(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】スライド式ゲートバルブプレートを交換するためのロボット化システム
(51)【国際特許分類】
B22D 41/24 20060101AFI20220209BHJP
B22D 41/34 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
B22D41/24
B22D41/34 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535187
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 EP2019085618
(87)【国際公開番号】W WO2020127241
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500180226
【氏名又は名称】ベスビウス グループ,ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】ダビード カロシエッリ
(72)【発明者】
【氏名】アルノー ランブロッテ
【テーマコード(参考)】
4E014
【Fターム(参考)】
4E014MA01
4E014MA18
(57)【要約】
本発明は、スライド式ゲートバルブに対してスライド式ゲートバルブプレートを固定したりまたスライド式ゲートバルブからスライド式ゲートバルブプレートを取り外したりするためのロボット化システムに関し、
(a)スライド式ゲートバルブプレート(1)であり、スライド式ゲートバルブプレートの厚さの分だけ第2面(1d)から離間したスライド面(1s)を含み、スライド面(1s)及び第2面(1d)は、周縁エッジ(1e)によって互いに結合された、スライド式ゲートバルブプレート(1)と、
(b)スライド式ゲートバルブプレート(1)を受領してロックするのに適した受領クレードル(12)を含むプレート支持フレーム(11)を含むスライド式ゲートバルブが設けられた冶金容器(41)と、
(c)スライド式ゲートバルブプレートを把持するための把持クランプ(25g、25r、25t)が設けられたハンドリングインターフェース(21)を含むロボット(20)と、を含み、
(d)スライド式ゲートバルブプレートは、ロボットがスライド式ゲートバルブプレートを確実に保持して取り扱うことができるように、周縁エッジ(1e)のところに配置され、及び/又は、周縁エッジに隣接して第2面(1d)のところに配置され、ロボットの把持クランプ(25g、25r、25t)に対して係合する把持保持部(5)を含み、
(e)把持クランプ(25g、25r、25t)は、好ましくは回転軸線まわりの回転によって、スライド式ゲートバルブプレートの周縁エッジ(1e)を取り囲むのに適した開放位置から、把持クランプ(25g、25r、25t)を、スライド式ゲートバルブプレート(1)の把持保持部(5)に対して結合させるのに適した把持位置へと、移動させることができ、
(f)プレート支持フレームの受領クレードルは、スライド式ゲートバルブプレートが受領プレート支持フレーム内にロックされている時には、把持クランプ(25g、25r、25t)が把持保持部(5)に対してアクセスすることを可能とする空隙(15)を含む。
【選択図】
図4(b)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド式ゲートバルブに対してスライド式ゲートバルブプレートを固定したりまたスライド式ゲートバルブからスライド式ゲートバルブプレートを取り外したりするためのロボット化システムであって、
(d)スライド式ゲートバルブプレート(1)であり、前記スライド式ゲートバルブプレートの厚さの分だけ第2面(1d)から離間したスライド面(1s)を含み、前記スライド面(1s)及び前記第2面(1d)は、周縁エッジ(1e)によって互いに結合され、前記スライド面に対して垂直に延びる貫通穴(1b)を含み、前記スライド式ゲートバルブプレートは、
・上部スライド式ゲートバルブプレート(1t)と、
・下部スライド式ゲートバルブプレート(1L)と、
・任意選択的に、前記第2面が第2スライド面である中間スライド式ゲートバルブプレート(1m)と、の中から選択される、スライド式ゲートバルブプレート(1)と、
(e)前記スライド式ゲートバルブプレート(1)を受領してロックするのに適した受領クレードル(12)を含むプレート支持フレーム(11)を含む支持構造を含むスライド式ゲートバルブが設けられた冶金容器(41)であり、
・前記上部スライド式ゲートバルブプレートを受領してロックするための固定された上部プレート支持フレーム(11t)と、
・前記下部スライド式ゲートバルブプレートを受領してロックするための下部プレート支持フレーム(11L)と、
・任意選択的に、前記上部スライド式ゲートバルブプレートと前記下部スライド式ゲートバルブプレートとの間に介装された前記中間スライド式ゲートバルブプレートを受領してロックするための中間プレート支持フレーム(11m)と、を含み、
ここで、
・前記下部プレート支持フレームは、前記下部スライド式ゲートバルブプレートの前記スライド面を前記上部スライド式ゲートバルブプレートの前記スライド面に対してスライドさせるのに適した可動キャリッジであり、これにより、2プレート型のスライド式ゲートを形成し、あるいは、
・任意選択的に、前記中間プレート支持フレームは、前記中間スライド式ゲートバルブプレートの前記スライド面及び前記第2スライド面を、前記上部スライド式ゲートバルブプレート及び前記下部スライド式ゲートバルブプレートのそれぞれ対応する前記スライド面に対してスライドさせるのに適した可動キャリッジであり、これにより、3プレート型のスライド式ゲートを形成し、
前記上部スライド式ゲートバルブプレートの前記貫通穴と、前記下部スライド式ゲートバルブプレートの前記貫通穴と、任意選択的に前記中間スライド式ゲートバルブプレートの前記貫通穴と、を位置合わせさせたりまた位置合わせさせなかったりするものとされた、冶金容器(41)と、
(f)前記スライド式ゲートバルブプレートを把持するための把持クランプ(25g、25r、25t)が設けられたハンドリングインターフェース(21)を含むロボット(20)であり、
・前記スライド式ゲートバルブプレート(1)の新たなユニット(1n)を収集するとともに、対応する前記プレート支持フレーム(11)に対してそれを結合してロックするように構成された、及び/又は、
・前記スライド式ゲートバルブプレート(1)の使用済みユニットを、対応する前記プレート支持フレーム(11)からロック解除して取り外すように構成された、ロボット(20)と、を含み、
(g)前記把持クランプ(25g、25r、25t)は、前記ロボットが前記スライド式ゲートバルブプレートを確実に保持して取り扱うことができるように、前記スライド式ゲートバルブプレートの前記周縁エッジ(1e)を取り囲むのに適した開放位置から、前記把持クランプ(25g、25r、25t)を、前記スライド式ゲートバルブプレート(1)の、前記周縁エッジ(1e)のところに配置された、及び/又は、前記周縁エッジ(1e)に隣接して前記第2面(1d)のところに配置された、把持保持部(5)に対して結合させるのに適した把持位置へと、移動させることができ、
(h)前記プレート支持フレームの前記受領クレードルは、前記スライド式ゲートバルブプレート(1)が前記受領プレート支持フレーム内にロックされている時には、前記把持クランプ(25g、25r、25t)が前記把持保持部(5)に対してアクセスすることを可能とする空隙(15)を含む、ことを特徴とする、ロボット化システム。
【請求項2】
前記スライド式ゲートバルブプレートは、上部スライド式ゲートバルブプレート又は下部スライド式ゲートバルブプレートであり、前記第2面(1d)は、前記スライド面(1s)よりも小さな面積を有し、前記スライド面上への投影においては、前記第2面は、前記スライド面内に囲まれており、前記周縁エッジ(1e)及び/又は前記第2面は、前記把持保持部(5)を形成する面取り部を含む、請求項1に記載のロボット化システム。
【請求項3】
前記把持保持部(5)は、前記周縁エッジ(1e)から突出した突起を含み、好ましくは、前記周縁エッジ(1e)の一部を被覆している金属缶(1c)の一部である、請求項1に記載のロボット化システム。
【請求項4】
前記把持保持部(5)は、前記周縁エッジ(1e)において開口した凹所でありかつ前記スライド式ゲートプレートの前記厚さ内へと侵入する凹所を含み、前記凹所は、好ましくは、前記周縁エッジの一部を被覆する金属缶(1c)内に少なくとも部分的に形成されている、請求項1に記載のロボット化システム。
【請求項5】
前記把持保持部(5)は、前記第2面(1d)のうちの、前記周縁エッジ(1e)に対して隣接した部分を含み、前記空隙(15)は、前記スライド式ゲートバルブプレート(1)が前記受領プレート支持フレーム(11)内にロックされた時に、前記把持クランプ(25g、25r、25t)が前記第2面(1d)の前記部分に対して対向した位置へと到達して、前記把持クランプ(25g、25r、25t)が、前記把持位置へと移動して前記第2面(1d)に対して係合し得るように、充分な深さである、請求項1に記載のロボット化システム。
