IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポスコの特許一覧 ▶ コーニング インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-514877表面品質に優れた薄板ガラス接合プリント鋼板及びこの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(54)【発明の名称】表面品質に優れた薄板ガラス接合プリント鋼板及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/04 20060101AFI20220208BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
B32B15/04 B
B32B15/08 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535729
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 KR2019017990
(87)【国際公開番号】W WO2020130621
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0165622
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0129600
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ジョン-ファン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、 ジェ-ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジン-テ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジュン-ス
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ブム-グク
(72)【発明者】
【氏名】パク、 テ-ヒョ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ミュン-ス
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB02A
4F100AB03A
4F100AG00C
4F100AH102
4F100AH10B
4F100AK25B
4F100AK41B
4F100AK41J
4F100AK51B
4F100AK51J
4F100AL07B
4F100AT00
4F100CA022
4F100CA02B
4F100CA02H
4F100CB04B
4F100EC012
4F100EJ082
4F100EJ172
4F100EJ192
4F100EJ542
4F100GB08
4F100GB48
4F100GB81
4F100HB311
4F100HB312
4F100HB371
4F100HB372
4F100JK12
4F100JL06
4F100JN21
4F100JN28
(57)【要約】
本発明は、金属板、及び上記金属板の表面に300dpi以上の高解像度のデザインやパターンが印刷された印刷層を含むプリント鋼板;上記プリント鋼板上に紫外線硬化型接着溶液が硬化して形成され、厚さが10~100μmである透明な接着層;及び上記接着層によって付着したフレキシブル(flexible)薄板ガラス;を含み、分光光度計を用いた色濃度評価(Dmax Comparison)の基準値が1.6超過である薄板ガラス接合プリント鋼板を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板、及び前記金属板の表面にデザインやパターンが印刷された印刷層を含むプリント鋼板;
前記プリント鋼板上に紫外線硬化型接着溶液が硬化して形成され、厚さが10~100μmである透明な接着層;及び
前記接着層によって付着したフレキシブル(flexible)薄板ガラス;を含み、
分光光度計を用いた色濃度評価(Dmax Comparison)の基準値が1.6超過である、薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項2】
前記フレキシブル薄板ガラスの厚さは0.1~2mmである、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項3】
前記薄板ガラス接合プリント鋼板の光沢度が60度光沢計を基準として85%以上である、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項4】
前記薄板ガラス接合プリント鋼板の写像性が写像性測定器を基準としてSW 30以下、LW 10以下である、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項5】
分光光度計を用いた光学特性評価を実施したとき、
白色点評価(White Point Comparison)のL値が75超過であり、
