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特表2022-515284対象物をイメージングする光学システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】対象物をイメージングする光学システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20220209BHJP
   G02B 15/167 20060101ALI20220209BHJP
   G02B 21/36 20060101ALN20220209BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B15/167
G02B21/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537900
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2019086176
(87)【国際公開番号】W WO2020136068
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】18248050.9
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516114695
【氏名又は名称】ライカ インストゥルメンツ (シンガポール) プライヴェット リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Leica Instruments (Singapore) Pte. Ltd.
【住所又は居所原語表記】12 Teban Gardens Crescent, Singapore 608924, Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク ホーネッガー
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト パウルス
【テーマコード(参考)】
2H052
2H087
【Fターム(参考)】
2H052AA00
2H052AB05
2H052AB29
2H052AC22
2H052AC23
2H052AD06
2H052AD16
2H052AF14
2H087KA09
2H087MA13
2H087MA14
2H087MA19
2H087RA41
2H087SA24
2H087SA26
2H087SA29
2H087SA33
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA72
2H087SA75
(57)【要約】
対象物を顕微鏡の像面へイメージングする光学システムであって、当該光学システムは、定置された第1のレンズ群および第4のレンズ群と、短焦点距離端と長焦点距離端との間でズームを行いながら対象物を像面へフォーカシングするために、光学システムの光軸(O)に沿って独立に移動可能な第2のレンズ群および第3のレンズ群と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(324)を顕微鏡(308)の像面(IP)へイメージングする光学システム(100,200)であって、前記光学システム(100,200)は、
定置された第1のレンズ群(L1)および第4のレンズ群(L4)と、
短焦点距離端と長焦点距離端との間でズームを行いながら前記対象物(324)を前記像面(IP)へフォーカシングするために、前記光学システム(100,200)の光軸(O)に沿って独立に移動可能な第2のレンズ群(L2)および第3のレンズ群(L3)と、
を含む光学システム(100,200)。
【請求項2】
負の倍率を有する前記第1のレンズ群(L1)と、正の倍率を有する前記第2のレンズ群(L2)と、正の倍率を有する前記第3のレンズ群(L3)と、負の倍率を有する前記第4のレンズ群(L4)とは、対象物側からこの順序で配置されている、
請求項1記載の光学システム(100,200)。
【請求項3】
前記光学システム(100,200)は、対象物側でテレセントリックでありかつ像側でテレセントリックであるように構成されている、
請求項1または2記載の光学システム(100,200)。
【請求項4】
短焦点距離端と長焦点距離端とにより、Z1=0.9からZ2=5までのズーム範囲が定められる、
請求項1から3までのいずれか1項記載の光学システム(100,200)。
【請求項5】
前記光学システム(100,200)は、前記第2のレンズ群(L2)および前記第3のレンズ群(L3)のそれぞれに対して、ズーム設定および焦点設定の各組み合わせを、前記光軸に沿った対応するレンズ群位置へ割り当てる情報を記憶するメモリ手段(320)を含む、
請求項1から4までのいずれか1項記載の光学システム(100,200)。
【請求項6】
前記光学システム(200)は、同軸での光結合のための光学素子(202)を含む、
請求項1から5までのいずれか1項記載の光学システム(200)。
【請求項7】
前記光学素子(202)は、前記光学システム(200)のうち、前記光学システムを通過する光の角度特性が、ズーム範囲の全体と前記第2のレンズ群(L2)および前記第3のレンズ群(L3)の焦点位置とに対して同じとなるセグメント内に配置されている、
請求項6記載の光学システム(200)。
【請求項8】
前記光学素子(202)は、前記第4のレンズ群(L4)内に配置されている、
請求項7記載の光学システム(200)。
【請求項9】
前記第4のレンズ群は、負の倍率を有する第1のサブレンズ群(204)と正の倍率を有する第2のサブレンズ群(206)とを、対象物側からこの順序で配置されて含み、
