(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】アミド誘導体の不純物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 217/24 20060101AFI20220209BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20220209BHJP
A61K 31/4725 20060101ALN20220209BHJP
A61P 25/18 20060101ALN20220209BHJP
【FI】
C07D217/24 CSP
C07D413/14
A61K31/4725
A61P25/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534921
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 CN2019125643
(87)【国際公開番号】W WO2020125580
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】201811545845.3
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517223897
【氏名又は名称】エヌエイチダブリュエイ、ファーマ.コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】NHWA PHARMA. CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ドウ、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】チン、ポン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB01
4C063CC51
4C063DD10
4C063EE10
4C086AA01
4C086AA10
4C086BC68
4C086GA07
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZA18
4C086ZC41
(57)【要約】
不純物A、不純物Bおよび不純物C、並びにそれらの製造方法、並びに式VIで示される化合物の品質管理のための参照標準としての使用に関する
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造を有する、式VIで示される化合物の不純物B
【化1】
【請求項2】
【化2】
1.中間体IVをプロトン性溶媒に溶解する工程と、
2.強塩基をプロトン性溶媒に溶解する工程と、
3.工程2で得られた溶液を工程1の溶液と反応させ、中間体IVの強塩基塩を製造する工程と、
4.不活性有機溶媒中で工程3で得られた固体を中間体Vと反応させ、不純物Bを製造する工程と、
を含み、
前記プロトン性溶媒はC
1~4のアルコール類又は水から選ばれる1種又は複数種であり、前記強塩基は、NaOH、KOH、LiOH、NaH、KH又はLiHから選ばれる、
請求項1に記載の不純物Bを製造する方法。
【請求項3】
下記の構造を有する、式VIで示される化合物の不純物G
【化3】
【請求項4】
【化4】
前記式(8)で示される化合物と式(9)で示される化合物を、炭酸塩、ヨウ化物及び有機溶媒の存在下で反応させ、不純物Gを生成する工程を含み、
前記炭酸塩は、K
2CO
3、Na
2CO
3、Li
2CO
3又はCs
2CO
3から選ばれ、前記ヨウ化物は、KI、NaI又はLiIから選ばれ、前記有機溶媒は、ニトリル類又はケトン類から選ばれ、前記ニトリル類は、アセトニトリルから選ばれ、前記ケトン類は、アセトン、2-ブタノン、ペンタン-2-オン、ペンタン-3-オン、ヘキサン-2-オン又はヘキサン-3-オンから選ばれる、
請求項3に記載の不純物Gを製造する方法。
【請求項5】
前記式(8)で示される化合物は、
【化5】
前記不純物Aを、炭酸塩、オニウム塩相間移動触媒及び有機溶媒の存在下で1,3-ジブロモプロパンと反応させ、式(8)で示される化合物を製造する工程、により製造され、
前記オニウム塩相間移動触媒は、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、トリオクチルアンモニウムクロリド又はセチルトリメチルアンモニウムブロミドから選ばれ、前記炭酸塩は、K
2CO
3、Na
2CO
3、Li
2CO
3又はCs
2CO
3から選ばれ、前記有機溶媒は、ニトリル類又はケトン類から選ばれ、前記ニトリル類は、アセトニトリルから選ばれ、前記ケトン類は、アセトン、2-ブタノン、ペンタン-2-オン、ペンタン-3-オン、ヘキサン-2-オン又はヘキサン-3-オンから選ばれる、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
下記の構造を有する、式VIで示される化合物の不純物A
【化6】
【請求項7】
【化7】
式(4)で示される化合物をプロトン性溶媒に溶解し、メチルアミンを導入し、式(5)で示される化合物を製造する工程、
式(5)で示される化合物をプロトン性溶媒に溶解し、還元剤の存在下で、式(6)で示される化合物を製造する工程、
式(6)で示される化合物をハロゲン化水素酸と反応させ、不純物Aを製造する工程、
を含み、
前記還元剤は、ホウ水素化物又は複合水素化物から選ばれる、
請求項6に記載の不純物Aを製造する方法。
【請求項8】
前記ハロゲン化水素酸は、HF、HCl、HBr又はHIから選ばれ、前記ホウ水素化物は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム又は水素化ホウ素リチウムから選ばれ、前記複合水素化物は、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム又は水素化アルミニウムカリウムから選ばれ、前記プロトン性溶媒は、C
