(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-15
(54)【発明の名称】製造システムおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/10 20060101AFI20220207BHJP
G01B 21/00 20060101ALI20220207BHJP
【FI】
B25J9/10 A
G01B21/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536182
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 GB2019053561
(87)【国際公開番号】W WO2020128441
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケビン バリー ジョナス
【テーマコード(参考)】
2F069
3C707
【Fターム(参考)】
2F069AA01
2F069AA71
2F069BB01
2F069HH15
2F069JJ04
2F069NN09
2F069NN17
3C707AS01
3C707AS06
3C707BS10
3C707GS01
3C707GS15
3C707KS17
3C707KV20
3C707LT17
3C707MT04
(57)【要約】
製造システムは、機械の作業容積内で移動可能な構造を有する座標位置決め機械(10)であって、前記作業容積の周りで前記構造を移動させるための駆動装置、および前記作業容積内の構造の位置を1番目の精度で決定するための座標測位機を有する前記座標位置決め機械と、前記機械(10)が取り外し可能に計測装置(30)に結合されて、前記構造が前記駆動装置により移動されて前記機械(10)が前記計測装置(30)に結合されると、前記1番目の精度よりも高い2番目の精度で前記構造の位置を測定する前記計測装置(30)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の作業容積内で移動可能な構造を有する座標位置決め機械であって、前記作業容積の周りで前記構造を移動させるための駆動装置、および前記作業容積内の構造の位置を1番目の精度で決定するための座標測位機を有する前記座標位置決め機械と、
前記機械が取り外し可能に計測装置に結合されて、前記構造が前記駆動装置により移動されて前記機械が前記計測装置に結合されると、前記1番目の精度よりも高い2番目の精度で前記構造の位置を測定する前記計測装置と
を含む、製造システム。
【請求項2】
前記機械が前記計測装置に結合されている場合の所定のゾーンは、前記計測装置が2番目の精度で前記構造の位置を測定することができる前記作業容積内に規定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記作業容積の周りに複数のそのような計測配置を備え、前記作業容積内の複数の対応するそれぞれのゾーンを規定する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記駆動装置は、電動ジョイントによって直列に接続された複数のセグメントを含む、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記機械がロボットアームである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記位置決め機械は、前記構造の前記位置が前記1番目の精度で決定可能である、対応するそれぞれの複数の測定値を提供するための直列配置の複数の測定トランスデューサを含む、請求項1に記載の製造システム。
【請求項7】
前記計測装置は、前記構造の前記位置が前記2番目の精度で決定可能である、対応するそれぞれの複数の測定値を提供するための並列配置の複数の測定トランスデューサを含む、請求項1または6に記載の製造システム。
【請求項8】
前記計測装置は、6つのそのような測定変換器を含む、請求項7に記載の製造システム。
【請求項9】
前記計測装置が六脚計測装置である、請求項1、6から8のいずれかに記載の製造システム。
【請求項10】
前記機械は、前記機械が前記計測装置に結合されて、測定操作、プロービング操作、機械加工操作、把持操作、穴あけ操作、塗装操作、ピックアンドプレース操作、および接着操作のタイプのうちの少なくとも1つを実行するように操作可能である、請求項1、6から9のいずれかに記載の製造システム。
【請求項11】
前記機械は、少なくとも1つのツールに結合可能であり、前記機械はまた、前記計測装置に結合されている、請求項1、6から10のいずれかに記載の製造システム。
【請求項12】
前記機械は、前記少なくとも1つのツールおよび前記計測装置に同時に結合することを可能にする結合を備える、請求項11に記載の製造システム。
【請求項13】
前記機械が前記少なくとも1つのツールに結合されている、請求項11または12に記載の製造システム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのツールが、測定プローブ、把持工具、穴あけ工具、溶接工具、接着工具、および塗装工具のうちの少なくとも1つを含む、請求項11、12,または13に記載の製造システム。
【請求項15】
少なくとも1つのツールが、前記計測装置の一体部分として、例えば、一体型計測装置を有するいわゆる「スマートツール」として提供される、請求項11から14のいずれか1項に記載の製造システム。
【請求項16】
前記計測装置は、前記機械が操作可能に使用される前の校正目的のためだけに前記機械に結合されていない、請求項1,6から15のいずれかに記載の製造システム。
【請求項17】
前記計測装置は、前記機械の操作使用中に効果的に前記機械の一部となる、請求項16に記載の製造システム。
【請求項18】
前記カップリングが物理的および/または機械的カップリングである、請求項1、6から17のいずれかに記載の製造システム。
【請求項19】
前記機械と前記計測装置との間の結合が運動学的または疑似運動学的結合である、請求項1、6から18のいずれかに記載の製造システム。
【請求項20】
前記請求項1、6から19のいずれかに記載の制御システムを制御する方法であって、
前記計量装置から切り離された前記機械で1番目の操作を実行し、
前記機械の位置決め配置を使用して、前記1番目の操作中に前記構造の位置を決定し、
前記機械を前記計測装置に結合し、
前記計測装置に結合された前記機械で2番目の操作を実行し、
前記計測装置を使用して、前記2番目の操作中に前記構造の前記位置を測定し、
前記機械を前記計測装置から切り離す、方法。
【請求項21】
前記1番目の操作は前記ゾーン内で実行され、前記2番目の操作は前記ゾーン外で実行される、請求項2に従属する請求項20に記載の方法 。
【請求項22】
前記1番目の操作は、前記機械を別のそのようなゾーンから移動させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記2番目の操作は、前記測定操作、前記プロービング操作、機械加工操作、前記穴あけ操作、および接着操作のうちの少なくとも1つを含む、請求項20、21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記計測装置に結合する前に、前記2番目の操作に必要なツールに前記機械を結合することを含む、請求項20から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
請求項20から24のいずれか1項に記載の方法を実行するように操作可能な機械コントローラを含む、請求項1、6から19のいずれか1項に記載の製造システム。
【請求項26】
製造システムのコントローラによって実行されると、前記コントローラに、請求項20から24のいずれか1項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項27】