色域体積(Gamut Volume)に対して最大彩度(Saturation=1)基準でHSL(H:Hue、S:Saturation、L:Lightness)値を評価(HSL Comparison)するときには、基準値が440,000超過であり、色域体積の絶対値基準で評価(Cubic Volume Comparison)するときには、基準値が200,000超過である、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項6】
前記フレキシブル薄板ガラスは、無アルカリボロシリケートガラス、ソーダライムガラスまたは強化ガラスである、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項7】
前記プリント鋼板は、金属板と印刷層との間にベースカラー層及びプライマー層のうち少なくとも1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項8】
前記金属板と前記プライマー層との間に前処理層をさらに含む、請求項7に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項9】
前記プリント鋼板は、インクジェットプリント鋼板である、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項10】
前記印刷層に印刷されたデザインやパターンの解像度が300dpi以上である、請求項1に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板。
【請求項11】
薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法であって、
金属板及び前記金属板の表面にデザインやパターンが印刷された印刷層を含むプリント鋼板を用意する段階;
用意されたプリント鋼板の表面に紫外線硬化型接着溶液を塗布して接着層を形成する段階;
前記紫外線硬化型接着溶液が塗布されたプリント鋼板にフレキシブル(flexible)薄板ガラスを付着する段階;
付着した前記フレキシブル薄板ガラスに対して圧力を加える段階;及び
紫外線を照射して前記紫外線硬化型接着溶液を硬化させる段階;
を含む、薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法。
【請求項12】
前記フレキシブル薄板ガラスの厚さは0.1~2mmである、請求項11に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法。
【請求項13】
前記圧力は2~10kgfである、請求項11に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法。
【請求項14】
前記紫外線硬化型接着溶液の硬化後接着層の厚さが10~100μmである、請求項11に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法。
【請求項15】
前記紫外線硬化型接着溶液は、6官能基以上のポリエステルアクリレートオリゴマー、2官能基のウレタンアクリレートオリゴマー、1種以上の光硬化型モノマー及び光開始剤を含む、請求項11に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法。
【請求項16】
前記印刷層に印刷されたデザインやパターンの解像度が300dpi以上である、請求項11に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法。
【請求項17】
プリント鋼板上に紫外線硬化型接着溶液をコーティングするコーティング手段;
前記コーティング手段の後端に設けられ、接着溶液上にフレキシブル薄板ガラスを付着するガラス付着手段;
前記ガラス付着手段と連結し、フレキシブル薄板ガラスを圧着させて接着手段とフレキシブル薄板ガラスを密着させる圧着手段;及び
前記圧着手段の後端に設けられ、紫外線を照射して前記紫外線硬化型接着溶液を硬化させて塗膜を形成する硬化手段;
を含む、薄板ガラス接合プリント鋼板の製造システム。
【請求項18】
減圧により枠部分の微細気泡を除去する減圧手段をさらに含む、請求項17に記載の薄板ガラス接合プリント鋼板の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高解像度の様々なデザインのパターン、イメージ、柄などが印刷されたインクジェットプリント金属鋼板に透明かつ柔軟な薄板ガラスを接合した薄板ガラス接合プリント鋼板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、柄が印刷された表面処理鋼板は、建築外装、家電外装などに用いられ、様々なクリア塗装を介して光沢を調節して用いられている。このようなプリント鋼板は、表面に様々なイメージ及び形状をデザインして所望の製品の審美的な効果や建物のインテリア効果を増大させるために用いられる。
【0003】
生活の質が徐々に高まることに伴い、消費者が家電製品や建材資材などを購入するとき、製品の機能だけでなく、製品の外観品質やデザインも製品を選択する上で重要な要因となっている。このような消費者のニーズに合わせて、最近では、1つの色で塗装されたカラー鋼板やインクを用いて様々な柄を実現することで、美麗な外観とともに質感を付与するプリント鋼板が注目されている。このように表面外観の視覚的な機能に優れたカラー鋼板及びプリント鋼板は、個性化及び高級化に合わせて防火扉、エレベーター内装用、高級建築物、室内インテリア、家電製品、キッチン、及び家具などに広く適用されている。特にプリント鋼板は、消費者が要求する様々なデザインを適用することができ、高解像度でありながら高品質のデザインを表現することができるため、その需要が徐々に増えている傾向にある。
