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特表2022-514944衝撃力のユーザ通知機能を有するマウスガードおよびこれを作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(54)【発明の名称】衝撃力のユーザ通知機能を有するマウスガードおよびこれを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/08 20060101AFI20220208BHJP
【FI】
A63B71/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536353
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 US2019068021
(87)【国際公開番号】W WO2020132548
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/782,965
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521269481
【氏名又は名称】フォース・インパクト・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ティー・クーパー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エム・メリマン
(72)【発明者】
【氏名】スーザン・エム・メリマン
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・エム・ゴンザレス
(57)【要約】
マウスガードが衝撃力を感知し、その力が衝撃閾値を超えているかどうかを判定する。もし超えていれば、マウスガードは、触覚フィードバック、振動フィードバック、および/または可聴フィードバックによって損傷のリスクをユーザに通知する。マウスガードシステムはリスクの状態および潜在的な損傷を遠隔で伝達することもできる。マウスガードはローカルメモリデバイスを用いて、ユーザから取得された個人の生体情報に基づいて衝撃閾値を保存し、感知された力をこれらの閾値に対して比較する。マウスガードが快適かつ確実なフィット感を提供しながら、卓越した性能を保証するように、マウスガードおよびプリント回路基板上のその電気部品はユーザ向けにカスタム製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの衝撃力を検出するカスタムマウスガード(1)を製造するための方法であって、
複製された歯を含む前記ユーザの上顎領域の模型(80)に第1の材料の層(82)を適合させるステップと、
前記第1の材料の層(82)が前記模型(80)上にある間かつ前記適合後、前記第1の材料の層(82)を加熱するステップと、
前記加熱された第1の層にフレキシブルプリント回路基板(2)を押し込み、前記フレキシブルプリント回路基板(2)から離れて延在する複数の部品を前記第1の層(82)に押し付けるステップであって、前記フレキシブルプリント回路基板は線形および回転力センサ(30、32)を含む、ステップと、
前記フレキシブルプリント回路基板(2)および前記第1の層(82)の上に第2の材料の層(84)を重ねるステップと、
前記フレキシブルプリント回路基板(2)および前記第1の層(82)の露出面に前記第2の材料の層(84)を適合させて前記カスタムマウスガード(1)を作製するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記フレキシブルプリント回路基板(2)を押し込む前記ステップは、(i)最初に中央切歯と位置を合わせる場所で1つの電気部品を前記第1の層(82)に押し込み、前記プリント回路基板(2)のために前記場所を設定するステップと、(ii)続いて臼歯により近い場所で他の部品を前記第1の層(82)に押し込むステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
適合の両行為は圧力熱成形機を通して起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の層(84)を適合させた後、構造全体をトリミングまたは研磨して最終的な前記カスタムマウスガード(1)を作製する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の材料の層(84)を重ねる前に、前記フレキシブルプリント回路基板(2)と前記第1の層(82)との間の隙間に変形可能な材料を追加するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の材料の層(84)を重ねる前に、前記フレキシブルプリント回路基板(2)の露出した外面に搭載された電気部品の側面に沿って変形可能な材料を追加するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱は、加熱ガンを用いて前記第1の層(82)の露出面にわたって加熱空気を吹き付けるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記カスタムマウスガード(1)は、ユーザの口の頬側領域に面するための略アーチ状周辺側を備えた前部(92)を含み、前記フレキシブルプリント回路基板(2)は、前記前部(92)において前記第1の層(82)と前記第2の層(84)との間に配置され、前記前部(92)の最大厚さは7mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記カスタムマウスガード(1)の前記前部(92)は、中央切歯に隣接するための中央セクションを含み、前記線形および回転力センサ(30、32)は、前記中央セクション内に配置された前記フレキシブルプリント回路基板(2)の中間部分(7)上に搭載され、前記中央セクションは4mm未満の最大厚さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記前部(92)の最大径は5mmと6mmとの間であり、前記フレキシブルプリント回路(2)上に搭載されたバッテリ(22)上にあり、前記バッテリ(22)は、前記ユーザの臼歯に隣接するように意図されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザに関連する生体情報を受け取るステップと、
フレキシブルプリント回路基板(2)のメモリデバイス(34)に衝撃閾値データを保存するステップであって、前記衝撃閾値データは前記生体情報に基づいている、ステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
適合の両行為は圧力熱成形機を通して起こる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記生体情報は少なくとも年齢、性別、および体重を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記保存後、前記フレキシブルプリント回路基板(2)からポートセクション(18)を除去して、前記フレキシブルプリント回路基板(2)の全体的なサイズを削減するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フレキシブルプリント回路基板(2)の中間部分(7)が、前記フレキシブルプリント回路基板(2)の全長の約25%と50%との間である長さを有し、前記中間部分(7)は、前記フレキシブルプリント回路基板(2)の曲げ性を高める2つの切り欠き(12)を含み、前記2つの切り欠き(12)は、前記フレキシブルプリント回路基板(2)の中央タブ(11)を画定している、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記力センサの1つ(30)が前記フレキシブルプリント回路基板(2)の背面(6)に前記中央タブ(11)内で搭載され、前記フレキシブルプリント回路基板(2)を前記第1の層(82)に押し込む前記ステップは、前記力センサ(30)を前記第1の層(82)に押し付ける、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
光インジケータ(10)が前記フレキシブルプリント回路基板(2)の前面(4)上に配置され、前記第2の層(84)に押し付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複製された歯を含む前記ユーザの上顎領域の前記模型(80)を受け取るステップと、
前記ユーザについての生体情報を受け取るステップであって、前記生体情報は少なくとも前記ユーザの年齢および性別を含む、ステップと、
前記生体情報に基づいて前記ユーザについての衝撃閾値データを決定するステップと、
前記フレキシブルプリント回路基板(2)上に搭載されているメモリデバイス(34)に前記衝撃閾値データをアップロードするステップであって、前記フレキシブルプリント回路基板(2)はプロセッサおよびバッテリをさらに有する、ステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記バッテリ(22)は、前記第2の材料の層(84)に押し付けられる前記プリント回路基板(2)上の前記部品の1つである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記カスタムマウスガード(1)は、ユーザの口の頬側領域に面するための略アーチ状周辺側を備えた前部(92)を含み、前記フレキシブルプリント回路基板(2)は、前記前部(92)において前記第1の層(82)と前記第2の層(84)との間に配置され、前記前部(92)の最大厚さは7mm未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
衝撃力を検出するためのマウスガードシステムであって、
可撓性材料で構成され、ユーザの口の頬側領域に面するための略アーチ状周辺側を備えた前部を有する本体であって、前記ユーザの歯を受け入れるようなサイズおよび形状である前記前部に隣接する窪み部分をさらに含む、本体と、
力を検出するための前記可撓性材料に埋め込まれている少なくとも1つのセンサであって、前記前部内に配置されている、少なくとも1つのセンサと、
機械的エネルギーを生成する前記可撓性材料内に埋め込まれた通知部品であって、前記少なくとも1つのセンサが所定の力閾値を上回る力を検出したことに応答して作動する、通知部品と、
を含む、マウスガードシステム。
【請求項22】
前記通知部品は、前記ユーザに対する触覚感覚を作成するための触覚デバイスを含み、前記触覚デバイスは前記本体の前記前部内に配置されている、請求項21に記載のマウスガードシステム。
