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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】血流調節可能な埋植型医療機器
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/04 20130101AFI20220209BHJP
【FI】
A61F2/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536049
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(85)【翻訳文提出日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 US2019068282
(87)【国際公開番号】W WO2020132671
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】62/783,902
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/783,935
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/845,386
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/894,260
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/901,105
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジェイ.ベッキオ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA16
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD02
4C097DD09
4C097DD10
4C097EE06
4C097EE11
(57)【要約】
心臓内の第1腔と第2腔を分離する壁を通過して延びる流体シャントを含む埋植式医療機器を開示する。流体シャントは、心臓内の第1腔の中まで延びるように適合された第1部分と、心臓内の第2腔の中まで延びるように適合された第2部分と、第1部分と第2部分とを相互接続する中間部分と、を含む。流体シャントは、心臓内の第1腔と第2腔を流動的に結合するように適合された第1部分と第2部分との間に延びるルーメンを有する。埋植式医療機器は、又、流体シャントと関連付けられかつ流体シャントのルーメンを通過する流れを選択的に閉塞するように適合された、閉塞組立体を含む。閉塞組立体は、流体シャントのルーメンを通過する流れを調節するために起動される。埋植型医療機器は、更に、少なくとも1つのセンサ組立体が第1腔における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知するように、流体シャントの第1部分と関連付けられた少なくとも1つのセンサ組立体を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋植型医療機器であって、
心臓内の第1腔と第2腔を分離する壁を通過して延びるように適合された流体シャントであって、前記流体シャントが、前記心臓内の前記第1腔の中まで延びるように適合された第1部分と、前記心臓内の前記第2腔の中まで延びるように適合された第2部分と、前記第1部分と前記第2部分を相互接続する中間部分と、を含み、前記流体シャントが、前記心臓内の前記第1腔と前記第2腔を流動的に結合するように適合された前記第1部分と前記第2部分との間に延びるルーメンを有する、流体シャントと、
前記流体シャントと関連付けられ、前記流体シャントの前記ルーメンを通過する流れを選択的に閉塞するように適合された閉塞組立体であって、前記閉塞組立体が、前記流体シャントの前記ルーメンを通過する流れを調節するために起動されるように構成されている、閉塞組立体と、
少なくとも1つのセンサ組立体が前記第1腔における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知するように適合されるように、前記流体シャントの前記第1部分と関連付けられた少なくとも1つのセンサ組立体と、
を備える、埋植型医療機器。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサ組立体が、第1センサ組立体と、第2センサ組立体が前記第2腔における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知するように適合されるように前記流体シャントの前記第2部分と関連付けられた第2センサ組立体と、を備える、請求項1に記載の埋植型医療機器。
【請求項3】
更に、前記少なくとも1つのセンサ組立体と通信する制御ユニットを備え、前記制御ユニットが、
前記少なくとも1つのセンサ組立体に結合されたレシーバであって、前記レシーバが、前記少なくとも1つのセンサ組立体から生理学的パラメータ情報を受信するように構成された、レシーバと、
前記レシーバが受信した前記生理学的パラメータ情報を分析するために前記レシーバに結合された処理ユニットと、
を備える、
請求項1に記載の埋植型医療機器。
【請求項4】
更に、前記閉塞組立体と関連付けられた作動機構を備え、前記制御ユニットが、前記作動機構に作動上結合され、かつ前記実施された分析に対応して前記作動機構を起動するために制御信号を送信するように構成されている、先行の請求項のいずれかに記載の埋植型医療機器。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサ組立体が、前記少なくとも1つのセンサ組立体が予設定された生理学的計測値を感知すると、前記作動機構が前記流体シャントの前記ルーメンを通過する流量を増大するように適合されるように、前記閉塞組立体の前記作動機構に作動可能に結合されている、請求項4に記載の埋植型医療機器。
【請求項6】
前記流体シャントの前記第1及び第2部分の少なくとも一方が、前記心臓の前記壁に係合するためのフランジ部材を含む、請求項1に記載の埋植型医療機器。
【請求項7】
前記流体シャントが支持体を含む、請求項1に記載の埋植型医療機器。
【請求項8】
前記支持体が弾性枠組みを含む、請求項7に記載の埋植型医療機器。
【請求項9】
前記流体シャントが、生理学的条件の下で血液に対して不透過性であるカバーを含む、先行の請求項のいずれかに記載の埋植型医療機器。
【請求項10】
前記カバーが複合膜材料を含む、請求項9に記載の埋植型医療機器。
【請求項11】
前記第1腔が前記心臓の左心房であり、前記第2腔が前記心臓の右心房である、先行の請求項のいずれかに記載の埋植型医療機器。
【請求項12】
前記閉塞組立体が、前記流体シャントの前記ルーメンが当初密閉状態であるように閉鎖構成に構成されている、先行の請求項のいずれかに記載の埋植型医療機器。
【請求項13】
前記閉塞組立体が、前記流体シャントの前記ルーメンを通過する流れを調節するために加熱によって起動するように構成された熱作動機構を含む、先行の請求項のいずれかに記載の埋植型医療機器。
【請求項14】
前記カバーが、前記流体シャントの前記ルーメンを通過する流れを調節するために機械的に開くことによって起動されるように構成されている、請求項9~12のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項15】
前記カバーが、前記流体シャントの前記ルーメンを通過する流れを調節するために熱によって開くことによって起動されるように構成されている、請求項9~12のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項16】
前記膜が前記流体シャントの前記ルーメンを通過する流れを調節するために超音波源を使用して熱によって開くように構成されるように、前記カバーが超音波に対して選択的に吸収性であるように構成されている、請求項9~12のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項17】
前記膜がレーザー源を使用して熱によって開くように構成されるように、前記カバーがレーザーエネルギーに対して選択的に吸収性であるように構成されている、請求項9~12のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項18】
前記カバーが高周波エネルギー源を使用して熱によって開くように構成されるように、前記カバーが高周波エネルギーに対して選択的に吸収性であるように構成されている、請求項9~12のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項19】
前記カバーが、電気エネルギー源を使用して選択的に電解分解可能であるように構成されている、請求項9~12のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項20】
前記閉塞組立体が、更に、前記カバーを閉鎖構成で固定するように作用する少なくとも1つの要素を含む、請求項19に記載の埋植型医療機器。
【請求項21】
前記カバーを前記閉鎖構成で固定するために作用する前記少なくとも1つの要素が、電気エネルギー源を使用して選択的に電解分解可能であるように構成されている、請求項20に記載の埋植型医療機器。
【請求項22】
前記電気エネルギーが磁気誘導を介して供給される、請求項21に記載の埋植型医療機器。
【請求項23】
前記閉塞組立体が熱可塑性ポリマー膜を含む、請求項13~22のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項24】
前記カバーが、前記膜の開放を助けるために半径方向の引張力を受けている、請求項14~23のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項25】
前記カバーが、前記膜の開放を助けるために残留応力プロフィルを示す、請求項14~24のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項26】
前記カバーが、前記流体シャントの前記ルーメンを通過する流れを変更するために複数の開放サイズの間で選択的に作動可能である、請求項14~25のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項27】
前記カバーが、前記心臓内の前記第1腔の中まで延びるように適合された前記流体シャントの前記第1部分を被覆するように構成されている、請求項9~26のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項28】
更に、二次カバーを備え、前記二次カバーが、前記心臓内の前記第2腔の中まで延びるように適合された前記流体シャントの前記第2部分を被覆するように構成されている、請求項27のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項29】
前記流体シャントが、生理学的条件の下で血液に対して不透過性である前記第1部分と第2部分との間の前記ルーメンに配置された膜を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項30】
前記機器が、体外誘導エネルギー源、体内誘導エネルギーレシーバ、超音波エネルギー源、レーザーエネルギー源、RFエネルギー源又は前記閉塞組立体を起動するための他のタイプのエネルギー源の少なくとも1つを含むシステムの一部である、請求項13~24のいずれか1項に記載の埋植型医療機器。
【請求項31】
前記機器が、前記流体シャントの前記ルーメンを通過する流量に基づいて異なる共振周波数を示すように構成されている、先行の請求項のいずれかに記載の埋植型医療機器。
【請求項32】
心臓状態を治療する方法であって、
流体シャントと関連付けられた第1センサ組立体によって、心臓内の第1腔における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知することであって、前記流体シャントが、前記心臓内の前記第1腔と前記心臓内の第2腔を分離する壁を通過して延びるように適合されている、感知することと、
