(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】電力線通信の検出および/または防止のためのシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
H04K 3/00 20060101AFI20220209BHJP
【FI】
H04K3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536684
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 IL2019051373
(87)【国際公開番号】W WO2020136636
(87)【国際公開日】2020-07-02
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520372467
【氏名又は名称】エス.ジー.エー. イノベーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】S.G.A. INNOVATIONS LTD.
【住所又は居所原語表記】4 Yehuda Hanachtom Street, Beltech Building, 8424902 Beer Sheva Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】シュテンデル、 ユバル
(72)【発明者】
【氏名】ガル、 シュムエル
(72)【発明者】
【氏名】ツアリン、 アレクセイ
(57)【要約】
電力線通信の検出および/または防止のためのシステム、装置、および方法が提供される。特に、電力線通信を介してエンドユニットと通信する可能性を防止および/または検出するためのシステム、装置、および方法が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非保護側と保護側との間の電力線通信(PLC)の防止および/または検出のための装置であって、PLC検出器と、電源と、少なくとも1つのPLCフィルタとを備える装置。
【請求項2】
前記装置は、PLCノイズ生成器をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記PLC検出器の周波数範囲は、約3KHz~100MHzである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記PLC検出器の周波数範囲は、約40KHz~30MHzである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記PLC検出器は、デュアルポート検出器である、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記PLCフィルタの周波数範囲は、約3KHz~100MHzである、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記PLCフィルタの周波数範囲は、約40KHz~30MHzである、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも2つのフィルタを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置の非保護側に第1のフィルタを含み、前記装置の保護側に第2のフィルタを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
非保護側の第1のフィルタの構造が、保護側の第2のフィルタの構造とは異なる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記非保護側における前記第1のフィルタの減衰レベルが、前記保護側における前記第2のフィルタの減衰レベルと異なる、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記ノイズ生成器の周波数範囲は、約3KHz~100MHzである、請求項2~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記ノイズ生成器の周波数範囲は、約40KHz~30MHzである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ノイズ生成器は、デュアルポートノイズ生成器である、請求項2~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記電源は、ゼロクロス指標を提供する、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記電源が、バックアップ充電式電池を備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
非保護側と保護側との間の電力線通信(PLC)の防止および/または検出のための方法であって、
PLCを検出するステップと、
PLCのフィルタリングを行うステップと、を含む方法。
【請求項18】
