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特表2022-514960ドセタキセルおよびCYP3A阻害剤を用いる固形腫瘍の組み合わせ治療
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  • 特表-ドセタキセルおよびCYP3A阻害剤を用いる固形腫瘍の組み合わせ治療 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(54)【発明の名称】ドセタキセルおよびCYP3A阻害剤を用いる固形腫瘍の組み合わせ治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/337 20060101AFI20220208BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220208BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220208BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20220208BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
A61K31/337
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K45/00
A61P35/04
A61K31/427
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536396
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2019086125
(87)【国際公開番号】W WO2020127607
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】18215488.0
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521271222
【氏名又は名称】モドラ ファーマシューティカルズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ベイネン、ジェイコブ ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】シェレンス、ヨハネス ヘンリクス マティアス
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA52
4C084NA06
4C084NA10
4C084ZB261
4C084ZC202
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086BC12
4C086GA10
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA06
4C086NA10
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
癌の治療は広範囲の治療を伴う。本発明は、タキサン、特にドセタキセルを用いる腫瘍の化学療法に関する。より詳細には、本発明は、ドセタキセル経口投薬量の有効な用量を達成する一方で、許容可能な安全性を維持することに関する。経口のドセタキセルとCYP3A阻害剤戸を組み合わせる新規な手段および方法を提供することによって、本発明者らは、改善した癌の治療を確立し、前記方法および手段は、ドセタキセルの治療標準と比較してドセタキセルの改善した安全性プロフィールをもたらすのと同時に、癌細胞を根絶するドセタキセルの有効な濃度が得られるようにする。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドセタキセルをCYP3A阻害剤と組み合わせて経口投与し、CYP3A阻害剤の用量は、ドセタキセルの治療標準と同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得るのに十分であることを特徴とする癌の治療の組み合わせ治療における使用のためのドセタキセル。
【請求項2】
ドセタキセルをCYP3A阻害剤と組み合わせて経口投与し、癌を有する対象でのドセタキセルの増加したクリアランスを補うようにドセタキセルの用量を調整することを特徴とする癌の治療の組み合わせ治療における使用のためのドセタキセル。
【請求項3】
前記癌が固形腫瘍である請求項1または2に記載の使用のためのドセタキセル。
【請求項4】
前記腫瘍が非小細胞肺癌、胃癌、乳癌、頭頸部癌または前立腺癌である請求項3に記載の使用のためのドセタキセル。
【請求項5】
前記前立腺癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)である請求項4に記載の使用のためのドセタキセル。
【請求項6】
CYP3A阻害剤が、ドセタキセルの経口製剤と組み合わせて投与され、CYP3A阻害剤の用量は、ドセタキセルの治療標準と同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得るのに十分であることを特徴とする癌の治療の組み合わせ治療における使用のためのCYP3A阻害剤。
【請求項7】
CYP3A阻害剤が、ドセタキセルの経口製剤と組み合わせて投与され、CYP3A阻害剤の用量が、癌を有する対象でのドセタキセルの増加したクリアランスを実質的に減少させるのに十分であることを特徴とする癌の治療での組み合わせ治療における使用のためのCYP3A阻害剤。
【請求項8】
前記癌が固形腫瘍である請求項6または7に記載の使用のためのCYP3A阻害剤。
【請求項9】
前記腫瘍が非小細胞肺癌、乳癌、胃癌頭頸部癌または前立腺癌である請求項8に記載の使用のためのCYP3A阻害剤。
【請求項10】
前記前立腺癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)である請求項9に記載の使用のためのCYP3A阻害剤。
【請求項11】
前記CYP3A阻害剤がリトナビルである請求項1~10のいずれか1項に記載の組み合わせ治療における使用のためのドセタキセルまたはCYP3A阻害剤。
【請求項12】
前記使用はプレドニゾンなどのコルチコステロイドの使用を含まない請求項1~11のいずれか1項に記載の組み合わせ治療における使用のためのドセタキセルまたはCYP3A阻害剤。
【請求項13】
ドセタキセルを毎週50mgの投薬量で経口投与する請求項1~12の組み合わせ治療における使用のためのドセタキセルまたはCYP3A阻害剤いずれか1項に記載の。
【請求項14】
CYP3A阻害剤であるリトナビルを、200~300mg週ごとの投薬量で投与する請求項1~13のいずれか1項に記載の組み合わせ治療における使用のためのドセタキセルまたはCYP3A阻害剤。
【請求項15】
CYP3A阻害剤と組み合わせて有効なドセタキセルの用量を経口投与するステップを含み、CYP3A阻害剤の用量は、3週おきに静脈内投与するドセタキセルの治療標準と同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得るのに十分であることを特徴とする転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の治療方法。
【請求項16】
CYP3A阻害剤と組み合わせて有効なドセタキセルの用量を経口投与するステップを含み、ドセタキセルの用量を、mCRPCを有する対象におけるドセタキセルの増加したクリアランスを補うように調整することを特徴とする転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の治療方法。
【請求項17】
転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の治療方法、CYP3A阻害剤と組み合わせて有効なドセタキセルの用量を経口投与するステップを含み、CYP3A阻害剤の用量が、mCRPCを有する対象におけるドセタキセルの増加したクリアランスを実質的に減少させるのに十分である。
【請求項18】
対象におけるCYP3Aの活性を決定するステップと;
任意選択的に、CYP3Aの活性を参照レベルと比較するステップと;
対象において決定したCYP3Aの活性レベルに基づいてCYP3A阻害剤の投薬量を決定するステップと、
決定した投薬量でのCYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせを投与するステップと、を含み、
ドセタキセルの投薬量は、ドセタキセルの治療標準と同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得るのに十分であることを特徴とする、CYP3A阻害剤および経口投与したドセタキセルの組み合わせを含む癌の治療方法。
【請求項19】
ドセタキセルを予め決定した投薬量で投与する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法の前記ステップは、CYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの初回投与の前に実施する請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法の前記ステップは、CYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの投与を含む治療中に実施する請求項18~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
CYP3Aの活性が治療中に増加した際に、CYP3A阻害剤の投薬量を増加し、CYP3Aの活性が治療中に減少した際に、CYP3A阻害剤の投薬量を、投与した先の投薬量と比較して維持するか、または減少させる請求項21に記載の方法。
【請求項23】
CYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせを投与するステップと;
対象中のドセタキセルの血漿濃度を決定するステップと、
任意選択的に、ドセタキセル濃度と参照レベルと比較するステップと、
次のCYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの投与のためのドセタキセル投薬量を決定するステップと、
次のCYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせを投与するステップと、を含むことを特徴とするCYP3A阻害剤および経口投与したドセタキセルの組み合わせを含む癌の治療方法。
【請求項24】
少なくとも次のCYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせのドセタキセルの投薬量は、ドセタキセルの治療標準と同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得るのに十分である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
CYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの複数回投与を含み、それぞれの投与後にドセタキセル濃度と決定し、次のCYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの投与のためのドセタキセル投薬量を決定する請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
CYP3A阻害剤を予め決定した投薬量で投与する請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
ドセタキセル濃度が対象において増加した際に、投与した先の投薬量と比較してドセタキセルの投薬量を減少させ、ドセタキセル濃度が治療中に減少した際に、投与した先の投薬量と比較してドセタキセルの投薬量を増加させる請求項23~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
対象におけるCYP3A活性を決定するステップと、
任意選択的に、CYP3Aの活性を参照レベルと比較するステップと;
任意選択的に、対象において決定したCYP3Aの活性レベルに基づいてCYP3A阻害剤の投薬量を決定するステップと、
CYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせを投与するステップと;
対象中のドセタキセルの血漿濃度を決定するステップと、
任意選択的に、ドセタキセル濃度と参照レベルと比較するステップと、
決定したCYP3A活性およびドセタキセル濃度に基づいて、CYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの投与のためのドセタキセル投薬量および/またはCYP3A阻害剤投薬量を決定するステップと、を含むことを特徴とする、CYP3A阻害剤および経口投与したドセタキセルの組み合わせを含む癌の治療方法。
【請求項29】
経口投与用のドセタキセルを含む医薬組成物と、CYP3A阻害剤を含む医薬組成物と、を含むことを特徴とするキット。
【請求項30】
固形腫瘍、特に非小細胞肺癌、胃癌、乳癌、頭頸部癌または前立腺癌、より詳細には、mCRPCの治療のための請求項29に記載のキット。
【請求項31】
ドセタキセルを含む医薬組成物と、CYP3A阻害剤を含む医薬組成物とを含むことを特徴とする請求項1~28のいずれか1項に組み合わせ治療における使用のためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タキサン、特にドセタキセルを用いる腫瘍の化学療法に関する。より詳細には、許容可能な毒性を維持しつつドセタキセル経口投薬量の有効な用量を達成することに関する。
【背景技術】
【0002】
癌の治療は広範囲の治療を伴う。治療には、とりわけ手術、放射線治療、化学療法、免疫療法および細胞治療がある。多くの場合、癌治療は、異なる治療薬の組み合わせを含めた異なる形態の治療の組み合わせを含む。最前線の化学療法の一部として、タキサンであるドセタキセルが種々の癌の治療に広く使用されている。ドセタキセルは細胞毒性薬であり、その作用の主な形態は、有糸細胞分裂を阻害する微小管の重合および分解への干渉を不うむと理解されている。推奨される投薬量は3週ごとの静脈内投与であり、用量は75~100mg/m体表面積の範囲内である。ドセタキセルは、乳癌、肺癌、前立腺癌、胃癌、頭部癌および頸部癌、および卵巣癌を含む様々な癌の治療に使用される。患者に利益をもたらし、余命および生活の質を改善する可能性がある一方で、ドセタキセルの使用は重大な副作用を伴う。典型的な副作用としては、とりわけ好中球減少、感染症の高いリスク、血小板減少症、貧血、脱毛症、体液鬱滞、下痢、爪毒性、末梢感覚神経毒性および輸液関連反応が挙げられる。それ故に、推奨される使用形態には、ドセタキセルのサイクル数(通常4~6サイクル)の制限がある。さらに、高用量のデキサメタゾンの標準の前投薬が毎サイクル必要とされる。
【発明の概要】
【0003】
化学療法剤としてドセタキセルの静脈内投与が承認され、様々な固形腫瘍の治療に使用されている。治療への反応については患者においてばらつきが見られる。本発明者らは、癌の治療にドセタキセルを利用する手段および方法を改善しようとした。特に、本発明者らは、ドセタキセルの治療標準と同等または少なくとも同等であるドセタキセル暴露レベルを達成するために、シトクロムP450イソ酵素CYP3A(CYP3A)阻害剤と組み合わせた、ドセタキセルの異なる投与経路、すなわち経口を提供する。経口のドセタキセルとCYP3A阻害剤とを組み合わせる方法および使用を提供することによって、本発明者らは、癌の治療の手段および方法を改善し、前記方法および手段は、ドセタキセルの治療標準と比較して、ドセタキセルの安全性プロフィールを改善するのと同時に、ドセタキセル暴露の有効な抗腫瘍レベルを得るように制御できる。また、本発明の方法および手段によって、ドセタキセルの治療標準中に毎サイクルで推奨される高用量のデキサメタゾンによる標準の前投薬の使用を回避できる。それ故に、前記ドセタキセルをCYP3A阻害剤と組み合わせて経口投与し、CYP3A阻害剤の用量は、ドセタキセルの治療標準と同等または少なくとも同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得るのに十分である、癌の治療の組み合わせ治療が提供される。一実施形態では、癌を有する対象でのドセタキセルの増加したクリアランスを補うようにドセタキセルの用量を調整する、CYP3A阻害剤と組み合わせて経口投与されるドセタキセルの癌の治療における組み合わせ治療への使用が提供される。ドセタキセルおよびCYP3Aの投薬量は、ドセタキセルの治療標準と同等または少なくとも同等である十分な腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを治療すべき癌が得るように選択できる。代わりに、組み合わせ治療を受けるか、かつ/または組み合わせ治療中である対象のCYP3A活性および/または対象のドセタキセル血漿濃度を、本発明に従って、ドセタキセルおよび/またはCYP3A阻害剤投薬量を調整して、ドセタキセルの治療標準と少なくとも同等な腫瘍組織の暴露レベルを維持するのに十分であるドセタキセルの血漿濃度を制御し、モニターするように決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】ModraDoc006(ドセタキセル)に対するリトナビル(RTV)のAUC(用量レベルごとの平均AUC(h*ng/mL))を示すプロットである。Modrodoc006の暴露が、全体のリトナビルAUC(および用量)と非常に相互に関連していることを示す。
図2A】IVと比較して類似またはやや高いドセタキセル濃度AUCが患者において得られることを示すプロットである。
図2B】リトナビルのAUCを示すプロットである。
図3】ドセタキセルAUCおよびサイクル数のプロットである。治療の長さは、標的のドセタキセル範囲の患者においてより長い傾向があるように見える。図4、5A、5Bおよび6は、それぞれ図1、2A、2B、および3の更新を表す。
図4】ModraDoc006(ドセタキセル)に対するリトナビル(RTV)のAUC(用量レベルごとの平均AUC(h*ng/mL))を示すプロットである。Modrodoc006の暴露が、全体のリトナビルAUC(および用量)と非常に相互に関連していることを示す。
図5A】IVと比較して類似またはやや高いドセタキセル濃度AUCがModraDoc006/rによって患者において得られるを示すプロットである。mCRPC患者の標的最小AUC閾値が強調され、約600~800h*ng/mLである。これは、その下限で、mCRPC患者におけるIVドセタキセルの週ごとのAUC(1820/3=±600h*ng/mL[1820のq3w AUCを3で割って、週ごとの同等のものを得たもの]を表す。情報源:DeVriesSchultinketal”Neutropenia and docetaxel exposure in metastatic castration-resistant prostate cancer patients: A meta-analysis and evaluation of a clinical cohort”, Cancer Medicine, February 2019。その上限では、これは、1418*55%=±800h*ng/mLを表す。ここで、1418は、そのI相研究N10BOMでのModraDoc006/rのAUCを表す。55%(1820/3300)は、mCPRC患者対他の腫瘍でのIVドセタキセルについてのAUCの比率を表す(De Vries Schultink e tal”Neutropenia and docetaxel exposure in metastatic castration-resistant prostate cancer patients: A meta-analysis and evaluation of a clinical cohort”, Cancer Medicine, February 2019)。