前記流体シャントと関連付けられた閉塞組立体を作動することによって前記流体シャントを通過する流れを調節することと、
を含む、方法。
【請求項33】
前記流体シャントと関連付けられた第2センサ組立体によって、前記心臓内の前記第2腔における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知すること、
を更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも前記第1センサ組立体に結合されたレシーバによって、少なくとも前記第1センサ組立体によって感知された前記生理学的パラメータを受信することと、
作動信号を発するために、前記レシーバに結合された処理ユニットによって、前記レシーバによって受信された前記生理学的パラメータの分析を実施することと、
前記作動信号に従って前記閉塞組立体を作動することと、
を更に含む、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
コントローラによって、前記作動信号を前記閉塞組立体へ送信すること、
を更に含む、請求項32~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記コントローラが、少なくとも前記第1センサ組立体が予設定された生理学的計測値を感知すると、前記閉塞組立体が前記流体シャントの前記ルーメンを通過する流量を増大するように、前記コントローラが前記閉塞組立体へ前記作動信号を送信するように構成されている、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
更に、前記流体シャントの第1部分及び第2部分のフランジ部分を前記心臓の前記壁と係合させることを含めて、前記流体シャントを前記心臓の前記壁に貫通させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
更に、前記流体シャントの支持体を前記心臓の前記壁と係合させることを含めて、前記心臓内の前記第1腔を前記心臓内の前記第2腔から分離する前記心臓の壁に前記流体シャントを貫通させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記支持体が弾性枠組みを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記流体シャントが、生理学的条件の下で血液に対して不透過性であるカバーを含む、請求項32~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記カバーが複合膜材料を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1腔が前記心臓の左心房であり、前記第2腔が前記心臓の右心房である、請求項32~41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
埋植式医療機器であって、
心臓内の第1腔と第2腔を分離する壁を通過して延びるように適合された流体シャントであって、前記流体シャントが、前記心臓内の前記第1腔の中まで延びるように適合された第1部分と、前記心臓内の前記第2腔の中まで延びるように適合された第2部分と、前記第1部分と前記第2部分を相互接続する中間部分と、を含み、前記流体シャントが、前記心臓内の前記第1腔と第2腔を流動的に結合するように適合された前記第1部分と前記第2部分の間に延びるルーメンを有する、流体シャントと、
前記流体シャントと関連付けられかつ前記流体シャントの前記ルーメンを通過する流れを選択的に閉塞するように適合された閉塞組立体であって、前記閉塞組立体が、前記流体シャントの前記ルーメンを通過する流れを調節するために起動されるように構成されている、閉塞組立体と、
少なくとも1つのセンサ組立体が前記第1腔における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知するように適合されるように、前記流体シャントの前記第1部分と関連付けられた少なくとも1つのセンサ組立体と、
を備える、埋植型医療機器と、
前記埋植型医療機器を圧縮して、前記埋植型医療機器が前記心臓内の所望の治療箇所で展開されるまで前記埋植型医療機器を圧縮構成で維持するように構成された、展開用カテーテルと、
を備える、医学的治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月21日提出の仮特許出願第62/783902号、2018年12月21日提出の仮特許出願第62/783935号、2019年5月9日提出の仮特許出願第62/845386号、2019年8月30日提出の仮特許出願第62/894260号及び2019年9月16日提出の仮特許出願第62/901105号(これらは全て参照によりその全体があらゆる目的のために本明細書に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年の間に、米国における冠状動脈死は、医学及び治療法の進化のおかげで確実に減っているが、相対的な心不全死の件数は増大しており、より多くの人がかつてないほど心不全の高い危険と共に暮らしていることを示している。概略的には、心不全は、心臓が充分な血液を身体へ供給できないときに生じる。その結果、より低い拍出量は、拍出不足を補うのを助けるために左心におけるより高い充満圧力を引き起こす。より低い拍出量は、又、腎臓灌流の減少を含めてより低い器官灌流の原因となる。腎臓灌流の減少は、過剰な流体の停滞を生じる可能性がある。急性代償障害は、流体レベルが上昇しかつ/又は血管の血液分布が患者に疲労及び呼吸困難(呼吸障害)を感じさせる状態まで低下したときに生じる。治療しないで放置すると、これは深刻な合併症及び死亡を引き起こす可能性がある。
【0003】
心不全は、主に左心の問題の結果始まることが分かっている。正常で健康な心臓においては、酸素付加された血液は、まず肺静脈から、左心房を通過して、左心室の中へ入って、大動脈へ運ばれ、その後血液は身体中へ運ばれる。その後、酸素を失った血液は、2本の大静脈から右心房の中へ入り、右心室を通過して肺動脈の中へ運ばれ、肺動脈は、その後血液を酸素付加のために肺の中まで運ぶ。左心室のポンプ性能は、身体の残り部分へ押し出される血液の量の減少の原因となる左心室壁の肥厚化/薄化又は大動脈/僧帽弁損傷の影響を受ける可能性がある。
【0004】
心不全の発症の診断及び事前回避を含めて患者の心不全の効果的な治療の進歩は、まだ実現されていない。
【発明の概要】
【0005】
1つの例(「例1」)によれば、埋植型医療機器は、心臓内の第1腔と第2腔を分離する壁を通過して延びるように適合された流体シャントであって、流体シャントが、心臓内の第1腔の中まで延びるように適合された第1部分と心臓内の第2腔の中まで延びるように適合された第2部分と第1部分と第2部分を相互接続する中間部分とを含み、流体シャントが心臓内の第1腔と第2腔を流動的に結合するように適合された第1部分と第2部分との間に延びるルーメンを有する、流体シャントと、流体シャントと関連付けられて流体シャントのルーメンを通過する流れを選択的に閉塞するように適合された閉塞組立体であって、閉塞組立体が、流体シャントのルーメンを通過する流れを調節するために起動されるように構成されている、閉塞組立体と、少なくとも1つのセンサ組立体が第1腔における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知するように適合されるように流体シャントの第1部分と関連付けられた少なくとも1つのセンサ組立体と、を含む。
【0006】
1つの例(「例2」)によれば、例1に加えて、少なくとも1つのセンサ組立体は、第1センサ組立体と、第2センサ組立体が第2腔における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知するように適合されるように流体シャントの第2部分と関連付けられた第2センサ組立体と、を備える。
【0007】
1つの例(「例3」)によれば、例1に加えて、埋植型医療機器は、少なくとも1つのセンサ組立体と通信する制御ユニットを含む。制御ユニットは、少なくとも1つのセンサ組立体に結合されたレシーバであって、レシーバが少なくとも1つのセンサ組立体から生理学的パラメータ情報を受信するように構成された、レシーバと、レシーバが受信した生理学的パラメータ情報を分析するためにレシーバに結合された処理ユニットと、を含む。
【0008】
1つの例(「例4」)によれば、先行のいずれかの例に加えて、埋植型医療機器は、閉塞組立体と関連付けられた作動機構を含み、制御ユニットは、作動機構に作動上結合され、実施された分析に対応して作動機構を起動するために制御信号を送信するように構成されている。
【0009】
1つの例(「例5」)によれば、例4に加えて、少なくとも1つのセンサ組立体は、少なくとも1つのセンサ組立体が予設定された生理学的計測値を感知したら作動機構が流体シャントのルーメンを通過する流量を増大するように適合されるように、閉塞組立体の作動機構に作動可能に結合される。
【0010】
1つの例(「例6」)によれば、例1に加えて、流体シャントの第1部分及び第2部分の少なくとも一方は、心臓の壁に係合するためのフランジ部材を含む。
【0011】
1つの例(「例7」)によれば、例1に加えて、流体シャントは支持体を含む。
【0012】
1つの例(「例8」)によれば、例7に加えて、支持体は弾性枠組みを含む。
【0013】
1つの例(「例9」)によれば、先行のいずれかの例に加えて、流体シャントは、生理学的条件の下で血液に対して不透過性のカバーを含む。
【0014】
1つの例(「例10」)によれば、例9に加えて、カバーは、複合膜材料を含む。
【0015】
1つの例(例11」)によれば、先行のいずれかの例に加えて、第1腔は心臓の左心房であり、第2腔は心臓の右心房である。
【0016】
1つの例(「例12」)によれば、先行のいずれかの例に加えて、閉塞組立体は、流体シャントのルーメンが当初密閉状態であるように閉鎖構成に構成されている。
【0017】
1つの例(「例13」)によれば、先行のいずれかの例に加えて、閉塞組立体は、流体シャントのルーメンを通過する流れを調節するために加熱によって起動されるように構成された熱作動機構を含む。
【0018】
1つの例(「例14」)によれば、例9~12のいずれか1つの例に加えて、カバーは、流体シャントのルーメンを通過する流れを調節するために機械的に開かれることによって起動されるように構成されている。
【0019】
1つの例(「例15」)によれば、例9~12のいずれか1つの例に加えて、カバーは、流体シャントのルーメンを通過する流れを調節するために熱によって開かれることによって起動されるように構成されている。
【0020】
1つの例(「例16」)によれば、例9~12のいずれか1つの例に加えて、カバーは、膜が流体シャントのルーメンを通過する流れを調節するために超音波源を使用して熱によって開くように構成されるように、超音波に対して選択的に吸収性であるように構成されている。
【0021】
1つの例(「例17」)によれば、例9~12のいずれか1つの例に加えて、カバーは、膜がレーザー源を使用して熱によって開くように構成されるように、レーザーエネルギーに対して選択的に吸収性であるように構成されている。
【0022】
1つの例(「例18」)によれば、例9~12のいずれか1つの例に加えて、カバーは、カバーが高周波エネルギー源を使用して熱によって開くように構成されるように、高周波エネルギーに対して選択的に吸収性であるように構成されている。
【0023】
1つの例(「例19」)によれば、例9~12のいずれか1つの例に加えて、カバーは、電気エネルギー源を使用して選択的に電解分解可能であるように構成されている。
【0024】
1つの例(「例20」)によれば、例19に加えて、閉塞組立体は、更に、カバーを閉鎖構成に固定するために作動する少なくとも1つの要素を含む。
【0025】
1つの例(「例21」)によれば、例20に加えて、カバーを閉鎖状態に固定するために作動する少なくとも1つの要素は、電気エネルギー源を使用して選択的に電解分解可能であるように構成されている。
【0026】
1つの例(「例22」)によれば、例21に加えて、電気エネルギーは、磁気誘導によって供給される。
【0027】
1つの例(「例23」)によれば、例13~22のいずれか1つの例に加えて、閉塞組立体は、熱可塑性ポリマー膜を含む。
【0028】
1つの例(「例24」)によれば、例14~23のいずれか1つの例に加えて、カバーは、膜の開放を助けるために半径方向の引張力を受けている。