【0004】
従来、鋼板に柄が入っているプリント鋼板は、最終的にデザイン印刷層上に透明塗装層を塗布して印刷柄の損傷を防止し、このような透明塗装層を介して印刷柄層がさらに目立つようにしている。しかし、現在のシート方式のシートに対するクリア塗装方式では、シルクスクリーンを利用するか、カーテンコーティングなどを利用して、高光沢を一部実現するが、透明塗装層の塗膜厚さが50~100μm程度と比較的厚く、熱硬化方式による溶媒揮発により表面に粗さが発生して美麗な表面実現が難しい。また、表面平滑度及び自然平坦化のために、長い硬化時間がかかって生産性も劣り、火災などにも非常に脆弱である。特に顧客が要求するガラス面のような高光沢、高硬度、高写像性の表面特性を示すことに限界があり、表面が粗くて高写像性が実現できておらず、高い表面硬度、高光沢などの美麗な表面品質を実現できていない実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来問題点を解消するために提案されたものであって、高硬度、高光沢、高写像性に優れた表面品質を有する薄板ガラス接合プリント鋼板及びその製造方法を提供する。
【0006】
本発明の課題は、上述した内容に限定されない。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の明細書の全体的な事項から、本発明のさらなる課題を理解するのに何ら困難がない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、金属板、及び上記金属板の表面にデザインやパターンが印刷された印刷層を含むプリント鋼板;上記プリント鋼板上に紫外線硬化型接着溶液が硬化して形成され、厚さが10~100μmである透明な接着層;及び上記接着層によって付着したフレキシブル(flexible)薄板ガラス;を含み、分光光度計を用いた色濃度評価(Dmax Comparison)の基準値が1.6超過である薄板ガラス接合プリント鋼板である。
【0008】
上記薄板ガラスの厚さは0.1~2mmであることができる。
【0009】
上記薄板ガラス接合プリント鋼板の光沢度が60度光沢計を基準として85%以上であることができる。
【0010】
上記薄板ガラス接合プリント鋼板の写像性が写像性測定器を基準としてSW 30以下、LW 10以下であることができる。
【0011】
上記薄板ガラス接合プリント鋼板に対して分光光度計を用いた光学特性評価を実施したとき、白色点評価(White Point Comparison)のL値が75超過であり、色域体積(Gamut Volume)に対する最大彩度(Saturation=1)基準でHSL(H:Hue、S:Saturation、L:Lightness)値を評価(HSL Comparison)するときには、基準値が440,000超過であり、色域体積の絶対値基準で評価(Cubic Volume Comparison)するときには、基準値が200,000超過であることができる。
【0012】
上記薄板ガラスは、無アルカリボロシリケートガラス、ソーダライムガラスまたは強化ガラスであることができる。
【0013】
上記プリント鋼板は、金属板と印刷層との間にベースカラー層及びプライマー層のうち少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0014】
上記金属板と上記プライマー層との間に前処理層をさらに含むことができる。
【0015】
上記プリント鋼板は、インクジェットプリント鋼板であることができる。
【0016】
上記プリント鋼板の印刷されたデザインやパターンの解像度が300dpi以上であることができる。
【0017】
本発明の他の一側面は、金属板及び上記金属板の表面にデザインやパターンが印刷された印刷層を含むプリント鋼板を用意する段階;用意されたプリント鋼板の表面に紫外線硬化型接着溶液を塗布して接着層を形成する段階;上記紫外線硬化型接着溶液が塗布されたプリント鋼板にフレキシブル(flexible)薄板ガラスを付着する段階;付着した上記フレキシブル薄板ガラスに対して圧力を加える段階;紫外線を照射して上記紫外線硬化型接着溶液を硬化させる段階;を含む薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法である。
【0018】
上記薄板ガラスの厚さは、0.1~2mmであることができる。
【0019】
上記圧力を加える段階での上記圧力は、2~10kgfであることができる。
【0020】
上記紫外線硬化型接着溶液の硬化後接着層の厚さが10~100μmであることができる。
【0021】
上記紫外線硬化型接着溶液は、6官能基以上のポリエステルアクリレートオリゴマー、2官能基のウレタンアクリレートオリゴマー、1種以上の光硬化型モノマー及び光開始剤を含むことができる。
【0022】
上記印刷層に印刷されたデザインやパターンの解像度が300dpi以上であることができる。
【0023】
