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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】高周波数多層フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20220209BHJP
【FI】
H03H7/01 Z
H03H7/01 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535593
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 US2019067083
(87)【国際公開番号】W WO2020132011
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/782,464
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】500047848
【氏名又は名称】エイブイエックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,クワン
(72)【発明者】
【氏名】ベロリーニ,マリアンヌ
【テーマコード(参考)】
5J024
【Fターム(参考)】
5J024AA01
5J024BA01
5J024BA03
5J024CA01
5J024CA03
5J024CA04
5J024DA01
5J024DA25
5J024EA01
5J024EA02
5J024EA05
5J024KA02
(57)【要約】
高周波数多層フィルタが、複数の誘電体層と、入力および出力を有する信号経路とを備えることができる。多層フィルタは、第1の誘電体層の上に重なる導電層を備えるインダクタを備えることができる。インダクタは、第1のロケーションにおいて信号経路と電気的に接続することができ、第2のロケーションにおいて信号経路またはグラウンドのうちの少なくとも一方と電気的に接続することができる。多層フィルタは、第1の電極と、第1の電極から第2の誘電体層によって離間された第2の電極とを備えるコンデンサを備えることができる。多層フィルタは、約6GHzよりも高い特性周波数を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波数多層フィルタであって、
複数の誘電体層と、
入力および出力を有する信号経路と、
第1の誘電体層の上に形成される導電層を備えるインダクタであって、前記インダクタは、第1のロケーションにおいて前記信号経路と電気的に接続され、第2のロケーションにおいて前記信号経路またはグラウンドのうちの少なくとも一方と電気的に接続される、インダクタと、
第1の電極と、前記第1の電極から第2の誘電体層によって離間されたおよび第2の電極とを備えるコンデンサと、
を備え、
前記多層フィルタは、約8GHzよりも高い特性周波数を有する、高周波数多層フィルタ。
【請求項2】
前記特性周波数は、ローパス周波数、ハイパス周波数、またはバンドパス周波数の上限のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項3】
前記インダクタの前記導電層は、X-Y平面と平行であり、前記X-Y平面に垂直なZ方向において、前記コンデンサの前記第1の電極および前記第2の電極の各々から、少なくとも10マイクロメートル(10ミクロン)だけ離間される、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項4】
前記インダクタは、第1の方向に細長く、第1の幅を有する、第1の細長いセクションと、第2の方向に細長く、第2の幅を有する、第2の細長いセクションとを備え、前記第1の方向は、前記第2の方向よりも約15°大きい、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項5】
前記第1の細長いセクションの前記第1の幅は、前記第2の細長いセクションの前記第2の幅と概ね等しい、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項6】
前記インダクタは少なくとも2つの角部を含む、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項7】
前記インダクタは、半円未満のループを定義する、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項8】
前記インダクタは、少なくとも半円のループを定義する、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項9】
前記インダクタの前記導電層は、前記第1のロケーションと前記第2のロケーションとの間に、約2mm未満の有効長を有する、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項10】
前記インダクタの前記導電層は、1mm未満の幅を有する、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項11】
前記インダクタの前記導電層が形成される前記誘電体層は、約100マイクロメートル(100ミクロン)未満の厚みを有する、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項12】
前記インダクタの前記導電層が上に形成される前記誘電体層に形成されたビアであって、前記ビアは前記インダクタおよび前記グラウンドに電気的に接続される、ビアを更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項13】
前記複数の誘電体層のうちの別のものの上に形成された更なる導電層と、
前記インダクタの前記導電層が上に形成される前記誘電体層に形成されたビアであって、前記ビアは前記インダクタおよび前記更なる導電層に電気的に接続される、ビアと、
を更に備える、請求項12に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項14】
25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って決定される約100未満の誘電率を有する誘電材料を更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項15】
25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って決定される約100よりも大きい誘電率を有する誘電材料を更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項16】
有機誘電材料を更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項17】
前記有機誘電材料は液晶ポリマーを含む、請求項16に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項18】
前記有機誘電材料はポリフェニレンエーテルを含む、請求項16に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項19】
セラミック充填エポキシを含む誘電材料を更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項20】
第1の電極と、前記第1の電極から離間された第2の電極とを備えるコンデンサを更に備え、前記多層フィルタは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配設された誘電材料を備え、前記誘電材料は、25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って約5~約8の範囲をとる誘電率を有する、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項21】
25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って約1~約4の範囲をとる誘電率を有する更なる誘電材料を更に備える、請求項21に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項22】
自己整合コンデンサを更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項23】
前記信号経路は、第1の方向に細長く、前記第1の方向に垂直な第2の方向における幅を有する、導電層を備え、前記自己整合コンデンサは、Z方向において前記信号経路の前記導電層からオフセットされた導電層を備え、前記Z方向は、前記第1の方向および前記第2の方向の各々に垂直であり、前記自己整合コンデンサの前記導電層は、前記第2の方向に細長く、前記第1の方向における幅を有する、請求項22に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項24】
グラウンドはグラウンドプレーンを備え、前記自己整合コンデンサは、前記グラウンドプレーンに電気的に接続され、前記信号経路と容量結合される、請求項22に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項25】
約0.05mm未満の容量性エリアを有するコンデンサを更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項26】
高周波数多層フィルタを形成する方法であって、
第1の誘電体層上に導電層を備えるインダクタを形成するステップと、
第1の電極と、前記第1の電極から第2の誘電体層によって離間されたおよび第2の電極とを備えるコンデンサを形成するステップと、
第1のロケーションにおいて、前記インダクタを信号経路と電気的に接続する第1のビアを形成するステップと、
第2のロケーションにおいて、前記インダクタを前記信号経路またはグラウンドプレーンのうちの少なくとも一方と電気的に接続する第2のビアを形成するステップと、
を含み、
前記多層フィルタは、約8GHzよりも高い特性周波数を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される、2018年12月20日の出願日を有する米国仮特許出願第62/782,464号の出願日の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
電気フィルタは、多くの機能を実行し、多岐にわたる電気デバイスにおいて用いられる。高周波数無線信号通信等の高周波数信号のフィルタリングが近年ますます一般的になっている。例えば、無線接続性のためのデータ送信速度の増大に対する需要により、5Gスペクトル周波数を含む高周波数で動作するように構成されたものを含む高周波数コンポーネントに対する需要が駆り立てられた。現行の高周波数フィルタは、導波路またはキャビティの設計を用いる。しかしながら、そのような設計の性能特性は、調整またはカスタマイズするのが困難である。したがって、当該技術分野において、高周波数多層フィルタが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の1つの実施形態によれば、高周波数多層フィルタは、複数の誘電体層と、入力および出力を有する信号経路とを備えることができる。多層フィルタは、第1の誘電体層の上に形成される導電層を備えるインダクタを備えることができる。インダクタは、第1のロケーションにおいて信号経路と電気的に接続することができ、第2のロケーションにおいて信号経路またはグラウンドのうちの少なくとも一方と電気的に接続することができる。多層フィルタは、第1の電極と、第1の電極から第2の誘電体層によって離間された第2の電極とを備えるコンデンサを備えることができる。多層フィルタは、約8GHzよりも高い特性周波数を有する。
