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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(54)【発明の名称】垂直共振器型面発光レーザ
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/183 20060101AFI20220208BHJP
   H01S 5/42 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
H01S5/183
H01S5/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536704
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 KR2019018212
(87)【国際公開番号】W WO2020138864
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】62/784,616
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/720,634
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イ,キ ファン
(72)【発明者】
【氏名】ロ,ジョン レ
(72)【発明者】
【氏名】ヨ,ビョン ス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ユン サン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ゴン ヒ
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AC03
5F173AC13
5F173AC35
5F173AC42
5F173AC52
5F173AD04
5F173AH03
5F173AP54
5F173AR61
5F173AR82
(57)【要約】
本開示の一実施形態に係る垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL)は、下部ミラー、上部ミラー、下部ミラーと上部ミラーとの間に介在する活性層、上部ミラーと活性層との間に介在され、酸化物層と該酸化物層に囲まれたウィンドウ層とを有する開口形成層、および上部ミラーと開口形成層とを貫通する複数の酸化物ホール、を備え、上部ミラーは、イオン注入により形成された絶縁領域と、該絶縁領域に囲まれた孤立領域と、を有し、複数の酸化物ホールは、孤立領域に配置されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部ミラー、
上部ミラー、
前記下部ミラーと前記上部ミラーの間に介在された活性層、
前記上部ミラーと前記活性層との間に介在され、酸化層と前記酸化層に囲まれたウィンドウ層とを有する開口形成層、及び
前記上部ミラーと前記開口形成層とを貫通する複数の酸化ホール、
を含み、
前記上部ミラーは、イオン注入によって形成された絶縁領域と前記絶縁領域に囲まれた孤立領域を含み、
前記複数の酸化ホールは、前記孤立領域内に配置された垂直共振型面発光レーザ。
【請求項2】
前記イオン注入によって形成された絶縁領域は、前記上部ミラーから前記下部ミラーの一部の厚さに達するように形成される、請求項1に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項3】
前記上部ミラー上に配置されたオーミックコンタクト層をさらに含み、
前記オーミックコンタクト層は、円形リング状の円形部分と、前記円形部分の外側に突出した突出部を含む、請求項1に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項4】
前記円形リング状の部分は、切開された部分リング形状である、請求項3に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項5】
前記酸化ホールは、前記突出部の間に配置された、請求項4に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項6】
前記酸化ホールは、それぞれ、上記突出部よりも小さい幅を有する、請求項5に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項7】
前記オーミックコンタクト層と前記上部ミラーとを覆う表面保護層及び前記表面保護層上に配置された上部絶縁層をさらに含み、
前記酸化ホールは、前記表面保護層を貫通し、
前記上部絶縁層は、前記酸化ホールを覆う、請求項4に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項8】
前記上部絶縁層と前記表面保護層とを貫通して前記オーミックコンタクト層を露出させる複数のビアホールをさらに含み、
前記ビアホールは、前記突出部に対応して配置された、請求項7に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項9】
前記上部絶縁層上に配置されたパッドとの接続部をさらに含み、
前記パッドは、前記絶縁領域の上部に配置され、
前記接続部は、前記パッドから延長して前記ビアホールを介して前記オーミックコンタクト層に電気的に接続する、請求項8に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項10】
