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特表2022-514770層状触媒組成物および触媒物品ならびにそれらを製造および使用する方法
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  • 特表-層状触媒組成物および触媒物品ならびにそれらを製造および使用する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-15
(54)【発明の名称】層状触媒組成物および触媒物品ならびにそれらを製造および使用する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20220207BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20220207BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20220207BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20220207BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20220207BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20220207BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20220207BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20220207BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20220207BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
B01J35/04 301L
B01J35/10 301F
B01J35/10 301J
B01J37/04 102
B01J37/08 ZAB
B01J37/02 301C
B01J37/02 301L
B01J23/89 A
B01D53/94 280
B01D53/94 245
B01D53/94 222
F01N3/24 B
F01N3/24 C
F01N3/10 A
F01N3/28 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536084
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 IB2019060849
(87)【国際公開番号】W WO2020128786
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/781,629
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19152494.1
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】チョン,シアオライ
(72)【発明者】
【氏名】ディーバ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】タン,ティン
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AB02
3G091AB03
3G091BA14
3G091BA15
3G091BA19
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3G091GA06
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3G091GB07W
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3G091GB17X
3G091HA08
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4G169FB06
4G169FB15
4G169FB19
4G169FB30
(57)【要約】
特許請求される本発明は、ニッケル成分およびセリア成分を含む第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、白金族金属成分、酸素貯蔵成分、およびアルミナ成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、基材と、を含む、層状触媒物品を提供する。特許請求される本発明はまた、層状触媒物品を調製するためのプロセスを提供する。特許請求される本発明は、層状触媒物品を含む内燃エンジン用の排気システムをさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状触媒物品であって、
a)セリア成分上に支持されたニッケル成分を含む第1の層であって、前記ニッケル成分の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、前記第1の層が、銅を本質的に含まず、前記銅の量が、<0.001重量%である、第1の層と、
b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、前記白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、前記白金族金属成分の量が、前記第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、
c)基材であって、前記第1または前記第2の層が、基材上に最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む、層状触媒物品。
【請求項2】
前記第1の層の前記ニッケル成分の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、10~40重量%である、請求項1に記載の層状触媒物品。
【請求項3】
前記セリア成分が、950℃で12時間空気中でか焼した後、15m/g~60m/gの範囲の比表面積を有するセリアを含み、前記セリア成分の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、20~80重量%である、請求項1~2のいずれかに記載の層状触媒物品。
【請求項4】
前記第1の層の前記セリア成分が、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせから選択されるドーパントを含み、前記ドーパントの量が、前記セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20重量%である、請求項1~3のいずれかに記載の層状触媒物品。
【請求項5】
前記第1の層が、マンガン、鉄、亜鉛、およびそれらの組み合わせから選択される遷移金属を含み、前記遷移金属の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、対応する遷移金属酸化物として計算して、1.0~10重量%である、請求項1~4のいずれかに記載の層状触媒物品。
【請求項6】
前記遷移金属が、鉄であり、前記鉄の量が、前記第1の層の総重量に基づいて、酸化鉄として計算して、1.0~10重量%である、請求項5に記載の層状触媒物品。
【請求項7】
前記第2の層の前記白金族金属成分の量が、前記第2の層の総重量に基づいて、0.02~1.0重量%である、請求項1~6のいずれかに記載の層状触媒物品。
【請求項8】
前記第2の層の前記白金族金属成分の量が、前記第2の層の総重量に基づいて、0.02~0.1重量%である、請求項1~7のいずれかに記載の層状触媒物品。
【請求項9】
前記白金族金属成分が、i)前記第2の層の総重量に基づいて、0.02~1重量%のロジウム、またはii)パラジウムおよびロジウム、またはiii)白金およびロジウム、を含み、パラジウムまたは白金対ロジウムの比が、100:1~1:5の範囲である、請求項1~8のいずれかに記載の層状触媒物品。
【請求項10】
前記酸素貯蔵成分が、セリア-ジルコニア、セリア-ジルコニア-ランタナ、セリア-ジルコニア-イットリア、セリア-ジルコニア-ランタナ-イットリア、セリア-ジルコニア-ネオジミア、セリア-ジルコニア-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア-プラセオジミア、またはそれらの任意の組み合わせを含み、前記酸素貯蔵成分の量が、前記第2の層の総重量に基づいて、20~80重量%であり、前記アルミナ成分が、アルミナ、ランタナ-アルミナ、セリア-アルミナ、セリア-ジルコニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミア-アルミナ、またはそれらの組み合わせを含み、前記アルミナ成分の量が、前記第2の層の総重量に基づいて、10~80重量%である、請求項1~9のいずれかに記載の層状触媒物品。
【請求項11】
前記第2の層の前記酸素貯蔵成分のセリア含有量が、前記酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5~50重量%の範囲である、請求項1~10のいずれかに記載の層状触媒物品。
【請求項12】
前記第2の層が、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、少なくとも1つのアルカリ土類金属酸化物を含み、前記アルカリ土類金属酸化物の量が、前記第2層の総重量に基づいて、1~20重量%である、請求項1~11のいずれかに記載の層状触媒物品。
【請求項13】
前記第1の層が、前記基材上に最下層として堆積され、前記第2の層が、前記第1の層上に最上層として堆積される、請求項1~12のいずれかに記載の層状触媒物品。
【請求項14】
前記基材が、フロースルーセラミックハニカム構造、壁流セラミックハニカム構造、または金属ハニカム構造を有する、請求項1~13のいずれかに記載の層状触媒物品。
【請求項15】
前記第2の層が、前記基材上に最下層として堆積され、前記第1の層が、前記第2の層上に最上層として堆積される、請求項1~14のいずれかに記載の層状触媒物品。
【請求項16】
前記第1および前記第2の層のうちの少なくとも1つが、第1のゾーンおよび第2のゾーンを含むゾーン配置を含み、前記第1または第2のゾーンが、前記基材の長さの45~90%に及ぶ、請求項1~15に記載の層状触媒物品。
【請求項17】