【請求項6】
前記ロボットの前記ハンドリングインターフェース(21)は、N=3個又は4個の把持クランプ(25g、25r、25t)を含み、前記把持クランプは、自由端と結合端とを含むL字形状であるとともに、前記自由端を、前記開放位置から、前記L字形状把持クランプ(25g、25r、25t)の前記自由端を前記スライド式ゲートバルブプレート(1)の前記把持保持部(5)に対して結合させるのに適した前記把持位置へと、移動させるように、移動可能に取り付けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載のロボット化システム。
【請求項7】
前記L字形状把持クランプは、前記開放位置と前記把持位置との間にわたって回転軸線まわりに回転するように、回転可能に取り付けられ、
・前記自由端と前記結合端との双方に対して垂直に前記結合端を交差させて、揺動クランプ(25r)を形成し、あるいは、
・前記結合端と同軸的に、旋回クランプ(25g)を形成し、
ここで、n個のL字形状把持クランプが、1つの前記回転軸線まわりに回転可能であり、残りの(N-n)個のL字形状把持クランプが、他の前記回転軸線まわりに回転可能であり、n=1~4であり、好ましくは、N=4かつn=2である、請求項6に記載のロボット化システム。
【請求項8】
・前記ロボットの前記ハンドリングインターフェース(21)は、1つ又は2つの隣接した揺動クランプ(25r)を含むとともに、1つ又は2つの隣接した旋回クランプ(25g)を含み、
・前記ハンドリングインターフェース(21)又は前記上部プレート支持フレーム(11)は、突起(19)を含み、これにより、前記ロボットが前記上部プレート支持フレームに対して対向し、そこから前記上部スライド式ゲートバルブプレートを取り外す際には、前記1つ又は2つの旋回クランプが前記把持位置とされた状態で、前記ロボットは、前記スライド面に対して斜めとされ、前記1つ又は2つの揺動クランプは、回転することにより前記把持保持部に対して接触し得るものの、前記上部スライド式ゲートバルブプレートの一方の端部を引っ張ることによって前記1つ又は2つの旋回クランプを通過する軸線まわりに回転させない限りは、前記把持位置へと到達し得ないものとされ、これにより、前記冶金容器に対して付着しているモルタルを容易に破壊する、請求項7に記載のロボット化システム。
【請求項9】
前記ロボットの前記ハンドリングインターフェース(21)は、前記L字形状把持クランプの前記自由端が前記把持位置にある時には、前記スライド面(1s)を押圧するのに適しており、これにより、前記スライド式ゲートバルブプレートを前記ロボットの前記ハンドリングインターフェース(21)に対してロックする弾性部材(27)を、さらに含む、請求項6~8のいずれか一項に記載のロボット化システム。
【請求項10】
・前記ロボットの前記ハンドリングインターフェース(21)は、前記スライド式ゲートバルブプレート(1)が把持された時に、前記スライド面(1s)を含む平面を超えて突出するガイドピン(23)を含み、
・前記プレート支持フレーム(11)は、前記ガイドピンを受領するための、及び、前記スライド式ゲートバルブプレートを前記受領クレードル(12)に対して位置合わせするように案内するための、漏斗形状のキャビティ(13)を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のロボット化システム。
【請求項11】
前記ハンドリングインターフェース(21)は、結合部材(29)によって前記ロボットのアームに対して結合され、前記結合部材(29)は、前記結合部材の柔軟性を制御し得る、ひいては、前記ロボットに対しての前記ハンドリングインターフェース(21)の結合の柔軟性を制御し得る、空気圧式又は油圧式のシステム(29p)を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のロボット化システム。
【請求項12】
スライド式ゲートバルブに対してスライド式ゲートバルブプレート(1t、1L)を固定するための方法であって、
(a)請求項1~11のいずれか一項に記載のロボット化システムを準備することと、
(b)スライド式ゲートバルブプレート(1L、1t)の新たなユニット(1n)に対して前記ハンドリングインターフェース(21)を接近させることと、
(c)前記ロボットが前記新たなユニット(1n)を確実に保持して取り扱うことができるように、前記新たなユニット(1n)の前記把持保持部(5)内へと前記把持クランプ(25t)を係合させ、それらの前記把持位置へと到達させることと、
(d)前記把持クランプ(25t)が、対応する前記空隙(15)に対して係合した状態で、前記新たなユニット(1n)を有した前記ハンドリングインターフェース(21)を、前記プレート支持フレーム(11t)へと駆動することと、
(e)前記把持保持部(5)から、前記把持クランプ(25t)を係合解除することと、
(f)前記ハンドリングインターフェース(21)を、前記プレート支持フレーム(11t)から離間する向きに駆動することと、を含む、方法。
【請求項13】
冶金容器の底部に取り付けられたスライド式ゲートバルブのプレート支持構造(11)から上部スライド式ゲートバルブプレート(1t)を取り外すための方法であって、
(a)上部スライド式ゲートバルブプレートが上部プレート支持フレーム(11t)内に配置されかつモルタル(43)によって内部ノズル(42)に対して結合された状態で、請求項8に記載のロボット化システム、及び請求項8に従属する場合の請求項9~11のいずれか一項に記載のロボット化システムを準備することと、
(b)前記旋回クランプ(25g)を、対応する前記空隙(15)内へと完全に係合させ、前記旋回クランプを回転させることにより、対応する前記把持保持部(5)に対して係合させ、これにより、前記旋回クランプの前記把持位置へと到達させることと、
(c)前記揺動クランプ(25r)を、前記突起(19)が許容する限りにおいて、対応する前記空隙(15)内へと係合させ、前記揺動クランプを、前記揺動クランプの前記把持位置に向けて回転させることにより、前記揺動クランプを、対応する前記把持保持部内へと部分的に係合させ、これにより、前記上部スライド式ゲートバルブプレートの一方の端部を、前記内部ノズルから離間する向きに引っ張って、前記モルタルにクラックを発生させ、前記揺動クランプを、対応する前記把持保持部に対して完全に係合して前記揺動クランプの前記把持位置へと到達させることと、
(d)前記ハンドリングインターフェースを、前記上部プレート支持フレームから離間する向きに駆動することにより、前記上部プレート支持フレームから前記上部スライド式ゲートバルブプレートを取り外すことと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金鋳造設備においてスライド式ゲートバルブのスライド式ゲートバルブプレートを交換するためのロボット化システムに関する。本発明は、冶金容器に対して連結されたプレート支持フレームにおける鋳造位置から使用済みスライド式ゲートバルブプレートを取り外すことができ、そして、それを改修または廃棄のために保管することができ、さらに、新たなスライド式ゲートバルブプレートを取得してそれをプレート支持フレームにおける鋳造位置へと導入し得るような、完全に自動化され得る、ロボット化システムを提案する。
【背景技術】
【0002】
スライド式ゲートバルブは、1883年から知られている。スライド式ゲートバルブは、上流側の冶金容器から下流側の容器へと注がれる溶融金属の流れを制御するために使用される。例えば、炉から取鍋へと、又は、取鍋からタンディシュへと、又は、タンディシュからインゴットモールドへと、である。例えば、米国特許第0311902号明細書又は米国特許第0506328号明細書には、鋳造取鍋の底部に配置されたスライド式ゲートバルブが開示されており、このスライド式ゲートバルブにおいては、貫通穴付きの一対の耐火物製スライド式ゲートバルブプレートが、互いにスライドする。注湯口同士が位置合わせされている場合には、あるいは、注湯口同士が部分的にオーバーラップしている場合には、溶融金属缶は、スライド式ゲートバルブを通して流れることができ、他方、注湯口同士がオーバーラップしていない場合には、溶融金属の流れは、完全に停止する。注湯口同士の部分的なオーバーラップにより、溶融金属の流れを絞ることによって、溶融金属の流れを調節することができる。スライド式ゲートバルブは、ここ数十年の間に大きく進化したけれども、原理は、同一のままであり、一方のプレートが他方のプレートに対してスライドすることにより、2つのプレートの貫通穴同士の間のオーバーラップ度合いを制御するというものである。
【0003】