前記光学素子(202)は、前記第1のサブレンズ群(204)と前記第2のサブレンズ群(206)との間に配置されている、
請求項8記載の光学システム(200)。
【請求項10】
対象物(324)を顕微鏡(308)の像面(IP)へイメージングする方法であって、前記方法は、
前記対象物(324)のイメージング中、第1のレンズ群(L1)および第4のレンズ群(L4)を定置状態で保持するステップと、
短焦点距離端と長焦点距離端との間でズームを行いながら前記対象物(324)を前記像面(IP)へフォーカシングするために、第2のレンズ群(L2)および第3のレンズ群(L3)を光軸(O)に沿って独立に移動させるステップと、
を含む方法。
【請求項11】
像面(IP)と、請求項1から9までのいずれか1項記載の光学システム(100)と、を含む顕微鏡(308)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を顕微鏡の像面へイメージングする光学システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡における使用のために、連続的に可変の倍率で対象物を像面へイメージングすることのできるズーム機能を提供する光学システムが知られている。この目的で、こうした光学システムは、短焦点距離端と長焦点距離端との間でのズームのために、光軸に沿って移動可能な1つもしくは複数のレンズ群を含む。通常、当該光学システムは、ズームレンズ群を独立して移動させるために、カム機構もしくはこれに類似のものを含む。
【0003】
上述した光学ズームシステムを含む顕微鏡は、さらに、任意のズーム設定で、すなわち光軸に沿ったズームレンズ群の任意の位置決めで、対象物を像面へフォーカシングするように設計されたフォーカシング装置を含む。通常、こうしたフォーカシング装置は、対象物が配置される対物面から像面までの軸線方向距離を変化させるように構成されている。この目的で、フォーカシング装置は、対象物が載置された顕微鏡ステージに対して光学システムを、または逆に光学システムに対して対象物が配置された顕微鏡ステージを、移動させることができる。
【0004】
顕微鏡にこうしたフォーカシング装置が設けられる場合、光学システムと顕微鏡ステージとの間の相対移動を達成するための要素を設けなければならない点で、相当の労力が必要となる。さらに、フォーカシング装置はユーザによって操作されなければならないため、フォーカシング操作は煩雑で時間のかかるものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、簡便かつ精確なフォーカシング動作を可能にする、対象物を顕微鏡の像面へイメージングする光学システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、対象物を顕微鏡の像面へイメージングする光学システムであって、定置された第1のレンズ群および第4のレンズ群と、短焦点距離端と長焦点距離端との間でズームを行いながら対象物を像面へフォーカシングするために、光学システムの光軸に沿って独立に移動可能な第2のレンズ群および第3のレンズ群と、を含む光学システムが提供される。
【0007】
上述した光学システムにより、連続的なズーム、すなわち光学システムの短焦点距離端と長焦点距離端との間の光学システムの全焦点距離を連続的に変化させることができ、同時に、連続的なフォーカシング、すなわち対物面から像面までの距離を連続的に変化させることができる。
【0008】
第1のレンズ群および第4のレンズ群を定置状態としたまま、第2のレンズ群と第3のレンズ群とを独立に移動させることにより、組み合わされたズーム制御およびフォーカシング制御が達成される。よって、対象物が顕微鏡の像面へイメージングされることに基づく倍率と、対象物が配置される対物面から像面までの軸線方向距離と、を同時に調整することができる。結果として、光学システムにより、顕微鏡のユーザは、所望のズーム調整およびフォーカシング調整を簡便かつ精確に実現することができる。
【0009】
この観点につき、上述した像面が、光学システムによって像が生成される任意の平面を意味することに注意されたい。特に、こうした像面には、例えばデジタルカメラとしてのセンサが配置される平面、および中間像が形成される平面が含まれうる。
【0010】
好ましくは、負の倍率を有する第1のレンズ群、正の倍率を有する第2のレンズ群、正の倍率を有する第3のレンズ群、および負の倍率を有する第4のレンズ群が、対象物側からこの順序で配置されている。当該実施形態によれば、定置のレンズ群は、光学システムの外側レンズ群、すなわちそれぞれ対象物側に面する第1のレンズ群と像側に面する第4のレンズ群とから成る。よって、光学システムのコンパクトな設計が達成される。
【0011】
好ましい一実施形態では、光学システムは、対象物側でテレセントリックでありかつ像側でテレセントリックであるように構成されている。こうした両面テレセントリックの構成により、高い像品質で対象物をイメージングすることができる。
【0012】
好ましい一実施形態では、短焦点距離端と長焦点距離端とにより、Z1=0.9からZ2=5までのズーム範囲が定められる。ズーム範囲を上述したZ1,Z2の値へ制限することにより、組み合わされたズーム動作およびフォーカシング動作を実行する際の第2のレンズ群および第3のレンズ群の移動距離が過度に大きくならない光学システムの設計が可能となる。よって、光学システムのコンパクトな設計が達成される。
【0013】
