(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(54)【発明の名称】抗IL-36抗体およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220208BHJP
C07K 16/24 20060101ALI20220208BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220208BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20220208BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220208BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220208BHJP
A61P 17/08 20060101ALI20220208BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20220208BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220208BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220208BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20220208BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220208BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20220208BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20220208BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220208BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20220208BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/24 ZNA
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 U
A61P17/02
A61P17/08
A61P17/10
A61P1/04
A61P11/00
A61P1/02
A61P37/02
A61P17/04
A61P19/00
A61P27/02
C07K16/46
C12N15/63
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536364
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 US2019067435
(87)【国際公開番号】W WO2020132220
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521269861
【氏名又は名称】23アンドミー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】23andME,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(72)【発明者】
【氏名】リー,チンウェイ ビビアン
(72)【発明者】
【氏名】フー-ケリー,ジャーメイン
(72)【発明者】
【氏名】シャーフ,ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】サイ,ティナ
(72)【発明者】
【氏名】パテル,アシュカ
(72)【発明者】
【氏名】バリル,シャシャンク
(72)【発明者】
【氏名】カラー,エリック エドワード
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB18
4C085CC08
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、ヒトIL-36サイトカイン、IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γに特異的に結合し、IL-36により刺激されたシグナル伝達経路を遮断する結合タンパク質、例えば、抗体および抗原結合性断片を提供する。また、そのような結合タンパク質を含む組成物、ならびにそのような結合タンパク質を作製および使用する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)第1の軽鎖超可変領域(HVR-L1)、第2の軽鎖超可変領域(HVR-L2)および第3の軽鎖超可変領域(HVR-L3)ならびに/または(ii)第1の重鎖超可変領域(HVR-H1)、第2の重鎖超可変領域(HVR-H2)および第3の重鎖超可変領域(HVR-H3)を含む抗IL-36抗体であって、
(a)HVR-L1が、TGSSSNIGAHYDVH(配列番号18)、TGSSSNIGAGYDVH(配列番号22)、RASQSVSSNYLA(配列番号38)、またはRASQTIYKYLN(配列番号42)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(b)HVR-L2が、SNNNRPS(配列番号15)、GNDNRPS(配列番号19)、GNTNRPS(配列番号23)、GNRNRPS(配列番号27)、SASSLQS(配列番号39)、またはAASSLQS(配列番号43)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(c)HVR-L3が、QSYDYSLRGYV(配列番号16)、QSYDYSLSGYV(配列番号20)、QSYDYSLRVYV(配列番号28)、QSYDYSLKAYV(配列番号32)、QSYDISLSGWV(配列番号36)、QQTYSYPPT(配列番号40)、またはQQSSIPYT(配列番号44)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(d)HVR-H1が、SAYAMHW(配列番号46)、STSSYYW(配列番号50)、SSTSYYW(配列番号54)、GSRSYYW(配列番号58)、STYAMSW(配列番号62)、TSSNYYW(配列番号66)、SSYGMH(配列番号70)、SNYAIS(配列番号74)、TSTNYYW(配列番号82)、TSSNAYW(配列番号86)、TASNYYW(配列番号90)、TASNTYW(配列番号106)、SDSSYYW(配列番号122)、SESSYYW(配列番号126)、STSSDYW(配列番号130)、SNSSYYW(配列番号134)、STSSYHW(配列番号142)、SRSSYYW(配列番号146)、XXXNXYX(配列番号251)(ここで、1位のXは、T、D、EまたはNであり;2位のXは、S、A、E、G、K、Q、RまたはTであり;3位のXは、S、A、D、E、G、N、P、QまたはTであり;5位のXは、Y、A、E、G、H、M、N、Q、S、TまたはVであり;7位のXは、W、F、I、VまたはYである)またはXXXXXXW(配列番号336)(ここで、1位のXは、SまたはDであり;2位のXは、T、A、D、E、G、H、K、N、P、Q、RまたはSであり;3位のXは、S、D、E、G、K、N、PまたはRであり;4位のXは、S、G、K、NまたはPであり;5位のXは、Y、A、D、E、G、H、M、N、Q、S、T、VまたはWであり;6位のXは、Y、A、F、G、H、M、NまたはQである)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(e)HVR-H2が、VISYDGTNEYYAD(配列番号47)、SIYYTGNTYYNP(配列番号51)、SIHYSGNTYYNP(配列番号55)、SIHYSGTTYYNP(配列番号59)、GISGGSGYTYYAD(配列番号63)、SIDYTGSTYYNP(配列番号67)、VISYGGSERYYAD(配列番号71)、GILPILGTVDYAQ(配列番号75)、NIDYTGSTYYNA(配列番号83)、SIDYTGSTAYNP(配列番号87)、SIDYTGSTYYNT(配列番号91)、SIDYTGSTYYEP(配列番号99)、SIDYTGSTYYEP(配列番号103)、SIDYTGSTYYQP(配列番号119)、SIYYTGNTYYNS(配列番号123)、SIYYTGNTYYLP(配列番号131)、SIYYTGNTYYMP(配列番号143)、SIYYTGNTYYWP(配列番号147)、SIYYTGETYYAP(配列番号151)、XXDXXXXXXYXX(配列番号284)(ここで、1位のXは、S、NまたはTであり;2位のXは、I、MまたはVであり;4位のXは、YまたはHであり;5位のXは、T、H、LまたはNであり;6位のXは、G、A、D、E、H、K、N、Q、R、SまたはTであり;7位のXは、S、A、D、QまたはTであり;8位のXは、T、A、DまたはEであり;9位のXは、Y、A、F、Q、SまたはWであり;11位のXは、N、D、E、H、PまたはQであり;12位のXは、P、AまたはEである)またはXXXXXXXXXYXP(配列番号379)(ここで、1位のXは、S、F、I、MまたはQであり;2位のXは、I、A、G、L、R、S、TまたはVであり;3位のXは、Y、A、D、E、F、G、H、K、L、M、N、P、Q、R、S、TまたはWであり;4位のXは、Y、A、D、E、F、G、H、K、N、P、Q、R、S、TまたはWであり;5位のXは、T、D、E、K、N、PまたはQであり;6位のXは、GまたはQであり;7位のXは、N、D、E、G、H、I、K、M、P、RまたはSであり;8位のXは、T、A、E、F、G、H、K、P、Q、R、S、V、WまたはYであり;9位のXは、YまたはWであり;11位のXは、N、A、D、E、K、L、M、P、Q、SまたはTである)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(f)HVR-H3が、ARGIRIFTSYFDS(配列番号48)、ARVRYGVGVPRYFDP(配列番号52)、ARVHYGGYIPRRFDH(配列番号56)、ARVAPSYPRVFDY(配列番号60)、ARVVTYRDPPASFDY(配列番号64)、ARGKYYETYLGFDV(配列番号68)、AREPWYSSRGWTGYGFDV(配列番号72)、AREPWYRLGAFDV(配列番号76)、ATGKYYETYLGFDV(配列番号84)、AHGKYYETYLGFDV(配列番号88)、ATGSYYETYLGFDV(配列番号100)、ATGNYYETYLGFDV(配列番号104)、ASGKYYETYLGFDV(配列番号112)、ARGNYYETYLGFDV(配列番号120)、AGVRYGVGVPRYFDP(配列番号128)、SRVRYGVGVPRYFDP(配列番号132)、VRVRYGVGVPRYFDP(配列番号144)、TRVRYGVGVPRYFDP(配列番号148)、ARLRYGVGVPRYFDP(配列番号152)、ARVKYGVGVPRYFDP(配列番号156)、ARVRYGVGVPRHFDP(配列番号160)、AXGXYYXTYLGFDV(配列番号322)(ここで、2位のXは、R、A、E、G、H、M、N、Q、S、TまたはYであり;4位のXは、K、AまたはSであり;7位のXは、EまたはTである)またはXXXXXGXXVPRXFDP(配列番号462)(ここで、1位のXは、AまたはVであり;2位のXは、R、A、G、N、QまたはTであり;3位のXは、V、A、F、I、K、L、M、QまたはSであり;4位のXは、R、A、I、K、L、M、P、Q、S、TまたはVであり;5位のXは、Y、H、I、LまたはVであり;7位のXは、V、A、F、G、K、M、N、Q、R、S、T、WまたはYであり;8位のXは、G、N、R、SまたはTであり;12位のXは、Y、F、H、I、L、M、QまたはRである)から選択されるアミノ酸配列を含む、
抗IL-36抗体。
【請求項2】
(a)HVR-L1が、配列番号18のアミノ酸配列を含み、
(b)HVR-L2が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、
(c)HVR-L3が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
(a)HVR-H1が、配列番号66、82、86、90または252~283から選択されるアミノ酸配列を含み、
(b)HVR-H2が、配列番号67、83、87、91、99、103、119または285~321から選択されるアミノ酸配列を含み、
(c)HVR-H3が、配列番号68、84、88、100、104、112、120または323~335から選択されるアミノ酸配列を含む、
請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
(a)HVR-H1が、配列番号50、122、126、130、134、138、142、146または337~378から選択されるアミノ酸配列を含み、
(b)HVR-H2が、配列番号51、123、131、143、147、151または380~461から選択されるアミノ酸配列を含み、
(c)HVR-H3が、配列番号52、128、132、144、148、152、156、160または463~513から選択されるアミノ酸配列を含む、
請求項1または2に記載の抗体。
【請求項5】
配列番号13、17、21、25、29、33、37、41、77もしくは78から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V
L)アミノ酸配列;および/または配列番号45、49、53、57、61、65、69、73、79、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(V
H)アミノ酸配列を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
配列番号17もしくは77と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V
L)アミノ酸配列;および/または
配列番号49、65、79、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(V
H)アミノ酸配列、
配列番号65、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113もしくは117から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(V
H)アミノ酸配列、または
配列番号49、79、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(V
H)アミノ酸配列
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項7】
配列番号169もしくは242と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖(LC)アミノ酸配列;ならびに/または配列番号170~202、248~250、518~616および743~751から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖(HC)アミノ酸配列、または
配列番号169もしくは242と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖(LC)アミノ酸配列;ならびに/または配列番号203~241および617~733から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖(HC)アミノ酸配列
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項8】
抗体が、
(a)各々、配列番号18のHVR-L1配列、配列番号19のHVR-L2配列および配列番号20のHVR-L3配列を含む一対の軽鎖と、
(b)配列番号66、82、86、90または106から選択されるHVR-H1配列;配列番号67、83、87、91、99、103または119から選択されるHVR-H2配列;および配列番号68、84、88、100、104、112または120から選択されるHVR-H3配列を含む重鎖と、
(c)配列番号50、122、126、130、134、142または146から選択されるHVR-H1配列;配列番号51、123、127、131、135、139、143、147または151から選択されるHVR-H2配列;および配列番号52、128、132、144、148、152、156または160から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む重鎖と
を含む多重特異性抗体であり、適宜、
重鎖のうちの1つが、アミノ酸置換T366Wを含み、他方の重鎖が、アミノ酸置換T366S、L368AおよびY407Vを含み、かつ/または
抗体が、
(a)各々、配列番号17もしくは77の軽鎖可変ドメイン(V
L)アミノ酸配列を含む一対の軽鎖と、
(b)配列番号65、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113もしくは117から選択される重鎖可変ドメイン(V
H)アミノ酸配列を含む重鎖と、
(c)配列番号49、79、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される重鎖可変ドメイン(V
H)アミノ酸配列を含む重鎖と
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項9】
hu-IL-36α、hu-IL-36βおよび/もしくはhu-IL-36γに、1x10
-8M以下、1x10
-9M以下、1x10
-10M以下、または1x10
-11M以下の結合親和性により結合し、
hu-IL-36αおよびhu-IL-36γに、1x10
-8M以下、1x10
-9M以下、1x10
-10M以下、または1x10
-11M以下の結合親和性により結合し、
hu-IL-36βに、1x10
-8M以下、1x10
-9M以下、1x10
-10M以下、または1x10
-11M以下の結合親和性により結合し、
IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γによって刺激された細胞内シグナルを、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%もしくは100%減少し;およそEC
50のIL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γ濃度において、10nM以下、5nM以下、または1nM以下のIC
50を有してもよく、
IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γによって刺激されたヒト初代ケラチノサイト(PHK)からのIL-8の放出を阻害し;およそEC
50のIL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γ濃度において、10nM以下、5nM以下、または1nM以下のIC
50を有してもよく、かつ/または
配列番号5、6もしくは7のカニクイザルのIL-36α、IL-36βもしくはIL-36γと交差反応する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
ヒトIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの各々に結合する多重特異性抗体であって、抗体が、ヒトIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの各々に、3nM以下の結合親和性により結合してもよく、結合親和性が、配列番号1のhu-IL-36α、配列番号2のhu-IL-36βおよび配列番号3のhu-IL-36γについての平衡解離定数(K
D)によって測定されてもよく、
(a)抗体が、1つのアームにおいてIL-36αおよび/もしくはIL-36γについての特異性、ならびに他方のアームにおいてIL-36βについての特異性を含んでもよく;1つのアームが、hu-IL-36αおよびhu-IL-36γに、1x10
-9M以下、1x10
-10M以下、または1x10
-11M以下の結合親和性により結合してもよく、他方のアームが、hu-IL-36βに、1x10
-9M以下、1x10
-10M以下、または1x10
-11M以下の結合親和性により結合してもよく、
(b)抗体が、IL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γによって刺激された細胞内シグナルを、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%もしくは100%減少してもよく;およそEC
50のIL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γ濃度において、抗体が、10nM以下、5nM以下、または1nM以下のIC
50を有してもよく、
(c)抗体が、IL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γによって刺激されたヒト初代ケラチノサイト(PHK)からのIL-8の放出を阻害してもよく、およそEC
50のIL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γ濃度において、抗体が、10nM以下、5nM以下、または1nM以下のIC
50を有してもよく、
(d)抗体が、カニクイザルのIL-36α、IL-36βおよびIL-36γと交差反応してもよく、かつ/または
(e)抗体が、カニクイザルIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの各々に、3nM以下の結合親和性により結合してもよく、結合親和性が、配列番号5のcy-IL-36α、配列番号6のcy-IL-36βおよび配列番号7のcy-IL-36γについての平衡解離定数(K
D)によって測定されてもよい、
多重特異性抗体。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体をコードする単離されたポリヌクレオチドもしくはベクター、またはポリヌクレオチドもしくはベクターを含む単離された宿主細胞であって、宿主細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、骨髄腫細胞(例えば、Y0、NS0、Sp2/0)、サル腎臓細胞(COS-7)、ヒト胚腎臓系(293)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、TM4)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝細胞(Hep G2)、マウス乳房腫瘍細胞、TR1細胞、メディカルリサーチカウンシル5(MRC5)細胞および包皮4(FS4)細胞から選択されてもよい、ポリヌクレオチドもしくはベクター、または宿主細胞。
【請求項12】
抗体が産生されるように、請求項11に記載の宿主細胞を培養することを含む、抗体を産生する方法。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項14】
対象を処置する方法であって、対象に、治療有効量の請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体、または治療有効量の請求項13に記載の医薬組成物を投与することを含み、疾患が、上皮増殖因子受容体阻害剤に起因するざ瘡、ざ瘡および化膿性汗腺炎(PASH)、急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)、皺の無微生物膿疱症、頭皮/脚の無微生物膿疱症、無微生物角層下膿疱症、無菌膿瘍症候群、ベーチェット病、腸バイパス症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、小児膿疱性皮膚症、クローン病、インターロイキン-1受容体アンタゴニストの欠乏(DIRA)、インターロイキン-36受容体アンタゴニストの欠乏(DITRA)、湿疹、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、持久性隆起性紅斑、化膿性汗腺炎、IgA天疱瘡、炎症性腸疾患(IBD)、好中球性脂肪織炎、掌蹠膿疱性乾癬(PPP)、乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬(DIRA、DITRA)、壊疽性膿皮症、化膿性関節炎壊疽性膿皮症およびざ瘡(PAPA)、化膿性関節炎壊疽性膿皮症ざ瘡および化膿性汗腺炎(PAPASH)、リウマチ様好中球性皮膚症、滑膜炎ざ瘡膿疱症骨増殖症および骨炎(SAPHO)、クローン病患者におけるTNF誘導性乾癬型皮膚病変、シェーグレン症候群、スイート症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎ならびにがんから選択されてもよく、がんが、乳がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、膵がんから選択されてもよい、方法。
【請求項15】
医薬としての使用のため、適宜、炎症性状態の処置における使用のための、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γに結合する結合タンパク質、例えば、抗体および抗原結合性断片、ならびにそのような結合タンパク質を使用する方法に関する。
【0002】
配列表の参照
配列表の公式の複写は、「09402-004WO1_SeqList_ST25.txt」のファイル名、2019年12月9日の作成日および1,386,645バイトのサイズにより、EFS-Webを介してASCII形式のテキストファイルとして本明細書と同時に提出する。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン-1(IL-1)ファミリーのサイトカインリガンドおよび受容体は、炎症、自己免疫、免疫調節、細胞増殖および宿主防御と関連付けられ、炎症性疾患および障害、自己免疫疾患および障害、免疫調節疾患および障害、変性疾患および障害、ならびに細胞増殖(例えば、がん)疾患および障害の病理に寄与し、そのサイトカインおよび受容体は、そのような疾患および障害の病原性メディエーターとして働く。例えば、Cecilia Garlanda et al., Immunity 39:1003-1018 (2013)を参照されたい。IL-1ファミリーのサイトカインには、炎症促進性サイトカイン、インターロイキン-36アルファ(IL-36アルファまたはIL-36α)、インターロイキン-36ベータ(IL-36βまたはIL-36b)およびインターロイキン-36ガンマ(IL-36ガンマまたはIL-36γ)が含まれる。これらのIL-36サイトカインの各々は、皮膚、食道、扁桃腺、肺、腸、脳の細胞、およびT細胞を含む免疫細胞を含む、ある特定の細胞の表面上に発現する同族受容体IL-36R(「IL1RL2」とも呼ばれる)に結合することができるリガンドとして働く。IL-36サイトカインの、IL-36Rへの結合に際して、補助タンパク質共受容体IL1RAPが動員されて、IL-36サイトカインと、IL-36Rと、IL1RAPとを含む三元複合体が形成される。この三元複合体は、細胞内シグナル伝達、ならびにNF-κBおよびAP-1を含む一連の転写因子ならびにマイトジェン活性化タンパク質キナーゼの活性化を促進し、これは、IFN-γ、TNFα、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-12、IL-23、CXCL1、CXCL8およびCCL20を含む下流の多くのサイトカイン、ケモカイン、酵素および接着分子の産生を含む炎症応答および免疫応答のカスケードを誘発する。
【0004】
IL-36サイトカイン、IL-36α、IL-36βおよびIL-36yは、病原体に曝露された皮膚および内上皮組織を含む、いくつかの組織において高く発現することが公知である。例えば、IL-36α、IL-36βおよびIL-36yの発現は、TNF-αにより刺激されたヒトケラチノサイトにおいて顕著にアップレギュレートされ[Carrier, et al. (2011) Journal of Investigative Dermatology]、IL-36γ mRNAは、乾癬皮膚病変において過剰発現される[D'Erme, et al. (2015) Journal of Investigative Dermatology]。また、IL-36α mRNAおよびタンパク質発現の上昇が、慢性腎疾患において観察されている[Ichii et al, Lab Invest., 90(3): 459-475 (2010)]。加えて、マウス骨髄由来樹状細胞(BMDC)およびCD4+T細胞は、炎症促進性サイトカイン(例えば、IL-12、IL-1β、IL-6、TNF-αおよびIL-23)を産生することによってIL-36α、IL-36βおよびIL-36yに応答し、それによって、他のIL-1サイトカインよりも強力に炎症促進効果を誘導する[Vigne et al, Blood, 118(22): 5813-5823 (2011)]。
【0005】
ケラチノサイトにおいてIL-36αを過剰発現するトランスジェニックマウスは、出生時に一過性の炎症性皮膚障害を示し、そのため、マウスは、ヒト乾癬に似ている12-0-テトラデカノイルホルボール13-アセテート誘導性皮膚病理に非常にかかりやすい[Blumberg et al, J. Exp. Med., 204(1 1): 2603-2614 (2007);およびBlumberg et al, J. Immunol, 755(7):4354- 4362 (2010)]。さらに、IL-36R欠損マウスは、イミキモド誘導性乾癬様皮膚炎から保護される[Tortola et al, J. Clin. Invest., 122(11): 3965-3976 (2012)]。これらの結果は、皮膚のある特定の炎症性障害におけるIL-36の役割を強く示唆する。
【0006】
IL-36サイトカインは、膿疱性乾癬、汎発性膿疱性乾癬(GPP)および掌蹠膿疱症(PPP)を含む、ある特定の重度の型の乾癬において関係付けられている[例えば、Town, IE. and Sims, IE., Curr. Opin. Pharmacol, 12(4): 486-90 (2012);およびNaik, H.B. and Cowen, E.W., Dermatol Clin., 31(3): 405-425 (2013)を参照されたい]。膿疱性乾癬は、赤色の皮膚によって囲まれた白色の膿疱によって特徴付けられる稀な型の乾癬である。汎発性膿疱性乾癬は、高リスクの致死率を有する重度の全身型の膿疱性乾癬であり、一方で、掌蹠膿疱症は、掌および足の裏に影響を及ぼす慢性型の膿疱性乾癬である。膿疱性乾癬、GPPおよびPPPのための現在の処置は、経口レチノイドおよびステロイド外用薬を含むが、これらの処置は、乏しい有効性および重度の副作用を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、IL-36サイトカインに高親和性により特異的に結合する抗体を提供する。抗体は、IL-36α、IL-36βまたはIL-36γの、それらの同族受容体IL-36Rへの結合によって刺激されたシグナル伝達を減少、阻害および/または完全に遮断することができる。また、本開示は、IL-36媒介疾患、例えば、非限定的に、急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、小児膿疱性皮膚症、湿疹、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、炎症性腸疾患(IBD)、掌蹠膿疱性乾癬(palmoplantar pustular psoriasis)(PPP)、乾癬、クローン病患者におけるTNF誘導性乾癬型皮膚病変、シェーグレン症候群およびブドウ膜炎を含む、炎症性疾患、自己免疫疾患およびがんを処置する方法における抗IL-36抗体の使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一部の実施形態では、本開示は、(i)第1の軽鎖超可変領域(HVR-L1)、第2の軽鎖超可変領域(HVR-L2)および第3の軽鎖超可変領域(HVR-L3)ならびに/または(ii)第1の重鎖超可変領域(HVR-H1)、第2の重鎖超可変領域(HVR-H2)および第3の重鎖超可変領域(HVR-H3)を含む抗IL-36抗体であって、
(a)HVR-L1が、TGSSSNIGAHYDVH(配列番号18)、TGSSSNIGAGYDVH(配列番号22)、RASQSVSSNYLA(配列番号38)、またはRASQTIYKYLN(配列番号42)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(b)HVR-L2が、SNNNRPS(配列番号15)、GNDNRPS(配列番号19)、GNTNRPS(配列番号23)、GNRNRPS(配列番号27)、SASSLQS(配列番号39)、またはAASSLQS(配列番号43)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(c)HVR-L3が、QSYDYSLRGYV(配列番号16)、QSYDYSLSGYV(配列番号20)、QSYDYSLRVYV(配列番号28)、QSYDYSLKAYV(配列番号32)、QSYDISLSGWV(配列番号36)、QQTYSYPPT(配列番号40)、またはQQSSIPYT(配列番号44)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(d)HVR-H1が、SAYAMHW(配列番号46)、STSSYYW(配列番号50)、SSTSYYW(配列番号54)、GSRSYYW(配列番号58)、STYAMSW(配列番号62)、TSSNYYW(配列番号66)、SSYGMH(配列番号70)、SNYAIS(配列番号74)、TSTNYYW(配列番号82)、TSSNAYW(配列番号86)、TASNYYW(配列番号90)、TASNTYW(配列番号106)、SDSSYYW(配列番号122)、SESSYYW(配列番号126)、STSSDYW(配列番号130)、SNSSYYW(配列番号134)、STSSYHW(配列番号142)、SRSSYYW(配列番号146)、XXXNXYX(配列番号251)(ここで、1位のXは、T、D、EまたはNであり;2位のXは、S、A、E、G、K、Q、RまたはTであり;3位のXは、S、A、D、E、G、N、P、QまたはTであり;5位のXは、Y、A、E、G、H、M、N、Q、S、TまたはVであり;7位のXは、W、F、I、VまたはYである)またはXXXXXXW(配列番号336)(ここで、1位のXは、SまたはDであり;2位のXは、T、A、D、E、G、H、K、N、P、Q、RまたはSであり;3位のXは、S、D、E、G、K、N、PまたはRである;4位のXは、S、G、K、NまたはPであり;5位のXは、Y、A、D、E、G、H、M、N、Q、S、T、VまたはWであり;6位のXは、Y、A、F、G、H、M、NまたはQである)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(e)HVR-H2が、VISYDGTNEYYAD(配列番号47)、SIYYTGNTYYNP(配列番号51)、SIHYSGNTYYNP(配列番号55)、SIHYSGTTYYNP(配列番号59)、GISGGSGYTYYAD(配列番号63)、SIDYTGSTYYNP(配列番号67)、VISYGGSERYYAD(配列番号71)、GILPILGTVDYAQ(配列番号75)、NIDYTGSTYYNA(配列番号83)、SIDYTGSTAYNP(配列番号87)、SIDYTGSTYYNT(配列番号91)、SIDYTGSTYYEP(配列番号99)、SIDYTGSTYYEP(配列番号103)、SIDYTGSTYYQP(配列番号119)、SIYYTGNTYYNS(配列番号123)、SIYYTGNTYYLP(配列番号131)、SIYYTGNTYYMP(配列番号143)、SIYYTGNTYYWP(配列番号147)、SIYYTGETYYAP(配列番号151)、XXDXXXXXXYXX(配列番号284)(ここで、1位のXは、S、NまたはTであり;2位のXは、I、MまたはVであり;4位のXは、YまたはHであり;5位のXは、T、H、LまたはNであり;6位のXは、G、A、D、E、H、K、N、Q、R、SまたはTであり;7位のXは、S、A、D、QまたはTである;8位のXは、T、A、DまたはEであり;9位のXは、Y、A、F、Q、SまたはWであり;11位のXは、N、D、E、H、PまたはQであり;12位のXは、P、AまたはEである)またはXXXXXXXXXYXP(配列番号379)(ここで、1位のXは、S、F、I、MまたはQであり;2位のXは、I、A、G、L、R、S、TまたはVであり;3位のXは、Y、A、D、E、F、G、H、K、L、M、N、P、Q、R、S、TまたはWであり;4位のXは、Y、A、D、E、F、G、H、K、N、P、Q、R、S、TまたはWであり;5位のXは、T、D、E、K、N、PまたはQであり;6位のXは、GまたはQであり;7位のXは、N、D、E、G、H、I、K、M、P、RまたはSであり;8位のXは、T、A、E、F、G、H、K、P、Q、R、S、V、WまたはYである;9位のXは、YまたはWであり;11位のXは、N、A、D、E、K、L、M、P、Q、SまたはTである)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(f)HVR-H3が、ARGIRIFTSYFDS(配列番号48)、ARVRYGVGVPRYFDP(配列番号52)、ARVHYGGYIPRRFDH(配列番号56)、ARVAPSYPRVFDY(配列番号60)、ARVVTYRDPPASFDY(配列番号64)、ARGKYYETYLGFDV(配列番号68)、AREPWYSSRGWTGYGFDV(配列番号72)、AREPWYRLGAFDV(配列番号76)、ATGKYYETYLGFDV(配列番号84)、AHGKYYETYLGFDV(配列番号88)、ATGSYYETYLGFDV(配列番号100)、ATGNYYETYLGFDV(配列番号104)、ASGKYYETYLGFDV(配列番号112)、ARGNYYETYLGFDV(配列番号120)、AGVRYGVGVPRYFDP(配列番号128)、SRVRYGVGVPRYFDP(配列番号132)、VRVRYGVGVPRYFDP(配列番号144)、TRVRYGVGVPRYFDP(配列番号148)、ARLRYGVGVPRYFDP(配列番号152)、ARVKYGVGVPRYFDP(配列番号156)、ARVRYGVGVPRHFDP(配列番号160)、AXGXYYXTYLGFDV(配列番号322)(ここで、2位のXは、R、A、E、G、H、M、N、Q、S、TまたはYであり;4位のXは、K、AまたはSであり;7位のXは、EまたはTである)またはXXXXXGXXVPRXFDP(配列番号462)(ここで、1位のXは、AまたはVであり;2位のXは、R、A、G、N、QまたはTであり;3位のXは、V、A、F、I、K、L、M、QまたはSであり;4位のXは、R、A、I、K、L、M、P、Q、S、TまたはVであり;5位のXは、Y、H、I、LまたはVであり;7位のXは、V、A、F、G、K、M、N、Q、R、S、T、WまたはYであり;8位のXは、G、N、R、SまたはTであり;12位のXは、Y、F、H、I、L、M、QまたはRである)から選択されるアミノ酸配列を含む、
抗IL-36抗体を提供する。
