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特表2022-515008小売メータデータを使用して卸売電力取引を計測するためのシステムと方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】小売メータデータを使用して卸売電力取引を計測するためのシステムと方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20220209BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523473
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(85)【翻訳文提出日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 US2019060568
(87)【国際公開番号】W WO2020139465
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】62/785,173
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/666,993
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FIREWIRE
(71)【出願人】
【識別番号】521178275
【氏名又は名称】グリッドエックス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GRIDX,INC.
【住所又は居所原語表記】1525 McCarthy Blvd.,Suite 1118,Milpitas,California 95035(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジエン
(72)【発明者】
【氏名】チン,ウェイ
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【要約】
本開示は、小売事業者メータから収集された間隔データを使用して、事業者リソース消費者集団内に仮想卸売計測を提供するためのシステム及び方法を説明する。本システム及び方法は、決済品質計測データ(SQMD)を生成するため、顧客の分集団のおおよその間隔データを導出するため、又は、間隔データの精度を改善するために使用され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業者サーバに較正された小売事業者メータから収集された間隔データを使用して、事業者リソース消費者集団内に仮想卸売計測を提供するための方法であって、
前記事業者サーバによって、事業者メータによって測定された事業者リソース消費を示す前記複数の間隔データを取得するステップと、
前記事業者サーバによって、支払請求サイクルデータを、取得された前記複数の間隔データを合計することにより決定するステップと、
前記事業者サーバによって、支払請求サイクル中における事業者リソース消費を表す登録データを取得するステップであって、前記登録データは、前記事業者メータを運用する配給事業者から送信されたものである、ステップと、
前記事業者サーバによって、較正係数を決定するために前記登録データを前記支払請求サイクルデータと比較するステップであって、前記較正係数と前記支払請求サイクルデータとの積は、前記登録データに等しい、ステップと、
前記事業者サーバによって、前記複数の間隔データを、前記複数の複数のデータにおける各間隔データに前記較正係数を適用することにより較正するステップと、
前記事業者サーバによって、較正された支払請求サイクルデータを、前記複数の較正された間隔データを合計することにより生成するステップと、
前記事業者サーバによって、補正された支払請求サイクルデータを、配給損失係数を前記較正された支払請求サイクルに適用することにより生成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
事業者配給者から配給損失係数データを取得するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補正された支払請求サイクルを、所定の期間の後に請求項1の各ステップを再実行することによって改訂するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記事業者メータは、前記プリセット間隔毎に間隔データを読み取り、支払請求サイクル毎にデータを登録するスマートメータである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記事業者メータは、前記間隔データを読み取るMV90メータである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記事業者メータは、前記登録データを読み取るアナログメータである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数の間隔データは、ネットエネルギー計測(NEM)消費者によって生成された事業者リソースを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
決済品質計測データ(SQMD)を生成するための方法であって、
事業者サーバによって、支払請求サイクル中における支払請求サイクルデータを、複数の間隔データを合計することにより決定するステップと、
前記事業者サーバによって、較正係数を決定するステップであって、前記較正係数と前記支払請求サイクルデータとの積は、登録データに等しい、ステップと、
前記事業者サーバによって、較正された支払請求サイクルデータを、前記複数の複数のデータにおける各間隔データに前記較正係数を適用すると共に、前記複数の較正された間隔データを合計することにより生成するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記事業者サーバによって、補正された支払請求サイクルデータを、配給損失係数を前記較正された支払請求サイクルに適用することにより生成するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の間隔データは、事業者メータから取得される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記登録データは、前記支払請求サイクル中に前記事業者メータにて消費された前記事業者リソースの量を示し、前記登録データは、事業者リソース配給者から取得される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記事業者メータは、前記事業者メータに関連付けられた場所の事業者リソース消費を一定の間隔で測定する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記登録データは、前記事業者リソースを提供する配給事業者から、前記事業者メータに関連付けられた場所に送信される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
小売事業者メータから収集されたメータデータを使用して、事業者リソース消費者集団に仮想卸売メータを提供するためのシステムであって、
前記事業者リソース消費者集団に関連付けられた顧客データを格納するように構成されたリレーショナルデータベースと、
前記事業者リソース消費者集団に関連付けられた各小売事業者メータの計測データを格納するように構成された非リレーショナルデータベースであって、各前記小売事業者メータは、前記小売事業者メータにて事業者リソースを測定する、非リレーショナルデータベースと、
サーバであって、
仮想卸売計測用の小売事業者メータのグループを決定し、
前記リレーショナルデータベースから、前記小売事業者メータのグループに関連付けられた顧客データを収集し、
前記非リレーショナルデータベースから、前記小売事業者メータのグループの計測データを収集し、
収集された計測データを精緻化し、
前記小売事業者メータのグループのための計測データを計算する
ように構成された、サーバと
を含む、システム。
【請求項15】
