IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カーアー グループ アーゲーの特許一覧

特表2022-514754パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム
<>
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図1
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図2
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図3
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図4
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図5
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図6
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図7
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図8
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図9
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図10
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図11
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図12
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図13
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図14
  • 特表-パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-15
(54)【発明の名称】パーソナルウォータークラフトのための改良型ステアリング制御システム
(51)【国際特許分類】
   B63B 34/10 20200101AFI20220207BHJP
   B63H 25/02 20060101ALI20220207BHJP
   G01C 21/20 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
B63B34/10
B63H25/02 Z
G01C21/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021535516
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 IB2019061319
(87)【国際公開番号】W WO2020129033
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/783,743
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.BLUETOOTH
3.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】521166928
【氏名又は名称】カーアー グループ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ブラックバーン,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ライエ,ジャン‐フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ティエボー,リオネル
(72)【発明者】
【氏名】べダール,シモン
(72)【発明者】
【氏名】サンピエール,リュック
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA14
2F129BB03
2F129BB22
2F129BB33
2F129BB40
2F129HH18
2F129HH21
(57)【要約】
パーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御のためのシステム、方法及び装置である。電気的作動装置は、パーソナルウォータークラフトのステアリングシステムに連結され、ステアリングシステムにトルクを加える。少なくとも1つのセンサはステアリングシステムに隣接して配置され、パーソナルウォータークラフトの動作データを生成する。少なくとも1つのコントローラは、電気的作動装置及び少なくとも1つのセンサに連結され、ステアリングシステムに加えられる第2のトルクに応答する動作データに基づいて、ステアリングシステムに加える第1のトルクを決定するように構成されている。少なくとも1つのコントローラは、パーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御を提供するために、電気的作動装置を動作させて第1のトルクをステアリングシステムに加えさせるように構成され、第1のトルクは、電気的作動装置のみによって加えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルウォータークラフトであって、
ジェット駆動推進システムと、
前記ジェット駆動推進システムに連結され、当該パーソナルウォータークラフトの長手軸に対して前記ジェット駆動推進システムの角度を調整するためのハンドルを含むステアリングシステムと、
前記ステアリングシステムに連結される駆動制御システムであって、該駆動制御システムは、
前記ステアリングシステムにトルクを加えるために前記ステアリングシステムに連結される電気的作動装置と、
当該パーソナルウォータークラフトの動作データを生成する、前記ステアリングシステムに隣接して配置される少なくとも1つのセンサと、
前記電気的作動装置及び前記少なくとも1つのセンサに連結される少なくとも1つのコントローラであって、該少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルの回転に対応する動作データに基づいて、前記ステアリングシステムに加える第1のトルクを決定することと、
当該パーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御を提供するために前記電気的作動装置を動作させて、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して加えさせることであって、前記第1のトルクは前記電気的作動装置のみによって加えられる、ことと、
を行うように構成されている、少なくとも1つのコントローラと、
を含む、駆動制御システムと、
を含む、パーソナルウォータークラフト。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記ハンドルが回転される間に、前記電気的作動装置を動作させて、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して前記ハンドルの回転と反対の方向に加えさせるように構成されている、請求項1に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記動作データに基づいて前記ハンドルの回転の速度及び角度を特定することと、
前記ハンドルの回転の速度及び角度に基づいて前記第1のトルクを決定することと、
を行うように構成されることにより、前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムに加える前記第1のトルクを決定するように構成されている、請求項1又は2に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項4】
前記第1のトルクが決定される前記動作データは、前記ハンドルの回転の速度及び角度から成る、請求項3に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコントローラは、
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムの第2のトルクを決定することと、
前記ハンドルの回転の速度及び角度に基づいて前記ステアリングシステムのためのターゲットトルクを決定することと、
前記ターゲットトルクを前記第2のトルクと比較することと、
前記比較に基づいて前記第1のトルクを決定することと、
を行うように構成されることにより、前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムに加える前記第1のトルクを決定するように構成されている、請求項3に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコントローラは、エンジンRPM値、エンジントルク要求値及び前記パーソナルウォータークラフトの速度に基づいて前記ステアリングシステムのためのターゲットトルクを決定するように構成されている、請求項5に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記ハンドルの回転の速度及び角度の経時的な更新に基づいて、前記ステアリングシステムに加えられる前記第1のトルクを調整するフィードバックループを実施するように構成されている、請求項3乃至5のいずれか一項に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記ステアリングシステムに加えられた場合に前記ステアリングシステムをセンター位置に戻すセンタリングトルクを決定するように構成されることにより、前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムに加える前記第1のトルクを決定するように構成されている、請求項1に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項9】
前記少なくとも1つのコントローラは、
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムのステアリング角度を特定することと、
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムを前記センター位置に戻すためのターゲット角度を決定することと、
前記ステアリング角度を前記ターゲット角度と比較することと、
前記比較に基づいて前記センタリングトルクを決定することと、
を行うように構成されることにより、前記センタリングトルクを決定するように構成されている、請求項8に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項10】
前記コントローラは、エンジンRPM値、エンジントルク要求値及び前記パーソナルウォータークラフトの速度に基づいて前記ステアリングシステムのためのターゲット角度を決定するように構成されている、請求項9に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項11】
前記コントローラは、ユーザがスロットルをリリースする事象に応答して、前記電気的作動装置が前記ステアリングシステムにトルクを加えることを無効にするよう構成されている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項12】
前記ステアリングシステムは第1の制御面及び第2の制御面を含み、該第1の制御面及び該第2の制御面は、前記パーソナルウォータークラフトの後部の両端に配置され、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルが第1の方向に回転されることに応答して、前記第1の制御面を水中内に下げることと、
前記ハンドルが第2の方向に回転されることに応答して、前記第2の制御面を水中内に下げることと、
を行うように構成されている、請求項1に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項13】
前記ステアリングシステムは第1の制御面及び第2の制御面を含み、該第1の制御面及び該第2の制御面は、前記パーソナルウォータークラフトの後部の両端に配置され、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルが第1の方向に回転され且つ前記パーソナルウォータークラフトの速度が所定の速度よりも大きいと判定されることに応答して、前記第1の制御面を水中内に下げることと、
前記ハンドルが第2の方向に回転され且つ前記パーソナルウォータークラフトの速度が所定の速度よりも大きいと判定されることに応答して、前記第2の制御面を水中内に下げることと、
を行うように構成されている、請求項1に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項14】
前記第1の制御面及び前記第2の制御面は、前記ハンドルに機械的にリンクされ、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルが前記第1の方向に回転されることに応答して、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して前記第1の方向に加えることと、
前記ハンドルが前記第2の方向に回転されることに応答して、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して前記第2の方向に加えることと、
を行うように構成されている、請求項12又は13に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項15】
前記少なくとも1つのコントローラは、
ナビゲーションターゲットを受信することと、
前記ナビゲーションターゲットに基づいて前記第1のトルクを決定することと、
を行うように構成されている、請求項1に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項16】
前記パーソナルウォータークラフトはナビゲーションシステムを含み、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記ナビゲーションシステムによって生成させる地理的データに基づいて前記パーソナルウォータークラフトの現在の向きを特定することと、
前記ナビゲーションターゲットに基づいてターゲット向きを決定することと、
前記ターゲット向きを前記現在の向きと比較することと、
前記比較に基づいて前記第1のトルクを決定することと、
を行うように構成されることにより、前記ナビゲーションターゲットに基づいて前記第1のトルクを決定するように構成されている、請求項15に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項17】
前記ナビゲーションシステムは全地球測位システム(GPS)モジュール及び慣性ナビゲーションシステム(INS)モジュールを含み、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記GPSモジュールを用いて前記INSモジュールを較正することと、
前記INSモジュールを操作して、所定の期間地理的データを生成することと、
前記所定の期間の満了に応答して、前記GPSモジュールを用いて前記IMUモジュールを再度較正することと、
を行うように構成されることにより、前記地理的データを生成するように構成されている、請求項16に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項18】
ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御のための駆動制御システムであって、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトはジェット駆動推進システムと、該ジェット駆動推進システムに連結され、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの長手軸に対して該ジェット駆動推進システムの角度を調整するためのハンドルを含むステアリングシステムと、を含み、当該駆動制御システムは、
前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトのステアリングシステムに連結されるように適合された、前記ステアリングシステムにトルクを加えるための電気的作動装置と、
前記ステアリングシステムに隣接して配置されるように適合され、前記電気的作動装置が前記ステアリングシステムに連結された場合に、前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの動作データを生成する、少なくとも1つのセンサと、
前記電気的作動装置及び前記少なくとも1つのセンサに連結される少なくとも1つのコントローラであって、該少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルの回転に対応する動作データに基づいて、前記ステアリングシステムに加える第1のトルクを決定することと、
前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御を提供するために前記電気的作動装置を動作させて、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して加えさせることであって、前記第1のトルクは前記電気的作動装置のみによって加えられる、ことと、
を行うように構成されている、少なくとも1つのコントローラと、
を含む、駆動制御システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記ハンドルが回転される間に、前記電気的作動装置を動作させて、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して前記ハンドルの回転と反対の方向に加えさせるように構成されている、請求項18に記載の駆動制御システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つのコントローラは、
前記動作データに基づいて前記ハンドルの回転の速度及び角度を特定することと、
前記ハンドルの回転の速度及び角度に基づいて前記第1のトルクを決定することと、
を行うように構成されることにより、前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムに加える前記第1のトルクを決定するように構成されている、請求項18又は19に記載の駆動制御システム。
【請求項21】
前記第1のトルクが決定される前記動作データは、前記ハンドルの回転の速度及び角度から成る、請求項20に記載の駆動制御システム。
【請求項22】
前記コントローラは、
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムの第2のトルクを決定することと、
前記ハンドルの回転の速度及び角度に基づいて前記ステアリングシステムのためのターゲットトルクを決定することと、
前記ターゲットトルクを前記第2のトルクと比較することと、
前記比較に基づいて前記第1のトルクを決定することと、
を行うように構成されることにより、前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムに加える前記第1のトルクを決定するように構成されている、請求項20に記載の駆動制御システム。
【請求項23】
前記少なくとも1つのコントローラは、エンジンRPM値、エンジントルク要求値及び前記パーソナルウォータークラフトの速度に基づいて前記ステアリングシステムのためのターゲットトルクを決定するように構成されている、請求項22に記載の駆動制御システム。
【請求項24】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記ハンドルの回転の速度及び角度の経時的な更新に基づいて、前記ステアリングシステムに加えられる前記第1のトルクを調整するフィードバックループを実施するように構成されている、請求項20乃至23のいずれか一項に記載の駆動制御システム。
【請求項25】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記ステアリングシステムに加えられた場合に前記ステアリングシステムをセンター位置に戻すセンタリングトルクを決定するように構成されることにより、前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムに加える前記第1のトルクを決定するように構成されている、請求項18に記載の駆動制御システム。
【請求項26】
前記少なくとも1つのコントローラは、
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムのステアリング角度を特定することと、
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムを前記センター位置に戻すためのターゲット角度を決定することと、
前記ステアリング角度を前記ターゲット角度と比較することと、
前記比較に基づいて前記センタリングトルクを決定することと、
を行うように構成されることにより、前記センタリングトルクを決定するように構成されている、請求項25に記載の駆動制御システム。
【請求項27】
前記コントローラは、エンジンRPM値、エンジントルク要求値及び前記パーソナルウォータークラフトの速度に基づいて前記ステアリングシステムのためのターゲット角度を決定するように構成されている、請求項26に記載の駆動制御システム。
【請求項28】
前記コントローラは、ユーザがスロットルをリリースする事象に応答して、前記電気的作動装置が前記ステアリングシステムにトルクを加えることを無効にするよう構成されている、請求項18乃至27のいずれか一項に記載の駆動制御システム。
【請求項29】
前記ステアリングシステムは第1の制御面及び第2の制御面を含み、該第1の制御面及び該第2の制御面は、前記パーソナルウォータークラフトの後部の両端に配置され、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルが第1の方向に回転されることに応答して、前記第1の制御面を水中内に下げることと、
前記ハンドルが第2の方向に回転されることに応答して、前記第2の制御面を水中内に下げることと、
を行うように構成されている、請求項18に記載の駆動制御システム。
【請求項30】
前記ステアリングシステムは第1の制御面及び第2の制御面を含み、該第1の制御面及び該第2の制御面は、前記パーソナルウォータークラフトの後部の両端に配置され、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルが第1の方向に回転され且つ前記パーソナルウォータークラフトの速度が所定の速度よりも大きいと判定されることに応答して、前記第1の制御面を水中内に下げることと、
前記ハンドルが第2の方向に回転され且つ前記パーソナルウォータークラフトの速度が所定の速度よりも大きいと判定されることに応答して、前記第2の制御面を水中内に下げることと、
を行うように構成されている、請求項18に記載の駆動制御システム。
【請求項31】
前記第1の制御面及び前記第2の制御面は、前記ハンドルに機械的にリンクされ、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルが前記第1の方向に回転されることに応答して、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して前記第1の方向に加えることと、
前記ハンドルが前記第2の方向に回転されることに応答して、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して前記第2の方向に加えることと、
を行うように構成されている、請求項29又は30に記載の駆動制御システム。
【請求項32】
前記少なくとも1つのコントローラは、
ナビゲーションターゲットを受信することと、
前記ナビゲーションターゲットに基づいて前記第1のトルクを決定することと、
を行うように構成されている、請求項18に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項33】
前記パーソナルウォータークラフトはナビゲーションシステムを含み、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記ナビゲーションシステムによって生成させる地理的データに基づいて前記パーソナルウォータークラフトの現在の向きを特定することと、
前記ナビゲーションターゲットに基づいてターゲット向きを決定することと、
前記ターゲット向きを前記現在の向きと比較することと、
前記比較に基づいて前記第1のトルクを決定することと、
を行うように構成されることにより、前記ナビゲーションターゲットに基づいて前記第1のトルクを決定するように構成されている、請求項32に記載の駆動制御。
【請求項34】
前記ナビゲーションシステムは全地球測位システム(GPS)モジュール及び慣性ナビゲーションシステム(INS)モジュールを含み、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記GPSモジュールを用いて前記INSモジュールを較正することと、
前記INSモジュールを操作して、所定の期間地理的データを生成することと、
前記所定の期間の満了に応答して、前記GPSモジュールを用いて前記IMUモジュールを再度較正することと、
を行うように構成されることにより、前記地理的データを生成するように構成されている、請求項33に記載の駆動制御システム。
【請求項35】
ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御のための方法であって、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトはジェット駆動推進システムと、該ジェット駆動推進システムに連結され、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの長手軸に対して該ジェット駆動推進システムの角度を調整するためのハンドルを含むステアリングシステムと、該ステアリングシステムにトルクを加えるために該ステアリングシステムに連結される電気的作動装置と、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの動作データを生成する、前記ステアリングシステムに隣接して配置される少なくとも1つのセンサと、を含み、当該方法は、
前記ハンドルの回転を受信するステップと、
前記ハンドルの回転に対応する動作データに基づいて、前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトのために前記ステアリングシステムに加える第1のトルクを決定するステップと、
前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御を提供するために前記電気的作動装置を動作させて、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して加えさせるステップであって、前記第1のトルクは前記電気的作動装置のみによって加えられる、ステップと、
を含む、方法。
【請求項36】
前記ハンドルが回転される間に、前記電気的作動装置を動作させて、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して前記ハンドルの回転と反対の方向に加えさせることをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムに加える前記第1のトルクを決定ステップは、
前記動作データに基づいて前記ハンドルの回転の速度及び角度を特定することと、
前記ハンドルの回転の速度及び角度に基づいて前記第1のトルクを決定することと、
を含む、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1のトルクが決定される前記動作データは、前記ハンドルの回転の速度及び角度から成る、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムに加える前記第1のトルクを決定するステップは、
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムの第2のトルクを決定することと、
前記ハンドルの回転の速度及び角度に基づいて前記ステアリングシステムのためのターゲットトルクを決定することと、
前記ターゲットトルクを前記第2のトルクと比較することと、
前記比較に基づいて前記第1のトルクを決定することと、
を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記ステアリングシステムのためのターゲットトルクを決定することは、エンジンRPM値、エンジントルク要求値及び前記パーソナルウォータークラフトの速度にさらに基づく、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ハンドルの回転の速度及び角度の経時的な更新に基づいて、前記ステアリングシステムに加えられる前記第1のトルクを調整するフィードバックループを実施することをさらに含む、請求項37乃至40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムに加える前記第1のトルクを決定するステップは、前記ステアリングシステムに加えられた場合に前記ステアリングシステムをセンター位置に戻すセンタリングトルクを決定することを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記センタリングトルクを決定することは、
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムのステアリング角度を特定することと、
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムを前記センター位置に戻すためのターゲット角度を決定することと、
前記ステアリング角度を前記ターゲット角度と比較することと、
前記比較に基づいて前記センタリングトルクを決定することと、
を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ステアリングシステムのためのターゲット角度を決定することは、エンジンRPM値、エンジントルク要求値及び前記パーソナルウォータークラフトの速度に基づく、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ユーザがスロットルをリリースする事象に応答して、前記電気的作動装置が前記ステアリングシステムにトルクを加えることを無効にすることをさらに含む、請求項35乃至44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記ステアリングシステムは第1の制御面及び第2の制御面を含み、該第1の制御面及び該第2の制御面は、前記パーソナルウォータークラフトの後部の両端に配置され、前記方法は、
前記ハンドルが第1の方向に回転されることに応答して、前記第1の制御面を水中内に下げることと、
前記ハンドルが第2の方向に回転されることに応答して、前記第2の制御面を水中内に下げることと、
さらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項47】
前記ステアリングシステムは第1の制御面及び第2の制御面を含み、該第1の制御面及び該第2の制御面は、前記パーソナルウォータークラフトの後部の両端に配置され、前記方法は、
前記ハンドルが第1の方向に回転され且つ前記パーソナルウォータークラフトの速度が所定の速度よりも大きいと判定されることに応答して、前記第1の制御面を水中内に下げることと、
