cyt-bdを標的とし阻害する一連の化合物群を提供する:
キナゾリン、キノリン、チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、フロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、および7H-プリン-6-アミン化合物、その合成法、その組成物、ならびにこのような化合物および阻止物の使用方法。
【0013】
本明細書中で使用するとき、キナゾリンキノリン化合物は、本明細書中では「6,6-化合物」と呼称されることがある。本明細書中で使用するとき、チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、フロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、および7H-プリン-6-アミン化合物は、本明細書中では「5,6-化合物」と呼称されることがある。
【0014】
菌株、疾病、および対象患者
様々な実施形態により、結核性マイコバクテリウム種(結核菌Mycobacterium tuberculosisなど)およびMycobacterium avium、Mycobacterium abscessus、Mycobacterium paratuberculosis、Mycobacterium kansasii、Mycobacterium ulcerans、Mycobacterium marinum、Mycobacterium intracellularaeおよびヒトおよび/または動物の疾患を引き起こすと記載されている他の種を含むがこれらに限定されない非結核性マイコバクテリア種を含む細菌の殺菌および/または増殖阻害の化合物、組成物および方法を提供する。
対象は人間または動物であってもよい。
【0015】
BDオキシダーゼアッセイ
呼吸とATP合成を標的とすることは、結核菌やその他の健康に関連するマイコバクテリアと戦うための新しい戦略として強い関心を集めています。マイコバクテリアは、2つの支流で終結する好気性呼吸鎖を使用している。分岐の1つはシトクロムbc1 aa3型シトクロムcオキシダーゼ超複合体であり、もう1つの分岐はシトクロムbd型キノールオキシダーゼ(シトクロムbdオキシダーゼ)で終了する。本アッセイは、シトクロムbd型キノールオキシダーゼに対する化合物の有効性を評価する。アッセイの原理は、シトクロムbc1:aa3支流が特定の低分子阻害剤(Q203)によって阻害された場合に、ATP恒常性を維持するためにシトクロムbdオキシダーゼが必須となることに依る。推定チトクロームbdオキシダーゼは、シトクロムシトクロムbc1:aa3支流を100nMのQ203で阻害し、12~16時間のインキュベーション後にATP合成を阻害する能力を用量反応試験で評価する。IC50値は、Q203の存在下(+Q203)またはQ203の非存在下(-Q203)の試験化合物について測定する。検証済みのシトクロムbdオキシダーゼの低分子阻害剤は、シトクロムbc1:aa3阻害剤(例えば、Q203、ND-11598、ND-11176、TB47、本明細書に示すその他の化合物)、その他のシトクロムbc1:aa3阻害剤、その他のイミダゾピリジンカルボキサミド、または他のクラスのシトクロムcオキシダーゼ阻害剤の存在下で、ATP恒常性を阻害する。
【0016】
式(A):
【化1】

(式中、
はCH、CR、またはNであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
nは、0、1、2、3または4であり;
R’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
R’’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
任意のRグループにおける、アルキル、CH、シクロアルキル、アルコキシはいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの任意の組み合わせであり;
および
Qは、アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミン、アルキニル、プロパルギル、トリアゾール、ポリエチレングリコール、または本明細書で以下に示される任意のQのいずれかで、単独または任意の組み合わせであり、前記アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミンまたはそれらの組み合わせのいずれも独立して、置換もしくは非置換であり、前記アルキル、アルケニル、またはそれらの組み合わせのいずれも独立して、分岐または非分岐である)で示される、BDオキシダーゼ阻害化合物。
【0017】
必要に応じて、上記の式(A)および以下の式(A’)、(B)~(E)の化合物において、R、R、R、R、R、およびRはそれぞれ、Hであってもよい。必要に応じて、R、R、R、R、R、およびRはそれぞれ、Dであってもよい。必要に応じて、R、R、R、R、R、およびRは、HおよびDの組み合わせであってもよい。R、R、R、R、R、およびRの全てが同時にHまたはDではないことも考えられ、そのような場合、R、R、R、R、R、およびRのうちの1以上の基は、与えられた置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、F、アルコキシなどから適切に選択され得る。例えば、RがH、Dの場合だとすれば、Rは、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’である場合が挙げられる。さらなる例として、これに限定することを意図しないが、RがFまたはCHである場合、R、R、およびRは、HもしくはD、またはそれらの組み合わせである場合が挙げられ、以下同様である。また、常にではないが、通常の場合、R、R、R、R、R、およびRのうち1つまたは2つだけが、HまたはDではない。
【0018】
例えば、式(A)の化合物は、以下の式:
【化2】
の一つを有し得る。
【0019】
式(A)を有する化合物の他の例としては、以下が包含される。
式(A’):
【化3】

(式中、
はCH、CR、またはNであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’、ニトリルまたはカルボキシであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、 NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
nは、0、1、2、3または4であり;
R’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
R’’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
任意のRグループにおける、アルキル、CH、シクロアルキル、アルコキシはいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの任意の組み合わせであり;
および
Qは、アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミン、アルキニル、プロパルギル、トリアゾール、ポリエチレングリコール、または本明細書で以下に示される任意のQのいずれかで、単独または任意の組み合わせであり、前記アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミンまたはそれらの組み合わせのいずれも独立して、置換または非置換であり、前記アルキル、アルケニル、またはそれらの組み合わせのいずれも独立して、分岐または非分岐であり;
ただし、Rが置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルケニルであるとき、Qは置換フェニルまたは非置換フェニルではない)で示される、BDオキシダーゼ阻害化合物。
【0020】
式(A)を有する化合物の他の例としては、以下が包含される。
式(A’’):
【化4】

(式中、
はCH、CR、またはNであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
はハロゲンであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’ 、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
nは0であり;
R’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
R’’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
任意のRグループにおける、アルキル、CH、シクロアルキル、アルコキシはいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの任意の組み合わせであり;
および
Qはビアリールエーテルであり、前記ビアリールエーテルは独立して、置換または非置換であり;
ただし、Rが置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルケニルであるとき、Qは置換フェニルまたは非置換フェニルではない)で示される、BDオキシダーゼ阻害化合物。
【0021】
必要に応じて、上記の式(A’’)の化合物において、R、R、R、R、およびRはそれぞれ、Hであってもよい。必要に応じて、R、R、R、R、およびRはそれぞれ、Dであってもよい。必要に応じて、R、R、R、R、およびRは、HおよびDの組み合わせであってもよい。R、R、R、R、およびRの全てが同時にHまたはDではないことも考えられ、そのような場合、R、R、R、R、およびRのうちの1以上の基は、与えられた置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、F、アルコキシなどから適切に選択され得る。
【0022】
式(B):
【化5】