1~4のアルコール類から選ばれる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記式(4)で示される化合物は、
【化8】
式(1)で示される化合物と式(2)で示される化合物を触媒、強塩基の条件下で反応させ、式(3)で示される化合物を製造する工程、
式(3)で示される化合物を強塩基の条件下で反応させ、式(4)で示される化合物を製造する工程、により製造され、
前記触媒は、金属塩系から選ばれ、好ましくはCuBr、CuCl、CuI、FeCl
2、FeSO
4、FeBr
2から選ばれ、前記強塩基は、NaOH、KOH、LiOH、NaH、KH又はLiHから選ばれる、
請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記式VIで示される化合物の不純物Bを参照物質とする、式VIで示される化合物の品質管理における請求項1に記載の式VIで示される化合物の不純物Bの使用。
【請求項11】
前記式VIで示される化合物の不純物Gを参照物質とする、式VIで示される化合物の品質管理における請求項3に記載の式VIで示される化合物の不純物Gの使用。
【請求項12】
前記式VIで示される化合物の不純物Aを参照物質とする、式VIで示される化合物の品質管理における請求項6に記載の式VIで示される化合物の不純物Aの使用。
【請求項13】
請求項1に記載の不純物Bの含有量が0.01~1質量%である、式VIで示される化合物
【化9】
【請求項14】
請求項3に記載の不純物Gの含有量が0.01~1質量%である、式VIで示される化合物
【化10】
【請求項15】
請求項6に記載の不純物Aの含有量が0.01~1質量%である、式VIで示される化合物
【化11】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアミド誘導体の不純物及びその製薬産業における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
統合失調症は、全ての精神疾患の中で最も深刻で有害な疾患であり、世界的な発生率が約1~2%である。統合失調症患者の生涯有病率が0.7~0.8%であり、性別、人種又は社会的境界とは特に関係がなく、死亡率が一般人口より2~3倍高い。最新の研究によると、精神疾患の社会的負担は中国における疾患の中で第1位であり、心血管疾患、呼吸器疾患及び悪性腫瘍疾患などの疾患を上回っている。
【0003】
特許WO2017084627Aには、良好な抗神経性疾患活性を有し、下記の構造を有し、ドパミンD2、5-HT1A及び5-HT2A受容体に作用する化合物及びその製造方法が開示されている
【0004】
【0005】
医薬品の安全性を確保するために、医薬品有効成分における各不純物に対して安全性を評価し、即ち安全性を確保するための不純物の限度値を設定しなければならない。医薬品規制調和国際会議(ICH)の要求によると、原薬における1つの不純物の量は、0.05%超では報告義務があり、0.1%超では同定が必要であり、0.15%超では安全性を示すデータの提示が必要である。
【0006】
式VIで示される化合物の製造では、異なる原料及び異なる製造プロセスにより製造した式VIで示される化合物は異なる不純物を有することを見出した。したがって、医薬品の製造への要求を満たし、毒性学研究の基礎を提供し、またプロセス合成条件への制御の参考になるために、新たな不純物に対して、構造を確認し、含有量を制御することが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、式VIで示される化合物の不純物A、不純物B、不純物C及びその製造方法、並びに式VIで示される化合物の品質管理のための参照標準としての使用を提供する
【0008】
【0009】
本発明では、下記の構造を有する、式VIで示される化合物の不純物Bを提供する
【化3】
【0010】
本発明ではさらに、
【化4】
1.中間体IVをプロトン性溶媒に溶解する工程と、
2.強塩基をプロトン性溶媒に溶解する工程と、
3.工程2で得られた溶液を工程1の溶液と反応させ、中間体IVの強塩基塩を製造する工程と、
4.不活性有機溶媒中で工程3で得られた固体を中間体Vと反応させ、不純物Bを製造する工程と
を含む、式VIで示される化合物の不純物Bの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの実施形態において、前記プロトン性溶媒は、C1~4のアルコール類及び水から選ばれる1種又は複数種である。本発明の1つの実施形態において、前記C1~4のアルコール類は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノールから選ばれ、好ましくはメタノール、エタノールである。本発明の1つの実施形態において、C1~4のアルコール類は好ましくは無水アルコールである。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、前記強塩基は、NaOH、KOH、LiOH、NaH、KH又はLiHから選ばれる。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、収率を確保し、工程3を完全に反応させるために、反応時間を8~12時間とすることができる。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、前記不活性溶媒は、ケトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、C5~10の飽和炭化水素類から選ばれる1種又は複数種である。本発明の1つの実施形態において、前記不活性溶媒はまた、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルスルホキシド(DMSO)から選ばれる1種又は複数種である。