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特表2022-514945浮き上がり防止システムを備えたスライド式引き出し
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(54)【発明の名称】浮き上がり防止システムを備えたスライド式引き出し
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/407 20170101AFI20220208BHJP
【FI】
A47B88/407
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536357
(86)(22)【出願日】2019-12-15
(85)【翻訳文提出日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 IB2019060814
(87)【国際公開番号】W WO2020128770
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】102018000020176
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516265621
【氏名又は名称】ボルトルッツィ システミ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】スポンガ,ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ピアンカ,マルコ
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA01
3B160AB48
3B160AB51
3B160AB61
3B160EA13
3B160EA32
3B160EA36
3B160EA42
(57)【要約】
家具を構成するスライド式引き出しまたは棚であって、前方部分(14)およびコの字状に接続された三つの部分(16,18)を組み合わせたものからなる周辺フレームと、引き出しまたは棚を、家具に対して直線的に動かすための伸縮式ガイドと、を備える。ガイドは、家具に対して固定可能な固定部品(22)と、固定部品に対して、長手方向に平行移動可能な平行移動部品と、を備える。平行移動部品は、引き出しまたは棚を支持するよう設けられたアーム(26)を備え、前記アームには、固定部品に対して、引き出しまたは棚を傾斜させるための調節要素が取り付けられている。前方部分は、アームの自由端が係合可能な係止要素(50)を備え、これにより、アームの自由端が係止要素の一部に当接し、引き出しまたは棚の浮き上がりを押さえる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具を構成するスライド式引き出しまたは棚(12)であって、
前方部分(14)およびコの字状に接続された三つの部分(16,18)を組み合わせたものからなる周辺フレームと、
前記引き出しまたは棚を、前記家具に対して直線的に動かすための伸縮式ガイド(20)と、を備え、
前記ガイドは、
前記家具に対して固定可能な固定部品(22)と、
前記固定部品に対して、長手方向に平行移動可能な平行移動部品(24)と、を備え、
前記平行移動部品は、前記引き出しまたは棚を支持するよう設けられたアーム(26)を備え、前記アームには、前記固定部品に対して、前記引き出しまたは棚を傾斜させるための調節要素(80)が取り付けられており、
前記前方部分は、前記アームの自由端が係合可能な係止要素(50)を備え、これにより、前記アームの自由端が前記係止要素の一部に当接し、前記引き出しまたは棚の浮き上がりを押さえる、ことを特徴とする、スライド式引き出しまたは棚。
【請求項2】
前記係止要素(50)は、前記アームの自由端を内部に捕捉可能な空洞である、または空洞を形成することにより、前記アームの自由端が前記空洞の壁に当接し、前記引き出しまたは棚の浮き上がりを押さえる、ことを特徴とする、請求項1に記載のスライド式引き出しまたは棚。
【請求項3】
前記前方部分の外表面に取り付けられて、前記空洞を形成するコンポーネント(50)をさらに備える、ことを特徴とする、請求項1または2に記載のスライド式引き出しまたは棚。
【請求項4】
前記コンポーネント(50)は、ステップ(52)を備え、前記前方部分に取り付けられることで、前記ステップの表面および前記前方部分の壁によって前記空洞が形成される、ことを特徴とする、請求項3に記載のスライド式引き出しまたは棚。
【請求項5】
前記コンポーネント(50)は、L字形状の断面を有する立体である、ことを特徴とする、請求項3に記載のスライド式引き出しまたは棚。
