IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘルマン ウルトラシャルテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特表-ホルダを備えた超音波溶接装置 図1
  • 特表-ホルダを備えた超音波溶接装置 図2
  • 特表-ホルダを備えた超音波溶接装置 図3
  • 特表-ホルダを備えた超音波溶接装置 図4a
  • 特表-ホルダを備えた超音波溶接装置 図4b
  • 特表-ホルダを備えた超音波溶接装置 図4c
  • 特表-ホルダを備えた超音波溶接装置 図4d
  • 特表-ホルダを備えた超音波溶接装置 図5
  • 特表-ホルダを備えた超音波溶接装置 図6
  • 特表-ホルダを備えた超音波溶接装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-15
(54)【発明の名称】ホルダを備えた超音波溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20220207BHJP
【FI】
B23K20/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021535682
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2019084942
(87)【国際公開番号】W WO2020126842
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】102018132838.9
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520062177
【氏名又は名称】ヘルマン ウルトラシャルテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ツェンドラー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ フォーグラー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ポール
(72)【発明者】
【氏名】ラファエレ マンチーニ
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167AA06
4E167AA08
4E167BE01
4E167BE03
4E167BE04
(57)【要約】
本発明は、ソノトロードとコンバータとを有する超音波振動ユニットを備えた超音波溶接装置であって、ソノトロード及びコンバータが長手方向軸線に沿って相並んで配置され、超音波振動ユニットを長手方向軸線の方向に波長λで超音波振動により共振させることができ、ソノトロードとコンバータとの間に振幅トランスフォーマを設けることができ、超音波振動ユニットを保持するためのホルダが設けられている超音波溶接装置に関する。超音波振動ユニットの容易な調整並びにその容易な交換を可能にするホルダを備えた超音波振動ユニットを提供するために、本発明によれば、ホルダがクランピング装置を有しており、クランピング装置が、超音波振動ユニットをホルダから取り外すことができる開位置と、クランピング装置が超音波振動ユニットと接触し、超音波振動ユニットが保持されるように超音波振動ユニットに力を加える閉位置との間で往復運動することができることが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソノトロード及びコンバータを有する超音波振動ユニットを備えた超音波溶接装置であって、
前記ソノトロード及び前記コンバータは長手方向軸線に沿って相並んで配置されており、前記超音波振動ユニットを長手方向軸線の方向に波長λで超音波振動で共振させることができ、前記ソノトロードと前記コンバータとの間に配置された振幅トランスフォーマを設けることができ、前記超音波振動ユニットを保持するためのホルダが設けられている超音波溶接装置において、
前記ホルダがクランピング装置を有しており、該クランピング装置が、前記超音波振動ユニットを前記ホルダから取り外すことができる開位置と、前記クランピング装置が前記超音波振動ユニットと接触し、前記超音波振動ユニットが保持されるように前記超音波振動ユニットに力を加える閉位置との間で往復運動することができることを特徴とする、超音波溶接装置。
【請求項2】
前記クランピング装置が前記閉位置で、互いに離隔した少なくとも2つの保持点で前記超音波振動ユニットと接触することを特徴とする、請求項1に記載の超音波溶接装置。
【請求項3】
前記クランピング装置が内面及び外面を備えたスリーブとして形成され、前記内面が前記超音波振動ユニットの一部分の外面に対応して形成され、前記スリーブがスロットを有し、前記スリーブが前記スロットを仕切る互いに対向する2つのスロット壁を有するように、前記スロットが前記スリーブの外面を前記スリーブの内面と結合し、前記スロット壁を互いに向かって動かすことができる締め付け装置が設けられ、これにより前記クランピング装置が前記閉位置にもたらされ、そして前記内面によって取り囲まれた空間が縮小され、前記超音波振動ユニットが前記スリーブの内部で締め付けられ、有利には前記締め付け装置がねじ要素であり、該ねじ要素が一方のスロット壁内に形成された段付き貫通孔を通って、他方のスロット壁内に形成されたねじ孔内に係合することを特徴とする、請求項1又は2に記載の超音波溶接装置。
【請求項4】
前記スロット壁が互いに接触すると、前記超音波振動ユニットの塑性変形を招くことなしに前記超音波振動ユニットが前記クランピング装置によって確実に保持されるように、前記超音波振動ユニットの外面の一部分と前記スリーブの内面とが互いに接触することを特徴とする、請求項3に記載の超音波溶接装置。
【請求項5】
前記超音波振動ユニットが外側ビードを有し、前記ホルダは前記外側ビードと閉位置で接触することを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【請求項6】
前記外側ビードがT字形断面を有しており、該T字形断面が、脚部と、両側で直角を成して前記脚部の端部から延びるフランジとを有し、有利には該フランジが少なくとも1つの環状のカラーを有し、前記クランピング装置が前記カラーと前記閉位置で接触することを特徴とする、請求項5に記載の超音波溶接装置。
【請求項7】
前記ソノトロードは前記コンバータと、且つ/又は前記振幅トランスフォーマは前記コンバータと、且つ/又は前記振幅トランスフォーマは前記ソノトロードと、形状結合を介して結合されており、前記形状結合は前記長手方向軸線に対して直角な平面の全ての方向に形状結合を提供することを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【請求項8】
前記形状結合がピンと対応する開口とを有し、有利には前記ピンは前記振幅トランスフォーマに、そして前記開口は前記ソノトロード又は前記コンバータに配置されており、有利には前記ピン及び前記開口はn回回転軸を有する前記長手方向軸線を中心として回転対称的に形成されており、nは1よりも大きい自然数であり、特に有利には前記ソノトロードがm回回転軸を有する前記長手方向軸線を中心として回転対称的に形成されており、mはnと同じであることを特徴とする、請求項7に記載の超音波溶接装置。
【請求項9】
前記長手方向軸線に対して直角に前記ソノトロードに付与された力を支持するために支持要素が設けられ、前記ソノトロードと前記支持要素とは互いに対応する支持面を有し、前記支持面が少なくとも、前記長手方向軸線に対して直角に力が前記ソノトロードに加えられると互いに接触し、前記支持面は、互いに接触すると、前記ソノトロードの前記支持要素に対する前記長手方向軸線の方向での相対運動を阻止し、且つ前記長手方向軸線を中心とした回転を妨げないように形成され、有利には、前記支持要素が、2つの位置間で前記長手方向軸線に対して直角に往復運動可能であるように形成され、特に有利には、前記支持要素が少なくとも一方の位置に係止可能である係止装置が設けられていることを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【請求項10】
前記支持要素が前記ホルダに組み付けられていることを特徴とする、請求項9に記載の超音波溶接装置。
【請求項11】
前記ホルダは角度位置決め装置を有し、該角度位置決め装置と前記超音波振動ユニットとは互いに形状結合で接続できる構成であり、前記長手方向軸線を中心とした前記超音波振動ユニットの回転が前記形状結合により阻止され、且つ前記超音波振動ユニットと前記ホルダとの間の相対運動が前記長手方向軸線の方向で阻止されないことを特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【請求項12】
前記外側ビードが少なくとも1つの凹所を有し、角度位置決め装置が、前記凹所に対応する少なくとも1つの突起を有しており、該突起が前記凹所内に係合することができ、ひいては形状結合を実現することを特徴とする、請求項5に付随する、請求項5~11の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【請求項13】
前記外側ビードは複数の凹所を有し、有利には、前記角度位置決め装置が、前記複数の凹所に対応する複数の突起を有し、特に有利には前記超音波振動ユニットを、前記長手方向軸線を中心として互いに相対的に回転させられる複数の位置で前記角度位置決め装置と形状結合することができることを特徴とする、請求項12に記載の超音波溶接装置。
【請求項14】
前記外側ビードの少なくとも1つの凹所並びに前記角度位置決め装置の突起が、互いに対応する接触面を有し、前記角度位置決め装置内に前記超音波振動ユニットが挿入されたときに、前記超音波振動ユニットを前記長手方向軸線を中心として回転させると、前記接触面が互いに接触し、有利には前記凹所及び/又は前記突起の接触面が前記長手方向軸線に対して傾斜させられていることを特徴とする、請求項12又は13に記載の超音波溶接装置。
【請求項15】
前記角度位置決め装置が、前記角度位置決め装置を機械スタンドに固定するための固定要素と、前記長手方向軸線の方向に前記固定要素に対して相対的に2つの位置の間で往復運動可能であるカップリング要素とを有し、該カップリング要素と前記超音波振動ユニットとの間に形状結合を形成することができ、有利には、前記カップリング要素が前記2つの位置のうちの一方の位置に弾性的にプリロードをかけられており、特に有利には該プリロードが少なくとも1つのばね要素によってかけられることを特徴とする、請求項11~14の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【請求項16】
前記外側ビードは、前記ソノトロード、又は前記ソノトロードと前記コンバータとの間に配置された振幅トランスフォーマに配置され、有利には、前記外側ビードが波長λの共振振動の振動ノード内に配置されていることを特徴とする、請求項11~15の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソノトロードとコンバータとを有する超音波振動ユニットを備えた超音波溶接装置に関する。ソノトロードとコンバータとは長手方向軸線に沿って相並んで配置され、超音波振動ユニットを超音波振動と、長手方向軸線の方向に周波数f=v/λで共振させ得るように互いに調和されており、vは超音波振動ユニット内部の音響超音波振動の伝搬方向であり、λは超音波振動の波長である。このような場合には、超音波振動ユニット内には、振動ノード及び振動最大値を有する定常波が形成されている。最も単純な場合でも、ソノトロードは1つの振動ノードと2つの振動最大値とを正確に示す。すなわち、ソノトロードの長さは、共振振動の半分の波長λ/2に相当する。
【背景技術】
【0002】
通常、超音波溶接装置はアンビルを有している。被加工材料は、ソノトロードのシーリング面とアンビルのシーリング面との間に配置される。アンビルは対向工具とも呼ばれる。多くの場合、ソノトロードとコンバータとの間には振幅トランスフォーマが配置されている。振幅トランスフォーマは、コンバータによって生成された超音波振動の振幅を変化させるものの、周波数は変化させない。
【0003】
加工のためには超音波振動ユニットを保持しなければならない。従って、超音波溶接装置は相応のホルダを有している。
【0004】
溶接品質に対する要件はますます高くなっている。さらに、溶接加工時にシーリング面にかなりの摩耗が生じる、例えば金属のような材料がある。これにより、ソノトロードを頻繁に交換することが必要となる。稀にではあるが、既に複数のシーリング面を有する反転ソノトロードが提案されている。このような反転ソノトロードでは、1つのシーリング面が摩耗した後でソノトロードを反転させることにより、別のシーリング面でさらに作業することができる。