【0005】
本開示の別の実施形態によれば、高周波数多層フィルタを形成する方法は、第1の誘電体層上に導電層を備えるインダクタ、および、第1の電極と、第1の電極から第2の誘電体層によって離間されたおよび第2の電極とを備えるコンデンサを形成することを含むことができる。方法は、第1のロケーションにおいて、インダクタを信号経路と電気的に接続する第1のビアを形成すること、および、第2のロケーションにおいて、インダクタを信号経路またはグラウンドのうちの少なくとも一方と電気的に接続する第2のビアを形成することを含むことができる。方法は、第1および第2の誘電体層を積層することを含むことができる。多層フィルタは、約8GHzよりも高い特性周波数を有することができる。
【0006】
当業者に対する、本開示の十分で実施可能な開示は、その最良の実施態様を含めて、添付の図面を参照しながら本明細書の残りの部分において、より詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の態様によるバンドパスフィルタの簡単な概略図である。
図2】本開示の態様による別のバンドパスフィルタの簡単な概略図である。
図3A】本開示の態様による例示的なバンドパスフィルタの斜視図である。
図3B】本開示の態様による例示的なバンドパスフィルタの斜視図である。
図3C図3Aおよび図3Bのフィルタの側面図である。
図4A】フィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図4B】フィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図4C】フィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図4D】フィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図4E】フィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図5A図3A図3Cのフィルタの第1のインダクタの拡大斜視図である。
図5B図3A図3Cのフィルタの第2のインダクタの拡大斜視図である。
図5C図3A図3Cのフィルタの第3のインダクタの拡大斜視図である。
図5D図3A図3Cのフィルタの第4のインダクタの拡大斜視図である。
図6A】本開示の態様による多層フィルタの別の実施形態の斜視図である。
図6B】本開示の態様による多層フィルタの別の実施形態の斜視図である。
図6C図6Aおよび図6Bのフィルタの側面図である。
図7A図6Aおよび図6Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図7B図6Aおよび図6Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図7C図6Aおよび図6Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図7D図6Aおよび図6Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図8A】本開示の態様による多層フィルタの別の実施形態の斜視図である。
図8B図8Aのフィルタの側面図である。
図9A図8Aおよび図8Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図9B図8Aおよび図8Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図9C図8Aおよび図8Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図9D図8Aおよび図8Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図10A】本開示の態様による多層フィルタの別の実施形態の斜視図である。
図10B図10Aのフィルタの側面図である。
図11A図10Aおよび図10Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図11B図10Aおよび図10Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図11C図10Aおよび図10Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図11D図10Aおよび図10Bのフィルタの一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。
図12】本開示の態様による、構築されたフィルタの測定された挿入損失およびリターン損失の値を含む試験データのプロットである。
図13】本開示の態様による、構築されたフィルタの測定された挿入損失およびリターン損失の値を含む試験データのプロットである。
図14】本開示の態様による、構築されたフィルタの測定された挿入損失およびリターン損失の値を含む試験データのプロットである。
図15】本開示の態様による、フィルタのコンピュータ分析からの挿入損失およびリターン損失の値を含むシミュレーションデータのプロットである。
図16】本開示の態様による、フィルタのコンピュータ分析からの挿入損失およびリターン損失の値を含むシミュレーションデータのプロットである。
図17】本開示の態様による、フィルタのコンピュータ分析からの挿入損失およびリターン損失の値を含むシミュレーションデータのプロットである。
図18】本開示の態様によるフィルタを備える試験アセンブリの斜視図である。
図19】本開示の態様による高周波数多層フィルタを形成する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書および図面における参照符号の繰り返しの使用は、本開示の同じまたは類似の特徴または要素を表すことが意図される。
本考察は例示的な実施形態の説明にすぎず、本開示のより広い態様を限定することは意図されていないことが当業者には理解されるべきであり、このより広い態様は例示的な構造において具体化される。
【0009】
概して言えば、本開示は、高周波数多層フィルタを対象とする。多層フィルタは、入力および出力を有する信号経路を備えることができる。多層フィルタは、入力からの信号をフィルタリングし、出力においてフィルタリングされた出力信号を生成するように構成することができる。複数の誘電体層には、コンデンサおよび/またはインダクタを形成するように選択的に成形またはパターニングされた導電層を形成することができる。
【0010】
多層フィルタは、第1の誘電体層の上に形成された導電層を備えるインダクタを備えることができる。インダクタは、第1のロケーションにおいて信号経路と電気的に接続することができ、第2のロケーションにおいて信号経路またはグラウンドのうちの少なくとも一方と電気的に接続することができる。
【0011】
多層フィルタは、第1の電極と、第1の電極から、第1の誘電体層と別個の第2の誘電体層によって離間された第2の電極とを備えるコンデンサを備えることができる。換言すれば、コンデンサは、垂直のZ方向において、(例えば1つまたは複数の誘電体層によって、)例えば、少なくとも10マイクロメートル(10ミクロン)、いくつかの実施形態では少なくとも約20マイクロメートル(20ミクロン)、いくつかの実施形態では少なくとも約30マイクロメートル(30ミクロン)、いくつかの実施形態では少なくとも約40マイクロメートル(40ミクロン)、いくつかの実施形態では少なくとも約50マイクロメートル(50ミクロン)、いくつかの実施形態では少なくとも約60マイクロメートル(60ミクロン)、いくつかの実施形態では少なくとも約80マイクロメートル(80ミクロン)、およびいくつかの実施形態では少なくとも約150マイクロメートル(150ミクロン)だけ離間される。
【0012】
本発明者らは、インダクタと導体電極との間をそのように離間させることにより、高周波数において、干渉が低減され、優れた性能特性が生成されるということを発見した。いくつかの実施形態では、多層フィルタは、約6GHzよりも高い特性周波数を有することができる。例示的な特性周波数は、ローパス周波数、ハイパス周波数、バンドパス周波数の上限、またはバンドパス周波数の下限を含むことができる。特性周波数は、通常、-3dB遮断で定義される。
【0013】
多層フィルタは1つまたは複数の誘電材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の誘電材料は低い誘電率を有することができる。誘電率は、約100未満、いくつかの実施形態では約75未満、いくつかの実施形態では約50未満、いくつかの実施形態では約25未満、いくつかの実施形態では約15未満、およびいくつかの実施形態では約5未満とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、誘電率は、約1.5~100、いくつかの実施形態では約1.5~約75、およびいくつかの実施形態では約2~約8の範囲をとることができる。誘電率は、25℃の動作温度および1MHzの周波数においてIPC TM-650 2.5.5.3に従って決定することができる。誘電正接は、約0.001~約0.04、いくつかの実施形態では約0.0015~約0.0025の範囲をとることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の誘電材料は、有機誘電材料を含むことができる。例示的な有機誘電体は、PolycladのLD621およびPark/Nelco CorporationのN6000シリーズ等のポリフェニルエーテル(PPE)をベースとする材料、Rogers CorporationまたはW.L.Gore&Associates,Inc.の液晶ポリマー(LCP)等のLCP、Rogers Corporationの400シリーズ等の炭化水素複合体、ならびにPark/Nelco Corp.のN4000シリーズ等のエポキシ系積層体を含む。例えば、例は、エポキシ系N4000-13、LCPに積層された臭素を用いない材料、高K材料を有する有機層、未充填高K有機層、Rogers4350、Rogers4003材料、ならびに、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、およびグラフト樹脂等の他の熱可塑性材料、または類似の低誘電率で低損失の有機材料を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、誘電材料は、セラミック充填エポキシとすることができる。例えば、誘電材料は、ポリマー(例えば、エポキシ)等の有機化合物を含むことができ、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化亜鉛、低火度ガラス付きのアルミナ、または他の適当なセラミックもしくはガラス接着材料等のセラミック誘電材料の粒子を含有することができる。
【0016】
しかしながら、N6000、エポキシ系N4000-13、LCPに積層された臭素を用いない材料、高K材料を有する有機層、未充填高K有機層、(Rogers Corporationの)Rogers4350、Rogers4003材料、ならびに、炭化水素、テフロン、FR4、エポキシ、ポリアミド、ポリイミド、およびアクリレート、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、BT樹脂化合物(例えば、Speedboard C)、熱硬化性樹脂(例えば、Hitachi MCL-LX-67F)、およびグラフト樹脂等の他の熱可撓性材料、または類似の低誘電率で低損失の有機材料を含む他の材料が利用されてもよい。
【0017】