(式中、
はCH、CR、またはNであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
nは、0、1、2、3または4であり;
R’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
R’’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
任意のRグループにおける、アルキル、CH、シクロアルキル、アルコキシはいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの任意の組み合わせであり;
および
Qは、アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミン、アルキニル、プロパルギル、トリアゾール、ポリエチレングリコール、または本明細書で以下に示される任意のQのいずれかで、単独または任意の組み合わせであり、前記アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミンまたはそれらの組み合わせのいずれも独立して、置換もしくは非置換であり、前記アルキル、アルケニル、またはそれらの組み合わせのいずれも独立して、分岐または非分岐である)で示される、BDオキシダーゼ阻害化合物。
【0023】
式(B)を有する化合物の他の例としては、以下が包含される。
式(B’):
【化6】

(式中、
はNであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
はハロゲンであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’、NHCOR’、NR’COR’’、COOR’またはニトリルであり;
nは0であり;
R’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
R’’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
任意のRグループにおける、アルキル、CH、シクロアルキル、アルコキシはいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの任意の組み合わせであり;
および
Qは、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミン、または本明細書で以下に示される任意のQのいずれかで、単独または任意の組み合わせであり、前記アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミンまたはそれらの組み合わせのいずれも独立して、置換または非置換であり;
ただし、Rが置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルケニルであるとき、Qは置換フェニルまたは非置換フェニルではない)で示される、BDオキシダーゼ阻害化合物。
【0024】
式(C):
【化7】

(式中、
はCH、CR、またはNであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
nは、0、1、2、3または4であり;
R’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
R’’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
任意のRグループにおける、アルキル、CH、シクロアルキル、アルコキシはいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの任意の組み合わせであり;
および
Qは、アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミン、アルキニル、プロパルギル、トリアゾール、ポリエチレングリコール、または本明細書で以下に示される任意のQのいずれかで、単独または任意の組み合わせであり、前記アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミンまたはそれらの組み合わせのいずれも独立して、置換もしくは非置換であり、前記アルキル、アルケニル、またはそれらの組み合わせのいずれも独立して、分岐または非分岐である)で示される、BDオキシダーゼ阻害化合物。
【0025】
式(D):
【化8】

(式中、
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
nは、0、1、2、3または4であり;
R’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
R’’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
任意のRグループにおける、アルキル、CH、シクロアルキル、アルコキシはいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの任意の組み合わせであり;
および
Qは、アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミン、アルキニル、プロパルギル、トリアゾール、ポリエチレングリコール、または本明細書で以下に示される任意のQのいずれかで、単独または任意の組み合わせであり、前記アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミンまたはそれらの組み合わせのいずれも独立して、置換もしくは非置換であり、前記アルキル、アルケニル、またはそれらの組み合わせのいずれも独立して、分岐または非分岐である)で示される、BDオキシダーゼ阻害化合物。
【0026】
式(E):
【化9】

(式中、
は、S、O、CH、CHR12、NH、またはNR13であり;R12は独立して、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、CFまたはOCFであり;R13は独立してアルキルであり;
は、CH、CR12またはNであり;R12は独立して、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、CFまたはOCFであり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、CH、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
は、H、D、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、F、アルコキシ、CF、OCF、SF、SF、PO(CH、COR’、CONH、CONHR’、CONR’R’’、NH、NHR’、NR’R’’またはCOOR’であり;
nは、0、1、2、3または4であり;
R’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
R’’は独立して、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールであり;
任意のRグループにおける、アルキル、CH、シクロアルキル、アルコキシはいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの任意の組み合わせであり;
および
Qは、アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミン、アルキニル、プロパルギル、トリアゾール、ポリエチレングリコール、または本明細書で以下に示される任意のQのいずれかで、単独または任意の組み合わせであり、前記アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミンまたはそれらの組み合わせのいずれも独立して、置換もしくは非置換であり、前記アルキル、アルケニル、またはそれらの組み合わせのいずれも独立して、分岐または非分岐である)で示される、BDオキシダーゼ阻害化合物。
【0027】
例えば、式(E)の化合物は、以下の式:
【化10】

【化11】
の一つを有し得る。
【0028】
式(E)を有する化合物の他の例としては、以下が包含される。
【化12】

【化13】
【化14】
【化15】

【化16】
【化17】
【化18】
【0029】
BDオキシダーゼ阻害剤の“Q”部分の例示
【0030】
本明細書中の任意の実施態様において、式(A)-(E)、(A’)、(A’’)および(B’)の化合物のどの1つにおいても、Qは、アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミン、アルキニル、プロパルギル、トリアゾール、ポリエチレングリコールのいずれかの、単独または任意の組み合わせであってもよく、前記アルキル、アルケニル、アリール、ビアリール、ビアリールエーテル、ヘテロアリール、複素環、環状アミンまたはそれらの組み合わせのいずれも独立して、置換もしくは非置換であり、前記アルキル、アルケニル、またはそれらの組み合わせのいずれも独立して、分岐または非分岐である。
実施態様において、Qは独立して、非置換または、C1-6アルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、サルフェート、メチルスルホン、ニトレート、カルボキシレート、カルボン酸、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、もしくはそれらの組み合わせで置換されていてもよい。
実施態様において、Qは独立して、非置換または、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、アリール、ヘテロアリールもしくはそれらの組み合わせで置換されていてもよい。
【0031】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは、アルキル、アルケニル、テルペン、ゲラニル、ゲラニルゲラニル、ファルネシルのいずれかであってもよい。
【化19】

前記アルキル、アルケニル、テルペン、ゲラニル、ゲラニルゲラニル、ファルネシルはいずれも、置換もしくは非置換であり;前記アルキルまたはアルケニルは分岐または非分岐であってもよい。
実施態様において、Qは独立して、非置換または、C1-6アルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、もしくはそれらの組み合わせで置換されていてもよい。
実施態様において、Qは独立して、非置換または、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、CF、OCF、SF、SF、スルファート、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、アリール、ヘテロアリールもしくはそれらの組み合わせで置換されていてもよい。
【0032】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化20】

