IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特表2022-515043高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業用糸およびその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業用糸およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/84 20060101AFI20220209BHJP
   C08G 63/183 20060101ALI20220209BHJP
   C08G 63/78 20060101ALI20220209BHJP
   C08G 63/85 20060101ALI20220209BHJP
   C08G 63/80 20060101ALI20220209BHJP
   C07C 31/20 20060101ALI20220209BHJP
   C07C 29/17 20060101ALI20220209BHJP
   C07B 61/00 20060101ALI20220209BHJP
   D01D 7/00 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
D01F6/84 301H
C08G63/183
C08G63/78
C08G63/85
C08G63/80
D01F6/84 301D
C07C31/20 Z
C07C29/17
C07B61/00 300
D01D7/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533197
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2019113658
(87)【国際公開番号】W WO2020134490
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】201811615745.3
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518015734
【氏名又は名称】江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯 方明
(72)【発明者】
【氏名】王 山水
(72)【発明者】
【氏名】楊 大矛
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
4J029
4L035
4L045
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB46
4H006AB84
4H006AC11
4H006AC41
4H006BA25
4H006BB14
4H006BE10
4H006BE20
4H006FE11
4H006FG29
4H039CA19
4H039CB10
4J029AA03
4J029AB01
4J029AB04
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD01
4J029AE02
4J029BA03
4J029BA07
4J029CB06A
4J029HA01
4J029HB01
4J029JA091
4J029JA093
4J029JB131
4J029JB171
4J029JC483
4J029JC583
4J029JF323
4J029JF471
4J029KA02
4J029KB02
4J029KB13
4J029KB24
4J029KB25
4J029KC02
4J029KD01
4J029KD02
4J029KD05
4J029KD07
4J029KD17
4J029KE03
4J029KE05
4J029KE12
4L035AA05
4L035BB31
4L035CC07
4L035GG01
4L035GG05
4L045AA05
4L045DA19
4L045DA23
4L045DA48
4L045DC01
4L045DC03
4L045DC21
(57)【要約】
高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業用糸およびその製造方法を提供することを課題とする。高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業用糸の製造方法は、テレフタル酸、エチレングリコール及びテトラブチルヘプタジオールを均一に混合させエステル化させさらに重縮合させて改質ポリエステルになさせ、そして改質したポリエステルを固相重合、溶融、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱固定、弛緩熱処理、活性化剤塗布、巻取り及び活性化前処理の流れにより繊維になさせることである。そのうちに、弛緩熱処理は改質ポリエステル長繊維を適切な弛緩状態で一定の温度がある空間を経させることであり、適切な弛緩状態は巻取り過給率が3.0~5.0%とすることであり、一定の温度は熱処理温度を200~220℃に限ることであり。本発明はテトラブチルヘプタジオールでポリエステルを改質して活性化剤を効率する一方、熱処理と過給率制御との協同作用によって繊維の応用熱収縮を低め、操業が便利である。
【選択図】無し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸の製造方法において、
改質ポリエステルを固相重縮合による増粘、溶融、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱定型、弛緩熱処理、活性オイルによるオイリング、巻取り、及び活性化前処理の工程により処理することにより、高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸を取得し、
固相重縮合による増粘が行われる前の改質ポリエステルは、テレフタル酸、エチレングリコール、及びtert-ブチルを有するヘプタンジオールを均一に混合した後、エステル化反応及び重縮合反応をこの順で行うことにより製造され、
前記tert-ブチルを有するヘプタンジオールの構造式は、
【化1】
であり、式中、Rは、-H、-CH2CH3、-CH(CH32又は-C(CH33であり、
前記弛緩熱処理は、改質ポリエステル糸束を適当な弛緩状態で特定温度の空間を通させる処理であり、
前記適当な弛緩状態は、巻取り過給率が3.0~5.0%である状態であり、
前記特定温度は、200~220℃である
ことを特徴とする高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸の製造方法。
【請求項2】
前記高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸は、繊度が930~1670dtexであり、破断強度が7.8cN/dtex以上であり、線密度偏差率が±1.2であり、破断強度CV値が2.5%以下であり、破断伸び率が11.0~13.5%であり、破断伸び率の偏差率が±1.5%であり、破断伸度CV値が8.0%以下であり、4.0cN/dtex荷重下での伸び率が6.0~7.0%であり、4.0cN/dtex荷重下での伸び率の偏差率が±0.8%であり、ネットワーク度が6±2~3個/mである
ことを特徴とする請求項1に記載の高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸の製造方法。
【請求項3】
前記高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸は、177℃、10min、0.05cN/dtexの条件における乾熱収縮率が2.5±0.5%であり、
H抽出法により測定された加硫ゴムと1100dtex/192F高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸から製造された線維コードとの静的接着強度は、49~53Nであり、
加硫ゴムと1670dtex/192F高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸から製造された線維コードとの静的接着強度は、55~62Nである
ことを特徴とする請求項2に記載の高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸の製造方法。
【請求項4】
前記特定温度の空間は、平行かつ非同一平面上に配列される一対の熱板の間の空間であり、
前記熱板は、最後の一組の熱定型ローラと巻き取りローラとの間に位置し、前記改質ポリエステル糸束の走行方向に沿って配置され、
一対の前記熱板は、長さが3.0~4.0mであり、両端が揃っており、
前記改質ポリエステル糸束が一対の前記熱板の間を通る際に、前記改質ポリエステル糸束と一対の前記熱板との距離は、5~10mmであり、
最後の一組の熱定型ローラと巻き取りローラとの距離は、300~400mmであり、
一対の前記熱板と最後の一組の熱定型ローラとの距離は、200~300mmである
ことを特徴とする請求項1に記載の高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸の製造方法。
【請求項5】
前記tert-ブチルを有するヘプタンジオールの合成方法は、以下の通りであり、
(1)イソブタノールとKOH水溶液を、イソブタノールとKOHとのモル比が5~6:1となるように混合し、100~110℃で攪拌しながら4~5時間反応させてカリウムイソブトキシドを取得し、
