(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-15
(54)【発明の名称】ワイヤレス電場電力伝送システムと送電器及びワイヤレス電力伝送方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/05 20160101AFI20220207BHJP
【FI】
H02J50/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536198
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 CA2019051860
(87)【国際公開番号】W WO2020124242
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516389019
【氏名又は名称】ソレース・パワー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アハマド・エム・アルムダラル
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・バートレット
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ロバート・コーヴ
(57)【要約】
送電共振器を提供する。送電共振器は、二つのインダクタと、インダクタに電気的に接続された切り替えネットワークと、切り替えネットワークに電気的に接続された複数の容量性電極と、容量性電極に通信可能に接続された検出器と、切り替えネットワークと検出器に通信可能に接続された制御器と、を備える。検出器はインピーダンスを検出するように構成される。制御器は、検出されたインピーダンスに基づいてどの電極をインダクタに接続するのかを制御するように切り替えネットワークを制御するように構成される。インダクタと電極は共振して電場を発生させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つのインダクタと、
前記インダクタに電気的に接続された切り替えネットワークと、
前記切り替えネットワークに電気的に接続された複数の容量性電極と、
制御器に通信可能に接続され、インピーダンスを検出するように構成された検出器と、
前記切り替えネットワークと前記検出器に通信可能に接続され、検出されたインピーダンスに基づいてどの容量性電極をインダクタに接続するのかを制御するように前記切り替えネットワークを制御するように構成された制御器と、を備え、
前記インダクタと前記容量性電極が共振して電場を発生させるように構成されている、送電共振器。
【請求項2】
前記検出器が第一検出器と第二検出器を備える、請求項1に記載の送電共振器。
【請求項3】
前記第一検出器が前記容量性電極に示されるインピーダンスを検出するように構成されている、請求項2に記載の送電共振器。
【請求項4】
前記検出器が少なくとも一つの回路と位相検出器を備える、請求項1に記載の送電共振器。
【請求項5】
前記回路が電圧を印加して電流を検出することによってインピーダンスを測定するように構成されている、請求項4に記載の送電共振器。
【請求項6】
前記第二検出器がワイヤレス電力伝送中のインピーダンスを検出するように構成されている、請求項2に記載の送電共振器。
【請求項7】
前記切り替えネットワークが各容量性電極を両方のインダクタに電気的に接続するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の送電共振器。
【請求項8】
容量性電極の数と等しい数のインダクタを有する請求項1から7のいずれか一項に記載の送電共振器。
【請求項9】
前記容量性電極が前記インダクタを介して前記切り替えネットワークに電気的に接続されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の送電共振器。
【請求項10】
前記検出器が前記制御器に電気的に接続されている及び/又は前記制御器が前記切り替えネットワークに電気的に接続されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の送電共振器。
【請求項11】
前記インダクタが可変インダクタである、請求項1から10のいずれか一項に記載の送電共振器。
【請求項12】
前記制御器が前記可変インダクタに電気的に接続され、前記制御器が前記可変インダクタのインダクタンスを制御するように構成されている、請求項11に記載の送電共振器。
【請求項13】
前記容量性電極が前記可変インダクタを介して前記切り替えネットワークに電気的に接続されている、請求項12に記載の送電共振器。
【請求項14】
前記インダクタと前記容量性電極が共振して電場を発生させ電場結合を介して電力を伝送するように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の送電共振器。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の送電共振器を備えるワイヤレス電力伝送システム。
【請求項16】
送電器と受電器とを備えるワイヤレス電力伝送システムであって、
前記送電器が、
電力信号を発生させるように構成された電源と、
前記電源に電気的に接続された送電共振器と、を備え、
前記送電共振器が、
少なくとも二つの送電インダクタと、
前記送電インダクタに電気的に接続された切り替えネットワークと、
前記切り替えネットワークに電気的に接続された複数の送電容量性電極と、
制御器に通信可能に接続され、インピーダンスを検出するように構成された検出器と、
前記切り替えネットワークと前記検出器に通信可能に接続され、検出されたインピーダンスに基づいてどの送電容量性電極を送電インダクタに接続するのかを制御するように前記切り替えネットワークを制御するように構成された制御器と、を備え、
前記送電インダクタと前記送電容量性電極が共振して電場を発生させるように構成され、
前記受電器が、
負荷と、
前記負荷に電気的に接続された受電共振器と、を備え、
前記受電共振器が、
少なくとも二つの受電インダクタと、
前記受電インダクタに電気的に接続された少なくとも二つの受電容量性電極と、を備え、
前記受電インダクタと前記受電容量性電極が、発生した電場中で共振して共振電場結合を介して電力を抽出するように構成されている、ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項17】
前記送電器が、前記電源と前記送電共振器との間に電気的に接続されたインバータを更に備える、請求項16に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【請求項18】
前記受電器が、前記負荷と前記受電共振器との間に電気的に接続された整流器を更に備える、請求項16又は17に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【請求項19】
ワイヤレス電力伝送の方法であって、
切り替えネットワークに電気的に接続された少なくとも二つの容量性電極のインピーダンスを検出することと
前記容量性電極のインピーダンスを、前記切り替えネットワークに通信可能に接続された制御器に伝達することと、
前記容量性電極のインピーダンスに基づいて、前記切り替えネットワークに電気的に接続されている少なくとも二つのインダクタに接続すべき容量性電極のサブセットを前記制御器で決定することと、
前記容量性電極のサブセットを前記インダクタに接続することと、
前記インダクタと前記容量性電極のサブセットを共振させて電場を発生させることと、を備える方法。
【請求項20】
前記容量性電極のサブセットを前記インダクタに接続することが、前記容量性電極のサブセットを前記インダクタに接続するように前記制御器から前記切り替えネットワークに信号を送信することを備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記インダクタのインピーダンスを決定することと、
前記インダクタのインピーダンスを前記制御器に送信することと、
前記インダクタのインピーダンスがインピーダンス範囲内にあるかどうかを前記制御器で決定することと、
前記インダクタのインピーダンスが前記インピーダンス範囲内に無い場合に、全ての容量性電極を前記インダクタから接続解除するように前記制御器から前記切り替えネットワークに信号を送信することと、を更に備える請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記インピーダンス範囲が、共振電場結合を介して前記容量性電極と前記インダクタから電力伝送が可能であるインピーダンス範囲である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
共振周波数において受電器のインダクタと容量性電極を共振させることと、
発生した電場から共振電場結合を介して電力を抽出することと、を更に備える請求項19から22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概してワイヤレス電力伝送(無線給電)に係り、特にワイヤレス電場電力伝送システム、及びそれ用の送電器(トランスミッタ)と受電器(レシーバ)に関する。
【背景技術】
【0002】
多様なワイヤレス電力伝送システムが知られている。典型的なワイヤレス電力伝送システムは、ワイヤレス電力送電器に電気的に接続された電源と、負荷に電気的に接続されたワイヤレス電力受電器とを含む。磁気誘導システムでは、送電器は誘導コイルを有し、電源からの電気エネルギーを受電器の誘導コイルに伝送する。電力伝送は、送電器の誘導コイルと受電器の誘導コイルとの間の磁場結合に起因して生じる。こうした磁気誘導システムの範囲は限定的であり、送電器の誘導コイルと受電器の誘導コイルが電力伝送にとって最適に整列していなければならない。共振磁気システムも存在し、送電器の誘導コイルと受電器の誘導コイルとの間の磁場結合に起因して電力が伝送される。しかしながら、共振磁気システムでは、少なくとも一つのキャパシタを用いて誘導コイルを共振させる。共振磁気システムの電力伝送範囲は、磁気誘導システムのものよりも広がり、整列の問題が是正される。磁気誘導システムと共振磁気システムにおいては電磁エネルギーが生成され得るが、電力伝送の大部分は磁場を介して行われる。電気誘導又は共振電気誘導を介して伝送される電力はあったとしても僅かである。
【0003】
電気誘導システムでは、送電器と受電器は容量性電極を有する。電力伝送は、送電器の容量性電極と受電器の容量性電極との間の電場結合に起因して生じる。共振磁気システムと同様に、共振電気システムも存在し、少なくとも一つのインダクタを用いて送電器の容量性電極と受電器の容量性電極を共振させる。共振電気システムは、電気誘導システムと比較して広がった電力伝送範囲を有し、整列の問題が是正される。電気誘導システムと共振電気システムにおいては電磁エネルギーが生成され得るが、電力伝送の大部分は電場を介して行われる。磁気誘導又は共振磁気誘導を介して伝送される電力はあったとしても僅かである。
【0004】
ワイヤレス電力伝送法は知られているものの改善が望まれている。従って、新規なワイヤレス電場電力伝送システム、それ用の送電器と受電器、ワイヤレス電力伝送方法を提供することが課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9653948号明細書
【特許文献2】米国特許第9979206号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/0099254号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この概要は、以下の詳細な説明において更に説明されるコンセプトを単純化して紹介するものであることを理解されたい。この概要は特許請求の範囲を限定するものではない。
