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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】形状接続を有する超音波溶接機
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20220209BHJP
【FI】
B23K20/10
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021535188
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(85)【翻訳文提出日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019084929
(87)【国際公開番号】W WO2020126836
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】102018132840.0
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520062177
【氏名又は名称】ヘルマン ウルトラシャルテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー アウスト
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ツェンドラー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ フォーグラー
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167BE04
(57)【要約】
本発明はソノトロードとコンバーターを有する超音波振動ユニットを具備する超音波溶接機に関し、ソノトロードとコンバーターは縦軸に沿って互いに並置されており、超音波振動ユニットは超音波振動により縦軸の方向に波長λで共鳴させることができ、ソノトロードとコンバーターとの間に配置された振幅変換器を設けることができる。ソノトロードを簡単に交換でき、簡単・迅速に高い精度で調整できる超音波溶接機を提供するために、本発明により、ソノトロードはコンバーターと、及び/又は振幅変換器はコンバーターと、及び/又は振幅変換器はソノトロードと、縦軸に垂直な平面のすべての方向で嵌合を提供する形状接続によって接続されていることが提案される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソノトロードとコンバーターを有する超音波振動ユニットを具備する超音波溶接機であって、ソノトロードとコンバーターは縦軸に沿って互いに並置されており、超音波振動ユニットは超音波振動により縦軸の方向に波長λで共鳴させることができ、ソノトロードとコンバーターとの間に配置された振幅変換器を設けることができるものにおいて、ソノトロードはコンバーターと、及び/又は振幅変換器はコンバーターと、及び/又は振幅変換器はソノトロードと、縦軸に垂直な平面の全ての方向で嵌合を提供する形状接続によって接続されていることを特徴とする、超音波溶接機。
【請求項2】
前記形状接続は、突起部とこれに対応する開口部からなり、好ましく突起部は振幅変換器に配置され、これに対応する開口部はソノトロード又はコンバーターに配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の超音波溶接機。
【請求項3】
突起部とこれに対応する開口部は縦軸に対して回転対称に形成されておらず、好ましくは突起部とこれに対応する開口部はn数の回転軸を有する縦軸を中心に回動対称に形成されていて、nは1より大きい自然数であり、特に好ましくは、ソノトロードはm数の回転軸を有する縦軸を中心に回動対称に形成されていて、mとnは等しいことを特徴とする、請求項2に記載の超音波溶接機。
【請求項4】
突起部とこれに対応する開口部は円錐状に形成されているか、又は円錐状部分を有することを特徴とする、請求項2又は3に記載の超音波溶接機。
【請求項5】
ソノトロードと振幅変換器は形状接続によって互いに接続されており、ソノトロードは段付き貫通孔を有し、振幅変換器はねじ孔を有し、段付き貫通孔を貫通してねじ孔に突入係合するねじが設けられており、好ましくは貫通穴又はねじ孔は突起部内に配置されていることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の超音波溶接機。
【請求項6】
ソノトロードに対して縦軸に垂直に加えられた力を支持するための支持部材が設けられており、ソノトロードと支持部材は互いに対応する支持面を有し、これらの支持面は、少なくともソノトロードに縦軸に対して垂直に力が加えられると互いに接触し、支持面は、これらの支持面が互いに接触するとソノトロードが支持部材に対して縦軸の方向で相対的に移動することを妨げ、且つソノトロードが縦軸を中心に回転することを妨げないように形成されており、更に好ましくは、支持部材は縦軸に垂直な2つの位置の間で往復移動できるように形成されており、特に好ましくは支持部材を少なくとも1つの位置でロックできるロック装置が設けられていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の超音波溶接機。
【請求項7】
ソノトロードが突起を具備して支持部材が溝を具備するか、又はソノトロードが溝を具備して支持部材が突起を具備し、突起と溝は対応する支持面を有しており、好ましくはソノトロードの突起又は溝は波長λの共鳴振動の振動ノードに配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の超音波溶接機。