【0009】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、
(a)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-L1、
(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および
(c)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-L3
を含む。
【0010】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、
(d)HVR-H1が、配列番号66、82、86、90または252~283から選択されるアミノ酸配列を含むこと、
(e)HVR-H2が、配列番号67、83、87、91、99、103、119または285~321から選択されるアミノ酸配列を含むこと、および
(f)HVR-H3が、配列番号68、84、88、100、104、112、120または323~335から選択されるアミノ酸配列を含むこと
を含む。
【0011】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、
(d)HVR-H1が、配列番号50、122、126、130、134、138、142、146または337~378から選択されるアミノ酸配列を含むこと、
(e)HVR-H2が、配列番号51、123、131、143、147、151または380~461から選択されるアミノ酸配列を含むこと、および
(f)HVR-H3が、配列番号52、128、132、144、148、152、156、160または463~513から選択されるアミノ酸配列を含むこと
を含む。
【0012】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、
(a)HVR-L1が、配列番号18のアミノ酸配列を含むこと、
(b)HVR-L2が、配列番号19のアミノ酸配列を含むこと、
(c)HVR-L3が、配列番号20のアミノ酸配列を含むこと、
(d)HVR-H1が、配列番号66、82、86、90または252~283から選択されるアミノ酸配列を含むこと、
(e)HVR-H2が、配列番号67、83、87、91、99、103、119または285~321から選択されるアミノ酸配列を含むこと、および
(f)HVR-H3が、配列番号68、84、88、100、104、112、120または323~335から選択されるアミノ酸配列を含むこと
を含む。
【0013】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、
(a)HVR-L1が、配列番号18のアミノ酸配列を含むこと、
(b)HVR-L2が、配列番号19のアミノ酸配列を含むこと、
(c)HVR-L3が、配列番号20のアミノ酸配列を含むこと、
(d)HVR-H1が、配列番号50、122、126、130、134、138、142、146または337~378から選択されるアミノ酸配列を含むこと、
(e)HVR-H2が、配列番号51、123、131、143、147、151または380~461から選択されるアミノ酸配列を含むこと、および
(f)HVR-H3が、配列番号52、128、132、144、148、152、156、160または463~513から選択されるアミノ酸配列を含むこと
を含む。
【0014】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号13、17、21、25、29、33、37、41、77もしくは78から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号45、49、53、57、61、65、69、73、79、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号13、17、21、25、29、33、37、41、77もしくは78から選択される軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号45、49、53、57、61、65、69、73、79、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む。
【0015】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号17もしくは77と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号49、65、79、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号17または77の軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号49、65、79、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む。
【0016】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号17または77と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号65、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113もしくは117から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号17もしくは77の軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号65、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113もしくは117から選択される重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む。
【0017】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号17または77と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号49、79、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号17または77の軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号49、79、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む。
【0018】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号169または242と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖(LC)アミノ酸配列;および/または配列番号170~202、248、249もしくは250から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖(HC)アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号169または242の軽鎖(LC)アミノ酸配列;および/または配列番号170~202、248、249もしくは250から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列を含む。
【0019】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号169または242と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖(LC)アミノ酸配列;ならびに/または配列番号518~616および743~751から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖(HC)アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号169または242の軽鎖(LC)アミノ酸配列;ならびに/または配列番号518~616および743~751の重鎖(HC)アミノ酸配列を含む。
【0020】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号169または242と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖(LC)アミノ酸配列;および/または配列番号203~241から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖(HC)アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号169または242の軽鎖(LC)アミノ酸配列;および/または配列番号203~241から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列を含む。
【0021】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号169または242と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖(LC)アミノ酸配列;および/または配列番号617~733から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖(HC)アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、配列番号169または242の軽鎖(LC)アミノ酸配列;および/または配列番号617~733から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列を含む。
【0022】
一部の実施形態では、本開示は、
(a)各々、配列番号18のHVR-L1配列、配列番号19のHVR-L2配列および配列番号20のHVR-L3配列を含む一対の軽鎖と、
(b)配列番号66、82、86、90または106から選択されるHVR-H1配列;配列番号67、83、87、91、99、103または119から選択されるHVR-H2配列;および配列番号68、84、88、100、104、112または120から選択されるHVR-H3配列を含む重鎖と、
(c)配列番号50、122、126、130、134、142または146から選択されるHVR-H1配列;配列番号51、123、127、131、135、139、143、147または151から選択されるHVR-H2配列;および配列番号52、128、132、144、148、152、156または160から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む重鎖と
を含む多重特異性抗体である、抗IL-36抗体を提供する。
【0023】
一部の実施形態では、多重特異性抗体は、
アミノ酸置換T366Wを含む重鎖のうちの1つと、アミノ酸置換T366S、L368AおよびY407Vを含む他方の重鎖と
を含む。
【0024】
一部の実施形態では、多重特異性抗体は、
(a)各々、配列番号17または77の軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列を含む一対の軽鎖と、
(b)配列番号65、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113または117から選択される重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む重鎖と、
(c)配列番号49、79、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161または165から選択される重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む重鎖と
を含む。
【0025】
一部の実施形態では、多重特異性抗体は、
(a)配列番号169および242の一対の軽鎖(LC)アミノ酸配列と、
(b)配列番号171、174、177、180、183、186、189、192、195、198、201、249、521、522、523、530、531、532、539、540、541、548、549、550、557、558、559、566、567、568、575、576、577、584、585、586、593、594、595、602、603、604、611、612および613から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列と、
(c)配列番号208、211、214、217、220、223、226、229、232、235、238、241、632、633、634、641、642、643、650、651、652、659、660、661、668、669、670、677、678、679、686、687、688、695、696、697、704、705、706、713、714、715、722、723、724、731、732および733から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列と
を含む。
【0026】
一部の実施形態では、多重特異性抗体は、
(a)配列番号169および242の一対の軽鎖(LC)アミノ酸配列と、
(b)配列番号172、175、178、181、184、187、190、193、196、199、202、250、524、525、526、533、534、535、542、543、544、551、552、553、560、561、562、569、570、571、578、579、580、587、588、589、596、597、598、605、606、607、614、615、616、749、750および751から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列と、
(c)配列番号207、210、213、216、219、222、225、228、231、234、237、240、629、630、631、638、639、640、647、648、649、656、657、658、665、666、667、674、675、676、683、684、685、692、693、694、701、702、703、710、711、712、719、720、721、728、729および730から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列と
を含む。
【0027】
一部の実施形態では、本開示は、配列番号169の一対の軽鎖(LC)アミノ酸配列と、配列番号192、584、585および586から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列と、配列番号235、713、714および715から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列とを含む、多重特異性抗IL-36抗体を提供する。
【0028】
本開示によって提供される抗IL-36抗体の様々な実施形態では、抗体は、以下の特性:
(a)hu-IL-36α、hu-IL-36βおよび/もしくはhu-IL-36γに、1x10-8M以下、1x10-9M以下、1x10-10M以下、または1x10-11M以下の結合親和性により結合し;抗体は、多重特異性であってもよい、
(b)hu-IL-36αおよびhu-IL-36γに、1x10-8M以下、1x10-9M以下、1x10-10M以下、または1x10-11M以下の結合親和性により結合する、
(c)hu-IL-36βに、1x10-8M以下、1x10-9M以下、1x10-10M以下、または1x10-11M以下の結合親和性により結合する、
(d)多重特異性であり、1つのアームにおいてIL-36αおよび/もしくはIL-36γについての特異性と、他方のアームにおいてIL-36βについての特異性とを含み;1つのアームは、hu-IL-36αおよびhu-IL-36γに、1x10-8M以下、1x10-9M以下、1x10-10M以下、または1x10-11M以下の結合親和性により結合してもよく、他方のアームは、hu-IL-36βに、1x10-8M以下、1x10-9M以下、1x10-10M以下、または1x10-11M以下の結合親和性により結合してもよい、
(e)IL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γによって刺激された細胞内シグナルを、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%もしくは100%減少し;およそEC50のIL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γ濃度において、抗体は、10nM以下、5nM以下、または1nM以下のIC50を有してもよく;抗体は、多重特異性であってもよい、
(f)IL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γによって刺激されたヒト初代ケラチノサイト(PHK)からのIL-8の放出を阻害し、およそEC50のIL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γ濃度において、抗体は、10nM以下、5nM以下、または1nM以下のIC50を有してもよく;抗体は、多重特異性であってもよい、ならびに/または
(g)配列番号5、6もしくは7のカニクイザルのIL-36α、IL-36βもしくはIL-36γと交差反応し;抗体は、多重特異性であってもよい
のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる。
【0029】
また、本開示は、抗IL-36抗体の実施形態であって、(i)抗体は、モノクローナル抗体であり;(ii)抗体は、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体であり;(iii)抗体は、IgGクラスの全長抗体であり、IgGクラス抗体は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択されるアイソタイプを有してもよく;(iv)抗体は、Fc領域変異型、適宜、エフェクター機能を変更するFc領域変異型(例えば、エフェクター機能のない抗体をもたらす変異型)、または抗体半減期を変更するFc領域変異型であり;(v)抗体は、適宜、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、単一ドメイン抗体(VHH)およびscFvからなる群から選択される、抗体断片であり;(vi)抗体は、イムノコンジュゲートであり、イムノコンジュゲートは、IL-36媒介疾患の処置のための治療剤を含んでもよく;(vii)抗体は、多重的な特異性抗体、適宜、多重特異性抗体であり;(viii)抗体は、合成抗体であり、HVRは、免疫グロブリンスキャフォールドまたはフレームワーク以外のスキャフォールドまたはフレームワーク、適宜、代替タンパク質スキャフォールドおよび人工ポリマースキャフォールドから選択されるスキャフォールド上にグラフト化される、実施形態を提供する。
【0030】
他の実施形態では、本開示は、本明細書で開示される抗IL-36抗体をコードする単離された核酸を提供する。一部の実施形態では、また、本開示は、本明細書で開示される抗IL-36抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を提供する。また、本開示は、抗IL-36抗体を産生する方法であって、抗IL-36抗体をコードする核酸(またはベクター)を含む宿主細胞を、抗体が産生されるように培養することを含む方法を提供する。
【0031】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示される抗IL-36抗体と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、抗IL-36抗体を唯一の活性剤として含み;抗IL-36抗体は、1つのアームにおいてIL-36αおよび/またはIL-36γについての特異性と、他方のアームにおいてIL-36βについての特異性とを含む多重特異性抗体であってもよい。一部の実施形態では、医薬組成物は、IL-36媒介疾患または状態の処置のための治療剤をさらに含む。
【0032】
一部の実施形態では、本開示は、対象においてIL-36媒介疾患または状態を処置する方法であって、対象に、治療有効量の本明細書で開示される抗IL-36抗体、または治療有効量の本明細書で開示される抗IL-36抗体の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、処置の使用および方法は、抗IL-36抗体を唯一の活性剤として含む医薬組成物を投与することを含み;抗IL-36抗体は、1つのアームにおいてIL-36αおよび/またはIL-36γについての特異性と、他方のアームにおいてIL-36βについての特異性とを含む多重特異性抗体であってもよい。
【0033】
本明細書で開示される処置の使用および方法の一部の実施形態では、IL-36媒介疾患は、炎症性疾患、自己免疫疾患およびがんから選択される。一部の実施形態では、IL-36媒介疾患は、上皮増殖因子受容体阻害剤に起因するざ瘡、ざ瘡および化膿性汗腺炎(PASH)、急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)、皺の無微生物膿疱症、頭皮/脚の無微生物膿疱症、無微生物角層下膿疱症、無菌膿瘍症候群、ベーチェット病、腸バイパス症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、小児膿疱性皮膚症、クローン病、インターロイキン-1受容体アンタゴニストの欠乏(DIRA)、インターロイキン-36受容体アンタゴニストの欠乏(DITRA)、湿疹、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、持久性隆起性紅斑、化膿性汗腺炎(hidradenitis suppurativa)、IgA天疱瘡、炎症性腸疾患(IBD)、好中球性脂肪織炎、掌蹠膿疱性乾癬(PPP)、乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬(DIRA、DITRA)、壊疽性膿皮症、化膿性関節炎壊疽性膿皮症およびざ瘡(PAPA)、化膿性関節炎壊疽性膿皮症ざ瘡および化膿性汗腺炎(PAPASH)、リウマチ様好中球性皮膚症、滑膜炎ざ瘡膿疱症骨増殖症および骨炎(SAPHO)、クローン病患者におけるTNF誘導性乾癬型皮膚病変、シェーグレン症候群、スイート症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎ならびにブドウ膜炎から選択される。一部の実施形態では、IL-36媒介疾患は、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、掌蹠膿疱性乾癬(PPP)および乾癬から選択される。一部の実施形態では、IL-36媒介疾患は、がん;適宜、乳がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がんおよび膵がんから選択されるがんである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1A、
図1Bおよび
図1Cは、HaCatヒトケラチノサイト細胞系におけるIL-36により刺激された細胞内シグナル伝達の阻害アッセイにおける、酵母ディスプレイ由来抗hu-IL-36抗体mAb2.0およびmAb6.0についての結果のプロットを示す。
図1A:HaCat細胞のIL-36α刺激([IL-36α]=1.2nM)のmAb2.0阻害;IC
50=0.28nM。
図1B:HaCat細胞のIL-36β刺激([IL-36β]=0.175nM)のmAb6.0阻害;IC
50=0.082nM。
図1C:HaCat細胞のIL-36γ刺激([IL-36γ]=4nM)のmAb2.0阻害;IC
50=1.23nM。全てのアッセイを、およそEC
50のアゴニスト濃度において行った;示されるエラーバーは、2回繰り返した試料からの標準偏差を表す。陰性対照(NC、灰色点線として示される)は、増殖培地のみに曝露された細胞を表し、一方で、陽性対照(PC、灰色破線として示される)は、アゴニストのみに曝露された(アンタゴニスト抗体または対照抗体の非存在下における)細胞を表す。
【
図2】
図2A、
図2Bおよび
図2Cは、プールしたヒト初代新生児ケラチノサイト(HEKn)におけるIL-36により刺激された細胞内シグナル伝達の阻害アッセイにおける、酵母ディスプレイ由来抗hu-IL-36抗体mAb2.0およびmAb6.0についての結果のプロットを示す。
図2A:HEKn細胞のIL-36α刺激([IL-36α]=1.2nM)のmAb2.0阻害;IC
50=0.33nM。
図2B:HEKn細胞のIL-36β刺激([IL-36β]=0.3nM)のmAb6.0阻害;IC
50=1.75nM。
図2C:HEKn細胞のIL-36γ刺激([IL-36γ]=7nM)のmAb2.0阻害;IC
50=2.27nM。全てのアッセイを、およそEC
50のアゴニスト濃度において行い;示されるエラーバーは、2回繰り返した試料からの標準偏差を表す。陰性対照(NC、灰色点線として示される)は、増殖培地のみに曝露された細胞を表し、一方で、陽性対照(PC、灰色破線として示される)は、アゴニストのみに曝露された(アンタゴニスト抗体または対照抗体の非存在下における)細胞を表す。
【
図3】
図3A、
図3Bおよび
図3Cは、HaCatヒトケラチノサイト細胞系におけるIL-36により刺激された細胞内シグナル伝達の阻害アッセイにおける、抗hu-IL-36多重特異性抗体mAb2.10/mAb6_2.7についての結果のプロットを示す。
図3A:HaCat細胞のIL-36α刺激([IL-36α]=0.8nM)のmAb2.10/mAb6_2.7阻害;IC
50=0.38nM。
図3B:HaCat細胞のIL-36β刺激([IL-36β]=0.15nM)のmAb2.10/mAb6_2.7阻害;IC
50=0.13nM。
図3C:HaCat細胞のIL-36γ刺激([IL-36γ]=2nM)のmAb2.10/mAb6_2.7阻害;IC
50=1.1nM。全てのアッセイを、およそEC
50のアゴニスト濃度において行い;示されるエラーバーは、2回繰り返した試料からの標準偏差を表す。陰性対照(NC、灰色点線として示される)は、増殖培地のみに曝露された細胞を表し、一方で、陽性対照(PC、灰色破線して示される)は、アゴニストのみに曝露された(アンタゴニスト抗体または対照抗体の非存在下における)細胞を表す。
【
図4】
図4A、
図4Bおよび
図4Cは、ヒト初代成人ケラチノサイト(HEKa)におけるIL-36により刺激された細胞内シグナル伝達の阻害アッセイにおける、抗hu-IL-36多重特異性抗体mAb2.10/mAb6_2.7についての結果のプロットを示す。
図4A:HEKa細胞のIL-36α刺激([IL-36α]=1.1nM)のmAb2.10/mAb6_2.7阻害;IC
50=0.56nM。
図4B:HEKa細胞のIL-36β刺激([IL-36β]=0.15nM)のmAb2.10/mAb6_2.7阻害;IC
50=0.11nM。
図4C:HEKa細胞のIL-36γ刺激([IL-36γ]=3.6nM)のmAb2.10/mAb6_2.7阻害;IC
50=2.7nM。全てのアッセイを、およそEC
50のアゴニスト濃度において行った;示されるエラーバーは、2回繰り返した試料からの標準偏差を表す。陰性対照(NC、灰色点線として示される)は、増殖培地のみに曝露された細胞を表し、一方で、陽性対照(PC、灰色破線として示される)は、アゴニストのみに曝露された(アンタゴニスト抗体または対照抗体の非存在下における)細胞を表す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示は、ヒトhu-IL-36サイトカイン、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γに高親和性により特異的に結合する多重特異性抗体を含む、抗体を提供する。開示される抗IL-36抗体は、IL-36α、IL-36βまたはIL-36γの、その同族受容体、IL-36Rへの結合によって刺激されたシグナル伝達を含む、IL-36媒介経路による細胞内シグナル伝達を減少、阻害および/または完全に遮断することができる。また、本開示は、IL-36媒介疾患、例えば、非限定的に、急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、小児膿疱性皮膚症、湿疹、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、炎症性腸疾患(IBD)、掌蹠膿疱性乾癬(PPP)、乾癬、クローン病患者におけるTNF誘導性乾癬型皮膚病変、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎を特に含む、炎症性疾患、自己免疫疾患およびがんを処置する方法における、抗IL-36抗体の使用を提供する。
【0036】
用語および技法の概略
本明細書の説明および添付の特許請求の範囲について、単数形「1つの(a)」および「1つの(an)」は、文脈が明らかに別のように示さない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、「タンパク質(a protein)」についての言及は、2つ以上のタンパク質を含み、「化合物(a compound)」についての言及は、2つ以上の化合物を指す。特許請求の範囲は、任意の適宜の要素を除外するように起草され得ることがさらに留意される。そのため、この記載は、特許請求の範囲の要素の列挙と関連して「単独で(solely)」、「~のみ(only)」などのそのような排他的な用語の使用、または「消極的」限定の使用について先行する基礎として働くことが意図される。「~を含む(comprise)」、「~を含む(comprises)」、「~を含むこと(comprising)」、「~を含む(include)」、「~を含む(includes)」および「~を含むこと(including)」の使用は、互換的であり、限定的であるとは意図されない。様々な実施形態の説明が「~を含むこと(comprising)」という用語を使用する場合、当業者は、一部の特定の場合、実施形態が、あるいは、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」または「~からなる(consisting of)」という言語を使用して代替的に説明され得ることを理解し得ることがさらに理解されるべきである。
【0037】
ある範囲の値が提供される場合、文脈が明らかに別のように示さない限り、その範囲の上限および下限の間の、値の各間の整数、および値の各間の整数の10分の1の各々、ならびに示される範囲内の他の任意の、示されるか、または間にある値は、本発明に包含されることが、文脈が明らかに別のように示さない限り、理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、より小さい範囲に含まれることがあり、また、本発明に包含され、示される範囲内の任意の特に除外される限界に供される。示される範囲が、これらの限界のうちの1つまたは両方を含む場合、また、それらの含まれる限界の(i)いずれかまたは(ii)両方を除外する範囲は、本発明に含まれる。例えば、「1~50」は、「2~25」、「5~20」、「25~50」、「1~10」などを含む。
【0038】
一般的に、本明細書で使用される命名法、ならびに本明細書で説明される技法および手順は、当業者によって十分に理解され、一般に用いられるもの、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning-A Laboratory Manual (2nd Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989(以下「Sambrook」);Current Protocols in Molecular Biology, F. M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc.(2011年まで補足)(以下、「Ausubel」);Antibody Engineering, Vols. 1 and 2, R. Kontermann and S. Dubel, eds., Springer-Verlag, Berlin and Heidelberg (2010);Monoclonal Antibodies: Methods and Protocols, V. Ossipow and N. Fischer, eds., 2nd Ed., Humana Press (2014);Therapeutic Antibodies: From Bench to Clinic, Z. An, ed., J. Wiley & Sons, Hoboken, N.J. (2009);およびPhage Display, Tim Clackson and Henry B. Lowman, eds., Oxford University Press, United Kingdom (2004)において説明されている一般技法および方法論を含む。
【0039】
本開示において参照される全ての出版物、特許、特許出願および他の文書は、各個々の出版物、特許、特許出願または他の文書が、全ての目的について参照により本明細書に組み込まれることが個々に示されているのと同程度に、全ての目的についてそれらを全体として参照によりこれにより本明細書に組み込まれる。
【0040】
別に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのみであり、限定であるとは意図されないことが理解されるべきである。本開示を解釈する目的のために、以下の用語の説明が適用され、該当する場合、また、単数形で使用される用語は、複数形を含み、その逆も同様である。
【0041】
「IL-36」は、本明細書で使用される場合、インターロイキン-36サイトカインIL-36α、IL-36βおよびIL-36γを集合的に指す。
【0042】
「IL-36α」または「IL-36a」は、本明細書で使用される場合、インターロイキン-36αサイトカインが発生する任意の種からのインターロイキン-36αサイトカインを指す。「hu-IL-36α」および「cy-IL-36α」は、それぞれ、ヒトおよびカニクイザルからのIL-36αサイトカインを指す。
【0043】
「IL-36β」または「IL-36b」は、本明細書で使用される場合、インターロイキン-36βサイトカインが発生する任意の種からのインターロイキン-36βサイトカインを指す。「hu-IL-36β」および「cy-IL-36β」は、それぞれ、ヒトおよびカニクイザルからのIL-36βサイトカインを指す。
【0044】
「IL-36γ」または「IL-36g」は、本明細書で使用される場合、インターロイキン-36γサイトカインが発生する任意の種からのインターロイキン-36γサイトカインを指す。「hu-IL-36γ」および「cy-IL-36γ」は、それぞれ、ヒトおよびカニクイザルからのIL-36γサイトカインを指す。
【0045】
「IL-36媒介状態」または「IL-36媒介疾患」は、本明細書で使用される場合、非限定的に、IFN-γ、TNFα、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-12、IL-23、CXCL1、CXCL8およびCCL20を含む、サイトカイン、ケモカイン、酵素および接着分子の産生をもたらす、IL-36サイトカインによって刺激されることが公知の下流経路を非限定的に含む、IL-36サイトカイン、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γのうちのいずれかの、それらの同族受容体IL-36Rへの結合によって媒介されるシグナル伝達経路の異常な機能と関連付けられる任意の医学的状態を包含する。例えば、IL-36媒介疾患は、非限定的に、炎症性疾患、自己免疫疾患およびがんを含む、IL-36シグナル伝達経路のアンタゴニストまたは阻害剤によって媒介される疾患、および/またはそれに応答性の疾患を含み得る。より特に、IL-36媒介疾患は、非限定的に、上皮増殖因子受容体阻害剤に起因するざ瘡、ざ瘡および化膿性汗腺炎(PASH)、急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)、皺の無微生物膿疱症、頭皮/脚の無微生物膿疱症、無微生物角層下膿疱症、無菌膿瘍症候群、ベーチェット病、腸バイパス症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、小児膿疱性皮膚症、クローン病、インターロイキン-1受容体アンタゴニストの欠乏(DIRA)、インターロイキン-36受容体アンタゴニストの欠乏(DITRA)、湿疹、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、持久性隆起性紅斑、化膿性汗腺炎、IgA天疱瘡、炎症性腸疾患(IBD)、好中球性脂肪織炎、掌蹠膿疱性乾癬(PPP)、乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬(DIRA、DITRA)、壊疽性膿皮症、化膿性関節炎壊疽性膿皮症およびざ瘡(PAPA)、化膿性関節炎壊疽性膿皮症ざ瘡および化膿性汗腺炎(PAPASH)、リウマチ様好中球性皮膚症、滑膜炎ざ瘡膿疱症骨増殖症および骨炎(SAPHO)、クローン病患者におけるTNF誘導性乾癬型皮膚病変、シェーグレン症候群、スイート症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎ならびにブドウ膜炎を含み得る。
【0046】
「IL-36により刺激されたシグナル」とは、本明細書で使用される場合、IL-36サイトカインであるIL-36α、IL-36βまたはIL-36γのうちのいずれかの、その同族受容体、IL-36Rへの結合によって開始される細胞内シグナルを指す。例示的なIL-36により刺激されたシグナルには、HaCat細胞および/またはヒト初代成人もしくは新生児ケラチノサイト(HEKnまたはHEKa)細胞からのIL-8の放出、ならびに代用細胞ベースの遮断アッセイ、例えば、本明細書の実施例において開示されるHEK-BLUE(商標)IL-36応答性細胞ベースのアッセイを使用して測定されるシグナルが含まれる。
【0047】
「細胞ベースの遮断アッセイ」とは、抗体の、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害または低減する能力を測定することができるアッセイを指す。例えば、細胞ベースの遮断アッセイは、特定の生物機能または生化学機能、例えば、IL-36サイトカイン媒介細胞内シグナル伝達を阻害するために必要とされる抗体濃度を測定するために使用することができる。一部の実施形態では、抗体(例えば、本開示の抗IL-36抗体)の最大半量の阻害濃度(IC50)および/または90%阻害濃度(IC90)を、細胞ベースの遮断アッセイを使用して測定する。一部の実施形態では、細胞ベースの遮断アッセイは、抗体がアゴニスト(例えば、IL-36α、IL-36β、IL-36γ)とその同族受容体との間の相互作用を遮断するかどうかを決定するために使用される。本開示の抗体について有用な細胞ベースの遮断アッセイには、細胞系ベースのアッセイ(例えば、HaCat細胞)または初代細胞アッセイ(例えば、ヒト初代ケラチノサイト)、およびレポーターまたはセンサー細胞アッセイ[例えば、HEK-BLUE(商標)レポーター細胞アッセイ]が含まれ得る。IL-36シグナル伝達経路についての例示的な細胞ベースの遮断アッセイは、本明細書で提供される実施例において説明される。