を有していてもよい。
式中、それぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり、最大で2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、アルケニル、イソプロポキシ、シクロアルキル、環状アミン、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、ニトリル、アリール、ヘテロアリール、複素環、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、ピロール、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ピリジン、ピペリジン、ピリミジン、ピラジン、アゼピン、1,4-ジアゼピン、4H-ピラン、テトラヒドロピラン、インドール、キノリン、イソキノリン、クロマン、プリン、プテリジン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、または1H-イミダゾールであり;それぞれのRは独立して、分岐もしくは非分岐、置換もしくは非置換、またはそれらの組み合わせであってもよい。
実施態様において、それぞれのRは好適かつ独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、アルケニル、イソプロポキシ、シクロアルキル、環状アミン、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、ニトリル、アリール、またはヘテロアリールであってもよく;アルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシはいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
実施態様において、それぞれのRは好適かつ独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであってもよく;アルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシはいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
実施態様において、それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであってもよく;いずれのRにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
実施態様において、それぞれのRは独立して、非置換または、C1-6アルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、もしくはそれらの組み合わせで置換されていてもよい。
実施態様において、それぞれのRは独立して、非置換または、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、CF、OCF、SF、SF、スルファート、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、アリール、ヘテロアリールもしくはそれらの組み合わせで置換されていてもよい。
【0033】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化21】

を有していてもよい。
式中、それぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり、最大で2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、アルケニル、イソプロポキシ、シクロアルキル、環状アミン、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、ニトリル、アリール、ヘテロアリール、複素環、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、ピロール、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ピリジン、ピペリジン、ピリミジン、ピラジン、アゼピン、1,4-ジアゼピン、4H-ピラン、テトラヒドロピラン、インドール、キノリン、イソキノリン、クロマン、プリン、プテリジン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、または1H-イミダゾールであり;それぞれのRは独立して、分岐もしくは非分岐、置換もしくは非置換、またはそれらの組み合わせであってもよい。
実施態様において、それぞれのRは好適かつ独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、アルケニル、イソプロポキシ、シクロアルキル、環状アミン、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、ニトリル、アリール、またはヘテロアリールであってもよく;アルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシはいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
実施態様において、それぞれのRは好適かつ独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであってもよく;アルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシはいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
実施態様において、それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであってもよく;いずれのRにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
実施態様において、それぞれのRは独立して、非置換または、C1-6アルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、もしくはそれらの組み合わせで置換されていてもよい。
実施態様において、それぞれのRは独立して、非置換または、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、CF、OCF、SF、SF、スルファート、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、アリール、ヘテロアリールもしくはそれらの組み合わせで置換されていてもよい。
【0034】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化22】

を有していてもよい。
式中、環AにおけるそれぞれのYは独立して、CH、CR、N、またはC-環Bであり;環Aの最大2つのYがNであり;環Aの最大2つのYが独立してC-環Bであり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
環BにおけるそれぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり;環Bの最大2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
、R、またはそれらの組み合わせのいずれにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
【0035】
例えば、Qは以下の式:
【化23】

の1つを有し得る。
【0036】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化24】

を有していてもよい。
式中、環AにおけるそれぞれのYは独立して、CH、CR、N、またはC-(O-環B)であり;環Aの最大2つのYがNであり;環Aの最大2つのYが独立してC-(O-環B)であり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
環BにおけるそれぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり;環Bの最大2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
、R、またはそれらの組み合わせのいずれにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
【0037】
例えば、Qは以下の式:
【化25】

の1つを有し得る。
【0038】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化26】

を有していてもよい。
式中、環AにおけるそれぞれのYは独立して、CH、CR、N、またはC-環Cであり;環Aの最大2つのYがNであり;環Aの最大2つのYが独立してC-環Cであり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
環CにおけるZは、CHまたはNであり;環CにおけるそれぞれのWは独立して、CH、CHR10、CR1010、NH、NR10、S、SO、SO、またはOであり;環Cにおけるそれぞれのmは独立して、0-5であり;環Cは3-12員であり;それぞれのR10は独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、F、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
、R10、またはそれらの組み合わせのいずれにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
【0039】
例えば、Qは以下の式:
【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

の1つを有し得る。
【0040】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化31】

を有していてもよい。
式中、環AにおけるそれぞれのYは独立して、CH、CR、N、またはC-環Dであり;環Aの最大2つのYがNであり;環Aの最大2つのYが独立してC-環Dであり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
環DにおけるZは、CHまたはNであり;環DにおけるそれぞれのWは独立して、CH、CHR10、CR1010、NH、NR10、S、SO、SO、またはOであり;環Dにおけるそれぞれのmは独立して、0-5であり;環Dは7-23員であり;それぞれのR10は独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、F、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
、R10、またはそれらの組み合わせのいずれにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
【0041】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化32】

を有していてもよい。
式中、環AにおけるそれぞれのYは独立して、CH、CR、N、またはC-(環E-B)であり;環Aの最大2つのYがNであり;環Aの最大2つのYが独立してC-(環E-B)であり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
環EにおけるZは、CHまたはNであり;環EにおけるZは、CH、CR、またはNであり;それぞれのRは独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、F、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、ニトリルまたはヒドロキシであり;環EにおけるそれぞれのWは独立して、CH、CHR10、CR1010、NH、NR10、S、SO、SO、またはOであり;環Eにおけるそれぞれのmは独立して、0-5であり;環Eは3-12員であり;それぞれのR10は独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、F、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
環BにおけるそれぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり;環Bの最大2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
、R、R、R10、またはそれらの組み合わせのいずれにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
【0042】
例えば、Qは以下の式:
【化33】

【化34】

【化35】

の1つを有し得る。
【0043】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化36】

を有していてもよい。
式中、環AにおけるそれぞれのYは独立して、CH、CR、N、またはC-(環F-B)であり;環Aの最大2つのYがNであり;環Aの最大2つのYが独立してC-(環F-B)であり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
環FにおけるZは、CHまたはNであり;環FにおけるZは、CH、CR、またはNであり;それぞれのRは独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、F、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;環FにおけるそれぞれのWは独立して、CH、CHR10、CR1010、NH、NR10、S、SO、SO、またはOであり;環Fにおけるそれぞれのmは独立して、0-5であり;環Fは7-23員であり;それぞれのR10は独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、F、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
環BにおけるそれぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり;環Bの最大2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
、R、R、R10、またはそれらの組み合わせのいずれにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
【0044】
例えば、Qは以下の式:
【化37】
【化38】
の1つを有し得る。
【0045】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化39】