前記酸化ホールは、円形または四角形の形状を有する、請求項1に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項11】
エミッタアレイを有する垂直共振型面発光レーザであって、
下部ミラー、
上部ミラー、
前記下部ミラーと前記上部ミラーとの間に介在された活性層、
前記上部ミラーと前記活性層との間に介在され、酸化層と前記酸化層に囲まれたウィンドウ層とを有する開口形成層、
前記上部ミラーと前記開口形成層を貫通する複数の酸化ホールと、
を含み、
前記上部ミラーは、イオン注入によって形成された絶縁領域と前記絶縁領域に囲まれた孤立領域を含み、
前記エミッタアレイは、前記孤立領域内に配置され、
前記複数の酸化ホールは、各エミッタに対応して前記孤立領域内に配置される、垂直共振型面発光レーザ。
【請求項12】
前記イオン注入によって形成された絶縁領域は、前記上部ミラーから前記下部ミラーの一部の厚さに達するように形成される、請求項11に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項13】
各エミッタに対応して前記上部ミラーの上に配置されたオーミックコンタクト層をさらに含み、
それぞれのオーミックコンタクト層は、円形リング状の円形部分と、前記円形部分の外側に突出した突出部を含み、
前記酸化ホールは、上記突出部の間に配置された、請求項11に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項14】
前記円形リング状の部分は、切開された部分リング形状である、請求項13に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項15】
前記酸化ホールは、それぞれ、前記突出部よりも小さい幅を有する、請求項13に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項16】
前記オーミックコンタクト層と前記上部ミラーとを覆う表面保護層及び前記表面保護層上に配置された上部絶縁層をさらに含み、
前記酸化ホールは、前記表面保護層を貫通し、
前記上部絶縁層は、前記酸化ホールを覆う、請求項13に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項17】
前記上部絶縁層と前記表面保護層を貫通して前記オーミックコンタクト層を露出させる複数のビアホールをさらに含み、
前記ビアホールは、前記突出部に対応して配置された、請求項16に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項18】
前記上部絶縁層上に配置されたパッドとの接続部をさらに含み、
前記パッドは、前記絶縁領域の上部に配置され、
前記接続部は、前記パッドから延長して前記ビアホールを介して前記オーミックコンタクト層に電気的に接続する、請求項17に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項19】
前記接続部は、各エミッタに対応する円形の開口部を含むメッシュ形状を有する、請求項18に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【請求項20】
前記酸化ホールは、円形または四角形の形状を有する、請求項11に記載の垂直共振型面発光レーザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、信頼性の高い垂直共振器型面発光レーザに関するものである。
【背景技術】
【0002】
垂直共振器型面発光レーザ(vertical-cavity surface-emitting laser; VCSEL)は、基板面から垂直方向にレーザビームを放出するレーザである。
【0003】
典型的なVCSELは、ミラーの間に配置された活性層を含む。ミラーを介して注入された電子と正孔が活性層からの光を生成し、ミラーによる共振によってレーザが生成されて放出される。
【0004】
VCSELに垂直に流れる電流は、小さな領域に限定する必要がある。そのため、従来のVCSELの製造には、エッチングや酸化を利用する方法が用いられてきた。たとえば、ミラー層と活性層をエッチングして、リング状のトレンチを形成し、アイソレーションポスト(isolated posts)を形成し、トレンチを利用して酸化層を形成することにより、小さい領域の開口(aperture)に電流を集中させることができる。
【0005】
しかし、この場合、リング状のトレンチを形成するために広い範囲をエッチングしなければならない負担が伴う。また、パッド電極を形成する際に、パッドとエミッタを接続する接続部がトレンチを通ため、電気的な断線が発生する危険性があり、これにより、プロセスの歩留まりが低下する。また、エミッタの周りに大きな面積のトレンチが形成されるため、表面欠陥によってエミッタの信頼性にも悪影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の実施形態は、信頼性の高いVCSELを提供する。
【0007】
特に、本開示の実施形態は、トレンチによる電気的な断線の発生を防止することができるVCSELを提供する。
【0008】