請求項20から24のいずれか1つに記載の方法を実行するように製造システムコントローラを制御するためのコンピュータプログラム命令を格納したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造システムおよび製造方法に関する。本発明は、特に、限定ではないが、多関節ロボットの使用を含む製造システムおよび製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多関節ロボットは、組み立て、溶接、接着、塗装、ピッキングと配置(プリント回路基板など)、パッケージングとラベリング、パレット積載(palletizing)、製品検査など、さまざまな製造アプリケーションで一般的に使用されている。用途が広く頑丈で、リーチが広く、移動の柔軟性が高いため、実稼働環境での使用に最適である。
【0003】
多関節ロボット(または略して「ロボット」)は、添付の図面の
図1に概略的に示され、固定ベース2から可動フランジ3まで延びる関節アーム1を含み、フランジ3がツール(またはエフェクター端部)4を支持する。典型的には、フランジ3は、ツール4が便利に交換可能であることを可能にするカップリングを備えているので、関係する用途に応じて様々なツールまたはエンドエフェクタを使用することができる。例としては、グリッパー、真空カップ、切削工具(機械的切削工具とレーザー切削工具の両方を含む)、穴あけ工具、フライス工具、バリ取り工具、溶接工具、その他の特殊工具がある。
【0004】
アーム1は、複数の回転ジョイント6によって接続された複数のセグメント5を含み、一端から他端への機械的リンケージを形成する。
図1に示される例では、7つの回転ジョイント6があり、それらは、接続されたセグメント5の長手方向軸に垂直な回転軸を有する回転ジョイントと、接続されたセグメント5の長手方向軸に平行な回転軸を有する回転ジョイントとの間で交互になる。
【0005】
おそらく、産業用ロボットの最も一般的な装置は、6つの回転ジョイントを持つことであるが、ロボットには1つ以上の線形ジョイントがある場合もある。複数の関節を有することにより、ツール4を作業容積の周りで動かし、それを様々な異なるポーズに操作する際の柔軟性が可能になる。柔軟性の程度は、腕の関節を増減することで変更できる。
【0006】
追加のジョイント(したがって追加の柔軟性)があると、各ジョイントが位置エラーまたは不確実性に寄与するという欠点があり、リンケージのシリアル性のため、これらのエラーは累積的である。これらのエラーや不確実性をマッピングするために、ロボットを調整することが重要である。
【0007】
ただし、任意のタイプの非デカルトマシンの校正(キャリブレーション)は重要な課題であり、特に、
図1に示すような、相互に固定されておらず、複雑な方法で組み合わせてツールを作業容積に配置することができる複数の回転ジョイントを備えた関節アームの場合はそうである。デカルトマシンの校正は、通常、より簡単である。このようなマシンには、直交配置で相互に固定された3つの明確に制限(defined)された軸があり、各軸は互いにほとんど独立しているためである。多関節ロボットの場合、各軸の位置と向きは他の軸の位置と向きに依存するため、マシンのポーズ(姿勢)ごとに校正が異なる。
【0008】
多くの校正(calibration)技術は、関連する機械のパラメトリックモデルを指定するという共通の目標を持っており、そこでは、複数のパラメータが機械の形状(geometry)を特徴づけるために使用される。未校正の値は、最初に機械形状の開始点としてこれらのパラメータに割り当てられる。校正中、マシンはさまざまな異なるポーズに移動する(マシンパラメータの現在の推定に基づいて)。ポーズごとに、校正された測定デバイスを使用して実際のポーズを測定するため、想定される機械の姿勢(pose)と実際の機械の姿勢との間の誤差の指標を決定できる。
【0009】
次に、マシンを校正するタスクは、既知の数値最適化またはエラー最小化手法を使用して、エラーを最小化するマシンのさまざまなパラメータ値の設定を決定することになる。このような手法の例は、よく知られているLevenberg-Marquardtアルゴリズムであり、これは、最小二乗アプローチを使用して、最適化された各パラメータに従ってエラーの導関数を知っているエラーを最小化する(「最小二乗法における特定の非線形問題を解決する方法」、Kenneth Levenberg、1944、Quarterly of Applied Mathematics、2:164-168、および「非線形パラメータの最小二乗評価のためのアルゴリズム」、Donald Marquardt、1963、SIAM Journal on Applied Mathematics、11(2):431-441)。最尤法(maximum likelihood approach)に基づく手法など、他の手法も可能である。
【0010】
図1に示すようなロボットの場合、これらのマシンパラメータには、各セグメント5の長さ、各回転ジョイント6の回転角度オフセット(エンコーダからの角度に実際の校正済みオフセットを加えたもの)などのさまざまな幾何学的パラメータおよびジョイントのコンプライアンスや摩擦などのさまざまな機械的パラメータが含まれる場合がある。これらの機械パラメータのすべてがわかっている状態で適切に校正されると、さまざまな関節6がロボットコントローラ7によって異なるそれぞれの位置に移動するように命令されたときにツール4が実際にどの位置にあるかをより確実に予測することが可能である。言い換えれば、そのような校正から得られるマシンパラメータは、マシンジオメトリのより正確な特性評価を提供する。
【0011】
DE3504464C1は、校正手順のために多関節ロボットに一時的に取り付けられる複数の伸縮ロッドの使用を説明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ただし、このような多関節ロボットの校正後もエラーは残り、機械的リンケージの連続(serial)性のため、これらのエラーは累積される。その結果、多関節ロボットの精度と再現性は、通常、たとえば従来の3軸デカルト(Cartesian)マシンほど良くない。したがって、多関節ロボットは、リーチが広く、柔軟性と汎用性が高いという利点があるが、通常、高精度や再現性が要求される最も要求の厳しいアプリケーションでの使用には適していない。
【0013】
精度および/または再現性が改善されているが、多関節ロボットの到達範囲および柔軟性から利益を得ることができるシステムを提供するために、上記の欠点に対処することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、機械の作業容積(working volume)内で移動可能な構造を有する座標位置決め機械、作業容積の周りで構造を移動させるための駆動装置、および作業容積内の構造の位置を1番目(最初)の精度で決定するための位置決め機械を含む製造システムが提供される。そして、機械が取り外し可能に結合可能であり、機械が計測装置に結合され、構造が駆動装置によって動かされるとき、計測装置は、1番目の精度よりも高い2番目の精度で構造の位置を測定することができる。
【0015】
機械が計測装置に結合されている場合、所定のゾーンは、計測装置が2番目の精度で構造の位置を測定することができる作業容積内に規制され得る。作業容積の周りに複数のそのような計測配置があり得、作業容積内の複数の対応するそれぞれのゾーンを定義する。
【0016】
駆動装置は、複数の電動ジョイントによって直列に接続または配置された複数のセグメントまたはリンクを含み得る。関節は、少なくとも1つの回転関節を含み得る。ジョイントは、少なくとも1つの線形ジョイントを含み得る。ジョイントは、回転ジョイントのみを含むことができる。
【0017】
機械はロボットでもよい。機械はシリアルロボットである可能性がある。機械は産業用ロボットでもよい。機械はロボットアームでもよい。機械は、デルタロボット(US4976582)またはケーブルロボット(US 2009/0066100)またはトライグライド配置(US 2003/0005786)などの他のタイプの機械でもよい。
【0018】
位置決め機械は、構造の位置が1番目の精度で決定可能である、対応するそれぞれの複数の測定値を提供するための直列配置の複数の測定トランスデューサ(例えば、エンコーダ)を含み得る。
【0019】
計測装置は、構造の位置が2番目の精度で決定可能である、対応するそれぞれの複数の測定値を提供するための並列配置の複数の測定トランスデューサ(例えば、エンコーダ)を含み得る。
【0020】
計測装置は、6つのそのような測定トランスデューサを含み得る。
【0021】
計測装置は、ヘキサポッド計測装置であり得る。
【0022】