図5B】リトナビルのAUCを示すプロットである。
図6】ドセタキセルAUCおよびサイクル数のプロットである。治療の長さは、500~1500h*ng/mLの標的のドセタキセル範囲の患者においてより長い傾向があるように見える。
図7】評価可能患者のmCRPC(M17DOC)の多施設臨床IB相研究におけるベースラインからのPSA(前立腺特異抗原)変化%のプロットである。患者を、PSA進行(黒棒);PSAがベースラインに等しいまたは低下(<50%)(濃灰色の棒);PSA反応(低下する≧50%)(中間灰色の棒);30週のプロトコールで可能な最大治療期間までの臨床反応(疼痛低下)(薄灰色の棒)、と採点した。
図8】評価可能患者のmCRPC(M17DOC)の多施設臨床IB相研究における治療サイクル数(最大30)のプロットである。患者を、PSA進行(黒棒);PSAがベースラインに等しいまたは低下(<50%)(濃灰色の棒);PSA反応(低下する≧50%)(中間灰色の棒);30週のプロトコールで可能な最大治療期間までの臨床反応(疼痛低下)(薄灰色の棒)、と採点した。
図9】腫瘍測定値に関する反応について評価可能な10人の患者のHER2転移性乳癌(mBC)(N18DMB)の多施設IIA相研究における最も良い反応者のプロットである。負の%は、腫瘍サイズのパーセンテージ低下を示す。患者を、病状進行(PD)(黒棒);病状安定(SD)(濃灰色の棒);一部反応(PR)(中間灰色の棒);または評価不可能(NE)(薄灰色の棒)と採点した。星で示した患者は治療継続である。
図10】安全性評価について評価可能な12人の患者のHER2転移性乳癌(mBC)(N18DMB)の多施設IIA相研究における全サイクル数のプロットである。患者のスコアは、病状進行(PD)(黒棒);病状安定(SD)(濃灰色の棒);一部反応(PR)(中間灰色の棒);または評価不可能(NE)(薄灰色の棒)と示した。星で示した患者は治療継続である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
化学療法剤としてドセタキセルの静脈内投与が承認され、様々な固形腫瘍の治療に使用されている。治療への反応について、患者にてばらつきが見られている。本発明者らは、癌の治療にドセタキセルを利用する手段および方法を改善しようとした。特に、本発明者らは、ドセタキセルの治療標準と同等であるドセタキセル暴露レベルを達成するドセタキセルの異なる投与経路、すなわち経口を提供する。ドセタキセルを静脈内投与した際、ドセタキセルの高いピーク濃度が、対象の血漿で測定できる(血清、または全血で測定できる)。本発明者らは、高いピーク濃度が、治療標準の毒性と関連していることを確立した。ドセタキセルを経口投与し、CYP3A阻害剤と組み合わせた際、ドセタキセルのそのような高いピーク濃度を大きく回避できる。重要なことは、本発明者らは、シトクロムP4503A4(およびP4503A5)(CYP3A)阻害剤と組み合わせてドセタキセルを経口投与すると、ドセタキセルの治療標準と同等または少なくとも同等であるドセタキセル暴露レベルを得ることができることを確立し、これは、癌の治療に有効なドセタキセルの用量をもたらすのと同時に、許容可能な毒性を維持するものである。これは、抗癌治療の組み合わせを合わせる組み合わせ治療にとって重要である。
【0006】
現在の治療における抑制または低減し得る副作用としては好中球減少がある。そのような好中球減少は発熱性好中球減少症であり得る。好中球減少は、血液中の好中球の異常に低い濃度である。好中球減少は、通常、血液中の絶対好中球数を決定することによって診断される。参考として、血液中の好中球数の健康な範囲は、1500~4000細胞/血液μLであると定義できる。好中球減少は、好中球濃度が1500細胞/血液μL未満であるときに診断され得る。好中球数を決定するアッセイは、例えば完全血球数分析の一部として、日常の研究室試験の一部として、広く利用可能である。したがって、本発明では、好中球減少の発生が、患者集団において優位に減少するとの同時に、患者において効果的な癌の治療をもたらす。それ故に、好ましくは、患者の癌の治療方法において、副作用の好中球減少が抑制または低減される。他の抑制または低減し得る副作用は、血小板減少症、神経障害、脱毛症、体液鬱滞、神経毒性、および/または爪毒性である。
【0007】
本発明に従うドセタキセルの経口投与を用いて回避し得る更なる副作用としては、例えば、ドセタキセルの静脈内製剤に使用される賦形剤(とりわけTween-80、エタノール)による輸液関連反応がある。デキサメタゾンなどのコルチコステロイドが、現在の静脈内ドセタキセル治療のそのような輸液関連反応の予防として使用される。コルチコステロイド予防を必要としないドセタキセルの経口投与を用いて、コルチコステロイドによる(長期)治療と関連した毒性を同様に回避し得る。
【0008】
本明細書で、対象へのドセタキセルの経口投与には、口を介して対象へ意図された機能を発揮する薬剤を導入または送達するいずれの経路も含まれる。経口投与に適した医薬組成物としては、液剤、錠剤またはカプセルが挙げられる。カプセルおよび錠剤は、ドセタキセルが腸内でカプセルまたは錠剤から放出される腸溶コーティングを有し得る。カプセルおよび錠剤が、ドセタキセルが長期間、例えば数時間以上にわたって、例えば腸管で過ごす間に放出される持続放出製剤で処方され得る。したがって、錠剤およびカプセルは、薬剤は、そこから徐々に放出されるように処方され得る。錠剤およびカプセルは、薬剤が胃または腸内で放出されるように処方され得る。錠剤およびカプセルは、薬剤が胃および腸内で放出されるように処方され得る。投与としては、自己投与および他者による投与が挙げられる。
【0009】
本発明の医薬組成物は、ドセタキセル、もしくは医薬上許容可能な塩およびそれらのエステル、並びに/またはリトナビルなどのCYP3A阻害剤(もしくは医薬上許容可能な塩およびそれらのエステル)を、いずれの医薬上許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルと共に含み得る。経口投与に適した製剤および/または医薬組成物としては、国際公開第2009027644号、国際公開第2010020799号およびMoes et al.Drug Deliv.Transl.Res.2013)に記載の製剤が挙げられ、これらの文献を参照によってその内容を本明細書に援用する。経口投与適したいずれの製剤も考慮され得る。
【0010】
本発明は、ドセタキセルの経口投与に制限されない。ドセタキセルの胃腸管を介したいずれの投与も考慮され得る。それ故に、腸内投与が経口投与の代わりに考慮され得る。好ましくは、腸内投与は、カプセル、錠剤、および座薬の形態である。座薬によるドセタキセル投与が、生物学的利用能を経口投与と比較して改善し得ることから好都合である。これは、経口投与では、胃および腸を通過した後、ドセタキセルが門脈を通じて肝臓へ送達されるからである。腸内投与によって、初回通過でドセタキセルを代謝する障壁を回避し得る。いずれの腸内投与も、本明細書で定義される、ピーク濃度が回避され、効果的な血漿濃度が得られる限り十分であり得る。
【0011】
ドセタキセルなどの多くの抗癌薬について、シトクロムP450は、主な酸化薬剤代謝の酵素システムを表す。シトクロムP450(CYP)イソ酵素、特にCYP3A4(CYP3A5も含み得る)、(参照したtoasCYP3Aと称される)は、肝臓および腸で多く発現されている。この酵素システムによるドセタキセルの腸管抽出および代謝は、経口の生物学的利用能の制限にて重要な役割を果たす。代謝経路輸送体の一部としての役割も果たす。ドセタキセルなどの化合物の細胞内および細胞外の輸送によって、化合物が、CYP3A4および/またはCYP3A5酵素に基質として提供される。例えば、P糖タンパク質(P-gp、MDR1、ABCB1)は、代謝経路およびドセタキセルの輸送の役割を果たす。それ故に、ドセタキセルの代謝経路に影響を与えてドセタキセルの代謝を阻害し得るいずれの化合物も、適したCYP3A阻害剤とみなされ得る。そのような化合物は、CYP3A4および/またはCYP3A5、並びにP糖タンパク質(Er-jiaWangら、Chem.Res.Toxicol.2001;Wacherら.,Mol Carc.1995)に影響を与えるか、あるいはCYP3A4および/またはCYP3A5、並びにP糖タンパク質(Er-jiaWangら,Chem.Res.Toxicol.2001)のいずれかに異なる影響を与え得る。したがって、適したCYP3A阻害剤は、CYP3A4(およびCYP3A5)およびP糖タンパク質の両方に影響を与える。適したCYP3A阻害剤は、CYP3A4および/またはCYP3A5に影響を与える。適したCYP3A阻害剤は、P糖タンパク質に影響を与え得る。それ故に、CYP3A阻害剤は、本明細書では、細胞内のCYP3A4およびCYP3A5の代謝を減少させることが可能である化合物と定義される。前記化合物は、好ましくは医薬化合物。好ましくは、例えばリトナビルなど、CYP3A4を阻害するCYP3A阻害剤が選択される。リトナビルは、同様にCYP3A5およびP糖タンパク質を阻害する。CYP3A4の選択的な阻害が非常に好ましい。
【0012】
本明細書に記載されている、ドセタキセルを経口投与するステップを含む患者の癌の治療方法は、好ましくはドセタキセルの血漿濃度が、CYP3A阻害剤を投与することによって少なくとも部分的に制御しされる。CYP3A阻害剤を使用すると、細胞内のCYP3A4および/またはCYP3A5活性を減少させるか、かつ/または阻害することによって、胃および/または腸から血流へのドセタキセルの輸送を助ける。したがって、CYP3A阻害剤を使用することで、ドセタキセルの生物学的利用能を増加できる。そのような生物学的利用能を増加し得る一方で、ドセタキセルのピーク濃度は実質的に増加させない。それ故に、CYP3A阻害剤を使用することで、効果的なドセタキセルの血漿濃度が、CYP3A阻害剤を用いない場合と比較して増加できることから、より低い投薬量の経口のドセタキセルを使用できるようになる。代わりに、CYP3A阻害剤を使用することで、本明細書で定義される曲線下の面積を有する効果的な血漿濃度がCYP3A阻害剤を用いない場合と比較してより効率的に得られることから、経口のドセタキセルの頻繁な投薬をより少なくできる。
