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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】水中航走体のためのドッキング装置
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/00 20060101AFI20220209BHJP
   B63G 8/00 20060101ALI20220209BHJP
   B63B 27/36 20060101ALI20220209BHJP
   B63C 11/48 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
B63C11/00 C
B63G8/00 L
B63B27/36
B63C11/48 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534735
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2019086621
(87)【国際公開番号】W WO2020136114
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】1874296
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カダラン フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ジェゼケル オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルダン ミッシェル
(57)【要約】
ドッキング装置は、ケーブルによって運搬船に接続することが可能なドッキングステーションを備え、ドッキングステーションは、本体に接続され、それぞれが遠位端(ED)と近位端(EP)とを備えるアーム(51)の組(E)を備える案内装置を備え、アーム(51)の組(E)は、水中航走体を止め具に案内することを可能とするように、アーム(51)が後方の方へ広がる空間を画定する展開構成であることが可能であり、各アーム(51)の遠位端(ED)は、展開構成において、アーム(51)の近位端(EP)の後方に配置されており、アームの組(E)は、折畳構成であることが可能であり、折畳構成では、アームの組(E)の各アーム(51)の遠位端(ED)は、展開構成においてよりも長手方向軸(x)に近く、止め具の後方の、アーム(51)の組(E)によって画定される空間の軸xに沿った長さが、展開構成においてよりも折畳構成において小さいように、遠位端(ED)は、展開構成において遠位端(ED)によって占められる位置の前方に配置される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中航走体のためのドッキング装置であって、
運搬船(3)に接続することができるドッキングステーション(5)
を備え、
前記ドッキングステーション(5)が、止め具(9)を備える本体(7)を備え、前記止め具(9)が、前記止め具(9)を通過する長手方向軸(x)に沿った、前記長手方向軸(x)によって定義される、後方から前方へ向かう方向への、前記本体(7)に対する前記水中航走体(2)の運動をブロックすることを可能にし、
前記ドッキングステーション(5)が、前記本体(7)に接続され、それぞれが遠位端(ED)と近位端(EP)とを備えるアーム(51)の組(E)を備える案内装置を備え、
前記アーム(51)が前記止め具(9)のまわりに分布しており、
前記アーム(51)の組(E)が、前記水中航走体を前記止め具(9)の方へ案内することを可能とするように、前記アーム(51)が後方の方へ広がる容積を区切る展開構成であることが可能であり、
各アーム(51)の前記遠位端(ED)が、前記展開構成において、前記アーム(51)の前記近位端(EP)の後方に位置しており、
前記アームの組(E)が、折畳構成であることが可能であり、前記折畳構成では、前記アームの組(E)の各アーム(51)の遠位端(ED)が、前記展開構成においてよりも前記長手方向軸(x)に近く、前記止め具(9)の後方の、前記アーム(51)の組(E)によって区切られる容積の前記軸xに沿った長さが、前記展開構成においてよりも前記折畳構成において短いように、前記遠位端(ED)が、前記展開構成において前記遠位端(ED)によって占められる位置の前方に位置する、
ドッキング装置。
【請求項2】
前記ドッキングステーション(5)が、
前記止め具(9)に当接する前記水中航走体の、前記本体(7)への固定を可能にするロック手段
を備える、
請求項1に記載のドッキング装置。
【請求項3】
前記組の少なくとも1つのアーム(51)が、前記本体(7)上に取り付けられ、前記展開構成から前記折畳構成への移行中、前記アームの前記遠位端EDが、常に前記近位端EPの後方にあるまま、前方に進むような方法で構成及び/又は制御される、
請求項1又は2に記載のドッキング装置。
【請求項4】
前記アーム(51)が、前記展開構成から前記折畳構成への移行中、前記アーム(51)が前記止め具(9)に対して前方に進むような方法で、前記本体(7)上に取り付けられる、
請求項3に記載のドッキング装置。
【請求項5】
前記組(E)の少なくとも1つのアームに、前記展開構成から前記折畳構成への移行中、前記アーム(51)が前記止め具(9)に対して前方並進運動をするような方法で、前記軸(x)に沿って前記止め具(9)に対して摺動する機能が実装されている、
請求項4に記載のドッキング装置。
【請求項6】
前記アームの前記近位端(EP)に、前記展開構成から前記折畳構成への移行中、前記スライダ(52)が前記軸(x)に沿って進むとき、前記遠位端(ED)が、前記スライダ(52)に対する前記アーム(51)の回転によって、前記軸xのより近くに移動することができるような方法で、前記軸(x)に沿って前記止め具(9)に対して摺動する機能が実装されたスライダ(52)上で旋回する機能が実装されている、
請求項5に記載のドッキング装置。
【請求項7】
前記組の少なくとも1つのアームの前記近位端(EPb)が、前記止め具(9)に対する前記長手方向軸に沿った移動に関して固定されている、
請求項1~6のいずれか一項に記載のドッキング装置。
【請求項8】
前記アームの前記近位端(EPb)に、前記展開構成から前記折畳構成への移行中、前記止め具(9)に対する前記近位端(EPb)の回転によって、前記遠位端(EDb)が、前記軸xのより近くに移動して、前記軸xに沿って進むことができるような方法で、前記止め具(9)に対して旋回する機能が実装されている、
請求項7に記載のドッキング装置。
【請求項9】
前記本体が、前記軸xに沿って細長く、前記折畳構成において前記アームの前記遠位端(ED)を受け入れるスロットを備える、
請求項1~8のいずれか一項に記載のドッキング装置。
【請求項10】
前記本体が、前記止め具(9)から離れるように後方に、前記長手方向軸(x)と平行に長手方向に延在するビーム(8)を備える、
請求項1~9のいずれか一項に記載のドッキング装置。
【請求項11】
少なくとも1つのアームが、前記軸xに対する前記アームの傾斜とは無関係に、可変である長さを有する、
請求項1~10のいずれか一項に記載のドッキング装置。
【請求項12】
前記ドッキングステーションに接続され、前記ドッキングステーションを前記運搬船に接続することが意図されたケーブル(4)
を備える、
請求項1~11のいずれか一項に記載のドッキング装置。
【請求項13】
請求項12に記載のドッキング装置と運搬船とを備えるドッキング組立体であって、
前記運搬船が完全に水中の前記ドッキングステーションを牽引できるように、前記ケーブルが前記ドッキングステーションを前記運搬船に接続している、
ドッキング組立体。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載のドッキング装置と水中航走体とを備える水中組立体であって、
前記水中航走体が、
前記水中航走体が前記止め具に当接し、前記アームの組が前記展開構成であるとき、前記組の少なくとも1つのアームがソナーアンテナの有効範囲の区域内にあることができ、前記アームの組が前記折畳構成であるとき、前記アームの組の前記アームが前記ソナーアンテナの有効範囲の区域内にあることができないような方法で配置されるソナーアンテナ
を備える、
水中組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、荒れた海での運搬船上への回収を容易にする、自律型水中航走体すなわちAUVを取り扱うための装置及び方法の分野である。運搬船は、たとえば、水上艦船又は潜水艦である。
【背景技術】