さらに、本開示の実施形態は、欠陥によってエミッタの性能が低下することを防止することができるVCSELを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施形態に係る垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)は、下部ミラー、上部ミラー、前記下部ミラーと上部ミラーとの間に介在された活性層、前記上部ミラーと前記活性層との間に介在され、酸化層と前記酸化層に囲まれたウィンドウ層とを有する開口形成層、前記上部ミラーと開口形成層とを貫通する複数の酸化ホールを含み、前記上部ミラーは、イオン注入によって形成された絶縁領域と前記絶縁領域に囲まれた孤立領域とを含み、前記複数の酸化ホールは、前記孤立領域内に配置される。
【0010】
本開示の別の実施形態によると、エミッタアレイを有する垂直共振型面発光レーザ(VCSEL)が提供される。上記VCSELは下部ミラー、上部ミラー、前記下部ミラーと上部ミラーとの間に介在された活性層、前記上部ミラーと前記活性層との間に介在され、酸化層と前記酸化層に囲まれたウィンドウ層とを有する開口形成層、前記上部ミラーと開口形成層とを貫通する複数の酸化ホールを含み、前記上部ミラーは、イオン注入によって形成された絶縁領域と前記絶縁領域に囲まれた孤立領域とを含み、前記エミッタアレイは、前記孤立領域内に配置され、前記複数の酸化ホールは、各エミッタに対応して前記孤立領域内に配置される。
【発明の効果】
【0011】
本開示の実施形態によると、イオン注入によって絶縁領域を形成することにより、電気的な断線が発生することを防止することができ、また、酸化ホールを孤立領域内に配置することで、イオン注入によって形成された欠陥がエミッタ内の移動することを防止でき、信頼性の高いVCSELを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係るVCSELの概略的な平面図である。
図2a図1のエミッタ領域を拡大図示した概略的な平面図である。
図2b図2aのA-A線に沿って切断された概略的な断面図である。
図3a】本開示の一実施形態に係るVCSELを製造する方法を説明するための概略的な平面図である。
図3b】本開示の一実施形態に係るVCSELを製造する方法を説明するための概略的な断面図である。
図4a】本開示の一実施形態に係るVCSELを製造する方法を説明するための概略的な平面図である。
図4b】本開示の一実施形態に係るVCSELを製造する方法を説明するための概略的な断面図である。
図5a】本開示の一実施形態に係るVCSELを製造する方法を説明するための概略的な平面図である。
図5b】本開示の一実施形態に係るVCSELを製造する方法を説明するための概略的な断面図である。
図6a】本開示の一実施形態に係るVCSELを製造する方法を説明するための概略的な平面図である。
図6b】本開示の一実施形態に係るVCSELを製造する方法を説明するための概略的な断面図である。
図7】本開示の別の実施形態に係るVCSELの概略的な平面図である。
図8a図7のエミッタアレイの一部を拡大し示した概略的な平面図である。
図8b図8aのB-B線に沿って切断された断面図である。
図8c図8aのC-C線に沿って切断された断面図である。
図9a】本開示の一実施形態に係る酸化層を形成するための酸化ホールを説明するための概略的な平面図である。
図9b】酸化層を形成するための酸化ホールの多様な変形例を説明するための概略的な平面図である。
図9c】酸化層を形成するための酸化ホールの多様な変形例を説明するための概略的な平面図である。
図9d】酸化層を形成するための酸化ホールの多様な変形例を説明するための概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下に紹介される実施形態は、本開示が属する技術分野の当業者に本開示の思想が十分に伝達えるために、例示として提供されるものである。したがって、本開示は、以下説明される実施形態に限定されるものではなく、他の形態で具現化されることもできる。図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは、便宜のために誇張されて表すことがある。また、1つの構成要素が他の構成要素の「上部に」または「上に」あると記載されている場合、他の構成要素の「直上」または「すぐ上に」ある場合だけでなく、各構成要素と他の構成要素との間に別の構成要素が介在されている場合も含む。明細書全体にわたって同じ参照番号は同じ構成要素を示す。
【0014】
本開示の一実施形態に係る垂直共振型面発光レーザ(VCSEL)は、下部ミラー、上部ミラー、下部ミラーと上部ミラーとの間に介在された活性層、上部ミラーと活性層との間に介在され、酸化層と該酸化層に囲まれたウィンドウ層を有する開口形成層、上部ミラーと開口形成層を貫通する複数の酸化ホールを含み、上部ミラーは、イオン注入によって形成された絶縁領域と該絶縁領域に囲まれた孤立領域を含み、複数の酸化ホールは、該孤立領域内に配置される。
【0015】
酸化ホールを孤立領域内に配置することで、イオン注入によって形成された欠陥がウィンドウ層の近くに移動することを防止でき、信頼性の高いVCSELを提供することができる。
【0016】
上記イオン注入によって形成された絶縁領域は、上部ミラーから下部ミラーの一部の厚さに達するように形成されてもよい。
【0017】
一方、VCSELは、上部ミラー上に配置されたオーミックコンタクト層をさらに含んでもよく、オーミックコンタクト層は、円形リング状の円形部分と、該円形部分の外側に突出した突出部を含んでもよい。
【0018】
