(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】有機化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 471/16 20060101AFI20220209BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220209BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20220209BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20220209BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220209BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220209BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220209BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220209BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20220209BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20220209BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20220209BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220209BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220209BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20220209BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220209BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220209BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20220209BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20220209BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220209BHJP
A61K 31/485 20060101ALI20220209BHJP
A61K 31/135 20060101ALI20220209BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220209BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20220209BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
C07D471/16 CSP
A61P25/00
A61P3/04
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/18
A61P25/16
A61P25/28
A61P15/00
A61P25/20
A61P25/06
A61P25/04
A61P21/00
A61P25/14
A61P1/04
A61P1/00
A61P25/36
A61P25/32
A61K45/00
A61K31/485
A61K31/135
A61P43/00 121
A61K31/4985
A61K31/5517
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535756
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 US2019068109
(87)【国際公開番号】W WO2020132605
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ-セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA-CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】リ,ポン
(72)【発明者】
【氏名】チアン,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,ハイリン
【テーマコード(参考)】
4C065
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C065AA07
4C065AA18
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4C065BB05
4C065CC03
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(57)【要約】
本発明は、本明細書に記載の遊離形態、固体形態、医薬的に許容される塩形態および/または実質的に純粋な形態の特定の置換複素環縮合γ-カルボリン、その医薬組成物、ならびに、5-HT2A受容体、セロトニントランスポーター(SERT)、ドパミンD1およびD2受容体シグナル伝達系に関連する経路、および/またはμ-オピオイド受容体に関連する疾患の治療に使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形態または塩形態(例えば、薬学的に許容される塩形態)の、例えば単離または精製された遊離形態または塩形態(例えば、薬学的に許容される塩形態)の、式I:
【化1】
[式中、
R
1は、H、C
1-6アルキル、-C(O)-O-C(R
a)(R
b)(R
c)、-C(O)-O-CH
2-O-C(R
a)(R
b)(R
c)または-C(R
6)(R
7)-O-C(O)-R
8であり;
R
2およびR
3は、独立して、H、D、C
1-6アルキル(例えば、メチル)、C
1-6アルコキシ(例えば、メトキシ)、ハロ(例えば、F)、シアノ、またはヒドロキシから選択されるか;または
R
2およびR
3ならびにそれらが結合している炭素は、集合的に-CH
2CH
2-基を形成するか、または
R
2およびR
3ならびにそれらが結合している炭素は存在せず;
Lは、C
1-6アルキレン(例えば、エチレン、プロピレンまたはブチレン)、C
1-6アルコキシ(例えば、プロポキシまたはブトキシ)、C
2-3アルコキシC
1-3アルキレン(例えば、-CH
2CH
2OCH
2-)、C
1-6アルキルアミノまたはN-C
1-6アルキル C
1-6アルキルアミノ(例えば、プロピルアミノまたはN-メチルプロピルアミノ)、C
1-6アルキルチオ(例えば、-CH
2CH
2CH
2S-)、C
1-6アルキルスルホニル(例えば、-CH
2CH
2CH
2S(O)
2-)であり、これらはいずれも1個以上のR
4部分で置換されていてもよく;
各R
4は、独立して、C
1-6アルキル(例えば、メチル)、C
1-6アルコキシ(例えば、メトキシ)、ハロ(例えば、F)、シアノまたはヒドロキシから選択され;
Zは、アリール(例えば、フェニル)およびヘテロアリール(例えば、ピリジル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル)から選択され、ここで、該アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のR
4部分で置換されていてもよく;
R
8は、-C(R
a)(R
b)(R
c)、-O-C(R
a)(R
b)(R
c)、または-N(R
d)(R
e)であり;
R
a、R
bおよびR
cは、各々独立して、HおよびC
1-24アルキルから選択され;
R
dおよびR
eは、各々独立して、HおよびC
1-24アルキルから選択され;
R
6およびR
7は、各々独立して、H、C
1-6アルキル、カルボキシおよびC
1-6アルコキシカルボニルから選択される;
ただし、L-Z部分は、1-(4-(4-フルオロフェニル)-4-オキソブチル)、1-(4-(4-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシブチル、または1-(4-フルオロ-1-フェノキシ)プロピル)ではない]
で示される化合物。
【請求項2】
R
1がHである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R
1が、C
1-6アルキル、例えばメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R
1が、-C(O)-O-C(R
a)(R
b)(R
c)、-C(O)-O-CH
2-O-C(R
a)(R
b)(R
c)または-C(R
6)(R
7)-O-C(O)-R
8である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Lが非置換C
1-6アルキレン(例えば、エチレン、プロピレン、またはブチレン)であるか、またはLが1個以上のR
4部分で置換されているC
1-6アルキレン(例えば、エチレン、プロピレン、またはブチレン)である、請求項1~4いずれか記載の化合物。
【請求項6】
Lが非置換C
1-6アルコキシ(例えば、プロポキシまたはブトキシ)であるか、またはLが1個以上のR
4部分で置換されているC
1-6アルコキシ(例えば、プロポキシまたはブトキシ)である、請求項1~4いずれか記載の化合物。
【請求項7】
R
1、R
2およびR
3が各々Hである、請求項1~6いずれか記載の化合物。
【請求項8】
Zが1個以上のR
4部分で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)である、請求項1~7いずれか記載の化合物。
【請求項9】
Zが、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)およびシアノから選択される1個のR
4部分で置換されているフェニルである(例えば、Zが、4-フルオロフェニル、または4-クロロフェニル、または4-シアノフェニルである)、請求項1~7いずれか記載の化合物。
【請求項10】
Zが1個以上のR
4部分で置換されていてもよいヘテロアリール(例えば、ピリジル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル)である、請求項1~7いずれか記載の化合物。
【請求項11】
ヘテロアリールが、単環式5員または6員ヘテロアリール(例えば、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、チオフェニル、ピロリル、チオフェニル、フラニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル)である、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
ヘテロアリールが、二環式9員または10員ヘテロアリール(例えば、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾジオキソリル、2-オキソ-テトラヒドロキノリニル)である、請求項10記載の化合物。
【請求項13】
ヘテロアリールが、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)およびシアノから選択される1個のR
4部分で置換されている(例えば、ヘテロアリールが、6-フルオロ-3-インダゾリル、6-クロロ-3-インダゾリル、6-フルオロ-3-ベンゾイソオキサゾリル、または5-クロロ-3-ベンゾイソオキサゾリルである)、請求項10記載の化合物。
【請求項14】
化合物が、各々独立して遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、
【化2】
からなる群から選択される、請求項1~13いずれか記載の化合物。
【請求項15】
化合物が、各々独立して遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、
【化3】
からなる群から選択される、請求項1~14いずれか記載の化合物。
【請求項16】
塩の形態の、例えば薬学的に許容される塩の形態の、請求項1~15いずれか記載の化合物。
【請求項17】
遊離形態または薬学的に許容される塩形態(例えば、薬学的に許容される塩形態)の請求項1~16のいずれか1項記載の化合物を薬学的に許容される希釈剤または担体と混合して含む医薬組成物。
【請求項18】
中枢神経系障害の治療または予防方法であって、それを必要とする患者に遊離形態または薬学的に許容される塩形態の請求項1~16いずれか1項記載の化合物または請求項17記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項19】
該障害が、肥満、不安(全般性不安、社会不安およびパニック症が挙げられる)、うつ病(例えば、難治性うつ病およびMDDまたは治療抵抗性うつ病)、精神病(認知症に関連する精神病、例えば進行性パーキンソン病における幻覚、または偏執性妄想が挙げられる)、統合失調症、睡眠障害(特に、統合失調症ならびに他の精神および神経疾患に関連する睡眠障害)、性障害、片頭痛、疼痛、および疼痛に関連する状態、例えば頭痛、特発性疼痛、神経障害性疼痛、慢性疼痛、線維筋痛症、慢性疲労、広場恐怖症、社会恐怖症、認知症における激越(例えば、アルツハイマー病における激越)、自閉症および関連自閉症性障害における激越、胃腸障害、例えば胃腸管運動の機能不全、および認知症、例えばアルツハイマー病またはパーキンソン病の認知症;気分障害;薬物依存、例えば、オピエート依存、コカイン依存、アンフェタミン依存、および/またはアルコール依存、および薬物またはアルコール依存(例えば、オピエート依存)からの離脱;オピエート過剰摂取;薬物依存に関連する併存疾患、例えばうつ病、不安および精神病;過食性障害;および強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)および関連障害、例えば強迫性ギャンブル障害、強迫性摂食障害、身体醜形障害、心気症、病的身繕い障害、窃盗症、放火症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、衝動制御障害、および関連障害、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される障害からなる群から選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
該障害が、セロトニン5-HT
2A、セロトニン再取り込みトランスポーター(SERT)、ドパミンD
1および/またはD
2経路および/またはμ-オピオイド受容体に関連する障害である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
(i)うつ病に罹患している患者における精神病、例えば統合失調症;(2)精神病、例えば統合失調症に罹患している患者におけるうつ病;(3)精神病、例えば統合失調症、またはパーキンソン病に関連している気分障害;(4)精神病、例えば統合失調症、またはパーキンソン病に関連している睡眠障害;および(5)物質嗜癖、物質使用障害および/または物質誘発障害から選択される障害である、請求項18記載の方法。
【請求項22】
該中枢神経系障害が、強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)、全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、広場恐怖症、強迫性ギャンブル障害、強迫性摂食障害、身体醜形障害、心気症、病的身繕い障害、窃盗症、放火症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、衝動制御障害、および関連障害、およびこれらの組み合わせから選択される障害である、請求項18記載の方法。
【請求項23】
該中枢神経系障害が、疼痛および疼痛に関連する状態、例えば頭痛、特発性疼痛、神経障害性疼痛、慢性疼痛、線維筋痛症、および慢性疲労、および薬物依存、例えばオピエート依存、コカイン依存、アンフェタミン依存、および/またはアルコール依存、および薬物またはアルコール依存(例えば、オピエート依存)からの離脱;およびオピエート過剰摂取から選択される障害である、請求項18記載の方法。
【請求項24】
該方法が、さらに、μ-オピエート、κ-オピエート、δ-オピエート、および/またはノシセプチン/オルファニン受容体のアゴニストもしくは部分アゴニスト、またはインバースアゴニストもしくはアンタゴニスト、例えば、ブプレノルフィン、メサドン、ナロキソンまたはナルトレキソンの投与を含む、請求項18~23いずれか記載の方法。
【請求項25】
中枢神経系障害の治療または予防のための医薬の製造における、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、請求項1~16いずれか記載の化合物、または遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、請求項17記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年12月21日出願の米国仮出願第62/783,618号(その内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に基づく優先権およびその利益を主張する国際出願である。
【0002】
技術分野
本発明は、本明細書に記載の遊離形態、固体形態、医薬的に許容される塩形態および/または実質的に純粋な形態の特定の置換複素環縮合γ-カルボリン、その医薬組成物、および、5-HT2A受容体、セロトニントランスポーター(SERT)、ドパミンD1および/またはD2受容体シグナル伝達系に関連する経路、ならびに/またはμ-オピオイド受容体に関連する疾患、例えば、不安、精神病、統合失調症、睡眠障害、性障害、片頭痛、疼痛に関連する状態(頭痛、神経障害性疼痛を含み、急性鎮痛薬として)、線維筋痛症、慢性疲労、社会恐怖症、胃腸管運動の機能不全のような胃腸障害、および肥満;うつ病および気分障害、例えば精神病もしくはパーキンソン病に関連するもの;精神病、例えば、うつ病に関連する統合失調症;双極性障害;薬物依存、例えば、オピエート依存およびアルコール依存、薬物離脱症状;強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)、および関連障害;および他の精神医学的および神経学的状態などの疾患または障害の治療における使用方法、ならびに、他の薬剤との組合せに関する。いくつかの実施態様では、該疾患または障害は、治療抵抗性うつ病、コカイン依存および/またはアンフェタミン依存、オピオイド使用障害、ならびにオピオイド離脱の症状を含み得る。
【背景技術】
【0003】
置換複素環縮合γ-カルボリンは、中枢神経系障害の治療において5-HT2受容体、特に5-HT2A受容体のアゴニストまたはアンタゴニストであることが知られている。これらの化合物は、米国特許第6,548,493号;米国特許第7,238,690号;米国特許第6,552,017号;米国特許第6,713,471号;米国特許第7,183,282号;米国再発行特許発明第39680号、および米国再発行特許発明第39679号に、5-HT2A受容体調節に関連する障害、例えば肥満、不安、うつ病、精神病、統合失調症、睡眠障害、性障害、片頭痛、頭痛に関連する状態、社会恐怖症、胃腸管運動の機能不全のような胃腸障害、および肥満の治療に有用な新規化合物として開示されている。米国特許第8,309,722号および米国特許第7,081,455もまた、置換複素環縮合γ-カルボリンの製造方法、ならびに嗜癖行動および睡眠障害などの中枢神経系障害の制御および予防に有用なセロトニンアゴニストおよびアンタゴニストとしてのこれらγ-カルボリンの使用を開示している。
【0004】
また、米国特許第8,598,119号は、精神病とうつ病性障害の合併症、ならびに精神病またはパーキンソン病の患者における睡眠障害、うつ病性障害および/または気分障害の治療のための特定の置換複素環縮合γ-カルボリンの使用を開示している。精神病および/またはうつ病に関連する障害に加えて、この特許出願は、ドパミンD2受容体に影響を与えることなくまたは最小限の影響を与えることなく5-HT2A受容体に選択的に拮抗し、これにより高い占有率のドパミンD2経路に関連する副作用または慣用の催眠鎮静剤(例えば、ベンゾジアゼピン)に関連する他の経路(例えばGABAA受容体)の副作用(薬物依存、筋緊張低下、脱力、頭痛、かすみ目、回転性めまい、悪心、嘔吐、心窩部苦悶、下痢、関節痛および胸部痛の発症を含むがこれらに限定されない)を伴わずに睡眠障害の治療に有用な、これら化合物の低用量での使用を開示およびクレームしている。米国特許第8,648,077号もまた、これら置換複素環縮合γ-カルボリンのトルエンスルホン酸付加塩結晶の製造方法を開示している。
【0005】
また、最近の証拠は、上記置換縮合複素環γ-カルボリンが、ケタミンと同様に、mTOR1シグナル伝達を介したNMDA受容体拮抗作用によって部分的に機能し得ることを示している。ケタミンは、選択的NMDA受容体アンタゴニストである。ケタミンは、一般的な心因性モノアミン(セロトニン、ノルエピネフリンおよびドパミン)と関連しないシステムによって作用し、これはその極めて迅速な効果の主な理由である。ケタミンは、シナプス外グルタミン酸作動性NMDA受容体に直接拮抗し、これはまた、AMPA型グルタミン酸受容体の活性化を間接的にもたらす。下流効果は、脳由来神経栄養因子(BDNF)およびmTORC1キナーゼ経路が関与している。ケタミンと同様に、最近の証拠は、本開示の化合物と関連する化合物が、D1受容体の活性化によりラット内側前頭前皮質錐体ニューロンのNMDA誘発電流およびAMPA誘発電流の両方を増加させること、およびこれがmTORC1シグナル伝達の増加に関連することを示唆する。国際出願PCT/US2018/043100は、特定の置換縮合複素環γ-カルボリンに対するそのような効果、およびそれに関連する有用な治療適応症を開示している。
【0006】
米国特許出願公開第2017/319580号は、上記の刊行物に開示されている化合物の新規オキソ代謝物を開示している。これらの新しいオキソ代謝物は、セロトニン受容体阻害、SERT阻害およびドパミン受容体調節を含む親化合物のユニークな薬理活性の多くを保持している。しかしながら、これらのオキソ代謝物は、予想外に、μ-オピエート受容体でも有意な活性を示すことが分かった。これらの新規化合物のアナログは、例えば、国際出願公開第2018/126140号および国際出願公開第2018/126143号にも開示されている。
【0007】
例えば以下に示される式Aで示される化合物は、強力なセロトニン5-HT
2A受容体アンタゴニストおよびμ-オピエート受容体部分アゴニストまたはバイアスアゴニストである。この化合物はまた、ドパミン受容体、特にドパミンD
1受容体と相互作用する。
【化1】
式Aの化合物は、そのD
1受容体活性を介して、mTOR経路を介したNMDA媒介シグナル伝達およびAMPA媒介シグナル伝達も増強し得るとも考えられる。したがって、式Aの化合物は、中枢神経系障害の治療または予防に有用であるが、当該技術分野では、このユニークな生化学的および薬理学的プロファイルを有するさらなる化合物、特に式Aの化合物と比較して薬理学的または薬物動態学的プロファイルが微妙に変化している可能性のあるものが必要とされている。
【0008】
強迫性障害(OCD)および関連障害は、非常に蔓延してきており、治療が困難である。OCDは、人々の約2.3%が生涯のある時点で発症すると推定され、ある年の間に、世界中の人々の1.2%が該障害に罹患していると推定される。OCDに罹患している人々の半分は、20歳より前に症状を示し始め、これは、適切で効果的な教育を受ける能力に深刻な影響を及ぼし得る。しかしながら、効果的な治療がなければ、該疾患は数十年持続し得る。薬理的OCD治療の中心となるものは、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)によるものである。第2の治療法は、クロミプラミン、リスペリドン、クエチアピンおよびオランザピンなどの抗精神病薬によるものである。かなりの数の患者が、これらの薬物に反応しないか、またはこれらの薬物により引き起こされる副作用に対処できない。さらに最近では、オピオイド鎮痛薬であるトラマドールがOCDの治療に有効であり得ることが報告されている。オピエートは、従来のOCD治療薬と全く異なる経路により機能し、それ故に従来のセロトニン性薬物を服用できないかまたはこれらの薬物が有効でない人に治療の可能性を提供する。しかしながら、強力なオピエート薬は耽溺性があり得、その使用は一部の患者では禁忌となり得る。したがって、依然として、疼痛、OCDおよび他の障害の新しい治療法が緊急に必要である。
【0009】
オピエート使用障害(OUD)などの薬物依存障害は、治療成功が困難である障害の別群である。米国ではオピオイド過剰摂取によって毎日約100人の命が奪われており、オピオイドの流行は米国で拡大し続けている。メサドン、ブプレノルフィンおよびナルトレキソンは、OUDの治療で最も頻繁に用いられている。メサドンは、μ-オピオイド受容体(MOP)アゴニストであり、ブプレノルフィンは、MOP部分アゴニストであり、ナルトレキソンは、MOPアンタゴニストである。これらの薬物はいずれも限られた成功しか収めておらず、OUDのために処方される治療法に対する長期アドヒアランスは低いままである。また、これらの治療は、OUDに関連する一般的な併存疾患、例えば気分障害および不安障害を悪化させることが多く、これはさらに寛解のリスクを増加させる。急激なオピオイド乱用離脱(すなわち、「コールドターキー(cold turkey)」になること)はまた、不快気分、抑うつおよび不安を含む重度の副作用に関連しており、一般的な治療薬は、これらの問題に対処しておらず、悪化させ得る。したがって、OUD治療の改善が緊急に必要である。
【発明の概要】
【0010】
簡単な概要
第1の態様では、本開示は、遊離形態または塩形態(例えば、薬学的に許容される塩形態)、例えば単離または精製された遊離形態または塩形態(例えば、薬学的に許容される塩形態)の、式I:
【化2】
[式中、
R
1は、H、C
1-6アルキル、-C(O)-O-C(R
a)(R
b)(R
c)、-C(O)-O-CH
2-O-C(R
a)(R
b)(R
c)または-C(R
6)(R
7)-O-C(O)-R
8であり;
R
2およびR
3は、独立して、H、D、C
1-6アルキル(例えば、メチル)、C
1-6アルコキシ(例えば、メトキシ)、ハロ(例えば、F)、シアノまたはヒドロキシから選択されるか;または
R
2およびR
3ならびにそれらが結合している炭素は、集合的に-CH
2CH
2-基を形成するか、または
R
2およびR
3ならびにそれらが結合している炭素は存在せず;
Lは、は、C
1-6アルキレン(例えば、エチレン、プロピレンまたはブチレン)、C
1-6アルコキシ(例えば、プロポキシまたはブトキシ)、C
2-3アルコキシC
1-3アルキレン(例えば、CH
2CH
2OCH
2)、C
1-6アルキルアミノまたはN-C
1-6アルキル C
1-6アルキルアミノ(例えば、プロピルアミノまたはN-メチルプロピルアミノ)、C
1-6アルキルチオ(例えば、-CH
2CH
2CH
2S-)、C
1-6アルキルスルホニル(例えば、-CH
2CH
2CH
2S(O)
2-)であり、これらはいずれも1個以上のR
4部分で置換されていてもよく;
各R
4は、独立して、C
1-6アルキル(例えば、メチル)、C
1-6アルコキシ(例えば、メトキシ)、ハロ(例えば、F)、シアノまたはヒドロキシから選択され;
Zは、アリール(例えば、フェニル)およびヘテロアリール(例えば、ピリジル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル)から選択され、ここで、該アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のR
4部分で置換されていてもよく;
R
8は、-C(R
a)(R
b)(R
c)、-O-C(R
a)(R
b)(R
c)、または-N(R
d)(R
e)であり;
R
a、R
bおよびR
cは、各々独立して、HまたはC
1-24アルキルから選択され;
R
dおよびR
eは、各々独立して、HおよびC
1-24アルキルから選択され;
R
6およびR
7は、各々独立して、H、C
1-6アルキル、カルボキシおよびC
1-6アルコキシカルボニルから選択される;
ただし、L-Z部分は、1-(4-(4-フルオロフェニル)-4-オキソブチル)、1-(4-(4-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシブチル、または1-(4-フルオロ-1-フェノキシ)プロピル)ではない]
で示される化合物(化合物I)に関する。
【0011】
本開示は、下記のものを包含する、遊離形態または塩形態(例えば、薬学的に許容される塩形態)、例えば単離または精製された遊離形態または塩形態(例えば、薬学的に許容される塩形態)の、式Iの化合物のさらなる例示的実施態様を提供する:
【0012】
1.1 R1がHである、化合物I;
【0013】
1.2 R1が、C1-6アルキル、例えば、メチルである、化合物I;
【0014】
1.3 R1が-C(O)-O-C(Ra)(Rb)(Rc)である、化合物I;
【0015】