【0029】
1つの例(「例25」)によれば、例14~24のいずれか1つの例に加えて、カバーは、膜の開放を助けるために残留応力プロフィルを示す。
【0030】
1つの例(「例26」)によれば、例14~25のいずれか1つの例に加えて、カバーは、流体シャントのルーメンを通過する流れを変更するために複数の開放サイズの間で選択的に開放可能である。
【0031】
1つの例(「例27」)によれば、例9~26のいずれか1つの例に加えて、カバーは、心臓内の第1腔の中まで延びるように適合された流体シャントの第1部分を被覆するように構成されている。
【0032】
1つの例(「例28」)によれば、例9~27のいずれか1つの例に加えて、機器は二次カバーを含み、二次カバーは、心臓内の第2腔の中まで延びるように適合された流体シャントの第2部分を被覆するように構成されている。
【0033】
1つの例(「例29)」によれば、例1~8のいずれか1つの例に加えて、流体シャントは、生理学的条件の下で血液に対して不透過性である第1部分と第2部分との間のルーメンに配置された膜を含む。
【0034】
1つの例(「例30」)において、例13~24のいずれか1つの例に加えて、機器は、対外誘導エネルギー源、体内誘導エネルギーレシーバ、超音波エネルギー源、レーザーエネルギー源、RFエネルギー源又は閉塞組立体を起動するための他のタイプのエネルギー源の少なくとも1つを含むシステムの一部である。
【0035】
1つの例(「例31」)によれば、先行のいずれかの例に加えて、機器は、流体シャントのルーメンを通過する流量に基づいて異なる共振周波数を示すように構成されている。
【0036】
1つの例(「例32」)において、心臓の症状を治療する方法は、流体シャントと関連付けられた第1センサ組立体によって、心臓内の第1腔における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知することであって、流体シャントが心臓内の第1腔と心臓内の第2腔を分離する壁を通過して延びるように適合されている、感知することと、流体シャントと関連付けられた閉塞組立体を作動することによって流体シャントを通過する流れを調節することと、を含む。
【0037】
1つの例(「例33」)によれば、例32に加えて、方法は、流体シャントと関連付けられた第2センサ組立体によって、心臓内の第2腔における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知することを含む。
【0038】
1つの例(「例34」)によれば、例32又は33に加えて、方法は、少なくとも第1センサ組立体に結合されたレシーバによって少なくとも第1センサ組立体によって感知された生理学的パラメータを受信することと、作動信号を発するためにレシーバに結合された処理ユニットによってレシーバが受信した生理学的パラメータの分析を実施することと、作動信号に従って閉塞組立体を作動することと、を含む。
【0039】
1つの例(「例35」)によれば、例32~34のいずれか1つの例に加えて、方法は、コントローラによって作動信号を閉塞組立体へ送信することを含む。
【0040】
1つの例(「例36」)によれば、例32~35のいずれか1つの例に加えて、コントローラは、少なくとも第1センサ組立体が予設定された生理学的計測値を感知したら、閉塞組立体が流体シャントのルーメンを通過する流量を増大するようにコントローラが作動信号を閉塞組立体へ送信するように、構成されている。
【0041】
1つの例(「例37」)によれば、例32に加えて、方法は、流体シャントの第1部分及び第2部分のフランジ部分を心臓の壁と係合させることを含めて、流体シャントを心臓の壁に貫通させることを含む。
【0042】
1つの例(「例38」)によれば、例32に加えて、方法は、流体シャントの支持体を心臓の壁と係合させることを含めて、心臓内の第1腔を心臓内の第2腔から分離する心臓の壁に流体シャントを貫通させることを含む。
【0043】
1つの例(「例39」)によれば、例38に加えて、支持体は弾性枠組みを含む。
【0044】
1つの例(「例40」)によれば、例32~39のいずれか1つの例に加えて、流体シャントは、生理学的条件の下で血液に対して不透過性であるカバーを含む。
【0045】
1つの例(「例41」)によれば、例40に加えて、カバーは、複合膜材料を含む。
【0046】
1つの例(「例42」)によれば、例32~41のいずれか1つの例に加えて、第1腔は心臓の左心房であり、第2腔は心臓の右心房である。
【0047】
1つの例(「例43」)によれば、医学的治療システムは、埋植型医療機器と展開用カテーテルとを含む。埋植型医療機器は、心臓内の第1腔と第2腔を分離する壁を通過して延びるように適合された流体シャントであって、流体シャントが心臓内の第1腔の中まで延びるように適合された第1部分と、心臓内の第2腔の中まで延びるように適合された第2部分と、第1と第2部分を相互接続する中間部分とを含み、流体シャントが心臓内の第1腔と第2腔を流動的に結合するように適合された第1部分と第2部分との間に延びるルーメンを有する、流体シャントと、流体シャントと関連付けられ流体シャントのルーメンを通過する流れを選択的に閉塞するように適合された閉塞組立体であって、閉塞組立体が、流体シャントのルーメンを通過する流れを調節するために起動されるように構成されている、閉塞組立体と、少なくとも1つのセンサ組立体が第1腔における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知するように適合されるように流体シャントの第1部分と関連付けられた少なくとも1つのセンサ組立体と、を含む。展開用カテーテルは、埋植型医療機器を圧縮して、埋植型医療機器が心臓内の所望の治療箇所で展開されるまで埋植型医療機器を圧縮構成に維持するように構成されている。
【0048】
以上の例は、本開示によって与えられる発明的概念に過ぎず、その範囲を制限する又は狭めるものとして読むべきではない。多数の例を開示するが、例示的な例を説明する以下の詳細な記載から当業者には他の実施形態も明らかになるだろう。したがって、図面及び詳細な記載は、限定的ではなく、例示的なものとみなすべきである。
【0049】
添付図面は、本開示の更なる理解のために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、実施形態を例証し、記載と一緒に本開示の原則を説明するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器の概略図である。
【0051】
図2図2は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器の閉塞組立体を示す。
【0052】
図3図3は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器の閉塞組立体を示す。
【0053】
図4図4は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った膜を持つ埋植型医療機器の閉塞組立体を示す。
【0054】
図5図5は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った膜が開かれている図4の閉塞組立体を示す。
【0055】
図6図6は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器の閉塞組立体を示す。
【0056】
図7図7は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った膜が開かれている図6の閉塞組立体を示す。
【0057】
図8図8は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った閉塞組立体を作動するための組立体を示す。
【0058】
図9図9は、本明細書に開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器において実現されたセンサシステムを示す。
【0059】
図10図10は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器を操作する方法を示す。
【0060】
図11図11は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器を操作する方法を示す。
【0061】
図12図12は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植医療機器を機器の一方の側から見たところを示す。
【0062】
図13図13は、機器の他方の側から見た図12の埋植型医療機器を示す。
【0063】
図14図14は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器の概略図である。
【0064】
図15図15は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器の概略図である。
【0065】
図16図16は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器の送達システムを示す。
【0066】
図17図17は、埋植型医療機器が心臓の中へ送達されるときの本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器の展開用装置を示す。
【0067】
図18図18は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器を機器の一方の側から見たところを示す。
【0068】
図19図19は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器を機器の他方の側から見たところを示す。
【0069】
図20図20は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器を機器の一方の側から見たところを示す。
【0070】
図21図21は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器のための通電ユニットを機器の一方の側から見たところを示す。
【0071】
図22図22は、本明細書において開示する1つの実施形態に従った埋植型医療機器の概略図である。
【0072】
本開示の様々な形態は、意図される機能を実施するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることが、当業者には分かるだろう。又、本明細書において参照する添付図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本開示の様々な形態を例示するために誇張される場合があり、その点で、図面は限定的なものと見なされるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0073】
定義および用語
本開示は、限定的に解釈されることを意図しない。例えば、本出願において使用される技術用語は、この分野においてその用語に与えるであろう意味の文脈で広義に解釈されるべきである。
【0074】
不正確な用語に関しては、明示される計測値を含みかつ明示される計測値に合理的に近い任意の計測値を含む計測値を示すために、「約」及び「ほぼ」を交換可能に使用する場合がある。明示される計測値に合理的に近い計測値とは、関連技術の当業者が理解し容易に認める妥当に小さい量だけ明示される計測値から逸脱する値である。この逸脱は、例えば、計測エラー又は性能を最適化するために加えられる微細な調節に帰因する可能性がある。当業者がこのような妥当に小さい差異について容易に値を確認できない場合、「約」及び「ほぼ」は、明示される値のプラスマイナス20%を意味するものと解釈できる。
【0075】
特定の技術用語は、本明細書において便宜上使用される。例えば、「上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「左」、「右」、「水平」、「垂直」、「上方へ」又は「下方へ」などの単語は、単に図面に示される構成又は設置された位置における部分の向きを説明するに過ぎない。実際、言及される構成要素は、任意の方向を向くことができる。同様に、本開示全体を通して、プロセス又は方法を図示又は説明する場合、方法は、文脈上ある特定の行動を最初に実施することに依存することが明白でない限り、任意の順番で又は同時に実施できる。