本発明の他の一側面は、プリント鋼板上に紫外線硬化型接着溶液をコーティングするコーティング手段;上記コーティング手段の後端に設けられ、接着溶液上に薄板ガラスを付着するガラス付着手段;上記ガラス付着手段と連結し、ガラスフィルムを圧着させて接着手段とガラスフィルムを密着させる圧着手段;及び上記圧着手段の後端に設けられ、紫外線を照射して紫外線硬化型接着溶液を硬化させて塗膜を形成する硬化手段;を含む薄板ガラス接合プリント鋼板の製造システムである。
【0024】
上記薄板ガラス接合プリント鋼板の製造システムは、減圧により枠部分の微細気泡を除去する減圧手段をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、プリント鋼板上に小さな粗さを有する薄板ガラスを接合することにより、プリント鋼板の様々なイメージを高い鮮明度で実現することができ、印刷層を保護することができるだけでなく、変色、脱落などを防止することができる高硬度、高光沢、高写像性に優れた表面品質及び良好な光学特性を有する薄板ガラス接合プリント鋼板を提供することができるという効果がある。
【0026】
本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一側面による薄板ガラス接合プリント鋼板の構造を示したものである。
図2】本発明の一側面による薄板ガラス接合プリント鋼板の様々な変形例を示したものである。(a)~(c)は、金属板と印刷層との間にベースカラー層及び/またはプライマー層が形成された変形例であり、(d)は、金属板と印刷層との間にベースカラー層、プライマー層及び前処理層がすべて形成された変形例を示したものである。
図3】インクジェットプリント鋼板の表面状態を観察した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図4】接着層の様々な実施形態を示した図である。(a)は、フィルム接着剤を用いた場合であり、(b)は、熱硬化型接着剤を用いた場合であり、(c)は、本発明によって紫外線硬化型接着溶液を用いた場合である。
図5】本発明の他の一側面による薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法を図式化して示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0029】
[薄板ガラス接合プリント鋼板]
図1には、本発明の一側面による薄板ガラス接合プリント鋼板の構造が概略的に示されている。図1を参照して説明すると、本発明の一側面による薄板ガラス接合プリント鋼板は、金属板11及び上記金属板の表面にデザインやパターンが印刷された印刷層12を含むプリント鋼板1;上記プリント鋼板1上に紫外線硬化型接着溶液が硬化して形成され、厚さが10~100μmである透明な接着層2;及び上記接着層2によって付着するフレキシブル(flexible)薄板ガラス3を含む。
【0030】
プリント鋼板
本発明の一側面による薄板ガラス接合プリント鋼板のプリント鋼板1は、特に制限されず、現在製造されているか、市販されているプリント鋼板であれば、本発明に好ましく適用することができる。また、上記プリント鋼板1は、金属板11及び上記金属板の表面にデザインやパターンが印刷された印刷層12を含むことができる。これに限定されるものではないが、一実施形態として上記デザインやパターンの解像度は、300dpi以上の高解像度であることができる。
【0031】
非限定的な一実施形態として、上記プリント鋼板1は、インクジェットプリント鋼板であることができる。インクジェットプリンティングを介してデザインまたはパターンを印刷する場合、300dpi以上の高解像度のフルカラー(full color)の印刷が容易であり、微細な明暗差、派手な彩度、及び現実感のある色味の実現が可能である。また、本発明によりインクジェットプリント鋼板上に薄板ガラス3を接する場合、実際の自然素材に類似した表面外観の実現が可能であり、美麗な装飾素材を得ることができるという利点がある。
【0032】
非限定的な一変形例として、上記プリント鋼板1は、上記金属板11と印刷層12との間にベース(Base)カラー層4及び/またはプライマー層5を含むことができる。図2(a)~(c)には、上記変形例による薄板ガラス接合プリント鋼板の構造が示されている。上記ベースカラー層4は、プリント鋼板1のベースカラーを表現する役割を果たし、その厚さは5~30μmであることができる。また、印刷層12との密着のために、ベースカラー層4にプラズマ処理を行うことができる。一方、プライマー層5は、金属板11とベースカラー層4との間、または金属板11と印刷層12との間の密着を増進させる役割を果たし、その厚さは1~10μmであることができる。
【0033】
また、非限定的な別の一変形例として、上記金属板11と上記プライマー層5との間には、前処理層6がさらに含まれることができる。図2(d)には、前処理層6がさらに含まれた変形例の構造が示されている。上記前処理層6は、金属板11の基本的な耐食性を向上させ、金属板11とプライマー層5の密着を向上させる役割を果たし、その厚さは0.1~2μmであることができる。
【0034】
接着層
一方、上記プリント鋼板1の印刷層12上には、薄板ガラス3との接合のための透明な接着層2が形成されることができ、上記接着層2は、上記プリント鋼板1に紫外線硬化型接着溶液を塗布した後、硬化させて形成することができる。