【0007】
そこで、一態様により提供される送電共振器は、少なくとも二つのインダクタと、インダクタに電気的に接続された切り替えネットワークと、切り替えネットワークに電気的に結合された複数の容量性電極と、制御器に通信可能に接続され、インピーダンスを検出するように構成された検出器と、切り替えネットワークと検出器に通信可能に接続され、検出されたインピーダンスに基づいてどの容量性電極をインダクタに接続するのかを制御するように切り替えネットワークを制御するように構成された制御器と、を備え、インダクタと容量性電極が共振して電場を発生させるように構成される。
【0008】
一つ以上の実施形態において、検出器は第一検出器と第二検出器を備える。
【0009】
一つ以上の実施形態において、第一検出器は電極に示されるインピーダンスを検出するように構成される。
【0010】
一つ以上の実施形態において、検出器は少なくとも一つの回路と位相検出器を備える。一つ以上の実施形態において、回路は電圧を印加して電流を検出することによってインピーダンスを測定するように構成される。
【0011】
一つ以上の実施形態において、第二検出器はワイヤレス電力伝送中のインピーダンスを検出するように構成される。
【0012】
一つ以上の実施形態において、切り替えネットワークは各容量性電極を両方のインダクタに電気的に接続するように構成される。
【0013】
一つ以上の実施形態において、送電共振器は、容量性電極の数と等しい数のインダクタを有する。
【0014】
一つ以上の実施形態において、容量性電極はインダクタを介して切り替えネットワークに電気的に接続される。一つ以上の実施形態において、検出器は制御器に電気的に接続され及び/又は制御器は切り替えネットワークに電気的に接続される。
【0015】
一つ以上の実施形態において、インダクタは可変インダクタである。一つ以上の実施形態において、制御器は可変インダクタに電気的に接続され、制御器は可変インダクタのインダクタンスを制御するように構成される。一つ以上の実施形態において、容量性電極は可変インダクタを介して切り替えネットワークに電気的に接続される。
【0016】
一つ以上の実施形態において、インダクタと容量性電極は共振して電場を発生させ電場結合を介して電力を伝送するように構成される。
【0017】
他の態様により提供されるワイヤレス電力伝送システムは、上記いずれかの送電共振器を備える。
【0018】
他の態様により提供されるワイヤレス電力伝送システムは送電器と受電器を備え、送電器は、電力信号を発生させるように構成された電源と、電源に電気的に接続された送電共振器と、を備え、送電共振器は、少なくとも二つの送電インダクタと、送電インダクタに電気的に接続された切り替えネットワークと、切り替えネットワークに電気的に接続された複数の送電容量性電極と、制御器に通信可能に接続され、インピーダンスを検出するように構成された検出器と、切り替えネットワークと検出器に通信可能に接続され、検出されたインピーダンスに基づいてどの送電容量性電極を送電インダクタに接続するのかを制御するように切り替えネットワークを制御するように構成された制御器と、を備え、送電インダクタと送電容量性電極は共振して電場を発生させるように構成され、受電器は、負荷と、負荷に電気的に接続された受電共振器と、を備え、受電共振器は、少なくとも二つの受電インダクタと、受電インダクタに電気的に接続された少なくとも二つの受電容量性電極と、を備え、受電インダクタと受電容量性電極は、発生した電場中で共振して共振電場結合を介して電力を抽出するように構成される。
【0019】
一つ以上の実施形態において、送電器は、電源と送電共振器との間に電気的に接続されたインバータを更に備える。
【0020】
一つ以上の実施形態において、受電器は、負荷と受電共振器との間に電気的に接続された整流器を更に備える。
【0021】
他の態様により提供されるワイヤレス電力伝送の方法は、切り替えネットワークに電気的に接続された少なくとも二つの容量性電のインピーダンスを検出することと、容量性電極のインピーダンスを、切り替えネットワークに通信可能に接続された制御器に伝達することと、容量性電極のインピーダンスに基づいて少なくとも二つのインダクタに接続すべき容量性電極のサブセットを制御器で決定すること(インダクタは切り替えネットワークに電気的に接続されている)と、容量性電極のサブセットをインダクタに接続することと、インダクタと容量性電極のサブセットを共振させて電場を発生させることと、を備える。
【0022】
一つ以上の実施形態において、容量性電極のサブセットをインダクタに接続することは、容量性電極のサブセットをインダクタに接続するように制御器から切り替えネットワークに信号を送信することを備える。
【0023】
一つ以上の実施形態において、本方法は、インダクタのインピーダンスを決定することと、インダクタのインピーダンスを制御器に送信することと、インダクタのインピーダンスがインピーダンス範囲内にあるかどうかを制御器で決定することと、インダクタのインピーダンスがインピーダンス範囲内に無い場合に、全ての容量性電極をインダクタから接続解除するように制御器から切り替えネットワークに信号を送信することと、を更に備える。
【0024】
一つ以上の実施形態において、インピーダンス範囲は、共振電場結合を介して容量性電極とインダクタから電力伝送が可能であるインピーダンス範囲である。
【0025】
一つ以上の実施形態において、本方法は、共振周波数において受電器のインダクタと容量性電極を共振させることと、発生した電場から共振電場結合を介して電力を抽出することと、を更に備える。
【0026】
以下、添付図面を参照して実施形態をより完全に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】ワイヤレス電力伝送システムのブロック図である。
【
図2】ワイヤレス共振電場電力伝送システムの概略図である。
【
図3】本開示の態様に係る送電共振器の概略図である。
【
図4】
図3の送電共振器の容量性電極の概略図である。
【
図5】
図3の送電共振器の容量性電極の他の概略図である。
【
図6】本開示の態様に係る送電共振器の他の実施形態の概略図である。
【
図7】
図6の送電共振器を備えるワイヤレス電力伝送システムの概略図である。
【
図8】
図6の送電共振器を備える部分的ワイヤレス電力伝送システムの他の実施形態の平面図である。
【
図9】
図6の送電共振器を備える部分的ワイヤレス電力伝送システムの他の実施形態の平面図である。
【
図10】
図6の送電共振器を備える部分的ワイヤレス電力伝送システムの他の実施形態の平面図である。
【
図11】
図3の送電共振器の容量性電極とパッシブ電極の他の実施形態の平面図である。
【
図12】
図7のワイヤレス電力伝送システムの他の実施形態の概略図である。
【
図13】
図7のワイヤレス電力伝送システムの他の実施形態の概略図である。
【
図14】
図7のワイヤレス電力伝送システムの他の実施形態の概略図である。
【
図15】本システムの一態様に係る部分的ワイヤレス電力伝送システムの他の実施形態の平面図である。
【
図16】部分的ワイヤレス電力伝送システムの他の実施形態の平面図である。
【
図17】
図15のワイヤレス電力伝送システムの電場のグラフである。
【
図18】
図16のワイヤレス電力伝送システムの電場のグラフである。
【
図19】
図7のワイヤレス電力伝送システムの他の実施形態の概略図である。
【
図20】
図19のワイヤレス電力伝送システムの無線周波数(RF)効率のグラフである。
【
図21】
図19のワイヤレス電力伝送システムの入力インピーダンスのグラフである。
【
図22】本システムの一態様に係る部分的ワイヤレス電力伝送システムの他の実施形態の斜視図である。
【
図23】
図22のワイヤレス電力伝送システムの他の斜視図である。
【
図24】部分的ワイヤレス電力伝送システムの他の実施形態の斜視図である。
【
図25】
図22から
図24のワイヤレス電力伝送システムの比吸収率(SAR)対距離のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上記概要と以下の特定の実施形態の詳細な説明は添付図面と共に読まれることでより良く理解されるものである。同様の参照記号が明細書及び図面全体にわたって同様の要素を指称するために用いられていることを理解されたい。本願において、単数形で記載されている要素や特徴は、複数の要素や特徴を必ずしも排除するものではないことを理解されたい。更に、「一例」や「一実施形態」への言及は、その一例や一実施形態に記載の要素や特徴を含む追加の例や実施形態の存在を排除するものとして解釈されるものではない。また、特に断らない限り、特定の特性を有する一つの要素や特徴又は複数の要素や特徴を「備える」、「有する」又は「含む」例や実施形態は、その特性を有さない追加の要素や特徴を更に含み得るものである。また、「備える」、「有する」、「含む」との用語は、「非限定的に含むこと」を意味するものであり、「備える」、「有する」、「含む」との用語が等価な意味を有することを理解されたい。
【0029】
本願において、「及び/又は」との用語は、関連して列挙されている要素や特徴のうち一つ以上のありとあらゆる組み合わせを含むことができるものである。
【0030】
或る要素や特徴が、他の要素や特徴の「上」にある、他の要素や特徴に「取り付けられている」、「接続されている」、「結合している」、「接触している」等として言及されている場合、その要素や特徴は、直接的に、他の要素や特徴の上にある、他の要素や特徴に取り付けられている、接続されている、結合している、接触しているものとなり得て、又は介在する要素が存在してもよい。対照的に、或る要素や特徴が他の要素や特徴の「直接上」にある、他の要素や特徴に「直接取り付けられている」、「直接接続されている」、「直接結合している」、「直接接触している」として言及されている場合、介在する要素や特徴は存在しない。
【0031】
「下」、「下方」、「下部」、「上」、「上方」、「上部」、「前」、「後」等の空間的関係の用語は、本願において図示されている或る要素や特徴と他の要素や特徴との関係性を説明することを簡単にするために使用されているものであり得ることを理解されたい。しかしながら、こうした空間的関係の用語は、図面に示されている向きに加えて使用時や動作時における異なる向きも含むことができるものである。
【0032】
本願における「例」への言及は、その例に関して記載されている一つ以上の特徴、構造、要素、部品、特性及び/又は動作ステップが本開示に係る主題の少なくとも一つの実施形態や実現に含まれることを意味するものである。従って、本開示全体にわたる「一例」、「他の例」や同様の用語は、同じ例に言及するものとなり得るが、必ずしも同じ例に言及するものではない。更に、或る例を特徴付ける主題は、他の例を特徴付ける主題を含み得るものとなるが、必ずしも他の例を特徴付ける主題を含むものではない。
【0033】
本願における「構成されている」との記載は、「~するように構成されている」との表現を伴う要素や特徴の物理的特性にその要素や特徴を本質的に結び付ける実際の構成状態を示すものである。
【0034】
特に断らない限り、「第一」、「第二」等の用語は、単に目印として用いられているものであって、これらの用語で指称される事項に順序や位置や階層的な要件を課すものではない。更に、「第二」の事項への言及は、低次の事項(例えば、「第一」の事項)及び/又は高次の事項(例えば、「第三」の事項)の存在を要求したり除外したりするものではない。
【0035】
本願において、「略」や「約」との用語は、依然として所望の機能が果たされ又は所望の結果が得られる程度で記載の量に近い量を表す。例えば、「略」や「約」との用語は、記載の量から10%以内、5%以内、1%以内、0.1%以内、0.01%以内の量を称し得る。
【0036】