好ましくは、第2のレンズ群および第3のレンズ群のそれぞれに対して、ズーム設定および焦点設定の各組み合わせを、光軸に沿った対応するレンズ群位置へ割り当てる情報を記憶するメモリ手段が設けられる。ズーム情報およびフォーカシング情報を記憶することにより、簡単かつ精確に光学システムを制御することができる。
【0014】
好ましい一実施形態では、光学システムは、同軸での光結合のための光学素子を含む。こうした光学素子は、顕微鏡の光源によって放出された照明光を光学システムへ結合するために使用可能である。よって、光学システムは対象物の照明およびイメージングの双方に使用可能である。
【0015】
好ましい一実施形態では、光学素子は、光学システムのうち、当該光学システムを通過する光の角度特性がズーム範囲の全体と第2のレンズ群および第3のレンズ群の焦点位置とに対して同じとなるセグメント内に配置される。例えば上述した光学素子により照明路が光学システム内へ結合される場合、光学素子によって光学システム内へ結合される照明光路での対応するズーム動作を行う必要なく、ズーム範囲の全体、すなわち第2のレンズ群および第3のレンズ群の全てのズーム位置に、対物面から像面まで光学システムを通過する光を供給することができる。
【0016】
好ましくは、光学素子は、第4のレンズ群内に配置される。
【0017】
光学素子が第4のレンズ群内に配置されている場合、第4のレンズ群は、好ましくは、負の倍率を有する第1のサブレンズ群と正の倍率を有する第2のサブレンズ群とを対象物側からこの順序で配置されて含み、ここで、光学素子は、第1のサブレンズ群と第2のサブレンズ群との間に配置されている。
【0018】
他の態様によれば、対象物を顕微鏡の像面へイメージングする方法であって、対象物のイメージング中、第1のレンズ群および第4のレンズ群を定置状態で保持するステップと、短焦点距離端と長焦点距離端との間でズームを行いながら対象物を像面へフォーカシングするために、第2のレンズ群および第3のレンズ群を光軸に沿って独立に移動させるステップと、を含む方法が提供される。
【0019】
他の態様によれば、像面と上述した光学システムとを含む顕微鏡が提供される。
【0020】
以下に、図面を参照しながら、好ましい各実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態による、種々のズーム設定および種々の焦点設定に対しての光学システムの構成を示すレンズ図である。
図2】本発明の別の実施形態による、種々のズーム設定および種々の焦点設定に対しての光学システムの構成を示すレンズ図である。
図3図1に示されている光学システムを含む顕微鏡の例示的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、対象物を像面IPにイメージングするために顕微鏡内に設けることのできる光学システム100を示すレンズ図である。像面IPは、顕微鏡のイメージセンサが配置された平面であってよい。代替的に、像面IPは、中間像が形成される平面であってもよい。
【0023】
図1の上半部には、短焦点距離端、すなわち光学システム100によって提供される倍率が最大となる(図1のVmax)設定での、光学システム100の構成が示されている。相応に、図1の下半部には、長焦点距離端、すなわち光学システム100によって提供される倍率が最小となる(図1のVmin)設定での、光学システム100が示されている。さらに、図1には、焦点距離端のそれぞれに対して2つのフォーカシング状態、すなわち光軸Oに沿った対物面OP1から像面IPまでの距離が最小となる第1のフォーカシング状態と、光軸Oに沿った対物面OP2から像面IPまでの距離が最大となる第2の状態と、が示されている。対物面OP1から対物面OP2までの距離は、焦点範囲FRを定めている。
【0024】
光学システム100は、負の倍率を有する第1のレンズ群L1、正の倍率を有する第2のレンズ群L2、正の倍率を有する第3のレンズ群L3、および負の倍率を有する第4のレンズ群L4を含み、これらのレンズ群L1~L4は、対物面OP1,OP2から像面IPへ向かってこの順序で配置されている。対物面OP1,OP2に面する第1のレンズ群L1と像面IPに面する第4のレンズ群L4とは定置である。換言すれば、フォーカシングおよびズームの後、光学システム100の2つの外側レンズ群L1,L4は、光軸Oに沿ったその位置が変更されないままとどまる。対照的に、光学システム100の内側レンズ群L2,L3は、長焦点距離端すなわちVminと短焦点距離端すなわちVmaxとの間でズームを行いながら対象物を像面IPへフォーカシングするために、光軸Oに沿って独立に移動される。
【0025】
特に、第2のレンズ群L2および第3のレンズ群L3の双方が、長焦点距離端と短焦点距離端との間でズームを行いながら、対物面OP1,OP2から像面IPへ移動される。さらに、対物面から像面IPまでの距離が増大する場合、すなわち対物面がOP1からOP2へ移動される場合、第2のレンズ群が対物面OP1,OP2へ向かって移動され、第3のレンズ群L3が像面IPへ向かって移動される。第2のレンズ群L2および第3のレンズ群L3のこうしたフォーカシング運動は、長焦点距離端および短焦点距離端の双方に当てはまる。
【0026】
図1には、各ズーム設定および焦点設定に対して、それぞれの対物面OP1,OP2内で空間的に分離した対物点Q1,Q2に関連する2つのビーム路が示されている。対物点Q1は、光学システム100によって像点R1へとイメージングされる。同様に、対物点Q2は、光学システム100によって像点R2へとイメージングされる。各ビーム部分によって図示されているように、光学システム100は対象物側と像側との双方でテレセントリックであるように構成可能である。
【0027】