1.4 RaがHであり、RbおよびRcが、各々独立して、C1-24アルキル、例えば、C1-20アルキル、C5-20アルキル、C9-18アルキル、C10-16アルキル、または、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、C15アルキルもしくはC16アルキルから選択される、化合物1.3;
【0016】
1.5 RaおよびRbがHであり、Rcが、C1-24アルキル、例えば、C1-20アルキル、C5-20アルキル、C9-18アルキル、C10-16アルキル、または、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、C15アルキルもしくはC16アルキルである、化合物1.3;
【0017】
1.6 Ra、RbおよびRcが、各々独立して、C1-24アルキル、例えば、C1-20アルキル、C5-20アルキル、C9-18アルキル、C10-16アルキル、または、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、C15アルキルもしくはC16アルキルから選択される、化合物1.3;
【0018】
1.7 Ra、RbおよびRcが各々Hである、化合物1.3;
【0019】
1.8 RaおよびRbがHであり、Rcが、C10-14アルキルである(例えば、Rcが、CH3(CH2)10またはCH3(CH2)14である)、化合物1.3;
【0020】
1.9 R1が、-C(O)-O-CH2-O-C(Ra)(Rb)(Rc)である、化合物I;
【0021】
1.10 RaがHであり、RbおよびRcが、各々独立して、C1-24アルキル、例えば、C1-20アルキル、C5-20アルキル、C9-18アルキル、C10-16アルキル、または、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、C15アルキルもしくはC16アルキルから選択される、化合物1.9;
【0022】
1.11 RaおよびRbがHであり、RcがC1-24アルキル、例えば、C1-20アルキル、C5-20アルキル、C9-18アルキル、C10-16アルキル、または、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、C15アルキルもしくはC16アルキルである、化合物1.9;
【0023】
1.12 Ra、RbおよびRcが、各々独立して、C1-24アルキル、例えば、C1-20アルキル、C5-20アルキル、C9-18アルキル、C10-16アルキル、または、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、C15アルキルもしくはC16アルキルから選択される、化合物1.9;
【0024】
1.13 Ra、RbおよびRcが各々Hである、化合物1.9;
【0025】
1.14 R1が-C(R6)(R7)-O-C(O)-R8であり、R8が-C(Ra)(Rb)(Rc)である、化合物I;
【0026】
1.15 R1が-C(R6)(R7)-O-C(O)-R8であり、R8が-O-C(Ra)(Rb)(Rc)である、化合物I;
【0027】
1.16 RaがHであり、RbおよびRcが、各々独立して、C1-24アルキル、例えば、C1-20アルキル、C5-20アルキル、C9-18アルキル、C10-16アルキル、または、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、C15アルキルもしくはC16アルキルから選択される、化合物1.14または1.15;
【0028】
1.17 RaおよびRbがHであり、Rcが、C1-24アルキル、例えば、C1-20アルキル、C5-20アルキル、C9-18アルキル、C10-16アルキル、または、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、C15アルキルもしくはC16アルキルである、化合物1.14または1.15;
【0029】
1.18 Ra、RbおよびRcが、各々独立して、C1-24アルキル、例えば、C1-20アルキル、C5-20アルキル、C9-18アルキル、C10-16アルキル、または、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、C15アルキルもしくはC16アルキルから選択される、化合物1.14または1.15;
【0030】
1.19 Ra、RbおよびRcが各々Hである、化合物1.14または1.15;
【0031】
1.20 R6がHであり、R7がC1-3アルキルであり(例えば、R7がメチルまたはイソプロピルであり)、R8がC10-14アルキルである(例えば、R8がCH3(CH2)10またはCH3(CH2)14である)、化合物1.14~1.19のいずれか;
【0032】
1.21 R1が-C(R6)(R7)-O-C(O)-R8であり、R8が-N(Rd)(Re)である、化合物I;
【0033】
1.22 RdがHであり、Reが、独立して、C1-24アルキル、例えば、C1-20アルキル、C5-20アルキル、C9-18アルキル、C10-16アルキル、または、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、C15アルキルもしくはC16アルキルから選択される、化合物1.21;
【0034】
1.23 RdおよびReが、各々独立して、C1-24アルキル、例えば、C1-20アルキル、C5-20アルキル、C9-18アルキル、C10-16アルキル、または、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、C15アルキルもしくはC16アルキルから選択される、化合物1.21;
【0035】
1.24 RdおよびReが各々Hである、化合物1.21;
【0036】
1.25 R6がHであり、R7がHである、化合物1.14~1.24のいずれか;
【0037】
1.26 R6がC1-6アルキルであり、R7がC1-6アルキルである、化合物1.14~1.24のいずれか;
【0038】
1.27 R6がHであり、R7がC1-6アルキルである、化合物1.14~1.24のいずれか;
【0039】
1.28 R6がHであり、R7がカルボキシである、化合物1.14~1.24のいずれか;
【0040】
1.29 R6がHであり、R7がC1-6アルコキシカルボニル、例えば、エトキシカルボニルまたはメトキシカルボニルである、化合物1.14~1.24のいずれか;
【0041】
1.30 R2およびR3がHである、化合物I、または化合物1.1~1.29のいずれか;
【0042】
1.31 R2がHであり、R3がDである、化合物I、または化合物1.1~1.29のいずれか;
【0043】
1.32 R2およびR3がDである、化合物I、または化合物1.1~1.29のいずれか;
【0044】
1.33 Lが、1個以上のR4部分で置換されていてもよい、C1-6アルキレン(例えば、エチレン、プロピレンまたはブチレン)、C1-6アルコキシ(例えば、プロポキシ)、C2-3アルコキシC1-3アルキレン(例えば、CH2CH2OCH2)、C1-6アルキルアミノ(例えば、プロピルアミノまたはN-メチルプロピルアミノ)、またはC1-6アルキルチオ(例えば、-CH2CH2CH2S-)である、化合物I、または化合物1.1~1.32のいずれか;
【0045】
1.34 Lが非置換C1-6アルキレン(例えば、エチレン、プロピレンまたはブチレン)である、化合物1.33;
【0046】
1.35 Lが、1個以上のR4部分で置換されている、C1-6アルキレン(例えば、エチレン、プロピレンまたはブチレン)である、化合物1.33;
【0047】
1.36 Lが、非置換C1-6アルコキシ(例えば、プロポキシまたはブトキシ)である、化合物1.33;
【0048】
1.37 Lが、1個以上のR4部分で置換されている、C1-6アルコキシ(例えば、プロポキシまたはブトキシ)である、化合物1.33;
【0049】
1.38 Lが非置換C2-3アルコキシC1-3アルキレン(例えば、CH2CH2OCH2)である、化合物1.33;
【0050】
1.39 Lが、1個以上のR4部分で置換されている、C2-3アルコキシC1-3アルキレン(例えば、CH2CH2OCH2)である、化合物1.33;
【0051】
1.40 R1、R2およびR3が各々Hである、化合物I、または化合物1.1~1.39のいずれか;
【0052】
1.41 Lが-(CH2)n-X-であり、ここで、nが、2、3および4から選択される整数であり、Xが、-O-、-S-、-NH-、-N(C1-6アルキル)-、およびCH2から選択される、化合物I、または化合物1.1~1.40のいずれか;
【0053】
1.42 Lが-(CH2)n-X-であり、ここで、nが、2、3および4から選択される整数であり、Xが-O-である、化合物1.41;
【0054】
1.43 Lが-(CH2)n-X-であり、ここで、nが3であり、Xが、-O-、-S-、-NH-および-N(C1-6アルキル)-(例えば、-N(CH3)-)から選択される、化合物1.41;
【0055】
1.44 Lが-(CH2)n-X-であり、ここで、nが3であり、XがCH2である、化合物1.41;
【0056】
1.45 Zが、1個以上のR4部分で置換されていてもよい、アリール(例えば、フェニル)である、化合物I、または化合物1.1~1.44のいずれか;
【0057】
1.46 Zが、1個以上のR4部分で置換されている、アリール(例えば、フェニル)である、化合物1.45;
【0058】
1.47 Zが、1個、2個、3個または4個のR4部分で置換されているフェニルである、化合物1.46;
【0059】
1.48 1個、2個、3個または4個のR4部分が、独立して、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)およびシアノから選択される、化合物1.46;
【0060】
1.49 Zが、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)およびシアノから選択される1個のR4部分で置換されているフェニルである(例えば、Zが4-フルオロフェニル、または4-クロロフェニル、または4-シアノフェニルである)、化合物1.46;
【0061】
1.50 Zが、1個以上のR4部分で置換されていてもよい、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル)である、化合物I、または化合物1.1~1.44のいずれか;
【0062】
1.51 該ヘテロアリールが、単環式5員または6員ヘテロアリール(例えば、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、チオフェニル、ピロリル、チオフェニル、フラニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル)である、化合物1.50;
【0063】
1.52 該ヘテロアリールが、ピリジル、ピリミジニルおよびピラジニルから選択される、化合物1.51;
【0064】
1.53 該ヘテロアリールが、二環式9員または10員ヘテロアリール(例えば、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾジオキソリル、2-オキソ-テトラヒドロキノリニル)である、化合物1.50;
【0065】
1.54 該ヘテロアリールが、インダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、キノリニル、ベンゾジオキソリル、および2-オキソ-テトラヒドロキノリニルから選択される、化合物1.53;
【0066】
1.55 該ヘテロアリールが、インダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、およびキノリニルから選択される、化合物1.53;
【0067】
1.56 該ヘテロアリールが1個、2個、3個または4個のR4部分で置換されている、化合物1.50~1.55のいずれか;
【0068】
1.57 1個、2個、3個または4個のR4部分が、独立して、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)、シアノ、ヒドロキシ、またはC1-6アルコキシ(例えば、メトキシ)から選択される、化合物1.56;
【0069】
1.58 該ヘテロアリールが、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)およびシアノから選択される1個のR4部分で置換されているものである(例えば、該ヘテロアリールが、6-フルオロ-3-インダゾリル、6-クロロ-3-インダゾリル、6-フルオロ-3-ベンゾイソオキサゾリル、または5-クロロ-3-ベンゾイソオキサゾリルである)、化合物1.56または1.57;
【0070】
1.59 R
2およびR
3ならびにそれらが結合している炭素が集合的に-CH
2CH
2-基を形成する、例えば、化合物Iが、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、式:
【化3】
で示される化合物である、化合物I、または化合物1.1~1.58のいずれか;
【0071】
1.60 R
2およびR
3ならびにそれらが結合している炭素が存在しない、例えば、化合物Iが、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、式:
【化4】
で示される化合物である、化合物I、または化合物1.1~1.58のいずれか;
【0072】
1.61 化合物が、各々独立して遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、
【化5】
からなる群から選択される、化合物I、または化合物1.1~1.60のいずれか;
【0073】
1.62 化合物が、各々独立して遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、
【化6】
からなる群から選択される、化合物I、または化合物1.1~1.60のいずれか;
【0074】
1.63 化合物が、各々独立して遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、
【化7】
からなる群から選択される、化合物I、または化合物1.1~1.60のいずれか;
【0075】
1.64 化合物が、各々独立して遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、
【化8】
からなる群から選択される、化合物I、または化合物1.1~1.60のいずれか;
【0076】
1.65 化合物が、各々独立して遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、
【化9】
からなる群から選択される、化合物I、または化合物1.1~1.60のいずれか;
【0077】
1.66 遊離形態である、化合物I、または化合物1.1~1.65のいずれか;
【0078】
1.67 塩形態、例えば、薬学的に許容される塩形態である、化合物I、または化合物1.1~1.65のいずれか;
【0079】
1.68 化合物が、酸付加塩形態、例えば、塩酸塩形態またはトルエンスルホン酸塩形態である、化合物I、または化合物1.1~1.65のいずれか;
【0080】
1.69 実質的に純粋なジアステレオマー形態の(すなわち、他のジアステレオマーを実質的に含まない)、化合物I、または化合物1.1~1.68のいずれか;
【0081】
1.70 ジアステレオマー過剰率が70%を超え、好ましくは80%を超え、より好ましくは90%を超え、および最も好ましくは95%を超える、化合物I、または化合物1.1~1.68のいずれか;
【0082】
1.71 固体形態、例えば結晶形態である、化合物I、または化合物1.1~1.70のいずれか;
【0083】
1.72 単離または精製された形態(例えば、少なくとも90%純粋な形態、または少なくとも95%純粋な形態または少なくとも98%純粋な形態または少なくとも99%純粋な形態)である、化合物I、または化合物1.1~1.71のいずれか;
【0084】
1.73 L-Z部分が3-(ピリジン-4-イルオキシ)プロピルである場合にR1がHまたはCH3である化合物を含まない、化合物I、または化合物1.1~1.72のいずれか;
【0085】
1.74 L-Z部分が3-(6-フルオロベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)プロピル、3-(6-フルオロ-1H-インダゾール-3-イル)プロピル、3-(イソオキサゾロ[5,4-c]ピリジン-3-イル)プロピル、または3-(1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-3-イル)プロピルである場合にR1がHまたはCH3である化合物を含まない、化合物I、または化合物1.1~1.72のいずれか。
【0086】
上記のとおり、本開示のいくつかの実施態様、特に化合物Iのいくつかの実施態様および医薬組成物Iのいくつかの実施態様では、該実施態様は、
R
1がHまたはCH
3であり;
L-Zが、
【化10】
から選択される、
化合物を含まない。
特に方法1(以下に記載する)の実施態様を含む、本開示のいくつかの実施態様では、上記化合物は実施態様の範囲内に含まれる。
【0087】
第2の態様では、本開示は、例えば薬学的に許容される希釈剤または担体と混合して、式Iの化合物または1.1~1.74のうち1つの化合物を含む、医薬組成物(医薬組成物1)を提供する。特定の実施態様では、式Iの化合物または1.1~1.74のいずれかは薬学的に許容される塩形態である。
【0088】
さらなる実施態様では、本開示の医薬組成物は、持続放出性または遅延放出性製剤(医薬組成物1-A)、例えば、デポ製剤のためである。いくつかの実施態様では、式Iの化合物または1.1~1.74のいずれかは、好ましくは遊離形態または薬学的に許容される塩形態で、薬学的に許容される希釈剤または担体と混合して、化合物の持続放出または遅延放出を提供する注射用デポの剤形で、提供される。
【0089】
特定の実施態様では、医薬組成物1-Aは、結晶形態であってもよい、遊離塩基または薬学的に許容される塩形態の、化合物Iまたは1.1~1.74のいずれか1つの化合物を含み、該化合物は、マイクロ粒子径またはナノ粒子径、例えば、0.5~100ミクロン、例えば、5~30ミクロン、10~20ミクロン、20~100ミクロン、20~50ミクロンまたは30~50ミクロンの従量式粒子径(例えば、直径またはDv50)を有する粒子または結晶に粉砕されているか結晶化されている。このような粒子または結晶は、適切な薬学的に許容される希釈剤または担体、例えば水と組み合わせて、注射用デポ製剤を形成することができる。例えば、デポ製剤は、4~6週間の治療に適した用量の薬物を用いて筋肉注射または皮下注射に製剤化され得る。いくつかの実施態様では、粒子または結晶は、表面積が0.1~5m2/g、例えば、0.5~3.3m2/g、または0.8~1.2m2/gである。
【0090】
別の実施態様では、本開示は、式I以降の化合物がポリマーマトリックス中にある医薬組成物1である、医薬組成物1-Bを提供する。一の実施態様では、本開示の化合物は、ポリマーマトリックス内に分散または溶解されている。さらなる実施態様では、ポリマーマトリックスは、デポ製剤に用いられる標準的なポリマー、例えば、ヒドロキシ脂肪酸のポリエステルまたはその誘導体から選択されるポリマー、またはアルキルα-シアノアクリレートのポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリオルト-カーボネート、ポリアミノ酸、ヒアルロン酸エステル、およびこれらの混合物を含む。さらなる実施態様では、ポリマーは、ポリラクチド、ポリd,l-ラクチド、ポリグリコリド、PLGA50:50ポリマー、PLGA85:15ポリマーおよびPLGA90:10ポリマーからなる群より選択される。別の実施態様では、ポリマーは、ポリ(グリコール酸)、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-乳酸、前記の共重合体、ポリ(脂肪族カルボン酸)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(アセタール)、ポリ(乳酸-カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸-カプロラクトン)、ポリ無水物、および天然ポリマー、例えばアルブミン、カゼイン、およびワックス、例えばグリセロールモノおよびジステアレートなどから選択される。好ましい実施態様では、ポリマーマトリックスは、ポリ(d,l-ラクチド-コ-グリコリド)を含む。
【0091】
医薬組成物1-Bは、持続放出または遅延放出に特に有用であり、ここで、本開示の化合物は、ポリマーマトリックスの分解時に放出される。これらの組成物は、最大180日間、例えば約14日間~約30日間~約180日間にわたる本開示の化合物の制御放出および/または持続放出のために(例えばデポ組成物として)製剤化され得る。例えば、ポリマーマトリックスは、約30日間、約60日間または約90日間にわたって本開示の化合物を分解および放出し得る。別の例では、ポリマーマトリックスは、約120日間または約180日間にわたって本開示の化合物を分解および放出し得る。
【0092】
さらに別の実施態様では、医薬組成物1または1-Aまたは1-Bは、例えば滅菌水溶液として、注射による投与のために製剤化され得る。
【0093】
別の実施態様では、本開示は、米国特許出願公開第2001/0036472号および米国特許出願公開第2009/0202631号(これら各出願の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に記載されている浸透圧放出制御経口送達システム(OROS)において上記式Iの化合物以降を含む医薬組成物(医薬組成物1-C)を提供する。したがって、一の実施態様では、本開示は、(a)薬学的に許容される希釈剤または担体と混合していてもよい、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、式I以降のいずれかの化合物を含有するゼラチンカプセル;(b)カプセルから外側へ向かう順序で、(i)バリア層、(ii)膨張層および(iii)半透過層を含む、ゼラチンカプセル上に重ねられた多層壁;および(c)および該壁を通って形成されているかまたは形成可能なオリフィスを含む、医薬組成物またはデバイス(医薬組成物P.1)を提供する。
【0094】
別の実施態様では、本発明は、薬学的に許容される希釈剤または担体と混合していてもよい、液体、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式I以降の化合物を含有するゼラチンカプセルを含む医薬組成物であって、該ゼラチンカプセルが、ゼラチンカプセルの外表面に接触しているバリア層、バリア層に接触している膨張層、膨張層を包含する半透過層、および壁に形成されているかまたは形成可能な出口オリフィスを含む複合壁によって囲まれている、医薬組成物(医薬組成物P.2)を提供する。
【0095】
さらに別の実施態様では、本発明は、液体、薬学的に許容される希釈剤または担体と混合していてもよい、液体、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式I以降の化合物を含有するゼラチンカプセルを含む医薬組成物であって、該ゼラチンカプセルが、ゼラチンカプセルの外表面に接触しているバリア層、バリア層に接触している膨張層、膨張層を包含する半透過層、および壁に形成されているかまたは形成可能な出口オリフィスを含む複合壁によって囲まれており、該バリア層が膨張層と出口オリフィスでの環境との間にシールを形成する、医薬組成物(医薬組成物P.3)を提供する。
【0096】
さらに別の実施態様では、本発明は、液体、薬学的に許容される希釈剤または担体と混合していてもよい、液体、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式I以降の化合物を含有するゼラチンカプセルを含む医薬組成物であって、該ゼラチンカプセルが、ゼラチンカプセルの外表面に接触しているバリア層、バリア層の一部に接触している膨張層、少なくとも膨張層を包含する半透過層、およびゼラチンカプセルの外表面から使用環境まで延びている投与剤形に形成されているかまたは形成可能な出口オリフィスによって囲まれている、医薬組成物(医薬組成物P.4)を提供する。膨張層は、1つ以上の個別のセクション、例えばゼラチンカプセルの対向する側部または端部に位置する2つのセクションに形成され得る。
【0097】
特定の実施態様では、浸透圧放出制御経口送達システム(すなわち、組成物P.1~P.4)中の本開示の化合物は液体製剤中にあり、ここで、該製剤は、純粋な液体活性剤、または、溶液、懸濁液、エマルションもしくは自己乳化組成物中の液体活性剤、または同類のものであり得る。
【0098】
ゼラチンカプセル、バリア層、膨張層、半透過層;およびオリフィスの特徴を含む浸透圧放出制御経口送達システム組成物の更なる情報は、米国特許出願公開第2001/0036472号(その内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に見ることができる。
【0099】
本開示の式I以降の化合物または医薬組成物のための他の浸透圧放出制御経口送達システムは、米国特許出願公開第2009/0202631号(その内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に見ることができる。したがって、別の実施態様では、本発明は、(a)第1層および第2層を含む2つ以上の層であって、該第1層が、薬学的に許容される希釈剤または担体と混合していてもよい、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式I以降の化合物を含み、該第2層がポリマーを含む、2つ以上の層;(b)この2つ以上の層を囲む外壁;および(c)該外壁におけるオリフィスを含む、組成物またはデバイス(医薬組成物P.5)を提供する。
【0100】
医薬組成物P.5は、好ましくは、三層コアを囲む半透膜を利用し;これらの実施態様では、第1層は、第1薬物層と称され、少量の薬物(例えば、式I以降の化合物)および塩などの浸透圧調整剤を含有し、第2薬物層と称される中間層は、多量の薬物および賦形剤を含有し、塩を含有せず、プッシュ層と称される第3層は、浸透圧調整剤を含有し、薬物を含有しない(医薬組成物P.6)。少なくとも1つのオリフィスは、カプセル型錠剤の第1薬物層端部の膜を通して穿孔される。
【0101】
医薬組成物P.5またはP.6は、区画を画定する膜であって、該膜が内部保護サブコート、そこに形成されているかまたは形成可能な少なくとも1つの出口オリフィスおよび半透過性の膜の少なくとも一部を囲む膜;出口オリフィス遠く離れた区画内に位置する膨張層であって、膜の半透過性部分と流体連結している膨張層;出口オリフィスと隣接して位置する第1薬物層;および第1薬物層と膨張層との間にある区画内に位置する第2薬物層を含み得、これらの薬物層が遊離またはその薬学的に許容される塩の本発明の化合物を含むものである(医薬組成物P.7)。第1薬物層および第2薬物層の相対粘度に応じて、異なる放出プロファイルが得られる。各層の最適な粘度を同定するのは必須である。本発明において、粘度は、塩、塩化ナトリウムの添加によって調節される。コアからの送達プロファイルは、各薬物層の重量、処方、厚さに依存する。
【0102】
特定の実施態様では、本発明は、第1薬物層が塩を含み、第2薬物層が塩を含まない、医薬組成物P.7を提供する。医薬組成物P.5~P.7は、所望により、膜と薬物層との間に流動促進層を含み得る。
【0103】
医薬組成物P.1~P.7は、一般的に、浸透圧放出制御経口送達システム組成物と称される。
【0104】
第3の態様では、本発明は、中枢神経系障害の治療または予防方法であって、それを必要とする患者に、式I以降の化合物、または医薬組成物1、1-A、1-B、1-C、もしくはP.1~P.7のいずれかを投与することを含む方法(方法1)を提供する。特定の実施態様では、方法1は、
1.1 遊離形態の、化合物I、または1.1~1.74のいずれか;
1.2 薬学的に許容される塩形態の、化合物I、または1.1~1.74のいずれか;
1.3 酸付加塩形態の、化合物I、または1.1~1.74のいずれか;
1.4 医薬組成物1;
1.5 医薬組成物1-A、1-Bまたは1-Cのいずれか;
1.6 医薬組成物P.1~P.7のいずれか;または
1.7 上記の浸透圧放出制御経口送達システム組成物のいずれか
を投与することを含む。
【0105】
第3の態様のさらなる実施態様では、本開示は、以下のような、方法1のさらなる実施態様を提供する:
【0106】
1.8 中枢神経系障害が、肥満、不安(全般性不安、社会不安、およびパニック症が挙げられる)、うつ病(例えば、難治性うつ病およびMDD)、精神病(認知症に関連する精神病、例えば進行性パーキンソン病における幻覚、または偏執性妄想が挙げられる)、統合失調症、睡眠障害(特に、統合失調症ならびに他の精神および神経疾患に関連する睡眠障害)、性障害、片頭痛、疼痛および疼痛に関連する状態、例えば頭痛、特発性疼痛、慢性疼痛(例えば、例えば他の病気で24時間の延長治療が必要な患者における、中等度~中重度の慢性疼痛)、神経障害性疼痛、歯痛、線維筋痛症、慢性疲労、広場恐怖症、社会恐怖症、認知症における激越(例えば、アルツハイマー病における激越)、自閉症および関連自閉症性障害における激越、胃腸障害、例えば胃腸管運動の機能不全、および認知症、例えばアルツハイマー病またはパーキンソン病の認知症;気分障害;薬物依存、例えば、オピエート依存および/またはアルコール依存、および薬物またはアルコール依存(例えば、オピエート依存)からの離脱;オピエート過剰摂取;薬物依存に関連する併存疾患、例えばうつ病、不安および精神病;過食性障害;および強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)および関連障害;またはオピエート使用障害(OUD)からなる群から選択される障害である、方法1、または方法1.1~1.7のいずれか;
