(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(54)【発明の名称】1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタンを含有する起泡剤組成物、及び発泡方法
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20220208BHJP
C08J 9/14 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
C09K3/00 111B
C08J9/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535993
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 US2019067602
(87)【国際公開番号】W WO2020132319
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】シン、ラジヴ ラタナ
(72)【発明者】
【氏名】フルス、リャン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ビン
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA32
4F074AA79
4F074BA39
4F074BA53
4F074BA95
4F074CA12
4F074CA22
4F074CA29
4F074DA32
(57)【要約】
発泡剤組成物は、発泡剤及び造核剤を含む。造核剤は1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタンを含む。1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタンは、発泡剤組成物の約0.5重量%~約7重量%の量で発泡剤組成物中に存在する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤組成物であって、
発泡剤と、
1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタン(TFMCB)を含む造核剤であって、前記発泡剤組成物中に存在する前記TFMCBが、前記発泡剤組成物の約0.5重量%~約7重量%の量で存在する、造核剤と、を含む、発泡剤組成物。
【請求項2】
前記発泡剤が、HFC-152a、HFC-245fa、HFC-134、HFC-134a、HFC-365mfc、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)、C1-C4アルコール、trans-ジクロロエチレン(trans-DCE)、ギ酸メチル、C1-C4アルデヒド、C3-C4ケトン、C2-C4エーテル、ジエーテル、水、CO2、及びこれらの組合せを含む、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項3】
前記発泡剤が、シクロペンタン、HFC-245fa、R-1233zd(E)、HFO-1336mzz(Z)、又はこれらの組合せを含む、請求項2に記載の発泡剤組成物。
【請求項4】
前記発泡剤が、シクロペンタンからなる、請求項3に記載の発泡剤組成物。
【請求項5】
界面活性剤(複数可)、ポリマー改質剤(複数可)、強化剤(複数可)、着色剤(複数可)、色素(複数可)、溶解度向上剤(複数可)、レオロジー調節剤(複数可)、可塑剤(複数可)、引火性抑制剤(複数可)、抗菌剤(複数可)、粘度低下調節剤(複数可)、充填剤(複数可)、蒸気圧調整剤(複数可)、触媒(複数可)、及びこれらのいずれか2つ以上の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのアジュバントを更に含む、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項6】
前記組成物中に存在する前記TFMCBが、前記発泡剤組成物の約1重量%~約7重量%の量で存在する、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項7】
前記組成物中に存在する前記TFMCBが、前記発泡剤組成物の約2重量%~約6重量%の量で存在する、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項8】
発泡性組成物であって、
発泡体形成剤と、
請求項1から7のいずれか一項に記載の発泡剤組成物と、を含む、発泡性組成物。
【請求項9】
発泡体であって、
複数のポリマー性気泡と、
前記気泡のうちの少なくとも1つに含有される組成物であって、前記組成物が、
発泡剤、及び
1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタン(TFMCB)を含む造核剤であって、前記気泡中に存在する前記TFMCBが、前記組成物の約0.1重量%~約3重量%の量で存在する、造核剤を含む、組成物と、を含む、発泡体。
【請求項10】
前記発泡剤が、HFC-152a、HFC-245fa、HFC-134、HFC-134a、HFC-365mfc、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)、C1-C4アルコール、trans-ジクロロエチレン(trans-DCE)、ギ酸メチル、C1-C4アルデヒド、C3-C4ケトン、C2-C4エーテル、ジエーテル、水、CO2、及びこれらの組合せを含む、請求項9に記載の発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタン(TFMCB)と、これらの組成物を用いる発泡方法と、これらの組成物を含む発泡体と、を含む発泡剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロカーボン流体は、発泡剤、及び他の用途を含む、様々な用途での使用に望ましい特性を有する。残念ながら、工業用途における特定のハイドロフルオロカーボン「HFC」の使用は地球温暖化に寄与すると現在考えられており、したがって、それらは現在使用を制限されている。しかしながら、HFCを含む新しく環境に安全な組成物の同定は、これらの用途において有用となる多くの特性が容易に予測できないという事実に起因して、複雑である。例えば、発泡剤組成物は、許容可能な環境特性を有するだけでなく、とりわけ、化学的安定性、低毒性又は毒性なし、低引火性又は引火性なしであることも望ましい。発泡剤はまた、使用時に優れた性能を、例えば、優れた断熱特性及び他の望ましい発泡特性を有することも望ましい。
【0003】
したがって、業界は、現在の組成物の許容可能かつ環境的により安全な代替物である、新しいHFC系の混合物を絶えず求めている。
【0004】
例えば熱可塑性材料及び熱硬化性材料といった、従来の発泡材料を作製するための方法及び組成物は、長い間周知である。これらの方法及び組成物は、典型的には、ポリマーマトリクス中に発泡構造を形成するために化学的及び/又は物理的な発泡剤を利用している。このような発泡剤には、例えば、アゾ化合物、様々な揮発性有機化合物(volatile organic compound:VOC)及びクロロフルオロカーボン(chlorofluorocarbon:CFC)が含まれる。化学発泡剤は、典型的には、窒素、二酸化炭素又は一酸化炭素などのガスの放出を引き起こすポリマーマトリクスを形成する材料(通常、所定の温度/圧力における)との化学反応を含む、一部の形態の化学的変化を受ける。最も頻繁に使用される化学発泡剤のうちの1つは、水である。物理発泡剤は、典型的にはポリマー又はポリマー前駆体材料中に溶解され、次いで体積膨張して(再び、所定の温度/圧力における)、発泡構造の形成に寄与する。物理発泡剤は熱可塑性発泡体に関連して使用されることが多いが、熱可塑性発泡体に関連した物理発泡剤の代わりに、又はこれに加えて、化学発泡剤を使用することができる。例えば、ポリ塩化ビニル系発泡体の形成に関連して、化学発泡剤が使用されることが知られている。熱硬化性発泡体に関連して、化学発泡剤及び/又は物理発泡剤を使用することが一般的である。当然のことながら、特定の化合物及びそれらを含有する組成物は、化学的及び物理的な発泡剤を構成し得る。
【0005】