請求項1~16のいずれかに記載の層状触媒物品を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、最下層スラリーを調製することと、基材上に前記最下層スラリーを堆積させて最下層を得ることと、最上層スラリーを調製することと、前記最下層上に前記最上層スラリーを堆積させて最上層を得、続いて400~700℃の範囲の温度でか焼することと、を含み、前記最下層スラリーまたは最上層スラリーを調製するステップが、初期湿潤含浸、初期湿潤共含浸、および後添加から選択される技法を含む、プロセス。
【請求項18】
内燃エンジン用の排気システムであって、前記システムが、i)請求項1~15に記載の層状触媒物品の触媒物品と、ii)任意選択的に、白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの組み合わせから選択される、50~300g/ftの白金族金属を含む、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品と、を含む、排気システム。
【請求項19】
前記システムが、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品と、請求項1~16に記載の層状触媒物品と、を含み、前記白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品が、内燃エンジンの下流に位置し、前記触媒物品が、前記白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置する、請求項18に記載の排気システム。
【請求項20】
前記システムが、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品と、請求項1~16に記載の層状触媒物品と、を含み、前記層状触媒物品が、内燃エンジンの下流に位置し、前記白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品が、前記三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置する、請求項18に記載の排気システム。
【請求項21】
ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物レベルを低減する方法であって、前記ガス状排気流を、請求項1~16のいずれかに記載の層状触媒物品、または請求項18~20のいずれかに記載の排気システムと接触させて、前記排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む、方法。
【請求項22】
炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための、請求項1~16のいずれかに記載の層状触媒物品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特許請求される本発明は、排気ガスを処理して排気ガス中に含有される汚染物質を低減するのに有用な、層状触媒組成物および層状触媒物品に関する。特に、特許請求される本発明は、白金族金属および非白金族金属を含む、層状触媒組成物および層状触媒物品に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、および窒素酸化物(NOx)などの汚染物質を典型的に含有するエンジン排気ガスを処理するための、様々な触媒および触媒系が知られている。これらの汚染物質を排気ガスから実質的に除去して、厳格な政府の規制を満たすことが必要とされている。ガソリンを動力源とする車両から排出される排気ガスの処理には、通常、三元変換(TWC)触媒が利用されている。TWC触媒および関連する系は、白金、パラジウム、およびロジウムなどの白金族金属(PGM)に基づく。白金族金属系TWC触媒は、ガソリンエンジンからの汚染物質を効果的に低減することでよく知られている。しかしながら、白金族金属は高価であるので、PGMの使用量を低減したTWC触媒および系の作製に対する需要が存在する。
【0003】
そのような需要を満たすために、これまで、PGMの少なくとも一部を、非常に安価かつ大量に入手可能である卑金属などの他の金属に置き換えることをと含む、様々な試みがなされてきた。しかしながら、これらの触媒および系は、限定されないが、HCおよびCOを酸化し、NOxを低減するための望ましい効率の欠如、低い熱安定性などを含む、1つ以上の欠点に困難がある。したがって、これらの触媒は、望ましい効率を達成するには依然として大量のPGMを利用し、それにより、全体的なコストの低減が不可能である。
【0004】
さらにまた、いくつかの触媒または系では、選択された卑金属の触媒への添加により、PGMによる被毒を生じ、より低い触媒効率をもたらすことが見出されている。
【0005】
したがって、PGMの利用を顕著に低減することができ、それにより、ますます厳しくなる規制を満たすために、自動車排出源からのHC、COおよびNOx化合物を除去するための費用効果が高く、さらに非常に効率的にすることができる、触媒組成物および/または触媒物品に対する需要が依然として存在している。
【発明の概要】
【0006】
したがって、白金族金属の利用を低減するが、望ましいまたは改善された排出制御機能を達成するために、特許請求される本発明は、白金族金属および非白金族金属の組み合わせを含む触媒組成物を提供することに焦点をあてる。
【0007】
一態様では、特許請求される本発明は、層状触媒物品であって、
a)セリア成分上に支持されたニッケル成分を含む第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まず、銅の量が、<0.001重量%である、第1の層と、
b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された白金族金属成分を含む、第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、
c)基材と、を含む、層状触媒物品を提供する。
【0008】
なお別の態様では、特許請求される本発明は、層状触媒物品を調製するためのプロセスであって、当該プロセスが、最下層スラリーを調製することと、基材上に最下層スラリーを堆積させて最下層を得ることと、最上層スラリーを調製することと、最下層上に最上層スラリーを堆積させて最上層を得、続いて400~700℃の範囲の温度でか焼することと、を含む、プロセスを提供する。典型的には、最下層スラリーまたは最上層スラリーを調製するステップは、初期湿潤含浸、初期湿潤共含浸、および後添加から選択される技法を含む。
【0009】
なお別の態様では、特許請求される本発明は、内燃エンジン用の排気システムを提供し、当該システムが、層状触媒物品を含む。
【0010】
別の態様では、特許請求される本発明は、ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物レベルを低減する方法であって、ガス状排気流を、特許請求される本発明に従った触媒物品または排気システムと接触させて、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む、方法を提供する。
【0011】
別の態様では、特許請求される本発明は、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための、触媒物品の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の実施形態の理解を提供するために、添付の図面を参照するが、これは必ずしも一定の縮尺で描かれてはおらず、図の参照番号は本発明の例示的な実施形態の構成要素を指す。図面は例示にすぎず、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。特許請求される本発明の上および他の特色、それらの性質、ならびに様々な利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することにより、より明らかになるであろう。
【0013】
図1】本発明の異なる実施形態に従った例示的な層状構成における触媒物品設計の概略図である。
図2A】特許請求される本発明の一実施形態に従った排気システムの概略図である。
図2B】特許請求される本発明の別の実施形態に従った排気システムの概略図である。
図2C】特許請求される本発明のなお別の実施形態に従った排気システムの概略図である。
図3A】特許請求される本発明の一実施形態に従った層状触媒組成物を含み得る、ハニカム型基材担体の斜視図である。
図3B図3Aと比較して拡大され、かつ図3Aの基材担体の端面に平行な平面に沿って取った部分断面図であり、図3Aに示される複数のガス流路の拡大図を示す。
図4図3Aのハニカム型基材が、壁流フィルタ基材モノリスを表す、図3Aと比較して拡大された断面の破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特許請求される本発明を、以下、より完全に説明する。特許請求される本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、特許請求される本発明が入念かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。本明細書のいかなる言葉が、任意の特許請求されない要素が開示の材料および方法の実施に不可欠であることを示すと解釈するべきではない。
【0015】
本明細書に考察される材料および方法を説明する文脈(特に以下の請求項の文脈)における「a」、「an」、「the」という用語、および同様の指示語の使用は、本明細書で別途指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈される。
【0016】
本明細書に記載のすべての方法は、別途本明細書に明記されない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意のおよびすべての例または例示的な言葉(例えば「など」)の使用は、材料および方法をより良好に説明することのみを意図し、断言されない限り、範囲の限定を主張するものではない。
【0017】
本明細書で使用される場合、「触媒」または「触媒組成物」という用語は、反応を促進する材料を指す。
【0018】
「NOx」という用語は、NOまたはNOなどの窒素酸化物化合物を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「非PGM金属」は、限定されないが、Ni、Fe、Mn、Zn、およびそれらの任意の混合物を含む活性金属または金属酸化物を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「銅を本質的に含まない」という用語は、第1の層に銅または酸化銅を外部から添加されていないが、しかしながら、任意選択的に、<0.001%のわずかな量として存在し得ることを指す。「排気流」、「エンジン排気流」、「排気ガス流」などの用語は、固体または液体の微粒子状物質も含有し得る、流れるエンジン流出ガスの任意の組み合わせを指す。流れは、ガス状成分を含み、例えば、リーンバーンエンジンの排気であり、リーンバーンエンジンの排気流は、液体の液滴、固体微粒子などのある特定の非ガス状成分を含有し得る。リーンバーンエンジンの排気流は、典型的には、燃焼生成物、不完全燃焼生成物、窒素の酸化物、可燃性および/または炭素質微粒子状物質(煤)、ならびに未反応の酸素および/または窒素をさらに含む。そのような用語は、本明細書に記載の1つ以上の他の触媒系成分の下流の流出物と同様に言及される。