様々な実施形態の記載
【0076】
様々な例は、心不全患者の心臓圧(例えば、左心房圧、即ちLAP)を監視する非侵襲的方法に関する。このような監視は、他の潜在的な利益の中でも、急性代償障害の初期警告を容易にし、心臓圧(例えば、LAP)を制御するための選択肢を改良することができる。いくつかの例は、滴定機器ベースの治療及び血行動態監視の両方を提供する心不全管理機器に関する。いくつかの実現形態において、心不全管理機器は、持続的非侵襲的心臓圧計測(例えば、LAP計測)のための制御可能な心臓シャント(例えば心房内シャント)及びセンサシステムを含み、シャントを通過する流れは、センサシステムからの心臓圧計測に基づいて制御される。いくつかの例において、心不全管理機器は、当初は監視モードで作動し、症状が悪化した場合、制御可能な心臓シャントが心臓圧を変更するために作動可能である。
【0077】
図1は、いくつかの実施形態に従った埋植型医療機器100を示す。図示するように、埋植型医療機器100は、制御ユニット102と、制御ユニット102によって制御され維持される閉塞組立体104とを有する。閉塞組立体104は、器官の壁(例えば、心臓中隔)に埋植されるように構成され、1つ又は複数のセンサ組立体106並びに作動機構108を含む。制御ユニット102は、センサ組立体106によって計測された生理学的パラメータ情報データをセンサ組立体106から受信するレシーバ110と、任意にレシーバ110が受信した生理学的パラメータ情報を分析するように構成されている、レシーバ110に結合された処理ユニット112と、を含む。
【0078】
処理ユニット112は、中央処理装置(CPU)、システムオンチップ(SoC)又は任意の適切なプロセッサとすることができる。いくつかの例において、処理ユニット112は、生理学的パラメータ情報の分析を完了し、心臓内の生理学的パラメータを制御するために閉塞組立体104と関連付けられた作動機構108へ制御信号を送信することを決定する。
【0079】
作動機構108の目的は、閉塞組立体104を開放して、流体がこれを通過して流動できるようにすることである。いくつかの実施形態において、作動機構108は、センサ組立体106が心臓内の特定の条件を検出したときに起動するように構成されている。1つの例において、閉塞組立体104は、心臓の2つの心腔を分離する壁例えば心房壁の中に配置できる。センサ組立体106が閾値を越える左心房と右心房内の血圧計測値(それぞれ、「左心房圧」又はLAP及び「右心房圧」又はRAPとしても知られる)の間の差を検出したとき、作動機構108は、上昇した血圧差に対応して、左心房と右心房の血圧差を減少するために起動される。いくつかの例において、センサ組立体106は、1つの生理学的計測値を検出する。いくつかの例において、センサ組立体106は、相対又は絶対計測値を検出する。
【0080】
1つの例において、センサ組立体106が計測した圧力計測値は、LAP対RAP比に変換できる。一般的には、理想的なLAP対RAP比は2:1である。従って、所望の比率より著しく小さい又は大きい比率は、心臓の健康に脅威となりうるので、作動機構108は、必要に応じて、比率を所望の比率に近づけるように、一方の心房から他方の心房へ血流をある程度流すように起動される。別の例において、医師が閾値を判断でき、医師は、どのような条件で作動機構108が起動されるべきかを決定できる。別の例において、1つのセンサ組立体からのデータは医師に報告され、医師(又はアルゴリズム)はこのデータを使って、作動機構を起動するべきか否かを判断できる。下に説明するように、他の生理学的計測値をこの決定に使用できることが分かるはずである。
【0081】
いくつかの実施形態において、制御ユニット102は、例えば図8に示すようの体外に配置されるように構成されている。例えば、レシーバ110は、任意に無線で情報を受信するように構成され、処理ユニット112は、任意に無線で制御信号を送信するように構成されている。作動機構108は、処理ユニット112によって送信された起動信号などの制御信号の受信に応答して起動できる。この例において、作動機構108は、外部供給源からの信号を受信できるレシーバに結合できる。
【0082】
図2は、いくつかの実施形態に従った埋植型医療機器200を示す。埋植型医療機器200は、患者の体内の第1腔206(例えば、第1心腔)と第2腔208(例えば、第2心腔)を分離する器官壁204(例えば、中隔)を通過して延びるように適合された流体シャント202を含む。いくつかの例において、例えば、腔は、左右心房又は左右心室である。別の例において、腔の1つ又はそれ以上は、大動脈、大静脈又はその他の脈管構造である。
【0083】
いくつかの例において、流体シャント202は、第1腔206の中まで延びるように適合された第1部分210と、第2腔208の中まで延びるように適合された第2部分212と、第1部分210と第2部分212を相互接続する中間部分214と、を含む。流体シャント202は、第1部分210と第2部分212との間の中間部分214を通過して延びるルーメン216も有する。ルーメン216は、第1腔206と第2腔208との間の流体経路を与えるか又は第1腔を第2腔と流動的に結合するように適合されている。
【0084】
いくつかの実施形態において、第1部分210は、第1フランジ224を含む。第1フランジ224は、第1開口225を有しかつ第1フランジ支持体221と第1フランジカバー223とを含む環形とすることができる。第1フランジ支持体221は、1つ又は複数のフレーム要素を含む弾性枠組みとすることができ、フレーム要素は、巻き、織り、編み、切断又はその他で形成できる。様々な例において、第1フランジ支持体221は、形状記憶合金(例えば、ニッケルチタン合金)などの形状記憶材料で形成される。第1フランジカバー223は、任意に、膜材料(例えば、延伸PTFE膜)又は所望のその他の生体適合性材料を含む。いくつかの例において、第1フランジカバー223は、組織内方成長を促進又は抑制するように構成され、かつ/又は時間が経過すると生理学的条件の下で生体分解可能である。
【0085】
図3~5は、先に導入されたフランジの異なる実施形態及び例を示す。図3は、第1フランジ224が器官壁204と係合しアンテナ300に取り付けられる実施形態に従った第1フランジ224を示す。センサ組立体220は、アンテナ300に取り付けられ、アンテナ300は、センサ組立体220によって提供された生理学的計測情報を送信するために作動する。いくつかの実施形態において、下で説明するように、閉塞組立体218もアンテナ300に取り付けられる。アンテナ300は、閉塞組立体218へ、より具体的には閉塞組立体218の作動機構108へ送信される制御信号を受信するために作動する。1つの例において、埋植型医療機器200は、ルーメン216と第2腔208との間の流体の流れを防止するために、第2フランジカバー231を持つ第2フランジ226を第2部分212に有する。いくつかの実施形態において、第1フランジカバー223及び/又は第2フランジカバー231は、ポリマー膜などの複合膜材料を含む。1つの例において、ポリマー膜は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(延伸PTFE)である。別の例において、膜は、他の任意の適切なフルオロポリマー、熱可塑性ポリマー、エラストマー、バイオポリマー、ファブリック、紡織布などとすることができる。いくつかの例において、第2フランジ226は、第1フランジ224の構造と(同一ではないにしても)同様の構造を持つ。
【0086】
図4及び5は、1つの実施形態に従った第1フレーム部分400を示す。いくつかの例において、第1フレーム部分400は、埋植型医療機器200の第1フランジ224の一部を形成する。第1フレーム部分400は、ルーメン216と第1腔206との間の流体の流れを防止するのを助けるためのセパレータとして作用するために、生理学的条件の下で血液などの体液に対して不透過性であるように構成できるフランジカバー223によって被覆するか、又はこれを支持できる。図示するように、第1フレーム部分400は、1つ又は複数の外側ローブ(例えば、第1外側ローブ406a、第2外側ローブ406b及び第3外側ローブ406c)と、内側フレーム部分402(この例においては、3つの内側ローブ402a、402b及び402c)と、を含むことができる。ローブ406a、406b及び406cの各々は、ローブが内側フレーム部分402の周りに等間隔に配置されるように、内側フレーム部分402に取り付けることができる。いくつかの例において、ローブは、取付け点408a、408b及び408cにおいて内側フレーム部分402に及び/又は隣接ローブに取り付けできる。例えば、いくつかの例において、第1ローブ406aは、取付け点408aにおいて第2ローブ406bに取り付けられ、第2ローブ406bは、取付け点408bにおいて第3ローブ406cに取り付けられ、第3ローブ406cは、取付け点408cにおいて第1ローブ406aに取り付けられる。図4及び5については、3つのローブ及び3つの取付け点を持つものとして説明するが、第1フレーム部分400は、所望のとおりに任意の数のローブとそれぞれの取付け点を持つことができる。
【0087】
内側フレーム部分402(存在する場合)は、所望の任意の形状とすることができる。例えば、いくつかの例において、内側フレーム部分402は、実質的に円形又は実質的に三角形(図4及び5に示すように)である。いくつかの例において、内側ローブ402a、402b及び402cは、第1、第2及び第3ローブ406a、406b、406cの中まで延びて、内側フレーム部分402の形状を画定できる。いくつかの例において、第1フレーム部分400は、これに取り付けられたセンサ組立体220を含む。いくつかの例において、センサ組立体220は、図3に示すようにアンテナ300に作動上結合される。
【0088】
図4及び5には図示しないが、第1フランジ224と同様、埋植型医療機器200の第2フランジ226は、第1フレーム部分400と同じ又は異なる数のローブを持つ第2フレーム部分を含むことができる。例えば、いくつかの例において、第1及び第2フレーム部分は、各々3つのローブを有する。他の例において、第1フレーム部分は3つのローブを含み、第2フレーム部分は2つ、4つ、5つ又はそれ以上のローブを含むことができる。いくつかの例において、第1フレーム部分400は、第2フレーム部分のローブより大きい、小さい及び/又は異なる形状のローブを持つことができる。更に、いくつかの例において、第1フレーム部分400は、図3に示すように、1つ又は複数のセンサ組立体(例えば、220及び222)及びアンテナ300を含むことができる。
【0089】
更に、図4及び5には示さないが、特定の例において、埋植型医療機器200は、第1フランジ224及び/又は第2フランジ226を形成する構造フレーム要素のパターン又はその他の構造特徴を含むことができる。構造フレーム要素のパターンは、内側ローブ402a、402b、402c内部に配列(例えば、これから突出)でき、本明細書において論じる機器のローブのいずれの中に含めることもできる。所望の場合には、構造フレーム要素のパターンは、開放セルパターンを形成するように配列できる。例えば、構造フレーム要素のパターンは、カテーテルの中に埋植型医療機器200を装着し展開する際潰れて開くダイアモンドセルパターンを内側ローブ402a、402b及び402cの中に形成できる。構造フレーム要素のパターンは、展開の際の半径方向の強度を増すことができ、展開形状又はその他の作用形状で埋植型医療機器200の配列を容易にする。
【0090】
図5は、ルーメン216を通過して流体が流動できるようにするために作動機構108がカバー223に第1開口225を生成した後の第1フランジカバー223を示す。いくつかの実施形態において、第1開口225は、機械的又は介入的措置によって形成される。いくつかの実施形態において、第1開口225は、非侵襲的措置によって形成される。
【0091】
再び図2を参照すると、いくつかの実施形態において、第2部分212は、第2フランジ226を含む。第2フランジ226は、第2開口227を有しかつ第2フランジ支持体229及び第2フランジカバー231を含む環形とすることができる。第2フランジ支持体229も1つ又は複数のフレーム要素を含む弾性枠組みとすることができ、フレーム要素は、巻き、織り、編み、切断又はその他で形成できる。様々な例において、第2フランジ支持体229は、形状記憶合金(例えば、ニッケルチタン合金)などの形状記憶材料で形成される。第2フランジカバー231は、任意に、膜材料(例えば、延伸PTFE膜)又はその他の所望の生体適合性材料を含む。いくつかの例において、第2フランジカバー226は、組織内方成長を促進又は抑制するように構成され、かつ/又は時間が経過すると生理学的条件の下で生体分解可能である。
