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特表2022-514767触媒物品ならびにそれを製造および使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-15
(54)【発明の名称】触媒物品ならびにそれを製造および使用する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/89 20060101AFI20220207BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20220207BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20220207BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20220207BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20220207BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
B01J23/89 A
B01J37/02 101Z
B01J37/02 301C
B01J37/08 ZAB
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/10 A
F01N3/28 301P
F01N3/28 301B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536080
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 IB2019060847
(87)【国際公開番号】W WO2020128785
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/781,630
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19152014.7
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ヴュノフ,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】ディーバ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チョン,シアオライ
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,テン
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AB01
3G091AB03
3G091AB13
3G091BA14
3G091BA15
3G091BA19
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4G169FC07
4G169FC08
(57)【要約】
本発明は、触媒物品であって、a)セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5.0重量%である、第1の層と、b)酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、c)基材と、を含み、第1の層と第2の層とが、バリア層または間隙によって分離されている、触媒物品を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒物品であって、
a)セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、前記ニッケル成分の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、前記銅成分の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5.0重量%である、第1の層と、
b)酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、前記白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、前記白金族金属成分の量が、前記第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、
c)基材と、を含み、
前記第1の層と前記第2の層とが、バリア層または1mm~10mmの間隙によって分離されている、触媒物品。
【請求項2】
前記バリア層が、アルミナ、セリア、ジルコニア、セリア-ジルコニア複合材料、チタニア、およびそれらの組み合わせを含み、前記バリア層が、白金族金属および非PGM金属を実質的に含まず、前記白金族金属および非PGM金属の各々の量が、0.001%w/w未満である、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項3】
前記触媒物品が、a)基材上に最下層として堆積された、セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、前記ニッケル成分の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、前記銅成分の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5.0重量%である、第1の層と、b)前記第1の層上に中間層として堆積された、アルミナを含むバリア層と、c)前記中間層上に最上層として堆積された、酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、前記白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、前記白金族金属成分の量が、前記第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、を含む、請求項1~2のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項4】
前記バリア層が、アルミナを含み、前記アルミナの充填量が、0.25g/in~3.0g/inの範囲である、請求項1~3のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項5】
前記アルミナの充填量が、0.5~2.0g/inの範囲である、請求項2~4のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項6】
前記触媒物品が、a)第2のゾーンとして基材上に堆積された、セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、前記ニッケル成分の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、前記銅成分の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5重量%である、第1の層と、
b)第1のゾーンとして前記基材上に堆積された、酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、前記白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、前記白金族金属成分の量が、前記第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、を含み、前記第1の層と前記第2の層とが、1mm~10mmの間隙によって分離されている、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項7】
前記ニッケル成分の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、5.0~15重量%であり、前記銅成分の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、0.25~1.0重量%である、請求項1~6のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項8】
前記バリア層が、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、およびランタンから選択される担体のためのドーパントをさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項9】
前記第1の層が、Mn、V、Co、W、およびMoから選択される非PGM金属をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項10】
前記ニッケル成分が、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸ニッケル、酸化ニッケル、またはそれらの任意の組み合わせから選択される水溶性または水不溶性のニッケル化合物を含む、請求項1~9のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項11】
前記銅成分が、銅金属、酸化銅、水酸化銅、酢酸銅、硝酸銅、硫酸銅、炭酸銅、アセチルアセトン酸銅、またはそれらの任意の組み合わせから選択される水溶性または水不溶性の銅化合物を含む、請求項1~10のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項12】
