(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】コントローラを一体化したモータ駆動式搬送ローラ
(51)【国際特許分類】
B65G 23/08 20060101AFI20220204BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20220204BHJP
【FI】
B65G23/08
B65G43/08 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536335
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 EP2019086241
(87)【国際公開番号】W WO2020127686
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】102018133478.8
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521268576
【氏名又は名称】インターロール ホールディング アクツィエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Interroll Holding AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ハンぺ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンツェ,ハーバート
【テーマコード(参考)】
3F027
【Fターム(参考)】
3F027AA03
3F027CA01
3F027DA33
3F027EA01
3F027FA12
(57)【要約】
本発明は、ローラ軸を中心に回転可能に取り付けられたローラ本体と、ローラ本体の内部に配置され、軸要素とローラ本体との間にローラ軸を中心とした回転運動を発生させるように設計された駆動ユニットとを備えた電動式搬送ローラに関する。本発明は、ローラ本体の内部に配置された制御ユニットであって、ローラ本体の外部から状態信号を受信し、状態信号に基づいて駆動特性を示す制御信号を生成し、制御信号を用いて駆動ユニットを作動させ、状態信号および/または駆動特性を示す自己状態信号を生成し、自己状態信号をローラ本体の外部に送信するように設計された制御ユニットによって特徴付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式搬送ローラであって、
-ローラ軸を中心に回転できるように取り付けられたローラ本体と、
-前記ローラ本体の内部に配置され、軸要素と前記ローラ本体との間に前記ローラ軸を中心とした回転運動を発生させるように設計された駆動ユニットとを備えた電動式搬送ローラにおいて、
前記ローラ本体の内部に配置された制御ユニットであって、
-前記ローラ本体の外部から状態信号を受信し、
-前記状態信号に基づいて、駆動特性を示す制御信号を生成し、
-前記制御信号により、前記駆動ユニットを制御し、
-前記状態信号および/または前記駆動特性を示す自己状態信号を生成し、
-前記自己状態信号を前記ローラ本体の外部に送信するように設計された制御ユニットによって特徴付けられる電動式搬送ローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送ローラにおいて、
前記軸要素が、中空軸として設計され、かつトルクに関して固定される形で搬送ローラフレームに取り付けられるように設計されており、信号ラインが、前記中空軸を通して配線され、前記制御信号を送信するように前記制御ユニットに接続されていることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の搬送ローラにおいて、
前記ローラ本体に対する前記軸要素の回転軸受が、前記制御ユニットと、前記制御信号を伝送するように前記制御ユニットに接続された信号ラインの外部接続部との間に、配置されていることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、デジタル状態信号を受信するように設計された少なくとも1の動作モードを有し、前記デジタル状態信号が、好ましくはバス符号化信号であることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、状態信号として、
-前記ローラ本体の外側に配置されたセンサからのセンサ信号、および/または、
-別の電動式搬送ローラからの自己状態信号
を受信するように設計され、
前記制御ユニットが、前記センサ信号および/または前記自己状態信号に基づいて、前記制御信号を生成するように設計されていることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、状態信号としてデジタル信号を受信し、自己状態信号としてデジタル信号を送信するように設計され、
前記状態信号が、好ましくは、第1のアドレスデータ部および第1のコンテンツデータ部を有する、バスベースの通信用に設計された第1のデータ構造を有し、前記自己状態信号が、第2のアドレスデータ部および第2のコンテンツデータ部を有する、バスベースの通信用に設計された第2のデータ構造を有し、前記第1のデータ構造と前記第2のデータ構造が、より好ましくは一致することを特徴とする搬送ローラ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記駆動特性が、
-前記駆動ユニットのオン/オフ状態、
-駆動トルク、
-前記駆動ユニットの駆動トルクプロファイル、
-前記駆動ユニットまたは前記ローラ本体の速度、
-前記駆動ユニットまたは前記ローラ本体の速度プロファイル、
-前記駆動ユニットの制動トルク、または
-前記駆動ユニットの制動トルクプロファイル
のなかから選択されるか、またはこれらの駆動特性のうちの2以上の組合せであることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、駆動特性プロファイルまたは複数の駆動特性プロファイルが記憶された記憶デバイスを有し、各駆動特性プロファイルには個別のバイナリコードが割り当てられ、前記記憶デバイスが、受信したデジタル信号と個別のバイナリコードを比較し、受信したデジタル信号に対応する割り当てられた個別のコードを有する駆動特性プロファイルで、前記駆動ユニットを制御するように設計されていることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記駆動ユニットが、ブラシレス電気モータを有し、前記制御ユニットが、前記電気モータを制御する整流電子部品を有することを特徴とする搬送ローラ。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の搬送ローラ、または請求項1のプリアンブルに記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、電子メモリを備え、かつ、
-プログラミングデータを受信し、
-前記プログラミングデータを前記電子メモリに格納し、
-前記プログラミングデータに基づいて、前記制御信号を生成するように設計されていることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項11】
請求項10に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、前記プログラミングデータに基づいて、第1の制御信号と第2の制御信号との間で切り替えられるように設計され、
-前記第1の制御信号が、単一排出モードに対応する第1の制御シーケンスのための制御信号であり、単一排出モードでは、送り先空間が空いていることを知らせる状態信号に基づいて、前記駆動ユニットを作動させる駆動特性を示す制御信号が生成され、
-前記第2の制御信号が、ブロック排出モードに対応する第2の制御シーケンスのための制御信号であり、ブロック排出モードでは、隣接する電動式搬送ローラの駆動ユニットの作動を知らせる状態信号に基づいて、前記駆動ユニットを作動させる駆動特性を表す制御信号が生成されることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項12】
請求項10または11に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、電子メモリを有し、プログラミング信号を受信して、プログラミング命令に基づいて、かつプログラミング命令に応じて、
-状態信号と駆動特性との間の、特にアルゴリズムによって記述される論理的依存関係、
-状態信号と駆動特性プロファイルとの間の、特にアルゴリズムによって記述される論理的依存関係、または
-駆動特性プロファイル