図1に示されている実施形態によれば、短焦点距離端および長焦点距離端は、Z1=0.9からZ2=5までのズーム範囲を定めることができる。言うまでもなく、当該実施形態は上述したズーム範囲に限定されない。
【0028】
ズーム設定および焦点設定の各組み合わせは、光軸Oに沿った、第2のレンズ群L2の関連する位置と第3のレンズ群L3の関連する位置との組み合わせに対応する。よって、ズーム設定および焦点設定の各組み合わせを第2のレンズ群L2および第3のレンズ群L3の対応するレンズ群位置に割り当てる情報を、事前に記憶しておくことができ、これにより、当該情報によって、特定のズーム設定および特定の焦点設定をいつ提供すべきかを参照可能である。
【0029】
図2には、図1のレンズ図に対応するレンズ図を説明する変更実施形態が示されている。図2に示されている当該変更実施形態によれば、光学システム200は、同軸での光結合のための光学素子202を含む。特に、光学素子202は、照明光を同軸で光学システム200内に結合するように構成可能であり、照明光は図2に示されていない光源によって放出される。この目的で、光学素子202は、対物面OP1,OP2へ向かう照明光を反射するように構成され、さらに対物面OP1,OP2から像面IPまで光学システム200を通過する光を送信するように構成されたビームスプリッタとして形成可能である。光学素子202は、第4のレンズ群L4内、特に負の倍率を有する第1のサブレンズ群204と正の倍率を有する第2のサブレンズ群206との間に配置可能である。第4のレンズ群L4内では、第1のサブレンズ群204は対物面OP1,OP2に対向するように位置決めされており、第2のサブレンズ群206は像面IPに対向するように位置決めされている。
【0030】
好ましくは、光学素子202は、光学システム200のうち、光学システム200を通過する光の角度特性がズーム範囲の全体と第2のレンズ群L2および第3のレンズ群L3の焦点位置とに対して同じとなるセグメント内に配置されている。換言すれば、光学システム200のうち、好ましくは光学素子202を含むセグメントが、短焦点距離端から長焦点距離端までのズーム範囲の全体を通して、ならびにOP1,OP2によって定められる焦点範囲FRの全体を通して、光学システム100を通過する光に対して一定の角度特性を有する。上述した角度特性は、組み合わされたズーム動作およびフォーカシング動作が実行される間、不変のままであるので、対物面OP1,OP2から像面IP1まで光学システム200を通過する光が、光学素子202によって光学システム200内へ結合される照明光路上で対応するズーム動作を行う必要なく、第2のレンズ群L2および第3のレンズ群L3の全てのズーム位置に供給可能となる。
【0031】
図3には、図1に示されている光学システム100を含むことのできる顕微鏡308の一実施形態が示されている。特に、顕微鏡308は、第1のデジタルカメラ310を含む第1の倍率変更サブシステム309と、図1に示されている光学システム100によって形成される第1の光学増倍システムと、を含む。第1のデジタルカメラ310と光学システム100とは、第1の光軸O1に沿って位置合わせされている。
【0032】
顕微鏡308は、さらに、第2のデジタルカメラ314を含む第2の倍率変更サブシステム312と、第2の光学増倍システム316と、を含む。第2のデジタルカメラ314と第2の光学増倍システム316とは、第2の光軸O2に沿って位置合わせされている。
【0033】
顕微鏡308は、さらに、メモリ320を含むコントローラ318を含む。さらに、顕微鏡308は、対象物324が配置される顕微鏡ステージ322を含む。顕微鏡ステージ322は、位置決め装置326により、光軸O1,O2に対して直交する方向で移動可能である。特に、コントローラ318は、位置決め装置326を介して顕微鏡ステージ322を横方向でシフトさせて、これにより対象物324の目標領域328が第1の倍率変更サブシステム309の光軸O1上または第2の倍率変更サブシステム312の光軸O2上に位置決めされるように構成されている。
【0034】
光学システム100を含む第1の倍率変更サブシステム309が光学ズームシステムとして使用可能であるのに対し、第2の倍率変更サブシステム312はデジタルズームシステムとして使用可能である。このために、第2のデジタルカメラ314にはデジタルズーム機能を設けることができるが、第2の光学増倍システム316は固定の倍率を提供するように構成されている。
【0035】
例えば、図3に示されている構成では、第2の倍率変更サブシステム312は、光軸O2が対象物324の目標領域328に対して位置合わせされている場合、俯瞰像を生成するように使用可能である。俯瞰像が生成されると直ちに、第1の倍率変更サブシステム309は目標領域328に対して位置合わせされ、これに応じて、光学システム100が制御されて、目標領域328へのフォーカシングの間、所望の倍率を調整するために、上述した、組み合わされたフォーカシング動作およびズーム動作が行われる。このために、コントローラ318は、第2のレンズ群L2および第3のレンズ群L3を光軸O1に沿って正確に位置決めするための情報を、メモリ320から取り出すことができる。
【0036】
図3に示されている顕微鏡308は、単に例示として、それぞれ図1および図2に示されている光学システム100,200によって提供される組み合わされたズーム動作およびフォーカシング動作の適用に適する顕微鏡の構成を表していることに注意されたい。よって、光学システム100,200は、フォーカシングおよびズームが要求されるあらゆる他のタイプの顕微鏡において使用可能である。
【0037】