【請求項23】
前記通知部品は、前記ユーザによって感知される振動を作成するための振動デバイスを含み、前記振動デバイスは前記本体の前記前部内に配置されている、請求項21に記載のマウスガードシステム。
【請求項24】
前記通知部品は、前記ユーザによって感知される音を作成するための聴覚デバイスを含み、前記聴覚デバイスは前記本体の前記前部内に配置されている、請求項21に記載のマウスガードシステム。
【請求項25】
前記通知部品は圧電デバイスを含む、請求項21に記載のマウスガードシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つのセンサが前記所定の力閾値を上回る力を検出したことに応答して信号を生成するための送信機をさらに含み、前記信号はリモートデバイスによって受信される、請求項21に記載のマウスガードシステム。
【請求項27】
前記送信機は前記リモートデバイスから信号を受信することができるトランシーバである、請求項26に記載のマウスガードシステム。
【請求項28】
前記前部内で前記可撓性材料内に埋め込まれているプリント回路基板をさらに含み、前記少なくとも1つのセンサおよび前記通知部品は前記プリント回路基板上に搭載されている、請求項21に記載のマウスガードシステム。
【請求項29】
前記少なくとも1つのセンサは線形力センサおよび回転力センサを含む、請求項28に記載のマウスガードシステム。
【請求項30】
前記プリント回路基板は、口の頬側領域の方に面する前面および前記ユーザの歯の方に面する背面を含み、前記線形力センサおよび前記回転力センサは前記プリント回路基板の前記背面上に配置されている、請求項29に記載のマウスガードシステム。
【請求項31】
前記可撓性材料は、第1の層および前記第1の層の上に成形された第2の層で構成され、前記プリント回路基板は、前記第1および第2の層の間に配置されている、請求項28に記載のマウスガードシステム。
【請求項32】
前記所定の力閾値に関連するデータを保存するためのメモリデバイスをさらに含み、前記所定の力閾値は前記ユーザによって提供された生体データに基づいている、請求項21に記載のマウスガードシステム。
【請求項33】
前記生体データは少なくとも前記ユーザの年齢および性別を含む、請求項32に記載のマウスガードシステム。
【請求項34】
衝撃力を検出するためのマウスガードシステムであって、
可撓性材料で構成され、ユーザの口の頬側領域に面するための略アーチ状周辺側を備えた前部を有する本体であって、前記ユーザの歯を受け入れるようなサイズおよび形状である前記前部に隣接する窪み部分をさらに含む、本体と、
前記前部において前記可撓性材料内に埋め込まれ、前記アーチ状周辺側の実質的部分に沿って延在するプリント回路基板と、
前記プリント回路基板上に配置されたプロセッサと、
前記プリント回路上に配置された線形力センサおよび回転力センサであって、前記プロセッサと通信する、線形力センサおよび回転力センサと、
前記プリント回路基板上に配置された機械的エネルギーを生成するための通知部品であって、前記線形センサおよび前記回転センサの少なくとも1つが所定の力閾値を上回る力を検出したことに応答して、前記プロセッサが前記通知部品を作動させて前記ユーザによって感知されるべきフィードバックを生成する、通知部品と、
を含む、マウスガードシステム。
【請求項35】
前記通知部品は、前記ユーザに対する触覚感覚を作成するための触覚デバイスを含む、請求項34に記載のマウスガードシステム。
【請求項36】
前記通知部品は、前記ユーザによって感知される振動を作成するための振動デバイスを含む、請求項34に記載のマウスガードシステム。
【請求項37】
前記通知部品は、前記ユーザによって感知される音を作成するための聴覚デバイスを含む、請求項34に記載のマウスガードシステム。
【請求項38】
前記プリント回路基板は、口の頬側領域の方に面する前面および前記ユーザの歯の方に面する背面を含み、前記線形力センサ、前記回転力センサ、および前記プロセッサは、前記プリント回路基板の前記背面上に配置されている、請求項34に記載のマウスガードシステム。
【請求項39】
マウスガードを装着しているユーザに高衝撃力を示すための方法であって、
前記マウスガードに埋め込まれた線形力センサおよび回転力センサの少なくとも1つで少なくとも第1の衝撃事象を検出するステップと、
前記第1の衝突事象に関連する力が所定の閾値を超えているかどうかを判定するステップと、
所定の閾値を超えている前記力に応答して、通知部品で機械的エネルギーを生成して前記所定の閾値を超えたことを前記ユーザに知らせるステップであって、前記通知部品は、前記マウスガード内に埋め込まれ、触覚フィードバック、振動フィードバック、または聴覚フィードバックの少なくとも1つを前記ユーザに提供する、ステップと、
を含む、方法。
【請求項40】
前記所定の力閾値は、前記ユーザによって提供された生体データに基づき、前記生体データは少なくとも年齢および性別を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
衝撃力を検出するためのマウスガードシステムであって、
可撓性材料で構成され、ユーザの口の頬側領域に面するための略アーチ状周辺側を備えた前部を有する本体であって、前記本体は、前記ユーザの歯を受け入れるようなサイズおよび形状である前記前部に隣接する窪み部分をさらに含み、前記前部は、切歯の正中線にほぼ隣接して配置されるべき中心線と、右および左の臼歯にほぼ隣接して配置されるべき2つの端部と、を含む、本体と、
前記本体の前記前部において前記可撓性材料内に埋め込まれ、前記アーチ状周辺側の実質的部分に沿って延在する長さを有するプリント回路基板であって、前記プリント回路基板は、口の頬側領域の方に面する前面および前記ユーザの歯の方に面する背面を含み、前記プリント回路基板は、所定の閾値を上回る衝撃力を検出および表示するための部品を含み、前記部品は、少なくともプロセッサ、メモリデバイス、力センサ、バッテリ、および光インジケータを含み、前記光インジケータは、前記前部の前記中心線で前記プリント回路基板の前記前面上に配置され、所定の閾値を超えている衝撃力に応答して作動し、前記力センサは、前記本体の前記前部の前記中心線付近で前記プリント回路基板の前記背面上に配置され、前記プロセッサおよびメモリデバイスは、前記プリント回路基板の前記背面上に配置され、前記バッテリは、前記端部の1つに隣接して前記プリント回路基板の前記前面上に配置されている、プリント回路基板と、
を含む、マウスガードシステム。
【請求項42】
前記前部の前記端部の1つに隣接して前記プリント回路基板の前記背面上に配置された機械的エネルギーを生成するための通知部品をさらに含み、前記通知部品は、前記機械的エネルギーを臼歯の方へ伝達するように前記所定の閾値を超えている前記衝撃力に応答して作動する、請求項41に記載のマウスガードシステム。
【請求項43】
前記プリント回路基板は、前記前面および背面にわたって測定される幅を有し、前記幅は前記プリント回路基板の長さに沿って変化し、2mmと15mmとの間である、請求項41に記載のマウスガードシステム。
【請求項44】
前記プリント回路基板の中間部分が、前記プリント回路基板の全長の約25%と50%との間である長さを有し、前記中間部分は、6mmから15mmの範囲の幅を有し、前記プリント回路基板の曲げ性を高める2つの切り欠きを含み、前記2つの切り欠きは前記プリント回路基板の中央タブを画定している、請求項41に記載のマウスガードシステム。
【請求項45】
前記プロセッサ、前記メモリデバイス、前記力センサ、および前記光インジケータは、前記プリント回路基板の前記中間部分内に搭載されている、請求項44に記載のマウスガードシステム。
【請求項46】
前記力センサは前記プリント回路基板の前記背面に前記中央タブ内で搭載されている、請求項45に記載のマウスガードシステム。
【請求項47】
前記光インジケータは、前記プリント回路基板の前面上かつ前記中央タブの外側に配置されている、請求項46に記載のマウスガードシステム。
【請求項48】
前記プリント回路基板は、前記本体の前記前部の前記2つの端部に隣接する第1および第2の端部を含み、前記第1および第2の端部のそれぞれは8mmから15mmの範囲の幅を有し、前記プリント回路基板から離れて延在する最も高い輪郭を有する部品は、第1および第2の端部の一方内に搭載されている、請求項44に記載のマウスガードシステム。
【請求項49】
前記最も高い輪郭を有する前記部品は前記バッテリである、請求項48に記載のマウスガードシステム。
【請求項50】
前記バッテリは前記第1の端部上に配置され、ワイヤレスバッテリ充電部品が前記第2の端部上に配置されている、請求項49に記載のマウスガードシステム。
【請求項51】
衝撃力を検出するためのマウスガードシステムであって、
可撓性材料で構成され、ユーザの口の頬側領域に面するための略アーチ状周辺側を備えた前部を有する本体であって、前記本体は、前記ユーザの歯を受け入れるようなサイズおよび形状である前記前部に隣接する窪み部分をさらに含み、前記前部は、切歯の正中線にほぼ隣接して配置されるべき中心線と、右および左の臼歯にほぼ隣接して配置されるべき2つの端部を含む、本体と、
前記本体の前記前部において前記可撓性材料内に埋め込まれ、前記アーチ状周辺側の一部に沿って延在する長さを有するプリント回路基板であって、前記プリント回路基板は、口の頬側領域の方に面する前面および前記ユーザの歯の方に面する背面を含み、前記プリント回路基板は、所定の閾値を上回る衝撃力を検出および表示するための部品を含み、前記部品は少なくともプロセッサ、メモリデバイス、第1の力センサ、第2の力センサ、バッテリ、および前記所定の閾値を超えている衝撃力に応答して作動するためのインジケータを含み、前記プリント回路は、前記プリント回路基板の全長の少なくとも約25%である長さを備えた中間部分を含み、前記中間部分は、6mmから15mmの範囲の幅を有し、前記プリント回路基板の曲げ性を高める2つの切り欠きを含み、前記プロセッサ、前記メモリデバイス、前記第1の力センサ、前記第2の力センサは、前記中間部分に搭載されている、プリント回路基板と、
を含む、マウスガードシステム。
【請求項52】
前記2つの切り欠きは前記プリント回路基板の中央タブを画定し、前記第1の力センサは前記プリント回路基板の前記背面上に前記中央タブ内で搭載されている、請求項51に記載のマウスガードシステム。
【請求項53】
前記インジケータは光インジケータであり、前記光インジケータは前記プリント回路基板の前記前面上に前記中央タブに隣接する領域において搭載されている、請求項52に記載のマウスガードシステム。
【請求項54】
前記プロセッサ、前記メモリデバイス、および前記第2の力センサは、前記プリント回路基板の前記背面上に前記中間部分において搭載されている、請求項53に記載のマウスガードシステム。
【請求項55】
