(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(54)【発明の名称】中間厚さのNO電磁鋼帯を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
C22C 38/00 20060101AFI20220210BHJP
C22C 38/52 20060101ALI20220210BHJP
C21D 8/12 20060101ALI20220210BHJP
C21D 9/46 20060101ALI20220210BHJP
H01F 1/147 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
C22C38/00 303U
C22C38/52
C21D8/12 A
C21D9/46 501A
H01F1/147 175
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520329
(86)(22)【出願日】2018-10-15
(85)【翻訳文提出日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2018078053
(87)【国際公開番号】W WO2020078529
(87)【国際公開日】2020-04-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510041496
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Steel Europe AG
【住所又は居所原語表記】Kaiser-Wilhelm-Strasse 100,47166 Duisburg Germany
(71)【出願人】
【識別番号】501186597
【氏名又は名称】ティッセンクルップ アクチェンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】ThyssenKrupp Allee 1 45143 Essen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,オラフ
(72)【発明者】
【氏名】テルガー,カール
(72)【発明者】
【氏名】ヴィドヴィチ,アントン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンクラー,ニーナ・マリア
【テーマコード(参考)】
4K033
5E041
【Fターム(参考)】
4K033AA01
4K033CA00
4K033CA01
4K033CA04
4K033CA05
4K033CA06
4K033CA07
4K033CA08
4K033CA09
4K033EA02
4K033FA00
4K033FA13
4K033HA03
4K033HA04
4K033HA06
4K033JA01
4K033KA00
4K033RA03
4K033SA01
4K033SA03
5E041AA02
5E041BD09
5E041CA04
5E041NN01
(57)【要約】
本発明は、少なくとも以下の方法ステップ:(A)熱間圧延された、別々にアニーリン
グされていてもよい無方向性電磁鋼帯の提供、(B)第1の冷間鋼帯を得るための、0.
5~0.8mmの厚さへのステップ(A)からの電磁鋼帯の冷間圧延、(C)中間アニー
リングされた第1の冷間鋼帯を得るための、700~1100℃の温度でのステップ(B
)からの第1の冷間鋼帯の中間アニーリング、(D)第2の冷間鋼帯を得るための、0.
24~0.36mmの厚さへのステップ(C)からの中間アニーリングされた第1の冷間
鋼帯の冷間圧延、および(E)無方向性電磁鋼帯を得るための、900~1100℃の温
度でのステップ(D)からの第2の冷間鋼帯の最終アニーリングを含む無方向性電磁鋼帯
を製造するための方法、ならびに対応して得られた無方向性電磁鋼帯およびその使用に関
する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の組成およびテクスチャ(すべての数値は重量%):
2.1~3.6のSi、
0.3~1.2のAl、
0.01~0.5のMn、
最大0.05のCr、
最大0.005のZr、
最大0.04のNi、
最大0.05のCu、
最大0.005のCu、
最大0.005の少なくとも1つの希土類金属、
最大0.005のCo、
残部のFeおよび不可避的不純物、
を有し、
加えて、
I
ε,{554}<225>-I
ζ,{110}<001>≦3、
ここで、
I
ε,{554}<225>およびI
ζ,{110}<001>は、以下の意味を有す
る:
I
ε,{554}<225>は、φ
1=90°、φ
2=45°、およびΦ=60°、な
らびに方位{554}<225>でのオイラー空間における方位密度f(g)のε繊維の
強度Iであり、
I
ζ,{110}<001>は、φ
1=0°、φ
2=0°、およびΦ=45°、ならび
に方位{110}<001>でのζ繊維のオイラー空間における方位密度f(g)の強度
Iである
ことを特徴とする、無方向性電磁鋼帯。
【請求項2】
0.24~0.36mmの最終厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の無方