スライド式ゲートバルブプレートは、スライド式ゲートバルブに対して取り付けられた時には過酷な条件下で操作され、時間とともに摩耗するため、定期的に交換しなければならない。タンディッシュのスライド式ゲートバルブからの注湯ノズルを交換するためのチューブ交換システムは、当該技術分野においては、例えば欧州特許第2547474号明細書などにおいて提案されている。しかしながら、多くの場合、冶金容器は、その内容物が空とされて、鋳造設備から離間した位置へと移動され、スライド式ゲートバルブプレートの交換を含めて、過度の摩耗の兆候をチェックして改修される。現在まで、この操作は、大部分が人間の操作者によって手作業で行われてきた。これは、時間的な重圧感の下でかつ高温で重量物を取り扱って、モルタルと、交換対象をなすスライド式ゲートバルブプレートと、の間のあらゆる固着物を破壊する強度が求められる過酷な労働である。このような過酷な状況下では、ヒューマンエラーが発生し得る。そこで、当該産業においては、人間の操作者に代えてロボットを使用してスライド式ゲートバルブプレートを交換するための自動化システムの開発が要望されている。
【0004】
しかしながら、スライド式ゲートバルブプレートを交換するためのロボットを構成するにあたっては、多くの課題に直面する。スライド式ゲートバルブプレートは、取り扱うにはかなりの重量があり、プレート支持フレームに設けられた対応する受領クレードル内へと極めて正確に位置決めしなければならない。冶金容器の位置が操作ごとに変わるため、ロボットは、改修のために運ばれてくる新たな冶金容器を、それぞれ異なる位置に適応させなければならない。使用済みのスライド式ゲートバルブプレートは高温であり、他方、新たなスライド式ゲートバルブプレートは低温であるため、プレートの寸法が変わる。煙及び蒸気のために視界が悪くなることも多い。上部スライド式ゲートバルブプレートは、モルタルによって内部ノズルに対して結合されており、このため、上部スライド式ゲートバルブプレートを取り外す前に、モルタルを破壊しなければならない。本出願人の知る限りでは、スライド式ゲートバルブプレートを交換するための満足のいくロボット化システムは、冶金設備において成功裏に実装されていない。
【0005】
米国特許出願公開第20100017027号明細書には、溶融金属のための容器の注湯口上に取り付けられたスライド式ゲートバルブのメンテナンスのための構成が記載されている。この構成は、少なくとも1つのツールマガジンと、スライド式ゲートバルブを開閉するための手段と、自動化把持交換システムを含むロボットと、を含み、ロボットは、容器又はスライド式ゲートバルブの正確な位置を自動的に検出することができる。しかしながら、この文献は、自動化把持交換システムに関して、何らの詳細を与えるものではない。
【0006】
特開平07-60434号公報には、冶金容器のノズル及びプレートを交換する装置が開示されている。記載されたシステムでは、プレートを、それらの貫通穴によって取り扱うため、操作中にプレートが破損する可能性がある。
【0007】
独国特許出願公開第10 2009 050216号明細書には、冶金容器のスライド閉塞部材を交換するための方法及び装置が開示されており、スライド閉塞部材は、産業用ロボットによって把持される。しかしながら、この文献は、把持システムに関して、何らの詳細を与えるものではない。
【0008】
米国特許第5 645 793号明細書は、冶金容器のスライド式ゲートバルブ全体を交換するためのシステムを開示しているものの、個々のスライド式ゲートバルブプレートを交換するためのシステムを開示していない。
【0009】
特開平08-19853号公報も、また、冶金容器のスライド式ゲートバルブ全体を交換するためのシステムを開示している。この場合にも、個々のスライド式ゲートバルブプレートを交換するシステムは、開示されていない。
【0010】
特開平04-66268号公報も、また、冶金容器のスライド式ゲートバルブ全体を交換するためのシステムを開示している。この場合にも、個々のスライド式ゲートバルブプレートを交換するシステムは、開示されていない。
【0011】
本発明の目的は、スライド式ゲートバルブプレートを交換するための新規なロボット化システムを提供することによって、そして、ロボットの有効性及び再現性と、変化する条件(温度、寸法、相対位置、煙、等)に適応するために必要な融通性と、を組み合わせることによって、上記の課題に対処することである。本発明のこの利点及び他の利点について、以下の各項においてより詳細に説明する。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、スライド式ゲートバルブに対してスライド式ゲートバルブプレートを固定したりまたスライド式ゲートバルブからスライド式ゲートバルブプレートを取り外したりするためのロボット化システムであって、
(a)
スライド式ゲートバルブプレートであり、スライド式ゲートバルブプレートの厚さの分だけ第2面から離間したスライド面を含み、スライド面及び第2面は、周縁エッジによって互いに結合され、スライド面に対して垂直に延びる貫通穴を含み、スライド式ゲートバルブプレートは、
・上部スライド式ゲートバルブプレートと、
・下部スライド式ゲートバルブプレートと、
・任意選択的に、第2面が第2スライド面である中間スライド式ゲートバルブプレートと、の中から選択される、スライド式ゲートバルブプレートと、
(b)
スライド式ゲートバルブプレートを受領してロックするのに適した受領クレードルを含むプレート支持フレームを含む支持構造を含むスライド式ゲートバルブが設けられた冶金容器であり、
・上部スライド式ゲートバルブプレートを受領してロックするための固定された上部プレート支持フレームと、
・下部スライド式ゲートバルブプレートを受領してロックするための下部プレート支持フレーム(11L)と、
・任意選択的に、上部スライド式ゲートバルブプレートと下部スライド式ゲートバルブプレートとの間に介装された中間スライド式ゲートバルブプレートを受領してロックするための中間プレート支持フレーム(11m)と、を含み、
ここで、
・下部プレート支持フレームは、下部スライド式ゲートバルブプレートのスライド面を上部スライド式ゲートバルブプレートのスライド面に対してスライドさせるのに適した可動キャリッジであり、これにより、2プレート型のスライド式ゲートを形成し、あるいは、
・任意選択的に、中間プレート支持フレームは、中間スライド式ゲートバルブプレートのスライド面及び第2スライド面を、上部スライド式ゲートバルブプレート及び下部スライド式ゲートバルブプレートのそれぞれ対応するスライド面に対してスライドさせるのに適した可動キャリッジであり、これにより、3プレート型のスライド式ゲートを形成し、
上部スライド式ゲートバルブプレートの貫通穴と、下部スライド式ゲートバルブプレートの貫通穴と、任意選択的に中間スライド式ゲートバルブプレートの貫通穴と、を位置合わせさせたりまた位置合わせさせなかったりするものとされた、冶金容器と、
(c)
スライド式ゲートバルブプレートを把持するための把持クランプが設けられたハンドリングインターフェースを含むロボットであり、
・スライド式ゲートバルブプレートの新たなユニットを収集するとともに、対応するプレート支持フレームに対してそれを結合してロックするように構成された、及び/又は、
・スライド式ゲートバルブプレートの使用済みユニットを、対応するプレート支持フレームからロック解除して取り外すように構成された、ロボットと、を含み、
(d)
把持クランプは、ロボットがスライド式ゲートバルブプレートを確実に保持して取り扱うことができるように、スライド式ゲートバルブプレートの周縁エッジを取り囲むのに適した開放位置から、把持クランプを、スライド式ゲートバルブプレートの、周縁エッジのところに配置された、及び/又は、周縁エッジに隣接して第2面のところに配置された、把持保持部に対して結合させるのに適した把持位置へと、移動させることができ、
(e)
プレート支持フレームの受領クレードルは、スライド式ゲートバルブプレートが受領プレート支持フレーム内にロックされている時には、把持クランプが把持保持部に対してアクセスすることを可能とする空隙を含む、ロボット化システムによって達成された。
【0013】
スライド式ゲートバルブプレートは、上部スライド式ゲートバルブプレート又は下部スライド式ゲートバルブプレートとすることができ、第2面は、スライド面よりも小さな面積を有している。スライド面上への投影においては、第2面は、スライド面内に囲まれており、周縁エッジ及び/又は第2面は、把持保持部を形成する面取り部を含む。
【0014】
これに代えて、把持保持部は、周縁エッジから突出した突起を含むことができ、好ましくは、周縁エッジの一部を被覆している金属缶の一部である。また、把持保持部は、周縁エッジにおいて開口した凹所でありかつスライド式ゲートプレートの厚さ内へと侵入する凹所とすることもできる。凹所は、好ましくは、周縁エッジの一部を被覆する金属缶内に少なくとも部分的に形成されている。スライド式ゲートバルブプレートは、面取り部、突起、及び/又は凹所、によって形成された把持保持部の組合せを含むことができる。
【0015】
これに代えて、把持保持部は、第2面のうちの、周縁エッジに対して隣接した部分とすることができ、空隙は、スライド式ゲートバルブプレートが受領プレート支持フレーム内にロックされた時に、把持クランプが第2面のそのような部分に対して対向した位置へと到達して、把持クランプが、把持位置へと移動して第2面に対して係合し得るように、充分な深さである。