【0005】
特に金属溶接時に高い溶接品質を達成するためには、ソノトロード及びアンビルのシーリング面を極めて正確に互いに平行に位置決めすることが必要である。特に、アンビルに対して超音波振動ユニットもしくはソノトロードのシーリング面を平行に位置決めすることは、公知の超音波溶接装置では極めて多大な手間がかかり、しばしば熟練者によってしか実施することができない。このことは、特にソノトロードを頻繁に交換する際に加工プロセスの厄介な中断を招く。これに関しては反転ソノトロードを使用しても何も変わらない。それというのも、ソノトロードを各反転後には、アンビルに対して新たに正確に平行に位置決めしなければならないからである。ソノトロードの軸線方向及び半径方向の位置決めは極めて重要である。
【0006】
ソノトロードを交換するか又は回転させることにより別のシーリング面を対向工具に対して平行に方向付けしなければならない場合には、大抵は超音波振動ユニットの完全な分解が必要となり、このことは多大な時間を費やし、新たな調整を必要とする。特にホルダは複雑に構成されており、超音波振動ユニットの容易且つ迅速な分解を可能にしない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の課題は、超音波振動ユニットの容易な調整、並びにその容易な交換を可能にするホルダを備えた超音波溶接装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、このような課題は、ホルダがクランピング装置を有しており、クランピング装置が、超音波振動ユニットをホルダから取り外すことができる開位置と、クランピング装置が超音波振動ユニットと接触し、超音波振動ユニットが保持されるように超音波振動ユニットに力を加える閉位置との間で往復運動することができることによって解決される。
【発明の効果】
【0009】
超音波振動ユニットの交換又はその調整のために、こうしてクランピング装置を開位置にもたらすことができる。このことは超音波振動ユニットのホルダに対する運動を可能にする。超音波振動ユニットが所望の位置に来るやいなや、クランピング装置を閉位置へもたらすことにより、超音波振動ユニットを所望の位置に固定することができる。
【0010】
有利な実施形態では、クランピング装置が閉位置で、互いに離隔した少なくとも2つの保持点で超音波振動ユニットと接触する。互いに離隔した2つの保持点で接触させることにより、超音波振動ユニットの閉位置における安定性を改善することができる。
【0011】
さらなる有利な実施形態では、クランピング装置が内面及び外面を備えたスリーブとして形成されており、内面が超音波振動ユニットの一部分の外面に対応して形成されており、スリーブがスロットを有しており、スリーブがスロットを仕切る互いに対向する2つのスロット壁を有するように、スロットがスリーブの外面をスリーブの内面と結合しており、締め付け装置が設けられており、締め付け装置によってスロット壁を互いに向かって動かすことができ、これによりクランピング装置が閉位置にもたらされ、そして内面によって取り囲まれた空間が縮小され、超音波振動ユニットがスリーブ内部で締め付けられ、有利には締め付け装置がねじ要素であり、ねじ要素が一方のスロット壁内に形成された段付き貫通孔を通って、他方のスロット壁内に形成されたねじ孔内に係合する。
【0012】
この場合、スリーブの内面、ひいてはスリーブの内面と接触する超音波振動ユニットの部分の外面は有利には円筒形に形成されている。その利点は、クランピング装置がその開位置にあるときに、超音波振動ユニット全体をクランピング装置内部でその長手方向軸線を中心として回転させ得ることである。超音波振動ユニットが所望の回転位置に来るやいなや、クランピング装置を閉位置にもたらすことにより、超音波振動ユニットを取り囲んだ状態で締め付け、ひいては保持することができる。
【0013】
有利な実施形態では、スロット壁が互いに接触すると、超音波振動ユニットの塑性変形を招くことなしに超音波振動ユニットがクランピング装置によって確実に保持されるように、超音波振動ユニットの外面の一部分とスリーブの内面とが互いに接触する。
【0014】
有利な実施形態では、超音波振動ユニットが外側ビードを有しており、外側ビードと、保持装置が閉位置で接触する。外側ビードが振幅トランスフォーマに配置されていると有利であることが判っている。
【0015】
さらなる有利な実施形態では、外側ビードがT字形断面を有しており、T字形断面が、脚部と、両側で直角を成して脚部の端部から延びるフレンジとを有し、有利にはフランジが少なくとも1つの環状カラーを有しており、カラーと、クランピング装置が閉位置で接触する。これにより、ホルダは超音波振動ユニットの超音波振動から十分に減結合することができる。脚部が共振振動の振動ノードの領域内に配置されていることが最良である。
【0016】
さらなる有利な実施形態では、ソノトロードがコンバータと、且つ/又は振幅トランスフォーマがコンバータと、且つ/又は振幅トランスフォーマがソノトロードと、形状結合を介して結合されており、形状結合が長手方向軸線に対して直角な平面の全ての方向に形状結合を提供する。形状結合は長手方向軸線の方向における相対運動を可能にするので有利である。
【0017】
例えば、形状結合がピンと対応する開口とから成っており、振幅トランスフォーマが設けられている場合には、有利にはピンが振幅トランスフォーマに、そして対応する開口がソノトロード又はコンバータに配置されている。
【0018】
以下ではソノトロードとコンバータとの間に振幅トランスフォーマが設けられており、ソノトロードと振幅トランスフォーマとの間に形状結合が存在することを前提とする。これは有利な配置である。この配置は、振幅トランスフォーマ及びコンバータをホルダから取り外す必要なしに、ソノトロードの容易な交換を可能にする。しかしながら基本的には、振幅トランスフォーマを省き、ソノトロードをコンバータに直接固定するか、又は振幅トランスフォーマをコンバータに形状結合によって固定することも可能である。従って、以下でソノトロードと振幅トランスフォーマとの間の形状結合に基づいてのみ記載されるとしても、ソノトロードとコンバータとの間、又は振幅トランスフォーマとコンバータとの間の形状結合時にも全ての利点及びさらなる特徴を実現することができる。
【0019】
振幅トランスフォーマに対するソノトロードの位置決めを可能にするために、ピンは対応する開口内へ容易に差し込むことができる。
【0020】
振幅トランスフォーマに対するソノトロードの回転位置決め、又は振幅トランスフォーマに対するコンバータの回転位置決めが形状結合によって行われるように、ピンと、対応する開口とは長手方向軸線に対して好ましくは回転対称的には形成されていない。あるいは複数のピンと、これに対応する開口とが設けられていてよい。ピンは、振幅トランスフォーマが定義された回転角度位置でのみソノトロード又はコンバータと係合し得るように形成されていることが望ましい。
【0021】
特に有利な実施形態では、ピンと対応する開口とは、n回回転軸を有する長手方向軸線を中心とした回転対称状態を有する。
【0022】
2回回転軸の場合、ソノトロードは長手方向軸線を中心として180°(360°/2)だけ回転させ、このような位置において再び振幅トランスフォーマと結合させることができる。n回回転軸の場合、ソノトロードは長手方向軸線を中心として360°/n(例えば3回回転軸の場合120°)だけ回転させ、このような位置において再び振幅トランスフォーマと結合させることができる。
【0023】
ソノトロードが反転ソノトロードとしてm回回転軸を有する長手方向軸線を中心として回転対称的に形成されている場合には、m=nであると有利である。換言すれば、振幅トランスフォーマを、定義された回転角度位置においてのみ、ソノトロード又はコンバータと係合させることができる。
【0024】
このような形状結合は通常の場合、一方では振幅トランスフォーマと他方ではソノトロード又はコンバータとの間の軸線方向の運動を可能にする。要素を互いに不動に結合するために、例えば振幅トランスフォーマはねじ孔を有し、ソノトロード又はコンバータは段付き貫通孔を有することができるので、ねじ孔内に係合する、貫通孔に貫通係合するねじ要素によって、軸線方向の固定を行うことができる。
【0025】
あるいは、開口はピンに対して縮小されることもできる。
【0026】
さらなる有利に実施形態では、ピンと対応する開口とが円錐形に形成されているか、又は円錐形部分を有している。円錐形状は一方では、ソノトロードと振幅トランスフォーマとの結合又は振幅トランスフォーマとコンバータとの結合をセンタリングするのに役立つ。他方では、結合は円錐形状を介して自己ロック式に実施することができる。従って円錐角は最大2°であると有利である。
【0027】
さらなる有利な実施形態では、長手方向軸線に対して直角にソノトロードに付与された力を支持するために支持要素が設けられており、ソノトロードと支持要素とが互いに対応する支持面を有しており、支持面が少なくとも、長手方向軸線に対して直角に力がソノトロードに加えられると互いに接触し、支持面は、互いに接触すると、ソノトロードの支持要素に対する長手方向軸線の方向での相対運動を阻止し、且つ長手方向軸線を中心とした回転を妨げないように形成されている。
【0028】
従って、支持要素は基本的には一回だけ位置決めすればよい。対応支持面の本発明による配置関係によって、超音波振動ユニットを軸線方向に位置決めするためには、ソノトロードはただその支持面を、支持要素の対応支持面に置けばよい。その後、角度位置を固定することができる。それというのも、支持要素はソノトロードの長手方向軸線を中心とした回転を少なくともある程度の範囲で可能にするからである。
【0029】
このような実施形態は、超音波振動ユニットがソノトロードに保持されるのではなく、ソノトロードとコンバータとの間に介在する振幅トランスフォーマに保持されるとさらに特に有利である。それというのもそうすれば、溶接中にソノトロードに加えられる力が大きい梃子作用を有し、この梃子作用を支持要素によって受け止めることができるからである。ソノトロード及びアンビルのシーリング面が互いに正確に方向付けされている場合にも、ソノトロードが長手方向軸線に対して横方向に曲げモーメントで負荷されると、このような方向付けは変化する。このことは、ソノトロードのシーリング面が長手方向軸線に対して直角に位置決めされていない場合には常に当てはまる。特に金属溶接時には、ソノトロードのシーリング面は大抵の場合には、シーリング面上の法線が長手方向軸線に対して直角を成すように配向されている。金属溶接時には比較的大きい力も加えなければならないので、超音波振動ユニットの曲げがもたらされ、その結果として、ソノトロードのシーリング面はアンビルのシーリング面に対してもはや正確に平行に方向付けされなくなる。これにより、溶接品質は低下する。さらに、大きな曲げモーメントによって、超音波振動ユニットの構成部分も損傷されることがあり、このことは避けなければならない。支持要素によって、曲げ、及び平行状態からの偏りが低減され、ホルダ又は超音波振動ユニットの構成部分の損傷が回避される。
【0030】
例えば、ソノトロードはリブを有し、支持要素は溝を有することができる。リブと溝とは支持のために互いに係合する。あるいは、ソノトロードは溝を有し、支持要素はリブを有することもできる。リブと溝とはこの際に対応支持面を有する。ソノトロードのリブ又は溝は共振振動の振動ノード内に配置されていると有利である。振動ノード内に配置することの利点は、対応振動面間の接触による共振振動が、及ぼすとしても極めて僅かな影響しか超音波振動に及ぼさないことである。ソノトロードにリブを配置することが有利である。それというのも、そうすると、支持要素によって、超音波振動に及ぼされる影響が最小限になるからである。
【0031】
有利な実施形態では、リブ及び溝は台形断面を有している。例えばリブがソノトロードに配置されている場合には、リブは環状リブとして形成されていてよい。リブの厚さは半径方向に小さくなる。特に有利な実施形態では、支持面はリブによっても溝によっても形成されて、リブ及び溝が2つの支持面セグメントを有し、これらの支持面セグメントが非平行に延びて長手方向軸線に対して<90°の角度を成すようになっている。
【0032】
このような手段により、超音波振動ユニットの軸線方向の位置決めが極めて容易で正確に行われる。さらに、支持要素による超音波振動への影響を最小化することができる。振動ノード内ではなるほど長手方向の超音波振動の振幅は最小であるものの、長手方向軸線に対して直角の厚さ振動はまさにこの場所で最大となる。このような厚さ振動は、長手方向軸線上の垂直面に対して傾斜した支持面によって僅かにだけ妨げられる。支持要素がソノトロードに専ら、長手方向軸線に対して<90°の角度を成す対応支持面で接触すると、この影響をさらに低減することができる。
