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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】農薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/02 20060101AFI20220209BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20220209BHJP
   A01N 57/20 20060101ALI20220209BHJP
   A01N 47/30 20060101ALI20220209BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
A01N25/02
A01N25/30
A01N57/20 G
A01N47/30 B
A01N57/20 L
A01P13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021534935
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2019086615
(87)【国際公開番号】W WO2020127931
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】18215405.4
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19196194.5
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517220667
【氏名又は名称】バテル・ユーケイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】クラッパートン,リチャード・エム
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB01
4H011BA05
4H011BA06
4H011BB14
4H011BB17
4H011BC06
4H011BC07
4H011BC08
4H011BC17
4H011DA15
4H011DF03
(57)【要約】
本発明は、農薬組成物に関する。より詳細には、本発明は、(i)液体農薬組成物の総重量に基づいて30重量%またはそれより多くの量の水:(ii)水に溶解させた1種またはそれより多くの電解質農薬であって、水に溶解させた電解質農薬の総量は、液体農薬組成物中の水の総量に基づいて20重量%またはそれより多くである、電解質農薬;(iii)界面活性剤系であって、(a)アルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤および/またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤;ならびに(b)アニオン性頭部基および尾部基を含む補助界面活性剤であって、尾部基は、少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含む、補助界面活性剤を含む、界面活性剤系;および(iv)水に懸濁した1種またはそれより多くの農薬を含む水性農薬組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1) 液体農薬組成物の総重量に基づいて30重量%またはそれより多くの量の水;
(2) 前記水に溶解させた1種またはそれより多くの電解質農薬であって、前記水に溶解させた電解質農薬の総量は、液体農薬組成物中の水の総重量に基づいて20重量%またはそれより多くである、電解質農薬;
(3) 以下の(a)と(b):
(a)アルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤および/またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤;ならびに
(b)アニオン性頭部基および尾部基を含む補助界面活性剤であって、前記尾部基は、少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含む、補助界面活性剤;
を含む界面活性剤系;および
(4) 前記水に懸濁した1種またはそれより多くの農薬;
を含む、液体農薬組成物。
【請求項2】
前記アルキルポリグルコシド界面活性剤が、以下の式(I):
H-(G)-O-R
で表され、式中、
Gは、単糖、好ましくは式C12を有するヘキソース、または式C10を有するペントースからのHOの分子の除去により生じるラジカルを表し;
「n」は、1~5であり;
Rは、直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、8~20の範囲の炭素原子数を有するアルキルラジカルを表し;
前記アルキルグルカミドエステル界面活性剤が、以下の式(II):
【化1】
で表され、式中、
は、直鎖状または分岐状のC5~C21アルキル基、またはC5~C21アルケニル基であり;
は、C1~C4アルキル基であり;
前記エトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤が、以下の式(IIIa)および/または(IIIb):
【化2】
で表され、式中、式IIIaにおいて、MおよびMは、カチオンであり、好ましくは、独立して、H、Na、K、またはNH から選択され、nは、1~20の整数であり、Rは、C6~C22直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル基であり;
式IIIbにおいて、Mは、H、Na、K、またはNH から選択され、nおよびmは、独立して、1~20の整数であり、RおよびRは、独立して、C6~C22直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル基である、請求項1に記載の液体農薬組成物。
【請求項3】
前記補助界面活性剤(b)が、式(1):
【化3】
で表され、式中、
Aは、-SOM(スルホン酸イオン)、-OSOM(硫酸イオン)、-COM(カルボン酸イオン)、および-OPOM(リン酸イオン)から選択されるアニオン性頭部基を表し、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;
、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、C1~C22アルキル基、C2~C22アルケニル基、またはC2~C22アルキニル基から選択され、ただしR、RおよびRの最大で1つのみがHであり、R~Rにおける炭素の総数が6~24であり;
Lは、R、RおよびRを、C、N、O、S、およびPから選択される7個またはそれ未満の原子によって、好ましくは5個またはそれ未満の原子によってアニオン性頭部基に接続する結合基を表す、請求項1または2に記載の液体農薬組成物。
【請求項4】
前記補助界面活性剤(b)が、式(2-1)、好ましくは式(3-1)、より好ましくは式(4-1):
【化4】
で表され、式2-1、3-1および4-1について、Aは、-SOM(スルホン酸イオン)、-OSOM(硫酸イオン)、-COM(カルボン酸イオン)、および-OPOM(リン酸イオン)から選択されるアニオン性頭部基を表し、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;
式2-1、3-1および4-1について、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、C1~C22アルキル基、C2~C22アルケニル基、またはC2~C22アルキニル基から選択され、ただしR、RおよびRの最大で1つのみがHであり、R~Rにおける炭素の総数が6~24であり;
式2-1および3-1について、X、XおよびXは、同一であるかまたは異なっており、独立して、直接結合、-O-、-COO-、-CH(OH)-、または-CONH-から選択され、
式2-1について、「p」は、0または1から選択され;「n」は、0、1または2から選択され;「a」、「b」および「c」は、同一であるかまたは異なっており、独立して、0、1または2から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体農薬組成物。
【請求項5】
前記補助界面活性剤(b)が、式(2-2)、好ましくは式(3-2)、より好ましくは式(4-2):
【化5】
で表され、式2-2、3-2および4-2について、Aは、-SOM(スルホン酸イオン)、-OSOM(硫酸イオン)、-COM(カルボン酸イオン)、および-OPOM(リン酸イオン)から選択されるアニオン性頭部基を表し、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;
式2-2、3-2および4-2について、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、C1~C22アルキル基、C2~C22アルケニル基、またはC2~C22アルキニル基から選択され、ただしRおよびRにおける炭素の総数が6~24であり;
式2-2および3-2について、XおよびXは、同一であるかまたは異なっており、独立して、直接結合、-O-、-COO-、-CH(OH)-、または-CONH-から選択され;
式2-2について、「p」は、0または1から選択され;「n」は、0、1または2から選択され;「a」、および「b」は、同一であるかまたは異なっており、独立して、0、1または2から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体農薬組成物。
【請求項6】
前記補助界面活性剤(b)が、式5:
【化6】
で表され、式中、Aは、-SOM(スルホン酸イオン)、-OSOM(硫酸イオン)、-COM(カルボン酸イオン)、および-OPOM(リン酸イオン)から選択されるアニオン性頭部基を表し、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;
、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、C1~C22アルキル基、C2~C22アルケニル基、またはC2~C22アルキニル基から選択され、ただしR、RおよびRの最大で1つのみがHであり、R~Rにおける炭素の総数が6~24であり;
「a」、「b」および「c」は、同一であるかまたは異なっており、独立して、0、1または2から選択され;
、XおよびXは、同一であるかまたは異なっており、独立して、直接結合、-O-、-COO-、-CH(OH)-、または-CONH-から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体農薬組成物。
【請求項7】
前記補助界面活性剤(b)が、式6-1または式6-2:
【化7】
で表され、式6-1および6-2について、Aは、-SOM(スルホン酸イオン)、-OSOM(硫酸イオン)、-COM(カルボン酸イオン)、および-OPOM(リン酸イオン)から選択されるアニオン性頭部基を表し、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;
式6-1について、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、水素、C1~C22アルキル基、C2~C22アルケニル基、またはC2~C22アルキニル基から選択され、ただしR、RおよびRの最大で1つのみがHであり、R~Rにおける炭素の総数が6~24であり;
式6-2について、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、それぞれ独立して、C1~C22アルキル基、C2~C22アルケニル基、またはC2~C22アルキニル基から選択され、ただしRおよびRにおける炭素の総数が6~24であり;
式6-1および6-2について、「n」は、0、1または2から選択され;
式6-1について、「a」、「b」および「c」は、同一であるかまたは異なっており、独立して、0、1または2から選択され;
式6-2について、「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、独立して、0、1または2から選択され;
式6-1について、X、XおよびXは、同一であるかまたは異なっており、独立して、直接結合、-O-、-COO-、-CH(OH)-、または-CONH-から選択され;
式6-2について、XおよびXは、同一であるかまたは異なっており、独立して、直接結合、-O-、-COO-、-CH(OH)-、または-CONH-から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体農薬組成物。
【請求項8】
前記補助界面活性剤(b)が、以下の式9~14:
【化8】
[式9について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、7~11である];
【化9】
[式10について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、9~16である];
【化10】
[式11について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C6~C10直鎖アルキル基になるように選択される];
【化11】
[式12について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~16直鎖アルキル基になるように選択され、ただしRおよびRは一緒に6~18個の炭素原子を提供する];
【化12】
[式13-1および13-2について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;点線は、任意選択の二重結合を表し;「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、9~14である];
【化13】
[式14について、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~20直鎖アルキルまたはアルケニル基になるように選択され、ただしRおよびRは一緒に6~20個の炭素原子を提供する]、
で表される1つまたはそれより多くの界面活性剤である、請求項1~7のいずれか一項に記載の液体農薬組成物。
【請求項9】
アルキルポリグルコシド界面活性剤の総量が、液体農薬組成物の総重量に基づいて2.0~6.0重量%であるか;またはアルキルグルカミドエステル界面活性剤の総量が、液体農薬組成物の総重量に基づいて2.0~6.0重量%であるか;またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤の総量が、液体農薬組成物の総重量に基づいて2.0~6.0重量%であるか;または組み合わされたアルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤、およびエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤の総量が、液体農薬組成物の総重量に基づいて2.0~6.0重量%である、請求項1~8のいずれか一項に記載の液体農薬組成物。
【請求項10】
補助界面活性剤(b)の総量が、液体農薬組成物の総重量に基づいて2.0~6.0重量%である、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体農薬組成物。
【請求項11】