【0002】
荒れた海では、運搬船、及び、運搬船上に回収するAUVは、高価なスタビライザが装着されていない限り、高振幅運動にさらされる。うねりに関連する運動はランダムである。
【0003】
さらにまた、操縦機能は制限される。AUVは、その自律性がエネルギー搬送能力に関して最適化されるため、特に、任務の最後には、ごくわずかな電力しか残っていない。運搬船は操縦可能であるが、操縦は重く、時間がかかる。AUVを運搬船上に回収するために採用される技術は、2つの広範な系統に分類することができる。
【0004】
AUVを直接捕獲することと、AUVを運搬船上に直接回収することとを含む解決策では、AUVは、たとえば、かご、手網、又はつかみ具を使用して、運搬船から直接「捕らえられ」、或いは、AUVは、運搬船による回収に割り当てられた「領域」に、且つ、運搬船の近くに、自身を位置付ける。これらの解決策は、穏やかな海での実行は比較的容易であるが、海が荒れるとすぐに、ハードウェアに対するリスクのレベル、及び、操作者に対するリスクのレベルさえ、非常に高くなる。
【0005】
以前の捕獲のための解決策では、AUVは、運搬船とAUVとの間にリンクが作成されるような方法で、捕獲ステーションによって捕獲され、次いで、捕獲ステーション及びAUVが、運搬船上に回収される。その解決策は、荒れた海では、好みの問題として扱われるが、それは、船との衝突の危険性が、排除されないまでも大きく減少するためである。
【0006】
AUVの回収の重要なステップは、運搬船とAUVとの間にリンクを作成するステップ、及び、AUVを船上に持ってくるステップである。通常、さまざまな昇降操作のために船上で利用可能である、クレーン型の昇降具が使用される。この昇降具により、捕獲ステーションに接続されたAUVを、水面から運搬船上に簡単に持ち上げ、次いで、運搬船のプラットフォーム上に降ろすことができる。
【0007】
その後、クレーン又はガントリー型の装置を使用して、AUVを上から回収することができるように、AUVと運搬船との間の物理リンクが、AUVの頂部に取り付けられる柔軟リンクによって確立される解決策が知られている。
【0008】
そのタイプの解決策は、本出願人企業によって出願された、仏国特許出願公開第2931792号明細書で開示されている。その解決策は、柔軟リンクによって船に接続されて、且つ、水中航走体のノーズを受けることができるフレア形状を有し、ドッキングステップの間にAUVのノーズが当接する受け手段を備える本体を備える、回収クレードルを備える。AUVがドッキングステップを完了すると、クレードルは、AUVの上方に延在する背部ビームを備える。クレードルは、AUVとドッキングするように所定の深さでビームが水平である位置で、ケーブルから吊り下げられることが意図される。クレードルは、AUVがドッキングステップを完了すると、AUVのビームへの固定を可能にするブロッキング手段を備える。
【0009】
この解決策により、船と自律型水中航走体との間のリンクを確立するための操作者の(悪天候において慎重を要すると判明する可能性がある)干渉を避けることができる。
【0010】
ノーズが受け手段に収容されて、これらの手段に対して当接すると、AUVによって与えられる運動及びクレードルの慣性の作用の下で、クレードルは、水平面及び垂直面において、回転運動を行い、この運動は、ビームの軸をAUVの軸と一直線に並べ、AUVの壁のより近くにビームを移動させる効果を有する。したがって、AUVの壁に対して背部ビームを押し付けることは、AUVと受け手段との間の衝突の動的作用によって実現される。これは、衝突の瞬間にAUVが運動状態を維持していることを必要とする。これにより、この押し付けが一時的なものとなる。クレードルは、衝突の作用の後、同じ深さでその水平位置に戻る。ここで、背部ビームに妨げられることなく受け手段に対して当接可能とするために、AUVは、正である長手方向ピッチ(最も一般的には単純に「ピッチ」と呼ばれる)を示さなければならないので、背部ビームは、衝突の作用の後、AUVから離れる。したがって、ドッキング装置がその初期傾きに戻る前にAUVを本体に固定するためにAUVの軸及び本体の軸が位置合わせされるとすぐに、AUVのブロッキングは実行されなければならない。固定に失敗する可能性は高い。さらにまた、AUVの速度がドッキングする瞬間に十分な速さである場合のみ、航走体に対して背部ビームを押し付けることはでき、これは、ドッキングステップのためにAUVが十分なエネルギーを残しておかなければならないことを意味し、したがって、その任務の期間が制限される。
【0011】
さらにまた、受け手段によって区切られる空間は制限されており、AUVのノーズを受け手段に位置付けることを可能とするために、AUVを非常に正確に制御しなければならず、これは、悪天候の場合に、小さくない欠点となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上記の欠点のうちの少なくとも1つを制限することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このため、本発明の1つの主題は、水中航走体のためのドッキング装置であり、ドッキング装置は、運搬船に接続することができるドッキングステーションを備え、ドッキングステーションは、止め具を備える本体を備え、止め具は、止め具を通過する長手方向軸に沿った、長手方向軸によって定義される、後方から前方へ向かう方向への、本体に対する水中航走体の運動をブロックすることを可能にし、ドッキングステーションは、止め具の方へ水中航走体を案内するための案内装置を備え、案内装置は、本体に接続され、それぞれが遠位端と近位端とを備えるアームの組を備え、アームは止め具のまわりに分布しており、アームの組は、水中航走体を止め具の方へ案内することを可能とするように、アームが後方の方へ広がる容積を区切る展開構成であることが可能であり、各アームの遠位端は、展開構成において、アームの近位端の後方に位置しており、アームの組は、折畳構成であることが可能であり、折畳構成では、組の各アームの遠位端は、展開構成においてよりも長手方向軸に近く、止め具の後方の、アームの組によって区切られる容積の軸xに沿った長さが、展開構成においてよりも折畳構成において短いように、遠位端は、展開構成において遠位端によって占められる位置の前方に位置する。
【0014】
有利なことには、ドッキングステーションは、止め具に当接する水中航走体の、本体への固定を可能にするロック手段を備える。
【0015】
第1の実施形態において、組の少なくとも1つのアームには、展開構成から折畳構成への移行中、アームが止め具に対して前方並進運動をするような方法で、軸に沿って止め具に対して摺動する機能が実装されている。
【0016】
有利なことには、アームの近位端には、展開構成から折畳構成への移行中、スライダが軸に沿って進むとき、遠位端が、スライダに対するアームの回転によって、軸xのより近くに移動することができるような方法で、止め具に対して摺動する機能が実装されたスライダ上で旋回する機能が実装されている。
【0017】
第2の実施形態において、組の少なくとも1つのアームの近位端は、止め具に対する長手方向軸に沿った移動に関して固定されている。
【0018】
有利なことには、アームの近位端には、展開構成から折畳構成への移行中、止め具に対する近位端の回転によって、遠位端が、軸xのより近くに移動して、軸xに沿って進むことができるような方法で、止め具に対して旋回する機能が実装されている。
【0019】
有利なことには、本体は、軸xに沿って細長く、折畳構成においてアームの遠位端を受け入れるスロットを備える。
【0020】
有利なことには、本体は、止め具から離れるように後方に、長手方向軸と平行に長手方向に延在するビームを備える。
【0021】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の非限定的な例として与えられる詳細説明を、添付図面を参照して読み取ることから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】運搬船によって牽引され、AUVが接近している、本発明によるドッキング装置を概略的に示す。
図2a】AUVが接近し、展開構成のアームの組を有する、負のドッキングピッチを有するドッキングステーションを側面図で概略的に示す。
図2b図2aの構成のドッキングステーションを背面図で概略的に示す。
図3】AUVがドッキングステーション5とドッキングするフェーズを斜視図で概略的に示す。
図4】ドッキングステーションの止め具に当接するAUVに対してドッキングステーションが押し付けられているフェーズを斜視図で概略的に示す。
図5】止め具に当接するAUVに押し付けられているドッキングステーション5を背面図で概略的に示す。