【0107】
1.9 中枢神経系障害が、米国特許出願公開第2011/071080号(この内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に同様に記載される、セロトニン5-HT2A、ドパミンD1および/またはD2受容体系および/またはセロトニン再取り込みトランスポーター(SERT)経路に関連する障害である、方法1、または方法1.1~1.8のいずれか;
【0108】
1.10 中枢神経系障害が、μ-オピオイド受容体に関連する障害である、方法1、または方法1.1~1.9のいずれか;
【0109】
1.11 中枢神経系障害が、(i)うつ病に罹患している患者における精神病、例えば統合失調症;(2)精神病、例えば統合失調症に罹患している患者におけるうつ病;(3)精神病および/または薬物依存、例えば統合失調症、またはパーキンソン病に関連している気分障害;(4)精神病、例えば統合失調症、またはパーキンソン病に関連している睡眠障害;および(5)物質嗜癖、物質使用障害および/または物質誘発障害から選択される障害であり、所望により、患者が不安または不安障害の残遺症状に罹患しており;所望により、うつ病が治療抵抗性うつ病である、方法1、または方法1.1~1.10のいずれか;
【0110】
1.12 中枢神経系障害が精神病、例えば統合失調症であり、患者がうつ病に罹患している患者である、方法1、または方法1.1~1.11のいずれか;
【0111】
1.13 患者が、慣用の抗精神病薬、例えばクロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、ブレクスピペラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンおよびジプラシドンの副作用に耐えることができない、方法1、または方法1.1~1.12のいずれか;
【0112】
1.14 患者が、非麻薬性鎮痛剤および/またはオピエートおよびオピオイド薬の副作用に耐えることができないか、または、オピエート薬の使用が、例えば以前の物質乱用または高い物質乱用可能性のため、該患者において禁忌となり、例えばオピエートおよびオピオイド薬が、例えばモルヒネ、コデイン、テバイン、オリパビン、ジプロピオン酸モルヒネ、ジニコチン酸モルヒネ、ジヒドロコデイン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、オキシモルフォン、フェンタニル、α-メチルフェンタンチル(alpha-methylfentantyl)、アルフェンタニル、トレファンチニル、ブリフェンタニル、レミフェンタニル、オクトフェンタニル、スフェンタニル、カルフェンタニル、メペリジン、プロジン、プロメドール、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メサドン、ジフェノキシレート、デゾシン、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、レボメトルファン、トラマドール、タペンタドールおよびアニレリジン、またはそれらの組み合わせを含む、方法1、または方法1.1~1.13のいずれか;
【0113】
1.15 患者が、慣用の抗精神病薬、例えば、ハロペリドール、ブレクスピペラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、アリピプラゾール、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンおよびジプラシドンの副作用に耐えることができない、方法1、または方法1.1~1.14のいずれか;
【0114】
1.16 障害がうつ病であり、患者が、精神病、例えば統合失調症、またはパーキンソン病に罹患している患者である、方法1、または方法1.1~1.15のいずれか;
【0115】
1.17 障害が睡眠障害であり、患者がうつ病に罹患している、方法1、または方法1.1~1.15のいずれか;
【0116】
1.18 1つ以上の障害が睡眠障害であり、患者が、精神病、例えば統合失調症に罹患している、方法1、または方法1.1~1.15のいずれか;
【0117】
1.19 1つ以上の障害が睡眠障害であり、患者がパーキンソン病に罹患している、方法1、または方法1.1~1.15のいずれか;
【0118】
1.20 1つ以上の障害が睡眠障害であり、患者が、うつ病と、精神病、例えば統合失調症、またはパーキンソン病に罹患している、方法1、または方法1.1~1.15のいずれか;
【0119】
1.21 患者が、場合によっては上記の障害と併せて、薬物依存障害に罹患しており、例えば、患者が、オピエート依存、コカイン依存、アンフェタミン依存および/もしくはアルコール依存、または薬物もしくはアルコール依存(例えば、オピエート依存、コカイン依存またはアンフェタミン依存)からの離脱に罹患しており、場合によっては患者が、併存疾患、例えば不安、うつ病または精神病、または不安もしくは不安障害の残遺症状および/または気分変化(例えば、うつ病)に罹患しており;さらに、場合によっては患者がオピエート過剰摂取に罹患している、方法1、または1.1~1.20のいずれか;
【0120】
1.22 有効量が、1mg~1000mg、例えば2.5mg~50mgであるか、または、長時間作用性製剤については、25mg~1500mg、例えば50mg~500mg、または250mg~1000mg、または250mg~750mg、または75mg~300mgである、上記方法のいずれか;
【0121】
1.23 有効量が、1日につき1mg~100mg、例えば1日につき2.5mg~50mgである、上記方法のいずれか;
【0122】
1.24 治療されるべき状態が、例えばドパミン作動薬(例えば、レボドパおよびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO-B阻害剤)、ドパミンアゴニスト、および抗コリン薬、例えばレボドパから選択される薬剤)を投与されている患者における、ジスキネジアである、上記方法のいずれか;
【0123】
1.25 患者がパーキンソン病に罹患している、上記方法のいずれか。
【0124】
物質使用障害および物質誘発障害は、DSMの第5版(精神障害の診断と統計マニュアル、またはDSM-5)により定義される物質関連障害の2つのカテゴリーである。物質使用障害は、個人が結果として問題を経験するにもかかわらず摂取を継続する物質の使用により生じる症状のパターンである。物質誘発障害は、物質の使用により誘発される障害である。物質誘発障害としては、中毒、離脱、物質誘発精神障害、例えば物質誘発精神病、物質誘発双極性および関連障害、物質誘発うつ病性障害、物質誘発不安障害、物質誘発強迫性および関連障害、物質誘発睡眠障害、物質誘発性機能不全、物質誘発せん妄および物質誘発神経認知障害が挙げられる。
【0125】
DSM-5は、物質使用障害を軽度、中等度または重度に分類する基準を含む。本明細書に記載の方法のいくつかの実施態様では、物質使用障害は、軽度物質使用障害、中等度物質使用障害または重度物質使用障害から選択される。いくつかの実施態様では、物質使用障害は、軽度物質使用障害である。いくつかの実施態様では、物質使用障害は、中等度物質使用障害である。いくつかの実施態様では、物質使用障害は、重度物質使用障害である。
【0126】
不安およびうつ病は、物質使用または物質乱用の治療を受けている患者において極めて一般的な併存障害である。物質乱用障害の一般的治療は、部分オピオイドアゴニストであるブプレノルフィンとオピオイドアンタゴニストであるナロキソンとの組合せであるが、これらの薬物はいずれも、不安またはうつ病に対して有意な効果がなく、それ故に、ベンゾジアゼピン系抗不安薬またはSSRI抗うつ薬などの第3の薬物も処方されなければならないという共通の結果をもたらす。これは、治療レジメンおよび患者コンプライアンスをより困難にする。対照的に、本開示の化合物は、セロトニン拮抗作用およびドパミン調節と共にオピエート拮抗作用を提供する。これにより、不安および/またはうつ病と併存して物質使用または乱用障害を有する患者の治療が顕著に増強され得る。
【0127】
本開示の化合物は、併存不安に罹患している患者の抗不安薬での治療の必要性を軽減する抗不安特性を有し得る。したがって、いくつかの実施態様では、本開示は、中枢神経系障害が、例えば不安の症状に罹患している患者または併存障害または残遺障害として不安と診断された患者における、物質嗜癖、物質使用障害および/または物質誘発障害または物質乱用障害であり、該方法が、抗不安薬、例えばベンゾジアゼピンの更なる投与を含まない、方法1、または方法1.1~1.25のいずれかによる方法を提供する。ベンゾジアゼピンは、GABA調節化合物であり、これは、下記方法3.1および3.2を参照して説明されるものを含む。
【0128】
第3の態様の別の実施態様では、本開示は、以下のような方法1のさらなる実施態様を提供する:
【0129】
1.26 中枢神経系障害が、強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)、全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、広場恐怖症、強迫性ギャンブル障害、強迫性摂食障害、身体醜形障害、心気症、病的身繕い障害、窃盗症、放火症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、衝動制御障害、および関連障害、およびこれらの組み合わせから選択される障害である、方法1、または方法1.1~1.25のいずれか;
【0130】
1.27 中枢神経系障害が、強迫性障害(OCD)、強迫性パーソナリティ障害(OCPD)、社会不安障害、パニック障害、広場恐怖症、強迫性ギャンブル障害、強迫性摂食障害、身体醜形障害および衝動制御障害から選択される、方法1、または方法1.1~1.25のいずれか1つ;
【0131】
1.28 中枢神経系障害が強迫性障害(OCD)または強迫性パーソナリティ障害(OCPD)である、方法1、または方法1.1~1.25のいずれか1つ;
【0132】
1.29 患者が、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えばシタロプラム、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリンによる治療に反応しないか、またはその副作用に耐えられない、いずれかの上記の方法;
【0133】
1.30 患者が、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、例えばベンラフェキシン、シブトラミン、デュロキセチン、アトモキセチン、デスベンラファキシン、ミルナシプランおよびレボミルナシプランによる治療に反応しないか、またはその副作用に耐えられない、いずれかの上記の方法;
【0134】
1.31 患者が、抗精神病薬、例えばクロミプラミン、リスペリドン、クエチアピンおよびオランザピンによる治療に反応しないか、またはその副作用に耐えられない、いずれかの上記の方法;
【0135】
1.32 中枢神経系障害が、疼痛障害、例えば疼痛に関連する状態、例えば頭痛、特発性疼痛、神経障害性疼痛、慢性疼痛(例えば、例えば他の病気で24時間の延長治療が必要な患者における、中等度~中重度の慢性疼痛)、線維筋痛症、歯痛、外傷性疼痛または慢性疲労である、方法1、または方法1.1~1.25のいずれか;
【0136】
1.33 患者が、非麻薬性鎮痛剤および/またはオピエートおよびオピオイド薬による治療に反応しないか、またはその副作用に耐えられないか、または、オピエート薬の使用が、例えば以前の物質乱用または高い物質乱用可能性のため、該患者において禁忌となり、例えばオピエートおよびオピオイド薬が、例えばモルヒネ、コデイン、テバイン、オリパビン、ジプロピオン酸モルヒネ、ジニコチン酸モルヒネ、ジヒドロコデイン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、オキシモルフォン、フェンタニル、α-メチルフェンタニル(alpha-methylfentantyl)、アルフェンタニル、トレファンチニル、ブリフェンタニル、レミフェンタニル、オクトフェンタニル、スフェンタニル、カルフェンタニル、メペリジン、プロジン、プロメドール、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メサドン、ジフェノキシレート、デゾシン、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、レボメトルファン、トラマドール、タペンタドールおよびアニレリジン、またはそれらの組み合わせを含む、いずれかの上記の方法;
【0137】
1.34 中枢神経系疾患または障害が、薬物依存(例えば、オピエート依存(すなわち、オピオイド使用障害)、コカイン依存、アンフェタミン依存および/またはアルコール依存)、または薬物またはアルコール依存(例えば、オピエート依存、コカイン依存またはアンフェタミン依存)からの離脱であり、患者が、併存疾患、例えば不安、うつ病または精神病にも罹患しており;場合によっては患者がオピエート過剰摂取にも罹患している、方法I、または方法1.1~1.33のいずれか;
【0138】
1.35 有効量が、1mg~1000mg、好ましくは2.5mg~50mgであるか、または長時間作用性製剤については、25mg~1500mg、例えば、50mg~500mg、または250mg~1000mg、または250mg~750mg、または75mg~300mgである、上記方法のいずれか;
【0139】
1.36 有効量が、1日につき1mg~100mg、好ましくは1日につき2.5mg~50mgである、上記方法のいずれか。
【0140】
さらに別の実施態様では、本開示は、障害が統合失調症または睡眠障害である、上記の方法1または1.1~1.36のいずれかを提供する。いくつかの実施態様では、統合失調症はうつ病に関連している。
【0141】
さらに別の実施態様では、本開示は、医薬組成物が、本発明の化合物の制御放出および/または持続放出のために、約14日間~、約30日間~約180日間にわたって、好ましくは約30日間、約60日間または約90日間にわたって投与される、方法1.1~1.36のいずれかを提供する。制御放出および/または持続放出は、治療の早期中止を回避するために特に有用であり、特に、投薬計画の非遵守またはノンアドヒアランスが一般的に発生する抗精神病薬療法に有用である。
【0142】
さらに別の実施態様では、本発明は、本開示のデポ組成物が一定期間にわたる本発明の化合物の制御放出および/または持続放出のために投与される、上記のいずれかの方法1または1.1~1.36を提供する。
【0143】
第3の態様の別の実施態様では、本発明は、患者が胃腸障害および/または肺障害に罹患している、方法1、または方法1.1~1.36のいずれか、例えばいずれかの疼痛治療方法を提供する。従来のオピオイド鎮痛薬は、胃腸障害(例えば悪心、嘔吐および便秘)および呼吸抑制の2つの主な副作用を被る。長期間疼痛治療のためにオピオイドを服用している患者の90~95%は、重度の便秘を発症し、緩下剤および/または浣腸剤の長期使用を必要とする。より強いオピオイド、例えばモルヒネ、オキシコドンおよびヒドロモルフォンは、他のオピオイドよりより重度の便秘を引き起こす。特に患者が(意図的または不注意で)処方されているオピオイド鎮痛薬を他の合法または違法呼吸抑制薬(アルコールを含む)と組み合わせた場合、呼吸抑制は、死亡のリスクを生じるため、オピオイド治療の最も深刻な副作用である。したがって、疼痛治療、特に慢性疼痛治療を必要とする患者は、既存の胃腸障害または肺障害に罹患している場合、副作用の特定のリスクがある。従来のオピオイド鎮痛薬とは異なり、本発明の化合物は、著しい胃腸副作用および著しい呼吸抑制を伴わずに鎮痛緩和を提供する。したがって、このような化合物は、これら既存のGI障害および肺障害を有する疼痛治療を必要とする患者に改善された安全性および有効性を提供する。さらなる実施態様では、本発明の化合物は、従来のオピエート薬と組み合されて、従来のオピエート薬に関する用量節約効果(および付随する副作用のリスクの軽減)を伴う改善された疼痛コントロールを提供し得る。
【0144】
したがって、特定の実施態様では、本発明は、さらに、以下のことを提供する:
【0145】
1.37 患者が、既存または併存の胃腸障害および/または肺障害に罹患している、方法1、または1.1~1.36のいずれか;
【0146】
1.38 既存または併存の障害が、過敏性腸症候群、骨盤底障害、憩室炎、炎症性腸疾患、結腸または結腸直腸癌、セリアック病、非セリアック・グルテン過敏症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸困難、肺炎、うっ血性心不全、間質性肺疾患、気胸、気管支炎、肺塞栓症および外傷性胸部傷害(例えば胸骨または肋骨骨折、肋間筋挫傷)からなる群より選択される、方法1.37;
【0147】
1.39 中枢神経系障害が、疼痛障害、例えば疼痛に関連する状態、例えば頭痛、特発性疼痛、神経障害性疼痛、慢性疼痛(例えば、例えば他の病気で24時間の延長治療が必要な患者における、中等度~中重度の慢性疼痛)、線維筋痛症、歯痛、外傷性疼痛または慢性疲労である、方法1.37または1.38;
【0148】
1.40 中枢神経系障害が、オピエート使用障害、オピエート離脱またはオピエート依存であり、方法が、離脱誘発症状(例えば、胃腸症状、例えば下痢、不安、うつ病、疼痛、睡眠障害、またはそれらの組み合わせ)の軽減を提供する、方法1または1.1~1.39のいずれか;
【0149】
1.41 方法が、例えば同時に、別個にまたは連続して投与される、別のオピエートまたはオピオイド薬の併用投与をさらに含む、方法1または1.1~1.40のいずれか;
【0150】
1.42 さらなるオピエートまたはオピオイド薬が、モルヒネ、コデイン、テバイン、オリパビン、ジプロピオン酸モルヒネ、ジニコチン酸モルヒネ、ジヒドロコデイン、ブプレノルフィン、エトルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、オキシモルフォン、フェンタニル、α-メチルフェンタンチル(alpha-methylfentantyl)、アルフェンタニル、トレファンチニル、ブリフェンタニル、レミフェンタニル、オクトフェンタニル、スフェンタニル、カルフェンタニル、メペリジン、プロジン、プロメドール、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、メサドン、ジフェノキシレート、デゾシン、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブトルファノール、ナルブフィン、レボルファノール、レボメトルファン、トラマドール、タペンタドールおよびアニレリジン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法1.41;
【0151】
1.43 例えば同時に、別個にまたは連続して投与される、NMDA受容体アンタゴニストの併用投与を含む、方法1または1.1~1.42のいずれか;
【0152】
1.44 NMDA受容体アンタゴニストが、ケタミン(例えば、S-ケタミンおよび/またはR-ケタミン)、ヒドロキシノルケタミン、メマンチン、デキストロメトルファン、デキストロアロルファン、デキストロルファン、アマンタジンおよびアグマチン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法1.43;
【0153】
1.45 化合物が、Zが-O-である式Iの化合物である、方法1.37~1.44のいずれか。
【0154】
第4の態様では、本発明は、1つ以上の睡眠障害の予防または治療方法であって、それを必要とする患者に、式I以降の化合物、または医薬組成物1、1-A、1-B、1-C、もしくはP.1~P.7のいずれかを投与することを含む、方法(方法2)を提供する。特定の実施態様では、方法2は、以下のものを投与することを含む:
2.1. 遊離形態である、化合物I、または1.1~1.74のいずれか;
2.2. 薬学的に許容される塩形態である、化合物I、または1.1~1.74のいずれか;
2.3. 酸付加塩形態である、化合物I、または1.1~1.74のいずれか;
2.4. 医薬組成物I;
2.5. 医薬組成物1-A、1-Bまたは1-Cのいずれか;
2.6. 医薬組成物P.1~P.7のいずれか;または
2.7. 上記の浸透圧放出制御経口送達システム組成物のいずれか。
【0155】
第4の態様のさらなる実施態様では、本発明は、睡眠障害が、睡眠維持障害、頻繁な覚醒、および爽快感が無い目覚めを含む、方法2または2.1~2.7を提供する;例えば、以下のものを提供する:
2.8 睡眠障害が睡眠維持障害である、上記方法のいずれか;
2.9 有効量が、1日につき、1mg~5mg、好ましくは2.5~5mgである、上記方法のいずれか;
2.10 有効量が1日につき2.5mgまたは5mgである、上記方法のいずれか;
2.11 睡眠障害が、ジスキネジアに罹患しているかまたはそのリスクがある患者、例えばレボドパおよびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO-B阻害剤)、ドパミンアゴニストおよび抗コリン薬から選択されるドパミン作動薬を投与されている患者、例えばレボドパを投与されている患者におけるものである、上記方法のいずれか;
2.12 患者がパーキンソン病に罹患している、上記方法のいずれか。
【0156】
第4の態様のさらなる実施態様では、本発明は、睡眠障害が、睡眠維持障害、頻繁な覚醒、および爽快感が無い目覚めを含む、方法2、または2.1~2.12のいずれかを提供する。
【0157】
本開示の化合物および本開示の医薬組成物は、慣用の単剤療法において通常生じる望ましくない副作用を引き起こすことなく併用薬物の治療活性を高めるように、特に個々の薬物が単剤療法として用いられる場合より低い投与量にて、第2治療薬と組み合わせて使用され得る。したがって、本開示の化合物は、他の抗うつ薬、抗精神病薬、他の睡眠薬、および/またはパーキンソン病もしくは気分障害を治療するのに用いられる薬物と同時に(simultaneously)、連続してまたは同期間に(contemporaneously)投与され得る。別の例では、副作用は、本開示の化合物を1つ以上の第2治療薬と組み合わせて遊離形態または塩形態(例えば、薬学的に許容される塩形態)で投与することにより軽減または最小化することができ、ここで、(i)第2治療薬の投与量または(ii)本開示の化合物および第2治療薬の両方の投与量は、該薬物/化合物が単剤療法として投与される場合より低い。特定の実施態様では、本開示の化合物は、例えばレボドパおよびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO-B阻害剤)、ドパミンアゴニスト、および抗コリン作動薬から選択されるドパミン作動薬を投与されている患者においてジスキネジアを治療するのに有用であり、例えばパーキンソン病の治療において用いられる。
【0158】
本開示いくつかのさらなる実施態様では、本開示の医薬組成物は、望ましくない副作用を引き起こすことなく併用薬物の治療活性を高めるように、特に個々の薬物が単剤療法として用いられる場合より低い投与量にて、第2治療薬と組み合わせて使用することができ、ここで、第2治療薬は、オピエートアンタゴニストまたはインバースアゴニスト(例えばナロキソン)である。本開示の化合物は、このようなオピエートアンタゴニストまたはオピエートインバースアゴニストと同時に、連続してまたは同期間に投与され得る。
【0159】
したがって、第5の態様では、本開示は、さらに患者に1つ以上の治療薬を投与することを含む方法であって、1つ以上の治療薬が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、GABA活性する(例えば、活性を増強し、GABA伝達の促進する)化合物、GABA-Bアゴニスト、5-HT受容体モジュレーター(例えば、5-HT1Aアゴニスト、5-HT2Aアンタゴニスト、5-HT2Aインバースアゴニストなど)、メラトニン受容体アゴニスト、イオンチャネルモジュレーター(例えば、ブロッカー)、セロトニン-2受容体アンタゴニスト/再取り込み阻害剤(例えば、5-HT2拮抗作用およびセロトニン再取り込み阻害の両方を有する化合物、すなわち、SARI)、オレキシン受容体アンタゴニスト、H3アゴニストまたはアンタゴニスト、ノルアドレナリンアゴニストまたはアンタゴニスト、ガラニンアゴニスト、CRHアンタゴニスト、ヒト成長ホルモン、成長ホルモンアゴニスト、エストロゲン、エストロゲンアゴニスト、ニューロキニン-1薬、抗うつ薬、およびオピエートアゴニストおよび/または部分オピエートアゴニスト(例えば、μ-、κ-またはδ-オピエート受容体アゴニストまたは部分アゴニスト)、またはオピエートアンタゴニストまたはインバースアゴニスト(例えば、μ-、κ-またはδ-オピエート受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト)、ノシセプチンアゴニスト、および抗精神病薬、例えば、非定型抗精神病薬から選択される、方法1、もしくは方法1.1~1.45のいずれか、または方法2、もしくは2.1~2.12のいずれかを提供する(それぞれ方法1-Aおよび2-A;包括的に「方法3」)。第8の態様のさらなる実施態様では、本開示は、さらに患者に、上記から選択され、さらにμ-オピエート、κ-オピエート、δ-オピエート、および/またはノシセプチン/オルファニン受容体のアゴニストまたは部分アゴニストまたはアンタゴニストまたはインバースアゴニストから選択される1つ以上の治療薬を投与することを含む、方法1、もしくは方法1.1~1.45のいずれか、または方法2、もしくは2.1~2.12のいずれかを提供する。第10の態様のさらなる実施態様では、本開示は、また、さらに患者に、セロトニンHT6受容体アンタゴニスト、およびmGluR-2、-3または-5受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(正と負の両モジュレーター、および部分アゴニストを含む)から選択される1つ以上の治療薬を投与することを含む、方法1、もしくは方法1.1~1.45のいずれか、または方法2、もしくは2.1~2.12のいずれかを提供する。
【0160】
第5の態様のさらなる実施態様では、本発明は、以下のように、さらに患者に1つ以上の治療薬を遊離形態または薬学的に許容される塩形態で投与することを含む、方法3(すなわち、方法1-Aまたは2-A)を提供する:
【0161】
3.1 治療薬が、GABA活性を調節する(例えば、活性を増強し、GABA伝達を促進する)化合物である、方法1-Aまたは2-A;
【0162】
3.2 GABA化合物が、ドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インディプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ゼレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアギャビン、EVT201(Evotec Pharmaceuticals)およびエスタゾラムの1つ以上からなる群から選択される、方法1-Aまたは2-Aまたは3.1;
【0163】
3.3 治療薬が、さらなる5HT2a受容体アンタゴニストである、方法1-Aまたは2-A;
【0164】
3.4 さらなる5HT2a受容体アンタゴニストが、ピマバンセリン、ケタンセリン、リスペリドン、エプリバンセリン、ボリナンセリン(Sanofi-Aventis, France)、プルバンセリン、MDL100907(Sanofi-Aventis, France)、HY10275(Eli Lilly)、APD125(Arena Pharmaceuticals, San Diego, CA)およびAVE8488(Sanofi-Aventis, France)の1つ以上から選択される、方法1-Aまたは2-Aまたは3.3;
【0165】
3.5 治療薬がメラトニン受容体アゴニストである、方法1-Aまたは2-A;
【0166】
3.6 メラトニン受容体アゴニストが、メラトニン、ラメルテオン(ROZEREM(登録商標)、Takeda Pharmaceuticals, Japan)、VEC-162(Vanda Pharmaceuticals, Rockville, MD)、PD-6735(Phase II Discovery)およびアゴメラチンの1つ以上から選択される、方法1-Aまたは2-Aまたは3.5;
【0167】
3.7 治療薬がイオンチャネルブロッカーである、方法1-Aまたは2-A;
【0168】
3.8 イオンチャネルブロッカーが、ラモトリジン、ギャバペンチンおよびプレガバリンの1つ以上である、方法I-Aまたは2-Aまたは3.7;
【0169】
3.9 治療薬がオレキシン受容体アンタゴニストである、方法1-Aまたは2-A;
【0170】
3.10 オレキシン受容体アンタゴニストが、オレキシン、1,3-ビアリールウレア、SB-334867-a(GlaxoSmithKline, UK)、GW649868(GlaxoSmithKline)およびベンズアミド誘導体からなる群から選択される、方法1-Aまたは2-Aまたは3.9;
【0171】
3.11 治療薬がセロトニン-2受容体アンタゴニスト/再取り込み阻害剤(SARI)である、方法1-Aまたは2-A;
【0172】
3.12 セロトニン-2受容体アンタゴニスト/再取り込み阻害剤(SARI)が、1つ以上のOrg50081(Organon-Netherlands)、リタンセリン、ネファゾドン、サーゾーンおよびトラゾドンからなる群から選択される、方法1-Aまたは2-Aまたは3.11;
【0173】
3.13 治療薬が5HTIaアゴニストである、方法1-Aまたは2-A;
【0174】
3.14 5HTIaアゴニストが、レピノタン、サリゾタン、エプタピロン、ブスピロンおよびMN-305(MediciNova, San Diego, CA)の1つ以上からなる群から選択される、方法1-Aまたは2-Aまたは3.13;
