(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】サイトカイン及び足場タンパク質を含む融合タンパク質
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20220209BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20220209BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20220209BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220209BHJP
C07K 14/195 20060101ALI20220209BHJP
C07K 14/52 20060101ALI20220209BHJP
C07K 14/54 20060101ALI20220209BHJP
C07K 14/545 20060101ALI20220209BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220209BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20220209BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220209BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220209BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220209BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220209BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C12N15/12 ZNA
C12N15/31
C12N15/63 Z
C07K14/195
C07K14/52
C07K14/54
C07K14/545
C07K19/00
C12P21/02 C
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535663
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2019086696
(87)【国際公開番号】W WO2020127983
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509333933
【氏名又は名称】フエー・イー・ベー・フエー・ゼツト・ウエー
(71)【出願人】
【識別番号】509333922
【氏名又は名称】フリエ・ウニベルシテイト・ブリユツセル
(71)【出願人】
【識別番号】518384906
【氏名又は名称】ルクセンブルク インスティテュート オブ ヘルス(エルアイエイチ)
【氏名又は名称原語表記】LUXEMBOURG INSTITUTE OF HEALTH(LIH)
【住所又は居所原語表記】84 Val Fleuri,L-1526 LUXEMBOURG(LU)
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステヤエルト,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】パルドン,エルス
(72)【発明者】
【氏名】ボールケーニヒ,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】カリチュク,バレンティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ブランケン,ビム
(72)【発明者】
【氏名】ウチャンスキー,トマシュ
(72)【発明者】
【氏名】シェビニェ,アンディ
(72)【発明者】
【氏名】シュパコブスカ,マルティーナ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045CB01
2G045DA36
2G045FA40
4B064AG01
4B064AG04
4B064CA02
4B064CA06
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA13
4B065AA26X
4B065AA72X
4B065AA99Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA46
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA11
4H045CA40
4H045DA03
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、構造生物学の分野に関する。より具体的には、本発明は、新規融合タンパク質、高分子の三次元構造解析、例えばX線結晶構造解析及び高分解能クライオEMにおけるこれらの使用及び方法、並びに構造に基づくドラッグデザイン及びスクリーニングにおけるこれらの使用に関する。さらにより具体的には、本発明は、サイトカイン及び足場タンパク質の機能的融合タンパク質であって、足場が、サイトカインのトポロジーを中断して、その受容体結合及び活性化能を保持する剛性融合タンパク質を形成するフォールディングされたタンパク質である、機能的融合タンパク質に関する。より具体的には、ケモカイン及びインターロイキンに基づく機能的融合タンパク質、並びにこれらの産生及び使用が本明細書に開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場タンパク質と融合したサイトカインを含む機能的融合タンパク質であって、前記足場タンパク質は、少なくとも2つ以上の直接融合又はリンカーによって作製された融合を介して前記サイトカインのβストランド含有ドメインの露出したβターンにおける1つ以上のアクセス可能な部位で前記サイトカインのトポロジーを遮断する少なくとも50アミノ酸のフォールディングされたタンパク質である、機能的融合タンパク質。
【請求項2】
サイトカインがケモカインであり、足場タンパク質が、ケモカインコアドメインの露出したβターンにおける1つ以上のアクセス可能な部位でケモカインコアドメインのトポロジーを遮断する、請求項1に記載の機能的融合タンパク質。
【請求項3】
ケモカインコアドメインが、N末端ループ、3つのβストランドを含むβシート、及びC末端ヘリックスを含み、足場タンパク質が、ケモカインコアドメインのβストランドβ2とβストランドβ3とを接続する露出したβターンに挿入されている、請求項2に記載の機能的融合タンパク質。
【請求項4】
サイトカインがインターロイキンであり、足場タンパク質が、βバレルコアモチーフの露出したβターンにおける1つ以上のアクセス可能な部位でインターロイキンβバレルコアモチーフのトポロジーを遮断する、請求項1に記載の機能的融合タンパク質。
【請求項5】
インターロイキンがIL-1ファミリーのインターロイキンである、請求項4に記載の機能的融合タンパク質。
【請求項6】
足場タンパク質が循環置換されたタンパク質である、請求項1~5のいずれかに記載の機能的融合タンパク質。
【請求項7】
足場タンパク質が、少なくとも30kDaの総分子質量を有する、請求項1~6のいずれかに記載の機能的融合タンパク質。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の融合タンパク質をコードする核酸分子。
【請求項9】
請求項8に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項10】
大腸菌における発現のための、酵母、ファージ、細菌、又はウイルスにおける表面ディスプレイのための、請求項9に記載のベクター。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか一項に記載の融合タンパク質を含む宿主細胞。
【請求項12】
融合タンパク質及びサイトカイン受容体が同時発現されている、請求項11に記載の宿主細胞。
【請求項13】
(i)請求項1~7のいずれかに記載の融合タンパク質、及び
(ii)受容体タンパク質
を含む複合体であって、
受容体タンパク質が、融合タンパク質のサイトカインに結合している、複合体。
【請求項14】
受容体が、融合タンパク質に結合すると活性化される、請求項13に記載の複合体。
【請求項15】
リガンド/受容体複合体の三次元構造を決定する方法であって、
(i)受容体タンパク質が、融合タンパク質のサイトカイン部分に結合している、請求項1~7のいずれかに記載の融合タンパク質及び受容体を提供して複合体を形成するステップ、又は請求項13若しくは14に記載の複合体を提供するステップ;
(ii)構造解析のために適した条件下で複合体をディスプレイするステップ
を含み、
リガンド/受容体複合体の3D構造が高分解能で決定される、方法。
【請求項16】
サイトカイン/受容体複合体の構造解析のための、請求項1~7のいずれかに記載の融合タンパク質、請求項8に記載の核酸分子、請求項9又は10に記載のベクター、請求項11又は12に記載の宿主細胞、請求項13又は14に記載の複合体の使用。
【請求項17】
構造解析が、単粒子クライオ-EM又は結晶構造解析を含む、請求項16に記載の融合タンパク質の使用。
【請求項18】
請求項3に記載の融合タンパク質を産生する方法であって、
(i)ケモカインコアドメインのトポロジーを遮断することなく、ケモカインタンパク質配列を遮断するためにアクセス可能なβターンを有するケモカイン及び足場タンパク質を選択するステップ;
(ii)以下をコードする遺伝子融合構築物を設計するステップ:
a)コアドメインのβストランドβ2とβストランドβ3の間で中断されたケモカインのタンパク質配列、
b)循環置換された足場タンパク質を得るためにN末端及びC末端が融合された足場タンパク質、
c)元のN末端又はC末端とは異なる、ループ又はターンなどのアクセス可能な部位でそのアミノ酸配列が遮断されているb)の循環置換された足場タンパク質
d)循環置換された足場タンパク質の最もN末端側で遮断された部位のアミノ酸に融合された、βストランドβ2のC末端側のケモカインの中断された部位のアミノ酸、及び循環置換された足場タンパク質の中断された部位の最もC末端側のアミノ酸に融合された、βストランドβ3のN末端側のケモカインの中断された部位のアミノ酸;
(iii)遺伝子融合構築物を発現系に導入して融合タンパク質を得るステップであって、ケモカインが循環置換された足場タンパク質にそのコアドメインの2つの部位で融合されているステップ
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造生物学の分野に関する。より具体的には、本発明は、新規融合タンパク質、高分子の三次元構造解析、例えばX線結晶構造解析及び高分解能クライオ-EMにおけるこれらの使用及び方法、並びに構造に基づくドラッグデザイン及びスクリーニングにおけるこれらの使用に関する。さらにより具体的には、本発明は、サイトカイン及び足場タンパク質の機能的融合タンパク質であって、足場が、サイトカインのトポロジーを遮断して、その受容体結合及び活性化能を保持する剛性融合タンパク質を形成するフォールディングされたタンパク質である、機能的融合タンパク質に関する。より具体的には、ケモカイン及びインターロイキンに基づく機能的融合タンパク質、並びにこれらの産生及び使用が、本明細書に開示される。
【背景技術】
【0002】
ある特定の立体構造状態における多くのタンパク質及び複合体の3D構造解析は依然として難しい。高分子X線結晶構造解析は、本質的にいくつかの欠点、例えば高品質の精製タンパク質が予め必要であること、比較的大量のタンパク質が必要であること、及び回折品質の結晶を調製することを有する。抗体断片又は他のタンパク質の形態での結晶化シャペロンを適用することは、標的の立体構造不均一性を最小限にすることによって秩序正しい結晶を得るのを容易にすることが証明されている。加えて、シャペロンは、最初の、モデルに基づく位相情報を、提供することができる(Koide,2009)。さらに、単粒子クライオ電子顕微鏡(クライオ-EM)が最近、原子分解能での高分子複合体の構造解析のための代替の多目的の技術として開発されている(Nogales,2016)。データ解析のための機器及び方法は、着実に改善しているが、3D再構成に関する最高に達成可能な解決策は、主に、所定の試料の均一性、及び各個々の粒子の配向パラメーターを高精度となるよう繰り返し精密化する能力に、依存する。特定の領域を気水界面又は基質支持体に優先的に接着させるという高分子の表面特性による優先的な粒子の配向性は、クライオ-EMにおいて繰り返し起こる問題となっている。このため、本態様においても同様に、本発明者らはなおも、これらのハードルを克服するための次世代シャペロンなどのツールを探索中である。
【0003】
サイトカインは、ピコモル濃度又はナノモル濃度で細胞シグナル伝達分子として作用して、炎症を調節し、細胞の活動、例えば遊走、成長、生存、及び分化をモジュレートする小さいタンパク質(5~20kDa)のクラスである。サイトカインは、非常に大きく多様な群の炎症促進性又は抗炎症性因子であり、これらの構造の相同性又はこれらの受容体の相同性に基づいてファミリーに分類されている。サイトカインは、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンフォカイン、腫瘍壊死因子、ホルモン、又は増殖因子を含み得る。インターロイキン(IL)は、細胞の増殖、成熟、遊走、及び接着を含む複雑な免疫調節機能を有し、免疫細胞の分化及び活性化において重要な役割を果たすサイトカインの群を形成する。ILはまた、炎症促進性作用及び抗炎症作用も有し得、宿主の免疫系と感染性の生物との間の持続的な競合により、進化するように常に圧力を受けている。このため、ILは有意な進化を起こし、これによってオルソログタンパク質の間でアミノ酸がほとんど保存されず、遺伝子ファミリーの組織を複雑にする。しかし、共通の構造モチーフの結晶構造解析データ及び同定は、IL1様サイトカイン、クラスIヘリカルサイトカイン(IL4様、γ鎖及びIL6/12様)、クラスIIヘリカルサイトカイン(IL10様及びIL28様)、及び他のILサブファミリーとは構造的に無関係であり、システインノットフォールドを構成するIL17Fを伴うIL17様サイトカインをコードする遺伝子を含む4つの主要な群への分類をもたらした。
【0004】
ケモカインは、その一般的機能が細胞遊走を誘導することであるサイトカインファミリー内の分泌型の小さい球状タンパク質の群である。サイトカイン又はケモカインリガンドがそのコグネート受容体に結合すると、受容体の活性化をもたらし、次にこれは、様々な細胞機能、例えば細胞接着、ファゴサイトーシス、サイトカイン分泌、細胞活性化、細胞増殖、細胞生存及び細胞死、アポトーシス、血管新生、並びに増殖を調節するシグナル伝達事象のカスケードを誘発する。
【0005】
ケモカインは、細胞表面及び細胞外基質上で勾配状に蓄積し、遊走する細胞上のケモカイン受容体によって方向に関するシグナルとして解釈される。ほとんどのケモカイン受容体は、ケモカインの結合に応答してGαi依存的細胞内経路を活性化する7回膜貫通(7TM)Gタンパク質共役受容体(GPCR)である。一部のケモカイン受容体は、他の機序を介してケモカインを輸送又は除去し、したがって異型ケモカイン受容体(ACKR)と呼ばれる。これらの「走化性サイトカイン」は、体全体の位置への白血球の化学誘引及び免疫細胞の移動に関係している。ケモカイン系は、多くの疾患領域、例えば炎症性の病態、例えば喘息、アテローム性動脈硬化症、及びリウマチ性関節炎に関係しており、自己免疫疾患にも関係している。サイトカイン及びケモカインは、細菌性髄膜炎、脳の膿瘍、ライム病による神経ボレリア症、及びHIV脳炎を含む様々な種類の炎症性神経変性疾患における神経炎症及び神経変性の媒介において重要な役割を果たす(総説に関しては、Ramesh et al.,2013を参照されたい)。したがって、その系を理解することは、適切な治療標的の選択及び起因する特異性にとって極めて重要である。
【0006】
ケモカインは、約7~12kDaの小さいタンパク質であり、成熟リガンドのアミノ末端付近のシステイン残基の特徴的なパターンに基づいて4つのサブファミリーに分類されている(CC、CXC、CX3C、及びC)。ケモカインは全て、相同な三次構造を示し、細胞表面グリコサミノグリカン(GAG)並びにケモカイン受容体と、異なるオリゴマー化状態で相互作用する。今日まで、約45個のヒトケモカイン及び22個のケモカイン受容体が知られており、同じサブファミリー内のケモカインはしばしば、同じクラスの複数の受容体に結合する。ケモカインは二量体型で出現するが、ケモカイン受容体に結合して活性化するのはそれらの単量体型である。受容体結合及び活性化の2部位モデルは、受容体活性化にとって必須であるケモカインのN末端、及び受容体結合を媒介するケモカインコアドメインを含む。天然のケモカインは、異なる受容体特異性を有し、公知のケモカインのバリアントは、これらの受容体の異なる立体構造状態を規定し、異なるシグナル伝達及び応答をもたらすことが示された。これにより一部のケモカインは、所定の受容体のアゴニストとして作用するが、他方はアンタゴニスト又はインバースアゴニストとして作用し得る。この認識及び活性化機構を完全に理解するためには、インタクト受容体と複合体を形成したケモカイン又はバリアントの高分解能の構造が必要である。例えば、アゴニスト及びアンタゴニストとして知られるいくつかのCCL5(又はRANTES)バリアントの構造研究が、HIVに対する保護における抗菌剤としてのそれらの可能性に関して試験中である(Kufareva et al.,2015)。ケモカインのいくつかの構造は公知であり、可溶性複合体として再現される、より扱いやすいGPCRに関して、構造が解明されている(β2-アドレナリン受容体、ロドプシン)。しかし、ケモカイン/受容体複合体及び相互作用における構造の洞察はなおも限定的であり、膜貫通タンパク質としての受容体の立体構造上の可撓性により難しい問題を生じる。結晶構造は、低分子と複合体を形成したケモカイン受容体CXCR4及びCCR5 GPCR、及びアンタゴニストケモカインバリアント5P7-CCL5と複合体を形成したCCR5、ウイルスアンタゴニストケモカインvMIP-IIと複合体を形成したCXCR4、並びにヒトCX3CL1と複合体を形成したウイルス受容体US28に関して決定されている。その上、G-タンパク質及びβアレスチンと複合体を形成したGPCRの利用可能な結晶構造では、互いを比較した場合に受容体の立体構造に明白な顕著な差は認められず、それらのドラッガビリティを評価するためにはリガンド-受容体対における新規洞察が必須であることを示している(Proudfoot et al.2015)。放射線分解フットプリント、ジスルフィドトラッピング、及び突然変異誘発などの構造情報を解明する代替法が、例えばACKR3:CXCL12及びACKR3:低分子複合体の構造をマッピングするために適用されている(Gustavsson et al.,2017)。このような技術は、相同な受容体におけるX線結晶構造解析では解明できないことが明らかになったダイナミック領域の、分子モデリングを用いた組込みをもたらし、受容体:ケモカイン及び受容体:低分子複合体の構築に関する既存の知識を拡大するための完全でまとまった実験的により促進されるモデルを生成する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Koide,2009
【非特許文献2】Nogales,2016
【非特許文献3】Ramesh et al.,2013
【非特許文献4】Kufareva et al.,2015
【非特許文献5】Proudfoot et al.2015
【非特許文献6】Gustavsson et al.,2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、GPCR並びに他のケモカイン、インターロイキン、又は「サイトカイン受容体」全体におけるリガンドによって誘導された立体構造変化の新規経路を探索し、新規機序を発見するためには、それらのリガンド、リガンドアナログ、又はバリアントとのこのような複合体のX線結晶構造解析又はクライオ-EM解析を容易にするための汎用プロトタイプのシャペロンが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本出願は、新規機能的融合タンパク質の設計及び生成、並びにこれらの使用、例えば構造解析における次世代シャペロンとしてのこれらの役割に関する。本明細書に記載される融合タンパク質は、サイトカインリガンドを剛性融合タンパク質へと拡大させると、ある特定の立体構造状態でのリガンド/受容体複合体の構造解析を容易にすることができるという知見に基づいている。実際に、本開示は、サイトカインスーパーファミリーが配列類似性を共有し、構造の相同性、及びこれらの相互的受容体系において一部の無秩序を示すが、機能的類似性を示さないという仮定に基づいて融合タンパク質を提供する。サイトカインはその構造に従って分類されることから、汎用融合スキームを設計する場合、サイトカインのサブグループ内の構造エレメントにおける類似性から出発することができる。インターロイキンは、サイトカインのサブグループであり、例えばIL-1スーパーファミリーは、ループ領域において有意な可撓性を有する保存されたβバレル疎水性コアモチーフを有する、3回回転対称性パターンで配置される逆平行βストランドを含む保存されたシグナチャーのβトレホイルのフォールドをとる。ケモカインは、非常に類似の基本的な三次構造を示す別のサブグループのサイトカインであり、ケモカインコアドメインは、少なくとも3個のβストランドを有するβシートを含む。前記サブファミリーが構造的に保存されていることにより、サイトキニン(cytokinin)は理想的には、リガンド/受容体複合体の構造解析における次世代シャペロンとしての汎用アプローチ及びプロトタイプを提供する。三次構造は、露出したターン又はループを介してそれらのβストランドの相互接続を提供する二次β構造(βシート又はβバレル)を含む保存されたコアを有するこれらのサブファミリー、例えば本明細書において互換的に使用される「IL-1受容体型インターロイキン」、又は「IL-1ファミリー」、及びケモカインにおいて相同であることから、露出し、足場タンパク質との融合のためにアクセス可能であるそれらのコアドメインにおける物理的位置を、一般的にサイトカイン/受容体複合体内のβストランドドメイン含有サイトカインの構造解析のためのリガンド組込みシャペロンを形成するための例として適用することができる。インターロイキン-1又はケモカインリガンドは、MegaKine(商標)として公知の剛性の、より大きいリガンドを構築するために使用され、意外にも拡大されたリガンド融合タンパク質はその受容体結合及び活性化能を保持した。これらの新規機能的融合タンパク質は、異なる立体構造状態におけるGPCRなどの受容体を捕捉するための及びそれらの構造解析を容易にするための新規経路を提供する。足場タンパク質をサイトカインコアドメイン内に、そのフォールディング又は機能性を妨害することなくこれがサイトカインのこのコアドメインのトポロジーを遮断するように、剛性をもたせて挿入することによって形成された新規融合は、構造に基づく新薬発見における新規アプローチを可能にする。得られた機能的融合タンパク質は、(ケモカイン及びIL-1βに関して実証されるように)前記サイトカインと足場タンパク質との間の遺伝子融合の発現を介して得られ、足場又はそれらの断片が、サイトカインコアドメインのトポロジー内に挿入するように設計される。意外にも、得られた新規融合タンパク質は、それらの融合領域での高い剛性によって特徴付けられ、意外にもそれらの典型的なフォールド及び機能性を保持することが示され、すなわちそれらは結合親和性を保持し、その上サイトカイン受容体が結合すると活性化能を示した。実際に、露出したβターンのアクセス可能な部位でのサイトカインのその保存されたコアドメインと足場タンパク質との間で形成される遺伝子融合は、受容体結合を妨害しない又は変更しないように当業者によって選択される。このように、本発明は、サイトカインの保存されたコアドメイン、例えばケモカインコアドメイン内の露出したβターン又はβループにおける、すなわちβストランドβ2とβストランドβ3の間、又はIL-1βバレルコアモチーフ、すなわち、βストランドβ6とβストランドβ7の間の完全に選択された部位を有することによって、新規かつ一意的なタイプの機能的融合タンパク質を提供し、設計することが容易ではないフォールディングされた足場タンパク質との剛性非可撓性融合を可能にする。融合タンパク質は、これによって、質量を増大させ、構造特色を供給することによって、ケモカインリガンド/受容体複合体の高分解能クライオ-EM及びX線結晶構造解析を容易にするための新規ツールを提供する。このため、サイトカイン、特にケモカイン又はそれらのバリアントリガンド、又はインターロイキン、IL-1、又はこれらのバリアントとその受容体との可能性がある任意の複合体の構造解析のためのこれらの次世代シャペロンの設計及び生成は、立体構造状態を変更することなく高分解能の構造を得るために目的の複合体に対して質量を加え、及び/又は規定の特色を加える拡大されたリガンドを可能にする。したがって実際に、融合タンパク質は、構造解析における、同様に構造に基づくドラッグデザイン及びスクリーニングにおけるツールとして有用であり、新規生物製剤及び低分子作用剤の発見及び開発にとっての付加価値となる。
【0010】
本発明の第1の態様は、足場又は融合パートナー形成タンパク質に接続された機能的サイトカインを含む新規融合タンパク質であって、前記足場タンパク質が少なくとも50アミノ酸のフォールディングされたタンパク質であり、前記サイトカインのアクセス可能な、したがって表面に露出している1つ以上のアミノ酸位置でサイトカインに結合され、これによって前記サイトカインのトポロジーの遮断をもたらす、新規融合タンパク質に関する。前記融合タンパク質は、それが機能的である、すなわちそれが前記足場タンパク質に融合されていないサイトカインリガンドと比較して、そのサイトカイン機能性を保持しているという点においてさらに特徴付けられる。別の実施形態は、本発明の融合タンパク質であって、足場タンパク質とサイトカインタンパク質との融合がサイトカインの一次トポロジーの遮断をもたらし、別のタンパク質に融合されていないサイトカインリガンドのフォールディングと比較して、サイトカインタンパク質のフォールディング及び典型的な三次構造を保持することを可能にする、融合タンパク質を開示する。より具体的には、アクセス可能なアミノ酸位置は、保存されたサイトカインのβストランド構造を相互接続するベータターン(βターン)又はβループの露出した領域に存在する。
【0011】
本発明の特定の実施形態では、融合は、直接融合、又はリンカー若しくはリンカーペプチドによって作製された融合であり得、前記融合部位は、剛性非可撓性融合タンパク質をもたらすように完全に設計されている。好ましくは、リンカーは、5、4、3個、又はより好ましくは2個のアミノ酸残基を含み、さらにより好ましくは1つのアミノ酸残基を含む、又は直接の融合(リンカーなし)であり得る。
【0012】
ケモカインコアドメインの表面上の1つ以上のアクセス可能な又は露出した部位でサイトカイン又はケモカインコアドメインに結合された足場タンパク質との前記融合タンパク質は、前記アクセス可能な又は露出した部位が受容体結合及び受容体活性化に関与する又は関係する領域に存在せず、受容体との結合及び/又は活性化におけるそのサイトカイン機能性を保持するという点においてさらに特徴付けられる。
【0013】
本発明の一実施形態は、新規融合タンパク質であって、前記サイトカインが足場又は融合パートナー形成タンパク質に接続された機能的ケモカインであり、前記足場タンパク質が前記ドメインの表面上でアクセス可能な、したがって露出している1つ以上のアミノ酸位置でケモカインのコアドメインに結合され、これによって前記ケモカインのトポロジーの遮断が起こる、新規融合タンパク質に関する。前記融合タンパク質は、前記足場タンパク質に融合されていないケモカインリガンドと比較して、そのケモカイン機能性を保持しているという点においてさらに特徴付けられる。別の実施形態は、本発明の融合タンパク質であって、足場タンパク質とケモカインコアドメインとの融合が、ケモカインコアドメインの一次トポロジーの遮断をもたらし、別のタンパク質に融合されていないケモカインリガンドのフォールディングと比較して前記ケモカインコアドメインのフォールディング及び典型的な三次構造を保持することを可能にする、融合タンパク質を開示する。一実施形態では、前記融合タンパク質は、N末端ループ、3つのβストランドを含有するβシート、及びC末端ヘリックスを有するケモカインコアドメインを含む。特定の実施形態では、融合タンパク質の前記ケモカインコアドメインにおける露出した領域は、具体的には、βストランドβ2及びβストランドβ3を接続するβターンに関する。このため、足場タンパク質は、これらの2つのβストランドの間のβターンに存在するアクセス可能な部位でコアドメイン内に挿入される。
【0014】
代替の実施形態は、融合タンパク質であって、前記サイトカインがインターロイキン、好ましくは「IL-1ファミリー」インターロイキンであり、前記足場タンパク質が、前記βバレルコアモチーフの露出したβターンにおける1つ以上のアクセス可能な部位で、インターロイキンβバレルコアモチーフのトポロジーを遮断する、融合タンパク質に関する。特定の実施形態では、融合タンパク質の前記保存されたβバレルコアモチーフにおける露出した領域は、具体的には、βストランドβ6及びβストランドβ7を接続するβターンに関する。このため、足場タンパク質は、これらの2つのβストランドの間のβターンに存在するアクセス可能な部位でコアモチーフ内に挿入される。
【0015】
本発明の別の実施形態では、融合タンパク質を生成するために使用される足場タンパク質は、循環置換(circularly permutated)されたタンパク質であり、より具体的には循環置換は、前記足場タンパク質のN末端及びC末端の間で作製することができる。ある特定の実施形態では、循環置換された足場タンパク質は、前記足場タンパク質の別のアクセス可能な部位で切断され、ケモカインコアドメインのアクセス可能な部位に融合するための部位を提供する。本発明の別の実施形態は、足場タンパク質の総分子量が少なくとも30kDaである融合タンパク質に関する。