PLCノイズを生成するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
PLC検出が、受信信号強度指標(RSSI)、相互相関、パターン認識、ニューラルネットワーク、またはそれらの任意の組合せによって実行される、請求項17~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記PLC検出は、2つのポートにおいて、保護側の第1のポートと、非保護側の第2のポートとを検出することを含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のポートおよび前記第2のポートのそれぞれの前記PLC検出方法が異なる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のポートと前記第2のポートのPLC検出パラメータ設定が異なる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記PLCフィルタリングは、減衰および/またはブロッキングによって実行される、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記生成されたノイズのタイプは、加法性白色ガウスノイズ(AWGN)、周波数ホッピングノイズ、ランダムnノイズ、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ノイズは、2つ以上のポートで生成される、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記ポートの各々において生成されるノイズのタイプが異なる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
非保護側と保護側との間の電力線通信(PLC)の防止および/または検出のためのシステムであって、エンドユニットと、装置とを備え、
前記装置は、PLC検出器と、少なくとも1つのPLCフィルタとを備える、システム。
【請求項28】
保護側と非保護側とを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記装置は、PLCノイズ生成器をさらに備える、請求項27~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記エンドユニットは、電子機器、パーソナルコンピュータ、プリンタ、スキャナ、または前記幹線に接続された任意のユニットから選択される、請求項27~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記装置は、前記エンドユニット内に埋め込まれる、請求項27~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記装置は、壁のコンセント内に埋め込まれる、請求項27~31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記装置は、シールドケーブルまたは非シールドケーブルに接続された独立型装置である、請求項27~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記装置がケーシングを含み、前記ケーシングがシールドされているか、またはシールドされていない、請求項27~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記装置の前記ケーシングは、金属および/またはプラスチックを含む、請求項34に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力線通信(PLC)の分野に関し、より具体的には、PLCを介してエンドユニットと通信する可能性を妨害および防止し、および/または検出するためのシステム、装置および方法に関する。
背景技術
現在、PLCを介してエンドユニットと通信する可能性を防ぐ最も一般的な方法は、PLCフィルタを使用することである。この方法の欠点の1つは、寄生経路および代替経路が存在することや、減衰が十分でないことによって、フィルタがあっても通信が可能となることにある。別の方法として、電力線にノイズを注入するノイズ源を使用することがある。この方法の欠点の1つは、モデムによっては、高いノイズレベルを克服することができ、ノイズにもかかわらずそのような通信を可能にすることがあるという事実である。他の方法として、PLC信号の存在を検出し、警告することがある。この方法の欠点の一つは、この方法では、ミス検出および誤警報のレベルを低く維持する能力がないことにある(特に信号が弱い場合、および/または信号対ノイズ比(SNR)が低い場合)。上記要素のいずれも、基本要素を使用する場合は言うまでもなく、ハイエンド要素を使用する場合であっても、高レベルな通信防止および/または検出機能を提供できない。
【0002】