加えて、いくつかの実施形態では、限定ではないが、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、酸化亜鉛、低火度ガラス付きのアルミナ等の、セラミック、半導体もしくは絶縁材料、または他の適切なセラミックまたはガラス接着材料を含む非有機誘電材料を用いることができる。代替的に、誘電材料は、回路基板材料して一般的なエポキシ(セラミック混合有りまたはなし、グラスファイバー有りまたはなし)等の有機化合物、または誘電体として普及している他のプラスチック等の有機化合物であってもよい。これらの場合、導体は、通例、パターンを提供するように化学的にエッチングされた銅箔である。また更なる実施形態において、誘電材料は、NPO(COG)、X7R、X5R X7S、Z5U、Y5Vおよびチタン酸ストロンチウムのうちの1つ等の比較的高誘電率(K)を有する材料を含むことができる。そのような例において、誘電材料は、100を超える、例えば、約100~約4000の範囲内の、いくつかの実施形態では、約1000~約3000の範囲内の誘電率を有することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、高周波数多層フィルタは、入力および出力を有する信号経路を備えることができる。信号経路は、誘電体層のうちの1つまたは複数の上に形成された1つまたは複数の導電層を備えることができる。本明細書において用いられるとき、誘電体層の「上に形成された」導電層は、誘電体層の上に直接形成された導電層を指すことができる。しかしながら、1つまたは複数の薄い中間層またはコーティングが導電層および/または誘電体層間に位置してもよい。
【0019】
導電層は、多岐にわたる導電性材料を含むことができる。例えば、導電層は、銅、ニッケル、金、銀、または他の金属もしくは合金を含むことができる。
導電層は、多岐にわたる適切な技法を用いて形成することができる。サブトラクティブ、セミアディティブ、またはフルアディティブプロセスを、導電性材料のパネルまたはパターン電気めっきと共に用い、その後プリントおよびエッチングステップを行って、パターニングされた導電層を定義することができる。フォトリソグラフィ、めっき(例えば、電解めっき)、スパッタリング、真空蒸着、プリント、または他の技法を用いて、導電層を形成することができる。例えば、導電性材料の薄い層(例えば、箔)を、誘電体層の表面に接着(例えば、積層)することができる。導電性材料の薄い層を、マスクおよびフォトリソグラフィを用いて選択的にエッチングして、誘電材料の表面上の導電性材料の所望のパターンを生成することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、高周波数多層フィルタは、誘電体層のうちの1つまたは複数に形成された1つまたは複数のビアを備えることができる。例えば、ビアは、1つの誘電体層上の導電層を、別の誘電体層上の導電層に電気的に接続することができる。ビアは、銅、ニッケル、金、銀、または他の金属もしくは合金等の多岐にわたる導電性材料を含むことができる。ビアは、貫通孔をドリル加工(例えば、機械的ドリル加工、レーザードリル加工)し、例えば、無電気めっきまたは銅シードを用いて貫通孔に導電性材料をめっきすることによって形成することができる。ビアを導電性材料で充填し、導電性材料の堅柱が形成されるようにすることができる。代替的に、貫通孔の内面は、ビアが中空となるようにめっきすることができる。
【0021】
用いられる特定の構成にかかわらず、本発明者らは、要素の配置および材料の選択に対する選択的制御を通じて、約8GHzよりも高い特性周波数を有する多層フィルタを達成することができることを発見した。高周波数多層フィルタは、多層周波数が高周波数(例えば、約8GHzよりも高い)において優れた性能特性を提供するように、コンデンサに非常に低い容量を提供し、かつ/またはインダクタに非常に低いインダクタンスを提供するように構成することができる。理論にとらわれることなく、フィルタ内の要素に適した容量および/またはインダクタンスの大きさは、通常、周波数の増大と共に減少する。本発明者らは、そのような低いインダクタンスおよび容量要素を、構成要素の選択的配置、寸法(例えば誘電体層の厚み)の選択、および/または材料(例えば誘電材料)の選択を通じて達成することができることを発見した。加えて、寄生インダクタンスは、結果として薄い垂直構造(例えばビア)をもたらす薄い誘電体層を用いて、満足のいくレベルまで低減させることができる。
【0022】
特性周波数の例は、ローパス周波数、ハイパス周波数、バンドパス周波数の上限、またはバンドパス周波数の下限を含む。いくつかの実施形態では、フィルタは、約6GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約8GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約10GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約15GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約20GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約25GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約30GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約35GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約40GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約45GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約50GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約60GHzよりも高い、いくつかの実施形態では約70GHzよりも高い、およびいくつかの実施形態では約80GHzよりも高い特性周波数を有することができる。
【0023】
高周波数多層フィルタはインダクタを備えることができる。インダクタは、複数の誘電体層のうちの1つの上に形成された導電層を備えることができる。インダクタは、第1のロケーションにおいて信号経路と電気的に接続することができ、第2のロケーションにおいて信号経路またはグラウンドのうちの少なくとも一方と電気的に接続することができる。例えば、インダクタは、信号経路の一部分を形成することができるか、または信号経路とグラウンドとの間に接続することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、インダクタは、少なくとも1つの角部を含むことができる。角部は、約15°よりも大きい、いくつかの実施形態では約30°よりも大きい、いくつかの実施形態では約45°よりも大きい、およびいくつかの実施形態では約60°よりも大きい角度(例えば、約90°)を有することができる。インダクタは、1つ~9つ以上の角部を有することができ、いくつかの実施形態では、インダクタは6つ未満の角部を有することができ、いくつかの実施形態では4つ未満の角部を有することができ、いくつかの実施形態では3つ未満の角部を有することができ、いくつかの実施形態では2つ未満の角部を有することができる。いくつかの実施形態では、インダクタは、角部を有していなくてもよい。いくつかの実施形態では、インダクタは、全円または部分円の「ループ」を定義することができる。例えば、インダクタは、半円未満の「ループ」を定義することができる。
【0025】
インダクタは、第1の方向に細長く、第1の幅を有する、第1の細長いセクションと、第2の方向に細長く、第2の幅を有する、第2の細長いセクションとを備えることができる。第1の幅は、第2の幅と概ね等しくすることができる。第1の方向は、第2の方向から約15°よりも大きく、いくつかの実施形態では約30°よりも大きく、いくつかの実施形態では約45°よりも大きく、およびいくつかの実施形態では約60°よりも大きく(例えば、約90°)することができる。換言すれば、「角部」は、第1の細長いセクションと第2の細長いセクションとの間の15°よりも大きい変化として定義することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、インダクタは、第1のロケーションと第2のロケーションとの間の有効長を有することができる。有効長は、第1のロケーションと第2のロケーションとの間の導電層に沿った長さとして定義することができる。例えば、有効長は、第1のロケーションと第2のロケーションとの間に接続された(例えば、X-Y平面における)インダクタの様々な直線部分の長さの和に等しくすることができる。インダクタの有効長は、約5mm未満、いくつかの実施形態では約3mm未満、いくつかの実施形態では約2mm未満、いくつかの実施形態では約1mm未満、いくつかの実施形態では約800マイクロメートル(800ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約500マイクロメートル(500ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約300マイクロメートル(300ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約200マイクロメートル(200ミクロン)未満、およびいくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)未満とすることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、インダクタの導電層は、約1000マイクロメートル(1000ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約500マイクロメートル(500ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約300マイクロメートル(300ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約200マイクロメートル(200ミクロン)未満、およびいくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)未満の幅を有することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、インダクタの導電層の長さ対幅の比は、約0.5~約60、いくつかの実施形態では約0.8~約50、およびいくつかの実施形態では約1~約30の範囲をとることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、誘電体層のうちの少なくともいくつかは、約180マイクロメートル(180ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約120マイクロメートル(120ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約80マイクロメートル(80ミクロン)未満、いくつかの実施形態では60マイクロメートル(60ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約50マイクロメートル(50ミクロン)、いくつかの実施形態では約40マイクロメートル(40ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約30マイクロメートル(30ミクロン)未満、およびいくつかの実施形態では約20マイクロメートル(20ミクロン)未満の厚みを有することができる。例えば、約180マイクロメートル(180ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)未満、およびいくつかの実施形態では約80マイクロメートル(80ミクロン)未満の厚みを有するインダクタの導電層を誘電体層の上に形成することができる。