【0048】
「抗体」とは、本明細書で使用される場合、特定の抗原に特異的に結合するか、または特定の抗原と免疫学的に反応性である1つまたは複数のポリペプチド鎖を含む分子を指す。本開示の例示的な抗体には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、多重特異性抗体(またはヘテロコンジュゲート)抗体(例えば、三重特異性抗体、二重特異性抗体など)、一価抗体(例えば、単一アーム抗体)、多価抗体、抗原結合性断片[例えば、Fab’、F(ab’)2、Fab、Fv、rIgGおよびscFv断片]、抗体融合物および合成抗体(または抗体ミメティック)が含まれる。
【0049】
「抗IL-36抗体」または「IL-36に結合する抗体」とは、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γのうちの1つまたは複数を含むIL-36に、抗体がIL-36、すなわち、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γのうちの1つまたは複数をターゲティングすることにおいて診断剤および/または治療剤として有用であるのに十分な親和性により結合する抗体を指す。一部の実施形態では、抗IL-36抗体の、非関連非IL-36抗原への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって、表面プラズモン共鳴(SPR)その他によって測定される場合、抗体の、IL-36への結合の約10%未満である。一部の実施形態では、IL-36に結合する抗体は、1μM未満、100nM未満、10nM未満、1nM未満、0.1nM未満、0.01nM未満または1pM未満(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。
【0050】
「全長抗体」、「インタクトな抗体」または「抗体全体」は、本明細書で互換的に使用されて、ネイティブ抗体構造に実質的に類似する構造を有する抗体、または本明細書で定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指す。
【0051】
「抗体断片」とは、全長抗体と同じ抗原に結合することができる全長抗体の一部を指す。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;直鎖状抗体;一価または単一アーム抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
抗体の「クラス」とは、抗体の重鎖によって所有される定常ドメインまたは定常領域の種類を指す。5つの主要なクラスの抗体:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分割される。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。
【0053】
「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の、抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。ネイティブ抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VHおよびVL)は、一般的に、類似する構造を有し、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)および3つの超可変領域(HVR)を含む(例えば、Kindt et al., Kuby Immunology, 6thed., W.H. Freeman and Co., page 91を参照されたい)。単一のVHまたはVLドメインは、抗原結合特異性を与えるのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、抗原に結合する抗体からのVHまたはVLドメインを使用して単離して、それぞれ、相補的VLまたはVHドメインのライブラリーをスクリーニングすることができる(例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993);Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい)。
【0054】
「超可変領域」または「HVR」とは、本明細書で使用される場合、配列が超可変性である抗体可変ドメインの領域の各々、および/または構造的に定義されるループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの領域の各々を指す。一般的に、ネイティブ抗体は、6つのHVR;重鎖可変ドメインVH内の3つ(HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3)、および軽鎖可変ドメインVL内の3つ(HVR-L1、HVR-L2、HVR-L3)を伴う4つの鎖を含む。HVRは、一般的に、超可変ループからのアミノ酸残基、および/または「相補性決定領域(CDR)」からのアミノ酸残基を含む。いくつかの超可変領域の描写が使用されており、本明細書に包含される。カバット(Kabat)相補性決定領域(CDR)は、配列変動性に基づき、最も一般に使用されている[Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)]。チョティア(Chothia)は、代わりに、構造ループの場所について言及している[Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)]。AbM超可変領域は、カバットCDRとチョティア構造ループとの間の折衷案を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている。「接触」超可変領域は、使用可能な複雑な結晶構造の解析に基づく。これらの超可変領域の各々からの残基を、以下の表に示す。
【0055】
【0056】
別に示さない限り、可変ドメイン内のHVR残基および他の残基(例えば、FR残基)は、Kabatら(上記)に従って本明細書で番号付けされる。
【0057】
超可変領域は、本明細書で使用される場合、以下の通り、延長された超可変領域または代替の超可変領域を含み得る:VLドメイン内の24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)および89~97または89~96(L3)、ならびにVHドメイン内の26~35、30~35、30~35A、30~35Bまたは31~35B(H1)、50~61、50~65または49~65(H2)および93~102、94~102または95~102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について、Kabatら(上記)に従って番号付けされる。
【0058】
「相補性決定領域」または「CDR」は、本明細書で使用される場合、最も高い配列変動性を有する可変ドメインのHVR内の領域、および/または抗原認識に関与する可変ドメインのHVR内の領域を指す。一般的に、ネイティブ抗体は、6つのCDR;重鎖可変ドメインVH内の3つ(H1、H2、H3)、および軽鎖可変ドメインVL内の3つ(L1、L2、L3)を伴う4つの鎖を含む。本開示の例示的な抗IL-36抗体のCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3)は、L1のアミノ酸残基24~34、L2の50~56、L3の89~97、H1の30~35A、H2の50~61およびH3の93~102において起こる[Kabatら(上記)による番号付け]。
【0059】
「フレームワーク」または「FR」とは、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般的に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3およびFR4からなる。したがって、HVRおよびFR配列は、一般的に、VH(またはVL)において以下の配列:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4で現れる。
【0060】
「ネイティブ抗体」とは、天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、ネイティブIgG抗体は、ジスルフィド結合した2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖とから構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端へ、各重鎖は、可変重ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)、続いて3つの定常ドメイン(CH1、CH2およびCH3)を有する。同様に、N末端からC末端へ、各軽鎖は、可変軽ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)、続いて定常軽(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つの種類のうちの1つに割り当てることができる。
【0061】
「モノクローナル抗体」とは、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体を指す、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、可能な変異型抗体(例えば、変異型抗体は、天然に起こるか、またはモノクローナル抗体の産生中に生ずる突然変異を含有し、一般的に、少量で存在する)を除いては、同一であり、かつ/または同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)を対象とする異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象とする。したがって、「モノクローナル」という用語は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするとは解釈されるべきではない。例えば、使用されるモノクローナル抗体は、非限定的に、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは部分を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含む、様々な技法によって作製されることがあり、そのような方法およびモノクローナル抗体を作製するための他の例示的な方法は、本明細書で説明されている。
【0062】
「キメラ抗体」とは、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の供給源または種に由来し、一方で、重鎖および/または軽鎖の残りが、異なる供給源または種に由来する抗体を指す。
【0063】
「ヒト化抗体」とは、非ヒトHVRからのアミノ酸配列とヒトFRからのアミノ酸配列とを含むキメラ抗体を指す。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、および典型的に2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで、全てまたは実質的に全てのHVR(例えば、CDR)は、非ヒト抗体のHVRに対応し、全てまたは実質的に全てのFRは、ヒト抗体のFRに対応する。ヒト化抗体は、適宜、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含み得る。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化型」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0064】
「ヒト抗体」とは、ヒトもしくはヒト細胞によって産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を所有する抗体、またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト供給源に由来する抗体を指す。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
【0065】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般に存在するアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般的に、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91- 3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3にあるようなサブグループである。一実施形態では、VLについて、サブグループは、Kabat et al.(上記)にあるようなサブグループカッパIである。一実施形態では、VHについて、サブグループは、Kabat et al.(上記)にあるようなサブグループIIIである。
【0066】
「アクセプターヒトフレームワーク」は、本明細書で使用される場合、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでもよく、またはそれは、アミノ酸配列変化を含有してもよい。一部の実施形態では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。一部の実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
【0067】
「Fc領域」とは、免疫グロブリン重鎖のC末端ポリペプチド配列を含む二量体複合体を指し、C末端ポリペプチド配列は、インタクトな抗体のパパイン消化によって得ることが可能な配列である。Fc領域は、ネイティブまたは変異型Fc配列を含み得る。免疫グロブリン重鎖のFc配列の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc配列は、通常、およそCys226の位置におけるアミノ酸残基から、またはおよそPro230の位置から、Fc配列のカルボキシル末端までに及ぶと定義される。しかしながら、Fc配列のC末端リジン(Lys447)は、存在しても、存在しなくてもよい。免疫グロブリンのFc配列は、一般的に、2つの定常ドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、CH4ドメインを含んでもよい。
【0068】
「Fc受容体」または「FcR」とは、抗体のFc領域に結合する受容体を指す。一部の実施形態では、FcRは、ネイティブヒトFcRである。一部の実施形態では、FcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)を結合するFcRであり、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体(それらの受容体の対立遺伝子変異型およびあるいは、切断型を含む)を含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害性受容体」)を含み、これらは、主にそれらの細胞質ドメインにおいて異なる、類似するアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインにおいて免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインにおいて免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含有する[例えば、Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)を参照されたい]。また、FcRは、本明細書で使用される場合、母体IgGの胎児への移行[Guyer et al, J. Immunol. 1 17:587 (1976)およびKim et al, J. Immunol. 24:249 (1994)]および免疫グロブリンのホメオスタシスの調節の原因である新生児受容体FcRnを含む。FcRは、例えば、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991);Capel et al, Immunomethods 4:25-34 (1994);およびde Haas et al, J. Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995)において概説されている。
【0069】
「多価抗体」は、本明細書で使用される場合、3つ以上の抗原結合部位を含む抗体である。多価抗体は、好ましくは、3つ以上の抗原結合部位を有するように操作され、一般的に、ネイティブ配列IgMまたはIgA抗体ではない。
【0070】
「多重特異性抗体」は、少なくとも2つの異なる結合部位を有する抗体であり、各部位は、異なる結合特異性を有する。多重特異性抗体は、全長抗体であっても、抗体断片であってもよく、異なる結合部位は、各々、異なる抗原に結合してもよく、または異なる結合部位は、同じ抗原の2つの異なるエピトープに結合してもよい。
【0071】
「Fv断片」とは、完全な抗原認識および結合部位を含有する抗体断片を指す。この領域は、例えばscFvにおけるように共有結合性であり得る堅い会合における、1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。各可変ドメインの3つのHVRが相互作用して、VH-VL二量体の表面上の抗原結合部位を規定するのは、この構成である。集合的に、6つのHVRまたはそのサブセットは、抗体に抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)でさえも、通常は結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識および結合する能力を有する。
【0072】
「Fab断片」とは、軽鎖の可変および定常ドメインと、重鎖の可変ドメインおよび第1の定常ドメイン(CH1)とを含有する抗体断片を指す。「F(ab’)2断片」は、一般的に、Fab断片間のヒンジシステインによってそれらのカルボキシ末端の近くで共有結合している一対のFab断片を含む。また、抗体断片の他の化学カップリングは、当該技術分野において公知である。
【0073】
「抗原結合性アーム」とは、本明細書で使用される場合、目的の標的分子に特異的に結合する能力を有する抗体の成分を指す。典型的に、抗原結合性アームは、免疫グロブリンポリペプチド配列、例えば、免疫グロブリン軽鎖および重鎖のHVRおよび/または可変ドメイン配列の複合体である。
【0074】
「単鎖Fv」または「scFv」とは、抗体のVHおよびVLドメインを含む抗体断片を指し、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖で存在する。一般的に、Fvポリペプチドは、scFvが所望の抗原結合構造を形成することを可能にする、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。
【0075】
「ダイアボディ」とは、2つの抗原結合部位を有する小抗体断片を指し、その断片は、同じポリペプチド鎖(VHおよびVL)内の軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対形成することを強いられ、2つの抗原結合部位を作出する。
【0076】
「直鎖状抗体」とは、Zapata et al., Protein Eng., 8(10): 1057-1062 (1995)で説明されている抗体を指す。簡潔に説明すると、これらの抗体は、相補的軽鎖ポリペプチドと一緒に一対の抗原結合領域を形成する、一対のタンデムFd領域(VH-CH1-VH-CH1)を含む。直鎖状抗体は、多重特異性、例えば、三重特異性または二重特異性であってもよく、単一特異性であってもよい。
【0077】
「ネイキッド抗体」とは、異種の部分(例えば、細胞傷害性部分)または放射標識にコンジュゲートされていない抗体を指す。
【0078】
「親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用全体の強度を指す。「結合親和性」とは、結合対(例えば、抗体および抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYについての親和性は、一般的に、平衡解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、本明細書で説明される方法を含む、当該技術分野において公知の一般法によって測定することができる。結合親和性を測定するための特定の説明的および例示的な実施形態を、以下に説明する。
【0079】
「特異的に結合する」または「特異的結合」とは、抗体の、抗原への、約1x10-7M以下の親和性の値による結合を指す。
【0080】
「親和性成熟した」抗体とは、変更を所有していない親抗体と比較して、1つまたは複数のHVRにおける1つまたは複数の変更を有する抗体を指し、そのような変更は、抗体の、抗原についての親和性における改善をもたらす。
【0081】
抗体の「機能的抗原結合部位」は、標的抗原に結合することができる部位である。抗原結合部位の抗原結合親和性は、必ずしも抗原結合部位が由来する親抗体と同じくらい強いわけではないが、抗原に結合する能力は、抗原への抗体結合を評価することについて公知の様々な方法のうちのいずれか1つを使用して測定可能でなければならない。
【0082】
「単離された抗体」とは、抗体の天然環境の成分から分離されている抗体を指す。一部の実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動[例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動]またはクロマトグラフィー法(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって決定されるように95%または99%を超える純度まで精製される。抗体純度の評定のための方法の概説については、例えば、Flatman et al., J. Chromatogr. B 848:79-87を参照されたい。
【0083】
「実質的に同様の」または「実質的に同じ」とは、本明細書で使用される場合、当業者が、2つの値間の差が、前記値(例えば、KD値)によって測定される生物学的特徴の関係内で生物学的有意性および/または統計的有意性がほとんどまたは全くないものと考え得るような、2つの数値(例えば、試験抗体と関連付けられる値、および参照抗体と関連付けられる他方の値)間の十分に高い程度の類似性を指す。
【0084】
「実質的に異なる」とは、本明細書で使用される場合、当業者が、2つの値間の差が、前記値(例えば、KD値)によって測定される生物学的特徴の関係内で統計的有意性があるものと考え得るような、2つの数値(一般的に、分子と関連付けられる値、および参照分子と関連付けられる他方の値)間の十分に高い程度の差を指す。
【0085】
「エフェクター機能」とは、抗体アイソタイプによって変動する、抗体のFc領域に起因し得る生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例には、Clq結合および補体依存性細胞傷害性(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション;およびB細胞活性化が含まれる。
【0086】
「イムノコンジュゲート」とは、非限定的に、細胞傷害剤を含む、1つまたは複数の異種の分子にコンジュゲートされた抗体を指す。
【0087】
「処置」、「処置する」または「処置すること」とは、処置される個体における障害の自然な過程を変更する試みの臨床的介入を指し、予防のために、または臨床病理の過程中に行われ得る。所望の処置結果は、障害の発症または再発の予防、症状の軽減、障害の任意の直接的または間接的な病理学的結果の縮減、転移の予防、進行速度の減少、疾患状態の改善または寛解、および緩和または予後の改善を含み得るが、これらに限定されない。例えば、処置は、IL-36によって媒介される疾患もしくは状態、またはIL-36もしくはIL-36サイトカインによって刺激される下流経路が病因および/もしくは進行において役割を果たし得る疾患もしくは状態の発症を遅延させるか、または進行を遅らせるための、治療有効量の、抗IL-36抗体を含む医薬製剤の、対象への投与を含み得る。
【0088】
「医薬製剤」とは、活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にし、かつ製剤が投与される対象に毒性である追加の成分を含有しない形態の調製物を指す。医薬製剤は、1つまたは複数の活性剤を含み得る。例えば、医薬製剤は、抗IL-36抗体を、製剤の唯一の活性剤として含んでもよく、抗IL-36抗体と1つまたは複数の追加の活性剤とを含んでもよい。
【0089】
「唯一の活性剤」により、本明細書で使用される場合、本明細書で提供される「処置」の説明と一致して、言及される薬剤が、状態について対象を処置するための関連する薬理学的効果を提供するか、または提供することが予測され得る、製剤中に存在するか、または治療において使用されるただ1つの薬剤であることを意味する。唯一の活性剤を含む医薬製剤は、製剤中の1つまたは複数の非活性剤、例えば、薬学的に許容される担体の存在を除外しない。「非活性剤」は、状態について対象を処置することを意図する関連する薬理学効果を提供するとは予測されないか、または別の方法でそのような薬理学効果に顕著に寄与するとは予測されない薬剤である。
【0090】
「薬学的に許容される担体」とは、医薬製剤が投与される対象にとって非毒性である、活性成分以外の、医薬製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤または保存剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
「治療有効量」とは、対象において所望の治療結果または予防結果を達成するための、例えば、疾患、障害または状態を処置または予防するための活性成分または薬剤(例えば、医薬製剤)の量を指す。IL-36媒介疾患または状態の場合、治療剤の治療有効量は、疾患、障害または状態と関連付けられる症状のうちの1つまたは複数をある程度まで低減、予防、阻害および/または軽減する量である。炎症性状態、例えば、皮膚炎症性状態(例えば、湿疹、乾癬、酒さ、脂漏性皮膚炎)の処置について、インビボ(in vivo)有効性は、例えば、症状の持続期間、重症度および/もしくは再発、応答速度(RR)、応答持続期間ならびに/またはクオリティ・オブ・ライフを評定することによって測定することができる。
【0092】
「同時に」とは、本明細書で使用される場合、投与の少なくとも部分が時間において重複する、2以上の治療剤の投与を指す。したがって、同時投与は、1つまたは複数の剤の投与が、1つまたは複数の他の薬剤の投与を中断した後に継続する、投薬レジメンを含む。
【0093】
「個体」または「対象」とは、非限定的に、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌおよびウマ)、霊長類(例えば、ヒトおよび非ヒト霊長類、例えば、サル)、ウサギおよびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)を含む哺乳動物を指す。
【0094】
様々な実施形態の詳細な説明
I.IL-36サイトカイン
アゴニストサイトカインIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの各々は、同族受容体、IL-36R(またはIL1RL2)に結合することによって細胞内シグナル伝達を誘導する。これらのIL-36サイトカインのうちのいずれかによるIL-36R受容体への結合は、共受容体IL1RAPの動員および係合を引き起こし、IL-36R、IL1RAP、およびシグナル伝達事象を開始した各々のIL-36サイトカインを含む三元シグナル伝達複合体の形成をもたらす。IL-36α、IL-36βまたはIL-36γによって刺激されたシグナル伝達は、標的細胞におけるNK-κB転写因子およびAP-1経路の活性化を引き起こし、様々な炎症性、増殖性および病原性免疫応答を誘導する。例えば、Jennifer Towne et al., J. Biol. Chem. 279(14):13677-13688 (2004);Sebastian Gunther et al., J. Immunol. 193(2):921-930 (2014)を参照されたい。
【0095】
IL-36サイトカイン、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γは、受容体IL-36Rに結合し、受容体IL-36Rのアゴニストとして作用する比較的短いタンパク質である。インビボで、IL-36サイトカインは、N末端切断をもたらすタンパク質分解プロセッシングを受ける。この切断は、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γがIL-36Rに対するそれらの完全アゴニスト活性を達成するために必要である。同様に、IL-36Rアンタゴニスト、IL-36Raは、それが完全アンタゴニスト活性を達成するためにN末端切断を必要とする。ヒト型のIL-36α、IL-36β、IL-36γ(本明細書で「hu-IL-36α」、「hu-IL-36β」および「hu-IL-36γ」とも呼ばれる)およびIL-36Raのアミノ酸およびヌクレオチド配列ならびに注釈は、公に入手可能である。例えば、それぞれ、ユニプロット(UniProt)エントリー番号Q9UHA7、Q9NZH7-2、Q9NZH8およびQ9UBH0の全長アミノ酸配列を参照されたい。同様に、本明細書で「cy-IL-36α」、「cy-IL-36β」および「cy-IL-36γ」と呼ばれる、カニクイザルからの3種のIL-36サイトカインの型のバリエーションのアミノ酸およびヌクレオチド配列もまた、ユニプロットエントリー番号A0A2K5UTG0、A0A2K5UV63-1およびA0A2K5VYV6において公に入手可能である。
【0096】
hu-IL-36およびcy-IL-36サイトカインタンパク質の部分に対応するポリペプチドコンストラクトを、抗原として使用して、ヒトおよび/またはカニクイザル型の特異的IL-36サイトカイン、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γについて結合親和性を有する抗IL-36抗体を誘発することができる。本明細書中の別の箇所で開示される通り、これらの抗IL-36抗体は、特異的サイトカイン、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γのうちの1つまたは複数の、その同族受容体への結合を部分的または完全に遮断し、それによって、この結合によって開始される細胞内シグナルを減少することができる。IL-36抗原による免疫化によって産生される抗体を、例えば、本明細書で説明されるように、改変して、抗体のある特定の特性をモジュレート(増強または低減)してもよく、これは、例えば、IL-36抗原についての親和性を増強させること、別のIL-36抗原についての親和性を増強させること、交差反応性を増強させること、交差反応性を低減することなどを含むが、これらに限定されない。
【0097】
以下の表1は、本開示の抗IL-36抗体を生成するために使用されたヒトおよびカニクイザルIL-36ポリペプチドコンストラクトの配列の説明の要約、ならびにそれらの配列識別子を示す。また、タンパク質のユニプロットデータベースエントリー識別子、および全長タンパク質と比較したコンストラクト配列のドメイン境界が含まれる。IL-36α、IL-36β、IL-36γまたはIL-36Raポリペプチドコンストラクトの各々の配列は、最も高いアゴニスト活性、またはIL-36Raの場合、アンタゴニスト活性を有するN末端切断型に対応する。例えば、表1に示されるN末端切断型IL-36α、IL-36βおよびIL-36γアミノ酸配列は、それぞれ、N末端のK6、R5およびS18位で始まる。加えて、本明細書中の別の箇所で説明される通り、精製タグ配列は、容易に精製可能な型のIL-36タンパク質を作製するために使用される。また、配列は、附属の配列表に含まれる。
【0098】
【0099】
II.抗IL-36抗体
一部の実施形態では、本開示は、様々な周知の免疫グロブリン特色(例えば、CDR、HVR、FR、VHおよびVLドメイン)のアミノ酸およびコードヌクレオチド配列についての抗IL-36抗体の構造を提供する。以下の表2は、本開示の例示的な抗IL-36抗体配列の説明の要約、およびそれらの配列識別子を示す。これらの配列およびその他は、附属の配列表に含まれる。
【0100】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【表3-13】
【表3-14】
【表3-15】
【表3-16】
【表3-17】
【表3-18】
【表3-19】
【表3-20】
【表3-21】
【表3-22】
【表3-23】
【表3-24】
【表3-25】
【表3-26】
【表3-27】
【表3-28】
【表3-29】
【表3-30】
【表3-31】
【表3-32】
【表3-33】
【表3-34】
【表3-35】
【表3-36】
【表3-37】
【表3-38】
【0101】
1.抗IL-36抗体の結合親和性および細胞シグナル伝達阻害
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗IL-36抗体は、ヒトサイトカイン、hu-IL-36α、hu-IL-36βおよび/またはhu-IL-36γの結合についての、100nM未満、10nM未満、1nM未満、0.1nM未満、0.01nM未満または0.001nM未満(例えば、10-8M以下、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の平衡解離定数(KD)を有する。より特に、一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、hu-IL-36α、hu-IL-36βおよび/またはhu-IL-36γに、1x10-8M以下、1x10-9Mもしくはそれ未満、1x10-10Mもしくはそれ未満、または1x10-11Mもしくはそれ未満の結合親和性により結合する。一部の実施形態では、結合親和性は、それぞれ、配列番号1、2および3のhu-IL-36α、hu-IL-36βまたはhu-IL-36γポリペプチドコンストラクトへの結合についての平衡解離定数(KD)として測定される。
【0102】
一般的に、リガンドの、その受容体への結合親和性は、様々なアッセイのうちのいずれかを使用して決定し、様々な定量的値に関して表すことができる。抗体の親和性を決定することにおいて有用な特定のIL-36結合アッセイは、本明細書中の実施例において開示される。加えて、非限定的に、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、「サンドウィッチ」イムノアッセイ、表面プラズモン共鳴ベースのアッセイ(例えば、WO2005/012359で説明されるBIAcoreアッセイ)、免疫沈降アッセイ、蛍光イムノアッセイおよびタンパク質Aイムノアッセイなどの技法を使用する任意の直接的または競合的結合アッセイを含む、抗原結合アッセイは、当該技術分野において公知であり、本明細書で使用され得る。
【0103】
一部の実施形態では、結合親和性は、KD値として表され、固有の結合親和性(例えば、最小化した結合活性効果を伴う)を反映する。本開示の抗IL-36抗体は、配列番号1、2および3の、それぞれ、hu-IL-36α、hu-IL-36βおよび/またはhu-IL-36γポリペプチドコンストラクトについて強い結合親和性を示し、例えば、10nM~1pMのKD値を示す。
【0104】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗IL-36抗体は、IL-36媒介経路による細胞内シグナル伝達、特に、IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γのIL-36Rへの結合によって刺激されるシグナル伝達経路を減少、阻害および/または完全に遮断する。抗体の、これらのIL-36媒介シグナル伝達経路を阻害する能力は、本開示の実施例で説明されるHEK-BLUE(商標)レポーター細胞アッセイおよび初代細胞ベースの遮断アッセイを含む、公知の細胞ベースの遮断アッセイを使用してインビトロ(in vitro)でアッセイすることができる。一部の場合、IL-8発現は、IL-36媒介経路を通したシグナル伝達の指標として用いることができ、これは、例えば、IL-8レベルの低減が、1つまたは複数のIL-36媒介経路の遮断を示す場合を含む。
【0105】
一部の実施形態では、抗体の、IL-36により刺激されたシグナル伝達を減少、阻害および/または完全に遮断する能力は、およそEC50の濃度におけるアゴニストサイトカインIL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γによるレポーター細胞ベースの遮断アッセイを使用して、抗体のIC50として決定される。アゴニストEC50は、多くの場合、アッセイ前は見積もるだけでもよく、データの非線形回帰解析を使用して、アッセイが完了した後に決定される。そのようなアッセイにおいては、およそEC50の値は、典型的に、EC40~45~EC55~60の範囲内である。
【0106】
したがって、一部の実施形態では、本開示のIL-36抗体は、IL-36媒介経路による細胞内シグナル伝達を減少、阻害および/または完全に遮断する能力に基づく、以下の機能特性のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる。
【0107】
抗IL-36抗体の一部の実施形態では、抗体は、IL-36α、IL-36βまたはIL-36γのうちのいずれかによって刺激される(またはそれによって開始される)シグナルを、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%減少する。一部の実施形態では、シグナルの減少は、細胞ベースのアッセイを使用して測定することができる。当業者は、IL-36により刺激された経路の細胞シグナル伝達の阻害を決定することにおける使用について知られる、公知の細胞ベースのアッセイのいずれかを選択することができる。一般的に、本開示の抗IL-36抗体は、およそEC50(例えば、EC40~EC60)の濃度におけるアゴニストサイトカインIL-36α、IL-36βまたはIL-36γの結合によって開始されるIL-36媒介細胞内シグナルを、10nMもしくはそれ未満、5nMもしくはそれ未満、または1nMの抗体についてのIC50値により減少する。
【0108】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、IL-36により刺激されたシグナルを、少なくとも95%または少なくとも99%減少し;IL-36により刺激されたシグナルは、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γから選択されるアゴニストサイトカインによって刺激されてもよく;およそEC50のアゴニストサイトカイン濃度において、抗体は、10nMもしくはそれ未満、5nMもしくはそれ未満、または1nMもしくはそれ未満のIC50を有してもよい。