前記ハンドルが第2の方向に回転され且つ前記パーソナルウォータークラフトの速度が所定の速度よりも大きいと判定されることに応答して、前記第2の制御面を水中内に下げることと、
をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の制御面及び前記第2の制御面は、前記ハンドルに機械的にリンクされ、前記方法は、
前記ハンドルが前記第1の方向に回転されることに応答して、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して前記第1の方向に加えることと、
前記ハンドルが前記第2の方向に回転されることに応答して、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して前記第2の方向に加えることと、
をさらに含む、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
ナビゲーションターゲットを受信することと、
前記ナビゲーションターゲットに基づいて前記第1のトルクを決定することと、
をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項50】
前記パーソナルウォータークラフトはナビゲーションシステムを含み、前記ナビゲーションターゲットに基づいて前記第1のトルクを決定することは、
前記ナビゲーションシステムによって生成させる地理的データに基づいて前記パーソナルウォータークラフトの現在の向きを特定することと、
前記ナビゲーションターゲットに基づいてターゲット向きを決定することと、
前記ターゲット向きを前記現在の向きと比較することと、
前記比較に基づいて前記第1のトルクを決定することと、
を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ナビゲーションシステムは全地球測位システム(GPS)モジュール及び慣性ナビゲーションシステム(INS)モジュールを含み、前記地理的データを生成することは、
前記GPSモジュールを用いて前記INSモジュールを較正することと、
前記INSモジュールを操作して、所定の期間地理的データを生成することと、
前記所定の期間の満了に応答して、前記GPSモジュールを用いて前記IMUモジュールを再度較正することと、
を含む、請求項50に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年12月21日に出願された米国仮出願第62/783743号に対する優先権を主張する。該仮出願の開示は、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本開示の態様は、概してパーソナルウォータークラフトのステアリング制御の管理に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的なパーソナルウォータークラフト(PWC)のステアリングシステムは、旋回を行う際に運転者に提供されるフィードバックが少ない。このフィードバックの欠如は制御の欠如と運転者に解釈されることがあり、意図しない激しいコーナリング、スワービング及び衝突等の危険な状態につながり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの例では、パーソナルウォータークラフトは、ジェット駆動推進システムと、前記ジェット駆動推進システムに連結され、当該パーソナルウォータークラフトの長手軸に対して前記ジェット駆動推進システムの角度を調整するためのハンドルを含むステアリングシステムと、前記ステアリングシステムに連結される駆動制御システムとを含む。駆動制御システムは、前記ステアリングシステムにトルクを加えるために前記ステアリングシステムに連結される電気的作動装置と、当該パーソナルウォータークラフトの動作データを生成する、前記ステアリングシステムに隣接して配置される少なくとも1つのセンサと、前記電気的作動装置及び前記少なくとも1つのセンサに連結される少なくとも1つのコントローラとを含む。少なくとも1つのコントローラは、前記ハンドルの回転に対応する動作データに基づいて、前記ステアリングシステムに加える第1のトルクを決定することと、当該パーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御を提供するために前記電気的作動装置を動作させて、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して加えさせることであって、前記第1のトルクは前記電気的作動装置のみによって加えられる。
【0005】
別の例では、ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御のための駆動制御システムであって、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトはジェット駆動推進システムと、該ジェット駆動推進システムに連結され、該パーソナルウォータークラフトの長手軸に対して該ジェット駆動推進システムの角度を調整するためのハンドルを含むステアリングシステムと、を含み、駆動制御システムは前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトのステアリングシステムに連結されるように適合された電気的作動装置を含む。電気的作動装置は前記ステアリングシステムにトルクを加えるためのものである。
駆動制御システムは、前記ステアリングシステムに隣接して配置されるように適合され、前記電気的作動装置が前記ステアリングシステムに連結された場合に、前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの動作データを生成する、少なくとも1つのセンサと、前記電気的作動装置及び前記少なくとも1つのセンサに連結される少なくとも1つのコントローラとをさらに含む。少なくとも1つのコントローラは、前記ハンドルの回転に対応する動作データに基づいて、前記ステアリングシステムに加える第1のトルクを決定することと、前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御を提供するために前記電気的作動装置を動作させて、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して加えさせることであって、前記第1のトルクは前記電気的作動装置のみによって加えられる、ことと、を行うように構成されている。
【0006】
を含む、駆動制御システム。
【0007】
さらなる例では、ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御のための方法であって、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトはジェット駆動推進システムと、該ジェット駆動推進システムに連結され、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの長手軸に対して該ジェット駆動推進システムの角度を調整するためのハンドルを含むステアリングシステムと、該ステアリングシステムにトルクを加えるために該ステアリングシステムに連結される電気的作動装置と、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの動作データを生成する、前記ステアリングシステムに隣接して配置される少なくとも1つのセンサと、を含み、当該方法は、前記ハンドルの回転を受信することと、前記ハンドルの回転に対応する動作データに基づいて、前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトのために前記ステアリングシステムに加える第1のトルクを決定することと、を含む。当該方法は、前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御を提供するために前記電気的作動装置を動作させて、前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して加えさせることであって、前記第1のトルクは前記電気的作動装置のみによって加えられる、ことをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、改良されたステアリング制御を有するパーソナルウォータークラフトの構成要素を示す概略図である。
図2図2は、図1のパーソナルウォータークラフトに含まれ得るコントローラを示す概略図である。
図3図3は、パーソナルウォータークラフトのステアリングシステムに連結されて、パーソナルウォータークラフトに改良されたステアリング制御を提供し得る例示の駆動制御装置の斜視図である。
図4図4は、パーソナルウォータークラフトにおいてアクティブダンパを実施するための方法のフローチャートである。
図5図5は、パーソナルウォータークラフトにおいてアクティブダンパを実施するための処理アーキテクチャの図である。
図6図6は、パーソナルウォータークラフトにおけて自己センタリングシステムを実施するための方法のフローチャートである。
図7図7は、パーソナルウォータークラフトにおける自己センタリングシステムを実施するための処理アーキテクチャの図である。
図8図8は、ステアリング制御についてパーソナルウォータークラフトの運転者に警告するための方法のフローチャートである。
図9図9は、パーソナルウォータークラフトにおいて自動操縦システムを実施するための方法のフローチャートである。
図10図10は、パーソナルウォータークラフトにおいて自動操縦システムを実施するための処理アーキテクチャの図である。
図11図11は、パーソナルウォータークラフトの簡略化した側面図を示す概略図である。
図12図12は、パーソナルウォータークラフトの簡略化した背面図を示す概略図である。
図13図13は、パーソナルウォータークラフトのステアリングシステムに電気的に連結された制御面を有するパーソナルウォータークラフトを示す概略図である。
図14図14は、図13のパーソナルウォータークラフトの簡略化された背面図を示す概略図である。
図15図15は、パーソナルウォータークラフトの制御面を操作するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
パーソナルウォータークラフト(PWC)は、それらの小型の特定の種類の推進ステアリングシステム(例えば、ステアリングノズルと相互作用する水車(water turbine)により、ユニークなステアリング力学(steering dynamics)及び運転感覚を有する。PWCの典型的なハンドルは90°よりも小さいロックトゥロック範囲、例えば70°又は80°のロックトゥロック範囲を有し、これは非常に素早いが低分解のステアリング制御を提供する。これとは反対に、小型ボート及び自動車はマルチターン(例えば、3回転)ロックトゥロック範囲を有するハンドルを多くの場合含み、運転者の関与を高めて高いステアリング速度を生成することで、高分解のステアリング制御を提供する。そのため、小型ボート及び自動車と比較して、PWCは通常非常に軽度のステアリング努力によって回転することができ且つ高速で大きなコーナリング力を発生させることができる。
【0010】
典型的なPWCのステアリングシステムは、例えば旋回の間にウォータークラフトとその環境との間で交換される力のステアリングフィードバックを運転者に対してほとんど又は全く提供しない。具体的には、PWCの運転者は通常、環境条件(例えば、風、波)等によってウォータークラフトに加えられる負荷からの抵抗ステアリングフィードバックをほとんど又は全く受け取らず、ウォータークラフトがその周囲環境に加える負荷からの抵抗ステアリングフィードバックをほとんど又は全く受け取らない。典型的なPWCの運転者に提供されるステアリングフィードバックは速度に伴って有意に増加しない。それとは反対に、小型ボートの舵及び自動車の駆動系のそれぞれは、車両の速度及びステアリング角度に比例する比較的高い抵抗ステアリング力を提供する。そのため、小型ボート又は自動車の運転者は、典型的なPWCの運転者よりも大きなステアリングフィードバックを受ける。
【0011】
自動車の運転感覚及びステアリング力学に慣れた、経験のない典型的なPWCの運転者は、フィードバックの欠如及びステアリングの容易さを制御の欠如に関連付け得る。制御の欠如の感覚は、運転者が、高速での過度なステアリング操作等の危険な操作を行うことにつながることがあり、運転者又は乗客が予期せずにPWCから放り出される可能性がある。さらに、典型的なPWCは旋回するのが容易であるため、波、伴流、うねり等の環境要素によってPWCが絶え間なく航路から逸れてしまう。小型ボート又は自動車とは異なり、典型的なPWCとその環境との間の荷重は、PWCの自己センタリングを提供するのに十分ではないことが多い。そのため、典型的なPWCの運転者は、PWCを操作して特定の向き(heading)を維持しながらステアリング補正を何度か行う必要があり得る。
【0012】
本明細書では、これらの及び他の問題を克服するように構成されたPWCを説明する。1つの例では、PWCは、PWCのステアリングシステムに連結された駆動制御システムを含み得る。駆動制御システムは、電気的作動装置(EAD)と、電気的作動装置に連結された電子制御ユニット(ECU)とを含み得る。EADは、ECUから受信した電気信号に基づいてPWCのステアリングシステムにトルクを加えるように構成された電動パワーステアリング(EPS)システムであり得る。
【0013】
PWCの動作の間、駆動制御システムは、ECUによってモニタリングされる様々な動作パラメータに基づいて調整されるアクティブダンパを実施するように構成され得る。具体的には、ECUは、モニタリングされたパラメータに基づいて、PWCのステアリングシステムに追加の抵抗を加えるようEADを動作させるように構成され得る。このように、運転者は、PWCを旋回させるのにステアリング努力をより多く提供する必要があり、ステアリング動作に応答してPWCによって生成され得る潜在的な力について運転者により良く知らせられ得る。そのため、PWCの運転感覚は、運転者にとってより直感的で且つ快適な小型ボート又は自動車のものに近くなり、それに対応してより大きな自信、より良好なステアリング制御及び潜在的に危険な操縦の回避をもたらし得る。
【0014】
図1は、改良されたステアリング制御を提供するための駆動制御システム102を備えたPWC100を示す。駆動制御システム102は、PWC100のステアリングシステム104に連結され、これとやりとりするように構成され得る。ステアリングシステム104は、PWC100のジェット駆動推進システム106に連結され、これとやりとりするように構成され得る。ジェット駆動推進システム106は、PWC100を前方方向に推進するために動作され得る。ステアリングシステム104は、PWC100の長手軸に対してジェット駆動推進システム106の角度を調整することによりPWC100を所定の方向に操縦するために操作され得る。
【0015】
より詳細には、ジェット駆動推進システム106は、エンジン108、タービン110、ノズル112及びスロットル114を含み得る。スロットル114は、PWC100のハンドル116に接続されてもよく、例えば、エンジン108を介してタービン110に接続され得る。運転者は、エンジン108にタービン110を回転させるためにスロットル114とやりとりし得る。PWC100の速度はタービン110の回転速度に対応し、タービン110の回転速度は運転者によるスロットル114の作動の程度に対応し得る。例えば、スロットル114は、PWC100のハンドル116に固定された回転可能なグリップを形成し得る。スロットル114の回転が大きいほど、エンジン108がタービン110を回転させる速度が速く、タービン110がPWC100を前方方向に推進させる速度が速くなり得る。
【0016】
とりわけ、タービン110の回転は、水をノズル112の入力端内へと駆動させ得る。ノズル112は、ノズル112の出力端を通じてPWC100から離れるように発現される液圧ジェット流を応答的に形成するように構成され得る。ジェット流は、ジェット流の反対方向にPWC100を推進するよう機能し得る。例えば、PWC100の長手軸に対して平行な及び/又は共線の方向(すなわち、PWC100の船尾及び船首を通って延びる軸)にノズル112がジェット流を発現する場合、ジェット流はPWC100を直進方向に推進し得る。