図1は、概して参照番号100で示されるワイヤレス電力伝送システムを示す。ワイヤレス電力伝送システム100は、送電素子114に電気的に接続された電源112を備える送電器110と、負荷122に電気的に接続された受電素子124を備える受電器120とを備える。電力は電源112から送電素子114に伝送される。次いで、電力は、共振又は非共振の電場又は磁場結合を介して送電素子114から受電素子124に伝送される。次いで、電力は受電素子124から負荷122に伝送される。
【0037】
一例の実施形態では、ワイヤレス電力伝送システムは、共振電場ワイヤレス電力伝送システムの形態を取り得る。
図2は、2012年9月2日出願のポル等の米国特許第9653948号明細書(特許文献1)(関連箇所は参照として本願に組み込まれる)等に記載されている共振電場ワイヤレス電力伝送システム(概して参照番号200で示される)を示す。
【0038】
共振電場ワイヤレス電力伝送システム200は、送電共振器214に電気的に接続された電源212を備える送電器210を備える。送電共振器214は、横方向に離隔された一対の細長の送電容量性電極216を備え、各電極は高品質係数(Q値)送電インダクタ218を介して電源212に電気的に接続されている。システム200は、負荷222に電気的に接続された受電共振器224を備える受電器220を更に備える。受電共振器224は送電共振器214の共振周波数に同調される。受電共振器224は、横方向に離隔された一対の細長の受電容量性電極226を備え、各電極は高Q値受電インダクタ228を介して負荷222に電気的に接続されている。
【0039】
本実施形態では、インダクタ218と228はフェライトコアインダクタであるが、当業者は他のコアも可能であることを理解するものである。
【0040】
本実施形態では、送電容量性電極216と受電容量性電極226の各々は、導電体製の細長素子を備える。送電容量性電極216同士は同一平面上(コプレーナ)にある。受電容量性電極226同士は同一平面上(コプレーナ)にある。本実施形態では、送電容量性電極216と受電容量性電極226は平行な平面内にある。本実施形態では、送電容量性電極216と受電容量性電極226は、略矩形で平坦なプレートの形態である。
【0041】
送電容量性電極216と受電容量性電極226は横方向に離隔された細長の電極として説明されているが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものであり、同心状、コプレーナ状、円形、楕円形、ディスク状等の電極が挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な電極構成は、2015年9月4日出願のネイバーグ等の米国特許第9979206号明細書(特許文献2)(関連箇所は参照として本願に組み込まれる)に記載されている。
【0042】
図2においてインダクタ218と228はそれぞれ電源212と負荷222に直列接続されるものとして示されているが、当業者は、インダクタ218と228がそれぞれ電源212と負荷222に並列接続され得ることを理解するものである。
【0043】
動作時には、電力が電源212から高Q値送電インダクタ218を介して送電容量性電極216に伝送される。特に、電源212から高Q値送電インダクタ218を介して送電容量性電極216に送信される電力信号が、送電共振器214を励起して、送電共振器214が電場を発生させる。送電器210と同じ共振周波数に同調されている受電器220が共振電場内に配置されると、受電共振器224が、共振電場結合を介して送電共振器214から電力を抽出する。次いで、抽出された電力が受電共振器224から負荷222に伝送される。電力伝送が高共振性であるため、非共振電場電力伝送システムの場合のように送電容量性電極216と受電容量性電極226を互いに接近させたり十分に整列させたりする必要がない。送電共振器214は磁場を発生させ得るが、磁場結合を介して伝送される電力はあったとしても僅かである。
【0044】
送電容量性電極216と受電容量性電極226がそれぞれ略整列すると、上述のように電力が伝送される。送電容量性電極216と受電容量性電極226が略整列していないと、電力伝送が減少するか又は全く不能となり得る。
【0045】
共振器により大きな位置自由度を与えるために、本開示の一態様に係る送電共振器が提供される。
図3は、概して参照番号300で示される送電共振器を示す。送電共振器300は、以下で説明するように一つ以上の受電共振器に電力を伝送する電場を発生させるように構成される。送電共振器300は、二つのインダクタ302と、切り替えネットワーク(回路網)304と、容量性電極306と、検出器308と、制御器310を備える。
【0046】
インダクタ302は、以下で説明するように、共振周波数において容量性電極306と共振して、電場を発生させるように構成される。インダクタ302は切り替えネットワーク304に電気的に接続される。本実施形態では、インダクタ302はフェライトコアインダクタである。インダクタ302は固定インダクタである。しかしながら、当業者は他のコアも可能であることを理解するものである。更に、二つよりも多くのインダクタ302や二つよりも少ないインダクタ302が使用可能であることを当業者は理解するものである。
【0047】
容量性電極306は、N×M個の容量性電極で構成される。容量性電極306はグリッドパターンで配置され、Nはグリッドの列数であり、Mはグリッドの行数である。各容量性電極306は切り替えネットワーク304に電気的に接続される。容量性電極306同士は同一平面上にある。容量性電極306同士はxy平面内において同一平面上にある。本実施形態では、各容量性電極306は、同一寸法を有する平坦な正方形のプレート電極である。
【0048】
切り替えネットワーク304は、どの電極306がインダクタ302と共振して電場を発生させるのかを制御するように構成される。切り替えネットワーク304はインダクタ302と制御器310に電気的に接続される。切り替えネットワーク304は両方のインダクタ302を各容量性電極306に電気的に接続する。本実施形態では、切り替えネットワーク304は、相互接続された複数のスイッチを備える。本実施形態では、切り替えネットワーク304は、二つの入力部(インダクタ302毎に一つの入力部)と、N×M×2個の出力部を備える。各出力部は単一の容量性電極306に電気的に接続される。各容量性電極306は切り替えネットワーク304の二つの出力部に電気的に接続される。切り替えネットワーク304は、容量性電極306とインダクタ302の接続を制御するように構成される。所与の時点において、容量性電極306は、切り替えネットワーク304を介して、両方のインダクタ302に接続され、単一のインダクタ302に接続され、又はいずれのインダクタ302に接続されないものとなり得る。容量性電極306がいずれのインダクタ302にも接続されていない場合、容量性電極306は、送電共振器300の要求に応じて、電気的にフローティング又は接地状態になり得る。
【0049】
検出器はインピーダンスを検出するように構成される。検出器は容量性電極306に電気的に接続される。検出器は制御器310に通信可能に接続される。本実施形態では、検出器は、電極306に示されるインピーダンスを検出するように構成された第一検出器308を備える。第一検出器308は少なくとも一つの回路を備える。本実施形態では、第一検出器308は位相検出器を更に備える。回路は、電圧を印加し電流を検出することによってインピーダンスを検出するように構成された電気部品を備える。位相検出器は位相を検出するように構成される。第一検出器308は、検出された電流と検出された位相を用いて、電極306に示されるインピーダンスを決定する。第一検出器308は各電極306において示されるインピーダンスを決定する。
【0050】
上述のように、検出器は制御器310に通信可能に接続される。検出されたインピーダンスは制御器310に伝達される。本実施形態では、検出器は制御器310に電気的に接続される。具体的に本実施形態では、第一検出器308は、検出された全てのインピーダンスを制御器310に伝達する。本実施形態では、第一検出器308は制御器310に電気的に接続される。本実施形態では、検出されたインピーダンスは、制御器310と第一検出器308の間の有線接続を介して制御器310に伝達される。
【0051】
制御器310は、どの電極306をどのインダクタ302に接続するのかを決定するように切り替えネットワーク304を制御するように構成される。制御器310は、切り替えネットワーク304と第一検出器308に通信可能に接続される。本実施形態では、制御器310は有線接続を介して切り替えネットワーク304に電気的に接続される。制御器310は、第一検出器308からのインピーダンスに基づいてどの電極306をどのインダクタ202に接続するのかを制御するように切り替えネットワーク304に制御信号を送信するように構成される。制御器310と切り替えネットワーク304は別々の素子として説明されているが、制御器310と切り替えネットワーク304を単一素子に統合可能であることを当業者は理解するものである。
【0052】
本実施形態では、制御器310はマイクロコントローラである。制御器310はマイクロコントローラとして説明されているものであるが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。他の実施形態では、制御器310は、ソフトウェア、ハードウェア、デジタルロジックコントローラ(DLC,digital logic controller)、マイクロプロセッサのうちの一つ以上を備える。
【0053】
他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。他の実施形態では、検出されたインピーダンスは、無線通信を介して制御器310に送信される。制御器310と第一検出器308は有線通信を介しては電気的に接続されない。更に、他の実施形態では、制御器310は、無線通信を介して切り替えネットワーク304に制御信号を送信するように構成される。制御器310は、有線接続を介しては切り替えネットワーク304に電気的に接続されない。例示的な無線通信方式としてWiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)が挙げられる。
【0054】
本実施形態では、送電共振器300は、2018年9月21日出願の米国特許出願第16/138344号(特許文献3)(その関連箇所は参照として本願に組み込まれる)に記載のようなパッシブ電極320を更に備える。パッシブ電極320は、電極306に影響する環境要因を少なくとも部分的に排除するように電極306を囲む。パッシブ電極320は電極306に近接している。本実施形態では、パッシブ電極320と電極306は平行平面を有する。パッシブ電極320は細長素子を備える。細長素子は導電体製である。細長素子は、略矩形で平坦なプレート状である。
【0055】
動作時には、第一検出器308は、容量性電極306において示されるインピーダンスを検出する。具体的には、第一検出器308は、各容量性電極306で示されるインピーダンスを逐次(容量性電極306毎に)検出し、又は全ての電極306において一度にインピーダンスを検出する。二つ以上の容量性電極306(容量性電極306のサブセット、又は、全ての容量性電極306)に対して少なくとも一つの受電共振器が示され、検出されるインピーダンスが閾値インピーダンスよりも大きい場合、第一検出器308は検出されたインピーダンスを制御器310に送信する。閾値インピーダンスは、送電共振器300を共振周波数で共振させることができるインピーダンス範囲の最低値である。本実施形態では、共振周波数は13.56MHzである。制御器310は、どの電極306で示されているインピーダンスなのかを決定するロジックを適用する。
【0056】
