(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】可動域を制限するブレース及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61F 5/01 20060101AFI20220209BHJP
A61F 2/64 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
A61F5/01 N
A61F2/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534960
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 US2019066334
(87)【国際公開番号】W WO2020131636
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515258365
【氏名又は名称】ディージェーオー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ベハラノ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】メヘル,エドワード
【テーマコード(参考)】
4C097
4C098
【Fターム(参考)】
4C097AA03
4C097AA07
4C097BB03
4C097BB09
4C097CC08
4C097CC15
4C098AA01
4C098BB11
4C098BC02
4C098BC18
4C098BC41
4C098BD13
(57)【要約】
上部支持アームと、下部支持アームと、ヒンジアセンブリとを含むブレースが提供される。ヒンジアセンブリは、上部支持アームに結合され、上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯を含む上部ヒンジプレートを含む。ヒンジアセンブリは、下部支持アームに結合され、上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯を含む下部ヒンジプレートを含む。ヒンジアセンブリは、上部及び下部ヒンジプレートを回転可能に結合する軸を含む。ヒンジアセンブリは、上部ヒンジプレート上に配置され、第1の向きで第2の複数の歯のうちの1つの両側に物理的に接触するように構成された第1及び第2の突起を含み、それによって上部支持アームと下部支持アームとの間の相対回転を阻止するロック要素を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の関節の可動域を制限するように構成されたブレースであって、
上部支持アームと、
下部支持アームと、
ヒンジアセンブリであって、
前記上部支持アームに結合され、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯を備える上部ヒンジプレートと、
前記下部支持アームに結合され、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯を備える下部ヒンジプレートと、
前記上部ヒンジプレートと前記下部ヒンジプレートとを回転可能に結合する軸と、
前記上部ヒンジプレート上に配置されたロック要素であって、前記ロック要素は、第1の向きで前記第2の複数の歯のうちの1つの両側に物理的に接触するように構成された第1の突起及び第2の突起を備え、それによって前記下部支持アームに対する前記上部支持アームの回転を阻止する、ロック要素と、を備えるヒンジアセンブリと、
を備えるブレース。
【請求項2】
前記ロック要素の前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記ロック要素と単一部品として一体的に形成される、請求項1に記載のブレース。
【請求項3】
前記ロック要素の前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記ロック要素のインサートの一体部分である、請求項1又は2のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項4】
前記ロック要素は、前記第1の向きから、前記第1の突起及び前記第2の突起が前記第2の複数の歯と物理的に接触しない第2の向きに移動するように構成され、それによって前記下部支持アームに対する前記上部支持アームの回転を可能にし、前記第1の向きから前記第2の向きへの移動は、前記軸の中心から延在する直線を横切る、請求項1から3のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項5】
前記ヒンジアセンブリが、前記軸を中心とする第1の回転方向における前記下部支持アームに対する前記上部支持アームの可動域を制限するように構成された少なくとも第1の可動域停止部をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項6】
前記第1の可動域停止部は、前記第1の可動域停止部がロックされた位置にあるときに前記上部ヒンジプレートの前記第1の複数の歯のうちの1つの両側に物理的に接触するように構成された第1の突起及び第2の突起を備え、それにより、前記上部ヒンジプレートの前記周囲に沿った第1の所望の位置に前記第1の可動域停止部を固定する、請求項1から5のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項7】
前記第1の可動域停止部が、前記第1の可動域停止部をロックされた位置に保持するように構成された複数の保持アームを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項8】
前記複数の保持アームを含む前記第1の可動域停止部は、単一の一体部品である、請求項1から7のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項9】
前記複数の保持アームは、前記少なくとも第1の可動域停止部を前記軸に対して半径方向に引き出すことによって、前記軸が前記複数の保持アームを外側方向に偏向させ、それによって、前記第1の可動域停止部を前記ロックされた位置に戻す復元力を提供するように、前記軸に接触する、請求項1から8のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項10】
対象者の関節の可動域を制限するように構成されたブレースであって、
上部支持アームと、
下部支持アームと、
ヒンジアセンブリであって、
前記上部支持アームに結合され、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯を備える上部ヒンジプレートと、
前記下部支持アームに結合され、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯を備える下部ヒンジプレートと、
前記上部ヒンジプレートと前記下部ヒンジプレートとを回転可能に結合する軸と、
前記上部ヒンジプレート上に配置されたロック要素であって、前記ロック要素は、前記下部支持アームに対する前記上部支持アームの回転を選択的に許可又は阻止のいずれかをするように構成された、ロック要素と、
前記ロック要素が前記上部支持アームの回転を阻止するように構成されているときに前記ロック要素の少なくとも一部を表示するように構成された窓を備えるヒンジカバーと、を備えるヒンジアセンブリと、
を備える、ブレース。
【請求項11】
前記ロック要素の前記一部が赤色又は橙色を有する、請求項10に記載のブレース。
【請求項12】
対象者の関節の可動域を制限するように構成されたブレースであって、
上部支持アームと、
下部支持アームと、
ヒンジアセンブリであって、
前記上部支持アームに結合され、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯を備える上部ヒンジプレートと、
前記下部支持アームに結合され、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯を備える下部ヒンジプレートと、
前記上部ヒンジプレートと前記下部ヒンジプレートとを回転可能に結合する軸と、
前記軸を中心とする第1の回転方向における前記下部支持アームに対する前記上部支持アームの可動域を制限するように構成された少なくとも第1の可動域停止部であって、前記少なくとも第1の可動域停止部は、前記第1の可動域停止部をロックされた位置に付勢するように構成された複数の変形可能な保持アームを備える、第1の可動域停止部と、を備える、ヒンジアセンブリと、
を備える、ブレース。
【請求項13】
前記上部ヒンジプレート上に配置されたロック要素を備え、前記ロック要素は、前記下部支持アームに対する前記上部支持アームの回転を選択的に可能又は阻止するように構成される、請求項12に記載のブレース。
【請求項14】
前記複数の保持アームは、前記第1の可動域停止部を前記軸に対して半径方向に引き出すことによって前記軸が前記複数の保持アームを外側方向に偏向させ、それによって前記第1の可動域停止部を前記ロックされた位置に戻す復元力を提供するように、前記軸に接触する、請求項12又は13のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項15】
前記少なくとも第1の可動域停止部が、前記軸に対する半径方向の前記第1の可動域停止部の過伸展を防止するように構成されたバックストップ要素を備える、請求項12から14のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項16】