円形リング状の部分は、部分的に切開されたリング状であってもよい。
【0019】
一方、酸化ホールは、上記突出部の間に配置されてもよい。オーミックコンタクト層が突出部を含み、酸化ホールを突出部の間に配置することで、酸化ホールをより狭い間隔で配置することができ、エミッタのサイズを小さくすることができる。
【0020】
酸化ホールは、それぞれ、突出部よりも小さい幅を有してもよい。酸化ホールを比較的小さく形成することにより、酸化層の形成後、酸化ホールを介して水分の浸透を抑制することができる。
【0021】
一方、VCSELは、オーミックコンタクト層と上部ミラーとを覆う表面保護層及び該表面保護層上に配置された上部絶縁層をさらに含んでもよい。さらに、酸化ホールは、表面保護層を貫通しており、上部絶縁層は、酸化ホールを覆ってもよい。
【0022】
また、VCSELは、上部絶縁層と表面保護層を貫通してオーミックコンタクト層を露出させる複数のビアホールをさらに含んでもよく、該ビアホールは、突出部に対応して配置されてもよい。
【0023】
VCSELは、上部絶縁層の上に配置されたパッドとの接続部をさらに含んでもよく、パッドは、絶縁領域の上部に配置され、接続部は、パッドから延長してビアホールを介してオーミックコンタクト層に電気的に接続してもよい。
【0024】
酸化ホールは、円形または四角形の形状を有してもよいが、これに限定されるものではない。酸化ホールの形状や数は、必要に応じて変更されてもよい。
【0025】
本開示の別の実施形態によると、エミッタアレイを有する垂直共振型面発光レーザ(VCSEL)が提供される。VCSELは、下部ミラー、上部ミラー、下部ミラーと上部ミラーとの間に介在された活性層、上部ミラーと活性層との間に介在され、酸化層と該酸化層に囲まれたウィンドウ層を有する開口形成層、上部ミラーと開口形成層とを貫通する複数の酸化ホールを含み、上部ミラーは、イオン注入によって形成された絶縁領域と該絶縁領域に囲まれた孤立領域とを含み、エミッタアレイは、孤立領域内に配置され、複数の酸化ホールは、各エミッタに対応して該孤立領域内に配置される。
【0026】
上記イオン注入によって形成された絶縁領域は、上部ミラーから下部ミラーの一部の厚さに達するように形成されてもよい。
【0027】
VCSELは、各エミッタに対応して上部ミラーの上に配置されたオーミックコンタクト層をさらに含んでもよく、各オーミックコンタクト層は、円形リング状の円形部分と、該円形部分の外側に突出した突出部を含み、酸化ホールは、該突出部の間に配置されてもよい。円形リング状は、部分的に切開された部分リング状であってもよい。さらに、酸化ホールは、それぞれ、突出部よりも小さい幅を有してもよい。
【0028】
VCSELは、オーミックコンタクト層と上部ミラーとを覆う表面保護層及び該表面保護層上に配置され、酸化ホールを覆う上部絶縁層をさらに含んでもよく、酸化ホールは、表面保護層を貫通してもよい。
【0029】
さらに、VCSELは、上部絶縁層と表面保護層とを貫通して、オーミックコンタクト層を露出させる複数のビアホールをさらに含んでもよく、該ビアホールは、突出部に対応して配置されてもよい。
【0030】
また、VCSELは、上部絶縁層上に配置されたパッドとの接続部をさらに含んでもよく、パッドは、絶縁領域の上部に配置され、接続部は、パッドから延長されビアホールを介してオーミックコンタクト層に電気的に接続してもよい。
【0031】
さらに、接続部は、各エミッタに対応する円形の開口部を含むメッシュ形状を有してもよい。
【0032】
酸化ホールは、円形または四角形の形状を有してもよいが、これに限定されるものではない。
【0033】
以下、図面を参照して、本開示の様々な実施形態について詳細に説明する。
【0034】
図1は、本開示の一実施形態に係るVCSELの概略的な平面図であり、図2aは、図1のエミッタ領域を拡大した概略的な平面図であり、図2bは、図2aのA-A線に沿って切断した概略的な断面図ある。
【0035】
基板21は、導電性基板であってもよく、例えば、n型GaAsのような半導体基板であってもよい。基板21はまた、その上に配置された半導体層を成長させるための成長基板であってもよく、成長される半導体層に応じて選択することができる。
【0036】
バッファ層23は、半導体層の成長を助けるために形成されてもよいが、省略されることもできる。基板23がGaAs基板である場合には、バッファ層23は、例えばGaAs層でできている。
【0037】
下部ミラー25は、分布ブラッグ反射器(DBR)構造を有し、n型半導体層を含んでもよい。下部ミラー25は、例えば、屈折率が異なる半導体層を繰り返し積層して形成されてもよい。例えば、下部ミラー25は、Al含有量が相対的に低いAlGaAs層とAlの含有量が相対的に高いAlGaAs層を交互に積層して形成されてもよい。特に、下部ミラー25は、Al含有量が15%であるAl0.15Ga0.85As層とAl含有量が85%のAl0.85Ga0.15As層とを交互に積層して形成されてもよい。n型不純物として、Siを約1~3×1018/cmの濃度でドーピングしてもよい。下部ミラー25は、屈折率が異なる半導体層のペアを、例えば、30組以上含んでもよい。下部ミラー25の各層の厚さは、それぞれの層内での光の波長の4分の1になるように設定されてもよい。屈折率が異なる半導体層の一つのペアは、約100~200nmの範囲内の厚さを有してもよい。
【0038】
