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特表2022-514952チェックポイント阻害薬応答性がんを有する対象を検出及び処置する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(54)【発明の名称】チェックポイント阻害薬応答性がんを有する対象を検出及び処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20220208BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20220208BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20220208BHJP
   C12Q 1/6886 20180101ALI20220208BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220208BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20220208BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A61K45/00
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6886 Z
A61K39/395 U
A61K39/395 T
A61P35/00
G01N33/574 A
G01N33/53 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536367
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 US2019067673
(87)【国際公開番号】W WO2020132363
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/782,198
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521269931
【氏名又は名称】ストラータ オンコロジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ローズ, ダニエル リード
(72)【発明者】
【氏名】トムリンズ, スコット アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, デビッド ブライアン
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA05
4C084ZB26
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB17
4C085CC23
(57)【要約】
がん標本からPD-L1発現、CD8A発現、及び腫瘍含有量を算出、決定、または取得することを含む、チェックポイント阻害薬応答性がんを検出及び処置する方法が本明細書に開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置する方法であって、対象由来の腫瘍標本においてPD-L1発現、CD8A発現、及び腫瘍含有量を算出して、前記対象を、チェックポイント阻害薬応答性がんを有すると同定すること;ならびに、前記同定された対象にチェックポイント阻害薬療法を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
以下:遺伝子融合を示すキメラ転写物の存在、mRNAから変換されたcDNA由来のcDNA配列データ、DNA配列データ、腫瘍変異負荷(TMB)関連データ、及びマイクロサテライト不安定性(MSI)関連データのうちの1つ以上もまた、前記腫瘍標本について算出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
腫瘍変異負荷(TMB)関連データもまた、前記腫瘍標本について算出される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記腫瘍標本が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本である、請求項1~3に記載の方法。
【請求項5】
前記腫瘍標本が、副腎癌、胆道癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、大腸癌、直腸癌、子宮体癌、食道癌、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、非小細胞肺癌、肺癌、リンパ腫、メラノーマ、髄膜癌、非メラノーマ皮膚癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、肉腫、小腸癌、または胃癌である、請求項1~4に記載の方法。
【請求項6】
PD-L1発現が、PCR及び次世代シーケンシングを使用して算出される、請求項1~5に記載の方法。
【請求項7】
前記PD-L1発現が高いと算出される場合、前記対象が、チェックポイント阻害薬応答性がんを有すると同定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
高いPD-L1発現が、腫瘍プロファイルの集団における前記PD-L1発現の少なくとも73.3パーセンタイル以上と同等である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記算出されたPD-L1発現が、第2のアンプリコンを使用して、PD-L1発現の2次測定で確認され、前記2次測定のパーセンタイル値が、前記算出されたPD-L1発現値のうちの80%以上であること、請求項6~8に記載の方法。
【請求項10】
前記CD8A発現が、PCR及び次世代シーケンシングを使用して算出される、請求項1~9に記載の方法。
【請求項11】
前記CD8A発現が高いと算出される場合、前記対象が、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
高いCD8A発現が、腫瘍プロファイルの集団において前記CD8A発現の少なくとも67.6パーセンタイル以上と同等である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記算出されたCD8A発現が、第2のアンプリコンを使用して、GZMA発現の2次測定で確認され、前記2次測定のパーセンタイル値が、前記算出されたCD8A発現値の80%以上である、請求項10~12に記載の方法。
【請求項14】
前記腫瘍標本が、40%以上の腫瘍含有量を有する、請求項1~13に記載の方法。
【請求項15】
前記PD-L1発現が高いと算出され、前記CD8A発現が高いと算出され、前記腫瘍標本の前記腫瘍含有量が40%以上である場合、前記対象が、チェックポイント阻害薬応答性がんを有すると同定される、請求項1~14に記載の方法。
【請求項16】
前記腫瘍標本の前記PD-L1発現が高いと算出され、前記腫瘍標本の前記CD8A発現が高いと算出され、前記腫瘍標本の前記腫瘍含有量が40%以上である場合、前記対象が、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定されるか、または、前記腫瘍標本の前記TMBが1メガベース(Mb)当たり15以上の変異である場合、前記対象が、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される、請求項1~15に記載の方法。
【請求項17】
前記チェックポイント阻害薬が、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、抗PD-L1抗体、または抗PD-L2である、請求項1~16に記載の方法。
【請求項18】
前記チェックポイント阻害薬が、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記チェックポイント阻害薬が、PD-1、CTLA-4、PD-L1、及びPD-L2の群より選択されるチェックポイントタンパク質のうちの2つ以上を阻害する抗体である、請求項1~16に記載の方法。
【請求項20】
前記チェックポイント阻害薬が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、ピディリズマブ、PDR001、BMS-936559、アベルマブ、またはSHR-1210である、請求項1~16の方法。
【請求項21】
対象がチェックポイント阻害薬応答性がんを有するかどうかを同定する方法であって、前記対象がチェックポイント阻害薬応答性がんを有するかどうかを同定するために、前記対象からの腫瘍標本におけるPD-L1発現、CD8A発現、及び腫瘍含有量を算出することを含む、前記方法。
【請求項22】
以下:遺伝子融合を示すキメラ転写物の存在、mRNAから変換されたcDNA由来のcDNA配列データ、DNA配列データ、腫瘍変異負荷(TMB)関連データ、及びマイクロサテライト不安定性(MSI)関連データのうちの1つ以上もまた、前記腫瘍標本について算出される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
腫瘍変異負荷(TMB)関連データもまた、前記腫瘍標本について算出される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記腫瘍標本が、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本である、請求項21~23の方法。
【請求項25】
前記腫瘍標本が、副腎癌、胆道癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、大腸癌、直腸癌、子宮体癌、食道癌、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、非小細胞肺癌、肺癌、リンパ腫、メラノーマ、髄膜癌、非メラノーマ皮膚癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、肉腫、小腸癌、または胃癌である、請求項21~24に記載の方法。
【請求項26】
PD-L1発現が、PCR及び次世代シーケンシングを使用して算出される、請求項21~25に記載の方法。
【請求項27】
前記PD-L1発現が高いと算出される場合、前記対象が、チェックポイント阻害薬応答性がんを有すると同定される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
高いPD-L1発現が、腫瘍プロファイルの集団における前記PD-L1発現の少なくとも73.3パーセンタイル以上と同等である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記算出されたPD-L1発現が、第2のアンプリコンを使用して、PD-L1発現の2次測定で確認され、前記2次測定のパーセンタイル値が、前記算出されたPD-L1発現値の80%以上である、請求項26~28に記載の方法。
【請求項30】
前記CD8A発現が、PCR及び次世代シーケンシングを使用して算出される、請求項21~29に記載の方法。
【請求項31】
前記CD8A発現が高いと算出される場合、前記対象が、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
高いCD8A発現が、腫瘍プロファイルの集団において前記CD8A発現の少なくとも67.6パーセンタイル以上と同等である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記算出されたCD8A発現が、第2のアンプリコンを使用して、GZMA発現の2次測定で確認され、前記2次測定のパーセンタイル値が、前記算出されたCD8A発現値の80%以上である、請求項30~32に記載の方法。
【請求項34】
前記腫瘍標本が、40%以上の腫瘍含有量を有する、請求項21~33に記載の方法。
【請求項35】
前記PD-L1発現が高いと算出され、前記CD8A発現が高いと算出され、前記腫瘍標本の前記腫瘍含有量が40%以上である場合、前記対象が、チェックポイント阻害薬応答性がんを有すると同定される、請求項21~34に記載の方法。
【請求項36】
前記腫瘍標本の前記PD-L1発現が高いと算出され、前記腫瘍標本の前記CD8A発現が高いと算出され、前記腫瘍標本の前記腫瘍含有量が40%以上である場合、前記対象が、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定されるか、または、前記腫瘍標本の前記TMBが1メガベース(Mb)当たり15以上の変異である場合、前記対象が、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される、請求項21~35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年12月19日に出願された米国仮特許出願第62/782,198号の利益を主張し、この内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
チェックポイント阻害薬(すなわち、PD-1/PD-L1の阻害)が広くがん処置に使用され、印象的な生存の利点を有する。しかし、チェックポイント阻害薬を介した免疫系の活性化は、罹患率または死亡率を引き起こし得る多数の有害事象を引き起こし得る。一般的な重篤な有害事象は、大腸炎、肝炎、副腎皮質刺激ホルモン欠損症、甲状腺機能低下症、1型糖尿病、急性腎障害、及び心筋症を含む。従って、チェックポイント阻害療法を開始する前に、チェックポイント阻害に応答するがんを有する対象を同定することが望しいものになっている。
【0003】
PD-1/PD-L1阻害の応答を予測するものを評価するために、いくつかのバイオマーカーが検討されている。これらは、PD-L1発現(免疫組織化学による)、腫瘍浸潤リンパ球(例えば、エフェクターCD8陽性T細胞)、T細胞受容体クローン性、TMB、MSIステータス、末梢血マーカー、免疫遺伝子シグネチャー、及び多重免疫組織化学を含む(Gibney et al,2016)。最もよく研究されたバイオマーカーは、PD-L1発現であり、これは、複数のチェックポイント阻害薬のコンパニオンまたは補完的な診断薬として承認される。PD-L1発現は、いくつかの適応症において応答を高めるが、完全なバイオマーカーではなく、多くのバイオマーカー陽性患者は、処置応答をほとんど示さず、バイオマーカー陰性患者は、実質的な応答を示す(Larkin et al,2015;Borghaei et al,2015;Brahmer et al,2015;Garon et al,2015;Mahoney et al,2014)。同様に、複数の抗体、染色プロトコール、及び評価論が利用される(例えば、腫瘍細胞でのPD-L1発現のみを考慮するアプローチもあれば、腫瘍及び免疫細胞の両方の発現を考慮するアプローチもある)。同様に、チェックポイント阻害薬に応答するか、またはオフターゲット効果(例えば、自己免疫疾患の発症)のリスクを増加させる患者サブグループを同定するために、PD-L1以外のバイオマーカーを使用しても、未だ明確な患者層別化バイオマーカーはもたらされていない(Gibney et al,2016;Topalian et al,2016)。
【0004】