向性電磁鋼帯。
【請求項3】
2500A/mおよび50Hzでの分極J
2500/50ならびに1.5Tおよび50
Hzでの磁気損失P
1.5/50は、最終熱処理後に以下の関係:
ベル熱処理されていない熱間圧延帯材料の場合:J
2500/50>-0.045*P
15/50
2+0.3*P
15/50+1.085(1)
ベル熱処理された熱間圧延帯材料の場合:J
2500/50>-0.045*P
15/
50
2+0.28*P
15/50+1.165(2)
を満たすことを特徴とする、請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼帯。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の無方向性電磁鋼帯を製造するためのプロセスであ
って、少なくとも以下のプロセスステップ:
(A)好ましくは連続鋳造プラントを介した従来の製造ルートによる、または1~4m
mの厚さの薄スラブ製造による、熱間圧延された、別々に熱処理されていてもよい無方向
性電磁鋼帯の提供、
(B)第1の冷間圧延帯を得るための、0.5~0.8mmの厚さへのステップ(A)
からの前記電磁鋼帯の冷間圧延、
(C)中間熱処理された第1の冷間圧延帯を得るための、700~1100℃の温度で
のステップ(B)からの前記第1の冷間圧延帯の中間熱処理、
(D)第2の冷間圧延帯を得るための、0.24~0.36mmの厚さへのステップ(
C)からの前記中間熱処理された第1の冷間圧延帯の冷間圧延、および
(E)前記無方向性電磁鋼帯を得るための、900~1100℃の温度でのステップ(
D)からの前記第2の冷間圧延帯の最終熱処理
を含む、プロセス。
【請求項5】
ステップ(C)は、連続炉内で、またはベル熱処理として実行されることを特徴とする
、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップ(B)の前記冷間圧延は、30~90%の冷間圧延の程度で実行されることを
特徴とする、請求項4または5に記載のプロセス。
【請求項7】
ステップ(D)の前記冷間圧延は、30~90%の冷間圧延の程度で実行されることを
特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
熱間圧延帯ベル熱処理が、ステップ(A)において640~900℃の最大温度で実行
されることを特徴とする、請求項4~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか一項に記載のプロセスによって製造される、無方向性電磁鋼帯
。
【請求項10】
回転電気機械の鉄心、特に電気モータおよび発電機における、請求項1~3のいずれか
一項に記載の無方向性電磁鋼帯の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の組成およびテクスチャを有する無方向性電磁鋼帯、および少なくとも
以下のプロセスステップを含むその製造プロセスに関する:(A)好ましくは連続鋳造プ
ラントを介した従来の製造ルートによる、または1~4mmの厚さの薄スラブ製造による
、熱間圧延された、別々に熱処理されていてもよい無方向性電磁鋼帯の提供、(B)第1
の冷間圧延帯を得るための、0.5~0.8mmの厚さへのステップ(A)からの電磁鋼
帯の冷間圧延、(C)中間熱処理された第1の冷間圧延帯を得るための、700~110
0℃の温度でのステップ(B)からの第1の冷間圧延帯の中間熱処理、(D)第2の冷間
圧延帯を得るための、0.24~0.36mmの厚さへのステップ(C)からの中間熱処
理された第1の冷間圧延帯の冷間圧延、および(E)無方向性電磁鋼帯を得るための、9
00~1100℃の温度でのステップ(D)からの第2の冷間圧延帯の最終熱処理。
【背景技術】
【0002】
無方向性(NO)電磁鋼帯は、回転電気機械の鉄心、すなわちモータおよび発電機の磁
束を増加させるために使用される。将来の高効率電気機械、例えば電気乗り物の牽引駆動
用の高速回転を有する電気モータは、高周波数での磁気損失が低く、かつ高透磁率での磁
気分極または誘導が高い特定のタイプのNO電磁鋼帯を必要とするであろう。
【0003】
ここで問題のタイプの電磁鋼帯または板から製造された構成要素は、上述の磁気特性を
必要とするが、今日利用可能なNO電磁鋼帯のタイプでは満たされない場合があり得る。
無方向性電磁鋼帯およびその製造のための2段階プロセスは、先行技術からすでに知られ
ている。
【0004】
したがって、国際公開第2015/170271号は、例えば、厚さの関数として損失
が低く、鉄および不可避的不純物を除いて、(重量%で)0.001~0.01%のC、
1.8~6.0%のSi、0.2~4.0%のAl、0.2~3.0%のMn、0.00
05~0.01%のS、0.001~0.01%のNを含み、Mn含有量対S含有量の比
が100を超え、Al含有量対N含有量の比が200を超える鋼で作製されるNO電磁鋼
帯または板を記載している。そのような組成を有する鋼は、20mm以上の厚さを有する
スラブを与えるように鋳造され、これは、1000~1330℃の範囲で再加熱されてい
てもよく、続いて1300~700℃の範囲で熱間圧延され、2.5~12mmの厚さの