従って、高レベルな電力線通信防止および/または検出を提供することができる、コンパクトでコスト効率の良いシステム、装置および方法に対する必要性が、当該技術分野において存在する。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、その実施形態において、低フォームファクタを維持しながら、非常に高レベルで効率的な電力線通信の防止および/または検出を、費用対効果の高い方法で可能にするシステム、装置、および方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるコンパクトで費用対効果の高いシステムおよび装置、ならびに利用される方法は、汎用性のある高レベルの電力線通信防止および/または検出を提供することができ、その結果、有利には、通信が検出されない場合であっても、それを防止することができ、さらに、場合によっては通信を検出および防止することができる。いくつかの実施形態では、PLC信号フィルタリングのための装置および方法が提供される。いくつかの実施形態では、PLCノイズ生成のための装置および方法が提供される。いくつかの実施形態では、PLC信号を検出するための装置および方法が提供される。いくつかの実施形態によれば、PLC信号フィルタおよび/またはPLCノイズ生成器および/またはPLC信号検出器を含み得るシステムおよび装置が提供される。いくつかの実施形態によれば、PLC信号フィルタリングおよび/またはPLCノイズ生成および/またはPLC信号検出を含むことができる方法が提供される。いくつかの実施形態では、開示された装置および方法における様々な要素の組み合わせは、各要素が他の要素の欠点をカバーし、マスクし、または補完する、強力な最新技術の電力線通信防止および/または検出を提供する。
【0004】
いくつかの実施形態では、非保護側(保護されていない側)と保護側(保護されている側)との間の電力線通信(PLC)の防止および/または検出のための装置が提供され、その装置はPLC信号検出器、電源および少なくとも1つのPLCフィルタを含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、装置は、PLCノイズ生成器をさらに含むことができる。
【0005】
いくつかの実施形態では、PLC信号検出器の周波数範囲が約3KHz~100MHzである。いくつかの実施形態によれば、PLC信号検出器の周波数範囲は、約40KHz~30MHzである。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、PLC信号検出器は、デュアルポート検出器であってもよい。いくつかの実施形態によれば、各ポートの検出方法は異なっていてもよい。いくつかの実施形態によれば、各ポートにおける検出の感度レベルは異なっていてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、PLCフィルタの周波数範囲が約3KHz~100MHzであってもよい。いくつかの実施形態によれば、PLCフィルタの周波数範囲は、約40KHz~30MHzであってもよい。いくつかの実施形態によれば、非保護側のフィルタの構造は、保護側のフィルタの構造と異なっていてもよい。いくつかの実施形態によれば、非保護側におけるフィルタの減衰レベルは、保護側におけるフィルタの減衰レベルと異なる場合がある。いくつかの実施形態では、装置が少なくとも2つのフィルタを含むことができる。いくつかの実施形態では、装置は、装置の非保護側に第1のフィルタを含み、装置の保護側に第2のフィルタを含むことができる。いくつかの実施形態では、非保護側の第1のフィルタの構造が、保護側の第2のフィルタの構造と異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、非保護側における第1のフィルタの減衰レベルは、保護側における第2のフィルタの減衰レベルと異なる場合がある。
【0008】
いくつかの実施形態では、PLCノイズ生成器の周波数範囲が、約3KHz~100MHzであってもよい。いくつかの実施形態によれば、PLCノイズ生成器の周波数範囲は、約40KHz~30MHzであってもよい。いくつかの実施形態によれば、ノイズ生成器は、デュアルポートノイズ生成器であってもよい。
【0009】
一部の実施形態では、電源はゼロクロス指標を提供する。いくつかの実施形態によれば、電源は、バックアップ充電式電池をさらに含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、電力線通信(PLC)の防止および/または検出のための方法が提供され、本方法はPLCの検出およびPLCのフィルタリングを含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、本方法は、PLCノイズを生成するステップをさらに含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、PLC検出が受信信号強度指標(RSSI)、相互相関、パターン認識、ニューラルネットワーク、またはそれらの任意の組合せによって実行され得る。いくつかの実施形態によれば、各ポートの検出方法は異なっていてもよい。いくつかの実施形態によれば、各ポートの検出パラメータ設定は、異なっていてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、PLC検出は、2つのポート、すなわち、保護側の第1のポートと、非保護側の第2のポートとによる検出を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のポートおよび第2のポートの各PLC検出方法が異なっていてもよい。一部の実施形態では、第1ポートと第2ポートのPLC検出パラメータ設定が異なっていてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、PLCフィルタリングが減衰および/またはブロッキングによって実行され得る。