【0013】
それ故に、本発明に従う方法では、ドセタキセルの血漿濃度は、CYP3A阻害剤を投与することによって少なくとも部分的に制御される。前述したように、ドセタキセルの経口投与をCYP3A阻害剤の使用と組み合わせる。いずれのCYP3A阻害剤も十分であり、例えばCYP3A阻害剤は、ボセプレビル、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、インジナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、リトナビル、サキナビルおよびボリコナゾールからなる群から選択される強力なCYP3A阻害剤であり得る。好ましくは、最も少ない副作用を有するCYP3A阻害剤が使用される。最も好ましくは、ドセタキセルの経口投与を組み合わせるCYP3A阻害剤はリトナビルである。好ましくは、本発明に従う組み合わせ治療における使用のためのCYP3A阻害剤、100mgまたは200mgの投薬量で投与されるリトナビル、または別の適したCYP3A阻害剤の等価な投薬量を含む。対象におけるCYP3A阻害剤とリトナビルの効果を比較し、別のCYP3A阻害剤を選択し、同じ効果を得るその投薬量を確立することができることから、いずれの他の適した阻害剤に適した投薬量も容易に確立できる。効果は、ドセタキセル血漿濃度(AUC)および/または使用したリトナビルの投薬量で得られるピーク血漿濃度に対する効果として定められる。
【0014】
当然ながら、本発明に従う方法および使用では、CYP3A活性に影響を与え得る食物および更なる医薬を含む化合物のいずれの追加の使用も、そのような食物が、治療される対象の血漿で達成されるドセタキセル濃度に影響を与え得ることから、好ましくは回避され得る。それ故に、どの強力なCYP3A阻害剤がドセタキセルとの組み合わせ治療のために選択されても、高すぎる曲線下の面積を生じ得ることから、治療を受ける対象によるCYP3A阻害剤の更なる使用を避ける必要がある。好ましくは回避する更なる阻害剤の例は、例えばHIV抗ウイルス薬:インジナビル、ネルフィナビルおよびサキナビル;抗菌剤:クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ネファゾドン、テリスロマイシン、エリスロマイシン、フルコナゾール、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ノルフロキサシンおよびボリコナゾール;強心剤:ベラパミル、ジルチアゼム、シメチジンおよびミオダロン;フルボキサミンなどの他の剤;並びにスターフルーツおよびグレープフルーツジュースなどの食物である。逆に、好ましくは、本発明の方法および使用において、治療を受ける対象においてCYP3A活性を誘導し得る食物および更なる医薬を含む化合物の使用は、そのような使用が、血漿中のドセタキセルの高すぎるピーク濃度を生じ得ることから、好ましくは同様に回避される。好ましくは回避するCYP3Aの誘導因子は、HIV抗ウイルス薬:エファビレンツおよびネビラピン;他の剤:バルビツール酸塩、カルバマゼピン、モダフィニル、ネビラピン、オクスカルバゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、ピオグリタゾン、リファブチン、リファンピシンなど、並びにセント・ジョンズ・ワートである。
【0015】
一実施形態では、本発明に従う方法では、前記CYP3A阻害剤はドセタキセルと同時に投与される。当然ながら、同時投与は、別々の投与、例えば別々の医薬品での投与を含み得る。例えば、経口投与に適した1つの医薬品はドセタキセルを含み、別の医薬品はリトナビルなどのCYP3A阻害剤を含む。医薬品は、好ましくは経口投与されるリトナビルを含む。当然ながら、同時投与は、ドセタキセルとリトナビルなどのCYP3A阻害剤の両方を含む1つの医薬品を含み得る。また、ドセタキセルおよびCYP3A阻害剤は、それぞれ別々に投与され得る。別々に投与する場合、CYP3A阻害剤は、好ましくはドセタキセルの前、および、より好ましくは、ドセタキセル投与前約60分以内に投与される。本明細書で、同時にとは、例えばCYP3A阻害剤またはドセタキセルの約20分以内、より好ましくは15分以内、より好ましくは10分以内、さらにより好ましくは5分以内、最も好ましくは2分以内のドセタキセルまたはCYP3A阻害剤の投与を意味する。一般に、CYP3A阻害剤は、治療を受ける対象による自己投与での最適なコンプライアンスをもたらすことから、好ましくはドセタキセルの経口投与と同時に経口投与される。
【0016】
CYP3A活性は、例えば肝臓内および腸内で、ドセタキセルの経口投与後に血液中で得られる暴露レベル(CYP3A阻害剤の使用および/または適したドセタキセル投薬量の選択によって制御され得る)に影響を与え得る一方で、ドセタキセルの経口投与後に得ることができるドセタキセルの暴露レベルに影響を与える他の未知の原因もあり得る。本明細書の実施例にて示されるように、ドセタキセルのクリアランスは、他の固形腫瘍と比較して、mCRPCで一見増加した。それ故に、より高いドセタキセルの暴露レベルを得るために、ドセタキセルのクリアランスが増加した患者でドセタキセル用量を増加させることは、そのような患者にとって有益であり得る。しかしながら、ドセタキセルの静脈内投与の使用によるドセタキセル用量の増加は、血漿中の許容不可能な高いピーク濃度をもたらし、治療標準で許容不可能となる。これに対して、本発明に従うCYP3A阻害剤と組み合わせたドセタキセルの経口投与を用いて、ドセタキセルの暴露レベルをよく制御して許容不可能な高いピーク濃度を避けることができる。それ故に、本発明者らは、CYP3A阻害剤と組み合わせて経口投与されるドセタキセルを用いた際に、ドセタキセルで得られる暴露レベルが癌の治療に非常に有効なものとなり得、対象に許容可能な毒性をもたらすように、使用されるドセタキセルの用量および/またはCYP3A阻害剤の用量が選択できることを確立した。したがって、本発明は、癌の治療の組み合わせ治療における使用のためのドセタキセルを提供し、前記ドセタキセルをCYP3A阻害剤と組み合わせて経口投与し、CYP3A阻害剤の用量は、ドセタキセルの治療標準と同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得るのに十分である。癌の治療の組み合わせ治療における使用のためのドセタキセルにおいて、前記ドセタキセルをCYP3A阻害剤と組み合わせて経口投与し、CYP3A阻害剤の用量は、(少なくとも)ドセタキセルの治療標準と同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得るのに十分である。
【0017】
別の実施形態では、ドセタキセルが、癌の治療の組み合わせ治療における使用に提供され、前記ドセタキセルをCYP3A阻害剤と組み合わせて経口投与し、癌を有する対象でのドセタキセルの増加したクリアランスを補うようにドセタキセルの用量を調整する。
【0018】
別の実施形態では、CYP3A阻害剤が、癌の治療の組み合わせ治療における使用に提供され、前記CYP3A阻害剤は、ドセタキセルの経口製剤と組み合わせて投与され、CYP3A阻害剤の用量は、ドセタキセルの治療標準と同等または少なくとも同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得るのに十分である。さらに別の実施形態では、癌治療での組み合わせ治療における使用のためのCYP3A阻害剤が提供され、前記CYP3A阻害剤は、ドセタキセルの経口製剤と組み合わせて投与され、CYP3A阻害剤の用量が、癌を有する対象でのドセタキセルの増加したクリアランスを実質的に減少させるのに十分である。
【0019】
それ故に、本発明者らは、CYP3A阻害剤および経口投与したドセタキセルの組み合わせを用いた際に、癌細胞を根絶するのと同時に毒性を許容可能とできる十分なドセタキセル暴露レベルを得ることができることを確立した。例えば、CYP3Aの用量を十分とするか、かつまたは調整した用量の経口投与されるドセタキセルの用量を調整することによって、十分なドセタキセル暴露レベルを得ることができる。ドセタキセルの治療標準と同等または少なくとも同等である暴露レベルが得られる限り、経口投与されるドセタキセルおよびCYP3A阻害剤のそのような組み合わせが本明細書では考慮される。
【0020】
本明細書で、ドセタキセルの治療標準は、推奨されるドセタキセルの用量の静脈内投与と定義される。推奨されるドセタキセルの用量は、通常3週ごとに75mg/m~100mg/m、(ドセタキセルのmg/対象の体表面積のm)。非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、頭頸部癌または前立腺癌で推奨される用量は、通常3週ごとに75mg/mである。推奨される用量は、週当たり35mg/mでもあり得る。本明細書で、腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルは、ドセタキセルを静脈内投与した際に得られ、効果的なドセタキセルの治療標準と一致する曲線下の面積と定義できる。当然ながら、ドセタキセルが血漿中で測定されることから、これは、組織の実際のドセタキセルレベルを定めていない可能性がある。
【0021】