【0109】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γアゴニストのうちの1つまたは複数の、その同族受容体への結合によって開始される細胞内シグナルを、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%減少する。
【0110】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、ヒト初代ケラチノサイト細胞および/またはHaCAT細胞からの、IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γにより刺激されたIL-8の放出を阻害し;およそEC50のIL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γ濃度において、抗体は、10nMもしくはそれ未満、5nMもしくはそれ未満、または1nMもしくはそれ未満のIC50を有してもよい。
【0111】
2.抗体断片
一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、抗体断片であってもよい。本開示の結合決定基を伴って有用な抗体断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、一価の一アーム(または単一アーム)抗体、scFv断片、および本明細書で説明され、当該技術分野で公知の他の断片を含むが、これらに限定されない。様々な抗体断片の概説については、例えば、Hudson et al. Nat. Med. 9: 129-134 (2003)を参照されたい。scFv断片の概説については、例えば、Pluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York), pp. 269-315 (1994)を参照されたく;また、WO93/16185、ならびに米国特許第5,571,894号および同第5,587,458号を参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、インビボ半減期の増大を有する、FabおよびF(ab’)2断片の説明については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。他の一価の抗体形態は、例えば、WO2007/048037、WO2008/145137、WO2008/145138およびWO2007/059782で説明されている。一価の単一アーム抗体は、例えば、WO2005/063816で説明されている。ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る、2つの抗原結合部位を有する抗体断片である(例えば、EP0404097;WO93/01161;Hudson et al., Nat. Med. 9: 129-134 (2003);およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)を参照されたい)。
【0112】
一部の実施形態では、抗体断片は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部、または軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部を含む単一ドメイン抗体である。一部の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis, Inc., Waltham, MA;例えば、米国特許第6,248,516号を参照されたい)。
【0113】
抗体断片は、本明細書で説明される通り、非限定的に、インタクトな抗体のタンパク質分解消化、および組換え宿主細胞[例えば、イー・コリ(E. coli)またはファージ]による産生を含む、様々な技法によって作製することができる。
【0114】
本開示の抗IL-36抗体のうちのいずれかは、当該技術分野において公知の方法および技法ならびに/または本明細書で説明される方法および技法を使用して、抗体断片として調製することができることが企図される。例えば、本開示の様々な抗IL-36抗体のFab型の調製および解析を、以下の実施例で説明する。
【0115】
3.キメラおよびヒト化抗体
一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、キメラ抗体であり得る。(例えば、米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81 :6851-6855 (1984)において説明されるキメラ抗体を参照されたい)。一実施形態では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギまたは非ヒト霊長類、例えばサル由来の可変領域)と、ヒト定常領域とを含む。一部の実施形態では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のクラスまたはサブクラスとは変えられた「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合性断片を含み得ることが企図される。
【0116】
一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、ヒト化抗体である。典型的に、非ヒト抗体は、ヒトへの免疫原性を低減するためにヒト化され、一方で、親非ヒト抗体の特異性および親和性を保持する。一般的に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(またはその部分)が非ヒト抗体に由来し、FR(またはその部分)がヒト抗体配列に由来する1つまたは複数の可変ドメインを含む。また、ヒト化抗体は、ヒト定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。一部の実施形態では、ヒト化抗体における一部のFR残基は、抗体特異性または親和性を回復または改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)からの対応する残基により置換される。
【0117】
ヒト化抗体およびそれらを作製する方法は、例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13: 1619-1633 (2008)において概説されており、例えば、Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988);Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 10029-10033 (1989);米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号および同第7,087,409号;Kashmiri et al, Methods 36:25-34 (2005)[SDR(a-HVR)グラフト化を説明している];Padlan, Mol. Immunol. 28:489-498 (1991)[「リサーフェイシング(resurfacing)」を説明している];Dall'Acqua et al., Methods 36:43-60 (2005)(「FRシャッフリング」を説明している);ならびにOsbourn et al., Methods 36:61 -68 (2005)およびKlimka et al., Br. J. Cancer, 83 :252-260 (2000)[FRシャッフリングのための「ガイド選択(guided selection)」手法を説明している]においてさらに説明されている。
【0118】
ヒト化に有用なヒトフレームワーク領域には、「ベストフィット(best-fit)」法を使用して選択されたフレームワーク領域[例えば、Sims et al. J. Immunol. 151 :2296 (1993)を参照されたい];特定のサブグループの軽鎖または重鎖可変領域のヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域[例えば、Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);およびPresta et al. J. Immunol, 151 :2623 (1993)を参照されたい];ヒト成熟(体細胞的に成熟した)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系フレームワーク領域[例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13: 1619- 1633 (2008)を参照されたい];およびスクリーニングFRライブラリー由来のフレームワーク領域[例えば、Baca et al., J. Biol. Chem. 272: 10678- 10684 (1997)およびRosok et al., J. Biol. Chem. 271 :2261 1 -22618 (1996)を参照されたい]が含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
本開示の抗IL-36抗体のうちのいずれかは、当該技術分野において公知の方法および技法ならびに/または本明細書で説明される方法および技法を使用して、ヒト化抗体として調製することができることが企図される。
【0120】
4.ヒト抗体
一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、ヒト抗体であり得る。ヒト抗体は、当該技術分野において公知の様々な技法を使用して産生することができる。ヒト抗体は、一般的に、van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368-74 (2001)およびLonberg, Curr. Opin. Immunol. 20:450-459 (2008)において説明されている。ヒト抗体は、免疫原を、抗原性負荷に応答して、インタクトなヒト抗体、またはヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に投与することによって調製され得る。そのような動物は、典型的に、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含有し、それは、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えるか、またはそれは、染色体外に存在するか、もしくは動物の染色体にランダムに統合される。そのようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に、不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg, Nat. Biotech. 23:1117- 1125 (2005)を参照されたい。また、例えば、米国特許第6,075,181号および同第6,150,584号のXENOMOUSE(商標)技術;米国特許第5,770,429号のHUMAB(登録商標)技術;米国特許第7,041,870号のK-M MOUSE(登録商標)技術;ならびに米国特許出願公開番号2007/0061900のVELOCIMOUSE(登録商標)技術を参照されたい。そのような動物によって生成されたインタクトな抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、さらに改変され得る。
【0121】
また、ヒト抗体は、ハイブリドーマベースの方法によって作製することができる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞系が説明されている。例えば、Kozbor J. Immunol, 133: 3001 (1984);Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51 -63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);およびBoerner et al., J. Immunol., 147: 86 (1991)を参照されたい。また、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されたヒト抗体は、Li et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103 :3557- 3562 (2006)において説明されている。ハイブリドーマ細胞系からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を説明する追加の方法は、例えば、米国特許第7,189,826号において説明されている方法を含む。ヒトハイブリドーマ技術(すなわち、トリオーマ技法)は、例えば、Vollmers et al., Histology and Histopathology, 20(3):927-937 (2005)およびVollmers et al., and Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology, 27(3): 185-91 (2005)で説明されている。
【0122】
また、ヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成され得る。そのような可変ドメイン配列は、その後、所望のヒト定常ドメインと組み合わせてもよい。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技法は、以下に説明される。
【0123】
本開示の抗IL-36抗体のうちのいずれかは、当該技術分野において公知の方法および技法、ならびに/または実施例を含む本明細書で説明される方法および技法を使用して、ヒト抗体として調製することができることが企図される。
【0124】
5.ライブラリー由来抗体
一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、所望の活性(単数または複数)を有する抗体についてのコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、方法を使用して、ファージディスプレイライブラリーを生成してもよく、ライブラリーを、所望の結合特徴を所有する抗体についてスクリーニングしてもよい。本開示の抗IL-36抗体のヒト化型の親和性成熟変異型の調製のためのファージディスプレイの使用は、本明細書で開示される実施例において説明される。そのようなライブラリー由来抗体を産生するための他の方法は、例えば、Hoogenboom et al., Methods in Molecular Biology 178: 1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, 2001);McCafferty et al., Nature 348:552-554;Clackson et al., Nature 352: 624-628 (1991);Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1992);Marks and Bradbury, m Methods in Molecular Biology 248: 161-175 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003);Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004);Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004);Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34): 12467-12472 (2004);およびLee et al., J. Immunol. Methods 284(1-2): 1 19-132(2004)において見出すことができる。
【0125】
コンビナトリアルライブラリースクリーニングは、当該技術分野において公知の方法および技法を、本明細書で説明される方法および技法と共に使用および/または適合して、本開示の抗IL-36抗体の変異型を生成するために使用することができることが企図される。例えば、本開示の抗IL-36抗体の広範な親和性成熟変異型を調製するためのファージディスプレイライブラリー生成およびスクリーニングの使用は、実施例で説明される。
【0126】
6.多重特異性抗体
一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、多重特異性抗体、例えば、三重特異性または二重特異性抗体である。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる結合部位を有するモノクローナル抗体であり、各結合部位は、異なる抗原についての結合特異性を有し、そのうちの少なくとも1つは、IL-36に特異的に結合する。一般的に、本明細書で開示される抗IL-36抗体のうちのいずれかの結合特異性は、IL-36媒介疾患を処置するために有用な多重特異性抗体に組み込むことができることが企図される。例えば、一部の実施形態では、多重特異性抗体の結合部位のうちの少なくとも1つは、IL-36(例えば、IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γ)に特異的に結合し、多重特異性抗体の別の結合部位は、IL-36媒介疾患の処置に関連する異なる抗原に結合する。
【0127】
一部の実施形態では、本明細書中の別の箇所で説明される通り、ヒトIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの各々に高い結合親和性(例えば、3nM以下)により結合する多重特異性抗体が企図される。そのような結合親和性は、配列番号1のhu-IL-36α、配列番号2のhu-IL-36βおよび配列番号3のhu-IL-36γについての平衡解離定数(KD)として測定することができる。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、1つのアームにおいてIL-36αおよび/またはIL-36γについての特異性、ならびに他方のアームにおいてIL-36βについての特異性を含み得ることがさらに企図される。
【0128】
多重特異性抗体を作製するための技法は、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現[例えば、Milstein and Cuello, Nature 305: 537 (1983)、WO 93/08829およびTraunecker et al., EMBOJ. 10: 3655 (1991)を参照されたい]を含むが、これらに限定されない。また、「ノブ・イン・ホール(knob-in-hole)」操作を使用することができる(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)。
【0129】
また、多重特異性抗体は、ホモ二量体ではなくFcヘテロ二量体抗体分子の形成を好む「静電ステアリング(electrostatic steering)」効果を操作すること(WO 2009/089004A1);2以上の抗体または断片を架橋結合すること[例えば、米国特許第4,676,980号およびBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)を参照されたい];ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を産生すること[例えば、Kostelny et al., J. Immunol, 148(5): 1547-1553 (1992)を参照されたい];二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術を使用すること[例えば、Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)を参照されたい];単鎖Fv(scFv)二量体を使用すること[例えば、Gruber et al., J. Immunol, 152:5368 (1994)を参照されたい];または三重特異性抗体[例えば、Tutt et al., J. Immunol. 147: 60 (1991)を参照されたい]によって作製することができる。
【0130】
本開示の抗IL-36抗体のうちのいずれかは、当該技術分野において公知の方法および技法、ならびに/または本明細書で説明される方法および技法を使用して、多重特異性抗体として調製することができることが企図される。
【0131】
本開示の一部の実施形態では、別個のIL-36サイトカイン、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γのうちの1つまたは複数についての別々の結合特異性を含む多重特異性IL-36抗体が、企図される。例えば、多重特異性抗体は、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γに、3nM以下の親和性により結合し;かつ/またはIL-36α、IL-36βおよびIL-36γによって刺激された細胞内シグナルを、少なくとも90%減少し;かつ/またはおよそEC50のIL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γ濃度において10nM以下のIC50を有し得る。本明細書中の別の箇所で説明される通り、IL-36αおよびIL-36γについて高親和性を有するが、IL-36βについてより低い親和性を有するヒトIL-36抗体が単離され、IL-36βについて高親和性を有するが、IL-36αおよびIL-36γについてより低い親和性を有する他のヒトIL-36抗体が単離された。これらの異なるヒトIL-36サイトカインについてのこれらの特異性を、親和性成熟させ、単一の多重特異性IL-36抗体に組み合わせた。したがって、一部の実施形態では、本開示は、1つのアームにおいてIL-36α/IL-36γについての標的特異性および高親和性(例えば、1nM以下)、ならびに他方のアームにおいてIL-36βについての標的特異性および高親和性(例えば、1nM以下)を有する多重特異性抗IL-36抗体を提供する。そのような多重特異性抗IL-36抗体の調製および使用は、実施例において詳述される。
【0132】
7.抗体変異型
一部の実施形態では、また、本開示の抗IL-36抗体の変異型が企図される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性の改善を有する抗体は、適切な改変を、抗体をコードするヌクレオチド配列に導入することによって、またはペプチド合成によって調製することができる。そのような改変には、例えば、抗体のアミノ酸配列からの欠失および/またはアミノ酸配列への挿入および/またはアミノ酸配列内の残基の置換が含まれる。欠失、挿入および置換の任意の組合せは、最終コンストラクトが、IL-36抗原結合の所望の特徴を所有する限り、最終コンストラクトに到達するために行われ得る。非限定的に、(i)アミノ酸置換、挿入および/または欠失変異型;(ii)糖鎖付加変異型;(iii)Fc領域変異型;(iv)システイン操作変異型;および(v)誘導体化変異型を含む、本開示の抗IL-36抗体の広範な変異型は、当該技術分野において公知の方法および技法、ならびに/または本明細書で説明される方法および技法を使用して、調製することができることが企図される。
【0133】
本開示の実施例、表2および配列表は、2つの特定の抗IL-36抗体「mAb2」および「mAb6_2」の多数の例示的な変異型を示す。例示される変異型は、以下のもの:IL-36α/γもしくはIL-36βについての特異的親和性および/またはIL-36媒介シグナル伝達に関連する細胞ベースの遮断活性を増大するHVR-H1、HVR-H2およびHVR-H3におけるある範囲の単一、二重、三重アミノ酸置換;エフェクター機能のない機能を与えるFc領域変異型(例えば、N297G);ならびに多重特異性抗体形成を可能にする「ノブ」および「ホール」構造をもたらす重鎖置換のうちの1つまたは複数を含む。例えば、表2で開示される重鎖抗体配列は、カルボキシ末端リジン(すなわち、「C末端Lys」または「C末端K」);252位、254位および256位のYTE突然変異(すなわち、M252Y/S254T/T256E);またはC末端KおよびYTE突然変異の両方をさらに含んでもよい。配列番号170~241、243~245、248~250の重鎖配列のそのような変異型は、表2(および付属の配列表)で配列番号518~751として示される。
【0134】
A.置換、挿入および欠失変異型
一部の実施形態では、本明細書で説明されるアミノ酸置換に加えて1つまたは複数のアミノ酸置換を有する抗IL-36抗体変異型が提供される。突然変異誘発のための部位は、HVRおよびFRを含み得る。典型的な「保存的」アミノ酸置換および/または一般の側鎖クラスもしくは特性に基づく置換は、当該技術分野において周知であり、本開示の実施形態において使用することができる。また、本開示は、アミノ酸側鎖クラスのうちの1つのメンバーが別のクラスからのアミノ酸に交換される非保存的アミノ酸置換に基づく変異型を企図する。
【0135】
アミノ酸側鎖は、典型的に、以下のクラスまたは一般特性:(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile、ノルロイシン;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖の向きに影響を及ぼす:Gly、Pro;および(6)芳香族:Trp、Tyr、Pheに従ってグループ化される。
【0136】
抗体へのアミノ酸置換、および後続の、所望の機能、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の減少、またはADCCもしくはCDCの改善についてのスクリーニングのための技法は、当該技術分野において周知である。
【0137】
アミノ酸置換変異型は、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗体)の1つまたは複数の超可変領域残基を置換することを含み得る。一般的に、さらなる研究のために選択される、得られた変異型は、親抗体と比較してある特定の生物学的特性における改変(例えば、親和性の増大、免疫原性の低減)を有し、かつ/または実質的に保持された親抗体のある特定の生物学的特性を有する。例示的な置換変異型は、例えば、ファージディスプレイベースの親和性成熟技法、例えば、本明細書の実施例で説明される技法を使用して、便利に生成され得る親和性成熟抗体である。簡潔に説明すると、1つまたは複数のHVR残基が突然変異され、変異型抗体がファージ上にディスプレイされ、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0138】
突然変異誘発にターゲティングされ得る、抗体の残基または領域を特定するための有用な方法は、「アラニンスキャニング突然変異誘発」である[例えば、Cunningham and Wells (1989) Science, 244: 1081-1085を参照されたい]。この方法では、残基または標的残基の群(例えば、荷電残基、例えば、Arg、Asp、His、LysおよびGlu)を特定し、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、Alaまたはポリアラニン)によって置き換えて、抗体の抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定する。最初の置換への機能的感受性を実証するアミノ酸の場所において、さらなる置換を導入してもよい。あるいは、または加えて、抗体と抗原との間の接触点を特定するための抗原-抗体複合体の結晶構造が決定され得る。そのような接触残基および近隣の残基は、置換の候補としてターゲティングまたは除去され得る。変異型は、それらが所望の特性を含有するかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。
【0139】
アミノ酸配列挿入は、長さが1残基~100以上の残基を含有するポリペプチドに及ぶアミノ末端および/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または多数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例は、N末端メチオニル残基を有する抗体を含む。抗体分子の他の挿入変異型は、抗体の血清半減期を増大する酵素またはポリペプチドへの、抗体のNまたはC末端への融合を含む。
【0140】
置換は、抗体親和性を改善するためにHVRにおいて行われ得る。そのような変更は、「ホットスポット(hotspot)」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で突然変異を受けるコドンによってコードされる残基において行われることがあり[例えば、Chowdhury, Methods Mol. Biol. 207: 179-196 (2008)を参照されたい]、得られた変異型VHおよびVLは、結合親和性について試験される。一実施形態では、親和性成熟は、二次ライブラリーから構築および再選択することによって行われ得る[例えば、Hoogenboom et al., Methods in Molecular Biology 178: 1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, (2001)を参照されたい]。多様性を導入する別の方法は、HVRを対象とする手法を含み、ここでは、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6残基)がランダム化される。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発またはモデリングを使用して、特異的に特定され得る。特にCDR-H3およびCDR-L3は、多くの場合、ターゲティングされる。
【0141】
一部の実施形態では、置換、挿入または欠失は、そのような変更が抗体の、抗原を結合する能力を実質的に低減しない限り、1つまたは複数のHVR内で起こり得る。例えば、結合親和性を実質的に低減しない保存的変更(例えば、本明細書で提供される保存的置換)は、HVRにおいて行われ得る。そのような変更は、HVR「ホットスポット」外であってもよい。上記に提供される変異型VHおよびVL配列の一部の実施形態では、各HVRは変更されないか、または1、2もしくは3つ以下のアミノ酸置換を含有する。
【0142】
B.糖鎖付加変異型
一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、抗体が糖鎖付加される程度を増大または減少するように変更される。抗体の糖鎖付加部位の付加または欠失は、1つまたは複数の糖鎖付加部位が作出または除去されるように、アミノ酸配列を変更することによって行われ得る。
【0143】
抗体がFc領域を含む実施形態では、Fc領域に取り付けられる炭水化物を変更してもよい。典型的に、哺乳動物細胞によって産生されるネイティブ抗体は、Fc領域のCH2ドメインのAsn297へのN連結によって取り付けられた分岐、二分岐オリゴ糖を含む[例えば、Wright et al. TIBTECH 15:26-32 (1997)を参照されたい]。オリゴ糖は、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトースおよびシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖構造の「ステム(stem)」のGlcNAcに取り付けられたフコースを含み得る。一部の実施形態では、抗体のFc領域のオリゴ糖の改変は、ある特定の特性の改善を有する変異型を作出することができる。
【0144】
一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、親抗体の変異型であってもよく、変異型は、Fc領域に取り付けられた(直接的または間接的に)フコースを欠く炭水化物構造を含む。例えば、そのような抗体におけるフコースの量は、約1%~約80%、約1%~約65%、約5%~約65%、または約20%~約40%であってもよい。フコースの量は、MALDI-TOF質量分析法によって測定される、Asn297に取り付けられた全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッドおよび高マンノース構造)の合計に対する、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定することができる(例えば、WO 2008/077546を参照されたい)。Asn297は、Fc領域のおよそ297位(Fc領域残基のEu番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが、しかしながら、また、Asn297は、抗体における小さい配列変動のために、297位の約±3アミノ酸上流または下流、すなわち、294~300位の間に位置することがある。
【0145】
一部の実施形態では、フコシル化変異型は、ADCC機能の改善を有することがある。例えば、米国特許公開番号US2003/0157108号または同US2004/0093621を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体の例、およびそれらを調製するための関連する方法は、例えば、US2003/0157108;US2003/0115614;US2002/0164328;US2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;WO2000/61739;WO2001/29246;WO2003/085119;WO2003/084570;WO2005/035586;WO2005/035778;WO2005/053742;WO2002/031140;Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336: 1239-1249 (2004);Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004)で開示されている。
【0146】
脱フコシル化抗体を産生するために有用な細胞系は、タンパク質フコシル化が欠損しているLed 3 CHO細胞[例えば、Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);US2003/0157108およびWO2004/056312を参照されたい]、およびノックアウト細胞系、例えば、アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞[例えば、Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004);Kanda, Y. et al., Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688 (2006);およびWO2003/085107を参照されたい]を含む。
【0147】
C.Fc領域変異型
一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、Fc領域において1つまたは複数のアミノ酸改変を含み得る(すなわち、Fc領域変異型)。Fc領域変異型は、1つまたは複数のアミノ酸残基位置においてアミノ酸置換を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 Fc領域)を含んでもよい。本開示の抗IL-36抗体と共に有用な当該技術分野において公知の広範なFc領域変異型を、以下に説明する。
【0148】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、エフェクター機能の変更を有するFc領域変異型である。一部の実施形態では、エフェクター機能の変更を有する抗体は、親抗体のエフェクター機能の一部(しかし、全てではない)を所有するか、減少したエフェクター機能を所有するか、またはエフェクター機能を所有しない(例えば、エフェクター機能がない)。エフェクター機能のないFc領域変異型は、エフェクター機能(例えば、ADCC)が不必要もしくは有害である、ある特定の適用、および/または抗体のインビボ半減期が重要である、ある特定の適用のためにより望ましい。
【0149】
エフェクター機能の低減を有するFc領域変異型抗体、またはエフェクター機能のないFc領域変異型抗体は、以下のFc領域:238、265、269、270、297、327および329位のうちの1つまたは複数においてアミノ酸置換を含み得る(例えば、米国特許第6,737,056号を参照されたい)。そのようなFc領域変異型は、265、269、270、297および327位のうちの2つ以上においてアミノ酸置換を含み得る。また、そのようなFc領域変異型は、残基265および297の両方のアラニンへの置換を含み得る(例えば、米国特許第7,332,581号を参照されたい)。本明細書中の実施例および別の箇所で開示される通り、一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、エフェクター機能のないFc領域変異型である。一部の実施形態では、抗IL-36抗体のエフェクター機能のないFc領域変異型は、アミノ酸置換N297Gを含む。
【0150】
FcRへの結合の改善または縮減を有するFc領域変異型は、例えば、米国特許第6,737,056号;WO2004/056312;およびShields et al., J. Biol. Chem. 9(2): 6591- 6604 (2001)で開示されている。ADCCの改善を有するFc領域変異型は、例えば、Fc領域の298、333および/または334位(EU番号付けに基づく)において1つまたは複数のアミノ酸置換を含み得る。Clq結合および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)の変更(すなわち、改善または縮減のいずれか)を有するFc領域変異型は、例えば、米国特許第6,194,551号、WO99/51642およびIdusogie et al., J. Immunol. 164: 4178- 4184 (2000)において説明される通りである。半減期の増大、および新生児Fc受容体(FcRn)への結合の改善を有するFc領域変異型は、例えば、US2005/0014934A1(Hintonら)において開示されている。そのようなFc領域変異型は、238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424および434位のうちの1つまたは複数においてアミノ酸置換を含む。半減期の増大を有する他のFc領域変異型は、例えば、US7658921B2(Dall’Acquaら)において説明される252、254および256位におけるYTE突然変異の組(すなわち、M252Y/S254T/T256E)を含む。Fc領域変異型の他の例は、例えば、米国特許第5,648,260号および同第5,624,821号、ならびにWO94/29351において見出すことができる。
【0151】