【請求項8】
相手工具が設けられており、ソノトロードと相手工具は縦軸に垂直の方向で互いに相対的に移動でき、支持部材は、相手工具によってソノトロードに加えられた力が支持部材に伝達されるように位置決めされていることを特徴とする、請求項6又は7に記載の超音波溶接機。
【請求項9】
突起と溝は台形断面を有しており、好ましくは突起と溝は、それぞれ平行に延びず縦軸に対して90°未満の角度をなす2つの支持面を有することを特徴とする、請求項7から8のいずれか一項に記載の超音波溶接機。
【請求項10】
超音波振動ユニットを保持するための保持具が設けられており、好ましくは保持具に支持部材が取り付けられていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の超音波溶接機。
【請求項11】
前記保持具は角度位置決め装置を有しており、角度位置決め装置と超音波振動ユニットは、互いに形状的に接続できるように形成されていて、この形状接続によって超音波振動ユニットが縦軸を中心に回転することは妨げられ、且つ超音波振動ユニットと保持具が縦軸の方向で相対的に移動することは妨げられないことを特徴とする、請求項10に記載の超音波溶接機。
【請求項12】
超音波振動ユニットは、少なくとも1つの凹部を具備する外側隆起を有しており、角度位置決め装置は凹部に対応する少なくとも1つの凸部を有していて、凸部は凹部に突入係合でき、それによって形状接続を実現することを特徴とする、請求項11に記載の超音波溶接機。
【請求項13】
外側隆起は複数の凹部を有し、好ましくは角度位置決め装置は複数の凹部に対応する複数の凸部を有しており、特に好ましくは、超音波振動ユニットは縦軸を中心に互いに相対的に回転した複数の位置で角度位置決め装置と形状的に接続できることを特徴とする、請求項12に記載の超音波溶接機。
【請求項14】
外側隆起の少なくとも1つの凹部と角度位置決め装置の凸部は互いに対応する接触面を有しており、これらの接触面は、縦軸を中心に超音波振動ユニットを回転させて角度位置決め装置内に挿入すると互いに接触し、好ましくは凹部及び/又は凸部の接触面は縦軸に対して傾いていることを特徴とする、請求項12から13のいずれか一項に記載の超音波溶接機。
【請求項15】
角度位置決め装置は、角度位置決め装置を機台に固定するための固定部材と、縦軸の方向で固定部材に対して2つの位置の間で往復移動できる連結部材とを有しており、連結部材と超音波振動ユニットとの間で形状接続を形成でき、連結部材は位置の1つで弾性的に付勢されており、特に好ましくは、この付勢は少なくとも1つのばね部材を用いて行われることを特徴とする、請求項11から14のいずれか一項に記載の超音波溶接機。
【請求項16】
外側隆起はソノトロードに、又はソノトロードとコンバーターとの間に配置された振幅変換器に設けられており、好ましくは、前記外側隆起は、波長λの共鳴振動の振動ノードに配置されていることを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載の超音波溶接機。
【請求項17】
保持具はクランプ装置を有しており、クランプ装置は、超音波振動ユニットを保持具から取り出すことができる開いた位置と、クランプ装置が少なくとも2つの保持点で超音波振動ユニットと接触してこれに力を加えて超音波振動ユニットが保持される閉じた位置との間で往復移動できることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の超音波溶接機。
【請求項18】
前記保持点は、外側隆起に配置されていることを特徴とする、請求項17に記載の超音波溶接機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソノトロードとコンバーターを有する超音波振動ユニットを具備する超音波溶接機に関する。ソノトロードとコンバーターは縦軸に沿って互いに並置されていて、超音波振動ユニットが超音波振動により縦軸の方向で周波数f=v/λで共鳴させることができるように同調されており、vは超音波振動ユニット内における音響超音波振動の伝播方向であり、λは超音波振動の波長である。この場合、超音波振動ユニット内で振動ノードと振動極大点を有する定常波が形成される。最も単純なケースでは、ソノトロードは正確に1つの振動ノードと2つの振動極大点を示す。即ち、ソノトロードの長さは共鳴振動の半波長λ/2に相当する。
【背景技術】
【0002】
通常、超音波溶接機はアンビルを有しており、被加工材はソノトロードのシール面とアンビルのシール面との間に配置される。アンビルは相手工具(Gegenwerkzeug)とも呼ばれる。多くの場合にソノトロードとコンバーターの間に、コンバーターによって生成される超音波振動の振幅を変更するが周波数は変更しない振幅変換器が配置されている。
【0003】
加工のために超音波振動ユニットを保持する必要がある。そのため超音波振動ユニットは相応の保持具を具備している。
【0004】
溶接品質に対する要求はますます高くなっている。そのうえ金属などの材料を溶接加工すると、ソノトロードのシール面に著しい摩耗を来たし、その結果ソノトロードを頻繁に交換することが必要となる。一部では既に複数のシール面を有するターニングソノトロード(Wendesonotrode)が提案されており、1つのシール面が摩耗したらソノトロードを回転させて別のシール面で引き続き加工できるようになっている。
【0005】
