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特表2022-514998タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材及びその製造方法
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  • 特表-タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20220209BHJP
   B22F 1/14 20220101ALI20220209BHJP
   B22F 3/02 20060101ALI20220209BHJP
   B22F 3/15 20060101ALI20220209BHJP
   B22F 5/00 20060101ALI20220209BHJP
   C22C 1/04 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
C23C14/34 A
B22F1/14 500
B22F3/02 K
B22F3/02 P
B22F3/15 H
B22F3/15 M
B22F5/00 Z
C22C1/04 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020542816
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(85)【翻訳文提出日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 CN2020084239
(87)【国際公開番号】W WO2021103381
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】201911167255.6
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520292741
【氏名又は名称】寧波江豊電子材料股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姚 力軍
(72)【発明者】
【氏名】潘 傑
(72)【発明者】
【氏名】辺 ▲逸▼軍
(72)【発明者】
【氏名】王 学澤
(72)【発明者】
【氏名】馬 国成
【テーマコード(参考)】
4K018
4K029
【Fターム(参考)】
4K018AA40
4K018AB10
4K018AC01
4K018BA20
4K018BC12
4K018CA23
4K018CA27
4K018EA11
4K018EA16
4K018FA01
4K018KA29
4K029DC04
4K029DC09
(57)【要約】
本出願は、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材及びその製造方法に関する。前記製造方法は、(1)タンタル粉とケイ素粉とを混合する工程と、(2)金型に仕込んで封口する工程と、(3)封口された金型を冷間等方圧処理し、タンタルシリコン素材を得る工程と、(4)得られたタンタルシリコン素材に脱気処理を行う工程と、(5)脱気したカプセルを1050~1350℃で熱間等方圧処理し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を得る工程と、(6)機械加工によりタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を得る工程と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製造方法であって、
(1)タンタル粉とケイ素粉とを原子割合で混合する工程と、
(2)工程(1)で混合されたタンタルシリコン粉末を金型に仕込んで封口する工程と、
(3)工程(2)で封口された金型を冷間等方圧処理してタンタルシリコン素材を得る工程と、
(4)工程(3)で得られたタンタルシリコン素材をカプセルに入れて封口して、脱気処理を行う工程と、
(5)工程(4)で脱気した前記カプセルを1050~1350℃で熱間等方圧処理し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を得る工程と、
(6)工程(5)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を機械加工し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を得る工程と、
を含む製造方法。
【請求項2】
工程(1)における前記混合は、不活性ガス雰囲気で行われ、
好ましくは、前記不活性ガスは、ヘリウムガス、窒素ガスまたはアルゴンガスのいずれか1つまたは少なくとも2つ以上の組合せを含み、好ましくは、アルゴンガスである、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記不活性ガスの圧力は、0.02~0.06MPaであり、好ましくは、0.03~0.05MPaである、
請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
工程(1)における前記混合の時間は、12~48hであり、好ましくは、12~24hであり、
好ましくは、工程(1)における前記混合は、粉末混合機の中で行われ、
好ましくは、前記粉末混合機は、V型粉末混合機であり、
好ましくは、前記粉末混合機に、インナーライナーが設けられ、
好ましくは、前記インナーライナーは、ポリウレタン・インナーライナーであり、
好ましくは、前記粉末混合機の混合速度は、5~20r/minであり、好ましくは、8~12r/minである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
工程(1)における前記混合は、停止、叩き処理を含み、
好ましくは、前記停止の間隔時間は、3~6hであり、好ましくは、4~5hであり、
好ましくは、前記叩き処理はゴムハンマーを用い、
好ましくは、工程(1)における前記混合の前に、洗浄工程をさらに含み、