前記プロセッサ、前記メモリデバイス、および前記第2の力センサは、前記中央タブの外側に搭載されている、請求項54に記載のマウスガードシステム。
【請求項56】
前記プリント回路基板は前記本体の前記前部の前記2つの端部に隣接する第1および第2の端部を含み、前記第1および第2の端部は前記プリント回路基板の2つのブリッジ部分によって前記中間部分に接続され、前記ブリッジ部分は前記第1および第2の端部および前記中間部分の幅より小さな幅を有する、請求項51に記載のマウスガードシステム。
【請求項57】
前記第1および第2の端部のそれぞれは8mmから15mmの範囲の幅を有し、前記バッテリは前記第1および第2の端部の一方内に搭載されている、請求項56に記載のマウスガードシステム。
【請求項58】
前記バッテリは前記第1の端部上に配置され、ワイヤレスバッテリ充電部品が前記第2の端部上に配置されている、請求項57に記載のマウスガードシステム。
【請求項59】
前記ブリッジ部分は、前記第1および第2の端部の幅の40%未満である幅を有する、請求項56に記載のマウスガードシステム。
【請求項60】
前記2つの切り欠きは、前記中間部分の全幅の少なくとも30%である寸法まで延在する、請求項51に記載のマウスガードシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年12月20日に出願された「Impact Sensing Mouth Guard and Method」という名称の米国特許仮出願第62/782,965号に対する優先権を主張するものであり、この特許出願を、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0002】
著作権
この特許文献の開示の一部は、著作権保護の対象となる内容を含む可能性がある。著作権所有者は、特許商標庁の特許ファイルまたは記録に表されているように、特許の開示の何人かによるファクシミリ複製には異議を唱えないが、そうでなければ何であれすべての著作権を留保する。
【0003】
本発明は概して、有害な振盪性の力を検出するためのウェアラブルデバイスに関する。より詳細には、本発明は、外部衝撃力を感知し、そのようなデータを変換し、リスクレベルをユーザにローカルにおよび他のデバイスにリモートで伝達するためのオンボード電子機器を備えたマウスガードに関する。
【背景技術】
【0004】
すべてのレベルで、運動競技はエクササイズの建設的な方法と見なされている。スポーツは活発な競争および健康を促進する。男性、女性、男子、および女子が、公式および非公式にさまざまなスポーツおよび運動活動に参加している。さまざまな人が関与して、多くの多様なプレーヤのタイプによってプレーされる多数の活動およびスポーツがある。いくつかのゲームは高速ランニングを伴う。プレーヤおよび/または固定された物体間の意図的または偶発的な接触を伴う、より肉体的なスポーツもある。接触は、頭および脳の損傷を含む、危害の可能性を高める。アメリカンフットボールはスポーツの脳震盪および長期的な脳損傷の主な原因と見なされているが、他のスポーツにおけるプレーヤも頭の損傷および脳の外傷に対するハイリスクを経験することはあまり知られていない。たとえば、女子サッカーにおける脳震盪の発生率はフットボールに次いで2番目であり、男子および女子サッカーを合わせた脳震盪の発生率はフットボールとほぼ同じである。
【0005】
頭または体への実質的にあらゆる強い衝撃は、脳の外傷に対する何らかのリスクレベルを伴う。頭の損傷は、他のプレーヤ、物体との衝突から、さらには落下から起こる可能性がある。頭への衝撃および回転力が損傷の主要な原因である。脳の損傷は、頭内の神経、またはほとんど、血管の損傷として現れる。
【0006】
脳の損傷のリスクおよび深刻さは、繰り返される頭部外傷の頻度および深刻さに関連していることも広く知られている。頭への最初の一撃が将来の損傷に対するリスク要因を変更する可能性がある。たとえば、最初の偶発的な打撃が、後の地面への落下による損傷についての閾値を下げる可能性がある。繰り返される一撃および衝撃は、頭部外傷のリスクに大きな影響を及ぼす。損傷についての通常の閾値を下回る小さな一撃でさえ、リスクを高める、以前の最初の衝撃に続けば、壊滅的な脳の損傷を引き起こす可能性がある。さらに、生体情報(すなわち、性別、年齢、身長、体重など)が、特定の個人について脳の損傷を予測するための衝撃閾値を決定するために必要とされる追加の要因を提供する。
【0007】
スポーツのプレー中、頭の損傷が脳機能の一時的な障害または喪失として現れることがある。しかしながら、より深刻な脳震盪は、さまざまな身体的、認知的、および感情的な症状を引き起こす可能性がある。残念なことに、いくつかの損傷は即時のまたは自明で観察可能な症状を引き起こさず、特にゲームの興奮した流れの間では、小さな症状が見過ごされることさえある。先の衝突の未知の結果が、損傷を診断して是正措置をとることを怠ることによって、リスクをさらに悪化させる。
【0008】
最近の研究において、CDCは、約40%から50%のアスリートが、自分が振盪性の一撃に苦しんだ可能性があることを自己申告しないであろうと推定している。頭の損傷を報告しないこれらのアスリートの一部はおそらく頑固さからであるが、報告しないことはしばしば、プレーヤが従来のまたは予想される脳震盪の症状を経験していないことに起因する。したがって、ユーザに重大な衝撃を受けたことを通知することが、ユーザがその事象を報告するために必要である。
【0009】
さまざまなスポーツおよび活動(パーソナルフィットネスプログラムのような)における損傷のハイリスクを考慮すると、先行技術の解決策は、全範囲のアスリートについての無数のルーティーンにおいて用いるのに十分柔軟かつ正確である解決策を提供していない。たとえば、頭部損傷評価ツールに要求される電子機器および監視システムの範囲を考えて、プレーヤによって装着されるべき製品はしばしば、頭蓋キャップまたは完全なヘルメットを伴う。ヘルメットは、フットボール、ホッケーおよびモトクロスのような許容される接触スポーツにおいては歓迎されるが、テニスでは場違いになり、サッカーのようなスポーツではプレーを妨害するかもしれず、ラグビーピッチ上では危険を増しさえする。さらに、先行技術の解決策は、正確さを快適さと引き換えにしているか、さもなければ情報の有用性またはユーザに合った着用のいずれかを犠牲にする妥協が要求されてきた。
【0010】
他の製品は、プレーヤの体の異なる部分で展開される複数のパーツを含み、使用するのが面倒および/または複雑になる可能性がある。加えて、他の解決策も、簡素で、カスタマイズ可能な、一体型の携帯可能な解決策を提供していない。
【0011】
臨床試験では、線形および角加速度の組合せの測定により、互いに独立した測定のいずれかと比較して、脳震盪の可能性が最も正確に予測されることが証明されている。臨床研究では、ヘルメットまたはあごひも上の付属品ではなく、マウスガードに配置されたセンサの方が脳の重心に対する相関が高いことが示唆されている。これは、頭蓋の基部に付着している後臼歯に対するマウスガードの配置の結果であると考えられている。内耳内のような、頭部上のいくつかの解剖学的目印が、衝撃を脳の損傷に関連付けるのに効果的であると考える人もいる。しかしながら、適切な検出を確実にするために要求される部品のサイズおよび量、ならびに部品の相対的な場所のため、このようなデバイスの空間的配置および構造で、人間工学的に受け入れ可能でユーザにとって快適なフィット感である有用なデバイスを達成することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0238850号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、頭部損傷を引き起こす可能性のある衝撃力を確実に識別してその衝撃事象をユーザに通知するマウスガードを提供することによってこれらの問題の多くを解決する。本発明のマウスガードは、ユーザに対してカスタマイズ可能であり、装着するのが快適であるだけでなく、簡単な製造プロセスを通じて構築される。
【0014】
本発明のすべてのこれらおよび他の目的が、以下の本発明の詳細な説明を通じて理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、衝撃およびユーザ状態についての情報を伝達するための衝撃感知デバイスおよびシステムを対象とする。マウスガードが振動し、音を作成し、ローカル信号を送信し、および/または他の方法で衝撃をユーザに示す。一実施形態において、圧電振動が、骨伝導を介して装着者にのみ可聴である音を作成することができる。
【0016】
一態様において、本発明は、衝撃力を測定して起こり得る脳震盪のリスクおよび脳の損傷を判定するためのマウスガードである。マウスガードデバイスは、モーションおよび加速度センサのアレイを用いることによって活動中のアスリートの頭部への衝撃力を検出および測定することができる。マウスガードは好ましくは、センサアレイ、バッテリ、充電回路を備えた(ワイヤレス)電力受信機、通信システム(Bluetooth低エネルギートランシーバのような)、機械的インジケータ(たとえば、圧電トランスデューサ)、および光インジケータ(たとえば、RGB LEDインジケータ)を含む。センサは力を測定するように設計され、このような力を、好ましくは線形および角度力について所定の衝撃閾値と相関させる。好ましくは、これらの所定の衝撃閾値は、ユーザが活動に参加している間に頭部への1つまたは複数の衝撃に応答して後で自動的に変更することができる。このシステムは、デバイスが他の方法で取り扱われているとき(たとえば、ユーザがマウスガードを落としたとき)の衝撃とは対照的に、デバイスが所定の位置に装着されているときに引き起こされる衝撃を判定することもできる。マウスガード内に埋め込まれているにもかかわらず、ユーザの快適さを提供する薄型を有するように構成されているフレキシブルプリント回路基板(PCB)上に電気部品が提供されている。マウスガードは、標準のUSB電源アダプタから電力を供給するワイヤレス電力送信機によって充電することができる。
【0017】
衝撃の通知に関して、マウスガードはユーザにローカルおよび/またはリモート通知を提供することができる。ローカル通知は、概して骨および頭蓋に沿って伝えられる可聴音(たとえば、2~4kHz)を作成するように動作する通知部品(たとえば、圧電、触覚、および/または磁気デバイス)を含むことができる。ローカル通知は、可聴音、骨伝導信号、振動、および/または他の触覚フィードバックを含むことができる。加えて、ローカル通知は、リスクおよび/または損傷のレベルを表すマウスガード上の特定の色および/またはパターンの光表示(たとえば、LED)を含むことができ、これは、ユーザのマウスガードにおける光インジケータを見る他の人(たとえば、レフェリー、コーチ、他のプレーヤなど)が気付くことができる。もちろん、マウスガードを除去したユーザも光インジケータに気付くことになる。光をオフにして、ローカルおよびリモート通知を所定の位置に残すことができる。リモート通知は、入ってくる情報を受信してリモートユーザに表示するように準備されたソフトウェアアプリケーションを備えた、スマートフォンのようなリモート受信機に電気通信を介して送信することができる。複数のウェアラブルデバイスをそれぞれ別のユーザに割り当てることができ、リモート受信機は複数のデバイスからの信号を管理し、たとえばチームのコーチが練習セッションまたはゲーム中に各個人のプレーヤを同時に監視することができる。