【0021】
「BET表面積」は、N吸着測定によって表面積を決定するためのブルナウアー-エメット-テラー法を指す通常の意味を有する。別途具体的に記載されない限り、「比表面積」または「表面積」に対する本明細書のすべての言及は、BET表面積を指す。
【0022】
白金族金属(PGM)成分は、PGM(Rh、Pd、およびPt)を含む任意の成分を指す。例えば、PGMは、価数がゼロの金属形態であってもよいか、またはPGMは、酸化物形態であってもよい。「PGM成分」への言及は、任意の価数状態でのPGMの存在を許容する。「白金(Pt)成分」、「ロジウム(Rh)成分」、「パラジウム(Pd)成分」などの用語は、触媒のか焼または使用時に、触媒活性形態、通常は金属または金属酸化物に分解されるかまたは変換される、それぞれの白金族金属化合物、錯体などを指す。
【0023】
「触媒(catalytic)物品」または「触媒(catalyst)物品」という用語は、所望の反応を促進するために使用される触媒組成物で基材がコーティングされている構成要素を指す。層状触媒物品という用語は、基材がPGMおよび/または非PGM組成物で層状の様式でコーティングされている触媒物品を指す。これらの組成物は、ウォッシュコートと称され得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「含浸させた」または「含浸」とは、支持体材料の細孔性構造に触媒材料を浸透させることを指す。
【0025】
触媒材料、または触媒組成物、または触媒ウォッシュコートにおける「支持体」は、沈殿、会合、分散、含浸、または他の好適な方法を通じて金属(例えば、PGM)、安定剤、促進剤、結合剤などを受容する材料を指す。例示的な支持体としては、以下本明細書に記載の耐火性金属酸化物支持体が挙げられる。
【0026】
「耐火性金属酸化物支持体」は、例えば、バルクアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、マグネシア、ネオジミア、およびそのような使用で知られている他の材料、ならびに原子ドープされた組み合わせを含み、かつ高表面積または活性化アルミナなどの活性化合物を含む、それらの物理的混合物または化学的組み合わせを含む金属酸化物である。
【0027】
金属酸化物の例示的な組み合わせとしては、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-セリア-ジルコニア、ランタナ-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミアアルミナ、およびアルミナ-セリアが挙げられる。例示的なアルミナとしては、大孔径ベーマイト、ガンマ-アルミナ、およびデルタ/シータアルミナが挙げられる。例示的なプロセスで出発材料として使用される有用な市販のアルミナとしては、高バルク密度ガンマ-アルミナ、低または中バルク密度大孔径ガンマ-アルミナ、ならびに低バルク密度大孔径ベーマイトおよびガンマ-アルミナなどの活性アルミナが挙げられる。そのような材料は、一般に、得られる触媒に耐久性を提供すると考えられている。
【0028】
「高表面積の耐火性金属酸化物支持体」は、特に、20Åより大きい細孔および広い細孔分布を有する支持体粒子を指す。高表面積の耐火性金属酸化物支持体、例えば、「ガンマアルミナ」または「活性化アルミナ」とも称されるアルミナ支持体材料は、典型的には、1グラムあたり60平方メートル(「m/g」)を超え、多くの場合最大約300m/g以上の未使用の材料のBET表面積を呈する。そのような活性化アルミナは、通常、アルミナのガンマ相およびデルタ相の混合物であるが、またかなりの量のイータ(eta)、カッパ、およびシータアルミナ相を含有し得る。
【0029】
本明細書で使用される場合、「酸素貯蔵成分」(OSC)という用語は、多価状態を有し、還元条件下で一酸化炭素(CO)および/または水素などの還元剤と能動的に反応し、次いで酸化状態下で酸素または窒素酸化物などの酸化剤と反応することができる実体を指す。酸素貯蔵成分の例としては、前周期遷移金属酸化物、特にジルコニア、ランタナ、プラセオジミア、ネオジミア、ニオビア、ユーロピア、サマリア、イッテルビア、イットリア、およびそれらの混合物で任意選択的にドープされたセリア複合材料が挙げられる。
【0030】
特許請求される本発明は、a)セリア成分上に支持されたニッケル成分を含む第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まず、銅の量が、<0.001重量%である、第1の層と、b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された白金族金属成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む、層状触媒物品を提供する。別の実施形態では、白金族金属成分の量は、第2の層の総重量に基づいて、0.02~1.0重量%である。別の実施形態では、白金族金属成分の量は、第2の層の総重量に基づいて、0.02~0.1重量%である。一実施形態では、白金族金属成分は、パラジウムおよびロジウムを含み、パラジウム対ロジウムの比が、100:1~1:5の範囲である。別の実施形態では、白金族金属成分は、白金およびロジウムを含み、白金対ロジウムの比が、100:1~1:5の範囲である。なお別の実施形態では、白金族金属成分は、ロジウムであり、ロジウムの量は、第2の層の総重量に基づいて、0.02~1.0重量%である。
【0031】
触媒組成物は、PGMなどの貴金属の高効率性、および卑金属などの非PGM金属の低コストを利用する。貴金属と非PGM触媒成分との両方の組み合わせは、効率的なCO、NOx、およびHC変換、ならびに排気ガス流中に含有される汚染物質の低減のために効果的かつ協調的に機能する。
【0032】
一実施形態では、層状触媒物品は、a)セリア成分上に支持されたニッケル成分を含む第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、10~40重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された白金族金属成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む。
【0033】
別の実施形態では、層状触媒物品は、a)セリア成分上に支持されたニッケル成分を含む第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、10~40重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された白金族金属成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.02~1.0重量%である、第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む。
【0034】
別の実施形態では、層状触媒物品は、a)セリア成分上に支持されたニッケル成分を含む第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、10~40重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された白金族金属成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.02~0.1重量%である、第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む。
【0035】
一実施形態では、層状触媒物品は、a)950℃で12時間空気中でか焼した後、15m/g~60m/gの範囲の比表面積を有するセリアを含むセリア成分上に支持されたニッケル成分を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、セリア成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、20~80重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された白金族金属成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む。
【0036】
一実施形態では、第1の層のセリア成分は、ドーパントを含む。ドーパントの例としては、限定されないが、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ドーパントは、セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20重量%の量で使用される。一実施形態では、層状触媒物品は、a)950℃で12時間空気中でか焼した後、15m/g~60m/gの範囲の比表面積を有するセリアを含むセリア成分上に支持されたニッケル成分、ならびにジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせから選択されるドーパントを含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、セリア成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、20~80重量%であり、ドーパントの量が、セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された白金族金属成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む。
【0037】