【0175】
3.15 治療薬がニューロキニン-1薬である、方法1-Aまたは2-A;
【0176】
3.16 ニューロキニン-1薬がカソピタント(GlaxoSmithKline)である、方法1-Aまたは2-Aまたは3.15;
【0177】
3.17 治療薬が抗精神病薬である、方法1-Aまたは2-A;
【0178】
3.18 抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、ブレクスピペラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドンからなる群から選択される、方法1-Aまたは2-Aまたは3.17;
【0179】
3.19 治療薬が抗うつ薬である、方法1-Aまたは2-A;
【0180】
3.20 抗うつ薬が、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミンおよびベンラフェキシンから選択される、方法1-Aまたは2-Aまたは3.19;
【0181】
3.21 抗精神病薬が非定型抗精神病薬である、方法1-Aまたは2-A、3.17または3.18;
【0182】
3.22 非定型抗精神病薬が、ブレクスピペラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドンからなる群から選択される、方法1-Aまたは2-A、または3.17~3.21のいずれか;
【0183】
3.23 治療薬が、方法3.1~3.22のいずれかから選択され、例えばモダフィニル、アルモダフィニル、ドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インディプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ゼレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアギャビン、EVT201(Evotec Pharmaceuticals)、エスタゾラム、ピマバンセリン、ケタンセリン、リスペリドン、エプリバンセリン、ボリナンセリン(Sanofi-Aventis, France)、プルバンセリン、MDL100907(Sanofi-Aventis, France)、HY10275(Eli Lilly)、APD125(Arena Pharmaceuticals, San Diego, CA)、AVE8488(Sanofi-Aventis, France)、レピノタン、サリゾタン、エプタピロン、ブスピロン、MN-305(MediciNova, San Diego, CA)、メラトニン、ラメルテオン(ROZEREM(登録商標)、Takeda Pharmaceuticals, Japan)、VEC-162(Vanda Pharmaceuticals, Rockville, MD)、PD-6735(Phase II Discovery)、アゴメラチン、ラモトリジン、ギャバペンチン、プレガバリン、オレキシン、1,3-ビアリールウレア、SB-334867-a(GlaxoSmithKline, UK)、GW649868(GlaxoSmithKline)、ベンズアミド誘導体、Org50081(Organon-Netherlands)、リタンセリン、ネファゾドン、サーゾーン、トラゾドン、カソピタント(GlaxoSmithKline)、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラフェキシン、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、ブレクスピペラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンおよびパリペリドンからなる群から選択される、方法1-Aまたは2-A;
【0184】
3.24 治療薬がH3アゴニストである、方法1-Aまたは2-A;
【0185】
3.25 治療薬がH3アンタゴニストである、方法1-Aまたは2-A;
【0186】
3.26 治療薬がノルアドレナリンアゴニストまたはアンタゴニストである、方法1-Aまたは2-A;
【0187】
3.27 治療薬がガラニンアゴニストである、方法1-Aまたは2-A;
【0188】
3.28 治療薬がCRHアンタゴニストである、方法1-Aまたは2-A;
【0189】
3.29 治療薬がヒト成長ホルモンである、方法1-Aまたは2-A;
【0190】
3.30 治療薬が成長ホルモンアゴニストである、方法1-Aまたは2-A;
【0191】
3.31 治療薬がエストロゲンである、方法1-Aまたは2-A;
【0192】
3.32 治療薬がエストロゲンアゴニストである、方法1-Aまたは2-A;
【0193】
3.33 治療薬がニューロキニン-1薬である、方法1-Aまたは2-A;
【0194】
3.34 治療薬が式I以降の化合物と組み合わされ、治療薬が、抗パーキンソン病薬、例えばL-ドパ、コカレルドーパ、デュオドーパ、スタレボ、シンメトレル、ベンズトロピン、ビペリデン、ブロモクリプチン、エンタカポン、ペルゴリド、プラミペキソール、プロシクリジン、ロピニロール、セレギリンおよびトルカポンである、方法1-Aまたは2-A;
【0195】
3.35 治療薬が、オピエートアゴニストまたは部分オピエートアゴニスト、例えばμアゴニストもしくは部分アゴニスト、またはκアゴニストもしくは部分アゴニスト、例えば混合アゴニスト/アンタゴニスト(例えば、部分μアゴニスト活性とκアンタゴニスト活性を有する薬物)である、方法1-Aまたは2-A;
【0196】
3.36 治療薬がブプレノルフィンであり、場合によっては該方法が、抗不安薬、例えばGABA化合物またはベンゾジアゼピンとの併用治療を含まない、方法3.35;
【0197】
3.37 式(I)の化合物が、列挙した疾患および/またはパーキンソン病に罹患している患者において、睡眠障害、うつ病、精神病、またはそれらの組み合わせを治療するために使用することができる、方法1-Aまたは2-A;
【0198】
3.38 障害が、精神病、例えば統合失調症、うつ病、気分障害、睡眠障害(例えば、睡眠維持および/または睡眠開始)またはそれらの障害の組み合わせの少なくとも1つ以上から選択される、方法1-Aまたは2-A;
【0199】
3.39 治療薬が、オピエート受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト、例えば完全オピエートアンタゴニストであり、例えばナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、メサドン、ナロルフィン、レバロルファン、サミドルファン、ナロデイン、シプロジムまたはノルビナルトルフィミンから選択される、方法1-Aまたは2-A;
【0200】
3.40 障害が睡眠障害である、上記方法のいずれか;
【0201】
3.41 障害が、精神病、例えば統合失調症、またはパーキンソン病に関連する睡眠障害である、上記方法のいずれか。
【0202】
本発明の第6の態様では、本開示の化合物と、方法1-A、2-A、または方法3もしくは3.1~3.41のいずれかに記載の1つ以上の第2治療薬との組合せは、患者に、上記のデポ組成物のような単一の医薬組成物として投与することができる。該組合せ組成物は、併用薬物の混合物、および、個々の組成物が例えば患者に一緒に共投与され得る、薬物の2つ以上の別個の組成物を含み得る。
【0203】
特定の実施態様では、方法1-A、2-A、3または3.1~3.41は、それを必要とする患者に、本発明の化合物を、非定型抗精神病薬、例えばブレクスピペラゾール、カリプラジン、アセナピン、ルラシドン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドンまたはパリペリドンから選択される化合物と組み合わせて、遊離形態または薬学的に許容される塩形態で投与することを含み、例えば非定型抗精神病薬の投与量を減少させ、および/または副作用を減少させる。
【0204】
別の実施態様では、方法1-A、2-A、3または3.1~3.41は、それを必要とする患者に、本発明の化合物を、抗うつ薬、例えばアミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミンまたはベンラフェキシンと組み合わせて、遊離形態または薬学的に許容される塩形態で投与することを含む。別法として、抗うつ薬は、本発明の化合物に加えて補助剤として使用することができる。
【0205】
さらに別の実施態様では、方法1-A、2-A、3または3.1~3.41は、それを必要とする患者に、本発明の化合物を、GABA活性を調節する化合物、例えばドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インディプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ゼレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアギャビン、EVT201(Evotec Pharmaceuticals)、エスタゾラムまたはそれらの組み合わせから選択される化合物と組み合わせて、遊離形態または薬学的に許容される塩形態で投与することを含む。他の実施態様では、本明細書に記載の方法は、GABA化合物、ベンゾジアゼピンまたは他の抗不安薬の投与をさらには含まない。
【0206】
別の好ましい実施態様では、方法1-A、2-A、3または3.1~3.41は、それを必要とする患者に、本発明の化合物をドキセピンと組み合わせて遊離形態または薬学的に許容される塩形態で投与することを含む。ドキセピンの投与量は、当業者に既知の範囲で変化し得る。一例では、10mg用量のドキセピンを、いずれの用量の本発明の化合物とも組み合わることができる。
【0207】
別の実施態様では、方法1-A、2-A、3または3.1~3.41は、それを必要とする患者に本発明の化合物を(例えば1日投与画の一部として)非定型刺激薬、例えばモダフィニル、アドラフィニルまたはアルモダフィニルと組み合わせて投与することを含む。本発明の化合物をこのような薬物と共に組み込む計画は、例えば双極性うつ病、統合失調症に関連する認知症、ならびに、パーキンソン病および癌などの状態における過剰な眠気および疲労の治療において、より規則的な睡眠を促進し、高レベルのこのような薬物に関連する精神病または躁病などの副作用を回避する、
【0208】
別の実施態様では、方法1-A、2-A、3または3.1~3.41は、それを必要とする患者に本発明の化合物を(例えば1日投与計画の一部として)オピエート受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト、例えば完全オピエートアンタゴニスト、例えばナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、メサドン、ナロルフィン、レバロルファン、サミドルファン、ナロデイン、シプロジムまたはノルビナルトルフィミンから選択されるものと組み合わせて投与することを含む。
【0209】
第6の態様では、本発明は、例えば方法1または1.1~1.45のいずれか、方法2および2.1~2.12のいずれか、方法1-A、2-A、ならびに方法3または3.3~3.41、または本明細書に記載の他の方法における、上記の1つ以上の障害の治療または予防のための(医薬製造における)、以下に記載されるような化合物または組成物の使用を提供する:
6.1. 遊離形態である、化合物I、または1.1~1.74のいずれか;
6.2. 薬学的に許容される塩形態である、化合物I、または1.1~1.74のいずれか;
6.3. 酸付加塩形態である、化合物I、または1.1~1.74のいずれか;
6.4. 医薬組成物1;
6.5. 医薬組成物1-A、1-Bまたは1-Cのいずれか;
6.6. 医薬組成物P.1~P.7のいずれか;または
6.7. 上記のいずれかの浸透圧放出制御経口送達システム組成物。
【発明を実施するための形態】
【0210】
詳細な説明
式Aの化合物、および関連化合物は、様々な有用な医薬特性を有することが示されており、これらの特性の各々は、本開示の化合物によって共有されることが期待される。例えば、式Aの化合物は、中等度のD1、D2およびSERT拮抗作用と共に強力な5-HT2A、D1およびμオピエート拮抗作用を有する。さらに、このような化合物が「バイアス」μオピエートリガンドとして機能し得ることを予想外にも見出した。これは、該化合物がμオピエート受容体と結合すると、Gタンパク質共役シグナル伝達により部分μアゴニストとして機能し得るが、βアレスチンシグナル伝達によりμアンタゴニストとして機能し得ることを意味する。これは、Gタンパク質シグナル伝達およびβアレスチンシグナル伝達の両方を強力に活性化する傾向がある従来のオピエートアゴニストであるモルヒネおよびフェンタニルと対照的である。このような薬物によるβアレスチンシグナル伝達の活性化は、典型的にオピエート薬が介在する胃腸機能不全および呼吸器抑制を介在すると考えられる。したがって、本発明による化合物、特に式Iで示される化合物は、重度の胃腸および呼吸器副作用が既存のオピエート鎮痛薬より少ない疼痛寛解をもたらすと考えられる。この効果は、バイアスμアゴニストであるオリセリジンの前臨床試験ならびに第II相および第III相臨床試験において示されている。オリセリジンは、モルヒネと比較してβアレスチンシグナル伝達が低下したGタンパク質共役シグナル伝達によりバイアスμアゴニズムをもたらすことを示しており、これは、モルヒネと比較して呼吸器副作用が低下した鎮痛を生じるその能力に関連している。さらに、これらの化合物はβアレスチン経路に拮抗するため、なおも疼痛緩和を提供しながら最も重度のオピエート副作用を阻害するので、オピエート過剰摂取の治療に有用であると考えられる。さらにまた、これらの化合物はまた、そのセロトニン作動活性に起因して睡眠維持効果も有する。慢性疼痛に罹患している多くの人々は、疼痛により睡眠が困難であるため、これらの化合物は、セロトニン作動活性とオピエート受容体活性の相乗効果によりこのような患者が一晩中眠ることを助け得る。
【0211】
したがって、特定の実施態様では、本開示の化合物は、単独でまたはオピエートアンタゴニストまたはインバースアゴニスト(例えばナロキソンまたはナルトレキソン)と組み合わせて、オピエート使用障害(OUD)、オピエート過剰摂取またはオピエート離脱を治療する方法において用いられ得る。本開示の化合物が、薬物離脱(例えば気分障害および不安障害、睡眠障害)に関連する不快気分および精神医学的併存疾患を軽減する強力な能力を示すことが期待されており、それはまた、強力な鎮痛を提供するが、副作用(例えばGI効果および肺抑制)および他のオピオイド治療(例えばオキシコドン、メサドンまたはブプレノルフィン)で見られる乱用の可能性はない。これらの化合物の独特な薬理学的プロファイルはまた、有害な薬物間相互作用(例えばアルコール)のリスクを緩和する。したがって、これらの化合物は、オピエート使用障害およびオピエート離脱に関連する症状の治療に特に適する。μ受容体活性に対する該化合物の直接的な効果に加えて、セロトニン作動性経路に対する該化合物の効果は、抗うつ薬、睡眠維持および抗不安作用をもたらす。うつ病および不安が第一にオピオイドの使用に影響されやすい患者を導く重要な因子であるため、本開示の化合物は、オピオイド使用を促進する精神医学的併存疾患を減少させると同時にオピエート離脱の症状を減少させる(寛解のリスクを減少させる2本柱の戦略)。これらの化合物により提供される睡眠維持は、OUD治療を受けている患者のクオリティ・オブ・ライフをさらに改善する。
【0212】
本開示のいくつかの実施態様では、式Iの化合物は、化合物の範囲内に位置する1つ以上の生物学的に不安定な官能基を有していて、天然の代謝活性が不安定な官能基を除去する結果として別の式Iの化合物をもたらす。例えば、基R1がC(O)-O-C(Ra)(Rb)(Rc)、-C(O)-O-CH2-O-C(Ra)(Rb)(Rc)または-C(R6)(R7)-O-C(O)-R8である場合、生物学的条件下で、この置換は、加水分解を受けてR1がHである同化合物を生成し、したがって、元の化合物を、R1がHである化合物のプロドラッグにする。そのようなプロドラッグ化合物の中には、生物学的活性がほとんどないか、中程度しかないものもあるが、R1がHである化合物に加水分解されると、その化合物は強い生物学的活性を持つようになる。このように、選択された化合物に応じて、それを必要とする患者への本開示の化合物の投与は、即時的な生物学的および治療的効果、または即時的および遅延的な生物学的および治療的効果、または遅延的な生物学的および治療的効果のみをもたらし得る。したがって、このようなプロドラッグ化合物は、R1がHである式Iの薬理学的に活性な化合物のリザーバーとして機能する。このようにして、本開示のいくつかの化合物は、長時間作用型注射剤(LAI)または「デポ」医薬組成物としての処方に特に適している。理論に拘束されることなく、本開示の化合物を含む注入された「デポ」は、該化合物を体内組織中に徐々に放出し、その組織において該化合物は徐々に代謝されて、R1がHである式Iの化合物を生成する。そのようなデポ製剤は、本開示の化合物の溶出および放出の速度を制御するための適切な成分の選択によってさらに調整することができる。式Iの化合物に関連するそのようなプロドラッグ形態の化合物は、例えば国際出願PCT/US2018/043102(WO2019/023063)において、以前に開示されている。
【0213】
本明細書で用いられる「アルキル」は、他に明記されない限り、例えば炭素原子1~21個の長さの、飽和または不飽和炭化水素部分である;このようなアルキルは、他に明記されない限り、直鎖または分岐鎖(例えばn-ブチルまたはtert-ブチル)であり得、好ましくは直鎖である。例えば、「C1-21アルキル」は、1~21個の炭素原子を有するアルキルを意味する。一の実施態様では、アルキルは、1つ以上のヒドロキシまたはC1-22アルコキシ(例えばエトキシ)基で置換されていてもよい。別の実施態様では、アルキルは、1~21個の炭素原子を含み、好ましくは直鎖であり、所望により飽和または不飽和であり、例えば、R1が、1~21個の炭素原子、好ましくは6~15個の炭素原子、16~21個の炭素原子を含むアルキル鎖であるいくつかの実施態様では、例えばそれが結合している-C(O)-と一緒になって、例えば式Iの化合物から切断されたとき、天然または非天然の飽和または不飽和脂肪酸の残基を形成する。
【0214】
用語「薬学的に許容される希釈剤または担体」は、医薬製剤において有用であり、アレルゲン性、発熱性または病原性である物質および病気を潜在的に引き起こすかもしくは促進することが知られている物質を含まない希釈剤および担体を意味することが意図される。したがって、薬学的に許容される希釈剤または担体は、体液、例えば血液、尿、髄液、唾液など、ならびにその構成成分、例えば血液細胞および循環タンパク質を含まない。適切な薬学的に許容される希釈剤および担体は、医薬製剤に関するいくつかの周知の論文のいずれか、例えば、Anderson, Philip O.; Knoben, James E.; Troutman, William G, eds., Handbook of Clinical Drug Data, Tenth Edition, McGraw-Hill, 2002;Pratt and Taylor, eds., Principles of Drug Action, Third Edition, Churchill Livingston, New York, 1990;Katzung, ed., Basic and Clinical Pharmacology, Ninth Edition, McGraw Hill, 20037ybg;Goodman and Gilman, eds., The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition, McGraw Hill, 2001;Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th Ed., Lippincott Williams & Wilkins., 2000;およびMartindale, The Extra Pharmacopoeia, Thirty-Second Edition (The Pharmaceutical Press, London, 1999)に見ることができる(これらすべては、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)。
【0215】
化合物についての「精製された」、「精製された形態の」または「単離および精製された形態の」なる用語は、合成プロセスから(例えば反応混合物から)または天然源またはそれらの組合せから単離された後の該化合物の物理的状態をいう。したがって、化合物についての「精製された」、「精製された形態の」または「単離および精製された形態の」なる用語は、本明細書に記載のまたは当業者に周知の標準的な分析技術により特徴付けるのに十分な純度で、本明細書に記載もしくは当業者に周知の精製プロセス(例えばクロマトグラフィー、再結晶、LC-MSおよびLC-MS/MS技術など)から得られた後の該化合物の物理的状態をいう。
【0216】
他に明記されない限り、本開示の化合物、例えば化合物Iまたは1.1~1.74(総括的に、式I以降の化合物)は、遊離塩基形態で、または塩形態で、例えば薬学的に許容される塩形態で、例えば酸付加塩として存在し得る。十分に塩基性である本発明の化合物の酸付加塩、例えば無機酸または有機酸との、例えば塩酸またはトルエンスルホン酸との酸付加塩。さらに、十分に酸性である本発明の化合物の塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩またはカリウム塩、または生理学的に許容される陽イオンを提供する有機塩基との塩である。特定の実施態様では、本発明の化合物の塩はトルエンスルホン酸付加塩である。
【0217】
本開示の化合物は、医薬品としての使用が意図され、したがって、薬学的に許容される塩が好ましい。医薬用途に適さない塩は、例えば本発明の遊離化合物の単離または精製に有用であり得、したがって、それもまた本開示の化合物の範囲に含まれる。
【0218】
本開示の化合物は、1つ以上のキラル炭素原子を含み得る。したがって、該化合物は、個々の異性体形態、例えばエナンチオマー形態またはジアステレオマー形態で、または個々の形態の混合物、例えばラセミ/ジアステレオマー混合物として存在する。不斉中心が(R)-、(S)-、または(R,S)-配置にあるあらゆる異性体が存在し得る。本発明は、両方の光学活性異性体の個々およびその混合物(例えばラセミ/ジアステレオマー混合物)を包含すると理解されるべきである。したがって、本発明の化合物は、ラセミ混合物であってもよいか、または、主に、例えば、純粋なまたは実質的に純粋な異性体形態、例えば70%超のエナンチオマー/ジアステレオマー過剰率(「ee」)、好ましくは80%超のee、より好ましくは90%超のee、最も好ましくは95%超のeeであってもよい。該異性体の精製および該異性体混合物の分離は、当該技術分野で知られている標準的な技術(例えば、カラムクロマトグラフィー、分取TLC、分取HPLC、擬似移動床および同類のもの)によって行うことができる。
【0219】
二重結合または環についての置換基の性質による幾何異性体は、シス(Z)またはトランス(E)体であり得て、両方の異性体が本発明の範囲に包含される。
【0220】
本開示の化合物は、安定または不安定な同位体を包含することも意図される。安定同位体は、同種の豊富な核種(すなわち元素)と比較して1つの追加の中性子を含有する非放射性同位体である。このような同位体を含む化合物の活性は保持され、このような化合物はまた非同位体類似体の薬物動態の測定に関して有用性を有すると考えられる。例えば、本開示の化合物の特定位置における水素原子は、重水素(非放射性の安定同位体)で置き換えられ得る。公知の安定同位体の例としては、重水素(2HまたはD)、13C、15N、18Oが挙げられるがこれらに限定されない。あるいは、同種の豊富な核種(すなわち元素)と比較して複数の追加の中性子を含有する放射性同位体である不安定同位体、例えば、123I、131I、125I、14C、18Fは、I、CおよびFの対応する豊富な種に置き換わり得る。本発明の化合物の有用な同位体の別の例は、14C同位体である。これらの放射性同位体は、本発明の化合物の放射性イメージングおよび/または薬物動態試験に有用である。また、天然の同位体分布を持つ原子の、より重い同位体による置換は、代謝に関与する部位でこれらの置換が行われた場合には、薬物動態速度の望ましい変化を引き起こし得る。例えば、水素の代わりに重水素(2H)の組込みは、水素の位置が酵素または代謝活性の部位である場合には、代謝分解を遅くし得る。
【0221】
本開示の化合物は、例えば上記のポリマーマトリックス中に本発明の化合物を分散、溶解または封入することにより、デポ製剤として含まれ得て、化合物は、ポリマーが経時的に分解されることで継続的に放出されます。ポリマーマトリックスからの本発明の化合物の放出は、例えば医薬デポ組成物から、その医薬デポが投与される対象体、例えば温血動物、例えばヒトへの、化合物の制御放出および/または遅延放出および/または持続放出を提供する。したがって、医薬デポは、本発明の化合物を対象体へ特定の疾患または病状の治療に効果的な濃度で、長期間、例えば14日間~180日間、好ましくは約30日間、約60日間または約90日間にわたって送達する。
【0222】
本発明の組成物(例えば本発明のデポ組成物)におけるポリマーマトリックスに有用なポリマーは、ヒドロキシ脂肪酸のポリエステルおよびその誘導体、または他の薬剤、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリ-β-ヒドロキシ酪酸、ε-カプロラクトン開環重合体、乳酸-グリコール酸共重合体、2-ヒドロキシ酪酸-グリコール酸共重合体、ポリ乳酸-ポリエチレングリコール共重合体またはポリグリコール酸-ポリエチレングリコー共重合体)、アルキルα-シアノアクリレート(例えばポリ(ブチル2-シアノアクリレート))、ポリアルキレンオキサレート(例えばポリトリメチレンオキサレートまたはポリテトラメチレンオキサレート)、ポリオルトエステル、ポリカーボネート(例えばポリエチレンカーボネートまたはポリエチレンプロピレンカーボネート)、ポリオルト-カーボネート、ポリアミノ酸(例えばポリ-γ-L-アラニン、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタミン酸またはポリ-y-メチル-L-グルタミン酸)、ヒアルロン酸エステル、および同類のものなどのポリマーを含み得、これらポリマーの1つ以上を用いることができる。
【0223】
ポリマーが共重合体である場合、それは、ランダム、ブロックおよび/またはグラフト共重合体のいずれかであり得る。上記α-ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸およびヒドロキシトリカルボン酸が、その分子中に光学活性を有する場合、D-異性体、L-異性体および/またはDL-異性体のいずれか1つが用いられ得る。とりわけ、α-ヒドロキシカルボン酸ポリマー(好ましくは、乳酸-グリコール酸ポリマー)、そのエステル、ポリ-α-シアノアクリル酸エステルなどを用いることができ、乳酸-グリコール酸共重合体(ポリ(ラクチド-α-グリコリド)またはポリ(乳酸-コ-グリコール酸)とも称され、以下PLGAと称する)が好ましい。したがって、一の態様では、ポリマーマトリックスに有用なポリマーはPLGAである。本明細書で用いられる、用語PLGAは、乳酸のポリマー(ポリラクチド、ポリ(乳酸)またはPLAとも称される)を含む。最も好ましくは、該ポリマーは、生分解性ポリ(d,l-ラクチド-コ-グリコリド)ポリマーである。
【0224】
好ましい実施態様では、本発明のポリマーマトリックスは、生体適合性および生分解性高分子物質である。用語「生体適合性」は、毒性がなく、発癌性がなく、そして体組織において著しく炎症を誘導しない高分子物質と定義される。マトリックス物質は、生分解性であるべきであり、ここで、高分子物質は、体内プロセスによって身体で容易に排泄可能な生成物に分解されるべきであり、体内に蓄積されるべきでない。生体分解の生成物はまた、ポリマーマトリックスが身体と生体適合性であるという点で身体と生体適合性であるべきである。ポリマーマトリックス物質の特定の有用な例としては、ポリ(グリコール酸)、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-乳酸、前記の共重合体、ポリ(脂肪族カルボン酸)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(アセタール)、ポリ(乳酸-カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸-カプロラクトン)、ポリ無水物、および天然ポリマー、例えばアルブミン、カゼイン、およびワックス、例えばグリセロールモノおよびジステアレートなどが挙げられる。本発明の実施に使用するのに好ましいポリマーは、dl(ポリラクチド-コ-グリコリド)である。このような共重合体におけるラクチド対グリコリドのモル比は、約75:25~50:50の範囲であることが好ましい。
【0225】
有用なPLGAポリマーの重量平均分子量は、約5,000~500,000ダルトン、好ましくは約150,000ダルトンであり得る。達成すべき分解速度に依存して、種々の分子量のポリマーを用い得る。薬物放出の拡散メカニズムについて、ポリマーは、すべての薬物がポリマーマトリックスから放出されるまで無傷のままで、その後分解すべきである。薬物はまた、ポリマー賦形剤が生体侵食する(bioerode)場合、ポリマーマトリックスから放出され得る。
【0226】
