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特表2022-515299解剖学的構造による血流の閉塞の評価
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】解剖学的構造による血流の閉塞の評価
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20220210BHJP
   A61F 2/24 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
A61B6/03 377
A61B6/03 360B
A61B6/03 360Q
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2019566243
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(85)【翻訳文提出日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 US2018059983
(87)【国際公開番号】W WO2020096612
(87)【国際公開日】2020-05-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515111130
【氏名又は名称】ヘンリー フォード ヘルス システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ディー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】マイアーズ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】オニール,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ロレ,マリアン・エル
【テーマコード(参考)】
4C093
4C097
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA25
4C093CA15
4C093DA02
4C093FF12
4C093FF13
4C093FF23
4C093FF28
4C093FF35
4C093FF37
4C093FF42
4C093FG05
4C093FH08
4C097AA27
4C097BB01
(57)【要約】
人工装具デバイスの配置を評価する方法。この方法は、デバイスが配置される第1の構造を含む解剖学的領域の描写内の位置を指定することを含み、この描写は第1の構造および/または第2の構造の血液プール体積部を示し、指定された位置はデバイスを配置できる第1の構造の位置に対応する。この方法は、平面を規定し、その表現を、指定された位置に配置された場合にデバイスが血液プール体積部と交差する描写内のポイントにオフセットすることをさらに含む。この方法は、オフセット表現の配向および/または位置を操作し、デバイスが第1の構造内の対応する位置に配置されている場合、第2の構造を通る閉塞を評価するために操作された表現に沿って血液プール体積部の断面積を判定することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内での人工装具デバイスの配置を評価する際に使用するためにコンピュータにより実行される方法であって、前記方法は、
前記人工装具デバイスが配置される第1の対象の解剖学的構造を含む、前記患者の身体の対象の解剖学的領域の1つ以上の描写の少なくとも1つの位置を指定することを含み、前記1つ以上の描写のそれぞれは、前記第1の対象の構造、第2の対象の解剖学的構造の血液プール体積部、またはその両方を示し、前記指定された位置は、前記人工装具デバイスが配置され得る前記第1の対象の構造の位置に対応し、前記方法はさらに、
前記患者の心臓の大動脈弁輪を含む面(「大動脈面」)を規定し、前記人工装具デバイスの一部が前記指定された位置に配置される場合に前記第2の対象の解剖学的構造の前記血液プール体積部と交差する前記1つ以上の取得された描写の前記少なくとも1つのポイントへと前記大動脈面の表現をオフセットすることと、
前記大動脈面の前記オフセット表現の配向、位置、または配向および位置の両方を操作することと、
前記人工装具デバイスが前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置された場合に発生する前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するための、前記大動脈面の前記操作されたオフセット表現に沿った前記血液プール体積部の断面積を判定することとを含む、方法。
【請求項2】
前記判定された断面積に基づいて、前記人工装具デバイスが前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置された場合に発生する前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞を評価することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記指定された位置に対する血流の閉塞の前記評価に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の対象の構造内に前記人工装具デバイスを配置する位置を判定することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の身体の前記対象の解剖学的領域の前記1つ以上の描写の少なくとも1つにおける1つ以上の他の位置を指定することをさらに含み、前記1つ以上の他の指定された位置のそれぞれは、前記デバイスを配置できる前記第1の対象の構造のそれぞれの位置に対応し、前記方法は、
前記1つ以上の他の指定された位置のそれぞれについて、前記第2の対象の解剖学的構造の前記血液プール体積部のそれぞれの断面積を判定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の他の指定された位置のそれぞれについて、その特定の指定された位置についての前記判定された断面積に基づいて、その指定された位置に対応する前記第1の対象の構造内の位置に前記人工装具デバイスが配置される場合に発生する前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞を評価することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記操作するステップは、前記大動脈面の前記オフセット表現の前記配向を、それを回転させて1つ以上の所定のランドマークと位置合わせすることにより操作することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記操作するステップは、前記大動脈面の前記オフセット表現の前記配向を、前記指定された位置に配置された場合の前記人工装具デバイスと前記第2の対象の構造の壁との間の最小距離に対応するポイントまで回転することにより操作することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記指定するステップは、前記人工装具デバイスのモデルを前記1つ以上の取得された描写の前記少なくとも1つにインポートすることを含み、
前記オフセットするステップは、前記デバイスのモデルの一部が前記第2の対象の解剖学的構造の前記血液プール体積部と交差する前記1つ以上の取得された描写の前記少なくとも1つのポイントへと前記大動脈面の前記表現をオフセットすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記操作するステップは、前記大動脈面の前記オフセット表現の前記位置を、前記指定された位置に配置された場合の前記人工装具デバイスと前記第2の対象の構造の壁との間の最小距離に対応するポイントまで並進させることにより操作することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記操作するステップを実行する前に前記大動脈面の前記オフセット表現を複製することをさらに含み、前記操作するステップは、前記オフセット表現および前記複製オフセット表現のうちの1つ(「操作されたオフセット表現」)を操作することを含み、前記判定するステップは、前記大動脈面の前記操作されたオフセット表現に沿った前記血液プール体積部の前記断面積を判定することを含み、前記方法は、
前記オフセット表現および前記複製オフセット表現の前記操作するステップで操作されていない他方(「非操作オフセット表現」)に沿った前記血液プール体積部の断面積を判定することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記操作されたオフセット表現に沿った前記断面積および前記非操作オフセット表現に沿った前記断面積に基づいて、前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞を評価することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記大動脈面の前記オフセット表現を複製することと、
前記大動脈面の前記複製オフセット表現の配向、位置、または配向と位置の両方を操作することと、
前記人工装具デバイスを前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置した場合に発生する前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するための、前記大動脈面の前記操作された複製オフセット表現に沿った前記血液プール体積部の断面積を判定することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
患者の体内での人工装具デバイスの配置を評価するためのシステムであって、
電子プロセッサ、および
命令が格納された電子メモリデバイス
を含み、
前記プロセッサは、前記メモリデバイスにアクセスし、格納されている前記命令を実行するように構成されて、
前記人工装具デバイスが配置される第1の対象の解剖学的構造を含む、前記患者の身体の対象の解剖学的領域の1つ以上の描写の少なくとも1つの位置を指定することを含み、前記1つ以上の描写のそれぞれは、前記第1の対象の構造、第2の対象の解剖学的構造の血液プール体積部、またはその両方を示し、前記指定された位置は、前記人工装具デバイスが配置され得る前記第1の対象の構造の位置に対応し、前記システムはさらに、
前記患者の心臓の大動脈弁輪を含む面(「大動脈面」)を規定し、前記人工装具デバイスの一部が前記指定された位置に配置される場合に前記第2の対象の解剖学的構造の前記血液プール体積部と交差する前記1つ以上の取得された描写の前記少なくとも1つのポイントへと前記大動脈面の表現をオフセットすることと、
前記大動脈面の前記オフセット表現の配向、位置、または配向および位置の両方を操作することと、
前記人工装具デバイスが前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置された場合に発生する、前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するための、前記大動脈面の前記操作されたオフセット表現に沿った前記血液プール体積部の断面積を判定することとのために構成される、システム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記判定された断面積に基づいて、前記人工装具デバイスが前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置された場合に発生する前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞を評価することのために構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記指定された位置に対する血流の閉塞の前記評価に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の対象の構造内に前記人工装具デバイスを配置する位置を判定することのために構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記患者の身体の前記対象の解剖学的領域の前記1つ以上の描写の少なくとも1つにおける1つ以上の他の位置を指定するようにさらに構成され、前記1つ以上の他の指定された位置のそれぞれは、前記デバイスを配置できる前記第1の対象の構造のそれぞれの位置に対応し、
前記1つ以上の他の指定された位置のそれぞれについて、その特定の指定された位置についての前記判定された断面積に基づいて、前記第2の対象の解剖学的構造の前記血液プール体積部のそれぞれの断面積を判定することのために構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記1つ以上の他の指定された位置のそれぞれについて、その指定された位置に対応する前記第1の対象の構造内の位置に前記人工装具デバイスが配置される場合に発生する前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞を評価することのために構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記大動脈面の前記オフセット表現の前記配向を、それを回転させて1つ以上の所定のランドマークと位置合わせすることにより操作することのために構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記大動脈面の前記オフセット表現の前記配向を、前記指定された位置に配置された場合の前記人工装具デバイスと前記第2の対象の構造の壁との間の最小距離に対応するポイントまで回転することにより操作することのために構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、
