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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(54)【発明の名称】回分式反応器
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/18 20060101AFI20220208BHJP
   B01F 27/90 20220101ALI20220208BHJP
   B01J 19/26 20060101ALI20220208BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20220208BHJP
【FI】
B01J19/18
B01F7/18 B
B01J19/26
B01F15/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535146
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 KR2019017817
(87)【国際公開番号】W WO2020130539
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0167914
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501014658
【氏名又は名称】ハンワ ソリューションズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ウォン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンチョル・リュ
(72)【発明者】
【氏名】キド・ハン
【テーマコード(参考)】
4G037
4G075
4G078
【Fターム(参考)】
4G037AA01
4G037EA04
4G075AA03
4G075AA13
4G075BA10
4G075BD27
4G075DA18
4G075EA01
4G075EC01
4G075EC06
4G075EC11
4G075ED02
4G075ED08
4G078AA03
4G078AB05
4G078AB11
4G078BA05
4G078CA01
4G078DA01
4G078EA10
(57)【要約】
本発明の一実施形態による回分式反応器は、側壁部、底部および蓋部を含む円筒型反応器本体と、原料を供給する1つ以上の供給ノズルと、1つ以上のインペラと、前記インペラと連結され、高さ方向に沿って延びている回転軸とを含み、前記供給ノズルは、前記側壁部から前記円筒型反応器本体の内部に延びる連結管と、前記連結管の一端に位置し、原料を噴射する噴射口とを含み、前記底部から前記噴射口までの高さは、前記底部から前記1つ以上のインペラのうちの最下段に位置するインペラまでの高さと同じかまたはさらに低い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁部、底部および蓋部を含む円筒型反応器本体と、
原料を供給する1つ以上の供給ノズルと、
1つ以上のインペラと、
前記インペラと連結され、高さ方向に沿って延びている回転軸とを含み、
前記供給ノズルは、前記側壁部から前記円筒型反応器本体の内部に延びる連結管および前記連結管の一端に位置し、原料を噴射する噴射口を含み、
前記底部から前記噴射口までの高さは、前記底部から前記1つ以上のインペラのうちの最下段に位置するインペラまでの高さと同じかまたはさらに低い、回分式反応器。
【請求項2】
前記噴射口は、前記連結管が前記側壁部と連結された部分よりも下に位置するように、前記連結管が傾いている、請求項1に記載の回分式反応器。
【請求項3】
前記連結管は、前記回転軸に垂直な幅方向に対して10度~45度の角度を形成する、請求項2に記載の回分式反応器。
【請求項4】
前記供給ノズルは、前記回転軸を中心にして互いに離隔して位置する第1供給ノズルと第2供給ノズルとを含む、請求項1に記載の回分式反応器。
【請求項5】
前記底部から前記第1供給ノズルの噴射口および前記第2供給ノズルの噴射口までの高さは、前記底部から前記最下段に位置するインペラまでの高さと同じであり、
前記第1供給ノズルの噴射口と前記第2供給ノズルの噴射口との間隔は、前記最下段に位置するインペラの回転直径よりも大きい、請求項4に記載の回分式反応器。
【請求項6】
前記底部から前記第1供給ノズルの噴射口および前記第2供給ノズルの噴射口までの高さは、前記底部から前記最下段に位置するインペラまでの高さよりも低く、
前記第1供給ノズルの噴射口と前記第2供給ノズルの噴射口との間隔は、前記最下段に位置するインペラの回転直径よりも小さい、請求項4に記載の回分式反応器。
【請求項7】
前記連結管はパイプ状管であり、前記噴射口は原料を噴射する多数の気孔を含む、請求項1に記載の回分式反応器。
【請求項8】
前記インペラは、ラジアル方向インペラ(Radial type impeller)およびアキシャル方向インペラ(Axial type impeller)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の回分式反応器。
【請求項9】
前記最下段に位置するインペラは、ラジアル方向インペラ(Radial type impeller)である、請求項8に記載の回分式反応器。
【請求項10】
液体状の溶媒が前記円筒型反応器本体に入れており、
前記原料は気体状の物質を含む、請求項1に記載の回分式反応器。
【請求項11】