PLGAは、いずれかの慣用方法により製造されてもよいか、または商業的に入手してもよい。例えば、PLGAは、環状ラクチド、グリコリドなどから適切な触媒での開環重合により製造され得る(欧州特許第0058481号B2;Effects of polymerization variables on PLGA properties: molecular weight, composition and chain structureを参照)。
【0227】
PLGAは、生物学的条件下で(例えば、ヒトなどの温血動物の組織に見ることができる水および生物学的酵素の存在下で)加水分解可能で酵素的に切断可能なエステル結合の分解により固体ポリマー組成物全体が分解して乳酸およびグリコール酸を形成することによって生分解性であると考えられる。乳酸およびグリコール酸はどちらも、水溶性で、通常の代謝の非毒性生成物であり、これは、さらに分解されて、二酸化炭素と水を形成することができる。言い換えれば、PLGAは、水の存在下で、例えばヒトなどの温血動物の体内で、そのエステル基の加水分解によって分解されて、乳酸およびグリコール酸を生じ、酸性の微小環境を作ると考えられる。乳酸およびグリコール酸は、通常の生理学的条件下のヒトなどの温血動物の体内における様々な代謝経路の副産物であり、したがって、良好な忍容性を示し、全身毒性は最小となる。
【0228】
別の実施態様では、本発明に有用なポリマーマトリックスは、ポリエステルの構造が星形であるスターポリマーを含み得る。これらのポリエステルは、酸残基鎖により囲まれる中心部分として単一のポリオール残基を有する。ポリオール部分は、例えばグルコース、または、例えばマンニトールであり得る。これらのエステルは、公知であり、英国特許出願公開第2,145,422号および米国特許第5,538,739号(これら各出願の内容は、出典明示により本明細書の一部とする)に記載されている。
【0229】
スターポリマーは、開始剤として、ポリヒドロキシ化合物、例えばポリオール、例えばグルコースまたはマンニトールを用いて製造され得る。ポリオールは、少なくとも3つのヒドロキシ基を含有し、最大約20,000ダルトンの分子量を有し、ポリオールのヒドロキシ基のうち少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、例えば平均3つがエステル基の形態であり、これらはポリラクチドまたはコ-ポリラクチド鎖を含有する。分岐ポリエステル、例えばポリ(d,l-ラクチド-コ-グリコリド)は、複数のポリラクチド直鎖を有する中心グルコース部分を有する。
【0230】
上記の本発明のデポ組成物(例えばポリマーマトリックスにおける組成物6および6.1~6.10)は、本発明の化合物が分散または封入されているマイクロ粒子もしくはナノ粒子の形態または液体形態のポリマーを含み得る。「マイクロ粒子」は、粒子のマトリックスとして作用するポリマー内に本発明の化合物が分散または溶解されている溶液または固体形態のいずれかで本発明の化合物を含有する固形粒子を意味する。ポリマー物質の適切な選択により、得られたマイクロ粒子が拡散放出性および生分解放出性の両方を示すマイクロ粒子製剤が作られ得る。
【0231】
ポリマーがマイクロ粒子形態であるとき、マイクロ粒子は、適切な方法を用いて、例えば溶媒蒸発法または溶媒抽出法により製造され得る。例えば、溶媒蒸発法では、本発明の化合物およびポリマーを、揮発性有機溶媒(例えば、アセトンなどのケトン、クロロホルムまたは塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族性炭化水素、ジオキサンなどの環状エーテル、酢酸エチルなどのエステル、アセトニトリルなどのニトリル、またはエタノールなどのアルコール)に溶解させ、適切なエマルション安定化剤(例えばポリビニルアルコール、PVA)を含有する水相に分散させ得る。その後、有機溶媒を蒸発させて、本発明の化合物が封入されているマイクロ粒子が得られる。溶媒抽出法において、本発明の化合物およびポリマーを、極性溶媒(例えばアセトニトリル、ジクロロメタン、メタノール、酢酸エチルまたはギ酸メチル)に溶解させ、その後、水相(例えば水/PVA溶液)に分散させ得る。エマルションを調製して、本発明の化合物が封入されているマイクロ粒子を提供する。スプレードライは、マイクロ粒子を製造するための別の製造技術である。
【0232】
本発明のマイクロ粒子を製造する別の方法はまた、米国特許第4,389,330号および米国特許第4,530,840号のどちらにも記載されている。
【0233】
本発明のマイクロ粒子は、注射用組成物における使用に許容されるサイズ範囲のマイクロ粒子を製造できる方法によって製造され得る。一の好ましい製造方法は、米国特許第4,389,330号に記載されているものである。この方法において、活性薬剤を適切な溶媒に溶解または分散させる。活性薬剤含有媒体に、所望の活性剤負荷を有する生成物を提供する活性成分と相対的な量のポリマーマトリックス物質を加える。所望により、マイクロ粒子生成物の成分すべてを溶媒媒体中で一緒にブレンドし得る。
【0234】
本発明の化合物および本発明の実施に使用することができるポリマーマトリックス物質の溶媒としては、有機溶媒、例えばアセトン;ハロゲン化炭化水素、例えばクロロホルム、塩化メチレンなど;芳香族炭化水素化合物;ハロゲン化芳香族炭化水素化合物;環状エーテル;アルコール、例えばベンジルアルコール;酢酸エチルなどが挙げられる。一の実施態様では、本発明の実施に使用するための溶媒は、ベンジルアルコールと酢酸エチルの混合物であり得る。本発明に有用なマイクロ粒子の製造に関するさらなる情報は、米国特許出願公開第2008/0069885号(該出願の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に見ることができる。
【0235】
マイクロ粒子に組み込まれる本開示の化合物の量は、通常、約1重量%~約90重量%、好ましくは30~50重量%、より好ましくは35~40重量%の範囲である。重量%は、マイクロ粒子の総重量当たりの本開示の化合物の部分を意味する。
【0236】
医薬デポ組成物は、薬学的に許容される希釈剤または担体、例えば水混和性の希釈剤または担体を含み得る。
【0237】
浸透圧放出制御経口送達システム組成物の詳細は、欧州特許出願公開第1539115号(米国特許出願公開第2009/0202631号)および国際公開第2000/35419号(米国特許出願公開第2001/0036472号)(これら各出願の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に見ることができる。
【0238】
「治療有効量」は、疾患または障害に罹患している対象体に投与されるとき、治療に予定している期間にわたって疾患または障害の軽減、寛解または退行を生じるのに有効な(例えば医薬デポに含有されるような)本発明の化合物の量である。
【0239】
本発明の実施に用いられる投与量は、例えば治療されるべき特定の疾患または状態、用いられる特定の本発明の化合物、投与様式、および所望の療法に応じて当然変化する。他に明記されない限り、(遊離塩基または塩形態として投与される)投与のための本発明の化合物の量は、遊離塩基形態の本発明の化合物の量をいうかまたはそれに基づいている(すなわち、該量の算出は遊離塩基量に基づいている)。
【0240】
本発明の化合物は、経口、非経腸(静脈内、筋肉内または皮下)または経皮を含む満足のいく経路によって投与され得る。特定の実施態様では、例えばデポ製剤中の、本発明の化合物は、好ましくは非経口で、例えば注射、例えば筋肉注射または静脈注射により、投与される。
【0241】
一般に、方法1および1.1~1.45、方法2および2.1~2.12、方法1-Aおよび2-A、ならびに方法3および3.1~3.41、または、例えば、少なくともうつ病、精神病の組み合わせなどの疾患の組み合わせ、例えば、上記の(1)うつ病に罹患している患者における精神病、例えば統合失調症;(2)精神病、例えば統合失調症に罹患している患者におけるうつ病;(3)精神病、例えば統合失調症、またはパーキンソン病に関連する気分障害;(4)精神病、例えば統合失調症、またはパーキンソン病に関連する睡眠障害;および(5)物質嗜癖、物質使用障害および/または物質誘発障害の治療のための、上記の本開示の化合物の使用についての満足のいく結果は、好ましくは経口投与により、1日1回約1mg~100mg程度、好ましくは、1日1回、2.5mg~50mg、例えば2.5mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mgまたは50mgの投与量で経口投与することで得られることが示されている。
【0242】
方法2もしくは2.1~2.12、または、例えば睡眠障害単独の治療のための、上記の本開示の化合物の使用についての満足のいく結果は、好ましくは経口投与により、1日1回、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物を約2.5mg~5mg程度、例えば2.5mg、3mg、4mgまたは5mgの投与量で経口投与することで得られることが示されている。
【0243】
方法I-Aまたは方法II-A、または3.1~3.41のいずれかについての満足のいく結果は、1日1回、100mg未満、好ましくは50mg未満、例えば40mg未満、30mg未満、20mg未満、l0mg未満、5mg未満、2.5mg未満で得られることが示されている。方法2-A、または3.1~3.41のいずれかついての満足のいく結果は、5mg未満、好ましくは2.5mg未満で得られることが示されている。
【0244】
デポ組成物がより長期間の作用を達成するために用いられる本明細書に記載の障害の治療のために、投与量は、短期間作用組成物と比較して高く、例えば1~100mgより高く、例えば25mg、50mg、100mg、500mg、1,000mg、または1000mg超である。本開示の化合物の作用持続時間は、ポリマー組成、すなわちポリマー:薬物の比率およびマイクロ粒子径の操作により制御され得る。本発明の組成物がデポ組成物である場合、注射による投与が好ましい。
【0245】
本開示の化合物の薬学的に許容される塩は、慣用の化学方法により塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成され得る。一般に、このような塩は、水もしくは有機溶媒またはその2つの混合物中で、これら化合物の遊離塩基形態を化学量論量の適切な酸と反応させることにより製造することができ;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。これら塩、例えばアモルファス形態または結晶形態のトルエンスルホン酸塩の製造についてのさらなる詳細については、国際特許出願第PCT/US08/03340号および/または米国仮出願第61/036,069号)(それぞれ米国特許出願公開第2011/112105号に対応する)に見ることができる。
【0246】
本開示の化合物を含む医薬組成物は、従来の希釈剤または賦形剤(例としてゴマ油が挙げられるがこれに限定されない)およびガレヌス技術分野で公知の技術を用いて製造され得る。したがって、経口剤形としては、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤などが挙げられ得る。
【0247】
治療上の使用に言及する場合の用語「並行して(concurrently)」は、2つ以上の活性薬剤が同一もしくは異なる時に与えられるかを問わず、または同一もしくは異なる投与経路により与えられるかを問わず、疾患または障害の治療計画の一部として2つ以上の活性成分を患者に投与することを意味する。2つ以上の活性成分の並行投与は、同じ日の異なる時に、または異なる日に、または異なる頻度であり得る。
【0248】
治療上の使用に言及する場合の用語「同時に(simultaneously)」は、同一投与経路による同時またはほぼ同時の2つ以上の活性成分の投与を意味する。
【0249】
治療上の使用に言及する場合の用語「別個に(separately)」は、異なる投与経路による同時またはほぼ同時の2つ以上の活性成分の投与を意味する。
【0250】
本発明の化合物の製造方法:
式Aの化合物、および、下記の合成スキームで使用される中間体の合成を含むその合成方法は、例えば、米国特許第8,309,722号、および特許出願公開第2017/319580号に開示されている。類似の縮合γ-カルボリンの合成は、例えば、米国特許第8,309,722号、米国特許第8,993,572号、米国特許出願公開第2017/0183350号、国際公開第2018/126140号および国際公開第2018/126143号(各々の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている。本開示の化合物は類似の方法を使用して製造することができる。
【0251】
R1がC(O)-O-C(Ra)(Rb)(Rc)、-C(O)-O-CH2-O-C(Ra)(Rb)(Rc)または-C(R6)(R7)-O-C(O)-R8である式の化合物は、国際出願PCT/US2018/043102(国際出願第2019/023063号)に記載されている手順と類似の手順を使用して製造することができる。
【0252】
他の本開示の化合物は、当業者に知られている類似の手順によって製造することができる。
【0253】
本発明の化合物のジアステレオマーの単離または精製は、当該技術分野で知られている慣用方法、例えば、カラム精製法、分取薄層クロマトグラフィー、分取HPLC、結晶化、トリチュレーション、擬似移動床法などによって行うことができる。
【0254】
本開示の化合物の塩は、米国特許第6,548,493号;米国特許第7,238,690号;米国特許第6,552,017号;米国特許第6,713,471号;米国特許第7,183,282号;米国特許第8,648,077号;米国特許第9,199,995号;米国特許第9,586,860号;米国再発行特許発明第39680号;および米国再発行特許発明第39679号(各々の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されているものと同様に製造することができる。
【0255】
製造された化合物のジアステレオマーは、例えば室温でCHIRALPAK(登録商標)AY-H、5μ、30×250mmを使用し、10%エタノール/90%ヘキサン/0.1%ジメチルエチルアミンで溶離するHPLCにより、分離することができる。ピークは、98~99.9%eeのジアステレオマーを製造するために230nmで検出することができる。
【実施例】
【0256】
実施例1: (6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オンの合成
【化11】
【0257】
(6bR,10aS)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(100mg、0.436mmol)、1-(3-クロロプロキシ)-4-フルオロベンゼン(100μL、0.65mmol)およびヨウ化カリウム(KI)(144mg、0.87mmol)のジメチルホルムアミド(DMF)(2mL)中混合物をアルゴンで3分間脱気し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(150μL、0.87mmol)を添加する。得られた混合物を78℃に加熱し、この温度で2時間撹拌する。該混合物を室温に冷却し、次いで、濾過する。濾過ケーキを、溶離液としてメタノール/メタノール中7N NH3(1:0.1 v/v)混合物中0~100%酢酸エチル勾配液を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して部分精製生成物を得、さらに、16分間にわたって0.1%ギ酸含有水中0~60%アセトニトリル勾配液を使用して半分取HPLCシステムで精製して、固体として標記生成物を得る(50mg、収率30%)。MS (ESI) m/z 406.2 [M+1] +。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.3 (s, 1H), 7.2 - 7.1 (m, 2H), 7.0 - 6.9 (m, 2H), 6.8 (dd, J = 1.03, 7.25 Hz, 1H), 6.6 (t, J = 7.55 Hz, 1H), 6.6 (dd, J = 1.07, 7.79 Hz, 1H), 4.0 (t, J = 6.35 Hz, 2H), 3.8 (d, J = 14.74 Hz, 1H), 3.3 - 3.2 (m, 3H), 2.9 (dd, J = 6.35, 11.13 Hz, 1H), 2.7 - 2.6 (m, 1H), 2.5 - 2.3 (m, 2H), 2.1 (t, J = 11.66 Hz, 1H), 2.0 (d, J = 14.50 Hz, 1H), 1.9 - 1.8 (m, 3H), 1.7 (t, J = 11.04 Hz, 1H)。
【0258】
実施例2: (6bR,10aS)-8-(3-(6-フルオロ-1H-インダゾール-3-イル)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オンの合成
【化12】
【0259】
工程1: BCl3・MeS(10.8g、60mmol)の0~5℃のトルエン中撹拌溶液に3-フルオロアニリン(5.6mL、58mmol)を添加し、次いで、4-クロロブチロニトリル(7.12g、68.73mmol)および塩化アルミニウム(AlCl3)(8.0g、60.01mmol)を添加する。該混合物を130℃で一夜撹拌し、50℃に冷却する。塩酸(3N、30mL)を注意深く添加し、得られた溶液を90℃で一夜撹拌する。得られた茶色の溶液を室温に冷却し、蒸発乾固する。残留物をジクロロメタン(DCM)(20mL)に溶解し、飽和Na2CO3でpH=7~8に塩基性する。有機相を分取し、Na2CO3で乾燥させ、次いで、濃縮する。残留物を、溶離液としてヘキサン中0~20%酢酸エチル勾配液を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色固体として2'-アミノ-4-クロロ-4'-フルオロブチロフェノンを得る(3.5g、収率28%)。MS (ESI) m/z 216.1 [M+1] +。
【0260】
工程2: 2'-アミノ-4-クロロ-4'-フルオロブチロフェノン(680mg、3.2mmol)の0~5℃の濃HCl(14mL)中懸濁液に水(3mL)中のNaNO2(248mg、3.5mmol)を添加する。得られた茶色の溶液を0~5℃で1時間撹拌し、次いで、濃HCl(3mL)中のSnCl2・2H2O(1.74g、7.7mmol)を添加する。該混合物を0~5℃でさらに1時間撹拌し、次いで、ジクロロメタン(30mL)を添加する。反応混合物を濾過し、濾液をK2CO3で乾燥し、蒸発乾固する。残留物を、溶離液としてヘキサン中0~35%酢酸エチル勾配液を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体として3-(3-クロロプロピル)-6-フルオロ-1H-インダゾールを得る(400mg、収率60%)。MS (ESI) m/z 213.1 [M+1] +。
【0261】
工程3: (6bR,10aS)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(100mg、0.436mmol)、3-(3-クロロプロピル)-6-フルオロ-1H-インダゾール(124mg、0.65mmol)およびKI(144mg、0.87mmol)の混合物をアルゴンで3分間脱気し、DIPEA(150μL、0.87mmol)を添加する。得られた混合物を78℃で2時間撹拌し、次いで、室温に冷却する。生じた沈殿物を濾過する。濾過ケーキを、16分間にわたって0.1%ギ酸含有水中0~60%アセトニトリル勾配液を使用して半分取HPLCシステムで精製して、オフホワイト色固体として(6bR,10aS)-8-(3-(6-フルオロ-1H-インダゾール-3-イル)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オンを得る(50mg、収率28%)。MS (ESI) m/z 406.2 [M+1]+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 12.7 (s, 1H), 10.3 (s, 1H), 7.8 (dd, J = 5.24, 8.76 Hz, 1H), 7.2 (dd, J = 2.19, 9.75 Hz, 1H), 6.9 (ddd, J = 2.22, 8.69, 9.41 Hz, 1H), 6.8 - 6.7 (m, 1H), 6.6 (t, J = 7.53 Hz, 1H), 6.6 (dd, J = 1.07, 7.83 Hz, 1H), 3.8 (d, J = 14.51 Hz, 1H), 3.3 - 3.2 (m, 1H), 3.2 (s, 2H), 2.9 (dt, J = 6.35, 14.79 Hz, 3H), 2.7 - 2.6 (m, 1H), 2.4 - 2.2 (m, 2H), 2.1 (t, J = 11.42 Hz, 1H), 2.0 - 1.8 (m, 3H), 1.8 - 1.7 (m, 1H), 1.7 (t, J = 10.89 Hz, 1H)。
【0262】
実施例3: (6bR,10aS)-8-(3-(6-フルオロベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オンの合成
【化13】
【0263】
(6bR,10aS)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(148mg、0.65mmol)、3-(3-クロロプロピル)-6-フルオロベンゾ[d]イソオキサゾール(276mg、1.3mmol)およびKI(210mg、1.3mmol)の混合物をアルゴンで脱気し、次いで、DIPEA(220μL、1.3mmol)を添加する。得られた混合物を78℃で2時間撹拌し、次いで、室温に冷却する。該混合物を真空濃縮する。残留物をジクロロメタン(50mL)に懸濁し、次いで、水(20mL)で洗浄する。有機相をK2CO3で乾燥し、濾過し、次いで、真空濃縮する。粗生成物を、1%7N NH3含有酢酸エチル中0~10%メタノール勾配液を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、固体として標記生成物を得る(80mg、収率30%)。MS (ESI) m/z 407.2 [M+1]+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.3 (s, 1H), 8.0 - 7.9 (m, 1H), 7.7 (dd, J = 2.15, 9.19 Hz, 1H), 7.3 (td, J = 2.20, 9.09 Hz, 1H), 6.8 (d, J = 7.22 Hz, 1H), 6.6 (t, J = 7.54 Hz, 1H), 6.6 (d, J = 7.75 Hz, 1H), 3.8 (d, J = 14.53 Hz, 1H), 3.3 (s, 1H), 3.2 (s, 1H), 3.2 - 3.1 (m, 1H), 3.0 (t, J = 7.45 Hz, 2H), 2.9 - 2.8 (m, 1H), 2.7 - 2.5 (m, 1H), 2.4 - 2.2 (m, 2H), 2.2 - 2.0 (m, 1H), 2.0 - 1.8 (m, 3H), 1.8 - 1.6 (m, 2H)。
【0264】
実施例4: 4-(3-((6bR,10aS)-2-オキソ-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]-ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-イル)プロポキシ)ベンゾニトリルの合成
【化14】
【0265】
工程1: (4aS,9bR)-6-ブロモ-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボン酸エチル(21.5g、66.2mmol)、クロロアセトアミド(9.3g、100mmol)およびKI(17.7g、107mmol)のジオキサン(60mL)中脱気懸濁液を104℃で48時間撹拌する。溶媒を除去し、残留物をジクロロメタン(200mL)に懸濁し、水(100mL)で抽出する。分取したジクロロメタン相を炭酸カリウム(K2CO3)で1時間乾燥させ、次いで、濾過する。濾液を蒸発させて、茶色の油として粗生成物を得る。該茶色の油に酢酸エチル(100mL)を添加し、該混合物を2分間超音波処理する。該混合物から黄色固体が徐々に沈殿し、室温でさらに2時間放置した後ゲルに戻る。さらなる酢酸エチル(10mL)を添加し、得られた固体を濾過する。濾過ケーキを酢酸エチル(2mL)ですすぎ、高真空下でさらに乾燥させて、オフホワイト色固体として(4aS,9bR)-5-(2-アミノ-2-オキソエチル)-6-ブロモ-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボン酸エチルを得る(19g、収率75%)。この生成物をさらなる精製を行わずに直接次工程で使用する。MS (ESI) m/z 382.0 [M+H]+。
【0266】
工程2: (4aS,9bR)-5-(2-アミノ-2-オキソエチル)-6-ブロモ-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボン酸エチル(12.9g、33.7mmol)、KI(10.6g、63.8mmol)、CuI(1.34g、6.74mmol)のジオキサン(50mL)中混合物をアルゴンで5分間通気する。この混合物にN,N,N,N'-テトラメチルエチレンジアミン(3mL)を添加し、得られた懸濁液を100℃で48時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、シリカゲルパッド上に注いで濾過する。濾過ケーキを酢酸エチル(1L×2)ですすぐ。合わせた濾液を濃縮乾固して、白色固体として生成物(6bR,10aS)-2-オキソ-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H,7H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8-カルボン酸エチルエステルを得る(8g、収率79%)。MS (ESI) m/z 302.1 [M+H] +。
【0267】
工程3: (6bR,10aS)-2-オキソ-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H,7H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8-カルボン酸エチルエステル(6.4g、21.2mmol)を室温でHBr/酢酸溶液(64mL、33%w/w)に懸濁する。該混合物を50℃で16時間加熱する。冷却および酢酸エチル(300mL)による処理の後、該混合物を濾過する。濾過ケーキを酢酸エチル(300mL)で洗浄し、次いで、真空乾燥する。次いで、得られたHBr塩をメタノール(200mL)に懸濁し、イソプロパノール中にてドライアイスで冷却する。激しく撹拌しながら、該懸濁液にアンモニア溶液(10mL、メタノール中7N)をゆっくりと添加して、混合物のpH を10に調整する。得られた混合物を、さらなる精製を行わずに真空乾燥して、粗(6bR,10aS)-2-オキソ-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H,7H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン(8.0g)を得、直接次工程で使用する。MS (ESI) m/z 230.2 [M+H]+。
【0268】
工程4: (6bR,10aS)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(100mg、0.436mmol)、4-(3-ブロモプロポキシ)ベンゾニトリル(99mg、0.40mmol)およびKI(97mg、0.44mmol)のDMF(2mL)中混合物をアルゴンで3分間通気し、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(80μL、0.44mmol)を添加する。得られた混合物を76℃に加熱し、この温度で2時間撹拌する。溶媒を除去し、残留物を、酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v)]勾配液を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色泡沫体として標記生成物を得る(35mg、収率45%)。MS (ESI) m/z 389.1 [M+1] +。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.3 (s, 1H), 7.8 (d, J = 8.80 Hz, 2H), 7.1 (d, J = 8.79 Hz, 2H), 6.8 (d, J = 7.39 Hz, 1H), 6.6 (t, J = 7.55 Hz, 1H), 6.6 (d, J = 6.78 Hz, 1H), 4.1 (t, J = 6.36 Hz, 2H), 3.8 (d, J = 14.53 Hz, 1H), 3.3 - 3.2 (m, 3H), 3.0 - 2.8 (m, 1H), 2.7 - 2.6 (m, 1H), 2.5 - 2.3 (m, 2H), 2.2 - 2.0 (m, 1H), 2.0 - 1.8 (m, 3H), 1.8 - 1.7 (m, 1H), 1.7 (t, J = 11.00 Hz, 1H)。
【0269】
実施例5: (6bR,10aS)-8-(3-(4-クロロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オンの合成
【化15】
【0270】