前記セリア成分が、950℃で12時間、空気中で焼成した後、15m/g~60m/gの範囲の比表面積を有するセリアを含み、前記セリア成分の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、20~80重量%である。請求項1~11のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項13】
前記第1の層の前記セリア成分が、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせから選択されるドーパントをさらに含み、前記ドーパントの量が、前記セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20重量%である、請求項1~12のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項14】
前記第2の層の前記白金族金属成分の量が、前記第2の層の総重量に基づいて、0.02~1.0重量%である、請求項1~13のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項15】
前記酸素貯蔵成分が、セリア-ジルコニア、セリア-ジルコニア-ランタナ、セリア-ジルコニア-イットリア、セリア-ジルコニア-ランタナ-イットリア、セリア-ジルコニア-ネオジミア、セリア-ジルコニア-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア-プラセオジミア、またはそれらの任意の組み合わせを含み、前記酸素貯蔵成分の量が、前記第2の層の総重量に基づいて、20~80重量%である、請求項1~14のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項16】
前記アルミナ成分が、アルミナ、ランタナ-アルミナ、セリア-アルミナ、セリア-ジルコニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミア-アルミナ、またはそれらの組み合わせを含み、前記アルミナ成分の量が、前記第2の層の総重量に基づいて、10~80重量%の範囲である、請求項1~15のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項17】
前記第2の層の前記酸素貯蔵成分のセリア含有量が、前記酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5.0~50重量%の範囲である、請求項16のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項18】
前記基材が、セラミック基材、金属基材、セラミックフォーム基材、ポリマーフォーム基材、または織物繊維基材である、請求項1~17のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項19】
前記第1および前記第2の層のうちの少なくとも1つが、第1のゾーンまたは第2のゾーンを含み、前記第1または第2のゾーンが、前記基材の長さの30~90%に及ぶ、請求項1~2のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項20】
前記第1または前記第2の層が、前記基材上に最上層または最下層として堆積されている、請求項1~5のいずれかに記載の触媒物品。
【請求項21】
請求項1~2に記載の触媒物品を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、第1の層のスラリーを調製することと、基材上に前記第1の層のスラリーを堆積させて第1の層を得ることと、バリア層スラリーを調製し、前記バリア層スラリーを中間層として前記第1の層上に堆積させることと、第2の層のスラリーを調製することと、前記第2の層のスラリーを前記中間層上に堆積させて第2の層を得、続いて400~700℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、前記第1の層のスラリーまたは第2の層のスラリーを調製する前記ステップが、初期湿潤含浸、初期湿潤共含浸、および後添加から選択される技法を含む、プロセス。
【請求項22】
請求項6に記載の触媒物品を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、第1の層のスラリーを調製することと、前記第1の層のスラリーを第2のゾーンとして基材上に堆積させて第1の層を得ることと、第2の層のスラリーを調製することと、前記第2の層のスラリーを第1のゾーンとして前記基材上に堆積させて第2の層を得、続いて400~700℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、前記第1の層と前記第2の層とが、1mm~10mmの間隙によって前記基材上で分離されており、前記第1の層のスラリーまたは第2の層のスラリーを調製する前記ステップが、初期湿潤含浸、初期湿潤共含浸、および後添加から選択される技法を含む、プロセス。
【請求項23】
内燃機関用の排気システムであって、前記システムが、i)請求項1~20のいずれかに記載の触媒物品と、ii)任意選択的に、白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの組み合わせから選択される1~300g/ftの白金族金属を含む、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品と、を含む、排気システム。
【請求項24】
前記システムが、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品と、請求項1~20のいずれかに記載の触媒物品と、を含み、前記白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品が、内燃機関の下流に位置し、前記触媒物品が、前記白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置する、請求項23に記載の排気システム。
【請求項25】
前記システムが、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品と、請求項1~20のいずれかに記載の触媒物品と、を含み、前記触媒物品が、内燃機関の下流に位置し、前記白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品が、前記三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置する、請求項23に記載の排気システム。
【請求項26】
ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物レベルを低減する方法であって、前記ガス状排気流を、請求項1~20のいずれかに記載の触媒物品、または請求項23~25に記載の排気システムと接触させて、前記排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む、方法。
【請求項27】
炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための、請求項1~20のいずれかに記載の触媒物品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特許請求される本発明は、排気ガスを処理して排気ガス中に含有される汚染物質を低減するのに有用な、触媒物品に関する。特に、特許請求される本発明は、一酸化炭素排出量、窒素酸化物排出量、および炭化水素排出量を低減するための白金族金属および非白金族金属を含む触媒物品に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン排気ガスから炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、および窒素酸化物(NO)などの汚染物質を低減するための三元変換(TWC)触媒などの触媒は、自動車産業において周知である。これらのTWC触媒は、典型的には、HCおよびCOの酸化反応ならびにNOの還元を刺激するように機能する、白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの組み合わせなどの白金族金属(PGM)を含有する。
【0003】
近年、米国などの様々な国の政府規制により、一酸化炭素の排出量が厳しく制限されており、すなわち、テールパイプからのCO排出量の許容値は、着実に減少している。したがって、厳格な基準を満たすには、改善された触媒技術が必要である。いくつかの先行技術は、汚染物質を低減するために、ニッケルまたはニッケルと銅との組み合わせを含む三元触媒の使用について開示している。これらの触媒は、ニッケルまたは銅を含浸させたアルミナを含む。しかしながら、ニッケルと銅との両方がアルミナと反応してニッケル-アルミン酸塩および銅-アルミン酸塩を形成し得るので、これらの触媒は商業的にうまくいっていない。それぞれのアルミン酸塩の形成は、典型的には厳しいエージング条件中に生じ、触媒の失活を引き起こし得る。
【0004】
さらにまた、これらの触媒は、卑金属の存在がPGMによる被毒を引き起こし、低い熱安定性を有し得るので、HCおよびCOを酸化し、NOを還元するための所望の効率を欠いていることが見出されている。したがって、ますます厳しくなっている規制を満たすためには、一酸化炭素のかなりの低減を提供しながら同時に、HCおよびNO排出レベルを低減することができる、特定の担体(複数可)および配置を使用して、ニッケル、銅、および白金族金属を含有する触媒を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本明細書で特許請求される発明は、触媒物品であって、a)セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5重量%である、第1の層と、b)酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、c)基材と、を含み、第1の層と第2の層とが、バリア層または1mm~10mmの間隙によって分離されている、触媒物品を提供する。