【0014】
一部の実施形態では、PLCノイズ生成のタイプが、加法性白色ガウスノイズ(AWGN)、周波数ホッピングノイズ、ランダムノイズ、またはこれらの任意の組み合わせから選択されてもよい。いくつかの実施形態によれば、ノイズは、2つ以上のポートで生成されてもよい。いくつかの実施形態では、前記1つまたは複数のポートのそれぞれで生成されるノイズのタイプが異なることがある。いくつかの実施形態によれば、各ポートで生成されるノイズのタイプは異なってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、電力線通信(PLC)の防止および/または検出のためのシステムが提供され、システムは電力線通信(PLC)の防止および/または検出のためのエンドユニットおよび装置を含んでもよく、前記装置はPLC検出器、および少なくとも1つのPLCフィルタを含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、装置は、PLCノイズ生成器をさらに含むことができる。いくつかの実施形態によれば、システムは、保護側と非保護側とを有することができる。いくつかの実施形態によれば、エンドユニットは、電子機器、パーソナルコンピュータ、プリンタ、スキャナ、または幹線(mains)に接続された任意のユニットから選択されてもよい。いくつかの実施形態によれば、装置は、壁のコンセントに埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態によれば、装置は、シールドケーブルまたは非シールドケーブルに接続された独立型装置であってもよい。いくつかの実施形態によれば、装置のケーシング/ハウジングは、シールドまたは非シールドであってもよい。いくつかの実施形態によれば、装置のケーシングは、金属および/またはプラスチックから作製されてもよい。
【0016】
上記の例示的な態様および実施形態に加えて、さらなる態様および実施形態は,図面を参照し、以下の詳細な説明を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
例示的な実施形態は、参照された図に示されている。図面に示される構成要素および特徴の寸法は、一般に、提示の便宜および明確さのために選択され、必ずしも縮尺通りに示されていない。図は以下の通りである。
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態による、電力線通信の防止および/または検出の一般的なスキームを示す。
【
図2A】
図2Aは、いくつかの実施形態による、電力線通信の防止および/または検出のための装置のブロック図である。
【
図2B】
図2Bは、いくつかの実施形態による、電力線通信の防止および/または検出のための装置のブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、いくつかの実施形態による、非保護側から保護側への、およびその逆への電力線通信を、検出および/または防止するための方法のフローチャートである。
【
図3B】
図3Bは、いくつかの実施形態による、非保護側から保護側への電力線通信を検出および/または防止するための方法のフローチャートである。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による、電力線通信防止装置のブロック図である。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、非保護側から保護側への、およびその逆への電力線通信を防止するための方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による、電力線通信の防止および/または検出のための装置のブロック図である。
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態による、非保護側から保護側への、およびその逆への電力線通信を検出および/または防止するための方法のフローチャートである。
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による、電力線通信の防止および/または検出のためのシステムのブロック図であって、システムは、エンドユニット内に埋め込まれた、電力線通信の防止および/または検出のための装置を含む。
【
図9】
図9は、電力線通信の防止および/または検出のためのシステムのブロック図であり、このシステムは、いくつかの実施形態による、壁の保護されたコンセントに埋め込まれた、電力線通信の防止および/または検出のための装置を含む。