システムに受電器を配置する際にどの送電容量性電極306を送電インダクタ302に接続すべきなのかを見つけ出すのに二分探索(これに限定されない)等のアルゴリズムの使用をロジックが含み得ることを当業者は認識するものである。他の実施形態では、所与のワイヤレス電力伝送システムの既知の制約に応じて、受電共振器の可能なサイズと形状に関するより多くの情報が、より複雑で時間効率的なアルゴリズムを含むロジックをシステム内で使用可能にする。他の実施形態では、ロジックは、システムが受電器を素早く見つけ出すことを補助するように遺伝的アルゴリズムをニューラルネットワークと組み合わせて実施することを含み得る。他のアルゴリズムも可能であることを当業者は認識するものである。
【0057】
次いで、制御器310は、受信共振器に対して示されている二つ以上の電極306をインダクタ302に接続し、他の全ての電極306をインダクタ302から接続解除するように切り替えネットワーク304に信号を送信する。二つ以上の電極306とインダクタ302は、共振周波数で共振して電場を発生させる。同じ共振周波数に同調されている受電共振器は、共振電場結合を介して電場から電力を抽出する。送電共振器300は電磁エネルギーを発生させ得るが、電力伝送の大部分は電場を介して生じる。磁気誘導又は共振磁気誘導を介して伝送される電力はあったとしても僅かである。
【0058】
複数の容量性電極306が同一の寸法を有するので、容量性電極306同士の間のキャパシタンスは特定の繰り返し値を有する。
図4と
図5は、グリッドパターンの容量性電極306の概略図を示し、N(グリッドの列数)は4であり、M(グリッドの行数)は4である。各対の容量性電極306の間のキャパシタンスが
図4と
図5に示されている。
図4は近接の容量性電極306同士の間の四つの異なるキャパシタンス値A、B、C、Dを示す。
図5は、対角の容量性電極306同士の間の四つの異なるキャパシタンス値E、F、G、Hを示す。容量性電極306とパッシブ電極320との間のキャパシタンスは示されていない。
【0059】
特定の送電共振器300を説明してきたが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。
図6は、他の実施形態の送電共振器(概して参照番号400で示される)を示す。送電共振器400は、以下で説明するように電場を発生させて一つ以上の受電共振器に電力を伝送するように構成される。送電共振器400は、二つのインダクタ402と、切り替えネットワーク404と、容量性電極406と、検出器と、制御器410を備える。本実施形態では、送電共振器400は、2018年9月21日出願の米国特許出願第16/138344号(特許文献3)(その関連箇所は参照として本願に組み込まれる)に記載のようなパッシブ電極420を更に備える。インダクタ402、切り替えネットワーク404、容量性電極406、制御器410、パッシブ電極420は、特に断らない限りは上述のインダクタ302、切り替えネットワーク304、容量性電極306、制御器310、パッシブ電極320と同一である。
【0060】
検出器はインピーダンスを検出するように構成される。本実施形態では、検出器は第一検出器408と第二検出器412を備える。第一検出器408は、電極406に示されるインピーダンスを検出するように構成される。第一検出器408は容量性電極406に電気的に接続される。第一検出器408は制御器410に通信可能に接続される。
【0061】
第一検出器408は少なくとも一つの回路を備える。本実施形態では、第一検出器408は位相検出器を更に備える。回路は、電圧を印加して電流を検出することによってインピーダンスを検出するように構成された電気部品を備える。位相検出器は位相を検出するように構成される。第一検出器408は、検出された電流と検出された位相を用いて、電極406に示されるインピーダンスを決定する。第一検出器408は、各電極406において示されるインピーダンスを決定する。
【0062】
上述のように、第一検出器408は制御器410に通信可能に接続される。検出されたインピーダンスは制御器410に伝達される。本実施形態では、第一検出器408は制御器410に電気的に接続される。検出されたインピーダンスは、制御器410と第一検出器408との間の有線接続を介して制御器410に伝達される。
【0063】
第二検出器412はインダクタ402のインピーダンスを検出するように構成される。第二検出器412はインダクタ402に電気的に接続される。第二検出器412は制御器410に通信可能に接続される。第二検出器412は少なくとも一つの回路を備える。本実施形態では、第二検出器412は位相検出器を更に備える。回路は、電圧を印加して電流を検出することによってインピーダンスを検出するように構成された電気部品を備える。位相検出器は位相を検出するように構成される。第二検出器412は、検出された電流と検出された位相を用いて、インダクタ402のインピーダンスを決定する。
【0064】
上述のように、第二検出器412は制御器410に通信可能に接続される。インダクタ402において検出されたインピーダンスは制御器410に伝達される。本実施形態では、第二検出器412は制御器410に電気的に接続される。インダクタにおいて検出されたインピーダンスは、制御器410と第二検出器412との間の有線接続を介して制御器410に伝達される。
【0065】
本実施形態では、制御器410はマイクロコントローラである。制御器410はマイクロコントローラとして説明されているものであるが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。他の実施形態では、制御器410は、ソフトウェア、ハードウェア、デジタルロジックコントローラ(DLC)、マイクロプロセッサのうちの一つ以上を備える。
【0066】
他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。他の実施形態では、検出されたインピーダンスは無線通信で制御器410に送信される。制御器410と第一検出器408は有線接続を介しては電気的に接続されない。制御器410と第二検出器412は有線接続を介しては電気的に接続されない。更に、他の実施形態では、制御器410は、無線通信を介して切り替えネットワーク404に制御信号を伝達するように構成される。制御器410は、有線接続を介しては切り替えネットワーク404に電気的に接続されない。例示的な無線通信方式としてWiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)が挙げられる。
【0067】
動作時には、第一検出器408は、容量性電極406において示されるインピーダンスを検出する。少なくとも一つの受電共振器が二つ以上の容量性電極406(容量性電極406のサブセット、又は、全ての容量性電極406)に提示され、検出されるインピーダンスは閾値インピーダンスよりも大きい場合、第一検出器408は、検出されたインピーダンスを制御器410に送信する。閾値インピーダンスは、送電共振器400を共振周波数で共振させることができるインピーダンス範囲の最低値である。本実施形態では、共振周波数は13.56MHzである。第二検出器412はインダクタ402のインピーダンスを検出する。第二検出器412は、インダクタ402において検出されたインピーダンスを制御器410に送信する。制御器410は、どの電極406で示されているインピーダンスなのかを決定するロジックを適用する。
【0068】
システムに受電器を配置する際にどの送電容量性電極406を送電インダクタ402に接続すべきなのかを見つけ出すのに二分探索(これに限定されない)等のアルゴリズムの使用をロジックが含み得ることを当業者は認識するものである。他の実施形態では、所与のワイヤレス電力伝送システムの既知の制約に応じて、受電共振器の可能なサイズと形状に関するより多くの情報が、より複雑で時間効率的なアルゴリズムを含むロジックをシステム内で使用可能にする。他の実施形態では、ロジックは、システムが受電器を素早く見つけ出すことを補助するように遺伝的アルゴリズムをニューラルネットワークと組み合わせて実施することを含み得る。他のアルゴリズムも可能であることを当業者は認識するものである。
【0069】
次いで、制御器410は、受信共振器に対して示されている二つ以上の電極406をインダクタ402に接続し、他の全ての電極406をインダクタ402から接続解除するように切り替えネットワーク404に信号を送信する。制御器410は、容量性電極406において示され第一検出器408で検出されたインピーダンスを、第二検出器412で検出されたインダクタ402のインピーダンスと比較して、インダクタ402が、送電共振器400を共振周波数で共振させるインピーダンス範囲内のインピーダンスを有していることを保証する。インダクタ402がそのインピーダンス範囲内のインピーダンスを有している場合、制御器410は更なる動作を行わない。インダクタ402がそのインピーダンス範囲内に無いインピーダンスを有している場合、制御器410は、切り替えネットワーク404に対する命令によって、全ての容量性電極406をインダクタ402から接続解除する。これは、送電共振器400の部品が損傷しないことを保証する。
【0070】
二つ以上の電極406が切り替えネットワーク404を介してインダクタ402に接続される場合、二つ以上の電極406は共振周波数においてインダクタ402と共振して電場を発生させる。同じ共振周波数に同調されている受電共振器は、共振電場結合を介して電場から電力を抽出する。送電共振器400は電磁エネルギーを発生させ得るが、電力伝送の大部分は電場を介して生じる。磁気誘導又は共振磁気誘導を介して伝送される電力はあったとしても僅かである。
【0071】
送電共振器300と400はワイヤレス電力伝送システムに組み込み可能である。
図7は、そのような本開示の態様に係るワイヤレス電力伝送システム(概して参照番号500で示される)を示す。システム500は送電器502と受電器510を備える。
【0072】
送電器502は、電源504と、インバータ506と、送電共振器400を備える。電源504は、インバータ506に電力を供給するように構成される。電源はインバータ506に電気的に接続される。電源504は直流(DC)電力をインバータ506に供給する。インバータ506は、電源504からのDC電力を交流(AC)電力に変換するように構成される。インバータ506は、電源504と送電共振器400の第二検出器412とに電気的に接続される。本実施形態では、インバータ506はインピーダンス整合回路を備える。インピーダンス整合回路は、送電器502の入力インピーダンスを送電器の出力インピーダンスに整合させるように構成される。
【0073】
受電器510は、負荷512と、整流器514と、受電共振器520を備える。負荷512は、電力を必要とするデバイスを備える。例えば、負荷512は電池を備える。負荷512は整流器514に電気的に接続される。整流器514は、受電共振器520からのAC電力をDC電力に変換するように構成される。整流器514は負荷512と受電共振器520に電気的に接続される。
【0074】
受電共振器520は、送電共振器400が発生させた電場から共振電場結合を介して電力を抽出するように構成される。受電共振器520は、二つの受電インダクタ522と、二つの受電容量性電極526を備える。本実施形態では、受電共振器は受電パッシブ電極530を更に備える。
【0075】
受電インダクタ522は、送電共振器400と同じ共振周波数を有する電場を発生させるように受電容量性電極526と共振するように構成される。各受電インダクタ522は単一の受電容量性電極526に接続される。本実施形態では、受電インダクタ522はフェライトコアインダクタである。受電インダクタ522は固定インダクタである。しかしながら他のコアも可能であることを当業者は理解するものである。
【0076】
複数の受電容量性電極526は同一平面上にある。本実施形態では、各受電容量性電極526は同一の寸法を有する平坦な正方形のプレート電極である。受電容量性電極526は、受電容量性電極526が送電共振器400の二つの容量性電極406と重なって整列し得るように整列される。