従来、CFCは、硬質及び軟質ポリウレタン及びポリイソシアヌレート発泡体などのイソシアネート系発泡体の調製において、標準的な発泡剤として使用されることが一般的であった。例えば、CCl3F(CFC-11)は標準的な発泡剤となっていた。しかしながら、この材料の使用は、大気中へのその放出が成層圏内のオゾン層を損傷することを背景として、国際的な条約により禁止されている。結果として、ニートなCFC-11がイソシアネート系発泡体及びフェノール性発泡体などの熱硬化性発泡体を形成するための標準発泡剤として使用されることは、もはや概して一般的ではない。
【0006】
CFCの問題はより多くの水素含有クロロフルオロアルカン(hydrogen-containing chlorofluoroalkane:HCFC)の利用をもたらした。例えば、CHCl2CF3(HCFC-123)、CH2ClCHClF(HCFC-141b)は、大気中では比較的寿命が短い。しかしながら、HCFCはCFCに対して環境に優しい発泡剤であると考えられるが、そのような化合物はいくらかの塩素を含有しており、したがって、「オゾン破壊係数」(「Ozone Depletion Potential:ODP」と称される)を有する。非ゼロODPのため、HCFCは最終的に使用からの除去されることを目標とされている。
【0007】
別の既知の部類の発泡剤には、非塩素付加である部分水素化フルオロカーボン(「hydrogenated fluorocarbon:HFC」と称される)がある。発泡剤として現在使用されているHFCのうちの特定のものは、少なくとも1つの潜在的に深刻な問題を有し、つまりこれらは、概して、比較的高い固有熱伝導性(すなわち、不充分な断熱性)を有する。一方で、CF3CH2CF2H(「HFC-245fa」)といった特定のより現代的なHFC発泡剤で作製された発泡体は、HFC-245fa蒸気の低熱伝導性に一部起因し、及び一部は微細気泡構造HFC-245faが発泡体に付与されることに起因して、改善された断熱を提供する。HFC-245faは、断熱用途、特に冷蔵庫、冷凍庫、冷蔵庫/冷凍庫、及びスプレーフォーム用途において広く使用されている。それにもかかわらず、多くのHFC流体は、比較的高い地球温暖化係数を有するという欠点を共有し、そして使用特性における所望の性能を維持しながら、可能な限り低い地球温暖化係数を有するハイドロフルオロカーボン又は他のフッ素化流体を使用することが望ましい。HFC-245fa、HFC-134a及びHFC-365mfcなどのより現代的なHFCでさえも、他のHFCと比較して低いにも関わらず、望ましい地球温暖化係数よりも高い地球温暖化係数を呈する。したがって、発泡断熱材、特に硬質発泡断熱材中の発泡剤としての地球温暖化係数のあるHFCの使用により、市販の発泡断熱材中の発泡剤のための望ましくない候補であるHFCがもたらされた。
【0008】
したがって、これら及び他の用途において発泡剤として使用されてきた組成物に対する魅力的な代替物である、新規化合物及び組成物の必要性が増している。
【0009】
出願人らは、したがって、組成物、特に発泡剤、発泡性組成物、発泡物品、並びに、有益な特性を提供し、かつ/又は上記の欠点のうちの1つ以上を回避するための方法及びシステムの必要性を理解することとなる。
【発明の概要】
【0010】
出願人らは、上記の必要性及び他の必要性が、発泡剤組成物、発泡性組成物、発泡体、及び/又は1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタン(TFMCB)を含む発泡物品の、方法、プロセス及び使用によって満たされ得ることを見出した。
【0011】
化合物1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタン(「TFMCB」)は、以下の化学構造を有する。
【化1】
【0012】
1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタン(「TFMCB」)はまた、1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタン、1-トリフルオロメチル-1,2,2-トリフルオロシクロブタン、1,1,2-トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-シクロブタン、又はヘキサフルオロプロピレン/エチレン環状二量体を含む、代替名で称することもできる。
【0013】
TFMCBは任意の適切な方法によって製造してもよい。好適な方法としては、米国特許第US-A-9856193号及び同第US-A-10005705号に記載される方法が挙げられ、これらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
「地球温暖化係数(Global Warming Potential)」(以下「GWP」)は、様々なガスの地球温暖化への影響の比較を可能にするため開発された。これは、1トンの二酸化炭素の排出量に対して、どれ程のエネルギーを1トンのガスの排出量が所与の期間に吸収するかの尺度である。GWPが大きいほど、所与のガスは、CO2と比較してその期間に地球をより温める。GWPに通常使用される期間は、100年である。GWPは、アナリストが異なる気体の放出推定値を合計することを可能にする、一般的な尺度を提供する。「気候変動に関する政府間パネル」(Intergovernmental Panel on Climate Change:IPCC)の第5次評価報告書(5th Assessment Report:AR5)(2014年)を参照されたい。TFMCBは、大気寿命及び放射効率から算出した44のGWPを有する(手順の参照:Hodnebrog,Etminan,Fuglestvedt,Marston,Myhre,Nielsen,Shine,Wallington「Global Warming Potentials and Radiative Efficiencies of Halocarbons and Related Compounds:A Comprehensive Review」 Reviews of Geophysics,51,2013.DOI:8755-1209/13/10.1002/rog.20013)。TFMCBは約44.のGWPである。
【0015】
LC50とは、化合物の急性毒性の尺度である。化合物の急性吸入毒性は、the OECD Guideline for Testing of Chemicals No.403「Acute Inhalation Toxicity」 (2009),Method B.2.(Inhalation) of Commission Regulation (EC) No.440/2008.に記載の試験方法を用いて評価することができる。TFMCBは、19.15mg/L超のLC50を有する。
【0016】
発泡剤組成物の文脈において、不燃物とは、不燃性であると判定される化合物又は組成物を意味する。溶媒/発泡剤の引火点は、ASTM D3828に従って決定されるように、着火源が除去された後に液体の蒸気が燃焼し続ける最低温度を指す。100°F(37.8℃)未満の引火点を有しない発泡剤は、「NFPA 30:Flammable and Combustible Liquid Code」に従って、「不燃性」として分類される。
【0017】
TFMCBは任意の適切な方法によって製造してもよい。好適な方法としては、米国特許第US-A-9,856,193号及び同第US-A-10,005,705号に記載される方法が挙げられ、これらの開示の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
1. 発泡剤組成物
【0018】
本発明は、1-トリフルオロメチル-1,2,2-トリフルオロシクロブタン(TFMCB)を含む発泡剤組成物に関する。
【0019】
発泡剤は、少なくとも約7重量%、好ましくは少なくとも約10重量%、より好ましくは少なくとも約15重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%、より好ましくは少なくとも約25重量%、より好ましくは少なくとも約30重量%の発泡剤組成物、より好ましくは少なくとも約40重量%、より好ましくは少なくとも約50重量%の量のTFMCBを含み得る。
【0020】
あるいは、発泡剤は、TFMCBから本質的になってもよい。あるいは、発泡剤は、TFMCBからなってもよい。
【0021】
発泡剤組成物は、1つ以上の共発泡剤と組み合わせて、上記の量のいずれかでTFMCBを含んでもよい。
【0022】
1つ以上の共発泡剤は、HFC-152a、HFC-245fa、HFC-134、HFC-134a、HFC-365mfc、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)、C1-C4アルコール、trans-ジクロロエチレン(trans-DCE)、ギ酸メチル、C1-C4アルデヒド、C3-C4ケトン、C2-C4エーテル、ジエーテル、水、CO2、及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。