特に金属溶接で高い溶接品質を達成するためには、ソノトロードとアンビルのシール面を非常に正確に互いに平行に位置決めすることが必要である。とりわけ超音波振動ユニット及びソノトロードのシール面をアンビルに対して平行に位置決めすることは、既知の超音波溶接機では非常に厄介であり、しばしば特別訓練を受けた作業者にしか実施できず、このことは特にソノトロードを頻繁に交換する場合は加工プロセスを不都合に中断することにつながる。たとえターニングソノトロードを使用したとしても、ソノトロードを回転させるたびに新たにアンビルに対して正確に平行に位置決めしなければならないので、この点は何も変わらない。ソノトロードの軸及び半径の位置決めは、極めて重要である。
【0006】
ソノトロードを交換又は回転させて、シール面を相手工具に対して平行に位置合わせしなければならない場合は、超音波振動ユニットを完全に取り外すことが必要であるが、これは時間がかかり、新たな調整を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ本発明の課題は、ソノトロードを簡単・迅速に高い精度で調整できる超音波溶接機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、ソノトロードはコンバーターと、及び/又は振幅変換器はコンバーターと、及び/又は振幅変換器はソノトロードと、縦軸に垂直な平面のすべての方向で嵌合を提供する形状接続によって接続されていることによって解決される。形状接続は縦軸の方向における相対移動を可能にすることが有利である。
【0009】
例えば、形状接続は突起部(Zapfen)とこれに対応する開口部からなり、好ましく突起部は振幅変換器に配置され、これに対応する開口部はソノトロード又はコンバーターに配置されている。
【0010】
以下では、ソノトロードとコンバーターとの間に振幅変換器があり、ソノトロードと振幅変換器との間に形状接続が設けられていることを前提とする。これは好適な配置構成である。この配置構成により、振幅変換器とコンバーターを保持具から取り外すことなく、ソノトロードを簡単に交換することが可能になる。しかしながら原理的に振幅変換器を省略してソノトロードをコンバーターに直接固定し、又は振幅変換器を形状接続によってコンバーターに固定することも可能であろう。それゆえ、ソノトロードとコンバーターの間、又は振幅変換器とコンバーターの間の形状接続においてもすべての利点とその他の特徴を実現することができるが、以下ではこれらをソノトロードと振幅変換器の間の形状接続に関してだけ説明する。
【0011】
ソノトロードを振幅変換器に対して相対的に位置決めすることを可能にするために、突起部は対応する開口部に簡単に挿入できる。
【0012】
突起部とこれに対応する開口部は、好ましくは縦軸に対して回転対称に形成されておらず、ソノトロードの振幅変換器に対する回転位置決め、又はコンバーターの振幅変換器に対する回転位置決めは形状接続によって行われる。代替として、複数の突起部とこれに対応する開口部を設けてもよい。この場合、1つ以上の突起部は、振幅変換器が所定の回転角度位置でのみソノトロード又はコンバーターと係合できるように形成されているべきである。
【0013】
特に好適な実施形態では、突起部とこれに対応する開口部は、n数の回転軸を有する縦軸を中心とした回動対称を有する。
【0014】
2数の回転軸の場合、ソノトロードは縦軸を中心に180°(360°/2)回動して、この位置で再び振幅変換器と接続できる。n数の回転軸の場合、ソノトロードは縦軸を中心に360°/n(例えば3数の回転軸の場合は120°)回動して、この位置で再び振幅変換器と接続できる。
【0015】
ソノトロードがターニングソノトロードとして、m数の回転軸を有する縦軸を中心に回動対称に形成されている場合、m=nであることが好ましい。言い換えれば、振幅変換器は、nで定義された回転位置でのみソノトロード又はコンバーターと係合することができる。
【0016】
この形状接続により、原則として一方の振幅変換器と、他方のソノトロード又はコンバーターとの間で軸方向移動が可能になる。部材を互いにしっかりと接続するために、例えば振幅変換器はねじ孔を有し、ソノトロード又はコンバーターは段付き貫通孔を有することができ、その結果としてねじが段付き貫通孔を通ってねじ孔に突入係合することによって軸方向の固定を行うことができる。
【0017】
代替として、開口部を突起部に焼き嵌めすることもできよう。
【0018】
別の好適な実施形態では、突起部とこれに対応する開口部は円錐状に形成されているか、又は円錐状部分を有する。この円錐形状は、一方では、ソノトロードと振幅変換器との間の接続、又は振幅変換器とコンバーターとの間の接続のセンタリングに用いられる。他方では、接続は円錐形状を介してセルフロックするように構成できる。それゆえ円錐角度は最大2°が有利である。
【0019】
別の好適な実施形態では、ソノトロードに縦軸に対して垂直に加えられる力を支持するための支持部材が設けられており、ソノトロードと支持部材は互いに対応する支持面を有し、これらの支持面は、少なくともソノトロードに縦軸に対して垂直に力が加えられると互いに接触し、これらの支持面は互いに接触するとソノトロードが支持部材に対して縦軸の方向に相対的に移動することを妨げ、且つソノトロードが縦軸を中心に回転することを妨げないように構成されている。
【0020】
したがって、支持部材は基本的に一度だけ位置決めすればよい。本発明により対応する支持面を配置することにより、超音波振動ユニットを軸方向で位置決めするために、ソノトロードの支持面を支持部材の対応する支持面に当接させるだけでよい。その後で支持部材はソノトロードがその縦軸を中心に少なくともある範囲内で回転することを可能にするので、角度位置を決定することができる。
【0021】