【請求項6】
前記アーム(26)の自由端は、前記空洞内に挿入するよう設けられた凸状歯(28)を備える、ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のスライド式引き出しまたは棚。
【請求項7】
前記凸状歯(28)は、前記アームの長手方向軸(X)に沿って配置される、ことを特徴とする、請求項6に記載のスライド式引き出しまたは棚。
【請求項8】
前記調節要素は、前記アームに回転可能に取り付けられ、前記アームから突出し、調節可能な突起部により、前記引き出しまたは棚に当接する要素(80)である、ことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のスライド式引き出しまたは棚。
【請求項9】
回転可能に取り付けられた前記要素(80)は、ねじ山を有し、前記アームに螺合され、調節可能な突起部により、前記アームから突出する、ことを特徴とする、請求項8に記載のスライド式引き出しまたは棚。
【請求項10】
前記前方部分および前記コの字状に接続された三つの部分は、中空管状要素であり、それぞれの端部は、45度の角度で切断され、他の二つの部分の端部と合致する、ことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のスライド式引き出しまたは棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド式引き出しまたは棚用の解放防止システム、換言すれば、スライド式引き出しまたは棚用の浮き上がり防止システムに関する。特に、本発明は、引き出しまたは棚用の伸縮式ガイドを改良したものに言及する。このガイドは、引き出しの位置を、台座および他の引き出しまたは棚の両方に対して、調節する装置を備えるものである。
【背景技術】
【0002】
引き出しまたは棚が備え付けられた家具やキャビネットが知られているが、その中には、引き出しまたは棚が水平方向にスライドしたり、取り外したりできるものもある。引き出しまたは棚は、例えば、典型的なものであれば、横に形成された溝のような一体型ガイドを有している場合や、引き出しまたは棚が、家具の壁に固定された二本の直線ガイド状に取り付けられている場合などがある。
【0003】
こうしたガイドは、例えば、特許文献1のように、引き出しの位置を微調節できる、精度の高い装置である場合がある。つまり、引き出しを横方向に動かせることで、水平度の調節ができ、他の引き出しやキャビネットの側面との間隔を適切なものにできる。
【0004】
引き出しまたは棚は、ガイドに拘束されることで、垂直方向へ外れてしまうことや、誤って脱落してしまうことが防がれる。しかし、残念なことに、既知の拘束手段は、製造が複雑であることが多く、設置時の扱いが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1621107号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうした先行技術の現状を改善することが、添付の請求項で定義される本発明の主たる目的である。また、従属項では、有利な変形例が定義される。
【0007】
さらなる目的は、上述したような種類のガイドであって、引き出しまたは棚を垂直に拘束する手段の製造が容易であり、取付け時の扱いも容易であるものを提供することにある。
【0008】
さらなる目的は、上述したような種類のガイドであって、拘束手段の大きさが制限されたものを提供することにある。
【0009】
さらなる目的は、上述したような種類のガイドであって、引き出しまたは棚がガイドから垂直に外れてしまうことを規制する、垂直規制手段を一体に備えたものを提供することにある。
【0010】
さらなる目的は、上述したような種類のガイドおよび連結した引き出しまたは棚の組み立てが改良されたものを提供することにある。
【0011】
さらなる目的は、上述したような種類のガイドに連結されたスライド式引き出しまたは棚を改良したものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
家具を構成するスライド式引き出しまたは棚が提案される。前記スライド式引き出しまたは棚は、前方部分およびコの字状に接続された三つの部分を組み合わせたものからなる周辺フレームと、引き出しまたは棚を、家具に対して直線的に動かす伸縮式ガイドと、を備える。ガイドは、家具に対して固定可能な固定部品と、固定部品に対して、長手方向に平行移動可能な平行移動部品と、を備える。平行移動部品は、引き出しまたは棚を支持するよう設けられたアームを備え、前記アームには、固定部品に対して、引き出しまたは棚を傾斜させるための調節を行う要素が取り付けられている。前方部分は、アームの自由端が係合可能な係止要素を備え、これにより、アームの自由端が係止要素の一部に当接し、引き出しまたは棚の浮き上がりを押さえる。