一実施形態では、層状触媒物品は、a)i)950℃で12時間空気中でか焼した後、15m/g~60m/gの範囲の比表面積を有するセリアを含むセリア成分上に支持されたニッケル成分、および任意選択的に、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせから選択されるドーパント、ならびにii)マンガン、鉄、亜鉛、およびそれらの組み合わせから選択される遷移金属、を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、セリア成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、20~80重量%であり、ドーパントの量が、セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20重量%であり、遷移金属の量が、第1の層の総重量に基づいて、対応する遷移金属酸化物として計算して、1.0~10重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された白金族金属成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む。
【0038】
一実施形態では、層状触媒物品は、a)i)950℃で12時間空気中でか焼した後、15m/g~60m/gの範囲の比表面積を有するセリアを含むセリア成分上に支持されたニッケル成分、および任意選択的に、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせから選択されるドーパント、ならびにii)鉄、を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、セリア成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、20~80重量%であり、ドーパントの量が、セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20重量%であり、鉄の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化鉄として計算して、1.0~10重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された白金族金属成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む。
【0039】
なお別の実施形態では、第1の層は、ニッケル以外の遷移金属を含む。使用される遷移金属としては、限定されないが、マンガン、鉄、亜鉛、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、使用される遷移金属の量は、第1の層の総重量に基づいて、対応する遷移金属酸化物として計算して、1.0~10重量%である。一実施形態では、遷移金属は鉄であり、第1の層の総重量に基づいて、酸化鉄として計算して、1.0~10重量%の量で使用される。一実施形態では、層状触媒物品は、a)i)950℃で12時間空気中でか焼した後、15m/g~60m/gの範囲の比表面積を有するセリアを含むセリア成分上に支持されたニッケル成分、および任意選択的に、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせから選択されるドーパント、ならびにii)任意選択的に、マンガン、鉄、亜鉛から選択される遷移金属、を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、セリア成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、20~80重量%であり、ドーパントの量が、セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20重量%であり、遷移金属の量が、第1の層の総重量に基づいて、対応する遷移金属酸化物として計算して、1.0~10重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)i)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された白金族金属成分、ならびにii)酸化バリウム、酸化ストロンチウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む少なくとも1つのアルカリ土類金属酸化物、を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%であり、アルカリ土類金属酸化物の量が、第2の層の総重量に基づいて、1.0~20重量%である、第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む。
【0040】
一実施形態では、層状触媒物品は、a)i)950℃で12時間空気中でか焼した後、15m/g~60m/gの範囲の比表面積を有するセリアを含むセリア成分上に支持されたニッケル成分、および任意選択的に、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせから選択されるドーパント、ならびにii)任意選択的に、マンガン、鉄、亜鉛、およびそれらの組み合わせから選択される遷移金属、を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、セリア成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、20~80重量%であり、ドーパントの量が、セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20重量%であり、遷移金属の量が、第1の層の総重量に基づいて、対応する遷移金属酸化物として計算して、1.0~10重量%であり、アルカリ土類金属酸化物の量が、第1の層の総重量に基づいて、1.0~20重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)第2の層であって、i)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された、第2の層の総重量に基づいて0.02~1.0重量%の量でロジウム、ならびにii)任意選択的に、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、少なくとも1つのアルカリ土類金属酸化物、を含む、第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む。
【0041】
一実施形態では、層状触媒物品は、a)i)ニッケル成分、ii)950℃で12時間空気中でか焼した後、15m/g~60m/gの範囲の比表面積を有するセリアを含むセリア成分、および任意選択的に、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせから選択されるドーパント、ならびにiii)任意選択的に、マンガン、鉄、亜鉛、およびそれらの組み合わせから選択される遷移金属、を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、セリア成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、20~80重量%であり、ドーパントの量が、セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20重量%であり、遷移金属の量が、第1の層の総重量に基づいて、対応する遷移金属酸化物として計算して、1.0~10重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)i)パラジウムまたは白金対ロジウムの比が、100:1~1:5の範囲である、パラジウムおよびロジウム、ii)酸素貯蔵成分、iii)アルミナ成分、ならびにiv)任意選択的に、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、少なくとも1つのアルカリ土類金属酸化物、を含む第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む。
【0042】
一実施形態では、層状触媒物品は、a)i)950℃で12時間空気中でか焼した後、15m/g~60m/gの範囲の比表面積を有するセリアを含むセリア成分上に支持されたニッケル成分、および任意選択的に、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせから選択されるドーパント、ならびにii)任意選択的に、マンガン、鉄、亜鉛、およびそれらの組み合わせから選択される遷移金属、を含む、第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、セリア成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、20~80重量%であり、ドーパントの量が、セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20重量%であり、遷移金属の量が、第1の層の総重量に基づいて、対応する遷移金属酸化物として計算して、1.0~10重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)i)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された、パラジウムまたは白金対ロジウムの比が、100:1~1:5の範囲である、パラジウムおよびロジウム、ならびにii)任意選択的に、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、少なくとも1つのアルカリ土類金属酸化物、を含む第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積されている、基材と、を含む。
【0043】
例示的な酸素貯蔵成分としては、セリア-ジルコニア、セリア-ジルコニア-ランタナ、セリア-ジルコニア-イットリア、セリア-ジルコニア-ランタナ-イットリア、セリア-ジルコニア-ネオジミア、セリア-ジルコニア-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-プラセオジミア、セリア-ジルコニア-ランタナ-ネオジミア-プラセオジミア、またはそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、酸素貯蔵成分は、セリア-ジルコニアを含む。一実施形態では、酸素貯蔵成分の量は、第2の層の総重量に基づいて、20~80重量%である。一実施形態では、第2の層の酸素貯蔵成分のセリア含有量は、酸素貯蔵成分の総重量に基づいて、5~50重量%の範囲である。一実施形態では、第1の層に存在するセリア成分は、950℃で12時間空気中でか焼した後、15m/g~60m/gの範囲の比表面積を有するセリアを含み、使用されるセリア成分の量は、第1の層の総重量に基づいて、20~80重量%である。別の実施形態では、第1の層のセリア成分は、ドーパントを含む。ドーパントの例としては、限定されないが、ジルコニア、イットリア、プラセオジミア、ランタナ、ネオジミア、サマリア、ガドリニア、アルミナ、チタニア、バリア、ストロンチア、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ドーパントは、セリア成分の総重量に基づいて、1.0~20重量%の量で使用される。