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態による、電力線通信の防止および/または検出のためのシステムのブロック図であり、電力線通信および遮蔽された入力および出力ケーブルの防止および/または検出のための装置を含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、その実施形態において、電力線通信を介して保護側に接続されたエンドユニットと(例えば、ディジタルデータ、音声、映像などを転送する手段によって)通信する可能性を防止および/または検知し、それによって保護された環境を作り出すためのシステム、装置、および方法を提供する。
【0019】
本発明は、その実施形態において、効率的で、費用対効果が高く、コンパクトな実装で、非常に高いレベルの電力線通信防止および/または検出を提供するシステム、装置、および方法を提供する。
【0020】
いくつかの実施形態による、電力線通信防止および/または検出の一般的なスキームを示す
図1を参照する。
図1に示すように、装置(104)は、電力線通信防止および/または検出のための装置(装置104)の保護側(102)に接続されたエンドユニットA(103)と、装置(104)の非保護側(101)において保護されていない電力線(100)に接続されたエンドユニットB(105)との間で、電力線を介して通信する可能性を防止および/または検出する。
【0021】
いくつかの実施形態による、電力線通信防止および/または検出のための装置のブロック図を示す
図2Aを参照する。
図2Aに示されるように、装置(209)は、保護側(204)および非保護側(202)を有する。装置は、デュアルポートPLC信号検出器(205)を含む。デュアルポートPLC信号検出器の一方のポート(207)は、装置(202)の非保護側に接続され、他方のポート(208)は装置(204)の保護側に接続される。装置は、PLCフィルタ(非保護側フィルタ(200)および保護側フィルタ(201)として示される)およびPLCノイズ生成器(203)および電源(206)も含む。いくつかの実施形態によれば、
図2Aに示されるPLCノイズ生成器(203)は、
図2Bに示されるように、デュアルポートノイズ生成器(215)と置き換えることができ、これは、いくつかの実施形態によれば、電力線通信防止および/または検出のための装置のブロック図を示す。
【0022】
図3Aを参照する。
図3Aは、いくつかの実施形態に従った、非保護側から保護側への、およびその逆への電力線通信を検出および/または防止するための方法のフローチャートを示す。開始点(ステップ300)では、非保護側から来る/到達する信号が、電力線通信防止および/または検出のために装置に入る。信号は、デュアルポート信号検出器によって(ステップ301、302で)検出されている。この時点で、PLC信号が信号検出器によって検出される場合、装置は警報を開始し、および/または保護側に接続されたエンドユニットへの電力を切断することができる(ステップ303)。次のステップ(304)において、信号は非保護側フィルタによって減衰される。信号が減衰された後、ノイズ生成器からのノイズが電力線に追加され(ステップ305)、ノイズと減衰された信号の和が、非常に低い信号対ノイズ(SNR)条件を作り出す。信号はさらに、保護側フィルタによって減衰され(ステップ306)、その結果、終了時(ステップ307)には、保護側での信号レベルおよびSNR条件が低すぎて、電力線を介した通信が不可能になる。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、非保護側から保護側への電力線通信を検出および/または防止する方法のフローチャートである
図3Bに示されるように、終了(319)の前に、付加的なステップ(318)が追加され、ここで、デュアルポートノイズ生成器からのノイズが、寄生経路経由の電力線を介した通信から保護するために、該電力線に付加される。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、本明細書で開示される方法は、非保護側から保護側への、およびその逆への電力線通信を防止および/または検出するために使用され得る。いくつかの実施形態では、非保護側に接続された様々な装置の要素と、保護側に接続された装置の要素との間で、それぞれの側面の予想される環境条件に従って、構成および動作パラメータに変化があり得る。例えば、保護側のバックグラウンドノイズは、非保護側のバックグラウンドノイズよりもはるかに低く、安定していることが期待される(非保護側が電気ネットワーク全体に直接露出するのに対し、保護側はそれに接続されたエンドユニットにのみ直接露出する)。その結果、保護側に接続された信号検出器は、誤警報を誘発することなく、非保護側の検出器よりも低いPLC信号を検出するために、より感度を高くすることができる。より高感度な検出器を有することにより、高いレベルの通信防止を維持しながら、保護側に接続されたフィルタのサイズおよび減衰値を(非保護側のフィルタと比較して)低減することが可能になる。また、保護側に接続されるフィルタの減衰が小さくなるほど、保護側のPLCノイズ(ノイズ生成器から来る)が高くなるため、主ルートではなく、非保護側から保護側へ来る信号の対処にも役立つ。