前記KOH水溶液の質量濃度は、40~50%であり、
(2)(1)の反応が終了した後、不純物を取り除き、室温まで冷却した後、カリウムイソブトキシドとキシレンとのモル比が1.3~1.5:2.0~3.0となるように(1)にキシレンを添加し、0~5℃まで冷却し、
(3)(2)の反応が終了した後、3-メチル-3-ヒドロキシブチンとMを添加し、25~35℃で3時間反応させ、冷却して結晶化させ、遠心分離、乾燥を行い、オクチンジオールを取得し、
反応の開始時に、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと、Mと、キシレンとのモル比は、1:1.2~1.3:2.0~3.0であり、
(4)オクチンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を、重量比が2~3:10:0.01~0.03となるように混合し、40~50℃の下で水素ガスを持続的に供給して50~60分間反応させ、反応が完了した後分離、精製してtert-ブチルを有するヘプタンジオールを取得し、
前記tert-ブチルを有するヘプタンジオールの構造式において、Rが-H、-CH2CH3、-CH(CH32又は-C(CH33である場合、Mは、それぞれ2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチル-3-ペンタノン、2,2,4-トリメチル-3-ペンタノン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノンである
ことを特徴とする請求項1に記載の高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸の製造方法。
【請求項6】
固相重縮合による増粘が行われる前の改質ポリエステルの製造工程は、以下のステップを含み、
ステップ(1)エステル化反応
テレフタル酸、エチレングリコール、及びtert-ブチルを有するヘプタンジオールをスラリーに調製し、触媒、艶消し剤及び安定剤を添加して均一に混合した後、窒素雰囲気中、常圧~0.3MPaの加圧環境及び250~260℃の温度の下でエステル化反応を行い、生成した水の蒸留量が理論値の90%以上を超える時点で反応を終了し、
ステップ(2)重縮合反応
エステル化反応終了後、負圧で低真空段階の重縮合反応を開始し、この段階において250~260℃の反応温度で30~50分間かけて常圧から500Pa以下の絶対圧力まで真空引きし、その後、引き続き真空引きし、高真空段階の重縮合反応を行い、さらに反応圧力を100Pa以下の絶対圧力まで減圧し、270~282℃の反応温度で50~90分間反応させる
ことを特徴とする請求項5に記載の高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸の製造方法。
【請求項7】
前記テレフタル酸と、前記エチレングリコールと、前記tert-ブチルを有するヘプタンジオールとのモル比は、1:1.2~2.0:0.03~0.05であり、
前記触媒、艶消し剤及び安定剤の添加量は、それぞれテレフタル酸の添加量の0.03~0.05wt%、0.20~0.25wt%、0.01~0.05wt%である
ことを特徴とする請求項6に記載の高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸の製造方法。
【請求項8】
前記触媒は、三酸化アンチモン、アンチモングリコレート又は酢酸アンチモンであり、
前記艶消し剤は、二酸化チタンであり、
前記安定剤は、リン酸トリフェニル、リン酸トリメチル又は亜リン酸トリメチルである
ことを特徴とする請求項7に記載の高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸の製造方法。
【請求項9】
固相重縮合による増粘が行われる前の改質ポリエステルは、数平均分子量が30000~35000であり、分子量分布指数が1.8~2.2であり、
固相重縮合による増粘が行われた後の改質ポリエステルは、固有粘度が1.0~1.2dL/gである
ことを特徴とする請求項8に記載の高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸の製造方法。
【請求項10】
前記高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸の紡糸方法のパラメータは以下に示し、
スクリュー各領域の温度 295~315℃、
箱体温度 295~300℃、
ヘッド圧力 175±5Bar、
サイド吹出温度 23±2℃、
サイド吹出湿度 75±5%、
サイド吹出速度 0.5~0.6±0.05m/s、
活性オイルによるオイリングの給油率 0.4~0.5wt%、
プリネットワーク圧力 0.16±0.02MPa、
ネットワーク圧力 0.22±0.02MPa、
巻取速度 2630~3300m/min
活性化前処理温度 70~75℃、
活性化前処理時間 15~20h、
延伸、熱定型工程のパラメータは以下に示し、
第1ローラ速度 500~600m/min、
第2ローラ速度 520~1000m/min、
第2ローラ温度 80~100℃、
第3ローラ速度 1800~2500m/min、
第3ローラ温度 100~150℃、
第4ローラ速度 2800~3500m/min、
第4ローラ温度 200~250℃、
第5ローラ速度 2800~3500m/min、
第5ローラ温度 200~250℃、
第6ローラ速度 2720~3410m/min、
第6ローラ温度 150~200℃、
ことを特徴とする請求項1に記載の高モジュラス低収縮活性化ポリエステル工業用糸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してポリエステル繊維製造技術に関し、より詳しくは、一種の高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業用糸およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成繊維中の重要な一つであるポリエステル繊維は、テレフタル酸(PTA)またはテレフタル酸ジメチル(DMT)とエチレングリコール(EG)を原料として、エステル化またはエステル交換及び重合反応により繊維形成高分子のポリエチレンテレフタレート(PET)になさせて、さらに紡糸し後処理して得られたものである。PET繊維は、高い破断強度・弾性率、小さい破断伸度、適度な伸縮性、良い熱固定性、強い耐熱・耐光・耐酸・耐アルカリ・耐腐食性などの優れた性能を持って、登場以来自動車などの産業に広く使用されている。
【0003】
活性化ポリエステル工業用長繊維は高い破断強度や小さい破断伸度や安定的な乾熱収縮率を利点とするが、レーヨンまたはナイロンより接着性が弱いである。ゴム製品に接着力向上するつもりに、活性化、エイジングの前処理は一般的に採用すべきである。
【0004】
しかしながら、PETは側鎖もなくて対称的な直鎖大分子に属し、結晶化すると分子鎖が互いに平行し、高い規則性がしている。一方、PETの分子鎖には、剛性のベンゼン環と柔性のアルキレン基が含まれ、ベンゼン環とエステル基が共役系とし、すべてのベンゼン環がほぼ同じ平面にある。それで、PETは高結晶度・高配向度の緻密な分子構造がして、活性化剤は繊維内部に入りにくい。よって、ポリエステル工業糸の活性化はより高い温度、より長い時間で処理するのが必要である。ところが、そんな活性化による応力緩和はポリエステル繊維の機械物性を低減しまう。
【0005】
なお、工業発展、先端技術応用及び消費水準向上とともに、業界のポリエステルの品質と性能に対する要求はますます高くなっている。また、市場がだんだん飽和していくにつれて、もっと優れた性能を持つ製品の開発はあたりまえである。さて、収縮率は工業糸の重要な性能指標の一つである。一般的な固体の可逆的な熱膨張と冷収縮と違って、化学繊維は熱に当たると不可逆的な熱収縮が常に発生し、熱水洗濯とアイロンに当たる際にもっと顕著に現れる。長い時間と高い温度の下で使用されるタイヤコード、伝動ベルト及び搬送ベルトに関する工業糸には、収縮率がさらに重要な評価指標になる。低収縮型ポリエステル工業糸は小さい熱収縮を特徴とし、その織物やゴム製品が良い寸法安定性と耐熱性をもって衝撃荷重を吸収でき、主にコーティング織物または搬送ベルト緯糸と応用されている。従来技術の過給率制御と緊張熱固定によれば低収縮型ポリエステル工業糸は製造できるが、そこに繊維の長さが固定されて変化できないので、分子鎖の折り畳みが抑制されて結晶成長が制限されて結晶欠点が生じて工業糸の熱収縮がさらに低減できない。
【0006】
それゆえ、活性化しやすくて熱収縮が小さい高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸に関する研究は重要な意味を持つ。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、一種の活性化しやすくて熱収縮が小さいモジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸及びその製造方法を提供し、従来技術における困難問題を克服した。
【0008】
以上の課題に対して、本発明は以下の解決手段を選択する。
【0009】
改質ポリエステルは固相重合、溶融、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱固定、弛緩熱処理、活性化剤塗布、巻取り及び活性化前処理を経て高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸となさせる。
【0010】
前記改質ポリエステルの製造方法は、テレフタル酸、エチレングリコール、テトラブチルヘプタジオールを均一に混合させエステル化させさらに重縮合させることである。
【0011】
該テトラブチルヘプタジオールは、構造式が
【化1】
とし、そのうちに、Rは-Hとしたら2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールをとり、-CH2CH3としたら2,6,6-トリメチル-5-エチル-2,5-ヘプタジオールをとり、-CH(CH32としたら2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールをとり、-C(CH33としたら2,6,6-トリメチル-5-テトラブチル-2,5-ヘプタジオールをとる。本発明は、ポリエステルの空孔型自由体積が著しく増大できるテトラブチルヘプタジオールによりポリエステルを改質した。テトラブチルヘプタジオールに含まれるテルトブチル基は、ポリエステル主鎖の活動性を変えて主鎖の間の相互作用力さらに主鎖の間の距離を変化させる。それによるポリエステルの空孔型自由体積向上は、活性化剤分子の繊維内部への浸透を利して活性化を効率的に促進して活性化温度と活性化時間を減らして、活性化の繊維機械物性に与える悪影響を低減し繊維とゴム製品との接着力を向上する。
【0012】
前記弛緩熱処理は、改質ポリエステル長繊維を適切な弛緩状態で一定の温度がある空間を経させることである。
【0013】
該適切な弛緩状態は、3.0~5.0%の過給率で糸束を巻き取ることである。
【0014】
該一定の温度は、熱処理温度を200~220℃に限ることである。
【0015】
本発明は、熱処理と過給率制御との協同作用によって、ポリエステル工業糸の収縮率を低減する。繊維が熱処理に当たるとその非結晶領域に折り畳み鎖が形成しやすくなって結晶成長が促進されて結晶度が向上される。結晶度向上とともには、繊維にある程度の収縮が生じる。本発明における過給率制御は繊維のゴム弾性による大変形の巻取りに与える影響を消す一方、繊維の結晶度向上による収縮の影響も避ける。
【0016】
前記製造方法の好適態様によれば、本発明より得られた高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は
繊度の930~1670dtex、破断強度の7.8cN/dtex以上、線密度偏差率の±1.2%、破断強度CV値の2.5%以下、破断伸度の11.0~13.5%、破断伸度偏差率の±1.5%、破断伸度CV値の8.0%以下、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度の6.0~7.0%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度偏差率の±0.8%、系条交絡度の6±2~3個/mとして、従来技術による低収縮ポリエステル工業糸に匹敵する機械物性を有し、
177℃×10min×0.05cN/dtexの条件下で従来技術による繊維の3.0±0.5%に対する2.5±0.5%の乾熱収縮率を有し、
1100dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が49~53Nとし、1670dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が55~62Nとする。
【0017】
もっと詳しくは、前記高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法を以下に開示する。
【0018】
述べた一定の温度がある空間は、最後の熱固定ローラと巻取りローラの間に位置する互いに平行で対する二つの熱板の間の空間である。両端でも別々に一線にする二つの熱板は、改質ポリエステル糸束の運行方向による長さが3.0~4.0mとし、巻取りロールとの距離が300~400mmとし、最後の熱固定ローラとの距離が200~300mmとする。改質ポリエステル糸束は二つの熱板の中央に通る時に熱板との距離が5~10mmとする。本発明は、熱板の温度いわゆる一定の温度を制御してポリエステルの結晶化にエネルギーを与え、熱板の長さを工夫して結晶化時間を保証し、糸束と熱板の距離を最適化して熱処理を効率する三者の協同作用によって、繊維の結晶化の完全性を高めて繊維の熱収縮を減らす。そうでなければ、低すぎる熱板温度には結晶化エネルギーが保証できない、高すぎる熱板温度には形成した結晶構造が破壊され、短すぎる熱板には結晶時間が足りなくて結晶完全性が低減され、長すぎる熱板には設備効率が低下され、小さすぎる熱板距離には糸束との直接接触が生じやすい、大きすぎる熱板距離には熱効率が低下される。
【0019】
述べたテトラブチルヘプタジオールの調製方法は以下の通りである。
(1)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5~6:1によって40~50wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、100~110℃で4~5時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(2)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.3~1.5:2.0~3.0によってキシレンを入れ、0~5℃まで冷却する。
(3)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、M及びキシレンのモル比の1:1.2~1.3:2.0~3.0によって3-メチル-3-ヒドロキシブチンとMを(2)のシステムに添加し、25~35℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(4)重量比の2~3:10:0.01~0.03によってオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて40~50℃で50~60分間かけて反応させ、最後に分離し純化してテトラブチルヘプタジオールをえる。
そのうち、前記テトラブチルヘプタジオールの構造式におけるRは別々に-H、-CH2CH3、-CH(CH32または-C(CH33とすれば、対するMが2,2-ジメチルプロピルアルデヒド、2,2-ジメチル-3-ペンタノン、2,2,4-トリメチル-3-ペンタノンまたは2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノンとする。
【0020】
述べた改質ポリエステルの合成方法は以下の通りである。
(1)エステル化反応では、
テレフタル酸、エチレングリコール及びテトラブチルヘプタジオールをスラリーに調製し、重合触媒、艶消し剤及び安定剤を添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に常圧~0.3MPaの圧力及び250~260℃の温度の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の90%を超える際に反応終点を決めることである。
(2)重縮合反応では、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力500Pa以下まで30~50分間かけて徐々に下がる負圧を与えて250~260℃で反応を30~50分間続け、さらに負圧を100Pa以下まで持続的に与えて270~282℃で反応を50~90分間行うことである。
そのうちに、テレフタル酸とエチレングリコールとテトラブチルへプタジオールとのモル比は1:1.2~2.0:0.03~0.05とし、重合触媒、艶消し剤及び安定剤の添加量は別々にテレフタル酸の用量の0.03~0.05wt%、0.20~0.25wt%及び0.01~0.05wt%とする。テトラブチルヘプタジオールの用量は実運用によって適度に調整できるけど、調整幅は大きすぎるべきではない。その用量は大き過ぎると繊維機械物性に悪影響与えてしまう一方で小さすぎると活性化効果があまりできない。
そのうちに、重合触媒は三酸化アンチモン、アンチモングリコレートまたは酢酸アンチモンとし、艶消し剤は二酸化チタンとし、安定剤はリン酸トリフェニル、リン酸トリメチルまたは亜リン酸トリメチルとする。
そのうちに、改質ポリエステルの数平均分子量は30000~35000Daとし、分子量多分散度は1.8~2.2とする。
【0021】
述べた固相重合は、改質ポリエステルの固有粘度を1.0~1.2dL/gにすることである。
【0022】
固相重合した改質ポリエステルより高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸を製造することに関するパラメータは以下に示す。
紡糸加工については、
押出機各部温度 295~315℃
パック温度 295~300℃
ノズル圧力 175±5bar
冷却風温度 23±2℃
冷却風湿度 75±5%
冷却風速度 0.5~0.6±0.05m/s
活性化剤オイリング被着率 0.4~0.5wt%
インターレース予圧力 0.16±0.02MPa
インターレース圧力 0.22±0.02MPa
巻取速度 2630~3300m/min
延伸、熱固定加工については、
ローラ1速度 500~600m/min
ローラ2速度 520~1000m/min
ローラ2温度 80~100℃
ローラ3速度 1800~2500m/min