【0030】
誘電体層に1つまたは複数のビアを形成することができる。ビアは、異なる複数の導電層を電気的に接続することができる。例えば、ビアは誘電体層に形成することができ、この誘電体層上にインダクタの導電層が形成される。そのようなビアは、インダクタを、信号経路の一部分またはグラウンド(例えば、グラウンドプレーン)等のフィルタの別の部分と接続することができる。いくつかの実施形態では、Z方向におけるそのようなビアの長さは、そのようなビアが形成される誘電体層の厚みと等しくすることができる。例えば、そのようなビアは、約180マイクロメートル(180ミクロン)未満、いくつかの実施形態では約100マイクロメートル(100ミクロン)未満、およびいくつかの実施形態では約80マイクロメートル(80ミクロン)未満の長さを有することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、一連のビアおよび中間層は、インダクタを、グラウンドプレーンまたは信号経路の一部分等の別の導電層と接続するように垂直方向に配列することができる。一連のビアおよび中間層のZ方向における垂直総長は、約10ミクロン~約500マイクロメートル(500ミクロン)、いくつかの実施形態では約30マイクロメートル(30ミクロン)~約300マイクロメートル(300ミクロン)、いくつかの実施形態では約40マイクロメートル(40ミクロン)~約200マイクロメートル(200ミクロン)、およびいくつかの実施形態では約60マイクロメートル(60ミクロン)~約150マイクロメートル(50ミクロン)の範囲をとることができる。
【0032】
ビアは、多岐にわたる適切な幅を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ビアの幅は、約20マイクロメートル(20ミクロン)~約200マイクロメートル(200ミクロン)、いくつかの実施形態では約40マイクロメートル(40ミクロン)~約180マイクロメートル(180ミクロン)、いくつかの実施形態では約60マイクロメートル(60ミクロン)~約140マイクロメートル(40ミクロン)、およびいくつかの実施形態では約80マイクロメートル(80ミクロン)~約120マイクロメートル(120ミクロン)の範囲をとることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、フィルタは、小容量性エリア(例えば、電極間の重複エリア)を有するコンデンサを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、コンデンサの容量性エリアは、約0.05平方ミリメートル(mm)未満、いくつかの実施形態では約0.04mm未満、いくつかの実施形態では約0.03mm未満、いくつかの実施形態では約0.02mm未満、およびいくつかの実施形態では約0.015mm未満とすることができる。
【0034】
フィルタは、コンデンサの電極間に第1の誘電材料の第1の層を含むことができる。第1の誘電材料は、セラミック充填エポキシとすることができる。第1の誘電材料は、フィルタの別の層の第2の誘電材料と別個にすることができる。例えば、電極間の第1の誘電材料は、セラミック充填エポキシを含むことができる。第1の誘電材料は、約5~約9、いくつかの実施形態では約6~約8の範囲をとる誘電率を有することができる。第2の誘電材料は、例えば上記で説明した有機誘電材料を含むことができる。第2の誘電材料は、約1~約5、いくつかの実施形態では約2~約4の範囲をとる誘電率を有することができる。
【0035】
フィルタは、フィルタのパスバンド周波数範囲内の周波数についての低い挿入損失等の優れた性能特性を呈することができる。例えば、パスバンド周波数範囲内の周波数についての平均挿入損失は、-15dBよりも大きく、いくつかの実施形態では-10dBよりも大きく、いくつかの実施形態では-5dBよりも大きく、いくつかの実施形態では-2.5dB以上よりも大きくすることができる。
【0036】
加えて、フィルタは、パスバンド周波数範囲外の優れた周波数拒絶を呈することができる。いくつかの実施形態では、パスバンド周波数範囲外の周波数についての挿入損失は、約-15dB未満、いくつかの実施形態では約-25dB未満、いくつかの実施形態では約-35dB未満、およびいくつかの実施形態では約-40dB未満とすることができる。
【0037】
加えて、フィルタは、パスバンド周波数範囲からパスバンド外の周波数への急なロールオフを呈することができる。例えば、パスバンド周波数範囲のすぐ外側の周波数について、挿入損失は、約0.1dB/MHz、いくつかの実施形態では、約0.2dB/MHzよりも高い、いくつかの実施形態では約0.3dB/MHzも高い、およびいくつかの実施形態では約0.4dB/MHzよりも高い比率で減少することができる。
【0038】
フィルタは、広範にわたる温度にわたって一定した性能特性(例えば、挿入損失、リターン損失等)を呈することもできる。いくつかの実施形態では、フィルタの挿入損失は、大きな温度範囲にわたって5dB以下未満で変動することができる。例えば、フィルタは、約25℃で、第1の周波数において第1の挿入損失を呈することができる。フィルタは、第2の温度で、概ね第1の周波数において第2の挿入損失を呈することができる。第1の温度と第2の温度との間の温度差は、約70℃以上、いくつかの実施形態では約60℃以上、いくつかの実施形態では約50℃以上、いくつかの実施形態では約30℃以上、およびいくつかの実施形態では約20℃以上とすることができる。例として、第1の温度は25℃とすることができ、第2の温度は85℃とすることができる。別の例として、第1の温度は25℃とすることができ、第2の温度は-55℃とすることができる。第2の挿入損失と第1の挿入損失との差は、約5dB以下、いくつかの実施形態では約2dB以下、いくつかの実施形態では約1dB以下、いくつかの実施形態では、約0.75dB以下、いくつかの実施形態では約0.5dB以下、およびいくつかの実施形態では、約0.2dB以下とすることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、フィルタは、約0.5mm~約30mm、いくつかの実施形態では約1mm~約15mm、およびいくつかの実施形態では約2mm~約8mmの範囲をとる全体長さを有することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、フィルタは、約0.2mm~約20mm、いくつかの実施形態では約0.5mm~約15mm、いくつかの実施形態では約1mm~約10mm、およびいくつかの実施形態では約2mm~約8mmの範囲をとる全体幅を有することができる。
【0041】
フィルタは、通常、低プロファイルまたは薄型にすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、フィルタは、約100マイクロメートル(100ミクロン)~約2mm、いくつかの実施形態では約150マイクロメートル(150ミクロン)~約1mm、およびいくつかの実施形態では約200マイクロメートル(200ミクロン)~約300マイクロメートル(300ミクロン)の範囲をとる全体厚みを有することができる。
I.高周波数多層フィルタ
図1は、本開示の態様による高周波数多層フィルタ100の簡略化された概略図である。フィルタ100は、1つまたは複数のインダクタ102、104、106と、1つまたは複数のコンデンサ108、110、112とを備えることができる。入力電圧(図1においてVによって表される)を、フィルタ100に入力することができ、出力電圧(図1においてVによって表される)をフィルタ100によって出力することができる。バンドパスフィルタ100は、パスバンド周波数範囲内の周波数が実質的に影響を受けずにフィルタ100を透過することを可能にしながら、低周波数および高周波数を大幅に低減することができる。上記で説明した簡単なフィルタ100は、バンドパスフィルタの簡単な例にすぎず、本開示の態様を、より複雑なバンドパスフィルタに適用することができることを理解されたい。加えて、本開示の態様は、例えば、ローパスフィルタまたはハイパスフィルタを含む他のタイプのフィルタに適用されてもよい。
【0042】
図2は、本開示の態様によるバンドパスフィルタ200の例示的な実施形態の概略図である。フィルタ200の入力202と出力204との間に信号経路201を定義することができる。フィルタ200の入力202とグラウンド206との間で入力電圧(図1においてVによって表される)をフィルタ200に入力することができる。出力204とグラウンド206との間で出力電圧(図1においてVによって表される)をフィルタ200によって出力することができる。
【0043】
フィルタ200は、互いに並列に電気的に接続された第1のインダクタ208および第1のコンデンサ210を備えることができる。第1のインダクタ208および第1のコンデンサ210は、信号経路201とグラウンド206との間に電気的に接続することができる。フィルタ200は、互いに並列に電気的に接続された第2のインダクタ212および第2のコンデンサ214を備えることができる。第2のインダクタ212および第2のコンデンサ214は、信号経路201と直列に接続することができる(例えば、信号経路201の一部分を形成することができる)。フィルタ200は、互いに並列に電気的に接続された第3のインダクタ210および第3のコンデンサ214を備えることができる。第3のインダクタ210および第3のコンデンサ214は、信号経路201とグラウンド206との間に電気的に接続することができる。第3のインダクタ210および第3のコンデンサ214は、信号経路201と直列に接続することができる(例えば、信号経路201の一部分を形成することができる)。フィルタ200は、互いに並列に電気的に接続された第4のインダクタ220および第4のコンデンサ222を備えることができる。第4のインダクタ220および第4のコンデンサ222は、信号経路201とグラウンド206との間に電気的に接続することができる。
【0044】
インダクタ208、212、216、220のインダクタンス値、およびコンデンサ210、214、218、222の容量値を選択して、バンドパスフィルタ200の所望のバンドパス周波数範囲を生成することができる。バンドパスフィルタ200は、パスバンド周波数範囲内の周波数が実質的に影響を受けずにフィルタ200を透過することを可能にしながら、パスバンド周波数範囲外の周波数を大幅に低減することができる。
【0045】
図3Aおよび図3Bは、本開示の態様による例示的なバンドパスフィルタ300の斜視図である。図3Cは、図3Aおよび図3Bのフィルタ300の側面図である。図3A図3Cを参照すると、バンドパスフィルタ300は、複数の誘電体層(明確にするために透明)を備えることができる。図3Cを参照すると、第1の誘電体層304、第2の誘電体層306、および第3の誘電体層308を積層して、一体構造を形成することができる。フィルタ300は、プリント回路基板等の実装表面302に実装することができる。導電層303、305、307、309は、誘電体層304、306、308上に形成することができる。導電層303は、第1の誘電体層304の底面上に形成することができる。導電層305、307は、第2の誘電体層306のそれぞれ上面上および底面上に形成することができる。グラウンドは、フィルタ300の底面(導電層303の底面)に沿って露出および/または終端するグラウンドプレーン312を含むことができる。実装表面は、グラウンドプレーン312と接続するための1つまたは複数の端子310を含むことができる。
【0046】
