(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】自動車車両のための可能な走行経路を決定するハイブリッドアプローチのための制御システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/10 20060101AFI20220209BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220209BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W60/00
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534979
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 EP2019085300
(87)【国際公開番号】W WO2020127011
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】102018009927.0
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521140191
【氏名又は名称】ツェット・エフ・オートモーティブ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】リーンケ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ビッシング,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ホーマン,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラム,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ナッテルマン,ティル
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】グランデル,カール-ハインツ
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BB16
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5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181CC27
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
制御システム(10)は、自動車車両(12)に用いるのに適しており、現在の運転状況において自動車車両(12)に配置された少なくとも1つの周囲センサから取得される自動車車両の周囲データに基づいて自動車車両の現在の運転状況をモニタするように構成および意図されている。制御システムは、与えられた周囲データに基づいて自動車車両(12)の現在の運転状況に関連する情報を決定し、与えられた周囲データに基づいて自動車車両(12)の現在の運転状況に関連する情報を決定し、自動車車両(12)の現在の運転状況に関連する情報に基づいて自動車車両(12)についての未来の運転操作の構成要素を決定するように構成および意図されている。さらに、制御システム(10)は、自動車車両(12)についての未来の運転操作の決定された構成要素に基づいて自動車車両(12)についてのモデル走行経路の多様性を決定し、自動車車両(12)についてのモデル走行経路の多様性から、自動車車両(12)がその進行のさらなるコースにおいて従う自動車車両(12)についての走行経路を決定するように構成および意図されている。最後に、制御システム(10)は、自動車車両(12)の現在の運転状況に関連する情報および/または供給された周囲データを更新し、目的関数に基づいて、ならびに更新された供給された周囲データに基づいて、および/または自動車車両(12)の現在の運転状況に関連する更新された情報に基づいて自動車車両(12)についての走行経路を適合させるように構成および意図されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車車両(12)に用いるために、前記自動車車両に配置された少なくとも1つの環境センサ(14、16、18)から得られる環境データに基づいて前記自動車車両(12)の前方、すぐ側方、および/または背後の領域(22、24、26)内で車線、道路境界、路面標示、および/またはさらなる自動車車両を検出するように構成および意図されている制御システム(10)であって、前記少なくとも1つの環境センサは、前記制御システム(10)の電子コントローラ(20)に前記自動車車両(12)の前方、すぐ側方、および/または背後の前記領域を表す前記環境データを与えるように構成され、前記制御システム(10)は、
与えられた前記環境データに基づいて前記自動車車両(12)の現在の運転状況に関連する情報を決定し、
前記自動車車両(12)の前記現在の運転状況に関連する前記情報に基づいて前記自動車車両(12)についての未来の運転操作の少なくとも1つの構成要素を決定し、
前記自動車車両(12)についての前記未来の運転操作の決定された前記構成要素に基づいて前記自動車車両(12)についての複数のモデル走行経路を決定し、
更なる行程において前記自動車車両(12)が従うことが意図される前記自動車車両(12)についての走行経路を前記自動車車両(12)についての前記複数のモデル走行経路から決定し、
前記自動車車両(12)の前記現在の運転状況に関連する前記情報および/または与えられた前記環境データを更新し、
目的関数を用いて、ならびに与えられた前記更新された環境データに基づいて、および/または前記自動車車両(12)の前記現在の運転状況に関連する前記更新された情報に基づいて、前記自動車車両(12)についての前記走行経路を適合させる
ように少なくとも構成および意図されている、制御システム(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の制御システム(10)において、前記自動車車両(12)についての前記走行経路を適合させるための前記目的関数と同じである目的関数を用いて前記複数のモデル走行経路から前記走行経路を決定するように構成および意図されている、制御システム(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の制御システム(10)において、前記自動車車両(12)の前記現在の運転状況に関連する前記情報は、その現在使用されている車線からの前記自動車車両(12)の少なくとも横方向距離を含み、前記制御システム(10)は、車線維持としてまたは車線変更としてその現在使用されている車線からの前記自動車車両の前記横方向距離に基づいて前記未来の運転操作の前記構成要素を決定するようにも構成および意図されている、制御システム(10)。
【請求項4】
請求項3に記載の制御システム(10)において、前記自動車車両(12)の前記現在の運転状況に関連する前記情報は、さらなる自動車車両(28)からのその現在使用されている車線に沿った前記自動車車両(12)の前後方向距離も含み、前記未来の運転操作の決定された前記構成要素に基づいておよび/または前記さらなる自動車車両(28)からの前記自動車車両(12)の前記前後方向距離に基づいて前記未来の運転操作のさらなる構成要素を決定するように構成および意図されている、制御システム(10)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の制御システム(10)において、離散サンプリング値の形態の前記与えられた環境データに基づいて前記自動車車両(12)の前記現在の運転状況に関連する前記情報を決定するようにも構成および意図されている、制御システム(10)。
【請求項6】
請求項5に記載の制御システム(10)において、グラフのノードおよび/またはエッジとして複数または全部の前記離散サンプリング値を決定し、
前記決定されたノードおよび/またはエッジから接続されたグラフを作成するようにも構成および意図されている、制御システム(10)。
【請求項7】
請求項6に記載の制御システムにおいて、
前記走行経路のための停止点として前記グラフの前記ノードおよび/またはエッジを選択し、
前記選択された停止点間のスプラインベースの補間によって前記自動車車両(12)についての前記走行経路を計算するようにも構成および意図されている、制御システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の制御システム(10)において、連続値の形態の前記更新された情報および/または前記更新された環境データを決定するようにも構成および意図されている、制御システム(10)。
【請求項9】
請求項5および8に記載の制御システム(10)において、前記自動車車両(12)についての前記走行経路を適合させるために、前記連続値の形態の前記更新された情報および/または前記更新された環境データと前記離散サンプリング値の形態の前記自動車車両(12)の前記現在の運転状況に関連する前記情報を組み合わせるようにも構成および意図されている、制御システム(10)。
【請求項10】
請求項9に記載の制御システム(10)において、前記離散サンプリング値の形態の前記自動車車両(12)の前記現在の運転状況に関連する前記情報と前記更新された情報および/または前記連続値の形態の前記更新された環境データとの組合せは、前記目的関数を用いて前記自動車車両(12)についての前記走行経路の前記適合を初期化および/または再初期化することを少なくとも含む、制御システム(10)。