を前記電子メモリに記憶するように設計され、前記プログラミング命令が、好ましくはデジタルプログラミング命令、特にバス符号化プログラミング命令であることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、
-アナログ動作モードにおいて、アナログ制御信号を受信して、そのアナログ制御信号に基づいて前記駆動ユニットを制御し、
-予め設定されたアナログ制御信号を受信すると、デジタル動作モードに移行し、
-前記デジタル動作モードにおいて、デジタル制御データを受信して、それらを制御信号またはプログラミング信号として処理するように設計され、
-前記デジタル制御データが、好ましくはバス符号化制御データであることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載されているような、第1の制御ユニットを有する少なくとも1の第1の搬送ローラと、請求項1乃至13の何れか一項に記載されているような、第2の制御ユニットを有する第2の搬送ローラとを含む搬送ローラ装置であって、
前記第1の制御ユニットおよび前記第2の制御ユニットが、デジタル信号ラインによって互いに接続され、前記第1の搬送ローラの第1の制御ユニットが、デジタルの第1の自己状態データを前記第2の制御ユニットに送信し、前記第2の制御ユニットからデジタルの第2の自己状態データを受信し、前記第2の搬送ローラから受信した前記第2の自己状態データに基づいて前記第1の搬送ローラの駆動ユニットを制御するように設計され、前記第1の自己状態データおよび前記第2の自己状態データが、好ましくはバス符号化データであることを特徴とする搬送ローラ装置。
【請求項15】
請求項14に記載の搬送ローラ装置において、
一方の搬送ローラが、第1の搬送ゾーンで被搬送物を搬送するように配置され、他方の搬送ローラが、第2の搬送ゾーンで被搬送物を搬送するように配置され、前記第1および第2の自己状態データが、前記第1の搬送ゾーンにおける被搬送物の存在に関する情報または前記第2の搬送ゾーンにおける被搬送物の存在に関する情報を含むことを特徴とする搬送ローラ装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載の搬送ローラ装置において、
前記自己状態データが、
-前記搬送ローラの駆動ユニットの駆動状態を示す自己状態データ、
-前記搬送ローラに接続されたセンサからのセンサ信号を示す自己状態データ、
-前記搬送ローラの駆動ユニットに対する制御コマンドを示す自己状態データのなかから選択されることを特徴とする搬送ローラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラ軸を中心に回転できるように取り付けられたローラ本体と、ローラ本体の内部に配置され、軸要素とローラ本体との間でローラ軸を中心とした回転運動を発生させるように設計された駆動ユニットと、制御信号を受信して、制御信号に基づいて駆動ユニットを制御し、制御信号により予め定められた特性で駆動を行うように設計された制御ユニットとを備える電動式搬送ローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この構造タイプの電動式搬送ローラは、コンベア装置で使用されている。この場合、複数の電動式搬送ローラがコンベアシステムに設置されることが多い。コンベアシステムは、多くの場合、搬送される物体が連続して通過する複数の搬送ゾーンから形成される。この場合、各搬送ゾーンには、少なくとも1の電動式搬送ローラが設けられる。このタイプの構造により、複数の物体を搬送デバイス内で同時に搬送することができ、個々の搬送ゾーンの電動式搬送ローラが適宜駆動されることにより、プロセス中のそれら物体間の接触を回避することができるようになっている。これにより、いわゆるゼロプレッシャー集積搬送が実現され、今日では、被搬送物の損傷を確実に防止するために、それが多くの用途で求められている。
【0003】
そのため、例えば、単一排出モードにおいて、ゼロプレッシャー集積方式で電動式搬送ローラを制御することが知られている。この動作モードでは、搬送ローラは、下流側に位置する隣接する搬送ゾーンが空いているときに、その搬送ゾーンで物体を搬送するように単に制御される。別のゼロプレッシャー集積の動作モードは、ブロック排出モードとして知られている。このブロック排出モードでは、隣接する搬送ゾーンに沿ったすべての電動式搬送ローラが同時に制御され、隣接する搬送ゾーンが物体で占められている場合でも、物体が送り込まれる搬送ゾーンが、その搬送ゾーンにあった物体を同時に送り出すため、非接触で搬送することが可能になる。
【0004】
このような搬送デバイスの電動式搬送ローラを制御するために、様々な制御システムが既に知られている。原則として、すべての電動式搬送ローラが上位の中央制御ユニット(例えば、PLCの形態)によって制御される制御システムが既に知られている。この種の制御システムでは、中央制御ユニットにおいて必要な情報の状態を確保するとともに、中央制御ユニットから搬送ゾーンの個々の電動式搬送ローラに対応する制御コマンドを送るためには、搬送ゾーンから中央制御ユニットへ、また中央制御ユニットから搬送ゾーンへと、対応するデータ伝送を確立することが必要である。そのようなシステムは、各搬送ゾーンから中央制御ユニットへの個別の接続としても、バスベースのシステムの形態としても知られている。
【0005】
また、1または2の電動式搬送ローラが、それら搬送ローラに隣接して配置された分散型制御ユニットにリンクされ、そのような複数の分散型制御ユニットが搬送デバイスに沿って適宜配置された制御システムも知られている。搬送経路に沿って局所的に配置されたそれらの制御ユニットは、この場合、互いに信号を伝送するように互いに結合されている。その結合は、それぞれ隣接する制御ユニットに限定することができ(いわゆるピアツーピア接続)、各制御ユニットは、その上流側および下流側に位置する制御ユニットのみから信号を受信し、信号を送信することができる。この場合も、制御ユニットが信号バスラインで互いに接続されているバスベースのシステムが知られている。
【0006】
それぞれ隣接する制御ユニットを直接ピアツーピアで接続する場合の一つの欠点は、ケーブル配線に多大な費用がかかることである。これは、バス信号の伝送によって改善することができる。従来から知られているシステムの欠点の1つは、それらが中央で制御されるシステムであるか、または分散的に制御されるシステムであるかにかかわらず、より複雑な機能性が、制御ユニットの複雑なプログラミングによってのみ達成することができ、制御ユニットは、この目的のために別個に設置されて、特定の電動式搬送ローラに目標とする方法で接続されなければならず、また、制御ユニット、または制御ユニットから電動式搬送ローラへの接続ラインが損傷すると、それがコンベア装置の全体的な故障につながる可能性があることである。また、これは複雑な設置手段でしか是正されない場合もある。このような背景から、一般的な目的は、簡単で信頼性の高い方法で搬送シーケンスの論理プログラミングを可能にし、これに必要な制御ユニットおよび制御ラインを、損傷から可能な限り保護する方法で配置することである。
【発明の概要】
【0007】
この目的は、ローラ本体の内部に配置された制御ユニットであって、ローラ本体の外部から状態信号を受信し、この状態信号に基づいて駆動特性を示す制御信号を生成し、この制御信号によって駆動ユニットを制御し、状態信号および/または駆動特性を示す自己状態信号を生成し、この自己状態信号をローラ本体の外部に送信するように設計された制御ユニットによって展開される、冒頭に説明したタイプの電動式搬送ローラによって達成される。
【0008】
本発明に係る電動式搬送ローラによれば、先ず、制御ユニットがローラ本体の内部に配置され、この場合、ローラ本体の外部から状態信号を受信するように設計されている。この状態信号は、例えばセンサ信号であってもよく、制御ユニットは、この状態信号に基づいて駆動ユニットを制御するように設計されている。すなわち、外部から供給される状態信号に基づいて、電動式搬送ローラによる搬送プロセスを自律的に制御するように完全に設計された制御ユニットが、ローラ本体の内部に配置されている。この電動式搬送ローラのおかげで、制御ユニットを適切にプログラミングすることにより、搬送経路全体に沿って自律的な搬送プロセスを実行することができ、例えば、供給されるセンサ信号に基づいて駆動ユニットを制御し、搬送ロジックを自律的に制御することができる。
【0009】
したがって、本発明に係る電動式搬送ローラは、ローラ本体の外部に配置され、当該電動式搬送ローラに接続されて当該電動式搬送ローラに制御コマンドを送信する外部の制御ユニットを必要としない。むしろ、本発明に係る搬送ローラは、状態データに基づいて制御シーケンスを独立して実行するように、つまり、それらの供給されたセンサデータに基づいて、電動式搬送ローラの動きを実行するように設計されている。
【0010】