機械は、計測装置にも結合された機械を用いて以下のタイプの操作として、測定操作、プロービング操作、機械加工操作、把持操作、穴あけ操作、塗装作業、ピックアンドプレース操作、および接着操作のうちの少なくとも1つを実行するように動作可能(または適合)であり得る。
【0023】
機械は、少なくとも1つのツールに結合可能であり得、機械はまた、計測装置に結合されている。機械は、少なくとも1つのツールと計測装置の両方に結合することを可能にする結合を有し得、その結果、機械は、両方に同時に結合される。機械は、少なくとも1つのツールおよび計測装置に同時に結合することができる。
【0024】
ツールは、測定操作、プロービング操作(例えば、接触プローブまたは非接触プローブを使用するタッチトリガー操作またはスキャン操作)、機械加工操作、把持操作、穴あけ操作、塗装装置、ピックアンドプレース操作、または接着操作などの操作を実行するためのものであり得る。
【0025】
少なくとも1つのツールは、測定プローブ、グリッパー、穴あけツール、溶接ツール、接着ツール、および塗装ツールのうちの少なくとも1つを含み得る。測定プローブは、接触プローブまたは非接触(例えば、光学)プローブであり得る。測定プローブは、タッチトリガープローブまたは走査プローブであり得る。
【0026】
計測の配置は、校正のみを目的としたものではないことが理解されよう。言い換えれば、計測装置は、機械が稼働する前に実行されるセットアップおよび校正手順中にのみ設置され、その後、計測装置が機械から取り外される。むしろ、計測装置は、機械の実際の操作使用中に配置され、操作使用中に効果的に機械の一部になる。このようにして、計測装置を使用して、運用使用中に発生するイベント(タッチトリガーイベントやピックアンドプレースイベントなど)に関連する計測結果(測定値)を提供できる。これは、DE3504464C1に記載されている、校正のみを目的とした伸縮式校正ロッドとは対照的である。
【0027】
少なくとも1つのツールは、計測装置の不可欠な部分として提供され得、それにより、以下により詳細に説明されるように、「スマートツール」を形成する。したがって、計測装置とツールは事実上、機械が結合可能な単一の実体(entity)であるため、機械は、計測装置に結合されることによってツールに結合することができ、またはその逆も可能である。あるいは、工具と計測装置を別々に提供して、機械を工具と計測装置に別々に結合することもできる。
【0028】
座標測位機と計測装置との間の結合は、物理的および/または機械的結合であり得る。
【0029】
座標測位機と計測装置との間の結合は、運動学的または疑似運動学的結合であり得る。
【0030】
本発明の別の態様によれば、上記のように製造システムを制御する方法が提供され、この方法は、計測装置から切り離された機械での1番目の操作の実行、機械の位置決め配置を使用して1番目の操作中での構造の位置の決定、機械の計測装置への結合、計測装置に結合された機械での2番目の操作の実行、計測装置を使用して2番目の操作中での構造物の位置の測定、機械の計測装置からの切り離し、を含む。
【0031】
1番目の操作は、上記のゾーンの内側で実行され得、2番目の操作は、ゾーンの外側で実行され得る。1番目の操作は、別のそのようなゾーンから機械を移動することを含み得る。
【0032】
2番目の操作は、測定操作、機械加工操作、および接着操作のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0033】
この方法は、例えば、計測装置に結合する前に、機械を2番目の操作に必要なツールに取り外し可能に結合することを含み得る。
【0034】
計測装置に結合された座標測位機を用いて(例えば、2番目の操作を実行するとき)、座標測位機の測位装置は、依然として存在し、および/または所定の位置にあり得る。座標位置決め機の位置決め配置は、2番目の動作中も動作可能であり得る。
【0035】
座標測位機は、座標測位機の測位配置からの位置データに基づいて、2番目の動作中に制御することができる。
【0036】
座標測位機は、計測装置からの位置データに基づいて、2番目の操作中に制御され得る(その結果、計測装置は、位置決め機械を効果的に置き換える)。
【0037】
座標測位機は、測位装置および計測装置からの位置データの組み合わせに基づいて、2番目の操作中に制御することができる。
【0038】
構造は、座標測位機の1つまたは複数の要素、例えば、シリアル機械的リンケージの最終要素、および/または既知の関係でそのような要素に取り付けられた構成要素を含み得る。
【0039】
構造の位置を測定または決定することは、既知の空間的関係で構造に取り付けられたツールなどのコンポーネントの位置を測定または決定することを含み得る。既知の空間的関係のために、構造の位置を決定することは、取り付けられたコンポーネントまたはツールの位置を決定することと実質的に等しいか、または決定することと同等である(および/または決定するために必要である可能性がある)。
【0040】
構造の「位置」を測定することは、構造の位置および/または方向を適切な数の自由度で測定することとして理解されるべきである。例えば、位置が6自由度で測定される場合、構造の位置と方向の両方が決定される。ただし、位置が3自由度でのみ測定される場合、これには構造の方向の決定が含まれる場合と含まれない場合がある。「位置の測定」という用語は、それに応じて解釈される。
【0041】
本明細書で使用される「結合可能」という用語は、例えば、座標測位機を計測装置に結合し、再び計測装置から比較的簡単に切り離すことができる方法で、および/または手動(人間)の関与または介入なしに、すなわち自動化された方法で、取り外し可能に結合可能、または容易に取り外し可能に結合可能、または容易に結合可能および結合解除可能を意味すると見なすことができる。結合された状態は、永続的または半永続的な状態ではなく、一時的な状態のみを意図しており、座標測位機は、特定の操作または一連の操作のために一時的にのみ計測装置に結合されているという意味がある。この目的のために、専用の結合要素を座標測位機と計測装置の両方に提供することができ、結合要素は、自動化された方法で互いに係合可能および係合解除可能であるように適合されている。
【0042】
座標測位を計測装置に結合する前後に測定される位置には、異なる基準座標系(frames of reference)がある場合がある。基準座標系は、座標測位機と計測装置との間の運動学的結合配置を介して互いに関連付けられ、これらの間の相対的な位置決めが正確で、既知であり、再現可能であることを保証することができる。
【0043】
カップリングは、物理的および/または機械的カップリングであり得る。これは、例えば、光学トラッカーが恒久的に取り付けられ(すなわち、本明細書で意図される意味で取り外し可能に結合されていない)、必要に応じてオンおよびオフに切り替えることができる光学追跡システムとは対照的であり、このようなカップリングは切り替え可能(取り外し可能)であるが、物理的または機械的なカップリングではなく、光学的なカップリングである。本発明の実施形態において光学計測装置が使用される場合、それは、物理的または機械的方法で座標位置決め機に取り外し可能に結合され、その結果、光学計測装置は、必要に応じて、座標位置決め機の一部を選択的に形成することも、形成しないこともできる。これは、単に光学計測システムをオンまたはオフに切り替えることとは区別されるべきであり、これは、本明細書で意図される意味での結合および分離とは見なされない。
【0044】
カップリングは、手動カップリングではなく自動カップリングの場合がある。これにより、座標測位機を計測装置に結合および結合解除するときに、手動の介入なしに製造プロセスを進めることができる。したがって、マシンは、低精度ゾーンから高精度ゾーンに移動し、高精度ゾーンで操作を実行してから、高精度ゾーンから低精度ゾーンに戻って、手動の介入なしで、さらに操作を実行できる。自動結合は、測量装置を座標測位機に手動で取り付ける必要がある結合とは対照的である。
【0045】
上記の製造システムは、上記の制御方法を実行するように動作可能(または適合)である機械制御装置を備え得る。
【0046】
本発明の別の態様によれば、2番目の精度は、1番目の精度とは異なるが、必ずしもそれよりも低いとは限らない。計測装置は、構造物の位置を2番目の精度で測定するための位置決め機械である。
【0047】