熱間圧延帯を得るために、70~99%の変形度を有する熱間圧延帯を与える。熱間圧延
帯は、少なくとも80%の総変形度で冷間圧延される。第1の冷間圧延ステップは、30
0℃未満の温度で20~70%の変形度で実行される。冷間圧延帯は、10~900秒の
時間、700~1100℃で中間熱処理される。これに続いて、20~70%の範囲の変
形度での0.15~0.5mmの最終厚さへの第2の冷間圧延ステップが行われる。第2
の冷間圧延ステップは、追加の熱処理で3回繰り返すことができる。得られた冷間圧延帯
は、続いて再結晶熱処理され、そこでは10~900秒の時間、少なくとも800℃の温
度で、しかし1200℃未満の熱処理温度で熱処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の先行技術に照らして、本発明の目的は、改善されたテクスチャによって達成され
る、低い磁気損失を示し、同時に高い分極値を示す電気技術的用途のためのNO電磁鋼帯
または板およびそのような板または帯から製造された構成要素を提供することであった。
これらの低い磁気損失は、1.5Tおよび50Hz、ならびに高い分極値J2500およ
びJ5000の標準化された条件下で達成する必要があるが、低い磁気損失は、例えば、
400Hz、700Hz、1000Hz以上のより高い基本周波数でも達成する必要があ
る。これらの低い磁気損失および高い分極は、特に、ケイ素含有量が2.1~3.4重量
%のSiを有する無方向性電磁鋼帯によって示される必要がある。
【0007】
加えて、特に最終厚さが薄い場合、良好な加工性を有するそのようなNO電磁鋼帯また
は板を製造するためのプロセスが示されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的は、本発明による無方向性電磁鋼帯によって、および少なくとも以下のプ
ロセスステップを含むその製造プロセスによって達成される:
(A)好ましくは連続鋳造プラントを介した従来の製造ルートによる、または1~4m
mの厚さの薄スラブ製造による、熱間圧延された、別々に熱処理されていてもよい無方向
性電磁鋼帯の提供、
(B)第1の冷間圧延帯を得るための、0.5~0.8mmの厚さへのステップ(A)
からの電磁鋼帯の冷間圧延、
(C)中間熱処理された第1の冷間圧延帯を得るための、700~1100℃の温度で
のステップ(B)からの第1の冷間圧延帯の中間熱処理、
(D)第2の冷間圧延帯を得るための、0.24~0.36mmの厚さへのステップ(
C)からの中間熱処理された第1の冷間圧延帯の冷間圧延、および
(E)無方向性電磁鋼帯を得るための、900~1100℃の温度でのステップ(D)
からの第2の冷間圧延帯の最終熱処理。
【0009】
機械の磁気損失を低減し、分極を増加させるために、最適なテクスチャを有する非常に
薄い電磁鋼帯または板が求められている。最適なテクスチャは、この場合、冷間圧延中の
中間熱処理を伴う2段階製造による電磁鋼帯における粒子の方位のプロセス関連の設定に
よって達成され、その結果、粒子は、金属板の平面での磁気反転に対してエネルギー的に
好ましい結晶学的方向を有する。第2の圧延ステップでの脱硬化構造により、中間厚さの
2段階冷間圧延プロセスは、高度にケイ化された電磁鋼帯のより薄い最終厚さの単純化さ
れた、場合によってはより正確な製造を可能にする。
【0010】
本発明のプロセスの個々のステップは、以下に詳細に説明される:
本発明のプロセスのステップ(A)で提供されるような対応する無方向性電磁鋼帯は、
それ自体、当業者に知られている。ステップ(A)で提供される無方向性電磁鋼帯の厚さ
は、好ましくは1~4mm、特に好ましくは1.5~2.4mmである。
【0011】
一般に、当業者に知られている任意の無方向性電磁鋼帯を使用することが可能である。
ステップ(A)で提供される無方向性熱間圧延帯は、好ましくは、以下の組成(すべての
数値は重量%)を有する:
2.1~3.6のSi、
0.3~1.2のAl、
0.01~0.5のMn、
最大0.05のCr、
最大0.005のZr、
最大0.04のNi、
最大0.05のCu、
最大0.005のC、
最大0.005の少なくとも1つの希土類金属、
最大0.005のCo、
残部のFeおよび不可避的不純物。
【0012】
本発明の目的のために好ましくは使用される鋼分析は、2.1~3.6重量%、好まし
くは2.7~3.4重量%の量のSiを含む。本発明の無方向性電磁鋼帯において、Si
は、比電気抵抗を増加させ、磁気損失を低減する効果を有する。Siの最小量は、場合に
よっては比電気抵抗が低すぎるため磁気損失が高すぎ、オーステナイト-フェライト相変
態を回避する必要があるため、少なくとも2.1重量%である必要がある。3.6重量%
を超えるSiが本発明を実施するために使用される場合、成形性が低下し、磁束密度が大
幅に低減される。
【0013】
本発明に従って好ましくは使用される鋼分析は、0.3~1.2重量%、好ましくは0
.3~0.75重量%の量のAlを含む。本発明の無方向性電磁鋼帯において、Alは、
同様に比電気抵抗を増加させる効果を有する。Alの最小量は、場合によっては比電気抵
抗が低すぎて磁気損失が高すぎるため、少なくとも0.3重量%である必要がある。1.