前記事業者サーバによって、リソース妥当性要件を、前記小売事業者メータのグループのために計算された計測データに基づいて決定することをさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記計測データは、各事業者小売メータによって測定され、事業者配給者によって収集された間隔データである、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記収集された計測データを精緻化することは、DLFを算定することをさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記収集された計測データを精緻化することは、前記計測データを改訂することをさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記小売事業者メータのグループは、地理的位置、支払請求プラン及び/又は事業者料率クラス等の共有された顧客特性に基づいて決定される、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記リレーショナルデータベース及び/又は前記非リレーショナルデータベースは、前記サーバからリモートに配置されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項21】
前記非リレーショナルデータベースに格納された前記計測データは、電子データ交換(EDI)を介して引き出される、請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
前記小売事業者メータのグループは、地理的に隣接する領域及び隣接しない領域のいずれかに位置する顧客集団を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項23】
前記小売事業者メータのグループは、性別、収入及び/又は年齢等の、人口統計学的特徴及びその他の特徴によって決定される、請求項14に記載のシステム。
【請求項24】
顧客の分集団についての概算間隔データを、毎月の総読み取り値と該集団の残りについての間隔データから生成された負荷プロファイルとの組み合わせから導出する方法であって、
事業者サーバによって、支払請求サイクル中における支払請求サイクルデータを、複数の間隔データを合計することにより決定するステップと、
前記事業者サーバによって、較正係数を決定するステップであって、前記較正係数と前記支払請求サイクルデータとの積は、登録データに等しい、ステップと、
前記事業者サーバによって、較正された支払請求サイクルデータを、前記複数の複数のデータにおける各間隔データに前記較正係数を適用すると共に、前記複数の較正された間隔データを合計することにより生成するステップと
を含む、方法。
【請求項25】
間隔データの精度を、毎月集約される総読み取り値に対して間隔データを較正することにより向上させる方法であって、
事業者サーバによって、較正係数を決定するために前記登録データを前記毎月集約される総読み取り値と比較するステップであって、前記較正係数と前記毎月集約される総読み取り値との積は、前記登録データに等しい、ステップと、
前記事業者サーバによって、複数の間隔データを、前記複数の複数のデータにおける各間隔データに前記較正係数を適用することにより較正するステップと、
前記事業者サーバによって、較正された支払請求サイクルデータを、前記複数の較正された間隔データを合計することにより生成するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月26日に出願された米国仮特許出願第62/785,173号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2019年10月29日に出願された米国特許出願第16/666,993号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野
様々な実施形態は、小売電気メータからのメータ読み取りを集約することによって取引される卸売電力の量を計測するためのシステム及び方法に関する。具体的には、該システム及び方法は、仮想事業者の仮想卸売メータシステム(Virtual Wholesale Metering System、VWMS)を、物理的な卸売メータを配備することなく運用することによって、仮想電力会社のクラスについての決済品質メータデータ(Settlement Quality Meter Data、SQMD)を計算することを含む。
【背景技術】
【0004】
卸売電力取引の計測は、電力供給者と、卸売市場と、負荷提供エンティティ(一般に配給事業者として知られている)との間で取引される電力の量を決定するため、重要である。卸売の計測は、互いに対する財政上の義務を決定するための基礎であって、事業者とそれらの供給者との間で解決される基礎を形成する。従来、電力市場において、このような卸売の計測方法は、様々な導入場所における供給者によって事業者へと伝送される電力の量を計測するために、事業者のサービス地域全体にわたって卸売電力メータを配備することを必要としている。これらの事業者は、物理的なグリッド及び計測システムの所有権及びそれらの運用責任の性質から、「物理的配給事業者(Physical Distribution Utility、PDU)」として知られている。
【0005】
世界中の電気配給業界における規制緩和の一環として、新しいクラスの配給事業者が現れて、市場に参入した。これらの新規参入者は、所定の法律や規制によって合法化されており、電力を卸売供給者及び/又は卸売電力市場から購入し、従来のPDUによって所有及び運営される配給グリッド及び小売計測システムを使用して、住宅用及び商業用の顧客に電力を販売する。彼らは物理的な配給グリッド及び計測システムを運用していないため、これらの新規参入者は「仮想配給事業者(Virtual Distribution Utility、VDU)」として知られており、実際には、小売電力供給者(Retail Energy Supplier、RES)、直接アクセスプロバイダ(Direct Access Provider、DAP)又は共同体選択アグリゲータ(Community Choice Aggregator、CCA)と称される。これらのVDUは、小売顧客に伝送される電力を計測するためにPDUに依存しており、PDUによって所有及び運用する卸売電気計測システムへとアクセスすることができず、そのような卸売電気計測システムへとアクセスによって、VDUと卸売供給者及び市場との間で取引される電力の量を決定し、彼らの電力供給者によってVDUへと伝送される電気の量を制限することができない。
【発明の概要】
【0006】
本技術の様々な特徴及び特性は、発明を実施するための形態の記載を図面と併せて検討することにより、当業者にとってより明らかになるであろう。本技術の実施形態は、図面において例として示され、限定ではない。これらの実施形態において、同様の参照符号は、同様の要素を示していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本明細書に開示される様々な実施形態に係る、SQMDを決定するためにVWMSを運用する背景を示す図である。
【0008】
図2図2は、本明細書に開示される様々な実施形態に係る、SQMDを決定するためにVWMSによって実行される様々なステップを示すフローチャートである。
【0009】
図3a図3aは、本明細書に開示される様々な実施形態に係る、MV90メータからSQMDを決定するために実行される様々なステップを示すフローチャートである。
【0010】
図3b図3bは、本明細書に開示される様々な実施形態に係る、スマートメータからSQMDを決定するために実行される様々なステップを示すフローチャートである。
【0011】
図3c図3cは、本明細書に開示される様々な実施形態に係る、アナログメータからSQMDを決定するために実行される様々なステップを示すフローチャートである。
【0012】
図4図4は、本明細書に開示される様々な実施形態に係る、前記システムがSQMDを計算するために使用され得るように、小売メータからのデータの収集及びPDUからVDUへの計測データの交換を容易にするデータネットワークの通信ネットワーク図である。
【0013】
図5図5は、本明細書に開示される様々な実施形態に係る、処理システムの例を示すブロック図である。
【0014】
図6図6は、配給損失係数(DLF)ファイルフォーマットの図である。
【0015】
図7図7は、様々な事業者リソース消費者のグループの電力消費を示すチャートである。
【0016】
図8図8は、事業者リソース消費者集団内において仮想卸売計測を提供するためのシステムを示すブロック図である。
【0017】
これらの図面は、例示のみを目的として様々な実施形態を描写している。当業者であれば、代替となる実施形態が本技術の原理から逸脱することなく採用され得ることを理解するであろう。したがって、特定の実施形態がこれらの図面に示されている一方で、該技術は様々な修正を受けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