一般的に、インビトロおよび/またはインビボ細胞傷害性アッセイは、Fc領域変異型におけるCDCおよび/またはADCC活性の低減/枯渇を確認するために行われ得る。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイは、抗体がFcγR結合を欠く(それゆえ、ADCC活性を欠きやすい)が、FcRn結合能を保持することを確実にするために行われ得る。ADCCを媒介するための初代細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、一方で、単球は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。目的の分子のADCC活性を評定するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号[例えば、Hellstrom, et al., Proc. Nat 'l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986)を参照されたい]およびHellstrom, et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82: 1499-1502 (1985);米国特許第5,821,337号[Bruggemann, M. et al., J. Exp. Med. 166: 1351-1361 (1987)を参照されたい]で説明されている。あるいは、非放射活性アッセイ法を用いてもよい[例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射活性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc. Mountain View、CA);およびCytoTox96(登録商標)非放射活性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison、WI)を参照されたい]。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、または加えて、目的の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、動物モデル、例えば、Clynes et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 95:652- 656 (1998)において開示される動物モデルにおいて評定され得る。また、Clq結合アッセイは、抗体がClqに結合できず、それゆえCDC活性を欠くことを確認するために行われ得る。例えば、WO2006/029879およびWO2005/100402におけるClqおよびC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評定するために、CDCアッセイを行ってもよい[例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202: 163 (1996);Cragg, M.S. et al., Blood 101 : 1045-1052 (2003);およびCragg, M.S. and M.J. Glennie, SW 103:2738-2743 (2004)を参照されたい]。当該技術分野において公知の方法を使用して、FcRn結合およびインビボクリアランス/半減期決定を行うことができる[例えば、Petkova, et al., Intl. Immunol. 18(12): 1759-1769 (2006)を参照されたい]。
【0152】
本開示の抗IL-36抗体の広範囲のFc領域変異型は、当該技術分野において公知の方法および技法、ならびに/または本明細書で説明される方法および技法を使用して調製することができることが企図される。例えば、N297Gアミノ酸置換を伴って調製されたFc領域変異型は、実施例2、3および8で説明される通り、抗IL-36抗体にエフェクター機能のない機能を与え、細胞ベースの遮断活性を保持する。
【0153】
D.システイン操作変異型
一部の実施形態では、本明細書で説明される抗IL-36抗体は、反応性チオール基を作出するために、特定の非CDR位置においてシステイン残基により置換され得ることが企図される。そのような操作された「thioMAbs」は、本明細書中の別の箇所で説明される通り、抗体を、例えば、薬物部分またはリンカー-薬物部分にコンジュゲートするために使用され、それによって、イムノコンジュゲートを作出することができる。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号で説明されるように生成することができる。一部の実施形態では、以下の抗体残基のうちの任意の1つまたは複数:軽鎖のV205(カバット番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);および重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)は、システインで置換することができる。
【0154】
E.誘導体化変異型
一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、非タンパク質性部分によりさらに改変(すなわち、誘導体化)してもよい。抗体の誘導体化に好適な非タンパク質性部分には、水溶性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/マレイン酸無水物コポリマー、ポリアミノ酸ホモポリマーまたはランダムコポリマー、およびデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコールならびにそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、抗体の改変は、メトキシポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドを使用して行うことができる。ポリマーは、任意の分子量のものであってもよく、分岐であっても、非分岐であってもよい。抗体に結合されるポリマーの数は、変動してもよく、2つ以上のポリマーが結合される場合、それらは同じ分子であっても、異なる分子であってもよい。一般的に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/または種類は、非限定的に、抗体の特定の特性または機能を含む考慮、例えば、抗体誘導体が規定条件下の治療において使用されるかどうかに基づいて決定することができる。
【0155】
8.イムノコンジュゲート
一部の実施形態では、また、本開示の抗IL-36抗体は、イムノコンジュゲートであってもよく、イムノコンジュゲートは、1つまたは複数の細胞傷害剤にコンジュゲートされた抗IL-36抗体を含む。本開示によって企図される好適な細胞傷害剤には、化学療法剤、薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物もしくは動物起源のタンパク質毒素、酵素的に活性な毒素、またはそれらの断片)または放射活性同位体が含まれる。
【0156】
一部の実施形態では、イムノコンジュゲートは、本明細書で説明される抗IL-36抗体が1つまたは複数の薬物にコンジュゲートされている、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である。
【0157】
一部の実施形態では、本開示のイムノコンジュゲートは、IL-36媒介疾患または状態の処置のための薬物または治療剤にコンジュゲートされた、本明細書で説明される抗IL-36抗体を含む。
【0158】
一部の実施形態では、本明細書で説明される抗IL-36抗体は、非限定的に、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖[緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の]、リシン(ricin)A鎖、アブリン(abrin)A鎖、モデッシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)タンパク質、ニガウリ(Momordica charantia)阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サボンソウ(Saponaria officinalis)阻害剤、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)およびトリコテセン(tricothecene)を含む、酵素的に活性な毒素またはその断片にコンジュゲートすることができる。
【0159】
一部の実施形態では、本開示のイムノコンジュゲートは、放射活性同位体にコンジュゲートされた、本明細書で説明される抗IL-36抗体(すなわち、放射性コンジュゲート)を含む。様々な放射活性同位体は、そのような放射性コンジュゲートの産生のために使用可能である。例には、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、212Pb、およびLuの放射活性同位体が含まれる。一部の実施形態では、イムノコンジュゲートは、シンチグラフィー検出のための放射性同位体、またはNMR検出もしくはMRIのためのスピン標識を含み得る。好適な放射性同位体またはスピン標識には、123I、131I、111In、13C、19F、15N、17O;Gd、MnおよびFeの様々な同位体が含まれ得る。
【0160】
抗IL-36抗体と細胞傷害剤とのイムノコンジュゲートは、タンパク質にコンジュゲートするために好適な様々な周知の二官能性試薬および化学を使用して作製することができる。そのような試薬には、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体[例えば、ジメチルアジプイミデート(dimethyl adipimidate)HQ]、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物[例えば、ビス-(p-アジドベンゾイル)-ヘキサンジアミン]、ビス-ジアゾニウム誘導体[例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン]、ジイソシアネート(例えば、トルエン-2,6-ジイソシアネート)およびビス-活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0161】
また、本開示のイムノコンジュゲートを調製するための試薬には、市販されている「架橋結合」試薬、例えば、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCCおよびスルホ-SMPBならびにSVSB[スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート](例えば、Pierce Biotechnology,Inc.、Rockford、IL.、米国を参照されたい)が含まれ得る。
【0162】
9.合成抗体
一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体は、免疫グロブリンスキャフォールドまたはフレームワーク以外のスキャフォールドまたはフレームワーク、例えば、代替タンパク質スキャフォールドまたは人工ポリマースキャフォールド上にグラフト化された、抗IL-36免疫グロブリンからの1組のCDR(例えば、CDR-L1など)を含む合成抗体であってもよい。
【0163】
本開示の合成抗体の調製のために企図される例示的な代替タンパク質スキャフォールドには、フィブロネクチン、ネオカルジノスタチン(neocarzinostatin)CBM4-2、リポカリン(lipocalin)、T細胞受容体、タンパク質-Aドメイン(タンパク質Z)、Im9、TPRタンパク質、ジンクフィンガードメイン、pVIII、鳥類膵臓ポリペプチド、GCN4、WWドメインSrcホモロジードメイン3、PDZドメイン、TEM-1ベータ-ラクタマーゼ、チオレドキシン(thioredoxin)、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、PHD-フィンガードメイン、CL-2、BPTI、APPI、HPSTI、エコチン(ecotin)、LACI-D1、LDTI、MTI-II、サソリ毒、昆虫デフェンシン-Aペプチド、EETI-II、Min-23、CBD、PBP、チトクロムb-562、Ldl受容体ドメイン、ガンマ-クリスタリン(crystallin)、ユビキチン、トランスフェリンおよび/またはC型レクチン様ドメインが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0164】
合成抗体に有用な例示的な人工ポリマー(非タンパク質)スキャフォールドは、例えば、Fiedler et al., (2014) "Non-Antibody Scaffolds as Alternative Therapeutic Agents," in Handbook of Therapeutic Antibodies (eds. S. Duebel and J. M. Reichert), Wiley-VCH Verlag GmbH & Co.;Gebauer et al., Curr. Opin. Chem. Biol., 13:245-255 (2009);Binz et al, Nat. Biotech., 23(10): 1257-1268 (2005)において説明されている。
【0165】
IV.組換え法および組成物
本開示の抗IL-36抗体は、抗体産生の分野において周知の組換え法および材料を使用して産生することができる。一部の実施形態では、本開示は、抗IL-36抗体をコードする単離された核酸を提供する。核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列および/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖および/または重鎖)をコードし得る。一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体をコードする核酸配列を含む1つまたは複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体をコードする核酸配列を含む宿主細胞が提供される。一実施形態では、宿主細胞は、抗体のVLを含むアミノ酸配列と、抗体のVHを含むアミノ酸配列とをコードする核酸を含むベクターにより形質転換されている。別の実施形態では、宿主細胞は、抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクターと、抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターとにより形質転換されている。
【0166】
組換え法の一部の実施形態では、使用される宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20)である。一実施形態では、抗IL-36抗体を作製する方法であって、上記に提供される抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下において培養すること、および適宜、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から抗体を回収することを含む方法が提供される。
【0167】
簡潔に説明すると、抗IL-36抗体の組換え産生は、抗体(例えば、本明細書で説明される抗体)をコードする核酸を単離し、さらなるクローニングおよび/または宿主細胞における発現のためにこの核酸を1つまたは複数のベクターに挿入することによって行われる。そのような核酸は、当該技術分野において周知の従来の手順を使用して(例えば、所望の抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離およびシークエンシングされる。抗体をコードするベクターをクローニングまたは発現するのに好適な宿主細胞および培養方法は、当該技術分野において周知であり、原核細胞または真核細胞を含む。典型的に、発現後、抗体を、可溶性画分中の細胞ペーストから単離し、さらに精製してもよい。原核生物に加えて、真核微生物、例えば、糖鎖付加経路が「ヒト化」されており、部分的または完全なヒト糖鎖付加パターンを有する抗体の産生をもたらす真菌株および酵母株を含む、糸状菌または酵母は、抗体をコードするベクターに好適なクローニングまたは発現宿主である[例えば、Gerngross, Nat. Biotech. 22: 1409-1414 (2004)およびLi et al., Nat. Biotech. 24:210-215 (2006)を参照されたい]。
【0168】
また、本開示の糖鎖付加抗IL-36抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物および脊椎動物)に由来してもよい。無脊椎細胞の例には、植物および昆虫細胞が含まれる。昆虫細胞と関連して、特にヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションのために、使用され得る多くのバキュロウイルス株が、特定されている。また、植物細胞培養物は、宿主として利用することができる(例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号および同第7,125,978号を参照されたい)。
【0169】
本開示の抗IL-36抗体の産生に有用な哺乳動物宿主細胞系の例は、DHFR-CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞[例えば、Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980)を参照されたい];骨髄腫細胞系、例えば、Y0、NS0およびSp2/0;SV40によって形質転換されたサル腎臓CVl系(COS-7);ヒト胚腎臓系[例えば、Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977)において説明される293または293細胞];ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ(Sertoli)細胞[例えば、Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)で説明されるTM4細胞];サル腎臓細胞(CVl);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファローラット肝臓細胞[BRL 3A];ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍[MMT 060562];TR1細胞[例えば、Mather et al., Annals N Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)およびUS6,235,498を参照されたい];メディカルリサーチカウンシル5(MRC 5)細胞(例えば、ATCCから入手可能、かつCCL-171とも呼ばれる細胞);ならびに包皮4(FS 4)細胞[例えば、Vilcek et al. Ann. N. Y. Acad. Sci. 284:703-710 (1977)、Gardner & Vilcek. J. Gen. Virol. 44:161-168 (1979)、およびPang et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 77:5341-5345 (1980)を参照されたい]を含む。抗体産生に好適な有用な哺乳動物宿主細胞系の一般的概説については、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp. 255-268 (2003)を参照されたい。
【0170】
V.抗IL-36抗体の医薬組成物および製剤
また、本開示は、抗IL-36抗体を含む医薬組成物および医薬製剤を提供する。一部の実施形態では、本開示は、本明細書で説明される抗IL-36抗体と薬学的に許容される担体とを含む医薬製剤を提供する。一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、医薬組成物の唯一の活性剤である。そのような医薬製剤は、所望の程度の純度を有する抗IL-36抗体を、1つまたは複数の薬学的に許容される担体と混合することによって調製することができる。典型的に、そのような抗体製剤は、水溶液として(例えば、米国特許第6,171,586号およびWO2006/044908を参照されたい)または凍結乾燥製剤として(例えば、米国特許第6,267,958号を参照されたい)調製することができる。
【0171】
また、本明細書で開示される抗IL-36抗体を含む組成物および製剤は、抗IL-36に加えて、製剤が投与される対象において処置される特定の適応症に有用な他の活性成分(すなわち、治療剤)をさらに含有してもよいことが企図される。好ましくは、任意の追加の治療剤は、抗IL-36抗体活性の活性に相補的な活性を有し、それらの活性は、互いに有害に影響を及ぼさない。したがって、一部の実施形態では、本開示は、本明細書で開示される抗IL-36抗体と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供し、IL-36媒介疾患または状態の処置に有用な治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、例えば、疾患適応症ががんである場合、治療剤は、特定のがんに適切な化学療法剤である。一部の実施形態では、組成物中のさらなる治療剤は、IL-1、IL-33、IL-36シグナル伝達経路のアンタゴニストである。
【0172】
一部の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、抗IL-36抗体を唯一の活性剤として含み、抗IL-36抗体は、ヒトIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの各々に、3nM以下の結合親和性により結合する多重特異性抗体であり、結合親和性は、配列番号1のhu-IL-36α、配列番号2のhu-IL-36βおよび配列番号3のhu-IL-36γについての平衡解離定数(KD)によって測定してもよい。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、1つのアームにおいてIL-36αおよび/またはIL-36γについての特異性、ならびに他方のアームにおいてIL-36βについての特異性を含み;1つのアームは、hu-IL-36αおよびhu-IL-36γに、1x10-9M以下、1x10-10M以下、または1x10-11M以下の結合親和性により結合してもよく、他方のアームは、hu-IL-36βに、1x10-9M以下、1x10-10M以下、または1x10-11M以下の結合親和性により結合してもよい。
【0173】
一部の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、ヒトIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの各々に、3nM以下の結合親和性により結合する単一の多重特異性抗体を含み、他の任意の抗IL-36抗体、またはIL-36に結合することができる他の任意の抗体を含まない。
【0174】
薬学的に許容される担体は、一般的に、用いられる投与量および濃度においてレシピエントにとって非毒性である。広範なそのような薬学的に許容される担体は、当該技術分野において周知である[例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)を参照されたい]。本開示の製剤において有用な、例示的な薬学的に許容される担体には、緩衝液、例えば、ホスフェート、シトレートおよび他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化物質;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド;ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジン;グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む単糖、二糖および他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);および/または非イオン性界面活性物質、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0175】
また、本開示の製剤において有用な薬学的に許容される担体は、介在性薬物分散剤、例えば、可溶性中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)(例えば、米国特許公開第2005/0260186号および同第2006/0104968号を参照されたい)、例えば、ヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質[例えば、rHuPH20またはHYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.]を含み得る。
【0176】
追加の治療剤および活性成分は、コロイド薬物デリバリー系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)において、またはマクロエマルションにおいて、例えば、コアセルベーション(coacervation)技法によって、または界面重合によって調製されるマイクロカプセル内に封入され得る[それぞれ、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセル剤およびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル剤]。そのような技法は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)において開示されている。
【0177】
一部の実施形態では、製剤は、抗体および/または他の活性成分の持続放出調製物であってもよい。持続放出調製物の好適な例には、抗体を含有する固形疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、このマトリックスは、成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。
【0178】
典型的に、対象に投与される本開示の製剤は、無菌である。滅菌製剤は、周知の技法を使用して、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって、容易に調製することができる。
【0179】
IV.使用および処置方法
本開示の抗IL-36抗体を含む組成物または製剤のうちのいずれかは、IL-36に特異的に結合し、かつ/またはIL-36の活性を遮断する、特に、IL-36の、サイトカインIL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γによる細胞内シグナル伝達を媒介する能力を遮断する、抗IL-36抗体の能力を利用する任意の方法または使用のために、例えば、治療方法において使用することができることが企図される。IL-36によって媒介される細胞内シグナル伝達経路は、少なくとも、サイトカインアゴニストIL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γによって刺激されるシグナル伝達経路を含む。IL-36媒介シグナル伝達経路の阻害は、本開示の実施例で説明されるHEK-BLUE(商標)レポーター細胞アッセイおよび初代細胞ベースの遮断アッセイを含む、公知の細胞ベースの遮断アッセイを使用してインビトロでアッセイすることができる。
【0180】
IL-36媒介疾患は、IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γを含む、IL-36Rが受容体として作用するIL-1ファミリーのサイトカインの異常な機能と関連付けられる任意の疾患または状態を含み得る。一部の場合、そのような異常な機能は、体液または組織における高レベルのIL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γと関連付けられ、例えば、特定の細胞もしくは組織において通常見出されるレベルを超えるレベルを含んでもよく、またはこれらのサイトカインを通常発現しない細胞もしくは組織における任意の検出可能なレベルであってもよい。典型的に、IL-36媒介状態または疾患は、以下の特徴:(1)状態または疾患と関連付けられる病理が、IL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γの投与によって、ならびに/またはIL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γの発現のアップレギュレーションによって、動物において実験的に誘導することができること;ならびに(2)実験動物モデルにおいて生成された状態または疾患と関連付けられる病理が、IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γの作用を阻害することが公知である薬剤によって阻害することができることを示す。
【0181】
IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γは、炎症促進性サイトカインであることが公知であるが、しかしながら、IL-36Rによって媒介されるこれらのサイトカインによって刺激されるIL-36シグナル伝達経路の異常な機能は、非限定的に、炎症性疾患、自己免疫疾患、呼吸器疾患、代謝障害、感染症およびがんを一般的に含む、広範な疾患および状態と関連付けられることが公知である。例えば、IL-36シグナル伝達の異常な機能と関連付けられる状態および疾患の範囲は、急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、小児膿疱性皮膚症、クローン病、湿疹、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、炎症性腸疾患(IBD)、掌蹠膿疱性乾癬(PPP)、乾癬、乾癬性関節炎、クローン病患者におけるTNF誘導性乾癬型皮膚病変、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎およびブドウ膜炎を含むが、これらに限定されない。
【0182】
IL-36Rを遮断することによってIL-36シグナル伝達経路をターゲティングする薬剤は、非限定的に、以下のもの:GPP、PPPおよび潰瘍性大腸炎を含む、ある範囲の疾患および状態の処置のために臨床開発中である。
【0183】
本開示の抗IL-36抗体を含む組成物または製剤のうちのいずれかは、IL-36シグナル伝達経路の異常な機能と関連付けられる上記に列挙する疾患または状態のうちのいずれかの処置のための方法または使用において使用することができることが企図される。一般的に、これらの状態および疾患には、炎症性疾患、自己免疫疾患、呼吸器疾患、代謝障害、感染症およびがんが含まれるが、これらに限定されない。
【0184】
したがって、一部の実施形態では、本開示の抗IL-36抗体を含む組成物または製剤は、上皮増殖因子受容体阻害剤に起因するざ瘡、ざ瘡および化膿性汗腺炎(PASH)、急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)、皺の無微生物膿疱症、頭皮/脚の無微生物膿疱症、無微生物角層下膿疱症、無菌膿瘍症候群、ベーチェット病、腸バイパス症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、小児膿疱性皮膚症、クローン病、インターロイキン-1受容体アンタゴニストの欠乏(DIRA)、インターロイキン-36受容体アンタゴニストの欠乏(DITRA)、湿疹、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、持久性隆起性紅斑、化膿性汗腺炎、IgA天疱瘡、炎症性腸疾患(IBD)、好中球性脂肪織炎、掌蹠膿疱性乾癬(PPP)、乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬(DIRA、DITRA)、壊疽性膿皮症、化膿性関節炎壊疽性膿皮症およびざ瘡(PAPA)、化膿性関節炎壊疽性膿皮症ざ瘡および化膿性汗腺炎(PAPASH)、リウマチ様好中球性皮膚症、滑膜炎ざ瘡膿疱症骨増殖症および骨炎(SAPHO)、クローン病患者におけるTNF誘導性乾癬型皮膚病変、シェーグレン症候群、スイート症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎ならびにブドウ膜炎から選択される状態または疾患の処置における使用のための方法、治療、医薬、診断または使用において使用することができる。
【0185】
以下の実施例を含む本明細書で開示される通り、本開示の抗IL-36抗体は、IL-36によって媒介される細胞内シグナル伝達を減少、阻害および/または遮断する能力を有する。したがって、一部の実施形態では、本開示は、対象においてIL-36媒介疾患または状態を処置する方法であって、対象に、治療有効量の本開示の抗IL-36抗体を投与すること、またはそれを必要とする対象に、本開示の抗IL-36抗体と薬学的に許容される担体とを含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0186】
本明細書中の別の箇所で開示される通り、本開示の抗IL-36抗体は、IL-36シグナル伝達経路を減少、阻害および/または遮断する能力を有する。したがって、また、本開示は、IL-36シグナル伝達経路の減少、阻害および/または遮断に応答性の疾患および状態を処置する方法を提供する。
【0187】
加えて、本開示の抗IL-36抗体は、アゴニストIL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γによって刺激された細胞内シグナル伝達を減少、阻害および/または遮断する能力を有する。したがって、また、本開示は、アゴニストIL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γによって刺激された細胞内シグナル伝達の減少、阻害および/または遮断に応答性の疾患および状態を処置する方法を提供する。
【0188】
IL-36サイトカイン、IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γを含むIL-1ファミリーサイトカインは、腫瘍形成および多くの型のがんの発症に影響を及ぼす炎症性免疫応答に関与する。したがって、一部の実施形態では、本開示は、対象においてがんを処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本開示の抗IL-36抗体を投与すること、または対象に、本開示の抗IL-36抗体と薬学的に許容される担体とを含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0189】
IL-36シグナル伝達経路は、乾癬と関連付けられている。したがって、一部の実施形態では、本開示は、対象において乾癬を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本開示の抗IL-36抗体を投与すること、または対象に、本開示の抗IL-36抗体と薬学的に許容される担体とを含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0190】
一部の実施形態では、本開示は、IL-36媒介疾患、IL-36シグナル伝達経路媒介疾患、ならびに/またはアゴニストIL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γによって刺激された細胞内シグナル伝達によって媒介される疾患を処置および/または予防する方法を提供する。そのような処置方法の実施形態では、方法は、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書で説明される抗IL-36抗体、または抗IL-36抗体を含む組成物もしくは医薬製剤を投与することを含む。処置方法による抗体、組成物または医薬製剤の投与は、対象において対象をIL-36媒介疾患の進行から保護し、かつ/またはIL-36媒介疾患の進行を処置する抗体誘導性治療効果を提供する。
【0191】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、対象に投与される唯一の活性剤である。抗IL-36抗体が唯一の活性剤である一部の実施形態では、抗IL-36抗体は、ヒトIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの各々に、3nM以下の結合親和性により結合する多重特異性抗体である。単一の抗IL-36抗体を唯一の活性剤として使用するそのような方法は、多数の抗IL-36抗体(例えば、IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γに結合する2つ以上の異なる抗体の混合物を含む組成物)および/または他の抗原に結合する他の抗体の使用を必要とする方法に優る利点を提供する。単一の抗体により全ての3種のIL-36抗原に結合する能力は、単一用量または複数用量の単一の組成物または製剤を含む、単一の組成物または製剤の、対象への投与を可能にする。加えて、多重特異性抗体を使用して投与される用量の数は、多数の異なる抗IL-36抗体、または抗IL-36および/もしくは他の抗体の混合物を投与する場合よりも少ないことが企図される。
【0192】
一部の実施形態では、処置方法は、IL-36媒介疾患または状態を予防および/または処置するための当業者に公知の1つまたは複数の追加の治療剤または処置の投与をさらに含み得る。1つまたは複数の追加の薬剤の投与を含むそのような方法は、組み合わせた投与(2つ以上の治療剤が、同じ、または別々の製剤に含まれる)および別々の投与を包含することがあり、別々の投与の場合、抗体組成物または製剤の投与は、追加の治療剤の投与の前、同時、および/または後に起こり得る。
【0193】
本開示の処置方法の一部の実施形態では、抗IL-36抗体または抗IL-36抗体を含む医薬製剤は、薬剤を全身的に、または所望の標的組織にデリバリーする任意の投与様式によって対象に投与される。全身性投与は、一般的に、抗体またはその製剤が、対象の循環系に入り、したがって、代謝および他の同様のプロセスに供されるような、所望の標的部位、組織または器官への直接の投与以外の部位における抗体の対象への任意の投与様式を指す。
【0194】
したがって、本開示の処置方法において有用な投与様式には、注射、点滴、滴下注入および吸入が含まれ得るが、これらに限定されない。注射による投与には、静脈内、筋内、動脈内、くも膜下腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、脳脊髄内ならびに胸骨内注射および点滴が含まれ得る。
【0195】
一部の実施形態では、抗IL-36抗体の医薬製剤は、抗体が、腸における不活性化から保護されるように製剤化される。したがって、処置方法は、製剤の経口投与を含み得る。
【0196】
一部の実施形態では、また、本開示の抗IL-36抗体を含む組成物または製剤の医薬としての使用が提供される。加えて、一部の実施形態では、また、本開示は、医薬、特に、IL-36媒介疾患を処置、予防または阻害するための医薬の製造または調製における、抗IL-36抗体を含む組成物または製剤の使用を提供する。さらなる実施形態では、医薬は、IL-36媒介疾患を有する個体に、有効量の医薬を投与することを含む、IL-36媒介疾患を処置、予防または阻害するための方法における使用のためのものである。