曲線下の面積(AUC;ng*h/mL)は第1のドセタキセルの投与から48時間後に決定され、その間、血漿中のドセタキセル濃度がいくつかの時点で測定され得、曲線下の表面積が、プロットした値から計算できる。血漿ドセタキセル濃度が当分野で既知の方法によって測定できる(Hendrikx et al.J.Chrom.B,2011)。その方法としては、例えば実施例に記載されているものなどの液体クロマトグラフィーおよび質量分光法方法が挙げられる。血漿は血液成分であり、当然ながら、血漿中のドセタキセルを測定する代わりに、全血中または血清中のドセタキセル濃度も決定できる。本明細書で、ドセタキセルの測定値、例えばピーク濃度および血漿濃度-時間曲線下の面積は、短い曲線下の面積(AUC)において、(血液)血漿に対して定められるが、全血または血清における対応するピーク濃度に容易に再計算し得る。一般に、好ましくは、AUCは500~2500ng・h/mLの範囲内である。好ましくは、AUCは少なくとも500ng・h/mL、少なくとも600ng・h/mL、少なくとも800ng・h/mL、より好ましくは少なくとも1000ng・h/mLまたは1200ng・h/mLである。好ましくは、AUCは最大2500ng・h/mL、最大2250ng・h/mL、最大2000ng・h/mL、最大1800ng・h/mL、最大1700ng・h/mL、より好ましくは最大1500ng・h/mLである。より好ましくは、AUCは、800~1400ng・h/mL範囲内であり得る。ここで、ドセタキセルに関して、血漿濃度-時間曲線、曲線下の面積、またはAUCは、互換的に使用され、ドセタキセルの投与後の第1の48時間(ng・h/mL)における曲線下の面積を指す。
【0022】
実際にこれらの投薬量は、週に1回1日2回の投薬(例えば朝30mgおよび夕方20mg)での50mgのドセタキセルを経口投与することによって達し得る。
【0023】
好ましくは、本明細書に記載されている本発明に従う使用のためのドセタキセルまたはCYP3A阻害剤が提供され、癌は固形腫瘍である。好ましくは、ドセタキセルまたはCYP3A阻害剤の前記使用では、固形腫瘍が非小細胞肺癌、胃癌、乳癌、頭頸部癌または前立腺癌である。ドセタキセルが、これらの癌において非常に有効であると示されていることから、前記固形腫瘍が好ましく、CYP3Aと組み合わせたドセタキセルの経口投与経路が、これらの癌を有する対象において改善および/または許容可能な毒性をもたらす。
【0024】
最も好ましくは、前記癌は前立腺癌である。前立腺癌の治療は、ホルモン治療の使用、例えばアンドロゲン欠乏治療の使用を伴い得る。前立腺癌はホルモン治療に反応しない可能性があり、そのような前立腺癌はホルモン難治性前立腺癌(HRPC)と称される。前立腺癌はホルモン治療に反応する可能性があり、そのような前立腺癌はホルモン感受性前立腺癌(HSPC)と称される。そのような患者も転移し得るか、または治療中に転移を起こし得る。そのような癌は、mHRPCまたはmHSPC(mは転移性を示す)と称される。前立腺癌治療は去勢を含み得る。いずれの場合でも、前立腺癌は、一般に、体内のテストステロンの非常に低いレベルへの低下を伴う。実施例で示されるように、mCRPCの患者では、血漿中で決定したドセタキセルのクリアランスが、mCRPCでない固形腫瘍を有する患者と比べて一見増加する。そのような患者のテストステロンのレベルは非常に低い。疾患の初期段階にアンドロゲン欠乏治療と同時にドセタキセルの静脈内投与を受けた患者は、疾患の後期にドセタキセルを静脈内投与した前立腺癌患者と比べてより多くの毒性を経験する。それ故に、アンドロゲン阻害剤を含むホルモン治療の使用を伴う前立腺癌治療では、ドセタキセルの増加したクリアランスによって低減したドセタキセル血漿濃度が同様に予期できるが、そのような増加したクリアランスは、まず、ホルモン治療を開始した後に確立される必要があり得る。したがって、ドセタキセルおよび/またはCYP3A阻害剤の投薬量は、そのような患者でのmCRPC患者と比較して低い血漿濃度を補うように前立腺癌の治療の初期段階にて調整され得る。逆に、ドセタキセルの血漿濃度は、まず、例えば、本発明に従うCYP3A阻害剤と組み合わせたドセタキセルの初回経口投薬量を投与し、ドセタキセルの血漿濃度(AUCなど)を決定することによって、mCRPCに適したものと同じ投薬量が投与できることを確認するように確立される必要があり得る。いずれの場合でも、mCRPCに適した投薬量は、HSPC、HRPC、mHRPC、mHSPCまたはCRPC(すなわち非転移性)に適したものでもあり得る。好ましい実施形態では、mCRPCに適した投薬量はmHSPCの治療にも選択される。
【0025】
好ましい実施形態では、前立腺癌は転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)である。それ故に、更なる実施形態では、本発明に従って、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の治療方法が提供され、該方法は、CYP3A阻害剤と組み合わせて有効なドセタキセルの用量を経口投与するステップを含み、CYP3A阻害剤の用量は、静脈内で3週おきに、酵素活性、特にCYP3Aによって増加したクリアランスなしのドセタキセルの治療標準と(少なくとも)同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得るのに十分である。好ましくは、前記標準ケア治療で参照されるのは、mCRPCではない癌である。別の実施形態では、本発明に従う転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の治療方法が提供される、CYP3A阻害剤と組み合わせて有効なドセタキセルの用量を経口投与するステップを含み、ドセタキセルの用量が を補うように調整されるドセタキセルの増加したクリアランスinmCRPCを有する対象。さらに別の更なる実施形態では、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の治療方法が提供され、該方法は、CYP3A阻害剤と組み合わせて有効なドセタキセルの用量を経口投与するステップを含み、CYP3A阻害剤の用量が、mCRPCを有する対象におけるドセタキセルの増加したクリアランスを実質的に減少させるのに十分である。
【0026】
一実施形態では、ドセタキセルを週ごとの投薬量で経口投与する本発明に従う組み合わせ治療における使用のためのドセタキセルまたはCYP3A阻害剤が提供され、ドセタキセル暴露レベルは、600~1800ng・h/mL、より好ましくは1000~1500ng・h/mLの曲線下の面積で生じる治療標準と同等である。この実施形態でのドセタキセルの経口投与は、推奨される用量と類似した用量であるが、例えばより頻繁な間隔で、すなわち例えば3週ごとの代わりに与えられる。CYP3A阻害剤と組み合わせた経口投与を使用するため、この投与経路は、治療を受ける対象でドセタキセルと少なくとも同等な暴露を生じる。しかしながら、投与経路のため、ドセタキセルのピーク濃度は非常に低減され、それによって、より頻繁な投薬を可能にしつつ、ドセタキセルと少なくとも同等な暴露を維持する。
【0027】
それ故に、実施例で示されるように、本発明に従って得られる(本明細書に記載されているようにAUCで決定される)ドセタキセル暴露レベルは、治療標準と同等であり得るか、または治療標準と比較して高いように選択され得る(とりわけ図5A参照)。それ故に、より高いレベルが好都合であり得、本発明に従う使用および方法で、少なくとも同等なドセタキセル濃度を達成するのが好ましくあり得る。
【0028】
ドセタキセルは、好ましくは、週に1回1日2回のベースで投与される。週ごとの用量は、対象が、例えば、週に1回、1日で朝の初回投与および夕方の2回目の投与で摂取するように分割される。これは、血漿中のドセタキセルのピーク濃度が減少する効果があり、副作用の減少を助け得る一方で、十分な曲線下の面積を得ることを可能にする。また、それは、薬剤の全身暴露の時間も増加し得る。好ましい実施形態では、本発明に従う方法、または使用は、ドセタキセルを毎週1日2回投与するステップを含み、これは、毎週1日に、例えば8~16時間の間隔内でドセタキセルを2回投与すること意味する。である限りドセタキセル、およびリトナビルなどのCYP3A阻害剤の投薬間隔および/または投薬量が、ドセタキセルの治療標準と同等または少なくとも同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルをもたらすように選択される限り、そのような投薬間隔および/または投薬量が考慮され得る。
【0029】
別の実施形態では、実施例で示される投薬量が腫瘍組織におけるドセタキセルの治療標準と同等または少なくとも同等であるドセタキセル暴露レベルをもたらすことができることから、固形腫瘍の治療のために、毎週50mgの投薬量でドセタキセルを経口投与する。そのような投与は、好ましくは毎週1日2回のスケジュールである。それ故に、固形腫瘍の治療のための毎週1日2回のスケジュールが固形腫瘍の治療ために提供され、ドセタキセルは、週1日に、30mgのドセタキセルと100mgのリトナビルの投薬量での初回投与および20mgのドセタキセルと100mgのリトナビルの投薬量での2回目の投与で投与される。
【0030】
別の実施形態では、実施例で示される投薬量が、腫瘍組織におけるドセタキセルの治療標準と同等または少なくとも同等であるドセタキセル暴露レベルをもたらし得ることから、固形腫瘍の治療のために、40mgの週ごとの投薬量でドセタキセルを経口投与する。そのような投与は、好ましくは毎週1日2回のスケジュールである。それ故に、固形腫瘍の治療のために毎週1日2回のスケジュールが提供され、固形腫瘍の治療のために、ドセタキセルが、1週1日に、20mgのドセタキセルと200mgのリトナビルの投薬量での初回投与、20mgのドセタキセルと100mgのリトナビルの投薬量での2回目の投与で投与される。
【0031】
一実施形態では、毎週1日2回のスケジュールが癌の治療のために提供され、ドセタキセルを、週1日に、30mgのドセタキセルと200mgのリトナビルの投薬量での初回投与、20mgのドセタキセルと200mgのリトナビルの投薬量での2回目の投与で投与する。別の実施形態では、毎週1日2回のスケジュールが、癌の治療のために提供され、ドセタキセルを、週1日に、20mgのドセタキセルと200mgのリトナビルの投薬量での初回投与、20mgのドセタキセルと200mgのリトナビルの投薬量での2回目の投与で投与する。さらに別の実施形態では、毎週1日2回のスケジュールが、癌の治療のために提供され、ドセタキセルを、週1日に、20mgのドセタキセルと100mgのリトナビルの投薬量での初回投与、20mgのドセタキセルと100mgのリトナビルの投薬量での2回目の投与で投与する。別の実施形態では、毎週1日2回のスケジュールが、癌の治療のために提供され、ドセタキセルを、週1日に、20mgのドセタキセルと200mgのリトナビルの投薬量での初回投与、20mgのドセタキセルと100mgのリトナビルの投薬量での2回目の投与で投与する。