【0025】
いくつかの実施形態では、装置のトポロジ構造および本明細書に開示される方法が、各要素が他の要素の欠点を克服することができるので、非常に強力で、効率的で、費用対効果が高く、かつ小型の電力線通信防止および/または警告装置を実現しながら、PLCフィルタ、PLC検出器およびPLCノイズ生成器のむしろ基本的な要素の使用を可能にする。
【0026】
図4を参照する。
図4は、いくつかの実施形態による、電力線通信防止のための装置のブロック図を示す。
図4に示されるように、装置(406)は、保護側(204)および非保護側(202)を有し、装置は、PLCフィルタ(非保護側フィルタ(400)および保護側フィルタ(401)として示される)、PLCノイズ生成器(403)および電源(405)を含む。
【0027】
図5を参照する。
図5は、いくつかの実施形態に従った、
図4に示された装置を利用して、非保護側から保護側への、またその逆への電力線通信を防止するための方法のフローチャートである。開始点(ステップ500)では、非保護側から来る信号が電力線通信防止のための装置に入る。次のステップ(501)において、信号は非保護側フィルタによって減衰される。信号が減衰された後、ノイズ生成器からのノイズがラインに追加され(ステップ502)、それによって、ノイズと減衰された信号の和が、非常に低いSNR条件を作り出す。信号はさらに、保護側フィルタによって減衰され(ステップ503)、その結果、終了点(504)では、保護側での信号レベルおよびSNR条件が低くなり、電力線を介した通信ができなくなる。
【0028】
いくつかの実施形態による、電力線通信防止、および/または検出のための装置のブロック図を示す
図6を参照する。
図6に示すように、装置(607)は、保護側(602)および非保護側(601)を有し、装置はデュアルポートPLC信号検出器(603)を含む。デュアルポートPLC信号検出器の一方のポート(605)は装置の非保護側(601)に接続され、他方のポート(606)は装置の保護側(602)に接続され、PLCフィルタ(600)および電源(604)を含む。
【0029】
図7を参照すると、
図7はいくつかの実施形態による、
図6に記載された装置を利用して、非保護側から保護側への、およびその逆への電力線通信を検出および/または防止するための方法のフローチャートである。開始点(ステップ700)において、非保護側から来る信号は、電力線通信防止および/または検出のための装置に入る。信号は、デュアルポート信号検出器によって(ステップ701、702において)検出されている。この時点で、PLC信号が信号検出器によって検出される場合、装置は警報を開始し、および/または保護側に接続されたエンドユニットへの電力を切断することができる(ステップ703)。次のステップ(704)では、信号は、フィルタによって減衰され、終了点(705)では保護側の信号レベルは非常に低く、電力線を介した通信は不可能である。
【0030】
一部の実施形態では、装置のPLC検出素子が、主電源上のPLC信号の存在を検出するために使用されてもよい。検出は、例えば、受信信号強度指標(RSSI)、相互相関、パターン認識、ニューラルネットワークなど、またはそれらの任意の組合せの手段によることができる。各可能性は、別個の実施形態である。いくつかの実施形態では、ゼロクロス指標を使用することによって、検出器を主電源周波数と同期させることができる。いくつかの実施形態では、動作周波数範囲は、例えば、3KHz~100MHz、9KHz~500KHz、2MHz~100MHz、40KHz~30MHz、またはそれらの任意の他のサブ範囲であり得る。各可能性は、別個の実施形態である。
【0031】
いくつかの実施形態では、PLC検出器素子がデュアルポート接続を有することができ、各ポートは異なる検出方法を有することができ、感度レベル、しきい値など、またはそれらの任意の組合せなど、ただしそれらに限定されない、異なるパラメータ設定を有することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、装置のPLCフィルタ要素が、例えば、減弱、遮断などの手段によってPLC信号をフィルタ除去するために使用されてもよい。動作周波数範囲は、例えば、3KHz~100MHz、9KHz~500KHz、2MHz~100MHz、40KHz~30MHz、またはこれらの他のサブ範囲である。各可能性は、別個の実施形態である。
【0033】
いくつかの実施形態では、装置が、2つ以上のPLCフィルタを含むことができる。フィルタは、サイズ、構造、減衰レベルなど、またはそれらの任意の組合せに関して、同一、類似、または異なるものとすることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、装置のPLCノイズ生成器要素は、例えば、加法性白色ガウスノイズ(AWGN)、周波数ホッピングノイズ、ランダムノイズなどの手段、またはこれらの任意の組合せによって、PLCノイズを生成するために使用されてもよい。一部の実施形態では、ゼロクロス指標を使用することによって、ノイズを主電源周波数と同期させることができる。いくつかの実施形態では、動作周波数範囲が、例えば、3KHz~100MHz、9KHz~500KHz、2MHz~100MHz、40KHz~30MHz、またはそれらの任意の他のサブ範囲であり得る。各可能性は、別個の実施形態である。