図4A図4Eは、フィルタ300の一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。より詳細には、図4Aは、実装表面302および第1の導電層303を示す。図4Bは、第1の誘電体層304の底面上に形成されたグラウンドプレーン312を示す。図4Cは、第1の誘電体層304の上面上に形成された導電層305を更に示す。図4Dは、第2の誘電体層306上に形成された導電層307を更に示す。図4Eは、第3の層308上に形成された導電層309を示す。誘電体層304、306、308は、様々なパターニングされた導電層303、305、307、309の相対的再配置を示すために透明である。
【0047】
バンドパスフィルタ300は、入力318および出力320を有する信号経路316を備えることができる。信号経路316は、入力318および出力320を電気的に接続することができる。より詳細には、信号経路316は、複数の誘電体層、ならびに/または複数の誘電体層304、306、308内およびこれらの誘電体層上に形成され、入力318と出力320との間に電気的に接続されたビアを備えることができる。信号経路316は、入力318を、第1の層304と第2の層306との間に配設された中間導電層324と電気的に接続する1つまたは複数のビア322を備えることができる。信号経路316は、中間層324を第2の誘電体層306上に形成された導電層328と電気的に接続する1つまたは複数のビア326を備えることができる。
【0048】
第1のコンデンサは、第2の層360の上面上に形成された信号経路316の一部分336と、誘電材料の第2の層306の下面上に形成された導電層330との間に形成することができる。第2の層306は、他の層304、408のうちの1つまたは複数と異なる誘電率を有することができる。例えば、第2の層306の誘電材料は、25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って約5~約8の範囲をとる誘電率を有する。他の層304、308のうちの1つまたは複数は、25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って約1~約4の範囲をとる誘電率を有することができる。
【0049】
導電層330は、グラウンドプレーン312と電気的に接続することができる。フィルタ300の第1のコンデンサは、図2の回路図200の第1のコンデンサ210と対応することができる。導電層330は、信号経路316の一部分336と容量結合することができる。導電層330は、Z方向における信号経路316の一部分336から離間させることができる。導電層330は、1つまたは複数のビア334によってグラウンドプレーン312と電気的に接続することができる。
【0050】
第1のコンデンサは、第1のコンデンサの電極の相対的ずれに対し影響を受けにくくすることができる。これは「自己整合」として説明することができる。図4Dに最も良好に見られるように、信号経路316の一部分336は、通常、第1のコンデンサの導電層330よりも(例えば、X方向およびY方向において)寸法を小さくすることができる。加えて、信号経路316の一部分336は、X-Y平面において、信号経路316の他の要素および他の部分との接続を定義することができる。そのような接続は、X方向またはY方向における僅かなずれにより、第1のコンデンサの容量性エリアが変化しないようにサイズ設定することができる。より詳細には、導電層330と信号経路316の一部分336との間の(例えば、X-Y平面における)有効重複エリアのサイズは、第2および第3の層304、306のX方向またはY方向における僅かなずれの影響を受けにくくすることができる。
【0051】
例えば、信号経路316の一部分336は、一部分336の反対側のコネクタ部分338の(例えばY方向における)幅と等しい(例えばY方向における)幅を有する(例えばX方向に延びる)タブ337を含むことができる。同様に、等しい幅を有することができる接続部340が、(例えばY方向における)一部分336の反対側から延びることができる。結果として、Y方向における相対的ずれにより、導電層330と信号経路316の一部分336との間の重複エリアを変化させないことができる。
【0052】
フィルタ300は、信号経路316およびグラウンドプレーン312と電気的に接続された第1のインダクタ342を含むことができる。フィルタ300の第1のインダクタ342は、図2の回路図200の第1のインダクタ208と対応することができる。第1のインダクタ342は、コネクタ部分338によって、第1のコンデンサを形成する信号経路316の一部分336と接続することができる。第1のインダクタ342は、1つまたは複数のビア344(図3Bに最も良好に見られる)によってグラウンドプレーン312と電気的に接続することができる。
【0053】
フィルタ300の信号経路316は第2のインダクタ346を含むことができ、第2のインダクタ346は、図2の回路図200の第2のインダクタ212と対応することができる。第2のインダクタ346は、第3の層308(図3Cに最も良好に見られる)上に形成することができる。第2のインダクタ346は、第1のロケーション349および第2のロケーション351の各々において、信号経路316と電気的に接続することができる。換言すれば、第2のインダクタ346は、入力318と出力320との間で信号経路316の一部分を形成することができる。
【0054】
1つまたは複数のビア348は、第1のロケーション349において第2のインダクタ346を第2の層306(図3B図4Dおよび図4Eに最も良好に見られる)の信号経路316の一部分354と接続することができる。1つまたは複数のビア348が、第2のロケーション351において第1の誘導性素子346を第2の層306の上面の信号経路316の一部分369の各々、および第2の層306の底面の導電層352(以下で説明する、信号経路316の一部分354と共に第2のコンデンサを形成する)と接続することができる。図3Aおよび図4Eにおいて最も良好に見られるように、インダクタ346は4つの角部を有することができる。したがって、第1のインダクタ346は、半円を超える「ループ」を形成することができる。
【0055】
第2のコンデンサは、導電層352と、信号経路316の一部分354との間に形成することができる。第2のコンデンサは、図2の回路図200の第2のコンデンサ214と対応することができる。第2のコンデンサは自己整合コンデンサとすることができる。図4Dに最も良好に示すように、信号経路316の部分354は、導電層352と信号経路316の一部分との間の容量性エリア(例えば、X-Y平面における重複エリア)のサイズが、第2の層304と第3の層306との間の小さなずれの影響を受けにくいように成形することができる。
【0056】
フィルタ300の第3のインダクタ356は、図2の回路図200の第3のインダクタ216と対応することができる。第3のインダクタ356は、第1のロケーション357における1つまたは複数のビア360によって、第2のインダクタ346と接続された信号経路316の一部分369と接続することができる。第3のインダクタ356は、第2のロケーション359における1つまたは複数のビア360によって、出力320と接続された信号経路316の一部分361と接続することができる。信号経路316の一部分361は、1つまたは複数のビア366および/または中間層368によって、出力320と電気的に接続することができる。換言すれば、第3のインダクタ356は、第2のインダクタ346と出力320との間で信号経路316の一部分を形成することができる。
【0057】
第3のインダクタ356は線幅増加部分364を備えることができる。線幅増加部分364は、例えば図5Cを参照して以下で説明する第3のインダクタ356を形成する導電材料の一部分を含むことができる。線幅増加部分364は、第3のインダクタ356が、線幅増加部分364において第3のインダクタ356の他の部分よりも大きい幅を有するように、第3のインダクタの少なくとも一部分にわたって延びることができる。
【0058】
第3のコンデンサは、第3のインダクタ356と並列に形成することができる。第3の
コンデンサは、図2の回路図200の第3のコンデンサ214と対応することができる。フィルタ300の第3のコンデンサは、信号経路316の一部分369(図4Dに最も良好に示される)と容量結合された導電層367を備えることができる。第3のコンデンサは、容量性エリアのサイズが、第2および第3の誘電体層304、306間の相対的ずれの影響を受けにくいように、自己整合コンデンサとすることができる。
【0059】
第4のインダクタ370は、ビア374によって、第1のロケーション371において信号経路316と、第2のロケーション373においてグラウンドプレーン312と電気的に接続することができる。ビア374は、中間層376によって接続することができる。フィルタ300の第4のインダクタ370は、図2の回路図200の第4のインダクタ220と対応することができる。フィルタ300の第4のインダクタ370は、出力320と電気的に接続された信号経路316の一部分361において、信号経路316と接続することができる。第4のインダクタ370は、3つの角部372を有することができ、概ね四分円のループを形成することができる。
【0060】
第4のコンデンサは、出力320と接続された信号経路316の一部分361と容量性結合された導電層380を含むことができる。第4のコンデンサの導電層380は、ビア382によって、グラウンドプレーン312と電気的に接続することができる。第4のコンデンサは、図2の回路図200の第4のコンデンサ222と対応することができる。第4のコンデンサは、例えば第1のコンデンサを参照して上記で説明したように自己整合することができる。
【0061】
図5A図5Dは、それぞれ、第1のインダクタ342、第2のインダクタ346、第3のインダクタ356、および第4のインダクタ370の拡大斜視図である。図5Aを参照すると、第1のインダクタ342は、コネクタ部分338と接続するかまたはコネクタ部分338を含むことができ、それによって、第1のインダクタ342は、1つまたは複数のビア344および中間導電層324の垂直接続によって、第1のロケーション500において信号経路316の部分336と接続され、第2のロケーション502においてグラウンドプレーン312と接続される。第1のインダクタ342の有効長504は、第1のロケーション500と第2のロケーション502との間に定義することができる。有効長504は、第1のインダクタ342の所望のインダクタンス値を生成するように選択することができる。
【0062】
1つまたは複数のビア322、326および中間導電層324によって、第1のインダクタ342とグラウンドプレーン312との間に垂直接続が形成される。垂直方向の総長506は、第2の誘電体層304と、第2の誘電体層304の上に形成された導電層305と、第3の誘電体層306(図3C)の厚みの和に等しくすることができる。
【0063】
コネクタ部分338は、Y方向における幅508を有することができる。第1のインダクタ342は、Y方向における幅510を有することができる。第1のインダクタ342のインダクタンスは、コネクタ部分338の幅508、第1のインダクタ342の幅510、および/または第1のインダクタ342の有効長504に依拠することができる。
【0064】