ローラ本体内の制御ユニットは、先ず第一に、損傷から十分に保護され、かつ駆動ユニットを制御するための直接接続が可能であり、その直接接続が電動式搬送ローラの製造時に確立される。制御ユニットは、同時に、ローラ本体の外部から状態信号を受信するように設計されている。この状態信号は、例えば、電動式搬送ローラが使用される搬送デバイスの内部に配置されたセンサからのセンサ信号であってもよい。
【0011】
さらに、制御ユニットは、自己状態信号を生成してローラ本体の外部に送信するように設計されている。この自己状態信号の処理により、搬送ローラの動作状態、または動作状態を規定する信号を外部に発信することが可能となり、その結果、搬送に組み込まれた他のコンポーネントがそれらの自己状態信号を用いて制御動作を規定することができる。あるローラの自己状態信号が別のローラの状態信号になり得る自己状態信号のデータ交換は、搬送システム内の個々の搬送ローラを、完全に実装された制御インテリジェンスで自律的に制御することができ、この目的のために搬送ローラの外部に中央制御ユニットまたは分散型制御ユニットが必要とされることはない。
【0012】
また、状態信号は、電動式搬送ローラに隣接して配置された搬送ローラから発信され、この隣接する搬送ローラの動作状態を知らせる信号であってもよい。このため、制御ユニットは、状態信号として、上流側または下流側(またはその両方)に位置する搬送ローラからの自己状態信号を受信するように設計されるものであってもよく、この自己状態信号は、それらの隣接する電動式搬送ローラが駆動しているか、または静止しているかを知らせるものであってもよい。
【0013】
ただし、状態信号には、これを超える論理情報が含まれている場合もあり、例えば、信号は、隣接する搬送ローラ、つまり上流側または下流側に位置する搬送ローラ、またはその両方から受信され、それら信号が、それらの隣接する搬送ローラにより状態信号として受信された信号、例えば、それらの隣接する搬送ローラの1つにセンサ信号として供給された信号であり、この信号を当該搬送ローラの制御ユニットが電動式搬送ローラの制御ユニットに転送するものであってもよい。
【0014】
電動式搬送ローラの制御ユニットは、特に、駆動ユニットの動作状態を特徴付ける自己状態信号、および/または状態信号として受信したセンサ信号を特徴付ける自己状態信号を生成して、ローラ本体から送信し、それによりこの自己状態信号が隣接する電動式搬送ローラに送信されてその制御ユニットで受信されるように設計することができる。隣接する2つのローラ間で両方向に自己状態信号を伝送することは、特に、両方の電動式搬送ローラが本発明に従って設計されて、ローラ本体内に対応して装備および設計された制御ユニットを有する場合に有利である。これにより、隣接する2つの電動式搬送ローラは、ローラ本体の外部にある外部制御ユニットを必要とせずに、よってこの外部制御ユニットとの間で必要とされる信号の送信を必要とせずに、搬送プロセスの自律的なシーケンスを実行することができる。
【0015】
本発明によれば、自己状態信号および状態信号がそれぞれ予め設定されたデータ構造を有し、自己状態信号および状態信号のデータ構造が同一であることが特に好ましい。これにより、電動式搬送ローラにより搬送経路を構築することが可能となり、この搬送経路が、本発明に係る一致した設計の複数の電動式搬送ローラを含み、それらの電動式搬送ローラが、信号を伝送するために互いに接続され、その結果、ローラ本体の内部に配置されたそれぞれの制御ユニットが、他の電動式搬送ローラから送信された自己状態信号の形態の状態信号を受信して、他の電動式搬送ローラから受信したそれらの自己状態信号に基づいて、自己の電動式搬送ローラの駆動ユニットを制御することが可能になる。同時に、電動式搬送ローラの制御ユニットは、電動式搬送ローラの現在の動作状態を特徴付ける自己状態信号を生成して送信することができ、また、制御ユニットに存在する他の情報を含むことができ、制御ユニットによって電動式搬送ローラから送信されたこの自己状態信号は、搬送デバイスに設置された他の電動式搬送ローラによって状態信号として受信され、それらがそれぞれの駆動ユニットを制御するように機能する。
【0016】
第1の好ましい実施形態によれば、軸要素が中空軸として設計されるとともに、トルクに関して固定的に搬送ローラフレームに固定されるように設計され、信号ラインが、制御信号を送信するために、中空軸を通って配線されて制御ユニットに接続される。この好ましい実施形態によれば、軸要素が、先ず、機械的な能動要素として機能し、駆動ユニットのトルクを支えるために、トルクに関して固定的な方法で搬送ローラフレームに固定することができる。この目的のために、軸要素は、好ましくは、搬送ローラフレームへの適切な摩擦接続を形成するために、例えば外部コーンとして設計される適切な外部形状を備える。代替的または追加的には、フォームフィッティング接続を介して回転固定作用を有する軸要素の外部形状が考えられ、例えば、トルク伝達フランジ接続のタイプに応じて複数エッジ軸および他の構造として形成される。また、軸要素は、中空軸として設計され、それによりローラ本体の外側からローラ本体内に信号ラインを通すことができる。これにより、搬送ローラの構造は、特に損傷を受け難く、1本の信号ラインを外部から中空軸内に挿入するだけでよく、その後、中空軸内で保護された状態でローラ本体内に導き、そこからさらに制御ユニットへと導くことができる。これにより、ローラ本体の外部に追加の接続デバイスを設ける必要がなくなり、特に、制御ユニットによってローラ本体に伝達されるすべての状態信号と、ローラ本体から外部に伝達されるすべての状態信号が、中空軸内に案内された信号ラインを介して送信されるようになる。これにより、本発明に係る搬送ローラを含む搬送デバイスの堅牢性と組立容易性および配線の容易性を同時に実現することができる。
【0017】
さらに好ましくは、制御ユニットと、制御信号を伝送するために制御ユニットに接続される信号ラインの外部接続部との間に、ローラ本体に対する軸要素の回転軸受が配置されている。この実施形態によれば、信号ラインの外部接続部が設けられている。ローラ本体に対する軸要素の回転軸受は、この外部接続部と、ローラ本体内に配置された制御ユニットとの間に配置されている。この配置は、ここでは幾何学的に理解されるべきであり、つまり、信号ラインの接続部から制御ユニットへの信号伝達は、この回転軸受によって軸要素内で幾何学的に配線される。信号ラインの外部接続部と制御ユニット自体はともに、通常、位置的に固定されており、つまり回転可能に取り付けられておらず、ローラ本体は、回転軸受に案内されて、軸要素と制御ユニットを中心に回転するようになっている。この構造により、ローラ本体の回転軸受を、ローラ本体の高負荷時に十分な軸受距離を持って好適に配置することができる。これにより、制御ユニットをローラ本体の内部に好都合かつ保護された状態で配置することができるようになる。
【0018】
さらに好ましい実施形態によれば、制御ユニットが、ローラ本体の外側に配置されたセンサからのセンサ信号および/または別の電動式搬送ローラからの自己状態信号を状態信号として受信するように設計され、制御ユニットが、このセンサ信号および/またはこの自己状態信号に基づいて制御信号を生成するように設計される。この好ましい実施形態によれば、2種類の状態信号が提供され、それに応じて制御ユニットが設計される。状態信号は、ローラ本体の外部に配置されたセンサからのセンサ値を含むセンサ信号であってもよい。このセンサ信号は、アナログ信号またはデジタル信号であってもよく、制御ユニットは、対応するアナログ信号またはデジタル信号を処理するように設計することができる。
【0019】
例えば、搬送ローラの上方の特定の領域における物体の有無を知らせる光バリアセンサからの信号がセンサ信号として考慮される。また、搬送ローラの領域、搬送ローラの上流側または下流側において搬送ローラが搬送する搬送経路に挿入されるソータ、ダイバータ、昇降システムなどの位置または設定を含むセンサ信号を提供することもできる。また、状態信号は、別の電動式搬送ローラからの自己状態信号であってもよい。この場合、制御ユニットは、別の電動式搬送ローラによって自己状態信号として出力される状態信号を受信して処理する。この自己状態信号は、制御ユニットにおいて状態信号として受信される。
【0020】
この場合、自己状態信号は、例えば、他の搬送ローラが動いているか否かに関する情報を含むことができるが、自己状態信号は、他のローラの移動方向、他の搬送ローラの移動期間、他の搬送ローラの加減速など、これ以上の情報を含むことができる。
【0021】
また、他の搬送ローラからの自己状態信号は、さらに、状態信号として他の搬送ローラに送信されたデータコンテンツ、すなわち、例えば、他の搬送ローラの外部に配置されたセンサからのセンサ信号であって、状態信号として他の搬送ローラに供給されたものを含むことができる。
【0022】