好ましくは、前記洗浄工程は、粉末混合機内を汚染することがないように、粉末混合機を洗浄することである、
請求項4に記載の製造方法である。
【請求項6】
工程(2)における前記金型は、ゴムカプセルであり、
好ましくは、工程(2)における前記金型を仕込んだ後、工具で固め、金型カバーを被せて封口する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
工程(3)における前記冷間等方圧の圧力は、140~250MPaであり、好ましくは、160~200MPaであり、
好ましくは、工程(3)における前記冷間等方圧の保圧時間は、15~60minであり、好ましくは、20~40minであり、
好ましくは、工程(3)における前記冷間等方圧処理は、冷間静圧プレス機の中で行われる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
工程(4)における前記カプセルはステンレスカプセルであり、
好ましくは、工程(4)における前記脱気処理の温度は、400~600℃であり、好ましくは、450~550℃であり、
好ましくは、工程(4)における前記脱気処理の真空度は、5E-3Pa~1.5E-3Paであり、好ましくは、4E-3Pa~2E-3Paである、
請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
工程(5)における前記熱間等方圧処理の温度は、1150~1250℃であり、
好ましくは、工程(5)における前記熱間等方圧の圧力は、130~180MPaであり、好ましくは、140~165MPaであり、
好ましくは、工程(5)における前記熱間等方圧の保温保圧時間は、2~6hであり、好ましくは、3~5hであり、
好ましくは、工程(5)における前記熱間等方圧処理は、熱間等方圧炉の中で行う、
請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記製造方法は、
(1)タンタル粉とケイ素粉とを原子割合でポリウレタン・インナーライナー付きV型粉末混合機に仕込み、圧力0.02~0.06MPaの前記不活性ガス雰囲気で、8~12r/minの混合速度で12~24h混合し、混合期間で4~5hごとに停止して、ゴムハンマーを用いて前記V型粉末混合機を叩く工程と、
(2)工程(1)で混合されたタンタルシリコン粉末をゴムカプセル金型に仕込んだ後、工具で固め、封口する工程と、
(3)工程(2)で封口された金型を冷間静圧プレス機に入れ、160~200MPaに加圧し、20~40min保圧して冷間等方圧処理を行い、タンタルシリコン素材を得る工程と、
(4)工程(3)で得られたタンタルシリコン素材をステンレスカプセルに入れて封口し、400~600℃に加熱し、真空度4E-3Pa~2E-3Paで脱気処理する工程と、
(5)工程(4)で脱気したカプセルを熱間等方圧炉に入れ、1050~1350℃に昇温し、130~180MPaに加圧し、そして、2~6h保温保圧して熱間等方圧処理し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を得る工程と、
(6)工程(5)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を機械加工し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を得る工程と、
を含む請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材。
【請求項12】
前記タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の緻密度は99%よりも大きい、
請求項11に記載のタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ターゲット材及びターゲット材の製造分野に関し、例えばタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材及びその製造方法を関する。
【背景技術】
【0002】
物理蒸着(Physical Vapour Deposition、PVD)とは、真空条件下で、電圧が低く、電流が大きいアーク放電技術を用いて、ガス放電で素材を蒸発させ、蒸発された物質とガスを電離させ、その後、電界の加速作用によって、蒸発された物質とその反応生成物をワーク上に蒸着させて、特殊な機能を有する薄膜を形成することである。PVD技術は、半導体チップ製造分野、太陽エネルギー分野、LCD製造分野など多くの分野の重要なコア技術で、主な方法は、真空蒸着、アークプラズマメッキ、イオンプレーティング、分子線エピタキシー及びスパッタリングメッキなどである。
【0003】
スパッタリングは薄膜材料を製造する主要な技術の一つで、イオン源で発生したイオンを利用して、真空中で加速的に凝集することで、速度エネルギーが高いイオンビーム流を形成して、固体表面に衝突して、イオンと固体表面の原子が運動エネルギー交換し、固体表面の原子を固体から離して基底面に蒸着させる。衝突された固体は、スパッタリング法で薄膜を蒸着させる原材料で、一般的にスパッタリングターゲット材と呼ばれている。
【0004】
スパッタリングターゲット材は、一般的に粉末冶金焼結成形プロセスで得られる。これは、このプロセスで製造されたスパッタリングターゲット材は、独特な化学組成と機械や物理の性能を持っているが、これらの性能は従来の溶解鋳造方法では得られないからである。粉末冶金焼結成形プロセスは、ホットプレス焼結と、熱間等方圧と2つの方法に分けられ、ホットプレス焼結とは、乾燥粉体を金型内に充填し、一軸方向から加圧しながら加熱し、成形と焼結を同時に完成させる方法であり、熱間等方圧とは、製品を密閉された容器に仕込んで、各方向に均等に圧力をかけながら高温を加え、高温高圧で製品が焼結し緻密化されることである。
【0005】
タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材は、新規なスパッタリングターゲット材で、真空スパッタリングの良好な導体として、電子ゲート材料や電子フィルム分野に適用できる。タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材が真空スパッタリングする時に良好な性能を有効するためには、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材が高い緻密度を持ち、内部組織構造が均一であることが要求される。しかし、現在、得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材が上記の要求を満たすような製造方法は現れていない。
【0006】
現在、従来技術はスパッタリングターゲット材の製造方法をいくつか開示している。例えば、中国特許出願公開第102321871号明細書において、熱間等方圧でフラットパネルディスプレイ用モリブデン合金スパッタリングターゲット材の製造方法であって、粉体の準備、油圧プレス成形、冷間等方圧、焼結、機械加工、カプセルへの仕込み、熱間等方圧などの工程を含み、高温高圧の共同作用で、被加工材を各方向において均等に圧力をかけ、ターゲット材の緻密度が高く、均一性が良く、性能が優れている製造方法が開示されている。しかし、この製造方法は、プロセスが複雑で、生産サイクルが長く、非金属粉末に対する粉末混合プロセスがないため、適用範囲が限られている。中国特許出願公開第105624619号明細書において、粉末製造、冷間等方圧、真空焼結、熱間等方圧、機械加工、インジウム結合などを含み、タブレット型タッチパネル用のアルミニウム希土類合金回転スパッタリングターゲット材の製造方法及びそれによって製造されたターゲット材が開示されている。この製造方法は、プロセスが簡略化され、操作が容易になるが、非金属粉末に対する粉末混合プロセスもない。
【0007】
以上の従来技術における製造方法は、いずれも熱間等方圧プロセスを採用するが、非金属粉末に対する粉末混合プロセスがないため、最終的なスパッタリングターゲット材の純度に対する要求を確保することができず、また、タンタルとシリコンの融点や比重などの物理的性能が大きく異なるため、粉末混合プロセス、脱気処理や熱間等方圧などのプロセスパラメータに対してより高い要求を求めて、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の緻密度と内部組織構造の均一性に対する要求を満たすことができない。そのため、現在、有効なタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製造方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
以下、この明細書で詳細に説明するテイマの概要を説明する。この概要は、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0009】
本出願の目的は、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材及びその製造方法を提供することを含む。前記の製造方法は、粉末混合と、金型への仕込みと、冷間等方圧と、脱気処理と、熱間等方圧と、機械加工と6つの工程を含んでおり、シリコン粉の酸化を効果的に防止し、製品の純度を保証するだけでなく、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の緻密性と内部組織構造が均一であるという要求を満たすことができ、しかもプロセスが簡単で、操作が簡単で、生産サイクルが短いという特徴がある。上記の製造方法で製造したタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材は、タンタルシリコン合金内部の組織構造が均一であるだけでなく、99%以上の緻密度に形成でき、後続のスパッタリングにもより優れた性能保障を提供できる。
【0010】
この目的を達成するために、本出願は以下の技術案を採用する。
【0011】
一態様において、本出願は、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製造方法であって、
(1)タンタル粉とケイ素粉とを原子割合で混合する工程と、
(2)工程(1)で混合されたタンタルシリコン粉末を金型に仕込んで封口する工程と、
(3)工程(2)で封口された金型を冷間等方圧処理してタンタルシリコン素材を得る工程と、
(4)工程(3)で得られたタンタルシリコン素材をカプセルに入れて封口して、脱気処理を行う工程と、
(5)工程(4)で脱気したカプセルを1050~1350℃で熱間等方圧処理し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を得る工程と、
(6)工程(5)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を機械加工して、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を得る工程と、
を含む製造方法を提供する。
【0012】
本出願に係る製造方法は、冷間等方圧と、脱気処理と、熱間等方圧との三者を組み合わせた手段を採用して、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を各方向に均等に圧力をかけて、緻密度99%以上と内部組織構造が均一な高い要求を達成した。
【0013】
同時に、本出願は、1050~1350℃の高温で熱間等方圧処理を行い、このような高い熱間等方圧処理温度は、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の緻密度を大幅に向上させるとともに、酸素含有量を効果的に制御し、汚染を効果的に回避することでき、よって、製品の純度を保証することできる。
【0014】
本出願に記載の前記熱間等方圧の処理温度は、1050~1350℃であり、例えば1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃や1350℃などであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、この数値範囲内に他の列挙されていない数値についても同様に適用される。