図6図5の部分図を平面図で概略的に示す。
図7a】止め具に当接するAUVに押し付けられており、アームの組が折畳構成であるドッキングステーション5を側面図で概略的に示す。
図7b図7aの平面図を概略的に示す。
図7c】ロック手段の1つの例を概略的に示す。
図8a】取扱手段を概略的に示し、ドッキングステーションは取扱手段の支持部に当接している。
図8b図8aに対して旋回した後の取扱手段を概略的に示す。
図9a】展開構成から折畳構成に移行するために、第1の実施形態の1つの例による案内装置が経る一連のステップを概略的に示す。
図9b】展開構成から折畳構成に移行するために、第1の実施形態の1つの例による案内装置が経る一連のステップを概略的に示す。
図9c】展開構成から折畳構成に移行するために、第1の実施形態の1つの例による案内装置が経る一連のステップを概略的に示す。
図9d】展開構成から折畳構成に移行するために、第1の実施形態の1つの例による案内装置が経る一連のステップを概略的に示す。
図10a】展開構成から折畳構成に移行するために、第2の実施形態による案内装置が経る一連のステップを概略的に示す。
図10b】展開構成から折畳構成に移行するために、第2の実施形態による案内装置が経る一連のステップを概略的に示す。
図10c】展開構成から折畳構成に移行するために、第2の実施形態による案内装置が経る一連のステップを概略的に示す。
図10d】展開構成から折畳構成に移行するために、第2の実施形態による案内装置が経る一連のステップを概略的に示す。
図10e】展開構成から折畳構成に移行するために、第2の実施形態による案内装置が経る一連のステップを概略的に示す。
図11】ケーブルとドッキングステーションの本体との接続の別の例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1つの図から別の図まで、同じ要素は同じ参照番号で識別される。
【0024】
図1は、自律型水中航走体AUV2が接近し、水上艦船、すなわち、水面上の航行が意図された船、又は、潜水艦であってもよい運搬船3が牽引する、本発明によるドッキング装置1を概略的に示す。ドッキング装置1は、ドッキングステーション5を運搬船3に接続するケーブル4を介して、運搬船3とAUV2との間のリンクを確立することができる。
【0025】
ケーブル4は有利なことには、ドッキング装置1に属している。ケーブル4は、ドッキングステーション5に接続されることが意図されてもよい。
【0026】
ドッキング装置1は、運搬船3がドッキングステーションの頂部を介して完全に水中にあるドッキングステーション5を牽引するような方法で、運搬船3に機械的に接続されることが意図された水中使用可能なドッキングステーション5を備える。
【0027】
たとえば、運搬船3は、ドッキングステーション5より浅い深さに位置することが意図されており、これは強制的ではないが、運搬船3のケーブルの牽引点Tbがドッキングステーション5上のケーブルの牽引点Tより浅い深さであることは重要な点である。牽引点とは、「曳点」としても知られており、ケーブルが引張力を及ぼすことが意図されている点である。
【0028】
ドッキング装置1は、たとえば、ドッキングステーション5を、ケーブル4を介して運搬船3に接続することを可能とするような方法で、ドッキングステーション5に接続されて、ケーブル4と協働できる接続要素40を備える。したがって、ケーブル4は、接続要素40に固定されている。接続要素40は、ドッキングステーション5の本体7上にケーブル4で及ぼされる引張力Fを吸収する。
【0029】
図2aで見ることができるように、AUV2は、後部2ARから、AUV2の前端2AVを備えるノーズ2Nまで、AUVの長手方向軸x1に沿って長手方向に延在する。AUV2は、水中航走体2の後部2ARから前端2AVに至る方向に、主に軸x1に沿って移動することが意図されている。
【0030】
ノーズ2Nは、前端2AVから後部2ARの方向に広げられた形状を有する。この形状は、たとえば、凸状である。ノーズ2Nは、たとえば、長手方向軸x1を中心とする回転対称性を示す。ノーズ2Nは、たとえば、全体的に半球状である。
【0031】
AUV2は、ノーズ2Nを後部2ARに接続する円筒の軸x1を有する全体的に円筒状である中央部2Cを備える。後部2ARは、AUV2を推進することが意図されたスラスタ2Pを備える。
【0032】
ドッキングステーション5の本体7は、後端ARから前端AVまで、本体7の長手方向軸xに沿って長手方向に延在する。軸xは、後部ARから前部AVへの方向に延在する。本体7は、軸xと平行に長手方向に延在するビーム8を備える。
【0033】
本明細書の残りの部分では、用語「前部」、「前方」、「後部」、及び「後方」は、軸xの方向に定義される。頂部及び底部は、地球基準座標系の垂直軸によって定義される。
【0034】
本体7は止め具9も備える。ビーム8は、ビーム8の後端から止め具9の方へ、たとえば、止め具9まで、長手方向に延在する。止め具9はビーム8と一体である。
【0035】
図2aの位置においてドッキングステーション5の背面図を示す図2bで見ることができるように、止め具9は、たとえば、AUVのノーズ2Nを受け入れることができるように、凹状である形状を有する。止め具9の形状は、たとえば、前端2AVを備えるノーズ2Nの一部としての形状を補完する形状である。この形状は非限定的であり、たとえば、変形形態として、リングの形状、軸xに垂直なプレートの形状を有する可能性がある。止め具9は、その全表面上に連続的に延在してもよく、或いは、少なくとも1つの開口を有してもよい(それは、たとえば、格子構造を有してもよい)。止め具9は、一定の形状を有してもよく、又は、止め具9に当接するAUVの圧力の影響の下で変形可能であってもよい。
【0036】
止め具9は、図3に示されるドッキングフェーズの間に、AUVのノーズ2Nが止め具9に当接するときの、軸xによって定義される方向に止め具9を通過する軸xに沿った(すなわち、ドッキングステーション5の前部AVの方への)本体7に対するAUVの運動をブロックすることができる。
【0037】
ビーム8は、ドッキングステーション5の本体7の端部ARの方へ、止め具9から分かれる。これにより、AUV2が止め具9に対して当接するとき、ビーム8はAUV2に面して延在する。より詳細には、ビーム8は、AUV2の一部に面して延在し、その部分は、止め具9に当接するノーズ2Nの後方に位置する。AUV2は、止め具9に当接するために、ビーム8に沿って止め具9の方へ進む。
【0038】
図に示される実施形態において、AUV2のノーズ2Nが止め具9に当接するとき、ビーム8がAUV2上を延在するような方法で、ビーム8及び止め具9は互いに対して配置される。
【0039】
本体に作用する浮力は、アルキメデスの浮力と本体の重量との差の合力である。この力は、上向き(正の浮力、アルキメデスの浮力より小さい重量)、又は、下向き(負の浮力、アルキメデスの浮力より大きい重量)であることがある。完全に水中のドッキングステーション5は有利なことには、ドッキングステーション5が移動する液体、たとえば、淡水又は海水の中で負の浮力を有する。したがって、ドッキングステーション5は重い。ドッキングステーションの負の浮力は、本明細書において後で望まれて、説明されるように、AUVに対してドッキングステーションを押し付けることの実現にプラスの影響を有するが、それは、ステーションは沈む傾向を有するためである。この構成は、たとえば、高価で限定的な手段である、ステーションの浮力又は調整可能なオリエンテーションフィンを調整するための手段などの、ステーションを潜水させるための手段又は流体力学的構成を提供する必要がないという利点を提供する。
【0040】
変形形態において、ドッキングステーション5は、ゼロ又は正の浮力を有する。
【0041】
ドッキングステーション5は、AUV2が止め具に接近すると、後部ARから前部AVの方向に運搬船3によって牽引されることが意図されていることに注目すべきである。よって、軸xは、好ましい方向を有し、それによって、AUVが止め具により簡単に到達することを可能にする。
【0042】
有利なことには、ドッキングステーション5は、流体力学的に輪郭付けられ、ある特定の方法で配置される重心及び浮心を有し、曳点Tは、図1、2a及び2b、並びに3に示されるように、ドッキングステーション5は完全に水中にあり、長手方向軸xの方向に正の所定の速度で頂部から運搬船3によって牽引されるときに、ドッキングステーション5が負の所定のドッキングピッチを有する(前端AVが後端ARより深い深さに位置する)ような、ある特定の方法で定義される位置を占めることができる。ドッキングステーション5のピッチは、ケーブルの引張りが及ぼされるドッキングステーションの本体7のピッチである。
【0043】