【0035】
まず、上記接着層2は、紫外線硬化型接着溶液で形成されることが好ましい。従来技術では、一般的に、建築素材にガラスを接合するとき、フィルム接着剤または熱硬化型接着剤を用いていた。しかし、図3に示したように、プリント鋼板1、特にインクジェットプリント鋼板は、数~数十μmの表面粗さを有するため、プリント鋼板1にフィルム接着剤または熱硬化型接着剤を使用すると、美麗な表面写像性及び平坦度を得ることができない。図4を参照して、より詳細に説明すると、図4(a)のフィルム接着剤の場合、インク滴による特定表面粗さがそのまま接着フィルムとガラスに転移されて屈曲が発生することがあり、これにより、表面平坦度の不良が発生するようになる。また、図4(b)の熱硬化型接着剤の場合、通常、接着塗料内に溶媒(solvent)が含まれるが、図4(b)の右側の写真(赤い丸参照)に示したように、硬化熱処理時にこのような溶媒が気化して抜け出せず接着塗膜内に残存して気泡が発生するおそれがあるという問題がある。したがって、プリント鋼板の表面粗さをガラスに転移させないか、または気泡の発生を最小限に抑えるためには、固相のフィルム接着剤よりは液相の接着剤が適合し、熱硬化型接着剤よりも紫外線硬化型接着溶液を使用するとき、より良好な表面品質特性を得ることができる。
【0036】
上記接着層2は、プリント鋼板のイメージがそのまま透過して表示される必要があるため、優れた透明特性を有することが好ましい。詳細には、上記接着層2は、透過率が550nm波長帯で約85%以上の高い透過率を有することが好ましく、また、黄変度(Yellowness Index)が2以下であることが好ましい。
【0037】
一方、上記接着層2は、10~100μmの厚さで形成されることが好ましい。上記接着層2の厚さが10μm未満であると、インクジェット印刷面(印刷層)の粗さを相殺させることができず、表面品質、すなわち、写像性の問題が生じることがある。これに対し、上記接着層2の厚さが100μmを超えると、接着層2の厚さが過度に厚くなり、色実現の性能や硬化効率の問題が生じることがあり、また、比較的多量の接着溶液が用いられて製造費用上昇の問題が生じることがある。
【0038】
フレキシブル(flexible)薄板ガラス
透明な接着層2上に厚さ0.1~2mmのフレキシブル(flexible)薄板ガラス3が接合されることができる。上記薄板ガラス3の材料は、特に制限されないが、非限定的な一実施形態として無アルカリボロシリケートガラス、ソーダライムガラスまたは強化ガラスを好ましく適用することができる。
【0039】
上記薄板ガラス3は、自在に曲がる必要があり(flexible)、厚さが0.1~2mmと薄いもの(薄板)が好ましい。自在に曲がる可撓性(flexible)の薄板ガラス3は、従来の厚い板ガラスとは異なってプリント鋼板に接合(laminating)が可能であり、軽いだけでなく、光透過性に優れるという利点がある。また、その柔軟な特性によりガラス付着後にもラウンド加工が可能であるという特徴が得られる。一方、薄板ガラス3の厚さが0.1mm未満の場合、ハンドリングが難しく、ガラス接着時に表面の屈曲や外力によって平坦度が低下するという問題が生じることがある。これに対し、薄板ガラス3の厚さが2mmを超えると、厚みのせいで圧力がしっかり伝達されないか、重量も重くなって経済的に適合しない。
【0040】
特に、本発明に適用される薄板ガラス3は、可視光線の波長帯の領域はもちろん、それ以下の波長帯の領域の紫外線及び放射線が透過する必要がある。本発明では、接着層2を介して金属板と薄板ガラスを接合し、紫外線または放射線硬化機に通過させて上記接着層2を硬化させる。
【0041】
上述した構成を備える本発明に係る薄板ガラス接合プリント鋼板は、光沢度が60度光沢計を基準として85%以上であり、また、写像性が写像性測定器を基準としてSW 30以下、LW 10以下である。また、表面硬度が鉛筆硬度を基準として9H以上であることができる。
【0042】
一方、分光光度計(Spectrophotometer)を利用して、376.76~730nmの領域の光を測定して評価した光学特性であって、白色点評価(White Point Comparison)時のL値(Lightness、白色の明るさ)が75以上であることができ、色域体積評価(Gamut Volume、HSL Comparison)時、最大彩度(Saturation=1)基準でHSL(H:Hue、S:Saturation、L:Lightness)値を評価するとき、その基準値が440,000超過であることができ、色濃度評価(Dmax Comparison)時の基準値が1.6超過であることができ、色域体積の絶対値(Gamut Volume、Cubic Volume Comparison)時の基準値が200,000超過であることができる。特に、本発明は、色濃度を評価する際の基準値が1.6超過を満たすため、薄板ガラス及び接着層が形成されているにも関わらず、プリント鋼板の高解像度のイメージが実写レベルで実現できることを特徴とする。
【0043】
具体的に、上記光学特性の評価は、次の条件によって実施することができる。これに限定されるものではないが、下記条件に応じて光学特性評価が実施されたとき、上記基準を満たす場合に本発明の範囲を満たすと判断することができる。
【0044】