【請求項11】
自動車車両(12)における、前記自動車車両(12)に配置された少なくとも1つの環境センサ(14、16、18)から得られる環境データに基づいて、前記自動車車両(12)の前方、すぐ側方、および/または背後の領域内で車線、道路境界、路面標示、および/またはさらなる自動車車両を検出する制御方法であって、詳細には請求項1から10のいずれか一項に記載の制御システム(10)によって実行され、
与えられた前記環境データに基づいて前記自動車車両(12)の現在の運転状況に関連する情報を決定するステップと、
前記自動車車両(12)の前記現在の運転状況に関連する前記情報に基づいて前記自動車車両(12)についての未来の運転操作の少なくとも1つの構成要素を決定するステップと、
前記自動車車両(12)についての前記未来の運転操作の決定された前記構成要素に基づいて前記自動車車両(12)についての複数のモデル走行経路を決定するステップと、
更なる行程において前記自動車車両(12)が従うことが意図される前記自動車車両(12)についての走行経路を前記自動車車両(12)についての前記複数のモデル走行経路から決定するステップと、
前記自動車車両(12)の前記現在の運転状況に関連する前記情報および/または与えられた前記環境データを更新するステップと、
目的関数を用いて、ならびに与えられた前記更新された環境データに基づいて、および/または前記自動車車両(12)の前記現在の運転状況に関連する前記更新された情報に基づいて、前記自動車車両(12)についての前記走行経路を適合させるステップと
を含む制御方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の制御システムを備える自動車車両(12)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在の運転システムへの最良の可能な反応として自動車車両が従うことが意図される走行経路を決定する制御システムおよび制御方法を以下に記載する。制御システムおよび制御方法は、詳細には、対象の自動車車両内の環境センサシステムに基づき、運転手または自律運転自動車車両を支援する。特に自律的な自動車車両および自律的に制御される自動車車両の場合には、それは、走行経路が決定される効率的でロバストな計画および最適化アプローチを用いることによって、自動車車両の乗員の安全性および運転の快適さを向上させるのに役立つ。
【0002】
自動運転自動車車両のより一層色々な機能により、少なくとも部分的に自律的なやり方で運転する自動車車両の移動を計画する(走行経路計画)ための信頼できる高速な制御システムおよびアルゴリズムがますます必要とされている。より一層複雑で動的に変化する車両環境において増えつつある道路使用者数は、とりわけ大きな課題である。部分的に自律的なまたは自律的なやり方で運転する自動車車両の制御システムのアーキテクチャでは、特定の交通状況を検出および制御することに加えて、意思決定および移動計画が、対応する自動車車両の性能全体に、特に、大きく影響を与える。
【0003】
(部分的に)自律的な自動車車両の走行経路を計画するために近年ますます開発されている制御システムおよびアルゴリズムは、自動運転の複雑さを証言する。一般に、移動計画に関連する課題は、これらの自動車車両の環境中の静的および動的な対象が考慮に入れられるロバストな計算モデルに基づいて便利で衝突のない走行経路を決定することを伴う。この走行経路を可能な限り素早く計算し、オンラインでそれを最適化するまたは絶えず変化する車両環境にそれを適合させることも望ましく、それによって動的に変化する環境中の自動車車両の(部分的に)自律的なシステムのリアルタイムの性能を確認するようになっている。
【0004】
過去には、走行経路計画への様々なアプローチが開発された。例えば、これらは、移動計画アルゴリズム、またはサンプリングベースの走行経路計画のための技法である。走行経路計画を計算および最適化するために、例えば、(局所的に)連続的なまたは(全体的な)離散最適化技法が、これらのアプローチの範囲内で使用される。
【0005】
離散的計画および最適化技法は、適切な意思決定の可能性をもたらすが、実行される計算の多様性が理由で、時間の大きい消費があり、これは、現在の運転状況に素早く反応するためのオンラインまたはリアルタイム計算を妨げるという欠点も有する。
【0006】
一般的に、局所的な連続的計画および最適化技法は、素早く最適化された解決策を与えるが、動的な車両環境において生じる組合せのタスクを処理するために、適切なやり方で初期化されなければならない。
【0007】
現代の自動車車両では、運転者支援システム(ADAS - 先進運転支援システム)は、自動車車両の運転をより安全にさせるためにモニタリング機能および指示機能の多様性をもたらす。この場合には、自動車車両の環境は、自動車車両上の1つまたは複数の環境センサから得られる環境データに基づいて自動車車両の行程のコースに関してモニタされる。
【0008】
知られている運転者支援システムは、例えば、自動車車両が車線内にあるか、および運転手が車線の片側に意図せずに漂っていないか、または車線を離れようとしているか決定する。これらの運転者支援システムは、得られた環境データから道路の、詳細には、車線の「画像」を生成する。この場合には、運転中、例えば、縁石、車線境界ライン、車線標識、方向矢印などの対象が検出され、追跡される。他の自動車車両などの移動している対象が、検出され、運転(トラッキング)中追跡される。
【0009】
さらに、いわゆる「ブラインドスポットモニタ」が、現代の運転支援システムに含まれる。これは、例えばレーダー、ライダー、ビデオなどによって、別の自動車車両、道路使用者、または物体が、自動車車両の横および/または背後にあるか判定し、その結果、対象の自動車車両の車線変更または旋回がそれとの衝突という結果になり得る。
【0010】
さらに、いわゆるACCシステム(アダプティブ・クルーズ・コントロール)では、自動車車両の自動速度制御は、前方で運転している自動車車両の速度に適合させられる。この場合には、前方で運転している自動車車両までの特定の距離が常に満たされているべきである。この目的のために、そのようなシステムは、危機的な状況が生じるように前方で運転している自動車車両の経路を横切る自動車車両を回避するために、前方で運転している自動車車両の移動方向および/または速度を決定する。一方で、これは、車線変更または旋回動作に関し、他方で、追突事故に関する。
【0011】
人により制御される自動車車両では、通常、運転者支援システムは、危機的な状況または対応する操作について運転手に警告するために、あるいは自動車車両に適切な操作を運転手に示唆するために、指示機能を与える。同様に、運転者支援システムは、自律的なコントローラに適切な環境データを与えるために自律的に制御される自動車車両にも使用され得る。
【0012】
根本的な問題
道路交通では、運転手または自動車車両の(部分的に)自律的な運転者支援システムが所定の運転操作を行うことを必要とする状況が生じ得る。例えば、曲がった車線のコースは、自動車車両の対応する運転操作をすでに必要とし得る。
【0013】
しかしながら、対象の自動車車両の現在の状況は一定でなく、しかしむしろ実際には連続的に変化する。例えば、他の道路使用者は、事故の結果として意図的にまたは意図せずに車線変更または速度変更を行う場合がある。加えて、自動車車両の現在の運転状況は、運転の挙動および/または変更する車線コースが理由ですでに変化している。現在の状況におけるそのような変化に、適切にタイミング良く反応することは、従来の運転者支援システムと人の運転手の両方にとって大きな課題である。この目的のために、従来の運転者支援システムは、例えば、現在の運転状況において自動車車両が従うことが意図されている移動経路(走行経路)を計算する。今日では、複雑で動的に変化する交通状況、および次第に混雑する交通は、これらの従来の運転者支援システムによって増加するリソース使用に反映されている。加えて、実行速度に対する制限が、従来の運転者支援システムにおける計算された走行経路の連続的最適化に課される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、目的は、自動車車両の現在の交通状況に従って自動車車両の運転の安全性および運転の快適さをロバストに向上させる自動車車両のための制御システムおよび制御方法を提供することである。この場合には、意図は、従来の制御システムおよび方法と比較してコンピューティング時間を減少させることにもある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本目的は、請求項1の特徴を有する制御システム、および請求項11の特徴を有する制御方法によって実現される。
【0016】
好適な実施形態は、従属請求項2から10および12から、ならびに以下の説明から明らかになる。
【0017】
一態様は、自動車車両に用いるために、自動車車両に配置された少なくとも1つの環境センサから得られる環境データに基づいて自動車車両の前方、すぐ側方、および/または背後の領域内で車線、道路境界、路面標示、および/またはさらなる自動車車両を検出するように構成および意図されている制御システムであって、少なくとも1つの環境センサは、制御システムの電子コントローラに自動車車両の前方、すぐ側方、および/または背後の領域を表す環境データを与えるように構成されている、制御システムに関する。制御システムは、与えられた環境データに基づいて自動車車両の現在の運転状況に関連する情報を決定し、自動車車両の現在の運転状況に関連する情報に基づいて自動車車両についての未来の運転操作の少なくとも1つの構成要素を決定するように少なくとも構成および意図されている。制御システムは、自動車車両についての未来の運転操作の決定された構成要素に基づいて自動車車両についての複数のモデル走行経路を決定し、自動車車両についての複数のモデル走行経路から、旅の更なる過程において/更なる行程において(in dessen weiterem Fahrtverlauf)自動車車両が従うことが意図される自動車車両についての走行経路を決定するようにも少なくとも構成および意図されている。最後に、制御システムは、自動車車両の現在の運転状況に関連する情報および/または与えられた環境データを更新し、目的関数を用いて、ならびに与えられた更新された環境データに基づいて、および/または自動車車両の現在の運転状況に関連する更新された情報に基づいて、自動車車両についての走行経路を適合させるように少なくとも構成および意図されている。