【0013】
この解決手段により、引き出しまたは棚が、誤って浮き上がることが防止される。
【0014】
好ましい実施形態によれば、係止要素は、アームの自由端を内部に捕捉可能な空洞である、または空洞を形成することにより、アームの自由端が空洞の壁に当接し、引き出しまたは棚の浮き上がりを押さえる。
【0015】
空洞は、容易かつ安価な方法で作製できる点において有利であり、例えば、前方部分の孔、窪み、または、アンダーカットであってもよい。
【0016】
前方部分の表面に加工をしないことが好ましい場合、好ましい実施形態において、引き出しまたは棚は、前方部分の外表面に取り付けられて、空洞を形成するコンポーネントをさらに備える。空洞は、外表面に取り付けられたコンポーネントによって、または、前方部分の外表面かつ一部に取り付けられたコンポーネントと協働して、形成される。
【0017】
特に、コンポーネントは、ステップを備え、前方部分に取り付けられることで、ステップの表面および前方部分の壁によって、空洞が形成される。
【0018】
好ましくは、コンポーネントは、L字形状の断面を有する立体であり、ステップを画定する。
【0019】
好ましく、平易であり、かつ経済的な実施形態によれば、アームの自由端は、空洞内に挿入するよう設けられた凸状歯を備える。全体の寸法を最小化するにあたり、凸状歯は、好ましくは、アームの長手方向軸に配置される。
【0020】
好ましくは、調節要素は、アームに回転可能に取り付けられ、アームから突出し、調節可能な突起部により、引き出しまたは棚に当接する要素である。特に、回転可能に取り付けられている場合、前記要素は、ねじ山を有し、アームに螺合され、調節可能な突起部を介して、アームから突出することが好ましい。螺合は、平易かつ正確な調節形態である。
【0021】
好ましくは、前方部分およびコの字状に接続された三つの部分は、中空管状要素であり、それぞれの端部は、45度の角度で切断され、他の二つの部分の端部と合致するが、別の構造を有していてもよい。
【0022】
特に、コの字状に接続された三つの部分は、例えば、中空管状要素であり、それぞれの端部は、45度の角度で切断され、他の二つの部分の端部と合致する。一方、前方部分は、二つのアンカー部材が設けられた剛壁を備え、アンカー部材は、剛壁から直交して突出し、それぞれが、コの字状を有する別々の空洞に挿入可能である。
【0023】
添付の図面を参照しつつ、好ましい例示におけるシステムに関して、以下に説明する。これにより、本発明の利点がより明確になるであろう。
【0024】
図面において、同じ符号は、同等の箇所または概念的に類似する箇所を示し、各要素は、使用時の状態で説明される。図面を複雑化させないため、符号の一部は記載を省略している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、家具に挿入されるスライド式引き出しの立体図を示す。
図2図2は、引き出しを下から見た立体図を示す。
図3図3は、図2の要素の平面図を示す。
図4図4は、図1のX軸を通る縦平面に沿った断面図を示す。
図5図5は、システムの変形例を示す。
図6図6は、システムのコンポーネントの立体図を示す。
図7図7は、図6のコンポーネントの別の立体図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、家具またはキャビネットの側壁10を部分的に示す。この家具またはキャビネットの内部には、スライド式引き出しまたは棚12が取り付けられている。
【0027】
スライド式引き出しまたは棚12は、前方部分14と、底部分16と、二つの横部分18とを有するフレームを備える。部分14,16,18は、管形状を有し、互いに合致するよう、45度の角度に切断された端部を有する。これらを組み合わせることで、全体として四角形または正方形をなすフレームが形成される。単純化のため、スライド式引き出しまたは棚12の底部は、図示しない。
【0028】
横部分18は、線対称で、壁10に固定された二本の直線ガイド20の上部にそれぞれ取り付けられる。
【0029】
各直線伸縮式ガイド20は、互いに直線的に平行移動可能な、二つの部品22,24を備える。部品22は、壁10に対して固定され、接続可能あるいは接続されている。一方、部品22に対してX軸に沿って平行移動可能な部品24は、部分18のうち一つと接続される。これにより、スライド式引き出しまたは棚12を、家具本体から前方に向かって引き出すことができる。
【0030】