【0077】
受電パッシブ電極530は、2018年9月21日出願の米国特許出願第16/138344号(特許文献3)(その関連箇所は参照として本願に組み込まれる)に記載のものである。受電パッシブ電極530は、受電容量性電極526に影響する環境要因を少なくとも部分的に排除するように受電容量性電極526を囲む。受電パッシブ電極530は受電容量性電極526に近接している。受電パッシブ電極530と受電容量性電極526は平行平面を有する。受電パッシブ電極530は細長素子を備える。細長素子は導電体製である。細長素子は、略矩形で平坦なプレート状であり、対向する主面を有する。
【0078】
動作時には、DC電力が電源504からインバータ506に伝送される。インバータ506はDC電力をAC電力に変換し、AC電力は送電共振器400に伝送される。第一検出器408は、容量性電極406において示されるインピーダンスを検出する。受電共振器520の受電容量性電極526が送電共振器400の容量性電極406のうち二つ(容量性電極406のサブセット)と少なくとも部分的に整列していて、検出されたインピーダンスが閾値インピーダンスよりも大きい場合、第一検出器408は、検出されたインピーダンスを制御器410に送信する。閾値インピーダンスは、送電共振器400を共振周波数で共振させることができるインピーダンス範囲の最低値である。本実施形態では、共振周波数は13.56MHzである。第二検出器412はインダクタ402のインピーダンスを検出する。第二検出器412は、インダクタ402で検出されたインピーダンスを制御器410に送信する。制御器410は、どの電極406で示されているインピーダンスなのかを決定するロジックを適用する。
【0079】
システムに受電器を配置する際にどの送電容量性電極406を送電インダクタ402に接続すべきなのかを見つけ出すのに二分探索(これに限定されない)等のアルゴリズムの使用をロジックが含み得ることを当業者は認識するものである。他の実施形態では、所与のワイヤレス電力伝送システムの既知の制約に応じて、受電共振器の可能なサイズと形状に関するより多くの情報が、より複雑で時間効率的なアルゴリズムを含むロジックをシステム内で使用可能にする。他の実施形態では、ロジックは、システムが受電器を素早く見つけ出すことを補助するように遺伝的アルゴリズムをニューラルネットワークと組み合わせて実施することを含み得る。他のアルゴリズムも可能であることを当業者は認識するものである。
【0080】
次いで、制御器410は、受電容量性電極526に対して示されている二つ以上の電極406をインダクタ402に接続し、他の全ての電極406をインダクタ402から接続解除するように切り替えネットワーク404に信号を送信する。制御器410は、容量性電極406において示され第一検出器408で検出されたインピーダンスを、第二検出器412で検出されたインダクタ402のインピーダンスと比較して、インダクタ402が、送電共振器400を共振周波数で共振させるインピーダンス範囲内のインピーダンスを有していることを保証する。インダクタ402がそのインピーダンス範囲内のインピーダンスを有している場合、制御器410は更なる動作を行わない。
【0081】
インバータ506からのAC電力は、二つの電極406とインダクタ402を励起して、二つの電極406とインダクタ402を共振周波数において共振させて、電場を発生させる。同じ共振周波数に同調されている受電共振器520は、共振電場結合を介して電場から電力を抽出する。送電共振器400は電磁エネルギーを発生させ得るが、電力伝送の大部分は電場を介して生じる。磁気誘導又は共振磁気誘導を介して伝送される電力はあったとしても僅かである。受電共振器520において受電された電力は、負荷512に適用された整流器514によってAC電力からDC電力に変換される。
【0082】
インダクタ402で検出されたインピーダンスが、インピーダンス範囲内に無い場合、制御器410は、切り替えネットワーク404に送信される信号を介して、全ての容量性電極406をインダクタ402から接続解除する。これは、送電共振器400の部品が損傷しないことを保証する。
【0083】
受電共振器520の受電容量性電極526が送電共振器400の容量性電極406のうち少なくとも二つと最早十分に整列していなくなると、第一検出器408は、送電共振器400の各電極406において示されているインピーダンスが、送電共振器400を共振周波数で共振させるインピーダンス範囲外であることを検出する。第一検出器408は、検出されたインピーダンスを制御器410に送信する。制御器410はロジックを適用して、受電容量性電極526が最早十分に整列していないことを決定する。
【0084】
システムに受電器を配置する際にどの送電容量性電極406を送電インダクタ402に接続すべきなのかを見つけ出すのに二分探索(これに限定されない)等のアルゴリズムの使用をロジックが含み得ることを当業者は認識するものである。他の実施形態では、所与のワイヤレス電力伝送システムの既知の制約に応じて、受電共振器の可能なサイズと形状に関するより多くの情報が、より複雑で時間効率的なアルゴリズムを含むロジックをシステム内で使用可能にする。他の実施形態では、ロジックは、システムが受電器を素早く見つけ出すことを補助するように遺伝的アルゴリズムをニューラルネットワークと組み合わせて実施することを含み得る。他のアルゴリズムも可能であることを当業者は認識するものである。
【0085】
制御器410は、送電共振器400の容量性電極406のいずれもインダクタ402に接続されるべきではないことを決定する。次いで、制御器410は、全ての容量性電極406をインダクタ402から接続解除するように切り替えネットワーク404に信号を送信し、電力が送電共振器400から伝送されないようにする。
【0086】
受電容量性電極526が、送電共振器400の別の二つの容量性電極406と整列するように移動すると、第一検出器408は、以前の整列した二つの容量性電極406において示されるインピーダンスが閾値インピーダンス未満に低下していて、別の二つの容量性電極406において示されるインピーダンスが閾値インピーダンスよりも大きいことを検出する。第一検出器408は、検出された全てのインピーダンスを制御器410に送信する。次いで、制御器410は、以前の整列していた二つの容量性電極406をインダクタ402から接続解除し、別の二つの容量性電極406をインダクタ402に接続するように信号を送信する。インバータ506からのAC電力は、別の二つの電極406とインダクタ402を励起して、別の二つの電極406とインダクタ402を共振周波数で共振させて、電場を発生させる。同じ共振周波数に同調されている受電共振器526は、共振電場結合を介して電場から電力を抽出する。送電共振器400は電磁エネルギーを発生させ得るが、電力伝送の大部分は電場を介して生じる。磁気誘導又は共振磁気誘導を介して伝送される電力はあったとしても僅かである。受電共振器520で受電された電力は、負荷512に適用されている整流器514によってAC電力からDC電力に変換される。
【0087】
本開示のワイヤレス電力伝送システム500は、受電共振器520が送電共振器400の容量性電極406のグリッドの周りで移動することを許容し、それでも送電器502から受電器510への電力伝送に必要な共振電場結合を維持することを理解されたい。
【0088】
ワイヤレス電力伝送システム500の動作を、受電容量性電極526が送電共振器400の容量性電極406と重なって整列している場合について説明してきたが、受電容量性電極526が送電共振器400の容量性電極406と十分に重なっていない及び/又は十分に整列していない場合でも、ワイヤレス電力伝送は可能である。
【0089】
図8は、概して参照番号600で示される部分的ワイヤレス電力伝送システムを示す。ワイヤレス電力伝送システム600は、特に断らない限りは前述のワイヤレス電力伝送システム500と同一である。ワイヤレス電力伝送システム600は、送電共振器400を備える送電器502を備える。本実施形態では、送電共振器400の容量性電極406はグリッドパターンで配置され、N(グリッドの列数)は3であり、M(グリッドの行数)は3である。
【0090】
ワイヤレス電力伝送システム600は受電器510を更に備える。本実施形態では、受電容量性電極526は、送電共振器400の容量性電極406と部分的にしか重ならない。本実施形態では、受電容量性電極526は、送電共振器400の容量性電極406と整列していない。
【0091】
それでも動作時には、第一検出器408は、受電容量性電極526が部分的に重なっている送電共振器400の二つの容量性電極406とインダクタ402を共振させて電場を発生させ、また、受電容量性電極526が同じく部分的に重なっている送電共振器400の別の二つの容量性電極406とインダクタ402を共振させるのに十分なインピーダンスを受電共振器520から検出し得る。受電共振器520は送電共振器400の共振周波数で共振し、両方から発生した電場から共振電場結合を介して電力を抽出する。各電場からの電力伝送の効率は、受電容量性電極526と送電共振器400の容量性電極406が整列している場合に発生する一つの電場からの電力伝送の効率よりも低くなり得るが、それでも、同量のワイヤレス電力伝送が生じ得る。
【0092】
単一の受電器510を有する特定のワイヤレス電力伝送システム500を説明してきたが、ワイヤレス電力伝送システムが複数の受電器を備え得ることを当業者は理解するものである。
図9は、概して参照番号700で示される部分的ワイヤレス電力伝送システムを示す。ワイヤレス電力伝送システム700は、特に断らない限りは前述のワイヤレス電力伝送システム500と同一である。ワイヤレス電力伝送システム700は、送電共振器400を備える送電器502を備える。本実施形態では、送電共振器400の容量性電極406はグリッドパターンで配置され、N(グリッドの列数)は4であり、M(グリッドの行数)は4である。
【0093】
ワイヤレス電力伝送システム700は、受電共振器520を備える受電器510を更に備える。受電共振器520の二つの受電容量性電極526は、送電共振器400の容量性電極406のうち二つと重なって整列し、送電共振器400から受信共振器520に共振電場結合を介して電力が伝送されるようになっている。
【0094】
ワイヤレス電力伝送システム700は第二受電器を更に備える。第二受電器は特に断らない限りは受電器510と同一である。第二受電器は、四つの容量性受電電極を備える第二受電共振器を備える。第二受電共振器は第二受電パッシブ電極704を更に備える。
【0095】
第二受電パッシブ電極704は、2018年9月21日出願の米国特許出願第16/138344号(特許文献3)(その関連箇所は参照として本願に組み込まれる)に記載のものである。第二受電パッシブ電極704は、受電容量性電極に影響する環境要因を少なくとも部分的に排除するように第二受電共振器の受電容量性電極を囲む。第二受電パッシブ電極704は第二受電共振器の受電容量性電極に近接している。第二受電パッシブ電極704と第二受電共振器の受電容量性電極は平行平面を有する。第二受電パッシブ電極704は細長素子を備える。細長素子は導電体製である。細長素子は、略矩形で平坦なプレート状であり、対向する主面を有する。
【0096】
本実施形態では、第二受電器の容量性受電電極は、2×2のグリッドパターンで配置され、送電共振器400の容量性電極406と同一の近接電極間の間隔を有する。第二受電共振器の容量性受電電極は、送電共振器400の容量性電極406と同一の寸法にされる。第二受電共振器の受電容量性電極は、送電共振器400の容量性電極406のうち四つと重なって整列し、送電共振器400から第二受電共振器に共振電場結合を介して電力が伝送されるようになっている。
【0097】