【0018】
他の一態様において、衝撃力を検出するための本発明のマウスガードシステムは、本体、少なくとも1つのセンサ、および通知部品を含む。本体は可撓性材料を含み、ユーザの口の頬側領域に面するための略アーチ状周辺側を備えた前部を有する。本体は、ユーザの歯を受け入れるサイズおよび形状である前部に隣接する窪み部分をさらに含む。少なくとも1つのセンサは力を検出し、可撓性材料に埋め込まれている。少なくとも1つのセンサは前部内に配置されている。通知部品は可撓性材料に埋め込まれ、機械的エネルギーを生成する。通知部品は、少なくとも1つのセンサが所定の力閾値を上回る力を検出したことに応答して作動する。
【0019】
他の一態様において、本発明のマウスガードシステムは、本体、プリント回路基板、プロセッサ、線形力センサ、回転力センサ、および通知部品を含む。本体は可撓性材料で構成され、ユーザの口の頬側領域に面するための略アーチ状周辺側を備えた前部を有する。本体は、ユーザの歯を受け入れるサイズおよび形状である前部に隣接する窪み部分をさらに含む。プリント回路基板は前部において可撓性材料内に埋め込まれ、アーチ状周辺側の実質的部分に沿って延在する。プロセッサはプリント回路基板上に配置されている。線形力センサおよび回転力センサはプリント回路上に配置され、プロセッサと通信している。通知部品は機械的エネルギーを生成し、プリント回路基板上に配置されている。そして、線形センサおよび回転センサの少なくとも1つが所定の力閾値を上回る力を検出したことに応答して、プロセッサは通知部品を作動させてユーザによって感知されるべきフィードバックを生成する。
【0020】
さらに他の一態様において、本発明は、マウスガードを装着しているユーザに高衝撃力を示すための方法である。この方法は、マウスガードに埋め込まれた線形力センサおよび回転力センサの少なくとも1つで少なくとも第1の衝撃事象を検出するステップと、第1の衝撃事象に関連する力が所定の閾値を超えているかどうかを判定するステップと、を含む。この方法は、所定の閾値を超えている力に応答して、通知部品で機械的エネルギーを生成し、所定の閾値を超えたことをユーザに知らせるステップをさらに含む。通知部品はマウスガード内に埋め込まれ、触覚フィードバック、振動フィードバック、または聴覚フィードバックの少なくとも1つをユーザに提供する。
【0021】
さらに他の一態様において、本発明は、衝撃力を検出するためのマウスガードシステムに関する。マウスガードシステムは本体およびプリント回路基板を含む。本体は可撓性材料で構成され、ユーザの口の頬側領域に面するための略アーチ状周辺側を備えた前部を有する。本体は、ユーザの歯を受け入れるサイズおよび形状である前部に隣接する窪み部分をさらに含む。前部は、切歯にほぼ隣接して配置されるべき中心線と、右および左の臼歯にほぼ隣接して配置されるべき2つの端部と、を含む。プリント回路基板は、本体の前部において可撓性材料内に埋め込まれ、アーチ状周辺側の実質的部分に沿って延在する長さを有する。プリント回路基板は、口の頬側領域の方に面する前面と、ユーザの歯の方に面する背面と、を含む。プリント回路基板は、所定の閾値を上回る衝撃力を検出および表示するための部品を含む。これらの部品は少なくともプロセッサ、メモリデバイス、力センサ、バッテリ、および光インジケータを含む。光インジケータは、プリント回路基板の前面上に前部の中央で配置され、所定の閾値を超えている衝撃力に応答して作動する。力センサは、本体の前部の中央付近のプリント回路基板の背面上に配置されている。プロセッサおよびメモリデバイスは、プリント回路基板の背面上に配置されている。バッテリは、プリント回路基板の前面上に端部の1つに隣接して配置されている。
【0022】
他の一態様において、衝撃力を検出するためのマウスガードシステムが本体およびプリント回路基板を含む。本体は可撓性材料を含み、ユーザの口の頬側領域に面するための略アーチ状周辺側を備えた前部を有する。本体は、ユーザの歯を受け入れるサイズおよび形状である前部に隣接する窪み部分をさらに含む。前部は、切歯にほぼ隣接して配置されるべき中心と、右および左の臼歯にほぼ隣接して配置されるべき2つの端部と、を含む。プリント回路基板は、本体の前部において可撓性材料内に埋め込まれ、アーチ状周辺側の一部に沿って延在する長さを有する。プリント回路基板は、口の頬側領域の方に面する前面と、ユーザの歯の方に面する背面と、を含む。プリント回路基板は、所定の閾値を上回る衝撃力を検出および表示するための部品を含む。これらの部品は少なくともプロセッサ、メモリデバイス、第1の力センサ、第2の力センサ、バッテリ、および所定の閾値を超えている衝撃力に応答して作動するためのインジケータを含む。プリント回路は、プリント回路基板の全長の少なくとも約25%である長さを備えた中間部分を含む。中間部分は6mmから15mmの範囲の幅を有し、プリント回路基板の曲げ性を高める2つの切り欠きを含む。プロセッサ、メモリデバイス、第1の力センサ、および第2の力センサは、中間部分に搭載されている。
【0023】
さらに他の一態様において、本発明は、ユーザの衝撃力を検出するカスタムマウスガードを製造するための方法に関する。この方法は、複製された歯を含むユーザの上顎領域の模型に第1の材料の層を適合させるステップと、第1の材料の層が模型上にある間かつ適合後、第1の材料の層を加熱するステップと、を含む。この方法は、加熱された第1の層にフレキシブルプリント回路基板を押し込み、フレキシブルプリント回路基板から離れて延在する複数の部品を第1の層に押し付けるステップをさらに含む。フレキシブルプリント回路基板は線形および回転力センサを含む。この方法はまた、フレキシブルプリント回路基板および第1の層の上に第2の材料の層を重ねるステップと、フレキシブルプリント回路基板および第1の層の露出面に第2の材料の層を適合させてカスタムマウスガードを作製するステップと、を含む。
【0024】
他の一態様において、本発明は、ユーザの衝撃力を検出するカスタムマウスガードを製造するための方法である。この方法は、ユーザに関連する生体情報を受け取るステップと、フレキシブルプリント回路基板のメモリに衝撃閾値データを保存するステップと、を含む。衝撃閾値データは生体情報に基づく。この方法は、受け取りおよび保存後、複製された歯を含むユーザの上顎領域の模型に第1の材料の層を適合させるステップをさらに含む。この方法はまた、第1の層にフレキシブルプリント回路基板を押し込み、フレキシブルプリント回路基板上の電気部品を第1の層に押し付けるステップと、フレキシブルプリント回路基板および第1の層の露出面に第2の材料の層を適合させてカスタムマウスガードを作製するステップと、を含む。
【0025】
さらに他の一態様において、本発明は、ユーザの衝撃力を検出するカスタムマウスガードを製造するための方法を含む。この方法は、複製された歯を含むユーザの上顎領域の石膏模型を受け取るステップと、ユーザについての生体情報を受け取るステップと、を含む。生体情報は少なくともユーザの年齢および性別を含む。この方法は、生体情報に基づいてユーザについての衝撃閾値データを決定するステップと、フレキシブルプリント回路基板上に搭載されているメモリデバイス上へ衝撃閾値データをアップロードするステップと、を含む。フレキシブルプリント回路基板には、線形力センサ、回転力センサ、プロセッサ、およびバッテリを含む他の部品が搭載されている。この方法は、ユーザの上顎領域の石膏模型に第1の材料の層を適合させるステップと、第1の材料の層が模型上にある間に、第1の材料の層を加熱するステップと、をさらに含む。この方法はまた、加熱された第1の層にフレキシブルプリント回路基板を押し込み、フレキシブルプリント回路基板からの部品の複数を加熱された第1の層に押し付けるステップと、フレキシブルプリント回路基板および第1の層の露出面に第2の材料の層を適合させるステップと、を含む。適合は、プリント回路基板上の部品のいくつかを第2の材料の層に押し付けるステップを含む。
【0026】
本発明の追加の態様は、図面を参照して行われるさまざまな実施形態の詳細な説明を考慮すると当業者には明らかになり、図面の簡単な説明を以下に提供する。
【0027】
次の図面を参照して本発明をより具体的かつ明確に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態のフレキシブルプリント回路基板アセンブリの背面の斜視図である。
図2図1のフレキシブルプリント回路基板アセンブリの前面の斜視図である。
図3図1のフレキシブルプリント回路基板アセンブリにおいて用いられるプリント回路基板の断面図の一実施形態を示す図である。
図4A図1における4A-4A線に沿ったフレキシブルプリント回路基板アセンブリの左側面図である。
図4B図1における4B-4B線に沿ったフレキシブルプリント回路基板アセンブリの右側面図である。
図5】一実施形態による図1のフレキシブルプリント回路基板アセンブリの部品の概略図である。
図6A】本発明のマウスガードを製造するためのプロセスにおいて用いられる、ユーザの上顎領域および関連する歯列を複製した石膏模型を示す図である。
図6B】マウスガードを製造するプロセスにおいてユーザの石膏模型の上に第1の層を重ねるステップを示す図である。
図6C】マウスガードを製造するプロセスにおいてユーザの石膏模型を覆う第1の層に図1図2のフレキシブルプリント回路基板アセンブリを埋め込むステップを示す図である。
図6D】マウスガードを製造するプロセスにおいて第1の層および埋め込まれたフレキシブルプリント回路基板アセンブリの上に第2の層を重ねるステップを示す図である。
図7図6Aから図6Dの製造プロセスからの完成したマウスガードを示す図である。
図8】マウスガードの複数のユーザについて衝撃の表示を提供するモバイルデバイス上のグラフィカルユーザインターフェイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明はさまざまな修正および代替形態が可能であるが、具体的な実施形態を図面に例として示し、本明細書で詳細に説明する。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態に限定されるように意図されていないことが理解されるべきである。むしろ、本発明は、添付の請求項によって定義されるような本発明の精神および範囲内に入るすべての修正案、同等物、および代替物を包含するものである。
【0030】