近年、ペムブロリズマブは、腫瘍の種類に関係なく、MSI-Hまたはデオキシリボ核酸(DNA)ミスマッチ修復欠損患者のために承認された(Le et al,2017)。登録可能な臨床試験は、研究者主導型臨床試験として実施し、広範囲な腫瘍型わたってバイオマーカー陽性患者を登録した。患者の54パーセント(54%;95%の信頼区間39%~69%)は、20週間で客観的な応答及び76%の1年全生存率推定値を有する(Le et al,2017)。MSI-Hは、結腸直腸癌(17%)及び子宮内膜癌(28%)でより一般的であるが、16のがんタイプで0.2%~5.4%の範囲である他の腫瘍タイプでは比較的まれである(Ashktorab et al,2016;Cortes-Ciriano,et al,2017)。MSI-Hは、豊富な新抗原及び強力な腫瘍免疫応答をもたらすMSI-H腫瘍の腫瘍変異負荷が大幅に増加するため、チェックポイント阻害薬に対する感度を付与すると考えられ、これは、免疫チェックポイント経路を介して排除される。第1の腫瘍を選ばないバイオマーカーベースの薬剤承認を代表するが、MSI-H腫瘍は、チェックポイント療法に応答する可能性がある承認された適応症以外の腫瘍タイプの一部のみを表すことが推察される。従って、依然として、チェックポイント阻害に応答する腫瘍を検出するバイオマーカーアッセイの必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの態様は、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと対象を同定するために、対象由来の腫瘍標本におけるPD-L1発現、CD8A発現、及び腫瘍含有量を算出、決定、または取得すること;ならびに、チェックポイント阻害薬療法を投与すること、を含む処置方法に関する。いくつかの実施形態では、以下のうちの1つ以上もまた、腫瘍標本について算出、決定、または取得される:遺伝子融合を示すキメラ転写物の存在、mRNAから変換されたcDNAからのcDNA配列データ、DNA配列データ、腫瘍変異負荷(TMB)関連データ、及びマイクロサテライト不安定性(MSI)関連データ。いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷(TMB)関連データもまた、腫瘍標本について算出、決定、または取得される。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本である。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、副腎癌、胆道癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、大腸癌、直腸癌、子宮体癌、食道癌、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、非小細胞肺癌、肺癌、リンパ腫、メラノーマ、髄膜癌、非メラノーマ皮膚癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、肉腫、小腸癌、または胃癌である。
【0006】
いくつかの実施形態では、PD-L1発現は、PCR及び次世代シーケンシングを使用して算出されるか、またはPCR及び次世代シーケンシングデータから決定される。いくつかの実施形態では、PD-L1発現は、LRP1、MRPL13、TBP、HMBS、ITGB7、MYC、CIAO1、CTCF、EIF2B1、GGNBP2、SLC4A1AP、及び/または他の好適なハウスキーピング遺伝子(及び/または任意の好適な遺伝子)のうちの1つ以上を含む1つ以上のハウスキーピング遺伝子にリードデータを正規化することにより算出される。いくつかの実施形態では、ハウスキーピング遺伝子は、EIF2B1、HMBS、CIAO1を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、PD-L1発現データは、別の当事者から取得される。
【0007】
いくつかの実施形態では、対象は、PD-L1発現が高いと算出されるか、または高いと判定される場合、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される。いくつかの実施形態では、高いPD-L1発現は、腫瘍プロファイルの集団に基づく少なくとも70(例えば、73.3)パーセンタイル(すなわち、PD-L1発現についての腫瘍プロファイルのランキングにおいて70パーセンタイル以上で)であると算出または決定される。本明細書に開示の方法のいくつかの実施形態では、腫瘍プロファイルの集団は、個々の腫瘍の少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500以上のプロファイルを含む。いくつかの実施形態では、高いPD-L1発現は、100万以上当たりの2,000の正規化リードと同等である。いくつかの実施形態では、算出されたPD-L1発現が、確認されるか、または第2のアンプリコンを使用するPD-L1発現の2次測定と組み合わされ、2次測定のパーセンタイル値は、算出されたPD-L1パーセンタイル値の80%以上である。
【0008】
いくつかの実施形態では、CD8A発現は、PCR及び次世代シーケンシングを使用して算出される。いくつかの実施形態では、対象は、CD8A発現が高いと算出された場合、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される。いくつかの実施形態では、高いCD8A発現は、100万以上当たり10,000の正規化リードと同等である。いくつかの実施形態では、算出されたCD8A発現が、確認されるか、または第2のアンプリコンを使用するGZMA発現の2次測定と組み合わされ、2次測定のパーセンタイル値が、算出されたCD8A発現値の80%以上である。
【0009】
いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、40%以上の腫瘍含有量を有する。いくつかの実施形態では、対象は、PD-L1発現が高いと算出され、CD8A発現が高いと算出され、腫瘍標本の腫瘍含有量が40%以上である場合、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される。いくつかの実施形態では、対象は、腫瘍標本のPD-L1発現が高いと算出され、腫瘍標本のCD8A発現が高いと算出され、腫瘍標本の腫瘍含有量が40%以上である場合、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定されるか、または、対象は、腫瘍標本のTMBが1メガベース(Mb)当たり15以上の変異である場合、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される。
【0010】
いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害薬は、抗PD-1抗体、抗CTLA-4抗体、抗PD-L1抗体、または抗PD-L2である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害薬は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害薬は、PD-1、CTLA-4、PD-L1、及びPD-L2の群より選択されるチェックポイントタンパク質のうちの2つ以上を阻害する抗体である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害薬は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、ピディリズマブ、PDR001、BMS-936559、アベルマブ、SHR-1210、またはAB122である。
【0011】
本開示のいくつかの態様は、対象がチェックポイント阻害薬応答性がんを有するかどうかを同定するために、対象由来の腫瘍標本におけるPD-L1発現、CD8A発現、及び腫瘍含有量を算出することを含む、対象がチェックポイント阻害薬応答性がんを有するかどうかを同定する方法に関連する。いくつかの実施形態では、以下のうちの1つ以上は、また、腫瘍標本について算出される:遺伝子融合を示すキメラ転写物の存在、mRNAから変換されたcDNAからのcDNA配列データ、DNA配列データ、腫瘍変異負荷(TMB)関連データ、及びマイクロサテライト不安定性(MSI)関連データ。いくつかの実施形態では、腫瘍変異負荷(TMB)関連データもまた、腫瘍標本について算出される。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本である。
【0012】
いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、副腎癌、胆道癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、大腸癌、直腸癌、子宮体癌、食道癌、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、非小細胞肺癌、肺癌、リンパ腫、メラノーマ、髄膜癌、非メラノーマ皮膚癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、肉腫、小腸癌、または胃癌である。
【0013】
いくつかの実施形態では、PD-L1発現は、PCR及び次世代シーケンシングを使用して算出される。いくつかの実施形態では、対象は、PD-L1発現が高いと算出された場合、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される。いくつかの実施形態では、高いPD-L1発現は、腫瘍プロファイルの集団全体で少なくとも73(例えば、73.3)パーセンタイルのPD-L1発現であると算出または決定される。いくつかの実施形態では、高いPD-L1発現は、100万以上当たりの2,000の正規化リードと同等である。いくつかの実施形態では、算出されたPD-L1発現は、確認されるか、または第2のアンプリコンを使用するPD-L1発現の2次測定と組み合わされる。いくつかの実施形態では、2次測定のパーセンタイル値は、算出されたPD-L1パーセンタイル値の80%以上である。
【0014】
いくつかの実施形態では、CD8A発現は、PCR及び次世代シーケンシングを使用して算出されるか、またはPCR及び次世代シーケンシングデータから決定される。いくつかの実施形態では、CD8A発現は、以下のうちの1つ以上を含む1つ以上のハウスキーピング遺伝子にリードデータを正規化することにより算出される:LRP1、MRPL13、TBP、HMBS、ITGB7、MYC、CIAO1、CTCF、EIF2B1、GGNBP2、SLC4A1AP、及び/または他の好適なハウスキーピング遺伝子(及び/または任意の好適な遺伝子)。いくつかの実施形態では、ハウスキーピング遺伝子は、EIF2B1、HMBS、CIAO1を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、CD8A発現データは、別の当事者から取得される。
【0015】
いくつかの実施形態では、対象は、CD8A発現が高いと算出されるか、または高いと判定される場合、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される。いくつかの実施形態では、高いCD8A発現は、腫瘍プロファイルの集団全体で少なくとも67(例えば、67.6)パーセンタイルのCD8A発現であると算出または決定される。いくつかの実施形態では、高いCD8A発現は、100万以上当たり10,000の正規化リードと同等である。いくつかの実施形態では、算出されたCD8A発現が、確認されるか、またはGZMA、GZMB、GZMK、PRF1、IFNG、もしくはCD8Bを含むCD8A関連転写物発現の2次測定と組み合わされる。いくつかの実施形態では、CD8A発現が、確認されるか、または第2のアンプリコンを使用したGZMA発現の2次測定と組み合わされ、2次測定のパーセンタイル値は、計算されたCD8Aパーセンタイル値の80%以上である。
【0016】
いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、40%以上の腫瘍含有量を有する。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、20%以上の腫瘍含有量を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、対象は、PD-L1発現が高いと算出され、CD8A発現が高いと算出され、腫瘍標本の腫瘍含有量が40%以上である場合、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される。いくつかの実施形態では、対象は、腫瘍標本のPD-L1発現が高いと算出され、腫瘍標本のCD8A発現が高いと算出され、腫瘍標本の腫瘍含有量が40%以上である場合、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定されるか、または、対象は、腫瘍標本のTMBが1メガベース(Mb)当たり15以上の変異である場合、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される。いくつかの実施形態では、対象は、腫瘍標本のTMBがメガベース(Mb)毎に15以上の変異であり且つ腫瘍含有量が少なくとも20%である場合、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される。
【0018】
特許または出願ファイルには、カラーで実行された少なくとも1つの図面を含有する。この特許またはカラー図面を有する特許出願の刊行物のコピーは、必要な料金の請求及び支払いに応じて、オフィスにより提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】方法100の実施形態の変形形態の流れ表現を提供する。
図2】方法100の実施形態の変形形態の流れ表現を提供する。
図3】方法100の実施形態の変形形態の流れ表現を提供する。
図4】実施例1のスクリーンの結果を示すグラフである。チェックポイント阻害に応答する腫瘍は橙色で示される。点線は、例1で定義されるCD8A高発現及びPD-L1高発現を示す。
図5】実施例1に示されるTMB試験のグラフである。点線は、1メガバイト当たり18の変異を示す。「R」は、チェックポイント阻害に応答する腫瘍を意味する。
図6】PD-L1の1次アンプリコン及び2次アンプリコン間の一致を示すグラフである。
図7】CD8Aの1次アンプリコン及びGZMAアンプリコン間の一致を示すグラフである。
図8】PD-L1アンプリコン(左側)またはGZMAとCD8A(右側)の間のパーセンタイル比率を示すグラフである。
図9】実施例1(左側)及び実施例2(右側)におけるCD8A高/PD-L1高腫瘍についてのスクリーニングの結果を比較するグラフである。
図10】実施例2に示される方法によるスクリーニングの結果を示すグラフである。
図11】TMBスクリーニングの結果を示す。上の点線は、TMB-H(15の変異/メガベース)を示す。
図12-1】TMB-H及びPD-L1+CD8A高の対象(左のグラフ)ならびに、これら2つの組み合わせたグループの抗PD-1療法への応答(右のグラフ)を提供する。
図12-2】TMB-H及びPD-L1+CD8A高の対象(左のグラフ)ならびに、これら2つの組み合わせたグループの抗PD-1療法への応答(右のグラフ)を提供する。
図13】これらのグループ間の重複を示す、TMB、MSI、及びSIS(PD-L1/CD8A高)患者集団のベン図である。
図14-1】腫瘍がPD-L1高/CD8A高/TC高(SIS陽性)である、実施例2の方法の例示的なシナリオを示す。
図14-2】腫瘍がPD-L1高/CD8A高/TC高(SIS陽性)である、実施例2の方法の例示的なシナリオを示す。
図15-1】腫瘍がPD-L1低/CD8A低/TC高(SIS陰性)である、実施例2の方法の例示的なシナリオを示す。
図15-2】腫瘍がPD-L1低/CD8A低/TC高(SIS陰性)である、実施例2の方法の例示的なシナリオを示す。
図16-1】腫瘍がPD-L1高/CD8A高/TC低(SIS陰性)である、実施例2の方法の例示的なシナリオを示す。
図16-2】腫瘍がPD-L1高/CD8A高/TC低(SIS陰性)である、実施例2の方法の例示的なシナリオを示す。
図17-1】腫瘍がPD-L1高/CD8A低/TC高(SIS陰性)である、実施例2の方法の例示的なシナリオを示す。
図17-2】腫瘍がPD-L1高/CD8A低/TC高(SIS陰性)である、実施例2の方法の例示的なシナリオを示す。
図18-1】腫瘍がPD-L1低/CD8A高/TC高(SIS陰性)である、実施例2の方法の例示的なシナリオを示す。
図18-2】腫瘍がPD-L1低/CD8A高/TC高(SIS陰性)である、実施例2の方法の例示的なシナリオを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
本開示のいくつかの態様は、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に正に応答する可能性がある及び/または可能性が高い対象(本明細書では患者と呼ばれる場合がある)(すなわち、チェックポイント阻害薬応答性がんを有する対象)を同定するための方法(例えば、図1~3の方法100)に関する。いくつかの実施形態では、対象は、腫瘍を有し、方法は、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかどうかを示すデータを算出、決定、または取得することを含む(本明細書では「チェックポイント阻害薬応答性がん」と呼ばれる場合がある)。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法(本明細書では「チェックポイント阻害薬」と呼ばれる場合がある)を同定された対象または腫瘍に投与することを含む。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害薬に応答する対象は、チェックポイント阻害薬療法の開始から12ヶ月以内に疾患の進行がない。
【0021】