【0023】
本発明の発泡剤がブタンを含む場合、ブタンは、イソブタン及びn-ブタンから選択することができる。このような発泡剤は熱可塑性発泡体の製造について特に好ましい。
【0024】
本発明の発泡剤がペンタンを含む場合、ペンタンは、イソペンタン、ノルマルペンタン、ネオペンタン及び/又はシクロペンタンから選択され得る。好ましくは、ペンタンは、シクロペンタンである。このような発泡剤は熱硬化性発泡体の製造について特に好ましい。
【0025】
炭化水素発泡剤(すなわち、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン)は、好ましくは、発泡剤組成物総量の約5重量%~約80重量%、更により好ましくは発泡剤総量の約20重量%~約60重量%の量で発泡剤中に存在する。
【0026】
本発明の発泡剤がC1~C4アルコールを含む場合、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール又はt-ブタノールから選択され得る。好ましくは、発泡剤は、発泡剤総量の約5重量%~約40重量%、より好ましくは約10重量%~約40重量%、更により好ましくは発泡剤総量の約15重量%~約25重量%の量のアルコールを含む。
【0027】
本発明の発泡剤がエーテル又はジエーテルを含む場合、エーテルはジメチルエーテル又はジエチルエーテルであってもよく、ジエーテルはジメトキシメタン又はジエトキシエタンであり得る。好ましくは、発泡剤は、発泡剤総量の約5重量%~約40重量%、より好ましくは約10重量%~約40重量%、更により好ましくは発泡剤総量の約15重量%~約25重量%の量のエーテルを含む。
【0028】
本発明の発泡剤がC1~C4アルデヒドを含む場合、アルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール及びイソブタナールから選択され得る。好ましくは、発泡剤は、発泡剤総量の約5重量%~約40重量%、より好ましくは約10重量%~約40重量%、更により好ましくは発泡剤総量の約15重量%~約25重量%の量のアルデヒドを含む。
【0029】
本発明の発泡剤がC3~C4ケトンを含む場合、ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンから選択され得る。好ましくは、発泡剤は、発泡剤総量の約5重量%~約40重量%、より好ましくは約10重量%~約40重量%、更により好ましくは発泡剤総量の約15重量%~約25重量%の量のケトンを含む。
【0030】
本発明の発泡剤が水を含む場合、発泡剤は、発泡剤組成物総量の約5重量%~約50重量%、より好ましくは約10重量%~約40重量%、更により好ましくは発泡剤総量の約10重量%~約20重量%の量のH2Oを含む。
【0031】
本発明の発泡剤がギ酸メチルを含む場合、発泡剤は、発泡剤組成物総量の約5重量%~約50重量%、より好ましくは約10重量%~約40重量%、更により好ましくは発泡剤総量の約10重量%~約20重量%の量のギ酸メチルを含む。
【0032】
本発明の発泡剤がtrans-ジクロロエチレンを含む場合、発泡剤は、発泡剤組成物総量の約5重量%~約50重量%、より好ましくは約10重量%~約40重量%、更により好ましくは発泡剤総量の約10重量%~約20重量%の量のtrans-ジクロロエチレンを含む。
【0033】
本発明の発泡剤がメチラールを含む場合、発泡剤は、発泡剤組成物総量の約5重量%~約50重量%、より好ましくは約10重量%~約40重量%、更により好ましくは発泡剤総量の約10重量%~約20重量%の量のメチラールを含む。
【0034】
発泡剤がCO2を含む場合、発泡剤は、発泡剤組成物総量の約5重量%~約60重量%、より好ましくは約20重量%~約50重量%、更により好ましくは発泡剤総量の約40重量%~約50重量%の量のCO2を含む。
【0035】
発泡剤が、HFC-152a、HFC-245fa、HFC-134、HFC-134a又はHFC-365mfcなどのHFC共発泡剤を含む場合、HFC共発泡剤は、好ましくは、発泡剤組成物の総量の約5重量%~約80重量%、より好ましくは約10重量%~約75重量%、更により好ましくは発泡剤総量の約25%~約75重量%、より好ましくは発泡剤総量の約20重量%~約60重量%の量で組成物中に存在する。
【0036】
発泡剤が、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)などのHFO共発泡剤を含む場合、HFO共発泡剤は、好ましくは、発泡剤組成物の総量の約5重量%~約80重量%、より好ましくは約10重量%~約75重量%、更により好ましくは発泡剤総量の約25%~約75重量%、より好ましくは発泡剤総量の約20重量%~約60重量%の量で組成物中に存在する。
【0037】
発泡剤組成物は、TFMCB及び共発泡剤から本質的になるか、又はTFMCB及び共発泡剤からなり得ることが理解されるであろう。
【0038】
発泡剤組成物は、好ましくは、約1000以下、より好ましくは約500以下、より好ましくは約150以下のGWPを有する。
【0039】
驚くべきことに、TFMCBは不燃性であることが見出された。したがって、発泡剤組成物は、好ましくは不燃性である。
2. 他の成分
【0040】
本開示の任意の実施形態に係る発泡剤組成物は、追加の構成成分を含んでもよいことが想到されよう。このような任意の追加化合物としては、界面活性剤、ポリマー改質剤、強化剤、着色剤、色素、溶解度向上剤、レオロジー調節剤、可塑剤、引火性抑制剤、抗菌剤、粘度低下調節剤、充填剤、蒸気圧調整剤、触媒、分散剤、気泡安定化剤、界面活性剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
特定の界面活性剤は、任意であるが、好ましくは気泡安定化剤として機能するように添加される。いくつかの代表的な材料は、DC-193、B-8404及びL-5340の名称で販売されている。これらは概して、米国特許第2,834,748号、同第2,917,480号及び同第2,846,458号に開示されているものなどのポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーであり、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。発泡剤混合物のための他の任意の添加物としては、トリ(2-クロロエチル)ホスフェート、トリ(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、リン酸二アンモニウム、様々なハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム及びポリ塩化ビニルなどの難燃剤が挙げられ得る。
3. 発泡性組成物
【0042】
本発明は、本発明の発泡剤組成物、及び発泡体を形成することができる1つ以上の構成成分を含む、発泡性組成物を提供する。
【0043】
本明細書で使用する場合、用語「発泡体起泡剤(foam foaming agent)」とは、発泡体構造、好ましくは概して気泡性発泡体構造(cellular foam structure)を形成することができる構成成分、又は構成成分の組合せを指すために使用される。
【0044】
発泡体を形成することができる1つ以上の構成成分は、熱硬化性発泡体を形成することができる組成物であってもよい。熱硬化性発泡体の例としては、ポリウレタン及びポリイソシアヌレート発泡体、また並びにフェノール性発泡体が挙げられる。
【0045】
発泡体を形成することができる1つ以上の構成成分は、熱可塑性発泡体を形成することができる組成物であってもよいこともまた理解されよう。したがって、発泡体を形成することができる1つ以上の構成成分は、熱可塑性ポリマー及び/又は樹脂であってもよい。熱可塑性発泡体の例としては、例えば、式Ar-CHCH2のモノビニル芳香族化合物などのポリオレフィンが挙げられ、式中、Arは、ポリスチレン(PS)などのベンゼン系の芳香族炭化水素ラジカルである。本発明に係る好適なポリオレフィン樹脂の他の例としては、ポリエチレン及びエチレンコポリマーなどのエチレンホモポリマー、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、様々なエチレン樹脂が挙げられる。したがって、熱可塑性発泡体は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)又はポリエチレンテレフタレート(PET)発泡体であってもよい。