【0033】
さらなる有利な実施形態では対向工具が設けられている。ソノトロード及び対向工具は長手方向軸線に対して直角の方向に互いに運動可能であり、そして対向工具によって場合によってはソノトロードと対向工具との間に位置決めされた材料を介してソノトロードに加えられた力が支持要素に伝達されるように、支持要素は位置決めされている。従って、基本的には、対向工具及び支持要素はソノトロードの互いに対向する側に位置決めされている。
【0034】
さらなる有利な実施形態では、支持要素が、2つの位置間で長手方向軸線に対して直角に往復運動可能であるように形成されており、有利には係止装置が設けられており、係止装置によって支持要素が少なくとも一方の位置に係止可能である。
【0035】
さらなる有利な実施形態では、超音波振動ユニットを保持するためのホルダが設けられており、有利には支持要素はホルダに組み付けられている。
【0036】
支持要素は保持位置と解放位置との間でホルダに対して往復運動することができる。保持位置では、対応する接触面は互いに接触しているのに対して、解放位置では、超音波振動ユニットは長手方向軸線の方向に運動することができ、このような運動は支持要素によって妨げられることはない。
【0037】
さらなる有利な実施形態では、ホルダが角度位置決め装置を有しており、角度位置決め装置と超音波振動ユニットとが互いに形状結合可能であることにより、長手方向軸線を中心とした超音波振動ユニットの回転が形状結合により阻止され、且つ超音波振動ユニットとホルダとの間の長手方向軸線の方向の相対運動が阻止されないように、角度位置決め装置と超音波振動ユニットとが形成されている。
【0038】
このような形状結合によって、超音波振動ユニットのその長手方向軸線に対する角度位置が固定される。角度位置を固定するためには、超音波振動ユニットを角度位置決め装置に結合するだけでよい。これによれば、超音波振動ユニットは長手方向軸線の方向に少なくともある程度制限された範囲内で位置決めすることができる。長手方向軸線を中心としたさらなる回転は、形状結合によって阻止される。形状結合は、長手方向軸線に対する角度位置が形状結合の係合時に所望の位置に位置するように、形成されている。回転方向におけるさらなる調整は必要でない。これにより、アンビル及びソノトロードのシーリング面をほぼ完全に平行に方向付けするためには、超音波振動ユニットを角度位置決め装置と結合するだけでよい。
【0039】
従って、支持要素によって超音波振動ユニットの軸線方向位置が固定されるのに対して、角度位置決め装置によって長手方向軸線に対する超音波振動ユニットの角度位置が固定される。
【0040】
好ましい実施形態では、超音波振動ユニットの外側ビードが少なくとも1つの凹所を有しており、角度位置決め装置が、凹所に対応する少なくとも1つの突起を有しており、突起が凹所内に係合することができ、ひいては形状結合を実現する。
【0041】
外側ビードは複数の凹所を有することができ、有利には、角度位置決め装置が、複数の凹所に対応する複数の突起を有しており、特に有利には超音波振動ユニットを、長手方向軸線を中心として互いに相対的に回転させられる複数の位置で角度位置決め装置と形状結合することができる。
【0042】
特に、ソノトロードが複数のシーリング面を備えた反転ソノトロードとして形成されている場合には、後者の実施形態が有利である。係合結合が角度位置決め装置と超音波振動ユニットとの相対回転を阻止する各位置において、超音波振動ユニットは、複数のシーリング面のうちの1つが最適に方向付けされた回転位置にある。
【0043】
外側ビードは任意に形成されていてよい。例えば、外側ビードはT字形断面を有することができる。外側ビードは、脚部と、両側で直角を成して脚部の一方の側から延びるフレンジとを有している。凹所はこの場合有利にはフランジ内に設けられていてよい。
【0044】
角度位置決め装置の少なくとも1つの突起は、超音波振動ユニットとの形状結合を提供し得る限りにおいて、原理的にはいずれの方向にも延びることができる。有利な実施形態では、角度位置決め装置の突起は軸線方向に延びている。
【0045】
さらなる有利な実施形態において、外側ビードの少なくとも1つの凹所並びに角度位置決め装置の突起が、互いに対応する接触面を有しており、角度位置決め装置内に超音波振動ユニットが挿入されたときに、超音波振動ユニットを長手方向軸線を中心として回転させると、接触面が互いに接触し、有利には凹所及び/又は突起の接触面が長手方向軸線に対して傾斜させられている。基本的には、このような実施形態は、一方では角度位置決め装置と他方では超音波振動ユニットとの間に歯列を形成する。
【0046】
形状結合をできる限り遊びなしに形成するために、有利な実施形態では、突起及び/又は凹所が互いに接近するように先細に延びており、その結果として接触面が長手方向軸線に対して傾斜させられている。例えば、突起と凹所とはハース(Hirth)歯列として構成されていてよい。
【0047】
さらなる有利の実施形態では、角度位置決め装置が、角度位置決め装置を機械スタンドに固定するための固定要素と、カップリング要素とを有しており、カップリング要素が長手方向軸線の方向に固定要素に対して相対的に2つの位置の間で往復運動可能であり、カップリング要素と超音波振動ユニットとの間に形状結合を形成することができる。カップリング要素はこれらの位置のうちの一方の位置にプリロードをかけられていてよい。
【0048】
角度位置決め装置が2つの部分から成ることにより、カップリング要素は超音波振動ユニットと係合結合を成立させるか、又は超音波振動ユニットとの係合状態を解除するように動かすことができ、これにより超音波振動ユニットのその長手方向軸線を中心とした回転を可能にする。
【0049】
さらなる有利な実施形態では、固定要素とカップリング要素との間に圧力板が設けられており、カップリング要素は長手方向軸線を中心として圧力板に対して回転可能である。さらに、捕捉装置が設けられており、超音波振動ユニットの長手方向軸線を中心としたカップリング要素の回転が阻止されるように、捕捉装置によってカップリング要素を捕捉することができる。1つの有利な実施形態では、捕捉装置はホルダに固定されている。
【0050】
微調整装置が設けられていてよく、微調整装置によって、カップリング要素を、固定要素に対して相対的に長手方向軸線を中心として、2つの回転位置間で往復回転させることができ、特に有利には、微調整装置は、長孔並びに長孔に貫通係合するねじ要素を備えた、カップリング要素と結合可能な調整要素から成っており、ねじ要素はホルダのねじ孔内に係合する。固定要素に対してカップリング要素が回転可能であることは、ソノトロードのシーリング面とアンビルのシーリング面との平行状態からの、場合によってはなおも生じる逸脱を補償するのに役立つ。補償は、微調整装置によって極めて正確に行うことができる。
【0051】
さらなる有利な実施形態では、外側ビードがソノトロード、又はソノトロードとコンバータとの間に配置された振幅トランスフォーマに配置されており、有利には、ビードが波長λ/2の共振振動の振動ノード内に配置されている。振動ノード内の配置は、ホルダもしくは角度位置決め装置による共振振動への影響が最小限に抑えられることを保証する。外側ビードがT字形断面を有しており、T字形断面が、脚部と、両側で直角を成して脚部の一方の側から延びるフレンジとを有するように形成されている場合には、脚部は共振振動の振動ノード内に配置されていることが望ましい。
【0052】
さらなる有利な実施形態によれば、ホルダがクランピング装置を有しており、クランピング装置は開位置と閉位置との間で往復運動することができる。超音波振動ユニットは開位置においてホルダから取り外すことができる。閉位置では、クランピング装置は少なくとも2つの保持点で超音波振動ユニットと接触し、この超音波振動ユニットに力を加えることにより、超音波振動ユニットが保持される。保持点は有利には外側ビード上に配置されている。
【0053】
特に有利な実施形態では、クランピング装置は、スロットを備えた緊定スリーブとして形成されている。緊定スリーブは、超音波振動ユニットの一部分の外面に対応して形成された内面を有している。スリーブがスロットを仕切る互いに対向する2つのスロット壁を有するように、スロットはスリーブの外面をスリーブの内面と結合している。締め付け装置が設けられており、締め付け装置によってスロット壁を互いに向かって動かすことができる。これにより内面によって取り囲まれた空間が縮小され、超音波振動ユニットがスリーブ内部で締め付けられる。
【0054】
例えば、一方のスロット壁内にねじ孔を形成し、そして他方のスロット壁内に段付き貫通孔を形成することができ、これにより締め付け装置として役立つねじ要素は段付き貫通孔を通ってねじ孔内へ係合することができ、ねじ要素を回転させると、両スロット壁を互いに向かって動かすことができる。
【0055】
クランピング装置による超音波振動ユニットの損傷を阻止するために、有利な実施形態では、スロット壁はストッパ面として役立つ。従って、超音波振動ユニットの外面の一部分と緊定スリーブの内面とは互いに接触して、スロット壁が互いに接触すると、超音波振動ユニットが損傷されることなしに超音波振動ユニットはクランピング装置によって確実に保持されるようになっている。
【0056】
本発明の有利な実施形態の下記説明、及び所属の図面により、さらなる利点、特徴、及び使用可能性が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、本発明による超音波溶接装置を示す上面図である。
図2図2は、図1に示された超音波溶接装置を、ホルダのない状態で示す斜視図である。
図3図3は、図1のホルダを、旋回構造のない状態で示す斜視図である。
図4図4a,4b,4c,4dは、図1のカップリング要素、角度位置決め要素を示す斜視図、並びに角度位置決め要素及びホルダを示す断面図である。
図5図5は、図1の実施形態を示す断面図である。
図6図6は、図1の振幅トランスフォーマを示す斜視図である。
図7図7は、図1のソノトロードを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1には、本発明による超音波溶接装置の第1実施形態が示されている。このような超音波溶接装置は特に金属の溶接のために構成されている。超音波溶接装置は超音波振動ユニットを有している。超音波振動ユニットはソノトロード1と、振幅トランスフォーマ4と、コンバータ3とを含んでいる。超音波振動ユニットの要素は長手方向軸線に沿って相並んで配置されている。コンバータ3によって、電気的な交流電圧が機械的な超音波振動に変換される。このような機械的な振動は振幅トランスフォーマ4によって、その周波数ではなく、その振幅を変えられ、ソノトロード1に伝達される。ソノトロード1の、コンバータ3とは反対側では、ソノトロード1は全部で4つのシーリング面を有している。これらのシーリング面2は、被加工材料と接触するように構成されている。超音波振動ユニットの個々の要素、すなわちコンバータ3と、振幅トランスフォーマ4と、ソノトロード1とを互いに調和させることにより、超音波振動ユニットを波長の超音波周波数と共振させることができる。ソノトロードの内部には、定常縦半波が形成される。超音波振動ユニットは機械スタンド内に保持されなければならない。このために、ホルダ5が設けられている。ホルダについてはさらに下で詳述する。
【0059】
図2は、図1の実施形態を示す斜視図である。ここから明らかなように、超音波振動ユニットの個々の部分、つまりコンバータ3と、振幅トランスフォーマ4と、ソノトロード1とはほぼ回転対称的である。ソノトロード1の、コンバータ3とは反対側の端部だけは正方形に形成されており、正方形断面の各エッジ面には溶接面2が設けられている。あるいは、ソノトロードは他の断面、例えば三角形、正方形以外の方形などを有することもできる。
【0060】
特に、金属、それも具体的には非鉄金属、例えば銅又はアルミニウムの溶接時に、超音波によって溶接面の著しい消耗が生じるので、超音波溶接装置は部分的又は完全に規則的な間隔を置いて交換しなければならない。
【0061】
図示されたソノトロード1は全部で4つのシーリング面2を有するので、1つのシーリング面2が摩耗したときには、ソノトロードを90°だけ回転させてこのような位置でさらに使用することができる。
【0062】
超音波によって金属を加工するために、被加工材料をソノトロード1のシーリング面2と対向工具(図示せず)との間に配置し、次いで超音波振動ユニットを振動させるので、シーリング面2を介して超音波振動を被加工材料に伝達することができる。