【0092】
いくつかの実施形態において、流体シャント202の中間部分214は、管状部材215と、患者の身体組織(例えば、壁204)及び/又は生理学的プロセス(例えば、血圧)によって加えられる圧縮及び歪曲力に対抗して管状部材215の形状を維持するのを助けるように構成された中間支持体213と、を含む。中間支持体213も、1つ又は複数のフレーム要素を含む弾性枠組みとすることができ、フレーム要素は、巻き、織り、編み、切断又はその他で形成できる。様々な例において、中間支持体213は、形状記憶合金(例えば、ニッケルチタン合金)などの形状記憶材料で形成される。管状部材215は、任意に、膜材料(例えば、延伸PTFE膜)又はその他の所望の生体適合性材料を含む。いくつかの例において、管状部材215は、組織内方成長を促進又は抑制するように構成され、かつ/又は時間が経過すると生理学的条件の下で生体分解可能である。
【0093】
図2において概略的に示すように、埋植型医療機器200は、上記のように流体シャント202と関連付けられた閉塞組立体218も含む。いくつかの例において、閉塞組立体218は、流体シャント202のルーメン216を通過する流れを選択的に閉塞するように適合されている。例えば、閉塞組立体218は、流体シャント202のルーメン216を通過する流れを調節するために起動(物理的、手動介入によって又は遠隔又は自動的手段によって)されるように構成できる。
【0094】
いくつかの例において、作動機構108は、ルーメン216を通過する流体の流れを許容するために又はルーメン216を通過する流体の流量の増減を許容するために起動されるように構成されている。いくつかの例において、作動機構108は、例えばルーメン216を開く又は狭くするために作動可能であることによって、流量を増減するために選択的に起動される。作動機構108は、任意に、第1部分210、第2部分212及び/又は中間部分214に位置付けられる。作動機構108は、作動機構108が無流又は低流状態のとき開始し、その後(例えば完全に又は段階的に)流量を増大するために開放できるように「一方向」作動とすることができる。他の実施形態において、作動機構108は、流体シャント202を通過する流れを増大及び減少の両方できる。
【0095】
1つの例において、作動機構108は、フランジカバー223及び231の一方又は両方を機械的に貫通するための針又はその他の適切な穿孔要素を含む。介入措置の1つの例において、針は、カテーテルによって埋植医療機器200の設置場所まで導かれ、針は、第1フランジカバー223を穿孔することによって第1開口225を、又第2フランジカバー231を穿孔することによって第2開口227を形成するために使用される。他の介入的措置は、機械的、熱的、レーザー、超音波及び誘導方法を含む。
【0096】
図6に示す1つの例において、作動機構218は、アンテナ300に取り付けられる。第1フランジカバー223を画定する膜は、半径方向の引張力を受けている3つのフラップ要素600、602及び604で作られ、半径方向の引張力が第1フランジ224の外側縁へ向かってフラップ要素を移動させるのを防止するために図示するようにワイヤ606がステッチ608で3つのフラップ要素を固定する。センサ組立体220は、アンテナ300上に配置される。制御ユニット102から作動信号を受信したら、作動機構218は、ワイヤ606を引っ張って、フラップ要素600、602及び604が外縁へ向かって引き戻されるようにし、それによって図7に示すように第1開口225を生成する。ワイヤ606は、任意の適切な材料で作ることができる。いくつかの例において、ワイヤ606は、ナイロン又はPTFEなどのポリマーで作られた糸である。いくつかの例において、ワイヤ606は、特に、ステンレス鋼又はニッケルチタン合金などの導電性材料で作られる。1つの例において、同じ作動機構を第2フランジカバー231に取り付けることができ、第2フランジ231カバーも同様のフラップ要素で作られる。1つの例において、フラップ要素の数は、2つとすることができる。別の例において、フラップ要素の数は4つ又はそれ以上とすることができる。
【0097】
付加的な又は代替的な様々な作動機構が想定される。いくつかの例において、ワイヤ606は、導電性であり、制御ユニット102から作動信号を受信すると、閉塞組立体218はワイヤ606に電圧を加えて、ワイヤ606を電解分解させる。充分に分解した後、ワイヤ606は、破断又は溶解して、フラップ要素600、602及び604を一緒に保持できなくなる。したがって、フラップ要素600、602及び604は、図6に示す初期位置から後退又は開いて、図7に示すように第1開口225を形成する。
【0098】
いくつかの例において、作動機構108は、体外通電ユニット800などのように体外に在る。図8は、埋植型医療機器100又は200を示す。エネルギーは、1つの実施形態によれば治療システムにおいて体外通電ユニット800を使用して、埋植型医療機器に誘導供給される。通電ユニット800は、電気エネルギーが要素606を電解分解して、それによって第1開口225を形成して、機器を開放構成に変換できるように、埋植医療機器に電力を供給する体外誘導エネルギー源を含むことができる。いくつかの例において、制御ユニット102は、体外に配置されるように構成されて、体外通電ユニット800を制御する。いくつかの実施形態において、埋植型医療機器200の第1開口225を制御するために作動する治療システムは、内部誘導エネルギーレシーバ、超音波エネルギー源、レーザーエネルギー源、高周波(RF)エネルギー源及び/又は閉塞組立体104を起動するためのその他のタイプのエネルギー源の1つ又はそれ以上を含む。更に、いくつかの実施形態において、第1開口225が形成され、ルーメン216内での流体の流れが許容されたとき、埋植型医療機器200は、ルーメン216を通過する流量に基づいて異なる共振周波数を示す。共振周波数は、埋植型医療機器200に結合されたセンサ組立体220及び222の一方又は両方を使用して計測できる。1つの例において、レシーバ110が計測した共振周波数は、処理ユニット112によって流体流量などの物理的パラメータに変換される。1つの例において、センサ組立体220及び222の両方は、圧力センサであり、ルーメン216を通過する流体の流量は、ルーメンの寸法、圧力差及び既知の流体(例えば、血液)の流体力学的特性に基づいて推定される。付加的な又は代替的な感知特徴が想定される。いくつかの例において、センサ組立体220又は222によって計測された共振周波数の変動は、流体が流動できるようにルーメン216が順調に開放されたことの確証となる。
【0099】
いくつかの実施形態において、無線体外通電は、誘導エネルギー転移又は超音波エネルギー転移を含むが、これらは非侵襲的処置の非限定的例である。1つの実施形態において、フランジカバー223の膜は、熱活性化メカニズムを生成するために、フランジカバー223を熱又は超音波エネルギーに曝露した後開口225を形成するために溶融できる。いくつかの例において、開口225のサイズは、熱活性化の量を変動させることによって調節できる。参考までに、所望の場合には、フランジカバー231の開口227は、フランジカバー223に関連して説明したのと同じ方法/メカニズムを使用して又は所望の場合には異なる方法によって、形成できる。
【0100】
別の実施形態において、フランジカバー223は、作動機構108によって機械的に制御される少なくとも1つのフラップ要素で作られ、一方、作動機構は無線で制御ユニット102によって制御される。1つの例において、メカニズム制御は、作動機構108がフラップ要素の状態を閉鎖状態からより開放状態へ変化させるためにフラップ要素を引っ張ることによって実現される。開口225のサイズは、フラップ要素をどれだけ閉鎖位置から変位するかを変動させることによって調節できる。いくつかの実施形態において、作動機構108は、フラップ要素を閉鎖位置へもっと近い位置へ戻すことによって開口225のサイズを減少するように、フラップ要素を制御することもできる。1つの例において、少なくとも1つのフラップ要素の制御は、閉塞組立体218の作動機構108が、少なくとも1つのフラップ要素を閉鎖状態に保持するワイヤ(例えば、図6に示すワイヤ606)の電解分解を誘導するために電圧を加え、それによって少なくとも1つのフラップ要素を閉鎖状態からより開放状態へ変えることによって、行われる。
【0101】
作動のために非侵襲的措置を利用するように構成されているいくつかの実施形態において、カバー223及び231の一方又は両方は、膜が流体シャント214のルーメン216を通過する流れを調節するために超音波源を使用して熱によって開くように構成されるように、超音波に対して選択的に吸収性である膜で作られる。非侵襲的作動処置を利用するように構成されたいくつかの実施形態において、カバー223及び231の一方又は両方は、膜が流体シャント214のルーメン216を通過する流れを調節するためにRFアブレーション源を使用して熱によって開くように、RFエネルギーに対して選択的に吸収性である膜で作られる。いくつかの実施形態において、膜は、膜がレーザー源を使用して熱によって開くように構成されるように、レーザーエネルギーに対して選択的に吸収性である。いくつかの実施形態において、膜又は膜を所定の位置に保持する要素(例えば、ワイヤ)は、誘導エネルギー源によって供給される電気エネルギーを使用して選択的に電解分解可能である。いくつかの例において、電気エネルギーは、バッテリ、超音波エネルギー源に曝露された圧電レシーバ、磁気誘導、高周波(RF)エネルギー源及び/又は閉塞組立体を起動するためのその他のタイプのエネルギー源など、任意の適切な手段によって供給できる。いくつかの実施形態において、カバー223及び231の両方は、同様の手段を利用して作動可能である。例えば、カバー223及び231は、両方とも、外部ソースからのエネルギー例えばRFエネルギー、レーザーエネルギー、誘導エネルギー又はその他を受けたらこれに応答して同時に開くように構成できる。
【0102】
いくつかの実施形態において、カバー223及び231の一方又は両方は、半径方向の引張力を受けており、開口225及び227の一方又は両方を形成するのを助ける。例えば、カバー223及び231が引っ張られると、カバーの外縁から加えられた半径方向の引張力は開口部の周りのカバー材料を複数の方向で開口部の位置から引き離して、カバーの小さな開口部でも、大きくできる。いくつかの実施形態において、カバーは、カバーに開口225及び227の一方又は両方を形成するのを助けるために残留応力プロフィルを示す。いくつかの実施形態において、カバーは、ルーメン216を通過する流れを変更するために開口225及び227の一方又は両方について複数のサイズの間で選択的に開放可能である。
【0103】
図9は、埋植型医療機器100の1つの実施形態において実現されるセンサシステム900を示す。いくつかの例において、センサシステム900は、1つ又は複数のセンサ組立体106と、1つ又は複数のセンサ組立体106と通信するセンサ制御ユニット902と、を含む。1つの例において、1つ又は複数のセンサ組立体106は、信号を送信し信号に対する環境反応を記録するトランスミッタを含む、能動的センサである。別の例において、1つ又は複数のセンサ組立体106は、例えば物理的環境からの入力を受けたとき、生理学的計測を実施するために外部エネルギー源を必要とする受動的センサである。センサ制御ユニット902は、バッテリ904と、レシーバ906と、トランスミッタ908と、を含む。バッテリ904は、センサ組立体106が継続的に生理学的計測を行うために並びにセンサ制御ユニット902が前記計測のデータを送受するために、電力を供給する。レシーバ906は、センサ組立体106から計測データを受信し、トランスミッタ908は、例えば無線で外部制御ユニット102へデータを送信する。
【0104】