を有していてもよい。
式中、Xは、CH、CHR、CR、S、SO、SO、O、NHまたはNR
【化40】

であり;
それぞれのRは独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
それぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり;いずれか1つの環において最大2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
それぞれのWは独立して、CH、CHR10、CR1010、NH、NR10、S、SO、SO、またはOであり;それぞれのR10は独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、F、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
任意のRグループにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
【0046】
例えば、Qは以下の式:
【化41】
【化42】

の1つを有し得る。
【0047】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化43】

の1つを有していてもよい。
式中、Xは、CH、CHR、CR、S、SO、SO、O、NHまたはNRであり;それぞれのRは独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
14は独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、F、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、ニトリル、または
【化44】

であり;
それぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり;いずれか1つの環において最大2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
任意のRグループにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
【0048】
例えば、Qは以下の式:
【化45】

【化46】
の1つを有し得る。
【0049】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化47】

を有していてもよい。
式中、それぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり;いずれか1つの環において最大2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
それぞれのWは独立して、CH、CHR10、CR1010、NH、NR10、S、SO、SO、またはOであり;それぞれのR10は独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、F、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
任意のRグループにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
【0050】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化48】

の1つを有していてもよい。
式中、Xは、CH、CHR、CR、S、SO、SO、O、NHまたはNRであり;それぞれのRは独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
14は独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、F、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、ニトリル、または
【化49】

であり;
それぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり;いずれか1つの環において最大2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
任意のRグループにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
【0051】
例えば、Qは以下の式:
【化50】

【化51】

の1つを有し得る。
【0052】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化52】

の1つを有していてもよい。
式中、R14は独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、F、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、ニトリル、または
【化53】

であり;
それぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり;いずれか1つの環において最大2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
任意のRグループにおけるアルキル、t-ブチル、アルコキシ、イソプロポキシのいずれも、それぞれ独立して、置換もしくは非置換、分岐もしくは非分岐、またはそれらの組み合わせである。
【0053】
例えば、Qは以下の式:
【化54】

の1つを有し得る。
【0054】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化55】

を有していてもよい。
式中、Xは、CH、CHR、CR、S、SO、SO、O、NHまたはNRであり;それぞれのRは独立して、H、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルであり;
それぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり;いずれか1つの環において最大2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルである。
【0055】
例えば、Qは以下の式:
【化56】

の1つを有し得る。
【0056】
本明細書中の任意の実施態様において、Qは以下の式:
【化57】

の1つを有していてもよい。
式中、それぞれのYは独立して、CH、CR、またはNであり;いずれか1つの環において最大2つのYがNであり;それぞれのRは独立して、H、D、アルキル、t-ブチル、イソプロポキシ、CF、OCF、SF、SF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミン、またはニトリルである。
【0057】
本明細書の任意の実施形態において、Qは、アルキニル、プロパルギル、トリアゾールまたは置換トリアゾール基、またはそれらのPEG化誘導体、例えば、よく知られている「クリック」化学反応に適したQ基またはその生成物であり得る。たとえば、Qには次の式のいずれかが含まれる。
【化58】
【化59】
【化60】
(式中、oは1~30である。)
【化61】
【化62】

(式中、R15は、H、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C6-12アリール、またはC5-6ヘテロアリールである)
クリック反応の一例を次に示す。
【化63】
【0058】
他の例示的なCyt-bc1:aa3阻害剤、F1Fo-ATPシンターゼ阻害剤、およびNADHデヒドロゲナーゼ(NDH-2)活性化因子を以下に示す。
【化64】
【化65】
【0059】
【化66】
【化67】