【0016】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載される任意の融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。あるいは、一実施形態では、少なくともプロモーター、融合タンパク質をコードする前記核酸分子、及び転写終止シグナルを含有する3’末端領域を有するキメラ遺伝子が提供される。別の実施形態は、前記融合タンパク質をコードする、又は前記融合タンパク質をコードする核酸分子を含む発現カセットに関する。さらなる実施形態は、本発明の融合タンパク質をコードする前記核酸分子を含むベクターに関する。特定の実施形態では、前記ベクターは、大腸菌(E.coli)、又は本明細書に提示する代替宿主における発現にとって適しており、かつ酵母、ファージ、細菌、又はウイルス(表面)ディスプレイにとって適している。別の実施形態では、本発明の融合タンパク質を含む宿主細胞が開示される。あるいは、前記融合タンパク質、及び融合タンパク質のサイトカイン部分に結合することが可能なサイトカイン又はケモカイン受容体が同時発現される宿主細胞。
【0017】
本発明の別の態様は、前記融合タンパク質及びサイトカイン受容体を含む複合体に関する。より具体的には、融合タンパク質のサイトカイン部分、又は特に融合タンパク質のケモカイン若しくはインターロイキン部分に結合することが可能であるケモカイン又はインターロイキン受容体、及び前記受容体タンパク質が前記融合タンパク質に特異的に結合している前記融合タンパク質を含む複合体に関する。より詳しくは、前記受容体タンパク質は、前記融合タンパク質のサイトカイン部分又はあるいはケモカイン若しくはインターロイキン部分に結合し、さらにより詳しくは、融合タンパク質の公知の受容体結合領域に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される複合体は、活性化受容体であって、前記受容体がそのサイトカイン受容体結合領域、又は具体的にはそのケモカイン若しくはインターロイキン受容体結合領域で融合タンパク質に結合すると活性化された、活性化受容体を含む。
【0018】
本発明の別の態様は、サイトカイン受容体複合体の三次元構造を決定する方法であって、
(i)本発明の融合タンパク質、及びサイトカイン受容体(例えば、ケモカイン/インターロイキン受容体)を提供して複合体を形成させるステップであって、前記受容体タンパク質が融合タンパク質のサイトカイン(例えば、それぞれ融合タンパク質のケモカイン又はインターロイキン)に特異的に結合するステップ、又はあるいは本発明の複合体を提供するステップ;並びに
(ii)前記混合物又は複合体を、構造解析のために適した条件でディスプレイするステップ
を含み、前記リガンド/受容体複合体の3D構造が前記構造解析を通して高分解能で決定される方法に関する。
【0019】
別の態様は、本明細書に記載される機能的融合タンパク質を産生する方法であって、
a.サイトカインスーパーファミリー、例えばケモカイン又はインターロイキン様リガンド、及び3D構造が少なくとも10kDaのフォールディングされたタンパク質を明らかにする足場タンパク質を選択するステップであって、サイトカインが、保存されたサイトカインコアドメインの一次トポロジーを遮断することなくアミノ酸配列の遮断のために露出したβループ又はβターンにおけるアクセス可能な部位を有するステップ、
b.核酸配列がタンパク質配列をコードするように設計された遺伝子融合構築物を設計するステップであって、
(i)サイトカインリガンドのタンパク質配列が、表面に露出したβループ又はβターンであるその保存されたコアドメイン構造の2つのβストランドの間の部位に対応するアミノ酸位置で遮断され、
(ii)サイトカインの最もN末端側で遮断されたアミノ酸部位(最もN末端側のβストランドのC末端)が、足場タンパク質の最もN末端側で遮断された部位に融合され、サイトカインの最もC末端側で遮断された部位(最もC末端側のβストランドのN末端)が足場タンパク質の最もC末端側で遮断された部位に融合される
ステップ、
c.前記遺伝子融合構築物を発現系に導入して融合タンパク質を得るステップであって、前記ケモカインが、そのコアドメインの2つ以上の部位で足場タンパク質に融合されるステップ
を含む方法に関する。
【0020】
代替の実施形態は、本明細書に記載される融合タンパク質を産生する方法であって、
a.ケモカイン又は足場タンパク質の一次トポロジーを遮断することなく、融合タンパク質のタンパク質配列を作成するために遮断される、それらの三次構造にアクセス可能なループ又はターンを有するケモカイン及びフォールディングされた足場タンパク質を選択するステップ、
b.核酸配列がタンパク質配列をコードするように設計された遺伝子融合構築物を設計するステップであって、
(i)ケモカインのタンパク質配列が、コアドメインのβストランドβ2とβストランドβ3の間のアクセス可能な部位に対応するアミノ酸で遮断され、
(ii)足場タンパク質が少なくとも10kDaであり、そのN末端及びC末端で融合されて循環置換された足場タンパク質を得、
(iii)ii)の循環置換された足場タンパク質が、ステップii)で融合されたアミノ酸を含有しない露出したβループ又はβターンに対応するアクセス可能な部位でそのアミノ酸配列がさらに遮断され、
(iv)βストランドβ2のC末端側のケモカインの遮断された部位が、最もN末端側で遮断されたアミノ酸部位、すなわち循環置換された足場タンパク質のN末端に融合され、βストランドβ3のN末端側のケモカインの遮断された部位が、最もC末端側で遮断されたアミノ酸残基、すなわち循環置換された足場タンパク質のC末端に融合される
ステップ、
c.前記遺伝子融合構築物を発現系に導入して融合タンパク質を得るステップであって、前記ケモカインが、そのコアドメインの2つ以上の部位で循環置換された足場タンパク質に融合されるステップ
を含む方法に関する。
【0021】
別の態様は、サイトカインリガンド/受容体タンパク質の構造解析のための、本発明の融合タンパク質の使用、又は核酸分子、ベクター、宿主細胞、若しくは複合体の使用に関する。特に、前記サイトカイン受容体(又はケモカイン/インターロイキン/・・・-受容体)タンパク質が、前記融合タンパク質に結合したタンパク質である融合タンパク質の使用に関する。具体的には、一実施形態は、単粒子クライオ-EM又は結晶構造解析を含む構造解析における融合タンパク質の使用に関する。
【0022】
記載される図面は、概略的なものに過ぎず、非限定的である。図面では、要素のいくつかの大きさは誇張されている場合があり、例示目的のために尺度通りに描かれていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、剛性ケモカインキメラタンパク質と比較した可撓性融合タンパク質を示す図面である。(A)1つの直接融合又はリンカーのみを用いた、ケモカインドメインと足場タンパク質とのN末端又はC末端での可撓性融合体又はリンカー。(B)ケモカインドメインを足場に接続する少なくとも2つの直接融合又はリンカーを介して、ケモカインドメインが足場タンパク質に融合されている、ケモカインドメインと足場タンパク質との剛性融合体。
【
図2】
図2は、ケモカインのβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターンに挿入された、足場タンパク質の循環置換されたバリアントから構築されたケモカイン融合タンパク質の操作原理を示す図面である。このスキームは、ケモカインが、ケモカインドメインを足場に接続する2つのペプチド結合又は2つのショートリンカーを介して、いかにして大型足場タンパク質にグラフトされ得るかを示す。はさみは、どの露出したターンが、ケモカイン及び足場において切断されなければならないかを示す。破線は、ケモカイン及び足場の残りの部分が、ケモカインキメラタンパク質を構築するために、ペプチド結合及びショートペプチドリンカーの使用によって、どのように連結されなければならないかを示す。
【
図3】
図3は、6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターンに挿入された、HopQの循環置換されたバリアントから構築された50kDの6P4-CCL5融合タンパク質のモデル1を示す図面である。(A)ケモカイン6P4-CCL5(上)と、H.ピロリのHopQの接着ドメインの循環置換されたバリアント(下)との、ケモカインを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)ヘリコバクター・ピロリ株G27の1型HopQの接着ドメインをコードする循環置換された遺伝子(下、PDB 5LP2、配列番号2、c7HopQ)が、6P4-CCL5(上、PDB 5UIW、配列番号1)のβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターン(βターンβ2-β3)に挿入された。(C)得られたケモカインキメラタンパク質のアミノ酸配列(Mk
6P4-CCL5
c7HopQ、配列番号3)。ケモカインに由来する配列は、太字で示されている。HopQに由来する配列は、その間にある。C末端タグは6×Hisを含み、EPEAは、破線で下線を付されている。
【
図4】
図4は、6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターンに挿入された、HopQの循環置換されたバリアントから構築された50kDの6P4-CCL5融合タンパク質のモデル2を示す図面である。(A)ケモカイン6P4-CCL5(上)と、H.ピロリのHopQの接着ドメインの循環置換されたバリアント(下)との、ケモカインを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)ヘリコバクター・ピロリ株G27の1型HopQの接着ドメインをコードする循環置換された遺伝子(下、PDB 5LP2、配列番号2、c7HopQ)が、6P4-CCL5(上、PDB 5UIW、配列番号1)のβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターン(βターンβ2-β3)に挿入された。(C)得られたケモカインキメラタンパク質のアミノ酸配列(Mk
6P4-CCL5
c7HopQ、配列番号4)。ケモカインに由来する配列は、太字で示されている。HopQに由来する配列は、その間にある。C末端タグは6×Hisを含み、EPEAは、破線で下線を付されている。
【
図5】
図5は、6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターンに挿入された、HopQの循環置換されたバリアントから構築された50kDの6P4-CCL5融合タンパク質のモデル3を示す図面である。(A)ケモカイン6P4-CCL5(上)と、H.ピロリのHopQの接着ドメインの循環置換されたバリアント(下)との、ケモカインを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)ヘリコバクター・ピロリ株G27の1型HopQの接着ドメインをコードする循環置換された遺伝子(下、PDB 5LP2、配列番号2、c7HopQ)が、6P4-CCL5(上、PDB 5UIW、配列番号1)のβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターン(βターンβ2-β3)に挿入された。(C)得られたケモカイン融合タンパク質のアミノ酸配列(Mk
6P4-CCL5
c7HopQ、配列番号5)。ケモカインに由来する配列は、太字で示されている。HopQに由来する配列は、その間にある。C末端タグは6×Hisを含み、EPEAは、破線で下線を付されている。
【
図6】
図6は、6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターンに挿入された、HopQの循環置換されたバリアントから構築された50kDの6P4-CCL5融合タンパク質のモデル4を示す図面である。(A)ケモカイン6P4-CCL5(上)と、H.ピロリのHopQの接着ドメインの循環置換されたバリアント(下)との、ケモカインを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)ヘリコバクター・ピロリ株G27の1型HopQの接着ドメインをコードする循環置換された遺伝子(下、PDB 5LP2、配列番号2、c7HopQ)が、6P4-CCL5(上、PDB 5UIW、配列番号1)のβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターン(βターンβ2-β3)に挿入された。(C)得られたケモカイン融合タンパク質のアミノ酸配列(Mk
6P4-CCL5
c7HopQ、配列番号6)。ケモカインに由来する配列は、太字で示されている。HopQに由来する配列は、その間にある。C末端タグは6×Hisを含み、EPEAは、破線で下線を付されている。
【
図7】
図7は、足場タンパク質HopQをケモカインに接続するリンカーペプチドの組成及び長さの最適化のための酵母ディスプレイベクターを示す図面である。(A)ディスプレイベクターの概略図。LS:酵母における細胞外分泌を指示する酵母α因子の操作された分泌シグナルであるappS4(Rakestrawら、2009)。N:6P4-CCL5ケモカインの、βストランドβ2までのN末端部分(配列番号1の1~43);ヘリコバクター・ピロリ株G27の1型HopQの接着ドメインをコードする循環置換された遺伝子(下、PDB 5LP2、配列番号2、c7HopQ);6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ3からの6P4-CCL5C末端(配列番号1の47~69);Aga1pタンパク質へのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する酵母アグルチニンタンパク質の接着サブユニットである、ディスプレイされたタンパク質Aga2pに接続する可撓性リンカー(Chaoら、2006);ACP:ディスプレイされたケモカイン融合タンパク質の直交標識のための、その発現レベルを観察するための、アシルキャリアタンパク質(Johnssonら、2005)。(B)ディスプレイされたケモカイン融合タンパク質の配列多様性(配列番号25~28):通常の字体のAppS4リーダー配列、可変長(1又は2アミノ酸)及び混合組成のショートペプチドリンカーである(X)
1~2のランダムリンカーを有する、太字で示されているMegakine Mk
6P4-CCL5
c7HopQ;斜体の可撓性(GGGS)
nポリペプチドリンカー、下線が付されているAga2pタンパク質配列、二重下線が付されているACP配列、cMycタグ。(C)可変長(1及び2アミノ酸)及び混合組成のショートペプチドリンカーを導入するための2つのフォワードPCRプライマー(配列番号29、配列番号30)及び2つのリバースPCRプライマー(配列番号31、配列番号32)の等モル混合物を用いることによって、合計176400AA配列バリアントをコードするケモカイン融合タンパク質配列の4つのプール(それぞれ、ライブラリの25%を表す)が生成された。
【
図8】
図8は、酵母ディスプレイ及び二次元フローサイトメトリーによる、ケモカイン融合タンパク質の連続ラウンドの選択を示す図面である。足場タンパク質HopQをケモカインCCL5に接続するリンカーペプチドの組成及び長さを最適化するために、酵母ディスプレイ及びフローサイトメトリーによって選択を行った。各ドットは、異なる長さ及び組成を有するリンカーを介してAga2p及びACPに融合されたケモカイン融合タンパク質Mk
6P4-CCL5
c7HopQをコードするpCTCON2誘導体で形質転換された別個のEBY100酵母細胞の2つの蛍光シグナルを表す。酵母細胞を、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、Megakineディスプレイレベル(Y軸)を測定した。ディスプレイされたMegakineがフォールディングされたCCL5部分を含むかどうかを測定するために、これらの細胞を、Alexa Fluor(登録商標)647標識抗ヒトRANTES(CCL5)抗体(X軸)で補足的に染色した。ラウンド1では、ライブラリを0.25mg/mlのAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体と共にインキュベートした。Megakine発現(PEチャネル)及び抗ヒトRANTES(CCL5)(647nmチャネル)について高蛍光をディスプレイする200000個の酵母細胞を選別した。ラウンド2では、0.025mg/mLのAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体を用いて濃縮ライブラリをインキュベートした。Megakine発現(PEチャネル)及び抗ヒトRANTES(CCL5)(647nmチャネル)について最も高い蛍光をディスプレイする20000個の酵母細胞を選別し、配列解析に供した。
【
図9】
図9は、EBY100酵母細胞の表面上の異なるリンカーを有する4つの異なるケモカイン融合タンパク質のディスプレイの、二次元フローサイトメトリーによる定性分析を示す図面である。Aga2p及びACPに融合されたケモカイン融合タンパク質Mk
6P4-CCL5
c7HopQ(それぞれ、A~D、モデル1~4、配列番号7~10)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。MegaBody Mb
Nb207
cHopQをディスプレイする酵母細胞を、陽性対照(E、配列番号11)として使用した。この実験では、非形質転換EBY100酵母細胞を、陰性対照として含めた(F)。形質転換酵母細胞及び非形質転換酵母細胞を、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で等しく直交染色した。
【
図10】
図10は、EBY100酵母細胞の表面上の、異なるリンカーを有する4つの異なるケモカイン融合タンパク質のディスプレイの、フローサイトメトリーによる定性分析を示す図面である。単一パラメータのヒストグラムは、Aga2p及びACPに融合されたケモカイン融合タンパク質Mk
6P4-CCL5
c7HopQ(バージョン1~4、配列番号7~10)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換されたEBY100酵母細胞の、陽性対照のMb
Nb207
cHopQ(配列番号11)及び陰性対照の非形質転換EBY100酵母細胞と比較した相対蛍光強度を示す。形質転換酵母細胞及び非形質転換酵母細胞を、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色した。モデル1、2、3、4は、実際のクローン及び融合タンパク質を指す。
【
図11-1】
図11は、EBY100酵母細胞の表面上にディスプレイされたMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質バリアント1及び2の機能性のフローサイトメトリー分析を示す図面である。Aga2p及びACP融合体としてのMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質モデル1及び2(配列番号7及び配列番号8)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。酵母クローンを誘導し、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、5つの異なる濃度のAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体(それぞれ、15、31、62、125及び250ng/mL)と共にインキュベートした。y軸は、相対PE/CoA-547蛍光の平均蛍光強度(Megakineディスプレイレベル)を示す。x軸は、相対Alexa Fluor(登録商標)647抗ヒト蛍光RANTES(CCL5)抗体結合の平均蛍光強度を示す。モデル1、2は、実際のクローンを指す。
【
図11-2】
図11は、EBY100酵母細胞の表面上にディスプレイされたMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質バリアント1及び2の機能性のフローサイトメトリー分析を示す図面である。Aga2p及びACP融合体としてのMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質モデル1及び2(配列番号7及び配列番号8)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。酵母クローンを誘導し、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、5つの異なる濃度のAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体(それぞれ、15、31、62、125及び250ng/mL)と共にインキュベートした。y軸は、相対PE/CoA-547蛍光の平均蛍光強度(Megakineディスプレイレベル)を示す。x軸は、相対Alexa Fluor(登録商標)647抗ヒト蛍光RANTES(CCL5)抗体結合の平均蛍光強度を示す。モデル1、2は、実際のクローンを指す。
【
図11-3】
図11は、EBY100酵母細胞の表面上にディスプレイされたMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質バリアント1及び2の機能性のフローサイトメトリー分析を示す図面である。Aga2p及びACP融合体としてのMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質モデル1及び2(配列番号7及び配列番号8)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。酵母クローンを誘導し、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、5つの異なる濃度のAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体(それぞれ、15、31、62、125及び250ng/mL)と共にインキュベートした。y軸は、相対PE/CoA-547蛍光の平均蛍光強度(Megakineディスプレイレベル)を示す。x軸は、相対Alexa Fluor(登録商標)647抗ヒト蛍光RANTES(CCL5)抗体結合の平均蛍光強度を示す。モデル1、2は、実際のクローンを指す。
【
図12-1】
図12は、EBY100酵母細胞の表面上にディスプレイされたMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質バリアント3及び4の機能性のフローサイトメトリー分析を示す図面である。Aga2p及びACP融合体としてのMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質モデル3及び4(配列番号9及び配列番号10)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。酵母クローンを誘導し、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、5つの異なる濃度のAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体(それぞれ、15、31、62、125及び250ng/mL)と共にインキュベートした。y軸は、相対PE/CoA-547蛍光の平均蛍光強度(Megakineディスプレイレベル)を示し、x軸は、相対Alexa Fluor(登録商標)647蛍光(RANTES(CCL5)抗体結合)の平均蛍光強度を示す。モデル3、4は、実際のクローンを指す。
【
図12-2】
図12は、EBY100酵母細胞の表面上にディスプレイされたMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質バリアント3及び4の機能性のフローサイトメトリー分析を示す図面である。Aga2p及びACP融合体としてのMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質モデル3及び4(配列番号9及び配列番号10)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。酵母クローンを誘導し、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、5つの異なる濃度のAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体(それぞれ、15、31、62、125及び250ng/mL)と共にインキュベートした。y軸は、相対PE/CoA-547蛍光の平均蛍光強度(Megakineディスプレイレベル)を示し、x軸は、相対Alexa Fluor(登録商標)647蛍光(RANTES(CCL5)抗体結合)の平均蛍光強度を示す。モデル3、4は、実際のクローンを指す。
【
図12-3】
図12は、EBY100酵母細胞の表面上にディスプレイされたMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質バリアント3及び4の機能性のフローサイトメトリー分析を示す図面である。Aga2p及びACP融合体としてのMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質モデル3及び4(配列番号9及び配列番号10)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。酵母クローンを誘導し、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、5つの異なる濃度のAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体(それぞれ、15、31、62、125及び250ng/mL)と共にインキュベートした。y軸は、相対PE/CoA-547蛍光の平均蛍光強度(Megakineディスプレイレベル)を示し、x軸は、相対Alexa Fluor(登録商標)647蛍光(RANTES(CCL5)抗体結合)の平均蛍光強度を示す。モデル3、4は、実際のクローンを指す。
【
図13-1】
図13は、EBY100酵母細胞の表面上にディスプレイされた抗原結合キメラタンパク質Mb
Nb207
cHopQの機能性のフローサイトメトリー分析を示す図面である。Aga2p及びACP融合体としての抗原結合キメラタンパク質Mb
Nb207
cHopQ(配列番号11)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。酵母クローンを誘導し、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、5つの異なる濃度のAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体(それぞれ、15、31、62、125及び250ng/mL)と共にインキュベートした。y軸は、相対PE/CoA-547蛍光(抗原結合キメラタンパク質ディスプレイレベル)の平均蛍光強度を示し、x軸は、相対Alexa Fluor(登録商標)647蛍光(RANTES(CCL5)抗体結合)の平均蛍光強度を示す。
【
図13-2】
図13は、EBY100酵母細胞の表面上にディスプレイされた抗原結合キメラタンパク質Mb
Nb207
cHopQの機能性のフローサイトメトリー分析を示す図面である。Aga2p及びACP融合体としての抗原結合キメラタンパク質Mb
Nb207
cHopQ(配列番号11)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。酵母クローンを誘導し、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、5つの異なる濃度のAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体(それぞれ、15、31、62、125及び250ng/mL)と共にインキュベートした。y軸は、相対PE/CoA-547蛍光(抗原結合キメラタンパク質ディスプレイレベル)の平均蛍光強度を示し、x軸は、相対Alexa Fluor(登録商標)647蛍光(RANTES(CCL5)抗体結合)の平均蛍光強度を示す。
【
図14】
図14は、4つの異なるキメラケモカインの、Alexa Fluor(登録商標)647蛍光RANTES(CCL5)への結合の、フローサイトメトリーによる定性分析を示す図面である。Aga2p及びACP融合体としてのMk
6P4-CCL5
c7HopQ融合タンパク質モデル1~4(配列番号7~10)及び陰性対照抗原結合キメラタンパク質Mb
Nb207
cHopQ(配列番号11)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対Alexa Fluor(登録商標)647蛍光(RANTES(CCL5)抗体結合)の計算された平均蛍光強度のチャート表示。酵母クローンを誘導し、5つの異なる濃度のAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体(それぞれ、15、31、62、125及び250ng/mL)と共にインキュベートした。
【
図15】
図15は、ディスプレイされたケモカイン融合タンパク質が、酵母膜から溶出され得ることを示す図面である。(A)酵母膜上にディスプレイされ、1mM DTTを使用して溶出されるケモカイン融合タンパク質の概略図。(B)4つの異なるバリアント及び対照としての抗原結合キメラタンパク質Mb
Nb207
cHopQの12%SDS-PAGEの溶出画分。一次マウス抗cMYC抗体及びヤギ抗マウスアルカリホスファターゼコンジュゲート抗体を使用した同じゲルのウェスタンブロット分析。Mk
6P4-CCL5
c7HopQについての約50kDaの分子質量を、分子質量マーカー(矢印)によって確認した。
【
図16】
図16は、S.セレビシアエ(S.cerevisiae)EBY100から分泌される4つの異なる組換えケモカイン融合タンパク質バリアントの発現のSDS-PAGE及びウェスタンブロット分析を示す図面である。Hisタグ付き融合タンパク質Mk
6P4-CCL5
cHopQモデル1~4(配列番号12~15)を、酵母における細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列に融合されたS.セレビシアエEBY100において発現させ、ニッケル親和性クロマトグラフィー(IMAC)によって精製した。(A)500mMのイミダゾールで溶出させ、12%SDS-PAGEゲルにロードしたIMAC精製融合タンパク質Mk