2重量%を超えるAlが本発明を実施する際に使用される場合、特定の場合、2.9重量
%を超えるSi含有量と組み合わせて冷間成形性が低下する。
【0014】
本発明に従って好ましくは使用される鋼分析は、0.01~0.5重量%、好ましくは
0.07~0.3重量%の量のMnを含む。本発明の無方向性電磁鋼帯において、Mnは
、比電気抵抗を増加させる効果を有する。Mnの最小量は、場合によっては比電気抵抗が
低すぎて磁気損失が高すぎるため、少なくとも0.01重量%である必要がある。0.5
重量%を超えるMnが本発明を実施するために使用される場合、磁束密度が減少する。
【0015】
追加の合金成分として、本発明のプロセスのステップ(A)で使用される熱間圧延無方
向性電磁鋼帯は、最大0.05重量%のCr、最大0.005重量%のZr、最大0.0
4重量%のNi、最大0.05重量%のCu、最大0.005重量%のCa、最大0.0
05重量%の少なくとも1つの希土類金属、最大0.005重量%のCo、およびそれら
の混合物からなる群から選択される元素を含むことができる。
【0016】
本発明の目的のために、不可避的不純物は、P、Ti、C、S、B、および/またはN
である。
【0017】
Pが存在する場合、困難を伴ってのみ均一化することができ、冷間成形性、溶接性、お
よび耐酸化性を損なう偏析をもたらす傾向がある。存在する場合、Pは、0.005~0
.03重量%の量で存在する。
【0018】
Tiが存在する場合、特にTi炭化物の形成によって強度が増加し、耐食性が増加する
。チタン析出物は、スラブ内の粒子の再結晶に影響を与える。存在する場合、Tiは、0
.001~0.006重量%の量で存在する。
【0019】
Cの存在は、可能な限り回避するべきである。Cは、炭化物形成剤、例えばTi、Nb
、Mo、Zr、W、またはTaと結合する可能性があり、大量の望ましくない炭化物(A
l、Ti、Cr)を形成する。存在する場合、Cは、最大0.005重量%の量で存在す
る。Cがより多くの量で存在する場合、次に存在する磁気エージングは、許容できない程
度まで磁気損失を増加させる。
【0020】
Sが存在する場合、硫化物、例えばMnS、CuS、および/または(Cu、Mn)S
を形成するが、これらは材料の磁気特性に悪影響を及ぼす。存在する場合、Sは、最大0
.005重量%の量で存在する。
【0021】
本発明によれば、不利なAl窒化物および/またはTi窒化物の形成を低減するために
、Nの含有量が非常に低いことが優先される。Al窒化物は、磁気特性を損なう可能性が
ある。存在する場合、Nは、0.005重量%以下の量で存在する。
【0022】
本発明によれば、C、S、Ti、およびNは、好ましくは、0.01重量%以下の総量
で本発明の材料中に存在する。
【0023】
本発明のプロセスのステップ(A)における熱間圧延された、別々に熱処理されていて
もよい無方向性電磁鋼帯の提供は、好ましくは連続鋳造プラントを介した従来の製造ルー
トによって、または薄スラブ製造によって実行される。両方のプロセスは、当業者に知ら
れている。
【0024】
ステップ(A)からの熱間圧延された、別々に熱処理されていてもよい電磁鋼帯は、好
ましくは、本発明のプロセスのステップ(B)で直接使用され得る。本発明のプロセスの
さらに好ましい実施形態では、本発明は、ステップ(A)の後、すなわちステップ(B)
の前に、ベル熱処理が640~900℃の温度で、好ましくは650~800℃の温度で
実行される本発明によるプロセスに関する。
【0025】
本発明のプロセスのステップ(B)は、第1の冷間圧延帯を得るための、0.5~0.