【0035】
いくつかの実施形態では、装置の電源要素が例えば、AC/DCまたはDC/DCであってもよい。いくつかの実施形態では、電源がバッテリによって給電されてもよい。いくつかの実施形態では、電源要素がACゼロクロス指標を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電源要素が例えば再充電可能バッテリのようなバックアップ電源を含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態による、電力線通信の防止および/または検出のためのシステムのブロック図を示す
図8を参照すると、システムは、エンドユニット内に埋め込まれた、電力線通信の防止および/または検出のための装置を含む。
図8に示されるように、電力線通信(804)の防止および/または検出のための装置は、エンドユニット(806)内に埋め込まれる。装置(803)の非保護側が、エンドユニットの外部接続(800)によって保護されていない電源ライン(805)に接続され、装置(801)の保護側が、エンドユニットの内部主入力(802)に接続されている。その結果、エンドユニット(806)は、電力線を介した通信から保護される。
【0037】
いくつかの実施形態による、電力線通信の防止および/または検出のためのシステムのブロック図を示す
図9を参照すると、システムは、壁の保護されたコンセントに埋め込まれた、電力線通信の防止および/または検出のための装置を含む。
図9に示されるように、電力線通信(904)の防止および/または検出のための装置は、壁(901)の保護されたコンセント(908)に埋め込まれる。装置(903)の非保護側は壁(901)の内側の非保護電源ライン(900)に接続され、装置(905)の保護側は保護されたコンセントの出力接続(902)に接続される。その結果、エンドユニットA(906)は、保護されていないA/Cコンセント(907)に接続された、例えばエンドユニットB(909)からの電力線を介する通信から保護される。
【0038】
いくつかの実施形態による、電力線通信の防止および/または検出のためのシステムのブロック図を示す
図10を参照すると、システムは、電力線通信および遮蔽入出力ケーブルの防止および/または検出のための装置を含む。
図10に示されるように、電力線通信(1005)の防止および/または検出のためのスタンドアロン装置の非保護側(1000)は、外部シールドケーブル(1002)を介して非保護電力線(1006)に接続され、装置の保護側(1001)は外部シールドケーブル(1003)を介してエンドユニット(1004)に接続される。その結果、エンドユニット(1004)は、電力線を介した通信から保護される。いくつかの実施形態では、装置のケーシングは、シールドされていても、シールドされていなくてもよく、例えば、金属、プラスチックなどから作製することができる。いくつかの実施形態では、装置はポータブル装置であってもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、エンドユニットは、例えば、電気器具、パーソナルコンピュータ(PC)、プリンタ、スキャナ、または幹線に接続された任意の他のユニットとすることができる。
【0040】
以上、本発明について特定の実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の変更を加え、均等物に置き換えてもよいことは言うまでもない。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を含むことが意図される。
【0041】
以下の実施例は、本発明のより完全な理解を提供するために提示される。本発明の原理を説明するために記載された特定の技術、条件、材料、割合および報告されたデータは例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものとして構成されるべきではない。
【0042】
[実施例]
例1:狭帯域電力線通信
この例で使用されるPLC防止および/または検出のための装置には、デュアルポートPLC信号検出器、2つのPLCフィルタ、PLCノイズ生成器、および、ゼロクロス(Z.C)表示付き電源が含まれる。装置の動作周波数範囲は、40KHz~30MHzであり、各素子の他のパラメータおよび動作方法を表1に詳細に示す。
【0043】
【表1】
この例では、チャネル1(~42KHz-88KHz)のPLC狭帯域PRIME技術を使用して、保護側で接続されているエンドユニットAから非保護側に接続されているエンドユニットBへの、およびその逆へのデータ転送を防止するために、装置がテストされている。
【0044】