最後に、他の電動式搬送ローラからの自己状態信号は、他の電動式搬送ローラに供給される第3の電動式搬送ローラからの自己状態信号を含むデータコンテンツを含むことができる。これにより、2以上の搬送ローラの信号ベースの接続を介して、信号伝達に関して互いに結合された電動式搬送ローラの各々で自己状態信号を送信することにより、少なくとも直ぐ下流側に位置する電動式搬送ローラ、場合によっては直ぐ上流側に位置する電動式搬送ローラに自己状態信号を供給することが可能となり、さらに、他のすべての電動式搬送ローラの自己状態信号が各電動式搬送ローラで受信されるという選択肢も提供することが可能となる。複数の自己状態信号の形態で、同様に代替的または追加的には、ローラ本体の外側に配置された複数のセンサからの複数のセンサ信号の形態で、状態信号を供給することは、特に、搬送ローラのバスベースの信号ベースの結合方法によって達成することができる。自己状態信号を構成する対応するデータパケットの送信元を適切にアドレス指定および識別することにより、データの範囲および伝送時間に関して信頼性が高くコンパクトな方法で、複数の電動式搬送ローラ間のデータ伝送を実行することが可能となる。
【0023】
より好ましくは、制御ユニットが、状態信号としてのデジタル信号を受信し、自己状態信号としてのデジタル信号を送信するように設計され、状態信号が、好ましくは、第1のアドレスデータ部と第1のコンテンツデータ部とを有する、バスベース通信用に設計された第1のデータ構造を有し、自己状態信号が、第2のアドレス部と第2のコンテンツデータ部とを有する、バスベース通信用に設計された第2のデータ構造を有し、第1のデータ構造と第2のデータ構造とが一致することがより好ましい。それぞれの場合に、状態信号および自己状態信号として、デジタル信号が使用される。特に、アドレスデータ部とコンテンツデータ部を有するデータ構造を持つバス符号化信号が提供される。バスデータシステム内に設けられたレシーバまたは複数のレシーバは、この場合、好ましくはアドレスデータ部に符号化される。また、状態信号や自己状態信号が送信されたバスデータシステム内のサブスクライバを特徴付ける送信側アドレスも、アドレスデータ部に符号化されるようにしてもよい。
【0024】
これにより、例えば、特定のセンサがバス符号化状態信号としてバスベースのデータシステムにセンサ信号を送信する場合に、そのセンサを明確に識別することができる。また、バス符号化自己状態信号をバスベースのデータシステムに送信する特定の電動式搬送ローラも、同様に、アドレスデータ部に基づいて識別される。このため、状態信号および自己状態信号は、データパケットの形態で送受信される。このようなデータパケットは、アドレスデータ部に加えて、状態特性値または複数の状態特性値を含むコンテンツデータ部を含む。そのような状態特性値は、例えば、駆動特性を示すことができる。バスベースの通信を用いて、状態信号と自己状態信号の両方をデータ構造の形態で送受信する場合、状態信号のデータ構造と自己状態信号のデータ構造が一致することが特に好ましい。この場合、搬送デバイス内のすべてのサブスクライバによって使用される単一のバスプロトコルを使用して、この搬送デバイス内で対応する自己状態信号および対応する状態信号を送受信することができ、その結果、例えば、そこに設置された本発明に係る電動式搬送ローラが、ローラ本体の外側および他の電動式搬送ローラに配置されたセンサからのセンサ信号または自己状態信号を状態信号として受信して処理することができ、同様に、この電動式搬送ローラは、バスベースのデータシステムに接続された他の電動式搬送ローラまたは他のサブスクライバに自己状態信号を送信し、それらのサブスクライバから自己状態信号を受信することができる。
【0025】
さらに好ましい実施形態によれば、駆動特性が、駆動ユニットのオン/オフ状態、駆動トルク、駆動ユニットの駆動トルクプロファイル、駆動ユニットまたはローラ本体の速度、駆動ユニットまたはローラ本体の速度プロファイル、駆動ユニットの制動トルクまたは駆動ユニットの制動トルクプロファイルのなかから選択されるか、またはこれらの駆動特性のうちの2以上の組合せである。この展開によれば、制御のために制御ユニットからローラ本体内部の駆動ユニットに送信され、かつ自己状態信号内に示される制御信号は、電動式搬送ローラまたはその駆動ユニットの複数の動作パラメータのなかから選択される。駆動特性は、この場合も、それら動作パラメータのうちの複数の動作パラメータを含むことができ、あるいは2つのそのような動作パラメータ間のリンクからなる動作パラメータによって形成されるものであってもよい。この場合の駆動特性は、特に、搬送ローラまたは駆動ユニットが作動しているか否か、すなわち動いているか否かを知らせる動作パラメータを含み、駆動特性はさらに、駆動動作を特徴付ける動作パラメータ、すなわち、例えば、プロファイルを特徴付ける動作パラメータとして、回転速度、1分あたりの回転数、駆動ユニットまたはローラ本体のトルク、それぞれの経時的なドリフトを含むことができる。また、駆動特性は、電動式搬送ローラの不変な特性、例えば、シリアル番号、変速比、設置されたプラスチック製トランスミッションや金属製トランスミッションなどのトランスミッション特性、ローラ本体の外径などを含むことができる。最後に、駆動特性は、電動式搬送ローラへの負荷を反映する動作パラメータ、例えば、搬送ローラ内の温度、対象期間中における搬送ローラの最高温度、搬送ローラの作動時間数、および搬送ローラの過去に生じた特定の動作パラメータの他の最大値、例えば、最大トルクや最大速度などを含むことができる。駆動特性はさらに、制御パラメータ、例えば、電動ローラがプログラムされたプログラミングパラメータを反映するプログラミング特性値を含むことができる。これにより、搬送ローラは、例えば、駆動特性として、単一排出またはブロック排出の何れで動作しているか、プログラムされているか、加速または制動する速度プロファイルランプ、許容される最大速度などに関する記述を生成することができる。
【0026】
より好ましくは、制御ユニットが、複数の駆動特性プロファイルが記憶された記憶デバイスを有し、各駆動特性プロファイルには個別のバイナリコードが割り当てられ、記憶デバイスが、受信したデジタル信号と個別のバイナリコードを比較し、受信したデジタル信号に対応する割り当てられた個別のコードを有する駆動特性プロファイルで、駆動ユニットを制御するように設計されている。
【0027】
この実施形態によれば、制御ユニットが電子記憶デバイスを有し、この記憶デバイスが1または複数の駆動特性プロファイルを記憶する。これらの駆動特性プロファイルは、電動式搬送ローラの特定の駆動動作、例えば加速や制動、最大速度などを示しており、よって、経時的な電動式搬送ローラの速度のプロファイルを一般に記述することができる。しかしながら、駆動特性プロファイルは、外部状態信号に基づいて例えば特定の駆動特性を設定する電動式搬送ローラの論理動作であり、つまり、電動式搬送ローラの論理プログラミングを示していることを理解されたい。電動式搬送ローラを単一排出モードまたはブロック排出モードで動作させるためのプログラミングは、このようにして、例えば、駆動特性プロファイルとして記憶することができる。複数の駆動特性プロファイルが原則として記憶デバイスに記憶され、デジタル信号による対応する呼び出しを通じて選択され、それらの駆動特性プロファイルのうちの1つが電動式搬送ローラの動作に適用されるものであってもよい。しかしながら、プログラミングの過程で、個々の駆動特性プロファイルが記憶デバイスに記憶され、この個々の駆動特性プロファイルが電動式搬送ローラの動作に使用されるように記憶デバイスを設計することもできる。
【0028】
さらに好ましい実施形態によれば、駆動ユニットがブラシレス電気モータを有し、制御ユニットが、電気モータを制御する整流電子部品を有する。このため、原則として、制御ユニットも、駆動ユニットの電気モータを電子的に整流するように設計されていることが好ましい。これにより、電動式搬送ローラの外部で電子整流が行われず、それに対応して多数の区別された信号が区別された信号ラインを介してローラ本体内に配線されることが回避される。代わりに、ローラ本体内への信号の導入は、しばしば空間的に制限されるが、少数の信号ラインを介して行うことができ、よって、堅牢でコンパクトな方法で実装することができる。
【0029】
本発明の更なる態様または本発明に係る搬送ローラの展開によれば、制御ユニットが電子メモリを含み、かつプログラミングデータを受信し、プログラミングデータを電子メモリに格納し、プログラミングデータに基づいて制御信号を生成するように設計されている。
【0030】