8mmの厚さへのステップ(A)からの電磁鋼帯の冷間圧延を含む。
【0026】
本発明のプロセスのステップ(B)において、ステップ(A)から得られた熱間圧延電
磁鋼帯は、0.5~0.8mm、好ましくは0.6~0.75mmの厚さに冷間圧延され
る。本発明のプロセスのステップ(B)は、好ましくは、240℃の温度で実行される。
【0027】
本発明のプロセスの好ましい実施形態では、ステップ(B)の冷間圧延は、30~90
%、特に好ましくは60~80%の冷間圧延の程度で実行される。
【0028】
本発明のプロセスのステップ(B)は、第1の冷間圧延帯をもたらす。これは、好まし
くは、本発明のプロセスのステップ(C)に直接移される。
【0029】
本発明のプロセスのステップ(C)は、中間熱処理された第1の冷間圧延帯を得るため
の、700~1100℃の温度でのステップ(B)からの第1の冷間圧延帯の中間熱処理
を含む。
【0030】
本発明のプロセスのステップ(C)は、好ましくは、900~1050℃の温度で実行
される。本発明によれば、ステップ(C)は、当業者に知られている任意の装置で実行す
ることができる。本発明のプロセスのステップ(C)は、特に好ましくは、連続炉内で実
行される。
【0031】
本発明のプロセスのステップ(D)は、第2の冷間圧延帯を得るための、0.24~0
.36mmの厚さへのステップ(C)からの中間熱処理された第1の冷間圧延帯の冷間圧
延を含む。
【0032】
本発明のプロセスのステップ(D)において、ステップ(C)から得られた中間熱処理
された第1の冷間圧延帯は、1つまたは複数のステップで0.24~0.36mmの厚さ
に冷間圧延される。本発明のプロセスのステップ(D)は、好ましくは、最大240℃の
温度で実行される。
【0033】
本発明のプロセスの好ましい実施形態では、ステップ(D)の冷間圧延は、30~90
%、特に好ましくは40~80%の冷間圧延の程度で実行される。
【0034】
本発明のプロセスのステップ(D)は、第2の冷間圧延帯をもたらす。「第1の冷間圧
延帯」および「第2の冷間圧延帯」の配合物を本発明に従って用いて、冷間圧延帯をステ
ップ(B)およびステップ(D)から区別する。ステップ(D)で得られた第2の冷間圧
延帯は、好ましくは、本発明のプロセスのステップ(E)に直接移される。
【0035】
本発明のプロセスのステップ(E)は、無方向性電磁鋼帯を得るための、900~11
00℃の温度でのステップ(D)からの第2の冷間圧延帯の最終熱処理を含む。
【0036】
本発明のプロセスのステップ(E)は、好ましくは、950~1050℃の温度で実行
される。本発明によれば、ステップ(E)は、当業者に知られている任意の装置で実行す
ることができる。本発明のプロセスのステップ(C)は、特に好ましくは、連続炉内で実
行される。
【0037】
本発明のプロセスのステップ(E)の後、上述の有利な特性を有する本発明の無方向性
電磁鋼帯が得られる。本発明のプロセスのステップ(E)に続いて、当業者に知られてい
るプロセスステップ、例えば切断、洗浄、巻き取りなどを行うことができる。
【0038】
本発明のプロセスにおけるすべての熱処理は、好ましくは、鉄を酸化しない雰囲気中で
500℃以上で実行される。
【0039】
単段階冷間圧延による特徴損失と分極の組み合わせでは得ることができない磁気特性は
、本発明のプロセス、特に中間熱処理を伴う2段階冷間圧延によって得ることができる。
【0040】
中間熱処理は構造を脱硬化し、その結果、第2の冷間圧延ステップの結果として生じる
中間厚さを得るために後続の冷間圧延ステップに必要な力またはエネルギーが減少し、し
たがって、より薄い最終厚さもより正確に製造することができる。
【0041】
したがって、本発明はまた、本発明のプロセスによって製造される無方向性電磁鋼帯を
提供する。薄い厚さで作製することができ、例えば50Hzの低周波数と400または7
00Hzの高周波数の両方での低い磁気損失と組み合わせて特に高い分極値J2500お
よびJ5000を示す無方向性電磁鋼帯は、本発明の製造プロセスによって、特にステッ
プ(B)、(C)、および(D)によって提供することができる。
【0042】
本発明はまた、以下の組成およびテクスチャ(すべての数値は重量%)を有する無方向
性電磁鋼帯を提供する:
2.1~3.6のSi、
0.3~1.2のAl、
0.01~0.5のMn、
最大0.05のCr、
最大0.005のZr、
最大0.04のNi、
最大0.05のCu、
最大0.005のCu、
最大0.005の少なくとも1つの希土類金属、
最大0.005のCo、
残部のFeおよび不可避的不純物、
加えて、
Iε,{554}<225>-Iζ,{110}<001>≦3、
ここで、
Iε,{554}<225>およびIζ,{110}<001>は、以下の意味を有す
る:
Iε,{554}<225>は、φ1=90°、φ2=45°、およびΦ=60°、な
らびに方位{554}<225>でのオイラー空間における方位密度f(g)のε繊維の
強度Iであり、
Iζ,{110}<001>は、φ1=0°、φ2=0°、およびΦ=45°、ならび
に方位{110}<001>でのζ繊維のオイラー空間における方位密度f(g)の強度
Iである。
【0043】
本発明による中間熱処理(ステップ(C))は、再結晶に影響を与え、したがってテク
スチャを変化させる。本発明による実施例、および比較例により、最終熱処理後の単段階