アルキルポリグルコシド界面活性剤の総量の、補助界面活性剤(b)の総量に対する重量比が、0.3~3であるか;またはアルキルグルカミドエステル界面活性剤の総量の、補助界面活性剤(b)の総量に対する重量比が、0.3~3であるか;またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤の総量の、補助界面活性剤(b)の総量に対する重量比が、0.3~3であるか;または組み合わされたアルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤、およびエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤の総量の、補助界面活性剤(b)の総量に対する重量比が、0.3~3である、請求項1~10のいずれか一項に記載の液体農薬組成物。
【請求項12】
30~60重量%の水;
前記水に溶解させた1種またはそれより多くの電解質農薬であって、前記水に溶解させた電解質農薬の総量は、液体農薬組成物中の水の総量に基づいて20重量%またはそれより多くである、電解質農薬;
2~6重量%のアルキルポリグルコシド界面活性剤;
2~6重量%の補助界面活性剤;
1~10重量%の、前記水に懸濁した農薬;
を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の液体農薬組成物であって、
アルキルポリグルコシド界面活性剤は、以下の式(I):
H-(G)-O-R
であり、式中、Gは、単糖、好ましくは式C12を有するヘキソース、または式C10を有するペントースからのHOの分子の除去により生じるラジカルを表し;「n」は、1~5であり;Rは、直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、8~20の範囲の炭素原子数を有するアルキルラジカルを表し;
ここで、補助界面活性剤は、以下の式9~14:
【化14】
[式9について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、7~11である];
【化15】
[式10について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり、「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、9~16であり];
【化16】
[式11について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C6~C10直鎖アルキル基になるように選択される];
【化17】
[式12について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~16直鎖アルキル基になるように選択され、ただしRおよびRは一緒に6~18個の炭素原子を提供する];
【化18】
[式13-1および13-2について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、9~14である];
【化19】
[式14について、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~20直鎖アルキルまたはアルケニル基になるように選択され、ただしRおよびRは一緒に6~20個の炭素原子を提供する]、
のいずれか1つで表される、上記液体農薬組成物。
【請求項13】
前記電解質農薬が、グリホサート、グルホシネート、2,4-D、またはジカンバから選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の液体農薬組成物。
【請求項14】
40~60重量%の水;
20~35重量%の、前記水に溶解させた1種またはそれより多くの電解質農薬であって、グリホサート、グルホシネート、2,4-Dまたはジカンバから選択される、電解質農薬;
2~6重量%のアルキルポリグルコシド界面活性剤;
2~6重量%の、以下の式9~14のいずれか1つで表される補助界面活性剤;
1~10重量%の、前記水に懸濁した農薬;
を含む、請求項1~13のいずれかに記載の農薬組成物であって、
アルキルポリグルコシド界面活性剤が、以下の式(I):
H-(G)-O-R
で表され、式中、Gは、式C12を有するヘキソース、または式C10を有するペントースからのHOの分子の除去により生じるラジカルを表し;「n」は、1~5であり;Rは、直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、8~20の範囲の炭素原子数を有するアルキルラジカルを表し;
補助界面活性剤は、以下の式9~14:
【化20】
[式9について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、7~11である];
【化21】
[式10について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり、「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、9~16である];
【化22】
[式11について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C6~C10直鎖アルキル基になるように選択される];
【化23】
[式12について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~16直鎖アルキル基になるように選択され、ただしRおよびRは一緒に6~18個の炭素原子を提供する];
【化24】
[式13-1および13-2について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;点線は、任意選択の二重結合を表し;「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、9~14である];
【化25】
[式14について、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~20直鎖アルキルまたはアルケニル基になるように選択され、ただしRおよびRは一緒に6~20個の炭素原子を提供する]、
のいずれか1つで表される、上記農薬組成物。
【請求項15】
前記水に懸濁した農薬が、アセトクロル、アミドスルフロン、アトラジン、アジムスルフロン、ベンスルフロン-メチル、ベンゾビシクロン、ブロモキシニル、ブタクロール、ブタフェナシル、カルフェントラゾン-エチル、クロリムロン-エチル、クロルスルフロン、シンメチリン、シノスルフロン、ジフルフェニカン、ジウロン、エトフメセート、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フロラスラム、フルカルバゾン-ナトリウム、フルフェナセト、ホラムスルフロン、フルピルスルフロンメチル-ナトリウム、ハロスルフロンメチル、ハロキシホップ-P、イマザピック、イマゾスルフロン、ヨードスルフロンメチル-ナトリウム、メソスルフロン-メチル、メソトリオン、メタミトロン、メトラクロル、S-メトラクロル、メトスルフロンメチル、ニコスルフロン、オルトスルファムロン、オキサスルフロン、ペンジメタリン、フェンメジファム、ピコリナフェン、プリミスルフロン-メチル、プロパクロル、プロスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、キザロホップ-P、リムスルフロン、サフルフェナシル、シマジン、スルホメツロンメチル、スルホスルフロン、チフェンスルフロン-メチル、トリベヌロンメチル、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロンメチル、およびトリトスルフロンから選択される1種またはそれより多くの除草剤である、請求項1~14のいずれか一項に記載の農薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、農薬組成物に関する。より詳細には、本発明は、水性相中に溶解した電解質農薬を含む水性農薬組成物、および水性相中に懸濁した農薬に関する。
【背景技術】
【0002】
2.発明の背景
農薬は、水和剤や顆粒などの固体組成物、加えて、乳剤などの液体組成物を含む様々な形態の濃縮物として製剤化することができる。液体組成物は、測定や流し込みがより容易であり、水で希釈した場合、典型的には、農薬を調製し施用するのに使用されるどのような器具でもほとんど残留物を残さないため、これらは固体組成物を超える利点を提供する。
【0003】
不溶性かまたは水に十分に可溶性ではない農薬の場合、有機性の水不混和性溶媒、例えば芳香族炭化水素またはより高い極性のエステル溶媒に農薬を溶解させることによって液体組成物を調製することが典型的である。しかしながら、液体組成物の調製における有機溶媒の使用は、生態学的に、および人への安全性の観点からの両方で望ましくないことが多い。それゆえに、可能であれば、液体農薬組成物における有機溶媒の量を最小化することが好ましい。加えて多くの農薬は電解質であり、これは水溶性である一方で、その有機溶媒への溶解性は、有機溶液の配合を可能にするには不十分である。
【0004】
水性の農薬液体組成物を調製することができる。水溶性農薬のケースにおいて、農薬は、水性相中に溶解させることができる。農薬が水に可溶性ではない場合、農薬は、固体粒子または液体の液滴(例えば水中油型エマルジョン)として懸濁することができる。粒子または液滴を懸濁するために、何らかの沈降防止系、典型的には、水膨潤性粘土(例えばアタパルジャイト)または水溶性ポリマー(例えばキサンタンガム)を取り込むことが必要である。発明者らは、構造化した界面活性剤(すなわち、水性相に沈降防止特徴を付与する界面活性剤相)が、粒子および液滴を懸濁するのに使用できることを見出した。農薬を懸濁するのに構造化した界面活性剤を使用する利点は、界面活性剤がアジュバントとしても作用し得ることである。アジュバントとしての界面活性剤はしばしば、農薬配合物に取り込むことによって、または施用されたときに農薬の生物学的な有効性を改善するように施用前に農薬と「タンク混合」する成分としてのいずれかで農薬に採用されている。また配合物への「ビルトイン型」のアジュバントも、貯蔵および輸送コストを低減することができる。液体組成物中に1種より多くの農薬を含むことが望ましい場合、1種またはそれより多くの農薬を水性相中に溶解させることができ、1種またはそれより多くの農薬を水性相中に懸濁することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水性の液体組成物のケースにおいて、懸濁された農薬を含むと同時に電解質農薬を含むことが求められる場合、問題が生じる。発明者らは、電解質農薬は、従来の粘土やポリマーの懸濁が、沈降防止助剤としての有効性を著しく低くする原因となる傾向があり、溶解した電解質の濃度が増加するにつれて、懸濁液の能力の増加を低減させることを見出した。発明者らは、一部の界面活性剤の組合せは、低い電解質濃度で(例えば10重量%の電解質で)懸濁構造を生産することができるが、高濃度の電解質農薬が使用される場合、うまくいかないことを見出した。したがって、本発明の目的は、この問題を解決し、さらに、比較的高濃度の電解質農薬の適応を可能にしながら、同時にそこへの他の農薬の懸濁を可能にする水性農薬組成物を提供することである。貯蔵に必要な温度範囲(典型的には-10℃~40℃)にわたり液体配合物の優れた懸濁および注入容易性(pourability)を確実にする界面活性剤を選択することによって、界面活性剤の存在下で、高濃度の溶解した電解質農薬を、懸濁された固体または液体農薬と組み合わせることが可能なことが利点と予想される。農薬の組合せは、それぞれ別個の農薬の付加的な特性を付与することができ、高濃度は、パッケージングや輸送コストを低減することができる。固体または液体農薬粒子を懸濁するために界面活性剤を取り込むことは、製品を施用したときに生物学的な有効性への利益がほとんどない他の沈降防止助剤への必要性をなくす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
3.発明の要約
発明者らは、水に農薬を懸濁すること、および組成物中の水の総重量に基づいて20重量%またはそれより多くの溶解した電解質農薬の存在下でさえも、貯蔵に必要な温度範囲(-10℃~40℃)にわたり、優れた注入容易性を付与することが可能な界面活性剤系を発見した。
【0007】
一形態において、本発明は、
(i)液体農薬組成物の総重量に基づいて30重量%またはそれより多くの量の水:
(ii)水に溶解させた1種またはそれより多くの電解質農薬であって、水に溶解させた電解質農薬の総量は、液体農薬組成物中の水の総重量に基づいて20重量%またはそれより多くである、電解質農薬;
(iii)界面活性剤系であって、
(a)アルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤および/またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤;ならびに
(b)アニオン性頭部基および尾部基を含む補助界面活性剤であって、尾部基は、少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含む、補助界面活性剤
を含む、界面活性剤系;および
(iv)水に懸濁した1種またはそれより多くの農薬
を含む農薬組成物を提供する。
【0008】
別の形態において、本発明は、電解質農薬を含有する水組成物に農薬を懸濁するための本発明の界面活性剤系の使用であって、水に溶解させた電解質農薬の総量は、液体農薬組成物中の水の総重量に基づいて20重量%またはそれより多くであり、界面活性剤系は、(a)アルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤および/またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤;ならびに(b)アニオン性頭部基および尾部基を含む補助界面活性剤であって、尾部基は、少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含む、補助界面活性剤を含む、使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
4.発明の説明
4.1 概論
本明細書で使用される場合、用語「含む」、「含むこと」、「としては、~が挙げられる」、「挙げられる」、「有する」、「有する」またはそれらの他のあらゆるバリエーションは、非排他的な包含を網羅することが意図される。例えば、列挙された成分を含む組成物は、必ずしもそれらの成分のみに限定されるのではなく、明示的に列挙されていないかまたはこのような組成物に固有の他の成分も含み得る。とはいえ用語「含む」、「含むこと」、「としては、~が挙げられる」、「挙げられる」、「有する」、「有すること」またはそれらの他のあらゆるバリエーションはまた、それ以外の追加の成分を有さない(すなわちそれらの成分からなる)開示された実施態様も網羅する。
【0010】
また本発明の要素または成分の前に付く不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、要素または成分の例(すなわち出現)の数に関して非限定的であることが意図される。それゆえに「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つ、または少なくとも1つを含むものとして読まれるべきであり、数が明らかに単数形を意味しない限り、要素または成分の単数形の語形は複数形も含む。
【0011】
さらに、本発明の形態が「好ましい」と記載される場合、添付の特許請求の範囲に従って、この本発明の好ましい形態は、本明細書に記載される本発明の他の好ましい形態と組み合わせることができることが理解されるものとする。