【0017】
ステアリングシステム104は、ハンドル116、ステアリングコラム118、ギアボックス120及び主プッシュプルケーブル122を含み得る。ハンドル116の左右への回転によりPWC100をそれぞれ左右に旋回させ得る。具体的には、ハンドル116は、ステアリングコラム118を介してギアボックス120に連結され得る。ユーザによってハンドル116が回転されると、それに対応してステアリングコラム118が回転され、それがギアボックス120により受信され得る。ギアボックス120は、主プッシュプルケーブル122を介してノズル112に連結され、ギアボックス120に接続された主プッシュプルケーブル122の端部に対するプッシュ又はプル力にステアリングコラム118の回転を1つ以上のギアを介して変換するように構成され得る。主プッシュプルケーブル122の接続された端部に加えられるプッシュ又はプル力に応答して、主プッシュプルケーブル122の他端はノズル112の入力端にプッシュ又はプル力をそれぞれ加えることにより、ノズル112の出力端をPWC100の長手軸線に対して枢動させ得る。代替的な例では、ギアボックス120ではなく、PWC100はステアリングコラム118と主プッシュプルケーブル122との間に、ハンドル116及びステアリングコラム118の回転を、主プッシュプルケーブル122及び/又はノズル112の接続端に対するプッシュ又はプル力に変換するように構成されたアームリンク又は電子アクチュエータ等の異なる機構を含み得る。
【0018】
PWC100の長手軸に対してノズル112を非平行な角度に設定すること(対応して長手軸に対してジェット流を非平行な角度に設定し得る)により、PWC100はジェット流の方向に対応する方向に旋回され得る。具体的には、旋回を行うためにノズル112の出力端がハンドル116の回転に応答してPWC100の長手軸から離れる方に枢動すると、ノズル112によって形成されるジェット流は、PWC100の船体を旋回方向に傾かせ得る。それに対応して、リッジ又は他の固定された制御面を含み得る船体の幾何学的形状は、ターン(turn)の内側の水と相互作用し得る。この相互作用は、ジェット流の力の下でのPWC100の旋回に影響を及ぼし得る。
【0019】
例えば、ハンドル116の時計回りの回転は、ステアリングコラム118の対応する時計回りの回転を生じさせ得る。ギアボックス120は、ステアリングコラム118の時計回りの回転を、主プッシュプルケーブル122に対するプル力に変換するように構成され、それに応答して主プッシュプルケーブル122はノズル112にプル力を加え得る。このプル力はノズル112の出力端を右(又は反時計回り)に枢動させ、それによりジェット流がPWC100の後端を左に押し、PWC100の右旋回を生じさせる。同様に、ハンドル116の反時計回りの回転は、ステアリングコラム118の対応する反時計回りの回転を生じさせ得る。ギアボックス120は、この反時計回りの回転を主プッシュプルケーブル122に対するプッシュ力に変換するように構成され、それに応答して主プッシュプルケーブル12はノズル112にプッシュ力を加え得る。このプッシュ力はノズル112の出力端を左に枢動させ、それによりジェット流がPWC100の後端を右に押し、PWC100の左旋回を生じさせる。
【0020】
上述したように、駆動制御システム102はPWC100のステアリングシステム104に連結され、PWC100の改良されたステアリング制御を提供するように構成され得る。駆動制御システム102は電気的作動装置(EAD)124、電子制御ユニット(ECU)126、ナビゲーションシステム128、1つ以上のセンサ130及びヒューマンマシンインターフェース132を含み得る。
【0021】
EAD124は、ステアリングコラム118に連結され、PWC100の電動パワーステアリング(EPS)システムとして機能し得る。この目的のために、EAD124は、例えばECU126から受信した制御信号に基づいて、ステアリングコラム118に対して時計回り及び反時計回りの方向にトルクを加えるように構成された電気モータ等のモータ125を含み得る。例えば、EAD124は、ステアリングコラム118に連結され、モータ125によって回転可能な1つ以上のアームを含んでもいいし、モータ125によって回転可能なスリーブを含んでもよく、該スリーブを通じてステアリングコラム118が延び且つ連結される。
【0022】
ECU126(本明細書では「コントローラ」ともいう)はPWC100、より具体的には駆動制御システム102の他の構成要素と直接及び/又は制御エリアネットワーク(CAN)等の1つ以上の有線又は無線ネットワークを介して通信するように構成され得る。PWC100の動作の間、ECU126は、ナビゲーションシステム128、センサ130及び/又はHMI132から受信したデータに基づいてEAD124を制御するように構成され得る。
【0023】
ナビゲーションシステム128は、全地球測位システム(GPS)モジュール134及び/又は慣性ナビゲーションシステム(INS)モジュール136を含み得る。GPSモジュール134及びINSモジュール136のそれぞれは、PWC100の現在位置、向き及び速度を示すデータを特定し、ECU126に通信するように構成され得る。
【0024】
GPSモジュール134は、GPSモジュール134のGPSアンテナ137を介して1つ以上のGPS衛星138と通信することによりPWC100の現在位置を示す地理的データを生成するように構成され得る。GPSモジュール134によって生成される各位置は、所与の時間におけるPWC100の経度及び緯度座標を含み得る。GPSモジュール134又はECU126は、所定の期間にわたってGPSモジュール134によって特定された2つ以上の位置を移動方向に対して比較することにより、PWC100の向きを示す地理的データを生成するように構成され得る。GPSモジュール134又はECU126は、所定の期間にわたってGPSモジュール134によって特定された2つ以上の位置を、時間に対して比較して比較することにより、PWC100の現在の速度を示す動作データを生成するようにも構成され得る。
【0025】
INSモジュール136は、PWC100の現在位置、向き(例えば、向き)及び速度を示すデータを計算及び生成するように構成された加速度計、ジャイロスコープ及び/又は磁力計を含み得る。具体的には、上述したようにGPSモジュール134を用いて特定され得る所与の時間におけるPWC100の既知の地理的位置、上述したようにGPSモジュール134によって生成されたデータ及び/又はINSモジュール136によって生成されたデータを用いて特定され得るPWC100の既知の向き及び速度に基づいて、INSモジュール136又はECU126は、INSモジュール136のみによって生成されたデータに基づいて、PWC100の更新された地理的位置、向き及び速度を特定するように構成され得る。すなわち、INSモジュール136又はECU126は、所与の時点でのPWC100の更新された位置、向き及び速度を特定するために、INSモジュール136によって生成されたデータに基づいてPWC100が前に知られた地理的位置、向き及び/又は速度に対してどのように動かされたか特定するように構成され得る。
【0026】
INSモジュール136は、GPSモジュール134がGPS衛星138と通信できず、GPS衛星138からデータを受信できない場合に、ECU126がPWC100の現在の地理的位置、向き及び速度を特定できるようにし得る。さらに、ECU126は、地理的データの主要なソースとしてINSモジュール136を主として用い、GPSモジュール134からのデータを利用して、GPS衛星138から受信したデータ介して特定されたPWC100の現在の地理的位置、向き及び/又は速度でINSモジュール136を周期的に較正することによって、電力を節約するように構成され得る。すなわち、ECU126は、GPSモジュール134を用いてINSモジュール136を較正し、所定の期間にわたってINSモジュール136を動作させてこのデータを生成させ、期間の満了に応答してGPSモジュール134を用いてINSモジュール136を再度較正するように構成されることによって、PWC100の現在の位置、向き及び/又は速度を示すデータを生成するように構成され得る。
【0027】
センサ130は、PWC100の現在の動作状態を示す動作データを生成するように構成され得る。例えば、センサ130は、エンジン108及び/又はタービン110の回転速度を示すデータを生成するように構成された回転速度計と、スロットル114を介してエンジン108及び/又はタービン110から運転者により要求されるトルク(例えば、運転者がどれだけスロットル114を作動させているか)の量を示すデータを生成するように構成されたトルク要求センサと、PWC100の現在の速度を示すデータを生成するように構成された速度計とを含み得る。センサ130のうちの少なくとも1つは、ステアリングシステム104の状態を示す動作データを生成するためにステアリングシステム104に隣接して配置され得る。例えば、センサ130は、例えばハンドル116のセンター位置に対するハンドル116の現在の角度を示すデータを生成するように構成されたステアリング角度センサと、ステアリングコラム118に対するトルクの量及び方向を示すデータを生成するように構成されたトルクセンサとを含み得る。ECU126は、EAD124を制御するためにセンサ130によって生成された動作データを利用するように構成され得る。GPSモジュール134及びINSモジュール136も、PWC100の速度を示すデータ等の動作データを生成するPWC100のセンサであると考えられ得る。
【0028】
HMI132はハンドル116に隣接して配置されてもよく、ユーザとPWC100の他の構成要素、例えば駆動制御システム102の構成要素とのやりとりを促進し得る。例えば、HMI132は、上述したようにユーザとECU126及びナビゲーションシステム128とのやりとりを可能にし得る。HMI132は1つ以上のビデオディスプレイ及び英数字ディスプレイ、スピーカーシステム及びPWC100の構成要素からユーザにデータを提供することが可能な任意の他の適切なオーディオ及びビジュアルインジケータを含み得る。HMI132はマイクロホン、物理的制御装置及びPWC100の構成要素の機能を起動するためにユーザから入力を受け取ることが可能な任意の他の好適な装置も含み得る。物理的制御装置は、英数字キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス)、キーパッド、押しボタン及び制御ノブを含み得る。HMI132のディスプレイは、ユーザ入力を受け取るためのタッチスクリーン機構を含む一体型タッチスクリーンディスプレイであり得る。
【0029】
図2を参照して、ECU126は、プロセッサ202、メモリ204、不揮発性記憶装置206及び入出力(I/O)インターフェース207を含み得る。プロセッサ202は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブル論理装置、状態マシン、論理回路、アナログ回路、デジタル回路又は不揮発性記憶装置206から読み出され、メモリ204に記憶された動作命令に基づいて信号(アナログ又はデジタル)を操作する他の任意の装置から選択される1つ以上の装置を含み得る。メモリ204は、限定されないが、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ又は情報を記憶可能な他の任意の装置を含む、単一の記憶装置又は複数の記憶装置を含み得る。不揮発性記憶装置206は、ハードドライブ、光学ドライブ、テープドライブ、不揮発性固体装置又は永続的に情報を記憶可能な任意の他の装置等の1つ以上の永続的データ記憶装置を含み得る。
【0030】
プロセッサ202は、不揮発性記憶装置206に存在するコンピュータ実行可能命令をメモリ204に読み込み、実行するように構成され得る。コンピュータ実行可能命令は、アクティブステアリングアプリケーション208等のソフトウェアを具現化し、限定されないがJava、C、C++、C#、オブジェクティブC、Fortran、Pascal、Java Script、Python、Perl及びPL/SQLを含む様々なプログラミング言語及び/又は技術からコンパイル又は解釈され得る。
【0031】
アクティブステアリングアプリケーション208は、本明細書に記載のECU126の機能、特徴、モジュール、プロセス及び方法を実施するように構成され得る。とりわけ、アクティブステアリングアプリケーション208を具現化するコンピュータ実行可能命令は、プロセッサ202によって実行された場合に、プロセッサ202に本明細書に記載のECU126の機能、特徴、モジュール、プロセス及び方法を実施させるように構成され得る。例えば、ECU126のアクティブステアリングアプリケーション208は、例えば、ナビゲーションシステム128及び/又はセンサ130から受信した動作データに基づいて、PWC100の動作状態を監視するように構成され得る。例えば、ハンドル116を介してステアリングシステム104に加えられるユーザのトルクを示す動作データに応答して、アクティブステアリングアプリケーション208は、動作データに基づいてステアリングシステム104に加える追加のトルクを決定し、ステアリングシステム104にトルクを加えるようにEAD124を動作させるように構成され得る。以下でより詳細に説明するように、ステアリングシステム104への追加のトルクを加えることは、アクティブダンパ、自己センタリング機能及び他の改良されたステアリング機能を運転者に提供するよう機能し得る。
【0032】
不揮発性記憶装置206は、本明細書に記載のECU126の機能、特徴、モジュール、プロセス及び方法をサポートするデータも含み得る。ECU26のソフトウェア、例えばアクティブステアリングアプリケーション208は、実行中にこのデータにアクセスして、様々な形態の改良されたステアリング制御をどのように提供するかを決定するように構成され得る。例えば、ECU126の不揮発性記憶装置206はステアリング制御データ212を含み得る。以下でより詳細に説明するように、ステアリング制御データ212は、ステアリングシステム104に印加するために、例えばナビゲーションシステム128及び/又はセンサ130によって生成されたデータによって示されるPWC動作状態をトルクと関連付ける1つ以上のルックアップテーブルを定義し得る。
【0033】
ECU126は、I/Oインターフェース207を介して1つ以上の外部リソース214に動作可能に連結され得る。I/Oインターフェース207は、Wi-Fi及びBluetooth等の1つ以上の無線インターフェースを含んでもいいし、イーサネット及びCAN等の1つ以上の有線インターフェースを含んでもよい。外部リソース214は、PWC100の1つ以上の他の構成要素を含み得る。例えば、外部リソース214は、EAD124、GPSモジュール134、INSモジュール136、センサ130及びHMI132を含み得る。
【0034】
図1及び図2で例示のPWC100を示しているが、係る例は限定を意図していない。実際に、PWC100はより多くの又はより少ない数の構成要素を有していてもよく、代替的な構成要素及び/又は実施を用いてもよい。例えば、EAD124、ECU126、センサ130又はナビゲーションシステム128等の駆動制御システム102の上述した構成要素のうちの2つ以上がステアリングシステム104のステアリングコラム118に固定されるように適合された信号ユニット又は装置に統合され得る。一例として、図3は、ステアリングシステム104のステアリングコラム118に固定されるように適合された駆動制御装置220を示す。駆動制御装置220は、EAD124、ECU126等の駆動制御システム102の構成要素と、1つ以上のセンサ130(例えば、トルクセンサ及びステアリング角度センサ)とを含み得る。
【0035】