【化68】

本明細書に記載のCyt-bd阻害剤と組み合わせて使用できる他の抗菌剤には、リファンピシン(RIF)、ピラジナミド(PZA)、イソニアジド(INH)、およびクラリスロマイシン(CLA)が含まれる。
【0060】
概要
以下の一般的な説明は、理解を深めるために提供されており、特に明記されていない限り、限定することを意図したものではない。
【0061】
アルキル基は、好ましくは、一価、非環式、直鎖もしくは分枝、置換もしくは非置換、飽和または不飽和の炭化水素基である。アルキル基は、(任意の置換などにかかわらず)一般式-C2n+1を有し得る。いくつかの実施形態では、nは1-6((C-C)アルキル)であり、これは、C、C、C、C、C、およびCアルキル基を適切に含み得る。アルキル基は、直鎖または分岐、置換または非置換、飽和または不飽和、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。1つまたは複数の水素は、任意に選択され、かつ独立して、1つまたは複数の置換基によって置き換えることができる。1つまたは複数の炭素原子は、任意に選択され、かつ独立して、O、S、N、B、またはそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数のヘテロ原子で置き換えることができる。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1つ以上の独立した二価の介在置換基を介して親構造に結合している。アルキル基のいくつかの例には、限定することを意図しないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、2級-ブチル、3級-ブチルなどが含まれる。アルキル基は、好ましくは、一価、非環式、直鎖もしくは分枝、置換もしくは非置換の飽和C1-C6、C1-C5、C1-C4、C1-C3、またはC1-C2炭化水素基であり得る。アルキル基は、好ましくは、一価、直鎖、置換もしくは非置換、飽和C-C、C-C、C-C、C-C、またはC-C炭化水素基であり得る。アルキル基は、好ましくは、一価、直鎖、非置換、飽和C-C、C-C、C-C、C-C、またはC-C炭化水素基であり得る。
【0062】
アルキル基上の1つまたは複数の水素は、独立してC-Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、カルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、またはそれらの組み合わせで置き換えることができる。
【0063】
アルケニル基は、好ましくは、一価の、直鎖または分岐の、置換または非置換の不飽和炭化水素基である。アルケニル基は、一般式(任意の置換、より高い不飽和度などにもかかわらず)-C2n-2を有し得る。いくつかの実施形態では、nは2-22((C-C22)アルケニル)であり、これは、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、およびC22アルケニル基を含む。アルケニル基は、直鎖もしくは分枝、置換もしくは非置換、複数の不飽和度、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。1つまたは複数の水素は、任意選択かつ独立して、1つまたは複数の置換基によって置き換えることができる。1つまたは複数の炭素原子は、任意に選択され、かつ独立して、O、S、N、B、またはそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数のヘテロ原子で置き換えることができる。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、1つまたは複数の独立した二価の介在置換基を介して親構造に結合している。アルケニル基のいくつかの例には、限定することを意図していないが、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル(アリル)、イソ-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、アルカジエン、アルカトリエン、テルペンなどを含む。アルケニル基は、好ましくは、一価、直鎖もしくは分枝、置換または非置換、不飽和のC-C22、C-C15、C-C10、C-C、またはC-C炭化水素基であり得る。アルケニル基は、好ましくは、一価、直鎖もしくは分岐、非置換、不飽和のC-C22、C-C15、C-C10、C-C、またはC-C炭化水素基であり得る。アルケニル基は、好ましくは、一価、直鎖、非置換、不飽和のC-C22、C-C15、C-C10、C-C、またはC-C炭化水素基であり得る。アルケニル基は、好ましくは、一価、直鎖、非置換、不飽和のC-C炭化水素基であり得る。アルケニル基は、好ましくは、ゲラニル、ファルネシル、ゲラニルゲラニルなどのテルペンであり得る。
【0064】
アルケニル基上の1つまたは複数の水素は、独立して、C-Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、またはそれらの組み合わせで置き換えることができる。
【0065】
シクロアルキル基は、好ましくは、一価、単環もしくは多環、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。シクロアルキル基は、一般式(任意の不飽和、置換などにもかかわらず)-C2n-1を有し得る。いくつかの実施形態では、nは3-8((C-C)シクロアルキル)であり、これは、好ましくは、C、C、C、C、C、またはCシクロアルキル基を含み得る。上記のように、シクロアルキル基は、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和、単環、二環、三環、もしくは多環、あるいはそれらの任意の組み合わせであり得る。1つまたは複数の水素は、任意に選択され、かつ独立して、1つまたは複数の置換基によって置き換えることができる。1つまたは複数の炭素原子は、任意に選択され、かつ独立して、O、S、N、B、またはそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数のヘテロ原子で置き換えることができる。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、1つ以上の独立した二価の介在置換基を介して親構造に結合している。シクロプロピル基のいくつかの例には、限定することを意図しないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが含まれる。多環式の場合、1つまたは複数の環は、結合または他の二価の介在置換基を介して結合し、縮合(例えば、1つまたは複数の環が2つ以上の炭素原子またはヘテロ原子を共有する)、単一の原子を介して結合する(例えば、スピロ化合物)、または架橋を形成し得る。シクロアルキル基は、好ましくは、一価、単環式もしくは多環式、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和のC-C、C-C、C-C、またはC-C炭化水素基であり得る。シクロアルキル基は、好ましくは、一価、単環式、置換もしくは非置換、飽和C-C、C-C、C-C、またはC-C炭化水素基であり得る。シクロアルキル基は、好ましくは、一価、単環式、非置換、飽和のC-C、C-C、C-C、またはC-C炭化水素基である。
【0066】
シクロアルキル基上の1つまたは複数の水素は、独立してC-Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、カルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、またはそれらの組み合わせで置き換えることができる。
【0067】
アルコキシ基は、好ましくは、-O-アルキル基から誘導される一価の基であり、これは、好ましくは、C、C、C、C、C、およびC-O-アルキル基を含み得る。いくつかの実施形態において、アルコキシ基は、1つ以上の独立した二価の介在置換基を介して親構造に結合され得る。アルコキシ基は、好ましくは、一価、非環式、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換の飽和C-C、C-C、C-C、C-C、またはC-Cアルコキシ基であり得る。アルコキシ基は、好ましくは、一価、直鎖、置換もしくは非置換の飽和C-C、C-C、C-C、C-C、またはC-Cアルコキシ基であり得る。アルコキシ基は、好ましくは、一価、直鎖、非置換、飽和のC-C、C-C、C-C、C-C、またはC-Cアルコキシ基であり得る。
【0068】
アルコキシ基上の1つまたは複数の水素は、独立して、C-Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、カルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、またはそれらの組み合わせで置き換えることができる。
【0069】
環状アミンは、好ましくは、環構成炭素の1つまたは複数が窒素で置き換えられているシクロアルキル基に由来する一価の基である。環状アミンは、好ましくは、1つまたは複数の窒素が2-8個の炭素と環を形成する3-9員環を有し得る。例えば、環状アミンは、以下のような式を有し得る。
【化69】
ここで、各xは独立して1~8であり得、そして2番目の構造の場合、「N・」基は水素または他の置換基で満たされ得る。各xは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、または8であってもよい。環状アミンは、窒素および他のヘテロ原子が存在する場合を含み、3、4、5、6、7、8、または9員環である。環状アミンにおいて、1つ以上のさらなる環構成炭素は、1つ以上のさらなるヘテロ原子、例えば、N、O、P、S、それらの酸化型、またはそれらの組み合わせで好ましくは置換され得る。環状アミンでは、1つまたは複数のさらなる環構成炭素を1つまたは複数のN、O、またはそれらの組み合わせで好ましくは置き換えることができる。環状アミンは、好ましくは置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和、単環式もしくは多環式、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。1つまたは複数の水素は、1つまたは複数の置換基によって好ましくは置き換えることができる。環状アミンは、環構成炭素または窒素を介して親構造に好ましくは結合することができる。いくつかの実施形態において、環状アミンは、1つ以上の独立した二価の介在置換基を介して親構造に結合され得る。環状アミンの非限定的な例には、アジリジン、アゼチジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジンなどが含まれる。
【0070】
環状アミン基上の1つまたは複数の水素は、独立して、C-Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、カルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、またはそれらの組み合わせで置き換えることができる。
【0071】