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、前記ケトン類は、アセトン、2-ブタノン、ペンタン-2-オン、ペンタン-3-オン、ヘキサン-2-オン及びヘキサン-3-オンから選ばれ、前記エーテル類は、メチルtert-ブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル及び1,4-ジオキサンから選ばれ、前記ニトリル類は、アセトニトリルから選ばれ、前記ハロゲン化炭化水素類は、ジクロロメタン及びクロロホルムから選ばれ、前記C5~10飽和炭化水素類は、n-ペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン及びn-ヘプタンから選ばれる。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、収率を確保し、工程4を完全に反応させるために、反応時間を4~8時間とすることができる。
【0017】
本発明ではさらに、下記の工程を含む、式VIで示される化合物の不純物Bの製造方法を提供する
【化5】
【0018】
本発明では、下記の構造を有する、式VIで示される化合物の不純物Aを提供する
【化6】
【0019】
本発明では、
【化7】
式(4)で示される化合物をプロトン性溶媒に溶解し、メチルアミンを導入し、式(5)で示される化合物を製造する工程、
式(5)で示される化合物をプロトン性溶媒に溶解し、還元剤の存在下で、式(6)で示される化合物を製造する工程、
式(6)で示される化合物をハロゲン化水素酸と反応させ、不純物Aを製造する工程
を含む、式VIで示される化合物の不純物Aの製造方法を提供する。
【0020】
本発明の1つの実施形態において、前記還元剤は、ホウ水素化物又は複合水素化物から選ばれる。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、前記ハロゲン化水素酸は、HF、HCl、HBr又はHIから選ばれ、前記ホウ水素化物は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム又は水素化ホウ素リチウムから選ばれ、好ましくは水素化ホウ素ナトリウムであり、前記複合水素化物は、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム又は水素化アルミニウムカリウムから選ばれ、前記プロトン性溶媒は、C1~4のアルコール類から選ばれる。
【0022】
本発明の1つの実施形態において、C1~4のアルコール類は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノールから選ばれ、好ましくはメタノール、エタノールである。
【0023】
本発明の1つの実施形態において、前記ハロゲン化水素酸は通常、ハロゲン化水素酸の水溶液である。
【0024】
本発明の1つの実施形態において、式(5)で示される化合物をプロトン性溶媒に溶解し、還元剤の存在下で、式(6)で示される化合物を製造する際に、触媒を更に含んでもよい。前記触媒は、希塩酸から選ばれる。
【0025】
本発明の1つの実施形態において、反応を完全に進行させ、且つ良好な収率を得るために、式(5)で示される化合物とホウ水素化物のモル比を1:8~1:12とすることができ、好ましくは1:3とする。
【0026】
本発明の1つの実施形態において、反応を完全に進行させ、且つ良好な収率を得るために、反応時間を1~6日間とすることができる、好ましくは3~5日間とする。
【0027】
本発明ではさらに、
【化8】
式(1)で示される化合物と式(2)で示される化合物を触媒及び強塩基の存在下で反応させ、式(3)で示される化合物を製造する工程、
式(3)で示される化合物を強塩基の条件下で反応させ、式(4)で示される化合物を製造する工程
を含む、式(4)で示される化合物の製造方法を提供する。
【0028】
本発明の1つの実施形態において、前記触媒は、金属塩系から選ばれ、好ましくはCuBr、CuCl、CuI、FeCl2、FeSO4、FeBr2から選ばれ、より好ましくはCuBrである。
【0029】
本発明の1つの実施形態において、前記強塩基は、NaOH、KOH、LiOH、NaH、KH又はLiHから選ばれる。
【0030】
本発明の一側面によれば、下記の工程を含む、式VIで示される化合物の不純物Aの製造方法を提供する
【0031】
【0032】
本発明では、具体的に、下記の構造を有する、式VIで示される化合物の不純物Gを提供する
【化10】
【0033】
本発明ではさらに、
【化11】
前記式(8)で示される化合物と式(9)で示される化合物を、炭酸塩、ヨウ化物及び有機溶媒の存在下で反応させ、不純物Gを製造する工程
を含む、式VIで示される化合物の不純物Gの製造方法を提供する。
【0034】
本発明の1つの実施形態において、前記炭酸塩は、K2CO3、Na2CO3、Li2CO3又はCs2CO3から選ばれ、前記ヨウ化物は、KI、NaI又はLiIから選ばれる。
【0035】
本発明の1つの実施形態において、前記有機溶媒は、ニトリル類又はケトン類から選ばれ、前記ニトリル類は、アセトニトリルから選ばれ、前記ケトン類は、アセトン、2-ブタノン、ペンタン-2-オン、ペンタン-3-オン、ヘキサン-2-オン又はヘキサン-3-オンから選ばれる。本発明の1つの実施形態において、式(9)で示される化合物はさらに、式(9)で示される化合物と酸から形成される塩類、例えば塩酸塩、硫酸塩などを含む。
【0036】
本発明ではさらに、
【化12】
前記不純物Aを、炭酸塩、オニウム塩相間移動触媒及び有機溶媒の存在下で1,3-ジブロモプロパンと反応させ、式(8)で示される化合物を製造する工程
を含む、式(8)で示される化合物の製造方法を提供する。
【0037】