前記人工装具デバイスのモデルを前記1つ以上の取得された描写の前記少なくとも1つにインポートすることにより、前記1つ以上の描写の前記少なくとも1つにおける前記位置を指定することと、
前記デバイスのモデルの一部が前記第2の対象の解剖学的構造の前記血液プール体積部と交差する前記1つ以上の取得された描写の前記少なくとも1つのポイントに前記大動脈面の前記表現をオフセットすることのために構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記大動脈面の前記オフセット表現の前記位置を、前記指定された位置に配置された場合の前記人工装具デバイスと前記第2の対象の構造の壁との間の最小距離に対応するポイントまで並進させることにより操作することのために構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
前記プロセッサは、
前記大動脈面の前記オフセット表現をその位置、配向、またはその両方を操作する前に複製することと、
前記オフセット表現と前記複製オフセット表現のうちの1つ(「操作されたオフセット表現」)の前記位置、配向、または位置と配向の両方を操作することと、
前記人工装具デバイスを前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置した場合に発生する、前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するための、前記大動脈面の前記操作されたオフセット表現に沿った前記血液プール体積部の前記断面積を判定することと、
前記人工装具デバイスを前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置した場合に発生する、前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するため、前記オフセット表現および前記複製オフセット表現の前記操作するステップで操作されていない他方(「非操作オフセット表現」)に沿って前記血液プール体積部の断面積を判定することのために構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項23】
前記プロセッサは、
前記操作されたオフセット表現に沿った前記断面積および前記非操作オフセット表現に沿った前記断面積に基づいて、前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞を評価することのためにさらに構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記プロセッサは、
前記大動脈面の前記オフセット表現を複製することと、
前記大動脈面の前記複製オフセット表現の配向、位置、または配向と位置の両方を操作することと、
前記人工装具デバイスを前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置した場合に発生する前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するための、前記大動脈面の前記操作された複製オフセット表現に沿った前記血液プール体積部の断面積を判定することのために構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項25】
1つ以上の電子プロセッサによって実行されると、前記1つ以上の電子プロセッサに、
前記人工装具デバイスが配置される第1の対象の解剖学的構造を含む、前記患者の身体の対象の解剖学的領域の1つ以上の描写の少なくとも1つの位置を指定することであって、前記1つ以上の描写のそれぞれは、前記第1の対象の構造、第2の対象の解剖学的構造の血液プール体積部、またはその両方を示し、前記指定された位置は、前記人工装具デバイスが配置され得る前記第1の対象の構造の位置に対応することと、
前記患者の心臓の大動脈弁輪を含む面(「大動脈面」)を規定し、前記人工装具デバイスの一部が前記指定された位置に配置されている場合に前記第2の対象の解剖学的構造の前記血液プール体積部と交差する前記1つ以上の取得された描写の前記少なくとも1つのポイントへと前記大動脈面の表現をオフセットすることと、
前記大動脈面の前記オフセット表現の配向、位置、または配向および位置の両方を操作することと、
前記人工装具デバイスが前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置された場合に発生する前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するための、前記大動脈面の前記操作されたオフセット表現に沿った前記血液プール体積部の断面積を判定することという方法を実行させる命令を格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
前記1つ以上の電子プロセッサによって実行される方法が、前記判定された断面積に基づいて、前記人工装具デバイスが前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置された場合に発生する前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞を評価することをさらに含む、請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項27】
前記1つ以上の電子プロセッサによって実行される方法が、前記指定された位置に対する血流の閉塞の前記評価に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の対象の構造内に前記人工装具デバイスを配置する位置を判定することをさらに含む、請求項26に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項28】
前記1つ以上の電子プロセッサによって実行される方法が、
前記患者の身体の前記対象の解剖学的領域の前記1つ以上の描写の少なくとも1つにおける1つ以上の他の位置を指定することであって、前記1つ以上の他の指定された位置のそれぞれは、前記デバイスを配置できる前記第1の対象の構造のそれぞれの位置に対応することと、
前記1つ以上の他の指定された位置のそれぞれについて、その特定の指定された位置についての前記判定された断面積に基づいて、前記第2の対象の解剖学的構造の前記血液プール体積部のそれぞれの断面積を判定することとをさらに含む、請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項29】
前記1つ以上の電子プロセッサによって実行される前記方法が、前記1つ以上の他の指定された位置のそれぞれについて、その指定された位置に対応する前記第1の対象の構造内の位置に前記人工装具デバイスが配置される場合に発生する前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞を評価することをさらに含む、請求項26に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項30】
前記操作するステップが、前記大動脈面の前記オフセット表現の前記配向を、それを回転させて1つ以上の所定のランドマークと位置合わせすることにより操作することを含む、請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項31】
前記操作するステップが、前記大動脈面の前記オフセット表現の前記配向を、前記指定された位置に配置された場合の前記人工装具デバイスと前記第2の対象の構造の壁との間の最小距離に対応するポイントまで回転することにより操作することを含む、請求項25に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項32】
前記指定するステップが、前記人工装具デバイスのモデルを前記1つ以上の取得された描写の前記少なくとも1つにインポートすることを含み、
前記オフセットするステップは、前記デバイスのモデルの一部が前記第2の対象の解剖学的構造の前記血液プール体積部と交差する前記1つ以上の取得された描写の前記少なくとも1つのポイントへと前記大動脈面の前記表現をオフセットすることを含む、請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項33】
前記操作するステップが、前記大動脈面の前記オフセット表現の前記位置を、前記指定された位置に配置された場合の前記人工装具デバイスと前記第2の対象の構造の壁との間の最小距離に対応するポイントまで並進させることにより操作することを含む、請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項34】
前記1つ以上の電子プロセッサによって実行される前記方法が、
前記操作するステップを実行する前に前記大動脈面の前記オフセット表現を複製することであって、前記操作するステップは、前記オフセット表現と前記複製オフセット表現(「操作されたオフセット表現」)のうちの1つを操作することを含み、前記判定するステップは、前記人工装具デバイスを前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置した場合に発生する、前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するため、前記大動脈面の前記操作されたオフセット表現に沿った前記血液プール体積部の前記断面積を判定することを含むことと、
前記人工装具デバイスを前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置した場合に発生する、前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するため、前記オフセット表現および前記複製オフセット表現(「非操作オフセット表現」)の前記操作するステップで操作されていない他方に沿った前記血液プール体積部の断面積を判定することとをさらに含む、請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項35】
前記1つ以上の電子プロセッサによって実行される前記方法が、前記操作されたオフセット表現に沿った前記断面積および前記非操作オフセット表現に沿った前記断面積に基づいて、前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞を評価することをさらに含む、請求項34に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項36】
前記1つ以上の電子プロセッサによって実行される前記方法は、
前記大動脈面の前記オフセット表現を複製することと、
前記大動脈面の前記複製オフセット表現の配向、位置、または配向と位置の両方を操作することと、
前記人工装具デバイスを前記第1の対象の構造内の対応する位置に配置した場合に発生する前記第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するための、前記大動脈面の前記操作された複製オフセット表現に沿った前記血液プール体積部の断面積を判定することとをさらに含む、請求項25に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、一般に、人工心臓弁に関し、より詳細には、例えば、対象の別の解剖学的構造における人工装具デバイスの配置を評価する目的で、対象の解剖学的構造を通る血流の閉塞を周術的に評価することに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
人工装具デバイス、例えば心臓弁の非侵襲的経皮的植込みは、医師に特定の課題を提起する。例えば、開心術などの外科的侵襲的手技とは対照的に、非侵襲的経皮植込み処置を行う医師は視野が限られており、一般に処置中2次元(2D)画像診断法(例えば、透視、超音波など)によって生成された画像の使用に制限されている。したがって、高度なイメージング戦略を含む非侵襲的処置の周術期の計画は、より成功する経皮的植込みの結果につながり得る。
【0003】
心臓病学の分野では、経大腿、経心尖、経大動脈の植込みは、特に手術不能で外科的リスクの高い患者にとって、開心術の有望な代替手段である。ただし、医師は通常、処置自体の間に2Dイメージングに制限されるため、適切な計画と評価が必要である。例えば、人工装具デバイスが植込まれている構造内の人工装具デバイスの配置を、その特定の患者に理想的または最適であるよう正確に評価および判定する必要がある。さらに、それは経カテーテル僧帽弁置換(TMVR)に関連するため、従来の経カテーテル人工心臓弁は、僧帽弁の位置の植込み用に特に設計されておらず、僧帽弁の植込みに課題をもたらす可能性のある固有の形状を持っている。例えば、そのような心臓弁は、左心室流出路(LVOT)閉塞に関連するため、課題を呈する場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