【0046】
発泡体が熱可塑性発泡体である場合、発泡性組成物は、好ましくは押出成形可能な組成物である。したがって、発泡体は、好ましくは押出成形された熱可塑性発泡体である。より好ましくは、発泡体は、好ましくは押出ポリスチレン発泡体である。
【0047】
発泡体がフェノール性発泡体である場合、フェノール樹脂、触媒、及び任意には特許請求される本発明の発泡剤を有する無機充填剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡させ、硬化させることによって、これを製造することができる。
4. 発泡体
【0048】
本発明はまた、本発明の発泡剤組成物を含む独立気泡発泡体にも関する。
【0049】
発泡体は、硬質発泡体、軟質発泡体又はスキン層付き発泡体であってもよい。好ましくは、本発明は、本発明の発泡剤組成物を含む独立気泡硬質発泡体に関する。
【0050】
本発明の発泡体は、ブロック、スラブ、積層体、現場注入発泡パネルなどのパネル、スプレー塗布発泡体及びフロスなどであってもよい。
【0051】
出願人らは、本発明に係る発泡体の1つの利点は、Kファクタ又はラムダによって測定できるような、優れた熱性能を達成する能力であることを見出した。
【0052】
本発明の発泡体、特に本発明の熱硬化性発泡体は、多種多様な用途で使用され得ることが想到される。特定の好ましい実施形態では、本発明は、冷蔵庫用発泡体、冷凍庫用発泡体、冷蔵庫/冷凍庫用発泡体、パネル発泡体、及び他の冷温又は低温製造用途を含む、本発明に係る家電用発泡体を含む。
【0053】
本発明の発泡体は、特に、家電工業、低温産業、運輸業及び建築業(例えば、建物物エンベロープ)での使用のために提供される。
【0054】
本発明に係る発泡体は、本発明の発泡剤に関連する低地球温暖化係数に加えて、断熱効率(特に、熱硬化性発泡体について)、寸法安定性、圧縮強度、断熱特性の経時変化を含む、1つ以上の並外れた特色、特徴及び/又は特性を提供する。
【0055】
好ましくは、本発明の発泡体(及び特に、熱硬化性発泡体)は、Kファクタ(BTU in/hr ft2°F)を40°Fにおいて約0.14以下、より好ましくは0.135以下、更により好ましくは0.13以下で呈する。更には、本発明の発泡体(特に、熱硬化性発泡体)は、Kファクタ(BTU in/hr ft2°F)を75°Fにおいて約0.16以下、より好ましくは0.15以下、更により好ましくは0.145以下で呈する。
【0056】
本発明の発泡体は、本発明の範囲外の発泡剤で製造された発泡体に対して改善された機械的特性を呈し得る。例えば、発泡体は、シクロペンタンからなる発泡剤を利用することによって、実質的に同一の条件下において生成される発泡体よりも優れ、好ましくは少なくとも約10相対パーセント、更により好ましくは少なくとも約15相対パーセント高い、圧縮強度を有し得る。更に、発泡体は、発泡剤がHFC-245faからなることを除いて、実質的に同じ条件下において発泡体を作製することによって生成される圧縮強度に匹敵する商業的基準である圧縮強度を有してもよい。発泡体は、当該方向の各々において、少なくとも約12.5%の降伏(平行及び垂直方向にて)、更により好ましくは少なくとも約13%の降伏の圧縮強度を示し得る。
【0057】
発泡体は、熱硬化性発泡体又は熱可塑性発泡体であってもよい。熱可塑性発泡体は、好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)又はポリエチレンテレフタレート(PET)である。好ましくは、熱可塑性発泡体は、押出成形された熱可塑性発泡体である。より具体的には、発泡体は、押出成形されたポリスチレン発泡体である。
【0058】
発泡体が熱可塑性発泡体である場合、本発明の発泡剤は、TFMCB単独、又はCO2、HFC-152a、HFC-245fa、HFC-134、HFC-134a、ブタン、イソブタン、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)、エタノール、ジメチルエーテル、アセトン、ギ酸メチル及びメチラールのうち1つ以上と組み合わせたTFMCBのいずれかを好ましくは含む。
【0059】
熱硬化性発泡体は、好ましくは、ポリイソシアネート、ポリウレタン又はフェノール性発泡体である。
【0060】
発泡体が熱硬化性発泡体である場合、本発明の発泡剤は、TFMCB単独、又は水、CO2、ギ酸メチル、メチラール、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)、HFC-152a、ギ酸、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、trans 1,2-ジクロロエチレン、HFC-245fa、HFC-365mfc、HFC-134a及びHFC-134aのうち1つ以上と組み合わせたTFMCBのいずれかを好ましくは含む。
【0061】
フェノール性発泡体は、アルデヒドと、フェノール又はフェノール系化合物との化学反応から得られるレゾール樹脂であり得る。
5. 方法及びシステム
【0062】
発泡体を形成するために現在既知で入手可能な全ての方法及びシステムは、本発明に関連して使用するために、容易に適合可能であることが想到される。例えば、本発明の方法は、一般に、発泡性組成物へ本発明に係る発泡剤を組み込むことと、次いで、好ましくは本発明に係る発泡剤の体積膨張を引き起こす工程又は一連の工程によって組成物を発泡させることと、を必要とする。一般に、発泡剤の組込み及び形成のために現在使用されているシステム及び装置は、本発明に従って容易に使用することができると想到される。実際に、本発明の1つの利点は、既存の発泡方法及びシステムと概ね適合性のある、改良された発泡剤を提供することであると考えられる。
【0063】
したがって、本発明は、熱硬化性発泡体及び熱可塑性発泡体を含む全種類の発泡体を形成するための方法及びシステムを含むことが理解されるであろう。したがって、本発明は、従来の加工条件における従来の発泡装置に関連した、本発明の発泡剤の使用に関する。本方法は、したがって、マスターバッチ型の操作、ブレンド型の操作、第3の発泡剤添加、及び発泡体ヘッドにおける発泡剤添加を含む。
【0064】
熱可塑性発泡体に関して、好ましい方法は、一般に本発明に係る発泡剤を、熱可塑性材料、好ましくは熱可塑性ポリマーへ導入することと、次いで、発泡を引き起こすのに有効な条件へ熱可塑性材料を供することと、を含む。
【0065】
例えば、発泡剤を熱可塑性材料に導入する工程は、熱可塑性材料を含有する押出成形機(例えば、スクリュ押出機)に発泡剤を導入することを含んでもよく、そして発泡させる工程は、熱可塑性材料上の圧力を低下させ、それによって発泡剤の膨張を引き起こし、材料の発泡に寄与することを含んでもよい。
【0066】
本明細書に含まれる開示を特に考慮すれば、本発明の発泡剤が形成され、かつ/又は発泡性組成物に添加される順序及び方法は、本発明の操作性へ一般的には影響を与えないことが理解されるであろう。例えば、押出成形可能な発泡体の場合、発泡剤の様々な成分、更には発泡性組成物の構成成分は、押出成形装置への導入に先立って混合されなくてもよく、又は更に、成分は押出成形装置の同じ場所に添加されなくともよい。その上、発泡剤は、直接か又はプレミックスの一部としてのいずれかで導入することができ、次いで、発泡性組成物の他の部分へと更に添加される。
【0067】
したがって、この手段によって構成成分が押出成形機内で一緒になり、及び/又はより効果的に作動することを期待して、発泡剤の1つ以上の構成成分を、発泡剤の1つ以上の他の構成成分の添加場所よりも上流である押出成形機内の第1の位置に導入することが望ましい場合がある。それにもかかわらず、発泡剤の2つ以上の構成成分を予め合わせ、そして直接か又はプレミックスの一部としてかのいずれかで発泡性組成物中へ一緒に導入され、その後、発泡性組成物の他の部分へと更に添加することが好ましい場合がある。
【0068】
本発明はまた、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン、ポリイソシアヌレート又はフェノール性発泡体を形成する方法にも関する。方法は一般に、本発明の発泡剤組成物を提供し、この発泡性組成物に発泡剤組成物を(直接的又は間接的に)添加し、そして当技術分野で周知のように、発泡体又は気泡構造を形成するのに有効な条件下において発泡性組成物を反応させることを含む。「Polyurethanes Chemistry and Technology,」 Volumes I and II,Saunders and Frisch,1962,John Wiley and Sons,New York,NYに記載されている方法などの、技術分野で周知の方法のいずれかを、本発明に従って使用することができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。概して、このような好ましい方法は、イソシアネート、ポリオール又はポリオールの混合物、本発明の発泡剤組成物、及び任意に、触媒、界面活性剤、難燃剤、着色剤又は他の添加物などの他の材料を組み合わせることによって、熱硬化性(例えば、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体)を調製することを含む。