【0197】
一部の実施形態では、医薬として、または医薬の調製において有用な組成物および製剤は、抗IL-36抗体を唯一の活性剤として含む。一部の実施形態では、医薬として、または医薬の調製において有用な抗IL-36抗体は、ヒトIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの各々に、3nM以下の結合親和性により結合する多重特異性抗体である。そのような実施形態では、医薬における、または医薬の調製における単一の多重特異性抗IL-36抗体の唯一の活性剤としての使用は、多数の抗IL-36または他の抗体を必要とする使用に優る、明確な利点を提供する。IL-36α、IL-36βおよびIL-36γについての結合特異性を含む単一の多重特異性抗IL-36抗体の使用は、単一の活性剤のみが、使用される組成物または製剤に含まれるので、単純化された使用を可能にする。
【0198】
ある特定の実施形態では、医薬は、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤または処置をさらに含む。
【0199】
さらなる実施形態では、医薬は、対象に、IL-36媒介疾患を処置、阻害または予防するための有効量の医薬を投与することを含む、対象においてIL-36媒介疾患を処置、阻害または予防することにおける使用のためのものである。
【0200】
IL-36媒介疾患または状態の予防または処置のために、本開示の組成物および製剤中に含有される抗IL-36抗体の適切な投与量(単独で、または1つもしくは複数の他の追加の治療剤と併用して使用される場合)は、処置される特定の疾患または状態、疾患の重症度および過程、抗体が予防目的のために投与されるか、治療目的のために投与されるか、患者に投与された以前の治療、患者の病歴および抗体への応答、ならびに主治医の裁量に依存する。本明細書で説明される組成物および製剤中に含まれる抗IL-36抗体は、患者に一度に、または一連の処置にわたり好適に投与してもよい。非限定的に、単回投与または様々な時点にわたる多数回投与、ボーラス投与、およびパルス点滴を含む、様々な投薬スケジュールが、本明細書で企図される。
【0201】
疾患の種類および重症度に依存して、本開示の製剤中の約1μg/kg~15mg/kgの抗IL-36抗体が、例えば、1つまたは複数の別々の投与によるか、連続点滴によるかにかかわらず、ヒト対象への投与のための最初の候補投与量である。一般的に、投与される抗体の投与量は、約0.05mg/kg~約10mg/kgの範囲内であり得る。一部の実施形態では、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kgまたは10mg/kg(またはそれらの任意の組合せ)の1つまたは複数の用量が、患者に投与され得る。
【0202】
投与量の投与は、対象の状態に依存して、数日またはそれよりも長くにわたり維持してもよく、例えば、投与は、IL-36媒介疾患が、当該技術分野において公知の方法によって決定されて、十分に処置されるまで、継続してもよい。一部の実施形態では、最初のより高いロード用量が投与され、続いて1つまたは複数のより低い用量が投与されてもよい。しかしながら、他の投与量レジメンは有用であり得る。投与量投与の治療効果の進行は、従来型技法およびアッセイによってモニターすることができる。
【0203】
したがって、本開示の方法の一部の実施形態では、抗IL-36抗体の投与は、約1mg/kg~約100mg/kgの毎日の投与量を含む。一部の実施形態では、抗IL-36抗体の投与量は、少なくとも約1mg/kg、少なくとも約5mg/kg、少なくとも約10mg/kg、少なくとも約20mg/kg、または少なくとも約30mg/kgの毎日の投与量を含む。
【0204】
加えて、本開示の抗IL-36抗体は、IL-36の検出のためのアッセイ方法において使用され得る。ヒトIL-36に高親和性により結合する本明細書で開示される抗IL-36抗体の能力のために、抗IL-36抗体は、広範なアッセイ方法および形式に適切である。抗IL-36抗体は、IL-36の検出および定量のための、公知の任意のアッセイ方法、例えば、競合的結合アッセイ、直接および間接的サンドウィッチアッセイ、免疫沈降アッセイならびに酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)において用いることができることが企図される(Sola, 1987, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp. 147-158, CRC Press, Inc.を参照されたい)。したがって、一部の実施形態では、本開示は、生物試料中のIL-36のレベルを検出するための方法であって、試料を本明細書で開示される抗IL-36抗体と接触させる工程を含む方法を提供する。さらに、一部の実施形態では、生物試料中のIL-36のレベルを検出する方法は、生物試料、例えば、ヒト対象からの生物試料においてIL-36媒介状態または疾患を検出および/または診断するために使用することができることが企図される。
【実施例】
【0205】
本開示の様々な特色および実施形態は、以下の代表的な実施例において例示され、代表的な実施例は、例示であることが意図され、限定であるとは意図されない。当業者は、特定の実施例は、後続の特許請求の範囲においてより完全に説明される通り、単に本発明の例示であることを容易に理解する。本出願において説明されるどの実施形態および特色も、含有されるどの実施形態とも互換的かつ組合せ可能であることが理解されるべきである。
【実施例1】
【0206】
IL-36ポリペプチドの生成
本実施例は、本開示の抗IL-36抗体を誘発およびスクリーニングすることにおいて抗原として使用される様々なIL-36ポリペプチドコンストラクトの調製を例示する。
【0207】
ヒトIL-36α、IL-36β、IL-36γ、IL-36Ra(hu-IL-36α、hu-IL-36β、hu-IL-36γ、hu-IL-36Ra)およびカニクイザルIL-36α、IL-36β、IL-36γ(cy-IL-36α、cy-IL-36β、cy-IL-36γ)の活性化N末端切断型を、Towne et al., (2011)における情報に基づいて組換え産生した。発現コンストラクトのアミノ酸配列境界を、上記の表1および付属の配列表に示す。組換えIL-36αおよびIL-36βポリペプチドコンストラクトの全ては、精製目的のためのN末端「12xHis-SUMO」タグ(配列番号8)を有した。IL-36γのコンストラクトは、精製目的のための以下の「12xHis-TEV」N末端タグ:HHHHHHHHHHHHENLYFQS(配列番号9)を有した。IL-36Raのコンストラクトは、精製目的のための以下のC末端「GS-TEV-GS-huIgG1Fc-FLAG」タグ(配列番号12)、および哺乳動物細胞発現のためのN末端分泌シグナル配列:MGWSCIILFLVATATGVHS(配列番号11)を有した。本明細書中の別の箇所で示される通り、一部の適用について、IL-36コンストラクトは、検出または捕捉目的のための以下のC末端「GS-AviTag」(IL-36-Avi):GGGGSGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号10)を含んだ。
【0208】
IL-36コンストラクトタンパク質を、One Shot BL21(DE3)化学的コンピテント・イー・コリ(Thermo Fisher、Waltham、MA、米国)において、製造業者のプロトコールに従って発現させた。標準のIPTG(1mM)誘導プロトコールを、カナマイシン(25μg/mL)選択を伴うLBブロス中で行った。誘導後、細胞を25℃で20~24時間増殖させ、ペレットとして採取した。リゾチーム(100μg/mL)およびプロテアーゼ阻害剤中での標準の超音波手順を行って、イー・コリペレットから可溶性タンパク質を抽出した。清澄な上清を、20mMイミダゾール(pH7.5)で補完し、20mM Tris-HCl、150mM NaCl(TBS)、20mMイミダゾール(pH7.5)中で平衡化したHisTrap FFクルード(crude)カラム(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)に適用した。タンパク質を、100%TBS、500mMイミダゾール(pH7.5)への10CV勾配により溶出した。His-SUMOプロテアーゼ(Thermo Fisher、Waltham、MA、米国)またはHis-TEVプロテアーゼ(ATUM、Newark、CA、米国)のいずれかによって製造業者のプロトコールに従って、以下の改変を伴って、N末端融合タグを切断した後、IL-36タンパク質コンストラクトの成熟型が生成された:SUMOプロテアーゼを、10mM DTTにより5分間事前処理し、その後、10mM DTTを伴うTBS(pH7.5)を含有する、25℃で18~24時間の反応物において使用した(1μgの基質につき約0.02ユニット);TEVプロテアーゼを、25℃で2時間の反応において使用した(50μg/mL)。プロテアーゼ処理後、HisTrap FFカラムを使用して親和性精製を行って、切断されたタグを除去し、素通り画分を保持し、その後、Superdex 75インクリーズ(increase)カラム(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)上にロードした。単量体タンパク質を含有するピーク画分をプールし、25mM HEPES、150mM NaCl(HBS)、pH7.5、0.02%NaN3中に保存した。
【0209】
C末端Fc融合IL-36Raタンパク質を、Expi293F細胞(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、米国)において製造業者のプロトコールに従って発現させた。細胞を6日後に採取し、清澄な上清を、TBS中で平衡化したMabSelect SuReカラム(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)に適用した。タンパク質を、20mMシトレート(pH2.95)、150mM NaCl(CBS)中に溶出し、1/25容量の1.5M Tris-HCl(pH8.8)により即座に中和した。C末端Fcタグを、His-TEVプロテアーゼを以前に説明したように使用して除去し、続いて、HisTrap FFとMabSelect SuReカラムとの組合せを使用して親和性精製して、精製タグおよびHis-TEVプロテアーゼを除去した。次なる、素通り画分の精製を、以前にIL-36タンパク質について説明したように進めた。
【0210】
一部の適用について、IL-36タンパク質を、ランダムに、または部位特異的にビオチニル化した。IL-36タンパク質のランダムビオチニル化のために、NHS-PEG4-ビオチン(Thermo Fisher、Waltham、MA、米国)を製造業者の説明書に従って使用した。IL-36-Aviタンパク質の部位特異的ビオチニル化のために、イー・コリを、IL-36-AviとBirAビオチンリガーゼとを発現するプラスミド(Avidity、Aurora、CO製、米国のpBirAcmプラスミド)により共形質転換した。開始培養工程中にクロラムフェニコール(10ug/mL)の添加を伴って、IPTG誘導を以前に説明されるように行い、インビボビオチニル化のための誘導工程中のBirA遺伝子および50uM d-ビオチンによる二重選択を行った。
【実施例2】
【0211】
酵母ディスプレイ法を使用する抗ヒトIL-36抗体の生成、スクリーニングおよびさらなる特徴付けのための選択
酵母ディスプレイによる抗hu-IL-36抗体の選択
ヒトIL-36α(BioLegend)、ヒトIL-36β(Novus)およびヒトIL-36γ(Novus)の市販品を、N末端切断(活性)型として得た。酵母選択およびスクリーニング目的のために、これらのIL-36タンパク質を、NHS-PEG4-ビオチン(Pierce)を使用してビオチニル化するか、またはNHS-4xPEG-Dylight-650(Thermo Scientific)を使用してDyLight-650により、製造業者のプロトコールに従って1~3:1の標識:タンパク質の比を目標にして標識化した。
【0212】
酵母の表面上にディスプレイしたヒト抗体ライブラリー(米国特許第10,011,829号)を使用して、hu-IL-36を認識する抗体を生成した。米国特許第10,011,829号(これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる)で説明される方法に従って、酵母ディスプレイライブラリーを生成して、5つのVH、4つのVκおよび1つのVλ遺伝子セグメントに基づくFab断片をディスプレイした。CDRにおけるアミノ酸多様性を改善し、一方で、抗体フレームワーク領域における生殖系配列を保持するために、25個のサブライブラリーを合理的に設計した。操作したCDRにおけるアミノ酸利用は、350,000個を超える天然に存在するヒト抗体クローンによるディープシークエンシングデータセットから生成したヒト抗体データベースにおけるそれらの可変領域サブファミリーについて観察されるアミノ酸利用に適合した。ライブラリーを、hu-IL-36を結合することができる抗体を特定するために使用するための方法は、富化またはソーティングプロセスから採取したライブラリーまたは酵母細胞を増幅すること、および抗原によるFACSソーティングのための酵母の表面上の抗体発現の誘導のための方法を含み、米国特許第10,011,829号で説明されるように行った。
【0213】
異なるVH-VκまたはVH-Vλの組合せに基づく個々のライブラリーからなるマスターヒト抗体ライブラリーを、2つのプール(ライブラリー1~13およびライブラリー14~25)に分けて、磁気活性化細胞ソーティング(MACS)によるhu-IL-36を認識するクローンについての効率的な初期富化を可能にした。ライブラリーを、元のライブラリータイターの3倍まで増殖させ、酵母を、2%ガラクトースを含有する誘導培地により20℃で増殖させることによって抗体発現について誘導した。3回のMACSを行い、各回から採取した細胞を、採取した酵母細胞の数の10倍が次の回のMACSに使用されるように、増幅した。
【0214】
MACS選択のために、ビオチニル化hu-IL-36α、hu-IL-36βおよびhu-IL-36γタンパク質を、共にプールした。逐次的な3回のMACS富化において、各ライブラリー酵母細胞プールを、それぞれ300nMのビオチニル化hu-IL-36α、hu-IL-36βおよびhu-IL-36γと共にインキュベートした。4℃において回転しながら2時間インキュベートした後、細胞を洗浄し、3mLのストレプトアビジンコーティングした磁気ビーズ(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)を、各プールに添加した。4℃において回転しながら1時間インキュベートした後、抗原結合細胞を、LSカラム(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)を使用して磁気活性化ビーズソーティングによってソーティングした。2つのライブラリープールから採取した細胞を、収集し、プールし、10倍に一晩増幅し、その後、第2のMACS選択に供し、これは、バキュロウイルスおよびストレプトアビジンコーティングしたビーズによる事前除去のための枯渇、ならびにその後、残りの酵母細胞を、300nMの3種のビオチニル化hu-IL-36サイトカインの各々とインキュベートすることを含んだ。第3回のMACSから採取した入力プールのパーセントは、9.7%であった。
【0215】
hu-IL-36タンパク質についての高親和性酵母クローンを特定するためのFACSソーティング実験を行う前に、非特異的結合を最小限にするために、異なる結合緩衝液を試験した。hu-IL-36αおよびhu-IL-36βのための最も優れた結合緩衝液は、0.5%ウシ血清アルブミン(VWR Life Science、Radnor、PA、米国)を含有するPBSであり、一方で、hu-IL-36γによる実験は、バックグラウンド結合を最小限にするために濾過済み可溶化5%粉乳(LabScientific、Highlands、NJ、米国)を含有するPBSを必要とした。
【0216】
選択された結合緩衝液を含有する別々のアリコート中の150nMの各PEG4-ビオチン-IL-36サイトカインを使用して、かつストレプトアビジン-PEを二次検出試薬として使用して、FACS1を行った。抗原陽性細胞を収集し、10倍増幅し、PEG-Dylight-650により標識したhu-IL-36タンパク質およびFACS1と同じ緩衝液条件を使用する追加の2回のFACS(FACS2およびFACS3)に使用した。FACS3において採取した抗原陽性細胞のパーセントは、hu-IL-36αについて2.3%、hu-IL-36βについて1.0%、およびhu-IL-36γについて11.4%であった。最も高い蛍光強度平均値を有する抗原陽性細胞の0.2%を播き、個々のクローンを選択して、深型ウェルプレートに入れ、誘導培地により48時間培養して、Fab断片の培養上清への分泌を誘導した。酵母培養物を採取し、細胞を遠心分離によって除去し、その後、Fab含有上清を、ELISAによりそれらの各々の抗原への結合活性について試験した。
【0217】
酵母培養上清によるELISAのために、96ウェルELISAプレートを、250ng/ウェルのニュートラアビジン(neutravidin)によりコーティングし、0.5%BSAを含有するPBS(「ブロッキング緩衝液」)によりブロックし、その後、1ウェルにつき250ngのビオチニル化hu-IL-36α、hu-IL-36βまたはhu-IL-36γを添加した。洗浄後、20μLの培養培地および30μLのブロッキング緩衝液を添加し、プレートを室温で1時間揺らしながらインキュベートし、洗浄し、結合したFabを抗ヒト-Fab HRPにより検出した。これらの単一のサイトカインソーティングからのクローンの大多数は、この一次ELISAにおいてそれらが選択されたhu-IL-36サイトカインへの結合活性を示した。全ての3種のhu-IL-36サイトカインについての結合親和性を試験する二次ELISAにおいて、hu-IL-36αおよびhu-IL-36γの両方に結合する(が、hu-IL-36βには結合しない)クローンが観察された。それゆえ、2回のFACSソーティング策を遂行して、hu-IL-36α/γ-交差反応性クローンを特定した。
【0218】
hu-IL-36α/hu-IL-36γ-交差反応性抗体の特定および選択
hu-IL-36αおよびhu-IL-36γの両方を認識することができるクローンを選択するために使用された第1のソーティング策において、150nM PEG-Dylight-650-huIL-36αによるFACS3において得られた細胞(2.3%抗原陽性)を、10倍増幅し、100nM PEG4-ビオチン-IL-36αによりソーティングし、15.5%の抗原陽性細胞を得た(FACS4)。これらの細胞を増幅し、100nM PEG-Dylight-650-huIL-36γにより染色し、29.1%の抗原陽性細胞を得た(FACS5AG)。FACS5AGにおいて回収した細胞を、10倍増幅し、10nM PEG-Dylight-650-huIL-36γおよび10nM PEG4-ビオチン-IL-36α(ストレプトアビジン-PEにより検出される)により染色し、7.3%のIL-36α/γ二重陽性細胞を得た(FACS6AG)。FACS6AGにおいて回収した細胞を、10倍増幅し、10nM PEG-Dylight-650-huIL-36αおよび10nM PEG4-ビオチン-IL-36γ(ストレプトアビジン-PEにより検出される)により染色し、1.0%のIL-36α/γ二重陽性細胞を得た(FACS7AG)。
【0219】
hu-IL-36αおよびhu-IL-36γの両方を認識することができるクローンを選択するために使用された第2のソーティング策において、150nM PEG-Dylight-650-huIL-36γによるFACS3において得られた細胞(11.4%抗原陽性)を、10倍増幅し、100nM PEG4-ビオチン-IL-36αによりソーティングし、抗原陽性細胞を選択した(FACS4GA)。これらの細胞を増幅し、100nM PEG-Dylight-650-huIL-36αおよび100nM PEG4-ビオチン-IL-36γ(ストレプトアビジン-PEにより検出される)により染色し、1.0%のIL-36α/γ二重陽性細胞を得た(FACS5GA)。FACS5GAにおいて回収した細胞を、10倍増幅し、100nM PEG4-ビオチン-huIL-36α(ストレプトアビジン-PEにより検出される)および100nM PEG-Dylight-650-huIL-36γにより染色し、8.0%のIL-36α/γ二重陽性細胞を得た(RFACS6GA)。RFACS6GAにおいて回収した細胞を、10倍増幅し、100nM PEG-Dylight-650-huIL-36αおよび100nM PEG4-ビオチン-IL-36γ(ストレプトアビジン-PEにより検出される)で染色し、1.3%のIL-36α/γ二重陽性細胞を得た(RFACS7GA)。
【0220】
最も高い蛍光強度平均値を有するFACS7AGおよびRFACS7GAからのIL-36α/γ二重陽性細胞の0.2%を播き、個々のクローンを選択し、培養し、その後、Fab含有上清を、上記に説明される通り、ELISAによって、hu-IL-36αおよびhu-IL-36γへの結合活性について試験した。hu-IL-36αおよびhu-IL-36γの両方に結合する87個のクローンを、シークエンシングに選択した。
【0221】
選択した酵母クローンについての抗体配列を得るために、酵母クローンからプラスミドDNAを抽出し、酵母プロモーター領域に結合するフォワードプライマーと、重鎖についてヒトIgG1-CH1領域の定常領域および軽鎖についてカッパまたはラムダ鎖の定常領域に結合するリバースプライマーとを使用するPCRに使用した。その後、PCR産物を、PCR反応に使用したのと同じプライマーを使用して、サンガー(Sanger)シークエンシングによってシークエンシングした。
【0222】
87個のhu-IL-36α/γ交差反応性クローンは、配列によって30個の独特なクローンを示した。
【0223】
hu-IL-36β反応性抗体の特定および選択
hu-IL-36βを認識することができるクローンを選択するために使用されたソーティング策において、150nM PEG-Dylight-650-huIL-36βによるFACS3において得られた細胞(1.0%抗原陽性)を、10倍増幅し、100nM PEG4-ビオチン-IL-36βによりソーティングし、ストレプトアビジン-PEにより検出し、13.1%の抗原陽性細胞を得た(FACS4B)。これらの細胞を増幅し、20nM PEG-Dylight-650-huIL-36βにより染色し、5.8%のIL-36β陽性細胞を得た(FACS5B)。
【0224】
最も高い蛍光強度平均値を有するFACS5BからのIL-36β陽性細胞の0.2%を播き、個々のクローンを選択し、培養し、その後、Fab含有上清を、上記に説明される通り、ELISAによって、それらの各々の抗原への結合活性について試験した。このソーティングからのクローンの大多数は、IL-36βへの結合活性を示した。
【0225】
全部で83個のIL36BS7クローンを、上記に説明されるようにシークエンシングし、8個の独特なクローンを得た。
【0226】
B.抗hu-IL-36抗体を含有する酵母細胞上清のインビトロスクリーニング
目的の酵母クローンからの細胞上清を、上記に説明される通り、ELISAによってヒトIL-36への結合について試験した。これらの上清のヒトおよびカニクイザルIL-36への結合を比較するために、IL-36タンパク質により、96ウェルNunc MaxiSorpプレート(Thermo Fisher)を2.5μg/mLでコーティングし、プレートをPBS中の5%ヤギ血清によりブロックした。酵母上清を、1%w/v BSAを含有するPBSTにより1:1希釈し、ELISAプレートに攪拌しながら1~1.5時間添加した。プレートをF(ab’)2-HRP(Jackson ImmunoResearch)を伴ってインキュベートすることによって、結合したFabを検出した。ELISAを、50μL/ウェルのテトラメチルベンジジン(TMB)マイクロウェルペルオキシダーゼ基質(Scytek Laboratories,Inc.、Logan、UT、米国)の添加によって3~10分間現像し、酵素による発色現像を、50μL/ウェルの2N H2SO4(Sigma-Aldrich Corporation、St.Louis、MO、米国)による酸化によって停止した。450nmの波長(OD450)における試料の光学密度を、SpectraMax i3Xプレートリーダー(Molecular Devices LLC、San Jose、CA、米国)により解析した。このアッセイにおける各クローンの、カニクイザルIL-36およびヒトIL-36についての相対的親和性を見積もるために、OD450の比(OD450cyIL-36/OD450huIL-36)を各クローンおよびIL-36サイトカインについて計算した。8つの抗IL-36Fabクローン(mAb1.0~mAb8.0)をさらなる特徴付けのために選択し、結果を表3に示す。
【0227】
【0228】
C.Fab上清の遮断効力を決定するための細胞ベースのアッセイ
本実施例および以下の実施例において説明されるHEK-Blue細胞系は、HEK-293細胞系(ヒト胚腎臓上皮細胞)を元の親系統として使用する。HEK-Blue IL-1/IL-33センサー細胞を、InvivoGen(InvivoGen、San Diego、CA、米国;カタログ番号hkb-il33)から得た。これらのIL-1/IL-33センサー細胞は、HEK-Blue IL-1βセンサー細胞(InvivoGen;カタログ番号hkb-il1b)の、IL-33受容体ST2を発現するヒトST2遺伝子による安定なトランスフェクションによって生成された。HEK-Blue IL-1β細胞は、NF-κB/AP-1 SEAP(分泌性胚性アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子を発現し、不活性化TNF-α応答を含有して、SEAP産生がIL-1またはIL-33経路活性化の表示であることを確実にする。HEK-Blue IL-1/IL-33応答細胞は、製造業者のガイドラインに従って維持した。簡潔に説明すると、細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)(Atlanta Biologicals,Inc.、Flowery Branch、GA、米国)、100IU/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンで補完したDMEM(Corning,Inc.、Corning、NY、米国)からなる標準の増殖培地中で維持した。増殖培地を、SEAPをコードするプラスミドを維持するための100μg/mLゼオシン(zeocin)、IL-1特異性を維持するための200μg/mLハイグロマイシンB、およびST2をコードするプラスミドを維持するための100μg/mLブラストサイジンでさらに補完した。IL-36受容体をコードする、ヒトIL1RL2遺伝子を含有するプラスミドは、AvantGenによって生成された(特別注文)。HEK-Blue IL-1/IL-33センサー細胞を、LyoVec(InvivoGen)を使用して製造業者のガイドラインに従って一過性にトランスフェクトした。簡潔に説明すると、LyoVec-DNA複合体を、標準の増殖培地中に懸濁した細胞に、トランスフェクション24時間後に最低で80%のコンフルエンシーを産生し得る濃度において直接添加し、96ウェル平底プレートに即座に播いた。トランスフェクション24時間後、細胞を、標準のHEK-Blue SEAPアッセイ内で使用した。
【0229】
連続希釈系列からなるアゴニスト用量応答曲線を生成して、アッセイにおいて使用されるアゴニストの最大半量の有効濃度(EC50)の見積もりを得た。以下の市販のヒトサイトカイン:IL-36α(BioLegend)、IL-36β(Novus Biologicals)およびIL-36γ(Novus Biologicals)を、一部のHEK-Blueアッセイにおいてアゴニストとして使用した。実験使用の24時間前に、一過性にトランスフェクトした細胞を、96ウェル平底プレートに、使用時に最低で80%のコンフルエンシーをもたらす濃度において播いた。所望のアゴニストを、細胞に、最終容量が200μLになるように添加し、細胞を37℃において5%CO2にて24時間インキュベートした。SEAP産生を、SEAP検出アッセイを使用して定量した。SEAP検出媒体QUANTI-Blue(InvivoGen)を使用して、示される様々な条件内で、かつ製造業者の一般ガイドラインに従ってSEAPのレベルを決定した。特に、20μLの細胞培養上清(アゴニスト添加24時間後に収集した)を、130μLのQUANTI-Blue検出媒体に添加した。反応を、37℃において1時間進行させ、この点で、SpectraMax(Molecular Devices)分光光度計を、SoftMax Proソフトウェア(Molecular Devices)と共に使用して、650nmの波長の吸光度を測定した。生アッセイデータを、GraphPad Prism 7ソフトウェアを使用して解析して、アッセイにおけるアゴニストEC50値の非線形回帰決定を行った。
【0230】
酵母細胞培養上清(SN)中の非精製抗hu-IL-36Fab断片のHEK-Blue SEAPアッセイを、上記に説明される通りであるが、以下の改変を伴って行った。抗hu-IL-36Fab断片を含有する非精製酵母細胞培養物SNを、20倍濃縮し、HEK-Blue SEAPアッセイにおけるバックグラウンドノイズを低減するためにPBSに緩衝液交換した(1:20)。40μLのPBS、および抗hu-IL-36Fab断片を含有する10μLの濃縮および緩衝液交換した酵母細胞培養物SNを、IL-36RをトランスフェクトしたHEK-Blue IL-1/IL-33細胞に添加した。細胞および抗体含有ハイブリドーマ細胞培養物SNを、37℃において5%CO2にて1時間インキュベートした。1時間の抗体インキュベーション後、アゴニストを、所望の濃度の4倍で、かつ200μLの全容量内で最終的な所望の濃度の1倍をもたらすように、細胞および抗体を含有するウェルに添加した。試料(この場合、抗hu-IL-36抗体含有酵母細胞培養物SN)から得た吸光度値の、陽性対照(無関係のFabを含有する酵母細胞培養物SNの存在下においてのみアゴニストに曝露した細胞)に関する比を決定し、この比を100倍することによって、阻害パーセントを計算した。
【0231】
さらなる特徴付けのために選択した8つの抗IL-36Fabクローン(mAb1.0~mAb8.0)についての結果を、以下の表4に示す。また、選択したクローンの配列を、表2および付属の配列表において開示する。
【0232】
【0233】
表3および4において要約される、抗体の観察された結合および遮断活性に基づいて、IL-36α/IL-36γ交差反応性抗体のうちの5つ(mAb1.0~mAb5.0)、およびIL-36β反応性抗体のうちの3つ(mAb6.0~mAb8.0)を、さらなる特徴付けのために、組換えヒトIgG1および切断型Fab断片として産生した。製造業者の説明書に従って、IgGを、Expi293またはExpiCHO細胞(Thermo Fisher Scientific)における、それらの重鎖および軽鎖をコードする哺乳動物発現プラスミドの一過性コトランスフェクションによって産生した。細胞を5~7日後に採取し、清澄な上清を、TBS中で平衡化したMabSelect SuReカラム(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)に適用した。タンパク質を20mMシトレート(pH2.95)、150mM NaCl(CBS)中で溶出し、1/25容量の1.5M Tris-HCl(pH 8.8)により即座に中和した。Fab断片を、lysyl-C(Wako Chemicals)切断によって産生した。簡潔に説明すると、Lysyl-C切断を、100mM Tris(pH 8.0)を含有するPBS中で37℃において穏やかに攪拌しながら1時間行い、反応を50mM酢酸ナトリウム(pH5.2)中へ10倍希釈することによって停止させた。試料を、10mM酢酸ナトリウム(pH5.2)中で平衡化したSP-HPカチオン交換カラム(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)に適用し、100%10mM酢酸ナトリウム(pH5.2)、1M NaClへの30カラム容量勾配により溶出することによって、Fab断片を精製した。Fabを含有する画分をプールし、濃縮し、PBSに緩衝液交換した。
【0234】
D.選択した抗IL-36抗体の結合速度論解析
BIACORE(商標)8K機器(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)を使用して、表面プラズモン共鳴(SPR)解析を使用して、精製したmAb2.0 Fabのhu-IL-36αおよびhu-IL-36γについての結合親和性;ならびに精製したmAb6.0 Fabのhu-IL-36βについての結合親和性を決定した。簡潔に説明すると、Biotin CAPture試薬(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)の、HBS-EP緩衝液(GE Healthcare、Chicago、IL、米国;0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005%界面活性剤P20)への1:4希釈液を、CAPセンサーチップに2μL/分の流速において適用した。速度論測定のために、12.5nMのビオチニル化hu-IL-36αおよびhu-IL-36γ;6nMのビオチニル化hu-IL-36βを、10μL/分で捕捉して、第2のフローセル(FC2)における25~40応答単位を達成した。FC1を標準として維持した。次に、低(0.78nMのmAb2.0 Fab、1.56nMのmAb6.0 Fab)~高(100nMのmAb2.0 Fab、200nMのmAb6.0 Fab)の、HBS-P緩衝液(GE Healthcare、Chicago、IL、米国;0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、0.005%界面活性剤P20)中のFabタンパク質の2倍連続希釈液を、25℃または37℃のいずれかにおいて注入した(流速:30μL/分)。センサー図を記録し、標準および緩衝液減算に供し、その後、BIACORE(登録商標)8K評価ソフトウェア(GE Healthcare、Chicago、IL、米国;第1.1.1.7442版)によりデータ解析した。会合速度(kon)および解離速度(koff)を、単純な1対1ラングミュア(Langmuir)結合モデルを使用して計算した。平衡解離定数(KD)を、koff/konの比として計算した。
【0235】
mAb2.0 FabおよびmAb6.0 FabについてのBiacore親和性結果を、以下の表5に要約する。
【0236】
【0237】
E.細胞ベースのアッセイにおける組換え抗IL-36抗体の機能活性
HEK Blueレポーターアッセイにおける抗体のhu-IL-36遮断活性
8つの親酵母クローンに由来する組換え抗hu-IL-36抗体、mAb1.0~mAb8.0を、IL-36受容体、IL1RL2を一過性にトランスフェクトしたHEK-Blue IL-1/IL-33センサー細胞を使用して、IL1RL2/IL1RAP経路のhu-IL-36α、hu-IL-36βおよびhu-IL-36γ媒介活性化を遮断する抗体の能力を決定するために試験した。
【0238】
組換え抗hu-IL-36抗体を使用するHEK-Blue SEAPアッセイを、酵母細胞培養物SNについて上記に説明されるアッセイと同様に行った。簡潔に説明すると、抗体を、標準の増殖培地内でアゴニストの非存在下において、細胞と37℃で5%CO2にて1時間インキュベートした。1時間のインキュベーション後、見積もったEC50濃度の所望のアゴニストを、最終容量が200μLになるように添加し、実験をさらに24時間進めた。陰性対照(NC)は、増殖培地のみに曝露された細胞を表し、一方で、陽性対照(PC)は、アゴニストのみ(アンタゴニスト抗体または対照抗体の非存在下において)に曝露された細胞を表す。
【0239】
抗体(以下の実施例で説明されるFabを含む)の最大半量の阻害濃度(IC50)を決定するために、7点連続希釈系列(示される濃度で開始して)を使用した。本明細書で説明されるアゴニスト用量応答曲線と同様に、GraphPad Prism 7ソフトウェアを使用して非線形回帰解析を行って、アッセイ結果からIC50値を決定した。
【0240】
hu-IL-36α(配列番号1)、hu-IL-36β(配列番号2)およびhu-IL-36γ(配列番号3)を、以下のHEK-Blueアッセイにおいてアゴニストとして使用した。用量応答を、mAbの全てについて行った。これらのHEK Blueアッセイの結果を、以下の表6に示す。
【0241】
【0242】
表6のHEK Blueアッセイ結果によって示される通り、試験した全ての抗体のうち、mAb2.0は、hu-IL-36αおよびhu-IL-36γの両方について最も強力な遮断活性を実証し、一方で、mAb6.0は、hu-IL-36βについて強力な遮断活性を実証した。
【0243】
HEK Blueレポーターアッセイにおける抗体のcy-IL-36遮断活性
組換え抗hu-IL-36抗体mAb2.0およびmAb6.0を、ヒトIL-36受容体IL1RL2を一過性にトランスフェクトしたHEK-Blue IL-1/IL-33センサー細胞を使用して、IL1RL2/IL1RAP経路のカニクイザルIL-36(cy-IL-36α、cy-IL-36βおよびcy-IL-36γ)媒介活性化を遮断する抗体の能力を決定するために試験した。カニクイザルIL-36を使用して行ったHEK-Blue SEAPアッセイは、ヒトIL-36サイトカインについて上記に説明されるアッセイと同様に行った。cy-IL-36α、cy-IL-36βおよびcy-IL-36γを、このHEK-Blueアッセイにおいてアゴニストとして使用した。12点連続希釈系列からなるアゴニスト用量応答曲線を生成して、ヒトIL1RL2/IL1RAP経路を通したcy-IL-36サイトカインの強力なシグナル伝達を実証し、アッセイにおいて使用されるアゴニストの最大半量の有効濃度(EC50)の見積もりを得た。抗体の最大半量の阻害濃度(IC50)を決定するために、11点連続希釈系列を使用した。以前に挙げるアゴニスト用量応答曲線と同様に、GraphPad Prism 7ソフトウェアを使用して非線形回帰解析を行って、アッセイ結果からIC50値を決定した。用量応答を、全てのmAbについて行った。mAb2.0は、cy-IL-36αおよびcy-IL-36γについて強力な遮断活性を実証し(それぞれ、IC50 0.56nMおよび1.71nM)、一方で、mAb6.0は、cy-IL-36βについて強力な遮断活性を実証した(IC50 1.96nM)。
【0244】
HaCat細胞によるIL-36により刺激されたIL-8分泌における、抗hu-IL-36抗体の遮断活性
ヒトケラチノサイト細胞系HaCatは、組織学的に正常な皮膚からの、インビトロで自発的に形質転換されたケラチノサイトに由来する。HaCat細胞系は市販されており、AddexBio(カタログ番号T002000)から得た。製造業者によって推奨される一般ガイドラインを使用して、低温保存された細胞を解凍し、維持した。HaCat細胞を、使用前に熱不活性化した(56℃にて30分間)10%ウシ胎児血清(Atlanta Biologicals)、100IU/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン、1mMピルビン酸ナトリウム(Corning)で補完した、L-グルタミン、4.5g/Lグルコースおよびピルビン酸ナトリウムを含むDMEM(Corning)からなる増殖培地において維持した。実験使用の前日に、HaCat細胞を、平底96ウェルプレートに、使用日に約80~85%コンフルエンシーになるように細胞10,000個/ウェルにて播種した。