6P4-CCL5
c7HopQ。(B)一次マウス抗His抗体及びヤギ抗マウスアルカリホスファターゼコンジュゲート抗体を使用した同じゲルのウェスタンブロット分析。Mk
6P4-CCL5
c7HopQについての約50kDaの分子質量を、分子質量マーカー(左線:M)によって確認した。
【
図17】
図17は、大腸菌(E.coli)WK6の周辺質中の4つの異なる組換えケモカイン融合タンパク質バリアントの発現のSDS-PAGE及びウェスタンブロット分析を示す図面である。Hisタグ付き融合タンパク質Mk
6P4-CCL5
c7HopQモデル1~4(配列番号3~6)を大腸菌の周辺質中に発現させ、ニッケル親和性クロマトグラフィー(IMAC)によって精製した。(A)IMAC後に500mMのイミダゾールで溶出させ、12%SDS-PAGEゲルにロードした、大腸菌周辺質抽出物及び精製タンパク質からの融合タンパク質Mk
6P4-CCL5
c7HopQの試料。(B)一次マウス抗His抗体及びヤギ抗マウスアルカリホスファターゼコンジュゲート抗体を使用した同じゲルのウェスタンブロット分析。Mk
6P4-CCL5
c7HopQについての約50kDaの分子質量を、分子質量マーカー(右線:M)によって確認した。
【
図18】
図18は、Mk
6P4c-CCL5
c7HopQV1~V4融合タンパク質バリアントの、ケモカイン受容体CCR5に対する生物学的活性を示す図面である。大腸菌の周辺質中で産生された、異なる希釈でのケモカイン融合タンパク質バリアント(A)、及びNi-NTA精製後のケモカイン融合タンパク質バリアント(B)によって誘導されたCCR5へのminiGiの動員を、NanoLuc相補性アッセイを使用して、HEK293T細胞中で観察した。HEK293Tで産生され、100倍希釈された組換え可溶性6P4-CCL5ケモカインを陽性対照として使用した。結果は、未処理試料に対する発光の増加倍率として表される。大腸菌の周辺質中で産生された異なる希釈でのケモカイン融合タンパク質バリアント(C)及びNi-NTA精製後のケモカイン融合タンパク質バリアント(D)によって誘導されたCCR5へのβ-アレスチン-1の動員を、NanoLuc相補性アッセイを使用して、HEK293T細胞中で観察した。HEK293T中で産生され、100倍希釈された組換え可溶性6P4-CCL5ケモカインを陽性対照として使用した。結果は、未処理試料に対する発光の増加倍率として表される。
【
図19】
図19は、CXCL12ケモカインのβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターンに挿入された、HopQの循環置換されたバリアントから構築された50kDのCXCL12融合タンパク質のモデルを示す図面である。(A)CXCL12(上)と、H.ピロリのHopQの接着ドメインの循環置換されたバリアント(下)との、ケモカインを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)ヘリコバクター・ピロリ株G27の1型HopQの接着ドメインをコードする循環置換された遺伝子(下、PDB 5LP2、配列番号2、c7HopQ)が、CXCL12(上、配列番号22)のβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターン(βターンβ2-β3)に挿入された。(C)得られたCXCL12ケモカイン融合タンパク質のアミノ酸配列(Mk
CXCL12
c7HopQ、配列番号23)。ケモカインに由来する配列は、太字で示されている。HopQに由来する配列は、通常の字体である。C末端タグは6×Hisを含み、EPEAは、点線で下線を付されている。
【
図20】
図20は、6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターンに挿入された、循環置換されたc1YgjKバリアントから構築された94kDの6P4-CCL5融合タンパク質であるMk
6P4-CCL5
c1YgjKV1のモデルを示す図面である。(A)ケモカイン6P4-CCL5(上)と、大腸菌のYgjKグリコシダーゼの循環置換されたバリアント(下)との、ケモカインを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)大腸菌のYgjKグリコシダーゼをコードする循環置換されたバリアント1遺伝子(下、PDB 3W 7S、配列番号36、c1YgjK)が、6P4-CCL5(上、PDB 5UIW、配列番号1)のβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターン(βターンβ2-β3)に挿入された。(C)得られたケモカインキメラタンパク質のアミノ酸配列(Mk
6P4-CCL5
c1YgjKV1、配列番号38)。ケモカインに由来する配列は、太字で示されている。2アミノ酸ペプチドリンカーは、下線を付されている。c1YgjKに由来する配列は、その間にある。
【
図21】
図21は、6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターンに挿入された、循環置換されたc1YgjKバリアントから構築された94kDの6P4-CCL5融合タンパク質であるMk
6P4-CCL5
c1YgjKV2のモデルを示す図面である。(A)ケモカイン6P4-CCL5(上)と、大腸菌のYgjKグリコシダーゼの循環置換されたバリアント(下)との、ケモカインを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)大腸菌のYgjKグリコシダーゼをコードする循環置換されたバリアント1遺伝子(下、PDB 3W7S、配列番号36、c1YgjK)が、6P4-CCL5(上、PDB 5UIW、配列番号1)のβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターン(βターンβ2-β3)に挿入された。(C)得られたケモカインキメラタンパク質のアミノ酸配列(Mk
6P4-CCL5
c1YgjKV2、配列番号39)。ケモカインに由来する配列は、太字で示されている。1アミノ酸ペプチドリンカーは、下線を付されている。c1YgjKに由来する配列は、その間にある。
【
図22】
図22は、6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターンに挿入された、循環置換されたc1YgjKバリアントから構築された94kDの6P4-CCL5融合タンパク質であるMk
6P4-CCL5
c1YgjKV3のモデルを示す図面である。(A)ケモカイン6P4-CCL5(上)と、大腸菌のYgjKグリコシダーゼの循環置換されたバリアント(下)との、ケモカインを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)大腸菌のYgjKグリコシダーゼをコードする循環置換されたバリアント1遺伝子(下、PDB 3W7S、配列番号36、c1YgjK)が、6P4-CCL5(上、PDB 5UIW、配列番号1)のβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターン(βターンβ2-β3)に挿入された。(C)得られたケモカインキメラタンパク質のアミノ酸配列(Mk
6P4-CCL5
c1YgjKV3、配列番号40)。ケモカインに由来する配列は、太字で示されている。c1YgjKに由来する配列は、その間にある。
【
図23】
図23は、6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターンに挿入された、循環置換されたc2YgjKバリアントから構築された94kDの6P4-CCL5融合タンパク質であるMk
6P4-CCL5
c2YgjKV1のモデルを示す図面である。(A)ケモカイン6P4-CCL5(上)と、大腸菌のYgjKグリコシダーゼの循環置換されたバリアント(下)との、ケモカインを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)大腸菌のYgjKグリコシダーゼをコードする循環置換されたバリアントB遺伝子(下、PDB 3W7S、配列番号37、c2YgjK)が、6P4-CCL5(上、PDB 5UIW、配列番号1)のβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターン(βターンβ2-β3)に挿入された。(C)得られたケモカインキメラタンパク質のアミノ酸配列(Mk
6P4-CCL5
c2YgjKV1、配列番号41)。ケモカインに由来する配列は、太字で示されている。2アミノ酸ペプチドリンカーは、下線を付されている。c2YgjKに由来する配列は、その間にある。
【
図24】
図24は、6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターンに挿入された、循環置換されたc2YgjKバリアントから構築された94kDの6P4-CCL5融合タンパク質であるMk
6P4-CCL5
c2YgjKV3のモデルを示す図面である。(A)ケモカイン6P4-CCL5(上)と、大腸菌のYgjKグリコシダーゼの循環置換されたバリアント(下)との、ケモカインを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)大腸菌のYgjKグリコシダーゼをコードする循環置換されたバリアント2遺伝子(下、PDB 3W7S、配列番号37、c2YgjK)が、6P4-CCL5(上、PDB 5UIW、配列番号1)のβストランドβ2とβストランドβ3とを接続するβターン(βターンβ2-β3)に挿入された。(C)得られたケモカインキメラタンパク質のアミノ酸配列(Mk
6P4-CCL5
c2YgjKV3、配列番号42)。ケモカインに由来する配列は、太字で示されている。c2YgjKに由来する配列は、その間にある。
【
図25-1】
図25は、EBY100酵母細胞の表面上の異なるリンカー及びトポロジーを有する4つの異なるケモカイン融合タンパク質のディスプレイの、二次元フローサイトメトリーによる定性分析を示す図面である。Aga2p及びACPに融合されたケモカイン融合タンパク質Mk
6P4-CCL5
c1YgjKV1~V3(それぞれ、A~C、配列番号43~45)並びにAga2p及びACPに融合されたMk
6P4-CCL5
c2YgjKV1/V3(それぞれ、D~E、配列番号46~47)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。megakine Mk
6P4-CCL5
c7HopQV4(配列番号10)をディスプレイする酵母細胞を、陽性対照(F、配列番号11)として使用した。MegaBody Mb
Nb207
cHopQ(G、配列番号11)及び非形質転換EBY100酵母細胞(H)をディスプレイする酵母細胞を、この実験の陰性対照として含めた。形質転換酵母細胞及び非形質転換酵母細胞を、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で等しく直交染色した。
【
図25-2】
図25は、EBY100酵母細胞の表面上の異なるリンカー及びトポロジーを有する4つの異なるケモカイン融合タンパク質のディスプレイの、二次元フローサイトメトリーによる定性分析を示す図面である。Aga2p及びACPに融合されたケモカイン融合タンパク質Mk
6P4-CCL5
c1YgjKV1~V3(それぞれ、A~C、配列番号43~45)並びにAga2p及びACPに融合されたMk
6P4-CCL5
c2YgjKV1/V3(それぞれ、D~E、配列番号46~47)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。megakine Mk
6P4-CCL5
c7HopQV4(配列番号10)をディスプレイする酵母細胞を、陽性対照(F、配列番号11)として使用した。MegaBody Mb
Nb207
cHopQ(G、配列番号11)及び非形質転換EBY100酵母細胞(H)をディスプレイする酵母細胞を、この実験の陰性対照として含めた。形質転換酵母細胞及び非形質転換酵母細胞を、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で等しく直交染色した。
【
図25-3】
図25は、EBY100酵母細胞の表面上の異なるリンカー及びトポロジーを有する4つの異なるケモカイン融合タンパク質のディスプレイの、二次元フローサイトメトリーによる定性分析を示す図面である。Aga2p及びACPに融合されたケモカイン融合タンパク質Mk
6P4-CCL5
c1YgjKV1~V3(それぞれ、A~C、配列番号43~45)並びにAga2p及びACPに融合されたMk
6P4-CCL5
c2YgjKV1/V3(それぞれ、D~E、配列番号46~47)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。megakine Mk
6P4-CCL5
c7HopQV4(配列番号10)をディスプレイする酵母細胞を、陽性対照(F、配列番号11)として使用した。MegaBody Mb
Nb207
cHopQ(G、配列番号11)及び非形質転換EBY100酵母細胞(H)をディスプレイする酵母細胞を、この実験の陰性対照として含めた。形質転換酵母細胞及び非形質転換酵母細胞を、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で等しく直交染色した。
【
図25-4】
図25は、EBY100酵母細胞の表面上の異なるリンカー及びトポロジーを有する4つの異なるケモカイン融合タンパク質のディスプレイの、二次元フローサイトメトリーによる定性分析を示す図面である。Aga2p及びACPに融合されたケモカイン融合タンパク質Mk
6P4-CCL5
c1YgjKV1~V3(それぞれ、A~C、配列番号43~45)並びにAga2p及びACPに融合されたMk
6P4-CCL5
c2YgjKV1/V3(それぞれ、D~E、配列番号46~47)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。megakine Mk
6P4-CCL5
c7HopQV4(配列番号10)をディスプレイする酵母細胞を、陽性対照(F、配列番号11)として使用した。MegaBody Mb
Nb207
cHopQ(G、配列番号11)及び非形質転換EBY100酵母細胞(H)をディスプレイする酵母細胞を、この実験の陰性対照として含めた。形質転換酵母細胞及び非形質転換酵母細胞を、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で等しく直交染色した。
【
図26-1】
図26は、EBY100酵母細胞の表面上にディスプレイされたMk
6P4-CCL5
c1/2YgjK融合タンパク質バリアントの機能性のフローサイトメトリー分析を示す図面である。Aga2p及びACPに融合されたMk
6P4-CCL5
c1YgjKV1~V3(それぞれ、A~C、配列番号43~45)並びにAga2p及びACPに融合されたMk
6P4-CCL5
c2YgjKV1/V3(それぞれ、D~E、配列番号46~47)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。megakine Mk
6P4-CCL5
c7HopQV4(配列番号10)をディスプレイする酵母細胞を、陽性対照(F、配列番号11)として使用した。MegaBody Mb
Nb207
cHopQ(G、配列番号11)及び非形質転換EBY100酵母細胞(H)をディスプレイする酵母細胞を、この実験の陰性対照として含めた。酵母クローンを誘導し、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、80ng/mLの濃度でAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体と共にインキュベートした。y軸は、相対CoA-547蛍光(Megakineディスプレイレベル)を示す。x軸は、相対Alexa Fluor(登録商標)647抗ヒト蛍光RANTES(CCL5)抗体結合を示す。
【
図26-2】
図26は、EBY100酵母細胞の表面上にディスプレイされたMk
6P4-CCL5
c1/2YgjK融合タンパク質バリアントの機能性のフローサイトメトリー分析を示す図面である。Aga2p及びACPに融合されたMk
6P4-CCL5
c1YgjKV1~V3(それぞれ、A~C、配列番号43~45)並びにAga2p及びACPに融合されたMk
6P4-CCL5
c2YgjKV1/V3(それぞれ、D~E、配列番号46~47)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。megakine Mk
6P4-CCL5
c7HopQV4(配列番号10)をディスプレイする酵母細胞を、陽性対照(F、配列番号11)として使用した。MegaBody Mb
Nb207
cHopQ(G、配列番号11)及び非形質転換EBY100酵母細胞(H)をディスプレイする酵母細胞を、この実験の陰性対照として含めた。酵母クローンを誘導し、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、80ng/mLの濃度でAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体と共にインキュベートした。y軸は、相対CoA-547蛍光(Megakineディスプレイレベル)を示す。x軸は、相対Alexa Fluor(登録商標)647抗ヒト蛍光RANTES(CCL5)抗体結合を示す。
【
図26-3】
図26は、EBY100酵母細胞の表面上にディスプレイされたMk
6P4-CCL5
c1/2YgjK融合タンパク質バリアントの機能性のフローサイトメトリー分析を示す図面である。Aga2p及びACPに融合されたMk
6P4-CCL5
c1YgjKV1~V3(それぞれ、A~C、配列番号43~45)並びにAga2p及びACPに融合されたMk
6P4-CCL5
c2YgjKV1/V3(それぞれ、D~E、配列番号46~47)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。megakine Mk
6P4-CCL5
c7HopQV4(配列番号10)をディスプレイする酵母細胞を、陽性対照(F、配列番号11)として使用した。MegaBody Mb
Nb207
cHopQ(G、配列番号11)及び非形質転換EBY100酵母細胞(H)をディスプレイする酵母細胞を、この実験の陰性対照として含めた。酵母クローンを誘導し、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、80ng/mLの濃度でAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体と共にインキュベートした。y軸は、相対CoA-547蛍光(Megakineディスプレイレベル)を示す。x軸は、相対Alexa Fluor(登録商標)647抗ヒト蛍光RANTES(CCL5)抗体結合を示す。
【
図26-4】
図26は、EBY100酵母細胞の表面上にディスプレイされたMk
6P4-CCL5
c1/2YgjK融合タンパク質バリアントの機能性のフローサイトメトリー分析を示す図面である。Aga2p及びACPに融合されたMk
6P4-CCL5
c1YgjKV1~V3(それぞれ、A~C、配列番号43~45)並びにAga2p及びACPに融合されたMk
6P4-CCL5
c2YgjKV1/V3(それぞれ、D~E、配列番号46~47)をコードするpCTCON2誘導体で形質転換された個々のEBY100酵母細胞の相対蛍光強度のドットプロット表示。megakine Mk
6P4-CCL5
c7HopQV4(配列番号10)をディスプレイする酵母細胞を、陽性対照(F、配列番号11)として使用した。MegaBody Mb
Nb207
cHopQ(G、配列番号11)及び非形質転換EBY100酵母細胞(H)をディスプレイする酵母細胞を、この実験の陰性対照として含めた。酵母クローンを誘導し、SFP合成酵素(1μM)を使用してCoA-547(2μM)で直交染色し、80ng/mLの濃度でAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体と共にインキュベートした。y軸は、相対CoA-547蛍光(Megakineディスプレイレベル)を示す。x軸は、相対Alexa Fluor(登録商標)647抗ヒト蛍光RANTES(CCL5)抗体結合を示す。
【
図27】
図27は、IL-1βインターロイキンのβストランドβ6とβストランドβ7とを接続するβターンに挿入された、足場タンパク質の循環置換されたバリアントから構築されたインターロイキン融合タンパク質の操作原理を示す図面である。このスキームは、インターロイキンが、ケモカインドメインを足場に接続する2つのペプチド結合又は2つのショートリンカーを介して、いかにして大型足場タンパク質にグラフトされ得るかを示す。はさみは、どの露出したターンが、インターロイキン及び足場において切断されなければならないかを示す。破線は、インターロイキン及び足場の残りの部分が、インターロイキンキメラタンパク質を構築するために、ペプチド結合及びショートペプチドリンカーの使用によって、どのように連結されなければならないかを示す。
【
図28】
図28は、IL-1RII及びIL-1RAcPのエクトドメインに結合しているIL-1βの結晶構造を示す図面である。IL-1β・IL-1RI・IL-1RAcP複合体は、縦軸を中心に90°回転している2つの図で提示される。IL-1RII及びIL-1RAcPは表面として示され、IL-1βはリボン構造として示されている。Βシートβ6及びΒシートβ7を接続するβターンは、矢印で強調表示されている。
【
図29】
図29は、IL-1βインターロイキンのβストランドβ6とβストランドβ7とを接続するβターンに挿入された、循環置換されたHopQバリアントから構築された58kDのIL-1β融合タンパク質であるMk
IL-1β
c7HopQV1のモデルを示す図面である。(A)ヒトIL-1βインターロイキン(上)と、H.ピロリのHopQの接着ドメインの循環置換されたバリアント(下)との、インターロイキンを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)H.ピロリのHopQの接着ドメインをコードする循環置換された遺伝子(下、PDB 5LP2、配列番号2、c7HopQ)が、IL-1βインターロイキン(上、PDB 3O4O、配列番号48)のβストランドβ6とβストランドβ7とを接続するβターン(βターンβ6-β7)に挿入された。(C)得られたインターロイキンキメラタンパク質のアミノ酸配列(Mk
IL-1β
c7HopQV1、配列番号49)。インターロイキンに由来する配列は、太字で示されている。2アミノ酸ペプチドリンカーは、下線を付されている。HopQに由来する配列は、その間にある。
【
図30】
図30は、IL-1βインターロイキンのβストランドβ6とβストランドβ7とを接続するβターンに挿入された、循環置換されたHopQバリアントから構築された58kDのIL-1β融合タンパク質であるMk
IL-1β
c7HopQV2のモデルを示す図面である。(A)ヒトIL-1βインターロイキン(上)と、H.ピロリのHopQの接着ドメインの循環置換されたバリアント(下)との、インターロイキンを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)H.ピロリのHopQの接着ドメインをコードする循環置換された遺伝子(下、PDB 5LP2、配列番号2、c7HopQ)が、IL-1βインターロイキン(上、PDB 3O4O、配列番号48)のβストランドβ6とβストランドβ7とを接続するβターン(βターンβ6-β7)に挿入された。(C)得られたインターロイキンキメラタンパク質のアミノ酸配列(Mk
IL-1β
c7HopQV2、配列番号50)。インターロイキンに由来する配列は、太字で示されている。1アミノ酸ペプチドリンカーは、下線を付されている。HopQに由来する配列は、その間にある。
【
図31】
図31は、IL-1βインターロイキンのβストランドβ6とβストランドβ7とを接続するβターンに挿入された、循環置換されたHopQバリアントから構築された58kDのIL-1β融合タンパク質であるMk
IL-1β
c7HopQV3のモデルを示す図面である。(A)ヒトIL-1βインターロイキン(上)と、H.ピロリのHopQの接着ドメインの循環置換されたバリアント(下)との、インターロイキンを足場に接続する2つのペプチド結合又はリンカーを介した融合によって作製されるケモカイン融合タンパク質のモデル。(B)H.ピロリのHopQの接着ドメインをコードする循環置換された遺伝子(下、PDB 5LP2、配列番号2、c7HopQ)が、IL-1βインターロイキン(上、PDB 3O4O、配列番号48)のβストランドβ6とβストランドβ7とを接続するβターン(βターンβ6-β7)に挿入された。(C)得られたインターロイキンキメラタンパク質のアミノ酸配列(Mk
IL-1β
c7HopQV3、配列番号51)。インターロイキンに由来する配列は、太字で示されている。HopQに由来する配列は、その間にある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を、特定の実施形態に関して及び特定の図面を参照して説明するが、本発明は、これらに限定されず、特許請求の範囲のみによって限定される。特許請求の範囲におけるいかなる引用符号も、この範囲を制限すると解釈してはならない。当然、必ずしも全ての態様又は利点が本発明の任意の特定の実施形態に従って達成され得るとは限らないことが理解される。このため、例えば当業者は、本発明が、本明細書に教示若しくは提案され得る他の態様又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示される1つの利点若しくは利点の群を達成若しくは最適化するように具体化又は実施され得ることを認識する。
【0025】
本発明は、構成及び操作方法の両方に関して、この特色及び利点と共に添付の図面と共に読むと、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。本発明の態様及び利点は、以下に記載される実施形態を参照することから明らかであり、明確となる。本明細書を通して「一実施形態」又は「実施形態」との言及は、実施形態に関連して記載される特定の特色、構造、又は特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このように、本明細書を通して様々な場所での「一実施形態では」又は「実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照しているわけではないが、同じ実施形態を参照していてもよい。同様に、本発明の例示的な実施形態の説明において、本発明の様々な特色が時に、本開示を合理化する目的で、及び1つ以上の様々な本発明の態様の理解を助ける目的で、単一の実施形態、図面、又はこの説明にまとめられることも認識すべきである。しかし、本開示の方法は、特許請求される本発明が各々の特許請求の範囲において明白に列挙されている特色より多くの特色を必要とするという意図の反映であると解釈してはならない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、単一の前述の開示の実施形態の全ての特色より少ない中にある。
【0026】
定義
単数形の名詞を指す場合に、不定冠詞又は定冠詞、例えば「1つの」、「1つの(an)」、「この」を使用する場合、これは別のものが具体的に述べられていない限りこの名詞の複数を含む。用語「含む」が本明細書の説明及び特許請求の範囲に使用されている場合、これは他の要素又はステップを除外しない。さらに、説明及び特許請求の範囲における第1、第2、第3等の用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的に又は時系列で記載するためではない。このように使用される用語は、適切な条件下で互換的であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は説明される以外の他の順序での操作が可能であると理解すべきである。以下の用語又は定義は、本発明の理解を単に助けるために提供される。本明細書において特に定義していない限り、本明細書で使用される全ての用語は、本発明の当業者に対する意味と同じ意味を有する。医師は、当技術分野の定義及び用語に関して、Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Press,Plainsview,New York (2012);及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology (Supplement 114),John Wiley & Sons,New York (2016)を特に参照されたい。本明細書に提供される定義は、当業者によって理解されるより狭い範囲を有すると解釈すべきではない。
【0027】
本明細書で使用される「約」は、量、期間等などの測定可能な値を指す場合に使用される場合、明記された値からの±20%又は±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、及びなおさらにより好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味し、このような変動は本開示の方法を実施するために適切である。本明細書で使用される場合の「類似の」は、似ている、同様の、同等の、対応する等と互換的であり、同じ又は共通の特徴を有することを意味し、及び/又は定量可能な様式で同等の結果を、すなわち最大で20%、10%、より好ましくは5%、又はさらにより好ましくは1%若しくはこれ未満の変動で示すことを意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド配列」、「DNA配列」、又は「核酸分子」は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかの任意の長さのヌクレオチドのポリマー型を指す。この用語は、分子の一次構造のみを指す。このように、この用語は、二本鎖及び一本鎖DNA、並びにRNAを含む。この用語はまた、公知のタイプの修飾、例えばメチル化、天然に存在するヌクレオチドの1つ以上とアナログとの「キャップ」置換も含む。「核酸構築物」とは、天然で共に見出されない1つ以上の機能的単位を含むように構築されている核酸配列を意味する。例としては、環状、線状、二本鎖、染色体外DNA分子(プラスミド)、コスミド(ラムダファージからのCOS配列を含有するプラスミド)、非天然核酸配列を含むウイルスゲノム等が挙げられる。