対象者の関節の可動域を制限するように構成されたブレースであって、
上部支持アームと、
下部支持アームと、
ヒンジアセンブリであって、
前記上部支持アームに結合され、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯を備える上部ヒンジプレートと、
前記下部支持アームに結合され、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯を備える下部ヒンジプレートと、
前記上部ヒンジプレートと前記下部ヒンジプレートとを回転可能に結合する軸と、を備え、
前記上部ヒンジプレートは、前記ヒンジカバーに接触するように構成された第1のスペーシング要素をさらに備え、前記ヒンジカバーは、前記上部ヒンジプレートに物理的に接触するように構成された第2のスペーシング要素をさらに備え、それによって前記上部ヒンジプレートと前記ヒンジカバーとの間に所定の間隔を提供する、ヒンジアセンブリと、
を備える、ブレース。
【請求項17】
前記上部ヒンジプレートの前記周囲の前記一部は、前記軸の中心の周りで実質的に円形であり、
前記下部ヒンジプレートの前記周囲の前記一部は、前記軸の中心の周りで実質的に円形である、請求項1から16のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項18】
任意の第1の複数の増分伸長量(incremental amounts of extension)で前記上部支持アームに摺動可能に結合するように構成された上部スライダと、
任意の第2の複数の増分伸長量で前記下部支持アームに摺動可能に結合するように構成された下部スライダと、
をさらに備える、請求項1から17のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項19】
前記上部スライダ及び前記下部スライダはそれぞれ、それぞれのロック要素を備え、
前記上部支持アーム及び前記下部支持アームはそれぞれ、前記それぞれのロック要素を受けるように構成されたそれぞれの複数のインデックス開口を備え、それにより、前記上部支持アームに対して第1の増分伸長度で前記上部スライダをロックし、前記下部支持アームに対して第2の増分伸長度で前記下部スライダをロックする、
請求項18に記載のブレース。
【請求項20】
前記上部支持アーム及び前記下部支持アームのそれぞれが、前記複数のインデックス開口に隣接して配置された複数のインデックス数字を備える、請求項1から19のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項21】
前記複数のインデックス数字の向きが、前記対象者の前記関節に取り付けるための前記ブレースの正しい向きに対応する、請求項20に記載のブレース。
【請求項22】
対象者の関節の可動域を制限するように構成されたブレースであって、
上部支持アームと、
下部支持アームと、
ヒンジアセンブリであって、
前記上部支持アームに結合され、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯を備える上部ヒンジプレートと、
前記下部支持アームに結合され、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯を備える下部ヒンジプレートと、
前記上部ヒンジプレートと前記下部ヒンジプレートを回転可能に結合する軸と、
任意の第1の複数の増分伸長量で前記上部支持アームに摺動可能に結合するように構成された上部スライダと、
任意の第2の複数の増分伸長量で前記下部支持アームに摺動可能に結合するように構成された下部スライダと、を備え、
前記下部スライダは、前記下部スライダと一体的に形成され、少なくとも前記下部スライダが前記下部支持アームに対して最大の伸長量で配置されたときに前記下部支持アームに接触するように構成された少なくとも1つのタブを備える、ヒンジアセンブリと、
を備える、ブレース。
【請求項23】
前記下部スライダの遠位端に取り外し可能にスナップ嵌めするように構成されたくるぶしアタッチメントをさらに備え、前記くるぶしアタッチメントは、前記ブレースが前記対象者の前記関節に取り付けられたときに前記対象者の付属器官の遠位部分に当接するように構成される、請求項22に記載のブレース。
【請求項24】
前記ブレースが、
前記上部支持アームに結合された第1のカフと、
前記上部スライダに結合された第2のカフと、
前記下部支持アームに結合された第3のカフと、
前記下部スライダに結合された第4のカフと、のうちの少なくとも1つをさらに備え、
前記第1のカフ、前記第2のカフ、前記第3のカフ、及び前記第4のカフのそれぞれは、前記対象者の前記関節に前記ブレースを取り付けるためのそれぞれのストラップを受けるように構成される、
請求項18から23のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項25】
前記第1のカフは、前記上部支持アーム内の嵌合開口を貫通するように構成された第1の突起を備え、それによって前記第1のカフを前記上部支持アームと位置合わせし、
前記第3のカフは、前記下部支持アームの嵌合開口を貫通するように構成された第2の突起を備え、それによって前記第3のカフを前記下部支持アームと位置合わせする、
請求項24に記載のブレース。
【請求項26】
前記第1のカフ、前記第2のカフ、前記第3のカフ、及び前記第4のカフのうちの少なくとも1つが、
バックルを受けるように構成された第1の固定要素と、
ストラップ保持要素を受けるように構成された第2の固定要素と、
を備える、請求項24に記載のブレース。
【請求項27】
前記ストラップ保持要素は、それぞれのストラップに取り付けてこれを固定するように構成された面ファスナを有するフラップを備える、請求項26に記載のブレース。
【請求項28】
前記バックルは、
第1の部分と、
前記第1の部分から空間によって分離された第2の部分と、
第1の架橋要素及び第2の架橋要素であって、それぞれが前記第1の部分のそれぞれの側面を前記第2の部分のそれぞれの側面に結合する、第1の架橋要素及び第2の架橋要素と、
前記第1の部分を前記第2の部分から分離する前記空間内で前記第1の架橋要素と前記第2の架橋要素との間に延在するシャフトと、
を備える、請求項26に記載のブレース。
【請求項29】
前記バックルの前記第1の部分は、
前記バックルの前記第2の部分に面し、前記それぞれのストラップが前記バックルを通過するときに前記それぞれのストラップを方向付けるように構成された傾斜縁と、
前記それぞれのストラップの動きに対する抵抗を提供するように構成された1つ又はそれ以上の隆起と、
のうちの少なくとも一方を備える、請求項28に記載のブレース。
【請求項30】
前記バックルの前記第2の部分は、
前記第1の固定要素を受けるように構成された開口と、
前記開口に隣接し、前記第1の固定要素の少なくとも一部に当接するように構成され、それによって前記バックルの横方向の動きを抑制する凹部と、
前記空間に当接する前記第2の部分の縁と前記開口の隣接する縁とを分離する前記第2の部分のセグメントであって、前記セグメントが、前記バックルが前記対象者の足首の輪郭に実質的に一致することを可能にするのに十分に小さい程度である、セグメントと、
のうちの少なくとも1つを備える、請求項28又は29のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項31】
前記第1の部分の上面及び前記第2の部分の上面のうちの少なくとも一方が実質的に平面である、請求項28から30のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項32】
前記第1の架橋要素及び前記第2の架橋要素がそれぞれ、前記第1の部分及び前記第2の部分の前記上面に垂直な実質的に楕円形の断面を有する、請求項28から31のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項33】
前記シャフトの長手方向軸が、前記第1の部分及び前記第2の部分の前記上面のうちの少なくとも一方の実質的平面内に、又は前記平面よりもわずかに下方に位置する、請求項28から32のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項34】
対象者の関節の可動域を制限するように構成されたブレースであって、
上部支持アームと、
下部支持アームと、
ヒンジアセンブリであって、
前記上部支持アームに結合され、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯を備える上部ヒンジプレートと、
前記下部支持アームに結合され、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯を備える下部ヒンジプレートと、
前記上部ヒンジプレートと前記下部ヒンジプレートとを回転可能に結合する軸と、
前記上部ヒンジプレート上に配置されたロック要素であって、前記ロック要素は、前記下部支持アームに対する前記上部支持アームの回転を選択的に可能又は阻止するように構成された、ロック要素と、を備え、前記ロック要素は、1つ以上の変形可能な足によって形成された基部を備える、ヒンジアセンブリと、
を備える、ブレース。
【請求項35】
前記ロック要素が、第1の向きで前記第2の複数の歯のうちの1つの両側に物理的に接触するように構成された第1の突起及び第2の突起を備え、前記ロック要素の前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記ロック要素と単一部品として一体的に形成される、請求項34に記載のブレース。