【0018】
未来の運転操作の構成要素は、未来の運転操作の横方向構成要素であり得る。さらに、それは、前後方向構成要素であり得る。未来の運転操作の構成要素は、横方向構成要素と前後方向構成要素の組合せも含んでもよい。
【0019】
横方向構成要素は、例えば、車線維持、左への車線変更、および/または右への車線変更を含んでもよく、それぞれは、自動車車両によって現在使用されている車線から始まる。
【0020】
前後方向構成要素は、例えば、自動車車両の前後方向速度および/または前後方向加速度を含むことができる。代替としてまたはさらに、前後方向構成要素は、対応する出力信号に従ってアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、および/またはアダプティブ・シャシー・コントロール(DCC)、ならびに/あるいは緊急ブレーキを実行するまたは少なくとも開始することができる自動車車両の1つまたは複数の電子制御システムについてのデータ信号および/または制御信号を含むことができる。
【0021】
制御システムは、運転操作の事前選択および/または運転操作の選択に基づいてモデル走行経路を決定し、さらにモデル走行経路を作成するために、運転操作の事前選択および/または運転操作の選択を行うように構成および意図され得る。
【0022】
旅の更なる過程/更なる行程(Ein Beginn des weiteren Fahrtverlaufs)の始まりは、現在の運転状況の終わりを時間的に示すことができる。
【0023】
目的関数を用いる、ならびに与えられた更新された環境データに基づく、および/または現在の運転状況に関連する更新された情報に基づく、自動車車両についての走行経路の適合は、連続的にまたは特定の間隔で実行することができる。この場合には。新しい適合は、目的関数の再初期化を必要とし得る。
【0024】
制御システムは、自動車車両についての走行経路を適合させるための目的関数と同じである目的関数を用いて複数のモデル走行経路から走行経路を決定するように構成および意図され得る。
【0025】
同じ目的関数は、例えば、モデル走行経路を決定するときに使用することもできる。
【0026】
したがって、比較のオプションが、上述した目的関数の再初期化中に与えられ得る。
【0027】
目的関数は、例えば、コスト関数であり得る。
【0028】
特定の例示的な実施形態によれば、自動車車両の現在の運転状況に関連する情報は、その現在使用されている車線からの自動車車両の少なくとも横方向距離を含む。これらの場合には、制御システムは、車線維持としてまたは車線変更としてその現在使用されている車線からの自動車車両の横方向距離に基づいて未来の運転操作の構成要素を決定するようにも構成および意図され得る。
【0029】
この場合には、横方向距離は、例えば、車両の前後方向軸に対して測定され得る。車線変更は、左への車線変更および右への車線変更を含むことができる。車線維持は、左側の車線維持、中心における車線維持、および/または右側の車線維持を含むことができる。
【0030】
自動車車両の現在の運転状況に関連する情報は、自動車車両の環境中のそれらの現在使用されている車線からの1つまたは複数のさらなる自動車車両(またはそれらのそれぞれの前後方向軸)の横方向距離を含むこともできる。
【0031】
特定の例示的な実施形態によれば、自動車車両の現在の運転状況に関連する情報は、さらなる自動車車両からのその現在使用されている車線に沿った自動車車両の前後方向距離を含むこともできる。これらの場合には、制御システムは、未来の運転操作の決定された構成要素に基づいておよびさらなる自動車車両からの自動車車両の前後方向距離に基づいて未来の運転操作のさらなる構成要素を決定するように構成および意図することができる。
【0032】
代替としてまたはさらに、自動車車両の現在の運転状況に関連する情報は、自動車車両とさらなる自動車車両の間の相対速度および/または相対加速度を含んでもよい。しかし、この場合には、相対加速度は、制御システムまたは自動車車両のさらなる電子コントローラによって相対速度から得られなくてもよいものであり得る。
【0033】
さらなる構成要素は、上述した前後方向構成要素とすることができるが、本開示は、それに限定されない。
【0034】
さらなる自動車車両は、静止(駐車)した自動車車両または動いている自動車車両であってもよい。
【0035】
特定の実施形態によれば、制御システムは、離散サンプリング値の形態の与えられた環境データに基づいて自動車車両の現在の運転状況に関連する情報を決定するようにも構成および意図され得る。
【0036】
この場合には、制御システムは、グラフのノードおよび/またはエッジとして複数または全部の離散サンプリング値を決定し、決定されたノードおよび/またはエッジから接続されたグラフを決定するようにも構成および意図され得る。これは、離散サンプリング値を決定および処理するためのグラフベースの方法を実施することを可能にさせる。
【0037】
この場合には、制御システムは、走行経路のための停止点としてグラフのノードおよび/またはエッジを選択し、選択された停止点間のスプラインベースの補間によって自動車車両についての走行経路を計算するようにも構成および意図され得る。
【0038】
特定の例示的な実施形態によれば、制御システムは、連続値の形態の更新された情報および/または更新された環境データを決定するようにも構成および意図され得る。
【0039】
本開示の範囲内で、連続値は、例えば、準連続値であってもよく、測定時間は、各値に割り当てられ、準連続値は、測定時間に従って組織化される。効率の理由から、連続値は、準連続値の一部、例えば、第2の準連続値ごと、または第3の準連続値ごとからのみなってもよい。
【0040】
この場合には、制御システムは、自動車車両についての走行経路を適合させるために、連続値の形態の更新された情報および/または更新された環境データと離散サンプリング値の形態の自動車車両の現在の運転状況に関連する情報を組み合わせるようにも構成および意図され得る。
【0041】
これは、走行経路のためのハイブリッド計画アプローチを実施することを可能にさせ、このアプローチは、離散および連続的計画と最適化法を組み合わせ、したがって個々の計画および最適化法の固有の不利を補償する。
【0042】
この場合には、離散サンプリング値の形態の自動車車両の現在の運転状況に関連する情報と更新された情報および/または連続値の形態の更新された環境データとの組合せは、目的関数を用いて自動車車両についての走行経路の適合を初期化および/または再初期化することを少なくとも含むことができる。
【0043】
代替としてまたはさらに、離散サンプリング値の形態の自動車車両の現在の運転状況に関連する情報と更新された情報および/または連続値の形態の更新された環境データとの組合せは、更新された情報に基づいておよび/または更新された環境データに基づいて連続値の決定を初期化および/または再初期化することを含むことができる。
【0044】
さらなる態様は、自動車車両における、自動車車両に配置された少なくとも1つの環境センサから得られる環境データに基づいて、自動車車両の前方、すぐ側方、および/または背後の領域内で車線、道路境界、路面標示、および/またはさらなる自動車車両を検出する制御方法であって、制御方法は、詳細には、上述した制御システムによって実行される、制御方法に関する。上記制御方法は、
与えられた環境データに基づいて自動車車両の現在の運転状況に関連する情報を決定するステップと、
自動車車両の現在の運転状況に関連する情報に基づいて自動車車両についての未来の運転操作の少なくとも1つの構成要素を決定するステップと、
自動車車両についての未来の運転操作の決定された構成要素に基づいて自動車車両についての複数のモデル走行経路を決定するステップと、
旅の更なる過程において/更なる行程において(in dessen weiterem Fahrtverlauf)自動車車両が従うことが意図される自動車車両についての走行経路を自動車車両についての複数のモデル走行経路から決定するステップと、
自動車車両の現在の運転状況に関連する情報および/または与えられた環境データを更新するステップと、
目的関数を用いて、ならびに与えられた更新された環境データに基づいて、および/または自動車車両の現在の運転状況に関連する更新された情報に基づいて、自動車車両についての走行経路を適合させるステップとを含む。
【0045】
さらに別の態様は、上述した制御システムを備える自動車車両に関する。
【0046】
従来の運転者支援システムと比較して、ここに示された解決策は、自動車車両およびさらなる自動車車両の現在の運転状況の正確な評価および正確な検出を改善する。加えて、自動車車両についての走行経路に関してリアルタイムで実行できる計画および最適化アプローチが提供され、離散計画アプローチと連続的計画アプローチを組み合わせることによって、自動車車両の未来の運転操作についての最良の可能な走行経路をロバストかつ素早く決定することを可能にさせる。
【0047】