【0029】
「コード配列」は、適切な調節配列の制御下に置かれるとmRNAに転写される、及び/又はポリペプチドに翻訳されるヌクレオチド配列である。コード配列の境界は、5’末端の翻訳開始コドン及び3’末端の翻訳停止コドンによって決定される。コード配列は、mRNA、cDNA、組換えヌクレオチド配列又はゲノムDNAを含み得るがこれらに限定されず、またある特定の状況下ではイントロンが同様に存在していてもよい。
【0030】
本明細書で使用される場合、「遺伝子のプロモーター領域」は、コード配列に作動可能に連結され、適切な誘導条件下におそらく置かれた場合に、前記コード配列の転写を促進するために十分である機能的なDNA配列単位を指す。「作動可能に連結された」とは、このように記載された構成要素がこれらの意図される様式でこれらが機能することを可能にする関係にある並置を指す。コード配列に「作動可能に連結された」プロモーター配列は、コード配列の発現が、プロモーター配列と適合性の条件下で達成されるようにライゲーションされている。「遺伝子」は、本明細書で使用される場合、遺伝子のプロモーター領域並びにコード配列の両方を含む。これは、ゲノム配列(可能性があるイントロンを含む)並びにプロモーター配列に作動可能に連結されたスプライシングされたメッセンジャーに由来するcDNAの両方を指す。用語「ターミネーター」又は「転写終止シグナル」は、一次転写物の3’プロセシング及びポリアデニル化並びに転写の終止をシグナル伝達する転写単位の末端のDNA配列である制御配列を包含する。ターミネーターは、天然の遺伝子、多様な他の植物遺伝子、又はT-DNAに由来し得る。付加されるターミネーターは、例えば、ノパリンシンターゼ若しくはオクトピンシンターゼ遺伝子に由来し得る、又はあるいは別の植物遺伝子、又は次いで好ましくは任意の他の真核細胞遺伝子に由来し得る。
【0031】
「遺伝子構築物」、「キメラ遺伝子」、「キメラ構築物」、又は「キメラ遺伝子構築物」は、プロモーター又は調節核酸配列が、mRNAをコードする核酸配列に作動可能に連結され、又は会合し、それによって調節核酸配列が、会合する核酸コード配列の転写又は発現を調節することができる組換え核酸配列を意味する。キメラ遺伝子の調節核酸配列は、天然に見出される会合する核酸配列に作動可能に連結されていない。特に、用語「遺伝子融合構築物」は、本明細書で使用される場合、本明細書に開示される本発明の融合タンパク質に翻訳されるmRNAをコードする遺伝子構築物を指す。
【0032】
用語「ベクター」、「ベクター構築物」、「発現ベクター」又は「遺伝子移入ベクター」は、本明細書で使用される場合、これが連結されている別の核酸分子を輸送することが可能な核酸分子を指すと意図され、プラスドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、例えばラムダファージ、ウイルスベクター、例えばアデノウイルス、AAV、若しくはバキュロウイルスベクター、又は人工染色体ベクター、例えば細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、若しくはP1人工染色体(PAC)を含むがこれらに限定されない任意の適したタイプを含む当業者に公知の任意のベクターを含む。発現ベクターは、プラスミド並びにウイルスベクターを含み、一般的に所望のコード配列、及び特定の宿主生物(例えば、細菌、酵母、植物、昆虫、又は哺乳動物)又はin vitro発現系における作動可能に連結されたコード配列の発現にとって必要な適切なDNA配列を含有する。発現ベクターは、これらが導入されている宿主細胞において自律複製が可能である(例えば、宿主細胞において機能する複製開始点を有するベクター)。他のベクターは、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれることができ、これによって宿主ゲノムと共に複製する。適したベクターは、望ましければ及び特定の宿主生物(例えば、細菌細胞、酵母細胞)に従って、調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーター配列等を有する。クローニングベクターは一般的に、ある特定の所望のDNA断片を操作及び増幅するために使用され、所望のDNA断片の発現にとって必要な機能的配列を欠如し得る。原核細胞にトランスフェクトするために使用される発現ベクターの構築もまた当技術分野で周知であり、このように標準的な技術を介して達成することができる(例えば、当技術分野の定義及び用語に関しては、Sambrook,et al.Molecular Cloning: A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Press,Plainsview,New York (2012);及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology (Supplement 114),John Wiley & Sons,New York (2016)を参照されたい。
【0033】
「宿主細胞」は、原核細胞又は真核細胞のいずれかであり得る。細胞は、一過性又は安定にトランスフェクトされ得る。発現ベクターの原核細胞及び真核細胞へのこのようなトランスフェクションは、標準的な細菌形質転換、リン酸カルシウム共沈殿、電気穿孔、又はリポソーム媒介、DEAEデキストラン媒介、ポリカチオン媒介、又はウイルス媒介トランスフェクションを含むがこれらに限定されない当技術分野で公知の任意の技術を介して達成することができる。全ての標準的な技術に関しては、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Press,Plainsview,New York (2012);及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology (Supplement 114),John Wiley & Sons,New York (2016)を参照されたい。本発明の文脈における組換え宿主細胞は、本発明の単離されたDNA分子、核酸分子、又は発現構築物又はベクターを含有するように遺伝子改変されている細胞である。DNAは、形質転換、リポフェクション、電気穿孔、又はウイルス媒介形質導入を含むがこれらに限定されない特定のタイプの細胞にとって適切である当技術分野で公知の任意の手段によって導入することができる。本発明のキメラタンパク質の発現を可能にすることが可能なDNA構築物は、クローニング、ハイブリダイゼーションスクリーニング、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの当技術分野で公知の技術によって容易に調製することができる。クローニング、DNA単離、増幅、及び精製のための標準的な技術、DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、制限エンドヌクレアーゼ等を伴う酵素反応のための標準的な技術、並びに様々な分子技術は、当業者に公知であり、一般的に使用される技術である。複数の標準的な技術が、Sambrook et al.(2012),Wu (ed.) (1993)及びAusubel et al.(2016)に記載されている。本発明と共に使用され得る代表的な宿主細胞としては、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、及び動物細胞が挙げられるがこれらに限定されない。本発明と共に使用するために適した細菌宿主細胞としては、エシェリキア属種(Escherichia spp.)の細胞、バチルス属種(Bacillus spp.)の細胞、ストレプトマイセス属種(Streptomyces spp.)の細胞、エルウィニア属種(Erwinia spp.)の細胞、クレブシエラ属種(Klebsiella spp.)の細胞、セラチア属種(Serratia spp.)の細胞、シュードモナス属種(Pseudomonas spp.)の細胞、及びサルモネラ属種(Salmonella spp.)の細胞が挙げられる。本発明と共に使用するために適した動物宿主細胞としては、昆虫細胞及び哺乳動物細胞(最も特にチャイニーズハムスターに由来する細胞(例えば、CHO)、及びヒト細胞系、例えばHeLaが挙げられる。本発明と共に使用するために適した酵母宿主細胞としては、サッカロマイセス(Saccharomyces)、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)(例えば、ピチア・パストオリス(Pichia pastoris))、ハンゼヌラ(Hansenula)(例えば、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha))、ヤロウィア(Yarowia)、シュワニオマイセス(Schwaniomyces)、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)、ジゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)等内の属種が挙げられる。サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、S.カールスベルゲンシス(S.carlsbergensis)、及びK.ラクチス(K.lactis)は、最も一般的に使用される酵母宿主であり、簡便な真菌宿主である。宿主細胞は、浮遊液又はフラスコ培養物、組織培養物、器官培養物等として提供され得る。あるいは、宿主細胞はまた、トランスジェニック動物でもあり得る。
【0034】
用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、「ペプチド」は、本明細書においてさらに互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマー並びにこれらのバリアント及び合成アナログを指す。このように、これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、合成の天然に存在しないアミノ酸、例えば対応する天然に存在するアミノ酸の化学アナログ、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマーであるアミノ酸ポリマーに当てはまる。この用語はまた、ポリペプチドの翻訳後修飾、例えばグリコシル化、リン酸化、及びアセチル化も含む。アミノ酸配列及び修飾に基づいて、ポリペプチドの原子又は分子量又は重量は、(キロ)ダルトン(kDa)で表記される。「組換えポリペプチド」とは、組換え技術を使用して、すなわち組換え又は合成ポリヌクレオチドの発現を通して作製されたポリペプチドを意味する。キメラポリペプチド又はこの生物活性部分が組換えによって産生される場合、これはまた、好ましくは培養培地を実質的に含まず、すなわちタンパク質調製物の体積の培養培地は約20%未満を表し、より好ましくは約10%未満を表し、最も好ましくは約5%未満を表す。「単離された」とは、これが天然の状態で通常伴う構成要素を実質的に又は本質的に含まない材料を意味する。例えば、「単離されたポリペプチド」は、天然に存在する状態でこれに隣接する分子から精製されているポリペプチド、例えば前記ポリペプチドに隣接する産生宿主に存在する分子から除去されている本明細書に開示される融合タンパク質を指す。単離されたキメラは、アミノ酸の化学合成によって生成することができ、又は組換え体の産生によって生成することができる。「異種タンパク質」という表現は、タンパク質が、タンパク質をディスプレイ又は発現するために使用される同じ属種又は系統に由来しないことを意味し得る。
【0035】
タンパク質の「ホモログ」、「複数のホモログ」は、当該の非改変タンパク質と比較してアミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入を有し、これらが由来する非改変タンパク質と類似の生物学的及び機能的活性を有するペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、及び酵素を包含する。本明細書で使用される場合の用語「アミノ酸同一性」は、比較ウィンドウにわたってアミノ酸毎に基づいて配列が同一である程度を指す。このように、「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウにわたって2つの最適に整列させた配列を比較するステップ、同一のアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys、及びMet、同様に本明細書において1文字表記で示される残基)が両方の配列に存在する位置の数を決定し、マッチした位置の数を生じるステップ、マッチした位置の数を、比較ウィンドウ(すなわち、ウィンドウサイズ)における位置の総数で除算するステップ、及び結果に100を乗算して配列同一性のパーセンテージを得るステップによって計算される。本明細書で使用される「置換」又は「突然変異」は、親タンパク質又はこの断片のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列と比較してそれぞれ、1つ以上のアミノ酸又はヌクレオチドが異なるアミノ酸又はヌクレオチドと交換されていることに起因する。タンパク質又はこの断片は、タンパク質の活性に実質的に影響を及ぼさない保存的アミノ酸置換を有し得ると理解される。
【0036】
用語「野生型」は、天然に存在する起源から単離されている遺伝子又は遺伝子産物を指す。野生型遺伝子は、集団において最も頻繁に観察される遺伝子であり、このように遺伝子の任意に設計された「正常」又は「野生型」の形態である。これに対し、用語「改変された」、「突然変異体」、又は「バリアント」は、野生型遺伝子又は遺伝子産物と比較した場合に、配列において改変、翻訳後修飾、及び/又は機能的特性(すなわち変更された特徴)を示す遺伝子又は遺伝子産物を指す。天然に存在する突然変異体を単離することができることに注目されたい。これらは、これらが野生型遺伝子又は遺伝子産物と比較して変更された特徴を有するという事実によって同定される。あるいは、バリアントはまた、合成分子を含み得、例えばケモカインリガンドバリアントは、構造及び/又は機能が天然のケモカインと類似であり得るが、低分子、又は人の手で作られた合成ペプチド若しくはタンパク質に関係し得る。異なる機能的特性を有する前記バリアントは、当業者に公知であるように、他の機能の差の中でもスーパーアゴニスト、スーパーアンタゴニストに関係し得る。
【0037】
「タンパク質ドメイン」は、タンパク質における別個の機能的及び/又は構造的単位である。通常、タンパク質ドメインは、特定の機能又は相互作用に関与し、タンパク質の全体的な役割に寄与する。ドメインは、類似のドメインが異なる機能を有するタンパク質において見出され得る、多様な生物学的状況で存在し得る。タンパク質の二次構造エレメント(SSE)は典型的には、タンパク質がその三次元三次構造へとフォールディングされる前の中間体として自然発生的に形成する。タンパク質の2つの最も一般的な二次構造エレメントは、アルファヘリックス及びベータ(β)シートであるが、βターン及びオメガループも同様に存在する。ベータバレルは、ねじれ及びコイルを形成して第一鎖が最後の鎖に結合される(水素結合)閉鎖したトロイダル構造を形成するタンデムリピートで構成されるベータ-シートである。多くのベータ-バレル中のベータストランドは、逆平行に配置される。ベータシートは、少なくとも2つ又は3つの骨格水素結合によって側面が結合されているベータシート(βストランドとも呼ばれる)からなり、一般的にねじれたひだ状のシートを形成する。βストランドは、拡大された立体構造の骨格を有する典型的に3~10アミノ酸長の一連のポリペプチド鎖である。βターンは、ポリペプチド鎖の方向の変化を引き起こす、タンパク質におけるあるタイプの非通常の二次構造である。ベータターン(βターン、βターン、βベンド、タイトターン、リバースターン、又はβループ(本明細書においてループとも呼ぶ)は、タンパク質及びポリペプチドにおいて非常に一般的なモチーフであり、主にβストランドを接続する役割を果たす。
【0038】
用語「タンパク質の循環置換」又は「循環置換されたタンパク質」は、野生型タンパク質配列と比較してそのアミノ酸配列におけるアミノ酸の順序が変化しており、この結果異なる結合力を有するが全体的に類似の三次元(3D)形状を有するタンパク質構造を有するタンパク質を指す。タンパク質の循環置換は、野生型タンパク質の第1の部分(N末端に隣接する)の配列が、例えばBliven and Prlic(2012)に記載されるように、得られた循環置換されたタンパク質の第2の部分(そのC末端付近)の配列に関連するという意味において、円順列の数学的概念と類似である。タンパク質の循環置換は、この野生型タンパク質と比較して、タンパク質配列の遺伝子操作又は人工の操作を通して得られ、それによって野生型タンパク質のN末端及びC末端が「接続され」、タンパク質配列が別の部位で遮断され、前記タンパク質の新規N末端及びC末端を作製する。本発明の循環置換された足場タンパク質は、野生型タンパク質配列のN末端及びC末端が接続され、前記足場タンパク質のアクセス可能な又は露出した部位(優先的にβターン又はループ)で配列が切断又は遮断された結果であり、これによって循環置換された足場タンパク質のフォールディングが保持され、又は野生型タンパク質のフォールディングと比較して類似である。前記循環置換された足場タンパク質におけるN末端及びC末端の前記接続は、ペプチド結合連結の結果、又はペプチドリンカーの導入の結果、又は野生型タンパク質の後にペプチド結合又は残りのアミノ酸が続く場合には元のN末端及びC末端付近の一連のペプチドが欠失した結果であり得る。
【0039】
用語「融合された」は、本明細書で使用される場合、及び「接続された」、「コンジュゲートされた」、「ライゲーションされた」と互換的に使用される場合、特に例えば組換えDNA技術による「遺伝子融合」、並びに安定な共有結合をもたらす「化学的及び/又は酵素的コンジュゲーション」を指す。
【0040】
用語「キメラポリペプチド」、「キメラタンパク質」、「キメラ」、「融合ポリペプチド」、「融合タンパク質」、又は「天然に存在しないタンパク質」は、本明細書において互換的に使用され、同じタンパク質に由来してもしなくてもよい少なくとも2つの個別の及び別個のポリペプチド構成要素を含むタンパク質を指す。用語はまた、これが人の手で作られたことを意味する天然に存在しない分子も指す。用語「融合された」及び他の文法学的同等物、例えば「共有結合された」、「接続された」、「結合された」、「ライゲーションされた」、「コンジュゲートされた」は、キメラポリペプチド(本明細書において定義される)に言及する場合、2つ以上のポリペプチド構成要素を連結するための任意の化学的又は組換え機構を指す。2つ以上のポリペプチド構成要素の融合は、配列の直接融合であり得、又は例えば介在するアミノ酸配列若しくはリンカー配列、若しくは化学的リンカーによる間接的融合であり得る。2つのポリペプチドの融合、又はサイトカイン、例えばケモカインと、本明細書に記載される足場タンパク質との融合はまた、化学的連結によって得られた非共有結合融合も指し得る。例えば、ケモカインコアドメインのβ2βストランドのC末端及びβ3β鎖のN末端の両方を、その露出した又はアクセス可能な部位で一部又は全長の(循環置換された)足場タンパク質に連結又は融合された相補的化学単位又は結合ポケットに結合することが可能である化学単位に連結することができる。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「タンパク質複合体」又は「複合体」は、これによって高分子の少なくとも1つがタンパク質である2つ以上の関連する高分子の群を指す。タンパク質複合体は、本明細書で使用される場合、典型的に生理的条件下で形成され得る高分子の会合を指す。タンパク質複合体の個々のメンバーは非共有結合相互作用によって連結される。タンパク質複合体は、タンパク質のみの非共有結合相互作用であり得、これによりタンパク質-タンパク質複合体;例えば、2つのタンパク質、3つのタンパク質、4つのタンパク質等の非共有結合相互作用と呼ばれ得る。より具体的には、融合タンパク質とサイトカイン受容体の複合体、又はサイトカイン若しくはケモカインを含むリガンドタンパク質(例えば、融合タンパク質)と、その特異的に結合した相互作用剤、例えばサイトカイン若しくはケモカインリガンドに結合することが可能なサイトカイン若しくはケモカイン受容体との複合体であり得る。このケモカイン受容体相互作用領域(そのN末端)によって、前記ケモカインリガンド、ケモカイン受容体に結合することが公知であるケモカイン受容体に結合したケモカインに基づく融合タンパク質のタンパク質複合体は、本明細書で使用される形成された複合体である。あるいは、そのIL-1受容体によって結合されたインターロイキン-1型のリガンドに基づく融合タンパク質のタンパク質複合体は、本明細書で使用される複合体であり得る。例えば、これはサイトカインリガンド受容体と、融合タンパク質の一部であるサイトカイン相互作用部位との間の構造及び相互作用を解明することが目的である3D構造解析において使用される。より具体的には、ケモカイン及びケモカイン受容体の相互作用又は結合部位は、それらの中で構造解析される。融合タンパク質の完全な構造が決定されるか否かはあまり関係がない。タンパク質複合体は多量体であり得ると理解される。タンパク質複合体アセンブリは、ホモ多量体又はヘテロ多量体複合体の形成をもたらし得る。その上、相互作用は安定又は一過性であり得る。用語「多量体」、「多量体複合体」、又は「多量体タンパク質」は、複数の同一の又は異種ポリペプチド単量体を含む。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「決定する」、「測定する」、「評価する」、及び「アッセイする」は、互換的に使用され、定量的及び定性的決定の両方を含む。
【0043】
用語「適した条件」は、環境要因、例えば中でも温度、運動、他の構成要素、及び/又は「緩衝条件」を指し、「緩衝条件」は、具体的にはアッセイが実施される溶液の組成を指す。前記組成物は、当業者が最適なアッセイ成績を得るために適格性を承知している緩衝溶液及び/又は溶質、例えばpH緩衝物質、水、食塩水、生理的塩溶液、グリセロール、保存剤等を含む。
【0044】
「結合する」は、直接的又は間接的である任意の相互作用を意味する。直接の相互作用は、結合パートナー間の接触を意味する。間接的相互作用は、相互作用パートナーが2つより多くの分子の複合体において相互作用する任意の相互作用を意味する。相互作用は、1つ以上の架橋分子の助けを借りて完全に間接的であり得る、又は1つ以上の分子の追加の相互作用によって安定化されるパートナー間の直接接触がなおも存在する部分的に間接的であり得る。一般的に、結合ドメインは、免疫グロブリンに基づく若しくは免疫グロブリン様であり得る、又は微生物タンパク質、プロテアーゼ阻害剤、毒素、フィブロネクチン、リポカリン、一本鎖逆平行コイルドコイルタンパク質、若しくはリピートモチーフタンパク質を含むがこれらに限定されないタンパク質に存在するドメインに基づくことができる。結合はまた、ケモカイン及びケモカイン受容体相互作用に関して、リガンドとこの受容体の相互作用を含む。用語「特異的に結合する」は、本明細書で使用される場合、特異的標的を認識するが、試料中の他の分子を実質的に認識しない又は結合しない結合ドメインを意味する。ケモカインの場合、これは、ケモカイン受容体に特異的に結合するためのリガンドであることが公知であり、このためこの受容体に対する結合は特異的である。しかし、多くの場合、1つのサブファミリーのケモカインは、同じファミリーの受容体に結合することができ、このため特異的結合は、別のケモカイン受容体との結合を除外しない。したがって、特異的結合は、排他的結合を意味しない。しかし、特異的結合は、このようなリガンド又は逆のこのような受容体が、1つ又は少数のケモカイン受容体又は逆のリガンドに対してある特定の親和性又は優先性の増加を有することを意味する。用語「親和性」は、本明細書で使用される場合、一般的に標的タンパク質とリガンドの平衡をこれらの結合によって形成される複合体の存在へとシフトさせるように、リガンド(本明細書においてさらに定義される)が標的タンパク質に結合する程度を指す。このように、例えば受容体及びリガンドを相対的に等しい濃度で組み合わせる場合、得られた複合体の高濃度に向かって平衡をシフトさせるように、高親和性のリガンドが受容体に結合する。
【0045】
アミノ酸の空間的立体構造を決定する方法は、当技術分野で公知であり、例えばX線結晶構造解析及び多次元核磁気共鳴を含む。タンパク質の「立体構造」、又は「立体構造状態」という用語は、一般的にタンパク質が任意の瞬間的時間でとり得る構造の範囲を指す。当業者は、立体構造又は立体構造状態の決定因子が、タンパク質のアミノ酸配列(改変アミノ酸を含む)及びタンパク質周囲の環境において反映されるタンパク質の一次構造を含むことを認識する。タンパク質の立体構造又は立体構造状態はまた、タンパク質の二次構造(例えば、中でもαヘリックス、βシート、βバレル)、三次構造(例えば、ポリペプチド鎖の三次元フォールディング)、及び四次構造(例えば、ポリペプチド鎖と他のタンパク質サブユニットとの相互作用)などの構造特徴にも関する。ポリペプチド鎖に対する翻訳後及び他の改変、例えば中でもリガンド結合、リン酸化、硫酸化、グリコシル化、又は疎水性基の結合は、タンパク質の立体構造に影響を及ぼし得る。さらに、環境的要因、例えば中でも周囲の溶液のpH、塩濃度、イオン強度、及び浸透圧、並びに中でも他のタンパク質及び補因子との相互作用は、タンパク質の立体構造に影響を及ぼし得る。タンパク質の立体構造状態は、活性若しくは別の分子に対する結合に関する機能的アッセイ、又は物理的方法、例えば他の方法の中でもX線結晶構造解析、NMR、若しくはスピンラベリングによって決定され得る。タンパク質の立体構造及び立体構造状態に関する全般的考察に関しては、Cantor and Schimmel,Biophysical Chemistry,Part I: The Conformation of Biological.Macromolecules,W.H.Freeman and Company,1980,and Creighton,Proteins: Structures and Molecular Properties,W.H.Freeman and Company,1993を参照されたい。
【0046】
最後に、本発明の文脈における用語「機能的融合タンパク質」又は「立体構造選択的融合タンパク質」は、任意選択的に立体構造選択的にそのサイトカイン、又は特にインターロイキン若しくはケモカイン受容体タンパク質に対する結合において機能的である、及び/又はこの受容体の活性化/不活化において機能的である(リガンド:アゴニスト、アンタゴニスト、インバースアゴニストの公知の特色に応じて)融合タンパク質を指す。標的タンパク質の特定の立体構造に選択的に結合する結合ドメインは、標的がとり得る他の立体構造よりも立体構造のサブセットの中で標的に対してより高い親和性で結合する結合ドメインを指す。当業者は、標的の特定の立体構造に選択的に結合する結合ドメインが、この特定の立体構造における標的を安定化させる又は保持することを認識する。例えば、活性状態立体構造に選択的な結合ドメインは、活性な立体構造状態の標的に優先的に結合し、不活性な立体構造状態の標的には結合しない又はより低い程度に結合し、このように、前記活性な立体構造状態に関してより高い親和性を有する、又はこの逆である。用語「特異的に結合する」、「選択的に結合する」、「優先的に結合する」、及びこれらの文法学的等価物は、本明細書において互換的に使用される。用語「立体構造特異的」又は「立体構造選択的」もまた、本明細書において互換的に使用される。
【0047】
詳細な説明
剛性をもたせて融合したサイトカイン含有機能的融合タンパク質の設計に関する新規概念を本明細書に提示する。新規融合タンパク質は、サイトカインと足場タンパク質との間の融合の生成を起源とし、足場タンパク質は、前記サイトカインがその典型的なフォールドのままであり、非融合サイトカインリガンドと比較して類似の様式でそのコグネート受容体に特異的に結合するように機能するように、サイトカインのトポロジーを遮断するフォールディングされたタンパク質である。新規融合タンパク質は、本明細書において、保存された二次βストランドに基づくコアドメイン又はモチーフを有するサイトカイン、例えばケモカインサイトカイン又はインターロイキン(IL-1)ファミリーを起源とする融合として実証される。本明細書において互換的に使用される前記「βストランドコアドメイン含有」又は「βストランド含有ドメイン」サイトカインの遮断、足場タンパク質の挿入によるそれらのアミノ酸配列は、サイトカインタンパク質のトポロジーの変更をもたらすが、これは意外にも、その典型的なフォールドのままであり、非融合サイトカインリガンドと比較して類似の様式でその受容体に特異的に結合するように機能する。典型的にそれらの天然の状態では結合されていないポリペプチド構成要素の古典的な接合は、それらのそれぞれのアミノ(N-)及びカルボキシ(C-)末端を直接又はペプチド結合を通して結合させ、単一の連続したポリペプチドを形成することによって実施される。これらの融合はしばしば、可撓性リンカーを介して作製される、又は少なくとも可撓性な様式で接続され、このことは、融合パートナーが互いに対して安定な位置又は立体構造にないことを意味する。
図1Aに示されるように、N末端及びC末端を介してタンパク質を連結することにより、単純な線形の連結、融合は容易であるが、不安定で分解を受けやすく、したがって一部の例では非機能的リガンドタンパク質をもたらす。他方で、2つ以上のタンパク質の一次トポロジーにおいて1つ以上の融合点又は接続を有する本明細書に提示される剛性キメラ/融合タンパク質は、少なくとも1つの非可撓性融合点を保有する(