【0015】
本出願の好ましい態様として、工程(1)における前記混合は、不活性ガス雰囲気で行われる。
【0016】
好ましくは、前記不活性ガスは、ヘリウムガス、窒素ガス、またはアルゴンガスのいずれか1つまたは少なくとも2つ以上の組合せを含み、この組合せの典型的な実施例として、ヘリウムガスとアルゴンガスの組合せ、窒素ガスとアルゴンガスの組合せ、またはヘリウムガスと窒素ガスの組合せなどが挙げられるが、これらの実施例に限定されるものではなく、好ましくは、アルゴンガスである。
【0017】
好ましくは、前記不活性ガスの圧力は、0.02~0.06MPaであり、例えば、0.02MPa、0.03MPa、0.04MPa、0.05MPaまたは0.06MPaなどであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、この数値範囲内に他の列挙されていない数値も同様に適用され、好ましくは、0.03~0.05MPaである。
【0018】
本出願では、タンタル粉とケイ素粉の混合操作を行う際に、不活性ガス雰囲気で行われ、不活性ガスの圧力を0.02~0.06MPaの範囲にし、混合粉末の均一性を保証する一方、空気含有量を減少させ、非金属ケイ素粉の粒度が細いことによる空気の吸着と酸化のリスクを減少させ、よって、最終的にタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製品純度を向上させた。
【0019】
本出願の好ましい態様として、工程(1)における前記混合の時間は、12~48hであり、例えば12h、18h、24h、30h、36h、42hまたは48hなどであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、この数値範囲内に他の列挙されていない数値も同様に適用され、好ましくは、12~24hである。
【0020】
好ましくは、工程(1)における前記混合は、粉末混合機の中で行われる。
【0021】
好ましくは、前記粉末混合機は、V型粉末混合機である。
【0022】
好ましくは、前記粉末混合機にインナーライナーが設けられている。
【0023】
好ましくは、前記インナーライナーは、ポリウレタン・インナーライナーである。
【0024】
本出願に記載の粉末混合機には、ポリウレタン・インナーライナーが設けられており、タンタルシリコン粉末と粉末混合機内壁との直接接触を防止し、タンタルシリコン粉末の汚染を効果的に回避し、製品の純度をさらに確保することできる。
【0025】
好ましくは、前記粉末混合機の混合速度は、5~20r/minであり、例えば、5r/min、8r/min、10r/min、12r/min、15r/min、17r/minまたは20r/minなどであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、この数値範囲内に他の列挙されていない数値も同様に適用され、好ましくは、8~12r/minである。
【0026】
好ましくは、工程(1)における前記混合は、停止、叩き処理を含む。
【0027】
好ましくは、前記停止の間隔時間は、3~6hであり、例えば、3h、3.5h、4h、4.5h、5.5h、6hなどであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、この数値範囲内に他の列挙されていない数値も同様に適用され、好ましくは、4~5hである。
【0028】
好ましくは、前記叩き処理はゴムハンマーを用いる。
【0029】
好ましくは、工程(1)における前記混合の前に、洗浄工程をさらに含む。
【0030】
好ましくは、前記洗浄工程は、粉末混合機内を汚染することがないように、粉末混合機を洗浄することである。
【0031】
本出願の好ましい態様として、工程(2)における前記金型はゴムカプセル(Capsule)である。
【0032】
好ましくは、工程(2)における前記金型を仕込んだ後、工具で固め、金型カバーを被せて封口する。
【0033】
本出願の好ましい態様として、工程(3)における前記冷間等方圧の圧力は、140~250MPa、例えば140MPa、160MPa、180MPa、200MPa、220MPaまたは250MPaなどであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、その数値範囲内に他の列挙していない数値も同様に適用され、好ましくは、160~200MPaである。
【0034】
好ましくは、工程(3)における前記冷間等方圧の保圧時間は、15~60minであり、例えば、15min、20min、25min、30min、35min、40min、45min、50min、55minまたは60minなどであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、その数値範囲内に他の列挙されていない数値も同様に適用され、好ましくは、20~40minである。
【0035】
好ましくは、工程(3)における前記冷間等方圧処理は、冷間静圧プレス機の中で行われる。
【0036】
冷間等方圧は、常温で、ゴムやプラスチックをカプセル金型材料とし、液体を圧力媒体とし、主に粉体材料の成形に用いるプロセスであり、さらに焼結、焼成、熱間等方圧プロセスを行うために素地を提供する。
【0037】
本出願の好ましい態様として、工程(4)における前記カプセルはステンレスカプセルドである。
【0038】
本出願のステンレスカプセルは、アーク溶接によって、カプセルと強固に溶接され封口し、よって、その後の脱気処理に基本的な保障を提供する。
【0039】
好ましくは、工程(4)における前記脱気処理の温度は、400~600℃であり、例えば、400℃、450℃、500℃、550℃または600℃などであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、この数値範囲内に他の列挙されていない数値も同様に適用され、好ましくは、450~550℃である。
【0040】