この展開によれば、電動式搬送ローラは、その制御ユニットを介して、様々な搬送シーケンスのためにプログラムされるように設計されている。この目的のために、電子メモリは制御ユニットの一部であり、この電子メモリはプログラミングデータを受信して記憶するように設計されている。それらのプログラミングデータには、受信した状態信号と、そこから駆動ユニットの制御信号を生成するためのルールとの間の論理的関係が記述されている。これにより、電動式搬送ローラは、そのような状態信号と制御信号との間の様々な論理的関係に合わせてプログラムすることができ、よって、多数の様々な態様で使用することができる。この場合、プログラミングデータは、ローラの動作にも使用される個々のプログラムの形態で電子メモリに格納されるようにしてもよい。代替的には、電子メモリは、搬送ローラの異なる動作モードのための複数の異なるプログラミングデータを格納し、それらの格納されたプログラミングデータのうちのまさに1つの項目が、制御ユニットのプログラミングによって設定される対応する識別子を介して動作に使用されるようにしてもよい。これにより、より少ないデータ送信量を有する別の識別子値を送信し、それらを使用して搬送ローラを動作させることにより、他のプログラミングデータを選択する可能性が生まれる。
【0031】
プログラミングデータを受信および記憶するように展開された搬送ローラは、さらに、制御ユニットがプログラミングデータに基づいて、第1の制御信号と第2の制御信号との間で切り替えられるように設計されることにより展開され、第1の制御信号が、単一排出モードに対応する第1の制御シーケンスのための制御信号であり、単一排出モードでは、送り先空間が空いていることを知らせる状態信号に基づいて、駆動ユニットを作動させる駆動特性を示す制御信号が生成され、一方、第2の制御信号が、ブロック排出モードに対応する第2の制御シーケンスのための制御信号であり、ブロック排出モードでは、隣接する電動式搬送ローラの駆動ユニットの作動を知らせる状態信号に基づいて、駆動ユニットを作動させる駆動特性を表す制御信号が生成される。この展開によれば、搬送ローラは、少なくとも2つの制御シーケンスの間で切り替わるように設計されており、すなわち、対応するプログラムコマンドを介して、単一排出モードシーケンスの形態の一方の制御シーケンスまたはブロック排出モードシーケンスの形態の他方の制御シーケンスの何れかを実行するように設計されている。この場合、単一排出モードは、搬送ローラが、隣接する下流側に位置する搬送ゾーンが占有されていないときはいつでも、下流側に位置する搬送ゾーン内に搬送方向に搬送すること、すなわち駆動されることを特徴とするものである。したがって、下流側に位置する隣接搬送ゾーンの同時動作は、必要ではないが、物体の搬送を補助するために行われるようにしてもよい。一方、ブロック排出モードでは、互いに隣接する搬送ゾーンが、同時に操作され、物体で占有される場合がある。この場合、ブロック排出モードで動作している搬送ローラによって、物体の搬送が同時に行われ、すなわち、下流側に位置する搬送ゾーンを占有している物体が送り出されると同時に、この空いた搬送ゾーンに物体が送り込まれる。
【0032】
単一排出モードとブロック排出モードは、原則として、異なる状態信号および自己状態信号で制御することができる。ただし、原則として、下流側に位置する隣接する搬送ゾーンが空いていることを知らせる状態信号で単一排出モードを制御することが可能である。一方、ブロック排出モードは、下流側または上流側に位置する搬送ゾーンの搬送ローラの自己状態信号として生成される状態信号であって、一方または他方(または両方)の搬送ローラの動作を知らせる状態信号によって制御することができる。さらに、原則として状態信号または自己状態信号を制御に組み込むこと、好ましくは、搬送ローラ自体が配置されている搬送ゾーンが物体で占有されていることを知らせる状態信号や、加速ランプや速度などを特徴付ける隣接する搬送ローラの自己状態信号を組み込むことも可能である。
【0033】
単一排出モードによる制御モードおよびブロック排出モードによる制御シーケンスは、この場合、メモリに予め記憶され、対応するプログラミングコマンドによる制御の基礎を形成することができる。また、単一排出モードまたはブロック排出モードで記憶された制御シーケンスは、同様に、プログラミング自体のプログラミング命令を介して搬送ローラに送信されて、メモリに記憶されるようにしてもよく、その場合、それらの制御シーケンスをメモリに予め入力する必要はない。また、単一排出モードやブロック排出モード以外にも、それらとは異なる他の制御シーケンスを予めプログラムしたり、記憶しておくことも可能である。
【0034】
この場合、単一排出モードおよびブロック排出モードはともに、被搬送物が搬送経路上の別の被搬送物と接触しないように搬送ローラの制御を行う、いわゆるゼロプレッシャー蓄積を実現する。
【0035】
これにより、長い搬送経路であっても、また、複数の物体が接触する際に潜在的に高い圧力蓄積があっても、物体を損傷することなく搬送することができる。
【0036】
より好ましくは、制御ユニットが、電子メモリを有し、プログラミング信号を受信して、プログラミング命令に基づいて、かつプログラミング命令に応じて、状態信号と駆動特性との間の、特にアルゴリズムによって記述される論理的依存関係、状態信号と駆動特性プロファイルの間の、特にアルゴリズムによって記述される論理的依存関係、または駆動特性プロファイルを電子メモリに記憶するように設計され、プログラミング命令が、好ましくはデジタルプログラミング命令、特にバス符号化プログラミング命令である。この実施形態によれば、制御ユニットによって受信されるプログラミング信号は、制御シーケンスの割り当てまたはプログラミングコマンドシーケンスによって特徴付けられ、搬送ローラに対応する制御シーケンスを実行する。その実行は、プログラミングコマンドシーケンスに基づいて特定のプログラミングによって行われるようにしても、あるいは制御シーケンスの割り当てに基づいて、メモリに格納された予めプログラムされた制御シーケンスが呼び出されて、割り当てられることによって行われるようにしてもよい。制御シーケンス自体は、状態信号と駆動特性との間の論理的依存関係によって形成されるものであってもよく、この場合、追加の状態信号と追加の駆動特性との間の更なる依存関係も、当然のことながら、記憶される制御シーケンスとして考えられる。駆動特性の対応するプロファイルも同様に、状態信号または状態信号プロファイルに応じて論理的に格納され、制御の基礎として使用され得る。最後に、プログラミング信号は、1つの駆動特性プロファイルのみを記憶する役割も果たすことができ、その駆動特性プロファイルは、その後、搬送ローラの制御シーケンスのために対応する論理リンクによって使用され、つまり、例えば、更なる論理的依存関係によって状態信号に基づいて制御シーケンスに設定される。
【0037】
この場合、プログラミング命令がバス符号化されていることが特に好ましい。これにより、一方ではプログラミング命令をバスラインに送信することが可能となり、他方ではバスラインに接続されている特定の搬送ローラのターゲットプログラミングが実行されることになる。
【0038】
より好ましくは、制御ユニットが、アナログ動作モードにおいて、アナログ制御信号を受信して、そのアナログ制御信号に基づいて駆動ユニットを制御し、予め設定されたアナログ制御信号を受信すると、デジタル動作モードに移行し、デジタル動作モードにおいて、デジタル制御データを受信して、それらを制御信号またはプログラミング信号として処理するように設計され、デジタル制御データが、好ましくはバス符号化制御データである。この実施形態によれば、搬送ローラは、アナログ動作モードでは、アナログ入力信号によって制御されるように設計されている。このようなアナログ入力信号は、例えば、アナログ入力信号の電圧に基づいて、駆動特性として搬送ローラの速度を直接制御することができる。本発明に係る搬送ローラのこの特性により、搬送ローラを逆互換性とすることが可能となり、それにより、搬送ローラをコンポーネントとして既存の搬送経路に挿入して、既存のアナログ制御回路で動作させることができる。しかしながら、同時に、この展開により、アナログ動作の搬送ローラがユーザに追加のインテリジェント機能を提供することが可能になる。この目的のために、この展開による搬送ローラは、デジタル動作モードに変更することができる。この切替は、アナログ動作モードから行うことができ、これは、搬送ローラが受信したアナログ信号をアナログ制御のためだけに使用するだけでなく、同時にそれらを論理的に評価し、その過程でアナログ信号の特定の信号シーケンスまたは特定の信号値などを、アナログモードからデジタル動作モードへの切り替えを促す識別子として解釈することにより、実現することができる。この切替信号は、例えば、通常のアナログ動作モード中には発生しない短いシーケンスでの搬送方向変更の複数の切り替えである場合もあれば、通常の動作モードでは使用されないアナログ信号の電圧値である場合もある。
【0039】
この展開により、特に、デジタル動作モードで追加の状態信号を受信および処理すること、自己状態信号を生成および出力すること、またはプログラミング信号を受信および処理して搬送ローラを再プログラムすることが可能になる。これにより、搬送ローラは、デジタル動作モードで上述した機能を実行する能力を与えられる。しかしながら、搬送ローラは同時にアナログ動作モードにも対応するように設計されている。