前記原料はホスゲン(Phosgene)を含む、請求項10に記載の回分式反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年12月21日付の韓国特許出願第10-2018-0167914号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、回分式反応器に関し、より詳しくは、インペラを備えた回分式反応器に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリチオウレタン(Polythiourethane)の原料として使用されるイソシアネート(Isocyanate)中のキシリレンジイソシアネート(Xylylene Diisocyanate)は、一般にキシリレンジアミン(Xylylenediamine)からホスゲン(phosgene、COCl)を利用した方法または非ホスゲン(non-phosgene)方法によって合成され、非常に広範囲な分野で商業的に有用に使用されている。
【0004】
キシリレンジイソシアネート(Xylylene Diisocyanate)の製造方法中のホスゲン(phosgene)を利用した方法は、ホスゲン化反応を行う段階を含み、そのため、インペラ(Impeller)を備えた回分式反応器(Batch Reactor)が用いられる。
【0005】
通常の回分式反応器は、反応物を入れる反応器本体、反応器本体の内部に設けられて反応物を攪拌させるインペラ、およびインペラを回転させる駆動モータを含む。
【0006】
一般に、回分式反応工程は、均一な生成物を生産し、生産性を高め、生成物品質の安定性を向上させることが重要である。
【0007】
特に、ホスゲン化反応などの気体と液体との間の反応システムにおいて、回分式反応器の内部に原料や還流(Reflux)を供給する供給ノズルは、原料の効果的な供給および反応領域の均一性を左右するため、回分式反応器の生産性および安定性の向上に非常に重要な役割を担当する。
【0008】
そこで、供給ノズルの種類、位置、角度などを調節して、回分式反応器内での反応速度を向上させるための研究が継続して進められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、回分式反応器内のガスホールドアップ(Gas holdup)を増加させて、反応速度が向上した回分式反応器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る回分式反応器は、側壁部、底部および蓋部を含む円筒型反応器本体と、原料を供給する1つ以上の供給ノズルと、1つ以上のインペラと、前記インペラと連結され、高さ方向に沿って延びている回転軸とを含み、前記供給ノズルは、前記側壁部から前記円筒型反応器本体の内部に延びる連結管と、前記連結管の一端に位置し、原料を噴射する噴射口とを含み、前記底部から前記噴射口までの高さは、前記底部から前記1つ以上のインペラのうちの最下段に位置するインペラまでの高さと同じかまたはさらに低い。
【0011】
前記噴射口は、前記連結管が前記側壁部と連結された部分よりも下に位置するように、前記連結管は傾いている。
【0012】
前記連結管は、前記回転軸に垂直な幅方向に対して10度~45度の角度を形成する。
【0013】
前記供給ノズルは、前記回転軸を中心にして互いに離隔して位置する第1供給ノズルと第2供給ノズルとを含む。
【0014】
前記底部から前記第1供給ノズルの噴射口および前記第2供給ノズルの噴射口までの高さは、前記底部から前記最下段に位置するインペラまでの高さと同じであり、前記第1供給ノズルの噴射口と前記第2供給ノズルの噴射口との間隔は、前記最下段に位置するインペラの回転直径よりも大きいことがある。
【0015】
前記底部から前記第1供給ノズルの噴射口および前記第2供給ノズルの噴射口までの高さは、前記底部から前記最下段に位置するインペラまでの高さよりも低く、前記第1供給ノズルの噴射口と前記第2供給ノズルの噴射口との間隔は、前記最下段に位置するインペラの回転直径よりも小さいことがある。
【0016】
前記連結管はパイプ状管であり、前記噴射口は原料を噴射する多数の気孔を有していてもよい。
【0017】
前記インペラは、ラジアル方向インペラ(Radial type impeller)およびアキシャル方向インペラ(Axial type impeller)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0018】
前記最下段に位置するインペラは、ラジアル方向インペラ(Radial type impeller)であってもよい。
【0019】
液体状の溶媒が前記円筒型反応器本体に入れており、前記原料は気体状物質を含んでもよい。
【0020】
前記原料はホスゲン(Phosgene)を含んでもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施形態によれば、反応器内部に原料などを供給する供給ノズルの位置および角度を最適化して、反応速度を高めることができる回分式反応器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による回分式反応器の概略図である。
図2】本発明の他の一実施形態による回分式反応器の概略図である。
図3】比較例による回分式反応器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の多様な実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、多様な形態で具現され、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0024】