【0063】
図1のホルダ5は図3には別個に示されている。ホルダは緊定スリーブとして形成されている。ホルダは振幅トランスフォーマを完全に取り囲むことが判る。とはいえ緊定スリーブはスロット11を有している。スロットはホルダの2つの脚要素12,13によって形成されている。図3に示された位置では、振幅トランスフォーマ4を軸線方向にホルダ5内に押し込むことができる。このような位置では、振幅トランスフォーマ4、ひいては超音波振動ユニット全体はホルダ5内部でその長手方向軸線を中心として回転させることができる。超音波振動ユニットもしくはソノトロード1のシーリング面2の所望の位置に達するやいなや、脚要素12,13はねじ要素、すなわち脚要素13の内部にねじ孔として、そして脚要素12の内部に貫通孔として形成された孔14内へ収容されたねじ要素によって、互いに向かって動かすことができるので、スリーブ状のホルダ5の内径は小さくなり、振幅トランスフォーマ4はホルダ5内に不動に締め付けられ、そしてホルダ5に対する超音波振動ユニットの長手方向軸線を中心とした相対回転はもはや行われない。注意すべきなのは、ホルダの開状態において孔は、緊定されるべき振幅トランスフォーマの外径よりも最小限にだけ大きいことが望ましいことである。このような過剰寸法は0.1mm未満、有利には0.05mm未満、そして最も好ましくは0.02mm未満であることが望ましい。図示の実施形態では、脚要素12,13は、ストッパ面として役立つ対応スロット壁を有している。すなわち、ストッパ面が互いに接触し、この状況において超音波振動ユニットが緊定スリーブ内部に不動に保持されるまで、孔14内に係合するねじ要素によって脚要素12,13を互いに向かって動かし得るように、超音波振動ユニットの外面の部分と緊定スリーブの内面とが形成されている。このような形態により、緊定スリーブが過剰に大きい圧力を鋭敏な超音波振動ユニットに加えないことが保証される。従って、脚要素12,13両スロット壁が互いに衝突する瞬間にスリーブが超音波振動ユニットに付与する力よりも大きな力が超音波振動ユニットに加えられることはない。
【0064】
緊定スリーブ内に収容された超音波振動ユニットにおいて、少なくとも100Nm、有利には少なくとも200Nm、そして最も有利には少なくとも300Nmの回転トルクを超音波振動ユニットに付与することができ、この場合超音波振動ユニットが緊定スリーブ内部で緊定スリーブに対して長手方向軸線を中心として回転することがないように、緊定スリーブは形成されていると有利である。これにより、超音波振動ユニットがホルダ内に保持されている間に、個々の構成部分、例えばソノトロードを超音波振動ユニットから取り外し得ることが保証される。
【0065】
他方において、振幅トランスフォーマに対する締め付け作用をできる限り小さく保つために、ホルダが振幅トランスフォーマに加える締め付け力はできる限り小さいことが望ましい。従って、2000Nm超、有利には1000Nm超、そして最も有利には500Nm超の回転トルクが超音波振動ユニットに付与されると、超音波振動ユニットはホルダ内部でホルダに対して長手方向軸線を中心として回転するように、緊定スリーブは形成されることが望ましい。これにより、ホルダによって振幅トランスフォーマに付与される力は振動にほとんど影響を及ぼさないことが保証される。
【0066】
図4aは、角度位置決め装置のカップリング要素8を示す斜視図である。角度位置決め装置は、ソノトロード1のシーリング面2の角度位置を容易にできる限り正確に設定するのに役立つ。
【0067】
角度位置決め装置は、スリーブとして形成されたカップリング要素8を有している。コンバートは反対の側には、一連の突起27もしくは凹所28が配置されている。コンバータハウジングの外径はカップリング要素の内径よりも小さく形成されているので、コンバータを含む超音波振動ユニットはカップリング要素によって、凹所と突起とが互いに係合するまで推し進めることができる。
【0068】
特に図5から判るように、振幅トランスフォーマは外側ビードを有している。外側ビードはここでは、脚部15と、第1及び第2スリーブ部分16,17を有するフランジとによって形成される。脚部15は、振動ノードにおいて振幅トランスフォーマ4に結合されている。振幅トランスフォーマ4からは、脚部15の端部で第1スリーブ部分16がコンバータ3の方向に、そして第2スリーブ部分17がソノトロード1の方向に延びている。第1スリーブ部分16も第2スリーブ部分17も環状のカラー18を有している。環状のカラー18はホルダ5のための接触面として役立つ。このような種類の固定は、超音波振動ユニットの振動挙動に際立った影響を及ぼすことなしに保持を可能にする。図6では、振幅トランスフォーマ4の斜視図が示されている。両方の環状のカラー18が見て取れる。第1スリーブ部分16は一連の突起20もしくは凹所21を有している。これらは角度位置決め装置の突起27及び凹所28に対応して形成されている。角度位置決め装置の突起27及び凹所28はこれにより凹所21及び突起20と結合することができる。このような形状結合によって、超音波振動ユニットの長手方向軸線を中心として回転が阻止されるのに対して、超音波振動ユニットと角度位置決め装置との長手方向軸線の方向における相対運動は阻止されない。環状カラーの外径はホルダの内径よりも僅かに小さい。
【0069】
図4bには、角度位置決め装置全体が示されている。図4aに既に示されているカップリング要素8は圧力板31に当て付けられている。圧力板はばね10によって固定要素9にばね弾性的に配置されている。固定要素9は定置に配置されている。ばね10に基づき、圧力板31は固定要素9に対して軸線方向に動かすことができる。カップリング要素8は圧力板31に当て付けられているので、カップリング要素は圧力板31と一緒に軸線方向に動かすことができる。カップリング要素8は、さらに後述するように、圧力板31に対して長手方向軸線を中心として2つの位置の間で往復回転させることができる。図4cは、ホルダ5を角度位置決め装置と一緒に示す断面図である。
【0070】
図2にも示されているように、ばね10がカップリング要素8を前方へ向かって、すなわちソノトロード1の方向に、ひいては振幅トランスフォーマ4の突起20及び凹所21と係合するように押圧する。
【0071】
ホルダ5がその締め付け位置にまだ位置していない限り、超音波振動ユニットはその長手方向軸線を中心として回転させることができる。この場合、カップリング要素8は超音波振動ユニットによってばね10の力に抗して後方へ向かって、すなわちコンバータ3の方向に押圧される。超音波振動ユニットは次いで、突起20が凹所28内に位置するまでその長手方向軸線を中心として回転させられる。カップリング要素8はこうして振幅トランスフォーマ4のフランジ内に係止する。
【0072】
図示の実施形態では、突起20もしくは27の数及び凹所21もしくは28の数は、ソノトロード1のシーリング面2の数に相当する。これにより、超音波振動ユニットを選択された角度位置でのみ組み付け得ることが保証される。
【0073】
図示の実施形態では、さらに、カップリング要素8の固定要素9に対する長手方向軸線を中心とした小さな相対回転が可能である。このような僅かな回転を実行するために、孔部19として形成された調整要素が設けられている。調整要素は、カップリング要素8と解離可能に結合されている。ねじ要素29として形成された微調整装置が調整要素をホルダ5と結合する。これにより、ねじ要素29を回転させることにより、ある程度の範囲内で、調整要素に結合されたカップリング要素8をホルダ5及び固定要素9に対して回転させることにより、角度位置を微調整することができる。従って、ねじ要素29は、孔部19内に設けられた長孔の内部に、軸線方向にも半径方向にも若干の遊びを有している。
【0074】
図4dには、角度位置決め装置のさらなる斜視断面図が示されている。孔部19内にはねじ孔が形成されており、このねじ孔内には止めねじ32が係合している。止めねじ32によって孔部19はカップリング要素8で締め付けることができるので、カップリング要素8と孔部19とは一緒の状態でのみ長手方向軸線を中心として回転させることができる。
【0075】
従ってホルダ内部の超音波振動ユニットを最初に調整するとき、又は突起20及び凹所21に対するシーリング面2の角度位置が知られていないときには、止めねじ32を緩め、超音波振動ユニットをホルダ内に挿入することができるので、カップリング要素8はばね10の力に抗して固定要素9の方向に押圧され、次いで超音波振動ユニットの突起20及び凹所21がカップリング要素8の対応する突起27及び凹所28内に位置するようになるまで、その長手方向軸線を中心として回転させられる。このような位置では、カップリング要素8はばね10の力に基づき再び固定要素9から遠ざかる方向に押圧される。シーリング面2がほぼ所望の回転位置に来るまで、今や超音波振動ユニットをその長手方向軸線を中心として回転させることができる。止めねじ32が緩められているので、カップリング要素8は超音波振動ユニットと一緒に回転するのに対して、圧力板31はその位置に留まる。
【0076】
超音波振動ユニットの所望の回転位置にほぼ達するや否や、止めねじ32を回し締めることにより、孔部19をカップリング要素8と結合する。超音波振動ユニットをその長手方向軸線を中心としてさらに回転させることは、今やねじ要素29の回転によって極めて制限された範囲でしか可能でない。
【0077】
図6から判るように、振幅トランスフォーマ4は、ソノトロード1に向いた側にピン22を有している。図7には、ソノトロード1の斜視図が示されている。ソノトロード1は振幅トランスフォーマ4に向いた側に、ピン22に対応する開口26を有している。ピン22は、対応する開口26において同様に認識し得る切り欠き23を有している。ピン22が開口26内に挿入されると、ソノトロード1と振幅トランスフォーマ4との、長手方向軸線を中心とした回転方向における形状結合が生じる。
【0078】
ソノトロード1は、段付き孔として形成された中心孔25を有している。この中心孔25を通して、振幅トランスフォーマの対応する中心にあるねじ孔24内にねじ要素を案内することにより、ソノトロード1を振幅トランスフォーマ4に固定することができる。
【0079】
図5の断面図から判るように、ソノトロード1は外側リブ6を有している。外側リブはソノトロード1の共振周波数の振動ノード内に配置されている。外側リブは図示の実施形態では環状に形成されている。ホルダ5には支持要素が固定されている。支持要素は半径方向において、超音波振動ユニットをホルダ内に収容できる外側位置と、支持要素が長手方向軸線の方向における超音波振動ユニットの運動を阻止する内側位置との間に固定されている。このような位置において、支持要素を捕捉することにより、外側位置の方向における支持要素7の望まれない運動を阻止することができる。支持要素7は溝30を有している。溝内には外側リブ6が位置するようになっている。図5に示されているように今や上方から被加工材料によってソノトロードに力が加えられると、このような力は支持要素7によって受け止められる。振幅トランスフォーマ4に設けられた包囲状態のホルダ5は、加工場所から、すなわちシーリング面4から比較的大きく隔たっているので、シーリング面2に加えられた溶接力が小さなものであっても既に、超音波振動装置を撓ませることがある。従って、支持装置7が設けられている。
【0080】
超音波振動ユニットをホルダ内に収容するためには、先ず孔14内のねじ要素による締め付け作用を緩めなければならない。そのためには、支持要素7を半径方向外側に向かって変位させなければならない。こうすれば、超音波振動ユニットをホルダ5内に挿入することができる。支持要素が半径方向内側へ向かって動かされ捕捉されたあと、外側リブ6が支持要素7の溝30内に位置するようになるまで、カップリング要素8並びに圧力板31はばね10のばね力に抗して固定要素9の方向に押圧される。これにより、超音波振動ユニットの軸線方向位置が固定される。次いで角度位置決めは、カップリング要素8の突起が第1スリーブ部分16の対応凹所内に係止するまで、超音波振動装置をその長手方向軸線を中心として回転させることにより行われる。このような位置では、角度位置もほぼ完全に方向付けされている。微細な調整は微調整装置、すなわち孔部19及びねじ要素29によって行われる。孔部19及びねじ要素29によって角度位置の微調整を行うことができる。
【0081】
超音波振動ユニットの正しい位置に達するやいなや、孔14内に係合する固定ネジによって、脚要素12及び13を互いに向かって動かすことにより、スロット11を小さくし、超音波振動ユニットを保持スリーブ内で取り囲んだ状態で締め付けることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 ソノトロード