本開示は本発明の原理の例示と見なされるべきであり、本発明の広い態様を図示の実施形態に限定するように意図されていないという理解で、図面を本明細書で詳細に説明する。この詳細な説明という目的のため、単数は複数を含み、逆もまた同様であり(特に断りのない限り)、「および」および「または」という語は接続的および離接的の両方であるものとし、「all(すべて)」という語は「any and all(ありとあらゆる)」を意味し、「any(あらゆる)」という語は「any and all(ありとあらゆる)」を意味し、「including(含む)」という語は「including without limitation(含むが限定されない)」を意味する。
【0031】
マウスガード1は、図7に最もよく示されるが、フレキシブルプリント回路基板(PCB)と、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)2を画定する、その上に搭載された電子部品と、を含む。PCBA2は、アスリートの口にカスタムフィットするマウスガード1内に配置するように設計および成形されている。電子部品はマウスガード1の可撓性材料内に収められている。PCBA2も可撓性であり、製造および使用中マウスガード1の輪郭に適合するように屈曲および枢動するために最小限の構造寸法(長さ、高さ、幅、奥行きなど)で設計されている。一態様において、本発明は本明細書で、効率的な製造、優れた動作性能、およびユーザの快適性を達成するためのPCBA2上の電子部品の新規な配置に焦点を当てている。
【0032】
マウスガード1は、スポーツ活動中のアスリートの頭部への衝撃を検出および測定することができる。モーションおよび加速度センサ(以下で論じる)のアレイがユーザに対する加速度を検出および測定し、これを次いで計算して力データにすることができる。衝撃データはマウスガードに保存され、後でまたは同時に送信機(たとえば、Bluetooth低エネルギートランシーバ)を介して、電話またはタブレットのようなリモートスマートデバイス、または同様のデバイス(図8参照)に送信することができる。マウスガードに関する追加情報が、共同所有の米国特許出願公開第2017/0238850号(「Impact Sensing Wearable Device and Method」)に開示されており、この特許出願を、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0033】
図1に見られるように、PCBA2は、臼歯の頬側に沿って置くように意図されている2つの端部3間に画定される長さを有する。PCBA2は、マウスガード1に組み込まれた後に装着者の頬側領域に面することになる前面4と、歯に面することになる背面6と、を含む。PCBA2の中間部分7が2つの端部3間に配置され、概してPCBA2の全長の約25%と50%との間の長さを有する。電気部品は主に中間部分7内に搭載されている。好ましい一実施形態において、中間部分7はPCBA2の全長の約40%である。
【0034】
中央タブ11が中間部分7内に配置され、ユーザの切歯の正中線付近の口の前部中央に位置する。中央タブ11は、図6に関して以下で論じるように、マウスガード1の製造中に必要に応じてねじれたり曲がったりする能力を中間部分7に提供する一対の切り欠き12によって画定されている。このように、切り欠き12により、二軸の回転およびこれに隣接する枢動点でのねじれが可能になり、PCBA2をカスタムマウスガード1内に適合させるという課題を克服することが可能になる。2つの切り欠き12は、中間部分7の全幅の少なくとも30%である長さを有する。中間部分7は、歯列弓において(および、したがって、マウスガード1において)最小の曲率半径を有する領域に沿って配置されることになるため、追加の曲げ性が要求される。PCBA2のブリッジ部分16、17は端部3と中間部分7を接続し、PCBA2の曲げ性を高めるためにブリッジ部分16、17内のより小さな寸法を作成するためのより大きな切り欠きによって作成されている。
【0035】
部品は好ましくはPCBA2にはんだ付けされ、アンダーフィル(好ましくは非粘性エポキシ)を用いてPCBA2内の空間を埋め、ある程度の剛性をPCBA2に提供する。PCBA2上の電気部品は好ましくは最小限のはんだで取り付けられる。電子部品のそれぞれの最大寸法は、PCBA2の曲げを収容するように可能なときは垂直に配向され、つまり長縁が頂部から底部に配置される一方、短縁がPCBA2の長さに沿って横方向に走っている。ワイヤレス充電レシーバ20およびバッテリ22のようないくつかの部品は垂直に配向することができず、したがって、好ましくは中間部分7より大きな曲率半径を有する(すなわち、直線的な)解剖学的領域に沿って配置されることになる、PCBA2の端部3付近に配置される。PCBA2は好ましくは、図3を参照して以下で論じるように、マウスガード1におけるすべての電子部品の一次キャリアとして作用する多層基板設計で作製される。
【0036】
ワイヤレス充電レシーバ20はPCBA2の背面6上に設置される。図2に示すように、ワイヤレス充電コイル21は充電レシーバ20の反対側に設置される。充電レシーバ20は、インダクタおよびキャパシタを備えた電力回路を含み、ワイヤレス充電レシーバ20に近接してこれと電気的に通信する(たとえば、有線で)ように配置された集積回路コントローラをさらに含む。ワイヤレス充電レシーバ20およびワイヤレス充電コイル21は好ましくは、臼歯端部3の1つに沿って設置され、外部充電ステーション(図示せず)からエネルギーを最もよく受け取るように構成されている。このように、製造プロセス(図6)中に充電コイル21を操作して、頬側表面に面するマウスガード1の周辺側面に対する歪みを最小化するように適切な位置決めを保証することができる。
【0037】
力感知部品に関して、PCBA2は、高G(高重力)加速度計30、磁力計31(これはデジタルコンパスを含む)、および低G(低重力)加速度計/ジャイロスコープの組合せ32を含む。磁力計31および低G(低重力)加速度計/ジャイロスコープの組合せ32は、マウスガード1の配向を感知するために用いられるデータを提供するという点において慣性測定ユニット(IMU)を形成する。IMUによって提供されるデータはセンサ融合アルゴリズムにおいて利用され、これはプロセッサにおいて計算され、三次元空間におけるPCBA2およびマウスガード1の配向を検出する感知機能を実装する。低G(低重力)加速度計/ジャイロスコープの組合せ32(以下「ジャイロスコープ32」)は2つの別個の部品として提供して、一緒にパッケージされないようにすることもできる。あるいは、磁力計31を低G(低重力)加速度計/ジャイロスコープ32とパッケージ化することができる。ジャイロスコープ32はまた角速度に関するデータを提供し、これを用いて衝撃に関連する角加速度(および回転力)を判定することができる。これらのセンサ30、31、32は速度および加速度を測定するが、ここでは線形および回転力センサであると考えられ、これは、これらの感知データは対応する力に相関し、これにより必要に応じてプロセッサがこれを計算することが可能になるからである。
【0038】
衝撃のおおよその場所は、衝撃時のIMU配向結果および計算された3D線形加速度衝撃ベクトルを用いて計算される。3D線形加速度衝撃ベクトル(マウスガード1に対する)は、衝撃の瞬間に高G加速度計30によって収集されたデータを用いて計算される。要約すると、高G加速度計30、磁力計31、および低G加速度計/ジャイロスコープ32によって受信されたデータは、衝撃に関連する線形力の量、衝撃に関連する回転力の量、衝撃の空間的配向、およびユーザの動きデータに関する情報を提供するために用いることができる。
【0039】
高G加速度計30、磁力計31、およびジャイロスコープ32からのデータは、プロセッサ28において受信および処理され、これはメモリ34(好ましくはフラッシュメモリ)を利用して、衝撃データを処理および伝達するための情報を相関、関連させ、さもなければ保存する。メモリ34は、衝撃データを永久に保存する、または消去可能にすることができ、PCBA2上の任意の場所に配置することができるが、好ましくは待機時間を最小にするようにプロセッサ28付近にある。プロセッサ28は低エネルギーBluetoothトランシーバ29とさらに結合されている。Bluetoothトランシーバ29は、無線機および埋め込みプロセッサを含むことができる。プロセッサ28はデータを収集し、データをメモリ34に保存し、必要に応じてBluetooth伝送を介してデータを送信する。単一のメモリ34がPCBA2上に示されているが、複数のメモリデバイス34を有することができるということが理解されるべきである。たとえば、プロセッサ28はそれ自体のメモリデバイスを含むことができる。
【0040】
PCBA2上のシリアルワイヤデバッグ(SWD)ポート18により、プロセッサ28の初期プログラミングのための有線アクセスが可能になる。一実施形態において、ユーザの生体データに基づく衝撃閾値のような初期プログラミングデータがプロセッサ28に関連するメモリデバイスに保存される一方、感知部品によって受信される衝撃データは、図1図2に示すメモリ34に保存される。ユーザは通常、カスタムマウスガード1を注文するときに自分の生体データを提供する。ユーザの生体データは、年齢、性別、体重、身長、頭蓋周囲、頭部形状(たとえば、頭部の側部、後部、および/または前部の写真から)、頭部質量(たとえば、頭部のスキャンから)、および/または以前の脳震盪データを含むことができるが、これらに限定されない。生体データは、ユーザの上顎から、たとえば図6に関して以下で論じるような石膏模型から取られた寸法データをさらに含むことができる。たとえば、額に沿った頭蓋周囲と上顎の寸法データの組合せにより、頭部の質量に相関するデータが提供される。あるいは、ユーザの年齢、性別、体重、および/または身長に基づいて、一般的に知られている生体情報を用いて頭部の標準質量を推定することができる。標準質量がわかっていると仮定すると、ユーザの頭蓋および/または上顎データの具体的な測定の測定値に基づいてこれを調整することができる。換言すれば、同じ年齢、体重、および身長の人についての標準的な頭蓋周囲より10%大きい頭蓋周囲を有するユーザは、標準より大きな頭蓋周囲のために5%増加した標準質量を有する可能性がある。異なる個人についての線形および回転力リスク要因および閾値データの例が、共同所有の米国特許出願公開第2017/0238850号(「Impact Sensing Wearable Device and Method」)に開示されており、この特許出願を、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0041】