【0044】
一実施形態では、アルミナ成分は、アルミナ、ランタナ-アルミナ、セリア-アルミナ、セリア-ジルコニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア-ランタナ-アルミナ、バリア-ランタナ-ネオジミア-アルミナ、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、アルミナ成分の量は、第2の層の総重量に基づいて、10~80重量%の範囲である。
【0045】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、典型的には、触媒組成物を含有する複数の粒子を含有するウォッシュコートの形態のモノリス材料を指し、モノリシック材料上に触媒材料が置かれている。
【0046】
「モノリシック基材」、または「ハニカム基材」への言及は、入口から出口まで均質かつ連続的な単一構造を意味する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「ウォッシュコート」という用語は、処理されるガス流の通過を可能にするのに十分に細孔性である、ハニカム型担体部材などの基材材料に適用される触媒または他の材料の薄い接着性のコーティングの技術分野におけるその通常の意味を有する。
【0048】
ウォッシュコートは、液体ビヒクル中のある特定の固体含有量(例えば20%~60重量%)の粒子を含有するスラリーを調製し、次いでこれを基材上にコーティングし、乾燥させてウォッシュコート層を提供することによって形成される。
【0049】
本明細書で使用され、Heck,Ronald and Farrauto,Robert,Catalytic Air Pollution Control,New York:Wiley-Interscience,2002,pp.18-19に記載されているように、ウォッシュコート層としては、モノリシック基材の表面上に堆積された組成的に異なる材料の層、または基底をなすウォッシュコート層が挙げられる。一実施形態では、基材は、1つ以上のウォッシュコート層を含有し、各ウォッシュコート層は、何らかの方式で異なる(例えば、粒子サイズまたは結晶子相などの、例えばその物理的特性において異なり得る)、および/または化学的触媒機能が異なり得る。
【0050】
触媒製品は、新しく、長期間の間熱または熱ストレスにさらされていないことを意味する「未使用」であり得る。「未使用」はまた、触媒が最近調製され、排気ガスまたは高温にさらされていないことを意味し得る。同様に、「エージングした」触媒物品は、未使用ではなく、排気ガスおよび高温(すなわち、500℃超)に長期間(すなわち、3時間超)の間さらされている。
【0051】
1つ以上の実施形態によれば、特許請求される本発明の触媒物品の基材は、自動車触媒を調製するために典型的に使用される任意の材料で構築され得、典型的には、セラミックまたは金属のモノリシックハニカム構造を含む。基材は、典型的には、本明細書に上記の触媒組成物を含むウォッシュコートが適用および接着され、それによって触媒組成物の担体として作用する、複数の壁表面を提供する。
【0052】
例示的な金属性基材としては、耐熱性金属、チタンおよびステンレス鋼などの金属合金、ならびに鉄が実質的な成分または主成分である他の合金が挙げられる。そのような合金は、1つ以上のニッケル、クロム、および/またはアルミニウムを含有し得、これらの金属の量は、有利には、合金の少なくとも15重量%、例えば、10~25重量%のクロム、3~8%のアルミニウム、および最大20重量%のニッケルを含み得る。合金はまた、マンガン、銅、バナジウム、チタンなどの、少量または微量の1つ以上の金属を含有し得る。金属基材の表面は、高温、例えば1000℃以上で酸化されて、基材の表面上に酸化物層が形成され、合金の耐食性を改善し、金属表面へのウォッシュコート層の接着を容易にすることができる。
【0053】
基材を構築するために使用されるセラミック材料としては、任意の好適な耐火性材料、例えば、コーディエライト、ムライト、コーディエライト-アルミナ、窒化シリコン、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカマグネシア、ケイ酸ジルコン、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、アルミナ、アルミノシリケートなどを挙げることができる。複数の微細な、流体が流れるように通路が開放されるように、基材の入口表面から出口表面まで延在する平行なガス流路を有する、モノリシックフロースルー基材などの任意の好適な基材が用いられ得る。通路を通り流れるガスが触媒材料と接触するように、入口から出口まで本質的に直線の経路である通路は、壁によって画定され、壁上の触媒材料は、ウォッシュコートとしてコーティングされている。モノリシック基材の流路は、台形、長方形、正方形、正弦波、六角形、楕円形、円形などの任意の好適な断面形状の薄壁チャネルである。そのような構造は、約60~約1200以上の断面の1平方インチあたりのガス入口開口部(すなわち、「セル」)(cpsi)、より一般的には約300~600cpsiを含有する。フロースルー基材の壁厚は、変動し得、典型的な範囲は0.002~0.1インチである。代表的な市販のフロースルー基材は、400cpsiおよび6ミルの壁厚、または600cpsiおよび4ミルの壁厚を有するコーディエライト基材である。しかしながら、本発明は、特定の基材タイプ、材料、または形状に限定されないことが理解されるであろう。代替的な実施形態では、基材は、各通路が基材本体の一端で非細孔性プラグで遮断されており、1つおきの通路が対向する端面で遮断されている、壁流基材であり得る。これは、ガスが、壁流基材の細孔性の壁を通り流れて出口に到達することを必要とする。そのようなモノリシック基材は、約100~400cpsi、より典型的には約200~約300cpsiなどの、最大約700以上のcpsiを含有し得る。セルの断面形状は、上記のように変動し得る。壁流基材は、典型的には、0.002~0.1インチの壁厚を有する。代表的な市販の壁流基材は、細孔性コーディエライトから構築され、例示的な細孔性コーディエライトは、200cpsiおよび10ミルの壁厚または300cpsiおよび8ミルの壁厚、ならびに45~65%の壁の細孔度を有する。チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素、および窒化ケイ素などの他のセラミック材料も、壁流フィルタ基材として使用される。しかしながら、本発明は、特定の基材タイプ、材料、または形状に限定されないことが理解されるであろう。基材が壁流基材である場合、触媒組成物が、壁の表面上に配置されていることに加えて、細孔性構造の細孔性の壁に浸透し得る(即ち細孔性開口部を部分的にまたは完全に閉鎖し得る)ことに留意されたい。一実施形態では、基材は、セラミックハニカム構造、壁流セラミックハニカム構造、または金属ハニカム構造を通る流れを有する。
【0054】
1つの例示的な実施形態では、第1の層は、基材上に最下層として堆積され、第2の層は、最下層上に最上層として堆積される(図1)。
【0055】
別の実施形態では、第2の層は、基材上に最下層として堆積され、第1の層は、最下層上に最上層として堆積される(図1)。
【0056】
別の実施形態では、層状触媒物品は、a)ニッケル成分およびセリア成分を含む第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、10~40重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)白金族金属成分、酸素貯蔵成分、およびアルミナ成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、c)基材であって、第1が、基材上の最下層として堆積され、第2の層が、第1の層上の最上層として堆積されている、基材と、を含む。
【0057】
別の実施形態では、層状触媒物品は、A a)ニッケル成分およびセリア成分を含む第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、10~40重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)白金族金属成分、酸素貯蔵成分、およびアルミナ成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.02~1.0重量%である、第2の層と、c)基材であって、第2の層が、基材上の最下層として堆積され、第1の層が、第2の層上の最上層として堆積されている、基材と、を含む。1つの例示的な実施形態では、層状触媒物品は、セリア成分に含浸されたニッケルを含む第1の層と、セリア-ジルコニアおよびアルミナ成分に含浸されたロジウムを含む第2の層と、を含み、第1の層が、基材上に堆積され、第2の層が、第1の層上に堆積されている。
【0058】
別の例示的な実施形態では、層状触媒物品は、セリア-ジルコニア-アルミナに含浸されたニッケルを含む第1の層と、セリア-ジルコニアおよびアルミナ成分に含浸されたロジウムを含む第2の層と、を含み、第1の層が、基材上に堆積され、第2の層が、第1の層上に堆積されている。
【0059】
なお別の例示的な実施形態では、層状触媒物品は、セリア-ジルコニア-アルミナに含浸されたニッケルを含む第1の層と、セリア-ジルコニアに含浸されたパラジウム、およびアルミナ成分に含浸されたロジウムを含む第2の層と、を含み、第1の層が、基材上に堆積され、第2の層が、第1の層上に堆積されている。
【0060】
別の実施形態では、層状触媒物品は、白金族金属成分、酸素貯蔵成分、およびアルミナ成分を含む第3の層を含み、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第3の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である。
【0061】
一実施形態では、層状触媒物品は、基材上に堆積されたニッケル成分を含む第1の層と、第1の層上に堆積されたパラジウムを含む第2の層と、第2の層上に堆積されたロジウムを含む第3の層と、を含む。
【0062】