電力市場では、電力生産者又は供給者は、従来の配給事業者、RES及びCCAを含む負荷提供事業体(Load Serving Entity、LSE)に電力を提供し得る。続いて、LSEは、住宅用、商業用及びその他の顧客に対して、電力を販売する。電力生産者によるLSEへの電力販売の取引は、独立系統運用者(Independent System Operator、ISO)等の卸売電力市場によって促進され得る。例えば、CAISOは、送電線及びCAISOのメンバーによって生成された電力、並びに、卸売ベースでの電力の買い手と売り手との間の決済を含む、カリフォルニアの電力市場の運営を監督するISOである。電力市場の観点から説明されているが、本明細書で説明される様々な実施形態は、水、ガス及び他のリソース等、任意の事業者リソース市場に適用可能である。
【0019】
電力市場での電力の売買取引(例えば、ISOでの取引)は、供給及び購入された電力の量の正確な測定を必要とする。一般に、SQMDは、決済期間中のLSEによる電力調達量を正確に反映する正確な決済及び支払請求の基礎である。例えば、SQMDは、LSEが電力供給者又は生産者から購入した電力の量を正確に表すために使用される。
【0020】
事業者計測システムは、LSEによって購入された事業者リソース(例えば、卸売業者からの電力)及び販売された事業者リソース(例えば、小売顧客に販売された電力)の量を測定するために使用され得る。LSEに購入されたリソースが卸売メータを使用して測定されてもよく、LSEに販売されたリソースが小売メータを使用して測定されてもよい。
【0021】
物理的な卸売メータ
SQMDの2つの可能なソースには、CAISO計測エンティティ(CAISOによって直接収集されたメータデータ)及びスケジューリングコーディネータ計測エンティティ(スケジューリングコーディネータによってCAISOに提出されたメータデータ)が含まれ、これらは両方とも、所定の場所へと伝送される卸売電力を計測するために物理的な卸売メータの配備を必要とする。卸売メータは、変電所等の所定の場所に設置されている。これらの場所のそれぞれは、送電網のローカルノードとみなされ得る。ローカルノードは、事業者リソースが導入されるポイントとして機能してもよい。いくつかの実施形態では、各ローカルノードは、ローカル限界価格を有していてもよい。したがって、ノードにて導入された電力は、そのノードに関連付けられたローカル限界価格で価格設定される。
【0022】
物理的な小売メータ
世界中の事業者は、彼らの顧客に対して個別に伝送される電力の量を測定するための小売メータを配備している。これらのメータは、「収益グレード」に較正されて認証され、定期的な間隔(例えば、1時間毎、15分毎)で読み取られる。間隔メータの読み取りデータは、事業者によって、伝送された電力について顧客に決済及び支払請求するために使用される。小売メータには、MV90メータ、スマートメータ及びアナログメータが含まれていてもよい。スマートメータは、高度計測インフラストラクチャ(Advanced Metering Infrastructure、AMI)ネットワークに接続され、測定されたメータの読み取り値を送信する。
【0023】
小売メータが卸売電気メータと同じくらい正確であることが認証されているとすると、小売メータデータは、特定の顧客集団にわたる適切な集約、登録読み取りデータに対する較正及び配給グリッド損失による補正の後に、卸売電気メータデータの金銭的同等物を計算するために使用することができる。そのような計算、較正及びエラー補正を実行するためのシステム及び方法は、本開示に記載される。
【0024】
仮想卸売計測
上記のように、物理的な卸売メータは、個々のLSE/電力供給者又は生産者によって売買された電気の量を測定するために使用されてもよい。
【0025】
電力市場におけるRES及びCCAエンティティ等の仮想配給事業者が現れたことにより、物理的な卸売メータにアクセスできない市場参加者が登場した。これらの仮想配給事業者は、典型的には、配給事業者の物理的インフラストラクチャに依存して、顧客に電力を伝送する。配給事業者は上記のように小売メータを運用するため、仮想配給事業者は、小売メータデータを集約して正確な仮想卸売メータデータを生成することにより仮想配給事業者が購入する電力を仮想的に計測するように、配給事業者からの小売メータシステムを利用してもよい。以下でさらに詳細に説明するように、正確な仮想卸計測データの生成は、概して以下の1つ以上のステップを実行することによって実現される:物理的配給事業者から小売メータデータを取得するステップ、メータデータを前処理するステップ、配給損失を算定するステップ、全てのメータを集約してSQMDを計算するステップ、及び、決済サイクルに基づいてSQMDを繰り返し改訂するステップ。
【0026】
仮想卸売計測は、RES及びCCAエンティティ等の仮想配給事業者が、電力供給者及び生産者から購入される電力の量を物理的な卸売メータを使用することなく決定することを可能にする。例えば、CCAエンティティ等の仮想配給事業者が、電力供給者又は生産者から調達される電力の量を測定するための物理的な卸売メータにアクセスできない場合であっても、配給事業者によって運用される小売メータにアクセス可能になり得る。本明細書に記載のシステム及び方法を使用して、CCAは、正確なSQMDデータを生成する仮想卸売計測を実装し得る。
【0027】
本明細書に記載のシステム及び方法はまた、きめ細かな仮想卸売計測を容易にする。これにより、市場参加者は、物理ノードとメータが配置されている場所に限定されることなく、一般化された方法で事業者消費者グループを規定できるようになる。例えば、市場参加者は、事業者消費者グループに対応する物理ノード又はメータがない場合であっても、特定の都市、通り、地方、消費者タイプ、支払請求プラン等に対応する事業者消費者グループを規定することに関与し得る。
【0028】
一実施形態では、事業者消費者グループは、配給事業者又はLSE内の消費者を含むように規定され得る。他の実施形態では、事業者消費者グループは、市場参加者が、地域の様々なレベル内における特定の消費者セットによって消費される電力の量を決定することを可能にする。実際に、事業者消費者グループは、所定の地域には全く限定されていないことがある。別の例では、地理的に広い範囲にわたる非隣接地域に広がる顧客セットによる総消費量の計測に関与する市場参加者は、仮想卸売ノードがローカルに含まれていなくてもそれらの仮想卸売ノードを規定するために、本明細書にて説明されるシステム及び方法を使用し得る。
【0029】
きめ細かな仮想計測は、仮想配給事業者、並びに、配給事業者又は他の市場参加者によって使用され得る。市場参加者は、きめ細かな仮想計測を使用して、洗練された製品、サービス及びカスタマーサポートを設計及び提供できる。市場参加者は、支払請求品質の分析を生成するために、様々な顧客セットの電力消費パターンを測定及び分析し得る。支払請求品質分析は、製品及びサービスを設計するために使用され得る(例えば、使用量、時間、スケジュール等に基づいて、設計を評価する)。例えば、仮想配給事業者、及び/又は配給事業者は、産業用電力消費者がいる地方に魅力的な価格設定プランを開発し、住宅用消費者がいる地方に魅力的な別の価格設定プランを開発し得る。別の例では、市場参加者は、財務分析とレポートを実行するために、きめ細かな仮想計測を使用し得る。仮想配給事業者及び/又は配給事業者は、仮想のきめ細かな仮想計測からのデータを使用して、特定の市場又は消費者に関連付けられた収入、支出及び収益性等のデータを収集し得る。
【0030】
きめ細かな仮想計測はまた、消費者の消費行動を分析するために使用され得る。いくつかの実施形態では、分析は、仮想及び物理的な配給事業者が顧客のマーケティング及びアウトリーチを強化するのを助けるための洞察を生み出し得る。例えば、仮想及び物理的な配給事業者は、使用パターンを分析するための情報、及び、個々の顧客にとって最も望ましい製品及びサービスを決定するのに役立つ情報を、顧客に提供してもよい。一例では、顧客はこの情報を使用して、電気自動車をいつ充電するか、及び、どのタイプのソーラーパネルを設置するかを決定してもよい。
【0031】
技術の概要
本明細書では、小売事業者メータを使用して、水、電気及びガス等などの事業者リソース(「計測データ」)の売買及び消費を記録することによって、仮想卸売計測のSQMDを正確に計算するためのシステム及び方法について説明する。さらに、1つ以上のコンピュータシステムは、処理のために計測データを収集し得る。最後に、通信システムは、事業者メータとコンピュータシステムとの間の計測データの通信を容易にし得る。
【0032】