図1及び3に示されるように、方法100(例えば、PD-1/PD-L1の阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、及び/または応答する可能性が高い患者を同定するためのものなど)の実施形態は、1つ以上の生物試料(例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本、好適な腫瘍標本など)から誘導される免疫応答関連データ(例えば、プログラムされたデスリガンド1(PD-L1)遺伝子発現レベル;分化抗原群8a(CD8A)遺伝子発現レベル;遺伝子融合を示すキメラ転写物;例えば、mRNAから変換されたcDNA由来のcDNA配列データ;DNA配列データ;腫瘍変異負荷(TMB)関連データ;マイクロサテライト不安定性(MSI)関連データなど)を収集すること;ならびに、免疫応答関連データに基づいて、1つ以上の療法と関連する処置応答特性評価(例えば、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または他の好適な療法の免疫チェックポイント療法に対する応答性、など)を決定すること、を含み得る。追加的または代替的に、方法100の実施形態は、処置応答特性評価に基づいて、1人以上の患者への処置提供を容易にすることを含まれ得;及び/または任意の好適なプロセスを含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかどうかを判定することは、対象から腫瘍標本を収集または提供することを含む。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、新鮮な腫瘍標本またはホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本である。しかし、標本の準備は、限定されておらず、当該技術分野で既知の任意の好適な準備であり得る。いくつかの実施形態では、方法は、腫瘍を収集または提供することを含まない。その代わりに、データまたは定性的評価(例えば、腫瘍が、関連マーカーの高発現もしくは低発現、または高もしくは低腫瘍含有量を有することの判定)が提供される。いくつかの実施形態では、データまたは定性的評価は、専門家または他の医療従事者に提供され、そのような者は、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法を投与するか否かを決定するために、そのようなデータまたは評価を使用する。提供されたデータまたは定性的評価は、本明細書に開示の方法のいずれかにより算出または決定することができる。
【0023】
腫瘍は、任意のがんに由来してもよいが、限定されない。本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、悪性新生物を指す(tedman’s Medical Dictionary,25th ed.;Hensyl ed.;Williams & Wilkins:Philadelphia,1990)。例示的ながんとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:聴神経腫;腺癌;副腎癌;肛門癌;血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫);虫垂癌;良性の単クローン性免疫グロブリン血症;胆管癌(例えば、胆管癌);膀胱癌;乳癌(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭状癌、乳癌、乳房の髄様癌);脳癌(例えば、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば、星状細胞腫、希突起膠腫)、髄芽腫);気管支癌;カルチノイド腫瘍;子宮頸癌(例えば、子宮頸腺癌);絨毛癌;脊索腫;頭蓋咽頭腫;結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌);結合組織癌;上皮癌;上衣腫;内皮肉腫(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫);子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫);食道癌(例えば、食道の腺癌、バレット食道癌);ユーイング肉腫;眼癌(例えば、眼内メラノーマ、網膜芽腫);家族性過好酸球増加症;胆嚢癌;胃癌(例えば、胃腺癌);消化管間質腫瘍(GIST);胚細胞癌;頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮癌)、咽頭癌(例えば、喉頭癌、咽頭癌、鼻咽頭癌、口腔咽頭癌));造血器癌(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)などの白血病(例えば、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)、及び慢性リンパ性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL));ホジキンリンパ腫(HL)などのリンパ腫(例えば、B細胞HL、T細胞HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)などのB細胞NHL)(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾性辺縁帯B細胞リンパ腫)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち、ワルデンストレームマクログロブリン血症)、毛様細胞性白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫及び原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫;ならびに前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉腫、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸管症関連T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、及び未分化大細胞リンパ腫);上記の1つ以上の白血病/リンパ腫の混合物;及び多発性骨髄腫(MM))、重鎖疾患(例えば、アルファ鎖疾患、ガンマ鎖疾患、ミュー鎖疾患);血管芽細胞腫;下咽頭癌;炎症性筋線維芽細胞腫瘍;免疫細胞性アミロイドーシス;腎臓癌(例えば、ウィルムス腫瘍としても知られる腎芽腫、腎細胞癌);肝癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性肝細胞癌);肺癌(例えば、気管支癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺腺癌);平滑筋肉腫(LMS);肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症);筋肉癌;骨髄異形成症候群(MDS);中皮腫;骨髄増殖性疾患(MPD)(例えば、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、骨髄線維症(MF)としても知られる原発性骨髄線維症(AMM)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES));神経芽腫;神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1型または2型、神経鞘腫症);神経内分泌癌(例えば、胃腸膵臓神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍);骨肉腫(例えば、骨肉腫);卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胚性癌、卵巣腺癌);乳頭状腺癌;膵癌(例えば、膵腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵島細胞腫瘍);陰茎癌(例えば、陰茎及び陰嚢のパジェット病);松果体腫;原始神経外胚葉性腫瘍(PNT);形質細胞腫瘍;腫瘍随伴症候群;上皮内腫瘍;前立腺癌(例えば、前立腺腺癌);直腸癌;横紋筋肉腫;唾液腺癌;皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、ケラトアカントーマ(KA)、メラノーマ、基底細胞癌(BCC));小腸癌(例えば、虫垂癌);軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫);皮腺癌;小腸癌;汗腺癌;滑膜腫;精巣癌(例えば、精上皮腫、精巣胚性癌);甲状腺癌(例えば、甲状腺乳頭状癌、乳頭状甲状腺癌(PTC)、甲状腺髄様癌);尿道癌;膣癌;及び外陰癌(例えば、外陰部のパジェット病)。いくつかの実施形態では、がんは、固形癌である。
【0024】
いくつかの実施形態では、がんは、血液感染性または造血性がんではない。いくつかの実施形態では、がんは、MSI-Hがんではない。いくつかの実施形態では、がんは、メラノーマ、肺癌、腎臓癌、膀胱癌、頭頸部癌、及びホジキンリンパ腫のうちの1、2、3、4、5、6、または全7つではない。いくつかの実施形態では、がんは、副腎癌、胆道癌、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、大腸癌、直腸癌、子宮体癌、食道癌、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、非小細胞肺癌、肺癌、リンパ腫、メラノーマ、髄膜癌、非メラノーマ皮膚癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、肉腫、小腸癌、または胃癌である。
【0025】
いくつかの実施形態では、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかどうかを判定または算出することは、腫瘍から誘導される免疫応答関連データを算出、収集、または決定することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、別の当事者由来の腫瘍から誘導される免疫応答関連データ(定量的または定性的)を取得すること、ならびに、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかどうかを決定することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、免疫応答関連データは、プログラムされたデスリガンド1(PD-L1)遺伝子発現レベル;分化抗原群8a(CD8A)遺伝子発現レベル;遺伝子融合を示すキメラ転写物;例えば、mRNAから変換されたcDNA由来の、cDNA配列データ;DNA配列データ;腫瘍変異負荷(TMB)関連データ;マイクロサテライト不安定性(MSI)関連データのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、またはそれ以上の免疫応答関連データタイプ(例えば、プログラムされたデスリガンド1(PD-L1)遺伝子発現レベル;分化抗原群8a(CD8A)遺伝子発現レベル;遺伝子融合を示すキメラ転写物;例えば、mRNAから変換されたcDNA由来の、cDNA配列データ;DNA配列データ;腫瘍変異負荷(TMB)関連データ;マイクロサテライト不安定性(MSI)関連データ)が算出、収集、または決定される。いくつかの実施形態では、免疫応答関連データは、NGS及び/またはマルチプレックスPCRを介して収集または決定される。いくつかの実施形態では、免疫応答関連データは、別の当事者により実施されるNGS及び/またはマルチプレックスPCRから取得される。
【0027】
いくつかの実施形態では、プログラムされたデスリガンド1(PD-L1)遺伝子発現レベル及び分化抗原群8a(CD8A)遺伝子発現レベルが決定、算出、または取得される。いくつかの実施形態では、プログラムされたデスリガンド1(PD-L1)遺伝子発現レベル、分化抗原群8a(CD8A)遺伝子発現レベル、及びMSI関連データが決定、算出、または取得される。いくつかの実施形態では、プログラムされたデスリガンド1(PD-L1)遺伝子発現レベル、分化抗原群8a(CD8A)遺伝子発現レベル、及びTMB関連データが決定、算出、または取得される。いくつかの実施形態では、プログラムされたデスリガンド1(PD-L1)遺伝子発現レベル、分化抗原群8a(CD8A)遺伝子発現レベル、TMB関連データ、及びMSI関連データが決定、算出、または取得される。
【0028】
いくつかの実施形態では、PD-L1発現は、マルチプレックスPCR(アンプリコン)を使用する遺伝子発現転写物のNGSを介して決定または算出される。いくつかの実施形態では、PD-L1発現は、マルチプレックスPCR(アンプリコン)データを使用する遺伝子発現転写物のNGSから取得される。いくつかの実施形態では、PD-L1発現は、マルチプレックスPCR及び第2のアンプリコンを使用して、検証、確認、または組み合わされる。いくつかの実施形態では、PD-L1の検証または確認は、第2のアンプリコンのパーセンタイル値が、算出されたPD-L1パーセンタイル値の70%、75%、80%、85%、またはそれ以上であることを必要とする。いくつかの実施形態では、PD-L1の検証または確認は、第2のアンプリコンのパーセンタイル値が、算出されたPD-L1パーセンタイル値の80%以上であることを必要とする。
【0029】
いくつかの実施形態では、CD8A発現は、マルチプレックスPCR(アンプリコン)を使用する遺伝子発現転写物のNGSを介して決定または算出される。いくつかの実施形態では、CD8A発現は、マルチプレックスPCR(アンプリコン)データを使用する遺伝子発現転写物のNGSから取得される。いくつかの実施形態では、CD8A発現は、GZMA、GZMB、GZMK、PRF1、IFNG、またはCD8B発現を測定するマルチプレックスPCR(アンプリコン)を使用して検証、確認、または組み合わされる。いくつかの実施形態では、CD8A発現は、GZMA発現を測定するマルチプレックスPCR(アンプリコン)を使用して検証、確認、または組み合わされる。CD8A及びGZMAは、ともに、インターフェロン-γ遺伝子シグネチャーの一部である。いくつかの実施形態では、CD8Aの検証、確認、または組み合わせは、第2のアンプリコン(例えば、GZMA)測定のパーセンタイル値が、算出されたCD8Aパーセンタイル値の80%以上であることを必要とする。
【0030】
いくつかの実施形態では、TMBは、腫瘍DNAのNGSにより決定または算出される。いくつかの実施形態では、TMBは、別の当事者から取得される。
【0031】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、腫瘍標本の腫瘍含有量を決定、算出、または取得することを含む。腫瘍含有量を決定または算出する方法は、限定されず、当該技術分野で既知の任意の好適な方法であり得る。いくつかの実施形態では、腫瘍含有量は、病理医による組織病理学で決定される。いくつかの実施形態では、腫瘍含有量は、標本から取得された配列データから分子腫瘍含有量を評価することにより決定される。いくつかの実施形態では、分子腫瘍含有量は、3つの独立した入力で三角測量することにより決定される:(1)体細胞変異バリアント対立遺伝子頻度(VAF)(例えば、腫瘍抑制因子におけるホモ接合性変異の場合、VAFは、腫瘍含有量に近似する;中間のコピー数でのヘテロ接合性がん遺伝子変異の場合、VAF*2)、VAF*2は、腫瘍含有量に近似する)。(2)セグメント化されたコピー数プロファイルからのステップ関数(すなわち、ステップは、二倍体腫瘍の100%腫瘍含有量の場合は1.0コピー、50%の腫瘍含有量の場合は0.5に等しくなければならないものなど)。(3)コピー数変化の領域内の生殖細胞系列VAF(例えば、ヘテロ接合性生殖細胞系列バリアントは、2コピーの位置で約50%のVAFを有することになり、1コピー損失及び100%の腫瘍含有量の位置の場合、生殖細胞系列バリアントは、約100%または約0%のVAFを有するものなど)。
【0032】
いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかを判定するために、約20%以上の腫瘍含有量を有していなければならない。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかを判定するために、約25%以上の腫瘍含有量を有していなければならない。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかを判定するために、約30%以上の腫瘍含有量を有していなければならない。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかを判定するために、約35%以上の腫瘍含有量を有していなければならない。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかを判定するために、約40%以上の腫瘍含有量を有していなければならない。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかを判定するために、約45%以上の腫瘍含有量を有していなければならない。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかを判定するために、約50%以上の腫瘍含有量を有していなければならない。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかを判定するために、約55%以上の腫瘍含有量を有していなければならない。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、腫瘍がPD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答するか、または応答する可能性が高いかを判定するために、約60%以上の腫瘍含有量を有していなければならない。
【0033】
いくつかの実施形態では、がんまたは対象は、腫瘍標本が高いPD-L1発現を有する場合、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答することになるか、または応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、高いPD-L1発現は、腫瘍プロファイルの集団に基づいて、少なくとも68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、または80パーセンタイルであると算出または決定される。いくつかの実施形態では、高いPD-L1発現は、腫瘍プロファイルの集団に基づいて、少なくとも73.3パーセンタイルであると算出または決定される。本明細書に開示の方法のいくつかの実施形態では、腫瘍プロファイルの集団は、個々の腫瘍の少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500以上のプロファイルを含む。いくつかの実施形態では、高いPD-L1発現は、YoudenのJ統計量を最大化した各バイオマーカーの受信者動作特性(ROC)曲線上の点と等しいか、またはそれを超えると確認される。いくつかの実施形態では、高いPD-L1発現は、100万[nRPM]以上当たり約14K(すなわち、14,000)の正規化リードとして定義される。
【0034】
いくつかの実施形態では、対象は、CD8A発現が高いと算出されるか、または高いと判定される場合、チェックポイント阻害薬応答性がんを有するものと同定される。いくつかの実施形態では、高いCD8A発現は、腫瘍プロファイルの集団全体で少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、または70パーセンタイルのCD8Aであると算出または決定される。いくつかの実施形態では、高いCD8A発現は、腫瘍プロファイルの集団全体で少なくとも、例えば、67.6パーセンタイルのCD8Aであると算出または決定される。いくつかの実施形態では、高いCD8A発現は、YoudenのJ統計量を最大化した各バイオマーカーの受信者動作特性(ROC)曲線上の点と等しいか、またはそれを超えると確認される。いくつかの実施形態では、高いCD8A発現は、100万[nRPM]以上当たり約69Kの正規化リードとして定義される。
【0035】
いくつかの実施形態では、がんまたは対象は、腫瘍標本が高いPD-L1発現、高いCD8A発現、及び少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれ以上の腫瘍含有量(例えば、分子腫瘍含有量)を有する場合、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答することになるか、または応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、がんまたは対象は、腫瘍標本が高いPD-L1発現、高いCD8A発現、及び少なくとも50%以上の腫瘍含有量(例えば、分子腫瘍含有量)を有する場合、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答することになるか、または応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、がんまたは対象は、腫瘍標本が14K nRPM以上(すなわち、73.3パーセンタイル以上)のPD-L1発現、69K nRPM以上(すなわち、67.6パーセンタイル以上)のCD8A発現、及び50%以上の腫瘍含有量(例えば、分子腫瘍含有量)を有する場合、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答することになるか、または応答する可能性が高い。
【0036】
いくつかの実施形態では、がんまたは対象は、腫瘍標本が、1次測定値における高いPD-L1発現(2次PD-L1測定値(例えば、第2のアンプリコン)のパーセンタイル値は、1次測定値の80%以上である)、1次測定値における高いCD8A発現(2次GZMA、GZMB、GZMK、PRF1、IFNG、またはCD8B測定値(例えば、第2のアンプリコン)のパーセンタイル値は、1次測定値の80%以である)、及び40%以上の腫瘍含有量(例えば、分子腫瘍含有量)を有する場合、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答することになるか、または応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、がんまたは対象は、腫瘍標本が、1次測定値における高いPD-L1発現(2次PD-L1測定値(例えば、第2のアンプリコン)のパーセンタイル値は、1次測定値の80%以上である)、1次測定値における高いCD8A発現(2次GZMA測定値(例えば、第2のアンプリコン)のパーセンタイル値は、1次測定値の80%以上である)、及び40%以上の腫瘍含有量(例えば、分子腫瘍含有量)を有する場合、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答することになるか、または応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、がんまたは対象は、腫瘍標本が、2K nRPM以上のPD-L1発現(2次PD-L1測定値(例えば、第2のアンプリコン)のパーセンタイル値は、1次測定値の80%以上である)、10K nRPM以上のCD8A発現(2次GZMA、GZMB、GZMK、PRF1、IFNG、またはCD8B測定値(例えば、第2のアンプリコン)のパーセンタイル値は、1次測定値の80%以上である)、及び40%以上の腫瘍含有量(例えば、分子腫瘍含有量)を有する場合、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答することになるか、または応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、がんまたは対象は、腫瘍標本が、2K nRPM以上のPD-L1発現(2次PD-L1測定値(例えば、第2のアンプリコン)のパーセンタイル値は、1次測定値の80%以上である)、10K nRPM以上のCD8A発現(2次GZMA測定値(例えば、第2のアンプリコン)のパーセンタイル値は、1次測定値の80%以上である))、及び40%以上の腫瘍含有量(例えば、分子腫瘍含有量)を有する場合、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答することになるか、または応答する可能性が高い。
【0037】
いくつかの実施形態では、PD-L1高及びCD8A高シグネチャーを検出することによりチェックポイント阻害に応答する腫瘍を検出する本明細書に開示の方法は、汎がんの選択されていないチェックポイント阻害薬の応答率を10%と仮定すると、少なくとも40%、41%、42%、43%、44%、45%、またはそれ以上の調整陽性適中率(PPV)を有する。いくつかの実施形態では、PD-L1高及びCD8A高シグネチャーを検出することによりチェックポイント阻害に応答する腫瘍を検出する本明細書に開示の方法は、汎がんの選択されていないチェックポイント阻害薬の10%の応答率を仮定すると、少なくとも44%または44.9%以上の調整陽性適中率(PPV)を有する。いくつかの実施形態では、PD-L1高及びCD8A高シグネチャーを検出することによりチェックポイント阻害に応答する腫瘍を検出する本明細書に開示の方法は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の特異度を有する。いくつかの実施形態では、PD-L1高及びCD8A高シグネチャーを検出することによりチェックポイント阻害に応答する腫瘍を検出する本明細書に開示の方法は、少なくとも95%または95.5%の特異度を有する。
【0038】
いくつかの実施形態では、PD-L1高及びCD8A高シグネチャー、またはTMB高シグネチャーを検出することによりチェックポイント阻害に応答する腫瘍を検出する本明細書に開示の方法は、汎がんの選択されていないチェックポイント阻害薬の応答率を10%と仮定すると、少なくとも40%、41%、42%、43%、44%、45%、またはそれ以上の調整陽性適中率(PPV)を有する。いくつかの実施形態では、PD-L1高及びCD8A高シグネチャー、またはTMB高シグネチャーを検出することによりチェックポイント阻害に応答する腫瘍を検出する本明細書に開示の方法は、汎がんの選択されていないチェックポイント阻害薬の応答率を10%と仮定すると、少なくとも44%以上の調整陽性適中率(PPV)を有する。いくつかの実施形態では、PD-L1高及びCD8A高シグネチャー、またはTMB高シグネチャー検出することにより、チェックポイント阻害に応答する腫瘍を検出する本明細書に開示の方法は、チェックポイント阻害薬応答性(例えば、PD-1/PD-L1応答性)がんの少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、またはそれ以上を検出し得る。いくつかの実施形態では、PD-L1高及びCD8A高シグネチャー、またはTMB高シグネチャー検出することにより、チェックポイント阻害に応答する腫瘍を検出する本明細書に開示の方法は、チェックポイント阻害薬応答性(例えば、PD-1/PD-L1応答性)がんの少なくとも66%以上を検出し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、がんまたは対象は、腫瘍標本が高いPD-L1発現、高いCD8A発現、及び40%以上の腫瘍含有量を有する場合、または、腫瘍標本がTMB高(TMB-H)である場合、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または好適な免疫チェックポイント療法に応答することになるか、または応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、TMB-Hは、1メガベース(Mb)当たり15以上の変異である。いくつかの実施形態では、TMB-Hは、1Mb当たり10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の変異である。いくつかの実施形態では、腫瘍標本は、少なくとも20%の腫瘍含有量を有する。
【0040】
変異の検出方法(例えば、TMB)が限定されない。いくつかの実施形態では、変異は、NGSを介して検出、算出、または取得される。いくつかの実施形態では、TMBは、>10%のバリアント対立遺伝子頻度(VAF)で存在するノンコーディング(高度に特性決定されたゲノム遺伝子座で)及びコーディング、同義及び非同義、単一及びマルチヌクレオチド(2塩基)バリアントを含む。いくつかの実施形態では、1メガベース(Mb)当たりの変異の推定値及び関連する90%信頼区間は、確定評価に必要な十分な読み取り深度(可能な最大1.7Mb)を有する位置の総数を介して算出される。
【0041】
いくつかの実施形態では、投与されるチェックポイント阻害薬は、少なくとも1つのチェックポイントタンパク質、例えば、PD-1、CTLA-4、PD-L1、またはPD-L2に対する抗体である。いくつかの実施形態では、投与されるチェックポイント阻害薬は、PD-1、CTLA-4、PD-L1、及びPD-L2の群より選択されるチェックポイントタンパク質のうちの2つ以上に対して有効な抗体である。いくつかの実施形態では、投与されるチェックポイント阻害薬は、少なくとも1つのチェックポイントタンパク質を阻害する小分子の非タンパク質化合物である。一実施形態では、チェックポイント阻害薬は、PD-1、CTLA-4、PD-L1、及びPD-L2からなる群より選択されるチェックポイントタンパク質を阻害する小分子の非タンパク質化合物である。いくつかの実施形態では、投与されるチェックポイント阻害薬は、ニボルマブ(Opdivo(登録商標)、BMS-936558、MDX1106、BristolMyers Squibb, Princeton NJから市販)、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標)MK-3475、ランブロリズマブ、Merck and Company, Kenilworth NJ)、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標)、Genentech/Roche, South San Francisco CA)、デュルバルマブ(MEDI4736、Medimmune/AstraZeneca)、ピディリズマブ(CT-011、CureTech)、PDR001(Novartis)、BMS-936559(MDX1105、BristolMyers Squibb)、アベルマブ(MSB0010718C、Merck Serono/Pfizer)、またはSHR-1210(Incyte)である。本明細書に記載の方法で使用される追加の抗体PD1経路阻害薬は、2012年7月10日に発行された米国特許第8,217,149号(Genentech,Inc);2012年5月1日に発行された米国特許第8,168,757号(Merck Sharp and Dohme Corp.)、2011年8月30日に発行された米国特許第8,008,449号(Medarex)、及び2011年5月17日に発行された米国特許第7,943,743号(Medarex,Inc)を含む。
【0042】
具体例では、図2に示されるように、特許請求される発明の方法(例えば、方法100)は、以下のうちの1つ以上を含み得る:1つの集合の患者(例えば、がん患者など)から1つの集合の生物試料(例えば、FFPE腫瘍標本)を収集すること;生物試料の処理に基づいて1つ以上のシーケンシングライブラリーを生成すること(例えば、1つ以上の療法に対する患者の応答性と関連するバイオマーカーを示すシーケンシング出力を生成するのに適するものなど);1つ以上のシーケンシングライブラリーに基づく患者の集合に対し、シーケンシングリードの集合(例えば、PD-L1及びCD8Aに対する発現レベルを示すmRNAから変換されたcDNAから誘導されるcDNA配列など)を決定すること;免疫応答関連データの決定に対するシーケンシングリードを処理すること(例えば、PD-L1遺伝子発現レベル;CD8A遺伝子発現レベル;遺伝子融合を示すキメラ転写物、例えば、mRNAから変換されたcDNAに由来するcDNA配列データ;DNA配列データ、TMB関連データ;MSI関連データなど);免疫応答関連データに基づく(例えば、異なるタイプの免疫応答関連データの独立した及び/または組み合わせた解析に基づく等)患者の集合に対する処置応答特性評価(例えば、PD-1/PD-L1阻害薬などの1つ以上の免疫チェックポイント療法に対する患者の感度と関連するものなど)を決定すること;ならびに処置応答特性評価に基づいて、患者の集合のうちの1人以上の患者に対する処置の提供を容易にすること(例えば、臨床試験の登録のために、臨床試験の療法に対して陽性応答性の指標を有する患者の1つの部分集合を同定すること;例えば、1人以上のケア提供者によるケアの決定を導くために、1人以上のケア提供者に処置応答特性評価を提供することなど)。
【0043】
本明細書に開示の方法及びシステム(例えば、方法100またはシステム200)の実施形態は、1つ以上の免疫チェックポイント療法(例えば、PD-1/PD-L1阻害薬)、ならびに/または、例えば、PD-L1遺伝子発現レベル、CD8A遺伝子発現レベル、遺伝子融合を示すキメラ転写物、cDNA配列データ(例えば、mRNAから変換されたcDNAなどに由来する)、DNA配列データ、TMB関連データ、MSI関連データ、及び/もしくは他の好適なタイプの免疫応答関連データのうちの2つ以上を含む、免疫応答関連データの複数の異なる種類に基づく他の好適な療法に応答するものとして、患者集団を強化、同定し、選択し、及び/または別途特性決定するように機能し得る。