【0012】
4.2 液体組成物
本発明の農薬組成物は、液体である。用語「液体」は、対象の組成物または成分が標準温度および標準圧力で液体の形態をとることを意味するものとして本開示の全体で使用される。液体農薬組成物は、当業界において周知である。このようなものの例に関しては、「Catalogue of pesticide formulation types and international coding system」、Technical Monograph No.2、第7版、2017年3月改訂、CropLife Internationalが参照される。そこに開示される、少なくとも1種の農薬が水性相中に溶解されており、少なくとも1種の農薬が水性相中に懸濁されている液体組成物のいずれかを、本発明に使用することができる。一例として、液体組成物は、カプセルサスペンジョン(capsule suspension:CS)、および水中油型エマルジョン(oil-in-water emulsion:EW)、懸濁濃縮物(suspension concentrate:SC)、直接施用のための懸濁濃縮物(suspension concentrate for direct application:SD)、サスポエマルジョン(suspo-emulsion:SE)、CSおよびSEの混合配合物(mixed formulation of CS and SE:ZE)、またはCSおよびEWの混合配合物(mixed formulation of CS and EW:ZW)の形態をとることができる。
【0013】
本発明の液体組成物は、水性である。「水性」は、水が組成物の連続相として存在することを意味する。他の水混和性液体溶媒は、それらの合わさせた重量が組成物中の水の総重量より少ないという条件で存在していてもよい。好ましくは、水とこのような水混和性液体溶媒との混合物は、水と水混和性液体溶媒との組み合わせた重量に基づいて、60重量%またはそれより多くの水、より好ましくは70重量%またはそれより多くの水、さらにより好ましくは80重量%またはそれより多くの水、より一層好ましくは90重量%またはそれより多くの水を含む。別の実施態様において、組成物は、水と水混和性液体溶媒との組み合わせた重量に基づいて、20重量%またはそれ未満の、連続相中の水以外の水混和性溶媒、より好ましくは10重量%またはそれ未満、より一層好ましくは5重量%またはそれ未満のそのような水混和性溶媒を含む。好ましい実施態様において、水は、組成物の連続相中で使用される唯一の溶媒である。
【0014】
組成物中に存在する水の総量は、液体農薬組成物の総重量に基づいて30重量%またはそれより多く、好ましくは35重量%またはそれより多く、最も好ましくは40重量%またはそれより多くである。水は、液体農薬組成物の総重量に基づいて、好ましくは75重量%またはそれ未満、より好ましくは70重量%またはそれ未満、さらにより好ましくは65重量%またはそれ未満、より好ましくは60重量%またはそれ未満、最も好ましくは50重量%またはそれ未満の量で組成物中に存在する。下限の重量%値のいずれかを、上限の重量%値のいずれかと組み合わせて、組成物中の水の量の好ましい範囲を提供することができる。好ましい範囲としては、30~75重量%、35~70重量%、35~65重量%、40~60重量%および40~50重量%が挙げられる。
【0015】
(ii)水に溶解させた電解質農薬
用語「電解質農薬」は、20℃で水に溶解させるとイオンを形成すると予想される農薬を意味する。用語「農薬」は、本明細書で使用される場合(後述される懸濁された農薬の場合も含む)、不要な生物(「有害生物」)を致死させる、撃退する、またはその成長または繁殖を防除することができるあらゆる化学物質、または農作物、観賞植物、家畜および飼育動物などの所望の生物の健康な成長または繁殖を保護または促進することができるあらゆる化学物質、ならびに農業、園芸、林業、畜産学、水処理および陸地管理、例えば地面への施用に関する陸地管理、農作物、果樹園、家畜、庭、林地、低木の列、公園、工業用地、建設現場、空港、道、鉄道、河川、湖、池、運河、潅注および排水作業において有用なあらゆる化学物質を意味する。
【0016】
電解質農薬は、殺虫剤、例えば除草剤、殺真菌剤、または防虫剤であってもよい。電解質農薬は、植物生長調節剤、または肥料、例えば水溶性無機肥料もしくは水溶性有機肥料であってもよい。本発明の目的に関して、電解質農薬は、好ましくは除草剤である。
【0017】
本発明において、1種またはそれより多くの電解質農薬は、液体農薬組成物に含有される水に溶解される。水に溶解させた電解質農薬の総量は、液体農薬組成物中の水の総重量に基づいて20重量%またはそれより多くである。本発明の1つの利点は、液体組成物は、より多くの量の電解質農薬を受け入れることができ、同時に他の農薬を懸濁するために安定な構造化した界面活性剤系をなお提供することである。経済性の理由で(例えばパッケージングの低減;貯蔵および輸送コストの低減)、電解質農薬の総量は、できる限り電解質農薬が配合物中で最も高い濃度の材料になるように、飽和に近くなるようにすることができる。低い温度で組成物が貯蔵および/または使用される予定の場合、望ましくない沈殿を回避するために、このような温度での下限の飽和状態の適切な考察を考慮に入れるべきである。水に溶解させた電解質農薬の総量は、好ましくは30重量%またはそれより多く(液体農薬組成物中の水の総重量に基づいて)であり、40重量%またはそれより多く、50重量%またはそれより多く、または60重量%またはそれより多くの量で存在し得る。水に溶解させた電解質農薬の総量の上限は、対象となる系にとって水が溶解できる農薬の量によってのみ限定される。水に溶解させた電解質農薬の総量は、好ましくは100重量%またはそれ未満(液体農薬組成物中の水の総重量に基づいて)であり、90重量%またはそれ未満、80重量%またはそれ未満、または70重量%またはそれ未満の量で存在し得る。下限の重量%値のいずれかを、上限の重量%値のいずれかと組み合わせて、液体農薬組成物中の水の総重量に基づいて、電解質農薬の総量の好ましい範囲を提供することができる。例示的な範囲としては、30~100重量%、40~90重量%、40~80重量%、30~60重量%、および40~60重量%が挙げられる。上記の重量%の量は、電解質農薬それ自体に対して言及され、付随し得る他のいずれの実体(例えば塩基)に対して言及されるものではない。例証として、グリホサートがグリホサートカリウムとして添加される場合、上記の重量%量は、グリホサートに対して言及され、グリホサートカリウム塩に対して言及されない。
【0018】
水中の電解質溶液を構成する水溶性除草剤としては特に、Pesticide Manual(British Crop Protection Council;第16版)に列挙されているものが挙げられる。このような除草剤の例としては、アシフルオルフェン-ナトリウム、アミノピラリド-トリイソプロパノールアンモニウム、アミトロール、スルファミン酸アンモニウム、アシュラムナトリウム、ベンタゾンナトリウム、ビラニフォス(bilanifos)ナトリウム、ビスピリバック(bispyrabac)ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、ブロマシルリチウム、ブロモキシニルカリウム、クロロ酢酸ナトリウム、クロピラリドの農芸化学的に許容できる塩、2,4-D-ジメチルアンモニウム、2,4-D-トリエタノールアンモニウム、2,4-D-トリイソプロピルアンモニウム、2,4-DBジメチルアンモニウム、2,4-DBナトリウム、2,4-DBカリウム、ジカンバジグリコールアミン塩、ジカンバジメチルアンモニウム、ジカンバジエタノールアンモニウム、ジカンバイソプロピルアンモニウム、ジカンバカリウム、ジカンバナトリウム、ジカンバトリエタノールアンモニウム、メチル硫酸ジフェンゾクワット、ジフルフェンゾピルナトリウム、エンドタールモノ(N,N-ジメチルアルキルアンモニウム)、フルプロパネートナトリウム、ホメサフェンナトリウム、フォサミンアンモニウム、グルホシネートアンモニウム、グリホサートイソプロピルアンモニウム、グリホサートカリウム、グリホサートセスキナトリウム、グリホサートジアンモニウム、グリホサートジメチルアンモニウム、グリホサートアンモニウム、イマザモックス、イマザモックスアンモニウム、イマザピックアンモニウム、イマザピルイソプロピルアンモニウム、イマザキンアンモニウム、イマゼタピルアンモニウム、イオキシニルナトリウム、MCPAナトリウム、MCPAカリウム、MCPAジメチルアンモニウム、MCPBナトリウム、MCPBカリウム、メコプロップナトリウム、メコプロップカリウム、メコプロップ-Pジメチルアンモニウム、メコプロップ(mecopropo)-Pカリウム、メタムナトリウム、メタムカリウム、ピクロラムカリウム、ピクロラムジメチルアンモニウム、ピクロラムトリエチルアンモニウム、ピクロラムトリイソプロピルアンモニウム、ピクロラムトリエタノールアンモニウム、プロポキシカルバゾンナトリウム、ピリチオバックナトリウム、塩素酸ナトリウム、トリクロピルトリエチルアンモニウム、ジクロルプロップカリウム、ジクロルプロップ-Pジメチルアンモニウム、ジクロルプロップ-Pカリウム、ジクロルプロップ-Pナトリウムおよび硫酸尿素が挙げられる。好ましい水溶性電解質除草剤は、以下の列挙:2,4-D-ジメチルアンモニウム;2,4-D-トリエタノールアンモニウム;2,4-D-トリイソプロピルアンモニウム;2,4-DBジメチルアンモニウム;2,4-DBナトリウムおよびカリウム;ジカンバジグリコールアミン塩;ジカンバジメチルアンモニウム;ジカンバジエタノールアンモニウム;ジカンバイソプロピルアンモニウム;ジカンバカリウム;ジカンバナトリウム;ジカンバトリエタノールアンモニウム;グルホシネートアンモニウム;グリホサートイソプロピルアンモニウム;グリホサートカリウム;グリホサートセスキナトリウム;グリホサートジアンモニウム;グリホサートジメチルアンモニウム;グリホサートアンモニウム;MCPAナトリウム;MCPAカリウム;MCPAジメチルアンモニウム;MCPB-ナトリウム;MCPB-カリウム;ジクロルプロップ-カリウム;ジクロルプロップ-P-ジメチルアンモニウム;ジクロルプロップ-P-カリウム;およびジクロルプロップ-P-ナトリウムから選択される。
【0019】
最も好ましい水溶性電解質除草剤は、グリホサート(N-(ホスホノメチル)グリシン)、グルホシネート((RS)-2-アミノ-4-(ヒドロキシ(メチル)ホスホノイル)-ブタン酸)、2,4-D((2,4-ジクロロフェノキシ)酢酸)、およびジカンバ(3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸)、ならびにそれらの農芸化学的に許容できる塩である。周知であり広く使用される広域抗菌スペクトルであるグリホサートタイプの除草剤は、N-ホスホノ-メチル-N-カルボキシアルキル化合物、特定にはN-ホスホノメチルグリシンであり、これらは通常、水溶性の農芸化学的に許容できる塩としてのものであり、一般的には、アルカリ金属の塩、例えばナトリウムまたはカリウムまたはトリメチルスルホニウム、イソプロピルアミン、アンモニウム、ジアンモニウム、ジメチルアミンまたはトリエタノールアミン塩としてのものである。グルホシネートタイプの除草剤は、ホスフィニルアミノ酸、例えばグルホシネート[2-アミノ-4-(ヒドロキシメチルホスフィニル)ブタン酸]であり、アンモニウム塩として特に有用である。グリホサートおよびグルホシネートタイプの除草剤の両方について、主要な活性成分は、アニオン(または全体として負電荷を有する両性イオン)として、水溶液中に存在する。2,4-Dは、そのジメチルアミンまたはコリン塩として使用することができ、ジカンバは、そのジグリコールアミン、ジメチルアンモニウム(dimethlyammonium)、イソプロピルアミン、カリウムまたはナトリウム塩として使用することができる。電解質農薬がグリホサートまたはその塩である場合、それは、好ましくは、組成物の総重量に基づいて20~40重量%のグリホサートの量で組成物中に存在する。
【0020】
水と電解質溶液を形成する水溶性殺真菌剤および/または防虫剤としては特に、Pesticide Manual(British Crop Protection Council;第16版)に列挙されているものが挙げられる。このようなものの例としては、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウム、GY-81、メタムナトリウム、メタムカリウム、およびホスホン酸が挙げられる。
【0021】
水と電解質溶液を形成する水溶性植物生長調節剤としては特に、Pesticide Manual(British Crop Protection Council;第16版)に列挙されているものが挙げられる。このような植物生長調節剤の例としては、S-アブシジン酸、アビグリシン塩酸塩、塩化クロルメコート、クロキシホナックナトリウム、ジクロルプロップカリウム、ジクロルプロップ-Pジメチルアンモニウム、ジクロルプロップ-Pカリウム、ジクロルプロップ-Pナトリウム、ジベレリン酸、GA3、4または7、マレイン酸ヒドラジドカリウム塩、塩化メピクアット(mepiquat chloride)、およびナトリウムニトロフェノレートが挙げられる。好ましい植物生長調節剤としては、ジケグラックナトリウム、アンモニウム1-ナフチル酢酸、ナトリウム1-ナフチル酢酸、およびカリウム1-ナフチル酢酸が挙げられる。
【0022】
水と電解質溶液を形成する水溶性肥料としては特に、窒素、リン、カリウムまたは硫黄などの栄養素を提供する一般的な水溶性無機肥料が挙げられる。このような肥料の例としては、
栄養素としての窒素の場合、硝酸塩およびまたはアンモニウム塩、例えば硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウムカルシウム(固体の形態で:[Ca(NO・NH(NO・10HO)、硫酸硝酸アンモニウム(ammonium sulphate nitrate)、リン酸アンモニウム、特定にはリン酸モノアンモニウム(NHPO)、リン酸ジアンモニウム([NHHPO)、およびポリリン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ならびにそれほど一般的に使用されないが硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムおよび塩化アンモニウムが挙げられ;
栄養素としてのカリウムの場合、塩化カリウム、硫酸カリウム、例えば、マグネシウムと混合された硫酸塩(KSO・MgSO)、リン酸カリウム、特定にはリン酸二水素カリウム(KHPO)およびポリリン酸カリウム(一般的に式(KPOで示される)ならびにそれほど一般的ではないが硝酸カリウムが挙げられ;
栄養素としてのリンの場合、リンの酸性形態、例えばリン酸、ピロリン酸またはポリリン酸を使用することができるが、それらの酸性度や腐食性のためにそれほど好ましくなく、通常、塩の形態が好ましいと予想され、そのようなものとしては、例えば、リン酸アンモニウム、特定にはリン酸モノアンモニウム、リン酸ジアンモニウム、およびポリリン酸アンモニウム、リン酸カリウム、特定にはリン酸二水素カリウムおよびポリリン酸カリウムが挙げられ;
栄養素としての硫黄の場合、硫酸アンモニウムおよび硫酸カリウム、例えばマグネシウムと混合された硫酸塩が挙げられる。
【0023】
また他の水溶性栄養素を含有する化合物(一般的に「微量栄養素」として同定される)が、例えば配合物に少量の、または微量の栄養素を提供するために、組成物中に含まれていてもよい。同様に、配合物の電解質成分の一部または全部として、水溶性の緩衝剤およびキレート剤、例えばクエン酸アンモニウムおよびアルカリ金属のクエン酸塩、グルコネート、ラクテート、およびポリアクリレートが含まれていてもよい。