図4は、アクティブダンパの形態でPWC100に対して改良されたステアリング制御を提供するための方法250を示し、図5は、アクティブダンパを実施するための処理アーキテクチャ300を示す。アクティブダンパは、ハンドル116を介してPWC100を旋回させる際に運転者が感じるフィードバックを高めるように機能し得る。そのようなフィードバックは、PWC100の運転者に一層の自信及びステアリング制御を抱かせることにより、上述したような激しく過剰なステアリング操作等の潜在的に危険な操作の回避につながる。ECU126は、例えばアクティブステアリングアプリケーション208の実行時に方法250及び処理アーキテクチャ300を実施するように構成され得る。例えば、処理アーキテクチャ300は、アクティブステアリングアプリケーション208を具現化するコンピュータ実行可能命令の実行時にECU126によって実施され得るアクティブダンパ制御モジュール302を含み得る。そして、アクティブダンパ制御モジュール302は方法250を行うように構成され得る。そのため、アクティブダンパの実施に関する下記の説明は、図4及び図5双方への参照を含む。
【0036】
ブロック252で、例えばハンドル116の回転を介してステアリングシステム104にユーザトルク304が加えられているかどうか判定され得る。上述したように、センサ130は、ステアリング角度センサ及びステアリングトルクセンサを含み得る。これらのセンサはEAD124と一体化されてもいいし、EAD124の外部であってもいいし、さもなければPWC100のステアリングシステム104に取り付けられてもよい(例えば、ハンドル116、ステアリングコラム118又はノズル112に取り付けられ得る)。旋回を行うためのハンドル116へのユーザトルク304の入力に応答して、ステアリング角度センサは、ステアリングシステム104、とりわけハンドル116の角度変化を示す動作データを生成し、ステアリングトルクセンサは、ステアリングシステム104のトルクを示す動作データを生成し得る。ハンドル116が所定の閾値を超えて回転されていること及び/又は所定の閾値を超える速度で回転されていることを示す動作データをステアリング角度センサが生成すること及び/又はステアリングシステム104が所定の閾値を超えるトルクを有することを示す動作データをステアリングトルクセンサが生成することに応答して、ECU126は、ユーザトルク304がステアリングシステム104に加えられていると判定するように構成され得る。
【0037】
ブロック254では、ユーザトルク304がステアリングシステム104に加えられていることに応答して、ステアリングシステム104の角度及び速度、例えばハンドル116の角度及び回転速度又はノズル112の角度及び移動速度が特定され得る。とりわけ、ECU126は、アクティブダンパ制御モジュール302の実施を介して、ステアリング角度センサによって生成された動作データに基づいて、ステアリングシステム104の角度及び速度を示すステアリング角度/速度データ306を決定するように構成され得る。ステアリング角度センサによって生成される動作データは、ステアリングシステム104、より具体的にはハンドル116の角度を示し得る。ステアリング角度センサによって生成された動作データは、ハンドル116の経時的な角度変化を示すことによってハンドル116の回転速度を示し得る。
【0038】
ブロック256では、例えばPWC100のセンサ130及び/又はナビゲーションシステム128によって生成された動作データに基づいて、ステアリングシステム104のためのターゲットトルクを決定し得る。とりわけ、アクティブダンパ制御モジュール302は、ステアリング角度センサから生成された動作データに基づいて決定されたステアリング角度/速度データ306を受信し得る。アクティブダンパ制御モジュール302は、エンジン108のRPM値を示すエンジンRPMデータ310、ユーザによって作動されるスロットル114の程度に対応するエンジントルク要求値を示すエンジントルク要求データ312及びPWC100の速度を示す車両速度データ314等のセンサ130及び/又はナビゲーションシステム128から追加の動作データも受信し得る。アクティブダンパ制御モジュール302は、ステアリング角度/速度データ306内で示されるステアリングシステム104の角度及び速度に基づいて及び/又は上述した追加のデータから決定される値の1つ以上に基づいて、ターゲットトルクデータ308を決定するように構成され得る。ターゲットトルクデータ308は、ユーザに対してステアリングフィードバックに基づく駆動感をシミュレートするために、旋回の間にステアリングシステム104に存在するのが望ましいトルクの量を示し得る。すなわち、ターゲットトルクデータ308は、運転者が旋回時に抵抗力を感じるように、ステアリングシステム104上で存在すべきトルクの量を示し得る。
【0039】
アクティブダンパ制御モジュール302は、ステアリング制御データ212に基づいてターゲットトルクデータ308を決定するように構成され得る。ECU126のステアリング制御データ212は、1つ以上の動作パラメータ(例えば、エンジンRPM値、エンジントルク要求値、車両速度値、ステアリング角度及び/又はステアリング速度)を、ターゲットトルクデータ308によって示され得るステアリングシステム104のためのターゲットトルクに関連付けるルックアップテーブルを含み得る。あるいは、アクティブダンパ制御モジュール302は、ECU126に同様に記憶され得る式にこれらのデータ項目の1つ以上を適用することによって、ターゲットトルクデータ308を決定するように構成され得る。
【0040】
ブロック258では、ステアリングシステム104上の現在のトルクが決定され得る。とりわけ、ECU126は、トルクセンサ等のセンサ130によって生成される動作データに基づいて、ステアリングシステム104上の現在のトルクを示すステアリングトルクデータ316を決定するように構成され得る。
【0041】
ブロック260では、ターゲットトルクと、ステアリングシステム104上の現在のトルクとを比較して、それらの間の誤差が特定され得る。具体的には、アクティブダンパ制御モジュール302は、ステアリングシステム104上の現在のトルクとステアリングシステム104のためのターゲットトルクとの間の誤差を計算するために、ターゲットトルクデータ308とステアリングトルクデータ316との比較318を行うように構成され得る。アクティブダンパ制御モジュール302は、得られた誤差を制御アルゴリズム320に適用するように構成され得る。
【0042】
ブロック262では、比較に基づいて、ステアリングシステム104に加えるEADトルク322が決定され得る。具体的には、比例積分微分(PID)アルゴリズムを含み得る制御アルゴリズム320は、誤差を低減又は取り除くEADトルク322を決定するように構成され得る。例えば、制御アルゴリズム320は、EADトルク322として、誤差と等しい大きさを有し、ハンドル116の回転と反対の方向にある抵抗トルクを決定し得る。
【0043】
ブロック264では、EAD124は、ステアリングシステム104にEADトルク322を加えるように動作し得る。例えば、ECU126はEAD124のためのコマンド信号を生成するように構成され、EAD124がコマンド信号を受信すると、例えばステアリングコラム118を介してEAD124にEADトルク322をステアリングシステム104に加えさせる。より具体的には、ステアリング制御データ212は、モータ125に印加される電流レベルに応答してEAD124によってステアリングシステム104に、より具体的にはステアリングコラム118に加えられるトルクレベルに様々な電流レベルのそれぞれを関連付けるルックアップテーブルを定義し得る。そのため、ECU126は、ステアリング制御データ212内のEADトルク322に関連する電流レベルがモータ125に供給されるようにするよう構成され得る。
【0044】
上述したように、EADトルク322は、ハンドル116の回転と反対方向に加えられる抵抗トルクであり得る。そのため、加えられたトルクはハンドル116を回すのをより困難にし、それによりドライバにフィードバックを提供し得る。フィードバックの量は、ハンドル116の角度によって表され得るステアリングシステム104の角度、ハンドル116の回転速度、エンジンRPM値、エンジントルク要求値及びPWC100の速度によって表され得るステアリングシステム104の速度のうちの1つ以上等のPWC100の現在の動作パラメータに対応し得る。
【0045】
一部の例では、ターゲットトルクデータ308を決定し、ステアリングトルクデータ316と比較するのではなく、アクティブダンパ制御モジュール302は、ステアリングシステム104の角度及び回転速度のみからなる動作データ(例えば、ステアリング角度/速度データ306)に基づいてEADトルク322を決定するように構成され得る。すなわち、ステアリングトルクターゲットデータ308を決定し、比較318は省略され得る。その場合、ステアリング制御データ212は、様々な角度及び速度の組み合わせのそれぞれをEADトルク322の値に、より具体的にはEAD124のモータ125に印加される電流レベルであって、EAD124にその値をEADトルク322に適用させる電流レベルと関連付けるルックアップテーブルを含み得る。したがって、アクティブダンパ制御モジュール302は、ステアリングシステム104の回転速度及び角度のみに基づいてステアリング制御データ212に問い合わせることによってEADトルク322を、より具体的にはEAD126にEADトルク322を提供させるための電流レベルを決定するように構成され得るため、アクティブダンパを実施するための処理時間を短縮できる。
【0046】
図4及び図5の両方に示すように、ECU126は、旋回の様々な部分の間に適切なステアリングフィードバックを運転者に提供するために、EAD124によってステアリングシステム104に加えられるEADトルク322を調整するフィードバックループを実施するように構成され得る。具体的には、ECU126は、少なくともステアリング角度/速度データ306の経時的な更新に基づいて適用されるEADトルク322を調整するように構成され得る。例えば、図4を参照して、方法250は、ステアリングシステム104上のユーザトルクのモニタリングにループバックし、ユーザトルクによってもたらされるステアリングシステム104の角度及び速度を特定すること、等を行う。図6を参照して、処理アーキテクチャ300は、各反復において、更新されたステアリング角度/速度データ306及び/又は更新されたターゲットトルクデータ308及びステアリングトルクデータ316を決定し、それに基づいて更新されたEADトルク322を決定するループを含み得る。
【0047】
図6は、自己センタリングステアリングシステムの形態で改良されたステアリング制御を提供するための方法350を示し、図7は、自己センタリングステアリングシステムを実施するための処理アーキテクチャ400を示す。典型的なPWCのステアリング力学は、水に対して船速が低い及び/又は穏やかでない水の状態(例えば、風、潮流、波、うねり)では、PWCの制御を困難にし得る。具体的には、ステアリングシステム、より具体的にはハンドルが所与の角度に回された場合に、典型的なPWCのステアリングシステムに抵抗機械的負荷がほとんどかからないため、ステアリングシステムはその角度に留まり得るか又は非常に低速で不確かに中心に戻り得る。方法350及び処理アーキテクチャ400は、ステアリングシステム104に加えられた場合に、十分なユーザトルクがなくても、ステアリングシステム104に自動的に自己センタリングを行わせるセンタリングトルクを決定することにより、自動車のものと同様の自己センタリング特性を提供するように構成されてもよく、それにより、低車両速度でコースから逸れるのを低減し、PWC100をより直感的に運転できるようにする。
【0048】
ECU126は、例えばアクティブステアリングアプリケーション208の実行時に方法350及び処理アーキテクチャ400を実施するように構成され得る。例えば、処理アーキテクチャ400は、アクティブステアリングアプリケーション208を具現化するコンピュータ実行可能命令の実行時に、ECU126によって実施され得る自己センタリングモジュール402を含み得る。そして、自己センタリングモジュール402は、方法350を行うように構成され得る。そのため、自己センタリングシステムの実施に関する以下の説明は、図6及び図7の両方の参照を含む。
【0049】
方法350のブロック351では、ステアリングシステム104は、ステアリングシステム104を偏心させるトルクを受け得る。加えられたトルクは、ハンドル116を回転させることによって加えられるユーザトルク404であり得る。あるいは、加えられたトルクは、PWC100と相互作用する波又は風等のPWC100の環境要因によってもたらされ得る。
【0050】
ブロック352では、PWC100を旋回させるために、ユーザが例えばハンドル116の回転を介してステアリングシステム104にトルクを与えているかどうかが判定され得る。この場合、自己センタリング機能は望ましくないことがあり、上述のアクティブダンパが実施され得る。ECU126は、PWC100を旋回させるためにユーザがトルクを提供しているかどうかをステアリング角度センサ及びトルクセンサによって生成された動作データに基づいて判定するように構成され得る。具体的には、ハンドル116が所定の閾値を上回る度合いで及び/又は所定の閾値を上回る速度で回転されていることを示す動作データをステアリング角度センサが生成すること及び/又はステアリングシステム104が所定の閾値を上回るトルクを有することを示す動作データをステアリングトルクセンサが生成することに応答して、ECU126は、ユーザがPWC100を旋回させるためにトルクを与えていると判定(ブロック352の「Yes」の分岐)するように構成され得る。さもなければ、ECU126は、ユーザがPWC100を旋回させようとしていないと判定(ブロック352の「No」の分岐)するように構成され得る。
【0051】
ブロック354では、ステアリングシステム104の現在の角度が特定され得る。センサ130のステアリング角度センサは、ブロック351のトルクに起因するステアリングシステム104の、より具体的にはハンドル116の角度を示す動作データを生成し得る。そのため、ECU126は、ステアリング角度センサによって生成されたデータに基づいて、ステアリングシステム104の現在のステアリング角度を示すステアリング角度データ406を生成するように構成され得る。
【0052】
ブロック356では、例えば、センサ130によって生成された動作データに基づいて、ステアリングシステム104をセンター位置に戻すためのターゲットステアリング角度が決定され得る。ターゲットステアリング角度は、センサ103によって生成された動作データが与えられると、ジェット流をPWC100の長手軸と平行及び/又は同一線上にするステアリングシステム104の、より具体的にはハンドル116のための角度を表し得る。PWC100が新品で、ステアリングシステム104が適切に較正されている場合、ターゲットステアリング角度はゼロであり得る。しかしながら、時間の経過とともに、ステアリングシステム104の構成要素がずれる及び/又は伸びることにより、ジェット流がPWC100の長手軸と平行及び/又は同一線上になるのとゼロとが一致しなくなる。この場合、自己センタリングモジュール402は、エンジンRPMデータ410、エンジントルク要求データ412及び/又は車両速度データ414等のセンサ130によって生成された動作データに基づいて、非ゼロステアリングセンターを特定するように構成され得る。とりわけ、PWC100の動作の間に、自己センタリングモジュール402は、異なる動作条件の間にノズル112の角度を測定するように構成されたセンサ130を介して、ハンドル116の角度とジェット流との間の相関をログ記録するように構成され得る。そして、自己センタリングモジュール402は、受信した動作データ及びログに基づいてターゲットステアリング角度を示すステアリングセンターデータ408を生成するように構成され得る。
【0053】
ブロック358では、現在のステアリング角度とターゲットステアリング角度とを比較して、それらの間の誤差が特定され得る。具体的には、自己センタリングモジュール402は、ステアリング角度データ406とステアリングセンターデータ408との比較416を行って誤差を特定するように構成され得る。自己センタリングモジュール402は、得られた誤差を制御アルゴリズム418に適用するように構成され得る。
【0054】