一実施形態では、本明細書に上記の層状触媒物品は、帯状配置を含む。帯状配置は、前部ゾーン(第1のゾーン)および後部ゾーン(第2のゾーン)からなる。一実施形態では、層状触媒物品は、a)セリア成分上に支持されたニッケル成分を含む第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、10~40重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、b)酸素貯蔵成分およびアルミナ成分上に支持された白金族金属成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、c)基材であって、第1または第2の層が、基材上の最上層または最下層として堆積され、第1の層および第2の層のうちの少なくとも1つが、第1のゾーンおよび第2のゾーンを含む帯状配置を含み、当該第1または第2のゾーンが、基材の長さの45~90%に及ぶ、基材と、を含む。
【0063】
一実施形態では、第1の層は、前部ゾーン(第1のゾーン)または後部ゾーン(第2のゾーン)を含み、当該前部または後部ゾーンが、基材の長さの45~90%に及ぶ。別の実施形態では、第2の層は、前部ゾーン(第1のゾーン)または後部ゾーン(第2のゾーン)を含み、当該前部または後部ゾーンが、基材の長さの45~90%に及ぶ。さらに別の実施形態では、第3の層は、前部ゾーンまたは後部ゾーンを含み、当該前部または後部ゾーンが、基材の長さの45~90%に及ぶ。
【0064】
本明細書で使用される場合、「流」という用語は、広義的には、固体または液体の微粒子状物質を含有し得る流動ガスの任意の組み合わせを指す。
【0065】
本明細書で使用される場合、「上流」および「下流」という用語は、エンジンからテールパイプに向かうエンジン排気ガス流の流れに応じた相対的な方向を指し、エンジンが上流位置にあり、テールパイプならびにフィルタおよび触媒などの任意の汚染物軽減物品は、エンジンの下流にある。
【0066】
図3Aおよび3Bは、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされたフロースルー基材の形態の例示的な基材2を示す。図3Aを参照すると、例示的な基材2は、円筒形および円筒形の外面4、上流端面6および端面6と同一である対応する下流端面8を有する。基材2は、その中に形成された複数の微細な平行ガス流路10を有する。図3Bに見られるように、流路10は、壁12によって形成され、基材2を通って上流端面6から下流端面8まで延在し、通路10は、遮られておらず、流体、例えば、ガス流が、そのガス流路10を介して基材2を通って長手方向に流れることを可能にする。図3により容易に見られるように、壁12は、ガス流路10が実質的に規則的な多角形状を有するように寸法決定および構成されている。示されているように、ウォッシュコート組成物は、必要に応じて複数の別個の層に適用され得る。示されている実施形態では、ウォッシュコートは、基材部材の壁12に接着された別個の第1のウォッシュコート層14と、第1のウォッシュコート層14上にコーティングされた第2の別個のウォッシュコート層16とからなる。一実施形態では、特許請求される本発明はまた、2つ以上(例えば、3つまたは4つ)のウォッシュコート層を用いて実践され、示された2層の実施形態に限定されない。
【0067】
図4は、本明細書に記載のウォッシュコート組成物でコーティングされた壁流フィルタ基材の形態の例示的な基材2を示している。図4に見られるように、例示的な基材2は、複数の通路52を有する。通路は、フィルタ基材の内壁53によって管状に囲まれている。基材は、入口端部54および出口端部56を有する。1つとばしの通路は、入口端が入口プラグ58で塞がれ、出口端が出口プラグ60で塞がれて、入口54および出口56で対向するチェッカーボードパターンを形成する。ガス流62は、塞がれていないチャネル入口64を通って入り、出口プラグ60によって止められ、チャネル壁53(細孔性である)を通って出口側66へと拡散する。ガスは、入口プラグ58によって、入口側の壁に戻ることができない。本発明で使用される細孔性壁フローフィルタは、その上にまたはその中に1つ以上の触媒材料を有するかまたは含有する当該要素の壁に触媒作用を有する。触媒材料は、入口側のみの要素の壁、出口側のみ、入口側と出口側との両方に存在し得るか、または壁自体が、すべてまたは一部が触媒材料からなり得る。本発明は、要素の入口および/または出口壁上に触媒材料の1つ以上の層の使用を含む。
【0068】
なお別の態様によれば、特許請求される本発明は、層状触媒物品を調製するためのプロセスを提供する。プロセスは、以下のステップを含む。
【0069】
第1のステップでは、最下層スラリーが調製され、次いでそれが基材上に堆積される。別個に、最上層スラリーが調製され、最下層上に堆積され、続いて400~700℃の範囲の温度でか焼される。最下層および最上層を調製するステップは、初期湿潤含浸、初期湿潤共含浸、および後添加などの技法を含む。一実施形態では、プロセスは、最下層でコーティングされた基材をか焼し、その後最上層でコーティングするステップを含む。典型的には、か焼は、400~700℃の範囲の温度で実行される。
【0070】
不均一材料、すなわち触媒の合成には、毛管含浸または乾燥含浸とも呼ばれる初期湿潤含浸技法が通常使用される。典型的には、活性金属前駆体を水溶液または有機溶液に溶解させ、次いで触媒支持体に金属含有溶液を添加し、触媒支持体は、添加された溶液の体積と同じ細孔容積を含有する。毛管作用により、溶液が支持体の細孔に引き込まれる。支持体の細孔容積を超えて添加された溶液は、毛管作用プロセスから、はるかに遅い拡散プロセスへの溶液輸送の変化を生じる。触媒を乾燥およびか焼して溶液内の揮発性成分を除去し、触媒支持体の表面上に金属を堆積させる。含浸された材料の濃度プロファイルは、含浸および乾燥中の細孔内の質量移動条件に依存する。適切に希釈した後、複数の活性金属前駆体は、触媒支持体に共含浸され得る。あるいは、活性金属前駆体は、スラリー調製のプロセス中に撹拌下で後添加を介してスラリーに導入される。
【0071】
支持体粒子は、典型的には、溶液の実質的にすべてを吸収して湿った固体を形成するのに十分なほど乾燥している。典型的には、(ロジウムが活性金属である場合)塩化ロジウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、またはそれらの組み合わせ、および(パラジウムが活性金属である場合)硝酸パラジウム、パラジウムテトラアミン、酢酸パラジウム、またはそれらの組み合わせなどの活性金属の水溶性化合物または錯体の水溶液が利用される。活性金属溶液での支持体粒子の処理に続いて、粒子を高温(例えば、100~150℃)で一定期間(例えば、1~3時間)熱処理することなどによって、粒子を乾燥させ、次いでか焼して、活性金属をより触媒的に活性な形態に変換する。例示的なか焼プロセスは、約400~550℃の温度で10分~3時間空気中で熱処理することを含む。必要に応じて上のプロセスを繰り返して、所望の活性金属含浸レベルに到達させることができる。
【0072】
上記の触媒組成物は、典型的には、上記の触媒粒子の形態で調製される。これらの触媒粒子を水と混合して、ハニカム型基材などの触媒基材をコーティングする目的のためのスラリーを形成する。触媒粒子に加えて、スラリーは、任意選択的に、アルミナ、シリカ、酢酸ジルコニウム、コロイド状ジルコニア、もしくは水酸化ジルコニウムの形態の結合剤、会合性増粘剤、および/または界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、または両性界面活性剤を含む)を含有し得る。他の例示的な結合剤としては、ベーマイト、ガンマ-アルミナ、またはデルタ/シータアルミナ、ならびにシリカゾルが挙げられる。存在する場合、結合剤は、典型的には、総ウォッシュコート充填量の約1~5重量%の量で使用される。スラリーへの酸性種または塩基性種の添加は、それらに応じてpHを調節するために実行される。例えば、いくつかの実施形態では、スラリーのpHは、水酸化アンモニウム、硝酸水溶液、または酢酸の添加によって調節される。スラリーの典型的なpH範囲は、約3~12である。
【0073】
粒子サイズを低減し、粒子混合を向上するために、スラリーを粉砕してもよい。粉砕は、ボールミル、連続ミル、または他の同様の機器で達成され、スラリーの固体含有量は、例えば、約20~60重量%、より具体的には約20~40重量%であり得る。一実施形態では、粉砕後のスラリーは、約10~約40ミクロン、好ましくは10~約30ミクロン、より好ましくは約10~約15ミクロンのD90粒子サイズを特徴とする。D90は、専用の粒子サイズ分析器を使用して決定される。この例で用いられる機器は、レーザー回折を使用して、少量のスラリー中の粒子サイズを測定する。典型的には、ミクロン単位でのD90とは、その値よりも小さい直径を有する粒子の数が90%であることを意味する。
【0074】
スラリーは、当技術分野で既知の任意のウォッシュコート技法を使用して触媒基材上にコーティングされる。一実施形態では、触媒基材は、スラリーに1回以上ディッピングされるか、またはスラリーでコーティングされる。その後、コーティングされた基材は、高温(例えば、100~150℃)で一定期間(例えば、10分~3時間)乾燥させ、次いで、例えば、400~700℃で、典型的には、約10分~約3時間加熱することによってか焼される。乾燥およびか焼に続いて、最終的なウォッシュコートコーティング層は、溶媒を本質的に含まないと見なされる。か焼後、上記のウォッシュコート技法によって得られた触媒充填量は、基材のコーティングされた重量とコーティングされていない重量との差を計算することを通じて決定することができる。当業者には明らかであるように、触媒充填量は、スラリーのレオロジーを変更することによって変更することができる。加えて、ウォッシュコートを生成するためのコーティング/乾燥/か焼プロセスを必要に応じて繰り返して、コーティングを所望の充填レベルまたは厚さに構築することができ、2つ以上のウォッシュコートを適用することができることを意味する。
【0075】
ある特定の実施形態では、コーティングされた基材は、コーティングされた基材に熱処理を施すことによってエージングされる。一実施形態では、エージングは、空気中で環境の体積%の水分で、約850℃~約1050℃の温度で20時間行われる。ある特定の実施形態では、エージングした触媒物品はこのように提供される。ある特定の実施形態では、特に有効な材料は、エージング時(例えば、約850℃~約1050℃、空気中10体積%の水分、20時間のエージング)に、細孔容積の高いパーセンテージ(例えば、約95~100%)を維持する金属酸化物系支持体(限定されないが、実質的に100%のセリア支持体を含む)を含む。
【0076】
別の態様では、特許請求される本発明は、本明細書に上記の層状触媒組成物を含む層状触媒物品を含む、内燃エンジン用の排気システムを提供する。一実施形態では、排気システムは、ニッケル成分およびセリア成分を含む第1の層であって、ニッケル成分の量が、第1の層の総重量に基づいて、酸化ニッケルとして計算して、1.0~50重量%であり、第1の層が、銅を本質的に含まない、第1の層と、白金族金属成分、酸素貯蔵成分、およびアルミナ成分を含む第2の層であって、白金族金属成分が、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み、白金族金属成分の量が、第2の層の総重量に基づいて、0.01~5重量%である、第2の層と、基材と、を含む、層状触媒物品を含む。