いくつかの例において、1つ又は複数のセンサ組立体106は、第1腔206における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知するように適合された流体シャント202の第1部分210と関連付けられた第1センサ組立体220と、第2腔208における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知するように適合された流体シャント214の第2部分212と関連付けられた第2センサ組立体222と、を心臓内に含む。2つのセンサ組立体を図示し説明するが、これより多い(例えば、3つ又はそれ以上)又は少ない(例えば、単一)のセンサ組立体が想定される。1つの例において、センサ組立体106の1つ又は全ては、それぞれの腔の血圧レベルを含む生理学的パラメータを感知するように構成されている。いくつかの例において、1つ又は複数のセンサ組立体106は、心臓内の指定された腔において血液が流れる速度を感知するように構成されている。更に別の例において、1つ又は複数のセンサは、血液の温度を感知するように構成されている。更に別の例において、1つ又は複数のセンサは、血液の酸素飽和量を感知するように構成されている。
【0105】
器官内部の流体の流量又は圧力を計測できる適切なセンサの例は、圧電センサ、圧力スイッチ、光学的圧力変換器、ベンチュリ計、インピーダンスモニタ及び超音波圧力センサ並びにその他のタイプの電気生理学的及び血行力学的センサを含む。
【0106】
図10は、1つの実施形態に従った埋植型医療機器200を操作する方法1000を示す。第1ステップ1002において、ルーメン216は、心臓内の第1腔206と心臓内の第2腔208とを分離する壁204を通過して延ばされる。1つの例において、流体シャント214は、流体シャント214の第1部分210及び第2部分212のフランジ部分又はアンカー224及び226を心臓の壁204と係合することを含めて、心臓の壁204を通過して通される。ステップ1004において、第1センサ組立体220は、第1腔206における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知する。次のステップ1006において、流体シャント214を通過する流れは、流体シャント214と関連付けられる閉塞組立体218を作動することによって調節される。
【0107】
図11は、いくつかの実施形態に従った埋植型医療機器200を操作する別の方法1100を示す。上述のステップ1004の後のステップ1102において、第2センサ222は、心臓内の第2腔208における1つ又は複数の生理学的パラメータを感知する。ステップ1104において、レシーバ110は、第1センサ組立体220及び第2センサ組立体222が感知した生理学的パラメータを受信する。次のステップ1106において、処理ユニット112は、作動信号を発するために、レシーバ110が受信した生理学的パラメータについて分析を実施する。ステップ1108において、制御ユニット102は、作動信号を閉塞組立体218へ送信する。最後に、ステップ1006において、流体シャント214を通過する流れは、制御ユニット102の処理ユニット112によって与えられた作動信号に従って流体シャント214と関連付けられた閉塞組立体218を作動することによって調節される。
【0108】
いくつかの実施形態において、制御ユニット102は、上述の措置の1つ又はそれ以上を実施することによって閉塞組立体218がルーメン216を通過する流量を増大するように、第1センサ組立体220と第2センサ222が予設定された生理学的計測値差を感知したら、閉塞組立体218へ作動信号を送信する。
【0109】
図12は、埋植型医療機器200の第1側の画像であり、図4及び5に示すように第1フランジ224の第1フレーム部分400は、1つの実施形態に従ってフランジカバー223のための被覆材料を含むのが分かる。図示するように、いくつかの例において、被覆材料は、開口部又は開口225に被せて配置できる。したがって、被覆材料223は、所望のとおりに第1フレーム部分を通過する流れを遅くする又は閉塞するように作用できる。いくつかの例において、被覆材料223は、第1フレーム部分400に被せて配置できる。いくつかの例において、被覆材料223は、第1ローブ406a、第2ローブ406b及び第3ローブ406cの1つ又はそれ以上に取り付けできる。いくつかの例において、内側フレーム部分402は、図13に図示しこれに関連して論じるように、第2フレーム部分1300として役立つ。いくつかの例において、センサ組立体220は、第1ローブ406a、第2ローブ406b及び第3ローブ406cの1つ又はそれ以上に配置できる。
【0110】
図13は、1つの実施形態に従った埋植医療機器200の第2側の画像である。図示するように、被覆材料231は、開口部227に被せて配置される。様々な例において、第2フレーム部分1300の第1、第2及び第3ローブ1302a、1302b及び1302cは、被覆材料231を含んでも含まなくても良い。例えば、図示するように、被覆材料231は、開口部27に被せて配置されるが、第2フレーム部分1300に被せては配置されず、他の例において、被覆材料231は、例えば開口部227及び第2フレーム部分1300の両方に被せて配置できる。いくつかの例において、センサ組立体224は、第1ローブ1302a、第2ローブ1302b及び第3ローブ1302cの1つ又はそれ以上に配置される。
【0111】
図14は、1つの実施形態に従った器官壁204の面に取り付けられた2つのフランジ224及び226を持つ埋植型医療機器1400を示し、第1及び第2フランジは、器官壁の両面に配置され、導管が器官壁を通過して延びる。1つの例において、器官壁204は、心臓の左心房と右心房との間の心房壁であり、第1フランジ224は、右心房の心房壁204の面に配置され、第2フランジは左心房の心房壁204の面に配置され、導管1402は、心臓の2つの心房を流動的に接続するルーメン216を形成するように、2つのフランジ224と226の間に延びる。
【0112】
1つの例において、導管1402は、膜が壁204に対して半径方向の力を与えてルーメン216がつぶれるのを防止するために、例えばフルオロエラストマ、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PTE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルフォン又はその他などで作られた膜など、高剛性及び高不撓性を有する膜などのカバー材料を含む。
【0113】
1つの例において、導管1402は、例えば、形状記憶合金(例えばニッケルチタン合金)又はステンレス鋼などの適切な材料で作られた1つ又は複数の構造要素(例えば、ステント要素)を含む。図示するように、医療機器1400は、延伸PTFEを含む(但し、これに限定されない)任意の適切なポリマー材料の可撓性膜などのカバー1404を含む。図示するように、カバー1404は、第1フランジ224と壁204との間に配置されるか又はこの間に常駐するように構成されている。更に、医療機器1400は、体内で生理学的計測を実施するために1つ又は複数のセンサを配置するための1つ又は複数(例えば、3つ)の場所を含む。第1場所1406において、センサ(例えば、圧力センサ)は、センサが右心房において計測を実施できるように第1フランジ224に配置できる。第2場所1408において、センサ(例えば、フローセンサ)は、ルーメン216内での流体の流量を計測するために導管1402内部に配置できる。第3場所1410において、センサ(例えば、圧力センサ)は、左心房において計測を実施するために第2フランジ226に配置できる。いくつかの例において、単一の感知機能を果たす単一のセンサが、各場所に配置され、他の例において、複数のセンサ又は複数の感知機能を果たす1つのセンサが、各場所に配置される。
【0114】
図15は、1つの実施形態に従った図14に示す埋植型医療機器1400であり、更に二次カバー1500(例えば、上述のように可撓性膜材料の)を持つ。この実施形態及び図14に示す実施形態において、カバー1404及び1500は、カバーがルーメン216を通過する流れを調節するためにRFアブレーション源を使用して熱によって開くように、RFエネルギーに対して選択的に吸収性である。いくつかの実施形態において、カバー1404及び1500は、各カバーがレーザー源を使用して熱によって開くように構成されるように、レーザーエネルギーに対して選択的に吸収性である。いくつかの実施形態において、カバー1404及び1500は、各カバー(1404及び/又は1500)が超音波源を使用して熱によって開くように構成されるように、超音波エネルギーに対して選択的に吸収性である。いくつかの実施形態において、カバー1404及び1500又はカバーを所定の位置に保持する要素(例えば、ワイヤ)は、誘導又はその他のエネルギー源によって供給された電気エネルギーを使用して選択的に電解分解可能である。
【0115】
図16は、1つの実施形態に従った展開用装置1600内部の圧縮構成の埋植型医療機器1400を示す。図示するように、機器1400は、送達構成に圧縮されて、患者体内の所望の治療箇所まで送達されるために展開用装置1600の中に装填される。特定の例において、機器1400は、機器1400が図16に示すように完全に展開用装置1600内に収容されるように、展開用装置1600の中に装填される。機器1400は、送達構成のまま所望の治療箇所まで送達できる。第1フランジ224は、その後壁204の第1側に位置付けられ、フランジ226は、壁204の第2側に位置付けられる。いくつかの例において、展開されると、機器1400の導管1402の中央部分は、所望通りに開口部を通過する流体の流量を調節するために半径方向に拡張又は圧縮/収縮できる。1つの例において、展開用装置1600はカテーテル又はシースを含む。
【0116】
図17は、1つの実施形態に従った血圧を調節するために埋植型医療機器1400を使用する例を示す。図示する埋植型医療機器1400は、患者の心臓Hに埋植されている。図示する機器1400は、患者の左心房LAと右心房RAとの間に配置されている。特定の例において、機器1400は、心臓H内での例えば左心房と右心房LA、RAとの間の血流を調整するために使用できる。図示するように、機器1400は、概略的に、中隔の第1側(例えば、右心房RA内)に配置された第1フランジ224と、中隔の第2側(例えば、左心房LA内)に配置された第2フランジ226と、その間を通過して延びる導管1402とを含む。いくつかの例において、針を使用して中隔に経中隔開口部を開けることができる。
【0117】
展開用装置1600及び拘束及び/解除ライン(図示せず)を使用して、機器1400の展開を容易にできる。例えば、器官壁(例えば中隔)を通過して所望の内腔(例えば、LA)の中まで展開用装置1600を前進させた後、機器1400の第2フランジ226をまず解除し、第1フランジ224は、器官壁の反対側(例えば、心房中隔のRA側)で解除できる。導管1402は、器官壁の開口部(例えば、経中隔開口部)内に配置できる。フランジ224及び226並びに導管1402は、患者体内の所望の治療箇所まで機器1400を送達する間展開用装置1600内で圧縮し、その後、機器1400の展開時に拡張できる。展開後、機器1400は、1つ又は複数の治療プログラムを患者に対して行うために使用できる。1つの例において、機器1400は、心臓内の1つ又は複数の場所に在るセンサを使用して生理学的計測を行うことによって肺鬱血及び肺高血圧を検出し治療する。例えば、心不全の危険がある患者の左心房内の圧力計測値が右心房に比べて上がった場合、医療機器1400のセンサは症状を検出し、例えば、血流がルーメン216を通過できるようにして左心房内の血圧を安全レベルまで下げるために、導管1402は閉塞組立体218を起動することによって開放される。
【0118】
図18は、1つの実施形態に従った血圧を調整するための埋植型医療機器1800の例を示す。図示するように、埋植型医療機器1800は、第1フレーム構成要素1802と、第2フレーム構成要素1804と、を含む。第1フレーム構成要素1802は、患者の身体組織(即ち、例えば中隔の第1側)に形を合わせるように構成できる。第2フレーム構成要素1804は、患者の身体組織(即ち、中隔の第2側)に形を合わせるように構成できる。いくつかの例において、センサ組立体220は、第1フレーム構成要素1802及び第2フレーム構成要素1804の一方又は両方に配置される。
【0119】