【0040】
本発明によれば、本発明に係る搬送ローラは、上述した制御ユニットを有する搬送ローラに従って、それぞれが制御ユニットを有する2つの搬送ローラを有する搬送ローラ装置で実施することができる。本発明のこの改良では、第1の制御ユニットおよび第2の制御ユニットが、デジタル信号ラインによって互いに接続され、第1の搬送ローラの第1の制御ユニットが、デジタルの第1の自己状態データを第2の制御ユニットに送信し、第2の制御ユニットからデジタルの第2の自己状態データを受信し、第2の搬送ローラから受信した第2の自己状態データに基づいて第1の搬送ローラの駆動ユニットを制御するように設計され、第1の自己状態データおよび第2の自己状態データが、好ましくはバス符号化データである。この搬送ローラ装置により、一方の搬送ローラで生成された自己状態データが他方の搬送ローラと交換され、他方の搬送ローラが、一方の搬送ローラで生成されたそれらの自己状態データを状態データとして受信して処理し、そこから他方の搬送ローラの駆動ユニットのための駆動特性を生成して、それにより駆動ユニットを制御することができる。これにより、2つの搬送ローラは、制御に関して互いに依存する形で搬送シーケンスを制御し、それにより、高度な分散性と制御インテリジェンスで搬送シーケンスを実行することができる。これは、一方の搬送ローラから他方の搬送ローラに送信されて、他方の搬送ローラで受信される自己状態データが、一方の搬送ローラで受信された後で、この搬送ローラから他方の搬送ローラに自己状態データとして転送される状態データでもあることを意味すると理解されたい。これにより、例えば、一方の搬送ローラがセンサから状態データを受信して、それら状態データをセンサ信号の形態で自己状態データとして他方の搬送ローラに転送することが可能である。搬送ローラ装置では、2つの搬送ローラが原則としてバスラインにより互いに接続され、自己状態データがバス符号化データの形態で送受信されることが好ましい。これにより、少なくとも2の搬送ローラを有する搬送ローラ装置の原理を搬送デバイス全体に適用し、バスラインを介して多数の搬送ローラを互いに接続し、この多数の搬送ローラの間で対応するバス符号化データを交換することが可能になる。
【0041】
より好ましくは、一方の搬送ローラが、第1の搬送ゾーンで被搬送物を搬送するように配置され、他方の搬送ローラが、第2の搬送ゾーンで被搬送物を搬送するように配置され、第1および第2の自己状態データが、第1の搬送ゾーンにおける被搬送物の存在に関する情報または第2の搬送ゾーンにおける被搬送物の存在に関する情報を含む。この改良によれば、搬送ゾーンの占有特性を特徴付ける情報が自己状態データとして交換される。これは例えば、各搬送ローラが、自己のデータを処理することにより、またはローラ本体に組み込まれたセンサを介して被搬送物の存在を検出し、これを自己状態信号として送信するように設計されるように、または、搬送ローラが、この搬送ローラが配置されているその搬送ゾーンにおける被搬送物の存在を状態信号として知らせるセンサに、信号伝送に関して接続されており、これがセンサによって搬送ローラの自己状態信号として送信されるように、実行され得る。
【0042】
最後に、更なる好ましい実施形態によれば、自己状態データが、搬送ローラの駆動ユニットの駆動状態を示す自己状態データ、搬送ローラに接続されたセンサからのセンサ信号を示す自己状態データ、搬送ローラの駆動ユニットに対する制御コマンドを示す自己状態データのなかから選択される。この展開によれば、搬送ローラの制御ユニットが、駆動ユニットの駆動状態、接続されたセンサからのセンサ信号、または駆動ユニットの制御コマンドを含む自己状態データを送信するか、または受信するように設計されている。自己状態データの送信または受信のそれらのオプションは、単一排出モードやブロック排出モードなどの特定の制御シーケンスの制御の基礎を構成し、多数の制御シーケンスに使用することができる。この場合、ローラ本体の外部から搬送ローラに送信されるデータを自己状態データとして送受信することができ、ローラ本体自体で生成または存在するデータをそのような自己状態データとして送受信することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
添付の図面を参照して、本発明の好ましい一実施形態を説明する。
【
図1】
図1は、本発明に係る電動式搬送ローラの縦断面図を示している。
【
図2】
図2は、複数の搬送ゾーンを含む搬送経路の斜視側面図を示しており、それぞれの搬送ゾーンには、本発明に係る電動式搬送ローラが設置されている。
【
図3】
図3は、搬送経路に互いに隣接して設置された3つの電動式搬送ローラの内部および外部の送信データの概略フローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1を先ず参照すると、ローラ本体20を有する電動式搬送ローラ10が示されており、ローラ本体の端部からは第1の軸スタブ21および第2の軸スタブ22がそれぞれ突出している。この電動式搬送ローラは、この軸スタブを介してフレームに取り付けられ、フレームは搬送経路に沿って延びている。この場合、2つの軸スタブは、トルクに関して固定されるようにフレームに取り付けられている。ローラ本体20は、それらの軸スタブを中心に回転できるように取り付けられている。
【0045】
この回転可能な取り付けは、第1のローラベアリング23によってもたらされ、この第1のローラベアリングは、ローラ本体の第1の端部に導入されたエンドキャップ25に固定され、第1のローラ本体20を第1の軸スタブ21に回転可能に取り付けるものとなっている。また、ローラ本体の第2の端部に導入されたエンドキャップ26には、ローラ本体を第2の軸スタブ22に回転可能に取り付ける第2のローラベアリング24が取り付けられている。この場合の第2エンドキャップ25は、さらにローラ本体から軸方向に突出する円周面を一体的に有し、それにより、複数の周方向溝26aを介して、Vリブドベルトにより、自己の電動駆動ユニットを持たない他の隣接する搬送ローラにトルクを伝達することが可能となっている。このように、電動式搬送ローラは、複数の受動的に駆動されるローラを含む搬送ゾーンに導入され、搬送ゾーン内のそれらの受動的に駆動される搬送ローラを駆動する役割を果たすことができる。
【0046】
ローラ本体20の内部には、2つの軸スタブの一方または両方とローラ本体との間にトルクを発生させることができる駆動ユニット30がさらに配置されている。駆動ユニットは、トルクを直接発生させる電気モータを含むことができ、よって、ステータによって、一方または両方の軸スタブにトルクに関して固定的に結合され、ロータによって、ローラ本体にトルクに関して固定的に結合されている。駆動ユニットはさらに、電気モータの回転速度を落としてそのトルクを増大させるためのトランスミッションも含むことができる。例えば、遊星駆動装置または平歯車ユニットが使用され、それらが電気モータとともに、1または複数の軸スタブとローラ本体との間のトルク伝達チェーンに組み込まれるようにしてもよい。
【0047】
駆動ユニット30は、ローラ本体の内部に配置された制御ユニット40によって制御される。この制御ユニット40は、ブラシレス電気モータの場合には、整流電気部品を有することができる。しかしながら、制御ユニット40は、特に、ローラ本体の外部から受信される受信状態データに基づいて、論理的な制御決定を行うように設計されている。
【0048】
この目的のために、制御ユニット40は、バスライン50を介して1または複数の信号送信機に接続され、それらの信号送信機はローラ本体の外側に配置されている。そのために、バスライン50は、中空軸として設計された左側の軸スタブ21を通して配線されている。対応するプラグ接続部51は、軸スタブ21の外端に形成され、バスライン50を、ローラ本体および軸スタブの外側に延びるバスラインに接続することができる。この接続は、密封されたプラグ接続部によってもたらされるものであってもよい。このプラグ接続部51は、先ず、複数の電動式搬送ローラとセンサとの間で状態信号を伝送する役割を果たす信号バスラインへの接続を形成する。さらに、このプラグ接続部は、駆動ユニットに電気エネルギーの伝達を提供するエネルギーラインへの接続を形成する。
【0049】
制御ユニット40は、先ず、電子メモリ41を備える。電子メモリ41は、電動式搬送ローラの不変の特性値、例えばそのシリアル番号やトランスミッションの変速比などを記憶し、搬送ローラの外部にデータを送信する役割を果たすことができる。さらに、電子メモリは、電動式搬送ローラの可変動作パラメータ、例えば、その動作時間数、最高到達温度などの動作温度を特徴付ける特性値、回転速度、トルクなどを特徴付ける特性値なども記憶することができる。それらの可変動作パラメータは、同様に、電動式搬送ローラに関する特性データをローラ本体の外部に位置する信号レシーバに送信するために、ローラ本体の外部に送信されるように機能することができる。