図9に示されるように、送電共振器400は、複数の受電共振器に同時に電力を提供し得る。第一検出器408が送電共振器400の各容量性電極406のインピーダンスを検出するので、送電共振器400に対して複数の受電共振器が提示されている際に第一検出器408は複数の容量性電極406の複数のインピーダンスを検出する。
【0098】
特定のワイヤレス電力伝送システムを説明してきたが、他の構成も可能であることを当業者は理解されたい。
図10は、概して参照番号1000で示される部分的ワイヤレス電力伝送システムを示す。ワイヤレス電力伝送システム1000は、特に断らない限りは前述のワイヤレス電力伝送システム500と同一である。本実施形態では、送電共振器400の容量性電極406はグリッドパターンで配置され、N(グリッドの列数)は5であり、M(グリッドの行数)は5である。各送電容量性電極406は、50mmの幅(W)と、50mmの長さ(L)を有する。近接容量性電極406間のギャップ(G)は10mmである。受電容量性電極526はその位置を例示するためだけに示されている。受電パッシブ電極530が動作時には受電容量性電極526を視界から遮ることを当業者は理解されたい。送電共振器400の容量性電極406と同様に、各受電容量性電極526は、50mmの幅(W)と、50mmの長さ(L)を有する。更に、各受電容量性電極526は10mmのギャップ(G)で離隔される。ワイヤレス電力伝送システム1000は、13.56MHzの共振周波数で動作する。インダクタ402(図示せず)のインダクタンスは60μHである。
【0099】
特定の容量性電極306と406について説明してきたが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。
図11は他の実施形態の送電共振器の容量性電極(概して参照番号1206で示される)とパッシブ電極1220を示す。
【0100】
容量性電極1206、パッシブ電極1220は、特に断らない限りはそれぞれ容量性電極306、パッシブ電極320と同一である。本実施形態では、容量性電極1206は、十二(12)個の容量性電極を備える。容量性電極1206は円形パターンで配置される。容量性電極1206は概して内側リングと外側リングの二つのリングで配置される。内側リングは外側リングによって囲まれる。各容量性電極1206は内側リングと外側リングの一方の部分(セグメント)である。複数の容量性電極1206はxy平面内で同一平面上にある。本実施形態では、各容量性電極1206は平坦な電極である。各容量性電極1206は略円形のリングの部分(セグメント)である。
【0101】
パッシブ電極1220は一つの素子を備える。素子は導電体製である。素子は、略円形で平坦なプレート状であり、対向する主面を有する。素子は外側リングと内側リングを囲む。パッシブ電極1220によって画定される平面は、容量性電極1206によって画定される平面と平行である。
【0102】
ワイヤレス電力伝送システム500は、固定インダクタンスを有するインダクタ402を有する送電共振器400を備える送電器502を備える。インダクタ402の固定インダクタンスが、送電共振器400の複数の容量性電極406を利用して電力を伝送する性能を制限し得る。送電共振器400の複数の容量性電極406を介した電力伝送は、送電側のキャパシタンスを変化させて、ワイヤレス電力伝送システム500を離調させ、顕著にワイヤレス電力伝送効率を低下させ、損失を増大させ得る。
【0103】
特定のワイヤレス電力伝送システム500について説明してきたが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。
図12は、他の実施形態のワイヤレス電力伝送システム(概して参照番号1300で示される)を示す。ワイヤレス電力伝送システム1300は、特に断らない限りは前述のワイヤレス電力伝送システム500と同一である。ワイヤレス電力伝送システム1300は送電器1302と受電器510を備える。
【0104】
送電器1302は、電源504と、インバータ506と、送電共振器1310を備える。電源504はインバータ506に電気的に接続され、インバータ506は送電共振器1310に電気的に接続される。送電共振器1310は、二つの可変インダクタ1312と、切り替えネットワーク1314と、容量性電極1326と、検出器と、制御器1320を備える。本実施形態では、送電共振器1310はパッシブ電極1330を更に備える。更に、検出器は第一検出器1318と第二検出器1332を備える。インバータ506は第二検出器1332に電気的に接続される。第二検出器1332は可変インダクタ1312に電気的に接続される。第二検出器1332は制御器1320に通信可能に接続される。可変インダクタ1312は切り替えネットワーク1314に電気的に接続される。制御器1320は各可変インダクタ1312に電気的に接続される。切り替えネットワーク1314は容量性電極1326に電気的に接続される。制御器1320は切り替えネットワーク1314に通信可能に接続される。第一検出器1318は制御器1320に通信可能に接続される。
【0105】
本実施形態では、第一検出器1318と第二検出器1332は有線接続を介して制御器1320に通信可能に接続される。更に、本実施形態では、制御器1320は有線接続を介して切り替えネットワーク1314に通信可能に接続される。他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。他の実施形態では、第一検出器1318、第二検出器1332及び/又は切り替えネットワーク1314は有線接続を介しては制御器1320に電気的に接続されない。検出器1318と1332は、検出されたインピーダンスを無線通信を介して制御器1320に伝達するように構成される。制御器1320は無線通信を介して切り替えネットワーク1314に制御信号を送信するように構成される。例示的な無線通信方式としてWiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)が挙げられる。
【0106】
切り替えネットワーク1314、容量性電極1326、制御器1320、パッシブ電極1330はそれぞれ特に断らない限りは前述の切り替えネットワーク404、容量性電極406、制御器410、パッシブ電極420と同一である。第一検出器1318、第二検出器1332はそれぞれ特に断らない限りは前述の第一検出器408、第二検出器412と同一である。
【0107】
本実施形態では、以下で説明するように、可変インダクタ1312は共振周波数で容量性電極1326と共振して電場を発生させるように構成される。本実施形態では、インダクタ1312はフェライトコアインダクタである。しかしながら、他のコアも可能であることを当業者は理解するものである。更に、二つよりも多くのインダクタ1312や二つよりも少ないインダクタ1312が使用可能であることを当業者は理解するものである。
【0108】
動作時には、ワイヤレス電力システム1300は特に断らない限りはワイヤレス電力システム500と同様に動作する。制御器1320は、第一検出器1318と第二検出器1332からインピーダンスを受信して、電場結合を最大にするように可変インダクタ1312のインダクタンスを調節する。
【0109】
特定のワイヤレス電力伝送システム500について説明してきたが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。
図13は、他の実施形態のワイヤレス電力伝送システム(概して参照番号1400で示される)を示す。ワイヤレス電力伝送システム1400は、特に断らない限りは前述のワイヤレス電力伝送システム500と同一である。ワイヤレス電力伝送システム1400は送電器1402と受電器510を備える。
【0110】
送電器1402は、電源504と、インバータ506と、送電共振器1410を備える。電源504はインバータ506に電気的に接続され、インバータ506は送電共振器1410に電気的に接続される。送電共振器1410は、可変インダクタ1412と、切り替えネットワーク1414と、容量性電極1426と、検出器と、制御器1420を備える。本実施形態では、送電共振器1410はパッシブ電極1430を更に備える。更に、検出器は第一検出器1418と第二検出器1432を備える。インバータ506は第二検出器1432に電気的に接続される。第二検出器1432は切り替えネットワーク1414に電気的に接続される。第二検出器1432は制御器1420に通信可能に接続される。切り替えネットワーク1414は可変インダクタ1412に電気的に接続される。可変インダクタ1412は容量性電極1426に電気的に接続される。第一検出器1418は制御器1420に通信可能に接続される。制御器1420は各可変インダクタ1412と切り替えネットワーク1414に電気的に接続される。制御器1420は切り替えネットワーク1414に通信可能に接続される。第一検出器1418は制御器1420に通信可能に接続される。
【0111】
本実施形態では、第一検出器1418と第二検出器1432は有線接続を介して制御器1420に通信可能に接続される。更に、本実施形態では、制御器1420は有線接続を介して切り替えネットワーク1414に通信可能に接続される。他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。他の実施形態では、第一検出器1418、第二検出器1432及び/又は切り替えネットワーク1414は有線接続を介しては制御器1420に電気的に接続されない。検出器1418と1432は、検出されたインピーダンスを無線通信を介して制御器1420に伝達するように構成される。制御器1420は無線通信を介して切り替えネットワーク1414に制御信号を送信するように構成される。例示的な無線通信方式としてWiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)が挙げられる。
【0112】
切り替えネットワーク1414、容量性電極1426、制御器1420、パッシブ電極1430はそれぞれ特に断らない限りは前述の切り替えネットワーク404、容量性電極406、制御器410、パッシブ電極420と同一である。第一検出器1418、第二検出器1432はそれぞれ特に断らない限りは前述の第一検出器408、第二検出器412と同一である。
【0113】
本実施形態では、各容量性電極1426に対して一つの可変インダクタ1412が存在する。各容量性電極1426は単一の可変インダクタ1412を介して切り替えネットワーク1414に接続される。以下で説明するように、可変インダクタ1412は共振周波数で容量性電極1426と共振して電場を発生させるように構成される。本実施形態では、インダクタ1412はフェライトコアインダクタである。しかしながら、他のコアも可能であることを当業者は理解するものである。
【0114】
動作時には、ワイヤレス電力システム1400は特に断らない限りはワイヤレス電力システム500と同様に動作する。制御器1420は、第一検出器1418と第二検出器1432からインピーダンスを受信して、電場結合を最大にするように可変インダクタ1412のインダクタンスを調節する。切り替えネットワーク1414は、可変インダクタ1412と第二検出器1432との間の接続を開閉して、受電共振器に対して示されている容量性電極1426のみが関連の可変インダクタ1412と共振して電場を発生させるようにする。
【0115】
特定のワイヤレス電力伝送システム500について説明してきたが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。
図14は、他の実施形態のワイヤレス電力伝送システム(概して参照番号1500で示される)を示す。ワイヤレス電力伝送システム1500は、特に断らない限りは前述のワイヤレス電力伝送システム1400と同一である。ワイヤレス電力伝送システム1500は送電器1502と受電器510を備える。
【0116】