【0024】
水溶性電解質農薬と他の水溶性電解質農薬との組合せが、本発明で使用することができ、除草剤と除草剤との組合せ、殺真菌剤と殺真菌剤との組合せ、植物生長調節剤と植物生長調節剤との組合せなどが好ましい。好適な除草剤の組合せとしては、アシフルオルフェン-ナトリウムと、ベンタゾン-ナトリウム;クロピラリドカリウムと、MCPAカリウム;2,4-D-ジメチルアンモニウムと、MCPAジメチルアンモニウム;2,4-D-トリエタノールアンモニウムと、MCPAナトリウム;2,4-D-トリイソプロピルアンモニウムと、MCPAカリウム;2,4-DBナトリウムと、MCPAナトリウムおよび/またはMCPAカリウム;2,4-DBカリウムと、MCPAナトリウムおよび/またはMCPAカリウム;ジカンバ-カリウムと、グリホサート-カリウム;ジフルフェンゾピル-ナトリウムと、ジカンバ-ナトリウム;グルホシネート-アンモニウムと、MCPA塩、例えばMCPAナトリウムまたはMCPAカリウム;グルホシネート-アンモニウムと、ジカンバ-イソプロピルアンモニウム;ジカンバジグリコールアミン塩と、グリホサートジアンモニウム;ジカンバ-トリエタノールアンモニウムと、グリホサート-イソプロピルアンモニウム;ジカンバ-ジメチルアンモニウムと、グリホサートジメチルアンモニウム;ジカンバ-ジエタノールアンモニウムと、グリホサート-ジアンモニウム;ジカンバ-ナトリウムと、グリホサート-ナトリウム;ジクロルプロップ-P-ジメチルアンモニウムと、MCPAジメチルアンモニウム;グリホサート-イソプロピルアンモニウムまたはグリホサート-イソプロピルアミンと、グルホシネート-アンモニウム;イマザキン-アンモニウムと、塩化クロルメコート;イオキシニル-ナトリウムと、メコプロップ-ナトリウムおよび/またはMCPAジメチルアンモニウム;MCPAナトリウムと、他のMCPA塩(例えばMCPAカリウムまたはMCPAジメチルアンモニウム)、2,4-DBカリウム、および/または2,4-DBナトリウム;MCPAカリウムと、他のMCPA塩(例えばMCPAナトリウム)、2,4-DBカリウム、および/または2,4-DBナトリウム;MCPAジメチルアンモニウムと、他のMCPA塩(例えばMCPAナトリウムまたはMCPAカリウム);MCPB-ナトリウムと、MCPB-カリウム;2,4-DBジメチルアンモニウム、および/またはイオキシニル-ナトリウム;メコプロップ-Pジメチルアンモニウムと、ジクロルプロップ-P-ジメチルアンモニウムおよび/またはMCPAジメチルアンモニウムが挙げられる。
【0025】
好適な植物生長調節剤の組合せとしては、ナトリウム1-ナフチル酢酸と、ナトリウムニトロフェノレート;または塩化クロルメコートと、イマザキン-アンモニウムが挙げられる。好適な植物生長調節剤と除草剤との組合せは、ナトリウム1-ナフチル酢酸と、2,4-D-ナトリウムである。水溶性電解質植物生長調節剤と、他の水溶性電解質農薬との他の組合せとしては、ジクロルプロップ-P-ジメチルアンモニウムと、MCPAジメチルアンモニウムおよび/またはメコプロップ-P-ジメチルアンモニウム;ならびにジベレリン酸GA4と、グルホシネート-アンモニウムが挙げられる。
【0026】
(iii)界面活性剤系
本組成物は、水性相中の小胞、好ましくは多層小胞(スフェルライト)を形成する界面活性剤系を含む。これらの小胞は、固体粒子または液体の液滴を懸濁するのに必要なレオロジー特性を有する液体をもたらす密集した構造を形成することによって、農薬を組成物中に懸濁させることを可能にする。界面活性剤系は、(a)アルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤および/またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤を含む。界面活性剤系は、(b)アニオン性頭部基および尾部基を有する補助界面活性剤であって、尾部基は、少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を有する、補助界面活性剤をさらに含む。本発明は、(a)アルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤および/またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤、ならびに(b)アニオン性頭部基、および少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を有する尾部基を有する補助界面活性剤の組合せをベースとする界面活性剤系は、大量の電解質農薬の存在下で小胞の形成を可能にすると予想され、さらに、小胞は、広範囲の温度範囲にわたり、典型的には-10℃~40℃にわたり貯蔵される場合、固体粒子および液体の液滴を懸濁させることができるという驚くべき発見に基づく。
【0027】
先行技術の界面活性剤系において、典型的には、水系中に大量の電解性の農薬を溶解させる場合、第2の農薬などの他の成分を懸濁できるような方法で界面活性剤を組み合わせることは、不可能ではないとしても困難になる。多量の電解質の存在下で、ほとんどの界面活性剤の組合せにおいて、界面活性剤の組合せは、全体的または部分的に不溶性であり、貯蔵時に水溶液から分離するか、または界面活性剤の組合せは完全に可溶性になり、ミセル溶液を形成するが、ミセル溶液は粒子を懸濁することができない。
【0028】
例えば、US2010/0160168A1は、同質の液体農薬濃縮物を記載している。そこで使用される界面活性剤系は、マイクロエマルジョン(したがって均一性)を形成し、これは構造化した界面活性剤系ではなく、組成物中に例えば固体を懸濁することができない。US10,091,994B2は、界面活性剤を記載しており、その塩は、配合物中におけるゲル化の問題を回避しながら界面活性剤の活性を保持すると報告されている。この文書では、界面活性剤系は、比較的多量の電解質農薬を含有する水性配合物中に例えば固体を懸濁するのに使用できるかについては示されていない。
【0029】
さらに上記で論じられた問題、および直前に述べられた先行技術における問題は、(a)アルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤および/またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤、ならびに(b)アニオン性頭部基および尾部基を含む補助界面活性剤であって、尾部基は、少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含む、補助界面活性剤の組合せをベースとする本発明による界面活性剤系を使用することによって克服される。本発明はまた、使用される界面活性剤が、カチオン性ヘキサデシルアンモニウムクロリドなどの先行技術で使用される界面活性剤とは異なり環境に優しいという点でも有利である。
【0030】
(a-1)アルキルポリグルコシド界面活性剤
アルキルポリグルコシドは、グルコシド結合で互いに連結された糖の環の鎖からなる物質の基であり、グルコシド鎖の最後の環がアルコールでアセタール化されている。本発明にとって特に好ましくは、以下の式(I):
式(I):H-(G)-O-R
のアルキルポリグルコシドであり、式中、Gは、単糖類、典型的には式C12を有するヘキソース、または式C10を有するペントースからのHOの分子の除去により生じるラジカルを表し;「n」は、1~5であり;Rは、直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、8~20の範囲の炭素原子数を有するアルキルラジカルを表す。
【0031】
アルキルポリグルコシドは、通常、アルキルモノグルコシド(例えばアルキル-α-D-およびアルキル-β-D-グルコピラノシドであり、任意選択でより少量のグルコフラノシドを含有していてもよい)、アルキルジグルコシド(例えばアルキルジグルコシドイソマルトシド、アルキルジグルコシドマルトシドなど)およびアルキルオリゴグルコシド(例えばアルキルマルトトリシド、アルキルテトラオシドなど)の混合物である。本発明にとって好ましいアルキルポリグルコシドは、C4~18アルキルポリグルコシドであり(すなわち、式中、上記の式(I)におけるRは、4~18アルキル基である)、より好ましくはC6~14アルキルポリグルコシド、特定にはC6~12アルキルポリグルコシドである。アルキルポリグルコシドは、1.2~1.9の重合度を有していてもよい(すなわち式1中の「n」は、1.2~1.9である)。より好ましくは、C6~10アルキルポリグルコシドであり、「n」は、1.4~1.9である。アルキルポリグルコシドは、好ましくは、11.0~15.0のHLB値を有し、12.0~14.0のHLB値を有していてもよい。
【0032】
アルキルポリグルコシド界面活性剤の総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは1.0重量%またはそれより多く、より好ましくは2.0重量%またはそれより多く、さらにより好ましくは3.0重量%またはそれより多く、最も好ましくは3.5重量%またはそれより多くの量で組成物中に存在する。アルキルポリグルコシド界面活性剤の総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは10.0重量%またはそれ未満の量で組成物中に存在し、8.0重量%またはそれ未満、6.0重量%またはそれ未満、または4.0重量%またはそれ未満の量で存在していてもよい。下限の重量%値のいずれかを、上限の重量%値のいずれかと組み合わせて、アルキルポリグルコシド界面活性剤の量の好ましい範囲を提供することができる。例示的な範囲としては、1.0~10.0重量%、2.0~8.0重量%、3.0~6.0重量%、および2.0~4.0重量%が挙げられる。電解性の除草剤がグリホサートまたはその塩である場合、アルキルポリグルコシド界面活性剤の総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは2.0~8.0重量%、より好ましくは3.5~6.0重量%の量で存在する。アルキルポリグルコシド界面活性剤の商業的な例としては、アグニケ(Agnique)PGシリーズ(BASF)、AL-2559およびAL-2575(クローダ(Croda))が挙げられる。
【0033】
(a-2)アルキルグルカミドエステル界面活性剤
アルキルグルカミドエステル界面活性剤は、グルカミンを脂肪酸と化合させることによって入手できる界面活性剤のグループである。本発明にとって特に好ましくは、以下の式(II)のアルキルグルカミドエステル界面活性剤である。
【0034】
【化1】
【0035】
式IIにおいて、Rは、直鎖状または分岐状のC5~C21アルキル基、またはC5~C21アルケニル基であり、Rは、C~Cアルキル基である。好ましい実施態様において、Rは、C9~C13アルキル基である。好ましい実施態様において、Rは、メチル基である。それでもなおさらに好ましい実施態様において、Rは、C9~C13アルキル基であり、Rは、メチル基である。さらに好ましい実施態様において、Rは、C11アルキル基であり、Rは、メチル基である。アルキルグルカミドエステル界面活性剤は、商業的に入手可能である(例えばクラリアント(Clariant)からのシナージェンGA(Synergen GA))。
【0036】
組成物中のアルキルグルカミドエステル界面活性剤の総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは1.0重量%またはそれより多く、より好ましくは2.0重量%またはそれより多く、さらにより好ましくは3.0重量%またはそれより多く、最も好ましくは3.5重量%またはそれより多くである。組成物中のアルキルグルカミドエステル界面活性剤の総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは10.0重量%またはそれ未満であり、8.0重量%またはそれ未満、6.0重量%またはそれ未満、または4.0重量%またはそれ未満であってもよい。下限の重量%値のいずれかを、上限の重量%値のいずれかと組み合わせて、アルキルグルカミドエステル界面活性剤の総量の好ましい範囲を提供することができる。例示的な範囲としては、1.0~10.0重量%、2.0~8.0重量%、3.0~6.0重量%、および2.0~4.0重量%が挙げられる。電解性の除草剤がグリホサートまたはその塩である場合、アルキルグルカミドエステル界面活性剤の総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは2.0~8.0重量%、より好ましくは3.5~6.0重量%の量で存在する。
【0037】
(a-3)エトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル
本発明で使用するためのエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステルは、好ましくは、以下の式IIIaおよび/またはIIIbによる構造を有する。
【0038】
【化2】
【0039】
式IIIaにおいて、MおよびMは、カチオンであり、好ましくは、独立して、H、Na、K、またはNH から選択され、nは、1~20の整数であり、Rは、C6~C22直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル基である。一実施態様において、MおよびMは、カチオンであり、好ましくは、独立して、H、Na、またはKから選択され、nは、2~12の整数であり、Rは、C8~C18直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル基である。一実施態様において、MおよびMは、カチオンであり、好ましくは、独立して、H、Na、またはKから選択され、nは、2~20の整数であり、Rは、C8~C18直鎖アルケニル基である。一実施態様において、MおよびMは、カチオンであり、好ましくは、独立して、H、Na、またはKから選択され、nは、2~20の整数であり、Rは、C8~C18直鎖または分岐鎖アルキル基である。
【0040】
式IIIbにおいて、Mは、H、Na、K、またはNH から選択され、nおよびmは、独立して、1~20の整数であり、RおよびRは、独立して、C6~C22直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル基である。一実施態様において、Mは、カチオンであり、好ましくは、H、Na、またはKから選択され、nおよびmは、独立して、2~12の整数であり、RおよびRは、独立して、C8~C18直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル基である。一実施態様において、Mは、カチオンであり、好ましくは、H、Na、またはKから選択され、nおよびmは、独立して、2~20の整数であり、RおよびRは、独立して、C8~C18直鎖アルケニル基である。一実施態様において、Mは、カチオンであり、好ましくは、H、Na、またはKから選択され、nおよびmは、独立して、2~20の整数であり、RおよびRは、独立して、C8~C18直鎖または分岐鎖アルキル基である。
【0041】