【0050】
電子メモリ41は、さらに1または複数の制御シーケンスを記憶することができ、それら制御シーケンスに従って、ローラ本体の外部から受信される状態データ間の論理的リンクに基づいて、かつその論理的リンクに応じて、制御ユニットが駆動ユニット30を制御する。例えば、単一排出モード用の制御シーケンスを記憶することができ、また、ブロック排出モード用の制御シーケンスを記憶することができ、あるいはそれら2種類の制御シーケンスを、異なる搬送速度や加速ランプなどとともに記憶することもできる。それらの様々な制御シーケンスは、対応するデータの供給を通じて外部から制御ユニット40にプログラムすることができ、それに対応して、制御ユニットはプログラムされるように設計されている。代替的には、制御シーケンスは、電子メモリ41に記憶され、対応する呼び出しコマンドを受信することにより、制御ユニットによって電子メモリ41から読み出され、その後、駆動ユニットの制御シーケンスに使用されるものであってもよい。この場合、各制御シーケンスには対応する呼び出しコマンドが割り当てられ、制御ユニットが、対応する比較を実行するように設計されている。
【0051】
ローラ本体20の内部には、1または複数の温度センサ42がさらに配置され、それらがローラ本体内の温度を検知し、これを制御ユニットに信号で伝えるように設計されている。それらの温度センサは、ローラの過負荷を検出し、制御ユニットが温度データに基づいて対応する制御信号を駆動ユニットに出力することにより、適切な論理反応を行うことができるように機能する。
【0052】
図2は、3つの搬送ゾーン100、200、300を含む搬送経路を示している。搬送ゾーン100は中央の搬送ゾーン200の上流側に配置され、搬送ゾーン300は中央の搬送ゾーン200の下流側に配置され、よって搬送方向は左から右に向かっている。各搬送ゾーンは、何れの場合も、電動式搬送ローラ110、210、310を含み、各々がVリブドベルトを介してそれぞれの搬送ゾーンの隣接する受動的に駆動される搬送ローラを駆動するようになっている。このため、個々の電動式搬送ローラ110、210、310を制御することで、それぞれの搬送ゾーンにある合計5つの搬送ローラをすべて回転させることができる。
【0053】
さらに、各搬送ゾーンには、それぞれの搬送ゾーンで搬送される物体の存在を検出する光バリアセンサ180、280、380が設けられている。
【0054】
電動式搬送ローラ110、210、310は、信号バスライン1055によって互いに接続され、それにより、互いにデータを交換することができる。この信号バスライン1055により、電動式搬送ローラの1つによって生成された自己状態データは、この搬送ローラのローラ本体からバスライン1055に送り込まれ、他の電動式搬送ローラによって、信号バスライン1055から状態データとして受信される。各電動式搬送ローラは、軸スタブを介して案内されるプラグ1150、1250、1350を有するそれぞれのバス接続ラインによって、軸スタブの外端に配置されたプラグ接続部を介して、信号バスライン1055に接続されている。
【0055】
さらに、電動式搬送ローラに沿ってエネルギーライン1056が敷設されており、電動式搬送ローラの各々がこのエネルギーラインに接続されている。エネルギーライン1056は、電気エネルギーを電動式搬送ローラの各々に供給する役割を果たす。それは同様に、軸スタブの外端に設けられたプラグ接続部1150、1250、1350を介してローラ本体の内部に接続され、それぞれのローラ本体内の駆動ユニットに電気エネルギーを導くことができるようになっている。この供給ラインは、この場合、それぞれの電動ローラの、ローラ本体の内部に配置された制御ユニットを介して制御される。
【0056】
それぞれの搬送ゾーンに割り当てられた光バリアセンサ180、280、380は、同様に、電気接続部181、281、381によって信号バスライン1055に接続されており、この信号バスラインから動作に必要な電気エネルギーを引き出している。センサは、この場合、バス符号化センサ信号を信号バスライン1055に直接送り込むように設計されている。それらのセンサ信号は、電動式搬送ローラの各々によって状態信号として受信され、駆動ユニットを制御するように処理される。
【0057】
電動式搬送ローラは、信号バスライン1055を介して、先ず状態データを受信するが、これは、例えば、そのようなセンサデータであってもよい。電動式搬送ローラ内部の制御ユニットは、次に、例えば電動式搬送ローラが回転しているか否か、駆動されているか否かに関する情報、動きのタイプに関する更なる情報、例えば回転速度、トルク情報、モータ電流情報などを含む自己状態信号も生成する。それらの生成された自己状態信号は、制御ユニットによって信号バスライン1055に供給され、状態データとして他の電動式搬送ローラによって信号バスライン1055から受信される。このため、制御ユニットの各々は、このようにして受信した状態信号に基づいて、モータローラ内の駆動ユニットのための制御コマンドを生成することができる。
【0058】
なお、信号バスラインに接続されたセンサおよび搬送ローラ、並びに、搬送システムに設置された他のアクチュエータは、原則として、バス符号化信号を信号バスラインに送り込むことを理解されたい。そのようなバス符号化信号は、特にアドレスデータブロックによって特徴付けられ、このアドレスデータブロックは、出所に応じて信号を送信側アドレスとして特徴付けることができ、受信側アドレスとして宛先に応じて信号を特徴付けることができ、あるいはその両方を行うことができる。このため、信号バスライン1055で送信されたバス信号データは、信号バスライン1055に接続された各レシーバによって、アドレスデータ部に基づいて、その出所またはその意図された位置あるいはその両方に従って識別される。その後、バス符号化データに含まれる情報は、アドレスデータ部に加えて送信される信号データ部に含まれ、それに応じて解釈される。バス符号化データは、特にデータパケットの形態で送信することができる。
【0059】
図3は、3つの隣接する搬送ローラ110、210、310間の概略的なデータ交換を示している。この場合、搬送ローラ本体の内部に配置され、データ伝送に関与するコンポーネントは、破線で囲まれ、搬送ローラ本体の外部に配置された信号経路は、実線で識別されている。
【0060】
この図面から分かるように、ローラ本体の外側に配置されたセンサ180、280、380は、状態データをセンサデータ185、285、385の形態で信号バスライン1055に送信する。それらのセンサデータは、特定の位置、例えば特定の搬送ゾーンにおける搬送対象物の有無を特徴付ける。
【0061】
各制御ユニットは、さらに、それぞれの搬送ローラの自己状態を示す自己状態データ195、295、395を信号バスライン1055に送信する。自己状態データ195、295、395は、例えば、搬送ローラが動いているか否かに関する情報と、搬送ローラが動いている速度に関する情報とを含むことができる。
【0062】
それらのセンサデータ185、285、385および他の搬送ローラの自己状態データ195、395は、状態データ290として電動式搬送ローラ210に受信され、その制御ユニット240において論理的に処理される。
【0063】
この論理的な処理は、例えば、自己の搬送ゾーン(つまり、当該電動ローラ210が設置されている搬送ゾーン)における搬送対象物の存在を知らせる1つのセンサ280からの情報を受信し、同時にその下流側に位置する搬送ゾーンに搬送対象物が存在しないという情報を別のセンサ380から受信した制御ユニットが、単一排出モード用にプログラムされたモードにあるときに、下流側に位置する搬送ゾーンに対象物を搬送するための駆動コマンドを当該電動式搬送ローラ210の駆動ユニットに送信するような態様で行われるものであってもよい。
【0064】
また、ブロック排出モードを実行するための制御ユニット240の別のプログラミングモードでは、制御ユニット240は、自己の搬送ゾーンに割り当てられたセンサ280を介して、自己の搬送ゾーンに搬送対象物が存在することを知らせる状態信号としてのセンサ信号を受信するときに、同時に、自己状態信号195を生成する上流側に位置する電動式搬送ローラ110を介して、上流側に位置する搬送ローラの開始を知らせる状態信号290として受信されている場合に、対象物を搬送するように駆動部を制御する。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式搬送ローラであって、
-ローラ軸を中心に回転できるように取り付けられたローラ本体と、
-前記ローラ本体の内部に配置され、軸要素と前記ローラ本体との間に前記ローラ軸を中心とした回転運動を発生させるように設計された駆動ユニットとを備えた電動式搬送ローラにおいて、
前記ローラ本体の内部に配置された制御ユニット
が、
-前記ローラ本体の外部から状態信号を受信し、