図1B)。本発明は、固有に、その融合パートナーである足場タンパク質に対するサイトカインタンパク質の回転又は屈曲がいくつかの融合の作製を介して禁止される、サイトカインリガンドタンパク質を含む。同じキメラ内のいくつかの融合の存在を通して、本発明の新規キメラの剛性の改善が得られ、これは、そのサイトカインドメインのフォールディング並びにその受容体に結合する機能を保持することができる融合を可能にするように融合部位を完全に設計した結果である。タンパク質の剛性は実際に、タンパク質、この場合は新規キメラの(三次)構造に固有である。剛性の増加は、公知のタンパク質フォールドのトポロジーを変更することによって得られることが示されている(King et al.,2015)。したがって本発明の融合タンパク質において作製された融合の剛性は、融合したサイトカインリガンドが特異的に結合するサイトカイン受容体を「方向付ける」又は「固定する」ために十分に強い剛性を提供するが、たいていの場合、剛性は標的又は抗原そのものの剛性よりはなおも低い。しかし、本発明の剛性融合タンパク質がなおもその受容体結合及び活性化機能性を維持しているという事実は、一次トポロジーの遮断がドメイン又はタンパク質フォールディングの変化をもたらし、三次トポロジー及び受容体結合又は活性化に影響を及ぼし得ることから、意外な知見である。当業者は、このような融合を設計するために構造情報を使用することができるが、細胞に外部から導入された新規核酸構築物から翻訳された融合タンパク質の実際のフォールディングは、なおも予測不能である。本明細書において、一次トポロジーのこの遮断は、受容体結合又は活性化に影響を及ぼさないことが実証されており、このことは、サイトカイン受容体の構造生物学及び新薬発見を伴う分野、本明細書において具体的に示されるケモカイン及びIL受容体の分野において新しい道を切り開く。本発明は、タンパク質の非共有結合を可能にするために、一意的な次世代融合技術を提供すること、並びに高い親和性及び/又は立体構造選択的なケモカイン/IL受容体結合能を提供することの新規組合せに関する。この新規タイプの融合タンパク質は、サイトカインファミリーのタイプ、例えばケモカイン若しくはケモカインバリアント、及びIL若しくはIL-1受容体型インターロイキン、又は融合タンパク質を生成するために使用される足場タンパク質のタイプに応じて、いくつかの貴重な応用において役立つ。利点は多数あり、構造生物学において使用が容易であり、GPCRなどの7回膜貫通タンパク質などの扱いにくいタンパク質に関するクライオ-EM及びX線結晶構造解析を容易にする。剛性シャペロンツールが今では利用可能であり、改善されたより堅固な治療及び診断分子を、例えば新規化合物の構造に基づくドラッグデザイン及び構造に基づくスクリーニングなどによって開発するためにこれらのツールを使用することも完全にインプリメンテーションされていることから、この次世代融合技術を使用することによって、GPCR及びIL受容体複合体の構造生物学における大きい前進を予見することができる。実際に、サイトカイン受容体の立体構造選択的認識に使用する場合、これらのツールは機能的立体構造、例えば活性な立体構造の、より具体的には、アゴニスト、部分アゴニスト、又はバイアスアゴニスト立体構造の受容体を安定化する結合様式で同様に応用可能である。サイトカインリガンド又はリガンドバリアントに応じて、本発明の融合タンパク質のさらなる応用は、経路選択的アゴニストのスクリーニングを可能にするためにドラッガブルなシグナル伝達性の立体構造を特異的に安定化することが記載される特定のサイトカイン(ケモカイン又はIL)リガンドに基づいて見出される。生物工学におけるこのような技術の急速な進歩により、本発明は、新規タンパク質治療薬の作製及び現在のタンパク質薬物の性能の改善に影響を及ぼすことが予見可能である。
【0048】
第一の態様では、本発明は、足場タンパク質に融合されているサイトカインを含む機能的融合タンパク質であって、前記足場タンパク質が、これが前記サイトカイン構造フォールドにおいてアクセス可能な少なくとも1つ以上のアミノ酸部位での融合を介して前記サイトカインのトポロジーを遮断するようにサイトカインタンパク質に接続されている、機能的融合タンパク質に関する。前記融合タンパク質は、これが前記足場タンパク質に融合されていないその天然の形態又は野生型形態のサイトカインリガンドと比較して、類似の様式でその受容体結合機能性を保持するという点において「機能的」である。一実施形態では、前記融合タンパク質は立体構造選択的結合ドメインである。サイトカインは非常に多様なリガンドスーパーファミリーを含み、好ましいサイトカインスーパーファミリーは、βストランドに基づく又はβストランドを含有する保存されたコアドメイン又はモチーフを有し、これらのβストランドを相互接続するβターン又はループに存在するこれらの露出した領域でアクセス可能なアミノ酸部位を明らかにするスーパーファミリーである。新規融合は、この機能性を保持するために受容体結合を障害しないように、サイトカインの受容体結合部位から十分に遠いアクセス可能な部位を含むべきである。サイトカインが比較的小さいタンパク質であるという事実は、このような機能的融合を設計する際の複雑さを増大させ、したがって本明細書に提示されるように驚くべき解決策を提供し、当業者はこれらのβストランドに基づくサイトカインの保存されたコアドメインの露出したターンに存在するアクセス可能な部位を誘導することが可能となる。
【0049】
第一の実施形態では、本発明は、足場タンパク質に融合されたケモカインスーパーファミリーに属するサイトカインを含む融合タンパク質であって、前記足場タンパク質が、少なくとも50アミノ酸のフォールディングされたタンパク質であり、これが前記ケモカインコアドメインのフォールドのその露出したβターンにおいてアクセス可能な少なくとも1つ以上のアミノ酸部位での融合を介して前記コアドメインのトポロジーを遮断するように、ケモカインコアドメインに接続されている、融合タンパク質に関する。前記融合タンパク質は、これが前記足場タンパク質に融合されていないその天然又は野生型のケモカインと比較して類似の様式でその受容体結合機能性を保持するという点においてさらに特徴付けられる。このため、一実施形態では、前記融合タンパク質は、立体構造選択的結合ドメインである。
【0050】
ケモカインタンパク質リガンドは、成熟タンパク質のN末端に対して近位のシステイン残基の特徴的なパターンに従って、Xが任意のアミノ酸である4つのサブファミリー、CC、CXC、C、及びCX3Cに分類されている。しかし、全てのケモカインの基本的な三次構造又は構築は、無秩序なN末端「シグナル伝達ドメイン」の後に構造化「コアドメイン」を含有し、これはN-ループ、3本鎖βシート、及びC末端ヘリックスを含有する(
図2)。
【0051】
各サブファミリーにおいて、多くのケモカインは、複数の受容体に結合し、いくつかの受容体は多くのケモカインに結合する。ケモカインは、二量体を形成することが知られており、異なるサブファミリー間の異なる二量体化モチーフが、当初、受容体の特異性を定義すると仮定された。しかし、機能的アッセイにより単量体が実際に受容体に結合して活性化することが実証されたものの、グルコサミノグリカンとの結合にとって肝要であるのはむしろオリゴマー化であるように思われる。一般的に、ケモカインコアドメインは、ケモカイン受容体のN末端と相互作用部位又はケモカイン認識部位(CRS1)を形成するが、ケモカインのN末端は、受容体の受容体-リガンド結合ポケット(ケモカイン認識部位2、CRS2)と相互作用する。第一の相互作用はケモカインコアドメイン(CRS1)に対してN末端の受容体の結合であり、これは、ケモカインN末端シグナル伝達ドメインを正確に配置することができ、CRS2 TMポケットとのこの相互作用を可能にする。複数の構造研究が、受容体結合及び活性化を少なくとも部分的に分離することができることを示している。しかし、インタクト受容体との立体構造特異的複合体に関するさらに高分解能の構造解析が必要である。これまでのところ、これは、膜貫通受容体の性質により、したがってほとんどの場合NMRアプローチを使用するより扱いやすい可溶性複合体の解析の限界により、極めて難しかった。
【0052】
受容体におけるスルホチロシンの構造における役割は、確立されており、これは、ケモカインのβ2-β3ヘアピン又はループにおける相同な塩基残基との塩架橋形成を可能にする。ケモカインと受容体との境界面は、コアドメインのβシートのNループ及びβ2-β3鎖を伴うと考えられている。CRS1結合時の構造の再構成が複合体によって異なるという事実により、認識及び活性化機構を単純化することはできないが、より良好な構造決定ツールが必要であるという点を強調する。実際に、複数の改変ケモカインがまた、疾患における特異的受容体の役割を解明するために適用されており、サイトカイン及びより詳しくはケモカインの分野におけるリガンドの薬理学は、受容体に対して高い親和性を保持するが、適応した機能的転帰、例えばアゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、又はスーパーアゴニスト/アンタゴニスト特色をもたらすわずかな操作により利益が得られることを示している。実際に、一般的なプロトタイプのシャペロン、例えば本明細書に提示する融合タンパク質は、ケモカインリガンド/受容体相互作用及び活性化機構の特色をプロファイリングするための解決策を提供する。ナノボディなどのシャペロンタンパク質は、膜受容体立体構造の安定化を助けることが公知であるが(Manglik et al.,2017)、これらのタイプのシャペロンは、受容体がある特定の立体構造のある特定のリガンドのみに結合する立体構造となるように、受容体を強制するものではない。その上、新規ケモカイン融合タンパク質はまた、インタクト受容体のある特定の受容体立体構造状態の薬物スクリーニングにおいて利点も提供し得る。これまでインタクト受容体(CXCR4/vMIP-II,US28/CX3CL1)を使用して決定されているケモカイン/受容体複合体構造は非常に少数であり、近年ではCCR5受容体とタンパク質阻害剤の複合体、例えば5P7-CCL5は、HIV阻害に至るケモカイン-受容体シグナル伝達において新しい洞察を提供している。後者は、5P7-CCL5のそのNループ、β1ストランド、及び30sループが受容体との主な相互作用部位であることから、リガンド5P7-CCL5が、本明細書で上記の2部位モデルからは正確に予測できない様式でCCR5と相互作用したことを実証している。これまで、例えばリガンド(CXCL8/CXCR1ペプチド; CXCL12/CXCR4スルホペプチド、CCL11/CCR3ペプチド)と共に受容体のN末端ペプチドを使用して、より多くの構造データが得られているが、構造の天然の状況に関する部分的な一面を得ているに過ぎないというリスクがある。
【0053】
別の実施形態は、前記サイトカインがインターロイキンである新規融合タンパク質であって、前記足場タンパク質が、前記βバレルコアモチーフの露出したβターンにおける1つ以上のアクセス可能な部位でインターロイキンβバレルコアモチーフのトポロジーを遮断する、新規融合タンパク質に関する。より具体的には、前記サイトカインがIL-1受容体インターロイキンである融合タンパク質に関する。サイトカインのインターロイキン(IL-1)スーパーファミリーは、自然免疫及び適応免疫の重要な調節因子であり、感染症、炎症、損傷、及びストレスに対する宿主防御において重要な役割を果たしている。「IL-1受容体型インターロイキン」スーパーファミリー又は「IL-1ファミリー」インターロイキンは、本明細書において互換的に使用され、インターロイキンIL-1、IL-1α、IL-1β、IL-18、IL18BP、IL1F5、IL1F6、IL1F7、IL1F8、IL1F10、IL-33、及びIL-36、IL36B、及びIL-37を含む。これらのサイトカインは、起源、受容体構造、及びシグナル伝達経路によって互いに関連する。IL-1スーパーファミリーインターロイキンの受容体は、類似の構造を共有し、それらのエクトドメインにおける3つのIg様ドメイン、及び同様にToll-like受容体において見出される細胞内Toll/IL-1R(TIR)ドメインを含む。サイトカインシグナル伝達の開始は、2つの受容体、すなわち一次特異的受容体及び一部の場合で共有され得る補助受容体を必要とする。一次受容体は、特異的サイトカイン結合に関与するが、補助受容体はこれ自身サイトカインには結合しないが、サイトカイン及び一次受容体からの予めアセンブルされたバイナリ複合体と会合する。サイトカインがこのそれぞれの受容体に結合すると、シグナル伝達性の三次複合体を形成し、2つの受容体のTIRドメインの二量体化をもたらす。これは、マイトゲン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)及び活性化B細胞の核内因子カッパ軽鎖エンハンサー(NF-κB)を活性化することによって細胞内シグナル伝達を開始する。シグナル伝達は、シクロオキシゲナーゼ2型の誘導などの炎症応答、接着分子の発現の増加、及び酸化窒素の合成を誘導する。
【0054】
IL-1スーパーファミリーのいくつかのインターロイキンサイトカインの三次元構造は決定されており、これらのサイトカインは、限定的な配列類似性を有するが、3回回転対称性パターンで整列する12個の逆平行βストランドを含む保存されたシグナチャーであるβトレホイルのフォールドをとることを実証している。βバレルコアモチーフには、各々のサイトカイン構造において様々な量のヘリックスが充填されている。ヒトサイトカインの各々のCα原子を重ね合わせると、ループ領域において有意な可撓性を有する保存された疎水性コアが明らかとなる。表面残基及びβストランドの間のループは、全体的な安定性にとって重要ではないように思われ、サイトカインの間で有意に異なり、それらの低い配列類似性と一貫し、それらのそれぞれの受容体(特異的ループを伴う)によるそれらの一意的認識を部分的に説明する。例えば、ヒトIL-18は、マウスIL-18と約65%の配列同一性を共有するが、ヒトIL-1α及びヒトIL-1βに対してはそれぞれ、15%及び18%の同一性を共有するに過ぎない。それにもかかわらず、IL-18は、その三次元構造において他のIL-1サイトカインと顕著な類似性を示す。このため、このIL-1様受容体インターロイキンは、一部が受容体認識に関係し、他方が新規拡大融合リガンドを得るために本明細書に提示されるフォールディングされた足場タンパク質との接続に関係し得る、可撓性βターン又はループによって相互接続されるβストランドに基づく保存された構造コアドメインを有するサイトカイン内のスーパーファミリーの第二の例を提供する。
【0055】
一実施形態は、サイトカイン融合タンパク質であって、βストランドに基づく保存されたコアドメインが、足場タンパク質がコアドメインのそのトポロジーを「遮断する」ように足場タンパク質に融合されている、サイトカイン融合タンパク質を提供する。一般的に、タンパク質の「トポロジー」は、三次元空間における互いに関する規則的な二次構造の配向を指す。タンパク質フォールドは、主にポリペプチド鎖のトポロジーによって定義される(Orengo et al.,1994)。このため、最も根本的なレベルでは、「一次トポロジー」は、二次構造エレメント(SSE)の配列として定義され、これはタンパク質フォールド認識モチーフに関与し、したがって二次及び三次タンパク質/ドメインのフォールディングに関与する。このため、タンパク質の構造に関して、真の又は一次トポロジーは、すなわちタンパク質鎖のN末端及びC末端を保持することができることを考えればSSEの配列であり、単純に考えれば、トポロジーは、タンパク質フォールドがいずれであれ変化しない。そうすればタンパク質フォールドは、タンパク質の一次及び三次構造と同様に三次トポロジーとして記載される(同様に、Martin,2000を参照されたい)。
【0056】
具体的には、本明細書で提示される場合、本発明のケモカイン機能的融合タンパク質のケモカインコアドメインは、したがって露出したβターン又はループのアクセス可能な部位でケモカインコアドメインのβ2とβ3βストランドの間で足場タンパク質融合を導入することによって、この一次トポロジーが遮断されるが、これによってその3Dフォールディングを保持することができ、意外にも前記ケモカインはまたその三次構造を保持し、その機能的受容体結合能を保持することが可能であった。同様に、IL-1様受容体インターロイキンIL-1βは、本明細書に提示されるフォールディングされた足場タンパク質の挿入によって保存されたコアの2つのβストランドの間の露出したβターンで一次トポロジーが遮断されている、保存されたβバレルコアモチーフを有し、特に結合能が保持されることによって、正確にフォールディングされた又は機能的な融合タンパク質を提供する。
【0057】
「足場タンパク質」は、別のタンパク質、特に本明細書に記載されるサイトカイン又はケモカインとの融合を可能にする構造又はフォールドを有する任意のタイプのタンパク質を指す。タンパク質フォールディングの古典的な原理は、タンパク質が正確な三次元立体構造をとるために必要な全ての情報がそのアミノ酸配列によって提供され、様々な分子相互作用によって共に保持される特定のフォールディングされたタンパク質をもたらすことである。本明細書における足場として有用であるためには、足場タンパク質は別個の三次元立体構造にフォールディングされなければならない。このため、前記足場タンパク質は、本明細書において「フォールディングされた」タンパク質として定義され、よりショートペプチドの場合、これらが非常に可撓性で、フォールディングされた構造を提供しないことが一般的に公知であることから、これらのアミノ酸の長さは最小限に限定される。このため、本明細書において使用される新規機能的融合タンパク質において使用される足場タンパク質は、ペプチド又は非常に小さいポリペプチドとは固有に異なり、例えば40アミノ酸未満で構成される足場タンパク質は、Megakineとして融合するために適した足場タンパク質ではないと考えられる。このため、本明細書で定義される「足場タンパク質」は、少なくとも200アミノ酸、又は150アミノ酸、又は少なくとも100アミノ酸、又は少なくとも50アミノ酸、又はより好ましくは少なくとも40アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、少なくとも10アミノ酸、少なくとも9アミノ酸のフォールディングされたタンパク質である。リンカー又はペプチド、具体的には8アミノ酸未満のリンカーは、本発明の目的のための足場タンパク質として適していない。さらに、このような「足場」、「接合部」、又は「融合パートナー」タンパク質は、好ましくはその三次構造に少なくとも1つの露出した領域を有し、サイトカイン又はケモカインの融合点として切断するための少なくとも1つのアクセス可能な部位を提供する。足場ポリペプチドを使用してサイトカイン又はケモカインコアドメインと共にアセンブルすると、これによってドック構成の融合タンパク質をもたらし、質量を増加させ、対称性を提供し、及び/又は等価の受容体の特異的立体構造を誘導する拡大されたリガンドを提供し、及び/又は受容体に対する機能性を改善する又は増大させる。このように、使用される足場タンパク質のタイプに応じて、得られた融合タンパク質の異なる目的が予見される。足場タンパク質のタイプ及び性質は、これが任意のタンパク質であり得るという点で無関係であり、この構造、サイズ、機能、又は存在に応じて、本発明の融合タンパク質と同様に前記サイトカイン又はケモカインコアドメインに融合された足場タンパク質は、異なる応用分野において有用である。足場タンパク質の構造は、最終的なキメラ構造に影響を及ぼし、このため当業者は、足場タンパク質に関する公知の構造情報を実装し、足場を選択する場合には妥当な予測を考慮に入れなければならない。足場タンパク質の例は、本出願の実施例に提供され、中でも酵素、膜タンパク質、受容体、アダプタータンパク質、シャペロン、転写因子、核タンパク質、抗原結合タンパク質そのもの、例えばナノボディである非制限的な数のフォールディングされたタンパク質を足場タンパク質として適用し、本発明の融合タンパク質を作製してもよい。好ましい実施形態では、前記フォールディングされた足場タンパク質の3D構造は公知であり、又は当業者によって予測することができ、このためサイトカイン又はその保存されたコアドメインを融合するためのアクセス可能な部位は、前記当業者によって決定され得る。
【0058】
新規キメラ又は融合タンパク質は、接合部がキメラタンパク質構造内において可撓性で、緩く、弱い連結/領域であることを回避するために一意的に融合される。2つのポリペプチドを連結又は融合する簡便な手段は、これらを古典的に公知の様式で第2のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドに作動可能に連結された第1のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドを含む組換え核酸分子から融合タンパク質として発現させることによる。しかし、本発明の組換え核酸分子では、前記足場によるサイトカイン又はその保存されたコアドメインのトポロジーの遮断はまた、前記融合タンパク質が発現される遺伝子融合の設計においても反映される。このため、一実施形態では、融合タンパク質は、サイトカイン、又は具体的にはケモカイン若しくはILをコードする遺伝子の一部、及び足場タンパク質をコードする遺伝子の一部を組み換えることによって形成されたキメラ遺伝子によってコードされ、前記コードされた足場タンパク質は、コードされたサイトカイン、又は具体的には前記ケモカイン若しくはILの保存されたコアドメインの一次トポロジーを、少なくとも2つ以上の直接融合を介して、又はコードされるペプチドリンカーによって作製された融合を介してその露出したβターンにおける前記ドメインの1つ以上のアクセス可能な部位で遮断する。このため、融合されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、前記タンパク質間で、剛性非可撓性連結、接続、又は融合を提供する融合タンパク質を提供するように、断片化され、組み換えられる。新規キメラは、サイトカイン又は保存されたコアドメインの一次トポロジーが遮断されるように、足場タンパク質をサイトカイン又は具体的には保存されたケモカイン若しくはILコアドメインと融合させることによって作製され、このことは、サイトカインコアドメインのアミノ酸配列が、アクセス可能な部位で遮断されて足場タンパク質のアクセス可能なアミノ酸に連結され、したがって、配列がおそらく遮断されることを意味する。接合部は、分子内で作製され、言い換えれば、アミノ酸配列の内部で作製される(実施例及び図面を参照されたい)。このため、本発明の組換え融合は、N末端又はC末端で単に融合したのみならず、少なくとも1つの内部融合部位を含むキメラをもたらし、部位は直接融合され、又はリンカーペプチドを介して融合される。循環置換された足場を適用して融合タンパク質を産生する場合、前記足場タンパク質のアミノ酸配列は、N末端及びC末端を接続し、この後その三次構造におけるアクセス可能な部位に対応する足場タンパク質の配列内の別の部位でアミノ酸配列の切断又は分離を行い、サイトカイン又はケモカイン/IL部分のアミノ酸配列に融合することによって変化する。循環置換を得るための前記N末端及びC末端接続は、直接融合を通して、リンカーペプチドを通して、又はさらにはN末端及びC末端付近の領域の短い欠失後の末端のペプチド結合を介して行われ得る。
【0059】
用語「アクセス可能な部位」、「融合部位」、又は「融合点」、又は「接続部位」、又は「露出した部位」は、本明細書において互換的に使用され、全て、構造的にアクセス可能な、好ましくはタンパク質の表面上の位置にある又は表面に露出している、より好ましくはβターン又はループの露出した領域であるタンパク質配列のアミノ酸部位を指す。当業者は、本明細書に提供される開示からサイトカインのこれらの部位を誘導することができる。サイトカイン、例えばケモカイン若しくはILの受容体結合又は活性化部位は、しばしばこのような露出した領域に関係し、例えばケモカインの無秩序なN末端シグナル伝達ドメイン若しくはNループ、又はIL-1のβストランド4とβストランド5の間のβターンに関係する。しかし、ケモカインを足場タンパク質に融合するためのこれらの部位の遮断は、受容体結合又は活性化能の喪失をもたらし得、これは本発明の融合タンパク質にとって適切ではなく、したがってアクセス可能な融合部位として本明細書に適用されないと意図される。このため、本明細書に定義される「ループ」又は「ベータターン」としての「アクセス可能な部位」、及び「露出した領域」は、受容体部位又は領域ではないこれらの部位及び領域、又は受容体結合部位を(例えば立体的に)妨害しない部位及び領域を意味する。前記結合部位は、標的化受容体に関して異なり得るが、一般的にケモカインのN末端シグナル伝達ドメイン及びNループ、並びにIL-1型受容体インターロイキンのβ4とβ5の間の対応するβターンを伴う。タンパク質のN末端又はC末端は、ほとんどの場合、タンパク質3D構造の「緩い」末端でもあり、したがって表面からアクセス可能である。これらは、受容体結合又は活性化が、このような末端が遊離であることを必要としている場合を除き、及びサイトカイン/ケモカインコアドメインにおける少なくとも1つの他のアクセス可能な部位が融合のために使用され、この後者のアクセス可能な部位の融合が新規キメラに対して剛性を提供することから、このアクセス可能な部位での遮断/挿入をもたらし、トポロジーを遮断する条件下では、本発明のキメラにおけるアクセス可能な部位として考えることができる。したがってアクセス可能な部位は、タンパク質のアミノ末端及び/又はカルボキシ末端部位を含み得るが、キメラはN末端又はC末端で構成されるアクセス可能な部位からの融合のみに基づくことはできない。ケモカイン/ILコアドメインの少なくとも1つ以上の部位は、公知の従来のドメインフォールドのトポロジーの遮断をもたらすように、足場タンパク質との融合のために使用される。このため、一実施形態では、少なくとも1つのアクセス可能な部位は、少なくとも1つが1つである場合、前記ドメインのN末端及び/又はC末端部位ではなく、前記ドメインのN末端又はC末端部位を含まない。特定の実施形態では、少なくとも1つの部位は、前記ドメインのN末端又はC末端アミノ酸ではない。別の実施形態では、アクセス可能な部位は、少なくとも1つ以上の部位が足場タンパク質との融合のために使用される場合、保存されたコアドメインのN末端又はC末端部位であり得る。足場タンパク質は、その三次構造から同様に目に見えるアクセス可能な部位を介して融合され、一実施形態では、前記少なくとも1つの部位は足場タンパク質のN末端又はC末端ではなく、代替の実施形態では、少なくとも1つの部位は前記フォールディングされた足場のN末端又はC末端である。
【0060】
一部の実施形態では、融合タンパク質は、前記保存されたコアドメインの露出した領域における遮断部で融合された前記足場タンパク質のN末端断片、及び前記保存されたコアドメインの付近のC末端端部で融合された前記足場タンパク質のC末端断片を含む。
【0061】
本発明の一部の実施形態では、融合は直接融合であり得、又はリンカーペプチドによって作製された融合であり得、前記融合部位は、剛性非可撓性融合タンパク質をもたらすように完全に設計されている。選択されたアクセス可能な部位の位置に加えて、リンカーペプチドの長さ及びタイプは、得られた融合タンパク質の剛性及びおそらく機能性に寄与する。本発明の文脈において、融合タンパク質を構成するポリペプチドは、ペプチド結合を介した接続によって互いに直接融合され、又は間接的に結合され、間接的結合はショートペプチドリンカーを介した接続を通して2つのポリペプチドをアセンブルする。好ましい「リンカー分子」、「リンカー」又は「短いポリペプチドリンカー」は、アクセス可能な部位で融合の接合部に対して所望の剛性を提供するために、最大で10アミノ酸長のペプチドであり、より好ましくは4アミノ酸長、典型的にはわずか3アミノ酸長、好ましくは2つのみ、又はさらに好ましくは1つのみのアミノ酸長のペプチドである。適したリンカー配列の非制限的な例を実施例の章に記載し、これは無作為化が可能であり、リンカーは構造ドメイン間の固定された距離を維持するように、並びに融合パートナーがその独立した機能(例えば、受容体結合)を維持するように首尾よく選択されている。剛性リンカーの使用に関する実施形態では、これらは一般的に、αヘリックス構造をとることによって、又は複数のプロリン残基を含有することによって、一意的な立体構造を示すことが公知である。多くの状況下では、これらは機能的ドメインを可撓性リンカーより効率的に分離し、好ましくはわずか1~4アミノ酸の短い長さで同様に適切であり得る。
【0062】
代替の実施形態では、融合タンパク質は、i)サイトカイン(例えば、ケモカイン又はIL)のN末端アミノ酸配列、ii)機能的な足場タンパク質、及びiii)i)の前記N末端アミノ酸配列を欠如するサイトカイン(例えばケモカイン又はIL)配列を含む剛性融合タンパク質であって、i)及びiii)がii)の前記足場タンパク質に連結されている剛性融合タンパク質として記載される。好ましい実施形態では、前記剛性融合タンパク質は、ケモカインN末端シグナル伝達ドメインに対応するN末端アミノ酸配列を含み、この後に、足場タンパク質又は循環置換された足場タンパク質のアミノ酸配列に融合されたβシートの第1の2つのβストランドを含有するケモカインコアドメインの一部が続き、これはこの配列が遮断されており、露出した表面ループ又はターンにおけるある部位に対応するアクセス可能な部位で融合され、最終的にコアドメインのβ3鎖及び前記ドメインのC末端ヘリックスを含有するケモカインの残りの部分に融合される。このため、足場タンパク質のケモカインタンパク質配列への挿入は、ケモカインコアドメインのこのβ2-β3ターン又はループにおけるアクセス可能な部位に対応する1つの遮断されたアミノ酸配列部位で得られ、これはまた、ケモカインの構造用語では40sループとも呼ばれる。
【0063】
一実施形態では、ケモカインコアドメインのアクセス可能な部位は、ドメインフォールドの露出した領域に存在する。前記露出した領域は、主にタンパク質の表面上で、構造の縁部に位置するあまり固定されていない一連のアミノ酸として同定される。好ましくは、露出した領域は、タンパク質構造のループ又はβターンとして存在する。ケモカインコアドメインの「露出した領域」の最も単純な同定は、露出したループ、好ましくはβシート3D構造の縁部に位置する露出したループであるβターンでる。3本鎖βシート構造の場合、可能性は、30sループとも呼ばれるβ1-β2ターン若しくはループ、又は40sループとも呼ばれるβ2-β3ターン若しくはループを含む。ある特定のケモカイン受容体複合体では、30sループは、受容体結合を伴うことが知られており、したがって40sループと比較して足場の融合時に遮断するためにあまり好ましくない。
【0064】
別の実施形態では、足場タンパク質は循環置換を有する。好ましい実施形態では、足場タンパク質の前記循環置換は、足場タンパク質のN末端及び/若しくはC末端に存在し、又は最も好ましくは足場タンパク質のN末端とC末端の間に存在する。別の実施形態は、少なくとも2つの逆平行βストランドを含む足場タンパク質を提供する。
【0065】