(6bR,10aS)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ-[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(110mg、0.48mmol)、1-(3-ブロモプロポキシ)-4-クロロベンゼン(122mg、0.49mmol)およびKI(120mg、0.72mmol)のDMF(2.5mL)中脱気混合物にDIPEA(100μL、0.57mmol)を添加する。得られた混合物を76℃に加熱し、この温度で2時間撹拌する。溶媒を除去し、残留物を、酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v)]勾配液を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。白色固体として標記生成物を得る(41mg、収率43%)。(ESI) m/z 398.1 [M+1]+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.3 (s, 1H), 7.4 - 7.2 (m, 2H), 6.9 (d, J = 8.90 Hz, 2H), 6.8 - 6.7 (m, 1H), 6.6 (t, J = 7.53 Hz, 1H), 6.6 (dd, J = 1.04, 7.80 Hz, 1H), 4.0 (t, J = 6.37 Hz, 2H), 3.8 (d, J = 14.53 Hz, 1H), 3.3 - 3.2 (m, 3H), 2.9 - 2.8 (m, 1H), 2.7 - 2.6 (m, 1H), 2.4 (ddt, J = 6.30, 12.61, 19.24 Hz, 2H), 2.1 - 2.0 (m, 1H), 2.0 - 1.9 (m, 1H), 1.9 - 1.7 (m, 3H), 1.7 (t, J = 10.98 Hz, 1H)。
【0271】
実施例6: (6bR,10aS)-8-(3-(キノリン-8-イルオキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オンの合成
【化16】
【0272】
(6bR,10aS)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(120mg、0.52mmol)、8-(3-クロロプロポキシ)キノリン(110mg、0.50mmol)およびKI(120mg、0.72mmol)のDMF(2.5mL)中混合物をアルゴンで3分間通気し、DIPEA(100μL、0.57mmol)を添加する。得られた混合物を76℃に加熱し、この温度で2時間撹拌する。溶媒を除去し、残留物をジクロロメタン(30mL)に懸濁し、水(10mL)で洗浄する。ジクロロメタン相をK2CO3で乾燥する。分取した有機相を蒸発乾固する。残留物を、酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v)]勾配液を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、淡褐色(light brown)固体として標記生成物を得る(56mg、収率55%)。(ESI) m/z 415.2[M+1]+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.1 (s, 1H), 8.9 (dd, J = 1.68, 4.25 Hz, 1H), 8.3 (dd, J = 1.71, 8.33 Hz, 1H), 7.7 - 7.5 (m, 3H), 7.3 (dd, J = 1.50, 7.44 Hz, 1H), 7.0 - 6.8 (m, 1H), 6.8 - 6.5 (m, 2H), 4.4 (t, J = 5.85 Hz, 2H), 3.9 (d, J = 14.55 Hz, 1H), 3.8 - 3.6 (m, 2H), 3.5 (s, 1H), 3.4 (d, J = 14.47 Hz, 1H), 2.9 (b, 1H), 2.3 (d, J = 23.61 Hz, 5H), 1.3 (d, J = 7.00 Hz, 3H)。
【0273】
実施例7: 受容体結合プロファイル
実施例1の化合物(式Aの化合物)および実施例2~6の化合物について受容体結合を決定する。下記の文献(各文献は出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)の手順を使用する:5-HT2A:Bryant, H.U. et al. (1996), Life Sci., 15:1259-1268;D2:Hall, D.A. and Strange, P.G. (1997), Brit. J. Pharmacol., 121:731-736;D1:Zhou, Q.Y. et al. (1990), Nature, 347:76-80;SERT:ParkPark, Y.M. et al. (1999), Anal. Biochem., 269:94-104;μオピエート受容体:Wang, J.B. et al. (1994), FEBS Lett., 338:217-222。
【0274】
一般に、結果は、試験化合物の存在下で得られた、対照特異的結合のパーセント:
【数1】
として、また、対照特異的結合の阻害パーセント:
【数2】
として表される。
【0275】
IC
50値(対照特異的結合の最大半量阻害を生じる濃度)およびヒル係数(nH)は、ヒル式カーブフィッティング:
【数3】
[式中、Y=特異的結合、A=曲線の左漸近線、D=曲線の右漸近線、C=化合物濃度、C
50=IC
50、およびnH=傾斜因子]
を用いて平均反復値を用いて作成した競合曲線の非線形回帰分析によって決定される。この分析は、自社ソフトウェアを用いて行われ、市販のソフトウェアSigmaPlot(登録商標)4.0 for Windows(登録商標)(SPSS Inc.による著作権1997)によって作成されたデータとの比較によって正当性が認められる。阻害定数(Ki)は、チェンプルソフ式:
【数4】
[式中、L=アッセイにおける放射性リガンドの濃度、およびK
D=受容体に対する放射性リガンドの親和性]
を用いて算出された。K
Dを決定するためにスキャッチャードプロットが用いられる。
【0276】
以下の受容体親和性の結果が得られる:
【表1】
実施例1~6に記載の手順と類似の手順によって式Iのさらなる化合物を製造する。これらの化合物の受容体親和性結果を下記の表に示す:
【表2】
【0277】
実施例8: マウスのDOI誘発性頭部攣縮モデル
R-(-)-2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)は、セロトニン5-HT2受容体ファミリーのアゴニストである。それは、マウスに投与されると、高頻度の頭部攣縮と関連する行動プロファイルを生じる。所定の期間中のこれら頭部攣縮の頻度は、脳内の5-HT2受容体アゴニズムの推定値として取ることができる。逆に、この行動アッセイは、アンタゴニストを用いるかまたは用いずにDOIを投与し、アンタゴニストの投与後のDOI誘発性頭部攣縮の減少を記録することによって、脳内の5-HT2受容体拮抗作用を決定するために使用することができる。
【0278】
若干の改変を伴ってDarmani et al., Pharmacol Biochem Behav. (1990) 36:901-906(この内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)の方法が使用される。(±)-DOI HClを皮下注射し、該マウスをすぐに慣用のプラスチックケージに収容する。DOI投与の1分後から始めて6分間、頭部攣縮の回数をカウントする。DOI注射の0.5時間前に被験化合物を経口投与する。結果は、DOI誘発性頭部攣縮を減少させるためのEC
50として算出される。結果は下記の表に示される:
【表3】
結果は、実施例1の化合物がDOI頭部攣縮を強くブロックし、実施例7に示されるインビトロ5-HT
2A結果と一致することを示している。
【0279】
実施例9: マウステールフリック(tail flick)アッセイ
マウステールフリックアッセイは、拘束されたマウスの疼痛反射閾値によって示される鎮痛作用の測定である。雄性CD-1マウスを、高強度赤外熱源の収束ビーム下にその尾がくるように配置し、尾が加熱される。動物は不快になるといつでも熱源から尾を引き抜くことができる。加熱装置をつけた時と熱源の経路の外側にマウスの尾をフリックした時との間の時間量(潜時(latency))を記録する。モルヒネの投与により、鎮痛作用がもたらされ、これにより、熱に対するマウスの反応の遅延が生じる(潜時の増大)。モルヒネ(MOR)アンタゴニスト、すなわち、ナロキソン(NAL)の前投与により、この効果は逆転し、正常な潜時となる。この試験は、μオピエート受容体のアンタゴニズムを計測するための機能アッセイとして使用される。
【0280】
実施例9a: 実施例1の化合物によるモルヒネ誘発性鎮痛作用のアンタゴニズム
5つの処置グループの各々に10匹の雄性CD-1マウス(約8週齢)が割り当てられる。グループは以下のとおり処置される:グループ(1)[陰性対照]:テールフリック試験の60分前に0.25%メチルセルロースビヒクルが経口投与され、テールフリック試験の30分前にセイラインビヒクルが投与される;グループ(2)[陽性対照]:該試験の60分前に0.25%メチルセルロースビヒクルが経口投与され、該試験の30分前にセイライン中モルヒネ5mg/kgが投与される;グループ(3)[陽性対照]:該試験の50分前にセイライン中ナロキソン3mg/kgが投与され、該試験の30分前にセイライン中モルヒネ5mg/kgが投与される;グループ(4)~(6):該試験の60分前に0.25%メチルセルロースビヒクル中被験化合物0.1mg/kg、0.3mg/kgまたは1mg/kgが経口投与され、該試験の30分前にモルヒネ5mg/kgが投与される。結果は、秒で測定した平均潜時として下記の表に示される:
【表4】
【0281】
結果は、実施例1の化合物がモルヒネ誘発性μオピエート受容体活性の用量依存的遮断を発揮することを示している。
【0282】
実施例9b: ナロキソンによって阻害される、実施例1の化合物による鎮痛作用
上記のマウステールフリックアッセイを用いる第2の研究において、さらに、3mg/kg(腹腔内)のナロキソンによる前投与を行った場合および行わなかった場合で、実施例1の化合物を1.0mg/kg、3.0mg/kgおよび10mg/kgの投与量で、5mg/kgのモルヒネと比較する。前処置グループでは、テールフリック試験の20分前にナロキソンを投与する。非前処置対照では、テールフリック試験の20分前にセイラインを投与する。各グループにおいて、テールフリック試験の30分前に、ビヒクル、モルヒネまたは実施例1の化合物を投与する。結果を平均潜時(秒)として下記の表に示す:
【表5】
【0283】
全ての投与量での実施例1の化合物の投与がテールフリックまでの潜時を有意に増加させること、およびこの効果がナロキソンによる前処置により弱まることが分かる。この結果は、実施例1の化合物によって生じる用量依存的鎮痛効果を示しており、さらに、この効果がμ-オピオイド受容体アゴニズムによって媒介されることを示唆している。
【0284】
実施例9c: 鎮痛作用の経時変化、実施例1の化合物
上記のテールフリックアッセイを繰返して、実施例1の化合物の投与により得られる鎮痛作用の経時変化を決定する。マウスに、(1)アッセイの30分前にビヒクルを、(2)アッセイの30分前に5mg/kgのモルヒネを、または(3)~(7)アッセイの30分前、2時間前、4時間前、8時間前または24時間前に1mg/kgの実施例3の化合物を、皮下投与する。結果を平均潜時(秒)として下記の表に示す:
【表6】
【0285】
結果は、実施例1の化合物がテールフリックアッセイの30分前または2時間前に投与された場合に有効な鎮痛作用をもたらすことを示している(ANOVA、対ビヒクルP<0.001)。テールフリックアッセイの4時間前、8時間前または24時間前に投与した場合、1mg/kgの実施例1の化合物は、ビヒクル対照と有意に異なる鎮痛効果をもたらさない。したがって、実施例1の化合物は長期の鎮痛作用をもたらさず、これは、実施例1の化合物が、他のオピエート鎮痛薬と比較して、乱用の可能性が低く、かつ、薬物間相互作用のリスクが低いことを意味する。
【0286】
実施例9d: 実施例1の化合物の慢性投与による鎮痛作用
動物が14日間慢性処置レジメンを受け、次いで、テールフリックアッセイの30分前に急性処置を受ける試験モデルを用いて、上記のテールフリックアッセイを繰り返す。マウスを、それぞれマウス10匹を有する6つのサブグループをもつ3つの大きなグループに分ける。この3つのグループに、慢性処置として、(A)ビヒクル、(B)0.3mg/kgの実施例1の化合物、または(C)3.0mg/kgの実施例2の化合物のいずれかを投与する。さらに、各サブグループに、急性処置として、(1)ビヒクル、または(2)~(6)0.01、0.03、0.1、0.3または1.0mg/kgの実施例1の化合物のいずれかを投与する。全ての処置は皮下投与される。結果を、テールフリックに対する平均潜時(秒)として下記の表に示す:
【表7】
【0287】
実施例1の化合物による0.1、0.3および1.0mg/kg急性処置が、ビヒクルによるグループ内急性処置と比較して統計的に有意な用量依存性鎮痛効果をもたらすことが分かる。これは、慢性グループ(A)、(B)および(C)の各々にあてはまる。ビヒクルによる前処置と比較して、0.3mg/kgまたは3.0mg/kgの実施例1の化合物による前処置は、同一急性処置サブグループを比較した場合、一般的にテールフリック潜時の統計的に有意な減少を示した。これらの結果は、14日間の慢性処置の後に実施例1の化合物の鎮痛効果に対するある程度の耐性が生じるが、得られた鎮痛作用は慢性前処置にもかかわらず有効なままであることを示している。
【0288】
実施例10: CNSリンタンパク質プロファイル
実施例1の化合物の中枢神経系(CNS)プロファイルを試験するために、包括的な分子リン酸化研究も行われる。マウスの側坐核において、選択された重要な中枢神経系タンパク質についてのタンパク質リン酸化の程度が測定される。被験タンパク質としてはERK1、ERK2、Glu1、NR2BおよびTH(チロシンヒドロキシラーゼ)が挙げられ、実施例1の化合物を抗精神病薬であるリスペリドンおよびハロペリドールと比較した。
【0289】
3mg/kgの実施例1の化合物、または2mg/kgのハロペリドールでマウスを処置した。マウスを、注射後30分~2時間で、収束したマイクロ波全脳照射によって屠殺し、死亡時に脳のリンタンパク質は存在しているのでそれを貯蔵する。次いで、各マウスの脳から側坐核を解体し、スライスし、液体窒素で凍結させた。Zhu H, et al., Brain Res. 2010 Jun 25; 1342:11-23に記載されるように、SDS-PAGE電気泳動に次いでリンタンパク質特異的イムノブロット法によるリンタンパク質分析のために、さらに試料を調製した。各部位でのリン酸化を定量化し、該タンパク質(非リン酸化)の全レベルに正規化し、ビヒクル処置した対照マウスにおけるリン酸のレベルのパーセントとして表した。
【0290】
結果は、THリン酸化において400%を超える増加を生じるハロペリドールおよび500%を超える増加を生じるリスペリドンとは対照的に、実施例1の化合物が、30分目および60分目に、Ser40でのチロシンヒドロキシラーゼリン酸化に対して有意な効果を有しないことを示している。これは、本発明の化合物がドパミン代謝を妨害しないことを示している。
【0291】
結果は、さらに、実施例1の化合物が、30~60分目にTyr1472でのNR2Bリン酸化に対して有意な効果を有しないことを示している。該化合物は、Ser845でGluR1リン酸化のわずかな増加を生じ、Thr183およびTyr185でERK2リン酸化のわずかな減少を生じる。特定のタンパク質の様々な部位でのタンパク質リン酸化は、タンパク質輸送、イオンチャネル活性、シナプスシグナル伝達の強度および遺伝子発現の変化などの細胞の様々な活動に関連していることが知られている。NMDAグルタミン酸受容体におけるTyr1472のリン酸化は、神経障害性疼痛の維持に不可欠であることが示されている。GluR1 AMPA型グルタミン酸受容体のSer845のリン酸化は、シナプス伝達の強化と受容体のシナプス局在の強化のいくつかの側面に関連しており、認知能力に関連する長期増強をサポートする。この残基のリン酸化により、チャネルが開く確率が高くなることも報告されている。MAPキナーゼカスケードのメンバーであるERK2キナーゼの残基T183およびY185でのリン酸化は、このキナーゼの完全な活性化に必要であり、ERK2は、細胞の増殖、生存、および転写の調節を含む細胞生理学の多くの側面に関与する。このキナーゼは、シナプス形成と認知機能において重要であると報告されている。
【0292】
実施例11: マウスのビー玉埋め(marble-burying)研究(OCDモデル)
げっ歯類の反復行動および不安関連行動を測定するためにビー玉埋め試験が使用される。これは、ラットおよびマウスが有害または無害な物体を寝具に埋めるという観察に基づいており、OCDなどの反復行動障害の処置における薬理学的介入の効果を測定するための動物モデルとして使用されている。
【0293】
まず、マウスを4つの処置グループに分ける:(1)ビヒクル陰性対照、(2)実施例1の化合物0.3mg/kg、(3)実施例1の化合物1.5mg/kg、および(4)MPEP(2-メチル-6-(フェニルエチニル)ピリジン)20mg/kg陽性対照。MPEPは、選択的mGluR5グルタミン酸受容体アンタゴニストである。グループ(2)および(3)のマウスには試験の30分前に0.5%メチルセルロース水性ビヒクル中の所定の投与量で実施例1の化合物を経口投与する。グループ(1)のマウスにはビヒクルを経口投与し、グループ(4)のマウスには試験開始直前にMPEPの腹腔内注射を行う。
【0294】
試験は、気を散らすものを最小限にするために窓のシェードを下げてドアを閉めた部屋の中で、4~5cmのウッドチップ寝具を備えた長方形のケージ内で行う。15個のきれいなビー玉を、ビー玉5個の列3つで寝具の上に均等に配置される。各ケージにマウス1匹を収容する。ケージ内のマウスを30分間そのままにしておく。試験の最後に、マウスを取り出し、少なくとも2/3の深さまで埋まっているビー玉の数を数える。結果を下記の表に示す:
【表8】
【0295】
結果は、対照と比較して、実施例1の化合物0.3mg/kg(p<0.01)および実施例1の化合物1.5mg/kg(p<0.001)で処置したマウスのビー玉埋めが統計学的に有意に減少することを示している。さらに、明らかな用量反応関係が明らかである。この結果は、OCD治療適応における実施例1の有用性をサポートしている。
【0296】
実施例12: μオピエート受容体活性アッセイ
HTRFベースのcAMPアッセイキット(CisbioからのcAMP Dynamic2 Assay Kit、#62AM4PEB)を使用して、hOP3(ヒトμ-オピエート受容体μ1サブタイプ)を発現するCHO-K1細胞において実施例1の化合物を試験する。凍結細胞を37℃の水浴で解凍し、10%FBSを含有するHam F-12培地10mLに再懸濁する。遠心分離により細胞を回収し、アッセイバッファー(5nM KCl、1.25mM MgSO4、124mM NaCl、25mM HEPES、13.3mM グルコース、1.25mM KH2PO4、1.45mM CaCl2、0.5g/L プロテアーゼ不含BSA、1mM IBMX添加)に再懸濁する。μ-オピエート受容体部分アゴニストであるブプレノルフィン、およびμ-オピエート受容体アンタゴニストであるナロキソン、および合成オピオイドペプチド完全アゴニストであるDAMGOを対照として使用する。
【0297】
アゴニストアッセイのために、384ウェル白色プレートのウェル中にて、細胞懸濁液12μL(2500細胞/ウェル)をフォルスコリン6μL(最終アッセイ濃度10μM)と混合し、漸増濃度の試験化合物6μLを合わせ、該プレートを室温で30分間インキュベートする。溶解バッファーを添加し、さらに1時間インキュベートした後、キットの説明書に従ってcAMP濃度を測定する。全てのアッセイポイントは、3回測定される。XLfitソフトウエア(IDBS)を用いてカーブフィッティングを行い、4パラメータロジスティックスフィットを用いてEC50値を決定する。アゴニストアッセイは、フォルスコリン刺激cAMP蓄積を阻害する試験化合物の能力を測定する。
【0298】
アンタゴニストアッセイのために、細胞懸濁液12μL(2500細胞/ウェル)を漸増濃度の試験化合物6μLと混合し、384ウェル白色プレートのウェル中にて合わせ、該プレートを室温で10分間インキュベートする。DAMGO(D-Ala2-N-MePhe4-Gly-オール-エンケフェリン、最終アッセイ濃度10nM)とフォルスコリン(最終アッセイ濃度10μM)との混合物6μLを添加し、該プレートを室温で30分間インキュベートする。溶解バッファーを添加し、さらに1時間インキュベートした後、キットの説明書に従ってcAMP濃度を測定する。全てのアッセイポイントは、3回測定される。XLfitソフトウエア(IDBS)を用いてカーブフィッティングを行い、4パラメータロジスティックスフィットを用いてIC50値を測定する。改変Cheng-Prusoff式を用いて見かけの解離定数(KB)を算出する。アンタゴニストアッセイは、DAMGOによって引き起こされるフォルスコリン誘発cAMP蓄積の阻害を逆転させる試験化合物の能力を測定する。
【0299】
結果を下記の表に示す。結果は、実施例1の化合物が、ナロキソンと比較して非常に高いIC
50を示す、μ受容体の弱いアンタゴニストであること、および、それが中程度に高い親和性であるが、DAMGOに比べて(DAMGOに比べて約79%のブプレノルフィンの活性と比較して)約22%のアゴニスト活性しか示さない、部分アゴニストであることを示している。実施例1の化合物はまた、中程度に強い部分アゴニスト活性を有することも示されている。
【表9】
【0300】
ブプレノルフィンは、慢性疼痛処置およびオピエート離脱に使用される薬物であるが、その高い部分アゴニスト活性のために、使用者は中毒になり得るという問題を抱えている。これを相殺するために、ブプレノルフィンとナロキソンの市販の組合せが使用される(Suboxoneとして販売されている)。理論に拘束されるものではないが、ブプレノルフィンよりも弱い部分μアゴニストであり、ある程度の中程度のアンタゴニスト活性を有する本発明の化合物により、患者を、より低い中毒リスクをもって、疼痛および/またはオピエート離脱に対してより効果的に処置できると考えられる。
【0301】
組換えヒトMOP-βアレスチンシグナル伝達経路を使用する追加の関連研究では、実施例1の化合物が、10μMまでの濃度ではMOP受容体を介するβアレスチンシグナル伝達を刺激しないが、IC50が0.189μMであるアンタゴニストであることが見出されている。対照的に、完全オピオイドアゴニストであるMet-エンケファリンは、0.08μMのEC50でβアレスチンシグナル伝達を刺激する。
【0302】
実施例13: ラット耐性/依存性研究
実施例1の化合物を、雄性スプラーグドーリーラットへの反復(28日)毎日皮下投与中に評価して、投薬に対する薬物効果をモニターし、薬理学的耐性が生じるかどうかを判定する。さらに、化合物が離脱への身体的依存症を誘発するかどうかを判断するために、反復投与の突然の中止の後にラットの行動的、身体的および生理学的兆候をモニターする。また、耐性および依存性研究で使用される特定の用量での化合物の血漿薬物曝露レベルを決定するために、耐性および依存性研究と並行して薬理学的研究を行う。該モデルの有効性を確保するための陽性対照として、また、類似の薬理学的クラスからの参考対照薬として、モルヒネを使用する。
【0303】
実施例1の化合物を、1日4回皮下投与される2つの用量、0.3および3mg/kgで評価する。反復投与により、0.3mg/kgの投与では15~38ng/mL(平均、n=3)、また、3mg/kgの投与では70~90ng/mL(平均、n=3)のピーク血漿濃度が得られることが分かる。投与後30分~1.5時間でピーク濃度に達し、同等の結果が投与1日目、14日目および28日目に得られる。
【0304】
実施例1の両方の用量で、投与期間または離脱期のいずれかの間、動物の体重、食物および水の摂取、または体温に有意な影響がないことが分かる。0.3mg/kgでの反復投与により引き起こされる主な行動的および身体的影響は、投与期の間、猫背の姿勢(hunched posture)、ストラウブ挙尾(Straub tail)および立毛(piloerection)であることが分かる。高用量では、観察される主な行動的および身体的兆候は、猫背の姿勢、不活発な行動(subdued behavior)、ストラウブ挙尾、テールラトル(tail rattle)および立毛である。
【0305】
研究の28日目に化合物を突然に休止した後に行動的および身体的兆候の同様のプロファイルが観察される。0.3mg/kgでの投与期間中に立ち上がり(rearing)および身体の緊張の高まり(increased body tone)は観察されないが、離脱期の間は有意に増大することが分かる。高用量では、投与期間中に軽度の立ち上がりが観察されるが、離脱期の間は、立ち上がりがより顕著になり、身体の緊張の高まりが観察される。
【0306】
陽性対照として、モルヒネ30mg/kgを1日2回経口投与する。この投薬レジメンは、予想とおり、体重、食物および水の摂取、直腸温、ならびに耐性および離脱誘発性依存症の発症と一致する臨床的兆候の変化に関連していることが観察される。体重は、2日目および3日目に、ビヒクル処置対照グループと比較して有意に増加したが、5日目に有意に減少した。モルヒネは1~9日目に食物摂取を有意に減少させた。その後、食物摂取は、一般的に、対照グループよりも少ないことが観察されるが、9、13、14、16、18、21、22および25日目には対照と有意な差はなかった。体重および食物摂取に対するこれらの影響は、モルヒネの影響に対する耐性を示している。
【0307】
モルヒネ処置グループの水摂取もまた、投与期間の間、28日間のうち25日間で対照グループよりも有意に少ないことが分かる。体温もまた、一般的に、投与期間の間、対照グループよりも有意に低く、20日目、21日目および27日目に顕著である。投与期間中にモルヒネにより誘発される主な行動的影響が、ストラウブ挙尾、ジャンピング、ディギング(digging)、身体の緊張の高まり、自発運動活性の増大、爆発的動作(explosive movement)および眼球突出(exopthalmus)であることが観察される。
【0308】
さらにまた、28日目のモルヒネ投与の離脱は、食物摂取の初期のさらなる減少、その後の反跳性過食をもたらし、33日目に対照グループと比較して食物摂取が有意に増加することが観察される。食物摂取は35日目までに対照レベルに戻る。同様に、以前にモルヒネを投与されていたラットもまた、29日目に水摂取の初期の減少、その後の反跳性多渇症(rebound hyperdipsia)(水消費量は31日目までに対照レベルに戻る)が観察される。さらに、投与中に直腸体温の統計学的に有意な低下が観察されるが、離脱期の間、体温は対照レベルに戻る。
【0309】
さらにまた、モルヒネからの離脱期の間、新しい行動的および身体的兆候が観察され、これは、依存性の存在を示している。これらの兆候として、立毛、運動失調/千鳥足(rolling gait)、激しい震え(wet dog shakes)および腹部の縮こまり(pinched abdomen)が挙げられる。投与期間中に観察される他の異常な行動は、離脱期に徐々に消失する。35日目までに、立ち上がりが、以前にモルヒネを投与されたラットにおいて高い発生率で観察された唯一の行動または身体的兆候となった。
【0310】
したがって、モルヒネの反復投与は、体重、食物および水の摂取、直腸温、ならびに耐性および離脱誘発性依存症の発症と一致する臨床的兆候の変化とともに、この研究において耐性および依存症の明確な兆候を引き起こすことが示される。これは、投与中および投与休止中の生理学的変化の検出における該研究方法の妥当性を示している。
【0311】
対照的に、0.3および3mg/kgのどちらでも、実施例1の化合物の4回の反復投与は、28日間の皮下投与の間、耐性を引き起こさない。さらに、離脱時に、高用量では、行動的および身体的兆候の同様であるが減少するプロファイルが観察されるが、これは臨床的意義をもつとは考えられない。したがって、全体として、実施例1の化合物は、投与中止しても身体的依存症症候群を引き起こさないことが判明した。
【0312】
実施例14: マウスにおけるオキシコドン依存性離脱研究
オキシコドンを、雄性C57BL/6Jマウスに、1~2日目、3~4日目、5~6日目、および7~8日目にそれぞれ9、17.8、23.7、および33mg/kg b.i.d.(注射の間隔は7時間)の漸増用量レジメンで8日間投与する。9日目の朝に、マウスに0.3、1または3mg/kgのいずれかの実施例1の化合物を皮下投与する。30分後に、ビヒクルの注射または3mg/kgのナロキソンの注射を行う。別のコホートのマウスは陰性対照として機能し、これらのマウスには、オキシコドンの代わりに、1~8日目にセイラインを投与する。9日目に、これらのマウスにビヒクル(上記のように、ナロキソンが続く)または3mg/kg(s.c.)の実施例1の化合物(上記のように、ナロキソンが続く)のいずれかを投与する。
【0313】
9日目に、ナロキソン(またはビヒクル)の注射直後に、マウスを個別に透明なプラスチックケージに収容し、30分間連続して観察する。マウスを、ジャンピング、激しい震え、足振戦(paw tremor)、後退り(backing)、眼瞼下垂および下痢を包含するオピエート離脱の一般的な身体的兆候についてモニターする。そのような行動はすべて、少なくとも1秒間隔があいた場合または正常な行動によって中断された場合には新しい発生として記録される。ナロキソン(またはビヒクル)注射の直前および30分後の動物の体重もまた記録する。ANOVA、適切な場合には、次いで、多重比較のためのTukey検定によりデータを解析する。有意なレベルはp<0.05で確立される。
【0314】
【0315】