【0069】
プレブレンドされた配合物中にポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体のための構成成分を提供すると便利である。最も典型的には、プレブレンドされた配合物は、2つの構成成分へとプレブレンドされる。イソシアネート及び任意にある特定の界面活性剤は、一般に「A」成分と呼ばれる第1の成分を含む。ポリオール又はポリオール混合物、任意の界面活性剤、触媒、難燃剤は、一般に「B」成分と呼ばれる第2の成分を含む。発泡剤組成物は、A成分及び/又はB成分中に存在し得る。例えば、発泡剤組成物が2つの発泡剤を含む場合、第1の発泡剤はA成分中に存在してもよく、第2の発泡剤はB成分中に存在してもよい。
【0070】
したがって、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体は、A及びB側成分を一緒に混合して、発泡体、例えばブロック、スラブ、積層体、現場注入発泡パネル及び他の物品、スプレー塗布発泡体及びフロスなどを形成することによって容易に調製される。混合は、例えば小規模な調製物についてはハンドミックス、又は機械混合技術であってもよい。
【0071】
本発明の方法及びシステムはまた、本発明に係る発泡剤を含有する、1つの成分熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体を形成することも含む。発泡剤の一部は、好ましくは容器内の圧力においては液体である発泡体形成剤中に溶解させることによって、1つの成分発泡体の発泡体形成剤に含有してもよく、発泡剤の第2の部分は、別個のガス相として存在してもよい。このようなシステムでは、収容/溶解した発泡剤は、大部分が発泡体の膨張を引き起こし、別個のガス相は、発泡体形成剤に推進力を付与するように動作する。このような1つの構成成分のシステムは、典型的には、エアロゾルタイプ缶などの容器にパッケージされるのが好ましく、したがって本発明の発泡剤は、好ましくは、発泡体の膨張及び/又はパッケージから発泡体/発泡性材料を輸送するためのエネルギー、並びに好ましくはその両方を提供する。そのようなシステム及び方法は、完全に配合されたシステム(好ましくはイソシアネート/ポリオール系)でパッケージを充填し、本発明に係るガス状発泡剤を、パッケージ、好ましくはエアロゾルタイプ缶に導入することを含み得る。
【0072】
「Polyurethanes Chemistry and Technology,」 Volumes I and II,Saunders and Frisch,1962,John Wiley and Sons,New York,NYに記載されている方法などの、技術分野で周知の方法のいずれかを、本発明の発泡体形成の実施形態に従って使用又は適合することができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
6. 造核剤としてのTFMCBの使用
【0073】
本発明の代替的な特徴は、TFMCBが造核剤として作用し得る発泡剤組成物に関する。本発明は、したがって、発泡体の形成における造核剤としてTFMCBを使用する、発泡剤組成物、発泡組成物及び発泡体に関する。TFMCBは、TFMCB以外の発泡剤、例えばHFC-152a、HFC-245fa、HFC-134、HFC-134a、HFC-365mfc、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)、C1-C4アルコール、trans-ジクロロエチレン(trans-DCE)、ギ酸メチル、C1-C4アルデヒド、C3-C4ケトン、C2-C4エーテル、ジエーテル、水、CO2、及びこれらの組合せのうち1つ以上などと組み合わせて使用される。
【0074】
造核剤としてTFMCBを含む発泡剤組成物は、例えば、最低約0.5、最低約1重量%、最低約1.5重量%、最低約2重量%、最低約2.5重量%、最低約3重量%若しくは最低約3.5重量%の量、又は最高約4重量%、最高約4.5重量%、最高約5重量%、最高約5.5重量%、最高約6重量%、最高約6.5重量%若しくは最高約7重量%の量、又は約0.5重量%~約7重量%、約1重量%~約6.5重量%、約1.5重量%~約6重量%、約2重量%~約5.5重量%、約2.5重量%~約5重量%、約3重量%~約4.5重量%、約3.5重量%~約4重量%、約2重量%~約4重量%若しくは約1重量%~約3.5重量%などの前述した値のいずれか2つの間の任意の値の量でTFMCBを含み得る。好ましくは、TFMCBを造核剤として含む発泡剤組成物は、約1重量%~約7重量%のTFMCBを含む。より好ましくは、TFMCBを造核剤として含む発泡剤組成物は、約2重量%~約6重量%のTFMCBを含む。最も好ましくは、TFMCBを造核剤として含む発泡剤組成物は、約3重量%~約5重量%のTFMCBを含む。
【0075】
驚くべきことに、TFMCBが7重量%以下の濃度で発泡剤組成物中において使用される場合、TFMCBは造核剤として機能することが見出された。得られた発泡体は、TFMCBが造核剤として使用される場合、熱伝導性の低下を示す。
【0076】
本発明は更に、熱可塑性発泡体の形成における造核剤としてのTFMCBの使用に関する。
【0077】
熱可塑性発泡体は、好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)又はポリエチレンテレフタレート(PET)である。好ましくは、熱可塑性発泡体は、押出成形された熱可塑性発泡体である。より具体的には、発泡体は、押出成形されたポリスチレン発泡体である。
【0078】
発泡体が熱可塑性発泡体である場合、本発明の発泡剤は、CO2、HFC-152a、HFC-245fa、HFC-134、HFC-134a、ブタン、イソブタン、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)、エタノール、ジメチルエーテル、アセトン、ギ酸メチル、シクロペンタン及びメチラールのうち1つ以上を好ましくは含む。
【0079】
本発明は更に、熱硬化性発泡体の形成における造核剤としてのTFMCBの使用に関する。熱硬化性発泡体は、好ましくは、ポリイソシアネート、ポリウレタン又はフェノール性発泡体である。
【0080】
発泡体が熱硬化性発泡体である場合、本発明の発泡剤は、水、CO2、ギ酸メチル、メチラール、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)、HFC-152a、ギ酸、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、trans-1,2-ジクロロエチレン、HFC-245fa、HFC-365mfc、HFC-134a及びHFC-134aのうち1つ以上を好ましくは含む。
【0081】
TFMCBが発泡剤組成物中に造核剤として存在して発泡体を生成する場合、TFMCBは、例えば、最低約0.1、最低約0.2重量%、最低約0.3重量%、最低約0.4重量%、最低約0.6重量%、最低約0.8重量%若しくは最低約1重量%の量、又は最高約1.2重量%、最高約1.4重量%、最高約1.6重量%、最高約1.8重量%、最高約2重量%、最高約2.5重量%若しくは最高約3重量%の量、又は約0.1重量%~約3重量%、約0.2重量%~約2.5重量%、約0.3重量%~約2重量%、約0.4重量%~約1.8重量%、約0.6重量%~約1.6重量%、約0.8重量%~約1.4重量%、約1重量%~約1.2重量%、約0.1重量%~約1重量%、約1重量%~約2重量%若しくは約1.2重量%~約2.5重量%などの前述した値のいずれか2つの間の任意の値の量で、発泡体中に好ましくは存在する。好ましくは、生成される発泡体は、約0.4重量%~約2.5重量%のTFMCBを含む。より好ましくは、生成される発泡体は、約0.6重量%~約2重量%のTFMCBを含む。最も好ましくは、生成される発泡体は、約0.8重量%~約1.2重量%のTFMCBを含む。全ての重量パーセントは総発泡体重量のものである。
【実施例】
【0082】
実施例1
シクロペンタンを有するポリウレタン発泡体ブローンに対するTFMCBの影響