本発明の1つの実施形態において、前記オニウム塩相間移動触媒は、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(TEBA)、トリオクチルアンモニウムクロリド(TCMAC)又はセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTMAB)から選ばれ、好ましくはベンジルトリエチルアンモニウムクロリドである。
【0038】
本発明の1つの実施形態において、前記有機溶媒は、ニトリル類又はケトン類から選ばれ、前記ニトリル類は、アセトニトリルから選ばれ、前記ケトン類は、アセトン、2-ブタノン、ペンタン-2-オン、ペンタン-3-オン、ヘキサン-2-オン又はヘキサン-3-オンから選ばれる。
【0039】
本発明の1つの実施形態において、反応を完全に進行させ、且つ良好な収率を得るために、不純物Aと1,3-ジブロモプロパンのモル比が1:2~1:4から選ばれ、好ましくは1:3である。
【0040】
本発明ではさらに、下記の工程を含む、式VIで示される化合物の不純物Gの製造方法を提供する
【0041】
【0042】
本発明に記載の実施形態において、前記「から選ばれる」とは、例示されているもののいずれか1種又は複数種であることを意味し、例えば、ケトン類は、アセトン、2-ブタノン、ペンタン-2-オン、ペンタン-3-オン、ヘキサン-2-オン又はヘキサン-3-オンから選ばれるとは、アセトン、2-ブタノン、ペンタン-2-オン、ペンタン-3-オン、ヘキサン-2-オン又はヘキサン-3-オンから選ばれるいずれか1種又は複数種であり、好ましくはいずれか1種であることを意味する。
【0043】
本発明では、前記不純物Aを参照物質とする、式VIで示される化合物の品質管理における式VIで示される化合物の不純物Aの使用を提供する。
【0044】
本発明ではさらに、
1)式VIで示される化合物の試料、自体の参照物質及び不純物Aの標準物を提供する工程と、
2)クロマトグラフィーにより試料、参照物質及び標準物を測定し、式VIで示される化合物における不純物Aの存在及び/又は量を確認する工程と
を含む、式VIで示される化合物の不純物Aの測定方法を提供する。
【0045】
本発明の1つの実施形態において、式VIで示される化合物の不純物Aの測定方法は、
1)式VIで示される化合物の試料を提供する工程と、
2)不純物Aの標準物を提供する工程と、
3)HPLCにより不純物Aの標準物を分析し、不純物Aの保持時間を確認する工程と、
4)HPLCにより式VIで示される化合物の試料を分析し、試料に保持時間が工程3)の保持時間とほぼ同じ物質が含まれるかを判断し、式VIで示される化合物における不純物Aの存在を確認する工程と、を含む。
【0046】
本発明では、前記不純物Bを参照物質とする、式VIで示される化合物の品質管理における式VIで示される化合物の不純物Bの使用を提供する。
【0047】
本発明ではさらに、
1)式VIで示される化合物の試料、自体の参照物質及び不純物Bの標準物を提供する工程と、
2)クロマトグラフィーにより試料、参照物質及び標準物を測定し、式VIで示される化合物における不純物Bの存在及び/又は量を確認する工程と
を含む、式VIで示される化合物の不純物Bの測定方法を提供する。
【0048】
本発明の1つの実施形態において、式VIで示される化合物の不純物Bの測定方法は、
1)式VIで示される化合物の試料を提供する工程と、
2)不純物Bの標準物を提供する工程と、
3)HPLCにより不純物Bの標準物を分析し、不純物Bの保持時間を確認する工程と、
4)HPLCにより式VIで示される化合物の試料を分析し、試料に保持時間が工程3)の保持時間とほぼ同じ物質が含まれるかを判断し、式VIで示される化合物における不純物Bの存在を確認する工程とを含む。
【0049】
本発明では、前記不純物Gを参照物質とする、式VIで示される化合物の品質管理における式VIで示される化合物の不純物Gの使用を提供する。
【0050】
本発明ではさらに、
1)式VIで示される化合物の試料、自体の参照物質及び不純物Gの標準物を提供する工程と、
2)クロマトグラフィーにより試料、参照物質及び標準物を測定し、式VIで示される化合物における不純物Gの存在及び/又は量を確認する工程と
を含む、式VIで示される化合物の不純物Gの測定方法を提供する。
【0051】
本発明の1つの実施形態において、式VIで示される化合物の不純物Gの測定方法は、
1)式VIで示される化合物の試料を提供する工程と、
2)不純物Gの標準物を提供する工程と、
3)HPLCにより不純物Gの標準物を分析し、不純物Gの保持時間を確認する工程と、
4)HPLCにより式VIで示される化合物の試料を分析し、試料に保持時間が工程3)の保持時間とほぼ同じ物質が含まれるかを判断し、式VIで示される化合物における不純物Gの存在を確認する工程とを含む。
【0052】
本発明の1つの実施形態において、この分野の技術者として、保持時間が測定環境、分析装置などによりばらつきが生じる可能性があると理解される。前記VIで示される化合物の試料の保持時間と不純物標準物の保持時間とのばらつきが±2分であり、保持時間を確認する際にこのばらつきを考慮しなければならない。
【0053】
本発明では、不純物Aの含有量が0.01~1質量%から選ばれる、式VIで示される化合物を提供する。本発明の1つの実施形態において、前記不純物Aの含有量が0.01~0.5質量%から選ばれる。
【0054】
本発明では、不純物Bの含有量が0.01~1質量%から選ばれる、式VIで示される化合物を提供する。本発明の1つの実施形態において、前記不純物Bの含有量が0.01~0.5質量%から選ばれる。
【0055】
本発明では、不純物Gの含有量が0.01~1質量%から選ばれる、式VIで示される化合物を提供する。本発明の1つの実施形態において、前記不純物Gの含有量が0.01~0.5質量%から選ばれる。
【0056】
本発明では、含有量が0.01~1質量%から選ばれる不純物Aを含む式VIで示される化合物の、精神神経疾患を治療するための薬物の製造における使用を提供する。