活性層27は、下部ミラー25上に配置され、下部ミラー25に接してもよい。活性層27は、バリア層と井戸層を有してもよく、井戸層がバリア層の間に介在された構造を有してもよい。活性層27は、特に、複数の井戸層を有する多重量子井戸構造を有してもよく、例えば、GaAs/InGaAs/GaAsの積層構造を含んでもよい。所望のレーザ波長に応じてバリア層と井戸層の組成を変更することができ、井戸層は、例えば、InAlGaAs系の4成分系、3成分系または2成分系を含むことができる。また、本開示では、GaAs系の例を挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、InAlGaN系やInAlGaP系の半導体層が用いられてもよく、この場合、バリア層と井戸層とは、窒化物系またはリン系の組成を有してもよい。
【0039】
活性層27内の井戸層は、アンドープ層で形成されてもよく、バリア層もアンドープ層で形成されてもよい。井戸層の厚さは、約2~8nmであってもよく、バリア層は、約2~15nmの範囲であってもよい。
【0040】
上部ミラー31は、活性層27上に配置される。上部ミラー31は、分布ブラッグ反射器(DBR)構造を有してもよく、p型半導体層を含んでもよい。上部ミラー31は、例えば、屈折率が異なる半導体層を繰り返し積層して形成されてもよい。例えば、上部ミラー31は、下部ミラー25と同様に、Al含有量が相対的に低いAlGaAs層とAlの含有量が相対的に高いAlGaAs層を交互に積層して形成されてもよい。特に、上部ミラー31は、Al含有量が15%であるAl0.15Ga0.85As層とAl含有量が85%であるAl0.85Ga0.15As層とを交互に積層して形成されてもよい。p型不純物としては、例えば、Cを約1~5×1018/cmの濃度でドーピングしてもよい。上部ミラー31は、屈折率が異なる半導体層のペアを、例えば、20組以上含んでもよい。ただし、上部ミラー31内のペア数は、下部ミラー25内のペアの数に比べて相対的に少ない。一方、各層の厚さは、それぞれの層内での光の波長の4分の1になるように設定されてもよい。
【0041】
一方、開口形成層29は、活性層27と上部ミラー31との間に配置される。開口形成層29は、酸化層29xとウィンドウ層29wとを含んでもよい。ウィンドウ層29wは、酸化層29xで囲まれており、これにより、電流の通路を限定する開口が形成される。開口形成層29は、例えば、上部ミラー31内の層に比べてAlの含有量がより高いAlGaAs層で形成されてもよい。たとえば、開口形成層29内のAl含有量は約90%以上であってもよい。ウィンドウ層29wを除いた領域でAlGaAs層を酸化することにより、酸化層29xが形成される。
【0042】
酸化層29xによって形成された開口、すなわちウィンドウ層29wの幅は、特に限定されるものではなく、例えば、8~12μmの範囲であってもよい。
【0043】
図2aには、ウィンドウ層29wまたは開口が円盤形状を有することを示しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。ウィンドウ層29wは円盤形状であってもよいが、円盤に近い多角形形状などの他の形状であってもよい。これについては図9a~図9dを参照して、再度説明する。
【0044】
一方、エミッタ150は、イオン注入によって形成された絶縁領域37と、該絶縁領域37によって囲まれた孤立領域とを含む。イオンは、上部ミラー31に注入され、さらに、開口形成層29と活性層27に注入されてもよい。また、イオンは、下部ミラー25の一部の厚さの領域に注入されてもよい。
【0045】
絶縁領域37は、電流が開口(ウィンドウ層29w)を除いた他の領域に流れることを防止して光効率を改善する。
【0046】
オーミックコンタクト層33は、上部ミラー31上に配置される。特に、オーミックコンタクト層33は、絶縁領域37を囲まれた孤立領域上の上部ミラー31とオーミックコンタクトを形成してもよい。オーミックコンタクト層33は、例えば、Ti、Pt及びAuを含んでもよく、急速熱処理工程を利用して、オーミックコンタクトを形成することができる。オーミックコンタクト層33は、図2aに示すように部分的にリング状の円形部分33aと円形部分から外側に突出した突出部と33bを含んでもよい。
【0047】
表面保護層35は、イオン注入工程を実行している間、上部ミラー31とオーミックコンタクト層33を保護する。表面保護層35は、光透過性物質で形成されており、例えば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜で形成することができる。また、表面保護層35は、表面保護層内の光の波長の1/4の整数倍の厚さで形成することができる。例えば、表面保護層35がSiで形成される場合には、約118nmの整数倍の厚さで形成することができる。また、表面保護層35は、引っ張り応力を有するように形成され、そのためには、例えば、250°Cで形成されてもよい。
【0048】
酸化ホールに29aは、開口形成層29を露出させるために形成される。このため、酸化ホールに29aは、上部ミラー31と開口形成層29を貫通してもよく、さらに、活性層27を貫通し、また、下部ミラー25の一部の厚さを貫通してもよい。酸化ホール29aは、また、表面保護層35を貫通してもよい。
【0049】
酸化ホール29aは、オーミックコンタクト層33の外側に配置され、特に、突出部の33bの間に配置されてもよい。さらに、酸化ホール29aは、絶縁領域37に囲まれた孤立領域上に形成される。酸化ホール29aをイオン注入によって形成される絶縁領域37から離れた孤立領域に配置することにより、イオン注入によって生じた欠陥が酸化層29xを形成する間に、開口に移動することを防止することができる。また、オーミックコンタクト層33が突出部33bを有するように形成されることによって、酸化ホール29aを互いにより近くに配置することができ、これにより、エミッタ150のサイズを小さくすることができる。