【0006】
別の態様では、特許請求される本発明はまた、触媒物品の調製のためのプロセスを提供する。一実施形態では、プロセスは、第1の層のスラリーを調製することと、基材上に第1の層のスラリーを堆積させて第1の層を得ることと、バリア層スラリーを調製し、バリア層スラリーを中間層として第1の層上に堆積させることと、第2の層のスラリーを調製することと、第2の層のスラリーを中間層上に堆積させて第2の層を得、続いて400~700℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、第1の層のスラリーまたは第2の層のスラリーを調製するステップが、初期湿潤含浸、初期湿潤共含浸、および後添加から選択される技法を含む。
【0007】
なお別の態様では、特許請求される本発明は、内燃機関用の排気システムであって、当該システムが、i)本発明の触媒物品と、ii)任意選択的に、白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの組み合わせから選択される1~300g/ftの白金族金属を含む白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品と、を含む、排気システムを提供する。
【0008】
さらに別の態様では、特許請求される本発明は、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法であって、排気流を本発明の触媒物品または排気システムと接触させることを含む、方法を提供する。
【0009】
さらなる態様では、特許請求される本発明は、ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物レベルを低減する方法であって、ガス状排気流を、触媒物品または排気システムと接触させて、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む、方法を提供する。
【0010】
別の態様では、特許請求される本発明は、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための、本発明の触媒物品の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の実施形態の理解を提供するために、添付図面が参照され、これらは、必ずしも縮尺どおりに描かれておらず、参照番号は、本発明の例示的な実施形態の成分を指す。図面は、単なる例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。特許請求される本発明の上および他の特色、それらの性質、ならびに様々な利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、より明らかになるであろう。
【0012】
図1】特許請求される本発明のいくつかの実施形態に従った例示的な構成における触媒物品の設計の概略図である。
図2】特許請求される本発明のいくつかの実施形態に従った排気システムの概略図である。
図3AB】様々な触媒材料の累積CO排出量、HC排出量、NO排出量、およびNHの比較試験結果を示す線グラフである。
図4AB】様々な触媒材料の累積CO排出量、HC排出量、NO排出量、およびNHの比較試験結果を示す線グラフである。
図5AB】様々な触媒材料の累積CO排出量、HC排出量、NO排出量、およびNHの比較試験結果を示す線グラフである。
図6A】特許請求される本発明の一実施形態に従った触媒組成物を含み得る、ハニカム型基材担体の斜視図である。
図6B図6Aと比較して拡大され、かつ図6Aの基材担体の端面に平行な平面に沿って取った部分断面図であり、図6Aに示される複数のガス流路の拡大図を示す。
図7図6Aでのハニカム型基材が、壁流フィルタ基材モノリスを表す、図6Aに対して拡大された断面の破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これより、以下で本発明をより十分に説明する。本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本発明が十分かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。本明細書中のいかなる言葉も、請求されていない要素を、開示された材料および方法の実施に必須であることを示すものと解釈されるべきではない。
【0014】
本明細書に考察される材料および方法を説明する文脈(特に以下の請求項の文脈)における「a」、「an」、「the」という用語、および同様の指示語の使用は、本明細書で別途指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈される。
【0015】
本明細書に記載されているすべての方法は、本明細書で別途指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書で提供される任意およびすべての例または例示的言語(例えば「など」)の使用は、材料および方法をよりよく説明することのみを意図したものであり、別途請求されない限り、範囲を限定するものではない。
【0016】
本明細書で使用されているように、「触媒」または「触媒組成物」という用語は、反応を促進する物質を指す。
【0017】
「触媒物品(catalytic article)」または「触媒物品(catalyst article)」という用語は、基材が、所望の反応を促進するために使用される触媒成分でコーティングされている構成要素を指す。一実施形態では、触媒物品は、層状触媒物品である。層状触媒物品という用語は、基材が、層状の様式でPGMおよび/または非PGM組成物でコーティングされている触媒物品を指す。これらの組成物(複数可)は、ウォッシュコート(複数可)と称され得る。
【0018】
「NO」という用語は、NOおよび/またはNOなどの窒素酸化物化合物を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「非PGM金属」は、限定されないが、Ni、Cu、Fe、Mn、Zn、およびそれらの任意の混合物を含む活性金属または金属酸化物を指す。
【0020】
白金族金属(PGM)成分は、PGM(Rh、Pd、およびPt)を含む任意の成分を指す。例えば、PGMは、原子価がゼロの金属形態であってもよいか、またはPGMは、酸化物形態であってもよい。「PGM成分」についての言及は、任意の価電子状態でのPGMの存在を考慮に入れている。「白金(Pt)成分」、「ロジウム(Rh)成分」、「パラジウム(Pd)成分」などの用語は、触媒の焼成または使用時に、触媒活性形態、通常は金属または金属酸化物に分解されるかまたは変換される、それぞれの白金族金属化合物、錯体などを指す。白金族金属(複数可)は、アルミナ成分、酸素貯蔵成分、およびジルコニア成分などの支持体材料上に支持または含浸されている。本明細書で使用されているように、「含浸させられた」または「含浸」とは、支持体材料の細孔性構造に触媒材料が浸透することを指す。
【0021】
触媒材料もしくは触媒組成物または触媒ウォッシュコートにおける「支持体」は、沈殿、会合、分散、含浸、または他の好適な方法によって金属(例えば、PGM)、安定剤、促進剤、結合剤などを受容する材料を指す。例示的な支持体としては、本明細書で以下に記載されるような耐火性金属酸化物支持体が挙げられる。
【0022】
「耐火性金属酸化物支持体」は、例えば、バルクアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、マグネシア、ネオジミア、およびそのような使用で知られている他の材料、ならびに原子ドープされた組み合わせを含み、かつ高表面積または活性化アルミナなどの活性化合物を含む、それらの物理的混合物または化学的組み合わせを含む金属酸化物である。
【0023】
金属酸化物の例示的な組み合わせとしては、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-セリア-ジルコニア、ランタナ-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミア-アルミナ、およびアルミナ-セリアが挙げられる。例示的なアルミナは、大きい細孔のベーマイト、ガンマ-アルミナ、およびデルタ/シータアルミナを含む。例示的なプロセスにおいて出発材料として使用される有用な市販のアルミナとしては、高仮比重ガンマ-アルミナ、低または中仮比重大細孔ガンマ-アルミナ、ならびに低仮比重大細孔ベーマイトおよびガンマ-アルミナなどの、活性アルミナが挙げられる。そのような材料は、一般に、得られる触媒に耐久性を提供すると考えられている。
【0024】
「高表面積の耐火性金属酸化物支持体」は、具体的には、20Åよりも大きい細孔および広い細孔分布を有する支持体粒子を指す。高表面積の耐火性金属酸化物支持体、例えば、「ガンマアルミナ」または「活性アルミナ」とも称されるアルミナ支持体材料は、典型的には、1グラムあたり60平方メートル(「m/g」)を超える、多くの場合最大300m/g以上の未使用の材料のBET表面積を呈する。そのような活性化アルミナは通常、アルミナのガンマ相とデルタ相との混合物であるが、相当量のエータ、カッパ、およびシータアルミナ相も含有してもよい。「BET表面積」は、N吸着測定によって表面積を決定するためのブルナウアー-エメット-テラー法を指す通常の意味を有する。別途具体的に記載されない限り、「比表面積」または「表面積」に対する本明細書のすべての言及は、BET表面積を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「酸素貯蔵成分」(OSC)という用語は、多価状態を有し、かつ還元条件下で一酸化炭素(CO)および/または水素などの還元剤と能動的に反応し、次いで酸化条件下で酸素または窒素酸化物などの酸化剤と反応することができる実体を指す。酸素貯蔵成分の例としては、前周期遷移金属酸化物、特にジルコニア、ランタナ、プラセオジミア、ネオジミア、ニオビア、ユーロピア、サマリア、イッテルビア、イットリア、およびそれらの混合物で任意選択的にドープされたセリア複合材料が挙げられる。