【0077】
一実施形態では、排気システムは、白金、パラジウム、ロジウム、およびそれらの組み合わせから選択される白金族金属を50~300g/ftを含む、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品を任意選択的に含む。図2Aおよび2Bは、従来のPGM-TWC触媒物品(C-TWC)および特許請求される本発明の層状触媒物品(PGM+非PGM、発明触媒-IC)がエンジンに対して異なる位置に配置されている、代表的な排気システムを示している。
【0078】
一実施形態では、システムは、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品と、本明細書に上記の層状触媒物品とを含み、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品が、内燃エンジンの下流に位置し、層状触媒組成物を含む触媒物品が、三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置する。
【0079】
別の実施形態では、システムは、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品と、本明細書に上記の層状触媒物品とを含み、層状触媒物品が、内燃エンジンの下流に位置し、白金族金属系の三元変換(TWC)触媒物品が、三元変換(TWC)触媒物品と流体連通して下流に位置する。
【0080】
一実施形態では、白金族金属系のTWC触媒物品は、従来の触媒である。一実施形態では、米国特許第7758834号に開示の触媒物品をTWC触媒物品として使用することができる。TWC触媒物品は、排気からのNOx、炭化水素、およびCOを同時に処理することが可能である。排気システムの例示的な図を、図2に提供する。
【0081】
別の実施形態では、内燃エンジン用の排気システムは、排気マニホルードを介して内燃エンジンと流体連通している排気導管、内燃エンジンの下流に位置する排気導管内のTWC触媒物品(CC1)、密接に結合した触媒の下流に位置する排気導管内の特許請求される本発明の層状触媒物品(CC2)、を含む。
【0082】
一態様では、特許請求される本発明はまた、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を処理する方法を提供する。方法は、特許請求される本発明に従った触媒組成物、または触媒物品、または排気システムと排気流を接触させることを含む。「排気流」、「エンジン排気流」、「排気ガス流」などの用語は、固体または液体の微粒子状物質も含有し得る、流れるエンジン流出ガスの任意の組み合わせを指す。流れは、ガス状成分を含み、例えば、リーンバーンエンジンの排気であり、リーンバーンエンジンの排気流は、液体の液滴、固体微粒子などのある特定の非ガス状成分を含有し得る。リーンバーンエンジンの排気流は、典型的には、燃焼生成物、不完全燃焼生成物、窒素の酸化物、可燃性および/または炭素質微粒子状物質(煤)、ならびに未反応の酸素および/または窒素を含む。そのような用語は、本明細書に記載の1つ以上の他の触媒系成分の下流の流出物と同様に言及される。
【0083】
別の態様では、特許請求される本発明はまた、ガス状排気流中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物レベルを低減する方法を提供する。方法は、ガス状排気流を、特許請求される本発明に従った触媒組成物、または触媒物品、または排気システムと接触させて、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物のレベルを低減することを含む。
【0084】
一態様では、特許請求される本発明はまた、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含むガス状排気流を精製するための触媒組成物または触媒物品の使用を提供する。
【0085】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、炭化水素を二酸化炭素および水に変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する炭化水素の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する一酸化炭素の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、窒素酸化物を窒素に変換する。
【0086】
いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する窒素酸化物の量の少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。いくつかの実施形態では、触媒物品は、触媒物品と接触する前に排気ガス流中に存在する、炭化水素、二酸化炭素、および窒素酸化物を組み合わせた総量の少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を変換する。
【実施例
【0087】
本発明の態様は、以下の実施例によってさらに完全に示され、これらは、本発明のある特定の態様を示すために記載されており、それを限定するものとして解釈されるべきではない。
【0088】
実施例1:上流TWC触媒1の調製(PGMのみ、範囲外)
米国特許第7,758,834号の実施例1に従って、3層ウォッシュコート構造を有する上流TWC触媒を調製した。触媒は、600cpsi(1平方インチあたりのセル数)のセル密度および3ミル(約100μm)の壁厚を有する円筒形コーディエライトモノリス基材上にコーティングした。総PGM充填量は、200g/ft(Pt/Pd/Rh=0/186/14)であった。
【0089】
実施例2:下流層状触媒2(PGM+非PGM、発明触媒)の調製
非PGM最下層および1g/ft(Pt/Pd/Rh=0/0/1)のPGM充填量を有するPGM最上層を含む、下流触媒を調製した。600cpsiのセル密度および3ミルの壁厚を有する円筒形モノリスコーディエライト基材上に、触媒をコーティングした。詳細なプロセスを以下に提供する。
【0090】
最下層(非PGM層)の調製:約41.3重量%の高表面積セリア、2.2重量%のNiOを生じる硝酸ニッケル(セリアに含浸)、41.3重量%の高表面積ランタナ安定化ジルコニア、2.2質量%のFe2O3を生じる硝酸鉄(III)、11.0重量%のNiO粉末(ランタナ安定化ジルコニアに含浸)、および2.0重量%のZrOを生じる酢酸ジルコニウムを含有するスラリー混合物を、基材上にコーティングした。550℃で1時間空気中でか焼した後の最下層のウォッシュコート充填量は、約2.30g/inであった。
【0091】
最上層(PGM層)の調製:硝酸ロジウムの形態の総Rhのうちの50重量%を安定化セリア-ジルコニア複合材料に含浸させ、硝酸ロジウムの形態の総Rhのうちの残りの50重量%を、耐火性γ-Alに含浸させた。約32.5重量%の耐火性γ-Al、およそ40重量%のセリアを含む32.5重量%の安定化セリア-ジルコニア複合材料、32.5重量%の高表面積ランタナ-安定化ジルコニア、2.4重量%のAlを生じるコロイド状アルミナ分散液、および0.047重量%のRhを含有するスラリーを、最下層全体上にコーティングした。550℃で1時間空気中でか焼した後の最上層のウォッシュコート充填量は、約1.23g/inであった。
【0092】
実施例3:下流層状触媒3の調製(CuOの存在、範囲外)
1g/ft(Pt/Pd/Rh=0/0/1)のPGM充填量を有する下流触媒は、硝酸銅の形態の1.0重量%のCuOを最下層に添加したことを除いて、触媒2のように調製した。
【0093】
実施例4:下流層状触媒4の調製(PGMのみ、範囲外)
2層ウォッシュコート構造および20g/ft(Pt/Pd/Rh=0/16/4)のPGM充填量を有する下流TWC触媒を調製した。600cpsiのセル密度および3ミルの壁厚を有する円筒形モノリスコーディエライト基材上に、触媒をコーティングした。詳細なプロセスを以下に提供する。
【0094】
最下層の調製:硝酸パラジウムの形態の総Pdのうちの100重量%を、最下層コートのスラリーに添加した。約21.0重量の耐火性γ-Al、およそ30重量%のセリアを含む70.4重量%の安定化セリア-ジルコニア複合材料、4.9重量%のBaOを生じる酢酸バリウム、2.4重量%のZrOを生じる酢酸ジルコニウム、0.9重量%のLaを生じる硝酸ランタン、および0.45重量%のPd、を含有するスラリーを、基材上にコーティングした。550℃で1時間空気中でか焼した後の最下層のウォッシュコート充填量は、約2.06g/inであった。
【0095】
最上層の調製:硝酸ロジウムの形態の総Rhのうちの100重量%を、安定化セリア-ジルコニアに含浸させた。約31.2重量の耐火性γ-Al、およそ10重量%のセリアを含む62.4重量%の安定化セリア-ジルコニア複合材料、3.1重量%のBaOを生じる酢酸バリウム、3.1重量%のZrOを生じる酢酸ジルコニウム、および0.14重量%のRh、を含有するスラリーを、最下層全体上にコーティングした。550℃で1時間空気中でか焼した後の最上層のウォッシュコート充填量は、約1.60g/inであった。
【0096】
触媒1~4の試験
モノリス触媒を、鋼製コンバーター缶に個々に取り付け、燃料カットエージングサイクル下のガソリンエンジンの排気ラインでエージングした。上流TWC触媒(触媒1)を、950℃の最高床温度で50時間エージングした。下流触媒(触媒2~4)を、最高床温度940℃で50時間エージングした。認証済み手順に従ってUS FTP-75ドライビングサイクル下で運転した、1.6Lのターボチャージャー付きガソリンエンジンを搭載したSULEV(超低排出車両)で、エージングした触媒を試験した。排出制御システム(実施例5~7)は、ユニバーサル上流TWC触媒として第1の密接に結合した位置に触媒1(CC1)、および第2の密接に結合した位置に下流触媒(触媒2または3または4)(CC2)を含有した。3つの袋を収集することによって、テールパイプでの窒素酸化物、炭化水素、および一酸化炭素の総量を測定し、重量平均を計算した。表1は、FTP-75試験でのNO、THC(総炭化水素)、およびCOのテールパイプ排出量を提供する。
【0097】