【0057】
本発明では、含有量が0.01~1質量%から選ばれる不純物Bを含む式VIで示される化合物の、精神神経疾患を治療するための薬物の製造における使用を提供する。
【0058】
本発明では、含有量が0.01~1質量%から選ばれる不純物Gを含む式VIで示される化合物の、精神神経疾患を治療するための薬物の製造における使用を提供する。
【0059】
本発明では、含有量が0.01~1質量%から選ばれる不純物Aを含み、精神神経疾患の薬物に使用される式VIで示される化合物を提供する。
【0060】
本発明では、含有量が0.01~1質量%から選ばれる不純物Bを含み、精神神経疾患の薬物に使用される式VIで示される化合物を提供する。
【0061】
本発明では、含有量が0.01~1質量%から選ばれる不純物Gを含み、精神神経疾患の薬物に使用される式VIで示される化合物を提供する。
【0062】
本発明の1つの実施形態において、前記精神神経疾患は、統合失調症である。
【発明の効果】
【0063】
本発明で提供される式VIで示される化合物の不純物A、不純物B及び不純物Gは、式VIで示される化合物の製造時における不純物含有量の測定に用いられ、原薬である式VIで示される化合物がICH医薬品規制を満たすように制御し、毒性学研究の基礎を提供することができ、またプロセス合成条件への制御の参考にもなる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】
図1は不純物Aの標準物溶液のHPLCクロマトグラムである。
【
図2】
図2は不純物Bの標準物溶液のHPLCクロマトグラムである。
【
図3】
図3は不純物Gの標準物溶液のHPLCクロマトグラムである。
【
図4】
図4は式VIで示される化合物の試料溶液のHPLCクロマトグラムである。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。本発明の実施例は本発明を説明するためのものにすぎず、本発明の本質及び範囲はこれらに限定されるものではない。
【0066】
<実験で使用された装置及び測定条件>
1.高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
装置の品番:Agilent 1260(DAD) デュアルポンプ液体クロマトグラフ
カラム:SHIMADZU VP-ODS C18カラム(4.6×250mm、5μm)
移動相:
A:0.01mol/Lリン酸二水素カリウム、0.1%トリエチルアミン(リン酸でpHを2.5に調整)-メタノール(90:10)
B:0.01mol/Lリン酸二水素カリウム、0.1%トリエチルアミン(リン酸でpHを2.5に調整)-メタノール(20:80)
流速:1.0ml/分 カラム温度:35℃
波長:210nm 注入体積:15μL
グラジエント条件(体積比):
【0067】
【0068】
実施例1:7,7’-(プロパン-1,3-ジイルビス(オキシ))ビス(2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン)の調製(不純物B)
【化14】
500mLの三つ口フラスコに15g(84.65mmol)の中間体IVを加え、300mLのメタノールを加えて溶解した。6.0g(106.93mmol)の水酸化カリウムを量り取り、50mLの水と100mLのメタノールの混合溶媒に溶解し、反応液に滴下し、還流するように加熱し、約10時間反応させた。TLCにて反応が完全に進行したと示された後に、油浴を取り外し、自然冷却した。減圧下で回転蒸発して溶媒を除去し、65℃で乾燥させ、18.4gの白色固体を得、300mLのDMFに溶解し、21.5g(84.65mmol)の中間体Vを加え、65℃に加熱して約5時間反応させた。TLCにて完全に反応したと示された後に、油浴を取り外し、約500mLの水を加え、撹拌し、吸引ろ過し、十分な量の酢酸エチルで水相を抽出した。有機相を水で洗浄し、乾燥させ、減圧下で回転蒸発して溶媒を除去し、固体を合併し、カラムクロマトグラフィーによって精製し(酢酸エチル/石油エーテル=1:1)、乾燥させて28.0gの白色粉末を得た。収率が84.8%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.33 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 7.25 (d, J = 1.6 Hz, 2H), 7.06 (m, 2H), 4.15 (m, 4H), 3.85 (m, 4H), 3.14 (m, 4H), 3.08 (s, 6H), 2.24 (m, 2H).MS (ESI) m/z 395.2([M+H]
+)。
【0069】
実施例2:2-カルボキシメチル-5-メトキシ安息香酸の調製(式(4)で示される化合物)
【化15】
式(3)で示される化合物(2-(1-エトキシ-1,3-ジオキソブタンジイル)-5-メトキシ安息香酸)の合成:窒素雰囲気下で、50g(216.4mmol)の2-ブロモ-5-メトキシ安息香酸、1.9gのCuBr(12.9mmol,0.06eq)及び約800mLのアセト酢酸エチルを順に加え、氷塩浴で降温させた。内部温度が10℃以下に下がった後、数回分けて20.8g(519.4mmol,2.4eq)の鉱油含有NaHを添加した。添加終了後に、反応液を油浴に移して加熱し、80℃で2時間反応させた。TLCにて原料がなくなったと示された後に、加熱を停止し、室温までに自然冷却した。反応液を約1Lの水に投入し、大量の酢酸エチルでアセト酢酸エチルを抽出して除去した後に、1NのHClで溶液pHが酸性になるまで調整し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で回転蒸発して溶媒を除去し、69.3gの黄色の油状液体を得た。精製する必要がなく、そのまま次の工程に供した。MS (ESI) m/z 280.1([M+H]