本発明で使用するためのエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステルは、式IIIaによるモノエステル、式IIIbによるジエステル、またはモノエステルとジエステルとの混合物であってもよい。混合物として使用される場合、モノエステル:ジエステルの比率は、好ましくは1:20~20:1の範囲、より好ましくは1:10~10:1の範囲である。組成物中の式IIIaおよび式IIIbによるエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステルの総量(単独で、または混合物として使用されるかどうかにかかわらず)は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは1.0重量%またはそれより多く、より好ましくは2.0重量%またはそれより多く、さらにより好ましくは3.0重量%またはそれより多く、最も好ましくは3.5重量%またはそれより多くである。組成物中の式IIIaおよび式IIIbによるエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステルの総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは10.0重量%またはそれ未満であり、8.0重量%またはそれ未満、6.0重量%またはそれ未満、または4.0重量%またはそれ未満であってもよい。下限の重量%値のいずれかを、上限の重量%値のいずれかと組み合わせて、組成物中の式IIIaおよび式IIIbによるエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステルの総量の好ましい範囲を提供することができる。例示的な範囲としては、1.0~10.0重量%、2.0~8.0重量%、3.0~6.0重量%、および2.0~4.0重量%が挙げられる。電解性の除草剤がグリホサートまたはその塩である場合、組成物中の式IIIaおよび式IIIbによるエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステルの総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは2.0~8.0重量%、より好ましくは3.5~6.0重量%である。
【0042】
アルコキシル化脂肪族アルコールリン酸エステルの例は、ポリ(好ましくは2~30)エトキシ化(好ましくはC6~C22)脂肪族アルコールのリン酸エステルであり、例えば、エトキシ化(2EO(EOは、エチレンオキシド単位を意味する)オレイルアルコールリン酸エステル(例えばエンピフォス(Empiphos)(登録商標)O3D、ハンツマン(Huntsman))、エトキシ化オレイルアルコールリン酸エステル(例えばクロダホス(Crodafos)(登録商標)COシリーズ、クローダ)、エトキシ化(2~10EO)セト/ステアリルアルコールリン酸エステル(例えばクロダホス(登録商標)CSシリーズ、クローダ)、エトキシ化(4~6EO)トリデシルアルコールリン酸エステル(例えばクロダホス(登録商標)Tシリーズ、クローダ)、エトキシ化(3~6EO)脂肪族アルコールリン酸エステル(例えばロダファック(Rhodafac)(登録商標)シリーズ、ソルベイ(Solvay))である。
【0043】
上述した3つのクラスの補助界面活性剤(a-1)、(a-2)および(a-3)のなかでも、アルキルポリグルコシド界面活性剤が最も好ましく、これはなぜなら、この界面活性剤クラスが、本発明の組成物において電解質農薬の最も高い濃度を可能にすることが見出されているためである。
【0044】
界面活性剤系が、(a-1)アルキルポリグルコシド界面活性剤、(a-2)アルキルグルカミドエステル界面活性剤および(a-3)アルキルエトキシリン酸エステル界面活性剤のうち2つまたはそれより多くを含む場合、本発明の組成物中のこれらの3つのクラスの界面活性剤の総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは1.0重量%またはそれより多く、より好ましくは2.0重量%またはそれより多く、さらにより好ましくは3.0重量%またはそれより多く、最も好ましくは3.5重量%またはそれより多くである。組成物中のこれらの3つのクラスの界面活性剤の総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは10.0重量%またはそれ未満であり、8.0重量%またはそれ未満、6.0重量%またはそれ未満、または4.0重量%またはそれ未満であってもよい。下限の重量%値のいずれかを、上限の重量%値のいずれかと組み合わせて、本組成物中のこれらの3つのクラスの界面活性剤の総量の好ましい範囲を提供することができる。例示的な範囲としては、1.0~10.0重量%、2.0~8.0重量%、3.0~6.0重量%、および2.0~4.0重量%が挙げられる。電解性の除草剤がグリホサートまたはその塩である場合、組成物中の3つのクラスの界面活性剤の総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは2.0~8.0重量%、より好ましくは3.5~6.0重量%である。
【0045】
(b)アニオン性頭部基、および少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含む補助界面活性剤
補助界面活性剤は、アニオン性頭部基および尾部基を含み、尾部基は、少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含む。用語「補助界面活性剤」は、他の農薬を懸濁できる小胞が形成されるように、前述のアルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤および/またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤と共に機能する界面活性剤を意味する。本発明における用語「頭部基」は、官能基、例えば、1個またはそれより多くの酸素、窒素、硫黄、またはリン原子を含む官能基を意味する。頭部基は、水に溶解させると負に帯電し、分子のどの部分に配置されていてもよい。頭部基は、分子の親水性部分である。好適な頭部基としては、例えば、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオンおよびリン酸イオンが挙げられる。用語「尾部基」は、当業界におけるその通常の意味で解釈され、本発明のケースでは、分子の疎水性部分を表す。「尾部基」は、少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含む。好ましくは、少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基は、C1~C22アルキル基、C2~C22アルケニル基、およびC2~C22アルキニル基から選択される。
【0046】
好ましい実施態様において、補助界面活性剤は、以下の式1によって表すことができる。
【0047】
【化3】
【0048】
式1において、Aは、アニオン性頭部基を表す。アニオン性頭部基は、好ましくは、-SOM(スルホン酸イオン)、-OSOM(硫酸イオン)、-COM(カルボン酸イオン)、および-OPOM(リン酸イオン)から選択され、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrである。補助界面活性剤は、2つのアニオン性頭部基を有していてもよく、この場合Mは、2価カチオンであり、例えばCa2+である。好ましくは、本発明の補助界面活性剤が中和された塩であるように、Mは、Hではない。これは、アニオン性補助界面活性剤が、より水溶性であるが、油または高度な電解質の溶液にはそれほど可溶性ではなく、それによってより優れた懸濁特性が提供されるという利点を有する。
【0049】
式1において、R、RおよびRは、同一でもよいし、または異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素、C1~C22アルキル基、C2~C22アルケニル基、またはC2~C22アルキニル基から選択され、ただしR、RおよびRの最大で1つのみがHであり、R~Rにおける炭素の総数が6~24である。
【0050】
式1において、Lは、R、RおよびRを、C、N、O、S、およびPから選択される7個またはそれ未満の原子によって、好ましくは5個またはそれ未満の原子によってアニオン性頭部基に接続する結合基を表す。R~Rは、結合基Lにおける同じ原子に結合していてもよいが、必ずしもそうでなくてもよい。好ましい実施態様において、R、RおよびRは、最大で4個の原子によって互いに分離されている。R~RをAから分離する原子、またはR~Rを互いに分離する原子を数える場合、共有結合した原子の最も短い鎖が選ばれることとなり、AまたはR~Rの一部ではない原子のみが数えられる。どのように分離の程度を計数すべきかの例は、以下で式3-2aおよび式4-2aに関して提供される。
【0051】
本発明において使用され得る補助界面活性剤はまた、以下の式2-1によって表することもできる。式2-1において、A、R、RおよびRは、式1に関して上述したのと同じである。すなわち、Aは、アニオン性頭部基を表し、好ましくは、-SOM(スルホン酸イオン)、-OSOM(硫酸イオン)、-COM(カルボン酸イオン)、および-OPOM(リン酸イオン)から選択され、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrである。R、RおよびRは、同一でもよいし、または異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素、C1~C22アルキル基、C2~C22アルケニル基、またはC2~C22アルキニル基から選択され、ただしR、RおよびRの最大で1つのみがHであり、R~Rにおける炭素の総数が6~24である。加えて、「p」は、0または1から選択され;「n」、「a」、「b」および「c」は、同一であるかまたは異なっており、独立して、0、1または2から選択され;X、XおよびXは、同一であるかまたは異なっており、独立して、直接結合、-O-、-COO-、-CH(OH)-、または-CONH-から選択される。このケースにおいて、Aの、R~R、またはR~Rからの分離の程度は互いに、「p」、「n」、「a」、「b」、「c」およびX~Xの可変要素の選択によってのみ限定される。しかしながら、Aが、R、RおよびRのそれぞれから、7個またはそれ未満の原子、より好ましくは5個またはそれ未満の原子で分離されることがそれでもなお好ましい。また、R、RおよびRが最大で4個の原子によって互いに分離されていることも好ましい。
【0052】
【化4】
【0053】
、RおよびRのうち1つがHであるケースにおいて、補助界面活性剤は、好ましくは、以下の式2-2で表され、式中、A、X、X、R、R、「p」、「n」、「a」、および「b」は、式2-1に関して上述したのと同じである。この式の化合物は、より環境に優しく、したがって好ましい。
【0054】
【化5】
【0055】
式2-1および2-2の好ましい実施態様において、Aは、-SOMであり、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、NH 、またはNHiPrである。式2-1および2-2の別の好ましい実施態様において、「n」、「a」、「b」および「c」は、全て0である。式2-1および2-2の別の好ましい実施態様において、X、XおよびXは、同一であるかまたは異なっており、独立して、直接結合、-COO-、または-CONH-から選択される。式2-1および2-2のそれでもなお別の好ましい実施態様において、X、XおよびXは、全て直接結合である。式2-1および2-2の別の好ましい実施態様において、Aは、-SOMであり、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、NH 、またはNHiPrであり、「n」、「a」、「b」および「c」は、全て0であり、X、XおよびXは、全て直接結合である。
【0056】
式2-1または式2-2の「p」が1であるケースにおいて、補助界面活性剤は、好ましくは、以下の式3-1または式3-2で表され、式中、A、X、X、X、R、R、およびRは、それぞれ式2-1および式2-2に関して上述したのと同じである。
【0057】
【化6】
【0058】
式2-1または式2-2の「p」が1であるケースにおいて、補助界面活性剤は、より好ましくは、以下の式4-1または式4-2で表され、式中、A、R、R、およびRは、それぞれ式2-1および式2-2に関して上述したのと同じである。
【0059】
【化7】
【0060】
式2-1または式2-2の「p」が1であるケースにおいて、ベンゼン環上の置換パターンは、特に限定されないが、より好ましくはパラ置換パターンを採用する。式3-1、3-2、4-1、および4-2のパラ置換パターンは、以下に描写される。
【0061】
【化8】
【0062】
式4-2aのケースにおいて、Aは、RおよびRのそれぞれから、5個の原子(フェニル環上の4個、加えて第2位の炭素)によって分離される。RおよびRは、1個の原子(第2位の炭素)によって互いに分離されている。式3-2aのケースにおいて、Xが-COO-であり、Xが直接結合である場合、Aは、Rから、7個の原子(フェニル環上の4個、加えて第2位の炭素、加えてCおよびO(注:C=Oの酸素は、AをRおよびRに連結する鎖の一部ではないため、カウントされない))によって分離され、Rから、5個の原子(フェニル環上の4個、加えて第2位の炭素)によって分離される。この例において、RおよびRは、3個の原子(XからのCおよびO、加えて第2位の炭素)によって互いに分離されている。
【0063】
本発明において使用され得る補助界面活性剤はまた、以下の式5によって表することもできる。式5において、A、R、RおよびRは、式1に関して上述したのと同じである。加えて、「a」、「b」および「c」は、同一であるかまたは異なっており、独立して、0、1または2から選択され;X、XおよびXは、同一であるかまたは異なっており、独立して、直接結合、-O-、-COO-、-CH(OH)-、または-CONH-から選択される。式5の好ましい実施態様において、X、XおよびXは、同一であるかまたは異なっており、独立して、直接結合、-COO-、または-CONH-から選択される。このケースにおいて、Aの、R~R、またはR~Rからの分離の程度は互いに、「a」、「b」、「c」およびX~Xの可変要素の選択によってのみ限定される。しかしながら、Aが、R、RおよびRのそれぞれから、7個またはそれ未満の原子、より好ましくは5個またはそれ未満の原子で分離されることがそれでもなお好ましい。このケースにおいてはまた、R、RおよびRが、最大で5個の原子によって、好ましくは最大で4個の原子によって互いに分離されていることも好ましい。
【0064】
【化9】
【0065】
補助界面活性剤が式5で表され、R、RおよびRのうち1つがHであるケースにおいて、補助界面活性剤は、好ましくは、以下の式5-1、より好ましくは以下の式5-2で表され、それぞれのケースにおいて、A、X、X、R、R、「a」、および「b」は、式5に関して上述したのと同じである。
【0066】
【化10】
【0067】
式2-1または式2-2の「p」が0であるケースにおいて、補助界面活性剤は、以下の式6-1または式6-2で表され、式中、A、X、X、X、R、R、R、「n」、「a」、「b」、および「c」は、それぞれ式2-1および式2-2に関して上述したのと同じである。
【0068】
【化11】
【0069】
式6-1および6-2の好ましい実施態様において、Aは、-SOMであり、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、NH 、またはNHiPrである。式6-1および6-2の別の好ましい実施態様において、「n」、「a」、「b」および「c」は、全て0である。式6-1および6-2の別の好ましい実施態様において、X、XおよびXは、同一であるかまたは異なっており、独立して、直接結合、-COO-、または-CONH-から選択される。式6-1および6-2のそれでもなお別の好ましい実施態様において、X、XおよびXは、全て直接結合である。式6-1および6-2の別の好ましい実施態様において、Aは、-SOMであり、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、NH 、またはNHiPrであり、「n」、「a」、「b」および「c」は、全て0であり、X、XおよびXは、全て直接結合である。