【0050】
また、酸化ホール29aは、それぞれ突出部33bのサイズよりも小さいサイズに形成されてもよい。例えば、酸化ホール29aの幅は、突出部33bの幅よりも小さくてもよい。酸化ホール29aの大きさを相対的に小さくすることにより、酸化層の形成後、酸化ホールを介して水分の浸透を抑制することができる。例えば、酸化ホール29aの深さは約3μmであり、ホールの直径は、約4μmであってもよい。
【0051】
酸化ホール29aを介して開口形成層29を酸化させることにより、酸化層29xとウィンドウ層29wが定義される。このとき、酸化ホール29aの側壁に露出された上部ミラー31、活性層27、および下部ミラー25は、部分的に酸化されてもよい。
【0052】
上部絶縁層39は、表面保護層35および酸化ホール29aを覆う。酸化ホール29aに露出された上部ミラー35、酸化層29x、活性層27、および下部ミラー25は、上部絶縁層39で覆われて絶縁される。上部絶縁層39は、光透過性物質で形成されており、例えば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜で形成されてもよい。また、上部絶縁層39は、上部絶縁層内の光の波長の1/4の整数倍の厚さで形成されてもよい。例えば、上部絶縁層39がSiで形成される場合、約200nm、約300nm、または約500nmの厚さで形成されてもよい。また、上部絶縁層39は、引っ張り応力を有するように形成され、そのためには、例えば、250°Cで形成されてもよい。
【0053】
尚、上部絶縁層39と表面保護層35とを貫通してオーミックコンタクト層33を露出させるビアホール39aが形成されてもよい。ビアホール39aは、オーミックコンタクト層33の突出部33bに対応して配置される。図2aに示すように、ビアホール39aは、突出部33bと円形部分33aを一緒に露出するように形成されてもよい。図2aでは、ビアホール39aが四角形の形状であること示したが、これらの形状は、特に限定されるものではなく、円形であってもよい。
【0054】
一方、パッド40と接続部41は、上部絶縁層39上に配置されてもよい。パッド40は、ワイヤをボンディングするための領域で比較的広い領域に渡って配置される。パッド40は、例えばイオン注入によって形成された絶縁領域37上に配置されてもよく、したがって、寄生容量を低減することができる。
【0055】
一方、接続部41は、パッド40とオーミックコンタクト層33とを電気的に接続する。接続部41は、ビアホール39aを介してオーミックコンタクト層33に接続することができる。接続部41は、オーミックコンタクト層33に沿って部分的にリング状の円形部分を有してもよく、リング状の円形部分の内側にレーザビームが出射するための開口部41aが設けられてもよい。
【0056】
パッド40および接続部41は、同じ金属材料で形成されてもよく、例えば、Ti/Pt/Auで形成されてもよい。パッド40および接続部41は、約2μm以上の厚さで形成されてもよい。
【0057】
一方、いくつかの例示的な実施形態では、基板21の下部に、別のパッド、例えば、n-パッドが形成されてもよい。基板21がGaAs基板である場合には、n-パッドは、一例としてAuGe/Ni/Au(900Å/300Å/1000~3000Å)で形成されてもよい。
【0058】
図3a、図3b、図4a、図4b、図5a、図5b、図6aおよび図6bは、本開示の一実施形態に係るVCSELを製造する方法を説明するための概略的な平面図及び断面図である。各断面図は、対応する平面図のA-A線に沿って切断された図である。
【0059】
まず、図3a及び図3bを参照すると、基板21上に半導体層(23、25、27、29、31)が形成され、オーミックコンタクト層33が形成される。
【0060】
基板21は、例えばn型GaAs基板であってもよい。半導体層は、バッファ層23、下部ミラー25、活性層27、開口形成層29、および上部ミラー31を含んでもよい。半導体層は、例えば、有機金属化学気相成長法または分子線エピタキシー法などのエピタキシャル成長技術を利用して形成されてもよい。
【0061】
バッファ層23は、基板21上に、例えば、GaAs層で形成されてもよい。下部ミラー25は、バッファ層23上に形成され、活性層27、開口形成層29、および上部ミラー31が下部ミラー25上に順次形成されてもよい。下部ミラー25および上部ミラー31は、それぞれAl組成が異なるAlGaAs/AlGaAsを繰り返し積層して形成されてもよい。下部ミラー25、活性層27、開口形成層29、および上部ミラー31の具体的な構造については、前に詳細に説明しているため、重複を避けるためにここではその説明を省略する。
【0062】
上部ミラー31上にオーミックコンタクト層33が形成される。オーミックコンタクト層33は、部分的にリング状の円形部分33aと、円形の部分33aから外部に突出した突出部と33bを含むように形成される。オーミックコンタクト層33は、リフトオフ技術を用いて金属層を形成した後、急速熱処理工程を経て熱処理されてもよい。金属層は、例えば、Ti/Pt/Auで形成されてもよく、それぞれ約300Å、300Å、および1000~3000Åの厚さで形成されてもよい。熱処理によってオーミックコンタクト層33と上部ミラー31との間に良好なオーミックコンタクトが形成されることができる。