+)。
【0070】
式(4)で示される化合物(2-カルボキシメチル-5-メトキシ安息香酸)の合成:式(3)で示される化合物の黄色の油状液体に680mLの2N NaOH溶液を加え、室温で攪拌した。TLCにて、約2時間後に完全に反応したと示された。反応液に1N HClを徐々に滴下して反応液のpHを調整し、大量の固体を析出させた。固体が析出しなくなった時点で、滴下を停止した。固体を吸引ろ過し、ケーキを大量の精製水で洗浄し、80℃で乾燥させ、28gの淡黄色の粉末を得た。上記2つの工程の総収率が53.9%であった。MS (ESI) m/z 210.1([M+H]+)。
【0071】
実施例3:7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オンの調製(不純物A)
【化16】
式(5)で示される化合物(7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1,3(2H,4H)-ジオン)の合成:10g(47.6mmol)の2-カルボキシメチル-5-メトキシ安息香酸を量り取り、300mLの無水メタノールに溶解し、メチルアミン乾燥ガスを約1時間で導入し、溶液のpHがアルカリ性になり、室温で1時間攪拌した。減圧下で回転蒸発してメタノールを除去し、600mLのキシレンで溶解させ、加熱還流し、水分離器を取り付けて水を除去し、約10時間反応させ、TLCにて完全に反応したと示された後に、加熱を停止し、室温までに自然冷却した。減圧下で回転蒸発してキシレンを除去し、カラムクロマトグラフィーによって精製し(酢酸エチル/石油エーテル=1:1)、8.1gの淡黄色の粉末を得、収率が83.5%であった。MS (ESI) m/z 205.1([M+H]
+)。
【0072】
式(6)で示される化合物(7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オン)の合成:500mLの四つ口フラスコに5.0g(24.4mmol)の7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1,3(2H,4H)-ジオンを加え、500mLの無水エタノールに溶解し、氷塩浴で降温させた。温度が0℃以下になった後に、数回分けて9.2g(243.7mmol)のNaBH4固体を加え、約0℃に保持して約5日間反応させた。この間に希塩酸溶液を滴下して反応を促進することもできる。マススペクトルにて完全に反応したと示された。氷浴を取り外し、自然に室温までに昇温し、大量の希塩酸を加えて反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で回転蒸発して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによって精製し(酢酸エチル/石油エーテル=1:1)、3.3gの黄色の油状液体を得た。収率が71.7%であった。MS (ESI) m/z189.1([M+H]+)。
【0073】
不純物A(7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オン)の合成:3.5gの7-メトキシ-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オンの黄色の油状液体を量り取り、40mLの48%HBr溶液を加え、約8時間で約120℃に加熱し、TLCにて完全に反応したと示された。200mLの水を加えて希釈し、ジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で回転蒸発して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによって精製し(酢酸エチル/石油エーテル=5:1)、2.4gの固体を得た。収率が75%であった。MS (ESI) m/z 176.1([M+H]+)。
【0074】
実施例4:7-(3-ブロモプロパン)-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オンの調製(式(8)で示される化合物)
【化17】
式(8)で示される化合物(7-(3-ブロモプロパン)-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オン)の合成:単口フラスコに2.4g(13.7mmol)の7-ヒドロキシ-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オン、8.3g(41.1mmol)の1,3-ジブロモプロパン、18.9g(137.0mmol)のK
2CO
3粉末、3.1g(13.7mmol)のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド及び250mLのアセトンを順に加え、加熱還流した。TLCにて5時間後に完全に反応したと示された後に、加熱を停止し、室温までに自然冷却した。吸引ろ過して固体を除去し、約50mLのアセトンでケーキを洗浄し、液体を合併し、減圧下で回転蒸発して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによって精製し(酢酸エチル/石油エーテル=1:10)、4gの白色固体を得た。収率が99%であった。MS (ESI) m/z 295.0([M+H]
+)。
【0075】
実施例5:7-(3-(4-(6-フロオロベンゾ[d]イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オンの調製(不純物G)
【化18】
250mLの単口フラスコに3.85g(13mmol)の7-(3-ブロモプロパン)-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オン、5.0g(19.5mmol)の6-フルオロ-3-(ピペリジン-4-イル)ベンゾ[d]イソオキサゾール塩酸塩、5.4g(39mmol)のK