好ましくは、工程(4)における前記脱気処理の真空度は、5E-3Pa~1.5E-3Paであり、例えば、5E-3Pa、4.5E-3Pa、4E-3Pa、3.5E-3Pa、3E-3Pa、2.5E-3Pa、2E-3Pa、1.5E-3Paなどであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、この数値範囲内に他の列挙されていない数値も同様に適用され、好ましくは、4E-3Pa~2E-3Paである。
【0041】
本出願は、脱気処理の真空度を5E-3Pa~1.5E-3Paに高めることで、カプセル内のガスの十分な脱気を実現し、ガスを完全に排出して、シリコン粉が空気で酸化されないことをさらに確保して、最終的にタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製品性能をさらに向上させることができる。また、前記真空度で脱気効果がより良く確保され、エネルギー消費を最小限に抑え、コストの投入を減らすこともできる。
【0042】
本出願の好ましい態様として、工程(5)における前記熱間等方圧処理の温度は、1150~1250℃であり、例えば1150℃、1170℃、1200℃、1230℃や1250℃などであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、この数値範囲内に他の列挙していない数値も同様に適用される。
【0043】
好ましくは、工程(5)における前記熱間等方圧の圧力は、130~180MPaであり、例えば130MPa、140MPa、150MPa、160MPa、170MPaまたは180MPaなどであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、この数値範囲内に他の列挙されていない数値も同様に適用され、好ましくは、140~165MPaである。
【0044】
好ましくは、工程(5)における前記熱間等方圧の保温保圧時間は、2~6hであり、例えば、2h、3h、4h、5hまたは6hなどであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、この数値範囲内に他の列挙されていない数値も同様に適用され、好ましくは、3~5hである。
【0045】
好ましくは、工程(5)における前記熱間等方圧処理は、熱間等方圧炉の中で行う。
【0046】
本出願に係る熱間等方圧プロセスは、タンタルとシリコンの融点や比重などの物理的性能の大きな違いについて、測定したタンタルシリコン合金の配合図を合わせて設計される。1050~1350℃の高温及び130~180MPaの高圧で、保温保圧時間は2~6hとすることで、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の緻密度を大幅に向上させるだけでなく、タンタルシリコン合金内部の組織構造を均一にして、エネルギー消費をできるだけ低減して、コストを最小限に抑えることができる。
【0047】
本出願の好ましい態様として、前記製造方法は、
(1)タンタル粉とケイ素粉とを原子割合でポリウレタン・インナーライナー付きV型粉末混合機に仕込み、圧力0.02~0.06MPaの不活性ガス雰囲気で、8~12r/minの混合速度で12~24h混合し、混合期間で4~5hごとに停止して、ゴムハンマーを使用してV型粉末混合機を叩く工程と、
(2)工程(1)で混合されたタンタルシリコン粉末をゴムカプセル金型に仕込んだ後、工具で固め、封口する工程と、
(3)工程(2)で封口された金型を冷間静圧プレス機に入れ、160~200MPaに加圧し、20~40min保圧して冷間等方圧処理を行い、タンタルシリコン素材を得る工程と、
(4)工程(3)で得られたタンタルシリコン素材をステンレスカプセルに入れて封口し、400~600℃に加熱し、真空度4E-3Pa~2E-3Paで脱気処理する工程と、
(5)工程(4)で脱気したカプセルを熱間等方圧炉に入れ、1050~1350℃に昇温し、130~180MPaに加圧し、そして、2~6h保温保圧して熱間等方圧処理し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を得る工程と、
(6)工程(5)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を機械加工し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を得る工程と、
を含む。
【0048】
本出願の好ましい態様として、工程(6)における前記タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材は、寸法検出に合格した後、洗浄、乾燥、包装のプロセスを順次行うことで出荷基準を達成できる。
【0049】
本願の第2の目的は、第1の目的に記載の製造方法で製造されたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を提供する。
【0050】
本出願の好ましい態様として、前記タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の緻密度は、99%よりも大きく、例えば99.2%、99.5%、99.6%、99.8%または99.9%などであるが、列挙された数値に限定されるものではなく、この数値範囲内に他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0051】
本出願は、従来技術と比較すると、少なくとも以下の効果がある。
(1)本出願に係るタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製造方法は、冷間等方圧処理と、脱気処理と、熱間等方圧処理とを組み合わせ、さらに熱間等方圧処理の温度を1050~1350℃にすることで、緻密度が99%以上でミクロ組織が均一な半導体ターゲット材の作製に適用可能なタンタルシリコンターゲット材を得ることができる。