2 シーリング面
3 コンバータ
4 振幅トランスフォーマ
5 ホルダ
6 外側リブ
7 支持要素
8 カップリング要素
9 固定要素
10 ばね
11 スロット
12 脚要素
12 脚要素
14 孔
15 脚部
16 第1スリーブ部分
17 第2スリーブ部分
18 カラー
19 孔部
20 突起
21 凹所
22 ピン
23 切り欠き
24 中心孔
25 中心孔
26 開口
27 突起
28 凹所
29 ねじ要素
30 溝
31 圧力板
32 止めねじ
33 スロット壁
34 スロット壁
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2020-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソノトロードとコンバータとを有する超音波振動ユニットを備えた超音波溶接装置に関する。ソノトロードとコンバータとは長手方向軸線に沿って相並んで配置され、超音波振動ユニットを超音波振動と、長手方向軸線の方向に周波数f=v/λで共振させ得るように互いに調和されており、vは超音波振動ユニット内部の音響超音波振動の伝搬方向であり、λは超音波振動の波長である。このような場合には、超音波振動ユニット内には、振動ノード及び振動最大値を有する定常波が形成されている。最も単純な場合でも、ソノトロードは1つの振動ノードと2つの振動最大値とを正確に示す。すなわち、ソノトロードの長さは、共振振動の半分の波長λ/2に相当する。
【背景技術】
【0002】
通常、超音波溶接装置はアンビルを有している。被加工材料は、ソノトロードのシーリング面とアンビルのシーリング面との間に配置される。アンビルは対向工具とも呼ばれる。多くの場合、ソノトロードとコンバータとの間には振幅トランスフォーマが配置されている。振幅トランスフォーマは、コンバータによって生成された超音波振動の振幅を変化させるものの、周波数は変化させない。
【0003】
加工のためには超音波振動ユニットを保持しなければならない。従って、超音波溶接装置は相応のホルダを有している。
【0004】
溶接品質に対する要件はますます高くなっている。さらに、溶接加工時にシーリング面にかなりの摩耗が生じる、例えば金属のような材料がある。これにより、ソノトロードを頻繁に交換することが必要となる。稀にではあるが、既に複数のシーリング面を有する反転ソノトロードが提案されている。このような反転ソノトロードでは、1つのシーリング面が摩耗した後でソノトロードを反転させることにより、別のシーリング面でさらに作業することができる。
【0005】
特に金属溶接時に高い溶接品質を達成するためには、ソノトロード及びアンビルのシーリング面を極めて正確に互いに平行に位置決めすることが必要である。特に、アンビルに対して超音波振動ユニットもしくはソノトロードのシーリング面を平行に位置決めすることは、公知の超音波溶接装置では極めて多大な手間がかかり、しばしば熟練者によってしか実施することができない。このことは、特にソノトロードを頻繁に交換する際に加工プロセスの厄介な中断を招く。これに関しては反転ソノトロードを使用しても何も変わらない。それというのも、ソノトロードを各反転後には、アンビルに対して新たに正確に平行に位置決めしなければならないからである。ソノトロードの軸線方向及び半径方向の位置決めは極めて重要である。
【0006】
ソノトロードを交換するか又は回転させることにより別のシーリング面を対向工具に対して平行に方向付けしなければならない場合には、大抵は超音波振動ユニットの完全な分解が必要となり、このことは多大な時間を費やし、新たな調整を必要とする。特にホルダは複雑に構成されており、超音波振動ユニットの容易且つ迅速な分解を可能にしない。
特許文献1に基づき公知の、超音波振動ユニットのためのホルダは、超音波振動ユニットを付加的な位置で支持するので、共振器は連続的に規定の周波数で振動することができ、ひいては超音波振動は目標を定めて被加工物体に作用することができる。特許文献2に基づき超音波振動伝達機構のさらなる保持構造が公知である。振動部材のための固定手段がさらに特許文献3に記載されている。
特許文献4にさらに記載された超音波振動装置の場合、ソノトロードは溶接領域、又は溶接領域に隣接した領域からλ/4の間隔を置いて、第1支承体内に支持されている。このために、支承体は突起を有している。突起はソノトロードの長手方向に延びる区分内に、側方脚部とこれらの側方脚部を結合する横方向脚部とを備えたu字形ジオメトリを有している。突起はソノトロードのu字形のジオメトリに適合された切り欠き内に係合する。ソノトロードは突起の横方向脚部に面状に置かれており、突起の少なくとも1つの側方脚部を介して、ソノトロードの軸線方向の方向付けが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2267765(A1)号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第112016003596(T5)号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第69515921(T2)号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102013103887(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の課題は、超音波振動ユニットの容易な調整、並びにその容易な交換を可能にするホルダを備えた超音波溶接装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、このような課題は、ホルダがクランピング装置を有しており、クランピング装置が、超音波振動ユニットをホルダから取り外すことができる開位置と、クランピング装置が超音波振動ユニットと接触し、超音波振動ユニットが保持されるように超音波振動ユニットに力を加える閉位置との間で往復運動することができ、クランピング装置が内面及び外面を備えたスリーブとして形成されており、内面が超音波振動ユニットの一部分の外面に対応して形成されており、スリーブがスロットを有しており、スリーブがスロットを仕切る互いに対向する2つのスロット壁を有するように、スロットがスリーブの外面をスリーブの内面と結合しており、締め付け装置が設けられており、締め付け装置によってスロット壁を互いに向かって動かすことができ、これによりクランピング装置が閉位置にもたらされ、そして内面によって取り囲まれた空間が縮小され、超音波振動ユニットがスリーブ内部で締め付けられることによって解決される。
【発明の効果】
【0010】
超音波振動ユニットの交換又はその調整のために、こうしてクランピング装置を開位置にもたらすことができる。このことは超音波振動ユニットのホルダに対する運動を可能にする。超音波振動ユニットが所望の位置に来るやいなや、クランピング装置を閉位置へもたらすことにより、超音波振動ユニットを所望の位置に固定することができる。
【0011】
有利な実施形態では、クランピング装置が閉位置で、互いに離隔した少なくとも2つの保持点で超音波振動ユニットと接触する。互いに離隔した2つの保持点で接触させることにより、超音波振動ユニットの閉位置における安定性を改善することができる。
【0012】
さらなる有利な実施形態では、締め付け装置がねじ要素であり、ねじ要素が一方のスロット壁内に形成された段付き貫通孔を通って、他方のスロット壁内に形成されたねじ孔内に係合する。
【0013】
一実施形態では、スリーブの内面、ひいてはスリーブの内面と接触する超音波振動ユニットの部分の外面は有利には円筒形に形成されている。その利点は、クランピング装置がその開位置にあるときに、超音波振動ユニット全体をクランピング装置内部でその長手方向軸線を中心として回転させ得ることである。超音波振動ユニットが所望の回転位置に来るやいなや、クランピング装置を閉位置にもたらすことにより、超音波振動ユニットを取り囲んだ状態で締め付け、ひいては保持することができる。
【0014】
有利な実施形態では、スロット壁が互いに接触すると、超音波振動ユニットの塑性変形を招くことなしに超音波振動ユニットがクランピング装置によって確実に保持されるように、超音波振動ユニットの外面の一部分とスリーブの内面とが互いに接触する。
【0015】
有利な実施形態では、超音波振動ユニットが外側ビードを有しており、外側ビードと、保持装置が閉位置で接触する。外側ビードが振幅トランスフォーマに配置されていると有利であることが判っている。
【0016】
さらなる有利な実施形態では、外側ビードがT字形断面を有しており、T字形断面が、脚部と、両側で直角を成して脚部の端部から延びるフレンジとを有し、有利にはフランジが少なくとも1つの環状カラーを有しており、カラーと、クランピング装置が閉位置で接触する。これにより、ホルダは超音波振動ユニットの超音波振動から十分に減結合することができる。脚部が共振振動の振動ノードの領域内に配置されていることが最良である。
【0017】
さらなる有利な実施形態では、ソノトロードがコンバータと、且つ/又は振幅トランスフォーマがコンバータと、且つ/又は振幅トランスフォーマがソノトロードと、形状結合を介して結合されており、形状結合が長手方向軸線に対して直角な平面の全ての方向に形状結合を提供する。形状結合は長手方向軸線の方向における相対運動を可能にするので有利である。
【0018】
例えば、形状結合がピンと対応する開口とから成っており、振幅トランスフォーマが設けられている場合には、有利にはピンが振幅トランスフォーマに、そして対応する開口がソノトロード又はコンバータに配置されている。
【0019】
以下ではソノトロードとコンバータとの間に振幅トランスフォーマが設けられており、ソノトロードと振幅トランスフォーマとの間に形状結合が存在することを前提とする。これは有利な配置である。この配置は、振幅トランスフォーマ及びコンバータをホルダから取り外す必要なしに、ソノトロードの容易な交換を可能にする。しかしながら基本的には、振幅トランスフォーマを省き、ソノトロードをコンバータに直接固定するか、又は振幅トランスフォーマをコンバータに形状結合によって固定することも可能である。従って、以下でソノトロードと振幅トランスフォーマとの間の形状結合に基づいてのみ記載されるとしても、ソノトロードとコンバータとの間、又は振幅トランスフォーマとコンバータとの間の形状結合時にも全ての利点及びさらなる特徴を実現することができる。
【0020】
振幅トランスフォーマに対するソノトロードの位置決めを可能にするために、ピンは対応する開口内へ容易に差し込むことができる。
【0021】
振幅トランスフォーマに対するソノトロードの回転位置決め、又は振幅トランスフォーマに対するコンバータの回転位置決めが形状結合によって行われるように、ピンと、対応する開口とは長手方向軸線に対して好ましくは回転対称的には形成されていない。あるいは複数のピンと、これに対応する開口とが設けられていてよい。ピンは、振幅トランスフォーマが定義された回転角度位置でのみソノトロード又はコンバータと係合し得るように形成されていることが望ましい。
【0022】
特に有利な実施形態では、ピンと対応する開口とは、n回回転軸を有する長手方向軸線を中心とした回転対称状態を有する。
【0023】
2回回転軸の場合、ソノトロードは長手方向軸線を中心として180°(360°/2)だけ回転させ、このような位置において再び振幅トランスフォーマと結合させることができる。n回回転軸の場合、ソノトロードは長手方向軸線を中心として360°/n(例えば3回回転軸の場合120°)だけ回転させ、このような位置において再び振幅トランスフォーマと結合させることができる。
【0024】
ソノトロードが反転ソノトロードとしてm回回転軸を有する長手方向軸線を中心として回転対称的に形成されている場合には、m=nであると有利である。換言すれば、振幅トランスフォーマを、定義された回転角度位置においてのみ、ソノトロード又はコンバータと係合させることができる。
【0025】
このような形状結合は通常の場合、一方では振幅トランスフォーマと他方ではソノトロード又はコンバータとの間の軸線方向の運動を可能にする。要素を互いに不動に結合するために、例えば振幅トランスフォーマはねじ孔を有し、ソノトロード又はコンバータは段付き貫通孔を有することができるので、ねじ孔内に係合する、貫通孔に貫通係合するねじ要素によって、軸線方向の固定を行うことができる。
【0026】
あるいは、開口はピンに対して縮小されることもできる。
【0027】