ローラ3温度 100~150℃
ローラ4速度 2800~3500m/min
ローラ4温度 200~250℃
ローラ5速度 2800~3500m/min
ローラ5温度 200~250℃
ローラ6速度 2720~3410m/min
ローラ6温度 150~200℃
予活性化加工については、
予活性化処理温度 70~75℃
予活性化処理時間 15~20h
【0023】
発明原理としては、以下の通りである。
【0024】
ポリマーは全て緻密な分子鎖凝集体ではない。分子鎖と分子鎖との間に、いつも自由体積という空間がある。低分子の高分子内部に浸透することに対して、適度な大きさの空間すなわち自由体積は必要なければならない。ある程度に、高分子の自由体積が大きければ大きいほど低分子の浸透率または拡散性が高い。自由体積は空孔型自由体積とスリット型自由体積に分けられるが、スリット型自由体積よりもっと大きなサイズを持つ空孔型自由体積は低分子の拡散に更に有利である。
【0025】
自由体積のサイズと類型は高分子構造に決められている。そのうえ、高分子構造は置換基による立体障害、置換基寸法、置換基構造に関する。高分子主鎖のある位置に結合した側基は、主鎖の活動性に影響を与えて、主鎖の間の相互作用力さらに主鎖の間の距離を変える。よって、高分子の凝集エネルギーと自由体積も変化する。詳しくは、側基の極性や大きさや長さなどが主鎖の剛性、主鎖の間の相互作用力ならびに高分子の自由体積分率にすべてある程度の影響を与える。つまり、異なる側基を含むポリマーは別々の浸透性能がしてある。
【0026】
ポリマーに含まれるエチレングリコールや1,4-ブタンジオールなどのようなジオールにおいては、複数のメチレン基がエネルギー的に安定で平面ジグザグのコンホメーションをとる。メチレン基の二つの水素はメチル基に置換されると、中心炭素がsp3混成軌道により隣の炭素と四つの等価なσ結合を作って、隣の炭素が頂点に位置する正四面体構造は得られる。なお、メチル基の三つの水素はさらに他のメチル基で置換するいわゆるテルトブチル基を作れば、もっと大きな正四面体が形成できる。こんな置換基の重なりため、ポリマーの自由体積は著しく増大して、低分子の浸透または拡散に有利する。しかしながら、メチレン基の二つの水素は長鎖を持つ基に置換されると、増大するのは主にスリット型自由体積であり増大幅がより小さいため、小分子の拡散または浸透にあまり効果できない。一方、長鎖の置換基は剛性が低いので大分子鎖の絡み合いが起きるため、自由体積は増大しにくい。
【0027】
本発明はポリエステルにテトラブチルヘプタジオールのセグメントを入れることにより高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の活性化性能を著しく改進する。該テトラメチルヘプタジオールの構造式は、
【化2】
と示し、Rが-H、-CH2CH3、-CH(CH3)2または-C(CH3)3とする。
【0028】
テトラブチルヘプタジオールに含まれるテルトブチル基は、ポリエステル主鎖の活動性を変えて主鎖の間の相互作用力さらに主鎖の間の距離を変化させて、ポリエステルの空孔型自由体積は増大する。原因の一方では、テトラブチルが短い置換基(例えば、メチル基やエチル基など)よりもっと広い空間を位置し、他方では、テトラブチルがスリット型自由体積を増大する長鎖の置換基に比べて主に空孔型自由体積を増大し長鎖の置換基による分子鎖の絡み合いを避けることである。ポリエステルは高結晶化度を持ち滑らかな表面がし表面に活発基が少ないため、活性化に当たると効果が不十分である。テトラブチルヘプタジオールによる空孔型自由体積向上は、活性化剤分子の繊維内部に拡散することを利して活性化剤の効率を増加して、活性化温度を減らし活性化時間を短くし活性化の繊維物性に影響を減少する。そこで、活性化した繊維製品とゴム材料の接着力は著しく向上できる。
【0029】
また、ポリエステル繊維の製造過程特に延伸工程中に、延伸応力による配向度急増及びある程度の結晶化は、繊維の伸長と変形仕事を低減させる。そのうちに、繊維の延伸力による変形は大体結晶化で固定された常温回復不能な塑性変形である。ところが、延伸力弛緩または後の熱処理に当って回復できる一部の変形がまだある。こんな回復可能な変形すなわち繊維の収縮率は繊維の安全性や耐久性などの応用性能に大きく影響する。例えば、ポリエステル工業糸はタイヤコードと使用されると、タイヤの運転する際にコードが延伸、圧縮、たわみを繰り返して発熱するため、収縮クリープが生じる。コードが大きく縮むとゴムから離脱してタイヤの壊れる恐れを生み出してタイヤの使用安全に大きな危険をもたらしてしまう。今のポリエステル工業糸の延伸加工においては、繊維の収縮率をできるだけ低くするために、多段延伸した繊維に緊張熱固定(ある張力下ヒートローラで熱処理すること)および熱固定と巻取りの間の1~2%過給率を与える。緊張熱固定による温度と張力は、ポリエステル分子鎖セグメントの運動性を高めて分子鎖の積み重ねを緻密にさせて、繊維の平均結晶粒度と結晶度を増やす。なお、延伸中にある程度の弾性変形も生じ、それが張力の低減する際に回復する。そこで、延伸した繊維の弾性回復を保証して良い繊維品質と巻取を得るつもりに、最後の熱固定ローラの速度より低い巻取速度いわゆる一定の過給率を要する。大きすぎる巻取り張力によるスリップなどの防止を目的として、過給率は一定の範囲内(1~2%)に限るべきである。しかしながら、緊張熱固定と過給率との組合は繊維の収縮率をある程度で低減できるが、熱固定中に繊維の定長は分子鎖の折り畳みを制約して結晶粒の成長を妨げるため結晶欠点または低い結晶度が結果する。過給率制御だけで結晶欠点を低められないので、從来技術によるポリエステル工業糸は熱に当たるとその分子鎖がより高い運動性がして配向が緩和してある程度の収縮が生じる。
【0030】
実に、繊維の熱固定は緊張熱固定のみならず弛緩熱固定もある。弛緩熱固定は自由収縮熱固定とも呼ばれ、繊維を張力全然なしまたは小さな張力の条件下で一定の温度により熱処理することである。弛緩熱固定においては繊維が自由に収縮できるため非晶領域に分子鎖が折り畳みしやすくて結晶粒の成長を利し、十分な熱処理時間も与えると緊張熱固定よりもっと高い繊維結晶度が得られて繊維の弾性変形と内応力が充分に緩和できるので、処理した繊維の応用過程中の熱に当たる収縮は低くなる。今の弛緩熱固定は、熱処理温度がより低くて(約130℃)熱処理時間がかかるので、主にポリエステル長繊維よりもむしろポリエステル短繊維に応用されている。
【0031】
本発明においては、ポリエステル糸束の巻取り過給率を3~5%まで増加し同時に紡糸設備の最後の熱固定ローラと巻取ロールの間に上下に平行する二つの熱板を置いて熱板の中央を通る繊維の結晶度を高め弾性変形を回復させ内応力を緩和させて、工業糸の応用過程中の熱に当たる収縮を低減する。本発明は、熱固定温度とより高い過給率との協同作用によって、ポリエステル工業糸の収縮率を低減する。繊維が熱固定に当たるとその非結晶領域に折り畳み鎖が形成しやすくなって結晶成長が促進されて結晶度が向上される。結晶度向上とともには、繊維にある程度の収縮が生じる。本発明における過給率制御は繊維の弾性回復の巻取りに与える影響を消す一方、繊維の結晶度向上による収縮の影響も避ける。なお、本発明は温度、寸法及び距離を最適化した二つの熱板により繊維をさらに処理し、従来技術の弛緩熱処理の長繊維に対する不適用を克服する一方、繊維結晶化の完全性と繊維寸法の安定性を高め繊維応用中の収縮を低める。
【0032】
本発明の利点としては、
1.本発明に提出した高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は、熱処理温度とより高い巻取り過給率との協同作用によって、繊維結晶化の完全性を高め繊維応用中の熱収縮を低める。
2.本発明に提出した高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、テトラブチルヘプタジオールによりポリエステルを改質して、活性化剤の使用効率を向上し、活性化温度と時間を低減し、活性化の繊維物性に与える影響を減らす。
3.本発明に提出した高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、操業が便利でコストが安いであり、優れた適用見通しがある。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者のいろいろな本発明を改正することを許されても、それは本発明の等価形として、本発明の請求の範囲内にも限定されている。
【0034】
【化3】
【0035】
実施例1
高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5:1で、43wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、100℃で4時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.3:2.2でキシレンを入れ、1℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2-ジメチルプロピルアルデヒド及びキシレンのモル比の1:1.2:2.2で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2-ジメチルプロピルアルデヒドを(2)のシステムに添加し、25℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の2.2:10:0.01でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて50℃で50分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールを得る。Rが-Hとすれば式Iは得られた2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールの構造式になる。