上記のように、小売メータは、住宅用、商業用又は産業用の顧客の敷地に設置することができる。小売事業者メータによって生成されたデータは、決済期間中の配給事業者の供給者及び顧客との正確な決済計算の基礎を提供する。正確な計算を保証するために、小売計測は、様々な較正、認証及び監査プロセスを必要とする。配給グリッドの適切な運用を維持するには、特定の配給グリッドの損失を算定した後で、売買される電力の量が同じである必要がある。
【0033】
仮想配給事業者
いくつかの事業者環境では、仮想配給事業者は、小売メータデータにのみアクセスでき、卸売メータデータにはアクセスできない。仮想配給事業者の例には、RES、DAP及びCCAが含まれる。したがって、電力供給者から購入した電力の計測は、小売メータデータを集約することによって、小売顧客に販売された電力の量より導出され得る。本明細書で紹介される様々な実施形態は、卸売SQMD計算を実行するように事業者小売メータを使用するためのシステム及び方法である。事業者メータは、PG&E等の配給事業者会社によって収集されたデータを生成する収益グレードの小売メータであり得る。
【0034】
小売計測
小売支払請求のために、配給事業者会社は、スマートメータ、MV90メータ及びアナログメータ等の様々なタイプのメータから、データを収集する。
【0035】
2018年の時点で、スマートメータは、米国の電気メータの約60%を構成している。AMIネットワークを配備している配給事業者では、スマートメータがメータ全体の95%以上を占めていることがある。通常、事業者会社は、各スマートメータから以下の2セットの消費データを収集する:(1)毎日の間隔データ、(2)支払請求サイクルの最後の登録データ。間隔データは、住宅用の顧客には1時間毎に、商業用及び農業用の顧客には15分毎に電力消費量を計測するために使用される。例えば、1時間毎に電力消費量を測定するために使用される間隔データは、1日あたり24回読み取りが行われる。支払請求サイクルに30日が含まれる場合には、支払請求サイクルごとに720の間隔の読み取りがある。間隔データは、支払請求目的で使用される前に、計測システムに起因する読み取りの欠落やその他の欠陥を補正する、カリフォルニア州公共事業委員会(California Public Utilities Commission、CPUC)の標準化された検証・編集・評価(VEE)プロセス等の規則及び規制の対象となる。
【0036】
スマートメータは、一般に、データネットワーク上で常に事業者リソースの使用量を自動的に測定する電子デバイスである。例えば、スマートメータは、電気、ガス又は水の使用量を測定してもよい。スマートメータは、計測された消費データを、監視、支払請求及び記録のために事業者会社に送信することがある。スマートメータと事業者会社間の計測データの通信は、双方向通信を提供するAMIによって促進され得る。さらに、計測データの送信は、有線及び/又は無線ネットワークの両方を使用して実行され得る。
【0037】
MV90レガシーメータは、通常、収益グレードの測定値を提供することが認証されており、商業用の顧客の電力消費量を計測するために使用されることが多い。MV90レガシーメータによって生成されたデータは、典型的には15分ベースで読み取られる。アナログメータは、登録データを収集することがあり、典型的にはスマートメータを使用しない住宅用の顧客向けである。
【0038】
コンピューティングデバイス
コンピューティングデバイスは、SQMDを決定するためのシステムの一部であり得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、計測データを受信するために事業者メータと通信していてもよい。コンピューティングデバイスは、計測データをローカルに格納してもよく、計測データをリモートデータストレージに送信してもよい。さらに、コンピューティングデバイスは、受信された計測データを使用してSQMDを計算するためのプロセッサを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、図5に記載された処理システム500を使用して実装され得る。さらに、コンピューティングデバイスは、通信、処理及びストレージが複数のデバイスに分散され得る分散コンピューティングシステムとして実装されてもよい。
【0039】
決済品質メータデータシステム
図1は、決済品質メータデータを決定するように事業者メータを運用するためのシステム100を示す。該システムは、事業者リソース市場の様々な参加者のための市場として機能する独立システムオペレータ(ISO)110を含む。具体的には、ISO110は、事業者供給者が事業者リソースを買い手に販売することを可能にする。いくつかの実施形態では、供給者は、リソース供給者111a~111cを含んでいてよく、買い手は、共同体選択集約(CCA)エンティティ113、配給事業者114及びダイレクトアクセス(DA)サービス115を含んでいてもよい。
【0040】
リソース供給者111aは、事業者リソースを生産してもよく、及び/又は、市場を経由することなく買い手(例えば、CCA113)に直接提供してもよい。あるいは又はこれにさらに、リソース供給者111b~111cは、ISO110に参加している物理的配給事業者114に対して、事業者リソースを生成及び/又は提供することができる。他の仮想配給事業者(例えば、CCA113、DA115又はRES)もまた、ISO110に参加してもよい。次に、配給事業者114と仮想配給事業者との両方が、購入した事業者リソースを消費者116a~116dに販売する。いくつかの実施形態では、リソース供給者は、太陽光発電、風力発電等から生成される電力のような特殊なリソースを提供してもよい。
【0041】
ISO110は、典型的には、独自の卸売メータ112b~112cをそれぞれ動作させて、リソースの買い手/供給者によって売買される事業者リソース(例えば、電気)の量を測定する。いくつかの実施形態では、メータ112a~112cは、ローカルノード及び変電所などの送電グリッドノードに供給される卸売電力を測定する卸売メータである。例えば、メータ112aは、リソース供給者111aによってCCA113に関連付けられたノードに供給される電気の量を測定する。同様に、メータ112bは、リソース供給者112bによってISO110に関連付けられたノードに提供される事業者リソースの量を測定する。全体として、メータ112a~112cの機能は、買い手(例えば、CCA113、配給事業者114、及びDA115)に対して販売するためにノードに入力された事業者リソースの量を測定するものとみなされ得る。
【0042】
配給事業者114は、事業者リソースを消費者に配給するための物理的インフラストラクチャを提供する配給事業者会社である。インフラストラクチャには、電力線、変圧器、変電所及びリソース事業者を伝送するための他の設備が含まれる。さらに、配給事業者会社は、小売消費者に販売するための事業者リソースを生産又は取得してもよい。配給事業者114は、発電する発電所などの事業者リソースを生産するための発電資産を含んでいてもよい。より一般的には、配給事業者114は、それらの物理的インフラストラクチャを介して送電及び配給(T&D)サービスを提供する。
【0043】
CCA113、DA115及びRESは、事業者リソースを配給するための物理的インフラストラクチャを所有しない仮想配給事業者である。むしろ、仮想配給事業者は、事業者リソースを取得するためにリソース供給者と取引関係を形成し、事業者リソースを販売するために消費者(例えば、消費者116a~116d)と取引関係を形成する取引エンティティである。
【0044】
図1に示される矢印は、異なるエンティティ間の取引関係における事業者リソースの方向を表すことができる。例えば、CCA113と消費者116aとの間の矢印は、CCA113が電気の売り手であり、消費者116aが電気の買い手である取引関係を表し得る。CCA113から消費者116aへの実際の電力供給は、典型的には、配給事業者114等の配給事業者会社の物理的インフラストラクチャに依存し、これは、図1に示されている関係から独立している場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、図1に示される矢印は、電気の伝達のための取引関係及び物理的相互接続の両方を表すことがある。
【0045】
例えば、配給事業者114と消費者116cとの間の矢印は、取引関係と物理的相互接続の両方を表すことがある。さらに、配給事業者114と消費者116cとの間の矢印は、事業者リソースの潜在的な双方向フローを表す双方向矢印として示されている。消費者116cは、消費者であると同時に、事業者リソースの生成者でもあってもよい。消費者116cは、他の消費者による消費のために事業者に提供される電力を生成してもよい。例えば、ソーラーパネルは、消費者の敷地にて過剰な電力を生成することがあり、この過剰な電力が他の消費者による消費のために事業者側に流れることがある。