送電器1502は、電源504と、インバータ506と、送電共振器1510を備える。電源504はインバータ506に電気的に接続され、インバータ506は送電共振器1510に電気的に接続される。送電共振器1510は、インダクタ1512と、切り替えネットワーク1514と、容量性電極1526と、検出器と、制御器1520を備える。本実施形態では、送電共振器1510はパッシブ電極1530を更に備える。更に、検出器は第一検出器1518と第二検出器1532を備える。インバータ506は第二検出器1532に電気的に接続される。第二検出器1532は切り替えネットワーク1514に電気的に接続される。第二検出器1532は制御器1520に通信可能に接続される。切り替えネットワーク1514はインダクタ1512に電気的に接続される。インダクタ1512は容量性電極1526に電気的に接続される。第一検出器1518は制御器1520に通信可能に接続される。切り替えネットワーク1514は各インダクタ1512に電気的に接続される。制御器1520は切り替えネットワーク1514に通信可能に接続される。
【0117】
本実施形態では、第一検出器1518と第二検出器1532は有線接続を介して制御器1520に通信可能に接続される。更に、本実施形態では、制御器1520は有線接続を介して切り替えネットワーク1514に通信可能に接続される。他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。他の実施形態では、第一検出器1518、第二検出器1532及び/又は切り替えネットワーク1514は有線接続を介しては制御器1520に電気的に接続されない。検出器1518と1532は、検出されたインピーダンスを無線通信を介して制御器1520に伝達するように構成される。制御器1520は無線通信を介して切り替えネットワーク1514に制御信号を送信するように構成される。例示的な無線通信方式としてWiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)が挙げられる。
【0118】
本実施形態では、各容量性電極1526に対して一つのインダクタ1512が存在する。各容量性電極1526は単一のインダクタ1512を介して切り替えネットワーク1514に接続される。以下で説明するように、インダクタ1512は共振周波数で容量性電極1526と共振して電場を発生させるように構成される。インダクタ1512は固定インダクタである。本実施形態では、インダクタ1512はフェライトコアインダクタである。しかしながら、他のコアも可能であることを当業者は理解するものである。
【0119】
動作時には、ワイヤレス電力システム1500は、インダクタ1512が固定インダクタである以外はワイヤレス電力システム1400と同様に動作する。
【0120】
特定のワイヤレス電力伝送システム500について説明してきたが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。
図15は、他の実施形態の部分的ワイヤレス電力伝送システム(概して参照番号1600で示される)を示す。ワイヤレス電力伝送システム1600は、特に断らない限りはワイヤレス電力伝送システム500と同一である。ワイヤレス電力伝送システム1600は送電器と受電器を備える。送電器は、電源(図示せず)と、インバータ(図示せず)と、送電共振器を備える。電源はインバータに電気的に接続される。インバータは送電共振器に電気的に接続される。
【0121】
送電共振器は、前述のように電場を発生させて一つ以上の受電共振器に電力を伝送するように構成される。送電共振器は二つのインダクタ(図示せず)と二つの送電容量性電極1210を備える。インダクタは送電容量性電極1210に電気的に接続される。送電容量性電極1210はリングの部分(セグメント)である。送電容量性電極1210は、外側リングの部分である第一部分と、内側リングの部分である第二部分を備える。本実施形態では、各送電容量性電極1210は平坦な電極である。複数の送電容量性電極1210は同一平面上にある。
【0122】
受電器は、受電共振器と、負荷(図示せず)と、整流器(図示せず)を備える。負荷は整流器に電気的に接続される。整流器は受電共振器に電気的に接続される。負荷、整流器は、それぞれ負荷512、整流器514と同一であるので、以下では更に説明しない。受電共振器は、送電共振器400が発生させた電場から共振電場結合を介して電力を抽出するように構成される。受電共振器は、二つのインダクタ(図示せず)と、受電容量性電極1606と、切り替えネットワーク(図示せず)と、検出器と、制御器(図示せず)を備える。切り替えネットワーク、検出器、制御器は、特に断らない限りは前述の送電共振器400の切り替えネットワーク404、検出器、制御器410と同一である。インダクタは受電容量性電極1606に電気的に接続される。
【0123】
受電容量性電極1606は特に断らない限りは容量性電極406と同一である。本実施形態では、受電容量性電極1606は十二(12)個の容量性電極を備える。受電容量性電極1606は円形パターンで配置される。受電容量性電極1606は概して内側リングと外側リングの二つのリングで配置される。内側リングは外側リングによって囲まれる。各受電容量性電極1606は内側リングと外側リングの一方の部分(セグメント)である。複数の容量性電極1606は同一平面上にある。本実施形態では、各受電容量性電極1606は平坦な電極である。
【0124】
図16は、他の実施形態の部分的ワイヤレス電力伝送システム(概して参照番号1700で示される)を示す。ワイヤレス電力伝送システム1700は、特に断らない限りはワイヤレス電力伝送システム1600と同一である。ワイヤレス電力伝送システム1700は送電器と受電器を備える。送電器は、電源(図示せず)と、インバータ(図示せず)と、送電共振器を備える。電源はインバータに電気的に接続される。インバータは送電共振器に電気的に接続される。
【0125】
送電共振器は、前述のように電場を発生させて一つ以上の受電共振器に電力を伝送するように構成される。送電共振器は二つのインダクタ(図示せず)と二つの送電容量性電極1212を備える。インダクタは送電容量性電極1212に電気的に接続される。送電容量性電極1212はリングの部分(セグメント)である。送電容量性電極1212は、外側リングの部分である第一部分と、内側リングの部分である第二部分を備える。本実施形態では、各送電容量性電極1212は平坦な電極である。複数の送電容量性電極1212は同一平面上にある。
【0126】
受電器は、受電共振器と、負荷(図示せず)と、整流器(図示せず)を備える。負荷は整流器に電気的に接続される。整流器は受電共振器に電気的に接続される。負荷、整流器は、それぞれ負荷512、整流器514と同一であるので、以下では更に説明しない。受電共振器は、送電共振器400が発生させた電場から共振電場結合を介して電力を抽出するように構成される。受電共振器は、二つの受電インダクタ(図示せず)と、二つの受電容量性電極1706を備える。インダクタは受電容量性電極1706に電気的に接続される。
【0127】
受電容量性電極1706は特に断らない限りは容量性電極406と同一である。本実施形態では、受電容量性電極1706は外側リング電極と内側リング電極の二つリング電極を備える。内側リング電極は外側リング電極によって囲まれる。複数の受電容量性電極1706は同一平面上にある。本実施形態では、各受電容量性電極1706は平坦な電極である。
【0128】
ワイヤレス電力伝送システム1600と1700に対してシミュレーションを行った。
図15に示されるように、二つの送電容量性電極1210は受電容量性電極1606のうち二つと重なって整列する。
【0129】
本実施形態では、外側受電容量性電極1606と外側送電容量性電極1210は1200mmの外側半径と1000mmの内側半径を有する。内側受電容量性電極1606と内側送電容量性電極1210は700mmの外側半径と400mmの内側半径を有する。各受電容量性電極1606は同じリング内で近接する受電容量性電極1606から100mmで離隔される。内側受電容量性電極1606の外側半径と外側受電容量性電極1606の内側半径との間のギャップは300mmである。同様に、内側送電容量性電極1210の外側半径と外側送電容量性電極1210の内側半径との間のギャップは300mmである。ワイヤレス電力伝送システム1600は送電共振器から受電共振器に45ワットの電力を伝送する。送電共振器と受電共振器との間の離隔距離は100mmである。共振器同士の間の電力伝送の無線周波数(RF)効率は98.2%である。ワイヤレス電力伝送システム1600の共振周波数は13.56MHzである。送電共振器のインダクタのインダクタンスは5.7μHである。受電共振器のインダクタのインダクタンスは8.8μHである。
【0130】
図16に示されるように、送電容量性電極1212は受電容量性電極1706と重なる。本実施形態では、外側受電容量性電極1706と外側送電容量性電極1212は1200mmの外側半径と1000mmの内側半径を有する。内側受電容量性電極1706と内側送電容量性電極1212は700mmの外側半径と400mmの内側半径を有する。内側受電容量性電極1706の外側半径と外側受電容量性電極1706の内側半径との間のギャップは300mmである。同様に、内側送電容量性電極1212の外側半径と外側送電容量性電極1212の内側半径との間のギャップは300mmである。ワイヤレス電力伝送システム1700は送電共振器から受電共振器に45ワットの電力を伝送する。送電共振器と受電共振器との間の離隔距離は100mmである。共振器同士の間の電力伝送のRF効率は97.8%である。ワイヤレス電力伝送システム1700の共振周波数は13.56MHzである。送電共振器のインダクタのインダクタンスは4.6μHである。受電共振器のインダクタのインダクタンスは1.2μHである。
【0131】
シミュレーションの結果が
図17と
図18に示されている。
図17はワイヤレス電力伝送システム1600の電場のグラフである。具体的には、
図17はワイヤレス電力伝送システム1600の送電共振器と受電共振器との間の中心面上で描写された電場を示す。
【0132】
図18はワイヤレス電力伝送システム1700の電場のグラフである。具体的には、
図18はワイヤレス電力伝送システム1700の送電共振器と受電共振器との間の中心面上で描写された電場を示す。
【0133】
図17と
図18の両方において、送電容量性電極1210、1212がそれぞれ受電容量性電極1606、1706と重なる領域内において電場が強い。送電容量性電極1210が受電容量性電極1606と重ならない領域内のワイヤレス電力伝送システム1600の電場は、送電容量性電極1212が受電容量性電極1706と重ならない領域内のワイヤレス電力伝送システム1700の電場よりも弱い。従って、ワイヤレス電力伝送システム1600はワイヤレス電力伝送システム1700よりも良好に電場を閉じ込める。閉じ込めの改善は人間がRF場に晒されることを減らす。更に、閉じ込めの改善は電磁干渉(EMI)を防止する。また、閉じ込めの改善は比吸収率(SAR)の値を減らす。
【0134】
特定のワイヤレス電力伝送システム500について説明してきたが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。
図19は他の実施形態のワイヤレス電力伝送システム(概して参照番号2000で示される)を示す。ワイヤレス電力伝送システム2000は特に断らない限りはワイヤレス電力伝送システム500と同一である。本実施形態では、送電共振器はグリッドパターンで存在する容量性電極2006を備え、N(グリッドの列数)は2であり、M(グリッドの行数)は2である。本実施形態では、容量性電極2006は矩形のプレート電極である。
【0135】
ワイヤレス電力伝送システム2000に対してシミュレーションを行った。本実施形態では、各容量性電極2006は330mmの長さと100mmの幅を有する。容量性電極2006の長辺同士の間のギャップは50mmである。容量性電極2006の短辺同士の間のギャップは30mmである。受電容量性電極526は330mmの長さと100mmの幅を有する。受電容量性電極同士の間のギャップは50mmである。送電共振器の容量性電極2006と受電容量性電極526との間のギャップは25mmである。