本発明を明確に説明するために、説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似した構成要素には、同じ参照符号を付ける。
【0025】
また、図面に示された各構成のサイズおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明は、必ずしも図示されたものに限定されない。図面で、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面で、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0026】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるというとき、これは他の部分の「直上に」ある場合だけではなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上に」あるというときには、中間にまた他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上に」あるということは、基準となる部分の上または下に位置するものであり、必ず重力反対方向側に「上に」位置することを意味するのではない。
【0027】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に逆となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことを意味する。
【0028】
また、明細書全体で、「平面上」というとき、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」というとき、これは対象部分を垂直方向で切断した断面を横から見た時を意味する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態による回分式反応器の概略断面図である。
【0030】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による回分式反応器100は、円筒型反応器本体120と、原料160を供給する1つ以上の供給ノズル(140、150)と、1つ以上のインペラ(131、132、133)と、前記インペラ(131、132、133)と連結され、高さ方向(Y方向)に沿って延びている回転軸130とを含む。
【0031】
また、円筒型反応器本体120は、円筒型側壁部121、底部122および蓋部123を含む。
【0032】
また、供給ノズル(140、150)は、側壁部121から円筒型反応器本体120の内部に延びる連結管(141、151)と、連結管(141、151)の一端に位置し、原料160を噴射する噴射口(142、152)とを含む。
【0033】
連結管(141、151)はパイプ状管であり、噴射口(142、152)は、原料160を排出する開口形態であるか、または気体状の原料160を容易に噴射できるように多数の気孔を含む形態であってもよい。原料160がパイプ形態の連結管(141、151)を通じて移動し、噴射口(142、152)に形成された多数の気孔を通して噴射される形態であるため、円筒型反応器本体120内部で原料160の注入位置を自由に調節することができる。
【0034】
また、多数の気孔形態の噴射口(142、152)は、ホスゲン(Phosgene、COCl)などの気体状の原料160を溶媒に均一に供給するために有利である。
【0035】
図1には、2個の供給ノズル(140、150)を示したが、必要に応じて1つであってもよく、または2つ以上であってもよい。ただし、回分式反応器100において、区域ごとに均一な生成物を生成することが重要であり、そのために原料160を回分式反応器100の全体に均等に供給することが重要である。したがって、供給ノズル(140、150)は、回転軸130を中心にして互いに離隔して位置する第1供給ノズル140と第2供給ノズル150とを含むことが好ましい。
【0036】
一方で、底部122から噴射口(142、152)までの高さH2は、底部122から1つ以上のインペラ(131、132、133)のうちの最下段に位置するインペラ131までの高さH1と同じかまたはさらに低い。
【0037】
具体的には、図1に示すように、底部122から噴射口(142、152)までの高さH2は、底部122から最下段に位置するインペラ131までの高さH1と同じであり、第1供給ノズル140の噴射口142および第2供給ノズル150の噴射口152の間の間隔D2は、最下段に位置するインペラ131の回転直径D1よりも大きいことがある。
【0038】
したがって、供給ノズル(140、150)の噴射口(142、152)が最下段に位置するインペラ131と隣接した領域に位置するので、原料160がインペラの回転による回転流動の影響が大きく及ぼす領域に噴射される。これは、ガスホールドアップ(Gas holdup)の上昇につながり、反応器内での反応速度が上昇する。結論的に、均一な生成物をより短時間で生産して、生産性を高め、生成物品質の安定性を向上させる回分式反応器100の実現が可能となる。
【0039】