したがって、この最良の可能な走行経路は、自動車車両の現在の交通状況に対する適切な反応として決定され得る。少なくとも1つの環境センサによって得られる環境データは、実際の交通および運転状況に従って絶えず変化し、周期的に更新され得る。
【0048】
対象の自動車車両の未来の運転操作についての走行経路が使用される場合、これは、走行経路を適合させるときに自動車車両の運転ダイナミクスおよび動的に変化する環境が考慮に入れられることによって自動車車両の運転の快適さおよび運転の安全性を向上させる。
【0049】
上述した態様および特徴が必要に応じて、制御システムおよび/または制御方法において組み合わされてもよいことが当業者に明らかである。上述した特徴の一部は、制御システムに関して説明されたが、これらの特徴が制御方法にも適用できることは言うまでもない。制御方法に関して上述した特徴は、制御システムに対応するやり方で同様に適用することができる。
【0050】
さらなる目標、特徴、利点、および可能な用途は、限定的なやり方で理解されるべきではない例示的な実施形態の下記説明から関連図面を参照して現れる。この場合には、単独でまたは任意の所望の組合せで図面において説明および/または図示された全ての特徴は、本明細書に開示した主題を示す。図に示された構成要素の寸法および比率は、ここで原寸に比例しない。同一または同一に作用する構成要素は、同じ参照符号を備える。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】特定の例示的な実施形態による制御システムおよび少なくとも1つの環境センサを有する自動車車両を示す概略図である。
【
図2】離散的計画および最適化アプローチを連続的な計画および最適化アプローチと概略的に比較する図である。
【
図3】特定の例示的な実施形態による自動車車両についての走行経路を計画し、適合させるハイブリッドアプローチのアーキテクチャを示す概略図である。
【
図4】特定の例示的な実施形態による、(左側の)横方向操作の構成要素を決定し、および(右側の)前後方向操作の構成要素を決定するための概略図である。
【
図5】特定の例示的な実施形態による、自動車車両についての選択された走行経路を適合させるための概略図である。
【
図6】特定の例示的な実施形態による、自動車車両についての走行経路を計画および適合するハイブリッドアプローチの文脈の範囲内にある
図2に示された計画アプローチの関係を示す概略図である。
【
図7】特定の例示的な実施形態による自動車車両についてのモデル走行経路および選択された走行経路を示す概略図である。
【
図8】特定の例示的な実施形態による制御方法のフローチャートを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の開示の範囲内で、いくつかの態様が、制御システムを参照して主に説明される。しかしながら、これらの態様が、例えば、自動車車両の中央制御装置(ECU)によって実行することができる開示した制御方法の範囲内でも有効であることは言うまでもない。これは、自動車車両に割り当てられたメモリへの適切な読み書きアクセスを実行することによって実施することができる。制御方法は、ハードウェアとソフトウェアの両方を用いて、ならびにハードウェアとソフトウェアの組合せを用いて自動車車両内部で実施することができる。これらは、デジタル・シグナル・プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、およびさらに適切なスイッチングおよびコンピューティング構成要素も含む。
【0053】
図1は、制御システム10を備える自動車車両12を概略的に示す。制御システム10は、少なくとも1つのセンサ14、16、18から環境データを受け取るために、自動車車両12上の少なくとも1つの環境センサ14、16、18に結合されている。制御システム10は、電子コントローラECU(電子制御ユニット;図に示されず)を備えることができる。例えば、本制御システム10は、ECUおよび/またはさらなる電子制御システムの助けを借りて、更なる行程において(im weiteren Fahrtverlauf)自動車車両12が従うことが意図されている自動車車両12についての走行経路を決定するように少なくとも構成および意図することができる。この目的のために、ECUは、環境センサ14、16、18から信号を受け取り、例えば、これらの信号および関連した環境データを処理し、対応する制御信号および/または出力信号を生成する。
【0054】
図1は、対応する信号を制御システム10または電子コントローラECUへ送信する3つの環境センサ14、16、18を示す。詳細には、自動車車両12の進行方向に前方を向き、自動車車両12の前方の領域22を捕捉する少なくとも1つの環境センサ14は、自動車車両12に配置されている。この少なくとも1つの環境センサ14は、例えば、自動車車両12のフロントフェンダ、フロントライト、および/またはフロントラジエータグリルの領域内に配置することができる。結果として、環境センサ14は、自動車車両12の真正面で領域22を捕捉する。
【0055】
同様に自動車車両12の進行方向に前方を向く少なくとも1つのさらなるまたは代替の環境センサ16が、自動車車両12のフロントガラスの領域内に示される。例えば、この環境センサ16は、自動車車両12の内部のバックミラーとそのフロントガラスの間に配置することができる。そのような環境センサ16は、自動車車両12の前方で領域24を捕捉し、自動車車両12の形状に応じて、自動車車両12の直ぐ前の領域24は、自動車車両12の前部(またはその幾何学的形状)が理由で捕捉できない。
【0056】
さらに、少なくとも1つの環境センサ18は、自動車車両12の側部および/または後部に配置されてもよい。このオプションの環境センサ18は、自動車車両12の進行方向に自動車車両12の横におよび/または自動車車両12の背後にある領域26を捕捉する。例えば、この少なくとも1つの環境センサ18からのデータまたは信号は、他の環境センサ14、16により捕捉された情報を検証するために、および/または自動車車両12によって使用されている車線の曲率を決定するために使用され得る。
【0057】
少なくとも1つの環境センサ14、16、18は、任意の所望のやり方で実施することができ、フロントカメラ、リアカメラ、サイドカメラ、レーダーセンサ、ライダーセンサ、超音波センサ、および/または慣性センサを含み得る。例えば、環境センサ14は、フロントカメラ、レーダーセンサ、ライダーセンサ、または超音波センサの形態で実施することができる。詳細には、フロントカメラは、より高い環境センサ16に適しているのに対して、自動車車両12の後部に配置された環境センサ18は、リアカメラ、レーダーセンサ、ライダーセンサ、または超音波センサの形態で実施することができる。
【0058】
電子コントローラECUは、自動車車両12の静的環境(移動不可能な環境物体、例えば、道路境界、車線標識、静止障害物)、および動的環境(移動可能な環境物体、例えば、他の移動している自動車車両または道路使用者)に関連する情報を得るために、自動車車両12上の環境センサ14、16、18から得られる環境データを処理する。
【0059】
したがって、電子コントローラは、自動車車両12によって使用されているとともに、自動車車両12の前方で第1および第2の側方車線境界を有する車線を捕捉するために、自動車車両12上の環境センサ14、16、18から得られる環境データを処理する。電子コントローラECUは、さらなる道路使用者、例えば別の自動車車両によって使用されている(対象の車両によって使用されている車線に隣接している(ただし、隣接は、隣接した車線間に1つまたは複数のさらなる車線がある場合も意味する))車線を捕捉するために、自動車車両12上の環境センサ14、16、18から得られる環境データをさらに処理し、その側方車線境界は、自動車車両12の前方にある。他の自動車車両またはさらなる道路使用者は、この場合には静止していてもよく、または自動車車両12の進行方向にもしくはその反対に移動していてもよい。
【0060】
この目的のために、環境センサ14、16、18は、電子コントローラECUに車両の前方、すぐ側方、および/または背後の領域を表す環境データを与える。この目的のために、制御システム10は、(
図1に破線を用いて示される)少なくとも1つのデータチャンネルまたはバスを介して少なくとも1つの環境センサ14、16、18に接続される。データチャンネルまたはバスは、ケーブルによってまたは無線のやり方で確立され得る。
【0061】
代替としてまたはさらに、制御システム10またはその電子コントローラECUは、自動車車両12の1つまたは複数の他の支援システム20(以下、運転者支援システム20とも呼ばれる)または別のコントローラ20からデータを受け取ることもでき、このデータは、対象の自動車車両12およびさらなる道路使用者によって使用されておりその側方車線境界を有する車線を示し、そこから得ることができる。したがって、他のシステムによってすでに決定されたデータおよび情報が、制御システム10によって使用され得る。
【0062】
さらに、制御システム10またはその電子コントローラECUは、環境センサを用いて、つまり、少なくとも1つの環境センサ14、16、18の助けを借りて得られる環境データに基づいて運転状況を決定する。この場合も、すでに存在している運転者支援システム20または電子コントローラ20は、代替としてまたはさらに、データおよび/または情報を与えることができ、これは、運転状況を定め、またはそこから運転状況が素早く得られ得る。次いで、決定された運転状況に応じて、少なくとも1つの可能な走行経路が決定され、この走行経路は、更なる行程において自動車車両12が従うことが意図されている。この走行経路は、自動車車両12の現在の運転状況の変化に実質的にリアルタイムで適合され、言い換えれば、走行経路が最適化される。