【0044】
具体例では、予測バイオマーカーに関するデータ(及び/または他の好適な免疫応答関連データ)は、PD-1/PD-L1活性をブロックする(例えば、それにより、患者免疫応答が、患者のがん状態及び/または他の好適な状態を改善することを可能にする)阻害薬などのチェックポイント阻害薬から恩恵を受ける患者を予測するために、1つ以上の患者に対し1つ以上の処置応答特性評価を生成時に、分析することができ、例えば、異なるタイプの免疫応答関連データが、独立して及び/または任意の好適な組み合わせで、患者の応答の予測に寄与し得る。
【0045】
具体例では、処置応答特性評価(例えば、チェックポイント阻害薬療法に対する患者の応答性を示すものなど)は、臨床試験(例えば、臨床試験登録及び患者選択;例えば、バイオマーカーの異なる組み合わせに基づく患者集団の層別化;治療の特性評価;結果の分析;及び/または臨床試験と関連する他の好適な目的など)、ケアの提供(例えば、患者に関するケアの決定を導くためのケア提供者への処置応答特性評価の提供;患者の療法の決定など)、及び/または他の好適な適用に使用することができる。追加的または代替的に、本明細書に開示の方法及びシステム(例えば、方法100及び/またはシステム200)の実施形態は、肺癌組織生検、腫瘍標本、及び/または好適なタイプの生物試料などの有益な生物試料を保存するように機能し得る。具体例では、免疫応答関連データ収集は、RNAシーケンシング(例えば、PD-L1及び/もしくはCD8Aの発現を示すmRNAなどのmRNAから変換されたcDNAのシーケンシングなど)ならびに/または生物試料の比較的大量の使用を要求し得る試料処理アプローチの代替物(例えば、免疫組織化学など)としての他の好適な処理アプローチに基づいて実施することができる。しかし、本明細書に開示の方法及びシステム(例えば、方法100及び/またはシステム200)の実施形態は、任意の好適な機能性を含み得る。
【0046】
本明細書に開示の方法及びシステム(例えば、方法100及び/またはシステム200)の実施形態は、(例えば、遺伝子発現レベルの評価;閾値との比較;処置応答特性評価の決定などに関して)PD-L1エクソン3-4、PD-L1エクソン4-5、CD8Aエクソン4-5、及び/または他の好適なPD-L1及び/またはCD8Aエクソンジャンクション、及び/または他の好適な遺伝子に対するエクソンジャンクションうちのいずれか1つ以上を含むPD-L1及び/またはCD8Aエクソンジャンクションに対して実施することができる。
【0047】
本明細書に開示の方法及びシステム(例えば、方法100及び/またはシステム200)の実施形態は、好ましくは、肺癌、メラノーマ、腎臓癌、膀胱癌、乳癌、食道癌、結腸癌、胆管癌、脳癌、直腸癌、子宮内膜癌、リンパ腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、甲状腺癌、小腸癌、肝胆道癌、尿路癌、任意のがんの病期(例えば、III期、IV期、II期、I期、0期など)及び/または任意の好適ながん状態(例えば、汎がんなど)のうちのいずれか1つ以上を含む、1つ以上のがん状態(及び/または他の好適な免疫応答関連状態など)を有する及び/またはそれと別の方法で関連する患者と関連して(例えば、について、に関する、について、と関連するなど)実施される。追加的または代替的に、免疫応答関連状態は、自己免疫疾患;肝炎;イベント関連免疫応答抑制(例えば、組織同種移植、妊娠中等)のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0048】
免疫応答関連状態は、症状、原因、疾患、障害、関連リスク、関連重症度、及び/または免疫応答関連状態と関連する任意の他の好適な側面のうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0049】
本明細書に開示の方法の実施形態は、好ましくは、次世代シーケンシング(NGS)(例えば、次世代シーケンシングシステムでシーケンシングするための配列ライブラリーを生成するために、生物試料を処理することなど)を適用し、含み、及び/または別の方法で関連する。本明細書に開示の方法の実施形態は、半導体ベースのシーケンシング技術を含み、適用し、及び/または別の方法で関連させ得る。追加的または代替的に、本明細書に開示の方法の実施形態は、任意の好適なシーケンシング技術(例えば、シーケンシングライブラリー調製技術;シーケンシングシステム;シーケンシング出力解析技術など)を含み、適用し、及び/または別の方法で関連させ得る。シーケンシング技術は、好ましくは、次世代シーケンシング技術を含む。次世代シーケンシング技術は、ハイスループットシーケンシング(例えば、ハイスループットシーケンシング技術;大規模並列シグネチャーシーケンシング、Polonyシーケンシング、454パイロシーケンシング、Illuminaシーケンシング、SOLiDシーケンシング、Ion Torrent半導体シーケンシング、及び/または他の好適な半導体ベースのシーケンシング技術、DNAナノボールシーケンシング、Heliscope1分子シーケンシング、1分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、Nanopore DNAシーケンシングなど)、任意の世代数のシーケンシング技術(例えば、第2世代シーケンシング技術、第3世代シーケンシング技術、第4世代シーケンシング技術など)、合成時解読、トンネル電流シーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析シーケンシング、顕微鏡ベースの技術、及び/または任意の好適な次世代シーケンシング技術を介して容易にした)のうちのいずれか1つ以上を含み得る。具体例では、本明細書に開示の方法の実施形態は、1つ以上の免疫チェックポイント療法(例えば、PD-1/PD-L1阻害薬など)への応答性のための複数のバイオマーカーと関連する配列リードの生成を容易にするために調製される配列ライブラリーに次世代シーケンシング技術を適用することを含み得る。
【0050】
追加的または代替的に、シーケンシング技術は、キャピラリーシーケンシング、サンガーシーケンシング(例えば、マイクロ流体サンガーシーケンシングなど)、パイロシーケンシング、ナノポアシーケンシング(Oxford nanoporeシーケンシングなど)、及び/または任意の好適なシーケンシング技術により容易になる他の任意の好適なタイプのシーケンシングのうちのいずれか1つ以上を含み得る。
【0051】
本明細書に開示の方法の実施形態は、シーケンシング操作、アラインメント操作(例えば、シーケンシングリードアラインメントなど)、溶解操作、切断操作、タグ付け操作(例えば、バーコードなどを有する)、ライゲーション操作、フラグメント化操作、増幅操作(例えば、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、自家持続配列複製(3SR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、ローリングサークル増幅(RCA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)など)、精製操作、洗浄操作、シーケンシングライブラリー調製に適する操作、シーケンシングを容易にするための好適な操作及び/またはダウンストリーム解析、好適な試料処理操作、ならびに/または任意の好適な試料及び/またはシーケンシング関連操作のうちのいずれか1つ以上を含み、適用し、実施し、及び/または別の方法で関連させ得る。具体例では、試料処理操作は、1つ以上の免疫チェックポイント療法に対する応答性と関連する複数のバイオマーカーの特性評価を容易にするためのシーケンシングライブラリーを生成する生物試料を処理するために実施することができる。
【0052】
追加的または代替的に、本明細書に記載のデータ(例えば、免疫応答関連データ、閾値、モデル、パラメーター、正規化データ、治療応答特性評価、処置決定、試料データ、シーケンシングデータなど)は、データがいつ収集、決定、送信、受信、及び/または他の方法で処理されたか;データにより記載の内容に文脈を与える時間的指標;時間的指標の変化(例えば、経時的なデータ、データの変化、データのパターン化、データの傾向、データの外挿、及び/または他の予測など);ならびに/または時間に関する任意の好適な指標を含む1つ以上の時間的指標を含む任意の好適な時間的指標(例えば、秒、分、時間、日、週、期間、時点、タイムスタンプなど)と組み合わせることができる。具体例では、患者のモニタリング、治療効果の評価、追加の処置提供の促進、及び/または他の好適な目的を容易にする処置応答特性評価は、1人以上の患者に対し経時的に実施することができる。
【0053】
追加的または代替的に、パラメーター、メトリック、入力、出力、及び/または他の好適なデータは、以下のうちのいずれか1つ以上を含む値のタイプと関連させることができる:二元値(例えば、免疫チェックポイント療法及び/または他の好適な療法などに対する陽性応答性と関連する1つ以上のバイオマーカーの存在または非存在の二元状態の決定)、スコア(例えば、本明細書に記載の療法に対する応答性の確率及び/または程度などを示す集計スコア)、本明細書に記載の1つ以上の療法に対する応答性の存在、不存在、程度を示す値、分類(例えば、本明細書に記載の療法に対する感度に関する患者分類;本明細書に記載の療法に対する応答性と関連するバイオマーカーの1つの集合のうちの種々のバイオマーカーの不存在または存在に基づく特許分類など)、識別子(例えば、試料識別子;種々のがん状態との関連を示す試料ラベル;患者識別子;バイオマーカー識別子など)、スペクトルに沿った値、ならびに/または他の任意の好適なタイプの値。本明細書に記載の任意の好適なタイプのデータは、入力(例えば、種々のモデルに対する;閾値に対する比較のために;方法100の実施形態の一部に対するものなど)として使用し、出力(例えば、様々なモデルの;処置応答特性評価に使用されるものなど)として生成し、及び/または本明細書に開示の方法の実施形態と関連する任意の好適な構成要素に対して任意の好適な仕方で操作することができる。
【0054】
本明細書に開示の方法の実施形態の1つ以上の事例及び/または部分は、非同期で(例えば、逐次的に)、同時に(例えば、並列で;免疫応答関連データ処理及び/または処置応答特性評価生成;多重試料処理;例えば、最小数のシーケンシング実行における、例えば、組み合わせた複数のバイオマーカーに対する多重シーケンシングなどに対するシステム処理能力を改善する並列コンピューティングに対する種々のスレッドで同時に)、トリガー事象(例えば、本明細書に開示される方法の一部の実施)と時間的関連で、ならびに/または、本明細書に記載の発明の実施形態の1つ以上の事例により及び/もしくはそれを使用して、任意の好適な時間及び頻度で、他の任意の好適な順番で、実施することができる。
【0055】
本明細書に記載の方法を実施するシステム(例えば、システム200)の実施形態は、以下のうちの1つ以上を含み得る:試料取り扱いシステム(例えば、試料を処理するためのもの;ライブラリー生成をシーケンシングするためのものなど);シーケンシングシステム(例えば、1つ以上のシーケンシングライブラリーをシーケンシングするためのものなど);コンピューティングシステム(例えば、出力解析をシーケンシングするためのもの;免疫応答関連データ収集及び/もしくは処理のためのもの;処置応答特性評価生成のためのもの;任意の好適な算出プロセスのためのものなど);処置システム(例えば、処置の推奨を提供するためのもの;臨床試験のために患者の選択を容易にするためのもの、療法の提供のためのものなど);ならびに/または他の任意の好適な構成要素。
【0056】
本明細書に記載のシステムの実施形態及び/またはシステムの実施形態の一部は、全体的または部分的に、以下のうちの1つ以上により実行し、で提供し、通信し、及び/または別の方法で含み得る:リモートコンピューティングシステム(例えば、サーバ、少なくとも1つネットワークコンピューティングシステム、ステートレス、ステートフルなど)、ローカルコンピューティングシステム、ユーザーデバイス(例えば、携帯電話デバイス、他のモバイルデバイス、パーソナルコンピューティングデバイス、タブレット、ウェアラブル、ヘッドマウントウェアラブルコンピューティングデバイス、リストマウントウェアラブルコンピューティングデバイスなど)、データベース(例えば、本明細書に記載の試料データ及び/もしくは解析、シーケンシングデータ、ユーザーデータ、データなどを含む)、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)(例えば、本明細書に記載のデータにアクセスするためのものなど)、ならびに/または任意の好適な構成要素。システムの任意の構成要素及び/または他の好適な構成要素による及び/またはそれらの間の通信は、無線通信(例えば、WiFi、ブルートゥース(登録商標)、無線周波数、ジグビー、Z波など)、有線通信、及び/または他の任意の好適なタイプの通信を含み得る。
【0057】
本明細書に記載の方法及びシステム(例えば、システム200)の実施形態の構成要素は、任意の仕方で(例えば、構成要素全体に機能性の任意の好適な分布とともに、例えば、方法100の実施形態の部分に関しての実施形態の部分に関連して)物理的及び/または論理的に統合することができる。本明細書に記載の方法及びシステム(例えば、システム200)の実施形態の部分は、好ましくは、第1の当事者により実施されるが、1つ以上の第3の当事者、ユーザー、及び/または任意の好適な実体により追加的または代替的に実施することができる。しかし、本明細書に記載の方法及びシステム(例えば、システム200)は、任意の好適な仕方で構成することができる。
【0058】
本明細書に開示の方法(例えば、方法100)の実施形態は、1つ以上の生物試料から誘導される免疫応答関連データを収集することを含み得、これは、本明細書に記載の1つ以上の状態(例えば、がん状態など)に対して、本明細書に記載の1つ以上の療法(例えば、PD-1/PD-L1阻害薬など)に対する応答性に関して1つ以上の患者の特性評価を可能にするための、免疫応答機能性と関連するデータを収集(例えば、生成、決定、受信など)するように機能し得る。
【0059】
免疫応答関連データは、好ましくは、免疫応答及び/または免疫系と関連する(例えば、それに影響する、それにより影響される、それと関連する、それに参加する、それの構成要素を含む等)生物学的現象を示すデータを含むが、免疫応答関連データは、免疫応答及び/または免疫系と関連する任意の好適なデータ(例えば、試料処理手法、生物情報科学的手法、統計学的手法、センサーなどにより導出可能な)を含み得る。
【0060】
免疫応答関連データのタイプは、PD-L1遺伝子発現レベル;CD8A遺伝子発現レベル;遺伝子融合を示すキメラ転写物;mRNAから変換されたcDNAなどのcDNA配列データ;DNA配列データ;TMB関連データ;MSI関連データ;及び/または任意の好適なタイプの免疫応答関連データ(例えば、PD-1/PD-L1阻害薬に対する患者の感度と関連するバイオマーカーに対する)のうちのいずれか1つ以上を含み得る。好ましくは、免疫応答関連データは、複数のタイプを含むが、免疫応答関連データのタイプの任意の好適な数は、1つ以上の処置応答特性評価を生成する際に収集及び/または使用することができる。
【0061】