【0070】
好ましい実施態様において、補助界面活性剤は、以下の式7で表され、式中、A、X、X、R、Rおよび「a」は、式2-1に関して上述した通りである。
【0071】
【化12】
【0072】
式7の好ましい実施態様において、Aは、-SOMであり、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、NH 、またはNHiPrである。式7の別の好ましい実施態様において、XおよびXは両方とも、-COO-(エステル)である。式7の別の好ましい実施態様において、XおよびXは両方とも、直接結合である。式7の別の好ましい実施態様において、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~C12アルキル基である。式7の特に好ましい実施態様において、Aは、-SOMであり、「a」は、0であり、XおよびXは両方とも、-COO-(エステル)であり、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C6~C10アルキル基であり、好ましくは両方ともC8アルキル基である。式7の別の特に好ましい実施態様において、Aは、-SOMであり、「a」は、0であり、XおよびXは両方とも、直接結合であり、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~C12アルキル基であり、好ましくはC2~C10アルキル基であり、ただしR1およびR2における炭素の数の合計は、8~12である。
【0073】
本発明で使用するための補助界面活性剤はまた、以下の式8-1、好ましくは式8-2によって表することもでき、式中、それぞれのケースにおいて、A、X、X、R、R、「n」、「a」、および「b」は、式2-1に関して上述したのと同じである。
【0074】
【化13】
【0075】
式8-1および式8-2の好ましい実施態様において、Aは、-SOMであり、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、NH 、またはNHiPrである。式8-1の好ましい実施態様において、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~C14アルキル基である。式8-1の好ましい実施態様において、XおよびXの一方は、-COO-(エステル)であり、他方は、直接結合である。式8-1の別の好ましい実施態様において、「n」は、1であり、「a」および「b」は両方とも、0である。式8-1の特に好ましい実施態様において、Aは、-SOMであり、「n」は、1または2であり、「a」および「b」は両方とも、0であり、XおよびXの一方は、-COO-(エステル)であり、他方は、直接結合である。式8-1の好ましい実施態様において、Aは、-SOMであり、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~C14アルキル基であり、好ましくはRは、C8~12アルキル基であり、Rは、C1~C4アルキル基であり、より好ましくはRは、C11アルキル基であり、Rは、Meである。式8-2の好ましい実施態様において、Aは、-SOMであり、nは、1または2であり、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~C20アルキルまたはアルケニル基であり、好ましくはRは、C8~20アルケニル基であり、Rは、C1~C4アルキル基である。式8-2の別の好ましい実施態様において、Aは、-SOMであり、nは、2であり、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~C20アルキルまたはアルケニル基であり、好ましくはRは、C8~20アルケニル基であり、Rは、C1~C4アルキル基であり、より好ましくはRは、C15~C19アルケニル基であり、Rは、Meである。
【0076】
本発明で使用するための補助界面活性剤はまた、以下の式9によって表することもでき、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、NH 、NHiPr、またはCa2+であり、「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、7~11である。MがCa2+である場合、界面活性剤は、式9に描写されたアニオン性対イオンの2つを有する。式9の好ましい実施態様は、a+bが9である場合のものである。式9による商業的に入手可能な界面活性剤としては、ナンサ(Nansa)(登録商標)HS80S(イノスペック(Innospec))およびバイオソフト(Biosoft)(登録商標)411-E(ステパン(Stepan))が挙げられる。
【0077】
【化14】
【0078】
本発明で使用するための補助界面活性剤はまた、以下の式10によって表することもでき、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり、「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、9~16である。式10の好ましい実施態様は、a+bが11~14である実施態様である。式10による商業的に入手可能な界面活性剤としては、ホスタピュール(Hostapur)(登録商標)SAS93(クラリアント)が挙げられる。
【0079】
【化15】
【0080】
本発明で使用するための補助界面活性剤はまた、以下の式11によって表することもでき、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C6~C10直鎖アルキル基になるように選択される。式11の好ましい実施態様は、RおよびRが両方ともC8直鎖アルキル基である実施態様である。式11による商業的に入手可能な界面活性剤としては、エアロゾル(Aerosol)(登録商標)OT-100(サイテック・ソルベイ(Cytec Solvay))が挙げられる。
【0081】
【化16】
【0082】
本発明で使用するための補助界面活性剤はまた、以下の式12によって表することもでき、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~16直鎖アルキル基になるように選択され、ただしRおよびRは一緒に6~18個の炭素原子を提供する。式12の好ましい実施態様は、Rが、C1~C4直鎖アルキル基であり、Rが、C5~C14直鎖アルキル基である実施態様である。式12のより好ましい実施態様は、Rが、Meであり、Rが、C5~C14直鎖アルキル基であり、好ましくはRが、C9~C13直鎖アルキル基であり、最も好ましくはC11直鎖アルキル基である実施態様である。式12による商業的に入手可能な界面活性剤としては、クロダシニック(Crodasinic)(登録商標)LS30、クロダシニック(登録商標)MS30、およびクロダシニック(登録商標)O(クローダ)が挙げられる。
【0083】
【化17】
【0084】
本発明で使用するための好適な補助界面活性剤としてはまた、WO2017/100051A1の5~18頁に開示されたものも挙げられ、それらの構造および含量は、参照により本明細書に取り入れられる。
【0085】
本発明で使用するための補助界面活性剤はまた、以下の式13-1または式13-2、好ましくは式13-1および13-2の混合物によって表することもでき、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり、「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、9~14である。式13-1および13-2ならびにそれらの混合物の好ましい実施態様は、a+bが11~13である実施態様である。それでもなおさらに好ましい実施態様は、aが6~8であり、bが5~7である実施態様である。それでもなおさらに好ましい実施態様は、aが7であり、bが6である実施態様である。式13-1および13-2による界面活性剤は、WO2017/100051A1の6~8頁に記載されており、シェル(Shell)からエノルデット(Enordet)(商標)マークで商業的に入手可能である。
【0086】
【化18】
【0087】
本発明で使用するための補助界面活性剤はまた、以下の式14によって表することもでき、式中、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~20直鎖アルキルまたはアルケニル基になるように選択され、ただしRおよびRは一緒に6~20個の炭素原子を提供する。式14の好ましい実施態様は、Rが、C1~C4直鎖アルキル基であり、Rが、C5~C19直鎖アルキルまたはアルケニル基である実施態様である。式12のより好ましい実施態様は、RがMeであり、RがC5~C19直鎖アルケニル基であり、好ましくはRがC13~C19直鎖アルケニル基であり、最も好ましくはC17直鎖アルケニル基である実施態様である。式14による商業的に入手可能な界面活性剤としては、アディノール(Adinol)(登録商標)OT-72(クローダ)が挙げられる。
【0088】
【化19】
【0089】
補助界面活性剤(b)の総量、特定には上記の式のいずれかで定義されたものの総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは1.0重量%またはそれより多く、より好ましくは2.0重量%またはそれより多く、さらにより好ましくは3.0重量%またはそれより多く、最も好ましくは3.5重量%またはそれより多くである。補助界面活性剤(b)の総量は、液体農薬組成物の重量に基づいて、好ましくは15.0重量%またはそれ未満であり、10.0重量%またはそれ未満、7.5重量%またはそれ未満、または5重量%またはそれ未満の量で存在していてもよい。下限の重量%値のいずれかを、上限の重量%値のいずれかと組み合わせて、液体農薬組成物中の補助界面活性剤(b)の量の好ましい範囲を提供することができる。例示的な範囲としては、1.0~15.0重量%、2.0~10.0重量%、3.0~7.5重量%、および3.0~5.0重量%が挙げられる。電解性の除草剤がグリホサートまたはその塩である場合、液体農薬組成物中の補助界面活性剤(b)の総量は、好ましくは、液体組成物の重量に基づいて1.0~10.0重量%であり、より好ましくは、組成物の総重量に基づいて2.0~7.5重量%、より一層好ましくは3.0~5.0重量%である。
【0090】
アルキルポリグルコシド界面活性剤(a)の総量の、補助界面活性剤(b)の総量に対する重量比は、安定性を改善することに関して、好ましくは0.3またはそれより多く、より好ましくは0.7またはそれより多く、さらにより好ましくは1.0またはそれより多く、最も好ましくは1.1またはそれより多くである。前述のアルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤および/またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤(a)の総量の、補助界面活性剤(b)の総量に対する重量比は、低減された粘度(したがってより優れた注入能力)を維持することに関して、好ましくは3.0またはそれ未満、さらにより好ましくは1.5またはそれ未満、最も好ましくは1.2またはそれ未満である。下限の比率の値ののいずれかを、上限の比率の値のいずれかと組み合わせて、前述のアルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤および/またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤(a)の総量の、補助界面活性剤(b)の総量に対する比率の好ましい範囲を提供することができる。例示的な範囲としては、0.3~3.0、0.7~1.5、0.7~1.0、1.0~1.2、および1.0~1.5が挙げられる。
【0091】
(iv)液体組成物に懸濁された農薬
本発明の液体農薬組成物は、組成物に懸濁された少なくとも1種の農薬を含む。懸濁された農薬は、特に限定されず、液体組成物中に溶解されている電解質農薬と共に配合するのに望ましいと予想されるあらゆる農薬であってもよい。懸濁された農薬は、固体の形態(例えば固体粒子として)または液体の形態(例えば農薬または水不混和性の液体中に溶解させた農薬の液滴として)であってもよい。
【0092】
本発明の液体農薬組成物に懸濁することができる好適な農薬の例としては、固体除草剤、例えばベフルブタミド、ベナゾリン、ベンゾフェナップ、ビフェノックス、ブロモブチド、クロリダゾン、クロロトルロン、クロルタールジメチル、クロランスラム-メチル、デスメディファム、ジクロスラム、エスプロカルブ(またはカプセル懸濁液として)、フェントラザミド、フルメツラム、フルルタモン、イオキシニル、イソプロチュロン、イソウロン、イソキサベン、イソキサフルトール、レナシル、リニュロン、メフェナセット、メタザクロル、メトクスロン、メトリブジン、オリザリン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、ペノキススラム、ペントキサゾン、プロジアミン、プロメトン、プロピザミド、ピラフルフェンエチル、ピラゾキシフェン、ピリブチカルブ、ピリフタリド、ピリミノバックメチル、ピロキシスラム、キンクロラック、キンメラック、トラルコキシジム(trialkoxydim)、シメトリン、スルコトリオン、スルフェントラゾン、テルブチラジン、テルブトリン、およびテニルクロールが挙げられる。好ましい固体除草剤としては、アミドスルフロン、アトラジン、アジムスルフロン、ベンスルフロンメチル、ベンゾビシクロン、ブロモキシニル、ブタフェナシル、クロリムロンエチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、ジフルフェニカン、ジウロン、エトフメセート(ethofumasate)、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フロラスラム、フルカルバゾンナトリウム、フルフェナセト、ホラムスルフロン、フルピルスルフロンメチル-ナトリウム、ハロスルフロンメチル、ハロキシホップ-P、イマザピック、イマゾスルフロン、ヨードスルフロンメチル-ナトリウム、メソスルフロンメチル、メソトリオン、メタミトロン、メトラクロル、S-メトラクロル、メトスルフロンメチル、ニコスルフロン、オルトスルファムロン、オキサスルフロン、ペンジメタリン、フェンメジファム、ピコリナフェン、プリミスルフロンメチル、プロパクロル、プロスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、キザロホップ-P、リムスルフロン、サフルフェナシル、シマジン、スルホメツロンメチル、スルホスルフロン、チフェンスルフロン-メチル、トリベヌロンメチル、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロンメチル、トリトスルフロンが挙げられる。
【0093】
液体農薬組成物に懸濁することができる好適な液体除草剤の例としては、カルフェントラゾン-エチルおよびシンメチリンが挙げられる。好ましい液体除草剤としては、アセトクロルおよびブタクロールが挙げられる。
【0094】