【0016】
好ましい実施形態では、ロボットのハンドリングインターフェースは、N=3個又は4個の把持クランプを含み、これらの把持クランプは、自由端と結合端とを含むL字形状であるとともに、自由端を、開放位置から、L字形状把持クランプの自由端をスライド式ゲートバルブプレートの把持保持部に対して結合させるのに適した把持位置へと、移動させるように、移動可能に取り付けられている。L字形状把持クランプは、開放位置と把持位置との間にわたって回転軸線まわりに回転するように、回転可能に取り付けることができ、
・自由端と結合端との双方に対して垂直に結合端を交差させて、揺動クランプ(25r)を形成し、あるいは、
・結合端と同軸的に、旋回クランプ(25g)を形成し、
ここで、n個のL字形状把持クランプが、1つの回転軸線まわりに回転可能であり、残りの(N-n)個のL字形状把持クランプが、他の回転軸線まわりに回転可能であり、n=1~4であり、好ましくは、N=4かつn=2である。揺動クランプは、単一の軸線まわりに回転することができる、あるいは、互いに平行な2つの軸線まわりに回転することができる。
【0017】
例えば、ロボットのハンドリングインターフェースは、1つ又は2つの隣接した揺動クランプを含むとともに、1つ又は2つの隣接した旋回クランプを含む。好ましい実施形態では、ハンドリングインターフェース又は上部プレート支持フレームは、突起を含み、これにより、ロボットが上部プレート支持フレームに対して対向し、そこから上部スライド式ゲートバルブプレートを取り外す際には、1つ又は2つの旋回クランプが把持位置とされた状態で、ロボットは、スライド面に対して斜めとされ、1つ又は2つの揺動クランプは、回転することにより把持保持部に対して接触し得るものの、上部スライド式ゲートバルブプレートの一方の端部を引っ張ることによって1つ又は2つの旋回クランプを通過する軸線まわりに回転させない限りは、把持位置へと到達し得ないものとされ、これにより、冶金容器に対して付着しているモルタルを容易に破壊する。
【0018】
ロボットのハンドリングインターフェースは、好ましくは、L字形状把持クランプの自由端が把持位置にある時には、スライド面を押圧するのに適しており、これにより、スライド式ゲートバルブプレートをロボットのハンドリングインターフェースに対してロックする弾性部材を、さらに含む。
【0019】
好ましい実施形態では、ロボットのハンドリングインターフェースは、スライド式ゲートバルブプレートが把持された時に、スライド面を含む平面を超えて突出するガイドピンを含む。プレート支持フレームは、ガイドピンを受領するための、及び、スライド式ゲートバルブプレートを受領クレードルに対して位置合わせするように案内するための、漏斗形状のキャビティを含む。
【0020】
ハンドリングインターフェースは、好ましくは、結合部材によってロボットのアームに対して結合され、結合部材は、結合部材の柔軟性を制御し得る、ひいては、ロボットに対してのハンドリングインターフェースの結合の柔軟性を制御し得る、空気圧式又は油圧式のシステムを含む。
【0021】
本発明は、また、冶金容器の底部に取り付けられたスライド式ゲートバルブのプレート支持構造に対してスライド式ゲートバルブプレートを固定するための方法に関するものであって、
(a)
上記で定義されるロボット化システムを準備することと、
(b)
スライド式ゲートバルブプレートの新たなユニットに対してハンドリングインターフェースを接近させることと、
(c)
ロボットが新たなユニットを確実に保持して取り扱うことができるように、有利には並進及び/又は回転によって、新たなユニットの把持保持部内へと把持クランプを係合させ、それらの把持位置へと到達させることと、
(d)
把持クランプが、対応する空隙に対して係合した状態で、新たなユニットを有したハンドリングインターフェースを、プレート支持フレームへと駆動することと、
(e)
把持保持部から、有利には並進及び/又は回転によって、把持クランプを係合解除することと、
(f)
ハンドリングインターフェースを、プレート支持フレームから離間する向きに駆動することと、を含む。
【0022】
本発明は、また、冶金容器の底部に取り付けられたスライド式ゲートバルブのプレート支持構造から上部スライド式ゲートバルブプレートを取り外すための方法に関するものであって、
(a)
上記で定義されるロボット化システムを準備するとともに、ハンドリングインターフェース又は上部スライド式ゲートバルブプレートを、突起を含むものとし、上部スライド式ゲートバルブプレートを、上部プレート支持フレーム内に配置されかつモルタルによって内部ノズルに対して結合されたものとすることと、
(b)
旋回クランプを、対応する空隙内へと完全に係合させ、旋回クランプを回転させることにより、対応する把持保持部に対して係合させ、これにより、旋回クランプの把持位置へと到達させることと、
(c)
揺動クランプを、突起が許容する限りにおいて、対応する空隙内へと係合させ、揺動クランプを、揺動クランプの把持位置に向けて回転させることにより、揺動クランプを、対応する把持保持部内へと部分的に係合させ、これにより、上部スライド式ゲートバルブプレートの一方の端部を、内部ノズルから離間する向きに引っ張って、モルタルにクラックを発生させ、揺動クランプを、対応する把持保持部に対して完全に係合して揺動クランプの把持位置へと到達させることと、
(d)
ハンドリングインターフェースを、上部プレート支持フレームから離間する向きに駆動することにより、上部プレート支持フレームから上部スライド式ゲートバルブプレートを取り外すことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図は、以下の通りである。
【
図1】
図1は、本発明によるロボットによって冶金容器のスライド式ゲートバルブプレートを交換するための様々なステップを図示している。
【
図2】
図2は、(a)2プレート型の、及び、(b)3プレート型の、スライド式ゲートを示している。
【
図3】
図3は、スライド式ゲートバルブプレートとプレート支持フレームとに関しての、(a)結合前における、及び、(b)結合後における、斜視断面図を示している。
【
図4】
図4は、スライド式ゲートバルブプレートとロボットのハンドリングインターフェースとに関しての、(a)結合前における、及び、(b)結合後における、側面図及び平面図を示している。
【
図5】
図5は、空気圧式又は油圧式の結合部材を使用してスライド式ゲートバルブプレートをプレート支持フレームに対して結合させるための第1実装による様々なステップを示している。
【
図6】
図6は、第2面の一部(i)という形態又は凹所(ii~iv)という形態での把持保持部(a)、並びに、突起という形態での把持保持部(b)、を含むスライド式ゲートバルブプレートの平面図及び断面図を示している。
【
図7】
図7は、上部スライド式ゲートバルブプレートがその受領クレードルから取り外される際に、上部スライド式ゲートバルブプレートを冶金容器の内部ノズルに対して結合しているモルタルを引き裂くための様々なステップを示している。
【
図8】
図8は、本発明によるハンドリングインターフェースの一実施形態に関して、(a)全体的な斜視図、(b)二軸-揺動クランプ上における詳細、(c)~(e)単軸及び二軸の揺動クランプ、を示している。
【
図9】
図9は、空気圧式又は油圧式の結合部材を使用してスライド式ゲートバルブプレートをプレート支持フレームに対して結合させるための第2実装による様々なステップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1(a)は、タンディッシュ又は取鍋などの冶金容器(41)が、作業場で横置きとされた様子を示しており、この作業場では、摩耗した構成要素のチェック及び改修が行われる。冶金容器は、摩耗したスライド式ゲートバルブプレート(1t、1L)を交換して、適切な場所においてすぐに使用できる状態で保管されている新たなスライド式ゲートバルブプレート(1n)へと取り替えるための、鉛直方向において露出したスライド式ゲートバルブを含む。この操作は、一般的には人間の操作者によって行われるものではあるけれども、本発明は、使用済みスライド式ゲートバルブプレートを除去して新たなものに交換する操作全体を、ロボット(20)によって実行するという解決策を提案するものである。スライド式ゲートバルブに対してスライド式ゲートバルブプレートを固定したりまたスライド式ゲートバルブからスライド式ゲートバルブプレートを取り外したりするための本発明によるロボット化システムは、スライド式ゲートバルブプレート(1)と、スライド式ゲートバルブが設けられた冶金容器(41)と、ロボット(20)と、を含む。ロボットは、スライド式ゲートバルブプレートを把持して操作するためのハンドリングインターフェース(21)を含む。