特定の例において、第1フレーム構成要素1802は、第1組の細長要素1806を含み、第2フレーム構成要素1804は、第2組の細長要素1808を含む。例えば細長要素1806、1808を含むフレーム構成要素1802、1804は、相互に離散し分離できる。例えば、第1フレーム構成要素1802は、機器1800の第1側1810を形成し、第2フレーム構成要素1804は、機器1800の第2側1812を形成する。第2フレーム構成要素1804から離散し分離する第1フレーム構成要素1802は、機器の第2側1812の中まで入らず、第1フレーム構成要素1802から離散し分離する第2フレーム構成要素1804は、機器の第1側1810の中まで入らない。
【0120】
特定の例において、第1フレーム構成要素1802と第2フレーム構成要素1804は、相互に非連続である。相互に非連続的な第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804を相互から識別し分離できるようにする。更に、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、相互に別個に、患者の身体組織の動きに対応して自由に動ける。このようにして、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の一方に作用する力は、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の他方において維持される。第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の一方に作用する力は、力の作用を受けるフレーム構成要素に隔離できる。
【0121】
図示するように、導管部分1814は、第1フレーム構成要素と第2フレーム構成要素との間に配置される。導管部分1814の少なくとも一部分は、導管部分1814内で、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804によって概ね半径方向又は円周方向に支持されない。図18に示すように、導管部分1814は、約90度の角度(他の角度も想定される)で第1側1810及び第2側1812へ移行する。導管部分1814の境界は、導管部分1814が第1側1810及び第2側1812へ移行する位置であると考えることができる。第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、導管部分1814に対して側方に延びる。更に、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、実質的に導管部分1814の境界へ入ることなく導管部分1814を支持できる。特定の例において、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、導管部分1814の境界の外から側方に導管部分1814を支持する。したがって、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、導管部分1814を通過するルーメンを維持でき、導管部分1814を側方に開くことによって、導管部分1814の展開を容易にする。
【0122】
特定の例において、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、導管部分1814を展開しこれを通過するルーメンを維持するために導管部分1814に引張力を加えることができる。導管部分1814は、導管部分1814の完全展開直径より小さい直径を持つ開口部(例えば、中隔を横切る針の刺し跡)を介して組織面の間の中隔内に展開できる。第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の拡張によって加えられた導管部分1814における引張力は、組織面の間の中隔も所望のシャントサイズまで拡張できる。
【0123】
特定の例において、導管部分1814は、実質的にフレーム構成要素から解放することができる。例えば、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、上述のように相互に不連続でありかつ導管部分1814の境界の外に配置される。導管部分1814は、例えば、第1フレーム構成要素1802と第2フレーム構成要素1804を接続する延伸ポリテトラフルオロエチレン(延伸PTFE)膜などの膜1816を含むことができる。膜1816は、概略的に、患者の身体に適合する適切な距離で第1フレーム構成要素1802と第2フレーム構成要素1804を分離する。例えば、膜1816は、患者の体内の所望の治療箇所に応じて、0~15mmのギャップで第1フレーム構成要素1802と第2フレーム構成要素1804を分離できる。更に、導管部分は、膜1816だけで形成できる。組織面の間の中隔内に展開されるように構成されている導管部分1814は、第1フレーム構成要素1802及び第2フレーム構成要素1804から解放される。導管部分1814は、流れを妨げる又は乱すステント要素からのリッジがなく血流を通過し易くする円滑な内部を含むことができる。したがって、導管部分1814は、血栓症の可能性を少なくできる。
【0124】
膜1816は導管部分1814を形成することに加えて、膜1816は、第1フレーム構成要素1802の少なくとも一部分、第2フレーム構成要素1804の少なくとも一部分又は第1フレーム構成要素1802及び第2フレーム構成要素1804の少なくとも一部分をカバーできる。特定の例において、第1フレーム構成要素1802及び/又は第2フレーム構成要素1804の少なくとも一部分に配置される膜1816は、別個の膜フィルム(例えば、第1フレーム構成要素1802に配置された第1膜フィルム及び第2フレーム構成要素1804に配置された第2膜フィルム)である。このような例において、膜フィルム(単数又は複数)は、導管部分1814の膜1816に結合できる。膜1816は、導管部分1814が拡張できるようにしかつ第1フレーム構成要素1802及び/又は第2フレーム構成要素1804の部分が移動(例えば、第1組の細長要素1806及び/又は第2組の細長要素1808が移動)できるようにするために、弾性とすることができる。
【0125】
膜1816は、第1組の細長要素1806及び/又は第2組の細長要素1808との間のギャップにわたることができる。特定の例において、膜1816は、少なくとも第1フレーム構成要素1802の組織係合側及び第2フレーム構成要素1804の組織係合側に配置される。このような例において、膜1816は、第1フレーム構成要素1802及び/又は第2フレーム構成要素1804のフレーム腐食の可能性を小さくするように構成されている。膜1816及び第1組の細長要素1806及び/又は第2組の細長要素1808の配列は、中隔を取り囲む組織面の形に合わせることができる。第1組の細長要素1806及び/又は第2組の細長要素1808は、組織面に対して平らとすることができる。
【0126】
特定の例において、第1組の細長要素1806の各々は、膜1816を介して相互に取付けされて、第1フレーム構成要素1802を形成できる。特定の例において、第1フレーム構成要素1802は、図示するように実質的にフラットな又は二次元のディスク形を形成できる。それに加えて又はその代わりに、第2組の細長要素1808は、膜材料1816を介して相互に取り付けされて、第2フレーム構成要素1804を形成できる。第2フレーム構成要素1804も、実質的にフラットな又は二次元のディスク形を形成できるので、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、機器1800が展開構成のとき実質的に相互に平行である。
【0127】
特定の例において、膜1816は、膜1816の少なくとも一部分又は膜1816の少なくとも一部分を覆う組織内方成長を促進又は抑制するように構成できる。特定の例において、膜1816は、第1及び/又は第2フレーム構成要素1802、1804の少なくとも一部分を被覆する組織内方成長を促進又は抑制するように構成され、これは、更に、患者身体内での機器1800の適合性及び安定性を促進できる。導管部分1814内の膜1816は、組織内方成長を許容しないように構成でき、開存性の増大につながる。特定の例において、膜1816は、導管部分1814内での閉塞性の内方成長なしに内皮化を促進するように構成されている。膜1816は、導管部分1814への組織の閉塞性過剰成長なしに内皮化を促進できる。
【0128】
特定の例において、機器1800は、患者体内の所望の治療箇所へ薬物を送達できる。例えば、機器1800は、組織反応を調整するように構成された薬物を溶出できる。特定の例において、機器1800は、治療用コーティング、薬物溶出物質又はその他の治療用物質又は親水性コーティングを塗付できる。具体的例において、機器1800は、機器1800の血栓耐性及び開存性を助けるためにヘパリンを塗付できる。その代わりに又はそれに加えて、機器1800は、パクリタキセル(組織/細胞反応を調整するため)を含むことができる。
【0129】
図19は、1つの実施形態に従った血圧を調整するための埋植型医療機器1900の別の例の斜視図である。図示するように、第1組の細長要素1806の各々は、隣接する細長要素から離散し分離できる。言い換えると、膜1816は、第1組の細長要素1806の各々を共に接続しない。このようにして、第1組の細長要素1806の各々は、相互から独立して移動でき、個別に中隔の第1側のトポグラフィに合わせることができるので、高い順応性の第1フレーム構成要素1802を提供する。第2組の細長要素1808の各々も、隣接する細長要素から離散し分離できる。例えば、第2組の細長要素1808の各々は、相互から独立して移動でき、第1組の細長要素1806が中隔の第1側の形に合わせるのと同様に、個別に中隔の第2側の形に合わせることができる。このように、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は両方とも非常に順応性があり、患者の身体組織に基づいて相互に独立して形を合わせることができる。
【0130】
特定の例において、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の第1又は第2組の細長要素1806、1808の一方は、膜1816を介して相互に取り付けでき、他方の組の細長要素は、取り付けられない(例えば、隣接する細長要素から離散し分離する)。他の例において、第1又は第2組の細長要素1806、1808のいくつかのみが相互に取り付けられて、第1及び第2組の細長要素1806、1808の他の細長要素は、取り付けられない。このように、機器1900は、患者体内の所望の治療箇所及び特に欠陥のサイズ及び/又は形状に応じて、非常に患者に合わせることができる。いくつかの例において、センサ組立体220は、第1フレーム構成要素1802及び第2フレーム構成要素1804の一方又は両方に配置される。
【0131】
機器1900は、概ね、送達構成から展開構成へ展開又は拡張可能である。いくつかの例において、第1組の細長要素1806及び第2組の細長要素1808は、機器が送達構成のとき相互に入れ子状にできる。これによって、例えば、機器1900を多様な治療箇所(例えば、小さい、狭い、又は回旋状の通路を通って)まで送達するために機器1900をより小さいサイズに圧縮できる。
【0132】
図20は、1つの実施形態に従った図19に示す血圧を調整するための埋植型医療機器1900の側面図である。図20は、展開構成の機器1900を示す。図示するように、第1組の細長要素1806を含む第1フレーム構成要素1802及び第2組の細長要素1808を含む第2フレーム構成要素1804は、機器1900が展開構成のとき導管部分1814の長手軸線Lに対して半径方向外側に位置付けられる。例えば、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、それぞれ第1及び第2角度2000、2002で位置付けられる。第1及び第2角度2000、2002は、機器が展開構成のとき長手軸線Lに対してほぼ90度を形成できる。これによって、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804を中隔の第1側及び第2側と平行にかつこれに隣接して位置付けできる。特定の例において、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、長手軸線Lに対して中隔の第1側及び第2側の組織面と接触できるようにする任意の角度で(例えば、長手軸線Lに対して約0度から90度超えまで)位置付けできる。
【0133】