【0032】
更なる実施形態では、実施例で示される投薬量が、腫瘍組織におけるドセタキセルの治療標準と同等または少なくとも同等であるドセタキセル暴露レベルをもたらし得ることから、mCRPCの治療において、ドセタキセルを、毎週50mgの投薬量で経口投与する。そのような投与は、好ましくは、毎週1日2回のスケジュールである。実施例で示されるように、定義したAUCを得ることができるように、CYP3A阻害剤投薬量がmCRPC患者に適合する必要がある。それ故に、mCRPCの治療の毎週1日2回のスケジュールが癌の治療のために提供され、ドセタキセルを、30mgのドセタキセルと200mgのリトナビルの投薬量での初回投与、20mgのドセタキセルと100mgのリトナビルの投薬量での2回目の投与で同じ日に経口投与する。
【0033】
上記で説明したように、本発明は、癌の治療のためのドセタキセルとCYP3A阻害剤との組み合わせの方法および使用を提供する。そのような方法および使用は、適したドセタキセルの投薬量および/または適したCYP3A阻害剤の投薬量を提供することによって、ドセタキセルの治療標準と同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルをもたらすことができる。上記でも説明したように、本発明は、癌の治療のためのドセタキセルとCYP3A阻害剤との組み合わせの方法および使用を提供する。そのような方法および使用は、適したドセタキセルの投薬量および/または適したCYP3A阻害剤の投薬量を提供することによって、ドセタキセルの治療標準と少なくとも同等の腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルをもたらすことができる。
【0034】
本発明は、ドセタキセルおよび/またはCYP3A阻害剤の適した投薬量を決定し、かつ/または適した投薬量が治療を通じて使用されることをモニタリングする手段および方法も提供する。
【0035】
本明細書で説明したように、対象でのドセタキセルレベルは、治療前に制御し得るか、かつ/またはドセタキセルおよびCYP3A阻害剤の経口投与の使用後の治療にてモニターし得、制御し得る。そのようなモニタリングおよび制御も、代わりに(またはさらに)血漿中のドセタキセルを測定することによって行い得る。そのようなモニタリングおよび制御は、副作用をモニタリングすることによっても行い得る。上記のように、対象のドセタキセルクリアランスは、CYP3A活性への未知の原因により変動し得る。それ故に、治療中の対象にてドセタキセル濃度をモニターすることで、対象において適切なドセタキセル濃度を維持するようにドセタキセル投薬量を調整することができる。副作用のモニタリングも同様である。実施例で示されるように、治療標準で決定される曲線下の面積が提供される場合、治療標準と同等である腫瘍組織の暴露レベルを達成できる適したCYP3A阻害剤の投薬量およびドセタキセル組み合わせを決定できる。実施例で示されるように、選択したドセタキセルおよびCYP3A阻害剤組み合わせ治療、mCRPC患者における血漿濃度のモニタリングは、定義した曲線下の面積を達成するために、治療を適合する必要があることを示した。第1の適合では、曲線下の面積増加が高過ぎ、望ましくない副作用が生じ、第2の適合では、定義した曲線下の面積を達成し、定義した腫瘍組織の暴露レベルをもたらす一方で、副作用を顕著に減少させる。
したがって、本発明は、CYP3A阻害剤および経口投与したドセタキセルの組み合わせを含む癌の治療方法も提供し、該方法は、
CYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせを投与するステップと;
対象中のドセタキセルの血漿濃度を決定するステップと、
任意選択的に、ドセタキセル濃度と参照レベルと比較するステップと、
次のCYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの投与のためのドセタキセル投薬量を決定するステップと、
次のCYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせを投与するステップと、を含む。
【0036】
初回投与後にドセタキセルの血漿濃度を決定することによって、初回投与の選択した投薬量(CYP3A阻害剤およびドセタキセルの両方の)が適した投薬量であることが確認できる。逆に、血漿濃度が高すぎるまたは低すぎる場合、次のCYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの投薬量を調整し得る。CYP3A阻害剤またはドセタキセル投薬量またはCYP3A阻害剤およびドセタキセルの両方の投薬量を調整し得る。それ故に、CYP3A阻害剤投薬量は、初回投与でのものと同じままであり得、次の投薬量、ドセタキセル投薬量は、ドセタキセルの治療標準と比較してドセタキセル血漿濃度の増加または低下を補うように調整し得る。したがって、ドセタキセル血漿濃度を決定することを含む本発明に従うそのような治療方法では、CYP3A阻害剤を予め決定した投薬量で投与する。また、ドセタキセル投薬量が初回投与のものと同じままであり得、CYP3Aの次の投薬量を、ドセタキセルの治療標準と比較してドセタキセル血漿レベルの増加または低下を補うように調整し得る。好ましくは、ドセタキセルの投薬量が、腫瘍細胞を根絶するために調整される。このように、治療を通じて、少なくとも次のCYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせのドセタキセルの投薬量は、ドセタキセルの治療標準と同等または少なくとも同等な腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得るのに十分である。好ましくは、前記癌の治療方法は、CYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの複数回投与を含み、それぞれの投与後に、ドセタキセル濃度と決定し、次のCYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの投与のためのドセタキセル投薬量を決定するステップを含む。それ故に、ドセタキセル濃度が参照レベルと比較して対象において増加した際に、ドセタキセルの投薬量を減少させ、ドセタキセル濃度が治療中に参照レベルと比較して減少した際に、投与した先の投薬量と比較してドセタキセルの投薬量を増加させる。
【0037】
別の実施形態では、本発明は、CYP3A阻害剤および経口投与したドセタキセルの組み合わせを含む癌の治療方法を提供し、該方法は、
対象におけるCYP3Aの活性を決定するステップと;
任意選択的に、CYP3Aの活性を参照レベルと比較するステップと;
対象において決定したCYP3Aの活性レベルに基づいてCYP3A阻害剤の投薬量を決定するステップと、
決定した投薬量でのCYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせを投与するステップと、を含み、
ドセタキセルの投薬量は、ドセタキセルの治療標準と同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得るのに十分である。
【0038】
対象におけるCYP3Aの活性が、十分な暴露レベルを得るように投与されるドセタキセルの投薬量に影響を与え得ることから、CYP3Aの活性を決定することは、対象の間にあり得る変動を考慮できるという利点があり得る。これは、治療を開始する前に行うことができる。対象のCYP3A活性は、いずれの既知の手段で決定できるが、リトナビルの血漿濃度の測定または他の間接的な方法によっても決定できる。治療を開始する前に適切なCYP3A阻害剤の用量が何であるかを知ることによって、治療の開始から、直ちに対象において望ましいドセタキセルの暴露レベルを得ることができる。それ故に、好ましい実施形態では、本発明に従う方法では、活性を決定するステップ、次の任意の比較ステップ、およびCYP3A阻害剤の投薬量を決定するステップを、CYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの初回投与の前に実施する。より好ましくは、ドセタキセルを、予め決定した投薬量で投与する。例えば治療前にCYP3A活性が比較的高い場合、CYP3A阻害剤の投薬量が比較的より高いように選択でき、CYP3A活性が低い場合、比較的より低いように投薬量が選択できる。当然ながら、CYP3A活性も、経口のドセタキセルおよびCYP3A阻害剤の組み合わせによる治療中に変動し得る。例えば、治療の対象である癌が実質的なCYP3A活性を含む場合(Hendrikxら.,Int J Cancer,2015;Ikezoeら.,Cancer Res,2004)、治療において、癌の減少のために、対象におけるCYP3A活性を同様に減少させ、有効なドセタキセル濃度を維持するのに必要なCYP3A阻害剤がより少なくなる。したがって、この治療方法では、該方法のステップは、CYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの投与を含む治療中に実施し得る。それ故に、更なる実施形態では、対象におけるCYP3A活性を決定することを含む治療の方法において、CYP3Aの活性が治療中に増加した際に、CYP3A阻害剤の投薬量を増加し、CYP3Aの活性が治療中に減少した際に、CYP3A阻害剤の投薬量を、投与した先の投薬量と比較して維持するか、または減少させる。このように、ドセタキセルおよびCYP3A阻害剤の経口投与後に、高すぎるまたは低すぎるドセタキセル濃度を避ける対象における最適な暴露レベルを得ることができる。