【0083】
ポリウレタン発泡体を、以下の組成物から調製した:Stepanpol PS 2352ポリオール(100pphp)、Lupranate M 20ポリマーイソシアネート(173pphp)、NIAX Silicone L-6900界面活性剤(2pphp)、Dabco K15(2pphp)、Polycat 8(0.8pphp)、TCPP(15pphp)及び水(0.8pphp)。シクロペンタン(cP)をブローンしたポリウレタン発泡体の熱伝導性に対する影響について、異なる用量のTFMCBを試験した。発泡剤及び造核剤としてのTFMCBを含む組成物を表1に示す。
【0084】
ポリオールのプレブレンドをイソシアネートと反応させて、ポリウレタン発泡体生成した。発泡体試料を、切断前に24時間硬化させた。熱伝導性値を、12”X12”X1”試料でLaserComp FOX50 Heat Flow Meterを用いて記録した。
【表1】
表1 TFMCB及びシクロペンタン(cP)でブローンされたポリウレタン
発泡体特性
【0085】
表1に見られるように、TFMCB及びcPでブローンされたポリウレタン発泡体試料は、驚くべきことに、TFMCBが造核剤として機能する場合、約7重量%未満のTFMCBの低減した熱伝導性を示す。約7重量%を超える場合、熱伝導性は、TFMCBがより多くの発泡剤として機能するにつれて増加し、高い熱伝導率cPに取って代わる。この効果は全ての温度で見出され、造核剤として使用されるTFMCBを有する発泡体のより良好な断熱特性を示す。
実施例2
R-245faを有するポリウレタン発泡体ブローンに対するTFMCBの影響
【0086】
ポリウレタン発泡体を、以下の組成物から調製した:Stepanpol PS 2352ポリオール(100pphp)、Lupranate M 20ポリマーイソシアネート(173pphp)、NIAX Silicone L-6900界面活性剤(2pphp)、Dabco K15(2pphp)、Polycat 8(0.8pphp)、TCPP(15pphp)及び水(0.8pphp)。R245faをブローンしたポリウレタン発泡体の熱伝導性に対する影響について、異なる用量のTFMCBを試験した。発泡剤及び造核剤としてのTFMCBを含む組成物を表2に示す。
【0087】
ポリオールのプレブレンドをイソシアネートと反応させて、ポリウレタン発泡体生成した。発泡体試料を、切断前に24時間硬化させた。熱伝導性値を、12”X12”X1”試料でLaserComp FOX50 Heat Flow Meterを用いて記録した。
【表2】
表2 TFMCB及びR245faでブローンされたポリウレタン発泡体特性
【0088】
表2に見られるように、TFMCB及びR-245faでブローンされたポリウレタン発泡体試料は、驚くべきことに、TFMCBが造核剤として機能する場合、約7重量%未満のTFMCBの低減した熱伝導性を示す。約7重量%を超える場合、熱伝導性は、TFMCBがより多くの発泡剤として機能するにつれて増加し、R245faに取って代わる。造核効果は、R245faの熱伝導性がcPと比較して低いことから、実施例2と同様に劇的ではない。この効果は50°F及び75°Fで見出され、造核剤として使用されるTFMCBを有する発泡体のより良好な断熱特性を示す。
【0089】
実施例3
R-1233zd(E)(Solstice(登録商標)LBA)を有するポリウレタン発泡体ブローンに対するTFMCBの影響
ポリウレタン発泡体を、以下の組成物から調製した:Stepanpol PS 2352ポリオール(100°p)、Lupranate M 20ポリマーイソシアネート(173pphp)、NIAX Silicone L-6900界面活性剤(2pphp)、Dabco K15(2pphp)、Polycat 8(0.8pphp)、TCPP(15pphp)及び水(0.8pphp)。R-1233zd(E)をブローンしたポリウレタン発泡体の熱伝導性に対する影響について、異なる用量のTFMCBを試験した。発泡剤及び造核剤としてのTFMCBを含む組成物を表3に示す。
【0090】
ポリオールのプレブレンドをイソシアネートと反応させて、ポリウレタン発泡体生成した。発泡体試料を、切断前に24時間硬化させた。熱伝導性値を、12”X12”X1”試料でLaserComp FOX50 Heat Flow Meterを用いて記録した。
【表3】
表3 TFMCB及びR1233zd(E)でブローンされたポリウレタン発泡体特性
【0091】
表3に見られるように、TFMCB及びR-1233zd(E)でブローンされたポリウレタン発泡体試料は、TFMCBが造核剤として機能する場合、約7重量%の未満のTFMCBの低減した驚くべき熱伝導性を依然として示す。造核効果は、R-1233zd(E)の熱伝導性がcPと比較して低いことから、実施例2と同様に劇的ではない。この効果は全ての温度で見出され、造核剤として使用されるTFMCBを有する発泡体のより良好な断熱特性を示す。
実施例4
HFO-1336mzz(Z)を有するポリウレタン発泡体ブローンに対するTFMCBの影響
【0092】
ポリウレタン発泡体を、以下の組成物から調製した:Stepanpol PS 2352ポリオール(100°p)、Lupranate M 20ポリマーイソシアネート(173pphp)、NIAX Silicone L-6900界面活性剤(2pphp)、Dabco K15(2pphp)、Polycat 8(0.8pphp)、TCPP(15pphp)及び水(0.8pphp)。HFO-1336mzz(Z)をブローンしたポリウレタン発泡体の熱伝導性に対する影響について、異なる用量のTFMCBを試験した。発泡剤及び造核剤としてのTFMCBを含む組成物を表4に示す。
【表4】
表4 TFMCB及びHFO-1336mzz(Z)でブローンされたポリウレタン
発泡体特性
【0093】
表4に見られるように、TFMCB及びHFO-1336mzz(Z)でブローンされたポリウレタン発泡体試料は、TFMCBが造核剤として機能する場合、約7重量%の未満のTFMCBの低減した驚くべき熱伝導性を依然として示す。この効果は全ての温度で見出され、造核剤として使用されるTFMCBを有する発泡体のより良好な断熱特性を示す。
実施例5
【0094】
この実施例は、ポリスチレン発泡体の製造における本発明に係る発泡剤組成物の使用を例示する。
【0095】
特定の発泡剤及びポリマーが、発泡体を生成することができるかどうかと、発泡体の品質とを決定する補助として、試験装置及びプロトコルが確立されている。粉砕ポリマー(Dow Polystyrene 685D)及び発泡剤を容器内で合わせる。容器のスケッチを以下に示す。容器容積は200cm
3であり、2本のパイプフランジと、直径2インチ断面のスケジュール40ステンレス鋼パイプ4インチ長とから作製される。容器をオーブンに入れ、温度を約190°F~約285°F、好ましくはポリスチレンについては265°Fに設定し、温度平衡に達するまで維持する。
【表5】
【0096】
次いで、容器内の圧力を解放し、発泡ポリマーを迅速に生成する。発泡剤はポリマーがその中へ溶解するにつれてポリマーを可塑化する。このようにして、この方法を用いて生成された発泡体の得られた密度を、上の表1~4に示す。データは、発泡ポリスチレンが本発明に従って入手可能であることを示す。
実施例6
ポリスチレン発泡体
【0097】
この実施例は、ツインスクリュ型押出成形機で形成されたポリスチレン発泡体の発泡剤である、TFMCBの性能を実証する。本実施例で使用される装置は、以下の特徴を有するLeistritzツインスクリュ押出成形機である。
・ 30mmの共回転スクリュ
・ L:D比=40:1
【0098】
押出成形機は10の部品に分割されており、各々はL:Dが4:1であることを表す。ポリスチレン樹脂を第1の部品に導入し、発泡剤を第6の部品に導入し、押出物は第10の部品から出した。押出成形機は主に溶融/混合押出機として操作された。後続の冷却押出成形機はタンデム式に接続されており、設計特性は以下の通りであった。
・ Leistritzツインスクリュ押出成形機
・ 40mmの共回転スクリュ
・ L:D比=40:1
・ 押型:5.0mmの円形
【0099】
ポリスチレン樹脂、すなわちNova 1600として同定されたNova Chemicalの一般押出グレードのポリスチレンが、上記の条件下で押出成形機へ供給される。樹脂は375°F~525°Fの推奨溶融温度を有する。押型における押出成形機の圧力は約1320ポンド/平方インチ(psi)であり、押型における温度は約115℃である。
【0100】