光学特性評価のための設備は、3 x X-rite i1Pro 2 Spectrophotometerが用いられ、具体的には、D50M2 uv compensation mode(2 degree Standard Observer by CIE 1931)、spectral spacing(3.3nm)、spectral bands(107)、spectral start(376.67nm)、spectral end(730nm)の条件下で測定された。また、測定ソフトウェアとして、ArgyllCMS 2.0.1が用いられ、具体的には、single channel step(8)、gray axis step(32)、sampling color patches(882)の条件で測定した。分析のためのソフトウェアとして、GamutVision、Color ThinkPro、Raw data Direct Analysisを用いて、白色点、色域体積、色濃度、及び色域体積の絶対値を評価した。
【0045】
本発明の一側面による薄板ガラス接合プリント鋼板は、高解像度のプリント鋼板1上に薄板ガラス3が接合されているため、ガラス特性による高硬度、高写像性、耐汚染性、及び耐化学性の実現が可能であり、薄い薄板ガラスを用いることにより、界面接着性が良好であるとともに優れた色味を実現することができる。
【0046】
以下、本発明の他の一側面による薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法について詳細に説明する。
【0047】
[薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法]
本発明の他の一側面による薄板ガラス接合プリント鋼板の製造方法は、プリント鋼板1を用意する段階;用意されたプリント鋼板1の表面に紫外線硬化型接着溶液を塗布して接着層12を形成する段階;上記紫外線硬化型接着溶液が塗布されたプリント鋼板に薄板ガラス3を付着する段階;付着した上記薄板ガラスに対して圧力を加え、上記紫外線硬化型接着溶液と上記薄板ガラス3との間に形成された気泡を除去する段階;及び紫外線を照射して上記紫外線硬化型接着溶液を硬化させる段階を含む。
【0048】
プリント鋼板の用意及び接着層形成段階
まず、金属板11及び高解像度の様々なデザインが印刷されたプリント鋼板1を用意し、上記プリント鋼板1上に透明な紫外線硬化型接着溶液を塗布する。上記紫外線硬化型接着溶液を塗布する方法は、別のロールコーターやスロットナイフなどの塗布装置を用いて塗布するか、作業者が筆またはスプレーガンなどの装備を用いて手動で塗布することもできる。但し、これに限定されるものではなく、上記プリント鋼板に接着溶液を全体的に均一に塗布することができる手段であれば、従来の公知手段のいずれも使用することができる。
【0049】
上記紫外線硬化型接着溶液は、紫外線によって硬化され、接着力を有する接着剤であれば、本発明に好ましく適用することができる。また、放射線によって硬化される接着溶液を用いることもできる。非限定的な一実施形態として、上記紫外線硬化型接着溶液は、6官能基以上のポリエステルアクリレートオリゴマー、2官能基のウレタンアクリレートオリゴマー、1種以上の光硬化型モノマー、光開始剤、及びその他の添加剤を含むことができる。上記光硬化型モノマーの例示としてTMPTA、THFA、PETA、IBOAが挙げられ、上記光開始剤の例示として2-Hydroxy-2-methyl-1-phenyl-propane、oxy-phenyl-acetic acid 2-[2oxo-2phenyl-acetoxy-ethoxy]-ethyl esterが挙げられる。また、上記その他の添加剤として、Phosphoric acid acrylate(acid value 250)、polyether siloxane compound、Fluoroalkyl compoundが含まれることができる。
【0050】
上記紫外線硬化型接着溶液は、プリント鋼板1の全面積に均一に塗布する必要がある。このため、プリント鋼板の全面積に一定厚さで塗布することが好ましく、一定間隔をおいて一定量の接着溶液を塗布することがより好ましい。一定間隔をおいて塗布する場合、この後、薄板ガラス3を付着して圧着する段階を介して圧力により上記接着溶液がプリント鋼板の全面積に均一に拡散して分散し、接着溶液の無駄を最小限に抑えることができる。
【0051】
また、上記紫外線硬化型接着溶液を塗布するとき、上記プリント鋼板1を支持することができるロールまたはベッドが構成されていることが好ましい。コイル状の鋼板の場合、ゴムまたは金属からなるロールが備えられていることが好ましく、シート材の場合、プラスチック、金属、または木材の材質からなるベッドが備えられてシート材の全面を支持する構造からなることが好ましい。このようなロールまたはベッド上で紫外線硬化型接着溶液を塗布する場合、より容易に均一に塗布することができる。
【0052】
薄板ガラス付着及び圧力を加える段階
プリント鋼板1上に紫外線硬化型接着溶液を塗布した後、その上に0.1~2mmの厚さのフレキシブル(flexible)薄板ガラス3を付着する。そして、薄板ガラス3を付着した後、上記薄板ガラス3に対して2~10kgfの圧力を加えて圧着する。薄板ガラス3に対して適切な圧力を加えることで接着層2の厚さを適切に調節することができ、また、紫外線硬化型接着溶液及び薄板ガラス3に形成された気泡を容易に除去することができる。
