(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(54)【発明の名称】病理組織標本のモバイルデジタル空間プロファイリングのための方法、装置、システムおよびデバイス。
(51)【国際特許分類】
G02B 21/06 20060101AFI20220208BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220208BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220208BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20220208BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20220208BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20220208BHJP
G02B 21/16 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
G02B21/06
C12M1/00 A
C12M1/34 B
G01N21/64 E
G01N21/27 E
G02B21/36
G02B21/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535867
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 US2019068069
(87)【国際公開番号】W WO2020132577
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513322707
【氏名又は名称】ナノストリング テクノロジーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ エム.ビーチェム
(72)【発明者】
【氏名】ドウェイン ダナウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェミョン チュン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】エリオット ソシン
(72)【発明者】
【氏名】グラント トレメル
【テーマコード(参考)】
2G043
2G059
2H052
4B029
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043CA05
2G043DA01
2G043DA06
2G043DA08
2G043EA01
2G043EA13
2G043FA01
2G043FA02
2G043FA06
2G043HA01
2G043HA02
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2G043KA03
2G043LA03
2G043LA07
2G059AA05
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2G059BB08
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2G059EE01
2G059EE07
2G059EE11
2G059FF01
2G059FF03
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2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ07
2G059JJ11
2G059JJ13
2G059JJ17
2G059KK04
2G059KK09
2G059PP02
2G059PP04
2H052AA03
2H052AA09
2H052AC04
2H052AC06
2H052AC07
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2H052AC14
2H052AC27
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2H052AD03
2H052AE13
2H052AF14
2H052AF19
2H052AF25
4B029AA07
4B029AA21
4B029BB11
4B029BB15
4B029CC02
4B029FA15
4B029GB06
(57)【要約】
本開示の実施形態は、コンパクトなモバイルデジタル空間プロファイリング(DSP)システム、ならびに一つまたは複数の関心領域(ROI)をイメージングし、次いでUV光を使用して、たとえば、一つまたは複数のROI内の抗体からオリゴを切断し(「光切断」)、後でハイブリダイゼーションおよびカウントするために光切断されたオリゴを収集するように構成される関連する装置、デバイス、および方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むデジタル空間プロファイリング(DSP)システムの少なくとも一つのコンポーネントを収容する(contain)ためのハウジングまたは他の構造
電源;
プロセッサ;
紫外光源(UV source;UVS);
明視野イメージングのための可視光源(VLS);
前記紫外光源からの紫外光(UV light)および/または前記可視光源からの可視光で組織サンプルを選択的に照射するように構成されたフォトマスキング手段;
組織のための液体環境で構成された、組織を乗せたスライド(the slide having the tissue thereon)の少なくとも一部を中に入れる(receive)ように構成されたチャンバー;
および
パーソナルモバイルコンピューティングデバイス(PMD)に動作可能にリンクされた前記組織、前記チャンバー、前記フォトマスキング手段、およびカメラセンサーの少なくとも一つに前記UVSおよび/またはVLSの少なくとも一つを向けおよび/または集束するように構成された光学的手段(optic means)
を含み、ここで前記ハウジングおよび/またはチャンバーは、前記カメラセンサーが前記組織をイメージングできるように、前記PMDへの取り外し可能な取り付けのために構成されている、DSPシステム。
【請求項2】
無線通信手段をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フォトマスキング手段はバックライトを有するLCDを含み、ここで前記VLSは前記LCDバックライトまたは外部VLSを含む;
前記光学的手段は、集光レンズまたは走査レンズ、ダイクロイックミラーを含む前記UVSの第一のセット、および対物レンズを含む光学の第二のセットを含む;
前記ダイクロイックミラーは、複数の光源からの光を一つの光学軸に向け直すように構成されている;
前記フォトマスキング手段は、関心領域(ROI)でのみ組織に到達するようにUVまたは可視光の少なくとも一つを構造化するようにプログラム可能な開口部として構成されたLCDを含む;
前記チャンバーは、前記スライドを中に入れるように構成されたスロットを含む;
および/または
前記フォトマスクは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶オンシリコン(LCos)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)、マイクロ発光ダイオード(μLED)アレイ、光ファイバー束、液晶ディスプレイ(LCD)、スキャニングレーザー、および物的障壁の少なくとも一つを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記フォトマスキング手段は、ピクセルグリッドを含むLCDを含み、ここで前記LCDは、前記組織から所定の距離に配置されている;
前記所定の距離は、前記組織が前記ピクセルグリッドによって遮られない(not obscured)ように構成される;
前記所定の距離は、約0.01~5mmの間、0.50~2.5mmの間、0.75~2.25mmの間、または1~2mmの間であるように選択される;
および/または
前記所定の距離は、組織の明確な視覚化(clear visualize)を提供するように、および/または紫外光の拡散を最小限にするように構成される、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、さらに以下を含み:
前記スライドに溶液の流れを提供するように構成されたポンプシステム、
および/または
前記プロセッサ上で動作し、モバイルデバイスに、カメラセンサーを介して取得されて前記PMDのディスプレイに表示される組織像の少なくとも一つの関心領域(ROI)を選択するためのユーザー入力を受信するように構成されたグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を表示するように構成されたソフトウェアアプリケーション、
前記フォトマスキング手段は、以下のうちの少なくとも1つを提供するように構成される: 約50~300nmの間の照明解像度、約5~12cm
2の間の視野、および約1~5倍の間の倍率;
前記ハウジング、前記チャンバー、および前記スロットの少なくとも一つは、少なくとも一つの溶液を中に入れる、および/または取り込む(retrieve)ように構成されており、
前記ハウジングは、複数の足場、PMDフレーム、少なくとも一つの対物レンズフレーム、少なくとも一つのスライドフレーム、フォトマスキングフレーム、少なくとも一つの集光フレーム(condenser frame)、および少なくとも一つの熱管理手段を含む(comprise)か、または含み(include)、