本発明の別の態様によれば、コンピュータまたはマシンコントローラによって実行されると、コンピュータまたはマシンコントローラに本発明による上記の方法を実行させるコンピュータプログラムが提供される。プログラムは、キャリア媒体で搬送されてもよい。キャリア媒体は、記憶媒体であり得る。キャリア媒体は、伝送媒体であり得る。
【0048】
本発明の別の態様によれば、本発明による上記の方法を実行するためのコンピュータまたはマシンコントローラを制御するためのコンピュータプログラム命令をその中に格納したコンピュータが読み取り可能な媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
ここで、例として、添付の図面を参照する。
【
図1】
図1は、前述のように、多関節ロボットの概略図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の実施形態による製造システムおよび製造方法の様々な段階を示している。
【
図2B】
図2Bは、本発明の実施形態による製造システムおよび製造方法の様々な段階を示している。
【
図2C】
図2Cは、本発明の実施形態による製造システムおよび製造方法の様々な段階を示している。
【
図2D】
図2Dは、本発明の実施形態による製造システムおよび製造方法の様々な段階を示している。
【
図2E】
図2Eは、本発明の実施形態による製造システムおよび製造方法の様々な段階を示している。
【
図2F】
図2Fは、本発明の実施形態による製造システムおよび製造方法の様々な段階を示している。
【
図2G】
図2Gは、本発明の実施形態による製造システムおよび製造方法の様々な段階を示している。
【
図2H】
図2Hは、本発明の実施形態による製造システムおよび製造方法の様々な段階を示している。
【
図2I】
図2Iは、本発明の実施形態による製造システムおよび製造方法の様々な段階を示している。
【
図2J】
図2Jは、本発明の実施形態による製造システムおよび製造方法の様々な段階を示している。
【
図3】
図3は、
図2Aから2Jのヘキサポッド(hexapod)計測装置をより詳細に示している。
【
図4A】
図4Aは、本発明の実施形態による「ゾーン」の概念を示している。
【
図4B】
図4Bは、本発明の実施形態による「ゾーン」の概念を示している。
【
図4C】
図4Cは、本発明の実施形態による「ゾーン」の概念を示している。
【
図4D】
図4Dは、本発明の実施形態による「ゾーン」の概念を示している。
【
図5A】
図5Aは、本発明の別の実施形態による製造システムを示す。
【
図6】
図6は、本発明のさらに別の実施形態による製造システムを示している。
【
図7】
図7は、本発明のさらに別の実施形態による製造システムを示している。
【
図8A】
図8Aは、本発明を具体化していない製造システムを示しており、このシステムでは、掘削(drilling)操作の後に組み立て操作が続く。
【
図8B】
図8Bは、
図8Aのものと同等の操作を実行するための本発明を具体化する2つの代替の製造システムを示す。
【
図8C】
図8Cは、
図8Aのものと同等の操作を実行するための本発明を具体化する2つの代替の製造システムを示す。
【
図9A】
図9Aは、計測装置に係合する前に、ツールがラックからロボットによってピックアップされる、本発明を具体化する製造システムおよび方法を示す。
【
図9B】
図9Bは、計測装置に係合する前に、ツールがラックからロボットによってピックアップされる、本発明を具体化する製造システムおよび方法を示す。
【
図9C】
図9Cは、計測装置に係合する前に、ツールがラックからロボットによってピックアップされる、本発明を具体化する製造システムおよび方法を示す。
【
図9D】
図9Dは、計測装置に係合する前に、ツールがラックからロボットによってピックアップされる、本発明を具体化する製造システムおよび方法を示す。
【
図10】
図10は、物理的ヘキサポッド計測構成の代わりに光学的ヘキサポッド計測構成が使用される実施形態を示す。
【
図12】
図12は、ロボットの代わりにシリアルキネマティックデカルト座標測位機が使用される実施形態を示す。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態による「モジュラー計測」概念の概略図である。
【
図14】
図14は、
図13の「モジュラー計測」概念の拡張を示し、「モジュラー計測」概念に加えて「モジュラーツール」概念を導入している。
【
図15】
図15は、
図14に示した概念に「スマートツール」の概念を導入したもので、少なくとも1つの計測装置に一体型ツールが提供されている(またはツールに一体型計測装置が提供されている)。
【発明を実施するための形態】
【0050】
次に、本発明の第1の実施形態による製造システムおよび方法を、
図2Aから2Jを参照して説明する。製造システムは、
図2Aに示されていない他の機械およびワークステーションとともに、より広い生産環境(例えば、工場)の一部を形成し得、記載された製造方法は、ワークピース20で作業するためのより広い生産プロセスの一部を形成し得る。
【0051】
製造システムは、
図1を参照して上で説明したものと概ね同様である多関節ロボット10を備える。
図2Aのロボット10は、最終セグメント5に結合されたツールが
図1のロボット10と異なる(
図1のフランジ3は、図のロボット10には存在しないが、実際に提供することができる)。ロボットの適応性のため、
図2Aに示すように、さまざまなタイプのツールをロボットに結合したり、複数のツールを結合したりするのが一般的である。したがって、
図1に示されるツール4の代わりに、
図2Aのロボット10は、グリッパー14および結合要素12を備えている。
【0052】
結合要素12の目的は、以下でさらに明らかになるが、グリッパー14は、支持体22上で支持されているワークピース20を拾い上げて運ぶために提供される。より広い製造プロセスの一部として、ワークピース20は、別のワークステーション実稼働環境の別の作業領域で作業された(例えば、機械加工された)後、コンベヤーベルトによって(例えば、支持体22がコンベヤーベルトであるように)
図2Aに示される位置に運ばれた場合がある。あるいは、ロボット10自体が、例えば、
図2Aに示されるものとは異なるツールを使用して、支持体22が固定された作業台である状態で、ワークピース20をその場で以前に作業することができた。交換可能なツールの概念については、
図9を参照して以下でさらに詳しく説明する。
【0053】
この例では、ワークピース20は、許容可能な公差に対してそれをチェックするために、言い換えれば、それが正しく予想される寸法を有することをチェックするために測定される必要がある製造プロセスの段階に達した。前述のように、産業用ロボットは非常に用途が広いが、少なくとも従来の座標測定機と比較して、通常、測位精度が比較的低いため、この例で必要とされる高精度の測定操作を実行するには不適切である。
【0054】
ワークピース20を完全に独立した座標測定機に移動して、製造プロセスのこの段階で現在必要とされる高精度の測定を実行するのではなく、本出願人は、通常起こり得るものであり、その代わりに、標準的な産業ロボットの多様性と、より伝統的な座標測定器の高精度を組み合わせたアプローチを考案した。
【0055】
上記を念頭に置き、
図2Bを参照すると、ロボット10は、グリッパー14をワークピース20上に配置するように制御される。次に、グリッパー14は、それ自体が関節式である程度拡張可能であり、次に、ワークピース20を把持してピックアップするように制御される。次に、
図2Cに示されるように、ワークピース20がグリッパー14によって運ばれる状態で、ロボット10およびグリッパー14は、ワークピース20を計測装置30を横切って移動させ、ワークピース20をその作業容積内に配置するように制御される。
【0056】
図2Dを参照して次のステップを説明する前に、最初に、
図3を参照して、計測装置30をより詳細に説明する。計測装置30は、一般に、それらの間に設けられた複数の伸縮脚または延長可能な脚36によって互いに支持され、移動される第1および第2の構造32、34を備える。第1の構造体32および第2の構造体34は、プラットフォームまたはステージと称される場合もあり、延長可能な脚36は、ストラットと称される場合もある。そのような延長可能な脚36が6つあるので、この配置は一般にヘキサポッドと呼ばれ、その結果、計測装置30は、ヘキサポッド計測装置30と呼ぶことができる。