【0063】
運転者支援システム20または電子コントローラ20は、(部分的に)自律的なやり方で自動車車両を制御するようにも構成および意図され得る。この場合には、制御システム10は、自律的な運転についてのデータを運転者支援システム20または電子コントローラ20に出力するように構成および意図されている。詳細には、制御システム10(またはそのECU)は、さらなるコースにおいて自動車車両12が従うことが意図される(例えば、適合の直後に始まる、または現在の運転状況の終わりから始まる)決定された走行経路および/または適合された走行経路のコースを示すデータを構成要素20へ出力することができる。同様に、データは、有線のやり方でまたは無線でデータチャンネルまたはバスを介して送信されてもよい。
【0064】
自動車車両12についての走行経路をリアルタイムで計画および適合することへのアプローチは、本開示の範囲内で示されるように、制御システム10が利用できるようになされた環境データの離散的な(サンプリング)値と連続値(または少なくとも準連続値)の組合せに基づく。
図2は、特定の例示的な実施形態に使用されるときの離散値(上の図)および連続値(下の図)に基づいて走行経路計画および最適化についてのアプローチを比較する。
【0065】
図2の上のイメージでは、自動車車両12は、車線の道路36の右側車線に示されている。右側車線は、右側車線標識30によっておよび左側車線標識32によって境界が付けられる。車線標識32は、道路36の左側車線の右側車線標識を同時に構成しており、道路36は、左側車線標識34によって左側に境界が付けられている。しかし、車線標識32は、道路36の仮想中心線である必要はないものであり得る。代替として、車線標識32は、実際に道路36上に存在することもできる。自動車車両12の前方のある距離に、道路36の右側車線に別の(さらなる)自動車車両28が存在する。この例では、他の自動車車両28は、静止していてもよく、または同様に自動車車両12の進行方向に移動していてもよい。例えば、自動車車両12は、速度制御(コンボイ)に基づいて距離が一定に満たされた状態で他の自動車車両28の背後で運転することができる。運転者支援システム20は、例えば、この目的のために適切なデータを出力することができる。
【0066】
図2の上の図の自動車車両12のコンボイのために、自動車車両12の制御システム10は、少なくとも1つの環境センサ14、16、18を使用して、他の自動車車両28を捕捉し、自動車車両28に関連する行程に関する情報を決定する。本開示の範囲内で、他の自動車車両28に関連するこの行程に関する情報は、自動車車両12の現在の運転状況に関連する情報に含まれ得る。自動車車両12の現在の運転状況に関連する情報は、例えば、現在の速度、および/または現在の加速度、ならびに/あるいは自動車車両12の現在の衝撃をも含み、これらは、自動車車両12のさらなる制御システムまたはECUによって制御システム10が適切なやり方で利用できるようになされている。現在の速度は、横方向速度および/または前後方向速度であってもよい。現在の加速度は、横方向加速度および/または前後方向加速度とすることもできる。最後に、衝撃は、横方向衝撃および/または前後方向衝撃でもあり得る。
【0067】
さらに、自動車車両12の現在の運転状況に関連する情報は、自動車車両12と自動車車両28の間の距離、および/または自動車車両12と自動車車両28の間の相対速度、および/または自動車車両12と自動車車両28の間の相対加速度を含み得る。距離、相対速度、および相対加速度は、横方向距離および/または前後方向距離、相対速度、ならびに/あるいは相対加速度であり得る。それらを決定するために、制御システム10は、例えば少なくとも1つの環境センサ14、16、18によって与えられる環境データに基づいて、他の自動車車両28までの横方向距離および前後方向距離、ならびに横方向速度および前後方向速度、ならびに他の自動車車両28の加速度を決定することができ、それらを自動車車両12の横方向速度および前後方向速度に関連付けることができる。
【0068】
図2の上のイメージでは、(黒い正方形によって示される)離散値は、少なくとも1つの環境センサ14、16、18により与えられる環境データから制御システム10によって決定される。制御システム10は、これらの離散値(以下、サンプリング値とも呼ばれる)を用いて、
図2の上の図に示された走行経路(自動車車両12の正面でそれぞれ始まり、現在の車線のコースに従う、または左もしくは右への車線変更を示す曲線)を決定し、これらの走行経路から最良の可能な走行経路38を選択する。したがって、離散的(サンプリングベースの)計画および最適化アプローチは、この場合に伴われる。
【0069】
この場合には、選択は、例えば、目的関数を用いて、とりわけ自動車車両12の運転の快適さおよび運転手の安全性についての仕様に基づいて行われる。他の自動車車両28が現在の運転状況において自動車車両12よりも低い速度を有し、例えば、したがって追い越されなければならない
図2の上の図の例では、走行経路38が選択される。車線標識の右へ道路36のさらなる車線がないので、自動車車両12は、追い越しのために道路36の左側車線へ引き出されなければならない。これが自動車車両12の運転手にとって快適なやり方で行われ、かつ同時に衝突が回避されるように、走行経路38がここで選択され、これは、何らぎくしゃくした運転操作(左への車線変更)を必要とせず、追い越し中に前方で運転している自動車車両28に対して十分な安全距離を残し、これにより追突事故のリスクを少なくとも最小化する。
【0070】
状態空間が高次元のため、現在の運転状況において最良の可能な解決策を見つけると、このために使用される制御システムの効率の悪い高いコンピューティング時間という結果になり得る。したがって、離散サンプリング値の個数の増加と決定されるモデル走行経路の個数の増加、そして最終的にこれらのモデル走行経路からの最良の可能な走行経路を選択することが、必要なコンピューティング時間を増加させるので、自動車車両12の現在の運転状況における(全体的に)最良の可能な解決策を見つけることと、この目的のために使用されるコンピューティング時間との間で折り合いを見つけることが必要であり得る。他方で、そのような大量のデータを実際に処理するのに、または少なくともそれを効率的に処理するのに、従来の制御システムにおいて利用できるリソースがあまりに少ないというリスクがある。さらに、動的な車両環境を考慮すること、および時間的構成要素を含めることにより、コンピューティングの複雑さを増大させ、したがってコンピューティング時間を増加させ得る。
【0071】
この点においてより高速な解決策を得るために、例えば、連続的な計画または最適化アプローチが使用され得る。そのようなアプローチの図が、
図2の下の図に示されている。この場合には、本例では、
図2の上の図を参照して決定された走行経路38が、最適化または適合されている。したがって、走行経路38は、所望の運転の快適さおよび現在の運転状況についての必要な運転の安全性に基づいて、
図2の下の図においてさらに改善される。この場合には、走行経路38上の黒い点の各々は、この走行経路28の(準)連続値を表し、自動車車両12によってさらなる自動車車両28を追い越すより一層滑らかでより安全な動作が実現され得るように(道路36に直角な)横方向および/または(道路36に沿った)前後方向に走行経路38を選択した後、制御システム10によって適合され得る。この例において、最後の準連続値は、走行経路38の終わりを示す
図2の上の図の黒い正方形に一致する。上の図および下の図において黒で囲まれた白い点は、各々、道路36上の横方向および前後方向に走行経路が決定および適合されるための(自動車車両12の正面で)開始点を示す。連続的な計画および最適化アプローチが使用される場合、離散化が理由で情報は失われないが、これらは、概して局所的な計画および最適化アプローチであり、これは、適切な初期化を必要とするとともに、したがって適切な再初期化も必要とする。例えば、
図2の下の図を参照して上述した開始点は、連続的な計画および最適化アプローチの初期化または再初期化点を表すことができる。加えて、これらのアプローチは、初期化および/または再初期化点の領域内の極小に向けて収束する。したがって、不十分に、不適当にロバストな初期化または再初期化は、コンピューティングの複雑さの増加という結果になり得る。
【0072】
本開示の範囲内で、制御システム10は、更なる行程において自動車車両12が従うことが意図されている走行経路を計画および最適化するために、上に示した離散的計画および最適化アプローチと、上に示した連続的な計画および最適化アプローチとを組み合わせるように、構成および意図されている。言い換えれば、制御システム10は、自動車車両12の未来の行程についての最良の可能な走行経路を決定し、リアルタイム(オンライン)で自動車車両12の現在の運転状況にそれを少なくとも実質的に適合させるために、ハイブリッド計画および最適化アプローチを使用する。組み合わされる個々の離散的および連続的な計画および最適化アプローチは、この場合には、
図2を参照して上述した例に限定されない。むしろ、制御システム10は、全ての適した離散的計画および最適化アプローチと全ての適した連続的な計画および最適化アプローチとを組み合わせるように構成および意図されている。これらは、とりわけ、決定木またはランダムフォレスト、決定論的離散化法、および/または三次多項式、および/あるいは四次もしくは五次またはより高次多項式による(連続的な)スプラインベースの補間を含み、この場合には、このリストは、決定的と理解されるべきではない。
【0073】