本質的にTFMCBからなる発泡剤が、造核剤として全発泡剤に基づき約0.5重量%のタルクと共に、上記の位置で押出成形機に加えられる。直径およそ30mmの発泡体は、視覚的に非常に良好な品質、非常に微細な気泡サイズであり、目に見える又は明らかなブローホール又は空隙を有しない。
実施例7
ポリスチレン発泡体
【0101】
造核剤が省略されていることを除いて、実施例6のこの手順を繰り返す。発泡体の密度は、0.1グラム/立方センチメートルの範囲であった。気泡サイズの直径は約400nmである。直径およそ30mmの発泡体は、視覚的に非常に良好な品質、微細な気泡構造であり、目に見える又は明らかな空隙を有しない。
実施例8
ポリウレタン発泡体圧縮強度
【0102】
この実施例は、炭化水素共発泡剤と組み合わせて使用されるTFMCBの性能、特にポリウレタン発泡体の圧縮強度性能におけるTFMCB及びシクロペンタン共発泡剤を含む組成物の有用性を実証する。
【0103】
市販の冷蔵庫用ポリウレタン発泡体配合物(発泡体形成剤)が提供される。ポリオールブレンドは、商業用ポリオール(複数可)、触媒(複数可)及び界面活性剤(複数可)から構成された。標準的な市販のポリウレタン加工装置が発泡体形成プロセスに使用される。およそ60モルパーセントの濃度のTFMCBと、全発泡剤のおよそ40パーセントの濃度のシクロペンタンとを含む、発泡剤の組合せを形成した。この実施例は、シクロペンタン共発泡剤と組み合わせたTFMCBの組合せの物理的特性性能を例示する。
実施例9
ポリウレタン発泡体Kファクタ
【0104】
ポリウレタン発泡体を調製し、市販の「装具型」ポリウレタン配合物として使用するように適合させる。実施例1に記載された同じ発泡体配合物は、発泡体形成プロセスにおいて、同じ標準的な市販のポリウレタン加工装置と関連して使用される。発泡剤を除き、同一の構成成分、システム及び器財を用いて、いくつかのシステムが各システムで調製される。本発明に係る発泡剤に加えて、HFC-134a、HFC-245fa及びシクロペンタンもまた、各々が発泡剤として試験される。各システムにおいて、発泡剤は、ポリオールブレンドへ実質的に同じモル濃度で添加される。ポリオールブレンドは、商業用ポリオール(複数可)、触媒(複数可)及び界面活性剤(複数可)から構成される。発泡体は、標準的な商業的製造操作、例えば冷蔵用途のための発泡体を作製するための商業的操作に従って、調製される。
実施例10
ポリスチレン発泡体
【0105】
この実施例では、造核剤としてのTFMCBと、ツインスクリュ型押出成形機で形成されたポリスチレン発泡体用のTFMCB以外の発泡剤とを含む、発泡剤組成物の性能を実証する。この装置は、以下の特徴を有するLeistritzツインスクリュ押出成形機である。
・ 30mmの共回転スクリュ
・ L:D比=40:1
【0106】
押出成形機は10の部品に分割されており、各々はL:Dが4:1であることを表す。ポリスチレン樹脂を第1の部品に導入し、発泡剤組成物を第6の部品に導入し、押出物は第10の部品から出す。押出成形機は主に溶融/混合押出機として操作される。後続の冷却押出成形機はタンデム式に接続されており、設計特性は以下の通りである。
・ Leistritzツインスクリュ押出成形機
・ 40mmの共回転スクリュ
・ L:D比=40:1
・ 押型:5.0mmの円形
【0107】
ポリスチレン樹脂、すなわちNova 1600として同定されたNova Chemicalの一般押出グレードのポリスチレンが、上記の条件下で押出成形機へ供給される。樹脂は375°F~525°Fの推奨溶融温度である。押型における押出成形機の圧力は約1320ポンド/平方インチ(psi)であり、押型における温度は約115℃である。
【0108】
造核剤としてTFMCBと、TFMCB以外の発泡剤とから本質的になる発泡剤組成物を、上記の位置で押出成形機に加える。直径およそ30ミリメートルの発泡体が生成される。
実施例11
ポリウレタン発泡体圧縮強度
【0109】
この実施例では、炭化水素発泡剤と組み合わせて使用される造核剤としてのTFMCBの性能と、特に、ポリウレタン発泡体の生成における造核剤としてのTFMCB及び発泡剤としてのシクロペンタンを含む組成物の有用性と、そのようなポリウレタン発泡体の圧縮強度性能と、を実証する。
【0110】
市販の冷蔵庫用ポリウレタン発泡体配合物(発泡体形成剤)が提供される。ポリオールブレンドは、商業用ポリオール(複数可)、触媒(複数可)及び界面活性剤(複数可)から構成される。標準的な市販のポリウレタン加工装置が発泡体形成プロセスに使用される。発泡剤として、およそ6.5重量%の濃度のTFMCB及びシクロペンタンを含む、発泡剤組成物を形成する。本実施例では、造核剤としてのTFMCB及び発泡剤としてのシクロペンタンを含む、発泡剤組成物の物理的特性性能を例示する。
実施例12
ポリウレタン発泡体Kファクタ
【0111】
ポリウレタン発泡体を調製し、市販の「装具型」ポリウレタン配合物として使用するように適合させる。実施例1に記載された同じ発泡体配合物は、発泡体形成プロセスにおいて、同じ標準的な市販のポリウレタン加工装置と関連して使用される。発泡剤組成物を除き、同一の構成成分、システム及び器財を用いて、いくつかのシステムが各システムで調製される。造核剤としてTFMCBと、本発明に係るシクロペンタン、HFC-245fa、R-1233zd(E)又はHFO-1336mzz(Z)を含む発泡剤とを含む発泡剤組成物に加えて、シクロペンタン、HFC-245fa、R-1233zd(E)又はHFO-1336mzz(Z)は、各々、造核剤としてTFMCBを使用せずに発泡剤として試験される。各システムにおいて、発泡剤組成物は、ポリオールブレンドへ実質的に同じモル濃度で添加される。ポリオールブレンドは、商業用ポリオール(複数可)、触媒(複数可)及び界面活性剤(複数可)から構成される。発泡体は、標準的な商業的製造操作、例えば冷蔵用途のための発泡体を作製するための商業的操作に従って、調製される。
態様
【0112】
本発明は以下の番号付けした実施形態を参照して更に例示される。番号付けした実施形態の主題は、本明細書又は特許請求の範囲の1つ以上の主題と更に組み合わされてもよい。
【0113】
態様1は、発泡剤及び造核剤を含む発泡剤組成物である。造核剤は1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタン(TFMCB)を含む。TFMCBは、発泡剤組成物の約0.5重量%~約7重量%の量で発泡剤組成物中に存在する。
【0114】
態様2は、発泡剤が、HFC-152a、HFC-245fa、HFC-134、HFC-134a、HFC-365mfc、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)、C1-C4アルコール、trans-ジクロロエチレン(trans-DCE)、ギ酸メチル、C1-C4アルデヒド、C3-C4ケトン、C2-C4エーテル、ジエーテル、水、CO2、及びこれらの組合せを含む、態様1に記載の発泡剤組成物である。
【0115】
態様3は、発泡剤が、シクロペンタン、HFC-245fa、R-1233zd(E)、HFO-1336mzz(Z)、又はこれらの組合せを含む、態様2に記載の発泡剤組成物である。
【0116】
態様4は、発泡剤が、シクロペンタンからなる、態様3に記載の発泡剤組成物である。
【0117】
態様5は、発泡剤が、HFC-245faからなる、態様3に記載の発泡剤組成物である。
【0118】
態様6は、発泡剤が、R-1233zd(E)からなる、態様3に記載の発泡剤組成物である。
【0119】
態様7は、発泡剤が、HFO-1336mzz(Z)からなる、態様3に記載の発泡剤組成物である。
【0120】
態様8は、界面活性剤(複数可)、ポリマー改質剤(複数可)、強化剤(複数可)、着色剤(複数可)、色素(複数可)、溶解度向上剤(複数可)、レオロジー調節剤(複数可)、可塑剤(複数可)、引火性抑制剤(複数可)、抗菌剤(複数可)、粘度低下調節剤(複数可)、充填剤(複数可)、蒸気圧調整剤(複数可)、触媒(複数可)、及びこれらのいずれか2つ以上の組合せからなる群から選択される少なくとも1つのアジュバントを更に含む、態様1から7のいずれか一項に記載の発泡剤組成物である。
【0121】
態様9は、組成物中に存在するTFMCBが、発泡剤組成物の約1重量%~約7重量%の量で存在する、態様1から8のいずれか一項に記載の発泡剤組成物である。
【0122】
態様10は、組成物中に存在するTFMCBが、発泡剤組成物の約2重量%~約6重量%の量で存在する、態様1から8のいずれか一項に記載の発泡剤組成物である。
【0123】
態様11は、組成物中に存在するTFMCBが、発泡剤組成物の約3重量%~約5重量%の量で存在する、態様1から8のいずれか一項に記載の発泡剤組成物である。
【0124】
態様12は、発泡体の製造における、態様1から11のいずれか一項に記載の発泡剤組成物の使用である。