【0057】
伸縮可能な脚36は、ボールジョイント38を介して典型的に、構造体32および構造体34の上に装着されており、それぞれの脚6は、(
図3に図示されているように)その一方もしくは両方の端部において、それ自身のボールジョイント38を有しているか、または、一方もしくは両方の端部において、隣接する脚36とボールジョイント8を共有しているかのいずれかである。各伸長可能脚36は、典型的には一対の管として形成され、矢印35によって示されるように、伸長可能脚36の伸長および収縮を可能にするために、一方の管が他方の管内でスライド可能である。
【0058】
第1の構造32は、
図3に矢印31で示されるように、第2の構造34に対して移動可能であり、第1と第2の構造32、34との間の任意の瞬間における相対位置は、複数の長さ測定変換器37によって監視され、例えば、1つの長さ測定変換器37が各延長可能な脚36に関連付けられている。それぞれの長さ測定変換器37は、読み取りヘッドと対にされたエンコーダスケールを含んでよく、エンコーダスケールが、1対の入れ子式のチューブのうちの一方に適切に装着されており、読み取りヘッドが、他方の上に適切に装着されている。したがって、脚36の延長は、読取ヘッドを越えてエンコーダスケールを移動させ、それにより、延長の量に基づいて信号を生成する。
【0059】
各トランスデューサ37からの信号または読み取り値は、コンピュータコントローラ39に供給され、コンピュータコントローラ39は、これらの信号または読み取り値に基づいて、第1および第2の構造32、34間の相対位置を計算するように動作可能である。6つのそのような長さ測定変換機37を有することによって、相対的な位置が、6つの対応するそれぞれの自由度(3つの並進自由度および3つの回転自由度)で測定されることが可能である。
【0060】
図3に示される構成では、構造34は、機械の固定構造の一部として提供され、他の構造32は、固定構造に対して移動31する。測定プローブ40を上部(移動)構造32に取り付け、ワークピース20を下部(固定)構造34に取り付けて、ワークピース20に対して測定またはプロービング操作を実行できるようにすることができる。作業容積42は、ツール40が作業容積42内で移動する状態で、それらの最も離れた位置にあるとき、上部構造32と下部構造34との間に定義される。矢印31は並進運動を示すために示されているが、構造32は回転させることもできる。別の構成では、上側構造体32は固定され得、下側構造体34は移動可能(矢印33で示されている)であり得、プローブ40が下側構造体34の下側表面に装着され、ワークピースが、固定された構造体の一部にその下方に装着されており、装置の作業容積(または、動作容積)が下側構造体34の上方というよりもむしろ下側構造体34の下方にあるようになっている。
【0061】
しかしながら、計測装置30自体の作業量を考慮するよりも、計測装置30に結合されたときのロボット10の作業量を考慮する方がおそらくより適切である。これは、ロボット10がまだ稼働中のマシンであるためであり、計測装置30は、主に、測定手段(すなわち、複数の長さ測定変換機37)のみを有し、独立した駆動手段を有さないため、それ自体は独立した機械ではない。
【0062】
計測装置30は受動的であり、重量を加えて熱を発生する駆動構成要素を必要としないため、部品の慣性および熱歪み(距離を測定するために使用される測定スケールを含む)によって引き起こされる計測誤差を制御および低減することができる。さらに、計測装置30は、駆動構成要素を必要としないので、低摩擦ジョイントを提供することができるが、駆動装置は、通常、特に負荷がかかっているときに必然的により高い摩擦度を有する、より頑丈で実質的なジョイントを必要とする。したがって、計測装置30の接合部は、低摩擦タイプである可能性があり、また、駆動装置と組み合わせた場合と同じ負荷がかかることはない。したがって、ワークピースに接近する方向に応じて異なる測定値が記録される可能性があるヒステリシス効果は、駆動部品なしで専用の計測装置30を有することによって低減することができる。したがって、計測に専念することにより、計測装置30は、非常に高精度の位置測定を提供することができ、比較的精度の低い機械(例えば、ロボット10)を比較的高精度の機械に選択的に変換するために使用することができる。
【0063】
計測装置30は、駆動手段がないため、それ自体が独立した機械とは見なされない場合だけでなく、ロボット10が、スタンドアロンの作業座標として機能することができる場合もあり、計測装置30がなくても、位置決め機は、それ自体の駆動手段と、作業工具の位置を決定するための独自の位置決め手段を有するため、
図1を参照して説明される様々な回転継手6に関連する回転エンコーダからの出力を使用する。
【0064】
したがって、本発明の実施形態では、ロボット10は依然として機械であるが、必要に応じて計測装置30に結合する、すなわち、より高い精度が必要な場合に結合する。
図2および3を参照して説明されている実施形態では、ヘキサポッド計測装置30は、ロボット10が計測装置30に結合されている場合、ロボット10よりも範囲または作業量が制限されているため、組み合わされた装置の作業量(ロボット10と計測装置30)は、計測装置30のより制限された移動範囲によって制限され、これにより、ロボット10自体の全体的な作業容積(volume)内を高精度の「ゾーン」と見なすことができるものが作成される。
【0065】
次に、この「ゾーン」の概念を、
図4Aから4Dを参照して説明する。
図4Aは、複数の異なる作業領域A1からA6を包含する作業容積Wを有するロボット10の概略図である。作業容積は作業範囲と呼ばれることもあり、作業領域はステーションまたはワークステーションと呼ばれることもある。意図は、異なる作業領域A1からA6のそれぞれにおいて、例えば、穴あけ、溶接、組み立て、洗浄などの異なるタスクがロボット10によって実行されることである。
図4Aに示される位置では、ロボット10は、
図2Aおよび2Bに示されるものと同等の作業領域A1で動作を実行しており、ロボット10の位置決めは、依然としてロボット自身の測定トランスデューサに基づいており(位置決め配置)、つまり、比較的精度が低い。これは、
図4Aの影付きの領域全体に当てはまる。
【0066】
図4Bに示されるように、より高精度の操作が必要とされる場合、ロボット10は、ロボット10の作業容積W内に高精度ゾーンZ1を提供する作業領域A2に移動する。低精度の作業容積Wから高精度のゾーンZ1への遷移が行われる方法は、以下でより詳細に説明される。続いて、
図4Cに示されるように、ロボット10は、作業領域A5を横切って移動し、作業領域A5は、ロボット10の作業容積W内に別の高精度ゾーンZ3を提供する。次に、
図4Dに示されるように、ロボット10は、高精度ゾーンZ1からZ3のいずれかの外側にあり、したがってロボット10の低精度作業容積W内にある作業領域A4に横切って移動する。
【0067】
ここで
図2Aから2Jのステップに戻ると、ロボット10がワークピース20をどのように
図2Aに示される位置(
図4AのステーションA1に相当)から計測装置30に移動させ、グリッパー14が
図2C(
図4BのステーションA2またはゾーンZ1に相当)に示されるようにワークピース20を解放して計測装置30内に配置されるように命令されるか上で説明した。ロボット10およびグリッパー14は、
図1のコントローラ7と同等のコントローラ(明確にするために示されていない)によって制御されることに留意されたい。
【0068】
次に、
図2Dに示されるように、ロボット10は、計測装置30の上部プラットフォーム32の周りを上下に移動し、結合要素12を上部プラットフォーム32上に配置し、続いて下部に配置して上部プラットフォーム32に係合および結合するように制御される。
図2Eは、計測装置30の上部プラットフォーム32に結合されたロボット10の結合要素12を示しており、グリッパー14は邪魔にならない。
【0069】
ロボット10が計測装置30に結合された状態で、
図2Fおよび2Gに示されるように測定操作が実行され、ロボット10は、測定プローブ40を動かして、
図2のワークピース20の第1の特徴(角)と接触して係合し、次に、
図2Gのワークピース20の第2の特徴(角)と接触して係合する。よく知られているように、タッチが行われると、測定プローブ40の偏向可能なスタイラスが偏向し、タッチトリガーイベントが生成されて、測定プローブ40の位置(したがって、タッチポイント)を記録することができる。