この実施形態は、さらに超音波振動ユニットがソノトロードに対してではなく、コンバーター又はソノトロードとコンバーターとの間に中間接続された振幅変換器に保持されると非常に有利である。なぜなら、溶接中ソノトロードに加わる力が大きなてこの作用を持つが、これが支持部材によって吸収できるからである。ソノトロードとアンビルのシール面が互いに正確に平行に位置合わせされている場合でも、これはソノトロードに縦軸に対して横断方向に曲げモーメントが負荷されると変化する。このようなことは、ソノトロードのシール面が縦軸に対して垂直に位置決めされていないと必ず起こる。特に金属溶接の場合、ソノトロードのシール面は、大抵、シール面上の垂線が縦軸に対して直角をなすように向けられている。しかも金属溶接では比較的高い力を加えなければならないため、超音波振動ユニットの撓みを招き、その結果ソノトロードのシール面はもはやアンビルのシール面と正確に平行に位置合わせされなくなり、それによって溶接品質が低下する。さらに、大きい曲げモーメントによって超音波振動ユニットの構成部品も損傷する可能性があるが、これは回避しなければならない。支持部材によって撓みと、それによる平行性からの偏差が低減され、保持具又は超音波振動ユニットの構成部品の損傷が避けられる。
【0022】
例えばソノトロードが突起を具備し、支持部材が溝を具備して、これらが互いに係合して支持することができる。代替として、ソノトロードが溝を具備し、支持部材が突起を具備してもよい。この場合、突起と溝は対応する支持面を有する。好ましくはソノトロードの突起又は溝は、共鳴振動の振動ノードに配置されている。振動ノードに配置することの利点は、対応する支持面同士が接触することによって、共鳴振動が超音波振動に影響しないか、ごく僅かしか影響しないことである。この場合、突起はソノトロードに配置することが選好される。なぜならそうすると支持部材によって超音波振動は最も影響を受けることが少なくなるからである。
【0023】
好適な実施形態では、突起と溝は台形断面を有する。例えば突起がソノトロードに配置されている場合、突起は全周突起として形成でき、突起の厚さは半径方向に減少する。この場合、特に好適な実施形態において、突起の支持面も溝の支持面も、それらが平行に延びないで縦軸に対して90°未満の角度をなす2つの支持面セグメントを有するように形成されている。
【0024】
この方策により、超音波振動ユニットの軸方向位置決めは非常に簡単で正確である。加えて支持部材により超音波振動の影響を最小化できる。振動ノードでは縦方向の超音波振動は最小であるが、縦軸に対して垂直の厚み振動はまさにここで最大である。この振動は、縦軸上で垂線に対して傾いた支持面によっては僅かしか妨げられない。支持部材が縦軸に対して90°未満の角度をなす対応する支持面だけでソノトロードに接触すると、影響はさらに軽減できる。
【0025】
別の好適な実施形態では相手工具が設けられており、ソノトロードと相手工具は縦軸に垂直の方向で互いに相対的に移動でき、支持部材は、相手工具により、場合によってはソノトロードと相手工具との間に位置決めされた材料を介してソノトロードに加えられる力が支持部材に伝達されるように位置決めされている。そのため基本的に相手工具と支持部材は、ソノトロードの互いに向き合う側に位置決めされている。
【0026】
別の好適な実施形態では、支持部材は、縦軸に垂直な2つの位置の間で往復移動できるように構成されており、好ましくは支持部材を少なくとも1つの位置でロックできるロック装置が設けられている。
【0027】
別の好適な実施形態では、超音波振動ユニットを保持するための保持具が設けられており、好ましくは保持具に支持部材が取り付けられている。
【0028】
この場合、支持部材は保持位置と解放位置との間で保持具に対して相対的に往復移動できる。保持位置では対応する接触面が互いに接触しているのに対し、解放位置では超音波振動ユニットが縦軸の方向に移動でき、この移動が支持部材によって妨げられることはない。
【0029】
別の好適な実施形態では、保持具は角度位置決め装置を有しており、角度位置決め装置と超音波振動ユニットは、互いに形状的に接続できるように構成されていて、この形状接続によって超音波振動ユニットが縦軸を中心に回転することは妨げられ、且つ超音波振動ユニットと保持具が縦軸の方向で相対的に移動することは妨げられない。
【0030】
この形状接続によって、超音波振動ユニットはその縦軸を基準にした角度位置が決定される。回転位置を決定するために、超音波振動ユニットを角度位置決め装置と接続するだけでよい。その後で超音波振動ユニットの位置決めを、縦軸の方向で少なくとも限られた範囲内で行うことができる。縦軸を中心にそれ以上回転することは、形状接続によって妨げられる。この場合、形状接続は、形状接続が嵌合によって行われると、角度位置が縦軸を基準にした所望された位置にあるように形成されている。回転方向でさらに調整する必要はない。したがって、アンビルとソノトロードのシール面のほぼ完璧に平行な位置合わせを実現するために、超音波振動ユニットは角度位置決め装置とだけ接続すればよい。
【0031】
したがって、支持部材を用いて超音波振動ユニットの軸方向位置決めが決定される一方、回転位置決め装置を用いて超音波振動ユニットの縦軸を基準にした角度位置が決定される。
【0032】
好適な実施形態では、超音波振動ユニットは、少なくとも1つの凹部を具備する外側隆起を有しており、角度位置決め装置はこの凹部に対応する少なくとも1つの凸部を具備していて、凸部は凹部に突入係合でき、それによって形状接続を実現する。
【0033】
この場合、外側隆起は複数の凹部を具備し、好ましくは角度位置決め装置は複数の凹部に対応する複数の凸部を具備しており、特に好ましくは、超音波振動ユニットは、縦軸を中心に互いに相対的に回転した複数の位置で角度位置決め装置と形状的に接続できる。