【0046】
消費者116a~116dは、事業者リソースを購入するために、CCA113、配給事業者114及びDA115等の事業者に関わる。例えば、消費者116a及び116bは、CCA113から電気を購入し得る。CCA113は、消費者116a及び116bに電力を供給するために、配給事業者114の物理的インフラストラクチャを利用する。同様に、消費者116cは、配給事業者114から事業者リソースを取得し、消費者116dは、DA115から事業者リソースを取得する。
【0047】
配給事業者は、典型的には、消費された事業者リソースの量を測定するために使用される小売メータ117a~117dを、それぞれ、消費者116a~116dの敷地内に設置する。いくつかの実施形態では、メータ117a~117dは、それぞれ、消費者116a~116dが受け取る電気の量を測定する小売メータである。例えば、メータ117aは、CCA113から消費者116aが受け取る電力の量を測定し、メータ117bは、CCA113から消費者116bが受け取る電力の量を測定し、メータ117cは、配給事業者114から消費者116cが受け取る電力の量を測定し、メータ117dは、DA115から消費者116dが受け取る電気の量を測定する。
【0048】
事業者リソースの送信及び配給に加えて、システム100はまた、消費された事業者リソースの消費者への正確な支払請求を容易にする。例えば、配給事業者114は、その物理的インフラストラクチャに接続された全ての消費者に対して、支払請求を生成することができる。上記のように、配給事業者114以外の供給者から事業者リソースを購入する消費者(例えば、CCA113及びDA115等の仮想配給事業者)は、依然として、事業者リソースを受け取るために配給事業者114の物理的インフラストラクチャに依存し得る。配給事業者114は、その物理的インフラストラクチャ上の消費者(例えば、消費者116a~116d)に送られる支払請求を生成する。支払請求には、以下の2つの要素が含まれ得る:仮想配給事業者(CCA113又はDA115等)によって提供される電力のコストをカバーする第1の要素、及び、事業者リソース配給事業者114の送信及び配給の料金をカバーする第2の要素。
【0049】
いくつかの実施形態では、CCA113は、配給事業者114から計測データ118を受信してもよい。計測データ118は、事業者メータ117a~117d等の小売メータによる測定であってもよい。計測データ118は、CCA113によって、請求料金119を計算するために使用されてもよい。次に、支払請求料金119は、上記のように消費者に送信される支払請求の第1の要素を生成するように、配給事業者114によって使用されてもよい。
【0050】
登録支払請求データを使用して間隔データを調整する手順
図2は、登録支払請求データを使用して間隔データを較正するためのプロセス200を示す。図2のプロセスは、本明細書に記載される様々な方法と組み合わせて実行することができる。例えば、プロセス200の各ステップは、例えば、図3a~3cに記載されるプロセスにおけるメータのように、種々異なるタイプのメータに適用されてもよい。
【0051】
ステップ201では、コンピュータシステムは、事業者メータによって測定された事業者リソース消費を示す複数の間隔データを、配給事業者から取得する。いくつかの実施形態では、事業者メータは、事前設定された間隔毎に間隔データを読み取り、支払請求サイクル毎にデータを登録するスマートメータである。他の実施形態では、事業者メータは、間隔データを読み取るMV90メータ、又は、登録データを読み取るアナログメータである。所定の実施形態では、スマートメータは、高度計測インフラストラクチャ(AMI)ネットワークを介してデータを送信することにより、間隔データを提供してもよい。
【0052】
さらに、間隔データは、ネットエネルギー計測(NEM)消費者により、生成された電力を算定し得る。例えば、消費のために事業者リソースを受け取る施設はまた、電気を生成するためにソーラーパネルを使用している等のリソース生成機能も有していることがある。
【0053】
ステップ202では、コンピュータシステムは、支払請求サイクル内で複数の間隔データを合計する。間隔データは、事前決定された期間毎に事業者メータによって測定され得る。例えば、間隔データは、農業用及び商業用の顧客によって15分毎に測定されてもよい。別の例では、間隔データは、住宅用の顧客について1時間毎に測定されてもよい。いくつかの実施形態では、支払請求サイクルデータは、単一の月を含んでいてもよい。したがって、支払請求サイクルデータを決定するために、所望の月に収集される間隔データが収集及び合算される。
【0054】
ステップ203では、コンピュータシステムは、支払請求サイクルの間における総事業者リソース消費を表す登録データを取得する。いくつかの実施形態では、登録データは、事業者リソースを消費者に提供する配給事業者から送信される。登録データは、各支払請求サイクルの最後に決定されてもよい。例えば、登録は、月末に決定されてもよい。
【0055】
ステップ204では、間隔データにおける精度を確保すると共に欠陥を排除するため、間隔データは、支払請求サイクル全体の間隔の合計を同じ支払請求サイクルの登録データと比較することによって較正される。計測された間隔データが正確である場合には、間隔サイクルの合計は、登録データと同等である必要がある。計測された間隔データが正確でない場合には、較正プロセスでは、間隔データは較正係数によって調整される。較正係数は、以下の式を使用して計算される。
【数1】
ここで、
-I(n)は、支払請求サイクルの間隔データである
-Rは、同じ支払請求サイクルの登録データである。
-ΣnI(n)は、同じ支払請求サイクル内の全ての間隔の合計である。
【0056】
ステップ205では、コンピュータシステムは、複数の複数のデータの各間隔データに較正係数を適用することによって、複数の間隔データを較正する。例えば、ステップ204から計算された較正係数が、各間隔データに乗算され得る。結果として得られる各データは、較正された間隔データであり得る。
【0057】
ステップ206では、コンピュータシステムは、配給損失係数(DLF)データを取得する。いくつかの実施形態では、DLFは、配給事業者から取得されてもよい。
【0058】
ステップ207では、コンピュータシステムは、較正された間隔データに配給損失係数を適用することによって、補正された間隔データを生成する。例えば、補正及び較正された間隔データは、上記の較正された間隔データにDLFを乗算することによって計算され得る。補正及び較正された間隔データは、次の式を使用して表され得る。
IntervalCorrected = Interval * DLF(電圧レベル, Hour_of_Day(その日の時間))
【0059】
DLFは、電圧レベル及びその日の時間の関数であり、各配給事業者によって公表されている。
【0060】
ステップ208では、コンピュータシステムは、同じ価格設定プランを共有する顧客の分集団内における全ての顧客にわたる補正及び較正された間隔データを、SQMD内へと集約する。
【0061】
ステップ209で、コンピュータシステムは、更新されたデータを使用して上記のステップ201~208を繰り返して、独立システムオペレータ(Independent System Operator)が公表した決済サイクルに基づいて、SQMDを改訂する。例えば、この改訂はCAISO SQMDの決済サイクル及びその他の提出要件に従って提出され得る。追加の情報は、“Meter Data Acquisition and Processing Procedure(メータデータの取得及び処理手順)”(https://www.caiso.com/Documents/5740.pdfにて入手可能)、及び、“California Independent System Operator Corporation Fifth Replacement FERC Electric Tariff(カリフォルニア州独立系統運用機関、第5代替FERC電気料金)”(https://www.caiso.com/Documents/Section10_Metering_May1_2014.pdfにて入手可能)に見られる。
【0062】
いくつかの実施形態では、第2の決済サイクルのSQMDは、第1の決済サイクルのSQMDに基づいて改訂される。例えば、SQMDの提出期限は、以下の表1を使用して決定され得る:
【表1】