兆候の総数には、足振戦、ジャンプ、および激しい震えが含まれる。オキシコドン処置マウスにおいて、ナロキソンがかなりの総数の兆候、足振戦、ジャンプおよび体重変化(それぞれについてp≦0.0001)を誘発することが分かる。実施例1の化合物は、試験した全ての用量で、兆候の総数および足振戦の有意な減少をもたらす。さらに、該化合物は、3.0mg/kgでは、ジャンプの有意な減少および体重減少の減衰(attenuated body weight loss)ももたらす。
【0316】
これらの結果は、実施例1の化合物が、オピエート依存性ラットにおいてオピエート投与の突然の休止後のオピエート離脱の兆候および症状を用量依存的に減少させることを示している。
【0317】
実施例15: ホルマリン足試験(Formalin Paw Test)(炎症性疼痛モデル)
ホルマリンなどの化学刺激の足底下投与は、マウスに即時の痛みと不快感を引き起こし、次いで、炎症を引き起こす。2.5%ホルマリン溶液(37wt%ホルムアルデヒド水溶液、セイラインで希釈した)を後足に皮下注射することにより、二相性反応:急性疼痛反応および遅延炎症反応が生じる。したがって、この動物モデルは、同一の動物において急性疼痛および亜急性/強直性疼痛のどちらに関する情報も提供する。
【0318】
C57マウスを観察チャンバー内で慣らす。ホルマリン投与の30分前に、ビヒクルを皮下注射により、5mg/kgのモルヒネ(セイライン中)を皮下注射により、または0.3、1.0もしくは3.0mg/kgの実施例1の化合物(45%w/vシクロデキストリン水溶液中)を皮下注射により、マウスに投与する。さらに、別のセットのマウスを対照ビヒクルまたは3.0mg/kgの実施例1の化合物で、皮下注射ではなく経口投与により処置する。
【0319】
次いで、マウスの左後ろ足の足底表面に2.5%ホルマリン溶液20μLを皮下注射する。次の40分間にわたって、処置した後足のリッキング(licking)またはバイティング(biting)に費やされた合計時間を記録する。最初の10分間は急性侵害受容反応を表し、後の30分間は遅延炎症反応を表す。1ミンター(minter)間隔で、0~4のスケールでスコア付けされる「平均行動評価(Mean Behavioral Rating)」を使用して各動物の行動を評価する:
0: 反応なし、動物は眠っている
1: 動物は処置した足で、例えばつま先で、軽快に歩いている
2: 動物は処置した足を上げている
3: 動物は処置した足を震わせている
4: 動物は処置した足をリッキングまたはバイティングしている
ANOVA、適切な場合には、次いで、Fisher検定を用いるポストホック比較によりデータを解析する。有意性はp<0.05で確立される。
【0320】
【0321】
結果は、初期段階(0~10分)および後期段階(11~40分)のどちらの反応期間中でも有意な処置効果を示している。ポストホック比較は、ビヒクル処置と比較して、モルヒネまたは実施例1の化合物(3mg/kg)の皮下注射が、ホルマリン注射によって引き起こされる疼痛行動評価を有意に減衰させ、リッキング時間を有意に減少させることを示す。ポストホック比較はまた、モルヒネまたは実施例1の化合物(3mg/kg)の皮下注射、および実施例1の化合物(3mg/kg)の経口投与により、リッキングに費やされた時間を有意に減少させることも示す。1.0mg/kgの化合物の皮下使用、および3.0mg/kgの経口使用で平均疼痛行動評価も低下したが、これらの効果はこの研究では統計学的に有意ではなかった。1.0mg/kgの実施例1の化合物の皮下使用でリッキング時間も同様に減少したが、結果は、この研究では統計学的に有意ではなかった。体重の有意な変化を受けた研究のマウスはどの研究グループにもいなかったことが分かった。
【0322】
実施例16: ヘロイン維持ラットにおける自己投与
ヘロイン中毒ラットが実施例1の化合物を自己投与するかどうかを決定するために研究が行われ、それらがそうしないことが分かり、さらに、本開示の化合物の非中毒性の性質が強調される。
【0323】
研究は3段階で行われる。第1段階では、ラットは、まず食物のレバーを押すように訓練され、次に、静脈内頚静脈カテーテルが留置され、ヘロインを自己投与するように訓練される。合図(ケージ内のライトの点灯)に応答して、動物がレバーを3回押すことにより、カテーテルを介してヘロインが1回注射される。ヘロインは、初期用量0.05mg/kg/注射で提供され、その後、0.015mg/kg/注射に増加する。次いで、ヘロインの供給をセイラインに置き換えることにより、この訓練された反応を消失させる。第2段階では、セイライン溶液を、0.0003mg/kg/注射、0.001mg/kg/注射、0.003mg/kg/注射および0.010mg/kg/注射の4つのうちの1つの用量での実施例1の化合物の溶液に置き換える。個々のマウスに、1種類または2種類の用量の化合物を上昇する方法で投与する。次いで、この反応をセイライン注射で消失させ、その後、0.015mg/kg/注射でのヘロインの使用を繰り返す第3段階を行う。第3段階の目的は、研究の終わりに依然としてラットがヘロインへの嗜癖行動を示すことを実証することである。研究結果を下記の表に示す:
【表12】
【0324】
結果は、ヘロインを投与している場合にラットがレバーを押す回数が統計学的に有意に増加するが、セイラインまたは実施例1の化合物を投与している場合には有意な差はなかったことを示している。したがって、結果は、ラットが実施例1の化合物の中毒にならないことを示唆している。
【0325】
実施例17: 動物の薬物動態データ
標準的な手順を使用して、数匹の動物において実施例1の化合物の薬物動態プロファイルを研究する。
【0326】
実施例17a: ラットPK研究
第1の研究では、ラットに実施例1の化合物を、45%Trapposolビヒクル中1mg/kgで静脈内ボーラス(IV)投与するかまたは0.5%CMCビヒクル中10mg/kgで経口(PO)投与する(各グループ、N=3)。第2の研究では、ラットに実施例1の化合物を、それぞれ45%Trapposolビヒクル中、10mg/kgでPO投与するかまたは3mg/kgで皮下(SC)投与する(各グループについて、N=6)。投与後0~48時間の時点で薬物の血漿濃度を測定する。代表的な結果を下記の表に示す(*は、血漿濃度が測定可能な定量レベルを下回ることを示す):
【表13】
【0327】
実施例17b: マウスPK研究
実施例1の化合物の10mg/kgPO投与を使用して、マウスにおける同様の研究を行い、以下の結果が得られる:Tmax=0.25時間;Cmax=279ng/mL;AUC(0~4h)=759ng・hr/mL;血液-血漿比(0.25~4h)は3.7~6.6にわたる。該研究は0.1mg/kgSCの用量でも行われる。代表的な結果を下記の表に示す:
【表14】
【0328】
これらの結果は、総合して、実施例1の化合物が十分に吸収され、脳および組織に分布し、適度に長い半減期で保持されて、治療用量の1日1回投与を可能にすることを示している。
【0329】
実施例18: 胃腸機能
活性炭ボーラス投与の腸通過割合をモニターすることにより、ラットの胃腸運動に対する実施例1の化合物の影響を調べる。ラットを、15%活性炭水溶液の経口ボーラス投与の30分前に、(1)カルボキシメチルセルロース水性ビヒクル、(2)モルヒネ(5mg/kg、SC)または(3)実施例1の化合物(0.3、1.0または3.0mg/kg、SC)のいずれかで処置する。測定結果は、該炭が移動した距離を動物の腸の全長の割合として算出した運動率である。結果を下記の表に示す:
【表15】
【0330】
これらの結果は、実施例1の化合物が3mg/kgまでの用量では胃腸運動に対して有意な影響を及ぼさないことを示している。対照的に、予想どおりに、モルヒネは、胃運動を約50%低下させる。
【0331】
さらなる実験において、ラットを、炭ボーラス投与の60分前にビヒクル、モルヒネ(5mg/kg)または実施例1の化合物(3mg/kg)のいずれかで各々SCで前処置し、次いで、モルヒネ(5mg/kg)、モルヒネ+実施例1の化合物(0.3mg/kgまたは3mg/kg)、または実施例1の化合物(3mg/kg)単独のいずれかで処置する。結果を下記の表に示す。グループ2および3では、まずモルヒネを注射し、その直後に実施例1の化合物を注射した:
【表16】
【0332】
結果は、実施例1の化合物が、モルヒネと並行して投与されたかまたはモルヒネの前に連続投与された場合にはモルヒネによって引き起こされる胃腸運動の阻害を逆転させ、前処置を用いた場合にはモルヒネの効果の遮断が強くなることを示している。
【0333】
理論に拘束されることなく、これらの差は、実施例1の化合物がMOPバイアスリガンドとして作用すること、および、それらが、便秘および呼吸抑制を含むオピエート関連副作用を媒介することが示されている経路である下流のβアレスチンシグナル伝達経路を活性化させないことから生じると考えられる。
【0334】
実施例19: 肺機能
0.3、1.0および3.0mg/kgの実施例1の化合物を皮下投与した後のラットの呼吸数、一回換気量および毎分換気量をビヒクル対照と比較してモニターすることにより、ラットの肺機能に対する実施例1の化合物の影響を調べる。化合物の投与後0分、15分、60分、120分および240分で測定を行う。いずれの時点でも、ビヒクルといずれの試験グループとの間に有意な差がないことが分かる。得られた結果の典型である、60分間の結果を下記の表に示す:
【表17】
【0335】
実施例20:(6bR,10aS)-8-(3-(3-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン
【化17】
【0336】
工程1: 3-フルオロフェノール(1mL、11mmol)、1,3-ジブロモプロパン(1.35mLmg、13.3mmol)およびK2CO3(1.83g、13.3mmol)のCH3CN(4mL)中混合物をアルゴンで3分間通気する。得られた混合物を80℃に加熱し、この温度で一夜撹拌する。反応混合物を濾過し、濾過ケーキを酢酸エチル(10mL)で3回洗浄する。合わせた濾液を蒸発させ、残留物を高真空下で乾燥させる。生成物1-(3-ブロモプロポキシ)-3-フルオロベンゼンを無色の液体として得る(2.3g、収率89%)。この生成物を さらなる精製を行わずに次反応に直接使用する。
【0337】
工程2: (6bR,10aS)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ-[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン・HBr塩(500mg、1.28mmol)、1-(3-ブロモプロポキシ)-3-フルオロベンゼン(0.358g、1.53mmol)およびKI(0.424mg、2.56mmol)のDMF(4mL)中懸濁液をアルゴンで3分間通気し、DIPEA(0.89mL、5.12mmol)を添加する。得られた混合物を80℃に加熱し、この温度で6時間撹拌する。溶媒を除去し、残留物を、酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v)]で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。標記生成物を白色固体として得る(185mg、収率38%)。MS (ESI) m/z 382.1 [M+H]+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.47 (s, 1H), 7.48 - 7.07 (m, 3H), 7.07 - 6.91 (m, 1H), 6.92 - 6.80 (m, 1H), 6.74 (dd, J = 7.7 Hz, 1H), 6.69 - 6.59 (m, 1H), 4.23 - 4.09 (m, 2H), 3.95 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 3.81 - 3.62 (m, 1H), 3.60 - 3.45 (m, 3H), 3.46 - 3.36 (m, 2H), 3.28 - 3.19 (m, 0H), 3.19 - 3.03 (m, 1H), 2.70 - 2.54 (m, 1H), 2.43 - 2.30 (m, 1H), 2.28 - 2.13 (m, 2H), 2.13 - 2.01 (m, 1H)。
【0338】
実施例21: (6bR,10aS)-8-(3-(2-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン
【化18】
【0339】
工程1: 2-フルオロフェノール(1mL、11.2mmol)、1,3-ジブロモプロパン(1.37mLmg、13.4mmol)およびK2CO3(2.32g、16.8mmol)のCH3CN(8mL)中混合物をアルゴンで3分間通気する。得られた混合物を80℃に加熱し、この温度で一夜撹拌する。反応混合物を濾過し、濾過ケーキを酢酸エチル(10mL)で3回洗浄する。合わせた濾液を蒸発させ、残留物を高真空下で乾燥させる。生成物1-(3-ブロモプロポキシ)-2-フルオロベンゼンを黄色の液体として得る(2.38g、収率91%)。この生成物をさらなる精製を行わずに次反応に直接使用する。
【0340】
工程2: (6bR,10aS)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ-[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン・HBr塩(500mg、1.28mmol)、1-(3-ブロモプロポキシ)-2-フルオロベンゼン(0.358g、1.53mmol)およびKI(0.424mg、2.56mmol)のDMF(4mL)中懸濁液をアルゴンで3分間通気し、DIPEA(0.89mL、5.12mmol)を添加する。得られた混合物を80℃に加熱し、この温度で6時間撹拌する。溶媒を除去し、残留物を、酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v)]で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。標記生成物を白色固体として得る(57mg、収率12%)。MS (ESI) m/z 382.1 [M+H]+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.47 (s, 1H), 7.48 - 7.07 (m, 3H), 7.07 - 6.91 (m, 1H), 6.92 - 6.80 (m, 1H), 6.74 (dd, J = 7.7 Hz, 1H), 6.69 - 6.59 (m, 1H), 4.23 - 4.09 (m, 2H), 3.95 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 3.81 - 3.62 (m, 1H), 3.60 - 3.45 (m, 3H), 3.46 - 3.36 (m, 2H), 3.28 - 3.19 (m, 0H), 3.19 - 3.03 (m, 1H), 2.70 - 2.54 (m, 1H), 2.43 - 2.30 (m, 1H), 2.28 - 2.13 (m, 2H), 2.13 - 2.01 (m, 1H)。
【0341】
実施例22: (6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-3-イソプロピル-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン
【化19】
【0342】
トリフェニルホスフィン(213mg、0.813mmol)、(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(155mg、0.406mmol)およびイソプロパノール(62μL、0.813mmol)のTHF(1mL)中混合物にアゾジカルボン酸ジエチル(128μL、0.813mmol)を添加する。該混合物を室温で一夜撹拌し、溶媒を除去する。残留物を、酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v)]で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。標記生成物を白色固体として得る(62mg、収率36%)。MS (ESI) m/z 424.2 [M+H]+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.14 - 7.07 (m, 2H), 7.00 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.97 - 6.90 (m, 2H), 6.86 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 6.78 - 6.70 (m, 1H), 4.81 - 4.65 (m, 1H), 3.98 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.87 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 3.25 - 3.16 (m, 2H), 2.92 - 2.81 (m, 1H), 2.70 - 2.60 (m, 1H), 2.45 - 2.32 (m, 2H), 2.10 (t, J = 12.1 Hz, 1H), 1.98 - 1.91 (m, 1H), 1.90 - 1.76 (m, 3H), 1.72 - 1.64 (m, 1H), 1.46 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 1.39 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0343】
実施例23: (6bR,10aS)-8-(3-(4-ヨードフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン
【化20】
【0344】
アルゴン雰囲気下にて室温で(6bR,10aS)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ-[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン・HBr(0.50g、1.28mmol)、1-(3-ブロモプロポキシ)-4-ヨードベンゼン(0.523g、1.53mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.89mL、5.11mmol)およびヨウ化カリウム(0.424g、2.56mmol)の混合物に乾燥DMF(4mL)を添加する。該混合物を80℃に加熱し、4時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、残留物を、酢酸エチル中0~50%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v/v)]勾配液で溶離するフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。標記化合物を白色固体として得る(0.232g、収率37%)。MS (ESI) m/z 490.1 [M+H]+。
【0345】
実施例24: (6bR,10aS)-8-(3-(4-ブロモフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン
【化21】
【0346】
アルゴン雰囲気下にて室温で(6bR,10aS)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ-[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン・HBr(0.50g、1.28mmol)、1-ブロモ-4-(3-ブロモプロポキシ)ベンゼン(0.451g、1.53mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.89mL、5.11mmol)およびヨウ化カリウム(0.424g、2.56mmol)の混合物に乾燥DMF(4mL)を添加する。該混合物を80℃に加熱し、一夜撹拌する。溶媒を蒸発させ、残留物を、酢酸エチル中0~50%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v/v)]勾配液で溶離するフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。標記化合物を白色固体として得る(0.17g、収率30%)。MS (ESI) m/z 443.0 [M+H]+。
【0347】
実施例25: (6bR,10aS)-8-(3-(p-トリルオキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド-[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン
【化22】
【0348】
工程1: 4-メチルフェノール(770μL、4.3mmol)およびK2CO3(710mg、5.2mmol)のアセトニトリル(8mL)中脱気懸濁液に1,3-ジブロモプロパン(530μL、5.2mmol)を撹拌下で添加する。得られた混合物を80℃に加熱し、この温度で一夜撹拌する。室温に冷却した後、反応混合物を濃縮し、残留物を水(20mL)に懸濁し、ジクロロメタン(2×30mL)で抽出する。合わせたジクロロメタン相をNa2CO3で乾燥させ、濾過する。濾液を蒸発させて、無色の油として粗生成物1-(3-ブロモプロポキシ)-4-メチルベンゼンを得る(0.53g)。この生成物をさらなる精製を行わずに次工程で直接使用する。
【0349】
工程2: (6bR,10aS)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(450mg、1.9mmol)、1-(3-ブロモプロポキシ)-4-メチルベンゼン(530mg、2.8mmol)およびKI(480mg、2.8mmol)のDMF(10mL)中混合物をアルゴンで10分間通気し、DIPEA(1.0mL、5.9mmol)を添加する。得られた混合物を76℃に加熱し、この温度で2時間撹拌する。室温に冷却した後、反応混合物を蒸発乾固する。残留物を、酢酸エチル中0~50%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v)]勾配液で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。標記化合物を茶色の固体として得る(51.5mg、収率7.2%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.34 (s, 1H), 7.21 - 6.91 (m, 2H), 6.84 - 6.74 (m, 3H), 6.64 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 6.58 (dd, J = 7.8, 1.0 Hz, 1H), 3.95 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.80 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 3.30 - 3.24 (m, 2H), 3.22 (dd, J = 10.6, 6.4 Hz, 1H), 2.88 - 2.81 (m, 1H), 2.64 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 2.38 (dt, J = 14.8, 7.1 Hz, 2H), 2.22 (s, 3H), 2.14 - 2.03 (m, 1H), 1.94 (dd, J = 14.4, 2.6 Hz, 1H), 1.90 - 1.73 (m, 3H), 1.67 (t, J = 11.0 Hz, 1H). )。MS (ESI) m/z 378.2 [M+1] +。
【0350】
実施例26: (5bR,9aS)-7-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-5b,6,7,8,9,9a-ヘキサヒドロイミダゾ-[4,5,1-hi]ピリド[4,3-b]インドール-1(2H)-オン
【化23】
【0351】
工程1: (4aR,9bS)-6-ブロモ-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボン酸エチル(19.24g、76.01mmol)、炭酸カリウム(21.01g、152mmol)、1-(3-クロロプロポキシ)-4-フルオロベンゼン(21.54mL、136.82mmol)およびN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(26.5mL、152mmol)の無水DMF(47mL)中脱気懸濁液を80℃で2時間撹拌する。溶媒を除去し、残留物を水(250mL)に懸濁し、ジクロロメタン(3×300mL)で抽出する。合わせたジクロロメタン相を蒸発乾固し、高真空下でさらに乾燥させる。生成物を茶色の固体として得る。この生成物をさらなる精製を行わずに直接次工程で使用する。
【0352】
工程2: 工程1からの生成物(6.85mmol)、2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオン(0.60mL、2.89mmol)、ヨウ化銅(I)(185mg、0.969mmol)および炭酸セシウム(6.25g、19317mmol)のDMA(6.7mL)中混合物をアルゴンで5分間通気し、アンモニア(15N、7.0mL、105mmol)を添加する。得られた混合物をマイクロ波により95℃で4.5時間加熱する。反応混合物を室温に冷却し、次いで、塩基性酸化アルミニウムのパッドに注いて濾過する。濾過パッドを酢酸エチル(8×50mL)で洗浄する。合わせた濾液を減圧下にて蒸発乾固する。得られた残留物を、酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル:メタノール:7N NH3(10:1:0.1 v/v)]で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物(4aS,9bR)-2-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-6-アミンを灰色の固体として得る。
【0353】
工程3: 室温での工程2からの生成物(0.696mmol)のピリジン(2.5mL)中撹拌溶液にアルゴン下にてピリジン(0.5mL)中のクロロギ酸エチル(200mg、1.81mmol)を滴下する。得られた溶液を室温で0.5時間撹拌し、100℃で20時間撹拌する。溶媒を除去し、残留物を、溶離液として酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v)]勾配液を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物をオフホワイト色固体として得る。
【0354】
工程4: 工程3からの生成物(0.178mmol)のトルエン(1.5mL)中撹拌溶液にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1M、712μL、0.712mmol)を添加する。該混合物を室温で1時間撹拌し、75℃まで1時間加熱する。溶媒を除去し、残留物をメタノールに溶解し、濾過する。濾液を、溶離液として0.1%ギ酸含有水中0~20%アセトニトリル勾配液を使用して半分取逆相HPLCによって精製して、オフホワイト色固体として標記生成物を得る。MS (ESI) m/z 368.0746 [M+H]+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.51 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 7.29 - 7.23 (m, 2H), 7.11 - 7.04 (m, 2H), 6.99 (d, J = 5.7 Hz, 2H), 6.89 (dd, J = 5.6, 2.5 Hz, 1H), 4.09 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.11 - 2.99 (m, 1H), 2.79 - 2.72 (m, 1H), 2.70 - 2.66 (m, 2H), 2.61 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 2.58 - 2.50 (m, 1H), 2.34 - 2.23 (m, 1H), 2.11 - 1.96 (m, 3H)。
【0355】
実施例27: (8aS,12aR)-11-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6,7,8a,9,10,11,12,12a-オクタヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[3,2,1-hi]ピリド[4,3-b]インドール-5(4H)-オン
【化24】
【0356】
工程1: (4aS,9bR)-6-ブロモ-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボン酸エチル(5.15g、15.8mmol)のDMF(50mL)中脱気溶液に、KOH(0.93g、15.8mmol)を添加する。該混合物を室温で5分間撹拌し、アクリルアミド(1.69g、23.7mmol)を添加する。室温で一夜撹拌した後、反応混合物を蒸発乾固する。残留物をジクロロメタン(100mL)に懸濁し、水(30mL)で抽出する。有機溶液をMgSO4で乾燥し、濾過する。濾液を蒸発乾固し、残留物を、酢酸エチル中0~10%メタノール勾配液で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物(4aS,9bR)-5-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-6-ブロモ-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボン酸エチルを黄色の油として得る(3.0g、収率48%)。MS (ESI) m/z 395.9 [M+1] +。