いくつかの態様を装置の文脈において説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表していることが明らかであり、ここではブロックまたは装置がステップまたはステップの特徴に対応している。同様に、ステップの文脈において説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明も表している。ステップの一部または全部は、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータまたは電子回路等のハードウェア装置(またはハードウェア装置を使用すること)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、極めて重要なステップのいずれか1つまたは複数が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0038】
一定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装され得る。この実装は、非一過性の記録媒体によって実行可能であり、非一過性の記録媒体は、各方法を実施するために、プログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することが可能である)、電子的に読取可能な制御信号が格納されている、デジタル記録媒体等であり、これは例えば、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROMおよびEPROM、EEPROMまたはFLASHメモリである。したがって、デジタル記録媒体は、コンピュータ読取可能であってもよい。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法が実施されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協働することができる、電子的に読取可能な制御信号を有するデータ担体を含んでいる。
【0040】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品として実装可能であり、このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときにいずれかの方法を実施するように作動する。このプログラムコードは、例えば、機械可読担体に格納されていてもよい。
【0041】
別の実施形態は、機械可読担体に格納されている、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを含んでいる。
【0042】
したがって、換言すれば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0043】
したがって、本発明の別の実施形態は、プロセッサによって実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、格納されているコンピュータプログラムを含んでいる記録媒体(またはデータ担体またはコンピュータ読取可能な媒体)である。データ担体、デジタル記録媒体または被記録媒体は、典型的に、有形である、かつ/または非一過性である。本発明の別の実施形態は、プロセッサと記録媒体を含んでいる、本明細書に記載されたような装置である。
【0044】
したがって、本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは例えば、データ通信接続、例えばインターネットを介して転送されるように構成されていてもよい。
【0045】
別の実施形態は、処理手段、例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するように構成または適合されているコンピュータまたはプログラマブルロジックデバイスを含んでいる。
【0046】
別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、インストールされたコンピュータプログラムを有しているコンピュータを含んでいる。
【0047】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを(例えば、電子的にまたは光学的に)受信機に転送するように構成されている装置またはシステムを含んでいる。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル機器、記憶装置等であってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するために、ファイルサーバを含んでいてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ)が、本明細書に記載された方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般的に、有利には、任意のハードウェア装置によって方法が実施される。
【符号の説明】
【0049】
100,200 光学システム
202 光学素子
204 第1のサブレンズ群
206 第2のサブレンズ群
308 顕微鏡
309 第1の倍率変更サブシステム
310 第1のデジタルカメラ
312 第2の倍率変更サブシステム
314 第2のデジタルカメラ
316 第2の光学増倍システム
318 コントローラ
320 メモリ
322 顕微鏡ステージ
324 対象物
326 位置決め装置
328 目標領域
O,O1,O2 光軸
L1 第1のレンズ群
L2 第2のレンズ群
L3 第3のレンズ群
L4 第4のレンズ群
IP 像面
OP1,OP2 対物面
R1,R2 像点
Q1,Q2 対物点
図1
図2
図3
【国際調査報告】