図2乃至図4を参照すると、スライド式引き出しまたは棚12が、ガイド20に取り付けられていることが分かる。平行移動部品24は、スライド式引き出しまたは棚12が載置された水平アーム26を備える。アーム26は、前方部分14寄りの端部に、凸状歯28を有する。凸状歯28は、使用時、水平平面上にあるアーム26から片持ち状態で延伸する。
【0031】
好ましくは、ガイド20は、固定部品24に対して、引き出しまたは棚12を傾ける調節装置を備える。この傾き調節装置は、例えば、前方部分14寄りのアーム26の端部に、アーム26内に垂直に螺合可能なねじ80を設けることで実現させてもよい。これにより、引き出しまたは棚12の下で、ねじ80の先端がアーム26から突出する。ねじ80をある程度回すことで、ねじ80の先端がアーム26からある程度突出し、引き出しまたは棚12(または部分18)をある程度浮き上がらせる。これにより、引き出しまたは棚12の傾きが調節できる。
【0032】
好ましくは、ガイド20は、引き出しまたは棚12の脱落を回避するため、後方係止要素(不図示)を備える。
【0033】
前方部分14の内部において、スライド式引き出しまたは棚12の内部に対向する面には、例えば、ねじや接着剤等により、ブロック50が一体に取り付けられている(図6および図7参照)。ブロック50は、一角が欠けた長方体、つまり、L字形状を有する立体である。換言すれば、ブロック50は、ステップ52を備える。ステップ52は、異なる底面を有し、二面が同一平面上にある二つの長方体56,54からなる。ブロック50は、部分14上に取り付けられ、これにより、ステップは、部分14の内部壁内に、空洞60を形成する。
【0034】
組み立て時の初期調節において、水平アーム26は、部品24に対して前後に移動可能であることが好ましい。一方、通常使用時、水平アーム26は、部品24と一体化される。特に、水平アーム26を組立時に調節することで、壁10に対する、引き出しまたは棚12の水平位置が調整できる。
【0035】
あるいは、水平アーム26は、部品24に対して、一体となるよう固定される。
【0036】
ガイド3020上に、スライド式引き出しまたは棚12を組み付けた後、歯28を空洞60内に挿入する(図4参照)。このようにして、通常使用時、スライド式引き出しまたは棚12が押し上げられた場合(矢印F参照)であっても、歯28は、長方体54の浮き上がりを押さえる。換言すれば、スライド式引き出しまたは棚12を持ち上げようとしても(矢印F参照)、長方体54が歯28に当たり、スライド式引き出しまたは棚12が、水平位置に留まるため、ガイド20から脱落しない。
【0037】
アームが調節可能であるなら、アーム26をスライド式引き出しまたは棚12に向かって平行移動させることで、あるいは、ブロック50を最終的に前方部分に固定することで、歯28を空洞60内に位置決めしてもよい。これにより、歯28の周囲に空洞60が形成される。
【0038】
図5は、図4に類似した解決手段を示すが、別の種類のスライド式引き出しまたは棚70に適用した例を示す。
【0039】
スライド式引き出しまたは棚70は、管状要素からなるコの字型フレームを備える。コの字型フレームは、二つの横部分72に結合した底部分(不図示)を有する。前方部分74は、コの字形状に取り付けられ、これにより、全体として四角形または正方形をなすフレームが形成される。二つの横アンカー部材76を有する前方部分74を設けることで、組み立てが可能となる。アンカー部材76は、横部分72の中空端内に挿入・連結される。
【0040】
要素50は、前述した機能と同様のものを有し、前方部分74の内部壁に、例えば、二つのアンカー部材76の一つに対応して、取り付けられる。
【0041】
要素50を設置することは、ガイド20をスライド式引き出しまたは棚に拘束するにあたり、時間がかからず、費用もかからない解決手段であると言える。要素50は、他の構成要素から独立して着脱可能である。そのため、既存の引き出しまたは棚に要素50を追加することで、浮き上がり防止システムを追加導入できるという点も、さらなる利点と言える。あるいは、アーム26の水平調節を行うことなく、要素50を取り外すだけで、引き出しまたは棚を素早くガイド20から取り出すことができる。
【0042】
例えば、傾斜面を有するブロック(図7参照)または歯28を止める凹所、歯28を挿入する孔または溝を有するブロック、歯28を挿入する輪、引き出しまたは棚の内部壁に片持ち状態で取り付けられるアーチ、引き出しまたは棚の本体に形成され、歯28に対向し、係合する表面空洞等、様々な方法で、引き出しまたは棚の浮き上がりに対向する要素を設けてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】