【請求項36】
前記ロック要素の前記第1の突起及び前記第2の突起が、前記ロック要素のインサートの一体部分である、請求項34に記載のブレース。
【請求項37】
前記インサートが金属であり、前記ロック要素の残りの部分がプラスチックである、請求項36に記載のブレース。
【請求項38】
前記1つ又はそれ以上の変形可能な足が、前記上部ヒンジプレートの1つ又はそれ以上の突起と嵌合する凹部を備える、請求項34から37のいずれか一項に記載のブレース。
【請求項39】
請求項1から38のいずれか一項に記載のブレースを利用して対象者の関節の可動域を制限する方法。
【請求項40】
対象者の関節の可動域を制限するように構成されたブレースを製造する方法であって、
上部支持アームを設けるステップと、
下部支持アームを設けるステップと、
ヒンジアセンブリを組み立てるステップであって、
上部ヒンジプレートを前記上部支持アームに結合するステップであって、前記上部ヒンジプレートは、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯を備える、上部支持アームに結合するステップと、
下部ヒンジプレートを前記下部支持アームに結合するステップであって、前記下部ヒンジプレートは、前記上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯を備える、下部支持アームに結合するステップと、
前記上部ヒンジプレートと前記下部ヒンジプレートを軸を介して回転可能に結合するステップと、
ロック要素を前記上部ヒンジプレート上に配置するステップであって、前記ロック要素は、第1の向きで前記第2の複数の歯のうちの1つの両側に物理的に接触するように構成された第1の突起及び第2の突起を備え、それによって、前記下部支持アームに対する前記上部支持アームの回転を阻止する、配置するステップと、によって組み立てるステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月20日に出願された米国仮出願第62/782,707号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、ユーザの関節の可動域を制限するように構成されたブレース及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関節の靭帯、軟骨、及び腱の損傷は、特に今日では身体活動及びコンディショニングに重点が置かれているため、珍しくない。膝関節に対する傷害よりも運動を妨げる傷害はほとんどない。膝関節の損傷は、スポーツに関連するすべての傷害の約60%を占め、それらの傷害のうちほぼ半数がACLに発生するものである。ACL損傷は、より活動的な生活様式並びにスポーツへのより高い参加に少なからず起因して、15歳~45歳の患者において最も一般的である(1,750人に1人)。ACLを断裂した人は、ACL再建後の最初の2ヶ月間に2回目のACL損傷のリスクが15倍高く、反対側の膝関節に対するACL損傷のリスクは、再建された膝関節のリスクの2倍である。
【0004】
膝関節を一緒に保持する4つの主な靭帯、すなわち、前十字靭帯(ACL)、後十字靭帯(PCL)、内側側副靭帯(MCL)、及び外側側副靭帯(LCL)が存在する。米国で毎年発生するACL損傷は、20万人を超える。ACL損傷の約50%は、膝関節の他の構造に対する損傷と共に起こる。ACL損傷ほど一般的ではないが、PCLに対する損傷は、すべての膝靭帯損傷の3%~20%を占める。側副靭帯、MCL及びLCLは、競技選手の膝関節の損傷の原因の25%である。
【0005】
ACL及び他の靭帯損傷の治療には、外科的及び非外科的選択肢が含まれる。ブレースは、靭帯が治癒している間、可動域を制限し、支持及び安定化を容易にするために使用される。ACL手術の場合、新しいACLの移植片強度は、最初の12ヶ月間はネイティブACLよりもかなり弱いため、この初期期間中にユーザの関節の可動域を制限するように構成されたブレースは、日常生活又はスポーツ活動において生じる有害な力からそれを保護するのに役立つ。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態によれば、対象者(subject)の関節の可動域を制限するように構成されたブレースが提供される。ブレースは、上部支持アームを含む。ブレースは、下部支持アームを含む。ブレースは、ヒンジアセンブリを含む。ヒンジアセンブリは、上部支持アームに結合され、上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯を備える上部ヒンジプレートを含む。ヒンジアセンブリは、下部支持アームに結合され、上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯を備える下部ヒンジプレートを含む。ヒンジアセンブリは、上部ヒンジプレートと下部ヒンジプレートとを回転可能に結合する軸を含む。ヒンジアセンブリは、上部ヒンジプレートに配置されたロック要素を含む。ロック要素は、第1の向きにおいて第2の複数の歯のうちの1つの両側に物理的に接触するように構成された第1の突起及び第2の突起を含み、それによって、下部支持アームに対する上部支持アームの回転を阻止する。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、関節に取り付けるように構成されたブレースを利用して対象者の関節の可動域を制限する方法が提供される。この方法は、ブレースの上部支持アームを対象者の付属器官の上部部分に固定するステップを含む。本方法は、ブレースの下部支持アームを付属器官の下部部分に対して固定するステップを含む。本方法は、ブレースのヒンジアセンブリを利用して下部支持アームに対する上部支持アームの可動域を制限するステップを含む。ヒンジアセンブリは、上部支持アームに結合され、上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯を備える上部ヒンジプレートを含む。ヒンジアセンブリは、下部支持アームに結合され、上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯を備える下部ヒンジプレートを含む。ヒンジアセンブリは、上部ヒンジプレートと下部ヒンジプレートとを回転可能に結合する軸を含む。ヒンジアセンブリは、上部ヒンジプレートに配置されたロック要素を含み、ロック要素は、第1の向きで第2の複数の歯のうちの1つの両側に物理的に接触するように構成された第1の突起及び第2の突起を備え、それによって下部支持アームに対する上部支持アームの回転を阻止する。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、対象者の関節の可動域を制限するように構成されたブレースを製造する方法が提供される。本方法は、上部支持アームを設けるステップを含む。本方法は、下部支持アームを設けるステップを含む。本方法は、ヒンジアセンブリを組み立てるステップを含む。ヒンジアセンブリを組み立てるステップは、上部ヒンジプレートを上部支持アームに結合するステップを含み、上部ヒンジプレートは、上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯を含む。ヒンジアセンブリを組み立てるステップは、下部ヒンジプレートを下部支持アームに結合するステップを含み、下部ヒンジプレートは、上部ヒンジプレートの周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯を含む。ヒンジアセンブリを組み立てるステップは、軸を介して上部ヒンジプレートと下部ヒンジプレートとを回転可能に結合するステップを含む。ヒンジアセンブリを組み立てるステップは、上部ヒンジプレートにロック要素を配置するステップを含む。ロック要素は、第1の向きにおいて第2の複数の歯のうちの1つの両側に物理的に接触するように構成された第1の突起及び第2の突起を含み、それによって、下部支持アームに対する上部支持アームの回転を阻止する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】いくつかの実施形態による、ユーザの関節に取り付けるように構成されたブレースを示す。
【0010】
【
図2A】いくつかの実施形態による、
図1のブレースのヒンジアセンブリを示す。
【0011】
【
図2B】いくつかの実施形態による、ヒンジアセンブリのロック状態の視覚的表示を提供するように構成された窓をさらに備えるヒンジアセンブリ
図2Aを示す。
【0012】
【
図3A】いくつかの実施形態による、ロックされていない構成の
図1のブレースのヒンジアセンブリの平面図を示す。
【0013】
【
図3B】ロックされていない構成の
図3Aのヒンジアセンブリの斜視図を示す。
【0014】
【
図4A】いくつかの実施形態による、ロックされた構成の
図1のブレースのヒンジアセンブリの平面図を示す。
【0015】
【
図4B】いくつかの実施形態による、ロックされた構成の
図4Aのヒンジアセンブリの斜視図を示す。
【0016】
【
図5A】いくつかの実施形態による、ロックされていない構成の
図1のブレースの別のヒンジアセンブリの平面図を示す。
【0017】
【0018】
【
図6】いくつかの実施形態による、
図1のブレースのロック機構の斜視図を示す。
【0019】
【
図7】いくつかの実施形態による、
図1のブレースのヒンジアセンブリの断面図を示す。