(1.2)エステル化として、
モル比の1:1.2:0.05でテレフタル酸、エチレングリコール及び2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、別々にテレフタル酸用量の0.03wt%、0.25wt%、0.01wt%で三酸化アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に常圧と250℃の下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の90%になる際に反応終点を決める。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力500Paまで30分間かけて徐々に下がる負圧を与え、250℃で30分間かけて反応を続け、さらに負圧を100Paまで持続的に与え、温度を270℃に制御して50分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が30000Daであり分子量多分散度が1.8である改質ポリエステルを得る。
(1.4)固相重合で改質ポリエステルの固有粘度を1.0dL/gに高める。
(2)固相重合した改質ポリエステルを溶融、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱固定、弛緩熱処理、活性化剤塗布、巻取り及び活性化前処理により高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸になさせる。該弛緩熱処理は、巻取り過給率の4.9%とするポリエステル糸束を二つの200℃の上下平行する熱板の間に通させることである。そのうちに両端でも別々に一線にする二つの熱板は、最後の熱固定ローラと巻取ロールの間に位置し、改質ポリエステル糸束の運行方向による長さが3.0mとし、巻取りロールとの距離が300mmとし、最後の熱固定ローラとの距離が200mmとし、それらの中央に通る改質ポリエステル糸束との距離が5mmとする。また、紡糸工程に関するパラメータは表1、延伸と熱固定工程に関するパラメータは表2に示す。
最後に得られた高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は、繊度の930dtex、破断強度の7.8cN/dtex、線密度偏差率の-1.2%、破断強度CV値の2.5%、破断伸度の11.0%、破断伸度偏差率の±1.5%、破断伸度CV値の8.0%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度の6.0%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度偏差率の-0.8%、177℃×10min×0.05cN/dtexの条件による乾熱収縮率の2.0%、系条交絡度の3個/mとする機械物性を有し、1100dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が49Nとし、1670dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が55Nとする。
【0036】
比較例1
高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、緩和熱処理がなし、巻取速度が2680m/minとし、巻取り過給率が1.47%とし、及びポリエステルの重合する際に2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールを添加しないことを除外して、実施例1と同じである。最後に得られた高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は、繊度の913dtex、破断強度の7.65cN/dtex、線密度偏差率の-1.1%、破断強度CV値の2.5%、破断伸度の12.7%、破断伸度偏差率の±1.5%、破断伸度CV値の8.0%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度の6.8%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度偏差率の-0.8%、177℃×10min×0.05cN/dtexの条件による乾熱収縮率の3.2%、系条交絡度の3個/mとする機械物性を有し、1100dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が46Nとし、1670dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が52Nとする。
【0037】
比較例2
高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、緩和熱処理がなし、巻取速度が2680m/minとし、巻取り過給率が1.47%とすることを除外して、実施例1と同じである。最後に得られた高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は、繊度の913dtex、破断強度の7.68cN/dtex、線密度偏差率の-1.1%、破断強度CV値の2.5%、破断伸度の12.5%、破断伸度偏差率の±1.5%、破断伸度CV値の8.0%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度の6.9%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度偏差率の-0.8%、177℃×10min×0.05cN/dtexの条件による乾熱収縮率の3.2%、系条交絡度の3個/mとする機械物性を有し、1100dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が49Nとし、1670dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が55Nとする。
【0038】
比較例3
高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、ポリエステルの重合する際に2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールを添加しないことを除外して、実施例1と同じである。最後に得られた高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は、繊度の930dtex、破断強度の7.78cN/dtex、線密度偏差率の-1.1%、破断強度CV値の2.5%、破断伸度の10.8%、破断伸度偏差率の±1.5%、破断伸度CV値の8.0%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度の6.1%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度偏差率の-0.8%、177℃×10min×0.05cN/dtexの条件による乾熱収縮率の2.1%、系条交絡度の3個/mとする機械物性を有し、1100dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が46Nとし、1670dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が52Nとする。
実施例1に対して比較例1~3を検討すると、本発明に2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールを用いるのは活性化剤を効率してポリエステル工業糸の活性化性能を向上するためポリエステル工業糸の乾熱収縮率を緩和熱処理に著しく低減させることが結論できる。
【0039】
比較例4
高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、ポリエステルの重合する際に2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールの代わりに1,2-ドデカンジオールを使用することを除外して、実施例1と同じである。最後に得られた高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は、繊度の930dtex、破断強度の7.78cN/dtex、線密度偏差率の-1.1%、破断強度CV値の2.5%、破断伸度の10.8%、破断伸度偏差率の±1.5%、破断伸度CV値の8.0%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度の6.1%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度偏差率の-0.8%、177℃×10min×0.05cN/dtexの条件による乾熱収縮率の2.1%、系条交絡度の3個/mとする機械物性を有し、1100dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が46Nとし、1670dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が52Nとする。