一実施形態によれば、患者の体内での人工装具デバイスの配置を評価するためにコンピュータにより実行される方法が提供される。この方法は、人工装具デバイスが配置される第1の対象の解剖学的構造を含む、患者の身体の対象の解剖学的領域の1つ以上の描写の少なくとも1つの位置を指定することを含み、1つ以上の描写のそれぞれは、第1の対象の構造、第2の対象の解剖学的構造の血液プール体積部、またはその両方を示し、指定された位置は、人工装具デバイスが配置され得る第1の対象の構造の位置に対応する。この方法は、患者の心臓の大動脈弁輪を含む面(「大動脈面」)を規定し、人工装具デバイスの一部が指定された位置に配置されている場合に、第2の対象の解剖学的構造の血液プール体積部と交差する1つ以上の取得された描写の少なくとも1つのポイントへと大動脈面の表現をオフセットすることをさらに含む。この方法は、また、大動脈面のオフセット表現の配向および/または位置を操作し、人工装具デバイスが第1の対象の構造内の対応する位置に配置された場合に発生する第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するため、大動脈面の操作されたオフセット表現に沿った血液プール体積部の断面積を判定することをさらに含む。
【0005】
別の実施形態によれば、患者の体内の人工装具デバイスの配置を評価するためのシステムが提供される。このシステムは、電子プロセッサと、命令が格納された電子メモリデバイスを備えている。プロセッサは、メモリデバイスにアクセスし、そこに格納された命令を実行するように構成され、その結果、人工装具デバイスが配置される第1の対象の解剖学的構造を含む、患者の身体の対象の解剖学的領域の1つ以上の描写の少なくとも1つの位置を指定することのために構成され、1つ以上の描写のそれぞれが第1の対象の構造、第2の対象の解剖学的構造の血液プール体積部、またはその両方を示し、指定された位置は、人工装具デバイスが配置され得る第1の対象の構造の位置に対応する。プロセッサは、患者の心臓の大動脈弁輪を含む面(「大動脈面」)を規定し、人工装具デバイスの一部が指定された位置に配置されている場合に、第2の対象の解剖学的構造の血液プール体積部と交差する1つ以上の取得された描写の少なくとも1つのポイントへと大動脈面の表現をオフセットすることのためにさらに構成される。さらに、プロセッサはさらに、大動脈面のオフセット表現の配向および/または位置を操作し、人工装具デバイスを第1の対象の構造内の対応する位置に配置した場合に発生する第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するため、大動脈面の操作されたオフセット表現に沿った血液プール体積部の断面積を判定することのために構成される。
【0006】
別の実施形態によれば、命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。命令が1つ以上の電子プロセッサによって実行される場合、1つ以上の電子プロセッサは、人工装具デバイスが配置される第1の対象の解剖学的構造を含む、患者の身体の対象の解剖学的領域の1つ以上の描写の少なくとも1つの位置を指定することために構成され、1つ以上の描写のそれぞれが第1の対象の構造、第2の対象の解剖学的構造の血液プール体積部、またはその両方を示し、指定された位置は、人工装具デバイスが配置され得る第1の対象の構造の位置に対応する。1つ以上のプロセッサはさらに、患者の心臓の大動脈弁輪を含む面(「大動脈面」)を規定し、人工装具デバイスの一部が指定された位置に配置されている場合に、第2の対象の解剖学的構造の血液プール体積部と交差する1つ以上の取得された描写の少なくとも1つのポイントへと大動脈面の表現をオフセットすることのために構成される。また、1つ以上のプロセッサはさらに、大動脈面のオフセット表現の配向および/または位置を操作し、人工装具デバイスを第1の対象の構造内の対応する位置に配置した場合に発生する第2の対象の構造を通る血流の閉塞の評価に使用するため、大動脈面の操作された複製オフセット表現に沿った血液プール体積部の断面積を判定することのためにさらに構成される。
【0007】
図面の簡単な説明
本発明の1つ以上の実施形態は、添付の図面と併せて以下に説明され、同様の名称は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】人間の心臓の一部の概略図である。
図2】僧帽弁の動作を示す人間の心臓の僧帽弁の概略図である。
図3】本明細書で説明する方法論の1つ以上の実施形態を実行するためのシステムの例示的な実施形態の概略ブロック図である。
図4】人工心臓弁の配置を評価するために使用され得る方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
図5】例えば、図4に示される方法の1つ以上のステップの実行において使用され得る患者の大動脈弁輪のコンピュータ断層撮影(CT)画像である。
図6】スプラインが配置され、大動脈弁輪と、大動脈弁輪を含む平面を表している、図5に示された大動脈弁輪のCT画像である。
図7】例えば、図4に示された方法の1つ以上のステップの実行に使用され得る患者の僧帽弁輪のCT画像であり、画像はスプラインが配置され、僧帽弁輪と、僧帽弁輪を含む平面を表している。
図8】例えば図4に示す方法の1つ以上のステップの実行で使用できる、先行して植込まれた人工僧帽弁の一部のCT画像であり、画像は本方法の実行に使用できるマーカーまたはランドマークを示す。
図9】例えば、図4に示された方法の1つ以上のステップの実行に使用され得る僧帽弁輪のCT画像であり、画像はスプラインが配置され、僧帽弁輪と、僧帽弁輪を含む平面を表している。
図10a図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図10b図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図10c図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図10d図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図10e図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図11a図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図11b図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図11c図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図11d図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図11e図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図12a図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図12b図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図12c図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図12d図4に示す方法の実施に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図13】人工心臓弁の配置を評価するために使用され得る方法の別の例示的な実施形態のフローチャートである。
図14a図13に示す方法の実施に使用できる画像であり、図13に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図14b図13に示す方法の実施に使用できる画像であり、図13に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図14c図13に示す方法の実施に使用できる画像であり、図13に示す方法の実行方法の例示的な実施形態を示す。
図15】血流の閉塞を評価するための図4に示される方法のステップの別の例示的な実施形態のフローチャートである。
図16図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップの1つ以上のステップの実行に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップがいかに実行されるかの例示的実施形態を示す。
図17図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップの1つ以上のステップの実行に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップがいかに実行されるかの例示的実施形態を示す。
図18図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップの1つ以上のステップの実行に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップがいかに実行されるかの例示的実施形態を示す。
図19図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップの1つ以上のステップの実行に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップがいかに実行されるかの例示的実施形態を示す。
図20図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップの1つ以上のステップの実行に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップがいかに実行されるかの例示的実施形態を示す。
図21図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップの1つ以上のステップの実行に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップがいかに実行されるかの例示的実施形態を示す。
図22図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップの1つ以上のステップの実行に使用できるモデルの図であり、図4に示す方法および/または図15に示す評価するステップがいかに実行されるかの例示的実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本明細書に記載のシステムおよび方法は、経皮的処置、例えば、人工心臓弁の植込みを伴う処置の術前計画および術後評価(「周術期計画」とも呼ばれる)において医師を支援することができる。一般に、本明細書で説明するシステムと方法は、高度なイメージングおよびモデリング戦略を使用して、対象の構造内の人工弁の配置または位置決めを正確に評価し、処置が実行される特定の患者に固有な対象の構造での人工弁の理想的または最適な位置を判定する。このシステムと方法は、様々な処置の計画と評価に適用できる場合もあるが、特に僧帽弁、特に人工僧帽弁の植込みを含む処置に適用できる。したがって、以下の説明は、主に人工僧帽弁の配置の評価に関するものである。しかし、本明細書に記載される様々な教示は、任意の数の解剖学的構造(例えば、左心耳(LAA))に関連する任意の数の他の処置にも適用可能であり、したがって、本開示は、任意の特定のタイプの処置および/または任意の特定の解剖学的構造に対する、本明細書に記載のシステムおよび方法の使用に限定されることを意図されていないことが理解されよう。
【0010】
文脈を目的として、図1および図2は、生来の僧帽弁10を示している。僧帽弁10は、左心房(図示せず)と左心室12との間に配置され、左心房から左心室への血流を制御または調節するように構成される。より具体的には、僧帽弁が開くと、左心房から左心室に血液が流れるときに、心周期の初期拡張期に非対称トロイダル渦が形成される。僧帽弁10の弁輪14の独特のサドル形状は、心周期中に変化し、弁が開いているときの拡張期で最大であり、弁が閉じているときの収縮期で最小である。3つの弁尖によって開閉される大動脈弁とは異なり、僧帽弁は前部弁尖16と後部弁尖18の2つの弁尖によって開閉される。少なくともいくつかの実施形態では、人工僧帽弁の最適または理想的な配置を判定するには、弁輪14(本明細書では「僧帽弁輪」とも呼ばれる)の正確な評価または評価判断が必要である。
【0011】
図3は、患者の身体の解剖学的対象領域に位置する対象の構造内の人工装具デバイスの配置を評価するためのシステム20の例示的な実施形態を示す。一実施形態では、人工装具デバイスは人工心臓弁(例えば、人工僧帽弁)であり、解剖学的対象領域は少なくとも患者の心臓の領域である。例示的な実施形態では、システム20は、潜在的に、1つ以上の他の構成要素の中で、電子制御ユニット(ECU)22、ディスプレイ装置24、および1つ以上のユーザインターフェース装置26を含む。
【0012】
ECU22は、1つ以上の電子処理ユニット28および1つ以上の電子メモリデバイス30、ならびに例えば入出力(I/O)デバイスおよび/または他の既知の構成要素を含むことができる。別の実施形態では、メモリデバイス30を備えるECU22ではなく、システム20は、ECU22(および特にその処理ユニット28)とは別々で別個であるが、それによってアクセス可能である、1つ以上のメモリデバイス30を含むことができる。
【0013】