前記ハウジングは、それぞれが異なる対物レンズおよび対応する倍率を有する、複数の対物レンズフレームの単一の対物レンズフレームを取り外し可能に収容する(receive)ように構成され、
および/または
前記システムはさらに、暗視野顕微鏡、明視野顕微鏡、位相差顕微鏡、蛍光顕微鏡、および紫外線表面励起を伴う顕微鏡のうちの少なくとも一つのために構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記フォトマスキング手段は、約50~300nmの間の照明解像度、約5~12cm
2の間の視野、および約1~5倍の間の倍率の少なくとも一つを提供するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ハウジング、前記チャンバー、および前記スロットのうちの少なくとも一つは、前記スライドがそれに対して移動することを可能にするように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記スライドの相対的な動きは、組織イメージングのためである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ハウジング、前記チャンバー、および前記スロットのうちの少なくとも一つは、少なくとも一つの溶液を中に入れる、および/または取り込むように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも一つの溶液を、液体輸送を介して中に入れる、および/または取り込む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
液体輸送は、ピペッティングおよび毛細管作用の少なくとも一つを含み、ここで該ピペッティングは手動またはロボット手段を介した自動のいずれかでありうる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ハウジングは、複数の足場、PMDフレーム、少なくとも一つの対物レンズフレーム、少なくとも一つのスライドフレーム、フォトマスキングフレーム、少なくとも一つの集光フレーム、および少なくとも一つの熱管理手段を含む(comprise)か、または含む(include)、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記熱管理手段は、ヒートシンク、ヒートポンプ、ファン、液体冷却システム、およびペルチェデバイスの少なくとも一つを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ハウジングは、それぞれが異なる対物レンズおよび対応する倍率を有する、複数の対物レンズフレームの単一の対物レンズフレームを取り外し可能に収容するように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記各対物レンズフレームは、カメラセンサーから異なる間隔を提供するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも熱管理手段は、複数のヒートシンククリップを含む、請求項15のシステム。
【請求項17】
前記PMDをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記PMDは、PMDプロセッサ、ディスプレイ、前記スライド上に配置された前記組織をイメージングするための前記カメラセンサー、および情報を直接またはネットワークを介して遠隔デバイスに通信するための第一の無線通信手段、および任意選択でローカルデバイスと通信するための第二の無線通信手段を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第二の無線通信手段は、ブルートゥース、Wi-fi、または赤外線の少なくとも一つを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサ上で動作し、前記モバイルデバイスに、前記組織スライドのカメラセンサーを介して取得されて前記PMDの前記ディスプレイに表示される組織像の前記関心領域(ROI)を選択するためのユーザー入力を受信するように構成されたグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を表示するように構成されたソフトウェアアプリケーションをさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムは、さらに、暗視野顕微鏡、明視野顕微鏡、位相差顕微鏡、蛍光顕微鏡、および紫外線表面励起を伴う顕微鏡のうちの少なくとも一つのために構成される、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記スライドに溶液の流れを提供するように構成されたポンプシステムをさらに含む、請求項6~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記溶液は緩衝液である、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記ハウジングおよび前記チャンバーのうちの少なくとも一つの中の温度を測定するように構成された温度センサーをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記ハウジングおよび前記チャンバーのうちの少なくとも一つの中の温度を測定するように構成された温度センサーをさらに含む、請求項2~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記プロセッサは、
感知された温度に対応する前記温度センサーからの入力を受信する、および
以下の少なくとも一つ:
前記感知された温度が所定の温度よりも高い場合に、UVSをオフにする;および
前記感知された温度が所定の量よりも高い場合に、視覚的および聴覚的警告の少なくとも一つを提供する
ように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
以下をさらに含む、請求項1~26のいずれかに記載のシステム:
前記組織上の液体環境を維持するための密閉手段、および/または
前記組織からの溶液のピペッティングを可能にするように構成された前記組織(issue)の近くに配置された手動の流体収集誘導手段。
【請求項28】
前記手動の流体収集誘導手段は、マイクロアレイを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記マイクロアレイは、フローセルとして、またはフローセルとともに構成され、および/または前記チャンバー内または前記チャンバーに近接して配置される;および/または
前記手動の流体収集誘導手段は、グリッドバリア(grid barrier)を含む、
請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記グリッドバリアは、前記密閉手段内または前記密閉手段に近接して配置される、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
以下を含み、ここで前記ハウジング、スロット、および/またはチャンバーは、前記カメラセンサーが前記組織をイメージングできるように、前記PMDへの取り外し可能な取り付けのために構成されている、デジタル空間プロファイリングシステム:
プロセッサ、ディスプレイ、スライド上に配置された組織をイメージングするためのカメラセンサー、および直接またはネットワークを介して遠隔デバイスに情報を通信するための通信手段を有する携帯型モバイルデバイス(PMD);
前記プロセッサ上で動作し、前記モバイルデバイスに、前記組織スライドのカメラセンサーを介して取得されて前記ディスプレイに表示される組織像の関心領域(ROI)を選択するためのユーザー入力を受信するように構成されたグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を表示するように構成されたソフトウェアアプリケーション;
および
以下を含むDSPシステムの少なくとも一つのコンポーネントを収容するためのハウジングまたは他の構造;
紫外光源(UVS);
明視野イメージングのための可視光源(VLS);
前記紫外光源からの紫外光または前記可視光源からの可視光で前記組織を選択的に照射するように構成されたフォトマスキング手段;
前記スライドを中に入れるように構成されたスロット;
組織のための水性の環境で構成された、組織を乗せたスライドの少なくとも一部をスロットを介して中に入れるように構成されたチャンバー;
および
前記組織、前記チャンバー、前記フォトマスキング手段、および前記カメラセンサーの少なくとも一つに前記UVSおよび/またはVLSの少なくとも一つを向けおよび/または集束するように構成された光学的手段。
【請求項32】
前記通信手段は、無線通信手段である、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
以下を含むデジタル空間プロファイリング(DSP)方法:
任意選択で、請求項1~43のいずれか一項に記載のシステムを提供する工程;
前記PMD上でソフトウェアアプリケーションを開始する工程;
イメージングのためにチャンバーの中に入れ、フォトマスクと位置合わせされるように、前記組織は事前に抗体溶液と結合しており、挿入前に緩衝液で覆われている組織サンプルを乗せたスライドを挿入する工程;