冷間圧延の場合よりも、最終熱処理後にあまり目立たないテクスチャが形成されることが
示され得る。
【0044】
高周波数および高誘導または高透磁率での低損失を達成するために、微細構造は、本発
明によれば、最適化されたテクスチャが得られるように、中間熱処理を伴う2段階冷間圧
延によって設定される。
【0045】
良好な磁気特性のために、結晶学的方向、または磁気損失が少ない形成磁化方向を含む
繊維α(<110>||WR)、η(<001>||WR)、ζ(<110>||NR)
もしくはθ(<001>||WR)のテクスチャの強度を増加させ、磁気的に不利なγ繊
維({111}||BN)を減らす必要がある。これは、例えば、繊維に沿った方位分布
関数(OVF)および方位密度(ODF)によって示すことができる。
【0046】
中間厚さがある場合とない場合のプロセス手順によるテクスチャの強度の差は、方位分
布関数(OVF)を決定することによって確立することができる。この目的のために、実
施例ごとに5つのサンプルがX線回折(XRD)によって測定される。表面の影響を排除
するために、化学的な表面処理によってサンプルの両側から30μmが事前に除去される
。続いて、Co-Kαを使用して5つのサンプルの各々について、{110}、{200
}、および{211}の極点図が決定され、これらの測定値の平均が計算される。次に、
プログラムによって、これらの平均極点図からOVFが決定される。OVFをより簡単に
比較することができるようにするために、繊維(α、γ、ζ、ε)の方位密度f(g)の
セクションを図示し、特定の方位の強度Iを比較することができる。
【0047】
中間厚さがある場合とない場合のプロセス手順によって引き起こされるテクスチャの差
は、磁気特性にプラスの影響を与えるζ繊維の方位密度f(g)の強度の差によって確立
することができ、Iε,{554}<225>-Iζ,{110}<001>に対応する
、方位{110}<001>、および方位{554}<225>のε繊維の磁気的に不利
なγ骨格線は、本発明によれば≦3である。
【0048】
本発明は、好ましくは、0.24~0.36mmの最終厚さを有する本発明による無方
向性電磁鋼帯を提供する。本発明の目的のために、「最終厚さ」は、第2の冷間圧延ステ
ップ後の無方向性電磁鋼帯の厚さを意味する。
【0049】
さらに、本発明は、好ましくは、本発明による無方向性電磁鋼帯を提供し、2500A
/mおよび50Hzでの分極J2500/50ならびに1.5Tおよび50Hzでの磁気
損失P1.5/50は、以下の関係を満たす:
ベル熱処理されていない熱間圧延帯材料の場合:J2500/50>-0.045*P
15/50
2+0.3*P15/50+1.085(1)
ベル熱処理された熱間圧延帯材料の場合:J2500/50>-0.045*P15/
50
2+0.28*P15/50+1.165(2)。
【0050】
磁気損失Pは、本発明によれば、特にDIN EN 60404-2:2009-01
:Magnetic materials-Part 2:Methods of me
asurement of the magnetic properties of
electrical steel strip and sheet by mean
s of an Epstein frame」に従って、特にエプスタインフレームに
よって、当業者に知られているすべての方法によって決定することができる。ここでは、
適切な電磁鋼板を縦方向と横方向の帯に切断し、エプスタインフレームで混合サンプルと
して測定する。
【0051】
ここで説明する無方向性電磁鋼帯は、縦方向および横方向の1.5Tおよび50Hzで
の磁気損失値の異方性が20%未満であることを特徴付ける。
【0052】
本発明はまた、回転電気機械の鉄心、特に電気モータおよび発電機における本発明によ
る無方向性電磁鋼帯の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】実施例1、2、5、および6からのベル熱処理されていない熱間圧延帯材料の場合の本発明による改善を示す図である。
【
図2】実施例3、4、7、8、13、14、および15~18からのベル熱処理された熱間圧延帯材料の場合の本発明による改善を示す図である。
【
図3】実施例1について90°のφ
1、45°のφ
2、および0°~90°の範囲のΦでのオイラー空間におけるε繊維に沿ったODFの方位密度を示す図である。
【
図4】実施例1についてφ
1=0°~90°、0°のφ
2、および45°のΦでのオイラー空間におけるζ繊維に沿ったODFの方位密度を示す図である。
【
図5】実施例2についてφ
1=90°、φ
2=45°、および0°~90°の範囲のΦでのオイラー空間におけるε繊維に沿ったODFの方位密度を示す図である。
【
図6】実施例2について0°~90°のφ
1、0°のφ
2、および45°のΦでのオイラー空間におけるζ繊維に沿ったODFの方位密度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
[実施例]
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つ。表1の組成1、2、および3が使用さ
れる。
【0055】
[実施例1]
表1の組成1は、実施例1で使用される。
【0056】