ECU22の処理ユニット28は、ソフトウェア、ファームウェア、プログラム、アルゴリズム、スクリプトなど、様々な機能を実行するために、例えば、本明細書に記載の方法論の1つ以上のステップが含まれるがこれらに限定されないステップを実行するために好適なプログラミング命令を実行するように構成された任意のタイプの適切な電子プロセッサ(例えば、プログラム可能なマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC))を含み得る。
【0014】
メモリデバイス30は、ECU22の一部であろうと、それとは別々で別個のものであろうと、任意のタイプの適切な電子メモリ手段を含むことができ、様々なデータおよび情報を記憶することができる。これには、例えば、ソフトウェア、ファームウェア、プログラム、アルゴリズム、スクリプト、および他の電子命令が含まれる。これらの電子命令は、例えば、本明細書の別の所に記載されている機能の1つ以上を実行するまたは実行させる必要がある(例えば、本明細書で説明される様々な機能を実行するために、ECU22(および特にその処理ユニット28)によって使用される(例えば、実行される))。あるいは、前述の情報/データのすべてが単一のメモリデバイスに格納されるのではなく、実施形態で、複数の適切なメモリデバイスが提供されてもよい。もちろん、これらはECU22の可能な構成、機能、および能力の一部にすぎず、他のものも確実に可能である。いずれにしても、少なくともいくつかの実施形態では、メモリデバイス30は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を備えるまたは含むことができるコンピュータプログラム製品またはソフトウェアを含むことができる。この記憶媒体は、コンピュータシステム(または他の電子機器、例えば、ECU22)をプログラムして本明細書に記載の機能の一部または全部の制御を実施するのに使用できる命令を記憶することができる。コンピュータ可読記憶媒体は、機械(例えば、コンピュータ、処理ユニットなど)によって読み取り可能な形式(例えば、ソフトウェア、処理アプリケーション)で情報を記憶するための任意のメカニズムを含み得る。コンピュータ可読記憶媒体は、磁気記憶媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク);光記憶媒体(例えば、CD-ROM);光磁気記憶媒体;読み取り専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);消去可能なプログラマブルメモリ(例えば、EPROMやEEPROM);フラッシュメモリー;またはプログラム命令を保存するのに適した電気的または他のタイプの媒体を含むことができるが、これに限定されない。加えて、プログラム命令は、光学的、音響的、または他の形式の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号、または他のタイプの信号または媒体)を使用して通信され得る。
【0015】
ディスプレイ装置24は、例えば、限定ではないが、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)、プラズマ、または発光ダイオード(LED)モニタまたはディスプレイなど、当技術分野で知られている任意の数のディスプレイ装置を含むことができる。ディスプレイ装置24は、ECU22に電気的に接続または連結され、ECU22によって制御されるように構成され、例えば、下記の方法を実行するのに使用されるものを含む、ECU22によって生成または取得される解剖学的構造の画像またはモデルを、表示することができ、本明細書で説明する目的に使用することができるようにする。さらに、例えば、医師がディスプレイ装置に表示される画像またはモデルを操作する(例えば、モデルのレイヤーを除去する、モデルを移動させるなど)ことを可能にするインタラクティブなグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成するようにECU22を構成できる実施形態では、測定値などの取得を容易にする場合、ディスプレイ装置24はそのようなGUIを表示してもよい。いずれにせよ、ディスプレイ装置24は、ECU22から電気信号を受信し、例えば医師が見ることができる受信信号により表される内容を表示するように構成される。
【0016】
ユーザインターフェース装置26は、当技術分野で知られている任意の数の適切なデバイスを含むことができる。例えば、限定されないが、使用者入力装置26は、いくつかの可能なものを挙げると、タッチスクリーン(例えば、LCDタッチスクリーン)、キーパッド、キーボード、コンピュータのマウスまたはローラーボール、および/またはジョイスティックの1つまたは組み合わせを含むことができる。特定の実装形態では、ディスプレイ装置24および使用者入力装置26は、単一の装置に一緒に組み合わされ得る。ユーザインターフェース装置がとる特定の形態に関係なく、使用者入力装置26は、ECU22に電気的に接続または連結することができ(例えば、有線接続または無線接続を介して)、特に、使用者(例えば、医師)とシステム20、およびそのECU22との間の通信の測定を容易にするように構成される。より具体的には、ユーザインターフェース装置26は、医師がディスプレイ装置24に表示される画像またはモデルを操作することを可能にし得(例えば、画像/モデルの回転、モデル/画像へのレイヤーの除去または追加、互いに対するモデルの移動、1つのモデル/画像を別のモデル/画像、モデル/画像のセクション部分などにインポートする)、例えばディスプレイ装置24に表示される画像またはモデルによって表される、またはその中の解剖学的構造の所望の測定値の取得または取得を命令する。
【0017】
システム20の特定の構成要素について上記で説明したが、いくつかの実装形態では、システム20は、上記の構成に含まれるよりも多いまたは少ない構成要素を含み得ることが理解されよう。したがって、本開示は、システム20の任意の特定の実装または構成に限定されることを意図していない。
【0018】
ここで図4に移ると、患者の身体の解剖学的領域に位置する対象の構造内の植込み型人工装具デバイスの配置を評価する方法(方法100)の例示的な実施形態が示されている。人工装具デバイスは、例えば、人工心臓弁であり得、実施形態では、人工僧帽弁であり得る。したがって、実施形態では、対象の構造が位置する解剖学的領域は、少なくとも部分的に患者の心臓(またはその少なくとも一部、例えば、左心室、左心房、および患者の心臓のLVOTの1つ以上)を含み得る。例示の目的で、以下の説明は、主に人工僧帽弁の配置の評価に関するものである。しかし、本明細書で説明される方法論は、他の人工装具デバイスの配置を評価するために使用できることが理解されよう。
【0019】
少なくともいくつかの実施形態では、方法100のすべてのステップは、好適または適切に構成されたシステム、例えば、限定されないが、上記のシステム20によって、単独で、または使用者(例えば、医師)からの入力とともに、実行されるまたは行われてもよい。しかし、他の実施形態では、特定のステップが1つのシステム(例えばシステム20)によって実行され、他のステップが1つ以上の他の適切なシステムによって実行され得るように、すべてではないがいくつかのステップが、異なるシステムによって実行されるまたは行われてもよい。例示の目的のために、以下の説明は、主に、方法100が単独で、または使用者入力とともに上記のシステム20によって実行される実施形態に関するものである。しかし、本開示はそのような実施形態に限定されないことが理解されよう。さらに、特記しない限り、方法100の実行は、ステップの任意の1つの特定の順序またはシーケンス、またはステップを実行する任意の特定の構成要素に限定されることを意図していないことを理解されたい。
【0020】
実施形態では、方法100は、以下「大動脈面」と呼ばれる、患者の心臓の大動脈弁輪を含む面を規定するステップ102を含む。ステップ102は、当技術分野で知られている任意の数の技法を使用して実行することができる。しかし、一実施形態では、ステップ102は、患者の心臓の左心室、左心房、および大動脈の少なくとも一部を含む患者の心臓の解剖学的領域に関する画像データを取得することを含む。例示的な実施形態では、画像データは、コンピュータ断層撮影(CT)画像データ、より詳細には、二次元(2D)のCTデータを含む。しかし、他の実施形態では、画像データは、CT以外の撮像モダリティ、例えば、磁気共鳴撮像(MRI)、心エコー図撮像、または別の適切な撮像モダリティを使用して取得されたデータを含み得ることが理解されよう。したがって、本開示は、特定のタイプの画像データに限定されることを意図するものではない。しかし、例示および明確化の目的のために、以下の説明は、主にCT画像データが使用される実施形態に関するものである。さらに、実施形態では、患者の心周期の拡張期および収縮期の両方について画像データを取得することができ、そのような実施形態では、各相について大動脈面を規定することができる。
【0021】
いずれにしても、実施形態では、取得されたCT画像データから生成または作成された1つ以上の2D画像またはビューを使用して、大動脈面を規定することができる。より詳細には、2D画像は、大動脈面を規定するために使用され得る特定の数のポイント(例えば、3つのポイント)を規定するために使用され得る。実施形態では、1つ以上の所定のランドマーク(例えば、解剖学的ランドマーク)を使用して、平面規定点を規定することができる。そのような一実施形態では、所定のランドマークは、大動脈弁尖を含むことができる。図5は、大動脈弁尖にそれぞれ対応する3つのポイント32a、32b、および32cが規定される2DのCT画像を示す。使用されるランドマークに関係なく、平面規定ポイントは様々な方法で規定または識別できる。一実施形態では、ポイントは、適切な画像処理ソフトウェア/技術を使用して、システム20のECU22により(例えば、ECU22の処理ユニット28により)自動的に規定され得る。他の実施形態で、ポイントは、使用者(例えば、医師)によって規定されてもよい。より具体的には、2Dの画像はディスプレイ装置24に表示でき、使用者はシステム20のユーザインターフェース装置26を使用して平面規定ポイントを規定することができる。例えば、使用者はマウスデバイスを操作して、表示されている画像内の目的の場所にカーソルを移動し、マウスを「クリック」してポイントを規定できる。いずれにしても、平面規定ポイントが規定されると、規定されたすべてのポイントを含む平面を、大動脈平面として規定できる。少なくともいくつかの実施形態において、大動脈面は、図6に示されるようにディスプレイ装置24上に表示され得る大動脈弁輪を表すスプライン34によって、2Dの画像に表され得る。大動脈面規定ポイントを規定し、したがって大動脈面自体を規定するための特定の技術または実装が上記で提供されたが、任意の適切な実施技術が使用され得ることが理解されよう。したがって、本開示は、いずれかの特定の実施技術に限定されることを意図していない。
【0022】
実施形態では、方法100は、以下「僧帽面」と呼ばれる、患者の心臓の僧帽弁輪を含む面を規定するステップ104をさらに含む。ステップ102と同様に、ステップ104は、当技術分野で知られている任意の数の技法を使用して実行することができる。例えば、一実施形態では、ステップ104は、患者の心臓の左心室、左心房、および大動脈の少なくとも一部を含む患者の心臓の解剖学的領域に関する画像データを取得することを含む。この画像データは、ステップ102で取得された同じ画像データであってもよいし、異なる画像データを含んでもよい。いずれの場合でも、画像データはCT画像データ、より具体的には2DのCTデータを含んでもよい。しかし、他の実施形態では、画像データは、CT以外の撮像モダリティ、例えばMRI、心エコー図、または別の適切な撮像モダリティを使用して取得されたデータを含み得ることが理解されよう。したがって、本開示は、特定のタイプの画像データに限定されることを意図するものではない。しかし、例示および明確化の目的のために、以下の説明は、主にCT画像データが使用される実施形態に関するものである。さらに、実施形態では、患者の心周期の拡張期および収縮期の両方について画像データを取得することができ、そのような実施形態では、各相について僧帽面を規定することができる。
【0023】