【0020】
【
図8A】いくつかの実施形態による、
図1のブレースの一部の斜視図を示す。
【0021】
【
図8B】いくつかの実施形態による、最大伸長位置にある
図1のブレースの下部部分の斜視図を示す。
【0022】
【
図8C】いくつかの実施形態による、カフの支持アームへの取り付けの斜視図を示す。
【0023】
【0024】
【
図8E】いくつかの実施形態による、最小伸長位置にある
図1のブレースの下部部分の斜視図を示す。
【0025】
【
図8F】いくつかの実施形態による、最小伸長位置にある
図1のブレースの上部部分の斜視図を示す。
【0026】
【
図9A】いくつかの実施形態による下部支持アーム用の調整可能なカフを示す。
【0027】
【
図9B】下部支持アームに取り付けられている
図9Aのカフを示す。
【0028】
【
図9C】いくつかの実施形態による、
図9Aのカフを使用して最小伸長位置にある
図1のブレースの下部部分の斜視図を示す。
【0029】
【
図9D】いくつかの実施形態による上部支持アーム用の調整可能なカフを示す。
【0030】
【
図9E】上部支持アームに取り付けられた
図9Dのカフを示す。
【0031】
【
図9F】いくつかの実施形態による、
図9Dのカフを使用して最小伸長位置にある
図1のブレースの上部部分の斜視図を示す。
【0032】
【
図10】いくつかの実施形態による、
図1のブレースと共に使用するためのバックルの斜視図を示す。
【0033】
【
図11】いくつかの実施形態による、対象者の関節に取り付けるように構成されたブレースを使用する方法のフローチャートを示す。
【0034】
【
図12】いくつかの実施形態による、対象者の関節に取り付けるように構成されたブレースを製造する方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示の実施形態は、膝関節又は他の関節、及び周囲の靭帯の様々な損傷の治療に使用するための整形外科用ブレースに関する。より具体的には、本明細書に開示されるブレースの実施形態は、ACL欠損症、側副靭帯欠損症、過伸展損傷を有する患者のための術後活動及び/又は日常生活活動における使用、又は予防用の使用を意図し得る。
【0036】
矯正ブレース及び支持は、安全な可動域(ROM)による自然な動きの利点によって、及び/又は関節を所望の向きにロックすることによって治癒及び健康を促進することができる。患者の術後回復は、少なくとも部分的に、影響を受けた関節を所望の向きにロックすること、及び/又はROMを所定の安全域に制限することに依存し得る。したがって、影響を受けた関節を所望の向きにロックし、かつ/又はROMを所定の安全域に制限するように構成されたブレーシング解決策が必要とされている。
【0037】
本開示の様々な特徴のより良い理解は、合理的に適用可能な場合、同様の参照符号が同様の要素を指す添付の図面と併せて読まれる以下の説明から収集することができる。本開示は、様々な修正及び代替構造に影響を受けやすい場合があるが、特定の例示的な特徴が図面に示され、以下で詳細に説明される。しかしながら、本開示を開示された特定の実施形態に限定する意図はなく、逆に、その意図は、本開示の趣旨及び範囲内にあるすべての修正、代替の構造、組合せ、及び均等物を網羅することであることが理解されよう。
【0038】
さらに、記載された意味を有するように用語が本開示において明示的に定義されない限り、そのような用語の意味を、明示的又は間接的に、その明白な又は通常の意味を超えて限定する意図はないことが理解されよう。
【0039】
本明細書で使用される場合、整形外科用デバイスの開示された特徴を理解しやすくするために、「近位」は、その通常の意味を有し、取り付け点若しくは原点又は中心点の隣若しくは近くに位置するか、又は身体の中心に向かって配置された位置を指す。同様に、「遠位」という用語は、その通常の意味を有し、取り付け点若しくは原点若しくは中心点から離れて位置するか、又は身体の中心から離れて位置する位置を指す。「中央」という用語は、身体の正中線に近い位置を指し、「外側」という用語は、身体の正中線から遠い位置を指す。「上部」及び「下部」という用語は、ブレースのヒンジアセンブリの上方又は下方のいずれかにある特定の要素の位置を表す。「上部」要素は、ヒンジアセンブリ及び膝関節又は他の関節の上方にあり、「下部」要素は、ヒンジアセンブリ及び膝関節又は他の関節の下方にある。「後方」という用語はまた、その通常の意味を有し、別の位置又は特徴の後ろの位置、又は後方への位置を指す。最後に、「前方」という用語は、その通常の意味を有し、別の位置又は特徴の前方又は前方への位置を指す。
【0040】
「剛性」、「可撓性」、「可鍛性」、及び「弾性」という用語は、本明細書では、整形外科用デバイスの特定の特徴の部分を区別するために使用され得る。「剛性」という用語は、デバイスの要素が概して又は実質的に柔軟性がないことを意味することを意図している。「剛性」であるフレーム又は支持部材又はシェルの文脈内では、力が加えられたときにそれらが全体的な形状を失わないことを示すことが意図されている。対照的に、「可撓性」又は「可鍛性」という用語は、荷重下で屈曲又は収縮することができる特徴を包含することを意図している。
【0041】
図1は、いくつかの実施形態による、ユーザの関節に取り付けるように構成されたブレース100を示す。ブレース100は、ユーザの付属器官の外側に当接するように構成された外側部分160、及びユーザの付属器官の内側に当接するように構成された内側部分170のうちの少なくとも一方を含む。以下の図に関連してより詳細に説明するように、外側部分及び内側部分160、170はそれぞれ、上部支持アーム102と、下部支持アーム104と、上部支持アーム102を下部支持アーム104に回転可能に結合するように構成されたヒンジアセンブリ106とを備えることができる。ヒンジアセンブリ106は、第1の回転方向及び第2の回転方向の少なくとも一方における下部支持アーム104に対する上部支持アーム102の可動域を制限するようにさらに構成されている。以下でより詳細に説明するように、外側部分及び内側部分160、170の各々は、上部支持アーム102に摺動可能に結合するように構成された上部スライダ162と、下部支持アーム104に摺動可能に結合するように構成された下部スライダ164とをさらに備えることができる。ブレース100は、上部及び下部支持アーム102、104並びに上部及び下部スライダ162、164をユーザの付属器官の側面に対して固定するように構成された1つ又はそれ以上のストラップを利用して、ユーザの付属器官に固定することができる。ここで、ブレース100の様々な特徴、態様、及び要素を、以下の図に関連してより詳細に説明する。
【0042】
図2Aは、いくつかの実施形態による、
図1のブレース100のヒンジアセンブリ106を示し、一方、
図2Bは、いくつかの実施形態による、ヒンジアセンブリ106のロック状態の視覚的表示を提供するように構成された窓124をさらに備える
図2Aのヒンジアセンブリ106を示す。ヒンジアセンブリ106の説明は、
図2A及び
図2Bに関連して以下に一緒に説明される。
【0043】
本明細書で使用される「ヒンジ」又は「ヒンジアセンブリ」という用語は、2つのアームの長手方向軸の異なる角度方向を通る回転運動を可能にしながら、ブレースの2つのアームを結びつける機械的カプラを意味する。例えば、
図2A及び
図2Bに示すように、ヒンジアセンブリ106は、軸108の周りで上部支持アーム102と下部支持アーム104とを機械的に結合する。上部及び下部支持アーム102、104は、任意の適切な剛性材料、例えば金属、プラスチック、ガラス繊維複合材などを含むことができる。
【0044】
ヒンジアセンブリ106は、以下により詳細に説明するように、ヒンジアセンブリ106の少なくともいくつかの内部構成要素を覆うように構成されたヒンジカバー110を備える。使用時に、ヒンジアセンブリ106は、一般に、固定されている解剖学的関節、例えば、限定されるものではないが、膝関節又は肘関節に近接している。ヒンジアセンブリ106は、第1の回転方向における下部支持アーム104に対する上部支持アーム102の可動域を制限するように構成された第1の可動域停止部112を備える。ヒンジアセンブリ106は、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向における下部支持アーム104に対する上部支持アーム102の可動域を制限するように構成された第2の可動域停止部114をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、第1及び第2の可動域停止部112、114は、場合によっては射出成形され得る任意の適切な弾性材料、例えばプラスチックを含んでもよい。
【0045】
ヒンジアセンブリ106は、以下により詳細に説明するように、ヒンジアセンブリ106の少なくともいくつかの内部構成要素を囲むように構成された外側ハウジング116を備える。外側ハウジング116は、外側ハウジング116をヒンジアセンブリ106に固定するように構成された1つ又はそれ以上のファスナ118を含む。いくつかの実施形態では、ファスナ118は、リベット、ねじ、又は任意の他の適切な締結要素(複数可)であってもよい。外側ハウジング116は、ヒンジロック122が摺動するように構成された開口部120をさらに備える。ヒンジロック122は、ヒンジロック122が第1の向き(例えば、ロックされた向き)に位置しているときに、軸108の周りでヒンジアセンブリ106を所望の向きにロックするように構成される。ヒンジロック122は、ヒンジロック122が第2の向き(例えば、ロックされていない向き)に位置しているときに、第1及び第2の可動域停止部112、114によって設定された可動域内で、ヒンジアセンブリ106が軸108の周りを自由に移動することを可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、ヒンジロック122は、スライダ、ボタン、又は開口部120内の第1の向きと第2の向きとの間で摺動、切り換え、又は移動するように構成された任意の他の適切な要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の向きは、第2の向きと比較して、開口部120内で、軸108のより近位にあってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、