ブロック360では、誤差を低減するか又は取り除くためのEADトルク420が決定され得る。具体的には、PIDアルゴリズムを含み得る制御アルゴリズム418は、誤差を低減するか又は取り除くためにEAD124によってステアリングコラム118に加えられるべきEADトルク420を決定することにより、運転者によってトルクがほとんど加えられないときにステアリングシステム104をセンタリングするように構成され得る。具体的には、ステアリング制御データ212は、EADトルク420のための値と、より具体的にはEAD124のモータ125に印加する電流レベルとの様々な角度誤差のそれぞれを関連付けて、EADトルク420のためのその値をEAD124に適用させるルックアップテーブルを含み得る。そのため、自己センタリングモジュール402は、角度誤差に基づいてステアリング制御データ212に問い合わせてEADトルク420を決定するように構成され得る。
【0055】
ブロック362では、EAD124は、ステアリングシステム104にEADトルク420を加えるように動作し得る。例えば、ECU126はEAD124のためのコマンド信号を生成するように構成され、EAD124がコマンド信号を受信すると、例えばステアリングコラム118を介してEAD124にEADトルク420をステアリングシステム104に加えさせる。より具体的には、ECU126は、電流レベルをモータ125に供給させ、ひいてはモータ125がステアリングシステム104に対してEADトルク420を加えさせるように構成され得る。
【0056】
図6及び図7の双方に示すように、ECU126は、適切な自己センタリング機能を提供するためにEAD124によってステアリングシステム104に加えられるセンタリングトルクを調整するフィードバックループを実施するように構成され得る。具体的には、ECU126は、加えられたセンタリングトルクをステアリングシステム104の現在のステアリング角度及び/又は動作データから導出されたターゲットステアリング角度の経時的な更新に基づいて調整するように構成され得る。例えば、図6を参照して、方法350は、ユーザトルクがステアリングシステム104に加えられているかどうかを判定する等を行うためにループバックし得る。図7を参照して、処理アーキテクチャ400は、各反復において、更新されたステアリング角度データ406及び/又は更新されたステアリングセンターデータ408を決定し、それに基づいて更新されたEADトルク420を決定するループを含み得る。
【0057】
上述したように、PWC100は、スロットル114を作動させてジェット流を形成し、その後にハンドル116を回転させてジェット流を所望の向きに対応する方向に傾斜させることによって操縦可能であり得る。ユーザによるハンドル116の回転に応答して、ECU126は、例えばアクティブダンパ制御モジュール302及び/又は自己センタリングモジュール402を介してステアリングシステム104に抵抗力を加えて、より直感的で快適な体験を運転者に提供するように構成され得る。しかしながら、PWC100の衝突が差し迫っている場合には、運転者が衝動的にスロットル114をリリースすることがあり、それによりジェット流ステアリング力が解消され、それに対応してハンドル116は衝突から逸れるように作用させることができないことがある。ECU126は、ユーザがスロットルをリリースする事象に応答してEAD124がステアリングシステム104にトルクを加えることを無効にするように構成することにより、スロットル114がリリースされた場合に、このステアリング制御の欠如を運転者に警告するように構成され得る。このようにEAD124を無効化することにより、EAD124によってステアリングシステム104から加えられた全ての人工的な抵抗トルクが取り除かれ、これはハンドル116を回転させることの容易さが増すことを通じて運転者によって知覚され、それに対応して、衝突から逸れるためにスロットル114に再び関与する運転者に気付かせ得る。
【0058】
図8は、上述のステアリング制御の欠如の警告を提供するための方法450を示す。ECU126は、例えばアクティブステアリングアプリケーション208を介して本方法450を実施するように構成され得る。
【0059】
ブロック452では、運転者がスロットル114を作動させているかどうか判定され得る。前述したように、センサ130は、運転者によって作動されているスロットル114の程度を示す動作データを生成するように構成され得る。そのため、ECU126は、動作データに基づいてスロットル114が作動されているかどうかを判定するように構成され得る。スロットルリリースの事象(ブロック452の「No」の分岐)に対応して、ブロック454において、EAD124はステアリングシステム104への抵抗トルクの提供を無効化し得る。すなわち、ECU126は、アクティブダンパ制御モジュール302、自己センタリングモジュール402及び本明細書に記載の任意の他の改良されたステアリング制御機能を無効にするように構成され得る。このように、運転者は、スロットルがない状態でハンドル116を回転させるときに抵抗をほとんど感じず、それにより運転者が誤ったコントロール感を有するのを回避できる。その結果、ドライバは、衝突を避けるための操縦の間にスロットル114をリリースすると、運転者はステアリングシステム104に加えられる抵抗トルクの低下を即座に感知する。この抵抗トルクの低下は、PWC100のステアリング制御を回復するために運転者にスロットル114を適用するよう気付かせるのに役立ち得る。
【0060】
EAD124の無効化に対応して、ブロック456では、スロットル114が再び関与されているかどうかが判定され得る。同様に、ECU126はセンサ130によって生成された動作データに基づいてこの判定を行うように構成されてもよい。スロットルが再び関与されていることに応答して(ブロック456の「Yes」の分岐)、ブロック458において、EAD124は、ステアリングシステム104に抵抗トルクを加えることが有効にされ得る。具体的には、ECU126は、本明細書に記載の他の改良されたステアリング制御機能を有効にするように構成され得る。次いで、方法450は、ブロック452の判定にループバックし得る。
【0061】
典型的なPWCのステアリングシステムの力学によって、とりわけPWCが水に対して低速で及び/又は穏やかでない水の条件下で移動している場合に、PWCは環境要素による影響を容易に受け得る。例えば、運転者によってスロットルがほとんど適用されていない場合、典型的なPWCは強い波や潮流によってコースから逸れ得る。そのため、駆動制御システム102は、例えば、環境条件によってPWC100が設定された向き又は目的地からコースが逸れる場合に、コース修正を提供するように構成された自動操縦システムの形態で、改良されたステアリング制御を実施するように構成され得る。
【0062】
図9は、自動操縦システムを実施するための方法475を示し、図10は、自動操縦システムを実施するための処理アーキテクチャ500を示す。方法475及び処理アーキテクチャ500のそれぞれは、ナビゲーションターゲットに対するPWC100の位置及び向きを連続的に監視し、PWC100がコースから逸れる状況を特定するように構成された制御ループを含み得る。そのような状況では、方法475及び処理アーキテクチャ500は、PWC100をコースに戻させる修正トルクをステアリングシステム104に加えるように構成され得る。
【0063】
ECU126は、例えばアクティブステアリングアプリケーション208の実行等を介して方法275及び処理アーキテクチャ500を実施するように構成され得る。例えば、処理アーキテクチャ500は自動操縦モジュール502を含み、自動操縦モジュール502は、アクティブステアリングアプリケーション208を具現化するコンピュータ実行可能命令の実行時にECU126によって実施され得る。そして、自動操縦モジュール502は、方法475を行うように構成され得る。そのため、自動操縦システムの実施に関する以下の説明は、図9及び図10の両方の参照を含む。
【0064】
方法475のブロック477では、例えば自動操縦モジュール502によりナビゲーションターゲット504で受信され得る。ナビゲーションターゲット504は、運転者によって設定された位置(例えば、目的地ターゲット)又は向きロック(heading lock)を定義し得る。具体的には、運転者は、位置又は向きロックを設定するためにHMI132とやりとりし、それが自動操縦モジュール502によって受信され得る。以下でさらに詳細に説明するように、自動操縦モジュール502は、ナビゲーションターゲットに基づいてEAD124を介してステアリングシステム104を加えられるトルクを決定するように構成され得る。ブロック479では、例えば自動操縦モジュール502によってナビゲーションシステム128から地理的データ506が受信され得る。そして、自動操縦モジュール502は、ナビゲーションターゲット504及び地理的データ506に基づいて比較508を行って、それらの間の誤差510を特定するように構成され得る。
【0065】
この目的のために、自動操縦モジュール502は、方法475のブロック481~ブロック485を行うように構成され得る。ブロック481では、PWC100の現在の向きが地理的データ506に基づいて決定され得る。ナビゲーションシステム128に言及して前述したように、地理的データ506はPWC100の現在の位置及び向きを示し得る。ブロック183では、ナビゲーションターゲット504に基づいてPWC100のためのターゲット向きが決定され得る。具体的には、ナビゲーションターゲット504が向きロックを含む場合、自動操縦モジュール502は、船首ロックとしてターゲット向きを設定するように構成され得る。ナビゲーションターゲット504が位置(例えば、目的地)ロックを含む場合、自動操縦モジュール502は、目的地に対するPWC100の位置に基づいてターゲット目的地を決定するように構成され得る。具体的には、自動操縦モジュール502は地図データを含み、地図データに基づいて、設定された目的地にPWC100を導くPWC100のための目標船首位置を決定するように構成され得る。ブロック485では、PWC100の現在の向きがPWC100のターゲット向きと比較され、それらの間の誤差510が特定され得る。誤差510は、PWC100がナビゲーションターゲットのコースから逸れているかどうか及びその程度を示し得る。
【0066】
ブロック487では、比較に基づいて、PWC100のコースを補正するためにステアリングシステム104に加えるEADトルク514が決定され得る。具体的には、自動操縦モジュール502は、PIDアルゴリズムを含み得る自動操縦モジュール502によって実施される制御アルゴリズム512によって特定された誤差510を適用するように構成され得る。制御アルゴリズム512は、誤差510を最小化する補正を計算するように構成され得る。具体的には、制御アルゴリズム512は、現在の向きからターゲット向きにPWC100を調整するためのターゲット角度を決定するように構成され、それにより、例えば、ステアリングシステム104のための異なるターゲット角度に様々な誤差510のそれぞれを関連付けるルックアップテーブルを定義し得るステアリング制御データ212に基づいて誤差510が低減される。そして、制御アルゴリズム512は、誤差510を低減するためにEAD124によってステアリングコラム118に加えられるトルクの量及び方向を示すEADトルク514を決定し、それによりPWC100をコースに戻すように構成され得る。制御アルゴリズム512は、ステアリング制御データ212に基づいてEADトルク514を決定するように構成されてもよく、ステアリング制御データ212はステアリングシステム104の様々なターゲット角度のそれぞれをEADトルク514のための値、より具体的にはEAD124のモータ125に適用される電流レベルであって、EAD124にEADトルク420のためのその値をステアリングシステム104に適用させる電流レベルに関連付けるルックアップテーブルを定義し得る。
【0067】
ブロック489では、EAD124はEADトルク514をステアリングシステム104に適用するように動作し得る。具体的には、EADトルク514の生成に応答して、自動操縦モジュール502は制御信号をEAD124に伝達するように構成され、制御信号はEAD124によって受信されるとEAD124にEADトルク514を加えさせる。より具体的には、ECU126は、モータ125に電流レベルを供給させ、ひいてはモータ125にEADトルク514をステアリングシステム104に加えさせるように構成され得る。EAD124によってステアリングシステム104にEADトルク514を加えることは、ナビゲーションターゲット504に従ってコース修正されたPWC100の旋回をもたらし得る。
【0068】
図9の方法475及び図10の処理アーキテクチャ500に示すように、ECU126は、PWC100及びナビゲーションターゲット504の更新された地理的データ506に基づいたコース補正を提供するために、ステアリングシステム104に加えられるEADトルク514を調整する制御ループを繰り返し行うように構成され得る。その結果、方法475及び処理アーキテクチャ500は、コース補正への運転者の関与を低減し、典型的なPWCの抵抗ステアリングの欠如及び低分解のステアリングの頻繁な結果であり得るステアリングオーバーシュートを低減することにより運転者に改良されたステアリング制御を提供し得る。一部の例では、ECU126は、HMI132を介してドライバからの無効化入力の受信に応答し及び/又はハンドル116の回転及び/又はセンサ130によって生成された動作データに基づいてECU126によって検出され得るそれぞれの閾値よりも大きいスロットル114の作動に応答して、自動操縦モジュール502を無効化し、それにより自動操縦機能を無効化するように構成され得る。
【0069】
図1及び図11図15を参照して、旋回を行うために、ハンドル116の回転に応答してPWC100の長手軸から離れるようにノズル112が枢動すると、ノズル112によって形成されるジェット流は、PWC100の船体550を旋回の方に傾斜させ得る。リッジ又は他の固定された制御面を含み得る船体の550の幾何学的形状はターンの内側の水と相互作用し、ジェット流の力の下でPWC100の旋回をもたらすように形成され得る。PWC100の旋回能力をさらに高めるために、PWC100のステアリングシステム104は、ノズル112の各側のPWC100の後部の両端に位置し得る制御面552を含み得る。同様に、これらの制御面552は、旋回を容易にするためにハンドル116の回転に応答して水と相互作用するように構成され得る。制御面552はより素早い旋回にもたらすように形成され、それにより、とりわけ高速でのステアリング入力に対するPWC100の反応性を改善する。
【0070】
図1及び図11に示すように、制御面552は、ステアリングコラム118、ギアボックス120及び補助的プッシュプルケーブル554を介してハンドル116に機械的に連結され得る。PWC100の旋回をもたらすためのハンドル116の回転に応答して、ギアボックス120は、例えばハンドル116の回転によってもたらされるステアリングコラム118の回転に基づいて、例えば、ターンの内側の制御面552に連結された補助的プッシュプルケーブル554に力を加えることにより、ターンの内側の制御面552を水中へと下げるように構成され得る。ハンドル116がセンター位置に戻ることに応答して、ギアボックス120は、例えば、ターンの内側の制御面552に連結された補助的プッシュプルケーブル554に反対の力を加えることにより、ターンの内側の制御面552を水中から上げさせるように構成され得る。
【0071】
例えば、ハンドル116をセンター位置から右に回転させることに応答して、ギアボックス120は、補助的プッシュプルケーブル554Bにプッシュ力を加えるように構成され、これに応答して、補助的プッシュプルケーブル554Bは制御面552Bの近位端にプッシュ力を加えることにより、制御面552Bの遠位端を枢動させて水中に入る。同様に、ハンドル116をセンター位置から左に回転させることに応答して、ギアボックス120は、補助的プッシュプルケーブル554Aにプッシュ力を加えるように構成され、これに応答して、補助的プッシュプルケーブル554Aは制御面552Aの近位端にプッシュ力を加えることにより、制御面552Aの遠位端を枢動させて水中に入る。高速の間、制御面552は、PWC100をより速く且つより早期に旋回方向に傾けさせ得る。これは、船体550とターンの内側の水との間の接触を改善し、PWC100により早く旋回を開始させる。ハンドルが右又は左からセンター位置に戻されることに応答して、ギアボックス120は、補助的プッシュプルケーブル554B又は補助的プッシュプルケーブル554Aのそれぞれにプル力を加えるように構成され、補助的プッシュプルケーブル554B又は補助的プッシュプルケーブル554Aは制御面552B又は制御面552Aのそれぞれにプル力を加えて引き上げ得る。