【0026】
「排気流」、「エンジン排気流」、「排気ガス流」などの用語は、固体または液体の粒子状物質も含有し得る、流動するエンジン流出ガスの任意の組み合わせを指す。流れは、ガス状成分を含み、例えば、液滴、固体粒子などのようなある特定の非ガス状成分を含有し得るリーンバーンエンジンの排気である。リーンバーンエンジンの排気流は、典型的には、燃焼生成物、不完全燃焼生成物、窒素酸化物、可燃性および/または炭素質微粒子状物質(煤)、ならびに未反応の酸素および窒素をさらに含む。そのような用語はまた、本明細書に記載の1つ以上の他の触媒系成分の下流流出物を指す。
【0027】
本発明は、ますます厳しくなっている規制を満たすために、一酸化炭素をかなり低減しながら同時に、排気ガスのHCおよびNO排出レベルを低減することができる触媒物品および排気システムを提供することに焦点をあてる。本発明は、特定の担体を使用する特定の様式で、PGMなどの高効率の貴金属と、ニッケルおよび銅などの低コストの非PGM金属とを組み合わせることに基づく。
【0028】
銅とニッケルとの組み合わせは、COおよびHCの向上した変換を提供し、PGM系の三元変換触媒のみと比較してより多くの酸素貯蔵容量を提供すると考えられる。さらに、酸素貯蔵容量の枯渇後のCu-Niの組み合わせは、触媒水ガスシフト(WGS)および水蒸気改質反応を介して一酸化炭素および/または炭化水素の低減をさらに提供し得る。すなわち、ニッケル-銅触媒は、水と一酸化炭素との反応、または水と炭化水素との反応を触媒して、長時間のリッチ状態でエンジン排気ガス中に二酸化炭素および水素を生成することができる。この組み合わせは、反応を促進させるのに低温でも有効であることが見出されており、したがって、一酸化炭素、炭化水素、および窒素酸化物を低減するために向上した効率を提供する。
【0029】
したがって、特許請求される発明は、触媒物品であって、a)セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5.0重量%である、第1の層と、b)酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、c)基材と、を含み、第1の層と第2の層とが、バリア層または1mm~10mmの間隙によって分離されている、触媒物品を提供する。第1の層または第2の層は、最上層または基材上の最下層として堆積される。本発明の好ましい実施形態のうちの1つでは、第1の層は、基材上に最下層として堆積され、第2の層は、最下層上に最上層として堆積される。バリア層は、アルミナ、セリア、ジルコニア、セリア-ジルコニア複合材料、チタニア、およびそれらの組み合わせを含み、バリア層は、白金族金属および非PGM金属を実質的に含まない。「実質的に含まない」という用語は、層に存在する白金族金属および非PGM金属の各々の量が、0.001%w/w未満であることを意味する。本発明によれば、第1の層は、白金族金属(複数可)を実質的に含まず、第2の層は、ニッケル、銅、および他の卑金属(複数可)を実質的に含まない。「実質的に含まない」という用語は、第1の層に存在する白金族金属の量が、0.001%w/w未満であり、第2の層に存在するニッケル、銅、および他の卑金属(複数可)の量が、0.001%w/w未満であることを意味する。
【0030】
一実施形態では、触媒物品は、a)基材上に最下層として堆積された、セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5.0重量%である、第1の層と、b)第1の層上に中間層として堆積された、アルミナを含むバリア層と、c)中間層上に最上層として堆積された、酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、を含む。
【0031】
一実施形態では、触媒物品は、a)基材上に最下層として堆積された、セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5.0重量%である、第1の層と、b)第1の層上に中間層として堆積された、アルミナを含むバリア層であって、アルミナの充填量が、0.25g/in~3.0g/inの範囲である、バリア層と、c)中間層上に最上層として堆積された、酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、を含む。
【0032】
一実施形態では、触媒物品は、a)基材上に最下層として堆積された、セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5.0重量%である、第1の層と、b)第1の層上に中間層として堆積された、アルミナを含むバリア層であって、アルミナの充填量が、0.5g/in~2.0g/inの範囲である、バリア層と、c)中間層上に最上層として堆積された、酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、を含む。
【0033】
別の実施形態では、触媒物品は、a)基材上に最下層として堆積された、セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5.0重量%である、第1の層と、b)第1の層上に中間層として堆積された、アルミナ、ならびにバリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、およびランタンから選択される担体のためのドーパントを含む、バリア層であって、アルミナの充填量が、0.25g/in~3.0g/inの範囲である、バリア層と、c)中間層上に最上層として堆積された、酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、を含む。
【0034】
第1の層に使用されるニッケル成分の量は、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、01.~30重量%、または5.0~15重量%、または8.0~10重量%である。典型的には、ニッケル成分は、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸ニッケル、酸化ニッケル、またはそれらの任意の組み合わせから選択される水溶性または水不溶性のニッケル化合物を含む。第1の層に使用される銅成分の量は、第1の層の総重量に基づいて、0.01~5.0、または0.1~1、または0.25~1重量%である。典型的には、銅成分は、銅金属、酸化銅、水酸化銅、酢酸銅、硝酸銅、硫酸銅、炭酸銅、アセチルアセトン酸銅、またはそれらの任意の組み合わせから選択される水溶性または水不溶性の銅化合物を含む。
【0035】
一実施形態では、触媒物品は、a)基材上に最下層として堆積された、セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、8~10重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.1~0.5重量%である、第1の層と、b)第1の層上に中間層として堆積された、アルミナを含むバリア層と、c)中間層上に最上層として堆積された、酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、を含む。1つの例示的な実施形態では、触媒物品であって、a)セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5.0重量%である、第1の層と、b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分の各々の上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、酸素貯蔵成分上に支持された白金族金属成分の量が、第2の層に存在する白金族金属成分の総量に対して、25~75重量%の範囲である一方で、アルミナ成分上に支持された白金族金属成分の量が、第2の層に存在する白金族金属成分の総量に対して、25~75重量%の範囲であり、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、c)基材と、を含み、第1の層と第2の層とが、バリア層または間隙によって分離されている、触媒物品。
【0036】
触媒物品の別の設計では、第1の層と第2の層とは、所定の間隙で分離されている、基材上の2つのゾーンとして堆積される。「所定の間隙」という用語は、2つの層または2つのゾーン(前部ゾーン(第1のゾーン)および後部ゾーン(第2のゾーン))の間の空間または距離または切れ目を指すので、2つの層または2つのゾーンは、互いに直接接触しない。所定の間隙は、1mm~10mmであり得る。1つの例示的な実施形態では、触媒物品は、a)後部ゾーン(第2のゾーン)として基材上に堆積された、セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5重量%である、第1の層と、b)前部ゾーン(第1のゾーン)として基材上に堆積された、酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、を含み、第1の層と第2の層とが、1mm~10mmの間隙によって分離されている。別の例示的な実施形態では、触媒物品は、a)後部ゾーンとして基材上に堆積された、セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、8~10重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.1~0.5重量%である、第1の層と、b)前部ゾーンとして基材上に堆積された、酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、を含み、第1の層と第2の層とが、1mm~10mmの間隙によって分離されている。