【0039】
上記から明らかなように、対象におけるCYP3A活性を決定するか、もしくはモニタリングすることによって、および/または対象におけるドセタキセル血漿濃度をモニターすることによって、その後、必要であれば、CYP3A阻害剤投薬量および/または経口投与用のドセタキセル投薬量を調整する情報を用いて、ドセタキセル血漿濃度を制御して、ドセタキセルの治療標準と同等である腫瘍組織のドセタキセル暴露レベルを得ることができる。それ故に、対象におけるCYP3A活性またはドセタキセル血漿濃度を測定することを含む上記の方法は、CYP3A活性またはドセタキセルのみを測定するのに限定されず、ドセタキセルおよびCYP3A活性の両方を測定することも含み得る。それ故に、例えば、対象におけるドセタキセルレベルが、CYP3A活性以外の(未知の)原因により変動する場合、そのような状況では、CYP3A阻害剤の投薬量を変える代わりにドセタキセル投薬量を調整するのが好ましいことであり得ることから、対象におけるドセタキセル暴露レベルでの制御がより優れたものとなり得る。それ故に、CYP3A阻害剤および経口投与したドセタキセルの組み合わせを含む更なる癌の治療方法が提供され、該方法は、
対象におけるCYP3Aの活性を決定するステップと;
任意選択的に、CYP3Aの活性を参照レベルと比較するステップと;
任意選択的に、対象において決定したCYP3Aの活性レベルに基づいてCYP3A阻害剤の投薬量を決定するステップと、
CYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせを投与するステップと;
対象中のドセタキセルの血漿濃度を決定するステップと、
任意選択的に、ドセタキセル濃度と参照レベルと比較するステップと、
決定したCYP3A活性およびドセタキセル濃度に基づいて、CYP3A阻害剤とドセタキセルとの組み合わせの投与のためのドセタキセル投薬量および/またはCYP3A阻害剤投薬量を決定するステップと、を含む。
【0040】
当然ながら、上記のように、CYP3Aの活性およびドセタキセル血漿濃度は、治療のみ、すなわち、CYP3A阻害剤およびドセタキセルの組み合わせの初回投与後のみに実施し得る。また、当然ながら、治療方法では、対象の第1のCYP3A活性を考慮してドセタキセルおよびCYP3A阻害剤の第1の投薬量を選択した後、治療において、CYP3A活性および/またはドセタキセル血漿濃度をモニタリングし、CYP3A阻害剤および/または経口処方したドセタキセルについて適した投薬量を決定する。
更なる実施形態では、ドセタキセルとCYP3A阻害剤との組み合わせのための本明細書に記載されている方法および使用に使用されるキットが提供される。一実施形態では、経口投与用のドセタキセルを含む医薬組成物と、CYP3A阻害剤を含む医薬組成物と、を含むキットが提供される。別の実施形態では、
経口投与用のドセタキセルを含む医薬組成物と、CYP3A阻害剤を含む医薬組成物と、を含むキットが提供され、固形腫瘍、特に非小細胞-肺癌、胃癌、乳癌、頭頸部癌または前立腺癌、より詳細には、mCRPCの治療のためのものである。さらに別の実施形態では、
ドセタキセルを含む医薬組成物と、CYP3A阻害剤を含む医薬組成物とを含むキットが提供され、該キットは、本明細書に記載されている本発明に従う方法および使用のいずれか1つに定められる組み合わせ治療における使用のためのものである。
【0041】
本発明の医薬組成物は、ドセタキセル、もしくは医薬上許容可能な塩およびそれらのエステル、および/またはリトナビルなどのCYP3A阻害剤、(もしくは医薬上許容可能な塩およびそれらのエステル)と共にいずれの医薬上許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含み得る。
【0042】
本明細書および特許請求の範囲で、特に明示がない限り、単数形は互換的に使用され、複数形も同様に含み、それぞれの意味に含まれるものとする。また、本明細書で、「および/または」は、記載された項目の1つ以上のいずれのすべての可能な組み合わせに加えて、選択肢で解釈される場合には組み合わせないこと(「or」)も指し、包含する。
【0043】
本明細書で、「約」は当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変動する。この用語が使用される文脈にて当業者に明らかでないその使用がある場合、「約」は、特定の用語の±10%までを意味する。
【実施例
【0044】
Modradoc006
Modradoc006は、錠剤にプレスしたドセタキセルの噴霧乾燥固体分散製剤(ModraDoc006 10mg錠剤)であり、10mgのドセタキセルを含有する。製剤賦形剤は、ポリビニルピロリドンK30、ドデシル硫酸ナトリウム、ラクトース一水和物、クロスカルメロース、コロイドシリカ無水物およびステアリン酸マグネシウムである。すべての賦形剤はは、不活性化合物(経口カプセルおよび錠剤)についてFDAガイドに含まれる。
【0045】
リトナビル
リトナビルは、経口摂取用の100mg錠剤として市販されている(Norvir(登録商標))。この錠剤は、European Commissionによって2010に承認されている。
【0046】
ドセタキセルおよびリトナビル血漿測定値
ヒト血漿中のドセタキセルおよびリトナビルの決定のための組み合わせたアッセイについて説明する。200μLのヒト血漿から、t-ブチルメチルエーテルによる液液抽出を用いて薬を抽出した後、10mM水酸化アンモニウムpH10:メタノール(3:7、v/v)を移動相として用いる高速液体クロマトグラフィー分析を行った。クロマトグラフィーの分離は、Zorbax Extend C(18)カラムを用いて得られた。被検物質の標識アナログが内部標準として使用される。検出では、正イオンエレクトロスプレータンデム質量分光法を使用した。質量遷移および反応の最適化、移動相最適化およびカラム選択を含む展開方法について議論した。方法は、FDAガイドラインおよびGood Laboratory Practice(GLP)の原理に従って実証した。実証された範囲は、ドセタキセルで0.5~500ng/mL、リトナビルで2~2000ng/mLであった。定量のために、二次較正曲線を使用した(r(2)>0.99)。方法の合計実行時間は9分であり、アッセイは、被検物質と、イオン化および望ましい濃度範囲の違いとを組み合わせる。分析法間の精度および正確さを4つの濃度レベルで試験し、すべての被検物質でそれぞれ10%以下であった。キャリーオーバーは6%未満であり、内部干渉、または被検物質と内部標準戸の間の干渉は、定量化レベルの下限で反応の20%未満であった。マトリックス因子および回復を、低い濃度レベル、中間の濃度レベルおよび高い濃度レベルで決定した。マトリックス因子は、すべての被検物質で約1であり、合計の回復は77.5~104%であった。ストック溶液、ヒト血漿、乾燥した抽出物、最終抽出物および3回の凍結/解凍サイクルの間で、安定性を調べた。記載された方法は、リトナビルと組み合わせたドセタキセルの経口投与を用いる臨床研究にうまく適用された。
【0047】
mCRPC試験
I相試験では、いくつかの固形腫瘍(前立腺ではない)の患者におけるModraDoc006/rによる経口治療を示した。この研究から、II相の有効性評価に推奨される用量は、
ModraDoc006 30mg+リトナビル100mg、朝に同時に摂取
ModraDoc006 20mg+リトナビル100mg、夕方に同時摂取
と結論付けた。
【0048】
この治療(ModraDoc006/r 30~20/100~100と称される)は1日に、毎週1回与えられる。
【0049】
薬物動態研究によって、サイクル1でのこの治療スケジュールのドセタキセルAUC0~48hは1126±382h*ng/mLであることが明らかになった。CMAX値は102±46ng/mL(16人の治療患者の平均)であった。
【0050】
次のステップでは、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の患者におけるこの経口の治療スケジュールをIB/IIA相試験(M17DOC)で調べた。驚いたことに、I相試験(ModraDoc006/r 30~20/100~100)から推奨される用量で治療した第1の5人の患者における、498±298h.ng/mLのはるかに低いドセタキセル暴露(AUC0~48h)に気づき、これは予想のおよそ半分であった。CMAX値:45±31ng/mLも予想の半分であった。患者は著しい副作用を経験しなかった。ドセタキセルのクリアランスは、他の固形腫瘍の患者よりこのmCRPC患者集団で高いと結論付けた。
【0051】
CYP3A阻害剤リトナビルの用量を増加(2倍)させることによって、約1100±500h.ng/mLの目的暴露を達成できるという仮説を立てた。次に、8人のmCRPC患者をModraDoc006/r 30~20/200~200(1日、1週間に1回摂取)で治療した。この群のドセタキセル暴露は、AUC0~48h:2032±1018h.ng/mLおよびCMAX164±80ng/mLであった。これらの値は予想より高かった。また、患者はより多くの副作用を経験した(グレードIII)。
【0052】
次に、リトナビル用量を減少させることで、ドセタキセル暴露その目的の値へ低下させると仮定して、mCRPC患者(n=3)を、ModraDoc006/r 30~20/200~100の用量で治療した。患者のこの治療群では、ドセタキセル暴露はAUC0~48h:1130±257h.ng/mLおよびCMAX135±46ng/mLであった。治療によく耐えた。
【0053】
結果は図2Aおよび2Bにも示される。
【0054】
要約すると以下の通りである。
【表1】
【0055】
上記の試験結果記載されたは、試験中に得られ、中間結果表す。試験を継続し、更新した結果を以下に説明する。
mCRPCでのIB/IIA相研究
【0056】
転移した去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)において、ModraDoc006(経口のドセタキセル製剤)と、リトナビルとを組み合わせた(ModraDoc006/r)多施設臨床IB/IIA相研究をmCRPC(M17DOC)で実施した。