【0025】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、冶金容器(41)が作業場へと持ち込まれた時には、それを横置きとして、スライド式ゲートバルブを露出させることができる。スライド式ゲートバルブは、上部プレート支持フレーム(11t)に対して下部プレート支持フレーム(11L)をヒンジまわりに回転させることにより、ロボットによって開放される。ロボット(20)は、それぞれのプレート支持フレーム(11t、11L)から、スライド式ゲートバルブプレート(1t、1L)を取り外し、修理又は廃棄のためにそれらを保管する(
図1(c)を参照されたい)。
図1(c)及び
図1(d)に示すように、ロボットは、使用のために保管されていた新たなスライド式ゲートバルブプレート(1n)を採取し、それらを対応するプレート支持フレーム(11t、11L)の受領クレードル(12)に対して結合させる。下部プレート支持フレーム(11L)を閉塞することができ、これにより、上部及び下部のスライド式ゲートバルブプレート(1t、1L)のスライド面(1s)同士を互いにスライド接触させることができる(
図1(a)参照、ただし、新たなスライド式ゲートバルブプレートが使用されたものとして)。本発明において提案するすべての上記の操作を可能とする特徴点について、引き続いてより詳細に説明する。
【0026】
スライド式ゲートバルブ及びスライド式ゲートバルブプレート
スライド式ゲートバルブは、2プレート型又は3プレート型の、スライド式ゲートバルブとすることができる。
図2(a)に示すように、2プレート型のスライド式ゲートバルブは、上部スライド式ゲートバルブプレート(1t)と、下部スライド式ゲートバルブプレート(1L)と、を含み、他方、
図2(b)に示すような3プレート型のスライド式ゲートは、上部及び下部のスライド式ゲートバルブプレート(1t、1L)同士の間に介装された中間スライド式ゲートバルブプレート(1m)を、さらに含む。
【0027】
スライド式ゲートバルブプレート(1)は、スライド式ゲートバルブプレートの厚さの分だけ第2面(1d)から離間したスライド面(1s)を含み、スライド面(1s)及び第2面(1d)は、周縁エッジ(1e)によって互いに結合されている。また、スライド面に対して垂直に延びる貫通穴(1b)を含む。中間スライド式ゲートバルブプレートの第2面(1d)も、また、スライド面である。上部及び下部の、そして任意選択的に中間の、スライド式ゲートバルブプレートは、それぞれ、対応する上部及び下部の、そして任意選択的に中間の、プレート支持フレーム(11t、11L、11m)の受領クレードル(12)に対して結合され、1つのプレートの少なくとも1つのスライド面(1s)は、2つ目のプレートのスライド面(1s)に対してスライド接触する。上部プレート支持フレームが冶金容器に対して固定されているのは、上部スライド式ゲートバルブプレート(1t)が、
図7に示すように、モルタル(43)によって冶金容器(41)の内部ノズル(42)に全体的に結合されるからである。2プレート型のスライド式ゲートバルブ(
図2(a)を参照されたい)では、下部プレート支持フレーム(11L)は、空気圧式又は油圧式のピストン(17)によって並進駆動され得る可動キャリッジであり、この並進駆動により、下部スライド式ゲートバルブプレートのスライド面は、上部スライド式ゲートバルブプレートのスライド面に対して接触しつつスライドする。3プレート型のスライド式ゲートバルブでは、下部プレート支持フレーム(11L)は、上部プレート支持フレームに対して及び冶金容器に対して、固定されている。中間プレート支持フレームは、中間スライド式ゲートバルブプレートのスライド面(1s)及び第2スライド面(1d)(これも、また、スライド面である)を、それぞれ対応する上部及び下部のスライド式ゲートバルブプレートのスライド面に対して接触させつつスライドさせるのに適した可動キャリッジである。当該技術分野で周知なように、上部スライド式ゲートバルブプレートのスライド面に対しての、そして任意選択的に3プレート型のスライド式ゲートバルブにおける下部スライド式ゲートバルブプレートのスライド面に対しての、スライド式ゲートバルブプレートのスライド面のスライド並進は、2つ(又は3つ)のプレートにおける貫通穴同士のオーバーラップ度合いに関する制御を可能とする。
【0028】
プレート支持フレームの受領クレードル(12)の幾何形状は、可動キャリッジの並進によって一方のスライド面が他方のスライド面に対してスライドした際に、対応するスライド式ゲートバルブプレートがプレート支持フレームに対して移動しないように、対応するスライド式ゲートバルブプレートの形状と一致しなければならない。スライド式ゲートバルブプレートに対してアクセスするために、プレート支持フレームは、
図1(a)及び(b)に概略的に示すように、上部の(及び/又は、中間の)プレート支持フレームに対して、下部プレート支持フレーム(11L)を、ヒンジまわりに回転させることによって、全体的に本のようにして開放することができる。対応する受領クレードル(12)の内部に新たに配置されたスライド式ゲートバルブプレート(1)は、下部プレート支持フレーム(11L)が、両プレートのスライド面同士が互いにスライド接触したその動作位置へと回転によって戻される前に、プレートが落下してしまわない程度でのみ固定される必要がある。取り扱い時にプレートを受領クレードル内に保持するための機構は、取り扱い時にプレートがプレート支持フレームから落下しないことを確保する弾性クランプなど、当該技術分野においては公知である。
【0029】
従来、使用済みのスライド式ゲートバルブプレート(1)を、その受領クレードル(12)から取り外すために、特に、内部ノズル(42)に対してモルタル(43)によって全体的に固定された上部スライド式ゲートバルブプレート(1t)を取り外すために、操作者は、スライド式ゲートバルブプレートの貫通穴を通して長尺ツールを挿通し、スライド式ゲートバルブプレートを受領クレードル(12)から取り外すために引っ張ったり押したりしていた。この操作は、スライド式ゲートバルブプレートの貫通穴を、確実に破損してしまうものであり、このことは、廃棄する場合には、それほど重要ではないけれども、プレートの改修を行うことはできない。新たなスライド式ゲートバルブプレートを受領クレードル(12)内に取り付ける際には、長尺ツールは、それほど激しく取り扱われることはないけれども、新たなスライド式ゲートバルブプレートの貫通穴を損傷するリスクがある。ロボットを、人間の操作者が使用するのと同様の態様で長尺ツールを取り扱うように構成し得ることは、明らかである。しかしながら、貫通穴に関して起こり得る損傷を回避するために、本発明のロボット化システムは、スライド式ゲートバルブプレートを安全に把持して取り扱うための把持手段を使用する。把持手段は、スライド式ゲートバルブプレートを、その周縁エッジ(1e)において及び/又はその第2面(1d)において保持することを可能とするものであって、従来人間の操作者が行っていたように貫通穴において保持するものでは全くない。この効果を得るために、把持手段は、2つの構成要件を必要とする、すなわち、(a)ロボットは、引き続いて説明する把持クランプ(25g、25r、25t)を含み、(b)プレート支持フレームの受領クレードルは、スライド式ゲートバルブプレートが受領プレート支持フレーム内にロックされている時には、周縁エッジ(1e)のところに配置され、及び/又は、周縁エッジに隣接して第2面(1d)のところに配置され、ロボットの把持クランプ(25g、25r、25t)に対して係合する把持保持部(5)に対して、把持クランプ(25)がアクセスすることを可能とする空隙(15)を含む。
【0030】
有利な実施形態では、スライド式ゲートバルブに対してスライド式ゲートバルブプレートを固定したりまたスライド式ゲートバルブからスライド式ゲートバルブプレートを取り外したりするためのロボット化システムの把持手段は、
a)スライド式ゲートバルブプレートが、ロボットがスライド式ゲートバルブプレートを確実に保持して取り扱うことができるように、周縁エッジ(1e)のところに配置され、及び/又は、周縁エッジに隣接して第2面(1d)のところに配置され、ロボットの把持クランプ(25g、25r、25t)に対して係合する把持保持部(5)を含むように構成され、そして、
b)把持クランプ(25g、25r、25t)が、好ましくは回転軸線まわりの回転によって、スライド式ゲートバルブプレートの周縁エッジ(1e)を取り囲むのに適した開放位置から、把持クランプ(25g、25r、25t)をスライド式ゲートバルブプレート(1)の把持保持部(5)に対して結合させるのに適した把持位置へと、移動し得るように構成され、さらに、
c)プレート支持フレームの受領クレードルは、スライド式ゲートバルブプレートが受領プレート支持フレーム内にロックされている時には、把持クランプ(25g、25r、25t)が把持保持部(5)に対してアクセスすることを可能とする空隙(15)を含むように構成されている。
【0031】
ロボット(20)のハンドリングインターフェース(21)及び把持クランプ(25g、25r、25t)