さらなる有利に実施形態では、ピンと対応する開口とが円錐形に形成されているか、又は円錐形部分を有している。円錐形状は一方では、ソノトロードと振幅トランスフォーマとの結合又は振幅トランスフォーマとコンバータとの結合をセンタリングするのに役立つ。他方では、結合は円錐形状を介して自己ロック式に実施することができる。従って円錐角は最大2°であると有利である。
【0028】
さらなる有利な実施形態では、長手方向軸線に対して直角にソノトロードに付与された力を支持するために支持要素が設けられており、ソノトロードと支持要素とが互いに対応する支持面を有しており、支持面が少なくとも、長手方向軸線に対して直角に力がソノトロードに加えられると互いに接触し、支持面は、互いに接触すると、ソノトロードの支持要素に対する長手方向軸線の方向での相対運動を阻止し、且つ長手方向軸線を中心とした回転を妨げないように形成されている。
【0029】
従って、支持要素は基本的には一回だけ位置決めすればよい。対応支持面の本発明による配置関係によって、超音波振動ユニットを軸線方向に位置決めするためには、ソノトロードはただその支持面を、支持要素の対応支持面に置けばよい。その後、角度位置を固定することができる。それというのも、支持要素はソノトロードの長手方向軸線を中心とした回転を少なくともある程度の範囲で可能にするからである。
【0030】
このような実施形態は、超音波振動ユニットがソノトロードに保持されるのではなく、ソノトロードとコンバータとの間に介在する振幅トランスフォーマに保持されるとさらに特に有利である。それというのもそうすれば、溶接中にソノトロードに加えられる力が大きい梃子作用を有し、この梃子作用を支持要素によって受け止めることができるからである。ソノトロード及びアンビルのシーリング面が互いに正確に方向付けされている場合にも、ソノトロードが長手方向軸線に対して横方向に曲げモーメントで負荷されると、このような方向付けは変化する。このことは、ソノトロードのシーリング面が長手方向軸線に対して直角に位置決めされていない場合には常に当てはまる。特に金属溶接時には、ソノトロードのシーリング面は大抵の場合には、シーリング面上の法線が長手方向軸線に対して直角を成すように配向されている。金属溶接時には比較的大きい力も加えなければならないので、超音波振動ユニットの曲げがもたらされ、その結果として、ソノトロードのシーリング面はアンビルのシーリング面に対してもはや正確に平行に方向付けされなくなる。これにより、溶接品質は低下する。さらに、大きな曲げモーメントによって、超音波振動ユニットの構成部分も損傷されることがあり、このことは避けなければならない。支持要素によって、曲げ、及び平行状態からの偏りが低減され、ホルダ又は超音波振動ユニットの構成部分の損傷が回避される。
【0031】
例えば、ソノトロードはリブを有し、支持要素は溝を有することができる。リブと溝とは支持のために互いに係合する。あるいは、ソノトロードは溝を有し、支持要素はリブを有することもできる。リブと溝とはこの際に対応支持面を有する。ソノトロードのリブ又は溝は共振振動の振動ノード内に配置されていると有利である。振動ノード内に配置することの利点は、対応振動面間の接触による共振振動が、及ぼすとしても極めて僅かな影響しか超音波振動に及ぼさないことである。ソノトロードにリブを配置することが有利である。それというのも、そうすると、支持要素によって、超音波振動に及ぼされる影響が最小限になるからである。
【0032】
有利な実施形態では、リブ及び溝は台形断面を有している。例えばリブがソノトロードに配置されている場合には、リブは環状リブとして形成されていてよい。リブの厚さは半径方向に小さくなる。特に有利な実施形態では、支持面はリブによっても溝によっても形成されて、リブ及び溝が2つの支持面セグメントを有し、これらの支持面セグメントが非平行に延びて長手方向軸線に対して<90°の角度を成すようになっている。
【0033】
このような手段により、超音波振動ユニットの軸線方向の位置決めが極めて容易で正確に行われる。さらに、支持要素による超音波振動への影響を最小化することができる。振動ノード内ではなるほど長手方向の超音波振動の振幅は最小であるものの、長手方向軸線に対して直角の厚さ振動はまさにこの場所で最大となる。このような厚さ振動は、長手方向軸線上の垂直面に対して傾斜した支持面によって僅かにだけ妨げられる。支持要素がソノトロードに専ら、長手方向軸線に対して<90°の角度を成す対応支持面で接触すると、この影響をさらに低減することができる。
【0034】
さらなる有利な実施形態では対向工具が設けられている。ソノトロード及び対向工具は長手方向軸線に対して直角の方向に互いに運動可能であり、そして対向工具によって場合によってはソノトロードと対向工具との間に位置決めされた材料を介してソノトロードに加えられた力が支持要素に伝達されるように、支持要素は位置決めされている。従って、基本的には、対向工具及び支持要素はソノトロードの互いに対向する側に位置決めされている。
【0035】
さらなる有利な実施形態では、支持要素が、2つの位置間で長手方向軸線に対して直角に往復運動可能であるように形成されており、有利には係止装置が設けられており、係止装置によって支持要素が少なくとも一方の位置に係止可能である。
【0036】
さらなる有利な実施形態では、超音波振動ユニットを保持するためのホルダが設けられており、有利には支持要素はホルダに組み付けられている。
【0037】
支持要素は保持位置と解放位置との間でホルダに対して往復運動することができる。保持位置では、対応する接触面は互いに接触しているのに対して、解放位置では、超音波振動ユニットは長手方向軸線の方向に運動することができ、このような運動は支持要素によって妨げられることはない。
【0038】
さらなる有利な実施形態では、ホルダが角度位置決め装置を有しており、角度位置決め装置と超音波振動ユニットとが互いに形状結合可能であることにより、長手方向軸線を中心とした超音波振動ユニットの回転が形状結合により阻止され、且つ超音波振動ユニットとホルダとの間の長手方向軸線の方向の相対運動が阻止されないように、角度位置決め装置と超音波振動ユニットとが形成されている。
【0039】
このような形状結合によって、超音波振動ユニットのその長手方向軸線に対する角度位置が固定される。角度位置を固定するためには、超音波振動ユニットを角度位置決め装置に結合するだけでよい。これによれば、超音波振動ユニットは長手方向軸線の方向に少なくともある程度制限された範囲内で位置決めすることができる。長手方向軸線を中心としたさらなる回転は、形状結合によって阻止される。形状結合は、長手方向軸線に対する角度位置が形状結合の係合時に所望の位置に位置するように、形成されている。回転方向におけるさらなる調整は必要でない。これにより、アンビル及びソノトロードのシーリング面をほぼ完全に平行に方向付けするためには、超音波振動ユニットを角度位置決め装置と結合するだけでよい。
【0040】
従って、支持要素によって超音波振動ユニットの軸線方向位置が固定されるのに対して、角度位置決め装置によって長手方向軸線に対する超音波振動ユニットの角度位置が固定される。
【0041】
好ましい実施形態では、超音波振動ユニットの外側ビードが少なくとも1つの凹所を有しており、角度位置決め装置が、凹所に対応する少なくとも1つの突起を有しており、突起が凹所内に係合することができ、ひいては形状結合を実現する。
【0042】
外側ビードは複数の凹所を有することができ、有利には、角度位置決め装置が、複数の凹所に対応する複数の突起を有しており、特に有利には超音波振動ユニットを、長手方向軸線を中心として互いに相対的に回転させられる複数の位置で角度位置決め装置と形状結合することができる。
【0043】
特に、ソノトロードが複数のシーリング面を備えた反転ソノトロードとして形成されている場合には、後者の実施形態が有利である。係合結合が角度位置決め装置と超音波振動ユニットとの相対回転を阻止する各位置において、超音波振動ユニットは、複数のシーリング面のうちの1つが最適に方向付けされた回転位置にある。
【0044】
外側ビードは任意に形成されていてよい。例えば、外側ビードはT字形断面を有することができる。外側ビードは、脚部と、両側で直角を成して脚部の一方の側から延びるフレンジとを有している。凹所はこの場合有利にはフランジ内に設けられていてよい。
【0045】
角度位置決め装置の少なくとも1つの突起は、超音波振動ユニットとの形状結合を提供し得る限りにおいて、原理的にはいずれの方向にも延びることができる。有利な実施形態では、角度位置決め装置の突起は軸線方向に延びている。
【0046】
さらなる有利な実施形態において、外側ビードの少なくとも1つの凹所並びに角度位置決め装置の突起が、互いに対応する接触面を有しており、角度位置決め装置内に超音波振動ユニットが挿入されたときに、超音波振動ユニットを長手方向軸線を中心として回転させると、接触面が互いに接触し、有利には凹所及び/又は突起の接触面が長手方向軸線に対して傾斜させられている。基本的には、このような実施形態は、一方では角度位置決め装置と他方では超音波振動ユニットとの間に歯列を形成する。
【0047】
形状結合をできる限り遊びなしに形成するために、有利な実施形態では、突起及び/又は凹所が互いに接近するように先細に延びており、その結果として接触面が長手方向軸線に対して傾斜させられている。例えば、突起と凹所とはハース(Hirth)歯列として構成されていてよい。
【0048】
さらなる有利の実施形態では、角度位置決め装置が、角度位置決め装置を機械スタンドに固定するための固定要素と、カップリング要素とを有しており、カップリング要素が長手方向軸線の方向に固定要素に対して相対的に2つの位置の間で往復運動可能であり、カップリング要素と超音波振動ユニットとの間に形状結合を形成することができる。カップリング要素はこれらの位置のうちの一方の位置にプリロードをかけられていてよい。
【0049】
角度位置決め装置が2つの部分から成ることにより、カップリング要素は超音波振動ユニットと係合結合を成立させるか、又は超音波振動ユニットとの係合状態を解除するように動かすことができ、これにより超音波振動ユニットのその長手方向軸線を中心とした回転を可能にする。
【0050】
さらなる有利な実施形態では、固定要素とカップリング要素との間に圧力板が設けられており、カップリング要素は長手方向軸線を中心として圧力板に対して回転可能である。さらに、捕捉装置が設けられており、超音波振動ユニットの長手方向軸線を中心としたカップリング要素の回転が阻止されるように、捕捉装置によってカップリング要素を捕捉することができる。1つの有利な実施形態では、捕捉装置はホルダに固定されている。
【0051】
微調整装置が設けられていてよく、微調整装置によって、カップリング要素を、固定要素に対して相対的に長手方向軸線を中心として、2つの回転位置間で往復回転させることができ、特に有利には、微調整装置は、長孔並びに長孔に貫通係合するねじ要素を備えた、カップリング要素と結合可能な調整要素から成っており、ねじ要素はホルダのねじ孔内に係合する。固定要素に対してカップリング要素が回転可能であることは、ソノトロードのシーリング面とアンビルのシーリング面との平行状態からの、場合によってはなおも生じる逸脱を補償するのに役立つ。補償は、微調整装置によって極めて正確に行うことができる。
【0052】
さらなる有利な実施形態では、外側ビードがソノトロード、又はソノトロードとコンバータとの間に配置された振幅トランスフォーマに配置されており、有利には、ビードが波長λ/2の共振振動の振動ノード内に配置されている。振動ノード内の配置は、ホルダもしくは角度位置決め装置による共振振動への影響が最小限に抑えられることを保証する。外側ビードがT字形断面を有しており、T字形断面が、脚部と、両側で直角を成して脚部の一方の側から延びるフレンジとを有するように形成されている場合には、脚部は共振振動の振動ノード内に配置されていることが望ましい。
【0053】
さらなる有利な実施形態によれば、ホルダがクランピング装置を有しており、クランピング装置は開位置と閉位置との間で往復運動することができる。超音波振動ユニットは開位置においてホルダから取り外すことができる。閉位置では、クランピング装置は少なくとも2つの保持点で超音波振動ユニットと接触し、この超音波振動ユニットに力を加えることにより、超音波振動ユニットが保持される。保持点は有利には外側ビード上に配置されている。
【0054】
特に有利な実施形態では、クランピング装置は、スロットを備えた緊定スリーブとして形成されている。緊定スリーブは、超音波振動ユニットの一部分の外面に対応して形成された内面を有している。スリーブがスロットを仕切る互いに対向する2つのスロット壁を有するように、スロットはスリーブの外面をスリーブの内面と結合している。締め付け装置が設けられており、締め付け装置によってスロット壁を互いに向かって動かすことができる。これにより内面によって取り囲まれた空間が縮小され、超音波振動ユニットがスリーブ内部で締め付けられる。