図5Bを参照すると、第2のインダクタ346は、第2のインダクタ346の導電層に沿って、第1のロケーション349と第2のロケーション351との間に有効長を有することができる。第2のインダクタ346は、それぞれの長さを有する複数の細長いセクションを含むことができる。有効長は、X-Y平面における第2のインダクタ346に沿った長さの和として定義することができる。例えば、第1の長さ520は、X方向において、第1のロケーション349と、角部347のうちの第1の角部522との間に定義することができ、第2の長さ524は、Y方向において、第1の角部522と第2の角部526との間に定義することができ、第3の長さ528は、X方向において、第2の角部526と第3の角部530との間に定義することができ、第4の長さ532は、Y方向において、第3の角部530と第4の角部534との間に定義することができ、第5の長さ536は、X方向において、第4の角部534と第2のロケーション351との間に定義することができる。有効長は、第1の長さ520、第2の長さ524、第3の長さ528、第4の長さ532、および第5の長さ536の和として定義することができる。第2のインダクタ346は、第2のインダクタ346の有効長に沿った幅538を有することができる。換言すれば、インダクタは、各細長いセクション(例えば、第1の長さ520、第2の長さ524、第3の長さ528、および/または第4の長さ532)に沿った概ね均一な幅538を有することができる。各角部522、526、530、534は、X-Y平面における第2のインダクタ346の導電層の方向における、約15°よりも大きい(例えば、約90°の)変化として定義することができる。
【0065】
図5Cを参照すると、第3のインダクタ356は、第3のインダクタ356の導電層に沿って、第3のインダクタ356の第1のロケーション357と第3のインダクタ356の第2のロケーション359との間に有効長を有することができる。有効長は、X-Y平面における第3のインダクタ356に沿った長さの和として定義することができる。例えば、第1の長さ550は、Y方向において、第1のロケーション357と第1の角部552との間に定義することができ、第2の長さ554は、X方向において、第1の角部552と第2の角部556との間に定義することができ、第3の長さ556は、Y方向において、第2の角部556と第2のロケーション359との間に定義することができる。有効長は、第1の長さ550、第2の長さ552、および第3の長さ556の和として定義することができる。
【0066】
第3のインダクタ356は、線幅増加部分364において第1の幅530を有することができる。第3のインダクタ356は、第3のインダクタ356の他の部分に沿って第2の幅532を有することができる。
【0067】
図5Dを参照すると、第4のインダクタ370は、同様に、X-Y平面において、第4のインダクタ370の長さの和に等しい有効長を有することができる。例えば、第4のインダクタ370は、第4のインダクタ370の導電層に沿って、第1のロケーション371と第2のロケーション373との間に有効長を有することができる。有効長は、X-Y平面における第4のインダクタ370に沿った長さの和として定義することができる。例えば、第1の長さ580は、X方向において、第1のロケーション371と第1の角部582との間に定義することができ、第2の長さ584は、Y方向において、第1の角部582と第2の角部586との間に定義することができ、第3の長さ588は、X方向において、第2の角部586と第3の角部590との間に定義することができ、第4の長さ592は、Y方向において、第3の角部590と第2のロケーション351との間に定義することができる。有効長は、第1の長さ580、第2の長さ584、第3の長さ588、および第4の長さ592の和として定義することができる。第4のインダクタ370は、第4のインダクタ370の有効長に沿った幅594を有することができる。
II.更なる例示的な実施形態
図6Aは、本開示の態様による多層フィルタ600の別の実施形態の斜視図を示す。図6Bは、図6Aの多層フィルタ600の別の斜視図を示す。フィルタ600は、通常、図3図5Dを参照して上記で説明したフィルタ300と類似した方式で構成することができる。フィルタ600は、入力602と、出力604と、入力602および出力604を接続する信号経路606とを備えることができる。フィルタ600は、1つまたは複数のグラウンド電極610と電気的に接続されたグラウンドプレーン608も備えることができる。
【0068】
フィルタ600は、グラウンドプレーン608と電気的に接続された第1のインダクタ612を備えることができる。第1のインダクタ612は、図2を参照して上記で説明した回路図200の第1のインダクタ208と対応することができる。フィルタ600は、グラウンドプレーン608と電気的に結合された第1のコンデンサ614を備えることができる。第1のコンデンサ614は、図2を参照して上記で説明した回路図200の第1のコンデンサ210と対応することができる。フィルタ600は、互いに並列に接続された第2のインダクタ616および第2のコンデンサ618を備えることができる。第2のインダクタ616および第2のコンデンサ618は、それぞれ、図2を参照して上記で説明した回路図200の第2のインダクタ212および第2のコンデンサ214と対応することができる。第2のインダクタ616および第2のコンデンサ618は、入力602と出力604との間で信号経路606の一部分を形成することができる。フィルタ600は、互いに並列に接続され、入力602と出力604との間で信号経路606の一部分を形成することができる第3のインダクタ620および第3のコンデンサ622を備えることができる。第3のインダクタ620および第3のコンデンサ622は、それぞれ、図2を参照して上記で説明した回路図200の第3のインダクタ216および第3のコンデンサ218と対応することができる。最後に、フィルタ600は、互いに並列に接続され、信号経路606とグラウンドプレーン608との間で接続された第4のインダクタ624および第4のコンデンサ626を備えることができる。第4のインダクタ624および第4のコンデンサ626は、それぞれ、図2を参照して上記で説明した回路図200の第4のインダクタ220および第4のコンデンサ222と対応することができる。
【0069】
インダクタ612、616、620、624およびコンデンサ614、618、622、626は、図3図5Dを参照して上記で説明したのと類似した方式でビア627によって接続することができる。インダクタ612、616、620、624の各々は、それぞれの第1のロケーションにおいて信号経路606と接続し、それぞれの第2のロケーションにおいて信号経路606またはグラウンドプレーン608と接続することができる。インダクタ612、616、620、624の各々は、第1のロケーションと第2のロケーションとの間で(例えばX-Y平面における)それぞれの有効長を有することができる。加えて、インダクタ612、616、620、624の各々が、それぞれの有効長に沿ったそれぞれの幅を有することができる。
【0070】
図6Cは、図6Aおよび図6Bのフィルタ600の側面図である。バンドパスフィルタ600は、複数の誘電体層(明確にするために図6Aおよび図6Bにおいて透明である)を備えることができる。図6Cを参照すると、第1の層632、第2の層636、および第3の層640を積層して、一体構造を形成することができる。誘電体層632、636、640の上に導電層630、634、638、642を形成することができる。第1の誘電体層632の底面に導電層630を形成することができる。第2の誘電体層636のそれぞれ上面および底面に導電層634、638を形成することができる。第3の誘電体層640の上面上に導電層642を形成することができる。
【0071】
図7A図7Dは、図6A図6Cのフィルタ600の一連の連続平面図であり、各連続図において更なる層が示される。より詳細には、図7Aは、プリント回路基板等の実装表面628を示す。第1の導電層630は、第1の層632の底面および上面に形成することができるグラウンドプレーン608を含むことができる。図7Bは、第1の誘電体層632上に形成された第2の導電層634を更に示す。第2の導電層634は、第1のコンデンサ614、第2のコンデンサ618、第3のコンデンサ622および第4のコンデンサ626を備えることができる。図7Cは、第2の誘電体層636上に形成された第3の導電層638を更に示す。第3の導電層638は、信号経路606の一部分および第1のインダクタ612を備えることができる。図7Dは、第4の誘電体層640上に形成された第4の導電層642を示す。第4の導電層642は、第2のインダクタ616、第3のインダクタ622、および第4のインダクタ624を備えることができる。誘電体層632、636、640は、様々なパターニングされた導電層630、634、638、642の相対的再配置を示すために透明である。
【0072】
図8Aは、本開示の態様による多層フィルタ800の別の実施形態の斜視図を示す。フィルタ800は、通常、図3図5Dを参照して上記で説明したフィルタ300と類似した方式で構成することができる。フィルタ800は、入力802と、出力804と、入力802および出力804を接続する信号経路806とを備えることができる。フィルタ800は、1つまたは複数のグラウンド電極810と電気的に接続されたグラウンドプレーン808も含むことができる。
【0073】
フィルタ800は、グラウンドプレーン808と電気的に接続された第1のインダクタ812を備えることができる。第1のインダクタ812は、図2を参照して上記で説明した回路図200の第1のインダクタ208と対応することができる。フィルタ800は、グラウンドプレーン808と電気的に接続された第1のコンデンサ814を備えることができる。第1のコンデンサ814は、図2を参照して上記で説明した回路図200の第1のインダクタコンデンサ210と対応することができる。フィルタ800は、互いに並列に接続された第2のインダクタ816および第2のコンデンサ818を備えることができる。第2のインダクタ816および第2のコンデンサ818は、それぞれ、図2を参照して上記で説明した回路図200の第2のインダクタ212および第2のコンデンサ214と対応することができる。第2のインダクタ816および第2のコンデンサ818は、入力802と出力804との間で信号経路806の一部分を形成することができる。フィルタ800は、互いに並列に接続され、入力802と出力804との間で信号経路806の一部分を形成することができる、第3のインダクタ820および第3のコンデンサ822を備えることができる。第3のインダクタ820および第3のコンデンサ822は、それぞれ、図2を参照して上記で説明した回路図200の第3のインダクタ216および第3のコンデンサ218と対応することができる。最後に、フィルタ800は、互いに並列に接続され、信号経路806とグラウンドプレーン808との間で接続された第4のインダクタ824および第4のコンデンサ826を備えることができる。第4のインダクタ824および第4のコンデンサ826は、それぞれ、図2を参照して上記で説明した回路図200の第4のインダクタ220および第4のコンデンサ222と対応することができる。
【0074】
インダクタ812、816、820、824およびコンデンサ814、818、822、826は、図3図5Dを参照して上記で説明したのと同様の方式でビア827によって接続することができる。インダクタ812、818、820、824の各々は、それぞれの第1のロケーションにおいて信号経路806と接続し、それぞれの第2のロケーションにおいて信号経路806またはグラウンドプレーン808と接続することができる。インダクタ812、818、820、824の各々は、第1のロケーションと第2のロケーションとの間で(例えばX-Y平面における)それぞれの有効長を有することができる。加えて、インダクタ812、818、820、824の各々は、そのそれぞれの有効長に沿ってそれぞれの幅を有することができる。
【0075】
図8Bは、図8Aのフィルタ800の側面図である。バンドパスフィルタ800は、複数の誘電体層(明確にするために図8Aにおいて透明である)を備えることができる。図8Bを参照すると、第1の層832、第2の層836および第3の層840を積層して、一体構造を形成することができる。誘電体層832、836、840上に導電層830、834、838、842を形成することができる。第1の誘電体層832の底面に導電層830を形成することができる。それぞれ、第2の誘電体層836の上面および底面に導電層834、838を形成することができる。第3の誘電体層840の上面上に導電層842を形成することができる。
【0076】