一実施形態では、融合タンパク質(2つのペプチド結合又は2つの短いリンカーを有する)は、その構造の露出した領域に対応するその配列におけるその切断されたアクセス可能な部位(前記露出した又はアクセス可能な部位はN末端又はC末端ではない)での循環置換された足場タンパク質との融合を通して、β2-β3ターンに対応するこの配列における切断されたアクセス可能な部位でのサイトカイン又はケモカインコアドメイン一次トポロジーの遮断を介してサイトカイン又はケモカインコアドメインを足場に接続することによって得られる。このため、足場タンパク質の循環置換がN末端及びC末端に存在する特定の実施形態では(
図2の場合)、足場タンパク質配列は、全体としてのサイトカイン又はケモカイン断片との組換えによって融合され得る(
図7の場合)。特定の実施形態では、前記融合タンパク質は、好ましくはアクセス可能なN末端端部付近のサイトカイン又はケモカイン内に位置するシステイン残基によって形成される強化性のジスルフィド架橋の追加の生成を通してその剛性を増加させる。
【0066】
本発明のさらなる態様は、足場タンパク質に融合されたサイトカイン、例えばケモカイン又はILコアドメインを含むサイトカインを含む新規機能的融合タンパク質であって、前記足場タンパク質が、前記サイトカインケモカイン/ILの保存されたコアドメインのトポロジーを遮断し、足場タンパク質の総質量又は分子量が少なくとも30kDaであり、標的、例えばリガンドの受容体に対する融合の結合によって質量及び構造特性を増大させることが、前記キメラに非共有結合した場合に標的の三次元構造解析を可能にするために有意かつ十分である、新規機能的融合タンパク質に関する。別の実施形態では、足場タンパク質の総質量又は分子量は、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、又は少なくとも60kDaである。この特定のサイズ又は質量の増加は、画像におけるシグナル対ノイズ比を減少させるように影響を及ぼす。次に、キメラは、クライオ-EM及びX線結晶構造解析を使用して十分に高い分解能に達するために小さいタンパク質又は結晶化することが難しいタンパク質の正確な画像位置合わせのための適切な特色を提供することによって構造ガイドを提供する。
【0067】
本発明のさらなる態様は、本発明の前記融合タンパク質をコードする核酸分子に関する。前記核酸分子は、前記サイトカイン、ケモカイン、又はインターロイキン、及び前記足場タンパク質、及び/又はこの断片のコード配列を含み、前記ドメインの遮断されたトポロジーは、前記ドメイン配列が足場タンパク質配列(又は循環置換された配列若しくはこの断片)の挿入を含有するという事実によって反映され、これによってN末端サイトカイン、ケモカイン、又はIL断片及びC末端サイトカイン、ケモカイン、又はILの保存されたコアドメイン断片は、前記核酸分子内の足場タンパク質配列又はこの断片によって分離される。別の実施形態では、少なくともプロモーター、融合タンパク質をコードする前記核酸分子、及び転写終止シグナルを含有する3’末端領域を有するキメラ遺伝子が記載される。別の実施形態は、本発明の前記融合タンパク質をコードする、又は前記融合タンパク質をコードする核酸分子若しくはキメラ遺伝子を含む発現カセットに関する。前記発現カセットは、ある特定の実施形態では、受容体若しくは抗体、又はあるいは標的若しくは相互作用パートナーの最も適切な結合体に関して選択するために大きいセットのサイトカイン融合、例えばケモカイン又はインターロイキン融合を含有するライブラリとして汎用フォーマットで適用される。さらなる実施形態は、本発明の融合タンパク質をコードする前記発現カセット又は核酸分子を含むベクターに関する。特定の実施形態では、大腸菌における発現のためのベクターは、それらの標的の存在下又は非存在下で融合タンパク質を産生し、これらを精製することを可能にする。代替の実施形態は、本発明の融合タンパク質、又は本発明の融合タンパク質をコードする核酸分子若しくは発現カセット、若しくはベクターを含む宿主細胞に関する。特定の実施形態では、前記宿主細胞はさらに、標的タンパク質、又は例えば融合タンパク質のサイトカイン、例えばケモカイン又はILに特異的に結合する受容体を同時発現する。別の実施形態は、リガンドスクリーニング、薬物スクリーニング、タンパク質捕捉及び精製、又は生物物理学試験のための、前記宿主細胞、又はこの単離された膜調製物、又はこれらから単離されたタンパク質の使用を開示する。本発明は、汎用(generic)融合ベクターにおけるハイスループットクローニングのための選択肢をさらに包含する。前記汎用ベクターは、前記ベクターが酵母、ファージ、細菌、又はウイルスにおける表面ディスプレイにとって特に適している追加の実施形態において記載されている。さらに、前記ベクターは、異なるリガンドの大きいセット、特に例えば異なるリンカーを有するこのような汎用ベクター、又は発現カセットを含む免疫ライブラリの選択及びスクリーニングにおいて応用を有する。このため、特定の受容体に関して新規融合タンパク質をスクリーニングするために構築された前記ライブラリにおける示差的配列は、リンカー配列の差、又はあるいは他の領域における差によって提供される。
【0068】
一実施形態では、本発明のベクターは、細胞の集団の細胞外表面でサイトカイン融合タンパク質のコレクションをディスプレイすることを伴う方法において使用するために適している。表面ディスプレイ法は、Hoogenboom,(2005;Nature Biotechnol 23,1105-16)において再検討されており、細菌ディスプレイ、酵母ディスプレイ、(バクテリオ)ファージディスプレイを含む。好ましくは、細胞の集団は酵母細胞である。異なる酵母表面ディスプレイ法は全て、そのタンパク質をコードするプラスミドを有する酵母細胞の細胞外表面にライブラリによってコードされる各々の融合タンパク質を強固に連結する手段を提供する。今日まで記載されたほとんどの酵母ディスプレイ法は、酵母サッカロマイセス・セレビジエを使用するが、他の酵母種、例えばピチア・パストリス(Pichia pastoris)もまた使用することができる。より具体的には、一部の実施形態では、酵母株は、サッカロマイセス、ピチア、ハンゼヌラ、シゾサッカロマイセス、クルイベロマイセス、ヤロウィア、及びカンジダ(Candida)からなる群から選択される属種に由来する。一部の実施形態では、酵母種は、S.セレビジエ、P.パストリス、H.ポリモルファ、S.ポンベ(S.pombe)、K.ラクティス(K.lactis)、Y.リポリチカ(Y.lipolytica)、及びC.アルビカンス(C.albicans)からなる群から選択される。ほとんどの酵母発現融合タンパク質は、細胞表面タンパク質の表面発現において重要な役割を果たし、酵母の生存にとって必須であるGPI(グリコシル-ホスファチジル-イノシトール)アンカータンパク質に基づく。1つのこのようなタンパク質であるアルファ-アグルチニンは、AGA1によってコードされるコアサブユニットからなり、ジスルフィド架橋を通してAGA2によってコードされる小さい結合サブユニットに連結される。核酸ライブラリによってコードされるタンパク質は、AGA1のN末端領域又はAGA2のC末端領域若しくはN末端領域に導入され得る。いずれの融合パターンも、酵母細胞表面上のポリペプチドのディスプレイをもたらす。
【0069】
本明細書に開示されるベクターは、原核宿主細胞がタンパク質を表面にディスプレイするためにも適し得る。この目的にとって適した原核細胞は、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物、例えば、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、例えばエシェリキア、例えば大腸菌、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ(Salmonella)、例えばサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア(Serratia)、例えばセラチア・マルセスカンス(Serratia marcescans)、及びシゲラ(Shigella)、並びにバチルス(Bacilli)、例えば、B.サブチリス(B.subtilis)及びB.リケニホルミス(B.licheniformis)(例えば、1989年4月12日に公開されたDD266,710号に開示されるB.リケニホルミス41 P)、シュードモナス(Pseudomonas)、例えばP.アエルギノーサ(P.aeruginosa)、及びストレプトマイセス(Streptomyces)が挙げられる。1つの好ましい大腸菌クローニング宿主は、大腸菌294(ATCC 31,446)であるが、他の株、例えば大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31,537)、及び大腸菌W3110(ATCC 27,325)も適している。これらの例は制限的ではなく、例示的である。宿主細胞が原核細胞である場合、適した細胞表面タンパク質の例は、適した細菌外膜タンパク質を含む。このような外膜タンパク質としては、線毛及び鞭毛、リポタンパク質、氷核形成タンパク質、及びオートトランスポーターが挙げられる。異種タンパク質ディスプレイのために使用される例示的な細菌タンパク質としては、LamB(Charbit et al.,EMBO J,5(11):3029-37(1986))、OmpA(Freudl,Gene,82(2):229-36(1989))、及びインチミン(Wentzel et al.,J Biol Chem,274(30):21037-43,(1999))が挙げられる。追加の例示的な外膜タンパク質としては、FliC、プルラナーゼ(pullulanase)、OprF、OprI、PhoE、MisL、及びサイトリシンが挙げられるがこれらに限定されない。表面ディスプレイのために使用されている細菌膜タンパク質の網羅的なリストが、Lee et al.,Trends Biotechnol,21(1):45-52(2003),Jose,Appl Microbiol Biotechnol,69(6):607-14(2006)、及びDaugherty,Curr Opin Struct Biol,17(4):474-80(2007)に詳細に記載されている。
【0070】
さらに、詳細なスクリーニング選択を可能にするために、FACS及びパニングの後にそれぞれ、ベクターを酵母及び/又はファージディスプレイに適用することができる。例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)の分解力と組み合わせた酵母細胞上のサイトカイン又はケモカイン融合タンパク質のディスプレイは、好ましい選択方法を提供する。酵母ディスプレイでは、各々のサイトカイン又はケモカイン融合タンパク質は、例えば、単一の細胞の表面上に約50,000コピーでAga2pタンパク質に対する融合としてディスプレイされる。FACSによる選択の場合、異なる蛍光色素による標識が、選択手順を決定する。融合タンパク質をディスプレイする酵母ライブラリを次に、使用される蛍光タンパク質の混合物によって染色することができる。次いで2色FACSを使用して、特定の酵母細胞上にディスプレイされた各々の融合タンパク質の特性を解析し、個別の細胞集団を解明することができる。目的のタンパク質、例えば受容体又は抗体の結合にとって非常に適した融合タンパク質をディスプレイする酵母細胞は結合し、これを2色FACSにおける対角線に沿って選別することができる。このような選択方法のためのベクターの使用は、融合タンパク質のスクリーニングが一過性のタンパク質-タンパク質相互作用又は立体構造選択的結合状態を例えば具体的に標的化する場合、最も好ましい。同様に、ファージディスプレイのためのベクターを適用し、バクテリオファージ上の融合タンパク質をディスプレイするために使用し、この後パニングを行う。ディスプレイは、例えば同じ汎用ベクター内で、サイトカイン又はケモカイン融合タンパク質のファージコートタンパク質IIIとの融合によってM13粒子上で行うことができる(Hoogenboom,2000;Immunology today.5699:371-378)。特定の立体構造に特異的に結合する融合タンパク質及び/又は一過性のタンパク質-タンパク質相互作用を選択する場合、例えば相互作用するプロモーターの1つのみを固相に固定する。次に、ファージ上にディスプレイされた融合タンパク質のパニングによる生物選択を、残りの可溶性プロモーターの過剰量の存在下で行う。任意選択により、固相に固定された架橋された複合体又はタンパク質のパニングラウンドから開始することができる。
【0071】
本発明の別の態様は、前記融合タンパク質、及び受容体タンパク質を含む複合体であって、前記受容体タンパク質がサイトカイン、例えば他のタイプのサイトカインの中でもケモカイン又はインターロイキン及びこれらのコグネート受容体に特異的に結合する、複合体に関する。より詳しくは、一実施形態は、前記受容体タンパク質が前記融合タンパク質のサイトカイン部分に結合しているタンパク質複合体に関する。一実施形態は、本明細書に記載される複合体であって、前記融合タンパク質のサイトカイン又はケモカイン又はILが立体構造選択的リガンドである複合体を開示する。より詳しくは、融合タンパク質のサイトカイン又はケモカイン又はIL部分が機能的立体構造の受容体タンパク質を安定化する複合体が開示される。より詳しくは、前記機能的立体構造は、アゴニスト立体構造を伴い得て、部分的アゴニスト立体構造を伴い得て、又は中でもバイアスアゴニスト立体構造を伴い得る。あるいは、融合タンパク質のサイトカイン又はケモカイン又はILが機能的立体構造の受容体タンパク質を安定化する、前記機能的立体構造が不活性な立体構造である、又は前記機能的立体構造がインバースアゴニスト立体構造を伴う、本発明の複合体が開示される。別の実施形態は、受容体が融合タンパク質に結合すると活性化される、前記サイトカイン融合タンパク質、又はこの受容体との複合体におけるケモカイン若しくはIL融合タンパク質に関する。本明細書において既に記載したように、ケモカイン及び/又はIL受容体を含む複数のサイトカイン受容体は、活性化状態を獲得するためにいくつかの境界部がリガンドに結合することを必要とする。
【0072】
本発明の別の実施形態は、本発明に従うサイトカイン機能的融合タンパク質を産生する方法であって、(a)本発明のベクター、発現カセット、キメラ遺伝子、又は核酸配列を含む宿主を、融合タンパク質の発現を助ける条件下で培養するステップ、及び(b)任意選択により、発現されたポリペプチドを回収するステップを含む方法に関する。
【0073】
より特定の実施形態は、本明細書に記載されるケモカイン融合タンパク質を産生する方法であって、(a)3D構造が、一次トポロジーを遮断することなく、露出した領域におけるアクセス可能な部位をアミノ酸配列の遮断のためのループ又はターンとして明らかにする、ケモカインリガンド及び足場タンパク質を選択するステップ;(b)遺伝子融合構築物を設計するステップであって、核酸配列が、以下の核酸配列分子:
1.ケモカイン配列の遮断が、ケモカインタンパク質のその保存されたコアドメイン構造のβストランドβ2とβストランドβ3の間のアクセス可能な部位に対応する位置に存在する、
2.その5’及び3’核酸配列末端を融合することによる挿入のための足場配列(全体として)、又は前記足場タンパク質のこの配列の代替の遮断された部位を融合することによる挿入のための足場タンパク質が、ループ又はβターンなどの前記足場のアクセス可能な部位に存在する、
3.ケモカインの3’末端の最も5’の遮断された配列(βストランドβ2のC末端側のアミノ酸残基に対応する)が、足場タンパク質の最も5’の(遮断された)部位の5’開始部分に融合され、ケモカインの最もC末端側で遮断された部位の5’開始部分(βストランドβ3のN末端側のアミノ酸残基に対応する)が、足場タンパク質の最もC末端側で遮断された部位の3’末端に融合されている、
核酸配列分子によってコードされるタンパク質配列をコードするように設計されている、ステップ;
(c)前記遺伝子融合構築物を発現系に導入して、融合タンパク質を得るステップであって、前記ケモカインが足場タンパク質に対してそのコアドメインの2つ以上の部位で融合されているステップ
を含む方法に関する。
【0074】
代替の実施形態は、本明細書に記載される融合タンパク質を産生又は精製する方法であって、(a)ケモカインの一次トポロジー及び/又は足場タンパク質の一次トポロジーを遮断することなく、融合タンパク質を作製するために遮断することができる、それらの三次構造におけるアクセス可能なループ又はターンを有するケモカインリガンド及び足場タンパク質を選択するステップ、(b)遺伝子融合構築物を設計するステップであって、核酸配列が発現宿主におけるタンパク質をコードするように設計されており:
1.ケモカインのタンパク質配列が、コアドメインのβストランドβ2とβストランドβ3の間のアクセス可能な部位に対応するアミノ酸で遮断され、
2.足場タンパク質のそのN末端及びC末端が融合されて、循環置換された足場タンパク質が得られ、
3.2.の循環置換された足場タンパク質が、ステップ2において融合されたアミノ酸とは異なる遮断部位である、その三次配列の露出したループ又はターンにおけるアクセス可能な部位に対応するそのアミノ酸配列において遮断されている、
4.ケモカインのN末端部分のC末端端部(すなわち、βストランドβ2のC末端側のケモカインの遮断された部位)が、循環置換された足場タンパク質のN末端に融合され、ケモカインのC末端部分のN末端開始部分(すなわち、βストランドβ3のN末端側のケモカインの遮断された部位)が、循環置換された足場タンパク質のC末端に融合される、ステップ、
(c)前記遺伝子融合構築物を発現系に導入して、融合タンパク質を得るステップであって、前記ケモカインがそのコアドメインの2つ以上の部位で循環置換された足場タンパク質に融合されているステップ
を含む方法を開示する。
【0075】
別の態様は、本発明のサイトカイン機能的融合タンパク質の使用、又はそのコグネート受容体タンパク質の構造解析における核酸分子、キメラ遺伝子、発現カセット、ベクター、若しくは複合体の使用に関する。特に、受容体タンパク質の構造解析におけるβストランド-コアドメインに基づくサイトカイン融合タンパク質の使用であって、前記受容体タンパク質が、前記融合タンパク質の前記サイトカイン部分に特異的に結合したタンパク質である使用に関する。「構造を解析する」又は「構造解析」は、本明細書で使用される場合、タンパク質の原子又は原子座標の配置を決定することを指し、しばしば生物物理的方法、例えばX線結晶構造解析又はクライオ電子顕微鏡(クライオ-EM)によって行われる。具体的には、実施形態は、単粒子クライオ-EM又は結晶構造解析を含む構造解析における使用に関する。構造生物学における本発明のこのようなサイトカイン融合タンパク質の使用により、主な利点は、結晶構造解析の補助として作用することであり、すなわち結晶の接点としての役割を果たし、対称性を増加させ、さらにクライオ-EMにおける剛性ツールとして適用することができることであり、これは膜受容体などの扱いにくいタンパク質の大きい構造を解明するために、今日対処されるサイズの障壁を低減させるために、同様に対称性を増加させるために、及び前記サイトカイン又はケモカイン融合タンパク質との複合体における受容体の特異的立体構造状態を安定化及び可視化するために非常に貴重である。
【0076】
構造決定のためのクライオ-EMの使用は、X線結晶構造解析などの従来のアプローチに対していくつかの利点を有する。特に、クライオ-EMは、純度、均一性、及び品質に関して解析される試料に対する要件があまり厳密ではない。重要なことに、クライオ-EMは、構造決定にとって適した結晶を形成しない標的に適用することができる。精製又は非精製タンパク質の懸濁液を、単独又は他のタンパク質様分子との複合体、例えば本発明のサイトカイン融合タンパク質又は非タンパク質様分子、例えば核酸との複合体で、クライオ-EMによるイメージングのためにカーボングリッドに適用することができる。コーティングされたグリッドは通常、液体エタン中で瞬間凍結され、懸濁液中の粒子を凍結水和状態で保存する。より大きい粒子は、凍結固定によってガラス質にされ得る。ガラス質にした試料を、低温ウルトラミクロトームにおいて薄切片(典型的に厚さ40~200nm)に切断し、切片をイメージングのために電子顕微鏡グリッド上に置くことができる。画像から得られたデータの品質を、パラレルイルミネーション及び良好な顕微鏡の軸合わせを使用することによって改善し、約3.3Åもの高い分解能を得ることができる。そのような高い分解能では、完全な原子構造の最初のモデル構築が可能である。しかし、選択された又は近縁の標的タンパク質及び選択された異種タンパク質又は近縁のホモログに関する原子分解能での構造データが、制約付きの比較モデリングに関して利用可能である場合、より低い分解能のイメージングで十分である。データの品質をさらに改善するために、顕微鏡を、イメージングのために使用される同じ条件下で記録されたカーボンフィルム画像のフーリエ変換において1/3Å-1を超える目に見えるコントラスト伝達関数(CTF)のリングが明らかとなるように注意深く軸合わせすることができる。次に、CTFFINDなどのソフトウェアを使用して各顕微鏡写真のデフォーカス値を決定することができる。
【0077】
さらに、本明細書においてリガンド/受容体複合体の三次元構造を決定する方法であって、(i)本発明に従う融合タンパク質を提供するステップ、及び受容体を提供して複合体を形成するステップであって、前記受容体タンパク質が本発明の融合タンパク質のサイトカイン部分に結合するステップ、又は本明細書において上記の複合体を提供するステップ;(ii)前記複合体を構造解析にとって適した条件でディスプレイするステップであって、前記タンパク質複合体の3D構造が高分解能で決定されるステップ、を含む方法が開示される。
【0078】
特定の実施形態では、前記構造解析は、X線結晶構造解析を介して行われる。別の実施形態では、前記3D解析は、クライオ-EMを含む。より具体的には、クライオ-EM解析の方法論は、本明細書において以下に記載される。試料(例えば、目的の受容体との複合体における選択される融合タンパク質)を、ブロッティングの前に、選択した最も成績がよい放電グリッド(炭素コーティングした銅グリッド、C-Flat、1.2/1.3 200-メッシュ:Electron Microscopy Sciences;金R1.2/1.3 300メッシュUltraAuFoilグリッド:Quantifoil;等)に適用し、次いで液体エタン(Vitrobot Mark IV (FEI)、又は選択した他のプランジャー)中で急速凍結する。単グリッドのデータを、選択した検出器(一例として、Falcon 3EC直接検出器)を備えた300kV電子顕微鏡(一例として、選択した補助位相板を有するKrios 300kV)で収集する。顕微鏡写真は、予想されるリガンド/受容体複合体のサイズにとって適した適切な倍率で、電子計測モードで収集される。収集した顕微鏡写真を、さらに画像処理する前に手作業でチェックする。選択したソフトウェア(一例としてRELION、SPHIREパッケージ)によってドリフト補正、試料微動、線量の重み付け、CTFフィッティング及び位相シフト推定を適用する。選択したソフトウェアにより粒子を採取し、それらを2D分類のために使用する。2Dクラスを手作業で検分し、偽陽性を除去する。データ収集設定に従って粒子をビンに分類する。適切なローパスフィルターを適用することによって最初の3D参照モデルを生成し、複数の3Dクラス(一例として6個)を生成する。3D精密化のために元の粒子を使用する(必要であればソフトマスクを使用する)。フーリエシェル相関(FSC)=0.143基準を使用して再構成の分解能を推定する。局所分解能を、ScipionにおけるMonoResインプリメンテーションによって計算することができる。再構成されたクライオ-EMマップを、UCSF Chimera及びCootソフトウェアを使用して分析することができる。設計モデルを最初に、UCSF Chimeraを使用してフィットさせ、選択したソフトウェア(UCSF Chimera、PyMOL、又はCoot)によって分析することができる。
【0079】
本発明の方法の別の利点は、従来のかたちでは高純度のタンパク質でのみ可能である構造解析が、サイトカイン融合タンパク質の使用のおかげで純度の要件に対してあまり厳格ではなくなるという点である。このようなサイトカインリガンド融合タンパク質、より詳しくはこのようなβストランドの保存されたコアドメインに基づくサイトカイン融合タンパク質、例えばケモカイン又はIL-1融合タンパク質は、複合体混合物におけるその高親和性の結合部位を介して目的の受容体から具体的にフィルターで除去される。受容体タンパク質は、このようにして捕捉され、凍結され、クライオ-EMを介して解析することができる。
【0080】
前記方法は、代替の実施形態では、受容体タンパク質が一過性のタンパク質-タンパク質複合体であり、又は一過性の特異的立体構造状態にある、3D解析にとっても適切である。加えて、前記融合タンパク質分子はまた、これらの構造解析を可能にするための標的として一過性のタンパク質-タンパク質相互作用を安定化するために受容体の三次元構造を決定する方法に適用することができる。
【0081】
別の実施形態は、同じ受容体タンパク質の異なる立体構造に結合する融合タンパク質のパネルに関して選択又はスクリーニングする方法であって、(i)受容体タンパク質に結合する融合タンパク質のリガンドライブラリを設計するステップ、及び(ii)前記受容体タンパク質のいくつかの関連する立体構造状態に結合するタンパク質を含む融合タンパク質パネルを得るために表面酵母ディスプレイ、ファージディスプレイ、又はバクテリオファージを介して融合タンパク質を選択し、それによって例えばクライオ-EMにおいて解析される受容体タンパク質のいくつかの立体構造を個別の画像にするステップを含む方法に関する。特異的な又はある特定の立体構造状態を得るために、本発明者らは、受容体が膜上にあり、前記細胞が実験の目的に従って処置又は操作され得る細胞に基づく系を利用することができる。
【0082】
別の実施形態では、本発明の前記方法及び前記融合タンパク質は、構造に基づくドラッグデザイン及び構造に基づく薬物スクリーニングのために使用される。構造に基づくドラッグデザインの繰り返しプロセスはしばしば、最適化されたリードがフェーズI臨床試験に入る前に複数のサイクルを通して進行する。最初のサイクルは、3つの基本的な方法:X線結晶構造解析、NMR、又は相同性モデリングの1つによる受容体タンパク質又は核酸のクローニング、精製、及び構造決定を含む。コンピューターアルゴリズムを使用して、データベースからの化合物又は化合物の断片を、構造の選択された領域に配置する。受容体のある特定の構造の立体構造を固定又は安定化させるために、本発明の融合タンパク質を使用することができる。選択された化合物を、この標的部位とのこれらの立体的及び静電気的相互作用に基づいてスコア付け及びランク付けし、最善の化合物を、生化学アッセイによって試験する。第2のサイクルでは、in vitroで少なくともマイクロモル濃度の阻害を有する第1のサイクルからの有望なリードとの複合体における標的の構造決定は、効力を増加させるために最適化することができる化合物上の部位を明らかにする。同様に、この時点で、本発明の融合タンパク質は、これがある特定の立体構造状態における前記標的受容体タンパク質の構造解析を容易にすることにより作用し始める。追加のサイクルは、最適化されたリードの合成、新規標的:リード複合体の構造決定、及びリード化合物のさらなる最適化を含む。ドラッグデザインプロセスのいくつかのサイクル後、最適化された化合物は通常、結合の顕著な改善、及びしばしば標的の特異性の顕著な改善を示す。ライブラリのスクリーニングによりヒットが得られると、これはリードへとさらに開発され、構造活性相関解析のためにこの構造情報並びに医薬品化学が必須である。
【0083】
別の実施形態は、(立体構造選択的な)化合物を同定する方法であって、
i)本発明の標的受容体タンパク質及び前記標的受容体タンパク質に特異的に結合する融合タンパク質を提供するステップ
ii)試験化合物を提供するステップ
iii)標的受容体タンパク質に対する試験化合物の選択的結合を評価するステップ
を含む方法に関する。
【0084】
特に好ましい実施形態に従って、立体構造選択的化合物を同定する上記の方法は、リガンド結合アッセイ又は競合アッセイによって実施され、さらにより好ましくは放射リガンド結合又は競合アッセイによって実施される。最も好ましくは、立体構造選択的化合物を同定する上記の方法は、比較アッセイにおいて実施され、より具体的には、比較リガンド競合アッセイ、さらにより具体的には比較放射リガンド競合アッセイにおいて実施される。
【0085】
特定の実施形態、特定の構成並びに材料及び/又は分子を、本明細書において、本開示に従う操作された細胞及び方法に関して考察してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に様々な変化又は改変を行うことができることが理解される。以下の実施例は、特定の実施形態をよりよく説明するために提供され、本出願を制限すると考えるべきではない。本出願は、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【実施例】
【0086】
全般
サイトカイン及び足場タンパク質からなり、サイトカイン又はサイトカインの特定のサブファミリーのβストランドに基づく保存されたコアドメイン又はモチーフが、2つ若しくは3つのショートリンカーを介して又は2つ若しくは3つの直接結合を介して、足場タンパク質に接続されている、「Megakine(商標)」(Mk)とも呼ばれる新規のタイプの機能的剛性融合タンパク質を設計した。原理は、ケモカイン(具体的には、CCL5及びCXCL12による)、並びにインターロイキン、より具体的にはIL-1型受容体インターロイキン、を含むサイトカインの2つのスーパーファミリーについて本明細書に例示されており、これらのスーパーファミリーはいずれも、かかるβストランドに基づく保存されたコアドメインを含むサイトカインを代表するものである。ケモカイン又はインターロイキンのその受容体への作用機序及び結合モードに応じて、これらの剛性融合タンパク質は、ケモカイン又はインターロイキン受容体の特定のかつ異なる立体構造状態に結合し、立体構造状態を固定する。これらの融合タンパク質は、事実上、拡大されたケモカイン又はインターロイキンリガンドを表し、ケモカイン又はインターロイキン複合体(例えば、その受容体との複合体)のタンパク質構造を決定するために有用であり、X線結晶学及びクライオ-EM用途を含むいくつかの用途に役立つ。Megakineは、結合したコグネートサイトカイン受容体の立体構造的柔軟性を低下させ、結晶接触を形成しやすくする表面を伸長させることによって、並びにさらなる位相情報を提供することによって、次世代の結晶化シャペロンとして機能する。特定のMegakineタンパク質をケモカイン又はインターロイキン特異的受容体と混合することによって、それらの特異的な結合相互作用は、「質量」付加をもたらし、受容体の特定の立体構造状態を固定する。