いずれにしても、実施形態では、取得されたCT画像データから生成された1つ以上の2D画像を使用して、僧帽面を規定することができる。より詳細には、2D画像は、僧帽面を規定するために使用され得る特定の数のポイント(例えば、3つのポイント)を規定するために使用され得る。実施形態では、1つ以上の所定のランドマーク(例えば、解剖学的ランドマーク)を使用して、平面規定点を規定することができる。使用される特定のランドマークは、少なくとも部分的に、人工弁が植込まれる対象の構造の性質に依存し得る。例えば、対象の構造が生来の僧帽弁である場合、ランドマークは、いくつかの可能なものを挙げると、石灰化の領域および/または弁尖の先端および/または生来の弁の僧帽弁輪の挿入点を含むことができる。対象の構造が、例えば僧帽弁輪などの以前に植込まれた装置またはオブジェクトを含む場合、ランドマークは、その装置または少なくともその特定の部分を含むことができる。そのような場合の例が図7に示されており、以前に植込まれた僧帽弁輪36が2DのCT画像に示されている。最後に、対象の構造が以前に植込まれた人工僧帽弁を含む場合(すなわち、第2の人工弁が、以前に植込まれた第1の人工弁内に植込まれる「弁内弁」の処置のために)、ランドマークは、以前に植込まれた弁の部分、例えば、以前に植え込まれた弁のストラットの先端を含むことができる。この場合の例が図8に示されており、これは、それぞれ、以前に植込まれた人工僧帽弁のストラット先端に対応する3つのポイント38a、38b、および38cが規定される2DのCT画像を示す。いずれにせよ、平面規定ポイントは様々な方法で規定または識別できる。一実施形態では、ポイントは、適切な画像処理ソフトウェア/技術を使用して、システム20のECU22により(例えば、ECU22の処理ユニット28により)自動的に規定され得る。他の実施形態で、ポイントは、使用者(例えば、医師)によって規定されてもよい。より具体的には、2Dの画像はディスプレイ装置24に表示でき、使用者はシステム20のユーザインターフェース装置26を使用して平面規定ポイントを規定することができる。例えば、使用者はマウスデバイスを操作して、画像内の目的の場所にカーソルを移動し、マウスを「クリック」してポイントを規定できる。いずれにしても、平面規定ポイントが規定されると、規定されたすべてのポイントを含む平面を、僧帽面として規定できる。少なくともいくつかの実施形態では、僧帽弁輪を表すスプライン40によって2D画像に僧帽面を表すことができ、図9に示すようにディスプレイ装置24に表示することができる。僧帽面規定ポイントを規定し、したがって僧帽面自体を規定するための特定の技術または実装が上記で提供されたが、任意の適切な実施技術が使用され得ることが理解されよう。したがって、本開示は、いずれかの特定の実施技術に限定されることを意図していない。
【0024】
実施形態では、ステップ102および104の実行は、例えば、システム20のメモリデバイス30に格納されたソフトウェアによって少なくとも部分的に促進され得る。実施形態では、このソフトウェアは、Mimics(登録商標)という名前でMaterialise NVから市販されているソフトウェアプログラムを含むことができる。ただし、代わりに任意の他の適切なソフトウェアを確実に使用することもできる。実施形態では、規定された大動脈および僧帽面(すなわち、それぞれを表すスプライン34、40)のそれぞれは、例えば、.IGESファイルとしてエクスポートされてもよく、以下で説明するように使用されてもよい。
【0025】
大動脈面および僧帽面がそれぞれステップ102および104で規定されると、方法100は、対象の構造を含む患者の身体の対象の解剖学的領域の1つ以上の描写を取得するステップ106を含み得、それにおいて1つ以上の描写の各々は、対象の構造、対象の別の構造の血液プール体積部(例えば、患者の心臓の左心室流出路(LVOT))、またはその両方を示している。実施形態では、1つ以上の描写は、解剖学的対象領域の1つ以上のコンピュータ生成モデル、例えば1つ以上の3次元(3D)モデルを含む。例示および明確化のために、以下の説明は、取得された描写が、対象の構造およびLVOTの血液プール体積部を示す、解剖学的対象領域の3Dモデルを含む実施形態に関する。しかし、他の実施形態では、それぞれが対象の構造、LVOT血液プール体積部、またはその両方を示す2つ以上のコンピュータ生成モデルの形の複数の描写を取得し、以下で説明する様式で使用することができることを理解されたい。
【0026】
ステップ106で単一の3Dモデルが取得される実施形態では、そのモデルはいくつかの方法で取得され得る。1つの方法は、メモリデバイス、例えばシステム20のメモリデバイス30から以前に生成されたモデルを取得することである。別の方法は、例えば、2D画像データなどの画像データからモデルを生成することである。後者の場合、画像データは、ステップ102および/またはステップ104で取得された同じ画像データであってもよく、あるいは、ステップ106の一部として取得された他の画像データ(例えば、2DのCT画像データ)であってもよい。いずれの場合でも、モデルは、例えば、2015年8月7日に出願された米国特許出願公開第14/820,617号に記載されている技術など、当技術分野で既知の技術を使用して生成できる。その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。また、実施形態で、例えば、システム20のECU22、および特にその処理ユニット28によって生成されてもよい。したがって、本開示は、ステップ106で1つ以上の描写を取得する任意の特定の方法に限定されることを意図するものではないことが理解されよう。
【0027】
ステップ106で1つ以上の描写がどのように取得されるかに関係なく、実施形態では、取得された描写(例えば単一の3Dモデル)は、以下のステップを実行する適切なソフトウェアプログラムにコピーまたは使用されてもよい。このようなソフトウェアの例としては、3-Matic STLという名前でMaterialise NVから市販されているものがある。ステップ102および104でそれぞれ規定された大動脈面および僧帽面の表現も、ステップ106で取得されたモデルにインポートすることができる。
【0028】
よりよく説明するために、図10aは、ステップ106で取得されたモデル41の一部を示しており、これは、それぞれ大動脈面および僧帽面の表現43、44とともに、以前に植込まれた僧帽弁輪の性質の対象の構造42のモデルを含むまたは示す(それぞれ、実施形態では、大動脈面および僧帽面を表すスプラインを備えてもよい)。図10aに示されるように、実施形態では、大動脈面および僧帽面を表すスプラインは、例えば大動脈面と僧帽面の表現43、44を規定または生成する「平面に合わせる」操作を使用して、その原点に適合する基準面を有することができる。実施形態では、モデル41はまた、LVOT血液プール体積部のモデルを示すまたは含むことができることが理解されよう。少なくとも特定の実施形態では、モデル41の血液プール体積部の部分は、常に見えないように「隠される」ことができ、これは図10aに示される実施形態の場合である。
【0029】
また、図11aは、ステップ106で取得されたモデル46の少なくとも一部の実施形態を示しており、これは、大動脈面および僧帽面の表現43、44とともに、以前に植込まれた人工の僧帽弁の性質の対象の構造48のモデルを含むまたは示す(実施形態では、それぞれ大動脈面および僧帽面を表すスプライン34、40を備えてもよい)。上述の図10aと同様に、実施形態では、モデル46はまた、LVOT血液プール体積部のモデルを示すまたは含むことができることが理解されよう。少なくとも特定の実施形態では、モデル46の血液プール体積部の部分は、常に見えないように「隠される」ことができ、これは図11aに示される実施形態の場合である。
【0030】
いずれにしても、少なくともいくつかの実装では、取得したモデルに対する大動脈面および僧帽面の表現の配置は、ソフトウェアのプログラムによって完全に制御され、表現が配置される場所は、患者の心臓の対象の構造および/またはLVOTに対する患者の心臓の大動脈および僧帽弁輪の実際の位置に、少なくとも全般的に対応する。さらに、少なくともいくつかの実装形態では、ステップ106で取得されたモデルの少なくとも一部、および大動脈面および僧帽面の一方または両方の表現43、44は、例えば、システム20のディスプレイ装置24上に、システム10の使用者が見るために表示され得る。
【0031】
実施形態では、描写ステップ106の取得およびそれに伴う大動脈面および僧帽面の表現43、44の組み込みに続いて、方法100は、対象の構造を示す取得された描写(例えば、3Dモデル)の少なくとも1つの中の1つ以上の位置を指定するステップ108に移動することができ、指定された各位置は、人工弁が配置され得る対象の構造内のそれぞれの位置または場所に対応する。実施形態では、ステップ108は、人工装具デバイス(例えば、人工弁)の1つ以上のモデルまたは他の表現を、対象の構造を示す1つ以上の取得された描写にインポートし、1つ以上のインポートされたモデルのそれぞれを、描写に示されている対象の構造内のそれぞれの位置に配置することを含む。ただし、取得した描写の位置を指定する他の適切な方法を追加的または代替的に使用できることは理解されよう。したがって、当業者は、本開示が任意の特定の位置の指定方法に限定されないことを理解するだろう。本開示の目的のため、および以下により十分に説明されるように、取得された描写に示される対象の構造内の「位置」は、少なくともいくつかの実施形態では、軸に対する軸方向位置を暗示することを意図し、僧帽面に垂直、および/または少なくともいくつかの実施形態では僧帽面に垂直な軸に対する配向である。
【0032】
よりよく説明するために、図10bは、以前に植込まれた僧帽弁輪のモデル42を含むまたは示すモデル41と、この例では僧帽面44の表現に垂直に延びる軸50を示している。コンピュータ生成の弁モデル52がモデル41にインポートされ、僧帽弁輪モデル42内の特定の軸位置に配置される。この特定の図では、「50/50」の弁の位置は、弁モデルの約50%が、僧帽弁輪モデル42のいずれかの側に配置され、したがって、弁の約50%が左心房および左心室のそれぞれに延びることになることを意味する。
【0033】
同様に、図11bには、以前に植込まれた人工僧帽弁のモデル48と、この例では僧帽面44の表示に垂直に延びる軸54とを含むまたは示すモデル46が示されている。コンピュータ生成の弁モデル56がモデル46にインポートされ、以前に植込まれた人工弁のモデル48内の特定の軸方向位置に配置される。この図では、僧帽面44はモデル48の底部にオフセットしており、0%の位置を規定している。これは、弁モデルのどの部分もモデル48の境界を超えて延びていないことを意味する。次に、弁モデル56は、0%の位置をとるように、オフセット僧帽面44と位置合わせされる。
【0034】
いずれにしても、ステップ108でインポートされた弁モデルの配置は、僧帽面が固定エンティティの一部として使用され、弁モデルの一部が移動エンティティとして使用される面間アライメントツール/操作を使用するソフトウェアプログラムによって完全に制御されてもよい。しかし、システム20のユーザインターフェース装置26を使用する、使用者による手動を含む、弁モデルを配置する他の方法を、代わりに確実に使用できることを理解されたい。
【0035】
実施形態では、ステップ108の弁モデルのインポートまたは他の方法で取得された描写内の位置の指定に続いて、方法100は、例えば以下に説明するステップ110などの1つ以上の後続のステップに進むことができる。そのような実施形態では、ステップ108、およびいくつかの実施形態では、ステップ106および108がその後繰り返されて、対象の構造のモデル内の異なる位置を評価することができる。あるいは、他の実施形態では、方法100が後続のステップに移る前に、ステップ108を何度でも繰り返すことができる。例えば、ステップ108を繰り返して、1つ以上の追加の弁モデルを対象の構造のモデルにインポートし、各弁モデルを異なる位置に配置することができる。
【0036】
例として、図10cは、ステップ108が5回実行されて5つの異なる弁モデル52(すなわち、弁モデル52a~52e)を対象の構造のモデル42(すなわち、以前に植込まれた僧帽弁輪のモデル)にインポートする実施形態を示す。図10cはまた、LVOT血液プール体積部の一部のモデル58を示しているまたは、含んでいる。図示のように、各弁モデル52は、軸50に対して異なる軸方向位置に配置されている。例えば、第1の弁モデル52aは、図10bに関して上述した50/50の位置に配置され得る。第2の弁52bモデルは、弁が50/50の位置から左心室にさらに10%延びる位置(すなわち「60/40」位置)に配置されてもよい。第3の弁モデル52cは、弁が50/50の位置から心室にさらに20%延びる位置(すなわち「70/30」位置)に配置され得る。第4の弁モデル52dは、弁が50/50の位置から左心房内にさらに10%延びる位置(すなわち、「40/60」位置)に配置され得る。第5の弁モデル52eは、弁が50/50の位置から心房内にさらに20%延びる部分(すなわち、「30/70」位置)に配置され得る。図10cに見られるように、実施形態では、弁モデル52上のマーカーまたはインジケータを使用して、弁モデル52をそれらの対応する位置に配置することができる。例えば、各弁モデル52は、50/50、60/40、70/30などの位置に対応するマーカーまたはインジケータを有し得る。特定の位置に弁モデルを配置することが望ましい場合、弁モデル上の対応するマーカーは、僧帽面の表現44と位置合わせされる。
【0037】
図11cは、ステップ108が3回実行されて3つの異なる弁モデル56(すなわち、弁モデル56a~56c)を対象の構造のモデル48(すなわち、以前に植込まれた人工弁のモデル)にインポートする実施形態を示す。図11cはまた、LVOT血液プール体積部の一部のモデル60を示しているまたは含んでいる。示されるように、各弁モデル56は、軸54に対して異なる軸方向位置に配置される。例えば、第1の弁モデル56aは、図11bに関して上述した0%の位置に配置され得る。第2の弁モデル56bは、弁が0%の位置から左心室にさらに10%延びる位置に配置されてもよい。また、第3の弁モデル56cは、弁が0%の位置から心室にさらに20%延びる位置(すなわち、10%の位置よりも10%遠く)に配置されてもよい。図10cに関して上述したように、弁モデル56は、弁モデル52上のマーカーまたはインジケータを使用して、対応する位置に配置することができる。特定の位置に弁モデルを配置することが望ましい場合、弁モデル上の対応するマーカーは、モデル48の底部にオフセットされた僧帽面の表現44と位置合わせされる。
【0038】
したがって、ステップ108で任意の数の弁モデルをインポートすることができ、それらの弁モデルを、上記のものを含むがそれに確実に限定されない、対象の構造のモデル内の任意の数の異なる軸方向位置に配置できることが理解されよう。いずれにしても、方法100が次のステップに進む前にステップ108が1回以上繰り返される実施形態では、方法100は、所望の数の弁モデルがインポートされて対象の構造のモデルに配置される場合のみ、次のステップに進む。