本発明の一実施態様において、電解質除草剤は、グリホサートであり、懸濁されることになる除草剤は、上述の除草剤のいずれか1つから選択される。本発明の別の実施態様において、電解質除草剤は、グルホシネートであり、懸濁されることになる除草剤は、上述の除草剤のいずれか1つから選択される。本発明のそれでもなお別の実施態様において、電解質除草剤は、2,4-Dであり、懸濁されることになる除草剤は、上述の除草剤のいずれか1つから選択される。さらに本発明の別の実施態様において、電解質除草剤は、ジカンバであり、懸濁されることになる除草剤は、上述の除草剤のいずれか1つから選択される。
【0095】
液体組成物に溶解させることになる電解質除草剤(1番目に述べたもの)と、液体組成物に懸濁されることになる除草剤(2番目に述べたもの)との組合せとしては、以下:ジカンバナトリウムおよびプロスルフロン;ジカンバナトリウムおよびジフルフェンゾピル;グルホシネートアンモニウムおよびジウロン;グルホシネートアンモニウムおよびシマジン;グリホサートイソプロピルアンモニウムおよびフロラスラム;グリホサートイソプロピルアンモニウムおよびジウロン;グリホサートイソプロピルアミンおよびジウロン;グリホサートカリウムおよびジウロン;グリホサートナトリウムおよびジウロン;グリホサートカリウムおよびペンジメタリン;グルホシネートアンモニウムおよびサフルフェナシル;2,4-Dジメチルアンモニウムおよびフロラスラム;ジカンバカリウムおよびサフルフェナシル;グリホサートイソプロピルアンモニウムおよびキザロホップ-P;グリホサートカリウムおよびイソキサフルトール;グリホサートイソプロピルアンモニウムおよびメソトリオン;グリホサートイソプロピルアンモニウムおよびメトラクロル;グルホシネートアンモニウムおよびペンジメタリン;ジカンバカリウムおよびアトラジン;クロピラリドおよびフロラスラム;グリホサートイソプロピルアンモニウムおよびアセトクロル;グリホサートイソプロピルアンモニウムおよびメトスルフロンメチル;グリホサートイソプロピルアンモニウムおよびニコスルフロン;グリホサートイソプロピルアンモニウムおよびスルホスルフロン;ジカンバカリウムおよびトリベヌロンメチル、グリホサートイソプロピルアンモニウムおよびアセトクロルが挙げられる。液体組成物に溶解させることになる電解質除草剤(1番目に述べたもの)と、液体組成物に懸濁させることになる2種の除草剤(2番目および3番目に述べたもの)との組合せとしては、以下:グルホシネートアンモニウムと、ジウロンおよびアミトロール;グルホシネートアンモニウムと、エトフメセートおよびフェンメジファム;ジカンバカリウムと、アトラジンおよびメソトリオン;ならびにジカンバカリウムと、アトラジンおよびS-メトラクロルが挙げられる。
【0096】
本発明の液体農薬組成物に懸濁することができる好適な緩和剤の例としては、Pesticide Manual(British Crop Protection Council;第16版)に列挙されているものが挙げられる。本発明で使用するための好ましい除草剤の緩和剤としては、ベノキサコール、BCS(1-ブロモ-4-[(クロロメチル)スルホニル]ベンゼン)、クロキントセットメチル、シオメトリニル、シプロスルファミド、ジクロルミド、ジシクロノン、2-(ジクロロメチル)-2-メチル-1,3-ジオキソラン(MG191)、ジエトレート、フェンクロラゾール-エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フルキソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェンエチル、ジエカオワン(jiecaowan)、ジエカオキシ(jiecaoxi)、メフェンピル、メフェンピルエチル、メトキシフェノン((4-メトキシ-3-メチルフェニル)(3-メチルフェニル)メタノン)、メフェネート(mephenate)、ナフタル酸無水物、オキサベトリニル、AD67、メフェンピルジエチル、R29148、TI-35、およびMG191が挙げられる。
【0097】
本発明の液体農薬組成物に懸濁することができる好適な植物生長調節剤の例としては、6-ベンジルアミノプリン、サイトカイニン、プロヘキサジオンカルシウム、パクロブトラゾール、シントフェン、ウニコナゾール、およびシクラニリドが挙げられる。
【0098】
本発明の液体農薬組成物に懸濁することができる好適な殺真菌剤の例としては、アゾキシストロビン、コスカリド(coscalid)、キャプタン、カルボキシン、クロロタロニル、ジフェノコナゾール(difenaconazole)、エポキシコナゾール(cpoxiconazole)、フェンアミドン、フルジオキソニル(fludioxinil)、フルオピコリド、フルオキサストロビン、フルシラゾール、ホルペト、イプコナゾール、マンコゼブ、マンジプロパミド(mandipromid)、メトコナゾール、ペンシクロン、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、ピリメタニル、硫黄、テブコナゾール、テトラコナゾール、チアベンダゾール(thibendazole)、トリフロキシストロビン、トリチコナゾール、ゾキサミド、ベンチアバリカルブイソプロピル、ビテルタノール、カルプロパミド、イプロジオン、クレソキシムメチル、マンネブ、メトラフェノン、ピコキシストロビン、スピロキサミン、チフルザミド、チオファネートメチル、チラム、トルクロホスメチル、およびトリアジメノールが挙げられる。液体組成物に溶解させることになる電解質殺真菌剤(1番目に述べたもの)と、液体組成物に懸濁させることになる他の殺真菌剤(2番目および任意選択で3番目に述べたもの)との組合せとしては、以下:イマザリル硫酸塩と、ピリメタニルおよびペンシクロン;塩酸プロパモカルブと、フェンアミドンおよびフルオピコリド;炭酸水素カリウムと、硫黄;およびホスホン酸と、アゾキシストロビンが挙げられる。
【0099】
本発明の液体農薬組成物に懸濁することができる好適なダニ駆除剤または防虫剤の例としては、ビフェナゼート、ビフェントリン、ブロモプロピレート、カルボフラン、クロマフェノジド、クロフェンテジン(clofentazine)、アルファ-シペルメトリン、デルタメトリン、ジコホール、ジフルベンズロン、エトフェンプロックス、エトキサゾール、フィプロニル、イミダクロプリド(imidachloprid)、インドキサカルブ、メタフルミゾン、メチオカルブ、メトキシフェノジド(methoxyfenocide)、ノバルロン、ピリダリル、ピリメタニル、キノキシフェン、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト(spirotetramat)、テフルベンズロン、チアクロプリド(thiocloprid)、およびチアメトキサムが挙げられる。
【0100】
(v)他の成分
上記で詳細に説明された成分に加えて、本発明の液体農薬組成物は、1種またはそれより多くの追加の配合補助剤(co-formulant)、例えば、他の界面活性剤(例えば乳化剤および/または分散剤)、懸濁された農薬の凝集を防止または最小化するためのポリマー性の両性分散剤、例えばアトロックス(Atlox)(登録商標)4915、増粘剤およびチキソトロープ剤、湿潤剤、ドリフト防止剤、接着剤、浸透剤、保存剤、不凍剤(例えばプロピレングリコールおよびグリセロール)、抗酸化剤、可溶化剤、充填剤、担体、着色剤(例えば色素)、消泡剤(例えばシリコーンベースの薬剤)、肥料、蒸発抑制剤、ならびにpHおよび粘度を変更する薬剤を含んでいてもよい。前述のアルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤および/またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤(a)と、アニオン性頭部基および尾部基を含む補助界面活性剤(b)であって、尾部基は、少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含む、補助界面活性剤との組合せは、大量の電解質農薬の存在下でさえも配合物中に農薬を懸濁することが可能であるため、本発明は、組成を特定のニーズに合わせるために配合者に改善された自由度を提供する。例えば、本発明は、増粘剤およびチキソトロープ剤の量の低減を可能にし、したがって他のアジュバント、例えばCompendium of Herbicide Adjuvants、第12版、南イリノイ大学(Southern Illinois University)、2014年、またはそのいずれか初期の版で列挙されたものなどの余地を残す。一般的に使用されるアジュバントの例としては、これらに限定されないが、パラフィン油、園芸用のスプレーオイル(例えば、サマーオイル)、メチル化されたナタネ油、メチル化されたダイズ油、高度に精製された植物油、ポリオール脂肪酸エステル、ポリエトキシ化エステル、エトキシ化アルコール、アルキル多糖およびブレンド、アミンエトキシレート、ソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート、ポリエチレングリコールエステル、アルキルポリグルコシドおよびその誘導体(例えばエステル)、オルガノシリコンベースの界面活性剤、エチレン酢酸ビニルターポリマー、およびエトキシ化アルキルアリールリン酸エステルが挙げられる。
【0101】
4.3 調製方法
本発明の液体農薬組成物は、公知のプロセスによって調製することができ、例えば、後により詳細に説明するように、まず特定の成分のミルベースおよび特定の成分の溶液ベースを調製すること、次いでブレンドによって両方を合わせることによって調製することができる。最終的な組成物が、前述のアルキルポリグルコシド界面活性剤、アルキルグルカミドエステル界面活性剤および/またはエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤(a)と、アニオン性頭部基および尾部基を含む補助界面活性剤(b)であって、尾部基は、少なくとも2つのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含む、補助界面活性剤(b)とを含む限り、小胞が形成され、したがって2つまたはそれより多くの農薬の溶液の懸濁液が形成される。
【0102】
混合物を調製するために、必要に応じて温度調節される慣例的な混合器具を使用することが可能である。事前のグライディングのために、例えば、動静翼の原理によって作動する高圧ホモジナイザーまたはミル、例えば、ウルトラタラックス(Ultraturrax)ホモジナイザー、例えばIKAからのもの、または歯付きコロイドミル、例えばパック(Puck)もしくはフリマ(Fryma)からのものを使用することが可能である。微細なグライディングのために、例えば、バッチ式で作動するビーズミル、例えばドライス(Drais)からのもの、または連続的に作動するビーズミル、例えばバッコーフェン(Bachofen)またはアイガー(Eiger)からのものを使用することが可能である。
【0103】
5.好ましい実施態様
本発明に係る液体農薬組成物の好ましい実施態様は、
30~60重量%の水;
水に溶解させた1種またはそれより多くの電解質農薬であって、水に溶解させた電解質農薬の総量は、液体農薬組成物中の水の総量に基づいて20重量%またはそれより多くである、電解質農薬;
2~6重量%の、以下の式(I)で表されるアルキルポリグルコシド界面活性剤;
2~6重量%の、以下の式9~14のいずれか1つで表される補助界面活性剤:
1~10重量%の、水に懸濁した農薬
を含むものであり、式(I)は、
式(I):H-(G)-O-R
であり、式中、
Gは、単糖、好ましくは式C12を有するヘキソース、または式C10を有するペントースからのHOの分子の除去により生じるラジカルを表し;
「n」は、1~5であり;
Rは、直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和の、8~20の範囲の炭素原子数を有するアルキルラジカルを表し;
【0104】
【化20】
【0105】
式9について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、NH 、NHiPr、またはCa2+であり;
「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、7~11であり;
【0106】
【化21】
【0107】
式10について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり、
「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、9~16であり;
【0108】
【化22】
【0109】
式11について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;
およびRは、同一であるかまたは異なっており、C6~C10直鎖アルキル基になるように選択され;
【0110】
【化23】
【0111】
式12について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;
およびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~16直鎖アルキル基になるように選択され、ただしRおよびRは一緒に6~18個の炭素原子を提供し;
【0112】
【化24】
【0113】
式13-1および13-2について、Mは、カチオンであり、好ましくはH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり;「a」および「b」は、同一であるかまたは異なっており、0~11の整数になるように選択され、ただしa+bは、9~14であり;
【0114】
【化25】
【0115】
式14について、Mは、カチオンであり、例えばH、Na、K、Ca2+、NH 、またはNHiPrであり、RおよびRは、同一であるかまたは異なっており、C1~20直鎖アルキルまたはアルケニル基になるように選択され、ただしRおよびRは一緒に6~20個の炭素原子を提供する。
【0116】
この好ましい実施態様において、水に溶解させた電解質農薬は、好ましくは、グリホサートイソプロピルアンモニウム、グリホサートカリウム、グリホサートセスキナトリウム、グリホサートジアンモニウム、グリホサートジメチルアンモニウム、グリホサートアンモニウム、およびグルホシネートアンモニウムから選択される。別の好ましい実施態様において、液体組成物に懸濁された農薬は、ジウロンである。好ましい実施態様において、補助界面活性剤は、式9で表され、水に溶解させた電解質農薬は、グリホサートイソプロピルアンモニウム、グリホサートカリウム、グリホサートセスキナトリウム、グリホサートジアンモニウム、グリホサートジメチルアンモニウム、グリホサートアンモニウム、およびグルホシネートアンモニウムから選択される。別の好ましい実施態様において、水に溶解させた電解質農薬は、グリホサートイソプロピルアンモニウム、グリホサートカリウム、グリホサートセスキナトリウム、グリホサートジアンモニウム、グリホサートジメチルアンモニウム、グリホサートアンモニウム、およびグルホシネートアンモニウムから選択され、補助界面活性剤は、式9で表され、液体組成物に懸濁された農薬は、ジウロンである。
【実施例
【0117】
6.実施例
■実験例1:アルキルポリグルコシド界面活性剤(a)に対する補助界面活性剤(b)としての様々な界面活性剤の試験
アルキルポリグルコシド界面活性剤(a)に対する補助界面活性剤(b)として様々な試験界面活性剤を含む農薬組成物を調製し、安定性に関して試験した。
【0118】
ミルベースの調製
実質的に水不溶性であるため、アルジサイドおよび除草剤であるジウロン((3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素)を、本発明に従って懸濁可能な一般的なクラスの農薬を代表するものとして選んだ。
【0119】