本発明において使用されるロボットは、スライド式ゲートバルブプレートを収集する操作と、保管位置とスライド式ゲートバルブとの間にわたって移動させる操作と、スライド式ゲートバルブプレートを、対応する受領クレードル(12)内に位置決めする操作と、を実行するための、例えば5~7の自由度などの充分な自由度を有した、市販されている任意のロボットとすることができる。本発明の本質的な特徴点の1つは、ロボットのアームの端部に設けられ、スライド式ゲートバルブプレートを把持するための把持クランプ(25g、25r、25t)を備えたハンドリングインターフェース(21)である。ハンドリングインターフェース(21)は、
・スライド式ゲートバルブプレート(1)の新たなユニット(1n)を収集し、対応するプレート支持フレーム(11)に対してそれを結合してロックするように構成され、及び/又は、
・スライド式ゲートバルブプレート(1)の使用済みユニットを、対応するプレート支持フレーム(11)から、ロック解除して取り外すように構成され、及び、
・スライド式ゲートバルブプレートを、保管位置とプレート支持フレーム(11)との間にわたって安全に搬送するように構成されている。
【0032】
上記の操作は、スライド式ゲートバルブプレートの把持保持部(5)と相互作用する把持クランプ(25g、25r、25t)によって、安全に実行することができる。好ましい実施形態では、ロボットのハンドリングインターフェース(21)は、N=3個又は4個の把持クランプ(25g、25r、25t)を含み、これらの把持クランプは、自由端を含む第1ロッドと、結合端を含む第2ロッドと、を含むL字形状であり、第1ロッドは、自由端を、スライド式ゲートバルブプレートの周縁エッジ(1e)を取り囲むのに適した開放位置から、把持位置へと、移動させるように移動可能に取り付けられており、よって、L字形状把持クランプ(25g、25r、25t)の自由端を、スライド式ゲートバルブプレート(1)の把持保持部(5)に対して結合させるのに適しているように、
図8に示すようなL字形状を形成している。いくつかの実施形態では、把持クランプ(25g、25r、25t)は、3つ以上のロッドを含む。把持クランプは、スライド式ゲートバルブプレート(1)の把持保持部(5)に対して結合するのに適していれば、例えば、指形状又はT字形状となるような3つのロッドを含むことができる。これに代えて、自由端を有した第1ロッドの代わりに、把持クランプは、第2ロッドに対して結合された把持ヘッドを含むことができる。その場合、把持ヘッドは、スライド式ゲートバルブプレートの周縁エッジ(1e)を取り囲むのに適した開放位置から、スライド式ゲートバルブプレート(1)の把持保持部(5)に対して結合するのに適した把持位置へと、移動するように、移動可能に取り付けられる。
【0033】
L字形状把持クランプ(25g、25r、25t)は、L字形状把持クランプがスライド式ゲートバルブプレートの周縁エッジを周回する開放位置から、L字形状把持クランプの自由端がスライド式ゲートバルブプレートの把持保持部(5)と相互作用する把持位置へと、移動可能である。開放位置では、L字形状把持クランプは、対応する空隙の空隙(15)と一致し、これにより、ハンドリングインターフェース(21)は、L字形状把持クランプの自由端を、空隙(15)を挿通させて、スライド式ゲートバルブプレートのスライド面を超えて、駆動することができ、スライド式ゲートバルブプレートのスライド面(1s)に対して垂直な方向に沿って並進移動させ、スライド式ゲートバルブプレートの把持保持部(5)に対して位置合わせすることができる。その後、L字形状把持クランプを、把持位置へと駆動することができ、これにより、自由端は、把持保持部(5)と相互作用し、よって、スライド式ゲートバルブプレートを、安全に把持する。
【0034】
好ましい実施形態では、ロボットのハンドリングインターフェース(21)は、L字形状把持クランプの自由端が把持位置にある時には、スライド面(1s)に押圧するのに適した弾性部材(27)を、さらに含む。弾性部材は、ハンドリングインターフェース(21)から離間する向きにスライド式ゲートバルブプレートのスライド面(1s)を押圧し、他方、把持クランプは、スライド式ゲートバルブプレートを保持するので、ハンドリングインターフェース(21)の弾性手段(27)と把持クランプ(25g、25r、25t)との間の位置に、プレートを安全にロックする。弾性部材は、螺旋スプリング又はブレードスプリングなどの機械的スプリングを含むことができる、あるいは、ゴムなどの弾性材料から形成することができる。スライド式ゲートバルブプレートの温度が、新たなプレートであるか、あるいは、鋳造作業後に直接的に持ち込まれた使用済みのプレートであるか、によって大きく変化し得るため、弾性手段が機械的スプリングを含むことが好ましい。弾性部材のうちの、スライド式ゲートバルブプレートのスライド面(1s)に対して接触する部分は、スライド面に傷がつかないようなものとしなければならない。代替可能な実施形態では、
図9に示すように、ロボットのハンドリングインターフェース(21)は、L字形状把持クランプの自由端が把持位置にある時には、スライド面(1s)を押圧するための剛性部材(28)を、さらに含む。
【0035】
移動可能なL字形状把持クランプ(25g、25r、25t)は、好ましくは、回転軸線まわりに開放位置と把持位置との間にわたって回転するように、回転可能に取り付けられる。揺動クランプ(25r)は、結合端と交差する回転軸線でありかつ自由端と結合端とを含むL字形状把持クランプの両ロッドに対して垂直な回転軸線まわりに回転する(
図4、
図5、及び
図7を参照されたい)。揺動クランプは、開放位置から把持位置への揺動時には、受領クレードル(12)内に配置されたスライド式ゲートバルブプレートに対して引っ張り力を印加し得ることにより、有利である。
【0036】
旋回クランプ(25g)は、L字形状のうちの、結合端を含むロッドに対して平行な回転軸線まわりに、好ましくは、そのようなロッドに対して同軸的な回転軸線まわりに、回転する(
図4、
図5、及び
図7を参照されたい)。旋回クランプ(25g)は、スライド式ゲートバルブプレートの把持保持部(5)に到達して係合するために、受領クレードルにわずかな間隙しか必要としないことにより、有利である。
【0037】
代替可能な実施形態では、
図9に示すように、把持クランプ(25t)は、開放位置と把持位置との間にわたって、ハンドリングインターフェース(21)に対して並進するように取り付けられている。この並進は、有利には、スライド面(1s)に平行な平面内の少なくとも1つの成分を含む。
【0038】
図9(a)~
図9(d)は、新たなスライド式ゲートバルブプレート(1n)を、スライド式ゲートバルブの上部プレート支持フレーム(11t)に対して固定するための方法であって、
(a)
上記で定義されるロボット化システムを準備することと、
(b)
上部スライド式ゲートバルブプレート(1t)の新たなユニット(1n)に対してハンドリングインターフェース(21)を接近させることと、
(c)
ロボットが新たなユニット(1n)を確実に保持して取り扱うことができるように、新たなユニット(1n)の把持保持部(5)内へと把持クランプ(25t)を並進によって係合させ、それらの把持位置へと到達させることと、
(d)
把持クランプ(25t)が、対応する空隙(15)に対して係合した状態で、新たなユニット(1n)を有したハンドリングインターフェース(21)を、プレート支持フレーム(11t)へと駆動することと、
(e)
並進によって、把持保持部(5)から、把持クランプ(25t)を係合解除することと、
(f)
ハンドリングインターフェース(21)を、上部プレート支持フレーム(11t)から離間する向きに駆動することと、を含む。
【0039】
新たなユニット(1n)を上部プレート支持フレーム(11t)へと駆動する前に、上部スライド式ゲートバルブプレート(1t)の第2面(1d)を、有利には、モルタルによってコーティングし、内部ノズル(42)に対して付着させるようにする。これに代えて、新たなユニット(1n)がプレート支持フレーム(11t)へと駆動される前に、内部ノズル(42)を、モルタルによってコーティングすることができ、上部スライド式ゲートバルブプレート(1t)に対して付着させるようにする。
【0040】
回転クランプが回転可能に取り付けられている時には、ハンドリングインターフェース(21)は、揺動クランプ(25r)のみ(すなわち、N個の揺動クランプ)を含むことができ、あるいは、旋回クランプ(25g)のみ(すなわち、N個の旋回クランプ)を含むことができ、あるいは、揺動クランプ及び旋回クランプの両方(25r、25g)(すなわち、n<Nとして、n個の揺動クランプ、及び、N-n個の旋回クランプ)を含むことができる。
図4に示す好ましい実施形態では、ハンドリングインターフェース(21)は、N=4個の把持クランプを含み、そのうち、n=2個は、揺動クランプ(25r)であり、N-n=2個は、旋回クランプ(25g)である。代替可能な実施形態では、N=3個の把持クランプを含み、そのうち、n=1個は、揺動クランプ(25r)であり、N-n=2個は、旋回クランプ(25g)である。
【0041】