(2)本出願に係る製造方法では、不活性雰囲気下で粉末混合プロセスを行い、不活性ガスの圧力を0.02~0.06MPaの範囲にするとともに、粉末混合中に停止して、叩き処理を行うことで、粉末混合機に、ポリウレタン・インナーライナーがさらに設けられることで、ケイ素粉が粉末混合機に吸着されることを回避し、粉末混合の均一性を確保するだけでなく、混合後のタンタルシリコン粉末中の空気含有量を効果的に減少させ、製品の純度を確保することができる。
(3)本出願に係る製造方法では、脱気プロセスの真空度を5E-3Pa~1.5E-3Paの範囲にすることで、より良い脱気効果を実現し、ケイ素粉が空気で酸化することを可及的に回避し、製品の純度もさらに確保する。
(4)本出願に係る前記タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製造方法は、プロセスが簡単で、操作が容易で、生産サイクルが短いという特徴もある。
【0052】
詳細な説明や図面を読んで理解すると、他の態様が理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、本出願に係るタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、添付図面を参照しながら、具体的な実施形態によって本出願の態様をさらに説明する。当業者には明らかなように、前記実施形態は、本出願の理解を助けるだけであって、本出願に対する具体的な制限と見なすべきではない。
【0055】
図1は、本出願に係るタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製造方法のフローチャートを示しており、この製造方法は、具体的には、
(1)タンタル粉とケイ素粉とを混合する工程と、
(2)工程(1)で混合されたタンタルシリコン粉末を金型に仕込んで封口する工程と、
(3)工程(2)で封口された金型を冷間等方圧処理してタンタルシリコン素材を得る工程と、
(4)工程(3)で得られたタンタルシリコン素材をカプセルに溶接し、脱気処理する工程と、
(5)工程(4)で脱気したカプセルを1050~1350℃で熱間等方圧処理し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を得る工程と、
(6)工程(5)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を機械加工し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を得る工程と、
(7)工程(6)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を寸法検出し、合格品に対して洗浄、乾燥、包装作業を順次行う工程と、
(8)包装した製品を出荷する工程と、を含む。
【0056】
本出願の理解を容易にするために、本出願では以下の実施例を挙げる。
【0057】
実施例1
本実施例は、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製造方法であって、
(1)タンタル粉とケイ素粉とをSi(at%)=50%の原子割合でポリウレタン・インナーライナー付きV型粉末混合機に仕込み、圧力0.04MPaのアルゴンガス雰囲気で、6r/minの混合速度で36h混合し、混合期間で6hごとに停止し、ゴムハンマーを用いてV型粉末混合機を叩く工程と、
(2)工程(1)で混合されたタンタルシリコン粉末をゴムカプセル金型に仕込んだ後、工具で固め、封口する工程と、
(3)工程(2)で封口されたゴムスリーブ金型を冷間静圧プレス機に入れ、200MPaに加圧して15min保圧して冷間等方圧処理を行い、タンタルシリコン素材を得る工程と、
(4)工程(3)で得られたタンタルシリコン素材をステンレスカプセルに入れ、アーク溶接でステンレスカバーとカプセルを溶接して封口処理し、550℃に加熱し、真空度2E-3Paで脱気処理する工程と、
(5)工程(4)で脱気したカプセルを熱間等方圧炉に入れ、1250℃に昇温し、175MPaに加圧し、そして、3h保圧保温して熱間等方圧処理し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を得る工程と、
(6)工程(5)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を機械加工して、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を得る工程と、
(7)工程(6)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を寸法検出し、合格品に対して洗浄、乾燥、包装作業を順次行う工程と、
(8)包装した製品を出荷する工程と、
を含む製造方法を提供する。
【0058】
実施例2
本実施例は、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製造方法であって、
(1)タンタル粉とケイ素粉とをSi(at%)=50%の原子割合でポリウレタン・インナーライナー付きV型粉末混合機に仕込み、圧力0.05MPaのアルゴンガス雰囲気で、20r/minの混合速度で20h混合し、混合期間で停止、叩き処理を行う工程と、
(2)工程(1)で混合されたタンタルシリコン粉末をゴムカプセル金型に入れた後、工具で固め、封口する工程と、
(3)工程(2)で封口されたゴムスリーブ金型を冷間静圧プレス機に入れ、160MPaに加圧して20min保圧して冷間等方圧処理を行い、タンタルシリコン素材を得る工程と、
(4)工程(3)で得られたタンタルシリコン素材をステンレスカプセルに入れ、アーク溶接でステンレスカバーとカプセルを溶接して封口処理し、550℃に加熱し、真空度2E-3Paで脱気処理する工程と、
(5)工程(4)で脱気したカプセルを熱間等方圧炉に入れ、1300℃に昇温し、165MPaに加圧し、そして、3h保圧保温して熱間等方圧処理し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を得る工程と、
(6)工程(5)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を機械加工して、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を得る工程と、