前記組織に光の照射を提供する工程;
前記PMDの前記カメラセンサーで前記組織サンプルをイメージングし、前記PMDディスプレイを介して前記画像を表示する工程;
前記GUIを介して表示される前記フォトマスクの複数のマーカーを選択し、そのような選択は、長方形の輪郭を形成する工程;
ROIを前記GUIを介して選択する工程;
前記PMDを前記DSPシステムに無線で接続する工程;
光の照射を停止する工程;
前記組織内のオリゴを切断するのに十分な所定の時間、前記組織をUV照射(UV illumination)に曝露する工程;
および
切断されたオリゴを含む前記組織から前記溶液を収集する工程。
【請求項34】
前記フォトマスクをキャリブレーションするために前記スライドを挿入する前に前記フォトマスクをイメージングする工程、および/または前記選択されたマーカーによって輪郭が描かれた前記長方形の前記サイズを変更する工程をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記変更されたサイズは、複数の指定されたサイズのうちの一つに対応する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
一つまたは複数のコンピュータプロセッサが本明細書に開示される方法実施形態の一つまたは複数の工程を実行できるようにするための命令を格納した、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年12月21日に出願された米国仮特許出願第62/783,735号の利益および優先権を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本開示の実施形態は、病理組織標本の生化学的特性解析のためのモバイルデジタル空間プロファイリングに関する。
【背景技術】
【0003】
生物学的研究および臨床病理学において、組織における生体分子の空間的配置の情報は、病状および病因を決定するために重要である。しかしながら、現在の方法は「low-plex」、つまり非定量的、破壊的、または空間情報の欠如のいずれかである。このニーズを満たすために、固定組織サンプル中の生物種の相対量を定量化するためのデジタル空間プロファイリング(DSP)法が開発されてきた。このような方法は、DNA、RNA、およびタンパク質を対象とし、「high-plex」、つまり、DNAベースの蛍光バーコードの使用により、病状および/または病因を決定するための適切な(またはそれ以上の)量の情報の収集である。各バーコードは、分子認識部分に結合したオリゴヌクレオチドに結合しており、紫外光を使用して切断し、溶液中で回収することができる。次に、バーコードを使用して、サンプル内の分子の相対量を決定する。この方法には多くの利点があるが、市場には軽量の代替手段の余地が残されている。
【発明の概要】
【0004】
一部の実施形態の概要
本開示の実施形態は、小型化したサイズのデジタル空間プロファイリング(DSP)システム、ならびに関連する装置、デバイス、および方法を対象とする。上記のすべては、組織の一つまたは複数の関心領域(ROI)をイメージングし、紫外光を使用して一つまたは複数のROI内の抗体からオリゴ(すなわち、オリゴマー)を切断し(「光切断」)、後でハイブリダイズして(たとえば、Nanostring(登録商標)nCounter技術を使用して)計数することができる光切断されたオリゴを収集するように構成することができる。一部の実施形態では、そのような機能はまた、モバイル、さらに(一部の実施形態では)コンパクトな形態で提供することができる。
【0005】
したがって、一部の実施形態では、そのようなコンパクトなモバイルDSPシステムは、たとえば電源、プロセッサ、紫外光源(UV source;UVS)、明視野イメージングのための可視光源(VLS)(例:LED、LEDアレイ、蛍光電球(fluorescence bulb)、白熱電球、アーク灯、メタルハライドランプ等)、紫外光源からの紫外光(UV light)および/または可視光源からの可視光で組織サンプルを選択的に照射するように構成されたフォトマスキング手段、組織のための液体環境で構成された、組織を乗せたスライド(the slide having the tissue thereon)の少なくとも一部を中に入れる(receive)ように構成されたチャンバー、およびパーソナルモバイルコンピューティングデバイス(PMD)に動作可能にリンクされた組織、チャンバー、フォトマスキング手段、およびカメラセンサーの少なくとも一つにUVSおよび/またはVLSの少なくとも一つを向けおよび/または集束するように構成された光学的手段(optic means)(一部の実施形態では、チャンバーの外部に備えることができる)を含んでもよい。PMDは、電話、タブレット、ラップトップ、およびデスクトップを含んでもよい。動作可能にリンクされたカメラセンサーは、PMDの内部もしくは内蔵、またはPMDの外部であってもよい。カメラセンサーが組織をイメージングできるように、ハウジングおよびチャンバーの少なくとも一つは、PMDへの取り外し可能な取り付けのために構成されている。
【0006】
そのような実施形態は、以下の特徴、構造、機能、工程、および/または説明(一部の実施形態では、その複数、さらなる実施形態では、すべて)のうちの少なくとも一つまたは複数をさらに含んでもよく、さらにさらなる実施形態をもたらす:
-フォトマスキング手段は、任意選択でバックライトを有するLCDを含んでもよい;
-VLSはLCDバックライトまたは個別の外部可視光源を含んでもよい;
-光学的手段は、集光レンズまたは走査レンズ、ダイクロイックミラーの少なくとも一つ、複数、またはすべてを含んでもよいUVSの第一のセット、および対物レンズを含んでもよい光学の第二のセットを含んでもよい;
〇ダイクロイックミラーは、複数の光源からの光を一つの光学軸に向け直すように構成されていてもよい;
-フォトマスキング手段は、関心領域(ROI)でのみ組織に到達するようにUVおよび可視光の少なくとも一つを構造化するようにプログラム可能な開口部として構成されたLCDを含んでもよい;
-チャンバーは、スライドを中に入れるように構成されたスロットを含んでもよい;
-フォトマスクは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶オンシリコン(LCos)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)、マイクロ発光ダイオード(μLED)アレイ、光ファイバー束、液晶ディスプレイ(LCD)、スキャニングレーザー、および物的障壁の少なくとも一つを含んでもよい;
-フォトマスキング手段は、ピクセルグリッドを含むLCDを含んでもよく、ここでLCDは、組織から所定の距離に配置されており、ここで:
〇所定の距離は、組織がピクセルグリッドによって遮られない(not obscured)ように構成されていてもよい;
〇所定の距離は、約0.01~5mmの間であってもよい;
〇所定の距離は、約0.50~2.5mmの間であってもよい;
〇所定の距離は、約0.75~2.25mmの間であってもよい;または
〇所定の距離は、約1~2mmの間であってもよい;および/または
〇所定の距離は、少なくとも組織の明確な視覚化(clear visualize)を提供するように、または紫外光の拡散を最小限にするように構成されていてもよい;
-フォトマスキング手段は、以下のうちの少なくとも1つを提供するように構成されていてもよい: 約50~300nmの間の照明解像度、約1~12.5cm2または5~12.5cm2の間の視野、および/または約1~5倍または1~3倍の間の倍率;
-ハウジング、チャンバー、およびスロットのうちの少なくとも一つは、スライドがそれに対して移動することを可能にするように構成されており、ここで:
〇スライドの相対的な動きは、組織イメージングのためであってもよい;
-ハウジング、チャンバー、およびスロットの少なくとも一つは、少なくとも一つの溶液を中に入れる、および/または取り込む(retrieve)ように構成されており、ここで少なくとも一つの溶液は、液体輸送を介して中に入れる、および/または取り込むことができ、ここで液体輸送は、ピペッティングおよび毛細管作用の少なくとも一つを含んでもよく、ピペッティングは手動またはロボット手段を介した自動のいずれかであってもよい;
-ハウジングは、複数の足場、PMDフレーム、少なくとも一つの対物レンズフレーム、少なくとも一つのスライドフレーム、フォトマスキングフレーム、少なくとも一つの集光フレーム(condenser frame)、および少なくとも一つの熱管理手段のうちの、少なくとも一つ、一部の実施形態では複数、および一部の実施形態ではすべてを含む(comprise)か、または含んで(include)いてもよい;
-熱管理手段は、ヒートシンク、ヒートポンプ、ファン、液体冷却システム、およびペルチェデバイスの少なくとも一つを含んでもよい;
-ハウジングは、それぞれが異なる対物レンズおよび対応する倍率を有する、複数の対物レンズフレームの単一の対物レンズフレームを取り外し可能に収容するように構成されていてもよく、ここで:
〇各対物レンズフレームは、カメラセンサーから異なる間隔を提供するように構成されていてもよい;および/または
〇少なくとも熱管理手段は、複数のヒートシンククリップを含んでいてもよい;
-PMDをさらに含んでいてもよい;