複素環式基は、好ましくは、1つまたは複数の環に1つまたは複数のヘテロ原子を含む、一価、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和、単環式もしくは多環式炭化水素基である。複素環式基は、好ましくは、1つまたは複数の環構成炭素が1つまたは複数のヘテロ原子で独立して置換されているC3-C20環状基であり得る。C3-C20複素環式基は、好ましくは、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、およびC20環状基であるか、1つまたは複数の環構成炭素が1つまたは複数のヘテロ原子で独立して置き換えられているそれらの組み合わせであってもよい。1つまたは複数のヘテロ原子は、1つまたは複数のN、O、またはS、またはそれらの任意の組み合わせから好ましくは選択することができる。NまたはS、あるいはその両方は、1つ以上の置換基で独立して置換され得る。NまたはS、あるいはその両方は、水素または他の置換基で独立して置換され得る。複素環式基は、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和、単環式、二環式、三環式、または多環式、あるいはそれらの任意の組み合わせであり得る。複素環式基の1つまたは複数の水素は、任意に選択され、かつ独立して、1つまたは複数の置換基によって置き換えることができる。必要に応じて、複素環式基は、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、炭素-窒素二重結合、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。複素環式基は、環構成炭素またはヘテロ原子、例えば窒素を介して親構造に適切に結合し得る。いくつかの実施形態では、複素環式基は、1つまたは複数の独立した二価の介在置換基を介して親構造に結合している。限定することを意図しないが、複素環式基のいくつかの例には、環状アミン、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチアジニル、テトラヒドロチアジアジニル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロジアジニル、オキサジニル、オキサチアジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、クロマニル、イソクロマニル、ベンゾオキサジニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、イミダゾリジン-1-イル、イミダゾリジン-2-イル、イミダゾリジン-4-イル、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペラジン-1-イル、ピペラジン-2-イル、ピペラジン-3-イル、1,3-オキサゾリジン-3-イル、イソチアゾリジン、1,3-チアゾリジン-3-イル、1,2-ピラゾリジン-2-イル、1,3-ピラゾリジン-1-イル、チオモルホリニル、1,2-テトラヒドロチアジン-2-イル、1,3-テトラヒドロチアジン-3-イル、テトラヒドロチアジアジニル、モルホリニル、1,2-テトラヒドロジアジン-2-イル、1,3-テトラヒドロジアジン-1-イル、1,4-オキサジン-2-イル、1,2,5-オキサチアジン-4-イル等を含む。複素環式基は、好ましくは、C-C12、C-C10、C-C、またはC-Cの飽和環式基であり、ここで、1つまたは複数の環構成炭素が独立して1つまたは複数のN、O、または他のヘテロ原子で置換される。複素環式基は、好ましくは、置換もしくは非置換のC-C12アリール基であり、ここで、環構成炭素のうちの多くても2つが窒素ヘテロ原子で置き換えられる。ヘテロアリール基は、好ましくは、置換もしくは非置換のC-C12アリール基であり、ここで、環構成炭素の1つが窒素ヘテロ原子で置き換えられている。
【0072】
複素環式基上の1つまたは複数の水素は、独立して、C-Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、カルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、またはそれらの組み合わせで置き換えることができる。
【0073】
アリール基は、好ましくは、一価、置換もしくは非置換、単環式または多環式芳香族炭化水素基である。アリール基は、ヒュッケルの理論に従い、環状で、非局在化(4n+2)パイ電子系を含む基であり得る。アリール基は、好ましくは、C、C、C、C、C10、C11、およびC12アリール基を含むC-C12アリール基であり得る。アリール基は、置換もしくは非置換であり、一緒になって環状基を形成する2つ以上の基、またはそれらの任意の組み合わせで置換され得る。いくつかの実施形態において、アリール基は、1つ以上の独立した二価の介在置換基を介して親構造に結合している。限定することを意図していないが、アリール基のいくつかの例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルなどが含まれる。
【0074】
アリール基上の1つまたは複数の水素は、独立して、C-Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、カルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、またはそれらの組み合わせで置き換えることができる。
【0075】
ヘテロアリール基は、好ましくは、一価、置換もしくは非置換、単環式または多環式芳香族炭化水素基であり、1つまたは複数の環構成炭素が、O、SおよびNから選択される1つまたは複数のヘテロ原子で独立して置き換えられている。前記ヘテロ原子に加えて、ヘテロアリール基は、環内に最大1、2、3、または4個の窒素原子を含んでいてもよい。ヘテロアリール基は、1つまたは複数の環構成炭素が1つまたは複数のヘテロ原子で独立して置き換えられるアリール基である。ヘテロアリール基は、好ましくは芳香族基であり、1つまたは複数のヘテロ原子を含み、ヒュッケルの理論に従い、環状で、非局在化(4n+2)パイ電子系を含む基であり得る。ヘテロアリール基は、好ましくは、C-C20ヘテロアリール基であり得る。C-C20ヘテロアリール基は、好ましくは、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、およびC20アリール基を含み、1つまたは複数の環構成炭素が1つまたは複数のヘテロ原子で独立して置き換えられているそれらの組み合わせであってもよい。ヘテロアリール基は、置換もしくは非置換であり得、一緒になって環状基を形成する2つ以上の基、またはそれらの任意の組み合わせで置換され得る。ヘテロアリール基は、環構成炭素またはヘテロ原子を介して、または1つまたは複数の独立した二価の介在置換基を介して、親構造に適切に結合され得る。限定することを意図しないが、ヘテロアリール基のいくつかの例には、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピロリル、オキサゾリル(例えば、1,3-オキサゾリル、1,2-オキサゾリル)、チアゾリル(例えば、1,2-チアゾリル、1,3-チアゾリル)、ピラゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル)、オキサジアゾリル(例えば、1,2,3-オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例えば、1,3,4-チアジアゾリル)、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、インドリルなどを含む。ヘテロアリール基は、好ましくは、置換もしくは非置換のC-C12アリール基であり、ここで、環構成炭素のうちの多くても2つが窒素ヘテロ原子で置き換えられる。ヘテロアリール基は、好ましくは、置換もしくは非置換のC-C12アリール基であり、環構成炭素の1つは、窒素ヘテロ原子で置き換えられる。
【0076】
ヘテロアリール基上の1つまたは複数の水素は、独立して、C-Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、カルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、またはそれらの組み合わせで置き換えることができる。
【0077】
実施形態において、ヘテロアリールまたは複素環の好ましい例には、フラン、置換フラン、チオフェン、置換チオフェン、オキサゾール、置換オキサゾール、イソキサゾール、置換イソキサゾール、イミダゾール、置換イミダゾール、ピロール、置換ピロール、ピロリジン、置換ピロリジン、テトラヒドロフラン、置換テトラヒドロフラン、ピリジン、置換ピリジン、ピペリジン、置換ピペリジン、ピリミジン、置換ピリミジン、ピラジン、置換ピラジン、アゼピン、置換アゼピン、1,4-ジアゼピン、置換1,4-ジアゼピン、4H-ピラン、置換4H-ピラン、テトラヒドロピラン、置換テトラヒドロピラン、インドール、置換インドール、キノリン、置換キノリン、イソキノリン、置換イソキオノイン、クロマン、置換クロマン、プリン、置換プリン、プテリジン、置換プテリジン、ベンズイミダゾール、置換ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、置換ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、置換ベンゾオキサゾール、ベンゾフラン、置換ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、置換ベンゾチアゾール、1H-インダゾール、および置換1H-インダゾールを含む。これらの置換ヘテロアリールまたは置換複素環の置換基のいくつかの例には、C-Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、またはそれらの組み合わせを含む。
【0078】
ビアリール基は、好ましくは、直接共有結合を介して、または、介在するメチレン、エチレン、プロピレンなどを介して、一緒に結合された2つのアリール基である。アリール基は同じであっても異なっていてもよい。ビアリール基は、好ましくは、1つのアリール基の環構成炭素の1つを介して、または介在する二価置換基を介して、親構造に直接接続され得る。ビアリール基は、好ましくは、-C-Cであり得る。
【0079】
ビアリール基上の1つまたは複数の水素は、独立して、C-Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、カルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、またはそれらの組み合わせで置き換えることができる。
【0080】
ビアリールエーテル基は、好ましくは、介在する酸素を介して一緒に結合された2つのアリール基である。アリール基は同じであっても異なっていてもよい。ビアリールエーテル基は、好ましくは、1つのアリール基の環炭素の1つを介して、または介在する二価置換基を介して、親構造に直接接続され得る。ビアリール基は、好ましくは、-C-O-Cであり得る。
【0081】
ビアリールエーテル基上の1つまたは複数の水素は、独立して、C-Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、t-ブチル、イソプロポキシ、アミン、ニトリル、ハロゲン、F、Cl、ヒドロキシ、CF、OCF、SF、SF、スルファート、メチルスルホン、ニトラート、カルボキシラート、カルボン酸、カルボキサミド、アリール、ヘテロアリール、環状アミン、シクロアルキル、複素環、またはそれらの組み合わせで置き換えることができる。
【0082】
ハロ基は、好ましくは、一価のハロゲン基またはハロゲン含有置換基、例えば、1つまたは複数のF、Br、Cl、I、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含むものである。ハロは好ましくはFまたはClであり得る。いくつかの実施形態では、ハロは好ましくはFである。
【0083】
薬学的に許容される担体は特に限定的ではなく、既知または一般的な溶媒、希釈剤、分散液、粉末、水、生理食塩水、DMSO、エタノールなどから選択することができ、これらは本明細書に開示される化合物および主題を与えられた当業者によって容易に決定される。
【実施例
【0084】
以下の実施例は、上記発明を例証するよう意図されており、その範囲を狭めるよう解釈されるべきでない。
【0085】
bdオキシダーゼ阻害剤の調製は、J.Med.Chem.,1999,42(22),pp4705-4713に記載されている方法である古典的なSARによって実施することができ、以下に示す:
【化70】
特定のSARの例:
【化71】
【化72】
パラジウムクロスカップリング(Buchwald)反応による:
【化73】