実施例1に比べて、長い側鎖を含む1,2-ドデカンジオールよりテトラブチル置換基が有るジオールは繊維活性化性能向上にもっと有利することが結論できる。
【0040】
実施例2
高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5.5:1で、40wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、100℃で5時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.3:2.0でキシレンを入れ、3℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2-ジメチルプロピルアルデヒド及びキシレンのモル比の1:1.3:2.5で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2-ジメチルプロピルアルデヒドを(2)のシステムに添加し、30℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の2.5:10:0.01でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて50℃で50分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールを得る。Rが-Hとすれば式Iは得られた2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールの構造式になる。
(1.2)エステル化として、
モル比の1:1.3:0.04でテレフタル酸、エチレングリコール及び2,6,6-トリメチル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、別々にテレフタル酸用量の0.035wt%、0.22wt%、0.015wt%で三酸化アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.15MPaの圧力と252℃の温度下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の91%になる際に反応終点を決める。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力498Paまで32分間かけて徐々に下がる負圧を与え、252℃で32分間かけて反応を続け、さらに負圧を99Paまで持続的に与え、温度を272℃に制御して55分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が30500Daであり分子量多分散度が1.85である改質ポリエステルを得る。
(1.4)固相重合で改質ポリエステルの固有粘度を1.05dL/gに高める。
(2)固相重合した改質ポリエステルを溶融、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱固定、弛緩熱処理、活性化剤塗布、巻取り及び活性化前処理により高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸になさせる。該弛緩熱処理は、巻取り過給率の4.2%とするポリエステル糸束を二つの202℃の上下平行する熱板の間に通させることである。そのうちに両端でも別々に一線にする二つの熱板は、最後の熱固定ローラと巻取ロールの間に位置し、改質ポリエステル糸束の運行方向による長さが3.2mとし、巻取りロールとの距離が311mmとし、最後の熱固定ローラとの距離が220mmとし、それらの中央に通る改質ポリエステル糸束との距離が6mmとする。また、紡糸工程に関するパラメータは表1、延伸と熱固定工程に関するパラメータは表2に示す。
最後に得られた高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は、繊度の1070dtex、破断強度の8.0cN/dtex、線密度偏差率の-1.0%、破断強度CV値の2.1%、破断伸度の12.5%、破断伸度偏差率の-1.2%、破断伸度CV値の7.5%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度の6.2%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度偏差率の-0.6%、177℃×10min×0.05cN/dtexの条件による乾熱収縮率の2.2%、系条交絡度の6個/mとする機械物性を有し、1100dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が50Nとし、1670dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が57Nとする。
【0041】
実施例3
高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)2,6,6-トリメチル-5-エチルー2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5:1で、48wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、105℃で4.5時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.5:2.5でキシレンを入れ、0℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2-ジメチル-3-ペンタノン及びキシレンのモル比の1:1.25:2.0で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2-ジメチル-3-ペンタノンを(2)のシステムに添加し、30℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の2:10:0.02でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて42℃で60分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-5-エチルー2,5-ヘプタジオールを得る。Rが-CH2CH3とすれば式Iは得られた2,6,6-トリメチル-5-エチルー2,5-ヘプタジオールの構造式になる。
(1.2)エステル化として、
モル比の1:1.4:0.035でテレフタル酸、エチレングリコール及び2,6,6-トリメチル-5-エチルー2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、別々にテレフタル酸用量の0.04wt%、0.23wt%、0.02wt%でアンチモングリコレート、二酸化チタン及びリン酸トリフェニルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.18MPaの圧力と253℃の温度下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の92%になる際に反応終点を決める。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力497Paまで35分間かけて徐々に下がる負圧を与え、253℃で35分間かけて反応を続け、さらに負圧を98Paまで持続的に与え、温度を274℃に制御して62分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が32000Daであり分子量多分散度が1.9である改質ポリエステルを得る。
(1.4)固相重合で改質ポリエステルの固有粘度を1.08dL/gに高める。
(2)固相重合した改質ポリエステルを溶融、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱固定、弛緩熱処理、活性化剤塗布、巻取り及び活性化前処理により高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸になさせる。該弛緩熱処理は、巻取り過給率の3.3%とするポリエステル糸束を二つの210℃の上下平行する熱板の間に通させることである。そのうちに両端でも別々に一線にする二つの熱板は、最後の熱固定ローラと巻取ロールの間に位置し、改質ポリエステル糸束の運行方向による長さが3.3mとし、巻取りロールとの距離が335mmとし、最後の熱固定ローラとの距離が235mmとし、それらの中央に通る改質ポリエステル糸束との距離が7mmとする。また、紡糸工程に関するパラメータは表1、延伸と熱固定工程に関するパラメータは表2に示す。
最後に得られた高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は、繊度の1170dtex、破断強度の8.3cN/dtex、線密度偏差率の-0.2%、破断強度CV値の2.3%、破断伸度の12.5%、破断伸度偏差率の1.0%、破断伸度CV値の7.0%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度の6.6%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度偏差率の0.3%、177℃×10min×0.05cN/dtexの条件による乾熱収縮率の2.6%、系条交絡度の8個/mとする機械物性を有し、1100dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が52Nとし、1670dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が58Nとする。