〇PMDは、PMDプロセッサ、ディスプレイ、スライド上に配置された組織をイメージングするためのカメラセンサー、および情報を直接またはネットワークを介して遠隔デバイスに通信するための第一の無線通信手段、および任意選択でローカルデバイスと通信するための第二の無線通信手段のうちの、少なくとも一つ、一部の実施形態ではその複数、および一部の実施形態ではすべてを含んでもよい;および/または
〇第二の無線通信手段は、ブルートゥース、Wi-fi、または赤外線の少なくとも一つを含んでもよい;
-プロセッサ上で動作するよう構成されていてもよく、モバイルデバイスに、組織スライドのカメラセンサーを介して取得されてPMDのディスプレイに表示される組織像の関心領域(ROI)を選択するためのユーザー入力を受信するように構成されていてもよいグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を表示するように構成されていてもよいソフトウェアアプリケーション;
-システムは、さらに、暗視野顕微鏡、明視野顕微鏡、位相差顕微鏡、蛍光顕微鏡、および紫外線表面励起を伴う顕微鏡のうちの少なくとも一つのために構成されていてもよい;
-スライドに溶液の流れを提供するように構成されたポンプシステム、ここで溶液は緩衝液および/または組織染色剤であってもよい;
-ハウジングおよびチャンバーのうちの少なくとも一つの中の温度を測定するように構成されていてもよい温度センサー;
-プロセッサは、
〇感知された温度に対応する温度センサーからの入力を受信する、および/または
〇以下の少なくとも一つ: 感知された温度が所定の温度よりも高い場合に、UVSをオフにする;および/または感知された温度が所定の量よりも高い場合に、視覚的および聴覚的警告の少なくとも一つを提供する
ように構成されていてもよい;
-組織上の液体環境を維持するために構成されてもよい密閉手段;および
-以下のような流体収集誘導手段:
〇組織(issue)の近くに配置されていてもよい、
〇組織からの溶液のピペッティングを可能にするように構成されていてもよい、および
〇グリッドバリアを含んでいてもよく、ここでグリッドバリアは密閉手段内または密閉手段に近接して構成されていてもよく、またはフローセルとして、またはフローセルとともに構成されていてもよく、および/またはグリッドバリアはチャンバー内またはチャンバーに近接して配置されていてもよい。
【0007】
一部の実施形態では、手動流体収集誘導手段は、マイクロアレイをフローセルとして、またはフローセルとともに構成することができ、および/またはマイクロアレイをチャンバー内またはチャンバーに近接して配置することができるマイクロアレイを含んでもよい。
【0008】
一部の実施形態では、デジタル空間プロファイリングシステムは、プロセッサ、ディスプレイ、スライド上に配置された組織をイメージングするためのカメラセンサー、および直接またはネットワークを介して遠隔デバイスに情報を通信するための通信手段、プロセッサ上で動作し、モバイルデバイスに、組織スライドのカメラセンサーを介して取得されてディスプレイに表示される組織像の関心領域(ROI)を選択するためのユーザー入力を受信するように構成されたグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を表示するように構成されたソフトウェアアプリケーション、および以下の少なくとも一つ、一部の実施形態ではその複数、および一部の実施形態ではすべてを含むDSPシステムの少なくとも一つのコンポーネントを収容するためのハウジングまたは他の構造: 紫外光源(UVS)、明視野イメージングのための可視光源(VLS)、紫外光源からの紫外光または可視光源からの可視光で組織を選択的に照射するように構成されたフォトマスキング手段、スライドを中に入れるように構成されたスロット、および組織を乗せたスライドの少なくとも一部をスロットを介して中に入れるように構成されたチャンバーのうちの少なくとも一つ、一部の実施形態では複数、および一部の実施形態ではすべてを備える、および含む。チャンバーは、組織のための水性の環境で構成されていてもよい。システムはまた、組織、チャンバー、フォトマスキング手段、およびカメラセンサーの少なくとも一つに前記UVSおよび/またはVLSの少なくとも一つを向けおよび/または集束するように構成された光学的手段(optic means)を含んでいてもよい。ハウジング、スロット、および/またはチャンバーは、カメラセンサーが組織をイメージングできるように、PMDへの取り外し可能な取り付けのために構成されていてもよく、通信手段は無線通信手段であってもよい。
【0009】
一部の実施形態では、デジタル空間プロファイリング(DSP)法は、以下のうちの少なくとも一つ、一部の実施形態ではその複数、および一部の実施形態ではすべてを備える、および含む: 任意選択でそのような開示されたシステム、装置、およびデバイスに記載のシステム、装置、および/またはデバイスを提供する工程、パーソナルモバイルデバイス(PMD)上でソフトウェアアプリケーションを開始する工程、イメージングのためにチャンバーの中に入れ、フォトマスクと位置合わせされるように、組織は事前に抗体溶液と結合しており、挿入前に緩衝液で覆われている組織サンプルを乗せたスライドを挿入する工程、組織に光の照射を提供する工程、PMDのカメラセンサーで組織サンプルをイメージングし、PMDディスプレイを介して画像を表示する工程、GUIを介して表示されるフォトマスクの複数のマーカーを選択し、そのような選択は、長方形の輪郭を形成する工程、ROIをGUIを介して選択する工程、PMDをDSPシステムに無線で接続する工程、光の照射を停止する工程、組織内のオリゴを切断するのに十分な所定の時間、組織をUV照射(UV illumination)に曝露する工程、および切断されたオリゴを含む組織から溶液を収集する工程。
【0010】
そのような実施形態は、以下の特徴、構造、機能、工程、および/または説明(一部の実施形態では、その複数、さらなる実施形態では、すべて)のうちの少なくとも一つまたは複数を追加で含んでもよく、さらにさらなる実施形態をもたらす:
-フォトマスクをキャリブレーションするためにスライドを挿入する前にフォトマスクをイメージングする工程、および
-選択されたマーカーによって輪郭が描かれた長方形のサイズを変更する工程であって、ここで変更されたサイズは、複数の指定されたサイズのうちの一つに対応していてもよい、工程。
【0011】
一部の実施形態では、一つまたは複数のコンピュータプロセッサが本開示に提示される方法実施形態のいずれかの一つまたは複数の工程を実行できるようにするための命令を格納した、非一時的なコンピュータ可読媒体を提供する。
【0012】
一部の実施形態では、直接またはネットワークを介して遠隔デバイスに情報を通信するための第一の無線通信手段は、電気通信インフラストラクチャを介したROIの遠隔選択、および/または健康評価または健康相談等のヘルスケアサービスの配信を可能にする。
【0013】
本開示のこれらおよび他の実施形態は、簡単な説明が以下に提供される図面を参照することでさらに明確になり、以下の開示の少なくとも一部の実施形態の追加の詳細が示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本開示の少なくとも一部の実施形態による、コンパクトなモバイルデジタル空間プロファイリング(DSP)システムによって実行されるいくつかの工程の概要の概略図を示す。
【
図1B-1】本開示の一部の実施形態による、DSPシステムを使用して、一つまたは複数の関心領域(ROI)をイメージングするためのプロセスの概略図を示す。
【
図1B-2】本開示の一部の実施形態によるDSPシステムの概略図を示す。
【
図1C】一部の実施形態による、DSPシステムの設計留意点の表である。
【
図1D】本開示の一部の実施形態による、DSPシステムのいくつかの構成要素の斜視図である。
【
図2A】本開示の一部の実施形態によるDSPシステムの少なくとも一部の概略図である。
【
図2B】本開示の一部の実施形態による、DSPシステムの一部を表すLDCマスキングコンポーネントの概略図である。
【
図2C-1】本開示の一部の実施形態によるDSPシステムの少なくとも一部の概略図である。
【
図2C-2】本開示の一部の実施形態によるDSPシステムの少なくとも一部の概略図である。
【
図2C-3】本開示の一部の実施形態によるDSPシステムの少なくとも一部の概略図であり、システムのUV LEDコンポーネントの使用を示している。
【
図2D】本開示の一部の実施形態による、DSPシステムのUV LEDコンポーネントによるUV照明の減衰を示す。
【
図2E-1】
図2E-1~2E-5は、本開示の一部の実施形態による、密閉機能、およびDSPシステムのスライドへの流体のピペッティング/スライドからの流体のピペッティングを示す。
【
図2E-2】
図2E-1~2E-5は、本開示の一部の実施形態による、密閉機能、およびDSPシステムのスライドへの流体のピペッティング/スライドからの流体のピペッティングを示す。
【
図2E-3】
図2E-1~2E-5は、本開示の一部の実施形態による、密閉機能、およびDSPシステムのスライドへの流体のピペッティング/スライドからの流体のピペッティングを示す。
【
図2E-4】
図2E-1~2E-5は、本開示の一部の実施形態による、密閉機能、およびDSPシステムのスライドへの流体のピペッティング/スライドからの流体のピペッティングを示す。
【
図2E-5】
図2E-1~2E-5は、本開示の一部の実施形態による、密閉機能、およびDSPシステムのスライドへの流体のピペッティング/スライドからの流体のピペッティングを示す。
【
図3A】
図2Aに示されているものと同様である、本開示の一部の実施形態によるDSPシステムの概略図を示している。
【