水(48.98重量%)、シルコラプス(Silcolapse)(登録商標)426R(0.82重量%)、アグニケ(登録商標)PG-8107G(6.27重量%)およびジウロン(43.93重量%)を一緒に添加し、小さい穴のヘッドを有する3000rpmに設定したシルバーソン(Silverson)ハイシアーミキサーを使用してブレンドした。アグニケ(登録商標)PG-8107G(BASF AG)は、本発明に必要な界面活性剤の1つのクラスを代表するアルキルポリグルコシドである。シルコラプス(登録商標)426R(ブルースターシリコーン(Bluestar Silicones))は、消泡剤であり、調製中に、さらに実験にわたり発泡を低減するために添加される。得られたスラリーを、アイガーミルで、1~1.3mmのビーズを使用して、3000rpmでおよそ40分ビーズミリングした。最終的な粒度のジウロン(D50:1.9μm;D90:4.7μm)は、水性配合物中の農薬粒子の懸濁液に使用される典型的な粒度であった。顕微鏡法によって、この粒子がミルベース中に十分分散されたことが観察された。
【0120】
溶液ベースの調製
水溶性電解質であるため、除草剤であるグリホサートを、本発明に従って水性相中に溶解可能な一般的なクラスの電解質農薬を代表するものとして選んだ。
【0121】
水(36.47重量%)、シルコラプス(登録商標)426R(0.10重量%)、アグニケ(登録商標)PG-8107G(5.66重量%)、および83.7%のKOH(16.39重量%)を一緒に添加し、プロペラ撹拌器を備えたオーバーヘッド型ミキサーで撹拌した。グリホサート(41.38重量%)をKOH溶液にゆっくり添加し、中和と溶解が確実に完了するまで、少なくとも1時間撹拌した。
【0122】
試験のための農薬組成物の調製
農薬組成物を、上述したミルベース(21.48重量%)、水(2.57重量%)、試験しようとする界面活性剤(14.53重量%の、界面活性剤の30%水溶液)および上述した溶液ベース(61.42重量%)をブレンドすることによって調製した。ブレンドした後、電解質農薬(グリホサート)を水性相中に溶解させ、別の農薬(ジウロン)を水性相中に懸濁した農薬組成物を得た。組成物中の異なる成分の相対量は以下の通りであった:
【0123】
【表1-1】
【0124】
組成物を20℃で1週間貯蔵した、次いで安定性に関して視覚的に検査した。以下の表に、異なる試験界面活性剤を含む異なる組成物ごとの結果を示す。分離の程度は、他の状況で不透明な組成物から分離した透明な溶液の量に基づく推定である。
【0125】
【表1-2】
【0126】
本発明の実験に関して、優れた注入容易性は、20秒-1における<500mPa・秒と定義された。不良な注入容易性は、20秒-における>1000mPa・秒と定義される。
【0127】
必ずしも全ての界面活性剤が、相当量の電解質農薬の存在下で安定でありながらも注入可能な組成物を提供するようにアルキルポリグルコシドと相乗的に機能するわけではないことは、上記の表のデータから明らかである。例えば、典型的に農薬組成物で使用される非イオン界面活性剤、例えばアルコキシル化脂肪族アルコール(シンペロニック(登録商標)A2;シンペロニック(登録商標)13/6.5)およびアルコキシル化脂肪族アミン(アドシー(登録商標)AB615)、加えて、カチオン性界面活性剤、例えば第四アンモニウムをベースとするもの(アルクアッド(登録商標)16-29)は、著しい分離を示す組成物をもたらした。また界面活性剤として、両性(アンモニクス(登録商標)LO)または両性イオン(エンピゲン(登録商標)BB)も不十分である。これらは非イオン性およびカチオン性界面活性剤よりいくらか安定であるが、それにもかかわらずこれらは、著しい分離を起こし、不良な注入容易性も示した。
【0128】
上記のデータから、貯蔵のときにほとんど分離しない注入可能な組成物をもたらす界面活性剤は、共通の特色を有することがわかる。第1に、これらは全て、少なくとも2つの炭化水素鎖を有するアニオン性界面活性剤である。1つだけの炭化水素鎖を有するアニオン性界面活性剤は、注入不可能であるか(エンピコール(登録商標)LZ)、または低い注入容易性と著しい分離を示すか(ステオール(登録商標)CS270)のいずれかである組成物をもたらした。単に2つの炭化水素鎖を有するだけでは、界面活性剤にとって十分ではない。2つの炭化水素鎖を有するが、アニオン性ではない界面活性剤は、注入不可能であるか(ポリアルド(登録商標)6-2-6)、または不良な注入容易性および/または著しい分離を示すか(ポリアルド(登録商標)10-2-P;ポリアルド(登録商標)10-10-O)のいずれかである組成物をもたらした。
【0129】
■実験例2:電解質農薬の量を増加
より著しく多くの量の電解質農薬を用いて農薬組成物を調製し、を、異なる条件下で安定性に関して試験した。以下の表は、組成物および試験結果の要約を提供する。
【0130】
【表2】
【0131】
上記のデータからわかるように、本発明による界面活性剤の組合せは、様々な試験条件下で安定な農薬組成物を提供する。貯蔵の後、全てのサンプルは安定であり、優れた注入容易性を示した。優れた注入容易性は、20秒-における<500mPa・秒と定義される。
【0132】
■実験例3:補助界面活性剤の混合物の使用
補助本発明による界面活性剤の混合物が使用された農薬組成物を調製した。以下の表は、組成物および試験結果の要約を提供する。
【0133】
【表3】
【0134】
上記のデータからわかるように、本発明による界面活性剤の組合せは、様々な試験条件下で安定な農薬組成物を提供する。貯蔵の後、全てのサンプルは安定であり、優れた注入容易性を示した。優れた注入容易性は、20秒-1における<500mPa・秒と定義される。
【0135】
■実験例4:補助界面活性剤(b)の量を低減
補助界面活性剤の量が低減された農薬組成物を調製した。以下の表は、組成物および試験結果の要約を提供する。
【0136】
【表4】
【0137】
上記のデータからわかるように、補助界面活性剤の量を低減させることはそれでもなお、様々な試験条件下で安定な農薬組成物を提供する。貯蔵の後、全てのサンプルは安定であり、優れた注入容易性を示した。優れた注入容易性は、20秒-1における<500mPa・秒と定義される。
【0138】
■実験例5:補助本発明による界面活性剤と別の界面活性剤との混合物を使用
補助本発明による界面活性剤と別の界面活性剤の混合物とを使用した農薬組成物を調製した。以下の表は、組成物および試験結果の要約を提供する。
【0139】
【表5】
【0140】
上記のデータからわかるように、アルキルエトキシ2EO硫酸ナトリウム(ステオール(登録商標)CS270より)などの界面活性剤は、それ自体、アルキルポリグルコシドと安定な組成物を提供するのに十分ではなかったが(実験例1を参照)、それでも補助本発明による界面活性剤が存在する場合、組成物に添加することができる。
【0141】
■実験例6(参照例):本発明の補助界面活性剤をベタイン界面活性剤と共に使用
この実験例は、アルキルポリグルコシド界面活性剤を、別の電解質に寛容な界面活性剤で置き換え、安定性を保持できるかどうかを試験する。この実験例において、前の実験例のアルキルポリグルコシド界面活性剤を、ベタイン界面活性剤(エンピゲン(登録商標)BS)で置き換えた。ベタインは、エトキシ化界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤より大きい電解質に対する寛容性を有するとみなされる界面活性剤のクラスであり、これは、ベタインが高電解質組成物から沈殿する可能性が、これらの他の界面活性剤と比べて比較的低いことを考慮してのことである。
【0142】
ミルベースの調製
水(21.75重量%)、シルコラプス(登録商標)426R(0.82重量%)、エンピゲン(登録商標)BS(33.50重量%の30%水溶液)およびジウロン(43.93重量%)を一緒に添加し、小さい穴のヘッドを有する3000rpmに設定したシルバーソンハイシアーミキサーを使用してブレンドした。得られたスラリーを、アイガーミルで、1~1.3mmのビーズを使用して、3000rpmでおよそ13分ビーズミリングした。最終的な粒度のジウロン(D50:2.2μm;D90:5.1μm)は、水性配合物中の農薬粒子の懸濁液に使用される典型的な粒度であり、この粒子を、ミルベース中に十分分散させた(顕微鏡法によって観察される通り)。
【0143】
溶液ベースの調製
水(35.53重量%)、シルコラプス(登録商標)426R(0.10重量%)、エンピゲン(登録商標)BSの30%水溶液(6.60重量%)、および83.7%のKOH(16.39重量%)を一緒に添加し、プロペラ撹拌器を備えたオーバーヘッド型ミキサーで撹拌した。グリホサート(41.38重量%)をKOH溶液にゆっくり添加し、中和と溶解が確実に完了するまで、少なくとも1時間撹拌した。
【0144】
試験のための農薬組成物の調製
農薬組成物を、上述したミルベース(21.48重量%)、水(2.57重量%)、ナンサ(登録商標)HS80S(14.53重量%の、界面活性剤の30%水溶液)および上述した溶液ベース(61.42重量%)をブレンドすることによって調製した。ブレンドした後、以下のような農薬組成物を得た:
【0145】
【表6】
【0146】
組成物を20℃で1週間貯蔵し、次いで安定性に関して視覚的に検査したところ、40%の分離が生じたと推定された。このデータを、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ナンサ(登録商標)HS80Sより)を使用した実験例1の対応する組成物(20℃で1週間での安定性:<1%の分離)と比較したところ、本発明の補助界面活性剤が、アルキルポリグルコシド界面活性剤と相乗的に機能して、電解質農薬の存在下でさえも安定な組成物を提供することが明らかである。
【0147】
■実験例7:アルキルポリグルコシドと補助界面活性剤との比率の変更
アルキルポリグルコシド界面活性剤と補助界面活性剤との相対量を変更した農薬組成物を調製した。以下の表は、組成物および試験結果の要約を提供する。
【0148】
【表7】
【0149】
この実験において、アルキルポリグルコシド界面活性剤および補助界面活性剤の総量を一定(7.50重量%)に維持したが、それらの相対量を変更した。全てのサンプルは、少なくとも許容できる、または優れた注入容易性を有し、安定であった。優れた注入容易性は、20秒-1における<500mPa・秒と定義され、許容できる注入容易性は、20秒-1における500~1000mPa・秒と定義される。
【0150】
■実験例8:農薬の懸濁に関して、キサンタンガムを頼る先行技術の典型的な系と比較した本発明の試験
農薬組成物を、大部分は実験例1に従って調製した。以下の表は、組成物および試験結果の要約を提供する。キサンタンガム(ケルザン(Kelzan)AP-AS)を含む組成物を、貯蔵に送る前に本発明の組成物と可能な限り近い粘度を有するように設計した。
【0151】
【表8】
【0152】
本発明の組成物は、全ての貯蔵条件下で優れた安定性および注入容易性を示した。優れた注入容易性は、20秒-1における<500mPa・秒と定義される。キサンタンガムを含む組成物は、20℃および40℃で著しい分離、および-10℃で不良な注入容易性を示した。
【0153】
■実験例9:電解質農薬を変化させること
グリホサートの代わりにグルホシネートアンモニウムを使用して農薬組成物を調製した。以下の表は、組成物および試験結果の要約を提供する。
【0154】
【表9】
【0155】
上記のデータからわかるように、本発明による界面活性剤の組合せは、異なる電解質農薬(このケースではグルホシネートアンモニウム)につき様々な試験条件下で安定な農薬組成物を提供する。貯蔵の後、全てのサンプルは安定であり、優れた注入容易性を示した。優れた注入容易性は、20秒-1における<500mPa・秒と定義される。
【0156】
■実験例10:補助界面活性剤(a)としてアルキルグルカミドエステルを使用した組成物
農薬組成物を調製したが、補助界面活性剤(a)としてアルキルポリグルコシドの代わりにアルキルグルカミドエステルを使用した。以下の表は、組成物および試験結果の要約を提供する。
【0157】
【表10】
【0158】
アルキルグルカミドは、高電解質組成物から沈殿する可能性が、これらの他の界面活性剤と比べて比較的低いことを考慮して、非イオン性エトキシ化界面活性剤、エトキシ化アニオン性界面活性剤、非エトキシ化アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤より大きい電解質に対する寛容性を有することが見出されている界面活性剤のクラスである。
【0159】
実験例1で調製されたものと同じミルベース、したがって微量のアルキルポリグルコシドを使用した。C8,C10-アルキル糖アミド(すなわちシナージェンGA中のグルカミド)を含む濃縮したグリホサート溶液を調製した。溶解させたグリホサートの存在下で、グルカミドおよびイソプロピルアミンLABSは、ミリングしたジウロン粒子を懸濁することが可能な構造を形成した。
【0160】
上記のデータからわかるように、農薬組成物は、様々な試験条件下で安定である。貯蔵の後、全てのサンプルは安定であり、優れた注入容易性を示した。優れた注入容易性は、20秒-1における<500mPa・秒と定義される。
【0161】
■実験例11:補助界面活性剤(a)としてエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤を使用した組成物
農薬組成物を調製したが、補助界面活性剤(a)としてアルキルポリグルコシドの代わりにエトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステル界面活性剤を使用した。以下の表は、組成物および試験結果の要約を提供する。
【0162】
【表11】
【0163】
エトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステルは、高電解質組成物から沈殿する可能性が、これらの他の界面活性剤と比べて比較的低いことを考慮して、非イオン性エトキシ化界面活性剤および非エトキシ化アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤より大きい電解質に対する寛容性を有することが見出されている界面活性剤のクラスである。
【0164】
実験例1で調製されたものと同じミルベース、したがって微量のアルキルポリグルコシドを使用した。C10 EO4リン酸エステル(すなわちマルチトロープ1214中のリン酸エステル)を含む濃縮したグリホサート溶液を調製した。溶解させたグリホサートの存在下で、エトキシ化脂肪族アルコールリン酸エステルおよびイソプロピルアミンLABSは、ミリングしたジウロン粒子を懸濁することが可能な構造を形成した。
【0165】
上記のデータからわかるように、農薬組成物は、様々な試験条件下で安定である。貯蔵の後、全てのサンプルは安定であり、優れた注入容易性を示した。優れた注入容易性は、20秒-1における<500mPa・秒と定義される。
【0166】
■実施例12(参照例):補助界面活性剤(a)として酸化アミン界面活性剤を使用した組成物
この実験例は、本発明の補助界面活性剤(a)を、当業界ではアルキルポリグルコシドと同等な電解質に対する寛容性を有するとみなされている別の界面活性剤(アルキルジメチルアミンオキシド)で置き換えることができるかどうかを試験する。農薬組成物を調製したが、補助界面活性剤(a)としてアルキルポリグルコシドの代わりにアルキルジメチルアミンオキシドを使用した。以下の表は、組成物および試験結果の要約を提供する。
【0167】
【表12】
【0168】
この実験例は、アルキルジメチルアミンオキシドが、グリホサート電解質溶液中の主要な可溶性界面活性剤としてアルキルポリグルコシドを置き換えることができないことを示す。
【国際調査報告】