図2Bに示すように、ヒンジカバー110は、ヒンジアセンブリ106のロック状態の視覚的表示を提供するように構成された窓124を備える。例えば、ヒンジロック122が第1の向きにあるとき、ヒンジロック122の一部は窓124を通して見ることができ、それによってヒンジアセンブリ106がロック状態にあることを示す。そのような実施形態では、ヒンジロック122が第1の向きにあるときに窓124を通して見えるヒンジロック122の同じ部分は、ヒンジロック122が第2の向きにあるときに窓124を通して見えず、それによってヒンジアセンブリ106がロック状態にないことを示す。いくつかの実施形態では、ヒンジロック122が第1の向きにあるときに窓124を通して見えるヒンジロック122の少なくとも一部は、容易に目立つ色、例えば赤又はオレンジなど、あるいは他のパターンを有し、それにより、ヒンジアセンブリ106がロック状態にあるときにユーザに容易に目立つ表示を提供する。
【0047】
図3Aは、いくつかの実施形態による、ロックされていない構成にある
図1のブレースのヒンジアセンブリ106の平面図を示し、一方、
図3Bは、ロックされていない構成にある
図3Aのヒンジアセンブリ106の斜視図を示す。
図4Aは、いくつかの実施形態による、ロックされた構成の
図1のブレースのヒンジアセンブリ106の平面図を示し、一方、
図4Bは、ロックされた構成の
図4Aのヒンジアセンブリ106の斜視図を示す。
図3A~
図4Bは、下方に配置された構成要素を容易に見るためにヒンジカバー110及び外側ハウジング116が取り外されたヒンジアセンブリ106を示す。
【0048】
ヒンジアセンブリ106は、任意の適切な結合要素(複数可)、例えばリベット、ねじ又は溶接などを利用して上部支持アーム102に結合された上部ヒンジプレート126を含む。上部ヒンジプレート126の少なくとも一部は、軸108を中心とする実質的に円形の外周を有する。実質的に円形の外周の少なくとも一部は、複数の歯128を備える。いくつかの実施形態では、上部ヒンジプレート126及び上部支持アーム102は、単一の一体構成要素として形成されてもよい。
【0049】
ヒンジアセンブリ106は、任意の適切な結合要素、例えばリベット、ねじ又は溶接などを利用して下部支持アーム104に結合された下部ヒンジプレート130を含む。下部ヒンジプレート130の少なくとも一部は、軸108を中心とする実質的に円形の外周を有する。実質的に円形の外周の少なくとも一部は、複数の歯132を備える。いくつかの実施形態では、下部ヒンジプレート130及び下部支持アーム104は、単一の一体構成要素として形成されてもよい。上部及び下部ヒンジプレート126、130は、任意の適切な剛性材料、例えば金属、プラスチック、ガラス繊維複合材などを含むことができる。
【0050】
図3A及び
図3Bの実施形態では、ヒンジロック122は、上部パネル、部分的に開いた底部パネル、及びそれらの間に延在する脚部を有する開放フレームの形態の本体を備え、これはプラスチック材料で作製することができる。部分的に開いた底部パネルは、対の脚部の間に延在する足150によって画定される。第1の突起136a及び第2の突起136bは、金属製であってもよい2つのピンによって形成されている。ピンは、ヒンジロックフレームの上部パネル及び底部パネルに設けられた位置合わせされた開口部を通して圧入される。ピンの中心は、歯132と係合することができるように、ヒンジロックフレームの上部パネルと下部パネルとの間に露出している。いくつかの有利な実施形態では、ハウジング内のヒンジロックの位置は、歯132が下部ヒンジプレート130上の中央に位置することを可能にするようなものであり、したがって、同じスタンピングツールを使用して左右の下部バーの両方を形成することができる。
【0051】
ロック機構122が
図3A及び
図3Bに示すように第2のロックされていない向きにあるとき、第1及び第2の突起136a、136bは、下部ヒンジプレート130の複数の歯132と接触せず、上部支持アーム102及び下部支持アーム104は、第1及び第2の可動域停止部112、114の位置によって設定された可動域内で、軸108を中心に互いに対して自由に回転する。
【0052】
しかしながら、
図4A及び
図4Bに示すように、ロック機構122が第1のロックされた向きにあるとき、第1及び第2の突起136a、136bは、下部ヒンジプレート130の複数の歯132のうちの1つの両側に物理的に接触するように構成され、それによって、ヒンジアセンブリ106の回転を阻止し、上部支持アーム102を下部支持アーム104に対して所望の向きにロックする。ヒンジロック122、インサート134並びに第1及び第2の突起136a、136bに対する下部ヒンジプレート130の複数の歯132の向きは、下部ヒンジプレート130、ヒンジロック122、インサート134並びに第1及び第2の突起136a、136bの同じ設計が、ユーザの身体の左側又は右側のいずれかに位置する関節の外側又は内側のいずれかで利用され得るような向きであってもよい。例えば、複数の歯132は、軸108の中心と一致する点から半径方向外側に延在してもよく、ヒンジロック122の第1及び第2の向きは両方とも、軸108の中心と一致する同じ点から離れて延在する直線に沿っていてもよい。したがって、ヒンジアセンブリ106の構成要素のための単一の設計を、左関節又は右関節のいずれかのためのブレースの内側及び外側のそれぞれに利用することができ、それによって部品数、並びに設計及び製造コストを削減することができる。
【0053】
第1及び第2の可動域停止部112、114は、実質的に同様の構造及び機能を有することができ、したがって、ここで
図3A~
図4Bに関連して一緒に説明する。第1の可動域停止部112は、ヒンジカバー110と下部ヒンジプレート130との間に配置され、一方、第2の可動域停止部114は、下部ヒンジプレート130と上部ヒンジプレート126との間に配置される。
【0054】
第1の可動域停止部112は、第1の可動域停止部112がロックされた位置にあるときに上部ヒンジプレート126の複数の歯128のうちの1つの両側に物理的に接触するように構成された第1の突起144a及び第2の突起144bを備え、それにより、第1の可動域停止部112を上部ヒンジプレート126の周囲に沿った第1の所望の位置に固定する。いくつかの実施形態では、ヒンジカバー110(
図2A、
図2Bを参照されたい。)は、上部ヒンジプレート126の複数の歯128と同様の複数の歯を備えることができ、その結果、第1の可動域停止部112がロックされた位置にあるとき、第1及び第2の突起144a、144bもヒンジカバー110の複数の歯のうちの1つの両側に物理的に接触する。
図3Aは、上部ヒンジプレート126と接触する第1の可動域停止部112の側を示していないが、第1及び第2の突起144a、144bは、上述したように複数の歯128と物理的に接触するように上部ヒンジプレート126に向かって十分に延在する。
【0055】
第1の可動域停止部112は、第1及び第2の突起144a、144bが複数の歯128をクリアし、次いで第1の所望の位置に回転するように、軸108に対して半径方向に引き出されるように構成されている。第1の可動域停止部112は、第1の可動域停止部112が半径方向に引き出されると、軸108が複数の保持アーム140を外方向に偏向させ、それによって、解放されたときに第1の可動域停止部112をロックされた位置に戻す復元力を提供するように、軸108に接触するように構成された複数の保持アーム140を備える。いくつかの実施形態では、第1の可動域停止部112はまた、第1の可動域停止部112が半径方向に十分に引き出されたときに軸108に接触するように構成されたバックストップ要素142を備えてもよく、それにより、第1の可動域停止部112又は複数の保持アーム140の過伸展を防止する。ロックされた位置にあるとき、第1の可動域停止部112は、下部ヒンジプレート130の第1の部分146と接触することによって、下部支持アーム104に対する上部支持アーム102の第1の回転方向の可動域を制限する。
【0056】
複数の保持アーム140及びバックストップ要素142を含む第1の可動域停止部112は、単一部品として、例えば射出成形によって一体成形されてもよい。第1の可動域停止部112を単一部品として一体的に成形することにより、部品数が削減され、別個の部品を組み立てる際に起こり得る労力及び/又は不適合の問題に起因する製造コスト及び組立コストの両方が低減される。追加で、第1の可動域停止部112は、その成形がツーリング内でいかなる側面動作も必要としないように、射出成形用に設計されてもよい。例えば、第1の可動域停止部112のすべての側面は、第1の可動域停止部112の平面に対して実質的に垂直であってもよく、又は垂直の一方の側面又は他方の側面に傾斜していてもよく(側面に沿った任意の所与の点で両方ではない)、そのため、側面型は、その射出成形型からの停止部112のクリアランスを許容する必要はない。これは、ツールのコスト及び複雑さを低減するだけでなく、部品をその射出成形型から取り外すためにツーリングの側面動作が必要とされる他の設計と比較して、より速い製造サイクルタイムによって部品コストも低減する。