ユーザの生体データは、衝撃力(たとえば、回転力および/または直線力)についての初期閾値を設定するために用いられる。脳震盪のリスクが高くなる単一の最大閾値を確立することに加え、衝撃閾値は、一定期間にわたる一連の衝撃事象を考慮に入れる連続ベースの閾値を含むことができる。連続ベースの閾値であれば、一定期間にわたって遭遇した一連の小さな衝撃力(単一の最大閾値に対して)による脳震盪のリスクを示すことになる。たとえば、連続ベースの閾値は打撃の加重平均に基づくことができ、閾値(加重平均によって測定されるような)は打撃数に基づいて減少する。減少した閾値力の変化率は、線形または指数関数的であり得る。これらの連続ベースの閾値は動的閾値の形態であり、ユーザの活動のセッション(たとえば、1ゲーム)中、または活動の複数のセッションにわたって変化する。ユーザの以前の脳震盪の履歴(24時間にわたって起こった衝撃のような短期間、または過去2か月以内の以前の脳震盪のような長期の両方)も、閾値を確立するために用いることができるユーザの生体データであることが理解されるべきである。ユーザについてのこれらの異なる初期閾値および動的閾値は、マウスガード1内のPCBA2のメモリにおけるさまざまなルックアップテーブルに保存することができる。以下で図8において論じるように、これらはマウスガード1の動作の進行にわたってスマートデバイス50によって修正することができる。
【0042】
ユーザは、マウスガード1を用いるように意図している異なる活動を示すこともできる。たとえば、ユーザは、ボクシングおよびサッカーのためにマウスガードを用いるように意図していることを示すことができる。これらの活動のそれぞれは、異なるタイプの衝撃力および衝撃力の頻度が予想されるため、PCBA2のメモリデバイスに保存されることになる異なる衝撃閾値データを有する可能性がある。違いのいくつかは、PCBA2上のセンサによって検出されるべき衝撃力の感度によるものである可能性がある。一例として、ボクシングは、ボクシンググラブの変形のために持続時間がより長くなる打撃を有することがある一方、サッカーの試合での望ましくない頭対頭の衝撃は、非常に短い持続時間である可能性がある。加えて、ボクシングの規則により、後頭部への打撃のような、特定の打撃が制限されることがある。マウスガード1は打撃の方向性を感知することができるため、ボクシングの試合での後頭部への打撃は、力に関係なく、LED10を作動させて、制限される打撃が起こったことをボクサー(およびレフェリー)に知らせることができる。したがって、本発明のマウスガード1は、ユーザの複数の活動についての衝撃閾値データ(たとえば、異なるルックアップテーブル)を含むことができる。ユーザは、スマートデバイス(たとえば、図8における携帯電話50)を用いて、その特定の日(またはセッション)について選択された具体的な活動を、Bluetooth接続を介してマウスガード1に伝達するであろう。プロセッサ28は次いで、ユーザの選択した活動についてメモリデバイス内に保存された対応する衝撃閾値データを引き出し、その衝撃閾値データを活動中に比較に用いる。上で説明したように、同じ2つの活動に参加している2人の異なるユーザであっても、生体情報が異なるため、各活動について異なる衝撃閾値データ(たとえば、ボクシングルックアップテーブル#1、サッカールックアップテーブル#1、ボクシングルックアップテーブル#2、サッカールックアップテーブル#2)を有することになるということに留意すべきである。したがって、ユーザの活動(生体情報だけでなく)のユーザの指示も、PCBA2のメモリに保存される衝撃力閾値データのタイプを規定することができる。
【0043】
ユーザについてのさまざまな衝撃閾値および脳震盪のリスクを判断するのに有用である可能性がある他のデータを、SWDデバッグポート18を介してメモリデバイスの1つにアップロードすることができる。もちろん、SWDデバッグポート18を用いて他のデータおよびソフトウェアをメモリ34内へアップロードすることができる。必要な情報がPCBA2にロードされて最終的なプログラミングが完了すると、SWDデバッグポート18は、マウスガード1の可撓性材料内に収められる前に打抜き穴19を介して除去することができる。
【0044】
高G加速度計30は、方向性衝撃データを検出するため、好ましくは予測可能な基準点に配置され、したがって、ユーザの両上切歯の正中線に隣接するように中央タブ11内に搭載される。その物理的構造は、図6において以下で論じるようにマウスガード1内へ成形されるため、高G加速度計30は、上顎中央切歯の咬合または切歯縁線付近の中心線に沿ってこの同じ位置を維持する。歯の配置に関して異常な、または非伝統的な口の構造を有するユーザでのいくつかの実施形態において、マウスガード1に詰め物を用いて歯間の隙間を埋めることができる(たとえば、欠損歯、位置異常歯などを補う追加材料)。好ましくは、電気部品および、特に、センサ(たとえば、高G加速度計30、磁力計31、およびジャイロスコープ32)は、ひいては頭の骨格構造および歯との直接接触を維持するように成形されるマウスガード1の構造との直接接触を維持する。このように、センサは、頭の骨格構造との間接的な(しかし堅固な)接触を維持する。センサは、マウスガード1がプレーヤの口または手から落下することに関連する動きおよび力を検出して、そのような衝撃力を無視することもできる。
【0045】
LEDドライバ9が、PCBA2の前面4上のLED10の作動を制御する。LED10は、ユーザが特定の脳震盪リスク事象(または、一定期間にわたる一連の衝撃力を考慮するときは複数の事象)を経験したことを他者(たとえば、他のプレーヤ、コーチ、レフェリー)に示すために用いられる。LED10は、動作(すなわち、オン/オフ)、バッテリ充電寿命、誤動作なども表示することができる。LEDドライバ9は、ユーザの唇間で見ることができるようにPCBA2の前面4上に配置されている。好ましい実施形態において、LEDドライバ9は、LED10内へ駆動される電流を介してLED10の光強度および色の両方を制御する。固定電流を供給することによって、LEDドライバ9は、その電流を変更して適切な光パターンをLED10上に表示させ、ユーザの周りにいる他者に(およびユーザがマウスガード1を自分の口から除去しているときはユーザに)特定の情報を示すことができる。
【0046】
バッテリ22は通常3ボルトと4.2ボルトとの間を供給する。部品の適切な性能レベルを維持するため、主電圧変換器26を用いて定電圧を部品に提供する。ワイヤレス充電レシーバ20に結合されているバッテリ充電器23が好ましくは、バッテリ22についての具体的な充電プロファイルを監視および提供する集積回路を含む。ワイヤレスコイル21は交流電流を受け取り、これをバッテリ22用の直流電流に変換する。ワイヤレスコイル21は好ましくは、約百万ヘルツで、または当該技術において知られている他の方法のように、交流電流を受け取る。
【0047】
PCBA2は、端部3の1つの付近にバッテリ残量ゲージ24を含む。バッテリ残量ゲージ24は、クーロンカウンタ機能および比較テーブルを利用してバッテリ22に残っている電荷を較正する。バッテリ22は通常、通常動作モード、充電モード、およびスタンバイモードのような、複数のモードで動作する。バッテリ22は好ましくは、薄型および製造プロセス(図6において論じる)中にわずかに曲がってマウスガード1への人間工学的適合を促進する能力を備えたリチウムポリマーバッテリである。好ましい一実施形態において、ゲル電解質リチウムバッテリが好ましく、これは最も好ましくは非毒性電解質を用いる。リチウムポリマーバッテリが好ましいが、バッテリ技術が向上および/または変化するにつれて、薄型および軽量(および好ましくは電解質の非毒性)を有する他のタイプのバッテリがバッテリの選択を促進することになる。過充電および/または過小充電を介したバッテリの短絡を防止するためにバッテリ保護部品27を用いることができる。バッテリ保護27は、バッテリ22が最小充電未満で動くことも防止する。バッテリ22のサイズ(長さおよび高さ寸法)のため、バッテリ22は、頬側表面と骨/歯との間により多くの空間があるPCBA2の端部3の1つの方に配置される。有利なことに、マウスガード1もこの領域においてより大きな曲率半径を有し、その結果、バッテリ22の曲がりが少なくなる。
【0048】
PCBA2は、好ましくはPCBA2の端部3に隣接して、装着者通知部品36を含む。通知部品36は電気エネルギーを用いて機械エネルギーを生成し、触覚フィードバック、振動フィードバック(たとえば、ブザー)、または聴覚フィードバックを提供し、これらは耳で聞くことおよび口内で感じることの両方ができる。通知部品36は磁気および/または圧電素子を含むことができる。機械的および/または可聴エネルギーの生成のため、通知部品36は、PCBA2上の高エネルギー消費部品の1つであり得る(サイズおよび機能性に応じて、LED10がしばしば最高エネルギー消費部品である)。さらに、通知部品36は通常、PCBA2から上昇する最も高い輪郭を有し、PCBA2の表面から延在するかなりの量の三次元空間を使用する。通知部品36用のほとんどの空間を作成するため、通知部品36は、頬側表面と骨/歯との間により多くの空間があるPCBA2の端部3の方に配置される。通知部品36は好ましくは、上顎洞腔の真下の骨に直接隣接するPCBA2の背面6上に配置されて骨を振動させ、上顎に沿って耳に向かって振動を伝達し、これにより(振動周波数に応じて)音調感覚および/または可聴感覚を提供することができる。
【0049】
他の実施形態において、通知部品36は、圧縮空気を用いる磁石およびプレートを介して空気振動伝導体を用いることができる。あるいは、通知部品36は、オフセット重みを用いるモータを通して触覚フィードバックを作成することができる。あるいは、通知部品36は、小さな金属ブロック、またはピンを用いる線形共振アクチュエータ(LRA)を含むことができる。
【0050】
通知部品36は、ユーザが認識していない可能性のある重大な衝撃(または衝撃の連続)を受けたことをユーザに通知するのに特に有用である。たとえば、一回の、強力な衝撃が脳震盪の実質的なリスクを作成した後、プロセッサ28は回転および/または線形力感知ユニットからデータを受け取り、所定の閾値を超えたかどうかを判定する。超えていれば、プロセッサ28は次いで通知部品36と通信して、触覚フィードバック、振動フィードバック(たとえば、ブザー)、または聴覚フィードバックをもたらす作動を開始する。いくつかの実施形態において、プロセッサ28は、フィードバックが何を意味するように意図されているかを理解するように、ユーザが大打撃後に完全に意識を回復するためのいくらかの時間を有するようにフィードバックの作動を設定時間(たとえば、10または20秒)だけ遅らせることができる。通知部品36は、異なるタイプのフィードバック(持続時間、大きさ、または頻度において)を提供して、ユーザに異なる事象を知らせることもできる。たとえば、連続ベースの閾値を超える一定期間内の一連のより少ない打撃は、部品の一回の、強力な衝撃(たとえば、強い大きさおよび高頻度、または一定のフィードバック)とは異なるフィードバック(たとえば、より小さな大きさおよびより低い頻度)を有することができる。通知部品36は、低バッテリモードのような他の事象を伝達することも、システムが動作していることをユーザに思い出させることもでき、これは、非常に低い頻度(たとえば、60秒ごと)に一回の微かなフィードバックにおいて実行することができる。