【0039】
これまで、ステップ108の説明は、対象の構造の描写内の1つ以上の弁モデルの軸方向位置に関して1つ以上の仮想の弁の位置を指定することに関するものであったが、ステップ108は、追加または代替として、対象の構造の描写内の1つ以上の弁モデルの角度配向に関する1つ以上の位置を指定することを含んでいる。より詳細には、他の実施形態では、図10cの弁モデル52(すなわち、52a~52f)および図11cの弁モデル56(すなわち、56a~56c)のそれぞれは、それぞれの軸50、54に対して同軸に配置されていたが、ステップ108は、1つ以上の弁モデルがすべて同軸に配置されるのではなく、むしろ1つ以上の弁モデルが他の弁モデルの1つ以上と異なる角度配向を有し得るように1つ以上の弁モデルを配置することを含み得る。そのような実施形態では、弁モデルは、実装に応じて、同じ軸方向位置または1つ以上の異なる軸方向位置に配置されてもよい。
【0040】
よりよく説明するために、図12aおよび12bを参照する。図12aは、対象の構造のモデル62と、この例では僧帽面の表現44に垂直に延びる軸64とを描写している。コンピュータ生成の弁モデル66がモデル62にインポートされ、その特定の軸方向位置に配置される。図12bは、ステップ108が3回実行されて3つの異なる弁モデル66(すなわち、弁モデル66a~66c)を対象の構造のモデル62にインポートする実施形態を示す。図12bに示すように、各弁モデル66は、軸64および互いに対して異なる角度で配置されている。例えば、第1の弁モデル66aは、軸64に対してほぼゼロ度の角度で配置され得る。第2の弁モデル66bは、軸64に対して第1の非ゼロ角度で配置されてもよい。また、第3の弁モデル66cは、第1の非ゼロ角度とは異なる軸64に対する第2の非ゼロ角度で配置されてもよい。
【0041】
したがって、ステップ106で取得された1つ以上の描写の1つ以上の「位置」のステップ108での指定は、任意の数の形態をとることができ、したがって、本開示はいずれかの特定の形態に限定されるものではないことが理解される。さらに、実施形態では、ステップ108は、例えばシステム20のECU22によって自動的に実行され得る。しかし、他の実施形態では、ステップ108は、使用者によって少なくとも部分的に手動で実行されてもよい。例えば、ステップ106で取得されたモデルは、システム20のディスプレイ装置24に表示でき、使用者は、ユーザインターフェース装置26を使用して、弁モデルのインポートを命令し、弁モデルを所望の位置に移動することができる。したがって、本開示は、ステップ108を実行するいずれかの特定の方法に限定されることを意図していない。
【0042】
ステップ108に続いて、方法100は、ステップ108で指定された1つ以上の位置について、人工弁が実際の対象の構造内の対応する位置に実際に配置された場合に何が起こるかを評価するステップ110に進むことができる。例えば、実施形態では、ステップ110は、人工装具デバイスが実際の対象の構造内の対応する位置に実際に配置された場合に生じる患者の心臓のLVOTを通る血流の閉塞を評価することを含む。そのような実施形態では、評価は、ステップ108で指定された位置(例えば、軸方向位置、角度配向、またはその両方)の1つ以上について、人工弁が実際の対象の構造内の対応する位置に実際に配置された場合に生じる患者の心臓のLVOTを通る血流の閉塞を予測することを含むことができる。本開示の目的では、「対応する」という用語は、実際の対象の構造内の対応する位置に関連するため、実際の対象の構造内の位置が描写の指定された位置とまったく同じである場合、および位置が正確に同じであるわけではないが、本明細書にて説明された方法論を正確に実行するために当業者によって適切または許容されると見なされる特定の許容範囲(例えば、距離、角度など)内にある場合を含むことを意図する。以下により十分に説明するように、ステップ108で指定された所与の弁の位置について、ステップ110は、その指定された位置に対応するLVOTの血液プール体積部の断面積を判定し、次いでその判定された断面積に少なくとも部分的に基づいて、LVOTを通る血流の閉塞を評価(例えば、予測)することを含む。
【0043】
上記のような、ステップ106が対象の構造およびLVOT血液プール体積部を示す3Dモデルを取得することを含み、ステップ108がその対象の構造のモデルに1つ以上の弁モデルをインポートすることを含む実施形態では、ステップ110が、各弁モデルの位置(例えば、軸方向位置、角度配向、またはその両方)について、人工弁が実際の対象の構造内の対応する位置に実際に配置された場合に生じる患者の心臓のLVOTを通る血流の閉塞を評価する(例えば、予測すること)を含む。例示的な一実施形態では、所与の弁モデルの位置または他の指定された位置に対するステップ110の実行は、いくつかのサブステップを含むことがある。
【0044】
より詳細には、サブステップ112において、大動脈面の表現43またはその複製(例えば、表現43’)は、人工装具デバイスが指定された位置に配置されると血液プール体積部と交差する、取得されたモデルのポイントにオフセットされ得る。例えば、ステップ108で位置を指定するために弁モデルがインポートされる実施形態では、大動脈面の表現は、弁モデルが血液プール体積部と交差するポイントにオフセットされ得る。実施形態では、このポイントは、弁モデルが到達する血液プール体積部モデル内の最も遠いポイントを含む。例として、図10cは、対象の構造が以前に植込まれた僧帽弁輪であり、5つの弁モデル52が僧帽弁輪のモデル42にインポートされている実施形態を示している。5つの弁モデルの各々の位置について、大動脈面の表現(すなわち、表現43’a~43’e)は、対応する弁モデル52が血液プール体積部モデル58と交差するポイントにオフセットされる。図10cに見られるように、所与の弁モデルのこの特定の例における交点は、大動脈面の元の表現43、したがって大動脈弁輪に最も近い弁モデルの下端である。同様に、図11cは、対象の構造が参照番号48で表される以前に植込まれた人工弁である実施形態のサブステップ112を示す。また、図12bは、インポートされた弁モデル66が異なる角度で配置される実施形態のサブステップ112を同様に示す。
【0045】
評価される所与の弁モデル位置について上記のように大動脈面の表現がオフセットされると、ステップ110のサブステップ114は、特に大動脈面のオフセット表現に沿って、取得されたモデルおよびそこに示される血液プール体積部を区分または切断することを含む。次に、オフセット表現に沿った血液プール体積部の断面積(すなわち、「カットライン」)がサブステップ116で判定される。実施形態では、サブステップ114、116の一方または両方は、例えば、システム20のECU22によって自動的に実行され得る。しかし、他の実施形態では、サブステップの一方または両方が、使用者によって少なくとも部分的に手動で実行されてもよい。例えば、サブステップ114でモデルが区分または切断されると、サブステップ116は、例えばシステム20のディスプレイ装置24上で断面または切断面が見えるように切断体積部を回転させることを含むことができる。次いで、例えば、システム20のユーザインターフェース装置26を使用して、表面積が判定される表面を手動で選択することを含むことができる。次いで、表面積は、システム20のECU22によって自動的に判定され得る(例えば、計算される)。
【0046】
いずれにしても、表面積が判定されるカットラインに沿った断面積は、血液プール体積部の断面と、僧帽面とLVOTの間に配置される弁モデルの表面の一部の両方を含むことが理解されよう。したがって、実施形態では、ステップ110は、サブステップ116の前に実行することができ、取得したモデルを僧帽面に沿って区分または切断することを含むサブステップ(図示せず)をさらに含むことができる。いずれにせよ、サブステップ116で判定された表面積は、LVOT血液プール体積部の「遮られていない」、表面積または「人工弁のない」表面積と見なされ、以下では「第1の表面積」と呼ばれる。以下で説明するように、対象の構造内の対応する位置に配置された人工弁によって引き起こされるLVOTを通る血流の閉塞は、この第1の遮られていない表面積に少なくとも部分的に基づいて評価(例えば、予測)できる。図10d、11d、および12cのそれぞれは、ステップ110のサブステップ114、116の性能の例を示しており、図10dは、対象の構造が以前に植込まれた僧帽弁である実施形態を示し、図11dは、対象の構造が以前に植込まれた人工心臓弁である実施形態であり、図12cはステップ106で取得されたモデルにインポートされた弁モデルが異なる角度で配置されている実施形態である。
【0047】
サブステップ116での第1の遮られていない表面積の判定に続いて、ステップ110は、例えばブール減算を使用して、取得されたモデルに先にインポートされた1つ以上の弁モデルを除去するさらなるサブステップ118と、次いで、カットラインに沿った表面の第2の断面積をサブステップ120で判定することを含むことができる。取得したモデルから弁モデルが削除されたため、カットラインに沿った表面には血液プール体積部の断面のみが含まれ、この表面の表面積は「遮られた」表面または「人工弁付き」表面積と見なされる。図10e、11e、および12dのそれぞれは、ステップ110のサブステップ118、120の性能の例を示しており、図10eは、対象の構造が以前に植込まれた僧帽弁である実施形態を示し、図11eは、対象の構造が以前に植込まれた人工心臓弁である実施形態であり、図12dはステップ106で取得されたモデルにインポートされた弁モデルが異なる角度で配置されている実施形態である。
【0048】
実施形態では、サブステップ118、120の一方または両方は、例えば、システム20のECU22によって自動的に実行され得る。しかし、他の実施形態では、サブステップ118、120は、使用者によって少なくとも部分的に手動で実行されてもよい。例えば、サブステップ118に関連するため、システム20のディスプレイ装置24にモデルを表示することができ、使用者は、ユーザインターフェース装置26を使用して、除去するモデルの部分を選択することができ(例えば、弁モデル)、次いでその部分またはそれらの部分を削除するように指示する。それがサブステップ120に関連しているので、使用者は、例えばシステム20のユーザインターフェース装置26を使用して、表面積が判定される表面を手動で選択することができる。次いで、表面積は、システム20のECU22によって自動的に判定され得る(例えば、計算される)。したがって、本開示は、サブステップ118、120を実行するいずれかの特定の方法に限定されることを意図していない。
【0049】
いずれにしても、対象の構造内の対応する位置に配置された人工弁によって引き起こされるLVOTを通る血流の閉塞は、第2の判定された表面積に少なくとも部分的に基づいて評価(例えば、予測)できる。しかし、実施形態では、第1の表面積(すなわち、「人工弁のない表面積」または遮られていない表面積)から第2の表面積(すなわち、「人工弁付き」表面積または遮られた表面積)を差し引くことにより、および結果を第1の表面積で割ることにより、第1および第2の判定された表面積の両方に基づいて閉塞を評価(例えば、予測)することができる。結果は、閉塞されるLVOTの量、したがって、特定の弁の位置で引き起こされるLVOTを通る血流の閉塞の量を表すパーセンテージである。
【0050】
実施形態では、サブステップ118で弁モデルを除去する前に、ステップ110は、その中に配置された弁モデルを有するモデルを複製またはコピーして第2のモデルを作成し、次に第2のモデルを使用してサブステップ118、120を実行するサブステップを含むことができる。その後、両方のモデルを保存して、将来の使用に備えて、第1および第2の断面積を示すモデルを維持できる。
【0051】
複数の弁モデルがステップ106で取得したモデルにインポートされたため、複数の位置が評価されている場合、ステップ110は、例えば閉塞の予測が、一度に1つの弁の位置で実行されるように異なる弁の位置に対して一度に実行され得る。そのような場合、ステップ110の各反復に別々のモデルを使用することができる。あるいは、ステップ110の各サブステップは、ステップ110全体が一度だけ実行されるように、次のサブステップに進む前に、異なる弁の位置に対して実行されてもよい。そのような場合、評価されるそれぞれの弁の位置に個別のモデルを使用できる。
【0052】
上記のステップ110のサブステップは、多くの患者にとって血流の閉塞の良好な評価(例えば、予測)に至るが、特定の状況では、評価(例えば、予測)が他の人にとって望ましいレベルまたは量の精度を持たない場合がある。これらの状況には、例えば、患者の中に隔隆起などの特定の構造的異常がある状況が含まれる場合がある。この理由の1つは、少なくともいくつかのシナリオでは、大動脈面のオフセット表現の位置および/または配向が、閉塞された表面積が人工装具デバイス(例えば、インポートされた弁モデル)の指定された位置と心室壁の間の血液量の最小表面積ではない可能性があるということである。そのような場合、大動脈面のオフセット表現に沿って取られた表面積に基づく血流の閉塞の評価または予測は、完全に正確ではない場合がある。すべての患者の精度を改善するために、大動脈面のオフセット表現に沿って得られた表面積に厳密に基づいた血流の閉塞とは対照的に、ステップ110で最悪の場合の血流の閉塞を評価(例えば予測)することが有利な場合がある。最悪のシナリオが考慮されている実施形態では、また図4に示されているものとは異なるステップ110の別の例示的な実施形態を示す図15に示されているように、ステップ110は、大動脈面またはその複製のオフセット表現の配向(つまり、角度または角度の配向)と位置の一方または両方を操作する追加のサブステップ121を含むことができる。これは、例えば、オフセット表現(またはその複製)によって表される平面内に含まれる1つ以上の軸の周りで操作されているオフセット表現を回転させること、オフセット表現を、オフセット表現およびそれにより表現される平面を横切る軸またはその両方に沿って並進させることを含むことができる。