【0034】
特に、ソノトロードが複数のシール面を有するターニングソノトロードとして形成されている場合、最後に挙げた実施形態は有利である。すべての位置において、形状接続により角度位置決め装置と超音波振動ユニットの間の相対回動が妨げられていて、超音波振動ユニットは複数のシール面の1つが最適に位置合わせされている。
【0035】
外側隆起は任意に形成されてよい。例えば外側隆起はT字形断面を有することができる。この場合、外側隆起は1つのウェブと、このウェブの一方の側から直角に両側に延びる1つのフランジを有する。その際に、1つ以上の凹部を、好ましくはフランジ内に設けることができる。
【0036】
角度位置決め装置の少なくとも1つの凸部は、超音波振動ユニットとの形状接続を提供できる限り、原理的に任意の方向に延びてよい。好適な実施形態では、角度位置決め装置の凸部は軸方向に延びている。
【0037】
別の好適な実施形態では、外側隆起の少なくとも1つの凹部と角度位置決め装置の凸部は互いに対応する接触面を有しており、これらの接触面は、超音波振動ユニットが縦軸を中心に回転すると角度位置決め装置内に挿入されて互いに接触し、好ましくは凹部及び/又は凸部の接触面は、縦軸に対して傾いている。基本的にこの実施形態は、一方の角度位置決め装置と、他方の超音波振動ユニットとの噛み合いを構成している。
【0038】
形状接続を可能な限り遊びなく形成するために、好適な実施形態では、凸部及び/又は凹部は先端が尖るように先細に形成されており、その結果として接触面は縦軸に対して傾いている。例えば凸部と凹部はハースセレーション(Hirth-Verzahnung)として形成されてよい。
【0039】
別の好適な実施形態では、角度位置決め装置は、角度位置決め装置を機台に固定するための固定部材と、2つの位置の間で縦軸の方向に固定部材に対して相対的に往復移動できる連結部材とを有しており、連結部材と超音波振動ユニットとの間で形状接続を形成できる。この場合、連結部材は位置の1つに弾性的に付勢されることができる。
【0040】
角度位置決め装置が二部分からなることにより、連結部材は超音波振動ユニットと形状接続をなすことができ、又は超音波振動ユニットとの係合が外れて、超音波振動ユニットがその縦軸を中心に回転することが可能である。
【0041】
別の好適な実施形態では、固定部材と連結部材との間に圧力プレートが設けられており、連結部材は縦軸を中心に圧力プレートに対して相対的に回転できる。さらに拘束装置が設けられていて、この拘束装置によって連結部材を拘束して、連結部材が超音波振動ユニットの縦軸を中心に回転することが妨げられるようにすることができる。好適な実施形態では、拘束装置は保持具に固定されている。
【0042】
連結部材が縦軸を中心に2つの回転位置の間で固定部材に対して相対的に往復回転できるようにする微調整装置を設けることができ、特に好ましくは、微調整装置は、連結部材と接続可能な長穴付き調整部材と長穴に貫入するねじからなり、ねじは保持具のねじ孔内に突入係合する。
【0043】
連結部材が固定部材に対して相対的に回転可能であることは、ソノトロードのシール面とアンビルのシール面との平行性の偏差がなおも存在する場合にそれを補償するのに役立つ。このことは微調整装置を用いて極めて正確に行うことができる。
【0044】
別の好適な実施形態では、外側隆起はソノトロードに、又はソノトロードとコンバーターとの間に配置された振幅変換器に設けられており、好ましくは、隆起は波長λ/2の共鳴振動の振動ノードに配置されている。振動ノードに配置することにより、保持具若しくは角度位置決め装置による共鳴振動への影響が最小であることが確保される。外側隆起が、1つのウェブと、このウェブの一方の側から直角に両側に延びる1つのフランジとを有するT字形断面で形成されている場合に、ウェブは共鳴振動の振動ノードに配置すべきである。
【0045】
別の好適な実施形態によれば、クランプ装置を具備する保持具が設けられており、クランプ装置は、開いた位置と閉じた位置との間で往復移動できる。この場合、開いた位置では超音波振動ユニットを保持具から取り出すことができる。閉じた位置では、クランプ装置は少なくとも2つの保持点で超音波振動ユニットと接触してこれに力を加え、その結果超音波振動ユニットが保持される。保持点は、好ましくは外側隆起に配置されている。
【0046】
特に好適な実施形態では、クランプ装置は、スロット(Schlitz)付きコレットスリーブとして形成されている。コレットスリーブ(Spannhuelse)は、超音波振動ユニットの部分の外面に対応して形成された内面を有する。スロットは、スリーブの外面とスリーブの内面を接続しており、そのためスリーブは、スロットを限定する2つの向き合うスロット壁を有する。スロット壁を互いに向かって動かすことができる締め付け装置が設けられており、それにより内面によって限定された空間が縮小されて超音波振動ユニットがスリーブ内部で締め付けられる。
【0047】
例えば一方のスロット壁にねじ孔を設け、他方のスロット壁に段付き貫通孔を設けることができ、それにより締め付け装置として働くねじが段付き貫通孔を貫通してねじ孔に突入係合でき、ねじを回して両スロット壁を互いに向かって動かすことができる。
【0048】
クランプ装置による超音波振動ユニットの損傷を防ぐために、好適な実施形態ではスロット壁が停止面として働く。したがって、超音波振動ユニットの外面の一部とコレットスリーブの内面は、スロット壁が接触すると、超音波振動ユニットが確実にクランプ装置によって保持されるように互いに同調され、超音波振動ユニットの損傷を来すことはない。
【0049】