【0087】
このアプローチの概念の証明として、フォールディングされた足場タンパク質として、HopQ(H.ピロリ、PDB 5LP2由来の周辺質タンパク質)の接着ドメインをコードする遺伝子の循環置換されたバリアント(c7HopQ)を、ケモカインCCL5バリアント6P4(スーパーアゴニスト)
図2(実施例1)のケモカインコアドメイン及びケモカインCXCL12(
図19)(実施例7)のケモカインコアドメインのβストランド2(β2)とβストランド3(β3)との間のβターンに挿入した。代替的に、インターロイキンIL-1β(
図27)のβバレルコアモチーフ又はドメインのβストランド6(β6)とβストランド7(β7)との間のβターンに、前記c7HopQ足場を挿入した(実施例10)。さらに、CCL5ケモカインについては、より大きな足場タンパク質である大腸菌Ygjk(PDBコード3W7S;Kurakavaら、2008)を使用して代替のMegakineを生成し、このために前記MegakineとCCL56P4との融合体を試験するために2つの循環置換されたバリアント(C1Ygjk及びC2Ygjk)を設計した(実施例8)。
【0088】
構築物は、Modellerソフトウェア(https://salilab.org/modeller/)を使用して設計し、異なるショートリンカーを用いて異なる融合体を作製した。
【0089】
異なるリンカーを含む、異なるいくつかの融合タンパク質構築物の酵母表面ディスプレイを実行し(実施例6、8、10)、これにより、サイトカインに基づくMegakineに関する異なる構築物の全てが、サイトカインリガンド特異的モノクローナル抗体に結合することができることが実証された(実施例2、9、及び11)。これらの融合タンパク質を、酵母(実施例3)及び大腸菌の周辺質中(実施例4)の分泌タンパク質として発現させた。さらに、実施例5では、細胞に基づくアッセイに適用される精製されたタンパク質又は周辺質抽出物が、CCR5受容体を活性化可能であり、さらにいくつかの例では、6P4-CCL5ケモカインアゴニスト自体について観察されるレベルまで活性化可能であることを示す。
【0090】
[実施例1] 6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2-β3接続βターンに挿入されたc7HopQ足場から構築された50kDa融合タンパク質の設計及び生成。
【0091】
剛性融合タンパク質「Megakine」を取得する概念の第1の証明として、6P4-CCL5ケモカインと呼ばれる改良されたCCL5ケモカインを、
図2に従って6P4-CCL5を足場に接続する2つのペプチド結合を介して大型足場タンパク質にグラフトさせて、剛性Megakineを構築した。
【0092】
本明細書に記載の50kDaのMegakineは、
図2~6に従って接続されたケモカインの一部及び足場タンパク質の一部から連結されたキメラポリペプチドである。ここで使用したケモカインは、配列番号1に示されるCCR5 GPCRのスーパーアゴニストに改変された、CCケモカインのサブファミリーに属する、天然のCCL5リガンドに由来する6P4-CCL5である(6P4-CCL5は、アンタゴニストCCL5-5P7;Zhengら、2017;PDBコード CCL5-5P7:5UIWの類似体である)。6P4-CCL5のβストランド2及びβストランド3を接続するβ-ターンは、足場タンパク質への融合のために遮断された。足場タンパク質は、HopQと呼ばれるヘリコバクター・ピロリ株G27(PDB 5LP2;配列番号2)のアドヘシンドメインである(Javaheriら、2016)。HopQのN末端及びC末端は、その他の場合では、結晶構造の電子密度において完全には見えないループとして現れる、循環置換領域中の7つのアミノ酸(c7HopQと呼ばれる)のトランケーション後に、接続された。このトランケーションされた融合体は、c7HopQと呼ばれる、HopQの循環置換されたバリアントを生成し、アミノ酸配列内の切断は、その配列の別の場所(つまり、該足場タンパク質の露出された領域におけるアクセス可能な部位に相当する位置)で行われた。機能的Megakine融合タンパク質バリアントを設計するために、Modelerソフトウェアを使用するインシリコ分子モデリング(https://salilab.org/modeller)及び特注のPythonスクリプトを使用した。その結果、4つの低自由エネルギーMk
6P4-CCL5
c7HopQHopQモデルが生成され、これらのモデルでは、全ての部分が、次に示される順序で、アミノ(N-)末端からカルボキシ(C-)末端へ、ペプチド結合によって互いに接続されていた:
Mk
6P4-CCL5
c7HopQV1(配列番号3):6P4-CCL5ケモカインのβストランド2までのN末端(配列番号1の1~43)、HopQのC末端部分(配列番号2の193~411残基)、HopQのN末端部分(配列番号2の18~185残基)、6P4-CCL5ケモカインのβストランド3から末端までのC末端部分(配列番号1の47~69)、6×Hisタグ及びEPEAタグ(米国特許第9518084B2号;配列番号21)。
Mk
6P4-CCL5
c7HopQV2(配列番号4):6P4-CCL5ケモカインのβストランド2までのN末端(配列番号1の1~44)、Thrの1アミノ酸リンカー、HopQのC末端部分(配列番号2の194~411残基)、HopQのN末端部分(配列番号2の18~185残基)、6P4-CCL5ケモカインのβストランド3から末端までのC末端部分(配列番号1の47~69)、6×Hisタグ及びEPEAタグ。
Mk
6P4-CCL5
c7HopQV3(配列番号5):6P4-CCL5ケモカインのβストランド2までのN末端(配列番号1の1~45)、HopQのC末端部分(配列番号2の192~411残基)、HopQのN末端部分(配列番号2の18~185残基)、6P4-CCL5ケモカインのβストランド3から末端までのC末端部分(配列番号1の47~69)、6×Hisタグ及びEPEAタグ(米国特許第9518084B2号)。
Mk
6P4-CCL5
c7HopQV4(配列番号6):6P4-CCL5ケモカインのβストランド2までのN末端(配列番号1の1~44)、HopQのC末端部分(配列番号2の193~411残基)、HopQのN末端部分(配列番号2の18~185残基)、6P4-CCL5ケモカインのβストランド3から末端までのC末端部分(配列番号1の47~69)、6×Hisタグ及びEPEAタグ。
【0093】
[実施例2] 6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2-β3接続βターンに挿入されたc7HopQ足場から構築された50kDa融合タンパク質の酵母ディスプレイ。
【0094】
4つのMk6P4-CCL5
c7HopQV1~V4 Megakineバリアント(配列番号3~6)が、良好にフォールディングされた機能的なタンパク質として発現され得ることを実証するために、このタンパク質を酵母の表面にディスプレイさせた(Boder、1997)。6P4-CCL5ケモカイン部分の適切なフォールディングを、機能的6P4-CCL5ケモカインに結合する蛍光コンジュゲートモノクローナル抗体(BiolegendからのAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体、参照番号515506;抗CCL5-mAb647)を用いて調べた。Mk6P4-CCL5
c7HopQV1~V4 Megakineバリアントを酵母上でディスプレイするために、標準的な方法を使用して、いくつかのアクセサリーペプチド及びタンパク質に融合したMegakineをコードするオープンリーディングフレームを構築した(配列番号7~10):酵母における細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw、2009)、Mk6P4-CCL5
c7HopQ Megakineバリアント、可撓性ペプチドリンカー、ga1pタンパク質へのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する、酵母アグルチニンタンパク質Aga2pの接着サブユニット、ディスプレイされた融合タンパク質の直交蛍光染色のためのアシルキャリアタンパク質(Johnsson、2005)、続いてcMycタグ。このオープンリーディングフレームを、ガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下で、pCTCON2ベクター(Chao、2006)に入れ、酵母株EBY100に導入した。
【0095】
このプラスミドを保有するEBY100酵母細胞を増殖させ、高濃度ガラクトース培地中で一晩誘導して、Mk
6P4-CCL5
c7HopQ-Aga2p-ACP融合体の発現と分泌を誘発した。ACPの直交染色のために、蛍光標識CoA類似体(CoA-547、2μM)及び触媒量のSFP合成酵素(1μM)の存在下で、細胞を1時間インキュベートした。ディスプレイされたMegakineの機能性を分析するために、フローサイトメトリーによって、Alexa Fluor(登録商標)647蛍光標識抗CCL5モノクローナル抗体(抗CCL5-mAb647)によって認識されるその能力を調べた。したがって、EBY100酵母細胞を誘導し、CoA547と直交蛍光染色して、Mk
6P4-CCL5
c7HopQ-Aga2p-ACP融合体のディスプレイを観察した。次いで、これらの直交染色された酵母細胞を、異なる濃度の抗CCL5-mAb647(15、31、62、125及び250ng/mL)の存在下で1時間インキュベートした。これらの実験において、誘導された酵母細胞を洗浄し、フローサイトメトリーに供して、CoA547蛍光レベルを、MegaBody Mb
Nb207
cHopQ-Aga2p-ACP融合体(配列番号11;MegaBodyは、Megakineに類似しているが、ケモカインの代わりに、Nanobody(Nb)が、足場タンパク質に融合されており、ここではGFP特異的NbとしてNb
207を有する)をディスプレイする酵母細胞と比較することによって、各細胞のMegakineディスプレイレベルを測定し、同じ方法で直交染色した。次に、抗CCL5-mAb647の結合を、酵母の表面におけるMb
Nb207
cHopQの発現レベルと直線的に相関しているはずの647蛍光レベルを調べることによって分析した。実際、二次元フローサイトメトリー分析により、抗CCL5-mAb647(高647蛍光レベル)が、顕著なMegakineディスプレイレベル(高CoA547蛍光レベル)を有する酵母細胞にのみ結合することが確認された(
図9及び
図10~14)。対照的に、抗CCL5-mAb647は、MegaBody Mb
Nb207
cHopQ-Aga2p-ACP融合体(配列番号11)をディスプレイし、同じ方法で染色されている酵母細胞に結合しない。
【0096】
これらの実験から、4つのMk6P4
c7HopQV1~V4 Megakineバリアント(配列番号3~6)が、酵母の表面に、良好にフォールディングされた機能的なキメラタンパク質として発現され得ると結論づける。
【0097】
[実施例3] 6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2-β3接続βターンに挿入されたc7HopQ足場から構築された50kDa融合タンパク質の酵母発現及び精製。
【0098】
酵母の表面に機能的Megakineをディスプレイすることができたため、EBY100細胞におけるこれらの50kDa融合タンパク質を可溶性分泌タンパク質として発現させることに取り組み、それらを均質に精製し、特性を決定した。
【0099】
4つのMegakine、Mk
6P4-CCL5
c7HopQV1~V4 Megakineバリアント(配列番号3~6)を発現させるために、標準的な方法を使用して、いくつかのアクセサリーペプチド及びタンパク質に融合したMegakineをコードするオープンリーディングフレームを構築した(配列番号12~15):酵母における細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw、2009)、Mk
6P4-CCL5
c7HopQ Megakineバリアント、6×Hisタグ、EPEAタグ、及び翻訳を終了させる終止コドン。このオープンリーディングフレームを、ガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下で、pCTCON2ベクター(Chao、2006)に入れ、酵母株EBY100に導入した。このプラスミドを保有するEBY100酵母細胞を増殖させ、高濃度ガラクトース培地中で一晩誘導して、Mk
6P4
c7HopQV1~V4バリアント(配列番号12~15)の発現及び分泌を30℃で誘発した。組換えMegakine融合タンパク質を、HisTrap(NiNTA)FF 5mLプレパックドカラムで培地から回収した。次に、500mMのイミダゾールを適用することによって、タンパク質をNiNTA樹脂から溶出させ、10kDaのカットオフを有するNMWL(Nominal Molecular Weight Limit、公称分子量制限)フィルターを使用して遠心分離によって濃縮した(
図15~16)。
【0100】
これらの実験から、数種のMk6P4
c7HopQV1~V4 Megakineバリアント(配列番号3~6)が、良好にフォールディングされた機能的キメラタンパク質として発現され、従来の精製方法によって精製され得ると結論づける。
【0101】
[実施例4] 6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2-β3接続βターンに挿入されたc7HopQ足場から構築された50kDa融合タンパク質の細菌発現及び精製。
【0102】
酵母の表面に機能的Megakineをディスプレイし、酵母で可溶性タンパク質として発現させることができたため、この50kDaの融合タンパク質を大腸菌の周辺質で発現させることに取り組み、均質に精製し、その特性を決定した。大腸菌の周辺質中にMk6P4-CCL5
c7HopQV1~V4 Megakineバリアントタンパク質(配列番号3~6)を発現させるために、標準的な方法を使用して、足場が6P4-CCL5ケモカインのβストランド2(β2)及びβストランド3(β3)を接続するβ-ターンに挿入され得る6P4-CCL5 megakineの発現を可能にするベクターを構築した。このベクターは、pMESy4(Pardon、2014)の誘導体であり、以下のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む:大腸菌の周辺質へのMegakineの分泌を指示するDsbAリーダー配列、6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2までのN末端、この例ではHopQの循環置換されたバリアント(c7HopQ)がクローニングされているマルチプルクローニング部位、6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ3からのC末端、6×Hisタグ、及びEPEAタグ、続いてAmber終止コドン。任意の他の好適な足場を、このベクターのマルチクローニング部位でクローニングすることができる。
【0103】
大腸菌の周辺質中にMegakineを発現させ、この組換えタンパク質を均質に精製するために、標準的な方法を使用して、DsbAリーダー配列がpLacプロモーターの転写制御下で大腸菌の周辺質中の4つのHisタグ付き及びEPEAタグ付きMk
6P4-CCL5
c7HopQV1~V4 Megakineバリアント(配列番号16~19)の発現を指示するベクターを構築した。WK6細菌細胞(WK6はsu
-非抑制株である)を37℃で3リットルの2×TY培地で増殖させ、細胞が対数増殖期に達したときにIPTGによって誘導した。Hisタグ付き及びEPEAタグ付きMk
6P4-CCL5
c7HopQV1~V4 Megakineバリアント(配列番号16~19)の周辺質発現を、28℃で一晩続けた。遠心分離によって細胞を採取し、組換えMegakineを、浸透圧ショックを用いて周辺質から放出した(Pardonら、2014)。次いで、組換えMegakineを遠心分離によって原形質から分離し、HisTrap FF 5mLプレパックドカラムで、清澄化した上清から回収した。次に、500mMのイミダゾールを適用することによってタンパク質をNiNTA樹脂から溶出させ、10kDaのカットオフを有するNMWL(公称分子量制限)フィルターを使用して遠心分離によって濃縮した(
図17)。発現させて均質に精製したMegaBody Mb
Nb207
c7HopQ(配列番号20)を、機能実験の対照として使用した。
【0104】
これらの実験から、大腸菌中のいくつかのMk6P4-CCL5
c7HopQV1~V4 Megakineバリアント(配列番号3~6)が、良好にフォールディングされた機能的なキメラタンパク質として発現され、従来の精製方法によって精製され得ると結論づける。
【0105】
[実施例5] 6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2-β3接続βターン(40sループ)に挿入されたc7HopQ足場から構築された50kDa融合タンパク質の機能性を確認する細胞に基づくアッセイ。
【0106】
C7HopQ足場に提示されるときの6P4-CCL5の機能性/適切なフォールディングの保存を、Mk6P4-CCL5
c7HopQV1~V4 MegakineバリアントがCCL5のコグネート受容体であるCCR5を活性化する能力によって評価した。活性は、スプリットNanoLuciferase(NanoBiT-Promega)の相補性(Dixon ASら、2016、ACS Chem Biol.)に基づいて、アゴニスト刺激後のCCR5へのβ-アレスチン-1又はminiGi(Gαサブユニットの操作されたGTPaseドメイン;Wanら、2018)の動員を観察する細胞に基づくアッセイにおいて評価した。
【0107】
5×106個のHEK293T細胞を10cm培養皿に播種し、24時間後、15Gly/Serリンカー(GSSGGGGSGGGGSSG)によって分離されてSmBiT(VTGYRLFEEIL)(ナノルシフェラーゼサブユニットI)にC末端融合されたヒトCCR5をコードするpNBe2ベクター(Promega)、並びに15Gly/Serリンカーに続いてLgBiT(ナノルシフェラーゼサブユニットII、1~156残基)にN末端融合されたヒトβ-アレスチン-1又はminiGiをコードするpNBe3ベクター(Promega)と共トランスフェクトした。トランスフェクション後24時間の細胞を採取し、37℃で25分間、100倍希釈されたNano-Glo Live Cell基質とインキュベートし、5×104細胞/ウェルで白色96ウェルプレートに分配した。Megakine添加時のCCR5へのβ-アレスチン-1又はminiGiの動員を、NanoLuciferase相補性を介して評価し、このようにしてMithras LB940ルミノメーター(Berthold Technologies)で測定される触媒活性回復を評価した。非精製周辺質抽出物及び酵母ディスプレイから選択された精製Mk6P4-CCL5
c7HopQV1~V4 Megakineバリアント(配列番号16~19)の活性を、哺乳類細胞(HEK293T)において産生された非精製組換え可溶性6P4-CCL5ケモカイン(配列番号33)の活性と、pIRES-ピューロマイシンベクターを使用したCMVプロモーターの依存性下で比較した。
【0108】
6P4-CCL5ケモカインは、Mk
6P4-CCL5
c7HopQV1~V4 Megakineバリアントが、濃度依存的にβ-アレスチン-1及びminiGiのCCR5への動員を誘導する能力によって実証されるように、c7HopQ足場のそのβ2-β3接続βストランドへの挿入に際し、その機能性を保持する(
図18)。
【0109】
[実施例6] インビボ選択による、6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2-β3接続βターンに挿入されたc7HopQ足場から構築された他の50kDa融合タンパク質の設計及び生成。
【0110】
Megakineのフォールディングの能力、さらに安定性及び剛性は、ケモカインを足場に接続するポリペプチド結合の組成及び長さに依存し得るため、必要に応じて特定のMegakineフォーマットの微調整のためにインビトロ進化技術を導入した。実施例1に記載のMegakineから出発して、可変長及び混合アミノ酸組成の2つのショートペプチドが
図2に従ってケモカインを足場に接続する同様の設計を有するMegakineをコードする、インビボ選択に適したライブラリを構築した。
【0111】
本明細書に記載の50kDaのMegakineは、
図2及び
図3に従って接続されたケモカインの一部及び足場タンパク質の一部から連結されたキメラポリペプチドである。ここで使用したケモカインは、配列番号1に示される、CCR5 GPCRのアゴニストである6P4-CCL5である(6P4-CCL5は、アンタゴニストCCL55P7;Zhengら、2017;PDBコードCCL55P7:5UIWの類似体である)。6P4-CCL5のβストランド2及びβストランド3を接続するβ-ターンは、足場タンパク質への融合のために遮断された。足場タンパク質は、HopQと呼ばれるヘリコバクター・ピロリ株G27(PDB:5LP2;配列番号2)のアドヘシンドメインである(Javaheriら、2016)。HopQのN末端及びC末端は、その他の場合では、結晶構造の電子密度において完全には見えないループとして現れる、循環置換領域中の7つのアミノ酸(c7HopQと呼ばれる)のトランケーション後に、接続された。このトランケーションされた融合体は、c7HopQと呼ばれる、HopQの循環置換されたバリアントを生成し、アミノ酸配列内の切断は、その配列の別の場所(つまり、該足場タンパク質の露出された領域におけるアクセス可能な部位に相当する位置)で行われた。全ての部分が、次に示される順序で、アミノ末端からカルボキシ末端へ、ペプチド結合によって互いに接続されていた:6P4-CCL5ケモカインのβストランド2までのN末端(配列番号1の1~44)、ランダムな組成を有する1アミノ酸又は2アミノ酸のペプチドリンカー、HopQのC末端部分(配列番号2の195~411残基)、HopQのN末端部分(配列番号2の18~183残基)、ランダムな組成を有する1アミノ酸又は2アミノ酸のペプチドリンカー、6P4-CCL5ケモカインのβストランド3から末端までのC末端部分(配列番号1の47~69)。
【0112】
ケモカインを酵母上の足場に接続するリンカーの組成及び長さが異なる実施例1~5に記載のMegakineの機能的バリアントをディスプレイ及び選択するために、標準的な方法を使用して、
図7に従って、いくつかのアクセサリーペプチド及びタンパク質に融合した様々なMegakineをコードするオープンリーディングフレームのライブラリを構築した(配列番号25~28)。酵母における細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw、2009)、6P4-CCL5ケモカインのβストランド2までのN末端(配列番号1の1~44)、ランダムな組成を有する1アミノ酸又は2アミノ酸のペプチドリンカー、HopQのC末端部分(配列番号2の195~411残基)、HopQのN末端部分(配列番号2の18~183残基)、ランダムな組成を有する1アミノ酸又は2アミノ酸のペプチドリンカー、6P4-CCL5ケモカインのβストランド3から末端までのC末端部分(配列番号1の47~69)、可撓性(GGSG)
nペプチドリンカー、Aga1pタンパク質へのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する、酵母アグルチニンタンパク質Aga2pの接着サブユニット、ディスプレイされた融合タンパク質の直交蛍光染色のためのアシルキャリアタンパク質(Johnsson、2005)、続いてcMycタグ。このオープンリーディングフレームを、ガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下で、pCTCON2ベクター(Chao、2006)に入れ、Megakineの176400個の異なるバリアントをコードする酵母ディスプレイライブラリを構築した(
図7を参照)。
【0113】
インビトロ選択のために、このライブラリを酵母株EBY100に導入した。形質転換細胞を増殖させ、高濃度ガラクトース培地中で一晩誘導した。誘導された細胞を、SFP合成酵素(1μM)を使用してcoA-547(2μM)と直交染色し、0.25μg/mLのAlexa Fluor(登録商標)647蛍光標識抗CCL5モノクローナル抗体(抗CCL5-mAb647)とインキュベートした。次に、これらの細胞を洗浄し、2パラメータFACS分析に供して、高レベルでMegakine発現をディスプレイし(高CoA-547蛍光)、抗CCL5-mAb647に結合する(高Alexa Fluor(登録商標)647蛍光)酵母細胞を同定した。高レベルの抗CCL5-mAb647結合をディスプレイする細胞を、酵母ディスプレイ及び2パラメータFACS分析(
図8)による後続ラウンドの選択に供するために、高濃度グルコース培地中で選別及び増幅した。
【0114】
2ラウンドの選択後、CoA-547及びAlexa Fluor(登録商標)647チャネル内の代表的ないくつかの高蛍光細胞を単一コロニーとして増殖させ、DNA配列決定に供して、ケモカインを足場タンパク質に接続する代表的ないくつかのペプチドリンカーの配列を決定した。1-1、1-2、2-1及び2-2アミノ酸ショートリンカーバリアントを有する各種のリンカーについて2つの代表的クローンを表1に示す。
【0115】
【0116】
このことは、ケモカインと足場タンパク質との間の異なるショートペプチド接続が、酵母ディスプレイを用いたインビボ選択によってMegakineライブラリから選択され得、酵母細胞の表面に機能的ケモカインキメラタンパク質としてディスプレイされ得ることを実証する。
【0117】
[実施例7] CXCL12ケモカインのβストランドβ2-β3接続βターンに挿入されたc7HopQ足場から構築された50kDa融合タンパク質の細菌発現及び精製。
【0118】
剛性融合タンパク質「Megakine」を得る概念の第2の証明として、CXCケモカインのサブファミリーに属するCXCL12ケモカインを、
図2に従ってCXCL12を足場に接続する2つのペプチド結合を介して大型足場タンパク質上にグラフトさせて、剛性Megakineを構築した。
【0119】
本明細書に記載の50kDaのMegakineは、
図2及び
図3に従って接続されたケモカインの一部及び足場タンパク質の一部から連結されたキメラポリペプチドである。ここで使用したケモカインは、配列番号22(PDBコード:3HP3)に示される、CXCR4 GPCR及びACKR3 GPCRに結合し、活性化する、SDF-1とも呼ばれるCXCL12である。足場タンパク質を、CXCL12のβストランド2及びβストランド3を接続するβ-ターンに挿入した。足場タンパク質は、HopQと呼ばれるヘリコバクター・ピロリ株G27(PDB 5LP2;配列番号2)のアドヘシンドメインである(Javaheriら、2016)。HopQのN末端及びC末端は、その他の場合では、結晶構造の電子密度において完全には見えないループとして現れる、循環置換領域中の7つのアミノ酸(c7HopQと呼ばれる)のトランケーション後に、接続された。このトランケーションされた融合体は、c7HopQと呼ばれる、HopQの循環置換されたバリアントを生成し、アミノ酸配列内の切断は、その配列の別の場所(つまり、該足場タンパク質の露出された領域におけるアクセス可能な部位に相当する位置)で行われた。実施例1と同様に、全ての部分が以下のように接続される、低自由エネルギーのMk
CXCL12
c7HopQ(配列番号23)が生成された:CXCL12ケモカインのβストランド2までのN末端(配列番号22の1~43)、HopQのC末端部分(配列番号2の192~411残基)、HopQのN末端部分(配列番号2の18~184残基)、CXCL12ケモカインのβストランド3から末端までのC末端部分(配列番号22の45~68)、6×Hisタグ及びEPEAタグ(米国特許第9518084B2号)。
【0120】
この50kDa融合タンパク質を、大腸菌の周辺質中に発現させることに取り組み、均質に精製し、その特性を決定した。大腸菌の周辺質中でMegakine MkCXCL12
c7HopQを発現させるために、標準的な方法を使用して、CXCL12ケモカインのβストランド2(β2)及びβストランド3(β3)を接続するβターンに足場が挿入され得るCXCL12 Megakineの発現を可能にするベクターを構築した。このベクターは、pMESy4(Pardon、2014)の誘導体であり、以下のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む:大腸菌の周辺質へのMegakineの分泌を指示するDsbAリーダー配列、CXCL12ケモカインのβストランドβ2までのN末端、この例ではHopQの循環置換されたバリアント(c7HopQ)がクローニングされているマルチプルクローニング部位、CXCL12ケモカインのβストランドβ3からのC末端、6×Hisタグ、及びEPEAタグ、続いてAmber終止コドン(配列番号24)。任意の他の好適な足場を、このベクターのマルチクローニング部位でクローニングすることができる。MkCXCL12
c7HopQ発現は、実施例4に記載のとおりである。
【0121】
[実施例8] 6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2-β3接続βターンに挿入されたYgjK足場から構築された94kDa融合タンパク質の設計及び生成。
【0122】
c7HopQ(実施例1~6)にグラフトされた6P4-CCL5ケモカインからの最初のMegakineの成功した設計に基づいて、より大きな足場タンパク質に接続されたケモカインから構築される他のMegakine設計の開発も試みた。
【0123】
本明細書に記載の94kDaのMegakineは、