特に、キシリレンジイソシアネートの製造のために、ホスゲンを原料として反応器内部に供給しなければならないが、ホスゲンなどの密度が低い気体状の物質を供給する場合、インペラ(131、132、133)の中でも最下段に位置するインペラ131と隣接した領域に供給されることが好ましい。ホスゲンなどの物質は液体状の溶媒110中で浮び上がるので、円筒型反応器本体120の下端部から供給することにより回分式反応器100全体に効果的に供給され、反応物の重合反応を区域ごとに均一に維持できる。したがって、供給ノズル(140、150)の噴射口(142、152)が1つ以上のインペラ(131、132、133)のうちの最下段に位置するインペラ131と隣接した領域に位置することが好ましい。
【0040】
図1を再び参照すると、噴射口(142、152)が連結管(141、151)が側壁部121と連結された部分よりも下に位置するように連結管(141、151)が傾いた形態であってもよい。
【0041】
また、連結管(141、151)は、回転軸130と垂直な幅方向(X方向)に対して10度~45度の角度を形成するように傾いている。連結管(141、151)は、円筒型反応器本体120から一定の高さ以上で設置されるのが一般的である。この時、連結管(141、151)に角度を付与することによって、噴射口(142、152)を円筒型反応器本体120の下段に位置させられ、噴射口(142、152)間の間隔も近く維持できる。したがって、気体状の原料160が反応器100の下段に長く留まって溶媒110と接触する確率を高めることができ、気体状の原料160が反応器100の上段に浮遊するか、または流出することを防止することができる。
【0042】
図2は、本発明の他の一実施形態による回分式反応器の概略断面図である。
【0043】
図2を参照すると、本発明の他の一実施形態による回分式反応器200は、供給ノズル(240、250)の注入位置を除けば、図1の回分式反応器100と相互に同一のまたは類似した構成を有する。すなわち、回分式反応器200は、側壁部221、底部222および蓋部223を含む円筒型反応器本体220と、1つ以上のインペラ(231、232、233)およびインペラ(231、232、233)と連結され、高さ方向(Y方向)に沿って延びている回転軸230とを含む。円筒型反応器本体220の内部には溶媒210が入っている。
【0044】
回転軸230を中心にして互いに離隔して位置する第1供給ノズル240および第2供給ノズル250それぞれも連結管(241、251)および噴射口(242、252)を含むが、図1の供給ノズル(140、150)とは注入位置に差異がある。
【0045】
底部222から第1供給ノズル240の噴射口242および第2供給ノズル250の噴射口252までの高さH4は、底部222から最下段に位置するインペラ231までの高さH3よりも低い。
【0046】
また、第1供給ノズル240の噴射口242および第2供給ノズル250の噴射口252の間の間隔D4は、最下段に位置するインペラ231の回転直径D3よりも小さいことがある。
【0047】
すなわち、噴射口(242、252)が最下段のインペラ231より下に位置し、噴射口(242、252)間の距離がインペラ、特に最下段に位置するインペラ231の回転流動領域と平面上から見た時、重なっている。
【0048】
したがって、噴射口(242、252)から噴射された気体状の原料260が直ちに最下段に位置するインペラ231の回転流動領域に供給され、これにより、ガスホールドアップがさらに上昇し、反応器内での反応速度もさらに上昇する。また、反応器200の下部の気相濃度の保持が可能であり、反応に参加するホスゲンなどの原料260の量を増加させる。結論的に、均一な生成物をより短時間で生産して、生産性を高め、生成物品質の安定性を向上させる回分式反応器200の実現が可能となる。
【0049】
図1および図2を再び参照すると、1つ以上のインペラ(131、132、133、231、232、233)は、ラジアル方向インペラ(Radial type impeller)およびアキシャル方向インペラ(Axial type impeller)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0050】
その中で、最下段に位置するインペラ(131、231)は、気体状の原料(160、260)を排出する噴射口(142、152、242、252)と隣接するので、最初に流入した気体状の原料(160、260)を破砕および分散させることが重要である。したがって、気体状の原料(160、260)を効果的に分散させるか、または微粒の気体状に破砕するために最下段に位置するインペラ(131、231)は、ラジアル方向インペラ(Radial type impeller)であることが好ましい。ラジアル方向インペラ(Radial type impeller)は、回転軸(130、230)と垂直なラジアル方向の流動を生成できるインペラであるため、気体状の原料(160、260)を効果的に破砕および分散させる。図1および図2において、最下段に位置するインペラ(131、231)は、板状の攪拌翼が回転軸(130、230)と平行に整列したラジアル方向インペラ(Radial type impeller)が示されているが、ラジアル方向の流動を生成できるならば形態は限定されない。
【0051】
最下段のインペラ(131、231)より上部に位置するインペラ(132、133、232、233)は、アキシャル方向インペラ(Axial type impeller)であることが好ましい。アキシャル方向インペラ(Axial type impeller)は、回転軸(130、230)と平行な縦方向の流動を生成できるインペラであって、最下段に位置するインペラ(131、231)によって分散した後、円筒型反応器本体(120、220)の内壁に沿って上昇した気体状の原料(160、260)を縦方向の流動により反応器(100、200)全体に均一に供給できるためである。すなわち、アキシャル方向インペラ(Axial type impeller)は、均一なスラリー攪拌のために反応器(100、200)の上部に位置することが好ましい。図1および図2において、最下段のインペラ(131、231)より上部に位置するインペラ(132、133、232、233)は、縦方向の流動のために板状の攪拌翼が傾いた形状のラジアル方向インペラ(Radial type impeller)が示されているが、縦方向の流動を生成できるならば形態は限定されない。