【0051】
図1および図2に見られるように、大多数の電子部品はPCBA2の中間部分7内にあるが、LED10および高G加速度計30を除いて大部分は中央タブ11の側方にある。さらに、感知性電気部品の大多数はPCBAの背面6上にあり、歯に面する方向においてマウスガード1の可撓性材料にこれらを押し付けて、顔への衝撃からこれらをさらに保護することが可能である。上述のように、LED10は、ユーザの周りの他の人がLED10を見ることが可能になるように前面4上にある。バッテリ22も同様に、空間的な理由のためPCBA2の前面4上にある。充電コイル21は、バッテリ22を充電するためのより良好なアクセスを提供するために前面4上にある。図1図2は本発明の一実施形態を表し、これらの部品はPCBA2上で再配置することができる。
【0052】
PCBA2の幅(頂部から底部)は長さに沿って変化し、2mmと15mmとの間であり、図示の実施形態では最大幅は端部領域3にある。中間部分7は6mmから15mmの範囲の高さを有し、好ましくは約12mmである。端部3のそれぞれは8mmから15mmの範囲の幅を有する。ブリッジ部分16、17は、端部3の幅の40%より小さい(好ましくは30%より小さい)幅を有する。ブリッジ部分16、17は、中間部分7の幅の50%より小さい(好ましくは、40%より小さい)幅を有する。
【0053】
図3は、電気部品を受容してPCBA2を形成するであろうフレキシブルプリント回路基板(PCB)101についての好ましい一実施形態の概略断面図である。すべての層が図3に示されているが、当業者によって理解されるように、これらのすべてがPCB101全体にわたって存在するわけではない。ガラスまたは他の硬質材料上に積層された箔を含む従来技術のリジッドPCBとは異なり、図6においてより論じるように、その形状を変更して人間工学的位置へと曲げることができるため、フレキシブルPCB101が好ましい。フレキシブルPCB101は、電気部品間で信号を伝送する4つの金属トレースのような複数の導電層を有する。上部および下部オーバーレイ表面102がこれらの内部層を保護するが、部品はんだ付けが要求されるときの領域であれば存在しないだろう。2つのソルダーレジスト層104が、少なくとも部品はんだ付けが必要とされるPCB101の領域において、背面6(主要部品側)の金属(たとえば銅)トレース108および前面4上の金属トレース110上に配置されている。これらの電気作用層は接地層112および電源層114(または信号および電源層114)をさらに含む。4つの金属層108、110、112、および114のそれぞれは約0.02mmの厚さ(たとえば、0.018mmまたは0.022mm)である。
【0054】
接地層112および電源層114は、ポリイミドのような誘電体層116によって分離されている。背面銅トレース108は、誘電体層116および接着層118によって電源層114から分離されている。前面銅トレース110も、誘電体層116および接着層118によって接地層112から分離されている。誘電体層116および接着層118はそれぞれ約0.025mmの厚さである。PCB101の全体の厚さは、約0.2mmと約0.3mmとの間である。PCB101は、いくつかの領域において前面4および背面6の両方に外部サイドテープを含むことができ、これは、より大きな部品のいくつか(たとえば、バッテリ22および充電コイル21)をPCB101に機械的に取り付けるのに役立つ。
【0055】
図4Aおよび図4Bは、それぞれ、図1の線4A-4Aおよび線4B-4Bに沿ったPCBA2の左側および右側の断面を示し、これらの両方が背面6上の高G加速度計30および前面4上のLED10を通過している。寸法X-Xはプリント回路基板の全体の厚さを指し、これは図示の実施形態において約0.2mmである。図4Aにおける寸法Z-ZはLED10の高さを指し、これは約0.6mmである。図4Bに示すバッテリ22は約2.0mmの高さ寸法Wを有する。図4Bに示す通知部品36も約2.0mmの高さ寸法Uを有する。図4Aに示す充電コイル21は約0.4mmの高さ寸法を有し、これはLED10の高さ寸法より小さい。コイル充電レシーバ20の部品の1つは、約1.2mmの図4における高さ寸法Y-Yを有する。したがって、PCBA2全体は約110mmの長さを有するが、PCBA2の最大全高寸法(上面4および後面6上の部品を含む)は、すべての領域において5mm未満であり、長さの全高に対する比は20より大きい。
【0056】
バッテリ22および通知部品36を備えた端部3は約4.2mmの最大全高寸法を有することができ、好ましくは4mm未満である。中間部分7において、長さに沿った任意の点での最大全高寸法は2mm未満(たとえば、1.8mm)であり、好ましくは1.5mm未満であり、これは、背面6上の高G加速度計30および前面4上のLED10をほぼ覆うことによって規定される。コイル21を備えた端部3において、最大全高寸法は2mm未満(たとえば、1.9mm)であり、好ましくは1.5mm未満である。端部3と中間部分7を接続するPCBA2のブリッジ部分16、17は好ましくは部品を含まず、約0.2mmから0.3mmの間、好ましくは約0.2mmの最大寸法(すなわち、図3におけるプリント回路基板の厚さ)を有してPCBA2全体にさらなる可撓性(曲げ性および回転ねじれ性の両方)を提供し、これは図6に示すようにマウスガード1を製造するときに役立つ。図4Aおよび図4Bは、マウスガード1に用いるための薄型PCBA2の1つの例示的な好ましい実施形態を示しているのみであり、他の部品配置および構成を用いることができる。
【0057】
図5は、PCBA2上に搭載される部品の接続を示す概略図の一実施形態である。バッテリ22は、さまざまな部品のすべてに電力を提供する。プロセッサモジュールは、これらの部品と通信し、データを受信して(たとえば、センサから)通信命令を送信する(たとえば、LED10および通知部品36に)メインプロセッサ28を含む。プロセッサモジュールはまた、ユーザ、親、コーチ、レフェリーなどに関連付けられたスマートデバイス50のような、1つまたは複数の外部デバイスとの通信を可能にするBluetoothトランシーバ29を含むことができる。スマートデバイス50は、使用中または使用前/後にマウスガード1内のBluetoothトランシーバ29と情報を送受信するソフトウェア(たとえば、アプリの形態の)を含むであろう。スマートデバイス50はまた、1つまたは複数のマウスガードデバイスに関連するリスク要因の遠隔保存、計算、および表示を提供する。スマートデバイス50は、スマートフォン、タブレット、またはコンピュータとすることができる。1つの例示的なスマートデバイス50が図8に示されている。PCBA2の部品の接続のための他のシステム構成も可能である。
【0058】
図6A図6Dは、マウスガード1を発展させる際の一連の段階を示す。ユーザの口、具体的には上顎領域歯の模型80が作製される。模型80は、歯科専門家によって、口腔内スキャナの使用によって、または簡単な家庭用印象トレーの使用によって作成することができる。図6A図6Dに示すように、模型80は、ユーザの歯および歯肉を覆って押し付けられた印象内に形成される石膏模型である。石膏を印象内へ注入して石膏模型80を作成し、結果としてユーザの上の歯および骨の構造の複製ができる。
【0059】
図6A図6Dに示す好ましい一実施形態において、ウェアラブルマウスガード1を形成するための方法は次のように実行される。図6Aに示すように、模型80を逆さまに置いて、Dentsply Sironaによって製造および販売されているDrufomat(登録商標)のようなカスタムマウスガードを製造するように設計されている熱成形機(たとえば、圧力熱成形機)内へ挿入する。図6Bに示すように、EVA熱可塑性プラスチック(他の可撓性材料も可能である)の約3mmの第1の基層82が模型80を覆って配置される。熱成形機内で、第1の層82を加熱し、模型80によって規定されるような、ユーザの口腔の上顎領域の解剖学的構造(たとえば、骨、歯肉、歯など)に実質的に適合することになるように模型80を覆って熱成形する。熱および圧力のため、第1の層82の初期厚さは、模型80上へ重ねられたとき約30%から40%減少する。たとえば、3mmの第1の層82が用いられるとき、第1の層82の最終的な厚さは約1.8mmから2.1mmである。第1の層82はこれでPCBA2を受け入れる準備が整う。必要に応じて、第1の層82に対してトリミングおよび研磨を実行することができるということに留意すべきである。
【0060】
PCBA2は、基層82に成形される前にテストおよびプログラムされる。PCBA2がすべてのテストに通って最新のファームウェアがプログラムされると、SWDデバッグポート18(図1図2)を備えた領域は打抜き穴19に沿ってはさみを用いて切り取られる。デバッグポート18を用いることによって、メモリ34は、たとえば、その特定のユーザから受け取られた生体情報に基づく具体的な所定の閾値データポイントを含むようにプログラムされる。
【0061】
プログラムされたPCBA2の準備ができると、ヒートガンを使用して第1の層82を掃引して軟化させる。一実施形態において、約120L/mの気流の700Wのヒートガンが350℃に設定され、約30秒間用いられて材料を加熱する。第1の層82が軟化した状態で、PCBA2は、背面6(および電気部品の多数)が軟化した第1の層82に向かって内側を向くように配置される。軟化は、第1の層82の下にある模型80への適合性に影響を与えるほど厳しくない。第1の接続点では、中央タブ11(図6には示さず)上の高G加速度計30が2つの中央切歯の正中線に直接隣接して配置される。中央タブ11および後面6上の高G加速度計30、およびLEDドライバ9およびプロセッサ28のような、隣接する部品の物理的構造が、第1の層82内に押し付けられて押し込まれる。垂直方向の位置合わせのため、LED10に最も近い中間部分7の縁部を模型80内の複製切歯の切断縁と位置合わせすべきである。次に、中間部分7の後面6上の部品の残りを軟化した第1の層82に押し付ける。
【0062】
中間部分7の部品が第1の層82内に押し付けられた後、PCBA2の左側および右側の残りの部分を、2つの端部3付近のすべての部品(たとえば、ワイヤレス充電部品20および通知部品36)を含め、第1の層82内へ押し付ける。通常、第1の層82をその側に沿って軟化させてこれらの材料を収容するためにヒートガンが再び必要になり得る。PCBA2のブリッジ部分16、17は、一般的な人口の上顎領域における多種多様な解剖学的差異を収容するために必要とされる曲げおよびねじれを提供する。図6Cに示すように、PCBA2は、PCBA2の背面6上の電気部品の幾何学的配置を軟化した第1の層82に押し付けることによって第1の層82に固定される。LED10、バッテリ22、および充電コイル21は、PCBA2の前面4に搭載され、したがって、下にある模型80から外側に突き出ている。