【0245】
抗体遮断アッセイにおける使用前に、HEK Blue細胞について実施例2において説明されるのと同様の様式であるが、以下の改変を伴って、アゴニスト用量応答曲線を行うことによって、アゴニスEC50を決定した。HaCat細胞増殖培地のみを含有するウェル内のHaCat細胞へのアゴニストの添加(最終容量200μL)後、細胞を、組織培養インキュベーター(37℃、5%CO2にて)に24時間戻した。その後、組織培養上清を回収し、-20℃において保存した。
【0246】
抗体遮断アッセイを、HEK Blue細胞についての上記の通りであるが、IC50値を得るための様式で、特にHaCat細胞利用を考慮する改変を伴って行った。簡潔に説明すると、抗hu-IL-36 IgG抗体、天然IL-36アンタゴニストIL-36Raまたは適切な抗体対照(例えば、Hu IgG1 対照)を、HaCat細胞と37℃において1時間インキュベートし、続いてアゴニスト(IL-36α、IL-36βまたはIL-36γ)を添加した。実験をさらに24時間(37℃、5%CO2にて)進め、細胞培養上清を回収し、IL-8の定量を以下に説明されるように行った。
【0247】
ヒトIL-8 ELISAキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して、製造業者のガイドラインに従って、上清内のIL-8のレベルを定量した。得た生データを、GraphPad Prismソフトウェアを使用して解析し、線形回帰解析を使用して補間を行った。その後、補間したデータを、非線形回帰3パラメーター解析を使用して解析して、アゴニストEC50および抗体IC50値を導いた。
【0248】
図1Aおよび
図1Cの結果によって示される通り、HaCatヒトケラチノサイト細胞系において、mAb2.0は、hu-IL-36αおよびhu-IL-36γについて強力な遮断活性を実証し(それぞれ、IC
50 0.28nMおよび1.23nM)、一方で、
図1Bで示される通り、mAb6.0は、hu-IL-36βについて強力な遮断活性を実証した(IC
50 0.082nM)。hu-IL-36αおよびhu-IL-36γについてのmAb2.0の遮断効力は、天然アンタゴニストIL-36Raの遮断効力よりも優れており(それぞれ、100倍および12倍)、hu-IL-36βについてのmAb6.0の遮断効力は、IL-36Raの遮断効力よりも優れていた(1000倍)。
【0249】
ヒト初代ケラチノサイトによるIL-36により刺激されたIL-8分泌を遮断することにおける、抗IL-36抗体の活性
プールしたヒト初代新生児ケラチノサイト(HEKn)は、市販されており、ThermoFisher(カタログ番号A13401)から得た。製造業者によって、細胞は、提供された正常な(疾患を有しない)ヒト組織から単離され、低温保存されていた。製造業者によって推奨される一般ガイドラインを使用して、細胞を解凍し、維持した。HEKn細胞を、ヒトケラチノサイト増殖補助物質(ThermoFisher)、100IU/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを伴うEpiLife培地(ThermoFisher)からなる増殖培地において維持した。実験使用の前日に、HEKn細胞を、平底96ウェルプレートに、使用日に約80~85%コンフルエンシーになるように細胞10,000個/ウェルにて播種した。
【0250】
抗体遮断アッセイにおける使用前に、HaCat細胞について実施例2において説明されるのと同様の様式であるが、以下の改変を伴って、アゴニスト用量応答曲線を行うことによって、アゴニスEC50を決定した。細胞増殖培地のみを含有するウェル内のHEKn細胞へのアゴニストの添加(最終容量200μL)後、細胞を、組織培養インキュベーター(37℃、5%CO2にて)に24時間戻した。その後、組織培養上清を回収し、-20℃において保存した。
【0251】
抗体遮断アッセイを、HaCat細胞についての上記のように行った。簡潔に説明すると、xIL-36 IgGまたは適切な抗体対照(例えば、Hu IgG1対照)を、HEKn細胞と、示される通り、37℃において1時間インキュベートし、続いてアゴニスト(IL-36α、IL-36βまたはIL-36γ)を添加した。実験をさらに24時間(37℃、5%CO2にて)進め、細胞培養上清を回収し、IL-8の定量を以下に説明されるように行った。
【0252】
ヒトIL-8 ELISAキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して、製造業者のガイドラインに従って、上清内のIL-8のレベルを定量した。得た生データを、GraphPad Prismソフトウェアを使用して解析し、線形回帰解析を使用して補間を行った。その後、補間したデータを、標準の非線形回帰3パラメーター解析を使用して解析して、アゴニストEC50および抗体IC50値を導いた。
【0253】
図2Aおよび
図2CのHEKnアッセイ結果によって示される通り、ヒト初代成人ケラチノサイトにおいて、mAb2.0は、hu-IL-36αおよびhu-IL-36γについて強力な遮断活性を実証し(それぞれ、IC
50 0.33nMおよび2.27nM)、一方で、
図2Bで示される通り、mAb6.0は、hu-IL-36βについて強力な遮断活性を実証した(IC
50 1.75nM)。
【実施例3】
【0254】
hu-IL-36βを結合および遮断することにおけるmAb6.0 HC/mAb2.0 LCキメラmAb6.0_2.0の活性
mAb6.0_2.0を、mAb6.0の重鎖とmAb2.0の軽鎖とをコトランスフェクトすることによって生成したことを除いては、上記の実施例2において説明される他のIgGと同様に生成した。
【0255】
BIACORE(商標)8K機器(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)を使用して、表面プラズモン共鳴(SPR)解析を使用して、mAb6.0_2.0 IgGのhu-IL-36βについての結合親和性を決定した。簡潔に説明すると、HBS-P緩衝液(GE Healthcare、Chicago、IL、米国;0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、0.005%界面活性剤P20)中の6nM mAb6.0_2.0 IgGまたはmAb6.0 IgGを、タンパク質Aセンサーチップ(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)上に10μL/分で捕捉して、第2のフローセル(FC2)における50~60応答単位を達成した。FC1を標準として維持した。次に、低(0.046nMのhu-IL-36β)~高(100nMのhu-IL-36β)の、HBS-P緩衝液中のhu-IL-36βの3倍連続希釈液を、37℃のいずれかにおいて注入した(流速:30μL/分)。センサー図を記録し、標準および緩衝液減算に供し、その後、BIACORE(登録商標)8K評価ソフトウェア(GE Healthcare、Chicago、IL、米国;第1.1.1.7442版)によりデータ解析した。会合速度(kon)および解離速度(koff)を、単純な1対1ラングミュア結合モデルを使用して計算した。平衡解離定数(KD)を、koff/konの比として計算した。
【0256】
mAb6.0_2.0 IgGは、hu-IL-36βに6.7nMのKDにより結合し(kon=3.20x105 1/Ms、koff=2.14x10-3 1/s)、一方で、mAb6.0 IgGは、hu-IL-36βに0.42nMのKDにより結合した(kon=3.62x105 1/Ms、koff=1.15x10-4 1/s)。したがって、mAb6.0_2.0は、hu-IL-36βに、mAb6.0の16分の1の親和性により結合した。
【0257】
インビトロでのmAb6.0_2.0 IgGの遮断効力および有効性を決定するために、本発明者らは、HaCat細胞によるhu-IL-36βにより刺激されたIL-8分泌を阻害するIgGの能力を評価した。HaCat細胞アッセイを、実施例2で説明されるように行った。簡潔に説明すると、mAb6.0_2.0 IgG、mAb6.0 IgGまたは適切な抗体対照(例えば、Hu IgG1対照)を、HaCat細胞と37℃において1時間インキュベートし、続いて、hu-IL-36βアゴニストを添加した。実験をさらに24時間(37℃、5%CO2にて)進め、細胞培養上清を回収し、IL-8の定量を実施例2で説明されるように行った。その後、補間したデータを、GraphPad Prismソフトウェアにおいて、標準の非線形回帰解析を使用して解析して、抗体IC50値を導いた。
【0258】
mAb6.0_2.0 IgGは、HaCatケラチノサイト細胞系によるhu-IL-36βにより刺激されたIL-8分泌を、mAb6.0 IgGの16分の1の効力により阻害することが分かった(mAb6.0_2.0 IC50=12.7nM;mAb6.0 IC50=0.8nM)。
【実施例4】
【0259】
ファージライブラリーパニングを使用した抗IL-36抗体の親和性成熟
この実施例は、IL-36βおよびIL-36α/γについての親和性が改善された、mAb6.0_2.0およびmAb2.0抗体の親和性成熟型の調製を例示する。
【0260】
ピログルタメート変換を防ぐための突然変異
ピログルタメート変異型の形成を防ぐために、グルタミン(QまたはGln)を、グルタメート(EまたはGlu)に突然変異させてもよい[Amphlett, G. et al., Pharm. Biotechnol., 9:1-140 (1996)]。mAb2.0およびmAb6.0の重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインの1位(カバットの番号付けによる)を、遺伝子合成によってグルタミン(Q)からグルタメート(E)に突然変異させ、抗体mAb2、mAb6およびmAb6_2を得た。可変ドメインを、8xHisタグを含有する哺乳動物Fab発現コンストラクトにクローニングして、Fabタンパク質を生成した。また、1位における同様の突然変異は、mAb1.0、mAb3.0、mAb4.0、mAb5.0、mAb7.0およびmAb8.0において作製され得る。
【0261】
B. mAb6_2親和性成熟NNKライブラリー構築およびパニング
mAb2軽鎖と対形成したmAb6重鎖(mAb6_2、1つのアームは、一般の軽鎖二重特異性分子用)の、ヒトIL-36βに対する親和性を改善するために、32個のコドンにより全ての20個のアミノ酸をコードするNNK縮重コドンを使用してランダム化した重鎖HVR残基(すなわち、HVR-H1、HVR-H2およびHVR-H3)により、一価のFabファージディスプレイのためのFab-アンバー形式のmAb6_2から、ファージライブラリーを構築した(Brennerら、1992)(mAb2軽鎖残基は、変更されないままである)。3つの重鎖HVRのうちの各々において1つのNNK突然変異を可能にするようにライブラリーを設計した。その後、クンケル(Kunkel)突然変異誘発(Kunkelら、1987)を使用して、合成した突然変異誘発オリゴヌクレオチドを使用して、重鎖ライブラリーを構築した。得られたライブラリーDNAを、電気穿孔によりイー・コリXL1細胞に入れ、約4X109個の形質転換体を得た。ファージライブラリーを、SUPERBLOCK(商標)PBS緩衝液(Pierce)および0.05%TWEEN(登録商標)20中で30分間インキュベートし、その後、第1回のパニングのためにヒトIL-36βでコーティングしたプレートに適用した。後続の2~3回において、ファージライブラリーを、溶液中において減少濃度のビオチニル化ヒトIL-36βと、1000x非ビオチニル化ヒトIL-36βを競合物質として伴ってインキュベートして、選択厳密性を増大させた。
【0262】
C.親和性成熟NNKライブラリーからのmAb6_2ファージ変異型の特徴付け
最上位の結合シグナルを有する選択されたファージを精製して、ファージ競合ELISAを行った。最適ファージ濃度を、NUNC FプレートにおいてELISA緩衝液[PBS中の0.5%BSAおよび0.05%TWEEN(登録商標)20]中で、連続希釈したヒトIL-36βと2時間インキュベートした。80μLの混合物を、ヒトIL-36βでコーティングしたウェルに15分間移して、非結合ファージを捕捉した。プレートを洗浄緩衝液[PBS中の0.05%TWEEN(登録商標)20]により洗浄し、HRPコンジュゲートした抗M13抗体(Sino biological、カタログ番号11973-MM05-H-50)を、ELISA緩衝液中に30分間添加した。プレートを、室温において攪拌しながら1時間インキュベートし、洗浄緩衝液により6回洗浄し、100μL/ウェルの1 Step Turbo TMB基質(ThermoFisher、カタログ番号34022)の添加によって15分間現像した。酵素反応を、50μL/ウェルの2N H2SO4を使用して停止した。プレートを、Perkin Elmerプレートリーダー(Envision 2103多標識リーダー)を使用して450nmにおいて解析した。450nmにおける吸光度を、溶液中の抗原濃度の関数としてプロットして、ファージIC50を決定した。これを、ファージの表面上にディスプレイされたFabクローンについての親和性見積もりとして使用した。また、ファージ変異型についての精製したFab分子の実際の親和性を、Biacore(以下の節Eにおいて詳細に説明されている方法)を使用して測定した。変異型HVR配列、ファージIC50要約およびKD値を、以下の表7に示す。
【0263】
【0264】
D.mAb6_2親和性成熟ライブラリーの次世代シークエンシング
mAb6_2の親和性をさらに改善するために、mAb6_2親和性成熟ライブラリーの次世代シークエンシング(NGS)を行った。最初のファージライブラリー(ソーティングしていないライブラリー)からの、ならびに第2および第3回の溶液選択(ソーティングしたライブラリー)からのファージミドを有するイー・コリXL-1細胞から、ファージミド二本鎖DNAを単離した。Illumina 16sライブラリー調製プロトコールを使用して、精製したDNAを鋳型として使用して、VH領域のアンプリコンを生成した。Illumina Nextera XT Indexキットを使用して、シークエンシングアダプターおよび二重インデックスバーコードを添加した。Illumina MiSeq機器(Illumina、San Diego、米国)におけるシークエンシングのための調製において、アダプターとライゲーションしたアンプリコンを、MiSeq試薬キットv3(600周期)を使用する標準のIlluminaライブラリー変性および試料ローディングプロトコールに供した。200bp~300bpのインサートサイズを有するアンプリコンの全長を包含するように、ペアードエンド(paired-end)シークエンシングを行った。
【0265】
ペアードエンドシークエンシングデータを、最初にペアードエンドアセンブラー(paired-end assembler)PANDAseq(Masellaら、2012)を使用してアセンブルして、完全なアンプリコンを得た。その後、特定したアンプリコンについて品質管理(QC)を行い、各アンプリコンを配列挿入または欠失および停止コドンの非存在についてチェックし、各CDR配列は、最高で1つのNNK突然変異のみを有すること、および非NNK突然変異を有しないことを許容された。ランダム化した位置毎の全ての突然変異の頻度を計算することによって、位置の重みマトリックスを生成した。以前に説明される通り(Koenigら、2015)、ソーティングした試料中の所与の位置における所与の突然変異の頻度を、ソーティングしていない試料中の全く同じ突然変異の頻度で割ることによって、各突然変異についての富化比を計算した。mAb6_2の、hu-IL-36βへの結合の改善を支持したHVRにおける予測された突然変異を、以下の表8に要約する。
【0266】
【0267】
E.mAb6_2親和性改善NGS変異型の特徴付け
mAb6_2親和性改善NGS Fab変異型の生成
NGS解析からの、予測された突然変異(上記の表8に示される)に従って、変異型HVR配列(以下の表9に示される)を伴う選択されたmAb6_2NGS Fabを合成し、8xHisタグを含有する哺乳動物Fab発現コンストラクトにクローニングして、Fabタンパク質を生成した。重鎖または軽鎖をコードするプラスミドを、Expi293F細胞(Thermo Fisher)に製造業者のプロトコールに従って、1:1のHC:LCの比を使用して一過性にトランスフェクトした。上清を1xリン酸緩衝食塩水(pH7.2)(PBS)により1.5倍希釈し、10mMイミダゾールを添加し、バッチ様式で樹脂に2時間結合することによって、FabをHisPur Ni-NTAカラムにより精製した。樹脂を、カラムに満たし、20CV PBS+20mMイミダゾールにより洗浄し、5CV PBS+250mMイミダゾールにより溶出した。PD10カラム(GE)を使用して、試料をPBSに緩衝液交換した。
【0268】
SPRを使用したmAb6_2親和性改善NGS Fab変異型の親和性決定
組換えmAb6_2 NGS Fab変異型のヒトIL-36βへの37℃における結合親和性を決定するために、BIACORE(商標)8K機器によるSPR測定を行った。簡潔に説明すると、Biotin CAPture試薬(GE)の、HBS-EP緩衝液(0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005%界面活性剤P20)への1:4希釈液を、CAPセンサーチップに2μL/分の流速において適用した。速度論測定のために、6nMのビオチニル化ヒトIL-36βを、10μL/分で捕捉して、第2のフローセル(FC2)における約50応答単位を達成した。FC1を標準として維持した。次に、低(3.125nM)~高(200nM)の、HBS-P緩衝液(0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、0.005%界面活性剤P20)中のFabの3倍連続希釈液を、37℃において注入した(流速:10μL/分)。センサー図を記録し、標準および緩衝液減算に供し、その後、BIACORE(登録商標)8K評価ソフトウェア(第1.1.1.7442版)によって評価した。会合速度(kon)および解離速度(koff)を、単純な1対1ラングミュア結合モデルを使用して計算した。平衡解離定数(KD)を、表9に要約する、koff/konの比として計算した。
【0269】
【0270】
F.mAb2親和性成熟NNKライブラリー構築およびパニング
抗IL-36mAb2のヒトIL-36αおよびヒトIL-36γ親和性をさらに改善するために、32個のコドンにより全ての20個のアミノ酸をコードするNNK縮重コドンを使用してランダム化した重鎖HVR残基(すなわち、HVR-H1、HVR-H2およびHVR-H3)により、一価のFabファージディスプレイのためのFab-アンバー形式のmAb2から、ファージライブラリーを構築した(Brennerら、1992)(mAb2軽鎖残基は、変更されないままである)。3つの重鎖HVRのうちの各々において1つのNNK突然変異を可能にするようにライブラリーを設計した。その後、クンケル突然変異誘発(Kunkelら、1987)を使用して、合成した突然変異誘発オリゴヌクレオチドを使用して、重鎖ライブラリーを構築した。得られたライブラリーDNAを、電気穿孔によりイー・コリXL1細胞に入れ、約4X109個の形質転換体を得た。ファージライブラリーを、SUPERBLOCK(商標)PBS緩衝液(Pierce)および0.05%TWEEN(登録商標)20中で30分間インキュベートし、その後、第1回のパニングのためにヒトIL-36αまたはヒトIL-36γでコーティングしたプレートに適用した。後続の2~3回において、ファージライブラリーを、溶液中において減少濃度のビオチニル化ヒトIL-36αまたはヒトIL-36γと、1000x非ビオチニル化ヒトIL-36αまたはヒトIL-36γを競合物質として伴ってインキュベートして、選択厳密性を増大させた。
【0271】
G.親和性成熟NNKライブラリーからのmAb2ファージ変異型の特徴付け
最上位の結合シグナルを有する選択されたファージを精製して、ファージ競合ELISAを行った。最適ファージ濃度を、NUNC FプレートにおいてELISA緩衝液中で連続希釈したヒトIL-36αまたはヒトIL-36γと2時間インキュベートした。80μlの混合物を、ヒトIL-36αまたはヒトIL-36γでコーティングしたウェルに15分間移して、非結合ファージを捕捉した。プレートを洗浄緩衝液[PBS中の0.05%TWEEN(登録商標)20]により洗浄し、HRPコンジュゲートした抗M13抗体(Sino biological、カタログ番号11973-MM05-H-50)を、ELISA緩衝液中に30分間添加した。プレートを、上記に説明されるように洗浄および現像した。450nmにおける吸光度を、溶液中の抗原濃度の関数としてプロットして、ファージIC50を決定した。これを、ファージの表面上にディスプレイされたFabクローンについての親和性見積もりとして使用した。変異型HVR配列およびファージIC50の要約について、以下の表10を参照されたい。
【0272】
【0273】
H.mAb2親和性成熟ライブラリーの次世代シークエンシング
mAb2の親和性をさらに改善するために、mAb2親和性成熟ライブラリーの次世代シークエンシング(NGS)を行った。最初のファージライブラリー(ソーティングしていないライブラリー)からの、ならびに第2および第3回の溶液選択(ソーティングしたライブラリー)からのファージミドを有するイー・コリXL-1細胞から、ファージミド二本鎖DNAを単離した。Illumina 16sライブラリー調製プロトコールを使用して、精製したDNAを鋳型として使用して、VH領域のアンプリコンを生成した。Illumina Nextera XT Indexキットを使用して、シークエンシングアダプターおよび二重インデックスバーコードを添加した。Illumina MiSeqにおけるシークエンシングのための調製において、アダプターとライゲーションしたアンプリコンを、MiSeq試薬キットv3(600周期)を使用する標準のIlluminaライブラリー変性および試料ローディングプロトコールに供した。200bp~300bpのインサートサイズを有するアンプリコンの全長を包含するように、ペアードエンドシークエンシングを行った。
【0274】
ペアードエンドシークエンシングデータを、最初にペアードエンドアセンブラーPANDAseq(Masellaら、2012)を使用してアセンブルして、完全なアンプリコンを得た。その後、特定のアンプリコンについて品質管理(QC)を行い、各アンプリコンを配列挿入または欠失がないことおよび停止コドンがないことについてチェックし、各CDR配列は、最高で1つのNNK突然変異のみを有すること、および非NNK突然変異を有しないことを許容された。ランダム化した位置毎の全ての突然変異の頻度を計算することによって、位置の重みマトリックスを生成した。以前に説明される通り(Koenigら、2015)、ソーティングした試料中の所与の位置における所与の突然変異の頻度を、ソーティングしていない試料中の全く同じ突然変異の頻度で割ることによって、各突然変異についての富化比を計算した。mAb2の、hu-IL-36αまたはhu-IL-36γへの結合の改善を支持したHVRにおける予測された突然変異を、表11に要約する。
【0275】
【0276】
I.mAb2親和性改善NGS変異型の特徴付け
mAb2親和性改善NGS Fab変異型の生成
NGS解析からの予測された突然変異(上記の表11)に従って、選択されたmAb2 NGS Fab HVR変異型配列(以下の表12に示される)を合成し、8xHisタグを含有する哺乳動物Fab発現コンストラクトにクローニングして、Fabタンパク質を生成した。重鎖または軽鎖をコードするプラスミドを、Expi293F細胞(Thermo Fisher)に、1:1のHC:LCの比を使用してトランスフェクトした。上清を1xリン酸緩衝食塩水(pH7.2)(「PBS」)により1.5倍希釈し、10mMイミダゾールを添加し、バッチ様式で樹脂に2時間結合することによって、FabをHisPur Ni-NTAカラムにより精製した。樹脂を、カラムに満たし、20CV PBS+20mMイミダゾールにより洗浄し、5CV PBS+250mMイミダゾールにより溶出した。PD10カラム(GE)を使用して、試料をPBSに緩衝液交換した。
【0277】
【0278】
SPRを使用したmAb2親和性改善NGS Fab変異型の親和性決定
組換えmAb2 NGS Fab変異型のヒトIL-36αおよびヒトIL-36γへの37℃における結合親和性を決定するために、BIACORE(商標)8K機器によるSPR測定を行った。簡潔に説明すると、Biotin CAPture試薬(GE)の、HBS-EP緩衝液(0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005%界面活性剤P20)への1:4希釈液を、CAPセンサーチップに2uL/分の流速において適用した。速度論測定のために、3nMのビオチニル化ヒトIL-36αおよびヒトIL-36γを、10uL/分で捕捉して、第2のフローセル(FC2)における約50応答単位を達成した。FC1を標準として維持した。次に、低(3.125nM)~高(200nM)の、HBS-P緩衝液(0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、0.005%界面活性剤P20)中のFabの3倍連続希釈液を、37℃において注入した(流速:10uL/分)。センサー図を記録し、標準および緩衝液減算に供し、その後、BIACORE(登録商標)8K評価ソフトウェア(第1.1.1.7442版)によって評価した。会合速度(kon)および解離速度(koff)を、単純な1対1ラングミュア結合モデルを使用して計算した。平衡解離定数(KD)を、以下の表13に要約する、koff/konの比として計算した。
【0279】
【実施例5】
【0280】
HaCat細胞によるhu-IL-36により刺激されたIL-8分泌における、抗IL-36抗体変異型の遮断活性のインビトロ評定
インビトロでの親和性成熟mAb2およびmAb6_2変異型の遮断効力および有効性を決定するために、本発明者らは、HaCat細胞によるhu-IL-36により刺激されたIL-8分泌を阻害する変異型の組換え産生Fab断片の、それらの能力を評価した。HaCat細胞アッセイを、組換え発現した抗IL-36または対照抗体Fab断片がIgGの代わりにアンタゴニストとして使用されたことを除いては、実施例2で説明されるように行った。簡潔に説明すると、抗IL-36 Fabまたは適切な抗体Fab対照(例えば、Hu IgG1対照)を、HaCat細胞と37℃において1時間インキュベートし、続いて、アゴニスト(hu-IL-36α、hu-IL-36βまたはhu-IL-36γ)を添加した。実験をさらに24時間(37℃、5%CO2にて)進め、細胞培養上清を回収し、IL-8の定量を実施例2で説明されるように行った。その後、補間したデータを、GraphPad Prismソフトウェアにおいて、標準の非線形回帰解析を使用して解析して、抗体IC50値を導いた。
【0281】
【0282】
表14において示される通り、mAb2.10 Fabは、HaCat細胞におけるhu-IL-36αおよびhu-IL-36γ媒介IL-8産生の最も強力な遮断活性を実証し、それぞれ、約0.38nMおよび1.09nMのIC50であった。表14においてさらに示される通り、mAb6_2.7 Fabは、HaCat細胞におけるIL-36β媒介IL-8産生の遮断活性の改善を実証し、約0.2nMのIC50であった。
【実施例6】
【0283】
抗IL-36多重特異性抗体mAb2.10/mAb6_2.7の生成
mAb2.10およびmAb6_2.7重鎖を、2工程クローニングプロセスにおいてpRK発現ベクターへ「ノブ・イントゥ・ホール(knobs-into-hole)」形式(Ridgway、1996)にてクローニングした。工程1において、mAb2.10を合成し、ホール突然変異(T366S、L368AおよびY407V)および8X Hisタグを既に含有するpRKベクターへクローニングした(AgeIおよびBstEIIを使用して)。mAb6_2.7を合成し、ノブ突然変異(T366W)およびFlagタグを既に含有するpRKベクターへクローニングした(AgeIおよびBstEIIを使用して)。また、mAb2軽鎖を、余分の突然変異を伴わないpRK発現ベクターへクローニングした。タグ付けしたコンストラクトによる多重特異性抗体の最初の発現および精製試験の成功後、クローニングプロセスの工程2において、タグをmAb2.10およびmAb6_2.7重鎖から除去した。mAb2.10からの8XHisタグを、1組のプライマー[フォワードプライマー:5’Phos-TAAGCTTGGCCGCCATGGCC-3’(配列番号514)およびリバースプライマー:5’Phos-ACCCGGAGACAGGGAGAGGC-3’(配列番号515)]を使用して完全に除去し、一方で、停止コドンTAAを、1組のプライマー[フォワードプライマー:5’-CTGTCTCCGGGTTAAGATTACAAGG-3’(配列番号516)およびリバースプライマー:5’-CCTTGTAATCTTAACCCGGAGACAG-3’(配列番号517)]を使用してmAb6_2.7重鎖とFlagタグとの間に挿入した。
【0284】
多重特異性共通軽鎖抗体mAb2.10/mAb6_2.7を、Expi293F細胞(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、米国)において製造業者のプロトコールに従って、ホール突然変異およびN297Gを含有するmAb2.10の重鎖(配列番号235)、ノブ突然変異およびN297Gを含有するmAb6_2.7の重鎖(配列番号192)、ならびにmAb2の軽鎖(配列番号169)をコードするプラスミドを1:1:2の質量比においてコトランスフェクトすることによって、発現させた。細胞を4日後に採取し、清澄な上清を、PBS(pH7.5)中で平衡化したMAbSelect Sureカラム(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)に適用した。タンパク質を、100mMクエン酸ナトリウム(pH3)により溶出し、1.5M Tris-HCl(pH8.8)を添加することによってpHを中和した。タンパク質含有画分をプールし、50mM Tris(pH8)、10mM NaClに緩衝液交換した。その後、タンパク質を、50mM Tris(pH8)、10mMNaCl中で平衡化したCapto S Impactカラム(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)上にロードし、50mM ビス-Tris(pH6.5)、10mM NaClの30CV勾配により溶出した。
【0285】
精製した多重特異性抗体分子のインタクトな質量を、Ultimate-3000(Thermo Scientific)液体クロマトグラフィー系と組み合わせたQ Exactive(Thermo Scientific)質量分析計を使用して確認した。精製した抗体を、液体クロマトグラフィー系に接続したPLRP-Sカラム(Agilent)上に注入した。インタクト質量分析の解析は、観察された質量が予測されたヘテロ二量体の質量に適合することを確証した。また、ホモ二量体種の非存在は、F(ab’)2およびFc/2断片の均一なプールを生成したFabricator酵素(Genovis)を使用することによって、確認された。各断片は、予測された質量に適合した。
【0286】
インタクトな質量分析によって特定される、mAb2.10/mAb6_2.7を含有するCapto S溶出画分をプールし、Superdex 200pgカラム(GE Healthcare、Chicago、IL、米国)上にロードした。単分散タンパク質を含有するピーク画分をプールし、1X PBS(pH7.5)中に保存した。
【実施例7】
【0287】
抗IL-36多重特異性抗体mAb2.10/mAb6_2.7の非特異的結合評定
多重特異性分子mAb2.10/mAb6_2.7 IgGの非特異的結合を、バキュロウイルスELISA(Hotzelら、2012)を使用して評定した。簡潔に説明すると、バキュロウイルス粒子により、3%懸濁液において96ウェルMaxisorpプレートを4℃にて一晩コーティングした。その後、プレートを、1%BSAおよび0.05%Tween-20を含むPBS中で室温において1時間ブロッキングした。0.5%BSAおよび0.05%Tween20を含有する1xPBS(ELISA緩衝液)中の300nM、100nMおよび33nMのmAb2.10/mAb6_2.7 IgGを、プレートに1時間添加し、プレートを、0.05%Tween20を含む1xPBS(洗浄緩衝液)により洗浄した。結合した抗体を、ELISA緩衝液中のセイヨウワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch)により検出した。プレートを、室温において攪拌しながら1時間インキュベートし、洗浄緩衝液により6回洗浄し、100μL/ウェルの1 Step Turbo TMB基質(ThermoFisher、カタログ番号34022)の添加によって15分間現像した。酵素反応を、50μL/ウェルの2N H2SO4を使用して停止させた。プレートを、Perkin Elmerプレートリーダー(Envision 2103多標識リーダー)を使用して450nmにおいて解析し、標準抗体と比較した。陽性対照と比較して、多重特異性分子mAb2.10/mAb6_2.7 IgGは、検出可能なバキュロウイルスELISAシグナルを示さず、バキュロウイルス粒子への非特異的結合の非存在を示した(表15)。
【0288】
【実施例8】
【0289】
抗hu-IL-36多重特異性抗体mAb2.10/mAb6_2.7 IgGの活性のインビトロ評定
抗IL-36多重特異性抗体mAb2.10/mAb6_2.7の結合速度論
実施例2において説明されるようにBIACORE(商標)8K機器を使用して、表面プラズモン共鳴(SPR)解析を使用して、ヒトおよびカニクイザルIL-36(それぞれ、「hu-IL-36」および「cy-IL-36」)についての結合親和性を決定した。インビボビオチニル化hu-IL-36α-Avi、hu-IL-36β-Avi、hu-IL-36γ-Avi、cy-IL-36α-Avi、cy-IL-36β-Aviまたはcy-IL-36γ-Aviを、mAb2.10/mAb6_2.7への結合について別々に解析した。簡潔に説明すると、Biotin CAPture試薬(GE Healthcare)の、HBS-EP緩衝液(0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005%界面活性剤P20)への1:4希釈液を、CAPセンサーチップに2μL/分の流速において適用した。速度論測定のために、1nMのビオチニル化ヒトおよびカニクイザルIL-36α-Avi、IL-36γ-Avi;0.8nMのビオチニル化ヒトおよびカニクイザルIL-36β-Aviを、10μL/分で捕捉して、第2のフローセル(FC2)における15~25応答単位を達成した。FC1を標準として維持した。次に、低(1.56nM)~高(200nM)の、HBS-P緩衝液(0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、0.005%界面活性剤P20)中のmAb2.10/mAb6_2.7タンパク質の2倍連続希釈液を、25℃または37℃のいずれかにおいて注入した(流速:30μL/分)。センサー図を記録し、標準および緩衝液減算に供し、その後、BIACORE(登録商標)8K評価ソフトウェア(第1.1.1.7442版)によりデータ解析した。各多重特異性IgG抗体は、アッセイされる1つのIL-36タンパク質に結合することができる1つのFabアームのみを含有するので、結合相互作用は一価である。会合速度(kon)および解離速度(koff)を、単純な1対1ラングミュア結合モデルを使用して計算した。平衡解離定数(KD)を、koff/konの比として計算した。
【0290】
mAb2.10/mAb6_2.7についてのBiacore親和性結果を、以下の表16に要約する。mAb2.10/mAb6_2.7は、全てのヒトおよびカニクイザルIL-36サイトカインに、高く、かつ同等の親和性により結合する。
【0291】
【0292】
HaCat細胞によるIL-36により刺激されたIL-8分泌における、多重特異性抗体mAb2.10/mAb6_2.7の遮断活性
多重特異性抗体mAb2.10/mAb6_2.7の遮断効力および有効性を決定するために、本発明者らは、HaCat細胞によるhu-IL-36により刺激されたIL-8分泌を阻害する抗体の能力を評価した。また、ヒトIgGアイソタイプ対照(「Hu IgG1対照」)を陰性対照として使用するためにアッセイした。HaCat細胞アッセイを、組換え発現したmAb2.10/mAb6_2.7またはHu IgG1対照がアンタゴニストとして使用されたことを除いては、実施例2で説明されるように行った。簡潔に説明すると、mAb2.10/mAb6_2.7または適切な抗体対照(例えば、Hu IgG1対照)を、HaCat細胞と37℃において1時間インキュベートし、続いて、アゴニスト(hu-IL-36α、hu-IL-36βまたはhu-IL-36γ)を添加した。実験をさらに24時間(37℃、5%CO2にて)進め、細胞培養上清を回収した。
【0293】
上清中のIL-8の定量を、Cisbio BioassayのHTRF技術ベースのヒトIL-8アッセイを使用して行った。アッセイを製造業者のガイドラインに従って行った。HTRF互換性Spectramax(Molecular Devices)を使用して、生データを得、SoftMax Proソフトウェア(Molecular Devices)を併用して、665nmおよび620nmにおける、それぞれ、アクセプターの、ドナーに対する放出シグナルの比を計算した。得られたデータを、GraphPad Prismソフトウェアを使用して解析し、線形回帰解析および「1/Y2の重み」によって定義される重み付けを使用して、補間を行った。その後、補間したデータを、標準の非線形回帰3パラメーター解析を使用して解析して、アゴニストEC50および抗体IC50値を導いた。
【0294】
図3A、
図3Bおよび
図3Cにおいて示される通り、mAb2.10/mAb6_2.7は、HaCat細胞におけるIL-36α、IL-36βおよびIL-36γ媒介IL-8産生の強力な遮断活性を実証し、それぞれ、約0.38nM、0.13nMおよび1.1nMのIC
50値であった。8nMのmAb2.10/mAb6_2.7では、HaCat細胞におけるIL-36α、IL-36βおよびIL-36γ媒介IL-8産生の100%が阻害された。
【0295】
ヒト初代ケラチノサイトによるIL-36により刺激されたIL-8分泌における、多重特異性抗体mAb2.10/mAb6_2.7の遮断活性