【0072】
補助的プッシュプルケーブル554を介した制御面552の動作は、旋回の間にステアリングシステム104、より具体的にはステアリングコラム118及びハンドル116上の抵抗負荷を高め得る。この追加の抵抗負荷から生じる運転者の疲労を回避するために、運転者が制御面552を水中に下げる旋回を開始することに応答して、EAD124は、ハンドル116を介して加えられる運転者のトルクと同じ方向にトルクをステアリングコラム118に対して加えるように構成され得る。このように、EAD124は、制御面552によってもたされる抵抗力を克服する上で運転者を支援し得る。
【0073】
フィン状の構造を有し得る制御面552は、アクティブなジェット流によって提供される推力がない場合に、PWC100の操縦性も改善し得る。具体的には、スロットル114の作動がない状態でハンドル116を回転させると、ノズル112によってジェット流が生成されていないため、ノズル112はPWC100の長手軸に対して枢動し得る一方で、船体550は旋回もたらすために水中の方に傾かない。しかしながら、制御面552のそれぞれは、水中に挿入された場合に舵として機能し得る。例えば、制御面552Aは、水中内に下げられた場合にPWC100を左に付勢するような構造及び角度を有し、制御面552Bは、水中内に下げられた場合にPWC100を右に付勢するような構造及び角度を有し得る。そのため、制御面552は、アクティブなジェット流が存在しない場合にPWC100を左右に付勢(又は操縦)できるようにすることにより、PWC100の操縦性を改善し得る。
【0074】
図13及び図14を参照して、制御面552は、ハンドル116に機械的に連結されるのではなく、例えばECU126を介してハンドル116に電気的に連結され得る。具体的には、図13及び14を参照して、制御面552のそれぞれは各アクチュエータ556に機械的に連結され得る。各アクチュエータ556は、例えば無線又は各電気ワイヤ558を介してECU126に電気的に連結され、ECU126からコマンド信号を受信するように構成され得る。ECU126からコマンド信号を受信することに応答して、各アクチュエータ556は、アクチュエータ556に連結されたそれぞれの制御面552を必要に応じて上げ下げして水中から出すか、水中に入れるように構成され得る。
【0075】
図示の例に示すように、アクチュエータ556は、制御面552の近くでPWC100の後部に配置され得る。あるいは、アクチュエータ556は他の場所にあり、ギアボックス120又はEAD124等のPWC100の別の構成要素内に位置する及び/又は別の構成要素と一体化され、上述したようにプッシュプルケーブル554を用いて制御面552に機械的に連結され得る。
【0076】
図15は、上述のように、PWC100の操縦を改善するために制御面552を作動させる方法600を示す。ECU126は、例えば、アクティブステアリングアプリケーション208を具現化するコンピュータ実行可能命令の実行を介して、方法600を行うように構成され得る。
【0077】
ブロック602において、旋回を行うためにハンドル116が回転されているかどうかが判定され得る。例えば、ECU126は、センサ130から受信したハンドル116の回転を示す動作データ(例えば、ステアリング角度センサによって生成されたデータ)に基づいて、ハンドル116の回転をモニタリングするように構成され得る。
【0078】
回転の特定(ブロック602の「Yes」の分岐)に応答して、ブロック604において、制御面552の作動を支持するために1つ以上の条件が存在するかどうかが判定され得る。ECU126は、センサ130によって生成された動作データから、これらの1つ以上の条件が存在するかどうか特定するように構成され得る。例えば、ECU126は、動作データに基づいて、PWC100の速度が閾値速度よりも大きいかどうかを判断するように構成され得る。これは、制御面552の有効性を高め得る。それに加えて又は代替的に、ECU126は、運転データに基づいて、運転者によるスロットル114の作動の程度が閾値スロットルレベル以上であるか判断するように構成され得る。
【0079】
1つ以上の条件が存在しないとの判定(ブロック604の「No」の分岐)に応答して、ブロック606において、制御面552の作動が無効化され得る。例えば、ハンドル116と制御面552との間の連結が電気的である場合、ECU126は、アクチュエータ556への制御信号を介して制御面552を(下げられている場合に)上げ、アクチュエータ556にコマンド信号を送信しないことにより制御面552の作動を防止するように構成され得る。ハンドル116と制御面552との間の連結が純粋に機械的である場合、同様に、ECU126は、補助的プッシュプルケーブル554に力、例えばプル力を加えることにより制御面552を(下げられている場合に)上げ、機械的連結を切断することにより制御面552の作動を防止するように構成され得る。例えば、ギアボックス120は、ECU126から受信したコマンド信号に基づいて、補助的プッシュプルケーブル554との相互作用を介して制御面552を(下げられている場合に)上げるようにし、補助的プッシュプルケーブル554からステアリングコラム118を機械的に切り離すように構成された少なくとも1つのモータを含み得る。そのため、1つ以上の条件が存在しないとの判定(ブロック604の「No」の分岐)に応答して、ブロック606において、ECU126は、モータに制御面552を上げさせ且つ補助的プッシュプルケーブル554からステアリングコラム118を機械的に切り離させる信号を1つ以上のモータに送信するように構成され得る。
【0080】
1つ以上の条件が存在するとの判定(ブロック604の「Yes」の分岐)に応答して、ブロック608において、制御面552が作動させ得る。例えば、1つ以上の条件が存在するとの判定に応答して、ECU126は、(制御面552がハンドル116に電気的に連結されている場合)アクチュエータ556への制御信号の送信を許可するように構成され得るか又は(制御面552がハンドル116に機械的に連結されるように構成されている場合)、機械的連結モータに制御面552をハンドル116に機械的に連結させる信号を該モータに送信するように構成され得る。
【0081】
ブロック610では、ハンドル116の回転方向が特定され得る。例えば、ECU126は、PWC100のステアリング角度センサによって生成された動作データによって示されるハンドル116の角度に基づいて、ハンドル116が左又は右に回転されるかどうかを判定するように構成され得る。ハンドル116が左に回転されているとの判定(ブロック610の「左」の分岐)に応答して、ブロック612において、右側制御面552Bが(既に上げられていない場合に)上げられ、ブロック614において、左側制御面552Aが(既に下げられていない場合に)下げられ得る。あるいは、ハンドル116が右に回転されているとの判定(ブロック610の「右」の分岐)に応答して、ブロック616において、左側制御面552Aが(既に上げられていない場合に)上げられ、ブロック618において、右側制御面552Bが(既に下げられていない場合に)下げられ得る。
【0082】
そのため、PWC100、より具体的にはECU126は、ハンドル116の一方方向への回転に応答して制御面552Aを水中内へと下げて、PWC100の速度が所定の閾値速度よりも大きい等の1つ以上の条件が存在すると判定するように構成され得る。同様に、ECU126は、ハンドル116の他方方向への回転に応答して制御面552Bを水中内へと下げて、1つ以上の条件が存在すると判定するように構成され得る。代替的な例では、ECU126がハンドル116の回転のみに応答して制御面552の上げ下げを行うように構成されるように、ブロック604が省略され得る。加えて、制御面552がハンドル116に機械的に連結されている場合、上述したように制御面552を適切に上げ下げする力にハンドル116の左右の回転を機械的に変換するようギアボックス120が構成されることにより、ECU126ではなくギアボックス120によってブロック610の判定が行われ得る。
【0083】
制御面552が、補助的プッシュプルケーブル554を介してハンドル116に機械的に連結されている場合、制御面552のいずれかを下げることは、旋回の間にステアリングコラム118及びハンドル116への抵抗負荷を高め得る。そのため、ブロック620では、EAD124は、付加的な抵抗負荷に起因する運転者の疲労を防止するために、ステアリングシステム104、より詳細にはステアリングコラム118に補助トルクを加えるよう動作し得る。具体的には、ECU126は、トルクをステアリングシステム104に対してハンドル116の回転に対応する方向に加えるようにEAD124を動作させるように構成され得る。すなわち、ECU126は、一方方向へのハンドル116の回転に応答して、トルクをステアリングシステム104に対して該一方方向に加え、該一方方向と反対の他方方向へのハンドル116の回転に応答して、トルクをステアリングシステム104に対して該他方方向に加えるように構成され得る。このように、EAD124は、制御面552によってもたらさせる抵抗力を克服する上で運転者を支援し得る。
【0084】
ハンドル116と制御面152との間で機械的連結ではなく電気的連結を提供することで、制御面152によってハンドル116に加えられる抵抗負荷が低減され、ハンドル116を回転させる上で運転者を補助するトルクをEAD124がステアリングコラム118に加える必要性が回避され得る。しかしながら、PWC100上への各制御面552のためのアクチュエータ556の設置は、PWC100の重量を高め得るため、その全体的な速度及び操縦能力に悪影響を及ぼし得る。
【0085】
一部の例では、制御面552が旋回時に自動的に作動されるのではなく、制御面552は、ユーザとHMI132とのやりとりを介して、旋回の間にユーザによって手動で作動され得る。例えば、運転者は、制御面152のうちの1つのための作動信号をECU126に入力するためにHMI132とやりとりを行い、ECUは、制御面552に連結されたアクチュエータ556にコマンド信号を送信して、制御面552を水中から/水中内に上げ下げをするために制御面522に連結されたアクチュエータ556にコマンド信号を送信し得る。
【0086】
より良好に旋回させるために制御面552のうちの1つを水中内へと下げ(ブロック614又はブロック618)、場合によってはEAD124を操作してステアリングシステム104に補助トルクを加えること(ブロック620)に応答して、方法600はブロック602に戻って、ハンドル116が引き続き回転されているかどうかを判定し得る。ハンドル116がセンター位置に戻っているか(ブロック602の「No」の分岐)又はブロック604の1つ以上の条件のうちの1つが存在しなくなる(ブロック604の「No」の分岐)場合、ブロック606において、制御面552は上述したように無効化され得る。その後、方法600はブロック602に戻り得る。
【0087】
本明細書では改良されたステアリング制御を含むPWCを説明する。1つの例では、PWCはPWCのステアリングシステムに連結され、ECUから受信した電気信号に基づいてトルクをステアリングシステムに加えるように構成された駆動制御システムを含み得る。PWCの動作の間、駆動制御システムは、ECUによってモニタリングされる様々な動作パラメータに基づいて調整されるアクティブダンパ等の改良されたステアリング機能を実施するように構成され得る。改良されたステアリング機能は、運転者に大きな自信を植え付け、より良好なステアリング制御を提供し、潜在的に危険な操縦を回避し得る。
【0088】
一般に、オペレーティングシステムの一部又は特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール又は命令のシーケンス又はそのサブセットとして実施されるかどうかにかかわらず、本発明の実施形態を実施するために実行されるルーチンは、本明細書では「コンピュータプログラムコード」又は単に「プログラムコード」と呼ばれ得る。プログラムコードは、様々な時にコンピュータ内の様々なメモリ及び記憶装置に常駐し、コンピュータ内の1つ以上のプロセッサによって読み取られて実行された場合に、コンピュータに本発明の実施形態の様々な態様を具体化する動作及び/又は要素を実行するのに必要な動作を行わせるコンピュータ読み取り可能命令を通常含む。本発明の実施形態の動作を行うためのコンピュータ読み取り可能プログラム命令は、例えば、アセンブリ言語又は1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかであり得る。
【0089】
本明細書に記載の様々なプログラムコードは、それが本発明の特定の実施形態で実施される用途に基づいて特定され得る。しかしながら、以下の特定のプログラム命名法は便宜上用いられているにすぎず、そのため本発明は、そのような命名法によって特定される及び/又は含意される任意の特定の用途のみでの使用に限定されないことを理解すべきである。さらに、コンピュータプログラムがルーチン、手順、方法、モジュール、オブジェクト等に編成され得る方法が概して無数あり、典型的なコンピュータ内に常駐する様々なソフトウェア層(例えば、オペレーティングシステム、ライブラリ、API、アプリケーション、アプレット等)の間でプログラム機能が割り当てられる様々な方法があることを考慮すると、本発明の実施形態は、本明細書に記載のプログラム機能の特定の構成及び割り当てに限定されないことを理解すべきである。
【0090】
本明細書に記載のアプリケーション/モジュールのいずれかで具現化されるプログラムコードは、様々な異なる形態のプログラム製品として個別に又は集合的に配布することができる。とりわけ、プログラムコードは、プロセッサに本発明の実施形態の態様を行わせるためにコンピュータ読み取り可能プログラム命令を有するコンピュータ読み取り可能記憶媒体を用いて配布され得る。
【0091】
本質的に非一時的であるコンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータ等の情報の記憶のための任意の方法又は技術で実施される揮発性及び不揮発性並びにリムーバブル及び非リムーバブルの有形媒体を含み得る。コンピュータ読み取り可能記憶媒体はRAM、ROM、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ又は他の固体メモリ技術、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)又は他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置又は所望の情報を記憶するために用いることができ、コンピュータによって読み取り可能な任意の他の媒体をさらに含み得る。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、それ自体が一時的な信号(例えば、電波又は他の伝搬電磁波、導波管等の伝送媒体を介して伝搬する電磁波又はワイヤを介して伝送される電気信号)であると解釈すべきではない。コンピュータ読み取り可能プログラム命令はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からのコンピュータ、別の種類のプログラム可能なデータ処理装置若しくは他の装置に又はネットワークを介して外部コンピュータ又は外部記憶装置にダウンロードされ得る。
【0092】
コンピュータ読み取り可能媒体に記憶されたコンピュータ読み取り可能プログラム命令は、コンピュータ、他の種類のプログラマブルデータ処理装置又は他の装置を特定の態様で機能させるために用いられ、コンピュータ読み取り可能媒体に記憶された命令は、フローチャート、シーケンス図及び/又はブロック図で特定される機能、行為及び/又は動作を実施する命令を含む製造物を生成し得る。1つ以上のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート、シーケンス図及び/又はブロック図で特定される機能、行為及び/又は動作を実施するために行うべき一連の計算させるように機械を製造するために、コンピュータプログラム命令が汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置の1つ以上のプロセッサに提供され得る。