【0053】
薄板ガラス3に加える圧力が2kgf未満の場合、圧力低下により接着界面に残存する気泡がトラップされるか、圧力が全体的に伝達されず、薄板ガラスと接着層との間に未付着部が発生する不良が生じることがある。これに対し、圧力が10kgfを超える場合、高い圧力により接着層2の厚さが減って、印刷層の粗度面のまま接着されて写像性不良が生じることがあり、接着溶液が外に抜け出て装置を汚染させることがある。したがって、上記圧力は2~10kgfに制御することが好ましい。
【0054】
圧力を加える方法は従来、通常的に用いられるガラス圧着方法であれば、本発明に制限なく適用することができる。非限定的な一実施形態として、プリント鋼板1の上下面に位置する合紙ロール(圧着ロール)を利用して圧力を加えるロールプレス方法によって圧着することができる。また、非限定的な一実施形態として、薄板ガラス付着及び圧力を加える段階で用いられる付着機構及び圧着機構は、プリント鋼板1の上下面に位置するように備えられた合紙ロールを含むロールプレスと、上記ロールプレスの上側に備えられた薄板ガラス引出機構;及び上記薄板ガラス3と接着層2が形成されたプリント鋼板1との間に備えられて、上記薄板ガラス3を平らな状態に維持させるように支持する部材を含むことができる。
【0055】
上記合紙ロールは、ゴム材質のロールからなることが好ましく、プリント鋼板と薄板ガラス層との間の圧着時に、母材(鋼板)の長さ方向に合紙ロールの移動が可能であるようにコンベアベルトを利用して移動しながら圧着が行われることが好ましい。また、上記合紙ロールは、昇降高さと圧力を制御して上記プリント鋼板に塗布される接着層の厚さを調節することができるようにする昇降アクチュエータと圧力調節装置を含むことができる。また、上記部材は薄板ガラスの幅方向の端に備えられて薄板ガラスを平らに維持させるようにする。上記部材は、コンベアベルトやローラなどで備えられるが、これに限定するものではなく、上記透明薄板ガラスを平らに維持することができる手段であれば、いずれも使用可能である。
【0056】
接着層を硬化させる段階
この後、圧着された薄板ガラス接合プリント鋼板を紫外線硬化機に通過させて紫外線硬化型接着溶液を硬化させることにより、10~100μm厚さの塗膜を形成することができる。この時、照射される紫外線は、300~400nmの波長帯の領域であることができる。但し、これに限定されるものではなく、紫外線硬化型接着溶液を硬化させることができる手段であれば、従来の公知手段のいずれも制限なく適用することができる。
【0057】
また、さらに、紫外線硬化時に減圧器などの減圧手段を利用して、枠部分の微細気泡を除去することもできる。
【0058】
[プリント鋼板の薄板ガラス接着システム]
本発明の他の一側面によるプリント鋼板の薄板ガラス接着システムは、プリント鋼板上に紫外線硬化型接着溶液をコーティングするコーティング手段;上記コーティング手段の後端に設けられ、接着溶液上に薄板ガラスを付着するガラス付着手段;上記ガラス付着手段と連結し、ガラスフィルムを圧着させて接着手段とガラスフィルムを密着させる圧着手段;上記圧着手段の後端に設けられ、紫外線を照射して紫外線硬化型接着溶液を硬化させて塗膜を形成する硬化手段を含むことができる。また、必要に応じて減圧により枠部分の微細気泡を除去する減圧手段を含むことができる。
【実施例
【0059】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示して、より詳細に説明するためのものにすぎず、本発明の権利範囲を限定するためのものではない点に留意する必要がある。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載された事項と、それから合理的に類推される事項によって決定されるものであるためである。
【0060】
(実施例)
まず、発明例としてコーターファンに収容されたウレタンアクリレート系紫外線硬化型コーティング溶液をコーティングロールに浸した後、厚さ1mmの高解像度柄(解像度:1200dpi)が印刷されたインクジェットプリント鋼板上に透明接着溶液を厚さ30~40μmに塗布した後、その上に厚さ400μm、光透過率90%以上の薄板ガラスを付着した。この後、圧着ロールを用いて3kg/fの圧力でフィルムを圧着させてコーティング溶液とフィルムを密着させた後、紫外線硬化機に通過させ、接着溶液を硬化させて接着してガラス接合鋼板を製造した。
【0061】
一方、比較例1として、厚さ1mmの高解像度柄が印刷されたインクジェットプリント鋼板上に高光沢透明コーティング液を塗布し、熱硬化方式によって塗膜を形成した。また、比較例2として、同様のインクジェットプリント鋼板上に透明接着溶液を厚さ30~40μmに塗布した後、光透過率90%以上の5mm厚さの強化ガラスを付着した後、紫外線硬化機に通過させて硬化させて製造した。
【0062】
[光沢度、写像性、硬度評価]
上記発明例及び比較例によって製造された製品について、下記測定方法により光沢度、写像性及び硬度を試験し、その結果を下記表1に示した。
【0063】
-光沢度測定
光沢計(glossmeter、BYK-Gardner社)を用いて測定角度60°で測定した。光沢度は、ガラス反射率を100としたとき、これを基準とした相対的な値を示した。
【0064】
-写像性測定