【0063】
本実施形態では、基板21上に1つのオーミックコンタクト層33が形成されたことを図示しているが、基板21は、例えば10mmの大きさの直径を有してもよく、基板21上に複数のオーミックコンタクト層33が、各素子領域毎に形成されてもよい。
【0064】
また、オーミックコンタクト層33は、ネガティブフォトレジストまたはポジティブフォトレジストをマスクとして利用することができるが、ポジティブフォトレジストが高密度アレイを形成するのに適している。
【0065】
図4aおよび図4bを参照すると、上部ミラー31およびオーミックコンタクト層33を覆う表面保護層35が形成される。表面保護層35は、イオン注入工程(例えば、インプランテーション)の間、上部ミラー31の表面を保護する。
【0066】
表面保護層35は、例えばSiまたはSiOで形成されてもよく、表面保護層35内の光の波長の1/4の整数倍の厚さで形成されてもよい。例えば、表面保護層35がSiで形成される場合、約118nmの整数倍の厚さで形成されてもよい。
【0067】
続いて、表面保護層35上にフォトレジストを形成し、フォトレジストをマスクとして使用したイオン注入工程により、上部ミラー31を介してイオンが注入される。水素イオンが注入されてもよく、これにより、イオン注入された領域が絶縁領域に変換される。水素イオンの注入エネルギーは約350keVまで使用されてもよく、フォトレジストは、このエネルギーの水素イオンを防ぐために十分な厚さ、例えば8μmの厚さで形成されてもよい。
【0068】
一方、フォトレジストはオーミックコンタクト層33を覆うように形成されているため、イオン注入は、オーミックコンタクト層33の外側で実行される。図4aに示すように、イオン注入によって円形の孤立領域が形成され、その外側に絶縁領域37が形成される。絶縁領域37は、図4bに示すように、下部ミラー25の一部の厚さまで形成されてもよい。イオン注入が完了した後、フォトレジストは除去される。
【0069】
図5a及び図5bを参照すると、酸化ホール29aが形成される。酸化ホール29aは、表面保護層35、上部ミラー31、開口形成層29、および活性層27を貫通し、下部ミラー25の一部の厚さを貫通してもよい。
【0070】
また、酸化ホール29aは、絶縁領域37に囲まれた孤立領域内に形成されるため、イオン注入領域から離隔される。
【0071】
さらに、酸化ホールに29aは、突出部33bの間に配置されてもよく、突出部33bよりも小さいサイズを有してもよい。酸化ホール29aは、深さが約3μm、入口側の径(または幅)が約4μmで、その側壁が約80度傾斜していてもよい。酸化ホール29aの形状は様々であってもよく、これについては図9a~図9dを参照して、後で詳細に説明する。オーミックコンタクト層33が突出部33bを有するように形成されることにより、円形部分33aの幅を減少させることができ、これにより、酸化ホール29a間の間隔を短くすることができる。
【0072】
続いて、酸化ホール29aを介して露出された開口形成層29を酸化させる。酸化は、例えば400~430°Cの範囲内で行われてもよく、開口形成層29のAl組成比を調整して、下部および上部ミラー(25、31)内の層に比べて10倍以上の酸化速度を示すように温度と組成が設定されてもよい。
【0073】
酸化工程により開口形成層29に酸化層29xが形成される。酸化層29xは、酸化ホール29aの内壁に露出した開口形成層29を介して開口形成層29の内部に進行する。これにより、オーミックコンタクト層33で囲まれた領域の下部に、ウィンドウ層29w(開口)が形成される。一方、図5bに示すように、酸化層29xの一部は、絶縁領域37内にも形成されてもよい。
【0074】
400~430°Cの比較的高温で酸化が進行するため、イオン注入によって絶縁領域37内に形成された欠陥が移動することがある。このとき、酸化ホール29aが絶縁領域37に囲まれた孤立領域内に配置されるため、欠陥がウィンドウ層29w側に移動することを防止することができる。
【0075】
図6a及び図6bを参照すると、表面保護層35上に上部絶縁層39が形成される。上部絶縁層39は、光透過性物質で形成されてもよく、例えば、SiまたはSiOで形成されてもよい。上部絶縁層39は、酸化ホール29aの側壁と底部を覆って酸化ホール29a内に露出された半導体層を絶縁する。
【0076】
一方、上部絶縁層39と表面保護層35をパターニングして、オーミックコンタクト層33を露出させるビアホール39aが形成される。ビアホール39aは、図6aに示すように、オーミックコンタクト層33の突出部33bに対応して形成されてもよい。
【0077】
図示していないが、ビアホール39aを形成する際、基板21上に形成された複数の素子領域を分離するための素子分離領域、例えば、スクライビングラインが一緒に形成されてもよい。スクライビングラインは、表面保護層35と上部絶縁層39とをエッチングして形成され、後続の素子分離のためのスクライビング工程時に表面保護層35および上部絶縁層39が剥離されることを防止することができる。
【0078】
続いて、図1に示すようなパッド40および接続部41が形成される。パッド40と接続部41は、リフトオフ技術を用いて形成されてもよく、例えば、Ti/Pt/Auで形成されてもよい。
【0079】
その後、個々の素子をスクライビング線に沿って分割することにより、図1のVCSELが完成する。また、基板21を分割する前に、基板21の下部面にn-パッドをさらに形成してもよい。