図3B】本開示の一部の実施形態による、異なる顕微鏡モダリティを達成するための例示的な表示パターンを示す。
【
図4A】
図4Aおよび4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD/シリコン上の液晶(LCoS))、反射マスク構造および動作を示す概略図である。
【
図4B】
図4Aおよび4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD/シリコン上の液晶(LCoS))、反射マスク構造および動作を示す概略図である。
【
図4C】本開示の一部の実施形態による、DSPシステムの概略図である;スキャニングレーザーの構造と動作を説明する。
【
図4D】本開示の一部の実施形態によるDSPシステムのキャリブレーションスキームを示す。
【
図5A】
図5A~Eは、本開示の一部の実施形態によるDSPシステムのための例示的な足場およびフレームを示す。
【
図5B】
図5A~Eは、本開示の一部の実施形態によるDSPシステムのための例示的な足場およびフレームを示す。
【
図5C】
図5A~Eは、本開示の一部の実施形態によるDSPシステムのための例示的な足場およびフレームを示す。
【
図5D】
図5A~Eは、本開示の一部の実施形態によるDSPシステムのための例示的な足場およびフレームを示す。
【
図5E】
図5A~Eは、本開示の一部の実施形態によるDSPシステムのための例示的な足場およびフレームを示す。
【
図5F】本開示の一部の実施形態による例示的なDSPシステムハウジング構造を示す。
【
図6】本開示の一部の実施形態による、DSPシステムの熱管理のための例示的な回路を示す。
【
図7】
図7A~7D-7は、本開示の一部の実施形態による、DSP/PMDシステム/デバイスのためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のスクリーンショットを示す。
【
図8】
図8A~Bは、本開示の一部の実施形態による、DSPシステムにおいて、スライド上の組織との間で流体を伝達するための手段を示す。
【
図9A】
図9A~Cは、本開示の一部の実施形態によるDSPシステムの開口部、他の構造、構成、および/または関連データの例示的なパターンを示している。
【
図9B】
図9A~Cは、本開示の一部の実施形態によるDSPシステムの開口部、他の構造、構成、および/または関連データの例示的なパターンを示している。
【
図9C】
図9A~Cは、本開示の一部の実施形態によるDSPシステムの開口部、他の構造、構成、および/または関連データの例示的なパターンを示している。
【
図10】
図10A~10F-4は、本開示の一部の実施形態による、スライドおよび/またはアッセイ(たとえば、96ウェルプレート)への/からの流体輸送の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
開示された実施形態の少なくとも一部のための詳細な説明
本開示の一部の実施形態では、コンパクトで移動可能なデジタル空間プロファイリング(DSP)システム(ならびに関連する装置、デバイス、および方法)が提供され、一つまたは複数の関心領域(ROI)をイメージングし、紫外光を使用して各ROI内の抗体からオリゴを切断し(「光切断」)、(後でハイブリダイズして、たとえば、Nanostring(登録商標)nCounter技術を使用して計数する)ことができる光切断されたオリゴを収集するように構成されている。本開示の一部のそのような実施形態は、
図1Cのチャートに示されるように、DSPシステムの考慮事項をさらに設計することである。
【0016】
本開示の少なくとも一部の実施形態によって実行される工程の高レベルの外観図が、
図1A(
図1B-1に概説されるプロセスの一部である)に示されている。具体的には、組織をDSPシステムでイメージングして蛍光標識抗体101を見出し、ROIを決定し、UVで照射し、キャピラリー手段103を介してDNAタグを収集し、次に、収集したDNAをプレート内のバーコードにハイブリダイズさせ、特定のROI 105へのインデックスカウントを行う(index counts to the specific ROIs 105)。
【0017】
より具体的には、一部の実施形態によれば、
図1B-1に示されるように、プロセスは、オリゴ結合抗体を有する組織102を乗せたスライドを染色することによって開始し、次いで、スライドは、DSPシステムで(一部の実施形態によって)イメージングされ、一つまたは複数のROI 104が選択される。一つまたは複数のROIは次に、一つまたは複数のROI内の抗体からオリゴヌクレオチド(「オリゴ」)を切断するように、紫外光106に曝露される。そこから、切断されたオリゴは、たとえば、マイクロキャピラリーデバイスを介して、スライドから吸引される108。次に、収集されたオリゴをアッセイ110(たとえば、96ウェルプレート)に入れることができる。このプロセスは、選択されたROIごとに繰り返される112。オリゴがアッセイに分注された後、オリゴはバーコードにハイブリダイズされ、次に定量化システム(たとえば、NanoStringnCounter(登録商標)プラットフォームシステム)を介して定量化される114。
【0018】
図1B-2は、一部の実施形態によるDSPシステムの例示的なブロック図を示している。示されるように、プロセッサ(たとえば、「ラズベリーパイ(Raspberry Pi)」、「アルドゥイーノウノ(Arduino Uno)」等)120は、カメラ122、UV偏光子を備えたLCD124(たとえば、)、UV LED 124aおよび/またはUV LEDダイバー(diver)124b、および明視野イメージングに使用される可視LEDアレイ126(たとえば、)と通信(たとえばデジタル通信)している。供給される電力は、ACまたはDCのいずれかであってもよく、これは、たとえば、フォトマスキング手段、紫外光源および可視光源、ならびに提供されうる任意のプロセッサおよび通信手段に電力を供給するために、たとえば、システムに電力を供給するための適切な量の電力(たとえば、25ワット以下)を供給する。したがって、構成要素(たとえば、プロセッサ、UV LED、UV LEDドライバー、可視LEDアレイ等)は、典型的な標準AC電源128(たとえば、壁コンセントまたは専用電源)、および/またはDC電源(たとえば、12V電源130)から電力を受け取るように構成することができる。プロセッサは、プロセッサ上で動作可能なコンピュータ命令を含むか、またはそれらにアクセスして、プロセッサにそのようなコンポーネントの一つまたは複数を制御させることができ、モバイルデバイス132または他の遠隔コンピューティングデバイス/システム(たとえば、デスクトップ、ラップトップ、サーバー)との間で取得または必要とされる情報を通信するための命令(および必要に応じて、関連するハードウェア、たとえば、wifi、ブルートゥース、セルラー、有線)も含むことができる。遠隔デバイスは、病理医134によってアクセス可能であり、(一部の実施形態による)システムによって実行される結果および/または指示されたプロセスをレビューすることができる。
図1B-2はまた、一部の実施形態(たとえば、電力、制御、インターフェース、および入力/出力)に従って示されている異なるプロセスに関する凡例136を含む。この場合も、プロセッサは、調整可能な開口サイズおよび位置を備えたフォトマスクの作成を可能にするグラフィックスサポート、ならびにたとえば黒または暗い色の背景上の4つの白い点480または角482、白または明るい背景上のシアンの長方形484、または黒または暗い背景上の単一ピクセル照明486を含む、
図4Dに示すようなキャリブレーショングリッド(たとえば、パーソナルモバイルデバイスアプリケーション用)を提供するように構成することができる。一部の実施形態では、起動時に、プロセッサは、キャリブレーショングリッドがLCD上に表示され、座標がDSP内のプロセッサに送信されるのを待つように構成することができる(たとえば、ブルートゥースを介したペアリング)。受信すると、適切なフォトマスクがLCDに表示され、ユーザーが選択したROIが強調表示され、バックライトがオフになり、紫外光源が所定の時間、たとえば3分、1分、または30秒等温になる。
【0019】
したがって、その例が
図1Dに示されている一部の実施形態では、デジタル空間プロファイリング(DSP)システム140は、ハウジング、および電源、プロセッサ、紫外光源(UVS)、たとえば、UV LED、明視野イメージングのための可視光源(VLS)(たとえば、LCDバックライト)、紫外光源からの紫外光および/または可視光源からの可視光で組織サンプルを選択的に照射するように構成されたフォトマスキング手段(たとえば、LCD)、ならびにたとえばスロット(図示していない)を介して組織を乗せたスライド(the slide having the tissue thereon)の少なくとも一部を中に入れるように構成されたDSPシステム内のチャンバー(たとえば、ハウジング内のチャンバー)(図示していない)のうちの少なくとも一つ、いくつかの実施形態では、複数の、およびさらなる実施形態では、すべてを備え、および含む。
【0020】
図2Aは、本開示の一部の実施形態によるDSPシステムの少なくとも一部の概略図である。示されるように、システム200は、対物レンズ202、LCD206、ダイクロイックミラー208、LDCバックライト210、UV LED210、および集光レンズ212を含む。組織サンプル205を含むガラススライド204は、イメージングおよび光、UV、またはその他への曝露のために配置されたシステムの一部に配置される。図示の例では、スライドは、LCDフォトマスキング手段に隣接してまたはその近くに配置されている。イメージャー、すなわち、カメラ216を含むモバイルデバイスは、スライド上の組織をイメージングするようにシステム内に配置される。