-前記状態信号に基づいて、駆動特性を示す制御信号を生成し、
-前記制御信号により、前記駆動ユニットを制御し、
-前記状態信号および/または前記駆動特性を示す自己状態信号を生成し、
-前記自己状態信号を前記ローラ本体の外部に送信するように設計
され、
前記制御ユニットが、状態信号として、
-前記ローラ本体の外側に配置されたセンサからのセンサ信号、および/または、
-別の電動式搬送ローラからの自己状態信号
を受信するように設計され、
前記制御ユニットが、前記センサ信号および/または前記自己状態信号に基づいて、前記制御信号を生成するように設計されていることを特徴とする電動式搬送ローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送ローラにおいて、
前記軸要素が、中空軸として設計され、かつトルクに関して固定される形で搬送ローラフレームに取り付けられるように設計されており、信号ラインが、前記中空軸を通して配線され、前記制御信号を送信するように前記制御ユニットに接続されていることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の搬送ローラにおいて、
前記ローラ本体に対する前記軸要素の回転軸受が、前記制御ユニットと、前記制御信号を伝送するように前記制御ユニットに接続された信号ラインの外部接続部との間に、配置されていることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、デジタル状態信号を受信するように設計された少なくとも1の動作モードを有し、前記デジタル状態信号が、好ましくはバス符号化信号であることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項5】
請求項1乃至
4の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、状態信号としてデジタル信号を受信し、自己状態信号としてデジタル信号を送信するように設計され、
前記状態信号が、好ましくは、第1のアドレスデータ部および第1のコンテンツデータ部を有する、バスベースの通信用に設計された第1のデータ構造を有し、前記自己状態信号が、第2のアドレスデータ部および第2のコンテンツデータ部を有する、バスベースの通信用に設計された第2のデータ構造を有し、前記第1のデータ構造と前記第2のデータ構造が、より好ましくは一致することを特徴とする搬送ローラ。
【請求項6】
請求項1乃至
5の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記駆動特性が、
-前記駆動ユニットのオン/オフ状態、
-駆動トルク、
-前記駆動ユニットの駆動トルクプロファイル、
-前記駆動ユニットまたは前記ローラ本体の速度、
-前記駆動ユニットまたは前記ローラ本体の速度プロファイル、
-前記駆動ユニットの制動トルク、または
-前記駆動ユニットの制動トルクプロファイル
のなかから選択されるか、またはこれらの駆動特性のうちの2以上の組合せであることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項7】
請求項1乃至
6の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、駆動特性プロファイルまたは複数の駆動特性プロファイルが記憶された記憶デバイスを有し、各駆動特性プロファイルには個別のバイナリコードが割り当てられ、前記記憶デバイスが、受信したデジタル信号と個別のバイナリコードを比較し、受信したデジタル信号に対応する割り当てられた個別のコードを有する駆動特性プロファイルで、前記駆動ユニットを制御するように設計されていることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項8】
請求項1乃至
7の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記駆動ユニットが、ブラシレス電気モータを有し、前記制御ユニットが、前記電気モータを制御する整流電子部品を有することを特徴とする搬送ローラ。
【請求項9】
請求項1乃至
8の何れか一項に記載の搬送ローラ、または請求項1のプリアンブルに記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、電子メモリを備え、かつ、
-プログラミングデータを受信し、
-前記プログラミングデータを前記電子メモリに格納し、
-前記プログラミングデータに基づいて、前記制御信号を生成するように設計されていることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項10】
請求項
9に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、前記プログラミングデータに基づいて、第1の制御信号と第2の制御信号との間で切り替えられるように設計され、
-前記第1の制御信号が、単一排出モードに対応する第1の制御シーケンスのための制御信号であり、単一排出モードでは、送り先空間が空いていることを知らせる状態信号に基づいて、前記駆動ユニットを作動させる駆動特性を示す制御信号が生成され、
-前記第2の制御信号が、ブロック排出モードに対応する第2の制御シーケンスのための制御信号であり、ブロック排出モードでは、隣接する電動式搬送ローラの駆動ユニットの作動を知らせる状態信号に基づいて、前記駆動ユニットを作動させる駆動特性を表す制御信号が生成されることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項11】
請求項
9または10に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、電子メモリを有し、プログラミング信号を受信して、プログラミング命令に基づいて、かつプログラミング命令に応じて、
-状態信号と駆動特性との間の、特にアルゴリズムによって記述される論理的依存関係、
-状態信号と駆動特性プロファイルとの間の、特にアルゴリズムによって記述される論理的依存関係、または
-駆動特性プロファイル
を前記電子メモリに記憶するように設計され、前記プログラミング命令が、好ましくはデジタルプログラミング命令、特にバス符号化プログラミング命令であることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項12】
請求項1乃至
11の何れか一項に記載の搬送ローラにおいて、
前記制御ユニットが、
-アナログ動作モードにおいて、アナログ制御信号を受信して、そのアナログ制御信号に基づいて前記駆動ユニットを制御し、
-予め設定されたアナログ制御信号を受信すると、デジタル動作モードに移行し、
-前記デジタル動作モードにおいて、デジタル制御データを受信して、それらを制御信号またはプログラミング信号として処理するように設計され、
-前記デジタル制御データが、好ましくはバス符号化制御データであることを特徴とする搬送ローラ。
【請求項13】
請求項1乃至
12の何れか一項に記載されているような、第1の制御ユニットを有する少なくとも1の第1の搬送ローラと、請求項1乃至13の何れか一項に記載されているような、第2の制御ユニットを有する第2の搬送ローラとを含む搬送ローラ装置であって、
前記第1の制御ユニットおよび前記第2の制御ユニットが、デジタル信号ラインによって互いに接続され、前記第1の搬送ローラの第1の制御ユニットが、デジタルの第1の自己状態データを前記第2の制御ユニットに送信し、前記第2の制御ユニットからデジタルの第2の自己状態データを受信し、前記第2の搬送ローラから受信した前記第2の自己状態データに基づいて前記第1の搬送ローラの駆動ユニットを制御するように設計され、前記第1の自己状態データおよび前記第2の自己状態データが、好ましくはバス符号化データであることを特徴とする搬送ローラ装置。
【請求項14】
請求項
13に記載の搬送ローラ装置において、
一方の搬送ローラが、第1の搬送ゾーンで被搬送物を搬送するように配置され、他方の搬送ローラが、第2の搬送ゾーンで被搬送物を搬送するように配置され、前記第1および第2の自己状態データが、前記第1の搬送ゾーンにおける被搬送物の存在に関する情報または前記第2の搬送ゾーンにおける被搬送物の存在に関する情報を含むことを特徴とする搬送ローラ装置。
【請求項15】
請求項
13または14に記載の搬送ローラ装置において、
前記自己状態データが、
-前記搬送ローラの駆動ユニットの駆動状態を示す自己状態データ、
-前記搬送ローラに接続されたセンサからのセンサ信号を示す自己状態データ、
-前記搬送ローラの駆動ユニットに対する制御コマンドを示す自己状態データのなかから選択されることを特徴とする搬送ローラ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】