(7)工程(6)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を寸法検出し、合格品に対して洗浄、乾燥、包装作業を順次行う工程と、
(8)包装した製品を出荷する工程と、
を含む製造方法を提供する。
【0059】
実施例3
本実施例は、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製造方法であって、
(1)タンタル粉とケイ素粉とをSi(at%)=56%の原子割合でポリウレタン・インナーライナー付きV型粉末混合機に仕込み、圧力0.05MPaのアルゴンガス雰囲気で、12r/minの混合速度で12h混合し、混合期間で3hごとに停止し、ゴムハンマーを用いてV型粉末混合機を叩く工程と、
(2)工程(1)で混合されたタンタルシリコン粉末をゴムカプセル金型に仕込んだ後、工具で固め、封口する工程と、
(3)工程(2)で封口されたゴムスリーブ金型を冷間静圧プレス機に入れ、250MPaに加圧して40min保圧して冷間等方圧処理を行い、タンタルシリコン素材を得る工程と、
(4)工程(3)で得られたタンタルシリコン素材をステンレスカプセルに入れ、アーク溶接でステンレスカバーとカプセルを溶接して封口処理し、450℃に加熱し、真空度5.5E-3Paで脱気処理する工程と、
(5)工程(4)で脱気したカプセルを熱間等方圧炉に入れ、1150℃に昇温し、150MPaに加圧し、そして、4h保圧保温して熱間等方圧処理し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を得る工程と、
(6)工程(5)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を機械加工して、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を得る工程と、
(7)工程(6)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を寸法検出し、合格品に対して洗浄、乾燥、包装作業を順次行う工程と、
(8)包装した製品を出荷する工程と、
を含む製造方法を提供する。
【0060】
実施例4
本実施例は、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製造方法であって、
(1)タンタル粉とケイ素粉とをSi(at%)=65%の原子割合でポリウレタン・インナーライナー付きV型粉末混合機に仕込み、圧力0.05MPaのアルゴンガス雰囲気で、10r/minの混合速度で20h混合し、混合期間で4hごとに停止し、ゴムハンマーを用いてV型粉末混合機を叩く工程と、
(2)工程(1)で混合されたタンタルシリコン粉末をゴムカプセル金型に仕込んだ後、工具で固め、封口する工程と、
(3)工程(2)で封口されたゴムスリーブ金型を冷間静圧プレス機に入れ、140MPaに加圧して60min保圧して冷間等方圧処理を行い、タンタルシリコン素材を得る工程と、
(4)工程(3)で得られたタンタルシリコン素材をステンレスカプセルに入れ、アーク溶接でステンレスカバーとカプセルを溶接して封口処理し、500℃に加熱し、真空度5E-3Paで脱気処理する工程と、
(5)工程(4)で脱気したカプセルを熱間等方圧炉に入れ、1200℃に昇温し、140MPaに加圧し、そして、4h保圧保温して熱間等方圧処理し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を得る工程と、
(6)工程(5)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を機械加工して、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を得る工程と、
(7)工程(6)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を寸法検出し、合格品に対して洗浄、乾燥、包装作業を順次行う工程と、
(8)包装した製品を出荷する工程と、
を含む製造方法を提供する。
【0061】
比較例1
本比較例は、工程(5)における熱間等方圧の温度を1400℃に変更した以外は、実施例1と同じプロセス条件である。
【0062】
比較例2
本比較例は、工程(5)における熱間等方圧の温度を1000℃に変更した以外は、実施例1と同じプロセス条件である。
【0063】
上記の実施例と比較例で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材について、緻密度と、内部組織構造の均一性と、製品外観とを評価し、具体的な結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
表1から、以下の結論を得ることができる。
(1)実施例1~4で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材は、緻密度が99%以上であるだけでなく、製品にミクロ的にも均一で緻密で、空洞がなく、層状構造がないという特徴があり、半導体ターゲット材の製造要求を満たしている。
(2)実施例2では、タンタルシリコン粉末の混合中に停止、叩き処理を行わなかったため、少量のシリコン粉が凝集し、得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製品外観に少量かつ微細な黒点が生成された。実施例3では、脱気処理中の真空度が5.5E-3Paであるため、脱気効果がやや劣化し、得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の緻密度は99.1%に達したばかりである。
(3)比較例1では、熱間等方圧の温度が1400℃で比較的に高いため、製品の密度が高くないだけでなく、製品にミクロ的な空洞があり、製品が脆い、割れやすいという不具合を引き起こした。比較例2では、熱間等方圧の温度が1000℃で比較的に低いため、製品の緻密度が低いだけでなく、製品にミクロ的に空洞があり、層状構造があるという不具合を引き起こした。そのため、2つの比較例で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材は密度と内部組織構造の均一性が基準を満たしていない。