その他の利点、特徴及び可能な応用は、以下の本発明の好適な実施形態と付属の図面に基づいて明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、本発明による超音波溶接機の平面図である。
図2図2は、保持具のない図1による超音波溶接機の斜視図である。
図3図3は、振動構造のない図1による保持具の斜視図である。
図4a図4aは、図1の連結部材の斜視図である。
図4b図4bは、図1の角度位置決め部材の斜視図である。
図4c図4cは、図1の角度位置決め部材の断面図である。
図4d図4dは、図1の保持具の断面図である。
図5図5は、図1の実施形態の断面図である。
図6図6は、図1の振幅変換器の斜視図である。
図7図7は、図1のソノトロードの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1には、本発明による超音波溶接機の第1の実施形態が示されている。この超音波溶接機は、特に金属の溶接のために意図されている。この超音波溶接機は、ソノトロード1と、振幅変換器4と、コンバーター3とを含む超音波振動ユニットを有する。超音波振動ユニットの構成要素は、縦軸に沿って互いに並置されている。コンバーター3を用いて交流電圧が機械的な超音波振動に変換される。この機械的振動は、振幅変換器4によって振幅が変えられるが周波数は変わらずにソノトロード1に伝達される。ソノトロード1は、コンバーター3とは反対側に合計4つのシール面2を有しており、これらは被加工材と接触するために設けられている。超音波振動ユニットはその個々の構成要素、即ち、コンバーター3、振幅変換器4及びソノトロード1と互いに同調されていて、波長の超音波周波数で共鳴させることができるようになっている。そのためソノトロードの内部では縦半波の定常波が形成される。超音波振動ユニットは機台に保持されなければならない。このため、保持具5が設けられており、これについては以下に詳しく説明する。
【0052】
図2は、図1の実施形態の斜視図を示す。ここでは超音波振動ユニットの個々の構成要素、即ち、コンバーター3、振幅変換器4及びソノトロード1は実質的に回転対称であり、ソノトロード1のコンバーター3とは反対側の端部のみが正方形に形成されており、正方形断面の各縁面に溶接面2が設けられている。代替として、ソノトロードは他の断面、例えば三角形、正方形ではない四角形などを有することもできよう。
【0053】
特に金属、わけても銅やアルミニウムなどの非鉄金属を、超音波を用いて溶接する際に、溶接面の著しい摩耗を来たし、そのため超音波溶接機は定期的な間隔で部分的又は完全に交換する必要がある。
【0054】
図示されたソノトロード1は合計4つのシール面2を有するので、1つのシール面2が摩耗したら90°回転させて、この位置で引き続き使用できる。
【0055】
超音波で金属を加工するために、被加工材はソノトロード1のシール面2と相手工具(図示せず)との間に配置し、次いで超音波振動ユニットを振動させて、シール面2により超音波振動を被加工材に伝達することができる。
【0056】
図1の保持具5は、図3に別個に示されている。保持具はコレットスリーブとして形成されている。保持具は振幅変換器を完全に取り囲んでいることが見て取れる。但し、保持具は、保持具の2つの脚部材12、13によって形成されたスロット11を具備している。図3に示す位置で、振幅変換器4を保持具5に軸方向で押し込むことができる。この位置で振幅変換器4、ひいては超音波振動ユニット全体を、保持具5の内部でその縦軸を中心に回転させることができる。超音波振動ユニット若しくはソノトロード1のシール面2が所望の位置に達したら、直ちに脚部材13の内部にねじ孔として、且つ脚部材13の内部に貫通孔として形成された孔14に受容されているねじを用いて、2つの脚部材12、13を互いに向かって動かすことができる。その結果としてスリーブ状保持具5の内径は小さくなり、振幅変換器4は、保持具5内で緊締されて、超音波振動ユニットはその縦軸を中心にして保持具5に対して相対的に回動することができなくなる。ここで留意すべきは、保持具が開いた状態で孔は、締め付けられる振幅変換器の外径よりごく僅かだけ大きくすべきであるということである。この超過寸法は0.1mm未満、好ましくは0.05mm未満、最も好ましくは0.02mm未満とすべきである。図示の実施形態では、脚部材12、13は停止面として働く対応するスロット壁を有している。このことは、超音波振動ユニットの外面の一部及びコレットスリーブの内面は、孔14内に突入係合するねじを用いて脚部材12、13を停止面が接触するまで互いに向かって動かし、その状況で超音波振動ユニットはコレットスリーブの内部で固定保持されるように構成されていることを意味する。この構成により、コレットスリーブは敏感な超音波振動ユニットに過大な圧力を加えることができないように確保される。したがって、脚部材12、13の両スロット壁が互いに衝突する瞬間に、スリーブが超音波振動ユニットにもたらす以上の力を超音波振動ユニットに加えることはできない。
【0057】
好ましくは、コレットスリーブは、超音波振動ユニットがコレットスリーブ内に受容されているとき超音波振動装置に少なくとも100Nm、好ましくは少なくとも200Nm、最も好ましくは少なくとも300nmのトルクをもたらすことができ、しかも超音波振動ユニットはコレットスリーブの内部で長手軸を中心にコレットスリーブに対して相対的に回転しないように構成されている。これにより超音波振動ユニットが保持具に保持されている間に、個々の構成要素、例えばソノトロードを超音波振動ユニットから取り外せることが確保されている。
【0058】