【0037】
1つの例示的な実施形態では、触媒物品であって、a)前部ゾーンまたは後部ゾーンを含む、第1の層であって、前部または後部ゾーンが、基材の長さの30~90%におよび、セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含み、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5.0重量%である、第1の層と、b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分の各々の上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、酸素貯蔵成分上に支持された白金族金属成分の量が、第2の層に存在する白金族金属成分の総量に対して、25~75重量%の範囲である一方で、アルミナ成分上に支持された白金族金属成分の量が、第2の層に存在する白金族金属成分の総量に対して、25~75重量%の範囲であり、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、c)基材と、を含み、第1の層と第2の層とが、バリア層または間隙によって分離されている、触媒物品。
【0038】
別の例示的な実施形態では、触媒物品であって、a)セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5.0重量%である、第1の層と、b)前部ゾーンまたは後部ゾーン第2の層であって、前部または後部ゾーンが、基材の長さの30~90%におよび、酸素貯蔵成分およびアルミナ成分の各々の上に支持された白金族金属成分を含み、酸素貯蔵成分上に支持された白金族金属成分の量が、第2の層に存在する白金族金属成分の総量に対して、25~75重量%の範囲である一方で、アルミナ成分上に支持された白金族金属成分の量が、第2の層に存在する白金族金属成分の総量に対して、25~75重量%の範囲であり、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、c)基材と、を含み、第1の層と第2の層とが、バリア層または間隙によって分離されている、触媒物品。
【0039】
ニッケル成分および銅成分を支持するために利用される第1の層のセリア成分は、950℃で12時間空気中で焼成した後、15m/g~60m/gの範囲の比表面積を有するセリアを含み、セリア成分の量は、第1の層の総重量に基づいて、20~80重量%である。第1の層のセリア成分は、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせから選択されるドーパントをさらに含み得、ドーパントの量は、セリア成分の総重量に基づいて、1~20重量%である。第2の層の白金族金属成分を支持するために利用される例示的な酸素貯蔵成分としては、セリア-ジルコニア、セリア-ジルコニア-ランタナ、セリア-ジルコニア-イットリア、セリア-ジルコニア-ランタナ-イットリア、セリア-ジルコニア-ネオジミア、セリア-ジルコニア-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア-プラセオジミア、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。利用される酸素貯蔵成分の量は、第2の層の総重量に基づいて、20~80重量%である。一実施形態では、酸素貯蔵成分は、セリア-ジルコニアを含む。第2の層の酸素貯蔵成分のセリア含有量は、酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5~50重量%の範囲である。第2の層の白金族金属成分を支持するために利用されるアルミナ成分は、アルミナ、ランタナ-アルミナ、セリア-アルミナ、セリア-ジルコニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミア-アルミナ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。アルミナ成分の量は、第2の層の総重量に基づいて、10~80重量%の範囲である。
【0040】
本明細書で使用されているように、「基材」という用語は、典型的にはウォッシュコートの形態の、触媒組成物を含有する複数の粒子を含有するモノリス材料を指し、その上に触媒材料が置かれる。「モノリシック基材」、または「ハニカム基材」への言及は、入口から出口まで均質かつ連続的な単一構造を意味する。本明細書で使用されているように、「ウォッシュコート」という用語は、処理されるガス流の通過を可能にするのに十分に細孔性のある基材材料、例えばハニカムタイプの担体部材に塗布される触媒または他の材料の薄い接着性コーティングの技術分野におけるその通常の意味を有する。ウォッシュコートは、液体ビヒクル中のある特定の固体含有量(例えば15%~60重量%)の粒子を含有するスラリーを調製し、次いでこれを基材上にコーティングし、乾燥させてウォッシュコート層を提供することによって形成される。本明細書において使用され、Heck、RonaldおよびFarrauto、Robert、Catalytic Air Pollution Control、New York:Wiley-Interscience、2002、pp.18-19に記載されているように、ウォッシュコート層は、モノリシック基材または下側のウォッシュコート層の表面に配置された材料の、組成的に区別される層を含む。一実施形態では、基材は、1つ以上のウォッシュコート層を含有し、各ウォッシュコート層は、何らかの方式で異なる(例えば、粒子サイズまたは結晶子相などの、例えばその物理的特性において異なり得る)、および/または化学的触媒機能が異なり得る。
触媒物品は、「未使用」であってもよく、これは、それが新しく、任意の熱または熱的ストレスに長期間の間さらされていないことを意味する。「未使用」とはまた、触媒が最近調製され、任意の排気ガスまたは高温にさらされていないことを意味し得る。同様に、「エージングした」触媒物品は、未使用ではなく、長期間(すなわち、3時間超)排気ガスおよび高温(すなわち、500℃超)にさらされている。1つ以上の実施形態によれば、本発明の触媒物品の基材は、自動車触媒を調製するために典型的に使用される任意の材料で構築され得、典型的にはセラミックまたは金属モノリシックハニカム構造を備える。一実施形態では、基材は、セラミック基材、金属基材、セラミックフォーム基材、ポリマーフォーム基材、または織物繊維基材である。基材は、典型的には、上記で本明細書に記載の触媒組成物を含むウォッシュコートが塗布および接着される複数の壁面を提供し、それにより触媒組成物用の担体として作用する。例示的な金属基材は、チタンおよびステンレス鋼ならびに鉄が実質的なまたは主な成分である他の合金などの耐熱性金属および金属合金を含む。そのような合金は、ニッケル、クロム、および/またはアルミニウムのうちの1つ以上を含有し得、これらの金属の総量は、有利には、合金の少なくとも15重量%、例えば、10~25重量%のクロム、3~8重量%のアルミニウム、および最大20重量%のニッケルを含み得る。合金はまた、マンガン、銅、バナジウム、およびチタンなどの、少量または微量の1つ以上の金属を含有し得る。金属基材の表面は、高温、例えば、1000℃以上で酸化されて、基材の表面上に酸化物層を形成し、合金の耐食性を改善し、金属表面へのウォッシュコート層の接着を容易にし得る。基材の構築に使用されるセラミック材料としては、任意の好適な耐火性材料、例えば、コーディエライト、ムライト、コーディエライト-アルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカマグネシア、ケイ酸ジルコン、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、アルミナ、アルミノシリケートなどを挙げることができる。通路が流体流に開放されるように、基材の入口から出口面まで延在する複数の微細で平行なガス流路を有するモノリシックフロースルー基材などの、任意の好適な基材を用いることができる。入口から出口への本質的に直線の経路である通路は、通路を通して流れるガスが触媒材料と接触するように、触媒材料がウォッシュコートとしてコーティングされる壁によって画定される。モノリシック基材の流路は、例えば、台形、長方形、正方形、正弦波形状、六角形、楕円形、および円形などの任意の好適な断面形状のものであり得る薄壁チャネルである。そのような構造は、60~1200以上の断面の1平方インチあたりのガス入口開口部(すなわち、「セル」)(cpsi)、より一般的には300~900cpsiを含有する。フロースルー基材の壁厚は、変動する可能性があり、典型的な範囲は、0.002~0.1インチである。代表的な市販のフロースルー基材は、400cpsiで6ミルの壁厚、または600cpsiで4ミルの壁厚を有するコーディエライト基材である。しかしながら、本発明は、特定の基材タイプ、材料、または幾何学的形状に限定されないことが理解されるであろう。代替的な実施形態では、基材は、各通路が、基材本体の一端で非細孔性プラグによって閉塞され、交互の通路が反対側の端面で閉塞されている、壁流基材であってもよい。これは、出口に到達するために、ガス流が壁流基材の細孔性壁を通ることを必要とする。そのようなモノリシック基材は、100~400cpsi、より典型的には、200~300cpsiなどの、最大700以上のcpsiを含有し得る。セルの断面形状は、上記に説明されているように、変動する可能性がある。壁流基材は、典型的には、0.002~0.1インチの壁厚を有する。代表的な市販の壁流基材は、細孔性コーディエライトから構築され、その例は、200cpsiおよび10ミルの壁厚、または300cpsiで8ミルの壁厚、ならびに45~65%の壁の細孔度を有する。チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素、および窒化ケイ素などの他のセラミック材料もまた、壁流フィルタ基材として使用される。しかしながら、本発明は、特定の基材の種類、材料、または形状には限定されないことが理解されるであろう。基材が壁流基材である場合、触媒組成物は、壁の表面に配設されることに加えて、細孔性壁の細孔構造内に浸透し得る(すなわち、細孔開口部を部分的または完全に塞ぐ)ことに留意されたい。一実施形態では、基材は、フロースルーセラミックハニカム構造、壁流セラミックハニカム構造、または金属ハニカム構造を有する。