特定の例において、第1と第2細長要素1806、1808は、機器1900が展開構成のとき相互から分離するように構成されている。図20に示すように、第1組の細長要素1806は、各々、第1組の細長要素1806の各々が隣接する細長要素から独立して移動できるように、機器1900が展開構成のとき、相互から離散し分離する。第2組の細長要素1808の各々も、第2組の細長要素1808の各々が隣接する細長要素から独立して移動するように、機器1900が展開構成のとき、相互から離散し分離できる。いくつかの例において、センサ組立体220は、第1組の細長要素1806の任意の1つ又はそれ以上に配置でき、他のセンサ組立体222は、第2組の細長要素1808の任意の1つ又はそれ以上に配置できる。
【0134】
第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、導管部分1814を通過するルーメンを維持して、導管部分1814を側方へ開くことによって導管部分1814の展開を助けることができる。更に、ルーメンは、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804から自由であるか又は第1及び第2フレーム構成要素1802、1804を有さないことができる。このようにして、導管部分1814は、付加的処置(例えば左心耳オクルダ埋植)のために中隔を再び横切るのを容易にできる。更に、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、異なる構成とすることができる。例えば、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の一方を、フレア状とし、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の他方を、フラット状とすることができる。他の例において、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の両方をフレア状とすることができる。更に、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の一方を、凸状とすることし、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の他方を、フラット又は凹状とするか、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の両方を凸状とすることができる。更に、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の一方を凹状とし、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の他方をフラット又は凸状とするか、又は第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の両方を凹状とすることができる。さらに、第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、異なるサイズとすることができる。
【0135】
第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、例えば、患者体内で他のパラメータの中でも特に血圧などの各種血行動態パラメータを連続的に監視するために、それぞれのフレーム構成要素に組み込まれたセンサを含むことができる。例えば、アンテナ又はインダクタを第1及び第2フレーム構成要素1802、1804の一方の周囲に巻き付けて、センサをインダクタに取り付けることができる。センサは、例えば、心臓病、心不全及び/又はその他の心血管症状の診断、監視及び/又は治療において重要な、温度、心臓の電気信号、血液化学、血液pHレベル、血行動態、バイオマーカー、音響、圧力、電解質などの生理学的特性を感知するように構成できる。
【0136】
特定の例において、導管部分1814は、送達後にサイズを大きくできる。膜1816は、膜1816を拡張するために導管部分1814内に置かれたバルーンによって選択的に調節できる。機器1900は、患者の身体組織にフィットするのに適する任意のサイズとすることができる。特定の例において、導管部分の直径は3~12mmである。例えば、導管部分の直径は、患者の身体組織及び/又は所望の治療箇所に応じて4~10mm又は5~8mmとすることができる。第1及び第2フレーム構成要素1802、1804は、例えば、フレーム構成要素が機器1900の導管部分1814を中隔内に固定できるように、概ね、導管部分1814の直径より大きい直径を持つ。
【0137】
機器1900は、患者の身体組織にフィットする適切な任意の形状とすることができる。例えば、第1及び第2フレーム部分1802、1804は、患者体内に機器1900を固定するために適する多様な形状のいずれでもよい。例えば、第1及び第2フレーム部分1802、1804は、実質的に、円形、楕円形、ダイアモンド形、星形、花形又はその他の適切な任意の形状とすることができる。特定の例において、例えば、第1組及び第2組の細長要素1806、1808の少なくとも一方は、星形を形成する。特定の例において、第1組及び第2組の細長要素1806、1808の両方は、星形を形成する。
【0138】
特定の例において、第1組の細長要素1806は複数の第1ローブ2004を形成し、第2組の細長要素1808は複数の第2ローブ2006を形成する。複数の第1及び第2ローブ2004、2006の各々は、所望のとおりに、例えば、3~12個のローブ、4~10個のローブ又は6~8個のローブを含むことができる。特定の例において、複数の第1ローブ2004は、複数の第2ローブ2006より多い数のローブを含むことができ、他の例において、複数の第1ローブ2004は、複数の第2ローブ2006と同じ数またはこれより少ない数のローブを含むことができる。
【0139】
図21は、1つの実施形態に従ったエネルギー源例えば通電ユニット2100によって起動される埋植型医療機器1400の例を示す。通電ユニット2100は、通電ユニット2100が磁気誘導を介して埋植型医療機器へエネルギーを送り、埋植型医療機器の要素を電解分解するためにこのエネルギーを電気エネルギーに変換できる、という点で、体外通電ユニット800と同様に機能する。又は、通電ユニット2100は、超音波エネルギー源、レーザーエネルギー源、高周波(RF)エネルギー源及び/又はフランジに結合された膜例えば第1フランジ224に結合された膜2104に開口を形成するためにエネルギー転移2102を与えるその他のタイプの適切なエネルギー源を介して、エネルギーを送ることができる。体外通電ユニット800と異なり、通電ユニット2100は、膜2104に近接する心臓内Hの場所(例えば右心房RA)まで送達される。1つの実施形態において、膜2104の膜は、熱活性化メカニズムを発生するために膜2104を熱又は超音波エネルギーに曝露した後に開口を形成するために溶解できる。いくつかの例において、開口のサイズは、熱活性化の量を変動させることによって調節できる。
【0140】
いくつかの実施形態において、医療機器1400は、第2フランジ226に結合された付加的な二次膜(図示せず)を含むことができる。このような実施形態において、膜の一方又は両方は、膜が医療機器1400を通過する流れを調節するために超音波源を使用して熱によって開くように構成されるように、超音波に対して選択的に吸収性である。いくつかの実施形態において、膜の一方又は両方は、膜が医療機器1400を通過する流れを調節するためにRFアブレーション源を使用して熱によって開くように、RFエネルギーに対して選択的に吸収性である。いくつかの実施形態において、膜は、膜がレーザー源を使用して熱によって開くように構成されるように、レーザーエネルギー源に対して選択的に吸収性である。いくつの実施形態において、膜又は膜を所定の位置に保持する要素(例えば、ワイヤ)は、誘導又はその他のエネルギー源によって供給される電気エネルギーを使用して選択的に電解分解可能である。いくつかの実施形態において、両方の膜は、同様の方法によって作動可能である。例えば、膜は、両方とも、外部ソースからエネルギー、例えば、RFエネルギー、レーザーエネルギー、誘導エネルギー又はその他を受けるとこれに応答して同時に開くように構成できる。
【0141】
いくつかの実施形態において、膜の一方又は両方は、これを貫通する開口の一方又は両方の形成を助けるために半径方向の引張力を受けている。例えば、膜が引っ張られたとき、膜のたとえ小さい開口部でも、膜の外縁からの半径方向の引張力が膜を複数の方向に開口部の位置から引き離すと拡大できる。いくつかの実施形態において、膜は、膜の開口の一方又は両方を形成するのを助けるために、残留応力プロフィルを示す。いくつかの実施形態において、膜は、医療機器1400を通過する流れを変更するために開口の一方又は両方について複数のサイズの間で選択的に開放可能である。
【0142】
図22は、1つの実施形態に従った埋植型医療機器2200の例を示す。埋植型医療機器2200は、医療機器2200を所定の位置に固定するために器官壁204の面に係合する2つのフランジ224及び226を有し、フランジ224及び226は、器官壁204の両面に配置される。1つの例において、器官壁204は、心臓の左心房と右心房との間の心房壁であり、第1フランジ224は、右心房において心房壁204の面に配置され、第2フランジは、左心房において心房壁204の面に配置されて、導管1402は、導管1402が心臓の2つの心房を流動的に接続するルーメン216を形成するように、2つのフランジ224と226の間に延びる。他の例において、医療機器2200は、心室壁又は身体の所望の他の組織に固定される。
【0143】
いくつかの例において、導管1402は、膜2202がルーメン216を2つの区分、即ち第1ルーメン区分216Aと第2ルーメン区分216Bに分離するように生理学的条件の下で血液に対して不透過性である上述のようなポリマー材料で作られた膜2202を含む。いくつかの例において、膜2202は、ルーメン216の中央に位置付けられるが、膜は、ルーメン216のいずれの端に偏る又はいずれかの端に配置されても良い。いくつかの例において、膜2202は、第1ルーメン区分216Aが第2ルーメン区分216Bより大きい容積を持つように又はその逆であるように、ルーメン216の任意の場所に位置付けられる。
【0144】
膜2202は、ルーメン26(例えば、第1ルーメン区分216Aと第2ルーメン区分216Bとの間)したがって器官壁204の両面の間を通過する流体の流れを防止するのを助ける。いくつかの例において、膜2202は、超音波、RFエネルギー、レーザーエネルギー又は上述の任意の適切なエネルギー源に対して選択的に吸収性とすることができ、この場合、エネルギーの吸収は、膜2202を分解、溶融又は開放して、第1ルーメン区分216Aと第2ルーメン区分216Bとの間で流体が流動できるようにする。いくつかの例において、流体の流量は、膜2202の分解の度合い又はその開口部のサイズを変えることによって調節できる。
【0145】
更に、医療機器2200は、体内で生理学的計測を実施するために1つ又は複数のセンサを配置するための1つ又は複数(例えば、3つ)の場所を含む。第1場所1406及び第3場所1410は、基本的に医療機器1400に関して上に述べたのと同様である。第2場所1408は、ルーメン216内の流体の流量を計測するためのセンサ(例えば、フローセンサ)のために導管1402内部とすることができる。いくつかの例において、第2場所1408は、第1ルーメン区分216A又は第2ルーメン区分216Bとすることができる。いくつかの例において、第2場所1408は、ルーメン216を通過する流体の流れを許容するために膜2202が開いた又は分解したときセンサがこれを検出できるように、膜2202に隣接又は近接できる。
【0146】
様々な例について、機器が2つの心房間に配置される経中隔処置の状況に関して提示したが、他の多様な応用及び場所が想定されることが分かるはずである(例えば、心室間、大動脈と心腔の間、2つの血管間、2つのGI器官間などの経中隔)。言い換えると、本出願の発明について、上において包括的に及び具体的実施形態に関して説明した。様々な修正及び変更を本開示の範囲から逸脱することなく実施形態に加えることができることが、当業者には明らかであろう。したがって、実施形態は、請求項及びその同等物の範囲内に属する限り本発明の修正及び変更を包含することを意図する。
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【国際調査報告】