【0070】
このように計測装置30に結合されると、ロボット10は、それ自体の駆動手段によって駆動され、その位置は、それ自体の位置決め機械(すなわち、ロータリーエンコーダ)からのフィードバックに基づいて制御されるが、計測装置30もまた、その場で、計測装置30の測定トランスデューサ37からの信号に基づいて、
図2Fおよび2Gに示されるタッチトリガーイベントの位置をより正確に決定することが可能になる。
【0071】
測定動作は、タッチトリガー測定を行うことを含むことができ、測定プローブ40がワークピース20の表面に接触して離れ、次に別の場所で再び接触するなど、以下同様に、タッチトリガーイベントのそれぞれの位置が記録される。測定動作はまた、表面に沿って走査されている間、測定プローブ40がワークピース20の表面と接触して保持される走査動作を含み得る。または、適切なタイプの測定プローブ40を使用して、これらの組み合わせも可能である。
【0072】
測定操作が完了すると、
図2Hに示されるように、測定プローブ40がワークピース20から離れて移動され、結合要素12が、計測装置30の上部プラットフォーム32から切り離されるか、または切り離される。次に、
図2Iに示すように、グリッパーを再び使用してワークピース20をピックアップし、ワークピース20を、
図2Jに示すように元の作業領域(
図4Aの作業領域A1に相当)に戻す。
図2Hの計測装置30から切り離された後、ロボット10は、再び、計測装置30によって定義される高精度ゾーンZ1の外側で、その通常の(低精度)作業容積内で動作している。
【0073】
結合要素12と構造32との間の結合は、好ましくは、運動学的(kinematic)または疑似運動学的(pseudo-kinematic)結合の形態である。物体(body)を別の物体と相対的に配置する場合、運動学的設計の考慮事項は、最小限の数の制約を使用して物体の運動の自由度を制約することで満たされ、特に過剰な制約を回避する必要がある。過剰拘束を行うと、2つの物体間に複数の接触点が生じ、一方の物体が他方に対して複数の位置で静止する可能性がある。したがって、いくつかの位置のどこで物体が静止するかわからないため、物体の位置は再現できない。特に、過剰拘束がある場合、配置されている拘束間に矛盾があるため、どの拘束の組み合わせで物体の実際の位置が決まるかを確実に判断することはできない。これらの概念は、H.J.J.ブラディック、「実験装置の機械設計」、チャップマン&ホール、ロンドン、1960年、11~30ページに記載されている。
【0074】
キネマティックカップリングの使用は、非常に正確で再現性のあるカップリングを提供するため有益であり、その結果、カップリングの残りの半分(構造32)に対するカップリングの半分(カップリング要素12)の位置は、典型的な製造方法で実行される可能性がある複数の別個の独立した(対応する複数の作業段階に関連付けられている)カップリングのそれぞれについて、高度の確実性で知られている。これは、座標測位の基準系(frame)を計測装置の基準系に結び付けるか関連付けるのに役立ち、それによって、結合状態の機械に共通の全体的な基準系を効果的に作成する。
【0075】
このような運動学的結合(kinematic coupling)は、理想的な拘束を提供するための最小数の接触点(または点状接触)を備えており、結合の半分が結合の他の半分に転送される際の歪みを分離するのにも非常に効果的である。したがって、結合(coupling)は、結合要素12の歪みが構造32に(したがって、計測装置30に)伝達されるのを防ぐのに役立つ。これは、ロボット10からの十分な程度の機械的隔離を有する明確に描写された計測フレームを提供する。
【0076】
特に、この実施形態では、結合要素12は、運動学的設計原理に従って3つの接触点を提供する3つのボールのセットを含む(概略図には2つだけが示されている)。構造32の上面は、6つの自由度で構造32に対して結合要素12を拘束するための6つの接触点を提供するために、再び運動学的設計原理に従って、結合されたときにボールがその中に配置される対応する一組の溝を便利に提供することができる。あるいは、ボールは、代わりに、構造32および結合要素12上の溝に提供され得る。詳細については、上記のBraddickドキュメントが参照される。
【0077】
代わりに、疑似運動学的結合を、例えば、三角形の角に配置された3つのそのようなスペーサーのように、剛性ボールの代わりに複数の弾性スペーサーまたはパッドの形で提供することができる。これは、接点が点状ではなく、弾性スペーサーの小さな領域に広がっていても、ある程度の運動学的結合を提供する。弾性スペーサー(例えば、ゴム製)の使用は、ロボット10の駆動装置からのいくらかの振動を吸収するように作用し、それにより、計測装置30に伝達されないので有益である。または、カップリングの半分にある3つの剛性ボールは、もう一方の半分の平らな面(溝ではなく)、または3つの対応するカップのようなくぼみと接触する可能性がある。
【0078】
要約すると、上記の本発明を具体化する製造システムは、構造(例えば、結合要素12およびグリッパー14が既知の関係で取り付けられているロボットの最終セグメント、または結合要素12およびグリッパー14のいずれかまたは両方)を有する座標位置決め機(例えば、ロボット10)を備える。構造は、機械の作業容積(例えば、
図4に示す作業容積W)内で移動可能である。座標位置決め機は、作業容積の周りで構造を移動するための独自の駆動装置(たとえば、
図1の回転ジョイント6に関連付けられたモーター)と、1番目の(比較的低い)精度で作業容積内の構造の位置を決定するため位置決め機械(たとえば、
図1のロータリージョイント6に関連付けられたロータリーエンコーダーおよび関連する処理手段)を備えている。これとは別に、製造システムは、必要に応じて(例えば、結合要素12をプラットフォーム32に係合することによって)座標位置決め機械が結合可能である計測装置(例えば、六脚(hexapod)計測装置30)を有し、その結果、機械は、構造が駆動装置によって移動される計測装置では、所定の(比較的高精度の)ゾーンが作業容積内に定義され、そこでは、計測装置は、1番目の精度よりも高い2番目の精度で構造の位置を測定することができる。構造の位置は直接的または間接的に測定されることを理解されたい。例えば、ユーザは、それらが取り付けられている構造よりもツール4または測定プローブ40の位置に関心があるが、ツール4および測定プローブ40は、既知の関係で構造に取り付けられているので、ツール4または測定プローブ40の位置を決定するには、それが取り付けられている構造の位置を少なくとも暗黙的に決定することを効果的に含む。
【0079】
このような製造システムでは、1番目の操作が所定の(それゆえ、構造と既知の関係で結合されたグリッパーなどのコンポーネント)ゾーンの外側で実行され、機械が計測装置から切り離され、1番目の操作中の構造の位置(それゆえ、構造と既知の関係で結合されたグリッパーなどのコンポーネント)が機械の位置決め機械を使用して決定される製造方法を実行することができる。次に、機械は計測装置に結合され、機械が計測装置に結合された状態で、ゾーン内で2番目の操作が実行される。2番目の操作中の構造の位置(したがって、構造に既知の関係で結合された測定プローブなどのコンポーネント)は、計測装置を使用して決定される。その後、マシンは計測装置から切り離され、より広い(精度の低い)作業容積内で再び動作するようになる。
【0080】
図5Aは、本発明の別の実施形態による製造システムの概略図である。製造システムはまた、
図2を参照して説明された前の実施形態のものと概ね同様である多関節ロボット10を備え、
図5Aの結合要素12およびグリッパー14は、
図2の同等の部品とは異なる形態で提供されるという点で異なり、主な違いは、結合要素12の形態と、それが計測装置30の構造32にどのように結合するかである。
【0081】
図5Aの計測装置30は、
図5Bにより詳細に示され、
図2および3のものと同様である。
図5Aおよび5Bの計測装置30は、結合要素52が構造32上に提供されるという点で異なる(これは
図5Bに概略的にのみ示されているが、実際には、
図5Aに示されるような実際の区画の特徴(block feature)は必要ないが、結合要素12、例えば、構造32と何らかの適切な方法で直接ドッキングする)。さらに、