多重特異性抗体mAb2.10/mAb6_2.7のヒト初代細胞に対する遮断効力および有効性を決定するために、本発明者らは、ヒト初代成人ケラチノサイトによるhu-IL-36により刺激されたIL-8分泌を阻害する抗体の能力を評価した。また、ヒトIgGアイソタイプ対照(「Hu IgG1対照」)を陰性対照として使用するためにアッセイした。ヒト成人正常上皮ケラチノサイトをLonzaから得た。製造業者によって、細胞は、提供された正常な(疾患を有しない)ヒト組織から単離され、低温保存された。製造業者によって推奨される一般ガイドラインを使用して、細胞を解凍し、維持した。HEKa細胞を、Gold Bulletキット(Lonza)からの補完したヒトケラチノサイト増殖培地からなる増殖培地において維持した。実験使用の前日に、HEKaを、平底96ウェルプレートに、使用日に約80~85%コンフルエンシーになるように細胞10,000個/ウェルにて播種した。初代ケラチノサイト細胞アッセイを、組換え発現したmAb2.10/mAb6_2.7またはHu IgG1対照がアンタゴニストとして使用されたことを除いては、実施例2で説明されるように、ヒト成人ケラチノサイト(HEKa)により行った。簡潔に説明すると、mAb2.10/mAb6_2.7または適切な抗体対照(例えば、Hu IgG1対照)を、HEKa細胞と37℃において1時間インキュベートし、続いて、アゴニスト(hu-IL-36α、hu-IL-36βまたはhu-IL-36γ)を添加した。実験をさらに24時間(37℃、5%CO2にて)進め、細胞培養上清を回収し、IL-8の定量を、上記に説明されるようにCisbio BioassayのHTRF技術に基づくヒトIL-8アッセイを使用して行った。その後、補間したデータを、GraphPad Prismソフトウェアにおいて、標準の非線形回帰解析を使用して解析して、抗体IC50値を導いた。
【0296】
図4A、
図4Bおよび
図4Cにおいて示される通り、mAb2.10/mAb6_2.7は、ヒト初代成人ケラチノサイトにおけるIL-36α、IL-36βおよびIL-36γ媒介IL-8産生の強力な遮断活性を実証し、それぞれ、約0.56nM、0.11nMおよび2.7nMのIC
50値であった。8nMのmAb2.10/mAb6_2.7では、ヒト初代成人ケラチノサイトにおけるIL-36α、IL-36βおよびIL-36γ媒介IL-8産生の100%が阻害された。この実施例は、mAb2.10/mAb6_2.7のヒト初代細胞に対する効力は、ヒトケラチノサイト細胞系HaCatについて観察された効力と同様であることを実証する。
【0297】
多重特異性抗体mAb2.10/mAb6_2.7のFabアームの独立した遮断活性を実証するために、本発明者らは、上記に説明される方法と類似するが、以下の改変を伴う方法を使用して、hu-IL-36αとhu-IL-36βとの混合物によって刺激されたヒト初代成人ケラチノサイトによるIL-8分泌を阻害するFabアームの能力を評価した。mAb2.10/mAb6_2.7または適切な抗体対照(例えば、Hu IgG1対照)を、HEKa細胞と37℃において1時間インキュベートし、続いて、アゴニストを添加した(個々にhu-IL-36α、個々にhu-IL-36β、またはhu-IL-36αとhu-IL-36βとの混合物を各サイトカインのおよそのEC50において)。mAb2.10/mAb6_2.7は、IL-36αとIL-36βとの混合物の強力な遮断活性を実証し、約0.44nMのIC50値であった。mAb2.10/mAb6_2.7の、個々のIL-36αおよびIL-36βに対するIC50値は、上記の本実施例においてヒト初代成人ケラチノサイトについて報告された遮断IC50値と一致し、mAb2.10/mAb6_2.7のIL-36α/IL-36γおよびIL-36βターゲティングFabアームは、強力に、かつ独立して、IL-36α、IL-36βおよびIL-36γを中和することを実証した。
【0298】
多重特異性抗体mAb2.10/mAb6_2.7の、IL-36アゴニストサイトカインの混合物に対する効力および有効性を決定するために、本発明者らは、抗体の、初代細胞におけるIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの混合物によるシグナル伝達を遮断する能力を評価した。mAb2.10/mAb6_2.7の、hu-IL-36α、hu-IL-36βおよびhu-IL-36γの混合物によって刺激されたヒト初代成人ケラチノサイトによるIL-8分泌を阻害する能力を、上記に説明される方法と同様であるが、以下の改変を伴う方法を使用して評定した。mAb2.10/mAb6_2.7または適切な抗体対照(例えば、Hu IgG1対照)を、HEKa細胞と37℃において1時間インキュベートし、続いて、アゴニストの混合物(各サイトカインのおよそのEC50~EC65おけるhu-IL-36α、hu-IL-36βおよびhu-IL-36γ)を添加した。mAb2.10/mAb6_2.7を所望のサイトカイン混合物の存在下において滴定することによって、mAb2.10/mAb6_2.7のIC50値は、1.16nMであると決定され、IL-36α、IL-36βおよびIL-6γを含有する混合物における強力な遮断活性を実証した。
【0299】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本明細書で示される本開示は、以下の条項によっても定義され、それは、単独で、または1つもしくは複数の他の条項もしくは実施形態との組合せで、有益であり得る。上記の説明を限定することなく、以下のように番号付けされる本開示のある特定の非限定的な条項が示され、個々に番号付けされた条項の各々は、先行するか、または後続の条項のいずれかと共に使用するか、または組み合わせてもよい。したがって、このことは、全てのそのような組合せについての支持を提供することを意図し、以下に明確に示される特定の組合せに必ずしも限定されない。
1. (i)第1の軽鎖超可変領域(HVR-L1)、第2の軽鎖超可変領域(HVR-L2)および第3の軽鎖超可変領域(HVR-L3)ならびに/または(ii)第1の重鎖超可変領域(HVR-H1)、第2の重鎖超可変領域(HVR-H2)および第3の重鎖超可変領域(HVR-H3)を含む抗IL-36抗体であって、
(a)HVR-L1が、TGSSSNIGAHYDVH(配列番号18)、TGSSSNIGAGYDVH(配列番号22)、RASQSVSSNYLA(配列番号38)、またはRASQTIYKYLN(配列番号42)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(b)HVR-L2が、SNNNRPS(配列番号15)、GNDNRPS(配列番号19)、GNTNRPS(配列番号23)、GNRNRPS(配列番号27)、SASSLQS(配列番号39)、またはAASSLQS(配列番号43)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(c)HVR-L3が、QSYDYSLRGYV(配列番号16)、QSYDYSLSGYV(配列番号20)、QSYDYSLRVYV(配列番号28)、QSYDYSLKAYV(配列番号32)、QSYDISLSGWV(配列番号36)、QQTYSYPPT(配列番号40)、またはQQSSIPYT(配列番号44)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(d)HVR-H1が、SAYAMHW(配列番号46)、STSSYYW(配列番号50)、SSTSYYW(配列番号54)、GSRSYYW(配列番号58)、STYAMSW(配列番号62)、TSSNYYW(配列番号66)、SSYGMH(配列番号70)、SNYAIS(配列番号74)、TSTNYYW(配列番号82)、TSSNAYW(配列番号86)、TASNYYW(配列番号90)、TASNTYW(配列番号106)、SDSSYYW(配列番号122)、SESSYYW(配列番号126)、STSSDYW(配列番号130)、SNSSYYW(配列番号134)、STSSYHW(配列番号142)、SRSSYYW(配列番号146)、XXXNXYX(配列番号251)(ここで、1位のXは、T、D、EまたはNであり;2位のXは、S、A、E、G、K、Q、RまたはTであり;3位のXは、S、A、D、E、G、N、P、QまたはTであり;5位のXは、Y、A、E、G、H、M、N、Q、S、TまたはVであり;7位のXは、W、F、I、VまたはYである)またはXXXXXXW(配列番号336)(ここで、1位のXは、SまたはDであり;2位のXは、T、A、D、E、G、H、K、N、P、Q、RまたはSであり;3位のXは、S、D、E、G、K、N、PまたはRであり;4位のXは、S、G、K、NまたはPであり;5位のXは、Y、A、D、E、G、H、M、N、Q、S、T、VまたはWであり;6位のXは、Y、A、F、G、H、M、NまたはQである)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(e)HVR-H2が、VISYDGTNEYYAD(配列番号47)、SIYYTGNTYYNP(配列番号51)、SIHYSGNTYYNP(配列番号55)、SIHYSGTTYYNP(配列番号59)、GISGGSGYTYYAD(配列番号63)、SIDYTGSTYYNP(配列番号67)、VISYGGSERYYAD(配列番号71)、GILPILGTVDYAQ(配列番号75)、NIDYTGSTYYNA(配列番号83)、SIDYTGSTAYNP(配列番号87)、SIDYTGSTYYNT(配列番号91)、SIDYTGSTYYEP(配列番号99)、SIDYTGSTYYEP(配列番号103)、SIDYTGSTYYQP(配列番号119)、SIYYTGNTYYNS(配列番号123)、SIYYTGNTYYLP(配列番号131)、SIYYTGNTYYMP(配列番号143)、SIYYTGNTYYWP(配列番号147)、SIYYTGETYYAP(配列番号151)、XXDXXXXXXYXX(配列番号284)(ここで、1位のXは、S、NまたはTであり;2位のXは、I、MまたはVであり;4位のXは、YまたはHであり;5位のXは、T、H、LまたはNであり;6位のXは、G、A、D、E、H、K、N、Q、R、SまたはTであり;7位のXは、S、A、D、QまたはTであり;8位のXは、T、A、DまたはEであり;9位のXは、Y、A、F、Q、SまたはWであり;11位のXは、N、D、E、H、PまたはQであり;12位のXは、P、AまたはEである)またはXXXXXXXXXYXP(配列番号379)(ここで、1位のXは、S、F、I、MまたはQであり;2位のXは、I、A、G、L、R、S、TまたはVであり;3位のXは、Y、A、D、E、F、G、H、K、L、M、N、P、Q、R、S、TまたはWであり;4位のXは、Y、A、D、E、F、G、H、K、N、P、Q、R、S、TまたはWであり;5位のXは、T、D、E、K、N、PまたはQであり;6位のXは、GまたはQであり;7位のXは、N、D、E、G、H、I、K、M、P、RまたはSであり;8位のXは、T、A、E、F、G、H、K、P、Q、R、S、V、WまたはYであり;9位のXは、YまたはWであり;11位のXは、N、A、D、E、K、L、M、P、Q、SまたはTである)から選択されるアミノ酸配列を含み、
(f)HVR-H3が、ARGIRIFTSYFDS(配列番号48)、ARVRYGVGVPRYFDP(配列番号52)、ARVHYGGYIPRRFDH(配列番号56)、ARVAPSYPRVFDY(配列番号60)、ARVVTYRDPPASFDY(配列番号64)、ARGKYYETYLGFDV(配列番号68)、AREPWYSSRGWTGYGFDV(配列番号72)、AREPWYRLGAFDV(配列番号76)、ATGKYYETYLGFDV(配列番号84)、AHGKYYETYLGFDV(配列番号88)、ATGSYYETYLGFDV(配列番号100)、ATGNYYETYLGFDV(配列番号104)、ASGKYYETYLGFDV(配列番号112)、ARGNYYETYLGFDV(配列番号120)、AGVRYGVGVPRYFDP(配列番号128)、SRVRYGVGVPRYFDP(配列番号132)、VRVRYGVGVPRYFDP(配列番号144)、TRVRYGVGVPRYFDP(配列番号148)、ARLRYGVGVPRYFDP(配列番号152)、ARVKYGVGVPRYFDP(配列番号156)、ARVRYGVGVPRHFDP(配列番号160)、AXGXYYXTYLGFDV(配列番号322)(ここで、2位のXは、R、A、E、G、H、M、N、Q、S、TまたはYであり;4位のXは、K、AまたはSであり;7位のXは、EまたはTである)またはXXXXXGXXVPRXFDP(配列番号462)(ここで、1位のXは、AまたはVであり;2位のXは、R、A、G、N、QまたはTであり;3位のXは、V、A、F、I、K、L、M、QまたはSであり;4位のXは、R、A、I、K、L、M、P、Q、S、TまたはVであり;5位のXは、Y、H、I、LまたはVであり;7位のXは、V、A、F、G、K、M、N、Q、R、S、T、WまたはYであり;8位のXは、G、N、R、SまたはTであり;12位のXは、Y、F、H、I、L、M、QまたはRである)から選択されるアミノ酸配列を含む、
抗IL-36抗体。
2. (a)HVR-L1が、配列番号18のアミノ酸配列を含み、
(b)HVR-L2が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、
(c)HVR-L3が、配列番号20のアミノ酸配列を含む、
条項1に記載の抗体。
3. (a)HVR-H1が、配列番号66、82、86、90または252~283から選択されるアミノ酸配列を含み、
(b)HVR-H2が、配列番号67、83、87、91、99、103、119または285~321から選択されるアミノ酸配列を含み、
(c)HVR-H3が、配列番号68、84、88、100、104、112、120または323~335から選択されるアミノ酸配列を含む、
条項1または2に記載の抗体。
4. (a)HVR-H1が、配列番号50、122、126、130、134、138、142、146または337~378から選択されるアミノ酸配列を含み、
(b)HVR-H2が、配列番号51、123、131、143、147、151または380~461から選択されるアミノ酸配列を含み、
(c)HVR-H3が、配列番号52、128、132、144、148、152、156、160または463~513から選択されるアミノ酸配列を含む、
条項1または2に記載の抗体。
5. (a)HVR-L1が、配列番号18のアミノ酸配列を含み、
(b)HVR-L2が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、
(c)HVR-L3が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、
(d)HVR-H1が、配列番号66、82、86、90または252~283から選択されるアミノ酸配列を含み、
(e)HVR-H2が、配列番号67、83、87、91、99、103、119または285~321から選択されるアミノ酸配列を含み、
(f)HVR-H3が、配列番号68、84、88、100、104、112、120または323~335から選択されるアミノ酸配列を含む、
条項1に記載の抗体。
6. (a)HVR-L1が、配列番号18のアミノ酸配列を含み、
(b)HVR-L2が、配列番号19のアミノ酸配列を含み、
(c)HVR-L3が、配列番号20のアミノ酸配列を含み、
(d)HVR-H1が、配列番号50、122、126、130、134、138、142、146または337~378から選択されるアミノ酸配列を含み、
(e)HVR-H2が、配列番号51、123、131、143、147、151または380~461から選択されるアミノ酸配列を含み、
(f)HVR-H3が、配列番号52、128、132、144、148、152、156、160または463~513から選択されるアミノ酸配列を含む、
条項1に記載の抗体。
7. 配列番号13、17、21、25、29、33、37、41、77もしくは78から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号45、49、53、57、61、65、69、73、79、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む、条項1~6のいずれか一項に記載の抗体。
8. 配列番号17もしくは77と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号49、65、79、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む、条項1~6のいずれか一項に記載の抗体。
9. 配列番号17もしくは77と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号65、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113もしくは117から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む、条項1~6のいずれか一項に記載の抗体。
10. 配列番号17もしくは77と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号49、79、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む、条項1~6のいずれか一項に記載の抗体。
11. 配列番号169もしくは242と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖(LC)アミノ酸配列;ならびに/または配列番号170~202、248~250、518~616および743~751から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖(HC)アミノ酸配列を含む、条項1~10のいずれか一項に記載の抗体。
12. 配列番号169もしくは242と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖(LC)アミノ酸配列;ならびに/または配列番号203~241および617~733から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖(HC)アミノ酸配列を含む、条項1~10のいずれか一項に記載の抗体。
13. 配列番号13、17、21、25、29、33、37、41、77もまたは78から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号45、49、53、57、61、65、69、73、79、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む、抗IL-36抗体。
14. 配列番号13、17、21、25、29、33、37、41、77もしくは78から選択される軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号45、49、53、57、61、65、69、73、79、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む、抗IL-36抗体。
15. 配列番号17もしくは77と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号49、65、79、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む、抗IL-36抗体。
16. 配列番号17もしくは77の軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号49、65、79、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113、117、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む、抗IL-36抗体。
17. 配列番号17もしくは77と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号65、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113もしくは117から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む、抗IL-36抗体。
18. 配列番号17または77の軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号65、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113もしくは117から選択される重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む、抗IL-36抗体。
19. 配列番号17もしくは77と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号49、79、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む、抗IL-36抗体。
20. 配列番号17もしくは77の軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列;および/または配列番号49、79、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161もしくは165から選択される重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む、抗IL-36抗体。
21. 配列番号169もしくは242と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖(LC)アミノ酸配列;ならびに/または配列番号170~202、248、249~250、518~616および743~751から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖(HC)アミノ酸配列を含む、抗IL-36抗体。
22. 配列番号169もしくは242の軽鎖(LC)アミノ酸配列;ならびに/または配列番号170~202、248~250、518~616および743~751から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列を含む、抗IL-36抗体。
23. 配列番号169もしくは242と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖(LC)アミノ酸配列;ならびに/または配列番号203~241および617~733から選択される配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖(HC)アミノ酸配列を含む、抗IL-36抗体。
24. 配列番号169もしくは242の軽鎖(LC)アミノ酸配列;および/または配列番号206~241から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列を含む、抗IL-36抗体。
25. (a)各々、配列番号18のHVR-L1配列、配列番号19のHVR-L2配列および配列番号20のHVR-L3配列を含む一対の軽鎖と、
(b)配列番号66、82、86、90または106から選択されるHVR-H1配列;配列番号67、83、87、91、99、103または119から選択されるHVR-H2配列;および配列番号68、84、88、100、104、112または120から選択されるHVR-H3配列を含む重鎖と、
(c)配列番号50、122、126、130、134、142または146から選択されるHVR-H1配列;配列番号51、123、127、131、135、139、143、147または151から選択されるHVR-H2配列;および配列番号52、128、132、144、148、152、156または160から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む重鎖と
を含む多重特異性抗体である、抗IL-36抗体。
26. 重鎖のうちの1つが、アミノ酸置換T366Wを含み、他方の重鎖が、アミノ酸置換T366S、L368AおよびY407Vを含む、条項25に記載の抗体。
27. (a)各々、配列番号17または77の軽鎖可変ドメイン(VL)アミノ酸配列を含む一対の軽鎖と、
(b)配列番号65、80、81、85、89、93、97、101、105、109、113または117から選択される重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む重鎖と、
(c)配列番号49、79、121、125、129、133、137、141、145、149、153、157、161または165から選択される重鎖可変ドメイン(VH)アミノ酸配列を含む重鎖と
を含む多重特異性抗体である、抗IL-36抗体。
28. (a)配列番号169および242の一対の軽鎖(LC)アミノ酸配列と、
(b)配列番号171、174、177、180、183、186、189、192、195、198、201および249から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列と、
(c)配列番号208、211、214、217、220、223、226、229、232、235、238および241から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列と
を含む多重特異性抗体である、抗IL-36抗体。
29. (a)配列番号169および242の一対の軽鎖(LC)アミノ酸配列と、
(b)配列番号172、175、178、181、184、187、190、193、196、199、202、250から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列と、
(c)配列番号207、210、213、216、219、222、225、228、231、234、237および240から選択される重鎖(HC)アミノ酸配列と
を含む多重特異性抗体である、抗IL-36抗体。
30. 配列番号169の一対の軽鎖(LC)アミノ酸配列と、配列番号192の重鎖(HC)アミノ酸配列と、配列番号235の重鎖(HC)アミノ酸配列とを含む、多重特異性抗IL-36抗体。
31. 1つのアームにおいてIL-36αおよびIL-36γについての特異性、ならびに他方のアームにおいてIL-36βについての特異性を含む多重特異性抗体である、条項1~30のいずれか一項に記載の抗体。
32. hu-IL-36α、hu-IL-36βおよび/またはhu-IL-36γに、1x10-8M以下、1x10-9M以下、1x10-10M以下、または1x10-11M以下の結合親和性により結合する、条項1~31のいずれか一項に記載の抗体。
33. hu-IL-36αおよびhu-IL-36γに、1x10-8M以下、1x10-9M以下、1x10-10M以下、または1x10-11M以下の結合親和性により結合する、条項1~32のいずれか一項に記載の抗体。
34. hu-IL-36βに、1x10-8M以下、1x10-9M以下、1x10-10M以下、または1x10-11M以下の結合親和性により結合する、条項1~33のいずれか一項に記載の抗体。
35. IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γによって刺激された細胞内シグナルを、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%減少し;およそEC50のIL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γ濃度において、10nM以下、5nM以下、または1nM以下のIC50を有してもよい、条項1~34のいずれか一項に記載の抗体。
36. IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γによって刺激されたヒト初代ケラチノサイト(PHK)からのIL-8の放出を阻害し;およそEC50のIL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γ濃度において、10nM以下、5nM以下、または1nM以下のIC50を有してもよい、条項1~35のいずれか一項に記載の抗体。
37. 配列番号5、6または7のカニクイザルのIL-36α、IL-36βまたはIL-36γと交差反応する、条項1~36のいずれか一項に記載の抗体。
38. モノクローナル抗体である、条項1~37のいずれか一項に記載の抗体。
39. 組換え抗体である、条項1~38のいずれか一項に記載の抗体。
40. キメラ抗体である、条項1~39のいずれか一項に記載の抗体。
41. ヒト化またはヒト抗体である、条項1~39のいずれか一項に記載の抗体。
42. F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、単一ドメイン抗体(VHH)、単一アーム抗体およびscFvからなる群から選択されてもよい抗体断片である、条項1~41のいずれか一項に記載の抗体。
43. クラスIgGの全長抗体であり、クラスIgGの抗体が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択されるアイソタイプを有してもよい、条項1~42のいずれか一項に記載の抗体。
44. Fc領域変異型であり、Fc領域変異型が、エフェクター機能を変更するか、または半減期を変更してもよい、条項43に記載の抗体。
45. Fc領域変異型が、エフェクター機能を減少し、かつ/またはエフェクター機能のない抗体をもたらし、Fc領域変異型が、エフェクター機能のない機能をもたらす297位におけるアミノ酸置換を含んでもよい、条項44に記載の抗体。
46. 免疫コンジュゲートであり、免疫コンジュゲートが、IL-36媒介状態または疾患の処置のための治療剤を含んでもよく、治療剤が、がんの処置のための化学療法剤または細胞傷害剤であってもよい、条項1~45のいずれか一項に記載の抗体。
47. 免疫グロブリンスキャフォールドまたは免疫グロブリンフレームワーク以外のスキャフォールド、適宜、代替タンパク質スキャフォールドおよび人工ポリマースキャフォールドから選択されるスキャフォールド上にグラフト化されたCDRを含む合成抗体である、条項1~47のいずれか一項に記載の抗体。
48. 条項1~48のいずれか一項に記載の抗体と同じエピトープに特異的に結合する抗IL-36抗体。
49. ヒトIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの各々に結合する多重特異性抗体であって、抗体が、ヒトIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの各々に、3nM以下の結合親和性により結合してもよく、結合親和性が、配列番号1のhu-IL-36α、配列番号2のhu-IL-36βおよび配列番号3のhu-IL-36γについての平衡解離定数(KD)によって測定されてもよく、
(a)抗体が、1つのアームにおいてIL-36αおよび/またはIL-36γについての特異性、ならびに他方のアームにおいてIL-36βについての特異性を含んでもよく;1つのアームが、hu-IL-36αおよびhu-IL-36γに、1x10-9M以下、1x10-10M以下、または1x10-11M以下の結合親和性により結合してもよく、他方のアームが、hu-IL-36βに、1x10-9M以下、1x10-10M以下、または1x10-11M以下の結合親和性により結合してもよく、
(b)抗体が、IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γによって刺激された細胞内シグナルを、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%減少してもよく;およそEC50のIL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γ濃度において、抗体が、10nM以下、5nM以下、または1nM以下のIC50を有してもよく、
(c)前記抗体が、IL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γによって刺激されたヒト初代ケラチノサイト(PHK)からのIL-8の放出を阻害してもよく;およそEC50のIL-36α、IL-36βおよび/もしくはIL-36γ濃度において、抗体が、10nM以下、5nM以下、または1nM以下のIC50を有してもよく、
(d)抗体が、カニクイザルのIL-36α、IL-36βおよびIL-36γと交差反応してもよく、かつ/または
(e)抗体が、カニクイザルIL-36α、IL-36βおよびIL-36γの各々に、3nM以下の結合親和性により結合してもよく;結合親和性が、配列番号5のcy-IL-36α、配列番号6のcy-IL-36βおよび配列番号7のcy-IL-36γについての平衡解離定数(KD)によって測定されてもよい、
多重特異性抗体。
50. 条項1~49のいずれか一項に記載の抗体をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
51. シグナルペプチド(SP)をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、条項50に記載のポリヌクレオチド。
52. 軽鎖および重鎖をコードする、条項50に記載のポリヌクレオチド。
53. 哺乳動物細胞における抗体の最適発現のために選択される1つまたは複数のコドンを含むポリヌクレオチド配列を含む、条項50に記載のポリヌクレオチド。
54. ポリヌクレオチド配列が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における抗体の最適発現のために選択される1つまたは複数のコドンを含む、条項50に記載のポリヌクレオチド。
55. 条項50~54のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
56. 条項55のベクターを含む単離された宿主細胞。
57. 条項50~54のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
58. 条項1~49のいずれか一項に記載の抗体を発現する単離された宿主細胞。
59. チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、骨髄腫細胞(例えば、Y0、NS0、Sp2/0)、サル腎臓細胞(COS-7)、ヒト胚腎臓系(293)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、TM4)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝細胞(Hep G2)、マウス乳房腫瘍細胞、TR1細胞、メディカルリサーチカウンシル5(MRC5)細胞および包皮4(FS4)細胞から選択される、条項56に記載の宿主細胞。
60. 抗体が産生されるように、条項56~59のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養することを含む、抗体を産生する方法。
61. 条項1~49のいずれか一項に記載の抗体を産生するハイブリドーマ。
62. 条項1~49のいずれか一項に記載の抗体と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
63. IL-36媒介疾患または状態の処置のための治療剤をさらに含み、治療剤が、化学療法剤であってもよい、条項62に記載の医薬組成物。
64. 対象においてIL-36媒介疾患を処置する方法であって、対象に、治療有効量の条項1~49のいずれか一項に記載の抗体、または治療有効量の条項62に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
65. 対象において、IL-36α、IL-36βおよび/またはIL-36γにより刺激されたシグナル伝達によって媒介される疾患を処置する方法であって、対象に、治療有効量の条項1~49のいずれか一項に記載の抗体、または治療有効量の条項62に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
66. 疾患が、上皮増殖因子受容体阻害剤に起因するざ瘡、ざ瘡および化膿性汗腺炎(PASH)、急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)、皺の無微生物膿疱症、頭皮/脚の無微生物膿疱症、無微生物角層下膿疱症、無菌膿瘍症候群、ベーチェット病、腸バイパス症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、小児膿疱性皮膚症、クローン病、インターロイキン-1受容体アンタゴニストの欠乏(DIRA)、インターロイキン-36受容体アンタゴニストの欠乏(DITRA)、湿疹、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、持久性隆起性紅斑、化膿性汗腺炎、IgA天疱瘡、炎症性腸疾患(IBD)、好中球性脂肪織炎、掌蹠膿疱性乾癬(PPP)、乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬(DIRA、DITRA)、壊疽性膿皮症、化膿性関節炎壊疽性膿皮症およびざ瘡(PAPA)、化膿性関節炎壊疽性膿皮症ざ瘡および化膿性汗腺炎(PAPASH)、リウマチ様好中球性皮膚症、滑膜炎ざ瘡膿疱症骨増殖症および骨炎(SAPHO)、クローン病患者におけるTNF誘導性乾癬型皮膚病変、シェーグレン症候群、スイート症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎ならびにブドウ膜炎から選択される、条項64または65に記載の方法。
67. 疾患が、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、掌蹠膿疱性乾癬(PPP)および乾癬から選択される、条項66に記載の方法。
68. 対象において乾癬を処置する方法であって、対象に、治療有効量の条項1~49のいずれか一項に記載の抗体、または治療有効量の条項62に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
69. 対象においてがんを処置する方法であって、対象に、治療有効量の条項1~49のいずれか一項に記載の抗体、または治療有効量の条項62に記載の医薬組成物を投与することを含み、がんが、乳がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、膵がんから選択されてもよい、方法。
【0300】
本発明の上記開示は、明確にする目的および理解の目的のために、例および例示としていくらか詳細に説明されているが、本明細書で説明される実施例、説明および実施形態を含む本開示は、例示の目的のためであり、例示的であると意図され、本開示を限定するとは解釈されるべきではない。本明細書で説明される実施例、説明および実施形態への様々な改変または変化は、行うことができ、本開示および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれるべきであることが当業者に明らかである。さらに、当業者は、本明細書で説明される方法および手技と均等ないくつかの方法および手技を認識する。全てのそのような均等物は、本開示の範囲内にあることが理解されるべきであり、添付の特許請求の範囲によって包含される。
【0301】
本発明の追加の実施形態は、以下の特許請求の範囲において示される。
【0302】
本明細書で挙げられる全ての出版物、特許出願、特許または他の文書の開示は、そのような各個々の出版物、特許、特許出願または他の文書が、全ての目的についてその全体が参照により本明細書に組み込まれていることを個々に特に示されており、本明細書においてその全体が示されているのと同様に、全ての目的についてそれらの全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。矛盾する場合には、特定の用語を含む本明細書が優先する。
【0303】
【配列表】
【国際調査報告】