速度が固定されると、ドッキングピッチは固定される。
【0044】
完全に水中のドッキングステーション5の浮心の位置は、ドッキングステーションの形状によって定義され、その重心の位置は、ドッキングステーション5の質量の分布によって定義される。
【0045】
図1、2a、2b、及び3から分かるように、負のピッチにより、ドッキングステーション5は、ドッキングに好ましい位置にあり、それによって、AUV2の経路上に広い許容範囲を有して、AUV2は止め具9に当接することができる。
【0046】
ドッキング中、AUV2がビーム8(特に、端部AR)に衝突する危険性は低い。この解決策は、ドッキングフェーズの複雑さを増す、バラストの調整又はAUV2が上向きの速度を有して共にドッキングすることを避けることができることを意味する。したがって、提案された解決策は、強力で経済的である。ビームは、AUV2を案内する機能も有する。
【0047】
負のドッキングピッチを実現するために、曳点Tは、重力、アルキメデスの浮力、及び流体力の合力が加えられる点の後方に位置するドッキング位置を占めることができる。
【0048】
軸xに沿った本体7に対する曳点Tの位置は、固定されてもよく、又は、後で見られるように可変であってもよい。本体7に対して軸xに沿って可変の位置を有する曳点Tの場合、軸xに沿ったその位置の少なくとも1つは、ドッキングピッチを得ることができるような方法で定義される。
【0049】
有利なことには、完全に水中のドッキングステーションが水上艦艇によって後部ARから前部AVの方向に牽引されているとき、曳点のドッキング位置の後方に位置するドッキングステーションの部分によって発生する推進力の合力が下向き又はゼロであるような方法で、ドッキングステーション5は、流体力学的に輪郭付けられる。次いで、ドッキングステーション5は、ロールに関しても平衡点にある(傾きゼロ)。よって、負のドッキングピッチは、主に静水圧力を通して得られる。このように、曳点は有利なことには、重力及びアルキメデスの浮力の合力が加えられる点の後方に位置するドッキング位置を占めることができる。
【0050】
優先的なものとして、曳点Tは、重心の後方に位置する曳点位置を占めることができる。
【0051】
有利なことには、AUV2が止め具に当接する前に、完全に水中のドッキングステーションが運搬船3によって牽引されているとき、曳点Tがそのドッキング位置を占めるようにドッキング装置は構成される。
【0052】
図3で見ることができるように、AUV2が止め具9に当接すると、止め具9に当接するAUVによって与えられる前進によって引き起こされる動的効果の作用の下で、図4で見ることができるように、押し付けフェーズの間、ビーム8はAUV2を押圧する。この押し付けは、垂直面におけるドッキングステーション5及びビーム8の回転運動によって得られる。
【0053】
ドッキング装置は、ロック手段、たとえば、少なくとも1つのラッチの組を備え、ビーム8がAUV2に当接したとき、本体7をAUV2に固定することを可能にする。次いで、AUV2は、ケーブル4を介して運搬船3に接続される。
【0054】
ロックは、押し付けフェーズより後にくる捕獲フェーズの間に行われる。
【0055】
AUV2が止め具9に当接すると、ドッキングステーション5は、AUV2によって、軸xに沿って前方に駆動され、これは、ドッキングステーション5をもはや引っ張らない、ケーブル4の弛緩という影響を及ぼす。
【0056】
有利なことには、ドッキングステーションは、流体力学的に構成され、地球基準座標系で定義される垂直面におけるAUV2に対するドッキングステーション5の回転を通して、背部ビーム8をAUV2に押圧するように、図3に示されるように、AUV2が止め具9の点Pに当接するときに、第1の戻しトルクがドッキングピッチを有する完全に水中のドッキングステーション5に加えられるような方法で位置付けられる重心及び浮心を有する。
【0057】
ドッキングピッチは有利なことには、-15°~-5°で構成される。
【0058】
よって、背部ビーム8は、図4に示されるように、AUVに対して持続的に押圧するようになる。この持続的な押圧により、捕獲フェーズの間、十分な時間、AUV2を本体7に固定することができる。したがって、AUVの捕獲が失敗する危険性は限定される。この解決策により、たとえ、ドッキングするときのAUV2の速度が低くても、AUV2に対する背部ビーム8の押圧が実現される。AUV2は、ドッキングステーション5を前方に駆動して、ケーブル4を弛緩させるように、ドッキングする瞬間に、ドッキングステーション5よりわずかに速く進むだけでよい。ケーブル4が弛緩すると、第1の静水圧トルクは、背部ビームをAUV2上に押圧する。ドッキングするとき、AUV2は一般に、任務の最後にはエネルギーの蓄えが制限されているので、この解決策は有利である。したがって、最大量のエネルギーを任務中に使用することができ、したがって、任務の継続時間を増加させることができる。
【0059】
AUV2のピッチがドッキングステーション5のピッチより大きいとき、持続的な押圧効果が得られる。したがって、押圧効果は、AUV2が、たとえば、水平の長手方向軸x1を有するドッキングステーション5とのドッキングを開始するときに、特に得られる。
【0060】
有利なことには、ドッキングステーションは、ビーム8をAUVに対して押圧する傾向があるように、そのピッチがゼロ(軸xが水平)であり、ビーム8がAUV2に当接しているときに、第1の戻しトルクを受けるような方法で構成される。それにより、持続押圧の実現が可能になる。
【0061】
AUVが止め具に当接していると、ドッキングステーション5に加えられるモーメントは、もはや曳点を中心としたものではなく、AUV2が当接する止め具9の点Pを中心にバランスがとられる。したがって、第1の戻しトルクは、止め具9、たとえば、AUV2が止め具9に図3に示される方向に当接する点Pを通過する、図2bに示される水平回転軸rを中心に及ぼされる。この点Pは停止点である。
【0062】
点Pは、たとえば、軸x及びx1が平行であるときに、止め具9に当接する航走体の力の合力が及ぼされることが意図された点である。
【0063】
第1の戻しトルクは、回転軸rを中心に、止め具9に対して後端ARを下げるようにビーム8を回転させる傾向を有する。
【0064】
持続的な押圧を保証する戻しトルクを得るために、曳点Tのドッキング位置は、有利なことには、止め具9の後部に、好ましくは、点Pの後部にある。この解決策は、単純であり、第1の戻しトルクを得るために、流体力学を採用する複雑な手段を提供する必要がない。
【0065】
有利なことには、ドッキングステーションは、押し付け時の流体力の影響は無視できるような方法で、すなわち、ドッキングステーションがドッキングピッチ及び/又はゼロピッチを示すときに、止め具に対する流体力のモーメントの合力が略ゼロであるような方法で、流体力学的に輪郭付けられる。さらに、第1の戻しトルクは、実質的に第1の静水圧戻しトルクである。そのような場合において、さらに、持続押圧は、速度(AUVの水平速度と、AUVが止め具9に当接する瞬間にドッキングステーションが牽引されている速度との差)に無関係であり、速度が高いときでさえ、実現される。
【0066】
ごくわずかな流体力学的な効果が、たとえば、ステーションの後部ARの近くに位置し、下向き推力を発生させるように構成される少なくとも1つの後方尾翼の組を設けることによって得られてもよい。尾翼は、ドッキングステーションの残りの機能として、この目的のために寸法を決める必要がある。
【0067】
すべての場合において、ドッキングステーションは有利なことには、地球基準座標系で定義される垂直面におけるAUV2に対するドッキングステーション5の回転によって背部ビーム8をAUV2に対して押圧するように、図3に示されるように、AUV2が止め具9に当接するとき、第1の静水圧戻しトルクがドッキングピッチを示す完全に水中のドッキングステーション5上に及ぼされるような方法で位置付けられる重心及び浮心を有する。それは、少なくとも低速での、持続押圧を保証する。
【0068】
Pを通過する回転軸rを中心にドッキングステーション5によって受ける第1の静水圧戻しトルクは、その同じ軸を中心にドッキングステーション5上に及ぼされる重力と関連するトルクと、その同じ軸を中心にドッキングステーション5上に及ぼされるアルキメデスの浮力と関連するトルクとの合計である。よって、押し付け効果を得るために、ドッキングステーション5の形状及びこのドッキングステーション5の質量分布は、ドッキングステーション5の重心及び浮心の位置がこの第1の静水圧戻しトルクを生じさせるような方法で定義される。ドッキングステーション5の質量は、重心に加えられる下向き力を発生させ、容積は、浮心に加えられる上向き力(アルキメデスの浮力)を発生させる。この解決策は、単純であり、信頼性が高く、安価であるという利点を提供する。それは受動的であるので、この解決策は、AUVに対して押し付けることを保証するために、バラスト型の可変密度均一化装置を必要としない。