図3は、詳細にはここに示された制御システム10および制御方法がベースとされ、走行経路または複数の走行経路を計画し、自動車車両12の更なる行程についての計画した走行経路の最良の可能な走行経路を決定するために、本開示の範囲内に示され、制御システム10が利用できるようになされた環境データの連続値および離散値の組合せに基づいているアプローチの概要を示す。まず第1に意思決定レベル上で制御システム10により操作事前選択が行われることがこれより明らかになる。この操作事前選択は、例えば、制御システム10が利用できるようになされた環境データに基づいて行われ得る。制御システム10によって使用される計画および最適化アプローチのアーキテクチャの説明の範囲内で、適切な点において
図4および
図5の参照がさらになされる。
【0074】
例えば、制御システム10による自動車車両12の現在の運転状況を解析するときに、自動車車両12のうち前方で運転している別の自動車車両が激しくブレーキをかけたために追い越し運転を開始しなければならないことに出くわし場合、操作事前選択は、車線変更を含み得る。概して、少なくとも車線変更および車線維持の操作が、基本的な操作のセットに含まれてもよく、そこから操作事前選択が行われる。
【0075】
図4は、本開示の範囲内で、操作事前選択(これは、後で実行される操作選択に同様に当てはまる)がどのように実行され得るかの概要を示す。この例によれば、まず第1に、(横方向操作の構成要素とも呼ばれる)横方向操作が、少なくとも1つの環境センサ14、16、18による、制御システム10が利用できるようになされた環境データに基づいて選択される。この場合には、自動車車両12の静的環境と動的環境の両方が検討される。代替として、静的な車両環境または動的な車両環境だけが、検討されることもできる。上述した自動車車両12の追い越し操作中、決定は、激しくブレーキをかけている他の自動車車両28が理由で、ここで車線変更の横方向操作を与える(
図4参照)。2車線の道路36が理由で、道路36の左側車線において自動車車両12が他の自動車車両28を追い越す追い越し運転だけが可能であるので、左への車線変更が、低い意思決定レベルで制御システム10によって選択される。
図4の左側に例示で示されたさらなる代替は、例えば、自動車車両28の背後で自動車車両12の距離制御されたコンボイ中に、上述したもの以外のシナリオにおいて使用され得る車線維持を表す。例えば、自動車車両12についての続く運転操作を準備するために、車線維持は、左側で車線維持、中央で車線維持、および右側で車線維持に分けることもできる(
図4に図示せず)。しかしながら、本開示は、上記の横方向操作クラスに限定されない。代替として、より多いもしくはより少ないまたは異なる操作が定められてもよく、これにより操作または操作の構成要素が事前選択される。それは、続いて行われる操作選択に当てはまり得る。
【0076】
本例では、決定された横方向操作の構成要素に基づいて、次いで、前後方向操作または前後方向操作の構成要素が決定される。しかしながら、本開示は、それに限定されない。代替として、横方向操作の構成要素および前後方向操作の構成要素は、制御システム10によって互いから独立して決定することもできる。しかしながら、この場合は、
図4の右側の図から明らかなように、横方向操作の構成要素を決定するために、横方向操作の構成要素、およびさらに加えて静的環境および/または動的環境が制御システム10により使用される。横方向操作の構成要素は、例えば、自動車車両12によって現在使用されている道路に沿った特定の点に関連した特定の絶対的または相対的距離、速度、および/または加速度の仕様の形態で存在することができ、これにより運転される走行経路は、走ることが意図される。次いで、これらの仕様は、例えば、自動車車両12の運転者支援システム20および/またはさらなる電子コントローラ20によって実施することができる。この目的のために、運転者支援システム20は、アダプティブ・クルーズ・コントロール・アシスタント、および/またはアダプティブ・シャシー・コントロール・アシスタント、および/または緊急ブレーキ・アシスタントを指し得る、または含むことができる。
【0077】
図3から明らかなように、操作事前選択または対応するデータ(つまり、選択された操作示すデータ)は、制御システム10の走行経路計画レベルへ操作仮定として送信される。これらのデータは、(
図3においてサンプリングベースの走行経路プランナと呼ばれる)計画モジュールによってそこで読み込まれまたは取り込まれる。これは、走行経路の計画を始め、そこから自動車車両12の更なる行程のために走行経路が続いて選択される。言い換えれば、サンプリングベースの走行経路プランナは、
図2の上の図を参照して上述した走行経路候補についての離散的計画アプローチ(モデル走行経路とも呼ばれる)を実施する。
【0078】
まず第1に、サンプリングベースの走行経路プランナは、離散的なサンプリング状態を生成し、これは、(自動車車両12の進行方向に)離散的な前後方向値、および(自動車車両12の進行方向を横断する)離散的な横方向値で構成される。言い換えれば、この計画段階では、制御システム10のサンプリングベースの走行経路プランナは、横方向および前後方向状態を設定し、次いで横方向および前後方向状態は、走行経路を生成するときに使用される。しかし、これらの横方向および前後方向状態は、
図4を参照して説明される横方向および前後方向操作の構成要素に対応する必要がなくてもよい。
【0079】
同様に、走行経路処理も、走行経路計画レベルで行われる。ここで、離散的な横方向および前後方向状態、または横方向および前後方向操作の構成要素、あるいはこれらの横方向および前後方向状態または操作の構成要素の組合せが、例えば、
図3の走行経路生成の一部として生成される1つまたは複数のモデル走行経路の停止点として使用される。モデル走行経路の停止点については、制御システム10は、例えば、同じ時間インスタンスをそれぞれ有する横方向状態および前後方向状態を組み合わせることができ、つまり、特定の未来の時間において、自動車車両12によって現在使用されている道路上の横方向および前後方向の点を示しており、これを通じて、生成されるべきモデル走行経路がのびることが意図される。
【0080】
任意選択で、したがって
図3に破線の長方形で示されているが、生成されたモデル走行経路のうちの1つまたは複数の短縮された最適化(事前最適化)または適合は、すでに実行され、制御システム10によって促されてもよい。これは、後述される最適化アプローチによって、または別の適した最適化アプローチを用いて実行され得る。
【0081】
最後に、
図3に示された走行経路選択の一部として、現在の運転状況についての最良の可能な走行経路、または自動車車両12の未来の行程が、生成されたモデル走行経路から選択される。本例では、この選択は、コスト関数に対応し得る目的関数を用いて行われる。モデル走行経路を決定するときに、同じ目的関数がすでに使用されていることもあり得る。この選択は、これまで操作仮定に単に基づいてきたので、サンプリングベースの走行経路プランナによって生成された全てのデータおよび/または走行経路は、意思決定レベルでモジュールへ戻される(「操作選択」へ至る
図3の破線矢印を参照)。
【0082】
例えば、現在の運転状況における自動車車両12の動的環境および静的環境、ならびにそこから選択されたモデル走行経路および/または走行経路の運転の快適さおよび実現可能性に関連する目標状態は、目的関数に含まれる。1つまたは複数の目標状態は、例えば、ことによっては1つまたは複数の時間インスタンスと対をなす、横方向および/または前後方向の自動車車両12の現在の道路上(または隣接した車線内)の点であり得る。
【0083】
図3から明らかなように、操作仮定、つまり、全てのサンプリング値および生成された(および、ことによると事前最適化された)モデル走行経路に基づいてサンプリングベースの走行経路プランナによって生成される全てのデータ、ならびに走行経路選択に関連するデータは、制御システム10の走行経路最適化モジュールが利用できるようにさらになされる。したがって、変化した運転状況への走行経路適合という意味の最適化は、操作事前選択または操作仮定に基づいて選択された走行経路についてすでに実行されていてもよい。
【0084】
リアルタイムで結果として得られる最適化および適合データは、サンプリングベースの走行経路プランナによって与えられるデータと適切に組み合わせられ、評価された操作仮定の一部として確認される。後者は、オンライン走行経路適合中に得られるデータを含めることによって可能にされる。それぞれのデータは、操作仮定を確認するために、制御システム10のモジュールが利用できるように個々になされることもできる。
【0085】
評価された操作仮定に基づいて、操作選択が、例えば、制御システム10の意思決定モジュールによって、意思決定レベルで行われる。しかし、ここで、操作事前選択を参照してすでに上述したのと同じ操作は、選択のために利用できる必要がなくてもよい。次いで、選択された操作、およびこの操作に対応するデータは、計画レベルでサンプリングベースの走行経路プランナへ供給される。加えて、操作事前選択の一部として得られるデータは、ここで操作選択に含まれ得る。
【0086】
サンプリングベースの走行経路プランナは、横方向および前後方向状態および/または横方向および前後方向操作の構成要素のセッティングを含むサンプリング状態を生成し、走行経路選択、およびことによりモデル走行経路および走行経路選択の短縮された(事前)最適化を含む走行経路を処理する上述の動作を繰り返す。
【0087】
最後に、選択された走行経路(