【0057】
第2の可動域停止部114は、第2の可動域停止部114がロックされた位置にあるときに上部ヒンジプレート126の複数の歯128のうちの1つの両側に物理的に接触するように構成された第1の突起148a及び第2の突起148bを備え、それにより、第2の可動域停止部114を上部ヒンジプレート126の周囲に沿った第2の所望の位置に固定する。ヒンジカバー110(
図2A、
図2Bを参照)が上部ヒンジプレート126の複数の歯128と同様の複数の歯を備える場合、第1及び第2の突起148a、148bはまた、第2の可動域停止部114がロックされた位置にあるときにヒンジカバー110の複数の歯のうちの1つの両側に物理的に接触する。
図3Aは、上部ヒンジプレート126と接触する第2の可動域停止部114の側を示していないが、第1及び第2の突起148a、148bは、上述したように複数の歯128と物理的に接触するように上部ヒンジプレート126に向かって十分に延在する。
【0058】
第2の可動域停止部114は、第1及び第2の突起148a、148bが複数の歯128をクリアし、次いで第2の所望の位置まで回転するように、軸108に対して半径方向に引き出されるように構成されている。第2の可動域停止部114は、第2の可動域停止部114が半径方向に引き出されると、軸108が複数の保持アームを外側方向に偏向させ、それによって、解放されたときに第2の可動域停止部114をロックされた位置に戻す復元力を提供するように、軸108に接触するように構成された複数の保持アーム(図示せず、アーム140と実質的に同じ)を備える。いくつかの実施形態では、第2の可動域停止部114はまた、第2の可動域停止部114が半径方向に十分に遠くに引き出されたときに軸108に接触するように構成されたバックストップ要素(図示しないが、バックストップ要素142と実質的に同じ)を備えてもよく、それによって、第2の可動域停止部114又は複数の保持アーム140の過伸展を防止する。ロックされた位置にあるとき、第2の可動域停止部114は、下部ヒンジプレート130の第2の部分(図示せず、部分146と同様)と接触することによって、下部支持アーム104に対する上部支持アーム102の可動域を第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に制限する。
【0059】
その複数の保持アーム及びバックストップ要素を含む第2の可動域停止部114はまた、単一部品として、例えば射出成形によって、一体的に成形されてもよく、その結果、その成形は、第1の可動域停止部112について前述したようにツーリング内のいかなる側面動作も必要としない。
【0060】
図5Aは、いくつかの実施形態による、ロックされていない構成にあり、外側ハウジング116が取り外された
図1のブレース100のヒンジアセンブリ106のいくつかの追加の特徴の平面図を示し、一方で、
図5Bは、ロックされた構成にあり、外側ハウジング116が示されている
図5Aのヒンジアセンブリ106の平面図を示す。
図5A~
図6は、突起136a及び136bの異なる実施形態を示す。この実施形態では、2つの突起は、2つの別個のピンとしてではなく、単一のインサート134の一部として形成される。いくつかの実施形態では、インサート134は、金属、プラスチック、又は任意の他の適切な剛性及び非可撓性材料を含む。いくつかの他の実施形態では、インサート134並びに第1及び第2の突起136a、136bは、別個のインサートではなく、ヒンジロック本体自体の一体部分として形成されてもよい。
【0061】
図5Aに示すように、ヒンジロック122は、ロックされた位置及びロックされていない位置の少なくとも一方で上部ヒンジプレート126の突起154を受けるように構成された複数の凹部152を有する1つ又はそれ以上の足150を備えることができる。例えば、
図5Aに示すロックされていない位置では、突起154は、複数の凹部152の第1の凹部に配置されてもよく、ヒンジロック122をロックされていない位置に実質的に保持することができる。しかしながら、ロックされた位置では、ヒンジロック122は、突起154が複数の凹部152の第2の凹部に配置されるように、軸108の方向に移動し、ヒンジロック122をロックされた位置に実質的に保持することができる。いくつかの実施形態では、ヒンジロック122は、反対側に、上述したものと同様の、上部ヒンジプレート126の別の突起を受けるように構成された複数の凹部を有する別の足をさらに含んでもよく、それを設けてもよい。足は可撓性プラスチックであってもよく、フレームの開いた底部は、ヒンジロックがロックされた位置とロックされていない位置との間で切り替えられ、突起154が足の凹部の間を移行するときに足が内側に変形することを可能にする。ヒンジロックをロックされた状態又はロックされていない状態に保持することに加えて、ヒンジロック122に関連するそのような連動突起及び凹部の使用はまた、ユーザがヒンジロック122をはっきりと見ることがなくても、ヒンジロック122がロックされた位置からロックされていない位置に、又はその逆に移動したという触覚フィードバックをユーザに提供することができる。さらに、これは、この機能を提供するために追加の1つ以上の部品を必要とするのではなく、突起及び凹部がプレート及びヒンジロック本体の一体的に形成された部品であってもよい単純な構造を提供する。
【0062】
図7は、いくつかの実施形態による、
図1のブレース100のヒンジアセンブリ106の断面図を示す。
図7に示すように、上部ヒンジプレート126は、少なくとも第1のスペーシング要素158aをさらに備えてもよく、ヒンジカバー110は、少なくとも第2のスペーシング要素158bをさらに備えてもよい。第1及び第2のスペーシング要素158a、158bは、ボスを備えてもよく、かつ/あるいはそれぞれ互いの中で、若しくは互いに対して、及び/又はヒンジカバー110及び上部ヒンジプレート126に対して物理的に接触するか、又は入れ子になるように構成されてもよく、ヒンジカバー110が上部ヒンジプレート126上に設置されたときに、それにより、ヒンジカバー110と上部ヒンジプレート126との間に所定の距離を設定する。スペーシング要素158a、158bを利用することにより、ヒンジカバー110と上部ヒンジプレート126との間の適切な間隔の設定が可能になり、それによって、そうでなければ、この目的のためにリベットを使用することで生じる可能性があり、そうでなければ、ヒンジアセンブリ106のそのような公称緩みの増加のために、そのようなブレースが支持的でなくなる可能性がある、ヒンジアセンブリ106の過度の緩み又は締め付けを防止する。
【0063】
図8Aは、いくつかの実施形態による、
図1のブレース100の一部の斜視図を示し、一方、
図8Bは、いくつかの実施形態による、最大伸長位置にあるブレース100の下部部分の斜視図を示す。
図8Aは、ユーザの付属器官及び関節の外側に固定されるように構成されたブレース100の外側部分160と、ユーザの付属器官及び関節の内側に固定されるように構成されたブレース100の内側部分170とを示す。外側及び内側部分160、170の各々は、本開示に記載されるように、それぞれの上部支持アーム102、下部支持アーム104、及びヒンジアセンブリ106を備える。
【0064】
外側及び内側部分160、170の各々は、任意の複数の増分伸長度(incremental degrees of extension)のいずれかで上部支持アーム102に摺動可能に結合するように構成された上部スライダ162と、任意の複数の増分伸長度で下部支持アーム104に摺動可能に結合するように構成された下部スライダ164とをさらに含む。上部及び下部スライダ162、164の各々は、場合によっては射出成形することができる任意の適切な剛性材料、例えばプラスチックで形成することができる。
【0065】
上部スライダ162はスライダロック167を備え、上部支持アーム102はスライダロック167を受けるように構成された複数のインデックス開口(indexing apertures)166を備える。同様に、下部スライダ164はスライダロック169を備え、下部支持アーム104はスライダロック169を受けるように構成された複数のインデックス開口168を備える。いくつかの実施形態では、スライダロック167、169は、それぞれの上部及び下部スライダ162、164と一体的に形成及び/又は成形されてもよい。いくつかの実施形態では、スライダロック167、169は、それぞれのインデックス開口166、168のいずれかに嵌合及び/又はスナップ嵌めするように形状設定することができ、それによって上部及び下部スライダ162、164を上部及び下部支持アーム102、104に対して所望の伸長度でロックする。スライダロック167、169及びインデックス開口166、168の一般的な形状は実質的に円形として示されているが、任意の他の適切な形状も考えられる。スライダロック167、169は、下方に押すなどしてスライダロック167、169に十分な力が加えられたときに、それぞれのインデックス開口166、168をクリアするのに十分に偏るように構成され、それにより、スライダ162、164は、開口間の調整中に上部及び下部支持アーム102、104に対して自由に並進することができる。これを行う一方法が