免疫応答関連データを収集することは、好ましくは、免疫応答関連データの生成を促進するための1つ以上の生物試料を処理することを含む。生物試料は、好ましくは、1つ以上のがん状態と関連する腫瘍試料(例えば、組織標本など)を含む。具体例では、生物試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本を含み得る。具体例では、FFPE腫瘍標本は、mRNAの単離のために使用することができ(例えば、PD-L1の遺伝子発現及びCD8Aの遺伝子発現などと関連)、これは、cDNAに変換し、続いて、次世代シーケンシングシステム(例えば、遺伝子発現レベルなどを決定するための)及び/または好適なシーケンシングシステムを用いてシーケンシングすることができる。追加的または代替的に、FFPE腫瘍標本及び/または好適な生物試料は、PD-1/PD-L1阻害薬などの免疫チェックポイント療法に対する応答性に関して、本明細書に記載の複数のバイオマーカーと関連する後続のシーケンシング及び免疫応答関連データ収集のための好適なシーケンシングライブラリーの調製に使用することができる。生物試料は、任意の好適な身体領域(例えば、がん状態が存在する身体領域など)から誘導することができる。追加的または代替的に、生物試料は、免疫応答関連データの収集を容易にするための任意のタイプの試料及び/または試料の数を含み得る。生物試料は、好ましくは、複数の標的(例えば、本明細書に記載の療法に対する応答性と関連するバイオマーカーに対応する、など)の特性評価を容易にするために処理される。具体例では、特定の遺伝子座を標的とするために、試料処理を実行することができる(例えば、標的特異的プライマーを介するような、特定の遺伝子座に対応する核酸の単離及び増幅)。追加的または代替的に、任意の好適な生物学的標的に対して、試料処理を実行することができる(例えば、PD-1/PD-L1療法などの1つ以上の免疫チェックポイント療法に対する患者の感度に関連する)。生物学的標的(例えば、標的マーカー;1つ以上のがん状態;目的の標的;既知のもしくは同定された標的;不明のもしくは以前に同定されていない標的などに対応し、引き起こし、寄与し、関して治療的な、相関し、及び/または別の方法で関連する)は、以下のうちのいずれか1つ以上を含み得る:標的配列領域(例えば、PD-1/PD-L1療法に対する患者の感度と関連するバイオマーカーに対応する配列領域など)、遺伝子(例えば、PD-L1、CD8Aなど)、遺伝子座、ペプチド及び/もしくはタンパク質(例えば、抗原、免疫細胞受容体;抗体など)、炭水化物、脂質、核酸(例えば、メッセンジャーRNA、cDNA、DNA、マイクロRNAなど)、細胞(例えば、全細胞など)、代謝物、天然産物、ならびに/または他の好適な標的。
【0062】
患者の任意の好適な数及びタイプの生物試料の任意の好適な数及びタイプは、免疫応答関連データ(例えば、処置の提供を容易にするために十分な処置応答特性評価を生じることを可能にするのに十分な免疫応答関連データなど)を収集することに使用することができる。具体例では、単一の生物試料は、PD-L1遺伝子発現レベル、CD8A遺伝子発現レベル、キメラ転写物データ(例えば、遺伝子融合を示すなど)、がん遺伝子の配列バリアントデータ、TMB関連データ、及びMSI関連データを(例えば、シーケンシング出力の処理を介するなどで)収集するために、処理及び使用することができる。しかし、そのようなタイプの免疫応答関連データの任意の好適な組み合わせは、任意の好適な量及びタイプの生物試料から収集することができる。
【0063】
生物試料を処理することは、好ましくは、試料処理操作(例えば、本明細書に記載など)ならびに次世代シーケンシング(及び/または本明細書に記載の他の好適なシーケンシング技術を適用する他のもの)を実行することを含むが、任意の好適な処理を追加的または代替的に含み得る。
【0064】
シーケンシング出力、生物試料から誘導された及び/または別の方法で誘導される任意の好適なデータ、免疫応答関連データ及び/または他の好適なデータは、以下のうちの1つ以上を含む、1つ以上の処理操作を適合し、利用し、実施し、使用し、基づき、含み、及び/または別の方法で関連させることにより免疫応答関連データを決定するために処理することができる:配列リード定量化(例えば、配列リード処理及び計数など);配列リード同定(例えば、参照配列との比較;本明細書に記載の1つ以上のバイオマーカーに対応する配列リードを同定する);特徴の抽出;データのパターン認識の実行、複数のソースからのデータの融合、値の組み合わせ、圧縮、変換、データの統計的推定の実施(例えば、回帰など)、波動変調、正規化、更新、ランク付け、重み付け、検証、フィルタリング(例えば、ベースライン補正、データクロッピングのためのものなど)、ノイズ低減、スムージング、フィリング、アラインメント、モデルフィッティング、ビニング、ウィンドウ処理、クリッピング、変換、数学演算(例えば、導関数、移動平均、合計、減算、乗算、除算など)、データの関連付け、多重化、逆多重化、補間、外挿、クラスタリング、画像処理技術、他の信号処理操作、他の画像処理操作、視覚化、及び/または他の任意の好適な処理操作。
【0065】
変形形態では、免疫応答関連データを収集することは、患者の1つ以上の部分集合(例えば、層別化された患者など)から免疫応答関連データを収集することを含み得、例えば、部分集合決定は、バイオマーカー(例えば、本明細書に記載のバイオマーカーなど)の異なる組み合わせの存在、不存在、及び/または程度に基づくことができる。具体例では、免疫応答関連データを収集することは、バイオマーカーの存在、不在、及び/または程度に従って層別化された患者の異なる部分集合の処置効果を評価する1つ以上の研究に対して実施することができる。しかし、免疫応答に関連データを収集することは、患者の任意のタイプ及び/または数のために実施することができ、免疫応答関連データを収集することは、任意の好適な方法で実施することができる。
【0066】
本明細書に開示の方法(例えば、方法100)の実施形態は、免疫応答関連データに基づいて1つ以上の療法と関連する処置応答特性評価を決定することを含み得、これは、PD-1/PD-L1阻害薬及び/もしくは他の好適な免疫チェックポイント阻害薬(例えば、潜在的な処置応答の評価に使用される;処置の提供を別の方法で容易にすることに使用されるなど)ならびに/または本明細書に記載の他の好適な療法などの1つ以上の免疫応答関連療法に対する応答性を示す1つ以上の特性評価を決定するように機能し得る。
【0067】
処置応答特性評価は、好ましくは、複数のバイオマーカーのステータスを示す(例えば、本明細書に記載の療法に対する患者の感度と関連するバイオマーカー;複数のバイオマーカーの各バイオマーカーの個々の独立した状態;複数のバイオマーカーの組み合わせ状態など)が、単一のバイオマーカーの状態を追加的または代替的に示し得る。処置応答特性評価は、以下のうちの1つ以上を含み得る:二元状態指標(例えば、所与のバイオマーカーに対し陽性または陰性、所与のバイオマーカーの存在または不存在など);程度を示す値(例えば、PD-L1及び/またはCD8Aの遺伝子発現レベルの程度など、そのバイオマーカーの程度を示す所与のバイオマーカーのスコア;本明細書に記載の1つ以上の療法に対する全体的な応答性の集計スコア、例えば、複数のバイオマーカーのデータに基づいて算出されたものなど);確率(例えば、療法の提供と関連するリスクを示すなど);分類(例えば、PD-1/PD-L1阻害薬及び/または本明細書に記載の好適な療法に対する応答性と関連する患者の応答性または非応答性分類など);推奨(例えば、種々の患者に対する特定の療法に関する推奨など);ラベル(例えば、患者を層別化するためのものなど);モデル出力;処理された免疫応答関連データ;生の免疫応答関連データ;免疫応答関連状態、療法、バイオマーカー、及び/または他の好適な側面に関する情報;ならびに/または患者の状態(例えば、がんの状態など)及び療法(例えば、免疫チェックポイント阻害薬など)との関連で免疫応答を特性評価する他の好適なタイプのデータ。
【0068】
具体例では、処置応答特性評価は、PD-L1及びCD8Aの過剰発現の同時表示、TMB及びMSIメトリックス(例えば、PD-L1及びCD8Aの発現レベルデータを補完など)、変異、ならびに遺伝子融合(例えば、療法選択及び/または他の潜在的な療法に照らしたPD-1/PD-L1阻害薬療法の評価に適するなど)を含み得る。追加的または代替的に、処置応答特性評価は、任意の好適な数及び/またはタイプの療法と関連するバイオマーカーの任意の好適な組み合わせに対する指標を含み得る。しかし、処置応答特性評価は、免疫応答及び/または免疫系と関連する任意の好適な側面を特性評価し得、及び/または任意の好適な仕方で構成することができる。
【0069】
1つ以上の処置応答特性評価を決定することは、好ましくは、免疫応答関連データに基づく。例では、PD-L1及び/またはCD8Aを示す処置応答特性評価の決定は、(例えば、バイオマーカーに対する閾値を超過することに応じて患者をバイオマーカーに対し陽性と判定する、及びレベルが閾値を下回ることに応じて患者をバイオマーカーに対し陰性と判定する)それぞれの閾値に対するPD-L1及びCD8A発現レベル(例えば、PD-L1及びCD8Aに対応するmRNAから変換されたcDNAのシーケンシングから収集された免疫応答関連データ)の比較に基づいてそれぞれのバイオマーカー(例えば、PD-L1、CD8Aなどに対する)に対し陽性または陰性と患者を同定することを含み得る。例では、遺伝子融合を示す処置応答特性評価を決定すること(例えば、これは、クリゾチニブにより標的化可能なEML4-ALKなどの療法による潜在的な標的化を示す特性評価を容易にし得る)は、キメラ転写物(例えば、キメラRNAなど)のシーケンシング及び/または別の方法での解析を含み得る。例では、がん遺伝子配列バリアント(例えば、これは、オシメルチニブで標的可能なEGFR変異、ベムラフェニブで標的可能なBRAF変異などの異なる療法に対する応答を示し得る)を示す処置応答特性評価を決定することは、対応DNA(例えば、異なるタイプの免疫応答関連データを収集するのに使用される同じ生物試料由来などの)をシーケンシングすることを含み得る。例では、TMB(例えば、免疫チェックポイント阻害薬に対する応答を予測し得るものなど)を示す処置応答特性評価を決定することは、1メガベース当たり観測された体細胞変異の数を計数することを含み得る。例では、MSIを示す処置応答特性評価の決定は、マイクロサテライト領域(例えば、MSIに対応する遺伝子座など)に対応するシーケンシングデータ(例えば、配列リード、シーケンシング出力など)の解析を含み得る。複数のバイオマーカー(例えば、本明細書に記載)を示す処置応答特性評価の生成は、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または例えば、本明細書に記載の1つ以上の状態への処置の提供の容易さを向上させるための本明細書に記載の他の好適な療法への患者の応答性の特性評価を改善し得る。
【0070】
追加的または代替的に、1つ以上の処置応答特性評価の決定、1つ以上の処置応答特性評価モデルの決定、本明細書に記載の方法(例えば、方法100)の実施形態の好適な部分、及び/または本明細書に記載のシステム(例えば、システム200)の実施形態の好適な部分は、免疫応答関連データの処理;特徴の抽出(例えば、本明細書に記載の1つ以上の療法に対する応答性と関連するものなど)、データのパターン認識の実施、複数のソースからのデータの融合、値の組み合わせ(例えば、平均値など)、圧縮、変換、データの統計的推定の実施、波動変調、正規化、更新、ランク付け、重み付け、検証、フィルタリング(例えば、ベースライン補正、データトリミングなどに対する)、ノイズ低減、平滑化、塗りつぶし、位置合わせ、モデルフィッティング、ビニング、ウィンドウ処理、クリッピング、変換、数学的操作(例えば、導関数、移動平均、合計、減算、乗算、除算など)、データの関連付け、多重化、逆多重化、補間、外挿、クラスタリング、画像処理技術、他の信号処理操作、他の画像処理操作、視覚化、及び/または他の好適な処理操作のうちのいずれか1つ以上を含む1つ以上の処理動作を含み、適用し、利用し、実施し、使用し、これに基づき、及び/または別の方法で関連させ得る。
【0071】
1つ以上の処置応答特性評価を決定することは、例えば、シーケンシング出力(例えば、本明細書に記載の任意の好適なバイオマーカーと関連するものなど)が閾値に匹敵するのを可能にするために及び/または様々なシーケンシング実行全体にわたって、1つ以上の正規化プロセスを実施することを含み得る。例では、処置応答特性評価を決定することは、バックグラウンド減算配列リード数;及びバックグラウンド減算配列リード数を100万当たり正規化リード(nRPM)に正規化することを含み得る。具体例(例えば、PD-L1及び/またはCD8Aに対する)では、倍数変化比率は、以下に従って、所与の遺伝子(及び/または好適なバイオマーカー)に対して決定することができる):比率=バックグラウンド減算リード数/100万当たりのリード(RPM)プロファイル。具体例では、RPMプロファイルは、異なる検証シーケンシング実行にわたる生物試料の複数の複製の平均RPM(及び/または他の好適な集計RPMメトリック)に基づいて決定することができる。具体例では、決定された比率の中央値は、所与の生物試料に対する正規化比率に使用することができ、nRPMは、以下に従って算出することができる:nRPM=バックグラウンド減算リード数/正規化比率。正規化処理に使用可能なハウスキーピング遺伝子(例えば、本明細書に記載)は、以下のうちのいずれか1つ以上を含み得る:LRP1、MRPL13、TBP、HMBS、ITGB7、MYC、CIAO1、CTCF、EIF2B1、GGNBP2、SLC4A1AP、及び/または他の好適なハウスキーピング遺伝子(及び/または任意の好適な遺伝子)。いくつかの実施形態では、LRP1、MRPL13、TBP、HMBS、ITGB7、MYC、CIAO1、CTCF、EIF2B1、GGNBP2、SLC4A1APのうちの2、3、4、5、6、7、または8つが正規化処理に使用される。いくつかの実施形態では、LRP1、MRPL13、TBP、HMBS、ITGB7、MYC、CIAO1、CTCF、EIF2B1、GGNBP2、SLC4A1APのうちの3つが、正規化処理に使用される。いくつかの実施形態では、EIF2B1、HMBS、及びCIAO1が正規化処理に使用される。追加的または代替的に、任意の好適なバックグラウンド及び/または正規化処理を実施することができる(例えば、値を閾値と比較するため、シーケンシング実行全体の値と比較するためなど)。
【0072】
上述したように、1つ以上の処置応答特性評価を判定することは、1つ以上の閾値(例えば、遺伝子発現レベルの閾値)に基づくことができる。変形形態では、本明細書に開示の方法(例えば、方法100)は、免疫応答関連データ及び/または処置応答特性評価の1つ以上の指標を決定するための他の好適なデータとの比較のための閾値を最適化することを含み得る。具体例では、閾値を決定することは、以下を含み得る:既知の応答ステータスを有する患者の1つの集合から試料を収集すること;免疫応答関連データを生成するために試料を処理すること;及び様々なバイオマーカーに対応する適切な閾値を導出するために処置応答データとともに免疫応答関連データ(例えば、PD-L1遺伝子発現レベル;CD8A遺伝子発現レベルなど)を処理すること。具体例では、正規化された免疫応答関連データ(例えば、PD-L1遺伝子発現データ及びCD8A遺伝子発現データに対して正規化されたシーケンシングデータなど)は、閾値と比較することができる(例えば、閾値を満たすことは、所与のバイオマーカーに対する正の読み取りを示し;閾値を満たしていないことは、特定のバイオマーカーの負の読み取りを示すなど)。
【0073】
1つ以上の処置応答特性評価の判定することは、例えば、本明細書に記載の任意の好適な処理操作、人工知能アプローチ、及び/または好適なアプローチに基づいた及び/または使用した、1つ以上の処置応答モデルの生成(例えば、トレーニングなど)、適用、実行、更新、及び/または他の方法で処理することを含み得る。処置応答モデルは、例えば、種々のタイプの免疫応答関連データ及び/または免疫応答関連データから導出される指標に種々の質量を適用する(例えば、PD-1/PD-L1阻害薬療法及び/または本明細書に記載の他の好適な療法に対して一般化された応答スコアの形態で、応答性の決定に関し、他のタイプのバイオマーカーよりも大きいPD-L1及びCD8A指標を計量する、など)ための、任意の好適な数及びタイプの重量を含み得る。
【0074】
追加的または代替的に、処置応答モデル、処置応答モデル自体、他の好適なモデル(例えば、療法推奨モデルなど)、方法100の実施形態の好適な部分、システム200の実施形態の好適な部分は、以下のいずれか1つ以上を含む人工知能アプローチ(例えば、機械学習アプローチなど)を含み、適用し、利用し、実施し、使用し、これに基づき、及び/または別の方法で関連させ得る:教師あり学習(例えば、ロジスティック回帰の使用、誤差逆伝播ニューラルネットワークの使用、ランダムフォレストの使用、決定木など)、教師なし学習(例えば、Aprioriアルゴリズムの使用、K-meansクラスタリングの使用)、半教師あり学習、深層学習アルゴリズム(例えば、ニューラルネットワーク、制限付きボルツマンマシン、深層信念ネットワーク法、畳み込みニューラルネットワーク法、回帰型ニューラルネットワーク法、スタック型オートエンコーダー法など)、強化学習(例えば、Q学習アルゴリズムの使用、時間的差分学習の使用)、回帰アルゴリズム(例えば、通常の最小二乗、ロジスティック回帰、段階的回帰、多変量適応回帰スプライン、局所的に推定された散布図平滑化など)、事例ベース法(例えば、k近傍法、学習ベクトル量子化、自己組織化マップなど)、正則化法(例えば、リッジ回帰、ラッソ回帰、elastic netなど)、ディシジョンツリー学習法(例えば、分類及び回帰ツリー、反復二分法3、C4.5、カイ2乗自動相互作用検出、決定株、ランダムフォレスト、多変量適応型回帰スプライン、勾配ブースティングマシンなど)、ベイジアン法(例えば、単純ベイズ、平均1従属推定値、ベイジアン信念ネットワークなど)、カーネル法(例えば、サポートベクターマシン、放射基底関数、線形判別分析など)、クラスタリング手法(例えば、k-meansクラスタリング、期待値最大化など)、相関ルール学習アルゴリズム(例えば、Aprioriアルゴリズム、Eclatアルゴリズムなど)、人工ニューラルネットワークモデル(例えば、パーセプトロン法、バックプロパゲーション法、ホップフィールドネットワーク法、自己組織化マップ法、学習ベクトル量子化法など)、次元削減法(例えば、主成分分析、部分的最小二乗回帰、サモンマッピング、多次元尺度構成法、射影追跡など)、アンサンブル法(例えば、ブースティング、ブートストラップ集計、AdaBoost、スタッキング、勾配ブースティングマシン法、ランダムフォレスト法など)、及び/または任意の適切な人工知能アプローチ。