図3の開始走行経路とも呼ばれる)が、依然として走行経路計画レベルで、制御システム10の走行経路最適化モジュールへ供給される。この走行経路最適化(本開示の範囲内で走行経路適合とも呼ばれる)はオンラインで、つまりリアルタイムでまたは少なくともほぼリアルタイムで実行され、連続的におよび/または特定の離散的な時間で初期化および/または再初期化され得る。次いで、制御レベルで、最適化された(適合された)走行経路は、自動車車両12の電子コントローラ、例えば、運転者支援システム20またはさらなる電子コントローラ20が利用できるようになされる。走行経路を利用できるようにさせるこの動作は、適合された走行経路には当てはまらないだけでなく、第1の決定されたおよびしたがって理想的に事前最適化された(
図3参照、破線ベースを有する矢印によってそこに示される)開始走行経路にも当てはまらず、その結果、運転者支援システム20は、例えば、開始走行経路の適合の開始前に、または開始走行経路の適合の時間的に開始時に、自動車車両12をこの開始走行経路にすでに従わせることができる。
【0088】
図3からリアルタイムで実行される走行経路最適化からのデータは、サンプリングベースの走行経路プランナによって与えられるデータと適切に組み合わされ、評価された操作仮定の一部として確認される。したがって、次の計画サイクルが始まってよく、制御レベルで運転者支援システム20を与えるために、上述したステップの一部または全部が再び実行され、最良の可能な走行経路が自動車車両12のそれぞれの運転状況に適合される。詳細には、選択された走行経路は、現在の運転状況の変化に素早く(ほぼリアルタイムで)かつ効率的に反応することができるために、自動車車両12の現在の運転状況において何度も適合される。したがって、自動車車両12の運転手および/またはさらなる乗員の安全性および運転の快適さが向上する。
【0089】
次に、この最適化動作は、
図5および
図6を参照して再び説明される。
図5のフローチャート(これは、より詳細には、
図3を参照して説明される例に従って走行経路最適化を実行することができるが、これを実行する必要はない)は、まず第1に最適化問題の定式化を必要とする。さらなる道路使用者および/または他の物体との衝突を回避することに加えて、(部分的に)自律的な自動車車両における走行経路計画の重要な要因は、自動車車両12の乗員の運転の快適さが高いことを確実にすることである。これは、自動車車両12がその未来の行程において走行経路に従っている間に、ひどく高い(負または正の)加速力が自動車車両12に作用しないことによって実現される。このため、最適化問題は、それぞれの現在の運転状況において自動車車両12の加速度に基づいておよび/または衝撃に基づいて定式化される。この目的のために、本例では、自動車車両12の現在の運転状況の現在の時間インスタンスから始まり、(例えば、走行経路の時間的な計画の目標と一致する)続く時間インスタンスまでの衝撃の時間積分が、目的関数、例えばコスト関数の一部として使用される。衝撃の相対的コストは、自動車車両12の現在の運転状況についての最良の可能な走行経路を決定するために、この目的関数の一部として最小にされるべきである。さらに、衝撃に加えて、目標状態の逸脱(例えば、自動車車両12が、従っている走行経路の終わりで車線変更の場合に、現在使用されている車線の隣の車線の中心にあることが意図されるといったこと)は、さらなるコストの形態で上述の目的関数に付随して含まれ得る。この逸脱は、目標状態から横方向の逸脱だけに関係しているのではなく、前後方向の逸脱にも関係している可能性がある。代替として、および/またはさらに、走行経路が計画される上述の間隔の長さは、コストの形態の目的関数に付随的に含まれ得る。結果として、ある目的関数全体は、横方向および後方向の目的関数の組合せからもたらされることができ、個々の目的関数の各々または両方は、重みを受けることができる。対応する結果が最適化の再初期化が必要である場合に比較できることを確実にするために、この目的関数は、モデル走行経路を計画し、モデル走行経路から走行経路を決定するときにすでに使用されている可能性もある。
【0090】
図5から明らかなように、最適化問題は、自動車車両の現在のシステム状態に基づいて、および制御システム10が利用できるようになされた現在の環境データに基づいて解決される。この最適化問題の解決策は、例えば、
図3を参照して説明される走行経路最適化を表し得る。最適化問題を解決することの結果は、現在の時間インスタンスについて、または現在の時間インスタンスtで始まり、時間インスタンスt+Δtまで続く現在の計画期間にわたって、1つまたは複数の基準走行経路点を与える。制御システム10は、基準走行経路点から基準走行経路を生成することができる。この基準走行経路は、可能であれば、決定されて更なる行程において自動車車両12が従うことが意図されている走行経路によって満たされることが意図される。詳細には、制御システム10は、決定されて更なる行程において自動車車両12が従うことが意図されている走行経路の個々の特定の点および/または全ての点の逸脱を基準走行経路点から決定することができる。次いで、これらの逸脱は、自動車車両についての走行経路を適合させるときに使用され得る。
【0091】
次いで、動的な車両環境に関連する車両状態および環境情報が更新される(
図5参照)。この目的のために少なくとも1つの環境センサ14、16、18によって制御システム10が利用できるようになされ、そこから自動車車両12の現在の運転状況に関連する情報が得られる環境データは、連続的に更新される。これは、与えられる環境データの周期的な間隔ベースの更新であってもよく、または代替として、リアルタイムでの連続的な更新(オンライン更新とも呼ばれる)であってもよい。車両状態(自動車車両12のシステム状態とも呼ばれる)および環境情報に関連する更新された情報は、制御システム10によって再び戻され、解決されることになる次の最適化問題に使用される。例えば、更新されたデータは、サンプリングベースの走行経路プランナへ戻されてもよく(
図3参照)、決定された走行経路を適合させるためにおよび/または新しいモデル走行経路を生成するためにそこで使用される。次いで、さらなる処理または適合のための走行経路が、このやり方で新たで生成されたモデル走行経路から選択され得る。
【0092】
上述したアーキテクチャが理由で、示された離散的なおよび連続的な計画および最適化アプローチとの相互作用において、結果は、自動車車両12のための走行経路についてのハイブリッド計画および最適化アプローチであり、このハイブリッド計画および最適化アプローチは、これらのアプローチを組み合わせ、2つのアプローチの利点を組み合わせ、2つのアプローチの欠点を補償するまたは少なくとも減少させる。
【0093】
図6から明らかなように、全体的に最良の可能な走行経路38’は、まず第1に、
図2を参照して説明される離散的アプローチに類似するハイブリッド計画および最適化アプローチの範囲内で決定される。次いで、
図2を参照して説明される連続的な計画アプローチに類似する連続的な計画アプローチは、この決定された走行経路38’および走行経路38’を特徴付ける関連したデータを用いて初期化される。初期化については、次いで、いずれの場合も、そして、走行経路38’が、連続的な計画および最適化アプローチの助けを借りて自動車車両12の現在の運転状況にさらに適合される。
【0094】
走行経路38’以外の走行経路が、連続的な最適化アプローチの助けを借りて現在一般的な運転状況に適合されることが意図される場合、離散的計画アプローチの一部としてこの他の走行経路について決定されるデータに基づいて、連続的な最適化アプローチの初期化、つまり再初期化の必要もある。再初期化は、特定の時間インスタンスtに関連した計画および最適化のサイクルが終わったとき、および自動車車両12のシステム状態に関連するデータ、および/または環境データが更新されたときに必要とされる場合もある。次いで、再初期化は、例えば、時間t+Δtで始まる続く計画および最適化サイクルの初期化であり、同様のやり方で行われる。
【0095】
例えば、初期化および/または再初期化については、更新される走行経路38’についての開始状態および/または終了状態は、ことによってはこれらの開始状態および/または終了状態に到達するときに関連する時間的な情報とともに、連続的な計画アプローチを実行するための計画モジュールにデータとして送信される。したがって、概して、開始状態および/または終了状態は、時間インスタンスt(開始状態)およびt+Δt(終了状態)に関連する道路36上の横方向および前後方向の点である。最適化、つまり走行経路38’を自動車車両12の現在の運転状況に適合することの範囲内で、制御システム10は、離散的アプローチから特定のデータによって初期化または再初期化される連続的なアプローチを使用し、例えば、走行経路38’の特定の(補間された)点(
図6の下の図における補間状態を参照)と決定された基準走行経路の点(図に示されず)を比較するものであり、いずれの場合も同じまたは時間的に連続的な時間インスタンスを有する点が比較される。例えば、例えば、(前後方向またはx方向の)または道路36を横切る(横方向またはY方向の)道路36に沿ったある逸脱の結果が、予め定められた値よりも大きい場合、これらの個々の点は、基準走行経路の対応する点に対して最大の予め定められた逸脱が、少なくとも満たされまたはアンダーショットであるようにxおよび/またはy方向に適合される。したがって、適合は、走行経路38’の逸脱している点が基準走行経路の点と置き換えられることを意味する必要はなく、それは、基準走行経路の対応する点に対してまたは基準走行経路の別の適した点に対して逸脱している点の局所的な近似値(適合)であり得るものにすぎない。この場合も、運転ダイナミクスおよびしたがって快適さに関連したまたは安全性に関連した考慮は、可能な場合、高い加速力なしで、できるだけ滑らかであり、どうにかなる未来の運転操作、または対応する走行経路を決定するために役割を果たし、これは、自動車車両12についてのこの運転操作の時間的なおよび局所的なコースを示す。