図2に従って接続されたケモカインの一部及び足場タンパク質の一部から連結されたキメラポリペプチドである。ここで使用したケモカインは、先の実施例で使用された、及び配列番号1に示される6P4-CCL5である。6P4-CCL5のβストランド2及びβストランド3を接続するβ-ターンは、足場タンパク質への融合のために遮断された。足場タンパク質は、YgjKと呼ばれる大腸菌の86kDA周辺質タンパク質(PDBコード3W7S、配列番号34)である(Kurakavaら、2008)。YgjKの三次構造では、表面アクセス可能なβターンを有する2つの逆平行βストランドであるβターンA’S1-A’S2及びβターンNS6-NS7が同定された。トポロジーが(異なって)遮断される94kDa MWの別個のMegakineを生成するために、これらの2つのβターンをトランケートし、追加の循環置換を導入して、2つの足場タンパク質を生成した:
c1YgjK(配列番号36):YgjKのC末端部分(配列番号34の464~760残基)、YgjKのC末端とN末端とを接続して、足場タンパク質の循環置換体(circularly permutant)を作製するショートペプチドリンカー(配列番号35)、YgjKのN末端部分(配列番号34の1~461残基)、
c2YgjK(配列番号37):YgjKのC末端部分(配列番号34の105~760残基)、YgjKのC末端とN末端とを接続して、足場タンパク質の循環置換体を作製するショートペプチドリンカー(配列番号35)、YgjKのN末端部分(配列番号34の1~102残基)。
【0124】
機能的Megakine融合タンパク質バリアントを設計するために、アクセス可能な結晶構造(PDBコードCCL5-5P7:5UIW、PDBコードYgjK:3W7S)を使用してインシリコ分子モデリングを実行した。その結果、3つのMegakine Mk
6P4-CCL5
c1YgjKモデル及び2つのMk
6P4-CCL5
c2YgjKモデルが生成され、これらのモデルでは、全ての部分が、次に示される順序で、アミノ(N-)末端からカルボキシ(C-)末端へ、ペプチド結合によって互いに接続されていた:
Mk
6P4-CCL5
c1YgjKV1(配列番号38、
図20):6P4-CCL5ケモカインのβストランド2までのN末端(配列番号1の1~45)、Gly-Glyの2アミノ酸リンカー、c1YgjK足場タンパク質(配列番号36)、Gly-Glyの2アミノ酸リンカー、6P4-CCL5ケモカインのβストランド3から末端までのC末端部分(配列番号1の47~69)、
Mk
6P4-CCL5
c1YgjKV2(配列番号39、
図21):6P4-CCL5ケモカインのβストランド2までのN末端(配列番号1の1~45)、Glyの1アミノ酸リンカー、c1YgjK足場タンパク質(配列番号36)、Glyの1アミノ酸リンカー、6P4-CCL5ケモカインのβストランド3から末端までのC末端部分(配列番号1の47~69)、
Mk
6P4-CCL5
c1YgjKV3(配列番号40、
図22):6P4-CCL5ケモカインのβストランド2までのN末端(配列番号1の1~45)、c1YgjK足場タンパク質(配列番号36)、6P4-CCL5ケモカインのβストランド3から末端までのC末端部分(配列番号1の47~69)、
Mk
6P4-CCL5
c2YgjKV1(配列番号41、
図23):6P4-CCL5ケモカインのβストランド2までのN末端(配列番号1の1~45)、Gly-Glyの2アミノ酸リンカー、c2YgjK足場タンパク質(配列番号37)、Gly-Glyの2アミノ酸リンカー、6P4-CCL5ケモカインのβストランド3から末端までのC末端部分(配列番号1の47~69)、
Mk
6P4-CCL5
c2YgjKV3(配列番号42、
図24):6P4-CCL5ケモカインのβストランド2までのN末端(配列番号1の1~45)、c2YgjK足場タンパク質(配列番号37)、6P4-CCL5ケモカインのβストランド3から末端までのC末端部分(配列番号1の47~69)。
【0125】
[実施例9] 6P4-CCL5ケモカインのβストランドβ2-β3接続βターンに挿入されたc1YgjK及びc2Ygjk足場から構築された94kDa融合タンパク質の酵母ディスプレイ。
【0126】
これらの5つのMk6P4-CCL5
c1YgjKV1~V3バリアント及びMk6P4-CCL5
c2YgjKV1/V3 Megakineバリアント(配列番号38~42)が、正しくフォールディングされた機能的なタンパク質として発現され得ることを実証するために、これらのタンパク質を、Mk6P4-CCL5
c7HopQV1~V4 Megakineバリアントについて実施されたように(実施例2)、酵母の表面にディスプレイした(Boder、1997)。6P4-CCL5ケモカイン部分の適切なフォールディングを、機能的6P4-CCL5ケモカインに結合する蛍光コンジュゲートモノクローナル抗体(BiolegendからのAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトRANTES(CCL5)抗体、参照番号515506;抗CCL5-mAb647)を用いて調べた。Mk6P4-CCL5
c1YgjKV1~V3バリアント及びMk6P4-CCL5
c2YgjKV1/V3 Megakineバリアントを酵母上でディスプレイするために、標準的な方法を使用して、酵母ディスプレイのためのいくつかのアクセサリーペプチド及びタンパク質に融合したMegakineをコードするオープンリーディングフレームを構築した(配列番号43~47):酵母における細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw、2009)、Mk6P4-CCL5
c1YgjK又はMk6P4-CCL5
c2YgjK Megakineバリアント、可撓性ペプチドリンカー、Aga1pタンパク質へのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する、酵母アグルチニンタンパク質Aga2pの接着サブユニット、ディスプレイされた融合タンパク質の直交蛍光染色のためのアシルキャリアタンパク質(Johnsson、2005)、続いてcMycタグ。このオープンリーディングフレームを、ガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下で、pCTCON2ベクター(Chao、2006)に入れ、酵母株EBY100に導入した。
【0127】
このプラスミドを保有するEBY100酵母細胞を増殖させ、高濃度ガラクトース培地中で一晩誘導して、Mk
6P4-CCL5
c1/2YgjK-Aga2p-ACP融合体の発現及び分泌を誘発した。ACPの直交染色のために、蛍光標識CoA類似体(CoA-547、2μM)及び触媒量のSFP合成酵素(1μM)の存在下で、細胞を1時間インキュベートした。ディスプレイされたMegakineの機能性を分析するために、フローサイトメトリーによって、Alexa Fluor(登録商標)647蛍光標識抗CCL5モノクローナル抗体(抗CCL5-mAb647)によって認識されるその能力を調べた。したがって、EBY100酵母細胞を誘導し、CoA547と直交蛍光染色して、Mk
6P4-CCL5
c1/2YgjK-Aga2p-ACP融合体のディスプレイを観察した。Mk
6P4-CCL5
c7HopQV4(配列番号10、実施例2)を示す酵母細胞を、追加の陽性対照として使用した。次いで、これらの直交染色された酵母細胞を、抗CCL5-mAb647(80ng/mLの濃度)の存在下で1時間インキュベートした。これらの実験では、誘導酵母細胞を洗浄し、フローサイトメトリーに供して、CoA547蛍光レベルを、MegaBody Mb
Nb207
cHopQ-Aga2p-ACP融合体(配列番号11;MegaBodyは、Megakineに類似しているが、ケモカインの代わりに、Nanobody(Nb)が、足場タンパク質に融合されており、ここではGFP特異的NbとしてNb
207を有する)をディスプレイする酵母細胞と比較することによって、各細胞のMegakineディスプレイレベルを測定し、同じ方法で直交染色した。実際、5つのMk
6P4-CCL5
c1/2YgjKバリアント全てについて、Mk
6P4-CCL5
c1/2YgjK-Aga2p-ACP融合体の定量化されたディスプレイレベルは、およそ70%であった(
図25)。
【0128】
次に、抗CCL5-mAb647の結合を、酵母の表面におけるMk
6P4-CCL5
c1/2YgjKバリアントの発現レベルと直線的に相関しているはずの647蛍光レベルを調べることによって分析した。二次元フローサイトメトリー分析によって、抗CCL5-mAb647(高647蛍光レベル)が、顕著なMegakineディスプレイレベル(高CoA547蛍光レベル)を有する酵母細胞にのみ結合することが確認された。Mk
6P4-CCL5
c2YgjKV1(配列番号46)及びMk
6P4-CCL5
c2YgjKV3(配列番号47)についての線形適合度が最大であり、これはおそらく抗CCL5-mAb647によって認識されるエピトープのアクセス可能性が最良であることによる(
図26)。対照的に、抗CCL5-mAb647は、MegaBody Mb
Nb207
cHopQ-Aga2p-ACP融合体(配列番号11、陰性対照としてのGFP特異的MegaBody)をディスプレイし、同じ方法で染色されている酵母細胞に結合しない。
【0129】
これらの実験から、2つの異なる融合足場を有する5つのMk6P4-CCL5
c1YgjKV1~V3及びMk6P4-CCL5
c2YgjKV1/V3 Megakineバリアント(配列番号38~42)の全てが、酵母の表面に、良好にフォールディングされた機能的なキメラタンパク質として発現され得ると結論づける。
【0130】
[実施例10] IL-1βインターロイキンのβストランドβ6-β7接続βターンに挿入されたHopQ足場から構築された58kDa融合タンパク質の設計及び生成。
【0131】
c7HopQ(実施例1~7)及びc1YgjK/c2Ygjk(実施例8及び9)足場にグラフトされた6P4-CCL5及びCXCL12ケモカインからの最初のMegakineの成功した設計に基づいて、より大きな足場に接続された別のクラスのサイトカイン、特にインターロイキンから構築される他のMegakine設計の開発も試みた。
【0132】
本明細書に記載の58kDaのMegakineは、
図27に従って接続されたインターロイキンの一部及び足場タンパク質の一部から連結されたキメラポリペプチドである。ここで使用したインターロイキンは、IL-1受容体I型(IL-1RI)及びIL-1受容体アクセサリータンパク質(IL-1RAcP)(PDB 3O4O、Wangら、2010)を介してその効果を発揮するインターロイキンのサブファミリーに属するヒトIL-1β(配列番号48)である。機能的IL-1β・IL-1RI・IL-1RAcP複合体において、IL-1のβストランドβ6及びβストランドβ7を接続するβ-ターンは、溶媒に露出され、したがって、足場タンパク質融合のためにアクセス可能である(
図28)。足場タンパク質は、6P4-CCL5ケモカインに基づくMegakineを生成するために使用したc7HopQ足場である(実施例1~6)。機能的MkIL-1βc7HopQ Megakine融合タンパク質バリアントを設計するために、アクセス可能な結晶構造を使用してインシリコ分子モデリング(PDBコードIL-1β:3O4O、PDBコードHopQ:5LP2)を実行した。その結果、3つのMk
IL-1β
c7HopQモデルが生成され、これらのモデルでは、全ての部分が、次に示される順序で、アミノ(N-)末端からカルボキシ(C-)末端へ、ペプチド結合によって互いに接続されていた:
Mk
IL-1β
c7HopQV1(配列番号49、
図29):ヒトIL-1βインターロイキンのβストランドβ6までのN末端(配列番号48の1~73)、Gly-Glyの2アミノ酸リンカー、HopQのC末端部分(配列番号2の193~411残基)、HopQのN末端部分(配列番号2の18~185残基)、Gly-Glyの2アミノ酸リンカー、ヒトIL-1βインターロイキンのβストランドβ7由来のC末端部分(配列番号48の78~153)、
Mk
IL-1β
c7HopQV2(配列番号50、
図30):ヒトIL-1βインターロイキンのβストランドβ6までのN末端(配列番号48の1~73)、Glyの1アミノ酸リンカー、HopQのC末端部分(配列番号2の193~411残基)、HopQのN末端部分(配列番号2の18~185残基)、Glyの1アミノ酸リンカー、ヒトIL-1βインターロイキンのβストランドβ7由来のC末端部分(配列番号48の78~153)、
Mk
IL-1β
c7HopQV3(配列番号51、
図31):ヒトIL-1βインターロイキンのβストランドβ6までのN末端(配列番号48の1~73)、HopQのC末端部分(配列番号2の193~411残基)、HopQのN末端部分(配列番号2の18~185残基)、ヒトIL-1βインターロイキンのβストランドβ7由来のC末端部分(配列番号48の78~153)。
【0133】
[実施例11] IL-1βインターロイキンのβストランドβ6-β7接続βターンに挿入されたHopQ足場から構築された58kDa融合タンパク質の酵母ディスプレイ。
【0134】
3つのMkIL-1β
c7HopQ Megakineバリアント(配列番号49~51)が、正しくフォールディングされた機能的なタンパク質として発現され得ることを実証するために、Mk6P4-CCL5
c7HopQ Megakineバリアント(実施例2)及びMk6P4-CCL5
cYgjkA/B Megakineバリアント(実施例9)について実行されたように、これらのタンパク質の酵母表面ディスプレイ(Boder、1997)が必要である。IL-1βインターロイキン部分の適切なフォールディングは、機能的IL-1βインターロイキンに結合する蛍光コンジュゲートモノクローナル抗体(Life TechnologiesからのAlexa Fluor(登録商標)647抗ヒトIL-1β抗体(CRM46)、参照番号51-7018-42)を使用して調べることができる。MkIL-1β
c7HopQV1~V3 Megakineバリアントを酵母上でディスプレイするために、いくつかのアクセサリーペプチド及びタンパク質に融合したMegakine(配列番号52~54)をコードするオープンリーディングフレームを構築するための標準的な方法が使用される:酵母における細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw、2009)、MkIL-1β
c7HopQ Megakineバリアント、可撓性ペプチドリンカー、Aga1pタンパク質へのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する、酵母アグルチニンタンパク質Aga2pの接着サブユニット、ディスプレイされた融合タンパク質の直交蛍光染色のためのアシルキャリアタンパク質(Johnsson、2005)、続いてcMycタグ。このオープンリーディングフレームを、ガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下で、pCTCON2ベクター(Chao、2006)にクローニングし、酵母株EBY100に導入する。このプラスミドを保有するEBY100酵母細胞を増殖させ、高濃度ガラクトース培地中で一晩誘導して、MkIL-1β
c7HopQ-Aga2p-ACP融合体の発現と分泌を誘発する。ACPの直交染色のために、先の実施例に示されるように、蛍光標識CoA類似体(CoA-547、2μM)及び触媒量のSFP合成酵素(1μM)の存在下で、細胞を1時間インキュベートする。ディスプレイされたMegakineの機能性を分析するために、Alexa Fluor(登録商標)647蛍光標識IL-1βモノクローナル抗体(抗ヒトIL-1β抗体CRM46)によって認識されるその能力を、フローサイトメトリーによって観察する。したがって、EBY100酵母細胞を誘導し、CoA547と直交蛍光染色して、MkIL-1β
c7HopQ-Aga2p-ACP融合体のディスプレイを観察する。IL-1βインターロイキン(配列番号55)をディスプレイする酵母細胞は、追加の陽性対照を形成する。次に、これらの直交染色された酵母細胞を、抗ヒトIL-1β抗体CRM46(80ng/mLの濃度)の存在下で1時間インキュベートする。これらの実験では、誘導酵母細胞を洗浄し、フローサイトメトリーに供して、CoA547蛍光レベルを、MegaBody MbNb207
cHopQ-Aga2p-ACP融合体(配列番号11;MegaBodyは、Megakineに類似しているが、インターロイキンの代わりに、Nanobody(Nb)が、足場タンパク質に融合されており、ここではGFP特異的NbとしてNb207を有する)をディスプレイする酵母細胞と比較することによって、各細胞のMegakineディスプレイレベルを測定し、同じ方法で直交染色する。次に、抗ヒトIL-1β抗体CRM46の結合を、酵母の表面におけるMkIL-1β
c7HopQバリアントの発現レベルと直線的に相関しているはずの647蛍光レベルを調べることによって分析し得る。二次元フローサイトメトリー分析により、抗ヒトIL-1β抗体CRM46(高647蛍光レベル)が、顕著なMegakineディスプレイレベル(高CoA547蛍光レベル)を有する酵母細胞にのみ結合することが確認された。対照的に、抗ヒトIL-1β抗体CRM46は、MegaBody MbNb207
cHopQ-Aga2p-ACP融合体(配列番号11)をディスプレイし、同じ方法で染色されている酵母細胞に結合しない。
【0135】
配列表
>配列番号1:6P4-CCL5ケモカイン
>配列番号2:ヘリコバクター・ピロリ株G27 HopQアドヘシンドメインタンパク質(PDB 5LP2)
>配列番号3:Mk6P4-CCL5
c7HopQV1 Megakine
(6P4-CCL5-ケモカインのN末端、下線が付されたHopQ配列、太字の6P4-CCL5ケモカインのC末端、6×Hisタグ、EPEAタグ)
【0136】
【0137】
>配列番号4:Mk6P4-CCL5
c7HopQV2 Megakine
(6P4-CCL5-ケモカインのN末端、Tショートペプチドリンカー、下線が付されたHopQ配列、太字の6P4-CCL5ケモカインのC末端、6×Hisタグ、EPEAタグ)
【0138】
【0139】
>配列番号5:Mk6P4-CCL5
c7HopQV3 Megakine
(6P4-CCL5-ケモカインのN末端、下線が付されたHopQ配列、太字の6P4-CCL5ケモカインのC末端、6×Hisタグ、EPEAタグ)
【0140】
【0141】
>配列番号6:Mk6P4-CCL5
c7HopQV4 Megakine
(6P4-CCL5-ケモカインのN末端、下線が付されたHopQ配列、太字の6P4-CCL5ケモカインのC末端、6×Hisタグ、EPEAタグ)
【0142】
【0143】
>配列番号7:Mk6P4-CCL5
c7HopQV1_Aga2p_ACPタンパク質配列
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine Mk6P4-CCL5
c7HopQV1、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0144】
【0145】
>配列番号8:Mk6P4-CCL5
c7HopQV2_Aga2p_ACPタンパク質配列
>配列番号9:Mk6P4-CCL5
c7HopQV3_Aga2p_ACPタンパク質配列
>配列番号10:Mk6P4-CCL5
c7HopQV4_Aga2p_ACPタンパク質配列
>配列番号11:MbNb207
cHopQ_Aga2p_ACPタンパク質配列
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegaBody MbNb207
cHopQ、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0146】
【0147】
>配列番号12:Mk6P4-CCL5
c7HopQV1酵母分泌タンパク質配列
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine Mk6P4-CCL5
c7HopQV1、6×Hisタグ、EPEAタグ)
【0148】
【0149】
>配列番号13:Mk6P4-CCL5
c7HopQV2酵母分泌タンパク質配列
>配列番号14:Mk6P4-CCL5
c7HopQV3酵母分泌タンパク質配列
>配列番号15:Mk6P4-CCL5
c7HopQV4酵母分泌タンパク質配列
>配列番号16:DsbA_Mk6P4-CCL5
c7HopQV1タンパク質配列
(DsbAリーダー配列、太字で示されたMegakine Mk6P4-CCL5
c7HopQV1、6×Hisタグ、EPEAタグ)
【0150】
【0151】
>配列番号17:DsbA_Mk6P4-CCL5
c7HopQV2タンパク質配列
>配列番号18:DsbA_Mk6P4-CCL5
c7HopQV3タンパク質配列
>配列番号19:DsbA_Mk6P4-CCL5
c7HopQV4タンパク質配列
>配列番号20:DsbA_MbNb207
c7HopQ MegaBody
(DsbAリーダー配列、太字で示されたMegaBody MbNb207
c7HopQ、6×Hisタグ、EPEAタグ)
【0152】
【0153】
>配列番号21:親和性タグ(米国特許第9518084B2号)
>配列番号22:CXCL12ケモカイン(ヒト)
>配列番号23:MkCXCL12
c7HopQタンパク質配列
(太字で示されたCXCL、通常の字体のc7HopQ、6×Hisタグ、点線で下線が付されたEPEAタグ)
【0154】
【0155】
>配列番号24:DsbA-MkCXCL12
c7HopQタンパク質配列
(下線が付されたDsbAリーダー配列、MkCXCL12
c7HopQ:太字で示されたCXCL12、通常の字体のc7HopQ、6×Hisタグ、点線で下線が付されたEPEAタグ)
【0156】
【0157】
>配列番号25:Mk6P4-CCL5
c7HopQランダムリンカー
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine Mk6P4-CCL5
c7HopQ YD1、Xは1AAでランダムな組成のショートペプチドリンカーである、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0158】
【0159】
>配列番号26:Mk6P4-CCL5
c7HopQランダムリンカー
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine Mk6P4-CCL5
c7HopQ YD1、Xは1AAでランダムな組成のショートペプチドリンカーであり、XXは2AAでランダムな組成のショートペプチドリンカーである、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0160】
【0161】
>配列番号27:Mk6P4-CCL5
c7HopQランダムリンカー
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine Mk6P4-CCL5
c7HopQ YD1、XXは2AAでランダムな組成のショートペプチドリンカーであり、Xは1AAでランダムな組成のショートペプチドリンカーである、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0162】
【0163】
>配列番号28:Mk6P4-CCL5
c7HopQランダムリンカー
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine Mk6P4-CCL5
c7HopQ YD1、XXは2AAでランダムな組成のショートペプチドリンカーである、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0164】
【0165】
>配列番号29/31:Megakine Mk6P4-CCL5
c7HopQの酵母ディスプレイライブラリに1アミノ酸長のショートペプチドリンカーを導入するためのフォワード/リバースプライマー
>配列番号30/32:Megakine Mk6P4-CCL5
c7HopQの酵母ディスプレイライブラリーに2アミノ酸長のショートペプチドリンカーを導入するためのフォワード/リバースプライマー
>配列番号33:SS-6P4-CCL5
哺乳類細胞(HEK293T)における産生のための組換え可溶性6P4-CCL5ケモカイン(下線が付されたSeqシグナル、6P4配列(配列番号1の)、CCL5)
【0166】
【0167】
>配列番号34:大腸菌Ygjkタンパク質(PDB 3W7S)
>配列番号35:cYgjk循環置換リンカーペプチド
>配列番号36:c1YgjK足場タンパク質(PDB 3W7S)(下線が付されたYgjK配列、斜体の循環置換リンカー)
【0168】
【0169】
>配列番号37:c2YgjK足場タンパク質(PDB 3W7S)(下線が付されたYgjK配列、斜体の循環置換リンカー)
【0170】
【0171】
>配列番号38:Mk6P4-CCL5
c1YgjKV1 Megakine
(6P4-CCL5ケモカインのN末端、GGショートペプチドリンカー、下線が付されたc1YgjK足場タンパク質配列、GGショートペプチドリンカー、太字の6P4-CCL5ケモカインのC末端)
【0172】
【0173】
>配列番号39:Mk6P4-CCL5
c1YgjKV2 Megakine
(6P4-CCL5ケモカインのN末端、Gショートペプチドリンカー、下線が付されたc1YgjK足場タンパク質配列、Gショートペプチドリンカー、太字の6P4-CCL5ケモカインのC末端)
【0174】
【0175】
>配列番号40:Mk6P4-CCL5
c1YgjKV3 Megakine
(6P4-CCL5-ケモカインのN末端、下線が付されたc1YgjK足場タンパク質配列、太字の6P4-CCL5ケモカインのC末端)
【0176】
【0177】
>配列番号41:Mk6P4-CCL5
c2YgjKV1 Megakine
(6P4-CCL5ケモカインのN末端、GGショートペプチドリンカー、下線が付されたc2YgjK足場タンパク質配列、GGショートペプチドリンカー、太字の6P4-CCL5ケモカインのC末端)
【0178】
【0179】
>配列番号42:Mk6P4-CCL5
c2YgjKV3 Megakine
(6P4-CCL5-ケモカインのN末端、下線が付されたc2YgjK足場タンパク質配列、太字の6P4-CCL5ケモカインのC末端)
【0180】
【0181】
>配列番号43:Mk6P4-CCL5
c1YgjKV1_Aga2p_ACPタンパク質配列
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine Mk6P4-CCL5
c1YgjKV1、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0182】
【0183】
>配列番号44:Mk6P4-CCL5
c1YgjKV2_Aga2p_ACPタンパク質配列
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine Mk6P4-CCL5
c1YgjKV2、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0184】
【0185】
>配列番号45:Mk6P4-CCL5
c1YgjKV3_Aga2p_ACPタンパク質配列
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine Mk6P4-CCL5
c1YgjKV3、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0186】
【0187】
>配列番号46:Mk6P4-CCL5
c2YgjKV1_Aga2p_ACPタンパク質配列
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine Mk6P4-CCL5
c2YgjKV1、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0188】
【0189】
>配列番号47:Mk6P4-CCL5
c2YgjKV3_Aga2p_ACPタンパク質配列
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine Mk6P4-CCL5
c2YgjKV3、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0190】
【0191】
>配列番号48:ヒトIL-1βの成熟形態
>配列番号49:MkIL-1β
c7HopQV1 Megakine
(IL-1βインターロイキンのN末端、GGショートペプチドリンカー、下線が付されたHopQ配列、GGショートペプチドリンカー、太字のIL-1βインターロイキンのC末端)
【0192】
【0193】
>配列番号50:MkIL-1β
c7HopQV2 Megakine
(IL-1βインターロイキンのN末端、Gショートペプチドリンカー、下線が付されたHopQ配列、Gショートペプチドリンカー、太字のIL-1βインターロイキンのC末端)
【0194】
【0195】
>配列番号51:MkIL-1β
c7HopQV3 Megakine
(IL-1βインターロイキンのN末端、下線が付されたHopQ配列、太字のIL-1βインターロイキンのC末端)
【0196】
【0197】
>配列番号52:MkIL-1β
c7HopQV1_Aga2p_ACPタンパク質配列
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine MkIL-1β
c7HopQV1、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0198】
【0199】
>配列番号53:MkIL-1β
c7HopQV2_Aga2p_ACPタンパク質配列
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine MkIL-1β
c7HopQV2、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0200】
【0201】
>配列番号54:MkIL-1β
c7HopQV3_Aga2p_ACPタンパク質配列
(appS4リーダー配列、太字で示されたMegakine MkIL-1β
c7HopQV3、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0202】
【0203】
>配列番号55:IL-1β_Aga2p_ACPタンパク質配列
(appS4リーダー配列、太字で示されたIL-1β、可撓性(GGGS)nポリペプチドリンカー、下線が付されたAga2pタンパク質配列、二重下線が付されたACP配列、cMycタグ)
【0204】
【0205】
参考文献
【0206】
【配列表】
【国際調査報告】