図5Aおよび5Bの計測装置30は、一体型測定プローブ40を備えていない。この実施形態の製造システムでは、測定プローブ40は、
図2のように、計測装置30のプラットフォーム32の下側で支持されるのではなく(その作業容積内で)、計測装置30の作業容積の外側で、機械の固定部分(この例では、固定オーバーハングの下側)に取り付けられた固定プローブとして提供される。これは、上記のことを強調しており、つまり、計測装置30自体の作業量ではなく、計測装置30に結合されたときのロボット10の作業量を規制または考慮することが適切であるということである。
図5の実施形態では、計測装置30は、ロボット10にドッキング可能な高精度計測フレームを提供し、ツール(例えば、測定プローブ)も提供せず、ロボット10が他の点では変更されていない(すなわち、通常の駆動装置と位置決定装置を保持する)ことは明らかである。そうすることで、ロボット10の全体的な作業量内に高精度ゾーンが再び規制(defined)される。
【0082】
図5の概略図から容易に明らかなように、高精度ゾーンに係合または入るために、この実施形態では、ロボット10の結合要素12は、計測装置30の構造32上に提供される結合要素52に一時的に結合する。そのように結合されると、ワークピース20が測定プローブ40に接触したときのワークピース20の位置は、計測装置30からの出力に基づいて高精度に測定することができる。測定操作が完了すると、ロボット10は、再び計測装置30から切り離すか、または切り離すことができ、より低い精度の体制(regime)に戻り、その作業量の周りで他のタスクを実行する準備ができる。
【0083】
図6は、本発明の別の実施形態による製造システムの概略図である。製造システムはまた、
図2を参照して説明されたものと概ね同様である多関節ロボット10を備える。しかしながら、
図6に示される実施形態では、グリッパー14および結合要素12は、ロボット10の最終セグメントから延びる共通の部材16上で支持されている。計測要素の構造32は、部材16を挿入することができるスロット54を含み、それにより、ロボット10は、構造32と係合するように移動する前に、結合要素12を構造32上に配置することができる。この配置に対応するために、測定プローブ40は、計測装置30の下部構造34上に上向きの向きで提供され、ワークピース20は、測定プローブ40ではなく、一連の測定操作中に移動される。
【0084】
図7に示される本発明を具体化する製造システムから明らかであるように、上記のようなロボット10の計測装置30への結合は、測定操作が実行されるときに有用であるだけではない。
図7の実施形態はまた、2つの異なる計測装置30(例えば、
図4のゾーンZ1およびZ2と同等)によって提供される2つの高精度ゾーンの使用を示している。第1の計測装置30(
図7の左側)に結合されると、穴あけ作業は、穴あけ工具42を使用してワークピース20に対して実行される。次に、ロボット10は、第1の計測装置30から切り離し、機械加工されたワークピース20を高精度で測定するための測定プローブ40を備えた第2の計測装置30に移動し、ドッキングする。ワークピース20自体は、
図2を参照して説明したのと同様の方法で、手動で、またはロボット10(図示せず)のグリッパーを介して、1つのステーションから別のステーションに移動することができる。
【0085】
測定および穴あけまたは機械加工のための製造環境内に高精度ゾーンを提供することに加えて、本発明の実施形態はまた、
図8Aから8Cを参照して説明されるように、組立作業への適用を見出す。
図8Aは、本発明を具体化していない製造システムを示しており、掘削操作が第1のステーション(
図8Aの左側)で実行され、続いて第2のステーション(
図8Aの右側)で組み立て操作が実行される。組み立て作業は、1番目の作業でワークピース20に開けられた穴にスピゴット(spigot)44を挿入することを含むが、これはもちろん単なる例示的な例である。非常に厳しい公差が関係するロボット10の位置決め配置の精度が比較的低いため(ドリル穴へのスピゴット44の非常にタイトなはめ込みなど)、少なくともいくつかの例(
図8Aの右側に示されているように、スピゴット44は穴に完全には収まらない)では、組み立て作業は失敗する可能性が高い。
【0086】
この状況は、
図8Bに示されるように本発明を具体化する製造システムによって改善され、ドッキング可能な計測装置30は、組み立て操作のための高精度ゾーンを提供し、それにより、スピゴット44をより大きな成功率で穴に挿入することを可能にし、それによって製造プロセスからの歩留まりを向上する。
図8Cに示される実施形態は、掘削および組立作業の両方に高精度ゾーンを提供することによって、これをさらに一歩進めている。
【0087】
図9Aから9Dは、本発明の別の実施形態による製造システムおよび方法を示している。
図9Aに示されるように、ツールラック(またはツールホルダー)48は、ロボット10の作業容積内に提供される。グリッパー14、フライス盤(milling tool)48、レーザー切断工具46、穴あけ工具42および測定プローブ40を含む様々なツールがラック48に保持されている。モジュール式結合システムを使用して、すなわち、ラック48からピックアップして操作を実行するために使用し、各ツールを必要に応じてロボット10に取り外し可能に結合し、次にラック48に戻し、必要に応じて別のツールを拾い上げることができるようにする。取り外し可能なカップリングにより、これを比較的簡単に、手動の介入なしに自動化された方法で実現できるため、自動化された製造プロセスで使用できる。
【0088】
図9Aに示される例では、ロボット10は、掘削ツール42をピックアップするように制御され、
図9Bでは、ロボット10は、計測装置30が提供される作業領域(高精度ゾーン)に移動する。ロボット10は、ロボット10および計測装置30にそれぞれ提供される結合要素12および52を介して、上記のように計測装置30とドッキングする。そのようにドッキングされ、計測装置30から利用可能な高精度の計測を用いて、
図9Cに示されるように、精密な穴あけ操作がワークピース20に対して実行される。操作が完了すると、ロボット10は、例えば、掘削ツール42をラック48に戻した後、他のタスクを続行できるように、計測装置30からもう一度ドッキングを解除して、より低い精度の領域に戻すことができる。
【0089】
図10は、前の実施形態のヘキサポッド計測装置の物理的に拡張可能な脚部36が、光学的同等物によって効果的に置き換えられている実施形態を示している。言い換えれば、この実施形態では、物理的なヘキサポッド計測装置30の代わりに、光学的なヘキサポッド計測装置60が使用される。複数の再帰反射器64が支持構造62上に配置され、支持構造は、前述の結合要素12、52を介してロボット10に結合されている。複数の光源(例えば、レーザー)66は、支持構造62の上の固定構造上に配置され、各光源は、その光をその対になった再帰反射器64に向けるために、再帰反射器64の1つと対になっている。これらの光源66および再帰反射器64は、
図3および5Bのボールジョイント38と同等であり、発信および反射光線は、延長可能な脚36と同等である。よく知られた技術を使用して、例えば飛行時間に基づいて、構造62の位置を決定することができるように、様々な分離を測定することができる。
【0090】
図11は、光学ターゲット64がツール自体に提供される代替タイプの光学計測構成を示し、この例では、測定プローブ40上で、光源66が光学ターゲット64と相互作用して、分離の複数の測定を提供し、そこから測定プローブ40の位置を決定することができる。他の光学的または画像ベースの(写真測量)計測装置も同様に適している。
【0091】
本発明の一実施形態では、光学的および画像ベースの計測構成を使用することができるが、機械的ヘキサポッドベースの計測装置30は、例えば、レーザーベースの計測装置よりも低コストで、技術的な複雑さおよび問題が少ない状態で提供することができる。特にレーザー追跡システムは、効果的に使用するには非常にコストがかかって複雑であり、少なくとも部分的には、レーザー(例:
図10のレーザー66)がそれぞれのターゲット(例:
図10のリフレクター64)を追跡していることを確認するための複雑な制御システムが必要なためである。
【0092】