【0063】
各ユーザの独自の解剖学的構造による模型80の独自の形状のため、PCBA2は各ユーザについて第1の層82上に少し異なってフィットすることになる。したがって、Dreve Dentamid GmbHからのFillin(商標)のような、変形可能な充填材料を提供してPCBA2の背面6と第1の層82との間、および第1の層82とワイヤレス充電部品20および通知部品36のようなより大きな内向き(歯に面する)部品のいくつかとの間の小さな隙間を埋める。この変形可能な材料は、薄く圧延して必要に応じて成形することができるようにワックスに似ている。加えて、変形可能な充填材料を用いてあらゆる粗面(バッテリ22またはコイル21の角のような)を滑らかにし、次の層のために不要な圧力点を防止する。これは、第2の層84(たとえばEVA)が適用されるときに空気が閉じ込められる可能性がある、PCBA2(および前面電気部品)と基層82との間の隙間をなくすのに役立つ。換言すれば、第2の層84をより確実に配置するために変形可能な充填材料を用いて隙間を埋め、とがった角を滑らかにする。変形可能な充填材料は、EVAのような、ホットグルーのタイプとすることもできる。
【0064】
図6Dに示すように、熱成形機内で第1の層82とPCBA2(および任意のFillin(商標)材料)の組合せの上に第2の層84を配置して第2の層84のPCBA2を覆う加圧成形を可能にする。加熱された第2の層84は、PCBA2の前面4上のLED10、バッテリ22、および充電コイル21上にフィットするように形成される。第2の層84は、1mmから4mmまでの任意の場所とすることができ、第1の層82同様、熱および圧力を加えると薄く(そして密に)なる。第1の層82の最終的な厚さを2mmとすると、1mmの第2の層84がマウスガード1のほとんどにわたって約3~4mmの厚さを作成し、これは、サイクリング、バスケットボールなどのようなスポーツにより適し得る。第1の層82の最終的な厚さを2mmとすると、4mmの第2の層84がマウスガード1のほとんどにわたって約4~5mmの厚さを作成し、これは、ボクシングまたはフットボールのような、直接的な衝撃のスポーツにより適切であり得る。第2の層84の厚さは、ユーザの好み、および安全な機能性に対する要件に部分的に依存する。第2の層84が第1の層82およびPCBA2に追加された後にトリミングおよび研磨を実行することができる。
【0065】
全体の厚さは、もちろん、PCBA2上の電気部品のために、マウスガード1の領域にかけて少し異なる。たとえば、頬側表面に露出したアーチ状表面90(図7)を有するマウスガード1の前部92(図7)において、バッテリ22および通知部品36を有するPCBA2の端部3は、7mm未満、好ましくは6mm未満の厚さで、マウスガード1全体の最大局所厚さを有することになる。頬側表面に露出しかつPCBA2の中間部分7付近(部品の多数がある)にあるマウスガード1の前部92において、マウスガード1の最大局所厚さは5mm未満、好ましくは4mm未満になる。充電コイル21およびワイヤレス充電部品20を有するPCBA2の他端部3付近の頬側表面に露出したマウスガード1の前部92において、マウスガード1の最大局所厚さは5mm未満、好ましくは4mm未満になる。これら3つの領域間で、ブリッジ部分16、17の厚さは4mm未満、または3mm未満である。
【0066】
ユーザの口の頬側領域に面するマウスガード1の前部92の厚さを示す一例において、第1の層82が3mmの厚さおよび第2の層84が2mmの厚さで、バッテリ22を備えた端部3は約5.5mmの最大厚さを有し、中間部分7は約3.0mmの最大厚さを有し、充電コイル21を備えた端部3は約3.3mmの最大厚さを有する。マウスガード1の前部92の厚さを示す第2の例において、第1の層82が3mmの厚さおよび第2の層84が3mmの厚さで、バッテリ22を備えた端部3は約6.1mmの最大厚さを有し、中間部分7は約3.7mmの最大厚さを有し、充電コイル21を備えた端部3は約4.0mmの最大厚さを有する。
【0067】
マウスガード1の全体の厚さは、測定されるデータに必ずしも影響を与えるべきではないが、所定の閾値レベルについてプロセッサ28をプログラムするときにアルゴリズムまたはソフトウェアによって補償することができる。たとえば、マウスガード1の追加の厚さが用いられると、これは測定された衝撃力を減衰させる。換言すれば、マウスガード1は、頭蓋および脳に対する衝撃/力の量を少量効果的に軽減している。
【0068】
図7は、図6の製造プロセスによって製造された完成したマウスガード1を示す。マウスガード1は、ユーザの上顎領域における歯列弓の輪郭にほぼ沿うアーチ状周辺側面90をその前部92に有する本体を含む。前部92は、第1の層82、PCBA2、および第2の層84の重なりからなり、電子部品を含む。これらの電子部品のほとんどは歯に向かって内側を向いているが(図7においては見えない)、LED10は頬側方向を向いており、プラスチックの第2の層84を通して見られる。充電コイル21もPCBA2の前面4上に見られる。高G加速度計30を受容する中央タブ11は、ユーザの上切歯の正中線と実質的に位置を合わせる場所に配置されている。マウスガードは、ユーザの歯を受け入れるサイズおよび形状にされてマウスガードを口内の固定位置に保持するのに役立つ前部92に接続されたアーチ状窪み部分94を含む。マウスガード1の口蓋部96が口蓋を係合する。サイズを最小化し、正確なデータ収集を可能にし、ユーザの快適さを提供するデバイスを製造する駆動力を考えると、本発明のマウスガード1は前述の形成プロセスでより良好に働く。フリーサイズのアプローチ(ボイルアンドバイトマウスガードのような)から作製されるマウスガードを本発明で用いることは可能であるが、前述の形成プロセスが好ましい製造の方法である。
【0069】
第1の層82は透明または有色の材料で作製することができる。第2の層84は好ましくは、他者が観察することができるようにLED10の領域において透明であるが、第2の層84の他の領域は着色することができる。LED10がマウスガード1に存在しなければ、層82および84の両方を着色して不透明にすることができる。
【0070】
図8に示すように、スマートデバイス50におけるリモート受信機がローカルアプリ(たとえば、ソフトウェアアプリケーション)と作用して、通信システム(たとえば、Bluetoothトランシーバ29)を介してマウスガード1からリアルタイムのデータまたは情報を受信および表示することができる。好ましくは、リモートスマートデバイス50は、ユーザに関連する特定のマウスガード1(または数人のユーザからの複数のマウスガード)からのいくつかのタイプの衝撃情報の表示を可能にするディスプレイ52を含む。たとえば、ディスプレイ52は、最近の衝突事象のタイミングを示すことができる相対時間インジケータ54を含むことができる。さらに、ディスプレイ52は、加速度および力(線形および/または回転)のような、衝撃データ56を含むことができる。さらに、リスク計算58を表示することができる。リスク計算は、ローカルまたはリモートで決定することができ、ユーザの生体情報に基づいた各ユーザに固有の所定の衝撃閾値に基づいている。リスク計算は、一定期間内の衝撃の連続に基づいているという点において動的に生成することもできる。したがって、本発明は、マウスガード1が一定の閾値を超える力を感知したとき、通知のための複数の選択肢、すなわち(i)通知部品36からのフィードバックを介してユーザへ、(ii)LED10を介してユーザ近くの他の人へ、および(iii)スマートデバイス50のディスプレイ52を介してさらに離れた場所にいる人へ、があることを企図している。
【0071】
上述のように、スマートデバイス50は、ユーザがマウスガード1と通信することも可能にしている。たとえば、ユーザはスマートデバイス50を用いてその日の自分の活動を選択することができ、プロセッサ28が次いでその特定の活動に対応する衝撃力閾値データを選択する。ユーザはスマートデバイス50を用いて以前の脳震盪の発生を示すことができ、プロセッサ28が次いで減少した衝撃閾値データを選択する。または、他の代替案において、ユーザは、損傷から遠ざかるためにより少ない打撃の通知を希望すれば、閾値の具体的な減少率を示すことによって衝撃閾値の減少値を規定することができる。スマートデバイス50は、ユーザのコマンドに応答して、PCBA2上のメモリ34から力データをダウンロードし、次いで以前の力データまたは以前の力データのセグメントを消去する命令を送信することができる。
【0072】
スマートデバイス50は好ましくは、すべてのユーザまたはユーザのサブセット(たとえば、フットボールプレーヤ)についてのさまざまなタイプの閾値データを含むリモートストレージ(たとえば、クラウド)と通信する。より良好かつより正確な閾値データが学習されてリモートストレージに保存されると、スマートデバイス50はその更新データをダウンロードし、次いでBluetooth接続を介してこれをユーザのマウスガード1に送信することができる。他の一例において、ユーザが、ラグビーのような、他の活動を試みることを決定すれば、スマートデバイス50はリモートストレージからラグビー閾値データをダウンロードし、次いでそのラグビー閾値データをそのユーザ用にカスタマイズされたマウスガード1に送信することができる。
【0073】
これらの実施形態およびその自明な変形は、次の請求項に記載されている、特許請求された本発明の精神および範囲内に入ると考えられる。また、本概念は、先の要素および態様のありとあらゆる組合せおよび部分的組合せを明示的に含む。
【符号の説明】
【0074】
1 マウスガード
2 プリント回路基板アセンブリ
3 端部
4 前面
6 背面
7 中間部分
9 LEDドライバ
10 LED
11 中央タブ
12 切り欠き
16、17 ブリッジ部分
18 シリアルワイヤデバッグポート
19 打抜き穴
20 ワイヤレス充電レシーバ
21 ワイヤレス充電コイル
22 バッテリ
23 バッテリ充電器
24 バッテリ残量ゲージ
27 バッテリ保護部品
28 プロセッサ
29 Bluetoothトランシーバ
30 高重力加速度計
31 磁力計
32 ジャイロスコープ
34 メモリ
36 装着者通知部品
50 スマートデバイス
52 ディスプレイ
54 相対時間インジケータ
56 衝撃データ
80 模型
82 第1の層
84 第2の層
90 周辺側面
92 前部
94 窪み部分
96 口蓋部
101 プリント回路基板
102 オーバーレイ表面
104 ソルダーレジスト層
108 金属トレース
110 金属トレース
112 接地層
114 電源層
116 誘電体層
118 接着層
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
【国際調査報告】