本発明による実施例5、6、7、および8、ならびに比較サンプル1、2、3、および
4が得られた。この目的のために、表1からの組成1の溶融後に得られたスラブは、いず
れの場合も熱間圧延され、740℃で熱間圧延帯ベル熱処理(hot-rolled s
trip bell heat treatment)されていてもよく、0.70mm
の中間厚さに冷間圧延された。材料は、続いて1000℃で中間熱処理され、0.34m
mの最終厚さに冷間圧延され、次に1000℃~1080℃の範囲で最終熱処理された。
比較サンプル4は、溶融後に熱間圧延され、熱間圧延帯熱処理され、0.34mmの最終
厚さに直接冷間圧延され、1000℃で最終熱処理された。比較例3は、標準プロセス、
すなわち熱間圧延帯ベル熱処理を伴う単段階冷間圧延の結果である。詳細については、表
2を参照されたい。
【0057】
特徴的な磁気値、すなわちJ
100、J
5000、J
2500、P
1.5/50、およ
びP
1.0/400は、いずれの場合も、最終熱処理後に中間厚さがある場合とない場合
のサンプルについて決定された。試験された周波数50Hzと400Hzの両方で飽和ま
での電界強度範囲にわたる本発明による実施例の分極Jの値は、0.35mmの同じ厚さ
の比較可能な比較例の値よりも高い。
【表2】
【0058】
[実施例2]
表1による組成2を有する本発明による実施例11、12、および13、組成3を有す
る実施例14、ならびに表1の組成2を有する比較例9および10は、表3に示す条件下
で得られた。
【0059】
【0060】
本発明による製造の場合の磁化損失と磁気分極の両方で達成された改善は、式1および
式2に示す関係によって説明することができ、
図1(ベル熱処理されていない熱間圧延帯
の場合)および
図2(ベル熱処理された熱間圧延帯の場合)に図示されている。
【0061】
式1(ベル熱処理されていない熱間圧延帯材料の場合):J2500/50>-0.0
45*P15/50
2+0.3*P15/50+1.085
式2(ベル熱処理された熱間圧延帯材料の場合):J2500/50>-0.045*
P15/50
2+0.28*P15/50+1.165
CoKα放射線を使用したX線テクスチャの決定が実行され、最終的に熱処理されたサ
ンプル1、3、5、7、9、11、12、および14の{100}、{200}、および
{211}の極点図が決定された。より良い測定統計を得るために、サンプルの各々につ
いて5つのX線サンプルが測定された。方位分布関数(OVF)は、平均極点図から計算
された。
【0062】
サンプル座標系に対する結晶座標系の方位は、方位密度f(g)または強度Iが割り当
てられたオイラー角φ1、φ2、およびΦがまたがる空間内の各点によってOVFによっ
て図示することができる。画像表示では、これらの方位分布関数は、この空間の断面積に
おける繊維の強度の助けを借りて図示することができる。
【0063】
ここでは、ε繊維およびζ繊維が検討される。ε繊維では、<110>方向は、横方向
に平行であり、φ1=90°、φ2=45°、および0°~90°の範囲のΦで延びる。
ζ繊維の場合、<110>方向は、法線方向に平行であり、φ2=0°、Φ=45°、お
よびφ1=0°~90°で延びる。
【0064】
それぞれの繊維に関連するOVFのセクションについて、ζ繊維およびε繊維の方位密
度f(g)が、0~90°のオイラー角のコースでプロットされた。
【0065】
図3~
図6は、OVFのコース対ε繊維の角度Φおよびζ繊維の角度φ
1を示す。特定
の位置{554}<225>、{110}<001>などが描画される。単段階製造のサ
ンプル1、3、および9は、磁気的に貧弱なγ繊維またはγ骨格線の近くにテクスチャの
主な強度を有する(ε繊維の{554}<225>参照)。
【0066】
ここで、{554}<225>のε繊維は、γ骨格線と呼ばれる理想的なγ繊維が製造
によってある程度シフトする可能性があるため、テクスチャの悪化に寄与する。骨格線と
は、オイラー空間を通る最大強度の点の接続線を指し、これに沿った強度の変動は、製造
公差内の変動として解釈することができる。このため、γ繊維の最大強度Iは、90°の
φ
1、45°のφ
2、および60°のΦ、ならびに方位{554}<225>でε繊維に
シフトする。2段階製造の本発明によるプロセスは、{554}<225>でこの不利な
ε繊維テクスチャ値の方位密度を減少させる(表3および
図3~
図6参照)。
【0067】
磁気的に困難な磁化反転方向を含まないζ繊維は、本発明による2段階製造の場合、単
段階製造の場合よりも強く占有される。個々の値を、表4に示す。
【0068】
【0069】
【0070】
テクスチャの改善は、2段階製造によりζ繊維の{110}<001>での方位密度の
強度が増加し、ε繊維の{554}<225>での方位密度の強度が低下するため(表4
参照)、二段階製造によって達成される。中間厚さで本発明による製造によって製造され
、条件
Iε,{554}<225>-Iζ,{110}<001>≦3
を満たす無方向性電磁鋼帯は、したがって特に良好な磁気特性を有する。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のプロセスは、低周波数と高周波数の両方で特に低い磁気損失を示し、そして特
に薄く圧延され得るように良好な圧延性を示す無方向性電磁鋼帯を製造することを可能に