2CO
3、0.5g(3.0mmol)KI及び200mLのアセトニトリルを順に加えた。加熱還流し、TLCにて完全に反応したと示された後に、吸引ろ過して溶媒を除去し、ケーキを50mLのアセトニトリルで洗浄し、アセトニトリルを合併し、カラムクロマトグラフィーによって精製し(ジクロロメタン/メタノール=30:1)、2.2gの淡黄色の固体を得た。収率が39.4%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.86 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.74 (dd, J = 8.7, 5.1 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.33-7.19 (m, 2H), 7.06 (td, J = 8.9, 2.1 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 6.46 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 4.19 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.62 (s, 3H), 3.10 (t, J = 10.3 Hz, 3H), 2.62 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.32-1.88 (m, 8H). MS (ESI) m/z 436.2([M+H]
+)。
【0076】
実施例6:7-(3-(4-(6-フロオロベンゾ[d]イソキサゾリン3-イル)ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン(式VIで示される化合物)
【化19】
【0077】
エチル(4-メトキシフェネチル)カルバメート(中間体I)の調製:
275.0g(2.55mol)のクロロギ酸エチル(純度:工業用、上海貝合化工有限公司から購入)及び2500mLのジクロロメタンを5Lの反応フラスコに加え、撹拌し、氷塩浴で0℃に冷却した。1000mLのジクロロメタンで溶解した350g(2.32mol)の4-メトキシフェネチルアミン(純度:工業用、Meryer (Shanghai) Chemical Technology Co., Ltd.から購入)を徐々に滴下し、反応系の温度を0~5℃に制御し、滴下終了後に、351g(3.48mol)のトリエチルアミンを徐々に滴下し、反応系の温度を5~10℃に制御し、滴下終了後に、室温(25±5℃)で1時間撹拌した。反応終了後に、反応液に1000mLの水を加えて反応をクエンチし、5分間撹拌し、静置して分液を行い、有機層を得た。600mLの1mol/L塩酸溶液で有機相を洗浄し、有機相を600mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、150gの無水硫酸ナトリウムで1時間乾燥させ、ろ過し、ろ液を濃縮乾燥させ、淡黄色の油状物を得た。室温で1時間冷却し、508gの淡黄色の固体を得た。収率が98.3%であった。MS (ESI) m/z 223. 3 ([M+H]+)。
【0078】
7-メトキシ-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オンの調製(中間体II):
510.0g(1.80mol)の五酸化二リン及び2000mLのメタンスルホン酸を5Lの反応フラスコに加え、撹拌し、五酸化二リンが完全に溶解するまで油浴で125~130℃に加熱し、反応系の温度が70℃になるまで室温で攪拌して降温させ、1000g(2.24mol)中間体Iを加えた。油浴で125℃に加熱し、2時間反応させた。反応終了後に、降温させ、500gの氷を加えて反応をクエンチし、反応系に5000mLの水を加え、ジクロロメタンで6回(1200mL/回)抽出し、有機相を合併し、500gの無水炭酸カリウムを加えて0.5時間攪拌し、吸引ろ過し、溶液を500gの無水硫酸ナトリウムで1時間乾燥させ、吸引ろ過し、ろ液を濃縮乾燥させて褐色の油状物を得た。0℃で5時間冷却し、吸引ろ過し、300mLの酢酸エチルでケーキを洗浄し、ケーキを50±5℃で8時間乾燥させ、436.5gの類白色の固体を得た。収率が55.1%であった。MS (ESI) m/z 177.1 ([M+H]+)。
【0079】
7-メトキシ-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オンの調製(中間体III):
54.2g(1.36mol)の60%水素化ナトリウム及び1000mlのN,N-ジメチルホルムアミドを3Lの反応フラスコに加え、撹拌し、氷塩浴で0~5℃に冷却し、500mLのN,N-ジメチルホルムアミドで溶解した200g(1.13mol)の中間体IIを徐々に滴下し、反応系の温度を5~10℃に制御し、滴下終了後に、176.5g(1.24mol)のヨウ化メチルを徐々に滴下し、反応系の温度を10~15℃に制御し、滴下終了後に、室温(25±5℃)で1時間撹拌した。500mLの水を反応液に滴下して反応をクエンチし、さらに、4Lの水を加えて反応液と混合し、飽和になるまで1630gの塩化ナトリウムを加え、酢酸エチルで6回(800mL/回)抽出し、有機相を合併し、飽和塩化ナトリウム溶液で3回(500mL/回)洗浄し、300gの無水硫酸ナトリウムで1時間乾燥させ、ろ過し、ろ液を濃縮乾燥させ、258gの褐黄色の油状物を得た。収率が100%を超えた。MS (ESI) m/z 191.1 ([M+H]+)。
【0080】
7-ヒドロキシ-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オンの調製(中間体IV):