他方で、保持具が振幅変換器に加える締め付け力は、振幅変換器に対する締め付けの影響をできるだけ少なくするために可能な限り小さく抑えるべきである。したがって、コレットスリーブは、超音波振動ユニットに2000nm以上、好ましくは1000Nm以上、最も好ましくは500nm以上のトルクがもたらされる場合、超音波振動ユニットは、保持具の内部で長手軸を中心に保持具に対して相対的に回転するように構成すべきである。このようにすることにより、保持具によって振幅変換器にもたらされる力は振動にほとんど影響しないことが確保されている。
【0059】
図4aには、角度位置決め装置の連結部材8の斜視図が示されている。この角度位置決め装置は、ソノトロード1のシール面2の角度位置を簡単な方法で可能な限り正確に調整する働きをする。
【0060】
角度位置決め装置は、スリーブとして形成された連結部材8を有する。連結部材のコンバーターから反対側には、一連の凸部27若しくは凹部28が配置されている。この場合、コンバーターハウジングの外径は連結部材の内径より小さく形成されていて、コンバーターを含む超音波振動ユニットは連結部材内を貫通して、凹部と凸部が互いに突入係合するまで挿入されることができる。
【0061】
特に図5から見て取れるように、振幅変換器は、ここではウェブ15と、第1のスリーブ部分16及び第2のスリーブ部分17を備えたフランジから形成された外側隆起を有する。ウェブ15は、振動ノードで振幅変換器4と接続されている。ウェブ15の端部で振幅変換器4から第1のスリーブ部分16がコンバーター3に向かって延び、第2のスリーブ部分17がソノトロード1に向かって延びている。第1のスリーブ部分16も第2のスリーブ部分17も、保持具5に対する接触面として働く全周カラー18を有する。この固定方法により、超音波振動ユニットの振動特性に有意な影響を来さない保持が可能になる。
【0062】
図6に振幅変換器4の斜視図が示されている。2つの全周カラー18が見て取れる。第1のスリーブ部分16は一連の凸部20若しくは凹部21を有しており、これらは角度位置決め装置の凸部27と凹部28に対応して形成されている。そのため角度位置決め装置の凸部27と凹部28は、凹部21及び凸部20と接続できる。この形状接続により、超音波振動ユニットが縦軸を中心に回転することは妨げられる一方、超音波振動ユニットと角度位置決め装置が縦軸の方向で相対的に移動することは妨げられない。この場合、全周カラーの外径は、保持具の内径よりやや小さい。
【0063】
図4bに回転位置決め装置の全体が図示されている。既に図4aに示した連結部材8は圧力プレート31に当接しており、また圧力プレート31は、ばね10を介して固定部材9に弾性的に配置されている。固定部材9は動かないように固定されている。圧力プレート31は、ばね10の作用により軸方向で固定部材9に対して相対的に移動できる。連結部材8は圧力プレート31に当接しているので、連結部材は圧力プレート31と一緒に軸方向で移動する。連結部材8は、以下に説明するように、圧力プレート31に対して縦軸を中心に2つの位置の間で往復移動できる。
【0064】
図4cは、回転位置決め装置と共に示した保持具5の断面図である。
【0065】
図2にも示されているように、ばね10は連結部材8を前方に、即ち、ソノトロード1に向かって押し、それによって振幅変換器4の凸部20及び凹部21と係合させる。
【0066】
保持具5がまだそのクランプ位置にない間は、超音波振動ユニットはその縦軸を中心に回転でき、連結部材8は、超音波振動ユニットによって、ばね10の力に抗して後方に、即ち、コンバーター3に向かって押される。超音波振動ユニットは、凸部20が凹部28内に進入するまでその縦軸を中心に回転する。それによって連結部材8は振幅変換器4のフランジとかみ合う。
【0067】
図示の実施形態では、凸部20及び27の数及び凹部21及び28の数は、ソノトロード1のシール面2の数に等しい。それゆえ超音波振動ユニットが選択された角度位置でのみ取り付けられることが確保されている。
【0068】
図示の実施形態では、さらに連結部材8が固定部材9に対して縦軸を中心にわずかに相対回転することが可能である。このようなわずかな回転を実現するために、アイレット19として形成された調節部材が設けられ、連結部材8と取り外し可能に接続されている。ねじとして形成された微調整装置29が、この調節部材を保持具5と接続している。したがって、ねじ29を回すことにより、調節部材と接続された連結部材8を保持具5と固定部材9に対してある範囲で回動させて、角度位置の微調整を行うことができる。したがって、ねじ29は、アイレット19内に設けられた長穴の内部で軸方向にも半径方向にもやや遊びを持っている。
【0069】
図4dに、角度位置決め装置の別の斜視断面図が示されている。アイレット19内にはグラブねじ32が突入係合するねじ孔が設けられている。グラブねじ32を用いてアイレット19を連結部材8と締め付けることができ、その結果として連結部材8とアイレット19は一緒にのみ縦軸を中心に回転させることができる。
【0070】
保持具内部の超音波振動ユニットを最初に調節する際に、又は凸部20及び凹部21に対する2つのシール面の角度位置が知られていない場合、グラブねじ32を緩めて超音波振動ユニットを保持具内に挿入できる。その結果、連結部材8は、ばね10の力に抗して固定部材9に向かって押され、次にその縦軸を中心に回転して、超音波振動ユニットの凸部20と凹部21が連結部材8の対応する凸部27と凹部28内に進入する。この位置で、連結部材8は、ばね10の力によって再び固定部材9から離れる方向に押される。このとき超音波振動ユニットは、シール面がほぼ所望の回転位置に来るまで縦軸を中心に回転できる。グラブねじ32は緩めてあるので、連結部材8は超音波振動ユニットと一緒に回転するが、圧力プレート31はその位置に留まっている。