表1では、第1の決済サイクルのSQMD提出日は、取引日に8営業日を加えたものである。第1の決済サイクルのCAISO決済日は、取引日に12営業日を加えたものである。同様に、第2の決済サイクルのSQMD提出日は、取引日に48営業日を加えたものである。第2の決済サイクルのCAISO決済日は、取引日に55営業日を加えたものである。T+8B及びT+48Bの提出期限は、CAISOの決済スケジュールによって決定され得る。この決済スケジュールは、http://www.caiso.com/market/Pages/Settlements/Default.aspxに見られる。
【0063】
MV90メータからSQMDを決定するための手順
図3aは、MV90メータからSQMDを決定するためのプロセス301を示す。ステップ310では、MV90メータからの間隔及び登録データが配給事業者から取得されて検証される。ステップ311では、上記の図2のステップ207及び208と一致する方法で、間隔データがDLFによって補正される。
【0064】
次に、ステップ312では、取得されて補正された間隔データに基づいて、SQMDが計算される。SQMDの計算には、同じ価格設定プランを共有する顧客の分集団内における全ての顧客にわたる間隔データの集約が含まれる。
【0065】
いくつかの実施形態では、15分MV90メータ間隔データは、まず1時間毎の間隔データ内へと集約される。次に、1時間毎の間隔データがDLF用に補正され、同じ価格設定プランを共有する全ての顧客にわたって集約されて、CAISO等の独立システムオペレータ(ISO)に報告するためのSQMDが計算される。いくつかの実施形態では、顧客は太陽光発電を有し得る。消費された事業者リソースの量を表すMV90からの間隔データは、補正されてネッティングされた間隔がSQMD内へと集約される前に、まずは生成を表す間隔データ(例えば、間隔消費から間隔生成を引いたもの)に対して1時間毎にネッティングされる。
【0066】
ステップ313では、プロセス301は、より多くの計測データを取得するか、又は、生成されたSQMDの改訂に進むかを決定する。より多くの計測データを取得する必要がある場合には、プロセス301は、310へと進む。一方で、生成されたSQMDを改訂する必要がある場合には、プロセス301は、ステップ314へと進む。
【0067】
ステップ314では、計算されたSQMDは、決済サイクル全体にわたって改訂される。いくつかの実施形態では、SQMDは、図2のステップ209と一致する方法で改訂され得る。
【0068】
スマートメータからSQMDを決定するための手順
図3bは、スマートメータからSQMDを決定するためのプロセス302を示す。ステップ320では、スマートメータからの間隔及び登録データは、配給事業者から取得される。いくつかの実施形態では、間隔データは、配給事業者によって、商業用及び農業用の顧客から15分毎に収集される。同様に、いくつかの実施形態では、間隔データは、配給事業者によって、住宅用の顧客について1時間毎に収集される。
【0069】
ステップ321では、スマートメータによって収集された計測データは、SQMDの計算の前に前処理され得る。いくつかの実施形態では、較正は、図2のステップ204及び205と一致する方法で実行されてもよい。
【0070】
ステップ322では、較正された間隔データは、SQMDを計算するために使用される前に、上記の較正された間隔に配給損失係数(DLF)を乗算することにより、配給損失について補正される。配給損失の算定は、上記のステップ206及び207と一致する方法で実行される。
【0071】
ステップ323では、SQMDは、同じ価格設定プラン内における全ての顧客にわたって集約することによって較正及び補正された間隔データに基づいて計算される。いくつかの実施形態では、SQMDの計算は、較正及び補正された時間間隔データの集約、及び/又は、NEMデータについての間隔データの処理を伴う。この計算は、上記のステップ312と一致する方法で実行されてもよい。
【0072】
ステップ324では、プロセス302は、より多くの計測データを取得するかどうかを決定する。より多くの計測データを取得する必要がある場合には、プロセス302は、320へと進む。一方で、計測データをこれ以上取得する必要がない場合には、プロセス302は、ステップ325へと進む。
【0073】
いくつかの実施形態では、ステップ320~323は、毎日1回実行されてもよい。ステップ320~323を数サイクル処理した後、プロセス302は、生成されたSQMDを改訂するためにステップ325へと進む。
【0074】
ステップ325では、計算されたSQMDは、決済サイクル全体にわたるより新しいデータで改訂される。改訂は、独立系システム運用者(Independent System Operator)の規則及び規制に従って提出され得る。計算は、上記のステップ314と一致する方法で実行されてもよく、MV90計測データのSQMDを改訂することを伴う。
【0075】
アナログメータからのSQMDの決定
図3cは、アナログメータからSQMDを決定するためのプロセス303を示す。ステップ330では、アナログメータからの登録データは、配給事業者から取得される。いくつかの実施形態では、メータデータは、メータ運用者によって読み取られてもよく、データネットワークを介してメータ運用者へと送信されてもよい。
【0076】
ステップ331では、負荷プロファイルが、様々な方法に基づくデータセットを使用して導出される。例えば、負荷プロファイルは、公表されているシステム全体の配給事業者の消費パターンに基づいて導出され得る。別の例では、負荷プロファイルは、全ての顧客にわたって較正された間隔データを集約することによって、スマートメータ及びMV90メータを含む残りの顧客集団の較正された間隔データから導出され得る。
【0077】
さらに、負荷プロファイルは、特定の場所に限定される必要はない。例えば、消費データは、地理的に広い範囲の非隣接地域から収集されてもよい。消費データセットは、それらの地域ではなく、消費者のタイプに基づいてまとめられてもよい。例えば、非隣接地域に跨る商業施設の間隔データが収集されてもよい。同様に、一戸建ての消費データが収集されてデータセットにまとめられてよく、その一方で、大規模住宅建築の消費データが収集されて別のデータセットにまとめられてもよい。
【0078】
ステップ332では、アナログメータによって収集された登録支払請求データは、ステップ331からの負荷プロファイルで改造され、それによって間隔データを導出する。
【0079】
ステップ333では、改造された間隔データは、上記の較正された間隔に配給損失係数(DLF)を乗算することにより、配給損失について補正される。配給損失の算定は、上記のステップ206及び207と一致する方法で実行される。
【0080】
ステップ334では、SQMDは、同じ価格設定プラン内における全ての顧客からの改造及び補正された間隔データを集約することによって計算される。
【0081】
ステップ335では、プロセス303は、より多くの計測データを取得するかどうかを決定する。より多くの計測データを取得する必要がある場合には、プロセス303は、330へと進み、330~334を繰り返す。一方で、計測データをこれ以上取得する必要がない場合には、プロセス303は、ステップ335へと進む。
【0082】
ステップ336では、計算されたSQMDは、決済サイクル全体にわたるより新しいデータで改訂される。登録及び派生間隔データの両方が、改訂の対象となり得る。この改訂は、関連する独立系システム運用者(Independent System Operator)の規則及び規制に従って提出され得る。計算は、上記のステップ314及び325と一致する方法で実行されてもよく、MV90計測データのSQMDを改訂することを伴う。
【0083】
保存されたSQMD結果はまた、SQMDファイルにエクスポートされてもよい。次に、SQMDファイルは、データの比較、分析及び監査の目的でアクセスされ得る。さらに、エクスポートされたSQMDファイルもまた、CAISOに送信する前にアーカイブされる必要がある。SQMDの結果は、CAISOに提出する前に検証されてもよい。2つの検証方法として、事前に構成された規則及びスクリプトを通じて自動的に実行する方法と、ユーザインタフェースを使用して手動で実行する方法とが想定される。
【0084】
ネットワークシステムと処理システム
ネットワークシステム
SQMDの結果は、アーカイブ及び将来の参照のため、データベースに保存され得る。データベースは、ローカルストレージ内に格納されてもよく、リモートストレージ内に格納されてもよい。例えば、データベースは、ローカルコンピューティングデバイス上でホストされてもよく、リモートコンピューティングデバイス上でホストされてもよい。リモートコンピューティングデバイスは、通信ネットワークを介して通信可能に接続され得る。さらに、格納されたデータは、リモートコンピューティングデバイスに有線又は無線システムを介して送信され得る。ローカルストレージ及びリモートストレージにわたるSQMD結果のストレージは、図4に示される通信システム400に従って移植され得る。