【0093】
特定の代替的な実施形態では、フローチャート、シーケンス図及び/又はブロック図で特定される機能、行為及び/又は動作は順番が変更されるか、連続して処理されるか及び/又は本発明の実施形態と一致して同時に処理され得る。さらに、フローチャート、シーケンス図及び/又はブロック図のいずれかは、本発明の実施形態と一致して図示されたものよりも多くの又は少ないブロックを含み得る。
【0094】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明する目的のみで用いられており、本発明の実施形態を限定することを意図していない。本明細書で用いる単数形「a」、「an」及び「the」は、別段文脈で明示されない限り、複数の形を含むことが意図している。本明細書で用いられる場合、「含む」という用語は記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、要素及び/又はその群の存在又は追加を排除しないことがさらに理解される。さらに、詳細な説明又は特許請求の範囲で用いられる限りにおいて、「含む」、「有した」、「有する」、「伴う」、「から成る」又は変形等の用語は、「含む」という用語と同様に包含的な意味を意図している。
【0095】
様々な実施形態の説明により本発明の全てを説明し、これらの実施形態をかなり詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限するか又は限定することは出願人の意図するところではない。当業者であれば付加の利点及び変更を容易に思い付くことができる。したがって、本発明のより広い態様は、具体的な詳細、代表的な装置及び方法並びに図示説明した例示の例に限定されない。したがって、出願人の一般的な発明概念の精神又は範囲から逸脱することなく、そのような詳細からの逸脱がなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2021-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルウォータークラフトであって、
ジェット駆動推進システムと、
前記ジェット駆動推進システムに連結され、当該パーソナルウォータークラフトの長手軸に対して前記ジェット駆動推進システムの角度を調整するためのハンドルを含むステアリングシステムと、
前記ステアリングシステムに連結される駆動制御システムであって、該駆動制御システムは、
前記ステアリングシステムにトルクを加えるために前記ステアリングシステムに連結される電気的作動装置と、
当該パーソナルウォータークラフトの動作データを生成する、前記ステアリングシステムに隣接して配置される少なくとも1つのセンサと、
前記電気的作動装置及び前記少なくとも1つのセンサに連結される少なくとも1つのコントローラであって、該少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルの回転に応答して前記動作データに基づいて前記ハンドルの回転の速度及び角度を特定することと、
前記ハンドルの回転の速度及び角度に基づいて前記ステアリングシステムに加える第1のトルクを決定することと、
当該パーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御を提供するために、前記電気的作動装置を動作させて、前記ハンドルが回転される間に前記第1のトルクを前記ステアリングシステムに対して前記ハンドルの回転と反対の方向に加えさせることであって、前記第1のトルクは前記電気的作動装置のみによって加えられる、ことと、
を行うように構成されている、少なくとも1つのコントローラと、
を含む、駆動制御システムと、
を含む、パーソナルウォータークラフト。
【請求項2】
前記第1のトルクが決定される前記動作データは、前記ハンドルの回転の速度及び角度から成る、請求項に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコントローラは、
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムの第2のトルクを決定することと、
前記ハンドルの回転の速度及び角度に基づいて前記ステアリングシステムのためのターゲットトルクを決定することと、
前記ターゲットトルクを前記第2のトルクと比較することと、
前記比較に基づいて前記第1のトルクを決定することと、
を行うように構成されることにより、前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムに加える前記第1のトルクを決定するように構成されている、請求項に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコントローラは、エンジンRPM値、エンジントルク要求値及び前記パーソナルウォータークラフトの速度に基づいて前記ステアリングシステムのためのターゲットトルクを決定するように構成されている、請求項に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記ハンドルの回転の速度及び角度の経時的な更新に基づいて、前記ステアリングシステムに加えられる前記第1のトルクを調整するフィードバックループを実施するように構成されている、請求項乃至のいずれか一項に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコントローラは、
前記パーソナルウォータークラフトを旋回させるために前記ステアリングシステムにユーザトルクが加えられているかどうか判定することと、
前記パーソナルウォータークラフトを旋回させるために前記ステアリングシステムに前記ユーザトルクが加えられていないとの判定に応答して、
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムのステアリング角度を特定することと、
前記動作データに基づいて前記ステアリングシステムをセンター位置に戻すための前記ステアリングシステムのターゲット角度を決定することと、
前記ステアリング角度を前記ターゲット角度と比較することと、
前記比較に基づいて、前記ステアリングシステムを前記センター位置に戻すためのセンタリングトルクを決定することと、
前記パーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御を提供するために、前記電気的作動装置を動作させて、前記センタリングトルクを前記ステアリングシステムに対して加えさせることであって、前記センタリングトルクは前記電気的作動装置のみによって加えられる、ことと、
を行うように構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項7】
前記コントローラは、エンジンRPM値、エンジントルク要求値及び前記パーソナルウォータークラフトの速度に基づいて前記ステアリングシステムのためのターゲット角度を決定するように構成されている、請求項に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコントローラは、ユーザがスロットルをリリースする事象に応答して、前記ハンドルが回転される間に、前記電気的作動装置が前記ステアリングシステムに対して前記ハンドルの回転と反対の方向にトルクを加えることを無効にするよう構成されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項9】
前記ステアリングシステムは第1の制御面及び第2の制御面を含み、該第1の制御面及び該第2の制御面は、前記パーソナルウォータークラフトの後部の両端に配置され、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルが第1の方向に回転されることに応答して、前記第1の制御面を水中内に下げることと、
前記ハンドルが第2の方向に回転されることに応答して、前記第2の制御面を水中内に下げることと、
を行うように構成されている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項10】
前記ステアリングシステムは第1の制御面及び第2の制御面を含み、該第1の制御面及び該第2の制御面は、前記パーソナルウォータークラフトの後部の両端に配置され、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルが第1の方向に回転され且つ前記パーソナルウォータークラフトの速度が予め定義された速度よりも大きいと判定されることに応答して、前記第1の制御面を水中内に下げることと、
前記ハンドルが第2の方向に回転され且つ前記パーソナルウォータークラフトの速度が前記予め定義された速度よりも大きいと判定されることに応答して、前記第2の制御面を水中内に下げることと、
を行うように構成されている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項11】
前記第1の制御面及び前記第2の制御面は、前記ハンドルに機械的にリンクされ、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルが前記第1の方向に回転されることに応答して、前記電気的差動装置を動作させて、トルク(「第3のトルク」)を前記ステアリングシステムに対して前記第1の方向に加えさせることと、
前記ハンドルが前記第2の方向に回転されることに応答して、前記電気的差動装置を動作させて前記第のトルクを前記ステアリングシステムに対して前記第2の方向に加えるさせることと、
を行うように構成されている、請求項又は10に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項12】
前記少なくとも1つのコントローラは、
ナビゲーションターゲットを受信することと、
前記ナビゲーションターゲットに基づいて前記ステアリングシステムに加えるトルク(「第4のトルク」)を決定することと、
前記パーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御を提供するために、前記電気的作動装置を動作させて、前記第4のトルクを前記ステアリングシステムに対して加えさせることであって、前記第4のトルクは前記電気的作動装置のみによって加えられる、ことと、
を行うように構成されている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項13】
前記パーソナルウォータークラフトはナビゲーションシステムを含み、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記ナビゲーションシステムによって生成させる地理的データに基づいて前記パーソナルウォータークラフトの現在の向きを特定することと、
前記ナビゲーションターゲットに基づいてターゲット向きを決定することと、
前記ターゲット向きを前記現在の向きと比較することと、
前記比較に基づいて前記第4のトルクを決定することと、
を行うように構成されることにより、前記ナビゲーションターゲットに基づいて前記第4のトルクを決定するように構成されている、請求項12に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項14】
前記ナビゲーションシステムは全地球測位システム(GPS)モジュール及び慣性ナビゲーションシステム(INS)モジュールを含み、前記少なくとも1つのコントローラは、
前記GPSモジュールを用いて前記INSモジュールを較正することと、
前記INSモジュールを操作して、所定の期間地理的データを生成することと、
前記所定の期間の満了に応答して、前記GPSモジュールを用いて前記INSモジュールを再度較正することと、
を行うように構成されることにより、前記地理的データを生成するように構成されている、請求項13に記載のパーソナルウォータークラフト。
【請求項15】
ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御のための駆動制御システムであって、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトはジェット駆動推進システムと、該ジェット駆動推進システムに連結され、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの長手軸に対して該ジェット駆動推進システムの角度を調整するためのハンドルを含むステアリングシステムと、を含み、当該駆動制御システムは、
前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの前記ステアリングシステムに連結されるように適合された、前記ステアリングシステムにトルクを加えるための電気的作動装置と、
前記ステアリングシステムに隣接して配置されるように適合され、前記電気的作動装置が前記ステアリングシステムに連結された場合に、前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの動作データを生成する、少なくとも1つのセンサと、
前記電気的作動装置及び前記少なくとも1つのセンサに連結される少なくとも1つのコントローラであって、該少なくとも1つのコントローラは、
前記ハンドルの回転に応答して、前記動作データに基づいて前記ハンドルの回転の速度及び角度を特定することと、
前記ハンドルの回転の速度及び角度に基づいて前記ステアリングシステムに加えるトルクを決定することと、
前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御を提供するために前記電気的作動装置を動作させて、前記ハンドルが回転される間に前記決定されたトルクを前記ステアリングシステムに対して前記ハンドルの回転と反対の方向に加えさせることであって、前記決定されたトルクは前記電気的作動装置のみによって加えられる、ことと、
を行うように構成されている、少なくとも1つのコントローラと、
を含む、駆動制御システム。
【請求項16】
ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御のための方法であって、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトはジェット駆動推進システムと、該ジェット駆動推進システムに連結され、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの長手軸に対して該ジェット駆動推進システムの角度を調整するためのハンドルを含むステアリングシステムと、該ステアリングシステムにトルクを加えるために該ステアリングシステムに連結される電気的作動装置と、該ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの動作データを生成する、前記ステアリングシステムに隣接して配置される少なくとも1つのセンサと、を含み、当該方法は、
前記ハンドルの回転を受信するステップと、
前記ハンドルの回転を受信することに応答して、前記動作データに基づいて前記ハンドルの回転の速度及び角度を特定することと、
前記ハンドルの回転の速度及び角度に基づいて、前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトのために前記ステアリングシステムに加えるトルクを決定するステップと、
前記ジェット駆動のパーソナルウォータークラフトの改良されたステアリング制御を提供するために前記電気的作動装置を動作させて、前記ハンドルが回転される間に前記決定されたトルクを前記ステアリングシステムに対して前記ハンドルの回転と反対の方向に加えさせるステップであって、前記決定されたトルクは前記電気的作動装置のみによって加えられる、ステップと、
を含む、方法。
【国際調査報告】