【0055】
例えば、一方のスロット壁内にねじ孔を形成し、そして他方のスロット壁内に段付き貫通孔を形成することができ、これにより締め付け装置として役立つねじ要素は段付き貫通孔を通ってねじ孔内へ係合することができ、ねじ要素を回転させると、両スロット壁を互いに向かって動かすことができる。
【0056】
クランピング装置による超音波振動ユニットの損傷を阻止するために、有利な実施形態では、スロット壁はストッパ面として役立つ。従って、超音波振動ユニットの外面の一部分と緊定スリーブの内面とは互いに接触して、スロット壁が互いに接触すると、超音波振動ユニットが損傷されることなしに超音波振動ユニットはクランピング装置によって確実に保持されるようになっている。
【0057】
本発明の有利な実施形態の下記説明、及び所属の図面により、さらなる利点、特徴、及び使用可能性が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、本発明による超音波溶接装置を示す上面図である。
図2図2は、図1に示された超音波溶接装置を、ホルダのない状態で示す斜視図である。
図3図3は、図1のホルダを、旋回構造のない状態で示す斜視図である。
図4図4a,4b,4c,4dは、図1のカップリング要素、角度位置決め要素を示す斜視図、並びに角度位置決め要素及びホルダを示す断面図である。
図5図5は、図1の実施形態を示す断面図である。
図6図6は、図1の振幅トランスフォーマを示す斜視図である。
図7図7は、図1のソノトロードを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1には、本発明による超音波溶接装置の第1実施形態が示されている。このような超音波溶接装置は特に金属の溶接のために構成されている。超音波溶接装置は超音波振動ユニットを有している。超音波振動ユニットはソノトロード1と、振幅トランスフォーマ4と、コンバータ3とを含んでいる。超音波振動ユニットの要素は長手方向軸線に沿って相並んで配置されている。コンバータ3によって、電気的な交流電圧が機械的な超音波振動に変換される。このような機械的な振動は振幅トランスフォーマ4によって、その周波数ではなく、その振幅を変えられ、ソノトロード1に伝達される。ソノトロード1の、コンバータ3とは反対側では、ソノトロード1は全部で4つのシーリング面を有している。これらのシーリング面2は、被加工材料と接触するように構成されている。超音波振動ユニットの個々の要素、すなわちコンバータ3と、振幅トランスフォーマ4と、ソノトロード1とを互いに調和させることにより、超音波振動ユニットを波長の超音波周波数と共振させることができる。ソノトロードの内部には、定常縦半波が形成される。超音波振動ユニットは機械スタンド内に保持されなければならない。このために、ホルダ5が設けられている。ホルダについてはさらに下で詳述する。
【0060】
図2は、図1の実施形態を示す斜視図である。ここから明らかなように、超音波振動ユニットの個々の部分、つまりコンバータ3と、振幅トランスフォーマ4と、ソノトロード1とはほぼ回転対称的である。ソノトロード1の、コンバータ3とは反対側の端部だけは正方形に形成されており、正方形断面の各エッジ面には溶接面2が設けられている。あるいは、ソノトロードは他の断面、例えば三角形、正方形以外の方形などを有することもできる。
【0061】
特に、金属、それも具体的には非鉄金属、例えば銅又はアルミニウムの溶接時に、超音波によって溶接面の著しい消耗が生じるので、超音波溶接装置は部分的又は完全に規則的な間隔を置いて交換しなければならない。
【0062】
図示されたソノトロード1は全部で4つのシーリング面2を有するので、1つのシーリング面2が摩耗したときには、ソノトロードを90°だけ回転させてこのような位置でさらに使用することができる。
【0063】
超音波によって金属を加工するために、被加工材料をソノトロード1のシーリング面2と対向工具(図示せず)との間に配置し、次いで超音波振動ユニットを振動させるので、シーリング面2を介して超音波振動を被加工材料に伝達することができる。
【0064】
図1のホルダ5は図3には別個に示されている。ホルダは緊定スリーブとして形成されている。ホルダは振幅トランスフォーマを完全に取り囲むことが判る。とはいえ緊定スリーブはスロット11を有している。スロットはホルダの2つの脚要素12,13によって形成されている。図3に示された位置では、振幅トランスフォーマ4を軸線方向にホルダ5内に押し込むことができる。このような位置では、振幅トランスフォーマ4、ひいては超音波振動ユニット全体はホルダ5内部でその長手方向軸線を中心として回転させることができる。超音波振動ユニットもしくはソノトロード1のシーリング面2の所望の位置に達するやいなや、脚要素12,13はねじ要素、すなわち脚要素13の内部にねじ孔として、そして脚要素12の内部に貫通孔として形成された孔14内へ収容されたねじ要素によって、互いに向かって動かすことができるので、スリーブ状のホルダ5の内径は小さくなり、振幅トランスフォーマ4はホルダ5内に不動に締め付けられ、そしてホルダ5に対する超音波振動ユニットの長手方向軸線を中心とした相対回転はもはや行われない。注意すべきなのは、ホルダの開状態において孔は、緊定されるべき振幅トランスフォーマの外径よりも最小限にだけ大きいことが望ましいことである。このような過剰寸法は0.1mm未満、有利には0.05mm未満、そして最も好ましくは0.02mm未満であることが望ましい。図示の実施形態では、脚要素12,13は、ストッパ面として役立つ対応スロット壁を有している。すなわち、ストッパ面が互いに接触し、この状況において超音波振動ユニットが緊定スリーブ内部に不動に保持されるまで、孔14内に係合するねじ要素によって脚要素12,13を互いに向かって動かし得るように、超音波振動ユニットの外面の部分と緊定スリーブの内面とが形成されている。このような形態により、緊定スリーブが過剰に大きい圧力を鋭敏な超音波振動ユニットに加えないことが保証される。従って、脚要素12,13両スロット壁が互いに衝突する瞬間にスリーブが超音波振動ユニットに付与する力よりも大きな力が超音波振動ユニットに加えられることはない。
【0065】
緊定スリーブ内に収容された超音波振動ユニットにおいて、少なくとも100Nm、有利には少なくとも200Nm、そして最も有利には少なくとも300Nmの回転トルクを超音波振動ユニットに付与することができ、この場合超音波振動ユニットが緊定スリーブ内部で緊定スリーブに対して長手方向軸線を中心として回転することがないように、緊定スリーブは形成されていると有利である。これにより、超音波振動ユニットがホルダ内に保持されている間に、個々の構成部分、例えばソノトロードを超音波振動ユニットから取り外し得ることが保証される。
【0066】
他方において、振幅トランスフォーマに対する締め付け作用をできる限り小さく保つために、ホルダが振幅トランスフォーマに加える締め付け力はできる限り小さいことが望ましい。従って、2000Nm超、有利には1000Nm超、そして最も有利には500Nm超の回転トルクが超音波振動ユニットに付与されると、超音波振動ユニットはホルダ内部でホルダに対して長手方向軸線を中心として回転するように、緊定スリーブは形成されることが望ましい。これにより、ホルダによって振幅トランスフォーマに付与される力は振動にほとんど影響を及ぼさないことが保証される。
【0067】
図4aは、角度位置決め装置のカップリング要素8を示す斜視図である。角度位置決め装置は、ソノトロード1のシーリング面2の角度位置を容易にできる限り正確に設定するのに役立つ。
【0068】
角度位置決め装置は、スリーブとして形成されたカップリング要素8を有している。コンバートは反対の側には、一連の突起27もしくは凹所28が配置されている。コンバータハウジングの外径はカップリング要素の内径よりも小さく形成されているので、コンバータを含む超音波振動ユニットはカップリング要素によって、凹所と突起とが互いに係合するまで推し進めることができる。
【0069】
特に図5から判るように、振幅トランスフォーマは外側ビードを有している。外側ビードはここでは、脚部15と、第1及び第2スリーブ部分16,17を有するフランジとによって形成される。脚部15は、振動ノードにおいて振幅トランスフォーマ4に結合されている。振幅トランスフォーマ4からは、脚部15の端部で第1スリーブ部分16がコンバータ3の方向に、そして第2スリーブ部分17がソノトロード1の方向に延びている。第1スリーブ部分16も第2スリーブ部分17も環状のカラー18を有している。環状のカラー18はホルダ5のための接触面として役立つ。このような種類の固定は、超音波振動ユニットの振動挙動に際立った影響を及ぼすことなしに保持を可能にする。図6では、振幅トランスフォーマ4の斜視図が示されている。両方の環状のカラー18が見て取れる。第1スリーブ部分16は一連の突起20もしくは凹所21を有している。これらは角度位置決め装置の突起27及び凹所28に対応して形成されている。角度位置決め装置の突起27及び凹所28はこれにより凹所21及び突起20と結合することができる。このような形状結合によって、超音波振動ユニットの長手方向軸線を中心として回転が阻止されるのに対して、超音波振動ユニットと角度位置決め装置との長手方向軸線の方向における相対運動は阻止されない。環状カラーの外径はホルダの内径よりも僅かに小さい。
【0070】
図4bには、角度位置決め装置全体が示されている。図4aに既に示されているカップリング要素8は圧力板31に当て付けられている。圧力板はばね10によって固定要素9にばね弾性的に配置されている。固定要素9は定置に配置されている。ばね10に基づき、圧力板31は固定要素9に対して軸線方向に動かすことができる。カップリング要素8は圧力板31に当て付けられているので、カップリング要素は圧力板31と一緒に軸線方向に動かすことができる。カップリング要素8は、さらに後述するように、圧力板31に対して長手方向軸線を中心として2つの位置の間で往復回転させることができる。図4cは、ホルダ5を角度位置決め装置と一緒に示す断面図である。
【0071】
図2にも示されているように、ばね10がカップリング要素8を前方へ向かって、すなわちソノトロード1の方向に、ひいては振幅トランスフォーマ4の突起20及び凹所21と係合するように押圧する。
【0072】
ホルダ5がその締め付け位置にまだ位置していない限り、超音波振動ユニットはその長手方向軸線を中心として回転させることができる。この場合、カップリング要素8は超音波振動ユニットによってばね10の力に抗して後方へ向かって、すなわちコンバータ3の方向に押圧される。超音波振動ユニットは次いで、突起20が凹所28内に位置するまでその長手方向軸線を中心として回転させられる。カップリング要素8はこうして振幅トランスフォーマ4のフランジ内に係止する。
【0073】
図示の実施形態では、突起20もしくは27の数及び凹所21もしくは28の数は、ソノトロード1のシーリング面2の数に相当する。これにより、超音波振動ユニットを選択された角度位置でのみ組み付け得ることが保証される。
【0074】
図示の実施形態では、さらに、カップリング要素8の固定要素9に対する長手方向軸線を中心とした小さな相対回転が可能である。このような僅かな回転を実行するために、孔部19として形成された調整要素が設けられている。調整要素は、カップリング要素8と解離可能に結合されている。ねじ要素29として形成された微調整装置が調整要素をホルダ5と結合する。これにより、ねじ要素29を回転させることにより、ある程度の範囲内で、調整要素に結合されたカップリング要素8をホルダ5及び固定要素9に対して回転させることにより、角度位置を微調整することができる。従って、ねじ要素29は、孔部19内に設けられた長孔の内部に、軸線方向にも半径方向にも若干の遊びを有している。
【0075】
図4dには、角度位置決め装置のさらなる斜視断面図が示されている。孔部19内にはねじ孔が形成されており、このねじ孔内には止めねじ32が係合している。止めねじ32によって孔部19はカップリング要素8で締め付けることができるので、カップリング要素8と孔部19とは一緒の状態でのみ長手方向軸線を中心として回転させることができる。
【0076】
従ってホルダ内部の超音波振動ユニットを最初に調整するとき、又は突起20及び凹所21に対するシーリング面2の角度位置が知られていないときには、止めねじ32を緩め、超音波振動ユニットをホルダ内に挿入することができるので、カップリング要素8はばね10の力に抗して固定要素9の方向に押圧され、次いで超音波振動ユニットの突起20及び凹所21がカップリング要素8の対応する突起27及び凹所28内に位置するようになるまで、その長手方向軸線を中心として回転させられる。このような位置では、カップリング要素8はばね10の力に基づき再び固定要素9から遠ざかる方向に押圧される。シーリング面2がほぼ所望の回転位置に来るまで、今や超音波振動ユニットをその長手方向軸線を中心として回転させることができる。止めねじ32が緩められているので、カップリング要素8は超音波振動ユニットと一緒に回転するのに対して、圧力板31はその位置に留まる。