【0052】
また、1つ以上の複数のインペラ(131、132、133、231、232、233)を構成することによって、回分式反応器(100、200)内の反応物の効果的な攪拌が可能であり、反応物の流動を区域ごとに均一に維持できる。したがって、究極的に均一な生成物を生産して生産性を高めることができ、生成物品質の安定性を向上させることができる。
【0053】
また、図示していないが、回分式反応器(100、200)は、円筒型反応器本体(120、220)と1つ以上のインペラ(131、132、133、231、232、233)の間に位置するバッフル(Baffle)をさらに含む。バッフル(図示せず)は、インペラ(131、132、133、231、232、233)の回転による反応物の円周方向への流れを上下方向に変えて反応物の混合を良好にし、反応物とバッフル(図示せず)の管内部に流れる流体との熱交換により反応物の温度を一定に維持させるためであり、その形態は限定されず、板型、二重管またはコイルタイプであり、板型が最も好ましい。
【0054】
一方、上述した供給ノズル(140、150、240、250)の原料(160、260)の供給位置、角度およびインペラ(131、132、133、231、232、233)の種類などはホスゲンなどの気体状の原料(160、260)を液体状の溶媒(110、210)に供給する時、反応速度を上昇させるために最適化されている。したがって、本発明の実施形態による回分式反応器(100、200)は、気体状と液体状の間の反応に使用されることが好ましく、ホスゲンを原料として供給してキシリレンジイソシアネートを製造する工程に使用されることがさらに好ましい。
【0055】
図3は、比較例による回分式反応器の概略断面図である。
【0056】
図3を参照すると、比較例による回分式反応器300は、供給ノズル(340、350)およびインペラ(331、332、333)の種類を除けば、図1の回分式反応器100と相互に同一のまたは類似した構成を有する。すなわち、回分式反応器300は、側壁部321、底部322および蓋部323を含む円筒型反応器本体320と、インペラ(331、332、333)と連結され、高さ方向(Y方向)に沿って延びている回転軸330とを含む。円筒型反応器本体320の内部には溶媒310が入っている。
【0057】
インペラ(331、332、333)は、回転軸330の高さ方向(Y方向)に上昇し、曲がる形態の曲線型インペラである。
【0058】
また、供給ノズル(340、350)は、連結管(341、351)および噴射口(342、352)を含むが、連結管(341、351)は傾けず、高さ方向(Y方向)に平行に延びており、噴射口(342、352)は、最下段に位置するインペラ331と相当距離ほど離隔して位置する。
【0059】
実施例1
図1と同じ回分式反応器100に、オルトジクロロベンゼン(ortho-dichlorobenzene)溶媒を入れて、供給ノズル(140、150)を通じてホスゲン(phosgene、COCl)原料を供給しながら、ホスゲン化反応を行い、キシリレンジイソシアネートを製造した。インペラ(131、132、133)の攪拌速度は150rpmに維持した。
【0060】
実施例2
図2と同じ回分式反応器200に、オルトジクロロベンゼン(ortho-dichlorobenzene)溶媒を入れて、供給ノズル(240、250)を通じてホスゲン(phosgene、COCl)原料を供給しながら、ホスゲン化反応を行い、キシリレンジイソシアネートを製造した。インペラ(231、232、233)の攪拌速度は150rpmに維持した。
【0061】
比較例1
図3と同じ回分式反応器300に、オルトジクロロベンゼン(ortho-dichlorobenzene)溶媒を入れて、供給ノズル(340、350)を通じてホスゲン(phosgene、COCl)原料を供給しながら、ホスゲン化反応を行い、キシリレンジイソシアネートを製造した。インペラ(331、332、333)の攪拌速度は100rpmに維持した。
【0062】
実験例1
実施例1、実施例2および比較例1のガスホールドアップを測定した。実施例1は9.37%、実施例2は10.7%のガスホールドアップを示した反面、比較例1は6.21%で、実施例1および実施例2に比べて低い値を示した。すなわち、実施例1および実施例2の場合、比較例1の場合に比べて反応速度が上昇したことを確認することができた。
【0063】
また、供給ノズルが最下段のインペラの下段に位置する実施例2の場合、供給ノズルが最下段のインペラの側面に位置する実施例1の場合よりもさらに高いガスホールドアップを有することを確認することができた。供給ノズルが最下段のインペラの下段に位置することによって、下部の気相濃度の保持が可能であり、反応に参加するホスゲン原料の量を増加させることができるからである。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0065】
100、200:回分式反応器
140、150、240、250:供給ノズル
141、151、241、251:連結管
142、152、242、252:噴射口
図1
図2
図3
【国際調査報告】