【0041】
本明細書で使用されているように、「流」という用語は、広義的には、固体または液体の微粒子状物質を含有し得る流動ガスの任意の組み合わせを指す。
【0042】
本明細書で使用されているように、「上流」および「下流」という用語は、エンジンからテールパイプに向かうエンジン排気ガス流の流れに応じた相対的な方向を指し、エンジンは上流位置にあり、テールパイプおよびあらゆる汚染物軽減物品、例えばフィルタおよび触媒は、エンジンの下流にある。
【0043】
図6Aおよび6Bは、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされたフロースルー基材の形態の例示的な基材2を示している。図6Aを参照すると、例示的な基材2は、円筒形状を有し、円筒外面4、上流端面6、および端面6と同一の対応する下流端面8を有する。基材2は、内部に形成された複数の微細で平行なガス流路10を有する。図6Bに見られるように、流路10は、壁12によって形成され、基材2を通って上流端面6から下流端面8まで延在し、通路10は、遮られておらず、流体、例えば、ガス流が、そのガス流路10を介して基材2を通って長手方向に流れることを可能にする。図6により容易に見られるように、壁12は、ガス流路10が実質的に規則的な多角形状を有するように寸法決定および構成されている。示されるように、ウォッシュコート組成物は、必要に応じて、複数の区別される層で適用することができる。示される実施形態では、ウォッシュコートは、基材部材の壁12に接着された別個の第1のウォッシュコート層14および第1のウォッシュコート層14の上にコーティングされた第2の別個のウォッシュコート層16からなる。一実施形態では、本発明はまた、2つ以上(例えば、3つまたは4つ)のウォッシュコート層で実施され、示される2層の実施形態に限定されない。
【0044】
図7は、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされた壁流フィルタ基材の形態の例示的な基材2を示している。図7に見られるように、例示的な基材2は、複数の通路52を有する。通路は、フィルタ基材の内壁53によって管状に囲まれている。基材は、入口端54および出口端56を有する。通路は、入口端で入口プラグ58により、出口端で出口プラグ60により交互に塞がれて、入口54および出口56で逆となる市松模様を形成する。ガス流62は、塞がれていないチャネル入口64を通して入り、出口プラグ60によって止められ、(細孔性である)チャネル壁53を通して出口側66に拡散する。ガスは、入口プラグ58を理由に、壁の入口側に戻って通ることができない。本発明で使用される細孔性壁フローフィルタは、その上にまたはその中に1つ以上の触媒材料を有するかまたは含有する当該要素の壁に触媒作用を有する。触媒材料は、要素壁の入口側のみ、出口側のみ、入口側および出口側の両方に存在してもよく、または壁自体が、触媒材料からすべてまたは一部が構成されてもよい。本発明は、要素の入口壁および/または出口壁における1つ以上の触媒材料層の使用を含む。
【0045】
なお別の態様によれば、特許請求される本発明は、本明細書に上記の触媒物品(複数可)を調製するためのプロセスを提供し、第1の層と第2の層とが、バリア層によって分離されている。プロセスは、第1の層のスラリーを調製することと、基材上に第1の層のスラリーを堆積させて第1の層を得ることと、バリア層スラリーを調製し、バリア層スラリーを中間層として第1の層上に堆積させることと、第2の層のスラリーを調製することと、第2の層のスラリーを中間層上に堆積させて第2の層を得、続いて400~700℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、第1の層のスラリーまたは第2の層のスラリーを調製するステップが、初期湿潤含浸、初期湿潤共含浸、および後添加から選択される技法を含む。第1の層と第2の層とが間隙によって分離されている、本明細書に上記の触媒物品(複数可)を調製するためのプロセスは、第1の層のスラリーを調製することと、第1の層のスラリーを前部ゾーン(第1のゾーン)として基材上に堆積させて第1の層を得ることと、第2の層のスラリーを調製することと、第2の層のスラリーを後部ゾーン(第2のゾーン)として基材上に堆積させて第2の層を得、続いて400~700℃の範囲の温度で焼成することと、を含み、第1の層と第2の層とが、1mm~10mmの間隙によって基材上で分離されており、第1の層のスラリーまたは第2の層のスラリーを調製するステップが、初期湿潤含浸、初期湿潤共含浸、および後添加から選択される技法を含む。
【0046】
毛細管含浸または乾式含浸とも称されるインシピエントウェットネス含浸技術は、一般的に、不均一系の材料、すなわち触媒の合成に使用される。典型的には、活性金属前駆体を水溶液または有機溶液に溶解させ、次いで触媒支持体に金属含有溶液を添加し、触媒支持体は、添加された溶液の体積と同じ細孔容積を含有する。毛細管現象により、溶液が支持体の細孔に引き込まれる。支持体の細孔容積を超えて添加された溶液により、溶液輸送が、毛細管現象プロセスから、はるかに遅い拡散プロセスに変わる。触媒を乾燥および焼成して、溶液内の揮発性成分を除去し、触媒支持体の表面上に金属を堆積させる。含浸させられた材料の濃度プロファイルは、含浸および乾燥の間の細孔内の物質移動条件に依存する。適切に希釈した後、複数の活性金属前駆体を触媒支持体に共含浸させてもよい。あるいは、活性金属前駆体は、スラリー調製のプロセス中に撹拌下で後添加を介してスラリーに導入される。
【0047】
支持体粒子は、典型的には、溶液の実質的にすべてを吸収して、湿潤固体を形成するのに十分に乾燥している。典型的には、(ロジウムが活性金属である場合)塩化ロジウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、またはそれらの組み合わせ、および(パラジウムが活性金属である場合)硝酸パラジウム、パラジウムテトラアミン、酢酸パラジウム、またはそれらの組み合わせなどの活性金属の水溶性化合物または錯体の水溶液が利用される。活性金属溶液を用いた支持体粒子の処理後、粒子は、高温(例えば、100~150℃)で一定期間(例えば、1~3時間)、粒子を熱処理などによって乾燥させ、次いで、活性金属をより触媒的に活性な形態に変換するために焼成される。例示的な焼成プロセスは、400~550℃の温度で10分間~3時間、空気中で熱処理することを含む。必要に応じて、含浸の手段によって上のプロセスを繰り返して、所望の活性金属の充填レベルに到達させることができる。
【0048】
上記の触媒組成物は、典型的には、上記のように触媒粒子の形態で調製される。これらの触媒粒子を水と混合して、ハニカム型基材などの触媒基材をコーティングする目的でスラリーを形成する。触媒粒子に加えて、スラリーは、任意選択的に、アルミナ、シリカ、酢酸ジルコニウム、コロイド状ジルコニア、または水酸化ジルコニウム、会合性増粘剤、および/または界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、もしくは両性の界面活性剤を含む)の形態の結合剤を含有してもよい。他の例示的な結合剤としては、ベーマイト、ガンマ-アルミナ、またはデルタ/シータアルミナ、ならびにシリカゾルが挙げられる。存在する場合、結合剤は、典型的には、総ウォッシュコート充填量の約1~5重量%の量で使用される。酸性または塩基性の種をスラリーの添加を行い、それによりpHを調整する。例えば、いくつかの実施形態では、スラリーのpHは、水酸化アンモニウム、硝酸水溶液、または酢酸の添加により調整される。スラリーの典型的なpH範囲は、3~12である。
【0049】
スラリーを粉砕して、粒子サイズを低減させ、粒子の混合を促進してもよい。粉砕は、ボールミル、連続ミル、または他の同様の機器で達成され、スラリーの固体含有量は、例えば、20~60重量%、より具体的には20~40重量%であり得る。一実施形態では、粉砕後のスラリーは、3~40ミクロン、好ましくは10~30ミクロン、より好ましくは10~15ミクロンのD90粒子サイズを特徴とする。D90は、専用の粒子サイズ分析装置を使用して決定される。この実施例で用いられている機器は、レーザー回折を使用して、少量のスラリーの粒子サイズを測定する。ミクロン単位のD90は、典型的には、粒子の数の90%が、引用値よりも小さな直径を有することを意味する。
【0050】
当該技術分野において知られている任意のウォッシュコート技術を使用して、スラリーを触媒基材上にコーティングする。一実施形態では、触媒基材は、スラリーに1回以上浸漬されるか、または別様にスラリーでコーティングされる。その後、コーティングされた基材は、高温(例えば、100~150℃)で一定期間(例えば、10分~3時間)乾燥させ、次いで、例えば、400~700℃で、典型的には、約10分~約3時間加熱することによって焼成される。乾燥および焼成後、最終的なウォッシュコートコーティング層は、本質的に溶媒を含まないと考えられる。焼成の後に、上記のウォッシュコート技術により得られる触媒充填量は、基材のコーティングされた重量とコーティングされていない重量の差を計算することにより求めることが可能である。当業者に明らかであるように、触媒充填量は、スラリーのレオロジーを変えることにより修正することが可能である。さらに、ウォッシュコートを生成するためのコーティング/乾燥/焼成プロセスを必要に応じて繰り返して、コーティングを所望の充填水準または厚さに構築すること、すなわち1個より多くのウォッシュコートを塗布することが可能である。