図2C-1は、
図2Aに類似しているが、一部の実施形態による、システムの他のコンポーネントの間に特定のコンポーネントが配置される距離の例を含む。したがって、一部の実施形態では、フォトマスキング手段は、好ましくは、組織から所定の距離に配置され、その距離は、組織がピクセルグリッドによって遮られないように構成することができる。所定の距離は、約0.01~5mmの間、約0.50~2.5mmの間、約0.75~2.25mmの間、または約1~2mmの間であってもよい。さらに、所定の距離は、組織の明確な視覚化を提供するように、および紫外光の拡散を最小限にするように構成することができる。一部の実施形態では、フォトマスキング手段は、たとえば約50~300nmの間の照明解像度、約1~5cm
2の間の視野、および/または約1~3倍の間の倍率を提供するように構成されている。
【0021】
図2Bは、電圧「オン」221および電圧「オフ」223を伴う、LCDフォトマスク/機能219の分解図の概略図を示す。したがって、一部の実施形態では、LCD219は、偏光フィルター220、透明電極222、液晶224、第二の透明電極226、第二の偏光フィルター228、およびスクリーン230を含む。電圧がオンのとき221、スクリーンは暗く、最初に受信した非偏光(可視光および/または紫外光)がLCDを通過するのを遮断される。電圧がオフの場合223、受信した非偏光はスクリーンを通過することができる。したがって、LCDの構造、および一つまたは複数のピクセルの「ON-OFF」を介してフォトマスクとして機能し、光を通過および遮断する方法を示す。
【0022】
図2Aと同様に、
図2C-2、および2C-3は、一部の実施形態による、DSPシステムの動作を示し、LDC206および付随する偏光フィルター220、228が、LCDマスキングの作用により、一つまたは複数の選択されたROIのみをUVに曝露することをどのように可能にするかを示す。
図2C-2では、組織のいずれか(ROIまたはその他)を紫外光に曝露する前のシステムが示されている。これにより、組織を白色LEDライトで照射することができる(したがって、ユーザーは一つまたは複数のROIを選択できる)。および
図2C-3は、LCDマスクの作用による紫外光への選択されたROIの曝露を示している。具体的には、LDC206は、組織サンプルのROIを除くすべてへのUVの通過を遮断することができることが分かる。一部の実施形態では、白色LED光を拡散するために拡散器232を含めることができることは注目に値する。一部の実施形態では、たとえば(一部の実施形態では)たとえばフォトマスキング手段を使用して、紫外光を減衰させることができる(たとえば、
図2Dを参照)。
【0023】
一部の実施形態によれば、スライドは、ボックスの上部または側面が(たとえば、ヒンジを介して)開くように、「ボックス」構成を介して、DSPシステムのチャンバー(および/またはハウジング)に中に入れることができる。スライドは、チャンバー(またはチャンバーを含むハウジング、光学系、および/またはUV/光源)に対して移動可能であってもよく、ここで、チャンバーは、組織のための液体環境で構成され、当技術分野で知られている任意の密閉手段;たとえば、ガスケットによって(スライドを示す
図2E-1~
図2E-5参照)、液体の漏れから遮断することができる(
図2E-1、および一緒に使用することができるガスケット構成;
図2E-2および2E-3)。そのようなスライドおよびガスケット構成は、たとえば、スライド上の磁気手段240A、およびガスケット239(ハウジングおよび/またはフレーム内)上の240Bを利用することができ、ここで、たとえば、磁気的手段は、スライドとガスケットとの間の嵌合取り付けのために、スライドおよびガスケット/ハウジング/フレームの一方および/または他方上で永久的かつ電磁的であってもよい。スライドおよびガスケット構成は、
図2E-3に示されるように、グリッドバリア242(一部の実施形態ではガイドとも呼ばれる)等の誘導手段を含んでもよく、スライドおよびガスケット構成の中またはそれらに近接して構成することができ、切断されたオリゴのガイド付きピペッティングを手動または機械/ロボットで可能にする。
図2E-4および2E-5は、毛細管作用(ならびに流体の分配)によって流体を収集するように構成された毛細管243のグリッド242の使用を示している。示されるように、グリッドは、システムのコンポーネント、たとえば、ガスケット239内に適合するように構成することができる。示されるように、グリッド243およびチューブ243は、ガスケット239に挿入することができる。
【0024】
システムは、パーソナルモバイルコンピューティングデバイス(PMD)に動作可能にリンクされた組織、チャンバー、フォトマスキング手段、およびカメラセンサー(たとえば、「電話のカメラ(phone camera)」)の少なくとも一つにUVSおよび/またはVLSの少なくとも一つを向けおよび/または集束するように構成された光学的手段(たとえば、対物レンズを含むレンズ等)も含んでもよい。カメラセンサーが組織をイメージングできるように、ハウジングおよびチャンバーの少なくとも一つは、PMDへの取り外し可能な取り付けのために構成されている。
図3Aは、一部の実施形態によるシステムの高レベルの外観図を示している(
図2Aと同様)。
図3Bは、明視野302、暗視野304、位相勾配306A、306B、3D 308、および超解像310を含む、一部の実施形態によるDSPシステムの様々な顕微鏡モダリティを実現するために表示することができる様々なパターンを示している。
【0025】
光学的手段は、一部の実施形態では、紫外光源およびVLS(ただし、一部の実施形態では、そのような構造はまた、光学的手段とは別個であると見なすこともできる)、以下のうち一つまたは複数を含んでもよい: 集光レンズ、走査レンズ、ダイクロイックミラー、フォトマスク手段(以下、および本明細書の他の場所を参照)、対物レンズ、カメラ(たとえば、カメラ付きパーソナルモバイルデバイス等)。光学的手段は、一部の実施形態では、紫外光源からの紫外光、VLSからの可視光、またはLCDバックライトからの可視光または白色光で組織サンプルを照射するように構成される。ダイクロイックミラーは、複数の光源(たとえば、2つの光源)から光学軸(一部の実施形態では、単一の光学軸)への光の方向転換を可能にするように構成されているため、ユーザーが決定した場所でのみサンプルに到達する。
【0026】
上記の一部の実施形態によれば、フォトマスキング手段は、以下のうちの少なくとも一つを含んでもよい: LCD(たとえば
図2Aに示すように、バックライトを含んでもよい)、関心領域(ROI)でのみ組織に到達するようにUVおよび可視光または白色光の少なくとも一つを構造化するようにプログラム可能な開口部として構成されたLCD、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶オンシリコン(LCoS)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)、マイクロ発光ダイオード(μLED)アレイ、光ファイバー束、液晶ディスプレイ(LCD)、スキャニングレーザー、および物的障壁(physical barrier)。
【0027】
図4Aおよび4Bは、一部の実施形態によるDSPシステムに対応し、
図2Aおよび2Bのものと同様であるが、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD/液晶オンシリコン(LCoS))、反射マスク構造および操作を示し、フォトマスキング手段の形態に対応する。DMDは、典型的には、その表面上に、フォトマスキングに使用される「ピクセル」に対応するアレイ(たとえば、長方形)に配置された多数(たとえば、数十万)の顕微鏡ミラー(microscopic mirror)を有するチップである。ミラーは、オンまたはオフの状態に個別に回転させることができる(たとえば、±10~12°)。オン状態では、光源からの光がレンズに反射され(ピクセルが明るく見えるようになる)、オフ状態では、光が他の場所(たとえばヒートシンク)に向けられ、ピクセルが暗く見えるようになる。したがって、示されるように、組織405を備えた組織スライド403をシステム内に配置し、ここでレンズ407およびダイクロイックミラー407を介して白色光410で照射することができる。DMD/LCoS420は、マスキングを実行して、紫外光414をスライド403上の組織サンプル405a内の特定のROI 403bに向ける。
図4B-1および4B-2は、DMD/LCoSコンポーネント(たとえば、独立して移動可能なマイクロミラー450、副鏡452およびシリコンチップ454)の機能を示す。
【0028】
一部の実施形態によるDSPシステムに対応する
図4Cは、
図4Aおよび4Bのものと同様であるが、さらに別の形態のフォトマスキング手段に対応する走査型レーザーシステム438を利用する。走査型レーザーは、典型的には、XY検流計ミラー444等の可動ミラーを含み、たとえば走査レンズ440を介して(そして次にダイクロイックミラー408、カメラ416、レンズ402、スライド403、組織405a、一方LED410、およびレンズ407の他の記載されるコンポーネントを介して)レーザー442からのレーザービームを少なくとも二次元に向けることができる。走査は、ラスター走査またはベクトル操作の形式で行うことができる。走査するとき、走査型レーザーは、フォトマスキングに使用される「ピクセル」に対応する、照射される組織のその部分にのみ向けられる。