【0042】
実施例4
高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)2,6,6-トリメチル-5-エチルー2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の6:1で、41wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、110℃で4.8時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.4:3.0でキシレンを入れ、0℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2-ジメチル-3-ペンタノン及びキシレンのモル比の1:1.3:2.6で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2-ジメチル-3-ペンタノンを(2)のシステムに添加し、35℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の3:10:0.01でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて40℃で60分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-5-エチルー2,5-ヘプタジオールを得る。Rが-CH2CH3とすれば式Iは得られた2,6,6-トリメチル-5-エチルー2,5-ヘプタジオールの構造式になる。
(1.2)エステル化として、
モル比の1:1.5:0.03でテレフタル酸、エチレングリコール及び2,6,6-トリメチル-5-エチルー2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、別々にテレフタル酸用量の0.045wt%、0.24wt%、0.025wt%でアンチモングリコレート、二酸化チタン及びリン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.2MPaの圧力と255℃の温度下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の93%になる際に反応終点を決める。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力495Paまで38分間かけて徐々に下がる負圧を与え、255℃で38分間かけて反応を続け、さらに負圧を97Paまで持続的に与え、温度を276℃に制御して67分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が32000Daであり分子量多分散度が1.92である改質ポリエステルを得る。
(1.4)固相重合で改質ポリエステルの固有粘度を1.1dL/gに高める。
(2)固相重合した改質ポリエステルを溶融、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱固定、弛緩熱処理、活性化剤塗布、巻取り及び活性化前処理により高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸になさせる。該弛緩熱処理は、巻取り過給率の4.8%とするポリエステル糸束を二つの240℃の上下平行する熱板の間に通させることである。そのうちに両端でも別々に一線にする二つの熱板は、最後の熱固定ローラと巻取ロールの間に位置し、改質ポリエステル糸束の運行方向による長さが3.4mとし、巻取りロールとの距離が346mmとし、最後の熱固定ローラとの距離が250mmとし、それらの中央に通る改質ポリエステル糸束との距離が8mmとする。また、紡糸工程に関するパラメータは表1、延伸と熱固定工程に関するパラメータは表2に示す。
最後に得られた高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は、繊度の1370dtex、破断強度の7.9cN/dtex、線密度偏差率の1.0%、破断強度CV値の2.4%、破断伸度の12.0%、破断伸度偏差率の1.0%、破断伸度CV値の6.9%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度の6.5%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度偏差率の0.3%、177℃×10min×0.05cN/dtexの条件による乾熱収縮率の2.7%、系条交絡度の7個/mとする機械物性を有し、1100dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が52Nとし、1670dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が59Nとする。
【0043】
実施例5
高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5.4:1で、50wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、110℃で5時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.4:2.6でキシレンを入れ、4℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2,4-トリメチル-3-ペンタノン及びキシレンのモル比の1:1.2:3.0で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2,4-トリメチル-3-ペンタノンを(2)のシステムに添加し、28℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の2.5:10:0.03でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて44℃で53分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールを得る。Rが-C(CH32とすれば式Iは得られた2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールの構造式になる。
(1.2)エステル化として、
モル比の1:1.6:0.04でテレフタル酸、エチレングリコール及び2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、別々にテレフタル酸用量の0.05wt%、0.20wt%、0.03wt%で酢酸アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.25MPaの圧力と256℃の温度下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の94%になる際に反応終点を決める。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力492Paまで40分間かけて徐々に下がる負圧を与え、256℃で40分間かけて反応を続け、さらに負圧を95Paまで持続的に与え、温度を278℃に制御して72分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が33030Daであり分子量多分散度が1.95である改質ポリエステルを得る。
(1.4)固相重合で改質ポリエステルの固有粘度を1.15dL/gに高める。
(2)固相重合した改質ポリエステルを溶融、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱固定、弛緩熱処理、活性化剤塗布、巻取り及び活性化前処理により高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸になさせる。該弛緩熱処理は、巻取り過給率の4.0%とするポリエステル糸束を二つの220℃の上下平行する熱板の間に通させることである。そのうちに両端でも別々に一線にする二つの熱板は、最後の熱固定ローラと巻取ロールの間に位置し、改質ポリエステル糸束の運行方向による長さが3.6mとし、巻取りロールとの距離が368mmとし、最後の熱固定ローラとの距離が260mmとし、それらの中央に通る改質ポリエステル糸束との距離が8.5mmとする。また、紡糸工程に関するパラメータは表1、延伸と熱固定工程に関するパラメータは表2に示す。
最後に得られた高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は、繊度の1290dtex、破断強度の8.3cN/dtex、線密度偏差率の1.0%、破断強度CV値の2.3%、破断伸度の12.9%、破断伸度偏差率の1.0%、破断伸度CV値の6.6%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度の6.2%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度偏差率の0.1%、177℃×10min×0.05cN/dtexの条件による乾熱収縮率の2.6%、系条交絡度の8個/mとする機械物性を有し、1100dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が42Nとし、1670dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が60Nとする。