【0066】
以上により、本出願に係る製造方法は、シリコン粉末の酸化を効果的に防止し、製品の純度を確保するだけでなく、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の緻密度が99%よりも大きく、且つ内部組織構造の均一という要求を満たすことができ、しかもプロセスが簡単で、操作が容易で、生産サイクルが短いという特徴がある。
【0067】
出願者は、本出願が上記の実施例によって本出願の詳細な構造的特徴を説明するが、本出願は上記の詳細な構造的特徴に限定されるものではなく、本出願が上記の詳細な構造的特徴に依存して実施されなければならないことを意味するものではないと主張した。
【0068】
以上、本出願の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本出願は、上述した実施形態における具体的な詳細に限定されるものではなく、本願の技術的思想の範囲内で、本出願に係る技術案に種々の簡単な変形を加えることができる。
【0069】
なお、上述の具体的な実施形態に記述された個々の具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合には、いかなる適切な方式で組み合わせてもよいし、不必要な重複を避けるために、本出願では様々な可能な組み合わせについては省略する。
図1
【手続補正書】
【提出日】2020-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の製造方法であって、
(1)タンタル粉とケイ素粉とを原子割合で混合する工程と、
(2)工程(1)で混合されたタンタルシリコン粉末を金型に仕込んで封口する工程と、
(3)工程(2)で封口された金型を冷間等方圧処理してタンタルシリコン素材を得る工程と、
(4)工程(3)で得られたタンタルシリコン素材をカプセルに入れて封口して、脱気処理を行う工程と、
(5)工程(4)で脱気した前記カプセルを1050~1350℃で熱間等方圧処理し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を得る工程と、
(6)工程(5)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を機械加工し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を得る工程と、
を含む製造方法。
【請求項2】
工程(1)における前記混合は、不活性ガス雰囲気で行われる、
求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記不活性ガスの圧力は、0.02~0.06MPaである、
求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
工程(1)における混合の時間は、12~48hである、
求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
工程(1)における混合は、停止、叩き処理を含む、
求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
工程(2)における前記金型は、ゴムカプセルである、
求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
工程(3)における前記冷間等方圧処理の圧力は、140~250MPaである、
求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
工程(4)における前記カプセルはステンレスカプセルである、
求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
工程(5)における前記熱間等方圧処理の温度は、1150~1250℃である、
求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記製造方法は、
(1)タンタル粉とケイ素粉とを原子割合でポリウレタン・インナーライナー付きV型粉末混合機に仕込み、圧力0.02~0.06MPaの前記不活性ガス雰囲気で、8~12r/minの混合速度で12~24h混合し、混合期間で4~5hごとに停止して、ゴムハンマーを用いて前記V型粉末混合機を叩く工程と、
(2)工程(1)で混合されたタンタルシリコン粉末をゴムカプセル金型に仕込んだ後、工具で固め、封口する工程と、
(3)工程(2)で封口された金型を冷間静圧プレス機に入れ、160~200MPaに加圧し、20~40min保圧して冷間等方圧処理を行い、タンタルシリコン素材を得る工程と、
(4)工程(3)で得られたタンタルシリコン素材をステンレスカプセルに入れて封口し、400~600℃に加熱し、真空度4E-3Pa~2E-3Paで脱気処理する工程と、
(5)工程(4)で脱気したカプセルを熱間等方圧炉に入れ、1050~1350℃に昇温し、130~180MPaに加圧し、そして、2~6h保温保圧して熱間等方圧処理し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を得る工程と、
(6)工程(5)で得られたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の粗製品を機械加工し、タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材を得る工程と、
を含む請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材。
【請求項12】
前記タンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材の緻密度は99%よりも大きい、
請求項11に記載のタンタルシリコン合金スパッタリングターゲット材。
【国際調査報告】