【0029】
一部の実施形態による、DSPのハウジング/フレーム構造は、たとえば、以下のうちの一つまたは複数を含む、複数のコンポーネントを含んでもよい: 足場、PMDフレーム、対物レンズフレーム、スライドフレーム、フォトマスキングフレーム、集光フレーム(condenser frame)、および、一部の実施形態では、少なくとも一つの熱管理手段。
図5A~Eは、DSPの様々な足場およびフレームを示している(たとえば、ハウジングを形成するか、一緒にハウジングであってもよい):
図5A-1、5A-2 -集光レンズを収納するための集光フレーム;
図5B-1および5B-2 -フォトマスキング手段(たとえばLCD)を保持するためのLCD、ダイクロイック、バックライトフレーム;
図5B-3 -LCDおよびレンズ(たとえばダイクロイック)を保持するためのハウジング/フレーム;
図5B-4 -コントローラーおよびレンズ(たとえばダイクロイック)を備えたLCDを保持するためのハウジング/フレーム;
図5C -ハウジング/チャンバーに対してPMDを保持するためのPMDおよび/または対物フレーム;
図5D -様々な用途の足場(たとえば、ハウジング/チャンバーの支持物);および
図5E -スロットを介してチャンバーが収容するスライドを保持するためのスライドフレーム。ハウジングは、それぞれが異なる対物レンズおよび対応する倍率を有する、複数の対物レンズフレームの単一の対物レンズフレームを取り外し可能に収容するように構成されていてもよい。各対物レンズフレームは、カメラセンサーとは異なる間隔を提供するように構成でき、別のフレームと簡単に交換できる。フレーム、サポート、足場等のそのような例。
図5Fは、様々なフレームおよび足場を使用して構築されたDSPシステムの斜視図である。
【0030】
ヒートシンク、ヒートポンプ、ファン、液体冷却システム、およびペルチェデバイスのうちの少なくとも1つを含むことができるDSPシステムの一部の実施形態には、熱管理手段を含めることができる。
図6は、一部の実施形態による、DSPの熱管理のための例示的な回路を示しており、これは、アナログ-デジタル変換(たとえば、Arduino ADC)を介してプロセッサに動作可能に接続することができる。熱管理手段はまた、複数のヒートシンククリップを含んでもよい。
【0031】
一部の実施形態では、ソフトウェアアプリケーション(たとえば、モバイルアプリケーション)が含まれ、プロセッサ上で動作し、PMDに、組織スライドのカメラセンサーを介して取得されてPMDのディスプレイに表示される組織像の関心領域(ROI)を選択するためのユーザー入力を受信するように構成されていてもよいグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を表示するように構成されていてもよい。
図7A~Bは、一部の実施形態によるGUIのスクリーンショットの例を示している。一部の実施形態では、モバイルアプリケーションは、たとえば、LCDの機能的キャリブレーションを提供するように構成される。たとえば、LCDに表示される照明の複数(たとえば、正方形/長方形の4つのコーナー)のピクセルをユーザーが選択して(たとえば、GUIを使用して)、4つのコーナー内の位置としてROIを確立できる(xおよびyの比率); たとえば、
図7A~Bの左側の画像を参照(たとえば、LCDのキャリブレーションスキームについては
図4Dも参照)。アプリケーションは、画像上の場所の記録を含む、選択したROIを表示することもできる。また、ROIを変更したり、間違いがあった場合にすぐに再選択したり、サイズを拡大または縮小したりすることもできる。
【0032】
図7Cは、一部の実施形態による例示的なソフトウェアアプリケーションのスクリーンショットの例を示している。図の左上から始まり、左から右、次に下、左から右に進むと、モバイルアプリケーションのGUIにより、(タッチスクリーンを介して)「開始」ボタンを押し、関心領域を選択することにより、組織をイメージングするプロセスが可能になる(組織を乗せたスライドをチャンバーに入れた後)。その後、組織がイメージングされ、そのようなものは、画像キャプチャ中に組織サンプルに可視光を提供するようにVLSを制御することを含む。その後、画像は、たとえば、LCD上の少なくとも一つ(および好ましくは複数)のマーカー(すなわち、フォトマスキング手段)を使用してキャリブレーションされる。
【0033】
次に、たとえば、ユーザーがタッチスクリーンを介してROIを選択し、アプリケーションを操作するPMDがDSP(たとえばブルートゥース)にペアリング/接続される。その後、ROIの座標がDSPに送信され、UV照射が開始され、光切断可能なリンカーを介して抗体に結合したオリゴが切断される。
【0034】
図7D-1~7D-7は、一部の実施形態によるGUI/ソフトウェアアプリケーションのスクリーンショットの例に対応する:
-
図7D-1: GUIのスタートのスクリーンショット;
-
図7D-2: コーナー選択の確認のスクリーンショット;
-
図7D-3: ROIの確認のスクリーンショット;
-
図7D-4: 新しい座標の選択および座標の送信のスクリーンショット;
-
図7D-5: 選択したROIの照射の開始のスクリーンショット;
-
図7D-6: 正しいROI位置の確認および/または(実施形態に応じて)のスクリーンショット;
-
図7D-7: ROIイメージングの完了および次のROIへの継続のスクリーンショット。
【0035】
一部の実施形態では、構造および関連する構造は、スライド上の組織との間で流体を伝達するために提供される。たとえば、
図8Aに示すように、切断されたオリゴは吸引され、これは、手動で、または機械/ロボットを介して、ピペッティングを介して行うことができる。これは、組織サンプル/スライド(および/またはチャンバーの一部として、たとえば、その少なくとも一部として)の上に設けられた開口部/穴を介して、または、たとえば、フローセルを介して行うことができる。誘導手段は、スライド上の組織から流体を伝達するための毛細管手段を含む、スライドおよびガスケット構成内またはそれに近接して構成することができる(たとえば、
図2E-4、2E-5を参照)。
図9A~Cは、そのような開口部、他の構造、構成、および/またはそれに関連する関連データの例示的なパターンを示している。そのような流体関連の構造および/または機能はまた、スライドへのおよび/またはスライドからの溶液の流れ(たとえば、緩衝液の供給)を提供するように構成されたポンプシステムを含んでもよい。切断されたオリゴは、
図8に示すように、グリッドバリア等の誘導手段を介してピペッティングすることにより、手動または機械/ロボットで吸引することができる。誘導手段は、
図2E-3に示すように、スライドおよびガスケット構成内またはその近くに構成することができる。
【0036】
図10A~10F-4は、本開示の一部の実施形態による、スライドおよび/またはアッセイ(たとえば、96ウェルプレート)への/からの流体輸送の例を示している。たとえば、
図10Aは、スライド(たとえば)から流体(たとえば、オリゴ)を回収するためのピペットガイド1005を示している。ガイドの斜視図を
図10Bに、ならびに上面図を
図10Cに示している。ポイント1010は、ピペットを正確な位置に誘導するための、ROIの上の対応するアレイ穴を照らすLCD「開口部」からのバックライトを示している。たとえば、
図10E-1~10E-3は、サンプルを白色光/可視光に曝露して決定されたROIを視覚化すること(
図10E-1)、ガイドを挿入すること、およびROIの一を特定すること(
図10E-2)、および次にピペットを挿入してサンプルを取り出すことを含む、サンプルを収集するための例示的な手段を示している。これはROIごとに繰り返される。
【0037】
図10F-1は、サンプル1030上のガイド1020を備えたマイクロキャピラリーアレイ(たとえば、96ウェルフォーマット)1010を示す。
図10F-2は、サンプルの上でマイクロキャピラリーアレイを使用できる開口部/穴の数を示している。
図10F-3は、一つまたは複数の毛細管の上部での気密キャップ(たとえば)1040の使用を示しており、これは、熱によって除去できる薄いパラフィルム層、光分解性材料のプラグ、および/またはマイクロ流体バルブであってもよい。
図10F-4は、一つまたは複数の毛細管の底部でのプラグ1050の使用を示し、これは、一部の実施形態において、毛細管作用を比較的短い時間(たとえば、数秒以下)だけ遅らせるために使用することができ、これは、UV照射中に液体/サンプルの吸引が発生しないが、その後すぐに開始できるように機能することが可能である。そのようなプラグは、可溶性材料(たとえば、塩、糖)の層、および光分解性層(たとえば、UV分解性)のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0038】