【0051】
ある特定の実施形態では、コーティングされた基材は、コーティングされた基材を熱処理に供することによってエージングさせる。一実施形態では、エージングは、10体積%の水分の環境の、850℃~1050℃の温度で25時間、空気中で行われる。したがって、ある特定の実施形態では、エージングした触媒物品が提供される。ある特定の実施形態では、特に有効な材料は、エージング時(例えば、850℃~1050℃、空気中10体積%の水分、25時間のエージング)に、細孔容積の高いパーセンテージ(例えば、95~100%)を維持する金属酸化物系支持体(限定されないが、実質的に100%のセリア支持体を含む)を含む。
【0052】
別の態様では、特許請求される本発明は、内燃機関用の排気システムを提供する。排気システムは、本明細書に上記の触媒物品を含む。一実施形態では、排気システムは、触媒物品であって、a)セリア成分上に支持されたニッケル成分および銅成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、0.1~30重量%であり、銅成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化銅として計算して、0.01~5.0重量%である、第1の層と、b)酸素貯蔵成分、アルミナ成分、およびジルコニア成分のうちの少なくとも1つの上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5.0重量%である、第2の層と、c)基材と、を含み、第1の層と第2の層とが、バリア層または1mm~10mmの間隙によって分離されている、触媒物品を含む。排気システムは、白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの組み合わせから選択される白金族金属を1~300g/ft含む白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品を、任意選択的に含む。図2Bおよび2Cは、従来のPGM-TWC触媒物品(TWC)および特許請求される本発明の触媒物品(PGM+非PGM、発明触媒(I-UF1またはI-UF1-ゾーン化)がエンジンに対して異なる位置に配置されている、代表的な排気システムを示している。1つの例示的な例では、排気システムは、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品および本明細書に上記の触媒物品を含み、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品が、内燃機関の上流または下流に位置し、本発明の触媒物品が、三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流/上流に位置する。例示的な排気ガスシステムは、図2A、2B、および2Cに示され、図2Aが、参照システムを示し、図2Bおよび2Cが、本発明のシステムを示す。別の例示的な例では、システムは、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品と、本明細書に上記の触媒物品とを含み、触媒物品が、内燃機関の下流に位置し、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品が、三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置する。白金族金属系のTWC触媒物品は、従来の触媒である。例示的なTWC触媒物品は、コーディエライト基材上に堆積されたロジウム、OSC、アルミナ、および酸化バリウムを含む。TWC触媒物品は、排気からのNO、炭化水素、およびCOを同時に処理することが可能である。
【0053】
特許請求される本発明に従った内燃機関用の別の排気システムは、排気マニホルードを介して内燃機関と流体連通している排気導管、内燃機関の上流に位置する排気導管内のTWC触媒物品(CC1)を含み、特許請求される本発明の触媒物品(CC2)は、排気導管内で、密接に結合した触媒の下流に位置する。
【0054】
別の態様では、特許請求される本発明はまた、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法を提供する。方法は、排気流を、特許請求される本発明に従った触媒物品または排気システムと接触させることを含む。「排気流」、「エンジン排気流」、「排気ガス流」などの用語は、固体または液体の粒子状物質も含有し得る、流動するエンジン流出ガスの任意の組み合わせを指す。流れは、ガス状成分を含み、例えば、液滴、固体粒子などのようなある特定の非ガス状成分を含有し得るリーンバーンエンジンの排気である。リーンバーンエンジンの排気流は、典型的には、燃焼生成物、不完全燃焼生成物、窒素の酸化物、可燃性および/または炭素質微粒子状物質(煤)、ならびに未反応の酸素および/または窒素を含む。そのような用語は、本明細書に記載されるような1つ以上の他の触媒系成分の下流の流出物を同様に指す。一実施形態では、一酸化炭素を含有する排気流を処理する方法が提供される。
【0055】
なお別の態様では、特許請求される本発明はまた、ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減する方法を提供する。方法は、ガス状排気流を、特許請求される本発明に従った触媒物品または排気システムと接触させて、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む。一実施形態では、ガス状排気流中に存在する一酸化炭素をかなり低減する方法が提供される。
【0056】
さらに別の態様では、特許請求される本発明はまた、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための、特許請求される本発明の触媒物品の使用を提供する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する一酸化炭素の量の少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、炭化水素を二酸化炭素および水に変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する炭化水素の量の少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、窒素酸化物を窒素に変換する。
【0057】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する窒素酸化物の量の少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する、炭化水素、二酸化炭素、および窒素酸化物を組み合わせた総量の少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を変換する。
【実施例
【0058】
本発明の態様は、以下の実施例によってさらに完全に示され、これらは、本発明のある特定の態様を示すために記載されており、それを限定するものとして解釈されるべきではない。
【0059】
実施例1:従来のCC TWC触媒(触媒1)の調製
パラジウムボトムコートおよびロジウムトップコートを有する二重層TWCを調製した。PGM充填量は、それぞれ、Pt/Pd/Rhで0/46/4g/ftであった。ボトムコートは、2.6g/インチのウォッシュコート充填量を有し、トップコートは、1g/インチのウォッシュコート充填量を有した。2:3の比でOSCおよびアルミナを使用して、ボトムコートスラリーを調製した。27.27重量%のPdを含有する19gmの硝酸パラジウム溶液を、合計875gmの支持体材料に含浸させたが、焼成しなかった。OSCとアルミナとで、パラジウムを50-50の比率に分割し、各部分をそれぞれの支持体に別個に含浸させた。63gmの酢酸バリウムおよび193gmの酢酸ジルコニウムをボトムコートスラリーに添加した。すべての成分添加し、スラリーを粉砕した。860gmのアルミナおよび9.8重量%のRhを含有する23.54gmの硝酸ロジウム溶液を使用して、トップコートスラリーを調製した。OSCを含まないアルミナ上にロジウムを支持した。ロジウムを含浸させたが、焼成しなかった。すべての成分を添加し、スラリーを粉砕した。コーディエライト基材上に第1の層としてボトムコートをコーティングし、最下層上に第2の層としてトップコートをコーティングした。
【0060】
実施例2:従来のCC2触媒(床下触媒、触媒2-Ni/Cuなし)
ロジウム系の単層床下触媒を調製した。PGM充填量は、それぞれ、Pt/Pd/Rhで0/0/3g/ftであった。ウォッシュコート充填量は、2.8g/インチであった。1:2の比でOSCおよびアルミナを使用して、スラリーを調製した。25.7gmの酢酸バリウム、30gmの酢酸ストロンチウム、および8gmの酢酸ジルコニルを、水および1000gmの支持体と混合した。9.8重量%のロジウムを含む6.3gmの硝酸ロジウム溶液および25gmの酢酸バリウムをスラリーに添加して、ウォッシュコートを形成した。PGMの含浸または予備焼成は行わなかった。すべての成分添加した後、スラリーを粉砕した。コーディエライト基材上の層として、粉砕したスラリーをコーティングした。
【0061】
実施例3:層状Rh/Ni/Cu床下触媒の調製(触媒3-バリアなし)