図8Bに示されており、スライダロック169は、下部スライダ164の底部パネルにフラップを形成する三面切り欠き179上に成形される。スライダロックを押し下げると、フラップが押し下げられてロックが開口から解放され、支持アームの伸長を調整することができる。
図8E及び
図8Fは、完全に圧縮された位置にある下部スライダ及び上部スライダをそれぞれ示す。
【0066】
別の実施態様では、支持アームにリベット留めされるのではなく、ヒンジ106に隣接するカフ171及び173は、各カフ171、173とヒンジ106との間の距離も調整することができるように支持アームと摺動可能に係合される。カフ173用にこの能力を有する一設計例を
図9A~
図9Cに示す。
図9A及び
図9Bを参照すると、この実施態様では、カフ173はまた、フラップ(
図8Bに示すスライダロック169と同様)を形成する三面切り欠きに取り付けられたスライダロック192を有する。また、カフ173は、カフ173の本体に成形された支持アームリテーナ194を有する。組立てのために、カフ173は、支持アーム104を越えてヒンジ106の近くまで摺動する。 リテーナ194は、アーム104の下端のスロット開口196を貫通した後、アーム104上にカフを挟み込む。 これは、カフ173がアーム104から離れて下方に回転するのを防止する。 また、それは、アーム上の調整位置の中心に沿ってスロットに係合するため、脚部の軸を中心とした回転も防止する。
図9Cは、カフ173の下方のアーム104に下部スライダ164が取り付けられた状態の、ヒンジ106の近くのカフ173を示す。
【0067】
図9D及び
図9Eに示すように、上部ヒンジ隣接カフ171は同じように機能するが、カフ171のスライダロック198は、屈曲可能なフラップに取り付けられるのではなく、下にコイル圧縮ばねを有する。
図9Fは、カフ171の上方のアーム102に上部スライダ162が取り付けられた状態の、ヒンジ106の近くのカフ171を示している。
【0068】
上部及び下部支持アーム102、104の各々は、インデックス開口166、168に隣接して配置されたインデックス数字(indexing numerals)をさらに備えることができ、これにより、ブレース100の内側及び外側が同じ伸張度に設定される簡単な検証を容易にすることができる。さらに、インデックス開口166、168は、連続的ではなく離散的な伸長の増分を提供するので、ブレース100の内側及び外側は、連続的な調整設計と比較してより高い精度で同じ伸長度に設定され得る。追加で、インデックス数字は、ブレース100がユーザの付属器官上に適切な向きで配置されたときにそれらが右側上方に表示されるように向けられる。
【0069】
追加で、上部及び下部スライダ162、164並びに上部及び下部支持アーム102、104のそれぞれの長さや調節により、他のブレースと比較してより広範囲の人(例えば、より背の高い及び/又はより背の低い人)をブレース100によって適応できるようにする。例えば、上部支持アーム102は、第1の数のインデックス開口166(例えば、3個)を備えてもよく、一方、下部支持アーム104は、第2の数のインデックス開口168(例えば、10個)を備えてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、各下部スライダ164は、下部スライダ164と一体的に形成及び/又は成形され、少なくとも下部スライダ164が下部支持アーム104に対して最大伸長度にあるときに下部支持アーム104に接触するように構成された一対のタブ165をさらに備え、それにより、この最大伸長度における下部支持アーム104と下部スライダ164との間の緩みの量が大幅に低減される。タブ165は、下部スライダ164と一体的に形成及び/又は成形されるので、タブ165は、追加の部品を必要としない受動的な締め付け機能を提供し、それによってブレース100の製造及び/又は組立てに関連付けられたコスト及び複雑さを低減する。
【0071】
追加で、上部及び下部スライダ162、164の各々は、それらの成形がツーリング内でいかなる側面動作も必要としないように、射出成形用に設計されてもよい。例えば、上部及び下部スライダ162、164のすべての側縁は、上部及び下部スライダ162、164の平面に対して実質的に垂直であってもよく、又は垂直の一方の側又は他方の側に傾斜していてもよく(側面の任意の所与の点で両方ではない)、その結果、側面型は、下部スライダ162、164の射出成形型からの下部スライダ162、164のクリアランスを許容する必要はない。さらなる例では、上部及び下部スライダ162、164の一部が、上部及び下部支持アーム102、104の一方の側部のそれぞれの一部に接触し、又はその上に延在する場合、上部及び下部スライダ162、164は、上部及び下部支持アーム102、104の反対側の同じ部分に接触せず、又はその上に延在しない。そのような意図的な設計は、ツールのコスト及び複雑さを低減するだけでなく、部品をその射出成形型から取り外すためにツーリングの側面動作が必要とされる他の設計と比較して、より速い製造サイクルタイムによって部品コストも低減する。
【0072】
ブレース100は、下部スライダ164の遠位端に取り外し可能にスナップ嵌めするように構成された取り外し可能なくるぶしアタッチメント175をさらに備えてもよい。取り外し可能なくるぶしアタッチメント175は、ブレース100が装着されたときにユーザの付属器官(例えば、足首)の遠位部分に当接するように構成され、それによってブレース100の移動を防止又は実質的に低減する。ユーザは、一方又は両方の下部スライダ164に取り外し可能なくるぶしアタッチメント175を選択的に取り付ける、又はそこから取り外すことができ、それにより、くるぶしアタッチメントを含まないか又は恒久的なくるぶしの機能を提供するブレースと比較して、高い柔軟性を享受することができる。
【0073】
ブレース100の外側及び内側部分160、170の各々は、第1のカフ171、第2のカフ172、第3のカフ173、及び第4のカフ174をさらに備えてもよく、各々は、ユーザの関節の上方及び下方の様々な位置でブレース100をユーザの付属器官に固定するためのそれぞれのストラップを受けるように構成される。第1及び第3のカフ171、173は、ヒンジアセンブリ106及びユーザの関節の近位と、上方と下方とにそれぞれ配置されてもよく、一方、第2及び第4のカフ172、174は、ヒンジアセンブリ106及びユーザの関節の遠位と、上方と下方とにそれぞれ配置されてもよい。第1のカフ171は、上部支持アーム102に結合されてもよく、一方、第2のカフ172は、上部スライダ162に結合されてもよく、あるいは、一体的に形成及び/又は成形されてもよい。同様に、第3のカフ173は、下部支持アーム104に結合されてもよく、一方、第4のカフ174は、下部スライダ164に結合されてもよく、あるいは、下部スライダと一体的に形成及び/又は成形されてもよい。第1、第2、第3、及び第4のカフ171~174は、任意の適切な剛性材料、例えば、金属、プラスチック、ガラス繊維複合材などで形成されてもよい。
【0074】
図8Cは、いくつかの実施形態による、下部支持アーム104に結合された第3のカフ173の一部の拡大斜視図を示し、
図8Dは、見やすくするために下部支持アーム104から分離して離間した第3のカフ173の斜視図を示す。第3のカフ173は、第3のカフ173の一方の側に配置され、ブレース100のストラップを固定するためのバックルを受けるように構成された第1の固定要素177を備える。いくつかの実施形態では、第1の固定要素177はフックを備える。第3のカフ173は、第3のカフ173の反対側に配置され、ストラップ保持要素、例えば、フックアンドループ、スナップ、又はストラップに取り付けて固定するように構成された任意の他の適切な締結材料を下面に含むカム及び/又はフラップを受けるように配置された第2の固定要素178を含む。いくつかの実施形態では、そのようなカム及び/又はフラップは、それがストラップに時期尚早に接触し、それによってストラップの調整を不必要に妨げるのを防ぐために上昇したときに回転抵抗が増加し、カム及び/又はフラップとストラップとの間の接触を容易にするために部分的に下降したときに回転抵抗が減少する。いくつかの実施形態では、第2の固定要素178はバー又はシャフトを含む。第3のカフ173は、下部支持アーム104の嵌合開口を貫通するように構成された丸いボス又は突起176をさらに備え、それによって、製造中にそのような位置合わせのための追加の固定具を必要とせずに、リベット195との取り付けのために第3のカフ173を下部支持アーム104に位置合わせする。
【0075】
第1のカフ171は、第3のカフ173と実質的に同様の形態及び構造を有してもよいが、突起176は、下部支持アーム104ではなく上部支持アーム102の嵌合開口を貫通するように構成されている。第2及び第4のカフ172、174は、少なくとも第1及び第2の固定要素177、178に関して第3のカフ173と実質的に同様の形態及び構造を有してもよい。
【0076】
図10は、いくつかの実施形態による、ブレース100と共に使用するためのバックル180の斜視図を示す。以下でより詳細に説明するように、バックル180のいくつかの態様は、意図しないストラップの緩みに対する改善された抵抗を提供し、ユーザの付属器官の少なくとも一部に対するより良好な適合を可能にし、それによって、ブレース100がユーザによって装着されたときのブレースの移動を防止又は実質的に低減する。バックル180は、任意の適切な剛性材料、例えば、金属、プラスチック、ガラス繊維複合材などで形成されてもよい。
【0077】