【0136】
シミュレーション中に、受電容量性電極526は、送電共振器400の二つの容量性電極2006(Tx1)と重なって整列している最初の状態から移動する。そして、受電容量性電極526は、送電共振器400の別の二つの容量性電極2006(Tx2)に向けて、送電共振器400のそれら別の二つの容量性電極2006(Tx2)と重なって整列するまで移動した。
【0137】
図20はワイヤレス電力伝送システム2000のRF効率のグラフである。ワイヤレス電力伝送システム2000のRF効率は、ワイヤレス電力伝送システム2000の送電共振器400と受電共振器510との間のワイヤレス電力伝送の効率として定義される。
図20の実線の曲線は、送電共振器400の二つの容量性電極2006(Tx1)が活性である場合を表す。
図20の破線の曲線は、送電共振器400の別の二つの容量性電極2006(Tx2)が活性である場合を表す。0mmの距離は、受電容量性電極526がTx1と重なって整列していることを示す。360mmの距離は、受電容量性電極526がTx2と重なって整列していることを示す。
【0138】
実線の垂線は、受電容量性電極526がTx2と重なり始める距離を示す。破線の垂線は、受電容量性電極526がTx1と重ならなくなる距離を示す。電場を発生させて受電共振器510に電力を伝送する容量性電極2006の対を切り替えることによって、RF効率が受電容量性電極526の移動中に90%を超えたままとなることができる。150から250mmの間の距離では、効率的なワイヤレス電力伝送がTx1又はTx2のいずれかで達成される。
【0139】
図21は、ワイヤレス電力伝送システム2000の送電共振器400の入力インピーダンスのグラフである。実線の曲線は、Tx1が電場を発生させ受電共振器510に電力を伝送し、Tx2が電場を発生させていない場合を表す。破線の曲線は、Tx2が電場を発生させ受電共振器510に電力を伝送し、Tx1が電場を発生させていない場合を表す。受電容量性電極526がTx1又はTx2と重なって完全に整列している場合、入力インピーダンスは略380Ωである。受電容量性電極526がTx1又はTx2のいずれかから離れていくと、入力インピーダンスが減少する。180mmの距離において、受電容量性電極526はTx1とTx2との間に中心があり、入力インピーダンスは120Ωである。本実施形態では、この値が閾値インピーダンスとなり得る。従って、容量性電極2006のいずれかの対が120Ω以上のインピーダンスで示されると、上述のように特定の容量性電極2006がインダクタと共振する。
【0140】
特定のワイヤレス電力伝送システム500について説明してきたが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。
図22と
図23は、他の実施形態の部分的ワイヤレス電力伝送システム(概して参照番号2300で示される)を示す。ワイヤレス電力伝送システム2300は特に断らない限りはワイヤレス電力伝送システム500と同一である。
【0141】
本実施形態では、送電共振器はグリッドパターンで存在している容量性電極2306を備え、N(グリッドの列数)は7であり、M(グリッドの行数)は2である。本実施形態では、容量性電極2306は矩形のプレート電極である。本実施形態では、送電共振器は送電パッシブ電極2320を更に備える。送電パッシブ電極2320は特に断らない限りはパッシブ電極420と同一である。受電共振器は二つの容量性電極2326を備える。受電器は受電パッシブ電極2330を更に備える。受電パッシブ電極2330は特に断らない限りは受電パッシブ電極530と同一である。
【0142】
図24は、他の実施形態の部分的ワイヤレス電力伝送システム(概して参照番号2400で示される)を示す。ワイヤレス電力伝送システム2400は特に断らない限りはワイヤレス電力伝送システム2300と同一である。
【0143】
本実施形態では、送電共振器はグリッドパターンで存在している容量性電極2406を備え、N(グリッドの列数)は1であり、M(グリッドの行数)は2である。本実施形態では、容量性電極2406は矩形のプレート電極である。本実施形態では、送電共振器は送電パッシブ電極2420を更に備える。送電パッシブ電極2420は特に断らない限りはパッシブ電極420と同一である。受電共振器は二つの容量性電極2426を備える。受電器は受電パッシブ電極2430を更に備える。受電パッシブ電極2430は特に断らない限りは受電パッシブ電極530と同一である。
【0144】
ワイヤレス電力伝送システム2300と2400に対してシミュレーションを行った。本実施形態では、送電共振器の各容量性電極2306は330mmの長さと100mmの幅を有する。送電共振器の容量性電極2306同士の長辺間のギャップは50mmである。容量性電極2306同士の短辺間のギャップは30mmである。各受電容量性電極2326は330mmの長さと100mmの幅を有する。受電容量性電極2326同士の間のギャップは50mmである。送電共振器の容量性電極2306と受電容量性電極2326との間のギャップは25mmである。送電共振器の容量性電極2306と送電パッシブ電極2320との間のギャップは25mmである。受電容量性電極2326と受電パッシブ電極2330との間のギャップは25mmである。ワイヤレス電力伝送システム2300は45ワットの電力を伝送する。
【0145】
本実施形態では、各容量性電極2406は長さ2490mmで幅100mmのものである。容量性電極2406同士の間のギャップは50mmである。各受電容量性電極2426は330mmの長さと100mmの幅を有する。受電容量性電極2426同士の間のギャップは50mmである。送電共振器の容量性電極2406と受電容量性電極2426との間のギャップは25mmである。送電共振器の容量性電極2406と送電パッシブ電極2420との間のギャップは25mmである。受電容量性電極2426と受電パッシブ電極2430との間のギャップは25mmである。ワイヤレス電力伝送システム2400は45ワットの電力を伝送する。
【0146】
シミュレーションの結果が
図25に示されている。
図25は、送電共振器から10mm離れて頭上に位置する人間の足の10グラム平均質量についてのSAR(W/kg単位)のグラフである。シミュレーション中において最初に、受電容量性電極2326は、
図22に示されるように送電共振器の容量性電極2306のうち二つと整列していた。この構成は
図25において「Segmented Tx‐Aligned」と記されている。次いで、受電容量性電極2326は、送電共振器の別の二つの容量性電極2306に向けて、受電容量性電極2326が
図23に示されるように送電共振器の二組の近接容量性電極2306の間にくるまで移動した。この構成は
図25において「Segmented Tx‐Misaligned」と記されている。ワイヤレス電力伝送システム2400は
図25において「Long Tx」と記されている。国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP,International Commission on Non‐Ionizing Radiation Protection)のRF曝露限界は
図25において「ICNIRP RF exposure limit」と記されている。
【0147】
図25に示されるように、受電容量性電極2326は送電共振器の容量性電極2306と整列している場合、ワイヤレス電力伝送システム2300のSARは、1mmから50mmの間の距離においてICNIRP RF曝露限界よりも十分に低い。同様に、受電容量性電極2326が送電共振器の容量性電極2306と重なって整列していない場合、ワイヤレス電力伝送システム2300のSARは、1mmから50mmの間の距離においてICNIRP RF曝露限界よりも依然として低い。ワイヤレス電力伝送システム2400のSARは、距離が略9mm未満である場合にはICNRP RF曝露限界未満ではない。ワイヤレス電力伝送システム2300が低いSARを生じさせて、全般的により安全なワイヤレス電力伝送システムを提供していることは明らかである。
【0148】
第一検出器308と制御器310の特定の動作について説明してきたが、種々の変更が可能であることを当業者は理解するものである。一実施形態では、制御器310は、第一検出器308から容量性電極306に示されるインピーダンスを要求する。制御器310からの要求に応答して、第一検出器308は、容量性電極306に対して示されるインピーダンスを制御器310に送信する。本願で説明されている第一検出器と制御器の他の実施形態も同様に機能し得る。本願で説明されている第二検出器の実施形態も同様に機能し得る。
【0149】
第一検出器308と制御器310の特定の動作について説明してきたが、種々の変更が可能であることを当業者は理解するものである。一実施形態では、制御器310は、第一検出器308から特定の容量性電極306に示されるインピーダンスを要求する。制御器310からの要求に応答して、第一検出器308は、特定の容量性電極306に示されているインピーダンスを制御器310に送信する。制御器310は或る期間にわたって複数のインピーダンス要求を行い得る。制御器310は、一つよりも多くの容量性電極306に示されるインピーダンスを要求し得る。本願で説明されている第一検出器と制御器の他の実施形態も同様に機能し得る。本願で説明されている第二検出器の実施形態も同様に機能し得る。
【0150】
特定の第一検出器308と408について説明してきたが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。他の実施形態では、単一の回路が電流を印加して電圧を測定するように構成される。他の実施形態では、第一検出器308と408は複数の回路を備える。他の実施形態では、第一検出器308、408は、電極306、406同士の間のインピーダンス差を検出するように構成される。他の実施形態では、第一検出器308、408は、各電極306、406において示されるインピーダンスと、電極306、406同士の間のインピーダンス差の両方を決定するように構成される。
【0151】
特定の第二検出器412について説明してきたが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。他の実施形態では、単一の回路が電流を印加して電圧を測定するように構成される。他の実施形態では、第二検出器412は複数の回路を備える。
【0152】
特定の電極について説明してきたが、当業者は他の構成も可能であることを理解するものであり、同心状、コプレーナ状、円形、楕円形、ディスク状等の電極が挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な電極構成は、2015年9月4日出願のネイバーグ等の米国特許第9979206号明細書(特許文献2)(関連箇所は参照として本願に組み込まれる)に記載されている。
【0153】
受電器510は整流器514を備えるものとして説明してきたが、他の構成も可能であることを当業者は理解するものである。他の実施形態では、受電器510は整流器を備えない。本実施形態では、負荷512は受電共振器520に電気的に接続される。
【0154】
複数の実施形態を上述して添付図面に示してきたが、添付の特許請求の範囲によって定められる範囲から逸脱せずに種々の変更や修正が可能であり、特許請求の範囲は明細書全体と矛盾しない最も広い解釈において与えられるものであることを当業者は理解するものである。
【符号の説明】
【0155】
300 送電共振器
302 送電インダクタ
304 切り替えネットワーク
306 送電容量性電極
308 第一検出器
310 制御器
320 パッシブ電極
【国際調査報告】