スライド式ゲートバルブプレート(1)は、W≦Lとした時に、スライド式ゲートバルブプレートの長さL及び幅Wを規定する長方形に内接することができる。一対の同様の把持クランプが、長さLの第1端部に隣接して並んで配置されること、かつ、1つ又は一対の同様の把持クランプが、長さLの第1端部とは反対側の第2端部に隣接して並んで配置されることが好ましく、その場合、第1端部に隣接した一対の把持クランプは、第2端部に隣接した1つ又は一対の把持クランプと同じもの又は異なるものとすることができる。例えば、ロボットのハンドリングインターフェース(21)は、長さLの第1端部のところに1つ又は2つの隣接した揺動クランプ(25r)を含むことができ、長さLの第2端部のところに1つ又は2つの隣接した旋回クランプ(25g)を含む。
【0042】
図8(a)は、弾性部材(27)と、一対の旋回グリップ(25g)と、一対の揺動クランプ(25r)と、を含むハンドリングインターフェース(21)の好ましい実施形態を示している。
図8(b)に示すように、揺動クランプは、x1及びx2という2つの回転軸線まわりに揺動することができる。
図8(c)及び
図8(d)は、単一の回転軸線x1又はx2を有した単軸揺動クランプ(25r)を示している。
図8(e)は、回転軸線x1及びx2という2つの軸線を有した二軸揺動クランプ(25r)を示しており、揺動クランプの移動スパンを拡大している。
【0043】
揺動把持手段と旋回把持手段との組合せは、
図7の実施形態に示すように、モルタル(43)によって内部ノズル(42)に対して結合された使用済み上部スライド式ゲートバルブプレート(1t)を引き裂くに際して、特に有利なものとすることができる。この実施形態では、ハンドリングインターフェース(21)又は上部プレート支持フレーム(11)は、突起(19)を含み、これにより、ロボットが上部プレート支持フレームに対して対向し、そこから上部スライド式ゲートバルブプレートを取り外す際には、1つ又は2つの旋回クランプ(25g)が、対応する空隙(15)を貫通して、その把持位置へと回転し、突起(19)は、ハンドリングインターフェース(21)が上部スライド式ゲートバルブプレート(1t)のスライド面(1s)に対して斜めとなるように、揺動クランプ(25r)が、対応する空隙を部分的にしか貫通できないようにする。1つ又は2つの揺動クランプは、依然として開放位置にある(
図7(a)及び
図7(b)を参照されたい)。この位置において、揺動クランプ(25r)は、それらの把持位置へと回転される。
図7(c)に示すように、L字形状揺動クランプの揺動移動は、上部スライド式ゲートバルブプレートの対応する端部を引っ張り、1つ又は2つの旋回クランプが通過する軸線まわりにプレート上に回転モーメントを発生させ、上部スライド式ゲートバルブプレートの長さに沿ってモルタル(43)と第2面(1d)との間にクラックが進行することによって、上部スライド式ゲートバルブプレートを内部ノズル(42)に付着しているモルタル(43)を破壊することができる。この解決策は、スライド面(1s)に対して垂直な方向に沿って内部ノズルから離間する向きに上部スライド式ゲートバルブプレートを引っ張ることと比較して、すなわち、モルタルと上部スライド式ゲートバルブプレートとの間の界面の全領域を同時に破壊する必要がある態様と比較して、明らかに、より少ないエネルギー及びより小さな力しか必要としない。突起(19)は、好ましくは格納可能であり、そのため、突起は、使用済みのスライド式ゲートバルブプレートを、支持フレーム(好ましくは、上部スライド式ゲートバルブプレート(1t))から取り外すためだけに使用され、新たなスライド式ゲートバルブプレートを受領クレードル上に位置決めする際には干渉しないように格納することができる。
【0044】
よって、この実施形態は、冶金容器の底部に取り付けられたスライド式ゲートバルブのプレート支持構造(11)から、上部スライド式ゲートバルブプレート(1t)を取り外すための、
図7に示す方法において使用することができ、
(a)
上部スライド式ゲートバルブプレートが上部プレート支持フレーム(11t)内に配置されかつモルタル(43)によって内部ノズル(42)に対して結合された状態で、上記で定義されるロボット化システムを準備することと、
(b)
旋回クランプ(25g)を、対応する空隙(15)内へと完全に係合させ、旋回クランプを回転させることにより、対応する把持保持部(5)に対して係合させ、これにより、旋回クランプの把持位置へと到達させることと、
(c)
揺動クランプ(25r)を、突起(19)が許容する限りにおいて、対応する空隙(15)内へと係合させ、揺動クランプを、揺動クランプの把持位置に向けて回転させることにより、揺動クランプを、対応する把持保持部内へと部分的に係合させ、これにより、上部スライド式ゲートバルブプレートの一方の端部を、内部ノズルから離間する向きに引っ張って、モルタルにクラックを発生させ、揺動クランプを、対応する把持保持部に対して完全に係合して揺動クランプの把持位置へと到達させることと、
(d)
ハンドリングインターフェースを、上部プレート支持フレームから離間する向きに駆動することにより、上部プレート支持フレームから上部スライド式ゲートバルブプレートを取り外すことと、を含む。
【0045】
旋回クランプ(25g)は、揺動クランプ(25r)に先行して回転させることができる、あるいは、揺動クランプ(25r)と同時に回転させることができる。旋回クランプと揺動クランプを同時に回転させることにより、2種類のクランプを回転駆動するに際して、単一の駆動装置を使用することができる。
【0046】
上述したような回転可能なL字形状把持クランプの主要な利点の1つは、幾何形状がわずかに異なるスライド式ゲートバルブプレートに適応できることであり、これは、プレートが異なる設計を有しているためであり、あるいは、異なる温度であるためである、すなわち、新たなスライド式ゲートバルブプレート(1n)の場合には室温であり、使用済みスライド式ゲートバルブプレートの場合には実質的に高い温度であって、室温での新たなものと比較して、熱膨張しているからである。
【0047】
ロボット(20)
新たな冶金容器(41)のそれぞれが、ロボット(20)に対して必ずしも正確に同じ位置に配置されないことにより、新たな冶金容器のそれぞれに対して正確に同じ動きを繰り返すようにロボットを構成することは実用的ではない。したがって、ロボットには、構成要素の認識を行う光学カメラシステム、赤外線(例えば、ライダー)、レーダー、等の電磁波認識システムを設けることが好ましい。これらのシステムは、ロボットが実行することとなる操作に関して必要な精度を有していない可能性があり、また、光学的認識システムの場合には、煙及び蒸気が、視認性及び移動精度を妨害する可能性がある。
【0048】
図4及び
図5に示す一実施形態では、ハンドリングインターフェース(21)は、スライド式ゲートバルブプレート(1)が把持された時に、スライド面(1s)を含む平面を超えて突出するガイドピン(23)を含んでもよい。プレート支持フレーム(11)は、ガイドピンを受領するための、及び、スライド式ゲートバルブプレートを受領クレードル(12)に対して位置合わせするように案内するための、漏斗形状のキャビティ(13)を含む。
図4及び
図5では、2つのガイドピンが図示されている。ハンドリングインターフェースが、2つ、3つ、又は4つの、好ましくは2つ又は3つの、このようなピンを含み得ることは、明らかである。
図5に示すように、ガイドピンが、プレート支持フレームに対してスライド式ゲートバルブプレートを保持するハンドリングインターフェース(21)の再位置合わせを可能とする場合、これは、ロボット(20)のアームとハンドリングインターフェース(21)との間の「手首」が可撓的である場合にのみ可能となる。
【0049】
したがって、
図1、
図5、及び
図7に示すように、ロボットのアームをハンドリングインターフェース(21)に対して結合する結合部材(29)を、ロボットに設けることが好ましい。結合部材(29)は、結合部材の柔軟性を制御し得る空気圧式又は油圧式のシステム(29p)を含み、これにより、ロボットに対してのハンドリングインターフェース(21)の結合の柔軟性又は可撓性を制御することができる。結合部材(29)の例は、例えば、米国特許出願公開第2017045106号明細書及び欧州特許第2500150号明細書に記載されている。空気圧式又は油圧式のシステム(29p)が圧力を受けている時には、結合部材は、剛直である。
図5(a)、
図5(b)、及び
図5(d)、ならびに、
図7(a)及び
図7(d)に示すように、スライド式ゲートバルブプレート(1)のある地点から別の地点への搬送時には、剛直な結合部材(29)が使用される。
【0050】
取り付けられているロボットのアームに対しての、ハンドリングインターフェース(21)の少しの移動が必要とされた場合には、空気圧式又は油圧式のシステム(29p)内の圧力が解放されて、結合部材が柔軟なものとなり、これにより、ハンドリングインターフェース(21)を、ロボットのアームに対して回転させたり並進させたりすることが可能とされる。柔軟な結合部材(29)は、支持フレームに対してのハンドリングインターフェース(21)の位置を、ロボットのアームの精度を超えて微調整しなければならない場合に有用である(プレートがかなり重いことが、ロボットのアームの精度に悪影響を及ぼすことに、注意されたい)。例えば、