【0096】
次いで、本開示のハイブリッド計画および最適化アプローチが使用されているさらなる例示的な運転状況が、
図7を参照して説明される。上の図は、他の自動車車両28の背後でコンボイにある自動車車両12を再び示す。現在の運転状況において自動車車両12によって続き得る複数の可能な走行経路は、さらに見られてもよい。これらの走行経路の決定は、例えば離散的計画および最適化アプローチによって得られる離散値のスプライン補間に基づき得る。
【0097】
本明細書に示される、限定的なやり方で理解されるべきでない例では、
図7の上の図の走行経路の決定は、グラフ理論の検討に基づく。この点において、グラフについてのノードおよび/またはエッジは、制御システム10によって特定の個数から、または全ての離散サンプリング値から決定され、(接続された)グラフ自体が最終的に決定される。次いで、これらのグラフの一部または複数または全部は、例えば、モデル走行経路を表し、これは、制御システム10のサンプリングベースの走行経路プランナ(例えば、
図3参照)によって決定され、そこか自動車車両12の未来の行程についての最良の可能な走行経路が、制御システム10によって決定される。ノード/エッジは、グラフまたは走行経路のスプラインベースの補間についての停止点を表すこともできる。したがって、グラフベースの方法は、離散サンプリング値を決定し、処理するために使用される。
【0098】
図7で行われるシナリオ、またはその現在の運転状況における自動車車両12についての最良の可能な走行経路の決定および適合、またはその現在の運転状況からの開始が、次いで、
図8に示される制御方法を参照してさらに説明される。
【0099】
図8は、自動車車両12上の少なくとも1つの環境センサ14、16、18から得られる環境データに基づいて例えば、自動車車両12の前方、すぐ側方、および/または背後の領域内の他の自動車車両28(
図7参照)の車線、道路境界、路面標示、および/またはさらなる自動車車両を検出する制御方法についてのフローチャートを示す。制御方法は、例えば、自動車車両12の上記の制御システム10によって実行されてもよい。制御システム10の一部として説明される全ての特徴は、制御方法のためにここで使用することもできる。詳細には、目的関数に関連する全ての上記の特徴、未来の運転操作の構成要素ベースの決定、離散的および連続的な計画および最適化アプローチの使用および組合せ、ならびに初期化および再初期化は、制御方法に適用することができる。
【0100】
第1のステップS10では、自動車車両12の現在の運転状況に関連する情報が、決定される。
【0101】
この情報は、とりわけ、左側車線標識32または右側車線標識30からの自動車車両12の前後方向軸の横方向距離、ならび/あるいは自動車車両12と他の(さらなる)自動車車両28の間の前後方向距離および/または相対速度であり得る。
【0102】
第2のステップS12では、自動車車両12についての未来の運転操作の構成要素が、自動車車両12の現在の運転状況に関連する情報に基づいて決定される。自動車車両12が、現在使用されている車線(
図7の道路36の右側車線)のほぼ中心にあり、かつ車両12、28間の距離が(例えば、自動車車両12の現在一般的な速度に対して)比較的短い場合、例えば、構成要素は、自動車車両28との衝突を回避するために、車線維持および/またはブレーキを伴う。
【0103】
第3のステップS14では、自動車車両12についての複数のモデル走行経路が、自動車車両12についての未来の運転操作の決定された構成要素に基づいて決定される。複数の決定されたモデル走行経路が、
図7の上の図に、異なる可能なモデル走行経路の組合せとして示されている。したがって、黒い正方形は、2つのエッジ/ノードの間にそれぞれ延びるそれぞれの部分的な走行経路のノードおよび/または停止点を表す。この場合には個々の部分的な走行経路は、任意の所望のやり方で制御システム10によって組み合わせることができ、したがってモデル走行経路の多様性をもたらす。
【0104】
第4のステップS16では、自動車車両12についての走行経路が、更なる行程において自動車車両12が従うことが意図されている複数のモデル走行経路から決定される。この場合には、例えば、動的および静的な衝突が、与えられる環境データに基づいて制御システム10によって実行される自動車車両12の環境中の移動可能なおよび動かせない物体および/または障害物に関してチェックするという理由で、いくつかのモデル走行経路が除外され、したがって、自動車車両12についての最良の可能な走行経路が決定される。例えば、モデル走行経路が道路36の外側で部分的に延び、したがって更なる行程のための走行経路として可能でないということが
図7の上の図に見られる。対照的に、道路36の左側車線における追い越し運転のための走行経路、およびコンボイのための走行経路は、自動車車両12についての依然として可能な走行経路である。
【0105】
多様なモデル走行経路の中の太字の走行経路は、制御システム10によって更なる行程において自動車車両12が従うことが意図されている走行経路として決定されることが最終的に
図7の下の図に見られる。
図7の下の図では、したがって、制御システム10は、現在の運転状況における最良の可能な走行経路として左への車線変更を示す走行経路を決定する。自動車車両12を引き出すこと、したがって、別の走行経路に従わせる動作がより早いと、自動車車両12が素早く加速しなければならないので、自動車車両12の乗員の運転の快適さを損なう。過度に遅く引き出すことは、さもなければさらなる自動車車両28との衝突となり得るのでやはり可能でない。概して、
図7の例によって示される状況では、制御システム10は、他の自動車車両28が静止しているまたは自動車車両12よりも実質的に遅い速度で移動しているので、左への車線変更を選択する、または追い越し運転のための走行経路に従うことを選択する。加えて、車線境界32からの自動車車両12の横方向距離は、短くてもよく(特に、
図7に示されたものより短く、自動車車両12は、車線のほぼ中心にある)、例えば、自動車車両12は、追い越すときに、追い越し車線への比較的より短い引っ張り出し距離を有するという結果になる。この走行経路の選択は、モデル走行経路の決定のように、例えば、上述の目的関数に基づいてもよい。
【0106】
第5のステップS18では、自動車車両の現在の運転状況に関連する情報および/または与えられる環境データが更新される。
【0107】
第6のステップS20では、自動車車両12についての走行経路は、適合された目的関数(例えば、上述の目的関数)を用いて、ならびに与えられた更新された環境データに基づいて、および/または更新された自動車車両12の現在の運転状況に関連する情報に基づいている。
図7の運転状況に基づいて、これは自動車車両12が、さらなる自動車車両28の背後に一定距離で速度制御されたコンボイを実行するように意図されていると仮定した場合に、まず第1に、車線維持のための走行経路が選択されることを意味する。これは、例えば、道路36の右側車線中の一直線の4つの正方形を組み合わせることを含むことができる。しかしながら、環境データおよび/または現在の運転状況に関連する情報を更新するときに、(さらなる自動車車両28を通る第3の黒い正方形と第4の黒い正方形の間の走行経路のコースによって
図7の上に示される)この走行経路に従うときに他の自動車車両28と衝突の可能性があることが決定される。次いで、走行経路は、
図7の下の図から、それが太字の移動経路に対応するように適合され得る。この場合には、(
図7の右側車線における第1の黒い正方形と第2の黒い正方形の間の)計画された走行経路の第1の部分が保持され得、詳細には、この走行経路のさらなるコースだけが適合され、自動車車両12が左への車線変更を実行し、次いで、例えば運転者支援システム20によって促される他の自動車車両28を追い越す動作を実行する結果となる。
【0108】
上述した計画および最適化アプローチが、詳細には、走行経路の少なくとも変化部分を最適化し、最良の可能な走行経路についてのもっとより効率的な解決策を見つけるために、走行経路を適合させる範囲内で使用されてもよく、これにより現在の交通状況における自動車車両12の乗員の運転の快適さおよび運転の安全性を向上させる。
【0109】
本開示の範囲内で、モデル走行経路、または自動車車両12の更なる行程についての走行経路を確かめて決定する離散的な、例えばグラフベースのアプローチと、選択された走行経路を最適化する連続的なアプローチを組み合わせることにより2つのプローチの固有の不利を少なくとも減少させることを可能にさせる。例えば、サンプリングベースの走行経路プランナのためのモデル走行経路を決定する必要な離散サンプリング値の個数は、(再)初期化される続く連続的な適合が理由で、単なる離散的計画および最適化アプローチの使用と比較してかなり減少させられ得、結果として1つまたは複数のモデル走行経路となる。
【0110】
サンプリングベースの走行経路プランナにより走行経路計画が始まる前の意思決定レベルでの操作事前選択の結果として、述べた離散サンプリング値の個数は、さらに減少させることもできる。
【0111】
したがって、効率的(それが素早く実行でき、リソースを節約するので)でロバストな計画および最適化アプローチが、更なる行程において自動車車両12が従うことが意図されている走行経路の全体についてもたらされる。
【0112】
上述の例示的な実施形態が決定的でなく、本明細書に開示された主題を限定しないことは言うまでもない。詳細には、様々な実施形態の特徴を互いに組み合わせてもよくおよび/または本明細書に開示された主題から逸脱することなく、実施形態の様々な特徴を省略することができることが当業者には明らかである。
【国際調査報告】