する。それは、したがって回転電気機械、特に電気モータおよび発電機において有利に使
用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の組成およびテクスチャ(すべての数値は重量%):
2.1~3.6のSi、
0.3~1.2のAl、
0.01~0.5のMn、
最大0.05のCr、
最大0.005のZr、
最大0.04のNi、
最大0.05のCu、
最大0.005の
C、
最大0.005の少なくとも1つの希土類金属、
最大0.005のCo、
残部のFeおよび不可避的不純物、
を有し、
加えて、
I
ε,{554}<225>-I
ζ,{110}<001>≦3、
ここで、
I
ε,{554}<225>およびI
ζ,{110}<001>は、以下の意味を有する:
I
ε,{554}<225>は、φ
1=90°、φ
2=45°、およびΦ=60°、ならびに方位{554}<225>でのオイラー空間における方位密度f(g)のε繊維の強度Iであり、
I
ζ,{110}<001>は、φ
1=0°、φ
2=0°、およびΦ=45°、ならびに方位{110}<001>でのζ繊維のオイラー空間における方位密度f(g)の強度Iである
ことを特徴とする、無方向性電磁鋼帯。
【請求項2】
0.24~0.36mmの最終厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の無方向性電磁鋼帯。
【請求項3】
2500A/mおよび50Hzでの分極J
2500/50ならびに1.5Tおよび50Hzでの磁気損失P
1.5/50は、最終熱処理後に以下の関係:
ベル熱処理されていない熱間圧延帯材料の場合:J
2500/50>-0.045*P
15/50
2+0.3*P
15/50+1.085(1)
ベル熱処理された熱間圧延帯材料の場合:J
2500/50>-0.045*P
15/50
2+0.28*P
15/50+1.165(2)
を満たすことを特徴とする、請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼帯。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の無方向性電磁鋼帯を製造するためのプロセスであって、少なくとも以下のプロセスステップ:
(A)好ましくは連続鋳造プラントを介した従来の製造ルートによる、または1~4mmの厚さの薄スラブ製造による、熱間圧延された、別々に熱処理されていてもよい無方向性電磁鋼帯の提供、
(B)第1の冷間圧延帯を得るための、0.5~0.8mmの厚さへのステップ(A)からの前記電磁鋼帯の冷間圧延、
(C)中間熱処理された第1の冷間圧延帯を得るための、700~1100℃の温度でのステップ(B)からの前記第1の冷間圧延帯の中間熱処理、
(D)第2の冷間圧延帯を得るための、0.24~0.36mmの厚さへのステップ(C)からの前記中間熱処理された第1の冷間圧延帯の冷間圧延、および
(E)前記無方向性電磁鋼帯を得るための、900~1100℃の温度でのステップ(D)からの前記第2の冷間圧延帯の最終熱処理
を含む、プロセス。
【請求項5】
ステップ(C)は、連続炉内で、またはベル熱処理として実行されることを特徴とする、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップ(B)の前記冷間圧延は、30~90%の冷間圧延の程度で実行されることを特徴とする、請求項4または5に記載のプロセス。
【請求項7】
ステップ(D)の前記冷間圧延は、30~90%の冷間圧延の程度で実行されることを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
熱間圧延帯ベル熱処理が、ステップ(A)において640~900℃の最大温度で実行されることを特徴とする、請求項4~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか一項に記載のプロセスによって製造される、無方向性電磁鋼帯。
【請求項10】
回転電気機械の鉄心、特に電気モータおよび発電機における、請求項1~3のいずれか一項に記載の無方向性電磁鋼帯の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
本発明はまた、以下の組成およびテクスチャ(すべての数値は重量%)を有する無方向性電磁鋼帯を提供する:
2.1~3.6のSi、
0.3~1.2のAl、
0.01~0.5のMn、
最大0.05のCr、
最大0.005のZr、
最大0.04のNi、
最大0.05のCu、
最大0.005のC、
最大0.005の少なくとも1つの希土類金属、
最大0.005のCo、
残部のFeおよび不可避的不純物、
加えて、
Iε,{554}<225>-Iζ,{110}<001>≦3、
ここで、
Iε,{554}<225>およびIζ,{110}<001>は、以下の意味を有する:
Iε,{554}<225>は、φ1=90°、φ2=45°、およびΦ=60°、ならびに方位{554}<225>でのオイラー空間における方位密度f(g)のε繊維の強度Iであり、
Iζ,{110}<001>は、φ1=0°、φ2=0°、およびΦ=45°、ならびに方位{110}<001>でのζ繊維のオイラー空間における方位密度f(g)の強度Iである。
【国際調査報告】