具体例:
【化74】
Fu-An Kang in Progress in Heterocyclic Chemistry、Volume 27、2015、29-59に記載されているホスホニウムカップリング反応による:
【化75】

【化76】
【0086】
選択されたキナゾリン中間体の調製:
【化77】
4-クロロ-7-フルオロキナゾリン(CAS:16499-62-0)は、文献の方法、たとえばBioorganic&Medicinal Chemistry Letters(2017)、27(21)、4885-4888; MedChemComm(2014)、5(9)、1290-1296; PCT国際出願2007071963、2007年6月28日;米国特許出願公開20050187231、2005年8月25日、に記載の方法により調整できる。
【化78】
一般的/典型的な手順は以下を含む:76.5g(64ml)のホルムアミド(1.7mol)中の18.2gのCAS:446-32-2(100mmol)の溶液を120-125℃で4時間加熱還流した。溶媒を減圧下で除去し、粗固体をエチルアルコールから再結晶化して、12.7gの化合物CAS:16499-57-3(収率、87%)を得た。7.3gの化合物CAS:16499-57-3(50mmol)に、230mlの塩化チオニル(2mol)を0℃で攪拌しながら滴下して加えた。反応液に2-3滴のN,N-ジメチルホルムアミドを加え、反応液を還流下で3-4時間加熱した。塩化チオニルを減圧下で除去し、得られた残渣を炭酸ナトリウムで洗浄した。生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層をMgSOで乾燥、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をSiOカラムクロマトグラフィーにより精製して、4-クロロ-7-フルオロキナゾリン(CAS:16499-62-0)を得た。
【0087】
【化79】
4-クロロキナゾリン(CAS:5190-68-1)は、文献の方法、例えば、Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters、27(21)、4885-4888;2017;RSC Advances、7(54)、34005-34011;2017;Journal of Heterocyclic Chemistry、54(4)、2548-2555;2017;Beilstein Journal of Organic Chemistry、13、174-181;2017; PCT国際出願、2016146074、2016年9月22日、に記載の方法により調整できる。
【0088】
ビアリールエーテルアニリンの合成:
4-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)アニリン(CAS:57478-19-0)は、Journal of Medicinal Chemistry、60(13)、5392-5406;2017;MedChemComm、6(4)、671-676;2015;Journal of Medicinal Chemistry、56(11)、4811-4815;2013、を含む文献の方法により調整できる。
【0089】
N-(4-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)キナゾリン-4-アミンの合成:
【化80】
N-(4-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)キナゾリン-4-アミンの合成。4-クロロキナゾリン(CAS:5190-68-1、700mg、4.3mmol)、4-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)アニリン(CAS:57478-19-0、1.08g、4.3mmol)および炭酸カリウム(587mg、4.3mmol)を15mLのDMSOに溶解した。反応液を110℃で12時間加熱した。反応液を真空で濃縮し、残渣をCHClに溶解し、5%酢酸溶液(2回)、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム(NaSO)で乾燥、濾過し、ついで真空で濃縮した。得られた粗生成物を、50%酢酸エチル:CHCl溶媒系を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1.27g(78%)のN-(4-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)キナゾリン-4-アミンを得た。加熱したイソプロパノールまたはCHCNからの再結晶により、淡色の結晶が得られた。 1H NMR(300 MHz、CDCl3)δ8.75(s、1H)、7.93(dd、J = 8.3、1.3 Hz、2H)、7.87 - 7.74(m、2H)、7.74(s、1H)、7.58(dd、 J = 8.5、7.1 Hz、4H)、7.16 - 7.02(m、4H)。 19F NMR(282 MHz、CDCl3))δ-61.72(s、3F)。-
【0090】
-
7-フルオロ-N-(4-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)キナゾリン-4-アミンの合成:
【化81】