機械的ヘキサポッドベースの計測装置30はまた、移動構造体22の位置を決定またはサンプリングすることができる速度に関して、いくつかの画像ベースの計測装置よりも優れる点を有する。画像ベースの(写真測量)計測装置の場合、サンプリングレートは、本質的にイメージセンサーのサンプリングレートによって制限され、さらに、移動プラットフォームの位置を導出するために大量の画像情報に基づいて複雑な計算を実行するのにかかる時間によって制限される。たとえば、EP3054265A1の画像ベースのシステムでは、「画像検出器によって提供されるフレームレートは通常、数百ヘルツに過ぎない」と述べられており、これは、振動などの不要な高周波の動きの検出を回避するため、利点であると説明されている。
【0093】
しかしながら、本出願人は、六脚計測装置の拡張可能な脚に関連する測定トランスデューサからのデータの直接サンプリングによって、はるかに高い動的帯域幅を達成できることを認識している。たとえば、機械コントローラは通常、絶対(absolute)エンコーダーから65μs(15kHz)ごとに位置データを要求する場合があるが、より高いサンプリングレートも可能である。インクリメンタルエンコーダシステムは、連続正弦波出力を生成し、これにより、連続出力をサンプリングできる速度(rate)によってのみ制限され、さらにより細かいモーション制御が可能になる。画像ベースのシステムとは異なり、これらの値から可動構造の位置を決定するために必要な計算は、過度に時間がかかることはない。
【0094】
6自由度で測定することができるヘキサポッド計測装置30が上で説明されているが、本発明は、ヘキサポッド配置ではない計測装置に関連して等しく適用可能であり、その結果、測定する必要のある自由度が少ない場合は、6つ未満の延長可能な脚36を使用可能である。他のタイプの計測配置の使用も可能である。
【0095】
また、本発明は、上記のようなロボットを座標測位機として使用することに限定されない。例えば、
図12に示されるようなシリアルキネマティックデカルト座標位置決め機80を使用することができ、直交軸x、y、およびzに沿ってそれぞれ移動可能な3つの部品が直列に接続されている。他の実施形態と同様に、機械は、取り外し可能かつ一時的に計測装置30と結合して高精度の動作を実行し、次に再び計測装置30から切り離して他のタスクを実行する。例えば、機械は、そのy軸に沿って定義された複数の異なる作業領域を備えた長いy軸を有することができ、そのうちの少なくとも1つは、
図12に示すように、ドッキング可能な計測装置30を備えた高精度ゾーンを有する。
【0096】
ゾーンの概念は、
図4を参照して上で説明されており、高精度ゾーンZ1からZ3は、ロボット10(または他のタイプの座標位置決め機)の全体の作業容積W内に定義されている。ロボット10は、それ自体の固有の精度で、これらのゾーンZ1からZ3のいずれか内で動作することを妨げられないことが理解され、すなわち、その独自の位置決め機械を使用してその位置を決定し、
図2Cは、ロボット10が計測装置30に接続されていないが、それでも計測装置30のゾーン内で動作している例をすでに例を示しているからである。
【0097】
これに続いて、本発明が、時間ではないが、空間において高精度ゾーンと低精度ゾーンが重なる状況に等しく適用可能であることも明らかであろう。これは、座標測位機の定義された作業量が存在する実施形態が想定されることを意味し、1番目(第1)の期間、座標測位機がそれ自体の測位装置からのより精度の低い位置情報を使用し、次に座標測位機は、より高精度の測位装置(本明細書では計測装置と呼ぶ)に結合し、1番目の期間の後の2番目(第2)の期間、座標位置決め機械は、同じ作業容積内で、より高い精度の測位装置からのより高精度の位置情報に基づいて動作する。
【0098】
このような方式は、例えば、工作機械に標準装備されている位置決め機械を用いて機械加工操作を行う工作機械で使用することができるが、測定またはプロービング操作(機械加工されたワークピースを測定するため)の場合、工作機械は、上記のヘキサポッド計測装置などの高精度の位置決め(計測)装置に結合して、ワークピースを測定することができ、次に、計測装置から切り離して、すべて同じスペース内で追加の機械加工操作を実行できる。
【0099】
本発明の実施形態の根底にある一般的な概念は、
図13に示すように要約することができ、この
図13は、作業容積の周りでいくつかの構造を移動させるための駆動装置と、構造の位置を決定するための位置決め機械とを概略的に示している。座標測位機は、座標測位機自体の測位装置によって提供される位置情報から独立した位置情報を提供することができる1つまたは複数の計測装置に取り外し可能に結合することができる。有用であるために、1つまたは複数の計測装置からの位置情報は、座標測位機の測位装置からの位置情報からのものよりもいくつかの利点を有するであろう。たとえば、上記のように、より正確になる可能性がある。または、特定のタイプの計測装置は、座標測位機に標準装備されている測位装置からではなく、その特定のタイプの計測装置からのデータしか理解できないコントローラを必要とする特定のツールと組み合わせて使用することもできる。
【0100】
モジュールの概念は、
図14に示すように拡張できる。座標測位機を1つまたは複数の計測装置のいずれか1つに取り外し可能に結合できることに加えて、座標測位機は、1つまたは複数のツールのいずれか1つに取り外し可能に結合することもでき、例えば、そのような概念は、
図9に示される実施形態で使用される。さらに、
図15に概略的に示されているように、計測装置には独自のツール(
図15の計測C/ツールCを参照)を提供でき、この場合、計測配置は「スマートツール」、すなわち、独自の計測装置を備えたツールのように効果的に機能し、例えば、そのような概念は、
図2の実施形態で使用されている。または、座標測位機が別のツールをピックアップして使用し、計測装置に個別に結合することもでき、この場合、計測装置は純粋に計測に使用され、そのような概念は、例えば、
図9の実施形態で使用される。
【0101】
上記のロボット10の位置決め機械(ロータリエンコーダ)により、工具の位置を明示的に決定することができる。これは、ロボット10内のモーターが、ロボット10を新しい姿勢の中または方向に動かすために、特定の方向に特定の量だけ様々な回転関節6を駆動するように命令される閉ループサーボ制御システムを提供し、エンコーダからの測定値を用いて実際の位置を決定し、それに応じて後続のコマンドを調整できるようにする。
【0102】
代わりに開ループ制御システムを有する本発明の実施形態において、例えば、各ステッピングモーターが特定のステップ数を移動するように命令されるステッピングモーターを使用する座標位置決め機を使用することも可能であり、校正される各ステップで移動する距離または角度により、各ステッピングモーターが移動するステップ数に基づいて想定される位置を決定することができる。そのため、機械の実際の位置はそれ自体では測定されないが、代わりにステッパーカウンターと機械の形状から推測される。
【0103】
本明細書で使用される「位置決め機械」という用語は、上記のタイプの機械の両方、すなわち、測定トランスデューサのセットからの測定に直接基づくか、または間接的に基づくかどうかにかかわらず、例えば、ステップを数えて、機械の位置を決定するために使用される装置をカバーすることを意図している。
【0104】
ロボット(または他のタイプの座標測位機)の動作を制御するためのマシンコントローラも提供される。機械制御装置は、専用の電子制御システムであり得、および/またはコンピュータプログラムの制御下で動作するコンピュータを含み得る。例えば、マシンコントローラは、座標測位マシンに低レベルの命令を提供するためのリアルタイムコントローラと、リアルタイムコントローラを操作するためのPCとを備えることができる。
【0105】
座標測定機の動作は、本機上で動作するプログラムによって、
図1に概略的に示されるコントローラなどの座標測定機コントローラ上で動作するプログラムによって制御できることが理解されよう。そのようなプログラムは、コンピュータ可読媒体に格納することができ、または、例えば、インターネットウェブサイトから提供されるダウンロード可能なデータ信号などの信号で具体化することができる。添付の特許請求の範囲は、それ自体で動作プログラムをカバーするものとして、またはキャリア上の記録として、または信号として、または任意の他の形式で理解されるべきである。
【国際調査報告】