Cu/Ni系ボトムコートおよびロジウム系トップコートを有する二重層床下触媒を調製した。PGM充填量は、それぞれ、Pt/Pd/Rhで0/0/3g/ftであった。ボトムコートウォッシュコートは、1.5g/インチの充填量を有し、トップコートは、1.25g/インチのウォッシュコート充填量を有した。70%のセリア、10%のNiO、および0.5%のCuO、17%のLa/ZrOを含有し、残りが結合剤であるボトムコートスラリーを調製した。スラリー調製前に、後に焼成するかしないかにかかわらず、硝酸塩としての銅およびニッケルをスラリーに直接添加するか、またはセリアに含浸させた。1:2の比でOSCおよびアルミナを使用して、トップコートスラリーを調製した。9.8%のRh含有量を有する6.3gmの硝酸ロジウム、および25gmの酢酸バリウムを、スラリーに添加した。PGMの含浸または予備焼成は行わなかった。コーディエライト基材上に第1の層としてボトムコートをコーティングし、最下層上に第2の層としてトップコートをコーティングした。
【0062】
実施例4:層状Rh/Ni/Cu床下触媒の調製(触媒4-発明触媒-バリアなし)
Cu/Ni系ボトムコート、アルミナ系中間コート、およびロジウム系トップコートを有する三重層床下触媒を調製した。PGM充填量は、それぞれ、Pt/Pd/Rhで0/0/3g/ftであった。ボトムコートは、1.5g/インチのウォッシュコート充填量を有し、中間コートは、1.25g/インチのウォッシュコート充填量を有し、トップコートは、1.25g/インチのウォッシュコート充填量を有した。70%のセリア、10%のNiO、0.5%のCuO、および17%のLa/ZrOを含有し、残りが結合剤であるボトムコートスラリーを調製した。スラリー調製前に、後に焼成するかしないかにかかわらず、硝酸塩としての銅およびニッケルをスラリーに直接添加するか、またはセリアに含浸させた。PGMまたはさらなる卑金属酸化物(BMO)を含まない安定化アルミナを使用して、中間コートを調製した。1:2の比でOSCおよびアルミナを含有するトップコートスラリーを調製した。9.8%のRh含有量を有する6.3gmの硝酸ロジウム、および25gmの酢酸バリウムを、スラリーに添加した。PGMの含浸または予備焼成は行わなかった。コーディエライト基材上に第1の層としてボトムコートスラリーをコーティングし、続いてボトムコート上に中間コートをコーティングし、中間コート上に第2の層としてトップコートスラリーをコーティングした。
【0063】
実施例5:ゾーン化PGM/非PGM触媒の調製(触媒5-発明触媒)
ウォッシュコートのPGM部分と非PGM部分とを分離するために、物理的バリア(間隙)を使用してゾーン化触媒を調製した。ゾーン化触媒は、前部ゾーンが実施例2に記載の触媒を含有し、後部ゾーンが、実施例3に記載の触媒のRhを含まないバージョンを含むように、(1mm~10mmの間隙で)軸方向に約50/約50に分割した。以下のプロセスによって、Rhを含まない触媒スラリーを調製した。
ウォッシュコートは、1.5g/インチの充填量を有した。70%のセリア、10%のNiO、および0.5%のCuO、17%のLa/ZrOを含有し、残りが結合剤であるコーティングスラリーを調製した。スラリー調製前に、後に焼成するかしないかにかかわらず、硝酸塩としての銅およびニッケルをスラリーに直接添加するか、またはセリアに含浸させた。入口として機能する基材の前部側上に実施例2の第1のスラリーをコーティングし、出口として機能する基材の後部ゾーン上に銅、ニッケル、およびセリア-ランタナ-ジルコニアを含有する第2のスラリーをコーティングすることによって、ゾーン化触媒を調製した。
【0064】
エージングおよび試験
4.16x1.5インチの600/3.5コーディエライト基材上にすべての触媒をウォッシュコートし、2時間の勾配で、550℃で2時間焼成した。次いで、それぞれの焼成した触媒をコアリングして1x1.5インチのコアを得、ZDAKWエージングを模倣するためにパルス火炎反応器環境を使用してエージングした。950℃で25時間エージングを実施した。次いで、EPA US06試験に必要な条件下で運転可能な反応器で、エージングしたコアを試験した。同じ酸素/燃料比(ラムダ)および温度プロファイル、ならびに入口ガス組成を使用して、すべての触媒および/またはシステムを試験した。排気ガスを分析して、CO、THC、NO、およびNHの触媒変換効率を決定した。
【0065】
実施例6:実施例6は、従来のTWC(触媒1、CC1)および従来の触媒(触媒2、UF1)を含有した。
【0066】
実施例7:実施例7は、従来のTWC(触媒1、CC1)および層状Rh/Ni/Cu触媒(触媒3、UF1)を含有した。
【0067】
実施例8:実施例8は、従来のTWC(触媒1、CC1)およびアルミナバリアを有する層状Rh/Ni/Cu触媒(触媒4、発明触媒)を含有した。
【0068】
実施例9:実施例9は、従来のTWC(触媒1、CC1)およびゾーン化Rh/Ni/Cu触媒(触媒5、発明触媒)を含有した。これらの実施例は、触媒系と称され得る。
【0069】
排出量低減の比較を、添付の図(3A、3B、4A、および4B)に示す。図3Aは、実施例6、7、および8の触媒のCOおよびNO排出量結果の比較を示す。図3Bは、実施例6、7、および8の触媒のTHCおよびNH排出量結果の比較を示す。図4Aは、実施例6および9の触媒のCOおよびNO排出量結果の比較を示す。図4Bは、実施例6および9の触媒のTHCおよびNH排出量結果の比較を示す。実施例8は、実施例6と比較して、CO、NO、THC、およびNHの、それぞれ3、31、47、および5%の改善された低減を示した。実施例7は、CuおよびNiが存在するが、CO、NO、THC、およびNHの低減に対して悪影響を示した。すなわち、CO、NO、THC、およびNHの排出量は、実施例6と比較して、それぞれ5、109、155、および60%増加した。実施例9は、実施例6と比較して、CO、NO、THC、およびNHの、それぞれ20、40、42、および66%の改善された低減を実証した。排出量結果の比較は、汚染物質のかなりの低減を達成するための、バリア層、またはPGMと非PGMとの間の分離の重要性を明らかに示している。
【0070】
実施例10
汚染物質の最適な低減を達成するために、実施例5に示されるプロセスに従って、以下のそれぞれの組成物を使用して様々な触媒(A~E)を調製して、ニッケルと銅の比率を最適化した。
・触媒Aは、0.5%のCuおよび3.5%のNiを使用して調製した。
・触媒Bは、0.5%のCuおよび8%のNiを使用して調製した。
・触媒Cは、0.5%のCuおよび10%のNiを使用して調製した。
・触媒Dは、5%のCuおよび10%のNiを使用して調製した。
・触媒Eは、0%のCu+10%のNiを使用して調製した
【0071】
実施例11:実施例11は、従来のTWC(触媒1、CC1)およびゾーン化Rh/Ni/Cu触媒(触媒A)を含有した。
【0072】
実施例12:実施例12は、従来のTWC(触媒1、CC1)およびゾーン化Rh/Ni/Cu触媒(触媒B)を含有した。
【0073】
実施例13:実施例13は、従来のTWC(触媒1、CC1)およびゾーン化Rh/Ni/Cu触媒(触媒C)を含有した。
【0074】
実施例14:実施例14は、従来のTWC(触媒1、CC1)およびゾーン化Rh/Ni/Cu触媒(触媒D)を含有した。
【0075】
実施例15:実施例14は、従来のTWC(触媒1、CC1)およびゾーン化Rh/Ni触媒(触媒E)を含有した。
【0076】
CO、NO、THC、およびNHの低減について、実施例11~15を試験した。図5Aおよび5Bに結果を示す。
【0077】
Cuの排除により、触媒効率の低減が引き起こされることが見出されている。さらに、少量のCuでNiの量がより多いと、排出量の低下が生じる。特に、実施例12(0.5%のCuおよび8%のNi)および13は、実施例6と比較して、CO、NO、THC、およびNHのかなりの低減を示すことが見出されている。実施例12は、実施例6と比較して、CO、NO、THC、およびNHのそれぞれ44%、40%、21%、および76%の低減を示す。同様に、実施例13は、実施例6と比較して、CO、NO、THC、およびNHのそれぞれ20%、43%、39%、および66%の低減を示す。
【0078】
本明細書全体を通して「一実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「1つ以上の実施形態では」、「ある特定の実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、または「実施形態では」などの句が本明細書全体の様々な箇所に出現することは、必ずしも本発明の同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な方法で組み合わせることができる。本明細書に開示される様々な実施形態、態様、および任意選択のすべては、そのような特徴または要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされるかどうかに関係なく、すべてのバリエーションで組み合わせることができる。本発明は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、開示される発明の任意の分けることが可能な特徴または要素が、その様々な態様および実施形態のいずれかにおいて、組み合わせ可能であることを意図すると考えるべきであると、全体として読み取られることが意図される。
【0079】
本明細書に開示される実施形態は、特定の実施形態を参照して説明されたが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途の単なる例示であることを理解されたい。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の方法および装置に対して様々な修正および変更がなされ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある修正および変更を含むことが意図され、上記の実施形態は、限定ではなく例示の目的で提示される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
【国際調査報告】