【0077】
超音波振動ユニットの所望の回転位置にほぼ達するや否や、止めねじ32を回し締めることにより、孔部19をカップリング要素8と結合する。超音波振動ユニットをその長手方向軸線を中心としてさらに回転させることは、今やねじ要素29の回転によって極めて制限された範囲でしか可能でない。
【0078】
図6から判るように、振幅トランスフォーマ4は、ソノトロード1に向いた側にピン22を有している。図7には、ソノトロード1の斜視図が示されている。ソノトロード1は振幅トランスフォーマ4に向いた側に、ピン22に対応する開口26を有している。ピン22は、対応する開口26において同様に認識し得る切り欠き23を有している。ピン22が開口26内に挿入されると、ソノトロード1と振幅トランスフォーマ4との、長手方向軸線を中心とした回転方向における形状結合が生じる。
【0079】
ソノトロード1は、段付き孔として形成された中心孔25を有している。この中心孔25を通して、振幅トランスフォーマの対応する中心にあるねじ孔24内にねじ要素を案内することにより、ソノトロード1を振幅トランスフォーマ4に固定することができる。
【0080】
図5の断面図から判るように、ソノトロード1は外側リブ6を有している。外側リブはソノトロード1の共振周波数の振動ノード内に配置されている。外側リブは図示の実施形態では環状に形成されている。ホルダ5には支持要素が固定されている。支持要素は半径方向において、超音波振動ユニットをホルダ内に収容できる外側位置と、支持要素が長手方向軸線の方向における超音波振動ユニットの運動を阻止する内側位置との間に固定されている。このような位置において、支持要素を捕捉することにより、外側位置の方向における支持要素7の望まれない運動を阻止することができる。支持要素7は溝30を有している。溝内には外側リブ6が位置するようになっている。図5に示されているように今や上方から被加工材料によってソノトロードに力が加えられると、このような力は支持要素7によって受け止められる。振幅トランスフォーマ4に設けられた包囲状態のホルダ5は、加工場所から、すなわちシーリング面4から比較的大きく隔たっているので、シーリング面2に加えられた溶接力が小さなものであっても既に、超音波振動装置を撓ませることがある。従って、支持装置7が設けられている。
【0081】
超音波振動ユニットをホルダ内に収容するためには、先ず孔14内のねじ要素による締め付け作用を緩めなければならない。そのためには、支持要素7を半径方向外側に向かって変位させなければならない。こうすれば、超音波振動ユニットをホルダ5内に挿入することができる。支持要素が半径方向内側へ向かって動かされ捕捉されたあと、外側リブ6が支持要素7の溝30内に位置するようになるまで、カップリング要素8並びに圧力板31はばね10のばね力に抗して固定要素9の方向に押圧される。これにより、超音波振動ユニットの軸線方向位置が固定される。次いで角度位置決めは、カップリング要素8の突起が第1スリーブ部分16の対応凹所内に係止するまで、超音波振動装置をその長手方向軸線を中心として回転させることにより行われる。このような位置では、角度位置もほぼ完全に方向付けされている。微細な調整は微調整装置、すなわち孔部19及びねじ要素29によって行われる。孔部19及びねじ要素29によって角度位置の微調整を行うことができる。
【0082】
超音波振動ユニットの正しい位置に達するやいなや、孔14内に係合する固定ネジによって、脚要素12及び13を互いに向かって動かすことにより、スロット11を小さくし、超音波振動ユニットを保持スリーブ内で取り囲んだ状態で締め付けることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 ソノトロード
2 シーリング面
3 コンバータ
4 振幅トランスフォーマ
5 ホルダ
6 外側リブ
7 支持要素
8 カップリング要素
9 固定要素
10 ばね
11 スロット
12 脚要素
12 脚要素
14 孔
15 脚部
16 第1スリーブ部分
17 第2スリーブ部分
18 カラー
19 孔部
20 突起
21 凹所
22 ピン
23 切り欠き
24 中心孔
25 中心孔
26 開口
27 突起
28 凹所
29 ねじ要素
30 溝
31 圧力板
32 止めねじ
33 スロット壁
34 スロット壁
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソノトロード及びコンバータを有する超音波振動ユニットを備えた超音波溶接装置であって、
前記ソノトロード(1)及び前記コンバータ(3)は長手方向軸線に沿って相並んで配置されており、前記超音波振動ユニットを長手方向軸線の方向に波長λで超音波振動で共振させることができ、前記ソノトロードと前記コンバータとの間に配s置された振幅トランスフォーマ(4)を設けることができ、前記超音波振動ユニットを保持するためのホルダ(5)が設けられ
前記ホルダ(5)がクランピング装置を有しており、前記クランピング装置が、前記超音波振動ユニットを前記ホルダから取り外すことができる開位置と、前記クランピング装置が前記超音波振動ユニットと接触し、前記超音波振動ユニットが保持されるように前記超音波振動ユニットに力を加える閉位置との間で往復運動することができる超音波溶接装置において、
前記クランピング装置が内面及び外面を備えたスリーブとして形成され、前記内面が前記超音波振動ユニットの一部分の外面に対応して形成され、前記スリーブがスロットを有し、前記スリーブが前記スロットを仕切る互いに対向する2つのスロット壁(33,34)を有するように、前記スロットが前記スリーブの外面を前記スリーブの内面と結合し、前記スロット壁(33,34)を互いに向かって動かすことができる締め付け装置が設けられ、これにより前記クランピング装置が前記閉位置にもたらされ、そして前記内面によって取り囲まれた空間が縮小され、前記超音波振動ユニットが前記スリーブの内部で締め付けられる、ことを特徴とする、超音波溶接装置。
【請求項2】
前記クランピング装置が前記閉位置で、互いに離隔した少なくとも2つの保持点で前記超音波振動ユニットと接触することを特徴とする、請求項1に記載の超音波溶接装置。
【請求項3】
前記締め付け装置がねじ要素であり、該ねじ要素が一方のスロット壁内に形成された段付き貫通孔を通って、他方のスロット壁内に形成されたねじ孔内に係合することを特徴とする、請求項1又は2に記載の超音波溶接装置。
【請求項4】
前記スロット壁(33,34)が互いに接触すると、前記超音波振動ユニットの塑性変形を招くことなしに前記超音波振動ユニットが前記クランピング装置によって確実に保持されるように、前記超音波振動ユニットの外面の一部分と前記スリーブの内面とが互いに接触することを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【請求項5】
前記超音波振動ユニットが外側ビード(6)を有し、前記ホルダ(5)は前記外側ビード(6)と閉位置で接触することを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【請求項6】
前記外側ビード(6)がT字形断面を有しており、該T字形断面が、脚部と、両側で直角を成して前記脚部の端部から延びるフランジとを有し、有利には該フランジが少なくとも1つの環状のカラーを有し、前記クランピング装置が前記カラーと前記閉位置で接触することを特徴とする、請求項5に記載の超音波溶接装置。
【請求項7】
前記ソノトロード(1)は前記コンバータ(3)と、且つ/又は前記振幅トランスフォーマ(4)は前記コンバータ(3)と、且つ/又は前記振幅トランスフォーマ(4)は前記ソノトロード(1)と、形状結合を介して結合されており、前記形状結合は前記長手方向軸線に対して直角な平面の全ての方向に形状結合を提供することを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【請求項8】
前記形状結合がピン(22)と対応する開口(26)とを有し、有利には前記ピン(22)は前記振幅トランスフォーマ(4)に、そして前記開口(26)は前記ソノトロード(1)又は前記コンバータ(3)配置されており、有利には前記ピン(22)及び前記開口(26)はn回回転軸を有する前記長手方向軸線を中心として回転対称的に形成されており、nは1よりも大きい自然数であり、特に有利には前記ソノトロード(1)がm回回転軸を有する前記長手方向軸線を中心として回転対称的に形成されており、mはnと同じであることを特徴とする、請求項7に記載の超音波溶接装置。
【請求項9】
前記長手方向軸線に対して直角に前記ソノトロード(1)に付与された力を支持するために支持要素(7)が設けられ、前記ソノトロード(1)と前記支持要素(7)とは互いに対応する支持面を有し、前記支持面が少なくとも、前記長手方向軸線に対して直角に力が前記ソノトロード(1)に加えられると互いに接触し、前記支持面は、互いに接触すると、前記ソノトロード(1)の前記支持要素(7)に対する前記長手方向軸線の方向での相対運動を阻止し、且つ前記長手方向軸線を中心とした回転を妨げないように形成され、有利には、前記支持要素(7)が、2つの位置間で前記長手方向軸線に対して直角に往復運動可能であるように形成され、特に有利には、前記支持要素(7)が少なくとも一方の位置に係止可能である係止装置が設けられていることを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【請求項10】
前記支持要素(7)が前記ホルダ(5)に組み付けられていることを特徴とする、請求項9に記載の超音波溶接装置。
【請求項11】
前記ホルダ(5)は角度位置決め装置を有し、前記外側ビード(6)が少なくとも1つの凹所(21)を有し、前記角度位置決め装置が、前記凹所(21)に対応する少なくとも1つの突起(20)を有しており、該突起(2)が前記凹所内に係合することができ、ひいては形状結合を実現し、前記長手方向軸線を中心とした前記超音波振動ユニットの回転が前記形状結合により阻止され、且つ前記超音波振動ユニットと前記ホルダ(5)との間の相対運動が前記長手方向軸線の方向で阻止されないことを特徴とする、請求項5に付随する、請求項1~10の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【請求項12】
前記外側ビード(6)は複数の凹所(21)を有し、有利には、前記角度位置決め装置が、前記複数の凹所(21)に対応する複数の突起(20)を有し、特に有利には前記超音波振動ユニットを、前記長手方向軸線を中心として互いに相対的に回転させられる複数の位置で前記角度位置決め装置と形状結合することができることを特徴とする、請求項11に記載の超音波溶接装置。
【請求項13】
前記外側ビード(6)の少なくとも1つの凹所(21)並びに前記角度位置決め装置の突起(20)が、互いに対応する接触面を有し、前記角度位置決め装置内に前記超音波振動ユニットが挿入されたときに、前記超音波振動ユニットを前記長手方向軸線を中心として回転させると、前記接触面が互いに接触し、有利には前記凹所(21)及び/又は前記突起(20)の接触面が前記長手方向軸線に対して傾斜させられていることを特徴とする、請求項11又は12に記載の超音波溶接装置。
【請求項14】
前記角度位置決め装置が、該角度位置決め装置を機械スタンドに固定するための固定要素(9)と、前記長手方向軸線の方向に前記固定要素に対して相対的に2つの位置の間で往復運動可能であるカップリング要素(8)とを有し、該カップリング要素(8)と前記超音波振動ユニットとの間に形状結合を形成することができ、有利には、前記カップリング要素(8)が前記2つの位置のうちの一方の位置に弾性的にプリロードをかけられており、特に有利には該プリロードが少なくとも1つのばね要素によってかけられることを特徴とする、請求項1013の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【請求項15】
前記外側ビード(6)は、前記ソノトロード(1)、又は前記ソノトロード(1)と前記コンバータ(3)との間に配置された振幅トランスフォーマ(4)に配置され、有利には、前記外側ビード(6)が波長λの共振振動の振動ノード内に配置されていることを特徴とする、請求項1014の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【国際調査報告】