【0057】
研究は、転移した去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)と診断した患者を含み、患者に1日2回、1週間に1回(BIDW)4つの用量レベルでの投薬スケジュールで投薬した(下記表参照)。
【表2】
【0058】
前述したように、驚いたことに、第1の5人の患者では、I相試験(ModraDoc006/r 30~20/100~100)から推奨される用量(454±181h.ng/mLのサイクル1(中央のAUC0~48h±SD)でのはるかに低いドセタキセル暴露)で治療され、これは予想の約半分であった。CMAX値:38±18ng/mLも予想の半分であった。患者は、著しい副作用を経験しなかった。このmCRPC患者集団でのドセタキセルのクリアランスは他の固形腫瘍の患者より高いと結論付けた。
【0059】
前述したように、次に、CYP3A阻害剤リトナビル用量を増加(2倍)させることによって、約1100±500h.ng/mLの目的の暴露を達成できるという仮説を立てた。その後、8人のmCRPC患者(6人が評価可能)を、ModraDoc006/r 30~20/200~200(1日、1週間に1回摂取)で治療した。サイクル1におけるこの群でのドセタキセル暴露は、中央のAUC0~48h±SD1510±990h.ng/mLおよびCMAX146±82ng/mLであった。これらの値は予想より高い。また、患者はより多くの副作用を経験した(グレードIII)。
【0060】
次に、リトナビル用量を減少させることで、ドセタキセル暴露がその目的の値へ低下すると仮定して、mCRPC患者(n=6)をModraDoc006/r 30~20/200~100の用量で治療した。患者のこの治療群では、サイクル1でのドセタキセル暴露は、0~48h±SDの中央のAUC1189±473h.ng/mLおよびCMAX159±49ng/mLであった。治療によく耐えている。
【0061】
ModraDoc006/r20~20/200~100で治療したmCRPC患者(n=3)において、低減したドセタキセルの朝の用量によって、サイクル1でのドセタキセル暴露は、0~48h±SDの中央のAUC419±158h.ng/mLおよびCMAX53±21ng/mLであった。
【0062】
要約すると以下の通りである。
【表3】
【0063】
試験の結果は、以下にさらに記載され、図4図8に示される。
【表4】
【0064】
(PSA(前立腺特異抗原);;SD(病状安定);非CR(不完全な反応);非PD(非進行性疾患);PD(進行性疾患);NE(評価不可能);PR(一部反応))。
【0065】
有効性の概要:
この研究は、1日2回、1週間に1回(BIDW)投薬スケジュールで4つの用量レベルで投薬した転移した去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)と診断された20人の評価可能患者を含んでいた(表参照)。7人の患者では、PSA反応(PSAが≧50%に低下)が見られ、そのうち5人は6週後の第2の測定で確認された。別の7人の患者では、PSAが<50%に低下またはベースラインに等しかった。残りの6人の患者では、PSA増加が見られた。1人の患者でのPSAの<50%低下、および別の患者でのPSA増加に関わらず、疼痛低下による顕著な臨床反応が30週の最大治療継続期間中に達成された。合計5人の患者が最大30週の治療週間を完了した。中央の治療継続期間は14週であった。ModraDoc006/r 30~20/200~100は、mCRPCでさらに試験されるのに好ましい初期の用量であり、IVドセタキセルで達成されるのより高い一方で、毒性を許容可能なものとするドセタキセルの暴露レベル(AUCで測定される)を達成する能力が実証された。代わりに、ModraDoc006/r20~20/200~100は、mCRPCにおける別の好ましい用量、または好ましい初期の用量であり得る。
【0066】
長期使用
N07DOW
I相試験(N07DOW)において、リトナビルと組み合わせた経口のドセタキセルで癌患者(n=100)を治療した。1日(一回の用量)、1週間に1回で用量を投与した。データは、平均±標準偏差として示した。利用可能な場合、患者当たり2つのサイクルの動的データを使用した。
19人の患者の治療継続期間は19~最大72週であった。これらは、以下の癌:頭部癌および首(n=1)、非小細胞肺(n=8)、肛門の(n=1)、初期の未知の(n=3)、卵巣(n=1)、食道(n=1)、尿路上皮細胞(n=2)、平滑筋肉腫(n=1)および神経内分泌肺癌(n=1)の患者であった。これらの患者におけるドセタキセル暴露は、
AUC0~48h 803±634h.ng/mL
CMAX(ピーク) 148±113ng/mL
であった。
【0067】
SAE(深刻な有害事象)およびDLT(用量制限毒性)(可能性あり、おそらく、確定;≧グレード3)を15人の患者で注目した。これらの患者でのドセタキセル暴露は、
AUC0~48h 2345±1453h.ng/mL
CMAX 351±244ng/mL
であった。
【0068】
52人の患者は、最も良い治療反応としてSD(疾患安定)(n=42)またはPR(一部反応)(n=10)であった。これらの患者でのドセタキセル暴露は、
AUC0~48h 1083±1023h.ng/mL
CMAX 197±186ng/mL
であった。
【0069】
N10BOM
I相試験(N10BOM)では、リトナビルと組み合わせた経口のドセタキセルで、癌患者(n=64)を治療した。用量を、1日2回、1週間に1回継続的に投与した。
8人の患者の治療継続期間は19~最大55週であった。これらは、以下の癌、頭頸部癌(n=2;PR)、非小細胞肺(n=4;SD)、結腸直腸の(n=1;SD)および巨細胞神経内分泌癌(n=1;SD)の患者であった。これらの患者でのドセタキセル暴露は、
AUC0~48h 1224±620h.ng/mL
CMAX 143±67ng/mL
であった。
【0070】
SAEおよびDLT(可能性あり、おそらく、確定;≧グレード3)を10人の患者で注目した。これらの患者でのドセタキセル暴露は、
AUC0~48h 1809±1255h.ng/mL
CMAX 175±117ng/mL
であった。
【0071】
25人の患者は、最も良い治療反応としてSDまたはPRである。これらの患者でのドセタキセル暴露は、
AUC0~48h 1242±702h.ng/mL
CMAX 140±83ng/mL
であった。
【0072】
要約すると以下の通りである。
【表5】
【0073】
比較:
0.5h静脈内注入としてのドセタキセルの毎週投与(35mg/m)によって、以下のAUCおよびCMAX値が得られる。
AUC 1480±410h.ng/mL
CMAX 1930±600ng/mL
Baker SD et al.Clin Cancer Res 2004;10:1976~1983。
【0074】
経口のドセタキセルとリトナビル(ModraDoc006/r)の1日2回、1週間に1回の使用について、以下の目的の値を提案し得る。
AUC 1200±600h.ng/mL
CMAX 140±70ng/mL
【0075】
この週ごとの経口の治療スケジュールで、週ごとの静脈内治療スケジュールの投与日におけるものと類似のドセタキセル暴露(AUC)が日に達成される(また、多くの場合、静脈内は3週連続与えられた後、1週の残りがある一方で、経口のドセタキセルは残りの週がなく継続的に与えられる)。この静脈内投与(35mg/m、0.5h)後のCMAX値は、固形腫瘍(前立腺でない)患者における経口のModraDoc006/r 30~20/100~100後のものより10倍高い。
【0076】
・静脈内(35mg/m)ドセタキセルおよび経口のドセタキセル治療(ModraDoc006/r 30~20/100~100)は、類似のAUCを与え、同等の有効性が予想される。
・静脈内(35mg/m、0.5h)ドセタキセル、経口のドセタキセル治療(ModraDoc006/r 30~20/100~100)より10倍高いCMAXを与え、これは、静脈内治療でのより高い毒性を説明し得る。
・経口のドセタキセル治療(ModraDoc006/r)では、より高いAUC0~48h-CMAX値が毒性と相関する。
・経口のドセタキセル治療ModraDoc006/r)では、1200±600h.ng/mLのAUC0~48hが最適のようであり、ModraDoc006/r 30~20/100~100の毎週1日2回のスケジュールによって、固形腫瘍(前立腺ではない)の癌患者において達成できる。
【0077】
乳癌のIIA相研究
転移性乳癌(M18DMB)において、タキサンによる治療に適した再発または転移性HER-2陰性乳癌の患者でModraDoc006(経口のドセタキセル製剤)をリトナビルと組み合わせた(ModraDoc006/r)多施設臨床IIA相研究を実施した。試験の結果を以下に要約しし、図9および10に示す。
【表6】
(PD(進行性疾患);NE(評価不可能);PR-c(一部反応確認)、ong(継続)。
【0078】
腫瘍測定値は、CTスキャンによって測定される経時の腫瘍サイズの変化を表し、初期値がベースラインである。
【0079】
有効性概要
この研究では、タキサンによる治療に適した再発または転移性乳癌の合計12人の患者を、朝に30mgのModraDoc006と100mgのリトナビル(/r)とを組み合わせ、夕方に20mgModraDoc006と100mg /rとを組み合わせての、1日2回、週に1回(BIDW)の投薬スケジュールで治療した。有効性が評価可能である(すなわち、RECIST1.1.に従う疾患評価で、最小6つの週ごとの治療を受けた)10人の患者では、3人の確認された(>4週後の繰り返した腫瘍測定)一部の応答(PR)、6人の疾患安定(SD)および1人の進行性疾患(PD)の反応が生じた。12人の患者での治療の中央値は、現在11.3週であり、2人の患者はそれぞれ20および22週で継続中である。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】