バックル180は、空間によって互いに分離され、第1及び第2の架橋要素183a、183bを介してそれらの外縁で互いに結合された第1の部分181及び第2の部分182を備える。いくつかの実施形態では、第1及び第2の部分181、182の上面は、実質的に平面であってもよい。他の実施形態では、第1及び第2の部分181、182の一方又は両方の上面は、少なくとも一次元で(外側から見たときに)わずかに凸状の湾曲を有してもよい。このようにして、ストラップは、第1及び第2の部分181、182の上面を通過することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の架橋要素183a、183bは、第1及び第2の部分181、182の上面に垂直な実質的に楕円形又はフットボール形状の断面を有してもよく、それにより、第1及び第2の架橋要素183a、183bは、それらの延伸方向に対してそれらの中央に向かって外側に湾曲する。このようにして、第1及び第2の架橋要素183a、183bは、バックル180内の横方向のストラップの動きを制限してもよい。
【0079】
バックル180は、第1及び第2の部分の対向する縁部181、182との間の空間において第1及び第2の架橋要素183a、183bとの間に延在するシャフト184をさらに備える。シャフト184は、実質的に円筒形であってもよく、第1の部分181及び第2の部分182の少なくとも一方の上面に実質的に平行に延在し、第1及び第2の架橋要素183a、183bの対向面に実質的に垂直な長手方向軸を有する。シャフト184は、その長手方向軸が、第1の部分181及び第2の部分182の少なくとも一方の上面の実質的に平面内に、又はわずかに下方に位置するように配置されてもよい。シャフト184の少なくとも一部は、バックル180を貫通するストラップに接触するように構成される。
【0080】
第1の部分181は、ストラップがバックル180を貫通するときにストラップを方向付けるように構成された第2の部分182に面する傾斜縁187をさらに有してもよい。第1の部分181は、ブレース100が着用されたときにストラップの動きに対する抵抗を増大させるように構成された1つ又はそれ以上の隆起188をその上面にさらに備えてもよい。
【0081】
第2の部分182は、第1、第2、第3、又は第4のカフ171~174のいずれかのフックを受けるように構成された開口185を備える。第2の部分182は、開口185に隣接して厚さが減少した凹部186をさらに含む。凹部186は、第1、第2、第3、又は第4のカフ171~174のいずれかのフックの少なくとも一部に当接するように構成され、それによってカフ171~174のいずれかに結合されたときにバックル180の横方向の動きを抑制する。第2の部分182の内縁と開口185の隣接する縁とを隔てる幅「W」を有する第2の部分182のセグメントは、実用的に限りなく狭くなるように設計され、それによってバックル180の全長が短くなる。バックル180のこのような短縮された全長は、より長い全長を有するバックルと比較して、バックル180がユーザの付属器官(例えば、足首)の狭い部分により密接に適合することを可能にし、これは、付属器官とのより緊密な嵌合を容易にすることによってブレース100が装着されたときのブレースの移動をさらに防止又は実質的に低減する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の部分181、182の内側の対向縁部は互いに実質的に平行であってもよいが、第1及び第2の部分181、182の対向する外縁部は実質的に湾曲していてもよい。
【0082】
図11は、いくつかの実施形態による、関節に取り付けるように構成されたブレースを利用して対象者の関節の可動域を制限する方法のフローチャート1100を示す。フローチャート1100は、本開示に記載された任意のブレースの利用に適用することができる。特定のブロックが記載されているが、フローチャート1100は、記載されたものよりも多い、少ない、又は異なるブロック、ステップ、及び/又は動作を、並びに/あるいは記載されたものと同じ又は異なる順序で含むことができる。
【0083】
ブロック1102は、ブレースの上部支持アームを対象者の付属器官の上部部分に対して固定することを含む。例えば、前述したように、上部支持アーム102は、場合によっては第1のカフ171を利用して、1つ又はそれ以上のストラップを介してユーザの付属器官(例えば、大腿部)の上部部分に固定されてもよい。
【0084】
ブロック1104は、ブレースの下部支持アームを付属器官の下部部分に対して固定することを含む。例えば、前述したように、下部支持アーム104は、場合によっては第3のカフ173を利用して、1つ又はそれ以上のストラップを介してユーザの付属器官(例えば、下腿)の下部部分に固定されてもよい。
【0085】
ブロック1106は、ブレースのヒンジアセンブリを利用して下部支持アームに対する上部支持アームの可動域を制限することを含む。例えば、前述したように、ヒンジアセンブリ106は、上部支持アーム102に結合された上部ヒンジプレート126と、下部支持アーム104に結合された下部ヒンジプレート130と、上部ヒンジプレート126と下部ヒンジプレート130とを回転可能に結合する軸108とを備える。上部ヒンジプレート126は、上部ヒンジプレート126の周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯128を備え、一方、下部ヒンジプレート130は、下部ヒンジプレート130の周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯132を備える。ヒンジアセンブリ106は、上部ヒンジプレート126に配置されたロック要素122をさらに備え、ロック要素122は、第1の向きで第2の複数の歯132のうちの1つの両側に物理的に接触するように構成された第1の突起136a及び第2の突起136bを備え、それにより、下部支持アーム104に対する上部支持アーム102の回転を阻止する。
【0086】
図12は、いくつかの実施形態による、対象者の関節の可動域を制限するように構成されたブレースを製造する方法のフローチャート1200を示す。フローチャート1200は、本開示に記載されている任意のブレースの製造に適用することができる。特定のブロックが記載されているが、フローチャート1200は、記載されたものよりも多い、少ない、又は異なるブロック、ステップ、及び/又は動作を、並びに/あるいは記載されたものと同じ又は異なる順序で含むことができる。
【0087】
ブロック1202は、上部支持アームを設けることを含む。例えば、上部支持アーム102を設けることは、任意の適切な剛性材料、例えば金属、プラスチック、ガラス繊維複合材などで形成することができる上部支持アーム102を受けて利用可能にすること、形成すること、成形すること、又は打ち抜くことを含むことができる。
【0088】
ブロック1204は、下部支持アームを設けることを含む。例えば、下部支持アーム104を設けることは、任意の適切な剛性材料、例えば金属、プラスチック、ガラス繊維複合材などで形成され得る下部支持アーム104を受けて利用可能にすること、形成すること、成形すること、又は打ち抜くことを含んでもよい。
【0089】
ブロック1206は、ヒンジアセンブリを組み立てることを含む。例えば、ヒンジアセンブリ106を組み立てることは、例えばリベット、ねじ又は溶接などの任意の適切な結合要素(複数可)を利用して上部ヒンジプレート126を上部支持アーム102に結合することを含むことができる。上部ヒンジプレート126は、上部ヒンジプレート126の周囲の少なくとも一部に沿って配置された第1の複数の歯128を含む。ヒンジアセンブリ106を組み立てることは、任意の適切な結合要素(複数可)、例えばリベット、ねじ又は溶接などを利用して、下部ヒンジプレート126を下部支持アーム104に結合することをさらに含むことができる。下部ヒンジプレート130は、上部ヒンジプレート130の周囲の少なくとも一部に沿って配置された第2の複数の歯132を含む。ヒンジアセンブリ106を組み立てることは、軸108を介して上部ヒンジプレート126及び下部ヒンジプレート130を回転可能に結合することをさらに含むことができる。ヒンジアセンブリ106を組み立てることは、ロック要素122を上部ヒンジプレート126に配置することをさらに含むことができる。ロック要素122は、第1の向きにおいて第2の複数の歯132のうちの1つの両側に物理的に接触し、それによって下部支持アーム104に対する上部支持アーム102の回転を阻止するように構成された第1の突起136a及び第2の突起136bを含む。
【0090】
本開示を特定の好ましい特徴に関して説明してきたが、寸法、構成及び材料の変形を含む本開示の他の特徴は、本明細書の開示を考慮すると当業者には明らかであろう。さらに、本明細書の任意の1つの態様に関連して詳述されているすべての特徴は、本明細書の他の態様での使用に容易に適合させることができる。異なる実施形態における同様の特徴に対する異なる用語又は参照番号の使用は、明示的に記載され得るもの以外の違いを意味しない。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ説明されることが意図され、本明細書に開示される好ましい実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0091】
102 上部支持アーム
104 下部支持アーム
106 ヒンジアセンブリ
112 可動域停止部
122 ロック要素
122 ヒンジロック
126 上部ヒンジプレート
130 下部ヒンジプレート
140 保持アーム
142 バックストップ要素
144a,144b 第1及び第2の突起
158a, 158b スペーシング要素
【国際調査報告】