写像性は、写像性測定器(Wavescan、BYK-Gardner社)を用いて、1cm×10cmの試験片の表面に20°の角度で光を照射し、3750個の点をスキャンして塗膜の凹凸程度及び写像性程度を0(good)~100(bad)の等級に分けて表示する。この時の測定範囲は0.1~1.2mmのshort wave(SW)及び1.2~12mmのlong wave(LW)に分けて測定した。
【0065】
下記表1において、写像性測定値がSW 20以下、LW 5以下の場合を◎、SW 21~30以下、LW 6~15以下の場合を○、SW 31~40以下、LW 16~20の場合を△、SW 41以上、LW 21以上の場合を×と表示した。
【0066】
-硬度測定
硬度は、鉛筆硬度試験を基準として評価し、鉛筆硬度は、自動タイプ三菱簡易式鉛筆硬度計(Qmesys社、QM450A)を用いて測定した。具体的には、KS G 2602に規定された鉛筆の芯を、荷重約1kgfで鋼板表面に当てて加圧しながら表面を引っ掻いて損傷評価により硬度を測定した。
【0067】
[耐汚染性、耐化学性、加工性の評価]
耐汚染性は、製造された製品の表面にボードマーカーを用いて線を引いた後に消したときの痕跡残存有無を介して評価した。痕跡が全く残らず、きれいに消去された場合を◎、痕跡が僅かに残っている場合を△、消えない場合を×と表示した。
【0068】
耐化学性は、製造された製品の表面にアセトン95%溶液を液滴径2cmで落とした後、キャップを被せて2時間放置し、布で表面のアセトン溶液を拭き取ったとき、表面がきれいで損傷がない場合を◎、一部塗膜が損傷された場合を△、塗膜の全面が膨らんだり剥離された場合を×と表示した。
【0069】
また、発明例及び比較例について、ラウンド加工を施して加工性を評価し、800Rを基準として5つの製品を加工したとき、5枚のうち5枚すべての表面に不良や損傷がなく、良好である場合を◎、5枚のうち4枚が良好である場合を○、5枚のうち2~3枚が良好である場合を△、5枚のうち1枚以下が良好である場合を×と表示した。
【0070】
[光学特性評価]
一方、発明例及び比較例の色実現特性の比較のために分光光度計(Spectrophotometer)を用いて、882個のサンプルカラーを印刷した後、色彩測定のために376.76~730nm領域の光を測定して下記評価方法によって白色点、色域体積、色濃度、色域体積の絶対値に対する評価を行い、その結果を下記表1に示した。
【0071】
-白色点評価(White Point Comparison)
白色点評価は、白色の明るさを示す指標として、L値(Lightness)が75超過である場合を◎、50~75未満である場合を○と表示した。
【0072】
-色域体積評価(Gamut Volume、HSL Comparison)
全体太陽光領域である外郭線でそれぞれの媒体が再現することができる色空間領域を示す指標として、最大彩度(Saturation=1)基準でHSL(H:Hue、S:Saturation、L:Lightness)値を評価したとき、実際再現される彩度基準値が440,000超過である場合を◎、350,000~440,000未満である場合を○、350,000未満である場合を△と表示した。
【0073】
-色濃度評価(Dmax Comparison)
色濃度において、暗転(blackness)またはクロマ(chroma)のように飽和した状態の割合を示しており、基準値が1.6超過である場合を◎、1.3~1.6未満である場合を○、1.3未満である場合を△と表示した。
【0074】
-色域体積の絶対値(Gamut Volume、Cubic Volume Comparison)
色彩領域で知覚可能な色空間領域を示す指標として、色域体積の絶対値を基準として評価したとき、その基準値が300,000超過である場合を◎、200,000~300,000未満である場合を○、200,000未満である場合を△と表示した。
【0075】
【表1】
【0076】
上記表1から確認できるように、本発明によって表面に平らな薄板ガラスを付着した発明例は、優れた光沢と写像性を得ることができ、硬度及び加工性も優れており、光学特性も全て良好であることが確認できる。しかし、比較例1の場合、光学特性及び加工性は良好であったが、熱硬化システムの溶媒揮発による光沢や写像性実現に限界があった。また、ガラスを接合した発明例や比較例2と比べて硬度が低く、耐汚染性、及び耐化学性が劣化した。また、比較例2の場合、ガラスを接合したため、光沢度、写像性、硬度、耐汚染性、及び耐化学性の特性は、本発明の水準に優れたが、接合されたガラスの厚さが過度に厚く、白色点、色域体積、色濃度、色域体積の絶対値などの色再現力に関する光学特性評価において、本発明よりも全ての面で劣化したことが確認でき、加工性も劣化した。
【0077】
以上、実施例を参照して説明したが、当該技術分野における熟練した通常の技術者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明の多様な修正及び変更が可能であるということを理解することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 プリント鋼板
11 金属板
12 印刷層
2 接着層
3 薄板ガラス
4 ベースカラー層
5 プライマー層
6 前処理層
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5
【国際調査報告】