【0075】
処置応答モデル及び/または任意の好適なモデルは、確率的特性、発見的特性、決定論的特性、及び/または任意の他の好適な特性のうちの任意の1つ以上を含み得る。各モデルは、一度;所定の頻度で;方法100の実施形態の一部が実行されるたびに;トリガー条件が満たされるたびに(例えば、閾値の更新、生物試料及び/もしくは免疫応答関連データの追加収集など)、ならびに/または他の好適な時間及び頻度で実行または更新することができる。モデルは、1つ以上の他のモデルと同時に、順次、様々な頻度で、及び/または任意の他の好適な時間に実行または更新することができる。各モデルは、新しく受信した最新のデータ;履歴データに基づいて、検証、検査、確認、強化、調整、もしくは別の方法で更新することができるか、または、任意の他の好適なデータに基づいて更新することができる。しかし、任意の好適な数及び/またはタイプのモデルは、任意の好適な基準に基づいて任意の好適な方法で適用することができる。
【0076】
しかし、処置応答特性評価の決定は、任意の好適な方法で実行することができる。
【0077】
本明細書に開示の方法(例えば、方法100)の実施形態は、処置応答特性評価に基づく1つ以上の患者への処置の提供を容易にすることを追加的または代替的に含み得、これは、1つ以上の患者状態(例えば、がん状態など)に関して1つ以上のユーザーへの処置の提供を容易にするように機能し得る。処置の提供を容易にすることは、1人以上の患者に対する1つ以上の処置応答特性評価に基づく臨床試験を容易にすること、例えば、本明細書に記載の療法(例えば、PD-1/PD-L1阻害薬療法など)に対する陽性応答の可能性が最大の(例えば、本明細書に記載のバイオマーカーの陽性指標を有する)患者の部分集合を同定することを含み得る。具体例では、処置応答特性評価は、例えば、PD-1/PD-L1阻害薬療法に関連して、応答性患者の部分集合の同定を最大化するために腫瘍タイプを選ばないバイオマーカーに基づく調査で使用することができる。いくつかの実施形態では、がんがチェックポイント阻害薬応答性がんであるかどうかを決定する本明細書に開示の方法は、がんをチェックポイント阻害薬で処置するかどうかを決定するために医療従事者に提供される。いくつかの実施形態では、がんがチェックポイント阻害薬応答性がんであるかどうかを決定する本明細書に開示の方法は、チェックポイント阻害薬でがんを教えるかどうかをヘルスケア専門家に通知するために使用される。
【0078】
処置の提供を容易にすることは、以下のうちのいずれか1つ以上を追加的または代替的に含み得る:(例えば、臨床試験管理者、ケア提供者などの任意の好適な実体への)処置応答特性を送信及び/もしくは提示すること;実験管理(例えば、臨床試験管理)、ヘルスケア、及び/もしくは他の好適なプロセスに関連するようなケア意思決定を導くこと;1つ以上の状態(例えば、本明細書に記載されるものなど)に対して(例えば、本明細書に記載の処置モデル;療法を使用して)1つ以上の療法を決定すること;処置、処置応答、及び/もしくは他の好適な態様に関する推奨を提供すること;ならびに/または処置の提供と関連する他の好適なプロセス。療法は、がん療法(例えば、PD-1/PD-L1阻害薬、他のチェックポイント阻害薬、ペムブロリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、ニボルマブ;他の免疫療法薬;任意の好適な免疫療法処置など);消耗品;薬物;外科的処置;1つ以上の状態と関連する任意の好適な処置、及び/または任意の好適な処置のうちのいずれか1つ以上を含み得る。しかし、治療の提供を容易にすることは、任意の好適な方法で実施することができる。
【0079】
本明細書に開示の方法及びシステム(例えば、方法100及び/またはシステム200)の実施形態は、任意の変形(例えば、実施形態、変形形態、実施例、具体例、図など)を含む、様々なシステム構成要素及び様々な方法プロセスのあらゆる組み合わせ及び順列を含み得、本明細書に記載の方法100及び/またはプロセスの実施形態の部分は、非同期で(例えば、逐次的に)、同時に(例えば、並列に)、またはシステム200及び/もしくは本明細書に記載の他の実体の1つ以上の事例、要素、構成要素、及び/もしくは他の態様による及び/もしくはそれを使用した任意の他の好適な順番で、実施することができる。
【0080】
本明細書に記載の変形のいずれか(例えば、実施形態、変形形態、実施例、具体例、図など)及び/または本明細書に記載の変形のいずれかの部分を、追加的または代替的に組み合わせ、集計し、除外し、使用し、順次実施し、並行して実施し、及び/または別の方法で適用することができる。
【0081】
方法及びシステム(例えば、方法100及び/またはシステム200)の実施形態の一部は、少なくとも部分的に、コンピュータ可読命令を格納するコンピュータ可読媒体を受信するように構成されたマシンとして、組み込む及び/または実装することができる。命令は、システム200の実施形態と統合することができるコンピュータ実行可能構成要素で実行することができる。コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(CDまたはDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブ、または任意の好適なデバイスなどの、任意の好適なコンピュータ可読媒体に格納することができる。コンピュータ実行可能な構成要素は、一般的なまたはアプリケーション固有のプロセッサーであり得るが、任意の好適な専用ハードウェアまたはハードウェア/ファームウェアの組み合わせデバイスは、命令を代替的または追加的に実行することができる。
【0082】
当業者が前の詳細な説明ならびに図及び特許請求の範囲から認識するので、本明細書に開示の方法及びシステム(例えば、方法100、システム200)の実施形態に修正及び変更を行うことができ、ならびに/または特許請求の範囲で定義された範囲を逸脱することなく変形を行うことができる。本明細書に記載の変形は、限定されることを意味するものではない。図面に含まれる特定の特徴は、サイズが誇張されてもよく、他の機能は、明確にするために省略されてもよく、限定されるべきではない。図は、必ずしも縮尺どおりではない。本明細書のセクションタイトルは、構成上の便宜のために使用され、限定されることを意図するものではない。任意の変形の説明は、必ずしも、本明細書のいずれかセクションに限定されるわけではない。
【0083】
本明細書で使用される場合、「含むこと」または「含む」という用語は、構成、方法、及びそれらのそれぞれの構成要素(複数可)に関して使用され、これらは、方法または構成に必須であるが、必須であるかどうかにかかわらず、不特定の要素を含むことに制限がない。
【0084】
「からなる」という用語は、本明細書に記載されるような組成物、方法、及びそれらのそれぞれの構成成分を指し、これは実施形態のその記載に列挙されていない要素をいずれも除外する。
【0085】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる」という用語は、所与の実施形態に必要なそれらの要素を指す。本用語は、その実施形態の基本的且つ新規の、または機能的な特徴(複数可)に実質的には影響を及ぼさない要素の存在を許容する。
【0086】
「統計的に有意」または「有意に」という用語は、統計的有意性を指し、一般に0.05を超える「p」値(関連の統計的検定により算出される)を意味する。当業者は、任意の特定の実験に関連する統計的検定が、分析されているデータの種類に依存することを容易に理解することになる。追加の定義は、以下で個々の節の本文中において提供される。
【0087】
細胞生物学及び分子生物学における一般用語の定義は、以下に見出すことができる、“The Merck Manual of Diagnosis and Therapy”,19th Edition,published by Merck Research Laboratories,2006(ISBN 0-911910-19-0);RobertS.Porter et al.(eds.),The Encyclopedia of Molecular Biology,published by Blackwell Science Ltd.,1994(ISBN 0-632-02182-9);The ELISA guidebook(Methods in molecular biology 149)by Crowther J.R.(2000);Immunology by Werner Luttmann,published by Elsevier,2006。分子生物学の一般用語の定義は、以下に見出すこともできる、Benjamin Lewin,Genes X,published by Jones & Bartlett Publishing,2009(ISBN-10:0763766321);Kendrew et al.(eds.),Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,published by VCH Publishers,Inc.,1995(ISBN 1-56081-569-8)and Cun-ent Protocols in Protein Sciences 2009,Wiley Intersciences,Coligan et al.,eds.
【0088】
別途記載のない限り、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3 ed.),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,USA(2001)及びDavis et al., Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier Science Publishing,Inc.,New York,USA(1995)(両方とも全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される標準的な手順を使用して、本発明を実施した。
【0089】
本開示の実施形態の説明は、網羅的であることも、開示された正確な形式に本開示を限定することも意図するものではない。本開示の特定の実施形態及び実施例は、例示目的で本明細書に記載されるが、関連技術の当業者らが認識するように、様々な同等の修正が本開示の範囲内で可能である。例えば、方法のステップまたは機能が所与の順序で提示されているが、代替の実施形態は、異なる順序で機能を実施しても、または、機能が実質的に同時に実施されてもよい。本明細書で提供される本開示の教示は、適宜、他の手順または方法に適用することができる。本明細書に記載される様々な実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わせることができる。本開示の態様は、必要であれば、上記の参考文献及び用途の組成物、機能及び構想を用いて、本開示のよりさらなる実施形態を提供するように修正することができる。これらの及び他の変更は、詳細な説明に照らして本開示で行われ得る。
【0090】
前述した実施形態のいずれかの特定の要素は、他の実施形態における要素と組み合わされ得るか、または置換され得る。さらに、本開示のある特定の実施形態と関連する利点が、これらの実施形態の文脈において記載されているが、他の実施形態もそのような利点を示す場合があり、全ての実施形態が、本開示の範囲内となるようにそのような利点を示す必要が必ずしもあるわけではない。
【0091】
特定された全ての特許及び他の刊行物は、例えば、本発明との関連で使用され得るそのような刊行物に記載される方法論を記載及び開示する目的で、明示的に全体が参照により組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日以前の、それらの開示のためにのみ提供される。この点で、本発明者らは、先行発明もしくは過去の刊行物により、または他のいかなる理由のためでも、そのような開示に先行する権利が付与されないことを認めるものと解釈されるべきではない。これらの文献の日付または内容に関する描写に関する記載の全ては、出願人に利用可能な情報に基づいているが、これらの文献の日付または内容の正確さについて認めるものではない。
【0092】
当業者は、本発明が、目的を実行し、言及された目的及び利点に加えて、それに固有のものを得るために十分に適合されていることを容易に理解する。本明細書の説明及び実施例の詳細は、特定の実施形態を代表するものであり、例示的なものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。本明細書の修正及び他の使用は、当業者らが想起するであろう。これらの修正は、本発明の趣旨に包含される。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本明細書に開示の本発明に対して様々な置換及び修正が行われ得ることは、当業者には容易に明らかであろう。
【0093】
明細書及び特許請求の範囲で、本明細書に使用される冠詞「a」及び「an」は、明確に反対の指示のない限り、複数の指示対象を含むと理解されるべきである。グループの1つ以上のメンバー間に「または」を含む特許請求の範囲または明細書は、反対の指示がない限りまたは別途文脈から明らかでない限り、グループメンバーのうちの1つ、複数、または全てが、所与の製品または処理に存在し、利用し、または別の方法で関連する場合に、満たされるとみなさられる。本発明は、グループの1つのメンバーのみが、所与の製品またはプロセスに存在するか、利用されるか、または別の方法で関連する実施形態を含む。本発明は、また、グループメンバーのうちの複数または全てが、所与の製品またはプロセスに存在し、利用し、または別途関連する実施形態を含む。さらに、本発明は、別途指示のない限り、または矛盾もしくは不一致が生じることが当業者に明らかでない限り、列挙された請求項のうちの1項以上の、1つ以上の制限、要素、条項、説明用語などが、同じ基本請求項に従属する別の請求項に(または、関連する他の任意の請求項として)導入される全ての変形形態、組み合わせ、及び順列を提供することを理解すべきである。本明細書に記載の全ての実施形態は、必要に応じて、本発明の全ての様々な態様に適用可能であることが企図される。実施形態または態様のいずれも、必要に応じて、1つ以上の他のそのような実施形態または態様と自由に組み合わせることができることも企図される。要素は、例えば、マーカッシュグループまたは同様の形式で、リストとして提示される場合、要素の各サブグループも開示され、いずれの要素(複数可)もグループから除外することができることを理解すべきである。一般に、本発明または本発明の態様が特定の要素、特徴などを含むと言及される場合、本発明の特定の実施形態または本発明の態様は、そのような要素、機能などから構成されるか、または本質的に構成されることを理解すべきである。簡単にするために、それらの実施形態は、全ての場合において、本明細書の非常に多くの単語で具体的に説明されていない。特定の除外が本明細書に列挙されているかどうかにかかわらず、本発明の任意の実施形態または態様が、特許請求の範囲から明示的に除外され得ることも理解されるべきである。例えば、任意の1つ以上の活性剤、添加剤、成分、任意の薬剤、生物の種類、障害、対象、またはそれらの組み合わせが除外され得る。
【0094】
特許請求の範囲または説明が組成物に関する場合、別段の指示がない限り、または矛盾もしくは不一致が生じることになると当業者に明らかでない限り、本明細書に開示の方法のいずれかに従って組成物を作製または使用する方法、及び本明細書に開示の目的のいずれかのために組成物を使用する方法が、本発明の態様であると理解されるべきである。特許請求の範囲または説明が方法に関する場合、例えば、別段の指示がない限り、または矛盾もしくは不一致が生じることになると当業者に明らかでない限り、方法の実施に有用な組成物を作製する方法、及び方法に従って生成された製品が本発明の態様であると理解されるべきである。
【0095】