【0044】
実施例6
高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5:1で、40wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、106℃で4.5時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.3:2.0でキシレンを入れ、2℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2,4-トリメチル-3-ペンタノン及びキシレンのモル比の1:1.3:2.5で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2,4-トリメチル-3-ペンタノンを(2)のシステムに添加し、32℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の2:10:0.01でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて48℃で50分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールを得る。Rが-C(CH32とすれば式Iは得られた2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールの構造式になる。
(1.2)エステル化として、
モル比の1:1.8:0.05でテレフタル酸、エチレングリコール及び2,6,6-トリメチル-5-イソプロピル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、別々にテレフタル酸用量の0.05wt%、0.20wt%、0.04wt%で酢酸アンチモン、二酸化チタン及びリン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.28MPaの圧力と258℃の温度下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の95%になる際に反応終点を決める。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力490Paまで42分間かけて徐々に下がる負圧を与え、258℃で42分間かけて反応を続け、さらに負圧を94Paまで持続的に与え、温度を280℃に制御して82分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が34400Daであり分子量多分散度が1.96である改質ポリエステルを得る。
(1.4)固相重合で改質ポリエステルの固有粘度を1.18dL/gに高める。
(2)固相重合した改質ポリエステルを溶融、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱固定、弛緩熱処理、活性化剤塗布、巻取り及び活性化前処理により高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸になさせる。該弛緩熱処理は、巻取り過給率の3.0%とするポリエステル糸束を二つの215℃の上下平行する熱板の間に通させることである。そのうちに両端でも別々に一線にする二つの熱板は、最後の熱固定ローラと巻取ロールの間に位置し、改質ポリエステル糸束の運行方向による長さが3.8mとし、巻取りロールとの距離が384mmとし、最後の熱固定ローラとの距離が280mmとし、それらの中央に通る改質ポリエステル糸束との距離が9mmとする。また、紡糸工程に関するパラメータは表1、延伸と熱固定工程に関するパラメータは表2に示す。
最後に得られた高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は、繊度の1570dtex、破断強度の7.9cN/dtex、線密度偏差率の1.0%、破断強度CV値の2.4%、破断伸度の13.0%、破断伸度偏差率の1.2%、破断伸度CV値の6.6%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度の7.0%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度偏差率の0.8%、177℃×10min×0.05cN/dtexの条件による乾熱収縮率の2.7%、系条交絡度の6個/mとする機械物性を有し、1100dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が51Nとし、1670dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が61Nとする。
【0045】
実施例7
高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸の製造方法は、以下の流れによる。
(1)改質ポリエステルの重合として、
(1.1)2,6,6-トリメチル-5-テトラブチル-2,5-ヘプタジオールの調製として、
(a)イソブタノールと水酸化カリウムのモル比の5.5:1で、46wt%の水酸化カリウム水溶液とイソブタノールを混合し、100℃で4時間かけてかき混ぜて反応させてカリウムイソブタノレートを得る。
(b)不純物を(1)のシステムより取り除き温度が常温にし、カリウムイソブタノレートとキシレンのモル比の1.3:2.6でキシレンを入れ、5℃まで冷却する。
(c)3-メチル-3-ヒドロキシブチン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノン及びキシレンのモル比の1:1.24:3.0で、3-メチル-3-ヒドロキシブチンと2,2,4,4-テトラメチル-3-ペンタノンを(2)のシステムに添加し、25℃で3時間かけて反応させ、さらに冷却で結晶化し、遠心分離し、乾燥してオクチレンジオールを得る。
(d)重量比の3:10:0.03でオクチレンジオール、エタノール及びパラジウム触媒を混合し、水素を与え続けて40℃で56分間かけて反応させ、最後に分離し純化して2,6,6-トリメチル-5-テトラブチル-2,5-ヘプタジオールを得る。Rが-C(CH33とすれば式Iは得られた2,6,6-トリメチル-5-テトラブチル-2,5-ヘプタジオールの構造式になる。
(1.2)エステル化として、
モル比の1:2.0:0.03でテレフタル酸、エチレングリコール及び2,6,6-トリメチル-5-テトラブチル-2,5-ヘプタジオールをスラリーに調製し、別々にテレフタル酸用量の0.05wt%、0.20wt%、0.05wt%で酢酸アンチモン、二酸化チタン及び亜リン酸トリメチルを添加して均一に混合し、窒素雰囲気の中に0.3MPaの圧力と260℃の温度下で反応させ、生じた水の抜き出す量が理論値の96%になる際に反応終点を決める。
(1.3)重合として、
エステル化反応の産物に常圧から絶対圧力490Paまで50分間かけて徐々に下がる負圧を与え、260℃で50分間かけて反応を続け、さらに負圧を92Paまで持続的に与え、温度を282℃に制御して90分間かけて反応を行い、最後に数平均分子量が35000Daであり分子量多分散度が2.2である改質ポリエステルを得る。
(1.4)固相重合で改質ポリエステルの固有粘度を1.2dL/gに高める。
(2)固相重合した改質ポリエステルを溶融、計量、押出し、冷却、オイリング、延伸、熱固定、弛緩熱処理、活性化剤塗布、巻取り及び活性化前処理により高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸になさせる。該弛緩熱処理は、巻取り過給率の5.0%とするポリエステル糸束を二つの220℃の上下平行する熱板の間に通させることである。そのうちに両端でも別々に一線にする二つの熱板は、最後の熱固定ローラと巻取ロールの間に位置し、改質ポリエステル糸束の運行方向による長さが4mとし、巻取りロールとの距離が400mmとし、最後の熱固定ローラとの距離が300mmとし、それらの中央に通る改質ポリエステル糸束との距離が10mmとする。また、紡糸工程に関するパラメータは表1、延伸と熱固定工程に関するパラメータは表2に示す。
最後に得られた高モジュラス・低収縮・活性化ポリエステル工業糸は、繊度の1670dtex、破断強度の8.5cN/dtex、線密度偏差率の1.2%、破断強度CV値の2.0%、破断伸度の13.5%、破断伸度偏差率の1.5%、破断伸度CV値の6.4%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度の7.0%、4.0cN/dtexの負荷に当たる伸度偏差率の0.8%、177℃×10min×0.05cN/dtexの条件による乾熱収縮率の3.0%、系条交絡度の9個/mとする機械物性を有し、1100dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が53Nとし、1670dtex/192Fの規格としてタイヤコードになったらHテストによる硫化ゴムとの接着力が62Nとする。
【表1】
【表2】
【国際調査報告】