実施例5は、従来の上流TWC(触媒1)および1g/ftのPGM充填量のPGM-非PGM触媒(触媒2)を含有した。実施例5は、同じ従来の上流TWC(触媒1)および20g/ftのPGM充填量の従来の下流TWC(触媒4)を含有する実施例7と同等のNOxおよびTHC性能を呈した。実施例5は、実施例7よりも良好なCO性能を示し、これは、水-ガスシフト反応(WGSR)用の触媒2の最下層におけるNiO成分の存在の寄与による。触媒4と比較して触媒2では、かなりのPGM削減を達成した。実施例6は、同じ従来の上流TWC(触媒1)および最下層に1%のCuOを添加したPGM-非PGM触媒(触媒3)を含有した。実施例6は、NOxおよびTHCにおいて、実施例5および実施例7と比較して性能が低かった。触媒3の分析により、最下層のCuOが、エージング時にPGM含有最上層に移動することが判明した。移行したCuOはPGM機能を封じたと思われる。
【0098】
【表1】
【0099】
実施例8:層状上流TWC触媒5の調製(PGMのみ、範囲外)
2層ウォッシュコート構造および142g/ft(Pt/Pd/Rh=0/137/5)のPGM充填量を有する上流TWC触媒を調製した。600cpsiのセル密度および3ミルの壁厚を有する円筒形モノリスコーディエライト基材上に、触媒をコーティングした。詳細なプロセスを以下に提供する。
【0100】
最下層の調製:硝酸パラジウムの形態の総Pdのうちの36重量%を安定化セリア-ジルコニア複合材料に含浸させ、硝酸パラジウムの形態の総Pdのうちの54重量%を、耐火性γ-Alに含浸させた。約25.3重量%の耐火性γ-Al、およそ40重量%のセリアを含む63.3重量%の安定化セリア-ジルコニア複合材料、6.3重量%のBaoを生じる酢酸バリウム、2.1重量%のAlを生じるコロイド状アルミナ分散液、および3.0重量%のPdを含有するスラリーを、基材上にコーティングした。550℃で1時間空気中でか焼した後の最下層のウォッシュコート充填量は、約2.37g/inであった。
【0101】
最上層の調製:硝酸パラジウムの形態の総Pdのうちの10重量%を安定化セリア-ジルコニア複合材料に含浸させ、硝酸ロジウムの形態の総Rhのうちの100重量%を、耐火性γ-Alに含浸させた。約73.5重量%の耐火性γ-Al、およそ40重量%のセリアを含む21.2重量%の安定化セリア-ジルコニア複合材料、1.8重量%のNdを生じる硝酸ネオジム、2.6重量%のAlを生じるコロイド状アルミナ分散液、0.58重量%のPd、および0.21重量%のRhを含有するスラリー混合物を、最下層全体上にコーティングした。550℃で1時間空気中でか焼した後の最上層のウォッシュコート充填量は、約1.36g/inであった。
【0102】
実施例9:下流層状触媒6(PGM+非PGM、発明触媒)の調製
非PGM最下層および1g/ft(Pt/Pd/Rh=0/0/1)のPGM充填量を有するPGM最上層を含む、下流触媒を調製した。600cpsiのセル密度および3ミルの壁厚を有する円筒形モノリスコーディエライト基材上に、触媒をコーティングした。詳細なプロセスを以下に提供する。
【0103】
最下層(非PGM層)の調製:約60.6重量%の高表面積セリア、20.2重量%のNiO粉末、15.2重量%のNiOを生じる硝酸ニッケル、2.0重量%のZrOを生じる酢酸ジルコニウム、および2.0重量%のAlを生じるコロイド状アルミナ分散液を含有するスラリーを、基材上にコーティングした。550℃で1時間空気中でか焼した後の最下層のウォッシュコート充填量は、約2.97g/inであった。
【0104】
最上層(PGM層)の調製:硝酸ロジウムの形態の総Rhのうちの50重量%を安定化セリア-ジルコニア複合材料に含浸させ、硝酸ロジウムの形態の総Rhのうちの他方の50重量%を、耐火性γ-Alに含浸させた。約30.8重量%の耐火性γ-Al、およそ22重量%のセリアを含む61.6重量%の安定化セリア-ジルコニア複合材料、3.8重量%のZrOを生じる酢酸ジルコニウム、3.8重量%のAlを生じるコロイド状アルミナ分散液、および0.045重量%のRhを含有するスラリーを、最下層全体上にコーティングした。550℃で1時間空気中でか焼した後の最上層のウォッシュコート充填量は、約1.30g/inであった。
【0105】
実施例10:下流層状TWC触媒7の調製(PGMのみ、範囲外)
2層ウォッシュコート構造を有する下流TWC触媒を調製した。触媒7が14g/ft(Pt/Pd/Rh=0/12/2)のPGM充填量を有することを除いて、触媒7は触媒5と同じ配合を有する。
【0106】
触媒5~7の試験
モノリス触媒を、鋼製コンバーター缶に個々に取り付け、発熱エージングサイクル下のガソリンエンジンの排気ラインでエージングした。上流TWC触媒(触媒5)を、1050℃の最高床温度で100時間エージングした。下流触媒(触媒6および7)を、最高床温度950℃で100時間エージングした。認証済み手順に従ってUS FTP-75ドライビングサイクル下で運転した、2Lのターボチャージャー付きガソリンエンジンを搭載したSULEV車両で、エージングした触媒を試験した。排出制御システム(実施例11~12)は、ユニバーサル上流TWC触媒として密接に結合した位置に触媒5(CC)、および床下位置に下流触媒(UF)を含有した。3つの袋を収集することによって、テールパイプでの窒素酸化物、炭化水素、および一酸化炭素の総量を測定し、重量平均を計算した。表2は、FTP-75試験でのNO、THC、およびCOのテールパイプ排出量を提供する。
【0107】
実施例11は、従来の上流TWC(触媒5)、ならびに1g/ftのPGM充填量、および高いNiO含有量のPGM-非PGMハイブリッド触媒(触媒6)を含有した。実施例11は、同じ従来の上流TWC(触媒5)、および14g/ftのPGM充填量の従来の下流TWC(触媒7)を含有する実施例12と同等のNOx性能を呈した。実施例11は、実施例12よりも良好なTHCおよびCO性能を示した。
【0108】
【表2】
【0109】
実施例13:上流層状触媒8(PGM+非PGM、発明触媒)の調製
非PGM最下層および51g/ft(Pt/Pd/Rh=0/50/1)のPGM充填量を有するPGM最上層を含む、上流触媒を調製した。600cpsiのセル密度および3ミルの壁厚を有する円筒形コーディエライトモノリス基材上に、触媒をコーティングした。
【0110】
最下層(非PGM層)の調製:約60.6重量%の高表面積セリア、20.2重量%のNiO粉末、15.2重量%のNiOを生じる硝酸ニッケル、2.0重量%のZrOを生じる酢酸ジルコニウム、および2.0重量%のAlを生じるコロイド状アルミナ分散液を含有するスラリーを、基材上にコーティングした。550℃で1時間空気中でか焼した後の最下層のウォッシュコート充填量は、約2.97g/inであった。詳細なプロセスを以下に提供する。
【0111】
最上層(PGM層)の調製:硝酸パラジウムの形態の総Pdのうちの100重量%を安定化セリア-ジルコニア複合材料に含浸させ、硝酸ロジウムの形態の総Rhのうちの100重量%を、耐火性γ-Alに含浸させた。約30.1重量%の耐火性γ-Al、およそ22重量%のセリアを含む61.2重量%の安定化セリア-ジルコニア複合材料、3.7重量%のZrOを生じる酢酸ジルコニウム、3.7重量%のAlを生じるコロイド状アルミナ分散液、2.2重量%のPd、および0.044重量%のRhを含有するスラリーを、最下層全体上にコーティングした。550℃で1時間空気中でか焼した後の最上層のウォッシュコート充填量は、約1.33g/inであった。
【0112】
実施例14:上流層状TWC触媒9の調製(PGMのみ、範囲外)
2層ウォッシュコート構造を有する上流TWC触媒を調製した。触媒9が144g/ft(Pt/Pd/Rh=0/140/4)のPGM充填量を有することを除いて、触媒9は触媒5と同じ配合を有する。
【0113】
触媒8および9の試験
モノリス触媒を、鋼製コンバーター缶に個々に取り付け、発熱エージングサイクル下のガソリンエンジンの排気ラインでエージングした。実施例を、1050℃の最高床温度で100時間エージングした。認証済み手順に従ってUS FTP-75ドライビングサイクル下で運転した、2Lのガソリンエンジンを搭載したPZEV車両(パーシャルゼロエミション車両)で、エージングした触媒を試験した。排出制御システム(実施例13~14)は、密接に結合した位置に単一触媒(CC)を含有した。3つの袋を収集することによって、テールパイプでの窒素酸化物、炭化水素、および一酸化炭素の総量を測定し、重量平均を計算した。表3は、FTP-75試験でのNO、THC、およびCOのテールパイプ排出量を提供する。
【0114】
144g/ftのPGM充填量の従来の上流TWC(触媒9)と比較して、51g/ftのPGM充填量の発明触媒(触媒8)は、改善されたNOxおよびCO低減を示した。触媒9と比較して触媒8では、かなりのPGM削減を達成した。
【0115】
【表3】
【0116】
本明細書全体を通して「一実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、または「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特色、構造、材料、または特徴が特許請求される本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所に出現する「1つ以上の実施形態では、」、「ある特定の実施形態では、」、「いくつかの実施形態では、」、「一実施形態では、」、または「一実施形態では、」などの句は、必ずしも特許請求される本発明の同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、1つ以上の実施形態では、特定の特色、構造、材料、または特徴は、任意の好適な様式で組み合わせることができる。本明細書に開示の様々な実施形態、態様、および選択肢のすべては、そのような特色または要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされるかどうかに関係なく、すべての変形で組み合わせることができる。特許請求される本発明は、その様々な態様および実施形態のいずれかにおいて、開示の発明の任意の分離可能な特色または要素が、文脈が明確に別段の指示をしない限り、組み合わせ可能であることを意図していると見なされるべきであるように、全体的に閲読されることを意図している。
【0117】
本明細書に開示の実施形態は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態は、特許請求される本発明の原理および用途の単なる例示であることが理解されるべきである。特許請求される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、特許請求される本発明の方法および装置に対して様々な修正および変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、特許請求される本発明は、添付の特許請求の範囲内の修正および変形を含むことが意図され、それらの同等物、および上記の実施形態は、限定ではなく例示の目的で提示されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】