【0069】
有利なことには、完全に水中のドッキングステーション5の本体7の重心及び浮心は、固定された位置を占める。
【0070】
望ましい押し付けを保証する第1の静水圧トルクを得るための可能な選択肢の1つは、ドッキングステーション5の重心、及び場合によっては、本体7の重心が、止め具9の後方又は点Pの後方に位置付けられるような方法でドッキングステーション5を構成することである。
【0071】
ドッキングステーション5の浮心の位置、及び任意選択的に、本体7の浮心の位置は、ドッキングステーション5の長手方向軸xに沿った、止め具9の前方又は点Pの前方に位置してもよい。しかしながら、浮力中心の位置は、ドッキングステーションがあまり重くない場合だけ、大きな影響を及ぼす。ドッキングステーションが非常に重いとき、止め具の後方又は重心の後方にさえ位置する浮心が想定されてもよい。
【0072】
有利なことには、重心及び浮心は、そのピッチがゼロ(軸xが水平)であり、且つ、ビーム8がAUV2に当接しているとき、ドッキングステーションが常に第1の静水圧戻しトルクを受けるような方法で位置付けられる。
【0073】
ケーブルがドッキングステーション5に引張りを加えていないときに、第1の戻しトルク又は第1の静水圧戻しトルクがドッキングステーションに加えられることに注目すべきである。次いで、ドッキングステーション5はAUVによって前方に押される。ケーブルは弛んでいる。ケーブルがドッキングステーション5を再度牽引しているとき、ドッキングステーション5は、この第1の戻しトルク又はこの第1の静水圧戻しトルクを受けてもよいが、必ずしも受けなくてもよい。
【0074】
図3及び5で見ることができるように、本体7は、止め具9の後方に位置する尾翼10を備えてもよい。尾翼10は、本体7の後部ARの近くの、ビーム8の後端の近く又はビーム8の端部に位置付けられる。この尾翼は、下向き推力を発生させるように構成される。次いで、ステーションの重心の位置を変えるために、尾翼の密度を変更することが可能である。
【0075】
図の非限定的な実施例において、ドッキングステーション5の本体7は、それぞれが逆Vの枝の1つを形成する2つの個々の尾翼10a、10bを備える逆V字形の尾翼10を備える。
【0076】
有利なことには、必ずしも必要ではないが、ドッキングステーション5又は本体7の、重心及び浮心は、アルキメデスの浮力及び重力のみ受けるときに、ドッキングステーション5が平衡状態にある正ピッチを有するような方法で位置付けられる。それは、押し付けを促進する。
【0077】
変形形態において、平衡状態にあるピッチは、たとえば、ゼロである。
【0078】
図5は、図4の構成におけるドッキングステーション及びAUV2を概略的に背面図で示す。この構成において、AUV2は止め具9に当接し、その長手方向軸x1は軸xと一致している。長手方向軸xは点Pを通過している。AUV2が止め具9に当接しているとき、止め具9の反動に耐えることが意図されている。
【0079】
有利なことには、ドッキングステーション5は、AUV2が止め具9に当接し、背部ビーム8がAUV2に押圧されるときのような方法でその重心及びその浮心が位置付けられるように構成され、ドッキングステーション5を完全に水中であると、図4及び5に示されるように、ドッキングステーション5がAUV2に対して長手方向軸xを中心とする回転における安定平衡の位置を有するように長手方向軸xが水平であるとき、第2の静水圧戻しトルクが長手方向軸xを中心にドッキングステーション5に加えられる。第2の静水圧戻しトルクは、静止状態の下で、ドッキングステーション5が側方に傾斜することを防ぐ、すなわち、ドッキングステーション5が長手方向軸xを中心にAUV2に対して回転することを防ぐ。図4及び5に示されるドッキングステーション5の位置は、長手方向軸xを中心とした回転に関して安定している。
【0080】
有利なことには、ドッキングステーション5は、AUV2が止め具9に当接し、完全に水中のドッキングステーション5がゼロピッチを示すとき、好ましくは、ピッチがドッキングピッチとゼロピッチとの間で構成されるとき、ドッキングステーション5がAUV2に対して長手方向軸xを中心とした回転における安定平衡の位置を示すように、第2の静水圧リターンが長手方向軸xを中心にドッキングステーション5上に及ぼされるような方法で、その重心及びその浮心が位置付けられるように構成され、ドッキングステーション5がAUVに対して押圧される前に、ドッキングステーション5が傾斜することを防ぐ。
【0081】
有利なことには、安定平衡の位置は、ロールの平衡点である。
【0082】
この位置は、たとえば、垂直面がロールの軸である長手方向軸xを備え、ドッキングステーション5の対称軸を構成する、傾きゼロの位置である。ロールの平衡点において、重心及び浮心は、軸xを含む全く同一の垂直面にある。
【0083】
変形形態において、ドッキングステーション5は、ロールの平衡点において、数度のゼロではない傾きを有する。
【0084】
ステーションがAUVとドッキングする前にロールに対して安定しているこの位置も占めるので、ロールに関するこの安定性は、AUVの回収をより簡単にする。
【0085】
図1の非限定的な実施形態において、ドッキングステーションがAUVに対して押圧されるとき、図5で見ることができるように、垂直面は、AUVをまたぐ逆V字形の尾翼の対称面である。
【0086】
ドッキングステーション5が側方に傾斜することを防ぐために、止め具9に当接するAUVに対してビーム8が押圧され、ドッキングステーションのピッチがゼロピッチであるとき、好ましくは、ピッチがドッキングピッチとゼロピッチとの間で構成されるとき、ドッキングステーション5の重心は、ドッキングステーション5の浮心に対して垂直にオフセットされる。
【0087】
このため、ドッキングステーションのピッチがゼロであるとき、好ましくは、ドッキングステーションのピッチがドッキングピッチとゼロピッチとの間で構成されるとき、又は、少なくともピッチがゼロであるとき、重心は浮心の下に位置する。これにより、ケーブルが弛んでいるときに、ロールの平衡点の実現が可能となる。
【0088】
本発明の1つの実施形態において、ドッキングステーションのピッチがドッキングピッチとゼロピッチとの間で構成されるとき、又は、少なくともピッチがゼロであるとき、重心は軸xの下に位置する。この解決策は単純であり、非常に高い浮心を提供する必要がない。浮心は、同様に軸xの下にあってもよい(特に、重いステーション構成のために)。
【0089】
このため、ドッキングステーション5(或いは、ドッキングステーションの本体7)は、ドッキングステーション5が安定平衡の位置にあるとき、水平軸xを含む水平面Hより上に位置する上部PSと、水平面より下に位置する下部PIとを備える。ドッキングステーション5の質量分布は、下部PIの質量が上部PSの質量より大きいように選択される。これにより、重心は軸xの下にある。ドッキングステーションの形状は、浮心が重心より上に位置するように定義される。上部PSによって移動する液体の容積は、たとえば、下部PIによって移動する液体の容積に等しくてもよい。
【0090】
図の非限定的な実施形態において、長手方向軸は水平であり、運搬構造5が安定平衡の位置にあるとき、個々の尾翼10a、10bは、ビーム8から、ステーション5の下部PIに位置する、すなわち、軸xより深い個々の尾翼10a、10bの下端まで延在する。この構成により、重心の位置を下げることができる。重心をできるだけ低く位置付けるために、尾翼の質量を変えることが可能である。たとえば、個々の尾翼の下端へのバラストウェイトの取付けを想定することが可能である。
【0091】
本発明によるドッキング装置は、単純で、受動的で、強固な捕獲プロセスを可能にする。
【0092】
変形形態において、ビーム8及び止め具9は、AUVのノーズが止め具9に当接するとき、背部ビームがAUV2上を延在するような方法で、互いに対して配置される。
【0093】
有利なことには、図2aで見ることができるように、曳点Tは、本体7に対して長手方向軸(x)に沿って移動することができる。
【0094】
曳点の可動性により、その速度、そのステータス(AUVの有無にかかわらず)、又は、任務のフェーズ(AUVの捕獲、若しくは、船上でのステーションの回収)に従って、ドッキングステーションのピッチを適合させることが可能になる。それにより、うねりに関連する船の運動の衝撃をケーブルの張力を解放又は回復によって最小化することが可能になる。
【0095】
たとえば、図11で見ることができるように、曳点Tは、本体7に対して軸xに沿って摺動することができる。