図9A図9Dは、図8Aおよび図8Bのフィルタ600の一連の連続平面図であり、各連続図において更なる誘電体層が示される。より詳細には、図9Aは、プリント回路基板等の実装表面828を示す。第1の導電層830は、第1の層832の底面および上面に形成することができるグラウンドプレーン808を含むことができる。図9Bは、第1の誘電体層832上に形成された第2の導電層834を更に示す。第2の導電層834は、第1のコンデンサ814、第2のコンデンサ818、第3のコンデンサ822および第4のコンデンサ826を含むことができる。図9Cは、第2の誘電体層836上に形成された第3の導電層838を更に示す。第3の導電層838は、信号経路806の一部分と、第1のインダクタ812とを含むことができる。図9Dは、第4の誘電体層840上に形成された第4の導電層842を示す。第4の導電層842は、第2のインダクタ816、第3のインダクタ822および第4のインダクタ824を含むことができる。誘電体層832、836、840は、様々なパターニングされた導電層830、834、838、842の相対的再配置を示すために透明である。
【0077】
図10Aは、本開示の態様による多層フィルタ1000の別の実施形態の斜視図を示す。図10Bは、図10Aの多層フィルタ1000の別の斜視図を示す。フィルタ1000は、通常、図3図5Dを参照して上記で説明したフィルタ300と類似の方式で構成することができる。フィルタ1000は、入力1002と、出力1004と、入力1002および出力1004を接続する信号経路1006とを含むことができる。フィルタ1000は、1つまたは複数のグラウンド電極1010と電気的に接続されたグラウンドプレーン1008も含むことができる。
【0078】
フィルタ1000は、グラウンドプレーン1008と電気的に接続された第1のインダクタ1012を備えることができる。第1のインダクタ1012は、図2を参照して上記で説明した回路図200の第1のインダクタ208と対応することができる。フィルタ1000は、グラウンドプレーン1008と電気的に結合された第1のコンデンサ1014を含むことができる。第1のコンデンサ1014は、図2を参照して上記で説明した回路図200の第1のインダクタコンデンサ210と対応することができる。フィルタ1000は、互いに並列に接続された第2のインダクタ1016および第2のコンデンサ1018を含むことができる。第2のインダクタ1016および第2のコンデンサ1018は、それぞれ、図2を参照して上記で説明した回路図200の第2のインダクタ212および第2のコンデンサ214と対応することができる。第2のインダクタ1016および第2のコンデンサ1018は、入力1002と出力1004との間で信号経路1006の一部分を形成することができる。フィルタ1000は、互いに並列に接続され、入力1002と出力1004との間で信号経路1006の一部分を形成することができる第3のインダクタ1020および第3のコンデンサ1022を備えることができる。第3のインダクタ1020および第3のコンデンサ1022は、それぞれ、図2を参照して上記で説明した回路図200の第3のインダクタ216および第3のコンデンサ218と対応することができる。最後に、フィルタ1000は、互いに並列に接続され、信号経路1006とグラウンドプレーン1008との間で接続された第4のインダクタ1024および第4のコンデンサ1026を備えることができる。第4のインダクタ1024および第4のコンデンサ1026は、それぞれ、図2を参照して上記で説明した回路図200の第4のインダクタ220および第4のコンデンサ222と対応することができる。
【0079】
インダクタ1012、1016、1020、1024およびコンデンサ1014、1018、1022、1026は、図3図5Dを参照して上記で説明したのと類似した方式でビア1027によって接続することができる。インダクタ1012、10110、1020、1024の各々は、それぞれの第1のロケーションにおいて信号経路1006と接続し、それぞれの第2のロケーションにおいて信号経路1006またはグラウンドプレーン1008と接続することができる。インダクタ1012、10110、1020、1024の各々は、第1のロケーションと第2のロケーションとの間で(例えばX-Y平面における)それぞれの有効長を有することができる。加えて、インダクタ1012、10110、1020、1024の各々が、それぞれの有効長に沿ったそれぞれの幅を有することができる。
【0080】
図10Bは、図10Aおよび図10Bのフィルタ1000の側面図である。バンドパスフィルタ1000は、複数の誘電体層(明確にするために図10Aにおいて透明である)を備えることができる。図10Bを参照すると、第1の層1032、第2の層1036、第3の層1040を積層して、一体構造を形成することができる。誘電体層1032、1036、1040の上に導電層1030、1034、1038、1042を形成することができる。第1の誘電体層1032の底面に導電層1030を形成することができる。第2の誘電体層1036のそれぞれ上面および底面に導電層1034、1038を形成することができる。第3の誘電体層1040の上面上に導電層1042を形成することができる。
【0081】
図11A図11Dは、図10Aおよび図10Bのフィルタ600の一連の連続平面図であり、各連続図において更なる誘電体層が示される。より詳細には、図11Aは、プリント回路基板等の実装表面1028を示す。第1の導電層1030は、第1の層1030の底面および上面に形成することができるグラウンドプレーン1008を含むことができる。図11Bは、第1の誘電体層1032上に形成された第2の導電層1034を更に示す。第2の導電層1034は、第1のコンデンサ1014、第2のコンデンサ1018、第3のコンデンサ1022および第4のコンデンサ1026を備えることができる。図11Cは、第2の誘電体層1036上に形成された第3の導電層1038を更に示す。第3の導電層1038は、信号経路1006の一部分および第1のインダクタ1012を備えることができる。図11Dは、第4の誘電体層1040上に形成された第4の導電層1042を示す。第4の導電層1042は、第2のインダクタ1016、第3のインダクタ1022、および第4のインダクタ1024を備えることができる。誘電体層1032、1036、1040は、様々なパターニングされた導電層1030、1034、1038、1042の相対的再配置を示すために透明である。
III.高周波数フィルタを形成する方法
図19を参照すると、本開示のいくつかの態様によれば、例えば上記で説明した高周波数多層フィルタを形成する方法1900が、(1902)において、複数の誘電体層を設けることを含むことができる。例えば、図3A図11Dを参照して上記で説明した第1、第2および第3の誘電体層と対応する誘電体層を設けることができる。
【0082】
(1904)において、方法1900は、複数の誘電体層のうちの少なくともいくつかの上に複数の導電層を形成し、入力および出力を有する信号経路を形成することを含むことができる。例えば、方法1900は、第1の誘電体層上に導電層を備えるインダクタ、および、第1の電極と、第1の電極から、第1の誘電体層と異なる第2の誘電体層によって離間された第2の電極とを備えるコンデンサを形成することを含むことができる。
【0083】
(1906)において、方法1900は、第1のロケーションにおいて、インダクタを信号経路と電気的に接続する第1のビアを形成することと、第2のロケーションにおいて、インダクタを信号経路またはグラウンドプレーンのうちの少なくとも一方と電気的に接続する第2のビアを形成することとを含むことができる。多層フィルタは、約8GHzよりも高い特性周波数を有することができる。
【0084】
第1または第2の誘電体層は、第2の誘電体層に(例えば、上面および/または底面上に)積層されるかまたは他の形で付着した導電材料(例えば、金属膜)の1つまたは複数の薄い層を含むことができる。第2の誘電体層は、導電材料の薄い層がすでに付着した状態で、または代替的には複数の導電層を形成した状態で得ることができる。いくつかの実施形態では、方法1900は、導電材料の薄い層を第2の誘電体層の表面に付着させることを含むことができる。導電材料の薄い層はマスクおよびフォトリソグラフィを用いて選択的にエッチングし、誘電材料の表面に導電材料の所望のパターンを生成することができる。代替的に、導電層は、適切な堆積技法を用いて誘電体層のうちの1つまたは複数の上に形成されてもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、様々な誘電体層を積み重ね、互いに連続して付着または積層させることができる。例えば、第3の誘電体層は、第2の誘電体層の上面に導電層が形成された後、第2の誘電体層の上面に付着させることができる。次に、第1の誘電体層は、導電層が第2の誘電体の底面に形成された後に第2の誘電体層に付着させることができる。必要に応じて、このプロセス中、様々な誘電体層にビアを形成することができる。
【0086】
IV.用途
本明細書において説明したフィルタの様々な実施形態は、任意の適切なタイプの電気コンポーネントにおいて用途を見出すことができる。フィルタは、高周波数無線信号を受信、送信、または他の形で用いるデバイスにおいて特定の用途を見出すことができる。例示的な用途は、スマートフォン、信号中継器(例えば、スモールセル)、中継局およびレーダを含む。
実施例
本開示の態様に従って、コンピュータモデリングを用いて、多層高周波数フィルタをシミュレートした。加えて、フィルタが構築され、試験された。以下の寸法は単に例として与えられ、本開示の範囲を限定しないことを理解されたい。
【0087】
様々な多層フィルタ(上記で説明した多層フィルタ300、600、800、1000を含む)は、以下のパスバンド周波数範囲、ならびに以下のミクロン単位のそれぞれの有効インダクタ長(「L」)および幅(「W」)を有するように構成することができる。
【0088】
【表1】
【0089】
フィルタ300の第3のインダクタ356は、図5Cを参照して上記で説明した線幅調整部(line width edition)364を含むことができる。線幅調整部364において、第3のインダクタ356の幅530は約152ミクロンとすることができる。
【0090】
様々な多層フィルタ(上記で説明した多層フィルタ300、600、800、1000を含む)は、以下のパスバンド周波数範囲、および以下の平方ミリメートル(mm)単位のそれぞれの容量性エリアを有するように構成することができる。
【0091】
【表2】
【0092】
誘電体層の厚みは、通常、約180マイクロメートル(「ミクロン」)未満とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2の層304、632、832、1032は、約60マイクロメートル(60ミクロン)の厚みとすることができる。第3の層304、636、836、1036は、約20マイクロメートル(20ミクロン)の厚みとすることができる。第4の層308、640、840、1040は、約60マイクロメートル(60ミクロン)の厚みとすることができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、フィルタの全体長さは、4.3mmとすることができる。全体幅は約4mmとすることができる。全体厚は約230マイクロメートル(230ミクロン)とすることができる。
【0094】
図12図17は、様々なフィルタのための試験結果およびシミュレーションデータを表す。図12を参照すると、本開示の態様による多層フィルタが構築され試験された。測定された挿入損失(S21)値および測定されたリターン損失(S11)値が0GHz~45GHzでプロットされている。シミュレートされた挿入損失(S21)値およびシミュレートされたリターン損失(S11)値が0GHz~35GHzでプロットされている。測定パスバンドは、約13.2GHz~約15.8GHzである。
【0095】