様々な本発明の実施形態が本明細書に記載および図示されているが、当業者は、開示された機能を実行し、および/または結果および/または本明細書に記載の一つまたは複数の利点を得るための他の様々な手段、機能、工程、および/または構造(ソフトウェアコードを含む)を容易に想像するであろう。そのような変形および/または改変のそれぞれは、本明細書に記載の本発明の実施形態の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメータおよび構成が例示を意図するものであり、実際のパラメータおよび構成が、本発明の教示が使用される特定の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載の特定の本発明の実施形態と多くの同等物を認識し、または日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は例としてのみ提示され、本開示およびその同等物によってサポートされる任意の特許請求の範囲内で、本発明の実施形態は、具体的に記載およびクレームされる以外の方法で実施することができることが理解されるべきである。本開示の発明の実施形態は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、装置、デバイス、工程、コード、機能、および/または方法のそれぞれを対象としている。さらに、2つ以上のそのような特徴、システム、装置、デバイス、工程、コード、機能、および/または方法の任意の組み合わせ(そのような特徴、システム、装置、デバイス、工程、コード、機能、および/または方法が相互に矛盾しない)が、本開示の本発明の範囲に含まれる。さらなる実施形態は、一つまたは複数の特徴/機能/工程を具体的に欠くことにより、先行技術に対して特許を受けることができる(すなわち、そのような実施形態を対象とする請求項は、そのような請求項を先行技術から区別するための一つまたは複数の負の制限を含んでもよい)。
【0039】
本開示の上記の実施形態は、多くの方法のいずれかで実施することができる。たとえば、一部の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを使用して(たとえば、記載されているように)実装されうる。一実施形態のいずれかの態様が少なくとも部分的にソフトウェアに実装される場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータで提供されるか複数のコンピュータに分散されるかにかかわらず、任意の好適なプロセッサまたはプロセッサの集合、サーバー等で実行することができる。
【0040】
この点に関して、本明細書に開示される様々な実施形態は、少なくとも部分的に、一つまたは複数のコンピュータまたは他のプロセッサ上で実行されると、上記の技術の様々な実施形態を実施する方法を実行する一つまたは複数のプログラムでコードされたコンピュータ可読記憶媒体(または複数のコンピュータ可読記憶媒体)(たとえば、コンピュータメモリ、一つまたは複数のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリー、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは他の半導体デバイスの回路構成、または他の有形のコンピュータ記憶媒体または非一時的媒体)として少なくとも部分的に具体化されうる。コンピュータ可読媒体(単数または複数)は、その上に格納された一つまたは複数のプログラムを一つまたは複数の異なるコンピュータまたは他のプロセッサにロードして、上記のように本技術の様々な態様を実装できるように、移送可能であってもよい。
【0041】
用語「プログラム」、「ソフトウェア」、「コード」、または「ソフトウェアコード」は、本明細書では、一般的な意味で使用され、上記で説明した本技術の様々な態様を実装するためにコンピュータまたは他のプロセッサをプログラムするために使用することができる任意のタイプのコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令のセットを指す。さらに、この実施形態の一態様によれば、実行されたときに本技術の方法を実行する一つまたは複数のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータまたはプロセッサ上に存在する必要はないが、ネットワーク上および/またはネットワーク上で(on and/or over a network)本技術の様々な態様を実装するために、多数の異なるコンピュータまたはプロセッサ間でモジュール方式で分散されうることを理解されたい。
【0042】
コンピュータ実行可能命令は、一つまたは複数のコンピュータまたは他のデバイスによって実行される、プログラムモジュールまたはコンテナ等の多くの形態であってもよい。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりするルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む。典型的には、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において所望されるように組み合わされ、または分散することができる。
【0043】
本出願内で提示される、特許、特許出願、記事、ウェブページ、本等を含むがこれらに限定されない刊行物または他の文書へのすべての参照は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書で定義および使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味を制御するように理解されるべきである。
【0044】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または」という句は、そのように結合された要素、すなわち、場合によっては結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」で列挙された複数の要素は、同じ方法で解釈する必要がある。つまり、そのように結合された要素の「一つまたは複数」である。「および/または」節によって具体的に識別される要素以外の他の要素が、具体的に識別される要素に関連するかどうかにかかわらず、任意選択で存在しうる。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」等の制限のない言語と組み合わせて使用される場合、一つの実施形態では、Aのみ(任意選択で、 B以外の要素を含む);別の実施形態では、Bのみ(任意選択でA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意選択で他の要素を含む);等を指してもよい。
【0045】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。たとえば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は包括的であると解釈されるものとする。すなわち、要素の数またはリストの少なくとも一つを含むが、複数も含み、任意選択で追加の列挙されていない項目も含むと解される。「ただ一つ」または「正確に一つ」等、または特許請求の範囲で使用される場合は「からなる」等、反対に明確に示される用語のみが、多数の要素または要素のリストのうちの正確に一つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される用語「または」は、「どちらか」、「一方」、「ただ一つ」、または「正確に一つ」等の排他的な用語が先行する場合にのみ、排他的代替(すなわち、一方または他方、しかし両方ではない)を示すものとして解釈される。「本質的にからなる」は、特許請求の範囲で使用する場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0046】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、一つまたは複数の要素の列挙に関連する「少なくとも一つ」という句は、要素の列挙の中の任意の一つまたは複数の要素から選択される少なくとも一つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも要素の列挙の中の具体的に列挙されているすべての要素の少なくとも一つを含む必要はなく要素の列挙内の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義はまた、「少なくとも一つ」という句が言及する要素の列挙内で具体的に識別される要素以外の要素が、具体的に特定された要素に関連するかどうかにかかわらず、任意選択で存在することを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも一つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも一つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも一つ」)は、一つの実施形態では、少なくとも一つ、任意選択で2つ以上のAを含み、Bが存在しない(および任意選択でB以外の要素を含む);別の実施形態では、Bのみ(任意選択でA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意選択で他の要素を含む);等を指してもよい。
【0047】
特許請求の範囲、ならびに上記の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ」、「有する」、「含む(containing)」、「関与する」、「保持する」、「構成される(composed of)」等のすべての移行句は、制限がない、すなわち含むがこれに限定されないことを意味すると理解するべきである。米国特許庁の特許審査便覧のセクション2111.03に記載されているように、移行句「からなる」および「本質的にからなる」のみが、それぞれクローズドまたはセミクローズドな移行句であるものとする。
【国際調査報告】