【0096】
ケーブルは、たとえば、本体7に対して回転軸yを中心に旋回する機能が取り付けられたヨーク40に固定され、回転軸yには、長手方向軸xと平行な軸x2に沿って本体7に対して摺動する機能が取り付けられている。この目的のために、本体7は、たとえば、軸xと平行に長手方向に延在して、回転軸yを受けるガイドスロット41を備える。
【0097】
アクチュエータ、たとえば、液圧ラム、電気ラム、又はラックシステムは、軸yを本体7に対して摺動するように作ることを可能にしてもよい。なお、動的な運動が非常に速くない限り、引張力は常に、軸xに沿った同じ方向に向けられる。単動式ラムが十分であってもよい。迅速なサーボ制御が望まれる場合、複動式ラムが有利であることがある。
【0098】
有利なことには、AUV2が止め具9に当接すると、たとえば、AUVが止め具9に当接している影響の下で、曳点Tが本体7に対して軸xに沿って進むような方法で、ケーブル4は、ドッキングステーション5の本体7に接続される。換言すれば、調整手段は、AUV2が止め具9に当接すると、曳点を本体7に対して軸xに沿って進めるように構成される。これにより、AUV2に対するビーム8の押圧が促進され、AUVの所要電力を最小化することができる。
【0099】
有利なことには、AUVが止め具と当接する前に(ドッキングする前に)完全に水中のドッキングステーションが運搬船によって牽引されているとき、ドッキングステーション5が負のピッチを示すような曳点Tのドッキング位置で曳点Tが本体7に対して軸xに沿って位置付けられるような方法で、ケーブル4は、ドッキングステーション5の本体7に接続される。
【0100】
曳点のこのドッキング位置は、有利なことには、止め具9の後方にある。
【0101】
ドッキング装置1は、本体7に対する曳点Tの位置を軸xに沿って調整するための調整手段を備える。調整手段は、受動型(プログラムタイプの制御手段なし)、又は、能動型(操作者によって若しくはステーションの制御によって、遠隔制御される)であってもよい。
【0102】
受動型調整手段は、曳点の後部に位置し、ビームに接続され、ガイドウェイにある曳点に接続されたばねを備えてもよい。曳点の位置は、ばねが圧縮されており、止め具9に接続され、AUVが止め具9を押し込むことによって解放されるキャッチによって維持される。解放されると、次いで、ばねは弛緩し、曳点を前方に押す。
【0103】
有利なことには、図6で見ることができるように、ドッキングステーション5は、止め具のまわりに配置された案内アーム51の組Eを備える案内装置50を備える。アーム51の組Eは、アーム51の組EがAUV2を止め具9の方へ案内することができる、図2a、2b、3、6a、及び6bに示される展開構成であることができる。アームの展開構成は、案内構造に当接するAUVがない場合、安定している。
【0104】
展開構成では、アームの組は、AUV2のノーズ2Nを受けることができ、アームの組Eが展開構成であるドッキングフェーズの間に、図1の構成から図3の構成に移行するためにAUV2を止め具9の方に案内することができるように、軸xに沿って後部の方に止め具9から離れて広がる第1の容積の境界を定める。
【0105】
図2a、2b、及び3で見ることができるように、アーム51は、止め具9のまわりに配置されて、軸xを中心に角度をなして分布する。アームの組Eの各アーム51は、さらなる明瞭さのために、図6の単一のアームにのみ参照符号が付けられた遠位端EDと近位端EPとを有する。アームの組Eの各アーム51は、その近位端EPで本体7に接続される。
【0106】
図6で見ることができる展開構成では、組Eの各アーム51の遠位端EDは、近位端EPの後方に位置する。換言すれば、遠位端EDは、アームが本体7に接続されるアームの近位端EPよりも本体7の後端ARに近い。
【0107】
アームの組Eは、固定されてもよく、又は、展開構成である単一の安定構成を有してもよい。
【0108】
有利なことには、アーム51の組は、図7a及び7bで見ることができるような折畳構成であることができる。アームは有利なことには、ドッキングフェーズの後、好ましくは、AUV2の押し付けフェーズ且つ/又は捕獲するフェーズの後に実行される組Eを折り畳むフェーズの間に、展開構成から折畳構成に移行する。
【0109】
図7a及び7bで見ることができるように、折畳構成では、各遠位端EDは、展開構成よりも軸xに近い。換言すれば、アームを折り畳む間、各アーム51の遠位端EDは、遠位端EDが折畳構成位置に到達するまで、展開構成のその位置から軸xに近づく。
【0110】
折畳構成は、運搬船の甲板を散らかすことがないように、ドッキングフェーズ及び捕獲フェーズ以外で、ドッキングステーション5をよりコンパクトにすることができる。それにより、かなりの長さのアームを提供することが可能になり、したがって、展開構成で、そのアームは、軸xに垂直な、横断方向と呼ばれる平面において、かなりのサイズの第1の容積の境界を定めることができ、それによって、AUVの経路上に広い許容範囲を有して、止め具9の方へAUVを案内する。それにより、AUVを軸xに沿ったかなりの距離にわたって案内することも可能となる。
【0111】
ドッキング装置は、捕獲フェーズの間、AUVをドッキング構造5の本体7に固定するためにAUVと協働することができるロック手段を備える。有利なことには、ロック手段は、アームが展開構成であるとき、且つ/又は、アームが折畳構成であるときに、本体7をAUV2に固定することを可能にするように構成される。
【0112】
これらのロック手段は、案内装置がない場合でさえ存在してもよい。
【0113】
ロック手段は、その1つの例が図7cに示される、少なくとも1つのラッチ43を備えてもよく、本体7内に、たとえば、ビーム8内に格納される格納位置、及び、ステーションの本体をAUVの本体に固定したままにするために、フック44がAUVのアタッチメント45と協働するためにAUVの本体に入ることができる、図7cに示される突出位置にすることができるフック44を備える。このタイプのロック手段は、完全に非限定的である。ドッキングステーションは、たとえば、ドッキングステーション5の本体に対してAUVの本体をブロックするようにAUVの本体を囲むことができるアームを備えてもよい。
【0114】
ドッキング装置は有利なことには、たとえば、捕獲の後のたぐり込みフェーズの間に、捕獲ステーション5が取扱手段102の支持部101に当接するまで、ケーブル4をたぐり込むための手段、たとえば、ウインチを備える、図8aに示される取扱手段102を備える回収装置100の一部を形成する。支持部101は、捕獲ステーション、及び、捕獲ステーションの本体に固定されたAUVの上方向への並進移動をブロックすることができる。それにより、航走体が垂直軸を中心に旋回することを防止することもできてもよい。取扱手段102は、AUVに接続されて、支持部101に当接するドッキングステーション5を、輸送手段104の支持部上に降ろすことができるように移動させることを可能とする移動手段103をさらに備える。移動手段103は、たとえば、多関節アームを備える、支持部101が吊り下げられたクレーンを備える。移動手段は、図8bに示されるように、捕獲ステーション5に接続されたAUVを支持部に向かわせるように、支持部101が吊り下げられる、クレーンのアーム105を、水平軸を中心に旋回させるための駆動手段と捕獲ステーションに接続されたAUVをAUVの支持部106上に降ろすように支持部101を下げるための手段とを備える。図8bの非限定的な実施形態において、支持部106は、AUV2の中央部2Cをいくぶん補完する形状、すなわち、円筒の一部の形状の当接面107を有する。
【0115】
折畳構成では、アーム51の組Eは、横断方向平面において減少したサイズの容積の境界を定め、それによって、捕獲ステーションを運搬船3上でより簡単に取り扱い及び格納することができる。
【0116】
AUV2の捕獲後、アーム51の組Eが折り畳まれるという事実により、AUV2の取り扱いはより簡単になる。特に、AUVの円筒部の長さのすべて又はほとんどを輸送手段の支持部上に置くことによって、AUV2の形状を補完する単純な形状、たとえば、円筒の一部の形状を有する、輸送手段の支持部上にAUV2を降ろすことが可能であり、同時に、ドッキングステーションによって引き起こされやすいAUVの傾斜の危険性を制限し、それにより、その安定性を向上させる。さらにまた、ドッキング装置を持ち上げるために使用されるクレーン又はガントリーを使用して、その支持部上に直接AUVを下ろすことが可能である。前もって、ドッキングステーション5の本体7からAUVを取り外す必要はない。したがって、その支持部上にAUVを下ろす前にドッキング装置からAUVを取り出す慎重を要するステップを必要とするかご又は手網と比べて、取り扱いは非常に簡略化される。