図13を参照すると、本開示の態様による多層フィルタが構築され、試験された。測定された挿入損失(S21)値および測定されたリターン損失(S11)値が0GHz~45GHzでプロットされている。シミュレートされた挿入損失(S21)値およびシミュレートされたリターン損失(S11)値が0GHz~35GHzでプロットされている。パスバンドは約16.1GHz~約18.2GHzである。
【0096】
図14を参照すると、図3A図4Eを参照して上記で説明した多層フィルタ300のシミュレートおよび構築の双方が行われ、物理的に試験された。測定された挿入損失(S21)値および測定されたリターン損失(S11)値が0GHz~45GHzでプロットされている。シミュレートされた挿入損失(S21)値およびシミュレートされたリターン損失(S11)値が0GHz~35GHzでプロットされている。パスバンドは約17.0GHz~約21.2GHzである。
【0097】
図15を参照すると、図6A図7Dを参照して上記で説明した多層フィルタ600がシミュレートされた。シミュレートされた挿入損失(S21)値およびシミュレートされたリターン損失(S11)値が0GHz~50GHzでプロットされている。パスバンドは約24.6GHz~約27.8GHzである。
【0098】
図16を参照すると、図8A図9Dを参照して上記で説明した多層フィルタ800がシミュレートされた。シミュレートされた挿入損失(S21)値およびシミュレートされたリターン損失(S11)値が0GHz~55GHzでプロットされている。パスバンドは約34.6GHz~約37.4GHzである。
【0099】
図17を参照すると、図10A図11Dを参照して上記で説明した多層フィルタ1000がシミュレートされた。シミュレートされた挿入損失(S21)値およびシミュレートされたリターン損失(S11)値が0GHz~70GHzでプロットされている。パスバンドは約42.9GHz~約46.6GHzである。
試験方法
図18を参照すると、本開示の態様によれば、試験アセンブリ1800を用いて、高周波数多層フィルタ1802の挿入損失およびリターン損失等の性能特性を試験することができる。フィルタ1802は、試験基板1804に実装することができる。入力線1806および出力線1808は、各々試験基板1804に接続された。試験基板1804は、入力線1806をフィルタ1802の入力と電気的に接続し、出力線1808をフィルタ1802の出力と電気的に接続するマイクロストリップ線1810を含むことができる。入力信号が、ソース信号発生器(例えば、1806 Keithley 2400シリーズのソース測定ユニット(SMU)、例えば、Keithley 2410-C SMU)を用いて入力線に適用され、フィルタ1802の結果としての出力が、(例えば、ソース信号発生器を用いて)出力線18108において測定された。これは、フィルタの様々な構成について繰り返された。
【0100】
当業者であれば、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示のこれらのおよび他の変更および変形を行うことができる。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的および部分的の双方で入れ替えることができることを理解されたい。更に、当業者であれば、上記の説明が例示の目的にすぎず、添付の特許請求の範囲において更に記載される本開示を限定することを意図しないことを理解するであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A-4C】
図4D-4E】
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A-7B】
図7C-7D】
図8A
図8B
図9A-9B】
図9C-9D】
図10A
図10B
図11A-11B】
図11C-11D】
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2020-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波数多層フィルタであって、
複数の誘電体層と、
入力および出力を有する信号経路と、
第1の誘電体層の上に形成される導電層を備えるインダクタであって、前記インダクタは、第1のロケーションにおいて前記信号経路と電気的に接続され、第2のロケーションにおいて前記信号経路またはグラウンドのうちの少なくとも一方と電気的に接続される、インダクタと、
第1の電極と、前記第1の電極から第2の誘電体層によって離間されたおよび第2の電極とを備えるコンデンサと、
を備え、
前記多層フィルタは、約8GHzよりも高い特性周波数を有する、高周波数多層フィルタ。
【請求項2】
前記特性周波数は、ローパス周波数、ハイパス周波数、またはバンドパス周波数の上限のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項3】
前記インダクタの前記導電層は、X-Y平面と平行であり、前記X-Y平面に垂直なZ方向において、前記コンデンサの前記第1の電極および前記第2の電極の各々から、少なくとも10マイクロメートル(10ミクロン)だけ離間される、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項4】
前記インダクタは、第1の方向に細長く、第1の幅を有する、第1の細長いセクションと、第2の方向に細長く、第2の幅を有する、第2の細長いセクションとを備え、前記第1の方向は、前記第2の方向よりも約15°大きい、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項5】
前記第1の細長いセクションの前記第1の幅は、前記第2の細長いセクションの前記第2の幅と概ね等しい、請求項4に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項6】
前記インダクタは少なくとも2つの角部を含む、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項7】
前記インダクタは、半円未満のループを定義する、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項8】
前記インダクタは、少なくとも半円のループを定義する、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項9】
前記インダクタの前記導電層は、前記第1のロケーションと前記第2のロケーションとの間に、約2mm未満の有効長を有する、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項10】
前記インダクタの前記導電層は、1mm未満の幅を有する、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項11】
前記インダクタの前記導電層が形成される前記誘電体層は、約100マイクロメートル(100ミクロン)未満の厚みを有する、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項12】
前記インダクタの前記導電層が上に形成される前記誘電体層に形成されたビアであって、前記ビアは前記インダクタおよび前記グラウンドに電気的に接続される、ビアを更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項13】
前記複数の誘電体層のうちの別のものの上に形成された更なる導電層と、
前記インダクタの前記導電層が上に形成される前記誘電体層に形成されたビアであって、前記ビアは前記インダクタおよび前記更なる導電層に電気的に接続される、ビアと、
を更に備える、請求項12に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項14】
25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って決定される約100未満の誘電率を有する誘電材料を更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項15】
25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って決定される約100よりも大きい誘電率を有する誘電材料を更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項16】
有機誘電材料を更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項17】
前記有機誘電材料は液晶ポリマーを含む、請求項16に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項18】
前記有機誘電材料はポリフェニレンエーテルを含む、請求項16に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項19】
セラミック充填エポキシを含む誘電材料を更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項20】
第1の電極と、前記第1の電極から離間された第2の電極とを備えるコンデンサを更に備え、前記多層フィルタは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配設された誘電材料を備え、前記誘電材料は、25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って約5~約8の範囲をとる誘電率を有する、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項21】
25℃の動作温度および1MHzの周波数において、IPC TM-650 2.5.5.3に従って約1~約4の範囲をとる誘電率を有する更なる誘電材料を更に備える、請求項20に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項22】
自己整合コンデンサを更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項23】
前記信号経路は、第1の方向に細長く、前記第1の方向に垂直な第2の方向における幅を有する、導電層を備え、前記自己整合コンデンサは、Z方向において前記信号経路の前記導電層からオフセットされた導電層を備え、前記Z方向は、前記第1の方向および前記第2の方向の各々に垂直であり、前記自己整合コンデンサの前記導電層は、前記第2の方向に細長く、前記第1の方向における幅を有する、請求項22に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項24】
グラウンドはグラウンドプレーンを備え、前記自己整合コンデンサは、前記グラウンドプレーンに電気的に接続され、前記信号経路と容量結合される、請求項22に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項25】
約0.05mm未満の容量性エリアを有するコンデンサを更に備える、請求項1に記載の高周波数多層フィルタ。
【請求項26】
高周波数多層フィルタを形成する方法であって、
第1の誘電体層上に導電層を備えるインダクタを形成するステップと、
第1の電極と、前記第1の電極から第2の誘電体層によって離間されたおよび第2の電極とを備えるコンデンサを形成するステップと、
第1のロケーションにおいて、前記インダクタを信号経路と電気的に接続する第1のビアを形成するステップと、
第2のロケーションにおいて、前記インダクタを前記信号経路またはグラウンドプレーンのうちの少なくとも一方と電気的に接続する第2のビアを形成するステップと、
を含み、
前記多層フィルタは、約8GHzよりも高い特性周波数を有する、方法。
【国際調査報告】