【0357】
工程2: (4aS,9bR)-5-(3-アミノ-3-オキソプロピル)-6-ブロモ-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボン酸エチル(1.90g、4.8mmol)、K2CO3(1.45g、10.5mmol)、CuI(182mg、0.96mmol)のジオキサン(20mL)中脱気混合物にN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(0.43mL、2.9mmol)を室温で添加する。反応混合物を99℃に加熱し、この温度で週末に撹拌する。室温に冷却した後、反応混合物を蒸発乾固する。残留物をジクロロメタン(100mL)に懸濁し、水(50mL)で抽出する。有機溶液をMgSO4で乾燥させ、濾過する。濾液を蒸発乾固し、残留物を、100%酢酸エチルで溶離するカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物(8aS,12aR)-5-オキソ-4,5,6,7,9,10,12,12a-オクタヒドロ-[1,4]ジアゼピノ-[3,2,1-hi]ピリド[4,3-b]インドール-11(8aH)-カルボン酸エチルを茶色の固体として得る(210mg、収率14%)。MS (ESI) m/z 316.1 [M+1] +。
【0358】
工程3: 化合物(8aS,12aR)-5-オキソ-4,5,6,7,9,10,12,12a-オクタヒドロ-[1,4]ジアゼピノ-[3,2,1-hi]ピリド-[4,3-b]インドール-11(8aH)-カルボン酸エチル(90mg、0.28mmol)を室温でHBr溶液(酢酸中33%、1.0mL)に懸濁する。該懸濁液を70℃で2時間撹拌し、次いで、氷浴中にて0℃に冷却する。酢酸エチル(5.0mL)を添加し、得られた混合物を濾過し、濾過ケーキを真空乾燥させる。得られた生成物をメタノール(10mL)に懸濁し、ドライアイスおよび2-プロパノールで冷却する。溶液のpHが≧14になるまで、アンモニア(メタノール中7N、3mL)をゆっくりと添加する。溶媒を蒸発させて、生成物(8aS,12aR)-6,7,8a,9,10,11,12,12a-オクタヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[3,2,1-hi]ピリド[4,3-b]インドール-5(4H)-オンを茶色の固体として得る(132mg)。この粗生成物をさらなる精製を行わずに次工程に直接使用する。MS (ESI) m/z 244.1 [M+1] +。
【0359】
工程4: (8aS,12aR)-6,7,8a,9,10,11,12,12a-オクタヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[3,2,1-hi]-ピリド[4,3-b]インドール-5(4H)-オン(110mg、0.45mmol)、1-(3-クロロプロキシ)-4-フルオロベンゼン(90μL、0.57mmol)およびKI(166mg、1.0mmol)のDMF(2mL)中混合物をアルゴンで3分間通気し、DIPEA(110μL、1.0mmol)を添加する。得られた混合物を76℃に加熱し、この温度で2時間撹拌する。室温に冷却した後、反応混合物を蒸発乾固する。得られた残留物を、酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v/v)]勾配液で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。標記生成物(8aS,12aR)-11-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6,7,8a,9,10,11,12,12a-オクタヒドロ-[1,4]ジアゼピノ-[3,2,1-hi]ピリド[4,3-b]インドール-5(4H)-オンを黄色固体として得る(50mg、収率28%)。1HNMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.23 (s, 1H), 7.10 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 6.93 (dd, J = 9.1,4.4 Hz, 2H), 6.75-6.85 (m, 2H), 6.60-6.67 (m, 1H), 4.02 (b, 2H), 3.45-3.32 (m, 3H), 3.16 (b, 1H), 3.03 (m, 2H), 2.72 (m, 3H), 2.36 (b, 2H), 2.07 (b, 3H), 1.90 (b, 2H)。MS (ESI) m/z 396.1 [M+1] +。
【0360】
実施例28: (6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-1,1-ジメチル-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン
【化25】
【0361】
工程1: 0℃での(6bR,10aS)-2-オキソ-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(7H)-カルボン酸エチル(2g、6.64mmol)のDMF(20mL)中溶液に水素化ナトリウム(0.796g、19.9mmol)を添加する。該混合物をこの温度で30分間撹拌し、1-(クロロメチル)-4-メトキシベンゼン(1.35mL、9.96mmol)を添加する。反応混合物を室温まで加温し、一夜撹拌する。水(40mL)を添加し、該混合物を酢酸エチル(3×40ml)で抽出する。合わせた有機相を無水Na2SO4で乾燥させる。該混合物を濾過し、濾液を蒸発乾固する。残留物を、ヘキサン中0~100%酢酸エチルで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物(6bR,10aS)-3-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]-ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-カルボン酸エチルを白色固体として得る(1.01g、収率36%)。MS (ESI) m/z 422.2 [M+H]+。
【0362】
工程2: (6bR,10aS)-3-(4-メトキシベンジル)-2-オキソ-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ-[1,2,3-de]キノキサリン-8(7H)-カルボン酸エチル(0.994g、2.36mmol)の-78℃でのTHF(9mL)中溶液にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(7.07mL、7.07mmol)を添加する。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで、ヨードメタン(0.441mL、7.07mmol)をシリンジによってゆっくりと添加する。-78℃で5分間撹拌した後、反応混合物を0℃まで加温し、この温度で2時間撹拌する。水(50mL)を添加し、該混合物を酢酸エチル(3×40ml)で抽出する。合わせた有機相を無水Na2SO4で乾燥させる。該混合物を濾過し、濾液を蒸発乾固する。残留物を、ヘキサン中0~100%酢酸エチルで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物(6bR,10aS)-3-(4-メトキシベンジル)-1-メチル-2-オキソ-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]-ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-カルボン酸エチルを白色固体として得る(1.14g、収率99%)。MS (ESI) m/z 436.2 [M+H]+。
【0363】
工程3: (6bR,10aS)-3-(4-メトキシベンジル)-1-メチル-2-オキソ-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド-[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(7H)-カルボン酸エチル(1.01g、2.32mmol)の-78℃でのTHF(10mL)中溶液にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(4.64mL、9.28mmol)を添加する。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いで、ヨードメタン(0.578mL、9.28mmol)をシリンジによってゆっくりと添加する。-78℃で5分間撹拌した後、反応混合物を室温まで加温し、この温度で2日間撹拌する。水(30mL)を添加し、該混合物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出する。合わせた有機相を無水Na2SO4で乾燥させる。該混合物を濾過し、濾液を蒸発乾固する。残留物を、ヘキサン中0~100%酢酸エチルで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物(6bR,10aS)-3-(4-メトキシベンジル)-1,1-ジメチル-2-オキソ-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-カルボン酸エチルを白色固体として得る(260mg、収率25%)。
【0364】
工程4: 室温で(6bR,10aS)-3-(4-メトキシベンジル)-1,1-ジメチル-2-オキソ-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(7H)-カルボン酸エチル(0.6g、1.33mmol)にTFA(1mL、13.3mmol)を添加し、次いで、TfOH(0.47mL、5.32mmol)を添加する。反応混合物を室温で1時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、残留物をDCM(20mL)に溶解する。該混合物のpHを1N NaOHで9に調整する。DCM相を分取し、蒸発乾固する。残留物を、ヘキサン中0~100%酢酸エチルで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物(6bR,10aS)-1,1-ジメチル-2-オキソ-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-カルボン酸エチルを茶色の固体として得る(300mg、収率68%)。MS (ESI) m/z 330.2 [M+H]+。
【0365】
工程5: 室温で(6bR,10aS)-1,1-ジメチル-2-オキソ-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1、2,3-de]キノキサリン-8(7H)-カルボン酸エチル(330mg、1mmol)に臭化水素酸溶液(HOAc中33%、2.4mL、13mmol)を添加する。該混合物を50℃で15時間撹拌し、次いで、室温に冷却する。酢酸エチル(12mL)を添加し、該混合物を濃アンモニウムで中和し、次いで、濾過する。濾液を蒸発させ、残留物を高真空下で乾燥させる。生成物(6bR,10aS)-1,1-ジメチル-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オンを青白い固体(pale solid)として得る(302mg、収率99%)。MS (ESI) m/z 258.2 [M+H]+。
【0366】
工程6: (6bR,10aS)-1,1-ジメチル-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(155mg、0.603mmol)、1-(3-クロロプロポキシ)-4-フルオロベンゼン(0.114mL、0.724mmol)およびKI(200mg、1.2mmol)のDMF(0.6mL)中懸濁液をアルゴンで3分間通気し、DIPEA(0.21mL、1.2mmol)を添加する。得られた混合物を80℃に加熱し、この温度で2時間撹拌する。溶媒を除去し、残留物を、酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v)]で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。標記生成物を白色固体として得る(40mg、収率16%)。MS (ESI) m/z 410.2 [M+H]+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.27 (s, 1H), 7.13 - 7.06 (m, 2H), 6.95 - 6.89 (m, 2H), 6.74 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 6.62 (dd, J = 7.6 Hz, 1H), 6.57 - 6.53 (m, 1H), 3.95 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.88 - 3.78 (m, 1H), 3.30 - 3.20 (m, 1H), 2.88 - 2.78 (m, 1H), 2.72 - 2.59 (m, 1H), 2.44 - 2.31 (m, 2H), 2.27 - 2.09 (m, 2H), 1.96 - 1.79 (m, 3H), 1.73 (t, J = 11.0 Hz, 1H), 1.54 (s, 3H), 1.07 (s, 3H)。
【0367】
実施例29: (6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-1-メチル-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン
【化26】
【0368】
工程1: (4aR,9bS)-6-ブロモ-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボン酸エチル(3.2g、9.8mmol)、2-ブロモプロパンアミド(4.5g、30mmol)およびKI(5.0g、30mmol)のジオキサン(10mL)中混合物をアルゴンで8分間通気し、強撹拌下にて105℃まで加熱する。該混合物をこの温度で24時間撹拌する。室温に冷却した後、反応混合物を蒸発乾固する。残留物をDCM(200mL)に懸濁し、水(150mL)で洗浄する。DCM相を分取し、MgSO4で乾燥し、濾過する。濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(勾配液: ヘキサン中0%~100%酢酸エチル)によって精製する。生成物(4aS,9bR)-5-(1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)-6-ブロモ-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボン酸エチルを淡い緑色(light green)の油として得る(2.7g、収率69%)。MS (ESI) m/z 396.0,398.0 [M+H] +。
【0369】
工程2: K2CO3(2.0g、14.5mmol)、CuI(268mg、1.7mmol)および(4aS,9bR)-5-(1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル)-6-ブロモ-3,4,4a,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-2(9bH)-カルボン酸エチル(2.7g、6.8mmol)のジオキサン(10mL)中懸濁液をアルゴンで5分間通気し、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(610μL、4.1mmol)を添加する。該混合物を100℃まで加熱し、この温度で48時間撹拌する。LC-MSは、反応が囚虜したことを示している。室温に冷却した後、反応混合物をシリカゲルパッド上に注いで濾過する。該ゲルパッドを酢酸エチル(0.2L)ですすぎ、濾液を蒸発乾固する。生成物(6bR,10aS)-1-メチル-2-オキソ-2,3,6b,7,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(9H)-カルボン酸エチルを白色泡沫体として得る。MS (ESI) m/z 316.2 [M+H]+。この生成物をさらなる精製を行わずに次反応で直接使用する。
【0370】
工程3: 工程2により得られたカルバメートを室温でHBr(20mL、酢酸中33%w/w)に懸濁する。該混合物を撹拌下にて70℃に加熱され、透明溶液が形成される。この透明溶液は、徐々に、淡い緑色の沈殿物の形成に起因して、1時間以内に再度懸濁液となる。70℃で2時間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(100mL)を添加した。該混合物を5分間撹拌し、フード内に立てて沈殿させる。沈殿物を濾過し、濾過ケーキを酢酸エチル(10mL)で洗浄する。濾液を蒸発乾固し、高真空下でさらに乾燥させる。得られた残留物をメタノール(30mL)に懸濁し、イソプロパノール/ドライアイスで冷却し、アンモニア溶液(20mL、メタノール中7N)を、撹拌しながらゆっくりと添加する。この添加プロセスの間、該混合物の温度を5℃以下に維持する。該溶液は、そのpH値が14に達すると、徐々に淡い緑色から茶色へ変化する。溶媒を除去し、残留物を高真空下で乾燥させて、茶色の固体として粗(6bR,10aS)-1-メチル-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オンを得る(760mg、収率100%)。この生成物をさらなる精製を行わずに次工程で直接使用する。MS (ESI) m/z 232.2 [M+H] +。
【0371】
工程4: KI(700mg、5.4mmol)、1-(3-クロロプロキシ)-4-フルオロベンゼン(850μL、8.8mmol)および粗(6bR,10aS)-1-メチル-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]-ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(660mg、2.7mmol)のDMF(4mL)中混合物をアルゴンで3分間通気し、DIPEA(950μL、5.4mmol)を添加する。得られた混合物を78℃に加熱し、この温度で2時間撹拌する。室温に冷却した後、反応溶媒を除去する。残留物をジクロロメタン(30mL)に懸濁し、水(10mL)で洗浄する。有機相を分取し、K2CO3で乾燥し、次いで、濾過する。濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[勾配液: 酢酸エチル中0~25%メタノール中酢酸エチル:メタノール:7N NH3混合物(10:1:0.1;体積による]によって精製する。得られた生成物を、溶離液として0.1%ギ酸含有水中0~20%アセトニトリル勾配液を使用する半分取HPLCでさらに精製する。標記生成物を緑色の固体として得る(78mg、収率7%)。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.85 (s, 1H), 7.62 - 7.46 (m, 2H), 7.43 - 7.31 (m, 2H), 7.26 (s, 1H), 7.15 (s, 1H), 7.06 (s, 1H), 4.43 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 4.00 (s, 4H), 3.59 (s, 2H), 3.32 (s, 1H), 3.16 (d, J = 0.7 Hz, 1H), 2.93 (p, J = 1.9 Hz, 2H), 2.80 (s, 1H), 2.67 - 2.55 (m, 2H), 1.91 (d, J = 6.6 Hz, 3H)。MS (ESI) m/z 396.2 [M+1]+.
【0372】
実施例30: (6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-3-メチル-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン
【化27】
【0373】
工程1: (6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]-ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(0.1g、0.262mmol)の0℃でのDMF(1mL)中溶液に水素化ナトリウム(鉱油中60%、32mg、0.786mmol)を添加する。該混合物を0℃で30分間撹拌し、ヨードメタン(19.6μL、0.315mmol)を添加する。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、水(4mL)を添加する。該混合物を酢酸エチル(3×4ml)で抽出し、合わせた有機相を無水Na2SO4で乾燥させる。該混合物を濾過し、濾液を蒸発乾固する。残留物を、酢酸エチル中0~100%混合溶媒[酢酸エチル/メタノール/7N NH3(10:1:0.1 v/v)]で溶離するカラムクロマトグラフィーによって精製する。標記化合物をオフホワイト色固体として得る(110g、収率99%)。MS (ESI) m/z 396.2 [M+H]+。1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 7.02 - 6.95 (m, 2H), 6.95 - 6.85 (m, 2H), 6.85 - 6.76 (m, 3H), 4.09 - 3.99 (m, 3H), 3.93 (m, 1H), 3.44 (m, 2H), 3.36 (s, 3H), 3.16 - 2.65 (m, 4H), 2.29 (m, 3H), 2.13 (m, 1H), 1.73 (m, 2H)。
【0374】
実施例31: ((6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-2-オキソ-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-3(2H)-イル)メチルドデカノエート
【化28】
【0375】
工程1: 塩化亜鉛(II)(294mg、2.16mmol)の0℃での無水アセトニトリル(4mL)中撹拌懸濁液にアルゴン下にて塩化ラウロイル(5.0mL、21.6mmol)を滴下する。該懸濁液を0℃で10分間撹拌し、室温で10分間撹拌し、次いで、70℃まで加熱し、この温度で24時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、フラスコ内のジクロロメタン(100mL)に注ぐ。得られた懸濁液を真空下にて濾過し、濾過ケーキをジクロロメタン(2×10mL)で洗浄する。合わせた濾液に飽和NaHCO3(10mL)を添加し、室温で1.5時間撹拌する。ジクロロメタン相を分取し、飽和NaHCO3(2×60mL)で洗浄し、減圧下にて蒸発乾固する。残留物を高真空下でさらに乾燥させて、淡い橙色(light orange)の油として生成物クロロメチルドデカノエートを得る(4.523g、収率84%)。この粗生成物をさらなる精製を行わずに次反応に直接使用する。
【0376】
工程2: ヨウ化カリウム(131mg、0.786mmol)、炭酸カリウム(181mg、1.31mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(137mL、0.786mmol)、N,N-ジメチルピリジン-4-アミン(64mg、0.524mmol)、クロロメチルドデカノエート(522mg、2.10mmol)、および(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(212mg、0.556mmol)の無水DMF(1.5mL)中懸濁液をアルゴンで5分間通気する。得られた懸濁液をマイクロ波によって125℃まで加熱し、この温度で5時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下にて除去する。残留物を、溶離液としてヘキサン中0~100%酢酸エチルを使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、淡い橙色の固体として標記化合物を得る(150mg、収率45%)。MS (ESI) m/z 594.4 [M + H]+。1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 6.96 (dd, J = 9.1, 8.2 Hz, 2H), 6.90 (s, 1H), 6.82 (d, J = 7.0 Hz, 4H), 6.16 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 5.70 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 4.05 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 3.99 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 3.42 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 3.38 - 3.25 (m, 1H), 2.91 (d, J = 28.2 Hz, 1H), 2.74 (s, 1H), 2.50 (s, 2H), 2.34 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.28 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 1.96 (s, 3H), 1.86 (s, 1H), 1.70 - 1.59 (m, 2H), 1.54 (s, 1H), 1.35 - 1.16 (m, 17H), 0.88 (t, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0377】
実施例32: (6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-2-オキソ-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-3(2H)-カルボン酸ヘプタデカン酸無水物
【化29】
【0378】
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(219mL、1.572mmol)、N,N-ジメチルピリジン-4-アミン(64mg、0.524mmol)、実施例31からのクロロメチルドデカノエート(522mg、2.10mmol)および(6bR,10aS)-8-(3-(4-フルオロフェノキシ)プロピル)-6b,7,8,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-2(3H)-オン(200mg、0.524mmol)の無水DMF(3mL)中混合物をアルゴンで5分間通気する。該混合物を室温で5時間撹拌し、溶媒を減圧下にて除去する。得られた残留物を、勾配液としてヘキサン中0~100%酢酸エチルを使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。標記生成物を淡い橙色の固体として得る(197mg、収率58%)。MS (ESI) m/z 650.4970 [M + H]+。1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 7.04 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.96 (dd, J = 9.2, 8.2 Hz, 2H), 6.91 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 6.86 - 6.76 (m, 3H), 4.40 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 4.04 - 3.94 (m, 3H), 3.35 (d, J = 14.1 Hz, 2H), 3.26 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 2.92 (s, 1H), 2.74 (s, 1H), 2.50 (s, 2H), 2.24 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 2.00 - 1.86 (m, 4H), 1.83 - 1.74 (m, 2H), 1.48 - 1.38 (m, 2H), 1.26 (s, 25H), 0.88 (t, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0379】
実施例33: 受容体結合プロファイル
実施例7に記載した受容体結合アッセイ手順と同じ手順を用いて、以下の化合物について以下の追加データが得られる:
【表18】
【国際調査報告】