257.6g(1.94mol)の無水塩化アルミニウム及び1500mLのトルエンを3Lの反応フラスコに加え、常温(25±5℃)で撹拌し、300mLのトルエンで溶解した185.0g(0.97mol)の中間体IIIを徐々に滴下し、滴下終了後に、油浴にて加熱還流し(約114~115℃)、窒素雰囲気下で、4時間反応させた。反応終了後に、室温で70℃に冷却し、トルエン溶液を取り出し、フラスコに2000mLの4mol/L塩酸溶液を投入し、氷を加えて降温させ、室温で1時間攪拌し、ろ過し、ケーキを500mLの水で中性になるまで洗浄した。1000mLの2mol/L水酸化ナトリウム溶液でケーキを溶解し、順に500mLのトルエン及び500mLのジクロロメタンで洗浄し、36%の塩酸溶液で水層のpHを3~4に調整し、氷浴で冷却し、0.5時間撹拌し、ろ過し、ケーキを500mLの水で中性になるまで洗浄した。ケーキを50±5℃で12時間乾燥させ、162.1gの類白色の固体を得た。収率が94.7%であった。MS (ESI) m/z 177.2 ([M+H]+)。
【0081】
7-(3-クロロプロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オンの調製(中間体V):
156.0g(0.88mol)の中間体IV、277.6g(1.76mol)の式(1)で示される化合物、364.9g(2.64mol)の無水炭酸カリウム、6.0g(0.03mol)のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド及び1600mLのアセトンを3Lの反応フラスコに加え、油浴にて加熱還流し(約60~65℃)、6時間攪拌した。反応終了後に、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して溶媒を乾燥させ、黄色の油状物を得た。500mLのアセトンを加えて溶解し、室温で攪拌し、3000mLのn-ヘキサンを加え、氷浴で冷却し、1時間撹拌し、ろ過し、ケーキを50±5℃で6時間乾燥させ、213.2gの類白色の固体を得た。収率が95.8%であった。 MS (ESI) m/z 254.1 ([M+H]+)。
【0082】
7-(3-(4-(6-フロオロベンゾ[d]イソキサゾリン3-イル)ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オンの調製(式VIで示される化合物):
210.0g(0.83mol)の中間体V、223.6g(0.87mol)の式(2)で示される化合物の塩酸塩、344.3g(2.64mol)の無水炭酸カリウム、3.7g(0.02mol)のヨウ化ナトリウム及び2100mLのアセトニトリルを5Lの反応フラスコに加え、油浴にて加熱還流し(約80~85℃)、24時間撹拌した。反応終了後に、ろ過し、ろ液を氷浴で3時間攪拌し、ろ過し、ケーキを50±5℃で3時間乾燥させ、264.6gの黄色の固体、即ち式VIで示される化合物の粗生成物を得た。収率が82.6%であった。260.0gの式VIで示される化合物の粗生成物、800mLのアセトン及び80mlのメタノールを2000mLの反応フラスコに加え、水浴にて加熱還流し(約60~65℃)、完全に溶解するまで攪拌した。8.0gの活性炭を加え、10分間撹拌し、熱いうちにろ過し、ろ液を2000mLの反応フラスコに移し、室温(25±5℃)で冷却し、4時間撹拌し、吸引ろ過し、200mLのアセトンで洗浄し、ケーキを50±5℃で6時間乾燥させ、180.3gの類白色の粉末を得た。収率が79.3%であった。
1H-NMR (600MHz、CDCl3) δ 2.02-2.19 (m、8H)、2.60 (t、2H、J = 12Hz)、2.96 (t、2H、J =12Hz), 3.09-3.11(m, 3H), 3.18(s, 3H), 3.56(t, 2H, J = 12Hz), 4.11 (t, 2H, J = 6Hz), 6.98-7.00 (m, 1H), 7.06-7.10 (m, 2H), 7.24-7.26 (m, 1H), 7.64 (d, 1H, J = 6Hz)、7.74-7.76 (m, 1H) ・ MS (ESI) m/z 438. 2 ([M+H]+)。
【0083】
実施例7:不純物A、不純物B及び不純物Gの式VIで示される化合物におけるHPLC測定
<溶液調製>
不純物A、B及びGの標準物溶液:不純物A、B及びGを精確に量り取り、それぞれ希釈液(移動相A:移動相B=4:1)を加えて溶解し、定量的に希釈して0.5mg/mLの溶液を調製し、標準物溶液とした。
【0084】
式VIで示される化合物の試料溶液:(実施例6の方法に従って製造した)式VIで示される化合物を精確に量り取り、希釈液(移動相A:移動相B=4:1)を加えて溶解し、定量的に希釈して1mg/mLの式VIで示される化合物の試料溶液を調製した。
【0085】
<測定方法>
不純物A、不純物B及び不純物Gの標準物溶液をそれぞれ15μL正確に量り取り、それぞれ高速液体クロマトグラフィーに注入し、クロマトグラムを記録し、不純物A、不純物B及び不純物Gのピーク保持時間を確認し、各不純物のピーク保持時間を
図1~3に示す。
【0086】
式VIで示される化合物の試料溶液を15μL正確に量り取り、高速液体クロマトグラフィーに注入し、クロマトグラムを記録し、不純物A、不純物B及び不純物Gの存在及びピーク面積を確認し、式VIで示される化合物における各不純物の存在状況を
図4に示す。
【0087】
<含有量の計算>
面積百分率法に従い、式VIで示される化合物の試料における各不純物の質量百分率を計算し、具体的な実験結果を表1に示す。
【0088】
【0089】
以上のように本発明を詳細に説明したが、この分野の技術者は、本発明の主旨及び範囲から逸脱しない限り、本発明に対して様々な変更又は修正を行うことができると理解されうる。本発明の技術的範囲は上記の詳細な説明に限られたものではなく、特許請求の範囲に基づいて判断されるべきである。
【国際調査報告】