【0085】
通信システム400は、SQMDを計算するためのシステムの機能を促進する。通信ネットワーク400は、コンピューティングデバイス430と、事業者メータ451、461及び471との間のデータ通信を可能にする。事業者メータ451、461及び471の1つの機能は、事業者リソースの使用量又は消費量を示す計測データ480~482を測定することである。事業者メータは、様々な適用例における様々な場所に配置され得る。例えば、事業者メータ451は、その敷地での事業者リソース使用量を測定するために、産業用又は商業用の敷地450に配備され得る。同様に、事業者メータ461は、住宅での事業者リソース使用量を測定するために、住宅用の家屋460に配備され得る。最後に、事業者メータ471は、農業用の敷地の事業者リソース使用量を測定するために、農業用の敷地470に配備され得る。さらに、各事業者メータ451、461及び471は、スマートメータ、MV90メータ、アナログメータ等の異なるタイプのメータであってもよい。
【0086】
通信ネットワーク420は、計測データ480~482がコンピューティングデバイス430及び/又はリモートデータストレージ440に送信されることを可能にする。さらに、通信ネットワーク420は、コンピューティングデバイス430とリモートデータストレージ440との間において、計算されたSQMDの交換を可能にする。事業者メータ451、461及び471とコンピューティングデバイス430及びリモートデータストレージ440との間の通信ネットワーク420において確立された接続は、有線又は無線技術を使用して促進され得る。さらに、通信ネットワーク420は、追加の事業者メータ、コンピューティングデバイス、リモートデータストレージユニット及び他のデバイスを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、計測された間隔データ493は、リモートデータストレージ440及びリモートデータストレージ492をそれぞれ使用して、物理的配給事業者490と仮想配給事業者491との間で交換され得る。
【0087】
処理システム
図5は、本明細書に記載の少なくともいくつかの動作を実装可能な処理システム400の例を示すブロック図である。
【0088】
処理システム500は、1つ以上の中央処理ユニット(「プロセッサ」)502と、メインメモリ506と、不揮発性メモリ510と、ネットワークアダプタ512(例えば、ネットワークインタフェース)と、ビデオディスプレイ518と、入力/出力デバイス520と、制御デバイス522(例えば、キーボード及びポインティングデバイス)と、記憶媒体526を含むドライブユニット524と、バス516に通信可能に接続された信号生成デバイス530とを含んでいてもよい。バス516は、適切なブリッジ、アダプタ又はコントローラによって接続された1つ以上の物理バス及び/又はポイントツーポイント接続を表す抽象概念として図示されている。したがって、バス516には、システムバス、周辺機器相互接続(Peripheral Component Interconnect、PCI)バス又はPCI-Expressバス、HyperTransport又は業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、小型コンピュータシステムインタフェース(SCSI)バス、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IIC(I2C)バス、又は電気電子技術者協会(IEEE)の標準1394バス(「Firewire」とも称される)が含まれ得る。
【0089】
処理システム500は、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ゲームコンソール、音楽プレーヤ、ウェアラブル電子デバイス(例えば、時計又はフィットネストラッカー)、ネットワーク接続(「スマート」)デバイス(例えば、テレビ又はホームアシスタントデバイス)、仮想/拡張現実システム(例えば、ヘッドマウントディスプレイ)、又は、処理システム500によって行われることになる(1つ以上の)アクションを指定する命令のセットを(逐次的に又はそれ以外の方法で)実行可能な別の電子デバイスと同様のコンピュータプロセッサアーキテクチャを共有してもよい。
【0090】
メインメモリ506、不揮発性メモリ510及び記憶媒体526(「機械可読媒体」とも称される)は、単一の媒体として示されているが、用語「機械可読媒体」及び「記憶媒体」は、1つ以上の命令のセット528を記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中データベース若しくは分散データベース、並びに/又は、関連するキャッシュ及びサーバ)を含むと解されるべきである。用語「機械可読媒体」及び「記憶媒体」は、処理システム500により実行される命令のセットを格納、符号化又は運搬可能な任意の媒体を含むと解されるべきである。
【0091】
全体として、本開示の実施形態を実施するために実行されるルーチンは、オペレーティングシステム又は特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール若しくは命令シーケンス(あわせて「コンピュータプログラム」と称される)の一部として実装されてもよい。コンピュータプログラムは、典型的には、コンピュータの様々なメモリ及び記憶デバイス内に、種々の時点にセットされた1つ以上の命令(例えば、命令504,508,528)を含む。該(1つ以上の)命令は、1つ以上のプロセッサ502によって読み取られて実行された際に、処理システム500に、本開示の様々な態様を伴う要素を実行する動作を行わせる。
【0092】
さらに、実施形態は、完全に機能するコンピューティングデバイスの文脈にて記載されているが、当業者であれば、種々の実施形態が様々な形態のプログラム製品として配布可能であることを理解するであろう。本開示は、実際に配布を行うために使用される機械又はコンピュータ可読媒体の特定のタイプにかかわらず適用される。
【0093】
機械可読記憶媒体、機械可読媒体又はコンピュータ可読媒体のさらなる例には、揮発性及び不揮発性メモリデバイス510、フロッピー及び他のリムーバブルディスク、ハードディスクドライブ、光ディスク(例えば、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD))等のような記録可能型媒体、及び、デジタル及びアナログ通信リンクのような伝送型媒体が含まれる。
【0094】
ネットワークアダプタ512は、処理システム500が、処理システム500及び外部エンティティによってサポートされる任意の通信プロトコルを通じて、処理システム500の外部にあるエンティティを用いてネットワーク514内のデータを仲介することを可能にする。ネットワークアダプタ512は、ネットワークアダプタカード、ワイヤレスネットワークインタフェースカード、ルータ、アクセスポイント、ワイヤレスルータ、スイッチ、マルチレイヤスイッチ、プロトコル変換器、ゲートウェイ、ブリッジ、ブリッジルータ、ハブ、デジタルメディアレシーバ及び/又はリピータを含むことができる。
【0095】
ネットワークアダプタ512は、コンピュータネットワーク内のデータにアクセス/プロキシするためのパーミッションを統御及び/又は管理してもよく、かつ、種々異なるマシン及び/又はアプリケーションの間の様々なレベルの信頼を追跡するファイアウォールを含んでいてもよい。ファイアウォールは、特定のマシンのセットとアプリケーションとの間、マシンとマシンとの間、及び/又は、アプリケーションとアプリケーションとの間で(例えば、これらのエンティティ間のトラフィック及びリソース共有のフローを規制するために)所定のアクセス権のセットを実施可能なハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネントの任意の組み合わせを有する、任意の数のモジュールであり得る。ファイアウォールはさらに、個人、マシン及び/又はアプリケーションによるオブジェクトのアクセス権及び操作権を含むパーミッション、並びに、パーミッション権が有効である状況について詳述するアクセス制御リストを管理する、及び/又は、該アクセス制御リストにアクセスすることができる。
【0096】
本明細書にて提示される技術は、プログラム可能な回路(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ)、ソフトウェア及び/若しくはファームウェア、専用のハードワイヤード(すなわち、プログラム不可能な)回路、又は、そのような形態の組み合わせによって実装され得る。専用の回路は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の形式であり得る。