図5(b)及び
図5(c)に示すように、ガイドピン(23)が、対応する漏斗形状のキャビティ(13)に対して接触する際には、ガイドピン(23)が漏斗形状のキャビティ(13)内へと深く侵入するため、ハンドリングインターフェース(21)を、プレート支持フレームに対して再度位置合わせする必要がある。この段階では、ハンドリングインターフェースがプレート支持フレームに向けてさらに移動する際にハンドリングインターフェースを再度位置合わせし得るよう、結合部材(29)を、できるだけ柔軟にしておくことが重要である。同様に、
図7(b)及び
図7(d)では、突起(19)によって、ハンドリングインターフェースを、プレート支持フレーム(11)に対して斜めに傾斜させる。この場合にも、結合部材(29)は、空気圧式又は油圧式のシステム(29p)の圧力を低減することによって、柔軟でなければならない。
【0051】
ロボットは、回転ベース上に取り付けることができ、そのリーチがあればスパンを広げるために、保管位置とスライド式ゲートバルブ位置との間を移動するために、レール上に取り付けることができる。
【0052】
スライド式ゲートバルブプレート(1)の把持保持部(5)
図2~
図5、及び
図6(a)(iv)に示す一実施形態では、スライド式ゲートバルブプレートは、上部スライド式ゲートバルブプレート又は下部スライド式ゲートバルブプレートであり、第2面(1d)は、スライド面(1s)よりも小さな面積を有し、スライド面上への投影においては、第2面は、スライド面内に囲まれており、周縁エッジ(1e)及び/又は第2面は、把持保持部(5)を形成する面取り部を含む。このタイプのスライド式ゲートバルブプレートは、例えば、国際公開第2017129563号パンフレットに記載されている。スライド式ゲートバルブプレートのこのような幾何形状によって得られる本明細書で説明した利点の他に、周縁エッジ(1e)の(又は、第2面(1d)の)面取り部は、ハンドリングインターフェース(21)の把持クランプ(25g、25t)と相互作用するための把持保持部(5)を形成するものとして利用することができる。スライド式ゲートバルブプレートの面取り部は、L字形状把持クランプ(25g、25r、25t)の自由端に対してのアクセスと保持とを提供する。
【0053】
図6(a)(i)に示す代替可能な実施形態では、第2面(1d)は、スライド面(1s)と実質的に同じ面積を有している。この場合、把持保持部(5)は、プレート(1)の第2面(1d)のうちの、周縁エッジ(1e)に対して隣接した部分とすることができる。そのような部分は、ロボットがスライド式ゲートバルブプレート(1)を確実に保持して取り扱うことができるように、把持位置において把持クランプ(25g、25r、25t)を受領するのに充分な大きさである必要がある。
【0054】
図6(a)の(ii)及び(iii)に示す代替可能な実施形態では、把持保持部(5)は、周縁エッジ(1e)において開口した凹所でありかつスライド式ゲートバルブプレートの厚さ内へと侵入する凹所である。スライド式ゲートバルブプレート(1)の一部が金属缶(1c)によって被覆されている場合には、凹所は、少なくとも部分的に、金属缶内に形成される。凹所は、
図6(a)(iii)に示すように、周縁エッジ(1e)のところにおいて排他的に開口することができる。この実施形態は、2つの対向するスライド面(1s)を含むとともに好ましくは開口を含むべきではない中間スライド式ゲートバルブプレート(1m)に、特に適している。これに代えて、凹所は、
図6(a)(ii)に示すように、周縁エッジ(1e)と第2面(1d)との両方のところにおいて開口することができる。この実施形態は、開放位置にある把持クランプを受領クレードルの底床にまで単に駆動することにより、把持クランプ(25g、25g)が、把持保持部(5)に対して係合することを、より容易なものとし、これにより、好ましくは回転によって、把持手段を把持位置へと移動させて、底床の高さ位置に位置した凹所内へと係合させる。
【0055】
図6(b)に示す更なる代替可能な実施形態では、把持保持部(5)は、周縁エッジ(1e)から突出した突起とすることができ、好ましくは、周縁エッジの一部を被覆している金属缶(1c)の一部である。そのような突出した把持保持部(5)に関する2つの例が、
図6(b)の(i)及び(ii)に示されている。
【0056】
プレート支持フレーム(11)の空隙(15)
図3に示すように、受領クレードル(12)は、スライド式ゲートバルブプレート(1)の第2面(1d)のほぼインプリントとすることができる。このような構成では、空隙(15)は、ハンドリングインターフェースの把持クランプ(25g、25r、25t)の位置に対応した位置のところにおいて、受領クレードルの周縁エッジで開口していなければならず、プレートが受領クレードル(12)に保持されている時には、スライド面(1s)に垂直な方向に沿って、開放位置にある把持クランプの通過を可能とするような寸法でなければならない。また、空隙(15)は、把持クランプが把持保持部に対して対向した位置に到達するとともに、回転(又は、他の移動)によって把持位置へと移動して、把持保持部に対して係合し得るよう、充分な深さを有していなければならない。空隙のサイズ及び幾何形状は、一方では、把持保持部に対しての把持クランプのアクセスを容易にすることと、他方では、あるプレートのスライド面を他のプレートのスライド面に対してスライドさせた際に受領クレードルが提供するスライド式ゲートバルブプレートの位置安定性と、の間の妥協でなければならない。
【0057】
把持保持部(5)が、例えば
図6(a)(i)に示すように、プレート(1)の第2面(1d)のうちの、周縁エッジ(1e)に対して隣接した部分である場合には、空隙(15)は、スライド式ゲートバルブプレートが受領プレート支持フレーム(11)内にロックされた時に、把持クランプ(5g、5r、5t)がプレートの第2面(1d)に対して対向した位置へと到達して、それら把持クランプが、把持位置へと移動して第2面(1d)に対して係合し得るように、充分な深さであることが必要である。
【0058】
受領クレードルは、また、底床と、底床から突出した保持ブロックであり、かつ、スライド式ゲートバルブの駆動時にスライド式ゲートバルブプレートを所定位置に保持するための戦略的な位置に配置された保持ブロックと、を含むこともできる。このような構成では、空隙(25)は、容易に利用可能であり、本発明のロボット化システムを実装するに際して、プレート支持フレーム(11)を修正する必要はない。スライド式ゲートバルブプレートにしか、把持保持部(5)を設ける必要がない。国際公開第2017129563号パンフレットに記載されているような面取りされた周縁エッジを含むスライド式ゲートバルブプレートの場合には、プレートさえも修正する必要がなく、本発明を実装するに際しては、ロボットとハンドリングインターフェースとが必要なだけである。これは、最小限の改造で済むという大きな利点である。
【0059】
利点
本発明は、人間の操作者を過酷な労働条件から解放する点で、及び、ヒューマンエラーのリスクが少なく、より再現性が高いという点で、有利である。本発明を実装するに際しては、設置において最小限の修正しか必要とされない。把持クランプの通過を可能とするために必要な受領クレードル(12)内の空隙(15)は、特に旋回クランプ又は揺動クランプ(25g、25r、25t)を使用する場合には、かなり小さなものとすることができる。ハンドリングインターフェースの把持クランプは、スライド式ゲートバルブプレートの温度変化に基づく寸法変化には、全く影響を受けない。スライド式ゲートバルブプレートは、国際公開第2017129563号パンフレットに記載されているような面取りされたプレートが使用される場合には、もしあったとしても最小限の再設計しか必要としない。空気圧式又は油圧式のシステム(29p)を含む結合部材(29)を使用することにより、ロボットは、比較的重いスライド式ゲートバルブプレートを高精度に取り外して受領クレードル内へと導入するために必要な柔軟性を享受し、これにより、あらゆる部品の破破損リスクが低減される。
【符号の説明】
【0060】
1:スライド式ゲートバルブプレート
1b:貫通穴
1c:金属缶
1d:プレートの第2面
1e:周縁エッジ
1n:新たなユニット
1t:上部スライド式ゲートバルブプレート
1L:下部スライド式ゲートバルブプレート
1m:中間スライド式ゲートバルブプレート
1s:プレートのスライド面
5:把持保持部
11:プレート支持フレーム
11L:下部プレート支持フレーム
11m:中間プレート支持フレーム
11t:上部プレート支持フレーム
12:受領クレードル
13:漏斗形状のキャビティ
15:空隙
17:ピストン
19:突起
20:ロボット
21:ハンドリングインターフェース
23:ガイドピン
25r:揺動クランプ
25g:旋回クランプ
27:弾性部材
29:結合部材
29p:空気圧式又は油圧式のシステム
41:冶金容器
42:内部ノズル
43:モルタル
【国際調査報告】