【0080】
図7は、本開示の別の実施形態に係るVCSELの概略的な平面図であり、図8aは、図7のエミッタアレイの一部を拡大して示した概略的な平面図であり、図8bは、図8aのB-B線に沿って切断された断面図であり、図8cは、図8aのC-C線に沿って切断された断面図である。
【0081】
図7図8a、図8b、および図8cを参照すると、本実施形態に係るVCSEL200は、図1図2a及び図2bを参照して説明したVCSEL100とほぼ同様であるものの、複数のエミッタアレイ250を含み、それに応じて、パッド40の形状が変更されたことに違いがある。重複を避けるために、繰り返しの説明については省略する。
【0082】
エミッタは、図示したように、基板21上にハニカム状に配置されてもよい。エミッタアレイ領域250は、イオン注入にて絶縁領域37に囲まれてもよく、パッド40は、絶縁領域37上に位置する。パッド40は、アレイ領域250に隣接して、基板21上の一側に形成されてもよい。
【0083】
図8aに示すように、各エミッタ領域にイオン注入の境界領域を表すラインが示されているが、エミッタアレイ領域のラインは、互いに重なっているため、エミッタアレイ領域250には、イオン注入による絶縁領域37が形成されない。つまり、エミッタアレイ領域250の外側を囲む境界線の外側でのみイオン注入が行われ、絶縁領域37が形成される。
【0084】
各エミッタは、図1図2a及び図2bを参照して説明したように、下部ミラー25、活性層25、開口形成層29、および上部ミラー31を含む。また、開口形成層29は、酸化層29xとウィンドウ層29wを含み、電流の流れは、ウィンドウ層29wに限定される。各エミッタの基本構造は、イオン注入による絶縁領域37を除けば、前述のエミッタ150と同一である。
【0085】
また、各エミッタにオーミックコンタクト層33が形成されてもよく、オーミックコンタクト層33は、前の実施形態で説明したように、部分的にリング状の円形部分33aと突出部と33bを含んでもよい。また、各エミッタ領域において、酸化ホール29aが突出部33bの間に配置され、ビアホールに39aが突出部33bに対応して形成される。各エミッタに形成されている酸化ホールに29aおよびビアホール39aは、先に説明した実施形態のエミッタ150に形成されるものと同じである。特に、各エミッタに酸化ホール29aを個別に形成することにより、酸化ホール29aの大きさを突起部33bの大きさよりも小さくすることができ、素子の信頼性を向上させることができる。また、酸化ホール29aは、イオン注入によって形成された絶縁領域37に囲まれた孤立領域内に形成される。したがって、酸化工程中に欠陥がウィンドウ層29wの近傍に移動することを防止することができ、素子の信頼性を向上させることができる。
【0086】
一方、パッド40とオーミックコンタクト層33とを接続する接続部41は、ビアホール39aを介して各エミッタに接続されてもよい。エミッタは、すべて並列接続されてもよい。ただし、前の実施形態では、接続部41が部分的にリング形状を有するものとして説明したが、本実施形態では、接続部41が複数のエミッタに接続する場合、部分的にリング形状を有するように形成することは難しく、図示したように、円形の開口部41aを形成するメッシュ形状を有してもよい。
【0087】
エミッタアレイを有するVCSEL200の製造方法は、前述のVCSEL100の製造方法とほぼ同様のため、詳細な説明は省略する。
【0088】
図9aは、本開示の一実施形態に係る酸化層を形成するための酸化ホール29aを説明するための概略的な平面図であり、図9b~図9dは、酸化層を形成するためのホールの様々な変形例を説明するための概略平面図である。
【0089】
図9aを参照すると、酸化ホール29aは、イオン注入による絶縁領域37に囲まれた孤立領域内に形成される。前述した実施形態に示すように、酸化ホール29aは、円形または楕円形の形状を有するように形成することができる。特に、酸化ホール29aは、6つ形成されてもよく、これらによって開口形成層29の酸化が進み、酸化層29xが形成され、これらの酸化層29xによって孤立領域内にウィンドウ層29wが形成される。ウィンドウ層29wは概ね円形状に形成される。
【0090】
酸化ホール29aの形状と配置は、多様に変形することができる。例えば、図9bに示すように、酸化ホール129aが正方形または長方形の形状を有して正六角形の各頂点に対応する位置に配置されてもよい。また、図9cに示すように、酸化ホール129bは、四角形の形状を有しながら、孤立領域の中心に近い側が湾曲していてもよい。また、図9dに示すように、8つの酸化ホール129cが正八角形の各頂点に対応する位置に配置されてもよい。
【0091】
一方、円形または楕円形の酸化ホール29aは、写真やエッチング技術を利用して容易に形成することができ、またその上に形成される上部絶縁層39や接続部41の安定性を向上させることができる。しかし、本開示は、酸化ホール29aの形状を円形や楕円形に限定するものではなく、前述のような四角形又は他の形状を有してもよい。
【0092】
以上では、本開示の様々な実施形態について説明したが、本開示は、これらの実施形態に限定されるものではない。また、1つの実施形態について説明した特徴や構成要素は、本開示の技術的思想を逸脱しない限り、他の実施形態にも適用することができる。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図9c
図9d
【国際調査報告】