7-フルオロ-N-(4-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)キナゾリン-4-アミンの合成。4-クロロ-7-フルオロキナゾリン(CAS:16499-62-0、480mg、2.6mmol)および4-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)アニリン(CAS:57478-19-0、662g、2.6mmol)はテトラヒドロフラン:イソプロパノールの3:1混合物(総量20mL)に溶解した。濃塩酸(0.1mL)を加え、反応物を70℃で10時間加熱した。反応物を真空で濃縮し、残留物をCHClに溶解し、飽和NaHCO溶液(2回)および飽和食塩水で洗浄した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム(NaSO)で乾燥、濾過し、次いで真空で濃縮した。得られた粗-生成物を加熱したCHCNまたはイソプロパノール中から再結晶により精製して、515mg(49%)の7-フルオロ-N-(4-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシ)フェニル)キナゾリン-4-アミンを透明な結晶として得た。 1H NMR(300 MHz、CDCl3)δ8.73(s、1H)、7.91(dd、J = 9.2、5.5 Hz、1H)、7.77 - 7.65(m、2H)、7.61 - 7.49(m、3H)、7.45( s、1H)、7.38 - 7.21(m、1H)、7.16 - 7.02(m、4H)。 19F NMR(282 MHz、CDCl3)δ-61.72(s、3F)、-104.15 - -104.30(m、1F)。
【0091】
プロトコル:
マイコバクテリア(M.bovisBCGおよびM.tuberculosis)におけるCyt-bd阻害剤スクリーニングアッセイ:
1.グリセロールを添加した7H9-ADS-tween80培地で、親株M.bovisBCGまたはM.tuberculosisを増殖させる。
2.対数増殖期中期の培地を採取する(OD600 0.2~0.5)。
3.7H9-ADS-tween80培地(グリセロールなし)で2回洗浄する。
4.接種材料のサイズを0.05のOD600に調整する。
5.白い96ウェル平底プレートで、100X薬剤中間プレート*から1μLの薬剤を各ウェルに分注する。
6.各ウェルに100μLの培養液を分注する。
7.プレートを加湿インキュベーターに37℃で15時間置く。
8.プレートを取り外し、室温まで冷ます。
9.製造元の指示に従って、BacTiter-GloTMを再構成する。
10.25μLのBacTiter-GloTM試薬を各ウェルに分注する。
11.プレートを室温暗所で12(10~20)分間インキュベートする。
12.マイクロプレートリーダーで発光を読み取る(ゲイン:135;積分時間:1秒)。
13.用量反応曲線をプロットし、Q203の存在下または非存在下での試験化合物のATPIC50値を得る。
【0092】
*薬物中間プレート:
(200Xプレート):
DMSOを希釈剤として使用し、5mMから開始して96ウェル丸底プレートで各試験化合物の2倍段階希釈を実行し、10倍希釈する。
20μMのQ203ストックを準備する。
(100Xプレート):
「化合物のみ」の希釈プレートを準備するには、各薬物希釈液(試験化合物)10μLを200Xプレートから新しいプレートに移し、各ウェルに等量のDMSOを加える。
「Q203を含む化合物」希釈プレートを準備するには、各薬物希釈液(テスト化合物)10μLを200Xプレートから新しいプレートに移し、各ウェルに等量の20μMQ203ストックを追加する。
【0093】
図1a-bは、H37Rv-Mtbに対してND-11992(cpd-21)で生成されたデータを示す。
図2a-bは、N0145-Mtb臨床株に対してND-11992で生成されたデータを示す。
図3a-bは、ウシ型結核菌BCGに対してND-11992(cpd-21)で生成されたデータを示す。
【0094】
ND-11992(bdオキシダーゼ阻害剤)およびQ203(cyt-bc1:aa3阻害剤)は、結核菌感染の急性マウスモデルで単独および組み合わせて評価した。ND-11992(10mg/kg PO)+Q203(5mg/kg PO)は、5日間経口投与すると、殺菌効果があり、細菌が1.5log10CFU低下する。併用療法は、10mg/kgのND-11992(CFU低下なし)または5mg/kgのQ203(0.5CFU低下)よりも優れていた。両方の化合物は、単剤として単独で投与された場合、静菌性であった。結果を図4に示す。
ND-11992(bdオキシダーゼ阻害剤)およびND-11598(cyt-bc1:aa3阻害剤)は、チェッカーボードアッセイでさまざまなマイコバクテリウムアブセサス臨床検体に対して評価された。両方の薬剤を組み合わせて使用した場合、MICに対する相加効果が観察された。MIC値はμg/mLで示される。
【0095】
【表1】
ND-11992(bdオキシダーゼ阻害剤)およびND-11598(cyt-bc1:aa3阻害剤)は、チェッカーボードアッセイでマイコバクテリウムアビウム-細胞内複合体(MAIC)のさまざまな非結核性抗酸菌(NTM)臨床分離株に対して評価された。両方の薬剤を組み合わせて使用した場合、MICに対する相加的かつ相乗的な効果が観察された。
MIC値はμg/mLで示す。
【0096】
【表2】
本明細書に記載の各参考文献、特許、刊行物、特許出願、およびURLの全内容は、詳細に記載されている場合と同じように、参照により本明細書に組み込まれる。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図5-5】
図5-6】
図5-7】
図5-8】
図5-9】
図5-10】
図5-11】
図5-12】
図5-13】
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図5-33】
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図5-36】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図6-5】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図7-5】
図7-6】
図7-7】
図7-8】
図7-9】
図7-10】
図7-11】
図7-12】
図8-1】
図8-2】
【国際調査報告】