【0097】
図6は、配給損失係数ファイルフォーマットの図を示す。このフォーマットはASCIIテキスト行を利用しており、ASCIIキャリッジリターンにより終了する。さらに、このファイルの各行は、カンマ区切りの個々のフィールドを備えた一連のフリーフォーマットのフィールドで構成される。
【0098】
図7は、事業者リソース消費者の様々なグループの電力消費を示すチャートである。具体的には、曲線701と702はそれぞれ、1日を通しての事業者消費者のグループの電力消費量を表している。曲線703は、曲線701及び702の平均電力消費量を表す。いくつかの実施形態では、事業者リソース消費者の各グループは、地理、支払請求率、消費者のタイプ又は任意の他の特性によって規定されてもよい。例えば、事業者リソース消費者のグループは、仮想卸計測グループによって規定され得る。
【0099】
一例では、曲線701は、電力消費は多いが電力生成も多い消費者のグループを含む仮想卸売計測グループを表す。仮想卸売計測グループは、昼の間にはNEMの消費者から電力を生成し得る。NEMの消費者は、例えば、太陽が最も強い昼の間に最も多くの電力を生成するソーラーパネルを使用して、電力を生成し得る。したがって、昼の間において、曲線701に示されている仮想卸計測グループの電力の正味消費量は、大幅に減少する。
【0100】
これに対し、曲線702は、電力消費は少ないが電力生成も少ない消費者のグループを含む仮想卸売計測グループを表す。この卸売計測グループは、需要の弱さや人口の減少等によって電力消費が概ね少なくなる消費者を代表し得る。さらに、この卸売計測グループは、例えば、ソーラーパネルを使用して発電するために利用できる太陽光が少ないため、電力の生成量が少なくなることがある。結果として、曲線701のピーク需要は、曲線701のピーク需要よりも低くなっている。さらに、曲線701の最低需要は、曲線702の最低需要点よりも高くなっている。最後に、曲線703は、曲線701と曲線702との平均値を表す。
【0101】
曲線701~703は、事業者配給者からの負荷プロファイルデータを使用して生成され得る。あるいは、曲線701~703は、図2又は図3a~3cのプロセスを使用して生成されたデータ等のSQMDデータから生成されてもよい。さらに、曲線701~703は、特定の消費者グループのピーク需要を決定するために使用され得る。さらに、曲線701~703は、負荷プロファイル又は測定されたピーク需要を超える事業者リソース容量を供給するために使用され得る。十分な容量を供給するためにSQMDを使用することにより、需要がより正確に決定されるため、リソースが節約され得る。
【0102】
図8は、小売事業者メータからのSQMDを使用して、事業者リソース消費者集団に仮想卸売計測を提供するためのシステム800を示す。いくつかの実施形態では、システムは、リレーショナルデータベース801と、非リレーショナルデータベース802と、サーバ803とを含み得る。いくつかの実施形態では、リレーショナルデータベース801及び/又は非リレーショナルデータベース802は、サーバ803からリモートに配置され、データネットワークを介して接続される。他の実施形態では、リレーショナルデータベース801及び/又は非リレーショナルデータベース802は、サーバ803の一部として実装されてもよい。
【0103】
リレーショナルデータベース801は、メータタイプを含む事業者リソース消費者の母集団に関連する顧客データを格納するように構成されてもよい。顧客データは、事業者リソース消費者のグループを表す属性データであってもよく、該グループ内の消費者は、地理的位置、支払請求プラン及び/又は事業者料率クラス等の共有顧客特性を有していてもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、リレーショナルデータベース801は、電子データ交換(EDI)806から顧客データを受信し得る。EDIは、パートナー間でデータを交換するための標準化された電子フォーマットである。EDIを使用して、企業は物理的な紙を使用せずに文書又は情報を伝達し得る。この標準化されたフォーマットは、ドキュメントが自動的に送信、受信及び解析されることを可能にする。さらに、EDIを使用して、支払請求、支払、送金、メータの使用状況等の事業者情報に関連するメッセージの交換を可能にするために、直接アクセス取引セットが規定されてもよい。特に、計測データを転送するためのメッセージが規定され得る。
【0105】
非リレーショナルデータベース802は、事業者リソース消費者集団に関連付けられた各小売事業者メータの計測された間隔データ805を格納するように構成され得る。ここで、各小売事業者メータは、その小売事業者メータにて事業者リソースを測定する。格納された計測された間隔データ805は、各事業者小売メータによって1時間毎又は15分毎のいずれかの間隔で測定され、配給事業者によって収集された間隔データであり得る。さらに、計測された間隔データ805は、DLFのために補正されることが求められることがあり、又は、更新された又はより新しい間隔データで改訂されることが求められることがある。非リレーショナルデータベースは、3つの主要な考慮事項のために使用される。第1に、間隔データは、多数の小売メータから高頻度で収集されるため、極めて大量になることがある。第2に、上記のSQMDの計算に使用される手順には、一連の複雑なデータ処理が含まれる。データ処理をサポートするために、非リレーショナルデータベースがその速度と計算能力のために使用される。最後に、SQMDを計算する手順には、多数の間隔データの繰り返しの取得及び格納が含まれる。非リレーショナルデータベースは、間隔データの取得及び格納を繰り返すためにデータを列指向(Columnar)フォーマットで格納するのに効率的である。
【0106】
システム800はまた、サーバ803を含み得る。いくつかの実施形態では、サーバ803は、サーバのクラスタであってもよい。サーバ803は、仮想卸売計測用の小売事業者メータのグループを決定するように構成され得る。サーバ803は、小売事業者メータのグループに関連する顧客データを収集して、SQMDの計算の前に、較正、補正及び(アナログメータの場合は)間隔データの改造を案内するために、該顧客データを使用してもよい。いくつかの例では、顧客データがリレーショナルデータベース801から収集されてもよく、その一方で、小売事業者メータのグループの間隔メータデータが非リレーショナルデータベースから収集されてもよい。
【0107】
特許請求された主題における種々の実施形態についての前述の説明は、例示及び説明のために提供されたものである。該説明は、網羅的であることや、特許請求された主題を開示された正確な形態に限定することを意図したものではない。多くの改変及び変形は、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の原理及びその実際の応用を最も良く説明するために選択及び記載されており、そのため、関連技術の当業者は、特許請求された主題、種々の実施形態及び考慮される特定の用途に適した種々の修正を、これらの実施形態から理解することができる。
【0108】
詳細な説明では特定の実施形態及び考慮される最良の形態について説明しているが、上記にてどの程度まで詳細に開示されているかにかかわらず、それらの実施形態は多くの方法にて実施され得る。実施形態は、それらの実装の詳細において相当に変化することがあるが、それらは依然として本明細書に包含される。種々の実施形態における特定の機能又は態様を説明する際に使用される特定の用語は、本明細書において、関連する本技術の特定の特徴、機能、又は態様に限定されるようにその用語が再定義されることを暗に意味するものとして理解されるべきではない。全体として、以下の特許請求の範囲にて使用される用語は、本明細書で明示的に定義されていない限り、本技術を本明細書に開示される特定の実施形態にまで限定するように解釈されるべきではない。したがって、本技術の実際の範囲は、開示の実施形態だけでなく、それらの実施形態を実施又は実装する全ての均等な方法を包含する。
【0109】
本明細書で使用される言語は、主に可読性及び教示目的のために選択されたものであって、本発明の主題を線引き又は制限するために選択されていないことがある。したがって、本技術の範囲は、この詳細な説明によってではなく、本明細書に基づく出願において公表される任意の請求項によって限定されることが意図される。したがって、種々の実施形態の開示は、以下の特許請求の範囲に記載されるような技術の範囲を例示するものであって、それらを限定するものではないことが意図される。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】