【0125】
態様13は、熱可塑性発泡体の製造における、態様1から11のいずれか一項に記載の発泡剤組成物の使用である。
【0126】
態様14は、熱可塑性発泡体が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)又はポリエチレンテレフタレート(PET)である、態様13に記載の使用である。
【0127】
態様15は、熱可塑性発泡体が、押出成形された熱可塑性発泡体である、態様13又は14のいずれか一項に記載の使用である。
【0128】
態様16は、熱可塑性発泡体が、押出成形されたポリスチレン発泡体である、態様13又は14のいずれか一項に記載の使用である。
【0129】
態様17は、発泡剤が、HFC-152a、HFC-245fa、HFC-134、HFC-134a、HFC-365mfc、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)、C1-C4アルコール、trans-ジクロロエチレン(trans-DCE)、ギ酸メチル、C1-C4アルデヒド、C3-C4ケトン、C2-C4エーテル、ジエーテル、水、CO2、及びこれらの組合せを含む、態様13から16のいずれか一項に記載の使用である。
【0130】
態様18は、熱硬化性発泡体の製造における、態様1から17のいずれか一項に記載の発泡剤組成物の使用である。
【0131】
態様19は、熱硬化性発泡体が、ポリイソシアネート、ポリウレタン又はフェノール性発泡体である、態様18に記載の使用である。
【0132】
態様20は、発泡体形成剤及び発泡剤組成物を含む、発泡性組成物である。発泡剤は発泡剤及び造核剤を含む。造核剤は1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタン(TFMCB)を含む。TFMCBは、発泡剤組成物の約0.5重量%~約7重量%の量で発泡剤組成物中に存在する。
【0133】
態様21は、発泡体形成剤が、少なくとも1つの熱硬化性発泡体成分を含む、態様20に記載の発泡性組成物である。
【0134】
態様22は、少なくとも1つの熱硬化性成分が、ポリウレタン発泡体を形成することができる、態様21に記載の発泡性組成物である。
【0135】
態様23は、発泡体形成剤が、少なくとも1つの熱可塑性発泡体成分を含む、態様20に記載の発泡性組成物である。
【0136】
態様24は、少なくとも1つの熱可塑性発泡体成分が、ポリスチレン、エチレンホモポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びこれらの組合せからなる群から選択される、態様23に記載の発泡性組成物である。
【0137】
態様25は、発泡剤が、HFC-152a、HFC-245fa、HFC-134、HFC-134a、HFC-365mfc、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)、C1-C4アルコール、trans-ジクロロエチレン(trans-DCE)、ギ酸メチル、C1-C4アルデヒド、C3-C4ケトン、C2-C4エーテル、ジエーテル、水、CO2、及びこれらの組合せを含む、態様20から24のいずれか一項に記載の発泡性組成物である。
【0138】
態様26は、発泡剤が、シクロペンタン、HFC-245fa、R-1233zd(E)、HFO-1336mzz(Z)、又はこれらの組合せを含む、態様25に記載の発泡性組成物である。
【0139】
態様27は、発泡剤が、シクロペンタンからなる、態様26に記載の発泡性組成物である。
【0140】
態様28は、発泡剤が、HFC-245faからなる、態様26に記載の発泡性組成物である。
【0141】
態様29は、発泡剤が、R-1233zd(E)からなる、態様26に記載の発泡性組成物である。
【0142】
態様30は、発泡剤が、HFO-1336mzz(Z)からなる、態様256に記載の発泡性組成物である。
【0143】
態様31は、複数のポリマー性気泡と、気泡のうち少なくとも1つに含有される組成物と、を含む発泡体である。本組成物は発泡剤及び造核剤を含む。造核剤は1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタン(TFMCB)を含む。TFMCBは、組成物の約0.1重量%~約3重量%の量で気泡中に存在する。
【0144】
態様32は、TFMCBが、組成物の約0.4重量%~約2.5重量%の量で気泡中に存在する、態様21に記載の発泡組成物である。
【0145】
態様33は、TFMCBが、組成物の約0.6重量%~約2重量%の量で気泡中に存在する、態様21に記載の発泡組成物である。
【0146】
態様34は、TFMCBが、組成物の約0.8重量%~約1.2重量%の量で気泡中に存在する、態様21に記載の発泡組成物である。
【0147】
態様35は、硬質発泡体の形態にある、態様31から34のいずれか一項に記載の発泡体である。
【0148】
態様36は、軟質発泡体の形態にある、態様31から34のいずれか一項に記載の発泡体である。
【0149】
態様37は、スキン層付き発泡体の形態にある、態様31から34のいずれか一項に記載の発泡体である。
【0150】
態様38は、連続気泡発泡体の形態にある、態様31から37のいずれか一項に記載の発泡体である。
【0151】
態様39は、独立気泡発泡体の形態にある、態様31から37のいずれか一項に記載の発泡体である。
【0152】
態様40は、ブロック、スラブ、積層体、現場注入発泡パネルなどのパネル、スプレー塗布発泡体及びフロスなどである、態様31から39のいずれか一項に記載の発泡体である。
【0153】
態様41は、家電用発泡体である、態様31から39のいずれか一項に記載の発泡体である。
【0154】
態様42は、冷蔵庫用発泡体、冷凍庫用発泡体、冷蔵庫/冷凍庫用発泡体、パネル発泡体、及び他の冷温又は低温製造用途である、態様41に記載の発泡体である。
【0155】
態様43は、押出成形された熱可塑性発泡体である、態様31から42のいずれか一項に記載の発泡体である。
【0156】
態様44は、押出成形されたポリスチレン発泡体である、態様31から42のいずれか一項に記載の発泡体である。
【0157】
態様45は、態様31から44のいずれか一項に記載の発泡体を含む、冷蔵庫である。
【0158】
態様46は、態様31から44のいずれか一項に記載の発泡体を含む、冷凍庫である。
【0159】
態様47は、態様1から11の発泡剤組成物を発泡体形成剤へと導入することと、次いで発泡を引き起こすのに有効な条件に発泡形成剤を供することと、を含む、態様31から44のいずれか一項に記載の発泡体を形成する方法である。
【0160】
態様48は、発泡体形成剤を提供することを更に含み、ここで、発泡体形成剤を提供することが、ポリオールとイソシアネートとを一緒に混合し、ポリオールとイソシアネートとを一緒に反応させることと、を含む、態様47に記載の方法である。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤組成物であって、
発泡剤と、
1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタン(TFMCB)を含む造核剤であって、前記発泡剤組成物中に存在する前記TFMCBが、前記発泡剤組成物の約0.5重量%~約7重量%の量で存在する、造核剤と、を含む、発泡剤組成物。
【請求項2】
前記発泡剤が、HFC-152a、HFC-245fa、HFC-134、HFC-134a、HFC-365mfc、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、HFO-1336mzz(E)、HFO-1336mzz(Z)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、HFO-1224yd(E)、HFO-1224yd(Z)、C1-C4アルコール、trans-ジクロロエチレン(trans-DCE)、ギ酸メチル、C1-C4アルデヒド、C3-C4ケトン、C2-C4エーテル、ジエーテル、水、CO2、及びこれらの組合せを含む、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項3】
発泡体であって、
複数のポリマー性気泡と、
前記気泡のうちの少なくとも1つに含有される組成物であって、前記組成物が、
発泡剤、及び
1,2,2-トリフルオロ-1-トリフルオロメチルシクロブタン(TFMCB)を含む造核剤であって、前記気泡中に存在する前記TFMCBが、前記組成物の約0.1重量%~約3重量%の量で存在する、造核剤を含む、組成物と、を含む、発泡体。
【国際調査報告】