範囲が本明細書に与えられる場合、本発明は、端点が含まれる実施形態、両端が除外される実施形態、及び一端が含まれ且つ他端が排除される実施形態を含む。別途指示のない限り、両端が含まれるとみなされるべきである。さらに、別途指示のない限り、または別途文脈及び当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈に別途明示のない限り、範囲の下限の単位の10分の1に、本発明の様々な実施形態の所定の範囲内の任意の特定の値または部分範囲をみなし得ることを理解すべきである。一連の数値が本明細書に記載される場合、本発明が、連続する任意の2つの値で定義される任意の介在する値または範囲と同様に関連する実施形態を含むこと、ならびに、最も小さい値が最小値とみなされ得且つ最も大きい値が最大値とみなされ得ることも理解される。本明細書で使用される数値は、パーセンテージで表される値を含む。数値の前に「約」または「およそ」が付けられる本発明の任意の実施形態では、本発明は、正確な値が列挙される実施形態を含む。数値の前に「約」または「およそ」が付けられていない本発明の任意の実施形態では、本発明は、値の前に「約」または「およそ」が付けられる実施形態を含む。
【0096】
「およそ」または「約」は、一般に、(そのような数値が可能な値の100%を許されないほど超える場合を除いて)別途記載のない限り、または別途文脈から明らかでない限り、いずれかの(数値より大きいまたは小さい)方向に、1%の範囲内、または一部の実施形態では、数の5%の範囲内、または一部の実施形態では、数値の10%の範囲内にある数値を含む。明確に反対の指示のない限り、複数の行為を含む本明細書に特許請求される任意の方法では、方法の行為の順番は、必ずしも、方法の行為が列挙される順番に限られないが、本発明は、順番がそのように限定される実施形態を含むと理解すべきである。また、別途指示のない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書に記載のいかなる製品または組成物は、「単離された」とみなされ得ることを理解すべきである。
【実施例
【0097】
実施例1
本開示は、1回のNGS実行で、変異、挿入/欠失(インデル)を保存する小さなフレーム、増幅、深い欠失、新規の有害な変異、遺伝子融合事象、マイクロサテライト不安定性(MSI)、腫瘍変異負荷/負荷(TMB/TML)、及び個々の非キメラ遺伝子発現転写物を検出するための標的化されたハイスループット並列シーケンシング技術を使用する次世代シーケンシング(NGS)ベースのアッセイを利用する。StrataNGS試験は、臨床検査室改善(CLIA)認定及びCollege of American Pathologist(CAP)認可実験室で実施される自家調製検査(LDT)であり、シリアル番号管理機器及び認定試薬を使用して実施されることが意図される。この試験は、承認された療法または概念実証が確立された臨床試験がある臨床的に実行可能な遺伝的バリアントの同定に焦点を当てるように設計された。
【0098】
StrataNGS試験は、腫瘍変異負荷(TML;腫瘍変異負荷(TMB)とも呼ばれる)及び遺伝子発現(非キメラ転写物)評価能を、臨床的に検証されたStrataNGS遺伝子パネルの全ての要素と組み合わせる固形腫瘍の汎がん試験である。試験は、ライブラリーの作成のためにAmpliseqケミストリー、続いて、ThermoFisher Ion S5XLまたはS5 Primeシーケンスワークフローを利用する。試験は、各試料のDNA及びRNAの両方を利用して、1つのIon 550チップ上で複数の患者試料を実行する。
【0099】
腫瘍変異負荷は、10%を超えるバリアント対立遺伝子頻度(VAF)で存在する非コーディング(高度に特性評価されたゲノム遺伝子座)及びコーディングの同義及び非同義の単一及びマルチヌクレオチド(2塩基)バリアントを含み、1メガベース(Mb)当たりの変異率の推定値及び関連する90%の信頼区間は、確定評価に必要な十分な読み取り深度を有する位置の総数により算出される(可能な最大値1.7Mb)。定性的TMBの結果(低:1Mb当たり10未満の変異、中程度:1Mb当たり10~15の変異、高:1Mb当たり15+の変異)が報告されている。PD-L1発現(複数のハウスキーピング遺伝子及び共通の対照に正規化)は、RNA発現スコア(RES、範囲0~100)として報告され、これは、StrataNGSで試験された腫瘍試料全体で観察された最大PD-L1発現の%を表す。少なくとも50%の腫瘍含有量、PD-L1 RNA高を定義する20.3を超えるRES閾値を有する試料では、50%以上のPD-L1腫瘍割合スコア(TPS)を予測するために、100%の感度及び70%の特異度としてこの閾値を検証した。50%未満の腫瘍含有量を有する試料では、RESが報告されるが、RESに対する非腫瘍細胞の潜在的な影響が認定される。Strata免疫シグネチャーは、PD-L1発現、CD8A発現、及び腫瘍含有量(40%以上の腫瘍含有量は、Strata免疫シグネチャー高の結果に必要とされる)からなる新規な組み合わせバイオマーカーである。
【0100】
StrataNGS LDTを開発し、Strata Oncologyによる検証を通じてパフォーマンス特性を決定した。Strata Oncologyは、CD274(PD-L1)及びCD8Aの両方を含む定量的逆転写PCR(qRT-PCR)直交試験結果と比較した代表的な検証を通じてStrataNGS LDTで使用される非融合遺伝子発現パネル全体のパフォーマンスを検証している。
【0101】
近年、ペムブロリズマブは、腫瘍の種類に関係なく、MSI-Hまたはデオキシリボ核酸(DNA)ミスマッチ修復欠損患者のために承認された(Le et al,2017)。登録可能な臨床試験は、研究者主導型臨床試験として実施し、広範囲な腫瘍型わたってバイオマーカー陽性患者を登録した。患者の54パーセント(54%;95%の信頼区間39%~69%)は、20週間で客観的な応答及び76%の1年全生存率推定値を有する(Le et al,2017)。MSI-Hは、結腸直腸癌(17%)及び子宮内膜癌(28%)でより一般的であるが、16のがんタイプで0.2%~5.4%の範囲である他の腫瘍タイプでは比較的まれである(Ashktorab et al,2016;Cortes-Ciriano,et al,2017)。MSI-Hは、豊富な新抗原及び強力な腫瘍免疫応答をもたらすMSI-H腫瘍の腫瘍変異負荷が大幅に増加するため、チェックポイント阻害薬に対する感度を付与すると考えられ、これは、免疫チェックポイント経路を介して排除される。
【0102】
第1の腫瘍を選ばないバイオマーカーベースの薬剤承認を代表するが、MSI-H腫瘍は、チェックポイント療法に応答する可能性がある承認された適応症以外の腫瘍タイプの一部のみを表すことが推察される。例えば、TMB-Hであるが、MSI-Hに対して陰性である、または「チェックされた」腫瘍免疫応答を示す発現マーカー(例えば、PD-L1、分化抗原群8A[CD8A]、インターフェロンガンマ)を有するがん患者は、腫瘍のタイプに関係なく、チェックポイント阻害に応答する可能性が高いことがある。
【0103】
ミシガン大学との協力を通じて遡及的に収集されたコホートでのStrataNGSの前向き評価を通じて、Strata免疫シグネチャーバイオマーカーのサブグループを同定した。後ろ向きコホートは、承認された免疫療法(PD-L1/PD-1阻害薬)で以前に処置された150人の患者を含んでいた。応答者は、記録された疾患進行のない、12ヶ月を超えて免疫療法を受けている患者(n=52、35%)と定義され、非応答者は、6ヶ月前に進行した患者(n=53、35%)と定義された。6~12ヶ月間免疫療法を受けた患者として定義された中程度応答者(n=45、30%)が分析から除外された。105人の応答者及び非応答者のうち、10の腫瘍タイプにわたる68の腫瘍試料をStrataNGSで効率よく試験した(n=32人の応答者及び36人の非応答者)。試験された腫瘍はいずれもMSI Hではなかった。
【0104】
チェックポイント阻害薬応答との関連について、12の免疫療法バイオマーカーのStrataNGS発現を個別に試験し、5つの遺伝子(PD-L1、CD8A、IFNG、GZMA、及びIDO1)をさらに検討した(p<0.05)。ランダムフォレスト分析を使用して、応答をより強く高め得る遺伝子の組み合わせを特定した。ランダムフォレスト分析により、PD-L1高及びCD8A高の組み合わせを有する患者が、応答者に対し高められていると同定された。図4に示されるように、YoudenのJ統計を最大化した各バイオマーカーの受信者動作特性曲線上のポイントを選択することにより、初期閾値を設定した(PD-L1の場合は100万当たり14Kの正規化リード[nRPM]及びCD8Aの場合は69K nRPM)。さらに、80試料の独立したコホートで通常のPD-L1免疫組織化学により決定されたPD-L1腫瘍割合スコアとの比較により、PD-L1閾値を独立して検証した。StrataNGSで定義されたPD-L1高及びCD8A高は、腫瘍含有量が高い(50%以上)試料との関連で応答者集団を明確に分離した。
【0105】
Strata免疫シグネチャーコホート(50%上の腫瘍含有量を含有する試料内のPD-L1高及びCD8A高により定義される)は、10人の応答者及び1人の非応答者を含み、PD-L1/CD8A低コホートは、7人の応答者及び5人の非応答者を含み、PD-L1低コホートは、6人の応答者及び17人の非応答者を含んでいた。Strata免疫シグネチャーが応答の感度の高い予測因子ではないが、非常に特異的であり(図4に示すように)、チェックポイント阻害薬療法の選択バイオマーカーとして使用される場合、高い陽性適中率(すなわち、応答率)の可能性が示唆される。
【0106】
独立したコホートの80の試料のうち64は、StrataNGSでTMBも評価するのに十分な試料を有していた。特に、TMB-Hを有する1人を除く全ての患者が応答者であった(図5F;12人の応答者、1人の非応答者を有するTMB H)。
【0107】
汎がんの選択されていないチェックポイント阻害薬の応答率を10%と仮定して、調整陽性適中率(PPV)及び陰性適中率を算出した。PD-L1高は、70.8%の感度及び72.7%の特異度を示すが、22.4%,の調整PPVを示した一方、Strata免疫シグネチャーは、より低い感度(41.7%)を有するが、調整PPV(50.5%)及び特異度(95.5%)の改善を有する。
【0108】
同様に、TMB-Hは、50%未満の感度を示すが、100%の特異度及び100%の調整PPVを示した。Strata免疫シグネチャーまたはTMB-Hのいずれかを含んでいたアルゴリズムの感度は、70%を超え、調整PPVは、63.4%であった。観察された特性を仮定すると、これら2つのバイオマーカー集団を登録すると、全ての潜在的な応答者の70%を獲得する機会がある。Strata免疫シグネチャーの推定頻度は、6.4%であり、15以上のTMBは、Strata Trial内の入手可能なデータに基づき3.6%である。
【0109】
TMB-H及びStrata免疫シグネチャーバイオマーカーは、わずかな程度の重複(約7.5%)を示すが、独立した情報及び、チェックポイント阻害薬に対する応答を予測する可能性を提供する。
【0110】
実施例2-SISの改良
最終的な開発研究は、実験室のワークフロー及びインフォマティクスの改良の両方を通じて、RNA発現のダイナミックレンジ及び品質管理を最適化することで構成されていた。3つの主要な変更を採用した:
【0111】
1-実験室のワークフローを変更して、RNA定量用途のために20サイクルのPCR増幅を行うというアッセイ製造者の推奨を採用した。これは、最初に採用された30サイクルの増幅プロトコールとは対照的である。変化は、一般に、より高いダイナミックレンジをもたらし、技術的複製全体で変動係数を減少させた。
【0112】
2-8つの遺伝子から、今までに処理された全ての臨床及び対照複製試料全体で最も安定した発現値を有する3つの遺伝子まで、発現の正規化に使用されるハウスキーピング遺伝子の集合から不要なものを取り除いた。
【0113】
3-確認測定は、目下、Strata免疫シグネチャーステータスを評価する場合に考えられる。StrataNGSは、PD-L1発現レベルを評価するための2つの独立したアンプリコンを含有する:1次PD-L1アンプリコンが閾値を超える場合、結果は、第2のアンプリコンの測定値の母集団パーセンタイル値が第1のアンプリコンの母集団パーセンタイル値の80%以上であることを確認することにより認定される。同様に、CD8Aに対する上記閾値測定値は、CD8Aパーセンタイルの80%以上のGZMA発現パーセンタイルにより認定される。
【0114】
PD-L1 1次アンプリコン及び2次アンプリコンの一致が図6に示される。CD8A 1次アンプリコン及びGZMAアンプリコンの一致が図7に示される。図8は、PD-L1アンプリコン(左側)またはGZMAとCD8A(右側)との間のパーセンタイル比率を示すグラフを提供する。SIS陽性腫瘍(PD-L1高、CD8A高、及び腫瘍含有量40%以上)が橙色で示される。SIS陽性腫瘍の約2.2%は、主に、GZMAが低いために、これらの確認測定により認定されなかった(すなわち、PD-L1/PD-L1またはCD8A/GZMAの比率は0.8比率未満)。
【0115】
実施例1及び実施例2の解析の比較が図9に示される。
【0116】
精密なStrata免疫シグネチャー高は、以下のように定義される:100万当たり10,000正規化リード(nRPM)以上のCD8A(すなわち、腫瘍プロファイルの集団において67.6パーセンタイル以上のCD8A発現)及び2,000nRPM以上のPD-L1(腫瘍プロファイルの集団において73.3パーセンタイル以上のPD-L1発現)及び40%以上の腫瘍含有量及び2次PD-L1測定値のパーセンタイル値は、0.8*1次PD-L1測定値のパーセンタイル値以上である、及びGZMAパーセンタイル値は、0.8*CD8Aパーセンタイル値以上である。Strata免疫シグネチャー高の定義を精密化した後、SISコホート(40%以上の腫瘍含有量を含有する試料内のPD-L1高及びCD8A高で定義)は、8人の応答者及び1人の非応答者を含み、PD-L1/CD8A低コホートは、8人の応答者及び13人の非応答者を含み、PD-L1低コホートは、11の応答者及び16人の非応答者を含んでいた。Strata免疫シグネチャーが応答の感度の高い予測因子ではないが、非常に特異的であり(図10に示すように)、チェックポイント阻害薬療法の選択バイオマーカーとして使用される場合、高い陽性適中率(すなわち、応答率)の可能性が示唆される。
【0117】
汎がんの選択されていないチェックポイント阻害薬の応答率を10%と仮定して、調整陽性適中率(PPV)及び陰性適中率を算出した。PD-L1高は、54.2%の感度及び72.7%の特異度を示すが、18.1%,の調整PPVを示した一方、Strata免疫シグネチャーは、より低い感度(33.3%)を有するが、調整PPV(44.9%)及び特異度(95.5%)の改善を有する。
【0118】
同様に、TMB-H(図11)は、50%未満の感度を示すが、95.5%の特異度及び52.8%の調整PPVを示した。このスクリーニングに必要な腫瘍含有量は、20%以上である。TMB-Hは、1メガベース当たり15を超える変異として定義される。
【0119】
Strata免疫シグネチャーまたはTMB-Hのいずれかを含むアルゴリズムの感度は、66.7%であり、調整PPVは、44.9%であった。観察された特性を想定すると、これら2つのバイオマーカー集団を登録すると、全ての潜在的な応答者の70%近くを獲得する機会がある。Strata免疫シグネチャーの推定頻度は、7.6%であり、15以上のTMBは、Strata Trial集団において4.6%である。
【0120】
TMB-H及びStrata免疫シグネチャーバイオマーカーは、わずかな程度の重複(約9.7%)を示すが、独立した情報及び、チェックポイント阻害薬に対する応答を予測する可能性を提供する。抗PD-1療法に対して陽性応答を有する腫瘍に対し、SIS陽性またはTMB陽性患者の結果が図12が示される。
【0121】
TMB陽性患者、MSI陽性患者、及びSIS陽性患者の比較が図13に示される。明らかなように、特許請求されたSIS遺伝子シグネチャー及びTMBは、チェックポイント阻害薬応答性腫瘍を有するMSIとは異なる患者集団を提供し、従って、対象がチェックポイント阻害薬を投与されるべきかどうかを評価するための有用な診断ツールを提供する。
【0122】
SIS画面の例示的シナリオが図14~18が示される:PD-L1高/CD8A高/TC高=SIS+(図14);PD-L1低/CD8A低/TC高=SIS-(図15);PD-L1高/CD8A高/TC低=SIS-(図16);PD-L1高/CD8A低/TC高=SIS-(図17);PD-L1低/CD8A高/TC高=SIS-(図18)。
図1
図2
図3
図4
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図6
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図13
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【国際調査報告】