第1のテストは、PRIME技術を使用して、エンドユニットAからエンドユニットBにデータを送信することを含む。装置の保護側の信号レベルが0.1Vrmsを超えると、保護側に接続されたPLC信号検出器がアラームを設定し、エンドユニットAへの電源を切断する。信号レベルが0.1Vrms未満の場合、検出器では検出されず、信号は保護側のフィルタを通過し、信号は20dB減衰して0.01Vrmsのレベルになる。この時点で、2VrmsのAWGN干渉がラインに注入され、その結果、次の式に従い、-18dBの信号対ノイズ比(SNR)が得られる。
【0045】
【数1】
信号とノイズは、非保護側でフィルタを通過することにつれてさらに40dB減衰され、その結果、PRIME技術を使用した電力線を介した通信に失敗した場合、非保護側で0.0001Vrmsの信号レベル、および-18dB以下のSNRが生成される。
【0046】
第2のテストは、PRIME技術を使用して、エンドユニットBからエンドユニットAにデータを送信することを含む。装置の非保護側の信号レベルが1Vrmsを超えると、非保護側に接続されたPLC信号検出器がアラームを設定し、エンドユニットAへの電源を切断する。信号レベルが1Vrms未満の場合、検出器で検出されず、信号は非保護側のフィルタを通過し、信号は40dB減衰して0.01Vrmsのレベルになる。この時点で、2VrmsのAWGN干渉がラインに注入され、その結果、次の式に従い、-18dBの信号対ノイズ比(SNR)が得られる。
【0047】
【数2】
信号とノイズは、非保護側でフィルタを通過することにつれてさらに20dB減衰され、その結果、PRIME技術を使用した電力線を介した通信に失敗した場合、非保護側で0.001Vrmsの信号レベル、および-18dB以下のSNRが生成される。
【0048】
結論:
この装置は、エンドユニットA(保護側で接続)とエンドユニットB(非保護側で接続)間の狭帯域PRIME技術を使用して、電力線を介した通信を防止することができる。
【0049】
例2:広帯域電力線通信
この例で使用されるPLC防止および/または検出のための装置には、デュアルポートPLC信号検出器、2つのPLCフィルタ、PLCノイズ生成器、および、ゼロクロス(Z.C)表示付き電源が含まれる。装置の動作周波数範囲は40KHz~30MHzであり、各素子の他のパラメータおよび動作方法を表2に詳細に示す。
【0050】
【表2】
この例では、PLCブロードバンドHPGPテクノロジ(~2MHz-28MHz)を使用して、保護側で接続されているエンドユニットAから非保護側に接続されているエンドユニットBへの、およびその逆へのデータ転送を防止するために、装置がテストされている。
【0051】
第1のテストは、HPGP技術を使用してエンドユニットAからエンドユニットBにデータを送信することを含む。装置の保護側の信号レベルが0.1Vrmsを超えると、保護側に接続されたPLC信号検出器がアラームを設定し、エンドユニットAへの電源を切断する。信号レベルが0.1Vrms未満の場合、検出器では検出されず、信号は保護側のフィルタを通過し、信号は20dB減衰して0.01Vrmsのレベルになる。この時点で、2VrmsのAWGN干渉がラインに注入され、その結果、次の式に従い、-45.4dBの信号対ノイズ比(SNR)が得られる。
【0052】
【数3】
信号とノイズは非保護側でフィルタを通過することにつれてさらに40dB減衰され、その結果、非保護側で0.0001Vrmsの信号レベル、および-45.4dB以下のSNRが得られる。これらの条件下ではHPGP技術を用いた電力線を介した通信は失敗した。
【0053】
第2のテストは、HPGP技術を使用してエンドユニットBからエンドユニットAにデータを送信することを含む。装置の非保護側の信号レベルが1Vrmsを超えると、非保護側に接続されたPLC信号検出器がアラームを設定し、エンドユニットAへの電源を切断する。信号レベルが1Vrms未満の場合、検出器で検出されず、信号は非保護側のフィルタを通過し、信号は40dB減衰して0.01Vrmsのレベルになる。この時点で、2VrmsのAWGN干渉がラインに注入され、その結果、次の式に従い、-45.4dBの信号対ノイズ比(SNR)が得られる。
【0054】
【数4】
信号とノイズは非保護側でフィルタを通過することにつれてさらに20dB減衰され、その結果、非保護側で0.001Vrmsの信号レベル、および-45.4dB以下のSNRが得られる。これらの条件下ではHPGP技術を用いた電力線を介した通信は失敗した。
【0055】
結論:
この装置は、(保護側に接続された)エンドユニットAと、(非保護側に接続された)エンドユニットBとの間で、ブロードバンドHPGP技術を使用して電力線を介した通信を防止することができる。
【0056】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施態様に限定されるものではない。実際、本明細書に記載されたものに加えて、本発明の様々な修正が、前述の説明および添付の図面から当業者に明らかになるであろう。このような変更は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。
【国際調査報告】