【0071】
超音波振動ユニットの所望の回転位置にほぼ到達すると、直ちにグラブねじ32を固く締めてアイレット19を連結部材8と接続できる。このとき超音波振動ユニットをその縦軸を中心にさらに回転することは、ねじ29を回すことにより非常に限られた範囲でのみ可能である。
【0072】
図6に見られるように、振幅変換器4はソノトロード1に面する側に突起部22を有する。図7にはソノトロード1の斜視図が示されている。ソノトロード1はその振幅変換器4に面する側に突起部22に対応する開口部26を有する。突起部22はカットアウト23を有しており、これは対応する開口部26にも同様に見られる。突起部22が開口部26に挿入されると、縦軸を中心とする回転方向でソノトロード1と振幅変換器4に形状接続が生じる。
【0073】
ソノトロード1は、段付き孔として形成された中央孔25を有しており、これを通ってねじを振幅変換器の対応する中央ねじ孔24に導入して、ソノトロード1を振幅変換器4に固定することができる。
【0074】
図5の断面図から見て取れるように、ソノトロード1は、ソノトロード1の共鳴周波数の振動ノードに配置された外側突起6を具備している。外側突起は、図示の実施形態では全周に形成されている。保持具5には支持部材が固定されており、これは超音波振動ユニットを保持具に受容できる外側の位置と、超音波振動ユニットが縦軸の方向で移動するのを支持部材が妨げる内側の位置との間において、半径方向に移動可能である。この位置で支持部材を拘束して、支持部材7が不都合に外側の位置に向かって動くのを防ぐことができる。支持部材7は、外側突起6が進入する溝30を備えている。図5では上方から被加工材によってソノトロードに力が加えられると、この力は支持部材7によって吸収される。振幅変換器4に設けられた包囲する保持具5は、加工場所、即ち、シール面4から比較的遠く離れているので、シール面2に小さい溶接力が加えられただけでも超音波振動ユニットの屈曲を招く恐れがある。それゆえ支持装置7が設けられている。
【0075】
超音波振動ユニットを保持具に受容するためには、最初に孔14内のねじによる締め付けを緩めなければならない。さらに支持部材7を半径方向外側に移動する必要がある。こうして超音波振動ユニットを保持具5に挿入できる。この場合、連結部材8と圧力プレート31は、ばね10のばね力に抗して固定部材9に向かって押されて、支持部材7が半径方向内側に動いて拘束された後で、外側突起6が支持部材7の溝30内に進入する。これにより超音波振動ユニットの軸方向位置が決定される。次に超音波振動ユニットをその縦軸を中心に、連結部材8の凸部が第1のスリーブ部分16の対応する凹部と噛み合うまで回転させて角度位置決めが行われる。この位置で角度位置もほぼ完璧に調整されている。微調整は、微調整装置、即ち、アイレット19とねじ29を用いて行われ、これらを用いて角度位置の微調整を行うことができる。
【0076】
超音波振動ユニットの正しい位置に達したら、直ちに孔14内に突入係合する固定ねじを用いて脚部材12、13を互いに向かって動かして、スロット11を縮小し、超音波振動ユニットを保持スリーブ内に包囲するように締め付けることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 ソノトロード
2 シール面
3 コンバーター
4 振幅変換器
5 保持具
6 外側突起
7 支持部材
8 連結部材
9 固定部材
10 ばね
11 スロット(Schlitz)
12 脚部材
13 脚部材
14 孔
15 ウェブ(Steg)
16 第1のスリーブ部分
17 第2のスリーブ部分
18 カラー
19 アイレット
20 凸部
21 凹部
22 突起部(Zapfen)
23 カットアウト
24 中央孔
25 中央孔
26 開口部
27 凸部
28 凹部
29 ねじ
30 溝
31 圧力プレート
32 グラブねじ
33 スロット壁(Schlitzwand)
34 スロット壁(Schlitzwand)
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
図2は、図1の実施形態の斜視図を示す。ここでは超音波振動ユニットの個々の構成要素、即ち、コンバーター3、振幅変換器4及びソノトロード1は実質的に回転対称であり、ソノトロード1のコンバーター3とは反対側の端部のみが正方形に形成されており、正方形断面の各縁面にシール面2が設けられている。代替として、ソノトロードは他の断面、例えば三角形、正方形ではない四角形などを有することもできよう。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
図5の断面図から見て取れるように、ソノトロード1は、ソノトロード1の共鳴周波数の振動ノードに配置された外側突起6を具備している。外側突起は、図示の実施形態では全周に形成されている。保持具5には支持部材が固定されており、これは超音波振動ユニットを保持具に受容できる外側の位置と、超音波振動ユニットが縦軸の方向で移動するのを支持部材が妨げる内側の位置との間において、半径方向に移動可能である。この位置で支持部材を拘束して、支持部材7が不都合に外側の位置に向かって動くのを防ぐことができる。支持部材7は、外側突起6が進入する溝30を備えている。図5では上方から被加工材によってソノトロードに力が加えられると、この力は支持部材7によって吸収される。振幅変換器4に設けられた包囲する保持具5は、加工場所、即ち、シール面から比較的遠く離れているので、シール面2に小さい溶接力が加えられただけでも超音波振動ユニットの屈曲を招く恐れがある。それゆえ支持装置7が設けられている。
【国際調査報告】