【0053】
例えば、サブステップ121は、オフセット表現(またはその複製)を操作して、それが1つ以上の所定のランドマークと整列するようにすることを含むことができる。所定のランドマークは、例えば、患者の心臓の骨格の一部を形成する(すなわち、心臓の弁下装置を僧帽弁に連結する)患者の心臓のトライゴン(trigone)などの患者の心臓の1つ以上の解剖学的構造を含み得る。例として、図16は、サブステップ112でオフセットされた実線の大動脈面のオフセット表現43’を描写している。(この実施形態では、大動脈面の表現43の複製は、表現43自体とは対照的にオフセットされているが、他の実施形態では、表現43はその複製ではなくオフセットされてもよい。)また、図16は、オフセット表現をモデルにおいてトライゴン(trigone)67と整列させるために、オフセット表現43’によって表される平面内に含まれる軸65の周りの回転の性質におけるオフセット表現43’(破線で示される)の配向の操作を示している。
【0054】
別の実施形態では、サブステップ121は、指定された位置/場所に配置された場合の人工装具デバイス(例えば、弁66)と心室の壁(つまり、人工弁間の血液量の表面積が最小になるポイント)間の最小距離に対応する取得された描写のポイントへオフセット表現(またはその複製)を操作することを含み得る。例として、図17は、サブステップ112でオフセットされた実線の大動脈面のオフセット表現43’を描写している。また、図17は、人工弁66と心室壁との間の最小距離に対応する取得された描写のポイントにオフセット表現をもたらすために、オフセット表現43’によって表される平面内に含まれる軸の周りの回転の性質におけるオフセット表現43’(破線で示される)の配向の操作を示している。
【0055】
さらに別の実施形態では、サブステップ121でオフセット表現を回転させるのではなく、大動脈面(またはその複製)のオフセット表現の位置は、オフセット表現を横切る軸に沿って並進することにより操作できる。例として、図18は、サブステップ112でオフセットされた実線の大動脈面のオフセット表現43’を描写している。また、図18は、人工弁66と心室壁との間の最小距離に対応する取得された描写のポイントにオフセット表現をもたらすために、オフセット表現によって表される平面を横切る軸69に沿った並進の性質におけるオフセット表現43’(破線で示される)の位置の操作を示している。
【0056】
特定の例では、サブステップ121での操作は、オフセット表現の配向または位置の操作の1つのみを含むのではなく、サブステップ121は、オフセット表現を回転および並進することによってオフセット表現の配向と位置の両方を操作して、指定された位置/場所に置かれた場合の人工装具デバイス(例えば、弁)と心室の壁(すなわち、人工弁間の血液体積部の表面積が最小になるポイント)との間の最小距離に対応する取得された描写のポイントにオフセット表現をもたらすことを含むことができる。例として、図19aは、サブステップ112でオフセットされた実線の大動脈面のオフセット表現43’を示している。図19aは、オフセット表現によって表される平面内に含まれる軸の周りの回転の性質におけるオフセット表現43’(破線で示される)の配向の操作も示す。図19bは、回転軸と、オフセット表現によって表される平面の両方を横切る軸69に沿った並進の性質におけるオフセット表現43’の位置のさらなる操作を示す。回転と並進の組み合わせにより、人工弁66と心室壁の間の最小距離に対応する取得された描写のポイントにオフセット表現43’がもたらされ、これは図19bに示される例では弁モデルの縁である。
【0057】
前述を考慮して、オフセット表現(またはその複製)は、多くの方法で、多くの目的のために操作できることが理解され、したがって、本開示は、いずれかの特定の方法に限定されることを意図しない。
【0058】
ステップ110がサブステップ121を操作するサブステップを含む実施形態では、サブステップ121が実行された後、ステップ110は、サブステップ114および116に進むことができ、サブステップ114は、特に、大動脈面の操作されたオフセット表現に沿って、取得されたモデルおよびそこに示される血液プール体積部を区分または切断することを含む。次に、操作されたオフセット表現に沿った血液プール体積部の断面積(すなわち、「カットライン」)がサブステップ116で判定される。次に、上述のようにサブステップ118および120を実行することができる。あるいは、サブステップ116~120のそれぞれを実行するのではなく、別の実施形態では、ステップ110はサブステップ116を含まず、サブステップ114からサブステップ118に直接移動し、その後、血液プール体積部の断面積が大動脈面の操作されたオフセット表現に沿って判定される。
【0059】
一部の実施形態では、大動脈面の操作オフセット表現に対応する単一のカットラインに沿って、取得したモデルを区分または切断することに加えて、モデルを1つ以上の他のカットラインに沿って区分または切断してもよい。例えば、モデルは、サブステップ114で大動脈面の元のまたは非操作のオフセット表現に沿って区分または切断されてもよい。そのような実施形態では、サブステップ116は、操作されたオフセット表現と元のオフセット表現の両方に沿って血液プール体積部の断面積を判定し、多平面断面積を判定することを含み得る。次に、サブステップ118および120を実行して、各カットラインに沿った閉塞された断面積を判定し、次いで、それらの閉塞された断面積を合計して、合計の多平面断面積を判定できる。あるいは、別の実施形態では、操作されたオフセット表現および元のオフセット表現のそれぞれに対してサブステップ116~120のそれぞれを実行するのではなく、ステップ110はサブステップ116を含まず、サブステップ114からサブステップ118に直接移動し、次に血液プール体積部の断面積は、操作されたオフセット表現と元のオフセット表現のカットラインのそれぞれに沿って判定される。次に、2つの断面積を合計して、総断面積を判定することができる。
【0060】
例として、図20~21bは、一対のカットラインを利用することにより多平面の表面積を判定する例を示している。図20は、サブステップ112でオフセットされた大動脈面のオフセット表現43’と、サブステップ121で操作された図20~21bの参照番号43’’で示されたオフセット表現の複製を示している。実施形態では、次いで、サブステップ114およびステップ116~120の一部または全部が各カットラインに対して実行され、次いで、各カットラインに対してステップ120で判定された表面積が合計されて、総多平面断面積が判定される。次に、その総多平面表面積を使用して、血流の閉塞を予測することができる。
【0061】
より具体的には、図21aは、オフセット表現43’のカットラインに沿った閉塞表面領域71を示し、図21bは、操作されたオフセット表現43’’に沿った閉塞表面領域73を示す。次いで、表面積71および73を合計して総表面積を判定し、本明細書の他の箇所で説明するように血流の閉塞を予測するために使用することができる。
【0062】
上記の説明は、2つのカットラインを使用して多平面断面積を判定することに関するものであるが、他の実施形態では、大動脈面のオフセット表現(またはそれらの1つ以上の複製)を操作することにより、3つ以上のカットラインを規定でき、それらのカットラインの一部またはすべてに沿った断面積を使用して、多平面の総断面積を判定することができることを理解されたい。例えば、図22は、オフセット大動脈面の複数の複製が1つ以上の方法(例えば、並進、回転、または両方)で個別に操作され、それらの操作されたオフセット表現の一部またはすべてに沿った断面積、または「カットライン」は、多平面の総断面積を判定するために使用される実施形態を示す。別の実施形態では、オフセット大動脈面を複数回複製するのではなく、大動脈面を複数回複製し、次いで各複製物を上記のようにオフセットおよび操作することができる。
【0063】
いずれにせよ、ステップ110で判定された総断面積を使用して、血流の閉塞を評価し、後述するように、人工弁を配置する位置を判定することができる。
【0064】
上記を考慮して、複数のカットラインに沿って断面積が判定されて多平面表面積を判定する場合、実施形態において、ステップ110は、大動脈面のオフセット表現を1回以上複製して、元のオフセット表現と複製オフセット表現の1つ以上を操作できるが、元のオフセット表現と複製オフセット表現の少なくとも1つは操作できないようにすることも含むことができることが理解されるであろう。さらに、上述のサブステップ114および116と同様に、サブステップ121の操作は、例えばシステム20のECU22によって自動的に実行できることが理解されよう。しかし、他の実施形態では、サブステップ121は、使用者によって手動で少なくとも部分的に実行されてもよい。例えば、大動脈面のオフセット表現の操作は、使用者が手動で実行できる。そのような実施形態では、大動脈面のモデルおよびオフセット表現は、例えばシステム20のディスプレイ装置24に表示されてもよく、サブステップ121は、例えば、システム20のユーザインターフェース装置26を使用してオフセット表現(またはその複製)を手動で操作することを含んでもよい。
【0065】
ステップ110に含まれる特定のサブステップに関係なく、ステップ108で指定された1つ以上の位置のそれぞれ、または少なくとも特定の数のその位置またはそれらの位置が評価されると、方法100は、判定される1つ以上の断面積に少なくとも部分的に基づいて人工装具デバイスを実際に配置する対象の構造内の位置または場所、および/またはステップ110での実行された血流の閉塞評価を判定するステップ122に進むことができる。例えば、ステップ122は、人工装具デバイスが特定の位置/場所に配置された場合に血流の閉塞が最小に発生する可能性のある位置または場所を判定することを含むことができる。
【0066】
実施形態では、心周期の拡張期および収縮期の1つについてステップ102~122が実行されると、他の拡張期および収縮期について方法100を繰り返すことができ、ステップ110からの予測および/またはステップ122からの判定を一緒に使用して、その特定の患者の人工装具を配置するための最適な位置(すなわち、軸方向の位置および/または配向)を判定することができる。
【0067】
上記に加えて、人工弁が対象の構造内の特定の場所または位置にあるときに、LVOTの血液プール体積部の断面積(つまり、前述の第2の閉塞表面積)を知ることにより、対象の他のパラメータの判定または評価も可能にすることもできる。例えば、患者の1回拍出量情報も利用できる場合、LVOTが所定の位置にある人工弁で経験するピーク速度(cm/sec)の増加は、1回拍出量(ml/sec)をLVOT面積(mm)で割ることによって判定できる。
【0068】
図13を参照すると、患者の身体の解剖学的領域に位置する対象の構造内の植込み型人工装具デバイスの配置を評価する方法(方法200)の別の例示的な実施形態が示されている。上述の実施形態(すなわち、方法100)と同様に、人工装具デバイスは、例えば、人工心臓弁であり得、実施形態では、人工僧帽弁であり得る。したがって、実施形態では、対象の構造が位置する解剖学的領域は、少なくとも部分的に患者の心臓(またはその少なくとも一部、例えば、左心房、左心室、大動脈、および患者の心臓のLVOTの1つ以上)を含み得る。例示の目的で、以下の説明は、主に人工僧帽弁の配置の評価に関するものである。しかし、本明細書で説明される方法論は、他の人工装具デバイスの配置を評価するために使用できることが理解されよう。
【0069】
少なくともいくつかの実施形態では、方法200のすべてのステップは、好適または適切に構成されたシステム、例えば、限定されないが、上記のシステム20によって、単独で、または使用者(例えば、医師)からの入力とともに、実行されるまたは行われてもよい。しかし、他の実施形態では、特定のステップが1つのシステム(例えばシステム20)によって実行され、他のステップが1つ以上の他の適切なシステムによって実行され得るように、いくつかのステップが、異なるシステムによって実行されるまたは行われてもよい。例示の目的のために、以下の説明は、主に、方法200が単独で、または使用者入力とともに上記のシステム20によって実行される実施形態に関するものである。しかし、本開示はそのような実施形態に限定されないことが理解されよう。さらに、特記しない限り、方法200の実行は、ステップの任意の1つの特定の順序またはシーケンス、またはステップを実行する任意の特定の構成要素に限定されることを意図していないことを理解されたい。
【0070】
実施形態では、方法200は、対象の構造を含む患者の身体の対象の解剖学的領域の1つ以上の描写を取得するステップ202を含み、それにおいて1つ以上の描写の各々は、対象の構造、患者の心臓の血液プール体積部(LVOT)、またはその両方を示している。実施形態では、1つ以上の描写は、それぞれが解剖学的対象領域の少なくとも一部を示す1つ以上の画像を含む。これらの画像は、メモリデバイス、例えばシステム20のメモリデバイス30から取得することができる。あるいは、画像は、画像データ、例えば、限定ではないが、CT画像データからそれらを生成することにより取得されてもよい。本明細書ではCT画像データを具体的に特定しているが、例えば、上記で特定した1つ以上のモダリティなど、CT以外の撮像モダリティに対応する画像データをCT画像データに加えて、またはCT画像データの代わりに使用できると考えられる。