【0117】
アームを折り畳むことは、特にAUVの頂部に沿って延在するビーム8の場合に有利であるが、AUVの底部に沿って延在するビームの場合にも有利であることがある。
【0118】
有利なことには、アームの組Eの各アーム51又はアームの組の少なくとも1つのアームは、折畳構成において、本体7に対して折り畳まれる。この構成は、折畳構成において十分なコンパクトさを提供し、それにより、その支持部上でのAUVの安定性が向上する。
【0119】
有利なことには、アームの組Eの各アーム51、又は少なくとも1つのアームは、折畳構成において、長手方向軸xに略平行に長手方向に延在する。換言すれば、アームの組は、折畳構成において、円筒の一部の形状を実質的に示す容積の境界を定める。この構成により、折畳構成における良好なコンパクトさが保証され、その支持部上でAUVの安定性がさらに向上する。
【0120】
図6~7a、7bの非限定的な例において、アーム51の遠位端EDは自由である。
【0121】
折畳構成では、各遠位端EDは、各遠位端EDが展開構成において占める位置の前方にある。換言すれば、アームの折り畳み中、各アーム51の遠位端EDは、展開構成におけるその位置から、折畳構成におけるその位置まで、軸xに沿って、且つ、軸Xの方向に進む。
【0122】
このように、アーム51が折畳構成において止め具9の前方へ完全に延在する場合、止め具9の後方で軸xに沿ってアームの組Eによって区切られる容積の、軸xに沿った長さは減少又は削減する。アーム51のこれらの特定の動力学により、アームの組を折り畳むことによって、捕獲後、AUV2の周囲を少なくとも部分的に解放することができる。
【0123】
この構成は、特に、止め具9に当接するAUVの上に位置することが意図されるような方法でビームが止め具に対して配置される例について有利である。それは、AUVの腹部又は側部に位置するセンサ又はアンテナ、たとえば、海底を画像化することが意図されたソナーのマスキングを減少させる又は回避する。したがって、AUV2は、ドッキングした後でさえ、その任務、たとえば、ソナー画像化任務を続けることができる。たとえば、そのバッテリの再充電及び/又はデータの回収のために、一時的にのみ、AUVがドッキングステーション5に固定されるときに、この特徴は有益である。
【0124】
この推論は、たとえば、AUVの頂部又は側部に位置するセンサ又はアンテナのマスキングを避けるために、止め具に当接するAUVの下に位置することが意図されるような方法で止め具9に対して配置されたビーム8の場合にも適用される。
【0125】
案内装置の2つの実施形態が、図9a~9d及び10a~10eに示される。
【0126】
例が図9a~9dに示される第1の実施形態において、展開構成から折畳構成への移行中、アームの遠位端EDは、常に近位端EPの後方のまま、前方に進む。
【0127】
図9a~9dの非限定的な例において、展開構成から折畳構成への移行中、止め具9に対してアーム51が前方に進むような方法で、組の各アーム51は、ドッキングステーションの本体7上に取り付けられる。
【0128】
図9a~9dの非限定的な例において、各アーム51には、図9aの展開構成から、連続的な図9b及び9cの連続的な中間構成を介して、図9dの折畳構成へ移行する間、アーム51が止め具9に対する前方並進運動をするような方法で軸xに沿って止め具9に対して摺動する機能が実装される。
【0129】
よって、展開構成から折畳構成への移行中、各アーム51は全体として、本体7に対して軸xに沿って前方並進運動をする。展開構成から折畳構成への移行中、各アーム51の遠位端EDは、その近位端EPの後方に残る。
【0130】
そのために、アーム51の近位端EPには、図9aの展開構成から図9dの折畳構成への移行の間、スライダ52が軸xに沿って進むとき、スライダ52に対する回転によって、遠位端EDが軸xのより近くに移動することができるような方法で、軸xに沿って止め具9に対して摺動する機能が実装されたスライダ52上で旋回する機能が実装される。
【0131】
展開構成から折畳構成への移行中、スライダ52が軸xに沿って進むとき、遠位端EDが、スライダ52に対する回転によって軸xのより近くに移動するために、案内装置は有利なことには、前部AVの方へのスライダ52の運動、アーム51の遠位端EDが軸xに近づくような定義された方向への、近位端EPをスライダ52に接続する旋回接続の軸を中心とするアームの回転(逆も同じ)を同時に発生させることができる駆動手段又は連結手段を備える。
【0132】
図9a~9dの特定の例において、各アーム51の近位端EPは、長手方向軸xに沿ってドッキングステーションの本体7に対して摺動する機能が実装されたスライダ52上に取り付けられる。各アーム51の近位端EPは、スライダ52に対して固定された旋回接続によってスライダ52上に取り付けられ、旋回接続は、軸xの略接線方向の回転軸を有する。駆動手段は、長手方向軸xを中心に角度をなして分布する接続アームの形態のフォーク53を備える。各フォーク53は、アーム51のうちの1つに接続される。アーム51に連結されたフォーク53の第1の長手方向端部E1は、アーム51の近位端EPと遠位端EDとの間に位置付けられた、軸xの略接線方向の軸の第1の旋回接続によって、アーム51に接続される。フォーク53の第2の長手方向端部E2は、軸xの略接線方向の軸の第2の旋回接続によって、本体7に接続される。フォークの第2の端部E2は、軸xに沿ったスライダ52の後方に位置付けられる。このように、アーム51の組Eが展開構成であるとき、軸xに沿った前部AVの方への本体7に対するスライダ52の並進移動は、アームへのフォークの関節によって、軸xにより近い組の各アーム51の遠位端の移動と組み合わされたアーム51の前方並進運動を生じさせる。
【0133】
変形形態において、アームのそれぞれの近位端は、展開位置から折畳位置への移行中、近位端を曲線的に移動させる接続ロッド上に取り付けられる。各アームは、展開位置から折畳位置への移行中、止め具に対して前方に進むが、近位端の運動は、軸xに沿った摺動運動ではない。
【0134】
別の変形形態において、アームは、たとえば、可変である長さを示す。アームは、本体7上に取り付けられ、展開構成から折畳構成への移行中、アームの遠位端EDが前進するような方法で、制御することができる、好ましくは、制御される。
【0135】
たとえば、各アームは、その近位端EPで本体に接続される。近位端EPは、本体に対する長手方向軸xに沿った移行に関して固定され、展開構成から折畳構成への移行中、止め具に対する近位端の回転によって遠位端EDが軸xに近づくような方法で、止め具に対して旋回する機能が実装され、展開構成から折畳構成への移行中、その遠位端EDが前進するような方法で、各アームは制御される。このように、遠位端が軸xに近づくと、その長さが減少するような方法で、各アームは制御される。
【0136】
図10a~10eに示される別の実施形態において、各アーム151は、その近位端EPbによって本体7に接続される。近位端EPbは、本体7に対する長手方向軸xに沿った移行に関して固定される。
【0137】
アーム151の近位端EPbには、図10aの展開構成から図10fの折畳構成への移行中、止め具9に対する近位端EPbの回転によって、遠位端EDbが、軸xに近づくことができる又は軸xに近づき、軸xに沿って前進するような方法で止め具9に対して旋回する機能が実装される。
【0138】
各アーム151の近位端EPbは、回転軸が本体7に対して固定されて、この回転軸を中心としたアーム151の回転が、端部EDbが近位端EPbの後部に、軸xから第1の距離だけ離れたその展開構成位置から、遠位端EDbが第1の距離より短い軸xからの第2の距離で、遠位端EDbの前方に位置するその折畳構成位置まで遠位端EDbを移行させるような方法で位置付けられる旋回接続によって、本体7に接続される。近位端EPbは、軸xに沿った、展開構成の遠位端EDbの位置と、折畳構成の遠位端EDbの位置との間に位置する。換言すれば、展開構成から折畳構成の移行中及びその逆の移行中、アーム151はひっくり返る。アーム151の組E’は、アーム151が本体7の後部の方へ広がる容積の境界を定める展開構成から、アーム151が前部AVの方へ広がる容積の境界を定める中間構成に移行し、次いで、アーム151の遠位端EDbは軸xに近づき、折畳構成に到達する。
【0139】
案内装置は、その展開構成からアームの組の折り畳み、及びその逆の動きを引き起こすための駆動手段を備える。
【0140】
回転軸は、たとえば、軸xの接線方向である。
【0141】