【0071】
いずれにしても、実施形態では、ステップ202は、対象の解剖学的領域に対応する医療ダイコム(DICOM)データセットにおける3次元デジタル撮像および通信を取得することを含むことができる。このデータセットは、多平面再フォーマット(MPR)技術を使用して処理され、矢状面、冠状面、および軸方向面に沿って2D画像またはビューのセットを生成または取得できる。これらの画像またはビューは、その後、下に説明するように使用できる。例えば、図14aは、矢状面に沿って撮影された対象の解剖学的領域の取得画像を示し、とりわけ、図14aの参照番号68で表されるLVOTの血液プール体積部の断面積を示す。軸方向面および冠状面をそれぞれ表す平面インジケータ70、72も図14aに示されている。図14bは、冠状面に沿って撮影した図14aに示す同じ対象の解剖学的領域の取得画像を示し、他の構造の中でも特に、左心房74、左心室76、LVOT78、大動脈80、および対象の構造82を示し、この例では、それは患者の生来の僧帽弁である。軸方向面および矢状面を表す平面インジケータ70、84も示されている。この特定の実施形態では、逆最大強度投影イメージングを使用して、図14aおよび14bの画像を生成し、各心臓構造の血液プール体積部を暗くし、周囲の組織を明るくして、例えばLVOTの血液プール体積部の明確な交差をより明確に描写する。いずれにせよ、画像データとそれに対応する画像は、患者の心周期の拡張期と収縮期の両方で取得できる。
【0072】
ステップ202で描写(すなわち画像)が取得されると、方法200は、LVOTの血液プール体積部の遮られていない断面積を判定するステップ204に進むことができる。この表面積は、人工弁モデルまたは表現が取得された画像にインポートされていないため、または仮想的な弁の位置が取得された画像に指定されていないため、遮られないと見なされ、したがって、LVOTは人工弁モデルによって実際に「遮られない」。実施形態では、LVOT血液プール体積部の断面を示す解剖学的対象領域の矢状ビューを使用して、この遮られていない断面積を判定することができる。ステップ204は、例えば、システム20のECU22により自動的に実行され得る。あるいは、ステップ204は、システム20のユーザインターフェース装置26を介して行われた1つ以上の使用者入力と併せてECU22によって実行されてもよい。例えば、図14aに示されるような画像がシステム20のディスプレイ装置24に表示でき、使用者はユーザインターフェース装置26を使用して、LVOT血液プール体積部の断面(図14aに参照番号68で表される)に対応する画像の部分を輪郭付与または選択することができる。したがって、LVOT血液プール体積部の第1の断面積は、いくつかの方法で判定することができ、したがって、本開示は、いずれかの特定の実施方法に限定されるものではないことを理解されたい。いずれにしても、以下により詳細に説明されるように、この第1の断面積は、方法200の後続のステップで使用されてもよい。
【0073】
ステップ202に続き、少なくともいくつかの実施形態では、ステップ202およびステップ204において、方法200は、対象の構造を示す取得された描写(例えば、画像)の少なくとも1つの中の1つ以上の位置を指定するステップ206を含むことができ、指定された各位置は、人工弁が配置され得る対象の構造内のそれぞれの位置または場所に対応する。実施形態では、ステップ206は、1つ以上のモデルまたは人工弁の他の表現を取得された画像の少なくとも1つにインポートし、1つ以上のインポートされたモデルのそれぞれを、画像に表示される対象の構造内のそれぞれの位置に配置することを含むことができる。別の実施形態では、ステップ206は、使用者が、取得された画像のうちの1つ以上の対象の構造内で人工弁の一部がとることができる位置を手動で描くまたは追跡することを含み得る。例えば、図14bは、人工弁のフレームの一部を表す指定または表現86を示しており、指定86は、患者の心臓の僧帽弁輪に対応し、LVOTまで延びる画像の領域に挿入される。いずれにしても、本開示は、取得された画像内の位置を指定するいずれかの特定の方法に限定されることを意図するものではなく、むしろ任意の適切な方法を使用できることが理解されよう。
【0074】
ステップ206に続いて、方法200は、ステップ206で指定された1つ以上の位置について、人工弁が実際の対象の構造内の対応する位置に実際に配置された場合に何が起こるかを評価するステップ208に進むことができる。例えば、一実施形態では、ステップ208は、人工装具デバイスが実際の対象の構造内の対応する位置に実際に配置された場合に生じる患者の心臓のLVOTを通る血流の閉塞を評価することを含む。そのような実施形態では、評価は、1つ以上の取得された画像の少なくとも1つで指定された位置に対応する対象の構造において人工弁が所定の位置に配置された場合に生じる患者の心臓のLVOTを通る血流の閉塞の量を、1つ以上の指定された位置の少なくとも1つについて、予測することを含むことができる。実施形態では、ステップ208はいくつかのサブステップを含むことができる。
【0075】
例えば、例示的な実施形態では、ステップ208は、冠状面に沿って撮影された画像内の軸方向面および矢状面インジケータの両方を、人工弁の指定された位置の一部がLVOT血液プール体積部と交差するポイントに位置合わせするサブステップ210を含み得る。実施形態では、このポイントは、弁モデル指定が到達する血液プール体積部内の最も遠いポイントに対応し得る。例えば、図14bに示すように、軸方向面インジケータ70および矢状面インジケータ84は両方とも、僧帽弁輪から最も遠く、LVOT内に最も遠く配置される弁位置指定86の端部と位置合わせされる。実施形態では、軸方向面および矢状面インジケータが位置合わせされると、サブステップ210は、軸方向インジケータ70が左心室と大動脈との間に延びるLVOTの縦軸88に平行になるように、また、矢状面インジケータ84が左心室の反対側の基底前中隔壁90に垂直になるように、平面インジケータの交差を角度付けすることをさらに含むことができる。この実例を図14bに示す。その後、実施形態では、交差、したがって平面インジケータを角度付けして、最小のLVOT表面積を得ることができる。平面インジケータの角度付けの量は患者に特異的であり、例えば、患者の前中隔壁の角度付けに基づく。本開示の目的のために、軸方向面インジケータをLVOTの長手方向軸と方向付けるという文脈における「平行」という用語は、平面インジケータが長手方向軸と正確に平行である場合、ならびに平面インジケータは正確に平行ではないが、それにもかかわらず、本明細書に記載の方法論を正確に実行するために当業者によって適切または許容されると見なされる特定の許容範囲内にある(例えば、軸に対して0~10度)場合を含むことを意図している。同様に、本開示の目的のために、矢状面インジケータを反対側の基底前中隔壁に向ける文脈における「垂直」という用語は、平面インジケータが前中隔壁と正確に垂直である場合、および平面インジケータは正確に垂直ではないが、それにもかかわらず、本明細書に記載の方法論を正確に実行するために当業者によって適切または許容されると見なされる特定の許容範囲内にある(例えば、前中隔壁に正確に垂直な平面に対して0~10度)場合を含むことを意図している。
【0076】
実施形態では、サブステップ210は、システム20のECU22によって自動的に実行されてもよい。一方、他の実施形態では、それは、例えば、ユーザインターフェース装置26を使用して使用者により提供される入力とともに、ECU22により実行されてもよい。したがって、本開示は、サブステップ210を実行するいずれかの特定の方法に限定されることを意図していない。
【0077】
サブステップ210における位置指定と平面インジケータの位置合わせに続いて、ステップ208は、ステップ208の1つ以上の弁位置の指定後に残っているまたは保存されているLVOTの血液プール体積部の断面積を判定するさらなるサブステップ212を含むことができる。言い換えれば、サブステップ212は、LVOT血液プール体積部の「閉塞された」断面積を判定することを含む。実施形態では、矢状面に沿って撮影され、LVOT血液プール体積部の断面を、サブステップ210で冠状面に沿って撮影された画像内で位置合わせされた軸方向面インジケータの位置および配向と一致する軸方向面インジケータとともに示す、対象の解剖学的領域の画像は、閉塞された表面領域を判定するために使用され得る。
【0078】
例えば、図14cは、矢状面に沿って撮影された解剖学的対象領域の画像を示しており、とりわけ、LVOTの血液プール体積部の断面積を示し、軸方向面インジケータ70が、図14bの軸方向面インジケータ70の位置および配向に一致して向けられている。そのような実施形態では、LVOT血液プール体積部の保存されたまたは遮られていない断面積は、軸方向面インジケータ70の間のLVOT血液プール体積部の断面の部分の表面積を計算することによって判定され得る。それは、人工弁および基底前中隔の指定された位置を表す。対象領域は、図14cの参照番号92で表されている。上述のステップの1つ以上と同様に、サブステップ212は、例えばシステム20のECU22により自動的に実行され得る。あるいは、サブステップ212は、システム20のユーザインターフェース装置26を介して行われた1つ以上の使用者入力と併せてECU22によって実行されてもよい。例えば、図14cに示すような画像がシステム20のディスプレイ装置24に表示でき、使用者は、ユーザインターフェース装置26を使用して、LVOT血液プール体積部の保存された断面積(図14cの参照番号92で表される)に対応する画像の部分を輪郭付与または選択することができる。したがって、LVOT血液プール体積部の保存または閉塞された断面積は、いくつかの方法で判定することができ、したがって、本開示はいずれかの特定の実施方法に限定されることを意図していないことが理解されよう。
【0079】
サブステップ212で閉塞された断面積が判定されると、対象の構造内の対応する位置に配置された人工弁によって引き起こされるLVOTを通る血流の閉塞は、閉塞された断面積に少なくとも部分的に基づいて評価(例えば、予測)できる。しかし、実施形態では、ステップ204で判定された遮られていない断面積と、ステップ208のサブステップ212で判定された保存されたまたは遮られた断面積の両方に基づいて、閉塞を評価(例えば、予測)することができる。より具体的には、実施形態では、閉塞された表面積を遮られていない表面積から差し引き、結果を遮られていない表面積で割ることができる。結果は、閉塞されるLVOTの量、したがって、特定の弁の位置で引き起こされるLVOTを通る血流の閉塞の量を表すパーセンテージである。
【0080】
いずれにしても、ステップ206で指定された1つ以上の位置のそれぞれ、または少なくとも特定の数のその位置またはそれらの位置がステップ208で評価されると、方法100は、対象の構造内の位置または場所を判定するステップ214に進むことができ、そこにおいて、判定された1つ以上の断面積および/または実行された評価に少なくとも部分的に基づいて人工装具デバイスを実際に配置する。
【0081】
実施形態では、心周期の拡張期および収縮期の1つについてステップ202~214が実行されると、他の拡張期および収縮期について方法200を繰り返すことができ、ステップ208からの予測および/またはステップ214からの判定を一緒に使用して、その特定の患者の人工装具を配置するための最適な位置(すなわち、軸方向の位置および/または配向)を判定することができる。
【0082】
上記は、本発明の1つ以上の実施形態の説明であることを理解されたい。本発明は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されず、むしろ特許請求の範囲によってのみ規定される。さらに、前述の説明に含まれる記述は特定の実施形態に関するものであり、用語またはフレーズが上記で明示的に規定されている場合を除き、本発明の範囲または特許請求の範囲で使用される用語の規定に対する制限として解釈されるべきではない。開示された実施形態に対する様々な他の実施形態ならびに様々な変更および修正が、当業者には明らかになろう。そのような他のすべての実施形態、変更、および修正は、添付の特許請求の範囲内に入ることを意図している。
【0083】
本明細書および請求項で使用されている場合、「e.g.(例えば)」、「for example(例えば)」、「for instance(例えば)」、「such as(~など)」、および「like(~のような)」という用語、ならびに「comprising(~を含む)」、「having(~を有する)」「including(~を含む)」などの動詞、その他の動詞の形式は、1つ以上のコンポーネントまたは他の項目の列挙と組み合わせて使用される場合、それぞれオープンエンドと解釈される。つまり、列挙は他の追加のコンポーネントまたは項目を除外するものと見なされない。他の用語は、異なる解釈を必要とする文脈で使用されない限り、最も広い合理的な意味を使用して解釈される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図11a
図11b
図11c
図11d
図11e
図12a
図12b
図12c
図12d
図13
図14a-14b】
図14c
図15
図16
図17
図18
図19a
図19b
図20
図21a
図21b
図22
【国際調査報告】