図10a~10eの特定の例において、駆動手段は、長手方向軸xに沿って本体7上で摺動する機能が実装されたスライダ152と、軸xを中心に角度をなして分布する、接続アームの形態のフォーク153とを備える。各フォークは、アームの1つに接続される。フォーク153の第1の長手方向端部E1bは、アーム151の近位端EPbと遠位端EDbとの間に位置付けられた、軸xの略接線方向の軸の旋回接続によって、アーム151のうちの1つに接続される。フォーク153の第2の長手方向端部E2bは、軸xの略接線方向の軸の旋回接続によって、スライダ152に接続される。スライダ152は、アーム151の近位端EPbの軸xに沿った前方に位置付けられる。これにより、アームの組が展開構成であるとき、本体7の前部の方へのスライダ152の並進移動は、スライダ152及びアーム151に対するフォーク153の関節によって、折畳構成のアーム151のそれぞれの位置から、折畳構成のアーム151のそれぞれの位置への本体7に対するアーム151のそれぞれの回転軸を中心としたアームの回転を生じさせる。
【0142】
図の2つの実施形態において、駆動手段は、アームの組を折畳構成から展開構成に移行させるように、本体7に対して軸xに沿って移行する継手中心52又は152を駆動するように構成されるアクチュエータを備える。アクチュエータは、たとえば、液圧又は電気ラム型の又はトルクモータ型である。
【0143】
スライダ52、152は、たとえば、軸xに垂直な平面内に位置付けられる実質的に円形リングの形状を示し、軸xはリングの中心を通過し、基端部EP、EPbは、たとえば、軸xに垂直で、軸xを中心とした円上に分布する。フォーク53、153はすべて同じ長さを有し、フォークの第1の端部は、円の中心を通過する軸xに垂直な円上に分布し、フォークの第2の端部は、円の中心を通過する軸xに垂直な別の円上に分布する。アームはすべて同じ長さを有する。変形形態において、アーム及び/又はフォークは異なる長さを有してもよく、フォークの基端部は必ずしも円上に分布するというわけではなく、継手中心は必ずしもリングの形状を有するというわけではなく、旋回接続の軸線は必ずしも軸xの接線方向というわけではない。したがって、それぞれのアームは、異なるように本体7に接続されてもよく、異なる駆動手段によって駆動されてもよい。
【0144】
有利なことには、本体7は、図10c及び10dで見ることができ、軸xと平行に長手方向に延在し、折畳構成においてアーム151の遠位端EDbが収容されるスロットFを備える。それは、組立体のコンパクトさを促進し、補完形状の支持部上のAUVの平衡状態を向上させ、案内装置がクレーンタイプの装置によって回収されている間、及び、AUVが支持部上に下ろされる間、アーム151を打撃から保護する。スロットは、図9a~9dの実施形態にも存在してもよい。
【0145】
有利なことには、アーム151は、折畳構成において、スロットに完全に収容される。
【0146】
有利なことには、アーム51、151は、図9d、10eの折畳構成において、実質的に止め具9の前方に延在するような方法で、本体7上に取り付けられる。
【0147】
有利なことには、アーム51、151は、図9a、10aの展開構成において、実質的に止め具9の後方に延在する。
【0148】
第1の実施形態は特に有利である。展開構成から折畳構成への移行において、軸xに、したがって、ステーションのまわりの水の流れに略垂直である中間位置をアームが通過しないため、第1の実施形態は、ごくわずかなエネルギーしか消費しない。ここで、その位置は、抵抗が最も大きい位置である。この解決策は、水中航走体の回収後、並びに、アーム折畳フェーズ及びアーム展開フェーズの間の、回収ステーションの不安定性も制限する。さらにまた、この解決策は、船体がアームに引っかかる危険性を制限する。これらの本体は、アームを弱めるおそれがあり、水中航走体の回収の前後に、水中航走体が間を通ること、及び、アームによって回収されること、又は、回収ステーションを不安定にしやすいことを防止する。したがって、この解決策は強力である。この解決策は、コンパクトであるという利点も提供する。この解決策は、ドッキングステーションが運搬船上又は工場にあるとき、たとえば、試験又は保守フェーズの間に、簡潔な方法で作動することができる。
【0149】
有利なことには、図5で見ることができるように、アーム51の組Eは、展開構成において下部PIに属し、1kg/m3より大きい密度を有する、少なくとも1つの下アームBIの組を備える。この特徴は、ドッキングステーションが傾く危険性を制限する。
【0150】
アーム51の組が展開構成において上部PSに属する少なくとも1つの上アームBSの組を備える非限定的なケースにおいて、少なくとも1つの下アームの組の各アームの平均密度は、少なくとも1つの上アームの組の各アームの平均密度より大きい。この特徴は、ドッキングステーションが傾く危険性をさらに制限する。
【0151】
図の実施形態において、アームは固定長を有する。
【0152】
変形形態として、アームは可変長を有する。有利なことには、各アームの長さは、軸xに対するアームの傾斜とは無関係に、すなわち、軸xからアームの遠位端を分離する距離とは無関係に、調整することができ、組は、複数の異なる展開構成であることができる。これは、アームによって境界を定められる容積の軸xに沿った、ある角をなす開口及び長さを、海況によって選択することができることを意味する。荒い海では、この容積の長さを増加させることが可能である。
【0153】
アームは、たとえば、伸縮式である。
【0154】
この変形形態は、第1及び第2の実施形態に適用することができる。
【0155】
アームの組は、動力学が第1の実施形態に従う少なくとも1つのアーム、及び/又は動力学が第2の実施形態に従う少なくとも1つのアームを備えてもよい。
【0156】
案内装置は、展開構成及び折畳構成であることができるアームの組のみを備えてもよい。変形形態において、案内装置は、水中航走体を止め具の方へ案内することができる少なくとも1つの固定された案内アームの別の組を備えてもよい。
【0157】
本発明はまた、AUVとドッキング装置とを備える水中組立体に関する。
【0158】
ドッキングステーションは有利なことには、AUVの長さと類似した長さ、又は、AUVの長さより大きい長さを有する。
【0159】
AUVの質量は好ましくは、ドッキングステーションの質量より大きい。
【0160】
図に示されるドッキングステーションは、ケーブル4を介して運搬船3によって牽引される。
【0161】
変形形態において、ドッキングステーションは、運搬船の船殻に固定される、又は、アームによって運搬船に接続される。
【0162】
本発明の1つの実施形態において、水中航走体は、1つ又は複数のソナーアンテナを備える。水中航走体は、音響信号を受信するための少なくとも1つのソナーアンテナ、及び/又は、音響信号を発するための少なくとも1つのソナーアンテナを備えてもよい。
【0163】
有利なことには、少なくとも1つのソナーアンテナは、アンテナが止め具に当接し、アームの組が折畳構成であるとき、アームの組のアームがアンテナの有効範囲の区域に位置することができない、すなわち、アンテナに面することができないような方法で位置付けられる。有効範囲の区域によって意味されることは、アンテナが音響信号を発する又は受信することが意図された区域である。
【0164】
対照的に、よく考えられたソナーアンテナは、アームが展開構成に位置するとき、水中航走体が止め具に当接するときに組のアームの少なくとも1つに面して位置することができるような方法で位置付けられる。
【0165】
この機能は、水中航走体が止め具に当接しているときの、水中航走体及びドッキングステーションの傾きに依存してもよい。たとえば、アームの組が展開構成であり、水中航走体が止め具に当接し、水中航走体及びドッキングステーションのそれぞれが所定の傾きを有するとき、アームの少なくとも1つは、ソナーアンテナに面する、すなわち、ソナーアンテナの有効範囲の区域にあり、アームの組が折畳構成であり、水中航走体が止め具に当接し、水中航走体及びドッキングステーションのそれぞれが所定の傾きを有するとき、各アームは、アンテナの有効範囲の区域外に位置する。
【0166】
本発明によるアームの動力学は、この構成に特に適している。
【0167】
したがって、本発明は、アームが折畳構成であるときでさえ、ソナーアンテナを使用して、ソナー任務を続けることができる。
【0168】
これは、ドッキングステーションがケーブル4を介して運搬船によって牽引されているときに、特に当てはまる。
【0169】
これは、ドッキングステーションが運搬船に固定されているときも当てはまる。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9a
図9b
図9c
図9d
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図11
【国際調査報告】